○内閣
総理大臣(佐藤榮作君) 竹入君にお答えいたします。
私は、今後とも
外交、防衛問題につきまして、
国民との各種の触れ合いを通じて、あるべき施策を検討していく所存であります。
今日まで、わが国で
外交、防衛論議が不毛になりがちだった理由は、とかく議論が国際
政治の現実に立脚せず、抽象的、観念的か、あるいは独善的になりがちであったからだと思います。
お説のとおり、今後
世界平和のために
日本がになう
責任はますます重大となるのであります。したがって、常に国際情勢を綿密に分析し、その中でわが国の安全と繁栄を確保しつつ、いかにして
世界平和の維持に貢献していくべきかを
考えるべきであると思います。
わが国の安全については、これまで
国会でも種々議論され、
国民の理解も深まりつつありますが、さらに
国会の討議等を通じ、
国民の一そうの御理解を得ていくように努力する
考えでございます。
次に、前の成田委員長の質問にもお答えしたとおり、日中問題につきましては、日中間大使級会談について、
政府の
態度は一貫しております。双方が合意し得る場所で大使級の
政府間接触が可能であり、そのための門戸は常に開放されております。
政府が望んでいるのは、
政府間の対話の道が開かれ、まず相互間の不必要な警戒心や誤解が解消されることであり、さればこそ
政府は、北京
政府がその対外
関係において、より協調的かつ建設的な
態度をとることを
期待しているのであります。
また、
日米安保条約の存在が
中国本土との
関係の
改善を阻害するとは、私は
考えておりません。わが国と中共とは
政治体制を異にしていますが、このようなお互いの
立場は
立場として認め合った上で、歴史的、地理的に深い
関係にある
日本と
中国本土との間に友好
関係が生まれることが望ましいのであり、むしろお互いの
立場をはっきりさせることが、真の友好
関係をつくり出す
ゆえんであると私は思います。
わが国は、
中国代表権問題の帰趨が
アジア、ひいては
世界の平和と安定に及ぼす影響の大なることにかんがみ、本問題が国連憲章十八条にいう重要問題として慎重に取り扱われるべきであるとの
立場をとってきており、この点は従来と変わっておりません。
また、いわゆる吉田書簡は、しばしば申し述べたとおり、元来が私信であって、
条約や
協定のように
政府を拘束する取りきめではないので、廃棄するとかしないとか、こういうような問題ではないのであります。
輸銀資金の
使用につきましては、従来から具体的な問題ごとに諸般の事情を勘案して、ケース・バイ・ケースで処理することにしており、今後ともこの方針に変わりはありません。
昨年の秋の
日米共同声明にも明らかなとおり、
沖繩の施政権返還にあたっては、
日米安保条約及びこれに関連する諸取りきめが何ら変更なしに
沖繩に適用されることに
日米間の合意を見ております。したがって、
日米安保条約第六条に基づく事前協議の制度も、
本土における場合と全く同様に
沖繩に適用されます。米国
政府との、
沖繩の返還に関連して、事前協議における回答を予約したようなことは全くないことでありまして、これまでもすでに明らかにしてきたところであります。
他方、わが国の安全は、極東の平和と安全なくしては十全を期し得ず、したがって、
韓国や中華民国のような近隣諸国の安全は、わが国の安全にとって重大な
関心事であり、万一これが侵されるような事態が発生すれば、まさしくわが国の安全にとってもゆゆしきことであります。このような場合に、わが国が自主的判断により事前協議を適正に運用し、前向きの
態度をもって事態に対処することは、むしろ当然のことであると私は思います。(
拍手)
沖繩や
本土への有事
核持ち込みについてのお尋ねがありました。
政府は、今後とも
非核三
原則を堅持する方針であり、返還後の
沖繩につきましても同様の方針で臨むことは、すでに明らかにしてきたとおりであります。したがって、核の有事持ち込みはありませんから、重ねてお尋ねを受けないように、どうぞ御安心いただきたいと思います。(発言する者あり)はっきり申し上げます。
次に、施政権返還後の
沖繩には
日米安保条約が適用されることになります。したがって、
安保条約の目的に照らして必要な
米軍基地が
沖繩に残り、引き続きわが国を含む極東の安全維持のために有効な機能を維持することは、国の安全のために必要であります。しかしながら、現在
本土におきましても、
日米間の話し合いを通じて、
日米安保条約の目的に照らして、不要不急な
基地はこれを整理縮小していくことになっていることでもあり、施政権返還後の
沖繩に残るべき
米軍基地につきましても、同様の見地から整理統合が行なわれるべきは当然であります。この見地から、
政府としては今後行なわれる地位
協定の
沖繩への適用準備のための
日米間の協議、また、施政権返還後の
日米安保体制下の
日米協議等を通じて米側と十分話し合い、
日米安保条約の目的に照らして、妥当かつ可能な範囲内での
基地の整理統合を実現してまいりたいと
考えております。
次に、
沖繩の祖国復帰に備えて、復帰後の
沖繩経済の開発振興をいかにするかという
基本構想を固める必要のあることは、言うまでもありません。
沖繩経済振興の方向としては、その地域的特性を生かし、第一次
産業において砂糖やパイン
産業のほか、新たに畜産物、生鮮食料品などの
本土向け供給
基地として、第二次
産業においては高度加工工業にあわせて、石油等の装置
産業など鉱工業の新たな開発地域として、また第三次
産業におきましては、観光、レクリエーション地域、及び
日本と東南
アジアを結ぶ文化交流のセンターとして、それぞれその可能性を検討していく方針であります。
なお、
沖繩の開発を
促進するためには、何らかの特別立法が必要であると
考えておりますが、その構想につきましては、今後逐次固めていく方針であります。
沖繩における
米軍基地労務者の解雇問題につきましては、米国
政府に対し、数次にわたり退職手当の増額、解雇予告期間の延長、解雇予定者の
米軍内部内での配置転換、
米軍基地内での職業訓練の実施等の措置を考慮するよう申し入れてまいりました。
また、同時に、離職者に対し
本土の場合に準じた特別給付金等の支給、
本土就職希望者に対する援助、琉球
政府による職業訓練の充実等に関する
予算措置を講じてまいりました。
政府としては、
沖繩の軍
関係労務者の地位をできる限り
本土基地労務者の地位に近づけるよう、今後とも復帰準備の一環として米側との話し合いを続けてまいる所存であります。
また、
間接雇用の問題につきましては、施政権返還後は、当然
沖繩の
軍労務者の
雇用関係を
本土と同様、地位
協定下での
間接雇用制に移行することでもあり、今後復帰準備の一環として、
日米間でそのための準備を進めていくこととなっております。
施政権返還前の
沖繩における現在の
雇用形態に何らかの変更を加え、
本土の
間接雇用に準じた制度を導入し得るかいなかの問題につきましては、法律的にも実態的にも、なお検討を要するところであります。しかしながら、施政権返還前においても、
沖繩の軍
関係労務者の地位をできるだけ
本土の
基地労務者の地位に近づけるために、可能な限りの努力を払ってまいる
考えであります。
次に、
国政参加の問題であります。
国政参加の
沖繩代表にいかなる権限を与えるか等につきましては、目下
国会で御検討いただいている段階であり、
政府としては、御指摘のような具体的な問題について、米側との折衝はまだ行なっておりません。これらの問題につきましては、米側といかなる協議を行なう必要があるか、これは
国会の御決定を得た上で検討することといたします。
核防条約は、すでに百カ国近い国が署名を終えている現在、わが国はいまだに署名しないということともなれば、わが国が
核兵器をつくる能力を有していることでもあり、わが国の意図について無用の誤解を招くおそれがあります。他方、
条約が発効するとの見通しのもとに、核軍縮、安全保障、
原子力平和利用等の問題についてのわが国
政府の主張をより効果的に実現するためには、本
条約発動以前に
調印することが適当であると
考えた次第であります。署名はいたしましたが、その
批准につきましては、十分
国会の
審議をお願いすることは申すまでもないことであります。
次に、
核保有国の軍縮の義務につきまして、本
条約中に、軍縮交渉を誠実に行なうとの規定が設けられたのはわが国などの主張によるものであり、また、五年ごとの
条約レビュー
会議で、軍縮の進行
状況を検討することになっております。
米ソ間では、すでに戦略兵器制限交渉が開始されておりますが、わが国としては、右交渉の推移を注意深く見守るとともに、ジュネーブにおける軍縮委員会等において、
核兵器国の軍縮実現に努力する
考えであります。
次に、安全保障の問題でありますが、
非核保有国での安全につきましては、わが国などの主張により、
条約中に、国際
関係において武力による威嚇または武力の行使を慎むべきこととされており、また、米英ソ三国も、核による侵略、威嚇の対象となった非
核兵器国に対しては、国連憲章に従い、援助提供のため直ちに安全保障理事会の行動を求める意図がある旨を宣言しております。
核の
平和利用につきましては、確かに、本
条約で
核兵器国が査察を受ける義務が規定されていないことは遺憾でありますが、米英両国は、自発的に国際原子力機関の査察を受けるとの意向を表明しております。ソ連につきましても、従来の閉鎖的な
態度を捨てることを強く
期待するものであります。わが国としましては、査察の実施の面での差別待遇がないよう、国際原子力機関との査察
協定を作成する上で努力していく所存であります。
中共及びフランスの不参加につきましては、両国が非
核兵器国に対して
核兵器を譲渡したり、製造の援助をすることは、自国の利益保護という点から実現性に乏しく、特にフランスは、
条約に加入する
核兵器国と同様に行動する旨を
声明しております。したがって、両国が加入しなければ核不
拡散の意味は全くなくなるというようなことではございません。
非核三
原則は私の、佐藤内閣の
政策であって、
国会で
決議すべきものではないと
考えております。まだ
非核武装宣言を行なわずとも、わが国
政府の
態度は、国の内外を問わず、明らかなものであると信じます。
次に、
内政に関連して、
社会保障に関して幾つかの質問がありました。
まず、一九七〇年代、十年の具体的
目標を振替所得によって示せとのお尋ねでありますが、残念ながら、十年後を具体的にお示しできる段階ではまだございません。現段階におきましては、
経済審議会におきまして新しい
経済社会発展計画を検討中であり、いずれその策定の暁におきましては、計画
目標年次である
昭和五十年度の姿について明らかにできるものと
考えております。いずれにせよ、七〇年代を迎え、
社会保障の充実は、人間尊重の精神に基づく
社会開発の中心的施策として重視してまいる決意であることを、まずはっきりと申し上げておきます。
次に、公的年金制度の総合調整を抜本的に進めよとの御意見でありました。この問題は、竹入君も十分御承知のように、きわめてむずかしい問題を含んでおりますので、
政府としては鋭意検討を進めてはおりますが、率直に申して、簡単には結論を得られそうに、ただいまのところありません。もちろん、今後ともその努力を続けてまいりますが、この間において、各種年金についてそれぞれ歩調を合わせた適切な
改善措置を講じて、いやしくも均衡を失することのないよう留意してまいりたいと
考えます。
なお、老人福祉対策につきましては、一般施策の充実と相まって、近年の公的年金面の顕著な充実により目ざましい
改善を見ていることは、竹入君もお認めいただけることと
考えます。
次に、
児童手当は、来年度
予算におきましては、まことに遺憾ながらその実現を見送らざるを得ませんでしたが、私は、今後ともこの実現に向かって積極的に努力してまいる決意であります。何ぶん新しい、しかも大きな制度であるだけに、
社会保障の他の制度や
税制なり給与制度などとの関連において調整を要する問題が多く、このため、
児童手当審議会から最終的な
答申をいただくためには、なお若干の時間を要する段階であると聞いております。また、その実現と円滑な運営のためには、
企業及び地方団体の十分な御理解と御協力が何よりも必要でありますが、そのような意味合いからは、残念ながら十分に実現の機がまだ熟しているとは申せません。私は、引き続き、
児童手当の実現のため
最大限の努力は払ってまいる所存でありますので、
児童手当の制度が今後の
社会保障の諸施策の中にあって最も妥当な位置づけが得られ、かつ、
国民各界各層の同意を得られるように、公明党の各位をはじめ、せっかくこの制度を推進されている皆さま方の御支援をいただきたいものと、かように
考えます。率直にお答えした次第であります。
次に、ガン対策でありますが、現段階におきましては、ガンの
原因究明、ガン診療施設整備等の
前提条件をまず
解決することが必要であり、当面これに全力をあげることとし、特別法の制定につきましては
考えておりません。
また、心身障害者につきましては、新しく国立の心身障害者の福祉施設を開設するほか、障害福祉年金や特別児童扶養手当の増額を行なうなど、十分意を用いているところであります。
次に、
物価問題についてお答えをいたします。
まず、
経済成長と
物価安定との
関係につきましては、あまりにも高い
経済成長のもとにおきましては
物価の安定は至難のことであり、
物価問題の混乱は
経済の
成長を阻害する要因に発展するおそれがあります。一面、
物価への波及をおそれるあまり、
経済成長そのものにあまりにも消極的
姿勢をとることは、これまた許されるところではありません。両者の調和をはかることが今後の
日本経済の安定した発展の基盤となるものであり、先般策定した四十五年
経済の見通しは、この意味で適切妥当なものと
考えております。
次に、
公共料金につきましては、これを安易に引き上げることは、直接
国民生活の負担となるばかりでなく、
政府の
物価問題に取り組む
基本的
姿勢を示すものとして、他の分野にも少なからざる影響を持つものと
考えます。したがって、
政府としては、
昭和四十五年度においても
公共料金の値上げを極力抑制する方針であります。すなわち、
政府が直接決定する米価、麦価は据え置くこととし、その他の
公共料金についても、事業経営の徹底的な合理化を求め、このような経営努力なくしては料金引き上げを認めないこととしております。
また、竹入君からは、独禁
政策を強化せよとの御要望でありました。私は、わが国ではいわゆる独占の弊害は必ずしもあらわれていないと
考えますので、この点は竹入君とやや
見解が異なりますが、今後とも独占禁止法の厳正な運用をはかるとともに、輸入の活用、労働力の流動化の
促進等により、公正な競争
条件を整備してまいる所存であります。
次に、
公害対策基本法は、人間の生命、健康は何ものにも増して尊長されなければならないという理念に基づき、講ずべき
公害対策の
基本を示したものであります。したがって、これを
改正するつもりは、ただいまのところありません。
次に、
企業責任を強化せよとの御意見がありましたが、
公害防止の第一次的な
責任は、その発生源である事業者にあることは御指摘のとおりであり、私もさきの
国会におきまして、
公害の
企業責任は十分に追及さるべきであることを申し上げたところであります。
先般の
施政方針演説で、私は、
公害は現代の悩みであると申し上げましたが、精神的、
社会的な豊かさを実現するためには、
公害はぜひとも
解決しなければならぬ問題であり、今後とも着実かつ強力に、
公害防止のための施策を進めてまいる決意であります。
公害行政に徹せよとの御意見は、
政府に対する一そうの御鞭撻の
ことばと伺っておきます。
次に、住宅、
土地の問題についてお答えいたします。
まず、第一期住宅建設五カ年計画は、
目標を達していないという御指摘でありましたが、
政府としては、総合的に見て、計画戸数六百七十万戸を若干上回る戸数が建設されたものと見込んでおり、計画は達成されるものと見込んでおります。
なお、
昭和四十六年度以降も引き続き第二期住宅建設五カ年計画を策定して、住宅対策を強力に推進する
考えでありますが、その際には、竹入君から御指摘のありました問題についても十分配慮してまいりたいと
考えます。
また、
土地問題については、
土地の有効利用の
促進、国有地、公有地の活用、地価公示の拡充、
土地税制の
改善等の各般の施策を総合的に実施することが必要であり、その推進をはかるとともに、都市地域における宅地需給の緩和をはかるための施策を強力に進めてまいる所存であります。複雑な問題がからむ
土地対策のむずかしさは先進国共通の悩みであり、建設的な御意見を歓迎すると同時に、
国民各位の御協力を願う次第であります。
次に、減反農地の買い上げに関連して、まず都市計画法との関連でありますが、都市計画上、集団的優良農地は市街化調整区域に含められ、市街化が抑制されて、その保全がはかられる一方、市街化区域内の農地につきましては、農地転用の許可を不要とすることによって、宅地の供給を推進することとしております。
次に、公共用地の先行取得との関連につきましては、米の
生産調整に資するとともに、公共用地の計画的確保にも役立つので、先行取得制度を積極的に活用したいと
考えております。
次に、
税制、
減税について種々の御意見がありました。まず、その実態は
減税ではなくて増税ではないかという御意見がありました。
国民所得に対する
税負担は、四十四年度の一八・七%に対して、四十五年度では一八・八%になっております。しかしながら、最も直接
国民の
税負担感としてあらわれる所得税につきましては、特に中堅サラリーマンを対象に大幅な
減税を行なった結果、大多数の勤労者諸君の
税負担は大幅に軽減されました。また、
国民所得に対する
税負担率だけで直ちに国際的な
税負担の軽重を判断するわけにもまいりませんが、この一八・八%という水準は、欧米先進国に対してかなり低いものであることは誤りのないところでありますので、つけ加えておきます。ただし、このように申したからといって、今後所得税の
減税が全く不必要であると
考えているものではありません。今後の
財政状況にも応じ、さらに中堅サラリーマンの
減税につきましては引き続き努力してまいりたいと
考えます。また、その他
税制一般については、
税制調査会の御意見をも十分伺って、七〇年代にふさわしい
税制のあり方について慎重に検討してまいりたいと
考えます。
次に、課税最低限を百三十万円にせよとの御意見でありますが、これはすでに今回の
改正で、英国、西独を上回る国際的水準に十分達したものであり、さらに百三十万円に引き上げることは、ただいま
考えておりません。また、給与所得控除の定額控除も、おおむね妥当な水準であり、これを大きく引き上げることは
考えておりません。
次に、租税特別措置法についてでありますが、これまでしばしば申し上げたように、その
政策、目的との調整をはかりつつ、逐次必要な改廃を弾力的に行なっていく所存であります。四十五年度におきましても、一歩前進がはかられたものであります。さよう御了承いただきます。
次に、竹入君からは、わが国
農政の
基本的な問題についてお尋ねがありました。
農業は、わが国の発展のために、大きな役割りを果たしてまいりましたが、今後も農業の健全な発展がなければ、わが国が均衡のとれた豊かな国として
成長することは
期待できません。そのためには、農業は高能率、高
生産性の近代的
産業へと脱皮する必要があり、そのため、農地法の
改正、農業基盤の整備などの構造
政策を拡充して、農業の
近代化をはかるほか、農業に従事する若い世代に魅力と自信を与えるために、道路、住宅など、農村の生活環境の整備をはかって、豊かな、住みよい農村を実現することが肝要であります。
日本農業は、有史以来の米作中心の農業から転換を迫られており、それだけに多くの困難な問題に際会しておりますが、
政府としては、これに十分の支援を惜しまない決意であります。
次に、農産物の輸入自由化の問題でありますが、貿易自由化の一般的
基本方針と総合
農政の転換期にある国内農業への影響を十分に考慮しつつ、慎重にとり進めてまいる所存であります。
また、国内自給率につきましては、
基本的な
考え方としては、
国民の必要とする食糧はなるべく国内でまかなうことが望ましいのであります。かように
考えますが、このほか、
わが国経済全体としての効率の問題あるいは
消費者物価への影響などを考慮する必要もあり、端的に自給率として
目標を設定することはいかがかと
考えます。
次に、食管制度についてでありますが、食管制度は
国民食糧の確保、
国民経済の安定のために重要な役割りを果たしてきたものであります。食管制度の根幹は維持するという
基本方針は、かねてから申し上げているとおりであり、これを撤回するつもりはありません。重ねてはっきり申し上げておきます。(
拍手)この
基本方針のもとにおいて、今後とも食管制度が情勢の変化に対応しつつ、その役割りを的確に果たし得るように
考えてまいることが必要であり、当面の問題として米の需給の均衡をはかり、減産
目標の達成に全力をあげで取り組むことが緊要の
課題であると
考えます。
以上、各般にわたるお尋ねに一応お答えいたしましたが、なお、限られた時間でありますので、不十分な点がありましたら、他の機会にお尋ねをいただき、また同時に、長い答弁をよくお聞き取りいただきまして、ありがとうございました。(
拍手)
—————————————