○畑
委員 これはあなたのほうの秘密の保持という点もあるし、同時にまた、個人の人権ということ、特に私はそのあとの問題がむしろ重大だと思う。初めのほうの場合につきましては、秘密の保持というので、場合によっては国家公務員法の第百条あるいは地方公務員法の第三十四条、秘密を漏らした場合にはこういうものによって
処罰をされることもあり得るわけです。そういう
規定もあるんだから、これは慎重にやってもらわなければいかぬと思う。あなたの
答弁では私は満足をしませんけれ
ども、しかし、そうでなくとも警察権力と企業との癒着ということがいま問題になっておるんだから、公平無私でなければならない警察でありますし、しかも人権を
擁護すべしということになっておるんですから、その点はやめるということを言ってほしいんだが、あなたもどうもそこまでは言い切れないらしい。十分配慮してやります、それだけでは不十分だと私は思う。しかし、これで押し問答していてもしかたがない。少なくともいま言ったことは最大限に実行してやってもらいたい。こういうことが今後
国会で問題になるようなことがないように、私も十分監視しますから、ひとつその点十分に気をつけてもらいたい。時間がありませんし、次の問題がありますから、この問題の
質問をこれで終わります。
第二の問題といたしまして、福岡電波学園の問題について
質問をいたしたい。まず、概貌を申し上げまするにちょうど便宜と思いますので、若干時間がかかりますけれ
ども、朝日
新聞の七月六日の報道、これはこちらの関東のほうにも出ているか出ていないかわかりませんが、これは西
日本の版でありますが、それを便宜読み上げまして、
事件の概貌をまず申し上げたいと思います。
「学校法人としては全国でも異例の破産宣告をうけ破産管財人による管理を受けてから、この七月で満二年を迎えた福岡市下和白の福岡電波学園で、こんどは付属の電波高校の教師たちが「破産財産の管理をすべき管財人一派が仕事を怠るばかりか、教育現場に勝手に口を出して学園を混乱させている」と十六人が連名で
国会に請願する準備を進めている。さらに管財人に批判的な債権者の間で「破産宣告は、大口債権者と管財人とがたくらんだ学園乗取り」という声が上がっており、債権者の委任状を集めて管財人らを追及する動きもからんで、学園騒動はいよいよ広がりそうな雲行き。破産宣告後も、同学園では福岡工業大、同短大、福岡電波高三校の学生、生徒約二千五百人の授業が続けられており、父母たちの間に不安の表情が濃くなっている。」こういう見出しでありまして、そして「電波高校教職員有志として、十六人の連名で出される請願書はすでに作成され、近く地元
国会議員の手を経て衆参両院議長に提出される。内容は「教育権が管財人の手で侵されている」というもので管財人らが校長を勝手に任命、教職員の首切りを行なっている、としている。また債権者の管財人追及については、このほど管財人批判債権者の間で「債権者代行
委員会」が作られ、六月末集会を開いて1二人の破産管財人と五人の監査
委員の即時解任2文部省が選んだ仮
理事は認めない、の二点を決めた。「破産宣告後二年にもなるのに、膨大な報酬を受取るばかりで、管財人本来の仕事である財産分配の業務を怠っていることは、道義的にも許せない」という理由。福岡電波学園は四十二年三月、不渡手形を出して倒産、四十三年七月二日に破産宣告を受けた。弁護士の江口繁氏らが破産管財人となって処理に乗出し、同月末開かれた第一回の債権者集会で、学園を存続させることを満場一致で決めた。ところがこのあと、学園の経営に当る
理事の
法律的解釈について管財人側と前
理事との間に見解が分れ二年の間対立してきた。「学園の破産と同時に当時の
理事は失格する」という見解をとっている管財人側は、文部大臣に仮
理事の選任を依頼、先月末、
日本船舶振興会会長笹川良一氏ら五氏が選ばれた。これらの仮
理事は学園の再建策として、新たな
理事を選任して債権者と強制和議に持込む方針で、今秋までには法人の再認可にこぎつけたい、という。これに対して桑原玉市氏ら破産当時の
理事たちは「学校そのものが存続しているのだから、
理事は失格していない。学校教育にタッチする権利はあるはずだ」と主張して、対立を続けていた。そこへ今度の仮
理事選任。桑原氏らは「文部大臣の私学への不正介入」として反対、さらに教師の請願問題がからんで紛争は再び表面化した。同学園の債権者は約千四百人。江口管財人らを非難している「債権者代行
委員会」は七百人の委任状を集めたといっており、先月末の債権者の集りは七十七人が集まった。「この破産は、財産評価を低く見つもり、負債を水増しして、
裁判所に認めさせた。いわば破産処置をとり、当時の
理事たちを追出すやり口。大口の債権者と管財人とが仕組んだ巧妙な乗取りだ」といっている。また管財人、監査
委員らが受取った報酬については、古池氏らは「破産宣告いらい三月末までに合計千三百二十五万円にのぼる。管財人のなかには七百万円近くも受取ったものがいる。
裁判所が認めたといっても、破産学園からこんな巨額な報酬をとるのは道義的に許せない」といっている。一方、大部分の教職員も当初は管財人側についていたが、昨年三月、六人の電波高教師を管財人側が解雇して以来、反管財人色を強め、電波高校では、管財人が任命した校長、教務部長をボイコットして職員
会議による学校運営を進めているという。」こういう概貌であります。
これは便宜朝日の記事を読み上げたものでありますが、学園の破産の問題というということで非常に注目も集めておりますし、非常に紛争が長引いており、確かに困ったものだというような感じがするわけであります。基本的に、学校法人と破産の問題というのは、どの場合でもこれは非常に深刻な問題になり得る
可能性がある。普通の経済的な会社などの場合におきましては、事はしごく簡単であります。けれ
ども、事教育に関して、学生を多数かかえておるという本件のような場合には、私はきわめて問題が深刻になり紛糾をすると思うのであります。しかもこの福岡の電波学園の場合におきましては、いろいろ不信感が手伝って、お互いに二派に分かれていろいろやっておるようであります。管財人側と旧
理事側と、こうした二つの側に分かれて深刻な争いをやって今日まで来ておるようでありますけれ
ども、こういった学校法人や何かに対する破産というものは、最初の破産宣告そのものをよほど慎重にやってもらわなければならぬのじゃないかと私は思うのです。ほかには、各種学校では破産の問題があるというふうに私は聞いてますが、大学の場合に破産までいった例はこれが初めてではないかというふうに聞いておるわけでございます。非常に深刻な問題になっておるのでありますけれ
ども、教育の問題と破産による経済的な解決を本旨とした破産法の
趣旨、それとがどうもうまくいかない。当然のことであると思うけれ
ども、それがこの学園の場合にあらわれたと私は思うのでありますけれ
ども、この点について少し各方面に聞いてみたいと思います。
まず第一は、私は破産を宣告するについてもっと慎重であってほしかった。慎重にやったのではありましょうけれ
ども、相当これだけの財団としては破産宣告を急ぎ過ぎたというような感じがいたしておるわけであります。しかも資産と負債との
関係、はたして債務超過となるかどうかということも私は非常に大きな問題になると思うのでありまして、結局債務超過ということで破産ということになったのだと思うのでありますが、この評価の問題についても相当両者に見解の違いがある。評価をするについて、ただ一カ所だけに評価をさしておる。三十億、二十億というような大きな破産財団について、鑑定人が一カ所だということは私は問題があると思う。しかも鑑定人として選んだ人が管財人——そのときは管財人はいなかったのでしょうが、管財人と同じビルにも住んでいるというような
関係もあるようでありまするし、しかもその破産の宣告になる前に実は
理事の執行停止の仮処分があったようでありまして、それで、それの
理事の代行者に
裁判所から選ばれた人が、その後、破産になってから破産管財人になった。こういうことも一つある。それからまた、この
事件を担当した裁判官が、破産管財人になった人のところで弁護修習をしたというようなこともいろいろ勘ぐられるところにもなっておるようです。こういう問題についていろいろ旧
理事側でも疑惑を持っております。それで訴追の申し立てがあったりなどしたと聞いております。
そういう問題について、基本的に
裁判所の側——まあ裁判に
関係がありますから、あまり内容に立ち入ったことは言えないと思いますけれ
ども、こういう問題に対する
裁判所側の基本的な態度、学校法人やなにかの問題についてですね、それについてひとつ見解を承りたい。