○
井野委員 承知しております。
初めて
法務委員会に
出席をさせていただいたのですが、ずいぶんしんぼうの要るところだということを知りました。ほんとうは先に自治省、農林省にお尋ねした後に大臣の御判断をいただければ、いかに今日
検察行政が国民から疑惑を持たれ信頼を失っているかという事実について、明確な御見解をいただけると思ったのでありますが、私が最も大臣にお訴えをしたい検察官の
会議だというのでありますから、これはまた後ほどの検察官に対する訓示について非常に御参考になろうかと思います。
まず、先ほど
松本委員は、戦後の列車転覆の
事件をついて、検察官になる希望を若い研修生に失わしているということをおっしゃられましたが、私はもう
一つの側面があると思います。権力のあるところ、あるいは権力の介在するところ、汚職を見ても見て見ないふりをしなければならないような風潮が検事になることを、いわゆる正義の使徒としての認識を国民から阻害される、そういうところにこの職務につくことを非常にいやがる、こういう傾向が出ているんではなかろうかと思うわけであります。
私がきょうぜひ問題にしなければならないと考えました点は、今日地方公共団体の事業をめぐりまして、特に特別会計とかあるいは公団とか公社とか、こういうものをつくって地域住民の福祉に貢献する事業が行なわれております。これらの予算執行、財政の運用を通じて、公共という美名に隠れて、首長や議会が一緒になって
犯罪を犯している。ところが、地方自治法では地方自治法の違反を指摘しながら罰則がございません。違反してはならない、こういうことをやってはならないと規定をしております。また自治省ではこれらについて行政監査を行なって改善の指摘をいたしております。
こういう問題をめぐりまして、たとえば北海道議会等では、議員から明らかに業務上横領があるではないか、これは明らかに職権の乱用があるではないか、こういう指摘を受けますと、当該公共団体の
責任者は、これは自治法の
範囲を越えた問題であり、告発をされるなり、あるいは検察庁のメスが入るなりすることが望ましいのでありまして、私
どもの
責任を越える問題でありますという答弁が行なわれております。私は、こういうようなことがマスコミに取り上げられて、三大新聞あるいは地方新聞等が大きく取り上げただけでも、検察はやはりその事実のあるなしについてのメスを加えなければならない
責任のあるものだと思います。試みに検察庁法を読んでみますと、第四条にこのことは明らかに義務づけられております。私はそれは言うまでもないところだと思うのであります。
私がいまここで問題にしようとしております二つの問題は、皆さんも北海道で
日本人が
現地住民を搾取して有名な、アイヌで知られております白老町政についてであります。
一つの問題は、静岡にございます大
昭和製紙工場を北海道に誘致する機会に、この工場敷地二百ヘクタールを無償で会社側に提供することを町議会は議決をしております。ところが、この敷地二百ヘクタールの中に、
昭和三十九年のころに農林省が同町の開拓農協に払い下げた土地が含まれております。この土地を当時の開拓農協組合長から譲り受けたと称して六十一万円を、この開拓農協の当時の農山村振興の受益者負担金の金に窮して融資を受けたことを奇貨として、これにかってに費目、数字等を書き入れて、いわゆる町の会計支出仕訳書であります、これをもって領収書の証拠として町の予算にもない、議決にもない、正規のルートの契約書もない、にもかかわらず、これを根拠として
財産の譲り渡しを
要求する
内容証明書を、当時の組合長及び現在の組合長に
要求いたしております。これは地方自治法でいきますならば、明らかに私の行為であり、職権の乱用であり、公務員が他人に義務のないことを履行せしめることであり、刑法に明らかに該当するところであります。そして同時にこの土地は、大
昭和製紙が町から無償交付を受けたものとして、ここに一億数千万円の支出をいたしておりますが、これらの
返還要求に対しては町からもらったものとして、まるでこじきかゆすり、たかりに対する
態度のような傲慢無礼な
態度をもって接しております。このことは、
一つには民事として、開拓農協から大
昭和の社長斎藤氏に対する
財産権の確認と施設撤去の民事訴訟を提起いたしておりますが、同時にこの問題については大
昭和工場、白老町長及びあいまいな約束をしたとかしないとかいわれる当時の組合長、三人を侵奪罪でもって告発をされております。
この問題をめぐり、私がいま問題にしたいと思いますことは、北海道議会におきます道警本部長の答弁であります。詳細に調べて参考人に聞いたところが、町側にも買ったという契約書その他の証拠もなく、組合側には売ったという契約書その他の証拠もないから、黒白のほどは判定しがたい、こう述べております。これは
一体どういうことでありますか。開拓農協は法人であります。したがって、
財産を譲渡、売却する場合には、明らかにその内部定款により、規則によって行なわなければならない諸般の手続があります。町には当然また契約をする規定その他の条例、規則がございます。したがって、職務に従ってそれらの調書がつくられた後に初めて契約関係が成立するものでありまして、今日これを行なわずして売買が行なわれる。特に道警本部長の答弁によりますと、口頭契約をしたものでありまして、と述べておるのでありますが、
一体今日の公共団体の中で口頭契約によって今日数億もするというような土地、それがわずか六十万円で買い取られる、こういうようなことが存在するかどうか。このことについても依然として、私は法務省の刑事局の刑事
課長さん、参
事官のお話を聞きましたが、
現地では刑事
事件になるかどうか疑問だとおっしゃられているようであります。この点が一点。
もう
一つ、私
どもとしては何としても理解できない問題がございます。同じように三十九年に同じ町内に虎杖浜漁業協同組合という組合がございます。ここから約六ヘクタールの土地を町に寄付採納いたしました。この土地を町は、どういう目的かわかりませんけれ
ども、泉観光という会社に売却をいたしております。寄付採納をいたしました後に直ちに売却をいたしておりますが、この町議会に提案された売却の決議案には金額が入っておらないのであります。そして、口頭でもって九百十四万云々と答弁をいたしております。それから二年
たちまして、どうもおかしいというので北海道議
会議員の影山豊君が追及し、
調査をいたしましたところが、泉観光の支出書には一千四百十四万八千三百三十三円、五百万円の差額があることが明らかになりました。そこでこの五百万円の追及をいたしましたところが、実はそれを二つに分けまして、二百五十万円は町長の個人名義で室蘭信用金庫白老支店に、百五十万円は定期で、百万円は普通領金で傾けられておることがわかりました。半分の二百五十万円は虎杖浜漁業協同組合が所有し、そのうちの二百二十九万円を当時その土地を耕作しておった
人々にそれぞれに配分をして、残り二十万余円を漁業協同組合に保管をしていることがわかったのであります。私がそこで疑問だといいますのは、町の収納には当該年度には九百十四万八千幾らですね、五百万円を除いた金額、これしか収納されておりません。したがって、これが後に監査結果報告であるとか検察の調書に載った一千四百万円、五百万円プラスしたものは明らかに
犯罪を糊塗するために道警の指導によってつくらせた証拠ではないかと私
どもは疑うのであります。しかもこの五百万円の内訳について、この歳入欠陥というものはどのように補正をされたのか、監査
委員は町民に
公開を否定いたしております。この点についての答弁については、道の総務部長の中村さんは、先ほど申し上げましたように、これから先の刑事
事件になるかならないかについては私
どもの言うことではないというように答弁しておる。そのとおりだろうと思います。しかし、地方財政の会計単年度
独立の原則からいっても、この財政運用に欠陥のあることは明らかであり、しかも三年にわたって公金を町長が私の名義で私印をもって銀行に置いたことは、明らかに領得をして業務上横領を行なっていたのであるものを、その目的が町の発展、この
財産を処分することによって虎杖浜漁業協同組合の将来の漁港整備等に使う金として保管をしておったというへ理屈をつけて今日これをのがした検察
当局、警察の
態度というものは、私
どもには了解できないわけであります。
また、聞くところによりますと、これを扱った刑事
課長は、
事件の途中に転勤を命ぜられまして、その後閑職につかされておるという事実もありますし、私はなお、この間これを立証する問題として、人の名前をあげては恐縮ではございますけれ
ども、この数年の間に、当時契約をしたという組合長は組合員を使嗾してこれを失脚せしめて、その
あとになった組合長は元国家公安
委員長秘書官、そして今日北海道議
会議員でかつ白老開拓農協の組合長として、この土地を当該大
昭和製紙に売り渡すことに努力をいたしました。しかし、このことを知った組合員はこれを了解いたしませんで、今日の組合長になり、ついに告発に及んだ問題であります。私もたくさん公務員の
事件を知っております。あるものは戦後、当時の非常な困難な中で充足できない国立病院等の医師の充足のために払った給与外給与の
責任をとらされて、業務上横領で処断をされております。あるいはまた町村役場等において進駐軍事務を扱って、その当時の事情からいってやむなく会計外支出をしたためにその
責任を問われ、業務上横領に十数万円で問われた事例も私は知っております。しかしながら、白老町のごとく町議会がこれを了承し、全部これはぐるになっておるわけでありますから、そういう中でこういうように五百万円の金を、あるものは不当に支出をし、あるものは自分の名において領得をしても罪にならないという、刑事
事件として問われないということ、これは
一体どういうことなんですか。また反面同じ町長は、今度はそういう契約書なしに契約履行を
要求したり、あるいは他人のものをかってに工場誘致によって贈与したり、これらの行為が刑事
事件として追及されないということは
一体どういうことなのか。ひとつ明快に、だれにでもわかるように御説明を願いたいと思うのであります。