○畑
委員 もう時間が一時近くになりましたけれども、
法務大臣が見えても、またすぐ参議院のこの問題についての緊急質問の本
会議に出なければならぬというような話も承っておりますので、私はせめて
法務大臣に少しの時間でも
質疑をいたしたいと思いまして、本来なら休憩するところですが、続けて質問をいたしたい、かように
考えております。
今度の飛行機の乗っ取り
事件、この問題はともかくこの一週間という間、
世界の耳目が集中して、
日本でもほとんどほかのニュースが出ないというくらいで、もうこれ一本に集中した。
国民もテレビ、ラジオ等に耳をずっとそばだててきた非常にショッキングな
事件でございました。非常に不幸な
事件であることには間違いないのでありますけれども、結果的に幸いに御
承知のようなことで終わりまして、これは
国民とともにわれわれも心から喜びたいと思っています。
しかし、この処理の問題につきましては、いろいろ批判もございますし、いまだに真相が究明されない部分が
相当あるのであります。なぜ北朝鮮に向かうということが途中から変更をして、平壌に行かずに金浦飛行場に着いたかということについて、飛行士その他の乗客等の話を新聞、テレビ等で見ましたけれども、それによると、北朝鮮の平壌に行くつもりであった、こう言うておるわけでありますけれども、また
政府のほうも、各省とも南朝鮮の金浦飛行場に着陸させようというような
考えはなかったし、そういう指示もしておらぬ、こういうわけです。ところが、飛行士のこの間のテレビでの話によりましても、またきのうの総理の答弁にもそうありましたが、無線によって誘導されて、そして平壌だと思って金浦に着いたのだということでございましたが、その無線というものが一体どこの無線であるかということは大体想像がつくけれども、その辺の問題がこれからさらに事実
関係として究明されなければならぬと思います。私はここでしいてそういった問題を究明しようとは思いません。ハイジャックに
関係あるのだから、先ほどの
瀬戸山さんの質問以上にそれをこまかくやりましても、結局ハイジャックに
関係ないとは申せません。しかし、各党の国対
委員長会談で、近くこの問題について五つの
委員会で合同
審査をやることにきまったということでありますから、そうした各党の申し合わせによって、おそらくは事実
関係を一緒になって究明する、そういった機会があろうと思います。そういうことで私は先ほどの
理事会でも、わが党の態度として、ここの
委員会でも運輸
委員会に対して合同
審査をしてもらうというような決議を手続上してもらいたい、そういうことを申しましたが、これは次の金曜日にしようということになったわけであります。したがって、その機会にそうした
問題等についていろいろ事実の究明があろうと思いますから、あえてそのことについては詳しくは申しません。
ただしかし、ともかくまことにふしぎな話でありまして、
日本の
政府が知らぬのに、いつの間にかこちらピョンヤン、こちらピョンヤンということでいざなっていったという話であります。しかもけさのテレビのニュースによりますと、丁韓国国防相が、この間についてのことを声明をしておりますけれども、それによると、確かにこちらは平壌だ、平壌だといって導いた。ただしかし、その前にこちら金浦と言った。それでも平壌、平壌と言うから、機長はおそらくそれを知っていて、金浦へ行きたいというふうに
考えて、わざわざ平壌、平壌と続けて呼んだのだろう。したがって、こちらはずっと平壌だと言い続けたというような言いわけになっておる。まことに奇怪千万な話でありまして、幾ら韓国の領域内で行なわれたとしても、飛行士の話によりますれば、一度は北朝鮮の領域のほうに行った、それからそういう無線があったというのでありますから、なおさらおかしいと思うのです。
政府部内の人が何も知らぬのに、ほかの国のほうでそういうことをやるということは、
日本の
政府がやった以上に、もしそうだとすれば問題だと思う。この辺は徹底的に究明をしなければならぬと思っております。しかし、この席ではその点についての問答は避けまして、主としてこうしたハイジャックに対してどういう抑止措置をするか、刑罰法規の問題あるいはその他警察
関係の
問題等もありましょう。そうした問題について
政府はどう
考えておるかということを
中心として伺いたい。
またさらに、たまたま東京でやられた
世界の国際民間航空機構の
会議、そこで一九六三年ですかに航空機乗っ取り等を
中心とする機長の権限、あるいはそうした飛行機に関する刑事
犯罪等の処罰に関する管轄権、こういった問題についていわゆる東京条約が締結された。ところが、それを東京でやられたにもかかわらず、いまだに
日本は批准しておらなかった。まことに皮肉であります。いかに
日本の
政府がこの問題について無関心であったか。外務大臣すらも、実はこの条約があったことを知らなかったということをテレビかなんかで言っているのを聞いた。きのうの本
会議の場合にはそこまでは言わなかったけれども、ともかくそういう
状態で、これがいまになってことさら、とにかく批准をしなければならぬというような
政府の態度になってきた、こういう問題もございます。こうした東京条約の問題とも関連し、そういった問題を
中心として質問していきたいのであります。
ただその前に、この前私、三日でございましたか、乗っ取り
事件について質問をいたしました際に、警察当局の処置について質問をした。私も実はテレビを見ておりませんでしたが、私の家族の話を聞いて、
警察庁があらゆる手段を講じて福岡板付から離陸させるなという指示をしたことがあるかという質問に対して、そういうことはないと言う。法務省
関係ではどうか、これもない、こういう話でございましたので、あるいは私の聞き違いかと思いまして、そういうようなことで結びましたけれども、その後新聞あるいはまたきのうの国家公安
委員長等の答弁によりますと、ともかくそういう問題はあったにはあった。けれども、それは正式の指示ではないとかなんとか言って言いのがれをしておったので、私は実に憤慨にたえなかった。その問題についてこの際にもう一度はっきりさせておきたいというふうに
考えておるわけです。警備
局長がおられますが、その辺のことを明らかにしていただきたい。警備
局長が自宅からとりあえず指示を出した。この指示においては、そこまでは言ってないようだ。ところが、そのあと福岡県警と
警察庁との間の——警備
局長ではない、ほかの人のようですが、その電話のやりとりの中でそういう事実がある。これは正式の指示ではないとかいうような話でありますけれども、一たん
警察庁の本庁の者が言った以上は、その下部機構である福岡県警との間の話は結局指示に類することじゃないかと思って、簡単に
責任のがれをするわけにはまいらぬのじゃないかという観点から質問をいたします。その点ひとつ明快な答弁を警備
局長からお願いいたしたい。