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1970-05-06 第63回国会 衆議院 文教委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月六日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 八木 徹雄君    理事 久野 忠治君 理事 久保田円次君    理事 河野 洋平君 理事 櫻内 義雄君    理事 谷川 和穗君 理事 小林 信一君    理事 正木 良明君 理事 伊藤卯四郎君       小沢 一郎君    高見 三郎君       床次 徳二君    野中 英二君       松永  光君    森  喜朗君       吉田  実君    川村 継義君       木島喜兵衞君    辻原 弘市君       新井 彬之君    有島 重武君       麻生 良方君  出席政府委員         文部政務次官  西岡 武夫君         文部大臣官房長 安嶋  彌君  委員外出席者         議     員 小林 信一君         議     員 麻生 良方君         文部省管理局福         利課長     石川 宗雄君         参  考  人         (私立学校教職         員共済組合総務         部長)     清水  辛君         文教委員会調査         室長      田中  彰君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十八日  辞任         補欠選任   麻生 良方君     西村 榮一君 同日  辞任         補欠選任   西村 榮一君     麻生 良方君     ――――――――――――― 四月二十五日  学校給食法の一部を改正する法律案内田善利  君外一名提出参法第九号)(予) 同月二十七日  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部を改正する法律案  (川村継義君外五名提出衆法第二七号) 五月一日  へき地教育振興法の一部を改正する法律案(鈴  木力君外一名提出参法第一〇号)(予) 四月二十七日  国立熊本電波高等学校敷地等払下げに関する  請願戸叶里子紹介)(第三九二八号)  同(土井たか子紹介)(第三九二九号)  同(堂森芳夫紹介)(第三九三〇号)  同(楢崎弥之助紹介)(第三九三一号)  同(成田知巳紹介)(第三九三二号)  同(西宮弘紹介)(第三九三三号)  同(芳賀貢紹介)(第三九三四号)  同(長谷部七郎紹介)(第三九三五号)  同(畑和紹介)(第三九三六号)  同(華山親義紹介)(第三九三七号)  同(原茂紹介)(第三九三八号)  同(松浦利尚君紹介)(第三九三九号)  同(松沢俊昭紹介)(第三九四〇号)  同(松平忠久紹介)(第三九四一号)  同(松本七郎紹介)(第三九四二号)  同(川俣健二郎紹介)(第四〇六四号)  同(木島喜兵衞紹介)(第四〇六五号)  同(木原実紹介)(第四〇六六号)  同(武部文紹介)(第四〇六七号)  同(楯兼次郎君紹介)(第四〇六八号)  同(辻原弘市君紹介)(第四〇六九号)  同(戸叶里子紹介)(第四〇七〇号)  同(中井徳次郎紹介)(第四〇七一号)  同(中澤茂一紹介)(第四〇七二号)  同(中嶋英夫紹介)(第四〇七三号)  同(中谷鉄也紹介)(第四〇七四号)  同(中村重光紹介)(第四〇七五号)  同(三宅正一紹介)(第四〇七六号)  同(美濃政市紹介)(第四〇七七号)  同(山中吾郎紹介)(第四〇七八号)  女子教育職員育児休暇制度法制化に関する請  願外一件(櫻内義雄紹介)(第三九四三号)  同外一件(多田時子紹介)(第三九四四号)  同(辻原弘市君紹介)(第三九四五号)  同外三件(粟山ひで紹介)(第三九四六号)  同(和田一郎紹介)(第三九四七号)  同(ト部政巳紹介)(第四〇六〇号)  同(辻原弘市君紹介)(第四〇六一号)  山村僻地医療保健対策として医科大学等新設  に関する請願中島茂喜紹介)(第三九四八号)  同(坊秀男紹介)(第三九四九号)  同外一件(松浦周太郎紹介)(第三九五〇号)  同(福永一臣紹介)(第四〇六二号)  同(藤枝泉介紹介)(第四〇六三号) 同月二十八日  日本私学振興財団法案反対等に関する請願(原  茂君紹介)(第四一七六号)  国立熊本電波高等学校敷地等払下げに関する  請願江田三郎紹介)(第四一七七号)  同(大出俊紹介)(第四一七八号)  同(大原亨紹介)(第四一七九号)  同(岡田利春紹介)(第四一八〇号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四一八一号)  同(金丸徳重紹介)(第四一八二号)  同(川崎寛治紹介)(第四一八三号)  同(川俣健二郎紹介)(第四一八四号)  同(河野密紹介)(第四一八五号)  同(久保三郎紹介)(第四一八六号)  同(黒田寿男紹介)(第四一八七号)  同(小林信一紹介)(第四一八八号)  同(小林進紹介)(第四一八九号)  同(後藤俊男紹介)(第四一九〇号)  同(平林剛紹介)(第四一九一号)  同(安宅常彦紹介)(第四三六七号)  同(赤松勇紹介)(第四三六八号)  同(井岡大治紹介)(第四三六九号)  同(井野正揮君紹介)(第四三七〇号)  同(井上普方紹介)(第四三七一号)  同(石川次夫紹介)(第四三七二号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四三七三号)  同(千葉七郎紹介)(第四三七四号)  同(内藤良平紹介)(第四三七五号)  同(日野吉夫紹介)(第四三七六号)  同(平林剛紹介)(第四三七七号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四三七八号)  同(藤田高敏紹介)(第四三七九号)  同(古川喜一紹介)(第四三八〇号)  同(細谷治嘉紹介)(第四三八一号)  女子教育職員育児休暇制度法制化に関する請  願(田中武夫紹介)(第四一九二号)  山村僻地医療保健対策として医科大学等新設  に関する請願大西正男紹介)(第四一九三号)  同(正示啓次郎紹介)(第四一九四号)  同(湊徹郎紹介)(第四一九五号)  同(山中吾郎紹介)(第四一九六号)  同(石井光次郎紹介)(第四三六四号)  同(高鳥修紹介)(第四三六五号)  同(野原正勝紹介)(第四三六六号)  僻地医療対策として医学専門学校設置に関す  る請願武藤嘉文紹介)(第四一九七号)  人口急増地域義務教育施設整備に対する特別  措置に関する請願河野洋平紹介)(第四三八  二号)  各種学校制度確立に関する請願湊徹郎君紹  介)(第四三八三号) 五月一日  国立熊本電波高等学校敷地等払下げに関する  請願安宅常彦紹介)(第四四九五号)  同(阿部昭吾紹介)(第四四九六号)  同(阿部哉君紹介)(第四四九七号)  同(阿部喜男紹介)(第四四九八号)  同(赤松勇紹介)(第四四九九号)  同(井岡大治紹介)(第四五〇〇号)  同(井野正揮君紹介)(第四五〇一号)  同(卜部政巳紹介)(第四五〇二号)  同(川村継義紹介)(第四五〇三号)  同(木島喜兵衞紹介)(第四五〇四号)  同(木原実紹介)(第四五〇五号)  同(北山愛郎紹介)(第四五〇六号)  同(広瀬秀吉紹介)(第四五〇七号)  同(藤田高敏紹介)(第四五〇八号)  同(山本幸一紹介)(第四五〇九号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四六四五号)  同(小林進紹介)(第四六四六号)  同(後藤俊男紹介)(第四六四七号)  同(河野密紹介)(第四六四八号)  同(佐々木更三君紹介)(第四六四九号)  同(佐藤観樹紹介)(第四六五〇号)  同(佐野憲治紹介)(第四六五一号)  同(斉藤正男紹介)(第四六五二号)  同(阪上安太郎紹介)(第四六五三号)  同(島本虎三紹介)(第四六五四号)  同(下平正一紹介)(第四六五五号)  同(田中武夫紹介)(第四六五六号)  同(田中恒利紹介)(第四六五七号)  同(田邊誠紹介)(第四六五八号)  同(高田冨之君紹介)(第四六五九号)  同(阿部昭吾紹介)(第四八六七号)  同(阿部哉君紹介)(第四八六八号)  同(阿部喜男紹介)(第四八六九号)  同(井上普方紹介)(第四八七〇号)  同(石川次夫紹介)(第四八七一号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四八七二号)  同(加藤清二紹介)(第四八七三号)  同(勝澤芳雄紹介)(第四八七四号)  同(勝間田清一紹介)(第四八七五号)  同(角屋堅次郎紹介)(第四八七六号)  同(金丸徳重紹介)(第四八七七号)  同(川崎寛治紹介)(第四八七八号)  同(川村継義紹介)(第四八七九号)  同(柳田秀一紹介)(第四八八〇号)  同(山口鶴男紹介)(第四八八一号)  山村僻地医療保健対策として医科大学等新設  に関する請願齋藤邦吉紹介)(第四五一〇号)  同(田中龍夫紹介)(第四五一一号)  同(松野頼三君紹介)(第四五一二号)  同(渡部恒三紹介)(第四五一三号)  同(上村千一郎紹介)(第四六三二号)  同外一件(金丸信紹介)(第四六三三号)  同(小島徹三紹介)(第四六三四号)  同(櫻内義雄紹介)(第四六三五号)  同(正示啓次郎紹介)(第四六三六号)  同(中川一郎紹介)(第四六三七号)  同外三件(早川崇紹介)(第四六三八号)  同(福井勇紹介)(第四六三九号)  同(福田一紹介)(第四六四〇号)  同(松浦周太郎紹介)(第四六四一号)  同(村上信二郎紹介)(第四六四二号)  同(井出一太郎紹介)(第四八六〇号)  同(伊藤宗一郎紹介)(第四八六一号)  同外一件(大村襄治紹介)(第四八六二号)  同外一件(竹下登紹介)(第四八六三号)  同(根本龍太郎紹介)(第四八六四号)  同外一件(毛利松平紹介)(第四八六五号)  同(森田重次郎紹介)(第四八六六号)  同(大竹太郎紹介)(第五〇九三号)  同(椎名悦三郎紹介)(第五〇九四号)  同(鈴木善幸紹介)(第五〇九五号)  同(熊谷義雄紹介)(第五〇九六号)  同(徳安實藏紹介)(第五〇九七号)  同(中川一郎紹介)(第五〇九八号)  同(本名武紹介)(第五〇九九号)  女子教育職員育児休暇制度法制化に関する請  願(川村継義紹介)(第四六三一号)  同(有島重武君紹介)(第四八五七号)  同(川村継義紹介)(第四八五八号)  同(田邊誠紹介)(第四八五九号)  僻地医療対策として医学専門学校設置に関す  る請願(正示啓次郎紹介)(第四六四三号)  同(早川崇紹介)(第四六四四号)  同外六件(奥野誠亮紹介)(第五一〇〇号)  同外六件(小島徹三紹介)(第五一〇一号)  同(椎名悦三郎紹介)(第五一〇二号) 同月二日  山村僻地医療保健対策として医科大学等新設  に関する請願奧田敬和紹介)(第五二七〇  号)  同(奥野誠亮紹介)(第五二七一号)  同(倉石忠雄紹介)(第五二七二号)  同(草野一郎平紹介)(第五二七三号)  同(小坂善太郎紹介)(第五二七四号)  同(増田甲子七君紹介)(第五二七五号)  同(渡部恒三紹介)(第五二七六号)  同(鴨田宗一紹介)(第五五〇五号)  同外十一件(佐々木義武紹介)(第五五〇六  号)  同(正示啓次郎紹介)(第五五〇七号)  同外一件(田中正巳紹介)(第五五〇八号)  同(橋本龍太郎紹介)(第五五〇九号)  同(藤波孝生紹介)(第五五一〇号)  同(伊東正義紹介)(第五六八九号)  同外一件(齋藤邦吉紹介)(第五六九〇号)  同(田村元紹介)(第五六九一号)  同外二件(竹内黎一君紹介)(第五六九二号)  同(西村英一紹介)(第五六九三号)  同(藤井勝志紹介)(第五六九四号)  同外一件(坊秀男紹介)(第五六九五号)  同外二件(村上勇紹介)(第五六九六号)  同外二件(渡辺肇紹介)(第五六九七号)  女子教育職員育児休暇制度法制化に関する請  願外一件(伊藤卯四郎紹介)(第五二七七号)  日本私学振興財団法案反対等に関する請願(伊  藤卯四郎紹介)(第五二七八号)  私立大学学費軽減等に関する請願東中光雄  君紹介)(第五二七九号)  同(山原健二郎紹介)(第五二八〇号)  僻地医療対策として医学専門学校設置に関す  る請願武藤嘉文紹介)(第五五一一号)  同(坊秀男紹介)(第五六九八号) 同月四日  僻地医療対策として医学専門学校設置に関す  る請願外四件(相川勝六紹介)(第六〇六〇号)  同(奥野誠亮紹介)(第六〇六一号)  同(早川崇紹介)(第六〇六二号)  同外三件(前田正男紹介)(第六三六二号)  山村僻地医療保健対策として医科大学等新設  に関する請願外十件(相川勝六紹介)(第六〇  六三号)  同(浦野幸男紹介)(第六〇六四号)  同外一件(奥野誠亮紹介)(第六〇六五号)  同(塩谷一夫紹介)(第六〇六六号)  同(竹下登紹介)(第六〇六七号)  同(西村英一紹介)(第六〇六八号)  同外一件(早川崇紹介)(第六〇六九号)  同(藤波孝生紹介)(第六〇七〇号)  同(細田吉藏紹介)(第六〇七一号)  同(綿貫民輔紹介)(第六〇七二号)  同(石井光次郎紹介)(第六三五一号)  同(奧田敬和紹介)(第六三五二号)  同外一件(金丸信紹介)(第六三五三号)  同外二件(藏内修治紹介)(第六三五四号)  同(櫻内義雄紹介)(第六三五五号)  同(高鳥修紹介)(第六三五六号)  同(高橋英吉紹介)(第六三五七号)  同(田村元紹介)(第六三五八号)  同外一件(前田正男紹介)(第六三五九号)  同(村上信二郎紹介)(第六三六〇号)  同(森田重次郎紹介)(第六三六一号)  公立高等学校事務長の職制及び職務の法制化に  関する請願神田博紹介)(第六〇七三号)  同(原茂紹介)(第六〇七四号)  同(福田篤泰紹介)(第六〇七五号)  同(渡部恒三紹介)(第六〇七六号)  同(高見三郎紹介)(第六三六五号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願原茂紹介)(第六〇七七号)  同(渡部恒三紹介)(第六〇七八号)  同(高見三郎紹介)(第六三六六号)  私立大学学費軽減等に関する請願佐藤観樹  君紹介)(第六〇七九号)  同外一件(横山利秋紹介)(第六〇八〇号)  女子教育職員育児休暇制度法制化に関する請  願(山中吾郎紹介)(第六〇八一号)  同(河村勝紹介)(第六三六三号)  同(和田春生紹介)(第六三六四号)  写真著作権に関する請願笹山茂太郎紹介)  (第六〇八二号)  同外三件(砂原格紹介)(第六〇八三号)  同(野田卯一紹介)(第六〇八四号)  同(山中吾郎紹介)(第六〇八五号)  同(吉田重延紹介)(第六〇八六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月四日  地方文化財に対する財源措置に関する陳情書  (第二七三号)  沖繩国民体育大会誘致に関する陳情書  (第二七四号)  幼稚園教育振興に関する陳情書  (第二七五号)  幼稚園義務化に関する陳情書  (第二七六号)  埋蔵文化財発掘調査のための国営調査機関設置  に関する陳情書(第  二七七号)  文教施設整備促進に関する陳情書  (第二七  八号)  文教施設整備費国庫補助率引上げに関する陳情  書  (第三四四号)  は本委員会に参考送付された。     ―――――――――――――  本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十四年度における私立学校教職員共済組  合法の規定による年金の額の改定に関する法律  の一部を改正する法律案内閣提出第六〇号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律の一部を改正する法律案  (川村継義君外五名提出衆法第二七号)  大学基本法案麻生良方君外三名提出衆法第  二一号)      ――――◇―――――
  2. 八木徹雄

    八木委員長 これより会議を開きます。  昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
  3. 八木徹雄

    八木委員長 この際、おはかりいたします。  本案について、本日、私立学校教職員共済組合総務部長清水辛君を参考人として、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 八木徹雄

    八木委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  参考人には、御多用中のところ御出席いただきまして、たいへんありがとうございます。なお、参考人の御意見は、委員からの質疑に対するお答えでお述べいただくようにいたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  5. 八木徹雄

    八木委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。野中英二君。
  6. 野中英二

    野中委員 私は、私学共済年金改正について、政務次官並びに官房長に御質問をいたしたいと思います。  その前に、この共済組合法というものを考えましたときに、あるいは年金というものを考えた場合に、やはり福利福祉の一環でありまして、この福祉福利というものが、われわれの社会経済生活、こうしたものと一体でなければならないと私は考えております。したがって、影と形のごとく添うていくということが、大切なんじゃないかと思います。しかし、今度改正されました法律案の一部を見ましても、何か蜃気楼的な感じがいたすわけでございます。ほんとうにわれわれの影と形のごとく添っているもの、私はそういうものである、こう信じておるわけでありますが、この辺について、まず政務次官にお聞きをいたしたいと思います。
  7. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。ただいまの蜃気楼的というお話でございますが、やはりものごとは初めから完全ということにはまいりませんので、徐々にこれを前進させていくということが必要だと思います。しかし、お話のとおり、こういう非常な経済の発展、変動の激しい社会でございますので、また競争の激しい社会、ますますそういう社会になっていくと思いますので、そういう意味からも国民福利厚生共済制度、そういったものについて十分これに留意して、その中身を厚いものにしていかなければならないという先生の御趣旨には全く同感でございまして、私どももそのために努力をしなければならないと考えるところでございます。
  8. 野中英二

    野中委員 政務次官の御答弁を了として、これから本題へ入ってまいるわけでございますが、その中に蜃気楼的なところを一、二指摘をいたしてまいりたいと思っております。  まず、私立学校教職員共済組合法第一章第一条の二によりますと、年金給付額は「国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合は、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに定の措置が講ぜられなければならない。」こういうふうにうたってあるわけでありますが、それにきましてこのたび私立学校教職員にかかる年金改定されますことは、まことに慶賀にたえなと思っております。そこでまず第一に御質問申上げたいのは、昭和四十五年三月五日に総理府会保障制度審議会会長大内兵衛さんから坂田文大臣に対しまして答申されております、それによりますと、「恩給法改正のはねかえりの形で実施するというこれまでのやり方に一向改善のあとが見られないのはまことに遺憾である。」と書いてあります。したがって、この点につきまして、これは政務次官でも官房長でもけっこうでございますから、御答弁を願いたいと思います。
  9. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 野中先生がおっしゃいますように、年金の額の改定につきましては共済組合法の一条の二に原則が掲げられておるわけでございまして、本来ならば、この原則に従って公的年金制度全体にわたる調整が行なわれるべきものでございます。そのことは、ただいま先生指摘社会保障制度審議会の答申の第一点になっておるわけでございますが、御承知のとおり、この問題はきわめて基本的な問題でもございまして、四十二年の六月にこの社会保障制度審議会の申し入れに基づきまして、総理府公的年金制度調整連絡会議というものが設けられておりまして、一条の二のこの趣旨に従う基本的な年金制度のあり方についての検討が行なわれているわけでございます。まだ結論を得ないという段階でございますので、私ども今回の措置に満足をしておるわけではございませんが、当座措置といたしまして、国家公務員共済組合給付内容改善に対応する措置をとりあえずとるということが、今回の改正趣旨でございます。当座措置でございますから、基本的には不十分な点が多々あるかと思いますが、これらにつきましては、ただいま申し上げました公的年金制度調整連絡会議審議その他をまちまして、基本的に考えていくべき課題ではないかと思います。
  10. 野中英二

    野中委員 それでは官房長に引き続き質問申し上げますが、いま基本的にどうのと、こう言われましたが、基本的に恩給年金とは違うと思うのでありますけれども年金は独自の立場において策定するというお考えをお持ちかどうか、ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
  11. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御承知のとおり、恩給という制度は、戦前からの古い制度でございまして、そのことばの字句があらわしておりますように、恩恵的な給付というような趣旨がかなり濃厚であったかと思います。共済組合法に基づきまする給付は、相互扶助ということが基本になっておるわけでございまして、そこに考え方に基本的な違いがあるわけでございますが、御承知のとおり、恩給制度というものも、国家公務員共済組合長期給付事業に吸収されておるわけでございまして、そういう点に関しては、制度基本は、相互扶助を根底とする共済事業であるというふうに全体が切りかわってきておるということでございます。
  12. 野中英二

    野中委員 そこで本論に入りたいと思いますけれども、この年金改定内容を拝見いたしますと、たとえば公立学校を例にとりますと、三十四年度の公務員ベース二万円を基礎として今回の改定をしておるわけでありますけれども改定しても、公務員ベースにすると四十年度程度で、約五年のおくれがあるといわれているわけでありますけれども私立学校教職員の場合この公立学校職員に準じて改定されたわけでありますが、私立学校職員の場合にも同様のことがいえるかどうか、この点御質問申し上げます。
  13. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 お手元に資料をお配りしてあるかと思いますが、その最後の紙の七の資料をごらんいただきたいと思いますが、これは「「既裁定年金の額の改定」における改定率算出根拠」でございまして、その注でございます。三十四年度の標準給与基礎といたしまして今回の改定が行なわれておるわけでございますが、御承知のとおり、四十年に第一回の改定が行なわれまして、その際は、三十四年度の標準給与を一・二倍いたしております。つまり二〇%のアップをいたしたわけでございますが、それに引き続きまして、昨年の暮れの改正法によりまして、四四・八%の改善を行なっているわけでございます。その二つに、さらに今回お願いいたしております改正案におきまして、八・七五%の改善をお願いいたしているわけでございまして、この経過で明らかでございますように、公立学校と同様の改定を行なっているわけでございまして、私立学校公立学校との間には、したがって格差はないというふうに考えているわけでございます。
  14. 野中英二

    野中委員 公立学校と同様の年金の引き上げを行なうわけでありますが、今後経済界の情勢から見ますと、物価の上昇あるいは生活水準上昇、こういうようなことが十分考えられるわけであります。そこで陳情あるいは請願というようなものをせずに、年金というものがスライドしていくということが可能かどうか。これをひとつお尋ねしたいと思います。
  15. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど申し上げましたように、今後の問題は、公的年金制度調整連絡会議審議の結果にまって具体的な方策を検討いたしたいと考えているわけでございますが、ただいまお話がございましたように、経済的な発展、国民生活の向上、給与水準の上昇、その他いろいろな問題があるわけでございますが、そういうた問題、それから他の共済制度、特に国公立学校の教職員の共済制度の実質と均衡を失しないような形で引き続いて努力、検討をいたしていきたいというふうに考えております。
  16. 野中英二

    野中委員 よく了承いたしました。  それでは質問の第二点に入りたいと思います。それは掛け金率についてであります。年金額が上がっても掛け金率が変更されては、組合員の負担が非常に増してまいりまして、年金額の改定の効果というものが半減してくるというふうに考えます。それで、今回の改定では、掛け金率の変更があるかどうか。変更がないとすれば、財源率の増加はどうなっているのか。さらに将来再度改定が行なわれる場合にも、掛け金率を変更しないかどうか。この辺を確認しておきたいと思うわけでございます。
  17. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。今回の措置におきましては、掛け金率の引き上げは行なわないことにいたしております。これは運用面において十分処理できるもの、このように考えているからでございます。と申しますのは、今回の法改正に必要な財源は、国庫補助分を除きまして、財源率にいたしまして約千分の〇・一一でございます。その内訳は、既裁定年金の引き上げ分が千分の〇・一〇でございまして、最低保障の引き上げ分が千分の〇・〇一となっております。  なお、今後の問題でございますが、今後の問題につきましては、官房長からお答えいたさせます。
  18. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 今後の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、公的年金制度調整連絡会議の結論にまちたいというところでございますが、現在のこの給付水準で決して満足しているわけではございません。諸般の状況の変化に対応しながら、必要な措置を講じていきたい。その際に掛け金率の引き上げが必要であるかどうかということになりますと、今後行なわれる給付水準の引き上げがどの程度のものであるかということを見ませんと、将来とも掛け金率の引き上げを行なわなくて済むかどうかという点についての結論は得がたいわけでございます。御承知のとおり、この長期給付の掛け金率は五年に一度ずつ再計算をいたしておるわけでございまして、本年ちょうど四十五年度は、再計算の時期にも当たるわけでございますが、その辺の検討の結果等も十分見まして、将来の問題は考えていきたいというふうに考えております。
  19. 野中英二

    野中委員 よくわかりました。けれども、念のためにつけ加えておきますが、ぜひ組合員の負担が大きくならないように、そしてほんとうに年金の意義というものが生きるように御処置を願いたい、こう思うわけでございます。  私に与えられた時間がだんだんとなくなってまいりましたから、第三点の質問に入りたいと思いますが、この改定に伴うところの対象人員は、どれぐらいでございますか。
  20. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。既裁定年金の引き上げの対象者が二千三百三人、また最低保障の引き上げ対象者が二十九人、計二千三百三十二人となっております。
  21. 野中英二

    野中委員 そこで、これに関連して質問をいたしますが、老齢者に対する優遇措置として、最低保障額の引き上げが行なわれますかどうか、これが第一点。  さらに、若い女子組合員についての給付その他の面で不利があるかどうか、この二点を一括してお尋ね申し上げます。
  22. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。今回老齢者に対しまして、優遇措置として最低保障額の引き上げを行なうことといたしております。これは国公立学校の教職員の例にならってこれを行なうものでございます。その中身でございますが、恩給をはじめといたしまして、国の共済、地共済の各法案において、国民年金の老齢福祉年金が七十歳から支給されることとの均衡を考慮いたしまして、厚生年金のいわゆる月額一万円年金との均衡を考慮して、十二万円の額を保障することとしている例にならったものでございます。  また、御質問の二点の、若い女子組合員につきましては、制度上特別な取り扱いはなされておりません。これは、他の共済制度においても全く同様でございます。しかし、事実上の給付面において見ますと、女子組合員の勤続期間が非常に短かくて、平均約四年となっております。ほとんど退職一時金を受給することとなるわけでございまして、この退職一時金の額は、本人が負担をいたします掛け金総額の約二倍程度の額となっているわけでございます。また、医療給付の面におきましても、若年齢層の男女を比較してみますと、受診率及び一人当たりの医療費は、ともに同年齢層の男子を女子が上回っておりまして、女子が特に不利な取り扱いを受けていることにはならないと考えるものでございます。このほか、結婚の貸し付け金、これは限度額二十万円でございますが、これは主として女子の組合員において特に利用をされておりまして、さらに女子の組合員が出産をいたしました場合には、育児雑誌、あるいは保健剤、そういったものの配付が行なわれているわけでございます。以上でございます。
  23. 野中英二

    野中委員 ぜひ差別のないように御配慮を願いたいと思います。ないものと信じておりますけれども、そういう不安を女子組合員に対しても抱かせないように、特別の御配慮を願いたいと思うわけでございます。  今度の改正案は、ほんとうに時宜に適したものと私は考えるものでありますが、最後に、毎年この共済事業内容というものが充実してまいりまして、これに伴うところの事務量も非常に増大してまいっております。そこで、国から組合の事務に要する費用を増額しておるかどうか。最後にお尋ねいたしたいと思うものであります。
  24. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 事務費に対する国の補助でございますが、短期給付につきましては、従来、組合員一人当たり百九十六円でありましたものを二百二十六円と三十円アップをいたしております。それから長期組合員一人当たり及び被年金者一人当たりの事務費が、従来百十一円でございましたものを百三十一円と二十円アップをいたしております。この結果、四十五年度における国の事務費の補助金額は、総額で七千二百八十三万三千円ということに相なっております。
  25. 野中英二

    野中委員 たいへん御配慮にあずかっておりまして、厚くお礼を申し上げる次第でございますけれども、ただいまも申し上げましたように、共済制度の拡充に伴う事務量というものは、年々歳々ふえておりますので、今後も格段の御配慮を文部省にお願いいたしまして、この法律の一部改正に賛意を表しまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)
  26. 八木徹雄

  27. 川村継義

    川村委員 昨年度に引き続いて、私学共済の問題について今度また改定が行なわれるわけでありますが、昨年いろいろとこの委員会で各般の問題について論議をされましたので、まだその記憶はわれわれ新しいものがありますから、きょうは、二、三の問題について、この際確かめるという意味でお聞きをしておきたいと思います。  昨年も一つの問題になりましたのは、私学共済に未加入の学校がまだまだ非常に多いということでありまして、いろいろと論及をされたわけですが、文部省として、今日までそれらの促進についてどういう手を打ってこられたか、これはひとつ文部省から明らかにしていただきたいと思う。  それからあわせて、参考人清水さんおいででございますから、清水さんのほうから、未加入の今日の現状、人数であるとか、あるいは学校数であるとか、そういうような点につきましてひとつお話をいただき、それらの原因は一体何なのか。昨年もいろいろ論議されましたけれども、未加入の学校が多いというようなことについては、それに対するところの措置がやはり十分でないから、相変わらずこのような状態が続いておるということになるだろうと思いますが、そういう点につきまして、初めお聞きをしておきたいと思います。
  28. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 未加入校の問題は、御承知のとおり長い間の懸案でございまして、従来も、未加入校に対しまして、あるいはその扱いにつきまして、厚生省との折衝等が文部省と行なわれてきたことは、前回の法案審議の際にも詳しく御説明を申し上げているところでございますが、基本的な方向といたしましては、私ども、御承知のとおり、未加入校はなるべく早い機会にこの組合に加入をしていただきたい、そういう方向で努力をいたしておるわけでございます。最近の具体的な一つの措置といたしましては、昨年十月に、全未適用校を対象といたしまして、私立学校の医療保険制度及び年金制度に関する実態調査を行なっております。この結果は現在取りまとめ中でございますが、未加入校がこの私学共済組合に入りにくいという実際上の理由がどこにあるのか、そういった実態の把握に当面はつとめたい、その上でさらに前向きな方向で努力してまいりたいということが、私ども基本的な姿勢でございます。
  29. 清水辛

    清水参考人 お答えさしていただきます。ただいま文部省のほうでお話がございましたように、文部省のほうで御調査になりました資料が一番最近の新しい資料でございますので、その資料によってお答えをいたしますと、私学共済組合に加盟をしておらない学校は、全部で百七十一校でございます。内訳は、大学が三十九、短期大学が十六、高等学校が四十一、中学が二十三、小学校が七、幼稚園が三十三、各種学校が十二ということになっております。現在、私立学校の全体は九千五百十八校でございますので、その九千五百十八校のうち百七十一校が未加入校である、こういう結果になっておる。もちろんこの百七十一校の中には、私学共済の長期だけに入っておる学校あるいはまた短期だけに入っておる学校が五十六校ありますので、長期も短期も入っておらないという学校は、さらにその数は減りまして、百十五校ということになります。数においては三十九校でございますが、この三十九校の大学の中には、早稲田、慶応等の総合大学が多くございますので、私立大学の間で結成されておる私立大学連盟所属の学校が多く加盟をしておらない。私立大学協会並びに私立大学懇話会に加盟しておる大学は、ほとんどが私学共済に加盟しておる、こういう事情でございます。  そこで、文部省にもいろいろ御指導をちょうだいしながら、私どもといたしましては、私立大学連盟の時子山会長、大泉副会長はじめ代表の方々と協議をいたしまして、加入促進について話し合いをいたしております。また、いろいろの実態その他につきましては、事務当局で連盟の事務当局と相談をいたしまして、加入促進の方向に向かうべく努力いたしておるのでございます。大体、盟した場合に、長期の所要財源がどのくらい要であろうかということにつきましては、まだ個の教職員の給与の実態等の詳細な資料がございせんので、ここではお答えできませんけれどもしかし、大体の見当で申し上げますと、長期にいては、未加入校は厚生年金に入っておりますので、厚生年金給付と共済組合の給付とを比較たしますと、共済組合は退職をいたします最後三年間の標準給与の平均をもとにいたしまして年金並びに一時金の計算の基礎といたしておりす。厚生年金は、御案内のとおり、全期問の平標準給与をもとにして計算をいたしておりますもちろん最低給付の引き上げはいたしておりますので、最低は足並みがそろっておるのでございすが、大部分の教職員から申しますと、厚生年に加入しておるよりか私学共済に加入しておるほうが、退職の際における年金、一時金は有利である、こういう計算になるわけでございます。そで、未加入校におきましては、この厚生年金と私学共済とのバランスを均衡させるために、学内金という方法を個々の学校でとりまして、厚生金プラス学内年金が大体私学共済の年金と均衡すような方法をとって、現在に至っておるわけございます。  しかしながら、経済界の著しい変動と、また案内のとおり大学内における経営上並びに教育の諸問題等が原因となりまして、学内年金の財源確保ということがだんだんと窮屈になってきた。特に先年来、私学共済は政府並びに先生方の御尽力をちょうだいいたしまして既裁定年金の引き上げをいたし、また本年もこの年金の引き上げをいたしておるのでありますが、一校の学内年金過去の年金の引き上げをするということは、財源的に見てきわめて困難である、こういうようなことから、長期給付につきましては、大体未加入校側が加入をしたいというような意向が強いようでございます。ただ、この長期給付を加盟させる場合にも、どういう内容、どういう条件で加盟させるかということは、過去の厚生年金の問題をいわゆる年金通則法というような方法で引き継ぐのか、あるいは共済組合の組合員期間であったものとみなして引き継ぐのか、またその間に格差を設けるのかという、その加入以前の期間の見方をどうするかということによって、利益を受ける組合員が退職したときの年金、一時金の額に相当な相違がございますので、その点につきましては、やはり政府の御指導をちょうだいした上で未加入校側と話を進めていきたいというような段取りをいたしております。  なお、西日本の近畿以西でございますが、未加入校の大学は、教職員の意向並びに学校法人側の意向を全部まとめまして、法律改正があれば長・期、短期即座に私学共済に加入したいというような申し合わせをしておるというようなことを伺っております。東京を中心といたします大学におきましては、私学共済の長期並びに短期の内容をよく検討した上で今後態度をきめようということになっていますが、大体において、長期はなるべくならば加入したい。短期についてなぜ加入を渋っておるかと申しますと、私学共済は大学から幼稚園並びに学校法人の各種学校まで含まれております。その幼稚園並びに各種学校は、女子が非常に多いことと、勤務年限が比較的短いということで、非常に低給与でございますので、短期の場合には、平均給与が低くて、給付についてマイナスを生じておる。そのマイナスを相当高額の大学のほうで組合員が負担するということは、どうもあまり歓迎をしない。できるならば分離をしたらばどうか、こういうような意向が、話し合いの上でまだ十分納得のいくところまでまいっておりません。私学共済といたしましては、役員会並びに運営審議会等で相談をいたしました結果、未加入校の加入については、私学振興上当然の処置として歓迎をする。しかし、この未加入校が加入することによって現在の組合員が負担過重、つまりそのために掛け金を引き上げることでございますが、負担過重とならないように十分配慮しなければならない。それから夫加入校が加入する場合には、やはり長期、短期、福祉を含めて、完全な私学共済に入ってもらいたい。共済組合の役員会、運営審議会としては、こういうような態度を決定しております。なお、今後いろいろな資料等を未加入校側からちょうだいいたしまして、正確な財源について検討を進めたいというように考えております。以上でございます。
  30. 川村継義

    川村委員 続いてちょっと清水参考人にいまのおことばの中から確かめておきたいと思いますが、いま清水さんのお話では、現在私立学校百七十一校未加入である。これの中には、長期だけ入っている学校もある、短期だけ入っている学校もあるということでしたが、昨年はその未加入の学校はどれだけかという質問があったときに、文部省側は、全部で百十九校だ、こういうように答えております。いまは百七十一校ということになりますと、そのトータルのとり方があるいは問題かと思いますけれども、昨年から本年にかけて新規に加入した学校があるかないか。いや全然それはないならない、こういうようにお答えいただきたい。それが一つ。  それからもう一つは、大事な問題でございますけれども、いまお話がございましたように、米加入校が入ってきた場合に、現在の組合あるいは組合員にその負担が過重しないようにやらねばならぬ、当然だと思います。そうなると、私学共済としては、まだまだこれらの各般の処置がなされないうちにただ急いで入ってもらっては困る、経理上かえって混乱を起こす、そういうことになるから、加入させるにしても相当の準備とその受け入れの態勢をとらねばならぬ、こういうことになりましょうか。その辺のところをちょっとお聞かせいただきたい。
  31. 清水辛

    清水参考人 昨年の国会のときには、私どもも大体数をつかんでおりましたし、もちろん文部省もつかんでおったわけですけれども、的確な調査によってあれをしたのではなかったのでございますが、昨年の国会前後のころ調査がまとまって、そして文部省のほうで統計をしたのを私読ましていただいたのでございまして、いまの百十九校と百七十一校の違いは——それでは、あとで文部省のほうからお答えをちょうだいいたします。  それから第二点でございますが、未加入校の加入という問題は、長期、短期、福祉の三事業についての加入でございますが、その中で一番問題になりませんのは福祉事業でございまして、これは貸し付けをし、施設を利用することですから、何ら問題がありません。短期のほうは、先ほど申しましたような点で問題があるわけです。しかし、短期のほうは、健康保険に準ずべき制度でございますから、財源率的には、未加入校が加入されますと、私どもの考えでは、共通の掛け金は負担願うけれども給付についても共通な給付をするわけでございますから、付加給付を全組合員について行なうというような方向に持っていけば、組合員側としてはそう大きな問題はないように私は考えております。ただ、長期の問題は、私学共済が発足してすでに十七年経過いたしておりますので、その十七年間加入しなかった学校の教職員をどういうような条件で引き継ぐかによって、将来にわたる財源が大きな問題になりますので、この辺のところは、文部省等の御指導もちょうだいし、また未加入校側の意向も伺った上で十分な計算をいたしませんと、どうなるかということはここではお答えできないということを申し上げたつもりでございます。しかし、このことは、加入を促進することをはばむという考えは毛頭ございません。その点についていろいろ政府とも御相談を申し上げて、未加入校の御意向がかなえられる範囲でできるだけ配慮したいというのが、共済組合側の考え方ではないか、かように思っております。
  32. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 未加入校の数字についてのお尋ねでございましたが、昨年度未加入校が百十九と申しているといたしますと、それは短期、長期とも未加入のものを百十九と申し上げたのではないかと思います。昨年の十月ごろ——これが一番新しい調べでございますが、これによりますと、未加入校の全体は百七十一校でございまして、短期、長期とも未加入が百十五校、短期のみ未加入が二十校、長期のみ未加入が三十六校、計百七十一校ということでございまして、その中の短期、長期とも未加入の学校数を百十九と申し上げたのではないかと思うのでありますが、これが四校減っておるわけでございます。
  33. 川村継義

    川村委員 いま参考人からもお聞きしましたように、早稲田とか総合大学、これがずいぶん未加入になっておる。ここに一つ問題が考えられると思いますね。小理屈を言うつもりはございませんけれども、この前私たちは日本私学振興財団法を審議いたしました。そして私学の振興をはからねばならぬということは、これは皆さん方が一致している御意見であります。ただ、この私学の振興は、ただ単に大学の人件費を幾ぶんか補助をするということだけでいける問題でもない。やはりそこの私学に教べんをとってくださる先生方の身分、教官の身分の安定、生活を安定させるというような点を考えなければ、私学振興ということは、どこかに一つの柱が落ちる。そういう意味からすると、この私学共済のあり方というものをもっともっとお互いに大事に考えて前進させねばならぬのではないか。これは、昨年もそういう意見がずいぶんと出ているわけであります。  そこで、先ほど官房長はいま実態調査をしているということでありましたが、実態調査をなさらなければ、それは確かに対策、施策というものは生まれてこない。それはよくわかります。ただ、いま参考人からお話がありましたように、長期給付については、十数年も未加入状態の私立学校が長期給付に入ってくるとなると、厚生年金との関係、あるいは引き継ぐ場合にいろいろのややこしい問題が出てくる。これについて、文部省としてはもうすでにある点の検討というか、こうしたらうまくいくのじゃないかという青写真といいますか、そういうものがもうあってしかるべきではないかと私は思うんですよ。これは長い間の懸案でもあるし、昨年特にああいう論議をしたことでもめりますからね。ただ実態調査をする——実態調査をすることは、私はほんとに大事だと思います。思いますけれども、やはりこういうような考え方というものがないと、実態調査をしても、何手先になったら一体そういう加入がうまくいくかこうかまたわからぬということになるわけでしょう。いま固まっていなくっとも、何かこういう方法をひとつとりたいという、それはないのかどうなのか。これは政務次官からでもいいですから、ひとつお答えいただきたい。これが一つ。  それから私、いまここで短期給付に深く触れるつもりはありませんけれども、これもよく言われるように、付加給付のやり方をよその共済並みに前進させるべきだ、こう思うんですよ。それは全無考えていないのか。考えておるとなると、今度の国会あたりには、そういう意味合いを持った国の補助あるいは財政的裏打ちというものが出てきてしかるべきだと私思うのですよ。ところが、全然それがないということになるわけであります。この辺について、まずちょっと次官からでも官房長からでもひとつお聞かせをいただきたい。
  34. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。ただいまの先生お話は、私もそうあるべきであると考えるわけでございます。ただ、現在のところ団体側のほうでの意見がまとまっていないという事情もございまして、先生の御指摘のようなところまで進んでいないことは、まことに遺憾であると思っております。したがいまして、先生の御指摘のように、すみやかに文部省といたしましても、どういり道筋を立てて、どういう障害の取り除き方があるかということを真剣に検討して、できるだけすみやかにこういう方策というものを打ち出していく、そのように努力するということをお約束申し上げたいと思う次第でございます。ただ、現在までの努力といたしましては、厚生省とも十分連絡をとりながらいい道を見つけ出していくという努力を続けているわけでありまして、単に文部省だけでこの問題が片づけられる問題でないということも、十分御了承いただきたいと思うところでございます。  第二点につきましては、官房長からお答えをいたします。
  35. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 付加給付の点につきましては、昨年度の法案審議の際の附帯決議にも触れておられる点でございますが、内容につきまして詳しくは清水参考人からお聞き取りいただいたほうが適当かと思いますが、私学共済組合におきましては、短期給付事業対策委員会というものを内部に設けまして、付加給付のあり方につきまして現在検討中でございます。ただ、御承知のとおり、短期給付全体につきまして赤字が近年累積をするという状況にございまして、四十四年度におきましては二億二千万円の赤字が見込まれておりまして、過去の分を含めますと、累積赤字が七億円をこえるという状況でございます。この付加給付の実施の問題とこの赤字の解消の問題はやはり切り離せないわけでございまして、いずれにいたしましても基本的には掛け金の負担にかかっていくということでございます。赤字の累積額がかなりな額にのぼりつつあるという状況をも一方で考えながら、今後における付加給付のあり方という問題は、やはり十分慎重に考えていかなければならない問題であろうかと思います。もちろん、方向といたしましては前向きで考えるべきことかと思いますが、問題はかなり重要な問題でもございますので、慎重に考えていくべき課題であろうかと思います。
  36. 川村継義

    川村委員 未加入の人たちをこれに加入させる、そうして私学共済を大きな力とする、それがやはり組合員の福利あるいは年金の増額等々につながっていくという考え方は、これは当然とるべきだと思いますが、それにしては、いま一つ二つ問題のありましたように、やはり給付内容改善するとか、それから国の助成を高めてやるとか、そういうことをして有利な条件をやはりつくっていかなければ、なかなか未加入というのもうまくいかぬだろうし、現在の組合員もまたなかなか向上しない、こういうことになると思います。もちろん先ほどお話がございましたように、この未加入の学校、私学の年金等は厚生年金でやっておりますから、既裁定の旧法部分についても、それはあるいは私学共済のほうが有利に働いているかと思います。しかし、その辺のところ解決しようと思えば、これは私はやはり助成の問題として、年限のとり方とかそのほかのことは、助成の道さえはっきりすれば、そうむずかしい問題ではないのではないか、こう考えたりしております。この辺のところは、ぜひひとつ努力を願いたい問題であります。  それから昨年も問題になりましたが、昨年の私学共済の年金改定で、いわゆる旧法部分の既裁定についての年金引き上げが行なわれた、これはたいへん喜ばしいことですね。特に他の国公立の学校と均衡をとるという意味で行なわれた、たいへんいいことだ。ただ、あそこで問題になったのは、国公立の学校は、旧法部分については最終俸給をもって計算をする。ところが、私学共済は、農林年金と同じように、三カ年間の平均給与でもって計算をするということでありますから、これは国公、義務制、そういう学校に比べてその点はたいへん不利になっておる。こういう点も、私は、旧法部分については最終俸給を見て引き上げをやるということをやってもいいではないかと申し上げたことを記憶しているわけです。これについては、助成の道が、それだけ金が国から出るということになると、おそらく私学共済としても不服はないだろうと思います。いろいろ三カ年平均をとっているのはこういう理由であるという申し開きはしておられましたけれども、そういう点もひとつ再検討すべき問題ではないかと思います。  それからいま一つは、国の長期給付に対するいまの一六%の助成を二〇%にすべきである。これは昨年の附帯決議にもついたと私は記憶します。これは農林年金でも毎年いわれておることであります。ことしはそれがまた見送られたということは、どうも委員会のときには、よく大臣等は前向きにやります、がんばりますと言うけれども、なかなかうまくいかぬ、そういう結果になってきておると思うのであります。こういう点も私、いまここでどうして二割できなかったとかどうだとか繰り返して追及しようと思いませんが、これはひとつぜひ考えてもらわなければならぬと思うのです。ことしまた大きなベース改定等があれば、これは四十五年、四十六年ごろにはもう一ぺん私学共済に手をつけるときがあると思う。そういう点でぜひ努力願いたい、このように考えます。第一点はその辺でひとつ私の質問を締めくくっておきます。  その次に、第二の問題としてお聞きしたいのは、本年度の私学共済の予算であります。実はきょういただいた資料に——文部省の予算書には載っておったかと思いますけれども、こまかな予算書はないわけですね。これには予算は載っていないようですけれども、本年度の長期給付関係の予算が四億九千百六十万三千円ですか、これの内訳を説明をしてください。
  37. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 長期給付事業に対する国の補助金は、ただいまお話がございましたように、四億九千百六十万三千円でございます。その内訳といたしましては、給付費の補助、これが四億一千四百四十一万七千円でございます。これは百分の十六というあの補助率によって算定された額がこうなるわけでございます。それから今回の法改正によります増額分といたしましては、二百十八万六千円が計上されております。ほかに、財源調整分といたしまして七千五百万円、計四億九千百六十万三千円ということになります。
  38. 川村継義

    川村委員 長期給付の事業費といいますか、それがいまお話のあったように四億一千四百四十一万七千円、これは本年度ですね。それから財源調整費として七千五百万円、法律改正分として二百十八万六千円。そこで、私は法律改正分についてちょっとお聞きしますけれども、昨年は六百六十四万五千円だけ国から見てやる。そこで、ことしは二百十八万六千円ですから、昨年に比べると、給与改定に伴う法律改正分の増はたいへん少ないわけですが、官房長、この法律改正による給付の増加分というのは、本年度幾らございますか。これは昨年はたしか四千二百万円だったと記憶しますよ。
  39. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。今回の改正によりますと、増加給付額を平年度化いたしますと、三千九百万円となります。その増加額の負担区分につきましては、国庫補助金が六百万円となっております。
  40. 川村継義

    川村委員 官房長、もう少しこまかに……。いま次官がおっしゃった三千九百万円、これは法律改正に伴う給付の増額分ですね。それだけなければならぬという経費ですね。そのうちの既裁定年金引き上げ額は幾らなのか、恩給財団の引き上げに必要な額は幾らなのか、旧法期間の改定分について幾らなのか、最低保障に必要なお金は幾らなのか、それを説明してくれませんか。——わかりましたか。数字が見つからぬようだけれども、ちょっと私のほうから申し上げますね。私内容をよく知らぬのですが、法律改正分に伴う国庫補助が、ことしは二百十八万六千円とおっしゃった。昨年は六百六十四万五千円出ておるのですね。そこで法律改正給与増として必要なお金は幾らかというと、昨年は四千二百万円とおっしゃった。その四千二百万円の中身を申し上げますと、昨年は既裁定年金引き上げ分として一千百五十万円予定しておられる。恩給財団の引き上げに必要な経費として六百五十万円予定しておられる。旧法部分の改善費として五千五百六十万円昨年は予定をされた。最低保障、ことしもみなあるでしょう、これが三百五十万円予定されて、法律改正給与増の必要な経費は四千二百万円だ。その中に国から六百六十四万五千円出ておるということです。ことしは、いま次官が言われたように、法律改正に伴う給与増は、三千九百万だとおっしゃっておる。その三千九百万の内訳は幾らずつになるのか、こういうことです。おわかりでしょう。
  41. 石川宗雄

    石川説明員 御説明申し上げます。給付増の合計三千九百二十六万八千円の内訳は、既裁定年金の引き上げの給付増二千百十三万円、それから最低保障の引き上げによる給付増一千八百十三万八千円でございます。
  42. 川村継義

    川村委員 私がお尋ねしたこまかなのがないようですが、それでいいでしょう。  そこで、私はこれから疑問になるから一つ聞くのですけれども、あなたたちのほうでは、ことし三千九百二十六万円、対応するものとして昨年は四千二百万円考えられた。これが四十五年度になって平年度化されると、四千二百万円は一億四千六百万円の増が必要でございますと答えている。いいですね。四千二百万円昨年やりましたね。それが法律改正後の必要な増なんだ。ところが、これを平年度ベースに直してみると、これは一億四千六百万円の増でありますと答えておる。いいですか。そうなると疑問に思うのは、ことしの予算から見ると、昨年改正された部分は一つの増額措置としてずっと動いてこなければいけない。その上に四十五年度は上積みされていく。いいですね、そうでしょう。そうなると、ことしの予算額はたいへん少ないではないか。これではやれないのではないか、こうならざるを得ないのですよ。その指摘いいですか。
  43. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ちょっと繰り返しになりますが、本年度の給付事業費補助金の総額が、四億九千百六十万円でございます。その内訳の第一が、通常の長期給付に対する補助であります。これが四億一千四百四十一万円でございます。これに対応する前年度予算が三億五千六十九万円でございます。したがいまして、ここで約六千万円の増が行なわれておるわけでございます。   〔委員長退席、久保田委員長代理着席〕 そうした増額分が、ただいまのお尋ねの金額に見合う分かと思います。それがつまり平年度化されて、そういう形が給付費の補助の中に繰り込まれているというふうに理解をいたしております。
  44. 川村継義

    川村委員 それを、たいへん少ないじゃありませんか、私はこう言っているわけです。なぜかというと、昨年四千二百万円の法律改正給与費の増として見たときに、平年度化すると一億四千六百万円必要でありますと、こう言っておる。ところがいま官房長のことばによると、去年とことしの長期給付の事業費を比べると、六千万円ばかりしか増加していない。そこで、たいへん少ないじゃありませんか、これでだいじょうぶですかと、こうお聞きしている。
  45. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま川村先生が一億数千万円の増だとおっしゃいましたその額は、給付費の増額であろうかと思います。したがいまして、国の補助金といたしましては、その増額分の百分の十六ということに相なるわけでございますので、この程度の増額で一応十分であるというふうに考えていいと思います。
  46. 川村継義

    川村委員 清水参考人にちょっとお聞きしますが、ことしの国の手当てで——実は皆さんのほうからは、おそらくもっとたくさんの要求が試算をされて、文部省にお話があったと思うのですよ。ところが、いまのお話のように、おそらく大蔵省折衝段階で相当減額になったと思うのですが、これから共済組合で考えられるそういう運営の問題点がございましたら、ちょっと意見を聞かせておいてください。
  47. 清水辛

    清水参考人 私どもといたしましては、たびたび国会でも附帯決議をちょうだいいたしておりますが、やはり国の補助率は百分の二十に引き上げていただきたいということが年々の問題でございます。その相当額といたしまして、一億一千万程度を要求いたしました。これは結局予算的には認められなかったわけでございます。たとえば今回未加入校の加入を促進せよということで私ども努力をいたしておりますが、未加入校側の教職員は、百分の二十すでに厚生年金から補助をもらっておる。私のほうに入ると、国の補助が十六に減ってしまいます。これではやはり加入促進の一つの障害になるのではないであろうか。また農林年金審議における大蔵省の相沢主計官の御説明等を伺いますと、給付額が高いから、厚生年金の百分の二十に対する給付額と公務員に対する百分の十五と農林と私学共済の百分の十六とは金額的にはバランスがとれるのだ、だから給付額は上げなくていいんだ、こういうような大蔵省の御見解を述べて、らっしゃるように議事録で拝見をいたしたのでいりますが、必ずしもそうでないと私は思っているたとえば炭鉱夫とか船員は、御案内のとおり百八の二十五の補助率が、これは全く歴史的経過によるものであって、給付率が船員や炭鉱夫が一般用民に比べて低いからなんということで補助率がきめられているものではないと考えます。また私どもは健保、厚年の特別法でありますが、御案内の、おり、健康保険や厚生年金の掛け金率の中には、事務費なんかは入っておりません。私どもは、国の補助率が三分の一程度でありますから、千分の三というものが掛け金率の中に事務費が入っておる。これなどは、私学共済あるいは農林年金の特殊性であって、給付とは関係がない。こういうことを考えてみますと、やはり百分の二十はぜひいただいてこそ厚年並びにその他とのバランスがとれるのではないか、特に未加入校の加入を促進するためには、このことはどうしても実現をしなければ困難ではないだろうか、そういう考えも持っておりますが、その点は遺憾ながら認められる・とができなかったので、そのほかの問題は、平均の上昇率をどう見るか、あるいは給付上昇率をどう見るかという計算上の問題でございまして、私どもの要求した金額よりか若干下回っておりますが、それは運営上支障があるという問題ではございません。しかしながら、政府のほうでは財源調整費として七千五百万をつけていただいておりますので、その点は非常に感謝をいたしております、その他の点については食い違いございません。以上でございます。
  48. 川村継義

    川村委員 そこで重ねて、これは官房長及び参考人からお聞きしておきたいと思うのですけれども、いま清水さんのお話で私ちょっと安心をいたました。そこでことしは、四十五年度は、私学共済の長期給付の所要財源率について一応検討する時期にきておると私は思います。参考人のほうからも、官房長のほうからもぜひ御意見をいただきたいと思いますが、いまの財源率でよろしいか、動かす必要はないか、これで運営をやっていけるか、特に組合員や学校法人等の三十八というこの負担率は、動かす必要はないか、あるいは手直しをしなければならないのか、初めそこからちょっと答えてください。
  49. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど政務次官から野中先生にお答えをいたしましたように、本年度の改定に要しまする財源は、国庫補助分を除きまして千分の〇・一一でございますが、昨年度の法改正によります不足分が、千分の一・九九ございます。したがいまして、これを合わせますと、千分の二・一〇というものが財源的には一応不足ということになるわけでございますが、御承知のとおり、財源調整のための積み立て金、これは本年度七千五百万円出ておるわけでございますが、四十三年度以来の分を累計をいたしますと一億七千五百万円になっておりますし、一方利益差、法定運用利率を上回りまする利益もございまして、これの積み立ても約二十四億円にのぼっておりますので、こうした財源を手当てといたしまして、さしあたり掛け金率の引き上げは必要ではないのではないかというふうに考えておりますが、先ほども申し上げましたように、本年度はちょうどその財源率について再計算をする時期でもございますので、こうした要素を総合的に考慮いたしまして、今後における掛け金率をどうするかということを慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  50. 清水辛

    清水参考人 ただいまの問題でございますが、私学共済は、長期給付の責任準備金の算定の方法を平準保険方式という方法でやっておるわけでございます。したがいまして、平準保険料方式によりますというと、厚生年金と違って、五年ごとに検算をして足りなければどんどんかき上げるという方法ではなくて、相当長期の見通しをつけてやっておるわけでございますが、もちろん年々物価は上がってくるし、給与は上がってくる、そうして最終の三カ年間で過去の勤務年数についての年金給付を支払うわけでございますから、その全額を保有しておくというわけにはとうてい、私のほうだけではなくて、各社会保障ともできないわけであります。四十三年の決算を例に申し上げますと、もし全国の私立学校先生がいっときに全員やめたと仮定した場合に、共済組合が持たなければならない義務を果たすためには長期給付についてどのくらいの金が要るか、それを一応試算いたしました数が、七百十七億でございます。そうして実際に持っている金はどうであろうかということを計算いたしますと、四十三年末で三百七十一億でございます。責任準備金引き当て金が三百三十三億ということになるわけでございます。そういうことをいたしました結果、ほんとうはもう十三億の金を持っていなければ、財源率と比較いたしまして健全とはいえない、こういうことで当期不足分十三億という数字が載ったわけでございます。このことは、先ほども申しましたとおり、平準保険方式という方式に従って、しかも保有すべき資産の率とそれから整理資源率とを四十三年の決算に直した場合には、そのようになるというわけでございます。現に昨年の実際の給付は、掛け金から生じました利息の範囲内で長期給付は全部いたしまして、なお何億かの金が残っておるという状況でございまして、この十三億計算上足らなくなったということは、直ちに給付に影響するというような危険に瀕している事情ではございません。ただいま官房長からのお話もございましたように、本年は財源率の再計算の時期になっておりますので、現在の実績によりまして十分計算をいたしまして、もしものときには、その対策等についてよく監督官庁にも御指導をいただいて、考えてまいりたいと思っております。そういうようなわけでございまして、この十三億というのは、あくまでも平準保険料方式という計算に従って、そしてその財源率の分析上持っていなければならない財源がございますので、それを計算いたしますとそういうことになる、こういうことでございます。以上でございます。
  51. 川村継義

    川村委員 私は時間をどうも取り過ぎて恐縮ですが、もう大体一応質問を終わりたいと思います。いま参考人お話しになりましたように、いま共済組合の長期経理の資産構成がどうなっておるのか、資産の運用はどうなされておるのか、責任準備金の運用状況はどうであろうかというようなことなど、実はお尋ねしようかと思っておりましたが、これはもう本日は差し控えます。  そこで、いまの問題につきまして、いわゆる責任準備金の問題等を考えましても、そこには整理資源という問題が当然出てくる。これがほかの国公関係でありましたら、国がめんどうを見てやるたてまえになっておるようでありますが、私学共済はそうではない。平準保険料方式というとり方をしておられますけれども、整理資源の問題につきましては、私学振興会が出したり、あとは組合と学校で分けたりしたかっこうで動いておりますから、こういう年金改定が行なわれるということになる。この辺にひとつ眼を注いでおらないと、問題がたいへんなことになる。そうなると、それを考えていかなければ、手を打つということを忘れておったら、既裁定とかの引き上げ等が、これだけやりたいんだけれども、やれない、やはり低く押えねばやむを得ないという状況が出てくる。そういうものが、現在の組合員にもたいへん思わしくない結果をもたらすであろうし、先ほどの話ではありませんけれども、加入させようと思ってもなかなかうま〜、入ってこぬという問題も、あるいは生じてくるかもしれません。そういうことをいろいろと考えてみると、今後文部省に特段の御努力を願わねばならぬ問題が非常に多いわけです。特にいまもお話がございましたように、昨年の附帯決議にもございましたように、やはり農林年金と一緒に、力を合わせながら二〇%は何としてもやはり厚生年金並みにしてやる。歴史がそうなってますからね、それをひとつ努力願わねばならぬと思います。これはひとつ最後に次官からお答えいただきたいと思います。  もう一つ、これは確かめておきたいと思うのです。法律関係なんですが、法律の条項に関係することで、「費用の助成」というのが第六条に出てくるのですね。「第三条及び第三条の二」、これは新しく出てくることばですが、「第三条の二の規定による年金額の改定により増加する費用は、組合の負担とし、その費用については、私立学校振興会が、文部大臣の定めるところにより、私立学校振興会法第二十二条第一項第三号の助成を行なうものとする。」と書いてある。いま私学財団法が参議院で審議をされておる。それが成立ををする、この私学共済が追いかけていく、そのときにこの六条は改正すべきだと思うのです、私学財団法云々とね。それをするつもりはございませんか。どういう心組みでおられますか。こちらが追いかけていく、向こうは成立しておる、そうすると、この第六条は参議院で修正しておかなければぐあいが悪いのじゃないかと私は思うのですが、どうでしょう。
  52. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。国庫補助分の百分の二十の問題につきましては、これまで国会におきましても六回附帯決議がなされているわけでございます。国会の御意思を尊重する意味からも、早急に御期待に沿えるように私ども努力をしていかなければならないと考えております。なお、文部省といたしましても、これまで四年間にわたりまして、予算要求を百分の二十ということで毎年やってきておるわけでございまして、文部省の姿勢というものを御了承いただきたいと思う
  53. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 ただいま御指摘の条文に基づきます補助は、私立学校振興会法におきましては、二十二条の第一項第三号に該当規定があったわけでございます。それに相当する規定は、先般御承認をいただきました日本私学振興財団法におきましては、二十条の第一項三号の規定、これが従来の振興会法の規定に相当するものであるというふうに考えております。その規定は、御承知のとおり、「私立学校教育の振興上必要と認められる事業を行なう学校法人、準学校法人その他の者に対し、その事業について助成金を交付すること。」という規定が含まれております。この規定を根拠に  いたしまして、御指摘の助成が行ない得るというふうに考えております。
  54. 川村継義

    川村委員 助成は行ない得るでしょうね。この法案を、そういう私学財団法の二十条の一項三号なら三号というように修正しておかなければぐわいが悪いのじゃないかと私は言っているのです。このまま見送るわけですか。もう私学財団法は成立するのですよ。あとから追いかけていったときに、私学振興会が云々という条文がいったらまずいんじゃないか。
  55. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 これは、先般御承認をいただきました財団法の附則におきまして、この私立学校教職員共済組合法の一部改正が行なわれております。二十四条におきまして、私立学校教職員共済組合法の、「第六条中「私立学校振興会」を「日本私学振興財団」に、「私立学校振興会法(昭和二十七年法律第十一号)第二十二条第一項第三号」を「日本私学振興財団法第二十条第一項第三号」に改める。」という附則がついておりまして、その手当てはすでにできておるということでございます。
  56. 川村継義

    川村委員 そうですか。どうも勉強不足で済みません。終わります。
  57. 久保田円次

    ○久保田委員長代理 有島君。
  58. 有島重武

    有島委員 昭和四十四年度における私立学校教職員共済組合法規定による年金の額の改定に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきまして二、三質問をしておきたいと思います。  初めに官房長にお願いしますけれども、この改定に要する費用の話が出ておりましたが、この調達について、これは、掛け金にどのくらい関係してくるか。当分の間ということも、あまり影響はないであろうというようなお話がいまあったように思いますけれども経済変動に対してどのようにこれから対処していかれるのか、そのことを伺っておきたいと思います。
  59. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 先ほど川村先生にも御答弁申し上げましたように、今回の改定によりまして必要な財源は、国庫補助分を除きまして千分の〇・一一なわけでございます。昨年の分と合わせましても千分の二・一〇ということでございますから、これは既定の財源の中で処理し得るということでございます。このことによりまして直ちに掛け金率の引き上げという問題は起こってこないであろうということを申し上げたわけでございますが、そのように御了解をいただきたいと思います。
  60. 有島重武

    有島委員 ですから、当分はだいじょうぶだということでございますけれども、これから物価はどんどん上がっていくというようなことが当然起こると思いますが、国公共済の場合には、国が事業主であるということですね。こちらの私学共済のほうは、そういった基盤が非常に弱いわけですから、どうしても組合員のほうにかぶってくるということが将来起こらないかどうか、その点を伺いたいわけです。
  61. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 将来どの程度の改定が行なわれるかということが問題なわけでございますが、相当大幅な改定が行なわれるということになりますと、もちろん整理資源の増加という問題が、当然に起こってくるわけでございます。現在でも掛け金率の中には整理資源率が若干含まれておるわけでございますが、その整理資源率をもって新たな改定の財源をまかなえないということになりますれば、掛け金の中に含まれておる整理資源率の引き上げ、ひいては掛け金率の引き上げということもあり得るわけでございます。ただ、これは直ちにそうなりますかどうか、たとえば私学振興会の助成金をふやすということによってそうした整理資源を充実することもあり得ましょうし、また、かねて大蔵省に要求いたしておりまする国庫補助率の引き上げというようなことが行なわれますれば、これはまた、整理資源率の充足になるわけでございますから、そういった問題を総合的に考えて掛け金の中に含まれる整理資源率をどうするかということをきめていく、そういう課題であろうと思います。将来のことは、どの程度の改定が行なわれるかということ、並びにそれに対する財源がどういう形で確保されるかということによりまして、掛け金の率を上げざるを得ないかどうかということがきまってくるわけでございます。
  62. 有島重武

    有島委員 将来のことはあまりよくわからない、そのときになってみて考えるというようなことではまずいと思うわけなんですよ。それで、これからの経済見通しということについて、やはり文部省側としても、見解といいますか、見通しを持っていて、そういった場合にはこうしなければならないんじゃないか、こういった場合にはこうしなければならないんじゃないかということをいまから考えておくというのが——ここに四十四年度ということが書いてありますけれども、まさに四十五年度における一つの政治姿勢であるというようなことは、総理も言われておりますし、文部大臣のお考えもそうであると思うのです。今後五年、十年のことを考えていくんだというようなことですね。この私学共済のことについても、それは少し長期の見通しをはっきり立てなければならないんじゃないか、そういうふうに私は思います。これはあまり議論になりそうもないから、これでとどめます。  その次に伺いたいことは、私学共済の中の事務費の問題です。清水参考人来ていらっしゃいますけれども、これはどこから出ているのか。事務費が当然相当かかっていらっしゃると思いますが、こまかい話になるかもしれませんけれども、伺っておきたいと思います。
  63. 清水辛

    清水参考人 事務費は、本年度、先ほど官房長からもおことばがございましたが、トータルにいたしまして七千二百八十三万円国からいただいております。その残りは、組合の長期並びに短期の掛け金の中から、それぞれ、長期からは千分の一、短期からは千分の二に相当する金額を事務費として計上いたしまして、それで組合の事務を運営いたしております。金額は、ちょっと調べて、後ほどお答え申し上げます。
  64. 有島重武

    有島委員 これは政務次官に伺いたいのですけれども、ほかの社会保障の制度ではこうした例はほとんどないんじゃないか。私学共済の場合だけ、国庫補助で足りないで組合のほうのお金から事務費が出ているのではないかと思いますが、いかがですか。
  65. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。ほかの例としては、農林共済の場合にこれが見られるわけでございます。ほかは官房長からちょっとお答えいたさせます。
  66. 安嶋彌

    ○安嶋政府委員 御承知のとおり、この種の共済組合というのはほかにあまり例がないわけでございまして、国家公務員共済組合でございますれば事務費は国、地方公務員共済組合でございますれば事務費は地方公共団体が負担をするということになっておるわけでございます。ただいま政務次官からお話しをいたしましたように、この種の公務員外を対象といたしまする共済組合というのは、このほかに私どもは農林共済しか存じておれませんが、農林共済につきましても、私学共済と同じような形の事務費の定額補助というものが行なわれております。したがいまして、定額でございますから、総額ではなく、足りない分は組合自体が負担をする、こういう私学共済と同じ方式をとっておるわけでございまして、これだけが他に比べて異例だというふうには必ずしも考えていないわけでございます。
  67. 新井彬之

    ○新井委員 先ほどの問題に関しまして一間だけ、時間がないようですから、ちょっと関連の質問をさせていただきたいと思います。先ほど掛け金のアップの問題について有島委員のほうから質問があったわけでありますけれども、共済組合であるとか、また各種の保険制度というのは、世界的に見ましてもだんだんと前進をいたしておりまして、相互扶助の精神に立って今後ともこれがどんどん前進をしてまいると思うわけでありますけれども、たとえていいますと、私が現在学校先生をやっておりまして、停年の五十五歳になる。そのときに自分が、長期の場合でございますけれども、その保険金をいただく場合に、先ほどからお話がありましたように、確かに物価高、それから年々のベースアップ、そういうことにおいてその年金自体がどの程度自分の生活に役立つのか、こういうことを考えますと、一番問題になりましたのが、ちょうど昭和二十年のあの敗戦のときでございますけれども、あの当時は一時、年金があまりのインフレのために絶無にひとしいような状態になりまして、それからまただんだんとこの年金制度が復活されて現在に至っております。どうも近ごろの状態を見ておりますと、あと十年、二十年という掛け金をして、やめた場合に、その後の生活の安定、そういうものがどのような形で保障されていかなければならないのか。私のおやじも恩給をもらっている一人でありますけれども、昔の先生というのは、一生懸命に学校におきまして勉強を教える。そして停年になりましたら、恩給でもって大体豊かな生活ができるような状態にあった。しかしながら、現在年金をもらっている方はたくさんおるわけですけれども、ほんとうにスズメの涙みたいな状態でありまして、なお一そう働かなければいけない。へたにしますと、生活保護の金額よりも少なくて、もらっているお金が何もならないというような状態になってくる。こういうようなことで、今後の見通しというものが非常に大事になってまいると思うのでございます。基本的には、社会保障制度、その中における年金制度というものが、今後は、若いときには一生懸命働く、そして年がいってからはその年金でもってある程度の生活が保障されてくる、こういうような方向に向いてくるのが世界的な情勢ではないかと思うのでございますけれども、そういうことについて今後は一般会計からの国庫補助がふえることも当然でございましょうし、いろいろあるわけですけれども、そういう基本的な、何をその年金でもってねらいとしているのか、この目的にもちゃんとうたってあるわけでありますけれども、やめたときの長期における年金の効用といいますか、どの程度までを目標にしていかなければいけないのか、そういう基本的な問題を一点お伺いしたいと思うのです。  それから、清水さんもきょうはお見えになっておりますから一点伺いたいのですけれども、現在、おやめになった方で年金を受けていらっしゃる方が、実際それで安定されているのか、それともやはり元気な間は働いていかなければいけないのか、そういうことにつきまして、今後どのようなお考えを持っていらっしゃるのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  68. 清水辛

    清水参考人 私のほうから先にお答えさせていただきます。やはりこの国会で、この前の前の改正のときに一条の二を議員修正でお入れをいただいたので、私どもは非常に感謝をいたしておりますが、この一条の二の趣旨は、先ほども読みましたように、「年金たる給付の額は、国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定措置が講じられなければならない。」こういうような、物価にスライドする年金改定ということが配慮せられるべきだと思うのであります。私、ちょっと専門でございませんので詳しいことはわかりませんが、失業保険法か何かの中には、三分の一は国が補助をする、しかし三分の一を出しても給付額が足りないときには、それをさらに増額することができる、何かそういったような法律が、たしか失業保険法かと記憶しておりますが、あったように思うのであります。ちょっとその辺の記憶が十分ではございませんけれども……。ですから、やはりこの物価の著しい変動というのは、過去につとめておった組合員の責任ではないわけで、その後の経済上、社会上の変動によって当然受けられるべき保障が、物価が変動したために、結局もらう金が減ったと同じ結果にしかならないというために、生活のこんぱいを来たす、これはやはり社会的な責任が相当強いのでございますから、この一条の二が文字どおり実行される場合は、やはりそれに対する社会政策の一環として、国の施策があわせて考えらるべきではないか、そういう点が、先ほどもお話にございました社会保障制度審議会公的年金制度調整連絡会議ですか、そちらのほうでいろいろいま御相談をして、まだ結論が出ないというのは、その辺の詰めがまだ不十分ではないか、そういうぐあいに私どもは考えております。ただし昭和四十四年の十二月に国会で通過させていただきました年金改定は、おかげさまでいま実施をされておりまして、非常に感謝されております。最も年金のふえた人は二・七倍程度にふえましたので、こんなにもらっていいのかと、これはあの当時小林先生もおっしゃいましたが、必ずしも十分ではございませんが、もらう本人といたしましては非常に感謝をいたしております。さらにそれが、今回の法律改正で八・二五%にせよ引き上げられるということは、やはりわれわれの先輩である年金者の方にとっては朗報ではないかと思いまして、私どもも成立を実は期待をしておる次第でございます。以上でございます。
  69. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。物価にスライドさせてという問題がございますが、これは非常に重大な課題でございまして、現在この問題については、この共済の問題のみならず、国全体の問題として政府としては検討を続けているわけでございます。ただ、御承知のとおり、物価上昇にスライドをするということになりますと、これは物価が上がるということを容認する、それを前提としたという形になりますので、物価政策上も非常に問題があるということを御了承をいただきたいわけでございます。そうは申しましても、物価の上昇というのは現実でございますので、給付額について物価にスライドをさせるということは、現実の物価の上昇が続く限りこれは当然考えられなければならない課題である、かように思います。また、一面そういう形ではなくて、政策上も物価を押えて、給付額がそのままの形でそれだけの価値を持つ、そういう方向に努力することもなお必要ではないか、かように思うわけでございます。
  70. 有島重武

    有島委員 これは結論的な話になるのですけれども、私たちが伺いたいと思っておりますことは、物価にスライドしていくということはもうきまっておることです。ただし、これが生活をほんとうに保障していくという目的に沿っていかなければいけないと思うのです。それから物価が上がるということと、それから国民全体の生活態度ということもずいぶん違ってくると思うのですけれども、それがとにかく生活をほんとうに保障していくのだ、そこに焦点がきちんと合うか合わないか、これは重大問題でありますので、そのことだけをお答えいただきたい。
  71. 西岡武夫

    西岡政府委員 お答えいたします。ただ、御了承いただきたいと思いますのは、現在のような物価の上昇が行なわれているときに、たとえばことしの一般の賃金ベースと、これを基準にしてというような計算になりますと、どうしても共済関係の数字をとります場合には何年か前のやつになってしまう、その間のズレは、今後この種の問題には起こってくる。それだけのギャップが起こるということは、御了承をいただきたいと思うわけでございます。しかしながら、御説のとおり、実態として十分その生活を保障するという形に年金制度というものを持っていかなければならない、これは御指摘のとおりでございます。
  72. 有島重武

    有島委員 次の問題。清水参考人に伺いたいのですけれども、私学共済が病院の経営や何かほかの事業をやっていらっしゃるように伺っておりますけれども、その事業の実情、その事業をどのくらい組合員の大ぜいの方々が実際に利用されておるのかどうか、その採算はどうなっておるのか、そういった点について伺いたいと思います。
  73. 清水辛

    清水参考人 お答えをいたします。共済組合の仕事は、先ほど来問題になっております長期給付の問題と、それから短期給付の問題のほかに、福祉事業というのがございまして、組合員の保健、保養、宿泊、教養に関する施設の運営であるとか、あるいは組合員の利用に供する財産の取得、管理、貸し付けであるとか、あるいはそれらに付帯する事業というようなことが法律にもきめられておるわけでございますが、現実はどうかというお尋ねでございますが、現在会館といたしましては東京に湯島会館、札幌に北海道会館がございます。それから宿泊施設といたしましては、松島、それから神奈川県に湯河原及び箱根、それから京都、兵庫県の有馬、あるいは石川県の山中、愛媛県の道後等々の宿泊所を持っております。また九州には別府宿泊所がございます。そのほか海の家、山の家等を経営いたしまして、現在十六カ所この種施設を持っております。病院は一カ所でございます。上野駅のそばに下谷病院という病院を持っております。現在名古屋に愛知会館を建設中でございます。  これらに対する運営はどうかというお話しでございますが、原則といたしまして保険経理が親経理になりまして、長期給付からそれぞれ千分の一ずつの掛け金がこれらの施設の運営に必要な経費として考えられておるわけであります。ただし、こういう施設をつくりますときには、私立学校振興会あるいは該当の都道府県からも補助金等をちょうだいいたしまして、それと合わせてつくり、足らない分には長期から借り入れて、これは一定の年度によって元利均等償還をするという方法をとっております。  どのくらいな利用状況であるかということを、たとえば湯島会館だけの例で申しますと、昭和四十三年度にお泊まりになった方が一万九千三百八十三人、集会——これは研究集会、宴会いろいろございますが、集会された方が六万八千五百人、休憩等一時利用された方が三千人、こういうようなことで、これは一例でございますが、四十三年には十万人ぐらいの方が利用いたしております。これが四十四年になりますと、約二割程度利用、宿泊される方がふえております。四十四年現在は、湯島会館を例にとりますと、先ほど申しました返済金並びに減価償却費あるいは職員の退職積み立て金等を自弁いたしまして、なおかつ一千万程度の黒字になったわけでございます。しかしながら、それじゃ全部が黒字になるかと申しますと、たとえば松島であるとか別府であるとかいうようなところは、比較的旅行者は少ないところであるけれども、それは地域社会にとって必要なところもございますので、そういうところは若干赤字でございます。その施設の間で赤字、黒字を一緒にいたしまして、宿泊経理は宿泊経理としてやる、こういう方法をとっております。  それから下谷病院につきましては、あの地域に総合病院の大きなのがないために、相当利用者があって、最近までは大体健全運営でございましたけれども、御案内のとおり、医療費の問題と申しますか、医者並びに看護婦等の人件費の問題、また日々に進歩します医療の設備の充実、いろいろな問題がございまして、それらを改善充実いたしましたために、四十四年度は若干の実は赤字になっておるわけでございます。なお、山の家とか海の家とかいうものの人件費は、つまりそこで定住的に使う人を非常に少なくいたしておりますので、これはそこで御利用になる料金も宿泊施設より安くなっておりますが、プラスとかマイナスとかいってもまことにわずかの金額で、特に取り立てることはございません。  さらに、福祉事業といたしまして相当のウエートを占めているのは、貸し付け事業でございます。貸し付け事業といたしましては、一般貸し付け、普通の貸し付け金でございますが、ほかに入学、本人もしくは本人の家族の入学のときに必要な費用という入学貸し付け、それから先ほどおことばがございましたが、女子組合員並びに男子組合員の若い諸君の結婚貸し付け、それから住宅貸し付けというのがございます。これもたとえば昭和四十三年の例で申しますと、ちょっといまここに私ぼんやりいたしまして数字を持ってまいりませんでしたが、相当利用が年々ふえつつある傾向でございます。それから特に私学共済の特色のあるのは、学校の教職員のために学校法人が責任をもって住宅をつくる、この場合、特殊住宅貸し付けと申しまして、最高一年間に十二戸までの住宅についての必要な資金を貸し付ける方法をとっておりまして、これは数はそう多くはございませんが、金額が相当大きいのでございまして、これも非常に好評をもって迎えられております。  それからなお、健康保持の方法といたしましては、短期人間ドックの場合に補助金を支出する。あるいは胃の集団検診については、それぞれの医療機関と相談いたしまして、無料で集団検診していただいて、その実費は私学共済が負担をする。それから初めての出産がある場合には、育児の雑誌並びに保健剤を無料で提供する。こういうような仕事をいたしまして、これは出産をする件数と大体比例する方法をとっておるわけであります。  以上が、福祉事業の概要でございます。
  74. 有島重武

    有島委員 それで赤字の問題ですけれども、短期給付では八億円ほど、それから長期では十三億円、いまの厚生施設のほうでは一億七千万くらいの赤字だというふうに私は聞いておりますけれども、これの健全化についての基本的な施策を持っていらっしゃるかどうか、そのことを伺いたいと思います。
  75. 清水辛

    清水参考人 長期給付のいわゆる当期不足金と称する問題につきましては先ほどお答えをさしていただきましたが、重ねて申し上げますと、簡単に申し上げますと、平準保険料方式といういわゆる保険数理の方式によって計算をし、そうしてそれによる財源をはじきまして、その結果責任準備金が算出されるわけでありますが、その責任準備金の数式のうちのいわゆる整理資源に相当する金額、整理資源以外の数理的保険料に相当する金額、それが千分比で出ておるわけでございます。その比を現金に直すと、当期不足金が十三億出る、こういうことでございまして、これは先ほど官房長もお答えになりましたが、五年に一ペんずつ再計算をいたしまして、これをたとえば整理資源の中に繰り入れるべきかあるいはそのほかの方法をとるかということを御指導をちょうだいして処理してまいりたいということで、現実に給付する金に困っているという意味ではございません。  それから短期給付の問題は、これははっきり出し上げまして、現実に金に困っている問題であります。短期給付は、大体共済組合の組織は先月分の俸給に相当する掛け金を今月末までにお納め願う。そうして先月分にかかった病気については、来月お支払いする。つまり一月だけ私たちがお預かりするストックの期間がございまして、だからわかりやすくいえば、今月集められた金は来月全部お支払いする。ただし病人はその一月前の分を一月置いて払う。そうして常に理屈の上では私どものほうで一カ月だけお金を預かっているということになるわけであります。したがいまして、その掛け金の絶対量が足りない上に、滞納等の事由も実は若干ございますので、そこでほとんどもうきょう入った金をきょう払っておるというような状況でございますので、現実にお金が足りないわけです。やむを得ず現在は長期から若干のお金を借り入れまして、医者のほうには払っているというわけであります。これはどうしてもできるだけ早い機会に解決をしたいと思いますが、御案内のとおり、わが国の私立学校は経常費についてまで実は公の助成を相当多額に導入していただかなければ非常に苦しい、こういう経営の実情にあるので、したがって、全国平均してみますと、教職員の給与も国公立の教員に比べて低い実情であります。その低い教職員からさらに掛け金を増加するということにつきましては、よほど慎重に考えて、あらゆる手を尽くさなければならない、こういうことでございますので、私どもといたしましてはできるだけ行政努力を続ける。と申しますのは、正確なる資料を組合の方や学校にも協力して出してもらう。掛け金は一日でも早く正確に納めてもらう。それから不当診療とかあるいはそういうようなことのないように、逆選択とかいうことがないように、これも十分配慮をする。そのほかあらゆる方法を事こまかにとりまして、しかもなおかつどうしても足りない、しかも国からも補助金が出ない、あるいはまた都道府県からも補助金は得られないという場合には、やはり役員会、運営審議会等もそういう御意向でございますが、最悪の場合には最小限度の掛け金の値上げはしかたがないだろう。しかし、その最小限度というものを一体どこに置くかという問題であります。その最小限度というのは、健康保険の給付に対する掛け金を上げない程度——健康保険は現在千分の七十、私どものほうは給付に対する比は六十七でございます。したがって、その差額は千分の三あるわけです。ですから、千分の三あるいは四と、その程度、健康保険と均衡する程度のところまではやむを得ないではないかというような御意向でございますが、しかもその時期は今日ではございません。将来十分行政努力をした上で十分検討をしてやっていこう、こういうわけでございます。  それから福祉事業でございますが、これは貸し付け金などで不良貸し付けで停滞しているという事実は、ほとんどございません。個人についても、学校についても、非常に返済はうまくいっております。  それから、会館あるいは病院の運営でございますが、これは妙な話ですが、一つの施設をつくりますと、振興会なり都道府県から相当な補助金、助成金等をちょうだいいたしておりますので、そのお金が物になって、土地になり建物になりするわけですから、現在福祉事業がマイナスであるから掛け金を上げなければならないとかあるいは閉鎖しなければならないというような窮状に立っておるわけではございません。少なくも昭和四十四年単年度で見れば若干の赤字は出ておりますけれども、それまでに残っておる繰り越し金を計算してみますと、なお健全な運営である、総合的にはそういうことになります。しかし、一つとって、病院の運営はどうであるか、この会館はことしはどうかということになりますと、マイナスの面もございますが、福祉事業全体の面をとってみますと、現在のところはまだ健全運営が行なわれておる、かように私どもは考えております。もちろんこのことにつきましては、どれだけ組合員が喜んで歓迎するか、どれだけ利用していただけるか、貸し付け以外は別でございますが、それらによって十分今後も配慮はしてまいりたい、こういうぐあいに考えております。  なお、福祉施設の運営の赤字が出ないようにということで、この一両年はそういった方面のいわゆるコンサルタントを、顧問と申しますか、嘱託と申しますか、いま招聘いたしまして、各施設の経営状況等を調査し、また指導し、またわれわれとも率直ないろいろな討論をいたしまして、健全に運営をはかってまいりたいと思います。以上でございます。
  76. 有島重武

    有島委員 本法の趣旨に沿った健全な運営ができるように十分な配慮をされますように願って、それで質問を終わります。      ————◇—————
  77. 久保田円次

    ○久保田委員長代理 川村継義君外五名提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。     —————————————
  78. 久保田円次

    ○久保田委員長代理 提出者より提案理由の説明を聴取いたします。小林信一君。
  79. 小林信一

    小林(信)議員 ただいま議題となりました公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数一の標準につきましては、すでに御承知のとおり、昭和三十四年度より同四十三年度までの間、二回にわたり改善五カ年計画が実施され、いわゆるすし詰め学級の解消をはじめ、学級規模の適正化と教職員の配置率の改善が行なわれたのであります。  さらに引き続いて、第三次改善五カ年計画が策定され、昨年度から複式学級編制改善並びに学級担任外教員、養護教員及び事務職員の配置率の改善がはかられつつあるのであります。しかしながら、これらの改善措置も、僻地学校や人口の過疎地域及び産炭地域等に存する公立の小学校及び中学校における教育の実情に対応するものとしては、なお不十分な点が多々見受けられるのであります。  すなわち、現在、これらの地域においては、行財政の貧困もさることながら、住民の生活水準の低下に伴って、いわゆるかぎっ子や非行少年等の問題児が激増しつつあり、かたがた多学年複式学級による教育は、児童及び生徒の学習効果を著しく減退させ、かつ、教職員の勤務量も増加の一途をたどり、過重な負担を余儀なくさせているのであります。したがいまして、これが対策として教職員配置の充実をはかるとともに多学年複式学級編制の解消につとめることは、目下の緊要事とされているのであります。よって、これらの必要やむを得ざる点を緊急に改善し、もって、義務教育水準の維持向上に資するため、本案を提出した次第であります。  以下本案の内容について御説明いたします。  第一は、公立の小学校及び中学校学級編制改善であります。  すなわち、その一は、僻地学校等の教育水準の向上をはかるため、小学校における三個学年複式学級を解消するとともに二個学年複式学級編制の児童の数の標準を現行の二十二人を十五人に改めることであり、その二は、僻地学校等の同学年の児童、または生徒で編制する場合における一学級の児童または生徒の数の基準を三十人とすることであります。  第二は、公立の小学校及び中学校の教職員の定数の標準改善であります。  すなわち、その一は、小学校教育の指導密度を高めるため、専科担当教員の配置率を新たに定めること、その二は、五学級以下の小規模学校及び僻地学校等について、それぞれの教育の指導体制を充実するため、教員の数の加算を行なうこと、その三は、特殊学級を置く小学校及び中学校について、特殊学級における教育効果を高めるため、教員の数を加算すること、その四は、養護教育の充実を期するため、養護教員の配置基準を改善し、六学級以上の学校及び僻地学校等について、養護教員の数を加算すること、その五は、学校事務の円滑な運営をはかるため、小学校及び中学校の事務職員の配置基準を改善するとともに、学校給食の完全給食実施校について、給食事務に従事する事務職員の数を加算できるよう新たに定めることであります。  第三は、その他関係規定の整備を行なうことであります。  第四は、この法律は、昭和四十六年四月一日から施行することとしております。  以上が、本案を提出した理由及び内容の概要であります。何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。
  80. 久保田円次

    ○久保田委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。      ————◇—————
  81. 久保田円次

    ○久保田委員長代理 次に、麻生良方君外三名提出大学基本法案を議題といたします。
  82. 久保田円次

    ○久保田委員長代理 提出者より提案理由の説明を聴取いたします。麻生良方君。
  83. 麻生良方

    麻生議員 私は、民社党を代表して、ただいま委員会に付託された大学基本法案の提案理由を説明します。  一昨年並びに昨年にかけて全国の大学を襲ったいわゆる学園紛争は、極左の七〇年闘争の挫折あるいは大学の相次ぐ警察官導入等によって一応収拾の方向に向かい、最悪の事態が回避されました。しかし、それはいわば強権の発動による一時的解決であり、学園紛争の根源をついた抜本的な解決でないことはいうまでもありません。その意味で、むしろ学園紛争は内攻的に潜在化したにすぎないというべきであります。学園紛争の抜本的解決は、旧態依然たる現在の大学制度の根本的改革なくしてはとうていありません。しかも鉄は熱いうちに打たねばなりません。大学改革はいまこそ断行しなければその時宜を失し、問題を先へ先へと延ばし、かえって事態を悪化させ、またまた危機的事態を惹起させることは必至であります。われわれが、いまこの大学基本法案を提案せんとするのもこのような認識からであります。  このような認識に立ちまして、以下まずわれわれの大学改革に対する基本的な考え方を述べたいと思います。  まずその第一は、大学をして人間形成の場、すなわちもっぱら教育の機関とすることであります。  現行学校教育法は戦前の大学令に比べるとやや実情に近づいてはいますが、やはり大学を「学術の中心」とすると規定し、大学の主たる目的を学問の研究に置いています。これは明治・大正の時代のように大学がエリート教育の場であり、大学の目的が少数の指導者を養成することにあった時代ならともかく、今日のように同一年令層の二〇%をこえ、理想としては一〇〇%が進学することを目ざすべき大学の実情に即しないのは当然であります。深く専門の学芸を研究することに適した者はごく少数であるのが当然であり、大多数の者は高等教育を受ける能力はあっても深く専門の学芸を研究するのにはむしろ不適当というべきでありましょう。研究能力のあることはもとより望ましいことではありますが、それが人間能力のすべてではありません。文化の程度が一般的に低かった時代に知的エリートが特に尊重されたのはやむを得なかったにしても、文化の水準が著しく向上した今日においては、大学の使命は広く人間能力並びに人間性の開発に置かれるべきは当然であります。もちろん社会は高度の専門的学芸の研究を要請しています。したがって、我々はその要請にこたえるため、それに適した者を収容し、深く専門的学芸の研究をさせるため、大学とは別に大学院大学を設置すべきであると考えております。換言すれば、大学は広く国民大衆に高等教育を授け、人間性を開発する教育機関とし、大学院大学は深く専門の学芸を研究するところとし、両者の機能を分ける必要があります。大学紛争の大きな原因の一つは、現在の学生生活が学生を満足させていないからであります。それは現体制が古い大学の理念にとらわれ、古い大学の理念を学生に押しつけ、学生もまたその理念に感染され、その結果、理念と現実の間に矛盾を生じ、劣等感、欲求不満、疎外感、絶望感となり、その不調和が無力感となったり、狂暴な反抗となったりするのであって、大学紛争解決の近道は大学を改造することであります。  ただいま上程されました大学基本法は、以上述べた新しい大学の目的を達成するため、次の事項を織り込みました。  第一は、大学教育の内容をなす教育課程であります。従来の大学が深く学芸の研究をしなくてはならないという思想にとらわれていた結果、一般教育という名のもとに必要以上に準備教育に時間を空費して学生を退屈にし、学習意欲を減殺した事実にかんがみ、入学のときから直ちに専門課程を教えて学生に専門教育による自信をつけさせるとともに、専門教育をみずから総合し、批判するため四カ年を通じて一般教育を授けること、従来軽視されていた体育を重要視し、ただに本位の向上をはかるだけではなく、体育を通じて人間の社会性を開発すること、最後に、従来無視されていた情操教育を達成するため芸術科目または芸能科目を設置し、新時代における社会生活のあり方を教えること等を内容としております。  第二は、大学の管理運営であります。従来大学は社会に対し閉ざされ、その閉ざされていることを誇りとする傾向がありましたが、大学基本法はそれを改め、大学の管理運営の決定権を理事会とし、その構成要素を学長、教授代表、職員代表のほか、卒業者代表並びに社会代表とし、大学管理運営の責任と権限を大学の教職員以外の人にも与え、大学が社会に対し開かれていることを制度として認めることにいたしました。しかし、管理運営における合議制度の欠陥を補うため、学長の実質権限を強化することが意図されております。  第三に、従来不明確であった学生の地位を明確化し、学生を教授、職員とともに大学の正式な構成員とし、学長選挙並びに学生協議会を通じ、大学の管理運営に参加させることにいたしました。  第四に、現在の国公私立の区別を廃止して一切の大学を大学法人立とし、国家はその公共性を認め、財政的負担をすることにいたしました。もちろん、この規定の趣意は現在の大学、ことに伝統ある私学の特徴を無視する意味ではなく、かえって現在の国公私立の特徴を生かし、財政的理由により大学の質が低下するのを防ぐことを目的としたものであります。  大学基本法の概要は以上の説明でほぼ尽くされていると思いますが、ここに明瞭に御理解を願いたいのは、本法案はあくまでも大学基本法でありまして、新しい時代における大学の基本原則規定しただけであります。したがって、その詳細、たとえば教育課程、管理運営の方法、その他は別の法律、政令、省令等に譲ることにいたし、わが党においてはすでにその研究を進め、近く成案を得る予定であります。  大学の紛争は、現象として見れば不幸な事件の連続でありますが、それは近世以後人類がつくり上げたいわゆる近代文明そのものが重大な欠陥を露呈している証拠であり、大学紛争は近代文明の根底に対する挑戦でもあります。したがってわれわれの課題は、いかにして最小限度の犠牲により、近代文明を超克し、新しい人類の文明を創造するかであり、右に述べた大学基本法は新文明創造への一つの提案であります。ゆえに私は本委員会が政党政派を超越し、高いステーツマン・シップの立場から本案を御審議くださることをお願しいたしまして、本法案の提案理由の説明を終わります。
  84. 久保田円次

    ○久保田委員長代理 これにて提案理由の説明は終わりました。  次回は、明七日木曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時七分散会