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川村委員 先日お尋ねいたしましたことでありましたが、もう少しお聞きをしておきたいと思って二、三お尋ねをいたします。
今日の
私立学校の現状と申しますか、経理の問題につきましても、経営上についても、いろいと問題が発生をしておる。幾つかの学校で、国民のひんしゅくを買っておるような事件が起こっております。これはおそらくその学校の
理事会等のいろいろの心得違い、あやまち等に基因するものが相当多いのではないかと思われます。それはそれとして、大部分の
私学がそれぞれの使命に向かって一生懸命努力をしていることは、認めなければならぬと思います。また、今日
私学がたいへんマンモス化しておる、これにもいろいろ困難が経営上伴うことだと思います。これも時代の要請であろうかと思いますが、そういう意味で、
私学経営の
財政的な危機といいますか、あるいは
限界というものが存在するということは、認めざるを得ないわけであります。そこで、それらの状態を踏まえて今回
文部省が
人件費を含めた
経常費を
補助するというような
措置をとられたことは、高く評価していいと思います。ただ、今度
財団法が成立いたしますならば、おそらくこれは七〇年代あるいは八〇年代、それ以上長期にわたってわが国の
私学経営、
私立学校そのものに大きな影響を与えるものであろうと思います。
私立学校のあり方というのにずいぶん大きなかかわりを持ってくるのが、この
財団法であります。私はそう見ておるわけです。ということを考えてまいりますと、私たちは、この
財団法をつくるにあたっても、いま一度
私学の存在しておる、あるいはよくいわれるように、わが国の
教育、文化あるいは産業、それらの振興に果たしてきた大きな役割りというもの、
私学が持っておるその位置というものをやはり忘れるようなことがあってはならない、そういう意味で、
財団法というものも考えていく必要があろうかと私は思っておるわけであります。この大事な
法律をつくろうとするときに、角をためて牛を殺すというような事態を起こさないように取り組んでいく必要があると思います。
私学に対するいろいろな問題につきましては、もう私が申し上げるまでもなく
大臣よく御
承知のとおりに、
昭和二十四年に
私学法ができたときに、
私立学校の憲法八十九条によるところの問題の解明、論議等が重ねられて
私学法ができているわけでありまして、
私学も公の支配に服するものであるというこの
考え方は、もう統一された見解だといっていいわけです。そうなれば、
私学も何も、すべてが国からのあらゆる
財政援助を受けながら、全くその規制を受けないで、自由そのままであることは許されないということは、これは当然かと思います。しかし、先ほ
ども申し上げましたように、やはりそこには
私学というものの立場をわれわれは十分配慮をして、これを殺さないような、
私学の使命というものをゆがめないような方向で取り組んでまいる必要があろうかと思っておるわけであります。そういう観点からきょうは、この前お尋ねしたものに引き続いて、二、三お尋ねをしておきます。
その第一は、この前もちょっと私は触れたのでありますけれ
ども、この
財団を運営をしていくについて、あまりにも
理事長の権限が強大ではないか。
理事長が
財団を代表する職能、権限を持たれるということは、これは当然であります。ところが「
理事は、
理事長の定めるところにより、
財団を代表し」、云々と、
理事もその職能、権限は
理事長の定めによって動いていくという仕組みになっておる。あるいは
理事長が
理事を任命をする。もちろんこれは
大臣の認可を受けることになっておるけれ
ども、
理事長が
理事を任命をする。こういうような権限から見てもたいへん大きい。さらには、この
法案で運営
審議会というものが設けられるけれ
ども、今後の場合には、この運営
審議会はそこに決議的機関としての要素は全くない。
理事長の諮問に応ずる、あるいは意見を述べることができるというような
規定でしかないわけであって、極端な言い方をすると、
理事長は全く独裁者的な位置を占めておる。これは私は、
財団の長い、これから十年、二十年という先を見通して考える場合に、しかも
財団が扱うところの
補助金額が増大をする、あるいは貸し付けの金額が増大をするというようなことを考えるときには、あまりにもそこに民主的な運営というものを阻害している要素があるのではないか、こう考えてたいへん実は
心配をいたすものであります。これについては
大臣は、その運営についてそのような形におちいらないようにもっていくという御決意はあろうかと思いますけれ
ども、こういうところをやはりもう少し、たとえば運営
審議会にもう少し大きな権能を与えて、
理事長の独断専行ができないような法文にしておくということが重要ではないかと思うのですが、まず初めに
大臣からひとつ御所見をいただきたいと思います。