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1970-10-09 第63回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月九日(金曜日)     午後零時三十五分開議  出席委員    委員長 松平 忠久君    理事 青木 正久君 理事 砂田 重民君    理事 登坂重次郎君 理事 武藤 嘉文君    理事 渡部 通子君 理事 和田 耕作君       小坂徳三郎君    向山 一人君       粟山 ひで君    松浦 利尚君       有島 重武君    栗山 礼行君       谷口善太郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      佐藤 一郎君  委員外出席者         内閣法制局第一         部長      真田 秀夫君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         経済企画庁国民         生活局長    宮崎  仁君         大蔵大臣官房日         本専売公社監理         官       大塚 俊二君         国税庁間税部長 塚本石五郎君         厚生省公衆衛生         局栄養課長   折田 貞雄君         通商産業省重工         業局次長    山形 栄治君         通商産業省鉱山         石炭局石油業務         課長      斎藤  顕君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 須賀貞之助君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部監         理課長     横田不二夫君         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房電         気通信監理官  柏木 輝彦君         郵政大臣官房電         気通信監理官  牧野 康夫君         日本専売公社総         務理事     牧野 誠一君         日本専売公社理         事       稲川  徹君     ————————————— 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ————◇—————
  2. 松平忠久

    松平委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  本日は、企画庁長官の御都合上、二時間程度しか時間がございませんので、大臣に対する質疑を集中して行なっていただきますので、大臣答弁も簡単にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。登坂重次郎君。
  3. 登坂重次郎

    登坂委員 私は、自由民主党を代表して、現下の物価政策について政府当局施策現況を伺い、かつまた国民へどういう説得をしているか、その方向について、まず基本的なものから伺いたいと存ずるものであります。  さて今日、物価問題は、公害対策に追われて、ややもすれば等閑に付されておる。しかも、物価現実というものは国民の間にいろいろ不満が持たれていることは事実でございます。そこで、物価政策中心となるものは経済企画庁が担当いたしておると世間の人も周知しておるし、またそういう立場にあるものと思います。なおかつ、物価政策会議、閣僚協議会なるものも招集して、そのつど政府としては真剣にその対策に取り組んでおられることは、一部の人は知っておる。しかし、国民大衆日ごと物価の変動に悩みつつある現況にかんがみまして、今日物価政策と取り組んでおる政府の真剣なる施策現況について、その大綱をひとつ国民の前に示してもらいたいと思います。
  4. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御指摘のように、最近の物価情勢はなかなかむずかしさを加えてきておるわけでありまして、消費者物価は特にずっと引き続き上昇傾向が改まっておりません。政府といたしましても、関係各省それぞれに施策の推進を行なっておるのでありますが、一方におきまして、物価引き上げる要素というものはやはり次から次から出てまいる。こういうことで、われわれとしても、さらに一そうこれについて、今後も重点的に物価対策に努力を重ねなければならないわけでございます。  そこで、物価対策を立てます上から、現在の物価高原因がどこにあるかという点について、何といいましてもはっきりしたものを突きとめてかからなければならないわけであります。それで、現在の物価がこういうふうになってきましたのにはいろいろの原因が積み重なっていると思いますが、何といいましても、よくいわれておりますディマンド・プルといいますか、需要の強さ、日本経済における需要超過状況、これはまあ結局、高い、しかもピッチの早い経済成長というものと非常に密接な関係が出てくるわけでございます。そういう意味におきまして、われわれとしてはこんなに早く、しかもこんなに高いピッチ経済成長では、なかなか物価上昇を押えていくのが困難である、やはりこういうような視点を重視いたしまして、物価安定政策会議の答申の線にも沿ってでありますが、いわゆる総需要抑制対策、こういうものを今日までやってきておるのでございます。よく、需要抑制ということは必ずしも消費者物価に直接効果がないではないかという議論もありますけれども、いま申し上げましたように、要するに高い急ピッチ経済成長を少しでもスローダウンさせて、安定した線に持っていくということが、やはり何といいましてもインフレムードを転換させる上において基本的な問題である、そういうような考え方に立っております。もちろん需要抑制引き締めといいましても、金融財政を通ずる問題でございますし、目下のところは特に設備投資需要の非常な過熱ということが経済過熱に連なっておる、こういう認識もありまして、主として引き締め金融引き締め中心でやってきております。しかし、これらにつきましては、財政についてもさらに十分検討を加える必要があるという意見も強うございまして、十分今後の施策においてそれを頭に入れなければならない、こういうふうに考えております。  また、この総需要抑制というのはいわばワク組みといいますか、物価政策ワク組みであろうと私は思うのであります。結局、やはりオーソドックスな方法としては、いわゆる構造改善生産性をできるだけ引き上げてまいる、日本経済全体の効率化をはかる。そして、それは結局各部門効率化をはかることによって達成できる、こういうことで、とかく好調が続きますと経済の各分野においてゆるみが出てきがちでございます。そういう点を反省し、かつまた、この十年間日本経済はずいぶん大きく変わってまいっております。そうした意味において、新しい事態に対応できるような生産あり方流通あり方消費あり方、こうしたものに徐々に構造変化が行なわれておりますが、これが必ずしも今日の急ピッチ経済成長についていけない、こうした様相も見られます。  そういうことで、そうした構造変化に対応する処置あるいはまた個々構造改革、各分野における構造改革を推進する。特に、最近におきましては低生産部門における構造改善、農業、中小企業におけるところのいわゆる生産効率上昇、あるいは別の面でとらえますと、比較的に合理化がおくれているといわれる流通の問題、それの合理化、あるいはまた新しい事態に対応した流通機構あり方、こうした問題にまず取り組まなければならない。これは総合的な対策であると同時に個別対策になるわけであります。  そういうことでやるのでありますが、この生産性の向上ということは、口で言うほど簡単に、しかも短時間になかなか達成できない。実際問題としてなかなか時間がかかる問題であります。しかし、この道筋が物価対策としては一番本筋のことでありますから、これをしんぼう強くやってまいる以外にはないと思っております。  そしてまたさらに、今日のいわゆる価格というものは自由主義経済におけるところの価格形成でございますからして、やはり自由競争というものをできるだけ前提にして公正な価格形成を行なう、こういうことで、そうした自由条件を実現するということを頭に置きながら、やはり輸入の自由化、こういう問題を促進してまいる、これも重要な施策の柱であろうと思っております。  なお、今日は、御存じのように非常に需要が強いという面も物価高原因でありますが、最近におきましては、御存じのように賃金上昇率が非常に急ピッチで上がってきております。やはりこれらが最近における物価を特に刺激しておることは御存じのとおりでございます。ただ今日、政府としても十分研究はいたしておりますけれども、所得政策について、いますぐこれを今日採用するという考えはまだ持っておりませんが、しかし、今後の情勢というものを十分見きわめながら、そうした問題にも対処をする必要があろうと思います。最近、経済が少し軟調ぎみになってきたというような認識も徐々に強まっておりまして、今後企業収益というものについても、いままでのような好調をなかなか持続し得ない。ひとえに人件費増大等がその原因になっておると思うのであります。そういうことで、企業自身としましてもいたずらにこの人件費を増高させ、そしてそれを価格に転嫁させるという安易な方法が許されない環境にもなりつつある際でもございますから、今後そうした推移というものを十分見きわめながらわれわれとしても対処したい、こういうふうに考えております。  そのほか、日本経済海外経済とのいわゆる密接度がますます強まってきておる際でございます。海外の好景気というものは、日本景気の動向、経済成長にも非常に大きな影響を与えておる観点もございまして、そういうような点からいいますと、円の問題も一応議題にはのぼっておりますけれども、しかし、これらは最近における海外情勢沈静化というふうな情勢とも相まちまして、また別の観点もございますので、これもなかなか軽々には、われわれとしてすぐ取り上げるという段階にはまだ至っておりません。  いずれにしましてもそうした総合的な大きな対策、それとともにまた個別の対策ということも必要でありまして、物価対策閣僚協議会におきまして、そうした個別対策をいろいろと取り上げておるようなわけでございますし、また質問に応じてお答えしたいと思いますが、大要、目下そうした状況にあります。
  5. 登坂重次郎

    登坂委員 経済成長物価の安定、これは非常にむずかしい問題でありまするが、政府は常に総需要対策考える。総需要対策の中では、金融政策もこれに伴って考える。財政金融とのバランスを考えつつ物価の総需要対策考える。  そこでまた政府は、一方においては公共料金に対しては善処する、こういうことをいっておりまするが、政府物価政策の柱でありまするところの公共料金に対する考え方が、非常に首尾一貫していないという一般社会からのいろいろの非難がある、あるいは批判がある。こういうことに対しまして、先ごろ政府は、具体的には私鉄運賃値上げをいたしました。かつまた酒類販売に関しまして、酒の値上げをいたしました。あるいはまた、郵便料金諮問をいたしました。郵便料金については、その改定の趣旨がどういうものなのか、その諮問趣旨内容等について、これは郵政省より特に承りたい。また、目下問題になっております公共料金関係する公営企業の中で、バス等間引き運転が行なわれておる。こういうことが非常に具体的なものとして、政府公共料金に対する国民批判と申しますか、不満の声が向けられておる。こういうことに対しまして、政府公共料金に対する基本的な態度、姿勢というものをもう一ぺん確認しておきたいと思うのでありますが、いかがお考えでありましょうか。
  6. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 公共料金も、もちろん全体の価格の中の一つでございます。そういう意味におきましては、他の価格形成と同じような原則によって形成せられ、また、それに対処しなければならないわけでございます。しかし、特にこの公共料金については、御存じのように、政府がその価格形成に関与するチャンスがある。こういう意味において、やはり政府価格対策全体に対する態度を問われる問題でありますために、価格としては他のものとは変わりがないとはいいながら、やはりその処置というものが心理的な影響を与える。こういうことで、当然のことながら、政府としてもできるだけこれをきびしく取り扱う、こういう必要が生まれてまいっております。  それから、この公共料金につきましては、公共関係事業というものが、どちらかというと民間企業に比較いたしまして、経営についてのきびしさというものがゆるみがちな傾向がどうしてもございます。これはよほど自粛自戒はしているのでありますが、なおそれでもそうしたことが免れない点もあろうと思います。そうした点も頭に入れまして、できるだけひとつこれをきびしく取り扱ってまいらなければならない、こういう方針を立てております。  もっとも、公共料金といいましてもいろいろのものがございます。一律ではございません。そうしたことで、その現実の実情というものによりまして、そして真にやむを得ないというふうにわれわれとして判断したものについて、しかも最小限度値上げをする、こういうことが行なわれることがあるわけでありますが、そうした点につきましては政府といたしましても、影響もあることですから、私鉄のような例もその一つでありますけれども、できるだけそれらについては十分な条件を付しまして、そして引き上げ最小限度に認める、こういうふうに実行いたしておるわけであります。したがって、全体といたしまして、今日までの物価上昇の中において公共料金の占める上昇率というものは比較的低いのでございます。これはもちろん相対的な問題でありますが、低いのであります。しかし最近、御指摘のように、相当各種の公共関係料金引き上げのうわさが出ております。特に、予算に関連するものについてはやはり相当具体的な形でもってそうした話が行なわれておりますが、これらはもちろん、まだ何ら政府として最終決定をしたわけではございません。直接の担当者がいろいろの計画を持っておるということがかりにありましても、それらは今後、政府物価対策全体の一環として十分にこれを審議し、そして先ほどの方針に照らしまして、いやしくも乱に流れることのないようにわれわれとしても考えてまいらなければならない、こういうふうに考えております。
  7. 小渕恵三

    小渕説明員 ただいま先生より郵政審議会諮問をした件についての御質問をいただいたわけでございますが、郵政省といたしましては、九月二十八日郵政大臣より郵政審議会に、郵便事業正常運営を確保するための方策について諮問を申し上げた次第でございます。  御案内のとおりに、最近の郵政事業は、年間郵便物数も百十億通をこえまして、過去五カ年間二〇%という増加率でございまして、非常な高度の増加を見ております。他面、都市部にこの物数が集中をいたしまして、雇用なり設備投資不足等と相まちまして、郵便事業の正常な運行が非常な困難を来たしておるわけでございます。なおかてて、昭和四十一年に料金引き上げをいたしましたが、それ以来人件費の高騰が約七〇%に上っておるわけでございまして、そうした観点から、この正常な運行を継続することがますます困難を来たしております現況につきまして、郵政審議会にその正常運営を確保する方策について御諮問申し上げたわけでございます。  なお、本年度予算におきまして百三十三億、来年度予算におきまして五百七十二億の収入不足予算を現在計上して、大蔵省への概算要求をいたしているわけでございまして、当然、この正常運行を確保するためには、この料金の問題あるいは資金不足の解消の問題等もあわせて御諮問申し上げているわけでございます。
  8. 登坂重次郎

    登坂委員 政府公共料金考え方に関しまして、各所管官庁によっていろいろ考え方が異なるようであります。事実上は、まことにそれぞれの当然の理由があるやに承りますけれども、国民生活を擁護するという立場におきまして、経済企画庁担当大臣としては、十分これらの政府部内と申しますか、政府意思統一をして、なるべく国民物価上昇の懸念を与えないよう、特に御注意申し上げておきたいと思います。  さて、次に金融緩和の問題でありますが、総需要対策金融問題につきましては、設備投資その他からして非常に関連性が強いのでありますが、今日ちまたにおきましては非常に、金融を緩和せよという声があるやに承っております。これに関しまして、大蔵大臣あるいは日銀総裁等は、なしくずし的に金融を緩和したいというような意向があるやに承ります。しかし、金融引き締めるにつきましては、やはり設備投資が、これがまた盛んに行なわれ、あるいは総需要増加がはかられ、総需要に対する政府めど、大体のめどはどのくらいを各年度設備計画として業界に指導しておるのか、また政府の自信ある物価対策上から見た一般国民の総需要の額と申しますか、そういうものをあらかじめ基本に置いて考えられておるかどうか、この点ちょっと承りたいと思います。
  9. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御存じのように、いままで金融引き締め中心にしたところの総需要対策が行なわれてきております。これと、最近における引き締め緩和の要望というものとの調整は、非常にデリケートであります。一方において、政府といたしまして、いわゆる政策不況というようなことをもたらすことは避けなければなりません。それからまた、相当こうした問題についてはいわゆるタイムラグがございます。でございますから、時期を失してしまいますと、今度は落ち込みがかえってひどくなる。何といいましても高い成長が四年間も続いてきたあとのことでございますからして、一方においてなかなかブレーキというものはかからないのでありますけれども、また、それがある一瞬からかかり過ぎるおそれもあるというデリケートな問題でございます。そういう意味におきまして、われわれもそこのところを十分注意しておるのでありまして、何も非常なデフレーションを起こすというのが、物価の面におきましての政府政策というわけではございません。今日、消費者物価を引き下げることだけのためにデフレ政策を行なおうとすると、これはたいへんな行き過ぎをもたらすことは、過去の経験でわれわれも承知しておるところであります。ですから、この状況をよく判断しながらこれに対処していく、目下はそういう意味では非常に注意を要する段階である、これが政府考え方でありまして、そうしてまた、そうしたところまでいけば、ある程度需要というものが全体が沈静してきたものというふうに判断できるのでありますが、そこいらのところは、必ずしも物価政策景気調整というものが根本的に矛盾しておるというわけのものでもありません。  御存じのように政府経済見通しで、先ほど御指摘のあった民間企業設備、これは大体一七%ぐらい本年は伸びる、こう見ております。これが最近になって、御存じのような沈静化をあらわす指標がだんだんに出てまいりました。大体政府見通しとあまり遠くないような感じのところに落ちついてくるのではなかろうかというふうに、いまのところは考えておるようなわけであります。
  10. 登坂重次郎

    登坂委員 金融を絶対的に緩和するなという意味ではありませんが、年末を差し控えて、今後中小企業金融というものは特に逼迫してまいる。中小企業対策については特段の金融措置もひとつ考慮をしてもらいたいことを要望しておきます。  次に、物価下方硬直性の問題でありまするが、今日各企業とも非常に増産、増量、非常に合理化されておる企業もあります。その中においてカルテルの問題あるいは再販価格問題等について、新たな観点から、物価政策上からも政府はどういう考えに立って今後検討すべきか。この物価下方硬直性の問題については、物価について真剣な留意が各国民から払われておる、そういうときにおいて、政府はただ何年前にこういう法律があるからこの法律に準拠したのだということになりますと、今日の経済成長、今日のいわゆる情報化社会、そういうものの中では国民生活実態に合わないものがあるんじゃないか。この点について企画庁はどういう見解をお持ちですか。
  11. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 御存じのように、今日のいわゆる価格問題といいますのは、自由主義経済を根幹といたしまして、政府はできるだけ手を染めないで自由なる価格形成にまかせる、こういう基本的な原則がございます。しかし、いま御指摘のように、そうはいっておりましても、一方において下方硬直性というような議論がだんだん出てきております。高い経済成長がもたらしたところの物価高という事態に対しまして、この高い経済成長というものから当然出てくる賃金上昇、そうしてまた、そのウエートが高くなってくるに従って今度は下方硬直性傾向が、やむを得ないことでありますけれども、出つつある。特にこの高い経済成長によって生じたところの付加価値を、そうしたことから、どうしても企業の内部におきまして経営者労働組合とだけでもってこれをきめてしまう。いわば価格に非常に関係の深い消費者がそうした決定にははずされておる。そういうことから、どうしても消費者に対する還元ということが怠られがちになってまいる、こういうことが今日指摘されてきております。個々の問題を取り上げてみますると、それぞれにコストが上昇するというような理屈づけが行なわれまして、この問題につきましては、科学的にこれを確定するということが、今日まだ必ずしも明確になっておりません。政府といたしましては、実はこうした問題は理論的にも非常にむずかしい問題を含んでおりますので、先般でございましたが、われわれのほうに特にその問題の検討をする委員会を設けまして、これを早急に十分に審議をする、こういうようなところであります。  そして今日、御存じのように、こうした問題に行政的に対処し得る機構としては、いわゆる公正取引委員会、そうして、それがよって立つ独占禁止法によってこれを取り扱うことが初めて可能になっておる、こういう状況であります。独占禁止法は、むしろほかの問題を主たる目的として制定されておるわけでありますが、同時に独占的な価格形成というサイドからこれを取り扱う。そういうことでありますからして、勢い限界があります。しかし現状において、個々の場合においていろいろとそれに適合するようなケースがありましたときには、どんどん公正取引委員会においてこれの取り締まり、監視を行なわなければなりませんし、目下そういう方向で動いておるわけであります。  同時に、いわゆる管理価格という問題は、いま御説明したような観点からいいますと、所得政策にもつながる問題でございます。われわれはそういう意味で、両方の面において十分検討しなければならない。個々ケースについての断定ということになると、率直に言って非常にむずかしい点がございます。それだけに、できるだけまず実態の把握につとめる。このことが急務であろう、こういうふうに考えているわけであります。
  12. 登坂重次郎

    登坂委員 それでは委員長、だいぶ時間をとりましてすみません。終わります。
  13. 松平忠久

  14. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは長官に対する質問だけ申し上げて、その他につきましては二時半以後にお願い申し上げたいと思います。  まず、長官にちょっとお願いをしておきますが、長官は二時半までしかおられないそうでありまして、私のあとにも各党の質問者がおられるそうであります。割り当てられた質問時間が答弁も含めて二十分だそうですから、質問も簡単にしますので、御答弁もぜひ簡単にお願いしたいと思います。  まず第一点は、抽象的な議論は抜きにいたしまして、総理府統計局の発表しました数字を見ましても、各月ごと上昇傾向を示しておることは、もう長官御承知のとおりだと思うのです。六十三特別国会で、長官が本委員会で御説明になりましたときには、季節もの、野菜等が非常に高いということで指数の上昇ということを説明しておられたのですけれども、最近の発表数字を見ますと、季節もの以外のものについても上昇傾向を続けておる、こういうことに現在発表されておると思うのです。そうなってきますと、昭和四十五年度の物価上昇指数は一応四・八%、上昇率は四・八%以内に押えるのだ、こういうふうに政府方針として出されておりますが、はたして四・八%以内に押える自信があるのかどうか、この点を明確にお答えいただきたいと思うのです。
  15. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 まことに残念でありますけれども、なかなか四・八におさめるということがいよいよむずかしくなってきたような感じを私は持ってきています。これは今日までの上昇というものの実績、それを踏まえて考えたわけで、今後の情勢、特に季節関係のものはどういうふうに動くか、これは相当大きな変動をするものでもございますし、その傾向の前年比がどうなるかによってもずいぶん違うのでありますが、なかなかむずかしい状況になりつつある、そういうふうに考えております。
  16. 松浦利尚

    松浦(利)委員 政府は毎年上昇率を発表なさいますけれども、いままでワク内に入ったというためしがないのです。いま長官は四・八%以内に押えることはむずかしくなった、こう言っておられるわけですから、それでは一体幾らに修正されようとしておられるのか、幾ら以内なら押えられるのか、そういう点この際国民にはっきり発表していただきたいと思うのです。
  17. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは、われわれとしてもできるだけ低位に押えるようにということで、目標もできるだけきびしく設定をする。これはわれわれとしても、どうしてもそういう立場に立っているわけであります。そこで、いますぐ年度全体についてどうという結論はまだ時期尚早であろうと私も考えておりますし、できるだけあらゆる対策を行ないまして、とにかく実際の上昇率を少しでも上げないように努力をする、そういう段階であろうと思っております。
  18. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまここでそれでは幾らという数字が出なければ——国民政府物価問題を期待してももうだめなんだ、あきらめておる。もう物価はどんどん上がるし、政府が幾らどうやられても、これはしかたがないのだ。だんだんあきらめが国民の間に出てきておると思うのです。そのことがやはり政治に対する不満としてあらわれてきておるわけですから、ぜひ政府が発表した数字は必ずその数字のワク内に押えるように、だめなものを、いまその中に入れようと思っても無理なんですから、これから発表なさったそういうものに対しては、ぴしっと押えるように政策を先行さして、私は国民の期待にこたえていただきたい。佐藤長官なら私はできると思うんです。さっきの質問にもとうとうと答弁しておられたんですから、私はできると思うんです。積極さがあるかないかに私はあると思うのですね。いまそのことについては一応おくといたしまして、次の問題は酒の問題です。  御承知のように、酒が一斉に六十円、九十円値上がりをいたしておりますが、残念ながら、公取の委員長の発表によりますと、これは国税庁が酒のモデル価格というものを表示いたしまして、その範疇にすべてが勢ぞろいして六十円、九十円値上げをしたということなんですね。これは明らかに政府が指導して酒の価格を上げたという結果が出ておると思うのですが、こうした国税庁の行き方に対して、長官物価担当大臣としてどう思っておられますか。その点をお聞かせいただきたい。
  19. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いま御指摘のようなことが事実だと、これは国税庁としては非常に行き過ぎた態度であると思います。ちょっといま聞いてみたんですが、内部で試算をしたというようなことはあるようでありますが、別に業界に対してそれを示したとか、そういうことはないように聞いています。でありますから、いま御指摘のようなことが事実だとすれば、今後ひとつこういうことで指導のないように、この際われわれとしても国税庁に対して、そうしたことを十分に反省してもらうように言わなければいかぬと思います。
  20. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの問題は、あとから、二時半以降に国税庁のほうからも来られるそうですから、内容をその点で明らかにしたいと思うんですが、いずれにいたしましても、四十五年の四月六日の物価安定政策会議の「行政介入と物価について」の提言ですね、この中にこういうことがあるのです。いま不況カルテルを結んでおるわけですが、このカルテル締結期間中に「清酒価格値上げが行なわれる場合には、直ちにカルテル認可の取消しを検討する等消費者の利益を充分考慮した運用が行なわれるべきである。」こういう行政介入と物価についての物価安定政策会議総合部会の提言がされておるわけですが、現実に六十円、九十円酒が上がったわけですね。この提言に対してどういう措置をとられますか。
  21. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これについては、そこにございますようにさっそく国税庁に対しまして、カルテルの解散を行なうようにという要求を出しております。それで、国税庁もこれについては、いま具体的に検討を進めておるところであります。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 わかりました。  その次に、私は一つの資料を持ってきておるのです。これは、東京の各家庭に配られたものが私の手元に来たんですが、「需要家の皆様へ ガソリン類が値上げになりました 適正価格でお買上げお願い致します」こういうビラが各家庭に配布されておるのです。この中に「公害追放のため既に石油メーカーは七月から加鉛量を半減した、新ガソリンを生産出荷に踏みきっておりさらにオクタンカの高い無鉛ガソリンを製油するため膨大な設備投資を始めております。」こういったことで、もう値上げの中に含まれておりますね。  御承知のように、田子の浦のヘドロ公害の問題をめぐって、静岡県のちり紙業界が、公害設備をするためには浄化装置等に二千万円の設備投資をしなきゃならない、そのために二〇%の卸値の値上げをすでに発表しておるわけですね。  このように、公害問題がどんどんと国民の間に高まってきて、国会でも議論されてまいりますと、この公害施設の負担が全部消費者にかぶせられてくるんですね。現実にこういうものが公害を理由に値上げしてきておるわけですが、こうした行き方について、長官はどのようにお考えになりますか。
  23. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 もちろん、この公害のために必要なる投資というものは、何をおいても優先的に行なってもらわなければなりません。したがって、それがコストに入ってくる、これも当然でありますが、しかし、これは私は、実は公害のコストだからということでなく、全体のコストについていえることだと思うのですけれども、コストが上がったからすぐ何でも値上げに持っていくんだ、これは基本的にも許されないわけで、合理化の余地があるかどうか、そこらのところを経営全体として見て、そうしてその上でもってやむを得ないものが価格となって出てくる、こういうことでございますから、公害の費用がかさんだからというので、もうすぐそれだけを理由に価格引き上げるという態度は絶対に許せない、こういうふうに思います。いわんや、それが便乗値上げを実質上伴っておるというようなことになりますと、これはもう一そう問題外でありますからして、日本経済全体として公害のためにコストがかかってくる、それがある程度物価影響してくる、これの避けられない面もあろうかと私は思います。これはそれだけわれわれの生活にコストがかかるようになってきた、こういうことであります。しかし、個々の物の価格あるいは個々経営者価格、これの取り扱いについては、いま言ったように簡単に、ただ公害のために金をかけたから上げるのだ、こういうことでは理由にならない、そういうふうに思います。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは要望ですが、公害の設備ができ上がらない前に、公害の設備をつくるのだから値上げだ、こういうやり方をされたのでは消費者はたまったものでないですから、その点の行政指導は私は積極的に進めていただきたいと思います。  次に——大臣に対する質問時間が二十分だそうですから、運賃の問題であります。  これは運輸審議会のほうで最終的に二三・一%の答申が出されて、政府もこれを承認した、こういう形には一応整っておるのです。ところが経済企画庁長官、あなた自身も八月の七日ですか、私鉄の運賃はやむを得ないのだ、こういうことで佐藤総理のところに行っておられますね。私は、物価担当大臣がどういう資料に基づいて二三・一%の値上げやむなしというふうに総理に言われたのか、その点をひとつ、どういう資料だったのか、運輸審議会のそのままの資料だったのか、あるいは経済企画庁として独自に調査なさった上で御返事なさったのか、そういう点をはっきりさしていただきたいと思います。
  25. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これはもちろん、運輸審議会の資料そのものではございません。経済企画庁としてあの当時に審査を進めておったわけであります。それで、具体的にどのくらいの数字になるかという結論は、もちろん出ていませんでした。ただ全体の状況を聞きまして、そうして判断として、パーセンテージはともかくとして、これをこのまま据え置くということはなかなか困難だなという感じ、これは私も徐々にそういう感じを持ってきたわけであります。もともとあの際には、所管大臣である運輸大臣が総理に報告をしたわけでありますが、そのときに私もたまたま立ち会っておりまして、私自身としてもそういう感触になっておった際でありますから、そういう話が出た、こういうことであります。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この運賃の問題については後ほど運輸省に質問をいたしますけれども、経済企画庁長官にぜひこの際はっきりお聞きしておきたいのは、公共料金値上げあり方ですね。実際に運輸審議会というものが隠れみのになっておる。国民の前に全く公開されておらない。こういうやり方では、値上げをしたことについて国民批判が集中するだけだと思うのです。もう運輸審議会はどういう形だったかということはここでくどくど申し上げません、時間がありませんから。長官がよく知っておられると思うのですが、こういうあり方について、公共料金決定するあり方について改善する余地があると私は思うのですが、長官、直接担当しておられてそういう感じがなさいませんでしたか、抽象的な質問ですけれども。
  27. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私も非常にそれを感じておりますし、それで、実は政府のそうした各種の委員会がありますが、それが生産者あるいは経営者、そっちのサイドの一方的な観点だけが浸透するということでは困りますので、委員会審議会の構成についても再検討をしてほしい、こういうことを閣僚協議会においても申し入れ、そうして、これはいま各委員会ごとについて、各省の分について検討してもらっております。  それからまた、それでは必ずしも十分でないものですから、最近でありますけれども、たとえば農林省にしても運輸省にしても、どうしても関係業界との関係生産者との関係が密接でありますから、そっちの声だけが入りがちである、そういうことでは困る、何でも物価経済企画庁にまかしておけばいい、われわれは生産者の立場だけ考えればいいというような感じが、率直に言ってあまりむき出しになるおそれもあるので、やはり関係各省自身が直接消費者の声を聞くということが必要であろうということで、農林省、通産省、運輸省、厚生省、こういう物価に特に関係の深い省にその省関係消費者懇談会をひとつ設けて、直接大臣消費者の声を聞けるような機会を持つ、こうしたことがやはり、一方ばかり見ておると言われがちな行政というものを展開する上に必要である。企画庁が幾ら声をからしましても、実際の所管大臣がみんな実際の実施力を持っておるわけでありますから、私はそういう意味においてそうした構想をこの間提案しました。これも早急に——各省もこれについては異論はございませんから、そうしたことを進めていきたい、こういうふうに思っております。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 よくわかりました。前向きの御答弁で了解をするわけですけれども、もう一つお尋ねをしておきたいのは、私鉄の運賃をきめる場合に全業できめないのですね。長官御承知のように、ある私鉄がやっておるすべての事業を含めて株の配当等はなされるけれども、鉄軌道の運賃値上げに関しては、どういうわけか一つの鉄道企業から鉄道部分だけを取り除いて、そこで赤字を計算をして値上げをする。こういうやり方はやはり国民に対して不信感を与えると思うのです。いまある私鉄株式会社というのは鉄道軌道だけをやっておらない。デパートも、あるいは不動産も、建て売り業務も全部やっておるわけですから、それは一つの独立した法人であれば別会社ということができますけれども、そうでない、Aという私鉄の株式会社の一つ事業部門としてやっておられるわけです。こういう場合には、私は当然、私鉄の運賃の値上げを幾らにするかというときの参考資料としては、やはり全業を比較してきめるべきが妥当である、鉄道だけ、赤字部門だけをふくらまして、そしてこれだけの値上げをします、こういうことでは、国民はやはり納得しないと思うのです。こういういまの運輸審議会あるいは運輸省の資料のとり方、それと、御承知のように有価証券報告書、これが会計士法によって会計士の監査を通った一つの正確なものとして出されておると思うのですが、これが国民の前に発表されておるのに、運輸審議会に出されておる資料というのは全くこれと無関係審議をしておるということでは、私はやはり納得しないと思うのです。こういう運輸審議会の料金決定あり方についても、この際古いものは改めていただきたいと思うのですが、長官どうでしょう。
  29. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは実をいうとなかなか具体的にむずかしい問題です。と申しますのは、いまは、おそらく不動産業というものを大体頭に置いておられると思うのですけれども、確かに不動産関係でもって値上がりを来たし、益が出ておるわけです。ところが、不動産に限らず、たとえばデパートもやっているとかいろいろな事業に手を出しているわけです。それで、ほかの事業が万一赤字に転落をいたしました場合に、そのほかの事業の赤字を鉄道料金引き上げでもってまかなわれても困るわけです。そこで、そういうような観点がありますからして、一応論理的には、鉄軌道は鉄軌道でもって議論するのが私は筋目だとは思います。ただ問題は、それならばそれらの経理というものが鉄道の部分、不動産の部分というふうに、そんなに論理的にしっかりと区別されてやっているかというと、これは現実に私は疑問を持っております。ですから、最近におきましては、いわゆるバランスシートの連結諸表を総体的に見直さなければならぬ、こういうことが税やその他の面でも言われております。そういうこともありますので、今度われわれははずいぶんそういう意味においてはきびしく、不動産でもって収益をあげておるものはできるだけそれを加算して計算をする、こういうふうにいたしております。ただ、全然鉄道と関係のないということが明白なものは別でありますけれども、大体やはり鉄道を持っておった、そのためにその周囲の土地も値上がりをし、そしてそれの収益がその会社に入ったというものはこれは計算をする、こういうたてまえでやっておるわけです。ですから、この問題の処理はなかなかむずかしいのでして、収益があがっているときはいいのですけれども、よその収益がそれじゃ赤字になったときにどうするかという問題がありますけれども、今日の情勢を見まして、現実的にそこはいま申し上げたように処理したいわけであります。
  30. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間が来ましたから、この運賃値上げの問題につきましては、後ほど運輸省のほうと話し合いたいと思います。  最後に、実はカラーテレビの問題に関連をして、これまた通産省に具体的に質問しなければいかぬのですが、長官にお尋ねしておきたいのは、物価対策閣僚協議会で二十五の決定がされた。いまいただきましたこの資料、二十五の決定の中に、流通機構の整備と合理化というところがありましたね。ところが、家電メーカーはいち早く流通機構合理化に成功した業種だと思うのです。御承知のように問屋が販売株式会社に切りかわって系列販売会社というものができ上がって、小売り店も全部系列販売網に組み込まれている。ところが実際に、そういうふうに合理化されたけれども、その合理化された経費というものが消費者に還元されておらない。むしろメーカーだけがその合理化の恩典に浴して、消費者の狂うは全くその合理化の恩典に浴さない。二重価格の問題や最近の問題は、いまここで時間がありませんから後ほどに譲るといたしましても、こういうことでは、流通機構合理化という問題を幾ら進めてみても結果は同じだと思うのです。こういう点について長官はどういうふうにお考えでありますか。家電メーカーを一つの例として長官のお考えを明らかにしていただきたい。
  31. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 確かに合理化ということばにはいろんな意味がありまして、社会全体の立場から見た合理化、それから私的資本の立場から見た合理化、必ずしも一致しない場合があると思います。いま御指摘の例はそういう一例だと私も思います。たとえば東京と大阪でずいぶん違います。大阪へ行きますと、厳密に一系列になりませんで、たとえば松下を扱っているけれども必ず一緒に東芝も扱っている、日立も扱っているというような取り扱い店が多い。そういうふうになると、だいぶ私はその点が違うと思いますけれども、それでも、いずれにしても合理化をやった結果としてそれがやはり消費者に還元されるということが基本的にないと、いま御指摘のような問題も起こるわけでありますから、私たちはただ形式的に合理化考えておるのじゃなくて、そういう意味で実は通産省では、特にいまダンピング等の関係等もあるからでありますけれども、特にこの問題をいま究明をしてもらっております。そして、もちろん公取では、これがいわゆる独占禁止法に触れるような談合その他やみの行為があったかどうか、これらについても十分検討してもらっております。確かに御指摘のような点をやはり政府としても注意しなければならないと思います。
  32. 松浦利尚

    松浦(利)委員 最後に——最後にが多くて申しわけないのですが、一昨日の新聞にも農林物資の中央卸売市場の改革問題、こういったものが提言が出されておるのですが、物価安定政策会議からたくさんのものが提言される。確かに提言はされるけれども、その実効があがるのかどうか。提言はあったけれども、実行はちっとも進まない。これが私は佐藤内閣の弊害だと思うのです。機構はつくって提言はさせる、国民は期待する、ところが一向に一つも進まない。提言はしっぱなし、これでは私は問題が残ると思うのです。担当大臣である長官は、一生懸命努力しておることは認めます。しかし、こういう提言があったものに対しては、積極的に取り入れて、すぐ効果が出るということは考えられないにしましても、少なくとも積極的に取り組んで、物価安定のための政策は実行するんだ、こういうものがぜひ段階的に出てくるように長官にがんばっていただきたいと思うのです。そのことをぜひ長官にお願いしたいと思うのですが、どうでしょう。
  33. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 まことにごもっともであります。そういうことで、実は前回の物価対策閣僚協議会においては、新しい提案よりも、前にきめたものが各省で実行されておるかどうかということについての報告を主として受けて、それに対して、さらに再度どういう対処のしかたをするかということの検討をしたわけですが、率直に言って、時間も不十分でありましたので、今後そうした点を私自身が各省の大臣と会って、そうしてこの個々対策についてもう少し徹底した実行が行なわれているかどうか、そういう点について話し合っていこう、こういう場をつくることをいま考えておりますけれども、できるだけ各種の提案をそういうことで実行に移したい。先般の問題は、率直に言いますと、その提言があったのですが、これは委員の間にも意見の相違があるくらいにむずかしい問題であります。そうした問題は、さらに究明を尽くしまして、その上でひとつ取り入れていくように進めたい、こう思っております。
  34. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、私の残余の質問は後刻に保留いたしまして、長官への質問は終わらせていただきます。
  35. 松平忠久

    松平委員長 有島重武君。
  36. 有島重武

    ○有島委員 私も後ほど所管庁に対して質問さしていただきたいと思いますが、いまは簡単に長官に対して伺いたいと思います。  先ほどから長官も、四・八%じゃおさまらないというようなお話でございましたし、それからもう一つ、総需要の話が出ておりました。総需要と申しますと、非常にマクロな見方でございますけれども、こうしたいまの日本経済の新しい次元ですか、こういった報告がございますが、この報告全体についての批判はまた別といたしまして、こうしたものの中で消費者の保護の行政というものは、一体これはどのように位置づけられていくのか。総需要といっても、非常にミクロ的な言い方で言えば、消費者というものがあって、そういうもののインテグレートされたものであるというような見方もできると思うのですね。こういうものを、大きいワクの中でもっていろいろとりっぱなことが書いてある。それじゃ国民生活とそれはどういうふうにつながっていくのか。その接点というものがなかなかつかめない。つかめないうちに物価はどんどん上がっていってしまう、そういうような矛盾があるんじゃないかと思うわけです。この中で、いま申しましたように、消費者の保護行政というものはどう位置づけられていくか、それをひとつ伺いたいと思います。
  37. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 必ずしも御質問趣旨、私わかってないかもしれませんから、もし間違っていましたら再度御質問願いたいのですが、今日の物価問題の中において、もちろん物価問題というのは、そもそも消費者の問題でありますから、そういう意味において消費者行政というものは非常に重要な問題です。ただ、いま御指摘の点は、消費者行政というものは、また今度はその観点からとらえますと、物価問題だけではないだろうと思いますし、いわゆる公害問題、食品衛生問題など、消費者行政というと、物価問題以外のものを含めている。ちょうど物価問題と消費者行政というものは一部が重なっている、私はこういうような関係だと思うのです。ですから、物価問題自身は消費者立場ですべてを考えていくということは、はっきりしておりますけれども、消費者行政というともっともっといろいろな問題があるように思う。そういう意味で一体どういうお答えをしたらいいのか、私もちょっと御趣旨がはっきりしなかったものですから、もし何でしたら……。
  38. 有島重武

    ○有島委員 消費者行政という問題、これは確かに大きな問題でございますし、それから物価問題、これも大きな問題でございますが、その接点がどの辺にあると見ていらっしゃるのか、そういうことなんです。
  39. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 接点ということばは、よくわかりませんが、要するに逆に言うと、消費者行政の中で、たとえば物価行政に関係のある分野はどの程度の範囲までを考えるか、こういうことにも帰着すると思うのですが、まあ個々の具体的な問題を考えてまいりますと、直接物価関係のないと思われるような問題も関係がある。たとえばチクロなんかの例はその例だと思いますが、これは食品衛生の問題でもあるのですが、同時に実は重要な物価問題にもなっているわけです。そういう意味において、消費者行政それから物価行政というものは、これから相当関係が密接になると思います。先ほど公害の価格の問題というお話がありましたけれども、ちょっとそれに似たような問題が起こりつつあるようにも思われます。そういうようなことで非常に関係が深いということは言えるのですが、その接点というのはどういうのか、もう少し具体的に御質問願えれば、私もまたお答えを申し上げられるかと思います。
  40. 有島重武

    ○有島委員 実は、こうしたマクロな経済政策というようなことを書くときに、消費者保護というそういった視点、意識というものが甘かったのではないかという印象を私は受けます。  それで、この中にも豊かな社会だとか福祉社会を目ざすというようなことも出ているようでございますけれども、いまの経済の中でもって投資をしていく、これは需要をどんどんつくっていかなければならない。需要を、先ほどディマンド・プルということばがありましたが、ディマンド・メイクというものがかなり進んでいるんじゃないか。需要度をどんどんかき立てること、こういったことにつきまして、この中でも表示の適正であるとか、それから今度は消費者に対する啓発活動ないしは教育の推進、意見の反映だとか、それから試験検査の制度だとか、そういったことが消費者基本法の中にあるわけでございますけれども、たとえばそういうところに非常にシャープな接点があるんじゃないかと私は思うのですが、長官の御意見はいかがでしょうか。
  41. 宮崎仁

    ○宮崎説明員 ちょっと私から補足的に申し上げておきますが、消費者行政ということで現在取り上げられている問題、これは御承知のように消費者基本法によってあげられている問題を取り上げているわけでございまして、いま御指摘のように、一つは、消費者保護という観点から考えれば、危害の防止あるいは計量の問題、規格の問題、表示の問題、さらに公正自由な競争というものの確保の問題、こういった観点で保護行政というものが考えられているわけでございます。     〔委員長退席、砂田委員長代理着席〕 具体的な施策としては、消費者教育の問題、啓発活動の問題、苦情処理の問題あるいは各消費者団体の育成の問題、こういうようなことでやっておりますが、もちろんこれはマクロな意味での経済の運営あるいは国民生活の水準というようなものと十分関連を持って、こういう問題が取り上げられ、また推進されていかなければならないものでございます。何ぶんにも比較的新しく発足した行政でございますので、いろいろ不十分な点があることは私ども承知しておりますが、そういう観点で努力しておる次第でございます。
  42. 有島重武

    ○有島委員 時間があまりございませんから……。  先ほどの流通機構合理化ということなんです。それがかえって業者のほうのメリットあるいは管理価格というほうに行ってしまう。そしてその恩恵を消費者のほうに還元することができないというようなことがある。それからややちょっと違いますけれども、きょう問題を取り上げようと思っておりましたけれども、ビタミン強化というようなのがあるわけですね。エンリッチというのがあるわけですね。確かにビタミンは強化した。聞いてみれば非常にいいみたいだけれども、そのことによって価格も高くなっているし、食品そのものの効果はどうか、そういうことについてはおろそかにされているとか、そういう非常に——これはこまかい問題です。こまかい問題でございますけれども、そういうことがインテグレートされていくんじゃないかと私は思うわけなんです。ここでは、お答えいただいても、ちょっと十分なお答えがいただけそうもないと私は思いますけれども、これからいろいろな施策を実際にやっていらっしゃる上において、消費者立場消費者の保護という視点とどうかかわりがあるのかということを絶えず念頭に入れてやっていただきたい、そう思うのです。こうした質問が非常に唐突みたいな印象を受けるようでは情けないと思うのです。この中にも、国民のために福祉社会をつくっていくというようなのがありますけれども、そういったことばは何かむなしく響いただけで、なかなか実施に移せないということを前の委員の方も言っておりましたけれども、そうしたことも、それではどこが一番のクロスするポイントになるのかということをはっきり言っていただきたいと思います。
  43. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いろいろせんじ詰めてみますと、要するにやはり物価問題も消費者問題の一つである、物価行政は消費者行政の一環であるという意味で、あくまで消費者本位という根本の原則を忘れないでほしい、こういうことだろうと私は思うのですけれども、それはもちろん、われわれとしてもそうした観点から取り扱うべきであると思います。  実は、物価問題というのは別の見地からの議論もありまして、必ずしも消費者だけの話ではないという議論もないではないのです。しかし、今日われわれが取り扱っているのはあくまでも消費者本位の問題である。生産者のために物価問題を議論する。これも生産者自身としてやはり物価問題は重要な問題です。あるいは国の再生産の問題からいっても重要な問題ですけれども、われわれは消費者という立場に立ってこの問題を一貫して処理していく、そういう原則は疑いのないところである、こういうふうに申し上げる以外ないかと私は思います。
  44. 有島重武

    ○有島委員 ちょっと誤解があると思うのです。先ほど長官が言われましたように、物価問題はかなり大きなエリアである。その中の一つ消費者の問題がある。消費者問題もこれは別の一つのエリアを持っている。では、そこのどこがクロスしているのかということですね。そういうふうにものを見ていかなければならないんじゃないかと思うのです。いま長官のお答えになったのは、消費者のサイドからものを見ていって物価問題を見ていくべきだというようにおとりになったように思うのですけれども、それだけでこれは解決できない問題でございますよ。ですから、何度も言いますけれども、両面のオーバーラップしているエリアがどういう向きでどんなふうにといったことをしっかりときわめていっていただきたい。これは要望であります。  それじゃ、ここで終わります。
  45. 砂田重民

    ○砂田委員長代理 和田耕作君。
  46. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 数日前に物価安定政策会議で、野菜の問題につきまして重要な提案があったと思うのですけれども、あれはたしか長官は、たいへんりっぱな提案である、良心的に実施したいというお考えだったようですけれども、その気持ちにお変わりはありませんか。
  47. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 和田さんも御存じのように、これは市場の取引を中心にした提言になっております。生鮮食料品についてはもっといろいろの問題があると思いますけれども、時間の関係その他いろいろな事情もありまして、これは相当集中的にしぼってきております。この点は、ここでもたびたび議論が出ましたように、私も、この提言の方向は非常にいいものである、こう思っております。ただ率直に言いまして、これを提言された機会にやはり議論が出まして、結局、今日卸売り商人というのは単純なるコミッションマーチャントとして、そして機械的にせりを行なって、その結果でもって売り買いをするのだ。ところが、それはなぜそうなったかというと、過去において、卸売り商人が価格形成において主導的な役割りを果たしたというか果たし過ぎたというか、そのために例のスキャンダル等も起こった。あるいは思惑のことも考えられるわけです。そうしたことから結局卸売り商人というのは、もう機械的にせりに価格形成はまかせて、卸売り商人が自分で価格を幾らにするというようなそういう機能は果たすべきじゃないんじゃないか、こういう過去の議論もあったわけであります。そうしたことがやはりもう一回出ました。このいずれがいいかということをきめることは、率直に言って私もなかなかむずかしい問題だと思っているのです。しかし、少なくとも今日の段階においては、ヨーロッパの先進諸国でも行なっておることであり、できないことではないわけでありますから、この際、せり一方といういまの価格形成をやめて、それと併用して相対取引の道をもっと広げていく。もちろんそのためにはいろいろの突っかい棒が要るわけでありますけれども、やはりそうした道を開くというこの提言については、私は、やはり今日においては最も時宜に適している、実はこういう判断を持っております。  ただ、長い慣習が積み重なった市場のことですから、そうしてまた、市場の関係者も非常に複雑多岐にわたっておりますし、これを一体どういうふうに進めていくのか、そしていまのような基本的な議論に対してどう説得していくか、これは率直に言ってなかなかむずかしい。農林大臣ともこの問題は別に特に懇談をして、そうしてやっていきたいと思うのです。いま、御存じのように継続審議中の法律案がございます。あの法律案にはこの提言の一部が入っております。でありますから、あの法律が通る機会に、運用についても、この提言の趣旨に沿った運用が行なわれるにはどうしたらいいかというふうな角度から、さしあたってこの検討を進めていきたい、こういうふうに思っております。
  48. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 あの提案は、つまり、いままでの市場が自由にと申しますか、産地から無計画に集まってきたものをそのまませりにかけて、そうしてその日に全部処理をしていくという、全くいまの自由取引のシンボルみたいなものが市場の問題であった。少なくとも理論的にはそうつかまえてこの問題は運用してきた。これに対して今度は、そういうものでは需給の調整ができないじゃないか、つまり野菜の問題は、野菜の値段が底上げするというよりは、年間の異同が非常に激しいというとらえ方で、需給の調整を持たせるような卸売り市場にしようという考えが背景にあって、生産者とあるいは消費者の組織化という問題がついてあの問題が提起されているのであって、従来の自由経済と申しますか、あるいは自由な価格形成と申しますか、そういうものについてのかなり本質的な意味での変更を求めるという意味があると思うのですけれども、こういう問題は、その他の物価政策とも関係するのですけれども、長官、どのように評価なさっておられるかということが一点です。
  49. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 実はいま御指摘になった点は、私も重要だと思っているのですが、こういう議論も出ているのです。つまり、たとえば野菜を例にとりまして、ただせりでもってやっていく、こういうことですけれども、率直に言って、ことしの正月あるいは去年の暮れのような非常な天候異変がありまして物そのものができないというようなときに、市場の取引の改善だけでそれは片づく問題じゃないじゃないか、こういう基本的な議論があると私は思うのです。  そこで、まずそれには、やはり需要に応じただけの供給が果たせるような生産体制がなければいかぬ。そうしてまた、二年サイクルで値段が暴騰したり暴落したりするようなことのないように、やはり出荷というものにもっと計画性を持たせなければいかぬのじゃないか。そういう生産体制のほうが備わっていないで、ただ市場のせりだけに責任をかぶせるというのは行き過ぎだ、こういう議論があります。私は、これは正しい議論だと実は思っているのです。  そういう意味においては、実は市場の取引だけでは片づかない場合がしばしばあります。しかし、同時にまた、そういう非常に不作であるような場合に、しばしば議論がありますように——現在の方式というものは、豊作のときには極端に暴落する形が出るし、不作のときには極端に暴騰する形が出る。そういう意味において、生産の体制も大事であるけれども、やはり市場取引を改める必要がある、そういう限界を置きながらこれを評価しなければならない。その場合において、やはりそういう意味においては計画的な出荷だとかそうしたものが前提にありますから、自由自由といいましても一定の限界があるということは、私たちも考えておるのです。  そうしてまた、いわゆるせりというのは純粋に機械的なものでありますが、それに対して相対取引ということになりますと、どうしても見込みや意思というものが入ってくるわけでありまして、これらが公正妥当に行なわれるということについても、これまた相当問題があるわけですから、よほど注意深くやっていかなければならない。ただ、諸外国では相当それを慣例的にやっているようですし、日本においても両方の方法というものがいいんじゃないだろうかという感じがいたします。
  50. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 きょうの御質問の焦点は実はその点にあるのですけれども、他の問題からもう一つ質問してみたいと思います。  この二カ月ほど前に、長官公正取引委員会の谷村さんも、管理価格の問題につきまして特に発言されまして、何らかの監視するシステムというものを考案する必要があるというお考えを発表されたと思うのですけれども、それから約二カ月以上たつわけですけれども、何か腹案ができましたか。
  51. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 あるいは、いろいろとそういうふうに誤解をなさるようなことが伝わっておるかもしれませんが、私がはっきりここで申し上げておりますのは、まず実態を把握する、先ほどもお答えしたのですが、これが大事だ。そっちのほうがほとんど十分に行なわれてないように思います。これは来年の予算等も控えまして、やはり機構の充実もはかり、そうして、そうした実態の調査を進めていく体制をつくるということが基本だろう、こういうように考えております。     〔砂田委員長代理退席、登坂委員長代理着席〕
  52. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまの管理価格の体制というものが、公取の調査によりましても、日本はもう先進国並みあるいはそれ以上に進んでおるという一般的な理解があると思うのです。そういう資料も出ておると思うのですけれども、管理価格の問題を現在の公取の独占禁止法の改正というワク内で果たせるとお思いになるか、あるいはそれとは違ったシステムが必要だとお思いになるのか、見当でけっこうですから、どういうように……。
  53. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 実はその前提の、日本においては管理価格が一般的であるという点については、私は疑問を持っておるのです。非常に高い経済成長というよその国にない体制であるものですから、率直に言って日本経済は、よその国のような事態ではないと私は思っています。  大体が管理価格の問題というものは、不景気になったときあるいは供給が制限されるとき、というようなときに私はやはり一番大きな問題になるだろうというふうに実は考えております。そういう意味からいいますと、日本の場合は、少数の大企業がいわゆる寡占と称せられる状態になっておりますけれども、たとえば鉄鋼一つとりましても、なかなか値が上がりません。供給過剰の状態を呈しておる部面も相当あるわけです。基礎的な産業で、企業の体制そのものが寡占的な要素を持っていながら、その価格形成になると、いわゆる諸外国式な意味での管理価格というような様相を呈さないものがずいぶんあります。重要産業においてもそうだと思うのです。そういうことでありますから、ただ体制が独占的であるというだけではいけない。あと企業の利潤がどうであるか、あるいは現実価格形成状態がどうであるか、いろいろな角度からこれを見ないと、実を言うとある商品が管理価格であるかどうかということが非常に立証しにくいというのが、実は日本の今日だと思うのです。  それだけに、先ほどから申します事態認識把握ということがよほど重要になってまいる。そういうことで、私たちとしましては、まずそこに力を注いでまいらなければいけない。よく管理価格が一般化しているという議論がありますけれども、どうも私はそう思っていないわけであります。
  54. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 長官が御判断になる現在の状態から見て、つまり、あの一ころ言われた、ある種の監視の体制が必要だというお気持ち、その監視の体制が必要だと言われる場合には、公取という、自由競争というものを前提にしたフレームワークの上に立った法律という性格のものか、あるいはそれを一歩越したものかという、このどちらが必要だというふうにお思いになるかということをお伺いしておるのであります。
  55. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私はやはり、公取というものは今後充実させていく必要があろう、こういうふうに考えております。ただ、その充実をする際の方向ですが、価格形成に直接関与するということについては、私は疑問を持っているのです。でありますから、十分に実態を明らかにしてこれを公表するということは必要だと思っているのです。政府の行政介入といいますか、そこいらのところが、さっき接点とかおっしゃいましたが、非常にむずかしい微妙なところなんですが、いまのところ私は、まず事態を明らかにしたい、そういうふうに考えています。そういう形でもって公取を充実していくというふうに考えております。
  56. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 時間もありませんので、もう一つ、いまの再販制度の問題です。  このごろ非常にまた議論になってきておるし、業界もだいぶ騒いでおるようですけれども、この問題は、結局再販の維持をあれする大手の業界の値段のとり方、つまりコストのとり方、扱い方という問題が基本的な問題になってきていると思うのですけれども、これをそのままにして再販制度をいろいろいじくってみても、これは問題の解決にならないという感じがするんですが、そういうような問題を長官、どういうようにお考えでありますか。
  57. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 いろいろな事情があって、再販維持契約というものが法律上も認められておる。これは、私はやはり非常な特権だと思うのです。でありますから、その特権の上にあぐらをかいて合理化を怠るとか、あるいはまた、価格上昇をむやみに意図して意に介さないというような、特権にあぐらをかくというような事態があってはならない。また、そういうものの温床であってはならない、そういうふうに考えています。  でありますから、一方において再販契約というものが認められているその意義というものは、十分にこれを尊重していいと思うのですけれども、やはりその運用について十分に目を光らせて、そうして、どうしても運用でもってそういうものの改善がつかないということになれば、再販自体について再検討しなければならぬ、こういう問題にも追い込まれるわけでありますから、そこいらのところは、私は業界にも十分自粛してもらわなければなりませんし、政府としてその事情ももう少し十分詰めまして検討したい、取り上げたい、こう思っています。
  58. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私も同じような考えを持つのですけれども、再販制度というものをいまのままでこれを廃止しても、現にあるやみ再販という問題はもっと広い広がりがある。これに対してはほとんど手がつかないのに、再販制度の問題をいじったところで問題は解決しない。したがって、先ほど申し上げたコストの問題を、これは一種の管理価格の体制になっていないところもなっているところもありますけれども、そういう問題について適当な国の行政のチェックが必要になってくる。そういうところに問題を置いて考えないと、この問題はいじくっても解決にならない。そういう面からも、長官も言われた、何らかの監視の一つのシステムを考える必要があるということが出てくるわけだと思うのですね。そういう問題について公取という場は、いままでの十数年のいろいろなデータから見て、非常に必要な場面があるのです。あくまでも自由な競争を確保するための条件をつくるという意味で相当の役割りを演じているし、今後も演じていくと思うのですけれども、それではなかなか捕捉できない問題が現実に、いま幾つかあげたのですけれども、起こっている。こういうことですから、公取のワクを越えた、たとえば管理価格の監視に関する法律とかそういうようなものを、つまり立場の違った兄弟的な法律としてこの問題に対処していく必要があるのじゃないかという考えを持つのですが、長官どうでしょうか。     〔登坂委員長代理退席、委員長着席〕
  59. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 私は、和田さんの御意見には賛成です。まことに同感だと思います。実はやみの問題が重要なんであります。それをあまりほっておくとふえる傾向がある。そしてこれは、大企業だけでなく中小企業にも、全体を通じてある問題であります。そういう意味において、そうした実態を十分に把握しなければならぬ。その必要性は、私も大いに認めています。したがって、そうした把握のために公取委員会を充実していくということはぜひ実行せなければならぬ、こういうふうに考えております。
  60. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 全く一つの寡占的な会社の産業のコストということを一言いいましても、これを調べる場合はなかなか困難な問題がある。そういう場合に一番効果のある方法は、たとえば寡占体制だと思われる産業の中にいわゆる競争的な公企業という性質を持った企業、そういうようなものを考えてみる。たとえば国鉄なら国鉄という現在独占的な一つ経営のもとにあるものに対しても競争条件を入れると同時に、公企業としての性格を持たせるという意味でも、競争的な公企業という概念も必要になってくる。こういうようなことが出てきますと、競争的な公企業において一つのコスト計算が行なわれる。これが一つの基準になって公正な一つのコストという問題が出てくることもあるわけなんです。こういう問題も検討してみる必要があるのじゃないかというふうに私は思うのですけれども、長官どうですか。
  61. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは日本経済体制全体に関する根本問題でありますから、軽々な議論はなかなかむずかしいと思うのです。いま御指摘のイタリアやフランスで行なわれているいわゆる混合経済体制、こういうことであろうと思いますが、これは率直に言いますと、自由主義体制の中における国家企業の成功率というものは、われわれの過去の経験に照らしても必ずしも高くないのです。早い話が、この間の私鉄料金の例を一つとりましても、国鉄はあんなにどんどん料金を上げたのに、なぜわれわれが料金を上げてはいけないのだといってなかなか反駁を食いましたが、とにかく日本における公営企業というものの成功度は、それほど高いように私は思っておりません。そういう意味で、ある業界に公営企業をつくって、そしてそれと私企業との競争をはかるということをいま計画的にやるという意義については、私はいささか疑問を持っております。それにまた、ヨーロッパの場合なんかの例も、ある意味においては、たとえばフランスの例をとれば、終戦のときの国有財産の処理のしかたとして国有企業が生まれてきたというような、歴史的な伝統的な地盤の違いもあるように私は思います。  あれやこれやを考えてみますと、いま直ちに混合経済体制というものを積極的に促進するのがいいのかどうか、私自身はちょっとまだ、そこまでは踏み切れないでおります。
  62. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 おっしゃるように、日本の実績で、公共的な一つ企業経営というものはなっていない。つまり国民の信頼を受けていないということがあることは事実です。これがそういうようないろいろなアイデアをチェックしていることも事実です。そういう事実ですけれども、いまむしろ問題は、公企業のなっておる部面をそのような形にしていく、自由企業をそういうものにしていく面と、現在の公企業をそのようにしていくという二つの面があると思うのですけれども、そのあとの面、現在の公企業を競争的な公企業という性格に変えていくというのはどうかということです。
  63. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 それは実は、たとえば公社法にも本来貫かれておる精神で、さればこそ特別会計を公社にしたというようなところがあるわけです。ところが、多くの場合に、独立採算的に実力を発揮し得るケースが少ないものですから、どうしても財政との関連度が強くなってくる、その制約を受けがちであるというようなことから、必ずしもいわゆる公企業の自由企業的な運営ということがフルに実現できないうらみがあることは、私も認めざるを得ません。そしてまた不当に、公企業であるからといって、その経営についてしゃくし定木に政府があまり関与し過ぎるということは、かえって問題も多いでしょう。ただ、いまのメカニズムが、たとえば一般金融だけを使ってやるとかそういうような基礎でなくて、公金を使ってやるとかいろいろの、メカニズム自身に相当制約を受けるものがあるものですから、ほんとうにやるには、いまの組織自身ももう一回再検討しなければならないかもしれません。いずれにしても、やはりそうした能率的な要素をもっと取り入れていく、これが非常にいい方法だ、私はこう思っております。
  64. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つ最後に。  新しく改正された経済社会発展計画の中に従来と変わった、運営の態度としての違った面があるように私は思うのですけれども、その一つとしてつまり所得政策の問題を、従来長官自身が言ってきたよりももっと強い形で所得政策というものを評価して、そしてこれをできるだけその条件をつくっていこうというような気持ち、意気込みが見られるのですけれども、そういうふうに理解していいですか。
  65. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは、見られるかどうかは外部からのお見込みだと思うのですが、私は、全くことばの表面で受け取っていただくとおりの程度に考えは進めております。といいますのは、また一面いまの経済情勢が、先ほど申し上げましたように、今後の賃金情勢もどういうふうになるか、なかなか見通しのむずかしい時期にもきております。あまり機械的には私は考えておりません。
  66. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私がいままでいろいろ質問してきましたのは、政府はいろいろ物価の問題に対してやっておられる。しかし、なかなか実効はあがらない。きょうは触れなかったのですが、肝心の土地の問題につきましても、いろいろ政策会議も提案をなさり、政策会議の提案の中にも相当——はっきりした考えが貫かれておるとは考えておりません。いろいろと矛盾があり混乱があると思います。そういう問題の一番大きな根本は、自由な価格形成という一つ原則がある。しかし現実の必要は、もっともっと計画的な、もっともっと公的な権力の介入が必要だという要素が現実に迫ってきておる。この二つの問題について、いつまでたってもあいまいな態度を持っておられる。そういう態度である限りは、現在の段階における日本物価問題は効果的に指導できないのじゃないかということを感ずるがゆえに、幾つかの御質問を申し上げたわけですけれども、今後大臣の入れかえもあると聞いておりますが、率直に言って長官、この二つの問題をどのように考え日本物価政策を指導すべきであるかということについての御所信を承りたい。
  67. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 これは非常にむずかしい問題でありますが、私自身、実は和田さんが感じておられると同じもどかしさを感じております。でありますけれども、それならば法律によってすべて事を処していくということが適当かということになりますと、それはまた今日の社会情勢においては合わないのじゃないか、私はこう思うのです。ただ統制がいいとか悪いとかいう問題以上に、法律によってすべてを処するというやり方が、今日の世の中においてはかえって混乱を起こすのじゃないか、そうして世論の納得も得られないのじゃないか、こういう感じを実は持っておる。ですから、結局何とももどかしい。そして民主主義的な手続というようなものもいろいろあるわけです。しかし、そういうものを迂回しながら、したがって、私は物価の問題も非常にレインジを長く考えていく。一方において政府もできるだけ努力をするけれども、また政府のそういう努力を打ち破るような新しい要素が、事態あとからあとから起こってくる。そうしたものを迎え撃ちながら、結局相当時間をかけてインフレ問題と取り組んでいくというのが、今日の実は物価問題の実際の姿なんじゃないかというふうにも私は考えております。  まあ賃金問題なんかも、率直に言って、いま所得政策にすぐに踏み切るかどうかということで議論もあります。よく指摘されているように、今日の世の中において、たとえば国民全体の平均生産性を、イギリスがやったようにかりに四%なら四%といたしました場合に、結局その四%というものが実は最低限にされてしまうというのが今日の世の中であります。そういうようなことも頭に置きながら、あまりはっきりした効果がすぐ出ないので、まことに私も残念なんですけれども、どうもまだそこまで、いま御指摘のあったようなはっきりした割り切り方というものは、率直に言って無理なんではなかろうかというふうに私は考えております。  たとえば金融にもございますね。たとえば資金調整をどうするとか、同じような問題が現在の経済体制の中にたくさんあると思います。もう自由主義的な手法だけではいかぬ、その限界がいろいろと見えてきておる。こういうものは個々の現象にあることは確かであります。そして、そういったものをそのときどきの手直しだけでもって片づけるということはびほう策ではないか、こういうことになるのだろうと思うのです。  また私は、一面において、広く世界を見渡しまして、自由主義的な手法というものが最も通用し得るのがこの日本の今日の経済社会ではないか。そういう意味では、ほかの社会ほどに硬直化してはいない。やりようによっては、十分弾力的にまだまだ成長していく体制である。一つには、日本の完全雇用が、まだ完全雇用にまでいっておりません。そういう点もあると思います。ほかの先進諸国のように、ほんとうにことばの真の意味において完全雇用になったときにこれをどう処理していくかということになると、もっとむずかしいかもしれません。私はそのような考えを持っております。
  68. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 先ほど四・八%の問題が出ておったのですけれども、いまの状態からいいますと、最近の私鉄運賃なんかその例なんですが、私どもから見ると苦しい芝居をしているなというような感じがするようなことも、もう限界にくると思うのです。今後どんどんメジロ押しに、そういう意欲を持った値上げの要求があるわけですから、それらの問題を考えましても、ここらあたりでいまの——そうせぬと、企画庁長官が行政をおやりになるにもとてもやりにくいのじゃないかと私は思うのです。そしてまた、最高五%のラインを堅持するというこの体制から非常にあいまいな状態になっておるということなんかも、もっと真剣に検討してみる必要がある。安定政策会議からもずいぶんそういう提案も出ておるのですけれども、これは全般としても、日本経済の問題として最高上がっても五%、それ以下にというそこのところの関門がはずされますと、いろいろむずかしい問題が出てきてしまうという感じがしますので、何とかこれは——所得政策の問題にしましても他の問題にしましても、むずかしい問題であると思うのですけれども、累々たる失敗を重ねながらも、どの国も苦労して目標を立ててやっている。そういうようなところをぜひとも政府としても、もっと真剣に取り組むような体制をとっていただきたい。こういうふうに要望いたしまして、御質問を終わりたいと思います。
  69. 松平忠久

  70. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私鉄運賃の問題なんですけれども、長官、時間の制限があるようなので、先ほどの松浦さんの御質問の中で長官のお答えがありましたことに関連して、一点だけ伺います。  松浦さんへのお答えで、今度の私鉄運賃決定するにあたって、私鉄の全事業を勘案して、その収支を勘案してということにはならなかったけれども、少なくとも不動産部門のある部門の収支を考えたというふうに言われたわけです。そこで私は伺うのですけれども、どういう程度にそれを考えられ、どういう方式で、どことどことをどういう理由で勘案するというようなことはあったと思うのですが、そこらのことを具体的にお知らせ願いたい。
  71. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 不動産の部門で収益をあげておるというふうな一般の常識もありますから、そこでわれわれとしては、不動産の収益というものをできるだけ計算に入れるように——これは実際上も私は行なわれておると思います。というのは、私鉄部門でもって赤字になれば、いやおうなしに、ほかの部門から苦労してでも金を引っぱってこなければならぬ、これは企業経営者としてあたりまえですから。事実の問題としても私は行なわれているんじゃないかと思います。そういうことをやはり計算に十分入れなければならない。ですから、先ほど申し上げました、たとえば西武でもって軽井沢に宅地開発をやっている、これは西武鉄道ということとは私は関係はないんじゃないかと思います。これは不動産部門ということであります。しかし鉄道の沿線部分は、これは入れなければいかぬというような、そうした区切り方をしてみたわけであります。もちろん、鉄道の経営の姿はまちまちでありまして、不動産部門をほとんど持っていない会社もあるわけであります。鉄道企業だけがほとんど中心の会社もございます。そういうことも頭に置き、一面において、鉄道というものを持っているから利益が入ったであろうという不動産の収入は計算に入れなければならぬ、こういう考え方であります。
  72. 谷口善太郎

    ○谷口委員 つまり、全事業の上で見るということがやはり大切であるけれども、この場合は、鉄道沿線でやっている不動産部門事業での収支を勘案した、こういうことですか。
  73. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 結局、全体の収支で赤字になったものは不動産部門から入れる以外にないのですから、不動産部門からひとつ出すようにということでもって、いま言ったような分を全部埋めまして、そうしてきめているわけです。
  74. 谷口善太郎

    ○谷口委員 その不動産部門と鉄道部門との経営上の関係につきましては、私この前の委員会で、長官のいらっしゃらないところで一応お話ししたことはありますが、これは、長官立場は、現在でも全事業でやっているという立場ですか。
  75. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 現在でもと言いますと……。ちょっと御趣旨がわからなかったのですが……。
  76. 谷口善太郎

    ○谷口委員 つまり現在でも、料金値上げの問題を考える場合には、私鉄会社の全事業の上に立って考えているというお考えなんですか、いまやっておられることは。
  77. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 全事業と言いますと語弊がありまして、率直に言うと、百貨店なんか必ずしもうまくいっていないところもあるのです。それで、やはり金額として大きくねらうのは不動産事業でしょう。そういう意味において、不動産事業における収益を相当持ってきて、鉄道企業の赤字でつじつまが合わない部分を埋めろ、こういうことでもって処理したわけです。
  78. 谷口善太郎

    ○谷口委員 その持ってくるというのは、どれくらいになりますか。
  79. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 結局、赤字が七十五億出たのです。それを全部不動産部門から持ってくる、こういうことです。
  80. 谷口善太郎

    ○谷口委員 何の赤字ですか、鉄道部門の赤字ですか。
  81. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 鉄道部門の収支の差が七十五億出ております。それを黒にする……
  82. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そこのところに問題があるということをこの前私問題にしましたし、それがまた、一一般私鉄経営の中で、鉄道部門の赤字があるといっているけれども、実際は赤字がないのだということが大きな問題になっているわけなんです。  それはいいのですが、時間がないから、私はここで、鉄道部門も土地部門も全く一体のものであるということ、これをお話ししたいと思うのです。  これは京成電鉄の八千代台分譲地の案内書ですが、私は一口買おうと思って案内書を要求したら、送ってきたのです。これにこう書いてあるのです。これを買ってくれて、一年以内に家屋建築に着手の場合は、一カ年分の京成電車全線の優待パスを進呈するとあります。こういうことで、つまり鉄道部門も土地部門も経理を分けて、こっちはもうかる、こっちは赤字だ、だからもうかったところから持ってくるということでなくて、全く一体の事業だということが、こういう非常に端的な一事を見ても明らかだと思うのです。  これは私ども、ちょっと計算してみたのです。ゆうべ聞きましたら、一年のパスというものはないのですね。しかし、全線パスというものは幾らだと電話で聞いたら、そんなものありませんというのです。そこで、今度の通勤パスの値段で計算してみますと、大体一カ月三千円くらいになります。もっと安くなるかもしれないけれども、ざっと三千円。そうしますと一年三万六千円。八千代台分譲地だけで五十六戸分あります。それを計算しますと二百万円です。ところで、京成電鉄が四十四年度の末で幾ら分譲地を持っているかといいますと、八百三十七万四千四百九十平方メートル持っております。この八千代台分譲地のところでは二十七万六千平方メートルです。そうしますと、全体をもしこういうやり方でやりますと、無料パスが七、八億になるのです。  これは長官御存じだと思うが、この無料パスを出しておるのは、土地部門から鉄道部門に払っておりますか、どうですか。
  83. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  初めてお聞きしましたので、それにつきましては答弁の用意がございません。
  84. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは長官が相手なので、こういう話は向かないと思うのですが、長官、事実はこういうことなんです。私は、払っておる、払っていないということじゃないと思うのです。一つの会社のそれぞれの事業ですから、そういう持ちつ持たれつの関係をつくっておる。私鉄の全事業がそういう形だということですね。だから、不動産部門がもうかっておる、私鉄部門が赤字だ、もうかっておるところからこれを補てんするというような考え方でなくて、全事業でやることが正しいということを国民が言っておる、その見地に立たなければならぬということの一つの証拠だと思うのです。私は払っているか払っていないかわからないが、払っていても払っていなくてもたいへんなことだと思う。おそらく経理上はそういうことをやっているかもしれません。やっていないかもしれません。どっちでもよろしいが、関係はそういう関係なんですね。  長官、おっしゃったとおりに、何も全私鉄がこういう不動産部門を持っているとは限りませんから、傍系会社になっているところもありますから、やっていないところもあるかもしれません。全部とは言えませんけれども、こういう関係でやっているのですね。ですから、政府のように、こっちが黒字、あっちが赤字だ、だから黒字から補てんというような考えでなくて、私どもに言わせれば、これは操作して、私鉄の鉄道部門の赤字ということはつくられた赤字だ。これは証拠をもって、政府の資料で証明できるのですよ。私はこの前その点をやったのですが、時間がなくて、追及が十分できなかったのです。そういう考えでなくて、全私鉄経営の中で値上げの問題は考えるべきだ。つまり値上げの問題というよりも、輸送力増強やあるいは保安施設の問題について考えなければいかぬというのがわれわれの主張です。これは私どもの主張ですが、長官どうですか。そうあるべきだと思うのです。
  85. 佐藤一郎

    佐藤(一)国務大臣 そこが、私が実は前に御答弁したところだと思うのです。つまり、いわゆる純粋に形式的な論理からいえば、鉄道料金というものは鉄道軌道の部面だけでもって論ずるべきである。たとえば、さっき例をあげましたが、ほかの部門というものが赤字の場合に、その赤字までかぶるという必要はないのです。でありますけれども、ただし、そこには、さっきも注釈を申し上げたのは、形式的な論理としてはそうであるけれども、それじゃ現実問題として明白に、鉄道の部門とその他の部門というものをすっかり論理的に、その性質に従って画然と経理を行なっているかどうかということになると、現実問題としてそれは疑わしい。であるから、そこのところに混淆もあるかもしれません。いま御指摘になったのも、私はその混淆の一例だと思います。そういうこともあるから、やはり現実の処理としては不動産部門から利益をつぎ込ませる、これは当然だ、こういうことなんです。  それで、いまの金額も、これは現実にどの程度パスを発行しているか、調べてみる必要があると思いますけれども、おそらく持ち地の分譲全部を一カ年でやるのではないと私は思います。そういうことでありますから、実際の金額になると、私企業としても、そんなにべらぼうな減収になるような措置は私はしてないと思います。ですから、確かに御指摘のように、そういう混淆があるであろう、これは私は言えると思います。ただ、そのウエートははたしてどれほど高いものか、これは私はよく吟味してみなければわからぬと思います。いずれにしても、そういうことで、われわれとしても鉄道部門以外からも金額を引っぱってくる、これは現実の処理としては当然である、こういうふうに申し上げたわけであります。
  86. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これでやめますけれども、あげ足をとるようだけれども、現実の問題として、赤字のところへ黒字のところから持ってくるというようなことが行なわれているとおっしゃるのだけれども、そういう考え方自体が——一つ経営体ですから、八百屋さんをやっておって、リンゴを売った分とコカ・コーラを売った分とで収支するというようなことは言う必要はないのです。そうでしょう。私鉄は、特に京成は、これは朝日でも書きましたが、ひどいことをいっているのだ。こういつていますよ。「赤字の鉄道部門に金をかける義務はありません。まして、不動産業の利益を鉄道部門の赤字の穴うめにあてる義務などありません。」——私鉄のほうはきっぱり分けて、政府はそのことを受けてやっている。あなたは、そう簡単に分けているというふうに言えぬのじゃないかと言いますけれども、あなた方の考え方はそうなっているのです。赤字のところへ黒字のところから持ってくるという考え方を持っている。全体としてはもうかっているにきまっている。これは世間周知です。だからその中でやるべきだと思うのです。  それから、民鉄部長さんですか、あなたはこんなことを知らぬのはけしからぬです。それでもって一つ私鉄の経理がどうだとかこうだとか、値上げ問題をすぱすぱっと許すというのはあり得ないですよ。これはあとでゆっくりやります。
  87. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先ほどの赤字鉄道部門に金をかける義務はない、こういうことが新聞に載っておったわけでございますが、ちょうど一日、運輸省で大臣以下名古屋に行っておられるところで私が処理したわけでございますが、これは個人の名前で京成のPR誌に載ったということで——これは十月号でございますが、運賃改定の前から発行して配っておったということでございますけれども、しかも個人の名前で出しておるというものの、会社として責任がないわけではないわけでございます。私のほうで社長を呼びまして、これは重役が来たわけでございますが、十分に注意を促しておいたところでございまして、即日駅で配るのを回収さしております。  なお会社としては、義務がない、赤字の鉄道につぎ込む必要はないということは言っておりません。運賃改定の際に、こういうことが問題になる前から、運輸省の通達に従って工事を実施するということを言明して、積極的な姿勢を示しております。
  88. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そのことはあとにゆっくりやりましょう。あなたは会社の立場に立ってそういうことを言っている。私は、そういうあなたの言い分を全部ひっくり返します。それはあとにやりましょう。これで終わります。長官、どうもありがとう。
  89. 松平忠久

  90. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、まず通産省の重工業局のほうに、カラーテレビの問題で質問いたしたいと思います。  この前の本委員会で、山形次長、あなたは、今度発表になりましたモデル価格についてこういう答弁をなさっておるわけです。今度のモデル価格については、「現金正価自体がいろいろ問題がございますので、いま業界で寄り寄り検討しておりますもとになりますのは、大体輸出されておるものとほぼ同等のカラーテレビにつきましての現実の小売り価格であろうかと思います。」こういう答弁をなさっておるんですが、先般発表になったモデル価格そのものが、先般本委員会答弁なさったとおりの価格である、こういうように理解しておられますか。
  91. 山形栄治

    ○山形説明員 お答えいたします。  先般業界のほうで発表いたしましたカラーテレビのモデルにつきましては、現在テレビの発売されております機種が百二十六あるわけですが、そのうちアメリカに輸出されておりますものとほぼ同等程度と思われます六機種につきまして、それの正価及び流通経費、物品税等々を明確にしたものでございまして、テレビ全般の価格モデルではないと私たちのほうも考えております。
  92. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この価格モデルが、いま言われたように、輸出品と同等の国内市場で売られておるものの標準価格である、こうであるとするなら、実際にこのモデル価格を発表した機種は、一体国内で幾ら生産されておるのですか。
  93. 山形栄治

    ○山形説明員 具体的にその六機種が国内でどのくらい売られているのかということについては、現在手元に数字がございませんけれども、補足的に若干御説明いたしますと、業界側といたしましては、輸出対応のもの六機種ということで一応価格の構成のモデルを出したわけでございますが、その場合に付加して、われわれのほうに対する説明といたしましては、大体テレビ全体を通じてほぼこれと同等程度の価格形成といいますか、価格の構成と考えていただいてけっこうである。たとえば発表になりました価格モデルにおきましては、小売店経費二二%それから卸店の経費が八%、その他販売促進費関係、これは小売りにいくと思いますが、八%、この辺の流通経費等の比率につきましては、ほぼテレビ全般と考えていただいてけっこうである、こういう説明があったわけであります。
  94. 松浦利尚

    松浦(利)委員 この前、局次長は、現金正価とは何ぞやという議論をいたしまして、それで、割り引いて売られておる現実の小売り価格というものを中心にしてモデル価格というものを計算する、こう言っておられたのですが、今度モデル価格の標準になった機種、これはサンケイの新聞発表の内容ですけれども、この六機種は全部現金正価ですね。要するに正札でついておるメーカー側の現金正価を基準にして、この標準モデル価格というものが出されておるのです。現実の小売り価格じゃないのですよ。この点、この間のあなたの答弁とだいぶモデル価格が違うじゃないですか。これはどうなんですか。
  95. 山形栄治

    ○山形説明員 御指摘のとおりでございますが、実はこの価格モデル問題につきましては、業界初めてのことでございます。極端に言いますと、これはカラーテレビ業界に限らず、産業界におきましても初めてのことでございまして、もちろん、われわれといたしましては、ただいま先生の御指摘のとおりの考え方で接触はしておったわけでございますが、何ぶんにも非常に重大な問題でもありますので、今般、現金正価をベースに一応価格の構成を発表することに相なったわけです。もちろん、われわれとしてはこれに満足しておるわけではございませんですが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、非常に重要な踏み切りがなされたという点におきましては、私たちといたしましても非常に高く評価せざるを得ない。問題は、これを一つの足がかりといたしまして、今後広い意味での業界の流通分析、新しい流通形態の形成等に進んでいくべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  96. 松浦利尚

    松浦(利)委員 このモデル価格が逆に国内の消費者国民に対して非常に不信感を与えたということについて、あなたはどういうふうに思われますか。なるほど、ダンピング問題にからめて国内の価格というものを発表して、アメリカ向けにはこれで通るかもしれないけれども、現実国民に対してこういう価格を発表したことによって、国民が納得されると思っておりますか。どう思いますか。
  97. 山形栄治

    ○山形説明員 われわれもこういう行為を側面から、ことばは悪いかもしれませんが、指導した一員といたしまして、その辺は非常に問題があったのではないかと思っております。何ぶんにも、現在世間で非常に問題になっております二重価格問題といいますのは、現金正価と実売価格との格差という問題と、むしろもっと問題なのは実売価格が高低非常にまちまちである、こういう二つの問題を持っております。むしろ後者のほうの、実売価格間に非常に高い低いがある、非常にアンバランスがある、この辺の問題の究明といいますか解決が今後の問題だと思いまして、いま先生御指摘のように、単純に一つの現金正価をもとにした価格モデルをつくり上げましても、それ自体、そういう国民各位の御疑問といいますか不信感の解決にならないものである、こういうかっこうではならないものであるということは、われわれは非常に強く感じておりました。今後この形でなく、より実態に即したかっこうでの解決といいますか接近といいますか、これを必要とするのではないかと考えております。
  98. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう発表されたあとですから、ここでいろいろこのことを追及してみても始まりませんけれども、やはり消費者に対して少なくとももっと良心的に、もっとあたたかい形のモデル価格というものが発表されてしかるべきだと思うのです。しかも、ここに発表された価格そのものは、外国に輸出されておる型というものは、国内市場にはそんなに販売されておらないのですよ。もうほとんど市場がないといってもいいくらいですね。ここに私は資料を持ってきておりますが、言う時間がありませんから申し上げませんけれども、そういう点は局次長がいま言われたように、これからの問題としてもっとぴちっとした態度で実施していただきたいというふうに思います。  次の問題は、いまのカラーテレビの国内の市場、流通機構というのが二つの流れに分かれておりますね。御承知のように、ある電機メーカーを中心とした系列市場というものが一つ。もう一つは自由市場というのがありますね。この自由市場に入る小売り店はどれくらいの比率になりますか。
  99. 山形栄治

    ○山形説明員 厳密にはわかりかねる点もありますけれども、われわれのほうでの感じといいますか、把握しております比率で申し上げますと、系列店のほうが六割ないし六割五分というふうに聞いておりますが、傾向的にこの比率は近年漸減といいますか、だんだんと減っておるというふうに聞いておる次第であります。
  100. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は東京都の小売り店、系列に入っておる方も自由市場の方も、全部調べて回りましたが、そういう方たちがこぞって言うことは、系列が四割、自由市場が六割、こういう状況にだんだん変化をしてきております、こういうふうに言っておるのですね。  ところが、それでは現在自由市場に出回っておるカラーテレビの価格というのは一体どれくらいなのかというのを調べてみたのです。これは八月十五日と九月二十日の仲値ですけれども、たとえば今度の外国向けの標準モデルに出された東芝の十四万九千円のテレビを一つ例にとりますと、八月十五日で仲値が八万二千円、九月二十日で八万円、自由市場の売り値が九万五千円です。メーカーの系列に入っておる小売り店から買うと、十四万九千円で消費者は買わされる。ところが、自由市場の小売り店で買うと、九万五千円で同じテレビが買えるのですね。だから、ある消費者は高い店で高いものを買わされ、りこうな消費者は自由市場の小売り店で、安い価格で同じテレビが手に入る。現実にこういうものがあるのですね。しかも、その自由市場で売られるカラーテレビが六割になってきておるのです。メーカーが百生産したもののうちの六割は、自由市場で現金決済で流される、残りの四割が系列店に信用取引で流されておる、こういう状況になっておるということを把握したのですが、こういうあり方についてどう思われますか。
  101. 山形栄治

    ○山形説明員 まず、先生のいまお話しのように、テレビの流通機構には二本ございまして、一つがメーカーの系列小売り店ということに相なるわけでございます。もう一つのほうがいわゆる量販店ということで、大量に現金で仕入れて売るという販売形態をとっている機構でございます。  この系列店というものが、なぜ全国に五万とか六万とか称せられておるような数であるかということでございますが、これは町のいわゆる電器商、資本的に非常に弱体な中小企業が家電革命といいますか、非常に高価な電気製品を売らざるを得ないということで、しかもそれが、現在の消費者の形態といたしまして大体割賦販売をせざるを得ない。こういうような世界の中で、しかも非常にこまかいアフターサービスを要求されるという客観情勢がございまして、メーカーといたしましては、こういう系列販売店をみずからの資本力、技術力等のカバーによって市場整備をはからざるを得なかったという歴史的な経緯があるわけでございます。  この点は、現在におきましてもやはり存在する一つの理由ではないかと私は考えておるわけでございまして、特にいま申し上げました点になりますと、系列小売り店が割賦販売資金を全部メーカーに依存しておる。しかもメーカーのモデルチェンジは非常に早い、中古品は絶えず発生する、こういう非常に競争の激しい生産段階において、一方スーパーマーケットなりそういう資本力のある量販店が中古品等を——全部中古品というわけじゃございませんけれども、中古品等を一括現金で買うことによって安値のテレビを売り出すことのできる可能性が非常に強いということは、これまた事実だと思いまして——われわれはこれが望ましい形とは思っておりませんけれども、現在のテレビの流通段階というのは、そういう点で非常にいろいろな要素が入りまじっておりますので、これからその辺をどういうかっこうで正常化していくかということで、われわれとしても、先生おっしゃいますように、消費者がそういう非常に不測な不利をこうむることのないようにつとめていきたい、こう考える次第でございます。
  102. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ちょっとことばに気をつけてもらいたいと思うのですよ。量販店にいっておるカラーテレビは中古じゃないんですよ。モデルチェンジした、古くなったから、それを自由市場に安く流しておるというやつじゃないのですよ。いまモデルチェンジして新しいやつを六割、自由市場に、現金決済でメーカーは流しておるのですよ。中古品じゃないのですよ。新品ですよ。その点をはっきりしてください。
  103. 山形栄治

    ○山形説明員 ちょっとことばが足りなかったわけでございますけれども、中古品だけではもちろんございません。新品も非常に多いわけでございますが、中古品——中古品というと語弊がございますけれども、年式が若干古くなったようなものも、相当量販店には流れておることも事実でございます。
  104. 松浦利尚

    松浦(利)委員 カラーテレビの問題については、もっと積極的に市場調査なり何なりなさったらどうですか。私が行った量販店では、現実にモデルチェンジしたやつをあるメーカーが現金決済で、いま急に金が要るから、済まぬけれども三千台買ってくれといってきておる。だから、中古品というのはごく一部であって、全体的にいまやもう、モデルチェンジされた新しいカラーテレビの市場として自由市場が存在しておるのです、量販店が。その点をちょっと次長さんは誤解をしておられるのじゃないかと思うのですが、もっと調査なさったらどうですか。そう思いますね。
  105. 山形栄治

    ○山形説明員 ことばが足りないので非常におしかりをこうむったわけですけれども、私、個人的に量販店を歩いておるわけではございませんけれども、通産省といたしましては、先般通産大臣も本問題について、非常に重大な決意で実態調査に入るべきだということで、国会におきましても去る九月の四日に、詳細な公正価格形成及び流通経路等々の実態を早急に調査したいという答弁をいたしまして、現在われわれとしてはその準備に取りかかっております。また一昨日、通産省のほうのモニターがございますが、このモニターを使って、現在全国の小売り店を中心にしたテレビの実勢価格と現金正価との差というものについて調査中でございます。今後とも調査はいたしていきたいと思います。
  106. 松浦利尚

    松浦(利)委員 これは公取の事務局長にお尋ねしたいのですが、いまカラーテレビが非常に問題になりまして、系列小売り業者に対してメーカーから、値幅再販のやみカルテルが公然と、文書ではありませんが、口頭で行なわれておるのです。それは現在の現金正価から一割五分引きで売ってよろしい、こういうのが系列店にずっと流されておるのです。だから、消費者がメーカーの系列店で、現金正価を割引いて一割五分まけろと言ったら、みんなまけるはずです。そういう口頭の連絡がいっておる。どこの店でそういうことを聞いたということは申し上げませんけれども、こういう事実に対してどう思われますか。現実にあるわけです。
  107. 吉田文剛

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  いまおっしゃいましたのは値幅再販——カラーテレビにつきましては、再販は認められておりません。いわゆる再販売価格を指示して、それをメーカーが強制的に守らせるという制度は、もしこれをやれば違反でございますので、いわゆる再販制度における値幅再販の問題ではないと思います。二重価格表示の問題ではないかと思います。  カラーテレビの現金正価と実勢価格の間に二割以上、四割程度の離れがあるじゃないかという点につきましては、公取が委託した地婦連の調査によって指摘されておりますけれども、公正取引委員会といたしましては、全国的に——地婦連の調査は一部の都会についてでございますが、全国的に同様の現象があるかどうか、これは十月五日から全国の小売り店、それからさらにメーカーまで調べるということで、現在調査をやっております。それが十月一ぱいにめどが出ると思います。そういうことで、もし全国的に見てもこれだけの乖離が現金価格と実売価格にあるということになりますと、こういうふうな現金正価を小売り店が二重価格表示の比較対照価格としてつけているということは、これは不当表示に該当するおそれがあるというふうに考えております。
  108. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それから、公取の事務局長と通産省重工業局次長にお尋ねいたしますが、いま市場安定協議会というのが家電メーカーにありますね。これは歴史をずっと調べてみますと、一番最初が正価販売確立委員会、それから名称が変わりまして正常販売確立委員会、そして現在市場安定協議会、こういうものが現実に存在しておるのですが、存在しておるということをお認めになりますか。
  109. 吉田文剛

    ○吉田説明員 これは現在の時点でありますかどうか、私はっきりいたしませんが、過去においてあったことは事実でございます。
  110. 山形栄治

    ○山形説明員 これは、私の聞いておるところでは、昭和三十一年ごろに、当時の情勢に基づきまして市場安定協議会というものができたというふうに聞いておりますが、いま事務局長のお話と同じように、現在はないのではないか、こう聞いております。
  111. 松浦利尚

    松浦(利)委員 当初はメーカーの販売課長とか販売部長が参加をしておったものが、最近では各メーカーの重役クラスが集まって、この市場安定協議会というものを——そういう呼び名になっておるのかどうかは別にして、そういう性格の会議が持たれておるということは事実でしょう。
  112. 山形栄治

    ○山形説明員 実はつまびらかにいたしておらないのですが、これは違うかとも思いますが、現在業界では、重役クラスでいろいろとそういう価格問題でない情報交換で、これはむしろ公取のほうで四十一年に問題になりましたパレス会といいますか、そういう機構があるということは聞いております。それから、ダンピング問題等中心として現在社長会が開かれておることも確かでございますけれども、市場安定協議会というようなものの実質の形のものがいま存在するというふうには聞いておらない。これはちょっと不確かな点がございまして恐縮でございますが、私としては聞いておらないわけであります。
  113. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、その不確かでわからない方に質問しても、これはすれ違うだけですから、公取のほうと局次長の通産省のほうで、ぜひこの内容についてチェックをしてもらって、そういうものがあるのかないのか、もしあればどういうことをしておるのか、その点を次回の委員会で明らかにしてもらいたいと思います。  それからもう一つ、次長さんにお尋ねしておきたいのは、先ほど大臣にもお尋ねをいたしましたが、流通機構合理化、なるほど大きなメーカーが末端の小売り店まで系列下に組み入れてしまった。ところが、その組み入れのしかたが、先ほども言われたように、月賦販売の保証とかなんとかをやってやるというふうなことで、そういうふうになっていったのは好ましいことだというような御答弁だったと思うのですけれども、内容によりますと、実際にそれが現金決済でない信用取引になっておりますから、保証人を立てたり、あるいは担保を設定したり、がんじがらめにして系列下に組み入れられておるわけですね。いまその系列から小売り店がのがれようとしたら、手形取引ですから、そういった問題をからめて小売り店のほうは非常に動揺してしまう。その手形が不渡りになってしまい、保証人とか担保権を設定したものを取り上げてしまう。こういう形で、実際はがんじがらめにされた系列になってしまっておるのですね。そのことが、カラーテレビの二重価格という問題ともからんで、きわめて不明朗なものとなって、消費者に非常な犠牲をしいておる。いま小売り店が、メーカーに在庫品を返納すると騒いでおります。消費者のほうは不買同盟を結んで買い控えておりますから、小売り店の倉庫にカラーテレビが残る。業者のほうから現金の督促がくる。そうすれば倒産する以外にないから、おれのところにあるカラーテレビをメーカーのほうで引き取ってくれ、そのかわり手形は戻してくれ、こういう問題が小売り店のほうに起こっておる。そういう実情を見たときに、現在、一見合理化されておるような今日の系列というあり方が、小売り店自体も犠牲にしておるし、そのことによって、消費者も高いカラーテレビを買わされておるわけですね。こういう問題について行政的な立場から指導をしようと思われますか、どう思われますか。
  114. 山形栄治

    ○山形説明員 いまの先生のお話、私は全く同感であります。先般も小売り商の集まりでございます全商連といわれております団体の代表者と、長時間にわたりまして、われわれフリートーキングをいたしたわけでございます。やはり、私が先ほど申し上げました小売り店系列というものの存在理由というのは過去にあったということで、現在もそれはないといわないと言うだけで、今後も墨守するということを言っておるわけではないのでございますが、その全商連との話し合いにおきましても、全商連の言っております、完全なるテリトリーというものを若干ゆるめてもらうべきではないか、また、先ほど来出ておりました、量販店に流す価格と自分のほうに流す価格との格差というものは、おのずからリーズナブルな格差であるべきではないかというような点につきましては、たいへん同感でございまして、この辺を中心にしてメーカー側とも、われわれ、できましたら中に立ちまして——近くメーカー側と販売店の会合も持たれるそうでございますので、最終の目的は、消費者にどこの地域で買いましてもおのずからなる価格でものが渡るように、公正なる流通形態が確立できるように、小売り店、量販店、メーカーの三者の関係等について、これは若干時間がかかるかとも思いますけれども、われわれはむしろこの機会を生かしましてぜひ取り組んでいきたい、こう思っておる次第であります。
  115. 松浦利尚

    松浦(利)委員 公取の事務局長にお願いをしておきますが、やはり消費者保護の立場から、現金正価という不当な価格表示をやめさせて、そして系列店といえども、小売り店自体がカラーテレビの小売り価格をきめるのだ、こういう方法に早くしてしまう必要があるのじゃないか。そうしなければ、系列店に入った小売り店も困るが、消費者は非常な被害を受けると思うのですね。ぜひお願いしたいと思うのです。その点についての御答弁をいただきたいというのが一つと、もう一つは、どうも通産省というのは業者のほうばっかり向いておる。今度のモデル価格の問題にしたって、一つ消費者のほうなんか見てくれぬ。通産省は、あれは企業のための省で、国民のための省じゃない、消費者のための通産省じゃない、こういう状況があると思うのですよ。確かに業者の企業秘密その他の問題があって、なかなか行政指導する面でむずかしいところがあるのも事実でしょうけれども、公取の審判が非常に長期間かかる。今度の松下の再販の問題をめぐってでも、排除命令までたいへん時間がかかるから、その間は、やはり通産省自体が消費者立場に立って、積極的なそういう問題の行政指導をするという腹がまえをしていただきたいと思うのですが、その点どうでしょう、公取事務局長から……。
  116. 吉田文剛

    ○吉田説明員 お答え申し上げます。  メーカーサイドに立ちまして二重価格の問題を考えます場合に、メーカーが実勢価格と著しく離れたような現金正価を小売り店に表示させるという点は、場合によっては不当表示のおそれがあるというふうに思います。  それから、小売り店自体がもう現金正価をつける——いわゆる正札でございますが、これをつけるべきじゃないかというお話、そういう方向については私ども賛成でございまして、いま検討をいたしております。
  117. 山形栄治

    ○山形説明員 通産省全体が非常に消費者サイドに立っていないという御意見でございますけれども、われわれ決してそういうつもりはございませんで、先ほど来申し上げていますように、特にこういう消費者と密着した部分につきましては、目的を消費者の保護、その前提としての流通形態の正常化ということで、業界全体、メーカーといわず、販売店といわず、小売り店といわず、全体を通じましての正常化に取り組んでいきたい、こう思っております。  ただ、いずれにいたしましても非常に長い間かかった一種の悪弊というものがございますので、先般出ましたモデル価格につきましても、われわれ自身も不満な点があるわけでございます。基本が、長年の積弊と基礎にある過当競争といいますか、非常なる販売競争を業界がやっておる段階でございますので、この辺の足並みをできる限りそろえていきたい、若干の時間は必要じゃないか、こう考えております。
  118. 松浦利尚

    松浦(利)委員 通産省と公取の事務局長、ありがとうございました。  国税庁からだれか来ておられますか。
  119. 松平忠久

    松平委員長 間税部長が来ています。
  120. 松浦利尚

    松浦(利)委員 先ほど企画庁長官にもお話しいたしましたが、今度の酒の値上げをめぐりまして、おたくのほうで値上げの指導をなさった。直接的になさったのではなくて、間接的か何かわかりませんが、いずれにしても、カラーテレビでありませんが、一つの原価計算を示しまして、そして六十円までなら値上げはやむを得ぬのではないかというようなことを指導なさって、あなたが新聞に、そのことはたいへん申しわけなかったというような談話も——私はあなたの談話だと思うのですが、ちょっと新聞で拝見したことがあるのですが、そういうことがありますか。
  121. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 価格指導をしたというふうなことが世間で伝えられておりまして、私ども非常に残念に思っておるわけでございます。実際のところ、真相といいますか、事実を若干申し上げてみたいと思うのですが、本来、清酒の価格は全く自由価格でございまして、押える権限は全然持っていないのでございますけれども、ただ、物価問題が非常に重要な時期でございますので、いろいろなコストアップがあるようでございますけれども、これはひとつできるだけ生産性の向上、合理化で押えるように、よくよく指導してまいったわけであります。  ところが、大部分の業者から、七十円だ、あるいは八十円値上げしなければならぬ、九十円値上げしなければならぬというようないろいろな声が起こってまいりまして、これはどうもたいへんなことになると思いまして、そこで急遽試算をいたしまして、前回の値上げ以降のコストアップが平均的にどのくらいになるだろうかということをひそかに計算いたしたわけでございます。あの計算の内容は非常にきびしい——限界企業もカバーするようなものではもちろんございませんで、もっときびしいものでございますけれども、それをつくりまして、その結果六十円というのが一応出たわけでございます。それをさっそく国税局まで連絡いたしまして、値上げの届け出があった場合、これを一つめどとして頭に置いてよく指導しなさい、ということを言ったわけでございます。  そこが価格指導というふうにとられたのじゃなかろうかと思うのでございますが、税務署の段階までは六十円ということを頭に置きまして、それ以上、七十円、八十円というものが出てまいりました場合には、これはもう何としても物価政策上押えてもらいたいということを強く言ったわけです。なお、それ以下でありました場合——これはもちろん、それ以下であることが望ましいのです。もちろん多少のばらつきがあるのは当然でございまして、なるべくそれ以下に押える。最上限といいますか最下限といいますか、何ぼ高いコストアップがありましても、それ以上は生産性の向上でカバーしてもらいたい。それ以上は価格はひとつ上げないように、そういうふうなことを税務署の段階まで指示したわけでございます。したがって、いろいろばらつきが六十円以下で押えられたといいますか、六十円以下の届け出があったのもかなりございます。それが努力の結果じゃなかろうかと思っておるわけでございます。
  122. 松浦利尚

    松浦(利)委員 部内で流したものがいつの間にか業界全体に伝わって、右へならえでさみだれ的に、全部一級酒九十円、二級酒は六十円という値上げが済んでしまっているんですね。私は、やはりそういう指導をするつもりでなかったものが、たまたま漏れてそういうかっこうになったと思うのです。現実に業界では、五百円の二級酒を出しておるところもあるわけですね。ただ、そういうことを考えますと、今度の右へならえで六十円、九十円という値上がりをしたということは、少なくともいま言われた国税庁の指導が何らかの価格値上がりの要件になった、要素になった、こういうふうに思うのです。ですから、そういった、もうあってしまったことをいま追及してみてもしようがないのですから、今後こういう事態が起こらないように、国税庁のほうでもっとしっかりしてもらいたいと思うのです。その点どうでしょう。
  123. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 その前に、いま六十円でほとんど統一されたということでございますが、事実は約九割何ぼが六十円でございまして、それ以下のものが若干ございます。また、値上げを全くしない、二級は値上げをしたが一級はしない、一級はしたけれども二級はしない、こういうメーカーも若干ございます。そういう事実を御紹介しておきます。  それから、いま先生から御指摘を受けました値上げに対する国税庁の態度でございますが、今後清酒生産業界は、急速な近代化といいますか自由化されてまいります。そういうふうな段階に応じまして、それに見合いました価格に対する適切な態度と申しますか、一斉値上げということにならないように、そういうふうな値上げが本来望ましいわけでございまして、個別に企業が判断して個個に値上げをしていく、そういうことになるように今後ひとつつとめてまいりたいと思っております。
  124. 松浦利尚

    松浦(利)委員 五百円の清酒を売り出しておる小売り店に対して、たいへんな圧力がかかるのですね。いまでも五百円ですよ。依然として据え置いている業者がいるんですね。それに対して、値上げをしたところがたいへんな圧力をかけるのです。そういったことのないように、ぜひこの際指導してもらいたいということが一つ。  それからもう一つは、あの特級酒、一級酒、二級酒という区別ですね。これは別段嗜好に合ったように、消費者立場に立つ特級、一級、二級じゃなくて、税金をたくさん納めたものが特級で、その次が一級で、その次が二級、こういうことで、全く嗜好に関係ないのですね。消費者としては、ただ銘柄でおれは月桂冠だという猛者がおりまして、おれは月桂冠しか飲まぬ。結局、特級酒を飲んだ飲んだといばっておるけれども、実際には地酒の二級酒とあまり変わらない。ただ高い酒を飲んだという優越感にくすぐられている程度のものだ。大体特級、一級、二級という基準はアルコールの度数によってきまるのと、検定がありまして、検定に出したお酒についてのみ特級がきめられるので、検定に持ってこない酒は、ほんとうの特級の資格があっても特級にならないのでしょう。特級、一級、二級というのは一体何ですか、あれは。消費者立場に立って答弁してください。
  125. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 最初の五百円清酒につきまして、値段をいかにきめるかはその企業が自主的に判断してきめるべきもので、それに対しまして外部の者がとやかく批判あるいは圧力を加えることはもってのほかでございまして、そのような事実がございましたら、私ども厳重に、それがないように指導してまいりたいと思います。  それから、もう一つのほうの特、一級、二級でございますが、現在酒税法によりましてその区別がございまして、どういうふうに分けるかということでございますが、いま先生、アルコール分で分けるとおっしゃいましたが、現在はそういうことでございません。もっぱら酒類審議会という、それぞれ公共団体あるいは関連行政機関、その他非常に学識経験の豊かな人、いわゆる酒の専門家が舌で審査するわけでございます。いろいろ色とか、かおりとか、つやとか、そういうものを官能検査といいますか、厳正公平に審査いたしまして、その審査にはもちろん希望する業者が出展するわけでございますが、その中から特級酒を審査する。それから一級を希望したものをそこで審査いたしまして一級の検定をする、そういうふうな制度が現在できておるわけでございます。  したがって、先生おっしゃったような、二級の中でも確かにいい酒があると私は思います。それから、出展を希望しないメーカーが、いい酒を二級のまま売っておるのもあろうかと思います。しかし、いやしくも特級として検定されたものあるいは一級として検定されたものは、これはもう味といい、かおりといい、それぞれにふさわしいりっぱなものだと私は思います。そのように御了解いただきたいと思います。
  126. 松平忠久

    松平委員長 ちょっと待ってください。  委員長質問してまずいのだけれども、間税部長、太白の削りぐあいによって大体一級、二級、三級というものが分かれておるというのが、従来の国税庁の基準の方法じゃなかったのですか。それは関係ないか。太白の削りぐあいに関係ありますかどうですか。
  127. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 いま委員長の御指摘のような、米をよく精白したものとか、特にいろいろな特殊な技術を加えたとか、いろいろなことでかおりが出てくる、つやが出てくる、そういうふうなものだと思います。確かに先生おっしゃったような精白度合いといいますか、これはかなり大きな要素を占めておるのだと思いますが、それをもって直ちに特級、一級をきめておるわけじゃございません。
  128. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう一つお尋ねしておきますが、標準税率からいくと、十六度から十七度が特級酒です。十五・五度から十六・五度までが一級酒、十五度から十六度までが二級酒ですね、度数でいけば。
  129. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 従来そういうふうなことで分けておったのでございますが、現在はアルコールの度数によった級別の分け方はしておりません。
  130. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は標準税率と言ったのですよ。だから、それから度数が一度上がるごとに税率が高くなる。一度下がるごとに税率が安いのですよ、マイナス十円とか。特級酒の場合は、十六度の特級酒を十五度にすれば三十円酒税が安いでしょう。二級も、十六度を十五度に下げた場合はマイナス十円、税金が安いのでしょう。そうじゃないですか。標準税率を聞いておるのです。
  131. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 ちょっと私訂正と申しますか、確かに上限、下限ございまして、その下限を下がると、アルコール分が一度下がりますと、その分の税率が下がる。その上限を越えますと税率が上がる。同じように一級、二級をとりましても、そのようなことをやっております。
  132. 松浦利尚

    松浦(利)委員 極端に言うと、水っぽい特級酒もあれば、十二度くらいの水っぽい一級酒、非常に濃度の高い二級酒もある。そんなものが特級で売られておる。十六度から十七度までは特級なんですから、要するに特級で売れる、税金をたくさん納めれば。ところが、十六度の特級よりも十六・五度の一級のほうが、アルコールの度数が高いのですよ。だから極端に言うと、度数というものが全く関係ないから、ただ審査会に出ておる人の舌によってのみ特級、一級、二級がきまるので、必ずしも特級が全体の嗜好には合わない。その飲んだ人だけの嗜好に合う、検査に立ち合った人だけの嗜好に合う、そういうきめ方でしょう。だから、いまのラベルのきめ方は、特級はうまいんだ、その次は一級だ、二級はまずいんだという印象を与えているようなきめ方じゃないですか、こう言っているのです。実際はそうでしょう。
  133. 塚本石五郎

    ○塚本説明員 確かに二級の中でもアルコール度数の高いものがございます。そういうものは高濃度酒と申しまして、高い価格で売られております。  官能検査である、だから、先生のおっしゃるように、おかしいじゃないかという御指摘でございますけれども、いま現在私ども、いまの級別できめたそれを、消費者もそういうものとして受け取って、やはり特級を飲んでうまい、一級を飲んでやはりこれもうまい、そういうことで飲んでおられるようでございまして、格別にどうも問題はないように考えております。
  134. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういうふうに消費者が思って飲んでおるという部長さんのお話ですけれども、この問題は、次にまた機会がありましたら——やはり特級、一級、二級について、高い金を払えばうまいものを飲むのがほんとうですから、幻想を与えるような話をされては困るのです。もっと議論をしてみたいと思いますが、きょうは時間がありませんから省略をさせていただきます。  時間がないようで、事務局のほうでさっきからいろいろ打ち合わせがあるようですが、民鉄部長が来ておられますので、簡単に今度の運賃値上げについての経緯についてだけ質問をいたしまして、あとは谷口委員のほうからいろいろ御質問があるようですから、簡潔にひとつ質問をさせていただきたいと思います。  実は大手私鉄及び交通営団の審議状況一覧表というのを事前にいただいたわけです。この内容を見てまいりますと、営団のほうの運賃値上げ率については、もうすでに三月二十四日に審議を終わっておるわけですね。そしてそのあと、十四社の運賃制度の査定等については、七月十四日から審議に入っておるのですね。ところが、結果的にどうかというと、もうすでに早くきまっておった営団のほうのアップが据え置かれて、あとからきまった十四社がほっと上がっておるのですね。消費者立場から言わせてもらうなら、営団のほうをストップできるくらいなら、営団のほうは経営状況が十四社以上に悪いのですから、これを押えることができるなら、なぜ十四社も全部ストップさせないのですか。ストップさせることができるはずです。一社だけストップさせるということは、全体もストップさせることが可能だということを消費者に教えておると思うのですが、部長さん、どうですか。
  135. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  審議状況につきましては、営団のほうが先に運輸審の審議が終わっておったように書いてありますけれども、営団と大手私鉄と同時にいつもやっておったわけでございます。ただ、十四私鉄だけ認可になり営団だけストップになったということは、事実でございます。  この理由でございますが、東京都内におきまして地下鉄事業というものにつきまして、交通営団のほかに都営というものも経営しておるということでございまして、同じ事業につきまして、都営のほうにつきましては申請が出ていないということで、同一地域の地下鉄につきまして格差のある運賃を設定するということは、現在のきびしい状況下におきまして問題があるということで、閣僚協議会でもそういうような考えをとって、交通営団の運賃決定が見送られたというかっこうになっておるわけでございますが、運輸審議会におきましても、そういう政府方針について納得がいくということで、これはやめたわけでございます。
  136. 松浦利尚

    松浦(利)委員 運輸審議会のほうが納得をした、こういうことなんですけれども、国民のほうは納得しないのです。運輸審議会という小さな機構が納得しても、国民はそういうやり方については納得できないですね。営団だけを据え置くことができるなら——大体運輸審議会というところは、運賃値上げの申請のあったところは審議するわけですから、都営のほうから申請しなかったから、これは申請をしなかったことにして押えるということは、私はちょっと筋違いだと思うのです。だとするなら、国民立場から言うなら、営団だけ据え置くなら十四社全部据え置いたらどうだろう、こういうことになるのが当然だと思うのですよ。  それともう一つは、この二三・一%のアップの問題は、すでに七月三十一日段階できまっておったのではないですか。
  137. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 それはいろいろの案があったわけでございますが、きまっておったわけではございません。
  138. 松浦利尚

    松浦(利)委員 内定はしておったでしょう、きまっておらないけれども。
  139. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 まだいろいろな案があったわけでございまして、新聞社の方からもそのころたびたび聞かれておったわけでございますが、内定もしておりません。いろいろな数字があったわけでございます。
  140. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは、八月七日に運輸大臣が総理大臣のところに、運賃の値上げについてわざわざ行かれたのは、これはどういう理由ですか。
  141. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 これは、私どもの聞いている限りにおきましては、閣議のあとか先かにおきまして、一応、大都市の交通整備のために私鉄財政が苦しいから、これを前向きに整備させる必要があるので上げなければならぬだろう、上げていただきたい、こういうことを言っていったのだというふうに聞いておりまして、その際、先ほど経済企画庁長官からもお話がありましたように、数字については、まだいろいろ数字があったわけでございます。
  142. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ところが、あなた、そう言われますけれども、この審議状況一覧表によりますと、八月七日に総理大臣から、不動産部門が黒字でもうかっているじゃないかといって突き返されてから、運輸審議会は四十日間空白があるのですよ。何も審議しておらないのです。そして九月十六日にこつ然として、運賃制度の最終案の検討に入っているのですね。そのときには、すでに私鉄側が自発的に、ベアを反省する、あるいは合理化、人員をふやすとかあるいは——株主不在だと思うのですけれども、一割配当を一分減配をいたしますというような方向が、四十日間たって出始めて、空白期間だったものが、九月十六日に急に運輸審議会が開かれておる。  そういう状況を見たときに、二三・一%というのはすでに八月七日にもう大体内定して、総理大臣のところへ持っていったけれども突き返された。そうして四十日間空白を置いて、運輸省が私鉄業界といろいろ折衝して、いま言った四つの条件が生まれてきたので、急遽九月十六日運賃制度の最終案というものを議論して、そして政府に対しても、こういう条件がありますからということで、物価対策の閣僚会議にこの問題を一応持ち込んで、そして二三・一%というアグレマンをもらったあと、九月十七日に最終的な答申案の検討に入った。二十五日、各十四社をバランスさせて、二三・一%の平均値上げ率をずっと配分をして答申をした。こういう経過をたどっているのですよ。これはおたくからもらった資料でそういうふうに判断をするわけですが、その点どうでしょうか。
  143. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 いろいろな数字が八月初めにあったということで、きまっておったわけではないということは確かに事実でございます。ただ、総理から運輸大臣が言われまして、経営態度について、あるいは経営合理化の省力化対策について、輸送力増強工事の遂行について、こういう三項目についていろいろの注文があったわけでございまして、その間四十日近くでございますか、三十数日でございますか、いろいろ私のほうと業界と折衝しておったわけでございます。それが出てきたという段階におきまして、前にあったいろいろの数字のうちから最終的に決定した、こういうようないきさつになるわけでございます。
  144. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、運輸審議会というその審議会のあり方ですね。先ほど長官もこの問題については、問題があるから検討を加えるという御答弁でしたけれども、直接その衝に当たる運輸省の民鉄部長として、現在のこの運輸審議会、極端に言うと、せっかく運輸審議会がありながら、こちらの総理大臣なりあるいはその他の政府自体の動きを見ながら運輸審議会というものが動かされていくというなら、運輸審議会というのは、ただ値上げするときの、国民をごまかすための隠れみのに使われておる、こういうふうな運輸審議会になっておるのじゃないかという気がしてならぬのですが、その点どうです。
  145. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 運輸審議会は、運輸省設置法に基づきまして、両院の了解を得まして任命されているわけでございます。しかも裁判官と同じように身分の独立性を維持しておるわけでございまして、独自の判断ができるような立場にあるわけでございます。法律にありますように、学識と経験と、そういうものを持ち合わせた中から選ばれておる、こういうことであるわけでございます。
  146. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それは、たてまえはそのとおりです。たてまえを言っているのじゃない。内容です。そのたてまえはそのとおりです。ところが、運輸審議会のこの経過を見ますと、そのたてまえと実態が全く食い違っておるでしょう。そのことを言っているのです。ですから、いまの運輸審議会というのはある程度改めなければいかぬのじゃないか、こういうことをお聞きしているのです。
  147. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 従来運輸審議会の答申と物価対策閣僚協議会、以前には経済関係閣僚懇談会、こう言いましたが、これとの関係を、いろいろ過去にさかのぼっても調査いたしたわけでございますが、答申が先の場合もありますし、閣僚協議会が先の場合もあります。ということは、国鉄の運賃、それから私鉄の三十七年、四十一年の運賃、それから東京、大阪、京都といった場合のバスの運賃等についても、いろいろな場合があるわけでございまして、しかも運輸審議会におきましては、経済関係閣僚懇談会のあとか先か同時かは別といたしまして、個別の会社につきまして、それぞれの審査を念入りにいたし、収支状況その他賃率等の運賃制度の細部にわたりまして検討いたしまして運賃改定をしておるわけでございまして、閣僚協の決定等につきまして、どこの会社が何%アップとかいうようなことは一々審議しておるわけではないわけでございます。
  148. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いまの問題については、時間がありませんから、またさらに今後煮詰めていくつもりですが、ただ、今度の値上げ関係して、前回の値上げをしたときに、ここに一つの陳情書が来ておるのです。これは西武鉄道の乗客無視のやり方に抗議し、改善をするようにという陳情書ですけれども、西武鉄道が富士見台駅に北口をつけるという約束をしておきながら、その運賃値上げに踏み切って、そしてそのままほったらかしておった。ですから、北口におる乗客は、わざわざ六回ぐらいの電車の通過を待って南口から行かなければならぬのだというような陳情書が来ておるのですが、こういった乗客からの要望、乗客からの陳情、こういったものが今度の運賃値上げによって満たされるものかどうか。これは一つの例ですけれども、そういう問題について部長はどういうふうにお考えですか。満たされますか。
  149. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 運賃改定の際に、私どもといたしましては、省力化計画と同時に、これで一年半の間にどれだけの工事をやってくれ、こういうことで、各社に対して各個の工事の名称をあげまして通達を出し、しかも、その金額についても明記しておるわけでございます。  先回の運賃値上げのときかと思いますが、現在におきましては、いま先生からお話がありました件につきましては、やると言っているということのようでございます。
  150. 松浦利尚

    松浦(利)委員 わかりました。  最後に二つだけお尋ねをしておきますが、この運輸審議会に出された昭和四十四年度大手私鉄収支実績表の中で「配当所要等」の中には別途積み立て金あるいは役員賞与、こういったものも含まれておるのかどうかをお聞きしておきたいと思うのです。
  151. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 それは入っております。
  152. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、極端な言い方をしますと、鉄道部門は赤字だ。先ほど長官ともいろいろ議論をしたのですが、あとから谷口議員のほうから詳しく議論があるでしょうが、一つのAという鉄道株式会社を全業で見るならば黒字なんですよ。不動産部門や何かを入れまして黒字。ところが配当部門については、それで配当するわけですね。一割配当だ。ところが今度は、運賃値上げの場合には鉄道部門だけを取り出しまして、これは赤字だ。なるほど赤字になるところもありますね。ところが、その赤字を出すために、わざわざ赤字の鉄軌道部門に別途積み立て金とか役員賞与というようなものもプラスされる。そうして赤字が累積される。少なくとも赤字の企業であれば、別途積み立て金とか役員報酬というものが赤字に累積されるのは、感覚としておかしいと私は思うのです。そういうものは当然赤字から除外されるべきだ、配分すべきではない、こういうふうに思うのですが、どうですか。その考え方は正しいのですか。
  153. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 その役員賞与につきましては、やはり会社全体といたしまして役員賞与を払っておるわけでございます。これは比率によりまして各部門に配分しておる、こういうことでございまして、この額は、ここにありますうちのほんの少ない部分でございます。
  154. 松浦利尚

    松浦(利)委員 どうも理解できないのですよ。鉄道部門は、全体の企業でいくなら黒字ですよ。一割配当もするし、別途積み立てもやるし、役員賞与もある。ところが、この鉄道企業だけ抜き出したときには赤字だ。だから西武の場合には、鉄道部門ではそういった「差引損益」が十七億三千二百五十四万九千円、それにわざわざ今度は「配当所要等」として、当然黒字の団体がやるべき別途積み立て金、それから役員賞与等をこの中に入れて五億三千七百二十六万九千円、これだけをプラスして、西武鉄道の赤字は二十二億六千九百八十一万八千円です。そういう積み立て金やら役員賞与まで赤字にプラスして、赤字を累積させて運賃値上げという計算をしておるのですよ。私は、これは御都合主義だと思うのですね。あるところは鉄道だけ、ある部分は全体、こういう考え方は私はおかしいと思うのです。
  155. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 会社全体として利益をあげておるわけでございます。その中身は、鉄道以外に不動産とかあるいはバスとかその他の兼業があるわけでございますが、そこにあげておりますように、不動産だけで利益を出してほかのほうの赤を埋めているというのが実情であるわけでございまして、その会社全体として役員賞与を払っている、こういうかっこうになるわけでございます。  ただ、先生おっしゃるようなことももちろんわかるわけでございますが、これはたとえば、不動産事業として配当の分も鉄道の分を負担してやったんだというように計算上なり得るわけでございまして、その場合に、不動産部門から借りというようなかっこうになるのじゃないかと思うわけでございます。もし厳格にあるべき姿で計算するとするならば、積み立て金その他についても取りくずす際に鉄道部門は取りくずせない、こういうかっこうになるわけでございますので、それは計算上そういうことでいいのではないかと考えておるわけでございます。
  156. 松浦利尚

    松浦(利)委員 計算上はそうでいいんじゃないか、こう言われますけれども、そこに無理があるのですよ。だから、この前から議論しておるように、そうだとすれば、初めから運賃値上げという問題は全業で考えたらどうですか。別途法人をつくった会社は、上場されておるような、二つの法人格を取得した不動産がありますけれども、こういうのだって、私鉄企業として行なっておる不動産部門とかなんとかは、全業として計算なすったらどうでしょう。不動産は現実に、佐藤総理が認めておるように、黒字だからといって突っ返したんだ。そうなれば、赤字部門というものは不動産部門で埋めていっていいんじゃないかと思うのですがね。全業として見るべきだ。いまや私鉄企業私鉄株式会社というのは、ただ単に鉄軌業だけやっておるというふうに国民考えておらない。もう不動産もデパートも、そういったもの全体を含めて、現在ではこれが私鉄企業だ、こういうふうにみんな国民は見ておるわけですね。ただ運輸省だけが、いや、そうじゃないんだ、鉄道というのは鉄軌業だけなんでございますよ、こういうように、国民と運輸省とにたいへんなズレがあると思う。私は、国民の感覚のほうが正しいし、運輸省の感覚が古いと思うのですが、どうですか。
  157. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先生のようなお考えは当然だと思うわけですが、ただ私どもといたしまして、その意見につきましては、先ほど長官からもお話がありましたけれども、形式的には次のように考えるわけでございます。  それは、私鉄の運賃の原価算定は鉄道部門に限って検討する、こういうことであるわけでございますが、この考え方は、私鉄に限らずバス、それから通運、電気、ガス、それから港湾運送事業、倉庫もそうなんですが、すべて公益事業につきましては、現行法の体系のもとにおきましての運賃、料金は、当該部門につきまして、能率的経営のもとにおきまして適正原価を償い、適正利潤を含むものであること、こういう法体系になっておるわけでございます、その法律がそういうことになっているというもとであるわけですが、もし鉄道部門を非常な赤字でほっておく、こういうことになると、この場合企業全般として私企業であるわけですから、公益事業といいながらも、限界がありながら私企業であるわけですから、一般の資金が利の多いほうに流れるというのも当然なわけでございます。したがいまして、大都市交通の隘路を打開して、できるだけ大都市交通に資金が流れるようにというためには、それがあるべき姿においてペイして、しかも利潤をあげるようにするというのが原則で、法体系の根本的な思想にあるわけでございます。  もう一つの問題でございますが、先ほど経済企画庁長官からもお話があったわけでございますが、兼業部門と申しましても非常に利の多い兼業を持っておるところと、利の少ない兼業を持っておるところと、何も兼業を持っていないところとがあるわけでございまして、鉄道の場合たまたま関西とか、この辺でも競争があるわけでございますが、特に関西は激しいと思うのですが、そういうときに兼業を持っているもの、いい兼業を持っているもの、悪い兼業を持っているもの、兼業を持っていないもの、こういうものが競争場裏において公正な競争をするという段階におきまして、そういうことが非常に影響してくる、こういうことが言えるわけでございます。  私も最近この私鉄関係に来たばかりであるわけでございまして、公聴会のちょっと前に来たわけです。いままで自動車とかあるいは海運といったようなものも手がけたわけです。道路運送の場合におきましては各事業種別ごとにということで、タクシーがもうかっているからバスは赤字でもいいんだというようなことはやっていないわけでございまして、たとえば海運とかあるいはバスとか鉄道とか、いろいろやっておる会社におきまして、こちらは独占企業じゃないから上げられない、こちらは独占企業だから上げてくれ、もうかっているけれども上げてくれ、こういうものも、心得違いでありますが、ごく一部であったわけです。いままでもあるわけでございますが、そういう場合は、すべて初めから受け付けもしない、こういう態度をとっているわけでございまして、長官が言われましたように、不動産というものは、これからもある程度成長するかもしれませんが、もしこれが逆になった場合に、不動産と鉄道だけやっている会社の場合に、それでは鉄道運賃を逆に上げるのかという問題になったときにはこれは困るのではないか、こういうふうに考えてもおるわけでございます。理屈としてはそういうことでございます。
  158. 松浦利尚

    松浦(利)委員 理屈としてはそれは理解できますけれども、その不動産部門が非常にもうかっておるということは、もう総理大臣も認めておるわけです、今度の運賃値上げに対しては。それで、先ほど長官もお話しになりましたように、運賃値上げをしてもなおかつ十四社の私鉄で七十五億の赤字ができる、その七十五億については、もうかっている不動産その他によってまかなうべきである、こういうふうに答弁なさっておるのです。七十五億を不動産でやれるのだから、全体をもうかっているところでカバーすることは私はできると思うのです。その部分だけは不動産で、七十五億はいいけれども、百億以上は不動産ではいけないよということにはならないでしょう。現実長官もそういう答弁をしておられるし、あなた方もそう思っているわけですから、私はあり方としては、全業を中心として私鉄運賃はきまるべきだと思いますが、どうですか。
  159. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先ほど長官からもお話がありましたように、この七十五億と申すものは、いろいろきびしい査定をやった上でこれだけの赤字が出るんだ、これはとにかく不動産でもうけている分もあるし経営合理化でカバーしていくということで——十四社ございますが、これも各社によって、不動産はほとんどやっていないところもあるわけです。赤字を、七十五億のうちで十五億持っている会社もあるわけでございます。そういうことで、一がいにこれを不動産でカバーしろということは言えないわけでございまして、七十五億の分は、各社においてとにかく不動産、その他経営合理化の努力、それから不動産以外の他部門における収益をあげて、これによって何とかカバーしてやってくれ、こういう意味であるわけでございます。
  160. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ありがとうございました。  私の質問は以上で終わります。
  161. 松平忠久

    松平委員長 有島重武君。
  162. 有島重武

    ○有島委員 消費者保護基本法というのが制定されてことしでもう三年目に入るわけでございますけれども、きょうはその中の危害防止、それから表示の適正というこの二点にわたって、少し質問をいたします。  初めに、厚生省の許可しております特殊栄養食品というマルと三角のマークのついた食品について、これは昭和四十二年に六百四十一件、四十三年四百六十八件、四十四年に三百五十四件、こういうふうに許可になっておるようであります。これは二年ごとに更新されるということになっておるのですが、四十三年度の国会におきまして、厚生省としては米、麦、めん類などにこれをしぼっていく、そういう見解をとられたようでございますけれども、四十四年度の三百五十四件、この中にはどんな食品が含まれているのか、それを先に厚生省に伺いたいと思います。
  163. 折田貞雄

    ○折田説明員 まず特殊栄養食品制度につきまして、いま御指摘になりました点につきまして申し上げますと、各種の栄養食品につきまして、いわゆる人形マークのつきました厚生省許可の標示が行なわれておりまして、現在先生がおっしゃられましたような件数を認めておるわけでございますが、昨年来対象となる食品につきましては、いま御指摘になりましたように、食品の範囲について限定する方向検討を進めておりまして、現在栄養審議会におきまして審議を願っておるところでございますが、その結論を待って、さっき申し上げました品目については処置を講じていきたいと思っております。したがいまして、昨年来審議会に審議をお願いしている関係上、いま先生がおっしゃられました更新の分につきましては、従来の既得権がございますので、その線で認めておりますが、新規のものにつきましては、結論を待ってから認めるということで、現在結論を待っている状態でございます。  内容につきましては、現在、米とか押し麦それから小麦等の主食品のほか、マーガリンとか清涼飲料水あるいは粉末飲料、離乳食等がございます。
  164. 有島重武

    ○有島委員 今年度の分は、まだ許可を行なっていないんですか、いるんですか。
  165. 折田貞雄

    ○折田説明員 新規につきましては、先ほど申し上げましたように、添加をする栄養素につきましては、ビタミン類とかあるいは必須アミノ酸のL−リジン等ございますが、添加を受ける母体食品の範囲というものをきめるというお約束になっておりますので、そのものについて結論が出ておりませんので、新規については認めておりません。かつてきめられた、二年ごとに更新すると申し上げましたその更新分につきましては、現在、従来どおりの価値で検討して許可をしております。
  166. 有島重武

    ○有島委員 更新部分について伺いますと、これは四十四年、三百五十四件の中の更新部分であるか、あるいは新しくしたものと更新の部分とはどういう比率になっているのでしょうか。
  167. 折田貞雄

    ○折田説明員 現在、更新分は、四十三年度が当然更新分として入ってくるわけでございますが、約百六十の更新を認めております。
  168. 有島重武

    ○有島委員 その更新の部分については、先ほどの添加される母体に関してはこれはかまわないということでは、厚生省の見解と逆行しているんじゃないかと思うのですけれども、この更新百六十は、主食以外のものがたくさん入っているわけなんですね。
  169. 折田貞雄

    ○折田説明員 はい。
  170. 有島重武

    ○有島委員 これはそのままかまわないでやっていくのか、やはり今後しぼっていく方向にしようとしておるのか、どうでしょうか。
  171. 折田貞雄

    ○折田説明員 現在許可しておりますものにつきましても、先ほども申し上げました答申の結果が出ましたら、その線に沿うて食品の範囲を限定していきたい、こういうぐあいに考えております。
  172. 有島重武

    ○有島委員 近い将来限定されるという予想がつくわけですね。その審議会の答申というのはいつ出るのですか。
  173. 折田貞雄

    ○折田説明員 ただいまちょっと審議状況がおくれておりますが、ことしじゅうには審議会の意見をいただくように、私どもはお願いしております。
  174. 有島重武

    ○有島委員 次に、これは公正取引委員会とやや関係があると思うのでございますけれども、人形マークをつけた食品がありますと、これは何か非常に優秀な食品であるというような印象を受けるわけであります。これは法律的に言うと、ビタミン強化ということですか、エンリッチということですかであって、これはその品物全体を保証しているのか、単にこれは物質的な一つの栄養剤を強化してあるというだけのものであるのか、この辺の見解、それから誤解ですね、こういうことについて、公正取引委員会ではどのように考えていらっしゃいますか。
  175. 吉田文剛

    ○吉田説明員 お答えいたします。  こけしマーク自体は、これは厚生省が栄養改善法に基づきまして、特定の栄養成分を含んでおる食品、これを特殊栄養食品と申すわけでありますが、それに対しましてその標示をつけることを許可しているものでございますので、そういう許可を受けてこけしマークをつけている商品、それにそういう標示があること自体を不当表示であるというふうには、直ちには言えないのじゃないか。ただ、広告等におきまして、実際以上に栄養をたっぷり含んでいるというような広告表示がございますと、これは不当表示の問題になるのじゃないか、こういうふうに考えております。
  176. 有島重武

    ○有島委員 これは誤認識というのは主観もやや入ることだろうと思いますけれども、たとえば、ここにありますけれども、これは「美味しさに栄養をプラス」「武田薬品の新型ビタミンB1が入っています」「このマークのついた麺を食べましょう」こうなっているんですね。     〔有島委員、吉田説明員に資料を示す〕 これは消費者側にとっては非常に安心できるというか、その食品全体が栄養がある、そういう判断を下しやすいと私は思いますけれども、こういうものについてこのままにしておくか、これはいわゆる不当に近いものではないか、ないしは、それは不当ではないかと私は思うのですけれども、いかがですか。
  177. 吉田文剛

    ○吉田説明員 これがすぐいま不当表示になるかどうか、ちょっと調べてみませんと正確なお答えはできませんが、この広告全体から見まして、ことに「新型ビタミンB1が入っています」——ビタミンB1が入っているかどうか、これも調べてみないとわかりませんが、この表示全体から見まして、実際のものよりも非常に優良であるというふうな誤認をこれが与えるのだったら不当表示になるおそれがあると思いますが、その点は具体的に調べてみませんと、直ちに不当表示になるかどうか、それはちょっといまここでは正確なお答えはできないと思いますけれども、もしも御要求があれば、調べて御返事をいたしたい、こういうふうに思います。     〔松平委員長退席、登坂委員長代理着席〕
  178. 有島重武

    ○有島委員 それは調べていただきたいと思います。  そこで、その次の問題は、特殊栄養食品である、これはビタミンないしはカルシウムなどが添加されておるということになっておるけれども、それでは実際に抜き取りをして調べてみると、不良のものがたくさんある。これが昭和四十三年には四百三十七品目ですか、これを調べたことになっているそうです。この中で合格したものが三百四十二、添加されるべき量の九〇%未満で足らなかったものが八十一、それからオーバーであった二〇〇%以上、本来入るべき倍以上のビタミンが含まれていたのが十四あるというような報告があります。今年度についてはどうなっているか。  その前に、不合格なもので、オーバーしている十四品目の中で——オーバーしてはいけないものといいものとあるんじゃないか。たとえばビタミンAとかビタミンDというものはオーバーするといけないというふうに私は聞いているわけです。しかも、自然食品に入っているビタミンAとかビタミンDは害はないけれども、人工的につくったAとかDというものは蓄積されていく、そういうふうに私は聞いているんですけれども、含有量が標示量の二〇〇%以上の品目数ですね、これは四十三年度で十四、四十四年度で十六、そんなふうにここにはありますけれども、これはどういう種類のものがオーバーであったか、それを聞きたい。
  179. 折田貞雄

    ○折田説明員 オーバーされているものの中に、B1、B2、ビタミンCというものが含まれております。ビタミンA及びビタミンDというような油性のものは含まれておりません。  ビタミンB1とかビタミンB2、ビタミンCのように水性のものにつきましては、体内に摂取されまして、過剰になりますと簡単に出てまいります。ビタミンA、ビタミンDのような油性のものにつきましては、先生のおっしゃるような蓄積という現象が起こっていろいろ問題があるということでございますが、たとえば、その中でビタミンA過剰というものを見てみますと、急性のものと慢性のものと二つ考えられます。急性のものは非常に大量に飲んだとき、一回当たり必要量の六十倍に当たる量、いわゆる五万単位ぐらいを飲んだとき——ときどき子供が間違ってそのようなことがあると聞いております。そのような場合に起こりますが、これはきわめてまれでございます。また慢性につきましては、特に先生が御心配になっている食品だと思いますが、一日量二万単位以上のものを一カ月以上用いた場合に起こるということがいわれております。二万単位と申しますのは、私どもの許可しておりますビタミンA、ビタミンDの入っておりますのは大体マーガリン系統でございますが、マーガリンを例にとって申し上げますと、四分の一ポンドのマーガリンを一日二個以上食べるという計算になります。一回普通われわれがマーガリンをパンにつけるときは十から十五グラム、多いときで二十グラムといわれておりますが、そういうことから見ましても、ビタミンA、ビタミンD等による、いわゆるわれわれのいう特殊栄養食品によって起こる栄養過剰問題というものは考えられないんじゃないか、そういうぐあいに思います。
  180. 有島重武

    ○有島委員 そこで、いま二〇〇%以上のことを言っておられましたけれども、許容量の九〇%から二〇〇%になっておりますが、二〇〇%以下であれば、少々固まって入っているような場合でも、これは無害と認められるのですか。やはりあぶないこともあるんですか。
  181. 折田貞雄

    ○折田説明員 量的に見まして、食品に特殊栄養食品として添加されている量というものは、いま申し上げましたように、薬と違いまして量的に非常に少ないので無害だと私は思います。  それから、いま先生がおっしゃいました九〇%と二〇〇%と申しますその基準になりますもとは、原則として、さっき申し上げました人間の必要量に大体準ずるぐらいの量に対しての二〇〇%でございますから、二倍でございます。先ほど、急性の場合は六十倍ということを申し上げましたが、それくらいの量でございますので、一応関係がないものと思われます。
  182. 有島重武

    ○有島委員 この少ないものの中に、九〇%未満ということでございますけれども、八〇%もあるだろうし、全然含んでなかったということもあるわけですね。
  183. 折田貞雄

    ○折田説明員 一応検査の結果、そういうものも出た例がございます。しかし一般には、いまおっしゃられましたように、七〇%とか六〇%というものは多うございます。その失われたものの中にはゼロというものが出たというのは、おそらく分解されたものじゃないかというふうに考えます。と申しますのは、一般に食品にはある程度ナチュラルの形で入っておりますので、当然幾つかは出るべきものでございますが、ゼロというふうに出た場合には、何らかの原因でゼロになったんじゃないかと思われますので、その点はよく調べてみないとわかりません。
  184. 有島重武

    ○有島委員 これは品目をここではあげませんけれども、やはり非常に減衰しやすい品種というものはあるわけですね。それで、それにやはり日付といいますか、同じものでも半年たったもの、一年たったもの、そういった差が出てくると思います。そういった標示の上でも、それからもう一つ検査の上でも、もう一くふうなさらないとこれはいけないんじゃないかと私は思います。  それから、この検査でございますけれども、昭和四十一年に五百六十一、四十二年には五百七十九、それから四十三年には四百三十七、四十四年には二百八十四と、最近になってぐっと検査している数が減っているようなんですけれども、これはどういうわけなんですか。
  185. 折田貞雄

    ○折田説明員 特殊栄養食品の収去検査そのものが、前年度に許可したもの全数やるというたてまえでございません。収去の成績から見てかなり悪いと思われる食品を中心にいたしまして収去しておりますので、そういった関係で全数をやっておりません。したがいまして、いま先生のお手元にございます資料をごらんになりますと合格率そのものが悪いようでございますが、必ずしもそれは全体のものをあらわしているものではございません。  それから、四十五年に急激に減ったのは、まだ夏の分というのですか、前期の部分しかやっておりませんで、今後まだ逐次やってまいりますので、おそらく去年くらい、あるいは去年以上になるかもしれません。
  186. 有島重武

    ○有島委員 この不合格の中で標示許可を取り消された、強制処分を受けたものはどのくらいありますか。
  187. 折田貞雄

    ○折田説明員 現在まで一例もございません。
  188. 有島重武

    ○有島委員 公正取引委員会事務局長さん、そういうわけなんでございます。これは中小メーカーもこの中に含まれておりますから、そういったものをいじめるということはあまりいいことではないと思いますけれども、不合格品がある、それがそのままにいつも放置されている、こういった状況ですね。これについては、公正取引委員会はいまのお話を聞いてどのように考えておるか、御所見を承りたい。
  189. 吉田文剛

    ○吉田説明員 この特殊栄養食品のマークをつけられているものについて不合格品があるということは、いま初めてお伺いいたしたわけでありますけれども、許可をした以上は、ちゃんとその内容がそれに沿ったものであるべきだと私ども考えるわけでございます。それを直ちにこちらで、一々公正取引委員会として調べて、標示と内容が違うというようなものを全部チェックするというほどの人員がこちらにございませんので、そういう事実がわかれば、それは標示と内容が違うじゃないかというような点から、不当表示ということでつかまえることはできると思いますが、私ども、もともと特殊栄養食品の標示が許可の基準にちゃんと合致しているかどうかということは、厚生省でおやりになるべきことではないかというふうに存じます。ただ、私どもでそれがわかれば、一応不当表示のおそれがあるということで調べることはいたします。
  190. 有島重武

    ○有島委員 これは、きょうは厚生省の代表の方が課長さんでいらっしゃいますから、公取さんのほうにお願いしておきたいのですけれども、この標示ができたのは非常に古いことなんです。戦後食糧が足りないときにできまして、そして、食品に添加物が入っているということが非常に珍しい時代であったのでしょう。現在では、何もかも添加物が入っております。ことさらにこういったものをこういう形でもってつけるのがいいかどうか、これはもう一ぺん全然考え方を改めて、こういった標示をつけることそのものが適当なのかどうか、あるいは、普通に成分もみんな書き込むようにこのごろなりましたですが、そういうものに統一したほうがむしろ間違いが少ないのではないか、私はむしろその意見を持っておるのですが、その辺ひとつ根本的に考えていただきたい。お願いします。  それから、次にたばこの問題です。七月ごろに新聞紙上によく出ておりましたけれども、WHOからたばこが健康を害する、そういったことについて勧告が出ておった。それで国会においてもたびたび、WHOの勧告に対してどうこたえるのだ、そういうことをいままで問題にしてまいりました。それはいつも、有害であるという確証がなかなかつかめないのだというのがいままでの政府の見解であった、そういうことです。  これについて、もう少し突っ込んでお話を進めていきたいと思いますが、最近では十月三日の東京新聞に、厚生省側では、これに対して有害であるということの宣伝をやっていこう、そういうための予算を要求している、そういうような記事も出ておりました。  WHOの研究の中に、これはちょっとショッキングな話なんで私は驚いたのですけれども、妊娠中の人が喫煙すると、生まれた赤ん坊は、たばこを吸わない人の赤ん坊よりも平均して百五十から二百四十グラムぐらい軽い子供ができている。それから、喫煙者には非喫煙者の二倍から三倍ぐらいの未熟児が生まれてくる。あるいは流産、死産といった事故が、たばこを喫っている妊婦から非常に多く出ている。これはWHOの報告書の一つにあったそうです。  公社側では、こういったことについてはどういうふうに考えていらっしゃるか、それをまず承っておきたいのです。
  191. 牧野康夫

    牧野(誠)説明員 WHOのいろいろの書類その他、私どもも厚生省を通じましていただいて、中身について承知しております。それから、喫煙と健康の問題につきましては、WHOのほかにもいろいろ議論もございます。それからまた、議論だけではなくて、疫学的、病理学的、いろいろな研究の結果が各方面から出ておりまして、私どもも、これについて何とか合理的な対処をしなければいかぬということで、いろいろ各方面に研究をお願いしたりして勉強いたしております。  ただ、当面、この問題につきましては、何ぶん病理学的にどうというところまでまだいっていないのではないか。疫学的に申しますと、吸っている者と吸っていない者、あるいは多く吸っている者と少なく吸っている者、そういうものの間に統計的な差が出ているというような御発表が多いように承知しております。WHOのも大体そういうことじゃなかろうかと思っております。それで、私どもとしてもなかなかうまいぐあいに踏み切りがつきません。  ただ、私どもとしてできることはやらなければいかぬということで、いまお話がございましたような、女性に喫煙をすすめるような広告は慎むということで、これは厳に慎んでおります。それからまた、若い人が早目に吸うということ、これは日本法律でも禁じられております。二十歳にならないうちにたばこを吸ってはいけないということになっております。未成年者の喫煙はおやめなさいという意味のことを、私どものいろいろな媒体を通じましていろいろな機会にPRする、広告するということをいたそうかということで、これも現にやっております。  それから、たばこがからだに悪いのではないかという議論の場合、やはりニコチンとかタールとかいうものが含まれているから悪いんじゃなかろうか、あるいはそれが多いから悪いんじゃなかろうかという見方が多いかと存じます。私どもも、たばこ全体をなるたけ低ニコチン、低タールの方向に持っていきたいというふうに考えております。しかし、この点は少しずつしか成果があがらないかと存じますが、いろいろ努力はいたしております。それで、ニコチンとタールの少ない製品というようなものをなるたけ出すようにということで、ここ数年間、かなりそういう方向へ行っている、これからもまた行かせたいと存じております。  そのほか、いろいろ勉強を続けたいということでやっておりますが、WHOの勧告全体を受けとめて、どうしたらいいかということにつきましては、これは私ども自体というよりむしろ大蔵省の問題かと存じますが、大蔵大臣諮問機関である専売事業審議会にことしの八月に、専売事業の運営全体をこれとの関連でどうしたらいいかということを諮問されまして、ただいま審議会でいろいろな角度から審議が続けられておるところでございまして、この結論がいずれ出ると存じます。出ましたならば、私ども、その答申の趣旨にできるだけ沿うように対処をせなければならぬというふうに考えておりまして、ただいまその御審議に協力するようないろんな手続は、私どもとしてはやっている次第でございます。
  192. 有島重武

    ○有島委員 これは公社として、たばこをつくっていらっしゃるわけでございますけれども、ほんとうのところ売っていきたいのか、それとも、なるべく売らない方向がいいと思っていらっしゃるのか、その辺はどうですか。
  193. 牧野康夫

    牧野(誠)説明員 私どもの公社といたしましては、ただいまのところ、先ほど申し上げましたように、統計的にいろいろ議論はございますけれども、病理学的にこれが有害であるということにはまだなっていないと承知しております。それからまた、たばこというものは数百年の間人間が世界じゅうで吸って、これによっていこいだとか安らぎだとか、あるいは気分の転換だとかいうような効用があるということも同時に言えるんじゃないかと存じておりますが、一方私どものほうとしては、これを売ることによりまして、たとえば本年度にいたしますと約五千億円くらいの歳入を国と地方団体に納めるという責任も持っておりますので、私どものほうとしては、目下のところは、やはり売っていきたいということで仕事を続けておる次第でございます。
  194. 有島重武

    ○有島委員 公社としては売りたい気持ちでつくっておるということですね。  さっきおっしゃいましたたばこの効用ですが、これについてこうした報告があるのですね。鎮静剤としての効果があるといわれているけれども、イギリスの医者のグループが自分たちでもって吸わないでみて、以前吸っていたときよりももっと多く生理的にはっきりした、緊張やいらいらや神経症が禁煙によってかえって生理的にもよくなった、そういうような報告が出ているのですね。たばこを吸うことについてのほんとうのメリットは何であるかということについて、これも何となく気分的なことを言われております。まずいほうのこともふわふわしておりますけれども、これは両方ともしっかりと見きわめていくということが大切なんじゃないか。  審議会は大蔵省のほうでいらっしゃいますね。タール、ニコチン等のこともございますけれども、一酸化炭素の問題ですが、これについてもやっておられるのかどうか。ただいま低ニコチン、低タールというたばこの話が出ましたけれども、一酸化炭素について、一酸化炭素が少ないたばこというのはなかなかむずかしいんじゃないかと思いますけれども、この害、それからいま言ったほんとうのところの害はどういうところに出るのか、ほんとうのメリットといわれているものの中のほんとうのメリットらしいものはどういうところにあるのか、そういうことを審議会のほうにしっかり見きわめていただきたいと私は注文をつけたいと思うのですが、大蔵省……。
  195. 大塚俊二

    ○大塚説明員 専売事業審議会のほうに現在、健康と喫煙に関連して専売事業の運営をどうするかということを諮問いたしておるわけでございますが、従来の委員の方々は、どちらかといいますと学識経験者、あまり医学の面とかそういう面に造詣の深い方がおられないということから、特にこの問題を審議していただきますために、お医者さん四人と、それから心理学者の方に特別委員ということで入っていただきまして、現在審議を続けておるわけでありまして、私専門でございませんので、もちろん、たばこを吸えば一酸化炭素がその煙の中に含まれるということはございますけれども、それがどういうふうにからだに影響するか、そういったことも含めまして、審議会のほうで審議していただく予定でございます。
  196. 有島重武

    ○有島委員 先ほど公社の方から、若年者にはすすめないように宣伝していきたい、いままでもしてきた、これからもしていきたいというお話でございましたけれども、法制局の方いらっしゃいますか。——未成年者の喫煙の禁止についての法律の根拠ですね、これは風紀上のものであるか、あるいは生理上いけないからこれを禁止したのか。あれが制定されたのはだいぶ古い話でございますけれども、その法制定の一番の根拠になったものは何でございましょうか。
  197. 真田秀夫

    ○真田説明員 未成年者喫煙禁止法についてでございますが、明治三十三年制定という非常に古い法律でございますし、それから、当時政府提案をしたものではございませんで、いまでいう議員立法の形でできた意味法律でございます。そういうわけでございますので、法制局といたしまして、この法律ができるに至った経過等についての公的な資料を持っているというわけのものではございませんので、特別の御説明を申し上げる材料は実はないわけでございます。ただ、せっかくの御質問でございますので、昨日質問についての御通告をいただきましてから、取り急ぎ、当時の帝国議会の議事録を引っぱり出しまして、貴族院における審議の経過をざっと読んでみたわけでございますが、経過といたしましては、ただいま申し上げましたように、衆議院が提出いたしまして、衆議院で可決され、貴族院に回されまして、貴族院の第一読会の特別委員会で否決されております。その後第二読会で可決されまして、法律として成立したような経緯でございます。否決されましたときの理由は、どうもよく私もわからないのですけれども、一体取り締まりの実効があがるのか、政府として取り締まりの万全を期せられるのかというようなことがだいぶん議題になったようでございます。  それから、提案理由といたしましては、やはり未成年者に対する有害性ということと、それから、ただいまおっしゃいました風紀、風俗の問題が理由になっていたように見受けられました。  以上でございます。
  198. 有島重武

    ○有島委員 若年者にすすめないというのは一つの伝統になっているわけですけれども、これもほんとうの根拠を明らかにしなければならない問題でございますね。  厚生省が毎年、たばこの有害の宣伝を予算を組んでいた、ないしは成人病対策としてこの宣伝費を組んでいた。ことしは健康対策費として一千万円強組んでいるということでございますけれども、先ほど大蔵省では、いま審議会をやっているから、その結論を待っていらっしゃるんだと思いますけれども、すでに公社のほうでは毎年、若年者に対しては喫煙をさせないという宣伝をするんだという、せっかくそういった方向を、いま審議会を始めちゃったから全部御破算にして、ことしはそういったところに予算をつけるのはやめようなんということは、大蔵省としては言わないでしょうね。
  199. 大塚俊二

    ○大塚説明員 厚生省の予算関係は、大蔵省でも主計局で扱っておりますので、私からお答え申し上げる筋ではございませんが、本来事柄の趣旨といたしまして、喫煙と健康の関係がどういうことになるか、これは厚生省としても見きわめたい問題でございますし、私ども、専売公社事業関係いたします大蔵省としても、その点を明らかにするということは私どもとしても望ましいことでございますから、専売事業審議会を現在やっておるから、厚生省はそういう研究をしなくてもいいとか、そういうことにはならないと存じます。
  200. 有島重武

    ○有島委員 いまの予算の点ですね、せっかくこうした方向に向かっているものを、その審議会によってぶちこわすというようなことのないように、これも大塚さんでいらっしゃいますか、大蔵省の代表で来ていらっしゃると思いますので、大蔵省のほうにそのことを要望いたします。  時間が参りましたので、以上二点のことについて質問いたしまして、終わります。
  201. 登坂重次郎

    登坂委員長代理 谷口善太郎君。
  202. 谷口善太郎

    ○谷口委員 先ほど申しましたとおり、私鉄の問題を若干お尋ねしようと思うのですが、私どもは、今回の政府私鉄の運賃値上げの許可、あれは非常に極端な言い方をすれば、不法な、少なくとも不当なやり方であると考えているわけなんです。理由はあります。三つ考えている。  一つは、これは先ほども問題になりましたが、やはり審議会の答申の出ない先に政府が一方的に値上げを許可するということをきめて、審議会の答申があとから出ているということですね。これも、現在の審議会というものの性格が全く自主性のない、欺瞞にすぎぬということを暴露していると思いますけれども、こういうやり方をやった政府態度は、法律のたてまえからいいまして不法行為と言っていいんじゃないかという点が一つであります。  それから第二は、これはもうここで論議はきょうはいたしませんが、私鉄経営は全体として、先ほどからどなたかがおっしゃっておるように、やはり相当のもうけを持っておる。鉄道部門が赤字だといいますけれども、これも私どもの調べたところによりますと、西鉄だけが若干赤字のようであります。あとはほとんど黒字だ。だから、鉄道部門を含めまして黒字である。詳しいことは申しませんけれども、その上に、減価償却の方法だとか、さっきも問題になりました退職手当の引き当て金だとか、あるいは営業外利子負担の配賦のインチキなどがありまして、経理上黒字がないように見せかけているにすぎぬのであって、これらを考えると、非常にたくさんの含み資産を持っております。特に不動産部門などでは、時価に換算すれば相当膨大な金になる含み資産を持っている。そういう状況でありますから、料金値上げの経理上の必然性は全くないというふうに考えているわけであります。  それから第三点は、公聴会を開く場合に、これは審議会の問題でありますけれども、かなり民主的なやり方が欠けている。傍聴したい人がありましても、作為をもって選んだのじゃないかというふうに見られるような形で、一般の人々の声が反映できないようなやり方をやったようでありますが、特に私が強調したいのは、国会でこの問題が審議中なんです。われわれはこの特別委員会でもあるいは運輸委員会でも、私鉄問題につきましてはかなり問題にしまして、いろいろな点を審議しております。もちろん国会は、私鉄料金値上げという問題について権限がありませんので、政府が許可権を持っていますから、そういう点はそれに違いありませんけれども、しかし、少なくとも国会でこうして委員会が開かれて論議されているという過程で、いま言ったようなやり方で、政府が一方的に強引に値上げを認めるというやり方は正しくない。これはもう国民全体の声だ。そういう点で、今度の政府のやり方に対してわれわれは反対でありますし、認めるわけにはいかないという立場であります。  その立場に立って一、二点だけ御質問申し上げようと思うのです。  最初に、本論に入る前に簡単にお聞きいたしますが、この値上げ問題が決定する前後だと思いますが、私鉄の幾つかの大きな会社、特に東急、小田急、東武、それから関西の小さな私鉄も加わっているようでありますが、株式の無償交付といいますか配付といいますか、そういう計画をやっているということ、それに対して政府に何か申し出ているように聞いておりますが、それはどうでしょう。
  203. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 御承知のように運賃改定の打診の際に、総理から、私鉄経営者態度あるいは経営合理化計画、あるいはまた輸送力増強計画の遂行というようなことについて、きびしい注文があったわけでございます。先ほども話がありましたように、それを四十日間くらいかけましていろいろ検討して持ってまいったわけであります。そのときに配当率の引き下げを検討する、こういう事項が入っておるわけでございまして、いわゆるいま新聞紙上で減配問題としていわれておるものであります。これはもちろん政府として、ここまで期待しなかったわけでございます。私鉄自体が非常に経営が苦しくなったということが第一でございます。公聴会の席上その他においても、一割配当しているじゃないかという話もあったと思うわけですが、そういう点もありまして、自分のほうから配当率を引き下げる、こういうことを言ってきたわけであります。  私どもといたしまして、そういうことができるのかどうか、びっくりしたわけでございます。現在、新聞にありますように、証券業界と私鉄業界といろいろ話し合っておるわけでございまして、政府といたしましても、というのか、運輸省といたしましては、これは業界同士の話し合いで何か解決がつくものであるという観測のもとに、期待をしながら見ておる段階でありまして、そういうことはいま聞いておりません。
  204. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私の伺ったのは、配当を一〇%を九%に引き下げたという問題でなくて、それと引きかえという内容があるようでありますが、株式の無償交付といいますか、株主に対して大体持ち株の一〇%の無償交付をやりたいということで、政府へそのことをお許し願いたいということで話が持って入られているということなんです。これは事実かどうかということです。
  205. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 私は現在のところ聞いておりません。
  206. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは正式にそういう申し出があったということではなくて、ということですか、いまおっしゃるのは……。
  207. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 それは私のほうとして特にとやかく言った問題でもありませんし、先ほど話しましたように、証券業界と私鉄業界で円満裏に話がつくということを期待しながら現在静観しておる段階でございまして、私どもは、証券のことについて特に存じておりません。
  208. 谷口善太郎

    ○谷口委員 私どもが調べたところによりますと、正規にそういう話を政府へ持ち込んだかどうかは別としまして、この三社、いま申しました東急、小田急、東武が政府筋との間に、こういう無償株式の一割分配ですね、配当を一分下げたかわりにそういうことをやるということで、だれそれがだれそれにいつどんな話があったというような話も聞いております。また、だから兜町なんかでは、私鉄の株はいま買っておくべきだということで、これは公然と宣伝しておる。だから、私は公式にそういう話が政府に持ち込まれたかどうかわからぬが、とにかくそういう話が政府筋に達しているはずだということを伺ったわけですが、いまのお話では、減配するということに関連して、証券界あるいは私鉄の間に何らかそこいらのところの話が進んでいるのではないかというお話のようであります。政府としましては、これは大臣いないので、まことに恐縮ですが、こういうことを指導上といいますか、あるいは許認可の問題になりますかどうか知りませんが、無償交付を割り当てるというようなやり方——これは当然含み資産をたくさん持っている。そうしてこれの評価がえをいままでもやってきておりますが、そういう点でどっさり財産を持っていますから、無償株を出すことはできると思いますが、そういうことがもしあった場合に許すかどうか、それはどうですか。
  209. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 そういうことを初めて聞きましたので、いまのところ検討しておるひまもありませんし、私のほうが許すかどうかという権限があるかどうかということも検討してない状態でございますので、お答えできる状態ではないのではないか、こういうふうに考えております。
  210. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうではないかと思ったのですが、しかし、こういうことは、これが表面化されてくれば私は大問題になると思うのです。料金を上げて減配するというような粉飾をしながら、実際は含み資産をどっさり持っているのが事実だから、この機会に無償株を発行して——一割といいますと、百万株持っておる人は十万株ですね。そうしますと、ちょうど一%減配された分だけはちゃんとこれで償っておることになります。そういう計画をやっていますと、これは私鉄として国民に対する反逆だと思う。だから、どこが許可するのか、あるいは許認可の問題でないのか知りませんが、やはり経済行為としては断固たる態度政府はとるべきだということを、私はここで強調しておきたい。まああなたの御答弁をいただかなくてもけっこうだと思いますが、強調しておきたいと思います。  そこで本格的な質問に入りますが、今度の値上げの大きな理由の一つは、輸送力増強あるいは保安施設、サービス施設の改善ということを五カ年計画でやってきたわけだけれども、これはここまでやってきてみると、なかなか最後の完成がしにくい、経理上あるいは資金上なかなかやりにくくなった、そこで値上げをしたいということが根拠になっていると思うのです。  この五カ年計画というのは、前に四十一年のときに料金値上げをしましたね、その翌年の四十二年から始まっていて、いまでは三年半たちます。あと一年半余りしか残っていない。そこには五カ年計画でちゃんと計画があったわけですね。その計画も、あれは金はよくいっているんですよ。四十二年、三年は資金繰りでは一〇〇%、それから四十四年では、ことしの二月現在で七〇何%といっております。現在ではもっと進んでいると思いますが、要するに五年のうちの四年近くたっている。三年半たっているということですから、その計画がどこまで進んでいるか、あるいは計画どおりか、実際は進まなかったかという点、これは国民の非常に知りたがっているところです。だから、今度値上げして実際にやるかやらぬかということが勝負になるわけですから、どこまで私鉄の工事が進んでいるか、金でなくて工事量を、あるいは施設の実際の具体的な形でその状況を知らしていただきたい。
  211. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  御承知のように輸送力増強計画につきまして、現在第三次の計画の三年半を経過したわけでございます。ただ現在の輸送力増強計画は、年のペースといたしまして九百六十億のペースであるわけです。約千億近いということであるわけであります。前回の運賃改定の際は、四十一年の一月でありまして、四十一年度がありまして、四十二年度から第三次計画に移ったわけであります。今回のように、運賃改定のときにこの計画を立てたのではないということでございまして、四十一年の運賃改定をするときには、第二次五カ年計画の運賃改定であって、そこには資本費というものを五百五十億ペースで織り込んでおるわけであります。四十一年度の終わりごろになりまして、このままではいけないということで業者を督励いたしまして、第三次輸送力増強計画を立てたわけであります。それがペースとして約倍近い九百六十億ペースであるわけであります。  先生からお話しありましたように、第三次五カ年計画は三年半経過しておりますが、三年たったときにそれぞれの年の計画に対しまして、三年間を平均しますと八三%の達成率になっておるわけです。第一次は一〇〇%とかいろいろあるわけでございますが、第三次五カ年計画を達成するために今回運賃改定に踏み切ったということであるわけでございます。  それで、いままでの三年半の間にどういう工事が達成できたか、こういう具体的な御質問かと思いますが、いろいろあるわけでございまして、具体的な計画を申し上げますと——長くなってもよろしゅうございますか。
  212. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは全部言ったら十四社ありますからね。ですから、特徴的なところを言ってもらいませんと皆さんお困りになるだろうし……。
  213. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 それでは申し上げます。  都心乗り入れ新線建設工事でございますが、でき上がったものは、京浜急行の品川−泉岳寺一・二キロ、これが四十三年六月にでき上がっております。それから近鉄の上本町−難波、これが二キロで四十五年の三月、それから阪急電鉄、これが堺筋六号線接続〇・七キロで四十五年三月、合計三・九キロでございます。この中で近鉄の二キロは、一キロ百億かかった、こういう工事のようでございます。  それから複線化工事で申しますと、東武鉄道の大宮−北大宮、これが一・二キロでございますが、四十四年の四月、複々線工事も含んでおります。それから東武の坂戸−東松山九・四キロ、四十五年三月。西武鉄道武蔵藤沢−入間市四キロ、四十三年十一月ということで、計が複線化で七十・二キロ。それから複々線化が、京阪電鉄の天満橋−野江二・五キロ、これが四十四年の十一月。いま複線化でずいぶん件数を省いたわけでございます。  それから高架化及び地下化実績、これは高架にしたり地下にもぐったり、こういうものでございますが、東武鉄道、曳舟−鐘ケ渕二・七キロ、これが四十四年三月。それから五反野−梅島一・六キロ、四十四年四月。それから東京急行、西小山−大岡山一キロ、四十二年八月。名古屋鉄道、神宮前−呼続一・八キロ、四十四年八月。その他近鉄、南海、京阪、京阪神、阪神、西日本鉄道ということで、十九・二キロあります。  それから車両増備でございますが、五カ年計画では二千百二十五両つくるということでございますが、三年間で千四百十四両、約七割できております。  そのほかいろいろあるわけでございますが、一応具体的にでき上がっておるものはこういうことでございまして、目下建設途上のものが相当あるわけであります。
  214. 谷口善太郎

    ○谷口委員 実は私、きのうあなたのところにお伺いいたしまして、資料をいただきたいということでお願いしたのですが、そのとき、両方で合意の上で、四つぐらいのところをひとつ典型的に調べていこうじゃないかということで、きょう資料を十時にいただきました。東武、西武、京成、京王ですか、これだけのものをいただいておるわけです。  それで調べてみました。おっしゃるとおりに、できているところもあるし、できていないところもあるのですが、割合としまして実際は半分もできていない。これは工事の内容によって、都心乗り入れ新線建設の問題だとか、あるいは複線、複々線にするという問題だとか、その他駅の改良だとか車両の新造とか高架化、それからATS装置の問題とか踏切その他の問題に分けてありますが、こういう複線化、複々線化という問題高架化の問題あるいは都心乗り入れの問題などになりますと、いろいろ問題があるだろうと思う。むずかしいだろうとも思う。しかし、皆さんからいただきました資料を見ましても、ほとんどできていないと言ったのでは言い過ぎかもしれませんが、たとえば東武の場合、複線化、複々線化の問題では、完成したと言っておっても、まだ未完成のところが十六・八キロあるとか、それから停車場の改良の問題でも、伊勢崎線なんかにつきましては、いろいろな関係があって四十六年五月ごろでなければできない。そのとき初めて八両化ができるのだというような言い方をしているところがあるとか、それから車両の問題も、あなたの数字を聞いておりますとまことにうまい話になっていますけれども、計画から見て、現在までに達しているところは一つもない、この四つの社では、計画の数量を達しているところは一つもない。それから高架化の問題に至りましては、ほんとに軒並みですね。  それから、住民としては非常に切実な問題を持っています踏切の問題ですね、これなんかもひどい。これはちょっと申し上げましょうか。東武の場合、計画としては四百九十六カ所、できたものが三百二十六カ所、残りができていないということですね。これはあなた方がくれた資料です。それから西武の場合は、計画が二百七十カ所、できたところが百五十四カ所、京成では百二十六カ所の計画で、できたところが五十七カ所、つまり半分もできていない。それから京王では、八十六カ所の計画で、できたところが六十カ所、二十六カ所残っておるということなんですね。  一々これをやりますと時間がかかるから、およそのことを言いますが、五カ年計画あともう一年ちょっとなんですね、一年半です。実際は、先ほどから申しますとおり、資金問題は、私鉄としてはこれはだんなですから、持っているんだからやれるわけなんです。運賃問題にひっかけるという手があるかもしれませんが、事実はやっていない、こういう点があります。  これは西武ですが、複線化をやるところが武蔵藤沢から東飯能まで十一・五キロの計画ですね。それが現在四・九キロ残っておる。しかも、これは飛び飛びにやっているんですね。一部やって一部やってというようなことでやっている。それからもう一つありまして、所沢から本川越、これが所沢から入曽というところまでやっておって、全線でいいますと十八・八キロメートルあるのですが、十二キロ余りがまだ未完だということで、三分の二未完といってもいいかと思うのです。そういうことなんですね。  それから、これもひどいことですけれども、調べてみると、所沢から東飯能までの間にずいぶんたくさん踏切がありますが、遮断機も警報機もない踏切が十四カ所ある。  まだ、こういうふうにいろいろ調べて、たくさん持っているのですけれども、言いませんが、各線ともそういうことなんですね。こんなことは、御案内のとおり交差にでもすればなんですけれども、遮断機もない、遮断機があっても人がおらぬというようなところだとか、警報機があっても人がおらぬ、いろいろなところがあるようでありますが、ここらはできるわけですね。場所によっては、踏切の問題が解決したというので調べに行ったら、人を通さないところがある。これは踏切をなくすのですから一番いい解決かもしれないが、そのかわり人間は通れない。そういうやり方でやっているんですから、ここらは、工事が相当早く進むような指導なり監督なりというものは政府の責任だと思うのですが、どうでしょうか。
  215. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  先ほど私がお話しいたしました、計画に対して八三%できておるということは、その際も申し上げましたが、三年間の計画に対して八三%ということであるわけでございまして、全体として見ますと、三年間で五三%、こういう数字になるわけでございます。これは、三年間ですから五分の三で、六割というのが普通なんですが、五三%、こういうことであるわけでございます。  工事につきまして、飛び飛びにやっておるとかいろいろなお話がありましたが、用地確保の問題、それから、国鉄等でも複線化の場合、できるところからやる。みな手をつけて、全部一方のほうから押していくのではなくて、一番込むようなところを複線化する。こういうようなことが一番好ましい。複線化を起点から終点までやると、とにかくでき上がってしまわないと使えないので、一部分ずつ複線化していく。込むところをところどころ突っ込む。これが鉄道工事の常識なわけでございます。  それから、できたところがないというお話でございますが、ATS——列車自動停止装置でございますが、これは運転手諸君が間違えないようにということで、特別な電子工学による機械を装置する。これは大体一キロやるのに四百万から五百万かかりますが、五年間の計画を三年以内にということで、もう現在終わってしまって、それ以外のところに手をつけておる、こういう実績になっておるわけであります。  それから、八三%という達成率の中では、特に保安工事の達成率のほうが輸送力増強よりもいいということになっておるわけでございます。  それから、先ほど先生からお話がありました踏切の問題でございますが、踏切に対しましては、無防備な踏切が多いということは前々から問題になっておるわけでございます。運輸省におきましても特に大臣が踏切の問題に熱心でございまして——いままで踏切の法律があって若干の補助金等があったわけでございますが、これは十四私鉄にはついていないわけでございます。特に経営状況の悪い鉄道には補助金もあるわけでございます。さらに、その法律が時限立法でございますので、来年度またこれをさらに延長したいという考えを持っております。それからさらに、その方策を積極的に前向きに進めるということで、五カ年計画なり十カ年計画をつくってやっておる次第でございます。
  216. 谷口善太郎

    ○谷口委員 これは踏切の問題でもいろいろたくさんありまして、一つ一つ言いませんけれども、これなんか、ほんとうはいつでもできることですな。交差にするということになりますとこれはたいへんですけれども、ここで言っているのは、いま、警報機があって人がおらぬとか、あるいは警報機はあるけれども遮断機がないとか、そういう不備なところが非常に多いのです。そういう点、もっと早くやれることをやらない。たとえばいまおっしゃったATSの問題でも、これは全線のものを三年で全部やっちゃったとおっしゃったですね。こういうことがやれるというなら、こういう切実に生活関係する問題、たとえばさっき改札口の話が出ましたが、これはどこにも陳情がいっておりますけれども、こういう問題はすぐに解決できる問題です。それをずっとあとへ残しておる。これはやはり厳重な督励を出される必要があるのじゃないでしょうか。
  217. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 きょうは踏切につきまして資料を持ち合わせておりませんですが、十年間の全国的な傾向とかいろいろなもので見ますと、いわゆる無防備な踏切というのはどんどん加速度的に少なくなっているということを、資料を持ってきておらないので申し上げられないのが非常に残念でございます。それから、踏切の数も少なくなっていることも事実であります。  なお、地元からの各種の要望がある面について、できるものからやるように督励するようにということでございますが、これは各事業者がいろいろ聞いておるわけでございまして、事業者のほうでできるものからやるような段階にあるのじゃないかと思うのです。ただ、資金にもある程度ワクがあるということで、優先度合いというものも各会社において考えるのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。大工事につきましてはこちらから指図がしてあるわけであります。
  218. 谷口善太郎

    ○谷口委員 時間をなるべく食いたくないのですが、もう一つこの問題で聞いておきたいのは、この計画の中に、五カ年計画第三次といいながらこれをはみ出して、完成の目途は四十九年三月であったり、はなはだしいのは五十何年というような計画があるわけですね。これは一体どういうことなんですか。これは理屈があるのですよ。五カ年計画、その中で十年もかかるような——昭和五十何年といったら十年かかります。そういうものが入っているのです。そして、そこで資金計画をやっておるのです。五カ年計画の範囲でやれないものまでちゃんと入れて、それを資金計画としているのは先取りじゃありませんか。その点どうですか。
  219. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 御承知のように、鉄道の工事というものは、用地の買収とかそういうこともありますけれども、特に工事の時間が非常に長くかかるということであるわけであります。いわゆる、われわれのことばでいう懐妊期間の長い建設工事であるということでございます。国鉄におきましても、新線建設その他見ましても、非常にスピードがおそいわけでございます。新幹線のように、ああいう三年か四年でつくるというのは非常にまれな例でございまして、その年だけで終わる工事をやるということにつきましては、非常に小規模な工事だけになるわけでございます。抜本的な輸送力が非常に足りないというような段階におきましては、やはり大工事になるのが自然のことでございまして、五年間で終わるものや、それから五カ年計画の前の年から来ておるものもあるわけでございます。先ほど読み上げました四十二年の何月にできたというのも、前からの続きのものもあるわけでございます。これは計画を立てて五年とか四年とか三年とかやって、ずっと続いているわけでございまして、これはある程度懐妊期間が長い工事である以上やむを得ないのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、新幹線のように、ああいう大工事になりますと、どこから何年でつくるというようなことが言えるわけでございますが、これはそれぞれ、たとえば四十四年から三年間かかるとか四年間かかるとか、あるいは四十三年から始めて七年かかるというようなものもあるわけでございまして、この点は工事の性格上やむを得ないのではないかというふうに考えております。
  220. 谷口善太郎

    ○谷口委員 どうも納得いきませんですよ。それは用地買収なんか、ひまが要って長くかかることもあると思うのですよ。そういう場合には、用地買収という費用でその調査をするとか、そういう費用で計画の中の予算を立てるべきであって、これはずっと先にやるんだということまで五カ年計画の中へ入れちゃって、そして先取りを予算上ちゃんとやってしまうというような、そういうやり方は国民は承知できませんですよ。  それで、金が足らぬと言ってやらぬでしょう。私は、時間がないからなにしませんが、さっきから何べんも言うように、鉄道部門でも、輸送力を増強してラッシュアワーの混雑をなくするような方向での努力よりも、そうでない観光地帯を行くところだとかあるいはその他の——西武なんかもそうでしょう。あそこの奥多摩のあの辺なんか早くつけちゃって、いまではロマンスカーがだっと走っているわけですね。そういうことには非常に金を出して一生懸命やる。ところが、ほんとうに住民が混雑して困っているところは、何かいろいろな理屈をつけて、しかも、将来やることをいまの計画において資金計画をやり、よそへ運賃を値上げするというような考え方は、ちょっと国民は納得できないですよ。そういう点はどうです。
  221. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先ほど申し上げましたように、鉄道の工事は大体長いのでございますけれども、特に従来の第一次、第二次に比べまして、いままではホーム延伸で車をふやせばいけるというようなことが、ホームも、とまる全部の駅を直さぬことにはいかぬわけですよ。いままでは、わりに簡単に輸送力増強ができたということです。いまは、たとえば二分三十秒ヘッドで、なかなかこれ以上入らないというような状況になっておりますので、線路が足りない。ですから、たとえば十五分おきに列車の走るようなところですと、車と人間さえあれば幾らもいけるわけですけれども、線路の基礎施設が足りないという段階になっておるわけでございますから、どうしても懐妊期間が長くなる、こういうことになるわけであります。その点御了承願いたいと思います。
  222. 谷口善太郎

    ○谷口委員 一体そういうことを言っていて、この五カ年計画は、これまた途中で料金を上げないとできないということになりませんか。第四次に続き、そういうことになりませんか。
  223. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  どうも私どもが考えなかったことでございますが、先生のおっしゃることはこういうことじゃないかと思うのですが、たとえば七年間かかる工事のものを七年分輸送原価に入れた、こういうことでございますか。
  224. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうです。つまり、四十二年から始まりますこの計画ですか、高架なら高架にする、これは五十年にできるという計画ですな。理論上言いますと、四十二年から始めてもいいわけなんです。金があってやり出す。できましょうが。そうすれば五十年までかからぬわけでしょう。つまり五カ年計画をはみ出しまして、五カ年計画で工事を始めてもなお何年か将来にわたる、それが入っているわけでしょう。資金計画の中に入ってないのですか。その分は、これは違うんだということで抜けているのですか。
  225. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 私、頭が悪いのかもしれませんが、どうも御質問の内容がわかりかねるものですから……。
  226. 谷口善太郎

    ○谷口委員 それじゃ例で言いましょうか。これはあなた方からいただいたやつですね。たとえば北千住から竹ノ塚ですか、六・三キロ、複々線化です。完成の目標は四十九年三月だ。これは五カ年計画に入っているのです。四十二年から四十六年までの五カ年計画の中に入っているのです。計画になっているんだ。五カ年計画の中身なんです。その計画の工事は——いま金を出す出さぬは別ですよ。その資金関係があって、この五カ年計画遂行の場合にこれだけ金が要る。そのためには借り入れ金はこうで、自己資金はこうで、だからこれだけの料金を上げなければならないということになったんでしょう。そうでないのですか。
  227. 登坂重次郎

    登坂委員長代理 五年の分に七年分まで入れている。だから、七年分は七年分として計画を立てるべきだ、こう言うのでしょう。
  228. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうです。簡単なことです。
  229. 横田不二夫

    ○横田説明員 私からお答えいたします。  五カ年計画には、四十九年までかかる工事のうち今度の五カ年分だけしか入ってない、要するに四十二年から四十九年までですから七カ年間でございまして、そのうち五カ年分しか入ってない、こういうことでございまして、七カ年分が全部入っているわけじゃございません。といいますのは、これは資金計画でございまして、いろいろな経費の値上がりとかあるいは工事の実際上の用地の取得の難易の問題とか、そういうことがございますので、したがいまして、大体どこでもそうだと思いますけれども、三カ年ないし五カ年に一応資金上の計画を区切って実行が確実なようにやっているわけでございます。したがって、ものとしての全体の計画は、通じてつくりますと、たとえば東武の場合の北千住から竹ノ塚までの複々線化工事は四十九年までかかる、こういう形になるわけでございます。
  230. 谷口善太郎

    ○谷口委員 はい、そこはわかりました。おっしゃるのは、つまり四十九年までかかる。しかし、四十六年までは五カ年計画だから、四十六年までの分を資金の中に計画としては入れている、こういうことですね。そうじゃないですか。
  231. 横田不二夫

    ○横田説明員 そういうことでございますが、ただコストの面で見ますと、運賃原価として今度運賃の査定の際に見ましたのは、平年度化しまして一年分しか見ていないのでございます。したがいまして、現在認可をしましたのは、大体この実施は十月五日からでございますので、収入は十月の五日以降しか入りませんので、この一年半ばかりの間、この間を一年間に平均化しまして、そして平年度計算をやるわけでございます。その平年度分としてしか入っていないわけでございます。ですから、あと二カ年で残っております四十五年度分、四十六年度分の総工事額は約二千三百億でございます。大ざっぱにいえば、それの半分の工事量に見合う資本費が必要な分だけ見込まれておる、これだけのことでございます。
  232. 谷口善太郎

    ○谷口委員 ますますややこしいことを言いますな。これは五カ年計画で総額四千何百億というあれがあるのでしょう。そうでしょう。ちゃんと計画書にある。その中に四十六年以後の分が入っておるかどうかということです。入っておるのですか、入ってないのですか。
  233. 横田不二夫

    ○横田説明員 計画としてはもちろん入ってございます。資金計画として入ってございます。
  234. 谷口善太郎

    ○谷口委員 資金計画があって、それを見通し値上げしたのじゃないですか。そうじゃないの。
  235. 横田不二夫

    ○横田説明員 値上げをいたしましたそのコストとして見ておりますのは、四十六年度までの工事のうち、一年半のうち、これを平年度化した一年分しか見ていないわけでございます。全体の工事費を見ているわけではございませんので、それに必要な資本費だけを見ているわけでございます。
  236. 谷口善太郎

    ○谷口委員 時間がないから残念ですけれども、これの答申もそうですが、平年度というあのインチキは、どえらいインチキがあるのです。あなた方は、われわれがしろうとだから知らぬと思っているのかもしれぬけれども、もっとやりたいけれども時間がないからやめますが、平年度というのです。来年度の予想でもなければ今年の実績でもない。米価だってそうです。そういうインチキがあることはありますが、きょうはやめます。  いずれにしましても、私は率直に聞きます。この五カ年計画の、いまあなたが言ったように四十九年に完成するという場合は、その四十六年以後の分は入っておって資金計画を立てておるのでしょう。それはそうだとおっしゃったでしょう。
  237. 横田不二夫

    ○横田説明員 私の申し上げたことは、五カ年計画の総額としては、四十二年から四十六年までの四千八百億円でございまして、その一部に、たとえば東武の場合はこの七カ年間かかる複々線化工事のうちの五年分が入っておって、二年分がはみ出ておる、こういう形になりましたが、それは長期の計画として別途つくるということになっております。
  238. 谷口善太郎

    ○谷口委員 いま言った分は入っていないということになりますね。そうすると、ここはどうなりましょう。これは西武ですね。西武の武蔵藤沢からさっき申しました東飯能、あるいは所沢−本川越、そのほか三区間五・三キロの複線化、これの完成期が四十四年十一月から——着工期じゃないのです。完成期が四十四年十一月から四十八年十一月、四年かかるのです。そうすると、四十四年前に着工しておりますな、四十四年十一月に完成するという計画が出ぬわけですから。最低、四十四年十一月に完成するというなら、その前からやっておるのです。それを今度は四年先まで完成期を延ばす、そういうゆとり、幅を持っているのです。これはどうなります。これはどっちになるのです。
  239. 横田不二夫

    ○横田説明員 手元にはもう少しこまかい具体的な資料がございませんので、まことに恐縮でございますけれども、所沢−本川越ほか三区間とございますのは、全部で四つでございますけれども、四つの区間について全部まとめていえば四十四年十一月から四十八年十一月、こういうことでございまして、それぞれについてそういうアローアンスがあるということではございません。このうちで完成をしておりますのは、先生のお手元にございます。新宿線のうちの所沢−入曽六・七キロ、それから小平−萩山一・一キロ、国分寺線の恋ケ窪−国分寺一・二キロ、これは完成しておるわけでございます。ですから、四十四年の十一月から四十八年の十一月までの間に完成すればよろしいというふうに、個々の場所の個々の工事についてなっているわけではないのでございます。
  240. 谷口善太郎

    ○谷口委員 うまいこと言いますから、それではもう一つ——あなたの話は、私も線路を持ってきて、どことどことをやっていてどこがやられていないというのを調べておきます。  ところが、こんなのがあるのですね。これも西武の、これは高架化です。高田馬場−中井間一・四キロ、下井草−上石神井間二・四キロ、それから富士見台−石神井公園が二・九キロ、これが一つずつ違っておるのですよ。これが四十八年十二月から五十年三月までの間に完成する。このうちどの分が五カ年計画に入るのですか。四十八年ですよ。これは民鉄の出した資料です。
  241. 横田不二夫

    ○横田説明員 お答えいたします。  まず高田馬場−中井間一・四キロの完成期限は四十八年十二月でございます。それから下井草−上石神井間二・四キロは五十年三月でございます。最後に富士見台−石神井公園間二・九キロは四十九年三月でございます。かようにそれぞれ期間の幅がございますものを、一つ一つ書けばよろしかったのでございますけれども、まとめて書きまして、たいへん申しわけございませんでした。
  242. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そうすると、これは五カ年計画の外ですな。
  243. 横田不二夫

    ○横田説明員 外という一わけではございませんので、たとえば一番最初の高田馬場−中井間について申し上げますと、着工は四十四年の四月でございます。それから下井草−石神井間も、四十四年十月の着工でございます。着工といいましても、もちろん用地の取得その他から始まるわけでございます。それから富士見台−石神井公園につきましては、着工は四十四年十月でございます。したがいまして、五カ年計画間に着工するものでございますので、その一部は五カ年計画の中に入っているのですが、非常にわずかな額でございます。
  244. 谷口善太郎

    ○谷口委員 弱っちゃいましたですな。工事をやる、入り口のところをやっておいて、それを五カ年計画だ、そんなべらぼうなことを国民は納得すると思いますか、こういう計画を。これはずっと一次から二次、三次、四次も将来持っているらしいのですが、これはずっと続いておりまして、その間に料金を上げていくだけなんですよ。そうして私鉄の設備を多くしている。そのために自己資金だとかあるいは借り入れ金の中でやる。そういう形の中で料金を上げていくというだけで、こういう計画計画じゃないですよ。こんなものを認めて、そうして何か料金値上げというようなことをやるのはよくないということですよ。この点、やはりはっきりしておく必要があります。  ただ、時間がないから私は先に進みますが、実際この計画をやって、予定どおり混雑がなくなりますか。これはどうですか。
  245. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  先ほど先生の御質問にお答えできなかったのを非常に遺憾とするわけですが、工事計画と申しますのは、私が再三申しておりますように懐妊期間があるわけでございまして、この運賃改定に際しましては、千億以上の工事が単年度ペースでできる、こういうことで運賃改定の中に織り込んでいるわけでございます。運賃改定の運賃の収支計算というものは一年ごとに見るわけでございますから、一年ごとに千億ペースの工事ができる、こういうことでございまして、そのうち、この中に書いてあります各社に通達した工事というものは、二年分のものである、こういうことであって、二年間の中で工事が全部済むというのは非常に小工事であって、これは外にはみ出るものもありますし、いろいろあるわけでございます。懐妊期間が長いものはやむを得ない、これは国鉄の五カ年計画であろうとどこの五カ年計画であろうと、必ずあるものだと私は考えておるわけでございます。  それから、混雑率が緩和するかどうか、こういうことでございますが、私がいつも申しておりますことは、混雑率が非常に改善されるということは御期待されてはちょっと困るのじゃないかということでございまして、これは先ほど申しましたように、いままでは混雑率のあれを見ますと、第一次のときの混雑率は、これはラッシュ一時間当たりでございまして平均混雑率、代表的な二十六線区の一番混むところをつかまえているわけでございますが、二三五、定員の二・三五倍、こういう数字であるわけでございまして、第二次の場合は二三一、第三次が、四十二、四十三の二年間、五カ年計画の初めの二年間でございますが、このときに二二二、それから四十四年になりまして二一七、こういうことになっているわけですが、今後四十六年には二一五にするという計画で、こういうことになるというふうに確信しておるわけでございます。  ただ、どうしてこうスローテンポであるか、こういうわけでございますが、年々、先生御承知のように都市集中が激しくなりまして、輸送力を増強するかたわら、片方に輸送需要がふえてくる、こういうことであるわけでございます。たとえばラッシュ時のお客が四%ふえるときに、四%輸送力を増強するということになるともとのもくあみになるわけでございます。一向改善されないということで、お客の輸送需要の伸びるのに対しまして、輸送能力というものを、一%だけ設備を余分にふやすことによって混雑が二・四%緩和される。いま二二〇近くのものでありますからそういう計算になるわけでござ、います。いままでのスピードに対しましておくれると申しますのは、先ほどから再三申しておりますように、ホームを延伸して六両編成を八両編成にする、ホームだけ延ばして車さえ入れればいけるのだ、列車が入るのだという段階が、漸次余地が少なくなりつつあるということで、線路が足りない、こういう状況になってきているために大工事になり、また目に見えた混雑の緩和にならない、こういうことに御承知おき願いたいと思う次第でございます。
  246. 谷口善太郎

    ○谷口委員 お話を聞くとますます心細くなってきますが、これだけの金をつぎ込んで複線もやり複々線もやり、それから車両もたくさんつくり、高架にもやる。ところが、混雑度が下がるのはまことにわずかなんですね。何か、一%工事をやると二・四%下がると言っていらっしゃいますが、大体一〇〇%というのは、つまり平生どういう状態を言うんですか。
  247. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 これは一人当たり〇・三平米で面積を割ったものが定員であるわけでございます。
  248. 谷口善太郎

    ○谷口委員 つまり一平米に三人ということですね、簡単にいいますと。二〇〇%ということになると六人ということになりますね。そのうち五%、一〇%下がったところで、上がったところで、たいしたことはない。しかし、からだ半分に切って入るわけにはいかないから、それこそ殺人なんですね。これがあまり変わらぬというと、輸送力増強とは何ですか。市民のほうの要求は、これを人間的に扱うようにしてもらいたいというのを輸送力増強と考えているのですが、私鉄政府考えている輸送力増強とは何ですか。
  249. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 都市交通の問題でございまして、これは政府をはじめ各般の都市政策にも関係するところでございますが、流入人口というものは非常に多いわけでございまして、ここで数字を……(谷口委員「よろしいです、よく知っております」と呼ぶ)そういうふうに非常に多いわけでございますので、それに追っつくために輸送力増強をいたして、少しでもよくしよう、このままほっておけばもっとひどくなる、こういうことでございますので、私どもといたしましては、五十年には二〇〇%未満という計画を立て、また六十年には一五〇−一六〇%未満にしたいという計画を立てて進んでおるわけでございます。
  250. 谷口善太郎

    ○谷口委員 そこのところが大事なんですね。そのとおりですよ。努力していただきまして、二〇〇%未満にしていただく。少なくとも三〇%下げてもらうとすると、混雑は六人が五人になるんですよ。第一、普通と言われている一平米三人なんというのは人間の扱いじゃないですね。そういう状況でありまして、混雑の下がる、上がるということなんかは、皆さん——あなたはべんとうをかかえるかどうか知らぬけれども、かばんをかかえるかかかえぬかという程度なんだな。新聞なんか読めるものじゃないですね。そうしますと、私鉄政府考えております輸送力の増強というものは、人口がふえて需要が大きくなる、その人間をなるべくたくさん運ぶということが目的になっているようですな。そこに輸送力増強の意義があるように認めていらっしゃるようですな。そうじゃないですか。
  251. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 先ほど来二〇〇%と話しておりますが、再三申し上げておりますように、朝一時間の、各線区の一番こむところの数字でございます。これは先生十分御承知だと思いますが、一日じゅうで見ますと七六%、こういう数字になるわけでございます。朝の一時間に、片方だけ見ますと三〇%乗る。たとえば荻窪から東京というような方向で見ますと、十八時間くらい電車が動いているうちに、朝、三〇%くらいがそこに乗ってしまうというわけであります。したがいまして時差通勤その他をお願いして、いろいろしておるわけでありますけれども、そのためにどうしても込んでくる。昼間の一番すいているときの一時間をとってみますと、——すいているときというのは朝の十時から夕方の五時まででございますが、これは混雑率が約五八%という数字になるわけでございまして、しかも昼間は車が、朝一時間に走っている車の半分くらいになる。なって、しかも五八%にしかならない。十八時間平均しますと七六%、こういうことであるわけであります。一日じゅう朝のラッシュの一時間と同じように車を走らせるとすれば、一日じゅうの平均が三八%になる、こういう数字になるわけで、その朝のところで輸送力というものをふやさなければならぬという私鉄事業者の宿命というようなものについても、特にここで申し上げておきたい、こういうふうに考えるわけであります。
  252. 谷口善太郎

    ○谷口委員 それは、あなた方、きのうもその話をなさいました。それで私どもも知っておる。あなたがまだ七〇%とかというふうにおっしゃるのは、これは平均だと思いますよ。電車によっては、車庫へ入って寝ている電車もある。休んでいる電車もある。だけれども問題は、出勤時にラッシュアワーで何十万の人が命がけで乗っておるその分だけ——どうでもいい、計算してみればこうなるからということだったら、それでいいということないでしょう。それは算術であって、経理上の問題であって、人間の問題に対する政治の問題とは違うです。たとえ一分間でも何十万の人間が命がけで通勤しているということをどうするかということが問題なんですよ。おっしゃるとおりに、自民党と政府政策は、新全総なんかでいいますと、もっともっと都市集中やりますよ。もっともっとたくさんの、電車を利用しなければならない人間ができる、そういう状況なんですが、一体どうする気ですか。現状のままでいって、一生懸命やって何%か混雑の状況を下げたって、あとからあとから人口集中している。そのたびごとに、私鉄はそれでもうけているのですが、料金を上げていくというやり方でやっていっても追っつかない。一次、二次、三次と、そうやっているんですよ。いまの政府政策ではそうなります。一体どうする気ですか。このままいきますか。どうするんですか。
  253. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 二〇〇%をこえておるというのは非常に遺憾な状態であって、それを解消したいということで現在努力しているわけですが、目に見えてはなかなかよくならないということを申し上げるよりしようがないということは、はなはだ遺憾であるわけであります。ただ、そのたびごとに運賃を上げているかどうかということにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、四十一年一月の運賃改定の際には五百五十億ペースの工事を見込んでおったというものを、千億ペースに近い工事量にしてここ三年半やってきたわけでございます。その辺を御了承願いたいと思います。
  254. 谷口善太郎

    ○谷口委員 押し問答をやっていたってしようがないですが、そんなら、今後運賃上げぬということを言えますか。言えぬでしょう。四十一年に上げて、四十二年から五カ年計画が始まったという推移を見れば何だけれども、計画を立ててやってきている中で、金の足らぬときには適当な時期に上げてきているのですけれども、今後上げませんか。そんなこと、私鉄は承知しますか。
  255. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 私が申し上げたのは、工事をふやすたびに運賃改定をするという先生のお話に対しまして、必ずしも直前の運賃改定の際には現にそうではなかったということを申し上げた次第でありまして、今後永久に運賃を改定せずに一五〇%までもっていくというようなことは、申しているつもりではございません。
  256. 谷口善太郎

    ○谷口委員 ということは、いまの状況のもとでは電車を利用する人間はどんどんふえるのだから、何とかしなければならぬという問題は常に起こってくる。その場合に、私鉄のいままでの経験からいえば、事実が示すとおりに、運賃の問題にくるわけです。そういう例からいけば運賃値上げ——混雑は緩和しない、人口は多くなった、もっと増強しなければならぬ、運賃値上げしていくということになる。一体政府はどうする気だということです。これは大臣がおったら聞きたいのですが……。  では、次の問題に入ります。こういうことがあるのですが、これはどうなんですか。これは一ぺんこの委員会で問題になったのじゃないか。私は実は新米でして、この委員会にはこれで二回目なので知らぬのですが、もし問題になっておればいいと思いますが、ことしの六十三国会の予算委員会の分科会で、運輸大臣の橋本さんが地下鉄の問題に関連してこう言っているのです。今後は東京都に申請があっても、地下鉄はなるべく許可しないでいこうと思う。むしろ乗り入れなんかの関係があるから、民鉄でやっている複合方式のほうがいい、ということを言っているのです。これは私見だからということを彼は断わっておりますけれども、しかし、都市交通審議会に対しては、やはりこの方向で私は話を進めていく、こう言っているのですが、これはどうなんですか。政府部内としての一応の意見ですか。それともこういう方針を持っているのですか。
  257. 須賀貞之助

    ○須賀説明員 お答えいたします。  先ほど来申し上げておりますように、私は公聴会の直前に本省の海運局からかわってきたものでございまして、ただその際、この複合形態で都市交通をやるのだということにつきまして大臣の発言があったということを聞いております。この問題点は、いまから考えてみますと、東京都が埼玉県に出る。東京都か営団かどちらかにしましても、埼玉県に出たり千葉県に出る、こういうような問題があるのじゃないかと思うわけでございます。そういう際に、都の場合、埼玉県とか千葉県といったところといろいろな場合が起こり得る可能性がある。現に大阪市におきましては市営の地下鉄をやっているわけでございますが、ここにつきましては若干地域から出ているわけでございます。地下鉄ですから出ているわけでございますけれども、根本的な解決策にはなっていないということでございまして、この六月ごろから行なわれている都市交通審議会におきまして、これは現在、東京部会、大阪部会同時に行なわれて、毎月二、三回会合をやっているわけでございますが、ここでそういう経営主体も入れていろいろ検討を重ねられておるという段階であるわけでございます。
  258. 谷口善太郎

    ○谷口委員 結局、私のお尋ねしたことに対する答えになっておるかどうかわからないのですが、事務的にいえば、東京都なら東京都で地下鉄をやる、埼玉県に行った場合には埼玉県側ではやりにくいだろうという形式論だと思うのですけれども、しかし、その前に何か東京都に対する制限規定をこしらえている問題がありませんか。つまり陸上交通事業調整法第二条第二項に基づいて、東京都に対して交通機関を経営することについて制限規定をこしらえておりませんか。
  259. 横田不二夫

    ○横田説明員 お答えいたします。  現実の問題として、陸上交通事業調整法は法的には生き残っております。しかしながら、現実の行政の面におきましては、たとえば都営に対して一号線、六号線、十号線の免許をいたしておりまして、公示になっております。それから、私は鉄道監督局でございますけれども、バスのほうにつきましても、都営は外のほうも、たとえば環状七号のほうにもやはり免許を受けて入っておる状態でございまして、都営について現実に制限がきびしくなされているということは、実際上ございません。かように承知しております。
  260. 谷口善太郎

    ○谷口委員 ここに持っております資料では、中央部の路面より地下の二つのブロックは、政府はいま申しました調整法の第二条第二項によって命令して、調整して東京都の範囲をきめているということだ。その郊外の中央線以南、それから中央本線から東北本線との間、東北本線と常磐線との間、常磐線より東南の区域、この四つの区域に郊外を分けて、名前を一々言うと時間がたちますから言いませんが、私鉄の約八社にそれぞれ負担の区域を割り当てて独占させるのだということをきめたという文書があるのですが、これは撤廃ですか。
  261. 横田不二夫

    ○横田説明員 先ほど申し上げましたとおり、この法律は効力を失っておりませんけれども、戦争中の統制から生まれたものだと思いますが、その関係で、現実にはそのとおり四角四面には運用されておりません。したがいまして、バスなどをごらんになりますと、御承知のように東急だけではなくて、小田急とか京王帝都あるいは京浜、そういうふうに、いま東急とは別の会社もできておりますし、そのように変わっておりますということで承知いただきたいと思います。
  262. 谷口善太郎

    ○谷口委員 時間がなくなりましたので、もう結論に入るつもりでおりますが、私も撤廃されているなら撤廃されているということでいいと思いますが、事実はそうではないのであって、いまやめておられますけれども、前の東京都の副知事の鈴木俊一君が新聞に発表しているところを見ますと、これはやはり厳重な制限があって、実際は東京の郊外は全部私鉄にやられていて、バスを出すことができない。出されるところは、新しくそういうのを——六号線か何かあるようでありますが、実際はそういう状況にある。路面電車は下へ埋めたのだけれども、これはまたいま言うように、よそへは行けないことになっているというようなことを言っているのですが、こういう取りきめは撤廃になりますか。これをきめましたのは、くしくも五島慶太氏が運通大臣であったときです。やりそうなことです。戦争中ですよ。これはいまも生きているのです。撤廃したら撤廃したと言ってください。
  263. 横田不二夫

    ○横田説明員 先ほどからも再三申し上げておりますとおり、私の記憶によりますと、その陸上交通事業調整法は生きてはおりますけれども、その運用をいたします場合に、戦前、戦中と事情が変わっておりますために、その事情の変わったのに応じて現実的な運用がされております。したがいまして、撤廃はされておりませんけれども、実際の運用面におきましてはそのように、たとえばこのエリアは東急だけである、このエリアは西武だけであるというふうにはなっておりません。したがって、都営バス等も外へ出ているところが随所にあると聞いておるわけでございます。
  264. 登坂重次郎

    登坂委員長代理 谷口君、結論を急いでください。
  265. 谷口善太郎

    ○谷口委員 時間がないようですから急ぎますが、東京都が地下鉄も自由にやれる、またバス路線も、いまの私鉄資本がやっているそこへ自由に乗り入れができるということの方針を出すべきだと私は思うのです。つまり大都市交通機関の問題、これを実行する実際の主体はやはり自治体であるべきだ。つまり公営でやるべきだという意見を持っております。これはひとつ提案します。
  266. 登坂重次郎

    登坂委員長代理 谷口君、交通委員会でひとつお願いします。
  267. 谷口善太郎

    ○谷口委員 わかりました。これはひとつやってもらいたいと思います。  それから、もし私鉄がこういう取りきめがあって文句を言うんだったら、このまま私鉄にまかすわけにいきませんから、地方鉄道法によって私鉄を強制買収する必要があると思うのです。してもいいと思うのです。交付公債を出して政府は買い上げて東京都にまかすという政策ができると思うのです。それから地下鉄の場合は、あなたはよその府県とは困難だとおっしゃるけれども、たとえば京都でいえば京都市と京都府が一緒になってやろうという計画を、われわれいま計画しております。市と府とか他府県間でも同じでありまして、協力できぬことはありません。これは冗談みたいなことになりますけれども、秦野さんがなったらできぬかもしれぬけれども、美濃部さんならやれますよ。そういう権限を自治体に与えるという方向をやはり出すべきだという意見を、われわれ持っています。この点をひとつここに提案しておきます。  それから委員長、最後ですけれども、私鉄の問題は、値上げをされましたけれども、済んだのじゃありませんので、内容をもっとよく調査する必要があると思うのです。できるならこの委員会私鉄の責任者を適当に証人喚問するというようなやり方、証人がちょっと無理だというなら、参考人として呼ぶというようなことをひとつやっていただきたい。これはここでひとつ委員長に提案します。理事会で御相談いただきたいと思います。  どうもたいへんありがとうございました。
  268. 登坂重次郎

    登坂委員長代理 後刻理事会にはかります。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十一分散会