○楠岡
説明員 五点御質問がございましたので、順次お答え申し上げたいと存じます。
第一は、台湾バナナを規制しております根拠ということになるかと存じますが、台湾バナナは、御質問中にもございましたように、自由化後台湾側の窓口一本という
事態からいろいろ弊害が生じましたので、その弊害を除去するためにやむを得ず規制をしたものでございます。したがいまして、自由化をできるだけ早い
事態にしたいということではございますけれ
ども、台湾側の
事情が変わりません間は、またいわばもとのもくあみになる公算もございますので、台湾側の
状況を見ているというのが実態でございます。中華民国
政府も自由化を
要望しておりますことは事実でございますが、私
ども、中国側が輸出体制をどういうふうに持っていくのか、その点についてはっきりした見通しが立たないままに、まだ台湾産バナナの市場におきますシェアが相当ございます現在、いきなり自由化を進めますことは、必ずしも適当ではないのではないかというふうに考えておる次第でございます。したがいまして、再自由化のために何をしたかと申しますと、消極的だというおしかりを受けるかと思いますけれ
ども、中華民国
政府がどういうような政策をとりつつあるかというのを注視しておるわけでございます。
ただ輸入業界一般の問題でございますけれ
ども、輸入秩序を維持する、あるいは秩序立った輸出をしていくということは当然のことでございまして、これは自由化するとしないとにかかわらず当然のことと存じますので、私
ども、
農林省のお力もかりまして、輸入業界が秩序立った輸入をしますよう、これは全
地域でございますが、いろいろ
指導しておるところでございます。
それから第二点は、まず、現在のAIQ制度というのが法律上必ずしも適当ではないのではないかという御
指摘でございますが、これは輸入貿易管理令の九条というのがございまして、「輸入割当て」というものを認めておるのでございます。輸入
割り当ての中にいわゆるインポートクォーター、IQと俗称しておりますものと、自動輸入
割り当て、AIQと俗称するものと二つございまして、いずれにしてもこの根拠は、この輸入貿易管理令の第九条に基づくものでございます。
輸入組合ができました当時の業者の総数は、六百八十三といわれます非常に多数の業者がございましたが、現在では二百五十を割っておる
状況でございまして、先生御
指摘の実体のない業者がおるじゃないかというようなことでございますが、この点は実質的に非常に改善を見たと申し上げられると存じます。
それから第三点は、輸入の
数量制限を行ないますためにいろいろな弊害が出てくる、こういうお話でございますが、その前におことばを返しますようで非常に恐縮でございますけれ
ども、貿易の実態として、輸出業者が輸入業者を自由に選択するというのは当然でございますけれ
ども、一方また、輸入業者が相手の輸出業者を自由に選択することも必要でございまして、双方とも自由な選択の体制が整うことが適当でございますが、台湾産バナナにつきましては、当方の輸入業者が輸出業者を自由に選択するという機構に欠けておるように存じておるわけでございます。
なお弊害につきまして、先生の御
指摘のような
企業努力がなくなるとかいう点は、輸入規制をやっておりますとややもすればそういうことになるのであります。
割り当て制をやっておりますと、努力しても輸入
数量がふえないという事実は先生御
指摘のとおりでございますが、これは輸入規制をするというメリットに伴うデメリットかと思いまして、いずれが大であるか、その点を検討しなければならないと思っております。
それから流通問題につきましては、私
ども必ずしも輸入規制が流通問題に悪影響を及ぼすというふうには考えておらないのでございますが、流通問題につきましては先ほど
農林省のほうからも御
答弁がございましたように、改善
方法につきまして検討中でございます。
それから台湾バナナの国際競争力が、いわば正当に発揮されないのではないかというような趣旨の御質問がございましたけれ
ども、この点につきましては、先生の御質問中にもございましたように、私
どもといたしましては、台湾産バナナの
数量を制限するつもりはございません。ただいま九百万かごの
割り当てをやっておりますけれ
ども、もし台湾産バナナの
供給力がふえれば、追加
割り当てはいたす所存でございます。
それから、日本バナナ輸入組合の規程は実質的に台湾産バナナの輸入を縛るのではないか、これはおかしいのではないかといった御趣旨の御質問がございましたが、バナナ輸入組合の規程は価格、それから
数量、船積み時期について規定するものでございまして、実態は先方が出せる
数量を当方が引き受けるということでございます。ただ、率直に申しまして、価格につきましては双方の間に対立が間々ございますし、品質につきましても、当方はよりいいものを要求するということで、意見の対立はございますけれ
ども、毎四半期のいわゆるバナナ
会議、貿易
会議と申しておりますが、これは双方の間で話がついておる
状況でございます。
それから中南米バナナにつきまして間々過剰輸入のありますことは事実でございまして、これはバナナ全般の問題として処理すべき、考えなければならないことだと思います。ただ、過剰の
原因がいわば不当な
行政介入にあるかどうかにつきましては、私
どもは、過去の中南米バナナが入り過ぎました
原因は、たまたま同じ時期あるいはその前期におきまして台湾に台風の被害がある、あるいは猛烈な被害があったというように報ぜられまして、その
関係で市場を急速に中南米に求めたというケースがあるようでございます。したがいまして、この点につきましては、むしろバナナ業界がバナナの日本の国内におきます需給
状況についてもっとよく情報を得る、同時にやはり世界各国の市場の
状況についても、もっとよい情報を得ることが必要であると存じます。この点につきましては、通産省としましても、
関係業界、これは輸出組合等を通じまして輸入問題に関します懇談会を開いて、過大な見込み違いのないように努力しておる次第でございます。
それから自由化につきましてどう考えるかということでございますが、この点につきましては冒頭申し上げましたとおりでございまして、自由化をいたします前提としましては、やはり台湾産バナナを自由化した場合その弊害がどうなるか、それにつきまして相当
程度のはっきりした見通しがほしいと私
ども考えておる次第でございます。