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1970-05-12 第63回国会 衆議院 農林水産委員会 第27号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十五年五月十二日(火曜日) 午前十時四十五分
開議
出席委員
委員長
草野一郎平
君
理事
安倍晋太郎
君
理事
小沢
辰男君
理事
仮谷 忠男君
理事
丹羽 兵助君
理事
三ツ林弥太郎
君
理事
芳賀
貢君
理事
山田
太郎
君
理事
小平 忠君 赤城
宗徳
君
小沢
一郎
君 鹿野 彦吉君 熊谷 義雄君 小山
長規
君 坂村
吉正
君 澁谷 直藏君
田澤
吉郎
君
田中
正巳君 高見
三郎
君 中尾 栄一君 松野 幸泰君 森下
元晴
君
森田重次郎
君
山崎平八郎
君
渡辺
肇君
角屋堅次郎
君
田中
恒利
君 千葉
七郎
君
長谷部七郎
君 松沢 俊昭君 相沢 武彦君
瀬野栄次郎
君 鶴岡 洋君 合沢 栄君 小宮 武喜君 津川 武一君
出席国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
農林政務次官
渡辺美智雄
君
農林省農林経済
局長
小暮 光美君
林野庁長官
松本
守雄君
通商産業省化学
工業局長
山下 英明君
委員外
の
出席者
議 員
芳賀
貢君
農林省農政局参
事官
遠藤
寛二君
通商産業省化学
工業局化学肥料
参事官
中沢
三郎
君
農林水産委員会
調査室長
松任谷健太郎
君
—————————————
委員
の異動 五月十二日
辞任
補欠選任
亀岡
高夫
君
小沢
一郎
君
田澤
吉郎
君
森田重次郎
君
渡辺
肇君
山崎平八郎
君 同日
辞任
補欠選任
小沢
一郎
君
亀岡
高夫
君
森田重次郎
君
田澤
吉郎
君
山崎平八郎
君
渡辺
肇君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する法
律案
(
内閣提出
第五二号)(
参議院送付
)
林業種苗法案
(
内閣提出
第一〇一号)(参議院送 付)
国有林野
の
活用
に関する
法律案
(
内閣提出
第八 〇号) 国が行なう
民有林野
の分
収造林
に関する
特別措
置
法案
(
芳賀貢
君外六名
提出
、
衆法
第三四号)
農業協同組合合併助成法
の一部を改正する
法律
案起草
の件 ————◇—————
草野一郎平
1
○
草野委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
、
内閣提出
、
林業種苗法案
、
内閣提出
、
国有林野
の
活用
に関する
法律案
及び
芳賀貢
君外六名
提出
、国が行なら
民有林野
の分
収造林
に関する
特別措置法案
の各案を
議題
とし、順次
趣旨説明
を聴取いたします。
渡辺農林政務次官
。
渡辺美智雄
2
○
渡辺政府委員
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
につきまして、その
提案理由
を御説明申し上げます。
肥料価格安定等臨時措置法
は、その
制定
以来、
肥料価格
の安定、
肥料
の
輸出調整等
についておおむね
所期
の
効果
をあげてまいりました。 この
法律
は、
昭和
四十四年七月
末日
までに廃止することとされておりますが、最近における
わが国農業
の
実情
及び
肥料
の
輸出市場
の
状況
にかんがみ、なおこの
法律
を存続する必要があると考えられます。 すなわち、
農業
の
基礎資材
としての
肥料
の
重要性
はいまさら言うまでもありませんが、特に
総合農政
を
推進
し、
農産物
の
価格
安定、
農業所得
の
確保等
をはかろうとしております現在、
肥料価格
の
安定措置
の
継続
をはかる
必要性
が従来にも増して高まってきていると考えられるのであります。 一方、
世界
的な
設備大型化
の
進展
を背景として、
肥料
の
輸出
をめぐる
国際競争
は、ますます
激化
しており、
輸出
の
一元化
と
国内需要
の
安定的確保
をはかる
措置
が引き続き必要と考えられるのであります。このような内外の諸
事情
に対処して
肥料工業
の側におきましては、徹底した
合理化
をはかるため、現在
設備
の
大型化
を
中心
とする
構造改善
を
推進
しているところであります。 以上のような
状況
にかんがみまして、引き続き
国内需要
の
確保
、
肥料価格
の安定、
輸出
の
一元化
などの
措置
をとるものとし、この
法律
を廃止すべき
期限
を五年間延長しようとするものであります。 なお、この
法律案
は第六十一回
国会
に
提出
いたしました
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
と
同一内容
のものであります。 以上が
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
の
趣旨
でありまして、何とぞ慎重御
審議
くださいましてすみやかに御可決されるようお願いする次第であります。 次に、
林業種苗法案
につきまして、その
提案
の
理由
及び主要な
内容
を御説明申し上げます。
林業
総
生産
の
増大
と
林業
の
安定的発展
をはかるためには、優良な
林業種苗
による
造林
を進めることが必須の
要件
でありますが、特に、最近においては
国内林業生産
の
停滞
と
外材輸入
の
増大
に対処して
国内林業生産力
の
増強
をはかることが強く
要請
されており、この一環、して優良な
林業種苗
による適正かつ円滑な
造林
の
推進
を
確保
することが急務となっております。 また、
現行法
が
昭和
十四年に
制定
されましてからすでに三十年余を経過し、その間に
林業種苗
の
生産
、
流通
の
状況
、
造林
の
実施状況
その他
林業種苗
を取り巻く請
事情
は、著しい変化を見ているのであります。すなわち、
林業種苗
は
産地
の
表示
のないまま取引されるのが通例でありましたため、最近における
造林地
の
奥地化
、
種苗流通圏
の
広域化等
に伴い、
産地
の明らかでない
苗木
が遠隔の環境不
適地
に植栽され、あるいは不良な
種苗
が
造林
に供される等によって、少なからぬ
地域
において
幼齢結実
、
樹木
の成育不良、凍害の
多発等
の
事態
が発生しております。 そこで、このような
事態
を防止する
措置
を緊急に講じ、優良な
林業種苗
の
質量両面
の
供給
を
確保
する必要がありますので、
現行林業種苗法
を全面的に改め、
林業種苗
についての優良な
採取源
の
整備
、
生産事業者
の
登録
、配布する
種苗
への
産地
の
表示
の義務づけ等の
措置
を
内容
とする
林業種苗法
の
制定
を行なうこととし、この
法神案
を
提出
した次第であります。 以下この
法律案
のおもな
内容
について御説明申し上げます。 第一に、
配布用
の優良な
種穂
の
採取
に適する
林分
を
指定採取源
として
整備
し、その適切な
保護管理
をはかることとしております。 第二に、
種苗
の
生産事業者
について、
都道府県知事
の
登録
を受けなければならないこととし、この
登録
は、
都道府県知事
による
種苗
の
生産
、
流通等
に関する
講習会
の受講を
要件
としております。 第三に、
生産事業者
及び
配布事業者
は、配布する
種苗
にその
産地
その他必要な
事項
を
表示
しなければならないこととしております。 第四に、
都道府県知事
による
種穂
の
採取
時期の
指定
及び不良な
種穂
の
採取禁止
、
農林大臣
による
種苗
の
配布区域
の
指定
並びに
種苗
の
輸出
入につき
一定
の
事態
が生ずる場合に
政府
が
所要
の
措置
を講ずべきことの
規定
を設けております。 以上のほか、優良な
種苗
の
供給
の
確保
及び普及をはかるための国及び
都通府県
の監督、指導その他の援助について定めております。 以上がこの
法律案
の
提案
の
理由
及び主要な
内容
であります。 何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに可決いただますようお願いいたします。 次に、
国有林野
の
活用
に関する
法律案
につきまして、その
提案理由
及び主要を
内容薮
御説明申し上げます。
国有林野
は、その
面積
において
わが国
の
森林面積
の約三分の一、
国土面積
に対しても二割余を占め、
国土
の
保全
、
林産物
の
需給
及び
価格
の
安定等
に大きな
役割り
を果たすとともに、従来からも
社会経済情勢
の推移に即応して、
地元住民
の
要請
に応じた貸し付け、売り払い、
部分林
または
共用林
の
設定等
によって
地元産業
の
振興
と
地元住民
の
福祉向上
に寄与してまいったのであります。 しかしながら、近年、
わが国
の目ざましい
経済
の
発展
の中で、
農山
村からの急速な
労働力
の流出が見られる等
わが国
の
農林業
はきわめてきびしい条件のもとに立たされることになり、ここに
農林業
の零細な
経営規模
を拡大する等その
構造
の
改善
と
農山
村
地域
の
振興
をはかるための
施策
を一そう強力に
推進
することが
要請
されるに至っております。 このような
要請
にこたえるため、この際、
国有林野
の
活用
を積極的に
推進
することとし、このため
林業基本法
の
規定
の
趣旨
に従い、積極的に行なうべき
国有林野
の
活用
の
内容
を具体的に示すとともに、これらの
活用
を行なうに当たっての国の
基本的態度
を明らかにすること等により、
国有林野
の
活用
の適正円滑な
実施
の
確保
をはかることとした次第であります。 以上がこの
法律案
を
提案
する
理由
でありますが、次にこの
法律案
の主要な
内容
につきまして御説明いたします。 第一は、
農林大臣
が
国有林野
の
管理
及び
経営
の
事業
の適切な運営の
確保
に必要な考慮を払いつつ積極的に行なうべき
国有林野
の
活用
につきまして、その
活用
の
種類等
を明らかにしたことであります。すなわち、その一は
農業構造
の
改善等
のための
国有林野
の
活用
、その二は
農業構造
の
改善等
のために譲渡された
土地
の
代替地
に供するための
国有林野
の
活用
、その三は
林業構造
の
改善
のための
国有林野
の
活用
、その四は
国有林野
の所在する
住民
が共同して行なう
造林
、家畜の
放牧等
のための
部分林
または
共用林野
の
設定
のための
国有林野
の
活用
、その五は
国有林野
の所在する
地域
における公用、
公共用
または
公益事業
の用に供するための
国有林野
の
活用
、その六は
山村振興計画
に基づく
事業
の用に供するための
国有林野
の
活用
であります。 第二は、
農林大臣
は、
国有林野
の
活用
につきまして、その
推進
のための方針、
適地
の
選定方法
その他
活用
の
実施
に関する
基本的事項
を定め、これを公表すべきこととしたことであります。 第三は、
農林大臣
は、
国有林野
の
活用
の適正な
実施
をはかるため、
活用
の事務をすみやかに行なうとともに、
活用
に当たっては、その用途を
指定
する等その
土地
の
利用
が適正に行なわれるようにするための必要な
措置
を講ずべきこととし、特に売り払いをする場合には十年をその期間とする買い戻しの
特約
をつけなければならないこととしたことであります。 第四は、
農林業
の
構造改善
のための
国有林野
の
活用
の円滑な
実施
をはかるため、そのような
国有林野
の
活用
として、
土地等
の売り払いをする場合には、二十五年以内の延納の
特約
をすることができることとしたことであります。 第五は、
国有林野
の売り払い等による
収入
は
予算
で定めるところにより、
森林経営
の用に供することを相当とするものの
買い入れ等
に要する
経費
の財源に充てることとしたことであります。 なお、この
法律案
は第五十八
通常国会
に
提出
し、第六十一
通常国会
において
審議未了
になりました
国有林野
の
活用
に関する
法律案
につき、同
国会
の
衆議院農林水産委員会
において行なわれた売り払いに際しつけるべき買い戻しの
特約
及び売り払い等による
収入
の使途に関する
修正どおり
の
修正
を施し、再度
提案
いたしたものであります。 この
法律案
の
提案理由
及び主要な
内容
は、おおむね以上のとおりであります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
草野一郎平
3
○
草野委員長
芳賀貢
君。
芳賀貢
4
○
芳賀議員
ただいま
議題
となりました
芳賀貢外
六名
提出
にかかる国が行なう
民有林野
の分
収造林
に関する
特別措置法案
につきまして、その
提案
の
理由
及び主要な
内容
を説明申し上げます。
わが国
の
森林
は、
国土保全
及び
水資源
の
確保
、
国民
の
保健休養
などの
公益的機能
を
確保
し、
木材
その他の
林産物
を持続的に
供給
する等、
国民経済
の
発展
、
国民生活
の安定をはかる上できわめて重要な使命をになっております。 しかしながら、
わが国
の急峻な
山岳地形
と
森林
の
乱伐
から風水害は年々増加の
傾向
にあり、一方、
社会経済
の
発展
に伴い
国民
の
飲料水
及び
工業用水等
の
需要
の
増大
に対応して、
水資源
の
確保
をはかる
森林
の
公益的機能
の充実をはかることがますます必要となってきております。 また、
木材
の
需要
は、いわゆる
高度成長
のもとで
薪炭需要
の決定的な没落はありましたが、
住宅産業
及び
紙パルプ産業
の異常な
拡大発展
につれて
昭和
三十五年の五千七百万立方メートルから四十五年推定一億立方メートルへと飛躍的に
増大
しております。他方、
国内生産
はここ十年、五千万立方メートル前後で低迷し続け、
昭和
四十三年以降五千万立方メートルを大きく割り、
停滞
から
減少
への
傾向
を一段と強めております。このような
供給不足
から外国からの
木材輸入
は年々
増大
し、
外材
の
国内需要
に占める比率は
昭和
三十五年の一四%から四十五年には五二%となり、
輸入材
の総量は三十五年の七百五十万から四十五年は五千二百万立方メートルと推定されております。
わが国
は、
国土
総
面積
の六八%、二千五百二十万ヘクタールの
森林
を持つ
世界
でも有数の
森林国
でありながら、この
日本
が今日、
世界
第一位の
木材輸入国
に転落したのであります。しかも、四十三年の
木材製品
の
輸出実績
四百億円が示すように
輸入木材
のほとんどが
国内消費
のためのものであります。
昭和
四十三年の
木材輸入金額
四千四百億円が示すように急増する
木材輸入
は当然の帰結として
国際収支
の面に重大な影響をもたらすことは必至でありますし、最近の
輸出国
における
丸太輸出制限
に伴う
製材加工品
の
輸入増
は、
中小零細企業
の多い
わが国木材加工産業
に大きな脅威をもたらしておることも見のがすことはできません。 以上のような
国内生産停滞
、
減少
の要因は大
山林所有者
を
中心
とする財産保持的な切り惜しみ、
林道
の未
整備
、
労働力
不足
もありますが、何といっても
わが国森林資源
の決定的な
不足
によるものであります。戦時・戦後から今日にかけての
生長量
を度外親した
乱伐
と
造林不足
が今日の
資源不足
をもたらしたものであります。
人工林率
三三%がそのことを端的に示しております。
森林
は、いまさら言うまでもなくことし植えたら来年切れるというものではなく、
投下資本
の回収まで少なくとも四十年、五十年という長年月を要するものであります。それだけに
長期
の
見通し
の上に立った
林業政策
の展開が必要になるのであります。
政府
が四十一年四月、
閣議決定
の上発表された「
木材需給
の
長期見通し
」が
昭和
九十年までの五十年間を
見通し
た
長期計画
を策定したゆえんもここにあったものと思います。この
長期計画
は、国が本腰を入れた林政を展開し、二千五百万ヘクタールの
森林
の
高度利用
をはかるとすれば、今後の
木材需要
が五〇%近く伸びても十分、
国内生産
によって充足できることを明らかにされております。 しかるに、
造林面積
は、
昭和
三十六年を
ピーク
に年々
減少
を続け、特に
民有林
の
造林
の
減少
が目立ち、
昭和
三十六年の三十三万八千ヘクタールを
ピーク
に四十三年には二十六万五千ヘクタールへと大幅に落ち込み、
計画
との対比においても八一%となっているのであります。このような
実態
を見るとき、「
木材需給
の
長期見通し
」の
自給率
を高める前提となっております
人工林面積
千三百万ヘクタールの達成は不可能となることは明らかであります。 このように、
造林
が進まない最大の原因は、
林道
の未
整備
及び
労働力
不足
に加え、
資金的余裕
がないことであります。確かに、今日の国の
造林施策
は、
補助造林制度
、
融資制度
による
助成
の
措置
がとられておりますが、
市町村自治体
や小
面積所有林家
は、
苗木代
にも満たない
補助金
や
資金
の
融資
を受けても利子の支払い及び
伐採
前償還は
資金力
の面から
自力造林
はきわめて困難な
実態
に置かれておるのであります。 このような
わが国林業
の現状に対処し、
森林生産力
の
増強
と
地域
の
振興
並びに
国土保全等
の
公益的機能
の
確保
に資するため、
国有林野事業
の技術、
労働力
及び
資金
を
活用
して
民有林野
に対する
国営分収造林
の
制度
を創設することによって、十五年間に百万ヘクタールを
目標
として
国営分収造林
を
実施
するため、この
法律案
を
提出
した次第であります。以下この
法律案
の主要な
内容
について御説明申し上げます。 第一は、
国営分収造林計画
に関する
規定
であります。
民有林野
の
造林
は、
林業基本法
第十条に
規定
する
森林資源
に関する
基本計画
及び
森林法
第四条に
規定
する
全国森林計画等
によって
計画
されておりますが、これをさらに強力に
推進
するため、
農林大臣
はこの
全国森林計画
に即して、
明年度
以降十五年間に
実施
すべき
国営分収造林契約
に基づいて行なう
国営分収造林計画
を立てなければならないことといたしております。 この
計画
におきましては、
国営分収造林契約
に基づいて行なう
造林
の
目標
及び
造林
の
事業
の量について定め、
農林大臣
はこの
計画
を立てようとするとき
中央森林審議会
の
意見
を聞かなければならないこととしております。 第二は、
造林実施地域
に関する
規定
であります。
農林大臣
は、
関係都道府県知事
の
申請
に基づき、
中央森林審議会
の
意見
を聞いて
自然的経済的社会的制約
によって
造林
が十分に行なわれておらず、またすみやかに
造林
を行なうことが必要であると認められる
地域
を
造林実施地域
として
指定
することができ、さらに、
知事
がこの
申請
をしようとするとき等はあらかじめ
都道府県森林審議会
及び
関係市町村長
の
意見
を聞かなければならないことといたしております。 第三は、
国営分収造林契約
の締結についての
規定
であります。 まず、
農林大臣
は、
造林実施地域
内に存する
民有林野
であって、
一定
の
理由
によりみずから
造林
を行なうことも、分
収造林特別措置法
に
規定
する分
収造林契約
によって
造林
を行なうことも困難である
一定面積
以上のものについて、その
所有者
から
申し出
があったときは、
当該所有者
を相手方として
国営分収造林契約
を締結することができることとしております。この場合
市町村有林等地方公共団体
が所有するものにあっては、
国営分収造林
を
推進
するため
要件
を大幅に緩和し、
一定面積
以上のものについて
国営分収造林契約
を締結することができるとしております。また、小
面積
の
所有者
に対しても国が
国営分収造林契約
を締結できる道を開くため、共同して
申し出
をした場合の
契約
をすることができる
要件
を定めております。さらに、
国営分収造林契約
の
内容等
の
規定
を設けておりますが、特に収益の分
収割合
はそれぞれ十分の五を標準とすることにしております。 第四は、
国営分収造林契約
にかかる
造林事業
に関する費用についてであります。
国有林野率業特別会計
の性格及び
財務事情
を考慮し、
政府
は、
国営分収造林契約
にかかる
造林事業
の業務の執行に要する
経費
を、毎
会計年度
、
予算
で定めるところにより、
一般会計
から
国有林野特別会計
の
国有林野事業勘定
に繰り入れるものとしております。 以上が、この
法律案
の
提案
の
理由
及び主要な
内容
であります。何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
草野一郎平
5
○
草野委員長
引き続き
内閣提出
、三
法律案
について
補足説明
を聴取いたします。
遠藤農政局参事官
。
遠藤寛二
6
○
遠藤説明員
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
につきまして若干補足して御説明申し上げます。
肥料価格安定等臨時措置法
は、
臨時肥料需給安定法
及び
硫安工業合理化
及び
硫安輸出調整臨時措置法
のいわゆる
肥料
二
法廃止
後の
措置
といたしまして、
内需
の
優先確保
、
国内価格
の安定及び
輸出体制
の
一元化
を骨子として定められた
法律
であります。第一の
内需優先確保
の
措置
といたしましては、
国内需給
上混乱が生じないよう
需給見通し
に基づき
輸出
を規制することとし、
国内農業者
に不安を与えないよういたしているのであります。第二の
肥料
の
国内価格
の安定をはかるための
措置
といたしましては、
肥料
の
生産業者
と
販売業者
との間の自主的な
価格
取りきめが
実施
されておりますが、
政府
はこの取りきめに必要な資料を交付すること等によって
価格
取りきめが円滑に行なわれるよう
措置
いたしております。第三に、
肥料
の
輸出体制
の
一元化
をはかる
措置
といたしましては、
日本硫安輸出株式会社
に
硫安
の
輸出
を
一元化
に行なわせることとしているのであります。
肥料価格安定等臨時措置法
は、
昭和
三十九年に
制定
されて以来、おおむね
所期
の
効果
をあげてまいりました。 この
法律
に基づき
生産業者
と
販売業者
の間で取りきめられた
硫安価格
につきましては、
農業者
の強い要望と
生産業者
の
合理化努力
が反映して五カ年間に相当の値下げが行なわれたのであります。 一方、
肥料需給
につきましては、
需給見通し
の適切な
運用
により、
需給
上何ら問題なく推移し、
国内需要
への
安定的供給
と
輸出
の
振興
に寄与してきたところであります。 この
法律
は、
昭和
四十四年七月
末日
までに廃止するものとされておりますが、最近における
農業
及び
肥料工業
の
実情
にかんがみ、なお、存続する必要があるものと考えられます。 まず、
農業側
の
事情
といたしましては、
総合農政
を
推進
し、
農産物
の
価格
安定、
農業所得
の
確保等
をはかろうとしております現在、
主要生産資材
としての
肥料
の
価格安定措置
を
継続
する必要が従来にも増して高まってきていると考えられるのであります。
輸出面
の
事情
といたしましては、最近における
国際競争
の
激化
があげられます。すなわち、西欧の
窒素肥料輸出カルテル
の
輸出攻勢
から
国際市場
における
輸出価格
は次第に低下し、
わが国
もこれに対抗するためやむなく追随しているのでありますが、
国際価格
は、
世界
的な
設備大型化
の
進展
と相まってしばらくの間変動するものと考えられ、
わが国
においてもこれに対処して、現在
設備大型化
を
推進
しつつあるところであります。このような
状況
のもとでは
国内価格
の安定とあわせて
輸出体制
の
一元化
をはかる
措置
の
継続
が強く望まれるのであります。 以上のような諸
情勢下
にあっては、まず
国内需要
と
輸出
の摩擦を調整して、
肥料
の時期
的地域的需給
の
円滑化
をはかり、さらに、
国内価格
の安定をはかることによって
農家経済
の
改善
と
肥料工業
の
合理化
を円滑に遂行し、また、
輸出競争
の
激化
に対応して
輸出体制
の
一元化
をはかる等の諸
措置
が引き続き必要と認められるところであります。したがいまして、
昭和
四十四年七月
末日
までに廃止するものとされておりますその
期限
を五年間延長することとした次第であります。 なお、本
法案
は第六十一回
国会
に
提出
いたしました
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
と
同一内容
のものでありますが、
肥料価格安定等臨時措置法
を廃止すべき
期限
はすでに経過しており、現在暫定的な
運用
を行なっているところでありますので、
肥料
の
価格
安定、
肥料
の
輸出調整等
同法による諸
措置
の適正かつ円滑な
実施
を
確保
するためには、この
法案
の
早期成立
が待たれているところであります。 以上をもちまして、
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
についての
補足説明
を終わります。
草野一郎平
7
○
草野委員長
松本林野庁長官
。
松本守雄
8
○
松本
(守)
政府委員
林業種苗法案提案理由
の
補足説明
を申し上げます。 本
法律案
を
提出
いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由
において申し述べましたので、以下その
内容
について補足して御説明申し上げます。 まず、第三条から第九条までの
規定
においては、優良な
苗木
の
供給
に不可欠な優良な
種穂
の
採取
に適する
林分
を
指定
し、その適切な
保護管理
をはかるため、
指定採取源
の
制度
について
規定
しております。 すなわち、
都通府県
知事
は、
森林計画
及び
森林現況等
を参酌して優良な
配布用種穂
の
採取
に適する
林分
を、
育種
により育成されたものは
育種母樹林
として、その他のものは
普通母樹林
として
指定
することができることとし、これらの
樹木
を
所有者等
が
伐採
するときは
都道府県知事
に届け出なければならないこととしております。また、
農林大臣
は、
育種母樹林等
の
確保
または改良に供される特に優良な
種穂
の
採取
に適する
林分
を
特別母樹林
として
指定
することができることとし、これらの
樹木
は原則として
伐採
を禁止するとともに
所要
の補償を行なうこととしております。 次に、第十条から第十七条までの
規定
におきましては、
種苗
の
生産事業者
の
登録
制度
及び
配布事業者
の届け出について
規定
しております。 まず、
種苗
の
生産事
業の適切な運営を
確保
し、あわせて
指定採取源
制度
及び
種苗
の
産地
表示
制度
の実効を期するため、
種苗
の
生産事業者
の
登録
制度
を設けることとしております。すなわち、
生産事業者
は、その
事業
に関し
都道府県知事
の
登録
を受けなければならないこととし、この
登録
は、
都道府県知事
が
種苗
の
生産
、
流通等
に関し必要な知識を修得させることを目的として行なう
講習会
の課程を修了した者またはその者を従業者として置く者について行なうこととしております。なお、
生産事業者
がこの
法律
の
規定
に違反したとき等には、
登録
を取り消すことができることとしております。 また、
種苗
の
配布事業者
については、その
事業
に関し必要な
事項
を
都道府県知事
に届け出なければならないこととしております。 次に、第十八条から第二十一条までの
規定
においては、
種苗
の
産地
等の
表示
及び行政庁による証明
制度
を
規定
しております。
表示
の
制度
としましては、
産地
の明らかでない
種苗
の環境不
適地
への植栽を防止し、
種苗
が有する環境適応性等にふさわしい
造林地
への使用を
確保
するため、
生産事業者
は
種苗
を配布するときは、
種苗
の
採取
または育成の場所及びそれが
指定採取源
であるときはその旨その他
一定
事項
を当該
種苗
に
表示
しなければならないこととしております。
配布事業者
が
種苗
の包装等を変更して配布するとき等にも、同様の
表示
をしなければならないこととしております。証明
制度
としましては、
農林大臣
または
都道府県知事
は、
種穂
が
指定採取源
から
採取
されたものであることまたは
苗木
が
指定採取源
から
採取
された
種穂
から育成されたものであることを
一定
の方法により証明することができることとしております。 次に、第二十二条から第二十五条までの
規定
におきましては、
種苗
の
採取
、配布等に関する
一定
の制限等を
規定
しております。 第一に、
種苗
の
生産事業者
は、
指定採取源
から
種穂
を
採取
するようにつとめなければならないこととしております。 第二に、
都道府県知事
は、
種穂
を
採取
すべき時期を
指定
し、または不良な
種穂
が
採取
されるおそれのある
林分
からの
採取
を禁止することができることとしております。 第三に、
農林大臣
は、
一定
区域において
採取
、育成される
種苗
についておおむねその
樹木
としての生育に適すると認められる区域を
配布区域
として
指定
することができることとし、
生産事業者
等は、原則として
配布区域
以外を受け取り地として
種苗
を配布してはならないこととしております。 第四に、
政府
は、外国産の劣悪な
種苗
が輸入されることにより国内における
造林
の
推進
に著しい支障が生ずる場合または
種苗
の
供給
量がその
需要
量に比し著しく
不足
する場合において必要があるときは、
種苗
の輸入または
輸出
に関し、相当と認められる
措置
を講ずるものとすることと
規定
しております。 以上のほか、
農林大臣
または
都道府県知事
による報告の徴収、立ち入り検査、監督処分等の
規定
を設けることとしており、あわせて優良な
種苗
の
供給
の
確保
及び普及をはかるため、国及び都道府県が
森林
所有者
、
生産事業者
及びこれらの者の組織する団体に対し、助言、指導その他の援助を行なうようにつとめるものとすることと
規定
しております。 以上をもちまして、本
法案
についての
補足説明
を終わります。 引き続きまして、
国有林野
の
活用
に関する
法律案
につきまして、
提案理由
を補足して御説明申し上げます。 本
法案
を
提案
いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由
説明において申し述べましたので、以下その
内容
を御説明申し上げます。 第一は、この
法律
の目的で、第一条に
規定
してあります。先に
提案理由
でも申し述べましたように、この
法律
は、
林業基本法
第四条の
規定
の
趣旨
に即し、
国有林野
の所在する
地域
における
農林業
の
構造改善
その他産業の
振興
または
住民
の福祉の向上のための
国有林野
の
活用
につきまして、国の
基本的態度
を明らかにすること等により、その適正かつ円滑な
実施
の
確保
をはかることを目的とすることとしております。 なお、第二条におきましては、この
法案
において用いる「
国有林野
の
活用
」、「
農林業
の
構造改善
」等の用語の定義を
規定
しております。 第二は、この
法律
の目的達成のため、
農林大臣
は
国有林野
の
管理
及び
経営
の
事業
の適切な運営の
確保
に必要な考慮を払いつつ、
国有林野
の
活用
を積極的に行なうこととし、これを第三条に
規定
しております。 まず、積極的に行なうべき
活用
の種類を次の六つに分けて
規定
しております。すなわち、 その一は、
農業構造
の
改善
の
計画
的
推進
等のための農用地の造成の
事業
の用に供することを目的とする
国有林野
の
活用
であります。 その二は、この農用地の造成の
事業
の用に供するために譲渡された
土地
の
代替地
として
林業
経営
の用に供することを目的とする
国有林野
の
活用
であります。 その三は、
林業構造
の
改善
の
計画
的
推進
のための小規模
林業
経営
の規模の拡大その他
林業
経常の近代化の
事業
の用に供することを目的とする
国有林野
の
活用
であります。 その四は、
国有林野
の所在する
地域
において、その
住民
等が共同して行なう
造林
、家畜の
放牧等
のための
部分林
または
共用林野
に供することを目的とする
国有林野
の
活用
であります。 その五は、
国有林野
の所在する
地域
において、公用、
公共用
または
公益事業
の用に供する施設に関する
事業
の用に供することを目的とする
国有林野
の
活用
であります。 その六は、これらの
活用
のほか、
山村振興計画
に基づく
事業
の用に供することを目的とする
国有林野
の
活用
であります。 次に、
国有林野
の
活用
は、その
国有林野
の位置その他の自然的
経済
的諸条件から見て合理的なものであるとともに、その
国有林野
の所在する
地域
の
経済
的または社会的
実情
を考慮し、かつ、その
地域
の
住民
の意向を尊重したものでなければならない旨を
規定
いたしております。 第三は、
国有林野
の
活用
に関する
基本的事項
の決定及び公表で第四条の
規定
であります。すなわち、
農林大臣
は、
国有林野
の
活用
につき、その
推進
のための方針、
適地
の
選定方法
その他
活用
の
実施
に関する
基本的事項
を定め、これを公表しなければならないこととしております。 第四は、
国有林野
の
活用
の適正な
実施
のための
措置
で第五条の
規定
であります。すなわち、
農林大臣
は、
国有林野
の
活用
を受けたい旨の申出があったときは、現地調査を行なって、すみやかに
活用
の適否を決定するとともに、
活用
を行なうにあたっては、用途の
指定
をする等その
土地
の
利用
が適正に行なわれるようにするための必要な
措置
を講じなければならないこととしております。 また、特に売り払いをする場合には、十年をその期間とする買い戻しの
特約
をつけなければならないこととし、
指定
された用途に供されなかったとき等には、その買い戻し権を行使することができることとしております。 第五は、
国有林野
の
活用
を受けた者の義務についての第六条の
規定
でありまして、
国有林野
の
活用
を受けた者は、
活用
の目的に従って、その
土地
の
利用
を適正に行なうとともに、その
利用
の増進につとめなければならないこととしております。 第六は、以上による
国有林野
の
活用
の円滑な
実施
をはかるため、
農林大臣
は、第二に述べました
国有林野
の
活用
で
農林業
の
構造改善
の用に供することを目的とするものに該当する
土地
の売り払い、またはその
活用
に伴う立木竹の売り払いをする場合には、二十五年以内の延納の
特約
をすることができることとしております。 第七は、第二に述べました
国有林野
の
活用
により行なう
国有林野
の交換、売り払い、所管がえまたは所属がえによる
収入
は、
予算
で定めるところにより、次の四つの
経費
に充てることとしております。すなわち、 その一は、
森林経営
の用に供することが適当な
民有林野
で
国有林野
とあわせて
経営
することを相当とするものの買い入れに要する
経費
であります。 その二は、
国土
の
保全
上必要な
民有林野
で
国有林野
とあわせて
経営
することを相当とするものの買い入れに要する
経費
であります。 その三は、その一またはその二の
民有林野
を交換することにより取得する場合における交換に要する
経費
であります。 その四は、その一からその三までの買い入れ、または交換により取得した
森林
原野にかかる
林道
の開設その他
林業
生産
基盤の
整備
に要する
経費
であります。 以上をもちまして、本
法案
についての
補足説明
を終わらせていただきます。
草野一郎平
9
○
草野委員長
以上で説明は終わりました。
草野一郎平
10
○
草野委員長
引き続き、いずれも
内閣提出
、
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
及び
林業種苗法案
の両案を
議題
として質疑に入ります。 質疑の
申し出
がありますので順次これを許します。
角屋堅次郎
君。
角屋堅次郎
11
○角屋
委員
私は、ただいま
提案
になりました
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
並びに
林業種苗法案
の二
法案
につきまして一括御質問を申し上げたいと思います。 まず最初に、
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
から質問を申し上げます。 御承知のとおり、
肥料
というのは
わが国
の農政上、特に
農業
経営
上非常に重大な要素を持つものでありまして、関係
法律
としては、御承知の
昭和
二十九年に
肥料
二法が
制定
をされましたが、これが
昭和
三十九年の七月末で失効いたしまして、そのあとを受けて、三十九年から現行の
肥料価格安定等臨時措置法
が生まれたわけであります。これが第六十一
国会
で、四十四年七月末に廃止さるべき
法案
の五年間延長が廃案になりまして今次
国会
に再
提案
されたことは御承知のとおりであります。 そこで、まず今回のこの五年の延長問題とからんで、
肥料価格安定等臨時措置法
の延長のいわばメリットというものをどういうように判断をされておるかという点を、まず簡潔にお答えを願いたいと思います。
渡辺美智雄
12
○
渡辺政府委員
メリットはどうかというようなご質問でありますが、今回、
農業
面におきましては、ご承知のとおり
総合農政
の推通ということをやっておるわけであります。したがって、この中で
農業者
所得の
増大
をはかっていくためには、もちろん
生産
性の高い基盤
整備
その他の
事業
をやりますが、それと同時に、資材の中で大きな割合を占める
肥料
の
価格
安定ということが大切であります。と同時に、また国内の
肥料
の
需要
というものをどうしても優先的に
確保
するということが必要であります。 そういうような点から、この
法律案
はさきに
提案理由
並びに
補足説明
で申し上げましたように、それらの
事業
の
確保
、
価格
の安定ということのためにいろいろな
措置
を講ずることになっておるわけであります。現在の
肥料
の
価格
は団体交渉によって
需給
両方できめるわけでありますが、それに対して
政府
が資料を
提出
をする等、いままでの実績を見てきましても、きわめてスムーズに適当なところできめられておるという
実情
であります。一方
輸出
というものが、過剰
生産
というような状態からどうしても
輸出
をしなければならぬ。ところが、この
輸出
は
日本
の
肥料
の六割になんなんとする、こういうような段階で各会社がそれぞれかってに過当競争をやるというようなことになって、その大幅な赤字というものが国内にしわ寄せをされるというようなことになっては困るわけであります。したがって、
肥料
業界を守っていくためにも、また
輸出
の出血というものが国内にしわ寄せされないためにも、これらに対して
政府
は何らかの形でこれを指導していかなければならない。そのために
輸出
の
一元化
というようなことをやっておるわけであります。また、いろいろな
価格
の決定等にあたりましては、
政府
は低位なコスト、これを実現させるために
肥料
会社のいろいろな
内容
について資料提供を求め、あるいは検査をし、いろいろな
措置
をやっております。今後とも
日本
の
肥料
というものが
大型化
をして、しかも
輸出
能力も相当つき、
国際競争
力もいまよりも一段とつくというときまでは、こういうようなことがぜひとも必要である。このめどというものが
昭和
四十六年度末に一応第二次
大型化
計画
というものが考えられておるわけでございますけれども、しかし、一応
計画
ができましても、現実にそれが軌道に乗っていくというのにはまだ数年を必要とするのであろう、こういうようなことをあわせ考えますと、おおよそいまから五年程度やはり
特別措
置法というものを延長していくことが時宜を得たものではなかろうか、こういうようなことで五カ年間延長するというようにしたわけでございます。
角屋堅次郎
13
○角屋
委員
要するにいま
渡辺
政務次官からお話しの点は、本法
制定
の当初において、いわば本法
制定
の柱ともいうべき
内需
の
優先確保
、さらに農民に対する
国内価格
の低位安定、さらにはいま御説明にもありましたように、海外に対する
輸出体制
の
一元化
、いわばこの三つを柱として
肥料
二法のあとを受け継いで本法が
制定
された現状から見まして、さらにこの三つの点については本法の延長を通じてこの三つの柱の
確保
をやる必要が内外情勢からある。したがって、五カ年間の延長を
要請
いたしたいということであろうと思うのであります。われわれも全体的な情勢から見て、本法の五カ年延長ということの
必要性
については認めておるわけでありまして、その点については基本的には賛成でございます。 この際、
輸出体制
の
一元化
と関連をする海外市況の問題から簡潔にお尋ねをいたしたいと思うわけでございます。 農林省、通産省共同の資料をいただいておる点から申しましても、いわゆる海外に対する
わが国
の
肥料
輸出
の
状況
を見ますと、
昭和
四十一
肥料
年度におきまして
硫安
、尿素関係で三百九十六万二千トン、塩安、高度化成その他を含めまして、全体として四百四十一万七千トン、四十二
肥料
年度におきましてはこれが五百万七千トン、さらに四十三
肥料
年度におきましては、これがインド等の関係で少しく落ちまして四百二十六万三千トン、四十四年度においては、数字は資料としては出ておりませんけれども、要するに国内と
輸出
の関係においては、大体六対四というふうな比率で海外に
輸出
が出ていっておる、こういうふうに承知をしておるわけであります。特にこの
輸出
先を見ますと、資料にもありますようにお隣の中国が大のお得意先でありまして、そのほかにインド、パキスタン、インドネシア等を含む東南アジア
地域
が大半を占めておるという
状況
にございます。 〔
委員長
退席、三ツ林
委員長
代理着席〕 そこで、この際、大体海外の
輸出
向けの相手国というところの今後の
輸出
の
増大
の
傾向
というものをどういうふうに判断をしておられるか。言うまでもなく、たとえばお隣の韓国とかあるいは台湾とかいうところでは、プラント等の
輸出
に伴いまして自国で自給体制を拡大をしょう、まかり間違えば若干
輸出
にお振り向けられるという情勢が出ておるわけであります。東南アジアにおいてもそういう努力を関係国においてもいたしておるし、またこれからもいたそうという形勢もございます。そういう状態の中で、後ほどお尋ねしますけれども、四十年から第一次の
大型化
計画
、さらに四十三年から第二次の
大型化
計画
ということで、先ほど御説明のように四十六年に大体
大型化
計画
を終わって、これは国内にも海外
輸出市場
にもひとつ大いに
肥料工業
界としてはがんばっていこうということでございますが、そういう国内の
肥料
業界の体制に対して、
輸出市場
の関係をどういうふうに判断をされておるかという点をひとつお話を願いたいと思います。
山下英明
14
○山下
政府委員
肥料
の
輸出
先はおっしゃるとおり中国がまず第一でございますが、中国の
肥料
の
需要
は、御承知のように潜在的には非常に大きいものと思っております。 お尋ねの自給能力でございますが、私どもが入手しております情報では、現在中国が使っておる
肥料
の四割内外は自給力があるものと想定しております。しかしなお残りのものにつきましては諸外国から輸入しておりますので、
日本
も毎年
肥料
輸出
について交渉いたしまして、ヨーロッパとの競争で
日本
品の
輸出
を促進しております。スエズ運河の関係でございますので、地理的には非常に有利でございますが、実際の商談におきましては、その年その年でいろいろな困難かつデリケートな問題もございますが、
長期
かつ潜在的にはなお中国市場に対する
肥料
輸出
は続くものと思っております。 残りの東南アジア市場、インド、パキスタンでございますが、これはかつて
日本
側からの借款によりまして
肥料
が一時出たこともございますが、かつまた近年は
日本
から尿素プラントその他の
肥料
施設の
輸出
もいたしております。しかしながら、これも潜在
需要
は相当にございまして、むしろ昨今の問題は、先方が借款で
肥料
を
指定
してくれるかどうか、ほかのものより優先買ってくれるかどうか、こういう問題が現実問題でございます。フィリピンその他にも出しておりますが、現在私どもが努力しておりますのは、従来よりも一そう各国の
地域
開発に協力いたしまして、その国々にあります買い入れ
資金
、
流通
機構及び
農業
技術の問題を同時に解決しながら、じみに、
日本
肥料
になじみかつ買っていってもらう
施策
が一番大切ではないか、こう考えております。総じまして、私どもは、
長期
といいますか五年ぐらいの
計画
では、なお毎年平均して一五%ぐらいずつの
輸出
増加をしていきたい、こういう
目標
でおります。
角屋堅次郎
15
○角屋
委員
国際競争
の中で
わが国
が
大型化
計画
を
推進
することによって、最近では
国際競争
力を相当に持っておる。資料を見ましても、そういう関係で従来の国内の
需要
と
輸出
の関係の比率が逆転をしてまいりました。おそらく、四十六
肥料
年度の場合においては、これはまあ単なるプランでありますけれども、
輸出
が七割、そして国内の
需要
が三割というふうに大きく比重を変えてくるのであろうというふうに見られておるわけであります。 そこで、
国際市場
の東南アジアあるいは中国との関係においては、数年前にヨーロッパのニトレックス加盟諸国が中国に非常に安い
肥料
の値段でもってニトレックス旋風というものを巻き起こすというふうな経緯等もございまして、国際的な競争の点では、内外ともに非常にきびしいものが予測をされるということがいわれておるわけであります。
昭和
四十六
肥料
年度の
需給見通し
としていわれております
内容
を見ますというと、いわゆる
輸出
の関係において七百五十四万トン、国内の関係においては
硫安
換算で三百八十二万トン、これを締めまして千百三十六万トンになります。さらにアンモニアの工業用の三百六十二万トンを含めますと千四百九十八万トンということになるわけでありますけれども、この工業用のものを除いて考えてまいりますと、とにかく
輸出
肥料
向けというのは約七割、七百五十万トンを想定をしておる。この七百五十万トンの想定というものは、いま着々
合理化
が進められておる点から見れば、当然
需給
の関係ではこれを遂行していかなければならぬ。この七百五十万トンの四十六
肥料
年度の
輸出
というものがはたして十分こなせるのかどうか。一体どこを予定をしてそういうものをはけると考えるかということが今後の非常に重要な問題であります。特に中国との関係におきましては、先ほどの覚書貿易の経緯あるいは最近の
国会
の論議というものから見ましても、政治的に非常にシビアな点が予測されておりますし、また
肥料
業界に対する中共側からの周四原則の強い
要請
等々も出ておることは御承知のとおりでありますし、東南アジアにおけるところの今後の市場の
見通し
というものからいたしますと、先ほどもちょっと触れましたけれども、いわゆる
政府
自身が考えております開発途上国に対する
経済
援助というふうなものとタイアップをして、
肥料
に限りませんけれども、こういう方面の
輸出
の伸展をはかろうという姿勢ではないかと思うのでありますが、従来東南アジアに対する
肥料
の
輸出
についての円借款その他、そういうものを含めた手法については、どういうふうに運営をしてきているかという点についてもお話しを願いたいと思います。
山下英明
16
○山下
政府委員
一つは相手国が外貨
不足
等によりまして、せっかく
日本
が借款をいたしましてもリファイナンス等に優先使う、またその田の再建
計画
のための機械プラント等に優先使う。そのためにインド、インドネシア等の例をとりましても、毎年
日本
がそれらの国に供与いたします借款の中で消費財を購入するワクは、近年きわめて窮屈になっております。その上でさらに
肥料
を買ってほしいという要望が、先方の国としてなかなか言いにくい
事情
でございます。私どもとしては、御指摘のとおりに
肥料
輸出
に重点を置く観点から、今後とも
農業
生産
に役立つ
肥料
を借款に加えたい、こう思っております。 第二には、しかしながら借款に限らず、普通のコマーシャルな
輸出
金融、保険等はもちろん
政府
が
助成
いたしますが、そういう
輸出
で少しずつでも伸ばせないか、そのためには各国の、しかも国というよりも国の中の
地域
地域
の
農業
事情
、風土等に合わせて総合的に協力しまして、その
地域
の作物、風土、配給機構、また金融、そういうものを含めて協力をしながらコマーシャルで
肥料
を売っていくようにしたい。これが現在の東南アジア諸国に対する私どもの重点
施策
だ、こう考えております。
角屋堅次郎
17
○角屋
委員
先ほどの質問のすべてについてお答えがあったと思いませんけれども、時間の関係で進めていかなければなりませんので、話を進めますが、いずれにしても
肥料
の
合理化
に伴いまして相当な
生産
力を持つ、またこれから持つわけでありますけれども、たとえば
国内需要
の関係を見ましても、最近の米の
生産
調整というふうなことが一ありまして、従来伸びてきておる大体年率三%の伸びというものが、ここ数年はたしてどうなるのかということになれば、これはやはり場合によっては国内においては
需要
減、若干の減ということも必ずしもきびしい観測とは蓄えなかろうと思いますし、また国際的な面においては、中国の関係が、政治的なことが、非常にこれからのいわゆる
政府
の対中国政策というものがからんでまいりまして、現実に海外
輸出
の約半分を中国が占めておるという現状から見て、これもやはり一つの問題点でありますし、同時に東南アジアについても、相手側としてはいわゆる輸入のための外貨というものを豊富に持っていない、そういうものを考えながら、どういう
輸出
を進めるか、また国際的な競争もあるということでありますし、先ほど言いましたニトレックスの加入諸国のニトレックス旋風に限らず、韓国、台湾あるいはフィリピンその他各国ともに開発途上国といえども、自国の
需要
についてはできるだけ自国でまかなおうという体制等もあって、なかなかこれもきびしい情勢が予想される。一つ
需要
の関係では、工業用アンモニアが今日大体年率一五%以上の伸びを示しておると思うのですが、この点については今後の
需要
をどういうふうに判断しておるか、簡潔にお答えを願いたいと思うのです。
山下英明
18
○山下
政府委員
第二次
合理化
設備
で
大型化
いたしましたのけ、御指摘のとおり工業用アンモニアの今後の増加を主眼といたしております。私どももいまの御指摘の一五%程度の年率の伸びを予想しております。 この機を
利用
してちょっと訂正させていただきますが、私先ほど
肥料
輸出
の年率の伸びを将来五年にわたって一五%と申し上げましたが、八%に訂正させていただきます。いまのアンモニアの数字と混同いたしました。
角屋堅次郎
19
○角屋
委員
この際、
昭和
四十年から始凍りました第一次アンモニア
大型化
計画
、これを四十二年で終わりまして、さらに四十三年から第二次アンモニア
合理化
計画
というのを千トンプラントということで
推進
をしておるわけでありますが、この
合理化
計画
あるいは
大型化
計画
に関連をいたしまして、
政府
としてのいわゆる
融資
の面あるいはまた税制上の面で
合理化
計画
に対してどういう手を打ってこられたか、簡潔に御説明を願いたいと思います。
山下英明
20
○山下
政府委員
一つは
融資
でございますが、開発銀行から
合理化
計画
に沿った
大型化
の施設には七・五%の特利で
融資
をいたしております。
融資
比率がございますが……。それからもう一つ、北東公庫、この
資金
も割愛して
肥料
工場に
融資
しております。 第二点は税制でございますが、税制は、新
設備
をつくられるかたわら旧
設備
をスクラップしてもらっておりますが、そのスクラップいたします際に、そのスクラップの、廃棄する施設の
一定
額を所得税から控除して差しつかえないという
制度
をつくっております。これはことしの税制で一応原則廃止となりましたが、なお経過期間二年アンモニア工業には適用する方針でございます。 もう一つ税制上でございますが、新しくつくりました
設備
の償却を促進して、四分の一初年度償却を
実施
しております。
角屋堅次郎
21
○角屋
委員
いま第一次アンモニア
大型化
計画
なりあるいは第二次の
計画
についての
融資
あるいは税制上の問題について触れられましたが、ここでは農政サイドから見て問題になるのは、この
大型化
計画
の工場というのは、おおむね太平洋沿岸地帯にほとんど集中をしておるというふうなことから、いわゆる北海道なり東北なりあるいは北陸、信越なりという、いわば農政上から見ると、
肥料
関係では相当大きな
需要
を持っておる地帯というふうなところとの関連において、適期適切に、必要な時期に
肥料
が配布をされていくかどうかということが従来から指摘をされておるわけであります。いまから
合理化
計画
でやられたものを変えるというわけにいきませんけれども、その辺のところについての農政上の手当てというもの、ことに海外に半数以上のものが出るということになりますと、
国内需要
の
優先確保
という問題が今後一そうやはりからまる可能性も私は考えられると思うのですけれども、そういう問題も含めて、農政上具体的にはどういう手を打って支障のないようにしていくのかという点をひとつ御説明願いたいと思います。
渡辺美智雄
22
○
渡辺政府委員
非常に
大型化
することによって、工場の数が少なくなるということは当然でございますけれども、少なくなっても、それによってコストがさらにダウンされる、
合理化
が進んでコストがダウンされる、そのメリットのほうが運賃の増高ということよりもふえるだろう、こういうように考えておるものですから、工場が整理されることによって特に
肥料
が高くなるというようには考えておりません。
角屋堅次郎
23
○角屋
委員
私が言ったのを政務次官は問題を的確にとらえていないのです。私は
価格
の点で言っているのじゃないのです。要するにスケールメリットによってコストダウンするあるいは
肥料
にそれがプラスになってはね返る、したがって本法の施行以降においてもある程度の値下げが双方の間でなされてきておるという経緯は知っておるわけであります。問題はそういうことじゃなしに、適期適切に必要なものが、それぞれの
肥料
の必要の
地域
に配布されていくかどうかという問題を触れておるのであります。従来から積雪地帯とかいろいろな地帯では、地帯的に滞貨その他があったりして問題になった経緯もあるわけです。そういう問題について農政上どういうふうに配慮していくつもりであるかということを聞いているのであります。
遠藤寛二
24
○
遠藤説明員
お答えいたします。
大型化
によりまして、先生の御心配は、工場が太平洋岸側にアンモニアの大きな
設備
が集まってしまうではないかというお話であろうかと思いますが、一つは、現在化学
肥料
中におきまして、現在の三十一工場が二十五工場というふうに集まってしまいますけれども、それはアンモニアの製造でございますが、現在の
肥料
の消費の大きな部分はだんだん複合
肥料
になっておりまして、原料を買いまして複合
肥料
にいたします工場というのは依然としてかなり分散したままであるということが一つございます。 それから
肥料工業
というものは、再編成されますので、先ほど政務次官からもちょっと御説明申し上げましたけれども、諸
経費
というものはかなり節減されるであろう、そういったメリットはあるであろう。そういったような点はありますが、御心配のとおり、かつてもそういうことがございましたが、時期的、
地域
的な過
不足
の問題等につきましては、いろいろ倉庫
事情
その他勘案をいたしまして、また輸送等も勘案いたしまして、私どもとしては、従前以上の指導をいたしますことによってそれほどの影響を与えないでといいますか、むしろ影響はなくて済むのではないかというふうに思っております。
角屋堅次郎
25
○角屋
委員
いま
日本
の国内にはア系
肥料
の滞貨がある程度ふえておる。大体これを三カ月と見るか四カ月と見るかという在庫の問題もありますが、少なくとも三、四カ月の滞貨状態が出ておる。先ほど来の御質問の中でも若干申し上げましたように、いわゆる国内の
需要
というものが、最近の米の
生産
調整その他をめぐって大きく伸びを必ずしも期待できない。国際的な面では一番のお得意である中共との関係は今後ともにきびしい政治情勢というものがからまってくる。東南アジアについても、潜在
需要
はなるほど強いと中国も含めて考えてよかろうと思いますけれども、しかし肝心の外貨
事情
というものが開発途上国においては非常に劣悪であるというふうなことで、今後フル回転の
状況
になりますと、操業短縮ということがここ一、二年のうちに予想されるのではないかということも一部にいわれておるわけであります。現実に
昭和
四十六年の稼動率そのものについても、
昭和
四十三年のアンモニア工場の九五%が四十六年には八七%程度にスローダウンするというふうなこと等もいわれておりますが、滞貨あるいは今後の操業短縮等の問題についてはどういう判断をしておられるか、これをお伺いしておきたいと思います。
山下英明
26
○山下
政府委員
肥料
の滞貨は私どもも非常に関心を持っておりまして、現在のように
輸出市場
が、言うなれば不安定な要素が多うございますので、私どもは、この
事情
を可能な限り情報によって
見通し
を確実にしまして、いたずらに
輸出市場
を過大に考えて浦賀をつくるということは避けるように指導していきたい、こう考えております。 御指摘第二点の操業度でございますが、これは千トンという大型アンモニアになりますと、従来のものと違いまして定期検査がございまして、
一定
期間工場をとめなければなりませんので、そういう技術的な点からくる操業度でございまして、私は
需給
のために特に八五%というような操業度低下を考えたわけではございませんので、この
計画
で進めていきたい。御指摘の
設備
が完成したときかつ
輸出市場
の
見通し
が悪いときにどうする気かということでございますが、これは私どもも十分注意をして、
合理化
によるコスト低減をしながら、しかも
需給
安定に力を尽くしていきたい、こう思っております。
角屋堅次郎
27
○角屋
委員
さらにお尋ねをしたい一点は、御承知の三十七年十二月の時点で、当時の
肥料工業
の
輸出
にからむ情勢の悪化等もございまして、二百十五億円という赤字を生んだのでありますが、この赤字の問題の最近時における償却
状況
がどういうふうになっておるのか。私どもこの赤字の処理の点についてはすでに十九社のうちの十二社がすでに完了いたしまして、あといわゆる
肥料
にウエートを置いたそういう会社関係でなおかつある程度のものを残しておる、これはおそらく十年程度の償却期間々見てこれから取りくずしていくのではないかと思いますが、その間の最近の経緯について御説明願いたいと思う。
山下英明
28
○山下
政府委員
三十七年末御指摘のように二百十五億円の赤字残高がございましたのが、その後年々償却いたしまして、現在本年初めの段階で次期繰り越し残高は、御指摘のとおり二十七億六千万円でございます。会社単位に申し上げますと、過半数は完済したわけでございますが、主として
肥料
専業の会社がなお未払い残として残っております。
角屋堅次郎
29
○角屋
委員
今度の
法律
が成立をするということになりますと、特定
肥料
の中に新しく尿素を含める、こういう考えのように承知をしておるわけでありますが、新しく尿素を含めるということになりますと、従来の
硫安
の場合もそうでありますけれども、いわゆる法第二条第一項によるところの
価格
カルテル、こういう問題がひとつ関係してございますし、同時に
政府
の関係では、いわゆる
肥料工業
界とこの場合は全購連の取り扱いが非常に多いということで相手になりますけれども、この話し合いの中で、
政府
が勧奨、助言あるいは調停というふうなことを三条、四条に基づいてやる経緯になっておりますが、その場合に
政府
から資料提示をする。そこで尿素の場合は、尿素プロパーの産業というよりも、これは全体的にやっておる中で尿素ができてくるという問題もありまして、
政府
は
提出
するコスト関係の資料の作成にあたって、尿素の新しい資料を提示するというその方法論については、これからどういうふうにやろうとしておるのか、この点ひとつ御説明願いたいと思います。
遠藤寛二
30
○
遠藤説明員
尿素のコスト調査でございますが、コスト調査は現在
硫安
について行なっております。先生御指摘の条項でございますが、それに基づいてやっておりますが、
硫安
の
生産業者
に対して
継続
的に
会計年度
における実績、原価報告書を出させております。それに基づきまして農林、通産両省の係官が工場検査を行なうという方式をとっておりまして、またこの報告様式というものは、企業会計原則に準じました原価計算基準、それに基づきます
硫安
原価報告書作成規程というのでやっておるわけでございますが、尿素の場合につきましても、政令は、もし通過いたしますことになりますと、同様の方法をとりまして、尿素の
生産
者からの報告を求めまして、農林、通産両省の係官が工場立ち入り検査をやりまして、
実態
を確かめまして調査をいたすということになると思っております。
角屋堅次郎
31
○角屋
委員
これは
硫安
の場合でも、農林、通産両省の協力で原価調査をする場合に、合成
硫安
というふうな場合と回収
硫安
なり、あるいは副生
硫安
という場合では、
価格
の把握について難易があるわけですね。これは尿素の場合も同様だと思う。具体的に原価調査をする場合に、どういうやり方をやられるわけですか、もう少し御説明を願いたい。
中沢三郎
32
○中沢説明員 先ほど、
遠藤
参事官
が御説明申し上げました中にございますように、農林、通産両省といたしまして、企業会計原則に準拠いたしまして定めたところの
硫安
原価報告書作成規程に基づきまして、報告書を作成していただいておりますし、また、これに基づきまして、検査の場合、チェックしているわけでございます。 その
内容
を具体的に申し上げますと、アンモニア、硫酸等につきまして、その製造部門が、個別に消費されまして、明確につかみ得ますところの費用につきましては、部門別に個々に発生額を把握しているわけでございます。それから、アンモニア、硫酸等と同様に、把握し得ない部分がございます。たとえば、発電部門だとか用水部門というような部門がございまして、こういう部門は御承知のように、工場全体で消費されるわけでございますが、これらの消費量が他の部門と区別して把握されます分につきましては、それぞれ個別の基準に従いまして消費量を配賦するわけでございますが、このほか、共通建物償却費とかあるいは賃借料、修繕料等のいわゆる部門の共通費でございますが、これは受益の程度に応じまして、
面積
比なり工場等によって配分しているわけでございます。しかし、なおかつ、こういった方法によりましては把握し得ない、たとえば一般
管理
費等の配賦の問題があるわけでございますが、これらは、ほかに適当な基準がございませんので、売り上げ高比率によって配分する、こういうふうにいたしておるわけでございます。 こういうふうな方法で配賦なり把握しているわけでございますが、御指摘のように、その製造工程が、各ほかの部門と関連いたしまして、多角化しておる関係上、こういう基準は持つものの、できるだけ正確に把握するために、過去との関連を正確に追うことによって、その辺の正確さをできるだけはかっていきたい、こういうふうにしているわけでございます。
角屋堅次郎
33
○角屋
委員
これからのいわば
輸出
主導型の
肥料
工事 そういう性格を持った中で、これから五年間、本法を延長する。農政は非常に低迷の
状況
にある。また、
国際市場
の関係は、
輸出
主導型と申しましても、なかなかそう甘い情勢にはない。そこで、そういう情勢の中で、国内の
価格
の低位安定という問題について、現実に進められておる
合理化
メリットの還元が適確になされるかどうかということがやはり一つの問題点であります。同時に、従来から、これは
肥料
問題になりますと常に出てくるのは、
国内価格
と
輸出価格
との関係において、
輸出
の情勢がきびしくなる、
国際市場
の競争のために
輸出価格
を相当下げなければならぬ、その赤字を、
日本
の国内の農民に転嫁するのじゃないかという問題等もいろいろ言われるわけでありまして、これは現実に進められておるスケールメリットの恩典というものを
国内価格
の低位安定というところに具体的にどういう方針でどう持っていこうというのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
遠藤寛二
34
○
遠藤説明員
輸出価格
と
国内価格
につきまして問題がございまして、
輸出価格
が国内に転嫁されないか、
大型化
のメリットがいかように国内に反映されるかという点でございますが、それがこの
法律
延長をお願いいたしておりますゆえんでもあるわけでございますが、一つは、
大型化
のメリットというようなものが国内の
価格
に反映いたしますように、それでやりましたものにつきまして、やはり従来の方法によりまして、
生産業者
、
販売業者
両者閥の
価格
の取りきめというものをやりますし、それからまた、一方におきましては、
内需
というものの
確保
、
国内価格
の
安定措置
というものを依然として続けますので、そういった
大型化
のメリットというものが、私どもの指導によりまして、
国内価格
にはね返ってくるということを期待しておるわけでございまして、この
法律
の延長によりましてそれが
確保
できるものと思っておるわけでございます。
角屋堅次郎
35
○角屋
委員
いまの説明では必ずしも満足をいたしませんが、先ほど触れましたいわゆる
大型化
計画
というものの
推進
過程においては、当然やはりスクラップ・アンド・ビルドの
計画
の
推進
に伴って廃止されていく工場あるいは改変されていく工場の中で、労働問題に対する配慮というものが出てくるわけですね。これは従来、その処理をどういうふうにやり、現実に
合理化
計画
の進められておるこれらの問題について、行政官庁としてどういう手を打たれていこうとするのか、この辺についても簡潔にひとつ御説明を願いたいと思います。
山下英明
36
○山下
政府委員
第二次
合理化
計画
で通産省が
設備
調整を引き受けましたが、その当初から、
大型化
いたします諸条件の一つといたしまして、旧
設備
をスクラップすることによって起こります人員の配置転換については、これを円滑に
実施
してほしい、それでなければ
大型化
設備
の新設はできないと、こういう方針でまいっております。その後の実際を見ますと、現実にそういう問題が起きておりますが、私どもとしては、必要に応じ、会社側とも話し合いまして、余剰人員が旧
設備
から出ました場合には、新
設備
あるいは同じ会社の中の他部門への配置転換、これを当該組合とも十分話し合って進めてもらうということで、できる限りの指導をいたしております。
角屋堅次郎
37
○角屋
委員
これはお隣の東北の長谷部君からも声が出ておりましたけれども、東北関係も関係会社があるわけですが、やはり
合理化
計画
を
推進
する過程での非常に
地域
における深刻な問題として、これは参議院の
審議
の中でも具体的問題を取り上げての議論がなされましたけれども、きょうは私、次の
林業種苗法案
の問題もある程度議論しなければなりませんので、これに十分触れることはできませんけれども、やはり真剣にこの問題は念頭に置いて対処してもらいたいということを強く
要請
をいたしておきます。
委員長
にちょっとお伺いしたいのでありますが、私の質問の半ばで必ず
農林大臣
は来るというふうに言われまして、心待ちしておるのでありますが、一向に姿が見えませんけれども、これではちょっと困るのでありまして、その辺のところをちょっと御説明願いたいと思います。
三ツ林弥太郎
38
○三ツ林
委員長
代理 角屋さんに申し上げますが、いま
農林大臣
は参議院のほうの
審議
に加わっておりまして、いま連絡をとっておるそうで、後ほど確たる返事をいたしますから……。
角屋堅次郎
39
○角屋
委員
ちょっと
林業種苗法案
の議論を残しているのですけれどもね。大臣が来てあらためて時間をとるということになると、これは
理事
会の話の関係もあって、私が相当時間をとり過ぎてもどうかと思います。大臣出席の関係もありますので、私、大臣出席の際にまた質問を続行いたしますが、暫時、質問を保留いたします。 〔三ツ林
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
草野一郎平
40
○
草野委員長
瀬野栄次郎
君。
瀬野栄次郎
41
○瀬野
委員
林業種苗法案
について質問をいたします。関係当局並びに
農林大臣
からの御答弁を承りたいと思います。時間の制約がございますので、簡潔に申し上げますので、よろしくお願いする次第でございます。 今回の
種苗
法案
の改正は、まず三本の柱があるわけでございます。まず一つは、優良な
採取源
の
指定
、二つには、
生産
の
事業
を行なう者の
登録
、三番目には、配布の際の
表示
の適正化等に関する
措置
を定めることにより、優良な
林業
の
種苗
の
供給
を
確保
するということでございます。 そこで、逐次質問をしてまいりたいと思いますが、
政府
が
計画
いたしております国有林並びに
民有林
の
造林
計画
、今後の
造林
の
見通し
等について、まずお伺いをいたしたいと思います。
松本守雄
42
○
松本
(守)
政府委員
今後の
造林
計画
は、一応
昭和
六十年を
目標
に、
民有林
で一千万ヘクタール、国有林で三百四十二万ヘクタールに人工
造林地
を持っていこう、このように
計画
をしております。
瀬野栄次郎
43
○瀬野
委員
今後の
木材需給
の関係から、
造林地
も御承知のようにだんだん
奥地化
をしてまいりました。また
労働力
の
不足
等から、
造林
が遅々として進まないという
傾向
をたどっておりますが、この原因に
造林
補助金
の単価を上げるという問題が大きなウエートを占めていることは御承知のとおりであります。現在の
造林
の補助単価は、場所によってもちろん違いますが、ヘクタール当たり平均十一万から約十二万、このように私は承知いたしておりますが、少なくとも人夫賃の高騰、
政府
で査定をされておるのは千百十円ぐらいと見ておりますが、さらには
苗木
の単価等についても、七円余りを平均見ておられるようでございますが、今後の
造林
を
推進
する上においては、
補助金
の単価を上げるということが大きな問題である、このように考えるわけです。この点について、
林野庁長官
はどのようにお考えであるか、現状と将来の
見通し
についてお伺いをいたしたいと思います。
松本守雄
44
○
松本
(守)
政府委員
賃金のアップを一応四十五年度は一二%、それから
苗木代
のアップを二二%見ております。こういうことで興業費全体のアップが一四%ぐらいになるかと思います。今後ともこの
造林事業
費の補助単価のさらに充実をすることにつきましては努力をいたしたい、このように考えて、おります。
瀬野栄次郎
45
○瀬野
委員
次に、
指定
採種源の
整備
についてお伺いいたします。 現在、母樹林として旧法による
指定
が二千ヘクタール、長官通達でたしか四万ヘクタールだと思いましたが、これを洗い直す考えはないかということでございます。
造林
計画
によると四万五千から四万六千ヘクタール必要である、こういうふうに私は承知しておりますが、今後のこれら
指定採取源
の
整備
についてどのようにお考えであるか、御
意見
を承りたいと思います。
松本守雄
46
○
松本
(守)
政府委員
掛声
採取源
は四十五年度から三カ年
計画
、これは
農林大臣
が
指定
をする
特別母樹林
でございますが、それは三カ年
計画
で千二百ヘクタールを
指定
する予定をしております。それから
普通母樹林
、これは四万二千ヘクタールを四カ年
計画
で
指定
をするつもりでございます。従来ありました母樹林は二千ヘクタールぐらいしかございません。ただ
昭和
三十二年から発足をしております
育種
事業
としての
育種
上必要な
採取
林というものを
指定
をしておりまして、これは
種苗
法でいう母樹林ではございませんが、そういうこともありますので、各県別に個所別におおむねの見当はついておるつもりでございます。
瀬野栄次郎
47
○瀬野
委員
関連して、公営
種穂
採取
というものは県営で種子を取るということになるわけでございますが、業者などかってに取らない習慣にするのか、県でのみ取るのか。この点、公営種子
採取
について御見解を承りたいと思います。
松本守雄
48
○
松本
(守)
政府委員
公営種子の
採取
は、現在では毎年の
予算
によりまして各県に対して国が補助をいたしております。それは毎年度必要とする種子のおおむね八割ぐらいを
採取
できるように
助成
をしております。あとの二割は民間の自家用なり
事業
用の種がとられております。この
採取源
の
整備
が終わりまして種を取るのに適当なところが手近に
整備
をされますと、公営
採取
とあわせて民間の
採取
卒業も、確実に適正な
採取
が行なわれるであろう、このように考えております。
瀬野栄次郎
49
○瀬野
委員
今回の
法案
で
種苗
の配布業者というもの、すなわちブローカーということになりますが、
採取
業者は何人ぐらいいて——実際にこの
法案
の成立によって不良業者というものがいろいろ制約を受けることにもなってまいりますが、零細的な業者のウエートというものがかなりたくさんございます。しかもこの
法案
によって、零細的な業者を強く取り締まるとまではいかなくても、圧迫を受けるというような懸念も若干出てくるわけでございますが、この点と、いままでいわゆる不良苗を納めておった業者等に対して今後この
法案
成立によってどういうようになっていくか、この点御見解を承っておきたいと思います。
松本守雄
50
○
松本
(守)
政府委員
現在
生産業者
が二万四千人おります。ほかに配布
事業
だけやっております業者が千七百人おります。あとこの二万四千人の
生産
業君はほとんどが配布
事業
までやっておるわけであります。この千七百人の配布だけやっておる業者の内訳を見ますと、大部分が
森林
組合なり県の
種苗
組合というものがこの配布をやっておる
実情
でございます。 そこで、ブローカーの取り締まりをどうするかというお話でございますが 今後そういった
生産
業君の
登録
、配布業者の届け出制というものを強化することによりまして、そういった悪質なブローカー的なものを排除をしていく。この
登録
された
生産業者
からつくられる
苗木
は、品質、規格その他優良であるという
表示
制度
が確実に行なわれることによって、そういった不良のものは逐次排除をされるということになる仕組みになっております。
瀬野栄次郎
51
○瀬野
委員
種苗
業者の苗
生産
についてでございますが、どうしてチェックしていくかということでございます。従来から見てまいりますと、業者は苗が
不足
しますと結局納入苗をそろえるためにいろいろ無理をすることになっておりますが、苗
不足
の際、不良苗を求めて業者が
表示
をして出す心配はないか、これらのことについてどうチェックをしていくか、こういった問題について御見解を承りたいと思うのです。
松本守雄
52
○
松本
(守)
政府委員
近年は杉、ヒノキが若干
不足
ぎみでございます。それからアカマツ、カラマツが過剰ぎみでございます。苗
不足
のときに規格外の苗、不良苗が使われる心配はないかということでございますが、これは林野庁の指導下におきまして各県で樹種ごとの規格の基準をきめております。そこで、規格以下の
苗木
は出回らないように、一応取り締まりその他自主的なチェックもいたしておるようでありますが、どうしても
苗木
が
不足
だということになりますと、規格外と規格内の
苗木
と申しましてもそこには画然たる差があるわけではございません。非常に寄木が
不足
する場合には、厳格な規格があるいは県の指導下において若干緩和をされて、それで間に合わせるということもまれにはあるようでございますが、今後は、この
種苗
法の改正によりまして、毎年必要とするところの数量、品質ともに適正な
苗木
が出回るように、
種苗
需給
調整協議会その他を通じまして万全を期してまいりたい、このように考えております。
瀬野栄次郎
53
○瀬野
委員
いまの
林野庁長官
の答弁に関連して、もう一点ちょっと補足してお伺いしたいことは、種以上の苗ということになるとこれは他から買ってきた苗ということにもなるわけでございますが、そういった面でもチェックができるのではないかと思います。参考までにお伺いしたいのですが、杉、ヒ等で一キロ当たり毛苗が大体何本ぐらい
生産
されるという基準を定めていかれるのか、その点杉、ヒに限ってお伺いをしておきたいと思います。
松本守雄
54
○
松本
(守)
政府委員
種が、一キログラム当たり山出し苗になるのがおよそ一万木、これは気象条件その他によって違いますが、おおよそ一万本、このように考えております。
瀬野栄次郎
55
○瀬野
委員
そうすると、要するに一万本の苗以上に
生産
があった場合は他から購入した、こういうふうにチェックするというふうな意味に解していくのであるかどうか、その点もう一点お伺いしておきます。
松本守雄
56
○
松本
(守)
政府委員
いまの苗畑の養苗技術からいきまして、その年、年の降雨量、気温、そういうことによって得苗率に非常に差がございます。そこで得苗率が非常によろしい年にはしばしば残苗が出る。それから乾燥の続いた年でありますと、枯れる本数が多くなりまして得苗率が少なくなる。したがってその年に由来する山出し
苗木
が
不足
をするということでありまして、その得苗率をはじく場合に、物理的な苗の大きさとか幹の根元径の太さとか、それから苗長、そういうもので
苗木
の規格を一応きめておりますが、その
苗木
の規格が各県ごとにも
一定
をしておりません。したがって、その規格の均斉のとれたものがよろしいということになっておるわけですが、豊作の年にはその規格のいいものが出回る、凶作の年には規格が若干低下するものまで出回るということによって調整がとられておるかと思います。
瀬野栄次郎
57
○瀬野
委員
次に、林木の
幼齢結実
についてお伺いしておきたいと思います。 従来は二十年、三十年で結実するということが多かったのでありますが、最近は、不良
苗木
の配布また
生産
等が多くなってまいりました関係から、十年くらいで
幼齢結実
をするという
林分
がかなり多くなってまいったわけであります。国の貴重な
補助金
で
造林
をいたしましてこのような結果を生んだのでは、米やまたはほかの作物と違いまして一年で勝負がきまるのでありませんし、少なくとも二十五年、三十年とかかる、林伐期が長いわけでございまするので、そういった意味からもこういったことがあってはたいへんであります。かかる意味からも今回の
種苗
法案
の
提案
になったわけで、むしろこれは
提案
が時期的にもずいぶんおくれておる。ずいぶん前からこれは叫ばれておりながらおくれておる、このように本員は思うわけであります。そこで最近問題になっておりますこの
幼齢結実
についてその
実態
はどうなっているか、また国有林、
民有林
について
面積
等がわかっておればこの席でお示し願いたい、かように思うわけでございます。
松本守雄
58
○
松本
(守)
政府委員
昨年四十四年に林野庁で調査をいたしております。その調査は全国で三十九県、それから調査
面積
が約三万ヘクタールを抽出をいたしまして調査をいたしました。その結果年齢別、樹種別の結実の
状況
の調査結果が出ております。それを概略申し上げますと、もうすでに一齢級——一齢級と申しますのは一年生から五年まででございます。一齢級でも一〇%をこす結実が出ておる。これは杉、ヒノキ各樹種ともでございます。それから二齢級ではすでに半分、過半のものが結実を見ておるということで、この結実の結果林木の生長に悪い影響が当然出てくるわけであります。今後はこういうことのないように、
種苗
法の改正充実によりまして
日本
の
林業
発展
のために努力をしなければいけない、このように考える次第でございます。
瀬野栄次郎
59
○瀬野
委員
林野庁長官
からいま答弁いただきましたが、一齢級でも一〇%、二齢級で4過半が出ている。まことにこれはゆゆしき題でございます。現地では十年たってもう生長がとまって結実したということでもうあきらめて、
補助金
単価も少ないし、さらに改植する意欲がないというのが現状でありまして、中には熱心にこれを改植してさらにいい
林分
を形成していこうという人もあるわけでございますが……。もちろんこのほか自然災害によるもの、雪害、冷害、凍害、風害というようにいろいろ災害もあるわけでございますが、これらの
幼齢結実
についての
林分
に対して貴重な
補助金
を出してやるわけでありますが、再度改植するというようなことについて将来
補助金
を出してやらせるとか、どういうように考えていくか。今後は本
種苗
法案
によって優良苗を
生産
していい
林分
をつくっていく、クローネのそろった
林分
ができていくということになろうかと思いますが、従来の既設の
造林
についてはたいへん心配をいたしております。
国土
の保安、また
森林資源
の造成の面からも問題でありますが、長官はこれについてどのような見解をお持ちか、お伺いしたいのであります。
松本守雄
60
○
松本
(守)
政府委員
幼齢結実
をするということが林学、
林業
上好ましくない現象であるということは通説としていわれておるわけであります。その場合に、その
苗木
の遺伝質が悪いために結実をするという場合と、それから
苗木
そのものの品質は別に悪くないのであるけれども、植える場所が適当でなかったという二つの場合があるわけであります。この結実の程度にもよりますが、少しぐらいの結実はこれはあたりまえでありますけれども、極端なことになれば、それが
生長量
に非常に大きな影響が出てくるわけであります。特に結実のひどいところを植え直すということにつきましては、現行取り扱いではその植え直す場合の
助成
はいま基準の中に入れておりません。ただ、伐期近くなってもう見込みがないから少し早く切るという場合には、そのあとは再
造林
の
補助金
が出るということでありまして、今後そういうものを植え直す必要があるかどうかあるいは間伐とか除伐の過程におきましてそういう不良なものを除去していくということによって、この一代限りはもたせるということがいいのか、技術的にも十分検討してまいりたい、このように考えております。
瀬野栄次郎
61
○瀬野
委員
時間の関係もございますので、いまの件については一点要望しておきます。
幼齢結実
の国有林、
民有林
の
面積
実態
とサンプル調査等の程度で——今後調査をしていかれると思いますが、ぜひこういったもの本
実態
を明らかにして、次の
林業
白書にきちっとうたうなり、また調査ができ次第いずれ近い
委員
会等でお伺いしたいと思いますので、よろしくお願いしておきます。と同時に、これらの問題についても検討をしていただいて、やはり改植すべきものはどうするかという問題を今後慎重に検討していただきたい、このことを要望申し上げておきます。 次は採穂または
林業
種子の種子代というものは今後
法案
の成立によってどういうふうになっていくか、どのような指導をなさっていくのか、その点明確にこの機会に御答弁をいただきたいと思います。
松本守雄
62
○
松本
(守)
政府委員
従来と現在では穂をとるということにつきまして
制度
としてはその代金について考えておりません。ただ民間の例といたしまして、優良な種子なりさし木の
種穂
、これを相当有利な採算で売っておるという実例も聞くわけであります。そういった特別に優良な品種につきましては相当有利な代金で売れる場合があるようであります。今後林野庁といたしましては、逐次採種園、採穂園から
生産
される
苗木
をふやすことを考えておりまして、将来
昭和
六十年ごろまでには
育種
により仕立てられた採種園、採穂園からおおむね
日本
で必要とするところの
苗木
が得られるであろう。これらはいずれも国営なり県営なりの
苗木
でございまして、採種園でございまして、そういうところでその代金をどうするかということが今後の検討問題である、このように考えます。
瀬野栄次郎
63
○瀬野
委員
よろしくお願いいたします。 次に精英樹等の採種園、採穂園の造成
事業
についてどうなっておるかということについて一点お伺いしておきたいのです。 御承知のように、精英樹については
昭和
二十九年でしたかコンクールが開始されて、正式に
予算
化されたのは、三十一年に指針が出され三十二年から
実施
をされたやに記憶しておりますが、この精英樹等の採種園、採穂園の造成
事業
は四十五年度から抵抗性の個体運搬を新規に
実施
するといわれておりますけれども、その
実施
計画
についてお伺いをしておきます。
松本守雄
64
○
松本
(守)
政府委員
精英樹が全国で七千木余り、それから採種園、採穂園合わせまして四十四年までに一応
設定
をされたのは四千五百ヘクタールでございます。四十五年度からは新たに抵抗性品種の選抜という課題に取り組む、この
予算
を八百万円ばかりとっておりますが、一応従来の採種園、採穂園の
設定
は四十四年度で終わりまして、四十五年度からはこういった抵抗性品種の関連をしますことについて
育種
事業
を進めてまいりたい、このように考えます。
瀬野栄次郎
65
○瀬野
委員
大臣はおいでになりますか。——私も二、三点あるのですが、もう終わりたいと思ってピッチをあげておるのですが、大臣が見えぬと——早く呼んでください。 それでは、次にこの際お伺いをしておきたいのでありますが、団地
造林
の問題についてお伺いをしておきます。 御承知のように
現行法
では二十ヘクタール取り扱いができる、こういうことで当初、法ができた当時は杉だけというようになっていたように私は記憶しておるわけです。すなわち、杉で同一種類ならば取り扱う、いわゆる単一林を意図されておられたように記憶しておるのでありますが、今回のように農地法、農協法の改正、また農地の転用ということが進められてまいりますと、どうしても農政の三本の柱である畜産
事業
等も
推進
がされてくる。そうなればクヌギなんかを植えていくという混牧林をやりたいという希望が強いわけです。こういったことから、従来の拡大
造林
をはかっていくという意味で単一林ということになっていったんじゃないかと思いますが、今後このような混牧林をしていくことについてどうお考えであるか。言うまでもなく、
木材
不足
を満たすためには用材をつくるということからよく意味はわかるのですけれども、今後の農政を
推進
する上にぜひ団地
造林
を、二十ヘクタールをたとえば十五ヘクタールくらいに
面積
を減らして、進めていくとか、あるいは混牧林をどの程度までは認めるとか、こういったことをやっていただいて、農外所得をふやし、総合的に取り入れていただきたい、かように実は思っておるわけでございますけれども、この点についてこの機会に
林野庁長官
の御見解を承っておきたいと思うのであります。
松本守雄
66
○
松本
(守)
政府委員
団地
造林
の採択基準を引き下げられないかという第一点の問題でございますが、現在二十ヘクタールで
実施
をしております。四十二年から着手をしておりまして、まだ全体
計画
の幾ばくも済ましておりません。各地から非常な申し込みがきて、しかも団地
造林
は補助率を高めております。したがって非常に申し込みが多いわけであります。この採択基準につきましては今後、今年度団地
造林
の成績調査、
実態
調査をやることにしておりますので、その調査の結果を見まして基準の引き下げなりその他検討をしていきたい。 それから混牧林についてでございますが、いまこの混牧林の技術体系がまだ確立をされていないのではないかと思います。民間で間々そういった例もあるようでありますが、そこで林野庁としましては、国有林を使いまして全国で十カ所肉用牛の実験牧場、これは
林業
と肉川牛の放牧飼育が両立するかどうかという実験を三年ばかり前から
実施
をしております。そういった
実施
の過税を見ながら、その成績を見ながら、林地に4場合によりましてはどんどん牛を入れていくということにつきまして、関係方面とも協議をしながら今後の方向を見定めてまいりたいと思います。
瀬野栄次郎
67
○瀬野
委員
大臣がお見えになりませんし、あと十分したらおいでになるということですが、
林野庁長官
に大臣の問題もお聞きして片づけたいと思いますので、よろしくお願いします。 簡潔に申し上げますが、今回の
法案
の
提案
によって優良
種苗
確保
事業
の
政府
の
予算
を見てみましたが、
予算
は一億四千二百三十六万五千円と実に
予算
規模が少ない。これは
農林大臣
にもぜひ強く申し上げたいと思っておったのですが、御承知のように、
わが国
の
森林面積
というものは全
国土
の六八%にも及んでおる。また
国土保全
、治山治水の面から
国民
のレクリエーション的な施設、またあらゆる面でこの恩恵を受けておる
国民
に深いつながりを持っておりますし、ますますこの関係が深くなってまいったわけであります。これにしては
予算
が少ないと思う。もっと
予算
を
計画
して要求すべきであるし、
政府
も考えるべきだと思いますが、長官のほうはどういうように要求されて将来どのような考えであるか、決意のほどを伺いたいと思います。
松本守雄
68
○
松本
(守)
政府委員
林業
種帯関係
予算
、四十五年度は一億四千万円でございます。四十四年度も大体同額でございます。ただその
内容
を見ますと、四十四年度で先ほどの採
種穂
園の
設定
が完了をいたしております。その分だけの県に対する
助成
金が当然減になっております。そういうものを含めますと、それ以外の新しい
種苗
法の
実施
とその他準備をいろいろいたしますが、その他のものにつきましては拡充をされておるはずでございます。今後四十六年以降につきましても前向きで種前
事業
の強化拡充という方向で十分に検討してまいりたいと思います。
瀬野栄次郎
69
○瀬野
委員
次に国際的な
管理
制度
、すなわちOECDへの加盟について、早期加入をするということがいわれております。将来
種苗
の態勢が整って
整備
されると、おそらく三年後ぐらいにはこの時期がくるのじゃないかと思っていますが、この時期またお考えについて長官の御
意見
を承っておきたいと思います。
松本守雄
70
○
松本
(守)
政府委員
昭和
四十一年にOECDの
種苗
に関する
会議
がございました。当時林野庁からは指導部長が出席をしております。その
会議
では、OECDの
苗木
の
管理
機構に合うように
日本
の国内法を改正してから加入いたしましょうということで帰ってきておるわけであります。今回の
種苗
法の改正でそのOECDの国際
管理
機構に加入をする条件が一応整えられるわけでありますから、いずれそういった国際機構に加入する問題につきましても早急に検討をしてまいりたい、このように思う次第でございます。
瀬野栄次郎
71
○瀬野
委員
では最後に、
農林大臣
がおいでになりませんので要望だけ申し上げておきますが、
森林計画
に基づく今後の
木材需給
、
外材輸入
のことについて触れてみたいと思っておったわけでありますが、この件については昨日の本
会議
でも一応総理大臣からも答弁があっていますので省略いたしまして、次回に譲ることにいたします。 最後に一点お伺いしておきたいのでありますが、今回の
林業
関係の
審議
がなかなか機会がございませんでしたので、
木材
引取税のことについて一点長官にお伺いしておきたいと思います。各団体からも、また長年この
木材
引取税の全廃について要望が強いわけでございますが、一部の町村等の主要財源になっている点があったりして、なかなか延び延びになってきています。これに対する今後の考え、
見通し
、決意のほどを承っておきたいと思います。
松本守雄
72
○
松本
(守)
政府委員
木材
引取税につきましては、ここ数年来林野庁としては、国内
林業
擁護のためにいろいろ関係方面とも協議を重ねながら検討いたしております。この税
制度
は、現在外国材が相当入ってまいっておる、こういう
事態
を踏まえまして、重要な物資に
流通
税を課するという考え方の適当でないということを踏まえまして、今後この撤廃、廃止に林野庁としての検討を続けまして、関係方面と亀協議をしながらその実現に努力をいたしたい、このように考えます。
瀬野栄次郎
73
○瀬野
委員
では最後に
渡辺
政務次官にお伺いしておきます。 いま
林野庁長官
からいろいろお話がございましたが、
農林大臣
もおいでございませんので、どうかひとつ次の点について決意をお伺いしたいのでございます。 先ほど申しました
林業
関係の、特に優良
種苗
生産事
業の
予算
が少ない。今後
予算
の
確保
については格段の努力をして、
林業
の
発展
に力を尽くしていただきたい。
政府
の
施策
を講じていただきたい。従来から
林業
はどうしてもおくれがちになっておりますので、その点のお考えと、
木材
引取税についての問題、この二点について政務次官から御答弁を承って、私の質問を終わりたいと思います。
渡辺美智雄
74
○
渡辺政府委員
林業
の
振興
の問題につきましてはいろいろと貴重な御
意見
の開陳があったわけでありますが、御
趣旨
に沿って努力をするつもりであります。 なお
木材
引収税の問題でありますが、これは数年間、長い間、業界をはじめいろいろな方面からその廃止が叫ばれてきております。しかしながら
木材
引取税で恩恵を受けるところは、えてして過疎地方の町村が多いというようなことで、自治省のほうとの話し合いがなかなかつかないというのが現況でありますから、これに対するかわり財源が見つかれば至急廃止していただきたいというのが、われわれの基本的な考え方であります。
瀬野栄次郎
75
○瀬野
委員
以上で質問を終わります。
草野一郎平
76
○
草野委員長
相沢武彦君。
相沢武彦
77
○相沢
委員
私は、
肥料価格
安定の改正
法案
につきまして若干御質問いたします。時間があまりありませんので御答弁のほうも簡潔かつスピーディーにお願いをしたいと思います。 この
法律案
の
提案理由
の一つになっています
内需
の
確保
の問題なんですが、
法律
ができましてからすでに五年経過しておりまして、
法案
の立案当時の
状況
と現在を比較しますと非常に
事情
の変化がございまして、
生産
能力も非常に大きくなっておりますし、
内需
のウエートは減る一方でございますし、
内需
プラス
輸出
の
状況
等を、資料に基づきまして三十八年以降の統計を見ても、
輸出
は三十八年と四十三年とを比べると倍近く伸びております。しかも尿素の統計で見ますと、三十八年から四十三年度までの
生産
——
内需
、
輸出
を合計しますと百七十二万トンも余る計算になっておりますが、
肥料
というのは
生産
時期との関係もありまして、
内需
の主として要る時期と
輸出
する時期と競合して行なわれることも当然考慮に入れなければならないとは思いますけれども、現在の段階ではすでにこの
法律
がなくても
内需
の
確保
はできる、そういう諸情勢にあるのではないか、このように考えるのですが、この点についての見解を簡単にお願いします。
遠藤寛二
78
○
遠藤説明員
お答え申し上げます。 先生御指摘のとおり、確かに
肥料
はむしろ
生産
過剰ぎみの状態にございます。しかしながらやはり先生もいまおっしゃいましたように、
肥料
の
需要
時期というものが非常に重なってまいります関係もございます。それから海外
輸出
というものが非常に大きなウエートを占めてまいりました関係で、その
価格
いかんによりまして
内需
がそちらへ持っていってしまわれるというようなおそれがないでもないわけでございます。そのような点を勘案いたしますと、やはり現在のような
措置
をとり存して
内需
優先、
価格
安定、
輸出
の
一元化
というようなことをやっていかなければならぬ、そのように考えております。
相沢武彦
79
○相沢
委員
次に、米の
生産
調整と
肥料
の
需要
関係についての
見通し
でございますが、
政府
の御答弁によりますと、米の
生産
調整によってもあまり
肥料
のほうは影響を受けない、こういう見解に立っておられますようです。
肥料
の
生産
にもあまり影響しないということはけっこうなことなんですが、ここで派生した問題として、東北、北海道のように休耕、転作に協力した農協、農家の方たち、この場合に問題が出てきております。というのは、農協の場合はお米の取り扱い手数料とか、あるいは
肥料
あるいは薬品等の取り扱い手数料というものがかなりの財源になっているわけでございますが、そこで
生産
調整も転作の多いところではまだよいのでしょうが、ほとんど休耕してしまったような、しかも小規模な農協、こういうところは
収入
が非常に減っておりまして、そういったところから各地の農協が休耕奨励金の何%かを農協の維持費に納入してほしい、こういう話があちらこちらで聞こえております。私の聞いたところなんかでは、休耕奨励金の五%を納入してほしいということが要望されまして、農民大会等でかなり紛糾しているというようなことがありますし、また
肥料
、農薬の取り扱い手数料、これを値上げするということも起きておるようでございまして、そうしますと、この
肥料
の手数料の値上げということは、結局事実上
肥料
の
価格
が値上がりしてしまうということになると思うのですが、こういった
生産
調整の問題から農民自体に負担が大きくなっておる、この現状に対して、今後
政府
としてはどういうような対策を考えられるか。特に部分的な問題でありますけれども、そういった
実態
に対してやはりあたたかい保護政策が必要じゃないか、このように考えますが、この点について政務次官から御返答願います。
渡辺美智雄
80
○
渡辺政府委員
休耕等によって大体どれぐらい
肥料
の取り扱いが減るだろうか。これは実際のところ推計にしかすぎないのでありますが、大体大まかに見て、
内需
四百万トン、そのうち米に使うものが約四〇%、百六十万トン、それの一〇%減と見て十六万トン。十六万トンのうち、あるいは全部が休耕でありませんから、転作にいくものを引くと、十万トンないし十二万トンぐらいの
減少
になるのではなかろうか、こういうように想定をしておるわけであります。これは全体の
内需
に対する二・五%、あるいはそれよりもちょっと上の程度、こういうようなことであります。ここの部分の
肥料
取り扱いの手数料というものが農協から減ることは間違いないと思いますが、全体の数量として、そう
経営
を左右するほどの問題でないのじゃないか、また
地域
によって、一村全部が休耕するというようなところがあれば、それは非常に重大な問題でありますが、こういうもの等については農協の合併というようなものも引き続いてやっていくということでありますし、聞くところによると、
委員
会等においてもそういうような
法律
の
継続
をはかっていかれるというように拝聴いたしておりますものですから、そういうことは農協の合併等を通してでこぼこがなくなるような指導をしていきたい、また
生産
調整の
補助金
等も農協を通じて農民に大部分がいくものと考えておるわけであります。
相沢武彦
81
○相沢
委員
次に
価格
の問題ですが、
肥料
は
農業
生産
では最も基礎になる資材でありますし、特に今後
農産物
価格
が急速に上昇することは期待できない
状況
にありますので、
価格
の低位安定、これが非常に重要な課題になっておりますことは当然のことでありまして、そこで従来までも
需要
者である農家の方たちの中には、どうも
肥料
法の
運用
がメーカー
中心
主義のようなきらいがあるという疑念を持っておるものもありますし、また
価格
構成上の単価の問題については、調査監督権限を持っておる
農林大臣
がさらに積極的な法の施行をしなければならない、このように考えるわけでございまして、最近心配していることなんですが、各方面から、新
肥料
年度になったならば、
肥料
の
価格
は値上がりをするのじゃないか、こういうような声もあるし、また動きもあるようでございます。最近通運料金が一九・八%アップしたばかりですし、倉庫料等の値上げの声も聞かれております。そういったことの影響を受けて、もし
内需
価格
が値上がりになると、また大きな影響をもたらすのではなかろうか、こういうように考えます。今度の
法律案
の
提案理由
の一つに
国内価格
の低位安定ということがうたわれておるのに、
法案
が通過すると、たちまち
国内価格
が上がってしまうというのでは、この
法律
を延長した何の意味もなくなるのじゃないか、
需要
着たちから、これじゃ
価格
不安定法じゃないか、こういうそしりも受けかねないと思うのですが、この際、
国内価格
についても値上げはしないのだ、そういう方向で進むのだということを明言していただきたいと思うのですが、この点いかがでしょう。
渡辺美智雄
82
○
渡辺政府委員
いままでもそういうことがよくいわれたのでありますが、実績を見ていただけばわかるように、
合理化
の促進をはかってまいりまして、最近の例を見ますと、たとえば三十九
肥料
年度で四十キロ当たり八円とか、四十年度で六円とか、四十一年度で六円、四十三年度で十八円四十四銭、四十四年度で十円というように、毎年
合理化
のメリットというものを
国内価格
に反映をさせてきておるわけであります。こういう実績があるわけであります。したがって、今後もこの
大型化
等を極力進めることによってそれらの不利な条件をカバーしていくように、
政府
としては極力努力をしていくつもりであります。
相沢武彦
83
○相沢
委員
最後に
輸出価格
の面でお尋ねしておきたいのですが、
世界
的にいま
肥料工業
は
設備
増強
あるいは
大型化
等によりまして、豪州なんかでは大型の窒素
肥料
工場が二つも完成したそうですし、さらに
輸出競争
の最大の相手であるニトレックス加盟諸国等の
生産
体制や
輸出
動向から見まして、今後
輸出価格
の一そうの値下がり等が予想せられております。そうなりますと、貿易上の競争に勝つ手段として
日本
の
輸出
肥料
もやむなく
生産
費を割って安い
価格
で過激な競争に耐えようとする方向にいくと思うわけです。現在
わが国
の
国内価格
は外国に比べて安くなっていますけれども、従来からメーカーは、できれば欧米式にしたいという気待ちは持っているわけですから、競争が激しくなるにつれて出血
輸出
を
内需
に転嫁しよう、こういう衝動はどうしても起きてくるだろう、このように思います。 そこで
政府
として、第二次大型
計画
に基づくア系の
肥料
コスト、堆積等と合わせて、この辺、どういう見解に立っているのか。特に、もし将来、赤字
輸出
の欠損を
内需
に転嫁せざるを得ないような状態に追い込まれたときに、
政府
としてはイギリスや西ドイツで行なっているといわれる農民に対する
肥料
買い入れ等
の補助あるいは
内需
出荷についてのメーカーへの補償
制度
、これを
実施
する決断があるかどうか、これをお伺いして質問を終わりたいと思います。
渡辺美智雄
84
○
渡辺政府委員
相沢さんのおっしゃるように、
日本
の国内の
肥料価格
は諸外国に比べて非常に割り安になっております。それで将来
日本
が過当な
輸出
をやるために非常な
輸出
赤字が生じてそれを国内に転嫁するのじゃないか、こういう御心配でありますが、そういうことをさせないためにこの
法律
の
期限
を延長して
輸出
のカルテルを行ない、
政府
が干渉をして無謀なダンピングをさせないようにしておるのでありますから、そういうことがないようにはかっていくつもりであります。したがって、それができると思っておりますので、ただいまのところ、
肥料
の補助や、また
肥料
会社に、対する補償ということは考えておりません。
角屋堅次郎
85
○角屋
委員
大臣がお見えになりましたので、時間の限定されておる点もありますから、ただいま
提案
になっております
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
並びに
林業種苗法案
の両案について、関連をして簡潔に御質問を申し上げたいと思います。 午前来、
肥料
関係の
法案
について私質問申し上げておったのでありますが、大臣にお伺いしたい第一点は、申し上げるまでもなく、今回五カ年間の延長をやろうとするこの
趣旨
は、本法が
制定
された当時にも柱にされましたように、
内需
の
優先確保
、
国内価格
の低位安定、
輸出体制
の
一元化
、こういうことで独禁法の適用除外に基づく
価格
カルテルあるいは
輸出
カルテルというものを、法第二条第一項並びに法第十一条第一項によって認められて、今日までいわば
肥料
業界と農民諸君との可能な範囲内における平和共存体制ということで運営されてきたと承知をしておるわけであります。最近の
肥料
の
大型化
に伴います
生産
能力あるいは国内における米の
生産
調整等を含む
国内需要
の低迷という今後の予測、さらには、国際的な面においては、大手であります中共についてはやはり非常に政治的な面が関係を持ってくる、あるいは東南アジア市場についてもそれぞれがプラント
輸出
その他によって自給力をつけてくる、こういうようなことで
肥料
業界の今後の体制というのは、内外ともに相当シビアなものがあるというふうに判断をされるわけであります。現にア系
肥料
においては、最近の滞貨も約三、四カ月分にのぼっておるという
状況
もあるわけであります。 そこで第一点お伺いしたいのは、海外市場の関係で、大手でありますお隣の中国の問題で、これは
輸出
の約半数近い比重を占めておるわけでありますが、過般覚書貿易の相談に老齢の松村さんやあるいは古井さんが行かれまして、いろいろ苦労されて覚書貿易のパイプをようやくつなぎとめて帰られてまいりました。
農林大臣
としては、これは隣国でもあり、また単に
肥料
の
輸出
問題のみならず、農政関係でも直接、間接関係の深い中国との貿易問題について、最近この問題をめぐって
国会
における
政府
の見解その他いろいろなものが表明されてきておるわけでありますけれども、特に
肥料
の今後の
輸出
問題については、中国との正常関係というものが
確保
される中で、今日までの実績をやはり
確保
していかなければならぬ必須の条件があろうと思うのであります。大臣として対中国との貿易問題、これは政治的な背景を持っておりますけれども、どういうお考えでいかれようとするのか、これをまずお伺いをしておきたいと思います。
倉石忠雄
86
○倉石国務大臣
肥料
の面から考えます海外
輸出
につきましては、中共マーケットというものはかなり有力なものであることは御指摘のとおりであります。そういう面で、私どもといたしましては、民間の関係において、この中共との関係で
肥料
が
継続
して
輸出
されることは好ましいことだと思っております。したがっていまやっていられるそういう貿易の拡大につきましては、私どもといたしましてはけっこうなことだ、こう思っております。
角屋堅次郎
87
○角屋
委員
東南アジアに今日まで
肥料
の
輸出
をはかってまいりましたが、今後とも
輸出
を
増大
していくためには、東南アジアの外貨ポジションの
状況
から見ましても、やはり開発途上国に対する
経済
援助とのタイアップというようなことも十分強化しながら、
肥料
輸出
についてもこれを拡大をするという方向で考えていかなければならぬかと思うわけでありますが、今後の東南アジアとのいわば貿易関係、
経済
協力という問題について、農政サイドからということでなしに、国務大臣としてどうお考えでございましょう。
倉石忠雄
88
○倉石国務大臣
わが国
はアジアの一部に存在いたしておりますし、また
地域
の接近しております開発途上国は、いずれもいろいろな意味で
わが国
に大きな期待を持っておることは御存じのとおりであります。そこでただいまいわゆる東南アジア諸
地域
から、
わが国
に向かっていまお話のありましたように、
経済
開発、技術協力等についていろいろ要望があります。そういうことに対して
政府
はできるだけの努力を続けておる次第でありますが、農林省におきましても技術的な面で先方の協力
要請
に従ってお手伝いはいたしておるわけでありますが、私どもといたしましては、やはりこれらの諸
地域
がそれぞれ
経済
が
発展
いたしまして生活水準が向上して平和になることを一番期待いたしておるわけであります。したがって、そういうことで彼らみずからが立ち上がれる、生活水準が向上してまいるということになれば、私どものほうとも有無相通ずる関係がだんだん緊密になるわけでありますから、そういう意味で
政府
は東南アジア諸
地域
に対して
経済
協力、技術協力は積極的に
継続
をしてまいりたい、こう思っておるわけであります。
角屋堅次郎
89
○角屋
委員
先ほども少しく事前に触れておりましたが、いわゆる
肥料
関係におきましては、四十年からの第一次アンモニア
大型化
計画
あるいは四十三年からの第二次アンモニア
大型化
計画
最近では千トンプラントということで
合理化
が
推進
をされてきておるわけでありますが、この
生産
力というものがフル回転をしてくるという
状況
と関連をして、たとえば
昭和
四十六
肥料
年度の
需給見通し
として当面いわれておりますような千四百九十八万トン、その中で
輸出
肥料
の関係は七百五十万トンあるいは
硫安
換算で国内の分が四百八十二万トン、そのほかにアンモニアの工業用が三百六十二万トン、こういうふうに見込まれてこれから予定がされていくわけでありますけれども、その場合に、大臣にお伺いしたい第一点は、いわゆるスケールメリットの農民への還元問題、これは
価格
に還元をしていく。今日まで本法が施行以降においてもある程度
硫安
その他について
価格
がいわゆる話し合いによって下げられてまいりましたけれども、今後の
肥料
業界の情勢というのは、私は決して楽観を許さない条件が出てまいるというふうに判断をしておるわけですが、農政サイドから見れば、農民に対する
国内価格
の低位安定という本法の重要な柱に照らして、しかも法第二条第一項との関連において
価格
カルテルというものが独禁法の点からも適用除外としてこれが認められておるという点から、
政府
として第三条、第四条によって従来の
肥料
二法と違いまして、勧奨あるいは助言あるいは調停と、そのためのいわゆる
政府
として資料
提出
というようなこともやってまいるわけでありますけれども、いわゆる
合理化
メリットの還元という指導の基本方針をどう持っていかれるのか、これをひとつお伺いしておきたいと思うのであります。
倉石忠雄
90
○倉石国務大臣
国内価格
は、御存じのように
生産
者と消費者が自主的な
価格
取りきめによってきまるわけでありますが、いまお話しのように、
合理化
等についてのメリットは
価格
に反映せしめられるかというお話でありますが、これは従来の経過を見ましてもそういうことについて成果をあげております。したがって、そういうことについて
政府
も従来とも同じような方向で指導をいたしてまいりたい、このように思っております。
角屋堅次郎
91
○角屋
委員
非常に重要な二法について本
会議
開会までに処置をしたいという皆さんの強い要望もございまして、私どもこの二法は賛成でございますから、それに了承を与えておりまして、時間がきわめて少ない中で先ほど質問を残しました
林業種苗法案
について数点お伺いをいたしたいと思います。 これは
法案
の中身にまで私深く触れることができなかったのはまことに残念でありますが、先ほど公明党の
委員
からも若干触れられましたのでありまして、この際やはり、きのうも本
会議
で議論をされましたけれども、
林業
の基本論ということについて一、二点お伺いをいたしておきたいと思います。 きのうも本
会議
で川俣君からも出ておりましたが、
林業
白書でも明らかなように、最近の
林業
の現状を見ますと、
外材
の輸入が非常に
増大
をしてくる一方、国内においては過疎問題の進行とも関連をして
林業
労働力
はどんどん質量ともに後退の
傾向
にある。さらには
造林
その他の点もそれとからみ合って後退をしていくという
状況
で、はたして
政府
がすでに
林業基本法
第十条第一項の
規定
によって策定された
昭和
四十一年四月一日
閣議決定
の
森林資源
に関する
基本計画
並びに重要な
林産物
の
需要
及び
供給
に関する
長期見通し
なり、あるいはまた、
森林法
に基づくところの
全国森林計画
と関連をして今日の
状況
からいたしますと、根本的な再検討をしなければならぬ段階に来ておるのじゃないか、こういうふうにも考えられるわけでありまして、たとえば
森林法
に基づく
全国森林計画
あるいは
地域
森林計画
というふうな問題もございますし、あるいはいわゆる
長期見通し
の問題もございますが、最近の情勢からしますと、こまかい数字に触れませんけれども、根本的にこの際、
林業政策
全体として再検討をこの
計画
について4する必要があるのじゃないか、こう考えるわけでありますが、今後のこの問題のこれらの処理について大臣としてどう対処されるかお伺いをいたしたいと思います。
倉石忠雄
92
○倉石国務大臣
林業
の問題はただいまお話のございましたように、これは
わが国
にとりましてもきわめて大きな問題でありまして、現在のような
状況
をこのまま推移せしめることは私どもといたしましてはよくないことである。これは何とかして積極的に方向づけていかなければならない、こう思っておるわけでありますが、御存じのように、
経済
の著しい変化に伴いまして、一方においては
木材
の
需要
の
増大
、またその反面においては
林業
労働者の
不足
と同時に、またお話しのありましたような一部の
農山
村の過疎化等、そういう相矛盾した現象が進行している中でこれらに対処いたしまして、私どもとしては
林業政策
をどのようにして強化していくか、私は非常に大きな問題、しかも難問題をかかえておる問題の一つだと思っておりますが、御存じのように、
林業基本法
の
趣旨
に沿いましてわれわれは
林業
総
生産
の
増大
を期しますとともに、
林業
従事者の所得を
増大
していくことを考えなければならない、そのようにいたしまして、
労働力
の充実もはかってまいらなければならないと思っております。
労働力
をつなぎとめますにはその
経済
的、社会的な地位の向上、安定に資するようにしなければならないわけでありますが、同時にまた
林業
生産
基盤の
整備
、
林業構造
の
改善
、そういうようなことについてしっかりした
予算
的
措置
また行政的
措置
をいたすことによって、
わが国
の
林業
をさらに
国民
の期待し得るようなものに力をつけていかなければならない。こういうことが私どもの努力
目標
でございます。
角屋堅次郎
93
○角屋
委員
外材
の輸入の
増大
は、いままでの資料にも明らかなように、四十二年度の三八・六%、四十三年度の四六・七%、四十四年度は推定になりますが四九・八%、おそらく本年の四十五年度は五一・七%と半数をこえるだろう、こういうふうに推定が本年度の場合もされるわけであります。一体この
傾向
を、今後
外材
の輸入が全体の
需要
量の中で
減少
していくというめどは、ここ当分の間に何年ごろからになると判断されますか。
松本守雄
94
○
松本
(守)
政府委員
四十一年に策定をされました「
森林資源
に関する
基本計画
」及び「
長期
の
見通し
」それによりますと、
外材
がだんだん減ってまいりますのが、一番
ピーク
が
昭和
六十年になっております。それ以降はだんだん国産材が主役を占めていくだろう。
昭和
九十年度にはおおむね九〇%の
自給率
が得られるであろう。ただし、これは
造林
、
林道
その他の
施策
が
計画
どおり行なわれた場合という条件がついております。
角屋堅次郎
95
○角屋
委員
長期見通し
で
昭和
九十年度に九〇%の自給達成ということは、私ども
計画
としては承知しておりますけれども、最近の
傾向
からすると、
林業政策
によほど本腰を入れませんと、なかなか
外材
の
輸入増
大
傾向
を歯どめをし、これを
減少
させることは困難ではないか。深く触れることはできませんけれども、その点についてはやはり本腰を入れてもらわなければならぬ時点に来ておるというふうに考えます。
法案
の中身について、やはり党の責任は私一人ですから、立場上二、三点お尋ねをしておきたいと思います。 「
生産事業者
の
登録
」というのを今回新しく取り上げられ、
配布事業者
については届け出制をとる。しかも
生産事業者
についての
登録
というのは、一日六時間程度の
講習会
を受ければ、それでもって
登録
の一つの条件を与える。こういうことで
登録
の条件を
講習会
の付与ということにしておるわけでありますが、
生産事業者
と
配布事業者
を
登録
と届け出に分けられた
理由
あるいはまたもう一つついでに時間の関係もありますからお伺いをしておきたいのでありますが、御承知の、今回新しく
農林大臣
の
指定
によりますところの特別母樹あるいは
特別母樹林
を
指定
できることになっておるわけでありますが、
特別母樹林
については
伐採
の制限ということが加えられておりまして、したがってこれについては損失補償をやることが
法律
上明定をされておるわけであります。半面、
都道府県知事
が農林省令の基準に基づいて
指定
をすることになります
育種
母樹、
育種母樹林
あるいは普通母樹、
普通母樹林
につきましては、これはとにかく
伐採
については届け出をすればよろしいというふうな形で、いわゆる
農林大臣
指定
のものと
都道府県知事
の
指定
のものについては、それぞれの
内容
について差をつけられておるわけでありますが、
登録
問題にいたしましてもあるいは
伐採
制限等含む問題にいたしましても、こういう段階を設けられた前提に立って、なおかつこれから不良苗種を排除しながら優良苗種によって
造林
の実績をあげていくということに万遺憾のない体制が確立できるのかどうか。こういう点について、ひとつ御見解を承っておきたいと思います。
松本守雄
96
○
松本
(守)
政府委員
お答えいたします。
特別母樹林
を禁伐の原則にいたしております。これは原々種的な、しかも各県を超越したところの優良な種樹を得るねらいからそういうふうにいたして、これは
農林大臣
指定
にいたしております。これに対しましては、立木
価格
を根拠にいたしまして、通常生じ得べき損失を補償するというたてまえ。 それからもう一つの
普通母樹林
のほうは禁伐にもしておりませんし、補償の
制度
も設けておりません。といいますのは、
わが国
にいま一応母樹林として種のとれるような
林分
は各所にあるわけであります。これは
森林計画
によりまして
計画
的な
伐採
をしながら、その
伐採
をしないでとってあるものについての母樹林
指定
をしまして、
伐採
が行なわれるとそのあとそれを追加補充をしていくというたてまえから、禁伐にもしておりませんし、補償もしないことになっております。 それからもう一つの、
生産
者の
登録
と配布業者の届け出制の差別でございますが、
生産
者の
登録
をいたしまして厳重な規制をすることによって、配布業者のほうは
登録
をするまでもなくて、一応届け出制で十分な指導監督ができるのではないかというこういう観点に立ちまして、その差別をつけた次第でございます。
角屋堅次郎
97
○角屋
委員
最後に二点だけ、大臣にお伺いをして質問を終わりたいと思います。 一つは、本法の
制定
に伴います関連の
予算
の問題でありますが、先ほども若干触れられておりましたけれども、すべり出しとしてはきわめて僅少であります。これはやはり今後
林業種苗法
に基づいて、
造林
の前提としての優良な
種苗
の
確保
という点から全国的な体制を
整備
するためには、一億四千五百万円、本年度当初
予算
の程度ではきわめて不十分であって、今後これを積極的に増額されなければならぬという問題が一つございます。 それから、先ほどもちょっと触れられておりましたし、参議院の段階でも真剣な議論が行なわれましたが、
造林
の補助の問題については、これは実単価との間に相当な格差がある。こまかい数字は申し上げませんが、格差があって、これは関係者から本非常に強く、実勢にそのまま合致させるということがいわれているわけですが、最近の拡大
造林
はまあまあといたしましても、再
造林
の非常に低迷
状況
、
造林
をどんどん積極的にやっていかなければならぬという
状況
からみて、これらの問題についても、やはり
予算
の増額その他について積極的な努力が必要だと思うのです。こういう問題について、大臣の御見解を承りたいと思います。
倉石忠雄
98
○倉石国務大臣 四十五年度
予算
の編成にあたりましても、私どもは
造林
、
林道
に特段の力を入れましたが、お話しのとおりございまして、私どもは将来ともこの関係の
予算
の獲得には全力をあげて尽くさなければいけないと思っております。
角屋堅次郎
99
○角屋
委員
同僚の時間の関係もございますので、協力いたしまして、これで質問を終わります。
草野一郎平
100
○
草野委員長
他に質疑の
申し出
もありませんので、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
草野一郎平
101
○
草野委員長
これより両案を討論に付するのでありますが、討論の
申し出
もありませんので、直ちに採決いたします。 まず、
肥料価格安定等臨時措置法
の一部を改正する
法律案
について採決いたします。 本案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
草野一郎平
102
○
草野委員長
起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 次に、
林業種苗法案
について採決いたします。 本案を可決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
草野一郎平
103
○
草野委員長
起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
草野一郎平
104
○
草野委員長
この際、本案に対し、
芳賀貢
君外三名から、自由民主党、
日本
社会党、公明党及び民社党の四党共同
提案
にかかる附帯決議を付すべしとの動議が
提出
されております。
提出
者から
趣旨説明
を求めます。
芳賀貢
君。
芳賀貢
105
○
芳賀
委員
私は、ただいま議決されました
林業種苗法案
に対し、自由民主党、
日本
社会党、公明党及び民社党の四党を代表して、附帯決議を付すべしとの動議を
提出
いたします。 まず案文を朗読いたします。
林業種苗法案
に対する附帯決議(案)
政府
は、本法の施行にあたり、特に左記
事項
に留意して
運用
の万全を期すべきである。 記 一、最近の苗畑
面積
の
減少
傾向
にかんがみ、苗畑
経営
の安定を図るようこれが育成助長の方途を講ずること。 二、
林業種苗
の
需給
の安定を図るため、
需給
調整の体制を強化するとともに
苗木
価格
の安定に努めること。 三、
木材需要
増大
の動向にかんがみ、当面
外材輸入
の適正
円滑化
に努めるとともに、国産材
供給
の
施策
を一層強化するため、
林道
その他
林業
の
生産
基盤の
整備
を促進し、特に
民有林
造林事業
を
推進
するため
造林
体制の
整備
充実につき検討すること。 四、
農山
村における優秀な
林業
労働力
の維持
確保
をはかるため、各種社会保障
制度
の適用等がうけられるよう雇用の安定、労働条件の
改善等
について必要な
措置
を講ずること。 五、林木の幼令結実及び凍害の対策について、検討すること。 右決議する。 以上であります。 その
趣旨
につきましては、本日の質疑の過程においてすでに明らかにされておりますので、省略させていただきます。 何とぞ全員の御賛同を賜わりますようお願い申し上げます。(拍手)
草野一郎平
106
○
草野委員長
以上で
趣旨説明
は終わりました。 本動議に対し、別に御発言もありませんので、直ちに採決いたします。
芳賀貢
君外三名
提出
の動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
草野一郎平
107
○
草野委員長
起立総員。よって、本案に附帯決議を付することに決しました。 この際、ただいまの附帯決議について
政府
の所信を求めます。
倉石忠雄
108
○倉石国務大臣 ただいまの御決議につきましては、その御
趣旨
を尊重して善処してまいりたいと存じます。
草野一郎平
109
○
草野委員長
なお、ただいま議決いたしました両案の
委員
会報告書の作成等につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
草野一郎平
110
○
草野委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
—————————————
草野一郎平
111
○
草野委員長
この際、
農業協同組合合併助成法
の一部を改正する
法律案
起草の件について議事を進めます。 本件につきましては、昨日来、
理事
会におきまして御協議願っていたのでありますが、先刻の
理事
会におきまして協議がととのい、お手元に配付いたしておりますとおりの起草案を作成した次第でございます。
農業協同組合合併助成法
の一部を改正する
法律案
農業協同組合合併助成法
の一部を改正する
法律
農業協同組合合併助成法
(
昭和
三十六年
法律
第四十八号)の一部を次のように改正する。 附則第二項中「三十一日まで」の下に「及び
農業協同組合合併助成法
の一部を改正する
法律
(
昭和
四十五年
法律
第 号)の施行の日から
昭和
四十七年三月三十一日まで」を加える。 附 則 この
法律
は、公布の日から施行する。
草野一郎平
112
○
草野委員長
その
内容
につきまして便宜
委員長
から御説明申し上げます。 御承知のように、
農業協同組合合併助成法
に基づく合併
経営
計画
の
提出
期限
は、
昭和
四十四年三月三十一日までとなっておりますが、今後合併によってその体制を強化する必要のあるものがなお相当数見込まれるのであります。このような
事情
にかんがみ、適正かつ能率的な
事業
経営
を行なうことができる
農業
協同組合を広範に育成して、農民の協同組合の健全な
発展
に資するため、
農業
協同組合の合併を促進する
必要性
はなお存続しているので、今後とも
農業
協同組合の合併を促進するため、
農業協同組合合併助成法
の
規定
の例により、
昭和
四十七年三月三十一日までに合併
経営
計画
を
都道府県知事
に
提出
し、その
計画
が適当である旨の認定を受けることができることとしようとするものであります。 以上でありますが、なお詳細な
内容等
につきましては、お手元の案文により御承知願いたいと存じます。 本起草案について、別に御発言もないようでありますので、この際、本案について、衆議院規則第四十八条の二の
規定
により、内閣に対し、
意見
を述べる機会を与えます。倉石
農林大臣
。
倉石忠雄
113
○倉石国務大臣
農業協同組合合併助成法
の一部を改正する
法律案
につきましては、
政府
としてはやむを得ないものと考えます。
草野一郎平
114
○
草野委員長
おはかりいたします。 お手元に配付いたしております
農業協同組合合併助成法
の一部を改正する
法律案
の草案を本
委員
会の成案と決定し、これを
委員
会
提出
の
法律案
といたしたいと存じますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
草野一郎平
115
○
草野委員長
起立多数。よって、本案は
委員
会
提出
の
法律案
とすることに決定いたしました。 なお、ただいま決定いたしました本案の
提出
手続等につきましては、
委員長
に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
草野一郎平
116
○
草野委員長
御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、明十三日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時五十一分散会