○森本
政府委員 外国政府等に対する米穀の売り渡しに関する暫定
措置法案につきまして、その提案
理由を補足して御
説明申し上げます。
本
法律案を提出いたしました
理由につきましては、すでに提案
理由において申し述べたところでありますが、その背景となる最近における米の輸出の状況等について若干補足して御
説明いたします。
わが国といたしましては、恒常的な供給過剰という米の需給
事情を背景として昨年来数ヵ国に対して国内産米の輸出を行なっているところでありまして、現在までに、韓国、パキスタンに対する現物貸し付け、インドネシアに対する国際穀物協定の食糧援助規約に関連する食糧援助、いわゆるKR食糧援助による輸出、沖繩に対する延べ払い輸出、ナイジェリアに対する難民救済のための輸出を行なっており、これら輸出の総数量は約八十万トンに及ぶのであります。
現在の米の需給
事情等にかんがみますとき、米の過剰対策の一環として、このような米の輸出をさらに円滑に進めていく必要があるわけでありますが、そのためこの際、輸出についての一般的な方式を確立する必要があると
考えられるのであります。この場合、輸入国が主として開発途上国であることから、これらの諸国の
財政事情、経済
事情により
通常の売買条件では必ずしも輸出が円滑には進まないという
事情があるため、代金の支払い条件を緩和したものとする必要があり、長期延べ払いによる売却方式を将用することとし、本法案を提出することとした次第であります。
次に、本法案の
内容について、補足して御
説明いたします。
本法案は、全三項よりなっておりますが、第一項は、提案
理由説明において申し述べましたように、売り渡しの相手方を「外国政府その他これに準ずるものとして
農林大臣が指定する者」と「その他の者」とに区分し、それぞれについての延べ払いの条件を
規定しております。この場合の、外国政府に準ずるものとして
農林大臣が指定する者としては、国により公社、公団等が輸入を取り扱っている場合等も想定されますので、このような場合にこれらの公社、公団等を指定することを
考えているものであります。また、「その他の者」とは、輸出業者等を想定しているのであります。
延べ払いの条件につきましては、前者につきましては、相手が
外国政府等であり、いわば政府間の貸借となるものでありますので、担保の提供を免除し、政令で定める利率を下らない利率による利息を付して、十年以内の据え置き
期間を含めた三十年以内の延べ払いを認めることとしております。後者につきましては、これは、政府が輸出業者等に米穀を売り渡し、これらの者がさらに同一の支払い条件でこれを
外国政府等に売り渡す場合を想定しているのでありますが、国債その他の確実な担保を提供させ、政令で定める利率を下らない利率による利息を付して、三年以内の延べ払いを認めることとしております。この両者の場合を通じて、延べ払い
期間中の利息の利率の最低限につきましては、政令で定めることとしておりますが、他の比較すべき信用供与の事例等を勘案して定める
考えであります。
第二項は、この
法律を運用する上での配慮事項を定めているものでありますが、この
法律に定める条件による米の輸出が他の米輸出国、特にタイ、ビルマ等の開発途上にある国の米の
通常の輸出を阻害することとなっては好ましくないので、余剰処理の国際的な原則からも当然のことではありますが、そのようなことのないよう配慮することとしているのであります。
最後に、第三項におきましては、このような米の売り渡しの延べ払い条件につき、国の所有に属する物品の売払代金の納付に関する
法律の例にならって、国の財産の管理を所管する大蔵
大臣に協議いたすことを
規定しております。
以上をもちまして、この
法律案の提案
理由の補足
説明といたします。