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1970-04-09 第63回国会 衆議院 農林水産委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月九日(木曜日)    午前十一時開議  出席委員    委員長 草野一郎平君    理事 安倍晋太郎君 理事 小沢 辰男君    理事 仮谷 忠男君 理事 丹羽 兵助君   理事 三ツ林弥太郎君 理事 芳賀  貢君    理事 山田 太郎君 理事 小平  忠君       鹿野 彦吉君    小山 長規君       瀬戸山三男君    田中 正巳君       高見 三郎君    中尾 栄一君       別川悠紀夫君    松野 幸泰君       森下 元晴君    角屋堅次郎君       松沢 俊昭君    瀬野栄次郎君       鶴岡  洋君    合沢  栄君       小宮 武喜君    津川 武一君  出席政府委員         農林政務次官  渡辺美智雄君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         水産庁次長   藤村 弘毅君         海上保安庁次長 林  陽一君  委員外出席者         総理府内閣総理         大臣官房参事官 浅谷 輝雄君         防衛庁防衛局運         用課長     半田  博君         農林省農林経済         局統計調査部長 岩本 道夫君         農林省蚕糸園芸         局砂糖類課長  小島 和義君         海上保安庁警備         救難部管理課長 山本 了三君         農林水産委員会         調査室長   松任谷健太郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(てん菜価格問題  及び銚子沖における廃棄イペリットガス弾と漁  業の安全確保に関する問題)      ————◇—————
  2. 草野一郎平

    ○草野委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  3. 芳賀貢

    芳賀委員 砂糖価格安定等に関する法律に基づきまして、明日の四月十日までにてん菜原料価格農林大臣決定して告示しなければならぬということになっておりますので、その前日のことでありますから、きょうは、政府としてこの価格決定に先立って、どういう作業を進めて、どういう方針でおるかということについて、この際、担当の園芸局長からまず説明をしてもらいたいと思います。
  4. 荒勝巖

    荒勝政府委員 お答えいたします。  この月曜日の日に統計調査部から、いわゆる昨年のビート価格生産費の公表があり、それからまた同日に、食糧庁でいわゆるパリティ等決定資料をわれわれいただきましたので、それに基づきまして作業を進めてまいりましたが、本日現在の時点におきましては、まだ具体的にこういう価格というふうな価格の内定というふうな段階に至っておりません。むしろこれから、本日当委員会等の御審議、御意見を聞いた上で明日の夕刻ごろに政府としては最終的な四十五年産ビート価格決定をいたしたい、こういうふうに思っております。
  5. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、順序としまして、昨年政府においては糖安法規定に基づいて、昭和四十八年度てん菜糖目標決定してあるわけです。これは政府目標ですから、これに向かって実行すると思うわけでありますが、この内容についてはおおよその説明をしてもらって、それから、今年度てん菜糖価格の具体的な質問をいたしたいと思います。
  6. 小島和義

    小島説明員 お答えいたします。  ただいまお話しがございました四十八年産目標生産費は今後五カ年間におきますところの国内産糖合理化目標として定めたものでございまして、原料価格といたしましては、今後の物価あるいは生産費状況等を勘案いたしまして、四十八年時点におきまして、トン当たり八千四百五十円程度と想定いたしまして、操業量の向上もございますので、製造経費といたしましては、若干の低減を見込みまして、四十八年度製品トン当たり価格といたしまして九万四千円程度になるものと想定いたしまして、目標生産費決定いたしました。
  7. 芳賀貢

    芳賀委員 私の手元にある目標生産費基礎をなすものは、まず作付面積については六万六千四百ヘクタール、十アール当たり収量が三千九百キログラム、生産量、これは砂糖生産量ですが、これはてん菜の総生産量が二百五十九万トン、一工場当たり操業量が二十八万八千トン、製造を通じてのロスが一・五%、砂糖歩どまりが一五・三%、こういう基礎の上に立って四十八年の原料価格をいま小島課長の言われたトン当たり八千四百五十円、製造経費が五千六百八十四円十七銭、これを合わせて一万四千百三十四円十七銭、したがって製品トン当たり価格が九万四千円で、参考として見合い市価トン当たり十二万一千三百円、こういうことであると思いますが、これは間違いないですか。
  8. 小島和義

    小島説明員 間違いございません。
  9. 芳賀貢

    芳賀委員 まず、原料価格については、昭和四十四年産てん菜については、最低生産費価格トン当たり七千五百円であります。そして四十八年度目標原料価格は八千四百五十円ということになっておるので、つまり四十五年、四十六年、四十七年、四十八年と四カ年を経て八千四百五十円、これは製品トン当たり九万四千円の価格と対応して原料価格決定されておりますので、これは当然ことしの原料価格決定のときにもこれを度外視してきめるというわけにはいかぬと思うのです。昨年の最低告示価格の七千五百円と四十八年の目標原料価格というものの八千四百五十円の差は、九百五十円ということになっておるわけですから、これを十分考慮に入れて実行して、糖価については九万四千円を目途に政府の施策を進めるということになるわけですから、この九百五十円の目標生産費との差額と四十五年度法律に基づいて政府がきめる最低生産者価格算定というものは十分の配慮が行なわれるというように考えておるわけです。そういう点についても、ここで具体的に述べてもらわぬと、明日きめるわけですから、昨年は決定当日の四月十日の午後五時ごろから当委員会において審議をした経過もあるので、それから見ればまだ余裕がありますからね。局長から詳しく作業内容説明されて、明日決定する価格はおおよそこの程度になるということは、これはもう言えると思うのですよ。
  10. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま御指摘になりました目標生産費との関連等から答弁いたしたいと思いますが、われわれことしのいわゆる四十五年播種てん菜最低生産者価格をきめるにあたりまして、一応やはりわれわれのきめました目標生産費というものは一つ基準といいますか、よるべき態度としてこれを参考にしながら、作業は進めてまいりたい、こういうふうに思っております。ただ、具体的にケース・バイ・ケースと申しますか、毎年度のそのビートの置かれている生産事情なりあるいはその他の経済事情といいますか、価格事情あるいはパリティ等いろいろ具体的にそのときそのときの数字がみな異なってまいりますので、その数字基礎にしながら、法律に基づくパリティ基準としという基本原則はやはり守りながら価格決定いたしていきたいというのがわれわれの現在の姿勢でございます。また具体的に、ことしのいわゆる北海道道庁からいただきました一つ参考資料でございますが、生産面積等からいきますと、現在道庁から公式に一つの計画として出していただいていますのが、四十五年産播種てん菜面積でございますが、これは六万一千六百ヘクタール、こういうものを一つの前提にわれわれはいたしたい。これに基づきますヘクタールの収量を一応はことしは三十七トンというふうに一つの考え方は置きまして、それでてん菜生産量は大体二百五十三万トンというふうにおきたいと思います。歩どまりとか産糖量等はこれは今後気象等にも影響されますので、ただいま申し上げました三つの面積反収、その生産量というものは頭の中に置きながら、ことしのビートの、いわゆる秋にとれますときの今度の砂糖価格等も頭に入れながら、現在作業を進めておるというのがまず基本的な指標でございます。  それから次にパリティにつきましては、あるいは御質問趣旨と違うかもわかりませんが、四十五年の二月のパリティが一九六・四三ということで、従来の方式によりまして計算をいたしますと、昨年対比しまして約二・三%のアップ率になる、こういうふうに理解しております。したがいまして、その二・三%のアップ率というものは、やはり法律上の規定に基づきまして、われわれとしましては一つの大きな基準にしながら計算をしてまいりたいというふうに考えております。  それから、これは統計調査部のほうから御答弁願うのが筋かと思いますが、統計からいただきました前年の生産費というものが、一応六千九百五十九円というトン当たり生産費をいただいております。それに加えまして、それをさらにわれわれとしましてはパリティ修正すべきではなかろうかというふうに考えまして、それからさらに昨年の実際のビート取引価格が七千六百五十円であったという事実等を踏まえてことしの計算を出してみたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  11. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、法律規定に基づいて、まずパリティ価格については、昨年の最低生産者価格トン当たり七千五百円ですから、農林省がいままで用いたパリティ算式によると、それはトン当たり七千六百七十三円となるということですね。
  12. 荒勝巖

    荒勝政府委員 一応そうでございます。
  13. 芳賀貢

    芳賀委員 それから統計調査部の四十四年のてん菜生産費調査基礎にしてこれを物価修正した算式については、生産費トン当たり六千九百五十九円で、これを物価修正した結果が七千百二十円になる、そういうことですか。
  14. 荒勝巖

    荒勝政府委員 そのとおりでございます。
  15. 芳賀貢

    芳賀委員 それから他作物との競合関係等も勘案することになっておるので、従来北海道においてはバレイショと対応して比較したわけですが、この点は、十アール当たり粗収入バレイショの場合二万五千三百九十五円、これをてん菜トン当たりに換算すると六千八百六十四円となるようであります。これは昨年と比較するとむしろ価格を下げる要素が出ておるわけですが、これはどういうわけですか。
  16. 小島和義

    小島説明員 競合作物との関係におきましては、従来からバレイショ価格をとっておるわけでございますが、従来の方式によりますと、ただいま出回り中のバレイショにつきましては統計的に資料がございませんので、四十二年産及び四十三年産バレイショにつきまして統計調査部物財統計価格によりますところの農家の反当の粗収入をそれぞれパリティをもちまして修正いたしましたもの、それの平均値を用いておるわけでございます。ところが、今回の場合に、四十二年産バレイショ価格は非常に高かったわけでございますが、四十三年産は非常な豊作でございまして値段が暴落いたしております。それが反映いたしました結果前年に比べましてこのように低い数字になっておるものと考えております。
  17. 芳賀貢

    芳賀委員 昨年はバレイショてん菜トン当たり換算が七千五十三円ということになっておったわけです。これは単に十アール当たり粗収入ということになれば、バレイショの一俵当たり価格の上下はあるとしても、豊作年の場合には十アール当たり反収が非常に多いということになるわけですから、そうなれば、バレイショ価格が若干低落したとしても、全体の収益というものはむしろ高まっておるということになるわけです。そうすると前年よりこれを下げなければならぬという理由は成り立たぬと思うわけです。これは有利性の比較ですから、むしろ不利になるというような場合にはこれを作用させててん菜価格を下げなければならぬということは別に法律趣旨ではないですからね。そう議論する必要はないと思うが、計算のやり方がちょっとおかしいじゃないですか。当該年度バレイショ価格だけを取り上げて換算するということであれば、これは問題じゃないですか。
  18. 小島和義

    小島説明員 おっしゃるように十アール当たり収量はふえておりますけれども、それにも増して価格の低落が激しかったために、四十二年産につきましては十アール当たり粗収入が二万六千九百七十円、それに対しまして四十三年産の場合には二万一千二十一円、こういうふうに非常に低下いたしておるわけでございます。したがいまして、パリティ修正をいたしましても、その結果は前年つまり四十一年産と四十二年産平均値を採用いたしましたものよりも低下いたしているわけでございます。
  19. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、その他の経済事情としては、四十四年の取引価格の七千六百五十円、これを勘案するというようなことであります。そこで、パリティ価格算定については毎年論議しているところですが、このパリティによる算定を、通常方法によって昭和四十四年と四十五年一年間におけるパリティ変化率を乗じた場合には、この七千六百七十三円というものはどういう数字になりますか。
  20. 荒勝巖

    荒勝政府委員 いま直ちに計算いたさせますが、四十四年の二月が一八八・四四、ことしが、先ほど申し上げましたように一九六・四三でございますので、パリティアップ率としては四・二%のアップ率になる、こういうふうに御理解願いたいと思います。で、われわれのいわゆる政令に基づきますパリティ計算だと二・三%アップというふうに御理解願いたいと思います。
  21. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、政府のやられた二・三%アップの場合に七千六百七十三円になるわけですからして、正常な方法パリティ上昇を反映させるということになれば、局長の言われたように四・二%になるわけですから、その計算で行なった場合にはトン当たりどういう価格になりますか。
  22. 荒勝巖

    荒勝政府委員 四・二%のアップ率というふうにいたしますと、一応七千八百十五円というふうに御理解願いたいと思います。
  23. 芳賀貢

    芳賀委員 次にこれは統計調査部長にお尋ねいたします。  生産費の結果が四十四年はトン当たり六千九百五十九円ということになっておりますが、これは自家労働費については農業日雇い労賃を採用されておるのでこういうことになったと思いますが、この際、いわゆる他産業労賃が採用された場合にはどうなるかということについてお尋ねいたします。  それも本来は全国平均規模別賃金によるべきであると思いますが、たとえば加工原料乳の他産業労賃算定する場合には、主要なる加工原料乳生産地域においてということになっておるので、今年の場合は北海道ほか六県の他産業製造労賃を勘案して、そして一時間当たり二百六十五円二銭というそういう時間当たり労賃計算をしておるわけです。これは北海道ほか六県です。まあ全国的に見れば農業県でありますからして、他産業労賃全国規模よりもこれは低いわけです。しかし今回の場合には、てん菜生産北海道地域に限定されたようなことになっておりますので、全国規模の場合と、もう一つ北海道における他産業労賃農産物価格の場合には製造業の五人以上規模ということになっておりますので、この北海道においてはどうであるか。それから統計調査部が用いました臨時日雇い労賃は時間当たりどうなっておるかという点についてこの際明快にしておいてもらいたいと思います。
  24. 岩本道夫

    岩本説明員 御承知のように農林省生産費調査におきましては、自家労賃の評価の方法といたしまして、その地方におきまする臨時日雇い農業労働賃金を採用しております。したがいまして、先生のおっしゃいましたような他産業労賃を代入をして生産費を出すということはやっておりませんので、そういう数値は計算しておりません。  ただ参考までに、毎月勤労統計によりまして、これは労働省調査しておりますが、北海道におきます毎月勤労統計常用労働者の一日当たり賃金を調べてみますと、二千二十一円に相なっております。また同じ毎月勤労統計によりまして日雇い労働者賃金を見ますと、千八十五円になっております。私どもが採用しております生産費調査におきます臨時農業賃金は千三百二十六円でございます。
  25. 芳賀貢

    芳賀委員 これを時間当たりにすればどうなりますか。北海道における他産業労賃の時間当たりと、それから統計調査部が採用しておりますところの臨時日雇い労賃の時間当たり賃金はどうなりますか。
  26. 岩本道夫

    岩本説明員 労働省の毎月勤労統計のほうは一時間当たり計算してまいりませんでしたので、はっきりしたことはわかりませんが、農林省でやっております四十四年産てん菜の一時間当たり労賃単価は、百六十五円八十銭に相なっております。
  27. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでこちらから申しますが、先般加工原料乳保証価格をきめる際に農林省が用いました自家労働費については、これは主要な加工原料乳地域製造業五人以上規模賃金、これを物価修正して時間当たり二百五十六円二銭ということになっています。先ほど二百六十五円と言ったのは二百五十六円二銭であります。これは一道六県でして、それではこの中で北海道賃金はどうかというと、ちょうど二百五十六円に対して北海道地域の場合には五%上回るということになっておるわけです。  そうしますと、北海道における保証乳価をきめた場合の時間当たり賃金ということになれば、これは二百六十八円八十銭ということになるわけです。ですから二百六十八円といま統計調査部長が言われた百六十五円ということになると、酪農家の場合の一時間当たり賃金は、北海道においては二百六十八円八十銭である。それからてん菜生産者農家のいわゆる生産費調査における賃金は、百六十五円八十銭であるということになれば、時間当たりちょうど百円相違するということになるわけです。一日八時間労働とすれば、一日で八百円労働報酬が違うということになるわけですから、この際時間当たり二百六十八円八十銭で計算をし直した場合は、日雇い労賃によるところの七千百二十円がどういう価格に変わるか、その点を計算して示してもらいたいわけであります。
  28. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいますぐ計算いたしまして後ほどお答えいたしますが、その前にちょっと私から説明さしていただきたいと思いますが、従来統計調査部からいただきました生産費をわれわれは参考として使っておりまして、その生産費を直ちに基準としてわれわれのビート価格決定には使っておりませんで、年々の傾向値というものをつかむために、いわゆる生産費がどの程度上がったか、あるいはパリティがどの程度上がったか、あるいはその他の生産事情その他がどの程度上がったかという傾向値をつかむために使っておりますので、統計調査部からいただきます生産費を加工するという作業は実はビートの場合はしてないということは先生も十分御承知のことと思います。したがいまして、その価格決定しますときには、参考値としていろいろ家族労働費計算、御説明申し上げておりますが、結果としまして、われわれのほうでビート価格を多少生産費よりも従来高値に決定してきたいきさつがありまして、あとで実際の家族労働報酬がどの程度になったかということをあと算的にトレースいたしてみますと、四十年がいわゆる一日当たり、八時間労働でございますが、八百二十四円の家族労働費生産費計算であったものが、実際の家族労働報酬は千七百十二円。これは年々反収とか生産量等が非常にバラつきがございましてはっきりしたことはわかりませんが、傾向値としての話でございます。それから四十一年は、一日当たりがいわゆる生産費計算のときは九百二十八円であったものが、あとで一日当たり労働報酬になりますと、それが千百六十円で、このときは非常に幅が狭かった。それから四十二年になりますと、一日当たり千円で評価しておりましたのが、報酬のほうは結果としては千二百八十円。それから四十三年におきましては、これは非常にビート反収が高かった年でありますが、労賃計算が千百六十八円で計算したものが二千三百四十二円というふうに、非常に高額に家族労働報酬がなっておる。それから四十四年の場合は、昨年でありましたが、千三百二十八円で計算いたしましたのが、千六百十円というふうに家族労働報酬は非常に多く出ておる。こういうふうに御理解願いたいと思います。
  29. 芳賀貢

    芳賀委員 別にそれはけしからぬとかどうとか言っているわけじゃないですよ。これは当然糖安法に基づく政令、省令の規定の中で、パリティ価格を中心にしてその他生産費あるいは経済事情等を勘案してということになっておるので、いやでも応でも一応は統計調査部生産費というものを取り上げなければならぬということにこれはなっておるわけですからね。それは毎年そのとおりやってないことは私も承知しております。  そこで、これはあくまでも統計調査部としての生産費調査の結果ですから、これをてん菜価格決定に用いる場合には、日雇い労賃でいいということにはならぬわけです。日雇い労賃の一時間百六十五円八十銭では、これは再生産確保ができないということに当然なるわけですから、法律はそういうことを期待しているわけではありません。ですから通常な他産業の比較すべき賃金というものを用いた場合に、これは一体どうなりますかということを聞いておるわけです。とにかくわずか一時間当たり百円相違があるわけですから、百円ということになれば、これはトン当たり生産に要した投下労働時間に百円を乗ずれば、その金額つまり日雇い労賃と他産業労賃との格差を埋める金額ということになるので、それほどむずかしい問題ではないと思うわけです。これは必要ですから聞いておるわけですからね。その生産費調査の時間がわかっておるでしょう、トン当たり何時間ということが。その時間に百円をかければ、四百円とか五百円ということになるのではないですか。それを日雇い労賃に足せば七千百二十円がどう変わるかということになるわけですから、それほどむずかしい計算ではないと思います。
  30. 小島和義

    小島説明員 大急ぎの目の子計算でございますが、大体八千円見当になるものと思われます。
  31. 芳賀貢

    芳賀委員 そうなりますと、結局第一のパリティ価格によれば、正常なパリティ上昇を一年分を反映させる場合には、前年度最低生産者価格七千五百円に対してことしは七千八百十五円という価格になる。それから統計調査部生産費調査における自家労働費というものを、北海道における五人以上規模賃金に対応さした場合においては七千百二十円が八千円ということになる。その他の勘案事項としては、実際に昨年取引されましたトン当たり七千六百五十円というものは、これは重要な実績としての勘案事項となると思うわけであります。したがいまして、ぜひこの正常な状態における各要素を用いまして、ことしは適正な価格というものが決定されるように特に私は期待するわけであります。  あわせてこの際、昨年来懸案になっておりましたてん菜もより集荷場所までにおける搬出費取り扱いをどうするかということについては、昨年は統計調査部から調査の結果の報告がありましたけれども、それが完全に用いられた昨年の価格決定ということにはなっていないわけです。ですから、これは一年間余裕を置いてということにもなっておりますので、本年の価格決定の場合には、この圃場からもより集荷場所までの搬出費原料価格に加算するとすれば、どういう金額になって加算されるか。あるいはまた農安法のごとく、でん粉の製造経費に用いるというような方式の場合には、当然これは原料価格には入らぬということになるわけです。そのかわり、政府てん菜製造業者から買い入れる場合の糖価には、当然その分が算定されるということになる。糖価のほうへ算定されるということになれば、当然これは製造工場圃場からもより集荷場所までの搬出費を負担しなければならぬということになるわけであります。この点がまだ解明されていませんので、この際、荒勝局長からことしの取り扱い方針について当委員会に明確にしておいてもらいたいと思います。
  32. 荒勝巖

    荒勝政府委員 昨年当委員会におきまして、搬出費のことが非常に問題になったことにつきましても、われわれ十分心の中にとどめている次第でございますが、昨年も、これは政府側といいますか、農林省としては主張した点でございます。われわれの考え方は先ほどから申し上げておりますように、あくまでパリティ価格アップ率基準として値段を定める、こういう理論構成に立っております。したがいまして、このパリティの、過去におきましてきめてまいりました経緯から議論を常にするわけでございますが、二十八年にこういうパリティによる中間受け渡し場所における取引価格ということで、それを起点にいたしまして、それ以来その価格基準にしてパリティアップで値段を引っぱってきておる。さらにそのパリティ基準にしながらいろいろな参酌事項で別の価格決定しておる、こういう価格決定の構成のやり方になっておるわけでございます。したがいまして、本年度におきましてもやはり、去年までのパリティ価格の中には当然に、スタートラインの昭和二十八年の価格決定の際に、その中にいわゆる中間受け入れ場所までの運賃は入っておるということで、そういう前提に立ちましてこの価格決定してまいりたい、こういうふうに思っております。  ただそこで、先ほど先生から御指摘もありましたように、別途生産費生産費として圃場内部における、いわゆる大根を収穫するところまでの生産費はただいま申しましたようにはっきりしているわけでございまして、その生産費生産費としてにらみながら、あと統計調査部におきまして、生産圃場からいわゆる中間引き渡し場所までの運賃につきましては、昨年一つのサンプル調査的な調査を御報告申し上げたと思いますが、そのことにつきましては、ことしもその後統計で相当お調べ願いましてしましたが、十分公表できるようなところまでにいかず、やはりサンプル的なものをわれわれとの間でただいま議論している次第でございますが、そういったものも一つ参考要素としてことしの価格をきめてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  33. 芳賀貢

    芳賀委員 昨年は、当委員会において岩本部長から統計調査部調査した搬出費については、自搬、生産者が自分でもより集荷場所まで搬出した費用の平均は、トン当たりおよそ二百六十三円である。業者の搬出した費用については、トン当たり二百五十三円程度であるという説明が実はありました。そこで、これは四十三年度基礎にした調査ですので、昨年、四十四年のさらに確実な調査の結果はどういう結果になっていますか。
  34. 岩本道夫

    岩本説明員 四十四年産てん菜の搬出手段に伴う搬出費調査を、全生産費調査農家につきまして実施いたしました結果、総和平均法で平均をいたしました搬出費が三百二十七円に相なっております。
  35. 芳賀貢

    芳賀委員 これは岩本さん、自搬とか業者の差別を抜きにして、全体の総和平均ということになるわけですか。
  36. 岩本道夫

    岩本説明員 四十三年産搬出費調査につきましては、いろいろ調査自体ふなれな点もございましたので、業者によるもの、自家搬出によるものの典型的なもの、たとえば業者のトラック、自家搬出の耕うん機というものをとらえまして、先ほど先生質問にお出しになりましたような数値が結果として出たわけでございますが、ことしと申しますか四十四年産調査は二年目でございまして、かなり経験も積んでまいりましたので、生産費調査の全農家について正確な記帳を求めまして、積み上げました結果、業者によるもの、自家搬出によるものを全部含め、またトラックとか耕うん機とか馬車とか搬出方法を全部含めまして、全調査農家の総和平均をしたものが三百二十七円になったわけでございます。
  37. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは園芸局長にお尋ねしますが、今度は相当確実性のある統計搬出費の結果がいま報告されましたので、これは園芸局長の手元でどう扱うかということが重要なことになるわけです。それで方法として統計調査部生産費は、ただし書きで、搬出費は含まっていないということが毎年明確にされているわけですから、統計生産費搬出費は全然入ってないわけです。ところが農林省のきめる価格については、これは論拠が明らかでないが、全部は入っておらぬが幾らか昔から入っておるということを言われておるわけですね。それでこれを明確にするためには、四十四年度調査でいえば、トン当たり三百二十七円というのが基礎数字だと思いますが、これを基礎にしてこの何%ぐらいが昭和二十八年以来の価格の中に含まっておるかということを明らかにしてもらって、一応それを抜き出してみなければいかぬと思うんですよ。最低価格搬出費を全部入れるとしても入れないとしても、わからぬままで毎年毎年済まされるわけはないと思うんですね。わからぬ数字であっても、パリティによってだんだんそれはふくらんではきますけれども、一体どのくらい入っておると思っておるわけですか。
  38. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま私が申し上げたとおりでございまして、いわゆる農林省価格決定のしかたは、常にパリティ中心主義できながら、しかもそのパリティアップ率をどんぴしゃとらずに、さらに従来何がしかの参酌事項を参考にしまして、最終価格決定しているものですから、昨年のいわゆる七千五百円という最低生産者価格の中身と申しますか、それはもう実はわからないというのが実態だと思います。そのことは具体的に申し上げますと、生産費の中に入っておりますたとえば肥料代というふうなものであっても、たとえば肥料代なんかは生産費の中で非常に明確に出ておりますけれども、じゃ、パリティの七千五百円の中に肥料代はどれだけ入っておるかといわれてもわからないのと同様に、運賃につきましても七千五百円の中にどれだけ入っておるかといわれましても、金額としては明示できないというのが、パリティ計算方法一つのロジックではなかろうか、こういうふうに思っております。ただ、そこで具体的に申し上げますと、四十四年産トン当たり生産費が昨年は六千九百五十九円であったということでありますが、それを七千五百円にきめたということで六千九百五十九円と、いま統計調査部から御報告になりましたいわゆる三百二十七円、運搬費は生産費の中に入っておりませんので全然別立てということになりますと、六千九百五十九円に三百二十七円をかりに加算しますと七千二百八十六円になるわけであります。その七千二百八十六円というものをかりに生産費、いわゆる中間受け渡し場所までの統計的なオールコストだといたしましても、七千五百円というふうに去年最低生産者価格をきめたものですから、では七千五百円のうち運賃がどういうふうに入り込んでいるのだ、こういわれましても、われわれとしてははなはだ答弁に困る、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  39. 芳賀貢

    芳賀委員 いま荒勝さんの言った説明は、実は昨年当委員会で小暮局長が同じことを言ったのですよ。統計調査部日雇い労賃による生産費の結果は六千九百五十九円である。これと政府パリティ計算による価格は去年は七千二百六十円でしょう。それから四十三年度農林省生産費調査は五千六百十二円だったわけです。それから農林省パリティの試算によると七千二百六十円。この間に相当の懸隔があるので、この差額というもは農家搬出費を充当して余りあるという説明をしたのですよ。この説明は成り立たないわけですね。たとえば先ほど日雇い労賃を他産業労賃に直して計算すると八千円ということになる。それから農林省のほうを正常な一年間のパリティの四・二%アップということで、これは七千八百十五円にしかならぬわけです。そうすると、他産業労賃計算した八千円のほうがパリティ価格よりも高いわけですから、ここからは搬出費は全然出てこないのですよ。これは去年小暮局長がそういうことを言ったものだから、それは三百代言的な詭弁じゃないかということで、委員の皆さんも一笑に付した経過があるわけです。それと同じことをあなたことしここで繰り返してみても、それは委員会を説得することにはならないわけですね。だから、入っておるとすればどの程度三百二十七円の中に入っておるかということがいま証明されなければ——できないものを無理にやれというわけにいかぬですが、方法としては、とにかく搬出費というものが明らかになったわけですから、最低生産者価格の中に合算した価格をきめるのか、最低生産者価格の外ワクにしてこれを保障するということにするのか、その方針がきまれば一番よろしいわけですね。これはどうなんですか。明日きまるまでにはきまりますか、きまりませんか。  あわせて渡辺政務次官にお尋ねしたいのですが、無理に答弁せよというわけではありませんが、聞くところによると、与党におかれましても昨年から部会等を通じて、これは懸案事項として四十五年の価格決定までには搬出費というものを明確にして、必ず処理するということをいっておられると聞いておるわけですけれども、あなたは与党の出身でもあるし、いままで農政関係に熱意をもって取り組んでこられたわけですから、一体与党としては、今回のこの三百二十七円の搬出費を別個に加算して適正な原料価格をきめる方針で進まれておるかどうか。あるいはまた農林省のほうでまだ明確にならぬということであれば、その時期を待つということであるか。これは政務次官に強要するわけではありませんが、与党の方針というものが明らかになっておれば、この席で示しておいてもらいたいと思います。
  40. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 それは再三局長から答弁いたしておるとおり、この計算のやり方がパリティを中心にしてきめるということですから、それは幾ら入っているといわれてもわからないということだと思うのです。それで、いま統計課査部でいろいろ試算をしてみると、確実なことはまだ言えないけれども一、三百二十七円ぐらいになるのでないか、こういうことかいわれておるわけです。そういう意味で、三亘子七円という数字が大体はっきりしてきたということはいえるのでないか。そうすると、積み上げ方式のような形でやれば、先ほど局長が言ったように三百二十七円を加えても七千五百円に達しないということで、これでは去年の値段よりも安くなってしまうということですから、そういうわけにもいかぬだろう。いろいろな経済事情を勘案してきめるということですから、それは計算は一応できてはいるけれども、パリティ方式をまるきり変えるんだということになれば話は別ですが、ことし分離して外ワクでどうきめるかということを答えろと言われても、それはなかなか答えられないわけですね。ですから、芳賀さんの言うように、それは所得補償方式にして都市労賃をもってくるということになれば値段がうんと上がってしまうことは間違いありません。しかし目下のところ、ビートについては所得補償方式をとるということは考えていないわけです。長年パリティ計算でやって、そしてそこにいろいろな政治情勢を勘案して、生産者のふところぐあいも考え、砂糖の値段も上がらないように、目標の値段があるのですから、それに合わせるようにきめているので、ことしもそんなことできめるほかないのじゃなかろうかというのが、はっきりいってただいまの心境であります。
  41. 芳賀貢

    芳賀委員 たいへん正直な話を聞かしてもらって、大体そんなことでないかと私も考えておったわけです。  これで質問は終わりますが、最後に局長に申し上げますが、パリティ価格を用いるということは糖安法に出ておるわけですから、これを基礎にすることは当然ですね。しかし、パリティそのものできめなさいということにはなっておりませんし、いまのようなパリティの用い方にしなさいということも法律はうたっていないわけです。パリティのそれぞれの年次とか採用すべき各月であるとか、そういうことは農林大臣がきめなさいということで、これは政令、省令でもうたってある。しかし、少なくともパリティ価格を反映させるということになれば、毎年毎年、翌年のその時期にこれはきめる価格ですから、少なくとも過去一年間のパリティの変化というものが正しくパリティ価格の上に反映するということでなければ、用いても意味がないと思うのです。現在の用い方は前年の四月−十月の平均値ですね。それに決定年の二月なら二月のパリティを分子にしてきめるということになっておる。ですから年間の変化率から見ると、ちょうど半年分の変化率しか反映できないということになっておるわけです。あなたが食糧庁第二部長時代に、イモでん粉の価格をきめるときにも大体これと類似のパリティを使っておったのですが、これは毎年議論をして、このほうはまだ完全に一年間の変化率ということまではいきませんが、昨年も一昨年も少しずつ改善はされておるのですけれども、歴代大臣が無理解なものだから、この省令を直さぬものですから、ことしはやはり先ほどあなたが言われたように、とにかく四・二%パリティが前年より上昇しておるわけですから、これはやはり正しく反映するような基礎計算はされるべきだと思うのですね。それから統計調査部生産費調査にしても、絶対日雇い労賃でなければならぬということは、何も糖安法には書いてないわけです。ただ再生産確保を旨とする場合には、一体生産費の主要な地位を占める自家労働というものはどうきめるかということが、これが再生産確保と結びつくわけですから、絶対に再生産ができない農家自家労賃をきめるということになれば、これは法律趣旨に反するということになるわけですから、少なくともことし用いました加工原料乳の自家労費のその賃金というものは、生産費の中で取り入れた勘案をする必要があると思うのであります。それから当然でありますが昨年の実際の取引価格は七千六百五十円ということになっておるので、これも事実の上に立って勘案をする必要がある。もう一つは、冒頭に言いました昭和四十八年を目途にするいわゆる生産目標におきましても、結局四十八年においては原料価格は八千四百五十円ということを予測して、砂糖トン当たり価格九万四千円を維持するというのが、これが目標内容でありますからして、この点からいうと、一年間少なくともトン当たり二百四十円ずつ平均的には上昇していかなければ、四十八年に一ぺんに上げるというわけにはいかぬと思うわけです。ですから、諸般の材料を十分勘案することはもちろんでありますし、現在の農業の中では、農林省におかれましても成長部門ということになれば、このてん菜産業しかないと思うのですよ。米は生産調整で減反、減産をしている。価格は二年間据え置きするぞ。加工原料乳についてはキロ当たりわずか二十一銭ですよ。何銭という単位を用いているのは日本で農林省だけですよ。日本銀行だって銭なんていう金はありませんからね。そういうみみっちいことをやっておるのがいまの農林省ですからね。これは据え置きと同じわけです。しかし、てん菜の場合はどう計算しても据え置きという答えは出せないわけですから、出せないということであれば、ことしはひとつまともに取り組んで、これを決定する場合には当然与党とも御相談になると思いますが、少なくともいまの渡辺政務次官の答弁のようなことでは、やはり生産者は納得できないと思うのです。党にいけばまかしておけ、搬出費の三百二十何円は完全に確保してやるからということを、おそらくいっておられると思いますが、国会の場に来ればなかなかそういうわけにいかぬ。何だかよくわからぬが、パリティの中に入っているのだから、その程度のことでいくよりしょうがないのではないかということになると、天下の大政党として、いささかたよりにならぬ点があるのではないかというふうに思う。これは他党の悪口を言うわけではありませんが、そういうような点についても、与党依存ということだけできめるのでなくて、やはり農林省政府が責任をもって、法律の示すところに従って責任のある価格決定を行なって、将来に向かって国内における甘味資源の拡大確保をはかって、生産者に対しても十分な再生産をやってもらえる価格の保障というものを、ぜひ本年やっていくべきだと思うわけです。特に搬出費の問題については、まだ一日一ぱい余裕があるわけですからして、これはできるだけ詰めて、決定後にこういうふうにいたしましたということが報告できるように、十分な努力を局長はじめやってもらいたいと思います。これに対して何か意見があれば述べてもらいたい。局長でけっこうです。あなたではたよりにならぬ。
  42. 渡辺美智雄

    ○渡辺政府委員 たよりになってもならなくても、最終的にはわれわれ相談してきめるわけでありますから、はっきりさせろ、はっきりさせろと言われれば、先ほど言ったとおりいまのところは三百二十七円くらい。それをそういうふうに一つ一つを分解していくということになれば、いまのところ都市近郊労賃をとるという考えはないのですから、生産費調査の六千九百五十九円に三百二十七円を乗っける、こういうことになってしまう。それでは去年より下回ってしまうから、むしろこれははっきりさせないで、諸般の事情を考慮して、米も据え置きだ、てん菜も据え置きだというわけにもまいりますまいから、それはよく相談をして、大喜びをするかどうかそれはわかりませんけれども、しかし農家の方も十分再生産が確保できて、予定の数量が生産していただけて、ふところぐあいもまずまずというようなところできめたいということで、目下相談をしておる最中でございます。
  43. 荒勝巖

    荒勝政府委員 ただいま政務次官が答弁されました線に従いまして、われわれも努力したいと思います。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 局長までそんなまあまあではいかぬですよ。政務次官じゃないのですからね。あなたらしくないです。
  45. 荒勝巖

    荒勝政府委員 農林省といたしましても、ただいま芳賀先生から御指摘のありましたような問題点は、十分にただいま詰めている最中でございます。ただ詰めておりますけれども、従来からの行政の姿勢といいますか、そういったことからあまりにも飛躍的な論理というわけにもまいりませんので、その辺はわれわれとしましても北海道ビート農業が従来と同様に安定的な生産が伸張できる点を十分に勘案しながらきめてまいりたい、こういうふうに思っておる次第であります。
  46. 草野一郎平

    ○草野委員長 鶴岡洋君。
  47. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 本日は、いま問題になっている千葉県銚子沖の旧陸軍の投棄したイペリットガス弾の問題について質問したいと思います。  その前に、一月十七日、再度このガス弾の事故が発生したわけですけれども、これはたいへんな問題だと私も判断いたしまして、さっそく現場調査にまいりました。帰ってまいりまして、その善処について山中総務長官にお願いに、山田議員とまいりましたが、その際、長官がすぐ電話をとって関係各省に解決のための敏速な措置をとってくださり、今回の緊急掃海になったわけでございます。このことについては、地元漁業者ともども深く感謝しておる次第でございます。しかし、今回の緊急掃海を三月の九日に一応終了したということになっておりますけれども、関係当局としても、これで掃海は終わったとは決して思ってもおりませんでしょうし、今後に残された問題がたくさんあることも御承知のことと思います。  そこで、今後の問題として、本格掃海の時期それからその作業の問題等があげられるわけであります。いままでも、この点について同僚議員が予算委員会また内閣委員会等質問しておりますが、当委員会としても非常に関係の深い問題であり、漁業者にとっては、これは死活の問題であり、また事、人命に関する問題でありますので、ここでもう一度政府の考え方、今後どうするかについてお伺いをしたいと思うのであります。さらに、この問題の解決については、この前の予算委員会でしたか、しんは総理府になるというお話で、山中総務長官も言っておられましたが、総理府をはじめ各省庁に関連性が出てまいりますので、きょうは各省庁からお越し願ったわけであります。総括は総理府審議室ということでありますけれども、国全体の問題として、各省庁強い協力体制を持っており、これに取り組んでおるという前向きの姿勢で、責任ある御答弁をお願いして質問に入りたいと思います。  まず最初に、総理府にお伺いしたいのですが、この問題について総括している主管として、いままでの経過を簡単でけっこうですから、お伺いしたいと思います。
  48. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 銚子沖イペリット被災事故につきましては、本年一月十七日、銚子市の底びき漁船が、銚子沖十五マイルの海域におきまして操業中イペリットかんを入網いたし、甲板に引き揚げた後海中に投棄した際に、乗員、乗り組み員五名が負傷したという事故が起こったわけでございます。この事故が起こりまして、関係者から関係省庁へ陳情があったわけでございます。また、総理府に対しまして水産庁から協力方の依頼があったということで、総理府といたしましては、この事故が地元漁業者に与えました不安を考慮いたしまして、関係省庁が集まって協議する場を提供することが適当である、望ましいと判断いたしまして、二月五日に第一回の関係省庁の連絡会議をさっそく招集したわけでございます。その第一回の関係省庁連絡会議に引き続きまして、何回もの会議を開きました結果、先生承知のとおり、緊急的な対策としていろいろな幾つかの対策を打ったわけでございます。  その第一点といたしましては、海上保安庁から当分の間現場海域に巡視船の派遣をするということを直ちに実行いたしたわけでございます。第二点といたしまして、防衛庁からイペリットに関する講習を現地で行なうというようなことで、二月七日に実施しております。それから水産庁から、千葉県、茨城県、福島県知事あてに通達を出しまして、イペリット引き揚げの際の医学的取り扱いの注意事項等について関係者に周知徹底させるということで、二月十九日にこれを実施しております。それから緊急的な措置といたしまして、関係省庁、これは防衛庁、厚生省、水産庁、海上保安庁が共同いたしまして緊急掃海を実施するということで、これは当初の予定は三月二日から四日の間に三日間引くということでございましたが、実際は一日ずれまして、三月三日から、その間若干のしけ等の事情もございまして、三月六日、三月九日の三日間にわたりまして、三百二十回の曳網を実施したわけでございます。その結果、十一網にイペリットかんが入ったという実績がございました。
  49. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 いまお話を聞きましたとおり、いままでこの件について何回か合同連絡会議ですか、開かれておるわけでございますけれども、今回の緊急掃海が終わった三月九日以降いつ連絡会議が開かれたか、また、そのときにどのような検討をされたか、その検討内容をできれば説明していただきたいと思います。
  50. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 三月九日に緊急掃海——これは予定は四百五十回でございましたので、まだ三百二十回ということであと百三十回足りないという事情があったわけでございますが、地元漁業者から、この段階で中止してもらいたいという要望がございましたので、それを一体どうするかということで、緊急掃海を三月九日に済んだところで各省連絡会議を開きまして、態度を協議したわけでございます。その結果、四百五十回に達しないということでございますから、なお千葉県を通じまして、四百五十回引いてくれるように協力方を依頼しようじゃないかということで、その後第一回を開いたわけでございます。その結果、千葉県から、地元漁業者の意向が非常にかたい、四百五十回をこのまま三月一ぱいに引くことは非常にむずかしいのではないかという報告が三月二十日に私どもにありました。それで、また三月二十四日に地元の漁業者の陳情があったということを受けまして、すぐ三月二十六日に関係各省庁の連絡会議を開き、それから四月七日にまた引き続き各省連絡会議を開きまして、今後の対策につきまして協議を願ったわけでございますが、具体的にまだ何も結論が出ていないような状況でございます。
  51. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 三月二十六日と四月七日に開かれたわけですけれども、そのとき出席していた各省、各庁はどことどこが出席していたか、ちょっと教えてもらいたい。
  52. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 緊急掃海に共同して参加いたしました省庁といたしましては、水産庁それから防衛庁、海上保安庁、厚生省、それから大蔵省に集まっていただきまして、協議を願ったわけでございます。
  53. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 三月二十六日と四月七日に防衛庁も出ているらしいのですけれども、防衛施設庁は出ておりましたか。
  54. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 防衛施設庁は、その会議には出ておりませんでした。
  55. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 いま、まだ具体的な検討はされていないというお話でございましたけれども、このイペリット弾の処置、いわゆる今後に残された完全掃海について、いま幾つかの省庁が関連するわけですが、きょうは水産庁のほうも海上保安庁のほうもおいでになっておると思いますので、それぞれの立場で、三月九日終了した以後の会議を通して、このようにわが省庁としてはやっていこうということを、できれば具体的に教えていただきたい、このように思うわけです。
  56. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 水産庁といたしましては、先日の緊急掃海の実績が非常に少なくて、十一個しか揚がっていないということからかんがみまして、でき得るならば「しんかい」によりまして、状況を調査して、それに基づいて完全掃海を行ないたいというふうに考えております。
  57. 林陽一

    ○林政府委員 海上保安庁といたしましては、潜水調査船「しんかい」を当海域に持ってまいりまして、六月中旬ごろに「しんかい」を使いまして現在のところ三日ないし六日、おそらく六日程度になると思いますが、潜水調査を行ないまして海底の状況、イペリットかんの所在及びイペリットかんの状況等についてまず調査をする方針でいま検討を進めております。  それから、本格調査が行なわれますまでの中間的な時期におきましては従来どおりの方針で、漁船からもしイペリットかんを揚収したような通報がございましたときには、これによって各方面に御連絡をする。さらに、漁船が揚収しましたガスかんを投棄するというようなことをいたす所存でございます。  それから 本格掃海が行なわれますときには、先ごろの緊急掃海の例にならいまして、従来の総理府で御決定になりました取り扱い要領に基づきまして、海上保安庁としての分担事項を行なうつもりでございます。すなわち、揚収されましたイペリットかんを指定投棄海域まで運びましてこれを投棄するということと、それから作業の周辺海域の警戒等を行なうつもりでございます。
  58. 半田博

    ○半田説明員 防衛庁といたしましては、本格掃海が行なわれます場合におきましては掃海艇等を派遣をいたしまして、これを海上保安庁と協力をいたしまして投棄海面に投棄するということ、及び必要な技術者を派遣いたしまして技術指導なり、あるいはまた危険な作業は自衛隊みずからがこれを行なうというふうなことを考えております。
  59. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 三月二日の予算委員会で同僚議員の質問ですが、「今回の掃海の規模、あるいはまた掃海の海域、あるいは期間等について、これは適当であると判断されて」いるか、この質問に答えて総務長官が「適当であるかどうか一応やってみたいと思いますし、適当でない、もつとやるべきだという結果が出たら、予算その他の関係がありましても、これは事、間違えば生命に関する問題であり、漁業者にとっては漁場は死活の場でありますから、したがって、それを守るために、国は義務を積極的に果たしていかなければならぬと思います。」こういう答弁でありましたが、今回の緊急掃海を一たん終了して、その経過を見て政府のほうとしてはどのような判断をしておられるか、お伺いしたいと思います。
  60. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 前の予算委員会におきまして山中総務長官がお答えしましたように、要するに四百五十回一応適当であるかどうかわからないけれどもやってみる。四百五十回というのは相当大規模な掃海でありますが、しかし四百五十回の予定に対しまして三百二十回しか実際には実行できなかったわけでございます。あと百三十回その予定の回数に足りなかった。しかもなおかつそこに毒ガスのイペリットかんがあるということが確認できているわけでございますから、今後としましては、総理府といたしましては予定に足りなかった掃海をもって今回の対策は終了したということは考えておりません。したがいまして、地元漁業者の不安を除くという見地から、第二次の掃海の実施につきまして関係省庁の協議を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  61. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 この終了した時点において、その作業内容でございますが、漁民からいろいろな意見また批判等があったのではないかと思うのです。その点について報告を受けておられると思います。もっともどの掃海作業については、危険物を海上で扱うものでありますし、また非常に波の多いところで扱うものですから、いろいろ操作上むずかしい点はあるとは思いますけれども、こういう点はこういうふうにすればよかった、またこの点はこうすべきではなかったかというような点の報告を受けておられると思いますが、どういう点が欠点であり、また改善をすべき点であるかという点についてそれぞれからお聞きしたいと思います。
  62. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 私どもの聞いておりますのは、漁業者がかんを揚げましたので、専門家でないために若干の被害を受けた点もございますし、道具も十分でなかったという点で、漁船並びに漁業者がこれを扱うのはやめてもらいたい、全部専門家にやらしてほしいというのが一番強い要望のように聞いております。
  63. 半田博

    ○半田説明員 防衛庁といたしましては、早くからガスマスクを漁民の方々に貸与すべきであるということを考えておりましたが、現地における対策会議において漁民の方のほうからそれは必要ないだろうというような御意見もございまして、一応貸与は見合わせておりましたが、結局被害者が出て、あとからまた急遽このガスマスクを貸与したというようなことがございまして、これはやはり初めからガスマスクの貸与をすべきであったというふうに反省をいたしております。
  64. 林陽一

    ○林政府委員 海上保安庁といたしましては、ただいま総理府及び防衛庁のほうから御発言がありましたこと以外には、特に聞いておることはございません。
  65. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 これも予算委員会で防衛庁の宍戸局長が言っておられますが、「防衛庁といたしましては、引き揚げ作業中あるいは懸吊作業中の被毒の防止指導、このために今回も陸上自衛官十四名を派遣いたしております。」こういうお話でございましたが、現実にいまお話があったように三日間の作業で二十名近い被害者が出たわけです。それも全部地元の漁船員であったわけです。私も現地に行き、その話を聞きまた見てきたのですが、一つの具体例として、イペリットが網にかかった。それを今度は保安庁なり防衛庁の船に渡して曳航するわけですが、その際、防衛庁の自衛官はこのガスについて非常にこわがって、ガスは海上に揚がりますと気化いたしますので、風上におったとか全然風下に来ないとか、遠く離れておったとか、自衛官は完全装備しておって漁船員のほうは素手のいわゆる無防備状態でやった、このようにも聞いておりますし、それから万一死傷者が出るといけないというので医療班を送ったわけですが、その医療班も船には乗らなかった、こういういろいろな話も聞いております。それは事実だと思いますけれども、こんな態度では地元の協力意識をそこない、掃海意欲を妨げるものではないかというように私は思うわけです。こんなことでは国の責任ある態度とは思えないわけですけれども、今後の問題としてどうあるべきか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
  66. 半田博

    ○半田説明員 お答えいたします。  自衛官が風上におったというふうな事実は、これはございません。ただ、現地連絡会議の際に、自衛隊の人は巡視船なり掃漁艇のほうへ乗ってくれというお話でございましたので、それに乗ったということでございます。しかしながら、ただいま御指摘のように、これは事、人命に関する問題でございますから、今後さらに積極的な姿勢で、本格掃海が実施される場合はこれに協力してまいりたいというふうに考えております。
  67. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 漁業者のほうは、今回の掃海については全面的に協力をしたわけでございます。なぜ全面的に協力したかというと、先ほど一番最初に申し上げましたとおり、政府の緊急にして前向きな処置をとられたことに対して、地元は、これはもちろん相当危険を伴う作業でありますけれども、自分たちの漁場でもあるということも含めて、銭金の問題ではない、そう判断して協力したわけでございます。  そこで、今後の問題として、また今回の掃海作業から見て、非常に危険性を伴う作業でございますので、これ以上漁業者の協力を得てやるということは非常にむずかしいわけでございます。作業の危険性の問題が一番大きな問題とはなりますけれども、その他にいろいろあるかもしれませんが、いずれにしてもとても協力はできないという意見が非常に強いわけでございます。したがって、今後の掃海は全面的に国で処理をする意向が政府のほうとしてあるかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  68. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 今後の掃海につきましては、まだ関係省庁の間で協議を重ねている段階でございまして、まだ具体的な結論を得ていない。すなわちどういう実施方式にするかということにつきましては、まだ具体的な結論を得ていない段階でございますので、どうこういうことは非常にむずかしい段階でございます。今後とも地元漁業者の要望を聞いて、また地元漁業者の協力を得ながらやることが必要なのではないかというふうに考えられますので、地元の県、市または漁業協同組合等とも十分連絡をとりながら今後とも検討を重ねていきたい、こういうふうに考えております。
  69. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 現在は、漁場の移動等もありますけれども、時期がはずされているということもありますし、この危険水域には漁船が操業していないようであります。そのため、三月九日の掃海以降は、きょうも私、電話で聞きましたけれども、被害は出ていないようであります。しかし、秋にはまた必ずここが漁場となることは間違いないようでございます。そうすればまた被害が出るのではないか。その可能性は十分考えられるわけでございます。そこで、先ほど本格掃海をやるというような話がちょっと出ましたけれども、間違いなく本格掃海をやる意思があるかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  70. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 この海域が再び漁場になりますのは九日以降と聞いておりますので、そのときまでに関係省庁の間で協議を重ねて結論をまとめて実施に移せるように私ども努力してまいりたいというふうに考えております。
  71. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 しつこいようですけれども、本格掃海をやるならばどの程度規模でやるか。これはいま相談審議中とおっしゃるかもしれませんが、それではどのくらいの期間で、またどういう形で連絡会議を進めていかれるか、大体のことでけっこうですから、いまからのいわゆる連絡会議の持ち方、これを総理府の、いわゆるまとめ役としてお聞かせ願いたいと思います。
  72. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 先ほどから御答弁申し上げているように、まだ関係省庁の間で協議を重ねている段階でございまして、具体的にどの程度規模でいつどういう方式でということにつきましては、まだ結論は得ていない段階でございますので、何とも申し上げようございませんが、政府といたしまして、これは事、人命に関するというような山中総務長官の答弁もありますように、不安を除去するためのできるだけの措置をやるべきではないかということで、今後ともできるだけ検討を重ねてまいりたいというふうに考えております。
  73. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 先ほど申し上げましたとおり、漁業者のほうでは、地元のほうとすれば漁船による掃海作業はいかなる条件をもってもできない、このように言っておるわけでございます。それじゃ政府のほうではどうかというと、この前お話しのありましたとおり、現在のところ国の力では二百メートル、三百メートルのところの掃海をする能力がない、このように私も聞いておるわけです。これは私から言わしむるならば、本腰を入れてやろうと思えば──地元の漁船はわずか十トンか二十トンの底びき船でやっておるわけでございます。この掃海を大日本帝国海軍ではございませんけれども、自衛隊が本腰を入れてやればできないことはないのじゃないか、このように私は思うわけです。やはりここに政府の弱腰というか、うしろ向きというか、消極的な態度が見られる。このように私は判断するわけですけれども、いままでも何回も申し上げましたとおり、やはり人命の問題であり、漁業者の切なる要望でございますので、国の力で実施するよう要望しておきたい、このように思うわけでございます。  次に、三十二年の事故発生以来、今回の一月十七日の事故までにイペリットガス弾は何個揚がったのか、揚がらないのか、それをお聞きしたいと思います。
  74. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 昭和四十二年の九月二十六日に福吉丸という船がここで一個揚げております。
  75. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 そうすると、一回だけということですか。あとは揚がっていない、こういうことですか。
  76. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 私どもに報告がありましたのは一回だけでございます。
  77. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 そうすると、それはどういうルートで水産庁のほうに報告になったのかわかりませんけれども、三十二年から、ことしは四十五年ですから十三年の間に、いまのお話ですと一回しか揚がっていない、こういうことになるわけですけれども、私の聞いている範囲では、漁船が何回もそれを揚げておる。ですけれども危険性が伴うのでそのまままたそこに捨ててしまう、こういうことになっておるそうですが、あとは通告もまた向こうの状況も水産庁のほうでは掌握していない、このように理解してよろしいですか。
  78. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 私どもとしましては、県を通じて報告を受けておりますので、それ以外については実態を掌握しておりません。
  79. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 それではお聞きしますけれども、昭和三十二年にあの事故が起きて、そのあと三十四年に一回掃海作業をやったわけです。そのあとに三十四年十一月二十七日にイペリットガス弾の処置について水産庁の長官通達が出ているわけです。その内容を簡単でけっこうですから、ちょっと説明していただきたいと思います。
  80. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 関係省庁と相談、連絡会議をいたした結果、次のように決定したので、関係漁業者並びに千葉県知事へ——関係官庁といいますと、ここでは直接には海上保安庁でございますが、に連絡して、万全の措置をとるようにということでございまして、その内容は、骨子といたしましては、漁船はこういう器材を備えておきなさい、こういう防毒器材を備えておきなさいということと、ガスかんを発見したときにドラムかんでつるすようにして、それを海上保安庁に通達しなさい、海上保安庁としてはそれを引きとって銚子の一の島灯台北東に投棄するということと、毒ガスに関する一般的知識を、特にイペリットにつきまして、性状、見分け方、消毒のし方その他の注意事項を通達してございます。
  81. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 それはわかりますけれども、先ほど申し上げましたように、私の聞いている範囲では、何回も漁船が揚げておるわけです。そのたびに長官通達に従って保安庁に連絡をとっておるわけでございます。詳しく申しますと、「洋上において瓦斯罐を発見した場合の措置」として「操業漁船が瓦斯罐を発見したときは、曳航に支障のないよう懸吊すると同時に、銚子または那珂湊無線局経由のうえ下記事項を最寄りの海上保安部、署に連絡すること。」こうなっております。その内容としては、「発見時刻」、「発見漁場位置」、「船名」、それから「懸吊の状態」とか「瓦斯罐容器の状況」、このようになっております。さらに二番目として「銚子海上保安部は現地漁船から瓦斯罐発見の連絡を受けたときは、速かに巡視船を派遣し、瓦斯罐の洋上引取りを行い、これを定められた海域に投棄する。」この「定められた海域」というのは、いわゆるいま次長のおっしゃった深さ二千メートル、こういうことでございますけれども、ここで問題なのは、何回通告してもこのことは一回も行なわれたことはない、このように私は聞いておるわけでございます。というと、この通達はただ通達しただけであって、一片の紙にすぎないわけです。そういうことで、地元の者も、通報しても保安部の船はすぐ来ないし、また、イペリットを懸吊している時間等において、非常に、操業中でございますから、問題もある。したがって、この通達は有名無実である、このように地元では言っておるわけでございますけれども、この点について、水産庁の長官通達でございますけれども、次長としてどう運用されていくのか、これをお伺いしたいと思います。
  82. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 これにつきましては、千葉県知事のほうからも現地の海上保安庁に十分連絡をいただきまして、漁業者と銚子保安部との間の連絡もはかっていただくように、私のほうとしては知事を通じて指導しておりました。
  83. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 それではこの通達はまだ生きているということですから、これを今後実行していただきたい、このように私は思うわけです。ただし、先ほども申しましたように、イペリットかんを発見して、それを通報して船が来るというまでに非常に時間的な問題もございますし、物理的な問題もあると思いますので、この点についてはこの通達をどのように運用したら一番効果的に運用できるかということをさらに検討していただきたい、このように要望しておきます。  次に、三十二年の、先ほどの九月十三日にイペリットの人身事故があって、掃海されたと聞いておりますけれども、それから二年して三十四年に水産庁が底びき漁船を一隻用船して被害個所を一週間ほど帰海した、このように聞いております。このときはイペリットが一つも揚がらなかった、こういうことでございますけれども、いま予想される、これほどまでたくさんにガス弾が投棄されていたと判断しなかったのか、それ以降は掃海をやっておらないわけですから。それともまずまず危険はないと判断して今回の事故発生までやらなかったのか。いずれにしても、いままでほっておいたということは確かであるわけです。私はこの点ちょっと国としては無責任過ぎるのではないかと思うのですけれども、いま申しましたように、確かに水産庁としては、長官通達を出し、その後の処理方法については現地にも通達をしております、このように申されるかもしれませんけれども、その辺の見解、イペリットガス弾に対する水産庁の考え方、これをもう一度お聞きしたいと思います。
  84. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 当時水産庁で掃海いたしました段階で、その当時の状況では、もう普通の操業ではなかなかかからないような状態になったのではないかと、いいますのは、かんがこわれて流されてしまっているとか、士の中に埋まってしまったとかしたのではないか、その後ほとんどかんは揚がらないであろうという状態で、私ども掃海を行ないませんでした。四十二年に揚がりましたときも、被害は若干ございましたけれども、それ一個だけで、あとは報告を聞いておりません。四十二年当時も、普通の状態では網にかからないというふうに判断をいたしておりました。今回、ちょうどあそこが冬場のイカの漁場になりまして、多くの船が引いたためにまたああいう事故になりましたので、まだこれは相当な数があるのではないかというふうに考えております。
  85. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 今回の掃海については、国と千葉県と銚子市と地元漁業組合と一体となって行なわれたわけでございます。費用も国が約五百万、県が三百万、市としては八十四万六千円ですか、こうなっておりますが、一番先に申しましたように、これは旧陸軍の投棄したものでございますから、このガス弾処理については国でやるべきものか、それとも地元千葉県でやるべきものか、というのは、私の聞いている範囲では銚子沖に投棄された物件、いわゆる爆弾、砲弾、ガス等は戦時中に関東甲信越地区にあったものと聞いております。その量にしても、当時の模様を知っている人に聞いたのでございますが、昭和二十年十月から翌年の五月ごろまでに四千八百車両、いわゆる一車両平均一五トンとして七万二千トン、そのうちイペリットだけでも三十車両、四百五十トンもあると聞いているわけであります。したがって、この処理は当然国でやるべきものではないか、このように思うわけでございますが、この辺の考え方、政府としてはどうするかお聞きしたいと思います。
  86. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 ただいま御質問にありました政府としてやるかどうか、やれという御質問でございますが、今回の緊急掃海につきましては、水産庁の予算を流用いたしまして、千葉県に対する委託費というかっこうで出したわけでございますから、ある意味では国の委託の事業というかっこうであろうかと思います。しかしその間千葉県また銚子市がそれぞれ三百万とかの金を出しているわけでございますが、その間の事情につきましては、私ども総理府には水産庁から連絡ないのでございまして、まだその間の事情については明らかでございません。
  87. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 三十年の九月には別府でこのイペリット掃海を行なっているわけです。このときには、一億二千万の費用をかけて約百五十万トン、そのほか砲弾類があったと聞いております。それで掃海をやっておるわけです。この別府の掃海のときは水深が四十メートルであったからできた、このようにいっておりますけれども、しかし銚子の場合は実際二百メートルから三百メートルの水深になるわけです。そこで先ほど申しましたように、海上自衛隊では掃海能力がない、したがって手がつけられない、こういうことでございます。しかし、国で一億二千万もかけてやった例もあるのですから、この際、まだまだたくさん旧陸軍のガス弾が投棄されているということははっきりしていることでありますし、また銚子沖のみならず、近海にはどこかでまだ問題が起こるのではないか、こういうことも考えられるわけでございます。そこで掃海する方法としてはいろいろありますけれども、防衛庁のほうとしてこの掃海用の船をつくったらどうか、このような意見もあるわけですが、私もそのように考えるわけです。費用はどの程度かかるかわかりませんけれども、船主のほうに聞いてみると、一千万か二千万くらいでできるだろう、こういう話もございます。そういう考えは防衛庁のほうにあるかどうか、お聞きしたいと思います。
  88. 半田博

    ○半田説明員 お答えいたします。  ただいま別府湾の掃海のことにつきまして、一億二千万円の予算をかけたというふうにおっしゃいましたが、これは確かに局長はそういうふうに御答弁を申し上げておるのでございますが、とっさの御質問でございましたので、あれは見積もりでございまして、実際には七千五百万円でございました。その点だけ訂正させていただきます。  いま掃海艇は三十九隻持っておりますが、掃海艇で網を引くということになりますると、これは掃海具を取りはずしたり、大改造が必要であるということでございます。なお自衛隊で掃海をするような船を持ったらどうか、こういう御質問でございまするけれども、自衛隊は国の防衛をするということが自衛隊の本来の任務でございまするので、御意見は検討はいたしまするけれども、現在の段階におきましては、そういうふうな深海のものを網で引くというふうな船をつくるというところまで現在のところ結論に達しておりません。
  89. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 それでは次の質問ですけれども、先ほど今後どうするかということについて、深海の、いわゆる潜水調査船の話が出ましたのでお聞きしますけれども、科学技術庁で建造された潜水調査船「しんかい」について、その潜水能力、調査能力についてお伺いしたいと思います。
  90. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま先生の御発言にもございましたように、「しんかい」は科学技術庁の予算で建造された船でございますが、運航は当海上保安庁で行なっております。  その能力につきまして申し上げますと、六百メートルの深度の海中まで潜水いたしまして調査する能力を持っております。六百メートルの深度までいきますと、船体に対しまする圧力が非常に強いために、船体の強度を保ちますために窓等は非常に小さいものになっております。したがいまして、その窓から外部を視認いたします能力は、幅約三メートルの海底を見る能力しかございません。さらに、外国の、たとえばバチスカーフのような、より深い海底を調査いたします調査船は独航能力を持っておりませんが、「しんかい」にはわずかながらも独航能力がございます。しかしながらこれも非常に制約されたものでございまして、二ノット程度の速力で海中を自航する能力を持っております。
  91. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 六月中旬からその調査をするという先ほどのお話ですけれども、そうするとこの船では十分な調査をすることができると判断しているのかいないのかお伺いしたいと思います。
  92. 林陽一

    ○林政府委員 ただいま申し上げましたような能力の船でございますので、この二百メートルという深度のところの調査に必ずしもぴたりとあったような性能を持った船ではございません。したがいまして、これをもって一〇〇%御満足のいくような調査ができるとは申し上げかねると思います。しかしながら私ども「しんかい」の運航に携わっておる者といたしましては、できるだけのことをいたしまして海底の状況、イペリットかんの状況を調査したいと思っております。
  93. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 それでは今度補償の問題でございますが、このような占領軍の投棄によって被害を受けた被害者、これに対する救済を政府はどう考えておるか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  94. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 今度被害を受けました船は保険に入っておりまして、船員保険で被害者の治療費その他はまかなっておりますが、船主に対しての損害補償というのはなされておりませんので、これについて検討いたしております。
  95. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 占領軍の投棄行為に過失があり、そのために生じた人身災害等については法律があります。連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律、これに基づいて遺族葬祭料あるいは療養給付金、休業給付金、障害給付金等々支給することになっているが、これは、これはというのは、この投棄行為について占領軍の過失があったのかなかったのか、この点の判断はどうでしょうか。
  96. 半田博

    ○半田説明員 ただいまここに防衛施設庁の係官が出席をいたしておりませんので、その辺のことを私詳しく存じませんが、まことに申しわけないことでございます。
  97. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 そうすると、防衛施設庁のほうでその補償の問題については関係主管、このようになるわけですか、総理府。
  98. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 先ほど御質問にありましたように、要するに米軍の行為が正当であるかいなか、過失があるかいなかという問題で被害者給付金の適用をされるという問題につきましては防衛施設庁の所管であるというように聞いております。
  99. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 そうするとこれもやはり問題はからんでくるわけですから、次の連絡会議には防衛施設庁も呼んで、協議していただきたい。そしてこの問題を詰めてもらいたい、このように思うわけでございます。お願いしておきます。  時間もありませんのであと二、三問でございますが、先ほど申しましたようにガス弾のある危険海域付近には、地元漁船としても極力近づかないようにするといっておりますが、魚の状況によって、また先ほど申しましたように近寄らなければならない状態になることもあると思うのです。その際、再びガス弾またガスかんが入網した場合にその処理はどうしたらよいのか。海上保安部に依頼して遠方へ曳航してもらわなければならぬわけですが、このとき投棄する漁網の破損、それから漁獲物並びに待機中の時間等に対する補償、さらに負傷者に対する補償、その見舞い金の支給等、どこで、どういう形でやるのか、できれば具体的に水産庁のほうからお聞きしたいと思います。
  100. 藤村弘毅

    ○藤村政府委員 この場所が漁場になりますのは秋以降でございますので、先ほど内閣審議室のほうから御答弁がありましたように、できるだけ早く、それまでにそういう問題を各省で打ち合わせたいと思っております。
  101. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 それでは、最後にこれも重複しますけれども、現在は危険海域とみなされるところが漁場でないから操業は行なっておらないようでございます。またいま申しましたように、漁船員のほうもなるべく気をつけてそこを避けているようでございます。しかし、漁場となり、また三十隻、四十隻と操業が行なわれる場合が出てくるわけでございます。今回の場合も掃海前に大体毎月二十五から四十隻の船がイカ漁に出ておったわけです。そのような場合に巡視船または自衛艇等が出動をして、警戒に当たる準備をしていただきたい、このように思うわけですけれども、この点についてはそれをする意思があるかどうか、お願いしたいと思います。
  102. 山本了三

    ○山本説明員 海上保安庁は、現在危険と考えられております海域に漁船が出漁するような状態は、常時把握するようにつとめております。したがいまして、そういう場合にはイペリットかんの引き取りと申しますか、あるいは付近の警戒と申しますか、こういった点で今後も十分配慮してまいりたいと考えております。
  103. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 どうも話を聞いていると、この問題解決のために各省庁が自分の範囲といいますか、セクトといいますか、非常にあいまいなような感じがするわけです。この間も総務長官の話の中に、役所というものは自分のなわ張りについてたいへん忠実である、忠実であるのはけっこうなことでございますけれども、遠慮しがちである。こういうことではなくて、やはり全体でやらなければ解決のできない問題ですから、総理府に特にお願いしておきますけれども、各省庁をまとめてこの解決に全力をあげていただきたい、このようにお願いしたいわけです。  最後に、今回の掃海によって、いろいろな面で非常に危険性が伴う作業であるということをあらためて認識をされたわけでございますし、このイペリットガス弾が完全掃海されないことには、漁民としても安全操業もあり得ないということでございます。いずれにしても今後は国の力によって、安全な装備のもとに完全掃海を実施していただきたい、このように思うわけでございます。その点について、しつこいようでございますが、もう一度、漁業者の願いとして私も申し上げるわけでございますが、政府当局の心ある決意を一言お願いしたい、このように思うわけでございます。
  104. 浅谷輝雄

    ○浅谷説明員 いまの先生の御要望、これは地元漁業者の要望であるというふうに私どもも受け取り、そのようなことにつきまして関係各省会議を通じまして、十分やってまいりたい、こういうふうに考えております。
  105. 鶴岡洋

    ○鶴岡委員 それでは私から一言。これからいろいろな困難な問題があると思います。予算の面、それから作業、操作の面、時期等のことについて。しかし、これは何回も申し上げてまいりましたとおり、漁業者にとっては死活の問題であり、人命に関する問題でありますので、政府の英断と、前向きの姿勢でこれを直視して、一日も早く漁民の安全操業ができるようにしていただきたく、心からお願いして質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
  106. 三ツ林弥太郎

    ○三ツ林委員長代理 次回は来たる十四日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時六分散会