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倉石国務大臣 今回の
農地法の
改正では、農地を、より
生産性の高い農地をつくりたい、その経営を
生産性の高いものにいたしたい。したがって、いままで現在の現行法によりますというと、そういうことについてなかなか思うようにいかない点があることは
御存じのとおりであります。したがって、ここで私
どもは、土地を所有しておる者が、もし具体的に申して、自分は他の職業に
転換いたしたい、しかし、農地を手放したくない、こういうような
考え方の者が、その大事な農地を不経済的に放置されておるというようなことでありましたならば、せっかく規模を
拡大して、
日本の
農業それ自体をりっぱな体質に改善しようとする目的も
達成することができませんので、このたびはその農地を、不在村者であってもその農地を、これも具体的に申せば、たとえば
農協に委託経営をさせるといったような、そういうことにして
生産性を上げていくことが必要ではないか。そういう趣旨で、今度の
農地法にそういう
考え方を盛り込んでおるのでありまして、そのようにいたしてまいりませんならば、もう
角屋委員も御
承知のように、規模
拡大ということ、それからせっかくの農地の
生産性を上げるということが非常に困難であることは、おわかりのとおりであります。そういう趣旨で、われわれは、今回の
改正案のような処置をとることが一番いいことではないか、こう考えておるわけなのであります。
角屋委員 要するに、今回の
農地法の一部
改正は、現行
農地法の自作農主義というものを修正をして、積極的に借地
農業を導入しようという基盤の上に立っておることは、これは全体の
法案の修正の各
部分を見ると、そういうふうに見ざるを得ないわけであります。これは
EECの経営規模
拡大の中でも、やはりこの所有権の移転ということに行くことが望ましいけれ
ども、地価その他全体的ないろいろな、あるいはそれに見合う資金の裏づけというものの困難性その他から見て、借地
農業を
相当程度受けざるを得ぬという
関係に立ったいわば経営規模
拡大ということも、
EECの
論議の中にも出ておるわけですけれ
ども、
日本でも同じように、今回の
改正で経営規模の
拡大を考えておる底辺には、
政府がどう
説明しようと、借地
農業を積極的に導入しようという姿勢に立っておる。それがいいかどうかの
議論は別にして、やはり
基本的に存在するということだと思うのであります。
そこで、そういう問題と
関連をして、農地等の権利移動の場合に、私はやはり、
一つの問題は、いままでとってきた下限、上限の問題で、特に上限を廃止するという
考え方が、
基本的にどこにねらいがあるのかという点が、率直に言ってわからない。また、そういう上限を撤廃してやるというふうな、
日本の
農業経営の実態から見てそういう条件があり得るのかどうか、あるいはそれがもたらす
農業に対する影響をどういうふうに
判断をしておられるかという点の、
政府の意図がわからない。要するに、
政府自身が上限を取っ払うという
意味は、能力のある者には優等生農家をとにかくつくっていこう、それによって零細農その他が犠牲を受けようと、それはやはり経営規模
拡大のためにはやむを得ないコースである、こういう前提に立っておるのかどうか。私
どもとすれば、やはり上限の問題については、最近の機械化の動向あるいは実際に
農業と他
産業との所得均衡から見て、当然それに見合う上昇を考えていく、その幅の範囲内で上限を設定するのが、やはり今後五年、十年を
展望したいわゆる
農地法の運営の問題としても必要であるという
基本的な
考え方に立っておるわけですけれ
ども、いずれにしても上限を廃止する。これは国際的にも、フランスの一九六九年代の上限、下限の問題についてもずいぶん国会で激論が行なわれて、
政府の
方針を大幅に修正したという経緯があるわけですけれ
ども、それを別にしても、上限の廃止というのは、ここ当分の
日本の
農業の実態から見ていささか勇み足ではないかという、率直に言ってそういう
感じがするのですが、その辺のところはどうですか。