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1970-03-18 第63回国会 衆議院 農林水産委員会 第5号
公式Web版
会議録情報
0
昭和四十五年三月十八日(水曜日) 午前十時四十四分
開議
出席委員
委員長
草野一郎平
君
理事
安倍晋太郎
君
理事
小沢 辰男君
理事
仮谷 忠男君
理事
丹羽 兵助君
理事
三ツ林弥太郎
君
理事
芳賀 貢君
理事
山田
太郎
君
理事
小平 忠君 鹿野 彦吉君 亀岡 高夫君 熊谷 義雄君 小山
長規
君 齋藤
邦吉
君 澁谷 直藏君
瀬戸山三男
君 高見 三郎君 中尾 栄一君 福永 一臣君 松野 幸泰君 森下
元晴
君
渡辺
肇君
角屋堅次郎
君
田中
恒利
君 千葉
七郎
君
長谷部七郎
君 松沢 俊昭君
瀬野栄次郎
君 鶴岡 洋君
合沢
栄君
出席国務大臣
農 林 大 臣 倉石 忠雄君
出席政府委員
農林政務次官
渡辺美智雄
君
農林大臣官房長
亀長
友義君
農林省農林経済
局長
小暮 光美君
農林省農政局長
池田
俊也君
農林省農地局長
中野
和仁
君
食糧庁長官
森本 修君
委員外
の
出席者
農林水産委員会
調査室長
松任谷健太郎
君
—————————————
委員
の異動 三月十七日
辞任
補欠選任
合沢
栄君
春日
一幸
君 同日
辞任
補欠選任
春日
一幸
君
合沢
栄君 同月十八日
辞任
補欠選任
奥野
誠亮
君 田澤 吉郎君
—————————————
三月十七日 中国産
食肉輸入禁止解除
に関する
請願
(
横路孝
弘君
紹介
)(第一二五八号) 同外一件(
小林進
君
紹介
)(第一四六一号)
かんきつ農業
の保護に関する
請願
(
山原健二郎
君
紹介
)(第一三〇三号) 同外四件(
田中恒利
君
紹介
)(第一三三〇号) 同外五件(
藤田高敏
君
紹介
)(第一三三一号) 愛媛県における米の
作付制限反対等
に関する請 願(
田中恒利
君
紹介
)(第一三二九号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
農地法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第二 九号)
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣
提出
第三〇号) ————◇—————
草野一郎平
1
○
草野委員長
これより
会議
を開きます。
農地法
の一部を
改正
する
法律案
及び
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
の両案を一括して議題といたします。 この際、両案の
補足説明
を聴取いたします。
中野農地局長
。
中野和仁
2
○
中野政府委員
農地法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、
提案理由
を補足して御説明申し上げます。 本
法案
を
提出
いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由説明
において申し述べましたので、以下その
内容
の
概略
を御説明申し上げます。 まず第一に、
農地法
の
目的
に関する第一条の
改正
について御説明申し上げます。
現行
の
農地法
は、
農地改革
の成果を維持し、いわゆる旧
地主制
に逆行することを防止するという
使命
をもって制定されたものでありますが、制定後今日までの十数年間にその
使命
を十分に果たしてきたものと評価されるのであります。しかしながら、最近における
農業技術
の
進歩
や
社会経済事情
の
変化等
から見ますと、さらに新しい時代の
農業
の
要請
にこたえ、
農地
がより
生産性
の高い
経営
によって効率的に
利用
されるようにすることが必要となっておりますので、
農地法
の
目的
に「
土地
の
農業
上の効率的な
利用
を図るためその
利用関係
を調整すること」を追加することといたしております。 第二に、
農業生産法人
の
要件緩和
に関する第二条の
改正
について御説明申し上げます。
現行
の
農業生産法人
の
要件
のうち、その
法人
の
構成員
以外の者からの
借入地面積
がその
経営
総
面積
の二分の一未満であること、その
法人
の常時
従事者
たる
構成員
が
議決権
の過半数を保有していること、その
法人
の
必要労働力
のうち
雇用労働力
の
割合
が
一定率
以下であること及び
出資配当率
が
一定
の
割合
をこえないことという
要件
を廃止いたしまして、これらの
要件
にかえて、その
法人
の
理事等業務
の
執行
に当たる者の過半がその
法人
への
農地等
の
提供者
であり、かつ、その
法人
の
農業経営
に必要な農作業に常時従事する
構成員
でなければならないことといたしております。この
改正
は、
集団的生産組織
の育成と
土地
の
効率的利用
に資するためのものであります。 第三に、
農地等
の
権利移動
の
制限
に関する第三条の
規定
の
改正
について御説明申し上げます。 その一は、
農地等
の
権利
を
取得
する場合の上限及び
下限
の
面積制限
の
改正
であります。これは、近年における
農業技術
の
進歩
、
兼業化
の
進行等
の
情勢
の
変化
に対応して、
農地
がより
生産性
の高い
経営
によって
利用
されるよう配慮したものであります。 まず、
現行法
では
農地等
の
権利取得
の結果
農地
についていえば、
北海道
では十二ヘクタール、
都府県
では
平均
三ヘクタールをこえることとなる場合には、
権利取得者
またはその
世帯員
が主として
自家労働力
により効率的に
農業
を行なうことができると認められるときでなければ
許可
できないこととしているのを改め、
農地等
を
取得
しようとする者またはその
世帯員
がその
取得
後において
農業
の用に供すべき
農地等
のすべてについてみずから
農業
を行ない、かつ、その
農業
に必要な作業に常時従事すると認められる場合には、
面積
及び
雇用労働力
についての
制限
をせずに
許可
できることといたしております。 次に、いわゆる
下限面積制限
については、
現行制度
では
農地等
の
取得
前における
農地
または
採草放牧地
の
面積
のいずれかが三十アール以上なければならないことになっておりますのを、その
取得
後五十アール以上の
規模
になれば、
取得
前の
面積いかん
にかかわらず、
農地等
の
取得
を
許可
できることといたしております。なお、地域の
実情
に応じて、
都道府県
の
区域
を分けてこの
面積
の特例を
定め
ることができる旨の
現行
の
規定
は、存続させることにしております。 その二は、国から売渡しを受けた
農地等
については、
現行制度
では永久に
貸し付け
ることが
禁止
されておりますが、
売り渡し
後
相当
の年数がたちますと
事情
も変わりますので、これを改め、
売り渡し
後十年を経たものについては、その
効率的利用
がはかられるよう
貸し付け
ができることといたしております。 その三は、
農地等
の
取得者
に対してその
土地
を効率的に
利用
すべき旨の
要請
を強めることとし、
通作距離等
から見て
農地等
の
取得
後においてそれを効率的に
利用
して
農業
を行なうことができると認められない場合には、
許可
しないことといたしております。 その四は、
農業協同組合法
の一部
改正法案
において
農業協同組合
が
委託
を受けて
農業経営
を行なうことができることとしていることに対応して、その場合に
農業協同組合
が
農地等
の
権利
の
取得
をすることができることといたしたのであります。なお、
農業経営
の
委託
に伴う
農地等
の
権利
の
取得
は、
農業協同組合
が
委託
を受ける場合に限り認めることとし、それ以外の場合にはこれを認めない旨の
規定
を設けることといたしております。 その五は、
農業経営
の
規模
の
拡大
、
農地
の
集団化等
をはかるため
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
が
農地等
の
権利
を
取得
する場合には
許可
できることといたすとともに、その
法人
が
農地保有合理化促進事業
のために
農地等
を転貸する場合にも
許可
できることといたしております。 なお、以上のほか、
農地等
の
権利移動
の
制限
に関しましては、
現行制度
では
小作地等
はその
土地
の
小作農等
以外の者に譲渡できないことになっているのを改め、
小作農等
の同意がある場合にはその
土地
が
農地等
の買い受け
資格
を有する第三者に譲渡されることを認め、差し押えまたは仮差し押えを受けた
自作地等
については、その後それが
貸し付け
られて
小作地等
となっても
強制執行等
によりその
小作農等
以外の者へ
所有権
が移転されることを認めることといたしております。 また、
農地等
の
権利移動
についての
許可権限
につきましては、
実情
に即して整理することとし、
農地等
の
権利
を
取得
しようとする個人がその
住所
のある
市町村
内の
農地等
について
権利
を
取得
しようとする場合には
農業委員会
を
許可権者
とし、その他の場合、すなわち他
市町村
内の
農地等
の
権利
を
取得
する場合とか、
権利
を
取得
する者が
法人
である場合等においては、
都道府県知事
を
許可権者
といたしております。 第四に、
小作地等
の
所有制限
の例外を
定め
ております第七条の
規定
の
改正
について御説明申し上げます。 その一は、
一定
の
要件
のもとに、
住所
のある
市町村
の
区域
の外にある
小作地
の
所有
を認めることといたしておることであります。すなわち、
現行制度
では
住所
のある
市町村
の
区域
の外にある
小作地
につきましては、その
所有
を認めていないのでありますが、
農地
の
所有者
及びその
世帯員
が
耕作
の
事業
に供すべき
農地
のすべてについて
耕作
の
事業
をやめ、他の
市町村
へ
住所
を移した場合に、それらの者が
農業
をやめたときに
住所
を有していた
市町村
内にある
小作地
で
農業
をやめる前それらの
者等
が
一定
の
期間
所有
していた
農地
については、
北海道
では四ヘクタール、
都府県
では
平均
一ヘクタールまでは不在村者として
小作地
を
所有
できることといたしております。また、その
農業
をやめたときのその
小作地
の
所有者
からその
小作地
を承継した
一般承継人
についてもその
小作地
の
所有
を認めることといたしております。これはいわゆる旧
地主制
の復活を意味するものではなく、他産業に従事しようとする農家が他
市町村
へ
住所
を移しやすくし、
農地
が効率的に
利用
されるよう配慮したものであります。 その二は、従来
農業生産法人
が
耕作
の用に供している
小作地
につきましては、
農業生産法人
の常時
従事者
である
構成員
が
所有
する
農地
であってその者の
住所
のある
市町村
内にあるものをその
法人
に
貸し付け
る場合に
限り小作地
の
所有制限
をしないこととしておりますのを、
農業生産法人
の
構成員
であれば、その
法人
に
貸し付け
ている
農地
については、その所在地がその
構成員
の
住所
のある
市町村
の
区域
内にあるものであっても、またその
区域外
にあるものであっても、
小作地
の
所有制限
をせずその
所有
を認めることとして、
農地
の効率的な
利用
に資することといたしております。 その三は、
農業協同組合
が
農業経営
の
委託
を受けて
耕作
の
事業
に供している
小作地
及び
農業協同組合
の
共同利用施設
の用に供している
小作地
については、それぞれその
所有者
に対し、その
小作地
の
所有制限
をせずその
所有
を認めることといたしております。 その四は、
農地保有合理化促進事業
を行なう非
営利法人
に
貸し付け
られている
小作地
につきましては、その
所有者
に対し
小作地
の
所有制限
をせずにその
所有
を認めることといたしまして、この
法人
が
農地
を借りやすくし、
農地保有
の
合理化
に資することといたしております。 その五は、
都市計画法
による
市街化区域
内の
小作地
につきましては、あらかじめ
転用
のため
届け出
をして
取得
したものを
所有制限
をしないこととなっておりますが、
市街化区域
の
性格
にかんがみまして
届け出
の有無にかかわらず
所有制限
をしないことといたしております。 その六は、近年
農業経営
における
採草放牧地
のになう
役割り
が
変化
してきたことにかんがみて、
小作採草放牧地
につきましては、その
所有制限
を廃止することといたしております。 第五に、
農地等
の
賃貸借
の
解約等
の
制限
を
定め
ております第二十条の
規定
の
改正
について御説明申し上げます。
現行制度
では、
農地等
の
賃貸借
の
解除
、
解約
または
更新
の拒絶をしようとするときは、
民事調停法
による
農事調停
によって
合意解約
が行なわれる場合及び
信託事業
にかかる
信託財産
につき
解約
の
申し入れ等
が行なわれる場合のほかは、
当事者
は
都道府県知事
の
許可
を受けなければならないこととされておりますが、この
規制
を緩和いたしまして、
農地等
の
所有者
が
農地等
を貸しやすくするため、次の場合には
許可
を要しないことといたしております。 その一は、
農地等
の
賃貸借
につきその
農地等
を引き渡すこととなる期限前六カ月以内に成立した
合意
で、その旨が書面において明らかであるものに基づいて
賃貸借
の
解約
をしようとする場合であります。 その二は、十年以上の
期間
の
定め
のある
賃貸借
につきその
期間満了
の一年前から六カ月前までの間にその
更新
をしない旨の
通知
をする場合であります。 その三は、
水田裏作
を
目的
とする
賃貸借
につきその
更新
をしない旨の
通知
をする場合であります。 第六に、
小作料
の
規制
を
定め
ております第二十一条から第二十四条までの
規定
の
改正
について御説明申し上げます。
農業者
の
経済的社会的地位
が向上し、また
雇用
の
機会
が増大した現在では、
当事者
の自由な
契約
にゆだねても戦前のような高額の
小作料
が発生する余地は一般的にはないものと判断されること、最近において
農業生産
、
農業経営
が多様化してきたこと等の
理由
により、これらの
規定
を
改正
して、従来のような画一的な
農地
一筆
ごと
の
小作料
の
最高額統制制度
を廃止することとし、これに関連して
小作料
の
規制
に関する所要の
規定
を整備することといたしたのであります。 その一は、
農業委員会
が
農地
一筆
ごと
の
小作料
の
最高額
を
定め
る旨を
規定
した第二十一条を廃止するとともに、この
統制額
に違反する
契約
についてはその
統制額
を
小作料
の額と
定め
たものとみなすこととされている第二十二条を廃止し、これらの
規定
にかえて、
小作料
は
定額金納
で
契約
すべき旨及びこれに違反する
定め
はその効力を生じない旨の
規定
を設けることといたしております。 その二は、
小作料
の
増額
または
減額
の
請求権
の
規定
を設けることとしたことであります。これは、
小作料
の額が農産物の
価格
や
生産費
の上昇もしくは低下その他の
経済事情
の変動により不
相当
となったとき、または
近傍類似
の
農地
の
小作料
の額に比較して不
相当
となったときは、
当事者
は
小作料
の額の増減を
請求
することができることとし、
増額
について
協議
がととのわないときは、
増額
の
請求
を受けた
耕作者
はみずから
相当
と認める額の
小作料
を支払うことをもって足りることとし、
減額
について
協議
がととのわないときは、
減額
の
請求
を受けた
土地所有者
はみずから
相当
と認める額の
小作料
の支払いを
請求
することができることといたしております。そして、
増額
または
減額
を正当とする
裁判
が確定した場合には、すでに支払った
小作料
の額との過
不足額
に年一割の
割合
による利息を付して精算すればよいことといたしております。 その三は、
農業委員会
による
小作料
の
標準額
の
設定
及び
小作料
の
減額
の勧告の
制度
を設けることとしたことであります。まず、
農業委員会
は、その
区域
内の
農地
につきたとえば
田畑別
、上中下別等必要な
区分
をいたしまして、その
区分ごと
の
農地
につき
経営規模
、
経営能力等
において通常の
農業経営
が行なわれたとした場合における
生産量
、
生産物
の
価格
、
生産費等
を参酌し、
耕作者
の
経営
の安定をはかることを旨として
小作料
の
標準額
を
定め
ることができることといたしております。そして、その
小作料
の
標準額
に比較して著しく高額であると認められる
小作料
を
定め
た
契約
があるときは、
農業委員会
は
当事者
に対してその
小作料
の
減額
を勧告することができることといたしております。 その四は、以上のような
小作料
の
規制
についての
改正
を行なうにあたり、現存の
小作地
の
小作料
につきましては、その
小作農
の
経営
に急激な
変化
を与えることを避けるため、この
法律
の施行の日から十年をこえない
範囲
内において政令で
定め
る日まではなお
小作料
の
最高額統制
に関する
制度
を継続することとし、その
最高額
の基準については、
農林大臣
が毎年検討を加えて必要があるときはその
変更
を行なうここといたしまして、附則第八項及び第九項にこの旨の
経過規定
を設けることといたしております。 第七に、国からの
農地
または
採草放牧地
の
売り渡し
について
定め
ております第三十六条の
規定
の
改正
について御説明申し上げます。 これは、
現行制度
では
市町村
、
農業協同組合等
の
団体
に売り渡すことのできる
土地
は
共同利用
することが適当な
採草放牧地
に限定されておりますのを改め、
草地
としての
土地
の
利用
の
効率化
が進んでまいっておりますことを考慮いたしまして、
共同利用
することが適当な
農地
についても
団体
に対し売り渡すことができることといたしております。 第八に、
和解
の
仲介制度
について第二章に
一節
を設けることとしておりますので、この
制度
につき御説明申し上げます。 これは、
農地等
の
利用関係
の紛争が
民事調停
または
裁判
によらなくても簡便に解決できるように、
当事者
の双方または一方から申し立てがあったときは、
農業委員会
が
和解
の
仲介
を行なうことといたしたものであります。この
和解
の
仲介
は、
農業委員会
の
委員
のうちから
農業委員会
の会長が
事件ごと
に指名する三人の
仲介委員
により行なうこととし、
都道府県知事
の
許可
を要することとされる事項について
和解
の
仲介
を行なう場合には、
仲介委員
は
都道府県
の
小作主事
の
意見
を聞かなければならないものとしております。 なお、
農業委員会
が
和解
の
仲介
を行なうことが困難または不適当であると認めるときは、
都道府県知事
による
和解
の
仲介
ができることといたしております。 第九に、
開拓財産
である
道路
、
水路等
の譲与に関する第七十四条の二の
規定
について御説明申し上げます。
開拓財産
である
道路
、
水路
、
ため池等
につきましては、現在有償で売り渡すこととなっておりますのを改めまして、これらの
財産
の
性格
にかんがみ、その用途を廃止したときはこれを
無償
で国に返還することを
条件
として、
市町村
、
土地改良
区等に
無償
で譲与することができることといたしております。 第十に、
草地利用権設定制度
について第三章に
一節
を設けることといたしておりますので、この
制度
の概要について御説明申し上げます。 これは、
畜産物
に対する需要の増加に対応して飼料の
生産基盤
の
拡大強化
をはかるための
制度
であります。 まず、
市町村
または
農業協同組合
は、その住民または
組合員
の
共同利用
に供するため、牧草の栽培またはこれに付随して家畜の
放牧
を行なうことを
目的
とする
土地
についての
賃借権
を
取得
する必要があるときは、
都道府県知事
の
承認
を受けて、その
土地
の
所有者等
に対し、
草地利用権
の
設定
に関する
協議
を求めることができることといたしております。この場合に
都道府県知事
が
承認
できるのは、その
土地
が自作農の創設に供されるとするならば国による
未墾地買収
の対象となり得る
土地
である等、
一定
の
要件
に適合するものである場合に限ることとしております。 次に、この
承認
を受けた
市町村
または
農業協同組合
は、
土地所有者等
と
草地利用権
の
設定
に関する
協議
をすることとなりますが、これがととのわない場合等には、
都道府県知事
の
裁定
を申請することができることといたしております。この場合には、
都道府県知事
は、
土地所有者等
に
意見書
を
提出
する
機会
を与え、その
土地
の
利用
の状況、
利用計画等
を考慮しても、なお
草地利用権
の
設定
を望む
市町村
または
農業協同組合
が
共同利用
に供することのほうが
国土資源
の
利用
に関する
総合的見地
から必要かつ適当であると認めるときは、
草地利用権
を
設定
すべき旨の
裁定
をするものといたしております。 なお、
草地利用権
は
設定
の初めから通算して二十年をこえない
範囲
内で
更新
することができることといたしております。 また、
草地利用権
の
存続期間
が三年以上にわたるときは、その
土地
の
所有者等
は、
都道府県知事
に対し、
草地利用権
を有する者がその
土地等
を買い取るべき旨の
裁定
を申請することができることといたしており、
草地利用権
を有する者が正当な事由がなく引き続き二年以上
草地利用権
が
設定
されている
土地
をその
目的
に供しなかった場合には、
草地利用権
を
解除
することができることといたしているほか、
草地利用権
の
譲渡等
の
禁止
の
規定等
を設けることといたしております。 最後に、第八十三条の二におきまして、
農地等
の無
許可転用者
または
転用許可
の
条件
に違反している
者等
に対し、
農林大臣
または
都道府県知事
は工事の
停止命令等違反
を是正するための必要な
措置
をとるべきことを命ずることができることといたしております。 以上をもちまして、
農地法
の一部を
改正
する
法律案
についての
補足説明
を終わります。
草野一郎平
3
○
草野委員長
池田農政局長
。
池田俊也
4
○
池田政府委員
農業協同組合法
の一部を
改正
する
法律案
につきまして、その
提案理由
を補足して御説明申し上げます。 本
法律案
を
提出
いたしました
理由
につきましては、すでに
提案理由
において申し述べましたので、以下その
内容
の
概略
を御説明申し上げます。 第一に、
農協
による
農業経営
の
受託事業
につきましては、この
事業
の
性格
にかんがみ、
事業主体
を
出資制
の
農業協同組合
とするとともに、他の
事業
とあわせ行なわなければならないこととしております。なお、この
事業
の
実施
につきましては、
受託農地
の集団的な
利用
や、
高性能機械施設
の使用などにより、効率的な
経営
が実現されるように指導してまいりたいと考えております。 第二に、
農事組合法人制度
につきましては、
農業経営
を行なう
農事組合法人
につき、最近における諸
情勢
の
変化
に即応し、
農民
の
協同組織
という
基本的性格
を保持しつつ、他の
生産組合制度
との均衡をも考慮して、
組合員資格
及び
員外従事者
に関する
制限
を緩和することとしております。すなわち、
定款
で
定め
た場合には、加入の後に
農民
でなくなった
者等
については、その
農事組合法人
との
関係
においては
組合員
たる
資格
を有するものとし得ることとするとともに、これによって
組合員
たる
資格
を有するものとされる者の数は、
定款変更等特別議決
の場合の
議決要件
などを勘案して、総
組合員
の三分の一をこえてはならないこととしております。また、
員外従事者
の数につきまして、常時
従事者
の五分の一以内という
現行
の
制限
を二分の一以内に緩和することとしております。 第三に、
組合
による
土地
の
取得等
に関する
規定
につき、
組合
による
農業
の
目的
に供するための
土地
の
供給事業
につきましては、
農地
の
売り渡し
、
貸し付け
または交換の
事業
が行ない得るよう道を開くものであり、
農業経営規模
の
拡大
、
農地
の
集団化等
に資しようとするものでありますが、これにつきましては
農地法
の
規制
のもとに同
法改正案
により新たに道が開かれることとなっている
農地保有合理化促進事業
として
実施
することとしております。 次に、
組合
による
転用相当農地等
の
売り渡し
及び
区画形質
の
変更
の
事業
につきましては、
農業経営
の
受託
の
事業
と同様に、
事業主体
を
出資制
の
組合
とするとともに他の
事業
とあわせ行なわなければならないこととしております。この
事業
は、
組合員
が
経営
の
合理化等
に伴い
農地
を処分するような場合にこれを計画的に行なわせるとともに
組合員
の生活の安定にも資することを趣旨とするものであり、本
事業
の
実施
にあたっては
組合
の
性格
にかんがみ、
組合員
からの
受託
によることを
原則
とするとともに、
農地法
による
農地転用
の
規制
のもとに
土地
の
農業的利用
にも十分配慮して行なわれるよう指導してまいりたいと考えております。 第四に、
総代会
につきましては、大
規模農協
の
管理運営
の
円滑化
に資するため、従来行なうことのできなかった役員の
選挙
または
選任
及び
定款
の
変更
の決議をなし得ることとしております。また、解散及び合併につきましては、
総代会
において
議決
をし、さらにこれにつき
組合員
の直接
投票
において総
組合員
の半数以上が
投票
し、その
投票数
の三分の二以上の多数による賛成を得ることによっても、これを行ない得ることとしております。このような
措置
に伴い、
組合員
の意思を
総代会
に対しりよく反映させる必要があると考えられますので、
総代
の定数につき、
現行
の百人という
最低限度
を引き上げ、
原則
として総
組合員
の五分の一以上でなければならないこととしております。 第五に、
農業協同組合連合会
の
会員
の
議決権
及び
選挙権
につきましては、
会員
が
農業協同組合
である場合にはその正
組合員数
、
会員
が
連合会
である場合にはその直接または間接の
構成員
たる
農業協同組合
の正
組合員数
等に基づき、
定款
の
定め
るところにより付加して与え得ることとしております。なお、付加して与える
議決権
及び
選挙権
の数につきましては、一
会員
一票制の
原則
に対する例外である趣旨にかんがみ、政令で
一定
の
制限
を課することを予定しております。また、中央会につきましても、
都道府県
中央会にあっては
会員
の
議決権
及び
選挙権
の数、全国中央会にあっては代議員の
選挙
における
会員
の
選挙権
の数等につき、同趣旨の
措置
を講ずることとしております。 以上のほか、信用
事業
につきまして、
組合員
の
世帯員
、地方公共
団体
等の非
営利法人
または銀行その他の金融機関に対する資金の
貸し付け
に関する取り扱いを中小企業金融機関における取り扱いとの均衡を考慮して
改正
するとともに、
制度
金融の動向にかんがみ、その適正な取り扱いがはかられるように、信用
事業
を行なう
農業協同組合連合会
が間接
構成員
のために指定金融機関の業務代理をすることができるようにすることとしております。そのほか、
組合
経営
の健全化に資するため、損益計算書を総会の
議決
事項として加えるなどの
改正
をすることとしております。 以上をもちまして、この
法律案
の
提案理由
の
補足説明
といたします。
草野一郎平
5
○
草野委員長
以上で
補足説明
は終わりました。 ————◇—————
草野一郎平
6
○
草野委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松野幸泰君。
松野幸泰
7
○松野(幸)
委員
時間の
関係
上、単刀直入に要点だけ
農協
法に対しての質問を行ないます。
農協
による
農業経営
の
受託
について、今回の
改正
は
農業
就業構造の
変化
と
農業
の機械化を背景としてこれに
農協
が対応すべき
措置
とされているが、政府においてこれを積極的に推進する方針なのかどうか、特に
農業
基本法にいう自立
経営
農家の育成及び協業の助長等の構造政策の推進上、ここにいう
農業
受託
経営
がいかなる位置づけをされているか問題であると思うが、お尋ねいたします。
渡辺美智雄
8
○
渡辺
政府
委員
農協
の
農業経営
受託
を今後どういうふうに推し進めていくのか、こういうふうな御質問だと思いますが、まず現在、
農協
が公に
経営
の
受託
をすることができない、だからその道を開くということが一つであります。やり方といたしましては、なるべくその構造改善につながるということが体質でございますから、集団的な生産組織というようなものができるような形で進めていきたい。そして
規模
の
拡大
をはかっていく、こういうようなことができるようにしていきたい、こういうことであります。何と申しましても、
規模
の
拡大
をするためには
農地法
等の
関係
もいろいろございますので、あわせてそれらの緩和
措置
等もとっていくわけであります。
松野幸泰
9
○松野(幸)
委員
第二点として、農林省の方針によれば、
市町村
段階において
農地保有
合理化
法人
の
事業
を認める地域は、農振法に基づく
農業
振興地域内とし、これら地域の
市町村
または
農協
からの自発的な申し出により、
農地保有
合理化
法人
として指定することを考えているようであるが、指定にあたり
市町村
と
農協
が競合する場合はいかなる調整をされる方針ですか、お伺いをいたします。
渡辺美智雄
10
○
渡辺
政府
委員
農地保有
合理化
法人
は大体公的なものでありますから、県等が公社をこしらえる、あるいは
市町村
それ自体が特別会計等をこしらえてそれを進める、こういうふうなことが
原則
であります。しかしながら町村でやりにくいというようなところに対しましては、
農協
に対しても
合理化
事業
の
許可
指定というものを与えていくということで、一つの
市町村
で二つの
合理化
法人
がつくられるというようなことはさせないつもりであります。今後そういうことはこまかく指導していくつもりでございます。
松野幸泰
11
○松野(幸)
委員
次に、
農協
が本
事業
を行なうにあたっては、
組合員
からの
委託
を受けて行なう場合と、
農協
みずから行なう場合の二とおりが
規定
されているわけであるが、この二つの方法を
規定
した
理由
と
事業
実施
にあたっての指導方針について政府の考えをお伺いいたします。
池田俊也
12
○
池田政府委員
今回、
農協
が
土地
の
取得
ができるという
規定
を
農協
法の中に盛り込みたいと考えているわけでございますが、特にいま御質問の点は、
転用
目的
で
農協
が
農地
を
取得
いたしますような場合の御質問であると理解をしたわけでございますが、これにつきましては私どもはやはり
原則
的には
委託
によるのが最も
事業
の趣旨に合うのではなかろうか、
組合員
が
農業経営
の
合理化
というような観点で処分をするわけでございますので、
組合員
にその結果はそのまま還元するというのが、一番よろしかろうと思っているわけでございます。ただ
事業
の
実施
の場合におきましては、一部
農協
が直接
土地
を
取得
することもあり得ると思いますので、そういう
規定
は置いてございますが、
原則
はそのように考えている次第でございます。
松野幸泰
13
○松野(幸)
委員
次に、
農地法
の一部を
改正
する
法律案
について二点お伺いをいたします。
農地法
改正
による
農地
流動化の効果について政府はどのような見通しを持っておられるか、お伺いいたします。
渡辺美智雄
14
○
渡辺
政府
委員
もちろん、
農地法
改正
だけで
農地
の流動化が完全に進む、こういうふうには思っておりません。
農地法
の
改正
というものとあわせてさらに
雇用
機会
をつくってやるとか、あるいは農村等に工場をこしらえるとか、さらに離農者に対する年金
制度
をこしらえるとか、そういうようなものももちろんあわせて行なうわけであります。しかしながら、何といたしましてもその根本になるものは
農地
の流動化を進めることであって、この流動化を進める
目的
は、言うまでもございませんけれども、
農業
を専業にやる農家に
農地
が集まりやすくするということが一つのねらいであります。 それと同時に、また大都市の周辺等において当然市街化されるということが近い将来においてほとんど明らかである。こういうようなところの壊廃というようなものがスムーズにいくように、今回の
改正
案というものはつくられておるわけであります。今回の
改正
案が通り、しかも先ほど申し上げたような幾つかの
条件
が整えば、一方においては専業農家に
土地
がたくさん集まってくる、そして
規模
の
拡大
にそれが寄与することができる、あるいは協業が進められるということになりますし、他方においては工場敷地あるいは住宅敷地等が確保されやすくなる、こういうように考えております。
松野幸泰
15
○松野(幸)
委員
次に、
農地法
の将来についてお伺いいたします。
農地
法改正案
は、自作農主義の根幹を維持し、それを補完する意味から借地を組み入れての
農業経営
の
規模
拡大
をはかろうとしているが、これは過渡的な
措置
であって、
農地法
の将来については廃止を含めて何らかの改編を考慮しておられるか、お伺いいたします。
渡辺美智雄
16
○
渡辺
政府
委員
結論から申し上げますと、
農地法
を廃止するということは考えておりません。今回の
農地法
の
改正
は、先ほど申し上げましたとおり、
農地
の流動化を促進をするというのが大きなねらいであります。かりに
農地法
を廃止するというようなことになってまいりますと、それは
農地
が投機の対象にされ、そのために地価の上昇というようなこともあり得るし、
農地
が資産保有の対象にされる。そういうふうなことで農家でない、
農業
を営まない者が
農地
を持つというようなことになって、これはきわめてまずいことであります。したがって今回の
改正
案というものにつきましても、どこまでもこれは
原則
的に
農業
をやる者が
農地
を持つのだという意味においては自作農主義というものが貫かれておる、そう言っても差しつかえないだろう、こう思います。
松野幸泰
17
○松野(幸)
委員
次に、最近の
農業
をめぐる諸
情勢
は、変転著しいものがありまして、米の過剰問題、農産物の輸入自由化問題等をはじめとして、種々困難な問題をかかえ、まさに有史以来ともいうべき重要な事態に直面しております。このような
情勢
の中で、政府は総合農政の強力な展開を通じ、局面の打開をはかろうとしておられますので、その具体的
内容
を掘り下げて、お尋ねをいたします。 私はまずもって当面する緊急課題である米の過剰問題の解決に一応のめどをつけることが肝要で、その後でなければ、わが国
農業
の発展のための施策の展開は、むずかしいのではないかと確信いたしております。 このような考え方のもとに、この際は米の生産調整問題についてお尋ねをいたしたいと思います。もちろんこの問題につきましては、すでに予算
委員会
あるいは先般の当
委員会
における大臣の所信表明に対する各党
委員
の質疑等を通じ、その輪郭がかなり明確にされておりますが、何ぶんにもこの問題は、わが国
農業
が初めて経験する非常にむずかしい問題であり、末端農家の方々はもとより、実際に対策の指導推進の任にある
都道府県
、
市町村
の
関係
者、あるいは
農協
の方々等としても、なお多くの疑問や不安感を抱いている向きもあるようにうかがわれますので、私はこれらの方々の疑問なり不安を取り除くことによって、一そうの理解と協力を得られるようにするため、質問を行なうものであります。 なお、私の質問事項の中には、いままでの質疑と重複する点もあろうかと思われますが、その点は何ぶん御了承いただきたいと思います。 大臣は、予算
委員会
での質問に対して、百万トン減産分に対する奨励金は今年度限りで来年度以降は考えていない。今年の休耕、転作で協力が得られれば来年は減反の必要はないという考え方も明らかにされたと聞きますが、減反の中心が転作でなくてほとんどが休耕になることが予想されますが、これは来年度以降いつでも米作に戻れるという、米の過剰要因として残ることになりますが、政府は今年だけ休耕、転作させれば米の過剰を防げるというお見込みなのか、休耕手当が一年限りであれば、休耕手当をもらった
土地
も来年はまた米をつくってもよいのかどうか、まずこの点を明らかにしていただきたい。 次に、三月の二日の朝日新聞によりますと、福島県では、昨年の転換組が奨励金の格差に不満を持って、水田に逆戻りの動きがあり、こうした動きは福島県だけではなく、西日本の各地でも表面化していると報じていますが、これについて報告を聞いておられるかどうか。
農民
にしてみれば、奨励金が単年度では作付転換も一年限りだというのも無理はないと思われます。転作でさえもこうなのだから、ましてや休耕では、来年は必ず米をつくることになると予想されますが、総理も警告しておられますように、生産調整ができなければ食管
制度
の根幹があやうくなると思われます。政府は今年の結果を見てと言っておられますが、生産調整は今年だけの休耕、転作で解決のできる問題ではなく、いまこそ抜本的な減産対策を立てる必要があると思いますが、政府はこの点についてどのようなお考えをお持ちであるか、お尋ねいたします。
渡辺美智雄
18
○
渡辺
政府
委員
生産調整についてのお尋ねでありますが、最終的には抜本的な減産対策というものを立てなければいけないんじゃないか、こういうふうなお話だと思いますが、まことにそのとおりであると思います。米の生産調整の補助金、それが一年限りなのか、来年もやるのかということにつきましては、予算
委員会
で大臣がしばしば申しておりますように、本年度の
実施
状況を見てということであります。これはやはりことばそのとおりに御解釈をいただきたい、こう思うわけであります。もちろん休耕が
目的
でなくて、できる限り転作をしていただきたい、こういうようなことで指導をしておるんでありますが、何せ速急にこの問題が持ち上がってまいったために、いろいろな都合等もこれあり、あるいは
農業
団体
等の強い要求等もあって、休耕と転作には差をつけないというような方針がとられたわけであります。結果的には、確かに転作よりも休耕の希望が多いというのが事実であります。しかしながら、そうすればことしやめれば来年また全部米に戻ってくるんじゃないか、こういうふうな御
意見
が当然出てくるかと思うのであります。しかしながら、全部戻ってくるというようにはわれわれは考えていないのであって、その間において、先ほど言ったようにいろいろな
農地法
の基準緩和等によって大都市周辺やあるいは工場の適地というようなもので、それが優良
農地
で、集団的な
農地
を阻害しないという場合には、それらの壊廃というものをゆるやかにしていくという
措置
を続けてとっていくわけでありますから、そういう面での
農地
の壊廃というものがだんだんに蓄積され、ふえていくということは確実であります。それと同時に、やはり総合農政のもとで畜産をはじめその他の新しい
事業
に見合う
農業
への転換というものの助成策を並行して進めておりますから、これも徐々にそういうものに転換をされていくだろう、こう見ておるわけであります。したがいまして、これは明年度やるとか全然やらないとか、あるいはことしどういうふうにやるということを現在の段階でなかなか断言できないという状態であります。御了解をいただきたいと思います。
松野幸泰
19
○松野(幸)
委員
次にさきの予算説明の中で、
農業
の
生産性
向上、
農業
構造の改善等、
農業
の近代化をはかるための手段として通年施行を含む圃場整備を強力に推進すると言われましたが、その圃場整備と米の生産調整の
関係
についてお伺いしたいと思います。 農政局や県は、従来は夏季施行すると米がつくれなくなるので冬季に行なってきた圃場整備を、今年からは、こういう
制度
ができたから生産調整費をもらって夏季施行にし、一年間休耕してりっぱな水田をつくり直し、来年からはまた米をつくってよろしいという指導をしておられますが、これでは政府は農家に休耕手当を払い、その上米を増産するための補助金を出していることになりはしないか、また
農民
の中には休耕手当をもらっても、夏場は他の仕事が忙しいので、冬場にやりたいという地区があって、これを希望したところ、夏季施行が多くなると、予算が少ないから冬季のワクはなくなってしまうので、冬季施行のところは補助金の責任が持てないという指導をしておられるが、この辺の
関係
について政府の指導方針を承りたい。
渡辺美智雄
20
○
渡辺
政府
委員
冬季の
土地改良
をやるところに補助金が回らずに夏季施行のところが優先的に採用されたじゃないかというふうなお話でございますが、これは御承知のとおり予算には限りがあります。どうせ同じ予算を使うならば、ことしは米の減産というようなことで生産の調整をやろうというときでありますから、なるべく夏季施行をやってくださるならばそれだけ減産になるので、そのほうを優先的にとっていこうというためであると思います。 その次の問題でございますが、そういうふうな夏季施行等をやれば米の増産対策になるのでないか、おかしいじゃないかということでありますけれども、御承知のとおり、日本では千二百五十万トン程度のお米はどうしても必要であって、それが千四百万トンもとれるから過剰という問題が起きるわけであります。したがいまして一方においては、それが需給の見合うような方法をとりますが、他方においては、米作の地帯というようなところまで全部転作をするというわけではございません。もちろん米作地帯は米作でいくわけでありますから、そこではしかしながら、今後こういうふうな過剰状態で刺激的な生産者米価というものは望めないということになると、一方において労働賃金が上がる、それに農村の所得が伴わないというような問題が起きるものでありますので、それは農林省としては困る。だからやはり生産者米価の引き上げということはできないけれども、その反面
生産性
の向上をはかるというような意味で基盤整備、機械化
事業
というようなものを推進をさしていくということでありますから、大きな観点から見た場合において、決して間違った政策であるとは思いません。私は正しい行き方である、こう思うのであります。こまかい点につきましては、
農地
局長
からお答えをいたさせます。
松野幸泰
21
○松野(幸)
委員
次に、私が生産調整のための
農民
の集まりに出席してたびたび耳にしますのは、休耕には奨励金がもらえるから率先して協力する。その上
面積
が狭くなれば十分手入れが行き届いて減反分だけほかの水田で増産して取り戻す自信があるということばであります。事実過去十年間に全国の水田は一万四千ヘクタール減っている。それなのに米の収穫量は逆に百五十万トンふえている。これを比率にすると、水田の減りぐあいは〇・四%減、収穫量はなんと一二%増となります。この数字を見れば、減反政策が実効のないことはこれだけでも一目りょう然であります。政府はよほどしっかりした指導をしなければ、休耕、転作に金は出したが減産にならなかったという事態が起こりかねないと思います。この点についてどうお考えか、どのように指導される方針かお答えいただきたいと思います。
渡辺美智雄
22
○
渡辺
政府
委員
この生産調整の問題につきましては、生産農家の方が非常な不満を持ちながら、しかも強制的にそれをやらせるのだ、そういうふうなことになりますと、いま言ったような反発も中には起きようかと思いますけれども、しかしながら、政府としては、この生産調整というものは食管の根幹を堅持をして米作農家の生活の安定をはかっていくためにやむを得ず緊急
措置
としてやるのですということの趣旨をよくPRをいたしておりますから、それにのっとってやっていただけるものだろうと私は思うのであります。したがいまして、部落等においても必ずしも七%なら七%ずつどこまでも一律
平均
というのではなくして、中にはおれは二〇%休みたいというような人があれば、そういう人は優先的にひとつ休んでもらってけっこうでありますというような、なるべく集団的に休むたとえば夏季施行のようなものもいたしておりますので、私は、この点については、前回から見ると減反にはなったが増産になったというような結果にはならないだろう、かように見通しております。
松野幸泰
23
○松野(幸)
委員
次にお尋ねしたいのは、米の生産奨励金に対する課税対策についてであります。米の生産調整はまさに非常緊急とも言うべき
要請
であります。そして農家、地方公共
団体
、
農業
団体
等は問題の本質をよく理解して政府の方針に協力しようとしているのであります。したがいまして、われわれといたしましては、農家の理解、協力に報いるとともに、有史以来とも言うべき難問題の解決が円満に行なわれますように、この際奨励金については所得税、地方税を通ずる課税減免
措置
という特例を講じてしかるべきものと考えておりますが、政府としては、この点についてどのようなお考えを持ち、どのような方針で対処しよとしておられるかお尋ねをいたします。
渡辺美智雄
24
○
渡辺
政府
委員
休耕、転作と二つあるわけですが、転作の奨励金につきましては、これは大蔵省と話がつきまして、一時所得としてこれを取り扱うということになっておるわけであります。つまり一時所得ですから、三十万円の控除をして残ったものの二分の一課税ということになるので、実際問題としては転作をする人には所得税がかかるというケースはごくまれではなかろうか、かように考えます。
松野幸泰
25
○松野(幸)
委員
時間が参りましたので、これで質問を終わりたいと思いますが、最後に、今回の生産調整
措置
は、米の需給が正常な状態に回復するための非常緊急の
措置
でございましょうが、今後の農政の方向としてはなるべくこのような事態の招来は避けるべきことは言をまたないところであります。そのためには農産物の需給について明確な見通しを立て、必要に応じ現在の長期見通しを改定し、これに即応した地域
ごと
の生産分担を早急に示すべきであろうと思われます。この点について、昨年農振法の成立に際し当
委員会
は附帯決議をもってその実現方を政府に
要請
してまいりましたが、この点について政府としてどのような方針で対処しておられるかお尋ねして、私の質問を終わります。
倉石忠雄
26
○倉石国務大臣 ただいまのお話全くごもっともでございまして、政府もその方針に沿うてやってまいるつもりでございます。
草野一郎平
27
○
草野委員長
長谷部七郎
君。
長谷部七郎
28
○長谷部
委員
私は、ただいま議題になっております
農地法
の
改正
案を中心にいたしまして、
農林大臣
にお尋ねをいたしたい、かように存ずる次第であります。 まず、
農地法
改正
をめぐる背景について若干お尋ねをいたしたい、かように存じます。
現行
の
農地
制度
は、食管
制度
と並んで戦後における日本
農業
の発展をささえた二本の柱であるといわなければならないと思います。しかるに、食管
制度
は、昨年から御承知のように自主流通米
制度
が導入され、物価が上昇する中でひとり米価だけが据え置かれておる、また百五十万トンの減産のため休耕、転作、水田の買い上げなどによっていわゆる作付
制限
が行なわれておるわけであります。さらには大臣が、参議院の本
会議
におきまして、
現行
の食管法のもとでも買い上げ
制限
ができるという答弁がなされましたように、米の買い上げ
制限
すらもほのめかされるに至りましては、食管の根幹でありますところの全量買い上げ、二重
価格
制、国の直接管理がくずれまして、もはや食制管度は事実上骨抜きにされつつあると言ってもいいのではないか、こういうぐあいに思います。さらに、政府は毎々の国会で三たび審議未了になりました
農地法
の
改正
案をそのまま今国会に
提出
をされたのであります。この
農地
法改正案
につきましては、いままでわが党の先輩議員によりましてその問題点が明らかにされるに至っておりますが、私考えますに、きょうは一つ一つの条文には時間の
関係
上入れないと思いますけれども、一、二拾ってみましても、たとえば
農業生産法人
の
要件
を緩和するという第二条を見ましても、この
条件
緩和が行なわれますると、
法人
が多数の人から
土地
を集め労働者を雇って、富農的な資本主義的
経営
の道を開くことができるようになると思うのであります。また、
農業
外の資本が擬装
法人
をつくって
土地
の集団化を行なう可能性も私は出てくるのではないか、こういうぐあいに思います。また
農地等
の
権利
の移動の統制緩和の第三条を見ましても、
所有制限
の
条件
がはずされる。しかも、
雇用
労力の
制限
も廃止をしろ、こういうぐあいになりましては、
権利取得者
が農作業に恒常的に従事する場合であれば、やはり富農的な
農業経営
が可能になってくる、こういう道を開く可能性が出てくると私は思います。また、
下限
面積
を五十アールにしたわけでありますが、これはいわゆる五反以下の零細
農民
を
農業
から追い出すという
性格
を露骨に示しておるものといわなければなりません。 このように、今日
提出
をされておりまする
改正
案を見ますると、一口に言ってこの
法律
が通ると、富農的な資本主義的権威ができるようになるということでございます。しかも、
農業
外の資本が直接農村に進出をする道を開く、こういうことになりまして、いわゆる
農地法
の精神である自作農主義から富農主義に転換をされることになるわけでございます。私は、この
農地法
改正
は、
農地
は
耕作
する者が
所有
するという
原則
をうたった
農地改革
の成果を否定するものではないか、こういうぐあいに考えるのでありますが、これに対する大臣の所見を承りたいと思うのであります。
倉石忠雄
29
○倉石国務大臣 いろいろお話がございましたが、私どもの考えと少し食い違っているところがあるんではないかと思うのであります。私どもはいまの
農業
、これの体質を改善強化して、他産業に比べてひけをとらない
農業
として育成していかなければならない、こういう考え方の基礎に立っておるわけであります。したがって、そういう意味で、たとえば
農業
としては、自分はこれでは成り立たないと思う方が——昔の状態であるならばこれはたいへんお困りの場合もあるでしょう。しかし、今日はみずからが他産業に転換することのほうが全体の農家の所得を増す上において利益だという考えに立たれれば、御自分の自由な意思でそういうことをやれるようにして、そして各個人の所得をふやしていくということが必要ではないかと思うのであります。しがたって、
農業
というものとそれから農村に住んでおる人々全体の私経済のことを考えてみましても、私どもはやはり今度私どもが考えて御提案申し上げておりますような方向で
経営規模
を広げて、農家の所得が他産業に比べてひけをとらないような所得水準の持たれるような
農業
に育成していくべきではないか、こういうことを考えているわけでありますから、零細な
農業者
を特に締め出してしまうとかそういうようなことを意識的に——
法律
の立案の過程においてもどこにも、そういう考えは持っておらないのでありますから、いま申しましたような
規模
の
農業
を中核にして、日本の
農業
を維持してまいりたい、こういうのがねらいであります。
長谷部七郎
30
○長谷部
委員
大臣は
農地
の流動化を促進してそうして
経営規模
の
拡大
をはかる、いわゆる大
規模
農家を育成するためにはどうしても今日の
農地法
の
改正
が必要である、こういうことを強調されておるわけでありますが、しかし、今日
農地
の流動化を阻害しておる要因は、私は
農地法
だけではないということ、このことを特に申し上げておきたい。私が指摘したいことは、特に
土地
の
価格
がべらぼうに高い、さらに
取得
の資金が今日の農家経済のもとではないということであります。さらに高い
土地
を買って
農業
をやってみても採算が合わない。こういうところにも大きな問題があると思うのであります。また何よりも大きな問題は、今日の
農業者
の経済が長い間の自民党政府の農政によって非常に行き詰まっておるということであります。特に昨年は物価上昇の中で生産者米価は据え置かれておる。さらに今日減反が行なわれておる。また無計画な外国食糧の輸入がどんどん行なわれまして、稲作をはじめ麦作、畜産、果樹、蔬菜といったいわゆる成長農産物と称するものが軒並み総なめになっておる。こういう角度からいたしまして、今日の農家の経済は大きく行き詰まっておる。しかも農村地帯は
農業
所得だけでは暮らせない。何とかして農外所得にたよらなければならない。しかし御承知のように、農村地帯では工場もなければまた公共
事業
等もないわけであります。したがって、勢い長期の季節的な出かせぎ労働という形で、農外収入を求めざるを得ないのが現状だろうと思うのであります。今日出かせぎ
農民
の数は百二十万ともいわれ百五十万ともいわれておる。年々増加する一方であります。しかし、この方々は一方に挙家離村を考えようとしないのであります。挙家離村は考えておらない。毎年出かせぎの繰り返しでございます。なぜ思い切った転職ができないか、私はここに問題があるのではないかと思うのであります。いま大臣が言われたように、今日の工業の発展に対応して
農業
にあっても能率の高い
農業経営
をつくり出して、
農業
でも他産業に劣らない生活を営める
農民
と
農業
を日本の国土に繁栄させ、安い豊富な農産物を可能な限り供給して国内の各産業部門が均衡のとれた発展を期待するのは私も同感であります。しかしなぜこれができないか。そうして現実にすべての
農民
が兼業農になろうとしておる。
農業者
が思い切った転職ができないのは、いわゆる工業労働者として出てまいりましても、賃金がきわめて安い、身分が不安定である、社会保障が何一つない、住宅もない、老後の保障もないということでこういった不安定な中ではどうしても挙家離村ということを決意するには至らないのであります。したがって今日の
農民
が喜んで工業労働者として納得ずくで転職できるようにするためにはどうしなければならないかということは、この
農地法
改正
以上に私は真剣に考えてもらわなければならない問題であろう、かように思うのであります。たとえて申し上げるならば、いまどこの中小企業へ参りましても、きわめて劣悪な労働
条件
であります。大企業へ行っても出かせぎ
農民
は臨時工でございます。しかも身分はいま言ったように不安定である。基本賃金は安く、それを埋め合わせるために長時間の残業をやってからだをすり減らしておるのが現状でございます。宿舎の設備も悪い。いわんや住宅、老後の保障、こういったものは何一つない。この問題を大臣は解決をしない限り、挙家離村というものは期待されない。したがって、
農地
の流動化も進まない、大
規模
経営
も実現が不可能である、こういうぐあいに私は考えるのでありますが、この際大臣の所見を承っておきたい。
倉石忠雄
31
○倉石国務大臣 総合農政の推進について私どもが申し上げていることと大体同じような方向を御指摘になったと思うのでありますが、私ども考えてみますのに、いまは
農業
の問題を考えたときに、
農業
が他産業に匹敵して劣らないようなりっぱな体質を備えた自立
農業
を育成いたしてまいりたい、これが一つ。しかしいまの日本の産業構造の中で見ますと、そう申しましてもやはりかなり長
期間
兼業農家というものが存在いたすわけであります。現在大体八〇%程度が兼業農家、そのうちのまた四分六くらいな
割合
で第二種兼業農家のほうが多いでありましょう。ところが私どもはまず
農業
の面から考えますときに、
農業
というものが他産業に比較して劣らない所得を得て、
農業
として立ち行くために、自立
経営
の農家を育成したい、こういうことの考え方のために
農地法
の
改正
等を考えておるわけでありますが、いまお話のありましたように、兼業の中でも出かせぎの人もありますし、また近くの産業に働かれる人も出てくるでありましょう。そこで政府がいっておりますのは、この数多い部分を占める兼業者の労働力を、地方に産業を分散させることによって効率的に成果をあげることがより必要ではないかという考え方、こういう考え方は、わが国ばかりではございませんで、よその国でもそういうことを考えている国もございます。私どもはしたがって、どういうふうにいたしましてもいまのように世界第一位に成長していかねばならない経済機構の中で、新しい作業場、しかも公害を伴わないようなものはなるべく地方の労働力がある地域に分散していくほうが効率的ではないかという考え方を持っております。実はきのうあたりも、農林省も参加しておりますが、商工
会議
所であるとか、それから経団連同友会の代表者たちが集まりまして、彼らのことばでいえば農工一体の方向をとるために政府の施策にどのような協力をすべきであるかというふうな、これはこれからも継続してやることでありますが、そういうことのために、いま私どもは昭和四十五年度予算の中にもそういうことに必要な予算を農林省以外にも組んでおります。たとえば労働省では、ある地域、地方にどういう産業が向いておるか、たとえば長野県を例にとりますと、長野県は非常に空気の乾燥したところでありますので、スイスのように精密機械工業には一番適地だといわれておりますので、昔盛んでありました製糸工場のあとにはどんどん精密機械工業が進出して、また地元資本でも行なわれております。これが家庭の主婦などの手工業にも効果がありますので、かなり山の中にも入ってきておりますが、そういうようなことについて、産業を地方に分散する計画を産業界で持ってくれますならば、今度はその計画に基づいて、たとえば石炭労務者に対してやりましたように、
一定
の訓練
期間
は政府が補助をして、そして訓練手当を出して、やがてそこの地域に来るであろうところの産業に間に合うような職業訓練をしようといったような総合計画を立てて、地方に産業が分散してまいって、その地方にある労働力をそこに吸収するという計画がよいではないか、私どもはそういうことを考えておりますので、いま申しましたわが国の農村にある大部分の兼業農家の労働力は、なるべくそういう在村のままで活用できるようにしたいものだ、そのためには在宅して通勤ができるようにまず
道路
をよくしなければならない。今度は違う
目的
もありますけれども、大型農道などを建設いたしてまいりました。これからやるべきことは、それの枝葉になる農道であります。政府の予算をごらんくださればわかりますように、昭和四十五年度予算にも、そういう地方道、農道、農免
道路
等に対する予算はかなり計上いたしてあるわけでありまして、そのようにいたしまして、いまのような進展
変化
してまいります社会
情勢
に応じて、われわれが
農業
を取り上げ、また農村を取り上げて考えてみましたときに、いま申しましたような方向でひとつ労働力をできるだけ地元で吸収するようにして、そして全体としては農家の所得をふやしていくことがいいではないか、こういうことを考えているわけであります。
長谷部七郎
32
○長谷部
委員
次に、私は
農地
の
転用
問題について大臣に承りたい。 御承知のとおり、政府は百五十万トンの米の減産を
実施
するために、百万トン分については、お話のありましたように休耕、転作でいく、残りの五十万トンについては水田の
転用
をはかりまして買い上げる、こういう方針をとっておるようであります。しかも
農地
の
転用許可
基準の緩和につきましては、農林省のほうでは暫定
措置
として二年間で、四十七年の三月一ぱい、ところが国会では大蔵大臣の、いや三年間に三十五万四千ヘクタールの水田を買い上げるのだ、こういった発言などもありまして、政府部内でも
意見
の不統一のようにわれわれは見受けておるわけであります。いずれにいたしましても、この
農地
の
転用許可
基準の大幅な緩和は
農地法
のたてまえを大きくくずすものである、こういうぐあいにいわざるを得ないと思うのであります。確かに法のたてまえからいたしまして、
転用許可
基準の扱いについては、農林省としてこれはできる仕事の一つでありまするけれども、このような大幅な緩和はやはり
農地法
の精神に触れてくる、こういうぐあいに私は考えます。したがって、考え方によっては法の精神を無視する、あるいは議会を軽視した
措置
といわれてもいいじゃないか、こういうぐあいに私は思います。 〔
委員長
退席、小沢(辰)
委員長
代理着席〕 しかもこのような大事な農用地の
許可
基準の緩和を一年や二年の米対策のためにやって、
農地法
の精神を踏みにじるということは、これは私は許されないことである、こういうぐあいに思います。 特に申し上げたいことは、この十一万八千町歩ないしは予想される三十五万四千ヘクタールの水田を
転用
するわけでありますが、こうなりますと、これは農家の
経営規模
の
拡大
には回らないのであります。いわゆる
農業
以外の
目的
にこれが使われて、大
規模
農業
の育成には何の役にも立たない、こういうことになろうと思うのであります。したがって、この
農地
の
転用
によって暗躍するのは
土地
ブローカーだけではないか。こういうぐあいに私は考えます。これについてまず大臣の見解を承っておきたい、かように思うのであります。
倉石忠雄
33
○倉石国務大臣 私どもは、
農地
の
転用
基準を今度緩和いたしましたけれども、これは
農地法
に少しも違反しておるものではないと思っております。また、
転用
基準の次官通達をごらんくだすったと思いますけれども、やはりあくまでも
農業
のために必要なる一種
農地
について十分にこれを確保することについては、少しもその方針は変わっておらないのであります。 そこで、今度の
転用
緩和ということは
規模
拡大
に障害になるのではないかというお話でございますけれども、私どもはいま農転を緩和いたしまして、先ほどここで申し上げましたような、地方に産業を分散すること等によって、
農地
を必要とする地域、私どもが
規模
を
拡大
してりっぱな
農業
として育成していこうとする
土地
には工場等は来ないわけでありますから、そういうことについては、もちろん私どもも
農業
の立場からしっかりした指導をやってまいるつもりでありますので、そういうことはないように、さらに私どもも、いまお話しのございましたことでもありますし、十分注意をいたして指導してまいるつもりであります。
長谷部七郎
34
○長谷部
委員
いま大臣の答弁を聞いていますと、私の質問の趣意とは全く違った答弁をされておるのです。もう少し質問の趣旨をつかんでいただいて、意のあるところをお示し願いたい、こう思うのです。 私の申し上げていることは、農用地の転換基準の緩和は
農地法
には違反してない、そのとおりですよ。それは法のたてまえから行政府がやれる仕事でありますから……。しかし今日、このような大幅な農用地の
許可
基準を緩和するということは、
農地
保護のたてまえをうたっておる
農地法
の精神に私は触れるのではないか、ここを申し上げておるのであります。 たとえば第一種
農地
、いわゆる優良な
農地
が非常に大幅に縮小されようとしておるわけです。さらに民間の資本でこれを買い上げる、こういうことですから、
土地
ブローカーがかなり暗躍をする可能性も強く含まれておる。それからやはり、わずか一年や二年の米の緊急対策ということでこのような大幅な基準緩和ということは、どうもわれわれは納得できないわけです。ですからこの点についての見解を承りたいと思いますと同時に、いま政府は
農地
の流動化を進めて
経営規模
の
拡大
をはかるということで一生懸命になっておる。そういう中で、この
転用
基準を緩和して
農業
以外の
目的
にこれを使っていくという道を開けば、政府のやっておることとは反対の結果になるのではないか、こういうことを私申し上げておるのです。この十一万八千町歩なりあるいは予想される三十五万町歩なりというものが
農業
目的
に使われていったときに初めて私は
経営規模
の
拡大
ができていくのじゃないか、こういうぐあいに考えるものであります。そういう意味からいって、この
転用
基準についての見解を承っておきたい、こういう趣旨でございますから、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
倉石忠雄
35
○倉石国務大臣
農地転用
を緩和いたしましても、先ほど申しましたように、
農業
地域としてわれわれが大事なところは集団的に広域の場所であり、しかも
土地改良
等をいたしまして五年を経ないような地域については、いまお話しのように、他に
転用
するといいましても、そういうところは排除いたしますから、私どもが
農業
を維持してまいるために必要な
措置
は、このたびの農転の緩和によっても依然として守っていくつもりでございますので、そういう点には私どもは不安を持っておりません。
長谷部七郎
36
○長谷部
委員
それじゃもう一つお尋ねしますが、今度の十一万八千ヘクタールの水田買い上げは、いわゆる昨年の六月から施行されておりまする新
都市計画法
の市街化調整
区域
、これは
原則
として農用地の転換は認めないわけでありますが、この市街化調整
区域
、さらには
農業
振興地域、こういうところにも及んでいくものではないか、こういうぐあいに思うわけでありますが、この点について承りたい。
倉石忠雄
37
○倉石国務大臣
市街化区域
の中に入っております
農地
は農転を必要としないことは御存じのとおりでありますが、市街化調整
区域
の中においていわゆる二種、三種、そういう地域の中で、いまお話しのありましたような希望のあります地域につきましては
情勢
に応じては
許可
をする、こういうことになると思います。
長谷部七郎
38
○長谷部
委員
農業
振興地域はどうなりますか。
中野和仁
39
○
中野政府委員
農業
振興地域の整備に関する
法律
によりますと、その中で農用地
区分
をいたします。農用地
区分
をいたしましたところは、その
区分
の
目的
に従って農用地に使うということになっておりますので、
原則
的には
農地転用
の
許可
はいたさないということになるわけでございます。
長谷部七郎
40
○長谷部
委員
そうしますと、今度の
農地転用
の考え方としては、第一には
市街化区域
、第二としてはいわゆる市街化調整
区域
の中でも
許可
ができる、
転用
ができる。
農業
振興整備地域については
許可
ができない、
農地転用
は許さない、こういうぐあいに解釈してよろしゅうございますか。
中野和仁
41
○
中野政府委員
先ほど大臣から御答弁ありましたように、
市街化区域
につきましては、今回線が引かれましたあとは
届け出
制でよろしいということになるわけでございます。調整地域につきましては、去年の十月に、調整地域の
性格
と申しますと、これは市街化を抑制する地域というのが
原則
になっておりますので、これについては特別の
農地転用
許可
基準を出しております。それにつきましては、その方針は
原則
として変えないつもりであります。ただ水田の
転用
基準の緩和に伴いまして、あの調整地域の中を甲種
農地
、乙種
農地
と分けてございますけれども、甲種
農地
につきましては、国道、県道の沿道においてガソリンスタンド等のサービス
事業
については認める、それ以外は
現行
どおりということにいたしております。そして調整地域の中でも甲種
農地
でない、優良な集団的な
農地
でないところでございますが、それにつきましては大臣から御答弁ありましたように、今度の水田
転用
基準の緩和が大体適用になる、こういうことになるわけでございます。
長谷部七郎
42
○長谷部
委員
次に大臣にお尋ねしますが、今度の予算
委員会
等でも問題になっておるようでありますけれども、米の生産調整に関連いたしまして、五十万トン分の十一万八千ヘクタールは、四十五年度一年間で買い上げをする、こういう方針がきまり、四十四年度予算では一億円の
土地
需要緊急調査費が予算化され、現在各省におきましてそれぞれ
土地
の需要を調査をしておる、こういう段階のように承っておるわけであります。いまの時期は三月も半ばを過ぎた時期でございまして、
農民
諸君としてはそろそろ苗しろ作業の計画に入る時期でございます。営農計画も目下真剣に考えられておる時期になっておるわけであります。したがってこの
転用
の計画なるものが、苗しろ期や営農期を前にして早期に決定され発表にならないと、ことし一年間の稲作
経営
なり営農に大きな支障を来たすことになるし、おくれました場合にはたいへんな混乱を呼び起こすことになるのではないか、こういうぐあいに考えられるわけであります。したがって昨日でしたか、新聞によりますると、政府は
転用
の目標なるものをきめたやにうかがうことができますが、あの新聞発表は政府の最終決定なのかどうか、その辺の経過をひとつ大臣から御説明をいただきたい、こう思うわけであります。
倉石忠雄
43
○倉石国務大臣 新聞の記事というのは私はまだ見ておりませんが、政府のほうでは何も出したことはありません。お話しの水田
転用
につきましては、いまお話しのありましたように一億円の調査費を各省に分配いたしまして、それの具体的な需要量等が近く明らかになると思いますけれども、それはこういうふうに発表して、それからどうするということではないと思うのでありまして、各省ではそれぞれの
関係
に調査をいたしまして、そしてその後話の進んでいるものもあるいはあるでしょうし、これからするものもあるでしょうが、
転用
面積
の目標をなるべく早く作成する、こういうことになっておりますので、近日中には各省のそういう一応の取りまとめは行なうことができると思います。そういうことであります。
長谷部七郎
44
○長谷部
委員
いろいろ新聞に出たことは、これは政府の関知しないことである、こういうぐあいに逃げられておられるようでありますが、しかし数字がこのように——申し上げますと、
転用
目標として宅地が六万ヘクタール、工場用地が二万一千ヘクタール、
道路
交通用地が一万三千ヘクタール、建物施設として二万四千ヘクタール、これを合計いたしますとちょうど十一万八千ヘクタールになるわけであります。こういうぐあいに明らかに具体的な数字まで出ておるわけでありますから、まさか憶測でこういう新聞記事にする、こういうことは考えられません。したがって、すでにこれは政府として
意見
が統一されたものではないか、こういうぐあいに私は判断しておったのでありまするけれども、その辺いかがなものですか、伺いたいと思います。
倉石忠雄
45
○倉石国務大臣 農林省も政府のうちですから、政府としてだれか発表するとすれば私にも連絡があるはずでありますけれども、一向そういう話は聞いておりませんし、もともと米の生産調整ということから出てきた話でありますので、
農林大臣
が知らない間にほかの政府機関が外部に何か出すということは、あり得べからざることであると思います。私は全然そういうことに関知しておりません。
長谷部七郎
46
○長谷部
委員
少なくとも、水田の
転用
の
許可
をするのは、これはもう御承知のとおり、主管大臣は
農林大臣
だと私は思うのです。その主管大臣が知らない間にこういう数字が天下に発表されるということは、私はまことにふしぎなことだと思います。どこが発表したか、ひとつその点を次回の
委員会
まで明らかにしていただきたい。
倉石忠雄
47
○倉石国務大臣 それ、発表したと書いてありますか、新聞に。政府が発表したと書いてありますか、私新聞を見ていないのでありますけれども。政府の当局者が発表するとすれば、私の了解がなくて発表するはずはないと思うのです。これは発表ではなくて、何か記事じゃないですか。その辺、実は私はまだその記事も読んでおりませんので。率直なところ、私の知らない数字というのは出るはずはない。農林省だけじゃなくて政府全体の——農林省だけで可能なことじゃございませんから、公共
団体
の先行
取得
などというのは、それぞれの役所がそれぞれございましょう。したがって、私の所管ではありませんけれども、農林省も深い
関係
を持っておりますので、政府がそういうものを発表するときに、私が知らないで発表されるというはずはありませんので、発表ではなくて記事じゃないんでしょうか、そういうふうに思いますけれども。
長谷部七郎
48
○長谷部
委員
これは昨日の日本経済新聞でございまして、政府の発表したもの、こういうぐあいに私どもは受けとめております。しかも、これについては解説まで載っておる。したがって、
農林大臣
が知らない間にどこかの省庁で発表したものだろうと私は判断するわけでありますが、そういうことが行なわれておるとするならば、私はまさに閣内の不統一だと思うのです。
農林大臣
全く無視されておると思うのです。ですから、真相をひとつ休憩後まで明らかにしていただきたい。これによって国民に対してかなり大きなショックを与えておる問題だけに、この問題はひとつ明確にしていただきたい、こう思うわけであります。
小沢辰男
49
○小沢(辰)
委員長
代理 長谷部君に申し上げますが、質問ですか、要望ですか、答弁のあれがありません。
長谷部七郎
50
○長谷部
委員
質問です。
倉石忠雄
51
○倉石国務大臣 それはちっとも差しつかえないことでありまして、私調べてみますが、まさか私の知らないものが政府の発表として出るはずはないと思いますが、真相を調べてみます。
長谷部七郎
52
○長谷部
委員
いまの問題は、後刻あらためて結論をいただきたい、こう思うわけでありますが、時間の
関係
もございますので、先に進ましていただきたいと思います。 ただいまも申し上げましたように、十一万八千ヘクタールを単年度で他
目的
に
転用
するということでありますが、これはかなりの資金の伴う問題でございます。今日、地方自治体
関係
だけを拾ってみましても、年間、四十五年度の場合は、約千三百億円の
土地
取得
の財源しかないのです。民間でこれを買い上げるわけでありますから、かなりの財源が必要と思われるわけであります。この財源の調達について、政府はどういうぐあいに考えておられるか、まずこの点を承りたいのです。
倉石忠雄
53
○倉石国務大臣 どういうように用地を買い上げたり何かするかということがきまりませんので、その金のことまで私どもいま何も聞いておりません。
長谷部七郎
54
○長谷部
委員
しかし、十一万八千町歩に見合う水田は民間需要で消化していく、こういうことを政府の方針として国民の前に明らかにしておるわけでありますから、当然この十一万八千町歩の買い上げの
実施
要綱なるものが準備されておるものと私は考えておるわけであります。その十一万八千町歩の水田
転用
の具体的な
実施
要綱を御
提出
をいただきたい、こう思うわけであります。
倉石忠雄
55
○倉石国務大臣 そういうことについて、いまどこの役所の
関係
でどれだけの用途をどういうふうにしようかということを鋭意検討しておる最中でありますので、そのことがまず先じゃないかと思うのです。したがって、その要綱とかなんとか、そういうものはまだ全然私ども聞いておりません。
長谷部七郎
56
○長谷部
委員
転用
の十一万八千町歩の
実施
要綱もなければ、資金の調達のめども全然考えておられない。だとすれば、これは全くもういいかげんな発表としか受けとめることができないわけであります。おそらくこのようなことを予算編成の最終段階で国民の前に明らかにしたわけでありますから、何らかの見通しと、それから具体的に対処するお考えがないままにこういう発表ができるはずもないと私は思うのであります。そういう意味でもしないとすれば、これはあまりにも軽率ではないか、こういうぐあいに考えられますけれども、この点について御見解を承りたいのです。
倉石忠雄
57
○倉石国務大臣 百五十万トンの生産調整はいたしたい、百万トンはいわゆる生産調整でやりたい、五十万トン分に見合う地域につきましては、これは
農地
の他用途への
転用
によっていたしたい、こういう方針をきめたことはしばしば申し上げておるとおりであります。そこで、百万トン分につきましては、もう御存じのように各自治体、
農業
団体
等鋭意いま努力していてくれる最中であります。十一万八千ヘクタールの五十万トン分については、補正予算でも一億円の調査費を各
関係
省に分配をいたしまして、それによってどのような計画を立てるべきかという調査をいまやっておる最中である、こういうことであります。
長谷部七郎
58
○長谷部
委員
そうしますと、この水田の買い上げは
農地法
の
改正
で行なうのですか、その辺はどうなりますか。
中野和仁
59
○
中野政府委員
農地転用
許可
基準を緩和いたしまして、
転用
が
円滑化
するように今度
措置
をしたわけでございます。
農地法
を
改正
して買い上げるという趣旨ではございません。
長谷部七郎
60
○長谷部
委員
そうすると今度の
農協
法の
改正
で、
農協
によって
転用
農地
の他用途への
売り渡し
等の仕事ができるようにきめておるんじゃないですか。
倉石忠雄
61
○倉石国務大臣 このことは、私ども百五十万トンの生産調整について
農業
団体
に協力を申し入れましたときに、現状の段階でこれは全面的にわれわれも協力いたしましょう、
農業
団体
の代表者がおいでになって申し入れがございましたときに、つけ加えて、これは前からそういう希望を
農業
団体
は申し入れておられたわけでありますが、この際、特に
農業
団体
が
農地
を
取得
し、そしてこれを
農業
のために活用することのできるようにしてもらいたい、ことに先ほど来お話のありましたように、大事な
農地
がスプロール化するようなことを防ぐ意味においても、
農協
が
土地
を
取得
することができることはいいことだ、こういう御要望もあり、私どもといたしましても、これは時宜に適した処置であると考えましたので、
農協
法の
改正
案の中に新しくそれを入れて御審議を願っておるわけでありますが、これはいますぐに
農協
が
農地
の買い出動に出られるかどうかというと、
法律
の
改正
はされておらないのでありますから、
法律
的にはただいますぐは無理だと思います。しかしこれはこの十一万八千ヘクタールに
関係
なく、私どもは将来の
農協
活動を考えまして、このようにすることが妥当であると考えましたので、法
改正
を御審議願っておるわけであります。
長谷部七郎
62
○長谷部
委員
何回も言うようでありますが、この十一万八千ヘクタールの
転用
については、先般の予算
委員会
等におきましても、総理は予算審議の
期間
中に方針をきめて明らかにする、こういうことを御答弁になっておるわけであります。したがってわれわれの感じでは、きょうあたり予算
委員会
の質疑も終結する段階にきておりますので、そろそろ政府の方針がきまってもいいのではないか、こういうぐあいに期待をしておりますが、この予算審議中にはきまるものと見てよろしゅうございますか。その辺の見通しを承りたいと思います。
倉石忠雄
63
○倉石国務大臣 佐藤総理大臣はまじめな方でありますので、ああいうことをおっしゃたのでありますから、こういうことについてできるだけ早く調査を完了して、政府の意思表示ができるようにという督促を政府部内でしておられることは私も承っておりますので、佐藤総理のお約束が実現するものと期待いたしております。
長谷部七郎
64
○長谷部
委員
私はなるべく早い
機会
にこの十一万八千ヘクタールの
転用
の計画と、それを裏づけるいわゆる金融
措置
ですね、資金
措置
、これを私どもの
委員会
に
農林大臣
から御提示をいただけるように、これを強く要望しておきたいと思います。なるべく早い
機会
にお願いをいたしたい、こう思います。 次にお尋ねしたいことは、今度の
農地法
の
改正
は、従来の
農地法
の
改正
と異なりまして、
農協
法の
改正
、それから間もなく
提出
されるであろうと思われる
農業者
年金基金
法案
、この三つの
法案
をセットにして出してきておるところに、今度の
農地
制度
をめぐる特徴が私はあろうと思うのであります。これを拝見いたしますと、
農地法
に基づいて
農地保有
合理化
法人
が県の段階、
市町村
の段階にそれぞれ設置をされる。またその
法人
は
農地
の買い取り、
売り渡し
等ができるわけであります。さらに
農協
法の
改正
に伴いまして、今度新しく
農業協同組合
も
農地
の売買ができる、こういう道が開かれようとしておる。さらにいま一つの
農業者
年金基金におきましても、年金給付の仕事と並行して
農地
の売買ができる、こういうぐあいに道が開かれようとしておるのであります。こうなりますと、今後
農地保有
合理化
法人
、
農協
、基金と、寄ってたかって
農地
が食いつぶされる、こういうことになるわけでございます。したがいまして、この
農地法
改正
の意図というものは、私は一段と露骨になった、強められた、こういうぐあいに考えておるものでございます。 そこで私お尋ねしたいことは、
農地保有
合理化
法人
は、
農業経営
の
規模
拡大
、
農地
の
集団化等
をはかるために、
農地
の買い入れあるいは
売り渡し
あるいは転貸ができるようになっておるようであります。しかもこの
法人
の業務費として、四十五年度の予算には三千二百万円の予算が
措置
されておる。この
法人
の
事業
内容
あるいは
事業
の対象地域、もっと申し上げるならば、どの程度の
農地
が流動化できるのか、
農地
流動化のためにいかなる効果を果たそうとしているのか、これらの諸点についてまず承りたいと思うのであります。 いま一つは、この
事業
量が年間計画として明らかになってくると思うのでありますが、それに対する金融
措置
、これもあわせてひとつお示しをいただきたい、こう思うわけであります。
中野和仁
65
○
中野政府委員
農地保有
合理化
法人
そのものを
農地法
で
規定
しているのではございませんことは、先生御承知のとおりでございますが、今回
農地法
を
改正
いたしまして、
農地保有合理化促進事業
をやるような
法人
につきまして、
土地
の買い入れ、そしてそれの
売り渡し
あるいは借り入れ、それの
貸し付け
ということができることといたしましたのは、ただいまもお話がございましたように、われわれといたしましては
農業経営規模
の
拡大
あるいは
農地
の
集団化等
、
農地保有
合理化
を促進するためには、やはりそういう公的な機関が農家の間に入りまして、
規模
拡大
の方向に向かって流動化を進めたいという趣旨でございます。そこで、われわれ考えておりますのは、
市町村
がやり、あるいは
農協
がやる。あるいはまた、いま御指摘のありました、予算でわれわれがお願いしております県の
農業
開発公社等の民法上の公益
法人
、こういうものについて、あるいは近く提案になります
農業者
年金基金、いろいろ
土地
の売買ということになってまいりますけれども、それぞれどういうふうに交通整理するかはあとで申し上げることにいたしますが、いずれも構造政策の一環としての
役割り
をになっているかと考えております。 そこで、まずわれわれとして考えておりますのは、いま申し上げました県の
農業
開発公社を一県一つつくりまして、その県内の
農地保有
の
合理化
を統一的に進めることが最も望ましいというふうに考えております。しかしながら、すでに発足しております第二次構造改善
事業
という
事業
の中でも、御承知のように、その村内での
経営
整備
事業
で、やはり、
農地
を売る者からほしい者に渡す
事業
をやるわけでございますが、それにつきましては、そういう村のこまかいことにつきましては、町村がやったほうがいい、また、
農協
がやったほうがいいという問題になってまいります。町村の段階になりますと、
市町村
と
農協
がおのおのかってにやるということになりますと、非常に問題となるわけでございます。 そこで、現在考えておりますのは、
農業
振興地域の整備に関する
法律
で
農業
振興地域がきまってまいります。そうしますと、この
法人
はその振興地域内で
事業
をやるということにいたしますけれども、その場合に振興地域の中で
農業
振興計画というのをつくりまして、その中で、
農地保有合理化促進事業
は
市町村
がやるか
農協
がやるかをきめることがよろしいんではないかというふうに考えております。ただ、振興地域は全国一律に一度にできません。その間、過渡的には振興地域がないところがございます。その場合には、
市町村
なり
農協
なり、どちらがそういう
事業
をやったらいいかということは
都道府県知事
に調整をさせたいというふうに考えております。 それからなお、つけ加えさせていただきますと、
農業者
年金の、
土地
の売り買いのほうは、離農者の
土地
を買って、それを
規模
拡大
のほうに持っていくというふうになっておりますので、これは交通整理がついておるというように思いますし、今後の運用にあたりましては、その辺十分気をつけまして、混乱のないようにいたしたいと考えております。
長谷部七郎
66
○長谷部
委員
そうしますと、
事業
の対象地域というのが大体、大まかにわかったような感じがいたしますが、大
規模
な
農地
の造成
事業
あるいは開発
事業
、こういうものは県の公社がやる、それから
市町村
で進めている構造改善地区につきましては
市町村
または
農協
がやる、こういう大まかな整理が行なわれておるようでありますけれども、離農者の
農地
を買い上げる、こういう場合も、基金でも買い上げる、
農協
でも買い上げる、
市町村
でも買い上げる、こういうようなことで競合する場合が出てくるのではないか、こういうぐあいに私は考えるわけでありますが、
農協
やあるいは
市町村
の場合は、離農者の
土地
については買うことができないのかどうか、そういう
規定
があるのかどうか、この点ひとつ承っておきたいと思うのです。
中野和仁
67
○
中野政府委員
農業者
年金基金法によりまして、基金が
土地
の売り買いを離農者とやりますけれども、それではほかの
市町村
や
農協
は買えないかというと、そうではございません。したがって、形式的な
制度
といたしましては、離農者が
農協
に買ってもらうか、あるいは町村に買ってもらうか、あるいは年金基金に買ってもらうか、それはその判断によるわけでございます。
長谷部七郎
68
○長谷部
委員
それから、先ほど申し上げました
合理化
法人
の
事業
実施
に伴う金融
措置
についてはどういうふうにお考えになっておりますか。
中野和仁
69
○
中野政府委員
原則
的に、
合理化
法人
は、離農者その他の
経営
を縮小する農家から
土地
を買いまして、それを
規模
拡大
をする農家に売り渡すわけでございますから、買い入れ資金、そして、売って代金を回収するまでのつなぎ資金が要るわけでございます。これにつきましては、系統金融その他の資金を活用してもらうというのを
原則
にしております。ただ、それでは、そのつなぎ資金の間に
相当
事務費等を要します。そこで、先ほど御指摘がありましたように、来年度の予算で三千二百万円——県の公社約三十公社を予定しておりますが、それに対する事務費として補助をいたしたいということを考えておるわけでございます。
長谷部七郎
70
○長谷部
委員
それから、この
合理化
法人
は、年間どれくらいの
事業
を全国的に考えられるのか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
中野和仁
71
○
中野政府委員
ただいま申し上げましたいわゆる民法
法人
の県公社につきましては、買い入れを約一千ヘクタール、借り入れを五百ヘクタール程度、初めてのことでございますのでまだ少ないわけでございますが、その程度を予定しております。
長谷部七郎
72
○長谷部
委員
市町村
は。
中野和仁
73
○
中野政府委員
第二次構造改善
事業
は、現在計画を作成中でございますので、その計画の中で
経営
整備
事業
をやる町村がどれだけあるかというのは、現在のところまだわかっておりません。
長谷部七郎
74
○長谷部
委員
次にお尋ねいたしたいのは、
農地
政策の長期の見通しについて承りたい、こういうぐあいに思います。 御案内のとおり、新全総では、昭和六十年まで、かなり農用地の拡張を考えておるようでございます。 〔小沢(辰)
委員長
代理退席、
委員長
着席〕 私がいつも考えておりますことは、政府の
農地
政策についてはどうも一貫したものがない、こういうぐあいに指摘せざるを得ないと思うのです。と申しますのは、戦後、つい四十三年度までは、食糧増産ということで補助金まで出して開田を奨励してきたのでございます。それが今日の米過剰を生んだ一つの大きな原因になっておることは御承知のとおりであります。ところが、多少米が過剰ぎみだ、余ったということで、今度は手のひらを返したように、百五十万トンの減産だ、十一万八千ヘクタールの
農地
の
転用
だ、こういった形で全くそのしわ寄せを
耕作
農民
に押しつけておるのであります。
農民
にしてみれば、この政府の無計画な
農地
政策によって大きな犠牲を受けておるといわざるを得ないと思うのであります。もし政府に
農地
政策の長期見通しがいまから五年前、六年前に立てられておったとするならば、今日のような米過剰という事態は避けることができたのではなかったか、こういうぐあいに私は思うのであります。いわば政治の失敗を
耕作
農民
に一方的に押しつけるやり方については、私どもはどうしても納得できないところでございます。しかも今日においても、一方においては十一万八千ヘクタールの
転用
を計画する、反面においては新しい
農地
の造成をやるなどという、同じ農林省の中でもちぐはぐな政策が平然と行なわれておるということについては、これは
農民
感情からいっても許されることではないじゃないか、私はこういうぐあいに考えるのでありますが、この点に対しまして大臣の見解を承りたい。
倉石忠雄
75
○倉石国務大臣 昭和三十六年が農基法制定でありますが、三十七年に農作物の長期見通しを出しております。あの中でも、だんだんと食糧の需給は緩和される傾向であると書いておりました。しかし三十八年をピークといたしまして、とにかく、一時たいへん気候不順等がありましたけれども、だんだんと技術が改良され、
土地改良
等が成功してまいりまして、増産の傾向になってまいったのは御存じのとおりであります。ところがそれと並行して昭和三十九年ごろから、一人当たりの米の消費量が逐次減退してきております。こういう傾向が今日になりましたのでありますが、私どもはいまの状況を見ますと、日本の
農業
を維持し、そして食糧の安定的供給をやってもらうためには、やはり食管
制度
の根幹は維持できるようにつとめることが必要である。そういう角度から考えてみますと、この際思い切って生産調整をしなければならない、こういうことであります。しかし、いろいろ議論をなさる方はありますけれども、現実に
農業
団体
、県知事、
市町村
長、
市町村
議
会議
長などが集まっておりますそれぞれの会では、いずれも今回の政府のとっておる態度はやむを得ざるものであり、これに全面的協力をするんだという方針を打ち出しておることは御承知のとおりであります。したがって、私どもはそういうことをやりますにつけても、米をつくっております農家に思い切ってこの施策に協力してもらい、さらに将来の明るい展望を持っていただくために、思い切って生産調整奨励金を三万五千円出すようなことにいたしました経過も御存じのとおりであります。したがって、いまお話のございました新全総で、昭和四十年の農用地
面積
六百万ヘクタールでありましたが、目標年次の昭和六十年には六百五十万から七百万ヘクタールとなって、基準年次に対比して五十ないし百万ヘクタールの増加となっておりますけれども、これは御存じのように
草地
面積
がふえているわけでございます。
草地
以外の農用地の
面積
は若干減少することに新全総でも書いておるわけでありまして、長期見通しによりましても、四十一年の六百万ヘクタールから五十二年には五百七十五万ヘクタールに減少すると見込んでおります一方、
草地
面積
は四十一年の十六万ヘクタールから五十二年には六十一万ヘクタールに増加すると見込んでおるわけでありまして、私どもは、やはり選択的
拡大
の方向をとって、わが国の
農業
をそういう方向に進めてまいりたいと思っているわけであります。
長谷部七郎
76
○長谷部
委員
ただいま大臣は食管
制度
を守るためには米の生産調整はやらなければならぬのだ、こういうお話でございます。ある面ではわれわれも米の過剰であるという事実については否定するものではありません。したがって、あくまでもこの生産調整は
農民
の自主的な判断によってきめられるものであろう、こういうぐあいに考えております。ただしかし、私はここで申し上げたいことは、今日米が余ったその政治責任を明らかにする必要があろうと思うのでございます。これは
農民
が悪いから米が余ったんじゃない、
農民
の責任ではないと私は思うのです。ただいま指摘もいたしましたように、無計画な
農地
造成対策、これはもっと早い
機会
に
農地
の長期見通しを立てて対処しておったならば、今日のような米過剰を招かなくとも済んだのではないかという考えも出ます。いま一つは、もっと早い
機会
に米以外の安定作物を、農林省の責任で、政府の責任で
農民
に保障しておったならば、
農民
諸君は自主的に米から他の作物への転換を行なっておったろうと思うのであります。しかし何ら農産物の
価格
保障対策というものがなかった。さらにいま一つは、無計画な外国食糧の輸入というものが今日の米過剰をつくり出したのではないか、こういうぐあいに私は考えるのであります。 こうやって考えてみますと、今日の米過剰を招いた最大の原因は自民党政府にあるといわざるを得ないのです。その責任をば少しも反省しないで、こと
ごと
く一方的に、
農民
にのみ、食管を守るから協力をせい、食管を守るために生産調整に協力をしなさいという押しつけのやり方は、
農民
諸君としては納得できないのではないか。もっと今日の米過剰は政府の前向きの施策によってこれを解決するのでなければならないのではないか、こういうぐあいに私は考える。生産調整はあくまでもこれは自主調整でありますから、法的根拠もなければ、押しつけることはできないと思うのです。ですからこの辺の大臣の見解を承りたい。 しかも今日通年施行を奨励しておる。通年施行をやるために、国の補助金では足りないで、県が上積みをしておる、
市町村
も上積みをしておる、それでも足りなくて、
農民
諸君から一俵六十円というぐあいに賦課金を取って、そうして今日の通年施行をやっておるという事実もあるのであります。こういった
農民
の負担の増大、こういったものについて一体政府はどういうぐあいに考えておるのか。これらの二点につきましても、この際大臣からはっきりしたお考えを承りたい、こう思うのであります。
倉石忠雄
77
○倉石国務大臣 いまのお話を聞いておりますと、何か政府が強制的にやらしておるようにも聞こえるお話でありますが、政府は何にも強制しておりません。御存じのとおりであります。世界の各国の中には、政府がすべて権力でいろいろやっている国もありますけれども、わが国はそういう国じゃありませんし、ことに自主調整につきましては、これはこういう
事情
であるからして何とかしようではないかという話を、
農業
団体
あるいは知事会等に集まっていただいて
協議
会をつくりまして、そこで議案が出ました。期せずして一致したのは、生産調整をやろうではないかということなんであります。でありますからして、そういう点においては全く下から盛り上がった空気を私どもは受けて、それをひとつ実行しやすいようにということでかじとりをいたしておるにすぎないのでありまして、通年施行などでも私どものところへたいへんいろいろな御希望を申し入れていただいておる地域があります。かたがたそういうこともまた御要望なさる地方では、生産調整にも役立つことであるし、これはひとつやろうではないか、こういうようなことで地方の御希望に応じてそれに応じてやっていることでありまして、いまの農林政策というのは全く地方の盛り上がりの上にお世話をいたしておる、こういうふうに考えておるわけであります。
長谷部七郎
78
○長谷部
委員
私は全く逆の考え方ですよ。大臣の話は全く詭弁ですよ。これはわれわれの見方からいうと、政府の生産調整
協議
会、県の生産調整
協議
会、
市町村
の生産調整
協議
会、こと
ごと
く自主調整に賛成の者ばかり集めまして今日までそのムードをつくってきた、これが私は真実だと思うのです。実際これを受ける
農民
は、政府の力によって賛成のムードがつくり出されておるがゆえに、実際の
耕作
農民
は反対だけれども、まあここで自分一人ばかり反対したってしようがないということで、やむにやまれずこれを受け入れている、これが私は真実の姿だと思うのです。しかも大臣は、強制じゃない、こう言っていますね。あくまでも自主調整だ、こう言っています。しかし現実あなたは参議院の本
会議
で、
現行
の食管法のもとでも米の買い上げ
制限
ができるんだぞ。この発言の意味するものは何ですか。この発言の意味するものは、もしあなた方が生産調整に協力しなかったならば、今度は買い上げ
制限
をしますよという一つの脅迫でありませんか。私は脅迫だと思うのです。この事実からいたしましても、今日の生産調整は、口では自主調整といいながら、事実上はおどかしをかけて強制をしておるということを私はいわざるを得ないと思うのであります。これに対して大臣の見解を承りたい。
倉石忠雄
79
○倉石国務大臣 参議院でたくさんの御注文がありまして、それで当日はたいへん込んでいるので、閣僚の答弁は簡明直截にやれという指示を受けておりましたので、簡明直截にただ
法律
解釈論を述べただけでありまして、そのことについていろいろ私の
意見
を聞かれますれば、それなりにお答えいたしたのでありますが、その後衆議院の予算
委員会
でも、あらゆる
機会
でただいま私どもは買い入れ
制限
などということは考えておりませんし、そういうことについて何も検討しておりませんということを何べんでも言っておるのであります。それでこの間も
農業
団体
の会長と私が同じ新聞で談話を交換いたしました。あれなどにも明白に私の所信を述べておって、日本じゅうの農家へばらまかれておりますので、脅迫どころの話ではない、みんなに徹底していると私は思っているのであります。
長谷部七郎
80
○長谷部
委員
ただいまの答弁については私まことに不満であります。しかし時間が来たそうです。三時半から質問を継続させていただくことにいたしまして、一応これで保留したいと思います。
草野一郎平
81
○
草野委員長
午後三時に再開することとし、これにて休憩いたします。 午後一時五分休憩 ————◇————— 午後三時十五分
開議
草野一郎平
82
○
草野委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 午前の
会議
に引き続き質疑を続行いたします。
長谷部七郎
君。
長谷部七郎
83
○長谷部
委員
午前中の質疑を続行したいと思いますが、まだ
農林大臣
が見えておらぬようでありますので、
農地
局長
を中心に若干お尋ねをいたしたいと思います。 午前中の質疑でもいろいろだだしたところでございますが、まだ要領を得ませんので、あらためてお尋ねをいたしたい、かように存じます。 それは、四十五年の二月十九日に農林事務次官名をもちまして、いわゆる水田の
転用許可
基準に関する通達が出されておるわけでありまして、この
内容
を見ておりますと、いろいろ政府の方針を受けて農林省事務当局が
相当
苦心をしたあとは見えるわけでありますが、とにかく今日の十一万八千ヘクタールに及ぶ水田を買い上げるという方針は、予算編成の最終段階におきまして、いかにして
農業
団体
の反当たり四万円という補償金を確保するかという窮余の一策として水田を買い上げる、こういう方針が生まれた、こういうことでございまして、これに事務当局がつじつまを合わせていくということでたいへん苦労されておられることと存ずるわけであります。 そこで私お尋ねしたいことは、この
転用
基準の緩和によりまして、いわゆる第一種
農地
といわれる優良
農地
が
相当
狭められるのではないか。このことは今後の
農地
の流動化をはじめ、
経営規模
の
拡大
に大きな支障になってくるのではないか。しかも
農地法
がうたっておりますように、
農地
を保護するというこの法のたてまえというものがくずれてまいりまして、事実上
農地
制度
そのものが骨抜きになっていくのではないかという心配があるわけでありますが、この点に関しまして、
農地
行政をあずかる
農地
局長
といたしましてどういうぐあいにお考えになっておるか、御見解を承りたいと思うわけであります。
中野和仁
84
○
中野政府委員
ただいまお話がございましたように、水田の
転用
につきましての
許可
基準を暫定的に緩和したわけでありますが、この件につきましては、午前中の
委員会
でも大臣から御答弁がございましたように、現在の第一種
農地
であります中で、集団的に存在するいわば優良な
農地
、それから
土地改良
事業
を
実施
中の
農地
、あるいは
実施
が済みましても完了後五年以内の水田、もちろんこれは五年たちましたあとも、最初に申し上げました集団優良
農地
であれば、それは引き続き第一種
農地
にするということでございます。従来と変えましたのは、従来は
農業生産
力の高い
農地
であれば、いかに狭くもそれは一種
農地
である、あるいは
土地改良
事業
あるいは開拓
事業
等、公共投資をやりましたところは、いかに市街地周辺でありましても、これは一種
農地
であるというような、非常にきびしいといいましょうか、そういう取り扱いをしておったわけでございますが、最近の
土地
需要の動向あるいは米の需給の緩和という問題から、今回、守るところは守る、それを非常にはっきりさせて、それ以外のところの
転用
を緩和するということにいたしたわけでございますので、われわれといたしましては、
農地法
のたてまえをこれでくずしているというふうには考えていないわけでございます。
長谷部七郎
85
○長谷部
委員
第一種
農地
の取り扱いについての考え方はわかりましたが、農用地の水田の
転用
にあたりまして、公共用地として
取得
される部分というものは非常に少ないんではないかと思うのです。現在の
道路
にいたしましても、鉄道にいたしましても、あるいは学校その他公共施設にいたしましても、地方自治体における
土地
取得
資金の財源から見ましてそう大きなものは期待できない。そうなりますると、勢い民間需要によってこれを消化していかなければならぬ、こういうことになるわけであります。この場合、懸念されますことは、いわゆる不動産業者、
土地
ブローカーが暗躍をいたしまして、
農地
を先行
取得
いたしていく、こういった事態が予想されるわけでありますが、こういうぐあいに不動産業者が出てまいりまして
農地
を蚕食する、こういったものを防止できる対策を持っているのかどうか、この点をまず伺いたい、こう思います。
中野和仁
86
○
中野政府委員
ただいま
転用
基準の緩和に関連しまして、不動産業者が暗躍するんではないかというお話でございますが、その点に関しましては、
改正
いたしました
許可
基準の緩和によりましても、もちろんそういう不動産業者の暗躍を認めるという方向で緩和したのではございません。本来、
農地転用
は、
農地
の実需者に対しまして
転用
を認めるということでございますから、不動産業者が宅地造成をいたしまして建物を建てるといった場合は、もちろん
許可
になる場合があるわけでございます。単にブローカーがやるということにつきましては、一切そういう
転用許可
は認めないということでございますので、この
機会
に不動産業者が暗躍するということはないと考えております。 それからなお、先ほど不動産業者の先行
取得
というお話がございましたけれども、今度
転用
基準を緩和いたしましても、先行的な
取得
を認めようと考えておりますのは、地方公共
団体
なり住宅公団なりの公的な機関が、
土地
を
取得
しまして宅地に造成する。しかし、その上に建てます建物はもう少しあとでもいいという意味での先行的な
取得
でございまして、単に民間
団体
の先行
取得
を認めるということは今回もいたしておりません。
長谷部七郎
87
○長谷部
委員
私が懸念いたしますことは、住宅宅地または工場用地の分譲を
目的
とする水田
転用
について、
事業主体
の
範囲
というものが
拡大
されておるんではないかと思われることです。したがって、この場合の
事業主体
は、では何と何をさしておられるのか、この際明らかにしていただきたい。 なお、地方公共
団体
あるいは日本住宅公団、あるいは各県にありまするところの住宅供給公社、地方公共
団体
が出資いたしておりまする公益
法人
、こういったものは、いままでの経緯をわれわれの経験から申しますると、ほとんど、
土地
を
取得
する場合は不動産業者の手を通じて買い求めておるのが大半の
実情
じゃないかと思うのであります。したがいまして、私が懸念しておるのはここなんです。地方公共
団体
なり住宅供給公社が
所有者
から直接買う場合には問題がないにいたしましても、大部分の
実情
を見ますと、いわゆる
土地
業者の手を通じて求めておる。こういう
実情
からいたしまして、なお一そうブローカーが暗躍する可能性が強くなってくるのではないか、こう心配をするわけであります。この点について承りたい。
中野和仁
88
○
中野政府委員
御質問の第一点の
事業主体
の
範囲
でございますが、いま先生お話しになりました地方公共
団体
あるいは住宅公団、地方住宅供給公社、そういうものが行ないます場合の住宅用地なり工場用地の分譲を
目的
とする水田
転用
といいますのは、その上に建物を建てなくても、宅地造成だけで認めるということにしておるわけでございます。今回その
範囲
を拡張いたしました。 その一つは、消費生活協同
組合
等の非
営利法人
が住宅用地を造成する場合。いま等と申し上げましたのは、
農協
法の
改正
ができますれば、
農協
もこの中に入ってきて、
農地転用
の
許可
を受けて宅地造成がやれるということになるわけでございます。 二番目は、県にあります開発公社等の公益
法人
が、工場立地調査法、これは通産省所管の
法律
でございますが、それによりまして工場適地団地を農林省と相談いたしまして、ここは工場適地だから工場を建ててよろしいというところがございます。全国で約五万ヘクタールほどそういう調査をしたところがございますが、そういう農林省と話のついたところの
区域
内で工場用地を造成する場合、これが二番目でございます。 三番目は、
土地
区画整理
事業
として住宅用地を造成する場合。この場合は、民間の方でありましても、どなたでも、
土地
区画整理法という
法律
に基づいて、建設大臣なり知事の認可を受けて
事業
をやるわけでございますから、これはよろしいということにしたわけでございます。 四番目は、市街化調整
区域
内におきまして、
都市計画法
で例外的に開発
許可
が受けられる場合がございますが、開発
許可
を例外的に受けて宅地造成
事業
を行なう場合。この場合は
農地転用
の、先ほど申し上げました宅地分譲を認めるということで、
転用許可
をするということにしたわけでございます。 それから二番目の、住宅公団等が不動産業者を使っておるということでございますが、これは、われわれ承知しております
範囲
内では、不動産業者に買収の事務を
委託
しておるわけでござ・います。したがいまして、
権利取得
は住宅公団なり何なりがしておるというふうにわれわれ承知しております。
長谷部七郎
89
○長谷部
委員
実情
は、これは
局長
よく承知しておらぬかもしれませんけれども、私どもいままで地方議会におりまして強調してまいりましたことは、県の住宅供給公社なり、あるいは公共
団体
が出資をしてつくっておりまする公益
法人
の場合、
農地
の
所有者
から直接
農地
を買い求めるようにということを強く要望いたしましたけれども、今日の各県の住宅供給公社の人的構成、能力等からいたしまして、直接一筆
ごと
にそれを調査する能力を持っておりません。したがいまして、大かた不動産業者の手を通じて購入をしておるというケースが非常に多いと思うのであります。したがって、そこにいろいろ、住宅供給公社といわゆる不動産業者とのくされ縁というものが出てまいりまして、不祥事件を生んでおる、こういった例がかなり私は出ておると思うのであります。したがいまして、できる限り私はいわゆる直接の
所有者
から地方機関が買い求める、こういうぐあいに指導をしていただきたい、いかなければならないのじゃないか、こういうぐあいに思っておりますが、この点、先ほどの答弁は必ずしも
実情
を踏まえての御答弁でないように承りまするので、いま一度御答弁をいただきたいと思います。
中野和仁
90
○
中野政府委員
お話しのように、私も実態として不動産業者を使っておるということは承知しております。この点につきましては、いまお話しのように、直接住宅を建てる住宅供給公社等が直接買収することが望ましい、よろしいということで、私どももそう思いますけれども、この点につきましては建設省あるいは自治省、そういう役所ともよく御相談をいたしまして、そういう方向に向けるように、むしろそういうほうの役所から御注意を願わなければならない筋合いのものではないかというふうに考えております。そのためにお話のありましたことを
機会
がありますれば各省にも申し上げたいと思っております。
長谷部七郎
91
○長谷部
委員
次にお尋ねしたいことは、先ほどもちょっと御答弁があったわけでありますが、新部市計画法のいわゆる
市街化区域
それから市街化調整
区域
。
市街化区域
につきましては、
農地転用
の場合は
届け出
によってそれが進んでいく。市街化調整
区域
は
原則
として
転用
を認めない、
許可
制である、こういうことになっておりますけれども、いまの十一万八千ヘクタールを買い取っていく場合には、必ずしも
市街化区域
にのみ需要があるとは限らぬと思うのであります。したがって、市街化調整
区域
もしくは今日の
農業
振興地域、これは
農地
の
転用
は禁じられておるわけでありますけれども、そこへも希望が出てくるのではないかというぐあいに予想されるわけであります。したがって、こういう場合も法のたてまえからいっても私は
転用許可
はできないものと思うのでありますが、市街化調整
区域
は五年間はできない。それから
農業
振興地域につきましては、
原則
として農用地の転換はやらない、こういうことになっておりますので、法の精神からいってもそこまで
範囲
が延びていくことがなければ、これにこしたことはありませんけれども、その辺の行政指導の考え方はどういうぐあいにお考えになっておるのか承りたいと思うのであります。
中野和仁
92
○
中野政府委員
都市計画法
によりまして、
市街化区域
と調整
区域
とせっかく分けるわけでございますから、この十一万八千ヘクタールの多くがそちらのほうに向かうことは非常に望ましいことだと考えます。現に
市街化区域
の中の
農地
面積
は、大体いまの推定では二十九万ヘクタール、そのうちで水田が十八万ヘクタールになるだろうといわれております。したがいまして、十一万八千ヘクタールはその内訳になるわけでございますが、いま御指摘のように、全部がここに集中するとはわれわれも考えません。そこで、市街化調整
区域
なり
農業
振興地域にも入り込む場合があり得るかと思います。その場合に、市街化調整
区域
でも
農地転用
許可
基準が緩和になったからどこでもいいというわけではないわけでございます。午前中申し上げましたように、市街化調整
区域
につきましての
転用許可
基準は、甲種
農地
と乙種
農地
に分けておりまして、甲種
農地
はいわば集団的な優良
農地
でございます。これは
原則
として
許可
しない。それから乙種
農地
のほうは一般の基準に従って
許可
をするということにしております。今度緩和をいたしましても、甲種
農地
に該当するところは、国道、県道に隣接しておる両側百メートルの
範囲
内での沿道サービス
事業
に限っております。したがいまして、
農地転用
の面から市街化調整地域の優良な集団
農地
が
転用
されるということはないと思います。なお、つけ加えますと、
都市計画法
での開発
許可
制度
というものがこれにかぶっておりまして、いわば調整地域には都市側から見ました開発
許可
制度
と
農業
側から見ました
農地転用
許可
基準を同時に調べなければ
許可
にならない。したがいまして、無秩序にこれによって開発が調整地域に及ぶというふうには考えておりません。それから
農業
振興地域につきましては、これは午前中に御答弁申し上げましたが、調整地域に振興地域がダブって指定される場合があります。それから
都市計画法
の
区域
以外に当然振興地域ができるわけであります。その両方につきまして、これは午前中に申し上げましたけれども、農用地
区分
をいたしまして、農用地として指定になる地域につきましては、他
目的
への
転用
は
原則
として認めないという方針にしておりますので、そういう面からも
土地
の計画的な
利用
を頭に置きながらの
転用
基準の緩和であるというふうに御了解願いたいと思います。
長谷部七郎
93
○長谷部
委員
次にお尋ねをいたします。 今度の
農地
法改正案
の中で生産
法人
の場合の
条件
が緩和をされる、こういうことになっておるようであります。御承知のとおり、今日では
土地
それから
農業
従事者
それから利益の配当、それぞれ
規制
をしておるわけでありますが、これを大幅に緩和をする、こういうことになります。そうなりますと、必ずしも
土地
を実際
耕作
しなくとも、
土地
を出資をしておればよろしい、こういう形のものがふえてくるのではないか。したがって、先ほど私が申し上げたように、その間隙を縫って擬装
法人
が進出してくる道を開くことになるのではないか、こういうぐあいに私考えるのであります。この点につきまして、それでいいのかどうか
農地
局長
の御見解を承りたい、こう思うわけであります。
中野和仁
94
○
中野政府委員
御指摘のように、
農業生産法人
の
要件
を今回緩和をいたしましたわけでございますが、その
理由
といたしますところは、最近の
農業技術
の
進歩
等から見まして、一つの
法人
の中で、そこに集まりました
構成員
全員が必ずその農作業に従事しなければならないというふうな事態にはなってきておりません。むしろ中心になりますオペレーター等が中心になって基幹的な作業をやりまして、そうしてその他の
構成員
は補助的な労働を提供するか、あるいは場合によっては必要な労働は提供しないという実態があるわけであります。ただ、
現行法
におきましても、
農業生産法人
は、
土地
を出すかあるいは労働を出すか、その両方で
法人
をつくるということになっております。資本だけを出すということは認めておりません。したがいまして、われわれとしましては、この生産
法人
は、いわゆる株式会社とか資本の集まりのようなところではなくて、むしろ人的結合を中心にしたものであるというふうに考えておるわけでございます。その点につきまして若干今回
要件
を緩和いたしましたけれども、やはり
法人
の中核をなします農家というものを頭に描きまして、この農家は少なくともその
法人
に
土地
を提供して、かつ、農作業にも常時従事する、そういう者がその
執行
機関の過半数を占めてなければならないという
原則
を貫いておりますので、これが先ほど申されましたような擬装
法人
というようなことで使われるということは万ないと思っております。 なお、こういう
法人
が
土地
を
取得
する場合には全部知事の
許可
になっておりますので、具体的に申請がありました場合に、知事がその辺は十分判断をしてやることになっておりますので、繰り返すようでございますけれども、擬装
法人
的なものがこれによりましてどんどん生まれるというふうには考えておりません。
長谷部七郎
95
○長谷部
委員
そういう心配はないというお答えのようでございますけれども、現にこの
農業生産法人
を擬装いたしまして、漁業資本が
農地
を買い集めて、そうして資本主義的な
農業経営
をやっておる場所がございます。ですから万々そういう危険がないなどというのは少し言い過ぎではないか。
現行法
のもとでも、擬装してそうしてやっておるものがおる。いわんや、こういうぐあいに生産
法人
の
要件
が緩和をされるということになると、その道が大きくなって、それに便乗してますます擬装
法人
が農村に進出をして、
農業
を食いものにする可能性が出てくるのじゃないか、こういうぐあいに思うのですけれども、実態をどのように把握されておられるのか、承りたい。
中野和仁
96
○
中野政府委員
ただいま漁業会社が擬装しておるというお話がございましたが、漁業会社が株式会社として生産をしておるということはあり得ないと思いますので、あるいはその周辺の農家と一緒に、ある漁業会社から職員を派遣して構成をしておるという場合があり得るかと思います。しかしあくまでわれわれといたしましては、生産
法人
というのは有限会社、あるいは
農事組合法人
、合資会社、合名会社に限っておりますし、そういう
法人
が
土地
を
取得
する場合には知事の
許可
で縛っていくということも先ほど申し上げたとおりでございますし、ましてこれが生産
法人
でなくなる場合には、最終的にはその生産
法人
の持っておりました
土地
は国が買収するという
制度
で、うしろだてもつくっておりますので、ただいまのような場合、直接私具体的には存じておりませんけれども、今後ともそういうことがないようには十分注意をしたいと考えております。
長谷部七郎
97
○長谷部
委員
そういった擬装
法人
が農村に進出をして、そうして
農民
と協力してたくさんのたんぼを買い集める、こういったケースはあるわけであります。
農地
局長
は、そういうことのないように注意いたします、こういうことを言っておられますけれども、それを制約できる条文がないでしょう、この
改正
案を見ますると。そういった擬装
法人
が農村に入ってくるすきを与えない、歯どめになる条文が何一つないのですよ。そこにわれわれが危険性を強調しておるのです。そういった答弁だけでは不十分だ。もしそういう危険を認められるとするならば、この条文の中に歯どめの項目を加えるべきではないか、こういうぐあいに思うのですが、これについてはいかがですか。
中野和仁
98
○
中野政府委員
ただいまちょっと私、説明を若干申し上げなかった面があるわけでございますが、漁業会社等がやります場合には、養豚とか養鶏ということであるいは
転用
の
許可
を受けてやっている場合があるかと思うのです。あるいは未墾地を開発しましてそういう農場をつくっている場合がございます。これはいまの生産
法人
とは必ずしも合致しないものでありますけれども、
農地法
上は差しつかえないわけでございます。 ただ、歯どめがないかというお話でございますが、先ほどちょっとお触れいたしましたように、それが非常な擬装でございまして、
現行法
によりましても今度の
改正
法によりましても生産
法人
としての
要件
を欠きます場合には、先ほど申し上げましたように、
農地法
の十五条の二で、最終的には国がその
土地
を買収するということになっておりますので、これによりまして十分歯どめができるのではないかというふうに考えております。
長谷部七郎
99
○長谷部
委員
次に、
農地等
の
権利移動
の、第三条について承りたいと思うのであります。 いままで
農地
所有
の上限があったわけでありますが、今度それがなくなった。こういうことになりますと、いわゆる力量のある者は幾らでも
土地
を集めることができるということになるのだと思うのでありますが、その点いかがでしょう。
中野和仁
100
○
中野政府委員
御指摘のように、今回上限
面積
並びに
雇用
労力
制限
を廃止しております。そのかわりに、少なくとも本人が
農業経営
を行ない、かつ、農作業に従事すると認められる限りにおいては
許可
をするということにしております。そうなりますと、個人の能力で、自分と、奥さんあるいはむすこさんがおりましても、家族労働力が数名ということになりますと、おのずから自分の
所有
したりあるいは借りたりする限界はあるかと思いますけれども、少なくとも能力ある限りは
経営規模
の
拡大
をやったほうが望ましいわけでございますので、今回のような
改正
案にしたわけでございます。
経営
をやらないのにどんどん
土地
を
取得
するということは当然認めないわけでございますので、御指摘のような事態にはならないというふうに思っております。
長谷部七郎
101
○長谷部
委員
そこで、
権利取得者
が農作業に常時従事する者であれば、
雇用労働力
には
制限
はないのであるからよろしい、こういう御答弁でありますけれども、常時農作業に従事しておるかいなか、これはどこで御判断されますか。
中野和仁
102
○
中野政府委員
農地
を
取得
する場合に、
所有権
の
取得
並びに
賃借権
の
取得
になってくるわけでございますが、今回の
改正
によりますれば、その村内の
土地
を村内の人が
取得
する場合には
農業委員会
の
許可
、それから村外からの
取得
については知事の
許可
ということになっております。そこで、
許可
申請がまいりましたときに、知事なり
農業委員会
がこの人は
農地
を
取得
した上で
経営
がやられるかどうかということを判断するわけでございます。その場合に、当然その人の能力あるいは機械装備その他を見まして、それだけの
面積
が要るかどうかの判断をいたすわけでございます。
長谷部七郎
103
○長谷部
委員
農業委員会
がこれを
許可
する、あるいは他行政
区域
の分については知事が
許可
をする、こういうことになっておりますけれども、今日の末端の
農業委員会
の
実情
からいたしまして、その的確なる判断、公正なる判断はなかなかもって容易でないではないか、こういうぐあいに思います。いろいろ
規定
がありますように、
土地
を、たとえば
小作地
の取り上げにいたしましても、いわゆる
小作地
の賃貸
契約
の
解除
にいたしましても、あるいは自作農維持資金等のあるいは
取得
資金等の申請等にいたしましても、きわめてずさんなやり方をやっておるのが今日の実態でございます。したがって、常時
農業
に従事しておるかおらないか、こういうようなことが現状の
農業委員会
の実態から申し上げますならば、私は的確な判断がなかなかできないのではないかという懸念を持っておるわけでありますが、その点はどうお考えになっておられますか。
中野和仁
104
○
中野政府委員
農業委員会
に対する御批判のように承ったわけでございますが、
農業委員会
制度
が発足しましてからでももう
相当
たっておりますし、
農業委員会
自体の活動ぶり——一部の
農業委員会
にあるいは御批判を受けるようなものがあるかと思いますけれども、大部分の
農業委員会
は
農地
行政の末端組織として、しかもこれは
選挙
制度
を中心にしてできました
委員会
でございますので、複雑な
農地
行政をやらせるためにはやはり
農業委員会
が最もいいというふうにわれわれ判断いたしておるわけでございますので、今後ともいま申されましたようなことができるだけないように、指導あるいは教育というものもあわせまして進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
長谷部七郎
105
○長谷部
委員
次に、
下限
を引き上げた問題でございますが、従来は三反歩以上を
規定
しておったわけでありますが、今度の
改正
案を見ますと、
取得
後五十アール以上あればよろしい、こういうぐあいに
下限
を引き上げる案になっているわけでございます。こうなりますと、一つには五反未満の
農民
というものは農政の対象にならなくなるのではないか。農政の対象から除外される。金融の面でもあるいは補助の面でもいろいろな面で農政上の恩恵を受けることができない、こういうことになろうかと思うわけであります。ところがこの五反未満のいわゆる零細な
規模
の農家というものは、われわれの地方におきましても三割以上を占めておる。これは考え方としては明らかに小農を切り捨てる思想から成り立っておるのじゃないか、こういうぐあいに思われます。しかもいま一つ考えられますことは、
取得
後五十アールでありますから、現在何にも持っておらなくとも、今回初めて五十アール以上買えば農家になるのであります。ですから、お金のあるものは、相手にもよりますけれども、多額の資本をつぎ込んで五十アール、七十アールというぐあいに
土地
を
取得
すれば農家としてみなされるわけでありますから、いわゆる資本力の強いものが
農業
に進出していく道が開けてくるのではないか、こういうぐあいに考えるのでありますが、これに対する御見解を承りたい。
中野和仁
106
○
中野政府委員
下限
面積
の
制限
を引き上げましたことについての御質問、二点あったと思います。 その一つは、今度引き上げることによって五反未満の農家を農政の対象外にしたのではないかというお尋ねでございますが、われわれが今度
取得
前三十アールから
取得
後五十アールに引き上げましたのは、かつて三十アールときめました際は、三十アール程度までの農家は大部分は第二種兼業農家で、
農業
よりもむしろ他産業にウエートを置いている農家でございます。その後いろいろな経済状況等の
変化
によりまして、現在ではもはや五十アール未満の農家の八割以上はもう第二種兼業になっておりまして、
農業
は片手間になっております。また将来のことを考えましても、
農業
をこれからやっていこうという場合に、二反あるいは三反ではなかなか
農業
だけではやっていけないという問題がございますので、新たに
農地
を
取得
する場合にはやはり
取得
後五反——いま三反持っておりますれば、あと二反は
取得
していただいて、その場合には
許可
をする。しかし一反の人がもう一反買い集めるということは、日本の限られた
農地
をなるべく効率的に使うためにはやはり遠慮していただいたほうがいいのではないかという気持ちでございます。現在五反以下の農家が
経営
しておりますその
経営
について、これを何ら農政の対象にしないということでは決してございません。 それから第二の、
取得
後に今度直したので新しい人が
農業
をやれるのではないか、これはそのとおりでございます。現在の
法律
では
取得
前に三十アール持っていなければならないということになっておりますが、この点は
農地法
の政令によりまして、
取得
後に三十アールになればその人は認めるということにいたしておりますので、実際の運用といたしましては、
取得
後三十アールから
取得
後五十アールに上げたということになるわけでございます。 なお
法律
のたてまえとしましても、やはり新しく
農業
をやりたいという場合に、五十アール以上であれば
許可
するわけでございまして、お訳しのように、
土地
を
取得
したから農家とみなされるということではありませんで、新しく
農業
をやりたい場合には、やはりその人は多少の資金力も要りましょうし、それから農機具の装備あるいはその人の能力を見ました上で、その人が
農業
をやれそうであれば
許可
をするということでございます。
長谷部七郎
107
○長谷部
委員
そうしますと、もっと具体的にお尋ねしますが、いままでは三反歩以上は農家としてみなされておりましたのでいろいろな金融面、たとえば
農業
近代化資金でもあるいは自創資金でもあるいは
農地
取得
資金でも、こういうものが一応借り受けできる対象であったわけです。
貸し付け
の対象として取り扱われておったわけであります。ところが今度
取得
後五十アール以上ですから、五十アール未満のものは第二種兼業農家として、これはもう
農業
が従で他産業が主だ、こういうことから農家として認めない、こういうことになりますと、必然的にそういう金融の対象外に置かれることになるのじゃないかと思いますが、この点具体的にひとつお示しを願いたいと思います。
中野和仁
108
○
中野政府委員
零細な農家に対します資金の問題でございますが、お話しのありました自作農維持資金は第二種兼業農家には貸さないということにしておりますけれども、その反別によりまして差別をつけるということは現在いたしておりません。これはこの資金の性質からいいまして、災害なりあるいは病気になったような場合の維持資金でございますので、
農業
にウエートを置いている農家には幾ら——幾らといいましても限度があるかと思いますが、小さくてもこれを貸さないということはございません。
長谷部七郎
109
○長谷部
委員
そうしますと、たとえばいま自作農維持資金の話がありました。
農地
取得
資金、
農業
近代化資金、こういうものはいままで私は三反歩以上あればこれは差別なく借り受けることができるものと理解をしておりました。しかし実際各県が
貸し付け
をする場合に零細な農家にはなるべく貸さないようにする、上層農家にのみ貸そうといういわゆる行政指導は行なわれましたけれども、法的にはそういった根拠がないのですから、零細であればあるほど資金がほしい、こういうことでわれわれは融資を願ってまいった経緯もございます。しかし今度五反歩以下になりますと、五反未満のものについてははっきりもう農家として認めない、こういうことになると今度は借り受けることができなくなるんじゃないかという懸念がしてならないわけですよ。差別をしないということを一応言っておりますけれども、これはやはり大きな問題でございますので、ひとつ
委員会
で明確な御答弁をきちんとお願いをいたしたい、こう思うのです。
中野和仁
110
○
中野政府委員
先ほどもるる申し上げましたように、五反以下は農家とは認めないということを
農地法
で今回きめているわけではございません。それに関連いたしまして、私先ほど自作農維持資金のことを申し上げましたが、
農地
取得
資金につきましては、従来からこの資金の効率性ということがございまして、
取得
後その村の、
平均
経営
面積
になるという場合に
原則
として貸し出すということにすでにいたしておるわけでございます。それから、なお繰り返すようでございますが、維持資金につきましては、
農業
に精進する見込みがあれば
規模
には
制限
をつけるというような
制度
にはいたしておりません。
長谷部七郎
111
○長谷部
委員
私五反ということにこだわるわけではありませんけれども、今度の
農業者
年金基金を見ましても五十アール以下はこれは別扱いになっておるんですね。今後
農協
法の
改正
でどうなるか私はわかりませんが、
農協
の
組合員
としての
資格
それから
農業委員会
の
選挙権
の問題もございましょう。ですからこの五反という線の引き方というものが今後の農政推進上一つの基準になってくるであろうことはもう間違いないと思うのであります。農家としては認めないということをいっておるんじゃないということを言っておりますけれども、この
農地
制度
における線の引き方というものが、私は今後重大な問題になってくるし、あらゆる分野に
関係
してまいりまするので、五反という基準を求めた根拠をひとつ伺いたいんです。
中野和仁
112
○
中野政府委員
その点について先ほど申し上げましたけれども、この
農地法
をつくりました昭和二十七年のころは第二種兼業農家の大部分は三反以下でございました。しかしその後の状況の
変化
からいたしまして、技術の
進歩
等もあり、それから外部経済の発展ということから、もはや現在の日本の農家構成の中で五反未満の農家は
農業
をやっておるよりもむしろ
農業
は片手間でございまして、
農業
外の仕事、通勤して工場に働くとかあるいは官公庁に勤めるとか、そういう形態に大部分なっておるわけでございます。したがいまして、今後の農政を考えた場合に、限られた
農地
をいわば片手間に
取得
をするというところに重点を置くよりも、やはり
農業
としてやっていく農家の方向になるべく
土地
が動くようにということになりますと、最低五反以上の
経営
のほうが望ましいという観点から今回
取得
後五反ということに引き上げたわけでございます。
長谷部七郎
113
○長谷部
委員
これはわれわれの地方にも山村がたくさんあるわけでございます。山村がたくさんありまして、そこの
経営規模
というものはきわめて小さいわけであります。したがって三反歩から五反歩に
下限
を引き上げるということになると、山村の大部分の農家というものは
農業
をやっていけなくなるのです。真綿で首を締められるように農村から追い出されるのではないか、こういうことできわめて心配をしておるわけであります。ですから、全国画一的にこの五反歩を
法律
にうたうということは私はいささか問題があるのではないか。あなたは第二種兼業だって
農業
はもはや従で他産業に働く兼業収入のほうが主であるからこういうぐあいにした、こう言っておりますけれども、これは日本全国平場地帯あるいは山村地帯あるいはその他の地域と分析をしてみました場合に、画一的に線を引くということは少しく問題があるのではないか、こういうぐあいに私は考えます。したがって、こういうものこそ私はその地域の
実情
というものを考えて政令やあるいは何かで線を引くなら引く、こういう形で
措置
すべきが適切ではないか、本法の中に五十アール以上などとうたうということは、私はいささか実態を無視した
改正
案ではないか、こういうぐあいに考えるのでありますが、この点について承りたい。
中野和仁
114
○
中野政府委員
先ほどから
原則
論ばかり申し上げておりましてあるいは誤解を招いたかと思いますけれども、現在の
法律
によりましても
原則
を五十アールに引き上げますと同時に——これは
現行法
にもございますが、「(
都道府県知事
が
農林大臣
の
承認
を受け、その
都道府県
の
区域
の一部についてこれらの
面積
の
範囲
内で別段の
面積
を
定め
、これを公示したときは、その
面積
)」によるということにいたしております。したがいまして、御指摘のような山村あるいは漁村ということでもともと零細な
経営
の地帯につきましては、知事が、五反の
範囲
内でございますから、そこは二反がいいなら二反ということは別にきめられる
制度
になっております。この点は
改正
をしておりませんので、そのとおりの運用をいたしたいというふうに思います。 それからなお耕種
農業
について五反でございますので、花卉栽培とかあるいは集約的な
経営
をやった場合には五反の
面積
が要らないで
農業経営
がやられる場合がございます。その場合には政令によりまして、集約
経営
をやる場合には五反以下でも
取得
ができるということもあわせてやりたい。それからまた現在もそういうふうにすでに運用をしているわけでございます。
長谷部七郎
115
○長谷部
委員
各県の知事の申請に基づいて
措置
をすることができるという道があるということを承りましたので、それはそれとして了解いたしますが、いずれにいたしましても、農林省からもらった資料を見ましても、今日全国農家戸数が五百二十四万戸、そのうち第二種兼業農家が二百五十四万戸、こういうぐあいにあるわけであります。約半数に近いものが第二種兼業農家であります。この半数に近いものが今後
農地法
の
下限
引き上げで、あなた方は差別扱いはしないとは言っておりますけれども、事実上融資の面でも補助の面でも、いろいろな取り扱いにおいて手が抜かれることが出てくるのではないかと思うのであります。こういうものがやがて
農地法
の対象にもならない、
農協
の
組合員
にもなれない、
農業者
年金にも入れない、
農業委員会
の
選挙権
もなくなる、こういうようなことになってまいりますならば、言うところの真綿で首を締められるように農村から追い出されることになるのではないか、こういうぐあいに考えます。したがって私は、そういうことのないように、ひとつ十分この第二種兼業農家、全農家の半数近い農家の生活の安定のために考えるべきである、こういうぐあいに思うのであります。差別はしない、こう言っておりますけれども、ではどういう扱いを考えておられるのか、ひとつ具体的に教えていただきたい。
中野和仁
116
○
中野政府委員
ただいまの問題は、先ほどからずいぶんお答えしているわけでございますが、
農地法
の取り扱いといたしましては、
取得
後五反になれば
許可
をするということでございます。それ以下の農家が三反なら三反、四反なら四反の間の
経営
を続ける場合に、
農地法
上その人がだめだとかどうとかいうような差別はしておりませんので、いま先生お尋ねの、一体どう扱うかと言われましても——その人が
取得
をする場合に、五反をこえているということだけが
農地法
にかかっているわけでございます。繰り返して言うようでございますが、その後の
経営
は続けていけるものでございます。
長谷部七郎
117
○長谷部
委員
それでは、これは
農地
局長
に聞くのも少しどうかと思うのでありますが、
農地法
上では五反歩に線を引いた、こういうことについてはわかりました。 そこで、これはほかの局にも関連がありますが、
制度
金融の場合あるいは各種の補助の場合、それから
農協
組合員
は一体どうなるのか、
農業委員会
の
選挙権
は一体どうなるのか、こういうことを総合的に今後——五反未満の第二種兼業農家、この扱いをどういうぐあいにしていくのかということを、もっと大きな立場から政務次官にお尋ねをいたしたい。
池田俊也
118
○
池田政府委員
農業
のいろいろな
制度
なり、あるいはいろいろな補助
事業
等におきまして、いろいろな基準があるわけでございますが、
農地法
につきましては、ただいまお話がございましたが、
農協
におきましては、これは
法律
上は各別の限定をしておらないのでございます。それぞれ
組合
の
定款
にまかしているわけでございまして、従来の例でございますと、大体は一反以上、こういうことでございます。 それから
農業委員会
は、御存じのとおりでございますが、
都府県
におきましては、
選挙
の
資格
といたしましては一反以上、こういうことになっておるわけでございます。 それから、これは今後御審議をいただくわけでございますが、
農業者
年金の場合におきましては、政令で
定め
る、こういう予定になっております。私どもは、やはりこれは、それぞれの
制度
なり、あるいは
事業
なりに応じまして、
目的
がそれぞれ異なる点がございますので、それぞれの
目的
に応じて適当な
規模
がきめられるべきものでありまして、一律に何がいい、こういうことは、ちょっと言えないのではなかろうかと思います。
長谷部七郎
119
○長谷部
委員
それでは具体的にもう一点だけお尋ねします。 いままでも三反歩程度の第二種兼業農家に対しては、われわれもいろいろ強く
要請
はしてまいりましたが、自作農資金、これは、いろいろ
取得
資金や災害資金や転落防止資金等に分かれておりますけれども、こういう自創資金の手当は、なかなかいただくことができなかった、非常に苦労があったのであります。今度
農地法
で五反に線が引かれる、こういうことになりますると、五反未満の者は自創資金の
貸し付け
の対象にならないのではないか、こういうぐあいに考えますが、この点はどうでしょう。
中野和仁
120
○
中野政府委員
その点につきましては、最初にお答えいたしましたように、自作農維持資金は、資金の
性格
が、病気になった場合、あるいは災害を受けた場合の資金でございますので、その後農家が
農業
にウエートを置いている限り、したがいまして第二種兼業農家でない限りは、五反でありましょうと、三反でありましょうと、資金は融通するということにいたしております。今後ともその方針は変えないつもりでございます。 ただ
農地
の
取得
資金になりますと、これは将来の
経営規模
拡大
に向かっての
農地
の
取得
でございますので、これも先ほど申し上げましたように、
取得
後その村の
平均
規模
に
原則
としてなるような人に重点を置いて貸すという方向で従来から進めているわけでございます。
長谷部七郎
121
○長谷部
委員
そうしますと、この二百五十四万のいわゆる第二種兼業農家は、
取得
資金は借り受けすることができない、こういうことになりますね、いまのお話では。
中野和仁
122
○
中野政府委員
取得
資金というお尋ねでありますれば、これは
農業
をやっていこうとする専業的な農家に、
規模
拡大
のために貸す金でございますので、
農業
にウエートを置かないで、むしろ工場につとめている、その他ほかにウエートを置いている農家の一反、二反の
土地
の
取得
にまで長期低利の金を貸すのには、資金の限界がございまして無理であるということから、従来とも、
取得
後その村の
平均
経営
面積
になるような農家に貸すということにいたしておるわけでございます。
草野一郎平
123
○
草野委員長
長谷部君に申し上げますが、大臣が見えましたので、大臣にお願いします。
長谷部七郎
124
○長谷部
委員
それでは大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 先ほど午前中の質問で、政府が十六日に十一万八千町歩の
転用
の具体的な
内容
について内定をした、こういう新聞の問題について私がお尋ねをしたわけでありますが、大臣は、これについては全然関知をしていない、こういう御答弁であったわけでありますが、私は、あらためて三月十七日付の日本経済新聞を確認してまいりました。ここには、はっきり政府が十六日に内定をした、こういうぐあいに報道しております。しかも十九日の衆議院予算
委員会
の総括質問の答弁で明らかにするのだ、こういう解説までついておるわけであります。内定でありまするから、当然閣僚の一人として
農林大臣
がこれに関知しておらないということはあり得ないと思うのであります。ひとつこの際大臣の御見解を承りたいと思います。
倉石忠雄
125
○倉石国務大臣 休憩中に調べさせてみました。三月十七日付日本経済新聞の朝刊の水田
転用
に関する記事でございます。これは政府の発表によるものではありませんで、この記事にもありますように、政府は何々、何々することを内定した、こういう取材記事でございまして、その取材の経路その他、たとえばどこから取材したとかなんとかいうことは、調べさせてみましたけれども、これは不明であります。内定したとか、ここにはいろいろ書いてありますが、このことは、私ども、このようには承知いたしておりません。
長谷部七郎
126
○長谷部
委員
新聞はあくまでも推測の記事であって、大臣には相談がない、したがって関知せざることである、こういうことでございまするから、これは憶測記事であるということですね。この点についてはあと回しにいたしますが、私、次にお尋ねしたいのは、そもそも十一万八千ヘクタールの
転用
は生産調整を
目的
とした
転用
でございます。したがって三月三十一日、もうわれわれの地方では苗しろ計画ができておるわけであります。四月に入るとたんぼの
耕作
に入るわけであります。したがいまして、速急にこれの
転用
計画のめどをつけて
実施
に入らないと作付をしてしまうわけであります。作付けをしてしまえば生産調整の
役割り
を果たすことができないのであります。したがって、少なくともこの水田
転用
の計画は作付前に目標をきめて、具体的にこれが
取得
の手続をしないと何の意味もない、こういうことになるものではなかろうかと思うのであります。いまの段階ですら知らぬ存ぜぬと、こういうことではあまりにも生産調整のための
転用
計画はずさんではないか、生産調整のためですから、いまの段階で休耕、転作と同様、
所有者
である
農民
にもうそろそろ内示して具体的な相談をしないと作付に間にあわないのではないか、こういうぐあいに考えますが、この点大臣の御見解を承りたいのであります。
倉石忠雄
127
○倉石国務大臣 お説のように、なるべく早く手当てをしなくちゃいかぬと思いますが、それぞれたとえば公共用地の
取得
であるとか、民間の工場を誘致するのであるとかいうような話については、その間にもどんどん進められるのではないかと思っておりますが、なるべく早くやって実効をあげるようにほかの省でも努力をしてもらいたい、こう思っておるわけであります。
長谷部七郎
128
○長谷部
委員
実際米の減産、生産調整はいろいろ
内閣
全体で取り組んでいることはそのとおりでしょうけれども、実際の中心となる省は私は農林省だと思うのであります。しかも
農林大臣
が当面の責任者だと思うのです。そういう意味から申し上げるならば、五十万トンの生産調整減産をやるためのものでありまするから、もっと農林省としては各省に対して早急に具体案を取りまとめてその
実施
に入るようにしなければならないのではないか、こういうぐあいに思うのであります。その点いまの答弁を聞いておりますると、どうも主管大臣としてこの問題についてあまり誠意が見受けられないような感じがしてならないわけでありますが、この点いかがなものでありましょう。
倉石忠雄
129
○倉石国務大臣 私の立場で一番希望していることはお説のとおりでありますが、各省大臣がせっかく御自分の受け持つ
範囲
で努力をしていてくださるわけでありますから、それを御信頼申し上げて、なるべく実効が早くあがるように期待いたしておるわけであります。
長谷部七郎
130
○長谷部
委員
この際、
農地
局長
にちょっとお尋ねしますが、この十一万八千町歩というものは、いままでの
農地
の
転用
あるいは壊廃の実績からしてなかなかそう簡単に
土地
の需要があるものではないのじゃないか、こういうぐあいに予測されるのでありますが、この際、昭和四十三年度における単年度の水田の壊廃
面積
がありましたならばひとつお知らせをいただきたい。
中野和仁
131
○
中野政府委員
水田の壊廃
面積
につきまして農林省の統計調査部で調査をいたしました四十三年の八月から四十四年の七月までにかけての一年間の水田
転用
の
面積
は、合計いたしまして二万八千六百ヘクタールでございます。
長谷部七郎
132
○長谷部
委員
ただいま承りますと、水田の
転用
面積
は二万八千六百ヘクタール、これに対して、もちろんことしの十一万八千ヘクタールの
転用
は民間資本とか、そういうものを動員して買い上げをやることになりまするので、去年との比較にはならないかもしれませんけれども、それにいたしましても、いままでの実績から見まするならば、この思いつきによる十一万八千ヘクタールの買い上げ計画というものは実現しそうにもないと私は思うのです。したがって、五十万トンの生産調整も大きくくずれてくるのではないか、こういうぐあいに予想されるわけでありますが、この際大臣は、だいじょうぶ五十万トンの生産調整の効果をあげ得るように水田の
転用
が進むとお考えになっておられるのかどうか、ひとつ承っておきたいのであります。
倉石忠雄
133
○倉石国務大臣 十一万八千ヘクタールというのは数字としてはそう少ない数字ではないと思います。けれどもこういう大事なときでありますし、各省がこれについて全面的に協力をしておるわけでありますから、私は必ずいけるものだと各省の努力を期待いたしておるわけであります。
長谷部七郎
134
○長谷部
委員
大臣は、各省大臣がそれぞれせっかく努力をしておるのであるからそれに期待をしておる。その気持ちはよくわかります。わかりますけれども、実際問題として、日本全体の立場からこれだけのばく大な
面積
について社会的需要があるかどうか、私はきわめて疑問にたえないものがあるのであります。いわんやこの膨大な
土地
を単年度で買い上げるということになりますると、これまたばく大な資金を伴ってまいります。そういう資金的な見通しなども考えますると、この思いつきの自民党の五十万トンの減産政策というものは、もうやる前から失敗をするのではないかという懸念が出てまいるのであります。 そこで私がお尋ねをいたしたいのは、もしこういった大量の水田の
転用
が結果的にできなかった、努力をしたけれどもできなかった、
農民
の協力を得ることができなかった、そういうことで米の買い上げ
制限
へと発展していくのではないかという心配を持つものであります。ここのところは非常に肝心なところでありまするから、
農林大臣
からはっきりとしたお考えをこの際承っておきたいのであります。
倉石忠雄
135
○倉石国務大臣 御承知のように、いまここで
農地
局長
が申し上げました年間大体二万五、六千ヘクタールと水田の
転用
の御報告を申し上げましたが、もう少し大きい
面積
が畑の
面積
でございます。大体六万ヘクタールくらいになるのではないかと思うのでありますが、とにかく
農地転用
がきびしいので工場誘致などをしたくてもそれができなくて困るという苦情がたくさん全国から私どものところへ来ております。私どもは
農業
という立場でいままでこれを緩和することをいたしませんでしたが、
農業
の
目的
を阻害せざることに意を用いつつ農転を緩和いたしました。それからまた、長谷部さんのおくにのほうではどうでありますか、いま
都市計画法
が施行されるにつきまして、私は、
農業者
の立場からいえば
市街化区域
に編入することをなるべく少なくしてくれという御要望があるだろうと思っておりましたら、今日は全国的に逆であります。なるべくおれの
土地
も
市街化区域
に編入してもらいたい、全く私どももいろいろ考えさせられるような要望が全国の農村から出てきている。しかもまだ線引きが行なわれておりませんけれども、概括して
市街化区域
に編入されるであろうと予定されておる地域のうち水田が十八万ヘクタール、いま各地の情報をそれぞれ出先からとってみますと、かなり他用途への
転用
はいろいろな意味で進展しております。そこへもってきて政府も非常な決意で今回の減産に乗り出したわけでありますので、私は必ずこれはいけるものだと思っておるわけでありますが、いまできなかったらどうするという、えらい先のことをお尋ねになりましたが、百万トンについては先ほど来申し上げておるように、いま農村の人々が全力をあげてやっていらっしゃる、それから五十万トン分については政府が総力をあげてやろうといたしておる最中に、できなかったときはどうするというふうなことを
農林大臣
が申し上げることは御遠慮いたすべきではないか。しかしまあせっかくのお尋ねでありますので、もし片方はできなかった、片方はできた、両方できなかった、いろいろあるでありましょう。そういうときにはなぜこういうふうになったのであろうかという経過を十分慎重に掘り下げて研究いたしまして、そのときにはやはり
農業
団体
だとか県知事さんだとか
市町村
長だとか、協力をしていただきましたような方々の御
意見
も十分伺いまして、腹をきめてこれから先に対処してまいりたい。元来われわれが生産調整をやっておりますのは、日本の
農業
をりっぱなものに仕上げたいというのが眼目で始めている仕事でありますので、そういう見地に立ってひとつじっくり考えてみたい、そのときにはひとつ長谷部さんなどの御
意見
ももちろん伺う、どなたの
意見
も伺って対処すべきではないか、私はこう思っておるわけであります。
長谷部七郎
136
○長谷部
委員
いろいろまだお尋ねしたいこともございます。
農地法
の条文などについてももっともっと
機会
を改めてお尋ねをいたしたい、こう思っています。さらに同時提案になっています
農協
法の一部
改正
案につきましては、きょうはほとんど触れることができませんでした。したがいまして、
機会
を改めて御質問することにいたしまして、一応
農林大臣
に対する御質問は以上で終わらせていただきたいと、こう思います。
草野一郎平
137
○
草野委員長
鶴岡洋君。
鶴岡洋
138
○鶴岡
委員
私は初めての質問でございます。したがって、質問
内容
がきわめて基本的な素朴な質問になるかと思います。また今回の
農地法
、
農協
法の
改正
については初めての審議ではなくて、前国会においてもいろいろな角度から論議されていると聞いております。したがって、またいままでの各
委員
からの質問と重複する点が多々あると思いますが、これらの点をお含みおきいただいて、
農林大臣
またその
関係
の方々のわかりやすい、明快な答弁を最初にお願いして、そうして私の質問に入りたいと思います。 まず第一点でございますが、今回の
農地法
の
改正
の中で、
農地
の
賃貸借
の
規制
緩和のところでございます。「十年以上の定期
賃貸借
又は
水田裏作
を
目的
とする
賃貸借
の
更新
拒絶をする場合には、
都道府県知事
の
許可
を要しないものとすることと。」こうありますが、こうなると地主が一方的に引き上げられる結果になるのではないか、そうして
耕作者
のほうの立場とすれば非常に不安定になるおそれがあるのじゃないか、このように思うわけですけれども、この点どうでしょう。
中野和仁
139
○
中野政府委員
御指摘のように、
農地等
の
賃貸借
の
解約
の
制限
につきまして今回緩和をしたわけでございますが、その考えました
理由
は、現在の
農地法
によります
賃貸借
の
規制
と申しますのは、
農地改革
の際に残りましたいわゆる残存
小作地
がございます。それの
耕作
権は当時から当然強化をしなければなりませんので、そういうことで今日まで至っているわけでございますが、
規模
拡大
のために、それでは
農地
を貸そうかというふうになってまいりますと、あまりに
耕作
権が強過ぎますと、地主のほうからすれば、一度貸しますと返してもらえないということになりますので、今回、ただいま御指摘のありましたようなあの
改正
案を考えたわけでございます。その際
農地
を借りましたあと、返す場合に、引き渡し前の六カ月以内に成立した
合意
による場合とか、あるいは十年以上貸す、十年したら返してくれという約束をしておる場合、それから水田の裏作だけ貸す場合、これにつきましても現在では知事の
許可
が要るわけでございますけれども、もはや
合意
の場合とかあるいは十年以上貸すということを初めから約束したという場合には、返せといえば小作人のほうが返すということでありませんと、先ほどから申し上げていますような、借地を通じての流動化というのはできませんので、今回は、地主と小作人、いわば借り手と貸し手のバランスを考えた上での
措置
だというふうに考えまして、御提案申し上げておるような
改正
案にしたわけでございます。
鶴岡洋
140
○鶴岡
委員
もう一つですけれども、その条文の先のほうですが、
農地
の
賃貸借
について、引き渡し前の六カ月以内に成立した
合意
により
解約
する場合、これも今度は
都道府県知事
の
許可
を要しない、こういうことになっておりますが、この
合意
が、ほんとうに
合意
したということはどのように確認するのかどうか、この辺の見解はいかがでしょうか。
中野和仁
141
○
中野政府委員
改正
案にも出ておりますように、六カ月前に書面で
合意
をするということにいたしております。現在でも、知事に
解約
の
許可
申請がございます大部分は連署してまいっております。その大部分は、地主がだましたというようなことはございません。大体小作人の地位も非常に高まっておりますので、両方の
合意
をもう一ぺんだれかがほんとうかうそか調べてみるというもう段階ではございませんので、今回知事の
許可
をはずしたわけでございます。
鶴岡洋
142
○鶴岡
委員
私が心配するのは、私のところにこういう問い合わせが二、三ありますので、この
機会
と思いましてお尋ねするわけですが、たとえば地主からの借財等があって、小作人は、
耕作
を続けたい、こういう人もいると思うのです。しかししかたがない、借金をしているからと、無言の圧力といいますか、そうして
合意
の形をとらされる場合も出てこないとも限らない、このように思うわけです。こういう問い合わせがありますので、この
機会
に、愚問とは思いますけれども、いかがでございましょうか。
中野和仁
143
○
中野政府委員
解約
の場合にあるいはお尋ねのようなことがあるかと思いますが、やはりその場合に、小作人は同意をしなければいいわけでございます。その場合に、どうしても地主が返せという場合は、貸したほうが一方的に知事に
許可
申請をいたします。そうしますと、知事は、一方申請でございますから、十分審査をいたすわけでございます。 われわれとしましては、小作人がそういう借金があるというような問題でいろいろなことがあるかと思いますけれども、やはり同意をしないほうがよろしいというふうに考えます。
鶴岡洋
144
○鶴岡
委員
次の質問ですが、ちょっとお尋ねしますが、
農業委員会
は
選挙
によって選出されるが、現在の
委員
となっている人の部落での立場といいますか、どういう出身か、傾向といいますか何かそのように参考になるものがありましたら、ちょっと教えていただきたいと思います。
池田俊也
145
○
池田政府委員
農業委員会
の構成といたしましては、
選挙
によります
委員
と、そうじゃない
農協
、共済
組合
等から選ばれる
委員
とあるわけでありますが、お尋ねは
選挙
の
委員
の問題だと思いますので、それにつきまして若干現状を御説明申し上げますと、どちらかと申し上げますと、やや専業的な農家のウエートが高いわけでございます。現在の構成で申し上げますと、大体七割くらいが専業農家、残りの三割が一種なり二種なりの兼業農家、こういう実態でございます。現在の農家の構成からいたしますと兼業農家が非常に多いわけでございますから。そういう点からいえば、農家らしい農家の人が大体
農業
委員
に選ばれている、こういう状況になるわけでございます。 それから、ついでに、階層別にどうなっているかということを若干御参考までに申し上げますが、
経営
面積
から見ますと、全農家に比較いたしますと、やや
面積
が大きい、こういうことでございます。
鶴岡洋
146
○鶴岡
委員
そこで
農地
または
採草放牧地
の
利用関係
の紛争についてですが、
当事者
の双方または一方から
和解
の
仲介
の申し立てがあったときには、
農業委員会
がこの調停、仲裁に入るようになるわけです。
農業委員会
というのは、どちらかといえば方針として
経営規模
拡大
政策推進の立場で紛争処理に当たると思うのです。日本の国は御存じのように非常に中小農家が多いわけです。この大部分の中小農家が不利になるような紛争の解決になるのではないか、このような可能性があるように思われますけれども、その点についてどうお考えになっておられるか。
中野和仁
147
○
中野政府委員
先ほど農政
局長
からお話しがございましたように、
農業委員会
をいま代表している階層は、若干
規模
の大きいほうの農家に片寄っている面がございますけれども、やはり五十アールから二ヘクタール程度の
経営
をやっておる農家が六割ぐらいを占めておりますから、そう中小
農民
のために不利になるような
仲介
はしないと思いますけれども、われわれ運用といたしましては、この
法律
にございますように、三人の
仲介委員
を選ぶつもりでございますが、その三人は、事件の性質によりましては、おのおのを代弁できる人を中立
委員
にいたしますかあるいは全員を中立
委員
にいたしますか、そういう指導を十分いたして、いまお話しございましたように、どちらか一方が不利になるというようなことはいたさないつもりで指導をいたしたいと考えております。
鶴岡洋
148
○鶴岡
委員
いずれにしても、部落代表的色彩が濃い
農業委員会
の権限が、この法
改正
でさらに
拡大
されるように思われるわけです。その
農業委員会
が、いま御答弁がちょっとありましたけれども、厳正中立で適切なる働きをするように、政府は具体的にどのような処置を講じていくか、これをもう一回お伺いしたいと思います。
中野和仁
149
○
中野政府委員
ただいま申し上げましたように、
委員
の人選等はそういうことでやりたいと考えておりますが、
改正
案が通過いたしました暁には、正式に
農業委員会
の
仲介制度
というのを始めてございますので、その辺の心がまえその他十分通達をもって指導をいたしたいと考えております。
鶴岡洋
150
○鶴岡
委員
農地法
改正
の大きな
目的
の一つに、午前中政務次官の答弁の中で、専業農家に
土地
を集中させるため、このような御答弁がありましたけれども、すなわち
農地
の流動化でございます。しかし、最近の相次ぐ
農地
の
価格
の高騰を見ると、公平なる流動化はちょっとむずかしいのではないか、このような危惧もするわけでございます。この点について、どういう対策をとっていかれるか、その点をお伺いしたいと思います。
倉石忠雄
151
○倉石国務大臣 お話のことでございますが、
農業
に専念いたそうとする
農民
などが
経営規模
を
拡大
して、
農地
が効率的に
利用
されるようにいたしますために、
農地
の流動化を促進いたすことを主としたねらいとして、今回
農地
法改正案
の御審議を願っているわけでありますが、今回の
農地
法改正案
におきましても、御承知のように、
耕作
をしておらない、つまり不
耕作
目的
の
農地
取得
を認めないという
農地法
の
原則
はもとより
変更
しておりませんので、この
改正
によりまして、
耕作
を行なわない単なる金持ちに
農地
が集中するということにはならないと思っております。また、政務次官がお答えいたしましたような趣旨で私どもは
経営規模
を広げるということなんで、これもやはり
耕作
をしておる
農民
を主として考えていることでございますので、その辺は御了承願えると思います。
鶴岡洋
152
○鶴岡
委員
その点はわかりました。 先ほどもお話しがございましたけれども、今回の
農地法
の
改正
で、これから新たに
農業
をやっていこうとし、またそういう意思を持ってさらに
農業
の
目的
に供するならばということになりますが、たとえ
農地
を全然保有してなくとも、五十アール以上であれば
取得
できるようになる、こういうことでございます。
取得
するときの、その際の
農業経営
をやる意思がありますということだけでこれはいいのかどうか、その辺の見解をお伺いしたいと思います。ばく然として基準はないように私思われますけれども、その点いかがでございましょうか。
中野和仁
153
○
中野政府委員
いまのお尋ねの点につきまして、先ほど長谷部先生からもお話ございましたが、これは知事なり
農業委員会
の
許可
になっております。その
許可
申請に、
農地
を買いたいんだということだけではもちろん
許可
になりません。その人の資金、それから機械装備の状況、それから労力
事情
、全部審査をいたしました上で、
農業経営
がやれるという見込みがつきました際に初めて
許可
をいたしますので、その
許可
の際に十分気をつけたいと考えております。
鶴岡洋
154
○鶴岡
委員
さらに、いま
農地
ゼロのものが五十アール以上の
取得
可能になった場合、大
規模
の、いわゆる企業的な
農業
の誕生があるのではないか。また、これも先ほどお話ありましたけれども、
農業者
以外の資本の進出の弊害が招かれるのではないか、このように考えられますが、この点についてもう一回お伺いしたいと思います。
中野和仁
155
○
中野政府委員
今回、
取得
後五十アールに
下限
面積
を引き上げましたのは、いまのお話しのように、いきなりそれによって大企業
経営
ができるということではありませんで、むしろ
農業
にウェートを置いてない第二種兼業農家が一反、二反の
土地
を
取得
してもらいたくない。したがいまして、農家らしくない農家の
取得
を遠慮していただくという程度の
下限
面積
でございまして、この五反にしたからといって、われわれとしまして、急に企業的な
農業
ができるということまでねらっているわけではございません。
鶴岡洋
156
○鶴岡
委員
農業
の意思があるから、ないからとか、いま御説明でよくわかりましたが、そのような大
規模
な企業的
農業
というのは機械化また近代化、それを装備して始めると思うのです。そうすると、当然、全部が全部ということはないでしょうが、現在の小
規模
な
農業
よりも
生産性
は高くなり、またコストも安くなり、これは私としてもたいへん喜ばしいことではないかと思います。しかし反面、そこには今度は収益の面で、この企業的
農業
と小
規模
農業
との間に格差が生じてくるんではないか、このように思われるわけです。その点についてどういうふうに調整をしていくか、この点をお伺いしたいと思います。
中野和仁
157
○
中野政府委員
規模
の大きい農家と小さい農家と比べてみますと、やはり収益力に差があるというのはお話のとおりだと思います。いつまでも
規模
の小さいまま
農業経営
をやっていくということでは、今後の
農業
を営んでいく上におきまして非常な困難を伴うわけでございます。われわれとしましては、今後は中核的な専業農家を中心にし、そういう兼業的な農家はその周辺に集めまして、一つの
法人
をつくるなりあるいは
集団的生産組織
をつくるなり、場合によっては
農協
に
農業経営
の
委託
をやるなりというような面で、総合いたしまして
規模
拡大
の方向に進めていきたい。単に個人の農家の自立
経営
を進めるだけではございませんで、いま申し上げましたように、そういう農家も含めた組織もあわせて強力に推進したいというふうに考えておるわけでございます。
鶴岡洋
158
○鶴岡
委員
さらにそれに関連して、市場等における
価格
競争においても、大
規模
な企業的農家に牛耳られて、中小農家は、このままいけば壊滅的な打撃を受けるのではないか、このような心配もされるわけでございます。この点についてはいかがでしょうか。
中野和仁
159
○
中野政府委員
ただいま申し上げましたように、個々の零細な
経営
そのままばらばらに
経営
するということになりますれば、あるいは自由競争的な農作物についてはそういう場合があるかと思いますが、これにつきましては、すでに総合農政の推進でも申し上げておりますように、
農協
を中心にしました広域営農団地の構想もございますし、集団的な栽培それから流通というようなものも含めまして、そういう面からの推進をしていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
鶴岡洋
160
○鶴岡
委員
もう一つ同じような問題ですけれども、このように企業的
農業
の出現が中小農家の脱落に拍車をかけることになるのではないか、こういう心配、ましてや男子の労働力が少なくて、いわゆる
生産性
が落ちている農家、いまよくいわれる三ちゃん農家とか二ちゃん農家が多い今日の農村において混乱が起こらないか、この点についてはどうお考えでしょうか。
中野和仁
161
○
中野政府委員
御指摘のように、いわゆる三ちゃん
農業
というのが広範にあるわけでございますが、そういう
農業経営
は、えてして荒らしづくりをするとか
農業
から手を抜くというような事態が多いわけでございます。そこで、先ほどから繰り返して申しておりますように、稲作その他につきましても、そういう小さな
経営
はできるだけ
集団的生産組織
の中に織り込んでいくという方向でやっていかなければならないのではないか。それからもう一面からいいますと、他産業に対する、いまの例でいいますと、
経営
主と申しましょうか、世帯主が他産業に従事して、そのほうでの所得が安定してまいりますれば、その三ちゃんといわれる連中は
農業
から足を洗って、いわば離農していったほうがいいのではないかという面もございます。そういう点につきましても、いろいろ今回総合農政の推進では対策をとっておりますので、三ちゃん
農業
が
規模
の大きい農家ができるために圧迫を受けるというふうにはわれわれ考えていないわけでございます。
鶴岡洋
162
○鶴岡
委員
先刻も長谷部
委員
のほうから話が出ましたけれども、
下限
面積
五十アール以上という今回の法
改正
でございます。山村漁村等に見られる耕地
面積
の少ないところ、また経済的に
取得
困難なところは、先ほど
農地
局長
のほうから御答弁があったと思いますけれども、
農地法
の第三条三項の五号にその特例があるわけです。この特例に該当する地域が今回の法
改正
によってまだそのまま存続するわけですけれども、法のとおりうまく運用されるかどうか、この点についてお願いしたいと思います。
中野和仁
163
○
中野政府委員
現在でも、町村の数にしますと、漁村あるいは山村はかなり三反以下に下げておりますけれども、ましてこれが五反に上がるとなりますと、もう少し広い
範囲
の町村について五反以下で、たとえば三反とかあるいは四反とかいうことをきめる町村が出てくるというふうに考えておりますが、
法律
にありますように、その辺は知事の申請によりまして
農林大臣
が
承認
をするということになっておりますので、今後の運用になるかと思いますが、十分その辺は地方の実態に応ずるように考えていきたいと考えております。
鶴岡洋
164
○鶴岡
委員
そうすると三十アールが五十アールになったわけですから、それに従ってそれがエスカレートするような危険性はない、このように理解してよろしいでしょうか。
中野和仁
165
○
中野政府委員
原則
を三十アールから五十アールに上げたわけでございますから、その例外はいままでよりは若干ふえるというふうに考えております。きびしくやるというふうには考えておりません。
鶴岡洋
166
○鶴岡
委員
私が前にお聞きした点ですが、五十アール以上の
農地
を
取得
し
農業
を始めたが、たとえば一年なり二年なりして、どうもこれは採算に合わない、またその他の
理由
もあろうかと思いますけれども、いずれにしても
農業
をやめるような事態になった場合、これは政府のほうではどのように指導し処理をしていくのか。考えれば意図的に買い上げ、後に他
目的
に
利用
しよう、こういうおそれはないかということでございますが、こういう場合はどうされるか、この点についてお伺いしたいと思います。
中野和仁
167
○
中野政府委員
農業
をやるつもりで
許可
を受けましたあと、いまのお話によりますと、数年しまして
農業
をやめた、こういうことになるわけでございますが、その場合、その農家が
土地
をどうするかという問題になろうかと思います。それを他の農家に売ります場合には、当然これは知事なり
農業委員会
なりの
許可
を受けまして他の農家に売ることになります。それから貸そうとする場合がございますけれども、貸す場合に、これも成規の
賃貸借
の
許可
を受けなければなりませんが、そのまま在村するのであれば一ヘクタールまでは持てるわけでございます。不在地主になります場合は、最終的には政府が買収をするということになるわけでございます。
鶴岡洋
168
○鶴岡
委員
先ほど荒らしづくりの話がちょっと出ましたけれども、近年その荒らしづくりをやっているような兼業農家が、いわゆる
農業
収入に見切りをつけて
農業
外収入に完全に依存するようになっているところが非常に多く見られるわけです。これも何回も論議されてきましたけれども、その結果
農地
を専業農家に
貸し付け
て今度は地主となり、専業農家のほうが小作人となるようなことになるわけです。そうすると昔とは今度反対の形態のものができてくるわけです。この傾向というのは、はっきりいいとか悪いとかということは一がいに言い切れるものではないと思いますが、この現象をよい傾向か、それとも悪い傾向か、どのようにお考えでおられるか、お聞きしたいと思います。
中野和仁
169
○
中野政府委員
限られた
農地
はできるだけ効率的に使うという必要がございますから、
農業
を本気でやらない農家がいわば荒らしづくりをするということは望ましくないと思うわけでございます。そこで、そういう農家につきましても、現在の
農地法
でありますと、一度貸しますと、いずれまた年とったころに村へ帰ってきてやりたいという場合でも返してもらえないというような事態もございますし、不在地主になれば政府が買収するというようなことにもなりますので、今回その他の面を含めましていろいろそういう対策として考えているわけでございますが、その場合の考え方は、そういうような荒らしづくり的な
農地
ができるだけほんとうに
農業
をやるという農家の方向に集まっていく、その場合にはもちろん売っていただいてもよろしいわけでございますが、なかなか農家は
土地
を手放さないという傾向が非常に強いわけでございますから、そういう
農地
は
農業
をやる農家に貸しやすくするというところにねらいがあるわけでございますので、われわれとしましては、今回の
改正
を契機にしましてそういう方向に持っていきたいということを考えているわけでございます。
鶴岡洋
170
○鶴岡
委員
私はこれから総合農政の一環として工業の地方分散、こういうこともいわれておりますし、いま申した現象はどんどん進んでくると思うわけです。農家の中にはほんとうに離農を希望する者があるわけです。しかしその離農する者がその後の生活等を考えて、不安のために、先ほども社会党の長谷部
委員
のほうからありましたけれども、完全に離農しきれないものがあるわけです。また借金等があって離農できなくなっているというところもあるように聞いております。この点について離農一時金もそうですけれども、借金のたな上げ等の対策は考えておられるか、またほかに何か強力に推進する方策があるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
池田俊也
171
○
池田政府委員
今後離農者が逐次ふえてまいるように私ども考えているわけでございますが、これに対する対策といたしましては、いまおあげになりました離農給付金、これは四十五年度から
農業者
年金基金をつくりまして給付をする予定にいたしておりますが、それがもちろん給付されるわけでございます。それからそれ以外におきましても、たとえば労働省においてやっております転業対策ということで、いろいろな転業のための各種の訓練をいたすわけでございますが、同時に職業訓練等いたします場合には、そういう
期間
一定
の手当を出す、こういうようなこともいたすわけでございます。 なお、いま借金がある農家の場合はどうか、こういうお話がございましたが、まあそういう事例も全くないことはないと存じますが、現状におきましては、農家の借金は一般的には比較的少ないのでございます。たとえば
農協
の面から見ますと、
農協
で
平均
的な数字でございますが、一農家の借金というのは大体十五、六万の程度。したがいまして、それは災害等で若干例外的なこともあるかとは存じますが、特にそういう方々のために何か借金のたな上げ
措置
をこの際やるというようなことは、一般的には必要はないのではなかろうか。災害等の場合は若干別のケースがあるかと思いますが、一般的には必ずしもないように思います。
鶴岡洋
172
○鶴岡
委員
いま職業訓練とか技術指導とかいう話がございましたけれども、これらの離農者というのは、いままで農家をやってきて離農するから離農者ですけれども、長い間
農業経営
をしてきたために、生活環境が、非常に悪く言えばルーズです。そういうことから考えて、企業への勤務ということが非常にいろいろな面で弊害が起きてくるのではないか。雨が降ったときには畑には出られませんし、また天気がよければ朝早くから夜おそくと、こういう生話環境の中でいままで
農業
をやってきたわけです。こういう点について、離農者に対する職業訓練とかまた技術指導とか具体的にどのような対策を立てておられるか。できればなるべく詳しく御説明いただきたい、このように思うわけです。
倉石忠雄
173
○倉石国務大臣 これは大事なところでありまして、私どももそういうことが一番気を使い、心配いたすところでありますが、ただいま鶴岡さんもお話しのように、やはり兼業農家、それからまた離農してまいる傾向、これが逐次多くなるのは統計をごらんになってもおわかりのとおりであります。そこでそういう方々がいままでとかく冬季に出かせぎに行かれたりしておられたわけでありますが、私どもはやはり政府が申しておるように地方に産業を分散していくことが一つ大事なことではないか。そのために、四十五年度予算でもそういうことについての予算を労働省、通産省にも計上いたしておるわけでありますが、なかなかいま御指摘のようなことは口ではやすいことですけれども、現実にはよほどしっかりしないといけませんが、私どもいま政府及び財界の人たちと話しておりますのは、大体において産業別に地方に出てまいる計画というのはいろいろありますから、そういうものをある地域に分散するという計画がお立ちになるならば、まずその仕事はどういうような職種であるというようなことをわれわれのほうが情報をとりまして、それに合うような訓練を事前に行なうほうがいいのではないか、こういうことを一つ考えておるわけであります。これはもちろんあらゆる方面協力してやっていかなければなりませんが、そのようにいたして、非常に若い人は別でありますが、中高年齢層でもやり得る仕事はかなりございますので、そういうことについて職業訓練等いたします。その間はいま農政
局長
申し上げましたように、ちょうど石炭対策でもやりましたように、訓練中はそれだけの手当を出して、そして訓練をして、やがてそこへ来る計画になっておる産業に就職できるように、事前に計画性を持ってやってまいりたい、こういうようなことをいま考えて、政府部内でも相談いたしておる最中でございます。
鶴岡洋
174
○鶴岡
委員
次に、
土地
の
転用
と米の生産調整の問題ですが、生産調整は
生産物
の問題であり、どちらかといえばこれは短期的な問題でございます。一方、
土地
政策というのは、これは長期にわたる問題です。いわゆる基本的な問題になるわけであります。ところが、この次元の違う二つの問題、両者が同列に論じられているのが今回の政府の米の生産調整の
措置
ではないかと思うわけです。いま
農地
の
転用
が米の生産調整を進めるための手段として用いられているわけでございますが、これは本来の常識的な考え方、すなわち
農業
問題というものを突き詰めていけば、最終的には
土地
の問題になってくるわけです。この
土地
政策をきちっと計画の上に立ってこそ成り立つ問題ではないかと思うのであります。米は、言うなればここ何年かの問題だと思うわけです。
土地
問題は現在を含めて将来の問題、これはたいへんな重要な問題だと思うわけです。こういうところから考え合わしてみると、同列に考えるということは本末転倒した対策ではないか、また、これこそ場当たりの政策ではないか、こういうように思わざるを得なくなってくるわけでございますけれども、この点の見解というものはどうでございましょうか。
倉石忠雄
175
○倉石国務大臣 いまのお話のように、政府は、先ほど来ここでいろいろお話し合いがありましたように百五十万トンの生産調整をやりたい。百万トンはあのような形で、五十万トン分に見合うのは
農地
の他用途への
転用
であろう。同じように調整の
目的
ではありますけれども、ただいま御指摘のありましたように、手段についてはやや違っております。そういうことを考えてみますと、将来について私どもとしては、ことに農林省の立場としてはたいへん慎重に考えなければならない大きな問題であると存じております。しかし、今日までの米の生産の状況その他いろいろ勘案いたしてみますると、やはり先ほどお話のありましたように、新
都市計画法
ですでに都市
市街化区域
の中にも十八万ヘクタール余りの
農地
、水田があるというように、すでにそういう傾向は出てきておるわけでありますが、これもやはり私どもといたしましては、将来の
農業
全体を考えてみて、その辺のところは支障あるまいということであの
法案
に賛意を表しておるわけであります。そこで、今度の生産調整にからむ十一万八千ヘクタールの
農地
、水田を他用途に
転用
するという政策、これについてはお話のようにわれわれの立場としては重大な問題でありますが、私どもといたしましては、いまの米の生産力、その他一般の
農業生産
力を考えてみますと、この程度のことは一向に差しつかえない、こういう見地に立っておるわけであります。 鶴岡さんも御存じのように、わが国はとにかく高度の経済成長をいたしておりまして、やはりこの傾向でまいれば太平洋ベルト地帯のようなところにわが国の過半数の人口が集まってしまうであろう、かように言われておるのであります。そういうような傾向は、私は国全体としては好ましい傾向ではないと思いますし、そういう説が大ぜいの説であります。しかも、好むと好まざるとにかかわらず、最近は地方の方々でも地方に産業が分散されてこられる傾向を非常に歓迎していらっしゃいますので、しばしば申し上げておりますように、
規模
を
拡大
して自立
経営
のできる農家を中心として、そうして先ほど来お話のありましたような兼業農家等も含めて集団的な営農をやっていこうではないか、こういう考え方でありますからして、やはり地方に産業が分散してまいる傾向というものは、われわれが大事な
農地
を保持しつつ、
農業
を守りつつもそういう傾向をある程度助成、助長していって差しつかえないではないか。こういう見地に立ちまして五十万ヘクタール分を
農地転用
のほうに振り向けた、こういうことであります。
鶴岡洋
176
○鶴岡
委員
農地転用
の問題について、もう一点だけお聞きしたいのですが、やはり五十万トン減産という大きな問題解決のためにこれは推進されると思われます。もし結果的に目標を達成されなかった場合、先ほどもお話がございましたが、いま各地方公共
団体
、各
関係
官庁が一生懸命やっているのだから、できなかったらということは考えたくないというお話でございましたが、達成のために努力していることはよくわかります。しかし、最近の
実情
は変わったにしても、先ほど来からいろいろ話を聞いておりますと、この
転用
問題は非常に困難な点があるのではないか、このように思われるわけです。万が一、結果において達成できず一それにはいろいろな
理由
が出てくると思うのです。そのときに検討される、こういうお話もお聞きしました。一つの
理由
として外部からその原因が、今回次官通達で基準緩和がされましたけれども、その基準緩和のせいであるということにされて、もっと
転用
基準を緩和すべきである、こういう圧力が加えられてくるということも 一つは考えられるわけです。そのときに政府はその
転用許可
基準の緩和をさらに進めていかれるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
倉石忠雄
177
○倉石国務大臣
転用
のほうは先ほど長谷部さんにもお答え申し上げましたように、私はいけるものだ、こう確信をいたしておるわけであります。いままた万一というお話がございました。万一そういうことがあっても
転用
緩和をさらにやるか、こういうお話でございますけれども、
転用
緩和ということは御存じのように暫定的にいたしておるのでありまして、私どもといたしましては、ただいま
転用
緩和等、その他の手段を講じていろいろやっておるわけであります。そのことの結果を見なければ何とも申し上げかねるのでありますけれども、これ以上
農地
の
転用
をさらに緩和する意思は、現在は持っておりません。
鶴岡洋
178
○鶴岡
委員
昨年
選挙
前でございましたが、自民党の
田中
幹事長が、
農地法
を撤廃したらどうだ、こういう新聞記事がちょっと出ておりました。また財界や学者の中にも、
農地法
の
改正
ではなまぬるい、
農地法
をもうこの時点で撤廃したほうがよいという声もあるようですけれども、政府はこの点についてどう考えておられるか、一言お聞きしたいと思います。
倉石忠雄
179
○倉石国務大臣
田中
幹事長とは私ども予算編成をはじめあらゆる施策をいたしますのに十分打ち合わせをいたしておるわけでございますが、ただいまのお話の
農地法
の問題につきましては、世間に若干誤解があるようであります。
現行
の
農地法
は、制定後の
農業
及び
農業
を取り巻く諸
情勢
の
変化
に即応し得ない面が生じてきておるので、
農地法
の取り扱いについてはいろいろ議論がございますが、ただいまの段階におきましては、われわれは
農地法
を
改正
し、
農業経営
の
規模
拡大
をはかるため
農地
の流動化を促進することが最も妥当な
措置
であると考えて
農地
法改正案
の御審議を願っておる次第でありまして、これは
田中
幹事長の
関係
いたしておりました都市政策大綱などに若干
農地法
のことにいろいろ触れて報告を出しておりますけれども、これを全部読んでみますと、単に世間で伝えられておるような単純な廃止論ではないのでありまして、ただいまの政府及び自由民主党の
農地
に対する考え方につきましては、
田中
幹事長を含めてただいま御審議を願っておる
農地法
を政府が御審議を願っておりますこの精神と一致いたしておるわけでございます。
鶴岡洋
180
○鶴岡
委員
それでは次は、米の生産調整についてでございますが、県別に転換目標、休耕目標が出されております。現在その
実施
段階に入っておりますが、あの目標は調整目標ではなくて行政目標であるといわれておりますが、それはそのとおりでございますか。
倉石忠雄
181
○倉石国務大臣 ちょっと聞き取れなかったのですが、行政目標とおっしゃいましたか。 私のほうは行政と申しましても、先ほどもお答えいたしまたように、生産調整ということをしなければ現在の日本の
農業
を健全に育成していくのに支障を生ずるという考え方から、生産
団体
である
農業
団体
、その他一番
関係
の深い自治体の方々とも御相談を申し上げましたところが、自主的におきめいただきました方針で、したがってわれわれの申し上げておることに全く一致いたした見解でありますので、政府の方針に自主的に御協力を願っておる、こういうわけでありますから、これがみんなが気をそろえてやっていっていただく調整目標であります。
鶴岡洋
182
○鶴岡
委員
調整目標ということですが、それならば調整目標は一貫して末端の農家の段階までそうなんであるかどうか、これを聞きたいと思います。
倉石忠雄
183
○倉石国務大臣 農林省はなるほど出先機関も持っておりますが、お一人ずつの
農業生産
者に接触いたすということはなかなか困難でありますので、県知事を通じ
市町村
長さんのほうに御相談が出ておると思います。同時にまた、
農業
団体
もその協力
団体
として参加していただいておるわけでありますから、私どもの承るところによりますと、各末端の
農業者
にその趣旨が徹底されて協力を願っておる、こういうふうに理解しております。
鶴岡洋
184
○鶴岡
委員
そのように目標を立てて作業をすることはわかります。私は千葉県ですが、千葉県の匝瑳郡のある町では、県から来た目標を町から実行
組合
、そして各農家に目標を一応示すわけです。これは四、五日前にお聞きしたのですが、国の政策だからといってそれぞれの
耕作
面積
に比例して目標割り当てをしているところがあるように聞いたのでございます。これらに対しては、その地方は山間部なのでしかたがないということで、非常に
生産性
の低いところからやっていこうじゃないか、そのような状態であることを聞きました。この点について指導の徹底はどうされるのか、これをお聞きしたいと思います。
倉石忠雄
185
○倉石国務大臣 各地いろいろ
事情
が違うかもしれませんが、それぞれの
事情
に応じて御協力を願うようにやっていただくようにお願いしておるわけであります。
鶴岡洋
186
○鶴岡
委員
米の生産調整がいま
実施
段階ではありますが、順調に進んでおるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
倉石忠雄
187
○倉石国務大臣 いま一生懸命でやっていっていただいておるところでありますが、私ども各地の情報を聞いておりますと、大体順調に参っておるようであります。
鶴岡洋
188
○鶴岡
委員
その進行状況についてでありますが、新聞等を見ますと、いろいろの予想の数字等を含めて出ております。生産調整対策本部での一番新しいデータはどうなっているか、大体でけっこうですから教えていただきたいと思います。
亀長友義
189
○
亀長
政府
委員
私どものほうで各県に照会をいたしております。その結果東北、
北海道
ではほとんど一〇〇%もしくはそれ以上であるという報告が来ております。西のほうにつきましては、現在一〇〇%を目標に努力中というところがかなりありまして、現実的にこれらの数字が最終的にどの程度に落ちつくかについての見通しは、現段階ではまだ最末端の町村長と農家との話し合いが完全に済んでおりませんので、各県におきましては努力目標をかえて報告しておるというような
事情
もございますので、もう少し時期を待ちまして、最終の数字は確定すると思います。動きの方向としては先ほど大臣からお話がございましたように、大体順調に進んでおるものと考えております。
鶴岡洋
190
○鶴岡
委員
いま官房長の言われる東北地方などは、地域によっては目標をはるかにオーバーしておる、新聞等ではだいぶそのようなことが報ぜられておりますけれども、青森県の一部などでは、この間六倍という数字がちょっと出ておりましたけれども、そのように調整目標をはるかにオーバーしたところ、そういう地域に対しては、どのように考えていかれるか、どのように対処していかれるか、それをお聞きしたいと思います。
亀長友義
191
○
亀長
政府
委員
生産奨励金は、目標を超過した場合にもそれに応じて奨励金を出すという方針でおります。国全体としてもし予算に不足するようなことがあれば、その分は適正な財政
措置
によって支給する
措置
を講ずるというふうに大蔵省と話し合いも済んでおります。したがいまして、六倍あれば六倍に
相当
する奨励金を出すという
措置
をとりたいと考えております。
鶴岡洋
192
○鶴岡
委員
先日の農水
委員会
で官房長もそのように御答弁あったことは私は聞きました。いわゆる大蔵省と話し合いがついておる。どの程度話し合いがついておるのか。いま六倍なら六倍と言っておりますけれども、オーバーする分には間違いなく全部奨励金が支払われる、このように理解してよろしいでしょうか。
亀長友義
193
○
亀長
政府
委員
オーバーする分について全部金が出るというふうに御理解いただいてけっこうだと思います。ただ地域的に六倍でございましても、全国的に六倍の予算を要するかどうかは問題でございますが、いずれにいたしましても、超過をした場合には、それに応ずる予算
措置
を講ずるということには間違いございません。
鶴岡洋
194
○鶴岡
委員
やはりそれに関連してですが、一方
農地転用
の目標達成がたいへんではないかと私は思うわけですけれども、この際、五十万トン分の
農地転用
をある程度転換、休耕に切りかえ調整する考えはあるかどうか。いまお聞きすると、転換、休耕の場合には予備費等を組んでそれを支出する、こういうお話でしたのでお聞きしたいわけですけれども、転換、休耕に切りかえ調整はないかどうか、これをお聞きしたいと思います。
亀長友義
195
○
亀長
政府
委員
百万トンの目標は百万トンで、それを超過すれば百万トンの目標が超過をして達成したということでございます。五十万トンのほうは五十万トンのほうで目標達成に努力をしていくというふうに別個に考えております。
鶴岡洋
196
○鶴岡
委員
予想の話で、そっちもこっちも非常に恐縮ですが、それでは逆にまた、地域によっては大幅におくれているところがあるわけです。私の千葉県なんかは非常におくれている部類に入るわけですが、香取郡のある町では、各実行
組合
まで一応の目標割り当てがきたわけです。それ以降は実行
組合
長にまかせる、こうなっておるわけです。その中の一つの部落でございますが、実行
組合員
が二十二世帯、四十四年度の
耕作
面積
が二千百六十一アール、減反目標は百六十四アール、七千四百四十一キロ、こういう数字が出ております。ここでは実行
組合
長が二十二世帯に対して、きょうから数えて二週間ぐらい前ですけれども、転作、休耕の申し込みを受ける、こういうふうに各農家に申し入れたわけです。きのう現在でございますが、申し込みが、休耕が十アール、転作が二十アール、こういう状況です。この部落は
実情
を聞いてみれば、出かせぎの非常に少ないところだ、このようにも聞いております。また、このように少ない申し込みしかないというもう一つの
理由
としては、肥料を買ってしまった。なぜその肥料を買ってしまったか。これは
農協
のほうの
関係
になりますが、冬場に買うと五%安いので、少しでも安いほうがいいというような思惑もあって買ってしまった。だから転作、休耕はしたくない、こういう意向らしいのです。このように大幅におくれていて、とうてい目標に達成できない、こういうところもあるわけです。東北地方の先ほどの話と千葉県のいまのこの話と、両極端の地域の目標を、政府は、県単位であっても調整する意向があるかどうか、この点をお聞きしたいと思います。
亀長友義
197
○
亀長
政府
委員
私ども昨年来数回
会議
をいたしまして、生産調整の趣旨につきましてはその徹底方をはかってきております。結果的にある地域では非常に進み、ある地域ではあまり進まないということになることもあり得ると思いますけれども、国全体といたしましては別に調整ということではなくて、やはり目標に達成しない県には、目標に達成するよう指導なり協力を
要請
するということであります。したがいまして奨励金が現在の予算以上にはみ出た場合には、その分だけ出すということになっておりますので、よくできなかったところの数量をよくできたところへ回すということは、実際上そういう調整は必要でないというふうに考えております。達成しない県には達成できるように一段の御尽力を
要請
するということで十分であると考えております。
鶴岡洋
198
○鶴岡
委員
話は別になりますが、二期作の件ですが、この生産調整に関連して、現在でもまだ二期作が行なわれておるのが四国、高知県、それから九州、宮崎、鹿児島、態本等であります。四十三年度と四十四年度の統計から見ますと、
耕作
面積
は少なくなっております。しかし収穫量は多くなっております。日本全体の収穫量からすれば、この二期作の収穫量は非常に微々たるものではありますけれども、この二期作の場合の転作休耕奨励金でございますが、一期、二期の収穫合計の一キロ八十一円を加算した金額を支払われると思いますが、この点は間違いないかどうか、お聞きしたいと思います。
亀長友義
199
○
亀長
政府
委員
二期作につきましては、
農業
共済の保険をかけます場合に二期に分割してかけております。したがってそれぞれにつきまして基準反収量が
定め
られておるものと考えておりますので、それぞれにつきましてキロ八十一円をかけたものを支払うということに相なります。
鶴岡洋
200
○鶴岡
委員
それではこまかい愚問になるかもしれませんけれども、一期は米をつくったが二期は時期をおいて休耕した、こういう場合はどうなりますか。
亀長友義
201
○
亀長
政府
委員
二期作の場合その他詳細な取り扱いにつきましては、私どもいま事務的に詳細を詰めておる段階でございますが、一応二期作の場合は一期休めば一期分の金だけを払うというふうな考えで目下作業をいたしております。最終確定は近くいたす考えでおります。
鶴岡洋
202
○鶴岡
委員
そうすると収穫量にキロ八十一円をかけて支払う、このように理解してよろしいでしょうか。
亀長友義
203
○
亀長
政府
委員
いま私どもで最終的な方針の決定を急いでおる方向は、いま御指摘のとおりでございます。
鶴岡洋
204
○鶴岡
委員
話はちょっと変わってきますが、先日のテレビで、日本の一番の米どころと言われる新潟地方において、近年二度にわたる大水害のために、ある部落が二戸当たり三百万から五百万の借財をかかえていると報道されたのを私は見ましたが、一級河川等の部分はこの補修に対して国でも非常に力を入れている。しかし二級、三級河川のほうは同じ被害をこうむってもそうではない。このために転換すれば借金は返済の見込みが全く立たない。したがってこの転作、休耕に対しては絶対反対である、このような地域に対して政府はどのような対策を講じていかれるか、この点をお伺いしたいと思います。
亀長友義
205
○
亀長
政府
委員
生産調整対策
実施
にあたりましては、私どもは各県に目標を示しておるのでございまして、各県では
実情
に応じて町村に割り振りをする。町村もさらに
農業
団体
等と
協議
をして
実情
に合ったように個人別に割り振りをしてほしいということを要望しておるわけでございます。したがいまして、いま御指摘の災害農家のような場合には、十分その農家の
実情
を考慮して割り当てされることが望ましいと思っております。いろいろ一律に割り当てしているということを言われるのでありますが、それはよほどやむを得ない場合かあるいは趣旨をはき違えた場合にそういうことが行なわれているのだろうと思います。私どもとしてはそういう農家の個々の
事情
を十分考えて対処をしてほしいということを指導方針といたしておる次第であります。
鶴岡洋
206
○鶴岡
委員
それでは最後に国有
農地
についてちょっとお伺いしたいと思います。この問題はたくさんございますので簡単に質問いたしますから、簡単に答えていただきたい、このように思います。 国有
農地
の
面積
は、いまどのくらいあるか、またこの国有
農地
の実態はどのようになっているか、お聞かせ願いたいと思います。
中野和仁
207
○
中野政府委員
昭和四十四年三月末現在におきまして、国有
農地
の
面積
は三千九百九十ヘクタールでございます。 そしてその実態でございますが、その中で農耕
目的
で
貸し付け
ておりますのは、千九百九十三ヘクタール、それから
転用
のために
貸し付け
ておりますのは四百三十六ヘクタール、残りの千五百六十一ヘクタールは現在農耕にも
転用
にも貸しておりませんで、政府が管理しているものでございます。
鶴岡洋
208
○鶴岡
委員
次にお聞きしたいことは、
農業
上の
利用
に供されなくなった国有
農地
は現在どのくらいの
面積
が存在しているか、これをお聞きしたいと思います。
中野和仁
209
○
中野政府委員
ただいま申し上げましたように、
転用
貸し付け
中のものと
貸し付け
をしておりませんものを合計いたしました千九百九十七ヘクタールでございます。
鶴岡洋
210
○鶴岡
委員
昭和四十一年の秋に、農林事務次官が、都市周辺における国有
農地
で
農業
上の
利用
に供されなくなったものについては旧地主に支払う旨の発表を行ない、いわゆる世間の大きな反撃にあったことは、大臣も御承知かと思います。これについては、佐藤総理みずからもこの問題の解決を指示されていると思いますが、いまだにその結論が出ていないように思われます。現在、とられている
措置
をお伺いしたいと思います。
中野和仁
211
○
中野政府委員
御指摘のように、四十一年の秋に、都市周辺の
農地
のうちでもはや自作農創設に供しないものにつきましては、旧地主に返還をする、具体的にその
転用
目的
、何に
転用
するかをはっきりしない場合でも、旧
所有者
に返還するという政令
改正
を考えたわけでございますが、いま御指摘のようないろいろな御批判があったために、その政令を
改正
することは中止をしたわけでございます。 その後、どういうことをやっているかというお話でございますが、したがいまして、
現行法
どおり運用するということになります。しかし、世論の批判もございましたので、われわれといたしましては、
現行法
に基づきまして、具体的に、
転用
事業
者が明確になった場合初めて、旧
所有者
に返すわけでございますが、その返す場合の
事業
といたしましても、公用、公共用を優先的に取り扱うようにすでに指示をしております。 それからまた、これをどう扱うかという問題、総理からの検討しろというお話もございましたので、われわれ、学者を集めまして、おととしから去年にかけて研究会を開いて、目下、それを詰めておる段階でございます。
鶴岡洋
212
○鶴岡
委員
この
農地
として供さなくなった国有
農地
は、毎年旧地主に売り渡されているということを聞いておりますが、ここ数年間の年別
売り渡し
価格
と
面積
、もしわかりましたら、教えていただきたいと思います。
中野和仁
213
○
中野政府委員
最近の数年間の
売り渡し
状況を申し上げますと、二つございまして、一つは、旧
所有者
に売り払うもの、それから、旧
所有者
に売り払う必要のない
農地
も所管をしておりますので、それは
事業
者に売り払っております。その両方を合計いたしまして、昭和四十一年には百五十一・九ヘクタール、四十二年には百三十一・五ヘクタール、四十三年は百十六・九ヘクタール、最近の三年間は以上のような状況になっておりますが、その
割合
は、旧
所有者
に
売り渡し
ますものが、大体三分の二を占めております。
鶴岡洋
214
○鶴岡
委員
四十二年の七月ごろだったと思いますけれども、佐藤総理は、これをチビッコ運動場ですかに
利用
する旨の考えを明らかにしておりますが、
農林大臣
はこの発表を貫くつもりでいるかどうかお聞きしたいと思います。
倉石忠雄
215
○倉石国務大臣 国有
農地等
を旧
所有者
に売り払わないで直接公共
目的
に供出し得る道を開くことにつきましては、ただいま
農地
局長
が申し上げましたように、学識経験
者等
の
意見
をも聞きまして検討を重ねてまいったところであります。しかし旧
所有者
に売り払わないこととした場合は、旧
所有者
に対する補償の問題、過去に売り払いを受けた旧
所有者
との不均衡の問題等、困難な問題がございます。さらに、この問題に関連いたしまして、一昨年以来、旧
所有者
からの
農林大臣
を相手とする訴訟が最高
裁判
所に係属しておりますので、その推移を見た上でこの問題の処理に当たりたいと考えております。
鶴岡洋
216
○鶴岡
委員
この問題の解決は、
農地法
とのこともあると思うが、この点どのような解決をはかっていかれるのか。 それから、チビッ子運動場等に使用する場合は、
農地法
を
改正
しなければならないと思うが、この点、二点について最後にお伺いしたいと思います。
中野和仁
217
○
中野政府委員
国有
農地
問題は、ただいま御議論がございましたように、これは特別な
措置
を要する問題でございます。今回の
農地法
の
改正
につきましては、先ほどから御議論がありますように、構造政策の一環として出しております。大臣が先ほど申し上げられましたような結論が出ました際に、もし
法律
改正
を要すれば、その際にやらなければならないというふうに考えておるわけでございます。
鶴岡洋
218
○鶴岡
委員
時間もまいりましたので、以上で質問を終わりたいと思います。国有
農地
の件については、まだまだお聞きしたいことがございますけれども、時間ですから、これで終わらせていただきたいと思います。
草野一郎平
219
○
草野委員長
次回は、明十九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十四分散会