○高辻説明員 先ほどお答え申し上げましたのは、法制局の見解はどうだという
お尋ねでございましたので、私は、私の
責任においてお答え申し上げました。すなわち、法制局の見解はそれ以外のものはございません。通説として言ったではないかというようなことがあったとすれば、これは通説として申し上げたのではなくて、法制局の見解として申し上げたわけです。ただし、その徴兵制度、これは概念がはっきりしませんとぐあいが悪いものですから、私はいろんなものの本によりまして、まずその徴兵制度とはこういうものであるということを確定してお答え申し上げました。その徴兵制度というのは、これはまあ一般に常識的に考えられることでありますが、「
国民をして兵役に服する義務を強制的に負わせる
国民皆兵制度、即ち、軍隊を平時において常設し、これに要する兵を毎年徴集し一定期間訓練して、新陳交代させ、戦時編制の要員として備えるもの」これと同じようなものがございます。いま、
一つ具体的にそのまま読んだわけでございますが、そういうものについては、
憲法の十八条ないしは十三条、これはいずれによるかは問題はあるがということを申し上げましたが、私どもの見解としては、そのいずれにせよ、
憲法上許容されないと考えるということを断言申し上げたつもりでございます。ただ学説として申し上げれば、これはたとえば、いま申し上げた
憲法十八条の苦役には当たらないという説もあります。また、苦役には当たらないが戦力不保持、先ほど大出さんがおっしゃいました戦力不保持ということを非常に広範に見ております学説によりますと、その
関係で論議の余地がないというような
考え方がございます。それから、苦役でもない、それから戦力不保持といっても、一定
限度のものは持てるのだという説から申しまして、懲兵制度もわが
憲法のもとでとれるのだという説もございます。これは少数説
——はっきり申し上げますが少数説でございます。しかし私は、いまこの学説の中で申し上げなかった十三条を引っぱり出したわけですけれども、十八条に当たるか当たらないかというのは、私どもから言いますと確かに疑問なんです。それは少しよけいな話になるかもしれませんが、
アメリカの
憲法、これは同じようにインポランタリー・サービチュードという十八条と同じような規定がありますが、
アメリカにおける徴兵制度が、その
憲法十八条に違反するのではないかということ。
日本にはまだそういうものはございません。徴兵制度がありませんからありませんが、
アメリカではそういうのが係争事件であります。連邦裁判所では、徴兵の義務というものはそんなものじゃないのだ、その意に反する苦役に服させられないというものに当たるものではないのだという判決が実は出ております。したがって、それを断言するのは、私はやはり同じような系統の
憲法の規定としてやや疑問があるように思います。だから、できるというのではなくて、やはり最小
限度十三条の、何というか、私は
国民の個人的存立条件尊重原則と申しておりますが、そういうものからいっても、何かいま申し上げたような徴兵制度というものは許されないというのが相当であろうということを先ほど申し上げたわけです。そのいずれであるかはややあいまいにいたしましたが、結果としては、
憲法上許容されるものとは言えないということを申し上げたつもりであります。