○大出
委員 そこまではっきり
お話をいただければ、その辺をはっきりしていただこうと思って申し上げたのですからいいのですが、ただ私の
一つの心配は、ここにこういう記事が
一つある。人が書いたのですから、それなりに気にしなければしないで済むかもしれませんけれ
ども、
長官もおそらく御存じだと思いますが、大学の
先生、東大の川田さんですが、川田さんがある文章の中でこの核の問題に触れまして、原子力産業について、原子力の平和利用というのは進めるべきだというんですね。これは財界その他を含めて
一般的な機運になっている、しかしこれを進めるということは、一方においては非常に危険な物質を蓄積していくということになるともいえる、その管理体制をどうするかということは非常に大きな問題だ、という前提を置きまして、それがはっきりしないうちに十年間に二千億円の大型プロジェクトが発足したということ、これは国民の側から見ると非常に危険に感じる。現に、
自衛隊の成長に肩入れしようとしている一群の人々は、
自衛隊が核を持つこと、
防衛産業が核を
開発することの
可能性が強まったことを喜び、というところから、そうすべきことを公然と主張するようになってきている、といういい方をされておりますが、私も何人かの方からそれを聞いている。そこへもってきまして、これは古証文を持ち出すようで少し気がひけはいたしますけれ
ども、中曽根さんが
長官をおやりになる前に、有田さんの時代に妙なものが出てきまして、私は総理とも、有田さんともだいぶいろいろやりとりをいたしまして、ここに四十四年六月の一日付の、
防衛庁ということで、これは
防衛局でおつくりになったのでありますが、いわゆる自前
防衛の長期構想などと当時いわれたものであります。これは「憲法や国民感情を考慮しないとすれば」という前書きがついておりますけれ
ども、この中で、順次、つまり、安保条約がなくなった、こういうことになるとすれば、こうこうこういうふうに
考えるという立案で、ここに「核戦力」という項がありまして、「整備を要する
防衛機能」の中に「核戦力」「米ソ二大国が世界戦略を遂行するために整備した核戦力は別としても、少なくとも万一の場合の報復力たり得る核戦力(核弾頭及び長距離の運搬手段を含む)を自力で
開発し、保有する」ということで、これはフランスの核
開発に要する費用その他を全部あげまして、弾頭
開発その他に、日本円にして一兆八千二百億くらいかかっている。運搬手段に八千億くらいかかっているわけでありますが、そこらを詳細に述べておられる。これは、こういうものを出されちゃまことに迷惑だと言って、当時原文を出してくれと言って、だいぶ時間をかけてお出しをいただいた文章ですが、私は、ある
意味では、これは当時石橋君なんかと話しておったんですが、
防衛庁が先々を見通して、
承知でこれを表に出したのではないかという実は勘ぐりさえしたわけでありまして、それだけにこの非核三原則というものをいま
長官は非常に慎重に検討中ということで慎重に言われるけれ
ども、ここまで表に出たものが消えていくということになりますと、いまのフリーハンドの問題とあわせまして、これは何もアメリカが誤解だとかロッカイだとかいう筋合いじゃない。そういうアメリカのハーバート・パークあるいはレスター・ウルフ等の
調査団報告に書いてあると同じ危惧を、日本におって皆さんと一緒にこうやっておる私自身が抱かざるを得ない、こう思うわけでありまして、したがって私は、少し執拗でございますけれ
ども、でき上がった結果を見てみ
たいということなんですけれ
ども、そうではなしに、どうしてもこれは入れるという姿勢をなぜ
とらないか。