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大出委員 この辺が
総裁が勉強もいたしましたので、御研究も積んだからという
意味だと思うんですがね。ところが
人事院の
調査というのは、
ほんとうのところ私見せてもらったわけじゃないから推測で申しわけないのですけれ
ども、これは
一つの統計ですからね、そうでしょう。だから統計的に
平均してものをながめると、こうなったというのが出てくるんで
すね。ここの因果
関係というのはなかなか説明できにくい面があるんで
すね、前から私質問してきていますが。そういう
調査のしかたの上でいま
総裁の言うような結論が出るとすると、非常に危険だという気が私はする。だからこんなことを申し上げる。
そこで、いまの
お話にありますように、
民間は、昇給額が減っているのが五〇・三%とか、ないのが三一・一%だとか、変わらないのが一八・六%だとおっしゃるけれ
ども、これはわけがある。因果
関係があるんですよ。千人以上の
民間企業では九九%は五十五歳定年制なんですよ。明確な統計
数字がある、そうでしょう。それがなぜ五十五歳をこえている人がつとめているかというところに問題がある。なぜ一体
人事院が統計をおとりになったらこういう
数字が出るかという、ここのところを
考えてくれないと、こういう
数字が出ましたと
総裁が言っても納得するわけにはいかない問題がここにある。
ここに
一つの
資料がありますが、利はあえて定年制とからませようとしているんじゃないですよ。結果的にからんでしまうのです。というのは、欧州、アメリカ等をながめてみますと、さっき申し上げた人口動態ですから、労働者不足、人不足です。高齢者家族というのがどんどんふえている。だから、欧州をながめてみると、強制退職という形の定年制というものは非常に少ない。だから、それをあえて強制退職の定年制をつくろうとすることは、国際的に見れば歴史に逆行するのですよ。高齢者人口層がどんどんふえている。元気に働く人がおるのです。だから、ここに
数字がありますが、これを見ると、定年制というのは欧州にもたくさんあります。ノルウェーの定年制というのは七十歳、スウェーデンの定年制は六十七歳、アメリカの定年制は大半が六十五歳、イギリスの定年制は六十五歳、
女子が六十歳、明確に
女子六十。したがって、ほとんどの国が六十歳以上が定年で
すね。そして減額年金支給なんということをアメリカはやっていますから、六十二歳に引き下げてくれないかという組合があります。これはつないでいるのです。定年制と、そこでやめて、もらう退職年金という問題とつなげている。そこでこういう現象も出てきているわけであります。
そこで、強制的定年制、つまり退職制度というものはどのくらいあるかといいますと、アメリカでは全労働者の一二%なんで
すね。私はアメリカの鉄道の組合へ行って聞いてみたのです。ところが、実際そうなっているけれ
ども、やめていないですよ。若い人がいない、アメリカの鉄道は斜陽産業だから。つまりアメリカ軍の山型のやつが七つくらいくっついたのばかり。あなたは幾つだと言ったら、六十七だと言う。君みたいな若いのが日本ではよく労働組合の幹部をやっているんだなという話。以下がいないのだからみんなそういう
年齢、ここにはそういう
数字が出ている。形式的にはそういうふうにきまっているから、それを入れてもなおかつアメリカの場合に強制退職というのは全労働者の一二%しかないですよ。イギリスでも全職員の一七%しかない。イギリス全労働者ということで
平均をすると、強制退職でやめさせられているのは一〇%しかない。ほかの国のものもありますが、時間がありませんから省略しますけれ
ども、つまり強制退職という形の定年制をとるというのは非常に少ないということになる。なぜならば人口動態がそうなってきているということが非常に大きな原因で
すね。二十年おくれているとさつきデータをあげて申し上げましたが、ようやく日本の一般企業も高齢者対策というものを真剣に
考えざるを得なくなっているのですよ。だから、さっき
総裁が言うように、これは昨日
参議院で
お答えになった
数字ですから聞きましたが、つまり三十歳未満の方は、
公務員を一〇〇とすれば
民間が一一四・一である。六十歳以上のところが官が一〇〇とすれば
民間は八三・五である。昇給額が減っているのは五〇・三、昇給しないのが三一・一、変わらないのが一八・六、こうおっしゃる。なぜ一体五十五歳定年制が千人以上の企業で九九%しかれているのにこういう
数字が出るかということ、したがってここに問題があるので
すね。私は、強制退職という形の定年制をおとりになることは、政府の
立場としてとるところではなかろうと思っているのです。そうすると、そのほかに何があるか。
民間がやっているのを見ると、
民間は五十五歳定年制があるけれ
ども、そこでやめさせるわけにいかないという現実、そこにいまおっしゃっているような問題が出てくるわけで
すね。だからどうしてもこれは定年制とからむ。
民間は五十五歳定年制なんです。しかしやめさせないのですから、そこでからまざるを得ない。幾ら
総裁が純然たる
給与だとおっしゃったって、からまざるを得ない。日本の
国家公務員の場合に、まだ定年制を申し上げるという時期でないとおっしゃる。そう簡単にできないですよ。ましてどこも
公務員の希望者が減る一方だということになればなおのこと。そうなると強制退職ということをおやめになって、
給与という面からとらえて何らかの措置をせざるを得ないということになる。ただ、それが一律に十ぱ一からげに
給与の面から押えたのじゃ困るという面がある。もう
一つここをとらえていただかぬと非常に大きな問題が出てくる。
そこでもう少し具体的にこの点は聞きたい。ここに
人事院がお
出しになった「
国家公務員給与等実態
調査報告書」がある。これは四十四年一月十五日
調査、
人事院給与局、これです。これを読みますと、二つ例をあげますけれ
ども、五六ページ第三表の
俸給表別、
等級別
平均年齢、私は実は
人事院に、各等各号の五十五歳以上の
年齢に基づく職員分布の
資料をくれと言ったら、いささかどうも
お答えできにくいという御回答なんでとやかくは申しませんが、これだけじゃわからぬから申し上げる。これを見ますと、たとえば
大学卒、特に中学、高校卒というところを見ますと、中学卒で二
等級にいくのには
平均年齢で五五・九というのですから、五十六歳以上の方はたくさんいるに違いない、
平均が五五・九、五十六近いのですから。中学卒で官庁に入って、そして二
等級までやっと上がっていった。苦心惨たんして、たくさんの差がありて選考から漏れていくのに、そして
平均年齢が二
等級にたどりつくのに五五・九歳、まさに五十六歳ですよ。そうすると、これ以上の方がたくさんいるに違いない。この人は隔年昇給なりストップになる、これを見ますとこういう筋書きになるでしょう。そしてたまたま中学卒で一
等級にいった方の
平均年齢は五七・五歳です。そうすると五十六歳をこしちゃっている。そして高校卒のほうを見ますと、高校卒で一
等級になった方があるのですが、五十八歳です。二
等級で
平均年齢が五五・八、こういう
数字になっているので
すね。これは一
等級、二
等級をとりましたが、そのほかでもそうでしょう。四
等級だって、
高卒でいきますと
平均五〇・六歳。ですからもっと高い人はたくさんいる。三
等級五三・六歳。だから、四
等級以上に
高卒、中卒でいくということはたいへんなことなんですが、その
方々が全部ばっさりストップだ、やれ隔年昇給だということになるのです、現実には。
そこでもう
一つの
数字からいきますと、途中採用者の行(二)なんという人は非常に気の毒なんで
すね。これはこの
資料が不備なんで、
俸給表別、性別、云々とありますが、これは五八ページでございますけれ
ども、どれくらいの人員がいるかといいますと、五十六歳から六十歳までの
国家公務員の方が二万一千十三人、六十歳以上の方が一万五千七百三十七人いる。これだけの数がいる。さて、この二つを突き合わしてみますと矛盾も出てくる。どういう矛盾が出てくるかといいますと、同じ
等級、同じ号俸で、片や五十七歳である、片や五十三歳である、こういう人が出てくる。これはたくさんいるのです。そうなると、これは今度は指定職もおやりになるというのですから、指定職まで
考えてみてもいいですけれ
ども、
民間はそのクラスは
年齢制限がないですから、そこをはずして
考えてものを申しますと、その他の
等級号俸で五十七歳と五十三歳がある。そうすると五十七歳というのは、
人事院のいまの方針でいけば、いやおうなくストップ、形の上では。それは冷酷むざんにしないというので、法律は五十六と書くけれ
ども中身は五十八歳でいいと言うかもしれないけれ
ども、出す線は五十六歳。その線を引いておる。そうすると、五十七歳の方は隔年昇給なり何なりになるけれ
ども、じゃ五十三の方は、これはどうなるかといえば、
あと五十三から五十四、五十五、五十六とちゃんと昇給していく。これはそうでしょう。じゃなぜ一体、同じところへいくのに五十七と五十三の
年齢差があるか。本人が必ずしも悪いわけじゃない。なぜかというと、各官庁で、
人事院だって御存じのとおり、同じ
局長になるのに、通産省みたいにとんとんといっちゃうのがある。たいへん若い
局長ができちゃう。ところがそうでない、はなやかな官庁でないところというのはなかなか上がっていかないのです。だから官庁別にながめてみて、同じ
局長さんがりっぱな方がおってすわっておられても、
年齢はこんなに開いておる。そうでしょう。そこらが、これはいまの方式でいけばみそもくそも一緒です。そして高くなるから押えるというのだけれ
ども、そうじゃない。五十三の方は
あと四つ高くなる。これは一体どういうことになるのかということになる。そこらのところまできめこまかくお
考えをいただかぬと、それにおのおの納得し得る回答を
皆さんのほうでお与えにならぬと、そう簡単にはいかない。かつこれは、そういう
意味で言うならば定年制にからまざるを得なくなってくる、
あとから
資料を申し上げますが。そこらのところをまず
皆さんのほうはどうお
考えで五十六歳というようなことをおっしゃるか、承りたいのです。