○大出
委員 基本方針となるべきものはお考えになっているが、各港々の事情その他がある。どういうふうに持っていけばいいかという点について非常にむずかしい。そこらの点について、いまなお検討不足である、こういうことですね。そこまでお認めになっておるのですからそれはそれでいいのです。いまのところはやむを得ません。
ついでにもう少しつけ加えて申し上げたいのでありですが、この案でいきますと、この
あと(2)というのがありまして、「
一種事業者と三種専業者(貸はしけ業者を含む)の
関係」として、「1はしけ基盤の
一種事業者が中心となって、三種専業者とはしけ、引船の運営に関して一体化を図る。」これも大きな問題があります。それから「2三種専業者は、はしけ基盤の
一種事業者と大型グループ化による経営の効率化、安定化をはかるため事業協同組合を結成し、」これは前と同じ方式です。「すべての
一種事業者(事業協同組合を含む)との間に長期契約を締結して引船を含み完全共同配船方式をとる。」そして今度は「組合については次の条件による。1東京、横浜、大阪、神戸は夫々五組合
程度とし、名古屋は三組合
程度とする。」これが
一つです。「2はしけの建造は直ちに一切中止する。」と御丁寧に書いてあるのです。次は「3共同引受、共同配船、共同集金、共同雇用、老朽艀の廃船処置、余剰船腹の組合加入者からの買上げ処理、及び余剰労働者の転職斡せん等幅広い事業を行なう。」これを見るというと労働者の転職あっせんまでしているのですね。
次に、「4、専業者の経営規模」ということで「大型化した
一種事業者と一貫責任体制を確立するため、専業者の経営規模を次の通りとする。」二種業者が払い込み資本金で三千万円以上、年間挙収額二億円
程度。四種専業者の場合は資本金二一千万円以上で一億円
程度の年間挙収額。二、四兼一業者が五千万円以上で三億円
程度の挙収額。三種一専業者というのが協同組合をつくるわけですね。これを見るとこうなっているのです。
ここで非常にむずかしい問題ですけれ
ども「5、いかだ限定
一種といかだ専業者との
関係」というふうなものは、「具体策を他業種の近代化をにらみあわせ検討する。」これはなかなか問題が問題でございますからそういう書き方になっております。
そうして、これは問題なのですけれ
ども、IIIに「専用埠頭における作業体制」というのがあるのですね。その「1、コンテナ専用埠頭」のところには「IIの1の在来公共埠頭等の作業体制に基づく一貫責任体制を原則とし、且つ、二種・四種事業の一元化体制による運営を図る。」、「2、その他の専用埠頭(荷主の私設埠頭等)」には「一貫直営体制による二種・四種事業の一元化体制を確立する。」とある。
そして最後は、これは問題なんですが、大きなIV「補償、救済問題」「1、完全廃業者に対する救済
制度の確立」とありますね。この案でいけば、これはあらかじめ完全廃業する人を見越している。だからここに補償、救済問題が出てくる。「完全廃業者に対する救済
制度の確立」「中央に組織化された公的機関を設置し、完全廃業者に対する営業権及び施設等(免許上の)の買上げ、労働者(職員、労務者)の転業斡せんを行なうため、業者、利用者、行政が一体となった救済措置が講ぜられるよう強力に推進する。」行政まで入っている。これは、労働者側からすればたいへんなうしろ向きの政策ですよ。しかもこれを本気で行なわせようとすれば、行政措置をとらざるを得ない。これはさっきお話の中にあった中身を書いて申し上げているのですけれ
ども。
それからIVの2「余剰設備対策」「中央に組織化された公的機関を設置し、はしけ運送の抜本的な解決を図るため、はしけ余剰船腹の買上げ、老朽艀の廃船処理、余剰労働力の転換等については各地区毎の事業協同組合との関連に於て、業界の自主的な相互助成を初め、利用者及び行政による強力な助成対策を講ずる。」こうなっているのです。これはいかに何の案であれ、ここまでのことをうたうとなるとおだやかならぬことですよ。労働者はどう考えているか。家族を含めて生活の基盤になっている。何種業者にしたって、朝鮮戦争だというような時代から、あれだけネコの手も借りたいというのでたいへんな苦労をしてやってきた諸君がたくさんいるのですね。そんなものはどうでもいいんだということにこれはなる。しかも、ここまでならまだこれなりにものの言いようが別にあるんだけれ
ども、これがさらにその奥にある、さっき申し上げた「コンテナターミナルの運営と料金」船主港湾協議会、この中身からすると
——これはかつての埠頭事業法というものをおたくの
佐藤港湾
局長のときにいろいろ考えた時代がある。私はこれを突っ込んだら、いや、そういうものはつくっていない、つくっていないと言いながら、いまの港湾運送事業法なり港湾法のワクの中でやっていけるからということになった。やっていけるからやめたんだという。いまになったら明らかに出てきた。この中に書いてある。埠頭事業法の法案までさかのぼる必要があると考える、こうあるんですね、ここでは。そうして法案の骨子は第一に岸壁と上屋と一体として買い上げることによって本船の連発をはかり、埠頭運営の効率化をはかることであり、第二に、船主、つまり船会社ですね。船主と密接なる
関係のある作業主体のもとにおけるターミナル経営の一元化により
——これは船主、船会社と密接な
関係がないところはだめだということだ。これは明確に船主サイドですね。結局そっちにべったりしていなければだめだぞ、船主と密接な作業主体のもとにおけるターミナル経営の一元化により港湾における
経費の合理的節減をはかる。そのために
日本商品の国際競争力を強化することにあります。これは埠頭事業法というものはそうだというのですよ。こうなると、これはまさに経済性の点から、労働者がどうであろうと中小業者がどうであろうとみな仮借なく切りはらっていけということですよ、明確に。ここから出発しまして港湾運送事業法というものは変えなければいかぬというわけです。実情に合わない、こういうわけです。そしてここで何をいっているかというと、もうここまでくると、免許基準は本来過去の実績によって定められる
性質のものではなく経済的な要請に応じ得るかいなかによって決定されるものであります。こうなると船主、荷主の側から見て、あるいは大きな企業の側から見て経済性という面で多少なりとも節減ができればいいんだから、それに相反するものはみな切りはらっていけということになるんですね。これは明確にこういうことです。しかもこれは一番最後のほうは何を言っているかというと、コンテナターミナル事業は単純労働への依存度は低く
——それはそうでしょう、
性格が変わりますね。その生産性は機械設備への投資の規模と
内容に左右されます。すなわち船舶運航者の求めるコンテナターミナル運営と荷役料金の合理化は、労働力の強化によって得られるものではなく、陸上運送、港湾運送及び海上運送を一体とし、電算機によって完全にコントロールするシステムの技術的革新と大規模経営のメリットによって達成され得るものであります、こうですね。そうなると、さっき冒頭に
官房長と質疑し、やりとりしたけれ
ども、
大臣は、そうまでおっしゃるけれ
ども、そうじゃない。そうじゃなくて、ポイントが全然違う。海上輸送というものと陸上輸送というもののまん中に港湾輸送がある。つまりこの三つのジョイントをどういうふうにするかというところ、ねらいは経済性という問題、それだけなんですね。そういうことになってくると、そこに介在をする労働者という問題も港湾業者という問題も、そんなものは眼中にないのがこれは明確になっているんですね。そうすると、こういうものの
考え方で先ほど二番目に例を上げた案があって、そして
審議会の中身として
——これは上原さん、兼松さんにとやかく言うのではないんですけれ
ども、つまり
運輸省自体の
局長が、さっきこういう席だから手前まで答弁されたそのものの
考え方が出てくると、幾ら皆さんがどっちを向いてものを言おうと、方向はすでに明確になっておるということになっている、そう受け取るのはあたりまえです。だから、ここまで来たなら来たように、皆さんもそのことを何か適当なことにしないように、やはり言うべきものは言って、ほんとうに腹を全部言って
——相当たいへんな反対がありますよ。現に春闘なんかどうでもいいと言うんだ、賃金なんか。わずかの賃金のことより港がつぶれるという。横浜の港湾全体にいろいろな
性格の組合があるのだけれ
ども、今度ばかりは全部一緒だ。業の諸君だって一緒にいかざるを得ない面がたくさんある。いまそういう態勢なんだ。私は、残念なことに、ここまでのことをおやりになるのならもっと慎重に時間をかけて進めるべきものは進め、下へ話すべきものは話してきて、そして答申が出てくる筋書きを
——そうすれば答申の中身が変わるかもしれぬけれ
ども、そういう筋書きをとるべきはずであったと思う。それをいきなり三月末ということにしておいて、二十七日にすぽっと出させる。だからこういう大きな混乱になる。そこらのところをあなた方は一体どう考えておられるのか。真意のほどはほぼわかったけれ
ども、そこから先のところを、ここまで申し上げたのだから
——何もいま申し上げたのはあなた方全体の考えだと言っていない。言っていないが、この方々の力というものは大きいのですから、どういうふうにしたってあなた方はそっちにいかざるを得ない。だからその中であなた方は一体どういうふうに
——中小の業があり、労があるのですから、そこのところとの
関係をお考えになるのかというのを率直に聞かしていただきたいのですよ。そうでなければ私は問題は始まらぬと思っていますから。