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大出委員 これは
総理、私は本
会議でもあれだけ詳しく原稿を先に差し上げてあるのだから、ちゃんと書いてある。理由づ
けしてある。二つ提起されたから二つはっきり申しましょう。だいぶはっきりいま
総理お答えになったから、ずいぶん
問題点ば明確になったと私は思う。
そこでまず第一点は、あとのほうから申しますが、
総理はいま、局部的な
戦闘で終わるとかあるいは大
戦争になるかわからぬ、大きな
戦争になるということになるとすれば
事前協議で
ノーと言う場合もあり得る。局地的な
戦争、局部的な
戦争で終わるとすれば
イエスと言うこともあり得る、しかも緊急を要するということならば、こう
お答えになっている。そのいずれにしても、
戦争というものは、局地的なつもりで
アメリカだって
ベトナム戦争をやったのだが、局地的には終わらなかった。あれだけ大きくなってしまった。何年もかかった。だから
総理が、局地的だと思って
国防会議の
責任者という
立場で断を下したって、大きくなるかもしれない。しかしそのことはいま問わない。問わないけれ
ども、新しい
佐藤・
ニクソン共同声明の
意味するものは、
台湾の
蒋介石政権と
中国の
毛沢東政権の間に
——これは国内問題ですよ、さっきお認めになったとおり
——争いが起こった、
戦争が起こった、その場合に、いま
佐藤総理が
お答えになったように、
日本は
日米安保条約で
基地を提供している。だから
アメリカは、
米華条約もございますから、当然
日本の
基地を使って
戦闘行動に入る。当然
事前協議になる。局地的な
戦争だとお
考えになって
イエスと言った。こう進んでいくわけですよ、いま
総理の答えたのは。その場合に
日本から飛んでくる
飛行機、これは
戦闘作戦行動の任務を命ぜられて飛んでいる
飛行機ですから、
相手からとってみれば
日本の
基地から飛んでくる、こうなる。そうすると、それを
総理が
侵略行為だと
解釈をなさろうとなさらなかろうと、
日本が
攻撃を受けることがあり得る。なぜか。これは
国際法的にも、
基地を提供しているのですから、
日本が
幾ら中立だと言ったって、その区域について
相手方が
攻撃することはあり得る。これは
国際法でも多数意見です。あなたは
楢崎質問でこのところを非常に逃げておられるが、
議事録によれば
最後は認めておられる。そうすると、
攻撃されることは予測されている。そうなると、
安保五条に基づいて、六条の岸・
ハーター交換公文による
事前協議は
イエスと言っているのですから、そうすると、あなたが言う
侵略、これも
戦争の一種です、
日本が
攻撃されるのだから。そうすると
共同戦闘をやることになる。このことは客観的に見て、
日本が
中国、
毛沢東政権と戦うことになる。しかもその一番の出発は
中国の国内問題なのです。そうだとすると、そこまで予測が
——総理みずから認めているのだから、そうである限りは私は何も毛沢東さんに同調しているわけでも、周恩来さんに同調しているわけでもない。私は
日本社会党です。
中国社会党じゃない、
日本社会党だ。決して同調なんかしてない。してないが、冷厳な事実は争えない。そうだとすれば、内政問題に
佐藤・
ニクソン共同声明で足を入れて、しかもそのことは第二の
侵略の名において
共同戦闘にまで発展する可能性を持っている。これだけ間違いない。お認めになった。そうだとすれば、
旧来のいろいろないきさつを乗り越えて、周
総理が朝鮮民主主義人民共和国に行って
共同声明を出そうとされたり、
古井さんとの
交渉の席上でああいう言い方をされたりするのは当然理由はある。私は、だからこそ
日本の安全と平和ということを
考えれば
——昔の釜山赤旗論的に韓国の安全は
日本の安全にとって大切だということで、さて今度は朝鮮の安全をほんとうに確保しようとすれば満州の安全、これが直接
関係してその満州に入っていったというのが先例ですよ。その満州に入っていったということは何かといえば、過去の二十年前の歴史ですよ、
中国にとってみれば。それを繰り返されたんじゃという気持ちになるのはあたりまえでしょう。しかもいま一生懸命韓国、
台湾に資本輸出をされる、
政府ベースにおける経済援助をどんどんされる。つまり新しい
佐藤・
ニクソン共同声明下における外交の重点だってそっちを向いている。そうなると、政治的不安定の地域に資本輸出をするのですから、当然
国益という問題とからんで向こうがそう予測するのはあたりまえでしょう。
古井さんが手記の中で言っている。これは私は党内の問題よりも国内の問題をまず
考える。もう
一つ言っている。きょうの問題よりもあすの問題、現在の問題よりも将来の問題、このほうが政治という
意味では大切だ、だからそういう
意味で私はこのコミュニケに賛成したのだということを言っている。私もそうだと思う。私はそれは非常に尊敬すべき意見だと思いますね、ほんとうに。なぜならば、やはりそこに大きな問題を感ずるからですよ。
一つのルートだけは残しておきたいという気持ちもおありでしょうけれ
ども、これが
総理が言っておられる二番目の点の中心ですから。その現実をあなたが否定されれば別だ。認められた。ならば、向こうがものを言うのはあたりまえ。種はあなたがまいた。ならば、この種をまいたあなたが、これからどうすれば日中問題をほんとうに前向きに片づけ、軌道に乗せるという努力をなさるかなさらぬかという問題とからむ。二年先、三年先のことを言っちゃ困るよ。
第一の問題、
軍国主義の問題ですが、いま
軍国主義になっちゃったらたいへんです。私がこんなことを言ったらたいへんなことになってしまう。そこまで言ってないということくらいだれだってわかっている。しかし、
憲法、
憲法といまおっしゃるけれ
ども、それは皆さんの党の体質から
憲法調査会をこしらえて高柳さんにいろいろやらせたことだってある。背景にある財界の皆さんだって、去年の四月二十三日、桜田武日経連専務
理事も言っておられる。
日本は半国家だ、
日本の安全は韓国と
アメリカのタックスペイアーの、納税者の負担によってまかなわれている、だから自主防衛が必要だ、兵器生産の
拡大と兵器輸出が必要だ、こうなっていって、秋の日経連総会で
憲法九条は最も自主防衛の障害だからとってしまえという意見になった。これは天下周知の事実でしょう。しかも昨年の四月二十三日からぴったり一カ月置いた五月二十三日に経団連総会で植村さんが自主防衛決議をされて論争されている。しかも、さらに六月には
日本兵器工業会の大久保謙さんがフランス、西ドイツ並みのGNP生産の
——当時五十一億という違いがありますけれ
ども、四%、年額二兆円の防衛予算を組めと言った。そうでしょう。そこまで激しいことをずうっと財界が言っておられるでしょう。そこで昨年の八月七日、船田中さん、
安保調査会の会長さんですが、自主防衛の強化と兵器生産の
拡大と兵器輸出と百万人の国土防衛隊をつくれ、こうおっしゃった。いま衆議院の議長でしょう。これはたいへんなことですよ、
相手方から見れば、私自身国内にいてそう思うのだから。そこへきて今度は
中曽根さん、この間私は
長官と対話するつもりでじっと聞いた。
有田さんのときと変わっていないのじゃないかとわざわざ私は言っている。これから先きめる
ことばかりなんですよ、
長官のおっしゃることは。やれ制空権がどっちを向いた、
海上防衛を強化するの、ロケット艇をどうの、五原則からたくさんおっしゃった。基本的に一番大きな問題は国防の基本方針の変更という問題ですよ。自主防衛を基調として
安保条約というもので補完する、この趣旨に変えようということなんです。しかしそれらはこれからなんですから、党内では、いま
中曽根さんがまだ先のことをみんなやってしまったら、あと
防衛庁長官に秋あたりかわった人はやることがなくなってしまう、
中曽根ものを言い過ぎるじゃないか、こう言っている話だって耳に入る。
古井さんが苦心惨たんしている世の中に、
中曽根さんはそんなに急いでばんばかばんばか前へ進め。現在そう変わっていないのだから、いまそこまでおっしゃるのはいささかいかがなものかと思いますよ。きょうものを言ったって向こうはすぐ受け取るのだから、苦労するだけになってしまうから、まして
共同声明が出ているのだから、そういうつもりで実は私は静かにものを聞いてみた。しかし
最後にどうしても、たいへん変わっているんだということをおっしゃる。一番
最後の結語も、変わっている、変わるんです、こうです。そうなると、向こうだってその変わり方を軍備強化に狂奔していると言いたくなるでしょう。しかも予算だって、四次防予算は六兆四千億を上限にすると
お答えになっておる。四次防の積算をずっと聞いてみたら、それは
関係ない、六兆四千億というのは諸政策との
関係で上限だと
考えているんだとおっしゃる。三次防自体が二兆三千四百億です。これを四次防段階で六兆四千億という最高限をお
考えになるとすれば、財界を含めて軍備強化に狂奔をする、しかも政治の分野でも船田さんがああいうことを言ったら、産軍政一体だ、ミニ産軍体制だなんて言いたくなる。そうだとすると、いま私は
軍国主義になっているとは思っていないが、しかし将来そういうことになったらたいへんだ、その方向に向いている、そういうふうに私は
考えている。だから向こうだってああいう受け取り方をする。私はそうなっちゃ困るから言うのです。そうでしょう。
総理がまいた種はやはり刈っていただくという
立場をおとりいただきたいのですがね。