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1970-04-23 第63回国会 衆議院 内閣委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月二十三日(木曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    伊藤宗一郎君       加藤 陽三君    笠岡  喬君       菊池 義郎君    鯨岡 兵輔君       辻  寛一君    中山 利生君       葉梨 信行君    堀田 政孝君       山口 敏夫君    石橋 政嗣君       木原  実君    佐藤 観樹君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君       受田 新吉君    東中 光雄君  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         建 設 大 臣 根本龍太郎君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 中曽根康弘君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         行政管理庁行政         監察局長    岡内  豊君         防衛政務次官  土屋 義彦君         防衛庁長官官房         長       島田  豊君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛庁人事教育         局長      内海  倫君         防衛庁衛生局長 浜田  彪君         防衛庁経理局長 田代 一正君         防衛庁装備局長 蒲谷 友芳君         防衛庁参事官  江藤 淳雄君         防衛施設庁長官 山上 信重君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         外務省アジア局         長       須之部量三君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         農林大臣官房長 亀長 友義君         農林省農林経済         局長      小暮 光美君         農林省蚕糸園芸         局長      荒勝  巖君         農林水産技術会         議事務局長   横尾 正之君         食糧庁次長   内村 良英君         林野庁長官   松本 守雄君         水産庁長官   大和田啓気君         建設大臣官房長 志村 清一君  委員外出席者         防衛庁調達実施         本部長     金谷 武彦君         農林大臣官房秘         書課長     澤辺  守君         農林省農林経済         局統計調査部長 岩本 道夫君         自治省行政局行         政課長     遠藤 文夫君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ————————————— 四月二十二日  靖国神社国家管理反対に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第三六九八号)  同(浦井洋紹介)(第三六九九号)  同(小林政子紹介)(第三七〇〇号)  同(田代文久紹介)(第三七〇一号)  同(谷口善太郎紹介)(第三七〇二号)  同(津川武一紹介)(第三七〇三号)  同(寺前巖紹介)(第三七〇四号)  同(土橋一吉紹介)(第三七〇五号)  同(林百郎君紹介)(第三七〇六号)  同(東中光雄紹介)(第三七〇七号)  同(不破哲三紹介)(第三七〇八号)  同(松本善明紹介)(第三七〇九号)  同(山原健二郎紹介)(第三七一〇号)  同(米原昶紹介)(第三七一一号)  同(青柳盛雄紹介)(第三七八一号)  同(浦井洋紹介)(第三七八二号)  同(小林政子紹介)(第三七八三号)  同(田代文久紹介)(第三七八四号)  同(谷口善太郎紹介)(第三七八五号)  同(土橋一吉紹介)(第三七八六号)  同(不破哲三紹介)(第三七八七号)  同(山原健二郎紹介)(第三七八八号)  同(米原昶紹介)(第三七八九号)  靖国神社法制定反対に関する請願外二十四件(  内海清紹介)(第三七一二号)  同外二十四件(岡沢完治紹介)(第三七一三  号)  同外二十四件(河村勝紹介)(第三七一四  号)  同外二十四件(竹本孫一紹介)(第三七一五  号)  同外二十三件(塚本三郎紹介)(第三七一六  号)  同外二十四件(和田春生紹介)(第三七一七  号)  同外二十四件(和田耕作紹介)(第三七一八  号)  同外二十四件(麻生良方紹介)(第三七九〇  号)  同外三十八件(池田禎治紹介)(第三七九一  号)  同外二十四件(春日一幸紹介)(第三七九二  号)  同外二十四件(曽祢益紹介)(第三七九三  号)  同外二十四件(和田耕作紹介)(第三七九四  号)  元満鉄職員恩給等通算に関する請願和田耕  作君紹介)(第三七一九号)  同(山下元利紹介)(第三七九五号)  岩手県新里村の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(北山愛郎紹介)(第三七九六号)  兵庫県温泉町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(小島徹三紹介)(第三七九七号)  兵庫県養父町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外十三件(小島徹三紹介)(第三七九八  号)  兵庫県浜坂町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外一件(小島徹三紹介)(第三七九九号)  兵庫県朝来郡の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外一件(小島徹三紹介)(第三八〇〇号)  兵庫県出石町、但東町の寒冷地手当引上げ等に  関する請願外二件(小島徹三紹介)(第三八  〇一号)  恩給共済年金の調整に関する請願辻寛一君  紹介)(第三八〇二号)  同外一件(松山千惠子紹介)(第三八〇三  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出第二三号)  農林省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三号)  許可、認可等の整理に関する法律案内閣提出  第一〇二号)  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二五号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  3. 大出俊

    大出委員 時間が非常に短いわけでございますが、幾つか論点がございますので端的にお答えをいただきたいと思うのでありますが、一つは、このけさの新聞にもいろいろ出ておりますが、古井先輩おいでになっての、また松村先生藤山先生等おいでになっての覚書交渉でございますが、私は七〇年代における何よりも考えなければならぬ、つまり極東の安全、平和のために考えなければならぬのは、日中関係というこの課題をどう対処し、どう切り開いていくかということだと思います。そういう観点でものを考えますと、政府の正式な代表であるないという問題はございますけれども、今回この古井さんおいでになって政治交渉をおやりになり、共同コミュニケをお出しになったわけでありますが、政府統一見解をお出しになっておりますけれども、避けて通れない問題だと私は思いますので、冒頭にそこのところを、今後どういうふうに——総理大使級の会談、いろいろなことを言っておられますけれども、ほんとうのところどうしていったらいいというふうに政府はお考えなのかということ、ここのところをまず承りたいのですが。
  4. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 まあ一、二年の間にどうこうなるとは私も考えませんが、一九七〇年代にはもっと双方の誤解が解けるというか、あるいは不信がなくなる、そういうような状態をぜひとも招来したい、かように私は思います。長いこと戦争をした、その関係講和条約は締結してない、そういう意味から、中国大陸のわが国に対する認識もずいぶん違っておる。新しい時代認識はよほど変わっているようでございます。まあそれらの点が、誤解あるいは曲解とまで解されるような発言のもとじゃないか、かように思いますので、そういうことがまずなくなることが何よりも必要なことじゃないかと思います。まあ私は、サンフランシスコ条約当時、中国代表者中華民国だと、これを吉田さんが選定したということは、当時の状態では間違いなかったと思っております。私もまた今日までそれを続けておる。そうして中国一つだと、かように考える限り、私どもは国際的な権利義務がある。中華民国を選んだところに権利ばかりじゃない、義務まである、国際的な義務があるわけである。したがって、その問題は簡単には解決はできない。でありますから、これは中国の国内問題だ。一つ中国の国内問題、そういうものが解決されるときがくるんだ、そういうことを一日も早く望んでいるというのが今日の態度であります。いろいろ批判が先に立ちますと、そこでさらにまた誤解を招き、さらに進んでいろいろの不和、そういうものさえ招来する危険がありますから、この程度でとどめておきたい、これが私の気持ちでございます。
  5. 大出俊

    大出委員 誤解あるいは曲解ということをいま総理口にされるのですが、少なくとも誤解あるいは曲解相手がしたとすれば、百歩下がってあるいは誤解曲解だとしても、誤解なり曲解を与える要因がこっち側にあった、これだけは間違いない。統一見解にも誤解なり曲解なりということばを保利さん使われておるけれども、何もないところに誤解もなければ曲解もない。何かあるから誤解をし曲解をする。原因をおつくりになったのです、総理みずからが。だとすると、その責任総理が負わなければいかぬと私は思うのですよ。実はこの間、私は中曽根さんに三時間半も質問したのだけれどもあまり大だんびらを振り上げてじゃんじゃんやっちゃうとつい相手真意がわかりそこなうから、静かに私は必要なことだけ聞いてみた。どうせ総理とよく話をしなければならぬのですから、長官真意誤解なく聞いておきたいと思ったものですから。その中でも私は、旧来有田さんと変わってないんじゃないかということを基調にしてずっと聞いてみた。ところが、最後の御発言で明確に中曽根さんは、違うんだ、旧来とは。ここと、ここと、ここと、これだけ違うんですということをおっしゃる。つまり日本の軍備の増強、私流にいえば。これについても有田さんがあそこまで前に出て海上防衛まで言っているのだが、もっと先を言おうという姿勢になっている。変わっている、明らかに。つまりそれも一つのこちらがつくった要因ですね。一番大きなものは、もちろんおいでになってニクソンさんとおつくりになった佐藤ニクソン日米共同声明ですよ。  そこで私は具体的に例をあげて、つくったのだから総理がこれは解くべきだという立場で承りたいのですが、新聞にも出ておりますけれども藤山さんなりあるいは古井さんなり——古井さんの手記も載っていますけれども日米共同声明安保条約というものの解釈拡大をする、質的な変化も出てくる、つまり軍事的にと言っていいと思うんですよ、共同戦闘をやろうという安保条約ですから。その意味ではそのワクを台湾にまで拡大をしたことは事実。韓国にはあまり触れていない、中国側は。なぜならば、台湾というのは、中国解釈からすれば、当然これは大陸を支配しているのですから、いまおっしゃったように国内問題だ。総理も認めておられる。そうすると、中国側からすれば、台湾中国の領土なりと思っている。そこで、こちら側から足をかけて、台湾の安全が日本の安全にとって重要な要素であると、ここまでアメリカ一緒共同の意思で言い切れば、当然それに対して、けしからぬことを言うじゃないか、佐藤さん、と言うのはあたりまえですよ。けしからぬとは言えないでしょう。いかがですか、そこのところは。
  6. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 どうも、何かこう、本体をつかまないで、その端っこのほうをつかまえて議論しているようですね。私どもは、平和憲法のもとで、日本の国はもう戦争——いわゆる軍国主義じゃないんだ。これはもうはっきりしている。これは、よもや否定はされないだろう。その平和憲法のもとでわれわれがやっていること、主張していること、これがどうしてそのまま理解されないのか。問題はそこにあるんじゃないですか。いま、問題を私が投げかけたと言われるけれども社会党の方でも、よもや、われわれが平和憲法を守って、平和憲法のもとで自衛権の発動だけを当然の権利だとして、独立国家としての自衛権を持っているという、そのこと自体を否定される方はないでしょう。ありますか。あったら、それは聞かせてもらいたい。だから、そのもとに立ってわれわれがやっている事柄が矛盾があるとおっしゃるなら、これは幾らでも説明します。矛盾はないのです。  日米安保条約、同時に、私が昨年参りまして、ニクソン大統領と話した共同声明、これは、一体どこが問題なんです。私は、それは問題はないと思うのですよ。いま、佐藤は種をまいたんじゃないか、曲解を与えたんじゃないか、原因はおまえのほうにあるんだ、こう言って社会党から責められるが、私は、とんでもないいわれだと思うのです。私どもが、憲法改正をして、そうして、ただいまのような声明をするなら、これは、言われるように、私がまいた種だ、こう言ってしかるべきだと思うのです。しかし、私ども何ら変わっていないんだ。しかし、最近の日本軍国主義化している、そのあらわれとして日米共同声明、それを取り上げられる。これが誤解あるいは曲解じゃなくして何でありましょう。私の申し上げたいのはそこなんです。だから、基本的な問題を十分つかまえ、そうして、すみっこのほうの、洋服の先か何か知らないが、そこをつかまえて、どうもおまえは軍国主義化している、とんでもない話だ、こんなことじゃ、一緒に仲よくやっていけない。これじゃ、ちょっと話が違うんじゃないか。私はそう思うのですよ。
  7. 大出俊

    大出委員 どうも、群盲象をなでるということばがあるが、象のしっぽか何かを私がなでているみたいなことをおっしゃる。私は本質を申し上げているのだけれども、あなたは本質を避けて通っておいでになるから、もう一ぺん言いましょう。  安保条約というものがまずある。佐藤ニクソン共同声明が出た。質的に非常に大きく変わった。どう変わったか。中国大陸の一部だと考えなければならぬ台湾拡大をした。具体的に申しますと、これはあなた、佐藤ニクソン共同声明の前に、おいでになるときに、私は何べんもあなたに念を押しました。慎重にいたします、事前協議についても、イエスと言う場合があり得るということをあなたは漏らされた。これはだめだ、たいへんアジアの緊張を高めるから、日本戦争に巻き込まれる危険性を内包することになるからと、ずいぶんこれは申し上げた。  そこで、これは、ここにもありますが、中国側古井さんとの交渉で何を言っているかというと、例をあげている。もしも、台湾独立運動でも起こして、いわゆる大陸反攻ということで戦争が始まった、毛沢東中国台湾蒋介石政権との間で。その場合に、アメリカが当然、台湾との関係行動を起こす。その場合に、今度の共同声明からいけば、台湾の安全というものは日本の安全にとって重要な要素だというのがくっついている。そうだとすると、日本軍事基地アメリカが使う、プラス日本が出ていくことがもしあるとすれば、ということまでいっておりますけれども、その手前だけでものを言っても、今度の共同声明からすれば、事前協議というものについてイエスと言う場合があり得るということ。しかもそれを前向きで決定するということをあなたはおっしゃっているんだから、私が考えても、一つ間違ったら日本基地を使わせる。旧来は、おにいさんの岸さんの時代に、事前協議はすべてノーと言うといわれた。きょうだいでも腹の中は違うとあなたは参議院で答弁されたから、そのことは私は問わないけれども、あなたの姿勢、あなたの取りきめてきた中身からすれば、日本軍事基地を使わせる。当然あり得る。いままではなかった、事前協議はすべてノーと言うと言い切り続けたんだから。そうだとすれば、相手方が質的に変化した、台湾蒋介石政権毛沢東中国との間に紛争が起こった、戦争が起こった場合に、アメリカ日本は話し合って共同声明出しているんだから、日本軍事基地を使わせる。当然です。そう解釈するのはあたりまえです。そうなると相手が、これはたいへんなことになったという認識を持つのはあたりまえです。あれだけのことを言いたくなるのはあたりまえです。  しかも、それによって日本攻撃をされたらどうかということを聞いたら、報復攻撃であるとすれば、それは第二の侵略だと、本会議であなたはお答えになった。第五条に基づいて、日本アメリカ一緒になって戦うのはあたりまえだ。そうなると、日本中国と戦うことはあり得ることになる、憲法上の派兵だあるいは派遣だということは抜きにして。そうなれば、第二の侵略と答えたあなたの立場からすれば、第二の侵略というあなたが解釈をする事態が起こらぬ限りはない。もしあれば、第五条に基づいて日米共同戦闘が当然行なわれるんだから、自衛の名のもとに。相手が受け取る受け取り方とすれば、国内問題に日本が干渉して、アメリカ一緒になって戦う態度をきめたんだと言われてもしかたがない。ここにまず第一の本質がある。そうなるでしょう。避けて通っちゃいけませんよ、あなたがそうきめてきたんだから。それはいけませんよと言ったら、あなたは、そうはいかない、事前協議というものについて、イエスと言うことは当然あり得るというふうにお答えになって、おいでになった。結果的にそうなった。そうでしょう。それだけ違った。つまり質的に変えた。たいへんな変え方をした。それはあなたがおつくりになった、責任者として。あなたがまいた種でしょう。どうですか。
  8. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 ニクソンと私との共同声明、これは私どもつくったのですから、それは避けて通ろうとは申しません。しかし、私はいま聞きますが、たいへん周首相に対して御理解のあることばのようだが、私ども間違っていますか。いまのもとをもっと考えて、日本憲法——日本は軍国化しつつありますか。そのことをまずひとつ考えてもらいたい。周首相発言、その一言半句じゃないのですね。一体日本軍国主義化しつつあるのですか。そのことをひとつ認識一緒にしようじゃないですか。さようにお考えなんですか。(大出委員「多分に危険があると考えているのですよ」と呼ぶ)もし、日本軍国主義化してないんだということなら、これはもう話が非常にわかりいいんだ。しかし、何だか、中共周恩来首相の言をかりて、日本が軍国化しつつあるように言われる。憲法改正でもするとか、あるいは徴兵制度でもしくとか、こういうお話のようにされるような気がするのです。ニクソン大統領と私との共同声明はたいへん危険なものを含んでいる、こういうことでただいま御説明になりました。しかし、いまはそういう事態ではないけれども台湾海峡に問題が起これば、これはたいへんな問題だ。日本の国の安全に重大なる影響を及ぼす。これは申すまでもなく、日米安全保障条約で私どもがこの国を守っていただくと同時に軍事基地を提供しておる。したがって、アメリカに対して、やはり事前協議の問題ではありますが、われわれは国益に照らして、ノーと言う場合もあれば、イエスと言う場合もある、かように言っている。だから、そういう意味で、ただいまのような事態が起きて、そうして、これは国益上私ども同意せざるを得ない、こうなれば、これは同意することがある。そういう場合に、日本軍事基地を提供したんだから、そこをまず攻撃しようじゃないか、こういって中共から日本を襲撃すれば、これは第二の侵略が始まった、かように私が思うのは当然じゃないですか。その場合に、それは日本が提供しているから進撃を受けるのは当然だ、かようにお考えになるですか。日本侵略を受けるのは当然だ、かように言われてこそ初めてあなたの御議論が成り立つ。私はさようなことはないと思う。だから私はいまの日米安全保障条約を締結している。そうして日本の安全を確保している。われわれは軍事基地を提供する義務がある。それを提供している。だからしたがってこの救援におもむく場合にも、相談を受けたら事前協議がある。イエスもあればノーもある。われわれ国益に照らして、これは大戦争になると思えばノーと言うでしょうし、われわれはそれが一局部の問題であり、緊急を要するなら、そのときの情勢で国益に合致するかどうかを十分判断してイエスと言う場合もあるだろう、そのことを言っている。イエスと言って日本から出撃したからこれは基地だ、だからまずそれを攻撃するんだ、こう言って中共攻撃した、それは当然だ、かように言われる。どうも私はそこがちょっとわからない。
  9. 大出俊

    大出委員 これは総理、私は本会議でもあれだけ詳しく原稿を先に差し上げてあるのだから、ちゃんと書いてある。理由づけしてある。二つ提起されたから二つはっきり申しましょう。だいぶはっきりいま総理お答えになったから、ずいぶん問題点ば明確になったと私は思う。  そこでまず第一点は、あとのほうから申しますが、総理はいま、局部的な戦闘で終わるとかあるいは大戦争になるかわからぬ、大きな戦争になるということになるとすれば事前協議ノーと言う場合もあり得る。局地的な戦争、局部的な戦争で終わるとすればイエスと言うこともあり得る、しかも緊急を要するということならば、こうお答えになっている。そのいずれにしても、戦争というものは、局地的なつもりでアメリカだってベトナム戦争をやったのだが、局地的には終わらなかった。あれだけ大きくなってしまった。何年もかかった。だから総理が、局地的だと思って国防会議責任者という立場で断を下したって、大きくなるかもしれない。しかしそのことはいま問わない。問わないけれども、新しい佐藤ニクソン共同声明意味するものは、台湾蒋介石政権中国毛沢東政権の間に——これは国内問題ですよ、さっきお認めになったとおり——争いが起こった、戦争が起こった、その場合に、いま佐藤総理お答えになったように、日本日米安保条約基地を提供している。だからアメリカは、米華条約もございますから、当然日本基地を使って戦闘行動に入る。当然事前協議になる。局地的な戦争だとお考えになってイエスと言った。こう進んでいくわけですよ、いま総理の答えたのは。その場合に日本から飛んでくる飛行機、これは戦闘作戦行動の任務を命ぜられて飛んでいる飛行機ですから、相手からとってみれば日本基地から飛んでくる、こうなる。そうすると、それを総理侵略行為だと解釈をなさろうとなさらなかろうと、日本攻撃を受けることがあり得る。なぜか。これは国際法的にも、基地を提供しているのですから、日本幾ら中立だと言ったって、その区域について相手方攻撃することはあり得る。これは国際法でも多数意見です。あなたは楢崎質問でこのところを非常に逃げておられるが、議事録によれば最後は認めておられる。そうすると、攻撃されることは予測されている。そうなると、安保五条に基づいて、六条の岸・ハーター交換公文による事前協議イエスと言っているのですから、そうすると、あなたが言う侵略、これも戦争の一種です、日本攻撃されるのだから。そうすると共同戦闘をやることになる。このことは客観的に見て、日本中国毛沢東政権と戦うことになる。しかもその一番の出発は中国の国内問題なのです。そうだとすると、そこまで予測が——総理みずから認めているのだから、そうである限りは私は何も毛沢東さんに同調しているわけでも、周恩来さんに同調しているわけでもない。私は日本社会党です。中国社会党じゃない、日本社会党だ。決して同調なんかしてない。してないが、冷厳な事実は争えない。そうだとすれば、内政問題に佐藤ニクソン共同声明で足を入れて、しかもそのことは第二の侵略の名において共同戦闘にまで発展する可能性を持っている。これだけ間違いない。お認めになった。そうだとすれば、旧来のいろいろないきさつを乗り越えて、周総理が朝鮮民主主義人民共和国に行って共同声明を出そうとされたり、古井さんとの交渉の席上でああいう言い方をされたりするのは当然理由はある。私は、だからこそ日本の安全と平和ということを考えれば——昔の釜山赤旗論的に韓国の安全は日本の安全にとって大切だということで、さて今度は朝鮮の安全をほんとうに確保しようとすれば満州の安全、これが直接関係してその満州に入っていったというのが先例ですよ。その満州に入っていったということは何かといえば、過去の二十年前の歴史ですよ、中国にとってみれば。それを繰り返されたんじゃという気持ちになるのはあたりまえでしょう。しかもいま一生懸命韓国、台湾に資本輸出をされる、政府ベースにおける経済援助をどんどんされる。つまり新しい佐藤ニクソン共同声明下における外交の重点だってそっちを向いている。そうなると、政治的不安定の地域に資本輸出をするのですから、当然国益という問題とからんで向こうがそう予測するのはあたりまえでしょう。古井さんが手記の中で言っている。これは私は党内の問題よりも国内の問題をまず考える。もう一つ言っている。きょうの問題よりもあすの問題、現在の問題よりも将来の問題、このほうが政治という意味では大切だ、だからそういう意味で私はこのコミュニケに賛成したのだということを言っている。私もそうだと思う。私はそれは非常に尊敬すべき意見だと思いますね、ほんとうに。なぜならば、やはりそこに大きな問題を感ずるからですよ。一つのルートだけは残しておきたいという気持ちもおありでしょうけれども、これが総理が言っておられる二番目の点の中心ですから。その現実をあなたが否定されれば別だ。認められた。ならば、向こうがものを言うのはあたりまえ。種はあなたがまいた。ならば、この種をまいたあなたが、これからどうすれば日中問題をほんとうに前向きに片づけ、軌道に乗せるという努力をなさるかなさらぬかという問題とからむ。二年先、三年先のことを言っちゃ困るよ。  第一の問題、軍国主義の問題ですが、いま軍国主義になっちゃったらたいへんです。私がこんなことを言ったらたいへんなことになってしまう。そこまで言ってないということくらいだれだってわかっている。しかし、憲法憲法といまおっしゃるけれども、それは皆さんの党の体質から憲法調査会をこしらえて高柳さんにいろいろやらせたことだってある。背景にある財界の皆さんだって、去年の四月二十三日、桜田武日経連専務理事も言っておられる。日本は半国家だ、日本の安全は韓国とアメリカのタックスペイアーの、納税者の負担によってまかなわれている、だから自主防衛が必要だ、兵器生産の拡大と兵器輸出が必要だ、こうなっていって、秋の日経連総会で憲法九条は最も自主防衛の障害だからとってしまえという意見になった。これは天下周知の事実でしょう。しかも昨年の四月二十三日からぴったり一カ月置いた五月二十三日に経団連総会で植村さんが自主防衛決議をされて論争されている。しかも、さらに六月には日本兵器工業会の大久保謙さんがフランス、西ドイツ並みのGNP生産の——当時五十一億という違いがありますけれども、四%、年額二兆円の防衛予算を組めと言った。そうでしょう。そこまで激しいことをずうっと財界が言っておられるでしょう。そこで昨年の八月七日、船田中さん、安保調査会の会長さんですが、自主防衛の強化と兵器生産の拡大と兵器輸出と百万人の国土防衛隊をつくれ、こうおっしゃった。いま衆議院の議長でしょう。これはたいへんなことですよ、相手方から見れば、私自身国内にいてそう思うのだから。そこへきて今度は中曽根さん、この間私は長官と対話するつもりでじっと聞いた。有田さんのときと変わっていないのじゃないかとわざわざ私は言っている。これから先きめることばかりなんですよ、長官のおっしゃることは。やれ制空権がどっちを向いた、海上防衛を強化するの、ロケット艇をどうの、五原則からたくさんおっしゃった。基本的に一番大きな問題は国防の基本方針の変更という問題ですよ。自主防衛を基調として安保条約というもので補完する、この趣旨に変えようということなんです。しかしそれらはこれからなんですから、党内では、いま中曽根さんがまだ先のことをみんなやってしまったら、あと防衛庁長官に秋あたりかわった人はやることがなくなってしまう、中曽根ものを言い過ぎるじゃないか、こう言っている話だって耳に入る。古井さんが苦心惨たんしている世の中に、中曽根さんはそんなに急いでばんばかばんばか前へ進め。現在そう変わっていないのだから、いまそこまでおっしゃるのはいささかいかがなものかと思いますよ。きょうものを言ったって向こうはすぐ受け取るのだから、苦労するだけになってしまうから、まして共同声明が出ているのだから、そういうつもりで実は私は静かにものを聞いてみた。しかし最後にどうしても、たいへん変わっているんだということをおっしゃる。一番最後の結語も、変わっている、変わるんです、こうです。そうなると、向こうだってその変わり方を軍備強化に狂奔していると言いたくなるでしょう。しかも予算だって、四次防予算は六兆四千億を上限にするとお答えになっておる。四次防の積算をずっと聞いてみたら、それは関係ない、六兆四千億というのは諸政策との関係で上限だと考えているんだとおっしゃる。三次防自体が二兆三千四百億です。これを四次防段階で六兆四千億という最高限をお考えになるとすれば、財界を含めて軍備強化に狂奔をする、しかも政治の分野でも船田さんがああいうことを言ったら、産軍政一体だ、ミニ産軍体制だなんて言いたくなる。そうだとすると、いま私は軍国主義になっているとは思っていないが、しかし将来そういうことになったらたいへんだ、その方向に向いている、そういうふうに私は考えている。だから向こうだってああいう受け取り方をする。私はそうなっちゃ困るから言うのです。そうでしょう。総理がまいた種はやはり刈っていただくという立場をおとりいただきたいのですがね。
  10. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 まず、逆になりますけれども日本が軍国化していない、これだけははっきり認める、ただ周恩来首相がああいうように言いたくなることは十分理解できる、こう言われるが、たいへん同情されるが、私は同情しておりません。このことだけははっきり申し上げておきます。外国の首相が発言して、日本の国がどうなるとかこうなるとか、それはよけいなことです。これは内政干渉もはなはだしい。そういうことに同情される社会党の性格を一ぺん考えられたらどうですか。日本社会党なら日本社会党として独自の歩みをされたらどうですか。私はまずそのことをはっきり申し上げたい。(大出委員日本社会党ですよ」と呼ぶ)そんならあまり外国の首相の言うことに同情せぬがいいですよ。はっきりしたらいい。  それからもう一つ言うが、私は、局地戦争ならイエス、こういうことを言った覚えはございませんよ。もうきめ込んで、大戦争になるならノーだ、局地戦争ならイエスだ、こういうことを言うと言われるけれども、そうじゃない。私は、国益に照らして、国益に合致するならイエスノーも言うということをはっきり言っておる。  それからもう一つ、あなたはたいへんな誤解をしておられるのじゃないか。台湾海峡で問題が起こると言う。そういう場合は、これは一体どういうような事態ですか。中国大陸から台湾に攻めていく場合もあるでしょう。台湾から大陸に攻めていく場合もあるでしょう。そのいずれも考えていかなければ、一方的にこれはどうも台湾政府中華民国のほうに全責任があるような言い方をされてもわからないんじゃないですか。だからその議論をなさるならそういうこともよく考えて、そしてほんとうにひざ突き合わせて話ししようじゃないですか。私はそこらに日本のほんとうの自衛体制の必要があると思う。台湾自身、中国大陸反攻をあれだけ言っておっても、私どもよもややれるとは思いませんよ。そのことを考えれば、やはり事態が起こるということは、大陸から台湾に対する攻撃があって初めて起こるんじゃないでしょうか。そうすると、この事態は、幾ら中国国内の問題だと言っても、私どもが承認している国自身やはり関心なきを得ないでしょう。そしてそのことがさらに全体に波及するというような危険があればなおさらのことです。ことに日米安全保障条約というものは日本だけの安全確保じゃない。極東の安全について、これをやはり維持しようという意味からできているんじゃないですか。そういう意味から日本がやはり基地を提供している、かように私思います。したがって別にいまとやかく言われるような筋はないと私は思う。だから私は、それは誤解と言い曲解だと言っている。いま言われるように、財界の一部、桜田君がどう言ったとか、あるいはうちの代議士のだれがどう言ったとか——どもが党議をちゃんときめてどうこうしたというのならそれこそいかような批判でも受けます。それは幾ら外国の首相だろうが、はっきり日本を、軍国主義を歩むものだ、こういって——そればいいでしょう。しかし、いまあらゆる努力をしてそういうことを避けて、そんなこと絶対にやらないと言っているその政府をつかまえて、軍事化に狂奔している、こう言うのは、これこそ曲解じゃないですか。それの発言に同情なさる日本社会党の方というのはどうも私はおかしいと思う。私は、おそらく政治に関与する者としたら、こういうような発言をされて、そうしてその発言はしごくもっともだ、かように同情されることはないだろうと思っていたんだが、そういう方がいらっしゃる。私は意外に思います。
  11. 大出俊

    大出委員 総理、あなたは昔郵政大臣で、私は全逓の青年部長でずいぶんかみついたもんだけれども、若いときの総理はそういきなりおこらなかったが、最近はお年をおとりになったせいで簡単におおこりになる。ずいぶん長いおつき合いで、私をとつつかまえてあなた日本社会党ですかという言いぐさないと思うんだ。しかし、私は初めてこれを言っているんじゃないですよ。あなたがアメリカに行かれる前に、予算委員会の部屋で内閣委員会をやったあのときに、アメリカ佐藤さんがニクソンさんともしこういう合意のしかたをすれば、つまり事前協議というものがすべてノーであるとなっているのを、イエスと言う場合もあり得るということで安保条約解釈アジア地域に拡大をすれば、日本の安全にとってえらいことになる。しかも極東周辺の国々には国交を回復してない国もあるわけだから、緊張を高めるという形でのいろいろな問題が起こる。だから日本国の国民の安全のために、現在ある安保条約体制というものをこれ以上エスカレートさせちゃ困るということで私は何べんも言った。ところが私が申し上げたらあなたは、慎重にやりますという最後のおことばだった。慎重にやった結果が一つも変わらない。あのときにあなたが答えたとおりなんです。だから私は、それじゃたいへんなことが起こりますぞと申し上げておる。それが現実になっている。しかも国内的には狂奔する——私は狂奔していると思っている、そこのところは。決して中国社会党ではない。日本社会党ですよ。だから兵器生産のワクを拡大しろ——自衛隊の板谷統合幕僚長さんなんか何と言ったかというと、板谷さんがあの職におつきになったときにこんなワクの中に写真が載って、憲法あっての日本じゃない、日本という国あっての憲法だなんてことを堂堂とおっしゃる。あなたに関係ないことはないですよ、あなたは国防会議の最高責任者なんだから。そうでしょう。あなたは一生懸命憲法を守ります守りますと言うけれども、中身は大きくかけ離れている。自衛隊という名の軍隊ができている、こう私は思わざるを得ない立場にある。これは決して中国立場ではない。日本立場です。日本の将来の安全と平和を心配するからです。一つも私は間違っているんじゃない。初めて言うんじゃない。何べんもこれは念を押したことです。あなたは世論的に、日本の一般の人たちの感情を抜き打ち解散でうまくこっちに向けたとお思いかもしらぬけれども、時が過ぎればこれはわかる。いいですか。ここにリーサー氏の証言の一部が発表された。アメリカの陸軍長官が、太平洋地域における補給中継輸送基地は、ベトナムの問題も含めて沖繩に集中をするのだということを明らかにしている。これをめぐって沖繩で、けさの新聞にありますとおり——私は基地県ですから、私の地域の新聞なんかはずいぶん明確に書いている。沖繩においても、ペテンである、うそであるということを各党がみんな言っている。どうなっているかというと、ここにCCFというものをつくる。セントラル・コントロール・ファシリティーを設置し、東北及び東南アジアの陸軍部隊向けの補給について管理、計画、予算作成などを一括して行なうことが明らかになっている。正式に発表されている。そうなるとこれは東郷アメリカ局長がいみじくも言ったように、安保条約上は極東という解釈があるということで、それは日本側としては受け入れられないということを答えている。愛知外務大臣も重ねて本会議でそう言っている。しかし発表された中身からすれば、明らかに極東の範囲というものは全く無視されておる。だから、大騒ぎが沖繩で起こっておる。こんなに大きく書いてある。そうなると、これは沖繩が本土並みといっても、やはりそうじゃない、沖繩の諸君がそう思うのは、あたりまえです。そうだとすれば、相手方の国が、沖繩問題についてものを言うのは、やはりあたりまえですよ。だから、そこを、いまのように横を向いて、何を内政干渉だということをあなたはおっしゃるけれども、内政干渉をしたのは、あなたのほうです。台湾まで軍事的な範囲を拡大して、日本にとって重要な要素だなんということで、一つ間違ったら軍事基地を提供するという、そういう姿勢をとったら——それは、あなたのほうが冒頭にお認めになっておるでしょう。台湾というのは、中国の問題です。国内問題なんです。そこまで足をかければ、向こうだってものを言いたくなるでしょう。私は、中国社会党じゃない、日本社会党ですから、お断わりしておきます。それから、あなたは大きな戦争になるということで、ノーと言うこともあり得る、局地とは言わなかったが、局部的な戦争で、しかも緊急を要するということならイエスということもあり得る。これは議事録を見たらわかりますよ。御自分で言ったことを忘れて、私が先入主を持っておると言う。そんなことはないですよ。私も餓鬼——餓鬼じゃない、青年部長、そのときからあなたを知っておるのだから、誤解もロッカイもないのですよ。あなたの性格だから、そういうことを言うのはわかる。わかるから、重要だと申し上げておる。そうでしょう。あなたは、やはりそこのところは、みずからまいた種は刈りとってもらわなければ困る。何といってみても、七〇年代のアジア地域における極東の平和というものは、中曽根さんがいつもおっしゃっておるのだが、軍事優先ではない、外交優先だ、その外交優先でなければならぬ、私も賛成です。その立場であなたも片づけるように前向きになってもらわなければ困るのですよ。いかがですか、そこのところは。
  12. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、日本国益に照らしてイエスもあればノーもある、こういうことをはっきり言っておる。それは局地戦の場合はイエス、これは国益に合致するという、さような言い方はしておらないつもりでございます。これは、いずれよく速記録を読んでいただけははっきりします。いま申し上げるように、いろいろ議論はございます。ございますが、とにかく私は、ここで申し上げるまでもなく、日本を軍国化するつもりはございませんし、また皆さん方も許されない、国会が第一許さない、かように私は思っておりますから、これはもう安心だ、かように外国に対しても胸を張って言っていただきたいのです。政府がどうあろうと、国会自身がそういうことは許さない、これはもうはっきり言っていただきたい。これは私は、国会のつとめだと思いますので、周恩来首相がどう言おうと、もう日本社会党立場から、周恩来首相の傘下じゃないのだから、必ず胸を張って国会は許さない、これはもうはっきり言っていただきたいと思います。そういうようなことは、もう考えないでくださいよ。われわれは平和に徹する国だ、それでやっていこう、またそのことを言っておるのです。しかし日本は、安全を確保する意味において、自衛力だけでは足らないから、日米安全保障条約を結んでおる。そのことは、はっきり御賛成ではないか。これはやはり国民の大多数が支持しておりますから、このことも認めていただきたいと思います。安全保障条約を締結する以上、日本の安全も確保するが、同時に軍事基地はつくる、この意味においての事前協議はある。その事前協議は、先ほど来何度も申し上げますように、国益に照らしてノーもあるがイエスもあるのだ、このことを誤解のないように願っておきたいと思います。そうして敵視政策をとるとか、あるいはいわゆるどうこうするとか言われるが、台湾海峡に問題が起こるということは、重ねて申しますが、台湾からだけ大陸反攻するという、そういう場合だけが問題が起こるのではありません。やはり大陸から台湾解放という運動は出てくるのですよ。そういう場合もあり得るのです。そういう事態に一体どう対処するか、ここらのこともよく考えておいてもらいたいと思います。私は、韓国と同じように、台湾地域というものは、わが国に近接している地域だ、かように思いますし、これは、わが国に対する直接の進撃、侵略ではございませんけれども、私どもも、よほど気をつけなければならない問題だ、かように思っております。したがって、それより以上には、ニクソン大統領とのコミュニケでは出てないはずであります。だから、その点は十分御理解をいただきたいと思います。  それからまた、ただいま新聞をお読みになりましたが、最近アジアあるいはもっと広い範囲を軍事基地にする、こういうものが出ております。けさ私もそれを聞いてびっくりしている。しかし、こういうことは、いずれ沖繩自身が日本に祖国復帰すれば、そのときには十分協議しなければきめ得ないことでありますから、いま施政権を持っているアメリカだから、かってなことを言っていると思いますけれども、それは、そのときになって十分協議すべきだ、かように思います。  簡単に申し上げて、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  13. 大出俊

    大出委員 私ども決して誤解をしていない。正解をしている。だから、これは私心配なんです。あなたは、いまびっくりしたとおっしゃっているのですから、まさかああいうことをリーサー氏が言っているとは思わなかったのでしょう。だから、びっくりしている。あれでは極東の範囲もへちまもないということですから、これは明確にいまのうちに断わっておかなければ、日本政府の意思をはっきりしておかなければ、無用の混乱が沖繩に起こるから、そのことを言っておるのです。内政干渉、内政干渉と言うけれども、あなたのほうから台湾に足をかけるから、向こうもああ言っている。だから、お互いさまです。私は、決して中国社会党ではない。日本社会党でものを言っている。これだけは申し上げでおきます。  そこで四、五分、時間をかりまして、せっかく金谷さんにおいでをいただきましたから、一言承っておきたいことがあるのでありますが、ゴルフ場問題で、最近、私も資料をいろいろ入手いたしておりますが、私に言わせると、これはどうもまずいですよ。必要ならば、いかようにも資料を出しますし、証人を参考人として呼んでいただきますが、大厚木カントリーというゴルフクラブ、本社が大阪市北区万歳町、スポーツ振興株式会社という会社が経営して、木下俊男さんという社長さん、金谷さんは、この木下さんという方は、よく御存じのはずだと思いますが、そうでございましょうね。
  14. 金谷武彦

    ○金谷説明員 同郷の友人でございます。
  15. 大出俊

    大出委員 同郷の友人だという話でございますから、それ以上の御関係を承ることは、失礼ですからいたしませんが、この方がゴルフ場をおつくりになるということで、大厚木に計画をお立てになった。それが一年ばかり延びております。本年の六月、こういうのだそうでありますが、さて、ここで発起人になった方々がずらっと並んでいる。勧業銀行の会長さん武田満作さん、それから三菱電機の社長で、例の兵器工業会の会長である大久保謙さん、日本石油の社長さんである上村英輔さん、日本石油にも防衛庁からずいぶんたくさんの方が行っていらっしゃる。これは私、天下りの問題のときに資料を集めたので、全部持っております。それから三菱電機にも防衛庁からたくさんの方が行っていらっしゃいます。また、いすゞ自動車、ここの社長の大橋英吉さん、ここにもずいぶんたくさんの方が防衛庁からおいでになっている。それから小松製作所の社長さんの河合良一さん、ここも同様で、ずいぶんたくさんの人が、装甲車をずいぶんつくっておりますから、行っていらっしゃる。それから川崎重工業の社長さんの四本潔さん、ここもたいへんな取引先です。それから横浜ゴムの社長さんの島崎敬夫さん、ここも防衛庁からずいぶんたくさん行っておられる。こういう方々が発起人です。私、これを調べてみたところが、金谷さんは、調達実施本部に御関係の会社にだいぶ口をきいておられる。これらの発起人でこれだけのものをおつくりになったが、最初は千二百人ばかりの方を集めるというので、二十七ホールかそこらの——私は、ゴルフをよく知りませんが、構想であった。ところが口をきかれて、いろいろスポンサーが出てきて、会員もふえてきた。いつになっても募集をやめないということになってくると、これは五千人から七千人近く集まってきているということで問題が起こって、御存じのとおりに応募した会員諸君が刷新をしなければならぬというので内紛が起こった。その中で前田久吉さんなんかやめてしまった。東京タワーの会長さん。前田さん、かんかんにおこっていますよ。この方の性格上、お国のためになる庶民一般のゴルフ場ができる、そういう意味で賛成をした。そうしたところが、木下というやつは調べてみたらとんでもないやつだ。あれは確かにとんでもないはずの男だった。とんでもない前がある。前があるということばはよくないけれども、そうでしょう。そこへもってきて今度は、防衛庁がてっぺんからものを言うなんということはとんでもないことだ、お国のためにならぬということで出てきた。国会へ出ていって証人でものを言ってもいいという、そこまでのことを言っている。だから私がこの席で提起しているのは、前田さんにおいでをいただこうと思って理事会に提案をいたしますよ。本部長さん、あなたは、雑誌だから、人が書いたのですからほんとうかわかりませんが、次官におなりになろうという方ですし、——そう書いてありました、真実のほどはわかりませんけれども、これは長官の御意思ですから。だけれども、四次防というものを目の前にして、そこに蒲谷さんおいでになりますけれども、通産省からおいでになった森田さんがおなくなりになったり、山口空将補さんがおなくなりになったり、私はそういうようなときに引っ張り出されて、党の立場から質問させられた。しょうがないけれども、いい気持ちはしませんよ。私は、こういう時期はよほど気をつけてもらわなければ困る。そういう意味で、あなたは方々に口をおききになった、どういう意図で口をきかれたのですか、承りたいのですが。
  16. 金谷武彦

    ○金谷説明員 発起人につきましては、会長、社長が直接皆さんに御依頼になったように承っておりまして、私は関係いたしておりません。
  17. 大出俊

    大出委員 それはそういう形をおとりになったのでしょう。あなたはそういうことをおっしゃったって、一カ所や二カ所じゃないですよ。あなたはそんなこと言ったって、起工式にもおいでになっているじゃないですか。ちゃんと写真までありますよ。なんでおいでになったのですか。どういう資格ですか。
  18. 金谷武彦

    ○金谷説明員 クラブハウスの起工式がございますので、入会者の代表ということで玉ぐしをあげてもらいたいという御依頼がありましたので、当地に二十分ほどおったということでございまして、当日休暇をとって参りました。
  19. 大出俊

    大出委員 それは休暇というのはあとから処理もできますから。あなたは去年の七月九日行っておられるのですね。水曜日です。ウイークデーです。明確に、写真にちゃんと写っていますから。御無礼ですから出しませんが、あなたは中心ですよ。方方からその話が出ているのですよ。一カ所や二カ所じゃない。新聞が書こうとしたとき、営業のほうから、その記事はやめてくれ、編集のほうは書かせろという。冗談じゃないですよ。しかもあなたはある人に、そういうことを個人の資格でやったとまでおっしゃっている。私は人を出したっていいですよ。そういうことで、ゴルフの問題というものは何の法的規制もない。総理もゴルフはお好きのようだ。よくゴルフ焼けされて答弁されるのですから、たいへんお好きのようです。ですから事情は私より総理がよく知っていると思う。私はゴルフのルールも知らない。だけれども、とにかく防衛庁の調達本部長さんが、自分の関係のある会社が一ぱいあって、てっぺんからものを言うようなことを、個人の資格であったって言ってはいけませんよ。私はそう思う。あなたは水曜日、休暇とおっしゃるけれども、行ったことはお認めになった。防衛庁という重大な役所の機構の中にあって、休暇までとって起工式においでにならなければならない。それはプライベートなことはありましょう。ありましょうけれども、増田さんのときに、防衛庁の方々が方々でゴルフをやって、それが時間中で何とか名目をつけてやっておって、写真まであって、増田さんがあやまったことは御存じでしょう。島田さんが往生した。あのときに私はおったんだ。そういうことはいけませんよ。こういう時期に何と心得ているのですか。もう少し先があるので、そこのところまずあなたの考えを聞きたい。どういうつもりですか。
  20. 金谷武彦

    ○金谷説明員 御説のように今後行動を慎重にいたしたいと思います。
  21. 大出俊

    大出委員 もう一つ承りたいのですが、同郷の友人木下さんという方、そうなると、どういう方かということはあなたよく知っておると思う。個人の名誉でございますから、私はそれ以上言いませんが、感心しない。  そこで白浜の温泉がございますね。ここの白浜温泉に、何々荘にしておきましょう。これは木下さんが買った。あなたにお使いくださいと言っておる。それは友人だからいいということかもしれない。しかしこういうことも勘ぐればいろいろあるでしょう。私は理事会に提起をして言うておる方に出てもらいますけれども、あなたは、やはり今後気をつけますといまおっしゃったが、まだほかに意図があるのではないか。これもうそかほんとうかわからぬけれども、人間の気持ちだからわかりませんけれども、和歌山から選挙にお出になるとかなんとかいう話まである。そうなると、ますますもって不可解なんですよ。したがって、そこのところをもう一ぺん、そこまで言う必要はありません、あなたのお立場もありますから、簡単でけっこうですから……。
  22. 金谷武彦

    ○金谷説明員 白浜の旅館のことだと思いますが、それは、実は私の中学校の同級生が向こうにおりまして、本人は織物会社の社長をしておりまして、それがかたわら旅館を経営しておりましたが、しろうとなものですから非常に経営が困難になったということで、だれかに売りたいということで売り口をさがしておったのですが、たまたまこの人に買ってもらったんだといって私に話があった、そういう程度でございまして、それ以外に何も関係はありません。それはゴルフ場の問題がどうこうというずっと以前のことだと思います。
  23. 大出俊

    大出委員 私が言い過ぎであるとすれば、それは訂正いたしますが、私の調べた限り——時間がありませんから、実は同僚の時間を使ってしまって何とも申しわけないが、実は私の調べた限り、それはあなたいろいろおっしゃるけれども、どうもそれこそ、それも誤解だ、曲解だとおっしゃるかもしれぬが、私の調べた限りは、たいへんなことがいろいろあるのです。こういうことを現職ですから、しかも八十くらいの会社にあなたものを言ったという人までいる。しかもあなたを通していろいろ聞いた方の話によると、個人の資格でということをあなたはおっしゃったということまで言う。そうすると、これは捨てておけない。総理、これは事はこれだけゴルフ場の問題等でやかましい。千二百人ということになっておる。日曜に行ったってやれはしないということで、金を集め過ぎておる。それでこういう大騒ぎが起こった。これは捨てておけませんよ、総理。私はあなた個人を傷つける気はない。ただ不可解千万だ。防衛庁にこういうことがあってはいかぬと思っておる。天下りだってそのままにしておいちゃいかぬ、何とかしなければならぬ。そういうことも含めて総理の御見解を伺って終わりたいと思います。
  24. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私もゴルフが好きですから、しばしばゴルフの問題についてとやかく言われるのですが、最近は、はっきり普通の日はやらない、ただ日曜日だけ、日曜ゴルファー、こういうことでございます。こういう事柄は非常に厳格にやってもなおかつしばしばいろいろとやかく思われやすいものであります。ただいまのように公私の区別ははっきりしておるとは思いますけれども、どうも事柄は公私の区別が混淆しやすい、さような御注意だと思います。私どもも各人の休日における自由な行動、それは拘束しようとは思いませんけれども、公私の区別ははっきりさせて、そうして不信、誤解を招かないように一そう注意する。またいまのゴルフ場の問題ですが、私は千五百人も会員をとる、そういうゴルフ場は実際はできないようなことじゃないだろうかと思います。最近はどうもゴルフ場経営が、損をしない、そういう関係で会員を相当多数にしているところが多いようです。このことは、むしろメンバー自身がゴルフができないといって苦情を申しておるようでございますから、当然適当な数であるべきだ、かように私も思います。御注意ありがとうございます。気をつけます。
  25. 天野公義

    天野委員長 木原実君。
  26. 木原実

    ○木原委員 総理一つだけお伺いをいたしたいと思います。  去る四十二年アメリカに渡られまして、時のジョンソン大統領と会談をなされたときに、中国は脅威である、核兵器を持つ中国日本にとっても脅威である、こういうことを述べられて共同声明に出ておるのです。考えてみますと、これはたいへんなことだと思うのです。一国の元首が同盟国の元首のところにおもむいて、私の隣の国はわれわれにとっても脅威である、こう声明をされた、これはたいへんなことだと私は思います。当時、帰られまして羽田での第一声が、御案内のとおり、国民は自分の国は自分の力で守る気概を持て、こう発表された。あれこれ考え合わせてみますと、これは先ほどの同僚議員の質問と関連いたしましてたいへんなことだと思うのですが、いまの中国に対しての御認識はやはり変わりませんか。
  27. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 残念ながら変わりません。
  28. 木原実

    ○木原委員 そうしますと、日本の防衛の基本的な問題は、脅威のある国が隣に存在をする、このことに基づいて立てられている、こう解釈してよろしいですか。
  29. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 日本は、しかし私どもは別に仮想敵国を持っているわけじゃございません。ただいま、なぜ脅威だと、かように言うかというと、御承知のように核武装をしておりますね。そして、それはどんどん進んで充実しつつある、いま国際的には核拡散防止条約、その方向で進みつつある、しかしこれに対する態度も明確にしていない、そして国際的なつき合いをしない、そういう国があること、これはたいへん私は脅威だと思います。それから最近言っておりますことも、今度の広岡君などははっきり言っているが、中共は臨戦体制だ——一体何で臨戦体制をやらなければならないか。私どもいろいろ考えてみまして、私ども自身は平和愛好国家、平和一路、それに進んでおるのですから、どういうところが臨戦体制になっておるのか。そして隣の平和愛好の日本をああいうように頭から攻撃するが、これは一体どうなんでしょう。私はどうもあまり隣のことをとやかくは言いたくないです。あまり批判しますと逆に返ってくるでしょう。あまり言いたくありませんが、お尋ねがあるから、ただ私がふしぎに思っている点だけを明確にしておきます。これはおそらく木原君もそういうようにお感じじゃないだろうかと思います。
  30. 木原実

    ○木原委員 残念ながら時間がありませんが、たいへんその辺に大きな問題があろうかと思います。  もう一つ私が尋ねたいのは、中国が脅威である、仮想敵国云々の問題は長い論議がありまして、御案内のとおりいまだに明確でございません。われわれもまた政府が公式の席で仮想敵国が存在すると言うようなことは、これはもうたいへんでございますから、そのことはあらためて問いませんけれども、ただ日本の防衛を考えていく場合、自主防衛、これからは安保が補完の関係だ、こう言明をされております。その場合に、日本防衛の基本的な基礎は、依然として、総理のおっしゃられるように、やはりわれわれに脅威と感ずる国が隣にある、この前提に基づいて防衛の体制をつくっておるということは、これは御確認いただけますね。
  31. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私はこの国の防衛、安全を確保する、これは二つの対応すべきものがあると思いますね。一つは直接侵略である、もう一つは間接侵略といわれているもの、この二つがある。これは私、国際情勢の考え方から、いま日本に対して直接侵略の危険あり、かように申しておるわけじゃありません。しかし間接侵略のおそれ、同時にまた、間接侵略とは言わないが国内において秩序を破壊する、警察力以上の力をもって破壊しようとするもの、これのあることもわかりますね。これは否定できない。最近の反戦委員会というような名前のもとで(木原委員「これは防衛の対策ですから」と呼ぶ)それはやはり国内対策ですね。そういうものが間接侵略の機会をつくらぬとも限らない。かように考えますと、二つのやはり対策をしなければならぬ。だからいま言われたように、脅威があるからとかなんとかいうことだけでなしに、国際情勢そのものが固まらない、こういう状態のもとにおいては、この国を守る自衛力はやはり必要だ、かように思います。いまのような国内的な体制のものもある、御了承いただきたい。
  32. 木原実

    ○木原委員 残念ながら時間がありません。いずれ、総理が脅威の存在する国がある、こういうことをおっしゃいましたので、それに基づきましてあらためてひとつ防衛庁長官とやりとりをいたしたいと思います。
  33. 天野公義

    天野委員長 伊藤惣助丸君。
  34. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 佐藤総理に、国連憲章改正の問題、また安保問題、基地問題、この三点について基本的な考え方を伺いたいと思います。  総理は去る三月、万博の開会式の前にあたりまして記者会見を行ない、そこで国連憲章改正の問題を発表しました。その内容は、国連憲章にある旧敵国条項の削除問題、また安保理事会の常任理事国に与えられております拒否権のあり方、もう一つは地域紛争解決のための国連軍創設などの問題、このような具体的な問題の提案がなされたわけであります。このことは、わが党としても以前から関心を持ち、さらにウ・タントの日本訪問において、佐藤総理が十五日にウ・タント事務総長と一時間二十分にわたって会談をした、このようにいわれております。また政府としても今秋国連総会でこういった問題を提案する、このようにもいわれております。そこで総理に伺いたいのですが、ウ・タント事務総長との会談で、もちろんこの話は出たと思いますが、ウ・タント事務総長は国連改組の問題はきわめてきびしいというような発言があったように聞いております。そこで、総理にウ・タント事務総長とのこういった問題を話し合った感触について伺いたいわけです。
  35. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 御承知のように、憲章の改正ということになると特別決議を必要とする、そこでなかなかむずかしい問題があります、こういうことをウ・タンさんは言っておられます。しかしだんだんそういう世論が醸成されてくると、おそらくウ・タンさんも善処されるだろう、私はかように思います。ただいま申し上げるように、特別決議を必要とするということでございます。
  36. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 基本的な問題でありますので、少し中身のことを伺いたいと思います。  この一番先の旧敵国条項あるいはまた信託統治条項の削除、これは比較論として容易にできるのではないか、こう思います。しかし安全保障理事会の改組の問題については、理事国の拒否権の対象になる、これが非常に問題なわけであります。そこで、最も考えなければならないことは、特にソ連ですね。ソ連の動向であると思います。アメリカ、イギリス、フランス、こういった国々は、比較的に容易に了解されるという期待はあると思いますけれども、それに比べてソ連は非常にむずかしいのではないか、そう簡単にいかないのではないか、このように思いますが、この問題について総理は今後どう根回しまたは対処をされるか、その点伺いたいわけです。
  37. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 伊藤君にお答えいたしますが、基本的に全部申し上げるというわけに参りませんけれども、要点だけ申し上げると、国連憲章ができた、それからちょうど二十五年たった、しかしその二十五年の間にずいぶん世の中が変わってきているはずだが、どうも憲章そのものは、サンフランシスコでできた当時のその体制のもとで、ただいまなお運営されておる。このことは一つ問題なんじゃないだろうかと思う。  そこで、具体的な問題もさることだが、ただいま二大軍事強国、それは申すまでもなく米ソ、この二大強国が終戦当時緊張していた。その間が緊張であった。そのために生じたものがいわゆる分裂国家だ。それが東西にあり、ことに日本周辺にはその分裂国家が多数ある。三カ国もある。そういうような状態を早く解消していかないと、真の世界の平和は達成されない。国連の真の望むところのものはそれではないか。幸いにして、その二大軍事力を持つ米ソ、その両国はただいま共存関係には立っておる。平和共存関係には立つが、そのときできた分裂国家、それはいまもそのままだ。そうしてアジアにおける分裂国家、これは朝鮮半島また中国、さらにベトナムと三カ国もある。欧州ではドイツ、これは東西に分かれている。しかしこういうものが一日も早く解消されることが国際的に望ましいことで、こういうことをどういうように考えるか。そういう意味では米ソがいま雪解けの状況にある、そのときこそこういうものを解決すべきじゃないか、こういう話も実は腹を割ってお話をしたのであります。それに対するウ・タンさんのお話では、どうもアジアの問題はなかなかむずかしい、ドイツのほうが案外早く片づくのじゃないだろうか、こういうような話もされました。これはそのまま御披露していいことじゃないかと思っております。とにかく私は、やっぱり二大軍事力、この国家がこういう状態について積極的な責任を持つような体制でないと、これからの真の国際平和は達成されないといまだに思っておりますので、そういうことは大っぴらに私は申し上げたいわけであります。最近は、さらにそれに対して中共、北京政府というものがあるし、あるいはEEC諸国もある。またアジアにおける日本のような平和国家の一群もありますから、そういうようなところが勢力分野としてこれから考えられる。アメリカ、ソ連、EEC、中共、さらにまた平和国家群、かように考えていいのではないだろうか、かように思いますから、こういうものをまとめていくところ、それが国際連合である、かように思っております。その基本的な考え方については、大体理解は同じようであります。ことに私どもいま万博を大阪で開催しておりますが、万博こそいまのような点を明示することのできるいい勉強の場じゃないかと思っておる。ここには南北問題もあるし、人種問題もあるし、また各国ともたいへんな差がある。中共こそ参加しておりませんが、その他の国は全部、おもな国が七十七カ国ですか参加しておる。こういうところからもあれはいい勉強の場だ、かように私は見ております。かような事柄がウ・タンさんにどんなふうに印象づけられたか、これはひとつウ・タンさんからもよく聞きたいことであります。  基本的な問題について申し上げました。
  38. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 あまり時間がありませんのでまとめて申し上げますが、この中身を少し見ますと、政府は現在あります常任理事国、五カ国ありますが、その甘貝にもなりたいというような意図がある。そして現在の常任理事国の数はふやしたほうがいいのじゃないか、こういうふうに考えておられるようでありますが、何カ国ぐらいが適当と思っておられるのか。  また準常任理事国の構想、こういうものも一部伝えられておりますが、こういう準常任理事国の役割り、また範囲、あるいはまた何カ国ぐらいでどういう権限を持たせる考えがあるのか、政府考え方について伺いたいわけであります。
  39. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 理事国に日本も立候補して非常任理事国になりたい、いまかように思っております。何カ国がいいか、そこらのことをいまここで申し上げるというわけにもいかないかと思います。どうもこの安保理事会というものが、やっぱり問題になるのはビートーの件だと思います。こういうものが何かもっと解決の方法がないものか。どうも基本的に拒否されるとどうしようもない、そこらにも一つ運営上の問題があるのではないか、かように思います。数が多くなって、いまの拒否権制度がそのまま残れば、よほどむずかしい問題になるだろう、かように思います。
  40. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 私たちが一番注目しておりますのは、国連の平和維持機能のことでございます。その平和維持機能を強化したい、またすべきである、こういう点についてはわが党も強く従来から主張しておりますし、政府もそのようでございます。ただしかし、その平和維持機能というものを強化するにあたっては、いろいろな方策があるわけでございます。これはかつて中曽根長官が、三月三十一日の参議院予算委員会でございますか、ここで国連協力に関連して、国連の平和維持機構参加のため、外務省の方針に従って自衛隊法の改正を検討するかもしれない、または将来にわたって——これは言い直しております。三十一日の夜に記者会見をしまして、言い直しておりますけれども、いずれにしても自衛隊法を改正する方向で発言をしております。その点について防衛庁長官から伺いたい。また総理からもこの点の総理の構想が長官と一致するかどうか、その点について伺いたいわけです。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そのときも申し上げましたように、私は政治家としての哲学で、民族非武装、人類武装、公明党とよく似ているんじゃないかと思いますが、そういう個人哲学を持っておる。できるだけ世界を平和にしていくためには、各国がおのおの個別的に武力を持っているということは、なるたけ早くみんなでなくしたほうがいい。そういう意味で、国際連合の精神及び憲章を守って、できるだけ世界平和をわれわれもつくるように努力していきたいと思っております。  そこで、自衛隊に関しては、目下のところはそういうことはありませんけれども、将来そういう環境が許すようになれば、国連の平和監視行為——これは平和監視行為という意味であって、国連軍という考え方ではないのであります。そういう仕事についても、もし将来環境が許すようになれば、検討してもよいのではないか。もしそういうことが国民世論としても許すようになれば、そのときは自衛隊法の改正ということも検討すべきではないか、そういうことを申し上げたのでございまして、いまどうするということを申し上げたのではございません。
  42. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの中曽根君のお話、おわかりだろうと思っております。私も、いま、国連の今後のあり方、別に力には力をという、こういう意味で国連軍を創設する、こういう考え方は、よもや国連の中にあろうとは思いません。しかし、いわゆる国連というその機構を通じて、やはり紛争を未然に防止するとかあるいは紛争の調停だとか、こういうようなことに乗り出し得るだけの機能を備えたものが必要だろう、かように思います。申すまでもなく、力には力を、こういうことになれば、ソ連よりもアメリカよりも強い軍事力が必要だ、かようなことになるのです。そういうものを持ったら、それこそ第三のアメリカができ、ソ連ができということで、これは望ましい形ではない、かように思います。しかし、別な考え方で、いま言われるように監視機構あるいは未然に防止する、そういう力あるいは調停する機能、こういうようなもの、いろいろ考え方があろうか、かように思っております。
  43. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 公明党も、国連の強化についてはもちろん賛成であります。しかし、その国連の強化という名目で、現在の自衛隊が、海外派兵であるとかあるいは派遣の突破口としての改正、あるいはまたその口実になってはいけない、このように私たちは思っているわけであります。特に、わが国は平和憲法のもとで、国連協力といった場合でも、軍事によらない、経済的、文化的、またその他の面で協力は今後も十分できるんではないか、私はこのように思っております。そういう面からいいまして、長官が先ほど、公明党とちょっと同じじゃないかというようなお話がありましたが、その点では全然違いますし、また、公明党のいう国連警察軍というものが創設された場合でも、その参加するということについて必ずしも否定はしませんけれども、しかし、その選択については、国連憲章が厳格に履行されるという前提がそこにあって初めてわれわれも参画できる、このように考えております。また、そういう観点から見ますと、現在の朝鮮にあるような米軍の、国連軍といいますか、ああいったものについては協力できないといったことにもなります。その点についても明確にしておきたいと思います。  いずれにしても、ほんとうに、今後国連中心主義または国連協力という面を通しまして、平和のために徹するというならば、将来ともに自衛隊の派遣や派兵というものをしないで、ほかの協力で平和維持機能強化に貢献すべきではないかと思いますが、この点、総理から伺いたいと思います。
  44. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私も同じような考え方で、けっこうな考え方じゃないかと思います。ただわが国の場合、いまもお話しになりましたように、自衛隊を海外に派兵する、それはたいへんな問題がございますから、いわゆる警察軍という場合でも、よほど慎重に考えていかないといけないように思います。もしも戦闘そのものをやるようなことであれば、これは私ども、海外へ自衛隊を送るべきじゃない、かように思っておりますが、これも自衛隊の任務、それはもう法律できめられておる、その範囲に限定される。だから、国連そのものにいたしましても、わが国のような自衛隊を各国が持つようになれば、これはまた変わりがございますけれども、現在はそうじゃございませんから、いわゆる軍備を持っている国と、その中にある日本のような特殊な国と、これは一緒にはなかなかできないものだ。そこらはよく考え、慎重に考える。この辺では、一緒はきらいかもわからぬが、どうも公明党さんと同じような考え方じゃないかと思います。
  45. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 総理に伺いたいのですが、ウ・タント事務総長は、ことしの秋に国連創立二十五周年記念がある、ぜひ佐藤総理に出席していただきたい、こういうふうに言われておるわけでありますけれども佐藤総理は、考えてみますということでございます。御存じのように、自民党では総裁公選があるようでございますが、もし四選されました場合には国連総会に出席されるかどうか、その点を伺いたいと思います。
  46. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もし四選されたらとかなんとかいうような、四選問題と国連の二十五周年記念事業、これは別にすべきだと思います。ただ、非常にみんな心配しておりますのは、国連の行事にせっかく行った、そこですぐやめた、それじゃちょっと困りやしないか。そこで発言もした、けれども、帰ったらすぐやめた、こういうことでは困るだろう。そこらをよく考えなければいかぬ、こういうようなことだと私は思います。でありますから、この二十五周年記念事業、これは国連としても大事な行事です。これについては私どもも理解は持つが、はたして行けるか行けないか、まだただいまのところ、ひとつお預けを願いたい、こういうことを申し上げたいわけであります。そういう意味で、ただいまのことを一緒にしないようにぜひ願いたいと思いますが、どうもマスコミの興味は二十五周年のほうになくて、四選するだろうかしないだろうか、そのほうにたいへんウエートがかかっておるものですから、私、いまのような発言にならざるを得ない。御了承をいただきたいと思います。
  47. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 安保問題について伺いたいのですが、いよいよ今年六月二十二日に十年間の固定期限が切れます。そこで自民党は、もうすでに党議で自動延長が決定されまして、そのとおりいくんじゃないか、このように思うわけでございますが、ただ、そこで私たちが一番気になりますことは、最近の安保条約をめぐり、あるいはまた安全保障体制をめぐって、非常に変わってきておる。たとえば、従来までは、安保条約を基調としてわが国の防衛を考えるというものが、自主防衛を主として安保で補完する。さらにまた、基地問題については、安保がある限り基地は当然返還されない、日本の施設、区域は提供する。それが最近では、米軍基地自衛隊が管理をする。さらにまた、沖繩返還については、事前協議について、先ほどもお話がありましたが、適正運用という新しいことば、いろいろな表現、またイエスと言うこともある、こういうように、われわれ国民の立場から見るとずいぶん変わってきているように思います。そこで、この六月二十二日を迎えまして、国民は、日本の安全保障、日本の防衛問題、さらに一九七〇年代の防衛はどうなるんだろうかということについて、さまざま考えていると思うわけであります。  そこでこの際総理に伺いたいことは、もう一回十年前のあの安保を取りまとめた時点に戻って、そしてその安保条約あるいは体制というものをいろいろな形で検討した当時の日米合同委員会議事録をもう一回国民の前に公表して、そしてその中で判断してもらう。また国民の立場から言うならばそれを知る権利、また政府としては知らせる義務があるのではないか、こう思うわけであります。この際日米合同委員会等における議事録を国民の前に公表すべきではないか、こういうふうに思いますが、その点についてお答え願いたい。
  48. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 独立国家としてその国の安全を確保する、このことはたいへんな基本的な問題だと思います。日本は経済的にはずいぶん発展をした。ようやく、みずからの国をみずからで守るという独立国家としての当然の権利を行使し得る、また義務も果たし得る、こういう状況になってきたことを私どもは実は喜んでおります。御承知のように戦後の状態だと、これはもう食うや食わず、三百万人の餓死者すら出る、こういうようなときに軍備などを考える、これはたいへんな行き過ぎだ。これは国内でもさような議論はない。しかし何とかして日本の安全は確保したい、警察予備隊を持つ、こういうようなことでわずかに治安維持に力をいたした。主として間接侵略に対応する、そういう態度であったと思います。しかし、ただいまはたいへんな経済成長をいたしまして、独立国家としてみずからの力でみずからの国を守る。また国際的には平和に徹する国だから、やはり開発途上国に対しても経済的援助をする。二つの内外における独立国家の当然の責任を果たし得る、いまそういう状況になったと思います。したがって表現のしかたも、あるいは日米安保条約を基調とするというような字句から自主防衛ということにやはり力を置いた。しかしこれが誤解を受けて、軍国主義化した、これはとんでもない言い方だと私は思っております。そのために自主防衛——自主に力を置きましてもやはり憲法はちゃんとあるし、シビリアンコントロールは厳然としてありますし、昔とはおよそ事柄は変わっておりますから、これは独立国家としてそうあるべきだ、かように私は思っております。  ただ自主的な防衛を基調にする、かように申しましても、私が申し上げるまでもなく、日本は通常兵器あるいは局地的侵略には対応し得るが、他国には脅威を与えないという一つの基本的な原則を持っておりますから、この自主防衛もおのずから限度があるわけですね。したがって足らないところは必ずある。それはやはり安全保障条約でこれを補っていく、その基本的態度にはいまも変わりはないわけであります。  そこで、安全保障条約の期限が来る——期限が来るというのではなくて、それからは一年の予告で廃止もできる、こういうような状態に置かれるわけですね。これはこの六月二十三日以後は一年の予告期間で廃止することができるというだけでございまして、いわゆる改定だというように考えるのは行き過ぎだ、かように考えます。いわゆる改定の期限が来たのだ、こういうのじゃない。私はいま申し上げるような基本的な考え方、基調とするとか自主的防衛だとか、こういうことは、昨年の暮れニクソン大統領と私との共同声明で、両国はこの体制を維持していく、こういうことを出したわけです。そうしてそのことで当然、それこそ国内的にも皆さん野党の諸君からもいろいろ批判を受けた。これがさきの、昨年末行なわれた総選挙ではないかと思っております。これが沖繩の返ってくるという事柄も一緒にして私は信任を得、そうしてその体制を維持しろ、(伊藤(惣)委員「時間がありませんので簡単に」と呼ぶ)はい。そういうことでいまやられておる、かように思いますので、この点は明確だと思います。したがって私は、そういう意味で特殊なものについての公表は避けておりますが、あとう限りいま言われるような必要な資料、国民にいろいろ誤解を受けないように、そういうことについては積極的な説明をする責任政府にもあるし、国民は当然その国の安全確保の道をみずからが主張し得る権利がある、かように私思っております。
  49. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 きわめて大事なことでございますのでもっと聞きたかったわけですが、時間がありませんので、最後に三問ばかり続けて申し上げますのでよろしく。  一つは、中曽根長官が去る二十一日の衆議院内閣委員会におきまして、七〇年代の日米関係についてこう言っております。七〇年代は日米の親善関係は従来どおり維持すべきだが、条約そのものを現在のまま続けることは疑問の時代が来る。そしてこうしたことから安保体制は続くが条約の中身は変わってもよい。いつまでも現在のものにぶら下がっていく必要はない。新しい時代が来たら、日米双方の新しい人が新しい親善関係を築いていくのが七〇年代の選択の問題として考えてもよい。現在の安保条約は一時期における安全保障の一つの態様だと思う、こう述べられております。しかし私ども総理からは、日米安保条約は長期に堅持する、あるいはまた半永久的に安保は持つ、あるいはまた自動継続といってもそれはいままでと変わらない、あるいはまた長期に固定化するというような意味発言があったわけでございます。このことはわが党の鬼木委員の質問にあったわけでございますが、防衛庁長官長官になる前に、安保条約というものは七五年で解消すべきだということと、現在防衛庁長官立場になってものを言う、半永久的に安保条約というものは必要だということと違うんじゃないか、こういう質問に対しまして、長官は、そうじゃない、それは新聞の報道が、ちょうど象の鼻や足をその面だけを見て言っただけの話で、実際には変わりはないのだ、同じなんだということを発言なさっております。そのことと総理安保に対する考え方は大きく違うように思いますが、その点、明らかにしていただきたい。  さらに、時間がございませんからまとめて申し上げますが、安保条約を解消する体制は、どういうような国際環境、どういうときに安保というものをなくす考えなのか、その点もあわせて答弁願いたいと思います。
  50. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 この十年の期間を経過したら一体どうなるか。私どものように、安保体制は必要だ、こういうことに対しては、それじゃ半永久的に必要なのか、いつまで必要なのか、こういうことがしばしば聞かれます。そこで私が最後に申し上げたのは、いますぐ改正する考えはない、廃棄を申し出る考えはない、このことだけははっきりしている。しかしそれがいつまで続くか、それは言いかねる、こういうことを申し上げたように記憶しております。それはそういう発言がどこかに出ておるはずです。どうも言われるのは、堅持をする、そういうところから、半永久化じゃないか、いつまで続くんだ、こういうことだと思うんですね。だからそれに対しては、いま言い得ることは、はっきり申し上げることは、ことしそれを解消する、さような申し入れをする考えはない、こういうことをはっきり申し上げておきます。  そこでいまの中曽根君の言われ方、これは七〇年代ということでありますが、七〇年か七一年か二年か三年か四年か、そこらのところはわかりません。これは研究問題だろう、また国民の選択の問題でもあろうと思います。私は、これをあまりかたくとる必要はないのじゃないだろうかと思っております。そうしていつになったらこれが解消できるのか、こういうことでございますが、片一方で軍縮が行なわれ、戦争はもうやらないんだ、こういうようなことになれば、安全保障条約は必要ない、これははっきりしておる。非常にはっきりした例を申し上げておる。しかし、それ以外にもいろいろの場合があるだろうと思います。そういう事柄を見きわめ、そのときにおいていまのような宣言あるいは申し入れをすることがあるだろう、かように思っております。
  51. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 答弁漏れで、先ほど合同委員会議事録を公表する考えはないかということの答弁がなかったのですが……。一部は公表したことがある。
  52. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 さっき申しましたように、公開できるものはどんどんやっておる。非公開のものについては、これはそれぞれ申し合わせがあるだろうと思いますので、それはさっき大まかに申し上げたので、そこらは、これこれをなぜ公表しないか、それに対する直接の答弁ではなかったと思います。しかし差しつかえないものはできるだけ公表すべきだ、かように思います。
  53. 伊藤惣助丸

    ○伊藤(惣)委員 終わります。
  54. 天野公義

  55. 和田耕作

    和田(耕)委員 最初に防衛の根本問題について、ちょうどいい機会ですから、総理の御見解をただしておきたいと思います。  この国会の壁頭の代表質問の答弁によりますと、総理は、憲法は改正しないというおことばがありました。私、こういうはっきり割り切ったお答えを聞いたのは初めてのような感じがして、非常に記憶に残っているのですが、当分の間とか現在はしないとかいうのでなくて、とにかく憲法改正はしないというように言い切ったように記憶しておるのです。また今度の日中覚え書きの問題で、周総理のいわれない誹謗に対して、憲法の改正はする気持ちはないし、そうして平和国家になったんだということは、大出君の質問に対しても答えておられる。つまりこの際非常に大事なことは、何ぼ憲法改正をしないといってもあいまいな感じ、政治的な重要な問題として残っておった問題について、総理ははっきり憲法改正はしない、少なくとも考えられる将来において憲法改正はしないと言明なさることができるかどうか。
  56. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私に関する限りはっきり言えることです。しかし、これは将来一体いつまで改正しないのか、かように言われますと、それこそ国民の選択の問題だろう、かように私は思います。したがって佐藤内閣が続く限り改正はないんだ、こういうように御了承いただいてもちっとも差しつかえございません。
  57. 和田耕作

    和田(耕)委員 次にただしておきたいことは、防衛の基本方針としていまも公明党の委員からの質疑がありましたが、自主防衛プラス安保条約、こういうことをはっきりおっしゃるようになられた。これは内容のとり方によってはいろいろ問題があると思いますけれども、私どもそういう基本的な考えには賛成です。  そこでただしておきたいのは、自主防衛という場合に、政治、外交というものを自衛隊の武力というものよりも優先して考えるという内容のものかどうか、この点はっきりお答え願いたい。
  58. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 自主防衛、これは独立国家としては私は当然のことだ、かように申したのでございます。そうしてただいまの自衛力、また許容される自衛力、これはおのずから限度がある、したがってそれは小さなものだ、かように私は思っております。したがって他の面の、いま言われますような外交その他経済政策等が一体となって、そうしてこれを補強していくものだ、かように私は考えております。それがどちらが先なのか、どちらのほうに重点を置くかといわれれば、ただいまのところでは平和外交に重点を置く、かように申し上げておる。
  59. 和田耕作

    和田(耕)委員 重ねてお伺いしますけれども、相関連し合い補完し合うということはわかります。しかし現在日本の外交、防衛の基本問題として総理がその責任を持っておられる。そこでどっちにどうするかといういろいろな問題が出てくる。そのときの判断のウエートの問題が非常に重要な問題だ。いまのお答えで、つまり外交あるいは政治、国民合意というふうなものを中心にして、ウエートがはっきり置かれて、今後も防衛の問題を処理していかれる考えでおられるのか。そういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  60. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのとおりです。
  61. 和田耕作

    和田(耕)委員 安保条約は補完的なものだということですけれども、その内容についてでございますが、つまり核兵器の問題については、日本は国策として持たないということを宣言しておられる。しかし国際的な常識に従えば、現在の戦争その他の問題を考えての主戦の兵器は核兵器である。核兵器を持たない、その点についてはアメリカに御協力あるいは御援助願わなければならないけれども、その他の在来兵器については日本でやっていくんだというお考えですか。
  62. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 在来兵器についてはなるべく日本でやりたい、かように思います。しかしながら日本の国内軍需産業、これはよほど発達したとはいいながら、たいへん微々たるものですから、ものによりましてはやはり外国の協力を得なければならない、これが現状でございます。おのずからそういうものもあるだろうと思います。まだ当分ジェット戦闘機などなかなかできないのじゃないでしょうか。あるいは潜水艦等にしても近代的なものはできない、かように私は思っております。日本の軍需産業というものは、一部ではおそれられておりますが、まだまださようにおそれるような状態のものでない、これを申し上げておきます。
  63. 和田耕作

    和田(耕)委員 これは過渡的にはいろいろ問題があると思います。あると思いますけれども、自主防衛プラス安保と方針を変更したと私は思うのですけれども、はっきりしたということにしてもけっこうです。けっこうですけれども、その場合に、目標として、核兵器は将来にも持たないんだ、したがって核の脅威に対してはアメリカの力に期待しているんだ。しかし在来兵器については、日本は将来——これは全部が全部ということはないでしょうけれども、持つように努力していきたい、こういう趣旨に了解してよろしゅうございますか。
  64. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのとおりでございます。核兵器についてはいわゆる非核三原則、これを守っていく、こういう立場でございます。その他についてはいま言われるとおりでございます。
  65. 和田耕作

    和田(耕)委員 こういうことはないと思いますけれども、論議の問題として、中共あるいはソ連が核の力をもって現実に脅威を与えてきた。内容はいろいろありましょう。その場合に、アメリカが色よい返事をしてくれなかったという場合は、これはしようがないわというふうに、その点についてはお考えになっておりますか。
  66. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 そのためにやはり日米安全保障条約があるわけでございます。むしろ最近の核兵器というものはそれだけの力を持っておるが、同時に戦争抑止力になっている。これはアメリカだけが戦争抑止力を持っているというわけじゃありません。核兵器を持っている国は同じように戦争抑止力を持つ、そのほうになっているのじゃないだろうか、むしろ使うというほうよりは、これは使えない、これは持っているが使っちゃいけないんだ、そういう方向に向かっているのじゃないか、かように私思っております。
  67. 和田耕作

    和田(耕)委員 その点、私もそう思います。したがって、総理の防衛の責任者としての心がまえとして、核戦争を前提にしては防衛計画は立たないのじゃないか。核戦争があるかもわからぬということを前提にしては防衛計画は立たないのじゃないか。したがって、核の抑止力というものは現にそういうように動いております。しかしまさかの核戦争があるかもわからないから、そういう脅威があるから日本でも多少はそういう考えをしておかなければならないのじゃないかという考え方が現に日本にあります。その問題についてやはり総理の腹がまえというものは持っておかなければならないのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  68. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 核兵器はいま申し上げるように、やはり攻撃的な破壊的な力を持つ、やはりそれに対する対応策もなければならない、しかしみずから戦争抑止力というものはある、これを申し上げている。私どもも、抑止力だからそんなものは全然無視していい、かように申すわけではありません。また自衛力を持つということ、それを整備するということ、これは日本自衛権立場から、独立国家として当然のことだと思っております。攻撃的なものは持たないけれども、しかし自衛という範囲においてその侵略に対してやる。その侵略が直接侵略ばかり考えるわけにはいかない。間接侵略もまたわれわれのこの国を守るゆえんだ、かように思いますので、やはり局部的な在来の兵器といえども、そういう意味では十分持つ必要がある、かように私は考えております。
  69. 和田耕作

    和田(耕)委員 そういうふうな意味で、つまり核戦争ではなくて局地戦争あるいは間接侵略という問題が、現にその脅威が全然ないと私も考えておりません。したがって私どもは、最小限度の自衛力が必要だ、こう考えておりますけれども、その場合に総理、いま御質問しておりますのは、そういう問題として、核戦争というものを予想しないで——もしこれがあったら、これはもうしかたがないんです。しかたがないというのは無責任のように聞こえますけれども、これを予想しては対応策ができない。その予想の最小限度としてはアメリカとの協力でカバーしていこうというお考えでやっていただいておると思うのですけれども、ぜひその態度——日本が核兵器を持たないのだということを言っても、自民党の党内にもある、そんなものを持たなくて日本を守れるか、現在の世界の主戦兵器は核兵器なんだという議論に対してあいまいな態度をとらないで、そういうふうに割り切って考えてみる必要がある、そういう時代だというふうに私は思うのです。  そこで、先ほどの総理の答弁では、自主防衛の中で自衛隊の武力よりは外交、政治の問題を優先的に考えていくというお話があったのですけれども、それが直接いま起こっている問題として例の中共との覚え書き貿易の問題だと思うのです。きのう藤山さんがお帰りになりまして、台湾にも、あるいは大陸中国にもいい瀕ができない状態に来ているのだということをおっしゃっておられる。おそらくそういう判断で使節団の松村さん、藤山さん、あるいは古井さんのあの一行は、とにかく大陸中国を選ぶべき時期だ、こう判断されて、おそらく不本意ながらあの共同声明、覚え書きに署名をされた、こういうふうに私は判断をするのです。で、いろいろな新聞を見ますと、五〇%以上の国民は、しようないわ、あれは問題はある、周総理の対日誹謗について問題はあるけれども中国とのおつき合いをしていくためには、ああいう使節団の措置もしょうがないのではないかという意見が五〇%以上あるように新聞の報道が見られる。こういうような問題を総理はどのようにお考えになるのか、あるいはこの局面でいままでの態度とは少しニュアンスの変わった態度でやらなければしようないわというような、ゆとりのある考え方をお持ちになるのか、あるいは現在正式に認めておる台湾という問題があるから、この問題については時間の経過にまかせるよりしかたがないという従来の態度をおとりになるのか、その問題について総理のお考えをお聞きしたい。
  70. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 私は、在来の考え方をいま変えるつもりはございません。藤山君がどういうつもりで台湾にも中国にもいい顔はできないと言ったのか、そこらはわかりませんが、私どもは、いままでの選択は誤っていなかった、そこに国際的な権利義務がある、したがって、それをやはり忠実に履行することが何といっても国際的信用のあるゆえんだ、かように私思っております。中国の内政の問題、それについてとやかくは言わない、こういうことで、やはり在来からのいき方を変えるつもりはない、かように御了承いただきたい。
  71. 和田耕作

    和田(耕)委員 そういうことであれば、私は自民党内の内政干渉がましいことは申し上げたくないのですけれども、今度の松村使節団というものは、国会の開会中に、しかも個人の資格じゃないです、院の決議を経て行っておられる。そうして松村さんあるいは藤山さんが行かれるときにも総理は個人的にお会いになって、何とかうまくやってくれよ、こうお願いをしておられると新聞は報道しておる。その結果、使節団は個人の資格といっても、そう個人の資格とは内容的に見て思われない。しかも総理は、あの覚え書きの内容に対して重大なる疑問あるいは抗議をなさっておられる。その本人が今度帰ってきた。これは個人の意見として済まされますか。
  72. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 もちろん、私は、党としてこれには重大な関心があるから、帰ってきたらよく話をしてみないと、いまここでとやかく言うわけにいきません。
  73. 和田耕作

    和田(耕)委員 私は、総理があるいは防衛長官が、台湾中国の問題は中国の国内問題だ、これにいろいろ言うのはいけない、そういうふうなことばで言わなければならぬということも理解できます。できますけれども、この問題は、総理大出君の質問に対して答えておられたように、台湾のほうは正式に条約で認めておるんだ、しかし大陸のほうはそういう関係はないんだ、もしものことがあれば日米安保条約の、いわゆる共同声明等によって守るのはあたりまえじゃないかというようなおことばから見ても、単に中国の内政問題だというような、どっちからもそう文句を言われないような国会の答弁材料のようなことでは、現在のこの中共問題も解決できない段階にきているんじゃないか。藤山さん自身が、どちらともいい顔をしてはできない状態にきている。かりにいまの状態が続くとすれば、まさしくエコノミックアニマルということになる。とにかく貿易が必要だからいろいろ言われてもしようがないわ、しかしこれじゃ体面が保てぬから抗議だけはしておこう、そういう態度で今後もこの日中問題をやっていかれるお気持ちなのかどうかということです。
  74. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 とにかく、私も、基本的には長いつき合いをしておらないが、もともとたいへん深い親交のあった国、その間のみぞが非常に深くなっておる、相互の不信は非常に強い、この不信に基づく誤解は解くべきだ、かように私は思っております。だからそういう努力はいたしますが、それかといって、曲解をされている事柄について、これははっきり曲解だということを言うのはもう当然のことだと私は思っておりますので、その不信がどういうところからできたのか、これは全部日本けしからぬ、こう言ってそれで済むのか、やはり中共自身も、国際社会に復帰するという、そういう努力はやはりされるべきじゃないか、そういう意味で、積極的に相互に誤解は解こうじゃないか、そういうような考え方が望ましいのじゃないか、私はかように思います。そういう点については、努力はいたします。しかしながら、ただ今回のものもそういう意味の一こまだ、誤解を解く意味あるいは不信をなくする、その意味の一こまだと考えれば意味がある。ただ単に覚え書き貿易をするために、どんなことを言われてもしたのだというと、いま言われたように  エコノミックアニマルそのものだ、こう言われてもしかたがない、かように思います。しかし、私はこのエコノミックアニマルというよりも、両国間の間の長い断絶がある、その相互の不信がある、これはやはり埋めていく、それを解消していく、これは両国民のまた責任だろう、かように私は思います。そういう意味で、今回のことが全然意味がない、かように言い切るわけにもいかぬ、かように思っております。
  75. 和田耕作

    和田(耕)委員 これ以上この問題を議論する時間もございませんので、ここで打ち切りますけれども、この貿易の基本問題として、やはり戦後の日本は平和なしには生きられない状態であることは間違いないですね、世界国じゅうと貿易をしているということですから。と同時に、アメリカとも、あるいはソ連とも、中共ともできるだけ仲よくしていかなければならぬ。アメリカだけじゃどうもならぬということも事実であって、民主的な政府というものを今後とも維持していく、憲法のきめた政治を維持していくということは、非常に重要な要素になってくるというように思うわけですね。こういうようなことで、最初に御質問申し上げたとおり、戦後二十五年たったこの状態、特に世界をまたにかけておる日本のこの貿易の状態、この貿易を日本が守ろうと思っても力で守るわけにはいきません。世界各国じゅう軍艦を出すわけにもいきません。したがって、憲法に書いてある前文なり、九条というものが次第に大きな意味を持ってきたという感じを私は持つのです。そういうようなことですから、そういう意味憲法という問題について、特に平和条項あるいは民主的な基本条項については、総理の相当熱意のある、これはしっかり守っていかなければならない——それは、憲法にもいろいろ問題もありましょう、直さなければいかぬこともありましょう、しかし、この平和条項、あるいはこの民主主義の条項、基本については、これはしっかりと守っていくんだという御答弁が得られると思うのですけれども、どうでしょう。
  76. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 これはもちろん日本国民、ことに政府の最筒責任者として、憲法を尊重しますということは、これは当然のことです。  そこで私は、やはり和田君にも、いまちょうど見本のいい例が万博だと思います。万博は、これはもう世界各国から集まってくる。ここには人種問題あり、南北問題あり、それが如実に出ている。経済的な差等もはっきり出てきておる。あのパビリオンを一巡されれば、どこはどうということはすぐわかってくる。これは中共は参加してないから、中共をとやかくいうわけにはまいりませんけれども、すべての国があそこへ出してきている。たいへんいい勉強になると思いますね。ただお祭騒ぎだけでなしに、こういう種々な国、種々な国内事情があるにかかわらず、これから仲よくやっていく、こういう場合にどういうような方法をとるか、これが、私が施政方針演説でも言わんとして言うことが十分でなかったように思うのですが、国内で私どもがなすべき幾多の新しい問題があるし、同時に国際的には開発途上国に対する援助をやる。それが日本の当然の責務じゃないか。これを果たしてこそ最近の一九七〇年代に処する意味がある、こう言えるんじゃないか、かように私は思っております。でありますから、いま中共あるいは中国大陸の問題が身近な問題として浮かんできてはおりますけれども、やっぱり国際情勢の一こまとしてこれを取り上げる。そうしてお互いに不信をなくし、そうして友好親善を結んでいく、こういうことが望ましいことじゃないか、かように思います。  そこへいくと、やっぱり言いたいこともときには遠慮して言わないこともある。これは当然のことだろう。一〇〇%率直な言い方もいいですが、一〇〇%ものを言って、そうしてあとで取り返そう、そういうわけにもなかなかいかぬだろう。そこらは、お互いにやっぱり相互の深い不信、その理解のないところは、そういうものをなくしていくという、努力をする。そのためには、やっぱりある程度言いたいことも言わないようにならないと、やっぱりこれはできることじゃないだろう、かように思います。
  77. 和田耕作

    和田(耕)委員 そのお気持ちは理解できます。が、先ほどからいろいろくどく言っておりますように、現在の日本、世界の中の日本、どこの国とも仲よくしていかなければならぬ日本、これは武力で守ろうとしたって守れない日本ですから、ぜひともそういうお気持ちを持って変転する状態に対処していただきたいと思います。  それで最後に、私は特に憲法の問題、あるいは国民合意、あるいは国会運営等の問題について最後総理のお気持ちをお伺いしたいのですが、実はこの前の総選挙前、昨年の五月、いや三月でしたか、予算委員会で官房長官に、日本は少し解散が多過ぎるのじゃないかという御質問をしたことがありました。そうして、まあしかし御承知のとおりの事情で、総理は年末に解散をされた。で、今度の国会の初頭に自民党の水田三喜男君が国会運営の問題について、解散という問題についての御質問をなさった。こういう一連の問題をいま考えておるわけですけれども総理、どうでしょうか、総裁の四選という問題も今度なさろうと思いますけれども、この解散の問題は、私は総理に解散権はないと申し上げているわけではありません。これは昭和二十六年の両院法規委員会の決議によっても、そういうことはあり得るけれども、その運用については、十分注意をしなさいということが、あの二十六年の両院法規委員会の勧告でもあるわけです。一つの方法としては、もし解散の必要があれば、衆議院の中でしかるべき手続をとってやりなさいということも勧告なさっておられる。こういう問題があるわけなんです。で、これは議論をすると、憲法上のいろいろの有力な反対議論もある問題なんですけれども総理、現在の政局の問題を考えて、代議士諸君の気持ちの問題も考え——気持ちというのは、解散を逃げるというわけじゃないですよ、解散があると、とにかく国政に一生懸命にならないということは事実なんですから、この問題を考え、こういういろいろいわくつきのこの問題について総理は現在どういうふうな御心境にあられるのかということを聞きしたい。
  78. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 古い言い方であるいはしかられるか知りませんが、政府が持つ解散権、伝家の宝刀だといわれている。この伝家の宝刀をしょっちゅう引き抜いていたら、これは伝家の宝刀でなくなるので、これは慎重の上にも慎重でなければならぬ、かように思います。したがって、いま和田君が言われるとおりだと思います。  そこで、政府の身になって考えてみますと、政府が好きで解散をやっているわけじゃないのです。どうもしかし、政府を解散に追い込む、今度は必ず解散に追い込んでみせる、これが野党の合いことばでもあって、そういうことを考えると、その辺もやっぱり慎んでいただいて、やっぱりお互いに解散のために政治はするのじゃない、国民のために政治をするのだ、そういうところで、やっぱり空白を起こさないような、そういう態度で、よくよくの場合でなければやらないという、政府にもそういうことが望ましいし、また野党から政府攻撃するにしても、まああまり解散、解散言わないでやっていただきたい、かように私は思います。私もいままでずいぶん短い政治経験ではありますが、一番短かったのは、前選挙から六カ月、抜き抜ち解散をやってその次がいわゆるばかやろう解散、その間たしか六カ月だったと思うのですね。私は、こういうようなことでは国民に迷惑をかけるだけだ、国民のための政治をする態度じゃない、かように思いますから、十分慎重にいたしたいものだ、かように思います。解散権のあることはあの条項をごらんになればそれは否定なさらない。だからもちろんでございますが、伝家の宝刀をそうしょっちゅうぶらぶらさすものじゃない、かように思っておるわけであります。
  79. 和田耕作

    和田(耕)委員 総理のそういう御答弁は理解できます。これは全体の憲法論議からすれば多数の意見であることは事実ですけれども、しかし三分の一以上の有力な反対の意見があることはもう御存じのとおり、これは大事なことですね。日本憲法の神さまといわれる尾崎男堂さんがまっこうから反対をなさったという事実もある。しかし、いろいろのいきさつの結果、総理に解散権はあるけれども、しかし運用についてはいわゆる恣意的な解散はいけないのだという表現で、解散権の乱用をいましめている。野党の問題が出ましたけれども、これは解散というものがあるのだ、いつでも総理を追い込んでいけばあるのだということが前提になっているからああいうことも出てくるわけです。最近では、三年間くらいは解散しないといいましても、事実は同じことなんですね。二年たてば解散になっていくという気持ちになれば、お互いに代議士諸君が、二年たてば解散を頭に描いて、そういう行動をとるわけですから、それが何かの都合で三年になっても三年半になっても同じことなんです。現在の総理あるいは代議士お互いの心がまえの問題がかわってこないと——それは必要があれば一年半でやってもよろしい、よろしいけれども、いまのような状態では三年半になるからいいじゃないかという考えはいただけないことなのです。そういう問題を、これは野党のわれわれも考えますけれども、どうも私この問題を全代議士の諸君にアピールしましたら、百人近い人から積極的な賛成がきております。そうして、その中で古い政党の指導者からは、いわゆる党利党略でもってあまりすっきりした答弁がきておりません。野党のどうのこうのということはありますけれども、その点をひとつお考えになっていただいて、総理最後の大きな仕事として任期一ぱいの形で運用できるような雰囲気をひとつつくっていただきたい、こういうように御要望したいと思います。終わります。
  80. 天野公義

  81. 東中光雄

    東中委員 時間がございませんので、二、三点総理にお伺いしたいと思います。  日米共同声明で、韓国の安全は日本の安全について緊要である、こう言われておるわけですが、韓国の安全がなぜ日本の安全に一体的に結びついてくるのかという点をお聞きしたいわけです。まあ戦前でも、朝鮮あるいはいわゆる満州、これは日本の生命線だといわれましたし、太平洋戦争に入っていくときには帝国の存立はまさに危殆に瀕しておる、帝国の自衛のために決然立って戦うのやむなきなり、こういうことを言われたと思うのですが、要するにその場合も、中国における状態その他が日本の安全、存立に重大な関係があるということで、結局あの戦争に入っていった。発想方法が同じように思うのですが、違うんだったらどこが違うのか、どういうふうに韓国と日本の安全は結びつくのか、その点の御所見を聞かしていただきたい。
  82. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 大戦前の状態と発想は同じじゃないかというお話ですが、根本的に発想は違う。その点を共産党の方にも御理解していただきたい。その違いはどこにあるか。申すまでもなくわれわれは平和憲法のもとにわれわれの防衛こそはかるけれども、外国に対して兵隊を出す、そういうものでない、これははっきりしている。この国会でも各委員会を通じてそういう発言が随所に見られると思います。だからあの明治憲法と今日の平和憲法、その相違、これはもうたいへんはっきりしているんですね。このことがわからないこともないでしょう。いまさら説明するのも私は恥ずかしいぐらいだと思うのです。お尋ねになるほうがどうかしているんじゃないか。このことはよくわかります。  ただ最近に起こりました「よど号」事件等について見まして、平壌に「よど号」が着いた。平壌にいるのは赤旗の記者が一人いるだけでしょう。他の一般のマスコミの連中は平壌におらない。これだけ不便な状態がいまあるわけですね。いま戦いをやらなくてもたいへん不便な状況にある。もしも南北でこの休戦ラインを越して戦争をやるといったらもっと不便な状態になる。私はそのことはあまりくどくど説明するまでもなくおわかりじゃないかと思う。あなたのほうは赤旗の記者がいるからちっとも痛痒を感じない、そのように言われるかもわかりませんが、私どもはこれはたいへんな問題だと思う。そして暴徒学生はその後一体どうなったか。これあたりなかなかつかめない状態です。これも外交関係を持っておりませんから、同じ日本人でありながら、これはやはりどういうふうになっておるか、それを知りたいのですがなかなかわからない。赤旗には出るか知りませんが、赤旗でも報道してくれない限り暴徒学生の消息がわからない。私どもたいへんな問題だと思っております。  私はたいへん卑近な例を申し上げていまのどういうわけかということにお答えしたわけです。だから私どもはどこまでも憲法のもとで隣に攻めていく、こういう問題ではございません。まして韓国に国連軍がいる。これは米軍です。日米安全保障条約、やはりこれで米軍に軍事基地を提供している日本立場から見れば、韓国で問題が起きたらたいへんな問題だ。私どもが関心を寄せているのは、いまのような平常時においてもたいへんな不便、不都合を感ずるが、さらに一朝事あるときにはたいへんな問題だ。最大なる関心を払うのは当然のことでございます。
  83. 東中光雄

    東中委員 ニクソンの外交教書によりますと、日本アメリカの提携関係アジアにおけるニクソン・ドクトリンの成功のかぎである、こう言っていますが、結局アメリカアジア政策にも加担、協力を強めるということになってくると思うのですが、韓国の安全が日本の安全に非常に重大なのだという考えから、日韓軍事協力を強めていくということになるのかならないのか。佐藤総理は、いわゆる日韓国会のときに、日韓のいわゆる防衛条約の締結については、その必要性を否定する答弁はされていないわけですが、日韓の防衛条約なり軍事提携なりについて、将来そういうものを結ぶか、あるいは韓国でどういう事態が起こっても、武器援助も含めて韓国に対する軍事的な援助をするということはないかどうか、この点をお聞きしたい。
  84. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 いまの日本自衛隊、これは憲法から申しても、自衛隊法から申しても、また自衛隊の実際のあり方から見ましても、これはわが国に対する侵略に対して対処する、こういうものでございまして、外国に出かけるわけじゃない。したがって韓国、外国と軍事的な同盟を結ぶわけのものではございません。アメリカとやっておる安全保障条約、これは日本の安全確保のために必要だ。自衛力の補完的な意味において日本が必要としたものでございまして、その他のものではない。したがって、日本が韓国と直接軍事同盟を結ぶ、こういうようなことはございません。  それからまた武器援助についてもお話がございましたが、武器輸出についても三原則と申しますか、紛争のおそれのある国、あるいは紛争当事国、あるいは国連の否定しているもの等には武器は出さない、こういうことをすでにきめておりますし、そのとおり守っておるわけであります。
  85. 東中光雄

    東中委員 時間が二十七分までと言われているのですが、何かいま総理のほうで御都合があるようにお聞きしましたので、最後に一点だけお聞きしておきたいのですが、きょうの新聞に出ておる、二十二日に公表されたアメリカの議会の議事録でのレアード国防長官なりリーサー陸軍長官の証言では、アメリカは沖繩を太平洋全域での非常事態に即するための海兵隊の基地にする、また太平洋全域に対する補給中枢機能を集中させる、極東米軍のかなめ石として一そう強化されるのだという方向のことが出されたと報道しておりますが、太平洋全域を行動する米軍の基地安保条約とは全く関係がないと思うんですが、七〇年返還で本土並み返還だ、このことについては合意があるのだ、こう言われておるわけですが、合意があって、それと全然違う方向のことがいまアメリカの高官から公式に出されているわけです。こういう点で、沖繩の施政権返還後のいわゆる基地防衛、米軍との関係、この点を明らかにしていただきたい。
  86. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 先ほどもお尋ねがございましたが、いまの新聞報道だけではこれは明確でございません。これは申すまでもなく、アメリカの施政権下にある島、返るまではアメリカの施政権下にありますから、アメリカが使うことが自由だとは申しましても、もうすでに返ることが予測されている。七二年には返ってくるのである。こういう際でございますから、私どもも多大の関心をもって、この問題についてはもう少し懇談の機会も与えられるのじゃないか、かように私思っております。返ってきた後にどうこうする、こういう場合だと、これはもう事前協議の対象になりますから、そういう場合には、いまの国内における基地と同じように扱ってまいりますけれども、いまのところは施政権が相手国にあるだけに、ちょっとその問題を取り扱いかねるわけです。しかし七二年には返すと言いながら、そのあとの使い方についていろいろいまから言っている。これはもう少し話し合わないと十分の理解ができない、かように私は思っておりますから、これらは外務省等を通じましてよく話をしたいと思います。
  87. 東中光雄

    東中委員 合意があったといわれていることとは違う方向のことがいま出ておるように思うのです。だからむしろ合意の線からいえば、こういう声明が出てくるはずがない。それであらためて協議相談をしなくても、こういうことが出てこないはずなんですけれども、その点は一体どうなんですか。
  88. 佐藤榮作

    佐藤内閣総理大臣 それが先ほどから申しますように、これはいま施政権を持っているんだから、施政権者がどう使おうとこれは御自由だろう、かように一応は理論的には割り切りますよ。しかし七二年に日本に返還するといっているから、その返還される日本として、この基地がこの際に非常に強化されるということ、そういうことであれば、これは私どもも多大の関心があるのだから、そういう意味で十分了解がつかなければならぬ、かように私は思っております。そういう意味では、どういうような意味で国会で証言されたか、ただ単にいつまでも長くそういう状態を持続する、こういうのか、あるいは返還までそういうような特殊な事情を考慮して、全域に対する軍事基地にする、こういうような意味なのか、そこらにまず問題があると思いますから、よく話し合ってみないとわからない、かように思います。いずれにいたしましても、御指摘になったことについて、私もいいかげんに扱わないで、十分外務省を通じて確めたい、かように思います。
  89. 東中光雄

    東中委員 時間がありませんから、終わります。
  90. 天野公義

    天野委員長 本会議散会後委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時二十六分休憩      ————◇—————    午後三時四十五分開議
  91. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農林省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  92. 大出俊

    大出委員 実は競馬の問題だとか、アイスクリーム等の乳製品のチクロ問題だとかいろいろあるのですが、大臣の時間の関係もあるようでございますし、だいぶ時間がたっておりますから、あまりやかましいことでないところで、大筋を承って決着にしたいと思っているのです。そこで、あまり農林省のいままでの方針がころころ変わるといったらおかしいのだけれども、八郎潟だって、坂田さんが農林大臣のときに、私はここで長い間質問をしまして、いまから少しお考え直しになったらいいのではないかと言って、ずいぶん責めてみたのですけれども、坂田さんが立往生せられてお気の毒でしょうがないから、まとめてみたこともあったのですが、当時いろいろ申し上げたように、いまになって、ずいぶんいろいろ入植希望者にとっては酷なことになっているのですが、そういう意味で農政の基本という点で少し承りたいのです。  まず最初に、行政管理庁から勧告が出されておったり、六人委員会の意見書が出ておったりしますけれども、かつて荒木さんに、私はこの設置法を通すにあたって、先々見通していただいて、現段階における統計なら統計というものがこんなことになるだろうという一つの青写真を頭に描いて——いま設置法と取り組んでいるわけですから、それが通ったあとでころりと変わるというようなことになると困るので、行管の四十四年に出ているものがあるはずですが、その勧告なり、あるいは六人委員会の意見なりというものを農林省としてどう受けておられるのか、まずそこから承りたいのです。
  93. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 この前の臨調の答申は、農林省といたしましては、鋭意その実現に努力いたしまして、御存じのように愛知用水公団は廃止し、水資源に合併をいたしました。それから魚価安定基金を廃止、それから日本蚕糸事業団、これにつきましては、この間ここで高田富之君の御演説もございましたように、あれの必要性というのは否定することができませんけれども、あの勧告におこたえする趣旨で、二つに分かれておりました特別会計を一本にいたしまして、あそこに使わせるようにしたわけであります。そういうふうに従来、行管の勧告につきましては、あとう限り努力をしてまいりました。今度のいわゆる六人委員会につきましては、いろいろの御意見が出ておりますが、いわゆる六人委員会の発表された御意見の中には、農林省の組織、機構に関するものもあるわけであります。そこで第一に、統計調査事務所でありますが、これはよほど深く掘り下げてお考え願わないというと、なかなかほんとうのことがおわかりにならない面もあるんじゃないかと思うのでありますが、昔置きました作報といわれたような歴史的な事実、それからあのような頭でいまの統計事務所を御判断くださるとたいへん時勢に合わないんじゃないかという点もあります。しかし例の三年間五%という趣旨には沿いまして、私どもも現在あります機構の能率的、効率的運用をできるだけはかる意味で、人員等についてはそれぞれ配置がえもいたした面もありますけれども、しかし今度は、御審議を願っております設置法の中で地方農政局と一緒にいたしました。そして統計事務所の能率をさらにあげたいというたてまえで処理してまいるつもりであります。  それから食糧事務所につきましては、これは元来が食管法というものによって出てきておるものでございますし、これもまた地方の行政機関に移したらどうかという意見もありますけれども、国が買い入れるものであり、国が責任を負うて検査しなければならないものを、地方であるからそうえこひいきがあるというわけではありませんけれども、国の責任において購買すべきものにつきましては、そういう意味で私どもはこの処理は慎重にならざるを得ないわけであります。もちろん大筋において六人委員会の趣旨を決して無視するわけではありませんので、そういう点についてはなお検討してまいりたいと思っております。  それから、いまも申し上げました蚕糸事業団がございますけれども、おそらくこの問題が具体化してまいりますならば、多くの国会議員諸氏からもいろいろな御意見が出てくる。やはり政府というものは国会に対して、その背後におられる国民に対して責任を負うたてまえでございますので、そういう世論を慎重に聞いてみなければならないと思っております。  それから生糸検査所を廃止せよ、これもたいへん専門的なことでありまして、六人委員会の方々もずいぶん勉強していらしゃると思いますけれども、生糸検査所のそもそもの歴史から今日までの運営、それから大出さんも御承知のように、いま三十六万俵も生産されており、しかも外国から四万俵余りも輸入して、しかもこの用途はどんどんふえてきております。そしてこの生産と価格の調整の役割りを果たしている生糸検査所がもしここですぱっとなくなったならば、それに対してどういうふうに処置していくかということを行政府としては十分慎重に考えた上で対処いたしたいと思っております。  最後に糖価安定事業団、これについてはわりあいに簡単な解説が六人委員会のほうからも出ておるわけでございますが、糖価安定の措置については、わが国のようにビートを基礎にしておる糖価では、こういう調整機関がありますことによって、ヨーロッパ諸国のビートを基準にいたしておる国よりもむしろ価格はやや低廉であり、安定しております。そして糖価安定事業団の行なっております仕事の大きな一つは、近く日本に返ってくるであろうと思われておる沖繩産糖それから奄美大島、こういう南西諸島から出てまいります砂糖、これについて特段な保護を与えておることは御承知のとおりでありまして、そういうことがもしないといたしますならば、わが国の砂糖行政というものはわりあいに簡単だと思うのでありますけれども、そういう特殊の業務を持っております事業団の活動というものについても、もちろん私どもは六人委員会の御意思に全然反発するわけではありませんが、御趣旨に沿うて再検討はいたします。  現在まで私どもの見ておりますこれらのことについては、いま申し上げましたようなあらましの考え方を持っておるわけでございます。
  94. 大出俊

    大出委員 この間、私、行管長官にこの問題をいろいろ提起をしてみたのですが、最初は六人委員会の意見書というのは、いわば行政監理委員会の意見ではないのだということで、行管が無視をすると言わぬばかりの言い方をしたということで、これは新聞でだいぶたたかれまして、あとでいろいろ直接私が話をしてみたところが、あわてて方向転換をして、慎重に検討をして結論を出すということで、聞いてみると、その中に幾つか、たとえばアルコール専売事業をやめてしまうのだとか、民間に移行させるのだとか、塩の専売などもやめてしまうのだとか、幾つか具体的な中身も出てまいりましたから、それでこの間は実は各省にお出かけいただいて——権威あるといわれるところのアメリカのフーバー委員会考え方なんかも、全部が全部通っているわけではない。臨調の答申があったからといって、やはりまずいものは賢いておかなければならないわけでありますから、そういう意味のけじめをつけておきたい。特に今回の農林省設置法、これは三年来の懸案でございますから、職場の諸君の気持ちからすれば、これでいささか落ちつけるかと思ったら、またぞろ意見書が出てきたということだと——落ちつけるつもりで設置法を通した場合に、またおかしなことになったということになると、いささかこれは気の毒過ぎる感じがする。だから統計というものは将来どうなるかという先々までのことを考えて、歯どめするものはしておいて、決着つけるものはつける、こういうことにしなければならないのではないかと私は思いまして、その点を強く実は荒木さんに言ったわけですけれども、結果的に現状凍結でいけ、いじるなということを私は強調したのですが、何も食糧事務所を——六人委員会の意見書にはずいぶんいろいろ書いてありますが、食管法がなくなったわけではないのですから、だからそういう点等も考えまして、統計なんかについても、振りかえでやっていこうというねらいなんでありますから、だから宙に浮かせないで、ここでとにかくまずだいじょうぶなんだということにしないとまずい。そういう意味で、実は凍結をすべきである、それを強く主張してきたところなんですが、さて倉石さんのほうで、そういう路線で、ここで大きな設置法改正をやるのだから、当分の間それは何としても現状でいくのだという腹をきめておいていただきませんと、ちょいちょいこれは変わるわけですから、とんでもないときに一省一局削減だという理由も何もつかないようなことを総理も言い出したりするくせがあるので、まことにこれは迷惑だ。そういう点で青少年行政はたいへんだなんていって青少年局をつくって、一年も立たないのにこれをすっぱり削ったり、労働省だって、早川さんが労働大臣で一生懸命やって、安全衛生局をつくるんだといって、機構というのは、局をつくったら単に部長局長になるんじゃなくて、一つの機構が前に出れば、それだけ行政全体が前進するわけですから、何とか通してくれといって通したら、これまた一年足らずでなくなってしまうという世の中ですから、倉石さんも何も十年農林大臣をやってるわけじゃないけれども、ここらのところは、ひとつ腹をきめておいていただかなくてはまずいという気がするわけでございます。実はそういう角度から農林に関する問題を取り上げておりますので、ぜひひとつそれをはっきりさせていただきたい、こう思うわけでございます。よろしゅうございますな。
  95. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 このごろ、御存じのように情報産業ということばがずいぶん盛んになってきました。情報の基礎になるのは統計でございまして、民間の経営でも、官庁の運営でも、統計に基礎を置かない行政なんというのはおよそだめだと思うのです。いまおまえは何年やってるかわからぬというお話でございましたが、私がやめても、農林省というものの統計、実はこの統計の仕事にもっと国会議員さんも、国民全体も新しい目を開いて認識していただきたいと思っているのです。御承知のように、きょうおるかおらないか知りませんけれども内閣のほうで統計をやっておる方が来ておりまして、あの方の答弁の中でも、農林省の統計事務所の統計というのは、ひときわきわ立った高度のものでございますという意味のことを、ここで答えておりました。私は時間がありませんから、きょう宣伝をやろうとは思いませんけれども、これは今度農政局に配置いたしまして、単に米の作柄とかなんとかいうことだけやっているんじゃないのですから、そして地方における市場等は、いま予算をいただきまして、直接各地とつながった生産と消費の流通のことにつきまして、非常な新しい近代的設備を用いて、相互に便益を与えておる。その基礎をやってるものは統計でございます。で、私はこの統計というものを、いま人員のことをとやこう申しておるわけではありませんが、統計の仕事というものを無視しては、ことに農林行政なんというものはだめだと思うのです。そういうことについて、ひとつ大いに六人の先生方も十分もう一ぺん研究していただきたいと思っておるわけでございます。食糧のことにつきましては、ただいまちょっと大出さんもおっしゃいました食管制度の根幹は守りますと、内閣総理大臣が何べんも主張しておるのでありますから、食管制度運用のためにむだな人間を使っておることは、私どもいたしません。いま現在のものは必要であるということでやってるわけであります。これを税務署だとかほかのほうへ配属したらというお話もあるそうでありますけれども、一応つつしんで拝聴いたしまして検討はいたしたいと思いますが、まあこういう御意見もあったのでございますから、十分検討はいたしますけれども、私どもの気持といたしましては、そういうことで、たいへんな効果を、ことに統計などはあげておるんだということを、私は多くの方々にこういう機会によけい御認識を願いたいとことさらにお願いいたしたいと思います。
  96. 大出俊

    大出委員 数年来私は統計の必要性を、逆に私のほうから強調してきたいきさつがありまして、足元に統計事務所もあって、ちょいちょい行って調べたり、聞いたり、討論もしたりしたわけですから、まあ統計をやっている方々はずいぶん嘆きの場面が強くて、いろいろな冊子の中に世の中の人が統計のことをさっぱり考えてくれないというのですね。なるほどと思うことを書いておられるのですよね。私はやはり大臣がそういう気持ちでおられるとすれば、おそらく先々そうとんでもないことにならぬだろうと思いますので、大臣の時間もないということで、あまり深く触れたくないので、簡単に申し上げているのですが、そこでもう一つ承っておきたいのですが、草地試験場などをつくるという、畜産との関係も多少ありましょうが、仲原善一さんが与党の農林部会長などをやっておられる当時、ある人の話を私黙って聞いておったのですが、やれ豚を飼えというから飼えば、豚の値段がとんと下がった、牛を飼えというので、一生懸命牛を飼ったところが乳価が下がって、これはもうだめだ、鶏を飼えといって飼わされて、そうして卵の値段が下がってもうけっこうだという、うまいことを言う人があると思って感心したのです。それくらい実は変わるというわけですよ。だから、何か場当たり的に、先ほど申し上げた八郎潟ではございませんけれども、そうそう変わられちゃ困るので、これは草地試験場のこの件についても、私はそう簡単に、これはこういう方針をお出しになったら、また途中でこれは変わるようなことがあっちゃ困る。そういう実は心配もするわけなんですがね。そこで、これは少し世の中の風向きが変わってきたから考えたのだというと、これは困るのですけれども、経過の中にどうも少し——これは木原委員からおそらく問題提起はしたのだろうと思いますけれども、あまり詳しくは触れないで申しますが、ここらの経緯、つまり草地試験場をつくる経緯、過去これができ上がるまでの経緯からいたしまして、ちょっと解せない点があるのですけれども、つまり議員の立場の方々等から当時いろいろな意見が出て急遽きまったというところあたりは、どうも過去のこれを読んでみますというと気になるので、そこらのいきさつを簡単でけっこうですから、どなたでもけっこうですが、お答えをいただきたいのです。
  97. 横尾正之

    ○横尾政府委員 お答え申し上げます。  経緯を申し上げますと、三十九年ごろ試験研究の方向を定めるということで、試験研究の方策検討委員会というのを持ったことがございます。その際の一つの重要な事項としまして、草地試験研究の体制整備が重要な問題である。したがって、中央に草地試験場をつくる必要があるという意見が出されたことがございます。ところで、これを実現いたしますために、いろいろ条件が整わないとなかなかできないというようなこともございまして、実はそういう考え方がまとまったその段階では、なかなか実現ができないということでまいったのでございますが、御承知のように、昨年になりまして農業をめぐります内外の情勢がまことに緊迫してくるということで、農林省におきましても各般の検討をいたしたのでございますが、そこで畜産の根幹をなします技術の確立のためには、何をおきましても草地、飼料作物に対します試験研究を充実する必要がある。そこで考えてみますると、従来の体制のままでは不備な点が多々ある。たまたま先ほど申しましたような検討の経緯もございまして、客観情勢が御承知のような形で展開してまいっておるという時期でもございますので、かねてございました答申の趣旨を受けて本格的に検討をして、体制を整える必要があるということで、四十四年の、具体的に申しますと、五月ころから検討を始めました。そうしてだんだん案をまとめまして、関係試験研究機関とも相談をいたしまして、いま御提案しているような草地試験場という形でまとめてまいったというのが経緯でございます。  なお先ほど先生のお話に、いろいろ意見があったということの一つとしまして、北海道に草地試験場をつくるべしという意見もございました。それはそれとして、各地域の農業試験場を拡充するということに対応し、それとは別の問題として、かねていま申しましたような経緯の中で必要だということで検討してまいった問題でございますので、中央に草地試験場をつくるという方向にまとめて御提案をする、こういう経緯でございます。
  98. 大出俊

    大出委員 いまのお話の北海道にというのは、これは四十四年の六月ですよね、問題になってきたのは。ここにこまかくありますがね。これはまた一つ一つ申し上げていきますとたいへん時間がかかる。ずいぶん理屈っぽい中身が一ぱい書いてありましてね。ですからこれはここでそういう理屈をいろいろやり合う必要はあるのですけれども、政治的な問題以外に実際問題の側面があるという点はわかるわけでございまして、そういう意味で長く申し上げることは差し控えたいと思うのでありますが、そこでもう一つここで承っておきたいのがあるのであります。  同じ四十四年の十月ですけれども、行政管理庁がこれまた監察結果を出しておるわけでございますが、この点についてどういうふうにお考えになるかという点。まあ多く申し上げてもいいのでありますけれども、そこまで申し上げればおわかりではないかと思いますので、それに対する農林省の考え方がございましたら聞かしていただきたいわけでございます。
  99. 横尾正之

    ○横尾政府委員 ただいま先生から御指摘のあった問題は、農業技術の開発と普及に関する行政監察結果に基づく勧告のことというふうに拝察をいたしますので、それにつきまして要点を申し上げたいと思いますが、内容は試験研究にかかわる事柄と普及にかかわる事柄と二つに大きく分けていますが、試験研究にかかわる事柄につきましては、御承知のような農業の動向に対応いたしまして、試験研究の組織体制を十分に整備する必要があるではないか。また現実の試験研究の行なわれておる状況を見ますと、研究領域、研究分野等についてさらに合理的に調整する必要があるではないか。あるいはまた研究の運営管理についてより合理化する必要があるではないか等、六点にわたって触れておるわけでございます。  そこで私どもといたしましては、管理運営等にかかわります事柄と個別具体的な問題につきましては、できるだけ是正の措置をとりますと同時に、より大きな問題につきましては慎重に十分に検討をし、研究者の意向等も反映させつつ合理化の方向を見きわめていかなければならないということで、ただいま慎重な検討を取り運びつつある段階でございます。行管の趣旨は趣旨といたしまして、真に試験研究が研究者の意思をも反映して効果的に行ない得るように私どもとしてはつとめてまいりたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  100. 大出俊

    大出委員 そう答えていただければ実はあまりものを言う必要が省けるわけでありますが、農業技術の開発と普及に関する行政監察結果に基づく勧告、これは四十四年の十月でございますが、中心は、やはり突き詰めて言えば、農業研究における国家財政負担の軽減というのが非常に大きく背景にあるのですね。ここに勧告も持っておりますけれども、読んでみてそういう感じがする。それだけではたして研究の成果があがるのかという心配の側面が実は出てくる。そこにいま言われる研究の自主性という問題がからんでくる、こういうことだと私は思うのですね。したがって補助するという問題もございましょうし、多岐にわたる問題はそれにくっついていきますけれども、環境という問題もありましょう。まあとかく、筑波山ろくに学園都市をつくる、そっちの研究機関も行け、あっちの研究機関も行けという問題が出てきますけれども、常に出てくる問題なんですが、これは確かに国家財政全体を考えなければならないことは事実でしょうけれども、それが中心になってとなると、いささかどうも研究の自主性のほうにマイナス面が多くなるという心配がある。そこらのところを基本的な問題としてこれは御注意いただきたいと思ったのですが、いまの御答弁で大体そういうことを私も考えておりますから、そこらあたりを堅持していただきたいと実は思うわけであります。  だいぶ時間をかけましたので、簡単にあと幾つか個条的に承ってまいりたいと思うのでありますが、この草地試験場の将来構想、これはどうなっていくのだろうかという問題が一つあるのですね。これは三年計画で整備するというふうにさっき大臣のお話があったわけでありますが、人員の問題、予算の問題、最終規模という問題が、これ当然からんでまいります。そこらは一体いまから三年後を見通しましてどういうふうになっていくかということ。もう一ぺん申し上げますが、人員の問題がまずあります。予算の問題があります。それと、当然最終規模、どのくらいにお考えかという問題が出てまいります。そこのところをお聞かせいただきたい。
  101. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 草地試験場の運用につきましては、草地それから飼料作物に関する試験研究の体系的かっ能率的な推進につとめるわけでありますが、そのほか地域農業試験場との連携をはかることにいたしまして、草地の開発利用上のいろいろな問題の解決に資する考えでございます。  そこでいま将来の規模等についてお話しでございましたが、四十五年の十月に百九十八人をもって発足いたしますが、農林省といたしましては、今後の計画として、昭和四十七年度までにはさらに所要の組織、施設の整備をはかることを目途に関係機関と十分な協議をいたしてやってまいりたいと思っておるわけであります。  詳細のことにつきましては事務局長から御説明申し上げます。
  102. 横尾正之

    ○横尾政府委員 ただいま大臣から御答弁がございましたことを補足いたしまして私から答えさせていただきたいと思います。  まず四十五年度百九十八名で発足いたすわけでございますが、研究内容といたしましては、草地試験場としてどうしても早く手をつけなければならない部面にまず着手をいたします。その観点から、草地の造成計画とか、あるいは牧草の育種栽培でございますとか、あるいは草地におきます家畜の放牧管理でございますとか、それを中心にいたしまして研究三部を設けます。  それで四十五年度に発足をいたしまして、私どもの構想といたしましては、年次的にその内容を充実してまいりまして、一応四十七年度まで三カ年をもって草地試験場としての必要な構想を実現するために努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございますけれども、今後充実してまいりたいと考えております部門といたしましては、第一は、土壌肥料でございますとか、あるいは病害虫でございますとか等々のいわゆる環境部門に対する研究体制を第一に充実してまいりたい。  第二に、草地におきます作業技術でございますとかあるいは草の乾燥調製でございますとか、そういった部面を中心にいたしまして作業技術部門を充実をしてまいりたい。  第三点といたしましては、草と家畜とを結びつけて一つの生態系としてとらえ得るような部門の研究を、今後諸外国に匹敵するように充実してまいらなければならぬということがありますので、これを生態部というような形で充実をしてまいりたい。  それから第四といたしましては、業務部門をやはり体制を整えて、十分に働きいいような状況にしてまいらなければなりませんので、業務部を設置をいたすということを考え方として持っておるわけでございます。  そのために所要の人員を増加をし、所要の予算を確保してまいらなければならぬわけでございますが、私どもいま申しましたような構想で、目標といたしましては三百名程度の陣容にまで拡充をいたしたいということを考えまして、その方向で今後関係方面とも協議をしながら努力してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  103. 大出俊

    大出委員 安い飼料を入れているわけですからね。一体この草地づくりを三年でやっていけるというふうにお考えでございますか。まずそこから聞きたいのですが。
  104. 横尾正之

    ○横尾政府委員 当面の年次的計画の目標といたしまして三カ年計画を持っておる。三カ年計画に従って実現するように努力いたしたい、こういう意味で申し上げたわけであります。
  105. 大出俊

    大出委員 これは、たとえば塩なんかも行政監理委員会あるいは行政管理庁にいろいろ聞いてみましたがね。ああいう塩の専売なんかも輸入塩のほうが安いのですね。はるかに安い。だからいまの製塩法でいくと価格が下がらないのですね。だからあれなんかもイオン交換樹脂法なんというのをつくりましてやると、それで輸入塩ととんとんなんですね。だから、そこのところよほど考えておきませんと、私さきに申し上げたように、またうまくいかないと一体何をやっているのだということになる。畜産振興をしきりに鳴りもの入りで騒いでおられるわけですから——騒いでおられるというのは御無礼な言い方だけれども、これだってやはり少し米中心にやってきたわけですから、ちょっとぐあいが悪い。したがって、ある意味の過渡的な場つなぎになってしまうということと、さっき私冗談を申し上げましたが、一生懸命豚を飼ったら豚肉の値段がとんとんと下がるということになりかねないところがある。そういう意味で、そこのところはそういう目標でおっしゃるのだが、幾つか現場の意見をいろいろ聞いてみると無理だという意見、三年じゃとてもじゃないという言い方が強い。そこらのところもやはり一つ考えておいていただきたいということと、もう一つ百九十八名と大臣おっしゃるけれども、この人を一体どこから持ってくるのですか。
  106. 横尾正之

    ○横尾政府委員 百九十八名の陣容、定員の具体的な確保の考え方でございますが、百九十八名中百三十一名は畜産試験場の関係部門からの振りかえで考えてまいるということでございます。それから、草地試験場——山地、傾斜地にかかります草の研究をやっている機関でございますが、それを市場に引き直すということに伴いまして四十二名を振りかえということで、合わせて百七十三名になるかと存じますが、そのほかさらに二十五名につきましては試験研究機関、ほかの研究機関から十五名、農林省の他部局から十名という振りかえによりまして百九十八名を確保する、こういうことで考えておるわけでございます。
  107. 大出俊

    大出委員 この熱帯農業を中心にする海外農業研究班という問題は前に出てきておりましたが、これはある見方からすれば、日本農政、農業の退却と言ってもいいような側面まである。そういう意味では非常にむずかしい時期ですね。だから、私はやはりこの際、職場の職員諸君あるいは組合の諸君に、実をいうとあまりごたごたしないでうまくやっていってもらいたいと心配しているのです。そういう意味で、三年と言われてもちょっと心配だという意見がうんとあるようですし、それから人を今度どうするのかという場合に、片ほうにたいへん荷が重くなったのじゃ持っていかれたほうがたまったものじゃないわけですから、そこらのところはひとつ十分納得ずくで仕事を進めていくようにお骨折りをいただきたいと思っているのですが、こまかい数字をやりとりしますときりがなくなりまして、私農林省全部の人たちの動きもかつて調べたことがありまして、皆さんのほうがよく御存じだと思いますけれども、したがって、こまかく申し上げればきりがありませんが、最後でもございますから大ざっぱに申し上げておきますので、その点の御配慮をいただきたいと思うのです。  そこで、特に問題は行二の振りかえですね。この方々の場合に非常にもっていきにくい事情があるわけであります。ここらのところは、どういうふうにお考えになっておりますか。
  108. 横尾正之

    ○横尾政府委員 行二につきましては、先生御指摘のようになかなかむずかしい点がございます。その辺につきましては、私どもも実情を考えつつ、いろいろなくふうをいたさなければならないという面が多いかと存じますが、私どもといたしましては、第一にやはり試験場におきます行二職員の作業を効率的にやる、あるいは労働過重にならぬような機械化等を通じての能率の向上をはかるというようなことは今後十分に考えなければいかぬ、こういうふうに思っております。しかしながら、それだけでは、たとえば草地試験場につきましては足りませんので、こういうことにつきましては行二職員のおかれています生活上あるいは職場におきます実情をも十分考慮し、欠員は少ないわけでございますが、欠員の状況等も考えまして、そしてその実情に即応しつつ可及的に草地試験場としても必要な行二職員を必要に即応して確保するということをくふうしつつ考慮してまいりたい、こういうふうに考えております。
  109. 大出俊

    大出委員 これは抽象的な御答弁なんですけれども、実情に即しつついい方法を研究する、こう言うんですけれども、たとえば研究部門の総数をだんだん減らしていく、漸減していく。そうしておいてそのワクの中でどうするかを考えるというのはどうも穏当でないような気がするんです。行二職員の皆さんは今日、ずいぶん気の毒でしてね。私行二問題というのは人事院勧告が出るたびに取り上げているけれども、何も農林に限ったことはないけれども、これだけ大きな人の動きが出てくるわけですから、したがってそれらのことは、またそのことでごたごたするのではかなわぬと思っておりましてね。もしもう少し端的に言えるものならば、いまの御答弁まことに抽象的なので、ずばっと言っていただきたいと思うのです。まだそこまで考えてないというんなら、これまた別ですが、いかがですか。
  110. 横尾正之

    ○横尾政府委員 ただいまのところは、考え方として先ほど申し上げたようなことを考えております。それを具体的にどのようにするかということにつきましては、四十六年度以降拡充の問題に相なりますので、いま申し上げたような考え方の方向に即しながら具体的なくふうをこらしていく。実情に即応しかつ草地試験場の仕事に支障のないようなやり方をやってまいりたいという段階でございますので、その程度で恐縮でございますが……。
  111. 大出俊

    大出委員 だけれども、これはここにどれか資料がありましたが、すでに準備機関をおつくりになってずっとやってこられたんじゃないですか。だいぶ前のを私読んでみたんですがね。草地試験場施設整備計画の概要なんていうのがありましてね。これはおたくのものの再プリントしたものだと思うのですね。これはだいぶたくさんありますが、機構というのがございまして、人と機構というのはくっついているわけですからね。そうすると先ほどのお話とあわせてこれからやるんだというんだから、そうですがと言っておけばそれでいいような気もするんだけれども、ずいぶんこまかく四十六年度においては四十五年度認められなかった環境部及び研究室並びに生態部の新設をはかるほかなどとたくさんありますね。ここまでやってこられて行二についてはこれからというのは、少し行二の諸君に気の毒じゃないかと私は思うんですがね。そこら辺はどうなんですか。
  112. 横尾正之

    ○横尾政府委員 ただいま先生から御指摘がございました準備委員会、これは実は本年の三月に入りまして、設置法の国会提案がなされるということと並行いたしまして、先ほど申し上げておりますような具体的な問題を含めまして運用の細部にわたるこまかいことを積み上げてまいるということが必要であるという趣旨で、三月から寄り寄り検討を進めてまいっておる。そういたしまして十月の発足までにさしあたり四十五年度として必要な具体的なことをきめ、さらに四十六年度以降につきましても先ほど来申し上げておるようなことの中身をさらに詰めてまいりたい、こういう意味で準備を進めるということで検討は始まっておるような状況でございます。
  113. 大出俊

    大出委員 いや、ただ私いま取り上げたのは、先ほど申し上げました機構というところの終わりのほうでございまして、これによりまして(2)を読み上げたわけです。途中まで読んでやめてしまいましたが、「環境部及び研究室並びに生態部の新設をはかるほか企画連絡に草地計画部、生態部並びに山地支場の組織及び定員の整備をはかる」、この中を見ますと二部八研究室五十八名、行一が九、行二が十八、研究職三十一、これに載っているのですよ。だから聞いている。そう簡単にこれからやると言われたって、おたくの計画の中にあるこれでいいかというと、あなたの答弁いかんではよくないといわなければならぬ。それを聞いているのですよ。そこのところはどうなっておりますか。
  114. 横尾正之

    ○横尾政府委員 先生いま御指摘になりましたように、全体の構想を数字を入れて持っております。この全体の構想は、直接整備を進めます場合に、具体的に申しますと大蔵省と協議を必要といたしますが、その場合に一応全体の構想としてはどんなものがあるかということが当然協議の話題として出てまいります。そこで当面このような考え方を望ましい姿として持っておりますということを言って、そのことと対応して直接整備の具体的の内容を固めなければならない、こういう意味で持っておるものでございます。ただ、これがそのまま実現し得るかどうかという点につきましては、さらにこまかい詰めを入れる必要のある点もございますので、それらを準備委員会といったような組織を通じまして、場の意見も反映さして詰めてまいりたいというつもりでおるわけでございます。
  115. 大出俊

    大出委員 そうすると、言うならば大蔵省からうまいこと言って金を取ってくるという方法だと思うのです。しかし、とはいいながら、あとで、こうは書いたんだけれども大蔵折衝の都合上なんていうのでまた変わってくると困るんですがね。かといって、いまないとおっしゃるなら、ないものを出せといったって無理な話ですが、やはり行二というのはそういう意味で私は非常に心配をいたしますので、これはきまっていないそうでございますから、問題のつど、ひとつまた何らかの形でどこかの場所で申し上げてみたいと思うのであります。そのほうが実は全体がまとまっていきやすいのではないかという面もございまして、立場が皆さんのほうと違いますけれども、それは予算を云々する場合に大蔵省に私ども立場からものを言う必要もある場合があるわけですから、心配の点実は表に出してみたというわけであります。  それからこの業務の体制、特に研究補助ですね。研究職三十一なんてここに書いてありましたが、そういうことに関連して、これではたして足りるのか足りないのかということです。研究者の側からすると実はいろいろな——まあ個人のある種のプレイでものごとは進むものじゃないと思うのですから、総合的な機構、組み合わせなどが必要でございましょう。そういう意味で、そこらのところはどういうふうにお考えでございますか、研究補助の点。
  116. 横尾正之

    ○横尾政府委員 研究補助につきましては、全般的に見ますと十分であるとは言いかねるような実情が各試験研究機関を通じてあることは否定し得ないと思います。ただ、それを十分にし得るような条件があるかということになりますと、なかなか先生御承知のようにむずかしい事情もございます。そこで、私どもといたしましては、そうしたむずかしい条件を考えつつ可及的に充実をしてまいりたいということで、先ほど来先生の御指摘になりましたような計画を持ち、それをめどにして努力をいたしてまいりたい、こういうつもりでおるのでございます。
  117. 大出俊

    大出委員 これは環境とのからみ合いになりますけれども、西那須、あそこの都市化現象というのですか観光化というのですか、そういうふうなことと、高速道路と隣接地域云々というような問題もありまして、将来あそこは相当そういう方向で進むと思いますね。これは前に実は刑務所問題なんかありまして、私調べたことがあるのです。そういうふうな将来あの地域がどういうふうになっていくかということですね。そこらとの関係はどう見通しておられますか。
  118. 横尾正之

    ○横尾政府委員 先生お話しのように、西那須のあの地帯は、観光的な方向に進みつつあるという事実は御指摘のとおりだと存ずるわけでございます。ただ、そのことが西那須におきます草地研究の今後に支障があるかどうかという点につきましては、事柄が事柄であるだけに私どももいろいろ検討し調査をいたしたのでございますが、御指摘がございましたような高速道路等の問題につきましては、試験研究に支障のないように個別の問題につきましては対応しつつ全体として考えますと、西那須は試験研究の場所として生かし得る、またその観点に立って今後も対応してまいりたいということで、西那須を草地試験研究の場所ということで考えている次第でございます。
  119. 大出俊

    大出委員 これを言えばいろいろ切りがありません、先のことですから。そこで一面畜産研究というのは将来一体どういうふうになっていくのか、将来の構想をお持ちだろうと思うのですが、それと畜産試験場と草地試験場、この両方の研究の面における関係があると思うのです。必要ならば詳しく申し上げますが、いまの時点でそこらのところはこれからどういうふうにお考えになっておりますか。
  120. 横尾正之

    ○横尾政府委員 先生御承知のように、現在までの畜産試験場ははなはだ広範な研究領域を持っております。ただいま問題になっておりますような飼料作物、草地にかかる試験研究とともに家畜自体の試験研究、さらにまた畜産物にかかる試験研究、また家畜は大家畜、小家畜ということでまことに広範でございます。私どもといたしましては、研究の進む方向といたしまして専門別にそれぞれが充実されるような体制をとるべきではないか。そこで草地にかかる部面は、御承知のごとく一つの重要な専門部門を形成いたしております。また家畜にかかる部面も重要な専門部門を形成するわけでございます。そこでいろいろ広範なものを一つの組織に包括をして、それぞれが十分でない形では好ましくないので、専門別に分けましてそれぞれを充実させると同時に、それら相互の連携を十分とっていくということが望ましい方向であるというふうに考えまして、一方において草地試験場を独立させると同時に、畜産試験場も家畜にかかる試験研究、さらには畜産物にかかる試験研究という分野において充実をはかるようにつとめてまいるということが考え方でございます。
  121. 大出俊

    大出委員 そうすると、そこで一つどうしても承っておきたいことがあるのです。総合農政と一口に言っているわけですが、この中心的な柱というか主要な柱の中に、草地なり畜産なりというものの振興を皆さんは据えておられるわけですね。そういうことになると、具体的にいって一体これからどう移り変わり、進められていくのか。その場合にまず自給率の目標というものがなければなりませんね、飼料問題を一つつかまえたってそうですから。どの程度の自給率を目標として持ち、そして飼料対策はどうするのかという問題、それから自由化対策がもう一つありますね、ここらの関係は一体どういうふうにお考えなのか、その点をここで承っておきたい。
  122. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 私どもの申しております総合農政の中で、いまお話のございましたように、われわれのほうでいわゆる選択的拡大の目標の一つでありますのが畜産でございます。これはますます需要が増加してまいります。ところが全体として、豚はいいとしても、その他は多々ますます弁じなければならない。そのためには飼料が必要であります。その飼料の大きな部分は輸入にまっております。そこでそういう輸入にまっておりますような、たとえばトウモロコシ、マイロみたいなものについて、全部自給することは全く不可能なことで、草地についてはまだかなりわれわれの希望を満たし得ることは考えられるのではないか、しかも草の種類等につきまして、十分いま私が申し上げましたような方向にマッチするためには、草の研究等が非常に重要になってまいるということでございますが、ただいま草地をますます拡大してまいりますが、現在どのくらいありますか、あとで事務当局から申し上げますが、同時に濃厚飼料の原料である先ほど申しましたような品物につきましても、できるだけ自給はいたさなければなりませんけれども、そういうものは困難でありますが、その他の飼料作物については、やはり米の生産調整をいたすにつけましても、そういう面の増産をはかっていくことの必要があるではないか、そういうことを努力をいたしまして、できるだけ——需要がだんだんふえてまいりますから、自給度と申しましてもなかなかむずかしいのでありますけれども、大体しばしば問題になっております農林省が統計をしております五十二年の見通しにつきましては、牛乳乳製品が九五・九%から八七・三%、それから肉類が九四・三から八三%、鶏卵は一〇一%から九六%、この程度の見通しをつけて、それを目標に努力をしてまいるつもりであります。
  123. 大出俊

    大出委員 それは乳製品分野で少しこまかく聞きたいことがあるのですけれども、時間がかかりそうですから、もう一つだけいまの点にからんで承っておきたいのです。  草地試験場の中で、山地農業研究、これは一つの課題だと思うのですけれども、これをどの程度力を入れるといいますか、車地を柱あるいは畜産を柱とするという中でどういうふうな位置づけでお考えになっておられるのかという点をお答えいただきたいのです。
  124. 横尾正之

    ○横尾政府委員 先生の御指摘もございましたように、山地、傾斜地にかかる草地の研究、これは非常に重要であると存じます。これはわが国が山地、傾斜地が多いという特殊性とも対応して、今後開発をしなければならぬ重要な部分であり、そのための技術面につきましては、低地とは異なった非常にむずかしい問題がございます。そこで、現在の体制は六研究室がございまして、それなりの一応の充実をはかっておりますけれども、特に山地、傾斜地にかかる土地保全でありますとか、あるいは圃場整備と申しますか、草地土木的な側面がございまして、そういう面につきましては、さらに充実をはかる必要があるというふうに考えておりますので、四十二名を、先ほど先生の御指摘になった資料にもございますけれども、さらに三カ年計画で拡充をいたしまして、草地研究の重要な一部門として位置づけをして充実をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  125. 大出俊

    大出委員 非常にむずかしい問題だと思いますけれども、あと研究が中断されるというようなことになると、これまた問題になりますし、あるいはまた移転に伴う人の動きの問題もありますし、労働強化という問題が出てきても困りますし、ここらは強制配転はしないという前提に立っておるわけですけれども、ここらのところは、先ほど申し上げましたように、むずかしい時期だけに、なるべく対象になる組織との関係等お考えいただいて、納得し合ってやっていただくような点をお願い申し上げておきたいのであります。  そこで総体的な振りかえその他を含む定員問題についてちょっと承りたいのです。  これは四十四年度五万九千五百十三人ということなんですけれども、これは四十三年度の六万二千百三十九人から六万四百五十二人を引いて千六百八十七人、つまりこれだけ落ちた分だけを凍結した、当時のいきさつは。そこで六万四百五十二名、ここから始まるわけですね、三年五%という形で。こういう計画だったわけです。このときには高知の赤牛のところが五名ばかりあった。これは片づいたわけであります。ですから、ときの計算でいきますと、五万九千五百十三人、こういう数字に相なる。これを基礎にして三年五%、三千四百人、こういう数字になる、当時は。そしてこれを三カ年間で割っていきまして千百三十三、千百三十三、千百三十四。ところが新規増という問題が起こってきて、行管と皆さんがいろいろお話しになって二百人ばかりここで人が動いた。したがって、当時の計画は、四十四年が九百三十三、四十五年が九百三十三、四十六年が九百三十四、これは外務省に一名入っておりましたから、パキスタンです、そこでこういう数字になったわけですが、これが昨年はああいうことでこの設置法は通らなかった。そうすると、ことしこの三年五%というのは一体どういう基礎で、これからどう考えればいいのか。昨年の出発にあたって、さあ、これで出発するのだ、こうなった数字を私はいま申し上げたのですが、これは一体どう変わってこれから進むわけでございますか。
  126. 澤辺守

    澤辺説明員 ただいま御質問にございましたように、四十四年度以降、各省一律五%削減の場合、農林省の場合は三千四百名を一応三カ年でやるということに当時なっておったわけでございますが、新しい行政需要という点も考えまして、初年度である四十四年度は九百三十四名の削減をしたわけでございます。第二年度である昭和四十五年度につきましても大体同数九百三十三名ということでございますが、昨年度五名だけは先行的な措置として削減をいたしておりますので、第二年度の削減といたしましては九百二十八名ということで四十五年度は実施をすることにいたしております。  なお、残りにつきましては、今後の行政需要あるいは今後の欠員の発生の状況等を考えまして四十六年度の削減数をきめてまいりたい。それで三千四百名の三カ年の削減数を四十六年度で全部終わるということが、欠員の状況あるいは新しい行政需要等を見て困難であるということでありますれば、閣議決定に従いまして一部次年度に送るというようなことも、場合によっては検討せざるを得ないかと思いますけれども、今後の推移等を見た上で最終的にきめたいというふうに考えております。
  127. 大出俊

    大出委員 四十三年度におけるおたくのやめていく方々の数、当時おおむね千八百名あった。ところが、これは一カ所からやめる場合だってあり得る。まことに都合よくやめるわけではないわけですから、そこらのところを考えて、新規増六百ばかり見ておった。足らぬというので二百ばかりふやしたということで、九百台の数字が出てきたわけです。  そこで、ここに数字がございまして、これは皆さんの機構全部で、抜けているものは一部もございませんけれども、これは当時の数字、いま御説明の数字九百三十三、九百三十四から始まったわけです。これでいきますと、統計が三百三十四、食糧が五百、その他が百ぐらいになっておった。順序がありますから一つずつ聞いていきますけれども、統計が三百三十四、食糧の五百、その他の百、こういう出発をしているのですが、これはどういうふうになりましたか、大体このとおりになりましたか。
  128. 澤辺守

    澤辺説明員 四十四年度の実績は、食糧庁が五百名でございます。統計調査事務所は三百三十四ということで計画どおりになっております。
  129. 大出俊

    大出委員 お調べになるのはたいへんなようですが、振りかえの関係があって聞きたいところなんですけれども、たいへん時間がかかるのじゃないかと思いますので途中でやめますけれども、実は私の心配は、少し雲行きが変わってきておりまして、食糧に対しても、減産、減反の問題もありますしするので、行政管理庁自体は、このとおりにならなかった場合に最終年度で何とかという考え方が当初はありましたから、そこらとの関係で、これは一つ間違うとちょっと最終年度に問題が残りはせぬかという心配を私しておったのですけれども、いまのやってこられた動きから見て、大体四十六年度で、いまの筆法をもって進めていって振りかえをいろいろやっていって、大体こんなところに落ちつくという確信をお持ちでございますか。
  130. 澤辺守

    澤辺説明員 今後の推移を見なければ断定的なことは申し上げられないわけでございますが、若干四十六年度で残が出ることもあり得るというふうに考えております。
  131. 大出俊

    大出委員 残が出ることがあり得た場合は、先ほど閣議決定とおっしゃいましたね。そうすると、繰り延べるということですな。
  132. 澤辺守

    澤辺説明員 四十六年度で全部削減を終わらなかった分については、四十七年度に一部かかるということで、まあ繰り延べということになろうかと思います。
  133. 大出俊

    大出委員 これは職場の方々にすれば、中には待っている人もいるわけですからね。統計なんか特にそうですけれども、振りかえ、おれはどこへ行くんだということで、先のことを考えてやっておられるわけでありますから、私は、そういう意味ではそうトラブルなしに進んでいけるだろうというふうに思っておりますが、秘書課長さんのほうにもお願いをしておきたいのであります。何しろ人の動きでありますから、多少そこに無理がいくとやはり職場のトラブルが起こるということになりますから、そういう意味で、ほんとうはこまかく聞いてしまえば一番いいのですけれども、時間の関係でこまかい点は省略をいたしますが、そこらの点はぜひ気をつけて進めていただきたい。これはお願いをいたしておきます。  五時近い時間でございますからかけ足いたしましたが、先ほど来、隣にいる坂村さんが、親元ということから、しきりに私に助言と忠告をしておられるので、ときによっては、こういう問題でございますから、全力を御発揮いただけるものというふうに理解いたしまして、できる限り円満な解決という点を重ねてお願い申し上げまして、たいへん簡単でございましたけれども、終わらせていただきます。
  134. 天野公義

  135. 東中光雄

    東中委員 時間がございませんので、簡単にお聞きしたいと思うので、簡明に答えていただきたいと思います。  統計調査事務所のことでお聞きしたいのですが、臨時行政調査会、行政監理委員会、それから自治省などから、この統計調査事務所については地方委譲にするようにといわれてきておったと思うのですが、今回のこの処置、地方農政局への吸収統合ということで、結局問題は基本的に解決ついたということなのかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
  136. 岩本道夫

    ○岩本説明員 お説のとおり考えてよろしかろうと思います。
  137. 東中光雄

    東中委員 自治省から来ていただいたのですが、自治省のほうも、地方委譲の主張をしないということなのかどうか、それを言明できるのかどうかをお聞きしておきたいと思います。
  138. 遠藤文夫

    ○遠藤説明員 私のほうとしましては、第二次の行政改革計画におきまして、中央、地方を通じての行政改革の推進をするため、行政事務の委譲、行政事務の改善等について、引き続き検討することとされておりますので、その内容との関連において引き紡ぎ御検討いただく、かように了承しております。
  139. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、いま農林省のほうで言われているのと、自治省で言われているのとでは、どうも違うようなんですが、その点はいかがなものですか。
  140. 岩本道夫

    ○岩本説明員 この法案を提出するに先立ちまして、政府の行政三カ年計画に関する閣議決定がございましたし、またその前に臨時行政調査会の答申なりあるいは地方行政調査会の答申なり、いろいろこの問題に関する意見が出されたわけでございますが、昭和四十二年でございますか三年でございますか、行政改革三カ年計画の閣議決定をしたときには、それらの意見を全部洗いざらい検討いたしまして、この法案を提出をして、統計調査事務所につきましては地方農政局に統合するとともに、その一部の人員は農林行政に必要な各方面に振り向けるということで御決定をいただいておりますので、その意味におきまして方針がきまっておるというふうに私ども解釈をしております。
  141. 東中光雄

    東中委員 いま自民党の行政調査会では、この統計調査事務所について再検討の問題が出たりしておるわけですが、結局しょっちゅう不安定な状態になっているのはよくないと思いますので、ひとつ大臣、この点について、地方委譲云々の問題はそうはならないのだ、いま部長からお話がありましたけれども、これで確定するのだというふうに言える、そういう歯どめといいますか、保証といいますか、そういうものを……。
  142. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 自由民主党の方針というのは、やはり地方の農政局に一緒にして、事務の能率化をはかる、こういうことをいっているのでありまして、政府の今度の御提案も全く同じ趣旨でございまして、職員に動揺、不安定感を持たせることのないように、私は、この法案が成立いたしましたときには、特に統計関係の者によく申すつもりであります。
  143. 東中光雄

    東中委員 次に、統計業務の内容についてお聞きしておきたいのですが、今後における調査統計の基本的な方針といいますか、地方農政局委譲という事態の中で、この方針をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  144. 岩本道夫

    ○岩本説明員 今後の農林統計をどういうふうに整備し組み立てていくかということは、たいへん重要な問題でございますので、現在私どもの部の中に、これを研究します委員会つくりまして鋭意研究中でございますが、一応その結論を得ましたので、近く省内の関係部局に御相談をし、また農林統計審議会にも御相談を申し上げて、将来の方向をきめてまいりたいと考えて検討中でございます。その基本的方向は、やはりこの閣議決定の趣旨にのっとりまして、地方農政局と一緒になることを前提としまして、従来の基本的統計をますます充実させることはもとより、地方で必要とする各種の統計を整備していこう。しかしそれでは業務がふえても困りますので、機械化なり合理化の措置をあわせて講じてまいろう、こういう考え方になっております。
  145. 東中光雄

    東中委員 総合農政への貢献を強化するというか、行政上の重要性を考慮して統計が進められるということになり、あるいは、たとえば調査対象地域も重点主義をとられていくとか、あるいは流通関係の消費調査というのは非常に重要になりますが、これも大都市中心重点主義というふうにとられる、そういう方向を考えておられるのではないのか。もしそうだとすると、統計が政策を進めていくのに従属させられるということになると非常にたいへんだと思うのですが、そういう点についての方向というものを明らかにしていただきたい。
  146. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 それは逆じゃないかと思うのです。私どもは統計の基礎の上にものを考えようとするわけでありますから、いまどこの地域を御指摘になったか存じませんけれども、われわれは都市周辺だけに重点を置くとか、そういう考え方は全然ありません。全国の基礎の上に立った統計の上に政策を考えてまいるのでありますから、統計については全くほんとうの学問的統計に重点を置いているわけでありまして、もちろんその統計から出てまいりました資料に基づいて政策がきめられるのは当然のことであります。
  147. 東中光雄

    東中委員 都市計画法による市街化区域や、経営耕地面積が〇・五ヘクタール未満の農家あるいは保有山林面積五ヘクタール未満の林家は、事実上調査対象からはずされていくのではないか、そういうようなことを私たち聞いておりますので、そういう点についてもしそうだとすれば、これは小規模農家を農家として認めないというかっこうになっていって、非常に重要な問題になると思うのですが、そういう点はどうでしょうか。
  148. 岩本道夫

    ○岩本説明員 先生の御質問の意味もよくわかりますので、御趣旨に沿ったように検討した上で措置したいと思います。ただ、いまの問題は統計をどうやってつくり上げるかという技術的な問題に属する面が多分にございますので、統計をつくる場合のつくり方、要するにどういう階層分けをして、その階層の中からどの程度のサンプルをとるかというのは統計の技術に属する問題でございまして、技術的な合理化をはかっていきますために、非常に数の多い零細層のサンプルのとり方を少なくしていくとかいったようなことは当然必要だと思いますが、統計の本旨から申しまして、そういう日本における農業の構造、農家の階層的性格が十分把握でき得るような統計をつくりたい、こういうふうに念願をしている次第でございます。
  149. 東中光雄

    東中委員 いま言われている念願の趣旨はよくわかるのですけれども、実際内容として人員が削減される、地方農政局に入るということになりますと、今度は地域的な重点といいますか、あるいは基本的調査をやる部門が非常に少なくなってくるとか、そういうことの中で統計対象あるいは地域というふうな点で、政策に従属するようになったらたいへんだと思うのです、先ほど大臣も言われましたけれども。ところがそういう危険があるように思うので特に念を押しているわけなんです。世界でも最も優秀な統計だと聞いているのですが、それを政策を遂行していく便宜に使う統計と逆になったらたいへんだと思いますが、そういう点について絶対そうはならないということをひとつ言明しておいていただきたい。
  150. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 あなたのおっしゃるような学説を私は初めて承ったのでありまして、そういう考え方は全然夢にも思っておりません。正確な統計の上に政策が立てられなければならぬので、政府といたしましては初めから先入観を持ってへんぱな統計を——それは統計の意味をなさないのでありますから、そういうようなことは私どもは夢にも考えておりません。
  151. 東中光雄

    東中委員 そのへんぱな統計を私が言っているのではなくて、統計自体は公平にやられておっても——要するに問題は選択なんです。何を調査対象にするか、どういう問題を調査対象にしていくかということが非常に大きな問題になるということを申し上げているので、自分の都合のいいサンプルだけを集めて統計をつくるというようなことを、まさか二十世紀にそんなことをやろうと思っておられるとはわれわれも言うておらないわけでありまして、そういう点で地方へ移るということの中には即そういう危険性を持っているわけです。しかも総合農政に応じてやっていくということになると、総合農政の政策に適合するような事項についての重点調査になりはせぬかという点を指摘しているわけです。
  152. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、私どもは政策立案の基礎になるものは統計だとつくづく考えたわけであります。そこであなたの御指摘になりましたように、統計をとる対象については、なるほどあなたがいまおっしゃったことであなたのお考えはよくわかりました。しかし私どもといたしましては、地方農政局に統計事務所を合同することによって、そういういまあなたの御心配になったようなことが行なわれるのではないか、政策が先に立って統計がそれに付随して都合のいいようなものをつくるのではないか、そういうことは全然私ども考えておりませんので、どうぞ御心配なく願います。
  153. 東中光雄

    東中委員 結局総合農政の展開と、それへの統計の従属というふうな面、私たちが心配するのはそれであって、同時に人員削減計画が出ているわけですね。結局いま一万人という定員、これをまた先で減らしていく、必要でない部分は削っていくというふうなことは、その過程としていまこの段階であるのか、さらに進められていくのか、そういう点についてひとつ明らかにしていただきたい。
  154. 岩本道夫

    ○岩本説明員 統計は申すまでもなく行政の基礎資料になりますとともに、一般の民間、特に学者や研究者が使うことはもちろん、農家といえどもこれを利用して自分の営農計画を立てたり、作付けの計画を立てるべき性格のものだと思います。その意味におきまして統計というものは天下の公器でございまして、中立的な性格を持つべきものだというふうに考えます。したがって行政も使えば行政に反対する人も使うという意味におきまして、もろ刃の剣の性格を持っておると思います。その意味におきまして、どういうふうにこれを使っていくかということに問題があるかもしれませんけれども、私ども統計をつくる立場の者としては、客観的に科学的につくっていきたいということを念願をしておる次第でございまして、今度地方農政局にこの組織を統合しますのは、最近農業の動きが地域的に非常にこまかく分化しておりまして、中央で国の統計という形でとるのでは十分でない、そういうきめのこまかい地方農業の動きを現実に即してつかまえるためには、やはりそれなりの組織、機構上の体制を整備する必要があるという意味におきましてこの法案を提出しておる次第でございまして、その意味で先生のおっしゃる趣旨とごうも違うものではないと思います。  さらに将来の人員の構想につきましても、先ほど御答弁申し上げましたように、閣議決定に基づきまして行政改革三カ年計画を推進中でございまして、そこに一定の人員の構想というものが示されておるわけでございますから、その先またそれががくっと減るんじゃないかというようなことは、いま私どもとしては考えていないところでございます。
  155. 東中光雄

    東中委員 統計関係では以上にしておきまして、あと草地試験場の設置について、ほんの一、二点聞きたいのですが、先ほど大出委員も言われておりましたが、草地、畜産の振興というのは非常に重要な総合農政の柱にされているわけです。畜産物、飼料等の輸入、一方で生産増強をいわれておる反面、特に濃厚飼料なんかの輸入が非常にふえておりますし、ヘイキューブなんかの輸入も始められているようです。こういう点で、先ほど畜産物の自給率を言われましたが、濃厚飼料なんかの自給率はどんどん下がっていると思うのですが、大体どの程度の自給率を考えていらっしゃるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  156. 亀長友義

    亀長政府委員 資料を持っておりませんので、すぐ調べまして……。
  157. 東中光雄

    東中委員 それでは私のほうで申し上げますが、濃厚飼料の場合、一九六〇年が六六%、六五年では四四、六六年では四〇、六八年は三六というふうにどんどん下がってきておると思うのです。そういう状況の中で草地試験場を設置される。これはそれ自体けっこうなことなんですが、自由化の問題もありますから、そういう中で畜産飼料の生産について保護育成をやる必要があるのじゃないか、こう思うのですが、そういう処置をとられる方向はあるのかないのか、その点をお聞きしたい。
  158. 亀長友義

    亀長政府委員 濃厚飼料につきましては、これはわが国では増産が非常に困難であるという状況から、同時に需要は畜産の伸びによりまして非常にふえてまいります結果、われわれの持っております長期見通しでも現在よりも自給の程度は低くなるということはやむを得ない日本の立地条件であろうと考えます。しかしながら、粗飼料、いわゆる草資源につきましては、われわれとしましても将来の需要の伸びに応じてさらに増産をはかるための諸施策をとっております。また将来もとってまいるという考えでございます。
  159. 東中光雄

    東中委員 今度の草地試験場の中に山地支場があるわけですが、昭和三十九年当時には、農林当局としては年次計画的に実体をつくり上げて、最終的には山地農試という独立試験場をつくるんだ、こういわれておったわけです。いま草地試験場の中に山地支場をつくるということになると方針が変わっておるように思いますけれども、山地試験場の構想というのは一体どうなっておるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  160. 横尾正之

    ○横尾政府委員 先生御指摘のように、三十九年当時は山地農業の振興をはかるための研究組織を整備するといった構想があったことは事実でございます。しかしながら山地、傾斜地にかかる試験研究と申しましても、最も緊急かつ重大な問題は草地にかかる試験研究であること等の理由からいたしまして、実際問題としましては農業試験場の山地支場ができまして以来、草地にかかる試験研究を進めて今日に至っております。また考え方といたしましても、そういう経緯と対応いたしまして、草地にかかる試験研究組織として生かしてまいろうということに近年なってまいりまして、実態もそういうことで進んでまいっておるわけでございます。  そこで、今回草地試験場をつくるという際に、先ほどの山地、傾斜地にかかる試験研究も草地の全体的な組織的研究の一環として位置づける必要があるということから、草地試験場の支場といたしたいということで御提案申し上げているわけでございます。
  161. 東中光雄

    東中委員 要するに山地試験場構想というのは変更されてきたということになると思うのですが、草地試験についてもいまこうやって進んでおるけれども、そうなりはせぬか。そうなったのでは、朝令暮改もはなはだしいということになってしまいますので、そういう点で草地試験場を、先ほど来いろいろお聞きになっておりますから内容についてはお聞きしませんけれども、山地試験場のような形にならないようにちゃんとやられるという方針を堅持されておるのかどうか。これは当然のことですけれども、はっきりしておきたいと思います。
  162. 横尾正之

    ○横尾政府委員 組織の改変は軽微な理由で始終行なうべきでないというふうに考えますし、草地試験場につきましては、先生の御指摘がございましたが、今後その整備拡充をはかって十分に生かしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  163. 東中光雄

    東中委員 最後に、草地試験場も研究者がおり、研究をされるわけですが、研究の自主性、創造性ということは非常に大切なことだと思うのです。草地試験場における研究の自主性あるいは創造性を伸ばしていく、そういう態勢の保障というものはどういうふうにとられるのか、これをお聞きしたいと思います。
  164. 横尾正之

    ○横尾政府委員 御指摘がございましたように、試験研究につきましては特に創意の発揮ということが重要でございますので、今後草地試験場の運用の面につきましては十分に配慮いたし、その配慮のもとに全体の運営が効果的にまいるような格段の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
  165. 東中光雄

    東中委員 終わります。
  166. 天野公義

    天野委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  167. 天野公義

    天野委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  農林省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  168. 天野公義

    天野委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  170. 天野公義

    天野委員長 許可、認可等の整理に関する法律案を議題といたします。  他に質疑もないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。     —————————————
  171. 天野公義

    天野委員長 許可、認可等の整理に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  172. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  173. 天野公義

    天野委員長 この際、塩谷一夫君外四名より、本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  趣旨の説明を求めます。塩谷一夫君。
  174. 塩谷一夫

    ○塩谷委員 ただいま議題となりました自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党、五党共同提案にかかる附帯決議案につきまして、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     許可、認可等の整理に関する法律案に対する附帯決議(案)   予防接種法の改正による腸チフス及びパラチフスの定期予防接種の廃止に伴い、政府は、今後の腸チフス及びパラチフスの予防対策上支障がないようワクチンの開発その他一般予防対策の推進に万全を期すべきである。   右決議する。  本附帯決議案の趣旨は、先般の当委員会における同僚議員の質疑を通じ、すでに明らかになっているものと存じます。  よろしく御賛同をお願いいたします。
  175. 天野公義

    天野委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  176. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本案は附帯決議を付することに決しました。  この際、荒木行政管理庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。荒木行政管理庁長官。
  177. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨に沿って万遺憾なきを期したいと存じます。
  178. 天野公義

    天野委員長 なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  180. 天野公義

    天野委員長 建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。東中光雄君。
  181. 東中光雄

    東中委員 設置法に直接関係するわけではございませんが、建設省における労使関係関係で若干お聞きしたいと思います。  昨年十一月の十二日に、午後一時から三十分間、公務員共闘の統一行動の一環として、全建設省労働組合の方針で組合員が人勧完全実施のリボンを着用した。建設省当局は一斉に業務命令を出して、その取りはずしを命ぜられたわけですが、リボン着用について、その業務命令を出される法的な根拠を明らかにしてほしいと思います。
  182. 志村清一

    ○志村政府委員 お答えいたします。  昨年の十一月十三日の統一行動戦術の一つとしてのリボン着用の問題でございますが、ストライキ宣言下の組合活動の一環として行なわれたものでございまして、国民に職務執行の公正さについて疑念を持たせるものがございますので、職務命令をもってリボンの取りはずしを命じた次第でございます。
  183. 東中光雄

    東中委員 リボン着用が違法だというお考えなのかどうか。そうだとすれば、どの法規にどう違反しておるということなのか。その点どうでしょう。
  184. 志村清一

    ○志村政府委員 リボン着用につきましては、いろいろな御議論がございますが、リボンを着用したということだけで違法であるとは私考えておりません。ただその着用しておりますリボンの内容が違法であるといったような場合につきましては、リボン着用そのものが違法であろうというふうに考えております。またそういった場合でなくても、リボン着用の状況とかリボンの記載内容とかいうふうな種々な点から見まして、職場において特殊な雰囲気がかもし出されて、そういったことの影響から事務の正常な運営がそこなわれるとか、あるいは一般の公衆の皆さんに対して、公務の適正な運用に疑いを抱かしめるおそれがあるといったような場合につきましては、職務命令をもってこれを取りはずすことが正しい、かように考えているわけでございます。また、いま申し上げたいずれにも該当しないという場合もあるわけでございますが、そういった場合におきましては別段違法とはいえないと存じます。
  185. 東中光雄

    東中委員 内容で言いますと、人事院勧告完全実施、人勧完全実施というリボンの内容そのもの、これは何ら当局側がとやかく言われるべきことではないし、むしろ法律のたてまえがそうなので、問題のないところだと思うのですが、どうでしょう。
  186. 志村清一

    ○志村政府委員 完全実施云々という内容につきましては、私もそれ自体が違法であるとは考えておりません。
  187. 東中光雄

    東中委員 リボン着用そのものが職務遂行上支障を来たすというような、そういう職場状況なのかどうか。これは全然そうではないと思うのですが、どうでしょう。
  188. 志村清一

    ○志村政府委員 冒頭に申し上げましたように、昨年の十一月のリボン着用の問題は、ストライキ宣言下の組合活動の一環として行なわれたものでございまして、そういう意味におきまして、国民に対しまして公務の適正な運用に疑いを抱かせしめるおそれがある、かように考えたわけでございまして、その意味で職務命令をもってリボンを取りはずすように申し渡したような次第でございます。
  189. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、リボンを着用しておること自体によって、組合の決定でやられておるわけですけれども、たとえば保安上あるいは能率上あるいは衛生上、とにかく業務の遂行に支障を来たすというのではなくて、国民の一般の人たちの受け取り方によって、適正にやられていないのではないかと受け取りはせぬかというふうに判断されたというだけだというふうに聞いていいわけですか。
  190. 志村清一

    ○志村政府委員 繰り返すようでございますが、ストライキ宣言下の組合活動の一環として行なわれたものでございまして、国民に職務執行の公正さ、適正さにつきまして疑念を持たせるものであろうということで職務命令を出した次第でございます。
  191. 東中光雄

    東中委員 私は二十年近く労働関係の弁護士をやってきましたので、いま言われていることがどうも全く解せないのですけれども、いずれにしても、リボン着用を組合の決定できめてやる趣旨は、先ほど言ったような衛生なり保安なり能率上差しつかえる、これはリボンの大きさにもよりましょうし、職務内容にもよると思いますけれども、そうでない場合は一その趣旨自体は、そこに書かれておる内容を世論に訴えること、そして公務員労働者としての立場の連帯性を強めていく、そういう連帯を一つの示威としてやっていくことだ、こういうことだと思うのですね。それらのことは、要するに職員団体、労働組合としての団結活動そのものであって、争議行為だとか怠業行為だとかいうものでは全くないわけですね。これは労働学者なんかの通説だといってもいいと思うのですが、そういう団結の示威あるいは公務員労働者同士の連帯を強めていく、あるいは要求を確認し、その要求の内容を一般の人に訴えること、その組合の団結行動自体がいかぬというふうに、またそれが公務が適正にやられてないものであるかのような印象を国民一般に与えるのだというふうにとらえていらっしゃるように思えるのですが、いかがでしょう。
  192. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほども一般的にお答えいたしましたように、リボンの着用につきましてはいろいろ問題がございまして、人事院の裁定とかいうふうなものもいろいろ出ております。そういうことにつきまして一般的に申し上げたように、リボンの内容自身が違法であるといった場合は問題がある、しかしリボンの内容が違法または不当の内容でなくても、そういったものの着用の状況によりまして事務の正常な運営がそこなわれるとか、あるいは国民に対して公務の適正な運営に疑いを抱かしめるようなおそれのある場合には適当といえない、職務命令をもって取りはずしを命ずることがある、その他の場合におきましては別段違法とは言えないという解釈でございまして、昨年十一月の場合におきましては、ストライキ宣言下の組合活動の一環として行なわれたものでございますので、国民に対して職務執行に疑念を持たせるおそれがある、かように考えたような次第でございまして、リボンの着用そのものが一般的にいけないという趣旨ではございません。
  193. 東中光雄

    東中委員 ストライキ宣言下におけるというふうに言われましたけれども、争議行為というのは宣言ではないわけなんですね。争議行為というのは事実行為です。意思表示が争議行為であったりするわけはないわけですから、ストライキ宣言下であっても、宣言下で争議行為に入った、業務に支障を来たすような事態があったというのなら問題はおのずから変わりますけれども、いま言われている十一月の十二日の問題では、業務に支障を来たしたというようなことはないというふうに官房長言われたようにいまお聞きしたのですが、そう聞いていいわけですね。
  194. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 法律専門家であるから、いろいろと法律論もさることながら、私は、大体労働組合としてのあれは認めていますけれども、労働組合員たる前に国家公務員であるということを忘れてはならない。国家公務員というものは、国民全般に奉仕するためのものでございます。そこで国民全体の奉仕者たる者が、主権者である国民に対して何らかの不安を与え、あるいはまた好ましからざる一雰囲気のもとに執務すること、管理者としてこれに対して適当なる勧告をする、かつまた是正をするということは、行政官庁として当然のことである、こう思います。その意味で、いま官房長が、昨年の状況下において、本来は国家公務員はストライキをすることができないことになっておる、それをあえて宣言しておる、その環境下においてその意思表示をするためにこれを出しておる。だからこれは何も組合員の活動を制限するとかなんとかということではなくて、これがもし職場を離れて組合本部でやっておるとか、あるいは街頭でやるということについては、これは何ら規制する必要はないと思いますけれども、毎日のようにたくさんの国民の方々が来る公務執行の場に、それをかけなければならぬ必要はないだろう、だからそれは適当でないからはずしなさいということを言ったこと、これは私非常に議論する必要はないというふうに思うのです。私は法律専門家でないからわからないけれども、なぜそれをあなたが追及しなければならぬか、というのは、これで非常に組合活動が——ということは、国家公務員の立場よりも、組合のほうが少しでも支障を来たす、あるいは感情上困るということがあれば、国家公務員たるところの責務というものは第二の問題にしていいというような印象も受けるのですが、そういう点はどういうものでございましょう。
  195. 東中光雄

    東中委員 逆に質問されたわけですけれども、大臣は、要するに行政官庁としての立場でものを言われておるわけですが、行政官庁であると同時に、労使関係では、ILOなんかでもいわれておりますけれども政府としての政府、使用者としての政府があるわけですね。だから国家公務員であると同時に、憲法第二十八条にいわれておる労働者、勤労者であるということでもあるわけです。だから憲法上の勤労者としての団結行動に対しては、使用者としての政府として対処しなければならない。ところが使用者としての政府としての対処ではなくて、業務命令——業務命令というものは使用者としての政府立場ではないわけですね。だから二つの面を持っているので、その一つの面だけを強調されている。これが今度は公務員の団結権というものに対する侵害の問題が起こってくる。建設省だけが他の官庁と比べても特にこの問題がひどいですね。だから具体的支障はないのに、いまどういうことで業務命令を出されたのか、使用者としての政府という立場をとって、このリボン着用闘争というものを見ておられるのか、見ておられないのか、その点はっきりしていただきたいと思います。
  196. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 いまあなたが言われたことで、私も、政府は行政官庁として国民に奉任する機関としての立場と、それからある意味において労使関係立場というものがあるけれども、実質上はこれは不可分の形において私はあろうと思います、現実には。いわゆる民間で営業行為をするための労使の関係以上に、やはり公務員という立場で、いわば就職しておる人は国家機関の奉仕者としての職員であるということのほうを優先して考えるべきだと思います。その意味において、観念的には労使の関係といっておるけれども、国民全部の立場からするならば、やはりどこまでも公務員として奉仕する立場ということを重点で考えると思うのですよ。そういう立場からいたしまして、私は当時の状況はよくわかりませんけれども、これによっていまの組合が非常な不当な弾圧を受けたという感じはおそらく受けないんじゃないかというような感じがするのでございますが、そういう点は、行政機関としては、当時の処置がとられたことは、ある意味においては労働組合としては、少しでも自分たちに精神的な不利とかあるいは圧迫とか感じたことは快く思わないかもしれぬけれども、これがまた不当労働行為というところまで行くということははたしてどうであろうかというような懸念を実は持つわけでございます。
  197. 東中光雄

    東中委員 もう一ぺん聞いておきたいのですが、業務命令といまおっしゃった。国家公務員法上の職務上の職務命令という意味なのか、何かそのほかの根拠で言われておるのか、その点をひとつ明らかにしておいていただきたい。
  198. 志村清一

    ○志村政府委員 先生御指摘のように、職務命令でございます。  なお、先ほどのお話の中でございましたが、建設省では組合員は相当人数おりますが、リボンを着用した者はわずかでございまして、またこのリボン着用の問題についての今回の措置については、政府統一見解というのがございまして、それに基づいて行なった措置で、建設省が独自の立場というわけでは必ずしもないということを申し上げておきたいと思います。
  199. 東中光雄

    東中委員 このリボンを着用した人に対して訓告それから厳重注意ですか、という処分をされたと聞いておるのですが、リボン着用者に対しては全部そういう処分をされたわけですか。
  200. 志村清一

    ○志村政府委員 当日リボンを取りはずすようにと申しましたにかかわらず、リボンを着用した職員に対しましては、先生御指摘のように、将来を戒めるために訓告あるいは注意ということを行ないました。これは国家公務員法に規定するいわゆる懲戒処分ではございません。
  201. 東中光雄

    東中委員 国家公務員法八十二条に規定する懲戒処分ではない。しかし、建設省で出されておる建設省職員訓告規程ですか、でやられたということになるのですか。この点が一つと、それからこの訓告規程によっても厳重処分というのはないわけなんですが、それは一体どういうことなのか明らかにしていただきたい。
  202. 志村清一

    ○志村政府委員 訓告につきましては、先生御指摘のように訓告規程によっております。厳重注意というのは私どもの慣例でございまして、公務員法上による懲戒処分に至らず、また訓告規程による訓告まで至らないが、将来を注意いたしたいという者に対しまして行なっておる措置でございます。
  203. 東中光雄

    東中委員 厳重注意は懲戒処分に至らない、訓告は懲戒処分に該当するけれども、懲戒処分に特に付さないということだと思うのですが、違うのですか。
  204. 志村清一

    ○志村政府委員 国家公務員法上に規定する懲戒処分では、訓告も注意もございません。
  205. 東中光雄

    東中委員 それはわかっているのですが、訓告というのは一体何かということを聞いているのです。訓告規程によりますと、訓告規程の第一にあるのですが、国家公務員法八十二条の各号の一に該当する場合において、懲戒処分事由に該当するけれども、懲戒処分にしないもの、こう書いてあるから、だから本件の場合は、訓告されたのは懲戒処分に該当するということだから、どこに該当して、該当するけれども、なぜ懲戒しなかったのかということを聞いているのですよ。
  206. 志村清一

    ○志村政府委員 懲戒につきましては、国家公務員法上いろいろ規定がございますが、それに対しまして、今回の処置につきましては、そこまで至らないだろう、将来を戒めるというたてまえでよかろうという趣旨で、訓告ないし厳重注意にいたした次第でございます。
  207. 東中光雄

    東中委員 そうすると、訓戒処分をした人たちも懲戒処分の各号には該当しない、将来を戒めるだけだ、こういうことで今回は訓告をされている、こういうことになるわけですか。
  208. 志村清一

    ○志村政府委員 国家公務員法第八十二条による懲処戒分をいたさない、しかし将来を戒めるために、訓告ないし厳重注意をしたということでございます。
  209. 東中光雄

    東中委員 それなら訓告規程による訓告だから、八十二条各号に該当しているということが前提になっておって、しかしその処分をしない、こういうことになるはずなんで、それならば、八十二条の何号に該当するということで処分されているのか、いま官房長のお話でその点がきわめてあいまいにされているわけなんで、処分にかかわる問題ですから、はっきりとしていただきたい。
  210. 志村清一

    ○志村政府委員 先ほど申し上げましたとおり、八十二条で免職なり停職、減給、戒告というようないろいろな懲戒処分がございますが、その処分をするまでもないという意味におきまして、訓告規程による訓告あるいは厳重注意ということにいたしたわけでございます。
  211. 東中光雄

    東中委員 私の質問はそういうことを聞いているのではないのです。八十二条の各号の一に該当する場合に訓告をやるわけでしょう。各号の一はどれに該当しているのかということです。
  212. 志村清一

    ○志村政府委員 国家公務員法第八十二条一号で「命令に違反した場合」というふうな条項がございます。これによって懲戒処分ができるわけでございますが、そこまでするまでもない、今後かかることのないように将来を戒めたいという意味において訓告をいたしている次第でございます。
  213. 東中光雄

    東中委員 そうすると、厳重注意の場合は、これは八十二条の各号に該当していない人ということで訓告と差別をされていることになるのでしょうか、どうでしょうか。
  214. 志村清一

    ○志村政府委員 リボンを取るようにという命令は出ているわけでございますから、命令に違反しているという点については訓告を受けた者と区別はない。ただ訓告等までする必要はなかろう、厳重に注意をして将来を戒めれば足るであろうというふうに考えて処分をいたした次第であります。
  215. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、厳重注意、それから訓告というのは、当局がやられたその性質は、これは懲戒処分ではない、行政処分なんですか、そうではないのですか、何なんでしょうか。
  216. 志村清一

    ○志村政府委員 国家公務員法第八十二条による懲戒処分ではございませんが、訓告あるいは厳重注意をしたというのは、一種の行政行為というふうになろうかと存じます。
  217. 東中光雄

    東中委員 この懲戒でない厳重注意、あるいは訓告をされた人たちが、それぞれ勤勉手当の支給で減額支給をされておりますね。その点は事実かどうか明らかにしていただきたい。
  218. 志村清一

    ○志村政府委員 リボン着用によって厳重注意等を受けた者の中で、勤勉手当について若干低い率にきめられた者もございますが、勤勉手当というのは先生御承知のとおり、職員の勤務成績に基づいて、それぞれ成績率を決定して支給して奪わけでございまして、仕事のできばえとか、勤勉さとか、規律とかいうものを総合的に判断して決定をいたしておるわけでございます。リボンに関して注意を受けた者のうちで、成績率が低くきめられた職員がおることも事実でございますが、すべてではございません。それは、総合判断の結果行なわれたものでございます。
  219. 東中光雄

    東中委員 事実関係としては、訓告を受けた職員は全部百分の三、文書による厳重注意を受けた人は全部百分の二、そして口頭による厳重注意という、何といいますか、処分を受けた人は百分の一それぞれ減額されているという結果が出ている。これは、いままで建設省の中でもなかったことだし、ほかの各省庁でもないことなんです。その関係は、事実関係としてははっきりしておるのではないですか。
  220. 志村清一

    ○志村政府委員 これは、私どもで調べておりますところによりますと、リボン関係で注意等の措置を受けましたものが四百名をちょっとこえておりますが、その全員がいまお話のございましたような勤務手当を若干低く決定されたというのではございませんで、各事務所なり事業所事業所によってそれぞれ異なっております。大体三百名くらいが率を低下されているというふうに承知いたしております。
  221. 東中光雄

    東中委員 この減額は、そうすると厳重処分を受けたからということ、あるいは訓告ということじゃなくて、その勤務評定の結果そういうようになっているということになるわけですか。
  222. 志村清一

    ○志村政府委員 いわゆる、年一回やる勤務評定というのがございますが、あれと勤勉手当の支給に伴う勤務成績とは若干違いまして、勤勉手当というのは年に二回支給されるものでございますから、そのつど、大体半年間の勤務成績に基づきまして考えておるわけですが、その項目は先ほど申し上げましたように、仕事のできばえとか、勤勉さとか、規律といったような三項目を総合的に判断してきめて、それによって勤勉手当の額を決定するということにいたしております。
  223. 東中光雄

    東中委員 そうしますと、いま言われておる勤勉手当を減額したいわゆる評定というのは、建設省でつくられておる職員勤務評定実施規程に基づかない別の評定ということになるわけですか。
  224. 志村清一

    ○志村政府委員 勤務評定は毎年七月一日に前一年間についていろいろなたくさんの項目について、ABCDというような区分をするわけでございますが、勤勉手当の支給のための成績率をきめるための勤務成績につきましては、大体六月一日と十二月一日においてそれぞれその前の六カ月間の職員の勤務状況について、評定要素としては、先ほども申し上げました、重ねて申し上げるのはなんでございますが、仕事のできばえ、勤勉さ、規律という三点において総合判定をするものでございます。
  225. 東中光雄

    東中委員 ということは、結局勤務評定実施規程でない特別の項目による、三項目による評定でされておるということになると思うのですが、もうこまかいことは申し上げませんけれども、要するに、労使関係の問題、使用者としての政府立場で、労使関係では対等になる労働組合の決定に従って動いた行為、それで業務の支障を来たしていないということ、ここまでは事実関係として争いがないと思うのですが、そういう関係について、結局命令が出されて、従わなかったら、それについて処分までする。徴戒処分でないけれども、行政処分をやる。そうしてそれについて今度は給料についても差別が出てくる、こうなると、先ほど不利益扱いではないというふうに言われましたけれども、結果においては、いままで全然なかった新しいこういう問題が建設省で起こってきているので、これは労働組合というか、憲法二十八条で言っている公務員の団結権というものを尊重するという点で非常にぐあいが悪いということと、それからこういうことであれば、公務の執行そのものが、結局労働者との間がうまくいかないわけですから、かえって非常にまずいのではないか、こう思うわけですが、こういう方向、方針を今後ともやはり続けていかれるのか、あるいは国公法九十八条で禁止している争議行為ではないのだから、そういうものについては慎重に扱うというふうにされるべきだと思うのですが、その点、大臣の所感を聞いて質問を終わりたいと思います。
  226. 根本龍太郎

    ○根本国務大臣 私は、やはり国家公務員であろうとも組合活動を決して弾圧するなどということは考えておりません。したがいまして、両者がお互いに立場を尊重し、信頼感を持つような環境をつくることが一番大事だ、こう思います。  そこで、特に行政官庁としてやる場合には、組合活動を職場まで、国民に奉仕する場でその行為をなるべくしないでほしいというのは、われわれの念願ですよ。やはり国民に対するときは、組合員である前に国家公務員であるのだ。国家公務員というのは、そういうふうに使命づけられて、そういう前提のもとに就職していますからね。それをまず前提に考えていただきたい。そういう前提を守る限りにおいては、できるだけ健全なる労働組合として今後成長することを私は念願するのでございます。したがいまして、こういう事実から見まして、組合の人たちも、そのリボンをつけただけで、それで組合の団結が強化される、これをとらせられたらばらばらになるということなら、それはまことにふがいのない私は組合のような気もするのですよ。もっと本質的なものであっていいじゃないかというふうに私は思います。そういう意味で、私自身が直接現場へ行って接触するわけじゃございませんから、できるだけ組合の立場も尊重し、組合の人たちの誤解を招かないように慎重に管理者にはそれぞれ注意いたしますけれども、それだからといって、組合活動であるならばもう何をしようとも、それには政府は黙って見ておれというわけにはいかないと思いますので、あなたの気持ちもよくわかりますので、今後十分に慎重に労使間の信頼関係がお互いに持てるように努力してまいりたいと思う次第でございます。
  227. 東中光雄

    東中委員 職場で組合活動をやるな、こう言われているけれども日本の労働組合活動というのは全部職場でやっているので、これはそれをやめろといわれたら、組合活動というのは実際上弾圧しちゃうことになるわけです。  それからリボン闘争というものについては、リボンをやったからどうのこうのということはないじゃないか、こう言われますけれども、私の申し上げたいのは、たとえばいろいろな裁決例がありますけれども、リボン闘争というのはわが国労働運動における一つの慣行として是認されてきているものだ、こういうふうに公的に見解を出されている点もたくさんあるわけでありますね。そういう点からいったら、そういう問題について一一、業務に具体的支障を来たすわけじゃないから、ちょっとつけているだけですから、それで減俸する、減給するというふうなかっこうにならないよう、これはやるべきじゃないというふうに思いますので、そういう点でひとつ慎重にやっていただきたい。  質問を終わります。
  228. 天野公義

    天野委員長 次回は、明二十四日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時二分散会