○愛知国務
大臣 第一点は、日米会談との
関係でございますが、これは国会でいろいろの機会に総理
大臣みずからが証言をしておりますように、まず第一は、あの共同コミュニケには全然出ておりません。そして当時——やはり昨年の五月以来の問題でありまして、いろいろの
経過があって、当時は、ちょうどジュネーブの会談が始まっておった時期でございますから、まあジュネーブ会談も始まっていることだから、日米の間で非常に大きな問題になっているから、なるべく早期に
解決するように
努力をしましょう、こういう話があったことは事実でございます。しかし、これは私、蛇足をつけ加えるようで恐縮ですけれ
ども、その後の
経過を見ましても、やれコンプリヘンシブとかセレクティブとか、品目がこうであるとか非常に具体的、技術的な問題でございますから、いかに有能なるニクソンさんといい、
佐藤さんといえ
ども、そういう点に入って短時間に話ができるはずのものでもございませんし、私は、そのときに参加しておりませんけれ
ども、私と国務長官の間には、繊維問題はほとんど、全然出ていなかったといってもよろしいと思います。繊維問題といううるさい問題があるなというくらいは雑談的に出ましたけれ
ども、私も政府の責任者の一人として、何らコミットしている事実はございません。
それから第二の、被害なきところに規制なしという点は、全くいまおあげになった理由はごもっともなのでありまして、向こうに同種の品目がなければ、向こうの市場や生産が撹乱されるということはないはずでございますから、したがって、アメリカ側も、こちらが被害、被害と申しますから、資料を一生懸命出して、一生懸命
努力はされたけれ
ども、やはりその中には、こちらとしてはそれをそのまま受け取るわけにいかないものもございまして、こういう点はどうだ、どうだと言って、資料等についての申し入れといいますか、こちらの希望あるいは要請は、その後もずっと今日まで続いていると言ってもあるいは言い過ぎではないと思います。
それから第三の、一番大きな問題は、暫定的云々というケンドール案でございますが、先ほど申しましたように、ケンドール氏は繊維の方ではないわけですね。ただいろいろの
関係で、日本との経済
関係については興味と関心を非常に大きく持っている人ですから、何か自分のあっせんでまとまることができればという、きわめて善意だったと私は思うのでありますけれ
ども、ケンドール案と称せられるものができたことも事実のようでございます。見ようによってはなかなか苦心した案だということも言えるでしょうけれ
ども、アメリカの政府筋は、これは自分らと何ら
関係のないことだと言っておりますし、それからケンドール案というものを最初に見ましたのは通産
大臣で、これは当然でございますけれ
ども、通産
大臣は通産
大臣なりに検討いたしまして、この案ではまだなかなか問題があるという点を
指摘し、私にも相談がございました。その
状態が今日も続いておるわけでございます。
それから、申すまでもないことですけれ
ども、アメリカ側がこちらに要請してきておるのも、自主的に何とか規制をしてくれということなんですね、方法論はともかくとして。こちらとすれば、もともと貿易管理令だとかなんとか法令の措置によって、政府の行政措置としてやる意図は今日においても全然持っておりません。したがって、業界が納得されるようなやり方でなければ応ずるわけにまいりませんから、これはどうしても、政府間のレベルでの話しももちろん必要でございましょうけれ
ども、日本側といたしましては、業界の意図というものが決定的な要素であると思います。
そこで、たいへん長い間いろいろの面で御心配をかけていて恐縮なのでありますけれ
ども、私
どもとしては、
ほんとうに大事な問題ですから、かりそめにもまず役所の間でいろいろのそごがあってはいけないので、私としては、通産
大臣とも全く緊密一体に連携をとっておるつもりでございます。
それから、
意見の一致なくしては政府として駐米大使館に訓令というものは出さないのが当然であるし、また出しておりません。先ほど申しましたように、ただいろいろの情報が流れるので、実は私も率直に言って困ることがあるのですけれ
ども、いま吉野公使の話もございましたが、吉野公使がケンドール案に対して賛意を表しているというか、これならばまとまるとかいうようなことをするように
話し合いを進めるようにということをこちらから言ったこともなければ、先方から私のほうにそういう
意見が具申されたこともないわけでございます。しかし同時に、けんか別れになるのは最悪の
状態だと思いますから、パイプは続けておるわけです。先ほど申しましたように、たとえば被害の事実がどうであるか、こういう点はどうかというようなことを中心にしたりして、窓口はずっと続けて持っておるわけでございます。そういう
関係から、いろいろ周囲から見ておられると、何かそういうところでそんな話が出たのではないかという憶測な
ども生まれたのかと思っております。
なお、そういうものが新聞に出るたびに、当方といたしましては、所在ないことと思うけれ
ども、そういう真相でないことが世間に出ることは一そう誤解を大きくするから、そういうことのないように、外に対する情報としては出す必要があるならば正確なことを言う、実は正確なところは、先ほど来申し上げておりますように、まだございませんものですから、報道
関係の人にもたいへん迷惑をかけ、取材も困難だと思いますけれ
ども、ここは大事なところですから、新しいことが事実起こらない限りは、これはやはり沈黙を守っていることがこの際としてベストである、こういう意味の注意は与えております。そうやっておりましても、やはり皆さん御心配の問題ですから、いろいろそういうこと、あるいはその他の情報な
ども伝えられることがありますことは、こういう情報化時代のことでありますから、ある程度はやむを得ぬことかとも思っております。