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1970-04-09 第63回国会 衆議院 内閣委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月九日(木曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君    理事 伊藤惣助丸君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    伊藤宗一郎君       加藤 陽三君    菊池 義郎君       鯨岡 兵輔君    葉梨 信行君       堀田 政孝君    山口 敏夫君       石橋 政嗣君    木原  実君       佐藤 観樹君    高田 富之君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君  出席国務大臣         外 務 大 臣 愛知 揆一君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      荒木萬壽夫君  出席政府委員         行政管理庁行政         管理局長    河合 三良君         行政管理庁行政         監察局長    岡内  豊君         防衛施設庁施設         部長      鶴崎  敏君         防衛施設庁労務         部長      長坂  強君         外務政務次官  竹内 黎一君         外務大臣官房長 佐藤 正二君         外務大臣官房領         事移住部長   遠藤 又男君         外務省経済協力         局長      沢木 正男君         外務省国際連合         局長      西堀 正弘君         通商産業省繊維         雑貨局長    三宅 幸夫君         建設政務次官  田村 良平君         建設大臣官房長 志村 清一君         建設省都市局長 竹内 藤男君         建設省河川局長 坂野 重信君         建設省住宅局長 大津留 温君  委員外出席者         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     林  敬三君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     尚   明君         参  考  人         (日本住宅公団         理事)     宮地 直邦君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ————————————— 委員の異動 四月八日  辞任         補欠選任   阿部 文男君     丹羽喬四郎君   堀田 政孝君     佐々木秀世君 同日  辞任         補欠選任   佐々木秀世君     堀田 政孝君   丹羽喬四郎君     阿部 文男君     ————————————— 四月八日  靖国神社国家管理反対に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第二七〇五号)  同(浦井洋紹介)(第二七〇六号)  同(小林政子紹介)(第二七〇七号)  同(田代文久紹介)(第二七〇八号)  同(谷口善太郎紹介)(第二七〇九号)  同(津川武一紹介)(第二七一〇号)  同(寺前巖紹介)(第二七一一号)  同(土橋一吉紹介)(第二七一二号)  同(林百郎君紹介)(第二七一三号)  同(東中光雄紹介)(第二七一四号)  同(不破哲三紹介)(第二七一五号)  同(松本善明紹介)(第二七一六号)  同(山原健二郎紹介)(第二七一七号)  同(米原昶紹介)(第二七一八号)  同(青柳盛雄紹介)(第二八一八号)  同(浦井洋紹介)(第二八一九号)  同(小林政子紹介)(第二八二〇号)  同(田代文久紹介)(第二八二一号)  同(谷口善太郎紹介)(第二八二二号)  同(津川武一紹介)(第二八二三号)  同(寺前巖紹介)(第二八二四号)  同(土橋一吉紹介)(第二八二五号)  同(林百郎君紹介)(第二八二六号)  同(東中光雄紹介)(第二八二七号)  同(不破哲三紹介)(第二八二八号)  同(松本善明紹介)(第二八二九号)  同(山原健二郎紹介)(第二八三〇号)  同(米原昶紹介)(第二八三一号)  靖国神社国家護持早期実現に関する請願外十  二件(内海英男紹介)(第二八一六号)  同(中野四郎紹介)(第二八一七号)  国防省設置に関する請願安倍晋太郎紹介)  (第二八三二号)  人事行政厳正化に関する請願安倍晋太郎君  紹介)(第二八三三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第二五号)  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一〇号)  外務省設置法及び在外公館に勤務する外務公務  員の給与に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第一三号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  建設省設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  本案の審査に関し、日本住宅公団総裁林敬三君、同理事明君及び宮地直邦君を本日の委員会参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、御意見質疑をもって聴取することといたします。     —————————————
  4. 天野公義

    天野委員長 これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
  5. 木原実

    木原委員 大阪のガス事故の問題がありまして、大臣の御出席がございませんので、設置法関連をいたしまして、大臣に対する質問の一部は別の機会に譲りたいと思います。  きょうは、住宅局長それから住宅公団総裁にお出ましをいただいておりますので、関連をいたしまして、住宅問題等について御質問申し上げたいと思います。  住宅公団総裁がお見えでございますけれども、ちょうどことしは、公団公団住宅五十万戸を達成をした、こういうことで、たいへん短時日に五十万戸という蓄積をされた。いろいろな問題があるわけでありますけれども、諸外国等に比べて、時間の短い経過の中でここまで努力をされましたことにつきましては、野党の議員でございますけれども、御努力に対してひとつ評価を申し上げておきたいと思います。ただそれにいたしましても、五十万戸の戸数ができ上がりまして、なおかつ住宅の問題が深刻な問題として残っておるわけであります。したがいまして、いわばこれまでの建設の過程を反省をし、総括をし、その中から問題を摘出をしながら、将来の住宅建設に向かって進んでもらいたい、こういう念願を持っているわけでございます。そういうところから少しばかり問題を拾い出してお伺いをいたしたいと思うわけであります。  第一には、公団住宅建設が進んでおるわけでありますけれども各地にいろいろな問題が起こっております。その中で第一にお伺いしたいことは、関連公共施設といいますか、住宅公団が大量に進出をしてくることによって、地元自治体等との間に、たとえば小学校をつくる、中学校をつくる、こういうことについてしばしば問題が起こっておるわけであります。公団は、そういう公共施設について一体どの程度にやったらいいのか。本来住宅公団住宅を建てればいいわけですから、施設は他の分野の、国なりあるいは自治体なりが当然負担すべきだ、こういう意見もあろうかと思うのですが、なかなかこの実態はそうはなっていない。したがって、そういう面についてしばしば問題が起こっている。具体的には小、中学校等建設、しかも最初は用地を提供をして小、中学校等も建てられるわけでありますけれども入居される人たちがやはりちょうど子供さんが成長盛りの年齢の人たちが多いものですから、何年かたちますと、たちまちまた小、中学校等増築等を行なわなくちゃならない。そうなりますと、それが地元自治体等にはたいへんに負担になるわけでございます。そんなようなことも含めまして、関連公共施設等についての公団側の御見解をまずお伺いいたしておきたいと思います。
  6. 林敬三

    林参考人 ただいま仰せになりましたごとく、公団は十五年たちまして、ようやく五十万戸をおかげさまで一応供給をすることができるようになって、やや一区切りのところになっておりますが、お話しのように、問題は一向解決しておりません。住宅問題は深刻でございますし、これはおっしゃるとおりにいろいろ反省すべき点は深く反省をいたしまして、またいろいろ御指摘を受ける点は御指摘を受けまして、将来健全適切な道に、謙虚に、また大いに気を励まして努力をしなければならない時期と思い、さような心がけでもってがんばるつもりでございます。よろしくお願いいたしたいと思います。  さて、お尋ねの関連公共施設でございますが、木原さんよく御承知のように、初めのうちはわりに公団規模も小そうございましたし、それからわりに大きな自治体の中に少し建てるということで、関連公共施設などほとんど問題がなかった。また自治体からも歓迎されるという状態であったのでございますが、最近は御承知のようにいろいろ事情が変わってまいりまして、大規模団地をつくらなければ、どうしても住宅を多量に供給することができない段階になりましたのと、それから、したがって遠隔の地にこれを求めるということがまたいろいろな事情からやむを得ないことになってまいりました。そうなりますと、地方自治体は力も弱うございますし、それから公共施設というものも不十分のところに新しく、ほんとう都市づくりのような形になるわけです。  そこで地方公共団体としては、そんな財政負担はできない、いかに法律上、制度上自分のほうの負担ということになっても、それではもう財政はもたない、将来において確かに繁栄をして、また税金が入ってきて収支償うとしても、さしあたり十年間ぐらい動きがつかない、こういう声が非常に強くなり、それがいわゆる俗に言う団地お断わりの原因になっておることも御承知のところと思います。  そこで方針といたしましては、団地をつくりましたために団地住民が直接の受益をする、あるいは直接に必要だというようなものは、公団側において全額負担する。しかしそれと既存の社会との間の関連したいろいろなものにつきましては、原則として法規上は当該自治体負担することがたてまえでございましょうけれども、しかし同時に急激なその負担には耐えがたいという実情のあるものにつきましては、関連する必要な限度におきまして、公団が費用を負担するという方針をとって、道路についてはこのよう、あるいは下水路についてはこのよう、あるいは汚水処理についてはこのようというようなことに方針を立てまして、そして当該自治体と折衝をしてきめておるような状態でございます。重ねて申しますと、団地ができた、それの直接の原因により、かつ団地住民が直接受益をするというようなものについては全額負担する。しかしながら双方に関係のあるというようなものについては、一応のルールを立てておりますが、それに沿いながら、実情に即して問題をそのつど解決していくという態度をとっております。
  7. 木原実

    木原委員 住宅局長さんお見えでございますけれども、いま総裁おっしゃいましたが、これは問題を大きく立てれば、公団進出をしてくるけれども総合性に欠ける面が多いのではないか、こういう批判があるわけです。私が心配いたしますのは、もうすでに東京近郊等自治体の中では、住宅公団お断わりという自治体の声が強いわけなんです。表に出ておるものは、小、中学校建設の問題であったり、あるいは道路下水整備の問題であったりするわけなんです。あるいは団地ができると、その近接地域との格差が目立つとか、自治体にとりましてはもう御案内のとお勢たくさん問題があるわけです。  そこで問題は、これはもう公団のやる範囲を越えている問題が多いと思うのです。したがって、建設省としまして、たとえば学校については文部省であるとか、あるいはその他の問題については自治省やその他の機関と、何かこの際にきちんとした話し合いというかルールをつくって、そして将来まだ団地造成は進むと思いますので、自治体との関係におけるルール確立をするというようなことはお考えではございませんか。
  8. 大津留温

    大津留政府委員 先生御指摘のような必要をわれわれも十分痛感いたしまして、大蔵、自治、文部、厚生、建設、この五省で協定を結びまして、先ほど公団総裁が申しましたように、将来は住民税なり固定資産税の収入で大体まかなえるようになりますけれども、その間の十年なり何年なりのつなぎを埋めるという意味合いから、補助金を出し得るものは、補助の基準をなるべくそういう団地に当てはめやすいように運用いたしまして、補助金を出す。それから補助裏とか補助金が行かない分につきましては起債を認める。その起債も二十五年償還とか二十年償還ということで行く。それから公団負担するものは負担いたしますが、地元地方公共団体負担分でございましても、補助金が来るまでの間、あるいは起債が認められるまでの間は、公団が立てかえをする。それからさらに起債も認められないほんとう公共団体負担になる分につきましては、十年間にわたって立てかえて、十年間の割賦でお買い取りを願うというようないろいろな方法を講じております。また、そういたしましても、起債償還額も相当な額になりますから、それに対しましては地方交付税めんどうを見る、こういうような手段をいろいろ組み合わせまして、学校の場合はこうする、保育所の場合はこうするというようなルールが一応できております。
  9. 木原実

    木原委員 御指摘のような各省間の話し合い、これはけっこうだと思うのです。それにもかかわらず、早い話が、団地が出てくることによって、地元自治体にしてみれば、団地から上がる税収よりもはるかに上回るという問題が絶えずつきまとっているわけです。ですから、表へ出る問題はそういうことですけれども、なかなか自治体としては負担が重たい、こういうことで、一時はずいぶん団地の誘致をやったりあるいは団地を歓迎するという風潮であったわけですけれども、最近は団地を迷惑がる自治体がふえてきた。そういうことであるだけに、出てまいります表の問題以上に、つまり一つの大きな町ができるわけですから、人口にしても一万とか二万とかという大きなものがぽかっとできるわけですから、環境も一変いたしますし、その自治体内のいろいろな住民関係の問題も含めて、目に見えない問題もたくさんあるわけですね。そういう面についての国の配慮がどうもやはり乏しいのではないか。表へ出てくる問題は、そのつど解決のめどをつけるにしましても、自治体にとってはたいへんやっかいな存在だ、こういうことになっておるわけです。そうなりますと、問題の解決のためのルールということを申し上げましたけれども、それ以上にやはり町づくりについてのきちんとした何かがないと、そういう面について自治体を納得させることができない。一番心配いたしますのは、もしこういう形でいきますと、結局公団自治体とのトラブルが絶えなくて、非常にこれから先の団地造成についての障害になっていく、こういう側面があると思います。したがいまして、これは主として自治省等との関係あるいは大蔵省等との関係に相なるかと思うのですが、それこそ将来構想を含めてもう少し地元自治体が安んじて受け入れられるような、つまり問題が出てからそれは処理してやる、だからしんぼうせい、こういう姿勢ではなくて、もう少し積極的に、団地が出ていくことによって自治体文字どおり発展するのだ、こういう構想を立てないと、なかなか説得しにくい面が出てくるのじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。
  10. 大津留温

    大津留政府委員 一応先ほど申し上げましたようなルール補助金なり起債をやっておるわけでございますが、それでもなお、急激に大規模団地進出する地元公共団体では、非常に財政上苦しいという問題がございまして、そこで実は先般来いろいろ関係各省寄りまして研究を進めておるわけでございます。まだ最終的な結論には至っておりませんが、中間的な段階では、地元負担をより一そう軽減するために公団が持つとしますと、家賃にはね返る、あるいは分譲価格等にはね返りますので、公団負担し得る限度ではさらに負担をふやしますけれども、大体解決方向としては、いま御指摘のような国の補助金をふやすか、あるいは起債めんどうを見る額をふやすか、あるいはその条件をよくするか、またさらには交付税めんどうを見るかということで、おおむねそういう方向でさらに解決をしようということでいま進めております。  それからさらに基本的には、やはり地元財政力の増強という意味から、そういう公団進出して関連公共施設整備されますと、その付近の地価は当然に上がるわけですね、その改善によって。したがいまして、それに伴う固定資産税なり都市計画税もそれに応じて適正に課税するということがほんとうじゃなかろうか。そうしますと、地方公共団体の一般的な財政力もつくではないか、こういうことでいまいろいろ検討しておる段階であります。
  11. 木原実

    木原委員 もう一つ別の観点から見ますと、たとえば足の関係がしょっちゅう問題なんですね。これは自治体というよりも、自治体も迷惑を受けるわけですけれども、せっかくの入居した人たちが、入居はしたけれどもなかなか足がない。場所によっては離れ小島になってしまう。第一、駅まで出るバスがない、あるいは駅等も、団地はできたけれども輸送力は一向増強しない、そういうような形でたいへん足の問題で悩んでいる。これは入居者の立場から見ますと、一体これだけの規模団地造成しておきながら、国のほうとしては足の問題は一向考えないで、建てればいいだろう、こういうやり方じゃないかということで、御案内のとおり各地で問題を起こしておる、こういうことなんですが、その辺はどうなんでしょう。足の問題全然考慮に入れないわけじゃないのでしょうが……。
  12. 大津留温

    大津留政府委員 御指摘のとおり、団地建設で一番大事なのは足の問題さらには水の問題もありますけれども……。したがいまして、団地建設にあたりましては、国鉄等に事前に連絡をいたしまして、国鉄整備計画等ともにらみ合わせて、それで団地の選定をする。さらに駅前広場整備とかあるいは団地から駅までのバスはどこで受け持ってやるかというようなことをあらかじめ十分打ち合わせた上でやるわけでございますが、なかなか現実の問題としましては、団地建設の速度と交通機関整備あるいは駅前広場整備あるいはバスの手当てといったものが、タイミングがずれるというようなこともありまして、入居当初には入居者の方々に御迷惑をかけているという事例があることははなはだ申しわけないと思います。しかしだんだんそういうことが整備されまして、しばらくの間のごしんぼうをいただいた後にはおおむね整備されている状況だと思いますが、一番肝心な点でございますから、なお今後とも十分連絡をとりながら進めてまいる、こういう考えでおります。
  13. 木原実

    木原委員 それはおっしゃるとおりだと思うのです。ただそれにしましても、明らかに突如としてそこに通勤人口にして一万くらいの人がふえる。ところが特に国鉄の場合には、そうはいいましても詰める条件がありますからまだいいのですけれども私鉄関係だとかあるいは私鉄の経営するバス関係というのは、相手が私企業でありますから、話はあったのでしょうけれども、路線が確立するまでの間には文字どおり時間がかかってしまう。しかしもう生活が始まっているわけですから、これは自治体なり関係者は多いと思うのですけれども、その間どうにも手の打ちようがない。それは過渡的なことだと思うのです。何年かたてばそれはおのずからそれに基づいて輸送機関整備されていく事情は私どもよく知っておりますけれども、しかし一年なり二年なりの間というものは、文字どおり離れ小島に落ち込んでしまったような形。そういうものが自治体なり、ひいてはこれはどの議員さんもそうですけれども地元議員等のところに陳情が来る、そういうことを繰り返しているわけです。ですから、住宅建設は急がなければならぬという条件は一方にあるわけですけれども、しかしながら、それにしてもやはりまずこれだけの、何といいますか、鶏小屋をつくるわけじゃないのですから、生活条件なり何なりというものは、つまり団地から外へ向かっての、あるいは団地造成に伴う社会生活の広がりの中に関連をする施設等についても、これはやはり十分配慮をしていかないと、せっかくの団地というものが、いま申し上たげように自治体からもきらわれる要因の一つにもなる。入居者にも不便を与える。さまざまな社会的なトラブルを起こす原因になっていると思うのです。したがって、局長さんのおっしゃるように、一定の期間の経過の中ではあとを追っかけて整備をされる、確かにそうなんですが、しかし、何といいますか、むずかしいことですけれども、やはりその方面の条件も整えてから団地造成をやるという姿勢は、ぜひとも確立をしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  14. 大津留温

    大津留政府委員 私ども住宅を早くたくさんつくれという御要請を受けてやっておるわけでございます。したがって、ともすれば早く家をつくろうということのために関連施設のほうがおくれがちだというようなこと、ただいま御指摘になりましたこと、十分肝に銘じまして今後一そう努力したいと思います。      ————◇—————
  15. 天野公義

    天野委員長 この際、行政管理庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。  他に質疑もないようでありますから、これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  16. 天野公義

    天野委員長 これより討論に入るのであります。が、別に討論申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  17. 天野公義

    天野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  19. 天野公義

    天野委員長 建設省設置法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。木原実君。
  20. 木原実

    木原委員 もう一つお伺いしたいのですが、これまた御案内のように、いま公団で建てていらっしゃる住宅の平均的な二DKといいますか、つまり居住規模の問題がやはり出てきていると思うのです。これはどういうふうにお考えですか。一方では依然として、戸数をたくさん建てる、こういう要求があり、そういう線の方針があると思うのです。しかし居住された人たちはしばらくすると、たいへん居住規模が狭い、こういう側面と、二つ問題が出ておるのは御案内のとおりです。これはどういうふうなことで対処されようとされるのですか。
  21. 大津留温

    大津留政府委員 御指摘のとおり、私どもといたしましても、数もたくさん建てたいし、その一戸の面積もしかるべき規模を維持したいということで、いつもそこでどういうふうに割り切るべきか悩むわけでございますが、だんだんと所得水準も上がってまいりますし、したがって規模も年々少しずつでもふやしていく必要がある。こういうことで本年度の予算におきましても、前年度に比べまして大体一ないし二平方メートル公団につきましては増加しているような次第でございます。来年から始まる第二期五カ年計画におきましては、ちょうどその時期が戦後のベビーブーム期の若い人たちが結婚する時期に当たりますので、そういう人たち住宅を用意するという数の必要も非常にございます。しかしいまおっしゃったような質の向上ということに、次の五カ年計画ではあわせて主要な重点を置きまして計画を立てていきたい、こういうふうに考えております。
  22. 木原実

    木原委員 そうしますと、間取りのほうも少しずつ大きくしていこう、こういうことですね。これはなかなかむずかしい問題ですけれども戸数をたくさん建てるという要求、しかし現にすでに五十万戸の中に大ぜいの人たちが住んでいるわけですが、それらの人たちのいろいろな調査を見ましても、初めはよかった、しかしおおむね入居して一年とか二年たちますと、たいへん狭い、子供がだんだん大きくなってくる、そのために特に賃貸の場合には、そこに定住をするというか、つまり入居者人たちの腰が落ちつかないわけですね。そんなような問題が出てくるし、これは住宅条件から来る、何というか、それらの人たち生活条件を左右する大きな問題だと思うのです。  そんなような側面がありますので、なかなか割り切ってやることはむずかしいと思いますけれども、しかしせめて広げていくという方向で、あわせて量もつくっていく。公団が発足をした十数年前に比べましたら、おっしゃるように確かに経済条件も違っているわけですから、また予算の規模も違ってきております。そのほかにいろいろの困難な条件も加わっておりますけれども、しかし十五年たったという実績の中からは、少なくともこれからのものについては一回り大きいものを建てて、入居した人たちがそこで安んじて子供さんも育てるように入居条件を整えて、要すれば定着をしていくそういう条件を整えていく必要があるのではないか、こういうふうに感ずるわけです。  これはあわせてお伺いするわけですけれども、古い建物がだんだん悪くなっていくのは、これは時の経過ですからやむを得ないのですが、スラム化していくという条件があるわけですね。おっしゃったように居住規模が非常に狭いというようなこともありまして、西洋長屋だなんという悪口もありますけれども、だんだんとスラム化していくという心配が出てきております。そういう一定の年限がたったものは建てかえていくのかあるいは思い切った補修をしていくのか、こういうことにも関連をしてくると思うのですが、その点については何かお考えがおありでございますか。
  23. 大津留温

    大津留政府委員 先生のおっしゃるとおりでございまして、できるだけ質の向上もあわせて進めてまいりたい、こういう基本的な考えでおります。  古い住宅がスラム化するじゃないかという御指摘でございますが、公団のアパートは御案内のように団地内で適当な間隔で建てておりますから、団地としての環境は悪くないと思うのです。ただ一戸一戸の住居の面積がおっしゃるように狭い、したがって非常に窮屈な思いをして生活している。したがいまして家族がふえましたら、公団の賃貸住宅の中で大きいほうにおかわりいただくということもやってはおりますけれども、これも大きい住宅がそう数多くないということのために御希望どおりには沿い得ません。  なお、将来は、おっしゃるように古くなったものは建てかえるということも思い切ってやりたいと思います。また建てかえに至らぬまでも、住宅の需要関係が相当緩和された暁におきましては、壁を適当にあけまして二戸を一戸に使う、そういうこともいま研究はしております。十五年前に建てましたものは、おっしゃるようにあと十年か二十年もすれば建てかえたほうが賢明だという時期が来ようかと思いますので、そういう点もあわせて研究いたしてまいります。
  24. 木原実

    木原委員 私どもはそういう時期が来つつあるという感じを抱きますし、それから狭いということからくるいわば社会的な影響、そういうことも非常に心配をするわけなんですが、これは局長おっしゃいましたように、何かそういう策を立てて対処をしていただきたいと思います。  あわせましてついでにお伺いしますけれども、一方では量の問題があるわけです。相変わらず入居を希望される方が多くて、それだけ需要が多いわけですが、この入居の方法については公団のほうでもずいぶん御苦労なさっていると思うのです、が、くじ引きという方法ですね。いつの間にか習い性になって、宝くじか団地の当たりくじかというようなことになっているのですが、このくじというのは一見たいへん公平なようで実はたいへん不公平な面もあるわけです。これをたとえば住宅の困窮度というようなもので幾つかのグループをつくって、そのグループの中でのくじ引きにしていくとか、困窮度のはなはだしく高い層の人たちに対してはグループとしての割り当て分を多少ふやすとか、こういうようなことぐらいはせめてできないものでしょうか。いかがでしょう。
  25. 大津留温

    大津留政府委員 国が住宅政策として公団住宅なり公営住宅を建てますからには、その入居には、おっしゃるようにほんとうに困っておる人から入居していただく、本来そうあるべきだと思います。そこで、公営住宅におきましてもできるだけ、たとえば母子世帯だとか身体障害者の方とか、あるいは災害を受けた方はもちろんでございますが、そういうような方を特別に優先して入っていただいておるということでございます。その他一般の住宅困窮者の方々についても、できればおっしゃるように、一つ一つその困窮度、困り度合いを算定して、その困り度合いの高い方から入っていただくというのが理想でございますけれども、事務的にといいますか、実際上なかなかそこまで手が回りかねているという状態でございます。しかし公営住宅では逐次地方公共団体でそういうことを準備いたしましてやるように指導しておりますし、公団につきましても、いまの災害を受けた方とかあるいは公営住宅入居資格を失って移ってこられる方とか、その他優先的に扱うグループもございますけれども、一般の方につきましてはおっしゃるとおり抽せんでやっております。これも数が非常に多くて、いまなかなか手が回りかねて、やむなく抽せんということでございますが、これもできるだけそういう方向に近づくように、いろいろ研究を進めたいと思います。
  26. 木原実

    木原委員 人手がないのでやむなくということです。身体障害者の方とかそういう条件の方に対しての施策が別にある、これは私も了承するわけです。人手の問題もあると思うのですが、もしかりに困窮の度合いをはかるということになれば、場合によればやはり自治体の長の証明なり何なりということで、はかってやればやれるのじゃないかと私は考えるわけです。しかしいずれにしましても、一律くじ引きというのはたいへん公平なようで反面やはり弊害があると思うのです。これはぜひひとつ検討していただいて、できるだけ社会的な不公平のないように措置をしていただきたいと思うのです。  あわせて、これは総裁にお伺いしたほうがいいと思うのですが、管理の方法ですが、団地の中に商店街がありますね。この商店の入り方、いろいろあると思うのです。たとえば用地を分譲して、商店が店を建設して開店をする、あるいはまたあらかじめ公団のほうで商店街にふさわしい建物等を建てて賃貸しをする、いろいろなケースがあると思うのですが、これの募集の方法というのはどういうようなやり方でございますか。
  27. 林敬三

    林参考人 お答えの前に、先ほどのに私にもお尋ねの点が含まっておると思いますから……。入居の選考方法でありますが、いまくじ引きでいたしております。お話のようにくじ引きということは公平のごとくに見えて不公平なものがある。何でもなくちょこっと、そんなに入りたくないけれども出してみたのが当たってしまって、追い出されそうになってほんとうに困っている、行くところもないというのが何べんやっても当たらないというような不公平、私どももせっかくつくりまして提供いたしますときに、がっかりしたり切歯扼腕したりというような事例にぶつかる。できればそれは住宅困窮度を考慮するということを加味していきたいと存じまして、事務当局には絶えず検討してもらっておりますが、これまたたいへんむずかしいことだそうでございます。住宅困窮度を点数にあらわしてやっていくのはとてもむずかしい、それが公営住宅のほうだと、まだそういう点が加味できるのでございますが……。それから外国などではそういうことをしている例があるそうでございます。ロブソン報告なんかにもそういうことが書いてある。しかしこれはロンドンやパリあたりと日本のこの東京周辺というものの圧力といいますか、住宅がなくて困る、ラッシュの状態、それから数、そういうことから見て、きめのこまかいことが公平のごとくして、またそれに自信を持っていけないという状態で、いまは公営賃貸住宅に入っておりました人が所得が超過しちゃった、そっちから出ていってもらわないと次の困っている人が困るということで、出ていくさえ行くところがないというときには優先的に入れるということにしております。また公共事業をやりますために急遽どいてもらわなければならない、しかし行くところがないというような人を引き取るときも優先的にいたします。それからまた亀戸とか大島とかああいう町中につくりましたものについては、通勤ラッシュを緩和するという意味もありまして、あの近所に職場のある人、こういう人に十倍の優先度を与えるということはいたしておるのでございます。やりたいなという感じとしては、木原さんのおっしゃるとおり、われわれも持っておりまして、せっかくつくりましたものを一番適切にやりたいという念願でございますが、さていずれをとったら公平か、いずれをとったらそれでやってくれるかということになると、住宅困窮度というものを考慮したいと思いながらも、いまのところその程度の状態ということでございます。なおしかし検討は続けて、適切な方法が出ましたらば採用するように、建設省にもお願いしてということを考えておる次第でございます。  それから、団地の中に店を出しますときの選考あるいはその募集する方法でございますが、ただいまは公団の本所あるいは支所の玄関のところに掲示板がございましてこれに出しますこと、これはちょっと形式的になりますが、それから住宅相談所というのがありますが、そこの窓口に掲示をいたしますというようなこと、それから地元の市町村及び商工会議所には必ず連絡をして広告をする、こういうようなことでいたしておりまして、その道の者はみなわかるはずでございます。広く全国新聞あたりに掲載するという行き方もあるのでございますが、これはあまりにも淡い期待をみんなに抱かせてしまうものですから、適切なようで適切でないと思います。それで公団の本所、支所あるいは案内所に掲示をするとか、地元の市町村あるいは関係市町村及び商工会議所を通じて広告を出す、こういうことでいたしておる次第でございます。
  28. 木原実

    木原委員 私も気になることがありまして二、三調べてみたのでございますが、不正入居とまではいきませんけれども、その道の者はわかるような措置をするというお話でございました。これはそうだと思うのです。ただそうなりますと、見ておりますと、一種の公団専門のチェーンみたいなあれがありまして、あそこの団地にもこちらの団地にも同じ商店がチェーン式に店を出しておる、こういう傾向があるように思うわけです。これは幾つかの団地に店を出しておる一覧表等を検討さしていただければ、もっと具体的なデータが出るのじゃないかと思うのです。それも二カ所とか三カ所くらいまでならまあいいと思うのですが、これは一種の団地専門の店の何かチェーンができているような傾向があるわけです。さあそうなりますと、私は別の弊害が出てくるのじゃないかと思うのです。つまりそういうことで情報を早くキャッチをして、あるいは入居、開店の才能にたけたその道の人たちがそういうふうに独占をしていく。しかも団地商店というのはある程度具体的な購買力ないしは市場を足もとに控えた店ですから、団地により若干の違いはあるでしょうけれども、たいへん恵まれた店だ、こういうふうに考えることもできるわけですね。それからまた用地等にしましても他に比べて相対的に安い。賃貸しにしましても町の中に店を出すよりも有利だ、こういう条件が加わっているだけに、そういう弊害があると別の意味で大きな問題ではないか、こういうふうに考えるわけです。したがいまして、商店として入りたいというそういう希望を募る方法については、やはり公正にといいますか、あるいは問題によっては規制ということも必要ではないのか、こういうふうに考えるのですが、そういう傾向については何かおわかりでございますか。
  29. 林敬三

    林参考人 ただいまの御質問の、選考をどうするかということでございますが、これは方針としては応募者の経営の能力と経営の経験、あるいは賃貸料その他を支払う能力があるかどうか、こういうようなことを勘案しまして、地元の市町村あるいは商工会議所の意見も聞きまして、そして極力公平に適切にということをモットーにいたしましてきめておるわけでございます。しかし中にはそういう規格の中に入ってしまうものが、たとえば八百屋さん一軒というときに三軒出てきてしまうという場合は、やむを得ないときはお話をして抽せんをしていただく、こういうようなことでいたしております。それで、大きな団地になりますと、八百屋さんでも魚屋さんでも三軒なり五軒なり置けるというところになると、大きなスーパーのようなものが一つと、それから地元からのものと半分半分にしていくとか、そういうふうなことで相互に切磋といいますか、牽制といいますか、そういうことで良質廉価な、そしてサービスのいい店が出てくるようにということをはかっておりますわけで、たとえば東京に本店があるものが出ていくのが一つと、それから地元推薦でいいものが一つというようなふうにバランスをとる場合がございます。  それから御指摘の、いわゆるチェーン式になって団地独占企業みたいに、団地屋さんみたいになってしまうということについては、極力注意をいたしまして、たとえば一つ団地へ出たときは、また次に来るのでございますけれども、それは遠慮してくれ、あなたはこっちだから向こうは遠慮してくれというようなことで、できるだけ公平に、そして機会を平等に与えるということを絶えず加味しながらやっておるつもりでございます。しかしながら、御指摘の点については今後も一つ反省事項といたしまして、これはよく具体的に検討いたしまして、そしていろいろな店を、これはどの店にするかということについては要素があるわけでございますけれども、情実に流れないように公正に、しかしサービスのいい、廉価で良質なものをやって、住民なりその周辺の方々の幸福になるようにするために一そうつとめてまいりたいと存じます。
  30. 木原実

    木原委員 総裁、こういうことだと思うのです。これは公団としても一つ町づくりですから、この商店街には、たとえば八百屋さんが何軒とかあるいは米屋さんが何軒とか、こういう商店街の構成という問題が一方あると思うのですね。しかし他方、一般の入居者と同じように、おそらく商店等で働いている人たちも含めまして店を持ちたい。わけても団地等で店を持ちたいという希望者はたいへん多くいると思うのですね。これは既成の商店を経営をしている人たちも、団地進出したいという希望を持つ人もいるし、あるいはその店で長年働いている人でも、やがては独立をして店を持ちたいという希望者もたくさんいるわけですね。私は、やはり公団のような場合には、そういう人たちの需要に対してもこたえていくという配慮が必要だろうと思うのです。そうなりますと、確かに信用もあるし店としての経歴もいいし、いろいろな意味で条件がぴったりするというのは大きな商店だと思うのですね。そうだからといって、それが五カ所も六カ所も、私が調べた範囲の中でもそれだけの店を出している人がいるわけですね。そういうことになりますと、これは確かに公団側から見た条件は一番信頼しやすいわけですけれども、しかしそうなればだんだんと大手のものが公団の店をチェーン式に独占をしていく、それを許すということになるわけです。ですから公団配慮としては、せめてあっちこっちの団地に店を出す場合には、やはり三つの団地ぐらいまでは同じ商店が形を変えて店を出してもいいけれども、それ以上も公団としてはこれを黙認するということになれば、少し行き過ぎではないか。ということは、他のそういう店を持ちたいという潜在的な希望者は多いわけですから、しかも相対的には、団地というものは用地の問題にしても店の建物にしましても、一般市中で店を出すよりもはるかに有利だ。これは公の背景があるから恩恵に浴するわけですね。それだけにそういう潜在的な店を出したいという要求のある者に対しては、これまた公正にあるいは公平に機会を与えてやる、こういう配慮がなければ、これはたいへんな弊害を生むのではないか、こういうように考えるわけですがいかがでしょうか。
  31. 林敬三

    林参考人 いま木原さんのおっしゃいますこと全くごもっともだと思います。いままでも相当努力をしてまいりましたが、今後もそういう御意見をひとつ中にくみ入れまして、一そう誤りのないように適切にやっていきたいと存じます。
  32. 木原実

    木原委員 総裁、場合によれば私はデータを出してもいいわけですけれども、そういう場合には、ここではっきりお答え願えるかどうかわかりませんけれども、私の見解では、せいぜい同じ店があるいは同じ系列の店が団地進出する条件は、やはり三カ所ぐらいまでに押えていただきたい。三つがいいか二つがいいか、あるいは一店限りとするか、これはいろいろ問題があると思うのですが、これはきちっとしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  33. 宮地直邦

    宮地参考人 一般方針につきましてはいま総裁がお答え申し上げたとおりでございますし、先生の御意見のとおりでございます。  特にいま先生の申されるような傾向があらわれますのはスーパーストアです。これらにつきましても、ある団地につきましていま出したら、次の団地につきましては、選考の基準に入りましても、いま先生のお気持ちと同様に抽せんになる場合でも、その抽せんから落として他の者の抽せんにいたすようにいたしております。ところがある時間的経過を見ましたときに、スーパーストアというのはもう御承知のとおり、これがチェーン的な傾向を持っておりますので、ある長い期間で見ましたときに、ある店がチェーン的に多くなったというふうなことが出てきておるのかと思います。しかしながら一般的方向として、八百屋さんが何軒も出したというような例はないのでございますが、一般の店等につきましては、先生の御意見どおりに、ある一軒に出したら次も続いてやる、便利だということはわかりますが、さような方針をとっておらないことを御了承いただきたいと思います。
  34. 木原実

    木原委員 スーパーの問題はあとで触れたいと思いますけれども、そうおっしゃいますが、私どもが調べた範囲の中では、たとえばある花屋さんで、どうもいろいろ問題がある。入居条件その他で、実際やってみると公団に少し言い分がある。しかし、なかなか公団にはものが言えないのだ。あの団地へ行けば一定の売り上げがあるだろう、こういうことで行ってみると、なかなかいろいろな条件が重なってうまくいかない。しかし、あまり公団に向かって文句を言うと、その次の場合に非常に困るから、公団のほうには私たちはものが言えないのだ。商売人の言うことですが、そういうことを言っておる人もあるわけです。つまりここで失敗しても、必ずこっち側でまたもらえるから、ここで取り返せばいいのだ、こういうような話が商売人の中に実はあるくらいなんです。そうなりますと、確かに一カ所だけでは、商売をする場合もむずかしいから、この次この次というふうにしていって、それこそ団地専門で収益をあげていきたいのだ、こういう人も実際おるわけなんです。そうなりますと、一つは、私がやはり一番心配しますことは、いま言ったように、潜在的な需要が多いわけですから、機会の均等——一部の人たちに与えることによって片方に失わせてはだめだということ、公正ということのほかに、何か見ておると、商店の入っていくことについて公団との中にかなりくされ縁ができているのじゃないかという感じさえ持つわけです。スーパーの問題はあとで触れますけれども、実際に、入居条件、基準、そういうことについてはいまちょっとお伺いをしましたけれども、選考基準というのはきちんとしたものがあって、そして公正を期しているということが言い切れますか。
  35. 宮地直邦

    宮地参考人 第一点のお話の花屋という点でございますが、これはなお調査してみたいと思います。店舗などにつきまして、私のほうは、花を売っている店はあるかもしれませんが、花屋という店舗で募集したのはないのです。  それからなお、先ほど総裁が御答弁申し上げましたとおり、小さい店につきましては、特に地元の市町村あるいは商工会議所等に意見を聞きまして、地元との関連ということを非常に重要視しておる、そういう意味におきましても、先生の御趣旨というものは生かされるようにわれわれは配慮しておりますが、たまだまそういううわさが出るとするならば、われわれは一そうその選考につきまして留意してまいりたいと思います。
  36. 木原実

    木原委員 これはこれ以上追及しませんけれども、いずれにしましても私は、一つの店が、あるいはその系列の店が——きょうび雨後のタケノコというと語弊がありますけれども、たいへんな御努力によってあちこちに団地ができている、これからもできていくわけですが、一つの店がそういうふうにチェーン式に独占的に、進出をしていくということになると、これはたいへんな問題だ。ですから、一つの系列の店については、スーパーは別ですよ、何といいますか、やはり三カ所なら三カ所で限度を置いてもらいたい、こういうことです。これは要望として申し上げて、ぜひ御検討いただきたいと思います。  それからもう一つ、スーパーの前の問題ですけれども、私ははなはだ問題だと思うのですけれども、たとえば条件がかなって、賃貸しで入りますね。そうしますと、三万円か四万円の店の賃貸料、それに敷金が半年くらいですか、というようなものを入れて入居しますね。いずれにしましても、大体四、五十万円で賃貸しの店に入る条件が整う。何年か商売をする。ところが、それが転売をされておる。そういう事例は御存じでしょうか。
  37. 宮地直邦

    宮地参考人 一部にそういう事実がございまして、私のほうで措置をいたしました例がございます。そういうものを全部完全に把握しているかどうかという点につきましては、いま把握しているということは申し上げにくいのでございます。把握し次第、そういう店につきまして措置をいたしております。
  38. 木原実

    木原委員 一般の入居者につきましては、たとえば兄が借りていて、兄がよそへ出て行って弟が入まりしても、問題が御案内のとおりあるわけです。これは需要者が多いわけですから当然の措置だと思います。ところが、商店については、私ども調べたところでは相場ができているわけですね。四、五十万の敷金で入った、何年か商売をする、繁昌しているところは、具体的にいって権利が七百万とか八百万というような相場が出て動いているわけです。看板は変わりません。あるいは本屋さんなら本屋さんという商売の中味は変わりません。しかし経営者が売買をしている。そういうのが調べますと一、二にとどまらないのですね。どうでしょうかね。
  39. 宮地直邦

    宮地参考人 いま申しましたように、そういうのは不正入居になるから、さようなものを発見いたしましたときには、私のほうは調査をし、事実があれば契約を解除するという措置をとっております。そういう措置をとった例もございますし、そういううわさが出ましたために調べましたけれども、これは他の偶然の事情で事実はなかったということもございます。したがいまして、一部におきましては、そういううわさによって迷惑をする面、はなはだ心外だと思います面と、それから公団がどうしても多数のものを管理いたしておりますから、そういう不心得者に対して措置が至らない面と、二つある。その措置の至らない面につきましては、あらゆる努力をいたしまして御期待に沿うように努力いたしたいと思います。
  40. 木原実

    木原委員 これは当然のことだと思うのですが、こういう話があるのです。今度入るときには法人で入ったらよい。株式会社でやれば社長がかわればいいわけですから、これは公団側の規制に対しての商人側からの対抗策だと思うのですが、それはどうでしょうかね。
  41. 宮地直邦

    宮地参考人 どの事例か存じませんけれども、最近の募集の中に、実体は同じであるが法人の名称が違った事例がございました。そういうものがこちらではっきりした場合には、これは支所においてそれを落とした事例もございます。しかしながら実際そうなりますと、非常にむずかしい問題ですが、われわれ発見次第、いまのような措置を講じております。
  42. 木原実

    木原委員 そこで私も方策があるわけではないのですけれども、実は二、三の団地の商店街の中へ入っていってみまして驚きました。そういう話、これは決して表には出ません。しかしながら同業者の中、つまりさっきの話じゃないけれども団地専門に店を出そう、こういう一つの系列というか、グループというか、その中では公然とそういう話が、話半分にしても、一つの情報なり考え方なり、いろいろな問題として流れているわけですね。そうなりますと、公団のほうは発見をすれば措置をする、当然のことだと思うのです。ですが、それにしても、あまりにも何というか、国の台所も苦しい中から、ともあれこういう形で団地造成をやってきて、商店にしましても、比較的恵まれた立地条件の中で比較的安く店を提供をする、そういう形になっていたものが、十五年たって、年月がたつ間にそういう形で動きが始まっている、あるいは動きがある。こういう事実については、団地管理の中で私は新しい問題を提起をするのではないのか、こういうふうに考えるわけです。ですから何といいますか、おっしゃるように措置をするということですが、もう少し立ち入って、ということはさかのぼって言えば、結局やはり団地の中に店を出す、入居を希望する、そういう際のけじめというものをきちんとしていく必要があるのではないのか。いままではまだ団地が珍らしいという条件もいろいろありました。ありましたけれども、だんだんと団地が一般化してまいりましたから、そういう形のものが生まれる条件というものも明らかに出ているわけですね。そうなると団地の中に店を開く、あるいは店を開くための用地を分譲をする、そういう場合についての基準というか、条件というか、こういうものについてあらためてそちらのほうで検討をし直すといいますか、新しいたてまえというものを立ててもらわないと、この種のものはこれから幾らでもあとを断たないで出てくる可能性がある、こういうふうに考えるのですが、いかがでしょう。
  43. 宮地直邦

    宮地参考人 御意見よくわかります。私どものほうもそういう趣旨において非常に厳正にいたしておりますとともに、公団が、先ほども申しましたように、店舗の募集に関しまして、地元市町村あるいは地元の商工会議所等に相談をいたし、その意見を聴取してやる。と申しますことは、一方においては地元というものと団地との融和という意味もございますが、地元の商店会というもの等はわれわれ以上にまた知っているわけです。そういうものによって排除していこう、こういう趣旨でやっておりますし、またこれは御指摘を受ける点でございますが、ある一定の営業成績その他というものを点数に直しまして、一定の資格のないものは落とす、それ以上のものにつきましては、公団で甲乙つけがたいという場合、こういう場合には、まあ抽せんという方法は最善の方法でないと申しますことは、先生先ほどの御指摘のとおりでございますが、一方においてさような弊害に対する誤解を避けるという意味におきまして、もう甲乙つけがたいようになりましたら、抽せんという方法をとっておる次第でございます。しかし先生の御意見、新しいそういう傾向につきましては、十分留意をいたしたいと思います。
  44. 木原実

    木原委員 これはなかなかむずかしいことはわかるのです。商工会議所に御相談をなさる、市役所の振興課に御連絡をなさる、意見を聞く、これはけっこうなんですが、その中の力関係その他もいろいろあるわけです。何しろこれは自家営業というふうな場合ですから、相談なさるのはもちろんけっこうなことなんですが、やはり公団がたてまえをきちんとする。一つにはやはり商店街を開いて入居者に対してショッピングの便宜を与えるという側面と、それから過不足なく消費の機会を与える、こういう側面、それから一方ではやはり商店街の運営ということについて、そういう面からの公団のアプローチというものがもっと望ましいのではないかと思うのですね。そうしませんと、いま申し上げたように、四、五十万円の敷金を出せば店が開ける。それがやはり七百万も八百万もの権利で裏で売買される。そうなりますと、税金を出しておるほうはたまりませんね。これはそういうことだと思うのです。ですから、商店街の管理、運営、そういう面についても、私は何かそういう可能性の問題を含めて、ひとつ検討をいただきたい、こういうふうに考えるわけです。いかがでしょう。
  45. 林敬三

    林参考人 ただいまいろいろ御質問がございました点につきましては、せっかく団地の人々の生活の充実のために良質廉価な品物を供給し得る店を誘致しておりますというのに、結局それでは、高いものを、悪いものを売るという結果にはね返ってくるわけでもございますし、また選定して入居をしてもらいました趣旨にも反するわけでございます。そういう、いろいろと町の声が木原さんのお耳に入るということだけでもまことに遺憾なことだと存じておりまして、いろいろそこには競争もあれば、ああいうお店のことで、中傷も出ましたり、うわさであることとほんとうであることと、いろいろそれはあることと思いますが、私のほうで管理をしている立場から見まして、やはりよくその点は注意いたしまして、事実が出たというものだけでなくて、そういうことをこちらからも積極的に発見するように、あるいはそういうことをお話のように要望するように、そのためには賃貸借契約をするときにもう少しけじめをはっきりつける、あるいは保証の方法というもの——あるいは地元の市町村なり商工会議所なりのいろいろの事情がありますけれども、そこに明確に、そういうことはいたしません、させませんという保証をとるとか、いろいろこれは研究の方法はあると思います。そしてやはり当初の目的どおりの良質廉価な、衛生にも注意して、従業員のサービスもいいという店が極力多くそろいますように、それからその中に不心得の者のないようにということについて積極的に努力をいたしていくつもりであります。
  46. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 関連……。いま木原さんから団地の管理体制を言われたのですが、この問題がいま木原氏から質問された問題と重要な関連があると思うのですが、私どもも、実は千葉は団地が多いものですから、木原氏が質問されたようなことを聞きますが、真偽のほどはわかりませんし、また皆さんが答弁されたとおりだろうと思うのですが、転売その他の問題については、各団地団地に管理支所も当然あって、家賃の取り立てをやっておるのだろうと思うのですが、そういう際に人がかわれば——納めに来るのではわかりませんが、取り立てに行けば当然わかると思うですが、その辺のところが一体どうなっておるのか。これはきちっとしていただいたほうがいいと思うのです。取り立てに行けば、当然経営者がかわっていればわかる。その辺のところはどうですか。
  47. 宮地直邦

    宮地参考人 管理主任がおりますので——いま管理主任は、一人が大体千数百戸から二千戸ぐらいの戸数を管理いたしております。したがって、これが十分であるかどうか、この点については多少問題があるかと思いますが、もしそういういま御指摘の点について配慮するようにすれば、何らかの端緒は得られる。その上でうわさがほんとうであるか、これが単なるうわさであるか、これは今後とも十分留意をいたしたい。ただ、いま先生の御指摘の点でございますが、公団では現在家賃、賃貸料等の収納は、原則的に自動振りかえを奨励いたしておりますので、公団の職員が現金を扱うという、そういう手間を取るということは原則的にない、例外的に滞納の場合のみ扱う、こういうことになっておりますので、御了承を得たいと思います。
  48. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 そうすると、自動振りかえの形だと、各団地において営業をしておる人は一階ですから、これは管理主任が、かりに五十軒——五十軒なんてあるところは少ないけれども、五十軒あったとしても、かなり、商売をやっておる人だけを見てみればわかるような感じがするわけです。  それともう一つ、さっき商工会議所、商工会議所というお話でしたが、最近、市になったばかりのところでは、依然として商工会程度、町はもちろん商工会ですが、商工会にも御連絡をしておかれるのかどうか、会議所でなくて。そういう点を一点お伺いしたいし、家賃を取り立てたり納めに来るのでなければ、商売をやっておるところだけならば、そうした事情を見るということは、私ははっきり可能だと思うのですが、その辺はどうでしょうか。
  49. 宮地直邦

    宮地参考人 もちろん一般の管理の中に入りますけれども、そういう点については、留意をすべきことで、最初から総裁も御答弁を申し上げましたように、当然従来ともやっておることでありますが、御質問の御趣旨の点は、十分末端まで徹底をさしたい。  それからさらに「商工会議所等」と申しましたのは、商工会議所のないところは商工会、あるいは小さい市町村になると商工課、こういう機関連絡をいたしておるわけでございます。
  50. 木原実

    木原委員 もう一つこれと関連しまして、スーパーの話——これはスーパーが進出すると思うのですね。これは時勢の流れですから。団地の中にスーパーが出ていくということは、消費者に対する便宜の問題もあると思うのですが、ただスーパーが開店をする場合の条件、たとえば用地を提供する、それでスーパーが建物を建てて開店をするというような場合には、スーパーの経営者に用地を譲渡して、そして開店の条件等を取って開店をさせる、こういうことですね。その辺のことはどうでしょうか。
  51. 宮地直邦

    宮地参考人 二つの場合があると思います。一つは、私のほうで団地内にその施設をつくりまして、それでスーパーを開設する場合、それから宅地のほうの系統で、施設用地としてその用地を売って、その用地の上に、譲渡を受けた者が一定の条件のもとに店舗を開設する場合、こういう二つの場合がございます。  それから、さらに外見上そう見える場合というのがございます。と申しますのは、区画整理をいたしまして、民有地が残るわけでございます。そのところに地域制限上できるところなら自由に店舗ができていく、こういう場合があります。それらの場合について、あたかも公団がつくったように見えることがございまして、いろいろ御批判を受ける。それはちょっと私のほうでも制しかねますが、公団が土地を売って、その経営者に一定条件のもとに建設を認める場合、それから店舗までをつくりまして、その経営者を募集する、こういう二つの場合があるわけです。
  52. 木原実

    木原委員 一定の条件と、それから経営者を募集するというわけですが、スーパーができました場合に、たとえば契約の中でスーパーの経営者が建物を建てた、そしてその中でまた貸しをするわけですね。つまりスーパーですから、早い話がいろいろな品物を売るわけです。魚屋さんも入るでしょうし、かん詰め屋さんも入るでしょうし、その場合に店舗の中を区切って、いろいろな店に内部的にまた貸しをする、こういうことは可能なんですか。
  53. 宮地直邦

    宮地参考人 これは一部にはいわゆるチェーンストアと称して、千葉県内にもそういうものがあるのでございますが、この実態、経営の一般的内容まで入ることは不適当な面がある。あくまでも私どものほうで見ておりますのは、それが価格にどういうように響いてくるか、店員の態度にどう出てくるか、ずいぶん論議したところでございますが、経営の内容までタッチすることについては技術上非常な困難があるので、入居者の方は非常に敏感でいられますから、そういうものに目をつけておりまして、いま総裁も申しましたような条件に違反しないように、そういうことで私のほうでは把握しております。平たいことばで言いますと、おかしいぞという警告を発することはございます。ただ、権利義務の発生はそのときの譲渡条件に入っているかどうか、私のほうもその点について検討したいと思います。
  54. 木原実

    木原委員 それはスーパーが一般的に他の商店に影響を与える、そういう問題とは別に、たとえば公団が商店を募集する場合に、たとえばここへ食料品店は何軒でございますよ、あるいはくつ屋さんは何軒でございますよ、文房具屋さんは何軒でございますよ、こういうことで募集されますね、ところがスーパーが入ってきた、その中で、公団が初め想定をした商店構成のワクを越えて、スーパーの中でたとえば文房具屋を開店する、あるいは本屋を開店する、こういうようなシステムになってくるわけですね。その場合、中身を調べてみますと、要するに中でまた貸しをしておる、売り上げの一〇%とか一二%とかをやはり経営者が取ってやらせておる、こういうシステムですね、これはどうですか、契約上の問題は出ませんか。
  55. 宮地直邦

    宮地参考人 それは個々の契約におきましてどういうふうになっておるか検討いたしたいと思います。これは新しい問題であろうかと思います。  なお、いま申しましたように、あるスーパーを許す、そうすると、一方において土地を分譲してスーパー的なもの、これはもっと広い意味のチェーンストアとして区割り店舗のようなものになってくる現状が多い。そういうものとの調整ということにつきましては、公団部内におきまして一そう連絡をとって、一方においては競争を前提としつつも、それが不当にダブることのないように配慮いたしたいと思います。
  56. 木原実

    木原委員 これはおっしゃったように一般的な競争はいいと思うのです。これは商売をやっておる方たちが自主的に相互にやることで、いいと思うのですけれども、ただ、公団とそれからスーパーの経営者との間の契約の中で、契約を越えて、内部で事実上そういう店舗の切り売りではなくて、切り貸しといいますか、幾つもに区切ってまた貸しをされておる、こういうことになりますと、私もどうもその辺がわからないわけでありますけれども、何か弊害を生むのではないか。そういう形のものが、早い話がスーパーと称して至るところに出てくる、こういうことになりますと、形はスーパーであっても中身は個人商店の集まりであった、こういうことになりますと、そこでいろいろな問題が出てくる。いかがでしょうか。
  57. 宮地直邦

    宮地参考人 いまお答えいたしましたように、私のほうでは御質問のとおりに、スーパーストアというものと、そういう一つの建物の中でのむね割りというものとは一応観念的に分けて考えております。したがって、そういう場合ある有名なスーパーというものと実態的に違うわけです。したがって、そういうものに対してどういうふうな内容になっておるか十分検討いたしたいと思います。これがあまりに激しくなりまして、公的施設として不適切であるかどうか十分検討して措置を配慮いたしたいと思います。
  58. 木原実

    木原委員 いずれにいたしましても、公団の商店も含めた管理の体制につきましては、量がふえればふえるほど、また公団の施策が進めば進むほど、いままでとは違ったいろいろな問題がやはり出てくると思うのです。そのために私どもおそれますことは、不測のトラブルや、あるいは起こさなくてもいい問題が起こってくるということになりますと、これはたいへん問題だろうと思うのです。したがいまして、ちょうど五十万戸できた段階ですから、やはり従来の問題を一ぺん洗い直してもらいたいと思うのです。そうしてこれからのいろいろな施策の体制を一ぺん立て直していただく時期に来ておるのではないか。つまり団地の建物がだんだん古くなってきたと同じように、いろいろなさびが出始めておる、そういうことについてぜひ再検討をしていただきたい、こういう要望を申し上げておきたいと思います。  それから、もう時間だそうでありますので、これはひとつ住宅局長さんにお伺いをしておきますけれども、これからの団地造成といいますか、あるいは住宅政策一般の中で、ニュータウン方式ですね、これはいま多摩のほうでも行なわれておりますけれども、これは公団がいろいろ進出していくにつきましても、都市の再開発ということで、過密地帯に再開発をやって、高層あるいは高級マンションみたいなものをお建てになるという方向一つあるわけですけれども、集中的に、それこそ総合的に非常に大規模な土地を取得して、思い切った——これははたして公団方式かどうかわかりませんけれども、ニュータウンというような方式でやっていく、つまりいま多摩でやっておられるようなそういう方式で集中的な住宅政策をとる、何かこういうお考え方がございますか。具体的に申し上げますと、何か一部には七〇年代だから東京湾を埋め立てて、海上都市として三百万ないし五百万の人口を収容できるところをつくるとか、あるいは伊能先生なんかとも関係があるのですが、成田新幹線ができると東京まで一時間の通勤距離になる。あの地域一円に人口二百万ぐらいの住宅地帯をつくって、(伊能委員「三十五万だ」と呼ぶ)いや、大構想があるというのだ。そういう話を聞くのですが、考え方としてはどうですか。構想の域ですけれども、ひとつお考え方を聞きたいと思うのです。
  59. 大津留温

    大津留政府委員 根本建設大臣から予算委員会等でしばしば申しておることでございますが、基本的には大都市集中を抑制するような方策を別途講じなければなりませんけれども、現実に集中が続いておるという現状に対処いたすためには、先生御指摘のような大規模な宅地開発、ニュータウンの建設、こういうことが必要ではないか。したがいまして、幸い建設省は、道路あるいは下水道あるいは水、こういうものを所管しておりますので、運輸省と連携を密にとりまして、まだ民間等でも開発の手のついていない土地を大規模に開発しようということを述べておられます。そして事務当局にはさっそく調査の下命がございまして、これは首都圏整備委員会あるいは近畿圏の委員会とも協力いたしまして、そういう研究を進めておるわけでございます。先生のおっしゃったような、そういうのを基本的に今後進めていきたいという考えでございます。
  60. 木原実

    木原委員 考え方としては、私どもはたいへん理解できるし、推進をしたいと思うのです。というのは、もうだんだん用地難で、土地の値上がりがはね返りまして、公団入居料その他もたいへん高くなってくる、こういう傾向があります。地価に対する一つの挑戦としましても、やるのならば相当思い切った地域、思い切った区画を集中的にやれば、地価も上がるいとまがない形にもなるわけですから、これは予算の問題も伴いますので、なかなかすかっとはいかないでしょうけれども、しかし方向としてはやはりそういう大規模なニュータウンの方式を推進する、私ども考え方としては、そこまでの考え方は賛成できるのです。ただ、その反面、スプロール化といいますか、特に近郊の、以前はグリーンベルトといいましたか、そういうようなところでたいへんスプロール化の現象が起こっておる。せっかく個人が住宅を建てて出ていった、しかしその地元にも能力がないからいつまでたってもどろんこ道で、文字どおりスプロール化してしまってどうにもならない地域というようなところが至るところに出ておるわけです。それらの対策とこれは何か裏表の関係じゃないか、こういう感じもするわけです。これは別の機会に大臣の雄大な構想も聞いてみたいのですが、一つは、そういうニュータウン方式で大規模な用地を取得をして集中的な町づくりをやっていく、こういう考え方と、そのうらはらの問題として、どうにもならない地域がすでに出始めている。これらに対する住宅ないしは用地の面からのアプローチというものは何かございますか。
  61. 大津留温

    大津留政府委員 これは都市政策の範疇に入ろうかと思いますけれども、先生御承知のように一昨年改正しました新しい都市計画法に基づきまして、市街化区域、市街化調整区域という線引きを行ないまして、無秩序にどこでもスプロール的に住宅が建つということを抑制しよう、そして市街化をすべきところにつきましては公共投資を計画的積極的に行ないまして、街路、下水道等の施設を整えて、そこに住宅等の建築を許す、調整区域と指定されところは建築を認めないということで対処しようということで、御承知のようにいまその線引き作業が進んでおります。こういう段階でございます。
  62. 木原実

    木原委員 それでは、時間がだいぶ過ぎましたので、これで終わりますけれども、二、三の問題はひとつ大臣出席のときにあらためてお尋ねをしたいと思います。  最後に、いずれにしましても、住宅公団のこれからの行き方につきましては、本省のほうでの考え方もいろいろあろうかと思いますけれども一つには、せっかく建てる団地が逆に恨まれるというようなことのないように、先ほど来申し上げましたような、自治体との関係あるいは入居者との関係、あるいはその中には商店街の管理運営等の問題についても、ぜひひとつ新しい観点から御検討をいただいて、ひとつ万全の措置をとって施策を進めていただきたい。要望を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  63. 天野公義

  64. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 私も少し総裁はじめ住宅局長に伺ってみたいと思います。あるいは私の不在中に木原委員から質問があったかもしれませんが、当初、住宅公団が発足されてもう十年以上になるのですが、非常に喜ばれた。ところが、地方の府県、市町村と十分な連絡なしにどんどん大きな団地ができるということで、一部、千葉県あたりでは、これは公団総裁よく御承知だろうと思いますが、もう住宅公団は来てもらっては困るというような意見すらあったほどで、学校の問題、上下水道の問題その他の問題等で、府県、市町村の非常な負担になったということで、若干の問題もあり、かたがた交通上も、あとから鉄道、バス、その他の手当てをしなければならぬというので、交通方面にもいろいろな苦しみがあったように思いますが、最近はそういう点については円満に行っておるのかどうか、お伺いしたい。
  65. 林敬三

    林参考人 いま伊能先生からいろいろ御指摘がありましたが、おっしゃるとおりでございまして、当初は団地歓迎ムードであったのが、数年前から、いろいろの事情の変化もありまして、また団地も大きくなり、また自治体の資力の乏しいところに大きなものが入っていくような状態もございましたし、学校の問題、水道の問題交通の問題あらゆる面でいろいろとむずかしい壁にぶつかってまいっておるわけでございます。しかし、公団は、先生よく御承知のように、ただ単独にどこの県にでも入っていってできるというのではないのでございまして、建設省方針にものっとりまして、また当該自治体、府県、市町村とは、いろいろと連絡をして、やってきているのでございます。それでも、やはり、率直に申しまして、初めに連絡するときは口頭で係員などをやりまして大体見当をつける。千葉県あたりだと文書を交換しまして、それから土地を買う。では、そのときに、水道から、交通から何から、みんなセットするかというと、これは数年先にでき上がる問題なものですから、大きな見当だけで一応スタートするわけです。それから公団法三十四条というので県と市町村には協議しなければなりません。その協議も、そこで一通りの大きな方針として協議が済むわけです。ところが、それからあとでまた社会情勢は変化いたします。事業の進行に伴いまして、いろいろ詳細な問題が起こってくるわけでございます。そこでもう一度蒸し返しあるいは追加というようなことがありまして、いろいろとそのつど問題はあるのでございます。私は昔、県庁にもおりましたし、市役所や県庁の立場というものも、相当わかる、もっともだと思う点もある。また、こちらとして、県の境を越えた大きな首都圏の人口問題の解決というものをやらねばならぬ。その立場から、もう少し大所高所に立ってくださいとお願いして、わかっていただくこともあるわけでございます。  そこで、具体的な県で言ってはいけませんけれども、東京付近で申しますと、やはり埼玉ともいろいろありました、千葉県ともありました、神奈川ともございました。しかし、大体またルールに乗りまして、そして県の大きな開発計画にも即応する、それから国の開発計画の一環である公団の出方というものも調整する、あるいは負担の問題その他でも市町村とやっていくということで、いまのところ決して問題なしとは——絶えずこれは出てくるのでございますが、しかし基礎的には友好ムードで、同じ目的のもとに努力をし、ときにいろいろ対立したり、やり合ったり、あるいはそこで手を打ったりということをしながら、まずまずやっておるのでございます。しかし木原先生から当初御質問ありましたような、大きな団地になってきました場合は関連公共負担というものが、いままでのルールでは自治体はとてももうやっていけないということももっともでございまして、さっき住宅局長からもいろいろお答え申し上げましたけれども、これはやはり新しい見地から、自治体も生きていける、公団もそこで事業ができる、こういうような負担分任の方法、それから財政上の手当てのやり方というものもやらなければならない段階に来ていると思っておりますわけで、一応いままで手をつけておるようなものにつきましては、それぞれにおいて折衝をして解決を進めて、円滑にやる自信がございますが、いままでにない非常に大きなものとなってきますと、さっきお話しのように、私どもも非常に大きいもの大きいものと行くほかないと思いますし、それが大きな社会開発になるのでいいことでございますが、しかし同時に、いままでのルールのやり方では、国全体、各省の態度からして、これはまた一つ新しい目を開いていただかなければいけない、またそうした方針にのっとって地元も協力していただかなければならないというふうに考えておりまして、いま大問題が、まん前に大きなヒマラヤ山が来ているというような感じでございます。
  66. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 たいへんごもっともなお答えで、いまの点について建設省のほうはどう考えておりますか。
  67. 大津留温

    大津留政府委員 ただいま総裁がお答えいたしましたように、いろいろな経過を経て、いろいろな経験を積んでと申しますか、ようやく県あるいは地元の市町村と円滑にやるルールができたというような段階でございます。しかしながら、いま総裁も申しましたように、これが非常に大規模な開発になりますと、従来のルールでは処理できないというようなことが出てこようかと思うのであります。多摩の場合なんかがまさにそれでございますが、したがって、いま関係各省と研究いたしまして、そういう新しい事態に対処する新たなルール確立しようということでやっておるわけでございます。そういうものをまた積み重ねましてやはり地元も円滑に行く公団も仕事が円滑に行く、そして全体的に進むというような方向努力したいと考えております。
  68. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 まあできるだけそういう問題について時期を失せず、建設省としては御検討おきを願いたい、こう思います。  それからこの機会に総裁にもう一つ。さいぜん私が質問をしたうちで、現実に交通上の混乱を生ずるおそれがありと思うのは、いますでに入りましたか、どうですか、我孫子の湖北団地です。私も湖北の町に住んでいましたが、常磐線に天王台駅を一億数千万の金を出してつくって解決しようとしますれば、湖北から天王台へバスで送れば我孫子線の湖北の駅、あるいは新木の駅のほうがはるかに近い。したがってとてもそんなことでは新しくできる天王台の駅へは行くまい。そうすると湖北の駅や新木の駅を整備したり、また我孫子線の改良計画までやらなければならないというようなことでいろいろ問題が起こると思うのです。交通上の問題に対する配慮がどうも公団は足らないのじゃないかということを私ども感ずるのですが、いま入っておる状況、湖北の団地はどういうものか、それもあわせて伺っておきたい。
  69. 林敬三

    林参考人 伊能先生御指摘のように、団地をつくる場合に、水と交通問題というのが一番最初にかかってくるわけであります。そこで国鉄とはできるだけ絶えず連絡はやっております。それから私鉄との間も連絡をして、またバス会社のことも考え道路のことも考え団地を選定し、それからだんだん碁を詰めるようにして詰めてまいるわけであります。さっき住宅局長が御答弁申し上げましたように、しかしそのタイミングが合わない。やはり伊能先生よく御体験で御承知のように、鉄道が引ける早さと団地のできる早さと違いますし、その間にいろいろな障害が双方に出てまいるわけであります。それでタイミングを合わせてぴしゃっとやろうと思ってやりましても、なかなかうまくいかなかったり、また終わりまで詰めておったらいつ発足できるかわからないというので、いわゆる見込み発車をこちらがしてしまう場合もありましたりということで、いろいろと御指摘のようにまだ不十分だということがあると存じます。もうあるのだと自覚しておりますし、前の石田総裁あたりは、会合か何かで私に会いますと、私に絶えずけしからぬということを言われ、いかに国鉄が困っておるかということを言われるわけでございます。この点については最善の努力をいたしてまいりたいと思っております。  ただし、なかなかよくいっているのもあるのでありまして、そちらは皆さんも満足していらっしゃるから何とも言われないのでございますが、たとえば名古屋の郊外の高蔵寺では二百万坪の大団地をつくっております。これはよくいっておるというよりは、鉄道のほうがどんどん先に行ってつくってしまわれまして、複線の電化をして、私どものほうがいろいろな障害でおくれたということ、それから横浜のさきの洋光台も数十万坪ございますが、これは鉄建公団国鉄とでさっさと駅を開いていただいて、私のほうがむしろおくれておるというようなことで、足がたいへん早く確保できておるのもあるわけであります。しかし、いいものばかりでなく、いろいろ湖北台や何かはむしろ問題のほうが多いということでございまして、この点は最善を尽くして、今後一そうの努力をいたしたいと存じます。
  70. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 実は湖北を例にとりましたのは、先ほど木原委員からお話がありました北総ニュータウンの問題について、われわれも先のことを考えて——さいぜん新幹線の話も出ましたが、新幹線のルートは具体的にきまっておりませんけれども、千葉県のわれわれで、北総ニュータウンができたときは交通上の問題がないようにという配慮をしております。しかし、それらについてはどうしても市町村に負担がかかるわけです。総裁、あなた方のほうは、人間を入れてしまうともうお金の負担は交通関係にはなされない、またなされようもないと思うのですが、たとえば我孫子線を例にとっても、このごろ国鉄は非常に金がないのです。したがって利用債をどうしても買ってもらわなければいけない。そうすると、利用債の利息と各市町村が銀行から借りる利息では、銀行から借りる利息のほうが高い。その差額は市町村で負担をしなければいかぬ。たとえば我孫子線を例に見ても、一年で四千万円ぐらいの金を市町村で負担しなければならぬ。我孫子、印西町、栄町、成田市というところにそういうものを負担させるということは、成田市や近く市になる我孫子のような比較的人口の多いところ、将来発展のきわめて目ざましいところはある程度負担力がありますが、印西町とか栄町とかいうところは負担の力も比較的弱い。そういうようなところでも犠牲を払わなければならぬ。ことに北総ニュータウンなんかできますと、またその問題が起こるというようなことで、これらの問題については、さいぜん住宅局長から、全体の問題として大きな都市開発、団地開発については考えなければいかぬというお話もありましたが、こういう問題は国として検討する必要があるのではないかと思いますので、この点もぜひ検討の中に加えて、市町村の負担が不当にかからないような配慮もお願いしたいと思います。  それからもう一つ、ただいまのは希望として申し上げますが、さいぜん住宅局長からもお話がありましたが、六十三国会における建設行政に関する基本施策についての根本建設大臣の所信表明のうちに、公的機関による住宅はいまお話を伺ってわかったのですが、「民間住宅につきましては、民間の住宅建設のエネルギーを適切に誘導かつ助成することが必要であり、このため、住宅融資保険の拡充整備、税制上の優遇措置等を推進するとともに、企業による従業員向け持ち家対策、農家等の土地所有者による住宅建設の促進等を鋭意検討中であります。」と言っております。これらの内容について具体的に御説明をいただければありがたいと思います。
  71. 大津留温

    大津留政府委員 民間のエネルギーを住宅建設にも一そう活用したいということでいろいろ考えておるわけでございますが、いまおっしゃいました第一の住宅融資保険制度、これは住宅を建てたいという個々人の方が、企業でもいいのですが、金融機関からお金を借りる。ところが、それの保証力といいますか、信用が足らないというので、連帯保証人なんかを求めても親戚、知人がなかなか保証に立ってくれないというような問題もございます。そこで融資の保険制度をつくりまして、保険にかかって、もし事故があれば保険会社が保険金として支払う、こういう制度はアメリカ等では相当発達しております。またわが国におきましても、住宅金融公庫がそういう住宅融資保険を現にやっておるわけでございますが、これがなかなか一般になじみが薄いというのか、伸びません。年間二百億程度です。そこで公庫の制度もさらに改善拡充するとともに、民間の損保会社がそういう保険を新たにやりたいということをいっておりますので、これは専門家でございますから、そういうものができるだけ早くできるように指導していきたい。  それから税制の面でございますが、個人あるいは企業が住宅建設を進める場合に、現在でもいろいろ税の軽減措置がございますが、さらに減免の度合い、範囲を拡充して一そう建てやすくしよう、こういうことでございます。  それから企業の持ち家対策というのは、各企業が社宅を従来やってきましたけれども、だんだん社宅の建設についての意欲が少なくなってきた。そこで従業員のために持ち家をつくって、その購入資金を貸すというようなことをやったらどうかというので、これは勤労者の財産形成という労働政策の一環ともちょうど合うわけでございますので、そういうことを促進しよう。そして、企業が従業員のために持ち家を建ててやったり、あるいはその資金を貸すという場合には、法人税等において軽減する、あるいは財政資金の一部を融資するというようなことも考える、こういうことで臨んでおります。  それから農家の住宅建設促進というのは、御承知のように大都市近郊の農家が、特に市街化区域に編入された農地等はできるだけ計画的に宅地化してそこに住宅を建てよう。したがいまして、農家が土地を公団等に売ってくれればもちろんそれでもいけますけれども、農家としては土地は手放したくないという方も多うございますから、その農家が共同で区画整理をして整然とした宅地をつくって、そこに賃貸住宅なり分譲住宅をつくってやろう、それを農協なり農林省の系統の御指導をいただく、これに対して建設省としては住宅金融公庫から低利資金を回すということで進めたい、こういうことでございます。
  72. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 大体私も御計画を承知しておったのですが、住宅融資保険の拡充整備、税制上の優遇措置というけれども、保険制度が普及しないのは、これは住宅金融公庫の融資条件がきびしいというところに一つの制約がある。この点はもう少し御検討願って緩和する必要がありはせぬか。また個人が家を建てるときに税制上の優遇措置なんて形式的に言いますが、逆で、その金はどこから出たとかいってやかましく追及されて、何年前のもうけだろう、こういって逆に税金をあとから取られるというような例を私はしばしば知っております。そういうようなことで個人の住宅建設に逆にブレーキがかけられ、その結果、やむを得ないものだから、自分は金を持っていてもやみで銀行へ預けて、それを見返り担保に銀行から高い利息の金を借りるというようなことが、世上住宅建設の通常の例だと思うのです。個人の家を建てるのに税制上の優遇措置なんてほとんどありはしませんよ。こういう問題については、もう少し住宅局が実態を調べて適切な指導をされないと、民間住宅を大いにやるんだという趣旨は非常にけっこうなんですが、なかなかうまくいかない。この点はもう少し御検討願わないと……。税務署はすぐ来ますよ。ですからその辺のところをもう少し……。
  73. 大津留温

    大津留政府委員 なかなか私どもの痛いところを御指摘でございますが、おっしゃるとおりでございます。今日勤労者が二百五十万なり三百万の持ち家を持とうという場合に、自分でそれだけの金を用意できる方というのは実際には少ないのではなかろうか。そこでいろいろな形で借り入れるわけでございますが、一般の金融機関なりあるいは共済組合とか会社の住宅貸し付け資金というようなものをできるだけ活用しやすいような形に持っていく、住宅金融公庫ももちろんでございます。そういうことが民間の自力建設を促進するゆえんではなかろうか。そういたしますと、いまの融資の場合の保証人の問題、それからいま御指摘のように融資のいろいろな条件の問題がございます。それらを企業に対しましても、あるいは金融機関に対しましても、融資保険制度とタイアップして、住宅融資がどんどんできるように促進をしてまいりたい。そういう他から借り入れて住宅を建てた場合には、御指摘のように税金の扱いが非常に有利といいますか、そういうことがはっきりしないと、いまおっしゃるようにいろいろな出どころを追及される。したがいまして、一般の場合には、先ほど申しましたように自力で用意できる方はまれでございますから、融資制度をできるだけ円滑に利用するようにしよう。それから減税でございますが、これは御承知のとおり国定資産税を当初三年間は半減するとか、それから不動産取得税を大幅に軽減するとか、また社宅なり貸し家を経営する場合には特別償却というもので三倍まで償却を認めていこうというようなことで、これは相当やっておるつもりではおりますけれども、なおまだ不十分な点もございますからいろいろ拡充していきたい、こういうように考えます。
  74. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 終わります。      ————◇—————
  75. 天野公義

    天野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  通商産業省設置法の一部を改正する法律案の審査に関し、来たる十四日、日本輸出映画振興協会理事、輸出適格映画審査委員有光次郎君を参考人として出頭を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 天野公義

    天野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  本会議散会後委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      ————◇—————    午後三時五分開議
  77. 天野公義

    天野委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  外務省設置法及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。伊能繁次郎君。
  78. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 法案に関連して一、二伺いたいと思うのですが、実はせんだって、政府の行政監理委員会で、海外移住事業団は最近の情勢に徴して要らなくなったのではないかというかなり思い切った意見が公に出されておるので、私ども若干意外の感に打たれておるのですが、政府として、この問題について、今日までの経緯は私ども大体承知をしておりますが、今後どういうように海外移住事業団を指導せられ、運営していかれるのか、その辺の考え方についてお伺いいたしたいと思います。
  79. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 お尋ねの海外移住事業団に対する行政監理委員会意見につきましては、確かに中南米地域を主とするところのいわゆる農業移民が減少しておるのは事実であります。しかしながら、海外永住を目的とした移住者全体の数はこの数年間四千五百名前後でございまして、数字は大体横ばいでございます。さらにまた、私どもとしては、事業団の業務の重点は、すでに各地に永住した方の生活の安定等々に移ってきておるものと判断しておりまして、なおかつ、その必要性は今後ますます増大していくものであろうと思われるのでございます。また、農業移民ではなくても、海外に永住を目的として出ていく方々に対する事前の御相談、あるいは現地事情の説明、あるいは研修等々も事業団の重要な仕事の一つでございまして、これらにつきましても今後ますます需要が増大するものだろうと予想されます。いずれも、いま申し上げたような業務はやはり明確な責任を持った機構において行なう必要がありますので、行政監理委員会の御指摘のように、民間団体にゆだねることは私どもとしては適切ではないという判断を持っております。現に、これらの業務を実際に委託し得るだけの能力を持った民間団体もいまの段階では見当たらないというのが私ども考えでございますので、確かに今日、事業団のやっております仕事が一〇〇%十分だとは私ども思っておりません、いろいろと改善の要はあろうかと思いますが、事業団を存続する必要性は十分にあるというのが外務省の考え方でございます。
  80. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 いま、海外移住者の生活の安定、その他これから行かれる人のいろいろな指導、あっせんというようなことを言われましたが、海外移住者の生活の安定という問題は、具体的にどんなやり方をしておられるか、お伺いいたしたいと思います。
  81. 遠藤又男

    ○遠藤(又)政府委員 現在、渡航費の支給を受けて、南米、中南米に移住しておる人の数は、いまのお話のように非常に少なくなっておりまして、昭和四十四年度で七百五名、その前年度も六百台ということで、非常に少なくなっておるわけでございます。しかし、渡航費の貸し付けを受けて出た人の数は戦後すでに六万人をこしておるのでございまして、現在の問題は、すでに向こうに出て行った移住者の方がもっと安定した形で定着できるようにするということのほうが大きいことになっております。送り出すほうの仕事につきましても、事業団としては、渡航費の支給やらその他事前の説明、相談それから研修というようなことを万事お世話するわけでございますが、行ってからのほうがむしろ問題が大きいというような状況でございます。  そういうような観点から在外の仕事ぶりについて申し上げますと、現在ブラジルには中南米の代表部がございます。これはリオ・デ・ジャネイロに駐在しておりますが、そのほかに、国といたしましては、ブラジル、パラグアイ、ドミニカ、アルゼンチン、ボリビア、この五カ国に五つの支部を設け、二つの支所、十の事業所を置いて、全部で在外員として百八十一人の人を置いて、現地で日本から来る人を迎え、それからその定着、安定のためのお世話をしておるという状況でございます。
  82. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 生活の安定ということについて具体的なお話がないのですが、向こうへ行って中小企業やなんかやろうとするときの資金のあっせんだとか、移住者の実態をどうも移住事業団がつかんでいない。私はだいぶ前に沢木経済協力局長が南米におられたときにだいぶお世話になったが、その後最近二、三回行ったのですが、事業団がつかんでいないというのは、私の知り合いの子供さんが向こうで死んだ場合に、東京で外務省を通じてサンパウロの総領事館へいろいろ頼んでもどうもよくわからない。移住事業団に頼んでみてもよくわからない。それから向こうへ行く移住を取り扱っている民間団体の力行会という会が南米にありますが、その団結は非常に強くて、私が三菱の東山農場へ友人と一緒に一昨年行ったときに、そこへ頼んだらすぐわかった。カンピナスで死んでおる。こういうようなことで、実態をどうも移住事業団がつかんでいない。また向こうへ行った連中も、向こうで何とか金を借りたりいろいろして、自分たちでもって仕事を伸ばしていきたいというような面にも——従来はそういう仕事は移住事業団の本来の仕事でなかったのかもしれませんが、今後そういうような方面の仕事もやるんだというようなお話も聞いておるので、そういうようなこともできるだけやって、向こうに行っている人の生活の安定向上をはかってやるというようなことについて、もうちょっとうまく行き届いた世話ができれば、私は移住事業団に対する現地における批判も少なくなると思うのです。それからまた、カナダ方面の技術移民とかなんとかいろいろな問題も最近いわれておりますが、そういう問題について政府並びに移住事業団はどういう取り扱いをしておるか、伺いたいと思います。  さらに、民間団体にまかせろということは、かつては海外移住株式会社によって行なわれていたものが不十分であるということで海外移住事業団ができたのですから、少なくともまた逆戻りをすることがいいんだということを政府の一角の行政委員会かなんかで言われるというようなところには、何か今日移住事業団がやっているところに足らぬところがあるのじゃないかというような感じがしますので、私どもは移住事業団をつくるときに大いにこれを推奨したものであり、その後南米へも三、四回行っておって、常に移住事業団の活動ぶり等についても関心を持ち、できるだけああいうものが発展すればいい、こう考えておるので、こういう問題について今後のやり方等も十分に伺っておきたいと存じます。
  83. 遠藤又男

    ○遠藤(又)政府委員 御指摘のとおり、事業団の海外での仕事ぶりにつきまして、われわれも若干の不満それから欠陥について話を聞いておるわけでございます。しかし、全般といたしましては、移住事業団は少ない人ですけれども、わりに有能な、いわば精鋭の人たちで運営しておりまして、わりによくやっておるというふうにも思っております。ただ、たくさんの移住者の方々をお世話するにつきましてはいろいろ至らぬ点もあるようでありまして、この点は十分今後とも指導したいと思います。  現在、現地でやっておりますのは、主として農業関係の営農指導が一番重点になっておりまして、その関係でいま仕事のしやすいようにいろいろお世話しておるわけでございますが、電力関係とか医療、教育の方面、いろいろ全体の移住者の方々のためになるようにということでやっておるわけで、そのための予算も計上してあるわけでございます。  それから、農業関係のために、それからあと小さい技術とか、小規模の工場なんかをやるための資金として、広い意味の営農資金として大体年間六億円でもって事業団が貸し付けをいたしまして、農業を中心にして安定できるようにということで資金供与をしておるわけでございます。さらにわれわれといたしましては、今後事業団等と力を合わせまして、もう少し大きな仕事をやる——大規模なことはできないにしても、小さい工業の関係に手を伸ばす場合に資金を供与できるようにという考えを持っておりまして、いずれそのうち予算も必要があれば折衝したいと思っておるわけでございます。いずれ中南米における移住事業団の活動ぶりにつきましては、われわれといたしましても、いろいろ批判のあることでもありますので、十分に指導していきたいと思っております。  それから、カナダに対する技術移民でございますが、これはこの数年間非常に伸びてまいりまして、一昨年あたりでは、南米に対する移住者と同じくらいの数にまで伸びております。大体最近は八百名をこしておるはずであります。これはカナダ政府といたしましては、日本人の技術を持った人なら、高度の技術でなくてもよろしい、どんどん入れたいということでございまして、最近はこの方面への進出が非常に多くなっていることは喜ばしいことでもありますし、それから南米と比較してまいります場合にも、移住者の形態が非常に変わってきているということに気がつくわけでございます。これにつきましては、渡航費の貸し付けないしは支給ということはやっておりません。みな自前で行くことになっておりまして、そして現地ですぐ向こうの受け入れ機関によって適当な仕事につくということになっております。ただ、出かけます前には、移住事業団が横浜のセンターに一度入れまして、そこで研修して、必要な知識ないし教養を授けて出ていただく、こういうふうなことになっておりまして、これにつきましても、だんだん数がふえるに従いまして、事業団としても大いに力を入れて、充実した研修をして出してやりたいというふうに思って、よりより協議しているところでございます。いずれにいたしましても、南米それからカナダ、それからアメリカ合衆国がございます。大体全般といたしまして、この数年いつも四千五百人前後の日本人が永住の目的で出ていっているわけでございます。  それは、全般として、いろいろな相手国によって差はございますけれども、いろいろ相談に乗り、研修をして出してやるということで、事業団の仕事も、形は変わったにしても、それから内容は変わったにしても、いろいろとある。しかも重要性はなかなか多いというふうに思っておりますので、われわれといたしましても、この点、移住の新しい考えの上に立って、今後の移住行政を運営していきたいと思っておるわけでございます。
  84. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 カナダのほうの技術移民というと、どういう種類のものが多いのですか。
  85. 遠藤又男

    ○遠藤(又)政府委員 これは農業から始まりまして、いろいろなものがございます。クリーニングなんかも含みますし、ほとんどどんなことでもみんな技術者ということで、それから女性の場合ですと女性の美容、パーマネント、ああいうものも技術者ということで、非常に広い意味にとっております。
  86. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 そうすると、カナダのほうへは、移住事業団としては、何か代表部とか出張所とかいうものがあって、それで世話をしておられるのですか。
  87. 遠藤又男

    ○遠藤(又)政府委員 大体大きな仕事はみんなカナダ側でやるのでございますけれども、カナダの関係機関との連絡、あっせんの仕事がございますので、現在トロントに事業団から一名駐在員を置いております。
  88. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 どうも一名で数多くの人の世話をするとか、ことにそういった技術移民で種々雑多なものがあるということになると、そういう者が仕事をしようというときに、金融的にも必要なものも生じようと思う。新しいカナダの技術移民とかいうことを移住事業団も盛んに宣伝をしている。そうしてそれが移住事業団の存立の大きな根拠にもなるのではないかといわれておるのに、そういうものに実態は一人しか行っていないとかいうことであると、言っていることと実が伴わぬということになるので、そういうものについては全体を見て、南米方面にどの程度の重点が置かれておられるか、あるいは内地はどうなっておるか、こまかいことをここでお伺いする必要もないと思うのですが、外務省としても新しい角度でやるというんであれば、カナダあたりをもう少し重点を置かれて、人の問題も整備をしてやられないと、口で言っていることと違うということで、行政監理委員会からとかくの批判を受けるようになると思うのですが、その辺に関するお考えはどうですか。
  89. 竹内黎一

    竹内(黎)政府委員 御指摘の点ごもっともでございますので、実現の方向で十分努力させていただきます。
  90. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 次に、ちょうど沢木さんが見えておられるから、沢木さんのほうにお伺いしたいのですが、私は海外移住事業団よりは海外技術協力事業団のほうに行政監理委員会あたりはクレームをつけるのではないかと思っておったところが、それにはクレームがつかなかったのですが、最近の海外技術協力事業団の活動状況、どういうような仕事をしておられるか、おわかりでしたら詳細御説明願いたい。
  91. 沢木正男

    ○沢木政府委員 海外技術協力事業団の事業につきましては、御承知のとおり、外務省に交付金それから事業を委託するための委託金と予算がございます。総額はただいま国会で御審議をいただいておる予算の中で八十一億円でございます、昨年度の予算額は六十一億円でございます。そのほか通算省あるいは文部省、運輸省、農林省と、各省に多少の技術協力のための予算がございまして、それらの政府援助として実施いたします場合は、技術協力事業団に委託して実施いたしております。  現在の業務といたしましてやっておりますことは、海外からの研修員の受け入れ、これは現在約千六百人くらいの研修員の受け入れをやっております。研修コースは現在八十二ございます。それから海外に派遣いたしますのは、これはアフリカ、中南米も含めまして全世界に散らばっておりますが、これがやはり約五百名の規模になります。  それから、海外技術協力センターを東南アジアはじめ中南米あるいはアフリカにも一部建てておりますが、現在までにつくりました海外のセンターは約三十でございます。その中で多少毛色の変わっておりますのは、東南アジア開発閣僚会議の結果として、東南アジア漁業センターというものの調査部門をシンガポール、それから訓練部門をタイに置いておりますが、これは東南アジア諸国全般を対象とした事業でございまして、二国間の取りきめに基づかず、多数国間協定に基づいていたしております。  そのほか開発調査事業といたしましては、メコン川総合開発あるいはアジア・ハイウエー開発なんかをやっておりますし、機材供与は、研修生の受け入れ、専門家の派遣に伴いまして、約一億円に相当する機材を各部に配っております。  それから医療協力、農業協力、農業協力は約六億円、医療協力は約九億一千万円の予算をいただいておりますが、これでもってプロジェクトに対する協力ということから、一つのプロジェクトにつきまして多年度にわたって計画を立てて、毎年度その年度の分を実施していくという協力を始めております。特に、農業協力につきましては、融資はアジア開発銀行から融資をさせて、それでもってかんがい排水計画をつくる、そのまん中にパイロットファームを建てまして、そのパイロットファームの技術指導は日本から行った技術者がやっておるというふうな、国際機関の資金的な援助との協力のもとに技術協力をやっていくというようなこともいたしております。  それから、日本青年海外協力隊ということで、いわゆる平和部隊でございますが、現在約六百名の青少年が、アフリカも含めまして東南アジアその他に派遣されております。青年協力隊は非常に相手国から評判がよいのでございまして、今後ともこれらをやっていきたい。  技術協力全般につきましては、欧米諸国がやっておる技術協力に比べて、日本の援助予算のうちで比率があまりにも低いということで問題になっておりますので、今後大いに拡大していきたいというのが現状でございます。
  92. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 そこで、海外技術協力事業団とうたってあって、各省の技術的な協力援助を要請しておられることは当然だろうと思いますが、事業団自体の技術的な機構というものがあるのですか。
  93. 沢木正男

    ○沢木政府委員 事業団自身は事務を処理する機構でございまして、事業団自身が技術を持っておるわけではございません。事業団は御承知のように運営審議会、それから顧問、参与、それで業務部門といたしましては総務部、計理部、国内事業部、海外事業部、開発調査部、農業開発協力室、開発技術協力室、それから青年海外協力隊事務局、そういうものに分かれております。
  94. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 法案に関連した質問はその程度にいたしまして、今度の法案の問題でありますが、「「国際資料部」を「調査部」に改める。」、その理由としては、「国際資料部の名称を調査部に改めるとともにその所掌事務を整備し、並びに在外公館」云々と、あらためてその所管事務を整備するという今度の改正について、どういう意図であるか、その点を一応お伺いしたいと思います。
  95. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 国際資料部に関しましては、かねてから地域別の政策以外に、地域にまたがりますような政策、たとえばアジアとヨーロッパ、たとえば中・ソ関係というようなものについていろいろ勉強しておりました。一方長期的に企画というものがだんだん必要になってまいりました関係上、そういうものもそろそろ手がけておりましたわけでございます。したがって、初めに国際資料部をつくりましたときには、むしろ前に申しましたその地域間の政策、企画というものが主であったのでございます。したがって、非常に資料的な面が多かったわけでございますけれども、だんだんそういった長期的な、企画的な面が多くなりまして、したがって、こういうような名前に改め、一方、今度御審議いただいておりますが、「総合的な外交政策の企画立案に関すること。」というのを入れることに改めたい、そういう趣旨でございます。
  96. 伊能繁次郎

    ○伊能委員 調査部に関連して——必ずしも関連していないのですが、外務省には文化事業部というのがありまして、非常に活発に内外の文化の紹介、ことに日本の文化の紹介等をやっておられます。ぼくらがしばしば外国に行ってみて、もう少し各省間に総合性連絡調整の部門があっていいなという感じがする。伺ってみると、いつもそうやっているというのですが、実際には必ずしもそう円満にいっていないように思うのは、日本の海外宣伝について、運輸省の観光部にしろ、外務省の文化事業部——たとえば、スイスのごときは、運輸省の観光事務所をつくるとき、たまたまいまのアルゼンチンの大使がスイスにおられて、非常にお世話をしてくれた。したがって、開設がたいへんうまくいって、相互の連絡がよくとれておる。こういうような事例もあるのです。全体を見ると、どうも必ずしもそういうように資料の相互配分の問題とか連携の問題とか、各般の改革という問題等についても何となくばらばらな感があるのです。こういうものを国内で常に連絡調整をとったり、それが外地の出先機関に円満に指令されているというようなことになればなお非常にいいのです。今後ぜひそうありたいと思ってお尋ねをするのですが、現状の関係、各省間の連絡等はどういうようにやっておられるのか、お伺いしたい。
  97. 佐藤正二

    佐藤(正二)政府委員 これは権限の形でございますれば、私のほうの文化事業部は文化関係の海外に対する広報活動という形になっておりますので、実際の観光事業は私のほうではやっていないということになっておるわけです。したがって、その間の関係でございますれば一応分かれておるのでございますが、御指摘のとおり、非常にダブった点がたくさんあるわけでございます。したがって、非常に密接にやらせるつもりでございますが、なかなかうまくいきませんので、御指摘の点は十分注意して今後やるようにいたしたいと思います。
  98. 天野公義

    天野委員長 大出俊君。
  99. 大出俊

    ○大出委員 外務省は、たいへんお忙しいところでございますが、実は予定のないところをきょう外務省とこうなりまして、いささか資料不足なんですけれども、しかし、なかなか機会がないわけでございますので、やりませんと会期末までいってしまうと思いますので伺いたい。二、三問題点がありまして、一つは繊維の規制措置をめぐる政治的な問題、また外交的な問題でございます。  実は私がおりますところは横浜でございますから、ここにスカーフ、マフラー関係の業界の、地場産業としては非常に歴史的なものを持っている方がたくさんおるわけでございます。ちょっと当たってみましたところが、生地関係をやっておられる方々が三万人、メーカーというような形でやっておられる方々が八千人、生地を染めるほうをやっておりますのが四千人、俗に捺染といっておりますが、捺染業の方々が一万二千名、水洗い千名、型屋さんの方々が千人、デザイナー千人、それから縫っております方々が一万人、これだけで合計六万七千人、横浜市内だけでいるわけでございまして、手内職がたくさんございますので、それを入れると十万をこしてしまうわけなんであります。実はこれらの方々が、二十八種の包括規制のときに——私はここに翻訳したものを持ってきておりますけれども、入れられてしまっておる。ところが、これはアリメカ側にどうもマフラーという形で多少生産しているところはありますけれども、いわゆるスカーフ部類に関しては、旧来ともにアリメカはつくっていない。にもかかわらず、どうもこれは被害程度といってみたところで出るはずもないわけでありますが、包括規制といわれるワクの中になるべくよけい入れておいたほうがニクソンさんの立候補にあたる政治公約ということでいいのだということで、こういう人たちが放り込まれたんじゃ、たまったものじゃない。そこらの問題点をひとつおきまして、今日のこの繊維交渉の推移、吉野公使が、ケンドール私案についてならばいいのだという形のことを記者会見でちょっと言っておる場面がありますけれども、そこらのところを含めて、現状をまずお尋ねいたしたいのであります。
  100. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 繊維問題については、御承知と思いますけれども、政府も非常に苦慮しております。  それから、現状を端的に申しますと、現在何ら進展はいたしておりません。これは他の委員会でもしばもば申したのでありますけれども、ただいまも横浜の実例をおあげになりましたが、関係の方々が非常に多いわけでございます。そして日米ともに業種別組合あるいは地域別組合等がたくさんございまして、そういう関係、それからまた大きな産業でもございますから、日米双方にいろいろの情報源がございまして、そういう点からいろいろの記事や情報が流れまして、その中には正鵠を得ていないものが実は多いわけでございます。政府間の話し合いというものにつきましては、先ほど申しましたように、いままだ進展の状況はございません。政府のとってまいりました現在までの態度は、昨年五月の、前国会当時の衆議院の超党派的な本会議の議決、ごもっともな議決と政府も考えております。それで、途中は省略いたしますが、三月の九日付で——これは実はどこかにミスがあったと思いますけれども、政府が発表したわけじゃございませんが、大体覚え書きとして伝えられたことは、大体においてああいう筋でございましたが、あれは日本政府としての考え方をいわば集大成して、かなりこまかく書いたつもりでございまして、それ以上になかなか基本的な考え方は政府としてはとれないわけでございます。したがって、何らかのいわば話し合いが妥結できます場合においても、日本側としては、あの覚え書きのワクの中で始末しなければならぬ。それを飛び越えたようなことになりますのは、無原則の妥協ということになる。そういうことはやりたくない。ところが、いま御指摘のように、これは非常に率直に申し上げるのですが、米側は、いわゆる包括規制ということに非常に御執心なんです。ですから、向こうさんがいわば言い出して、こちらに頼んできている問題で、こちらは受け身でございますが、受け身のこちらとしては、筋目を立てたものでなければ解決はできない。ことに政府の態度としては、その覚え書きにも示されてありますように、ガットの精神、ガットのワクの中で、被害なきところには規制なし、一言にして言えばそうであります。それから同時に、日本以外に多数の国々がやはり関係を持っているわけですから、これが日本の態度については、それらの各国も非常な注目をしておりますし、これらとの間のいわば経済外交といたしましても、非常に慎重に扱わざるを得ない。したがって、この種の問題の妥結をいたしますときには、ガット精神に基づいて、関係各国間との少なくとも終局的な話し合いと結末というものがなされなければならない。ごく概略申し上げますと、そういう考え方に立っておるわけでございます。  一方アリメカのほうでは、やはり非常な強硬論が政界の中などにもあらわれておりますが、しかし、やはりアリメカの経済政策としては、ガットの大旆を掲げて、そしていままで各国にも呼びかけてきたような原則もございますから、アメリカの中にもいろいろの意見が、こうやって長引いてまいりますと、出てくることを期待もしたいわけでございます。いまのところ、しばらく——率直に言って、こちらとしても日米関係を悪くしたくはありませんから、あせってはおりますけれども、筋目を踏みはずすことはできませんから、じっとがんばって、向こうの動きなども見詰めていく。したがって、いまこちらが対策を出してどうこうというようなことは、いまの段階ではまだやっておりません。こういうのが現状でございます。
  101. 大出俊

    ○大出委員 貴重な時間ですから、私は、幅を広げた話はできるだけしたくないのでありますけれども、それにしても一、二点、心配がありますから、承っておきたいと思うのです。  いままでの繊維規制問題がここまで来る過程を振り返ってみますと、これは大臣がよく御存じのとおりでありますが、六三年にこの対米綿製品の輸出規制協定ができあがった。そうして六八年にニクソン大統領が、立候補にあたって、毛、化合繊等の製品についての輸入規制を明らかにした。これは意思表示でしょうね。そこで昨年の五月にスタンズ商務長官が日本にやってきて、ここで相当大きな問題が出てきたわけですね。そうして十一月に佐藤・ニクソン会談が御存じのとおりのことになって、外務大臣もずいぶん御苦労になったわけです。そこで十二月に米国の側から、毛あるいは化合繊維の輸入規制の第一次案が出てきたという経緯ですね。そうして本年一月になって第二次案が出てきた、こういうようなこと。そうして一月二十一日に規制品目二十八種類というものが包括規制の形で表に出てきた、こういう実は経緯があるわけであります。したがって、この経過をずっとたどっていきますと、この通産大臣その他のいろいろな御発言もございましたが、そういう経過からいきますと、どうもどこかで日本側が約束を与えているのではないか、長い経過がありますから。そうなると、その中心点は、やはり日米の佐藤・ニクソン交渉だろうと思います。かつて業界を押えにかかったと客観的に見える時点で、業界の内部の方々が私どもに言っておりましたのは、一つは業界の内容にうとかったという面が政府にあったのではないか。したがって、ある意味では、儀礼的に言うたのかもしれないけれども、何とかしてくれと言われて、よろしゅうございますという意味の軽い返事をしているように受け取れる言い方ですが、私どもの耳に入るようなそういう場面が出てまいりました。したがって、そこらのところが、どうも一つ疑問になる。これは方々で出ている問題ですから、くどくは申しません。したがって、もしそうであったならあったで、そのことがあったということにして、しかし、それはこうこういう意味なんだということを明らかにして、しかし、今日的事情からいえば、そうはいかないということもまた明らかにして、正しく受け取れるようにしていただきたい。これがまず第一の点です。  それから第二の問題点は、ガットの話が出てまいりましたが、貿易と関税に関する一般協定、この十九条にからむ問題でございますが、十九条では、いま外務大臣は、被害なきところに規制なしと、こういう適切な表現をされましたが、まさにそのとおりですから、やはり被害程度の証明の要求をすることは当然しているわけですが、そうなると、もとへ戻りますけれども、つまり相手がつくっていない限りは、スカーフのようなものは、これは被害の程度もへちまも初めからないのでありますから、そういうものまで包括規制ということで入れるということ自体が、その以前にすでに政治レベルの問題がある、こうなってしまうんですね。ですから、そういう扱いをすべきではないのではないか。この点を二番目に承っておきたいわけであります。  そこで、もう一つ三番目に、時間がありませんから重ねて御質問いたしますが、吉野公使が記者会見をされた。三日のことでございますが、外人記者との会見で、暫定的に包括規制を実施するという案、これはケンドール私案をさしているのだと思いますが、これを政府案のレベルまで、つまりアリメカ政府のレベルまで引き上げるならば交渉の基礎になり得るということを——新聞の面から見ると、交渉の基礎になり得るという形の表現をされているんですね。これは皆さんのほうと無関係で言ったはずはないと私は思うわけでありまして、そうだとすると、ケンドール私案、当時これはアリメカではそう大きくは取り上げられていなかった問題でありますが、しかし、それを、何か知らぬけれども、吉野公使が新聞記者会見でそう言ったということから、いろいろ向こうの新聞を見ますと、ケンドール私案がその時点から浮かび上がったという感じですね。これは、制限立法というものを旧来から三百も出しておりまして、通ったためしはないのでありますが、これが表に出ているから、そういうものに対する牽制ということをおねらいになったのか、あるいは心底ケンドール私案のような形のものであるならばいいとお考えになってお出しになっているのか。これは非常に重要な問題ですから、この三点を、とりあえずお答えをいただきたいわけであります。
  102. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 第一点は、日米会談との関係でございますが、これは国会でいろいろの機会に総理大臣みずからが証言をしておりますように、まず第一は、あの共同コミュニケには全然出ておりません。そして当時——やはり昨年の五月以来の問題でありまして、いろいろの経過があって、当時は、ちょうどジュネーブの会談が始まっておった時期でございますから、まあジュネーブ会談も始まっていることだから、日米の間で非常に大きな問題になっているから、なるべく早期に解決するように努力をしましょう、こういう話があったことは事実でございます。しかし、これは私、蛇足をつけ加えるようで恐縮ですけれども、その後の経過を見ましても、やれコンプリヘンシブとかセレクティブとか、品目がこうであるとか非常に具体的、技術的な問題でございますから、いかに有能なるニクソンさんといい、佐藤さんといえども、そういう点に入って短時間に話ができるはずのものでもございませんし、私は、そのときに参加しておりませんけれども、私と国務長官の間には、繊維問題はほとんど、全然出ていなかったといってもよろしいと思います。繊維問題といううるさい問題があるなというくらいは雑談的に出ましたけれども、私も政府の責任者の一人として、何らコミットしている事実はございません。  それから第二の、被害なきところに規制なしという点は、全くいまおあげになった理由はごもっともなのでありまして、向こうに同種の品目がなければ、向こうの市場や生産が撹乱されるということはないはずでございますから、したがって、アメリカ側も、こちらが被害、被害と申しますから、資料を一生懸命出して、一生懸命努力はされたけれども、やはりその中には、こちらとしてはそれをそのまま受け取るわけにいかないものもございまして、こういう点はどうだ、どうだと言って、資料等についての申し入れといいますか、こちらの希望あるいは要請は、その後もずっと今日まで続いていると言ってもあるいは言い過ぎではないと思います。  それから第三の、一番大きな問題は、暫定的云々というケンドール案でございますが、先ほど申しましたように、ケンドール氏は繊維の方ではないわけですね。ただいろいろの関係で、日本との経済関係については興味と関心を非常に大きく持っている人ですから、何か自分のあっせんでまとまることができればという、きわめて善意だったと私は思うのでありますけれども、ケンドール案と称せられるものができたことも事実のようでございます。見ようによってはなかなか苦心した案だということも言えるでしょうけれども、アメリカの政府筋は、これは自分らと何ら関係のないことだと言っておりますし、それからケンドール案というものを最初に見ましたのは通産大臣で、これは当然でございますけれども、通産大臣は通産大臣なりに検討いたしまして、この案ではまだなかなか問題があるという点を指摘し、私にも相談がございました。その状態が今日も続いておるわけでございます。  それから、申すまでもないことですけれども、アメリカ側がこちらに要請してきておるのも、自主的に何とか規制をしてくれということなんですね、方法論はともかくとして。こちらとすれば、もともと貿易管理令だとかなんとか法令の措置によって、政府の行政措置としてやる意図は今日においても全然持っておりません。したがって、業界が納得されるようなやり方でなければ応ずるわけにまいりませんから、これはどうしても、政府間のレベルでの話しももちろん必要でございましょうけれども、日本側といたしましては、業界の意図というものが決定的な要素であると思います。  そこで、たいへん長い間いろいろの面で御心配をかけていて恐縮なのでありますけれども、私どもとしては、ほんとうに大事な問題ですから、かりそめにもまず役所の間でいろいろのそごがあってはいけないので、私としては、通産大臣とも全く緊密一体に連携をとっておるつもりでございます。  それから、意見の一致なくしては政府として駐米大使館に訓令というものは出さないのが当然であるし、また出しておりません。先ほど申しましたように、ただいろいろの情報が流れるので、実は私も率直に言って困ることがあるのですけれども、いま吉野公使の話もございましたが、吉野公使がケンドール案に対して賛意を表しているというか、これならばまとまるとかいうようなことをするように話し合いを進めるようにということをこちらから言ったこともなければ、先方から私のほうにそういう意見が具申されたこともないわけでございます。しかし同時に、けんか別れになるのは最悪の状態だと思いますから、パイプは続けておるわけです。先ほど申しましたように、たとえば被害の事実がどうであるか、こういう点はどうかというようなことを中心にしたりして、窓口はずっと続けて持っておるわけでございます。そういう関係から、いろいろ周囲から見ておられると、何かそういうところでそんな話が出たのではないかという憶測なども生まれたのかと思っております。  なお、そういうものが新聞に出るたびに、当方といたしましては、所在ないことと思うけれども、そういう真相でないことが世間に出ることは一そう誤解を大きくするから、そういうことのないように、外に対する情報としては出す必要があるならば正確なことを言う、実は正確なところは、先ほど来申し上げておりますように、まだございませんものですから、報道関係の人にもたいへん迷惑をかけ、取材も困難だと思いますけれども、ここは大事なところですから、新しいことが事実起こらない限りは、これはやはり沈黙を守っていることがこの際としてベストである、こういう意味の注意は与えております。そうやっておりましても、やはり皆さん御心配の問題ですから、いろいろそういうこと、あるいはその他の情報なども伝えられることがありますことは、こういう情報化時代のことでありますから、ある程度はやむを得ぬことかとも思っております。
  103. 大出俊

    ○大出委員 これは今週の「エコノミスト」にあるのですが、「輸出規制に春遠のく北陸機業地」などといって、これは確かに福井、富山、石川、あっちのほうに行きますと、たいへんな機業地ですから、まさに春遠のくという感じで非常な心配をたくさんの人がいたしておる。こういう時期ですから、一番慎重にやっていただかなければならぬのは、政府それ自体だと思うのです。ところが、とかく業界を押えにかかっているようなぐあいに受け取られる動きが出てきたわけです。通産相はきょうお見えになっておりませんけれども、逆に向こうを見ておるのじゃないかと思われるようなところが出てきているようです。そういうときにまた吉野公使がものを言ってみたり、ケンドール私案は交渉の基礎になり得る、私はそれだけならそれなりに大臣が否定される、そうかといって済むのですが、そのあとの新聞を見ますと、七日の夕刊ですが、これを見ると、サーモンドなるアメリカの上院議員が、六日、下田大使を招いて異例の書簡を手渡したというのです。この書簡の趣旨というのは、道義的に見て、沖繩を返したアメリカの好意に対して、日本が繊維の輸出規制で応じないのはけしからぬ、一口で言えばこういうことです。このサーモンド上院議員のこの言い方に対して、自由貿易派の代表であるジャビッツ上院議員、この方がここでまた吉野公使のケンドール私案支持を表に出しておるわけですね。この声明が出ておるわけです。日本政府が国内繊維業界の反対を押し切ってケンドール私案に条件つき支持、これは吉野公使が三日、外人記者と会見したときの発言をこのように受け取っておるのですが、条件つき支持を与えたことをきわめて高く評価すべきである。したがって、米政府最高首脳もこのケンドール私案というものを支持した吉野公使の考え方に歩み寄りを示すべきではないかという。そうすると、日本にいて日本の新聞を読んでいる私どもが、おや、これはたいへんだと思う、それだけでなくて、御当地のアメリカの議会を二分する自由貿易派、反自由貿易派ということになっておる両方からそれが出てくるということになると、これは言わなかったということにはならぬと思う。そうすると、これはもしいま大臣がおっしゃっておるとおりだとすれば、きわめて不用意きわまる発言だといわなければならぬと私は思います。なぜならばこのケンドール私案は、非常に複雑な問題を、門外におる方が、私案として何がしかまとめたいくらいの話でものを言ったやつをつかまえて、この一年なら一年で非常にゆるい規制だ、いわゆる第二次案から見れば、こんなにゆるいんだ、必要ならばその中に何品目か書けばいいではないかということなんです、ケンドールさんの言っていることは。しかし、これは大きな目で見れば、包括規制に間違いない。だから、その中に、二十八品目あるものが三品目か四品目になったにしても、じゃ、その他を含まないのかと言えば、含まなくはない。特に必要があるものだけ書けというんですから、書く必要があったから書いたということであって、その他も包括規制に入ることは間違いない。そうすると、これは弱いところにしわが寄るということだって当然あり得る、こういうふうに見なければならぬケンドールさんの案だということになると私は思う。だから、そうなると、反面日本の業界にすれば、ここでその必要なものは書くんだというその何品目か、そのほかは品目規制の形にならないんじゃないのか。そうすれば、おれのほうは助かったわいということになって、業界自体の中が割れていく。このことは、日本政府が、そういう政策をお考えの上に立って、ケンドール私案に乗るがごとく見せて、業界を、早い話が分裂させて、たいへんとねじりはち巻きになるところと、いや安心したというところがあるということになって、足並みを乱そうという考えに立って、そこで飛び出したところを頭をなでるということなら別。そうでないとすれば、この吉野公使の発言というものは私は許せぬと思う。いま、大臣からおっしゃったことからすれば、こんなふしぎなことはないと私は思うんです。まして心配している諸君から見れば、そう受け取れる。そうすると、ますます問題を複雑にしてしまう、こうなってしまう。そこらのところの、実はいま大臣の言っていること、それはそれなりにわからぬわけではないんだけれども、いま、三番目にお答えになったことからすれば、どうにもこれは納得がいかぬあらわれ方なんですから、ここのところ、もう少し説得力のある真意のほどをお聞かせいただきたいのです。
  104. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず、いまサーモンドあるいはジャビッツというような有力なアメリカの上院議員意見のお話がありましたが、これは個人的な意見でございます。そして、これも報告が来ておりますけれども、サーモンド上院議員が、できれば駐米大使と会いたいということで、これは日本側の立場を話すのに、また一つのいい機会だと思ったので、大いに当方の立場というものを主張をして、彼の意見を強く反駁したようでございます。ただ、こういうサーモンドというような人が、沖繩問題にまでからめて言うようなことは、非常に遺憾である、こういうことを大使からも報告が来ております。それだけやはりアメリカの国会の中でも、一面から見れば大きな問題になっているということはわかると思います。それから、この論議が済みましてから、帰るときに、あとで見ておいてくれということで、その手紙を見たら、こういう提案であって、まことにこういう見解は困ったことであるということも来ております。  それから、ジャビッツ上院議員は、しばらく前ですけれども、ことしの二月ごろでしたか、日本に参りまして、私も一般的な意見交換で会いましたが、私との間では、繊維問題はあまり出ませんでしたけれども、やはり繊維問題はなかなか困った問題だ、御承知のように本来自由貿易主義者だから、そういう立場から立って、いろいろ個人的な見解は言うておりましたので、私は、あなたのかねての持論の上に立って、日本の主張が正しいと思うでしょう、そういう考え方を、ひとつ帰られたら、有力な立場から、同僚あるいは党内の皆さんにもぜひ日本の実情や、日本のわれわれの考え方を頼むから説得をしてくれと言ったのでありますけれども、なかなかこの人のその当時の意見というものは、通ることはむずかしい環境にもあるようです。これは、しかし、情勢判断の問題でございます。  そこで、その吉野君の伝えられる発言で、どうもこれは、ほんとうにざっくばらんに申しまして、そういうふうなことで伝えられるのは、私としても遺憾に思いますので、そういう点は先ほども申しましたように、十分注意をさせますが、内容的にケンドール案を支持しているというようなことはない、これは確かであります。ということは、かりにケンドール案として伝えられているものをこちらがのんだと仮定いたしましても、向うがまとまるとは私は思いません、現状をもっていたしますと。そういう点から申しまして、これに賛意を表したというようなことを非公式にでも言うはずはない。これは私の確信なんでございますけれども、それはしかし、どういう言い回しや、どういう表現がどういうふうに伝えられたのか、そういう点にミスがあったとすれば、これは今後も十分注意をさせるようにいたします。そこで、いま後段にお述べになったことは、私もほんとうに御同感なんですけれども、この機業界その他の方々に動揺がある。これは私の直接の担当の範囲ではございませんけれども、私の気持ちから申しますと、御関係の皆さんのお仕事が、これはこのままやっておけばどんなに伸びていくかもしれませんですね、その伸び方に多少の考慮を加えなければならないことがあるかもしれませんが、しかし、現状においておやりになっていること、あるいはそれがある程度の伸びをすることについては、政府の立場におきましても、全力をもってあらゆる知恵、才覚でもってお守りをいたしますから御安心いただきたいということが私の気持ちでございます。本来、この自主規制のやり方は、業界の方々の御納得がなければやれないということと、それから、かりに業界は、先ほど申しますように、非常に広い範囲で、種目も多ければ、それから格差も相当ある、あるいは地方的にもいろいろな分布状況でございますが、おしなべて、どういう方々に対しても、この正常な伸び方について、これを阻止したり、異常な害が起こってくるというようなことは、もう絶対にないように十二分にがんばりますから、その点はひとつ御安心をしていただいて、政府の立場につきましても御信頼をいただきたい。また、これが国会の御決議の趣旨でもあろうと思います。また最近は、参議院の商工委員会でも御決議が新たにできました。そういう経緯からいいましても、それらの点についてはほんとうにがんばって善処いたしたいと思いますので、そういう気持でありますことも御理解を賜わりたいと思う次第です。
  105. 大出俊

    ○大出委員 この辺でひとつ確認を求めておきたいと思うのですが、そうなりますと、この吉野公使の三日の発言といわれるケンドール案支持と受け取れる発言、交渉の基礎になり得るという言い方、これは真意は、ケンドール案支持ではないのだ。言の葉、表現の上でいろいろ受け取られた面があるようだけれども、つまりケンドール案支持ではないのだ、この点はいいですな。ケンドール案は、一〇%ぐらい来年度の伸びになるということで押えて、必要な品目を必要ならば書いてということなんですが、これは私は実際そうはならないと思います、こんなことになったらえらいことになりますから。したがって、これは私ははっきり否定を願っておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  106. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 先ほども申しましたように、これからどうするということは別にして、これからそれを基準にしてやることは考えておりません。そういう意味ではおっしゃるとおりでございます。ただ正確に申しますと、これは一見するとなかなかくふうしたところもある、しかし、さらによくよく見れば相当またけんのんなところがある、そういう私は認識を持っておるのと、それから、アメリカ政府側も、これはおれのほうのあれではない。また、これがすでに新聞でもずいぶん報道されたから、いわんや、こういうもので——これはこちらと逆なんですけれども、こんなことでまとめられたら困るという、こちらと全然逆な意味で向こうの政府はコミットしております。こういう状況でございますから、そのケンドール案というのは、たしか、十一項目か十二項目、非常にこまかく書いてあるものですから、なかなかおもしろいところもあるのですけれども、なかなか乗れないという、そういう見方をわれわれはしておりますから、そういう意味でお答え申し上げておきます。
  107. 大出俊

    ○大出委員 ところで、決してことばじりをとらえるわけではないのですけれども、よしんばケンドール案をのんだとしても、相手方が、というお話があったのですが、そのことをとやかく言うのではありませんが、それとからみまして、大臣先ほど来おっしゃっておられる、あるいは旧来の筋からいきますと、あくまでも自主規制でやるということなんですね。そこで被害云々ということになるならば、ガット十九条というものもあるわけです。したがって、原則は、被害がないところに規制はないのだということですから、もし相手方がごうごうという形で包括規制だなんというような場合に、それならばガットの筋に合わせて被害をということになるのは当然な筋、この筋をくずしていないということになると思うのです。そういうふうに理解をしてよろしいかどうかということ、いかがでございますか。
  108. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは当初からの、昨年五月以来の私の態度でございます。そしてその考え方は三月九日付のいわゆるエードメモワールにかなり詳しくつづったつもりでございまして、あのワクの中で何らかの妙法、手段がございますれば、これは受ける用意があるということを言うたわけでございますから、このワクの中で解決をしたい、こういう考え方でございます。
  109. 大出俊

    ○大出委員 そうすると、三月九日の吉野公使を通じて出した覚え書きがございますが、そのワクの中で考える、旧来の線では、こういう考え方になるわけでございますが、そこで、そういう筋になってきますと、ますます私がいま取り上げておりますスカーフあるいはスカーフに類するハンカチーフ、こういうものについては、相手方が歴史的につくっていないのですから、私は横浜におりますので、業界の諸君は何せ六万七千からおりますから、何回も何回も外国視察に行ってきております。アメリカの事情も直接代表団から聞いておりますが、そういう意味で被害のあるはずはないと言っているわけです。私もそう受け取っているのです。にもかかわらず、これは包括規制の二次案からいきますと、数量その他まで中にうたっているわけです。  私の持っておる資料、昭和三十三年から昭和四十四年までのスカーフ等製品の輸出向け生産実績の推移という資料なんですが、これを見ますと、確かに四十三年は少しふえておりますが、金額にして百五億七千四百五万四千円ですか、ずっと百億台です。四十一年が百七億四千二百万、それから四十二年が百一億二千八百万、四十三年が百五億七千四百五万、こうなっておる。四十四年になりまして百三十八億という数字がここに出ておるのです。したがって、多少四十四年というところは上がってきておりますけれども、横ばいなんですね。この対米輸出をながめてみますと、ダースで出ておりまして、時間がありませんからこまかく申しませんが……。ところが、この業界の大体六割ぐらいのところが対米輸出になっている。  ところで対米輸出の六割のうち、第二次規制の案でいきますと三八%ちょっと、約三八%から三九%の間ぐらいに押えるという考え方が出てきているのです。そうすると、これは六割からの対米依存度があるところへ、その六割のうちの三九%足らずしか認めないということなんです。そうすると、ますますスカーフ業界としては、極端ではないのです、現実につぶれてしまうといって実は差しつかえないと思うわけです。しかもその被害がないはずのものに対して、そういう規制を包括規制に入れてくる、まさに弱いところにしわ寄せだということになる。したがって、そこのところをここで、現状進展を見てないという中で言うのは無理かもしれません。しれませんが、本来こういうスカーフ業界などを包括規制二十八品目の中に入れてくること自体が筋が通らないと思っておるのですが、そこのところについて大臣どういうふうにお考えになっておられますか。
  110. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 だんだんこまかくなりますと私も御説明できかねるところもありますけれども、いまのような点は、被害なきところに規制なしという大旆のもとにアメリカ側に三月九日の覚え書きを出しますに至るまでの間にも、こちらとしては十分こちらの事情も説明をし、先方の理解を求めるように努力をしてきたわけでございますし、それからそういう角度に立っての、何といいますか、いま交渉というものは行き詰まりなんですけれども、接触は続けておりますし、それから日本の業界といたしましても、従来アメリカに対しては非常に多くの関係を持っておりますから、業界自体としましてもそういう点の先方の理解を求めることには一生懸命の努力を、通産省と連絡しつつやっておられるように私は理解いたしております。
  111. 大出俊

    ○大出委員 これは第二次案でいくと千七百二十七万ですか、これはポンドですね。それで七十八万三千三百六十八キログラム、こういうことなんですが、これが八千八百八十七万ダースですか、ちょうど三九%ちょっと欠けるぐらいですね。いま私ちょっと数字を間違っておりましたが、これを見ると対米輸出が六五%なんです。したがってこれは、この業界にすれば、いま大臣おっしゃいましたが、どうしても納得いたしかねる中身ということになるわけでありまして、まして普通の状態でも少し私は政府にものを考えていただかなければならぬと思っているくらいなんです。  というのは、昭和三十八年か九年か、その時点だと思いましたが、家内労働法の審議会をつくる、つくらぬという問題がありまして、私当時の労働大臣にここでいろいろ御質問したことがあるのですけれども、そのときにこのスカーフ問題が一つ出ているのです。何しろ、フランスのシャンゼリゼのどまん中の高級店舗で十ドルと称するスカーフを売っている、豪華な店先で。十ドルですから三千六百円ですね。ところがある専門屋がそれを見て、一体これはどこでできたのだろうかと思って調べてみたらメードインUSA。そこでアメリカまでわざわざ行って調べてみたところが、アメリカはフランスに三ドルで輸出しているのですね。ですから千八十円です。アメリカはフランスに千八十円で輸出したら、フランスはシャンゼリゼのどまん中で三千六百円で売っていたわけです。ところが、三ドルで輸出しているそのスカーフは、実は日本からバイヤーが買ってアメリカへ持っていって、メードインUSAにしたわけです。ではそれはどこで買っているのだと調べたら、私の住んでいるすぐ足元の上大岡のスカーフの関係の方々がつくっておったわけで、それでは、これはアメリカのバイヤーらに幾らで売ったのだと思って調べてみたら、何と一ドルまでいかない一枚三百円だ。それは三百円でバイヤーに渡した。アメリカはそれを千八十円でフランスに売った、フランスはそれを三千六百円でシャンゼリゼで売っている、こういう筋なんですね。そうすると、三百円で渡したものが三千六百円になっているわけですよ。そうすると、ジェトロなんというものもありまして、貿易振興会もあるわけですから、それは国というものがないわけではないですから、日本という国はあるのですから、そういうばかげたことを旧来なぜさしてきたかという問題が一面ある。  しかし、それも商売だから、そのルートしかないのだといってしまえばそうかもしれないが、この六万七千人に及ぶ方々の企業を見てみると、労働条件も非常に悪い。いまそれでもよく努力されて、裸電球のぶら下がっている中で、三十万とか五十万とか七十万とかいう資本金で家内労働をやっているのですね。スカーフのふち縫いだとか巻き縫いだとかいって手内職をやる。それを十年やっていると目がしょぼしょぼしてふけてしまうような形でやっている。だから単に経営者の皆さんがもう少ししっかりしてくれなければならぬということではなくて、経営者も一生懸命、家内労働で経営者がみずから先頭に立って必死になって仕事をしているのです。それが買いたたかれている。だから、そこで働く従業員——この間、私永年勤続者表彰式で招かれて行ってみたのですが、長年たいへんまじめな労働をしながら、かつ高い賃金でないところで苦労してこられている方々、御婦人もうんといるのですけれども、一ぱいですよ。よくこんなに長い間やってきたなということになる。しかも輸出の分野から見ると、地場産業としては相当大きなウエートを占めている、こういうわけですね。だからそういう三百円だなんということになっている。しかも片方で三千六百円で売れているということになっている。このあたりはこういう規制問題がなくても当然考えてあげなければならない筋のものだろうと私は思っているのです。ですから、そういう意味では、この種のものを、何がどう間違ったにしても被害があるはずがないものを、どんなことがあってもこれは規制品目の中に入れる筋合いのものではない。しかもここ十数年来横ばいであって、それだけつまり安定した消費者が現にアメリカにいるということなんです。だから逆に言えば、この種のものが向こうに流れていかなければ、大きな立場から見れば逆にその消費者が困るということにもなる。  しかももう一つの問題は、一年とか、あるいは半年とか——半年じゃありません一年規制、こうなっておりますが、そういう中小零細の企業に働いておる方、私もたくさん知り合いがおりますけれども、この方々は、六五%対米輸出があるものを、もし六五%のうちの三八・何%に切られた場合に、人を放してしまったら二度と再びこの職場には人は来ない。だから零細企業の経営者の方は家族ぐるみで一生懸命、何もよけい払えないけれども、大事にしながら人情でつなぎとめているのですから、それを仕事の面でだめになったから放した、さあ、あとは来やしない。そこで、もう少し機械のいいものを入れようという動きもあるのだけれども、資金という問題がすぐからんでくる、しかもみんな小さいですから、その意味の過当競争がある、こういう状態です。そういう意味では包括規制に入れるどころの騒ぎじゃなくて、入れるべき筋合いのものじゃ全くないということと、あわせてこの種の業界というものはそういう苦しい事情にあって、かつ外貨をどんどんかせいでいるわけですから、当然政府の措置が必要な部面がそこにある、実はこういう事情なんですが、そこらをつけ加えて申し上げまして、これは何がどうなっても大臣に、第二次案にあるような形にしていくなんということはこんりんざいないような御配慮をいただきたい分野だ、こう思うのですが、一言御答弁いただきたいと思います。
  112. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 いまお述べになりましたような状況については、私自身からも御説明したいくらいに全く同感でございます。そういう大きな、また特に先ほど来申しておりますように、繊維業界と一口に申しますけれども、実際は中小零細企業の方々にしわが寄って、たいへんなことになるおそれの可能性のある問題であるということについては私なりに認識しておるつもりでございますから、いまのお話も拳々服膺いたしまして、この上とも大いにがんばるつもりでございます。
  113. 大出俊

    ○大出委員 たいへん前向きに御答弁いただきましてありがとうございましたが、通産省の三宅繊維雑貨局長さんがお見えになっておられますので、ちょっと念のために伺っておきたいのであります。ここに私持っております資料は、横浜市議会が満場一致でスカーフとハンカチの規制反対の決議をいたしまして、自治法に基づきまして意見書を関係の筋に差し上げるというようなことを横浜市議会がやっておるわけであります。それに関連して代表が通産省その他にお願いに参りまして、通産省の生田豊朗さんという通商局の市場第一課長さん、この方にお目にかかっていろいろお話を聞いた、御意見も聞いた。この中で通産省が言っておられますのは、通産省としては筋の通らぬ妥協は全然考えてないという意味のこと、それからガット十九条による米側被害の証明を要求しておるということ、そしてあくまでもガットの場で交渉する、米側が違反すれば報復措置も考えられる、こうお話しになったわけですね。ここで報復措置まであるわけですが、この考えがいまお変わりになっていないかどうかという点と、旧来繊維規制問題などは貿易の自由化との関係もいろいろあって、大平さんの時代からいろいろな腹づもりもあったように、私も何べんか質問いたしまして承っておりますが、そこらのことも含めまして、ここで報復措置と言っておられるので、ここらあたりのこと。  それから二番目に、米側の輸入規制立法はとうてい成立しないであろうという見通しを述べておられる。過去五年間に三百件の輸入規制法案が出してあるが、現在までに一件も成立していないということを基礎にして、成立しそうにない、とうていしないだろうという見通しをお立てになっておる。  三番目に、かりに立法が成立するにしても、米国の為替制度、貿易制度その他の諸制度がきわめて自由化されているので、やっかいな問題を誘発するおそれがあり、実効を奏するようにはいかないと思うという御見解を代表の諸君に述べておられる。これは代表の方々がまとめて書いて印刷したものでありますから、多少の食い違いはあるかもしれませんけれども、こういう筋のものの考え方をいまでもされておるかどうか。どうもスカーフ等につきましては、外務省の皆さんよりも通産省の皆さんのほうが少しあたたかみに欠けるところがあるのではないかという話が最初流れた時点もあったのですが、そこらを含めまして承っておきたいのであります。
  114. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 私の不在のときに陳情の方がお見えになって、繊維局及び通商局に参られたことは事実でございます。通産省といたしましては、さっき外務大臣がお答えになりましたように、筋を通し、またインジュリーがないところに規制があってはならないという方針は外務省と全く同意見でございます。  報復措置云々の点は、実にデリケートな問題でございますが、おそらく担当課長は、もし向こうが輸入制限をやれば当然ガット上の権利といたしまして、向こうがコンペンセーションを払うなり、あるいは輸出国側が対抗措置の権利を留保するものである、こういうことを述べたのではないかと思います。ガットのルールの解説であって、それ以上国会の場で、デリケートな問題でございますから、私としては発言を差し控えさせていただきたいと思います。
  115. 大出俊

    ○大出委員 そうですね、大臣、宮澤さんではないわけでございますから。どうもこのあたりはまだこまかく中身がありますけれども、いろいろ申し上げると局長さんお困りになるかもしれないから、デリケートな問題であるから、それ以上この席では、こういうお話ですから、それを私も了承いたしまして、通産大臣おられるところで大臣の政治的な発言を承るということにさせていただきたいと思います。実はそこの中身を聞きたいのでおいでいただいたのですが、ぴしゃっといま封ぜられましたから、私もそういう意味では無理はしたくないと思いますので、御足労をかけて恐縮でございますけれども、その程度にさせていただきたいと思います。  これは通産省の宮澤さん以下の皆さんが、この問題の最初の雲行きがいささか心配になる面を感ぜられる点があったわけでございまして、そういうことはない、外務省の皆さんと全く一緒だ、こういうお話でございますから、そのように理解をしておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  116. 三宅幸夫

    ○三宅政府委員 外務大臣と通産大臣、いつも緊密な連絡をとっておられるようでありますし、私も外務省の事務当局とはいつも緊密に意見交換をしております。
  117. 大出俊

    ○大出委員 それでは時間がございませんので、先ほどの愛知外務大臣の前向きの御答弁を多とさせていただきまして、いまの問題を終わらせていただきます。  そこで、二番目の問題として簡単に御質問いたしますのでお答えいただきたいのですが、この間本会議で、外務大臣に国連協力という点について私お考えを承ったわけでございますが、実は中身が非常にこまかいものがございまして、本会議でそこまでものを言うことはいかがかと思いましたので、そこのところは省略させていただいたのであります。そこでウ・タント事務総長さんも、たしか来月の十二日ごろですか、お見えになるようでございますが、外務大臣が昨年国際連合の会議にお出かけの際に、外務大臣演説という形で国連強化案の趣旨をお述べになっているわけでございますけれども、そこらに触れて、一体国連強化とは具体的に言うと大筋どういうことになるのかという点をまずお答えいただきたい。
  118. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 国連強化ということについては、申し上げると長くなりますが、簡潔に申し上げますと、まあ私の気持ちは、平和憲法というものが日本の国内はもちろんでありますけれども、私の見ているところでは相当国際的にも定着してきたように感じられます、日本の外交姿勢として。したがって、いろいろ御議論のあるところでございましょうが国際緊張の緩和、そして平和への戦いということでこれだけ実績をあげてきた、その底には徴兵しない、海外派兵もしない、非核三原則を守っていく、私としてはこういうことに簡潔に表現されることだと思います。そういう基礎の上に立って、ここまでやってきました日本としては、その実績の上に立って、こういう日本のやり方というものを国連の機構の中にもできるだけ反映していきたい。そのためには、できれば日本も安保理事会というところへ——これは長い目で見ていただかないといけませんけれども、ひとつそういう意気込みで活動を活発にしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  ところで、その国連に対して日本の力を発揮しようとしていけば、おのずから日本の義務ということをまず考えなければならないのではないか、これはそのとおりだと思います。しかし、その義務というものが、ことによると何か力を伴った、たとえば軍事的な国際協力ということにまで飛んで考えられがちなものですけれども、そういうことは考えておりませんで、いま実は国連の機構も実にいろいろの機関ができておりますが、それらに対する日本の財政的寄与というようなものを試みにとってみますと、とてもGNP第三位というような国としてはまことにおさびしいような、まだ寄与しなければならない分野が相当あるように考えられますので、まずそういう点から日本の地位相応のコントリビューションをするということが国連に対する協力の内容であってしかるべきではないか。そして、そういう決意と実行の上に日本の発言権ももっと広く持たせてもらうようにしたい。  それから一方においては、軍縮の面におきましても、今度御承知のように、これもいろいろ過去においても議論があったようでありますけれども、国連として一九二五年のBC兵器についての条約などについてもあらためて問題として取り上げられたわけですから、日本としても四十年あまり批准しないでいたわけですけれども、この際こういうこともおくればせであるけれどもどんどん片づけていきたい。同時に核防条約についても、日本の主張であるところの原子力平和利用などについては、何といいますか平等の原則というものをやはり関係国の間に十分の理解と協力を求めたい。あるいはまた積極的な面では、世界的に問題になっております公害の防止というような社会的な問題等についてもすでにいろいろの面から協力を求められております。こういう点についても、こちらのそれに対する対応がまだ十分でなかった。たまたまこういう時期に昨日のような大事件が起こるというのはまことに情けない感じがいたしますけれども、こういう面でも相当にやはりコントリビュートする面があるのではないか。大ざっぱに簡単に申しますとこういうふうな考え方でございますが、そういう基礎の上に立って、実はウ・タン事務総長はもう一週間以内に来日するわけです、彼とも十分意見交換をしてみたいと思います。  それからもう一つは、最近大きな問題になってきつつありますが、いわゆる国際大学の設置の問題、これについても積極的に意欲的に日本への誘致ということも推進したい、こういうことも一つ考えの中に描いているわけでございまして、ただいままだ最終的に考えをまとめておりませんけれども、ちょうどいい機会でございますから、事務総長との間にも十分意見を交換いたしまして、そしてなお構想を練りまして、昨年緒論は一つ言ったわけでございますが、少しずつ具体論に入って、国連に対するわがほうの体制というものをできれば本年の総会を中心にしていろいろと意欲的な展開をしてみたい。ちょうど二十五周年の記念総会に実は各国がどのくらい大統領とか総理大臣が出るのかどうかさだかでございませんけれども、そういうことももちろん聞きながら、日本としても総理大臣出席するとすればこういう機会も大いに活用してしかるべきではないか、そんなふうに私としては考えたわけでございます。
  119. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、こういう筋になりますか。昨年の国連総会の代表演説で愛知外務大臣から国連憲章の改正ということをまず提起されたわけですね。そしてここで日本が改正案を提出する用意があるということを明らかにされたわけです。その中身で大ざっぱに触れておりますのは安全保障理事会の機構の改革と、そして安全保障理事会の常任理事国へ日本が加入をするという——大体構想としてはアフリカその他を入れて十カ国くらい理事国をふやすのだろうと思うのです。こういうことが中心になっておられたように受け取っておりますが、そこで問題になりますのは、時期的には二十五周年がございます。したがって、本年の国連総会に、国連二十五周年準備委員会に、昨年の国連総会で愛知外務大臣がお話しになった国連憲章の改正、この改正案を文書で提出をする、こういう段取りでこれから進めていきたい、こういうふうに筋道はなるわけでございますか。
  120. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これからの段取りは大体こういうふうに考えていきたいと思っております。  まあ昨年の総会の終末した時点から顧みてみますと、たとえばコロンビア提案ということになっておりますが、ひとつ特別委員会をつくって国連のあり方を再検討したらどうかという趣旨の案も出ております。採択もされたわけですけれども、やはり最初はそういうムードといいますか、段取りをつくり上げることがまず最初であって、そしてその案の内容等については、初めから日本の案というものは、こまかいものを出すことも適当の場合もございましょうけれども、これはやはり多くの同志をつくらなければ、結局投票あるいは合議によってきまるものでありますから、これは大体の腹案を持っておって臨機応変にやっていけばいいのじゃないかと思います。それから憲章の改正ということになりますと手続がとてもたいへんですから、二十五回の総会、その一発勝負でということはとうてい実は考えられないと思います。したがって、機運をまずつくって、同志の国をなるべく多くして、そして軌道を設定して、かなり長い期間かかることも覚悟しながら、またできることはできることとして実現するようにしていくのが一番堅実な行き方ではないか、こういうふうに考えておりますが、日本として自主的に一国だけで考えればこういうことが理想であると思う腹案だけは十分準備する必要があるのじゃないだろうか、かように考えております。  実は事務総長が近く来日する関係もございますから、いま国連常駐代表の鶴岡大使に帰国してもらいまして、この方針も含めて、どういうふうにアプローチするかという方法論についてもただいま検討を始めたわけでございます。そういう順序でまず手がけてまいりたい、かように存じております。
  121. 大出俊

    ○大出委員 これは本題に入りますが、私一つ心配があるのです。大臣はあるいは否定されるのかもしれませんがね。と申しますのは、これは本会議でも総理に御質問いたしましたが、総理はていよくお逃げになったと思います。昨年の十月八日にホイーラー・アメリカ統合参謀本部議長がおいでになった。佐藤総理と一時間半ぐらい話して帰られた。その後、幾つかのものへ載った文章がある。それらを総合してみると、一九七一年ないし七二年というところで、韓国の、国連軍と名のつくアメリカ軍をアメリカ本国に引き揚げさせたい、これはニクソンさんのグアム・ドクトリンその他の線に沿っておるわけです。これは昨年の六月の対外援助小委員会でレアード国防長官が証言しておるところです。それらとからんで共同声明がまん中に出てきている、昨年の十一月ですね。この中で、韓国の安全は日本の安全にとって緊要であるということ、台湾の安全は日本の安全にとって重要な要素であるということ、これが中心になって、したがって国連軍と称する米軍が引き揚げるということになると、韓国自体の安全というものとからんでまいりますから、そのあとはじゃ穴埋めはどうするのだということになる。それらとからんで日本が将来にわたって国連協力という形において保障するのかしないのかという、そこらの問題が出てくる。そうなると、これはいま外務大臣がおっしゃっている派兵をしない、こういうふうに言っておられますけれども、派兵だけではなくて——かつて椎名さんが外務大臣のときにも監視団云々という問題もあった、それらのこともございますので、これから具体的に承りたいのですが、まず国連軍というのは一体どういう規定をすればいいのかということ、国連軍、これが一つございます。  分けて承りたいのですが、これは朝鮮の国連軍がございますが、それから国連待機軍と称するものが今日ありますね。国連軍とは一体どういう規定が必要であり、さて国連待機軍というのは一体どういう規定のもとに成り立つのか。それから国連緊急軍、こういっているものがあります。これは一体どういうものを国連緊急軍といっているのかという点。それからもう一つ国連監視団、こういうものがございます。ここらについて一体どういうふうに御理解をされておられるのか、まずこの辺を承っておきたいのであります。  というのは、国連強化、このコロンビア等と一緒になって国連内に国連憲章再検討特別委員会というふうなものをつくろうというところまでいま外務大臣がおっしゃっておられる。ここまでの筋道は、私はこの間本会議でものを言った筋道に合ったお話なんです。外務省の中でいろいろやっておられることをそんたくしたり仄聞したりする限りは、そこから先があるのですが、そこから先は外務大臣は本会議でもお話にならなかった。いまのところまでは、つまりそんたくした、私ども考えている外務省の考え方が、いまここでようやく出てきた。ここから先がない。ないところを実は聞きたいわけでございます。  そういう意味で、その前提として、国連軍といっているもの、あるいは国連待機軍といっているもの、あるいは国連緊急軍といっているもの、あるいは国連監視団、こういうふうなものについてどういう認識をされておるのか、これらの問題と憲法九条との関係、ここのところをどういうふうにお考えになっておられるのか、具体的に承りたいわけでございます。
  122. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これらの点については、実はまだここから先、大出さんのおっしゃるそこから先は、私どもも引き出しに入っていないのです。ですから抽象的になりますことを御了承いただきたいのですけれども、要するに、もちろん先ほども前提として申しましたように、憲法というものを最前提として、それが全部かぶった考え方、それから現状をもってすれば、たとえば現行の法令内ということに、私は現在の時点では考えております。そうして、かりにいかなる——これはいま御説明いたさせますけれども、監視団といい待機軍といい国連軍といっても、そのときどきの環境や条件によっていろいろ違っておりますから、そういう事実関係については国連局長から説明いたさせたいと思いますが、要するに本筋としては、いま申しましたように、憲法はもとより、現行の法令の中で日本としては考えるべきものだ、こういうふうに私は考えておりますが、いずれこれらの点につきましても、そこまで私は考える必要はないと、実はいまのところ思っておりますけれども、もしそれに関連して考えるべきことがありとすれば、これからもう少し勉強いたしまして、問題点ありとすればこういう点だということも御説明いたしまして、いろいろ御批判を仰ぎたいと思っております。
  123. 西堀正弘

    ○西堀政府委員 大出先生から、いまいろいろな種類の国連軍のお話がありましたので、そのカテゴリー別に簡単に御説明申し上げさせていただきます。  国連軍は、国連軍という一つのことばでもっていわれておりますけれども、大別いたしますと、三つあるわけでございます。  まず第一は、先生よく御存じの第四十三条に基づくいわゆる本来の国連軍でございます。これは国連憲章の第四十三条に規定がありまして、安保理事会と加盟国との特別協定によってつくられるところの本来の常設的な国連軍でございます。これはサンフランシスコ体制のもとで国連憲章が予想したものでございますけれども、これは東西の対立という現実の国際関係で、いまだかつて生まれたことはございません。  それから第二番目のカテゴリーでございますが、これはいわゆる在韓国連軍、これは憲章の第三十九条の安保理事会の決議に従いまして、加盟国に対する勧告によったものでございますが、これがいわゆる在韓国連軍で、これはこれが唯一のケースでございます。  同じくこの第二のカテゴリーに入るものとわれわれが考えておりますものでは、一九五〇年の総会の、いわゆる平和のための結集決議、これによって組織されるかもしれない国連軍でございますが、これはこの平和のための結集決議によって緊急総会が開かれたことはございますけれども、それによってできたところの国連軍というものは、実はこの平和のための結集決議によったものではございませんので、これも実例がないということでございます。  それから第三番目のカテゴリーでございますが、これがいわゆる国連の平和維持活動とわれわれ総称しておりますところのものでございまして、いままでいろいろ実施されておりますものは、いずれもこのカテゴリーに入るものでございます。これは先生御存じのスエズあるいはコンゴあるいはサイプラス、こういったところのものが、われわれのいう国連の平和維持活動に属する国連軍、これがいままで実際に組織されたものでございます。  それから、先生のおっしゃいました国連の監視団というのは、やはりこの第三番目のカテゴリーに、しいて入れますれば入ると思うのでございますけれども、これはあくまで停戦とかそれから休戦とか、こういったものを監視するところの団でございまして、これは国連軍といわずに監視団というだけの相違でございます。  それからもう一つ、これはわれわれ実はこういったカテゴリーと全然別個に考えておるのでございますが、先生のおっしゃいました国連待機軍、これは実際にあるものでございますが、これは国連にあるものというよりは北欧の四カ国、と申しますのは、ノルウェー、フィンランド、それからスウェーデン、それからデンマーク、それからカナダ、オーストリア、こういった国々で、将来国連でもって何らかの決議ができて出兵を要請されるとか、あるいは出兵を勧告されたといった場合には直ちにこれにはせ参じるということができますように、自国の軍隊の中に一部を国連のために供出する軍隊として設けている、これがいわゆる国連待機軍でございます。これが一応先生のおあげになりましたいろいろな国連軍の実際でございます。それから先のことは先ほども外務大臣がおっしゃいましたとおりでございます。
  124. 大出俊

    ○大出委員 大臣、引き出しの中にまだないんだという実は先ほど御答弁で、私は一ぱい入っておって、かぎがかかっておるんじゃないかと思っているんですけれどもね。それを門外不出にしてお出しにならない、こういうことだと思うのですよ。  だから具体的に承ったほうが早いと思うのでありますが、そこでいまの御説明でわかったわけでありますが、まず正規に国連軍といえば、いまお話しの国連憲章第四十三条、これでは、加盟各国は安保理事会と特別協定を結ぶわけですね。特別協定を結んで、国際平和、安全の維持に必要な兵力、援助及び便益を提供することになる、こういうわけですね。この特別協定というのは国連発足以来今日ない。ないから、これをいま日本が考えるというようなことは、前例がないですからおそらくあり得ないと私は思っておりますが、という理解でよろしいわけでございますな。——皆さん全部うなづいておられますから、当然そうだろうと思います。時間の省略のために御答弁をいただきません。  二番目は、これはいわゆる一般に国連軍といまいわれているものですね。三十九条決議、加盟国決議の朝鮮国連軍、これがあるわけですね。一九五〇年の朝鮮戦争のときの安保理事会の決議ですね、これは。ここで派遣された、これは米軍を主力とするたしか十六カ国あると思うのでありますが、こういうものについて憲法九条との関係で理論的にいってこれは当然派遣できないと思うのでありますが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  125. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私もそう考えております。
  126. 大出俊

    ○大出委員 そうしますとその次の問題、三点目でございますが、国連待機軍、先ほどちょっと四カ国とおっしゃったような気がするのでありますけれども、これはカナダ、スウェーデンなど六カ国、これは国連の要請で出兵できるようにという意味の国内法なんですね。その場合にかつて椎名さんのときに問題になりましたが、国連協力法というような法律をつくってみたらどうなのかということが一つ浮かび上がっていた時代もある。私も質問したことがあります。その場合は一体どういうことになりますか。先ほど私は憲法というものを前提にしてものを承ると申し上げたのでありますが、いわゆる国連待機軍、つまり国内法でということ、ここらのところは御見解としてはどういうことになりますか、憲法との関係
  127. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは少なくとも先ほど申しました憲法並びに国内の現存の法令、そういうことからいえば問題だと思います。
  128. 大出俊

    ○大出委員 問題だという意味は、これは自衛隊法三条もありますね。これは明確な規定ですから、これをつくるといっても自衛隊法三条を手直ししないことには、よしんば憲法九条に違反しないという仮説が成り立っても、これはちょっと簡単に現行諸立法の中でつくるわけにはいかない、こういう性格のものであろうと思います。  それから国連緊急軍、これは予防外交といいますか、予防という意味でスエズ、コンゴ、まあ緊張地帯といいますか、こういうところに送られているわけでありますが、これはつまり国連緊急軍、これへの参加ということは、これはどういうことになりますか。
  129. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 これは、ですから、国連緊急軍なるものの性格、使命もとくと検討を要する問題だと思いますし、これもまた御同様に、かりに憲法では可能であるとかりにそれも仮定いたしましても、やはり法令上は問題があることは否定できないと思います。
  130. 大出俊

    ○大出委員 性格、使命、こういうことになりますといろいろあるわけでありますが、性格、使命いかんによっては考える余地があるという点が出てまいりますか。
  131. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 常識的にいえば性格、使命によりますけれども、やはりいずれの場合でもこれは国内法令上の問題となるのではないかと、これはまあ常識的なお答えで恐縮でございますが、そういうふうに考えております。
  132. 大出俊

    ○大出委員 まあ性格、使命にはよるけれども、常識的な答弁をもってすれば国内諸立法との関係があって困難である、こういうことになる。  それから国連監視団でございますが、これは停戦あるいは撤退などの監視、こういうものが目的で、御存じのとおりレバノン、西イリアン、イエメン、こういうのが派遣された先例がございますね。これらの点についてこういう法制局長官の答弁、これは四十年十二月二十三日衆議院の予算委員会です。法制局長官が、国連軍の形態はいろいろあるが、国連のすすめによって各国が武装部隊を特定の国に派遣し、その国の意思と責任によって武力を行使するということになると憲法九条戦争放棄条項があるから無条件ではいとは言えない。レバノンのような監視団は自衛隊法上の問題はあるが憲法九条には違反しないと、こう述べている場面がある。この見解をおとりになるとすると、まず手始めにと言つちやなんですけれども、国連の安保理事会に顔を出そうという御意思がある、しかも国連憲章を再検討する委員会をつくろうというふうな御意思がある、コロンビアその他と一緒になって。そうすると、何がしかやっぱり日本も国連協力の面で国連を強化しようという限りは、日本もそれに対して何がしかのことをしなければならぬということになるのは、これは理屈の上からいえば当然なわけでございますから、そうすると、この辺のところ、つまり国連監視団、ここらのところとの関連で、これは前に派遣というふうなことばを使われたりいろいろして、派兵はできないが派遣はできる、こういうふうな答弁を増田さんなんかしたことがあります、防衛庁長官のときに。したがって、そこらのところが外務省として一体、ここまで御検討いただいている段階で、どういう御見解をお持ちなのかという点を承りたいのです。
  133. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まずそれにお答えする前に、私は国連に対して日本の地位を強化したいが、その強化するについては寄与することをもっと広げなければいけない。その寄与ということはともするとこういったような面でのみ取り上げられるきらいがあるけれども、そこにいく前に日本としてはまだ寄与が足りないところもあるし、こうした力を用いる——力を用いるというと語弊があるかもしれませんが、こういう面以外に日本が積極的にもっと協力する面がある、そういう考え方の上に立って考えたいというのが、これは外務省としてあるいは政府の統一見解ではございませんが、私の考え方としてはそういうことでいきたいと思っております。  それからその次に、だんだんお尋ねがございましたが、やはり普通常識的に考えますと、いわゆる国際監視団というようなものが、これはその国連への協力といういま私の言ったような発想と必ずしも関係はございませんが、これは従来からしばしば論議されておったことでもありますし、それから幸いにしてベトナムの戦争状態が終結することになって、たとえば休戦協定ができたというような場合にこの種の問題はまた出てくる可能性のある問題だろうと思います。そういった場合の国際監視団というものがどういう性格、使命の監視団になるか、あるいはその参加国の構成が、たとえば自由主義国家群も共産主義国家群も多くの国が入って、そうしてほんとうに平和を維持するための限定された純粋の目的によってつくられる場合、あるいはそうでない場合というような、いろいろ想定いたしますと、それぞれによって答案が違うんじゃないかと思うのです。しかしいずれにいたしましても、これまでの政府の見解は、まず法制局長官の申したことはこれ政府見解でございますし、それから、いわゆる国際監視団というものについてそんなに精細に検討した結果ではなかったかとは思いますけれども、常識的に、たとえば国際監視団結成について財政的な寄与あるいは機械設備等の協力、あるいは、何と申しますか、兵隊の組織、軍組織ですか、こういうものでない程度の協力ということならば可能でございましょうというのが従来の見解だったと思います。  これは、従来から政府がそういう見解を明らかにしておりますから、現在でもそういう考え方でいいのではないかと思いますが、しかし、これはやはり基本的には、その監視団というものがどういう使命で、どういう構成で、そうして日本に対して期待されるところがどういう面であるか、期待には十分こたえられないけれども、この程度ならばいいかということによって、やはりそのケースによって私は違うと思いますが、くどいようですが、常識的にいえば、いま申しましたような見解でいいのではないかと思います。
  134. 大出俊

    ○大出委員 締めくくりをしておきたいんでありますけれども、現行自衛隊法三条というのは、「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当る」こうなっているんですね。だから、わが国を守ることが主たる任務で、必要に応じてほかのものがあるが、それは公共の秩序の維持に限られている、こういうことになるんですね。そうすると、この自衛隊法三条というものを正面から解釈すると、これは国連監視云々と言ってみても、この問題との関連で、これはよほど掘り下げなければ、これは、うかつに、監視だからいいんじゃないかということにならぬはずだと私は思うわけでありますが、この法制局長官の答弁というのは、まあ、どういう経緯でこうなったかということの前後の状況はありますけれども、憲法九条には違反しないと、こう言っておられるのですね、監視団ならば。ただここで、この自衛隊を、とこうなるとすると、自衛隊法三条との関係はあるが、こう言っておられるわけですね。ここのところが、実は外務省がいままで机の引き出しの中に——まだ入っていないとおっしゃるんだけれども、どうも入っていて、かぎがかかっているみたいで、中身を遠くのほうから見ていますと、どうもこのあたりをひとつ持ち出して、この際ウ・タント事務総長が来る、もう少し国連内における日本の発言権も高めていこうという意思もあり、機構の改革の意思もあり、安保理事国の数もふやして、そこに入っていこうという意思もあるということになると、何かそこに最小限度の協力でプラスアルファを乗せなければならぬという気持ちが動いて、外務省の皆さんのほうはそういう準備をずっと進めてこられておる、こういうふうに受け取れるわけですよ。私が聞きたいのはそこのところを聞きたいわけなんでございまして、旧来こうであるというのは、私も知っておるのですけれども、どうもそうではないことをおやりになっているから、たまたま新聞にぽかっと出てみたり、あるいは出させてみているのかもわかりませんけれども、あげたアドバルーンというものを考えながら——最近外務省、なかなかきめこまかくやっておられますから、そこのところを外務大臣に率直に承っておきたいわけでございます。
  135. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 まず第一に、ウ・タン氏が来られるときの、こちらが用意しつつあるところの相談をしたい、懇談をしたいという中に、この問題はわがほうとしては全然入れておりません。これがまず一つでございます。  それからもう一つは、私冒頭に申し上げたつもりですが、現行法令内でこれは考えるべきものだ、私はさように考えております。  そこで、監視団のでき方いかんによって答案も違うと思いますけれども、やはり何らかの形で自衛隊として参加をするということであると、私は法令上問題があると思います。つまり、問題があるということは、改正の必要があるんじゃないかと常識的に考えるわけでございます。  私、実は本会議で申し上げたとおり、私としてはまだそこまでの検討はいたしておりません。しかし、国際監視団というようなことについての研究を常時しておく必要がございますから、かりに外国側あるいは国際会議等から要請があった場合には、こうこうこういう点が問題点である、応ずるとすればこういう点を改正しなければならぬというような研究を事務当局でするのは私は当然だと思うのですけれども、それを改正してまで協力すべきかどうかということは、これはやはり政治的判断であり、内閣として決定しなければならないものであります。そういう意味におきまして、その一員である私としては、全然そういう点はまだ考えておりません。
  136. 大出俊

    ○大出委員 そうしますと、はっきりしてきましたが、ウ・タント総長がおいでになる。そこで国連強化の相談をされる。それは先ほどお答えになっているわけです。それもようやくいまはっきりしてきたんですがね。  先般もちょっと承ったのですが、そこまでの御答弁がなかったのですけれども、コロンビアその他とも協力してこうするというところまでいった。そこで、いま、微妙な発言なんですけれども、私の勘ぐりかもしれませんが、ウ・タント総長と相談をする中にはこの問題は入れてない、そうすると、相談する中には入れてないが、この問題はある。どこにあるかというと、大臣としては検討しておられない。しかし、事務当局は、何が起こって国連から要請があるかわからぬのだから、常時検討しておかなければならぬ問題だ。つまり事務当局の検討しておられる案はある。ここまできたわけですよ。ただ、しかし、その案を表に出すにあたっては、いかなる性格の監視団であっても、どうも自衛隊と名がつくものが行くとなると、これは現行自衛隊法三条等とからむ。そうなると、法改正その他、もう一つつけなければならぬことになる。だから、そこまでのことを考えて、そこまでの協力、つまり、もう一つこの法律にくっつけて、法改正になりますが、それまでして協力をしなければならぬかどうかは政治的な判断の問題だ。外務大臣としては、個人になるのでしょうね、政府としてでないと思いますけれども、いまのところそこまでは考えてない、こういうことになりますか。——そうすると、事務当局案、これはいろいろある。世上伝えられるようなものはある。が、しかし、それを表に出して、法改正に持ち込んでまで協力しなければならぬかどうかということは政治的判断である。ここまできているというわけですね。そういう理解でよろしいですな。
  137. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 私は、大体そのとおりだと思います。率直にお答えしているつもりであります。  ただ、もう一度繰り返すようですけれども、現在監視団というものは、現実の問題として出てきているわけではございません。それから、ウ・タン氏は、われわれといろいろ意見交換をしてみたいという姿勢で来つつあるわけですけれども、国際監視団とか、日本にそういう面での協力を期待して、そういう話をしに来るというのでは全然ございませんし、こちらもそれの応酬ぶりは考えてもおりません。同時にまた、積極的にこういう意見を持っているということを固めておく必要も何にもないことだ、私はこう考えております。  ただ、御承知のように、かつてもこの国際監視団の問題については問題になったこともありますし、先ほども申しましたように、幸いにしてベトナムの休戦というようなことがまとまれば、またこの種の問題は出てくる可能性があると私は思うのです。そういう場合のわがほうの態度というものは、いろいろな想定のもとに研究して資料をつくっておくということは、外務省として非常に必要なことだと思うのです。そういう限りにおいて、いろいろの資料といいますか、調査したものがむしろできていなければならないと私は思うのですが、それをとるかとらないかということは政治的判断の問題でありますし、この点は、政府としてそういうことは考えておりません。私ももちろんでございます。
  138. 大出俊

    ○大出委員 新聞に間々出てまいります事務当局が検討しておられるということについて、やはりそれなりの心配もありまして、片や中曽根さんのほうがだいぶお元気だしするので、その微妙なところまで聞いておきませんと、なかなかどうも心配になる面が抜けません。引き出しに入っていないとしきりにおっしゃるのですけれども、かぎをかけていて、大臣は検討していない、こういうところであろうと私は思うのです、それらしい御発言でございましたから。ただ、現時点で、ウ・タント氏が来るという段階で、大臣としては、そこまで考えていない、こういうようなことだと思うのですが、これは今後の問題に残したいと思います。  そこで最後に、いまの問題の締めくくりでございますけれども、ベトナムの云々という話も出ましたが、どうやらインドシナ半島全体をながめていて、ラオスの問題ありカンボジアの問題あり、シアヌーク追放の問題があり新政権誕生の問題がある。そうして、第二次インドシナ戦争などということになりはせぬかという心配がある。これが南側で起こっている問題でありまして、もう一つ、周恩来中国総理が朝鮮民主主義人民共和国に行って金日成氏と会っている。日本の軍事費の増大なりあるいは中曽根さんがいろいろ言っておられる問題なりについて相当激しい非難をしておられるわけであります。日米共同声明というものに対する対抗措置のようにも受け取れる発言があの中にあるわけでありますが、こういう状態の中で、まずインドシナをめぐる問題について、外務大臣のお立場で、世上一般に第二次インドシナ戦争になるのではないかという、そして国際的な各種の勢力が非常に入りまじってきておる、CIAが雇い兵を送っているなどということも中に入っておる、そういうふうなことをどう現時点でとらえておられるのか、ひとつ簡単に結論的にお述べいただきたいのです。
  139. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 あまり楽観的に見るわけにはいかないと思うのですけれども、しかし、たとえばラオスにおきましても、プーマ首相とパテトラオとの間に一つ話し合いのパイプができたようにも伝えられております。それからカンボジアにおきましても、さらに米軍の増援を積極的に求めて力によって対決をしていくというような気配が顕著にも見られません。やはりできれば話し合いというようなかっこうで何とか静穏を保ちたいという努力が払われつつあるようにも思われますし、ラオスにおきましてもそうでありますけれども、このプーマ政権自身が、一九六二年のときの状況を回顧してみましても、いわば中立政権であります。それからカンボジアも、今度のロン・ノル政権も中立平和主義という、前内閣といいますか前の政権の政策を踏襲している。おそらくはこれらの国民の双方ともに、戦いによって事をさらにエスカレートするということは望んでいないと思います。ですから、私は、これらに直接、間接に関係している大国が、そういう気持ちを十分体して、誤った対策に走らないように期待し、かつ、日本といたしましても、特にラオスのようなところにおいては、イギリスとソ連が共同議長国であるし、こういうところに対してかねがねやっておりまして、実は三月になりましてからも、政府としてもできるだけそういう方面にも手を回して、平和が維持されるように要請もし、努力をいたしておりますが、情勢は流動的でございますから、冒頭に申しましたように決して楽観は許されませんけれども、ベトナム戦争の経緯に徴しましても、これがインドシナ半島全体にエスカレートするようなことは絶対に避けたい。日本としても何か妙手があれば、その方向ならば何でも協力をしたい、こういう考え方でおります。
  140. 大出俊

    ○大出委員 私は、こういう問題こそ、やはりある意味では超党派という立場で、第二次インドシナ戦争などという——第一のにがい経験もあるわけでありますから、いまお話しの大国の複雑な関係がからみ合う、そのことがアジアにおける緊張をエスカレートさせる面も、一つ間違えば出てきかねない。いま大臣が分析をしておられるのは、どうも必ずしもエスカレートする方向にはいかないで話し合いの場を求めてという形で推移していくのではないか、こういう分析をお持ちのようでございますけれども、こればかりは、必ずしもそうなるかどうかは、相手のあることですからわからない。したがって、それこそそういう意味で拡大をさせないという形の努力を国会なら国会の場を通じてもあえて明らかにする必要がある時期ではないかという気が私はするわけであります。そういう呼びかけぐらいは政府のほうがして、それこそそういう平和努力をする、国連の平和という面に立って機構改革とまでお考えになっておるとすれば、なおのことと思うのであります。最後に、いまの問題についてその御見解をいただきたい。
  141. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そういう点に対しては、非常にごもっともな御助言をいただいて、まことにありがたいわけでございます。その方向について、政府は政府なりの努力をしているつもりでございますが、いろいろの点で建設的な御意見や御教示にあずかれば、たいへんしあわせに思います。
  142. 大出俊

    ○大出委員 三点目の問題は、これはわずかの時間で終わりますけれども、どうも基地問題に関する情報が、政府の皆さんの側で非常におそいという気が私はする。あるいは知っていて黙っていられるのかもしれませんが、たとえばこの間私が本会議でちょっと触れました横浜岸根の野戦病院の問題なんかも、実は基地に働く方々のほうに、アメリカの軍人その他と一緒におりますから、直接入ってしまっているわけです。話が出ちゃっている。それを幾ら県の渉外当局に言っても、政府から何とも言われてない。政府に聞いても、知らないと言う。年じゅうそうですね。だから、長年つとめておる人を首を切るという時点がくるというのに、政府のほうはさっぱり新情報が入っていない。この間も中曽根さんが、どうもそういうことのようですというお答え、はっきりしているのに。それでは、やはり間接雇用という形で日本政府が使用者なんですから、非常にまずいことになるのではないか。この間、私は、リーサー証言をとらえまして、陸軍の太平洋地域における輸送の補給基地等を沖繩に集中したいという一説がある、そこをとらえて、簡単な御答弁をいただきましたが、あれの波及効果というものは方々にもう出てきている。そこらのところを総合判断をした場合に、防衛庁に言えば、窓口はやはり外務省になっておって、いろいろまだ具体的に入ってきてない、こういう言い方をされる。そこらをはっきりしていただきませんと、ますますもって混乱をする原因をつくってしまうというふうに思うわけでございますが、早く手が打てない。これは一体どういうわけでこうなっているのか。つまり、皆さんのほうから積極的に、どうなるんだ……。この間は、アメリカ議会の証言をその部分読んでみたとおっしゃるのだが、単に読んでみるのではなくて、東郷さんがまた、安保条約のたてまえなどから、台湾地域まで含まれる、極東という定義もありますから、受け取りがたいという答弁をされましたが、それだけではなしに、具体的に米の次会計年度にほとんど具体化してしまうような証言まであるわけですから、具体的にどうなんだということを積極的に向こうに言わせなければならない責任が、雇用主である政府という立場からすれば、あると思うのですよ。そこのところを一体どういうふうにお考えになっているかということ承っておきたいのです。
  143. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 そういう点については、私もかねがねから隔靴掻痒の感を感じておりまして、一つは、これは御承知のように、いま国内にも外務省の出先官庁を全然持っておりません。基地の関係は直接には防衛施設庁ということになっております。そういう関係もございますが、そこでまず大もとから切り開いていこうと思いまして、幸い中曽根君が防衛庁長官になりまして、同様の感じを持っていて、そこで外交防衛協議会ということを始めまして、少なくともわれわれの間では、非常に大きなポリシーの問題はもちろん大事なことですが、それ以外に、日常のいまお話しになったような点についても、相互理解、連絡が、最近私は非常によくなったと思います。私どものほうも心して防衛庁あるいは施設庁にどんどん連絡にいく、向こうからの情報もどんどん私どもに入ってくる。こういうことによって、私のほうはディプロマチックチャンネルを通して折衝をしますし、それから防衛庁は、これは長官としてはしかるべく在日米軍の最高幹部との接触がございます、そういうルートをできるだけ活用しまして、率直にいま申しましたのですが、従来はほんとうに隔靴掻痒の感がありましたので、十分注意してまいりたいと思います。
  144. 大出俊

    ○大出委員 たいへん長い間ありがとうございました。長年基地につとめておられた方が大量におやめにならなければならぬということ、生活がからんでいるのでございますから、私はこれこそ超党派的に一ある意味の戦後処理の一つなのかもしれません。そういう意味で安心して転職なり授産なりあるいは平和転用なりその間のつなぎなりやっていかなければならぬと思うのでありますが、そういう意味で、何よりも一番大事なことは実情を早く把握することに尽きると思うのです。そうでなければ手の打ちようがないわけでありますし、また説得、納得のしようがないわけですから、そういう点をまず前向きにいまお話しいただきましたが、テンポの早い移り変わりがこの一年間あると思いますので、早急な御努力をひとつお願いしておきたいと思います。  防衛施設庁の方にもお見えをいただきましたので、基地関係の問題で、先般来私予算の分科会なり本会議なりで幾つか例にあげておりますが、その関係でおわかりになってきている点があれば、あのときに情報程度に承知しておりますという御答弁がほとんどでございまして、そうなるようですなどという答弁がありましたりしたので、その後確たるところがあればお知らせをいただきたいと思います。  それから時間がありませんから重ねて申し上げてしまいますけれども、臨時措置法という法律があるわけでございまして、この臨時措置法第十五条の特別給付金の特例措置、これは昨年実施された一カ月分、これを大体六月くらいまで五千名、このくらいになると思うのでありますが、このあたりの方々にも広げるべきであるという気が実はするのでありますが、これまた情報が非常におくれているわけですから、中曽根さんの本会議答弁では何と言ったかというと、昨年末一カ月分を別に出したのは情報が非常におそくて、年内年内怱々の間だったからというわけです。じゃ本年に入ったのは早かったかといえば、決してそうじゃない。私が本会議でこの間二十六日に聞いたって、まだわからぬのですから、ちっとも早くない。そうすると、早くないが出したというならば、当然出すのは筋道でございまして、そうだとすれば、やはり措置法なり何なりの多少の手直しはしても、この際全体に広げて三月なら三月というものを生活保障するという考え方に立って措置をしていくべきではないかと思っているわけでございますが、そこらのところをどうお考えかという点、それから雇用安定法というものを議員立法という形で出しておりますけれども、制限立法ということになりますとなかなかいろいろ問題があると思います。思いますが、出しております趣旨については皆さんおわかりのはずでございますし、他の部面を調べてみますと、一年くらい保障している地域も業種もございます。したがって何とかそこらのところを前に進めたいと思っているわけでございます。前段の件は実は先般理事会に何とか超党派でひとつ御尽力をいただけないかということをお願いいたしたりしてもおりますが、幾つも問題がありますけれども、しぼって言えばそこらのことと、それから離職者対策のためのセンターのようなところに、今日までも御尽力はいただておりますけれども、何せ金額が非常に少ないわけでございますので、思い切った助成措置をおとりいただくようにお願いしたいわけでございまして、外務大臣に申し上げることは少し筋が違うのでありますけれども、事米軍との関係でございますので、全く関係がないということにもならぬと思いますから、ひとつまげてそこらのところをお答えいただきたいと思います。
  145. 愛知揆一

    ○愛知国務大臣 ひとつ私のほうといたしましてもできるだけ御協力をいたしまして、米軍との関係等につきましては足らざるところを補うようにいたしたいと思います。
  146. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 先ほど岸根の米陸軍病院の閉鎖の問題が出ましたが、これにつきましては、われわれのほうとしましてはさっそく米側とコンタクトしまして、施設としては一体どうなるのかということもただしております。しかしながら、いまのところ米側としては検討中といいますか、これを直ちに返還するというような方針はきまっていないというふうに聞いております。  なお、米陸軍長官が三月六日、上院で在日米軍の陸軍補給廠は逐次縮減をして沖繩のほうに集中をするという発言がございましたけれども、これの具体的な場所等の内容につきましては、まだわれわれとしては通報を受けていない。そこで、何かこういう変動がある場合には現地的にも何らかの動きがあるということでございますので、基地の実態をまず常に把握する必要があるということで、二月以来全国的に調査をしておるわけです。最近ようやくまとまってきたのですけれども、どうもその内容がまだ抽象的で不十分であるというようなことで、いま再調査を命じておるわけです。そういうような手だても講じて、なるべく米側の動きというものを事前に把握し、それによってまた事前の対策も考えたい、こう思っておりますけれども実情としてはなかなか思うにまかせないということでございますが、今後ともそういった方向努力をしたい、こう思っております。
  147. 大出俊

    ○大出委員 ちょっといまの点、私のほうから申し上げてもいいのですけれども、概略こんなふうなことになりそうだということくらいおわかりになりませんか。いまの時点で私どもに入ってくるのがひんぱんにあって、どうも皆さんのほうではここまで来てもなおわからぬと言われていたのではちょっと困るような気がするのです。大体こんなふうな動きなんだということくらいおわかりになりませんか。
  148. 鶴崎敏

    ○鶴崎政府委員 われわれとしてはかなり的確な根拠がなければ基地の動きについて申し上げるわけにいかないのですが、たとえば神奈川県下でいきますと、現在衣笠の弾薬庫から池子の弾薬庫に弾薬の輸送がありますけれども、毎日のように行なわれておる。といいますのは、やはり衣笠は弾薬庫としては閉鎖の状態になるのではなかろうか。これはもう客観的な事実ですから、それは当然想定できるわけです。それは想定できることもございますけれども、やはり米側から正式に話のないようなことが多いものですから、ここで申し上げることは差し控えたいと思います。
  149. 長坂強

    ○長坂政府委員 先生お問い合わせの人員整理関係について、一つは予告を早くするようにという御趣旨だと思いますが、この点昨年の末は非常に短期間でありましたが、いろいろその後米軍とも交渉いたしまして、それで本年に入りましてから、一月から六月までの間に約五千人の整理があるわけでございますけれども、そのうち約四千人は九十日以上の予告期間を米軍のほうから通告してまいりまして、それだけの期間を置いてございます。それでこれのやや例外でありますのが横須賀の艦船修理部関係の約八百人、それといま先生御発言の岸根関係の二百九十七名、約三百人が出ておるわけでございますけれども、この三百人のうちでも百二十人ほどは九十日以上の予告期間を持っております。それで、そのほかの者につきましても昨年よりはだいぶ予告期間が長くなっております。したがいまして、去年の事態よりはだいぶ改善されておるということになってまいっておりますが、なお米軍のほうとも接触いたしまして、今後の分についてはさらに九十日以上必ず置いてもらうように現在話をしておるところでございます。  それから、次にお問い合わせの特例、昨年の一カ月分ぐらいは出ないかというようなことでございますが、これはこのように約四千人の者が九十日以上の予告期間をもってきたというような事態の変化もございますし、それから昨年の暮れは大量な者が非常に短期に出てきたというようなことから、暮れでもあり、年末を控えて気の毒だということで、従来は二十七年勤続以上の者は二十七万円、二十五年勤続以上の者は二十四万円というようなぐあいに、勤務年数に応じまして特別給付金を出すような制度になっておったわけですけれども、昨年の暮れになって、そういうような特に短期であって暮れであるということから、特例としてこれは実施いたしたわけでございます。  そこで、それではその特別給付金自体をふやしたらどうかというようなことも論議されようかと思いますけれども、この特別給付金の二十七万、二十四万というのに改正いたしましたのが去年の四月でございまして、ちょうどきょうあたりで一カ年というところでございまして、実は過去六年方低かったものを勤務年数に応じまして約三倍から六倍にしたというのが昨年の改正結果でございまして、そこからまだ一年しかたっていない。それに、それを改正する際の理由が、やはりこの大量の人員整理が見込まれるというような事態を予想してあらかじめ対処しておこうではないか、こういった趣旨でございましたものですから、そこでこの際一カ月を全員に支給するというようなことについてははなはだ困難ではないかと思っております。  そこで東京、神奈川、福岡、青森等の離対センター等に対しましては、これは中高年層の離職対策について、従業員の側の身内といいますか、身近な方々が親身になってお世話するという趣旨に着目いたしまして、今年は四十五年度予算で、わずかではございますけれども、四カ所に対して七百万円の補助金を計上して予算成立を待って支給するという手はずにしてございます。  以上でございます。
  150. 大出俊

    ○大出委員 本会議の質問のときの中曽根さんの御答弁が、昨年は年末であって怱々の間に行なったということもあって一カ月分特例措置をとった、したがってそれを全体に復活をするということは政府として非常に困難である、ただし御指摘の趣旨も十分わかりますから、私としても精一ぱいこの努力をする、こういう趣旨の御発言でございました。実は総理に質問をしようと思って原稿を書いたのですけれども、総理に質問をして総理が困るとおっしゃってもらうと、かつての公務員賃金みたいにまた閣議決定をくつがえしたというようなことになってしまうものですから、そこで質問の寸前にそこを中曽根さんにかえたのですよ。だから中曽根さんとしては、政府としては非常に困難だ、だが私は事情がわかるから努力する、こういうことになっておるわけですね。したがって、そこをここで事務的に詰めてもつまらぬから……。
  151. 長坂強

    ○長坂政府委員 ちょっと。そういうような先日の中曽根大臣の御答弁の趣旨も私どもに下がっておりまして、雇用安定法関係等も含めまして、その他離職関係も含めまして目下検討しておるところでございます。
  152. 大出俊

    ○大出委員 それでは、これは中曽根さんがそういうふうにお答えになっておられるわけですが、政府全体としては非常に困難だという前提がついておるわけでありますから、政府全体として困難でないようにわれわれが努力すれば中曽根さんの言われる趣旨が生きてくるということになるわけでありまして、これからそういう努力をさしていただくということで、きょうのところはおしまいにさせていただきたいと思います。たいへん長い間どうもありがとうございました。
  153. 天野公義

    天野委員長 次回は明十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時三十四分散会