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大出委員 最後ですが、この間私は、浦項製鉄所の問題を取り上げましたが、あれも実はこまかく中身を調べておりますけれ
ども、なぜああいうことを言ったかといいますと、ここまで
経済力ができてきて、さて
資本輸出、
経済協力ということになってみますと、とかく、後進あるいは開発途上国であるだけに、ある
意味ではその政権というのは不安定なものなんですね。ところが
企業進出ということを前提に考えると、
資本輸出をする、
経済協力を
政府ベースでするといった場合に、当然そこに利潤の追求というのは出てくるわけですから、
一つの時の政権と相当深くなってしまうわけですね。そうしないというとまた
企業利潤というものがあがってこない勘定にもなるから。ところが不安定な政権だけに、この
アジア地域をながめてみると、幾ら長い政権であっても十年ですよ。時の政権というのはそんなに長く続いていない。これは
佐藤さんもおそらく十年もやればせい一ぱいだろうと私は思うけれ
ども、幾ら長くたっておそらくそういうものでしょう。そうすると、
一つの政権とあまりにも
企業利潤との
関係で結びついてい過ぎると、その政権がおかしくなったときに内政干渉
——アメリカの例からいえば内政干渉だけれ
ども、
日本の場合はそこまで言わずにしても、ともすればそういう傾向も将来の場合は持ち得るかもしれない。そうなると、そのことのためにその地域における政治的安定を
日本が求めるということになると、先ほど申し上げたどうも少し軍事力という方向に進みかねないという面だって出てきかねない。これは歴史的な事実がそう示しているから言うのですが、そういう面がい
ろいろある。
経済ベースの面から考えれば、浦項の製鉄所に一億六千万ドルも、
経済ベースでけっているものを政治ベースで認めるということになっていくとすると、どうもそういうところは非常に危険だと見なければならぬ面がある。ですから、
そこらのところも含めて、せっかく片
貿易ではいけないのだというところまで踏み出すのならば、いま御
答弁にありましたように、表へ出していく
資本が多くなるにつれて
反発のほうがふえるようになったのでは、これはたいへんなことになると思うのです。いままでの国会のやりとりの中で、
外務大臣その他から、従来とは違って、最近の状況から見ると、こうこういう
理由があるからそう
心配ないという見方をしている向きもあるけれ
ども、それにもかかわらずやはり現実は醜い
日本人と言う諸外国の諸君が多いわけですから、
そこらのところまで念を押しておきたいという気がしまして、総務長官がいみじくも一番最初にお話しになったように、どうもこの
会議は物を売るばかりの
会議だ、さっぱりどうも物を売るというだけでもって、総理府が所管をしていても、ひさしをちょいと貸しているだけというお話があったけれ
ども、
そこらのところを
——じゃほかのほうでどういうふうにやっているのかと言えば、調べてみると、対外
経済協力審議会というのがありますが、これは円借款だとか技術援助だとか、幾つかあります。それからこれは
貿易の面もありますが、永野さんが会長をやっておられる。ところが、大蔵省の外資審議会というのがあるのですけれ
ども、ここで
資本輸出は取り扱っていない。これはほとんど
資本自由化に関する問題が中心になっている。これは小林中さんが会長でやっておられるわけですね。こういうことになると、
資本輸出なんというものはあまり扱っているところはない。そうすると
貿易会議というのは何かそれに類するものぐらいは審議するのかと思ったら、これまた全く物であるということになると、どうも
そこらも割り切れぬところが残る。こういうことなので、これは総務長官に
——大臣ここに一人しかお見えになっていないので、筋違いな
質問みたいになるのですけれ
ども、これは私は言い過ぎかもしれないけれ
ども、やはりだれかが言い過ぎでもその辺のところはいまから用心をしてかかって差しつかえない、かえってそのほうがいいじゃないかという気がするので取り上げて、中身としてはそれは
輸入を入れるから
貿易会議なんだということであるけれ
ども、この
場面でこんなことまで言うのは少し言い過ぎに類するけれ
ども、ここから先は
外務大臣ということにしますが、たまたまこの
委員会に
提案をされておる法案ですから、このくらいのことは申し上げておきたいという気持なんです。総務長官、何か御
意見があればいただきたい。