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1970-03-10 第63回国会 衆議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 天野 公義君    理事 伊能繁次郎君 理事 熊谷 義雄君    理事 佐藤 文生君 理事 坂村 吉正君    理事 塩谷 一夫君 理事 大出  俊君    理事 鈴切 康雄君 理事 和田 耕作君       阿部 文男君    伊藤宗一郎君       加藤 陽三君    笠岡  喬君       菊池 義郎君    鯨岡 兵輔君       辻  寛一君    中山 利生君       葉梨 信行君    堀田 政孝君       山口 敏夫君    木原  実君       佐藤 観樹君    高田 富之君       横路 孝弘君    鬼木 勝利君       渡部 一郎君    東中 光雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長         兼内閣総理大臣         官房審議室長  青鹿 明司君         内閣法制局第二         部長      田中 康民君         総理府人事局長 栗山 廉平君         防衛庁防衛局長 宍戸 基男君         防衛施設庁総務         部長      鐘江 士郎君         通商産業省通商         局長      原田  明君         通商産業省貿易         振興局長    後藤 正記君  委員外出席者         大蔵省国際金融         局次長     稲村 光一君         内閣委員会調査         室長      茨木 純一君     ————————————— 委員の異動 三月六日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     木原  実君     ————————————— 三月九日  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五八号) 同月五日  靖国神社の国家管理反対に関する請願青柳盛  雄君紹介)(第六八七号)  同外一件(赤松勇紹介)(第六八八号)  同(浦井洋紹介)(第六八九号)  同外九件(勝間田清一紹介)(第六九〇号)  同(小林政子紹介)(第六九一号)  同外二件(佐々木更三君紹介)(第六九二号)  同(田代文久紹介)(第六九三号)  同(谷口善太郎紹介)(第六九四号)  同(津川武一紹介)(第六九五号)  同(寺前巖紹介)(第六九六号)  同(土橋一吉紹介)(第六九七号)  同(林百郎君紹介)(第六九八号)  同(東中光雄紹介)(第六九九号)  同(不破哲三紹介)(第七〇〇号)  同(松本善明紹介)(第七〇一号)  同外二件(八百板正紹介)(第七〇二号)  同(山原健二郎紹介)(第七〇三号)  同(米原昶紹介)(第七〇四号)  同(青柳盛雄紹介)(第八三八号)  同(浦井洋紹介)(第八三九号)  同(小林政子紹介)(第八四〇号)  同(田代文久紹介)(第八四一号)  同(谷口善太郎紹介)(第八四二号)  同(津川武一紹介)(第八四三号)  同(寺前巖紹介)(第八四四号)  同(土橋一吉紹介)(第八四五号)  同(林百郎君紹介)(第八四六号)  同(東中光雄紹介)(第八四七号)  同(不破哲三紹介)(第八四八号)  同(松本善明紹介)(第八四九号)  同(山原健二郎紹介)(第八五〇号)  同(米原昶紹介)(第八五一号)  同(青柳盛雄紹介)(第八九六号)  同(浦井洋紹介)(第八九七号)  同(小林政子紹介)(第八九八号)  同(田代文久紹介)(第八九九号)  同(谷口善太郎紹介)(第九〇〇号)  同(津川武一紹介)(第九〇一号)  同(寺前巖紹介)(第九〇二号)  同(土橋一吉紹介)(第九〇三号)  同(林百郎君紹介)(第九〇四号)  同(東中光雄紹介)(第九〇五号)  同(不破哲三紹介)(第九〇六号)  同(松本善明紹介)(第九〇七号)  同(山原健二郎紹介)(第九〇八号)  同(米原昶紹介)(第九〇九号)  元満鉄職員恩給等通算に関する請願八木昇  君紹介)(第七〇五号)  同(岡沢完治紹介)(第八五二号)  一世一元制法制化に関する請願田中龍夫君  紹介)(第七〇六号)  人事行政厳正化に関する請願海部俊樹君紹  介)(第七〇七号)  同(金丸信紹介)(第七〇八号)  同外一件(植木庚子郎君紹介)(第九一九号)  同(鍛冶良作紹介)(第九二〇号)  同(佐々木秀世紹介)(第九二一号)  同外三件(椎名悦三郎紹介)(第九二二号)  同(坪川信三紹介)(第九二三号)  同(福田繁芳紹介)(第九二四号)  国防省設置に関する請願海部俊樹紹介)(第  七〇九号)  同(金丸信紹介)(第七一〇号)  同(鍛冶良作紹介)(第九一三号)  同(佐々木秀世紹介)(第九一四号)  同外三件(椎名悦三郎紹介)(第九一五号)  同(砂原格紹介)(第九一六号)  同(坪川信三紹介)(第九一七号)  同(福田繁芳紹介)(第九一八号)  相模原市の米陸軍医療センター移転に関する請  願(小金義照紹介)(第七二二号)  豊岡市の寒冷地手当引上げ等に関する請願外七  件(小島徹三紹介)(第七九五号)  兵庫県一宮町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外六件(河本敏夫紹介)(第七九六号)  同外二件(三木喜夫紹介)(第七九七号)  兵庫県大河内町の寒冷地手当引上げ等に関する  請願河本敏夫紹介)(第七九八号)  同(三木喜夫紹介)(第七九九号)  兵庫県温泉町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(小島徹三紹介)(第八〇〇号)  兵庫県香住町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(小島徹三紹介)(第八〇一号)  兵庫県神崎町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(河本敏夫紹介)(第八〇二号)  同(三木喜夫紹介)(第八〇三号)  兵庫県篠山町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外二件(小島徹三紹介)(第八〇四号)  兵庫県城東町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外一件(小島徹三紹介)(第八〇五号)  兵庫県多紀町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(小島徹三紹介)(第八〇六号)  兵庫県丹南町の寒冷地手当引上げに関する請願  外一件(小島徹三紹介)(第八〇七号)  兵庫県千種町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外五件(河本敏夫紹介)(第八〇八号)  同外一件(三木喜夫紹介)(第八〇九号)  兵庫県西紀町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外一件(小島徹三紹介)(第八一〇号)  兵庫県波賀町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外五件(河本敏夫紹介)(第八一一号)  同外二件(三木喜夫紹介)(第八一二号)  兵庫県日高町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(小島徹三紹介)(第八一三号)  兵庫県村岡町、美方町の寒冷地手当引上げ等に  関する請願外九件(小島徹三紹介)(第八一四  号)  兵庫県養父町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外一件(小島徹三紹介)(第八一五号)  兵庫県山崎町の寒冷地手当支給に関する請願外  九件(河本敏夫紹介)(第八一六号)  同外二件(三木喜夫紹介)(第八一七号)  兵庫県安富町の寒冷地手当支給に関する請願  外一件(河本敏夫紹介)(第八一八号)  同外一件(三木喜夫紹介)(第八一九号)  山形市外二市の寒冷地手当引上げ等に関する請  願外十九件(阿部昭吾紹介)(第八二〇号)  同外二十四件(華山親義紹介)(第八二一号)  同外十九件(安宅常彦紹介)(第九一〇号)  同外十件(華山親義紹介)(第九一一号)  新発田市の寒冷地手当引上げ等に関する請願  (阿部哉君紹介)(第八二二号)  長岡市等の寒冷地手当引上げ等に関する請願外  二件(木島喜兵衞紹介)(第八二三号)  同外一件(松沢俊昭紹介)(第八二四号)  大津市の寒冷地手当引上げ等に関する請願(宇  野宗佑紹介)(第八二五号)  長浜市の寒冷地手当引上げ等に関する請願(草  野一郎平紹介)(第八二六号)  同(山下元利紹介)(第八二七号)  彦根市の寒冷地手当引上げ等に関する請願(後  藤俊男紹介)(第八二八号)  滋賀県木之本町の寒冷地手当引上げ等に関する  請願後藤俊男紹介)(第八二九号)  同外二件(山下元利紹介)(第八三〇号)  滋賀県野洲町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(宇野宗佑紹介)(第八三一号)  滋賀県西浅井村の寒冷地手当引上げ等に関する  請願草野一郎平紹介)(第八三二号)  滋賀県びわ村の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(草野一郎平紹介)(第八三三号)  滋賀県水口町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(宇野宗佑紹介)(第八三四号)  滋賀県竜王町の寒冷地手当引上げ等に関する請  願(山下元利紹介)(第八三五号)  日光市の寒冷地手当引上げ等に関する請願(小  平久雄紹介)(第八三六号)  同(戸叶里子紹介)(第九一二号)  岐阜県金山町等の寒冷地手当引上げ等に関する  請願山本幸一紹介)(第八三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 三月五日  国家公務員法第二十三条の規定に基づく国際機  関等に派遣される一般職国家公務員処遇等  に関する法律制定についての意見 は本委員会に参考送付された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  総理府設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第五〇号)  恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出第  五八号)      ————◇—————
  2. 天野公義

    天野委員長 これより会議を開きます。  去る五日、人事院より国会に、国家公務員法第二十三条の規定に基づく国際機関等に派遣される一般職国家公務員処遇に関する法律制定についての意見申し出があり、同日議長より当委員会に参考送付されましたので、御報告いたしておきます。      ————◇—————
  3. 天野公義

    天野委員長 次に、総理府設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  4. 大出俊

    大出委員 先日この委員会で、各委員会でいろいろやっておりました天下り問題の所管委員会ですから、少しそれらしいことを論議していただこうと思って問題提起をしたのですけれども、おかげでこの大臣提案理由説明も入りましたから、本題でございます貿易会議の問題が時間切れの形になっておりますので、その点を少し質問を申し上げて、あと質問者多数おいでになりますので譲りたいと思うのであります。  そこでもう一ぺんあらためて承りたいのですが、この貿易会議というのは、聞くところによると、非公式なお話ではきわめて素朴にこの貿易会議というのを提案したのだ、こういう御説明が実はあるのですけれども、しかし問題は、そう簡単にきわめて素朴に提案をしたといわれてみても、それほど素朴なものならば旧来のままだっていいということになるので、もう少し何とか素朴でない答弁はないですか。
  5. 原田明

    原田政府委員 貿易会議は、輸出会議という名前で非常に多年にわたって運営がされてまいりました。その間におきましては、日本貿易政策の中では輸出振興ということが最大の命題になっておりまして、多年大体貿易面においては入超を記録していた時代もございますので、官民協力一致いたしまして、特に貿易に従事されます商社貿易業者産業界方々輸出意欲を盛り上げまして輸出目標をつくりまして、その目標実現のために役に立つ施策を検討して実現に持っていきますように推進をする機関として機能していただいたわけでございます。最近ここ二年ばかり輸出が非常に大幅に伸びてまいりまして、むしろ輸入の面におきまして資源確保という観点及び発展途上国との片貿易是正という観点、さらにはまた全体としての黒字国としての責任という、大まかに分けましてこの三つの非常に重要な問題が出てまいります。したがいましてこの際は、ただいままでのような、ややもすれば輸出一辺倒と誤解をされがちな貿易政策を一段と輸入面を含めましたところにまで発展拡大いたしまして、官民協力して貿易推進の任に当たっていただきますための機関として、輸出会議輸入を含めました貿易会議ということに改組をお願いをしておるわけでございます。したがいまして、素朴ということばいかんによりますが、輸入それ自体は、これから大型化してまいりまする日本経済が維持されていきますために、非常に重要な資源、原材料の確保という観点、それからまた非常に多くの国と片貿易になっております東南アジア対策その他を含めました片貿易是正の問題、そういった問題を含めまして、きわめて重要な非常に大きな対策を御検討願う場所でございますので、発想それ自体が素朴であるということでございましょうか、どういういきさつになっておりますのか、私よくその辺のことばの表現は存じませんが、きわめて重要な輸入面輸出面と並んで貿易政策のたての両面として進んでいっていただくための御改正をお願いしたいと考えておるわけでございます。
  6. 大出俊

    大出委員 理事会でも申し上げましたように、このあと質問者関係もありますから一かつまたこれは今日貿易即外交だろうと思いますから、そういう意味で外務省、外務大臣お出になる場面もありますので、関連もありますからあるいは通産大臣がお出になる場面もありますので、そこでもと思っていますが、全くそういう意味では、この間申し上げましたように、どういう趣旨でこの会議提案をしているかという、そこらの一番根っこになるところをはっきりさしていただければいい、実はこう思っております。ただここできわめて簡単に申し上げれば、今回のこの貿易会議提案の基礎になったのは、輸出会議総合部会審議報告書というふうなものがございますが、輸出振興に関する主要事項、四十四年六月十八日、あるいはまた四十四年六月十八日、四十四年度最高輸出会議における議長あいさつ抜粋がここにありまして、それから四十四年度最高輸出会議における安西総合部会長報告抜粋というのがこの報告書の中にありますが、この中に輸出会議というものをつくることが述べられている。どれを見ても、このたびの提案を見ても、言っていることの趣旨というのは自由経済自由貿易という形を国際的に主張してきた、日本というのは。そこで、今日それが保護主義への動きが相当活発に方々国々がとるようになってきた、保護貿易。となると日本輸出は伸びなくなる、だから、この保護主義動きを排除していくことが必要である。これが一つポイントになっておるのですね。だから、片貿易ではいけない、買うものは買わなければいけない、こういうふうに変えていこうというので輸入を入れる、したがって、貿易会議という、こういう論法なんですね。  そこで、一番大事なことは、一体自由貿易が行なわれてきたのになぜ極端な保護主義への方向が最近出始めてきているか。たとえば、繊維規制問題一つとらえてみても、なぜということが抜けているわけです。なぜ一体保護主義へ変わってこようとしているか、あるいは現実に規制の問題が出てきているかということは、何もとらえられていない。そうすると、片貿易ではぐあいが悪いから、買うものは買っていかなければならない。しかし、それはあくまでも輸出の伸長だけに中心がある、こういうことになる。なおかつ輸出を伸ばそう、あるいは長期にそういう観点のみとらえて輸入を考える、だから貿易会議、こういうことになると、これはこの間、だからこそピアソン氏の報告書を私申し上げたのですけれども、つまり貿易の基調になる輸出という問題が抜けている。そこにどうも私は、一つ間違うとこれはとんでもないことになるんじゃないかという心配をするのですよ。そういう意味で素朴に出されたんじゃ困る、そこの根っこになるものがないということじゃ困るじゃないかということを前から言っておる。この間もそう言ったんですがね。皆さんそこのところをぴんとお受け取りにならぬで、私が納得し得る御回答がこの間なかったので、本来ならきょうやめてもいいんですけれども、その点だけはっきりさしておかぬと、将来の日本貿易に、あるいはそれが単なる貿易だけでなくて、資本輸出を含む、不安定地域への資本輸出ですから、その意味のナショナリズム的なものが財界にもあるわけですから、そこらのところも心配になるので承りたいと思っているのですが……。
  7. 原田明

    原田政府委員 まことに御指摘のとおり私どもも考えております。輸出会議に加えまして貿易の中で輸入を考えることにお願いをしたいと申しておりますのは、輸入をしなければ輸出がふえないというそれだけの簡単な理由だということではございませんで、発展途上国への片貿易という問題は、それ自体南北問題というのを踏まえた非常に大きな意味がございますし、先ほどの資源確保の問題も、輸入それ自体がわが国の経済を大型かつある程度以上の成長率発展させるために欠くべからざる重要性を持ってきておる問題でございます。特にいま先生の御指摘のございました保護主義を防ぎながら世界の環境を輸出輸入が伸びやすい形に持っていくということは、貿易立国をたてまえにしております日本にとりましては最も肝心なことであるという考えでございます。最近、たとえば米国その他でも、自由貿易という表題から、より自由な貿易という表題に変わってきておるような傾向もございます。本来ならばより自由なほうが自由よりは自由でなければならないわけでありますが、いささか自由貿易保護主義に後退をしようとするのではないかと思われるようなきざしもございますので、私どもはこういう動きに抵抗いたしまして、日本輸出輸入発展、それから世界の中における自由な商品その他の流れを確保いたしますために、これから先生指摘のような気持ちで貿易会議輸出輸入両面にわたって力強く運営するように心がけてまいりたいと存じます。
  8. 大出俊

    大出委員 時間がありませんから私のほうから言いますが、この輸出会議総合部会審議報告書を見ますと、目次というのがありまして、まず一つ対外経済交渉二つ目経済協力三つ目は税制上の措置四つ目は為替、金融上の措置、五つ、海外市場の開拓、輸出販売体制六つ目輸出保険、七が貿易外、こうなっておるのですね。つまり、だから総合部会なんですね。この総合部会が総合的に検討した結果として貿易会議というものがその中の一つとして出てきておる。この間私は、資本輸出の問題、あるいは政府ベースによる経済協力の問題あるいはまた単なる貿易自由化から資本取引自由化に入っておるのですから、そこの問題などを取り上げたら、それは実は関係がないという御答弁があった。私は笑いながらそうじゃないんじゃないか、全部がからむんじゃないかと言ったら、からむようなからまぬようなお話があった。しかしこの報告書を読む限りは——いま答弁された方がお見えになったけれども、全体を総合的にながめて結論がここに出たということなんですね。そうしますと、それにはそれなりの理由がある。その結論が単なる保護主義の排除というところがポイントになって貿易会議が出てきたのでは困ると私は思っておるのですよ。  そこで理由を申し上げますが、アメリカの例をとりましても、どんどんどんどん経済協力を促進するあるいは資本輸出を促進するということで、輸出した資本、協力した資本が大きくなっていきますと、それに比例してアメリカに対するアジア各国反発が強くなる、当然あり得るわけですよ。アメリカ自身、私も何べんか歩きましたが、これだけアジアに援助してやっているのにということばがすぐ出てくる。ところがアジア各国の中ではたいへんなアメリカ資本に対する反発が強い。日本がこれから先アメリカ流にどんどん資本輸出をやっていこうというふうに書いてあるのですから、そうなると、アメリカどころではないたいへんな反発が起こってくることは必然だと私は思う、いまの姿勢ならば。この姿勢を根本的に変えなければ、つまりなぜ繊維規制問題なり、あるいは保護主義への転向なりということが各所で起こるかということ、なぜそうなったかということ、そのなぜというところが解明されないとたいへんなことになるのじゃないかという気がするわけであります。  そこで例をあげますと、この醜い日本人から喜ばれる日本人にならなければいかぬということになるのだけれども、近年二年ばかり、いまお話しのように日本輸出がどんどん伸びている。特に東南アジア開発途上国、あるいは韓国なり台湾なり、パーセンテージも全部ここにありますが、これをながめてみると、六五年、六六年、ここなんですね、伸び始めている一番大きなところは。日本企業が急激な進出を見せているというのは、たとえばバンコクなんかの例をとりましても、ある人は、これはバンコク日本県だ、日本バンコク県みたいなものだというほどまでに伸びているわけですよ。企業進出が非常に激しいわけですね。ところが、六五年、六六年というのはベトナム戦争アメリカ戦争になって、ベトナム特需が相当に伸びた時点なんですね、この年は。これは何を意味するかというと、ベトナム周辺国、これはいろいろな形でベトナム戦争にからみ合っているが、特にベトナム特需がおのおの相当な部分割り当てられている国々ベトナム特需によって潤ったこれらの国々日本企業進出なりあるいは輸出が伸びるというかっこうになっているわけですよ、これは、ここにこまかい資料がありますけれども。そうなると、そういうところから日本はある意味での利益を得ている。外貨が三十六億ドルなんてことに最近なっていますがね。  そこで問題は、朝鮮特需日本資本が立ち直ったということから、最近の好況の反面にいまのベトナム戦争というのが密接にある、こういうふうにいわなければならぬわけですよ。これは、この人も経済学者ですけれども、こまかく取り上げて、事こまかに書いておりますが、そういう時期だけにやはりここで考えなければならぬのは、世界銀行の総裁ユージン・ブラックが書いている文章がここにありますが、ずいぶん皮肉った文章ですよ。これを見る——世銀総裁ユージン・ブラックの「東南アジアにおける選択」という書物がある。最近のです。この中にジャカルタ日本大使館を例にとっているのですね。日本企業日本政府との癒着、こういう書き方なんですね。タムリンの目抜き通りにりっぱな近代ビル日本政府大使館をつくろうとした。ところが一階はできあがったのだけれども資金が足りずに、これは言い方がいいか悪いかわかませんけれども、そう書いてある。だいぶ行き悩みの状態にあった。ところが日本商社資金を出し合って、みごとにビルを完成して、大使館商社が仲よく入って、みごとに政府商社複合体制タムリン大使館ではできあがっているという書き方をしている。ジャカルタばかりじゃないのだ。日本大使館というのは、どこへ行っても最近は新装をこらしたりっぱなものが至るところにできているという例が出ている。十年前とぐんと違う。十年前にいかがわしい旅館のあととも知らずに大使館が置かれていた。ところが十年たった今日は、この日本大使館バンコクでもペッチュリロードの一画に広壮華麗な建物ができた。ニューデリーの大使館でも建て増しをしてたいへん大きなものになった。ソウルではアジア一という大きな大使館が建っている。まさに企業進出に符節を合わせて日本という国家の身づくろいが至るところではなやかになってきているという書き方です。これが間違っているかいないか別として、世銀総裁ユージン・ブラックあたりがこういう見方をするということは、アジア各国の諸君ならばなおもってそういう見方をするのだろうと私は思う。しかも不安定地域への資本輸出なり経済援助なりである限りは、だれが一体どう保障するかということになると、そこにやはりある意味でのミリタリズムという問題も出てきかねない、かつてそういう歴史があるわけですから。そうなるとこのあたりで、貿易あるいは輸出ということも外交だということになるとすると、そのあたりの姿勢というものは相当考えてくれないと、単に保護主義の排除ということを中心に、輸入と、片貿易を減らしていくということだけでは困るのではないかということを言いたかったわけなので、ですからそこのところをもう少し、素朴にという言い方は悪意にはとっておりませんが、まあ輸入が入るんだから、輸出だけじゃうまくないんだから貿易会議にしたんですということが素朴だと思うのですけれど曲、それだけではなしに、どうせ国会に提案をするならばそこまでものをお考えになっているのだと言うてくれなければならぬところじゃないかということを言いたいわけですよ。ここから先は私の防衛のほうの関係にも入ってきてしまいますからやめておきますけれども。頭幾らかしげてもだめだ。
  9. 原田明

    原田政府委員 まことに私どもとしてもそのように考えております。御指摘でございます今回の貿易会議への改称のお願いは、発展途上国との貿易アンバランスを、ただ日本輸出を伸ばすためには輸入をしなければならないからというような、それだけの考え方ではございません。ある国が、同じ大陸につながっております幾つかの発展途上国にかなり膨大な輸出、膨大な資本投資、経済援助をやっておりますにもかかわらず、その地域の方々が必ずしもその国に対して好感を持っておられないというような先例もございますので、特に日本の場合には近隣アジア諸国、これとの貿易経済関係といいますものが不均衡、これは必ずしも貿易だけの面ではございませんが、不均衡な形で伸びていくということは歓迎すべきことではございません。したがいまして、そういう点を全部踏まえ、さらに輸入自体に固有な資源確保とか、あるいは先ほどから、御指摘のございましたような安定的な輸出のための自由貿易主義の推進力の維持といったようなものを全部含めまして、広い意味輸出と並んだたての両面としてこの貿易会議が進んでいかれるように運営をしていくというのが私ども趣旨でございます。よく御趣旨を体してまいりたいと思います。
  10. 大出俊

    大出委員 最後ですが、この間私は、浦項製鉄所の問題を取り上げましたが、あれも実はこまかく中身を調べておりますけれども、なぜああいうことを言ったかといいますと、ここまで経済力ができてきて、さて資本輸出経済協力ということになってみますと、とかく、後進あるいは開発途上国であるだけに、ある意味ではその政権というのは不安定なものなんですね。ところが企業進出ということを前提に考えると、資本輸出をする、経済協力政府ベースでするといった場合に、当然そこに利潤の追求というのは出てくるわけですから、一つの時の政権と相当深くなってしまうわけですね。そうしないというとまた企業利潤というものがあがってこない勘定にもなるから。ところが不安定な政権だけに、このアジア地域をながめてみると、幾ら長い政権であっても十年ですよ。時の政権というのはそんなに長く続いていない。これは佐藤さんもおそらく十年もやればせい一ぱいだろうと私は思うけれども、幾ら長くたっておそらくそういうものでしょう。そうすると、一つの政権とあまりにも企業利潤との関係で結びついてい過ぎると、その政権がおかしくなったときに内政干渉——アメリカの例からいえば内政干渉だけれども日本の場合はそこまで言わずにしても、ともすればそういう傾向も将来の場合は持ち得るかもしれない。そうなると、そのことのためにその地域における政治的安定を日本が求めるということになると、先ほど申し上げたどうも少し軍事力という方向に進みかねないという面だって出てきかねない。これは歴史的な事実がそう示しているから言うのですが、そういう面がいろいろある。経済ベースの面から考えれば、浦項の製鉄所に一億六千万ドルも、経済ベースでけっているものを政治ベースで認めるということになっていくとすると、どうもそういうところは非常に危険だと見なければならぬ面がある。ですから、そこらのところも含めて、せっかく片貿易ではいけないのだというところまで踏み出すのならば、いま御答弁にありましたように、表へ出していく資本が多くなるにつれて反発のほうがふえるようになったのでは、これはたいへんなことになると思うのです。いままでの国会のやりとりの中で、外務大臣その他から、従来とは違って、最近の状況から見ると、こうこういう理由があるからそう心配ないという見方をしている向きもあるけれども、それにもかかわらずやはり現実は醜い日本人と言う諸外国の諸君が多いわけですから、そこらのところまで念を押しておきたいという気がしまして、総務長官がいみじくも一番最初にお話しになったように、どうもこの会議は物を売るばかりの会議だ、さっぱりどうも物を売るというだけでもって、総理府が所管をしていても、ひさしをちょいと貸しているだけというお話があったけれどもそこらのところを——じゃほかのほうでどういうふうにやっているのかと言えば、調べてみると、対外経済協力審議会というのがありますが、これは円借款だとか技術援助だとか、幾つかあります。それからこれは貿易の面もありますが、永野さんが会長をやっておられる。ところが、大蔵省の外資審議会というのがあるのですけれども、ここで資本輸出は取り扱っていない。これはほとんど資本自由化に関する問題が中心になっている。これは小林中さんが会長でやっておられるわけですね。こういうことになると、資本輸出なんというものはあまり扱っているところはない。そうすると貿易会議というのは何かそれに類するものぐらいは審議するのかと思ったら、これまた全く物であるということになると、どうもそこらも割り切れぬところが残る。こういうことなので、これは総務長官に——大臣ここに一人しかお見えになっていないので、筋違いな質問みたいになるのですけれども、これは私は言い過ぎかもしれないけれども、やはりだれかが言い過ぎでもその辺のところはいまから用心をしてかかって差しつかえない、かえってそのほうがいいじゃないかという気がするので取り上げて、中身としてはそれは輸入を入れるから貿易会議なんだということであるけれども、この場面でこんなことまで言うのは少し言い過ぎに類するけれども、ここから先は外務大臣ということにしますが、たまたまこの委員会提案をされておる法案ですから、このくらいのことは申し上げておきたいという気持なんです。総務長官、何か御意見があればいただきたい。
  11. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いままでのあり方については先日の委員会で申し上げましたが、これから輸入も含めてやっていこうという体制はいままでよりも好ましき方向であることは間違いないでしょう。ただそれを今後運用するにあたって、民間の実務者あるいは関係閣僚が入っておりますから、そういうものの運用が適切であるかどうかについては今後の御批判の存するところでありましょうし、ことに諸外国が日本をどう見ておるかということを正確に受けとめて、ものごとをそこで議論していかなくちゃならない。日本の立場が、すでに環境ができ上がっておりますので、そこらのところは今後——私らはひさしは貸しておりますけれども、そういう意味では総理に対する補佐の立場においてもいろいろな見解等について意見を具申し、あるいはまたそういうような御批判等については逐次伝えて、よりよき運営をはかっていくつもりでおります。
  12. 大出俊

    大出委員 ひさしを貸しておるわけですから、その意味で家主ですから、家賃をどう取るのか知りませんけれども、ぜひひとつ言うべきことは言っていただきたいと思うわけです。  時間がございませんから、それだけ締めくくって申し上げまして、木原君に交代いたします。
  13. 天野公義

    天野委員長 木原実君。
  14. 木原実

    木原委員 法案の中身に入ります前に総務長官に伺っておきたいのですけれども、前回の委員会で、御案内のように、例の自衛官の退官後の措置について、総務長官は大出委員質問にすみやかにこたえまして防衛庁長官と相談をした。報道によりますと、防衛庁の中に第三者機関をつくって措置をするのだ、こういうことで合意をした、こういうお話でございますけれども、経過はいかがですか。
  15. 山中貞則

    ○山中国務大臣 実はまだ合意はいたしておりません。私はそのことで記者会見もいたしておりません。ただ、いままでのように防衛庁が自分自身の内規でもって人事院規則に準じたようなチェックをしていくという形だけでは済まないだろうということについては両者の歩み寄りがございまして、ただ人事院が特別職にまでその権限が及ばないという前提が自衛隊にはございますので、それらのところを前提にしながら、どのような形が望ましいか、あるいは総理府の人事局においてチェックするか、あるいは内閣官房においてチェックするか、あるいはその中間として、私のところの総理府人事局あるいは官房、ないし人事院の——人事官はそういう立場に参加できませんので、人事院の中の事務局の機構の一部をそれに参画せしめて、それと防衛庁が中心になって第三者チェックを中間的に行なうか、これらについては今後もっと詰めていきたい。あまりあせって性急にかっこうだけつけてみても事実がこれに伴わなければ何にもなりませんし、人事院でいま網を一応かぶせておりますものの、それについてすら非常な批判がある今日でありますから、やはり十分にその機能を発揮できるかどうか、これが現状よりも国民の理解を得るのに貢献するかどうか、それらのところを踏まえてもう少し検討の時間を与えていただきたいと思います。ただ、これは、実は私の権限事項にございませんで、たまたま国家公務員の担当大臣が私である、給与担当が私であるということから先般のような答弁をいたしましたが、そのときも所管大臣の防衛庁長官はここにおりませんのでということを申し上げておりまして、基本的にはやはり私自身の問題でなく、防衛庁長官がしかるべく内閣全体の立場で判断をして、客観的な情勢の把握によって一番妥当なものを、国民が見てそれならばと思うものをつくることに努力されるべきことがまず第一であろう、こう思います。
  16. 木原実

    木原委員 長官はたいへん迅速に行動されて相談をされたのはけっこうで、いまの御答弁によりますと、まだこれから詰める段階が幾つかのケースがある、こういうことなんですが、前回もそこまでは触れているわけなんですけれども、われわれはこの問題を問題にし、総務長官にも質問を申し上げておるのは、これは本来防衛庁長官の所管なんで、あらためて防衛庁長官の意見も聞かなくちゃならぬわけですが、問題は、これは他の公務員の場合もそうですけれども、われわれが自衛官の問題を取り上げておりますのは、言うまでもありませんけれども、御案内のように防衛庁とそれから退職後の行き先との関係、まあ民間企業ですね、その関係について国民からたいへん疑惑を抱かれるような、何といいますか癒着の関係がある、これが問題の本質だと思うのです。ですから、単に高級自衛官が防衛庁の発注先の企業に退職後再就職をする、それがたとえば顧問というようなかっこうで行っておる。そのことも問題ですけれども、そのことによって、そのうしろに、よく心配をされます防衛庁と民間企業との癒着の問題を何か立証するような問題が出てきておる。したがって、問題の本質がそこにあるのだ、こういうふうに大出委員からも指摘があったはずであります。私も四十二年にこの委員会でこの問題を調査をして質問申し上げたことがあるのですが、これはあまりひどいのです。たとえば四十二年の資料ですと、企業の名前をあげてはあれですけれども、三菱重工業には歴代の陸海空三幕の幕僚長、実に十名に余る人が顧問という形で再就職をしている。なるほどこの顧問という役職は、その企業の意思を決定する、そういう立場ではないと思うのですが、しかし御案内のように会社顧問というのはピンからキリまでありまして、ほとんど非常勤で何がしかの手当を受けているというような存在の人から、それから働きによっては文字どおりその企業の意思を内面から左右するような立場にもやはりなり得る。そういうような形で再就職をしておる事実が明らかになったわけでありますが、その後、それについての改善の方向というものは一向に出されておらない。そういう前提が幾つかあるわけですね。そうなりますと、これは単に退官後の扱い方という問題ではなくて、その間に一つ大きなチェックが必要ではないのか。このチニックの方向というのは、やはり、いわば兵器を発注する防衛庁と民間企業との関係についてきっちりした関係をつくり上げていく、こういう関係からの人事操作でなくちゃならぬと思うのです。したがって、長官、これから扱い方について問題をお詰めになるというわけでありますけれども観点を間違わないようにしていただきたい。これは単に防衛庁長官の権限云々だけの問題ではなくて、ある意味では、内閣にとっての非常に大きな問題であろう、こういうふうに考えるわけです。そういうことで、これからの扱い方についての、ひとつ深い立場からの対処をお願いをいたしたいと思うのですが、いかがでございましょう。
  17. 山中貞則

    ○山中国務大臣 当委員会での防衛庁当局の答弁にもその大体の考え方がのぞいたようでありますけれども、防衛庁は防衛庁できびしくやっておりますから、現在のままでけっこうであるという考え方、あるいは顧問等の手当についても、ほかと違ってごくわずかな金額であるという、そういう意味があったようでありますけれども、私はやはりこの問題は、国民がその現象をどう見ているか、そのどう見ているかということを冷静に客観視して、それについて改めるべき点があるならばどういう点なんだろうかということを考えなければならないのが政治の責任者であると思っています。  そこで、私は、繰り返しますが、実はその問題の所管大臣ではございませんけれども国家公務員の給与を担当する大臣として、その天下り先について、一般でありますと人事院がやる。しかし、防衛庁の場合には人事院が及ばない特別職であるから、それでいいんだということだけでは、私も一大臣として、ことに国家公務員の給与に関係があるという意味からは、関係ある大臣として、この問題について自分はこういうことを聞いたからと中曽根大臣に伝えるだけでは済まなかったのでありまして、そこで、何らかの前進をして、国民の見ておる形に対してこたえるものを考えるべきだ、実行すべきだということで、中曽根大臣も、自分もよくわかるということで、いろんな形式について研究しておりますから、私のほうから一つの型を押しつけて、こうしろと言う立場にないことは御理解を願いたいと思います。なぜそういうことを考えるかという出発点は同じであるということだけ、御理解を願いたいと思います。
  18. 木原実

    木原委員 それならば、私は、総務長官にお願いをしておきたいことがあるのでございます。したがって、これは単なる人事だけの問題ではない。いま申しましたように、かつてのアメリカのアイゼンハワー大統領の産軍複合体がアメリカを毒しているんだというあの嘆きを総理に味わせないためにも、大至急にやらなければならないことである。これは、言ってみれば、防衛庁の予算もふえ、大量の新しい兵器の開発や発注が相次いで行なわれる趨勢にあるわけですね。そうなりますと、人事の背景にある、民間の企業とそれからこの防衛庁とのつながりについての、それこそきっちりしたものをやりませんと、いつか、増田防衛庁長官時代に、まあ、そう責めなさんな、ともかく、この自衛官は他の公務員と違って退職の年限が早い、したがって、比較的若くて、知力も体力も頑健なうちに官を去るのだ、その再就職ということは、実はわれわれにとってはたいへん大きな問題なんだ、だから、まああまり責めないで、何とか再就職の協力をしてほしい、こんなような逆襲をされておりましたが、ある程度理解はできます。したがって、もし中曽根さんが総務長官におっしゃったような、自衛隊の中に第三者機関をつくるという程度のことであれば、これはもう、かえって問題を矮小化するというか、再就職のための機関になるような感じもするわけです。そういうことではなくて、問題はその背景にあるわけですから、私の考えでは、防衛庁から大量の兵器発注や開発の計画が進められる、この発注と発注先を、計画をした防衛庁がやるのではなくて、発注部分は少なくとも防衛庁外にはずすべきだ。言ってみれば防衛管理局のようなものを、それこそ総理府なら総理府に、総理直轄のもとに置いて、いやしくも国の防衛に当たる人たちが経済的な問題で国民の疑惑を受けるようなことがないように、まあ昔のあれと違いまして、武士は食わねど高ようじというわけにいきませんけれども、少なくとも国の機構として疑惑を受ける余地がないように措置をすべきじゃないか。そうすれば、退官後の人事の問題などは二の次の問題になって、解決をしていくのではないか。これが、私どもが自衛官の退官後のあり方の問題について問題にする根本の問題だと思うのですが、いかがでしょう。
  19. 山中貞則

    ○山中国務大臣 これ以上になりますと、防衛庁長官をここに呼んでほしいですね。そして両者の見解を問詰めていかれて——事防衛庁の特別職に関する問題でありますから、これ以上私が立ち入って、こうすべきだと言うのはなかなか言いにくいのですけれども、御理解願えないでしょうか。
  20. 木原実

    木原委員 わかりました。いずれ防衛庁長官に、この問題はあらためて問題の提起をしたいと考えておりますけれども、ただ、私どもが自衛官の問題を問題にするのはそういう趣旨であるということは、経過がありましたから、逆に御理解をいただいておきたいと思うのです。いずれ私どものほうからあらためて問題を提起して、防衛庁長官より他の関係閣僚の意見を聞きたいと思います。  そこで、法案の中身に少し入りたいと思いますけれども、今度の改正案は、同和の問題と、先ほど来問題になっておりました貿易会議の問題ですが一最初に、貿易会議が少し問題になっておりましたので、簡単に貿易会議の運用その他について、引き続いてお伺いをいたしておきたいと思います。  大出委員からもいろいろな質問がございました。私ども心配いたしておりますことは大体そういうことなんですが、貿易会議の運用というものは、先ほど来私ども答弁を聞いておりましたけれどもよくわかりません。かつて、輸出会議ということで、いわば輸出振興のための最高の政府機関として、品目別に目標を定められるとか、そういうことがあったのはよく存じておるわけですけれども、あらためて輸入をつけ加えられた。その限りのことではわかるのですけれども、先ほど来指摘がありましたわが国の資本進出の面であるとか、あるいは逆に、最近問題になっております外国系企業日本に対する進出だとかいうことになると、これは外資法その他がありまして、当然別の機関でということになるわけです。しかし、貿易の最高会議の中では、これからの運用の中でやはりもっと大きな問題を取り上げるべきではないかという考えがどうも私どもの中にあるのですが、それはたてまえからはずれたことなんでしょうかね。いかがでしょう。
  21. 後藤正記

    後藤政府委員 外国資本の対内進出、国内への進出の問題につきましては、これは外資審議会の所管事項でございます。それから海外投資の問題につきましては、これは密接に現在発展途上国と関連いたしておりますから、経済協力審議会で扱う問題であると思います。  従来からの輸出会議は、昭和三十七年に総理府に設置されまして以来、主としてわが国の経済自立を、貿易というものに最重点を置いておくということで、もっぱら輸出増進のための施策、その目標の設定、到達するためのいろいろな手段、方法といった問題が論議されてまいったわけであります。今回改正をお願いいたしております輸入の問題につきましても、先般来いろいろ各先生からお話がございますように、現在の日本貿易のある状態と関連をいたしまして、まさに従来、ここ十数年来輸出輸出ということで出輸増進だけを目標と申しますか、目がけてきたこととはさらに一段と違った、輸出輸入とを両方からめて総合的な観点から見ていかなければならないということで、輸入というものを入れて貿易会議に改組していただきたい、そういうことでございまして、あくまでこの貿易会議はそういった輸出輸入とに関する問題を取り扱うわけでございます。ただしかしながら、貿易の問題というのは、やはり対外投資の問題あるいはまた逆に今度国内へ入ってくるいわゆる一般資本自由化と申されております対内投資の問題、そういった問題とからんでまいりますが、しかし直接そういった問題に——やはり貿易輸出輸入の促進、それの運営の問題は、貿易会議の運営の問題とからめて、そちらのほうに関連はしてまいると思いますが、直接の事項ではないと考えております。
  22. 木原実

    木原委員 そうしますと、ここは内閣委員会ですから、主として運用の問題になるわけですけれども、そういう意味では、あらためて輸入という問題をつけ加えて私どもは問題にしたいと思いましたけれども資本の対外投資の問題だとかあるいは企業日本への進出だとか、こういう問題については別の機関でやる、こういうことでございますね。ただ御案内のとおり、これは貿易とうらはらの関係で、それぞれ機関があるのは承知いたしておりますけれども、少なくとも長官はひさしを貸しておるといいますか、おそらくここが貿易対策については最高のということばが適当かどうかわかりませんけれども、そういう会議だろう、こういうふうに私どもは認識をするわけです。その中で貿易ということのそれぞれ機関があるわけですけれども、しかしこの非常に緊急な、緊要な、あるいはまた近い将来にわたって問題をはらんでおると思われる問題が、ここで審議をされたりあるいは協議をされたり決定をされたりすることがないのが少しふに落ちない感じがいたします。しかしこれは他に機関があるといえばもうそういうことでしょうけれども、そうしますと、これは輸入に関しましては資本輸入については除外をする、それから自由化のそれぞれの決定権というようなものはこれまたここにもない、そういうことでございますか。
  23. 後藤正記

    後藤政府委員 資本自由化、つまり国内への外国の投資でございますとか、あるいはまたそれの個別的な一つ一つのあれ、そういった問題については、これは輸出の問題も従来そうでございましたが、個別的な問題よりももっと高次の立場から方向を審議する、今後改組されたといってもそういう最高の方針をきめ、それの大所高所からの方策を検討するという点については従来と変わりはない、個別案件に入りません。
  24. 木原実

    木原委員 これは輸出の面について、たとえば共産圏に対して、特に国交が回復をしていない国々に対する輸出のあり方等についてもここで審議をするわけですか。
  25. 後藤正記

    後藤政府委員 国交回復しておる国、あるいは国交がまだ回復していない国、いずれに対しましても、従来も日本輸出政策あるいは貿易政策というものはでき得る限り進めていく、こういう立場に立っております。その間の区別はいたしておりません。今後とも、国交が回復しておる、あるいは未回復のところとの貿易の最高方針については、この会議においてやはり議論になるということでございます。
  26. 木原実

    木原委員 もう長い問題ですけれども、例のココム、コメコン、それらの問題の検討をする最終的な場所は、たとえばここになるというようなことはあり得ますね。
  27. 後藤正記

    後藤政府委員 これは輸出会議の従来からの経緯を見てみまするとそういう事例もございませんが、今後それがどういう問題になってくるか、その点は私ども将来を予測するわけにまいりませんが、個別的な特定の地域向けの問題についてはそういう議論というのは出てこないのではないか。しかしながら、先ほど先生おっしゃいましたように、国交未回復の国に対する貿易の態度は一体どういうぐあいにすべきかというような問題と関連いたしまして、そういうことが非常に議論になってくる可能性はあるかと存じます。
  28. 木原実

    木原委員 どうもやはり運用面だけからの問題ですと問題の限界がありますので、貿易会議についてはこの辺でひとつ終わっておきたいと思います。あらためてまた別の委員会質問を申し上げたいと思います。  同和問題について引き続きお伺いしたいのですが、まず最初にこの同和対策協議会ですか、この委員会では、御承知のように、昨年画期的なといわれる措置法を超党派で成立させた輝かしい歴史があるわけであります。いわばことしはその措置法に基づく初年度の施策の年だと思います。そこで最初にお伺いをしておきたいと思いますけれども、この同和対策はそれぞれ各省にわたっておりますが、大体この施策の方向、予算の規模、これをひとつ簡単に御報告願えないでしょうか。
  29. 山中貞則

    ○山中国務大臣 御指摘のとおり、去年特別措置法ができまして、閣議決定の十カ年計画の前期五カ年というものを踏まえた最初の予算ということになりますので、年次としては二年目になるわけでありますが、大体四十二億円くらいでございまして、各省ばらばらになっておりますのでおおむねその程度でありますが、伸び率が一五五・六%くらいの感じでおります。
  30. 木原実

    木原委員 この同和対策協議会ですか、これは四カ年延長ということの意味は何か意味があるのでしょうか。
  31. 山中貞則

    ○山中国務大臣 五カ年計画のことしが第二年目という考え方をいたしますと、五カ年計画達成まであと四年あるわけですから、一応期限が切れます協議会を、その五カ年計個の残りの四年に対応して四年間延ばすということでございまして、協議会の今日までの貴重な御意見等を、これからの予算なり行政の運用の実態面というものをとらえながら、それが年次計画のていをなしているかどうか、それが目標に向かって正確に前進しているかどうか、あるいは施策において、協議会のメンバーの方々から見て、政府の一方的な見方では現実とはこのようなそごがあるというような点等の御意見がいろいろありましょうから——やめてもいいじゃないか、実績はできたのだからという意見もありましたし、いままで二カ年ずつ延長してきたから二カ年でどうかという意見もありましたけれども、やはりきちんとこの際五カ年計画に符節を合わして残る四カ年ということが正しかろうと思いまして決断をいたしたわけでございます。
  32. 木原実

    木原委員 そうしますと、この協議会の構成あるいは運用、特に構成については従来と変わりありませんか。
  33. 山中貞則

    ○山中国務大臣 変わりありません。
  34. 木原実

    木原委員 そうしますと、この運用の方向につきましては、これは協議会を延長したわけですけれども、たとえば前期五カ年計画についてのいわば監視というとおかしいのですが、どういう機能を持つのですか、この施策の遂行との関連の中では。
  35. 山中貞則

    ○山中国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、監視とかお目付とかいろいろと表現もありましょうが、要するにせっかくの特別措置法に基づいて長期計画を定めて予算化していくのでありますから、その実行が、ほんとうに私たちがこのような問題をもう国会で議論する必要はない、われわれは同一民族、同一言語、この前提に立った誇るべき民族であるという、内面に弱さを持たない民族になることが目標でありますから、それに向かってなお政府サイドでやっていきますことについて手落ちがある、あるいは思い違い等もあろうかと思いますから、そこらのところを絶えず御指導、御助言を願うという意味で、われわれとしてはこれを尊重して運営に資していきたいというのがねらいでございまして、別段ほかには他意はございません。
  36. 木原実

    木原委員 これはせっかく延長になりますので、私どもの考え方は、りっぱな措置法ができたから、この問題は大体制度的にはこれで終わり、こういう考えではなくて、実はこれから政策は始まるんだ、こういう観点意見一つだけ申し上げておきたいわけですけれども、予算の編成にあたりまして、たとえば地方自治体によっては、未解放部落が自治体にない、あるいは県内に広範に存在する地域とほとんどないという地域、あるいはまた実際に存在をしておりましても、どういうあれか、自治体としてはその政策をやる必要がないという地域もあるわけですね。したがいまして、おそらく予算化する場合に、自治体からあがってくるデータというものがさまざまだと思うんですね。それが今度は平均化されて予算が編成をされる、こういう傾向があると思うんです。ですから、実際には施策を必要としている分野がなお広範にあるにかかわらず、実際に施策の面、予算の面にあらわれてまいりますというと、何か著しく少なくなっていく、こういう傾向があるわけです。たいへんこれは問題の微妙なところがあるわけなんですが、その辺のところをひとつしっかり踏まえて、五カ年計画当初の約束ですけれども、データの取り方といいますか、編成の方針といいますか、この辺の問題の微妙さのところを踏まえてひとつ施策を遂行してもらいたい、こういう気持ちがあるのですが、いかがでしょうか。
  37. 山中貞則

    ○山中国務大臣 確かに前の同和予算というものは毎年あったわけですけれども、地方によってはその都道府県の持ち出しというようなことになるような事情等もあったり、あるいはその程度の補助率ならば一般のあれでやればいいというようなところもありまして、これは地方政治家としての知事さんの御感触にもよりますが、これは一律に国家の義務であるので——都道府県の知事としての責任を感じて、結果として報告なり、あるいは予算等が打ち出されるということにややちぐはぐがあったことは認めざるを得ないと思います。  しかしながら、特別措置法に基づく新しい出発をいたしましたので、補助率その他についても大体優遇されておるなということが周知されてまいりましたので、一斉調査の後にできた特別措置法でありますから、いま各県が自発的に、あるところはまた厚生省その他が中心になりまして、実態の補正方を求めておりまして、おおむね順調にその報告なり補正が行なわれておるようであります。これらの実態を見まして、なおかつ不十分である、たとえばある県の知事さんが不熱心なために、当然国の施策を受けてしかるべき人たちの地域なり人員というものが取り残されたというようなことがあってはならない事柄でございますので、必要があるならば将来もう一ぺん徹底した調査というようなものもやって、せっかくやるんですから、私たちの目標は何か——先ほども申しました、このようなことを議論しないでいい国家になりたい、ならなければならないということについて悔いなき姿勢をとってまいりたいと思っております。
  38. 木原実

    木原委員 これはいろいろ広範な問題を含んだ施策だと、思うんです。それだけに、逆にいいますとどこの省庁にも責任がないような施策になる可能性もあります。したがって、これについても、総務長官の態度いかんが、しょせんは施策を進めていくかなめになると思います。せっかく制度ができてすべり出したところでありますので、できるだけのことをひとつやっていただきたい、要望を申し上げておきたいと思います。  これで終わりますけれども、もう一つ所管にかかわるところでお尋しておきたいのですが、実は千葉県の銚子沖で、御案内のように、イペリットの被害の問題が出ました。これも防衛庁なりその他にわたるわけなんですが、それでこの間から掃海をやってもらっておるわけです。ところが、現地からの話によりますと、大体一昨日ですか、一応打ち切りになったという報告を私は聞きました。実際には上がったつぼが、私への報告ですと八つくらい上がったのではないか、こういっているわけです。しかし、八つということはないので、おそらく推定でもまだかなりの個数があるのではないかと地元の連中も言っておるわけです。そうしますと、これで打ち切りになるのか、引き続いて何か掃海の作業を進めてもらってやっていくのか、その辺の措置についてひとつお伺いをしておきたいと思うのです。
  39. 山中貞則

    ○山中国務大臣 三月二日から三日間やるということを申し上げましたが、四百五十回引くということで——これは地元の漁協の人たちも加勢してもらいませんと、海上保安庁の船ではそういう深海を引くのがありませんし、やはりどうしても底びきの方々の、漁業をして収入を得ながら御加勢を願うというタイミングもございまして、地元の協力が得られまして三月二日から始めたのですけれども、最初の日にまずしけでだめになりまして、実施できましたのが三月三日、六日、九日と、日にちにおいては三日間やれましたけれども、その間午前中がだめだったり、午後がだめだったりいたしまして、予定の四百五十回に対しまして、百回足らない三百五十回引くにとどまったわけであります。でありますから、もう少し私たちとしては引きたいと思っておりましたが、実はやはり先ほど申しました漁協その他漁業者の方々の御協力がないとなりませんので、そんなに——しけで中止した日も、やはり一ぺん出たりなんかしておりますから、何日も何日もやられてはかなわないという、逆に——自分たちのためにやってくれていることはわかっているけれども、これ以上何回もやらされると——いま漁業している地域がよそに移っているせいもありまして、協力問題等についてもう少し御理解を願わなければ、これ以上引くのはちょっと困難であるという感じもいたしますが、予算委員会答弁いたしました政府の持っております深海潜水艇、これがいま分解掃除中でありますので、これができましたら——ちょうど幸いイペリットの投下推定地域の操業区域が現在は時期的にはずれておりますので、直接被害がこれから続発するという心配はないようでありますから、そういうものを沈めて直接確かめて、どのような形態で沈んでいるのか、それによって引き方等も違えたり、あるいは場所を違えたりする必要があるのではないかと考えておりますが、現状においては、ただいま申し上げたような程度にとどまりました。
  40. 木原実

    木原委員 そうしますと、これは打ち切りではなく、あらためて装備その他も整えて、試験的なこともやって、そしてもう一ぺんさがし直す、引き直す、こういうことでございますか。
  41. 山中貞則

    ○山中国務大臣 予定の四百五十回には百回足りませんでしたから、そのことはぜひやりたいと思っておりますが、漁業者の方々がこれ以上時間をとられてはかなわぬという御意見もあるようでございますので、まず当面そういうことでございますが、じゃ将来どうするかということになりますと、投下されたトン数なり推定個数なり膨大なものですから、それを全部上げるまで国が毎日——しかも漁業者の船を借り上げなければ手段がありませんから——やるかというと、事実上むずかしい。そこで、やはり普通の操業をしておられる漁業者の方々が思わざる被害を受けられないような状態にするには一体どういうふうにしたらいいか、どういう状態になったときに、もう漁業はだいじょうぶですと関係漁業者の皆さま方のほうに政府が責任をもってお達しできるかどうか、そこらのところはもう少し検討させていただきたいと思います。
  42. 木原実

    木原委員 これは、実は昭和三十二年だったと思いますけれども、やはり同じ問題が起こりまして、そのときもやったけれども、このときは一つも上がらなかったわけです。そういう経過もありますので、これはせっかく始めた際ですし、地元の連中はできるだけの協力はする、こう申しておるわけですが、それにしましても、これまた限度がありまして、そこで地元の声としては、協力はするけれども、国のほうもせっかく突っ込んだんだからひとつこの際徹底的にやってほしい、実はこういう声があるわけです。技術的な困難もわかりますし、それからいろいろな事情もわかりますけれども、これはひとつここで打ち切るというようなことにならないように、できるだけ国のウエートを重くして掃海に当たってもらいたいと思うのです。  それから、あわせて伺っておきますけれども、これは長官のところでおわかりになるかどうか……。この種のケースですね。戦時中あるいは占領下にこういう形で人畜に被害のあるものが各所に、隠匿されたものはともかくとしまして、投棄をされたというような個所は、ほかには何かおわかりになっていらっしゃるのでございますか。——防衛庁ですか。これは御案内のように瀬戸内海に毒ガス島と称せられたものがあるのですが、これは所管が防衛庁の関係、あるいは海ですと水産庁の関係、そうして掃除をするのは総理府総務長官、こういうことであれなんですが、ちょっと心配になる面があるわけです。大量のものではなくても、やはりその地域の住民が、どうもあの辺に捨てたのではないかと疑惑を持っていると思われるところを何カ所もわれわれは耳にするわけですが、それはどこも調べるところがないわけですね、防衛庁も知らないというし、それから府県もはっきりしないというし。しかし地元の連中は非常に疑惑を持っている、こういう個所が実は何カ所かあるわけです。問題は、そういう疑わしい個所については、これはもっと先へまいりまして、被害が出てからでないと問題にならないということになりますから、そういう疑わしいところがあれば、やはり総理府で調査をするという方向はいかがでしょう。
  43. 山中貞則

    ○山中国務大臣 もちろん調査をしなければならない地点もあるでしょうが、ただ今回は、漁民の方々が、せっかく魚群がその海域におるのにイペリットかんが上がってきてたいへんだ、また三十二年のときと同じようなことだというので、たいへん御迷惑をかけたと思うのですね。それはどこが責任かといえば、やはりいくさに負けた日本国家の責任でありますから、負けたことに伴ってそういうことをやったわけですから、国のほうで迅速かつ適確にそれに対処しなければならぬということで、予算もございませんでしたけれども、私のほうで会議を招集いたしまして、水産庁の予算を五百万円流用させまして、そうして千葉県も加勢してもらいましたし、銚子漁協も、若干でございますが、加勢もしていただいて、ほんとうに三者の熱意は一ぺんにそこですぐやろうということに実りまして、今回はたいへんうまくいったと思うのですが、日本近海を全部どこかあぶないところはありはせぬかと総点検するというのはなかなかたいへんなことで、じゃひっくり返して言えば、だれかがけがしなければ出ていかないのかということになるとたいへん酷なことになりますから、そういう気持ちは毛頭ありませんが、しかし防衛庁においてできるだけ、日本の敗戦に伴う危険な物体があちこちに、これは陸上もそうでありましょうが、なおあり得る可能性があるというものならば、そういうものは的確に把握しておくのが国の責任ではなかろうかと私は思います。ただ、私のほうでいますぐというわけには、なかなかまいらぬと思います。
  44. 木原実

    木原委員 いずれこれらの問題が、具体的にと言いますか、詳しいところがあれば、これは防衛庁なり長官のほうで措置をしてもらう、こういうことで、私もいま詳しいデータを持っておりませんけれども、話として聞いておるものが二、三あります。したがって、これは別の措置としてお願いしたいと思います。  長くなりましたけれども、これで終わります。
  45. 天野公義

    天野委員長 鈴切康雄君。
  46. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 総理府設置法の一部を改正する法律案のほうの問題はあとに回しまして、いま木原議員並びに私ども同僚議員が予算委員会質問をいたしました千葉県の銚子沖合いにおける底びき網漁船が被害を受けました件は、水産庁によっていままで掃海がなされておったわけでありますが、一応昨日掃海を打ち切った、そのようにいわれておるわけでありますが、その成果並びにガス漏れによって作業員がけがをしたという問題についての状況を明らかにしていただきたいと思います。
  47. 山中貞則

    ○山中国務大臣 三月三日に額に軽い発赤、赤い色が出たという方、これは全治二、三日という程度らしいのですが四名、それから三月六日に同じく額に軽い発赤が出たのが、やはり全治二、三日の症状で二人、また局部にびらんと書いてありますが、どの場所か知りませんが、通院中の方が一人おられます。それから三月九日に、目にかゆみを感じたと訴えた者が二人、これを全部合わせまして九名でございます。
  48. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 掃海によってガスかんが発見されたのは、総理府のほうとしてはどれだけ報告を受けておられますか。
  49. 山中貞則

    ○山中国務大臣 網にかかった数について、三月三日は五網、三月六日が四網、三月九日が二網でございます。上げましてまた運ぶ途中で落っことしたもの等もありまして、正確の数字をいま問い合わせております。
  50. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ここで掃海が始まりましてイペリットかんが発見されたという段階になったわけでありますが、地元としてみれば、いよいよこれからイペリットガスかんについての本格掃海に入ってもらえるのではないか、そのように期待をしているわけであります。ただいま総務長官からお話がありましたことによりますれば、四百五十回を一応予定しておって、それが三百五十回で現在のところはとどまっておるが、なおその百回についてやってまいりたい、そういう御答弁でございましたが、十個あるいはそれに近いガスかんが上がった以上、あなたは過日の予算委員会で、「私は掃海を適当にしてお茶を濁そうと言っているのではなくて、そのような漁業者、関係海域に出漁する方々が御不安のないようにしてあげなければいけない、これが国の責任であるということを申し上げているわけです。」という御答弁がございましたが、ここで私は、やはり本格掃海に切りかえて、そして徹底的に掃海する段階に入ったのではないか、そのように思うのですが、総務長官の御意見をお聞きします。
  51. 山中貞則

    ○山中国務大臣 三日間で四百五十回引くというのは本格掃海だと思うのですが、問題は、とことんもうひっかかってくるものは絶対ないというまでやるのが本格掃海という趣旨にとったほうがよろしいかと思いますが、経費は、そのように一応関係海面を全部引くわけですから、ただそれが上がってくることのないという確信を得るまでとことんまで引くということになりますと、先ほども答弁申し上げましたように関係漁業者の方々の本来の生業である漁業というものとの相関関係というもので、じゃ何隻出してやろうということもどうしても伴うことでありますし、また一応予算は水産庁の中の流用でいたしましたけれども、本格的になお続けなければならないということであれば、予備費流用等につきまして、今年中の残り少ない日にちであっても努力をしなければ、事実上無報酬でやれといってもなかなか出てきてくださらぬでしょうし、そこらのところの困難性があるかと思いますが、やはり予定した掃海回数も残っておりますので、そういうものはどうしてもやらなければならないと思っております。
  52. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま総務長官が、漁業者の協力は必要である、それは当然のことであります。漁業者にしてみれば、生活のかかっている死活の問題でありますがゆえに、当然、漁場をそういうふうにして危険から排除するということは、これは何をおいてもしなければならない問題だと私は思います。しかし、されば、漁業者が今度の問題について協力しかねるというような一つの内訳として、私は、その間におけるところの漁業補償の問題あるいは、たとえばこういうイペリットかんを扱うについて、相当危険が伴う問題について、危険手当がどれだけ出されているかという問題等もあろうかと思うのであります。そういう問題の解決なくして、漁業者の協力を求めようとする政府自体の考え方が甘いのではないか。  なお、この間お話を聞いておりますと、水産庁の予算の流用分わずかに五百万円、並びに千葉県側との合計で九百二万円を計上している。このような状態で三日間一生懸命やったからといって、本格掃海だというような政府の考え方。それでは、緊急掃海と本格掃海とどのように違うかという問題も、私はこの際答弁を願いたいと思います。
  53. 山中貞則

    ○山中国務大臣 だから、私が言いましたように、本格掃海というのは、引き方の規模、漁船動員数、その他網を張るとかいろいろなもので、本格掃海という形は、一応形としてはやったけれども、それは措置としては緊急にやったということでありまして、だから、本格掃海というのは、私が先ほど申しましたように、もうとことん、幾ら引っぱっても上がってこないというところまでやれという御趣旨だと思います。そこらの点も考え、また、幸い、いまその地区で漁業が行なわれておりませんから、深海潜水艇等で、現在どのような形状で沈んでいるのか、なぜ三十二年には引っぱってかからなかったものが、今回かかるようになっているのか、そういうようなところを確かめる必要もあろうと考えておりますが、そういうことで、引き続きとことん上がらないまでやるというところまでは、まだ政府部内の意見を統一しておりません。
  54. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 まず、先ほども総務長官が言われましたけれども、確かに予算がなくてはどうにもならない、そのとおりだと思います。わずか九百二万円くらいの予算であっては、とうてい思うような掃海ができようはずはなかろう、私はそのようにも考えるわけであります。  そこで、どうしてもやはり漁民の不安を取り除くということが国の責任であるというふうに山中長官が言われた以上は、ただ単に、三百五十回だけでなくして、さらに百回延ばして四百五十回という予定でなくして、さらに前向きにこの問題に取り組んでいかなければ、再びこういう問題が起こるような感じも私は受けるわけであります。それがあってはならないわけでありまして、今後もしそういう意味においてさらに四百五十回を越して新たな段階において総務長官がやられようとするならば、どの所管がこれを分担し、また、経費についてはどの所管がこれをやるのが適当であるかという問題が一つと、それからもう一つは、先ほど申し上げましたように、漁業者の協力というものは、やはり漁業補償並びに危険手当という問題が非常に大きくからんできているわけであります。それは、当然それだけのものが補償されれば、漁民だって、自分たちの生活の問題でありますから応援もするわけでありますけれども、非常に少ないということを聞いているわけでありますが、その点について、山中長官のほうでは、漁業補償並びにそれに対する危険手当をどれだけ出されているか、その点についてお伺いします。
  55. 山中貞則

    ○山中国務大臣 漁業補償とか危険手当とかいう形でなくて、国と千葉県と関係漁協と相談をいたしまして、大体この程度ならば掃海に自分たちも加勢しようということの結果やったのでありまして、それを、出れば一日幾ら補償するとかというような形の金額によって実施する、しないということではなくて、やらなければならないことについて協力し、国も金を出すということをしたわけでありますが、問題は、やはり自分たちの本来の魚のとれる漁場に行って魚をとってきて生活するという漁業者の立場から言えば、たとえそこの関係海域を引っぱって、魚が少しかかってきたのは自分の収入になったっていいんだという程度ぐらいでは、やはり納得できない点もありましょうから、そこらのところで、もう少し関係漁業者の御希望——ということは、両面ありまして、掃海を完全にやってほしいということと、やるについては、やはり当分たちの現在の操業というものにあまりそう連日のように支障を来たしてもらっては困るんだというところの御相談が、やはり事前に成り立たないとむずかしいのではないかと思っております。
  56. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それについて、総務長官は、関係漁業者の方々と前向きに御相談をなされて、そうしてこの問題は、国そうしてまた漁業者の御協力を得て進んでいかなければならないという問題であろうかと思います。ひとつ長官として前向きにおやりになるかどうか、その点についてお伺いします。
  57. 山中貞則

    ○山中国務大臣 国がそういう水深のところを引っぱれるような、底びきができるような船を持っておれば、これは国の責任で、漁業者に迷惑をかけないでとことんやれるのですけれども、何しろ防衛庁の持っておりますものもせいぜい——これはまた聞きですけれども、中曽根長官の答弁によれば、機雷等の水深を引っぱれるぐらいのものだそうなんでありますので、そうなると、どうしても漁業者の船を雇い上げると申しますか、御協力を賜わるということがないとなりませんので、どこまで御協力を願えるかとか、あるいはどこまで引っぱればよろしいのか、そこらの判断がなかなかつけにくいので困っておるという問題でございます。
  58. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 判断がつきにくいということは、しょせん、私は、一つは補償の問題とその危険手当という問題も含めて相談をしなければ、なかなかこの問題は進まないだろうと思いますが、その点は、一応、山中総務長官におまかせするとして、この間、実は非常に気になるような答弁が中曽根防衛庁長官からございました。それは、自衛隊法九十九条の解釈でございますが、「九十九条によりますと、「爆発性の危険物」ということでございまして、機雷でないとむずかしいのです。イペリットのように爆発性のないものについては、権限外になっております。しかし、政府は一体でありますから、」云々ということが書いてありますけれども、この九十九条の解釈、これでいいかどうか、防衛庁の方にお聞きをいたします。
  59. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 せんだっての予算委員会で、防衛庁長官がいま読み上げられましたようなお答えをいたしておりますが、これは爆発性危険物の中の一番代表的な例として機雷というものをあげられましてお答えになった。同時に、イペリットガスについては、この爆発性危険物には法律解釈としては入らないというお答えをされたと思います。私どもは、そういう解釈が妥当ではないか、法律の解釈としてはそういうふうに考えております。
  60. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ただいま防衛局長から、爆発性の危険物、それが主として機雷であるということ、そういうことから代表して機雷というふうに言われた、そのような解釈をとっているというお話でありますが、中曽根国務大臣は「機雷でないとむずかしいのです。」このようにはっきり言われているわけでありますが、九十九条の中には「その他の爆発性の危険物の除去」というふうに書いてあるわけであります。が、「その他の爆発性の危険物」というものは具体的にどういうものがあるか、お示しを願いたい、
  61. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 機雷が代表的なものでございますけれども、そのほか考えられるものといたしまして、たとえば魚雷とか、爆雷とか、爆弾とか、砲弾とか、そういったものが爆発性危険物の例になろうかと思います。せんだって中曽根長官がお答えいたしましたのは、ちょうどイペリットガスの問題とこの法律との問題でございましたので、この爆発性危険物に機雷以外は一切入らないということを申し上げたのではなくて、爆発性危険物の代表として機雷をあげられ、同時にガスそのものは法律上は入らないという趣旨でお答えになったものと思います。
  62. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 その他の解釈については中曽根長官は触れていないわけであります。機雷ということ、機雷でないとむずかしいというふうに言われておるわけであります。九十九条は確かにその他の爆発性危険物というふうにうたってある以上、たとえて言うならばイペリットガス弾という弾となった場合には、これは爆発性危険物でないかどうかという問題この点についてお伺いします。
  63. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 毒ガスを砲弾に仕込むという場合もありまして、現に旧陸軍もイペリット弾というものを持っておったように聞いております。かりにそういうものでありますと、この法律解釈上爆発性危険物の例として申し上げました砲弾の中に入ってくる、こういう解釈になろうかと思います。いま問題になっております千葉県銚子沖の場合には、弾ということではなくて、普通のつぼに入れたものというふうに聞いておりますので、そういうことを頭に置かれて長官は先ほど申し上げたようなお答えをされた、こういうふうに理解いたしておるわけでございます。
  64. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この間防衛庁長官は、この問題について、確かに七万二千トンは投棄をしたであろうといううわさはあるけれども、克明な資料はない、このように言われておるわけであります。克明な資料がないというならば、私はその中に当然砲弾とし、またイペリットガス弾というものも含まれているのではないかという予測も妥当かと思うのであります。そうした場合において、克明な資料がない上に立ってこういう危険なものが出てきた以上は、私は、当然これは防衛庁において自衛隊法の九十九条に当てはめてやるべき筋合いのものではないか、このように思うのでありますが、その点について伺いたい。
  65. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 法律上の解釈は先ほど申し上げましたようなことになろうかと思います。しかし同時に、先ほどいろいろ総務長官からお答えになりましたように、現在銚子沖では各省共同して作業をいたしております。その中には防衛庁も参加をいたしております。法律上のお尋ねでございましたので、これは今回もそうでございますし、予算委員会のときもそうでございましたので、予算委員会の際に長官から先ほど申し上げましたような、お答えの一部として法律上の問題がありましたけれども、われわれは、今度の作業を防衛庁が避けようという気持ちは毛頭ございませんで、積極的に参加をいたしております。ただ、ごく法律上のことで申し上げますと、一つには海上における船舶交通の障害の除去とかその他安全の確保というようなことは、第一義的にはやはり海上保安庁その他の行政機関のお仕事であろうかと思う。しかし、機雷等の非常に危険なものの除去ということになりますと、特殊な装備とか技術というものが必要でございますので、お示しの自衛隊法の九十九条は、そういった海上自衛隊の持っております技術とか能力とかいうことに着目して、そういう特殊なものについては海上自衛隊が行なうべきであるということを一つには言っているということでございます。そのときにイペリットのガス弾が入るかどうかということにつきましては、先ほどお答えしたような解釈がごく法律理論としては言えるのではないか。しかし先ほど申し上げましたように、かりに法律上その爆発性危険物に入らなくても、われわれとしましては、その危険物は放置してはいけないという法の趣旨に照らしまして、かつ官庁間ではできるだけ協力しなければならないという一般行政機関の原則にのっとりまして、能力の及ぶ限り積極的にこれに参加すべきであるという立場をとっております。しかし、予算委員会のときにもお答えいたしましたけれども、また先ほど総務長官もお答えになっておられましたが、自衛隊の掃海艇というものは、もともと敵の敷設いたしました機雷を除去する任務のものでございます。機雷というものは船舶を破壊する目的で置きますので、二百メートル三百メートルあるいはそれ以上の深海に置いても役に立ちませんので、普通数十メートル以内の浅い海に置くものです。それを除去する任務を持っている掃海艇ですから、やはりその能力も数十メートルのころを掃海すればよろしいという能力しか与えておりません。したがいまして、今度のような場合には、できるだけ積極的に協力する立場には立っておりますけれども、海上自衛隊の掃海艇の能力を越えております。そういう意味で、法律のことをとやかく言うわけでは全くございません。できるだけ積極的にやりたいと思っておりますけれども、能力を越えておりますので、その能力を越えたところではお手伝いできない能力を持っております。たとえば自衛官の中に科学的知識を持っておる者がありますので、今度の作業にもそういう者を参加さしておるというふうなことで、あるいはまた上がったものを遠く数十キロのところに投棄するというような作業もやっておりますが、そういうことについてお手伝いするというふうな立場をとっている、こういうことでございます。
  66. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はいま自衛隊の掃海能力を聞いているのではないのであります。掃海能力についてはこれからまた質問をいたしますけれども、私は一応法的な立場に立って、少なくとも七万二千トンからの爆弾あるいは砲弾その他イペリットかん、中にはイペリット弾も含まれておるだろうと推測されるその投棄が行なわれた、その投棄について、私は、自衛隊法九十九条の立場からいえば当然自衛隊がこれを処理する所管にあるのだ、かように申し上げているわけであって、能力を申し上げているのではないのであります。そこで、たとえば機雷及びその他の爆発性の危険物ではないけれども、人命を損傷する危険物がもしあった場合においては自衛隊法九十九条の適用を受けられるかどうか、この点についてお伺いいたします。
  67. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 かりに爆発性でないというお尋ねでございますと、爆発性でないが人命に危険だというふうなことでございますと、ごく法律的に申し上げますと九十九条には一応はまらない。九十九条は機雷等を例に出しておりますが、爆発性の危険物を除去するのだということをいっておりますので、爆発性でなければ特に九十九条には入らないということになろうかと思います。
  68. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 たとえば人命を損傷する危険物があった場合において、いまの解釈においては爆発性危険物でないから、それはもう含まれないのだ、そのような解釈でありますけれども、自衛隊法九十九条の適用をなぜ受けないか、法的根拠はどこになるのですか。
  69. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 人命をそこなうような危険物がありました際にどうするかということは、これは一般の官庁、たとえば陸上でしたら普通の警察、海上でしたら一般の警察である海上保安庁が人命の安全、航行の安全というふうなことから一般警察機能を持っておられるわけですから、まず第一義的にはそういう行政機関でおやりになるということが一般の行政常識ではないかと思います。その中で特に爆発性の危険物ということは九十九条に規定してあります。これは自衛隊の通常の能力を想定して、第二次大戦のときに何万個も瀬戸内海沿岸にたくさん機雷が敷設されましたので、その掃海の任務を与えるために、先ほど申し上げましたような自衛隊の能力を前提にしてこの規定が置かれたものと思います。  そこでお尋ねの、この法律に入らない爆発性でない危険なものがありましたら、一般の警察機関がまず第一におやりになるわけですが、しかし自衛隊がそれじゃほっておくかというとそうではございませんで、先ほどの繰り返しになりますけれども、この法の趣旨もあり、かつ官庁協力という趣旨もありまして、自衛隊の能力がお役に立てばできるだけ積極的に一般警察機関に御協力するのは当然であるというように自衛隊としては考えるわけでございます。
  70. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 占領軍による旧日本軍保有の爆弾、砲弾あるいは毒ガスかん、毒ガス弾等の武器の投棄に際して、私は当然引き継がれた書類があろうかと思いますけれども、その点どうなっておるか、その点についてお尋ねいたします。
  71. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 そういう書類はございません。
  72. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではお伺いいたしますが、この間の防衛庁長官の答弁によりますと、すでに九二%の掃海が、処分ができた、あと残すところ八%である、そのように長官は言われているわけでありますが、その八%の根拠はどこから出たのでしょう。もしも何にも書類がないとするならば、その八%の要するに処分がまだ行なわれていないという根拠は出てこないわけであります。少なくとも何かのそういう書類がない限りは、私はそういう答弁が中曽根長官から出ようはずはないと思うのですが、その点どうです。
  73. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 予算委員会で中曽根長官がお答えいたしましたのは、海上自衛隊の航路啓開といいますか、機雷処理の実績を答弁されたものと思います。約九十二・幾らのパーセンテージでございますが、それは掃海面積を一応想定をいたしまして、これは終戦後、自衛隊ができましてからは自衛隊が引き継ぎましたけれども、それ以前は海上保安庁でおやりになっておられたわけですが、自衛隊ができましてからは海上自衛隊に引き継ぎました。その際に、危険な掃海の面積がこの程度であるということを想定して、それをずっと逐次毎年やってきたわけです。その実績が現在九十二%になっている、こういう趣旨答弁されているわけでございます。
  74. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは防衛庁長官が答弁をされた九二%というのは、要するに機雷の掃海に対しての九二%であって、残す八%はまだ機雷が八%掃海ができていない、そのように私も判断をいたしましたわけでありますけれども、それであるならば、その他の危険な爆発物については何らの書類も何らのデータもないかという問題でありますが、これは、占領期間中において米軍が投棄したあるいは処分をしたという問題については、どのようにして日本政府がこれを受け継ぎ、現在どの所管の省庁がこれを持っているかという問題についてお伺いいたします。
  75. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 そのことについて、現在私資料を持っているわけではございませんけれども、先ほど申し上げましたように、海上自衛隊は途中から海上保安庁の業務を引き継いでおります。それ以後の数字はわりにはっきりしているわけでございます。終戦当時米軍からどういうふうにどの機関が引き継いだかということにつきましては、われわれ現在明確にいたしておりません。
  76. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 そうしますと、占領の期間中に占領軍が投棄をした爆発性危険物、すなわち弾薬、砲弾、イペリットガス弾あるいはそういうものに類似するものについては、防衛庁については全然資料がない。すなわち、日本の国におけるところのそういう危険性のものに対しては何ら関知をしない、そういう結論ですか。
  77. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 何ら関知をしないともしも私が申し上げると言い過ぎになるかと思いますけれども、必要な限度において陸上なり海上なりの危険物の掃海なり不発弾の処理等をやるという任務は法律上も与えられておりますので、現在の問題である海につきましては、これは推測になりますけれども、おそらく終戦後旧陸海軍省のことを引き継ぎました復員省あたりの資料によって、海上保安庁が、米軍がどの程度のところに大体どの程度の機雷を敷設したのであろうということを、当時おそらく情報を得られて——正確な情報がどの程度得られたかどうか、戦争の直後のことですから常識的にそう正確に得られたかどうか疑問でございますけれども、できるだけ得られた上で、この海面は危険だから掃海すべきであるという業務を始められて、そうして途中で海上自衛隊ができましたので、先ほど申し上げましたような仕事を逐次やりまして、九十数%まで実績が上がっておる、こういうことでありまして、全然お尋ねのように第二次大戦のときの危険なものを放置しているというわけではございません。あとう限り与えられた資料に基づいて仕事はしている。陸上におきましても、不発弾等が発見されましたら、陸上自衛隊がかけつけて処理をするということは常時やっているわけで、放置しているというわけではございません。
  78. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はおかしいと思うのですがね。機雷において九二%の掃海ができた、そのように言われているわけであります。それは何らかの資料によって少なくとも掃海をされて、九二%掃海が終わって、残すところ八%になった、そのように言われている以上は、私は何らかの根拠なり、あるいはそれが米軍によって引き継がれたものによっての機雷の掃海ではなかろうかと思うのであります。そうなった場合に、たとえば砲弾、爆弾、イペリットガス弾、そういうたぐいのものも、何らかの資料なくして、全然引き継ぎがないなんてことはあろうはずはないと私は思うのです。いつも防衛庁の場合においては、たとえばこの間の新島のあの前浜の海岸においても、たまが流れてきて、そうしてそれを子供が火に入れておったところが、たまたま爆発して一人死に、一人重傷という問題が起きた。この問題も、当然米軍がもっと深いところに投棄をすれば、こんな問題はなかったわけでありますが、非常に浅いところに投棄をしたために、それから掃海をされまして六千発からのたまが出た。これを今日まで実は防衛庁のほうではほうっておいたという事態が起こっておるわけであります。今度のイペリットガス弾においてもやはりこういう問題が起こって、昭和三十二年に掃海はしたけれども、実際に掃海によってあがってきたものはなかった。なかったけれども、今日このようにしてほうっておいたがゆえに大きな事故が起きて、言うならば急遽掃海をしなければならない事態になったと私は思うのです。そうなった場合に、少なくともこういう問題について何ら書類が受け継がれていないという防衛庁の考え方、それではこの近海にそういうものが投棄された危険性というものは国民はぬぐい去られないじゃないか、私はそのように思うわけであります。少なくとも防衛庁においても、こういうふうな問題もかなり私はあろうかと思うのであります。たとえて言うならば、瀬戸内海の大久野島という島については、防衛庁にはこの資料も何もない、そのようにおっしゃっておるのですか、その点について。
  79. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 まず全体の問題として、旧軍のことが防衛庁に引き継がれておらないはずはないというふうな御趣旨のようでございますけれども、これは私から申し上げるのもたいへんおこがましいわけでございますけれども、自衛隊と旧軍とは、憲法ももちろん違いますし、性格も違いまして、旧軍の仕事は途中で断絶いたしておりまして、自衛隊がすべてそれらを引き継いでいるわけではございません。ただいろいろお話のような、国民に対して危険が及ぶというふうな不発弾だとか機雷等の処理につきましては、自衛隊ができますと同時にいろいろな任務を与えられておりますので、それをできるだけ旧軍なりアメリカなり、その他関係各省の資料と、それから現実にかりに不幸な事件がありましたら、それによってさらに情報を収集してその任務を遂行しておるというのが全般のたてまえでございます。  お尋ねの大久野島につきましても、いま申し上げましたとおりで、あらかじめ全部の資料を旧軍から引き継いで持っておったというわけのものではございません。ただある人に危害が及んだとかあるいはガスが漏れているという情報によって、関係各省あるいは知事のほうからの自衛隊の専門家を派遣してくれというふうな御要請に応じて係官を派遣して、その調査をいたして、そしてほら穴その他を見まして、これはこういうガスであるとか、大体この中にはこの程度のものが入っておるというふうな調査をする、そういうふうな協力はいたしておる、こういうことでございます。
  80. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは、防衛庁といたしましては、爆発物に対しては事故が起きたときに初めて行動を起こすというふうなことになろうかと私は思うのです。それでは私は、この近海あるいは公海等においてそういうものが投棄され、しかもそういう危険性を持っているという段階において、国民が非常に不安に思うのではないかと思うのですが、防衛庁といたしましてはこういう問題について米軍から引き継ぎを受けていないというが、少なくとも米軍は何らか、たとえば終戦連絡事務局とか、あるいはそういうところにそういうものを引き継いで、さらにそれが防衛庁あたりに引き継がれているのではないかと私は推測するわけでありますが、その点についてお伺いいたします。
  81. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 事件が起きたから初めてやるというわけではございません。事件が起きればもちろん直ちに緊急の措置をとります。しかし事件が起きなくてもいろいろな情報がある場合があります。たとえば建物、土木工事をやる際に掘っておったら、旧米軍か日本軍かわかりませんけれども、とにかく爆弾らしきものが出てきたというような情報がときどきあります。危険はまだなくても砲弾らしいというようなことでありさえすれば自衛隊はすぐ飛んで行くということはしょっちゅうやっている。つまり事件が起きなくても情報さえあれば直ちに措置をとるというふうなことをやっております。  海の場合につきましても、先ほどから申し上げておりますように、終戦直後のことでございますから、旧敵国にどこに何発機雷を落としたというふうな情報を直ちに旧復員省なり海上保安庁が米軍から資料を入手できたとはなかなか想像できません。米軍もおそらくなかなか教えないし、また戦争の混乱のときですから、教えるだけの材料もなかったのじゃないかと推測されるわけです。しかしそうも言っておれませんから、できるだけ米軍の情報もとり国内の情報もとって、この海は危険であるというふうなことから、掃海面積を一応予定して、そして海上保安庁がおやりになり、途中から海上自衛隊がそのことを引き継ぎまして掃海を実施しております。  なお数字のことをちょっと申し上げますと、掃海面積は九二・九、ほぼ九三%までいっております。さっき大臣が九二%と申し上げましたけれども、ほぼ九三までいっております。あと七%ばかりは、その完全無欠な資料とは申し上げませんが、その資料に基づいて一応掃海すべき面積のうちの七%は残っている。ただ非常に危険と思われるほうから先にやりまして、そして掃海を済ませてここは安全になりましたからどうぞお通りくださいというようなことを瀬戸内海等でどんどんやってまいりまして、現在ではほとんど危険はなくなっております。七%といいますのは推測でございますけれども、ただその地図の上に、情報を得た中で、一応そのワクに入っておりましたのでまだ七%完全に掃海が済んでないというだけで、実際の危険は常識的にはほとんどないというふうに承知いたしております。
  82. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 掃海艇の問題でありますが、先ほどから掃海艇の掃海能力は、機雷というふうな非常に特定のものに限ってやっているために数十メートルというふうな非常にあいまいなおことばを言われたわけでありますが、掃海艇はいま現在日本の国に何そうあるか、そしてまた実際に掃海艇の探知できる水深は何メートルであるか、その点をお伺いいたします。
  83. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 掃海艇は三十九隻、約一万一千トンと記憶いたしております。探知掃海し得るのは約四十メートル程度でございます。
  84. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 いま九十九条の法的な解釈からいうならば、私は少なくともこういうふうな七万二千トンからの放棄された爆弾、砲弾、イペリット弾、そういうものが投棄されているであろうという観点に立つならば、この所管はやはり防衛庁が当然九十九条の立場に立ってやるべき筋合いのものである。しかし掃海艇の能力はない。しかし私はここで考えなければならないのは、現在その掃海艇で何をしようかというのであります。少なくとも日本の国は、現在このような状態から戦争への危険というものはほとんど感じられない状態であるならば、掃海艇というものがただ単に水深四十メートルぐらいのことしか探知できないようなものを持っているのでなくして、少なくとも現在の国民の不安をとる意味においては、電探等、そういうものを掃海艇につけて、そしてこういうふうな深海においても十分に能力が発揮できるような装置を今後つけていかなければならないのではないか、そのように思うのでありますが、その点お伺いいたします。
  85. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 掃海艇は、先ほども申し上げましたように、万一の侵略がありました場合に、侵略者が日本の港湾なり海峡なりを封鎖するために機雷を敷設するということが想定されますので、そういった場合にそれを直ちに除去する、そうしてわがほうの航行ができるようにするというのが本来の任務で、それは日本に限りません。どの国の場合もそうでございます。そういう能力を持っておりますので、瀬戸内海等の水深に適するところは九十数%まで現在やっているということでございます。御提案の、もっと深いところまで掃海能力を持たしたらどうかということでございますけれども一つの検討事項であろうかと思いますけれども、常識としましては、敷設する機雷を除去するのが主任務でございますので、やはりそれに即した能力を持たすというのが常識的なことになるのではなかろうかという感じを持っております。
  86. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 掃海艇については、あなたがおっしゃるとおり、やはり主たる任務はそういうことでございましょうけれども、しかし、いま現在、とりわけ戦争への危険というものを感じない限り、日本においてはやはり国民のために愛せられる自衛隊のあり方というものを如実に示していかなければならない時代ではないかと私は思うのであります。そういう意味において私は、そんな四十メートルくらいしか探知できないようなものでなくて、その中の何そうでも私はけっこうだと思うが、少なくともそれぐらいな水深の深いところに電探できるような器具をこの際積んで、そうして自衛隊自体が率先してこの問題に当たるという姿勢を私は申し上げているわけでありますが、その点についてもう一度……。
  87. 宍戸基男

    ○宍戸(基)政府委員 今度の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、自衛隊も積極的に参加すべきである、能力の及ぶ限り積極的に参加しているつもりでございます。装備のことにつきましては、将来の検討事項にさしていただきたいと思います。
  88. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 投棄に関する米占領軍の命令、指示、行為について過失がない、そのように判断されているかどうか、その点についてお伺いいたします。
  89. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 本件につきましていろいろ調査しましたところ、米軍のこのイペリットの投棄行為につきましては、故意または過失がないということでございます。
  90. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それではたとえば四百メートルの水深に投棄すればそれで過失がないかどうかという問題。現実に人的損害を受けているいま現在の状況にあって、少なくとも過失がないとはいえないのではないか。結論的にいって、いま現在人的に損傷を受けているとするならば過失である、私はそのように判断をしているわけであります。また当時投棄をするときに、少なくとも八百メートルの深さに投棄をしよう、そういう相談もあったかのように承っておるわけでありますが、それが四百メートルあるいはその前において投棄をされたという事実があるとするならば、それは当然米占領軍によるところの過失である、そのように私は思うのでありますが、その点についてもう一度見解を承りたい。
  91. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 投棄した場所は公海でもございますし、また当時の漁業の漁法から考えまして、この投棄されました水深のところを底びき網がひくというようなことは当時は考えられなかったわけでございます。そういう意味合いにおきまして、私どもはこの投棄に関しまして故意、過失はなかったというふうに判断をいたしております。
  92. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今度上がりましたイペリットかんについては、水深約二千メートルのところのほうへまで持っていきまして、そして投棄をしている、そういうことを聞いているわけでありますけれども、私は、防衛庁はこのイペリットガスかんについては、やはりそのような深さのところまで持っていかなければ完全に安全ではないという立場に立っておやりになっているのではないかと思うのであります。そうするならば、当時八百メートルのところに投棄をしようといわれておったにもかかわらず四百五十メートルあるいは四百メートル、それ以下の水深のところに投棄されたとするならば、私は、過失があった、そのように思うのであります。その考え方についてもう一度お伺いします。
  93. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 繰り返して申し上げますが、投棄した場所は公海でもございますし、当時の投棄した行為というものは、それだけの水深の海中に投棄するということは、当時の漁法からいってそういう深さのところに網をひくというようなことは考えられなかったわけでありまして、そういう観点から、私どもはこの行為について過失があったということは考えておらないわけでございます。
  94. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律の「占領軍等の行為」、この行為の中においては、それが「昭和二十年九月二日から昭和二十七年四月二十八日までの間」つまり占領期間中「連合国の軍隊若しくは当局又はこれらの構成員若しくは被用者の行為」が過失によった場合において、要するにこの占領軍の給付金が適用になるわけであります。そういうことから考えて、現実にその因果関係というのは現在まで続いてきているわけであります。それで、ここに来てこういう問題が起こって、その当時は想像されなかったとは言いながらも、現実には八百メートルのところまで投棄をしなければならない、そのようにいわれておったのが、実際には四百メートルのところに投棄をされておったということを考えたときに、公海であればそれで全然過失がないのであるかという問題、これも私は大きな問題になろうかと思うのですが、その点について、ここでいまあなたにそのことを言ってもなかなか結論は出ないと思いますが、私は十分に検討する余地を残そうかと思うのですが、その点についてお伺いをいたします。
  95. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 この被害者に対する措置につきましては、先般来総理府をはじめといたしまして各省で協議いたしておりますが、残念ながらいまだに主管がきまっておらないわけであります。近く再度関係各省の間で協議が持たれるように聞いておりますので、そういう面で検討いたしてまいりたいというふうに考えております。
  96. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 一言加えておきますけれども、ドイツにおいては、御存じのとおり、こういうふうな種類のものは全部コンクリート詰めにして深海に投棄をしている。こういうふうな処置がとられたとするならば、私は占領軍の行為によるところの過失ではないというふうに判断ができるのではないかと思うのですが、現実にいま人的損害、そういうことが起こっている現状において、私はこの点についてはもう少し煮詰める点があろうかと思うのであります。たとえば占領軍の行為に過失があった場合にはこのように給付金が出されるわけでありますが、占領軍の行為に過失がなかった場合においては全然何も出されていないかという問題であります。その点についてお伺いいたします。
  97. 鐘江士郎

    鐘江政府委員 これは先生も御承知だと思いますが、昭和二十七年五月の閣議了解に基づきまして、家財等の見舞い金の支給を行なっておりますが、これはあくまでも占領期間中におけるところの占領軍の行為等によって占領期間中に生じた損害、これに対する見舞い金の措置でございまして、しかも現在はこの支給根拠となっているところの関係通達は廃止されております。
  98. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私はそこにも少し問題があろうかと思うのであります。昭和二十七年の五月に閣議了解によって見舞い金が出されておる。その見舞い金は占領軍の過失あるいは過失でないを問わず、一応見舞い金が出されておるわけであります。そうであるならば、現在の法のたてまえからいって、占領軍の過失でなくても私はこの際こうやってイペリットガス弾等によって被害を受けられている方々に対しては見舞い金を出すべきが法のたてまえではないかと思うのであります。結局占領軍の過失によらない行為というふうになりますと、今度は法的には何ら救済する方法はないわけであります。あとは労災法あるいは船員保険法という、これはどこまでもお互いの掛け金によってなされるものであって、法的な救済というものはなされないわけであります。政府としては、全然そういうことについての救済の方法としてはこの道しかないとするならば、私はたとえばそれが過失でないという場合においては、見舞い金の点においては何らか考慮すべきではないかと思うのですが、総務長官その点についてはどうでしょうか。
  99. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいまおっしゃったように、漁業者については、労災に対応する船員保険の適用で一応対処できるわけですが、船主側については、漁網等を切断、投棄した場合等については漁具保険の対象になる。しかし、これも私の所管じゃありませんけれども、国が見舞い金を出すという性格のものとは違うではないか。おっしゃる点はまさにそのとおりだと思います。ただ国が対人事故について見舞い金等を出すケースについては、たいへんむずかしい問題がありますので、したがって、今度御審議願う予算で、そういう予測せざる天変地異も含めまして被害を受けた場合なんかに対応するために、国民一人一人が保険に加入するような任意加入的な共済保険みたいなものはできないだろうかという意味で、これは損保会社等はやっておりますけれども、地震とかなんとかという場合には人間の補償という問題等がやはりもう少し別ワクで考えられないかということで、はたして国民の間にそういう制度が根づくであろうかということで調査費もとっておりますけれども、まだこの問題だけでもって対人補償を国がきちんとやるということにはなかなか結論づけられないと思います。この問題は私も当初総務長官が当然すべき仕事であるとは思いませんでした。しかし、あちこち連絡をとっておりますうちに、これは海上保安庁にしても、水産庁にしても、防衛庁にしても、あるいはその手当てをする厚生省にしてもばらばらで、とてもだめだと思いましたので、緊急なものとして私のほうで積極的に総理府として引き受けて、各方面には指令を出しあるいは相談をかけ会議を招集し、次々と予算措置や実行をしていったというものであります。  自衛隊と旧軍のそのような危険物との関係でありますが、私も、占領軍の責任においてもしくは占領軍の命令において処理されたそのような危険物が全く資料がないというのは疑問に思いますけれども、しかし、あのような初めて体験した敗戦の混乱の中で、あるいは結果的にはそういうことになったのかもしれないと思いますが、やはり瀬戸内海の毒ガス島等についても、積極的に自衛隊のほうでそのような全処理能力を発揮してもらっておりますし、今度のことでも気持ちよく船に乗り組んで協力してもらっております。また防衛庁の職員の退職金の通算は、戦前の軍歴も通算してございますので、したがって、責任はどこが負うということなくて、各省積極的にやりますが、防衛庁も旧軍の遺産だから敬遠するという気持ちでなくて、やはりそのような意味では協力をよくしてもらっておると私は思っております。ですから、先ほどからのやりとりを聞いておりますと、漁民の方々ないしは国民が心配をすると申しますか、どこまでも責任がない、全然わかっていない、いつどこでどんな危険が過去の大戦の結果として起こるかもしれないんだという不安を与えるおそれがありますので、そういうことの責任の——法律論は別といたしまして、どこに責任がある、そうして国がこれらの問題が常時起こらないように、あるいは起こったら緊急再発を防ぐように措置をする責任がある、そのことを私どものほうで明言しておきたいと思います。
  100. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 この問題の最後として、山中総務長官は、休業補償等については漁業共済並びに漁網等については漁具共済等がございますし、それらの具体的な事実の上に立ってそういう見舞い金等の支出が考えられると思います、こう言われておるわけでありますが、漁業経営者の休業による損害金あるいは見舞い金に対しては、先ほど言われましたように漁業共済、この道が開けているわけでありますが、実際には銚子においてはこの漁業共済には入っていないという事実でありますが、それに対してどのような処置をおとりになるかということです。
  101. 山中貞則

    ○山中国務大臣 漁業共済の歴史もたいへん浅うございますし、あるいは入っていない方々もおられるかもしれません。入っていただくことが理想でありますが、入っておられない現実をどうするかという問題でございましょうから、そこらの点は先ほどの対人補償は直接国家的には困難であるが、さてこのケースはどうするかという問題はこれから相談いたしますけれども、さて船主の補償等について、この席でどうできるかについては、ちょっといまのところ自信がございません。
  102. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 話は変わりますが、山中総務長官の大先輩である川島副総裁が那覇で全軍労の問題で言われておるわけでありますが、どの全軍労の問題の解決について本土政府には義務はない、そのように言われておることについてお聞きになっておるかどうか、お伺いいたします。
  103. 山中貞則

    ○山中国務大臣 聞いてはおりませんが、新聞で見ました。川島副総裁が行かれたのは、沖繩自民党結成と申しますか、本土自民党の沖繩県支部というものの切りかえのために自民党を代表した副総裁という形で来賓として行かれたと思います。そのようなことでございますから、政党内の発言はお互いの党でもなかなかいろんな意見を申します。ことにこの前の主席選挙で自民党といたしましては破れ去った。主席選挙の背景もございまするし、だから現地に行かれての発言では、あるいはそのような屋良主席の、革新主席の立場等も念頭に置いて、いわゆる対立した政党の立場でものをおっしゃったのだろうと思います。しかし私が今日まで一貫して申しておりますること、これは何も一閣僚ではございませんで、総理を含む全政府姿勢であり、そして外交的には外務大臣も含む統一された見解について述べておるわけでございますから、党と意見の食い違いがありましたらそれを調整いたしまするし、党が私どものいまの姿勢を正しくないという判断がありましても、私どものいまの姿勢が正しいことであって、国のほうが、祖国としてやってあげなければいけない、お手助けしなければならないことであるという確信には全然相違はございません。しかもそのことはすでに外交ルートにも乗っておるわけでございますから、そのことによって後退することもありません。
  104. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 あなたがおっしゃることもある程度はわかるわけでありますが、しかし自民党の総裁即総理、また副総裁は相当のやはり影響力を持っておろうかと私は思うのであります。それが現在の山中総務長官がとっておられる態度と全く相反するような発言をされたということに対して、私は、自民党の副総裁である川島さんの問題よりも、あらためてここでやはり政府の山中総務長官の態度を明確にしておかなければならない、こう思うのであります。  そこで、沖繩全軍労は第三ストをおそくとも四月の中旬までに行なうと断言をしております。彼らは、これは単にアメリカへの抗議でなくして本土政府の怠慢に対しての抗議である、そのように言っているわけであります。にもかかわらず、川島副総裁は沖繩において、本土政府が首を突っ込む責任はないと発言をしたということによって、全軍労の方々も住民の方々も非常に不安に思っているわけであります。また本土政府への不信感を一そう増長させて、そうして三波ストに流血騒ぎでも起こすのではないかと、そのような心配も私は考えるわけであります。そこでほんとうに本土政府としては全軍労問題について責任がないと言われているのか、はっきりその点を御回答を願いたいと思います。
  105. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は全軍労のストライキ問題について責任があるとは申したことはありません。このようなことが繰り返し行なわれることをやめさせなければいけない、あるいはそういうことの遠因はどこにあるか。それは雇用形態の本土との違いである、あるいは待遇についても、本土との間に解雇予告期間についてもあるいは退職金そのものについても陥落しておる点が見られる。これらの点をすみやかに祖国の責任において本土並みにして差し上げたいんだ。施政権がたとえ現在あることを前提としても、その中で模索し得るあらゆる条件を研究して、そうしてアメリカ側の了解も取りつけて、少なくともアメリカ側が直接雇用する形態というものを避けてあげたい。それがまた波紋を及ぼすところ県民同士が流血の惨に及ぶおそれあり、そのような痛ましい事故に発展しないよう、ストがあろうとあるまいと祖国の責任においてやらなければならないことである、こう申し上げておるわけでありまして、三派とか二派とかいうことと関係なしにやらなければならない責任を持っておるわけでありますから、どのような発言が党のほうからありましても変化はございません。
  106. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は、ストを好んでやろうというのではないと思うのです。そこにはやはり間接雇用の問題あるいは退職金等の問題で生活に直結した問題があるために、やはりストというものを回避できないでエスカレートする傾向にあろうと思うのでありますが、総務長官が過日の参議院の沖繩北方問題の特別委員会で、沖繩での全軍労の雇用問題については、米側も最近は態度を変え、この問題を沖繩に関する日米協議委員会の場で話し合ってもよいと言っておる、したがって、解決の日はごく近いと思う、そのように述べられておるわけでありますが、その経過と、そしてこの問題が解決される見通しが近くなったということについての見解についてお伺いいたします。
  107. 山中貞則

    ○山中国務大臣 いままで日米協議委員会というのは、その年度の日本政府の沖繩援助予算について、形式的に施政権者であるアメリカと打ち合わせをするというだけでありました。しかし、今回からは、七二年返還という前提のもとに、予算並びに当面の問題についての意見も交換することになったわけであります。その内容については、施政の問題として、いままで日本政府アメリカ政府との問題ではないといって、全軍労の問題について日本政府側の二回にわたる申し入れについて的確なる回答がなかったアメリカ側が、両国相談をいたしましょうということに、外交ルートあるいは沖繩の高等弁務官のランパート中将等の意向が変わってきたということで、非常に大きな前進であると思います。近いというのは、いつ解決できるかという問題について私は答えたのでありまして、万博の開会式の日に国会のほうがあけてもいいということでありましたので、私、ランパート高等弁務官と会うために、取りあえずその問題について最終的に話を詰めようと思って日程を一応組んだのでありますが、先にランパート高等弁務官の日程等がすでに組まれており、また逆に、屋良主席が上京されますので、両責任者不在のところに私が行ってもしようがないと考えまして、その日程はとりやめましたが、話し合いは、形をどうとろうと進展をしつつあるのでございます。なるべく早く解決を見るようにしたい、こう考えておるわけであります。
  108. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 それでは本題に入りまして、輸出会議貿易会議に名称を変更することについては、輸入というのは、非常にいま日本経済大国になったということから、低開発国に対するところの援助も含めて大切になってきたという観点から、輸出会議貿易会議にして、輸入に対しても協議をするということでありますが、私はその点については一歩前進だ、そのように思っております。四十五年度における貿易の収支をどのように見ておるか、また総合収支はどうであるか、現在の外貨準備高はどのくらいあるか、その点についてお聞きします。
  109. 原田明

    原田政府委員 四十五年度の貿易収支でございますが、IMFで輸出が百八十八億ドル、輸入百四十八億ドル、貿易収支四十億ドルの黒字を予定いたしております。
  110. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 現在の残存輸入制限品目は百二十品目でありますが、今後急速に自由化への方向を余儀なくされると思いますが、政府としてどのようなスケジュールを組んでいかれるかということが一つと、今後輸入のウエートが重くなってまいりますと同時に輸出振興策が税法上、金融上緩和されて、資本自由化へと進んでいくと思いますが、貿易会議と、資本自由化を主体とする外資審議会と、経済協力を主体とする経済協力審議会との関係は、輸出入に重大な関係があろうかと存じますが、その点についてどのようにお考えになっているかお伺いをします。
  111. 原田明

    原田政府委員 最初の残存輸入制限の緩和、撤廃への動きでございます。昨年の秋に、先生指摘の百二十ございました品目が、十月二品目、さらにことし二月に九品目の自由化を実施いたしました結果、現在百九になっております。この百九残っております残存輸入制限品目につきましては、去年の十月の閣僚協議会の席で、四十六年末までに当時百二十ございました残存を半分以下に減らすということがきめられております。この場合、百二十ございましたうちの半分でございますので、六十以上を自由化するというたてまえになるわけでございますが、自由化すべき六十のうち五十五品目につきましては、そのときにすでに何を自由化するかという品目が決定されております。したがいまして、私どもといたしましては、まずことし、今月の終わりぐらいまでの間に残りの五品目を加えまして、六十品目来年の末までに自由化すべき品目の名前を決定する段取りに進みたいと考えております。  それから、自由化することがきまっております品目につきましては、来年の末までにやるという予定になっているわけでございますが、これは来年の末までは一つもやらないということではございませんで、できるだけ前向きに自由化を促進するという立場をとっておりますので、おそらく四月の初め、大体各年度の初めといったような区切りのいい時期に自由化が実施されておりますので、今度の四月一日ごろにも数品目の自由化をするということになろうかと思います。  そのあとどのようなスケジュールでいくかという具体的な品目その他はまだきまっておりませんが、今後のわが国の輸出入の数字、黒字累積の程度、また国内産業の合理化、競争力の強化、そういうことによりまして、自由化に対応する措置ができるかどうかというようなことの進展等にらみ合わせながら進んでまいりたい、このようなスケジュールに考えております。  それから、次の御質問経済協力、外資導入及び輸出入、これはわが国が直面いたしております対外経済取引のいろいろな面でございます。過去におきましては、まず商品の輸出という面が先行いたしていた感がございます。他方わが国の経済産業の合理化、技術革新といったようなことのために、外国からの技術あるいは資本の導入のほうがやや量的には進んでいた傾向にございますが、これからは、貿易の面におきましては、輸出と並んで輸入に重点が置かれる態勢になってまいりますし、また資本取引の面におきましても、外資を導入するということと並びまして、わが国からも特に発展途上国等を中心にいたしまして対外投資を積極的に行なわなければならないという事態に進むのではないかと存じます。したがいまして、私どもは、こういう貿易資本のあらゆる側面につきまして、それぞれの持ち場というものが十分に発揮されますような形でバランスをとりながら進めてまいる必要があると存じております。そのために、輸出入についての大きな政策は、この輸出会議、過日お願いしております貿易会議において御審議を願い、経済協力につきましては対外経済協力審議会において審議を願い、外資導入につきましては、外資法に基づきます外資審議会を中心として御審議を願ってやってまいるのが適切ではないかと考えております。
  112. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 経済協力については、通産、外務、大蔵、農林、経企、建設、運輸と、各省庁間にまたがっている問題であります。いままで、その調整に全く円滑を欠いていたというきらいもあろうかと思いますが、貿易会議によって、貿易に関する重要事項のうち、関係行政機関相互の連絡、調整がはたしてうまくいくかどうか、その点についてひとつ……。
  113. 原田明

    原田政府委員 経済協力の分野は、その経済協力の形態が、クレジットの供与あるいは延べ払い、あるいは対外民間投資といったような、非常に多くの形態をとっております。したがいまして、現在では、その所管をいたします関係各省がそれぞれの仕事、責任におきましてこれを分担をいたしておりまして、経済協力を一緒に遂行するという体制がとられております。ただ、貿易の分野におきましては、輸出入ともに通産省において担当いたしております。現在まで、輸出会議におきましては、十二プラス総合会議という十三の部会を踏まえまして、輸出振興のために輸出意欲を盛り上げ、官民協力されまして輸出振興のための施策の実現にたいへんに御貢献をいただいて、その結果、輸出に関します限りは、ここ数年、やや黒字がたまるというところまでこぎつけたのではないかと思います。今後輸入という問題がいろいろな観点からたいへん大事になってまいりますので、輸出振興のために官民の努力を結集しました輸出会議の機構と努力を踏まえまして、輸入の面にまでわたりまして関係各省が、もちろん関係がございますので、十分連絡をとりまして、御指摘のようなそご、連絡の不円滑というようなことがないようにして、輸出会議輸出振興についておさめられましたと同じような効果というものを、輸入輸出を踏まえました貿易全体の面で期待にこたえるように持っていきたいと考えております。
  114. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 提案理由説明の中で、「発展途上国との貿易アンバランスの拡大、わが国の経済発展を維持するための資源確保の問題等」とありますが、わが国が発展途上国から今後輸入する資源は、一次産品の買い付けであるか、それとも、地下資源確保を主体とするのか、どのようにお考えになっているか。
  115. 後藤正記

    後藤政府委員 お答えをいたします。  輸入の必要性につきましては、この輸出会議貿易会議に改組するという姿勢からも明らかでございますように、現在、日本の国の産業の発展にとりましては、特に原料資源、例をあげますならば、たとえば、鉄鉱石にいたしましても、強粘結炭にいたしましても、さらに木材資源にいたしましても、非鉄金属にいたしましても、またボーキサイトにいたしましても、また石油等にいたしましても、この原料資源確保という問題が非常に大事であります。それで、これはもっぱらわが国サイドから見た場合の産業の今後の発展という点から、その輸入が大切なわけでありますが、片や、御指摘のとおりに、現在、特に日本輸出面におきまして三十数%を依存しておりまする東南アジアの近隣諸国との間の片貿易の傾向は、ここ数年来非常に開いておる。また、先方の国々にとりましては、何かもう少し貿易のバランスがちゃんととれるように日本側として輸入措置をとってほしい、こういう要望がございます。それのまた反動といたしまして、一時的に輸入制限をしたり、輸入ストップをしたりするような事例もたまにはございます。したがいまして、この隘路を打開いたしますために、日本側としましては、現在どうしても向こうの一次産品を購入しなければならないが、発展途上国でございますので、日本としてやはり経済ベースで買えるものが必ずしもない。しかしながら、一方において、先ほど来申し上げておりましたような事由で、これを促進するという立場がございます。したがいまして、広い意味で申します一次産品の中に、そういう地下資源的な、原料資源的なものを含みますが、同時にまた、あるいは飼料でございますとか、あるいはそれ以外の塩でございますとか、そういった動植物性の種々の資源がございます。そういったものの輸入をも、今後民間ベースで、さらにまた政府のある程度の援助をも含めまして促進するような方向に持っていかないと、日本全体の貿易の健全な、末長きにわたっての発展は望まれないかと存じます。
  116. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 地下資源としては、代表的なのは石油あるいは鉄鉱石等があげられると思いますが、鉄鉱石を豪州と共同開発をして輸入をされておりますが、今後豪州だけに依存するのか、その他どういう地域を想定されているのか、現在の日本の鉄鉱石の輸入はどれぐらいあるのか、また、豪州より輸入をしている鉄鉱石はどれぐらいあるのか、その点について一応……。
  117. 後藤正記

    後藤政府委員 現在、日本の鉄鋼業の非常な隆盛の状態というのは、世界で第二位、アメリカに次ぐ状態になっております。御承知のとおり、日本には、鉄鋼業の最も不可決とする資源でございます鉄鉱石並びにコークス用の強粘結炭がございません。それで、現在、御指摘のとおりに、豪州あるいは米国のバージニア州、それからまたインド、ほとんど世界のあらゆる地域にわたりまして、鉄鉱石並びに強粘結炭を輸入しておる現状でございます。  数字をあげて申し上げますと、昭和四十三年度におきましての鉄鉱石の国内の需要が七千七百四十三万七千トン、これに対しまして国内供給分は千百八十五万六千トン、したがいまして、この差額の実に八四・七%というものは海外に依存をいたしております。原料炭につきましては、四十三年度の需要は四千三百六十五万トン、これに対する国内の供給分が千二百二十六万トン、その差額であります海外依存度は七一・九%に及んでおる、かような実情でございます。  今後とも日本の産業が拡大するにつきまして、鉄鋼業のみならず、石油精製業をはじめ、先ほど私が申し上げましたような各種の基幹産業における海外依存度は、さらにまた強くなっていることかと存じます。
  118. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 輸入自由化が進むにつれて、わが国の大きな課題となっているところの農業改善あるいは中小企業構造改善等、まだ手がけたばかりの国内産業との競合が必ず起こってくるというふうに思われますけれども、その点、時期的に、品目的に十分検討して、輸入においては調整すべきではないかと思いますが、その点について政府はどのようにお考えになっているか。
  119. 後藤正記

    後藤政府委員 仰せのとおりであろうと存じます。ただいま申し上げました日本の国際的地位の向上と日本自身の国内産業の発展とからくる要請、さらにまた、貿易の主要相手国でございます近隣諸国の要請、そういった要請がございますと同時に、国内にはまだそうした立ちおくれの農業でございますとか、一次産業部門に従事しておる分野がございます。したがいまして、今後とも輸入自由化の施策が一番直接に響いてまいると存じますので、その間、先ほど通商局長から申し上げましたように、現在残存輸入制限品目が百九品ございますが、これは方向といたしまして漸次自由化されていくということは間違いないところであろうと存じますが、このタイミングにつきましては、緩急よろしきを得て、でき得る限り国内の産業というものに致命的な打撃を与えないように、その間の時期は十分に考慮しつつ行なっていくべきものであると存じます。
  120. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 最後に、大蔵省の通関統計によりますと、六九年度の対米輸出総額は約四十九億ドル余となっております。東南アジア、近隣諸国への輸出は約四十四億ドルである。いわゆる九十四億ドル。東南アジアの諸国はわが国にとってアメリカと並ぶ重要な市場でありますが、その中でも上位八カ国、それはいずれもわが国の近隣国になっております。また、ベトナム動乱にアメリカが介入をして以降、わが国の輸出が急速に拡大をしている現状において、わが国の得意輸出先は米経済に影響される諸国である。現在ベトナム戦争が縮小化されている傾向にあり、米国の経済自体財政引き締め等を行なっておる観点からいって、今後とも高輸出が維持されるということは非常にむずかしくなってくる推移ではないかと思うわけであります。今後の輸出に対する見通しは必ずしも楽観が許せないんじゃないか。そういう中にあって、経済の底が浅い日本の国において、何といっても私は、輸出を基調とした経済政策を今後とも確保すると同時に、その上に立っての輸入政策を考えていかなければならないと思いますけれども、その点について見解をお伺いしたい。
  121. 後藤正記

    後藤政府委員 全く先生の仰せのとおりであると存じます。ここのところ二、三年来輸出が非常に好調でございました。これは国内の要因もございますが、主として国際的な好調、いま数字をおあげになりましたが、特に日本の主要輸出相手国である米国その他の好況にもはなはだしく左右されたものでありまして、かつて一部に黒字定着論というような意見がございましたが、およそ貿易というものは相手次第のものであります。特にわが国のごとく輸出入ともに貿易の依存度が三十数%にものぼるという、世界でも一番大きな貿易依存度を持っておる国におきましては、特に輸出によりましてわが国の外貨収入の一番主要な根源とするという、今後とも輸出を尊重するという基本的態度は、変更があってはならない。同時にまた、それと見合ったものとしての、長期的な輸出の伸長という観点に立った輸入の促進であり産業の発展である、かように考える次第でございます。お説のとおりであると存じます。
  122. 天野公義

    天野委員長 和田耕作君。
  123. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 貿易会議の今度の提案ですけれども、いままでの輸出会議に対して輸入という問題をふやしたわけです。輸出会議の場合は、総理大臣議長とする最高の会議があって、それから局長級のレベルの会議があって、幹事会というのがあって、その下にまた課長ベースのいろいろな各省の打ち合わせ会があってという仕組みに実際はなっておりますか。
  124. 後藤正記

    後藤政府委員 これまでの輸出会議におきましては、内閣総理大臣議長でございまして、通商産業大臣が副議長、それから経済企画庁、外務、大蔵、農林、厚生、運輸、建設各大臣、さらに日銀総裁輸出入銀行総裁、その他総理大臣の任命されまする民間の貿易に見識を有する方々、そういった方が本会議を構成しておられるわけでございますが、その下に産業別の輸出会議に付属いたしまして合計七十五の専門部会がございます。その下にさらに課長ベースの云々というお話でございましたが、それから下は構成になっておりません。この輸出会議の庶務は通産省の貿易振興局が扱うことになっておりますので、その間各省と私ども事務レベルで連絡をいたしております実情でございます。
  125. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 輸出の問題でそういうふうな構成があるとすれば、輸入を加えるとなると、今度の貿易会議の構成は、輸入の場合でも同じような各省の連絡会議が持たれると考えていいですか。
  126. 後藤正記

    後藤政府委員 現在新しく予定をいたしておって、現在御審議をお願いいたしておりますこの輸入会議のもとに、従来の産業別会議のように専門部会を置くかどうかという点は、これはまだ決定いたされておりません。今後の議論の進展に伴って、必要あれば置くことにすればよいではないかという御議論が先般来ございました。各省間の事務連絡は、もちろんほかの輸出会議と同じようにいたさなければならないものと考えております。
  127. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そうすると、かなり具体的なと申しますか、小さいといっては語弊があるけれども、具体的な輸入の問題について貿易会議で問題になるわけですね。最高会議という抽象的なものだけではなくて、貿易会議の中での輸入の審議というのは、かなり具体的な問題までも審議の対象になるということですね。
  128. 後藤正記

    後藤政府委員 従来の輸出会議でもそうでございましたが、これはあくまで最高レベルに属するものでございまして、輸出の場合でも専門部会は若干分化したような、こまかいと申しますか、一つ一つの物別に議論をいたしたわけでございますが、輸入会議におきましては、効果的、安定的な輸入確保発展途上国からの輸入の促進といったような、そういう一番根本になる議論が主となるものと存じます。従来の輸出会議でもさようでございます。したがいまして、いま先生指摘のように、個別の案件についてどの国から何を輸入するのか、そこから輸入したほうがいいのか悪いのか、こういう個別の問題には私は入らないのではないかと存じます。
  129. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 現在の段階で、そういうどの国から何を、あるいはどの開発途上の国からどういう資源確保するというようなことを議論しないで、こういうふうな新しい機関を設置する必要がありますか。
  130. 後藤正記

    後藤政府委員 それはやはり私はあると存じます。たとえば安定的な、効率的な輸入確保するためには、一体全般としてどういう施策をとったらいいか。それから先ほど来お話のございますように、特に東南アジア諸国との貿易のアンバランスを是正するためには、輸出もさることながら、輸入の面においていかなる考え方をし、いかなる方策をとっていったらいいのか。それから、さらにまた、現在これは物価問題とも関連いたしておりまするが、特に物価上昇の問題とからんでおりますような物資については、国内の物価対策とからめて、一体それの輸入の問題をどう取り扱っていったらいいのか、これは、またいろいろな問題に波及いたして、国内産業の問題とも関連いたしてまいりますから。それから、さらにまた、大きく世界貿易が毎年伸長いたしてまいりますが、その世界貿易の拡大に寄与するために、わが国の今後進むべき道として、日本の国の輸出輸入の問題はどう取り扱っていったらいいのか。こういうような、個別案件に入らずとも、これから具体的に国をあげ、物をあげずとも、そういった基本的な政策についての方向づけとして、やはり議論の場は十分にあり得ると存じます。
  131. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いまあなたがおっしゃることだけでは、とにかく東南アジア各国との間のアンバランスということになっておっても、たとえば、フィリピンとの間はどうだとか、あるいはシンガポールとの間はどうだ、タイはどうだ、インドネシアはどうだとか、あるいはアフリカのコンゴとか、こういう国はどうだ、そういうことは当然問題になるわけですね。だから、それの審議はしなければ意味がないというふうに考えていいですか。
  132. 後藤正記

    後藤政府委員 この本会議の場でなしに、専門部会等で、もちろん例示としてそういう問題はやはり議論になってくると思います。しかしながら、あくまでこの輸入会議の立て方というのは、先ほど来申し上げておりましたように、従来の輸出会議の例に徴しまして、これは全般的な、包括的な、基本的な問題に関する審議であると存じます。
  133. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 最初に私がどういうふうな機構でやるかということをお聞きしたのは、総理大臣議長とした閣僚レベルの問題だけではなくて、各省の関係局長あるいはそれをカバーするために課長、そういう人たちが連絡をとってやるという輸出会議の運営、それと同じような運営の機構を、最も重要だといわれるこの輸入の問題についてもおやりになるお考えがあるかどうかということをいま聞いているわけですね。それはそれでいいでしょう、あなたの説明も私の聞こうとするところも、そう食い違っていないんですから。結局、国別の問題を考えるでしょう。東南アジアに対して、基本方針としてどのくらいのものを輸入するということだけではなく、たとえば、銅が日本では足りないんですね。銅をどうにかしなければならぬとかということだけではなくて、銅を確保するのに、アフリカのコンゴからどういうような方法で確保するかということを検討しなければならない、そういうことですね。そういうことをおやりになるというふうに理解していいですね。
  134. 後藤正記

    後藤政府委員 輸入会議に将来専門部会が設置され、その専門部会のもとに、さらに事務局として基礎的な各省間の連絡調整が必要となってまいります場合に、当然やはり市場別、物別の具体的な事例はあがってくることかと存じます。
  135. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そこで、ひとつ具体的にお聞きしたいのですけれども、たとえば、日本でいま非鉄金属の銅が足りません。銅の鉱石資源はどうしても確保しなければならぬ。それで、コンゴあたりに投資をして、そうして銅の鉱石を確保するということが現に起こっておりますね。こういう場合に、コンゴの政府商社が向こうに事業を興す場合にどういう形で交渉するようになるのか、あるいは、日本の在外公館はそれに対してどういう媒介の役割りをするのか、簡単でいいですから、その点についてははっきりひとつお知らせいただきたい。
  136. 後藤正記

    後藤政府委員 これは輸入の問題だけでなしに、経済協力的な側面をも含んでおります。同時にまた、海外投資の問題をも含んでおります。海外投資といい、輸入といい、経済協力といい、いずれもこれは相互に非常に密接に関連いたしておる問題でございますが、御指摘のような場合、コンゴの事例は、私資料を持っておりませんが、普通こういう発展途上国一つのプロジェクトが開発されます場合に、いろいろな場合がございます。先方の国からわが国に対しまして、出先大使館、それから東京駐在の大使館等、外交ルートを通じまして、借款を供与してくれ、こういう要求が来る場合もございます。それから借款供与という問題が先に出てまいりまして、あとでプロジェクトを、どこを開発したらいいか、こういうようなものが出てくる場合もございます。その間、わが国サイドにおきまするたとえば商社、これも出先にたくさん駐在員を持っておりますし、さらにまた、それに密接な関連を有しております生産業者の会社、そういったところが密接に連絡をとりまして、そして現地では現地、国内では国内というぐあいに官民お互いの連絡がとれて、プロジェクトの開発、これは合弁会社の設立という形をとるのか、あるいは現在行なわれておりますように、アラビア石油のように日本の国の会社が直接向こうに行って、向こうの現地法人でなしに自分で仕事をするのか、そういういろいろな形態がございますが、これはもう官民一体、こん然となって推進しておるというのが現状であると存じます。
  137. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 いろいろな形があると思いますけれども、要するに現地の政府も相当の責任を持ってその一つの当事者になる。日本の在外公館も、いろいろ程度の差はあっても、その交渉の中に入ってものごとをきめていく、銅の開発問題をきめていく、こういうふうに理解していいですね。
  138. 後藤正記

    後藤政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  139. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そうなりますと、コンゴにある銅の鉱山を開発するという問題は、日本政府としても責任の相当部分を負担しておるというように理解することができるとすると、かりにコンゴで政変が起こる、そしていままでの投資がだめになってしまう、こういう場合もあり得るわけですね。いままでもあったことですけれども、こういう場合の政府の責任はどういうふうにお考えになっておりますか。
  140. 後藤正記

    後藤政府委員 そういった場合に、そういう見通しの問題に対する政府としての責任もやはりございましょうが、一般に現在行なわれておりますのは、政府サイドの問題よりもむしろ民間企業がこれに進出をいたしまして、戦争なり内乱なり暴動なり、そういった問題によって損失をこうむる、こういう事態が非常に多いわけでございます。これにつきましては、一般の輸出と同じように、現在一番よく活用されておりますのが輸出保険法におきまする海外投資保険の問題でございます。現に、今国会の商工委員会におきまして、本日大臣から提案理由を御説明になりましたが、輸出保険法の改正法案、さらに海外投資に対する保険の内容というものを充実いたしまして、そういったリスクをカバーして、今後とも、海外へ出ていく企業がシュリンクしたり、あるいはそのために徹底的な打撃を受けないように、さらにまたそういったときにはできる限りこれをカバーしてやれるように、そういうような法案の改正を今国会にお願いしておるわけであります。そのほかにも海外投資に関するいろいろな助成措置というものをとりまして、今後とも私は、現状におきましても、いろいろな国内的、国際的要請からいって海外投資というものは促進されるべきものである、かように考えております。
  141. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 まあ一つの例を考えてみましたけれども、そういう問題が今後東南アジアの全地域にわたって、あるいはアフリカの相当地域にわたって、あるいは南米その他にわたって起こってくるということになると、いろいろの対外的な紛争という問題が出てくる可能性があるわけですね。そういう問題を十分御検討の上でこういう問題を提起して、いまの輸出保険というものだけでこれをカバーしようと思っておられるということですね。
  142. 後藤正記

    後藤政府委員 一例として、特に民間サイドに非常に密接な関連があるということでこの輸出保険のうちの海外投資保険という例を申し上げましたが、そのほかにも外交上の折衝による場合がございますし、国際間には国際の仲裁委員会がございますし、その他いろいろな手段、方法があると存じます。
  143. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 もう一つの問題は中共貿易の問題なんです。中共貿易の問題も、これはいろいろ問題はあっても、輸入という問題との見合いが一番中心の問題ですね。そういう場合に、たとえば現在日本にいろいろな問題が起こっております。これはまあたいして大きな問題じゃないけれども、アズキの問題を考えますと、日本の市場は現在非常に麻痺状態になっている。その一番の原因は中共からふだん来ていた輸入が入っていない。むろん北海道の問題もありますけれども、そういう場合に日本としては何ら打つ手がないということがありますね。こういう問題をどういうふうにお考えになっておりますか。
  144. 原田明

    原田政府委員 輸入の問題につきまして、たとえばアズキなどにつきましても、国内の需要が旺盛でありますにもかかわらず、不作であって供給が間に合わない。したがって価格が上がりまして、消費者の方々にも御迷惑がかかるというような場合には、早手回しに外国から輸入をいたしまして、価格の騰貴を押えるように、ミートするように持っていくというのが、輸入政策だけではございません、国内需給政策からも非常に肝心なことではないかと思っております。ただいま御指摘のアズキの場合には、主たる供給ソースが中共に限られております。たとえば去年度アズキが国内においてたいへん不足でございました。こういう場合にはなるべく早く輸入の促進をしたいということで、現在輸入の割り当てになっております分を——ふだんは秋に収穫が国内でできまして、そのあくる年の二月ぐらいに輸入の割り当てを行なうというのが通例でございますが、去年の場合には、こちらの不作ということで直ちに十一月ごろに輸入の割り当てを実施をいたしました。金額で申し上げますと五百八十二万ドルというものの割り当てを行なったわけでございます。さらにことしの二月に入りましても八百九十万ドルという輸入の割り当てを行ないまして、この双方を合わせますと千四百七十二万ドルになりますが、この額は去年の同じころにやりました輸入の割り当ての額の七五%アップでございます。したがいまして、農林省と御相談をいたしまして、農林省のほうでこのくらいはぜひ入れるべきではなかろうかということで、ふだんの倍とは申しませんが、七割五分アップという非常に大きな輸入の割り当てを実現したわけでございます。これによりまして、こちらのほうの方々は中共から輸入を実施すべくたいへん努力をされたわけでありますが、日本が不作の同じ年中共のほうも不作でございます。そのためになかなか思うように輸入が入ってまいりませんで、いままでのところかなり進捗はしておりますけれども、国内で不作であって足りないというものを十分補って価格は上がらないという程度にはなかなかならなかったわけでございます。そのほかにソースがありますとまた手を打つことも考えられると思いますが、どうもソースはほとんど一つなものでございますので、このほかに最近におきまして商品取引所あたりを通じますものが、やや投機の対象になったこともございまして非常に騰貴をしている。私どももこの際苦慮いたしておるという現状になっておるわけでございます。
  145. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 現在のアズキの問題については、中共内部の事情がどうなっているかよくわからない。南満州の不作ということは一応北海道と関連させて考えられるけれども、中共のアズキの産地は南満州だけではない。山東にも上海の奥地にもある。つまり日本輸出するぐらいのものは何とかできるだろうと思われるけれども日本におけるいろいろな相場その他の問題から見て、向こうが思惑をしておるというような感じも働いてくるわけですね。そういう問題について現在何ら打つ手がないという状態なんですね。そこで、日本貿易というものもいままで輸出中心でやってきたのですけれども輸出確保するためにも輸入という問題に大きなウエートを置いて対策をしなければならないという段階になっているわけです。そういうふうな段階において、中共という国に対してもっと立ち入って向こう側と話し合えるようないろいろな機関を考えていかなければならない段階ではないのか。そうしないと、アズキは買いたい、日本の相場はどんどんと天井知らずに上がっていく、しかし向こうでは日本の相場の動きを凝視している、あるいは向こうは一本でこちらは何十もの商社が詰めかけておるという状態で、いままでのようなこういうふうな取引の状態をそのまま放置していい段階であるのかどうか。もっと中共の政府日本政府あるいはその代行機関なりとの打ち合わせというものができるような状況に踏み込んでいくような段階にきておるのではないか、中共という問題を考えましたらですね。たとえばいまのコンゴの問題につきましても、向こうの政府日本政府機関との間に契約したような問題についての不信行為が将来起こらないような、そういうふうな単なる商社の取引だけではなくて、国と国とのそういう安定した輸入確保するための措置あるいはそれに必要な機関、こういうものが必要な段階にきていると思うのですけれども、こういう問題はどういうふうにお考えになりますか。
  146. 原田明

    原田政府委員 御指摘のように中国大陸は人口と広大な土地を持った、輸出両面から見ましてポテンシャルが非常に大きな市場でございますし、またいずれの国とも貿易を拡大したいというわが国の政策から見てもきわめて大事なところであると思います。ただ、まことに残念なことではございますが、現在はその間に十分に意思を交流し合う方法があまり開かれておりません。私どもとしましては、中共との貿易が拡大的かつ総合的、またでき得るならば計画的な形のほうへ進んでまいる、その場合にも、輸出もふえるが輸入もふえるというようにバランスをもって進むという形が望ましいのではないか、このような観点から、私どもといたしましては、以前には高碕事務所、現在は覚書事務所という形で進むということが、とりあえずの一番の手っとり早い方法ではなかろうかということで、この覚書貿易による中共貿易の拡大というものを念願をしてまいった次第でございます。当初はかなり覚書貿易の比率も高かったわけでございますが、その後いろいろの事情のために、最近におきましては貿易の中でこの覚書事務所を通じます比率がやや落ちてまいりました。今後、先生指摘のそういう覚書事務所を通ずるような形の比重がさらに増すことを希望しております。予算的にもこういうところに補助などもいたしまして、現在向こうに行っていらっしゃいます覚書事務所の代表の方々の御交渉も成功裏に終了されることを希望している段階でございます。
  147. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 政府も選挙中に、政府間の何らかの接触が必要な状態になってきているという言明をいろいろとなすったことがありますけれども、ここで貿易会議という一つの挙国的な体制をとりながら進んでいくという段階で、事務当局として何とかそういうふうなもっと計画的な安定した取引をするための、単に中共だけではありませんけれども、特に中共の問題について何かのそういう正式な政府政府の間の交渉が非常に必要であるというふうにお考になっておると了解していいですか。
  148. 原田明

    原田政府委員 わが国の貿易は、輸出はもちろんでございますが、輸入も現在のところ九四%が自由化されておりまして、貿易を実行されます主体としては、民間の貿易産業界方々の御活躍にまつという体制をとっております。しかしながら、御指摘のように、世界の各地には、国によりまして、いろいろの貿易環境の整備、これにつきましては人事の交流、支店の設置といったような問題から、あるいは向こうにおける商活動の保証あるいは租税その他の問題特許権の問題、あるいはその国における輸入制限の防止、抑圧排除の問題非常にたくさんの問題がございます。こういう問題につきましては、政府がすべき役割りというのは非常にたくさんあるのではないかと思いますので、国別、産業別、商品別の特性に応じましてお役に立つような、そういう部門における政府の役割りを一そう推進するということにつとめてまいりたいと考えております。
  149. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 総務長官、いまの中共貿易の問題、全般の問題いろいろありますけれども、非常に小さい問題でアズキの問題これは何ともならない状態です。日本のアズキの相場は二万円ですか、取引所はとてもあれはできない。その一番大きな原因は、いままで中共から来ていた二万数千トンのアズキが来ない、来る見込みもてんでわからないという状態が起こっているわけです。こういうような問題を考えた場合に、つまりそれじゃもうしょうがないんだ、中共との貿易は当てにせぬで他のところから買おうとしたってアズキを買うところがない。こういうような問題を考えた場合に、しかも日本政府全体の方針としては、貿易会議を設けようというのは、日本輸出を維持するためにも輸入が必要だという段階にきているし、あるいは物価の問題も重要な段階にきているという場合に、こういうようなことを契機にして、中共という特殊な国ですけれども、何か政府間の、LT貿易でもあるいはそれ以外の問題でも、もっと何かの呼びかけなり、そういうふうな施策が必要な段階にきているというふうに私は考えるのですけれども、長官、貿易会議にひさしを与えておる、あるいは総理の代役としてどういうふうにお考えになるか。
  150. 山中貞則

    ○山中国務大臣 絶えずひさし論が出るのですが、たとえばこの貿易会議関係閣僚が構成メンバーに入っている。ところが、ひさしを貸している大家さんの私は関係閣僚に入っていないのです。そんなおかしな話はないのでして、いずれこれは直したい、当然ひさしを貸した以上大家さんも出席してものを申し上げたい、こう思っているわけです。  中共貿易の問題は、いまアズキの問題をとらえてのお話でありますが、アズキの問題については、商品取引所の監督官庁、通産省、農林省が、もう少し仲買い人なり何なり、一般大衆が投機的なことによって迷惑を受けないような措置も行政上緊急必要なことだと見ております。これは私は所管じゃありませんが、見ておるわけです。  一方、中共貿易全体の問題としては、いまのわが国の政府姿勢が一体どういう姿勢にあるのかということは、うちの党でいま中共に行っている古井君自体もどうやらつかみかねて中共に行ったのではないかと思える節もありますけれども、私もいまのところ総理のことばと実際上の実行とはどのような関連性があるのか、そこらのところを二人きりでとかあるいは閣議の秘密会でとかというような機会にも、全然農林大臣のほうも触れておりませんし、一応総理が国会で答弁された程度のものである。それがいいか悪いかという問題はまたおのずから別の問題であろうと思いますが、私から日本政府の中共貿易姿勢にはかくのごとき点においていますぐにでも何かやるべきであるという点に触れるには、ちょっと所管外過ぎる問題でございます。御指摘の点は私も意味はよくわかります。
  151. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私が最後に申し上げたいことは、日本世界の中の日本として繁栄をしてきた。今後の輸入の問題は資源確保というものが日程に上がってくるということは、なお世界の中の日本としての姿勢というものが確立してこなければならない段階にきているということである。たとえばコンゴに日本の事業が相当投資をする。先ほどの大出君の話では、再び帝国主義的なと、向こうで疑問を持たれるようなことになってはいけない。これはそんなことはないというようにおっしゃっても、外はそういうふうに見るわけです。日本は絶対必要な資源確保するために相当多額な投資をする、その投資が非常に危険な状態もしばしばあり得る、こういう場合に、日本はまた何とかかんとかというふうに、向こうにとってみればそういう懸念を持つことは非常にあり得ることなんです。ですからそういう意味では、いまの中共の問題とそれに関連してくるのは、日本はあくまでも平和国家というのか、とにかく絶対平和の国なんだというこの姿勢は、こういう時期にいままでよりももっともっと強くいろいろな機会に表明すべきだと私は思うのです。だから、一ころ前にあったマラッカ海峡を確保するために海軍をふやすとかああいう議論は政府の態度としては全然ないのだ、全く平和な、つまり貿易で食っていく国なんだ、世界の中の日本なんだ、平和なしには生きられない国なんだ、そういうふうな姿勢をこういう機会に何かの形で繰り返し表明する必要があると私は思うのですけれども、総務長官の御所見をひとつ伺いたい。
  152. 山中貞則

    ○山中国務大臣 日本が戦後平和憲法のもとに侵略をし得ざる国家になりましたことが、案外日本の近隣諸国でも理解されていない節がときどきあるように見受けられます。もっとも安保条約に対する基本的な危惧感と申しますか、敵対意識と申しますか、そういうものは別にしまして、日本の自衛力が三次防等によって計画が定められますと、日本は再び侵略をするのではないかというようなことを聞く人が、単に中共関係ばかりではなくて、いわゆる自由主義圏といわれておるような国々の人からも私聞いたことがあります。そこで日本の憲法では、こういうふうに自衛力以外に出ない、海外に脅威を与えることは不可能なんですというようなことを説明してあげまして、やっとああそうですかというようなことで、ジャーナリストなんかでさえも相当わからない点があります。したがって、諸外国はみな日本の憲法を知っておるだろうと思ったって、われわれは自分で韓国の憲法、台湾の憲法ないし中共の憲法をどこまで知っているかと自問自答しますと、はなはだたよりないようなもので、やはり日本人が自分たちだけでかってにそう思い込んでいても、よその国はなかなかわかってくれないのだということは絶えず政治の衝にあるものは考えておかなければならぬことであります。  したがって、貿易その他で進出するにしましても、日本という国家が全く生まれかわったことが絶えずその言動なりあるいは交渉を通じて明らかにされて、そのワクの中で日本経済的な活動があるのだということの理解につとめること、これは私ぜひとも必要だというふうに考えております。お答えになったかどうかしりませんけれども、一応お答えいたします。
  153. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 そういうふうな意味一つの試金石になるのは、中共に対しても政府間のいろいろ話し合いをしようじゃないかというような姿勢を出す時期に今日きているのではないか。こういうようなことを出すことによって、他の諸国のほうも安心してくるというようなことが起こってくるのじゃないか、こういうふうに思うのですけれども、いま時間もありませんから、この問題はそういうふうな点を要望しましてやめます。  最後に、大蔵省の国際金融局長さんお見えになっておられますか。——現在、日本は三百億ドル近い、もう三百億ドルをこしておりますか、そのくらいの貿易規模になっております。この場合の日本の外貨保有量としてどのくらいの額が適切であるかという問題について、現在何ぼあってどれくらいが望ましいかという問題についてお伺いいたします。
  154. 稲村光一

    ○稲村説明員 ただいまの御質問でございますが、この二月末の外貨準備高を申し上げますと、全部で三十六億三千万ドルでございます。それは内訳といたしましては金及び外貨が三十億一千五百万ドル、それから国際通貨基金に対しますゴールドトランシュと申しますのが四億八千三百万ドル、それから例のIMFの特別引き出し権、SDRと申しますのが二月末現在で一億三千二百万ドルでございます。これが最近の時点におきまするわが国の外貨準備高でございます。  それでは、一体適正な外貨準備高はどのくらいと考えておるかという御質問でございますが、実はある国の外貨準備高がどのくらいあったらば適正であるかということは非常にむずかしい問題でございます。実は世界的にも定説と申しますあれはございません。大体の感じとしては、その国の国際収支、いわば外貨準備高と申しますのは一種の、貿易及び資本取引全体を含めまして、対外取引のバッファーというふうに考えたらいいんじゃないかと思うわけであります。したがいまして、国際収支がどういうふうなフレをするか、つまり、国際収支が赤になったりあるいは黒になったり、そういう場合のフレに対しまして、それをどういうふうにして乗り切っていくかということ。それからもう一つは、非常に関係いたしますのは、国内の国際収支の調整過程と申しますか、国内の経済を健全に運営いたしまして、国際収支のアンバランスを直していくというその手段がどの程度有効に働くか、それにはどのくらいの時間がかかるかというような、こういう問題がありまして、一般論としてはどのくらいが適正であるというあれはないのでございます。最近の西欧先進国などの水準から比べてみますと、ただいまの外貨準備高は総輸入量の約二割五分、二四、五%というところにわが国のは当たっていると思います。それは決して多いほうではございません。二年前の二十億ドルを割るというような事態に比べますと、やっと何とか普通の水準に達したという程度のことであろうかと考えます。
  155. 和田耕作

    ○和田(耕)委員 私はもっとこまかく質問したいと思っておりますけれども、いま本会議の予鈴も鳴ったようですからここでとめますけれども、最後に一言。  いまここで貿易会議の問題として審議している問題、実は私どもが考えている以上に重要な問題を持っておるような感じがするのです。日本貿易の対外折衝の問題としてもそういう問題をもう一つ真剣に考えてみる必要があるのではないか。私はこの方向は間違っておるとは思いません。正しい一つの方向だと思いますけれども、それだけにわれわれが考えている以上に重要な問題を持っておるのではないかという点についての質問を保留しまして、ここで打ち切らしていただきます。      ————◇—————
  156. 天野公義

    天野委員長 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
  157. 天野公義

    天野委員長 趣旨説明を求めます。山中総務長官。
  158. 山中貞則

    ○山中国務大臣 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  この法律案による措置の第一点は、恩給年額の増額であります。  恩給年額につきましては、恩給審議会の答申の趣旨を尊重し、昭和四十二年度までのいわゆる経過措置として昭和四十四年十月に行なわれた恩給増額の際の増額割合を補正するとともに、昭和四十三年度における消費者物価、公務員給与の上昇を考慮し、本年十月分以降、現在の恩給年額の八・七五%増の額に増額することといたそうとするものであります。  その第二点は、遺族、傷病者及び老齢者の恩給の改善であります。  遺族、傷病者及び老齢者の置かれております立場を考慮いたしまして、その恩給について次のような改善措置をいたそうとするものであります。すなわち、その一は、公務扶助料の倍率の改善であります。  旧軍人の公務扶助料の年額を算出する場合における普通扶助料年額に対する割り増し率、いわゆる倍率、四十三・二割ないし二十一・六割を、四十六・一割ないし二十三・〇割に引き上げるとともに、文官の公務扶助料の倍率についてもこれに準じて改善しようとするものであります。  その二は、増加非公死扶助料の倍率の改善であります。  増加恩給を受けている者が公務以外の原因で死亡した場合にその遺族に給される扶助料の倍率は、公務扶助料の倍率の六割程度となっていますが、これを、右の公務扶助料の新倍率の七割五分相当の率となるよう改善しようとするものであります。  その三は、特例扶助料の倍率の改善であります。  大東亜戦争以後、内地、朝鮮、台湾等で職務に関連する事由によって死亡した旧軍人等の遺族に給される特例扶助料の倍率を、増加非公死扶助料の倍率の改善に準じて改めようとするものであります。  その四は、傷病恩給の年額の改善であります。  傷病恩給の年額を、倍率改善による兵の公務扶助料年額の引き上げに準じて改善しようとするものであります。  その五は、老齢者等の恩給年額についての特例であります。  恩給の基礎在職年に算入されている実在職年の年数が普通恩給についての最短恩給年限以上であるものの年額につきましては、普通恩給の年額が九万六千円未満であるときはこれを九万六千円とし、扶助料の年額が四万八千円未満であるときはこれを四万八千円とすることになっていますが、七十歳以上の者及び扶助料を受ける七十歳未満の妻子については、この九万六千円を十二万円に、四万八千円を六万円に、それぞれ引き上げようとするものであります。  その第三点は、琉球政府職員にかかる恩給の基礎俸給の改善であります。  琉球政府職員を退職したことにより恩給を受けている者の恩給年額計算の基礎となる仮定俸給につきましては、本土公務員の恩給との均衡を考慮しまして、その格づけを三号俸引き上げようとするものであります。  その第四点は、南西諸島等において抑留された旧軍人等の在職年に対する加算措置であります。  終戦後、南西諸島、小笠原諸島及び千島列島において抑留された旧軍人、旧準軍人または旧軍属の在職年を計算する場合におきましては、海外において抑留された旧軍人等と同様に、その抑留期間の一月について一月の加算年に準ずる在職年の割り増しをしようとするものであります。  その第五点は、教育職員から文官等に転じた者にかかる勤続加給条件の緩和であります。  教育職員としての勤続在職年が普通恩給についての最短恩給年限以上である場合の恩給年額については、その最短年限をこえる期間についての勤続加給がありますが、教育職員が教育事務に従事する文官等に転任し、さらに引き続いて教育職員となった場合には、前後の同程度の学校の教育職員としての在職は勤続するものとみなして、この勤続加給を認めようとするものであります。  その第六点は、海外拘禁期間に対する加算措置であります。  日本国との平和条約第十一条に掲げる裁判により海外において拘禁された者の在職年を計算する場合におきましては、海外において抑留された旧軍人等についてのいわゆる抑留加算との均衡を考慮しまして、その拘禁期間の一月について一月の加算年に準ずる在職年の割り増しをしようとするものであります。  その第七点は、旧日本医療団職員期間の通算条件の緩和であります。  旧日本医療団の職員であった者で戦後医療団の業務が政府へ引き継がれたことに伴って公務員となったものの恩給の基礎在職年を計算する場合におきましては、普通恩給についての最短恩給年限に達するまでを限度としてその職員期間を通算することとしておりますが、この制限を廃止しようとするものであります。  その第八点は、旧国際電気通信株式会社の社員期間の通算であります。  旧南洋庁の公務員であった者で、同庁の電気通信業務が昭和十九年五月一日に旧国際電気通信株式会社に引き継がれたことに伴い同社の社員となったものにつきましては、その社員期間を公務員期間に通算しようとするものであります。  右の措置のほか、恩給年額の増額措置に伴いまして、恩給外の所得による普通恩給の停止に関する基準を改めますとともに、その他の所要の改正をすることといたしております。  なお、以上述べました措置は、すべて昭和四十五年十月一日から実施することといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  159. 天野公義

    天野委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、来たる十二日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時散会      ————◇—————