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1970-10-28 第63回国会 衆議院 逓信委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月二十八日(水曜日)     午前十時四十七分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 内海 英男君 理事 加藤常太郎君    理事 古川 丈吉君 理事 水野  清君    理事 武部  文君 理事 中野  明君    理事 栗山 礼行君       加藤 六月君    上林山榮吉君       佐藤 守良君    羽田  孜君       浜田 幸一君    三池  信君       森  喜朗君    森山 欽司君       阿部未喜男君    古川 喜一君       相沢 武彦君    池田 禎治君       土橋 一吉君    中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  委員外出席者         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   中山 公平君         日本電信電話公         社運用局長   中林 正夫君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 十月十三日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     黒田 寿男君 同日  辞任         補欠選任   黒田 寿男君     安宅 常彦君 同月二十八日  辞任         補欠選任   鈴切 康雄君     相沢 武彦君 同日  辞任         補欠選任   相沢 武彦君     鈴切 康雄君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  逓信行政に関する調査のため、本日、日本放送協会から参考人出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人からの意見は、質疑応答の形式をもって聴取することといたしたいと存じますので、さよう御承知おき願います。     —————————————
  5. 金子岩三

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古川喜一君。
  6. 古川喜一

    古川(喜)委員 私は、テレビUHF帯移行とそれに関連した問題について、若干質問いたしたいと思いますが、UHF問題の具体的なきっかけとなったのは、一般には昭和三十九年の臨時放送関係法制調査会の答申であるといわれておりますが、政府並びに郵政当局は、一昨年かの九月の当時の小林郵政大臣の発言以来、テレビUHF帯移行について何ら具体的な説明を行なわないまま、過去において多少逓信委員会では質問があったようでありますが、具体的な説明を行なわないまま、これが既定の方針として進められているように見受けられるわけでありますが、このテレビ放送UHF帯全面移行計画を実行するのかどうかということをまず最初に、大臣おいでになりませんから次官にひとつ伺いたいと思うわけであります。
  7. 小渕恵三

    小渕説明員 U移行につきましては、郵政省といたしましてはそれを全面的に実施する方向で検討をいたしておりますが、現在の段階におきましては、実施方法といたしましてVHF帯を必要とする無線通信周波数逼迫状況を勘案いたしまして、地域的に、段階的に設ける必要があろうと考えております。U移行の具体的な実施計画につきましては、目下検討を進めておりますが、UHFテレビ局置局上の技術的な諸問題、視聴者対策並びにU移行に要する経費等問題点を詰めた上で、今後慎重に検討いたしたいと考えておる状況でございます。
  8. 古川喜一

    古川(喜)委員 大体UHF帯全面移行するという考え方のようでございますが、そのいま言われたいろいろの問題を詰めていくということでありますが、その移行するという日程はどのようになされておるのか、移行していきたいが、いま言われたいろいろの問題をただばく然と解決していこうということなのか、日程というものはあると思いますが、あればその日程を示していただきたいと思います。
  9. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  二年前に、当時の小林大臣が十年をめどとして移行をしたいという方針を出されました。私どもは、いま政務次官からもお答えがありましたように、それに基づきましてこまかいその移行計画、そのほかに必要な措置とかいったものを検討しているという状況でございまして、いまのところはっきりと何年度に移行するというところまではまだいっておりませんけれども、大体そういった十年程度のことを頭に置きながら検討を進めている、そういう状態でございます。
  10. 古川喜一

    古川(喜)委員 それは十年をめどとしてということは、当時の小林郵政大臣が発言されたときと何ら変わっておらないわけですが、それからも着着と準備が進められているやに見受けられるのです。いま聞くと、依然として十年がめどであって何年後という具体的なものはないというふうな説明でありますが、実施するとするならばどのような権限法的根拠に基づいてこれが行なわれることになるのか、その点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  11. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  御存じのように電波法におきましては、放送局免許というものは三年という期間がございます。したがいまして、私どもは従来もやってきたわけでございますけれども、そういった三年ごと免許の時期におきまして、周波数変更ということはやってきているわけでございまして、U移行の問題も、そういったことをもとにいたしまして実施したいと考えているわけでございますけれども、何せ相当な経費も要することでございますし、期間も相当かかるということでございまして、その取り扱いについてはさらに慎重に検討していきたい、そういうふうに考えているわけでございます。
  12. 古川喜一

    古川(喜)委員 もう一度はっきりしてもらいたいのですが、どのような権限法的根拠に基づいてこの移行が行なわれるのかということに対して、三年ごとに再免許する、その再免許条件としてですか、その再免許を何でやろうとするのかということなんです。法的根拠
  13. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  再免許の場合におきましては、電波法によりまして普通の免許と同じような審査をいたします。その審査条件の一つとしまして、「周波数の割当が可能であること。」という条件がございます。すなわちその際に、郵政省といたしましては、周波数指定をするわけでございます。先ほど申しましたように、周波数変更をする必要がある場合は、その変更した周波数指定する、そういうことでございまして、そういった電波法の規定に基づきまして周波数変更指定ということをやっていきたい、そういうふうに考えているわけでございますが、ただ従来の周波数指定変更と申しますのは、中波の場合、中波放送局の場合におきまして周波数変更したという具体的な例はございますけれどもテレビの場合におきましては施設自体変更しなければならないということでございまして、その点につきましてはさらに法的な措置が必要になるかどうかといった点も含めまして検討を進めているという状態でございます。
  14. 古川喜一

    古川(喜)委員 このような重大な政策の決定については、移行専門連絡会議というものが設けられ、それには民法から入っておらなかったが、後日加えられましたね。しかしながら、当然視聴者やあるいは研究者、さらには放送労働者意見等をも聞く必要があると思うわけでありますが、この連絡会議の構成だけでこのことを強行していこうというふうに考えておられるのかどうか、その点をひとつ承りたいと思います。
  15. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  おっしゃいました連絡会議と申しますのは、郵政省NHK、それに民放連も加えまして、U移行に際し必要な経費であるとか、あるいは置局をどうするかといったような問題を検討しておるわけでございまして、この協議会だけでU移行を全面的にやるということは考えておりません。
  16. 古川喜一

    古川(喜)委員 専門連絡会議だけで移行する考えはないということですが、この専門連絡会議はいまおっしゃいましたように、各テレビ業者というか、経営者というか、テレビ局が主体となって、費用や何かの問題を検討しておるということですが、それと同時に、私の申し上げました視聴者研究者、さらに放送労働者というのは、移行されることによって、経費負担なりあるいは労働過重なりあるいは合理化なりという問題が起きてくるのですから、連絡会議だけで強行していくつもりはありませんということは、私の言っておるこれらの方々意見をも聞く場を設けるという意味なのですか、どうですか。
  17. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  U移行実施にあたりましては、できる限り視聴者というもの、あるいは放送事業者、そのほかに学識経験者といった方々からの意向も十分聞くようにしたい、そういうふうに考えております。
  18. 古川喜一

    古川(喜)委員 それでわかったわけですが、しかしながら、これはあくまで意見を聞くということでございまして、この計画実施すれば従来の放送体系というものを根本的に変えることになるわけであります。このような重大な変更が、当時の小林郵政大臣が発言されてそのまま通ってきておるように見受けられるのですが、こういうことが一方的に政府決定だけで実施することができるのか、その辺がちょっとわれわれとしても理解できがたい問題であるわけであります。その理解できないことについては幾つかの問題があるわけですが、まず最初に、あとからも申し上げますが、いろいろ抵抗のあるこのUHF移行について、なぜ移行しなければならないのかという一番大きな問題が国民の前に明らかにされておらない。なぜ移行しなければならないのかということを明快にひとつ答えていただきたいと思うわけであります。
  19. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  二年前に小林郵政大臣が発表されましたときにも、その移行する必要性といったことにつきましては申し上げたわけでございまして、現在テレビに使っている周波数帯におきましては、御存じのようにいろいろな重要無線、たとえば沿岸無線電話であるとか、治安維持業務であるとか、あるいは公衆移動業務であるとか、ガス水道、報道その他の公共業務といった重要無線が非常に使われているわけでございまして、こういったVHF帯というものは、そういった業務にふさわしい電波特性を持っておるというわけでございますが、その業務需要というものが非常に増しているわけでございまして、今後十年ということを考えてみますと、とても現在割り当てられているバンドだけではまかない切れないというわけでございまして、どうしてもそういった重要業務に対する周波数の幅が必要になってくるという状態でございます。  一方テレビの問題につきましては、御存じのように数年前からUHF帯というものも開発されまして、現在VHF帯UHF帯と双方使ってテレビ放送が行なわれているという状態でございます。しかも最近UHF帯を受信できる受像機といったものがだんだん普及しているという状態でございます。あと十年くらいかかればUも相当普及するということになりますと、視聴者自体には迷惑をかけないで、VからUへの移行も可能であるというようなところから、このVHF帯をあけてもらって、そのあけたところに重要無線通信需要を満たすということを考えたわけでございます。
  20. 古川喜一

    古川(喜)委員 はっきりしないわけですが、いまのことばの中に、視聴者に迷惑をかけないでということばがありましたが、それはどういう意味でしょうか。
  21. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  現在、テレビ受像機は、VHF帯を受信できるものと、それからVもUも両方できるいわゆるオールチャンネル受信機と、二つございます。最近カラーテレビというものがだんだん普及してまいっているわけでございますが、カラーテレビ受像機はほとんど九八ないし九%くらいがオールチャンネル受像機でございます。それからまた普通の白黒の受像機自体も六、七〇%までがオールチャンネル受像機が製造されているわけでございまして、一方におきまして、先ほども申し上げましたけれどもUHF帯を使うテレビ局というものが最近免許されまして、各地方電波を出しているという状態で、このUの受像機普及がだんだんと進んでくるというわけでございます。したがいまして、あと十年くらいすればおそらく、もちろんこちらで相当指導あるいはPRしなければならぬと思いますけれども、その普及が進みまして、ということは、結局Vを受けてもUを受けてもどちらでもいいという状態が出てくるのではないか、そういった意味におきまして、視聴者に迷惑をかけないでという、そういうことばを申し上げたわけでございます。
  22. 古川喜一

    古川(喜)委員 いまの説明でございますが、あなたは電波監理専門家ですが、放送局経営としては前田会長のほうがあなたよりももっと専門的であろうと思うわけですが、このNHK前田会長の八月五日の談話が七日の日刊合同通信に出ておりますが、その問題点だけを見ますると、U移行問題については、移行が急激に行なわれるのは、視聴者混乱経済的負担をしいることになるということを言っているわけなんですね。前田会長が、Uに移行するということは視聴者に経済的な負担をしいることになると言っているわけなんですが、そうすると、あなたが十年と言うのは、それはなしくずしにしていけば、目に見えないうちにという意味なのかもしらぬけれども経済的負担を与えることには変わりはないと思うのです。  それから、専門家ですからなおさらわかっていると思いますが、コンバーターにいたしましても、そこの県のそこの局だけしか聞けないコンバーターをつけている人もあるわけですから、オールUHFになればコンバーターをかえなければならぬ人も出てくるわけです。さらにまたテレビそのものがオールチャンネルもしくはそういうふうになったとしても、アンテナをつけなくちゃならない。中にはやはりテレビを買いかえなければならないという人も出てくるだろうし、私はこの問題も相当大きな問題だと思うのです。何か年月をかけてやれば視聴者負担がかからないというふうな考え方を持っておられるということはおかしいと思うのです。   〔委員長退席内海(英)委員長代理着席〕  それから前田会長も、このUHF移行国策として決定されれば反対する考えはないと言っておられますが、国策とはどういう意味なのか。たとえばいま自動車新税が問題になっている。あるいは税金が上がるなどの問題は、国の財政をまかなうために必要な財源を得るということで、いろいろ税金問題が論議されてくると思うのです。このUHFの問題は、なぜ移行しなければならないのかということが国民理解をされないまま、しかも国民経済的負担をしいるということになるのです。とするならば、もっとはっきりした具体的な、国民が納得する説明というか、なぜ移行しなければならないのかということを示す必要があると思うのです。ほとんどの国民は知らないままに移行されていこうとしている。しかも十年なりの年月がたてば、その間に目に見えない切りかえをしていけば、何か負担が全然ないがごと考え方を持っておられるというのは私は間違いだと思うのです。その点をどのように考えておられるのか、はっきりしてもらいたいと思う。
  23. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほどNHK会長ことばは、急激にVからUへ移行すれば混乱が起こるだろうということを言われたのだろうと思いますけれども、確かに急激に二、三年先に全面的にUに切りかえるということになりますれば、おっしゃるとおりだと思いますけれども先ほど来申し上げておりますように、相当期間をかけてやりたい、そういうわけで、徐々に国民皆さま負担をかけないような方法でやっていきたいと思っておるわけでございますが、御存じのように現在、先ほども申しましたように、Uの電波を出しておりまするテレビ局というのは、東京を中心とした関東地区と申しますか、それから大阪地方と、そういった二カ所を除きまして、全部Uの電波が出ております。関東でもいわゆる辺地のところは中継局がございますけれども、これが全部Uの電波を出して放送しているという状態でございます。したがいまして、Uのテレビを見たいという方は、やはりそういったオールチャンネル受像機を買われるだろうということを考えておるわけでございます。もちろん私どもとしましては、先生のおっしゃいましたように、この移行計画がもう少し具体化いたしました場合におきましては、当然国民皆さまの御理解をいただくために十分なPRをしたい、そういうふうに考えておるわけでございますけれども先ほども申しましたように、まだこまかい移行のスケジュールというものが検討中でございますので、まだそこまでいっていないという段階でございます。
  24. 古川喜一

    古川(喜)委員 ほんとうに国民負担ということを真剣に考えておられるならば、具体的に計画ができていままさに実施するという段階に入ってからではおそいのです。やはり皆さんが考えておられることをよく——なしくずしに既成事実をつくり上げてしまってからということのほうが多いのですよ。そうならないように、具体的な移行日程というもの、それからなぜ移行しなければならないのかということを理解せしめるというPRがもっと必要だと思うので、その点については十分意を用いていただきたいと思います。  それで、現在では移行しなければならない。そして移行した場合のVHF帯電波はどのように使われるのか。過去のいろいろの論争では軍事目的治安目的のためというふうな説も聞かれる。放送業界の中ではそのようなことが通説だとされておるわけでありますが、この移行に伴ってVHF帯はどのように使われるのかということを具体的に、ここでは説明上むずかしいとするならば書類をもってわれわれにひとつ示していただきたいと思うのです。現在のVHF帯はどのような状態にあって、なぜテレビ部分をあけなければならないのか、そしてあけた部分は何に使うのか、そのことをひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  25. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほどもちょっと申し上げたわけでございますが、現在テレビ以外にいわゆるVHF帯を使っている業務といいますのは、船舶の電話でございますとか、警察のパトロールカーであるとか、あるいは新聞社ニュースカーであるとか、タクシー無線と申しておるようなものであるとか、あるいは電力ガス水道といった公共業務に使いまする無線であるとか、その他非常に種類が多いわけでございまして、もちろん航空機も使っておりますし、そういった需要が今後ますます増加するということのために、こういうことを考えたわけでございます。これが十年先になりますと、おそらく相当な周波数帯になるということで、私どもといたしましてはこまかい計算もいたしまして、どのくらいの周波数帯が必要になるかということを計算しておりますが、大体十年先になりますと、約百メガくらいの周波数帯がそれに必要になるだろうということを想定しておるわけでございます。現在のテレビに使っておりまするVHF帯周波数帯は約七十メガサイクルというわけで、とてもそれだけで間に合わないわけでございますが、その間におきまして技術的な進歩ということもあるわけでございますので、周波数のより有効な、より能率的な使い方ということも推し進めて、そういった将来の重要無線需要に対処したい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  26. 古川喜一

    古川(喜)委員 それでは、現在VHF帯テレビのあけた部分は何に使われるのかということは具体的ではないのです。これからなるだろうというだけの話でございますから、この点は後日でけっこうですから、ひとつ現在テレビに使っている部分移行した分は何に使おうとしておるのかということを書類で回答していただきたいと思います。  ではさらに、今年十二月から東京大阪NHKUHF帯電力実験局実験放送を開始されることになっているわけでございますが、これは移行計画と何らか関係があるのですかどうですか、その点を承りたいと思います。
  27. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  おっしゃいますように、NHKにおきましては東京大阪にUの実験局をつくっておりまして、十二月の末から電波が出ることになっておりますが、これはU移行にも大いに関係があるわけでございまして、先ほども申しましたように、Uの電波が出てないところは東京大阪だけでございます。したがいまして、こういったところにUの電波を出すということによりまして、先ほど申しましたような受像機普及ということにも役に立つわけでございますし、また実際にUのテレビ局置局する場合に、その放送区域であるとかその他の置局につきましての問題も検討することができるというわけでございます。
  28. 古川喜一

    古川(喜)委員 関係あるということでございます。そしてそのことは受像機普及等にも役立つということを言っておられます。先ほどより、具体的になってくれば国民にもっとPRしたいということをおっしゃいましたが、もうすでに受像機普及に役立つ、だから今後の移行にも関係ありということで実験放送を開始しようとしておられるわけですね。そのようになしくずしにずっとやっていってしまうのであって、やらないうちに国民PRをして、そしてこういうために移行しなければならないのだということが、ここでもはや打ち消されているわけなんです。何でも自分たち考えていることを進めていけば、そのうちに国民は黙ってついてくるだろう、納得するだろうということなんですね。どこに事前にPRをしてということがあるのですか。もはや実験に入る、実験に入れば受像機も買わざるを得ないのですからふえていくだろうという考え方なんでしょう。それはどうなんですか。
  29. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  Uの東京大阪におきまする実験局は、あくまで実験でございまして、先ほど申しましたように主目的放送区域調査といったものでございますが、結果的にはUの電波が出るわけでございますので、Uの受像機普及にも役に立つだろうということを申し上げたわけでございます。御説明が少し足りなかったと思いますけれども、しかし、Uへの実際の移行というものはまだ先でございまして、私どもといたしましては、先ほども申しましたようにもちろん国民皆さまPRをしたい、そういうふうに考えているわけでございますが、何せまだ具体的に、それじゃいつからやるかといったようなことは計画が煮詰まっておりませんので、そういった状態でいまのUの電波が出れば普及の一助にもなるだろうということを考えたわけでございます。
  30. 古川喜一

    古川(喜)委員 それじゃいま一つ伺いますが、東京大阪のUの実験放送放送内容はどうなるのですか。現在のNHK放送がそのまま送られることになるのか、別のものがなされるのか、どういう内容になるわけですか。
  31. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  電波が出るのにまだ間があるので、具体的にどういう放送ということをNHKと話し合ってはおりませんけれども、いずれにしましても実験でございますので、特別そのために新しい番組を組むということはあり得ないと思っております。したがいまして、現在NHKがやっております番組であるとか、あるいは過去において評判のよかったようなものであるとか、そういったことになろうかと思っております。
  32. 古川喜一

    古川(喜)委員 では次に移りますが、テレビ放送U移行が国の政策で実施されるとするならば、これはテレビ局側の必要から行なわれるものではないわけですね。とすれば、当然電波法第七十一条が適用されると思うが、その点に対してはどう考えておられるのでしょうか。
  33. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  電波法の七十一条は、「電波の規整その他公益上必要があるときは、」郵政大臣は、その「無線局の周波数又は空中線電力指定変更することができる。」ということでございまして、これは先ほど申し上げました再免許のときに周波数指定するというものとは違っておりまして、この免許期間中に特別な必要性から周波数を変えるということになるわけでございまして、法律にもございますように、そういった場合は損失を補償しなきゃならないということがあるわけでございますが、私どもといたしましては、免許の途中にそういったことをするという考えはございませんので、この七十一条に基づいて周波数指定変更するというわけではございません。
  34. 古川喜一

    古川(喜)委員 そうすると、それは免許の途中でやる場合は七十一条が適用されるべきであるけれども、再免許の際であるならば、それは適用する必要がないということなんですか。
  35. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほど申しましたように、この周波数指定を再免許のときに、従来もやっておりますし、また今後もそういう必要があればやりたいと思っておるわけでございまして、ただ、相当な経費も必要とするということもありますし、また具体的に考えますと、一ぺんで切りかえるというわけにはいかないわけでございまして、きょうVでやっておって、あしたUでやるというわけにはいかないと思いますので、ある程度VHF帯電波UHF帯電波をダブらせて放送しなければならない期間があろうかと思います。したがいまして、そういった場合に、現行の法律のままでそういうことができるかどうかという点につきましても検討いたしておりまして、まだ結論を得てないという状態でございます。
  36. 古川喜一

    古川(喜)委員 それは免許の途中であろうと、免許の更新時期であろうと、国の政策として実施をする、そのために放送局がばく大な費用がかかるとするならば、私はやはり、当然七十一条が適用されるべきである。なぜならば、放送局も営業ですから、多少の金はかかっても、NHKなら聴視料を上げればいいだろうし、民放ならば広告料をふやせばいいだろうしということになるかもしれません。どこからかやはり費用の捻出をしなければならないわけですから、それは結局視聴者国民にしわ寄せがくるわけですから、政府の施策としてやる以上は、私は当然だと思うのです。それを何か幸い再免許の機会であるから、そういうことは必要でないのだといったって、ばく大な費用がかかるわけですからね。まあ切りかえだけでも七百七億円かかるといわれておりますし、いま申しましたように、両方混在期間というものも相当年月あるとするならば、それに対する費用も相当ばく大なものだと思うのです。そういうことがやはり電波料金の値上げに伴って物価の値上げにも影響してくるであろうし、受信料の値上げにも影響してくるであろうし、結局視聴者国民負担がかかるのだということを十分ひとつ念頭に置いていただきたいと思うのです。これはまあ放送関係者は強力な団体でありますから、いろいろ政府に対して働きかけもあるでしょうけれども、一般視聴者大衆というものは何ら施すすべがないわけです。なしくずしにいつしか切りかえられていく。そしてそのことのためにとは言わないが、いつしか聴視料が上がるであろうし、広告料が上がってくるであろうし、物価にはね返るであろう、こういうことを十分考え検討していただきたいと思うのであります。  それと同時に、この移行によって放送局内部では、やはり番組の制作費の削減ということが問題になってくるでしょうし、そのことが番組の質の低下ということになってくる。やはり先ほど申しましたように、どこかで費用捻出をするということになってくるならば、そういうことをも心配される、あるいは放送労働者の労働条件の低下などというものも合理化という名のもとに進められる可能性もあるわけであります。したがいまして、このようなことが現実に出てくるとした場合、どのように対処されようとするのか。聴視料の値上げ、広告料の値上げ、あるいは番組の質の低下、あるいは放送労働者合理化による労働条件の低下などの問題が具体的にあらわれてくるとするならば、どう対処をしようとしておられるか、その点をひとつ伺いたいと思うわけであります。
  37. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほどちょっとことばが足らなかったわけでございますけれども、いわゆる放送局免許というもの自体は、先ほども申しましたように、三年を限度として、免許をしておるわけでございまして、放送局免許を一たんもらった暁には、それが永久に続くという性質のものではございません。したがいまして、電波自体も、波の問題自体も、その三年で免許がおしまいになるわけでございまして、私どもといたしましては、既得権的な考え放送局免許に与えているというつもりはございません。したがいまして、同じ電波をいつまでも使うということを認めているわけではございません。再免許といった機会に、その波をだれに免許するかということを一々チェックして免許しているという状態でございます。したがいまして、この放送局自体が、一たんVの波をいま持っておるから、いつまでもVの波を持つ権利があるという、そういうふうには考えておらないわけでございますので、そういった点、放送事業者といった方々も十分理解してもらいたいと考えているわけでございますが、いま先生のおっしゃいました、そういったVからUへの移行によりまして、いろいろおっしゃりますように確かに影響が出てくると思います。まあそういった点につきましては、私どもといたしましても、まず国民皆さまにできるだけ経費負担にならないようにということを考えまして、長期的な考え方で切りかえをやっていきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  38. 古川喜一

    古川(喜)委員 郵政省当局は、移行に伴う経費調査を各地方電波監理局に命じておられると聞いておりますが、それは事実かどうか。またそういう調査が行なわれようとしておるならば、移行するためにはどの程度の費用が必要であるというふうに認めておられるのか、この点を承ってみたいと思います。
  39. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、地方電波監理的には命じておりませんので、先ほど申しましたU移行の、NHK、民放をあわせました協議会で、移行した場合の経費がどのくらいになるかということを調査しているわけでございます。ただ現在NHKの分は大体線が出ておりますけれども、民放につきましては、まだ民放局から正式の回答がないという状態でございます。   〔内海(英)委員長代理退席、委員長着席〕
  40. 古川喜一

    古川(喜)委員 われわれも、皆さん方で調査された費用というものはどの程度かかるか知りたいと思いますので、NHK並びに民放の調査の資料が出てまいりましたら、ひとつ知らせていただきたいと思うわけであります。  それから、局長は、電波は既得権ではないんだ、三年ごとに再免許するのだから、三年ごとに、極端に言えば取り上げてもいいし切りかえてもいいしというふうにもおっしゃるわけでありますが、私はやはり再免許というものは、その放送局放送局としての任務を果たしているかどうか、過去三年間の実績に基づいていろいろ勧告をするなりあるいは注意をするなりして免許するということが本来の目的だと思うのですよ。それを既得権ではないので、三年たったら、おまえのところはやめて次のだれだれに許可する、そんなものではないと思うのです。そういう考え方でおられるから、簡単に、国民が完全に理解もしておらない、また国民をつんぼさじきに置いたまま、経費のかかる問題がどんどん進められていくということになるわけですから、いま少しそういう点は国民の立場に立って考えて、そういう乱暴な考え方を改めていただきたいと思うわけであります。  そこで、さらに先へ急ぎますが、ことしの十一月はいわゆる再免許の年であり月でありますね。この再免許のときにあたりまして、Uへ移行するということを条件としているのかどうか、あるいは条件としておらないまでも、Uへ移行するということを話し合い、そういうことを理解せしめるという何らかの圧力的なものを加えつつ再免許をしようという態度でおられるのか、その辺をはっきりしていただきたいと思うのです。再免許はただ手続上だけの問題でやろうとしておられるのか、このU移行条件としておられるのか、伺いたいと思います。
  41. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  再免許に際しましては、先ほども申しましたように、Uの移行ということの具体的な計画がまだ検討中であるというわけでございますので、特に条件その他をつけるつもりはございません。
  42. 古川喜一

    古川(喜)委員 では、再免許にあたって各放送局にUへの移行計画書の提出を求めておるといわれておりますが、これは事実ですかどうですか。
  43. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  U移行に対します計画というものは求めておりません。
  44. 古川喜一

    古川(喜)委員 私の調査の間違いか知りませんが、そういうふうにも承っておるわけですが、ないとなればないということにしておきましょう。  次に、最後でございますが、ラジオのFM大電力移行計画が進められているのでありますが、この実施はいつからなされようとしておるのか、そのことを一つ伺いたいと思います。
  45. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  ラジオ、いわゆる中波放送の大電力という問題は、やはり二年前ごろからそういった方針が出されて、その方針について検討を進めているという状態でございまして、まだいつからやるということまでは煮詰まっておらないわけでございます。
  46. 古川喜一

    古川(喜)委員 大体以上で私の質問は終わりますが、この質問を通じていろいろ申し上げましたように、今後のU移行の具体的な際には、専門連絡会議だけではなく、視聴者研究者、さらには放送労働者等の意見もできるだけ聞きたいということをおっしゃいましたが、このことを念頭に置いて進めていただきたいと思います。  さらにまた、視聴者国民に対して、U移行による経費が、聴視料の値上げやあるいは広告料の値上げ、あるいは番組の質の低下あるいは放送労働者の労働条件の低下等にならないように、十分意を用いてこれを進めていただきたい、このことを申し上げて私の質問を終わりたいと思います。
  47. 金子岩三

    金子委員長 武部文君。
  48. 武部文

    ○武部委員 私は、きょうは放送モニターの件のみについて郵政大臣の見解をお伺いいたしたいと思います。  去る十月九日に郵政大臣は、放送番組モニターの設置を記者会見で発表されました。いろいろ反響があるようでありますが、まずこのモニター制度を設けようという目的は一体何なのか、最初にそれをお伺いいたしたいと思います。
  49. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 まだモニター制度をどういうふうに運営をしていくかということについては、十分には煮詰まっておりません。しかし、いまのお尋ねは一番の本質的な問題でございますが、御承知のように電波行政を管轄をしております立場からいたしまして、放送の実態というものを的確に把握をしなければならぬと思うのでございまして、その主たる内容であります番組というものについて、それぞれ放送業者からの報告等は取っておりまするものの、国民の側においてどういうふうにこれを受けとめておられるかということもやはりわきまえておりませんと、行政をやっていく者として怠慢のそしりを免れないのではないか、こういうことからいたしまして、このやり方というものはいろいろ考究の余地はあろうかと思いますが、行政のたてまえからいたしましてよく実態を知悉したい、こういう念願から出ておるような次第であります。
  50. 武部文

    ○武部委員 一説で、このモニター制度は憲法に保障する表現の自由を侵すものではないか、あるいは番組編集の自由を定めた放送法第三条を侵すものではないか、こういうような意見が出ておるようでありますが、このことについて郵政大臣はどのようにお考えでしょうか。
  51. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私も、あの発言以来いろいろな反響が出ておりますことを注意深くは見守っておるつもりであります。しかし、もともとこれをもってして役所が放送内容に関与しようといったような気持ちは毛頭ないのでありますから、いまおっしゃるような、これが憲法に抵触するとかあるいは言論の統制につながるとか、そういうふうな大それたものでは決してない、こう存じております。
  52. 武部文

    ○武部委員 このことはあとで論争いたしたいと思いますが、そうすると、目的としては国民考えを把握したい、知っておきたい、監督官庁の責任者としてそういうことを知っておきたいというのが、この制度を設ける目的だということをいまおっしゃったわけですが、そうすると行政機関である郵政省がモニター制度をつくるということは、一体その権限は何なのか、法的な根拠は何なのか、そういう根拠は一体何に基づいてこういうことをおやりになろうとしておるのか、それをひとつお伺いいたしたい。
  53. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 特に根拠法規をどうこうというふうなぎごちないものでなく、政府といたしまして与えられた任務を果たしまする上において、所管行政に関連しまするいろんな事実、あるいは国民皆さま意見なりあるいは考え方、これを的確に把握をしてまいるということは、私は当然の仕事であろうと思うのでございます。したがいまして、国民の貴重な財産でありまする電波を、公共の福祉を増進するために有効かつ適切に使用してもらうということが、行政に与えられた責務であろうか、こう存ずるのでございます。そこで、放送法及びこれに基づく関係規則に基づきまして、放送番組に関するいろんな規定が設けられておりますが、この規定を十二分に施行をしていくということを確保するのが郵政省の責任でございましょう。そういう観点から、国民の皆さんが放送番組、その内容についてどういう評価を持っておられるか、この実態を把握をしていくということが、与えられた行政任務としてやらなければならぬ当然の仕事ではないか、こういう発想に出ておるわけであります。
  54. 武部文

    ○武部委員 そうすると、法的な根拠はないが行政の責任者としてそういうことを把握するのは当然の責任である、ただ、いまちょっとお述べになったわけですが、放送法その他の法規を守っていくためにやはりどのようなことが行なわれておるかということを知りたいんだ、こういうお話の内容でございます。三十七年に臨時放送関係法制調査会が的置をされて、四十一年の三月に国会に提出をされました放送法の改正案、これは放送世論調査委員会の設置を内容としたものでありますが、この内容は、私どもの当時の内容検討の結果を申し上げますと、その骨子は、世論調査の結果、放送事業者もしくは公衆に対して放送番組を推賞し、または放送事業者に対して番組編集に必要な勧告をすることができる。勧告を受けた放送事業者は、これを尊重して必要な措置をしなければならない、こういう内容を持っておったわけであります。これは当時、法律上の組織だから、たとえ放送界に自主設置をもたらすものだということを言ったにしても、これは郵政省の隠れみのだというような意見がいろいろ出て、四十一年六月にこの法案は廃案になったわけです。流産になってしまった。したがって、私どもは当時の、四十一年六月に廃案になった放送法の改正案、これと今度のモニター制度が同一のものとは思いませんが、少なくともこの放送番組のモニター制度というものは、形を変えた当時と同じような郵政省の隠れみのになるのではないかというような懸念を実は指摘をされるのは当然だというふうに私は思うのであります。  したがって、これから具体的にお伺いいたしますが、そうすると、先ほど目的なりあるいは根拠なりの点で大臣が答弁をされたわけですが、このモニターの結果が出た場合、その結果をあなたのほうとしてはどのように利用されようとしておるのか。この点はどうでしょう。
  55. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これはさっき申し上げましたように、どういう方法でやるかということをもう少し煮詰めなければなりますまいが、それによって得ました結果をどういうふうに分析をするか。これは、役所においてはそれぞれ関係の係官が一つの判断をする。これはときによっては主観的になるかもしれません。その場合、もっと客観的な価値判断というふうなものを国民の間から求めることによって、それと比較照合してみる。そうしてこれを参考指針とでもいいましょうか、そういうことにしてまいるならば、ひとりよがりになるような判断が是正をされるという効果もございましょう。したがいまして、これを外部に公表したり、あるいはこれをもって業者のほうに示してこうこうかくかくであるといったようなことまでをしようというふうには考えておりません。
  56. 武部文

    ○武部委員 非常に抽象的な答弁のようですが、私は、行政官庁が何かやるということは、少なくともその結果を行政上どのように有効に使うかということが前提でなければ意味がないと思うのです。いまの話を聞いておりますと、役所の役人がそれを判断して参考にするだろう。参考にするということは何に参考にするのか。たまたま十月九日大臣が言明をされた記者会見というのは、再免許方針について説明をされたその席上でこのことに触れておられる。再免許の今後の方針についてあなたが何項目かについてお触れになったそのあとに、このことにお触れになっておるわけですね。そうして二千万円かの予算を四十六年度に要求をしたということをおっしゃった。この予算の要求は八月でありますね。それを十月になって、それも再免許方針説明する記者会見の席上で触れられたということは、再免許の今後の条件の一つにこのモニター制度を活用する——いまの大臣の言明ならば参考ということをおっしゃったけれども、そういうモニターの結果を利用しようという考えがある、このようにとられてもしかたがないと思うのです。この点はいかがですか。
  57. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 モニターの問題はこれからでございまして、その前提としては予算措置ということがあります。したがって、これは実際行なわれると申しましても来年度のことになるでございましょうし、また当面は一種の試行的な試みということに考えておりますから、再免許と直接関連というものはございません。たまたま再免許の時期を前にしておりますもので、何かこう関連を持って意図があるようにお受け取りになられたかもしれませんが、これはたまたま自然発生的に出たような話題でございまして、それと再免許とは関連がないということを一つ申し上げておくわけであります。  それから、これは予算に関連がございますから、八月末の概算要求のときにこういう話題も出てしかるべきだった、こういうふうにあるいはお考えになっていらっしゃるかしれませんが、それがたまたまあの八月の場合は、大体主たる項目について大蔵省と折衝しておるということを表明をしたというのでありまして、その中からは申し上げるのが落ちておったとでもいいますか、少し時期がおくれてたまたま同じ会見の席でそういうことに言及をしたのだ、かように御了解をいただきたいと思います。
  58. 武部文

    ○武部委員 いろいろお答えになったわけですが、私は、やはりこのモニター制度を大臣が設けたい一あとで申し上げますが、番組については私ども意見を持っております。持っておりますが、過去のいろいろな事例、先ほど憲法の問題なり放送法の第三条のことを申し上げましたが、こういうことは非常に論議を呼んでいる問題であります。その際に、行政官庁である郵政省がモニター制度をつくるということのねらいは一体何なのか。これはマスコミでは、官製モニターということばをしばしば使っておるようでありますが、官製モニターということばを使ってもいいと思いますが、それは一体何のためにやるのかということをお伺いすると、ただ、参考だ、判断だということをおっしゃるわけです。それをどのように行政上に活用するかということはこれからの検討事項だとおっしゃる。そうすると、私がさっき申し上げるように、少なくとも行政官庁が国の金を使ってこういうものをつくる以上、何らかの目的がなければならぬ。ただ単に参考的にひとつやってみるのだというようなことでは、これは理屈に合わぬと思うのです。そうなってくると、いまの番組にはいろいろあるのだから、それを規制しようという意図がその裏にある。なしくずし的にそうなるんじゃないか。四十一年六月に廃案になった、ああいうものの肩がわりではないかというふうにとるということは、私は当然あると思うのです。そういう意味で、いまのお答えのいわゆるモニターの結果をどのように利用しようとしておるのかということについての大臣の言明は、非常に抽象的で、私はよくわかりません。わかりませんが、やはりそのように思わざるを得ないのであります。  そこで、時間の関係で先を急ぎますが、私はいまの放送番組が視聴者国民の期待に十分こたえておるものとは思いません。特に番組の低俗化あるいは番組の退廃化というようなことがすでにいわれておりますが、こういう原因は一体何だ、このように私どもはお互いに考えてみなければなりません。その最大の原因は、放送事業者が視聴率競争にうき身をやつしておる、いわゆる視聴率を高く上げればいいんだというような、そういう競争にうき身をやつして、自分たちの持っておるところの社会的あるいは公共的使命を忘れておるのじゃないかというような点を指摘してもいいのではないかとさえ思うわけです。そうなってくると、一体、こうしたことは突然起きた問題ではないわけです。これからお尋ねをする放送番組審議会、その他のものが設けられておるわけです。そういうものが一体どのような活動をしてきたのか、実績をあげてきたのか、こういう点についても、私は今度のあなたがお投じになった一石は、ある意味においては効果をあげていると思うのです。これは新聞の投書等全部読んでみても、賛成の方もあるようです。また、反対の方も非常に多い。その中で放送番組審議会は一体何をしておるのか、あるいは放送番組センターは一体何だ、番組向上委員会は一体何をしたのかというような意見がいろいろ出ておるようであります。  そこで、これに関連をしていろいろお伺いいたしますが、放送法第四十四条の三の規定によってつくられておるところの放送番組審議会、このものは一体構成はどのようになって、権限はどのような権限を持って、そうして今日までどのような実績をあげてきたのか、この点についてひとつ郵政省の見解をお聞きしたい。
  59. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  放送番組審議会は、いま先生がおっしゃいましたように、放送法の第四十四条の三、四十四条の六及び五十一条の二の規定によりまして、NHK及び各一般放送事業者について設置することが義務づけられておるわけでございまして、その目的は、放送番組の適正をはかるということに尽きると思いますが、NHKの場合は、国内放送とそれから国際放送とあるわけでございますが、国内放送の番組審議会は、中央の番組審議会と地方の番組審議会に分かれておりますが、中央の番組審議会は委員が、十五名以上、地方番組審議会は委員が七名以上をもって構成されておりまして、中央番組審議会の委員は、学識経験を有する者のうちから、経営委員会の同意を得て、会長が委嘱し、地方番組審議会の委員は、学識経験を有する者であって、その地方番組審議会にかかわる地域に住所を有するもののうちから、会長が委嘱するということになっておるわけであります。一般放送事業者の番組審議会も、同様に委員が七名以上をもって組織されておりまして、委員は学識経験を有する者のうちから、一般放送事業者が委嘱するか、あるいは放送事業者の役員または職員を、三分の一以内はその委員に充てることができるということになっておりまして、大体におきまして月一回、年にしますと十回前後といったところが各番組審議会の開催の回数でございまして、番組審議会といたしましては、放送番組の適正化をはかるということを目的にして、個々の番組についていろいろ審議しておるという状態でございます。
  60. 武部文

    ○武部委員 放送番組向上委員会、この任意団体、これはNHKと民放でつくらされているわけですが、この放送番組向上委員会は今日までどのようなことをしてきたのか、実績はどのようなものがあるのか、また財源は一体どのくらいあるのか、これをひとつお聞きしたい。
  61. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  放送番組向上協議会というものがございまして、その中に放送番組委員会というものがあるのでありまして、この協議会自体は、NHKと民間放送連盟の二つから現在のところなっております。現在ございませんけれども、会員としましては、その他の放送事業者が中心として組織する団体または法人がなることになっておりますが、現実的にはNHKと民間放送連盟、そういうものの二つからなっております任意団体でございます。現在、会費としまして、NHKは一月に百万円、民間放送連盟は一月に六十万円というものを出しまして、この協議会の活動を行なっているというわけで、放送番組の向上といったことにつきまして、世論を検討し、放送事業者放送番組向上に関する自主的努力に協力し、放送倫理の高揚と放送文化全般の発展に寄与することを目的とするということになっておりまして、現在、役員は理事が九名以内、監事二名といったようなことで、大体NHK関係、民間放送連盟の関係の方が役員になられまして、月一回以上の会議を開きまして、世論が問題としているような番組の改善策や問題点を討議し、それからまたそういった見解を放送事業者に反映させるようにつとめているという状態でございます。
  62. 武部文

    ○武部委員 それでけっこうですが、私がお伺いしたいのは、この放送番組審議会なり放送番組向上協議会の中の委員会等が今日までそういうような財源をもとにいろいろ協議をし、建議をしておるけれども、その協議会なりが実績をあげておるというふうにあなたは、郵政省は思っておるのか、何か効果があったのか、それを聞いておるのです。
  63. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、この放送番組審議会あるいは放送番組向上委員会といったものは、それぞれ活動しているわけでございますが、まあ必ずしも完全な——完全なといいますか、番組審議会にしましても数が限られておりますし、まあ忙しい委員さんが多いわけでございますので、放送番組の全体を聞いて批判するというようなことはやってないようでございますので、必ずしも所期の目的を十分達成している、十分効果をあげているというふうにはいえないのではないか、そういうふうに考えております。
  64. 武部文

    ○武部委員 一言でいえば、役に立っていないということをあなたはおっしゃりたいと思うのですよ。それだからモニター制度もつくってやろうという。その辺をやはりはっきり私は言ったほうがいいと思うのですよ。そうでないと、ちょっとあとの議論にならぬのです。放送番組審議会とかあるいは向上協議会とかいろいろなものがあるけれども、忙しい人や老齢者がいろんな人がおってどうもあまり役に立っておらぬ。役に立っていないから番組が低俗化をし、あるいは退廃化をするのだ、それだから国民の声を聞いて郵政省は何とか考えなければいかぬ、こう思ったとおっしゃれば、それで話はよくわかるのですよ。そのようにお考えならお考えのようにおっしゃっていただければけっこうなんですけれども、それを、どのようにモニター制度をこれから活用していくかということを実は聞きたかったのです。ところが、それはまだ先のことでわからぬ、抽象的だとおっしゃるが、それは非常に危険があるじゃないか、こう私は反論をしたい。端的にいえばこういう論議なんです。非常に簡単なんですよ。  そこで、マスコミなりいろいろと賛否両論出ておるわけですが、こうした番組審議会なりあるいは向上協議会なりというものがもっと真剣に活動をして、そうして番組の向上のために努力をするという、民放自身にそうした責任を感じさせるような国民世論の動きというものが高まってきつつあるのではないか、私はそう思うのです。そういうことでおる現在、官製モニターというようなものはむしろ危険な様相を持っておる。まだ白紙の状態だとおっしゃるが、白紙の状態ならばなおさら危険だと私は思う。  そういう意味で、時間の関係で先を急いで申し上げたいと思うのですが、さっき大臣はいろんな内容をよく知っておきたい、国民が何を考えておるかということも把握したい、こういうことをおっしゃった。私は手元に持っておりますが、ことしまでの約一年間に、ここに七つの世論調査の表がございます。これは視聴者会議、番組向上委員会、暮しの手帖、地婦連、家の光、読売テレビ、これがこの過去一年間にそれぞれ世論調査をして「テレビ番組の好悪調査にあらわれた悪い番組十位」というようなものを発表しております。この内容をずっと見ますと、相当広範にわたって、沖繩までひっくるめた調査をしておるようであります。それから、これはごく最近の暮しの手帖でありますが、これも非常に詳しく、特に教養、報道部門についての調査をいたしております。これではNHKニュースが特にやり玉に上がっておるようでありますが、そういう調査が非常に詳細に出ておるのであります。  この内容検討してみますと、国民がどの番組が悪いかどの番組が低俗化してどの番組が退廃をしておるかということは、大体この数字がほぼ一致するのであります。こういうものはすでにマスコミを通じて私どもの目に入っておるわけです。何もいまさらモニターをつくって、そして東京周辺だけでそういうものをやろうとするのか、私は理解に苦しむのであります。こういうことがすでにあらわれておるのであります。郵政省は御承知かどうかは知りませんが、私は、ある雑誌からこれを切り抜いて、きちんとした表になっておる、それを承知いたしております。こういうように世論はすでにいまの番組というものが必ずしも国民の期待なり要求にこたえていないということをよく承知しておるから、こういう調査にはっきりとあらわれてきておると思うのです。  こういうようなことを考えていくと、私どもがいま放送事業界に望むことは、この番組審議会なり向上協議会というものが国民世論の期待にこたえて、放送事業者が、冒頭に申し上げるように視聴率競争にうき身をやつすというようなことではなしに、徐々にでもそういう姿を変えていくという傾向が、私は国民の名においてそれは必ず実現できると思うのです。またしなければならぬと思うのです。そういう意味で、今回郵政大臣が言明された放送番組モニターというものは、憲法なりあるいは放送法の精神に違反をするようなことになりはしないか、こういう懸念を持つわけであります。  さらに、この問題が起きてから、いろいろ新聞の投書なりあるいはマスコミのことを私はずっと見たわけですが、こういう投書がございます。現在の自主規制が有名無実ならば、国の規制構想——郵政大臣のようなの歯の規制構想というでしょう——その前に、第三者の強力な番組是正機関を設けて、スポンサーにもの言えぬテレビ局や自主規制をしているという諸機関から番組是正の仕事を取り上げて、私たち国民の手で行なわなければならぬのではないか、こういう投書がございました。それからある一つは、現在郵政省が持っておる電波行政を政府から完全に独立した機関に譲り渡すように要求すべきではないか、もう現代の国家では電波権限は独立した機関に移すべきではないかという意見があります。それから、これは一部でありますが、電波放送行政を同じように政府から独立させるための公選制の放送委員会の設置、あるいは放送の現状改革のために国民各階層の代表からなる番組委員会を新設したらどうだ、こういうような意見もあなたがモニター制を発表されてから出ておるわけであります。  このように電波についての国民の目というものが非常に広まってき、世論が高まったということは、私はプラスだと思うのです。そういう意味先ほどから取り上げた、こうしたすでにあらわれている世論、こうしたものを私どもは国会の場を通じて、こうした席上を通じて、われわれがお互いに論争することによって、番組の問題は徐々にでも解決をしていくのではないだろうかという気持ちを持っておるわけですが、郵政大臣の見解をひとつお伺いしたいと思います。
  65. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私も武部委員の御発言を非常に敬意を持ってお伺いしておるわけであります。この私の発言が端緒となりまして、いろいろな意見が私のところへももたらされます。大いにわが意を得た、しっかりやれ、こういう議論もきております。しかし、私、決してそれに調子に乗るというつもりは毛頭ございません。現実、番組に対していろいろな批判があることは武部さん御指摘のとおりであります。これをいかにしてよりよきものにしようかという念願においては、あなたも私ももう変わりがないわけであります。そういう次第でございまして、今回のことが一投石になったということは、武部さん御指摘のとおりであります。  そこで、実際問題として、いかなるものがよき番組であるかというスタンダードは、設定するにたいへんむずかしい問題だと思います。およそ文化国家といわれておるもののそれが鏡に映って、実体はもうよきもあしきもるつぼの中に燃えたぎっておるというようなものが実情であるとすれば、それがやっぱり鏡に映ります。それではそれをそのままほっておいて、おのずからそこに世論の動きというものがあるであろう、そういうものにまかせたらどうであろう、こういうお話は、私は筋としてはそのとおりだと思うのでございますが、一方において、いまわれわれの考えておるような行き方も、一つの理想を求めようとする一助であるに値するものであろうかと、こういうことでございまして、これのやり方はよほど慎重を期さなければなりますまいし、私も戦前あるいは戦中におけるあのうっとうしい言論の不自由であった時代を承知しておるつもりでございます。したがいまして、これを運用するにあたりましては、先ほど来御指摘になるような注意を十分に払いながら、このやり方をどう持っていくかということにただいま心を砕いておる、かように申し上げる次第でございます。
  66. 武部文

    ○武部委員 先ほど私は、放送番組向上委員会のことも申し上げたわけですが、これもおそらく大臣お読みになったと思うのですが、これも新聞に出ておったわけですけれども委員をやった人が一年間でやめた。ばかばかしくてやっておられぬ、こういう記事が載っておりまして、私もちょっとここへ書いてきましたが、この人は一年間委員をやってみたが、実際は映倫なんかと違って何の権限もないことがわかった。ばかばかしくなって一年でやめてしまった。ところが、この人はこういうことを言っておるのです。モニター制度なんかつくっても同じように意味のないことだ、番組審議会さえしっかりすれば低俗番組なんかすぐなくなるはずだ。これは、彼は一年間自分でやってみて、ばかばかしくなってやめてしまったということを言っておるようですね。そういうようなことも出てきた。ですから、モニター制度についてあなたがお述べになったことは、あるいは業者の自粛を求めるアドバルーンとしては効果をあげたかもしれません。どうもある意味においてはあげたようですね。私は、それ以上はもう必要ないと思うのです。さっき申し上げたこの暮しの手帖の内容なり一これはNHKはぼろくそにやられておるのです。NHKの報道番組に対して、ものすごい批判がある。私はこれを読んでみてちょっと意外に思ったのですが、それは国民各階層の中には、いろんな見方があるでしょう。ですから、必ずしも世論をあれした結果が妥当なものとは思いません。私は、ちょっといかがかと思いますけれども、しかし、この七つの番組の表の中にあらわれたものは期せずしてほとんど一致をしておる。こういう点は国民はやはり見るべきものをちゃんと見ておると私は思うのです。そういう意味で、確かにアドバルーンとしての役目を果たしたと思うのですが、それ以上モニター制度について、あなたのお考えがいまだに抽象的で、それをどのように行政に反映するかということについての確固たる意見もないようであります。そうすると、われわれがおそれておるような官製モニターというような道を歩んで、そして三十九年のあの答申に基づいた放送法の改正にすりかえた内容にいくのではないかという懸念を私どもとしては持たざるを得ないわけです。そういう意味から、今回の放送モニターの大臣の言明については、私はこれを容認するわけにはいかないのであります。  ただ、おっしゃるように、これからのものだとおっしゃるわけですから追及できないわけですけれども、いろいろ内容を聞いてみると、参考にするということをおっしゃるならば、参考は何のための参考か、これは当然再免許のための参考におやりになるのではないかと思わざるを得ないのです。これは、これからのことですから、いろいろと突っ込んで話ができませんが、そういうような危険な方向をたどるのではないか、いま大臣がおっしゃったような戦前のことも、私どもは経験をいたしておりませんが、直接経験のあった大臣がそういうことをおっしゃるならば、そういう面からも十分な一つの考えを持たなければならぬのじゃないか、私はそういうふうに思います。  そこでさらにお伺いいたしますが、モニターの選び方というようなものは、新聞に出ておったのでよくわかりましたが、構想として今回は三百人のうち百五十人ずつ二回に分けてやるというようなお話のようでありますが、将来大規模な全国的なモニター制というものをお考えになっておるのかどうか、それはどうですか。
  67. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 さっきも試行ということばを使いましたが、将来そういう大きな綱を張りめぐらすというところまで現在においては考えておりません。私、いまさっき言い漏らしましたが、世論調査ども注意をして見ております。ただ、一時的なといいましょうか、あるいは何かのトピックがありましたときに、それに非常に影響されるというふうなことも世論調査にはあろうかと思うのです。今回考えておるやり方でまいりますと、継続的にといいましょうか、体系的にといいましょうか、そういうものが鏡に映ってくるというような長所もあるかと思うのでございまして、これは先ほど来申し上げるように、十分な注意を払ってやらないといけない。この点は私は一番基本に考えながら、さらにこれをどうやっていくかという内容については、御意見等をも十分に参考にしながら練ってまいりたい、こう思っております。
  68. 武部文

    ○武部委員 一応の大臣の考え方はわかりましたが、さっきから言うように、私は番組の低俗化なり退廃化ということについては、たいへん関心を持っている一人であります。ただ、そのことにかこつけて官製モニターというか、そういうようなものが出て、そしてそれがいわゆる言論統制というものに結びつく危険性があるのではないかということの懸念から大臣の見解をただしたわけであります。いろいろ聞きましたが、抽象的な御回答も多かったようでありますし、また、これから十分検討するということでございますから、これ以上のことは私はわかりませんが、ただ、きょうわずかの時間で私が申し上げた内容について、私は私なりにいろいろ検討を加えてみたわけであります。その結果は先ほど申し上げた意見のとおりであります。で、これはやはり危険な方向にいくのではないかという懸念は、私としてはいまだに持っておるわけであります。  いずれまたあらためてもっと具体的な問題について論議をしてみたいと思いますが、この法的な根拠は何らない、そしてそれをどのように行政上活用するかということについても、これは白紙というか検討してみようということでございますから、これ以上の質疑はできないわけでありますが、いずれにしても、このモニター制度というものの投げかけた波紋というものは非常に大きいのであります。それは国民世論に必ず何かの影響を与えるだろうということの評価は私はいたしますが、それ以上のことは必要ないのではないかという考えを持っておることを最後に申し上げておきたいと思います。  大臣の何か時間の関係があるそうでございまして、同僚議員からもこの問題で大臣に質疑をしたいということがございましたので、私の時間をこれで終わりたいと思います。
  69. 金子岩三

    金子委員長 中野明君。
  70. 中野明

    ○中野(明)委員 ただいま武部委員からいろいろとモニターの問題についてお話がありました。大臣の考え方も大体わかりましたですが、私も、どうしてもこの問題については非常に疑問を持っておる一人であります。と申しますのは、いまの議論でも出ておりましたように、郵政省のほうでモニターをつくられて、その結果を集約されるとなりますと、その結果を何かに使うという目的を持ってやられるに違いない。これはもう当然だれしも考えることです。そうしますと、放送免許権を持っておられる郵政省であるだけに問題が大きいと思います。この点、先ほどの議論でも出ておりましたように、番組審議会あるいは番組向上委員会、これについてどういうお考えを持っておられるのか、大臣のほうからこの点を最初に私お伺いしたいわけです。そして先ほども武部先生おっしゃっておられましたように、番組審議会が何の役にも立っていないとするならば、せっかく放送法できめられている非常に自主的な合理的な組織なんですから、これが機能を発揮するようにすることが先決問題じゃなかろうか、こう思うわけです。この点について大臣のお考え最初にお聞きしたいと思います。
  71. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 番組審議会ないしは向上委員会、それぞれの機能を持ち、そしてその効果もあげておる点は認めるにやぶさかではございませんが、先ほど局長も言いましたように、これが十分であるかという点になりますと、まだそこまでの評価はでき得ないのではないかと思うのです。たとえば回数などもよく検討してみますと、業者によってまちまちであって、規定された回数を開いていないというふうなのもあるようでございます。あるいはさっき武部さん言われたように、スポンサーの関係等から視聴率というところに主としてウエートが置かれておるというふうな弊害もあろうかと思いますが、私はこれはこれなりにその機能を十分に果たすような、そしてもし行政指導が許される範囲においてはそれもやらなければならぬのではないか、かように考えております。そしてこれが十分に機能すれば、何も事新しくモニターというふうなものは必要ないではないかというお考えのようでございますが、私ども役所の立場といたしまして、やはり行政の責めに任ずる立場からいたしますときに、主観的にものを見てだけいっては危険もある。そういう場合に客観的な国民の皆さんのおおよその平均的な見方はどうか、これもあわせ把握しておくということが行政をする者の立場にとりましては当然なことであろう、そして両々相まって効果が生まれるのではないか、こういうふうに考えております。
  72. 中野明

    ○中野(明)委員 いまのモニターの問題でございますけれども、これはモニターの選び方にも問題がありましょうし、どっちにしましても出てきた答えがはたしてどうかということにつきまして、これまたいろいろ議論があると思います。ですから、私ども放送の監督官庁である郵政省がそれをやるということに非常に抵抗も感じます。そしてまた問題を感じるわけです。ですから、モニターの結果をただ参考にするとだけおっしゃっても、その出てきた答えがはたしてすべての意見を網羅しているかどうか、あるいは片寄った答えが出るかもしれない、そういうことになりますと、なおさらこれは問題を起こしてくるわけです。ですから、いま放送法できめられているこの番組審議会、ほんとうに行政指導の及ぶ範囲といまおっしゃっておりましたが、その面にいままで努力がなかったんじゃないか。こういうふうな問題が騒がしくなってきて、いまごろからそういうことを云々されるということ自体、私ども非常に残念なんです。せっかく番組審議会があるのですから、これをいままでのことはいままでとして今後強力に機能を発揮するように行政指導をなさったら、この問題は解決する。大衆は愚にして賢なり、ということばもありますけれども、ほんとうに世論というものを、私はいままでの番組の傾向を見ておりましても、やはりあまりにも批判の強い番組は必ず順次姿を消していっているという傾向を感じております。ですから、そういう点につきまして、このモニターをここでどうしてもつくられるということ、それをまた免許更新前の時期に発表された。先ほどお話が出ておったとおりです。そういう誤解を持たれるということ自体、そうしてまた大臣のお話では、何か非常にこのモニター制度の結果についても注意をしながらやっていかなければならぬ。最初からそういう心配のことはおやりにならぬほうがいいのではないか、それよりもほかの方法でなさったほうがいいのじゃないか、私はこのように強い考えを持っております。いま、まだ具体的なことになっておりませんので、この以上何とも申し上げられませんが、このことを私、モニターに関して一点申し述べておきたいと思います。  それで、大臣の時間がございますようですから、あと二点ほどお伺いをしておきたいことがあります。  それは先日、私も非常に放送免許行政についてこの席でいろいろ大臣にも要望もし、疑問も投げかけた問題がありますが、そのことについて一点だけ最初に確認したいのです。FM東海、これが不法電波を発射した。それに対して郵政省として、これはたいへんなことだというわけで告発されました。その告発されたときの気持ち、もう不法電波を発するということは、これは電波法の違反では一番大きな問題です。それについてのお考えというのはいまも変わっておらないかどうか、この点お伺いいたします。
  73. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 おっしゃる点、そのとおりだと考えています。
  74. 中野明

    ○中野(明)委員 何か私、お聞きしますと、この不法電波の裁判は起訴猶予ですか、そういうふうになったように聞いていますが、この点、そのとおりでございましょうか。
  75. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 局長から申し上げます。
  76. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省が告発いたしましたFM東海の問題につきましては、先般検察庁のほうから起訴猶予であるという通告がございました。
  77. 中野明

    ○中野(明)委員 そういたしますと、これは過日法務委員会で、当時の郵政大臣でありました小林現法務大臣、この方も、これは非常に納得がいかぬというようなことを現職の法務大臣が発言なさったということを私、承知しております。非常に問題だと思うわけですが、そういうことになりますと、先ほど大臣もおっしゃったように、不法電波の問題については、これは一番放送の上では重要な問題ですから、その気持ちはいまも変わっておらぬ、こういうことになるならば、一応検察審査会というものがございますが、どうですか、検察審査会にかけてくれというだけの気持ち、それがあってしかるべきじゃないか、そういうふうにぼくは思うわけです。それを起訴猶予になったらもうそれで終わったという考えじゃなしに、いまもなおだれしも不法電波——何か起訴猶予の理由としていろいろのことがあげられておったようです。向こうが反省しているとか、郵政省の配慮があったとかというようなことも言ったようですが、そういうことを聞きますと、なおさらこの不法電波に対する姿勢、態度が甘いんじゃないか。不法電波ということになると、この点については徹底的にきびしい姿勢で、検察審査会にでもかけて追及していく、そういう姿勢があっていいと思うのですが、大臣、この辺どうでしょうか。
  78. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 この問題は、中野さん前回もお触れになりましたが、相手方が十分に反省をし、その後忠実に行政指導に服しておる、こういう実態をにらまえまして、一たび司直の御判断をわずらわしたという点、いま話題のような起訴猶予という決定が出たわけでありますから、まあこれは相手の態度等にもかんがみまして、今回検察の御決定に服する、こういう結論に相なっておるわけであります。
  79. 中野明

    ○中野(明)委員 私が心配しますのは、確かに大臣のおっしゃるのもそのとおりだと思いますが、今後こういうことが事例になって、不法電波が発射されても結局起訴猶予になってそれでおしまいなんだ、あるいは反省すればそれで済んじゃうのだ、こういう気持ちになることをおそれるわけです。そうしますと電波の行政というのは根底から乱れてくる、こういうことになります。その辺を心配して、こういういまだかつてなかったようなきびしい態度で臨んでおられたわけですから、やはり検察審査会あたりにかけてでもきびしくしていくという姿勢、これがあったほうがいいのじゃないか、私はこう考えていま御質問しているわけです。  それから、きょうは時間がございませんので、この問題についてはいずれまたの機会にお話しすることになると思いますが、もう一点、FM東京免許がおりました。そのことについて私、非常に疑問を持ったから質問をしたわけですが、そのとおりやはり二、三の方から異議の申し立てが出ておりました。それについてその異議の申し立ての結果はどうなったかということ、大臣。
  80. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これも数件あるようでございますから、電波監理局長から答弁いたさせます。
  81. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  異議の申し立てば四件ございまして、それぞれ行政不作為ということで異議の申し立てがあるようでございますが、私どもそれを検討いたしました結果、いずれも異議申し立ての要件に欠けるということで却下いたしたわけであります。
  82. 中野明

    ○中野(明)委員 過日、私御質問いたしましたときに一番焦点になっておりましたのは、中央FM音楽放送が新たに東京FMに訂正になった、ここが焦点だったわけです。そのときにそちらのほうの太原さんの御答弁では、これが今回の異議申し立ての争点の一番の点でございますので、この点につきましてはここで説明することは避ける、こういうお話で、それで今度異議申し立てが出ればそれを却下なさった。こうなりますと、私どもの疑問はいまだに晴れない。ほんとうにあのとき大臣も、私が申し述べた限りにおいてはどうもそういうことはできないと思う、他人の会社の名前の切りかえはできないと思うと、このようにおっしゃった。そこが私の疑問の一つの焦点だったわけです。それが異議申し立ての焦点だから、それはここでは言えないということですから、私、電波監理審議会ですか、そこへでも広場をつくられて、そして放送行政を正す上から論点にあげられるように期待をしておったわけであります。ところが却下された。却下されたのもあまり根拠のある理由じゃなしに、書類の上でどうとかこうとかいうことでございます。そうしますと、どうしても私どもこれは納得できないわけです。疑問が晴れないわけです。この辺はきょう時間がございませんので……。まあ承るところによりますと、ほとんどの大臣は留任されるというようなことを聞いておりますので、おそらく留任されると思います。しかし、万が一交代になられた場合は、次の大臣によく申し継ぎをしておいていただきまして、そしてここら辺は放送行政の——大臣もいつか御答弁になったように、番組の問題もございますけれども、やはり基本の免許行政というのは今後も必ず問題になってくることだろうと思いますので、ここら辺よく申し継ぎをしていただいて、私は次に時間をいただいて、もう一ぺん詳しく質問をしてみたいと思っております。  というのは、訂正行為はどこまでも一部訂正が訂正であって、団体設立の基本事項に関するものを変えるということは、私は訂正とは思えない、こういう考え方を強く持っております。目的から名称から発起人代表から、こういうのを全部変えるということは、訂正じゃなしに完全な別の会社だ。そうしますと、中央FMに免許をおろした、これがFM東京に現在では免許が移っているということになりますと、別の会社に免許をおろしたのじゃないか、こういう疑問がどうしても残るわけです。  そこら辺、あらためて質問したいと思いますが、きょうは大臣の時間がないようで、また大臣にもう一点だけ聞きたいという方がおられるようでありますので、私はこの辺でやめますが、よくお含みの上で申し継ぎなり、あるいはなることならば留任していただいたほうが私は議論がしやすいと思っておりますので、以上申し述べて、あと事務当局に二、三後ほどお聞きしたいと思います。
  83. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  84. 土橋一吉

    ○土橋委員 井出郵政大臣に直接お尋ねをしたいと思うのですが、昨今自由民主党佐藤内閣のもとにおいて、御承知のように沖繩県の全面返還をめぐりましても国政参加の選挙などで、自由民主党の幹部の皆さんがいろいろな説明をされております。また、佐藤総理もアメリカからお帰りになりまして、日米安全保障条約の継続延長を中心とする問題がわが国の政治の一つの大きな問題になっております。同時に、最近公害とか物価とか、こういう問題で国民生活が非常に困難を来たしていることは御承知のとおりであります。ところが、突如として第四次防衛整備の予算が出されまして五兆八千億円の予算を要求する。そして自衛隊の増強という問題がからんでおりますし、働く者にとっては世情が非常に困難な、暗い、重い方向に今日来ていることは、大臣もおそらく御承知だと思います。  こういう情勢の中で、二年ほど前、小林現法務大臣、当時の郵政大臣が、現在のVHF帯電波を特に放送関係からUHF移行する、しかもそれを十年のうちにやる、こういうことが言われましてから、これは非常に問題になっておるわけです。こういう情勢の中において、先ほどあなたのお答えの中では、電波に関する問題は国民の貴重な財産だということをあなた自身もおっしゃったわけです。私もそうだと思います。これは国民全体のものであって、一郵政大臣とか、時の政府がえてかってな方法電波の処理やあるいはそういう問題についていじくってはならないと私は思います。そうするならば、当時の小林郵政大臣は閣議決定でやったというのか、それとも閣議の了解を得て郵政大臣がそういうことを言ったのか、そういう経過について御承知ならばちょっと聞きたいわけです。閣議決定となれば、当時の政府全体の方針としてこれを打ち出しておる。ただ了解事項として郵政大臣の責任においてやるということならば、先ほど申し上げましたように、国民全般の財産であって、国民が持っておる電波を一郵政大臣がえてかってに、どこに使うか知らないが、そういう内容を明確にしないでおいて、つまり、現在のVHFからUHFに移るということ、どういう理由でどういう必要性があって、そのことによってどう国民大衆や、特に放送事業に携わっておる方々にどういう負担が出てくるかということを考慮なしに決定して発表したとするならば、これは重大な問題である。こういうことについて、先ほどから各議員の先生方が質問しておる点もそういう点だと思いますが、郵政大臣は、経過の模様からどういうふうに考えておるのか、あるいは十年後には必ずやるという考えでいるのか、それともまたCCIR等の国際的な、いわゆる放送事業に関する電波の規制から、日本だけがはたしてUHF移行していいのかどうか、そんなことが許されるのかどうか、当時そういうことを知っておってやったのかどうか、こういう点もありますので、当時の経過、またはどうしてもこれをやるという決意を持っておるならば、七十一条の問題とかその他の法文の関係から見て相当考慮しなければならぬ問題があるわけです。そういう点について、あなたの明確な、必ずやるというならば、その姿勢についての基本的な根拠は何に基づいてやるのか、あるいは現在使っておる、たとえば治安関係とか軍事関係とかあるいは消防関係とかいろいろなものに必要だというが、なぜそれをUHFでやらせないのか、やらせたっていいじゃないか、なぜVHFの体制の中にそれを入れなければならぬのか、こういう理由について聞きたいわけですから、まず当初の問題について答えていただきたいと思うわけです。
  85. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 小林郵政大臣のころのことでございまして、私も直接事務の引き継ぎを受けておるわけではございません。したがって、その明確な閣議の決定のしかたについての態様というものは、私もまだつまびらかではございませんが、必要ありとすれば、一ぺん明確に当時の記録を検討することもしなければならぬと思いますが、きょうのところは私は、これは閣議できめられたものであったというふうに了解はしておるのであります。  そこで問題は、何ゆえにかような必要があるのかということでありますが、これはVといわずUといわず、ともどもこれが国民の貴重な電波であることは間違いはございません。そして国際的にもいろんな傾向があるようでありますが、ヨーロッパなどはVからUへ移行するという方向はもうかなり顕著であると聞いております。アメリカが少しく停滞をしておるような情報もあるのでございますが、私どもとしましては、二年あまりその方針のもとに一つの路線が引かれてきておると思うのでありまして、そこでVとUとそれぞれの波の特徴がございますから、いまのテレビ等をVからUに移行することによりまして、そこにいろいろな余地が出てまいりますので、これを当面治安関係であるとか、災害の救助関係であるとか、船舶無線であるとか、いろいろな必要度の大きなものへ波をあけるということが適切であるという大まかなかまえ方で、この方向に私も準じてやっておるつもりであります。ただその間において、あまりに無理があっては混乱も生じますから、それはその辺も考慮しつつ、適当な年限をそこで予定をいたし、それから切りかえるといたしますならば、まだ逐次計画を立てるというところにまでいっておりませんけれども、個々の業界の実情、実態にも照らし合わせながら、できるだけそれをスムーズにやってまいろう、こういう考え方でおるわけであります。
  86. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、あなたはスムーズにやっていきたいとおっしゃっておるのですが、それは行政的な処置とかあるいは関係方面との関係意味しておると思いますけれどもUHF帯移行するということになれば、あなた自身もよく御承知のように、難視聴地域は非常にふえるのだということは、まず御承知になっておると思います。それから、放送局NHKをはじめとして民放関係のおもなる放送関係の業者がばく大な費用をかけなければいけない、そういうことの補償というものが、現在の広告料金とか聴視料だけでまかなえるかどうか、あるいはその他債券等発行して金を借りなければいけない。そういう事態になってくると、先ほど指摘がありましたように、現在視聴率の競争をしておるという中ですぐ響いてくるのは、放送関係する従業員の待遇の問題や、それから番組の内容先ほどあなたも言われておったような、そういうモニター制というような問題と関連をして非常に低下をしてくる、そして俗悪な、廃退的な、きわめて安易な方向で進められてくるという原因も、そういう点が一つ出てくるというふうに私は思うのですが、それに対してはどうですか。
  87. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 その点が、さっき私、実情、実態ということばで表現したつもりでございますが、放送業者の経営の問題というものも十分に考えなければいかぬと思うのでございます。それですでにいわれておりますように、たとえば資金面などでも何らかの措置を講じなければならぬ。それからこれは単にそういった業者だけでなく、一般視聴者のほうも受像機その他を切りかえるという問題もございますから、これに対する配慮もしなければならない。こういうことで、ただ単にVHFからUHFに切りかえる、口で一言そう言うものの、実態はなかなか複雑だろうと思うのでございます。それはその業界に働く人の身辺にも影響なしとはしないわけでございますから、その辺もひとつ十分に踏まえまして、無理のないように持っていきたいというのが、先ほど来申し上げておる次第でございます。一方、業界の実態等見ましても、相当に利潤のあがっておる向きもある。場合によっては、ほかの仕事も兼営しておるような事業体もある。ここいらあたりもよくメスを入れまして、そして問題を千編一律でなく、きめのこまかい行政のタッチのしかたでなければいかぬのではないか、こう考えるわけであります。
  88. 土橋一吉

    ○土橋委員 時間がそうないというお話でございますので、私はひとつ当時の、つまり四十三年九月六日のあの発表をした当時は、御承知のよう、に安保条約の七〇年の問題も考慮しながら、政府・自由民主党が考えたのではなかろうかというような点が一つあるわけです。いまやってくる途中で大臣も言われておるように、アメリカでは非常に足踏みをしておるわけだ。むしろVHF体制のほうが強いのです。UHFは非常に少ないわけです。ヨーロッパの体制もおそらくそういう情勢にあるように私は聞いておりますが、こういう事態の中で、当時小林郵政大臣がかってに発表して、かってにそれをどんどん推し進めてくる。衆議院の本委員会においてもこの問題が——国民全体の財産である電波を——郵政大臣がかってに——周波数とそれから空中線電力なんかの非常な変遷のあるその問題について、なぜ国民全体の各層の、たとえば労働界とかあるいは農業界とかあるいは市民層とか文化人とか学者とか、そういう諸君の意見を聞かなくて、ただ郵政省だけがそういうことをやっておるということは、あなた自身も言われておるように、国民的な財産を処理するにあたって、当時の郵政大臣としては非常に不適切な行動をとったんじゃないか。いまからでもおそくないからして、当然この問題について、やはり国民の世論を喚起して、どうしてもUHF移行しなければならない理由を明確にしないと、これは納得できないですね。もしこういうことがいつまでも続くとするならば、私は本委員会においても、これはやはり国民に——特に電波の問題は将来非常に重要さを増してくるわけです。これは宇宙衛星等の関係から、電波問題は国民の重要な財産である。これが一郵政大臣によってどんどん進められて、一事務当局によってえてかってにその内容を進められるということはまことにゆゆしき問題であります。でありますから、私はこの問題について、やはり国民各界、各層の意見を十分聞く体制を、いまからでもおそくないから検討して、そして現在のアメリカの情勢やその他の情勢も、これは非常に停とんしておるし、ばく大な金をかけて、特に国民大衆がオールチャンネル受像機を買わなければいかぬとか、コンバーターを買わなければいかぬとかいう予算は、もうあなた方は知っておられると思うけれども、ばく大な金がかかる。国民に非常な負担をかけているわけですね。特にそれが今度電波障害などがくるという問題になってくると、これは有線テレビの問題等にも関係をするし、また大臣自身がいま非常に努力されておりますけれども、データ通信等の問題から考えても、これは非常に大きな問題である。だから併存するという体制を私はいいとは言いませんけれども、しかし、いずれにしてもそういう体制を考える上においても、とにかく全国民的な世論と全体の意向を十分にくんでもらいたい。そうでなくしてただ郵政大臣がえてかってにそんなことを進めて、そうして国民全体に迷惑をかけるとかばく大な費用をかけるとか、業者の皆さんばかりでなくて、そこに働いておる多くの労働者諸君にこういう結果が出てくる。しわ寄せが全部そこへいくわけなんです。そうでしょう。ですから、私はそういう重大な問題を本委員会においてさらに検討する必要があると思う。また大臣も、先ほどお話があったように、何かまた佐藤さんはかえるそうでございます。どうなられるか私も存じませんけれども、とにかくこれは引き継いでいただいて——郵政大臣としては最大の業務内容であると思うのです。ですからやはり真剣にやっていただきたいということをお願いしたいわけです。  なお、私は引き続いて最近のいろいろな問題について資料もいただいたり何かしておりますので、本委員会において大臣その他の幹部の皆さんに十分内容を聞かなければならないというふうに考えていることを付言して、私の質問を終わります。
  89. 金子岩三

    金子委員長 午後一時三十分再開することとし、この際休憩いたします。    午後零時五十三分休憩      ————◇—————    午後一時四十三分開議
  90. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。中野明君。
  91. 中野明

    ○中野(明)委員 先ほどちょっと申し上げておきましたが、大臣はお留守ですが、有線テレビの問題について二、三お尋ねしておきます。  CATVの問題は、郵政省のほうで公益法人が望ましいという考え方で、いままで東京とか大阪とか、そういう方面でできてきたわけですが、最近新聞その他で報道されているところによりますと、民間にも許可をする、こういうふうな方針になられたように聞いているのですが、今後公益法人と民間、この二本立てで行こうとされるのかどうか、その辺を……。
  92. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省におきましては、先般、いわゆる都市におきまする高層建築物によるテレビの受信障害ということを救済するために、それを主目的といたしまして、公益法人というものを行政指導してつくってもらって、東京大阪といったところにすでにできているわけでございますが、その後、いま先生から御指摘がありましたように、いま東急グループが団地をつくる際に、建物と一緒にケーブルを敷設してテレビの自主放送をやりたい、そういう話が出てきたわけでございますが、これは御案内のように、現在の制度では許可ではございませんで、届け出ということでございまして、私どもとしましても、こういったことは、建物と一緒にケーブルを敷設するということによりましてケーブルの敷設も経済的でございますし、それによって住民が、そこに住んでおられる方々が利用権を得られるということであればけっこうだと思いまして、そういうことで届け出を受理した、そういうことでございます。
  93. 中野明

    ○中野(明)委員 当初は、いずれにしても公益法人のほうが望ましいという形でずっと方針を貫いてこられたようですが、それによりまして、今度のような民間にも許可をすることになりますと、基本的な方針はすでに根本的に変わった、このように考えられるわけですけれども、ではどうして当初からそういうふうな幅のある考え方で行かれなかったのかということを私ども思うわけです。根本の考え方がそうぐらぐら変わるようでは私たちは困る。特に私、詳細にわたっては承知しておりませんけれども、全国的にかなりこの届け出が出ているように聞いておりますが、全国でどの程度いま届け出が出ておりますか。そこのところをおわかりになっているだけでも……。
  94. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、先ほども申し上げましたように、公益法人というものは、都市におきまする難視聴を解消するということが主目的でございまして、先ほどのお話の東急グループのやる計画でございまする会社組織というものは、これはまた性格が異なるものではないかと思っているわけでございます。したがいまして、初めからということのお話でございましたけれども、そういったものは私どもとしましても予想もしておりませんでしたし、また、初めの公益法人の目的があくまでも都市内におきまする高層建築物による難視聴の解消ということを目的としたわけでございまして、たてまえが違っていたわけでございます。しかし、こういった東急グループのようなものにつきましては、加入者の保護といったことも考えた上で、適正な事業主体によって運営ができるように行政指導していきたい、そういうふうに考えているわけでございます。  先ほどの御質問で、そのほかにもこういったものがあるかという御質問でございますが、現在会社ができているという話は聞いておりますけれども、実際に届け出が出ているというものは非常に少ないように聞いております。最近山形あるいは仙台地区でそういった届け出を出す計画がある、そういうふうには聞いておりますが、実際正式な届け出はまだ非常に少ない、そういうふうに聞いております。
  95. 中野明

    ○中野(明)委員 将来どんどん届け出が出てくるように私も思います。それに対しては、郵政省として、いま届け出制になっているわけですから、届け出があれば次々受理していく、こういうお考えかどうか。
  96. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省としましては、先ほども申し上げましたように、やはりいいかげんなものであるということは困るわけでございまして、受信する者が保護されるように経営主体もしっかりしたものでなければならない、そういうことを考えているわけでございます。そしてまた一方におきまして、これは法律の問題になるわけでございますけれども、やはりケーブルテレビといったものが将来どんどん発達していくであろうということも予想されますので、そういったものは公益的なものであろうということを考えまして、法律によりまして、そういったものの許可制ということも現在いろいろな立場で検討しているという状態でございます。
  97. 中野明

    ○中野(明)委員 いま局長からお話がありましたように、将来何かの形で許可制に持っていきたいという意向も含めて検討中だというお話なのですが、これはまた議論のあるところでございまして、きょうの議題からははずしておきたいと思います。相当許可制については反対の声がいままでもありますししますが、現在この法律がないわけで、届け出制になっているわけですから、民間に許可が得られると、いまの東急のような問題が新聞にも発表になったわけですから、おそらく全国的に相当数多く届け出が出てくるのじゃないか、このように考えるわけです。それらに対してどうされるか。もちろん実情にもよりましょうけれども、大体書類の上で届け出をしてくる以上、やはりそれだけのものは具備したものが出てくるのじゃないか、このように考えられるわけです。それに対して郵政省としては、一応届け出があった分は全部受け入れる、もちろん検討は加えますけれども。そういうお考えなのかどうか、そこのところをお答えいただきたい。
  98. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほどもお答え申し上げたわけでございますが、やはりこういった受信者の保護ということを考えますと、何でもかんでも受理していいかどうかという点につきましては問題があろうかと思いまして、できる限りそういった点につきましてはこちらで調べまして、事業経営の主体がはっきりしているものといったものを受理したい、そういうことで行政指導というかっこうで進めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  99. 中野明

    ○中野(明)委員 それで、この公益法人の問題なのですが、一部では、郵政省が指導してつくった公益法人が多額の出資をしながら何もしていないじゃないかという批判も聞くわけであります。東京に例をとってみましても、新宿にできたケーブルビジョンですか、これはその後どういうふうな活動をしておりますのか、どこまで作業が進んでおりますのか、その辺をわかっているだけ教えていただきたい。
  100. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  東京ケーブルビジョンは本年一月発足したわけでございますが、初めての仕事でありますもので、いわゆる内部体制の整備、あるいはまた事業区域内におきますテレビジョン放送の難視聴の具体的な実態調査ということに時間を費やし、本格的な事業開始というものは予定よりややおくれぎみでございましたが、まあ最近になりましてやっと準備が整いまして、初年度の事業計画の一環として、さしむき新宿地区約二千四百世帯というものにサービスを提供するということで、十一月初めには工事に着手するという段取りになっておりまして、さらに渋谷、目黒といった地区での工事も予定して準備をしておる、そういう状況だというように聞いております。
  101. 中野明

    ○中野(明)委員 もう一点だけ参考にお聞きしたいのですが、この東京ケーブルビジョンの出資というのですか、分担金というのでしょうか、おわかりになっておりましたら……。
  102. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  いわゆる基本財産としましては八百万円、それから運用財産としましては三億八千八百万円というものが予定されておりまして、この公益法人の構成団体であります電電公社、NHK、民放、新聞協会、銀行協会、電子機械工業会といったところ八者が分担して出渇する、そういうことになっておるわけでございます。
  103. 中野明

    ○中野(明)委員 それはいまもう全額払い込まれたようですか。何かまだ一部払い込まれていないということも聞いておるのですが。
  104. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  NHK、民放、新聞協会といったところは全額払い込んでおりますが、そのほか電電公社あるいは電子機械工業会というものは近く出捐の予定で、特に電子機械工業会は構成メンバーもたくさんありますので、各社から順次に出指するというような予定になっておるようでございます。
  105. 中野明

    ○中野(明)委員 いずれにしましても、これは将来相当注目されていく仕事でありますので、その辺十二分に行政指導の面でもできる範囲で注意をしていただいて、適切な運営をお願いしたい、そういうことであります。  それから、先ほどお話が出ました許可制にする法案につきましては、私どもも非常に異論がありますので、その点十分慎重に検討していただいて、またの機会にその問題については議論させていただきたいと思います。  じゃ、終わります。
  106. 金子岩三

  107. 相沢武彦

    相沢委員 私は、現在郵政事業がかかえております課題の一つであるところの郵便物の集配業務の処理の促進に関連して何点かお伺いをしたいと思います。  最近、郵便物数が急激に増加をしておりまして、この処理対策が非常に急務とされておりますが、当局としましてはどういう対策を考えておるか、簡単でけっこうですからお答えをいただきます。
  108. 竹下一記

    ○竹下説明員 お答え申し上げます。  昨今、郵便の集配業務が円滑にいかないではないかというお尋ねでございますが、郵便物数が年年急激に増加してきたという実情が一方にございますのと、これを処理すべき人員の確保が非常にむずかしくなってきておるという事情が他方にあるわけでございまして、これがからみまして配達業務を非常に苦しくしておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、仕事に従事する人員の確保につきまして特にむずかしい面は、外勤の仕事をする人でございますので、この人たちの処遇を極力よくしてあげる、俸給を上げるというような面、あるいは東京都におきましては住宅難という問題もございますので、住宅を確保するという面、それから服装等をよくしてやるといったような、あれこれ講じまして、人員の確保という点で非常に努力をしておるわけでございます。  それと郵便物数の増加に対応いたしまして、これを収容し、処理をする入れものの問題がございます。つまり郵便局舎の問題がございます。この局舎問題もたいへん悪うございますので、局舎事情をよくする、いい局舎にするという努力も一方においていたしております。  それと仕事の仕組みを極力近代化し、機械化をすることによって、職員の仕事の能率化をはかっていく、あるいは人員の節約にもつながりますが、近代化、機械化という面についても努力をいたしております。
  109. 相沢武彦

    相沢委員 いろいろと考慮を払って努力をされていらっしゃるということがわかりましたが、その中でもやはり外勤の職員確保ということは非常に問題点だろうと思いますが、その郵便集配の職員の不足を補うために、郵便集配運送請負人という制度が設けられておるわけですが、現在のところ全国的にどのくらいの規模になっておるのか。それから特に、寒冷地である北海道の場合は辺地が多いために、全国でも一番比率が大きいと聞いておりますが、北海道だけ抜き出して何人ぐらいになっておるか伺いたい。
  110. 竹下一記

    ○竹下説明員 集配請負人の数を申し上げます。全国で千五百五十三名でございますが、北海道では四百九十五名ということになっております。
  111. 相沢武彦

    相沢委員 いまの数字は、郵政省と直接の雇用関係の人員でしょうか。それとも現地の、特にバス会社等と契約をして、さらにそのバス会社が何人かの集配人と契約を結んで使っておるという例がありますが、その人数も含めているのでしょうか。
  112. 竹下一記

    ○竹下説明員 いま申し上げました数字は、郵政省と直接契約を取り結んでおる人の数でございます。  それから、お尋ねがございましたのですが、バス会社と一括契約をしまして、バス会社がさらにこれを下請的に個人に請け負わせるといったような形の契約、これは以前はございましたのですが、最近はやめにいたしておりますので、そういう契約は今日におきましてはございません。
  113. 相沢武彦

    相沢委員 現在この契約を結んでおる郵便集配運送請負人の身分の保障あるいは待遇という面はどうなっておりましょうか、お尋ねいたします。
  114. 竹下一記

    ○竹下説明員 この請負人は、身分の上で申しますると公務員ではございません。しかし、大事な仕事をやっていただいておるわけでございますので、やはり打ち込んで仕事をやっていただきまする意味合いにおきまして、極力処遇につきましては考慮いたしておるわけでございます。賃金ベースにいたしましても、毎年何がしかのべースアップをいたしまするし、また業務を執行するに際しまして、病気になりましたりけがをしたりいたしました場合には、公務員に準じたいわゆる災害補償の措置を講じてやっております。
  115. 相沢武彦

    相沢委員 いま賃金べースの問題が出ましたが、公務員と比べて大体どの程度のベースになっておるのでしょうか。わかりましたらお願いします。
  116. 竹下一記

    ○竹下説明員 この集配請負人の基本月額ですが、これはただいま三万一千円になっております。それに加算額といたしまして、年額として五万五千八百円が加給されます。それと、寒冷地におきましては寒冷地手当、薪炭手当または石炭手当が加給されるということになっております。本務者に比較いたしますると、これは全国平均ですが、本務者の内外勤合わせた給与の平均べースは六万円とちょっとでございますので、集配請負人の基本月額に化べまして差がございますけれども、これはやはり仕事の内容によるものでございます。
  117. 相沢武彦

    相沢委員 集配請負人の方たちが担当している地域は非常に不便なところが多いと思います。また、特に北陸、東北、北海道等の積雪地帯での冬季間の郵便の集配の業務というものは、筆や口にあらわせない非常に苦労が伴うと思うわけです。こういった業務に携わっている方たちは、単に金銭的な利益、収入を得ることが目的だけではなくて、いわゆる大事な国の、国家的な事業に自分たちも参加している、そのために幾らかでもお役に立っているという誇りと使命感に燃えてやっている方たちが非常に多いと思うのです。そういったへんぴなところにいらっしゃる地元の人たちがそれに従事しているわけでありまして、人柄も非常に実直な、まじめな、責任感が旺盛な方たちが多いわけでありまして、こういった点、郵政局としても単なる契約によるところの報酬というだけでなくて、そういった方たちの日ごろの労苦に報いるための何らかの配慮、慰安であるとか、あるいは福利厚生の面で何か恩典を与えるとか、そういった点の処置等は講じていないのかどうか、今後講じる考えがあるのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  118. 北雄一郎

    ○北説明員 お答え申し上げます。  厚生福利面でどういう措置をしておるかというお尋ねでございますが、先ほど郵務局長お答え申し上げましたような業務災害見舞金という制度を持っております。これは本人が業務上の災害によりまして負傷あるいは疾病を招きました場合に、療養見舞金でありますとか、休業見舞金でありますとか、障害見舞金というような、そのほかにも遺族見舞金、葬祭見舞金というような種類がございまして、いずれも一時金でございますけれども、おおむね国家公務員に準じたような、そういう見舞い金を出す制度を持っております。また、毎年一回定期健康診断というのを職員に対すると同じように実施いたしております。それから一年間を通じまして請負の仕事に従事する人々に対しましては、部内の医療機関を利用させる道を開いております。また、保養所というレクリ施設がございますけれども、この利用の道も開いておるわけであります。それ以外に、厚生福利とは若干違いますけれども、長年請負の仕事に従事していただいておる方々のうち、優秀な方々につきましで、毎年二月の郵便業務の表彰の時期、それからまた、毎年四月の逓信記念日の時期に人を選びまして表彰をする等の方途を講じておる次第であります。
  119. 相沢武彦

    相沢委員 災害を受けた場合の処置については、たしか四十一年八月二十四日の通達ではっきりされたと思うのですが、その前もそういった災害を受けた場合、何らかの処遇がされたかどうか。また国家公務員並みにそれが適用されるようになったということは非常に大きな成果だと思いますが、やはり考えてみますと、今後過密・過疎という問題は、またさらに非常に激化を加えるでしょうし、その点で鉄道、バス等赤字路線の過疎地帯はますますふえる。結局これまで集配人の職員がやっていたところを請負人に頼まなければならない、そういう制度がますます補強されなければならない、そういう様相になってくると思うわけでありまして、そういった点で、この災害に対する処遇の点は当然のことでありますけれども、それ以外にももっとやはり何かあたたかい配慮が考えられていかなければならないのじゃないかと思うのですが、この点どうでしょうか。
  120. 北雄一郎

    ○北説明員 お答え申し上げます。  四十一年八月以前にはその制度はなかったかということでございますが、三十三年六月からそういった制度を始めております。四十一年八月にはその内容を若干改善した、こういうことでございます。その結果、国家公務員と全く同じになったのではございませんで、国家公務員の場合は、障害の程度等に応じまして一部年金制度になっておりますが、こういった制度は請負人の場合には適用いたしておりません。すべて一時金でございます。以上でございます。
  121. 相沢武彦

    相沢委員 その点はわかりましたが、そのほかにも今後集配請負人がやはり補強されるという点を考えまして、当局としてその他の処遇問題についてこれまで以上に前向きに取り組んでいく必要があると思うのですが、その点についての当局のお考えを伺っているわけです。さらに改善する意思があるかどうかということです。
  122. 竹下一記

    ○竹下説明員 ただいま人事局長が申し上げた項目以外にはちょっといまのところ浮ばないわけでございますが、やはり一番大事なのは基本べースだと思います。ただいま三万一千円でございますけれども、これは考え方によりましては少し十分でない面がないとも限らないのでございまして、これは毎年べースアップはいたしております。ことしも一二・五%のべースアップをいたしたわけでございますが、この点に一番着目をしてやってまいる気持ちはございます。なお今後とも処遇の面、厚生福祉の面につきましては、いろいろと検討してまいりたいと思います。
  123. 相沢武彦

    相沢委員 それから、いま話の出ました業務上災害を受けた場合の処遇については、一時見舞い金等の制度ができておりますが、今後その集配請負人が業務上災害を受けて、その当時はたいした問題でなかった。ところが退職した後に後遺障害等が発生した場合、療養見舞金という形で出すか、また何らかそこに改善する余地があるのではないかと思うのですが、この点についてはどういうお考えを持っていますか。
  124. 北雄一郎

    ○北説明員 お答え申し上げます。  ただいまの制度におきましても、この請負者が請負業務上におきまして傷病を受けたものでありますれば、請負業務から離職いたしました場合でも見舞金は受けることができる、そういう制度に相なっております。したがいまして、当該傷病の療養中であります限り、こういった療養見舞金、あるいは休業見舞金というものは贈与されるわけであります。また、そういった傷病が一たん治癒しまして、その結果身体にこれ以上もう治療してもなおらないというような身体障害が残存いたしました場合には障害見舞金が贈与される、こういうことになっておりますし、それから業務災害が原因で当人が死亡なされたような場合には、この遺族に対しまして葬祭見舞金が支給される、こういうのが現在の制度でございます。
  125. 相沢武彦

    相沢委員 いまお答えをいただきまして、私はひとつ具体例をもって、この方がいまの制度に適用されるかどうか、あるいは何らかの特別な配慮を講じていただけるかどうか、お聞きしたいと思うのですが、実は非常に古い話で恐縮ですが、昭和二十六年一月十日に北海道のある地元紙に話題といたしましてこういう記事が載っております。  五段抜きの一番で「身命賭して郵便行のう逓送」、四段の大見出しで「雪にうまり十四時間仮死状態で職責果す」こういう見出しつきで出ている記事なんですが、これは昭和二十五年の   旧ろう三十一日三十数年来といわれる猛吹雪をついて滝川郵便局と西徳富郵便局間の行のう輸送の職責を身命をとして果した一逓送夫の立派な行為がわかり滝川郵便局員の心を強く動かし八日午後四時から滝川郵便局会議室で滝川郵便局成沢局長から賞讃の言葉と感謝状並に記念  品が贈られた。 こういう前文でございます。  内容は、この方は直接の雇用でなくて、地元にある中央バス株式会社滝川地方営業部との契約によって逓送に当たっていた方なんですが、  三十一日午前四時三十分ころ馬橇に行のう七個を積み西徳富郵便局へ出発したが、当日は列車さえ立往生をするという物凄い吹雪であった、一寸先も見えない吹雪や積雪と闘い午前十一時三十分西徳富局に辿りつき、一息つくまもなく西徳富から二個の行のうを積み滝川局への帰途についたが午後からは吹雪はますますつのる一方で遂に新十津川楽田小学校前で馬橇を捨て馬の背に行のうを積み「職責を果すまでは死んではならぬ」と堅い決意のもとに荒狂う冬将軍乱舞の中に突入したのであった、道のりは朝から三十八キロ、十四時間を歩きに歩き続け仮死状態のままついに午後六時すぎ滝川局に帰りつき完全に職責を果したのであった、成沢局長始め局員の手当でかろうじて凍死をまぬがれたものであるが、当日の山間の吹雪状態は庄司さんの語るところによれば言語に絶するものがあり、同氏の責任観の旺盛さは戦後の全内吏の範とすべきものと絶讃されている。   なお表彰を受けた晴の日に庄司さんはつぎのように語った。   旧ろう三十一日の大吹雪は生れて始めての体験でした、行のうには年賀状を始め是非元旦に配達されたいものばかりでした、元旦にはこの郵便物で一家喜びに満ち溢れている姿を想像したとき死をとしても届けねばならないという一心でした、あすの元旦にこの吹雪が晴れたならと思ったらほんとにじっとしていれなかったのです、それこそ馬も私も首まで雪にうまって歩きました、あの吹雪の様子はとても話したくとも話も出来ない程の物すごさでした、でも職責を完うしてこんなうれしいことはありません。 こういう記事でございます。  さらにこの方は四月の二十日逓信記念日に郵政大臣賞の表彰を受けられている方なんですが、どうしてこのことを申し上げるかといいますと、最近私はこの方から訴えられたわけであります。というのは、この方は、昭和二十一年ないし二年からこの区間の郵送に当たっていた方でありまして、この事件が起きたのは昭和二十五年。さらにその後昭和三十年まで、バスが通うまでの間、十二月から四月までの期間、冬季間の運送に当たられた方なんです。しかしこの方は、この事件以後、このときにからだに受けたいわゆる凍傷といいますか、猛烈な冷え込みのために、馬の背中につけた右半身は馬のあたたかさと人間のあたたかさで何でもなかった。ところが、ふぶきにさらされた左半身のほうがその後非常にやはり苦痛を感ずるようになった。いわゆるリューマチといいますか神経痛といいますか、そういう症状になった。この方は夏は農業を営んでいる方です。ところが、その次の年から、夏ですが、実際に家業である農業をできなくなってきた。そのためにかなりの人手を使って賃金を払って農業をやる。そういうことで何年かやっている間に、なかなか農家経営が思わしくない。借金も重なってきた。そうして三十一年のときには一町六反持っていた田畑も全部人手に渡っております。借金の返済をするために全部売り払ってしまった。この方はこの事件後、非常に食事がまずいとかあるいはからだに疼痛を覚えるとか、そういう状況でありながら、当時まだ四十三歳の若さで多少がまんできる、からだももともと頑健な人だということで、自分自身ではからだに不調を覚えながらも、さらにその後四年間、冬季間だけはこの託送の仕事に当たってきた。そういったからだの症状等については、訴えて医師の手当を受ける。先ほど昭和三十三年にできたと言いましたが、その時分にはできておりませんし、そういったことを言わなかったし、もし言ったとしても、はたしてそうした医療の手当を受けることができたかどうかわかりません。本人としてはからだの不調を訴えながら、がまんしながら郵送の仕事に当たってきた、こういう事情であります。  その後、三十年の年にはお話しいたしましたようにバスも冬季間も通るのでやめた。自分の家業の農家であるたんぼは全部売り払ったということで、今度は新しい生活設計をしなければならなくなりましたが、からだがそういう思わしくない状態なもので定職につけない。そのために奥さんが地元のある製造会社へつとめて幾らかの給料を取り、本人はからだの調子のいいときだけ拾い仕事をして収入を得ている、こういうことでその後生活をしてきたわけです。  現在、あれから十九年たっておりまして、年も六十三歳でございますが、去年までは何とかそうやってやりくりして働いてきて生計を保ってきたけれども、ことしから歩行も困難である。とても自分自身が拾い仕事もできない。非常に生活もたいへんだ。やはりたまには指圧もやって少しでも痛みをとめたい。現在指圧は六百円するそうでございますが、さらに医者に聞くと温泉治療すればいいんだけれどもといわれるが、それだけの経費はとても出せない、ということで、非常にお気の毒な状態であります。  確かに契約上は郵政省と直接の契約ではありませんが、この方が約九年間にわたってやってこられたその仕事自身は、国家業事である大事な逓信の郵送の仕事であります。そういった点考慮して、ここにこの方の慰労に対する何らかの処遇ができないかどうか。こういうことで、本人が訴えてまいりましたので私はここに取り上げた次第なんですが、この点について、どのようなお考えを持っておられるか、御返答を承りたいと思います。
  126. 北雄一郎

    ○北説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のように、郵政省の職員あるいは郵政省と直接請負契約を結んでおる相手方といいます場合にはそれぞれ根拠がございまして、それによりまして適切な措置が講じ得るわけでございますが、ただいま御指摘の方の場合、当時郵便事業に対しまして非常に顕著な御功績がありましたわけで、私どもたいへん感謝する次第でございますけれども、バス会社の嘱託であられたという関係上、私どもとしてたいへんお気の毒に存じますけれども、制度的には手の打ちようがないというのが実情でございます。
  127. 相沢武彦

    相沢委員 制度上は確かにそうでありましょうが、この方は非常に郵便託送には献身的な努力を払ってきた方でございます。昭和二十四年の年にはこの庄司さんという方は、馬そりに車をつけた雪陸兼用の冬季間の馬そり運行に特異性を持たせるという創意くふうをして、この郵便託送事業というものがよりスムーズに行なわれるようにこういうことを考案して取り組んできた非常に意欲的な方でありますし、また昭和二十六年の四月二十日に大臣から表彰されたということに対して非常に感激と誇りを持って、その後も自分のからだの苦痛を訴えて耐えながら四年間もさらにがんばり続けた、こういう方でございます。やはりそういったこの方のこれまでの郵便事業に対して情熱を燃やして献身的な努力を払ってきたというその行為に対して、国として何らかのあたたかい配慮といいますか誠意を見せてあげたい、こう私は思うのでございます。  そこで時間も参りましたので、最後に政務次官がいらっしゃいますので、ぜひ大臣にもお伝えいただきたいのですが、以上述べましたように、この方に対するいわゆる法的な制度上からはいま非常に問題点が多くて、当時のかかりつけの医者も死亡しまして、当時の凍傷、そのときのふぶきにあった寒さが現在の症状の原因であるという医学的な証明もなかなかとれない状態、またその後かかったお医者さん等から、もしかそういった因果関係が医学的にはっきり証明されて、国あるいは雇用関係を結んだバス会社を相手に訴訟問題を起こしたところでなかなか解決策は見出せないわけです。私が思いますことは、この方は、郵便の逓送業務というものに誇りと愛情を持ってがんばってきた方でございます。またこれまでも自分ががまんできる間はそういう泣きごとは言わないで一生懸命やろう、こういう気持ちでやってきた方でありまして、もしここで当局のあたたかい御配慮が何らないときには、結局国のために自分のからだをつぶされた。これまで誇りを持っていた郵政事業に対して、恨みなり不満なりを持ち続け、またそういったことを自分の回りの関係者にも訴えると思うわけですね。これはこれからいろいろ人手不足等かかえている郵政事業として、大きな影響になろうかと思います。そういった点で、この方が九年間にわたって一生懸命やってきたそれに報いて、自分も一生懸命やってきてほんとうによかったとこういう気持ちを最後まで持ち続けさせるためにも、法的に制度的に無理ならば、いわゆる政治的な配慮なりを大臣なり政務次官がしていただけないか、こう思うわけです。郵政大臣は非常にあたたかい人柄だと聞いておりましたので、ぜひきょうのこのお話を政務次官からお伝えいただいて、何らかのあたたかい配慮を示していただきたい、こう思いますし、また政務次官も若手ではなかなか気っぷのある方だと聞いておりますので、一枚加わって、できれば交際費とかポケットマネーあたりから出すというぐらいの最後の御奮闘をひとつお願いしたいということを要望しまして質問を終わります。御返答あらば承ります。
  128. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  129. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵政省の幹部の方にお尋ねしたいのですが、第一の問題は、十月前後の一般新聞で、郵政大臣が郵便料金の値上げをしたいというような趣旨を発表されております。御承知のように、これは十月一日の読売新聞ですが、「物価高奇妙なカラクリ」こういう題で冒頭に前文を書いております。その冒頭の一部分を読み上げてみたいと思います。「この秋も私鉄の運賃値上げを先頭に、タクシー料金など日常生活に欠かせない商品やサービス料の値上げが、つぎつぎに待ち構えている。なかには、値上げどころか値下げしてもよいものまで、値上げの方向に走るのは、なんとも納得できない。大企業の管理価格も、物価高の元凶の一つだが、まず“戦後経済”時代と同じ姿勢で続けられている政府の許認可による行政介入の内容にメスを入れなければならない。」こういう題で読売新聞が書いておられるわけです。その中に「さらに来年度の予算編成とともに、すでに値上げの方向がはっきりしている電報、電話料金のほか郵便料金、」という名前を書いてあげておるのですが、はたして郵政省はいま話しましたような郵便料金あるいは電電公社は電報料金や電話料金を上げるという方針でいまおるのかどうか。つまり、四十五年度のうちには上げるのか、それともいまのところは考えてないとか、あるいは将来にわたっていろいろ研究しておるとか、こういうことについて、一体どうであるのか明確に答えていただきたいというのであります。
  130. 小渕恵三

    小渕説明員 郵便料金につきましては、郵便物の料金は原価を償うように設けるのが望ましいと考えておりますが、郵便の社会に果たす役割りや過去からの経緯等を考慮いたすことも必要かと思われますので、この点につきまして目下郵政審議会に設けられました郵便事業正常運営特別委員会に諮問いたしておりまして、その審議の結果を待ちまして慎重に対処したいと考えております。
  131. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうすると、郵政省としてはまだ郵便料金の値上げということについて、そういう審議会の答申を待ってさらに検討を加えてやる、こういうことであって、いまのところはさしあたって郵便物の値上げということは考えていない、そういう答申なりそういう意見が出て、それが熟してやる、こういうことでありますか。
  132. 小渕恵三

    小渕説明員 四十一年に料金の引き上げをいたしまして以来、郵便物の激増もあり、また人件費等が七〇%の程度引き上がっておりますので、現在の郵政三事業の会計は、四十六年度予算においで五百七十二億の収入不足の予算を組んでおる状況でありますので、こうした状況につきまして十二分に審議をしていただきまして、後に検討したいと考えております。
  133. 土橋一吉

    ○土橋委員 郵便料金の値上げをするのですか、しないのですか。いまの経営上の赤字があるので、郵便料金の値上げによって幾らかでもあるいは全額的に赤字を解消をしたいということであるのですか、その辺がはっきりしないのですね。つまり、郵便料金を上げるというのがたてまえで、そういう研究をしておるのかどうか、あるいは四十五年度のうちに上げるのかどうか、こういう点をお聞きしておるのですから、つまり検討中だというのではわからないわけですね。上げる方針でおるが、具体的な各品目についてはまだ検討しておるというのならば話はわかる。上げるか上げないかについてお聞きしておる。
  134. 小渕恵三

    小渕説明員 郵政審議会に対する諮問は、郵便事業の正常な運営をはかるための諸施策についての諮問でございますので、その中には当然予算上の問題も諮問いたしておりますので、その諮問を待って検討したいということであります。
  135. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、内容が、私が申し上げて聞いていることと何か違うような答えをしておる。上げるのか上げないのか聞いておるのですが、一向に、答申を待ってというようなことでわかりませんが、もし上げるとすれば、一体どういう構想で上げようとしておるのか。たとえば第一種郵便はどうか、第二種郵便はどうか、三種はどうするか。特に問題になるのが、三種郵便物の新聞、定期刊行物とダイレクトメールについてどうするのかという問題が新聞などでも言われておりますし、また業界のほうでもいろいろ意見をわれわれのほうにも寄せております。一番問題は、やはり新聞とそれからダイレクトメールですが、そういうものをほうっておいて、一種、二種だけに料金の値上げをかけてくるということになれば、これはたいへん問題であるし、私たちは全面的にこういう値上げは反対です。ここにも書いてありますように、商業新聞すらも今度の値上げは政府の行政介入が多いのじゃないか、特に、独占物価の引き下げを考慮しないとかあるいは公共料金の引き上げによって行政の介入が多いのじゃないかということをこれは指摘しておるわけです。そういう面から見て、決して郵便料金によって郵政省の赤字を解消してはならないのじゃないかというふうに私は考えておるわけです。  これ以上御答弁を願っても内容がはっきりしませんので、次は、電電公社のほうに私はいきたいと思いますが、電電公社ははっきり料金を上げるという方針でおるのか、今四十五年度は、一応次年度は別として、どうするかという点について、明確に上げるという方針ならば方針で答えていただきたいと思います。
  136. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  四十五年度につきましては、現在国会で議決されました予算を執行しておりまして、これはもう料金値上げは全然考えておりません。四十六年度につきましては、ことしの八月の時点で経営委員会を開きまして、電信電話七カ年計画経営委員会できめました。これは現在進めております第四次五カ年計画の四十六年度と四十七年度の二年度に、第五次五カ年計画に該当いたします五カ年間を足しました七カ年計画をつくりまして、この七カ年計画内容につきましては、前回のこの委員会でも詳しく御説明いたしましたが、一番の眼目は、いま窓口にたまっております電話積滞が二百七十万もありますが、七カ年計画の中で全国的な規模において積滞を解消する、これが第一の眼目でありまして、七カ年計画の中で千九百七十万個の加入電話をつけるというのが最大の目標でございます。  ところで、同時にこの際加入区域を拡大してほしいという要望が最近非常にしばしば起こっておりまして、それに対してどのようにして対処するかということを約一年近くの間いろいろ検討してまいりました。したがって、この七カ年計画に対しましては、この加入区域の拡大に対しまして、広域時分制というものを導入する必要があるというふうに考えております。  ところで、来年度の予算におきましては、電話料金は赤字ではございませんので、いわゆる赤字であるから値上げするということは考えておらないのでありまして、広域時分制を導入することと、それから同時に、現在の料金体系が、大正時代につくりました非常に古い制度でありますから、これを現在の技術革新の時点に合わせまして調整合理化をして、プラスマイナスの調整をしよう、こういうことでございます。したがって、原価に近づける意味において市内を上げる、そして市外を下げる、こういうことにしたいというふうに考えております。  それから、電報につきましては、これは現在年間約五百億円以上の赤字でありまして、これを長くほうっておくことは公社経営上きわめてむずかしいし、また電報の内容自体もずっとこのところ変わっておりまして、これは御質問がありましたらまた詳しくお答えいたしますが、いわゆるほんとうに緊急な電報として打たれているものは全体の四%以下というような状態であります。大部分が商業電報であるとかあるいは慶弔電報であります。したがって、その制度というものをこの際もう一回洗い直しまして、制度を近代化したいというふうに考えております。  また、料金につきましては、現在の料金があまりに安過ぎて、本来ならば速達郵便なりあるいは電話で処理されるものが電報に来るという極端な例もありますので、この際、電報の料金を改定したい、こういうように考えておる次第であります。
  137. 土橋一吉

    ○土橋委員 たいへん親切な回答をいただきまして、電話料金については値上げではないのだ、電報料金については、いままでの資料などから見まして、これは明らかに値上げであるわけです。電話料金は値上げだといわれるのは、電電公社としては非常に心外に思っておられるようですが、この時分制を採用して、そして地域を広げ、特に大都市周辺で地域を広げてまいりますと、これが三分という制限になりますと、大体料金を払うほうの側からいうと、つまり料金が上がったことになるわけです。電電公社全体のそういう計画では上がっていない、もうとんとんだ、地域を広げてそこを安くするんだから、決して上がっていないという説明をしておりますけれども、大都市に住んでおるわれわれは、つまり、三十分電話をかけようという場合に、これが三分三分で打ち切られてくれば当然料金が上がってくるわけです。これは東京だけじゃなくて、東京周辺のあるいは大阪周辺の衛星都市においても同じことですね。ですから、国民の、電話料金を出すほうの立場から言うならば、これは完全に値上げであるわけです。そこのところがどうも納得のできない答弁の一つですけれども、これはこれとしまして、電報料金の問題をあなたがいまお答えになりました。私は、電報料金のほんとうの適正な原価は何ぼであるか、これをちょっと聞きたいわけです。  ここに数字が出ております。いま先ほどおくればせに資料をいただきまして、私は読んでおったわけですが、国民の利用状況なんか見ますと、あなたのほうの説明によりますと、大体四十四年の四月の利用状況で、個人企業が一一・一%、中小企業が三〇・四%、大企業が五八・五%の利用をしておるというふうにあなたのほうの文書でこのとおり出ておるわけです。これに間違いございませんか。
  138. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  電報の利用状況につきましては、昭和四十三年度の利用状況を申し上げますと、業務用の利用状況が四七・八%、それから慶弔電報が三二・七%、それから私用の電報が一九・五%となっております。そのうちの、業務用のうちのパーセンテージが、大企業の業務用のものが五八・五%、中小企業の業務用が三〇・四%、それからいわゆる個人企業のものが一一・一%、かようになっております。
  139. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、この「電信事業収入」というので、いまこの資料をいただいたものから見ますと、電報は収入が七十九億円ある。そうしてその総字数は十八億字で七十九億円だと書いてあるわけです。加入電信では百三億円、そしてその字数では三百五十億字打電をしておるということになるわけです。それから専用回線を使っておるものは、収入では八十八億円だ。それで総字数では千二百億字を使っておるわけですね。そうしますと、適正な電報料金というものを換算してまいりますと、私はちょっと割り算をしてみたわけだ。ここで一般の電報を使う人は一億の金を出して何ぼ電報が打てるだろうかと計算をしてみると、二千二百八十何万の電報字数しか打てないわけです。大きな専用回線を使っておる人は、一億円使えば十三億五千万字以上の電報を打つことができるわけです。このあなたのほうの出した表によって私はいま計算をしてみた。そうすると、大企業の諸君は、要するに郵政大臣が許可をして専用回線を使わせておるということになってくると、適正な料金は一字幾らで打つのが適正な料金かということを聞いておるわけです。つまり、三者をこの表で皆さんが出したものから私は聞いているわけですよ。一字打電が、要するに加入であろうと専用であろうと、適正な料金は一字で幾らかかっておるのかという点を説明してもらいたい。
  140. 中林正夫

    ○中林説明員 お答え申し上げます。  ただいまの収入はそのとおり、電報におきましては公社収入は七十九億、加入電信の収入は百三億、それから専用収入は八十八億になっております。それから総字数につきましては、専用につきましては一定の前提を置いて算定しておりますけれども、一応推定としまして、電報の場合は十八億字、加入電信の場合は三百五十億字、専用の場合は千二百億字となっております。  しかしながら、この電報というものと、加入電信あるいは専用電信というものは、サービスの内容あるいはサービスの運用方法というものが全く異なっておりまして、たとえば電報について申しますと、電報は窓口でお客さんからどこどこへ電報を打ってくれというふうな申し込みがございますと、これを窓口で受け付けましてから、目的地へ運んで、そしてさらに相手方のお宅までお届けする。この人件費なり設備の経費なりあるいは消耗品、紙等の経費なり、こういったものはすべて公社の負担においてこれを提供しておるのでございます。  それから、専用のような場合には、ある専用者の特定の地点というところに専用の回線だけを提供いたしておりまして、これの端末というものは大体専用者のほうで設置をされて、これの運用というものも、その要員も専用者のほうでオペレーターを使ってやっておられる。  したがいまして、こういった電報、加入電信、専用といったものは、それぞれそのサービスの内容、運用方法、こういったものが非常に違っておりますので、直ちに、一字当たり何円であるとか、何円で何字の電報が打てるといったことによる比較というものは、あまり意味はないのではないか。やはり、これに要する原価といいますか、そういうものを考慮に入れて考えねばならないのではないか、かように考えます。
  141. 土橋一吉

    ○土橋委員 いまあなたはたいへんおもしろいことをおっしゃったと思うのですよ。営業をやる場合に、一字の電報を打つのにどの程度の費用がかかって、配達電報はその上にプラスどういう費用がかかるという計算をしなければならぬわけです。私の質問、電信業務の中心である一字の打電についてどの程度の費用がかかるかということを計算するのが意味がないとは一体何事ですか。この計算をしないでおいて、電報料金の算定はどこから出てくるのですか。しかも、郵政大臣は原価を下回らない限度において徴収するということになっておるのですよ。そうすれば、その原価を出して、その原価に加えるのに、たとえば加入電信の場合にはこういう労務を提供しなければならぬ、こういう設備をしなければならぬ、この減価償却は幾らになるということで計算しなかったら、営業は成り立たぬじゃないですか。私の質問、そんなに愚問だと思うのですか。答えてください、一字幾らかかるか。要するに電報というものは、幾ら費用がかかるということを基本にしなくてどうして電報の業務ができますか。それがそんなにつまらない質問ですか。聞きましょう。
  142. 中林正夫

    ○中林説明員 電報並びに加入電信、専用電信の料金の立て方につきましては、それぞれの電報なら電報事業に要します費用というもの、それを考慮に入れながらこの料金というものをきめていきたいし、それから加入電信の場合も——加入電信の場合は、電報と違いまして、端末は公社のほうで、債巻を引き受けていただいて、設置をいたしますが、それの交換であるとかいったことは、通信関係は公社の設備がいたしますが、端末の運用は加入者のほうでなさる。こういったことから、それぞれの原価と、一字当たりの原価といいますか、それを考慮に入れて料金をきめておる、こういうことでございます。
  143. 土橋一吉

    ○土橋委員 それならば、専用回線は一字がどれくらいの原価についておるのですか、あるいは加入電信の一字打電については何ぼくらいの費用になるのですか、計算してください。ここに書いてあるのですから、すぐ出せるのです。そういうことはあなたのほうで出すべき責任がありますよ。たとえば、一般の電報の場合には七十九億円の収入があるから、大体何人くらいの人が電報を打っておるということがわかるわけです。それで、十八億字ですから、一字が何ぼくらいの計算につくのか。これは当然でしょう。なぜ私はこれを質問しておるかといいますと、要するに専用回線や加入電信の収入から見て、御承知のようにこれだけの字数を打っていて、加入と専用を全部合わせても百九十一億円じゃありませんか。片方は国民全体が八十億円ばかり使う。こういうことで、要するに問題は一般の電報料金がいま上がろうとしておるわけでしょう。なぜ専用回線や加入電信に対して適正な料金を定めて上げようとしないのか。そこを上げないでおいて、一般の大衆だけに——字数としてはわずか十八億字しか打っていないわけだ。片方は全部で千五百五十億字も打っていて、料金は倍ぐらいしか払っていないというわけだ。計算が合わぬじゃないですか、こんなことをしていたんでは。大資本家やそういう営業をやっている方からいただいて、そしてそれを一般大衆のほうの負担を軽減するようになぜ回さないのか。そこのところを聞く内容なんですよ。だからして、専用回線の許可をする場合には、原価を下回らないようにするということになっているわけでしょう。そうすればその原価というものを出さなければいかぬでしょう。原価を出さないで料金の内容決定することはできないでしょう。郵政大臣は何もしないでやるのですか。えてかってに認可をするのですか、専用回線を使う場合だって。どうですか。もっと責任のある答弁をしていただきたいですね。しかも適正料金が何ぼかということを示していただきたいのです。その上にいまあなたもおっしゃったように、加入電信の場合にはどういう費用がかかる、あるいは施設はこうでございます、あるいは配達電報の場合はこうでございます、それはわかっておるわけです。それで五百何ぼかかるという計算を出しているわけでしょう。適正料金がわからないで、どうして料金値上げの問題や金額をきめることができますか。ぜひ明確な答えをしていただきたい。
  144. 中林正夫

    ○中林説明員 料金の立て方といたしましては、いまおっしゃいましたような一字当たりというものが幾らの料金であるべきか、そしてそれが電報なり加入電信なり専用では一字当たり幾らであるべきか、それから今度は加入者の方自体が負担をされる費用というものを引いて、そして公社の料金をきめる、こういった料金の立て方をしておるわけではございません。それで現在、専用は専用に線を提供するための原価というものを考えて料金をきめていく。電報は電報というものの受付、送達、それから配達というものに要する費用を考えて料金というものを考えていく。その電報の原価と収入との関係は、収入の一〇〇に対しまして支出、費用が七〇〇にもなっておる、大体七倍の収支率になっておる、こういったことから、電報料金について料金の改正というものをお願いしたいと思っておるわけでありまして、その他の場合にはそういったはなはだしいアンバランスというものは出ておらないのでございます。
  145. 土橋一吉

    ○土橋委員 失礼なことですけれども、あなたの答弁は答弁になっていないのです。そんなことを聞いておるんじゃないのです。もしあなたの主張をしたかったらば、専用回線についての適正な料金はこれこれになる、あるいは加入電信の場合の適正料金というものはこうなるんだ、この点を示してもらえば、要するに電電公社の業務内容全体の基本がわかるわけです。それを示さないでおいて、ただ一般の電報を打つ人がどうだこうだと言いましても、業務全体としては、実際の労力の点から、回線の利用度からいうと、この表に書いてあるのが事実でしょう。片方の個人個人は十八億字打って、そしてたいへん料金を上げようとしておる。会社とかそういう大きな企業をやっておる人は千五百五十億字以上も打電をしておって、全体の料金は倍ぐらいしか払っていない。こういう不公平さを依然としてあなたのほうは認めるのですか。それだと大資本奉仕あるいは電電公社は要するに国民に奉仕をしていないと断言をしても決して過言じゃないじゃないですか。これは国民の電報業務ですよ。あなたの仕事じゃないですよ。国民全体の公器ですよ。国会においてそれを追及するのはあたりまえじゃありませんか。どういう営業内容でどういうことをしているかということについてなぜ答えられないのですか。なぜ違った答えばかりするのですか。適正な料金がわからないでこの経営ができますか、どうですか。品物の単価がわからなくて商売できますか。自分が売っている品物の単価がわからないでどうしますか。あなたのほうの電話にしてもそうですよ。一回線引けば設備費は何ぼかかる、したがってこの一通話の費用は何ぼかかるということはわかっているはずでしょう。それで計算していくのじゃないですか、どうですか。あなたの答えは答えになっていないじゃありませんか。しかも前もって私のほうはちゃんと通告してあるじゃありませんか、こういうことを聞きますよということを。不勉強もはなはだしいじゃありませんか。資料も前から要求しているのに、けさ委員会の最中に持ってきているじゃありませんか。あなたは国会を何と考えておられるか。明確な答弁をしなさい。適正な料金をここで出しなさい。その単価が出ないでおいて営業ができますか。電報配達の人件費とか設備費とかあるいはその人に対する月給とか、いろいろなものはわかっております。郵政大臣が許可する場合だってそうでしょう。下回ってはならないということが公衆電気通信法の規定にちゃんと書いてあるのです。どうですか。質問したことを答えてくださいよ、余分なことはいいですから。あなた方の事業の基本じゃありませんか、一字打電をすれば何ぼくらいかかるということは。あなた方がお出しになったこの数字から見ると、要するに専用回線を使うものとかあるいは加入電信のものにはたいへん有利だ。一般国民は十八億字しか使っていないけれども、約九十億円の金を払わされている。片方は千五百五十億字も打ってその倍額しか払わぬというのはどういうわけだとだれだって疑問が起こるじゃありませんか。どうですか。答えてください。
  146. 中山公平

    ○中山説明員 私からちょっとお答え申し上げますが、先ほどの先生のお話は、収入を字数でお割りになって、そしてお考えを述べておられるわけでございまして、それが原価ということにまた話がまいっておるわけでございます。おっしゃいますように、収入を、推定でございますけれども字数で割りますと、先生のおっしゃったようなことになるわけでございますが、原価ということになりますと、支出のほうをそれぞれ電報あるいは加入電信といったふうに取り扱った数量——これは字数でいくのがいいのか、あるいは通数でいくのがいいのか、いろいろ単位のとり方はあると思うのでございますけれども、いずれにしてもそのことによって原価というものが出てまいるわけでございまして、いろいろの計算方法があるわけですけれども、それらが全部総合されて出てくるのが、運用局長の申し上げましたように、電報事業においては収入が一〇〇に対して支出が七〇〇にもなっておるというようなことが出ているわけでございまして、私どもが先生の御指摘のように原価というものを考えて料金をきめていくという場合に、いまのような収支の率を参考にして方向をきめていく、こういうことに相なるわけでございますので、たとえて申し上げますと、電報事業でございますと、昭和四十三年度の決算を見ますと、支出は五百六十三億円かかって、大体七千二百万通の取り扱いをしておる、こういうことから原価も出てまいるわけでございまして、運用局長説明もそういうことでお答えを申し上げたはずでございますが、若干ことばの不足もあったようにも思えますので、そういうことでひとつ御了解をいただきたいと思います。したがいまして、費用についての差がなぜ起こるかということについては、運用局長がお答えいたしたように、電報は電報で受け付けから通信、配達というものがある。しかも配達は人手でなければできない。通信も人手でなければできない。これが電報事業の総コストの八〇%を占めておる。しかし、専用だとかあるいはテレックス、加入電信というようなものになりますと、そういう点については公社側としては負担が少ないから原価が変わってくる、こういうこと運用局長も申したのでございますが、私、聞いておりましても若干ことばに不足があったかと思いますけれども、根本はそういうことでございますから、御了承願いたいと思います。
  147. 土橋一吉

    ○土橋委員 これ以上はそう言ってもしようがないことですが、私はこの前も言いました。いまから四年前の電報の字数では、専用回線の場合は一字が一銭三厘から四厘についておる。ところが、(「持ち時間を守ってください。」と呼ぶ者あり)持ち時間を守りますからしばらくの間……。それで、一般の大衆はたしか三円か四円の電報を打つことになっているということもこの前申し上げたと思うのですよ。したがいまして、国民全体の負担にならないように、やはり専用回線を使っておられる方や加入回線の方々に大きくめんどうを見ていただいて、そうして一般大衆には料金を上げないようにするというたてまえを堅持してもらいたいというのが要するに私の中心的な要求です。(「時間はもう一ぱいでございます。」と呼ぶ者あり)それでは時間が一ぱいだと言われますので、もう一問だけやりましょう。  それでは郵政省にお尋ねをしておきたいのですが、先ほどもVからU体制に変わるという問題について、小渕郵政政務次官はおられなかったですが、四十三年の九月六日の日に当時の小林郵政大臣が発表されましてから、国民的な問題であると同時に、これは電波全体のいわば大きな変更の問題であるわけです。それにまもかかわりませず、この問題が、たとえば中小業界も方々とかあるいは労働界とかあるいは農漁民層とか一般の文化人とか、そういう国民の各層の中に十分この内容について意見検討やあるいは公聴会や検討会を開くことなくして、一郵政大臣がこれをかってに推進するということは正しくない。やはり電波国民のものです。電波の管理あるいは割り当てその他の問題についても国民のものでありますので、それを一郵政省方々だけで知るということは——特に業界の方々はたいへんな資金の負担等が起こってくるわけです。また一般の聴視者としてもあるいはテレビを持っておる人でも、これはコンバーターを買わなければならないとかオールチャンネルに切りかえなければいかぬという経済的な負担がくるわけです。したがって、七十一条の規定によって、さように周波数を変えるとかあるいは空中線電力の体制をかえるという場合には、必ずその業者に対して補償をしなければならぬというふうになっているわけです。その補償もしていないわけですね。まして一般大衆に何の補償もしていない。この問題について十分な意見を述べる、そういう場も与えていない。これは大きな問題だと思うのですよ。本委員会においてもこの問題は徹底的に討論されていないように、私の見た議事録ではなっているわけですね。ただ自由民主党の方々が中心になってこれを進められておる。ところが、現在アメリカ等においても、これは停とん状態なんですね。特にこれか資金の面あるいはその池電波の利用の面においてもたいへんめんどうな、困難な問題が起こってきているわけですよ。  ですから、今後続いて私はこの委員会において、この問題についてさらに追及もいたしますけれども、これを何とか、あまり——最も緊急な、重要な無線を必要とする方は、UHFのほうをお使いになってもいいじゃないか。つまり片方は二百七十メガしか幅がないわけです。片方は二千七百も幅があるのだから、この中を使えばよろしいのであって、お互いにそこは譲り合って使う体制をとらないと、ある省庁だけがおれはもうVHFのほうをやりたいといいましても、国民のために一そう多くの方々の利益も考えなければなりませんから、だからVHFだけでいくというのでなくて、そういう方々UHFのほうにきてもらったらいいじゃないですか。お互いにそういう困難はどこでも同じことですから、やるという体制をとっていただきたい。それでまた、国民のそういう負担について、郵政省は一体この問題をどういうふうに考えておるか。業界について、放送界について、そういう負担についてはどういうふうに考え方針でいるのか。そういう点をちょっと聞いて私の質問を終わりたいと思うわけです。
  148. 藤木栄

    藤木説明員 お答え申し上げます。  組めにおっしゃいましたU移行に際しての一般の聴視者あるいは事業をやっておる会社といったものに対しての意見を徴するかどうかという御質問がございましたけれども、それに対しましては私どもいま検討をしておる最中でございまして、どういうスケジュールでやるかということはこれからの問題でございます。したがいまして、そういった際に、私どものある程度の案ができました際は、一般の聴視者あるいは放送事業者といったところの意見あるいはまた学識経験者、そういったものの意見も十分に拝聴したい、そういうふうに考えております。  なお、このVからUへ移行する際の経費の問題でございますが、これも現在NHK、民放、それぞれ各社でどの程度の費用がかかるということを計算してもらっているわけでございまして、まだ最終的な結論を得ておりませんけれども、ある程度費用はかかるということは私ども承知しておりますので、そういった点につきましても、一挙にその移行をやるということになりますと非常な負担もかかる。ある程度の年月をかけて徐々にやっていこう、そういうふうに考えておるわけでございます。      ————◇—————
  149. 金子岩三

    金子委員長 この際、おはかりいたします。  当委員会におきまして、先般、郵政事業の運営状況調査のため、各地に委員派遣を行なったのでありますが、その報告書が委員長の手元に提出されております。  これを会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  次回は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時八分散会      ————◇—————