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1970-09-11 第63回国会 衆議院 逓信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月十一日(金曜日)     午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 加藤常太郎君 理事 本名  武君    理事 水野  清君 理事 武部  文君    理事 中野  明君 理事 栗山 礼行君       上林山榮吉君    羽田  孜君       長谷川四郎君    浜田 幸一君       林  義郎君    三池  信君       森  喜朗君    阿部未喜男君       古川 喜一君    米田 東吾君       鈴切 康雄君    樋上 新一君       池田 禎治君    土橋 一吉君       中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  委員外出席者         文部政務次官  西岡 武夫君         文部省社会教育         局長      今村 武俊君         郵政政務次官  小渕 恵三君         郵政大臣官房長 野田誠二郎君         郵政大臣官房首         席監察官    舘野  繁君         郵政省郵務局長 竹下 一記君         郵政省貯金局次         長       田中 恵造君         郵政省簡易保険         局長      中田 正一君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 溝呂木 繁君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社総務理事   北原 安定君         日本電信電話公         社総務理事   中山 公平君         日本電信電話公         社営業局長   遠藤 正介君         日本電信電話公         社運用局長   中林 正夫君         日本電信電話公         社計画局長   浦川 親直君         日本電信電話公         社経理局長   好本  巧君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   藤島 克己君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     野村 忠夫君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ――――――――――――― 委員の異動 八月十日  辞任         補欠選任   八百板 正君     後藤 俊男君 同日  辞任         補欠選任   後藤 俊男君     八百板 正君 同月十一日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     土井たか子君 同月十二日  辞任         補欠選任   土井たか子君     安宅 常彦君 同月十七日  辞任         補欠選任   鈴切 康雄君     渡部 一郎君 同日  辞任         補欠選任   渡部 一郎君     鈴切 康雄君 九月七日  辞任         補欠選任   鈴切 康雄君     鬼木 勝利君 同日  辞任         補欠選任   鬼木 勝利君     鈴切 康雄君 同月十日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     松沢 俊昭君   鈴切 康雄君     宮井 泰良君 同日  辞任         補欠選任   松沢 俊昭君     安宅 常彦君   宮井 泰良君     鈴切 康雄君 同月十一日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     米田 東吾君   鈴切 康雄君     樋上 新一君 同日  辞任         補欠選任   米田 東吾君     安宅 常彦君   樋上 新一君     鈴切 康雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 金子岩三

    金子委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  逓信行政に関する調査のため、本日、日本放送協会から参考人出席を求め、意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  参考人の人選、手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 金子岩三

    金子委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  なお、参考人からの意見は、質疑応答の形式をもって聴取することといたしたいと存じますので、さよう御了承願います。     ―――――――――――――
  5. 金子岩三

    金子委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中野明君。
  6. 中野明

    中野(明)委員 私、きょうはお許しをいただきまして、過日襲いました台風十号の被害について、またその後の復旧対策について、逓信関係にわたります問題について二、三お尋ねしたいと思います。  まず郵政省でございますが、このたびの十号は予想以上に甚大な被害でございましたが、郵便局舎郵便物被害状態、これが松山広島郵政局管内に及んでいると思いますが、その状況を簡単に報告をしていただいて、そして、ポストとかあるいは局舎も相当使用不能になっている個所も何カ所かあるように聞いておりますが、今後の対策、この点についてお尋ねをしたいと思います。
  7. 野田誠二郎

    野田説明員 御質問にお答えをいたします。  台風十号によります郵政事業関係被害でございますが、まず局舎被害につきましては、松山郵政局管内、これは四国でございますが、百五十八局が被害を受けております。広島郵政局管内、これは中国でございますが、におきましては六十三局、合計で二百二十一局の局舎浸水及び強風により屋根などが飛んだということでの一部破損という被害でございます。現在まで掌握しております局舎関係被害額の総計は約三千万円に達しておる、このように見込まれております。  次に、郵便物被害状況でございますけれども、これは局舎被害に比べましてさほど多くはないようでございまして、一番大きいものとしましては、高知県の浦ノ内局局舎内におきまして、書留通常八通、小包四個、それから同局への到着便普通通常百三十二通、小包三個、並びに、これは高知市内高知郵便局区内ポストの一本の中にありました普通通常五十通、これが高潮と浸水のために被害を受けております。これはいずれも各郵便物に浸出といいますか、水け、しめりがきまして、これはいずれもかわかしました上に付せんをつけまして、正当な受け取り人配達を完了いたしております。  なお、この十号台風によります被害、これは十月の二十一日に四国及び中国をそれぞれこの台風が通過をいたしておりますが、四国管内におきましては当該二十一日の一号便、二号便とも集配便が休んでおる、あるいは郵便運送便が、これは鉄道、航空機、船便ともに休止をいたしておるというような実情でございましたけれども、翌日にはいずれもほとんど回復をいたしておる、こういう実情でございまして、なお、四国に比べますと中国方面におきます郵便物集配及び運送関係の支障といいますか、これは非常に軽微になっておるわけでございます。  なお、局舎被害に対します復旧等は、現地におきましてそれぞれ着実に進められておりますし、それから、被災職員に対する救済の手段もそれぞれ着実に進んでおる、こういう実情でございます。  詳細につきましては、また御質問がございましたらお答え申し上げます。
  8. 中野明

    中野(明)委員 いま、今後の復旧は極力というお話しでしたが、一点問題になっておりますのは、災害地で、高知市に例をとりますと約二万五千戸から浸水をしまして、そのために避難場所が全然どこへ行ったかわからない。本人はわかっているわけですが、郵便局のほうでどこに行ったかわからないということで、非常に郵便配達に問題が出てきているわけでありますが、この辺についてどういう応援のしかたというのでしょうか、対策を考えておられるのか。たとえば親戚に避難しているのを、せっかくの郵便物本人の手元に届いていないという声をたいへんたくさん聞くわけですが、平常の状態ではとうていこれは解消できないと思いますが、この辺の本省としての考え方、応援のしかたですね。
  9. 竹下一記

    竹下説明員 御指摘になりましたような現象が高知市内で起きたわけでございまして、一般的には二十三日には配達を再開いたしましたけれども、一部の地区下知地区におきましては、八月末日まで配達ができなかったわけでございます。その間、住民方々はどこかへ避難をしておられたようでございます。それにつきましては、郵便局として避難先配達をすべきでございますけれども、局といたしましてもいろいろな仕事に忙殺されておりまして、実はそのいとまがなかったということを報告してきております。また住民方々からは、やはり身の回りのこと、家屋のこと等々でもって非常に忙殺されておられまして、特に郵便についての申告というか、そういったものは郵便局に対してはなされなかったということも聞いております。しかし、郵便は大事でございますから、避難先から帰られると直ちに配達をする、それまでは局に大事に保管をしておくということは、厳重にやったようでございます。
  10. 中野明

    中野(明)委員 許された時間が限定されておりますので、あと公社NHKにも二、三お尋ねしたいと思います。  まず、電電公社の問題ですが、通信が今回の被害でほとんど全滅に近い状態場所もだんだん出てきているわけです。この通信がとだえるということは、災害時においてどれほど一般人たち復旧作業あるいはまた連絡ができない不安、そういうことで私どもも一番に心配したわけですが、ちょうど私、当時高知におりましたが、この電信電話を何とか復旧したいという意欲的な作業、これは公社通信局長をはじめとして、部長、次長あたりは夜を徹して何日もがんばられたその姿には、非常に地元でも好感を持たれておりますし、この点は、高知市に例をとりましても非常に敬意を表するわけであります。この被害状態を、仮復旧で現在大体解決しているわけですが、その仮復旧するために既定の従前の工事、本来当然行なわれているべき工事が、ずいぶんおくれているように私、承知しております。これは仮復旧を早急に本復旧にするとともに、本来の工事がおくれている分を一日も早く取り戻して万遺憾なきを期していただきたい、この点が一点です。  それから、災害時におきますところの特別の料金の割引、これをどの地域でどの程度実施しようとなさっているのか、そこの点がいま一点。  それから、時間がありませんので一緒にお尋ねしておきますが、今回有線電話がたいへん甚大な被害を受けました。高知県だけで例をとってみましても、二十一市町村で二十二カ所の有線放送電話壊滅状態になっております。おそらく今後農協にしましても市町村にしましても、あの復旧にはとうてい予算が出ないだろう、こういうふうに私ども心配しているわけですが、いま地元で起こっております声は、昔農集と言っておりましたが、いまは地域集団電話ですか、これにもし切りかえる場合、公社のほうでその用意があるかどうか、こういうことの問い合わせがだんだん来ております。幾ら切りかえていただくにしても、何年もかかるようでは困りますので、その辺の公社受け入れ体制といいましょうか、工事ワクといいましょうか、その辺がどうなっておりましょうか。この三点お尋ねしたいと思います。
  11. 北原安定

    北原説明員 最初の御質問は、復旧工事のために当初計画工事がおくれておる、そのおくれをどのように取り戻すかという御質問を受け取っております。  今回の災害予想以上に大きくございまして、四国、なかんずく高知県におきましては、その被害が非常に大きいわけでございます。九月十日現在におきまして、高知須崎それから土佐中村安芸、土佐山田のこの五局が平常に復しておりません。そこでこの五局のうち、高知電話局に関しては十月一日、その他の須崎中村安芸、山田につきましては、九月十五日におおむね平常のサービスが提供できるようになると考えております。  それから災害時におきますところの減免の御質問でございます。これにつきましては、台風十号は四国管内が最もひどうございまして、四国管内で全部で二万七千件の料金返還をいたしておりまして、金額で四百万一千七十五円、このうち高知県が特に多うございまして、三百九十万八千九百五十二円という還付になっております。  それから、終わりに御質問のございました有線放送に関連します公社受け入れ体制でございますが、私ども現在、御指摘のように二十八の有線放送電話のうち二十二が大きな被害をこうむっているように承っております。公社といたしましては、この地集への切りかえを希望されるものにつきましてはそのすべてを応諾する、そして地元の納得のいく線に沿って設計をし、工事をする所存でおります。
  12. 中野明

    中野(明)委員 地集に切りかえる場合ですが、話がまとまってから工事完成までどれくらい時間を考えておいたらよろしいですか、その辺。
  13. 北原安定

    北原説明員 その地集規模によってかなり違っておりますが、一般の三百とか四百という程度規模のものでございますと、お話をいただきましてまとまりまして設計を開始し、物品を手配をして工事の完了するまで、おおむね一年程度と御理解いただければいいかと思います。
  14. 中野明

    中野(明)委員 では、時間がありませんので、NHKのほうにお願いいたしたいと思います。  NHKの今回の十号による局舎被害状況と、それから共聴施設被害状況復旧計画最初にお聞きしたい。
  15. 藤島克己

    藤島参考人 お答えいたします。  最初に、放送施設関係被害とその復旧状況を申し上げたいと思いますけれども、私ども松山管内では、今回の台風はかなりひどい台風でございましたけれども、結果といたしますとたいした被害はございませんので、ごくわずかな、軽微なもので、松山管内構築物放送設備、敷地を含めまして約二十八件起きております。そのおもなものは、たとえて申し上げますと、高知放送会館が床上に約一、二センチぐらいの浸水がございました程度で、放送所その他で雨漏りがあったり、雨のために一時STリンクの機能が低下したりという程度でございまして、その復旧にかなり経費をかけて、あるいは時間をかけてやるほどの被害は起きておらないようでございます。それから、あと山間僻地のほうへ散在しておりますテレビの中継放送所でございますが、これが九十五局ございますけれども、そのうちに停波したのが一件ございますが、あとは電源が停電いたしまして、自家発電がないところがまだかなりございますので、そのうちの五十七局が停電のために停波をいたしたような次第でございます。  あと復旧につきましては、ほとんど二十四日、二十五日の段階で全部復旧いたしておりまして、その後異常なく作動をいたしておりますので、これ以上経費をかけて処置をするということはなかろうかと思います。  第二点の受信者一般受信機並び共同受信関係でございますけれども一般聴視者のほうは、松山管内では、大体十一万七千世帯が水をかぶったとか、風のために落ちたとかでいろいろ被害を受けたようでございますけれども、これは大部分のものが、告知放送その他もいたしましたけれども、取引のあった地元業者の方が早く手を打たれましたので、ほとんど大半復旧しておると聞いております。ただ、浸水をいたしまして、そのままではなかなか回復しない受信機が、高知市内並びにその周辺で約三千台あったということであります。これにつきましては、NHKラジオ商の組合あるいはメーカーその他の方の応援を得まして、八月二十八日から約二週間、水洗をいたしまして、それを乾燥いたしまして修理をするという手配をいたしておるわけでございますけれども、三千台のうち約一千台が八月中に全部完了いたしまして、九月中旬、もうすでに終わっているかと思いますけれども、残りの二千台が完全に原形に復するというふうに考えております。  それから、私どもが直接やっております共同受信設備でございますけれども、これは電柱の倒壊あるいはその付近にあります立ち木の倒壊その他で、枝が共同受信の線に触れたとかいうようなことでありまして、これもほとんど現状では異常なく復旧いたしておりますが、ただ、私ども直接やっている共同受信でない、従来からやっておられた助成とか非助成一般共同設備の百七十二施設は、ほとんど被害を受けておりますけれども、いま申し上げたような被害程度でありまして、大半地元業者復旧できる。それから、十五施設ほどかなり技術的に手を入れないと復旧しないというものがございましたので、これは私どものほうの受信機技術の者が指導に参りまして、現在ではほとんど完了いたしております。  それからもう一つ、修理してもほとんど手に負えないというような古い施設がございまして、これの被害を受けましたのが二十五施設ございますけれども、これは今後できるだけ早い期間に、NHKが昨年から実施しております直接施設をするというふうなワクに組みかえて、そのワクの中で回復をいたしたい、かように考えておる次第であります。現在は、当面暫定的に画像が見える程度処置をしてございます。  以上でございます。
  16. 中野明

    中野(明)委員 共聴施設の点でもう一点聞きたいのですが、いまお話しのように、昨年からNHKのほうでは全額費用を出して共聴施設をすることになっておりますが、以前から自営でやっておったとかあるいは補助をもらってやっておったところが全滅してしまって、今度新しく要請があった場合、NHKとしては新制度でこれを引き受けて復旧されるかどうか、こういう問題であります。  それから、時間がありませんのでもう一点だけ一緒にお願いしたいのですが、今回の台風で私、一番痛切に感じましたのは、高知県のように海岸線が約三百キロに及ぶような、台風が直接上陸する地点、こういう地理的な状況のもとにありまして、最初にも申し上げましたように、今日報道関係は非常に大きな役割りを占めております。このたびの台風で、ちょうどNHKの大型の中継車室戸に行っておりました。ところが、途中で台風がコースを変えまして、御承知のように土佐佐賀というところに上陸したわけですけれども、その間室戸に行っておった中継車は、途中で橋が落ちたり道路の決壊で帰れないという状態で、一番なまなましい台風現状というものが中継できなかった。そのために放送局に測候所の人に来てもらって、全然台風関係のない地域で全国の皆さんに放送しているような放送しかできなかった、こういう非常に残念なことが起こったわけであります。こういう点を考えると、私ぜひこの機会にああいう地域の広い、しかも高知市を中心にして両方に地域が広がっているような地域では、もう一台マイクロでもよろしいですが中継車を常備しておく必要がある。今回の台風で特にその点を感じたわけですが、ここら辺NHKとしてどのような考えを持たれているか、その二点。
  17. 藤島克己

    藤島参考人 最初の点について申し上げますと、先ほど申し上げましたように程度がひどく破壊している設備、それが約二十五施設ございますけれども、これはお説のとおりに、NHKの新しい施策による方式に切りかえてやるつもりでございます。ただいままでは二十五施設程度がそれに該当すると思っておりますけれども、またその範囲が変わってまいりますと、できるだけそういう原則で処置をしたいと考えております。  第二点の中継車の問題でございますけれども、これはお説のとおりに、室戸のほうに参っておりましたらどうも台風が足摺のほうに変わりまして、それに体制が即応できなかったというたいへん残念な事態がございまして、私どもも大いに反省をしておるわけでございます。ただ、中継車がいまなかなか不足しておるものですから、各局に一台ずつはございますけれども高知に二台配置するかどうかということもあわせて検討いたしておりますけれども、ただなかなか台風では、あるいは地震もそうだと思いますけれども、主として台風の場合は、中継車そのものの移動が非常に危険でございまして、場合によっては中継車そのものがどうも飛ばされるような状態もございますので、何かほかの方法でそういうふうなことがカバーできないか。たとえて申せば、トーチカみたいなものでもつくって――これはたとえ話でありますけれども、そこからカメラでも何でも使えるようにすればなおよろしかろうと思いますけれども、あわせて今後の対策を目下検討中でございますので、なるべく早く成案を得て御趣旨に沿うようにいたしたいと思っております。
  18. 中野明

    中野(明)委員 時間がありませんので以上で終わりますが、特に逓信関係台風のみにとどまらず、通信放送あるいは郵便物にいたしましても、あらゆる面で国民生活に密着した問題でありまして、日ごろからの訓練は怠りないと思いますけれども、今後災害時に対する緊急対策、これに対する訓練というものを、それぞれの責任において十分指導していただいて、万遺憾なきを期していただくことを最後に要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  19. 金子岩三

  20. 武部文

    武部委員 最初に、放送大学の件について質問をいたしたいと思います。  前回、当委員会NHKの会長に出席をいただきまして、また文部省にも出席をいただきまして、放送大学の将来の展望についていろいろお伺いをいたしました。その際郵政大臣も、この問題については積極的に取り組んで、文部省十分相談の上で誤りのないやり方をしたい、こういう答弁がございました。  きょう私がお伺いをいたしたいのは、文部大臣諮問機関である放送大学準備調査会が九カ月にわたって審議を重ね、七月の二十四日に「放送大学設立について」という報告書をまとめております。この「放送大学設立について」という報告大臣に提出しておるようでありますが、文部省はこの報告をどのように取り扱うのか、その趣旨を尊重してどういうふうにやろうとしておるのか、最初文部省の見解をひとつ承りたいのであります。
  21. 今村武俊

    今村説明員 文部省といたしましては、七月二十四日、放送大学準備調査会の御意見を承りまして、そして結論が必ずしも出されていない個所もございますし、それからまた、おおよその方向を出して検討をすべきことを報告として述べられているところもございますので、それらの点について省内で研究をいたしました。  しかし、まだいろいろ研究する余地もございますので、予算的には放送大学設立に関する予算を要求するけれども、現在のところ計数はまだ未定であるという形で予算要求をしている現状でございます。
  22. 武部文

    武部委員 この準備調査会の運営のあり方をいろいろ聞いてみますと、調査会の開催は十六回、小委員会は十一回、合計二十七回にわたって審議が続けられておる。そういう意味ではたいへん熱心におやりになったと思うのですが、この「放送大学設立について」という報告書を拝見をいたしますと、いまあなたは、結論が出されていない個所もある、こういう話でしたが、一番大事な点について結論が出されていない。確かに百二十四単位とか、あるいは一日二時間で、年間十日から十九日のスクーリングというような点、あるいは数学を取り入れたというような点、いろいろな具体的な問題については、前回委員会で私が質問をいたしましたイギリスのBBCの内容等から見ると、格段の差があるように思うのです。  そういう意味では、内容的には非常にりっぱな学習の内容になっているわけですが、一番肝心かなめな放送大学の根幹に触れるともいうべき設立の形態なりあるいはその放送の実施方法、こういう点について、この点が全く欠けておる。特に財政的な問題、こうした点について明確な方向づけを欠いておる、こういうことが私はいえると思うのです。端的にいえば、これはもうマスコミの報道も取り上げておるように、国立か特殊法人か、あるいは特に放送の実施方法についてはどうするか、こういう点について全くこれは触れていない。特に「放送の実施方法」として、「放送大学の主たる教育手段である放送の実施については、放送大学が意図する教育がじゅうぶんに実現しうる放送体制を確立すべきである。」これはまことに責任のがれのきわめて抽象的な表現であって、ここが一番重要なんです。ここをもっと具体的に提言すべきではなかったか、われわれはそのように思うのです。あなたがいま答弁されたように、結論が出されておらない個所があるということをおっしゃっておるけれども、ここが一番問題なんです。こういう根幹をのがれて、放送大学設立というようなことは考えられないのですよ。  そういう点で、あなたのほうはこれを尊重し、検討し、予算はこれからいろいろ考えるとおっしゃるが、この二つの問題について文部省はどう考えるか、その点をひとつお伺いしたい。
  23. 今村武俊

    今村説明員 お答えいたします。  準備調査会報告の中で、「放送大学設立形態および運営組織」という項で、「放送大学設立形態については、国立大学の方式と公的性格をもつ新しい形態の法人による方式の二つが考えられる。」その選択の問題が残されているわけでございますが、文部省の内部の事務的な検討の結果といたしましては、まだ最終的に方針がきまっていないことは先ほど申し上げたとおりでございますが、おおよそきまっていることは、放送大学設立主体は、新たに法律で定める特殊法人という形で進めていくべきであろうというおおよその見当を出しておるわけでございます。  それから次に、「放送の実施方法」のところで、「放送局の免許を放送大学に与える方式と放送事業体に与える方式」がある。その選択も、なお今後に残された問題とされておりますが、この関係につきましては、文部省だけで十分結論を出し得ることでもございませんので、郵政省のほうとも十分協議をいたしておりますが、まだ文部省としては、決定的に意見を外部に表明する段階に至っておらないと考えております。
  24. 武部文

    武部委員 そうすると、二つの問題のうち、一つは特殊法人というほうがいいのではないかという点については、文部省としては大体その意見に固まっておる。二番目の放送の実施方法ですね、そういうことについては、文部省としてはまだ具体的な最終的な態度を決定しておらない。そうすると、まあこれからが問題になるわけですね。あなたのほうで、何か四十六年度の予算についていろいろ検討を加えておる、こういうことをおっしゃったわけです。それならばこういう報道がありますが、これについてどういう御見解でしょうか。  文部省は三十一日に同省の来年度予算を大蔵省に提出したが、放送大学問題では、放送大学設立準備費という項目だけをあげておる。そして実質的には、十月ごろに追加予算として要求することになりそうだ、ここまではまだいいのですよ。そのあとのほうに、「結局、来年度予算では東京、大阪など広域七局合計二十都道府県をサービスエリアに放送設備費などを要求、四十七年度中に大学の管理機関や教授陣などを整え、四十八年度放送開始の線が考えられているようである。」こういう報道が一部にされておるわけですね。四十六年度の予算として、私がいま申し上げたように、あなたのほうは放送大学設立準備費という項目だけをあげて、何らの具体的な数字をあげて要求していない。それは事実ですか。
  25. 今村武俊

    今村説明員 項目だけをあげておりまして、計数を入れてない、そのとおりでございます。
  26. 武部文

    武部委員 そうすると、二番目の来年度予算、たとえば十月にあなたのほうでは追加予算として要求することになりそうだというのは、私がいま申し上げた中にもありますが、われわれはほかからもそういうことを情報として耳に入れておる。そうすると、追加予算として要求するのは、一体何を要求しようとしておるのか、どういう内容のものを要求しようとしておるのか、これはどうですか。
  27. 今村武俊

    今村説明員 追加予算という形にはならないと思います。予算要求の一部分としてあとで要求するということでございますが、事務的にはいろいろ研究いたしておりますけれども、まだ文部省としてどういう形で予算要求するということは、決定されていない現状でございます。
  28. 武部文

    武部委員 よくわかりません。文部省の態度はよくわかりませんね。  そこで、今度郵政省にお伺いいたしたい。私どもが手元に持っております資料によると、この放送大学の問題について、与党の皆さんの中にもいろいろ意見がある。一案、二案、三案、さらにはNHKの独自の案もあるというようなことを具体的に承知をいたしております。この中で、前回私がNHKの会長にお尋ねをいたしたわけでありますが、NHK放送大学についてどういう考え方を持っておるのか、こういう質問に対して、非常に積極的に、むしろイギリスのBBCのやっておるようなものよりも何歩も先んじた放送大学というものを考えておる、と同時に、それをNHKとしてはりっぱにやり得る自信を持っておる、こういうような非常に前向きの姿勢の答弁がありました。この与党の皆さんがつくっておられる一案、二案、三案には結論が出ていないようでありますが、この中にも、NHKにやらしたらどうかとか、その場合には現行法に抵触するとか、いろいろな問題点もあるようです。確かに法律改正を必要とするでしょう。しかし、現実問題としていま文部省の答弁がありましたように、放送の方法についてほとんどといっていいくらい結論が出ていない。何らの結論もない。  こういう状況の中で、いま私が申し上げた、文部省は「来年度予算では東京、大阪など広域七局合計二十都道府県をサービスエリアに放送設備費などを要求」するというようなことが報道されておりますね。こういう点について、郵政省はこの一案、二案、三案の中で、いろいろ論議されたと思うのですが、将来の放送大学のあり方について文部省とどのような協議をなさっておるのか、それをひとつお伺いしたい。
  29. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、先ほど文部省からもお答えがありましたように、強力に、密接に協議をいたしまして、りっぱな放送大学ができるように努力しているわけでございます。  御質問の、いわゆる放送の実施主体といったものにつきましては、いま先生のおっしゃったようないろいろな案があるわけでございますが、免許の主体をどうするかといったようなことにつきましては、まだ郵政省としては結論を出していないわけでございまして、いろいろ検討はしているという状態でございます。
  30. 武部文

    武部委員 一番大事なところが実は検討中なんですね。ですから、マスコミの皆さんから見ても、中に入れるべきものはまことにりっぱなものができているが、入れるものがないじゃないか、中のものだけりっぱなものをつくって、入れるものがなければ何にもならないじゃないかという皮肉も出るのは、私は当然のことだと思います。  そういう意味で、きょうは実は文部省の大学学術局長出席を求めたわけです。なぜならば、文部省の中では、社会教育局か大学学術局かというこの担当のあり方については、あなた方が積極的になわ張り争いでとろうという意欲じゃないのです。これはやっかいものだから、社会教育局としては大学学術局に持っていこう、あっちは、やっかいものだからおれのほうは知らぬぞ、いまになっておれのところに持ってきたって知らぬぞという、そういう投げやり的なやり方が文部省の中にありはしないか。これは新聞報道の局長の談話を見ても、何かそういうふうにとれるのです。あなた方のほうで、一体それをだれが管轄してやろうとするのか、主管はだれなのか。いままでは社会教育局だ、今度はいよいよ設立になったら大学学術局だというようなことで、それも何か責任のなすり合いのような、それも逃げ口上のような、そういうあり方が私はありありとうかがえるのです。一番大事なことがきまらないのは、そういうところにも原因がありはしないか。  さっきから言うように、NHKでは、私どもが承知しておるところでは非常に積極的なんです。このことについてNHKが免許を受けて、そうして既設の設備を使ってやる場合に、それに免許をおろすことがいいか悪いかということについていろいろ意見があるようです。これは与党の皆さんの中にもたくさん意見が分かれているようです。もしNHKに免許をおろすということになれば、それはいまの法律上どういう障害があるか、また大学の運営のあり方から見て、教育と放送という面から見て、NHKに免許をおろす場合には何が欠陥なのか、ガンなのか、そういう点についてどうお考えでしょう。これは郵政省
  31. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  私ども、先ほど申し上げましたように、与党の一案、二案、三案というものがございますし、NHK意見というものもございますけれども、そういったものを一つ一つ分析、検討している段階でございまして、いまの段階で先生のおっしゃったような、NHKに免許をおろしたら障害があるということは、まだ結論づけているわけではございませんので、そういったものを含めまして検討している、そういう段階でございます。
  32. 武部文

    武部委員 そういたしますと、いままでわれわれに話がございました、放送大学設立は四十七年四月を目途にする、それを目標にぜひやりたいという意向がありましたね。しかし、文部省の答弁を聞くと、四十六年度の予算には何ら要求もしていない、またこれから追加予算として何を出すかということもわからない、そういう答弁であります。そうすると、一体四十七年四月という発足は、もういまの段階では完全にだめなのか、そういう意図は文部省にないのか、また郵政省はこれとどういう関係を持つのか、この点はどうですか。
  33. 今村武俊

    今村説明員 お答えいたします。  四十七年の四月から発足するということは、非常に困難であると思っております。
  34. 武部文

    武部委員 郵政省はどう思いますか。
  35. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、前大臣以来非常に積極的にこの放送大学といったものの設立を早くしたい、そういう希望はあるわけでございますが、やはり文部省と歩調を合わせる必要があるわけで、先ほども申し上げましたように、そういった点につきましては文部省と密接に連絡をとっている、そういう状態であります。
  36. 武部文

    武部委員 先を急ぎますが、そうすると、さっき私がちょっと読み上げた、一部報道にあります、来年度予算で東京、大阪など広域七局、合計二十都道府県、それをサービスエリアにして準備を進めているということは、全く誤りですか。そういうことは全然考えていないのですか。文部省
  37. 今村武俊

    今村説明員 お答えいたします。  そういうことも含めまして事務的には検討中でございますが、文部省としてまだ外部に向かって、文部省の意思はこうであるということを発表するほど、内部で意思決定の順序が尽くされておらない、こういう現状でございます。
  38. 武部文

    武部委員 いまのあなたの答弁を聞くと、これは一部の広域七局、そこから始めていくことも一つのあり方だというふうなことを考えておる、それも検討の一つだ、こうおっしゃるのですね。そうすると、これは私は問題だと思うのですよ。放送大学の本来の趣旨からいって、これは全国あまねく――あなたの話を聞いていると、最初は七局だ。それなら次は何局ですか。そういう計画があるのですか。そういうことも考えながら文部省としては計画を立てておる、こういうことなんですか。それをちょっと聞かしてください。
  39. 今村武俊

    今村説明員 お答えいたします。  七局とか十局とか、そういう限定を設けてお話をしているわけではございません。放送局を設けていくとすれば、ゼロから始めて順次カバレージを広げていくわけでございます。それで、現実に可能なある段階を考えてみてだんだん広がっていくわけでございますけれども、一段の広がり、二段の広がり、三段の広がりを考えていって、どの段階で大学を開設したらよろしいだろうか。放送大学設立趣旨にかんがみまして、あまりにもカバレージの少ない段階では、まだ試験放送の電波を発射する程度でよろしいのではないか。相当程度カバレージが完成いたしましたおりに、放送大学を開設するという決定があっていいのではないだろうか。その辺のかね合いをどうしたよろしいか。しかも、現実に可能な見通しとの相関関係において研究をしておるという段階でございまして、七局とか十局とかそういうことを、まだ文部省として、外部に発表できる限度にまで決定したわけではないということを申し上げたわけでございます。
  40. 武部文

    武部委員 そのことは一応わかりますが、あなたのいま答弁になった前提は、施設というものを放送大学が独自で持つ、独自で持つ場合にはそういうやり方でするんだ。NHKの会長が言っておったのは、自分たちは千局以上の局を持っているのだ、現実に全国にそういう既設のものがあるのだ、それをりっぱに使うことができるじゃないかという話だったんですよ、前回のこのやりとりは。あなたのいまの、たとえば七局とか十局とか、そういうものを第一段のカバレージにする、あとのことは次から次だというのは、放送大学が独自の設備を持って、そして電波を発して運営をすべてやるということを前提でそういうことをお考えになっておるんですか。
  41. 今村武俊

    今村説明員 お答えいたします。  その関係につきましては、私ども文部省の領域では知識がないので、郵政省の力をかりながら判断をいたしておるわけでございますが、聞いておるところによりますと、NHKは現在持っている施設をフルに利用して現在の放送をやっておる、したがって、今度新たに放送大学の電波を発射するということになれば、NHKは現在の施設設備を使ってはできないのであって、放送大学のための電波を発射するための施設設備を新たに拡充しなければならないというふうに承っております。そういうことを基礎にして判断をいたしておりますので、先ほどのような答弁になったわけでございます。
  42. 武部文

    武部委員 ここが一番大事なんです。問題なんです。確かにあなたがおっしゃるように、いまのNHKは千数百局、千局をこえておりますね。その中に放送大学のものを全部吸収できる、既設のもので、そういうことはないんですよ。それは、NHKの会長もそういうことを述べておるんです。ある程度施設の増加とか、設備の増加とかいうことはあり得るでしょう。しかし現実にやり方として、NHK施設を利用するのか、それともそうでないかということ、ここが分かれ目なんですよ。あなたのほうは、そういう面でどういうふうに考えておるのか、この検討をなされておるのか、こう言うと、専門じゃないから郵政省とよく相談をしておる。郵政省のほうは、検討中でございます。何にもない。そうしておいて、一部にはそういう報道がなされるのですね。七局とかなんとかいうことが流れておるんですよ。ですから、根幹がきまらぬのに、文部省はこう考える、郵政省はこう考えるというようなことがあっちいったり、こっちいったりしておるんです。そういう一番大事なことについて、なぜ今日の段階ですぱっとした一本の結論が出ないか。出るようなそういう相談をなぜなさらぬか。  さっき言ったように、文部省は責任のがれかのように、自分のところじゃない、自分のところじゃない、こういうようなやり方。ここでの答弁から推察をして、もう放送大学についての積極性が文部省はないんじゃないか。一部には確かにありました。また、一時的にはたいへんなのぼせ方をしておった。ところが、今日出てきたこの報告なり、あなたの答弁なり聞いておって、放送大学について文部省に、はたして熱意があるだろうかという点について、疑わざるを得ないんです。ですから、四十六年度の予算についてだって全く白紙でしょう。四十七年の四月は困難だ。では四十八年か、そういう話もないんです。  まあここで論争しても始まりませんから、一応あなた方の見解をお聞きするためにもう一、二聞きますが、そうすると、かりに放送大学放送局を独自で持って全国のネットワークを実施するということになれば、局舎費とかあるいは放送施設とか、人件費とか、そういうもので一体概算どのくらいの費用が要るというふうに考えておるんですか。免許を受けて独自に放送大学を運営する、電波を発する、局舎も建てる、この場合どのくらいの費用が要るのですか。
  43. 今村武俊

    今村説明員 放送大学設立にあたりましては、文部省としては概算幾らという計算をする前に、まだ考えなければならぬことが非常に多いわけでございます。たとえば、在来ある既存の通信制の大学と今度新しく設立しようとする放送大学関係をどういうぐあいにまとめていくのか、高等教育改革の全体構想のもとでどういう位置づけをしていくのか、あるいは放送大学に設置するコースの数あるいはその内容、その決定の手続等々もございますが、肝心なことは、入学する学生の予定数がどういうぐあいになるであろうかということも非常に肝心な問題でございます。  現在、第一回目の調査を、総理府の調査の一環としてやっていただきましたが、第二回目の調査は、私ども調査を実施しようとしている段階でございます。そういう入学者の予定数を確定いたしませんと、その規模もなかなか試算しにくいというようなことがございまして、もちろん事務屋でございますからあれこれ計算をいたしておりますけれども、まだ、こういう席で発表し得るに足るほどの計数は持っていないわけでございます。
  44. 武部文

    武部委員 それじゃ問題になりませんね。これは二つの方法があるんですよ。さっきから言うように、NHKが受けて、放送大学放送設備とかいうことをやる場合には大体どのくらいかかるということは、すでに出ておるのですよ。もう発表になっておるじゃないですか。もしそれをやらない場合に、放送大学が独自で設備も全部持った場合には一体どのくらい予算がかかるのか、それと比較して検討を加えなければ結論が出ないじゃないですか。文部省としては全然知ってないのですね、いまのあなたのお考えでは。生徒の数だって、ほぼ想定されるものが出ておるはずですよ。  あなたにこれ以上聞くことはできませんが、じゃ郵政省は、放送大学NHKにまかせないで、放送大学自体が独自でやる場合には、どのくらいの予算が要ると見ておるのですか。
  45. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省といたしましては、文部省と協議をしながら、放送局の建設といった問題につきましては私どものほうが専門でございますので、そういった点につきましては検討いたしております。先ほども文部省のほうからもお答えがありましたように、全国あまねくやらなければスタートしないというわけにはいかないと思いますので、たとえば、先ほども先生が資料としておっしゃいましたような、主要大都市といいますか、七カ所くらいをまず第一にやる、あるいはその次には都道府県の県庁所在地くらいを置局する、そういったようなことで、その積み上げはやっております。大体私どもの計算によりますと、世帯数の八〇%くらいをカバーするというところまで放送局をつくる、これはテレビとラジオと両方でございますが、その程度までつくるとすれば、建設費としては約四百億くらいかかるだろう、そういうふうに考えております。  なお、先ほどNHKにやらした場合と放送大学自体が設備を持った場合とで、どの程度違うかといったような御質問もあったわけでございますが、これは先ほども文部省のほうからもお答えがありましたように、新しく施設をつくらなければならないということは、NHKが実施いたしましょうが放送大学がやろうが同じわけでございまして、この点は、アンテナを共用するとかいったような問題はございますけれども、送信機その他の設備はやはり新しくつくらなければならないという点でほとんど変わらない、そういうふうに考えております。
  46. 武部文

    武部委員 大体わかりましたが、いま施設のことだけ言っておるわけですけれども、たとえば無線従事者の問題、人間の問題、こういうこともあるわけです。ですから、そういうことについてまだ検討がなされていないというか、検討しておっても最終的にこの公の場で発表する段階でないというような点だけはわかりました。  そこで、郵政大臣にひとつこの問題について最後にお伺いをいたしたいのであります。途中で御出席になったわけですが、準備調査会からの文部大臣に対する報告、それを見ますと、先ほど触れたのですが、大事なことが抜けておる。一番大事な点が、二つだけ非常にあやふやになっておる。一つは、国立か特殊法人かということですが、特殊法人ということについて、大体文部省のほうも話は進んでおるようです。二番目の放送の方法、これはNHKにするかどうかというような点、こういう点について、私はいまこの報告内容を読み上げたわけですが、非常に抽象的です。いろいろ事情があることはわかりますが、その抽象的なということは、いわば問題を政治的に解決してくれというふうに投げかけておる、このようにも思えるのです。したがって、この放送大学の問題については、大臣前回の答弁で、いわゆる国民のための放送大学になるように積極的に前向きで検討する、こういうお話でございました。いまお聞きしておる、文部省は四十六年度の予算にも全然予算の要求もしない、四十七年四月の開校もおそらくだめだろうというような話です。  したがって、この一番問題になる二つのことについて、政治的な問題として解決しなければならぬという段階になっておると思うのです。この点について、今後郵政大臣文部大臣その他と、このことについてどういうふうにお話しになる決意があるのか、これをひとつ最後にお伺いしておきたい。
  47. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 準備調査会報告につきまして、いま武部委員指摘のように、おおよそ二つの問題点がある、私どももさように承知をいたしております。  それで、文部大臣とも寄り寄り話し合いはいたしておるのでございますが、八月末の概算要求に盛り込みまするためには、まだ少し煮詰まらない点も実はあったわけでございます。したがいまして、予算の最終の策定は年末ぎりぎりまでございましょうから、その間に問題をさらに煮詰めて、これはあとからでも持ち込むということが可能であろうというふうに考えておるのでございます。  そこで、いまの国立か特殊法人か、ないしは従来の放送業者を活用する、主としてNHKの問題になると思いますが、この二点をいまいろんなデータに基づいて、郵政省としましては二つないし三つの案を想定をしまして、この検討をいま急いでおるというところでございまして、決して後退をしたとかあるいは熱意がさめたとか、そういうものではございません。国民がこれに対して非常な期待を寄せておるのでありますし、また貴重な電波をこの面にさくという以上は、やはりそういたずらに拙速をとうとぶいうだけでもいけないじゃないかということで、十分にただいま検討しておる、こういうさなかでございます。
  48. 武部文

    武部委員 それじゃ、放送大学のことはまたあらためてお伺いすることにいたします。  次は、電電公社関係でありますが、電信電話拡充七カ年計画について若干の質疑を行ないたいと思います。  私は、電信電話拡充七カ年計画が、第四次五カ年計画を拡充して変更をしたという、その経過について内容をしさいに検討してみたわけであります。時間の関係で私、三つに限ってきょうはお伺いをいたしたいのでありますが、まずこの七カ年計画の中で一番問題になるのは、長期の計画についてであります。  との計画によりますと、五十二年末に積滞を解消するという方針がとられております。いままで当逓信委員会においていろいろ論議されたのは、少なくとも一般の国民が申し込めば電話はすぐつくものだ、まただんだん内容も変わってきて、申し込んですぐつく電話から、いろいろ変わってきたという経過はわれわれも一応認めます。認めますが、少なくともいままで当委員会で発言があったのは、五十年末には積滞は解消するんだ、またしてもらわなければならぬというような意見が、この当委員会の中からしばしば出ておりました。また皆さんのほうも大体そういう意向で、まあ五十年になれば積滞は解消するだろうという話でございましたが、この計画によりますと五十二年末に積滞を解消する、こういう計画のようであります。少なくとも、社会的にいま非常に必要性を感じておる国民の期待、要望にこたえるためには、もっと早く一般加入電話の積滞の解消をすべきではないか、このように思うわけであります。  この計画書にも、文字としては、「すでに生活必需品化している住宅用電話の普及に努める」ということばが載っておるのです。生活必需品なんです。確かにそのとおりなんです。それが相も変わらず、積滞がどんどんふえて二百数十万個ということで、いまから七年もかからなければこの積滞が解消しないということでは、これは国民の期待にこたえることにならぬのじゃないかというふうに思います。  時間の関係で、最初に私の質問意見を述べて御答弁をいただきますが、この方針の中に「基本方針」というのがありまして、いま申し上げたような、「経済の効率化と国民生活の充実に資する。」というのが基本方針の一つであり、二は、「情報化社会の発展に寄与する。」と、こういうふうになっております。確かに、この基本方針は私はこれでいいと思うのですが、少なくとも一に重点が置かれておらなければならぬのじゃないか。それが結果的に、この計画全般をながめてみると、むしろ情報化社会の発展に寄与するというほうに重点が置かれて、一般の国民大衆が希望しておるところの、加入電話の積滞を解消するということが二に置かれておるんじゃないかというように思われてなりません。そういう点について、一体公社はどのように考えておられるのか。それは、この二の情報化社会の発展に寄与するという中に、電子交換機等の導入をはかる、DEXですね、そういうものの導入をはかる、いわゆるサービスの点について新しいものをどんどん取り入れていこうというような点が見えますが、先ほど言うように、一と二と逆になっておるんじゃないだろうかということを考えますが、この点についてはどのようにお考えですか、それを最初にお伺いしたい。
  49. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、先般経営委員会を開きまして七カ年計画をきめた次第でありますが、その七カ年計画の中の最初の二年であります四十六年、四十七年は、第四次五カ年計画の中におきまして、特に第四次五カ年計画の中の加入電話の積滞が非常に多いものでありますから、最初考えました第四次五カ年計画で、代表工程といたしまして九百三十万の加入電話をつけるというものに対して、それに百万プラスいたしまして一千三十万つけるということで、その分として四十六年に二百四十万、四十七年に二百七十万個の一般加入電話をつけるということを織り込んでおります。それから四十八年から五十二年までには、千四百六十万の加入電話をつけるということで、大体年間平均いたしまして三百万弱のものをつけていこう、全体の数といたしまして、七カ年間で千九百七十万をつけるということでございます。  ところで、いま御質問がございましたが、この七カ年計画の一番の中心は、何といいましても電話の普及をはかることでございまして、現在全国的にいいますと、たとえば東京の二十三区の中では、昨年の十二月の時点あたりで言いますと、積滞は二万くらいしかございません。大体申し込んだらすぐつけるという状態になっておりますし、また、大阪の中心あたりもそのようになっております。しかし、一番積滞の多いのはどこかといいますと、三多摩等含めました東京周辺あるいは大阪周辺、こういうところが積滞が特に多いのでありまして、全国の積滞の半分以上がその地域に集中している、こういうことでございます。したがって、この七カ年計画におきましては、もちろんそれは早ければ早いほどいいのでありますけれども、四次五カ年計画に該当いたします二年間は二百四十万あるいは二百七十万のスピードでいきまして、あと全国的規模において積滞を解消する時期は、五十二年末というふうに考えておる次第でございます。  かつて昭和三十四年に拡充法を制定していただいたときに、理想といたしまして昭和四十七年末におきまして、申し込んだらすぐつけるようにしたいということを要望いたした時期がございます。しかし、このときの最終の総電話数は約千百万くらいのものが、日本の四十七年度末の電話であるという予想を立てたのでございますが、経済の成長、国民生活の充実等によりまして、すでにもう現在の時点で、四十七年末にならないで千五百万になってしまった。四十七年末になりますと約二千万になるというような状態でありますので、これを一ぺんに解消することは、実際問題として基礎設備関係等もあり困難でありますので、全国的規模におけるものにつきましては五十二年度末までに実施したい。  特に、そうなってまいった場合に、何といいましても都市化されているところは早く積滞がなくなってくる。さっき言いましたように、たとえば東京二十三区あたりは、現在でも積滞がほとんどない状態であります。しかしマグネットの局、いわゆる自動改式になっていないような局は、五十二年末に近い時期においてだんだんそういうふうにいたしまして、現在の設備状態その他によって、全国的に全部一様の速度でいくのではなくて、やはり地域的に若干差ができながら、しかし五十二年末においては全国的規模において解消したい。こういうことでございまして、重点は何といいましてもこの約二千万に近い――現在千五百万電話がございますが、それを四十六年からの七カ年で、現在の千五百万よりなお五百万多い二千万に近いものをやるという計画でございますから、何といいましてもこれに最大の重点が置かれているというふうにお考えいただいてよろしいと思います。
  50. 武部文

    武部委員 確かに東京はそうかもしれませんが、たとえば私のところなんかは、営業用で二年、住宅用で三年たたないとつかない。これは若干繰り上がっておりますが、そういう状況です。  そこで、いま私が申し上げるように、今度の七カ年計画の中には、新たにテレビ電話であるとかデータ通信であるとかいろんなものが入って、これから申し上げますが、長期の七カ年計画にたいへんな資金が必要だということになるわけですね。そういう意味からいうと、重点はやはり国民の生活必需品になっておる電話を、一日も早くつくようにしてもらわなければならぬ。こういう意味で、重点はぜひそういうふうに置いてもらわなければならぬと私は考えておるわけです。  それから資金ですが、これは七カ年計画で八兆五千億という膨大な資金が必要なんですが、この計画書によりますと、新規サービスはいろんな形で出ておるわけですが、八兆五千億という七カ年計画の中で、新規サービスにはどのくらいの資金を投入しようとしておるのですか。
  51. 浦川親直

    ○浦川説明員 総額八兆五千億のうち、電話の拡充に使用いたしますのが大体八二、三%でございます。あと、データ通信あるいは画像通信と申しますのが約一〇%程度でございます。その他は一般の専用線とか加入電信とかそういうものでございまして、一〇%程度がデータ通信とか画像通信というものでございます。
  52. 武部文

    武部委員 あなたのいま八二%とおっしゃった中に、私どもは新規サービスとして新たに導入されるであろうというものを含んでおるように思うのですが、これは具体的に内容を言わなければわかりませんから、いまの答弁だけでよろしゅうございます。  そこで調達方法ですが、この調達方法は財政投融資に大いに期待をする、さらに縁故債に期待をするというようなことがここに載っておるようであります。財政投融資なり縁故債に期待するということは、私はたいへん不安定じゃないかと思うのですが、そういう面で政府なり公社としては、こういう資金調達について自信というか、責任というか、そういうことについてはどういうふうにお考えでしょう。
  53. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  この建設投資額が八兆五千億でございますが、これは物価換算をいたしておりまして、毎年度のものを積み上げた結果八兆五千億になっております。政府がおつくりになりました新経済社会発展計画の中で電信電話拡充関係に予定されておりますのが、これは昭和四十五年から五十年までの六カ年間でありまして、最終年度が二年ずれておりますが、それが五兆三千二百億円、これは四十四年度の物価でございまして、基本的には大体それに近いものだというふうに理解しております。  ところで、いまお話しのございました財政投融資につきましては、これは公社としてできるだけ政府にお願いしなければならないのでありますが、問題は、とりあえず四十六年度予算ということがまず一番問題になり、それから全体の見通しとしてどうか、こういう二つの段階になっております。四十六年につきましては、概算要求を郵政大臣の手元へ出したのでございますが、その際におきます縁故債、公募債を合わせたものの期待額が約千三百億円ということになっております。それからこの七カ年計画で考えますと、債務償還が約一兆六千六百七十億円必要なんでございまして、財政投融資期待額は縁故債が五千七十億円、公募債が八千四十億円の一兆三千百十億円ということになっております。したがって、この債務償還の額から考えますと、この程度の財投というものはぜひお願いしたい。また、額としても債務償還以下のものでございますし、私はそう過大なものではないというふうに考えておりますが、ただ、その際に設備料を現在の三万円から五万円にするというものを、この中に織り込んで計算しております。
  54. 武部文

    武部委員 この資金調達は、いま総裁がおっしゃったように、三万円から五万円の設備料の増の問題もあるようです。  そこでちょっとお伺いしたいのは、現在の一般加入電話の中の所得階層別について、大体年収どのくらいなものは何%、こういうのはおそらく公社のほうにあると思うのです。いわゆる低所得者層の中の電話を持つ者のパーセンテージですね、これは一体どのくらいですか。五分層にした場合。
  55. 浦川親直

    ○浦川説明員 所得の階層別に現在の電話の分布がどうなっておるかという数字を申し上げますと、年間所得百万円以下の階層の加入者が、全体の加入者に占める比率は三六%程度であります。それから百万円から二百万円程度の階層の加入者が占める割合は四六%、二百万以上の場合には一八%、これは抽出調査でございますが、私ども調査によりますとかような数字になっております。
  56. 武部文

    武部委員 いまあなたがおっしゃったのは、一番下が百万円になっておりましたが、年収八十万円以下というようなことの表はありませんか。
  57. 浦川親直

    ○浦川説明員 ちょっといま百万円以下の資料が手元にございませんので、また追って先生にお知らせしたいと思います。
  58. 武部文

    武部委員 百万という数字を私はあまりここで取り上げたくないのですが、八十万円以下という数字をほぼ私どもつかんでおるわけであります。そういう点から見て、設備料の三万、これはついこの間一万から三万になったわけですね。それをまた三万から五万に上げる。これは設備するにはもっとたくさんの金がかかっておるのだからしかたがない、こういう答弁も、前回一万から三万になるときにあったことは私ども承知いたします。しかし、一から三になって、三から五になって続けざまに上がっていく。それも資金の調達の中で相当多く見てあるわけですね、数も多いわけですから。こういう点については、私は問題があるように思うのです。きょうは問題点だけにとどめておきます。  それからこの中に、加入者債券について先ほどもちょっとお述べになりました。それで、これは時限立法で四十八年三月、四十七年度でもって拡充法というものは一応終止符を打つということになっておる。これを無期限延長を求めておるわけですね。そのように理解してよろしいですか。
  59. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  四十七年度末におきまして拡充法が切れるわけでありますが、七カ年計画をつくりましてそれの延長をお願いしたい。私たちは、まだこの期限が切れるのに若干時間がございますので、こまかい問題についてはまだいろいろ検討を要するのでありますが、期限といたしましては十年間の延長をお願いしたいというように考えておりまして、無期限の延長を希望しておるわけではございません。
  60. 武部文

    武部委員 十年間の延長を希望しておられるわけですが、私はここに三十一年の第二十四国会の逓信委員会の附帯決議を持っておるわけですが、これを読みますと、「将来事情が許す限りなるべく速かに、かかる臨時措置を打切る方針の下に、できうれば負担法の延長期間内においても加入申込者等の負担を軽減すべき適当の方策を講ずべきである。右決議する」。こういう第二十四国会の附帯決議もあります。その後これが延長されたときの決議もここにはございますが、それにはこの趣旨は載っておりません。載っておりませんが、そういう拡充法の法律が通るときにはこのような附帯決議もあったのです。ですから、でき得るならばこういう法案は通らないほうがいいのじゃないかという気持ちを持っておるわけですが、あなた方のほうからしてみれば、資金調達の面からいってやむを得ない措置だというふうにお考えかもしれません。しかし、これからあとで申し上げますが、そういういろいろな負担の問題等もあるので、私はこの意見をこの際申し上げておきたいのであります。  時間の関係で先を急ぎますが、料金の問題についてちょっとお伺いをいたしたいのであります。広域時分制をとったということは、私はそれなりに理解ができます。ただ、今回の上げ方がやっぱりちょっと問題ではないか。たとえば、市内電話を三分制にするということは、それだけでこれはもう随時上がっていくわけですから、この料金が加算をされる。それから七円が今度は十円ということになるわけですから、これまた加算をされて上がっていく。それから広域制をとるわけですから、基本料がそれだけ上がる。そういうふうに上積みされていくわけです。この広域時分制というのはそういう内容を持っておる。片一方では、あなた方のほうでは市外の通話料を下げるのだというお話であります。なるほど片一方では上がっていくが、片一方では下がっていくからこれでいいじゃないか――いいじゃないかとはいっておらぬですけれども、とんとんになるというお話であります。マスコミの記事によれば、企業には安く、それから家庭には高くなんていうようなことばが出るのも、そういう内容をこれは持っておると私は思うのです。市外通話というものは、一般国民というものはそうたくさん利用いたしません。市内通話です。生活必需品という意味は、私はそういう意味を持っておると思うのですが、そういう意味で、家庭電話の支出というものはどんどんふえていく、企業のほうの遠距離通話の料金というものは下がっていく、こういうことが広域時分制の中にはあるのじゃないか、こう思うのです。  まことに時間がなくて残念ですが、こういうようなことをずっと計算をしてみて、私はここで申し上げたいのは、前回基本料金を上げた料金体系の変更の際に、差し引きとんとんだ、まことにりっぱに、上がるのと下がるのとでちょうどとんとんだというお話がありまして、それはやってみなければわからぬじゃないかというお話もあったわけです。そこで、四十四年度の決算が出たはずですね。一体どういうことになっておるのですか。四十四年度の決算の概要はどうなっていますか。
  61. 好本巧

    ○好本説明員 四十四年度の事業収入は、予定に対しまして四百三十九億円、約五%の増収でございます。そのうち、通話料関係だけを取り出してみますと三百十四億円の増収でございまして、これも予定に対しまして約五%の増収でございます。
  62. 武部文

    武部委員 四十四年度の決算概要の利益金は二百六十八億円だというのは違うのですか。二百六十八億円の利益金だという点は、これは間違いですか。
  63. 中山公平

    ○中山説明員 お答え申し上げます。  利益金は二百六十八億円、仰せのとおりでございます。いま好本局長から申し上げましたのは、収入の予算に対する増収額、こういうことでございまして、この差が生じますのは、決算にあたっては移流用の問題とかいろいろあるのでございますが、一番大きな要素といたしましては、予算ではその年度のベースアップの所要額を見込んでおりませんが、決算ではその年度に発生した費用としてこれを見込むということから、そういった違いが出てまいっておる次第でございます。
  64. 武部文

    武部委員 経理局長の説明はわかりました。そういう数字ならばわかりました。  そこで、いま私が申し上げた二百六十八億円という利益金が出た。それで基本料も含めての電話収入ですね。電報は御存じのように赤字になっておるわけで、これは膨大な赤字です。それを差し引いても二百六十八億円の利益金が四十四年度に出たわけですね。そこで電話の収入というのは、基本料を含めて相当多額な金額になると思うのです。四十四年度に料金体系を変えていった場合に、これは相当な金額になっていると思うのですが、どの程度でしょうか。
  65. 中山公平

    ○中山説明員 四十四年度の決算におきますところの電話収入の総計は、八千四百八十二億円ということに相なっております。
  66. 武部文

    武部委員 それは前年度から比べて、電話収入の伸びはどのくらいですか。――こまかい数字ですからよろしゅうございます。よろしゅうございますが、私の申し上げたいのは、差し引きとんとんだ、ゼロだと言ったけれども、現実にやってみたら電話の収入というものは相当ふえてきておるじゃないかということを言いたいわけなのですよ。ですから、今度も皆さんのほうでは、四十六年度からの七カ年計画の中で電話料金の体系を変更していく、それでも大体とんとんだという数字の表をもらいました。表をもらって説明を受けました。確かにうまいこととんとんになっているのですよ。とんとんになっておるが、こういうことをいままでの中から考えると、やはりやってみれば相当ふえるじゃないかということをしろうと目にも考えるのだが、その点はどうでしょうか、こういうことを聞きたいわけです。
  67. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  経理局長が詳しい数字を申し上げなければいけないわけですが、私ちょっと抽象的に申し上げますと、この間あの法案を通していただきまして、ただこれが、実施した時期が年度の初めではございません。途中でございます。したがって、これの分析をやる場合には、年度の初めの分と年度の後半の伸びの分とを比較しなければなりません。先ほど申し上げました二百六十八億という数字は、全体を総合した年度の初めの分と後半の分と両方入っておりますから、それだけでいきなり、これは増収だったというわけにはいかないのでありまして、年度の初めの分の延長があってそれで幾ら、それから年度の後半の変更の分で幾ら、これの差をとりますと、ほとんどプラスマイナス・ゼロだ、こういうことになるわけでございます。  なお詳しい数字は、経理局長から申し上げさせます。
  68. 武部文

    武部委員 けっこうです。いずれこれはあらためてもうちょっと検討してみなければならぬと思いますが、前回も差し引きとんとん、今度も差し引きとんとんというような計画なので、何ぼ私どもしろうとから考えても、そのようにうまくどんぴしゃりといくものではない、これは相当な増収になるだろうと思う。しかし、一応計画ですから、先のことでわからぬから、一応こういうものが出るのだろうと思っているので、そういうことについての疑問には、やはり審議を通してお答えいただければそれでけっこうであると思います。  それはまたの機会にいたしまして、この七カ年計画について、きょうは時間がないが、私は電報のことにもちょっと触れなければならぬと思うのです。慶弔電報を四倍にするということについては問題があるのです。たとえば、慶弔電報だと言わないで黙って打てば、普通電報にすれば百五十円で済むのですから安いのです、皆さんの計画では。たまたまこれは慶弔電報扱いにしてくださいと、何円か何十銭か知らないが、封筒に入れれば四倍の高いやつになる。こういう変なやり方もちょっと問題がありはしないかと思うのです。こういうことについては、あらためて次の機会にやらしていただきたいと思います。  たいへん時間をとりましたから、最後に一つだけお伺いをいたしたいと思うのですが、私、新聞の投書をたくさん持っておったり、またいろいろ意見を聞くのでちょっとお伺いしたいのです。これは一方的な電話料金算定という投書なんです。出されておるところは、たとえばこれは神戸、豊中、それからこっちは東京というように随所にあるのです。  どういうことかというと、簡単なことなんです。かけた覚えのない電話料を払わされておるがどうだという投書なんです。これは具体的に書いてあるのです。機械がすることだから、片一方は間違いがないとおっしゃる。それでもふしぎでかなわぬというので、いろいろ問いただしておる。その一つを読むと、この人は沖繩へ電話をかけたことがないのに沖繩へかけたことになって、通話料が請求されて払っておった。どうにもふしぎでならぬのでいろいろ問いただしたら、親切に知らしてもらって、五千円ばかり豊中のほうの人で返してもらったという投書が出て、全国の人がそれを読んで、うちもそうだ、おれのところもあるということがたくさん出ておる。  それから、ついこの間も出てました。これは東京です。おかしいと思うので、今度はダイヤルのところへセロテープで封印をして、かかってくるのは受けるが、かけるのは全然かけなかったというのです。一つもかけないのに通話料がついてきたというわけですね。具体的にちゃんと載っておるのですよ。おかしいことがあるというのでやるけれども、機械にあやまちはない、こういう一点ばりということが載っておるのです。  それで、よく私も耳にするんだが、自分が知らぬ間に人がかけておるかもしれませんし、おやじがおらぬ間にないしょで娘がかけておるかもしれない。これは何とも言えません。しかし、具体的にこういう事実がある。たとえば沖繩にかけておらぬのにかけておるというので、調べたら岡山と豊中とのダイヤルの間違いでそうなっておったというのです。こっちのほうは東京港区麻布ですが、いま言ったように、セロテープで封印しておってもかかっている。こういう点は、われわれしろうとで機械には弱いのですが、電電公社のほうは、いまの機械は絶対に間違いがないとお考えなのか。それとも何かそこに原因がある、だから、そういう苦情が出れば調査をして返答するということをお考えなのか。この点はどうでしょうか。
  69. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答えします。  電話の料金についての苦情はずいぶんございます。しかし、いま先生のおっしゃいましたようなものは、全部課金装置の機械の問題ばかりじゃございませんで、いろいろ事務的な間違いのものもあるわけであります。たとえば、それが正しいかどうかわかりませんけれども、私どものほうで料金をまとめます日が、必ずしも全部の加入者に同じ日にまとめてはおらないという点から発する事務的な問題ですとか、あるいは加入者名義が間違っておったとか、そういう事務的なものも相当ございます。御苦情がございましたあと調べてわかったものについては、もちろん当然是正をいたしまして変更し、お返しをしておるわけでございます。  いまの機械の関係のものは、実際に料金の事務の段階で、従来までの度数に比べまして異常に大きな数字が出たような場合は、料金の段階で、機械に故障がないかどうかをひとまず調査して、その上で請求書を発行いたしております。さらにそれでもどうもおかしいとおっしゃる方については、その方が御希望になれば、特別に機械に装置をつけまして、お客さんのおっしゃることと私どもの機械の正確さが間違っているかどうかを調べまして御通知するというようなこともやって、できるだけそういう御不満のないように、いろいろ措置はいたしております。
  70. 武部文

    武部委員 私はこれで終わりますが、機械には誤りはないが、入力するときの人間のほうに間違いがあったという答弁を電話局がしておる。これはどういうことなんでしょうか。
  71. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 それは、料金請求書をつくりますまでの事務的な段階の、パンチするとかそういうことをいっておるのだと思います。私はその記事をちょっと拝見しておりませんので、正確には存じませんが。
  72. 武部文

    武部委員 それでは、私はこれで終わります。
  73. 金子岩三

    金子委員長 栗山礼行君。
  74. 栗山礼行

    ○栗山委員 お昼になっておりますが、私はきょうは特に郵政大臣文部大臣を要請を申し上げました。文部大臣は所用のために御出席が不可能だということでございます。私の最も尊敬する三十八年組の西岡政務次官にぜひ御出席をいただきたいということで、御出席をわずらわしたわけでございます。  三点の問題についてお尋ねを申し上げたいと思うのでありますけれども、政務次官がたいへんお時間の限定があるということでございます。いま武部委員が社会教育局長を中心にいたしまして、放送大学の問題についていろいろ質問をいたしております。私はまず最初に、ひとつ放送大学の問題について文部省側の牢固たる決意のほど、あるいは準備及び具体的な構想の進捗状況、こういうことについて、武部委員内容と重複を避けまして、ひとつ政治的な角度から郵政大臣文部政務次官にお尋ねを申し上げたい、かように御了承いただきたいと思うわけであります。  四十五年度に、郵政及び文部両省に放送大学に関する調査費がついたと承知をいたしておりますが、郵政省はその調査費をどのように有効適切にお使いをいただいておるか、あるいは文部省がその調査費をどのようにお使いをいただいておるか、主として放送大学に関する調査費でございますので、この点についてまずお伺いを申し上げたい。
  75. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  郵政省のほうには、放送大学関係調査費といたしまして約三百万円ついたわけでございますが、これは大部分が、いわゆる外国の状況調査費でございまして、すでに先般、ヨーロッパ及びアメリカの放送関係の教育をやっている大学を中心といたしまして調査を実施いたしております。そういう状況でございます。
  76. 今村武俊

    今村説明員 文部省では、放送大学準備調査会経費と、それから海外等視察のために使いました。新放送大学検討、推進に必要な経費の一部を使ったわけでございます。
  77. 栗山礼行

    ○栗山委員 いま電波監理局長からお伺いいたしまして、主として放送大学に関連を持つ海外事情調査ということで体制を整えておる、こういうことで、私も政務次官がBBC等に視察をされておるというようなことをお伺いをいたしておるのであります。たいへんけっこうでございます。  そこで、文部省側のほうでございますが、先ほど武部委員質問を通じまして社会育教局長のお話を伺っておりますと、文部省側が放送大学についてきわめて消極的で、そして具体性のない考え方が述べられておる、こういう感じ取りをいたしました。説明を省かしていただきたいと思いますけれども、そういうふうに感じました。私は、この経緯がいろいろあると思うのです。社会教育局のほうに、たしか四十四年三月に社会教育審議会の答申が出てまいった、こういう経緯から、主としてその社会教育局のほうで、放送大学に関する所管行為としてお扱いを進められておった、こういう経緯も私は承知をいたすのでございますが、御承知のとおり、放送大学の問題が出てまいりましたのは昨年、四十四年十一月だと記憶をいたします。その後性格はやはり一変いたしました。放送大学それ自身ということに一変いたしましたのであって、はたして社会教育局が担当すべきものであるか、あるいは大学学術局がこれを並行して行なっていくべきものであるか、こういうことについて、役所の機構、機能というものについて、非常によく理解をしにくいセクトがあるわけでございますが、はからずもいままでの経緯から見ると、その感を深めるような感じ方をいたしてまいったわけであります。この点が、私が政務次官にお尋ねする中心でございます。  世上、御承知のとおり、与党である自民党も有田機関、こういうふうなところで、いろいろ真摯な御検討をいただいておるというようなことを承知をいたしておりますけれども、煮詰まった段階でない。あるいはまた、あれは選挙スローガンであるというようなことで、大学紛争が一応表面的に終結をいたしますと、この問題がもう必要でないんだ、こういうようなとらえ方かのごとき意見が流れております。また、端的に申し上げまして、文部省側のほうからそれと符牒を合わせるかのごとく、最初の経過措置と違うじゃないかというようなことで、文部省側が熱意の喪失と申しますか、そういう形においていまや混迷化いたしておるというようなことがわれわれの耳に入るわけであります。まことにこれはデマゴーグでありたいということを念じておるわけでありますけれども、それなりの理由づけでわれわれの耳にも入るわけであります。  まず、西岡政務次官は非常に硬骨漢であります。これはやはり選挙の公約であります。第一、新しい技術革新下において波を利用して、一つは時代に処する教育の機会均等の原則を踏まえつつ、広く生涯教育制度の一環として今日の放送大学を進めてまいろう、こういうところに答申の要点が存すると、こう私は考えておるのでありますが、いろいろ順序を追うてまいりたいのでありますけれども、私はあなたと一本勝負で、ほんとうにやり切るのか、決意の存否をお伺いを申し上げたい。
  78. 西岡武夫

    ○西岡説明員 お答えいたします。  結論から申しますと、文部省といたしましては、放送大学という新しい試みの実現に対しては、積極的に熱意をもって取り組んでいるわけでございます。ただ、御承知のとおり、この放送大学設立ということは、世界的にもまだ一部の国で試験的にこれが行なわれているにすぎないものでございまして、放送大学設立をめぐってのいろいろな未解決の問題、非常にむずかしい問題がたくさんあるわけでございます。たとえば、カリキュラムの問題とか、現在行なわれております通信制大学との関連、それから実際にこれを行ないます場合に、はたしてどれくらいの学生が受講してまいるであろうか、そういう予測を立てる点におきましても非常にむずかしい問題がある。そういった点を慎重に、やはり出発する前に検討をするという立場から慎重を期しているというのが、外からごらんいただきまして、何かしら消極的ではないかという印象を与えている点は、私どもも残念ながら認めるところでございますが、そういうことでございまして、文部省として放送大学設立に消極的になっているということでは決してないということを、まず御了承いただきたいと思います。  それから、先生御指摘の所管の問題でございますが、先生御承知のとおり、文部省の社会教育局に視聴覚教育課という課がございます。これは単に社会教育関係のみならず、学校関係におきましても視聴覚関係の仕事に携わっているわけでございまして、こういった点から、テレビ放送というものを新しい教育の手段として取り入れる放送大学という観点から、まず社会教育局の立場でこの問題に取りかかった。それと、先生もただいま御指摘なさいましたように、生涯教育の一環としてこの放送大学というものを取り上げていきたいということもございまして、まず社会教育局の立場でこの問題に手をつけたわけでございます。  しかし、先生御指摘のとおり、これをだんだんに煮詰めてまいります段階では、当然大学学術局との関係が出てまいりまして、内部におきましては、十分連絡をとって今日まで作業を進めているわけでございます。具体的な大学のカリキュラム、そういった問題につきましては、当然大学学術局との相談がなければできないわけでございまして、これは十分連絡をとって進めているという点を御了承いただきたいと思います。そうして終局的には、先生御指摘のとおりに、これは大学学術局の所管ということにだんだんと移っていくという、そういう形になるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  79. 栗山礼行

    ○栗山委員 いろいろお伺いをいたしまして、これはやはり準備の発展経過というものもございますから、それなりの問題がわかるわけですが、私は、やはり社会教育局だとかそれから大学学術局だとかいうことを意識――放送大学というものは国民大学だ。そうして老いも若きも勤労者も、やはり今日の時代に受け取めるということじゃなくて、進んで主体性を持って学んでいこう、そうして民族の誇りを高めていこう、こういうところに放送大学の本来的ゆえんたるものがあると、こういうふうに私は理解をいたしておるのでありまして、官僚のセクトやなわ張りの段階ではございません。やはりどのように政治的決意と断行と英知を進めてまいるかという一つの問題だ、かように考えておるのであります。  非常に硬骨漢の政務次官の御答弁をいただいたのでありますけれども、御承知のとおり四十七年の四月に実施したいという坂田文部大臣がやはり一応世上にこれを公約されたということを踏まえますと、複雑な作業等の経過もわかりつつも、この公約の実施の方向に、政府及び与党が国民的責めを負うていかなければならぬ、こういう問題もあろうかと思います。拙速はまいりません。広く関係国民各層の英知を集めて、よりりっぱな放送大学設立、実施ということを期待する一念として、ひとつ十分勇断をふるって御検討を願いたい。  大臣は一年だ、政務次官は一年だという悪いルールがございまして、官僚が政治というものと行政との問題を、何か位置の転移になっていると思うのであります。やはり政治家が心を痛めなくちゃならない問題は、三権分立のたてまえを遵守しつつ、政治家が政治の方向を推し進めていくというところに問題の要諦があるのじゃないか、かように考えております。  具体的に申し上げますと、もうすでに予算の編成が始まっておる。そうすると四十七年なら、構想それから諸体制の建設の予算をどのように進めてまいるかというような、もうプランメーカーとしての内容をつくって示してまいらなくちゃならぬ、こういうことでございますけれども、あなたが御出席されるまでに、そういうところがいつになるかわからないのだということが、社会教育局長結論的な思想の発想だと私は理解をいたしましたところに、あなたに特にこういう意見を申し上げたい。拙速を避けつつもやはり公約は実施すべし、それに対する国民の期待と信頼感にこたえることこそ、混迷を打開し、明日に前進するわれわれの態度であることを申し上げまして、ひとつもう一ぺん、これはやり通すのだ、こういう決意を西岡さんにもらいたいのです。
  80. 西岡武夫

    ○西岡説明員 お答えいたします。  先生の御指摘は、文部省が八月末に大蔵省に提出をいたしました概算要求の中に、具体的に放送大学関係予算の数字が出ていないという、その事実に基づいての御心配の御質問だと思うわけでございますが、実は、先ほど社会教育局長も御説明を申し上げたと思いますが、放送大学設立いたします場合の形態、免許の主体、そういった点が残念ながらまだ最終的に決定をいたしておりません。そういったこともございまして、概算要求の段階で具体的な数字を大蔵当局に要求をするに至っておりませんが、文部省といたしましては十分その点は考慮いたしまして、少なくとも予算案の政府原案が最終的に決定をいたしますまでには、文部省の責任において、この予算を要求をするという決意は全く変わりはございません。  したがいまして、四十七年四月一日から実際に放送大学が正式な形で出発をするかどうかというところは、私はいまの段階でははっきり申し上げかねますが、少なくとも四十七年度中に実験的なことにはこぎつけるように努力をしたい。もちろん、できるだけ四十七年の四月に正式な形で出発をさせたいと思っておりますけれども、やはりそういういろいろなむずかしい問題も十分消化をしてやっていかなければならないという点を御理解をいただきまして、放送大学設立については、必ず実現をするという気がまえで文部省がいるという点を御了承いただきたいと思うわけでございます。
  81. 栗山礼行

    ○栗山委員 四十七年四月という問題に固執するわけにはまいりませんけれども、よりりっぱな放送大学の形態、内容の充実、それで国民的期待と信頼にこたえ、明日を築き上げるという一つの方向で、ひとつ最大の重要な教育国家論の一翼をになって御活躍をお願い申し上げたい。たいへんどうも長時間にわたったのでありますけれども、私はあなたとはもう一本勝負で、イエスかノーかということで解決がつく、こういう信頼感を持っておったのであります。あとでこの速記録をお読みになると、あなたの感覚と社会教育局長の感覚とは全然違うのです。うしろ向きであって、無原則、無方針、そうして後退、こういうふうな感じから、私は文部省に西岡ありという意を非常に強くいたしました。どうもありがとうございました。  電波監理局長にひとつお尋ねしますが、先ほど郵政大臣からも、この問題の武部委員の御質問に答えられまして、文部、郵政両省にわたる問題だから、寄り寄り大臣間でこの問題のあり方の検討を深めておる、いまの時点では、時期として大体予算は十二月に煮詰めるのだから、われわれとしてそれまでにひとつ肉づけをして方向を確立をいたしたい、こういうふうな御答弁をお伺いをしてまいったのでありますが、電波監理局長、テレビでいうとUHFの問題、それからラジオの問題等について、これについて波は確保してございますというようなことを、公式非公式にしばしば私は伺っておるのでありますが、ここでひとつ電波監理局長として、公約的な明らかな態度を示してもらいたい。
  82. 藤木栄

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  送放大学に使う電波、すなわちテレビの波とラジオの波は、十分に確保してございます。間違いございません。
  83. 栗山礼行

    ○栗山委員 郵政大臣、先ほども論争点があったと思いますが、問題は、郵政省の受け持つ範囲というものが、その波の問題が一つの中心になってまいると思います。形態の問題については、両省で打ち合わせをいただくということでございましょう。そしてそれをどこが行なうか、こういうところに、武部委員指摘をしておった二つの問題がございます。一つは、形態をどのようにいたしてまいるか、一体どこがやるのか、こういうふうな問題にやはり問題の重点として取り組んでまいらなくちゃならぬ。もとより、それについて御答弁を伺っておったのでございますけれども、学校の形態については、先ほどお話がございましたように、これは特殊法人として行なってまいらなくちゃならぬ。これは両大臣がいろいろ折衝されるわけで、あなた大先輩でございますから、如才なくアドバイスがされておると思うのでありますけれども、そのように私は考えております。  それから、どこまで受け持つかという一つの問題になってまいるのでありますが、大体三つの意見が出ております。その他放送大学をめぐります各世論の動向あるいは社説の問題、学者の意見等々も私、資料を集めて若干読ましていただいておるのでありますが、この問題について、ちょっとあなたにお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  一つは、放送大学それ自身が免許を受けてやっていくという問題が、大体問題点の一つとして議論をされておる。いま一つの問題は、特殊法人として学校を設けて、この放送それ自体というものについて、長い経験と全国のチャンネルを持っておるNHKがよかるべし、こういうような一つの問題がございます。それからもう一つは、免許は大学側が持つ、その作業NHKに下請をしてもらったらいいじゃないか、表現としては、私の表現でございますから、適正を欠くと思うのでありますけれども、何か従属的機関としてこれを活用する、こういうふうなおおよそ三つに分かれまするような議論が展開されて混迷化いたしておる、こういうふうなことを伺っておるわけでございます。  私は、どちらをとるかということについては、やはり長い経験を持つNHKが、あるいは広く各層からの意見を求めてこれと取り組んでいくべきだということ、それが民主主義のルールだということを考えるわけなんでありますが、ただ、ここに免許の基準というものはやはり三つある。一つは、その編集の責任の持てるところ、同時に技術とそれから人材の確保、設備の問題、これが大体送放法で定められております認可の基準だ、こういうふうに私は理解をいたしておるわけなんですが、新しい放送大学が、放送法を改正いたしまして取り組んでまいるということなら別でございますけれども、学校自体がそれを免許を受けてやっていくという条件に満つるかどうか、こういうことがやはり大きな問題点になってまいると思います。  結論から申し上げますと、やはり特殊法人にいたしまして、そして、BBCの内容等も私よくわからないのでありますけれども、やはりパートナーシップで放送のほうと取り組んでいく、こういうことになると、おのずから誇りと権威を持っておるといいますか、実績を持っておるといいますか、あるいはNHK設立の本旨にかんがみても、私はこれにいくべきだ、こういうふうに考えるのでございます。第三案の問題、従属機関としてやってまいるというようなことでは、これは少し暴論、眠けのさめぬままの議論をされておる、こういうふうな議論の内容だと私は承知をいたすのでありますが、なかなかむずかしい段階だということじゃなくて、この問題は割り切るべきである。少なくとも形態をどう定めているかということをはっきりさせるべきである。  それから、その放送はどこで行なうべきであるかということについては、予算とも関連いたす問題でございますけれども、不可能な論理を展開いたしましてもどうにもならない。だから実際に実効のあがる、責任体制のとれる方向を早急に大臣間で定められて、いろいろ各位の意見がございましょうけれども、すみやかに公約を果たす国民の待望の放送大学設立に、ひとつあなたの人格と英知をここで傾倒していただくということが望ましいのではないか。  たいへん書生論を申し上げて恐縮なんでございますけれども、一々意見を伺ってなにいたしますと時間がかかりますから、私の所見を申し上げまして、大臣の明快適切なる御答弁をちょうだいいたしたい、かように考えます。   〔委員長退席、加藤(常)委員長代理着席〕
  84. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 栗山さんの熱意あふるる御見解をただいま承りました。先ほど西岡政務次官からもお答えがありました次第でございますが、また武部委員にも、私、申し上げましたが、私どものほうも、栗山さんの御意見を受けて立つ、こういう気持ちは十分に持っております。そして、政府は一体でございますから、文部省とか郵政省とかそういうセクトでなく、この画期的な大仕事でありますから、ぜひともりっぱなものをつくりたい、こういう心がまえでおる次第であります。  ただいま御指摘になりましたおよそ三つの考え方があることは、先刻栗山さんすっかり御承知で、私のほうがかぶとをぬぐくらいであります。これをどういうふうに煮詰めてまいるか。カリキュラムその他大学そのものは文部省が主として担当をしていただくわけでありますが、私のほうは、藤木局長がお答えしましたように、波の確保、こういうことには従来どおりお答えしてまいった次第でございますが、免許の主体をどうするかといったような問題がまだ未解決でありますけれども、この点は、文部省とも相談しなければいけません。そういうことで、いま御指摘のありましたような方向で十分に検討いたしまして、あやまちなきを期したい、これがただいまの私の心境でございます。
  85. 栗山礼行

    ○栗山委員 私は、農政通の大臣としては、まことに日本一だと敬服をいたしておったのです。やっぱり郵政大臣ですから、今度は、こういう画期的な偉業にぜひ大臣の政治力を発揮していただいて、これが実現への真摯な御健闘をひとつお折り申し上げたい、かように考えまして、たいへん感謝をしつつ、この問題に関する質問を終わらせていただきます。  あと二つございます。郵政から先に参ります。公社のほうはえらい恐縮ですが、委員長、ちょっと総裁以下、短い時間で二点ほどお尋ね申し上げておきたいことがございますので、このあとでひとつ御参加を願えるように御配慮を願いたい。  お尋ねを申し上げたいのでありますが、練馬郵便局において郵便料金を減脱された事件が発覚をいたしまして、いま監察部において鋭意捜査をまれておる、こういうことをお伺いをいたすのでございますが、明確にひとつお答えをいただきたい。その発生及び内容及び捜査の段階、こういうことにおいてお答えをいただきたい。
  86. 舘野繁

    ○舘野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘をいただきましたような事案が発生いたしまして、調査中でございます。  概要を申し上げますと、この事件に関与しております者は四人ございまして、うち二人は、大口の郵便を差し出される方から、封筒をつくりそれを発送することを請け負っておりますところの、そういう会社を営業いたしておりますところの、練馬区所在通信発送株式会社の社長星野某と同社総務部長田島某の二名でございます。それから、元練馬郵便局職員でありました坂東某と岩崎某の二名、計四名にかかわる犯罪容疑事件でございます。  内容といたしましては、星野と申しまする発送会社の社長が、大口の郵便をお出しになる方からその発送を引き受けまして郵便局に差し出すわけでございまするが、当初依頼主に約束をいたしました期間までに、会社の経理の不如意から発送できなく、若干おくれて発送をせざるを得ないような状態にありました際に、かねてから親しくしておりました郵便局員に頼みまして、別納郵便というものを差し出しましたときの料金受領証でございます、これの日付をさかのぼって、依頼主に対してお約束のとおり何日にこの何万通を出しましたということを見せるための別納郵便料金の受領証、日付をさかのぼった虚偽の受領証を作成してもらって、それをお客に渡しておりました。これが四十二年の春以降でございます。  そのうち、四十三年の春以降になりまして、不正の受領証の使用ということから料金減脱の方法を思いつきまして、それまでやりましたと同様な方法によりまして、日付印だけを局員に押してもらって得たところの受領証に、依頼主に対しましては依頼主に頼まれたとおりの通数、料金等の金額を記入して依頼主に渡す。一方郵便局に対しましては、郵便を差し出しますときの差し出し票というようなものを添付して出すわけでございますが、これを実際の通数よりも少ない、あるいは安い料金の記載をいたしまして、事情を知ったる郵便局員、また知らない者につきましては巧妙にこれを欺罔いたしまして、料金減脱のまま、通数あるいは料金に満たないもので郵便局にこの一切の処理をさしたということでございます。  なおこの間、減脱はただいま申しましたように四十三年の春からことしの春まででございまして、約二年間、その前の、料金減脱はいたしませんけれども、不正に郵便料金受領証を得まして、これを使っておりました期間が約一年三カ月でございますが、ただいままでで、ほぼ関係者の自供及び証拠等が固まりました郵便料金の減脱の被害が五十五件、七百三十余万にのぼってございます。これが発覚いたしまして、本年六月以降郵政監察官によって捜査を行なっておりまするが、ほぼ全容が固まりまして、旬日で全面的にこれを検察のほうに送致するという段階に至っております。
  87. 栗山礼行

    ○栗山委員 いま概略を伺ったのでありますが、この減脱の事案について、発送引き受け会社社長の星野某とその社員の某との二人、それから練馬局の郵便局員ですか、坂東主任ですか、それとほか一名というようなことで、この問題がなれ合いでやられたのか、その事件の真相を私は明確にすべきじゃないかと思う。  それからもう一つは、四十三年と言われたが、これは四十二年の春から五月十八日までの間、長期にわたって一つの減脱行為があった。その中身はいま数字で言われたが、そういうことについて、便宜供与して代償とか、どういう手段、内容で運ばれたのかということを言わぬと、あなたの言うように、三割ものを言うてあとは腹で考えてくれということではいけませんぞ。
  88. 舘野繁

    ○舘野説明員 お答えいたします。  ことばが不足いたしまして恐縮いたしました。おっしゃるとおり四十二年からでございますが、四十二年から一年間は、この郵便料減脱の事実はございませんで、この発送会社がスポンサーと申しますか、大口の郵便を出してくれといってこの会社に郵便の発送を委託いたしましたお客さんに対しまして、期日をお約束のとおり発送いたしましたという証拠といたしまして、この不正な受領証を使っていたのが約一年間でございます。四十二年の春から約一年間でございます。そのうちにその不正の受領証の使用を、これは料金減脱もあえてできるなということを考えたらしゅうございまして、四十三年の春からは、料金減脱のためにこの不正な受領証の使用を行なったということでございます。それは御指摘のとおり、最後の減脱の事実は本年の五月の十八日ということでございます。  それから、この発送会社の者と局員の関係でございますが、これは当然局員が、何と申しますか、不正に受領証の用紙をこの者に供給いたしませんことには、これはできませんことで、当然当初からこの者の依頼によりまして、郵便局員でありました坂東何がしという者が依頼を受けて、この受領証の用紙、それに日付印だけを押したものを、発送会社の者に提供していたということでございます。それで、これはまだ確実な証拠を固めておりませんが、鋭意ただいま厳重な捜査をいたしておりまするが、その間に一回一万円というようなことで、数十回にわたって謝礼と申しまするか、この発送会社の社長から当該局員に金品の授受があったという疑いがございまして、これをただいま鋭意証拠固めをしている次第でございます。  なお、この郵便局員でありました二名につきましては、七月二十一日、これは懲戒免職にしておりまして、ただいまは司法関係の案件といたしまして、郵政監察官がこの者を司法上の責任追及の手続を進めている、かような段階にございます。
  89. 栗山礼行

    ○栗山委員 ものを言えばだんだん引き出していくというようなことでなくて、こういう問題はやっぱりずばりものの本質と内容を明らかにする、そしてこれに対する善後処置はどうあるべきか、こういうことでなければ、公訴権と捜査権も持っていらっしゃる監察部は不要だ、私はこういうふうに理解をするのです。  したがって、一番重要な点は、省側が減脱によってどれだけの実害をいまの捜査の段階で受けたか、こういうことがやはり一つの問題になるでしょう。そうしてなれ合いといいますか、法律的にいう贈収賄ということになりますか、そういう不正行為についての実害とあわせて、そういう局員が便宜供与をしたものについて、捜査の段階でどのような内容を持っておったか、こういうことなんです。あなたに言わせると、数十回にわたりまして各一万円程度のものの一つの便宜供与の謝礼を受けたようなことの内容でございますし、いわゆる容疑事実のような発想で御答弁をなすっていらっしゃった、こういうように理解ができるのですが、もう少し明確に御答弁できませんか。
  90. 舘野繁

    ○舘野説明員 お答えいたします。  この料金減脱の面につきまして、ただいままで関係者の自供等からほぼ確実――立件と申しまするか、いろいろの物的証拠からいたしまして、確実と思われまする被害は、先ほどちょっと申し上げましたように、五十五件と申しまするか、五十五回と申しますか、五十五件、七百三十三万、これは関係者の自供がぴたり合う、またそれに対する裏づけがただいままでとれておりまするところの、非常に確実な被害件数、金額でございます。  ただ、現在追及中でございまするので、この追及の間に、また証拠固めというもので、確実にこれはやったということを監察のほうで確信を持てますものが出てきますことがあり得るということはございまするけれども、いままでの捜査からいたしまして、事業上の損害は五十五件、七百三十三万円というものになっております。  それから、当事者間の金品の授受関係につきましては、はっきり申しまして自供等も非常にそごいたしてございます。ただ心証といたしましては、先ほど申し上げましたように、一万円程度のものを数十回というような疑いが非常に濃厚でございまして、百万を下らないのではないかという監察官の印象で、それの追及をただいましてございますので、この点につきましては、まだこういうことがありましたということを、こういう席で申し上げる段階ではございませんので、御了承いただきたいと思います。
  91. 栗山礼行

    ○栗山委員 問題のとらえ方が、五月の十八日までの三年間にわたって減脱行為が行なわれたということですね。それから金額は、実害が、省が受けたのは七百三十三万円という数字までがいまの捜査線上であがってまいった。それから便宜供与による収賄といいますか、そういうような問題については、まだ捜査の段階で詳細を言うことはできないが、推定額で七百三十三万円の被害を省側に及ぼして、そうして百万円程度のものをもらっておったというのが、いまの捜査線上であがっている状態だ、こういうことで深追いを避けてまいりたい。  そこでお尋ね申し上げますが、三年間にわたる問題、あなたのほうが五月の十八日までの事件として監察をなさった、いわゆる監察局の捜査の段階に入った。そうすると、これにかかっていま四カ月になりますね。この時間的な経過の問題についても、こういうような問題のテンポがどうもぬるすぎるという感もいたすのでありますけれども、きょうは議論をやめて質問を省略いたします。  ただ、お尋ねする問題は、省側のことでありますから、もちろん分限制度がございまして、それぞれの役割りを持ってされるのでありますけれども、最終的には、この事件で省側の実害が起きたということについて、これは郵政大臣に直ちに耳に入れて、そうして他山の石として、郵政業務はどう進めるべきかということの資料の一端として、私は義務づけがあると思うのでありますが、その点は郵政大臣に御報告をされたのであるかどうか、この点を明らかにしてもらいたい。
  92. 舘野繁

    ○舘野説明員 お答えいたします。  省内の事務的なことを申し上げて恐縮でございまするが、犯罪の容疑といいますものが地方からあがってまいりましたときには、その態様及び国民の皆さん一般に与えまする影響等を勘案いたしまして、事の軽重及び内容等によりまして、大臣のお耳に即刻お入れすること、それから自後の措置をいたしましてから報告をいたしますこと、というようなことにいたしております。  本件につきましては、捜査に入りましてから大体事件の概要がわかりました先月の初めころでございましたか、簡単な中間報告的なことでお耳に入れまして、最近ほとんどこの調査も終末に近づいてきておりまするので、この件につきましての全貌を取りまとめて、実は御報告すべく準備をしておりました段階でございます。
  93. 栗山礼行

    ○栗山委員 伺っておると、どうもわからぬ。郵政業務に欠陥ありとするなれば、その犯罪の本旨にかんがみて、いかに郵政業務の事務管理及び管理体制を確立するかというような重要な問題がひそんでおりますから、私は事件の経過じゃなくて、かかる一つの盲点が出てまいったことについて、大臣報告し指示を求めるべきが筋であったと思う。何かくさいものにふたをするような形において、今日まで経過が進んでおるということについて、どうも私の頭ではわかりにくい、こういう感じだけを申し上げて、ひとつ監察部のそういう本来の任務というものの適正な活動を求める、こういうことでこれ以上の追及は避けてまいりたい。監察についてはそういうふうに考えているわけです。  そこで、大臣竹下郵務局長にお伺いをいたすのでありますが、問題は、三年間の長きにわたる減脱行為が一局で行なわれた。これを氷山の一角と見るべきかどうかということについては、意見があろうと思うのでありますけれども、この報告を簡単にお受けになって、そしてあなたのところの事務管理及び管理体制というものについて、この問題を他山の石として、どのような適正な郵政業務の本来の業務遂行をはかってこられたか、こういうことについて、まず大臣ではなくして竹下郵務局長からお伺いいたしたい。
  94. 竹下一記

    竹下説明員 練馬局のこの料金減脱事件でございますが、これはよほど郵便作業内容に通じた者でなければできない犯行でございます。つまり、窓口係が大口利用者の差し出し人と共謀いたしましてやらなければできない犯行でございます。そういう意味合いにおきまして、これはきわめて希有な事例であると思いますけれども、同時に、練馬郵便局がこの三カ年にわたる聞こういうことを見のがしておったということにつきましては、その局の仕事ぶりにかなりの手落ちがあるように私どもは考えますので、直ちに厳重に注意をした次第でございます。   〔加藤(常)委員長代理退席、委員長着席〕  と申しますことは、差し出された物数の数を、それが正確であるかどうかの査数をやれば、こういう犯罪の起こる余地はないのでありますが、練馬局においてはそれをやっておりません。練馬程度の局になりますると、受け付ける人と大口別納の郵便物を査数する人とは、人が違うわけでありますから、おのおのが定められた仕事を正確にやれば、こういうことは起きないわけでございます。今度の事件はその間隙をぬってやったということにおきまして、たいへん巧妙であると思いますけれども、同時に、郵便局のほうの仕事のやり方において、そういう取りこぼしがあったというふうに考えるわけでございまして、このことにつきましては、従来からも通達等によりまして厳重に注意をいたしておるわけでございますけれども、この事件を機といたしまして、さらに仕事の指導、監督のことにつきましては、厳重に注意を喚起することにいたしております。
  95. 栗山礼行

    ○栗山委員 いま竹下局長から御答弁があったのでありますが、確かにこれはやっぱり熟練の知能犯的要因だというようには理解ができると思うのです。あなたの説明によると、よほどの経験の練達の人であって、そして計画的な犯行だ、ぼくから言えば知能犯的要素と、こういうことになると思うのです。金額がたいしたことではないが、これは公金でございます。七百三十三万というような実害をこうむらす、しかもそれは贈収賄によって、便宜供与で、ギブ・アンド・テイクというようなことでものを運んでおるというようなことについて多くの問題がある、私はこういうふうに思うのです。  ただ問題は、そういう犯罪を完全防止というようなことは、もう現在世相から不可能であるけれども、一つは、やっぱり犯罪を起こさしめ得るあなたのほうの事務体系といいますか、そういう事務管理の面あるいは業務の管理体制というものの盲点をつかれた、こういうところに私は問題をとらえていくのがいいんじゃないか。けしからぬやつが出てきた、たいへんうまいこと巧妙にやられまして、以後注意いたします、というような一つの姿勢それ自身に私は問題があると思う。ただ犯罪を犯すなかれという一つの体制こそ、やはり郵務行政の本来的な使命じゃないか、こういうふうにぼくは受けとめてものを理解をいたしたい、こう思うのですが、どうもあなたのほうは、もう悪いどろぼうするやつはしようがないのだ、たいへん巧妙にやられちゃったので、あとはひとつ注意いたしましょうというようなことで、私はあなたの郵務局長としてのその姿勢について非常な疑いを持たざるを得ない。再答弁を願いたい。
  96. 竹下一記

    竹下説明員 御指摘ございましたように、一口に申しますならば、やはりその局の管理体制に遺憾の点があったわけでございます。このことにつきましては御指摘のとおりでございまして、私ども異議を差しはさむ余地は全然ございません。全くそのとおりでございます。遺憾の表し方、改悛の情が足りないようなおことばでございますが、十分その気持ちを持っておりますので、御了解をいただきたいと思います。
  97. 栗山礼行

    ○栗山委員 大臣に、そういう政治責任を負わすということではございません。しかし、私はやっぱりこういう問題を他山の石として、ささやかな問題といえどもこれの発生の要因を調べて、そしてみずからえりを正して、管理の体制についての完ぺきをはかっていくということが、私は本来の進め方だ、こう理解をいたすわけなんでありまして、率直に申し上げまして、私はやっぱり郵務行政はゆるんでおる、ゆるふんだ、こういうところにこういう問題がたまたま練馬郵便局において起きたことと思う。先ほど、何か伺いますと、一つの影響等も考慮してと、こう言われたのでありますが、そういう含みは、こんなことをまねられたら、また実害を郵政省がこうむるのだということの潜在的要素もぼくはなきにしもあらずだと思うのですが、そうではなくて、やはりそういうような犯罪を起こしめないという管理運営こそ、これがわれわれの取り組むべき道じゃなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。  事件を重視するわけではありません。しかし、私は総括して大臣に申し上げたいことは、郵政業務がゆるんでますよ。これは十分あなたが御承知のとおりなんであります。私はこのことをもって大臣の御答弁を伺いたいと思うのでありますが、過般の東京におきます遅配、欠配の問題等もございまして、これは長年にわたる慣習的な行事の一つでありますが、これについて、これは全逓がやった問題だということではなくて、やはり労使関係というものは鏡でございます。一面だけをながめたら、これはわかりません。労働組合もし誤りがあるとするなれば、官側の姿勢にも欠陥があると考えております。官側の姿勢を忘れて、組合だけの一つの姿を見るというようなことは、私は一面観だと考えておるわけでございまして、そこに問題の焦点を合わせてまいらなければなりません。民間ベースからまいりますならば、経営者の姿勢が労働組合に反映する、労働組合の高い誇りと人格がまた経営にあらわれてまいる、そして労使のよりいい一つの分野を踏まえつつ、その企業の繁栄をしていこうというのが、今日の労働組合の持つ役割りでございます。私はこのように考えますと、全逓の方式については賛成いたしかねます。しかし、一面管理者側のその姿勢と、そういう管理体制それ自身というものを閑却いたしまして、全逓の方式のみを責めるというとらえ方を私はいたしておりません。  私も、昭和三年から労働運動の実践家でございます。そこで、いまつとめて時代の変化をながめつつ労働運動の流動化をながめておるわけでありますけれども、労働運動が健全に発達するということについては、社会的要因と経済的要因と労使関係の信頼と、そうしてそれぞれの誇りと任務を持たすという条件が前提になってまいらなくちゃならぬ、こういうふうに私は理解をいたしておるわけなんであります。そういう意味における一つの管理姿勢、業務の運用というものが、本旨に戻って取り組んでおらないところに、こういうささやかな問題でありますけれども私は指摘を申し上げて、そうして前向きに国民の信頼を求めるという郵政業務の本来に返ってもらいたいということが、栗山礼行の願いでございます。その点で大臣の姿勢というものについてお伺いを申し上げたい。責める気持ちはございません。  もう一つは、いま郵政業務というものが一つの転機に来ておるということをしばしば伺っております。私もはしくれの委員をいたしておる者といたしまして、同様に感じておるものでございます。郵便の特別会計一つを見ましても、何か国民に言いわけをして、理屈をつげて値上げに持っていこうというような安直な考え方、こういうようなものに流れておりはしないか、これで国民が得心するのか、こういう私ども審議する側としての一つの苦悩がございます。皆さんそれ自身がかくあるべきだという方向を示してもらって、われわれもそれについて誇りを持って建設的な審議をしたい、こういうことを念ずる一人でございます。  いま私は率直に申し上げましたが、私のところにずいぶん識者から意見が寄せられました。あの問題は積年にわたる官側と組合とのなれ合い、高級官僚と下級官僚のなれ合いが今日の結果を招いたのである、迷惑をこうむるのは国民のみで、またやったか、それでふにゃふにゃとして妥結をしたんだ、こういうような国民的な疑惑と不信が、本年の東京の、あるいはまた労務管理、あるいは労働政策転換闘争の名によります諸問題の国民的評価をなしております。  そこで、私自身に承りました問題について、こういうことでいまや官側にまかしてはおけぬ、郵政業務はもうまかすべきでない、貯金にしたってあるいは保険にしたって、りっぱに民間でそれだけの成果をあげておるじゃないか、郵政業務だって複数制にして、官側の本来的なものが能率的に国民奉仕の役割りをつとめるか、あるいはまた民間が委託を受けて、民間と競合して国民奉仕への方向をたどる時期に至ったのではないか、いまや官側にまかしてはおけないから、郵政業務についての、公社にあらずして複数制を検討するという段階に至ったのではないか、こういう説教を私は食らいました、あるいは意見を拝聴いたしました。それなりに、それが適切であるかどうかということを私はお尋ねいたそうということではないので、私の言いたいことは、国民が郵政業務についてそれほど迷惑と、またかまたかまたかという積年にわたる実績が一つの大きな不信として、国民のやるせない感情と、その中から何かを生み出したいということを求めておる一発言だと私は受けとめておるわけであります。  私は事件のときに、そういうことを申し上げて官側を責めるというようなことは、必ずしも適切でないということで御遠慮申し上げておったのでありますが、いまや重大な局面に来て、あなた以下ひとつ国の誇りある郵政業務としての姿勢を正し、国民の信頼を高めるという一つの路線を、私はあなたに強く望みたいわけであります。私は、大臣に会見を申し込んだらおそらく会っていただけると思うし、お茶でもごちそうになって話をいたしたいと思ったのでありますけれども、なかなか時間がございませんでしたし、そういうささやかなささやきをすべきでない、やはり公の席で国民に答えるということが、国会論議の役目なりということを認識いたしまして、あえて私のそういう率直な意見を申し上げておるのでありますが、ひとつ大臣の牢固たる所見をお伺いいたしましてこの問題を終わりたい、かように考えます。
  98. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 お答えいたします。  まことに憂うつな事件でございまして、お恥ずかしいという気持ちで一ぱいであります。また、この権威ある当委員会において栗山さんがお取り上げになりましたのも、いまるる伺いましたようなお気持ちに発しておるかと拝察をいたすのであります。  私、この事件を聞きまして実は激怒したのであります。何としても明年をもって郵政百年、輝かしい先人の築きました歴史というものを思い起こすにつけて、相も変わらずこういうようなことでおしかりをこうむることは、まことに残念でございます。私も、就任以来綱紀の粛正を徹底させる、あるいは管理者としての姿勢を正す、こういうことに意を用いてまいったつもりでありますが、なかなかまだ所期の目標に達しておらぬのであります。  郵政には、御承知のように監察の機構という特別なものがあるわけでございまして、これは二万からに及ぶ郵便局というものをかかえておりますから、こういう機構もそれなりに意味があるわけでございますが、それならそれでもっとこれが効果のある機能を果たさなければならぬ、こういうことを感ずるのでございまして、単に起こってしまった事件の非違をあとから正すということでなく、せっかくこういう機構があるとすれば、もっと積極的に、未然にこういうことの起こらないような手だてをすべきではないか、こういうことを感ずるのであります。  たとえば、この事件などにしましても、もっとくふうはなかったものか。たとえば、受領証を発行するのに一連番号をつけておいて、相互牽制の仕組みというものが前もって考えられないか。このごろは、大口のダイレクトメールをはじめとして非常にかさばった郵便物が、しかも時間的には非常に忙しい夕方なら夕方あたりに持ち込まれる。これをきちんと物数を識別するというふうなことにも、何かもう少しくふうがないのか。一枚一枚計算することが非常に時間がかかるならば、計量器を置いて目方をはかってやれば、ある程度の目安はつくはずじゃないかというふうなことも、実は部内で申しておるようなわけであります。七百三十三万のこの被害額につきましても、これがもし中小企業ならば、これだけやられれば倒産してしまいます。やはりそういう心がまえを管理に当たる者が十分に持たなければいかぬ、こういう感じでございます。  いま後段に御指摘になりました、郵便事業の管理体制あるいは労使関係、こういうものにもお触れになったわけでありますが、やはりこの際そういう基本の問題にも立ち返って問題を掘り下げてみる必要がある。一つは、これはおわびを申し上げるという気持ちに出ておるのでございまして、こういうことを契機にして今後に万全を期する。これが単に口頭禅に終わったのでは実は意味ないわけでございまして、せっかくこの委員会においてお取り上げになったのでございますから、われわれも頂門の一針として十分にこれから戒めてまいる所存でございます。
  99. 栗山礼行

    ○栗山委員 私も苦悩したのです。委員会で申し上げてしかるべきかということを苦悩いたしてまいったのですが、やはり私は委員会で、公の場で毒をさらして、そうして一罰百戒と申しますか、私は明治の人間でありますから、古い古典的表現より存じないわけでありますが、そのような気持ちで、ひとつ国民の信頼とコンセンサスを求めていくということが、政治に加えられた一つの要諦なりということで、愚論を申し上げまして御意見のほどお伺いいたしました。ひとつ大臣の重責を完遂願いたい、こういうふうに切望する次第でございます。たいへんどうもありがとうございました。  委員長、たいへんすみません。十分超過いたしておりますが、もう十分だけ御了承いただけますか。――要点だけ申し上げます。どうもきょうは栗山礼行えらいハッスルしておるなということでお笑いを受けると思うのでありますが、ひとつお許しをいただかなくちゃならぬと、委員諸公にさように考えております。  電電公社の電話の積滞問題については、武部委員からいろいろお述べになりました。ただ総裁に申し上げておきたいことは、あなたの長い悲願であり、申し込めばすぐつけるというようなことで、幾たびか計画を変更されて真摯に御検討されておる、その点私は敬意を表しつつ、しかし、もういまやそういうことで国民が信頼せない。つかないから、申し込めばすぐつけるという電話に努力しているんだという努力目標のスローガンになりまして、国民は信頼いたしておりません。これは率直にひとつ総裁が御検討さるべき問題だ、かように考えております。いろいろございましょう。いろいろその理由に、よってきたる一つの基盤とか、それから運用とかいろいろな、あなたの限界に達するような問題等も理解を深めつつ、やはり国民の公社としてこれまた信頼と期待を博する、やはり積滞電話のないように進んでいかなくちゃならぬ。そのスローガンはおやめになって、いかにして公社が国民の、庶民の感覚と感情にこたえられるかというスローガンをお考えになったらよろしかろう。私は若干、私なりのスローガンを持っておりますけれども、押しつけて、これをいかがですかというようなことは、総裁に礼を失しますから申し上げませんが、以上、私の基本的な考え方を申し上げて、この問題はひとつ御見解だけ承っておきたい。  それから電報料金の問題でありますが、これはまあいろいろな、電話というようなものが案外成長した、そこの収益というものが電報料金を相殺してきたのだ、こういうふうな安直な考え方であろうか。私は必ずしもそうでない。あなたが電報料金の改定ということを言われてから、私もずいぶん長い間この問題は頭に入っておる問題でございますけれども、いまやそういう電話利用者に電報の負担をかぶせるという時代じゃない。もっとやはり経済ベースで、合理性をもって電報料金の本来的あり方を定めるときに至っておるのではないか。中身は、私はきょうは質問したり論議をいたしませんけれども、この問題は少し勇断が要るんじゃないか。高い原資で、そしてどこかから補ってくるんだという、そういう自主性を失ったような電報制度の問題というのは、一つの前近代的な考え方だ、こういうことで、これは前向きに御検討されてよかるべき問題だ、私はこういうように考えて、これも御検討をお願い申し上げたい。  それからもう一点の問題は、先ほども武部委員がお述べになりました、四十七年度でございますか、市外通話及び市内通話の改正に伴う時分制の実施の問題ということで、まだ十分煮詰まっておらない、ただし、おおよその骨格をひとつお定めになったということで、私どもも資料なりお話を承っておる、こういうふうな内容でございますけれども、私はこの中の問題点だけ指摘を申し上げて御検討を願いたい、御意見があればお伺いをいたしたい、こういうふうに考えております。  原則的には、おそかりし感がある。市内電話という一つの料金の発想と市外電話の料金の発想が違う。これは積年の問題だ。市外通話はぜいたくだ、こういうことから高い料金をかぶせておった、こういうことを否定するわけにはまいりません。こういうような思想、基盤というものもやはり考えられて、そうして市外通話及び市内通話の一つの是正ということで、しかも時分制をしいていこうというようなことでお運びになっておる、この原則については私はむしろ賛意を表してまいりたい。  ただ、中身の問題について、武部委員がいろいろ申し上げましたが、やはり数字だけを合わすというような内容はいかぬ、それはごまかしだということにかんがみて、適正料金の方向を、得心する内容で、やはり社会構造も変化いたしておりますし、それから対応力に見合う料金制度というものをやはり取り運んでもらわなくちゃならないのじゃないか、こういうふうにオーソドックスに私はものを理解して、ひとつあなたの御見解を承りたい、こういうふうに考えておるわけであります。   もう一つ、またあなたをしかり飛ばすけれども公社の本来的使命というものは、今度大阪郵政局長から営業局長に転任されました局長もおられますが、私は基本的に考えていただかなくちゃならないのは、役人のいばるということについては、これは改善されておりません。下級官吏たると高級官吏たると、役人は何かそういう、まことに国民と疎外感と断層がございます。公社またしかりであります。非常に高い姿勢でいばり散らす。電話でも、受け取め方からいけば、申し込めばすぐつくじゃなくて、すぐつけてやる電話だ、こういう一つの思想の根底を否定するわけにはまいりません。窓口も相談所をされておる、窓口もいろいろなことをやられておりますが、本来は、公社それ自身の問題は、やはり国の経済と国民の文化的福祉政策の一助として公社が存在するということをお忘れになってはいけないのであって、窓口に至るまで、あまりに市民及び国民との一つの距離、間隔があり過ぎる。こういう問題についてひとつえりを正して、もっと相談できる、もっとものを言える、そしてそれにはだに感じるような受け取め方をするということで、あなたのところのサービスの徹底をはかってもらわなくちゃならないのじゃないか。この点が、私の見る限りにおいては非常に欠けている。私は一局を申し上げるのではございません。いろいろ私も地方を回っております。また私、電話一本にいたしましても、こういう申し込みがあれば、いまの積滞と人員はどうかね、工事状態はどうかねということで、いろいろはだに感じてものを理解いたしておりますけれども、中には、私はこの間営業局長に申し上げたのでありますけれども、栗山礼行と名のると傲慢なる受け答えをする。しかも、逓信の理事の栗山だと言うたら態度一変する。それでは一般の市民がどんなような受け取め方をあるいはいたしておるかということで私はりつ然とする。こういうことを私は営業局長に申し上げたのでありますが、たとえての問題でありますけれども、私は総体的に、もっと庶民の感情と国民のコンセンサスを求める姿勢を確立するということが、積滞及びいろいろ科学技術に対応した新しい開発実施をされるというときにあたって、もう一ぺん、われわれの姿勢はこれでよかるべきかということを検討さるべき時期に逢着いたしておるのではないか、こういうことを申し上げて、あなたの所見をお伺いいたしたい。
  100. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。最後の問題から最初にお答えいたします。  電電公社といたしましては、国民の皆さまに電信あるいは電話を使っていただいて、われわれとしてはそれに対するサービスをするということでありまして、それに対しまして、特にサービス精神を徹底させて、国の利益やあるいは国民の御要望に極力沿うように指導してまいりましたけれども、実際、ただいま栗山委員が御指摘のような事実がときどき起こりまして、たいへん遺憾に思います。営業局長からも――営業局長は、この間近畿におりましたから事情はよく知っているようでありますが、詳しいことはまた営業局長に答えさせますが、全般的にいたしまして、そういうことが起こらないように前々から指導いたしておりましたが、さらにこれを徹底させるようにいたしたいと思います。  それから電話の積滞の問題につきましては、第四次五カ年計画におきまして、ことしがちょうど三年目になりまして、あとまだ二年残っておりますが、四次五カ年計画で九百三十万の加入電話をつけるというのが昨年改めまして、さらにそれに百万を追加して、一千三十万をつけるということで現在進めております。明年度は二百四十万の一般加入電話、それから地域集団電話二十五万をつけるということで、概算要求をいま郵政大臣のところへ提出しておりますが、もっとつけたらいいじゃないかというお話もございますけれども、やはり局設備関係その他がありまして、昨年からことしにかけては、予定の計画に対しまして予算が成立いたしましたのが、約二十五万だけ最初計画よりふえた予算が成立いたしました。明年この二百四十万というのをつけますと、やはり四十万くらい最初計画よりふえるわけでありまして、まずその予算をできるだけ公社として政府にお願いしてまた国会の議決を得て、実現するということにまず目標を置いて進んでいきたい。  七カ年計画につきましては、先ほど武部委員質問にもお答えいたしたのでありますが、東京の二十三区とかあるいは大阪の中央部におきましては非常に積滞が少なくなっている。ほとんど申し込んだらすぐつける状態になってまいりました。しかし、それではどこが悪いかと申しますと、特に東京周辺、大阪周辺、ここが一番おくれておりますので、百万の追加をいたしたのを大部分そちらのほうへ回したいと思っております。七カ年計画というのは長期の計画でございまして、今後全国的規模における解消を五十二年度末にはかる。しかし、その間におきまして、場所によりましてはもっと早い時点において、現在の東京二十三区や大阪の中央部のように逐次なっていくのではないかというふうに思います。  それから電報につきましては、もっと根本的な方法はないかというお話でございますが、われわれといたしましては、特にこの近代化、合理化をはかるということに重点を置きまして、現在、公社でいいますと赤字が電報だけで約五百億円あるわけであります。しかしサービス自体は、これはヨーロッパあるいはアメリカあたりでは、夜間の電報配達というのは一切やめておるのでありますが、電電公社といたしましては、それでは国民が電報をお使いになるということから不便ではないかということで、夜間のサービスを全廃するということは考えておりません。しかし、何といいましても経営問題としてこの電報問題が大事なんでありまして、これまで全国の中継機械化、三十局を全部自動にするというのを十年以上かかってやってまいりましたし、あるいは配達区域を統合するとか、あるいは夜間に無人局――夜間窓口を締めたような場合には、そこに自動で電報を打てるような装置をつくるとか、いろいろ改良したのでありますけれども、それでもまだだめだということで、今回新しい近代化の案をつくったわけでありますが、時間がありましたらまたお答えいたしますけれども、そういうことでとにかく近代化、合理化をするということに重点を置いていきたいということで、値上げをするということよりも、むしろそちらのほうに重点を置いていきたいと思っております。  それから、電話の市内、市外制度というものを改めまして広域時分制をとるということについては、いま御意見がありましたように、われわれもこれにつきましては、政府並びに国会方面にもこれからお願いに上がりたいと思っておりますが、この考え方というのは、加入区域の拡大に対していかに応ずるかということが主体でありまして、公社として別にこれによって増収をはかるということは考えておりません。ですから、広域時分制になれば、従来、たとえば東京あたりは直径三十キロくらいの範囲が一つの加入区域になっておる。ところが、いなかに行きますと直径二キロくらいが加入区域になっている。非常に極端に差があるようなものを是正いたしまして、それからまた、従来は同一市町村内の加入区域合併だけを考えたのを、それをさらに経済の広域化あるいは国民生活の広がることに対応する措置として考えていきたい。したがって、市内、市外というような考え方に対しまして、これは歴史的に市外というものは手動であったという、昔のそういう時代から起こってきたことでありまして、現在のように市外が自動でつながるような時点になりますれば、市内、市外というような区別をして、片方は一回で幾らでも使える、片方は時分制を入れていくという差があること自体がおかしいという考え方にもなるわけでありまして、こういうことを総合的に考えて、公社としては増収を期待するわけではなくて、この際近代化、合理化をして、合理的に料金体系を改めていきたい、こういうことでございます。  なお御質問がありましたら、お答えいたします。
  101. 栗山礼行

    ○栗山委員 たいへんありがとうございました。
  102. 金子岩三

    金子委員長 午後二時三十分再開することとし、この際休憩いたします。    午後一時四十六分休憩      ――――◇―――――    午後二時三十四分開議
  103. 金子岩三

    金子委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。阿部未喜男君。
  104. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣にお伺いしたいのでございますけれども、郵政事業の公社化の問題につきましては、昨年の十月に郵政審議会の公社化に対する答申がございまして、それを受けて、郵政省内でも公社対策の特別委員会などを設けて鋭意検討なさって、先般の大臣の御答弁にも、まあ八月の終わりごろまでにはいずれかの結論を見出したいものだ、そういうお話でございましたが、先般郵政省の発表によりますと、公社化については、さらに検討を加えながらも、さしむき、公社化しなくともできる改革について手を打っていきたい、まあそういう内容の発表であったように思われますが、言うならば、非常に歯切れが悪い、やる気かやらない気か、端的に言えばそういう気がします。やりたくないから日を延ばすためにこういう表現を用いたのか、それとも、ほんとうにやるまでの準備ができないならできないで、もっとほかに発表の方法といいましょうか、そういうものがあったのじゃないかという気もいたしますので、まず大臣のほうから、公社化について今後の展望、心がまえというものを承りたいと思います。
  105. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 公社化につきましては、いま阿部さん言われますように、省内においてこれがための対策委員会をつくりまして、鋭意検討をしてまいりました。まあ九月でございますから、かれこれ一年近くかかったわけでありますが、何といたしましても、公社化するということは、郵政の歴史の上からいいますと非常に大きな変革であります。したがいまして、これには十分慎重を期さなければならぬのでありますが、さりとてじんぜん日をむなしくするのも、それでいいというものではございませんから、あの答申を踏まえまして、最終結論はもう少しかかるにしましても、答申の趣旨にのっとって、当面やれるものは何であろうか、こういう検討をいたしてみたわけであります。そして、それには法制面の問題もありましょう。組織形態の変更というものもございましょう。言うならば一段階、その準備のような意味におきまして、できるところからひとつ手をつけてまいろう、こういういま所存でおるのでございます。  したがいまして、公社化それ自体は踏み切るのにもう少し先になるといたしましても、当面やり得ることをこの際やってまいろうということから、たとえば郵便の仕事、貯金、保険等におきましても、いま非常にがんじがらめにすべてが立法事項になっているというようなものが――基本は国会に御審議を願わなければいかぬにしても、行政措置である程度簡易化していけるものがあるならば、そういうものにひとつ手をつけてみようじゃないか。さらに、組織形態の問題でも、やれるところからやろうというふうなことを、数項目拾い出しまして、これを先般発表いたした、こういう経過に相なっておるのでございます。
  106. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣のお考えはよくわかりましたが、いまおことばの中でも、公社化に踏み切るそれ自体はもう少し先にするにしてもと、そういうことばの端々からうかがうと、いずれは公社化に踏み切らざるを得ない、そういうお考えに立ちながら、なお準備が十分でないので、さらに検討を加えていく、その間は、さしむきできるものからやっていきたいのだと、こういうふうに承ったのですが、そういう理解でようございますか。
  107. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 結論を出すまでに、どうももう少し時間がかかりそうでございまして、それを必然の前提というふうに申し上げるのには、もうちょっと煮詰めたい点があるわけであります。
  108. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 その議論は次の機会に譲りますが、公社化の問題について、一つだけ意見を申し上げておきたいと思います。  先ほど栗山委員のほうから、電電公社の職員がたいそう横柄だというお話がございましたけれども、実は私の地元の大分の通信部に参りますと、いつ行っても非常な親しみをもって、いわゆるお客さんという感じで扱ってもらえます。所によって違うのだろうと思います。ところが郵便局の中を歩いてみますと、何にしに来たかというような扱いを受けるわけでして、公社とお役人の違いだなということをしみじみ感ずるのでございますけれども、郵政事業といえども性格としては公社とあまり変わらないものだと考えますので、公社に移行するしないの問題は別の場に譲りましても、郵政事業の持つ公衆へのサービスというような点については、ひとつ施策の中でも十分配慮を願っておきたいと思いますし、公社化に踏み切る踏み切らないの一つの課題として、意見を申し上げておきたいと思います。  それから次に、沖繩の復帰が、お骨折りで、もはや日程にのぼっておるようでございますが、これに対して、総理府のほうから沖繩のほうに事務所を設けて、各省それぞれ現地においでになって、復帰後の対策をいろいろ検討されておるようでございます。郵政当局はどういう措置をとっておられますか、ちょっとお伺いしたいのでございます。
  109. 野田誠二郎

    野田説明員 いま御質問の沖繩の関係でございますが、現在の沖繩・北方対策庁でございますか、これの沖繩事務局が那覇に駐在されており、局長以下あまり多くない人数でございますが、当省から派遣されております人員は一名でございます。
  110. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 私は、いまさら沖繩の歴史を説こうとは思いませんけれども、沖繩の住民の長い念願であり、日本国民全体の悲願であった沖繩復帰の問題が具体的な日程にのぼっておる。各省の沖繩事務所に配置してある顔ぶれ、人員等を見ますと、たとえば大蔵省では調査官が三、課長が三、運輸省でも参事官が二名と係長、それから通産省でも参事官や係長、自治省でも局長、課長、係長、その他申し上げればきりがありませんが、各省庁それぞれ沖繩の復帰に備えて十分な手だてをし、事前の準備を行なっておるようでございます。特に郵政事業の場合は、あの広い地域にたくさんの郵便局もかかえておるわけでございますし、また電波の監理等の問題もあると思われますが、聞くところによると、この一名というのも、何か向こうにやるので係長にしてやった程度の人間で、郵政全体の業務に明るいかどうかということはよく知りませんが、職制の上から考えるならば、必ずしも明るいとはいえないような係長を一名だけしか配置をしてない。そういう郵政の沖繩復帰に対する取り組みは、きわめて私は遺憾であると思いますが、これはどういうふうにするのか、ひとつ大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  111. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 実は阿部さん、私もつい先般ちょっと沖繩まで行ってまいりました。そこでいろいろ現地の様子を見たり聞いたりしてまいったのでありますが、本土で行なわれています法体系と若干異なる法律のもとに置かれておる面もございまして、そういうギャップをいかにして埋めるかといういろいろな問題があるようであります。郵便について申しましても、料金が本土のほうが高くて向こうが安いといった問題がある。簡易保険などは、向こうでは行なわれておりません。電気通信関係は、大体本土の法律と似たものができておりますので、これはわりあいにスムーズにいくかと思います。その他電波の問題がやはり一番やっかいではないか、こういう感じがいたします。  したがいまして、当面一人を派遣しておくだけでたいへん貧弱のようにお感じかと思いますが、その出先にもよく命じまして、問題点を十分洗って、そして早いところこっちへ報告せい、それによってこちらも考えなければならぬのではないかということで別れてまいりました。自分で見聞してまいりましたから、実感として今後どうしなければならぬかということは、十分心して対処いたすつもりでございます。
  112. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣みずからおいでになったわけですから、政治的な判断については、私はいささかも大臣の所信を疑いません。しかし、政治的な判断だけで事が運ぶとは思われないのです。それだからこそ、他の省庁がこれだけたくさんの人間を派遣して、沖繩の復帰に備えてその対策を立てておるのに、おそらく大臣もお感じになったと思いますが、たった一名だけで、しかも郵政全体の仕事に通じておるとはいえないような人がおるだけで、今後の対策について十分なものがあるとは、私はどうしても考えられないのです。これは人にもよりましょう。いろいろありましょうけれども、せめて他の省庁が持つぐらいの陣容を配置しなければ、そういうことだから郵政省がいつも立ちおくれて、いつもよそのおしりにくっついていくような状態にならざるを得ない。これはこの機会ですから、大臣はっきり、もう少し陣容を強化するなら強化するということを約束していただいて、あとの事務手続等は、省内のいろんな事情もございましょうが、せめて課長一名、係の二、三名ぐらいは派遣して、十分対策が立てられるような判断を、政治的にお願いしたいと思います。
  113. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 郵政省が立ちおくれておるという御指摘でございましたが、実はいままではわりあいによくいっておるようであります。郵便貯金のあと始末なども、向こうにはたいへん喜ばれております。あるいは貯金保険会館、これももう敷地はきまって、建設に着手しようという段階でございます。といって、決してここで私は胸を張るわけではございません。そういう実績の上に立って、いま向こうに行っておる係長も有能でございますから、そう遠くないうちに私のところに報告が来るはずでございますが、そういうものを基本といたしまして、いまおっしゃるような方向でひとつ善処いたしたい、こう考えております。
  114. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ついでですから、もう一言だけ言わしてもらいたいのですけれども、現地調査の問題にしましても、私の聞くところでは、郵政はたった一回しか行っていない。ほかの省庁では、二度、三度にわたって現地調査を行なっておる、そういうことも聞いておりますし、いま大臣のお話もございましたから、ここで何名ということにはならないまでも、少なくとも他の省庁と同じぐらいの対策が立てられるだけの陣容について、ひとつぜひ御配慮いただきたいということを要望いたしまして、この問題については質問を終わりたいと思います。  次は、郵政事業特別会計についてでございますけれども、昨日の参議院の物価特別委員会でございましょうか、何かそこで大臣は、郵便料金値上げについて、この段階では踏み切らざるを得ないという意味の御意見を述べられたというふうに、これは新聞報道で私、見たのでございますが、そういうことでございましょうか。
  115. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 私も念のためそのときの速記録を持ってきておりますが、そこで申し上げましたことは、従来、赤字に対してどう対処するんだというお尋ねに対しては、およそ三つの方法がある、これは御承知のとおりでございます。そこで、そうは申しましても、さてアクセントをつけるという段になれば、やはり料金体系に手をつけるということも考えなければいけないのではないか。ただし、このことは、公共料金、物価等たいへんやかましい時期でございますから、あくまで慎重に対処はいたすべきであろうが、同時にまた、これは郵政審議会というような機関もあることでありますから、この御意見も伺った上で処理をいたしたい、かように大体お答えしたわけであります。
  116. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大臣、非常に意地の悪い質問ですけれども、一国の国務大臣として、国鉄の仕事というのは郵便の仕事にある意味では非常に似通った共通点を持っておると思うのですけれども、この国鉄の駅の中に入る、いわゆる入場券、これが一回入るのが一枚の切符三十円になっております。郵政省で取り扱っておる郵便はがきが、だいぶ形も大きいのでありますが、これは九州から、極端な場合は北海道まで送っても七円で行く、こういうことになっておるのですが、政治家の感じとして、安いとか高いとかいう意味でどういうふうにお感じになりますか、比較をしてみて。
  117. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 お答えいたします。  阿部さんのことですから、いまの御質問には何も伏線はないだろうというふうに思いますが、これは感じからいたしますならば、七円で非常に大きな役割りを果たしておるこのはがきならはがきというものの持つ意味なり価値なりは、これは非常に大きいものだ、こう思います。
  118. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 実は、そこでお伺いしたいのですけれども、もうこれで大臣への質問は終わりますが、そういう国鉄の場合、私どもから見れば、郵便はがきあるいは手紙と入場券とを比較してみましても、これは一概にはいえませんけれども、かなりの収人があるはずであっても、やはり大きい赤字を出して、国鉄の赤字については国が、最近は地方自治体が一部負担をするかとか、いろいろ意見が出ておりますが、国民全体として、利用者負担だけでない形で何らかの方法が検討されつつあるように思います。非常に似通っておる仕事、いわゆる国民全体に利便を供しておる郵便事業の場合にも、そういう国家全体の見地というものからの措置、財政的にいうならば、一般会計からの繰り入れとかそういうものが、一体できないものかどうか、この点の大臣のお考えを率直に聞かしてもらいたいと思います。
  119. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 三つの方法があると従来申し上げておりますゆえんのものは、昭和二十三、四年ごろでございますか、現実に一般会計から赤字をぬぐってもらったという実績はあるわけでございます。したがいまして、その方法も十分検討をしなければならぬと思っておりますが、やはり独立採算といいましょうか、受益者負担といいましょうか、やはり一つの事業会計でございますから、それに非常に大きなウエートをかけて、赤字が出たらそれに依存すればことが足りるというだけでもいかぬのではないかというふうに思っております。
  120. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、事務当局の経理局長さんにお伺いをしたいと思いますが、四十六年度の郵政事業特別会計の概算要求をなさっておられるようでございますけれども、歳入で八千百七十一億円、歳出で八千七百四十三億、おおむね五百七十億程度の赤字が見込まれておるようでございます。当然、経理局としては赤字をどういう方法で措置をするのか、それはお考えもあろうかと思いますので、聞かしてもらいたいと思います。   〔委員長退席、水野委員長代理着席〕
  121. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 ただいま御質問ありましたように、四十六年度の概算要求の段階におきましては、五百七十二億ばかりの歳出オーバーの予算を組まざるを得なくなりました。結局、この赤字をどうするかということは、政府予算が決定される十二月ごろまでにこの対策がきまるわけでございまして、先ほど大臣から御答弁いただきましたように、何らかの処置によってこの赤字を埋めるわけでございますが、われわれ事務当局といたしましては、やはり独立採算制といったものを原則として考えるならば、しかも長期にわたって安定的に財政を建て直すためには、やはり料金に手をつけていただきたいという希望は持っております。
  122. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 そこでお伺いしたいのですが、特に郵便事業について、昭和五十年までの見込まれる赤字が一応ずっと出ておるようでございますが、累積しますと六千四百二十二億ですか、その程度の赤字が見込まれる。大体昭和五十年度において赤字が出ないというふうな計算をするとすれば、料金は何%ぐらい引き上ぐればいいのでしょうか。それは種別によってそれぞれ違いましょう。しかし、数字の上で何%程度まで上げれば、大体昭和五十年までで赤字が出ない勘定になりすすか、ちょっと聞かしてもらいたいと思います。
  123. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 一応事務当局といたしまして計算をいたしました、昭和五十年ごろまでの収支見込みについてまずお答えしたいと思いますが、実はこれは試算でございますことと、相当前提条件がたくさんあります。その前提条件を先にちょっと説明さしていただきます。  まず、収入の見込みをどう見たかということが大きなポイントでございますが、一応過去十年間ぐらいの郵便物数の伸びをまず考えました。それによりますと、いろいろ詳しい方法はまた御質問があれば御説明いたしますが、そういったことによると、大体各年度五・一%ぐらいの物数増が見込まれる。その物数増に応じて収入があるというふうにまず予定いたしました。  支出のほうは、御承知のように郵便事業は人件費が七〇%ございますが、この人件費をどう見るかということでございまして、一応新経済社会発展計画で予定されております一人当たりの雇用者所得の伸び率が一二・一%になっておりますので、一応これを伸ばしました。これについても、先生御承知のように、四十五年度では仲裁裁定と定期昇給を見てもすでに一五%台の伸びになっておりますので、はたして今後一二・一%で済むかどうか一応疑問はありましたが、外に発表された数字を使うほうが穏当だろうということで、一二・一%をもって伸ばしてみました。そのほか物件費等につきましては、さらにその中で人件費的なもので上がっていくであろう物件費と、それから、単純に卸売り程度の物価指数でいけるようなものとか、そういうようなことを計算いたしました結果の数字でございます。  まず、四十六年度の概算要求の数字をもとにしまして、先ほど申し上げました前提に基づいて各年度それぞれ収入、支出を伸ばしました。その結果出た赤字額だけを一応申し上げますと、四十六年度の概算で五百七十二億、それから四十七年度で八百七十八億、四十八年度で千二百二十六億、四十九年度で千六百三十三億、五十年度で二千百十三億、五年間の合計が六千四百二十二億の赤字累計ということに一応なろうかと思います。  そこでお尋ねの、どの程度ということになるわけでございますが、その五年間の郵便業務収入を見ますと一兆二千四百四十九億ということでありますが、一兆二千四百四十九億円に対して六千四百二十二億の赤字ということになれば、おのずから五〇%程度の赤字、収入累積に対して赤字累積の率が約五〇%、こういうことになろうかと思います。
  124. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 続いて郵務局長にお伺いしますが、この郵便料金体系に不都合がある、矛盾がある、不合理があるとするならば、一体どういうところに手をつけるべきだというふうにお考えでございますか。
  125. 竹下一記

    竹下説明員 お答えします。  料金体系の不都合の部分は何かというお尋ねでございますが、私ども、やはり料金のあり方といたしましては、独立採算制をとっておりますということを前提にいたしますると、やはり原価主義というものを考えなければならない、また考えていただかなければならない、こういうふうに考えるわけでございまして、そういう点から申しますると、一番問題になりまするのは、第三種郵便物及び第四種郵便物料金でございます。それと、これは法律料金ではございませんで政令料金でございますが、小包料金、これがただいまのコストという立場に立ちますると、非常にコスト割れを来たしておりますので、一番問題になろうかと思います。
  126. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま郵務局長からお答えをいただきましたが、私どもも独立採算という点からいけば、どこかに不合理があるから赤字が出てくるのだというふうに理解をするわけですので、次の委員会あたりまでに、郵便の取り扱いがこの種別ではこのくらいの取り扱いがあって、ここでこのぐらいの赤字が生まれておるというようなのを、明らかにする資料をつくっておいてもらいたいと思います。  次でございますが、特にいま問題になっております郵便の遅配、欠配。私どもは、郵便というのは迅速、正確、丁寧というふうに昔から教え込まれてきているのですが、いま遅配、欠配というのは、大都市では常識のようになっておりますけれども、その一つには、要員確保困難の問題以前の問題として、定員配置の問題があろうかと思いますが、概算要求の中で、郵便事業の増員要求は何名くらいなさっておりますか。
  127. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 今回の概算要求の人員要求のうち、郵便関係の増員要求といたしましては、五千九十一名を要求いたしております。
  128. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 それは、当然郵政省内で省議にかけて決定されたものと思うのですが、郵務局長、大体その程度で、定員事情から見ての郵便の遅配、欠配の解消は自信がございますか。
  129. 竹下一記

    竹下説明員 要員だけの面から見ますると、それだけちょうだいできれば十分でございます。
  130. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 いま郵務局長は、十分というお話がございましたが、十分かどうか私よくわかりませんけれども、ぜひひとつ、まず定員事情を解決して次に要員確保という、やはり二段階の措置が必要であろうと考えますので、来年度の予算要求の中で、とりわけ郵便事業に対する増員要求については、ぜひ関係の大蔵当局のほうにも了解をしてもらうように、大臣からも格段のお骨折りをお願いしたいと思います。  そこで、この四十六年度予算要求の中で、特に重点施策というものが述べられております。まず郵務局長にお伺いしたいのですけれども、この施策の中で、自動読み取り区分機が五十一台、それから自動選別取りそろえ押印機が三十三台というようなものが予定されておるようでございまして、全国の主要局に配備をしたいというわけですが、主要局というのはどの程度、たとえば統括局には必ず全部つけるとか、大体どの基準になりましょうか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
  131. 竹下一記

    竹下説明員 この自動読み取り区分機にいたしましても、自動選別取りそろえ押印機にいたしましても、取り扱い物数はかなり多い局でございまして、具体的に申し上げますと、一日に約十万通程度は引き受けるという局でございます。県庁所在地の局あたりは大体該当するかと思いますが、その中にも規模の小さい局もございますので、必ずしも全部というわけにはまいりません。
  132. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 次に、重点施策の中で、特定局の冷房、郵便外務休息室の冷房等をやりたいという御計画のようでございますが、これは大体何カ年計画くらいでおやりになる御予定でございましょうか。
  133. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 特定局の、いわゆる窓口の環境整備関係といたしましては、一応四年計画を持っております。それから、もう一つのほうの郵便外務員の休憩室等のほうの計画は、一応三年という計画でもって概算要求をいたしておるわけでございます。
  134. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 わかりました。  次ですが、重点施策の中で、新種保険とそれから保険金最高制限の引き上げをやりたい、同じく貯金事業のほうでも、これは先般の委員会でも問題になったのですが、百万円の制限額を二百万円に引き上げる、こういう御予定のようでございますが、この点については、もう大体話し合いがついておって、実施の見通しがあるわけでございますかどうですか、その点ちょっとお伺いさせてもらいたいと思います。
  135. 中田正一

    ○中田説明員 新種保険の創設の問題あるいは最高限の引き上げの問題、すべてこれから関係の向きと折衝する問題でございます。
  136. 田中恵造

    ○田中説明員 郵便貯金の最高限度額の引き上げにつきましても、ただいま簡易保険で申されましたと同じように、ただいまから大蔵省と折衝に入りたいと考えております。
  137. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これまた大臣にお願いになると思うのですけれども郵便貯金の総額制限の問題は、昭和三十九年の国民所得を基準にして昭和四十年にきめられたものと記憶をしております。先般、郵政省郵便貯金が脱税の隠れみのになっておるとか、大蔵省からおきゅうを据えられたとか、一札を取られたとか、いろいろ新聞に出ておりましたので、大蔵省のほうからも出席をしてもらいましていろいろお話をして、当時の山本貯金局長からも、この次はぜひ引き上げてもらいたいものだという貯金についての意見があったわけでございます。保険についても、最高制限額はもとより、新種保険等に対して一般にいわるるのは、もうかるものは民間で、もうからないものないしは補完的なものが郵政の国家事業でやられておる、こういうふうな見方もされておるわけでございますし、ある意味ではそれも必要だとは思いますけれども、それだけでは特別会計も成り立っていかぬと思いますし、また、下部で働いておる職員の立場になってみますと、今日のように好むと好まざるとにかかわらず物価が上昇していく中では、保険という性格、貯金という性格から考えましても、そういうふうな措置を講じてやらなければ、郵政としての企業それ自体ないしはその下に働く職員の意欲に、非常に悪い影響を与えてくるわけでありますので、これは大臣、たいへん御苦労だと思いますけれども、事務当局のこの懸案については、ぜひ大臣の政治的な力で解決をはかっていただきたいと思いますので、もう御質問申し上げぬはずでしたが、決意だけひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  138. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 これは、保険にせよ貯金にせよ、民間との競合関係はございますが、しかし、これを国の事業としてやっておりまする理由は、やはりこれから巨額なる財政投融資の原資が出ておるということでございます。この点は、郵政省としては一つの錦の御旗でありますから、そのつもりで当たる所存でございます。
  139. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ありがとうございました。  それでは、次にお願いしたいのですが、この重点施策の中で、郵便外務員の処遇の改善について措置をしたいというふうなことになっておるようでございますが、特に、いま郵便外務員の要員確保が非常に困難な情勢にありますので、きわめて適切な措置だろうと思いますが、少しその内容を具体的に、いまのお考えを知らせてもらいたいと思うのです。
  140. 北雄一郎

    ○北説明員 お答え申し上げます。  ただいまでも、郵便外務員の処遇につきましては配慮しておるところでございまして、特に大都市及びその周辺に在勤する職員につきまして、いろいろ配慮いたしております。従来から郵便の外務職員につきまして、郵便以外の一般の外務職員に比べまして、本俸におきまして月額三千円高くしてございます。そのほかに、東京都の二十三区及び北多摩郡の若干の市を含みますが、そういったところ、それから大阪市内、これに在勤する外務職員につきましては、そのほかに初任給調整額でありますとか、あるいは加算額というようなものを合わせまして月に三千五百円、これを支給いたす制度にいたしております。また、それ以外の地域につきましても、ただいまの金額とは若干違いますけれども、やはり一般の職員以上にそういった金額を支給しておるわけであります。また、本年の賃金引き上げの仲裁裁定実施の一環といたしまして、さらに大都市及びその周辺の郵便外勤職員、これに対しまして、いま申しました格差額をさらに積み上げるということを、実は組合側に提案したわけであります。目下継続交渉になっております。それから給与上、そのほかに特殊勤務手当といたしましていろいろな手当を支給いたしておりますが、さらにそのほかに、勤務能率に応じましてさらに支給する手当の創設ということも検討中でございます。  今後も、事情の許す限りそういった面での処遇改善に努力をしたい、かように考えております。
  141. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これは金だけで解決ができる問題とは思いません。もちろん給与のほかに、職場の環境の整備や被服の問題、あるいは地位の向上と申しましょうか、たとえば、外務員でも局長になれるとか内勤にかわっていくとか、いろいろな施策が一緒に含まれると思いますが、その中でこの給与の関係について言うならば、いまの人事局長のお話では、三千円の差があって、その上に東京二十三区や大阪については三千五百円ですか上積みする。そうすると、高校卒で内勤よりも外勤のほうが、かりに東京二十三区について言うならば、現行六千五百円高い、さらに若干の上積みをしたい、こういう御意向のようでございますが、大体いまの郵政の外務職員の給与、東京二十三区の場合を例にとってもけっこうですが、三万六千五百円ないしはそれに若干の上積みがあったとして、それで妥当であると思っておられるのかどうか、まず給与面についてひとつ伺いたいと思います。
  142. 北雄一郎

    ○北説明員 お答えを申し上げます。  それで妥当であるかどうかという仰せでございますが、ただいま申し上げましたように、六千五百円という格差は、従来から逐次拡大してまいったわけでございまして、従来に比べればずいぶん改善になっておる、かように考えます。  ただ、先ほども申し上げましたとおり、それで能事終われりではなくて、さらに現情勢におきましても引き上げたいということで、当方といたしましては、交渉事項でございますので、組合側に提案をしておる、こういう次第でございます。
  143. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 少しこの内容にわたってなんですが、いま人事局長お答えいただいたのは、昭和四十五年度の中でやりたいというお考えでございましょう。したがって、昭和四十六年度の概算要求の中で、そういう外務員に対する特別な給与としてどう考えておられるのか。ちなみに、私のところはずいぶんいなかで大分県でございますけれども、今年度の高校卒の初任給は平均が三万円を上回りました。最高は六万円です。そのことをひとつ頭に入れて、この際、東京二十三区や大阪などで働いていただく外務員の方々は、内勤者といいますか、一般の事務職の給与等に比べて二万円ぐらいはたくさん出さなければ、給与の面でも人が集まらないのじゃないか、そういう気がしますが、その点どうお考えですか。
  144. 北雄一郎

    ○北説明員 お答え申し上げます。  ただいま二万円ぐらいの格差というお話でございましたが、現行六千五百円でございまして、それでは足らぬというふうに私どもも思っておりまして、ほぼ一万円近くにはしなければいかぬだろうというのが、私どもの現在の考え方でございます。  それから将来の問題、つまり来年度の問題といたしましては、これも最初の御答弁でちょっと触れましたけれども、勤務実績に応じまして上げる特別勤務手当、いわゆる特勤でございますが、特勤を相当大幅にふやす、あるいは新設するということを考究いたしております。
  145. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体お考えがわかりましたから、極力郵政の事情を説明をして、そういう予算が成立をするように努力をしていただいて、その支給方法等については、これまたいろいろそれぞれ意見もありましょうから、十分職員のほうの意見も聞きながら決定をしていただくように、格段の努力をお願いをしたいと思います。  次に、電電公社のほうにちょっとお伺いをしたいのでございますが、電電公社が昭和四十三年の七月からサービスを開始しました無線呼び出しサービス、いわゆるポケットベルと呼ばれるこの業務の現況について、ちょっとお知らせを願いたいわけでございます。
  146. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  昭和四十三年の七月に東京でサービス開始をいたしまして、東京の地域につきましては、現在加入数が約一万六千でございます。申し込んでまだ応じられない積滞が、約九千百でございます。大阪地区につきましては、サービス開始が四十四年十二月十日でございまして、七月三十一日現在で加入数が約九千七百、積滞数が約六千三百となっております。名古屋地区につきましては、本年の七月一日からサービス開始をいたしまして、七月末で約一千二百の加入数、積滞数が約二千五百となっております。
  147. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 大体無線呼び出しサービスについては、全般的な業務を、サービス会社というようなものに委託をしておるようでございますが、その委託契約の内容、それから電電公社としてこれを行なって得られるメリットといいましょうか、そういうもの、民間に委託した会社の経営の状況、概略でよろしゅうございますが、ちょっとお知らせ願えましょうか。
  148. 中林正夫

    ○中林説明員 公社がこの業務を会社に委託しておりますのは、この業務は、保守作業等につきましては、普通夜間であるとかあるいは休日であるとか、そういった時間帯にこれの保守をやらなければならない。あるいは外出先等、外のお客さんから急な保守なり取りかえなりといった要望も多い。そういったことに機動的にこたえるためには、民間においてこれの業務を行なうということが適当であるということで、民間会社にサービスを委託しておるわけでございます。  それで、公社が委託によってこのサービスを提供する場合の条件の一つとしましては、公社が直営でこのサービスを実施するよりも、より経済的であり、かつ能率的であるということを条件の一つにしておりますが、委託の経費、取り扱い費につきましては、大体会社がほぼ経営が安定すると思われます、業務開始から四年目程度を基準年度にいたしまして、会社の業務運営に要する経費と、それからある程度の配当というものを可能にする利潤相当分といったようなものを合わせまして、これを固定的な経費とそれから変動的経費というものに分計いたしております。
  149. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 もう少し詳しく契約の数字を知らしてくれませんか。
  150. 中林正夫

    ○中林説明員 ただいまの固定的な経費につきましては、基本委託費として東京の場合には月額四百二十五万円といたしておりますけれども、これは本社におきます管理的経費と、それから三つの営業所におきます地代家賃、それから車両の維持費、それから最低配置の要員に対する人件費、こういったものに見合う経費というものを算定いたしております。  それから変動的な経費につきましては、ポケットベルの調達、保守、それからこれの加入事務、料金事務、こういったことに対します人件費、保守材料費、それから減価償却費並びに借り入れ金の利子等に見合う経費というものを、これは一加入ごとに千五百円として契約いたしております。
  151. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 一番おもなところですが、このサービスをやることによって、いわゆる電電公社としてのメリットといいますか、それは一体どういうことになりますか。――おわかりにくければ、たとえばこれによって電話をかけてくるから電話の利用が高くなるとか、あるいは一契約で二千円のものを千五百円だけサービス会社に払うから、五百円だけは公社に入ってくる、これが年間どのくらいあるとか、それと人件費なり施設との兼ね合いの関係でどのくらいメリットがあるのか、あるいは公社自体は赤字でサービスしておるのか、そういう点ですね。民間のいまの運営の状況ですね。
  152. 中林正夫

    ○中林説明員 公社といたしましては、月の使用料二千円入りますが、これに対しまして会社に対して、固定的な経費というものと変動的経費として二千円のうちの千五百円というものを支払っておるわけでございますが、そのほかに公社の直営分、直営でやっておる分といたしましては、いわゆる基地局の建設、運用、保守というもの、それから基地局間の連絡線の建設、運用、保守、こういったものをやっておりますので、まだ私ども公社として二千円の収入が入りまして、公社としてそれがプラスマイナスどういうふうになっておるかということについては、はっきりした検討はございませんが、加入者の皆さんから無線の呼び出しを受けて電話をおかけになる、こういったものは、また度数料として入ってくるということでございます。  それから、会社のほうの経営の状況でございますが、東京の日本通信サービス会社のほうは、第一期の決算は赤字になっております。第二期の決算につきましては、これは予定よりも非常に加入数が伸びたせいもありまして、黒字を出しております。ただ、まだ配当するには至っておりません。近畿のほうは、まだ始めたばかりでございますので、もちろん赤字でございます。   〔水野委員長代理退席、委員長着席〕
  153. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 ちょっと総裁にお伺いしますが、いまの御答弁では、どうも電電公社は何を考えてやっておるのか非常にわかりにくいのですが、大体無線呼び出しの業務サービスを開始するにあたっては、公社としての収支そのものについても、一応の見通しは持ってお始めになったものと思うのですが、確かに経営の内容から、こまかな分析は困難だろうと思いますけれども、大まかな数字の上での計画というものは持ってお始めになったものと思うのですが、どうでしょうか。
  154. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  無線呼び出し業務は、日本が始める前に、アメリカあたりでは十年くらい前からやっておりまして、初めは手動式であったのですが、その後自動式になりました。  日本でやる場合に、これはいま御指摘がありましたように、公社の経営がどうなるかということ、またこれによって、これを利用する国民の方がどういう利便を得るか、二つの問題があると思います。また会社にした場合に、やはり民間事業でありますから成り立たなければならない、その三つの要素を考えたのであります。それで、手動式はぐあいが悪いというので自動式にいたしましたために、その人件費等は非常な少なく済みました。公社としてこれを見ておりますと、たとえばこの数がある地域で二千くらいだったならば、ちょっと会社としてはペイしないのじゃないか。東京付近では、電波の波の関係がありますが、今後三万から五万くらいまでふえるのじゃないか。そういう将来のマーケットサーベーをいたしまして、その時点におきましては会社としても成り立つし、それからこれを使って、特に外部で仕事をされる方、あるいはお医者さんとか、それからまた自動車をある一カ所に集中したりすることが地域的にきわめて困難な場合には、むしろ自動車を分散しておきまして、そこへ呼んで交通というものを緩和するとか、そういういろいろ特殊な用途があるわけでありまして、国民の皆さんからも、全般的というよりも、そういう特殊なお医者さんとかなんかからは、非常に喜ばれておるような状況であります。  それから、公社の経営といたしましては、これをやることによってやはり通話がふえるということ、それからまた会社に対する支払い等に対しまして、一応計算をいたしまして公社としても損をしない、こういうめどを一応つけておる次第でございます。ただ、名古屋とか大阪とか始めたばかりのところでは、まだ若干問題が残っておりますが、これが平常状態になれば、そういうことも検討した上で始めたわけでございます。
  155. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 利用状況を見てみますと、販売用が約四〇%で一番東京の場合多いようでございますが、確かにいまおっしゃった、一般の国民の利便に供する上では非常に意義があると思うのですが、私は実はこれを見まして、総裁、びっくりしたのは、一加入があれば千五百円、東京の場合には、一万六千加入があればこれは二千四百万だ、勘定しまして。そのほかに基本委託費が四百二十五万ですか、いながらにして、何もせずに二千八百万くらいの金が入ってくるのじゃないか。これはたいへんもうかる商売だなと思って、実はきのう東京の市内電話局に行きましていろいろ聞いてみましたところが、なかなかそうではなくて、ベルの機械が会社持ちになっておるわけですね、受信機のほうが。これは一個四万円だというので、その資金繰りが非常に大きい問題になっておるようですし、償却が問題だと思うのです。専門的になりますが、受信機は何年くらいの、耐用年数といいますか、どのくらいもつものですか。
  156. 北原安定

    北原説明員 あの種のものは軽量にしますことと、それから、何といいましても量が多く出てくることによっていろいろコストが変わってまいります。いまのところ五、六年というものを一つのめどに置いてやっておりますが、経過を経てみませんとはっきりしたことはわかりません。
  157. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 これも問題が起こってくると思うのは、いまの受信機が少し大きくて重いというような批判もあるようですし、新しい型に変えるとする、小さくするとします、新しく加入した人は小さい型で、前に加入した人は大きい型というわけにもいかぬ。そうしますと、四万円もする機械を月に千五百円しかもらわずに取りかえなければならぬということになると、会社にとってもたいへんな問題になってくると思うんですね。それでぼくは耐用年数をお伺いしたのです。  いまのところ経営状態といいますか、それもいいようですし、一万加入くらいになれば大体いけるということですが、参考までに、ダイヤルしたとき、あれはすぐ通話の度数として電電公社のほうに登算をされるものですか、それが一点。  それから公社は、いま東京の場合一万六千ありますが、どのくらい電話利用があるものか、それをわかっていれば、ちょっと概略でもいいのですが知らしてもらいたいと思います。
  158. 北原安定

    北原説明員 手元に資料がございませんが、一日の使用は、当初予定したよりもやや小さいようでございまして、一台当たり二を割っているんじゃないか、一強程度のように聞いております。  それから通話するときに、たとえば二九〇・××××と四つ呼びます。そのときに登算する、こういうことになっています。
  159. 阿部未喜男

    ○阿部(未)委員 どうもたいへん長い時間にわたりまして、郵政当局並びに電電公社当局の詳細な説明を承りまして、非常に勉強になりました。たいへんありがとうございました。  質問を終わります。
  160. 金子岩三

  161. 樋上新一

    樋上委員 大臣のお時間の都合で、大臣のところだけ先にやらしてもらいます。  重複になることは避けましてお伺いしたいのですけれども、もう一度念のためにお伺いしておきますが、昨日、大臣が参議院でお述べになった、料金体系にでも手をつけなければしようがないだろうとおっしゃったことでございまするが、今度のこの四十六年度の特別会計の概算要求をずっと拝見いたしますと、これは初めから値上げを計画したような概算要求書であるということを私は考えるのです。大臣がきのうおっしゃったことと符合するように思いますけれども、来年度は五百七十二億という赤字が生まれてくる、これに対してどう補てんしていくか、どうあなたは考えておられるか。われわれは、いまの国民生活と切り離すことのできないこの郵便料金の値上げということは、物価の上昇を誘発してくるものであるというので、容認しがたいと思うのでございまするが、今回のこの問題について、いわゆる郵便業務の抜本的改革も必要であると私は思うのですが、それについての大臣の御所見を承りたいと思います。
  162. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 概算要求の数字が、値上げを前提にしておるというような受け取り方をなさりましたが、実を言いますと、ことしの郵政事業特別会計も百三十三億の赤字で組んだのであります。幸い繰り越しの余剰金を持っておりましたから、それを使うことであえて料金に手をつけなくてもしのぎがついたわけでございますが、前回、昭和四十一年に改定をお願いいたしまして以来五年たっておりまして、何としても人手に待たなければならないこの事業の性質上、その間の人件費の値上がりを見てみますと、ざっと七割前後労賃が上がっておるのでございます。そういうことから、これはできれば値上げをせずに済ませたいのでございますけれども、すでにお示しをいたしましたように、これから五年なら五年の先を見通してまいりましたときに、もう加速度的に赤字が累積をしていくという趨勢も実は見られておるわけでございます。  したがいまして、これを少し長期にわたってどうしていくかという段になりますと、それは一年や何ぼのことでしたら借り入れ金という手も、これは利子を払うことは別にいたしましてありましょうし、あるいは一般会計ということも考えておるのでありますが、やはり一番大筋は、どうも料金体系に手をつけなければならぬのではないか、こういう感じがいたすわけであります。  しかし、これは世論の納得も得なければなりません。郵便事業のいまのあり方に対しましても、いろいろと御批判をいただいております。それに対するこちらの姿勢といいましょうか、十分説得力を持つような運営のあり方というものも、これはあわせて考究をしていかなければならない、こういう非常に苦しい時点にただいま逢着をしておる、こういう点をひとつ御了察をちょうだいいたしたいのであります。
  163. 樋上新一

    樋上委員 私がこの概算要求一つを取り上げて申しますとなんですが、あとはまた詳しく事務当局へお伺いしたいと思うのですが、なぜそういうことを言うかといいますと、郵便業務収入八・二%の増、これは甘過ぎるんじゃないかと私は思うのです。人件費は一九・七%であって、そしてその伸びが、前年度、前々年度の伸びから比較しましたら、この八・二%というのは甘過ぎやしないか、ここにこの予算の概算要求のずさんさがあるのじゃなかろうか、こういう点を一つの例をもって申し上げたのでありまして、概算要求が値上げを前提としておる、これはたくさんほかのことをこまかく申しませんでも、一つの例をもってもこういうことを私は思うのでございます。  それからもう一つは、一般会計の繰り入れをもって補てんすることは過去にもありました。過去にありまして、これを調査いたしましたら相当あるのですね。二十二年度、二十三年度それから二十四年度と、こうずっと見ますと、一般会計から特別会計の繰り入れがあったということを私、考えるので、百三十二億の本年度の赤字から一挙に五百七十二億円の赤字が出てきた。一ぺんにそんなにならなくても、段階的にやればいいんじゃなかろうか。さらにもう一つは、大臣がおっしゃるように、一般会計の繰り入れをもって補てんはなさらないおつもりですか。この点をもう一ぺんお伺いしたいのです。
  164. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 一番最後に、一般会計からの補てんをしないのか、こうおっしゃいますが、これも決してこの方法を全く放棄しておるというのではございません。これもあわせて考究しておるのでございますが、やはりそれですべてをまかなうというわけになかなかいきかねる財政事情にあることを、御了察願いたいのでございます。  それから、一時にたいへんはね上がった、百三十三億が五百七十数億になった。これは詳しい数字は事務当局が持っておりますが、その間における人件費の高騰というものが、まず大体その差額に追っつくぐらいのものが騰貴しておるということだと思うのでございます。あるいはその計数がずさんであるという御指摘でございますが、収支の伸び率みたいなものにつきましては、これまた経理局長からもう少し詳しいデータを申し上げることにいたします。
  165. 樋上新一

    樋上委員 大臣、私は全部に一般会計からと言っているのじゃないのでありまして、建設資金のような性質のものは、これは私は一般会計から当然繰り入れていいものと思うのですよ。その建設資金は、今度局舎その他の建設費というところに非常な多くを見ておるのですね。だから、こういう一ぺんに局舎をつくるのに、これは建設資金ですから、こういう点は一般会計から私は補てんしてもいい、こう思うのでございます。  それから大臣、もう一つは、受託業務の収入の面ですが、私は大蔵省から印紙とか、そういうものの利益をもっともらうべきだ、こう思うのです。この点どうですか。
  166. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 詳しいことはまた経理局長からひとつお聞きを願いたいのですが、いまおっしゃいます建設勘定ですが、局舎等にたいへん意を用いまして、職場環境をよくするということで、来年度は相当な概算要求をいたしております。これは一時に消滅してしまうものではございませんから、財政投融資のほうから資金を導入いたしまして、それでまかなっていくように相なっております。  それからまた、一般会計で建設勘定を処理をするというのは、これは私はいささかいかがか、こういう気がいたしておるのであります。
  167. 樋上新一

    樋上委員 最後にもう一言だけお伺いして終わりにしたいと思いますけれども、夕べのテレビで、大臣は相当具体的な値上げの料金体系について、三つほどあげられておりますね。第三種郵便物とか、また準速達だとか、もう一つは忘れましたけれども、こういう点については、値上げの料金体系にこれをしなければならないだろう、こういうぐあいにおっしゃっておるのですが、そういう三つの具体的なことについては、もう大臣は前々からおっしゃっていたことを、早急にこれから実現していうことおっしゃるのですか。
  168. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 夕べのテレビを私、実は承知をしておらないのでございますが、おそらくはきのうの参議院の物価特別委員会における――さっき私は、内容は阿部委員にお答えをしましたが、それが限界でございます。それに付随をして、おそらく放送のほうでつけ加えた事項ではないかというふうに私は理解をいたします。  しかし、それにいたしましても、従来郵便のあり方を改善していくという一つの方向としまして、あるいは準速達、いまおっしゃるような二速度制の郵便というものも考えてみるべきではなかろうかとか、あるいはさっき以来話題になっておる第三種、そういったものはいま一番郵便事業の重荷になっておる。こういうものをどうするかというふうなことは、従来話題に供してはまいっております。ただそれが、たまたま電波の上に乗っかったものと思うのでございます。  さて、それではこの料金体系をどうするかという問題になりますと、これは郵政審議会にも御相談をしなければなりませんから、まだ予算を最終的に締めくくるには相当の時間がありますから、それまでもうちょっと具体的な作業にこれから入ろうか、こういう段階でございます。
  169. 樋上新一

    樋上委員 それでは、大臣に対する私の質問はこれで終わりまするが、赤字解決のためには、再度申し上げますけれども郵便事業の抜本的な改革も、この際に大臣の構想をもって、値上げを何とか思いとどまるような方向に持っていっていただきたいということを要望いたしまして、大臣への質問はこれで終わります。
  170. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  171. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、きわめて初歩的な質問郵政大臣にしたいと思いますが、いまも話が出ております郵政特別会計で五百七十二億四千万の赤字が出る、つまり歳入不足だということが、この郵政省発表の大蔵省へ提出をする概算予算要求書の中に出ておるわけです。この赤字を解消するために端的にお答えを願いたいのですが、いまいろいろお話がございまして、私は郵政大臣の苦衷もよくわかるのでありますが、一体これをどこで埋めようとしておるのか。つまり、料金体系を中心として是正を考えておるのか、さもなければ、一般会計から繰り入れてでもこの問題を解決しようとしておるのか、こういう点を端的に答えていただきたいと思うわけです。  二つ目の問題は、海洋開発に関しまして、レーザーによる海中情報の伝送を研究したいというので、約六千万ばかりの予算を組んでおりますが、この具体的な内容、あるいはそれはどういうふうにこれを実施することによって効果をあげるのかという点を、やはりちょっと聞いてみたいと思うわけです。  特別会計の問題では、これはここに数字があげてありますが、いろいろ時間もかかりますから、第四番目の組織の改正というところで、東京郵政局の二分化という問題を出しておりますが、これは一体どういう内容で、どういうふうにしてこの問題を、予算その他の関係あるいは業務の内容から見て解決をしようとしておるのか、こういう点を簡単に答えていただきたいと思います。
  172. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 郵政事業がたいへん逼迫しておりますことは、土橋委員御承知のとおりでございます。そこで、もう端的に申し上げますと、これをいかなる方法で打開をするか。この春以来、およそ三つの方法が考えられる、かように私は申してまいりました。このうち、それじゃこの一般会計からの補てんというようなもので全部が全部処理できるかというと、いまの財政事情はそういうものではなかろうと思うのでございます。したがって、これを決してギブアップしてはおりませんけれども、まあ、しいてアクセントをつけるとなれば、料金体系にどうも手を触れざるを得ないのではないか、こういう感じであります。  それから、第二点の海洋開発関係にレーザーなどを活用するという問題でございますが、これは私もどうもあまり専門の分野でございませんので、関係事務当局から詳しいお話を申し上げるつもりでございますが、衛星、こういうものも活用いたしましたり、日進月歩の技術革新の時代でございますから、これにおくれをとらないように、やはり基礎的な技術水準というものを維持し、高めていかなければならぬ、こういう趣旨に基づいておるわけでございます。  それから第三点は、東京郵政局二分化の問題でありますが、これは今日東京郵政局というものが、全国郵政局の中で一番事業分量も多うございますし、機構その他も膨大なものになっておることもまた御承知でございましょう。たとえば、局長のほかに次長が二人おるとか、以下職員の数も、とても一人の局長のマネージメントの範囲を逸脱しておる。こういう状況でございまして、ほかの役所を見ましても、どこでも、たとえば国税局一つとりましても、東京国税局と関東国税局とある。こういうようなことでありますから、むしろこれをどういう分け方をするか、まだ検討の余地がございますけれども、適正規模とでもいいましょうか、そういう観点から二分したほうが能率もよくなる、したがってサービスも徹底する、こういう考え方のもとに――これは今日始まったことではございません。かなり以前からこの考え方はあったようでありますが、ひとつ思い切って持ち出そう、こういうことでいたしたような次第であります。
  173. 土橋一吉

    ○土橋委員 いま質問しましたのは、内容については後日資料なんかをちょうだいいたしまして、私のほうでも研究させていただきたいと思いますので、お願いをしたいと思います。  もう一点は、三つほどありますが、一つは、郵政の公社化の問題でどういう結論を出し、あるいは現在どういう過程にあるのか、あるいは一体公社化はやらないというような方針にきめたのかどうか、そういうことについて簡単に答えていただきたいと思います。これが第一点。  第二点は、八月六日、御承知のように電電公社電信電話拡充七カ年計画の案を、自由民主党の電電基本問題調査会あるいは通信部会に発表したというふうに新聞で報道されておるわけです。現にここに八月付で、電電公社から計画案なるものを私もちょうだいしておるわけです。当初井出郵政大臣は、この問題について新聞でいろいろな問い合わせ等がありまして、大臣の答えはきわめて消極的な態度で、値上げをするやもしれないという含みを持った意味で発表されておるわけです。たとえば、市内電話を三分に限って十円に上げるということについては、金額についても非常に研究しなければならないというような発表をされておるわけです。でありますから、電電公社がこういう内容を発表するにあたって、監督官庁の大臣である郵政大臣は、十分検討してこの発表を許したかどうか、あるいはこの新聞に見られるようなきわめて消極的な態度から出るような発言なのに、あえて電電公社の総裁がこういうものを発表しておるのか、こういえ点の関連についてちょっと答えていただきたいと思うのです。  それから一番大きな問題は、明治二十三年に電話が日本に架設をせられまして、日本の通信業務においては革命的な一つの事態を招来したと思うのです。いま一九七〇年代の劈頭にあたりまして、いわゆる生活圏の広域化とか、あるいは経済社会の広域化とか、あるいは情報化時代といわれるものに即応するという形でこれが発表されておるわけですね。それと同時に、これが電話料金や電報料金、架設料その他の、いわゆる料金の値上げを予定しておるわけです。そうすると、新聞でいわれておりますように、いま一斉に公共料金、特に郵便料金だとか、あるいは電話、電信料金上がってくる、さらに日常の必需品が上がってくるのだというふうに新聞が書き立てておるのですが、そういうものに便乗、あるいはそういうものに便乗させるような形で電話料金の市内電話、あるいは市外電話の問題についてもいろいろ問題があるわけですが、そういうものを上げるという考えでおられるかどうか、ここらの点を明確に答えていただきたいと思うわけであります。
  174. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 最初公社化の問題でございますが、これも先ほどお答えをしつつあるわけでございますが、昨年の十月答申を受けまして、省内に公社対策委員会を設けて鋭意検討をしてまいりました。この郵政審議会のお考え方も、若干弾力性のある答申のしかたでございまして、できるものは、改善の余地のあるものはどしどしやったらよかろうという趣旨が盛られておるわけであります。  そこで、この公社化に踏み切るということは、郵政としてはたいへんな変革でありますから、なおまだ検討の余地が残っておるのに、拙速をとうとぶということもどうか、こういうことで、依然これは検討は続けますけれども、当面、この答申の内容に沿うてやれるものはひとつやっていこうじゃないか、これが次の国会に私どもの予定しておる法律的な幾つかの準備、あるいは機構整備等にもわたっておる、こういうことでございまして、まずやれるものからやりつつ、それが、もしやがて全面的に踏み切るという場合には、当然その中に包摂されて、その準備段階としても十分に役立つので、こういうことに手をつけようという所存でございます。  それから、電電公社の七カ年計画ないしは料金体系の合理化、これをどのように評価をするかというお尋ねだと思います。ここに米澤総裁もいらっしゃいますから、後ほどひとつ十分に御審議をいただきたいのですが、私どもは、電電が長い時間をかけてこういう案を取りまとめたということにつきましては、高い評価をいたしております。その間、郵政省とあらかじめの緊密な打ち合わせがなかったのかとおっしゃいますが、これは当然そのつど御報告は受けてまいりましたが、最終的にまとまったものは、八月の上旬私どもが手に入れたわけでございます。  したがいまして、郵政省としては総合的な判断をしなければなりません。公社が経営的にお求めになりましたものを、こちらのサイドは若干政治的なマインドも用いなければならぬわけでありまして、そういう面から申しましても、世論の動向等にもかんがみ、私どものほうが一応スクリーンにかける仕事が残っておるわけです。そういう点の発言が新聞紙上等に出た、こう御理解を願いたいのであります。  それから情報化社会、この時期に公社がいろいろな新しい計画も持っておられる。これは、時代におくれないためには当然それだけの準備をされなければなるまいと思いますが、それがために、先ほども公社が御答弁になっておられましたが、当面の電話の積滞等がそのために犠牲になるというふうなことがあっては困りますから、そのかね合いには、郵政省としても十分意を用いながら電電公社のほうとも意見を交換をする、こういうつもりでおるわけであります。
  175. 土橋一吉

    ○土橋委員 それでは郵政大臣にお尋ねしますが、この電電公社で発表された七カ年計画というのは、四十六年度計画をも含めまして将来実施可能な内容を発表したのか、それとも、いまちょっとあなたのお話を聞いておりますと、何かそういうアドバルーンを上げておいて、着々と世論を結集させながら、さらに正式にきめたいというような考えであるのか。いまのお話を聞いておりますと、一応出したということですが、これが実は日本の、いわゆる回線網の全国的な問題、あるいはいまお話しになったように電話の問題とデータ通信の競合、あるいは干渉し合う問題、これは米澤総裁もおっしゃっておるわけです、強力なコントロールをしなければいかぬだろうと。御本人自身がニューヨークにおいて、AT&T社員などとも会談されて、すでにそのときにニューヨークでそういう問題も起こっているわけです。そういう苦い経験をよく御本人は研究されておると思うのですよ。そういう非常に困難な、そして電気通信業務としては革命的な、それこそ抜本的な内容を持っておるわけです。そこへもってきて、それが料金値上げというものと関係しておるわけです。  ですから、いわゆる佐藤さんの政府の高度経済成長政策といわれ、あるいは新全国総合開発計画といわれる、いろいろなものと関連をしておるというふうに私は見ておるわけです。ところが、最近の土地の値上がりについていろいろな意見が出ておるように、あるいは公害問題で政府としても非常に努力はされておりますが、抜本的な解決ということについては非常に困難があるわけです。そこへもってきて、通信業務の中心である公衆電気通信法の基本的な態度から見ても、こういうことをやってくることについては、私は非常に研究しなければならぬものがあるというふうに考えておるわけです。  ですから、郵政大臣がこの問題について、さっきお尋ねしたように、ほんとうにこれを実際的なものとして、現実的な計画として、やはり電電公社と緊密な打ち合わせのうちにおやりになったとすれば、あとで米澤総裁にいろいろ聞きますけれども、非常に不安定なものがあるんじゃないか。特に財政面においても、八兆五千億なんという膨大な予算を組んでおられるわけです。そしてデータ通信の費用は、先ほどの答弁によると大体一〇%だ。はたして八千五百億程度予算でこれだけの仕事ができるのかどうか、私もしろうとですけれども、非常に疑わざるを得ないというような関係があります。そしてまた、電電公社が考えておる五十二年の総電話数というのは、先ほどのお話でわかりますように、大体三千三百万台の電話の架設になるわけですね。そして二百十のシステムを完成するというのですから、それに加えて加入データなんかの問題、あるいは専用関係を加えますとたいへんなことになってくる。むしろニョーヨークが困っておる以上の問題が、わが国においても起こってくるのじゃないかという点を考慮したので御質問したわけなんです。  ですから、そういう点も自信があるんだということならばそれでけっこうですが、この問題はやってみなければわからない点があるわけです。つまり、明治二十三年から今日までの電話架設台数が千五百万台、これから先やろうというのが千七百何十万台という電話、そのほかに集団電話とか事務電話というものを相当架設をするわけです。そうすると、回線網の問題がございますね。施設の拡充の問題がございますね。こういう点について私はまだよくわかりませんので、郵政大臣の決意を聞いたわけなんです。
  176. 井出一太郎

    ○井出国務大臣 公社がつくられた七カ年計画は、いまのように移り変わりの早い時代において七年先を展望するということは、これは土橋さん、何人といえども容易ならざるものがあると思うのです。しかし公社におかれては、これはそれなりにきちんとしたデータに基づいて、その展望のもとに長年の研さんを経てつくられたものでございましょう。したがって、私がこれを十分に高く評価をすると申し上げました一語で、これに対する考え方はおわかり願えると思うのです。  もう一つ、料金体系という問題とは私ちょっとこれを別に切り離しまして申し上げたのは、公社公社の経営面であるとか、あるいは利用者の立場というようなものをお考えになっておつくりになっておる。郵政省はもうちょっと広い視野で、国民経済全体とかあるいは政治的な立場で判断をするという必要は、これはあるわけであります。そういう見地から見ると、私のほうは一つここに関所がありまして、これもいいものなら堂々とまかり通りましょうし、この関所で一ぺんやはりスクリーンにかけてみるというのが郵政省のつとめではないか、こういう観点から申し上げた次第でございます。
  177. 土橋一吉

    ○土橋委員 わかりました。  これで私の質問を終わります。
  178. 金子岩三

  179. 樋上新一

    樋上委員 概算要求の問題でございますが、先ほど大臣にお伺いした、本年度の赤字は百三十一億である、来年度は一挙に五百七十二億の赤字が出るというが、そのおもな原因はどこにあるか、これをお伺いしたいと思います。
  180. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 すみませんが、いまちょっと質問の最後のほうを了解いたしかねたのでございますが、申しわけありませんがもう一回ちょっと……。
  181. 樋上新一

    樋上委員 五百七十二億の赤字の出た原因はどこにあるか。
  182. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 結局、四十五年度の予算以降、四十六年度で赤字原因として考えられますのは、まず収入と支出の差額が赤字でございますので、両方申し上げますと、郵便業務収入は四十五年度予算に対して八・二%の一応増収を見込みました。しかし一方歳出のほうでは、御承知の昭和四十五年度における仲裁裁定、いわゆるベースアップでございますが、これが定期昇給、そういうものを込めますと一六%近くのアップがございます。したがいまして、収入のほうは八・二%見込みましたにもかかわらず、歳出のほうは人件費等において一六%の増を見込まなければならない。さらに貯金、保険、郵便につきましては、そのほか前から問題になっております退職手当の問題がございます。特別退職手当ということで優遇措置による退職手当という制度がございますが、これの希望が当用多うございまして、ある程度年をとった人たちには、この特別退職手当というものによって退いていただいて新陳代謝をしたい、そういったような希望が前々からあるというもの、あるいは共済組合の負担金が実はいろいろ行き詰まってまいりまして、この分を相当国のほうから共済組合に補給をしてやらないと、共済組合のほうの支出ができなくなってくるというような問題がございます。そういったような四十六年度の特殊な事情、それから物件費等につきましては、これは一応賃金は人件費なんですが、われわれ予算上ではアルバイトのいわゆる賃金を物件費に置いております。御承知のように、四十五年度予算でも非常に上げてもらいましたが、まだまだ一般のアルバイトの賃金としては非常に低いので、これを相当大幅に、現状に合うように上げてもらわなければならないといったようなこと、そういったようなことと、それから四十六年度の重要施策事項として、先ほどいろいろ議論になりました郵便外務対策とか、そういった新しいところの、われわれとしてやりたいという要望もたくさんこの中に入っております。そのために支出のほうがかなり大きくなった、こういったことで、大ざっぱに申しますと、収入のほうは一応八・二%程度の収入増しか見込めなかったのですが、過去におけるベースアップ、あるいは四十六年度においていろいろ施策をしておるその施策の経費が大幅にふくらんでおるということのために、一応差し引き五百七十二億ということになったわけでございます。  いま、いろいろ議論になっております概算要求というものは、先生御承知のように、例年、政府内部の問題として、いろいろ大蔵に持ち込むときには、相当われわれとしての希望の歳出を持ち込んでおります。しかし、これが政府予算となるときには、かなりわれわれが希望したにもかかわらず、いろいろの事情で査定というものがございます。そういった意味において、やはり概算段階における歳出ということを一応御了解の上で、いろいろ議論していただきたいということをお願いしたいと思います。
  183. 樋上新一

    樋上委員 先ほど大臣にも言ったんですけれども郵便業務収入が、いま申し上げました八・二%増の見積もりでありますが、これは甘過ぎるのではないかということを言っておるのですけれども、前年度、前々年度の伸びはどのくらいになっておるのですか。
  184. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 四十三年度における四十二年度に対する伸び率は七・四%、それから四十四年度の四十三年度に対する伸び率が八・八%ということになっております。
  185. 樋上新一

    樋上委員 それで、今度は八・二%の増ということをお出しになったんですな。  いまおっしゃったのは、予算のときですか、決算のときですか。
  186. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 ただいま申し上げましたのは決算ベースでございまして、予算ベースのときには、四十三年度は四十二年度に対して六・二%で一応組みました。それから四十四年度予算においては、対前年比七・一%ということで予算を組みました。決算ベースでは、先ほど言いましたように四十三年度が七・四、四十四年度が八・八ということでございます。
  187. 樋上新一

    樋上委員 八・二%の増が、甘過ぎるのではないかと私は申し上げました、郵便業務収入の点で。先ほどもちょっと申したのですけれども、どうもこれはもっと伸びるんじゃなかろうかと思うのですがね。どうでしょう。
  188. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 一応八・二%と組みましたのは、やや専門的になりますが、このうち基本収入的なものと付加収入的なものと分けてわれわれ計算しております。基本収入的なものにつきましては、昭和四十一年から四十四年までのいろいろの実績、それに四十一年度における料金改定、そういったものをいろいろ勘案しまして基本収入というものを出し、それに四十六年度は年賀を幾ら発行したいとか、あるいは記念切手を幾ら発行したいといったようなものを付加収入として計算しております。したがいまして、一応の計算では、われわれとしては八・二%というものが、現段階における算定としては妥当と思います。  ただ、先生のおっしゃいますように、四十三年度の増収が七・何%上がって、しかもそれが四十四年度では八・八というところまで上がっておる。したがって、これがさらに伸びていくんじゃないかというような一つのお考えのもとに、この八・二が甘いんじゃないかというお説かと思います。そこで、われわれもいろいろ考えておりまして、一体今後の郵便収入が、対前年増加率がこれだけどんどん続いていくんだろうかということをいろいろ検討してまいりました。  そこで、四十四年度八・八%伸びた原因を追及してみますと、どうやら四十一年度の料金値上げによる、いわゆる値上げショックによる問題がありまして、その後郵便の物数というものはしばらく伸びませんでしたが、最近になってやや回復をしてきました。したがいまして、対前年の増加率がやや上回った形で回復をしてきたような感じを受けます。郵便収入は当然郵便物数に比例して入ってくるわけでございますので、郵便物数の動き等を見ますと、おおむね、いまの料金体系でいくとするならば、一つの安定的な構成比というか、増率になってきたんじゃないかということで、この七・幾つから八・八、さらに来年は九・幾つに伸ばすことは非常にあぶない、こういうことで、先ほど言いました四十一年度から四十四年度までの実績とそういう見方をもって、一応八・二%を妥当ということで概算要求を計算した、こういうことでございます。
  189. 樋上新一

    樋上委員 専門的な問題になりますし、時間がありませんので、それはまた後日もう一回質問することにして、今度は変えまして、局舎その他の建設費で一挙に一二一%の増となっていますが、その理由はどういうことですか。
  190. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 局舎その他建設費で五百四十九億、約五百五十億を見込んでおります。ただいまお尋ねのように、前年度予算が二百四十八億七千七百万円でございますので、一挙に一二一%の大幅な要求をいたしております。御承知のように、これはある意味においてはわれわれの過去における責任かと思いますが、郵便局舎等についてはかなり立ちおくれているという感じがいたしております。民間の建物等に比べて郵便局舎はかなり立ちおくれているという感じがいたします。しかも、いままでは老朽のものを中心に建てかえるという考えでまいりましたが、最近の郵便の物数の流れなどを見ますと、都市集中とか、しかも小包が非常にふえるとか、昔のというか、前の郵便局舎と変わった形の郵便局舎が必要になってきたというようなことで、いわゆる集中局制度とか、そういったようなものをどんどんやらざるを得なくなってきたということのために、ここへきて急に郵便局舎の改善計画を大幅にせざるを得ないということになりまして、実は四十六年度から今後五年計画で、郵務局のほうでこの程度のものは局舎改善が必要だというのが出てまいりましたので、一応四十六年度においてはそういった新しい、かなり思い切った考え方で局舎要求をしようということで、大幅にふえたわけでございます。  しかしこれは、先ほど大臣から答弁がありましたように、料金には直接関係がなく、これらの原資は何によってまかなうかと申しますと、一つは、郵便局の中にも貯金、保険の持ち分がございますが、これは郵貯会計か簡保会計からそのままもらいます。それから郵便局舎等につきましては、減価償却引当金を約三十数億ですか充てまして、残りは全部財投の借り入れ金による三百三十七億を予定いたしております。したがいまして、この分については料金改定によってこれをまかなうという考え方はございませんので、その点、念のためつけ加えさせていただきます。
  191. 樋上新一

    樋上委員 人件費の一九・七%の増の具体的な説明を願いたいのですが、その一つとして、ベースアップを幾らに見ておられるか。
  192. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 四十六年度の人件費の中に見込みました仲裁裁定は、四十五年度の仲裁裁定を見込んだわけでございます。正直に言いますと、四十六年度の中においては、仲裁裁定分一二・四四、それに定期昇給三%で一五・四四%の増というものが中に見込まれておるわけでございます。
  193. 樋上新一

    樋上委員 それじゃ、新規増員は何名見積もっておられるのですか。先ほどのお話では五千でしたが……。
  194. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 郵便関係につきましては、五千九十一名の新規増員が見込まれておりますので、当然その新規増員に要する人件費も増加の要因になっております。
  195. 樋上新一

    樋上委員 今度、機械化すると同時に人員の適正配置をもってするならば、新規増員を極力押えることができるのではないか、こう思うのです。その点どうでしょう。
  196. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 先ほど申し上げました五千九十一名は、新規に必要な増員と、それからただいまお尋ねの、いろいろ機械化することによる減員の差し引きでございまして、その中に、一応減員としては二百七十七名と百九十六名、これは一応別にありますが、両方で四百七十三名が、先ほど来いろいろ議論がありました自動読み取り区分機の導入とか、その他輸送施設につきまして、人手でやっていたものをある程度自動化するとか、ややこまかい問題がございますが、四百七十三名一応減員した上での五千九十一名の増員でございます。
  197. 樋上新一

    樋上委員 人件費の一九・七%に対する受託業務収入の伸び率が一七・九%でしょう。先ほど大臣に言ったのですけれども、私は受託業務収入をもっととるべきだと思うのです。ここでもっと収入をふやすべきだと思うのです。この伸び率をもっと伸ばさなければならぬと思うのですが、人件費の一九・七%と一七・九%の差ですね。
  198. 溝呂木繁

    ○溝呂木説明員 受託業務収入の中には、いわゆる郵貯会計からの繰り入れあるいは簡保会計からの繰り入れ、その他一般会計、もろもろのところからのものがございます。  そこで、いまお尋ねの受託業務収入全体を見ると一七九%の増ということでございますが、人件費の先ほど言いました一九%の増というのは、郵便だけでございませんで、その中に貯金、保険などいろいろの問題がございます。たとえば、まだここで公表されておりませんが、郵便貯金の目標を四十六年度相当大幅に上げるとか、簡易保険の目標も大幅に上げるというようなものを新規施策でわれわれ考えております。そうしますと、それに必要な募集手当というものが大幅に、これは二割以上上がると思いますが、そういったようなものも含んでおります。したがいまして、各会計からもらうものも、たとえば郵貯会計からもらうのは一四%増ですが、簡保会計からもらうものは二二・四%というふうに、受託業務収入のうちでも、それぞれの会計からもらうものはいろいろの増率を示しております。  私ども、基本的な考え方としては、一応歳出に組んだもののうち、郵便貯金にツケを回すべきものは郵貯会計から、簡易保険にツケを回すべきものは簡易保険会計からというように、郵政事業特別会計のうちそれぞれの事業分計を一応いたしまして、それに必要なものをそれぞれの会計にツケを回すということになっております。したがいまして、歳出の要因の中に郵便貯金特有のもの、あるいは簡易保険特有のもの、それぞれの特有のものが出てまいりますと、そこからの繰り入れがふえる。しかし、あまり特有のものがない場合にはあまりふえないとか、そういったようなものがございます。さらに電電公社からの受け入れ等になりますと、これはいろいろ、いわゆる電通合理化とわれわれ言っておりますが、特定局で請け負っておるものをやめて直轄化されていくといったようなことのために、受け入れるべき額が少なくなる。そういったものも含めて受託業務収入全体が成り立っている、こういうことでございます。
  199. 樋上新一

    樋上委員 時間の関係上もうこのくらいにしまして、留保して、また後日さらにこの問題については質問さしていただきたいと思います。  ひとつ電電公社のほうへ質問をいたしたいと思うのですが、七カ年におけるところの建設投資の総額は八兆五千億円、その八兆五千億円の調達計画はどうなっておるのか、簡単でよろしゅうございますから……。
  200. 浦川親直

    ○浦川説明員 建設投資額八兆五千億円を予定いたしますが、そのほかに所要資金といたしましては、債務償還一兆六千億余、合計しまして十兆一千億余の所要資金を要します。  これの資金調達につきましては、減価償却引き当て金等の内部資金を四兆八千億予定いたします。さらに拡充法の延長をお願いいたすといたしまして、その加入者債券を三兆円、それから設備料、これを三万円を五万円に値上げしていただくといたしまして一兆円余、したがいまして、資金の不足額といたしまして一兆三千億円余となります。そのうち、縁故債を五千億円程度見込みますと、公募債等にお願いいたします額が八千億円余というふうな、私どもとして一応の資金調達見込みを立てた次第でございます。
  201. 樋上新一

    樋上委員 建設資金調達計画の中に設備料金の改定が含まれておる。設備料は四十三年に改定したばかりなのに、これをまた改定するのは少し問題じゃなかろうか、こう思うのですが、三万円を五万円にする根拠は、一体何を基準にして五万円にされたのか、一体設備料というのはどういう性格のものか、この際に聞いておきたいと思うのですが、総裁にお伺いしたいと思います。
  202. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  設備料は、法律的には、公衆電気通信法の中に規定されております料金の一種でございます。この前国会で審議がありましたときに、当時の小林郵政大臣が答弁されておるのでありますが、これは加入者の方に架設の際に一時持っていただく料金である、一回限り持っていただく料金である、架設の際の負担をお願いするためである、こういうことであります。電話を一つつけますのには、いろいろな付属設備あるいは基礎設備その他を入れまして三十数万円かかるわけでありまして、その際に受益者負担ということもあって、加入者の方に持っていただくのがこの設備料の性格でございます。
  203. 樋上新一

    樋上委員 一から設備を持っていくんでしたら、三万円、五万円かかるでしょう。もうすでに設備されて、そこからケーブル線を隣なら隣に引っぱっていくのでしょう。そうしたら一からやるんではなしに、すでに設備されたところから、水道でいうたら枝管ですね、そういう線を引っぱるだけに、何でそんなに五万円も設備料金が要るか、この点はどうでしょうか。
  204. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  よく電話線というものと、電灯線あるいはガスや水道と比較されるのでありますが、電話といいますのはやはりつながっている大きなシステムで、相互に通話ができなければならない。したがって、ガス、水道の場合には、ある量が一カ所から送り出されれば、それがただ分岐されて流れていくだけでありますが、電話の場合には、それが相互通信になっている。それからまた、一つの電話というものは他のものと混線してはならない。したがって、最近のことばで言いますと大きなシステムを形成しているわけでありまして、結局、いまの日本の電話でいいますと、市外も自動即時になりましたから、千五百万の加入者がお互いに混線なしに自由に話ができる、こういう大きなシステムでございます。  したがって、その際電気のように末端だけ引っぱってやるというものではなくて、どうしてもそこに基礎設備が要る。極端な、一番簡単な場合をいうと、千五百万が相互に通話できるというためには、千五百万の自乗の電話回線が要るわけなんでありますが、そんな不経済なことはできないので、それをある地域的にしぼりまして、交換機というもので集約してやるというシステムになっております。  したがって、どうしても基礎設備が要るので、先ほど申し上げましたように非常に金がかかる。電話機そのものはたった五千円でございます。また、電話局から引っぱるケーブルにいたしましても、せいぜい五、六万円しかかからないのですが、それでは通話ができない。したがって、どうしてもシステム形成をするためにそういった金がかかります。したがって、新しい方が入りますれば、その方に対しましては、当然もよりの局から新しい線を引っぱらなくちゃならないし、また、それの通話に応じまして、それぞれ基礎設備というものを用意しなければ、お話し中になって電話がかからなくなってしまうのであります。そういう意味において、やはり金が三十数万円かかる、こういうことでございます。
  205. 樋上新一

    樋上委員 三万円を五万円にされた基準はどこにありますか。
  206. 米澤滋

    ○米澤説明員 この前のときにも、一万円を三万円にするかあるいは五万円にするかという問題は、当時からございました。大きなシステムができておりますと、そのシステムの中にまた入り込む、たとえばそれが、二百万ある加入システムの中にある加入者が入ったという場合の効果と、それから千五百万ある加入者にまた新しく電話が入ったときの通話の効果というものは、非常に違うわけであります。したがって、非常に大きなシステムに入ってきた場合には、設備料をよけいいただくという理論的な根拠が出てまいるわけであります。  それからもう一つは、政府がおつくりになりました経済社会発展計画の中におきましても、受益者負担というものをやはり考えなければならぬというわけであります。それで電話の場合には、設備料なしでやるということになれば、当然財投がうんとふえるということになりまして、財投がうんとふえるということになりますと、財投のほうのワクで押えられてまいりますから、資金的に積滞の解消速度がおそくなる。ですから設備負担、加入者に受益者負担ということでお願いする。と同時に、なるべく資金的に多数の加入者に電話を架設していただくというために、三万円というものを五万円というものに上げていきたい、こういうことでございます。
  207. 樋上新一

    樋上委員 こういう設備料というものは、損益勘定でなしに資産勘定になる、一つの財産として残っていく、こう思うのですが、それはそれでいいでしょう。  新七カ年計画では、通話料金体系の合理化という方針が打ち出されているのですけれども、この料金体系の合理化では増収を予定しておらない、午前中からのお話ではそう思うのですが、それは再三述べられておるのです。もしそうであるならば、料金の改定を行なわなくても七カ年計画は遂行できるのではなかろうか。また、初年度はプラスマイナス・ゼロでも、将来は増収になるのではないか。結局は、これは値上げということになるのじゃないですか。
  208. 中山公平

    ○中山説明員 お答えを申し上げます。  問題が二つあったように思います。まず第一の問題でございますが、仰せのように増収を予定しておりません。でございますが、現行のこの料金制度は大正の中期にできたものでございまして、それ以後の社会的諸条件の変化、特に生活圏、経済圏の広域化、都市の連檐化などの趨勢に十分に即応することができなくなっておりまして、この面から利用者の皆さまからも、現在の料金につきましては、負担の公平その他の点において何とか改善をはかっていくべきではないかというような御要望も、端的な加入区域の合併への要望というようなことであらわれてきておるわけでございまして、こういった情勢におきましては、やはり早く料金体系を合理化調整いたしまして、新しい時代に即応する必要があるということが考えられます。  その次にもう一つ、これを早くやらなければならぬ情勢といたしましては、データ通信とか、あるいは心電図伝送とか、ファクス伝送とか、こういったような技術が非常に発達してまいりまして、加入電話網を利用してこういった伝送をやりたいという御要望も非常に多いわけでございまして、こういった御要請に応ずるためにも、機械対機械の通信になるわけでございますから、やはり広域時分制というものを採用したい。こういったことでございまして、この合理化調整がおくれればおくれるほど社会の皆さまの御要望に応ずることがおくれてまいる。また加入数というものは、先ほど来の七カ年計画にもございますように、どんどんと年を追ってふえてまいりますので、こういった改正をやるための課金機器等の新設、改造工事というものが、また非常に長年月に膨大な資金を要するというようなことにもなってまいりますので、ゆるがせにできない問題といたしまして、私どもはこれを早く実施させていただきたいということをお願いいたしておるわけでございます。  次に、いわゆる調整にあたってのプラスマイナス・ゼロという問題でございますけれども、今回の通話料金の調整合理化は、市内通話の時分制導入と、単位料金を七円から十円に上げさせていただくことによる増収見込み額によりまして、同一単位料金区域内の通話料を、いま八十秒が七円でございますけれども、これを三分で十円ということで約四割の値下げ、それから隣接単位料金区域への通話料が現在六十秒七円でございますが、これを二分、十円ということで、現行から見ると三割の値下げ、こういったことのほかに、遠距離市外通話料についても相当の値下げをやってまいりたい。こういう調整でございまして、この調整にあたりましては、やはりある基準年度というものを定めて、現行制度による収入に対しまして増収とならない範囲にとどめるのでございます。  そういう方針につきましては、公社としてもいろいろきめておるわけでございますけれども、これは何ぶん計算を必要とするわけでございます。私どもが現在いろいろ分析予測をしておりますところによりますと、料金の改正によるところの利用の増減、あるいは料金にかかわらず社会生活の態様変化からまいりますところの距離別、段階別の通話の相互流動、こういうものにつきましては、あまり大きな変動は昭和五十二年度ぐらいまでの間においては見込まれないのでございますから、まず少なくとも五十二年度末ぐらいまでの全期間におきましては、全体の収入においてプラスマイナス・ゼロということがはかられていくように考えておりますし、また、そういたしたいと思っております。何ぶんにも計算の問題でございますので、先生御指摘のようなこともなお資料を整備いたしまして十分考慮して、プラスマイナス・ゼロの範囲にとどめるということに慎重な態度をもって臨みたいと考えております。
  209. 樋上新一

    樋上委員 四十四年度の決算は黒字だったと思うのです。――まあそれはいいでしょう。  では総裁、もう一ぺんお伺いするのですが、通話料金体系の合理化案では、市内通話に時分制が導入されていくことになっておりますけれども、昨年の公衆電話の三分打ち切り制度の法改正案に対するとき、その質問に立ちましたわが党の中野委員が、将来市内の度数制のところの通話も三分制とする考えを持っているのではないかと質問したと思うのですが、そのとき大臣もおったと思うのですが、米澤総裁は、現在のところ市内に時分制を採用することは考えていません、こう言い切っているにかかわらず、今回市内通話の時分制が打ち出されているのは、これはあまりにも定見がなさ過ぎるのではないか、こういう思いがするのですが、この点いかがですか。
  210. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  当時中野委員から、公衆電話の三分打ち切り関連しまして、市内の時分制問題についてどうだという御質問がございました。私はその時点におきまして、現在のところ市内に時分制を入れることは考えておりませんと確かにお答えいたしました。  私は、その後いろいろ考えたのでありますが、特に二つ問題が新しく出てまいりました。それは加入区域の拡大の問題、たとえば東京でいいますと、東京の二十三区と三多摩とが非常に格差があるじゃないか、三多摩というものをもっと何とか料金的に考える必要があるんじゃないかという、しばしばそういう陳情を受けておりました。それからまた大阪周辺におきましても、たとえば大阪の周辺でいろいろの都市がございますが、それらがやはり大阪市内と非常に違うじゃないか、これをどうやって解決するかというのに対しまして、私は北九州の例を考えたのでありますが、これは五市が合併いたしまして同一市内になった。あのときに、従来の市外を市内にしてくれという陳情がやはりありまして、これは昨年そういうことにいたしたのでありますが、これは同一市に合併した際であります。  しかし、これはどういうことになったかといいますと、結局金を投資いたしまして、それによって減収が出る。普通電電公社の場合には、電話をつければ必ず増収になるというか収益がふえる。赤字、黒字の問題はまた別でありますが、とにかく投資すれば必ず収益を生むわけでありますが、この加入区域合併というものは、投資すると減収になるということ。これをどんどん繰り返しておりますと、いま電報は赤字なんでありますが、加入区域拡大によってまた赤字がどんどんふえてくるということになりますと、これは独立採算の公社というものを非常に危うくする。  これをどうやってやればいいかということをいろいろ考えた結果、結局これはもう時分制で、先ほども私、答弁いたしましたが、従来市外、市内と分けたのは、市外というものは手動であった。昔は市外というものは交換手が入って、手動でなければつながらなかった。しかもそれは待時であって、たとえば東京-大阪は三時間とか二時間とか待たしたという、そういう前提でやっていたのですが、最近技術が進歩いたしまして、市外に対しても自動が入れられた。こうなってくると、しかも最近の広域化によって、いわゆる行政区域という問題と住宅との関係とかいうものがだんだん広域化してくるという段階になりますと、市内、市外というものを区別することがもう時代に合わなくなってきたということで、こういう時分制を入れる必要があるというふうに変わってきたのであります。  ただ、その時分制を入れる場合に、切断する時分制はよくない。これは黒電話で話していて、市内でぽんと切れてしまうのはまずいので継続時分制、それからもう一つは帯域を狭く切って、たとえば東京二十三区の中をまた六つや七つに分けて、その中に時分制を入れる、いわゆる小区域時分制というのではなくて、広げた形で時分制にする、そういうことのほうがいいんじゃないかというふうに考えを進めて、今度こういう提案をした次第でございます。
  211. 樋上新一

    樋上委員 時間が参りましたので、もう少し突っ込んでいろいろお伺いしたいと思いますが、いまの総裁のお話を了といたします。何といっても増収にはならない、いま市外、市内の公平を期するためだとおっしゃっていますけれども、個人の加入者にとっては相当の負担になるのです。七円が十円になるということは相当負担になって、これは大きな値上がりだ。市内通話と市外通話とどっちをたくさんするか、こういうぐあいに私たちは聞いてみると、持っている人たちは、市外のほうは安くなる、市外通話は安くなるが、市内のほうはたとえ三円上がっても、市内にかけるほうがうんと多くて、私たちは市外にあまりかけないと言うのです。市外へかけている度数と市内へかけている度数と一ぺん調査をしてもらいたい。市内通話のほうが多いのだ。そういうことになってくると、遠距離に通話するのは大企業のほうが多いのではないか。だから市民の負担が多くかかってくるのだ。何とか値上がりができないように願っておる。これは私たちは切実な願いである、こう思うのでございます。それで公社に聞けば、増収ではない、いろいろなデータ通信やそういう問題があるのだから、上がっても上がらなくても、たとえば増収になるということはないと言いますけれども、これは先ほど私が言いましたように、初年度はそうであっても、何年かしたらそれは増収になってくるのだ、こういう結果になると思うのです。  それから最後に、電話が普及することによって電報の利用率が年々下がってきておる。そうでしょう。ほとんど電話が主で、電報を打つ利用率が下がってくる。長期的視野に立って考えてみたら、電報料金の値上げなんかも考えなくてもいいんじゃないか、利用率が下がってくるじゃないか、こういうぐあいに考えるのですけれども、電報料金も何年か相当長い期間ほったらかしてあったのだから、この際電報料金も赤字であるからということでしょうが、こういう点は、公社全体の経営の上から見た場合に、私は思いとどまるべきであると思うのですが、どうでしょう。
  212. 中林正夫

    ○中林説明員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、電報の通数につきましては、昭和三十八年度の九千五百万通というものを境にいたしまして、毎年四、五百万ずつ下がってきております。昭和四十三年度においては七千二百万通になっております。しかし、電報事業の赤字につきましては、この数年非常に著しいものになってまいっておりまして、たとえば、昭和四十三年度におきましては四百七十七億という赤字、さらに四十四年度におきます推計におきましては、赤字が五百三十億という数字になっておりまして、公社発足以来の累積赤字というものも、昭和四十三年度におきましては約三千六百億、四十四年度を加えますと四千億をこえるような状況になっておるわけでございます。  そういった意味におきまして、今回の電報制度の近代化というものをお願いして、いろいろな制度の改正というものと同時に、料金につきましても、慶弔電報につきましては、大体コストの半分程度を利用者の方に御負担いただくという意味において、基本料を二十五字三百五十円、それから普通電報につきましては、一挙にそこまでということもいかがかということで、大体他の諸物価あるいは他の通信手段の料金等との均衡というものを考えまして、基本字数二十五字百五十円、追加料五字までごとに二十円ということに予算概計に織り込ませていただいておるというわけでございます。
  213. 金子岩三

    金子委員長 土橋一吉君。
  214. 土橋一吉

    ○土橋委員 私は、米澤総裁にお尋ねをしたいと思いますが、あなたがお書きになりまして八月の中旬に出た「技術革新と電気通信事業」というのでりっぱな本ができておりまして、私もこれを拝見したわけです。この中で、あなたはこういうふうにおっしゃっておるわけです。八ページの中ごろのところで、いろいろありますが、ちょっと読んでみましょう。「昨年五月「公衆電気通信法の一部を改正する法律」が成立し、電話の基本料を約三〇パーセント上げ、近距離市外通話料を下げ、年間三〇〇億円の調整をするということになりました。」この次が問題なんです。「これに先だち、一昨年には電話設備料一万円を三万円に改める法律が成立しておりますので、私はこれによって電信電話調査会(会長。佐藤喜一郎氏)以来の料金問題は解決したものと考え、今後は新たな観念から出発する必要があると思います。」こういうことをお書きになっておるわけですね。この問題は、「科学朝日」という雑誌にもほぼ同じ内容のものが掲載されておるわけです。また、ついせんだってあなたは、いわゆる業界の新聞の「マネージメント・ゼミナル」でも大体そういうことをおっしゃっておるわけです。そういうことになりますと、あなたのお考えからすると、料金問題はこれで解決したんだ、つまり一万円から三万円に上げる法律が成立したので、私は解決したと思うという趣旨にとれるわけです。  ところが、この本が発刊される前に、あなたは八月の六日の日に自由民主党の電信電話基本問題調査会通信部会に出られまして、この案を発表になっておるわけです。そうしますと、この案では、料金体系の点からいうならば、いま質問もございましたように、市内で三分で打ち切って、しかも、だれが考えましても約四〇%の値上がりになる十円という料金を取るわけですね。七円から十円ということになれば、約四〇%以上の値上げになってくるわけです。こういうことになってくると、電電公社の営業の態度あるいは佐藤政府の高度経済成長政策という面からいえば、これは料金値上げにならないのだ、内部調整だというふうな説明をしておられるわけですが、それを利用する一般国民の立場、つまり勤労者階級、あるいは中小零細業者、あるいは農民、漁民という立場から見るならば、これは明らかに料金の値上げであるわけです。  こういう点について、なぜ謙虚にそれを説明しないのか。ただ自分たちが、そういう高度経済成長政策のたてまえから料金の引き上げということが言えないというような説明のしかたで、合理化しておるんだ、一方では損しておるんだから決してもうかっていない、こういう説明になってきておるわけです。しかし一般大衆の側からいうと、いまのような説明ではどうしても受け取れない。やはり物価を上げておる基本的な公共料金の引き上げという範疇に入らざるを得ないわけですよ。この点を、米澤総裁はここでおっしゃっておった内容から見て、あなたは誠心誠意大多数の国民である勤労者階級の立場からこれをどうお考えになっておるのか、いままでのような説明ではたして正しいと思うのかどうか、この点をひとつお聞きをしたいと思うのであります。
  215. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま引用されました記事は、私がことしの一月五日に述べたことであります。佐藤調査会――私、電信電話調査会というのを佐藤調査会と言うかもしれませんが、これは委員長が佐藤喜一郎氏であった関係から佐藤調査会と略称することにいたしますが、その佐藤調査会の答申が出ましたのが、いまからちょうど満五年前でございます。その満五年前に出た答申は、料金に対しまして二二%の値上げがやむを得ないということ、それからもう一つは、設備料一万円を三万円にする必要がある、それから電報に対する赤字対策問題、この三つが柱でございました。  それで、先ほど引用されました中で、これは昭和四十三年の国会でございますが、設備料一万円を三万円にするというものが成立した。しかし二二%の値上げというものは、その後公社の収入状態も改善されましたので、結局これは四十四年度におきます際に、近距離市外を下げる、年間に延長いたしまして約三百億円下げる、そのかわり市内のほうの基本料を約三百億円上げる、いわゆるプラスマイナス・ゼロといいますか、これは正確に言いますと誤差の範囲でプラスマイナス・ゼロと言ったほうがいいのでありますが、そういうことにおいて佐藤調査会の二二%引き上げというものは要らなくなった、こういうことを言っておるわけでございます。したがって、佐藤調査会以来の懸案というのは、その佐藤調査会で答申をした二二%の値上げというものはやらない。  ところで、新たな観点からやらなければならないというのは、先ほど申しましたように、たとえば加入区域の拡大等に対しまして、これをどんどんやって、結局第二の、電報と同じようにまた赤字の要素をふやしていくというようなことになってはまずい。したがって、たとえば東京でいいますと、二十三区と三多摩との間あたりの格差問題を一体どうやって解決するかということを、この約半年以上の間、公社の中でもいろいろ議論をいたしました。大阪周辺あたりの加入区域はきわめて複雑なのでありまして、それをどうやってやるかということで、これを拡大いたしますとどんどん投資して赤字がふえるということなんで、したがって、結局これは時分制を入れなければ、もう解決する方法がないということで、新たな観点から時分制を入れたということでございます。  それからもう一つは、この調整というものは、確かに個々の加入者の方からいいますと、たとえば市内通話だけしかかけないという方に対しましては確かに値上げになります。しかし、広域時分制ということになっておりますから、たとえば静岡県の静岡市というものをとってみますと、静岡市内だけにかけるという方に対して静岡の市外にかけるという方、たとえば静岡から清水にかけるとかあるいは掛川にかけるという方は、これは三〇%か四〇%値下げになる。したがって、これはどんなふうに電話をおかけになるかということによって非常に違う。たとえば三多摩の方をあげますと、武蔵野、三鷹の方は値下げになる。これは住宅電話でも値下げになりますから、たとえば田無の方も値下げになる。だからその使う方の態様によって、何も住宅電話がどうだとかということじゃなくて、その市外通話を使われる、あるいはどの場所にその方がおいでになるかということによって非常に変わるのでありまして、公社としては増収を期待しないでやりたい、こういうふうな考え方なんでございます。
  216. 土橋一吉

    ○土橋委員 そうしますと、七カ年計画について、私は数回これを繰り返し読んでおるのですが、あなたのほうでお出しになっておる基本的な問題は六つだというふうに思うわけです。一つは、電話の需要を均てん化して要するにサービスの向上をするということ。次は、データ通信サービスを一そう推進をしていくということ。三番目は、それぞれの研究体制を確立していく。四番目には、通話料金体系の合理化という名前でいまの問題が一つ論ぜられる点です。第五番目には、事業の改善という中身の中心は、電報料金の問題であるように思うわけです。それ以外でもございましょうが、これが中心なんですね。そして最後に、建設資金の調達の問題というのをお出しになっておる。これが重要な骨子になっておるというふうに私は思うわけですよ。  そこで、午前中の武部委員質問にもちょっとございましたが、一と二と取り違えているのじゃないか、この重要な問題についてそういうふうに思われるかどうかという質問について、あなたの説明は、いや、これから千九百万台近い相当数の電話の架設を中心にやるのだから、これが中心だという御答弁になっておったわけです。そしてデータ通信については、大体の建設費が八兆五千億の一〇%ぐらいだろうという説明をされておるわけです。つまり八千五百億円の投資をするんだ。ところが、データ通信の促進のための投資というものと電話回線の全国的な、要するに完全な施設を拡充するという問題とは、こう交差しておるわけですね。ですから、率直にいえばどんぶり勘定になってしまって、ある面からいえば、それはデータ通信の開発のために電話の回線をふやしておる、電話の回線をふやしながら実はデータ通信の基礎を築いておる、こういう関係になるように思うわけです。そうしますと、建設費の一〇%前後だという説明もきわめてあいまいな、ただ一定の指標を目的として、その程度の投資だということになるわけです。  ところが、私たち貧乏人や勤労者、働く者の立場からそれがどうかということを見なければならぬわけです。ただ電電公社郵政大臣の説明を聞いてぼやっとしておれないわけです。というのは、これを利用する者はほとんど勤労者階級や、中小零細業者や、一般の家庭なんですね。そうすると、現在の電話の架設量が、事業電話が大体さっきお話しのように約八百万台、家庭用電話が大体五百五十万台から六百万台前後というところになると思うのですよ。将来は家庭用の電話がどんどんふえてくるという形勢になってくる。そうすると、いまあなたが仰せになったように、たとえば市外の静岡にかけるとか、札幌にかけるとか、鹿児島にかけるなんということは、一般の大多数の方が使用しておる電話の方向から見ると、そう毎度かけるものじゃない。だれが一体これを利用するのか。それは通信社とか、あるいは卸売り業者とか、あるいはいわゆる独占資本という大資本がこれを利用するわけですね。一般の家庭は、たまに一年に一回か二回そういう地方にかけて均てんに浴するけれども、実は市内料金においてぐっと上がってしまうからして、実際は家庭においては、いわばたいへんな事態がくるわけですよ。  そこで、私はここであなたと討論しようという気持ちはありません。そういう資料を明確に出していただきたいということであります。つまり、たとえばいまあなたがおっしゃったように、三多摩はこれから安くなるんじゃないかというお話でございますが、市内電話そのものが高いわけですね。そこへ持っていっておまけに、市外はまた時間と距離によって電話料金を取るというようなことを、どういう基準によってきめたか知りませんがきめたわけですね。そのために、同一行政区域内においても市外の電話をかけなければならぬ。料金が高くなってくる。ましてや三多摩は東京都内、東京都民です。何の区別される理由はないわけですよ。したがって、三多摩の料金並みのような状態が東京都内で出てくることにもわれわれは反対ですけれども、問題は、市外電話をもっと下げる必要があるんじゃないかということを、端的にわれわれは考えているわけです。これは大阪の近郊の場合も同様なんです。やはり行政区域の差異あるいは電話局の差異によって、一々高い電話料金を払うということは、公衆に奉仕する公衆電気通信法の基本から見て、憲法十四条の法の前、あるいはあらゆる問題について国民は同じように負担をさせられる、こういう観点から見ると、私はそうじゃないように思うのです。この点は私は非常に遺憾に思うのです。  そこで、市内電話の専用関係なんですが、市内電話の専用、たとえば日本放送協会とか、あるいは民放とか、あるいは消防、特に通信社、あるいは大きな独占資本が専用として使っておる電話は、一体どの程度の使用料を取っておるのか。これは郵政大臣が認可するのですが、実際はどの程度取っておるのか。あるいは市外の、いま申し上げるような専用市外線で、たとえば新聞通信とかあるいは放送とか、あるいは防衛庁とか、あるいは消防署というようなものは、一体どの程度料金で市外通話を使っておるのかということを、私はやはり報告していただきたいと思うわけです。  もっと端的にいうならば、あなたはさっき三十数万円と言われたが、公式の文書では、二十六万五十四円の金が電話の一本の架設についてかかるということを言っておるわけです。その二十六万五十四円という金はどういう積算で出しておるのか。どこを計算してそういう設備費を出しておるのか。それが受益者負担という形式でいわれておるのですが、適正な電話料金というものは、一体どこに基準を置いてどの程度のものであるかということを、はっきりしなければならぬのじゃないか。そうじゃなくて、ただ従来のままそういうことをおやりになっても、私は非常に納得できない。つまり、料金体系からいうならば値上げじゃないか。それはあなたのほうの、ただ説明する都合でそういうことを言っておるだけであって、受けるほうの大衆は、物価値上げに即応してたいへん困っておる。  これは、あなたももう新聞をお読みになってわかると思いますが、あなたの御説明もいろいろ出ておるわけです。いろいろ書いてもおられます。書いておられますが、一般の主婦の諸君は――私は時間がありませんからそれを申しませんけれども、一様にこの問題については非常に意見が出ておりますね。たとえば、おしゃべり電話にショックだとか、あるいは長電話族は御注意をとか、いろいろなことがおもしろおかしく出ておりますが、結論的には、要するに勤労者大衆と零細な事業をやっておる国民が、たいへんに値上げによって困る、こういうことです。あなたも、市内では確かに値上げになるということをおっしゃったが、ただおっしゃるのじゃ困るわけです。なぜそういう処置をとるのか、ここのところもう一回簡単に、明快に答えていただきたいわけです。
  217. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 お答え申します。  いま土橋先生のおっしゃった御質問の中にはいろいろなことがまざっておりまして、全部お答えすることはおそらく不可能と思いますが、専用料金その他については、ここで御説明をするのは非常に複雑だと思いますので、別に資料で御報告をいたします。  それから、二十六万という数字が出ましたが、これもちょっとわかりかねますので、あとでいま少し明らかにお伺いした上でお答えをいたします。  ただ、いま市内通話をかける者は非常に損をする、こういうお話が一般論としてございましたのですが、確かに、トータルナンバーとしてはプラスマイナス・ゼロということは先ほど御説明をいたしたとおりでありますけれども、個々の加入者にとりますと、市内通話ばかり、あるいは市内通話を主としておかけになる方は、確かに現時点では負担の増ということはあると申し上げます。ただ、その場合の市内通話と申しますのは、端的にいいますと加入区域内の通話ということでございます。したがって、たとえば加入区域内の通話で、東京のように非常に広い、日本一広い加入区域内の通話をしておられる方じゃなくて、非常に狭い――先ほどから総裁が申しておりますように、加入区域の中に非常にアンバランスがございますから、非常に狭い加入区域内の通話をしておられる方は、実際は、御自分が市内だと思っておかけになっておられても、今日の料金体系かららいいますと市外ですね、この場合には負担減になるほうに入ってくるわけであります。したがって、その辺のところを明確に個々の場合にとりますと、私は案外、市内通話ばかりかけておると思っておられる方の中にも、今度の体系の合理化によりまして、お得になる加入者も相当あると思うのであります。そのいい例は、先生の国元の三多摩の方のごときは、一般的平均値でとりましても、住宅電話で現時点で約六・七%の負担減になるという数字になっております。  それからもう一つは、将来の問題といたしましては、これも日本の社会情勢なり経済の情勢の変化によっていろいろ見方もあると思いますが、やはり生活圏や経済圏が拡大をしていきますと、いま申し上げました意味の加入区域外のいわゆる市外通話ですね、これへかけるチャンスといいますか機会というものは、事業あるいは住宅電話につきましてもどんどん伸びてきております。一加入者当たりの通話の回数を見ましても、いわゆる正確な意味での市内通話の回数というのはだんだん逓減をしておりますけれども、正確な意味の市外通話の回数というのは逓増ないし横ばいでございまして、総体的にはふえておるわけであります。と申しますのは、全体の住宅電話の加入者がふえておりますから、先生のおっしゃるような意味では、私は住宅電話の加入者でもそういう傾向にあると思いますので、現時点で申しましてもそうでございますし、将来にわたっても、個々の場合をとりましても、私は必ずしもそういうことはあり得ないのではないかと思います。ただ、ある時点をとらまえますと、確かに全体としてトータルナンバーがプラスマイナス・ゼロでありましても、個々の加入者にとって相当差のあることは、先生のおっしゃるとおりだと思います。
  218. 土橋一吉

    ○土橋委員 これは初歩的な質問でありますので、あとあと十分資料なり、また質問に答えていただきたいと思いますが、一の問題は、そういう点が特にいま私たちが考えられるわけです。  第二番目の「情報化社会の発展に寄与する。」いうことなんですが、実はこれが中心じゃないかというふうにも私は考えておるわけです。そこで、いまの七カ年計画で、「電子交換機等の導入をはかり、総合電気通信網の形成を促進する。」これはたいへんな内容を含んでおるわけです。そして心電図の問題やいろいろな問題等がございますが、こういう問題にからんでいまのような料金体系が立てられておるのじゃないかというふうに私たちは考えざるを得ないのですが、この点がどうかという点、ひとつ答えていただきたい。  次の研究体制の確立の問題ですが、これは専門的になる点がありまして、私どももよくわかりませんが、四番目の「通話料金体系の合理化をはかる。」というところで、いま広域時分制の問題が出てきておる。広域時分制というのは、大体三十キロを中心とする地域というふうにいわれておりますが、そうなってくると、全国で約五百四、五十以上のそういう地域を予定されておるようですが、はたしてそうであるかどうか。その地域が、要するに東京の都内並みの同じような料金を対象としていくとすれば、自民党の政策によりますと、都市の連続化あるいは都市の連檐化というような政策とからんで、市内電話料金が非常に増収といいましょうか、つまり収入が非常に増してくるということを予想されるわけです。それとデータ通信の問題とかみ合わしておるのじゃないかというふうに思うのですが、この点を率直に、端的に答えていただきたいと思うわけです。  その次の五番目の「事業経営の改善を推進する。」ところで電信の問題が出てくるわけですが、電信は赤字だ、あなたもあらゆる会合で斜陽化しておるということを説明されておりますけれども、私は非常に疑問を持つわけです。それはどういう点かと申しますと、年間の疎通量等から考えますと、専用電信が、これは六五年前後の資料でございますが、約四百億字を使っておるわけです。それに対して、公衆電報は二十億字しか電報を打っていないのです。加入電信が大体七十億字使っておるわけです。これは正確に申しますと、一九六五年九月二日の調査によると、四百億字を使っておる諸君が大体比率からいうと八二%、公衆が使っておる電報が二十億字打電をしておるのですが、これが大体四%なんです。それから加入電信が大体七十億字を打って、大体一四%の比率になっておるわけです。そうしまして年間収入から見ると、このときに専用電信で五十二億円入っておるわけです。加入電信で二十三億。それで、一般の二十億字しか打っていない、四%の比率の諸君が九十二億円金を払っておるわけですね。  そうすると、いま電報について赤字だとか斜陽化しておるとか、いろいろなことを言っておられるけれども、実際適正な電報料金の基準というものは一体どこの辺が基準であろうか、ここが非常に疑問になるわけです、非常に初歩的な疑問だと思うのですが。そうしてくると、いまの四百億字も打つような人たちあるいは七十億字も打電をする人、合計すれば九六%の人たちからなぜ料金を適正にとらないのか。そうしてこの当時わずか四%しか打っていない、二十億字を打った人から九十二億円もとるということになってくれば、それこそえらいどうも働く大衆、あるいは電話がなくて電報を打つとか、あるいは電報のほうが簡単でいいというので打つ人を、非常に妨げる結果を招来するのではないか。特に慶弔電報が、先ほどのようにどえらい高い値段、しかも普通電報で二十五字で今度は百五十円に上がってくる。  こういう料金体系をとるということは、一体どういう基礎に基づいてそういう料金体系をとるのか。東京でいいますと、一字当たり専用電信は一銭三厘、ところが、公衆の一般大衆は一字当たり四円六十銭という電報料金を払わされておるわけですね。そうすると、電話と同じように、適正な料金は一体どこにあるのか。これは公衆電気通信法の規定によって郵政大臣が許可するのですが、やはりその内容を逐次国会において明白にすべきではないか。そして料金体系そのものについても、こういう資料から見ると、今日も同じようなことがいわれておるのではないか。つまり大通信会社、あるいはテレビ局、あるいは大きな独占資本といわれる諸君、あるいは卸売り業者、こういう諸君は非常に安く、このときですらも一字一銭三厘で打っている。片方は一字打つのに四円六十銭もとられる。こういう不都合な事態をなぜ招来しておるのか。私はこういう点に、やはり現在の電電公社が独占に奉仕する、そういう体制下に置かれて、勤労者には高い料金を押しつけておるといわざるを得ないのでありますが、米澤総裁は、こういう資料に基づいた説明からどういうふうにお考えになっておるか、この点をひとつ御答弁願いたいと思います。
  219. 米澤滋

    ○米澤説明員 資料の詳しい点につきましては、主管の局長から答えさせます。  最初の総合通信網と情報化社会の話につきましては、計画局長が先ほど説明いたしましたが、八兆五千億円の八二%を電話の拡張に使っている、そしてデータ通信、画像通信につきましては一〇%使っている、こういうことでございます。したがって、もちろん重点は一般の拡張にある。  それからもう一つは、この総合通信網につきましては、データ通信については大企業ばかりではなくて、中小企業も今後使っていくというふうに考えておるわけであります。たとえば、コンピューターを一々自分のところに置けないし、あるいはプログラマーとか、そういうシステムエンジニアなんかを大企業は自分でかかえますが、中小企業はそれがおりませんから、電電の一般の在庫管理とかそういうものにたよりたい、こういうマーケットサーベーもできております。そういう中小企業の方に対しましてやる場合に、公社としてはデータ通信に対しては独立採算でいこう。いわゆる赤字だけれどもどんどんやるというのではなくて、電報のようになっては困るから、また電話のほうに圧迫を与えてもいけませんので、データ通信は独立採算でやるというように考えております。資金につきましても、したがって端末はそのデータ通信をやる方に持っていただく。あるいは縁故債をやって、一般の拡張と資金的には別に考えていくというふうに考えておりまして、その点、電話の拡張を資金面から圧迫することがないようにしたい。しかし、データ通信が全部大企業というわけではございませんで、中小企業も相当出てくるのではないか。特にそういうエンジニアが中小企業にはいませんから、どうしてもやはり電電のものを使いたいという要望が、現に相当出ておる次第であります。  それから、総合通信網と電子交換機の問題は、電子交換機は非常に便利なといいますか、将来非常に発達する機械でありまして、まだ開発の途上にあるわけであります。建設費ももちろん安くなりますし、それからいまお話ししました、たとえば中小企業がデータ通信なんかをおやりになる場合も、電子交換機を使えば総合的に安く提供できる。ですから中小企業には、公社は独立採算ということにしておりますから、高い値段になってはまずいのでありまして、したがって、総合通信網において安く提供できる、こういうねらいを考えておる次第でございます。  電報につきましては、いろいろ数字がございましたから、別な局長から答えさせます。
  220. 土橋一吉

    ○土橋委員 もう時間が相当切れておりますので、あとで資料をちょうだいして、きわめて初歩的な質問でありますので、私のほうでも研究さしていただきたいと思うが、いま申し上げた適正な電話料金、適正な電報料金、適正なデータ通信料金といいましょうか、あるいは加入金といいましょうか、そういうものをやはりよく知らしていただきたいと思うのです。  そこで、いまお話がございましたように、たとえば電子交換のそういう高価な機械を入れるとか、こういうことは一般の私どもの世上生活や、あるいはちょっとしたそこいらの仕事をしておる人とか、労働者とか漁民とか勤労市民にあまり縁がないのじゃないですか。それは心電図を求めるというような場合には考えられますが、つまり、何としてもいまの体制では、高度経済成長政策に見合うような体制をとりながら、結局、電話料金の浮きで要するにそういうデータ通信の基礎を築いていくということは、先ほど申し上げた憲法の第十四条の規定に違反をするし、電電公社設立の法律の規定に違反をするし、やるべきことじゃないと考えているが、どうですか。
  221. 米澤滋

    ○米澤説明員 先ほどお答えしましたように、公社といたしましては、とにかく七カ年計画で千九百七十万という電話、これは量としてはたいへんなものでございますが、これをやるということがもちろん第一の目的であります。その次に加入区域の拡大、たとえば加入区域に対するいろいろな要望をいかにしてやるか。したがって、これには結局時分制を採用する以外に方法はない、こういうことになってまいります。  それから、データ通信あるいはいまの電子交換の話が出たのでありますが、この電子交換機はクロスバー交換機と同じなんでありまして、別に電子交換機を使うのがぜいたくとかなんとかというものではなくて、これはほんとうの設計の技術的な問題であります。ただ、まだ現在開発途上でありますけれども、非常に用途の広い安い交換機を何とかつくろう、こういうのがねらいであります。したがって、ただいまの御指摘の点とは中身がちょっと違っておりますが、時間もございませんので、そういう答弁だけいたしまして……。
  222. 土橋一吉

    ○土橋委員 一応時間も来ましたようですから、もうこれで終わりますが、先ほどの「事業経営の改善」と題する項目の中では、いま申し上げましたように、「市内電報制度等の廃止、夜間サービスの適正化など利用制度の近代化ならびに料金の適正化をはかる。」というふうに結んであるわけですけれども、これはいま申し上げたように、適正料金というものについて資料をちょうだいして、私のほうで研究さしてもらいたいと思います。  第五番目の問題は、先ほどのお話では、何か十一兆円近い金が財政投融資その他を含めてかかるようなお話でございますが、それはなぜここに書いてないのでしょうか。ここでは八兆五千億であるというふうに書いておるわけです。そしていまあなたがおっしゃったように、独立採算を中心とするならば、そういう回線の利用あるいは有線テレビ、あるいは画像なんかをやるような電気通信、そういうものをひっくるめて完成するということになれば相当なものですね。そうすると、あなたがついせんだってごろニューヨークへいらっしゃって、そしてAT&Tテレビの幹部諸君とお話になっておったとき、ニューヨークで電話が非常に渋滞をしてえらいいろいろな騒ぎがあった。そこであなたのお考えでは、この中にも書いてありますが、それを再び繰り返さないようにしたいということを念願しておられますが、私はニューヨークのような事態は東京であるいは大阪で起こるんじゃないか、いまのような計画からいうならば当然起こってしかるべきだし、また当然起こるべきことじゃないかというふうに考えざるを得ないのですが、こういう点についてどんなものでしょうか。
  223. 北原安定

    北原説明員 御指摘の混乱というものを十分考慮いたしまして、そういうことの起きないように、徐々に目的に向かって整備していく考えでございます。
  224. 土橋一吉

    ○土橋委員 終わります。
  225. 金子岩三

    金子委員長 次回は来たる十月二十九日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会