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1970-07-10 第63回国会 衆議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和四十五年七月十日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 金子 岩三君    理事 加藤常太郎君 理事 古川 丈吉君    理事 水野  清君 理事 中野  明君       加藤 六月君    上林山榮吉君       佐藤 守良君    坪川 信三君       羽田  孜君    長谷川四郎君       浜田 幸一君    林  義郎君       三池  信君    森  喜朗君       阿部喜男君    鈴切 康雄君       吉田 之久君    土橋 一吉君       中村 拓道君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 井出一太郎君  委員外出席者         大蔵省主税局総         務課長     安井  誠君         郵政省貯金局長 山本  博君         郵政省電波監理         局長      藤木  栄君         郵政省電波監理         局放送部長   太原 幹夫君         郵政省人事局長 中田 正一君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社経理局長   中山 公平君         逓信委員会調査         室長      佐々木久雄君     ————————————— 委員の異動 五月十三日  辞任         補欠選任   三木 喜夫君     安宅 常彦君 六月十日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     藤田 高敏君 同日  辞任         補欠選任   藤田 高敏君     安宅 常彦君 同月十一日  辞任         補欠選任   安宅 常彦君     石川 次夫君 同日  辞任         補欠選任   石川 次夫君     安宅 常彦君 七月十日  辞任         補欠選任   池田 禎治君     吉田 之久君 同日  辞任         補欠選任   吉田 之久君     池田 禎治君     ————————————— 五月十三日  一、逓信行政に関する件  二、郵政事業に関する件  三、郵政監察に関する件  四、電気通信に関する件  五、電波監理及び放送に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  逓信行政に関する件      ————◇—————
  2. 金子委員長(金子岩三)

    金子委員長 これより会議を開きます。  逓信行政に関する件について調査を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部喜男君。
  3. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 大臣がまだお見えにならないそうでございますから、後刻、大臣がお見えになりましてから二、三の点について質問をすることにいたしまして、貯金局長にお伺いをしたいと思います。  六月二十七日の朝日新聞に、「脱税すすめる郵便貯金 大蔵省勧誘方法におきゅう 架空名義許すな 預金限度も示せ」こういう見出し記事が出ておりますが、ごらんになったと思いますけれども、こういう事実があったかどうか、まずお伺いをしたいと思います。
  4. 山本説明員(山本博)

    山本説明員 新聞記事は、私も当日読みました。大蔵省郵政省監督官庁でもございませんし、郵政省が、別におこられるとかおきゅうを据えられるとかいうようなことは、これは新聞表現はともかくとしまして、私のほうはそういうような受け取り方を一切いたしておりません。また、事実おこられたとかおきゅうを据えられたということもございません。  そこに書いてあります内容の事実は、かねて税制調査会というのが設けられておりまして、税制調査会がいろいろな審議をする過程におきまして、民間金融機関並びにそれと関連いたしまして郵便貯金、そういうものの取り扱いの過程において、脱税というような事実を防止しなければいけないんじゃないか、こういう意見が出まして、大蔵省からも、税制調査会意見といたしまして、私のほうにそういう事実をできるだけ防止するようにということの連絡がございました。私のほうも国の機関といたしまして、現在きめられております税制というものを守るというのは、これは当然のことでございます。  したがいまして、たまたまそこに書いてありますように、架空名義であるとか、あるいは最高制限額、現在は百万円でございまして、それ以内が無税ということになっておりますが、そういう限度を守るということは、これは一般論として当然のことでございます。ただ、郵便貯金につきましては、これは民間金融機関と違いまして、広告というようなことを新聞に出しておるわけでもございませんし、あるいはテレビラジオ、そういうものを通じて一般国民に広くそういうことを周知しておるということでもございませんで、たまたま二万も郵便局がございますと、その中に、客観的に見まして多少の表現行き過ぎておると思われるようなものが、全くないとは私は思いませんが、それの及ぼす弊害というものは、一般金融機関のように非常に新聞とかラジオとかテレビという大がかりな周知宣伝をしておるところと違いまして、及ぼす影響というものは非常に私は少ないと思っております。  いずれにしましても、そういうような行き過ぎあるいは法律に違反するような事実を防止するというのは、国の機関として当然なことでございますし、いま申し上げた税制調査会のほうの意見というものも連絡を受けましたので、これは郵政省責任において、そういうことについて各郵便局指導しようということについて、大蔵省との話し合いが累次持たれまして、結局、そういうことを郵政省責任においてしようということについて両者考え方がまとまった、そういう事実はございます。それ以上のことは、特にしかられたとかおきゅうを据えられたとかいうようなことは、されるいわれもございませんし、されたこともございません。
  5. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 私も、それぞれの独立官庁が、片方の官庁からおきゅうを据えられるというような、上下があるというようなことがあってはたいへんだと思っていたのであります。  続いてお聞きしますが、この記事の中に山本貯金局長の話として、「今後きびしくいましめたい」こういうような見出しで載っておったのもお読みだと思いますが、この事実と、「郵政省も二十五日「自粛します」との“覚書”を大蔵省ととりかわした。」こういう事実はありますか。
  6. 山本説明員(山本博)

    山本説明員 前段のほうでございますけれども、率直に申し上げまして、郵便局は二万もございますし、それに貯金事業に従事しておる職員五万五千くらいおりますので、私のほうで従業員に対して、政府全体の考え方として法律を順守しよう、したがいまして、そういう可能性ないしは過去において全くなかったとは申し切れないような事実もございますので、そういうことについては今後自粛をするように、行き過ぎのないようにということを下部によく徹底をしたい、こういうことは現在でもそう考えておりますし、下部に対してそういう通達もいたしました。  後段のほうでございますが、これは大蔵省と、いま申し上げたような郵政省責任においてそういうものを防止しようということについて、両者話し合いがついたという事実が、そういう表現になっているのではないかと推測いたします。
  7. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 いまの貯金局長お話の中で私、非常に気になるのですが、今後きびしく戒める、そういうようなのがあるかもわからないから気をつけたいというお話ですが、私の知る限りでは、これは広島ですけれども昭和四十五年の四月十一日、広島郵政局報をもって、貯金保険版というのですけれども、現にいま貯金局長がおっしゃったような、郵便貯金総額制限規定励行や、一冊以上通帳を持たさないとか、そういうものについて非常に詳細に、すでに郵政省はそういう手続をしておられるように思われるのです。この新聞記事によりますと、いままでは放置してあったが、これからやりましょうというように聞こえるのですが、その点はどうですか。
  8. 山本説明員(山本博)

    山本説明員 私が申し上げた表現が不十分でございましたが、かねてからこういう問題につきまてしは、郵政省として下部にいろいろな形で指導をしておりました。  ただ、その指導が全く例外なしに徹底をしておったかといいますと、たとえばチラシをつくるときに、これはいろいろ私も私なりの考えはございますし、見る方の意見によってもいろいろあろうかと思いますけれども、たとえば国民がそのチラシを見て、百万円まで、最高制限額までが、それにつく利子への課税が免除されるということでなくて、幾ら預けても利子につく税金が免除されるんだというような印象に受け取れるような文章が書いてある。これは郵便局だけではございませんで、民間金融機関もそういう点についての配慮が十分なされているとは思いませんけれども、それは相互間の話じゃなくて、対国民の話にしますと、そういうことを守る、そういう誤解を受けないように、内容について十分な理解をしてもらった上で貯金をしてもらうということは、私は必要なことだと思います。  これはかねて十分周知は、あるいは連絡はしておりますけれども、今回さらに税制調査会のほうから、そういうことについてのいろいろな御意見もございましたので、あらためてそういうことを下部に対して連絡をした、通達をしたということでございます。
  9. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 大体わかりましたけれども、いま私が申し上げた点は、この広島郵政局報によると、通帳冊数制限励行貯金総額制限規定励行、それから貯金減額措置、それから郵便貯金広告宣伝適正化、ここでは特に、「無税表現するときは、貯金総額制限があることがわかる表現を併記する。なお、無税と関連して国の税制に触れる場合には、正確を期し、誤解を招かないように注意する。」こういうふうに郵政省としてはすでに十分手を打っておるのに、まだ郵政省が手を打っていなかったような印象を与えるような貯金局長の発言になっております。この点は、すでにそういうことはやっておりますと、こう言うべきではなかったかと思うのです。これが一点です。  それから、こういうふうに通帳冊数制限、これは法で定められたものではありますが、きびしくやっていきますと、郵便貯金の預入が非常に減少してくるという心配があるのではないかと思います。特に第一線貯金の募集に当たっておる職員の労苦を考えますと、この貯金、いわゆる郵便貯金というものの性格が、企業の利益でなくて、国策に沿った大きい目的を持っておるのですから、それが減ってくると、かえって角をためて牛を殺す結果になるのじゃないか、そういう懸念がありますので、そういう施策について省のほうではどういうふうにお考えになっておるか、承りたいのです。
  10. 山本説明員(山本博)

    山本説明員 第一点の御指摘はごもっともだと思います。かねてからこういうことについて、下部に対して十分な指導をしておるということはそのとおりいたしております。今回そういう問題があらためて提起されましたのは、先ほど来申し上げておりますように、税制調査会において、一般民間金融機関並びに郵便貯金全体といたしまして、こういう問題についてもう一度十分な徹底を期すべきではないか、こういう意見もあったという経緯にかんがみまして、郵政省としてもさらにあらためてこういうことについて指導というものを繰り返した、こういうぐあいに理解いただけばと思います。  それから第二点目でございますが、これはおっしゃるとおり、郵便局というものは一般民間金融機関のように特別な利潤というものを目的にした制度ではございませんで、全く国民日常生活の利便を増進しよう、あるいは便益を提供しようということのためにできておるものでございますので、国民に不利益あるいは非常に不快な念を与えたり、あるいは非常に不便な点を与えたり、こういうことは最も慎まなければならないことと思っております。したがいまして、いまおあげになりましたようないろいろな点につきましては、国民の方々に対して従業員が無用な不信感を与えたり、あるいは国民にとって非常に不便な利用のしかたしかできなくなるということについて、国民との間に無用な摩擦あるいは不信感の増大ということを起こさぬように、いわば郵便貯金というのは、本来は利用者と国との間の相互信頼というものが基礎になっているということは当然のことでございます。決してそういう行き過ぎ規制ということでなくて、非常に自然な形でこういうものが行なわれるようにということについては、十分別な形で指導いたしております。
  11. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 特に通帳冊数制限励行せよという内容があるわけです。確かに法的にはそうなるだろうと思うのですけれども、しかし利用者の側から考えてみますと、たとえば大口の通常預金は、これは資金関係もあるから本局のほうにしておこう、小口で朝晩出し入れするものについてはすぐ近くの無集配の局でやろう、そういう利用方法が今日非常に多いと思うのですけれども、この規定励行していきますとそういうことができなくなってくるのです。しかも、そういうことが局報広島の場合には厳格に通達をされておるわけですけれども、こういう制限をしていくことがはたしてこの貯金事業目的にかなうのかどうか、どうお考えかを承りたいと思います。
  12. 山本説明員(山本博)

    山本説明員 おっしゃるとおり、利用される国民の側からいたしますと、これはやや私も不合理な点があるのではないかと思います。したがいまして、これはいま申し上げましたように、国民の側からあまりに不信感じ、あるいは不快な感じ、あるいは不便な感じ、そういうものを極度に郵便局側が出す形では、こういうものは実際上できないと思います。したがいまして、この制度そのものについてはもう一度再検討したい、こういうふうに考えております。
  13. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 次に、大蔵省からお見えになっておれば伺いたいのですが、郵便貯金運用利回りはたしか六分五厘だったように考えておりますけれども大蔵省が発行しておる国債は、その利回り並びに人件費その他の諸雑費を含めて大体どのくらいな割合につくのか、ちょっとお伺いしたいのです。
  14. 安井説明員(安井誠)

    安井説明員 主税局総務課長でございまして、実は郵便貯金非課税の問題で御質問があるかと思って用意してまいりまして、いまの国債運用利回り等の問題は理財局の所管でございますので、私は現在手元に資料を用意してございませんので、まことに申しわけございませんが、お答えいたしかねます。
  15. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 それではこのあとで電話で問い合わせて、大体どのくらいになるか、すぐ知らせてもらいたいと思います。  そこで、大蔵省のほうの主税局ですか、おたくは主税局関係ですけれども大蔵省全体からものを考えてみまして、こういうふうに郵便貯金が非常にきびしい規制を受けてくると、たしか現在高が七兆円になんなんとしておると思いますが、それはすべて国家目的のために大蔵省資金運用部に入っておると私は理解しておるのですが、こういう規制のために郵便貯金が非常に少なくなってくることを、一体大蔵省国家的見地からどう考えるのか、それをお伺いしたいのです。
  16. 安井説明員(安井誠)

    安井説明員 先ほど貯金局長からお話がございましたように、この問題が出てまいりまして以来、税制調査会等で取り上げられまして、貯金局のほうと事務的に協議折衝してまいったわけでございますが、その際、当然私どものほうも、いま御指摘のように理財局のほうとも御相談を申し上げたわけでございます。それで、私どもといたしましても、この郵便貯金銀行預金に比べまして、たとえば平均的な一口の残高は、郵便貯金のほうがはるかに少ないようでございます。正確な数字ではございませんけれども、記憶いたしておりますのでは、定額貯金銀行定期預金とを比べてみますと、たしか五万と二十万ぐらいの差があったように記憶いたしております。したがいまして、郵便貯金のほうが一般的に零細な貯金であって、本来課税対象にする必要は一般的にはないということは、これは明らかにいえるわけでございまして、したがって手続的に、少額貯蓄非課税制度という銀行預金等に適用しております手続をとらずに、郵便貯金は一人百万円の限度内であれば無税にするというか、百万円しか郵便局はお預かりにならないというその制度を前提にして、非課税扱いにいたしておるわけであります。  ところが、問題になっておりますのは、そういう手続をとらなくて済むということを奇貨として、たまたまきわめて一部だと私ども思いますけれども、百万円のワクをこえれば二口、三口に分けられるとか、あるいは宣伝方法におきましても、何と申しますか、少額貯蓄非課税制度のようなめんどうな手続が要りませんというような宣伝をされたり、あるいは郵便貯金には、金額のいかんにかかわらず一切税金がかかりませんというような宣伝のビラが私ども手元に入ったものでありますから、それはやはり放置できないということで、貯金局とお話し合いをしたわけであります。その際に理財局のほうとも、当然郵便貯金で集まりました資金財政投融資に使っておるわけでありますから、御相談をいたしたわけであります。  そこで、これは貯金局のほうとも意見は一致したわけでありますけれども、少なくとも違法なことをしてまで集める必要はないのではないか、違法のことだけはやはり規制をしておきませんと、やはり同じ貯蓄の態様として、片一方に銀行預金あるいは農業協同組合等預金等につきましても、少額貯蓄ということで、一人百万円までということで非課税手続がとられているわけでありますから、それと同じことはやはり郵便貯金についても守っていただきませんと、郵便貯金財政投融資の財源で日本経済のために必要であるという議論があれば、同時に銀行貯金あるいは農協貯金等も、そういう貯金が集まりましてやはり日本経済のために使われるわけでありますから、そこにおのずからバランスをとっていきませんとやはり問題があるわけでありまして、その辺のことを踏まえた上で私ども郵政省にお願いをしたわけであります。  先ほど貯金局長からお話しいただきましたように、何と申しますか、やはり非常に積極的に郵政省としてやられるべきことはよくやっていただいたという感じをいま持っておるわけでありまして、いま郵政省がおとりになった措置がスムーズに動いていく限りは、私ども制度そのもの改正しなくてもいいのではないかというふうに考えているのが現状でございます。
  17. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 制度改正はさしむきは行なわなくて、郵政省自主規制に待つ、こういうお考えのようでございます。  そこでもう一つお伺いしたいのですが、大蔵省のほうで把握をされておる昭和三十九年度の国民所得昭和四十四年度の国民所得はどのくらいの差がございましょうか。
  18. 安井説明員(安井誠)

    安井説明員 まことに準備不十分で申しわけありません。四十四年度の国民所得は四十九兆九千億、約五十兆というふうに理解いたしております。
  19. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 三十九年度の概算はわかりませんか。
  20. 安井説明員(安井誠)

    安井説明員 ちょっと手元にございませんで、すぐ調べてみたいと思います。
  21. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 私がそれをお伺いしたのは、現行の貯金総額が百万円ということになっておりますが、これは昭和四十年の四月から実施されたものというふうに理解をしております。そうなりますと、国民所得がこの四年間に相当な伸びを示しておるとするならば、貯金総額についても改正をする必要があるのではないか、そういうふうに考えましたのでお伺いしたわけです。先ほどの関係と二点、問い合わせてあとでひとつ知らしてもらいたいと思います。  貯金局長に特にお願いしておきますが、繰り返して申しますけれども第一線国民の皆さんから貯金をお預かりしておる郵政職員は、全く血のにじむような努力をしてお金を預かっておる。したがって、その努力がこういうような形で、何か郵政省脱税行為をやっておるのだ、そういうふうに非難をされれば、おそらく意欲としても相当減退してくるおそれがあります。結局、法があるからということで、角をためて牛を殺すようなことにならないような十分な配慮を行なってもらいたいということを希望して、この問題についての質問を終わります。何か御意見があれば承っておきたい。
  22. 山本説明員(山本博)

    山本説明員 この問題、いろいろ議論はされましたけれども、実際の内容としましては、現在の郵便貯金事業の中で法律に触れる問題はそうたくさんあるわけではないと思います。ちょっと表現があれになりますけれども、これはもうほんの九牛の一毛と言ってもいいのではないか。ほとんどの郵便貯金利用者郵便局との間の関係は、法律を十分守って行なわれておる。ごく一部まれにこういうケースがある。しかし、そういうケースがあるのは、やはり国の機関としては守っていかなければならないということでございます。一般従業員の士気が阻喪するというような扱い方は、私のほうとしては厳重に慎んでまいりたいと思います。  なお、百万円の最高制限額の問題の御指摘は、私のほうも非常にごもっともだと思っておりますし、郵政省といたしましても、この問題については大蔵省とよく話をいたしまして、できるだけ早い機会にこの問題の解決をつけたい、こういうふうに考えております。
  23. 上林山委員(上林山榮吉)

    上林委員 ただいま郵便貯金に関連した質問がございました。せっかく大蔵省見えておりますので、私もこの機会に関連して少し質問をしてみたいのであります。また適当な機会に、私は大蔵省幹部あるいは大臣郵政省大臣幹部の人もそろったところで、もう一度根本的に質疑をしたいと思います。  とりあえず私が聞きたいことは、ただいま大蔵省の答弁を聞いていると、何となくうしろ向きの気配を感じてなりません。問題を一升ますではからなくとも、うしろ向き考えているように受け取られたのであります。やはりこういう問題は前向きで取り扱っていかなければ、時代の要請にこたえられないのではないか、私は大局的な立場からそう思うわけです。決してあげ足をとるのではないですが、たとえば銀行農協も、郵便局と同様に国民経済のためにそれぞれ貯金を集めて有効に活動しているのだ、その限りにおいてはこれはだれもそのとおりであると思わない人はないわけです。そのとおりだ。だけれども、そこにニュアンスの違いがある。それは、銀行預金にしても、これが健全な国民経済活動に使われているかどうか。  確かに経済活動に使われておる。だけれども国民経済に必要にしてしかも適切に使われていない部面も相当統計の上でも見られるはずです。ところが郵便貯金は、これは郵政省努力をしてやっているのだから、その資金運用等については、郵政省にまかせたらいいではないかという議論も一部あるわけです。私は、それは一部の議論としてある程度耳を傾けていい問題だと思うけれども、しかし国家的、大局的な見地に立つと、金融というものは一元的に締めくくりをしなければならぬ点もあるので、そういう点からやむを得ずわれわれは妥協をしておるのであります。  そういう立場から考えて、集められたものは、先ほどの質問者の中にもありましたように、これは大蔵省が握っている。自分たちが直接握り得る金なんだ。一方のは間接、操作的に、あるいは行政指導的にやっている金融である。そういうことから考えて、大蔵省というものはそのことをただ画一的に考えるだけでなく、こうしたような特殊な事情というものを考えなければならぬのだが、何となく自分たちがある程度自由にできるので、国家資金になるものでありながら、これは私のひがみかどうかわかりませんが、郵政省を督励し、あるいは応援し、そして郵便貯金というものをもっと増加させて、日本財政なり経済なりに、特に財政にひとつ寄与してもらうんだという、この熱意が足らぬような気がぼくはしてしようがないのですが、この点はどうか。これは大臣とか次官とかそういう人たちに聞かなければならぬけれども、何といっても大蔵省を代表して来ておられるのですから、この機会にどういう感触を持っているのか伺いたい。これは公平な立場から私は扱いたいと思っております。あるいは郵政省にも大いに協力をしております。この場限りで言われるのかもしらぬけれども、何となくどうも——私も長い間逓信委員をやっておりますし、また予算委員も長くやっておりますが、その点から考えて、どうしてもいま言うようなことをこの機会に聞いておきたい、こう思うのです。  それから、いまも御発言がありましたが、私はことしの予算委員会の分科会で御同様の質問を申し上げておるのですが、これはもう議論の余地がないと思うのです。少なくとも貨幣価値が下落しておるのですから、数年前の国民所得の基準に比べてもそうでありましょうけれども、私はそれ以外のほうから考えて、いま前向きという立場から考えても、少なくとも最低二百万円あるいは思い切って三百万円にしてもいいんじゃないか。それくらいにしていってこそ初めていわゆる財政資金というものももっと安心して確保されていくんだ。何も郵便貯金をちょっとよけいしたからといって、この人たちが大財閥じゃないわけです。決して大財閥でもないし、あるいはやみ金融業者でもないはずです。だから、そういうことを考えると、この際郵政省大蔵省が胸襟を開いて、ひとつ近いうちに、せめて通常国会には、その方面の調整をとった上で、あるいはまたほかの方面との調整もとった上で、ぜひともこれを前向きで出してもらう。それは、いま言う一部の誤解や一部のあやまちを改めていく方向だと私は思うのです。  そういう意味で、二つの点だけを関連してお尋ねしておきます。
  24. 安井説明員(安井誠)

    安井説明員 第一点のお話でございますが、多少私ことばが足りなかったかと存じます。と申しますのは、郵便貯金の預入限度の金額がそのまま税法の上で非課税の対象になっているわけでございますけれども、税法の立場から見ますと、少額な貯蓄であるから、これは大いに奨励していきたい、それについては、その利子課税しないようにしようというのが制度の趣旨でございます。その点に関しましては、貯蓄の形態、つまり個人の貯蓄の形態が、郵便貯金である場合、あるいは銀行預金、あるいは公社債、あるいは国債を買われる場合と、その間にそれほど大きな差を設けるのはいかがかという問題があるわけでございます。現在、少額貯蓄非課税制度というものがございまして、これは国債、公社債あるいは貸付信託、銀行の預金、農協貯金でもけっこうでありますけれども、一人百万円の限度だけが非課税になっているわけであります。このほかに少額国債非課税制度というものがございまして、これは一人五十万円までが非課税になっているわけでございます。郵便貯金が、そのほかにといいますか、それとあわせまして、いま申し上げましたような少額貯蓄非課税制度の対象にはなっておりませんけれども、百万円までは非課税で、つまり国民個人個人で見ますと、一人当たりで二百五十万円までの貯蓄非課税になっているわけであります。  実は、この限度をどうするかという問題につきまして税制調査会でも御議論を願ったわけでございますけれども、四十三年の、内閣の総理府で統計をとっております貯蓄動向調査というものがございます。これは一人当たりではなくて一世帯当たりの貯蓄でありますけれども総額で百十六万円であります。その中には株式や生命保険等も入っておりまして、いわゆる利子所得とみなされるものは、郵便貯金も含めまして一世帯当たりで六十八万円が平均でございます。そのような状況から見まして、百万円というのは、先ほど阿部先生から御指摘がございましたように、いま手元にございませんが、四十年のときの国民所得が二十五兆でございました。それが四十四年で四十九兆でございますから、二倍になっているわけでありますけれども少額貯蓄として非課税の取り扱いをするのはどの限度が妥当なものであるか、あるいはそれとあわせまして、郵便貯金はどう考えていったらいいかという問題と関連して、今後検討をさせていただきたいということであります。  したがいまして、先ほど貯蓄の使われ方という面だけ申し上げまして、それが財政投融資の場合と民間金融機関を通じての貸し付けという問題と二つの上でのお話だけ申し上げたのでありますけれども、そのほかに税の問題として考えます限りは、少額貯蓄の問題としてどう取り扱っていったらいいか、税というものはそういう貯蓄に対してどのような取り扱いをしていったらいいかということとして、検討をしていかなければいけない問題だと思うわけであります。上林山先生も御指摘ございましたように、貯蓄奨励策としてどの範囲が妥当なのか、いまの少額貯蓄なりあるいは郵便貯金限度額はどの程度が妥当なのかということは、今後税制調査会を中心に当然検討していただくことになろうと思うわけであります。
  25. 上林山委員(上林山榮吉)

    上林委員 私の第一の質問の、郵政省というか、郵便貯金というか、そういうものに対する理解あるいは協力というものが、ニュアンスからくる印象は、どうも前向きでないように思われるのだがどうだという点、それから、ただいまの一世帯当たりのものに置きかえて平均の低いところをお出しになったようですが、それは貯金をしておる人だけを集めての統計なのかどうか、一般の、貯金をしていない人も入っているのかどうか、そういう点を私はもっと聞きたい。おそらくは貯金をしていない人も入っての割合だろう、こういうように考えられるので、これは実情に合わぬのじゃないか。また私は、郵便貯金だけを優遇せよと一方的に言うのではなくて、その特殊性を見ながらこれは優遇していかなければならぬだろう、こう言っているのですが、ほかの金融機関のものも、おっしゃる少額貯金に対する免税、そういう処置も、やはり実情に合ったように前向きに改正していくべきだ。税は取りさえすればいいんだ、こう思わないで、いま言ったようなことを講ずることによって税源というものがかえって堅実に伸びていくんだ、決して脱税の奨励じゃないんだ、こういうふうに前向きに考えていく必要があるんじゃないか。  いま退職された公務員なり退職した中堅の社員が、小さな家をつくるのに幾らかかると思いますか。二、三百万円で家ができるはずはないのですから、少なくともそうしたようなことを考えて、税制調査会では、それぞれ学識経験者のりっぱな人もなっているのでありますから、重箱のすみをほじくるような税制改正というものは、私はそれこそ俗にいう角をためて牛を殺す結果になるんだとほんとうに思っております。  そういう意味から私どもは、中産階級以下と申しましょうか、あるいは庶民大衆というか、そういう人たちのものは、一升ますではかったような事務的な考え方やあるいは一部方面の圧力や、そういうものでやっていくべきものではないんではないだろうか、こういうように考えるのです。大蔵省もそれぞれ苦心のあることは知っておりますが、しかしながら、私の言ったこういう趣旨も大いに参考にせられたいものだ、こう思っております。  いずれまた機会を見てもっと掘り下げて質問いたしますが、お答えがあれば承っておきたいと思います。
  26. 安井説明員(安井誠)

    安井説明員 ただいま先生の御意見、当然私ども税制調査会のほうにもお伝えを申し上げまして、御検討いただきたいと考えております。  御質問のございました中の貯蓄の実態調査の数字でございますが、それは総理府の家計調査の中から貯蓄の分だけを引き抜きました統計でございます。御指摘のように、貯蓄を多く持っている人たちだけを集めた統計ではございませんけれども、私どもが見ております限りでは、家計調査の中での貯蓄というのは、金額の大小を問わず、ほとんど例外なしに貯蓄は持っておるようでございます。ただ、家計調査でございますから、ランダムサンプリングでやっておりますので、数字としては非常に低い。貯蓄の金額の少ない方も入っているわけでございますけれども、平均的な貯蓄の数字でございます。
  27. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 次に、人事局長にお伺いをしたいのですが、六十三特別国会の会期中に、武部委員から三重県の飯南郵便局局長株といいますか、局長の地位を譲渡するような売買契約みたいなものが行なわれているのじゃないかという質問がありまして、郵政省のほうでも調査をされて回答をいただいておりますけれども、この内容ではどうも納得できないところが多いので、重ねてひとつお伺いをしたいと思います。  人事局長は、この武部委員がお持ちになっておりました飯南郵便局舎譲渡契約書なるものをお読みになりましたか。
  28. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 先般の当委員会で問題になりました以降、名古屋郵政局から報告を求めて、契約書については一応目を通しております。
  29. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 それではお伺いいたしますが、この契約書の左記事項の中に、まずこの局舎の物件の価格でございますけれども、土地それから建物を含めて千百万円というふうに定められております。ところが、この金の支払いが、この契約が成立したのが昭和三十八年一月でございますが、昭和三十八年の一月に一千百万のうち五百万を払い、昭和三十八年の三月に三百万を払って、計八百万払う、こうなって、その次の三百万の支払いが不当に期間が長いのです。昭和四十三年の三月末、実に五カ年先に残りの三百万円を払う、こういう契約内容になっておりまして、その次にこういう条項がございます。「杉本俊三は飯南郵便局山本忠生を昭和四拾参年参月末日迄に後任局長として名古屋郵政局に推選し局長就任の発令ある迄其の責を負うことを誓約する」こういうようにありまして、続いて、「山本忠生は局長就任と同時に杉本俊三に残金を支払い」こうなっておるのですが、この関係をつぶさに検討をさるるならば、まずこの土地、建物の価格が妥当であったのかどうか、土地、建物の売買契約に名をかりて、特にこの契約にあるように、三百万円という金額が局長になることを条件に受け渡される、そう理解がされると思うのですが、人事局長はどういう御理解をなさいましたか。
  30. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 最終的な支払いの時期がおそかったというふうなことにつきましては、これは当事者間の意思の合致の問題でありまして、いろいろ資金の問題というようなこともあったかというふうに思いますが、全般的に見て、これは誤解を招くような契約であろうというふうに考えております。  ただ、先般の委員会におきましても、これは郵務局長から答弁申し上げたのでありますけれども郵政局としては何らそういった契約にかかわりなしに人事を取り進めておったわけであります。また、現実に契約書においては推薦するということになっておったわけでありますが、推薦はされていない、また任命前にこの契約書が破棄されておるという経過がございましたので、この途中の経緯だけですべてを判断することは、少しくむずかしいのではなかろうかというふうに思っております。
  31. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 しかもこの契約書の中に、もし山本忠生が局長になれない場合には、山本忠生の指図する人を局長に推薦して就任するようにする、こういうことまで局長と契約をされておるわけですけれども、そういう点はどうお考えでございますか。
  32. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 推薦すること自体につきましては、これは当事者間の話し合いでございまして、郵政局はなんら関知しておるわけではございませんし、その限りでは、これは別個の問題だと思いますが、しかし、そういった推薦という行為を契約書の中で、局舎の売買契約書の中でうたうというふうなことについては、先ほど申し述べましたように、世間一般誤解を招くおそれがあるというふうに考えております。
  33. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 特に、私がこの問題に関連をして郵政局の人事についてお伺いをしたいのは、いま特定局長会というのが特定局長の後任の推薦をしておるようでございますけれども、それが実は非常に大きく郵政の人事に弊害を生んでおるのではないかという気がするし、これは一つの氷山の一角だというふうな気がするのですが、私の郷里のほうでも、特定局長になりたいためにばく大なお金を局長会に使って、しかもなれなかったために、借財が残って自殺をした職員さえあるのです。特定局長会が推薦をしなければなかなか局長になれない、そういう実質的な人事の運用があるやに思われますが、人事局長、どんなふうにその点は把握をしておられますか。
  34. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 特定局長の任用につきましては、地方の郵政局長責任をもって行なっておるところであります。その前に監察局の実地調査その他を経まして、郵政局長が公正に責任をもって行なっておるわけでありまして、その過程におきまして、推薦というようなことが行なわれることは間々ございます。  ただ、それは特定局長会なるがゆえにその推薦を尊重するとか、さようなことはございません。推薦はいろいろな形でいろいろの方面から行なわれることはございますが、最初に申しましたように、郵政局長責任において、監察の調査を経て公正に行なっておりますし、そのように本省としても指導しておるところでございます。
  35. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 形式的に公正に行なっておるということですが、公正に行なっておらないということは人事局長として言えぬと思うのですけれども、少なくとも今日、特定局長の後任を選ぶにあたって、必ず特定局長会が推薦書をつけてくるという事実については、どうお考えですか。
  36. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 私の経験から見ましても、また現在の職務につきましてからも、そのような必ず特定の会の推薦があるというようなことはございません。
  37. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 必ずということばが適当でないまでも、少なくとも九九%は特定局長会が推薦をする。熊本郵政局管内においては、私が知る限りでは、特定局長会が推薦をするかしないかということは非常に大きいウエートを持っておりますし、またその特定局長会に推薦を依頼をするために、非常にたくさんの資金を使っておるということの事実は明らかでございますが、その点について、いま局長は必ずということばにたいへんひっかかっておりますが、では何割くらいが推薦がついておりますか。
  38. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 何割と申されましても、数字的に局長会が具体的にどれだけ推薦しておるというようなことは、私ども把握しておりませんし、経験から申しますれば、局長会の推薦というようなものは、量的に、数的に多いものではないというふうに私は存じております。
  39. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 非常に人事局長の認識と私の認識は違うようですが、それでは熊本郵政局に上がってくる特定局長後任の人選について、局長会の推薦がついておるものが何割か、ついていないのが何ぼか、一ぺん調査をしてみて知らしてください。非常に少ないように人事局長は言われますけれども、私の認識では、九〇%以上は特定局長会の推薦がついておるという認識ですから、非常に違いますので、もし人事局長のおっしゃるように非常にわずかなものであれば、私はそれほど問題にすることはないと思うのです。しかし、私の知る限りでは九〇%までが局長会の推薦がついておるという認識だから、ひとついま局長にその点をお伺いしたいわけです。  そこで、公正な人事を行なうために局長は、そういうものにこだわらずに郵政局長がおやりになる。しかし、裁判官が予断を持たないと同じように、そういう推薦がないほうがより公正な人事が行なわれるのではないかという気がいたします。そうすれば、そういうものがかりに出てきたとしても一切受け付けない、それは特定局長会であろうと、一般の人であろうとだれであろうと、いわゆる第三者からの推薦というようなものについては、一切任命権者はこれを見ない、扱わない、そういう機構に切りかえたら、いま私が申し上げるような疑惑はなくなるように思いますが、その点はどうお考えですか。
  40. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 特定局長の任用にあたりましては、申し上げるまでもなく、部内部外から広く人材を求めて郵政業務の運営に適合するような者を選ぶということで行なっておるわけでありますので、希望者自身これは数多く出てまいるわけでございます。これを押えるわけにはまいらない。その際に、推薦があるなしということは、これは郵政局の人事に対する態度いかんにかかるわけでありまして、推薦があったからないからというようなことで拘束されることはないわけであります。現在、すでにそういう弊害がありまするならば推薦をチェックするということでありますけれども、われわれとしてそれに拘束されない、公正に行なわれておるというふうに存じておりますので、あらためて推薦を一切拒否するというようなことは、これはもうしばらく検討していかなければならない問題であろうというように思います。
  41. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 どうも人事局長と私の認識が次元が違うものですから、話がかみ合わないのですけれども、先ほど飯南郵便局の問題を申し上げたのは、これは氷山の一角にすぎない。しかし、そういう疑惑を持たれるような契約をしたことは問題があるというふうに人事局長は先ほどお答えになったのです。こういう疑惑を持たれるようなことが行なわれるとするならば、疑惑を持たれないような手段を選ぶことこそあなた方の責任じゃないでしょうか。それなら、私がいま言うように、われわれが非常に多くの疑惑を持っておるというのに、いえ、そういうことはございませんと言われるが、あなたはなくてもみんなが疑惑を持っておるならば、しかもそれが必要でもない、そういう推薦があってもなくてもそれにこだわらないというならば、なぜそれに固執して、あくまでも推薦をやめようという意思がないなどとおっしゃるのですか。必要がないものをなぜ断わらないのですか。必要がないなら断わるべきじゃないですか。それで疑惑を一掃すべきです。全然疑惑がないものならばそれでけっこうです。しかし、現に疑惑を持っておるのに、あなた方はその推薦というものはこだわらないのだ、こうおっしゃっておる。こだわらないものならば、疑惑をなくすためにはこれをおやめになるほうが妥当であると思うのですが、やめられない理由をもっとはっきり言ってください。
  42. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 ただいまの問題に関連して最初の問題をお取り上げになったわけでありますが、私、最初に申し上げましたのは、局舎の売買契約の中で推薦云々ということは、これは誤解を招くおそれがあるということを申し上げましたので、郵政局の立場からすれば、どういう形で推薦されようが、それには拘束されておりませんので、いま事新しく推薦の問題について、これをチェックするというようなことは、逆の立場からいえば、いま非常に拘束されておるということにもなりますので、そういう観点から、格別にいま取り上げる必要はなかろうというふうにお答え申し上げたわけであります。
  43. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 どうも人事局長意見がかみ合わないようですが、これは推薦という問題があるものですから、こういう局舎の契約にからんで局長に推薦しますというような問題が起こってくるのでありますから、郵政当局の任命権者がその推薦に左右されないものならば、何も推薦をしてもらう必要がないじゃありませんか。それならば、そういう疑惑を招くような特定局長会の推薦というふうなものは、この際もう一切しなさんな、かりに推薦があったとしても、そういうものは郵政局は初めから一切目を通さない、そうして厳正中立な立場で個人を調べて適当な人間を任用する、そのほうがよりすっきりするのに、必要でもないものを断わらぬでもいいとおっしゃるのは、どうも納得がいかない。必要でないものならば、疑惑を招くようなそういう推薦行為については、この際思い切ってやらせない、そのほうがいいのじゃないか。なぜそれが断われないのですか。
  44. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 推薦というものは、郵政局で求めておるものでございません。また、制度的なものではございません。したがいまして、繰り返して申し上げて恐縮でございますが、そういった事柄に拘束されているわけでもございませんし、したがいまして制度的なものでございませんものを、これを受け付けないとか受け付けるとかいう必要もない。まあ現在も推薦書に拘束されていないわけでありますから、それをことさらにまたはねのける必要も認めていないというわけでございます。
  45. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 拘束されていない、拘束されていないとあなたはおっしゃる。もちろんそれは人事局長立場からは拘束されているとは言われないでしょう。しかし、現実に私が先ほど申し上げたように、この飯南郵便局の問題にしても、あるいは私も知っておる特定局長を希望したある職員の場合にも、この局長会の推薦を得るためにたくさんのお金を使って、しかもそれがなれなかったために自殺をするというようなことが巷間うわさをされる。そのことをなくするためにも、そういう推薦というふうなものを一切お断わりするという態度のほうが、より一そうはっきりするのじゃないですか。拘束されないものなら、それは初めから要らぬじゃないですか。拘束されておらないからそんなのは断わる必要はない、こうおっしゃるのですが、拘束されてないものなら、断わったほうが一そう疑惑を招かないためにも正しいと私は判断するのですが、それをあなたはなぜそんなに固執なさるのですか。
  46. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 これは、現在郵政当局で取り上げておるものでございませんので、ことさらにあらためてこちらとして、またそれを別の角度から取り上げる必要もないということでございまして、私はことさらにこの問題を、推薦させるためにそれに固執しておるのだというふうなことではございません。また、先ほど申し上げましたように、これはいろいろの筋から、何も特定の会だけでなしに、いろいろな方面からあるわけでありますが、推薦してくるものを、ことさらにそこでしかりつけるというようなこともない。ただ、事実上持ってくるものを置いておくというだけであります。
  47. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 くどいようですが、特定局長郵政省職員ですよ。郵政省職員だから、おまえたちもうそういうことはするなということは言えるはずです。部外者がしてくるなら、それは断われぬかもしれぬ。そのときには、それは初めから見なければいいのです。そういうことになって、これは疑惑を生むものが、あなたのおっしゃるように出てきておる。それで、先ほどから私がるる申し上げておるような問題になっておるわけですから、これはあなたのほうで答弁ができなければ、私はあと大臣質問しますから、もうあなたのほうはけっこうです。  続いて質問いたしますが、この前私この委員会質問しましたが、郵政職員の懲戒、行政処分の手続についてどうなさっているか、もう一ぺん承りたいと思います。
  48. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 懲戒処分の手続といたしましては、懲戒に該当する事実がどのようなものであるかそれを確認する、その上に立って公正に手続を進めるというのが基礎でございます。事実を確認するということのために諸般の手続を行ないます。その一つといたしまして、本人から始末書を求める場合もございます。これは事実確認の一つの方法でございます。  たとえて申し上げますれば、部外における行為、職場外における行動、そういうものにつきまして、単なる風評によって手続を進めるわけにまいりませんので、本人から始末書を求めて確認する。また、その他の物的証拠を固めるというふうなことをいたします。しかし、局内において懲戒に当たる事実があったという場合、これは客観的にそういう事実がありますれば、始末書を省略するというような場合もございます。帰するところは、懲戒に該当する事実を確認する、その上に立って公正に手続を進める、そういうことに尽きるわけでございます。
  49. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 そこで、私は非常に問題があると思うのですよ。事実の確認のしかたですけれども、この前も申し上げましたが、たとえば労働運動等でストライキをやってそれに参加をした、こういう場合は、もう歴然として事実が確認できるわけですね。そうではなくて、たとえば最近よくあなたのほうでやる処分ですけれども、足にさわったとか手にさわったとか、そういうことですぐ、さわったかさわらないかも本人に聞かずにかってに処分をしてしまう。しかもその処分のしかたは、たとえば二人の管理者がおれば、それだけでもう処分をする。本人に疎明をする機会さえも与えずにどんどん処分をしていっておりますが、この処分のしかたは、ちょっと行政処分としては間違いじゃないでしょうか。確認のしかたに問題があると思うのですが、どうお考えですか。
  50. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 先ほど申しましたように、具体的に事実の確認を行なってから手続を進めるということでございますので、いろいろのケースに応じて行なう。労働組合との間にトラブルがあった場合の行動につきましては、これはもう実際問題として、その行為を行なった者はなかなかその事実を認めないわけでございます。しかし、客観的にその事実が多数の者によって確認されておるというような場合には、本人の疎明、始末書を待つまでもなくこれは処分を進める。そしてまた、現在の制度といたしましては、これは事前に慎重を期すべきことはもちろんでございますが、そういった処分後におきまして、人事院における公平審理とかあるいはその他の手続が認められておるわけでございますので、郵政省としてはそういう場合にもたえ得るように、またそういう公平審理を待つまでもなく、いろいろの批判にたえ得るように十分準備して進めておるところでございます。
  51. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 労働組合との間のトラブルということばをいまお使いになりましたけれども、労働組合との間のトラブルではなくて、個人ですね。個人の行為について、行政処分を行なう場合が最近しばしばございますね。たとえば、個人が職場の中で上司の命に従わなかったとか暴言を吐いたとか、そういう意味で処分をなさっておるのです。その場合に、ほんとうにその本人が暴言を吐いたのかどうか、そういう点については、全然調査をせずに一方的な処分が行なわれておりますが、少なくとも本人についてもそういう場合には調査を行なって、かりに本人がその事実を認めなくとも、局長のおっしゃるように、客観的にそういう事実があったと判断できる場合には処分をして、それでなお不満ならば人事院の公平審理と、こういうことはあるにしましても、管理者だけが二名——複数ということばをあなたのほうでは使っていらっしゃいますが、二人の管理者がおりさえすれば、こいつは暴力をふるったとか、あるいはこいつは上司の言うことを聞かなかったということを、そういう者の意見だけを聞いて、その他の意見、客観的な第三者の意見を徴することなく、いわゆる管理者二名以上で一方的に行政処分を行なう。この方法は私は片手落ちだと思いますが、どうですか。
  52. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 管理者とか一般職員という区別なしに、私どもといたしましては、客観的に事実を確認し得る体制のもとに進めるということでございまして、管理者であればよろしいとか、管理者でなければだめである、そういうことでなしに、その現場においてそういった事実を確認し得る者を複数、できるだけ数多くというようなことで取り進めておるわけでございます。
  53. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 もう一度お伺いしますが、そういう処分をした結果が、非常に片手落ちな場合がたくさんありますと私は申し上げておるのです。客観的に明らかな場合は、さっき申し上げたようにストライキでもやってそれに参加をした、こういう場合は、もう客観的に明らかなんです。しかし、職員の個人を対象にしてそういう行政処分を行なう場合には、いま私が申し上げたような、本人が否認する場合には、もっと多くの方々から資料を集めて、手落ちのないような処分をすることが妥当ではないか。その意味で、本人に疎明をする機会を与え、そしてより多くの人たちからの客観的な事実を集めて、そういう手続をとることのほうが妥当ではないかと申し上げておるのですが、それは妥当じゃないですか。その点はっきりしてください。
  54. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 懲戒処分は、公務の秩序、職場の規律を維持するために行なうわけでございますので、おのずから時間的制約、タイミングの問題がございます。時期を失せず適正に行なうということが一つの要素でございます。そういう観点から手続を進めます場合に、あまりに時日が遷延するというようなことも避けなければならぬという要素がございます。しかし、仰せのごとく、客観的事実を把握するという立場から私ども進めておりますので、ことさらに本人が疎明を申し出てくるものを拒否するというようなことはございません。
  55. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 最後に、もう一度人事局長にお願いをしておきたいのですけれども、いま私が申し上げましたように、そういった片手落ちな処分がしばしば行なわれて、そのことが職場でまた次の問題をかもしておる事実が非常に多いのでございます。したがって、私が申し上げた手続、いわゆる本人にも——本人は処分されるかされないかわからないのです、いまのところ。わからないのに、疎明をする機会はないじゃありませんか。ですから、本人にそういう事実があったかどうかということについて疎明する機会を与え、一般職員についてもそういう事実について調査をする。あなたは時期を失せずにというおことばを使いましたが、二年もたって処分をされたのだってあるのですから、そんなに時期を失せずということにあまり重点を置かずに、ほんとうにそういう非違行為があったかどうかということに重点を置くことのほうが私は大切だと思いますから、私が申し上げた意見が正しいとするならば、ひとつそういう手続を今後とるようにお願いをしたいと思いますが、どうでしょうか。
  56. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 現在におきましても、相当慎重に処分手続を進めておるつもりでございますが、今後とも慎重に、客観的事実に基づいて進めるようにさらに努力したいと思います。
  57. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 ぴちっとこないのですがね。私が申し上げましたように、少なくとも客観的な事実が明らかでない場合、いわゆる個人の行為について処分をする場合には、個人に疎明の機会を与える、これが一つ。二点目は、いまおっしゃった客観的事実をもっとより広い範囲で集めて、手落ちのない処分を行なう、そういうようにひとつ確約をしてもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  58. 中田説明員(中田正一)

    ○中田説明員 最初に申し上げましたように、局外においての行為などにつきましては、これはもう十分本人の疎明を聞かなければならぬわけでありますが、職場において現実に行為が行なわれた場合には、これはもう必ずしも本人の疎明を聞かずに、客観的に証明し得る資料に基づいて手続を進めることは、これは将来ともあり得ると思います。しかし、全般的にこういった問題については、一そう慎重を期するように努力をしていきたいと思います。
  59. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 大臣がお見えになりましたので、大臣にひとつ所見を承りたいと思うのです。  先ほど来、実は人事局長との間で意見をかわしたわけですけれども、特定郵便局長の任用にあたりまして、前の特別国会の際に武部委員のほうからも質問をいたしましたが、特定局長株というようなものがあって、その局長の任用に金の受け渡しが行なわれているというような、疑惑を持たれるような問題があったわけでございます。それの一番もとになるのは、今日特定局長会というのがございまして、必ずこの特定局長会が後任局長の推薦をするという一つのシステムみたいなものになっておるわけでございます。ところが、人事局長のほうでは必ずではない、こうおっしゃるのですけれども、私の知る限りでは、ほとんどの特定局長の後任の選任にあたっては、局長会が推薦をするというような形が行なわれておりまして、その局長会の推薦を得るために、人によってはかなりの金品も使う、そういう疑惑が持たれ、風評が流れておるところでございます。しかし、人事局長お話によりますと、そういう局長会の推薦などはあってもなくても郵政局の人事には一切関係がないんだ、こういうふうにおっしゃるわけです。  したがって、私は、そういう一切関係のないものならば、疑惑を持たれないように、郵政省としても特定局長会からの推薦というものはさせないように、局長といえども郵政職員ですから、そういうことはするな、出したところで同じことなんだからということをはっきりして、自今、特定局長会からの推薦は受け付けない、というとおかしいですが、出させないようにする。それにしても、なお第三者などで出す者があるかもしれませんから、そういうものも一切郵政省としては見ないという原則を打ち立てて、白紙の立場で後任局長の人選を行なう。それが、今日疑惑を持たれているこの特定局長の任用をめぐって、一番すっきりする方法ではないかというふうに考えますので、実はくどく人事局長にもお尋ねしたのですけれども、人事局長としましてはそうしますということをなかなか言えないようですから、こうした弊害、疑惑、そういうものを取り除くために、この際大臣の英断で、ひとつ特定局長会から後任局長の推薦をすることはやめなさい、そういう指示をお願いができたらと思うのですが、いかがでしょうか。
  60. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 人事局長との阿部さんのやりとりを直接承らなかったのですが、任用権というものは、これは役所の立場に厳然としてございますから、何かそういう申し入れがございましても、おそらくそれに拘束されるということはないはずでございます。  したがいまして、そういうふうなことが何か従来習慣的にあるのでしょうか、その辺私もはっきりしませんけれども、そうそれにこだわらなくていい問題だ、こういうふうに考えますので、まあ通達を出すとか何かえらいぎごちないことはどうかと思いますけれども、十分そういう点は注意をしてやってまいりたいと考えます。
  61. 阿部(未)委員(阿部未喜男)

    阿部(未)委員 大臣の非常にりっぱな御答弁をいただきましてありがたく思っておりますが、ちなみにもう少し触れさせてもらいますならば、特定局長会の推薦がなければ局長になれないのだ、そういうムードがあることだけは間違いがないのでございます。したがって、いま局長もおっしゃるように、そういうことはないのだというのならば、そういう疑惑がなくなるような措置をとることが望ましい。これが私の本意でございますから、ぜひひとつ今後そういう疑惑を持たれないような措置を、大臣のほうからも、指示と申しましょうか、何らかの措置をとっていただくようにつけ加えてお願いをしたいと思います。  そのほか、実は大臣貯金の問題がございまして、これについては貯金局長さんのほうにお願いしましたが、大蔵省との関係脱税行為云々とか、いろいろ新聞に書き立てられまして、職員の意欲をそぐような問題が非常に多うございますので、角をためて牛を殺すようなことにならないように、十分ひとつ配慮してもらいたいことをお願いをしておきましたから、大臣からもひとつ指示をお願いしたいと思います。  三点目は、先ほど大臣がお見えになったときやりとりしておりました職員の懲戒処分につきましては、公正を期してもらうために、可能な限り本人にも疎明の機会を与えてもらう、そういう措置を今後の処分についてはとってもらいたいし、より多くの方々からはっきりした資料を集めての上で処分をしてもらわないと、やはり処分というものは、職員にとっては非常に将来にかかわる大きい問題でございますから、慎重の上にも慎重を期してもらう意味で、ぜひそういうことをお願いしたい。  この三点についてきょうは御質問申し上げたわけでございますので、ぜひひとつ今後大臣のほうでも、十分な御配意をお願いをしたいことをつけ加えまして、私の質問を終わらせてもらいます。
  62. 金子委員長(金子岩三)

    金子委員長 中野明君。
  63. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 先日、FM東京の電波の免許に関しまして私、質問いたしましたところ、大臣は虚をつかれた感じで、よく調査して云々というようなお話がありました。それからだいぶ時間がたっておりますので、おそらく実態の全貌を大臣はおわかりになっているんじゃないか、そのように思いますので、きょうは、前回問題になったところを含めまして、具体的な質問をしてみたいと思います。  まず、東海大学側が訴訟を取り下げましたことは、前回の答弁で了解しておりますけれども、そのときに、話し合いがついたので東海大学側のほうが取り下げた、こういうふうなことを答弁されております。どういうふうな話し合いになったのかということを、最初に関係者から聞きたいのです。
  64. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  東海大学は、いま御指摘がございましたように、当初電波法令について郵政省に対して告訴されたわけでございますけれども、私どもといたしましては、いわゆる東海大学とされましては、電波法令といったものについていろいろ誤解されているということもあったようでございまして、私どものいわゆる行政指導というものによりまして、当省の考え方というものを十分理解されまして、いわゆる超短波放送の本格的実施という方針に同調されまして取り下げが行なわれた、そういうふうに解釈しておるわけでございます。
  65. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 郵政省側から電波法違反というような、不法電波の発射というようなことで告発をし、同時に東海大学側では、それに対して執行停止並びに郵政大臣を名誉棄損と誣告罪で訴えた、郵政省と教育機関である学校法人との裁判の争いというのですから、これは異例なことだろうと私も思います。そのことを取り下げるのに、話し合いで、いま局長が答弁なさったような簡単なことで話がつくならば、何も裁判で云々する必要さらさら私はないだろうと思うのです。もっともっとその裏にいろいろと、その当時私どもも巷間うわさを聞いておるわけですが、そのうわさは、当時のFM東海ですか、それがそのまま移行するという、そういう話し合いがついたんではないかというようなうわさが巷間相当流布されておりました。結果から見たらそのとおりになっております。このうわさを裏づけるような結果になっております。ですから、結局新しい会社ができたら、そのまま現在の実用化試験局を移行させる、そういうふうな話し合いがついたんではないかという、このうわさを裏づけするような結果になっているのです。その辺、非常に関心を持って関係者は見ておるところでございますので、はっきりと答弁を願いたいのですが、もしもいま私が言ったようなことであれば、これは重大な問題だろうと思うのです。電波を取引の材料にしたという心配も出てくるわけですから、そんな簡単なことで向こうがその裁判を引き下がったかどうか、常識では私は考えられないのです。  いまの局長の答弁では、郵政省の方針を理解してくれて簡単に取り下げた、こういうふうなお話なんですが、何かそこに条件をお出しになったのじゃないか。何の条件もないのに——東京地裁の判決が、どちらかというと大学側のほうに有利です。大学側のほうで有利な判決が出ておるにかかわらず、向こうが裁判を取り下げる、告訴を取り下げるということは、よほど何かそれにかわるべき条件というものをお出しになったのじゃないかと私は思うのですが、そこのところをもう少し具体的に御答弁願いたいのです。
  66. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  いま先生のおっしゃったような条件というものは、私ども聞いておりません。
  67. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 非常にそこら辺が奇怪な一つになっておりますが、私も、どう考えてもこの放送の免許は、先般から申し上げておるように、いままでから非常に疑義があります。全然放送関係のない一般国民の皆さんも、なるほど放送局というものはこういうふうな順序、経路を経て免許されるのだな、このように、だれでもわかるような免許のしかた、免許の行政を私は望んでおるわけです。ですから、過日来再三にわたって御質問を申し上げておるわけですが、いま申し上げたこの一点も、そういう疑問をいまの御答弁では晴らすことになりません。どう考えても、いま私が申し上げましたように、自己に有利な判決が出ておる裁判を取り下げる以上は、何かそれにかわるべきものを条件としてお出しになったのじゃないか。これは私も、具体的な条件というものについていろいろ聞いておりますけれども、また後ほどこの問題についてはお尋ねしてもいいと思っております。  この際、世間のうわさがそういううわさでしたが、あらためてお聞きしておきたいのですが、FM東海の実用化試験局、これの人員とか、機械、スタジオ、これらは現在どうなっておりますか。
  68. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 当時のFM東海のいわゆる送信機並びに人員の一部というものは、現在FM東京のほうで、機械はある程度使っておりますし、それから人員もある程度採用してそこで働いておる、そういうことでございます。
  69. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 いまある程度とおっしゃったのですが、程度の問題ですが、結局そっくりそのまま移行した、こう言っても差しつかえないような形じゃなかろうかと私は思います。しかも、これは巷間伝えるところによりますと、十キロの送信機を、これは非常に高額なもののようですが、三年前にすでに実用化試験局が日電に発注しておる。こういうような事実から考えても、既定の路線として、当然そうしてもらえるというふうな路線を考えて発注したのじゃないかということもいわれておるわけです。ですから、今回のこの免許につきましては、最初から私どもは非常に疑惑を持っておるわけです。後ほどこの問題は、あらためてもう一ぺん触れていきたいと思います。  そこで、大臣もおいでになっておりますので、前回も非常に私は問題にいたしましたが、FM東京の代表役員五名の中で、三名まで電波法違反の容疑者が入っておる。すなわち、東海大学の役員が入っておるという点、これは私は明らかに法律違反だ、このように解釈いたしております。大臣はその後調査をなさったと思うのですが、これは法律違反だから、この免許は取り消すべきじゃないか、このように私は主張いたしましたが、その後の調査大臣のお考え方はどう変わったか、大臣の御答弁をお願いします。
  70. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 御指摘の問題でございますが、当初東海大学が、電波法令に対する理解という点において不十分なために違法運用が行なわれたということは、これは私は事実だと思うのであります。  ただ、しかしながら、その後行政当局の指導に服しまして、この違法運用を停止いたしました。そして昭和四十四年の十二月当時までざっと一年間、この間違法の行為もなく、そして国の方針に協力をしていく、こういう旨の表明がございまして、そういう点も考えあわせまして、私どもとしましてはその一年間の実績というものを認めて措置をした、こういうことでございます。
  71. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 では、あらためてお聞きをいたしますけれども、電波の免許というのは、郵政当局が自己の判断に基づいておやりになるものか、それとも何か根本の基準となるものがあって、それに従ってやっておられるのか、もう一度この機会にその根拠を明らかにしていただきたいと思います。
  72. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  前回も申し上げたかと思いますけれども、無線局あるいは放送局の免許というものは、もちろん法律に基づきまして行なわれるわけでございまして、いわゆる電波法の七条というものに、放送局の免許の場合の基準がございます。すなわち、工事の設計が技術基準に適合しておることと、周波数の割り当てが可能であること、それから財政的基礎があること、それから放送局でございますと、放送局の開設の根本基準に合致するものであること、こういった四つの基準がございまして、それに基づきまして免許をいたすわけでございますが、特に放送局の場合は、この根本基準にありますように、申請が多数ある場合は、公共性の高いものから免許していく、そういうかっこうになっておるわけでございます。
  73. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 いま局長が述べられたように、第七条で無線局開設の根本基準ははっきり明示されております。また放送局の開設の根本的基準という法律事項がありますが、これの九条、十条、これを要約していま局長はおっしゃったんじゃないかと思います。それによりますと、まず九条では公正ということ、これは非常にやかましく言っております。十条では公共の福祉に寄与するものが優先すると、はっきり優先順位を説いております。  そうしますと、私どう考えてもおかしいのは、申請が六十六社もあって、しかもその中で、いろいろの独占排除のこともあったんでしょうが、三十一社にまず焦点を当てて、その三十一社を一本化する、こういうふうな形になっている。このような数多くの申請者の中からそれをしぼったというのならば、いまの電波法違反容疑はまだ係争中でありますから、当然これは判決が出ます。そうしますと、有罪になったならば、これは七十五条によって即刻大臣は免許を取り消さなければなりません。これはおわかりだと思います。そのような人たちが重役五人の中で三人も占めている、過半数を占めているというような会社のどこに、最も公共の福祉に適合した優先順位というものがあるか。そして、どこにそれが公正な免許であるといえるのか。私は、これは明らかに法律違反だと思う。有罪の判決がおりたら、すぐ免許を取り消さなければならぬ。それがそこ一社じゃない。しいて言えば、六十六社、それをつづめて三十一社の中から選定してきたという会社に、なぜ免許をおろさなければならぬか。法律ではそうなっている。だから、完全にこれは審査の基準からはずれております。だから私は法律違反だと言うのです。大臣の御見解をお願いしたい。
  74. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 私、当時のその事情を直接はつまびらかにしておりませんけれども、いま問題になっておる申請者の客観的な資格というものは、充足されておったのだろうと思うのであります。ただし、その係争というものがまだ続いておるということにかんがみまして、そういう点は司法のほうの結論が出ました場合には、これはまたそれによって措置をしなければなるまいかとは思いますが、まず当時の客観的な条件というものは満たされておった、こういうふうに現状において私は理解をしておるわけであります。  なお詳しいことは、事務当局のほうから申し上げることにいたします。
  75. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 追加して御説明申し上げます。  先ほど、いわゆる放送局の開設の根本的基準の十条のことをおっしゃったわけでございますけれども、具体的なFM東京の免許というものにつきましては、先ほど御指摘がありましたように、三十一社の申請があったわけでございます。それを郵政省としまして、一々電波法並びに放送法あるいはこの根本基準といったものに照らしまして、特に先ほどの十条によりまして優先順位をつけて、その一番優先順位の高いものを免許するということであればよろしいわけでございますけれども、三十一社の申請というものが、いずれもこの免許基準といったものに合致いたしておりまして、私どものほうといたしましては優劣をつけにくい、そういう状態であったわけでございます。  したがいまして、この前も申し上げたかと思いますけれども、一人の調停者に御依頼を申し上げまして、そこでまとめていただいた。したがいまして、三十一社のうち三十社が申請を取り下げて、残った一つに対してこちらが予備免許を与えた、そういうかっこうでございまして、郵政省としましては十条に基づくような、周波数が不足する場合には、その最も公共の福祉に寄与するものが優先するということでこの免許をおろした、こういうかっこうではございません。  それからもう一つ、いわゆる電波法違反の場合は、「この法律又は放送法に規定する罪を犯し罰金以上の刑に処せられ、その執行を終り、又はその執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者」に対しましては、無線局の免許を与えないことができる、そういうことにこの電波法の第五条というものはなっておりまして、これは、たとえいまのような刑の執行といったようなことがあっても、即刻免許を取り消すという法律上のたてまえにはなっておりません。
  76. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 いま局長は、十条で考えたのではないということをおっしゃったのですが、そうすると、一本化されてきたものは、少々納得のいかぬところがあろうと、不合理なものがあろうと免許をする、そういうことですか。いま局長がおっしゃった答弁は、三十一社を一本化したものであるならば、それが少々非合法であろうと何であろうと免許をおろすのだ、そのような答弁にしか私はとれないのですが、どうでしょう。
  77. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、この三十一社が一本化した、そういう免許に対しまして、先ほどちょっとことばが足らなかったわけでございますけれども、それに対しまして、当然この電波法並びに放送法、それに関連する法規に照らし合わせまして、それが適合しているということで予備免許を行なったということでございます。
  78. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 適合しておらぬと私は言っているのです。そういう問題のあるようなところへ免許をおろさなければいいでしょう。何ぼ一本化されてきたからといって、必ずしも郵政省は免許をおろさなければならないということはないはずです。おかしければ、こういう状態では困る、だからやり直してくれとかなんとかというだけのものは、免許を与える郵政省としては、それだけの権利は持っているはずだと思います。それを与えてしまったから、あとから、いまになって、これは違法じゃないとか、合法でございますということを言っているにすぎないと思います。その時点でなぜ断わらなかったか、私はそう思う。そう言いたくなってまいります。  しかも、国家公務員法を読んでみますと、公務員は法令に従って忠実に仕事をせいと書いてある。だったならば、いま言うように、そのような傷のある、しかも重役五人の中で三人まで、過半数を占めておるというところに——ほかの罪ならば私は言いません。不法電波を発射したということは、電波法の中で一番重い罪だろうと思います。そういう罪を犯した人が過半数を占めているところへ、なぜ好きこのんで免許をおろしたか。六十一社からしぼられてきた会社としては、あまりにも傷だらけじゃないか。まずここら辺が、この免許にあたって私どもが一番疑問に思うところです。これじゃ国民は納得できないと思います。法律に何とかすれすれで違反しないからというような言いのがれをいまなさっているようですけれども、それじゃ納得できません。免許をおろしたのは郵政省でしょう。おろさなかったならばよかったのでしょう。そういう問題は、もっと検討してもらいたいと言えば、それで終わりじゃありませんか。そこのところが私はどうしても納得できない。  そういうことで押し問答しておってもしようがありませんが、大臣は先ほど、大学のほうは電波法令をあまり詳しく知らなかったのじゃないだろうかというようなことをおっしゃっていますけれども、このFM東海の実用化試験局の責任者は権威者ですよ。われわれこそ電波法を知らなかったと言っても通るかもしれませんけれども、この学校の責任者並びにFM東海の運営をしている人は、電波法の権威者じゃないですか。この方が電波法を知らなかったということは、大臣、それは絶対に言えません。そんなことを言ったら笑われますよ。しかも、何か一年ほどはもう不法電波を出さないで、国の方針に協力したからというようなことをおっしゃっていますけれども、国の方針に協力するのはあたりまえのことです。あたりまえのことをしたからといって、前の罪が消えるというような法律はどこにあるのです。しかも、大臣の答弁を要約しますと、一応不法電波を発射した違反で告訴した、しかしながら、その後一年間不法電波を停止して、違反容疑もないからかまわないと思った、こういうふうな答弁です。  ところが、あの告発をよく見てみますと、電波法に基づいて告発したと郵政省がはっきり言っております。電波法第四条に基づいて告発した、こう言っておる。ならば、違反を一たんはしたけれども、その後情状酌量して、こういうふうにまじめにやっているから、いままでの罪が帳消しになったという判断、この判断はだれがしたのです。法律のどこに書いてあるのです。電波法のどこに、一たん不法電波を発射したけれども、その後一年間黙っておれば、おとなしくしておれば、帳消しになりますというようなことが書いてありますか。電波法に基づいて告発されたならば、電波法に基づいてやられるべきでしょう。情状酌量するとかせぬとかいうのは裁判官の言うことでありまして、行政官である大臣の言うことと違うと私は思います。そんなことは裁判所がやればよろしい。何の法律に基づいてあなたはかまわないと思ったか、そうおっしゃったか、それを返事してください。電波法のどこに書いてありますか。
  79. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 おそらく、当時のいきさつとしましては、行政的な判断に基づいて予備免許は与えられたと思います。その係争というものはすでにそのときからあったにしましても、その司法上の決着というものはまだついてはおらなかったはずでございますが、おそらく、一年にわたる違反のない行為というものの基礎の上に立って、行政措置としてなされた行為ではないか、こう思っております。
  80. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 名前は私、伏せますけれども、ある有力な方、この方は電波についてはとても詳しい方ですが、私が郵政大臣だったら、絶対免許をおろすどころではない、こうはっきり言っております。今度目はそういう性質の免許ですと、その方ははっきり言っているのです。いずれこれは今後の国会でおそらく問題になってくると思いますけれども、私は、大臣の先ほどからの答弁では納得できない。電波法に基づいて告発をしておきながら、その後違反の容疑が一年ほどないものだから、情状酌量していいと思いました。電波法に基づいて告発したならば、電波法に基づいて今度目は免許しなければいけません。不法電波を発射しなければ、一年間で罪が消えたというようなことは、電波法にはどこにも書いてない。そういうことを大臣が平気で認められるならば、日本の電波はめちゃめちゃになりますよ。どんどん不法電波を出して、しかられたら、私は電波法をよう知りませんでした、以後気をつけますと言ったら、一切罪が消えてまた免許をもらえる、この基本的な姿勢を変えてもらわない限り、電波の疑惑というものは、黒い霧とかなんとかいわれておりますが、それはなくなりませんよ。いまの大臣考え方、その姿勢をそのままずっと発展していったら、たいへんなことになりますよ。今後、不法電波は幾ら発射してもたいしたことはない、その後一年黙っておれば、もう大臣は許してくれるんだ、電波監理局はもうやかましく言わぬのだ、おれの罪は消えたんだ、こうなれば、電波行政というものはめちゃめちゃになってしまいます。だから私は心配するんです。法に基づかない電波というものは不法電波で、絶対取り締まらなければならぬということを、小林前郵政大臣も参議院で答弁しております。そのとおりだと私は思います。それを、現に郵政省が明らかに不法電波を発射したとして告発しておきながら、いや、情状酌量しまして、そこで免許をおろしましたということで通るでしょうか。その行政の姿勢、基本的なものの考え方、これを変えない限り、私は日本の電波行政はよくならぬと思うのです。  だから、せっかく井出大臣が就任されたんですから、前の大臣のときだったでしょうが、その免許がおかしいならば、検討して取り消されることは当然だと思います。あやまちを改むるにはばかることなかれということわざもありますが、間違っている、おかしいと思ったら、改められればいいじゃないですか。前の人がやったことを、いつまでもいつまでも正当化しようというところに問題があると私は思うのです。だから、いまの答弁ではとうてい納得できません。大臣は電波の元締めです。その大臣が、みずから電波法違反で告発をしておきながら、それが一年ほどおとなしくしておったら、もうかまわぬと思っておろしたんでしょう。そういうふうな甘い考え方で電波を見ておられたとしたら、これはたいへんです。それを私は言っているんです。
  81. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 私、決して責任を回避しようというのではございません。かつて行なわれた事態に対しまして、一つの解釈とでもいいますか、そういう考え方を申し上げたわけでございます。しかし、筋は私、中野委員がおっしゃるのがまさに筋だと思います。そういう次第でございまして、この問題は一つには裁判ということにもわたっておりますので、そういう点も十分に考慮しながら姿勢は正さなければいけない、こういうふうに考えるものでございます。
  82. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 それは、確かに三権分立ですから、裁判は裁判でいいでしょう。しかし、裁判云云の問題じゃないと思うのです。裁判以前の問題なんです。私が申し上げておるのは裁判以前の問題ですよ。大臣の、郵政当局の電波に対する姿勢の問題なんです。裁判で白黒つけて、勝った負けたというのはそれから後の問題ですよ。もちろんそれも必要でしょう。けれども、それ以前に改めなければならない姿勢がある。あなたは、輿望をになって大臣になられたんじゃないか。それは、私は最初から申し上げておるのです。だから、もっと決断をなさらないといけない。前の人がやったからしようがないわ、しょうがないわというような感じにしかとれぬのです。それじゃ、何度大臣がかわられたってどうしたって意味ないと思います。  次にいきたいと思います。こんなことで何ぼ言い合ってもどうしようもないのですが、次は、これは確認になりますが、先日、郵政省のお役人が、三十一社に申請の取り下げ届けを取りに行ったことはない、このように私が質問したときに電波監理局長は言いました。好ましいことじゃない、絶対そんなことはあり得ないと信じるというふうに答弁がありました。いまでもそのとおりでしょうか。どうですか。
  83. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  この前は、私よくそういった点を調べておらなかったので、この前のような御答弁を申し上げたわけでございますけれども、その後詳しく調べました結果、郵政省職員が出向きまして取り下げの届けを持ってきたという事実はございます。  ただ、その場合、こちらがかってに行ったわけではございませんで、調停者のほうから頼まれまして、時間的な問題もあったわけでございますので、こちらがお手伝いを申し上げた、そういうこでございます。
  84. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 いまほんとうのことをやっと言われたようですが、あなたは一番好ましくないことだ、こうおっしゃっております。前回の会議録にありますが、一番好ましくないことだとおっしゃったことが現実に実行されている。あとで言いわけをつけましたが、そんな言いわけなんか通りません。おそらく役人の人が自分かってに行くわけがない。だれかが命令をしています。だれが命令したのです。
  85. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、調停者のほうから、時間的な問題もあったので役所のほうで行ってくれ、そういうことを頼まれましたので、役所の人間が出向きまして取り下げ願いをいただいてきた、そういうことでございます。
  86. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 直接足立さんが、役所の役人の下のほうの人に頼まれるわけがないのですよ。足立さんに調停を頼んだのはだれですか。
  87. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  当時の大臣であると思います。
  88. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 大臣が足立さんに頼んだならば、当然大臣に頼んでくるはずです。そんな面識もない下っぱのほうの役人の人に、直接電話で足立さんが、あっちへ行けこっちへ行けと指図するわけがありません。だれかが受けて、だれかが命令したからこそ下の人が動いているのです。お役所がそんな命令系統のない人の言うことを聞いて、かってに動いたら大問題ですよ。よくも局長さんそんな答弁をなさると思って、私あきれているのですがね。あなたはたびたび、一本化の内容についてはわれわれは一切知らぬ、関与してない、こういうことをおっしゃいます。そんなわけのわからぬような仕事に、関与してないことに郵政省の役人を使ったということは、これまた法律違反ですよ。だれか命令していますよ。命令していなければ下の人は動きませんよ。これは、あなたもお役所につとめておられたらおわかりだと思います。私は使いに行った人を責めるのではなく、命令した人を問題にしているのです。いやしくも公務員でしょう。それを一本化にあたっては——たびたび問題になっておりますすけれども、一本化にあたって、一番大事なことは取り下げ届けということです。個人が申請した権利を放棄する、取り下げる、この取り下げ届けというのが、一本化にあたっての一番の急所です。この一番大事な取り下げ届けを、違法にも郵政省の役人に職権をもって取りに行かせた。  しかも、結果がよければまだいいけれども、その結果が正常な状態ではない。いろいろ問題を起こしている。おどかされて、どうかつされて取り下げ届けを取られたとか、直接免許をおろす側の権力を持った役人が来て、取り下げ届けを出せ、それを出さなければあなたのところの権利はほごになるぞとおどされて、もうしようがないから取り下げ届けを出したというような問題も起こってきている。こういうことをやらしている。まことにこれはたいへんなことです。  私も電波法を、これに関連して、こんなむずかしい法律をわからぬのに一生懸命読みました。何べんも何べんも読みましたけれども、電波法のどこを見ても、一本化しなさいとは書いていませんね。たくさん申請が出てきたら、それを一本化して、それで一本化したものに免許をしなさいということは書いていませんよ。ということになりますと、法律ではうたってないような作業、法律事項ではないような作業、しかも、それに公務員を当たらせたということは、これは大問題ですね。極端な言い方をしたら、国家権力の言論介入だといわれてもしようがないですよ。この点、大臣はどう考えますか。一本化にあたって、一番大事な取り下げ届けを、事もあろうに郵政省の役人が取って回った。それでいろいろ問題を起こしている。大臣、どうでしょう。
  89. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 一本化とは、決して法律には書いてないとおっしゃるが、そういうことでございましょう。しかし、事実問題といたしますれば、数多くの人々がわれもわれもと申請をしておる、それを調整をするというための話し合いをしていただくというのは、これは私は行政としてはどうもそうせざるを得ないのではないだろうかというふうに思うのでございます。  そういう場合、これはスムーズにいけば問題ないのでありますけれども、いま御指摘になっておるような事実があるとすれば、これはたいへん遺憾なことといわなければならぬのでございまして、一本化そのものについては、中野さんも、行政の任に当たる者の苦心のほどといいますか、これは御理解がいただけるのではないかと思いますが、そのやり方には、私も省みて不十分な点があった、こういうふうに思うのであります。
  90. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 大臣のはお答えになっておりませんね。こんなに大事な、一本化で一番焦点である取り下げ届け、どっちかというと個人の権利を放棄する、こういう個人の基本的な利害に関する一番急所に、その衝にある公務員が取り下げ届けを取って回ったということは大問題です。しかも、それが国家公務員ですよ。この責任をどうするのです。これはたいへんな問題だと私は言っているのです。一本化のことについては、あとでまた尋ねます。むずかしいとおっしゃるけれども、むずかしいかもしれませんけれども、やる方法はあるのですから、これはまたあとに譲ります。  いま問題にしているのは、郵政省の役人が職権を利用して取り下げ届けを取って歩いたということ、これはどうですか。前回局長は、最も好ましくないことだ、そんなことはないと言った。きょうは、調べたらありますと言う。ぼくは局長もちょっとおかしいと思うのですが、局長になられたのはいつです。私は知りませんでしたとおっしゃっていますけれども、たしかあなたが局長のときにこの免許がおりているはずですよ。私は知りませんでしたと言われて、この前私はきれいにごまかされて、あとで調べてみて自分でびっくりしているのですがね。あなたは、ずいぶん無責任な答弁をなさいましたよ。もう一ぺんそれだけ聞きましょう。いつ局長におなりになったのですか。その以前はどこにおられたのでしょう。関東電波監理局じゃなかったでしょうか。関東電波監理局というのは、この申請の窓口になっております。全部関東電波監理局を通じて申請され、訂正もされる窓口になっております。それで、当時局長じゃなかったので、そのことは全然知りませんというようなことをあなたは言われたのですよ。ちょっとそこのところ、もう一ぺんはっきりしておいてください。
  91. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  私が就任いたしましたのは、昨年の十一月の末ごろでございます。もちろん、このFM東京の免許は私の在任中に行なったわけでございます。  ただし、いまお話がございます取り下げの件につきましては、昨年の三月ごろに一本化というものが進みまして、一本化ができそうだということで、先ほども申し上げましたけれども、当時調停者のほうから役所が頼まれて、これはもう単に事務的にやってくれ、もう話はついているので、事務的にその取り下げの書類だけを取ってきてくれということで、三月にそういうことをいたしたというわけでございます。ただし、そのときは全部ではございませんで、三十一社のうちの二十七社が昨年の三月に取り下げをされた。それから、日付がちょっとわからないのでございますが、一社さらに取り下げをされまして、それから、私が参りました十二月になりまして二社取り下げをされた。そのときは、もちろん郵政省職員が出向きまして取り下げ届けを持ってきたということはございません。
  92. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 あなたは、自分は知らぬというようなことをおっしゃっていますけれども、それはもう局長になられて、自分で免許をおろしているのですからね。だから、知らぬというようなその場のがれの答弁は私は困ると思います。個人の権利である申請を取り下げるという直接利害に関する重要な作業、これに公務員を当たらしたということは問題ですし、さっきも言いましたように、FM東海の横すべりの会社であるFM東京というのは、これは突如として出てきた申請です、初めの申請にはないのですから。一本化されてから後に突如としてあらわれた申請に、その一部の申請者のために公務員を働かした、これは問題ですよ。わかりますか。一部の申請者の利益のために国家公務員を働かした。  憲法十五条に書いていますね。「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。」と、はっきり憲法には明文があります。これは私、重大な憲法違反だと思うのですね。公務員というのは一部の奉仕者じゃない。全体の奉仕者だ。それを、でき上がった会社を見たら、前から問題のあるFM東海の横すべり会社です。三十一社じゃない、突如として出てきた会社、その会社を設置するための取り下げ届けを公務員が取って歩いた。これは一部のための奉仕じゃないですか。国家公務員法にも同様の規定がありますよ。この責任はだれの責任ですか。行政の長であるところの大臣責任じゃないかと私は思いますが、この憲法解釈は法律学者にまかせればいいでしょうけれども、私は憲法を読んでみてびっくりした。すべての公務員は全体の奉仕者で、一部の奉仕者ではないと書いてあります。一部のために奉仕しているじゃありませんか。大臣、どうでしょう。
  93. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 これは憲法解釈が問題になるようでございますが、その場合の認識として、調整がなされて一本化した、これは三十一社ですか、その全体にわたっておるという解釈もできるのではないかという感じがいたすわけでございます。したがって、その免許を取り下げた何社かが強制的な——さっきどうかつというようなことばを使われましたけれども、そういうことではなくして、その使いに行った者が云々ということはしばらく別としまして、やはり取り下げられたということには、自発的な意思が働いておったのではないかというようにも思われまして、そこのところ、憲法上の問題というのは非常にデリケートだと思いますが、事実関係は私はそんなふうに認識をいたしておるのであります。
  94. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 これは、私があのときに心配しておりましたとおり、大臣はあのときは全然そんなことはないとおっしゃってましたが、三社と一個人からFM東京の免許の取り消しを迫る異議申し立てが出たようですね。今度は御承知だろうと思います、異議申し立てが出たのですから。この前は、そんなことは知らぬ、間接的にも何も聞いてないというお答えでした。だから私が先ほどから言っているように、どうも放送の免許というのは不明朗でいかぬと、われわれしろうとなりにいままでから感じておりましたが、この疑惑の目をもって見られているときに、こういう事件がたまたま起こったわけです。ですから、電波行政のガラス張りということを国民の前に知らせるためにも、この疑惑を解くためにも、異議申し立ては、私は堂々とお受けになるべきだというような気がするのです。そして電波監理審議会でも実質的に審議して、電波行政はほんとうにガラス張りでございますよ、一切心配しなさんな、そういうふうに明らかにするときだと私は思います。現実にちゃんと出てきている。役人が取りに回ったことについて不満を持って、そんなことはとんでもない、私はだまされたのだという異議申し立ても出ております。しかも、先ほど局長は、時間が急ぐからと言われたけれども、十二月でないと出ていないじゃないですか。三月から十二月まで十カ月もかかっていますよ。時間が急ぐどころの騒ぎではないですよ。時間が急ぐから公務員を応急にやらせたと言われるが、それから十カ月もせなければ取り下げ届け全部集まってないじゃないですか。一々御返事は答弁になっておらぬですよ。私らどう考えてもこの問題は納得できないです。これは大臣責任になると思います。  時間もだいぶたったようですから次にいきますが、監理局長は先ほども、三十一社がおのおの甲乙はつけがたいので一本化したということを言っております。あなたがそう言われる以上は審査をされた、このように私は理解します。そうでしょう。三十一社おのおの甲乙、優劣はつけがたいのだ、こうおっしゃったのですから、審査されたというふうに私は理解するのですが、ほんとうに三十一社について審査されましたか。
  95. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  もちろん三十一社のおのおのにつきましては、法令に基づきまして十分審査をいたしたわけでございます。
  96. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 では、審査の結果というものは、どこが何点でどこが何点だということを公表できますか。どうでしょう。
  97. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  免許申請がございましたときは、それを法令に基づきまして、先ほども申しましたような手続によりまして、基準に合っているかどうかということを書類的に検討するわけでございますが、ただ、それを一々公表するというようなことは、私どもはやっておらないわけでございます。
  98. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 審査されている以上は、申請書が必ず全部同じだとは私には考えられません。それこそ完ぺきなまですごくでき上がった申請書もあれば、極端な言い方をすれば、薄っぺらな、おつき合いで申請しているような申請書もあったはずでしょう。全部が同じような申請書で、同じ厚みで、内容も一緒ということは考えられない。  私、一つ一つ聞いてみたいと思いますが、一例をあげてみますと、電波法の七条で工事設計の技術基準というのがありますね。これは基本方針をある一定の時期に、モノフォニック放送からステレオ放送に切りかえられましたね。この時期はいつですか。
  99. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 いまその時期を調べさせておりますが、その間に私からちょっと申し上げたいのは、異議の申し立てが出ておることは承知しております。それでただいま、書類の面で若干の添付書類等が必要なようでございますから、そういうものをすみやかに出していただくように、こういうことでございますが、これはおっしゃるように、正式な機関を通じて、こういう際にやはりきちんと姿勢を正さなければいかぬ、こう思っております。
  100. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 時期がわからなかったらいいですけれども、たしかそんな前じゃないと思います。四十二、三年ごろじゃなかったかと思います。そうしますと、この申請はいつから出ていますか。早いのは二十九年ごろから出ているはずです。ステレオ放送ということがやかましく言われ出した以前、すなわち四十二年か三年、いまそちらのほうで調べられたらわかると思いますが、その申請は内容を訂正されなければなりませんよ。これは訂正届けが出ていますか。お調べになりましたですか。
  101. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 ちょっといま調べておりますので、後刻報告申し上げたいと思います。
  102. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 そうじゃないですよ、ぼくの言うのは。ステレオということが技術基準にはっきり出てきたら、やはり申請書も訂正しなければいかぬでしょう。そうしないと、それがうたわれる前は、前の従前からある放送でしょう。モノフォニックでしょう。それの技術基準で申請書は出ているはずです。そうすると、七条に照らしてみても、訂正していないのと訂正しているのと明らかに優劣がありますよ。それをあなた自身調べられたかというのです。一本化するために審査したとおっしゃるのですが、ほんとうに審査しているかどうか、私たちしろうと目で見たっておかしいから言っているのです。あるいは電波法四条、これには無線局開設の基準というのがあって、詳細に書いていますよ。この四条に違反しない証明書もつけなければなりません。全部ついていましたか。あるいは財政の見通し、法律用語では何とか書いていましたね。銀行の融資証明書というものも要るでしょう。「財政的基礎があること。」と書いてある。銀行の融資証明書、これは十年も前から出ているのと、その後の状況はどんどん変わっている。そのたびに訂正届けが出ていますか、あるいは取りかえていますか。あるいは発起人の承諾書等がついておったということを、ほんとうにお調べになったでしょうか。私、何だったらその三十一社の申請書を見せてもらいたいですね。私は、申請書をこの法律にのっとって調べただけで、必ず優劣はあると思います。不備な書類もあるはずです。そういうことを一切やらない。番組み編成表だってつけなければならぬ。番組み編成表に、免許方針では、音質上の特性を生かすということを前の大臣がはっきりおっしゃっている。音質上の特性を生かすと言っている。ならば、ステレオでなければならぬでしょう、音質上の特性といえば。そうなると、番組み編成表だって前のままであったら、これはもう全然失格ですよ。  そういうふうなことを考えていったら、どちらが公共の福祉になるか、優劣はおおよそ申請書を見ただけでも大体見当がついてくると思います。それを、あなたは事もなげに、いや、もう申請書を見たらみな満点でございまして、合格でございまして、一切優劣をつけがたいですから一本化しました、こういうことをおっしゃるんです放送局の開設の根本基準では、これは十分審査して優先順位をきめろと命じられているのです。一本化しろというのは一言もいっていません。だからいままでの答弁で、私はじっと聞いておって、郵政省というか、局長さんがもし審査したと言われるなら、公表してぐあい悪いならば、非公式でも見せてもらいたいですね。いま私が申し上げたことを、全部訂正届けが出てちゃんとなっているかどうか見せてもらいたい。それが見せられぬとおっしゃるならば、郵政省はもう初めから審査する気持ちはない、もうめんどうだから最初から一本化しよう、初めからろくに審査もしないで、一本化するという気持ちしがなかった、こうしかとれません。そうしたらこれは職務怠慢ですよ。完全な職務怠慢です。職務怠慢だけならまだいいんです。法律で命令していない一本化を、職員を使ったりして積極的にやったりしているんですから、これはひどいものですよ。怠慢だけならよろしい。怠慢だけならまだ、怠慢だとここで文句を言われたら、済みませんで済むけれども、怠慢だけでなしに、法律では無理に一本化せいといってないことを、積極的に職員を、職権を使って取り下げ届けを取るのに応援をさせて、やってはいけないことまでやっている。どうですか、その資料、何でしたら三十一社のものを見せてくれますか。これ、ちょっと教えてください。
  103. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  いまの申請書自体は、従来一般には公開してございません。  それから、先ほど来いろいろ審査のことのおことばがございましたけれども、この前も申し上げましたように、FMの東京地区におきまする申請は全部で六十六社でございました。そのうち、いわゆるFMの特質を生かした放送に適するとこちらで判断したものが三十一社でございました。当然その時点におきまして私どもは審査をいたしまして、それを三十一社にしぼったということでございまして、そのFMの特質を生かした放送に適していないもの、残りの三十五社というものは、そのままになっているという状態でございます。
  104. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 これは私、部外者の考えですけれども、状況は、十五年もたっておったら変化しております。だから、最初に出た申請書というのは、途中で何回も訂正しなければ完ぺきなものになっていないという常識的な判断です。それを厳密に、あなたがこの法律に基づいて審査をなさったとするならば、いずれか甲乙つけがたいというようなことは絶対に言えないと思います。必ず優劣はつきます。優先順位は出てくるはずです。それを作業するのが郵政省の役人のすることでしょう。  だから、私がさっきから言っているように、初めから審査する気はなかったんじゃないか。それで一木化というようなことをして、そして自分の都合のいいような会社を、一本化の場合はつくれますからね。いま世間でやかましくいわれている、俗にいう天下りということで、つくった会社、でき上がった会社に必ず郵政省の人が入っているじゃありませんか。郵政省の人が必ず入っていますよ。そこまで勘ぐりたくなるじゃないですか。ちゃんと審査してやれば、別にそんなことまで言わなくてもいいけれども、今度のFM東京にしましても、郵政省関係者がもうあまりにも多い。代表役員五人の中で、郵政省関係のある人が三人ですか。もう名前を言わなくてもおわかりでしょう。郵政省出身者が三名で、現役からいった人が常勤役員に一人。もう何か会社をつくるといったら、郵政省の人が必ず入っていきます。そうしたら、郵政省の先輩と同僚を会社へ天下りさせるために、一本化のほうが都合がいいというふうに、私どもはとらざるを得ぬというような結論が出てくる。まことにおもしろくない話です。  ですから、ほんとうに審査されたのならば、私は見せてもらいたいと思いますね。私が見て、おまえらしろうとでわからぬとおっしゃるかもしれませんけれども、私なりに、やはり三十一社もあれば、十五年にわたる間にぼちぼち出てきた申請書ですから、優劣は必ずつくと思いますし、いま申し上げたように、途中からステレオ放送というようなものが出てきたり、また十年の間には、個人の財政力だってどんどん変わりますよ。そういうことを厳密に審査して、優劣がつけがたいとおっしゃっているのなら私はいいと思いますけれども、いとも簡単に一本化という話が出てきて困るのです。だから、今後の免許の姿勢ということについて、私は十二分に含んでお話をしているわけですが、ほんとうにそこら辺をはっきりしてもらわないと……。  それで、先ほども大臣でしたか、もう一本化する以外に方法がないというような言い方をされましたよ。行政に携わる者の苦労をわかってもらえるだろうと思うけれども、もう行政としてはそうしなければならぬように思うと大臣はおっしゃった。その考えがいかぬのです。そういうふうにして問題の起こるような免許しかできないのだったら、免許はおろさないのがよろしい。それが、私は責任ある行政官の態度だと思う。  それで、いまの法律では、こんなのでは免許はおろせませんよ。だから、あなた方が法律改正をすればいいじゃないですか。こうしてもらわないと公正な免許はおろせませんというふうに、そちらの実務のサイドで法律をつくってこられたらいいでしょう。実際にこんなややこしいことをする以外に、いま免許をおろせないとおっしゃるのでしたら、免許をおろさなければよろしい。それでぶうぶうみんなに文句を言われたら、法律を変えてください、こうおっしゃるのが、私は責任ある行政官の態度だと思うのです。それを、いまの法律ではこうする以外にないから、もう少々問題があっても免許をおろしているのです、というような考え方、この点どうでしょう、大臣
  105. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 中野さん、この申請というものが複数、しかも、いまも三十一とか三十五とかいう数字がございますように、相当にたくさん出ております場合、これはやっぱりそれを調整して、その上に地域社会の皆さんの御満足を得るという行き方も、私は一つの行き方であろうと思うのであります。何もほかに手がないからそれ以外にないんだということ以外に、そういう行き方も一つの方法であるというふうに考えておるのであります。  実は、先ほど来いろいろ御指摘をいただきました点は、これは私、電波行政の根幹に触れて私どものえりを正さなければならぬ点多々あると思うのでございます。したがいまして、当面話題になっております問題は、何もここで私、もう既成事実だから、こっちは目をつぶっていただきたいと申し上げるわけではありません。これはこれなりにまだ、先ほどの異議申し立ての問題もございますし、あるいはあの裁判の結果を待ってという問題もあると思います。そういうことでございますから、これはこれでひとつきょうの御意見を体して、ある程度はすでにできてしまったことでございまして、私のそれに関与し得る余地というものは少ないかもしれませんけれども、それはそれなりにできるだけの努力をしたいと思いまするし、また、今後の電波行政のあり方について、きょうお示しいただきました御意見は非常に貴重な参考に値する、かように考えておるわけであります。
  106. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 せっかくの大臣のおことばですが、参考にしていただけるならば、もう二点ほど参考にぜひしてもらわなければならぬことがあります。それも一緒に話させていただきます。  話は少しさかのぼりますけれども、これはもうかなり責任のある記事のようですが、たしか四十三年三月ですか、このときホテルオークラで、郵政省の高級官僚の方が出席されまして、この東京にFMの免許をおろすということについての有志会というものが開かれております。郵政省のお役人が出ているのですから、御存じだと思います。この有志会に選ばれた人たち十八人を大体きめておられるということが資料のほうにありますが、この人選は一体だれがしたのでしょうか。とにかくもうおかしいことだらけなんですよ。有志会の人選はだれがやりました。郵政省のお役人も出ているのですから、大体おわかりでしょう。この雑誌では浅野次官となっています。そして郵政当局から招かれた人、こうなっているんで、私どうもふしぎでいかぬのでお尋ねしているのですが、十八名の有志会というものを招集したようです。第一回ですね。これはだれが選定したのですか、おわかりでしょうか。
  107. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 私ども、その点につきましてはよくわかりません。存じ上げておりません。
  108. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 これはいずれはっきりしてくることだろうと思いますが、しかもこの有志会の十八人というのは、三十一社の申請人には関係なく選定されておる。ですから、この一本化に非常に問題があるのは、三十一社がつんぼさじきに置かれたということ、これは大臣よく頭の中に残しておいてください。三十一社は全然つんぼさじきに置かれて、郵政省の役人、次官が出席したこの十八人の有志会というものでどういうことが討議されているかといえば、当時新聞紙上をにぎわしておりましたあの林屋氏の処遇問題について討議しただけなんです。林屋さんをどうするという、まことに変な話です。これはまことに不明朗です。林屋さんをどうするという処遇問題だけです。  しかも、その有志会があった一週間後に、申請者に関係なく株の割り当てが一人一人の株式引き受け予定者のところにいっている。四十四年の三月十八日ですか、これは手紙があります。まことに奇々怪々ですね。どこでこの株の割り当てがされ、だれがこの株の予定者をきめたのか、三十一社全然つんぼさじき、十八名の有志会でも、そこで討議したのは人の処遇問題だけ、突如として一週間後にはもうすでに、申請と関係なく株の引き受け予定者にいっているのです。だから、寄付が来たのかと思ってあわてて問い合わせをした人がおる。そうしたら、そうじゃありません、あなたに株を持ってもらおうと思いまして……。びっくりしているという話を私、何人かから聞いている。これはひどい会社のつくり方ですね。この有志会の存在、これは後ほどまた機会があったら私もう少し詳しくやります。きょうは時間がだいぶ経過したようですから、この程度にしておきます。  それからもう一点、これは中央FMの事実上の責任者であった、名前を申し上げましょう、松尾という人、この方は文春かなんかという週刊誌にえらいことを書いていますよ。大臣ごらんになりましたか。この中で、何か六名の人に、中央FMの申請書をFM東京に書きかえられて会社を乗っ取られたという書き方になっていますね。これはたいへん立腹しておられるようでありますが、この方が、十年にわたってFM放送ということに情熱を燃やして一生懸命骨折ったことは周知のところです。これは放送界の関係者ならばみんな知っております。政界でもかなり有名になっておられるはずです。当委員会にも来て証言をしたことがある人です。ところが、この問題について彼がここまでおこっているのですから、私もちょっとこの問題で疑問を持つものですから二、三お聞きするのですが、過日の答弁では、四十四年十二月十七日付で、中央FM音楽放送であったのが、その後FM東京に名前が訂正され、別に内容自体は変わっていない、社名だけが変わったのであります、ということを局長は答弁しているのですが、それに間違いないですか。
  109. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  十二月十七日には中央FM音楽放送が訂正されまして、名前が訂正されたのみならず、内容的にも、たとえば番組表であるとか、あるいはその発起人といったものも訂正されております。
  110. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 この前とそれじゃ答弁が変わったわけですが、一応いまの答弁が正しいということにしましょう。前回はそんなことをおっしゃいませんでしたよ。それで、訂正届けはだれの名前で出ておりますか。
  111. 太原説明員(太原幹夫)

    ○太原説明員 お答えいたします。  訂正届けは、新しい発起人代表五人の名で出されております。
  112. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 失礼ですが、その五人の人の名前を言ってくれませんか。
  113. 太原説明員(太原幹夫)

    ○太原説明員 お答えいたします。  失礼いたしました。五人と言いましたが六名でございます。名前を申し上げます。足立正、大野勝三、梶井剛、林屋亀次郎、松前重義、大友六郎の六名でございます。
  114. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 以上六名の人たちは、どういう団体の代表者でしょうか。
  115. 太原説明員(太原幹夫)

    ○太原説明員 お答えいたします。  中央FM音楽放送がFM東京に変更になりました団体の発起人代表と理解いたしております。
  116. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 その訂正届けにはどうなっているのですか。訂正届けには、いまの六名の会社の名前はFM東京ですか。
  117. 太原説明員(太原幹夫)

    ○太原説明員 FM東京でございます。
  118. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 中央FM音楽の発起人代表の名前はわかりますか。
  119. 太原説明員(太原幹夫)

    ○太原説明員 中央FM音楽放送の発起人代表は梶井剛、高田元三郎、秋山龍、小林宏治、駒井健一郎、丹羽保次郎、中山次郎、以上七名でございます。
  120. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 そうすると、これは私どうしても合点がいきませんがね。この中央FM音楽の発起人代表はいまおっしゃった七名で、全然名前が違います、重複している人が一人かおられるようですが。そうすると、中央FM音楽のあらゆる訂正を、FM東京の代表発起人が訂正できますか。ここのところどうですか。中央FM音楽放送の会社の名前から、役員の変更から、業務内容の変更から、株の割り当てから、全部の変更を、別の会社の東京FMの発起人代表が訂正できますか。どう理解されますか。
  121. 太原説明員(太原幹夫)

    ○太原説明員 お答えいたします。  先ほど七名と申しました中央FM音楽放送が、新たにそれが東京FMに訂正になった、こういうふうに私ども理解いたしておりますが、これが今回の異議申し立ての争点の一番の点でございます。したがいまして、この点につきましては、これ以上詳しく申し述べることを差し控えさせていただきたいと思います。
  122. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 大臣にお聞きしますが、これは社会通念として、常識論として、よその会社の社名から、代表者の名前から、株式から、業務内容から、本社の住所から、定款の案まで全部変えてしまうのに、別の会社の代表発起人の名前でできると思われますか。大臣、どうでしょうこれは。
  123. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 これは事実関係を、私もうちょっとつまびらかにいたさなければなりませんけれども、いまおっしゃる限りにおいては、それはどうも無理でしょう。
  124. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 こんなむちゃくちゃなことが行なわれているのですから、これはやはり乗っ取りがはっきりしてくると思うのです。郵政省の重大なミスもあります。そうすると、中央FM音楽放送の申請というものは生きていることになる。これはこの前も強調しました。取り下げ届けは出していない。自分のものが全然別な人に乗りかえられている。たいへんなことです。そうなりますと、FM東京というものは、現在申請行為のないところへ免許がおりたようなかっこうになるのです。これはたいへんな騒ぎです。申請行為のないところへ免許をおろしたようなことになってしまう。そうすると、何べんもさっきから言うようですけれども、不正な手段で免許を受けたら取り消せる、七十六条でこうなっている。これも大臣御承知です。そうなりますと、不法電波を発射して、その容疑に問われている人が過半数を占めている不法な会社、こう私ども理解します。その会社が、申請行為がないところへ郵政省の誤りか不正行為か何か知らぬが、免許がおりてきて電波を発射しているということになると、これまた不法電波、不法だらけになってきます。どうしようもないのです。まだ具体的なことがたくさんあります。だけれども、こまごましたことを申し上げても切りがないですから言いませんが、憲法上から見ても、公務員法から見ても、大臣としてはよほど腹をくくって決断をしていただかなければならぬ事件だと私は思います。  それから、もう一つ言うておきます。これは確認だけしておきます。FM東海と話し合いがついたということですが、ふとしたことから私こんなものを手に入れたのです。話し合いの了解事項ですが、一応聞いてください。それで確認だけしておきたいと思うのです。  一、関連する訴訟(異議申立てを含む。)を取下げること。  二、すでに提出ずみの東海大学名義の超短波放送局免許申請書(二局)は取下げることとし、あらためて十一月二十五日までに松前重義個人を発起人代表とする新設法人による免許申請書をもって提出すること。  三、新会社に対する参加(出資・役員)は郵政省において配意することとする。但し出資及重役の選定にあたっては東海大学の実績を尊重すること。  四、現在のFM東海の職員並に施設は新会社において継承すること。  五、実験局は十二月二十五日で打ち切ることとするが、新会社の設立の時期いかんによってはその時点で必要とする期間を限って再免許することもありうる。  六、通信教育放送は、暫定的に実験局で行なうこととし、実験局廃止後の措置については別途考慮することとする。 こういう了解事項が取りかわされたやに聞いているのですが、こういう事実がありますか。
  125. 藤木説明員(藤木栄)

    ○藤木説明員 お答え申し上げます。  私は、そのときに電波監理局長でございましたけれども、そういうことにつきましては存じ上げておりません。
  126. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 きょうは時間がありませんから、これはいずれまた別の機会お話ししたいと思いますが、私、今後放送局免許にあたりまして、同じような問題を繰り返さないために大臣に言っているわけです。ですから、大臣がおいでになるのをずっと待っておったわけです。なかなかお忙しいようですが、免許にあたって、どうしてもいまの法律でだめならば法律を変えなさいよ。私はそう思います。それとも、一本化とかその他一つのモデルというか、ルールを大臣がおしきになるべきです。そうしないと、ケース・バイ・ケースで適当にそのときの主観でやったり、あるいは利害関係がからんできたりするような免許のおろし方というものは、今後通らないと思います。ですから、現在の法律でできないならば、これから免許をおろしなさんな。そうして法律を変えなさい。それが行政官として正しい姿勢だと私は思います。  いろいろ耳ざわりなことばかり言ったようですが、ほんとうに私、心配しております。しかもFMはこれからです。この間北海道へも行政視察に行ってきましたが、北海道でも申請に六十数社がひしめいておりますよ。広島に行っても同じで、しょう。福岡はおりましたが、その他大都会へ行けば行くほど、この放送局の免許ということについてはたいへんな競争率です。この姿勢をはっきりしておかれぬとたいへんなことになるというのが私の心配であります。  同時に、きょう私、申しましたことを鋭意検討なさいまして、ぜひ——私はこれは個人的に云々があるわけじゃありませんけれども、FM東京はどう考えても免許を受けるにふさわしくないというふうに私は思えてなりません。そこら辺、大臣の今後のこの問題に対処する決意、これをお伺いして、またの機会にまた質問させていただきたいと思います。
  127. 井出国務大臣(井出一太郎)

    ○井出国務大臣 中野委員のおっしゃること、よくわかるつもりであります。いまおあげになりましたいろんな材料の中には、検討を要するものもあろうかと思うのです。巷間伝えられたというふうなものだけではいけないだろうと思いますので、そういう点も十分に参考に供しまして、電波行政の姿勢を正すために一そうの努力をいたすつもりでございます。
  128. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 では、時間がたいへん超過しまして申しわけないですが、以上で放送のことを終わりまして、電話料金の問題について、総裁以下公社の方においでいただきましたので、これは正式にまたの機会に御質問したいと思っておりましたが、簡単に二、三点お尋ねしておきます。  昨年基本料金の是正を含めまして通話料の格差の是正が行なわれましたが、三月の決算ももう終わったと思うのですが、その後の公社の収支について一言……。
  129. 中山説明員(中山公平)

    ○中山説明員 お答え申し上げます。  四十四年度の全体といたしましての事業収入は、予算に対しまして四百三十九億円、率にいたしまして四・九%の増収でございました。支出のほうは、ベースアップ等予算に計上しておらない費用の増加がございましたので、この増収額そのままが利益の増ということにはなっておりません。目下決算数値につきましては監事の監査にゆだねられておりまして、計数の確定がまだなされておりませんが、四十三年度の利益金よりはかなり上回った利益金になることは確かであろうと思っております。
  130. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 昨年の改正では、大体プラスマイナス・ゼロ、そういうふうなお話でございましたが、この点、どのように経理局長はお考えになっておりますか。やはり予定どおりプラスマイナス・ゼロだったのか、非常にふえたのか、自分で計算しても計算の基礎が出ませんが、当局としてどうお考えになっておるか。
  131. 中山説明員(中山公平)

    ○中山説明員 お尋ねの件でございますが、いま私どもが収入を分析いたしました結果、一つの分析方法といたしましては、昨年の法律改正によりますところの料金の改定が十月実施でございました。御指摘のとおりでございますが、これが、実際の加入者の方々への支払い請求書になって出まして公社の収入になりますのが一カ月ずれるわけでございますので、料金改定の影響が完全に出てまいりますのは十一月からだ、こういうことを前提としてお話を申し上げます。  そこで、十月までの公社の収入の状況がどうであったかということと、十一月以後がどうであったかということを全体の収入について調べてみる、これが一つの方法でございますけれども、その方法によりました場合に、四十四年度は鉱工業生産指数の動き等からも明らかでございますように、景気が月を追って拡大していく、しり上がりに拡大していくというようなことがございまして、これが公社の増収率にも非常に敏感に出ております。もともと電話の収入というものは、経済活動、社会活動の盛況あるいは不況を反映することは皆さまお認めになっておられることでございますけれども、それが出ておりまして、四月分では〇・九%の増収、九月分では四・四%の増収、ここまできておりまして、十一月からどうなっているかという問題なんですけれども、だんだんふえてまいりまして、年度末の三月になりますと七・六%。これは毎月の資料がございますけれども、これをずっとたどっていきますと、しり上がりにいっております。そういう関係から増収が上がってまいったので、料金の改定による影響というものはほとんどないというふうに見ておりまして、もっぱらこれは景気の影響、あるいは電電公社におきます電話の架設を早めるといったふうなことによる増収努力といったものが、この増収になってあらわれてきておる、こういうふうに解釈をいたしております。
  132. 金子委員長(金子岩三)

    金子委員長 簡単に願います。
  133. 中山説明員(中山公平)

    ○中山説明員 もう一つの見方は、まさに料金修正の対象になりました収入、いわゆる基本料を大宗としますところの電話使用料がどうなっているか、あるいは度数料と市外の電話料を足しました通話収入がどうなっているか、ここから分析する方法が一つございますが、度数料、基本料を大宗とする電話使用料につきましては、プラスマイナス・ゼロの予算に計上いたしました数字とほとんど変わらない実績が出ておりますので、これは問題がない。いまの通話料収入でございますけれども、四十四年の四月から四十五年の三月までの一年間で、予定に対しまして五・四%の増収になっております。それから、先ほど申し上げました四月に一・〇%だった通話料収入が、料金修正直前の十月になりますと六・二%のその月分としては増収にはね上がってまいって、こういったことがいまのような通話料収入の増大をもたらしておる、こういうふうに私どもは判断いたしておりまして、予算でも御審議願いましたプラスマイナス・ゼロということはそのとおりであって、増収の出たのは、公社の電話の早期架設とそれから景気、これらのものが相重なって増収が出てまいった、こういうふうに考えております。
  134. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 いまの経理局長の答弁、お互いに議論の分かれるところだと思います。私は、改正によって公社がプラスマイナス・ゼロでなしに、やはり少し増収になっているのじゃないかという見込みを持っておりますけれども、これはまた後日議論をすることにいたします。  もう一点だけ。先日、七月四日付の各新聞で報道されまして、私もちょうど国元におりましてちょっとびっくりしたのですが、米澤総裁が公社の七カ年計画について概要を新聞発表なさっているのですが、きょうはちょっと時間がありませんので、このことについてもしお差しつかえなければ、その概要を資料として私どもにいただくわけにいかぬだろうか。実のところ、あの発表を見て驚いているわけですが、設備料をまたしても値上げをするようなことですし、これはわれわれにとりましてはたいへんなショックで、そうでなくても電話積滞でみんな三年も待って苦しんでおる。そういう人たちにまた設備料を上げるとか、いろいろそのほか新聞では、テレビ電話とかなんとか報道をしておりますが、これについての概要をちょっとお聞きしたいのです。
  135. 米澤説明員(米澤滋)

    ○米澤説明員 お答えいたします。時間があれば詳しく申し上げますが、簡単に最初申し上げまして、何かございましたら、また質問していただきたいと思います。  公社といたしまして、いま第四次五カ年計画を進めておりますが、昭和四十六年がちょうど第四年目になります。第四次五カ年計画では、九百三十万の加入電話をつけるのを百万プラスいたしまして、一千三十万つけるということにいたしております。  ところで、最近特に大都市周辺その他の積滞が非常に多いので、七カ年計画をいま策定中なんでございまして、八月の中旬以降において、公社として経営委員会を開いてきめたいと思いますが、その基本的な考え方は、まず電話の一そうの普及をはかって、昭和五十二年度末において加入電話の積滞を全国的規模において解消する、これが第一点でございます。  それから第二点は、生活圏行政圏の広域化に対応して、市内通話の区域の拡大をはかっていくというのが第二点。  それから第三が、情報化社会の発展に寄与するために、データ通信サービスやその他の画像通信サービス等の拡充、開発をやる。  それから第四点が、電子交換機並びにテレビ電話あるいはデータ通信等の画像通信をするための通信需要に効率的に応ずるために、総合通信網の形成をはかっていくということ、研究開発体制を拡充する、それから事業経営を改善する。  こういうことでありまして、その基本方針に沿っていろいろ作業をしておる段階でございまして、その作業の内容につきましては、八月中旬に経営委員会を開いてきめたい、こういうふうに思っております。
  136. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 新聞にもここまで具体的に詳しく発表になって、私ども担当委員会として非常に困っているのですが、この資料は提出していただくわけにいきませんか。
  137. 米澤説明員(米澤滋)

    ○米澤説明員 お答えいたします。  公社の案が最終的にきまりましたら、むしろ説明にあがりまして御理解願いたいのでありますが、まだ現在作業の途中でありますので、まだ変わる可能性もありますから、私はまだ発表を差し控えたほうがいいのではないかと思います。データというものは一ぺん表に出ますと、あとでまた変えたときに、かえってその点でやっかいなことになってもいけないと思いまして、皆さんに御迷惑をかけてもいけないと思いますので、公社の案がきまった時点で御説明したほうがいいのではないか。基本的な考え方はただいま申し上げたことであります。
  138. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 公社の案が基本的にきまってからとおっしゃるのですが、新聞でここまで具体的に出ていることについて、私どもには、まだきまっていないのだ、何も知らないのだということでは通らぬと思うのです。ですから、ここまで新聞発表なさる以上は、かなり具体的な資料というものをお持ちになっているのでしょうから、外に見せてはぐあいが悪いと言われるならば——どういう考え方でこうなさっているのか、われわれ勉強もしたい、研究もしたい、こう思っているわけです。話に聞きますと、自民党の政務調査会ですか、そこのほうには提出されて詳しく御説明になったということですが、私どもはつんぼさじきで困るのですが、その辺どうでしょうか。
  139. 米澤説明員(米澤滋)

    ○米澤説明員 先ほど申し上げましたように、まだ固まっておりませんけれども、あるいはいまの方針でどういう点が問題点であるかというようなことは、いまここでは御説明できませんが、場合によっては、関係者に問題点だけ御説明させてはいかがかと思います。
  140. 中野(明)委員(中野明)

    ○中野(明)委員 きょうはこれは本題でございませんので、またの機会に、構想がまとまった時点でもいいと思いますが、ただぼくの申し上げたいのは、新聞でこれだけ大々的に報道されて、担当委員会のわれわれが何も知らぬのだ、全然話も聞いていないのだ、こういうことではほんとうに困るのです。今後公社が何をなさるにしても、私は支障が来るような気がしていけません。私どももできるだけ公社の事業というものはよく認識して、今後前向きで協力しようという姿勢を持っております。それだけに、やはりそこら辺は十二分に皆さん方の担当者のほうでも考えてやっていただかないと、新聞で書いているのにおまえは知らぬのかというようなことでは、逓信委員会に所属している者としてはもの笑いだと思うのです。そこら辺十二分に総裁のほうで、今後の問題として考慮していただきたいと思います。  では、どうも長時間すみません。以上で終わります。
  141. 金子委員長(金子岩三)

    金子委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十五分散会