○八百板
委員 NHKが他人資本に依存しないで、自主独立の
立場をとって
報道の自由を守っていくという点は、非常に重要な点でありまして、この特性を強調するという点では、私も人後に落ちない気持ちでおります。私が気にいたしておりまする点は、疑問があるというのではなくて、
予算な
どもだれにもわかるようなくふうと解説の努力が足りないのではないか、こういう
意味合いであります。
一般的に申しまして、
予算とか決算とか経理というものは、これは
NHKを言うのではございませんが、一般的にわかりにくくするというのが特徴であります。いわゆる支配者的な
立場からわからないようにして、言ってみれば煙に巻くような形でえてして経理、
予算というふうなものは出しがちな傾向が一般的にあるのであります。そういうふうなよくない特徴と申しましょうか、傾向というものが現にわれわれの身辺にあるという、こういう場合には、
NHKは表現を根本にする企業でありますから、
ことばも文字もすぐにわかる、こういうたてまえに立った努力を目標にすべきではないか、そういう点がやや足りないのではないかという点を私は指摘をいたしたいのであります。
たとえば、
NHKの経理くらい簡単なものはないのでありまして、入る金は一本、あとはほんのわずかしか入らないのでありまするから、入る金はどう使って、これだけ余って、これをどこにどういうふうに回した、こういうふうなことになるわけでありまするから、言ってみればばっと見て三分か五分でも、ははあなるほどこうなっているのだなということをのみ込んで、その上でもし詳しく見たければ詳しく資料や何も検討する、こういうふうな筋合いにいくのが望ましい経理の
状態ではなかろうか。そういう
意味で、
会長言われるように、
放送法やいろんな規制を受けて条件を備えた経理方式をとらなくちゃいかぬということは、まさにそのとおりでございまして、だからといって、何かわからないような形になっている場合には、わからせるような親切がわれわれとしては望ましい、こういう
意味合いであります。
私がわからないのは、私が知識が足りないからわからないのである、確かにそのとおりであります。私は経理の専門家でもないし、会計の
基礎知識を備えたものでもない。しかしながら、先ほ
ども申し上げますように、国民の
NHKは、やはりその程度のものでも、短い時間にわかるというような親切な解説と解明を努力するという、そういう
立場が
NHKの大事な
立場ではないか、こういうふうな点を私は言いたいわけであります。
今度の
予算にいたしましても、私は、申しわけないけれ
ども、丁寧に幾らか努力して見ましたのは今回が初めてでありまして、このとおりたくさんの付せんがついております。ずいぶん気をつけて見ました。見ましたけれ
ども、しろうとの悲しさに、ああなるほどこうなっているのだなというのみ込みがなかなかできないのであります。私ができないということは、私の会計や経理上の無能を表明するものでもありまするが、しかしやはり、繰り返すように、経理や会計についての理解水準というものは、大体において私ぐらいのものが国民の中には多いのだということをまず頭に置いて、そういう
意味で、すぐにわかるようなそういう親切なあれがあったほうが、この
NHKの、国民の
NHKとしての
発展の上に望ましいのではないか、こういうふうに
考えるのであります。
では、私だけわからないのかと思って、実は私は専門の公認会計士にも、私のいただきました資料を全部提供いたしまして検討してもらいました。ところが、いろいろな
意見は出ましたけれ
ども、結論としては、わからないという結論でありました。これは、わからないといってもいろいろな
意味があるでしょうけれ
ども、ある
意味では、われわれ専門家としてこれを検討するには、少なくともこれだけの企業であったならば二百日はかかる、
国会議員が三日や四日で、膨大な資料や
計画を出されてそれがわかるはずがない、こういうことにもなるだろうと思うのでありますが、しかし、私は何もそういうものを、
NHKの経理をつぶさに、ここがああでここがどうだということを理解しようとは思いません。そんな努力をわれわれはすべきものではないと思う。もっとやらなければならないものがわれわれにはたくさんあると思うのです。だから、私はそんなこまかい、経理をどうこうというような
考えは毛頭ございませんが、大まかに、とにかくこれはこうなってああなって、こういうふうにこう流れているのだ、そしてこういう傾向を持っているのだなというふうな、そういう理解をする程度で大まかな
方針を審議し合う、話し合うというのが、
国会議員の私
どもの
立場だろうと思うのでありまして、こまかい具体的な点は、
会長を
中心に
NHKの
責任においてこれを執行し、やるべきであって、こまかいところまでわれわれはどうこうなんということは
考えておらないわけであります。
要は、繰り返すようでございますけれ
ども、ぱっとわかるというふうなそういう配慮を、表現の
NHKであるならばやはり気を使ってもらえないだろうか、こういうことを申し上げておるわけであります。何ものにも拘束されないで、支配されないで、
新聞ならば広告主の支配を受けがちである、あるいは資本の支配を受ける、あるいはいろいろと泣かなければならぬ面が、それぞれの
報道機関の中にもないとはいえないわけでありますが、そういう
意味合いにおいては、
NHKがそういう拘束を受けずに、独立の支配されない
立場で
報道の自由を守っていけるということは、これは
報道機関として非常に貴重な特殊性でありまして、この独自性を持っているということ、自主性を持っているということは、非常に貴重なものだろうと思います。
しかし、この独立性、独得な特殊性というものがあるといっても、これはもちろん公共性を持ったものでありまするから、当然にそこには、言うまでもなく、
一つの特殊性、何ものの支配も受けないという
立場を強調いたしますると同時に、そこに当然にうらはらのものとして、みずから律する自律性が伴っていくべき筋合いのものだろうと思うのであります。
そういう
意味合いにおきまして、いろいろ批判があるといたしましても、これに対して
NHKの特殊性というふうなものをたてにして振り回すということにはならぬかもしれませんが、その特殊性というものを主張して、それによってこれをのがれるというような
立場があってはならないと思うのでありまして、そういうふうな点は、
会長を
中心に十分にりっぱな
NHKの運営を行なわれておるとわれわれは信じて疑わないわけでありますけれ
ども、そういう点が、やはり常に繰り返して
考えていかなければならない点だろう、私はそういうふうに思うのであります。特殊な自主的なワクの中に安住、といってはなんでありまするけれ
ども、いたしますと、そこにはやはり
一つの、いい
意味では特色でありますけれ
ども、悪い
意味では、
一つのにおいというものも出てくるだろうと思います。
NHKの現状の持っておりまする
カラーと申しましょうか、においというものを、私はよくないと言うわけではございませんが、たとえば
テレビの場面を、チャンネルをばっとひねっただけでも、何秒か聞きますと、ああこれは
NHKだなということはわかります。私でもわかるんだから、もちろん専門家もわかるんだろうと思うのでありますが、そういうふうに、やはり
NHKの特色というものが今日でき上がっております。それはよい面もある、悪い面も伴うものでございまするから、そういうふうな点はやはり
会長を
中心に、
NHK自身の努力によってその特色をよいものにしていくという、そういう
立場が非常に重要だろうと思うのであります。
余談になりますけれ
ども、われわれも長く
国会におりますと、議員の歩くかっこうを見て、あるいは話しっぷりを見て、最近よくいわれます派閥というもの、あれは何の系統だということがわかります。そういうふうに
一つの色合いというものが何とはなしに出るものでありまして、たとえば
NHKの解説とか、あるいはアナウンスとか、いろいろなのを聞きましても、そこに何かしら
一つの共通性というものを私は感ずるわけでありまして、何かあの表情、あの顔はだれかに似ているなと思うと、その先輩のアナウンスのよいところというよりも、悪いくせをまねるような表情のゆがみや何かを顔の動かし方の中に感じ取るような場合があるわけでございまして、先輩のいいところを学んでいく、と同時に、やっているうちには当然に先輩の悪いくせもうつってくる。こういうことになるのは当然でありまして、そういうふうな
意味合いにおいて、われわれ議員の仲間がやはり
一つのくせや歩くかっこうまで、派閥の中で似てくるというようなものでありまして、そういうような点をやはり
一つの——われわれの場合は党なり派でありますけれ
ども、そういうところに
NHKをなぞらえるわけではございませんが、やはり
NHKという
一つの特色があるという座におりますと、その特色は、同時に
一つの悪い
意味では、くせとかにおいとかいうふうなものになっていく面があるだろうと思うのでありまして、そういう
意味で、世論に聞くということもちろんでございますけれ
ども、広い
意味の運営管理に、
会長は配慮をしていただくことが望ましいように
考えられるのであります。
あるとき、ちらっと
NHKの番組をいつかの機会に見ましたところ、だれかがちょっと悪ふざけをいたしましたところが、仲間が、「殿中であるぞ」と言ったことを私ちょっと耳にいたしましたけれ
ども、演出者の間にもやはりそういう、
NHKというものは殿中であるというふうな、何か
一つのものを感じておることは言い得ると思うのでありまして、それがよいとか悪いとかいうことを私は言っているのではないのでありまして、国民の
NHKであるからには、なるたけ広い、ワクをつくらない、隔てをつくらない、そういうなだらかな国民的な解け合いの中に
NHKが伸びていく、こういう
方向が
NHKの
方向として望ましいのではないかというふうなことを私、
考えるわけであります。
会長のお話しにも、
理事、監事、いろいろ機構的な点もございましたけれ
ども、機構的な点もさることながら、私の言いたいのは実態でございまして、先ほ
ども申し上げましたように会計検査院も検査する、あるいは監事も見る、あるいは
国会も見るといったところで、とてもとてもそれは業務上のことを見るわけにもいかず、経理上の問題を見るわけにもいかず、まあ大まかな点でああだこうだと、ときに批判をしたり
意見を述べたりするという程度のことで、それ以上のものにはならないだろうと思うのでありまして、やはり要は、
会長中心の
NHKのそういう幅広い努力に
期待する点が一番重要な点ではないか、こんなふうに私は
考えております。
いろいろお尋ねしたい点もたくさん用意をいたしてまいりましたが、時間も来ておるようでございますから、以上私の
意見も申し上げまして、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
終わります。