○土橋委員 たいへん時間が短いので、大まかに申しまして私は四つの点を中心にお聞きしたいと思います。
荒木
国家公安委員長にお尋ねを申し上げます。
第一点は、自民党の、特に佐藤内閣になってから、高度経済成長政策によって、
都市特に大
都市周辺に工場がどんどん集まってまいりました。また、多くの労働者あるいは出かせぎ農民などが多くなってまいりました。こういう中で特に
自動車産業に対して、大量の生産と大量の販売を中心として、資本の蓄積がどんどん行なわれております。したがって、現在の国道といわず都道府県道といわず、すべての
道路が非常に
交通がふくそうし、激化し、そして至るところに
事故が
発生しておるのであります。端的に言うならば、大鵬のような大きな男に小さい子供の着物を着せようとする、こういう
内容を持っておるように私は考えておるのであります。したがって、そういう点について根本的な
交通対策、
交通事故をなくすることについての
道路の問題、あるいは
交通警察についての基本的な考え方をどう考えておるのか、これが第一点としてお聞きをしなければならない大きな問題だというふうに考えております。
それと関連をして、今年度予算でもすでに警官の五千名増員を要求しております。かてて加えて過去八年間に四万三千名も警官をふやしております。同時に、今度また巡視員という形で二千五百名の警官類似の
警察庁の職員をふやそうといたしております。先ほどの話ですが、また来年になれば二千名ふやしたい、こういうことをおくめんもなく答弁をされておるわけです。そうしますと、たいへん不都合な点が出てくるのじゃないかというふうに私は考えます。と申しますのは、実際
交通に
関係している警官がどの
程度いるのか。この
内容を明確に答えてもらいたいのですが、四十五年度予算の
警察庁の四百四十四億四千数百万円の予算の中で、
交通警察に必要な経費はただの二千五百七十万七千円です。これで一体これだけの膨大な
事件が起こっておるものの処置ができるのかどうか。
警察庁長官は笑っておるのですけれ
ども、あなたは誠意をもってこういうことができると考えておるのか。特に皇宮
警察本部に必要な費用が十二億一千二百二十一万七千円、皇宮
警察だけでこれだけ使っておるわけだ。したがって、
交通警察の約五十数倍の金を使っている。また機動隊に六十六億九千百五十一万二千円の金を使っている。だのに
交通関係は、いま申し上げたように二千五百七十万七千円しか予算を出していない。こういうことで実際の
処理ができると考えているのかどうか。こういう点を第一点として明確な答弁をしていただきたいと思うのであります。
第二点として、酔っぱらい
運転についての
規制、これは当然であります。したがって、罰則の強化などについても、われわれはこれはむしろ歓迎しなければならないというふうに考えております。問題の中心は、酒気を帯びて
運転をする者であります。この第六十五条の
規定によりますと、いろいろな
規制あるいは処罰を厳重にし、あるいは加えているわけです。特にそれに対して、たとえば酒をすすめた人とか、あるいは容認した人とか、あるいはこれを幇助するような態勢に対しても処罰するわけですけれ
ども、私
どもはこの点については現行の
道交法の
規定でいいのではないか。むしろこういう事態については、私は
交通安全対策特別委員会の委員として直接いろいろ調査をしましたけれ
ども、実際警官の主観的なもので酒気帯び
運転だというふうにきめつけることについては、非常に問題がある。したがって、これは取り締まる場合においても、きわめて民主的な
方法で、あるいは民主的な地元の方々とか、団体とか、あるいは民主的な自治体、こういうものと
十分話し合って、これは明らかに酒気帯び
運転だ、酒を飲んで
運転しているらしいということについて認定する必要があるのではないか。そのことを一警官あるいは巡視員などで主観的に一方的にやるということについては、非常に非民主的であると同時に、また新罰則も必要以上に過酷である。先ほど答弁されたように、予備罪はどうこう、未遂罪はどうこうという問題にまで到達をするのであります。したがって、道徳規範を中心とするいわゆる刑罰
規定と矯正的な
内容を持っているこの法規との
関係において非常に疑わしいものがあります。したがって、こういう点について、われわれはもっと民主的な
方法でもっとだれでも納得できるような
方法でやるべきではなかろうか。ということは、第一に申し上げたように、高度経済成長政策、資本家本位の政策をやってこういう事態が起こっているのであるから、その問題についてどういう
規制なりどういう態度をとるかという問題と関連をしているのであります。これが第二点の問題であります。
第三点は、
交通巡視員の創設でございますが、これは百十四条三項一号からいろいろ
規定をして
いるわけです。この問題について、いま申し上げますように、現在の警官諸君で十分——現在の警官がすでに八年間で四万三千もふえているのですから、
交通方面に回せばいい。一体どこに警官を使っているのか。特に
警察機動隊は、人数はよくわかりませんが、先ほど予算で申し上げましたように、こんなに膨大な予算を使っているわけだ。平常この諸君は何をしているのか。あるいは皇宮
警察と称する諸君は何をしているのか。こういう諸君を使ったらいい。こういう諸君にこれだけの予算を使っているのに、しかも予算面から見ても非常に少ない。こういう金の使い方をしている際に、巡視員
制度について非常に疑惑を抱かざるを得ないのであります。もう
一つの点は、このことによって
交通警察をやっているいわゆる巡査あるいは警官をどこに持っていこうとしているのか。これは明らかに治安あるいは警備と称する、いわゆる民主的な運動を弾圧したり、民主的な運動に言いがかりをつけたり、あるいはスパイ行為をする、そういう方向に使わせる可能性が考えられるわけであります。特に巡視員というものをつくることによって、警官でない者がいわゆる
交通警察という
一つの権限をその時点においては持っているわけです。たとえば反則の通知をするとか、あるいは
違反者に対して立ちのきを要求するとか、あるいはそれを交番に連れていくとか、こういう
警察行為をしなければならない事態が起こってくるわけです。したがって、二千五百名の増員などはもってのほかである、われわれは賛成できない。皇宮護衛官でも使ったらいいんじゃないか、機動隊の諸君でも、ちゃんと訓練をしてやれば十分でないかというふうに、第三点として考えるがどうか。こういう点について考慮する気はあるのかどうか。こういう点を明確に答えていただきたいと思うのであります。
第四点の問題は、百二十六条一項から出てきておる少年のドライバーの問題であります。御承知のように、少年のドライバーといっても、われわわは、いわゆるヒッピー族とか雷族というような諸君の行動については、これは賛成しがたい。しかし、いま問題になっておる少年ドライバーの処分については、いままでのいろいろな資料を見ますると、ほとんど家庭裁判所においても約八五%が不開始とかあるいは不処分の状態に置かれておるわけです。これは要するに少年労働者なんです。この少年労働者がこの
交通違反があるというのでつかまって、そうして
規定によれば三万とか五万という罰金を払うあるいは懲役処分に付せられる。そうすれば、その少年を使っておる雇用主あるいはそういう諸君が、むしろこれは政府が
責任を負うべき問題でありますが、こういう事態を引き起こしておる。これはそういう
内容から起こってくるのであります。したがって、少年ドライバーの労働者の雇い主が、労働基準法をどういうふうに適用しておるのか、どういうふうに実施をしておるのか、あるいは賃金その他労働条件の点はどうか、こういう点を十分調べた上でこういう諸君に対しては考えなければならない問題であります。それをのっけからしてもう反則処分だというので、罰金をどんどん取り上げる。そうなってくると、この少年はわずかしかもらわない給料のうちから、どんどんそういうものを取られて、一体どういうことになるのか。こういうことについて、私はもっと十分考えなければいかぬ。もっとそういう諸君に対する救済
措置を国家としても考えなければいかぬ、こういうふうに考えるのであります。したがって、少年労働者、そういう諸君に対する過酷な反則処分によって免許を取り上げるとか、少年としてはばく大な罰金を課されるとか、こういう問題について、むしろ国全体あるいは政府自身が補償してやらければならないような問題が多々あろうと思うが、一体どう思うのか。
こういう問題について、何でもかんでも、要するにヒッピー族もいわゆる少年労働者も一律に反則処分だというので、どんどん罰金を取り立てていく。むしろこの場合には、家庭裁判所においてやらなければならない問題があるんじゃないか。特に裁判当局にお聞きしたいのですが、この場合、
警察本部長なり
警察署長がそういう命令を出した場合に、それに準じて裁判所でもまたそういうことをやるということについて、私は相当
研究する問題があるんじゃないかというふうに考えるわけです。つまり、片方は社会復帰をすることを中心にして教育を中心とし、あるいはいわゆる社会の健全な生活を営む、そういう過程のところへ、行政的な
警察署長の命令ですぐそういう処置をするようなことについては、わが国の立法上の立場から、つまり司法、行政の混淆を許さないういう観点から見ても非常に疑問があるのですが、こういう点について一体どう考えておられるのかお聞きしたいと思うのであります。
なお、これで四点終わったわけですが、最近
警察庁では、御承知かと思いますが、浅川博というのがあんたのところにおったわけです。これが要するに四月十一日の日に婦人をひき倒して、そうして逃走しておるわけですね。それから同じく四月の十四日か十五日だったと思いますが、佐々木喜一という小金井
警察の、これまたまことに不都合で新聞にも出ておるわけですが、女ドライバーをつかまえて、
交通違反があると称して、そうしてこれを待たしておいて、連れ込んで暴行を加えたというのは、多くの新聞に出ておるから、まさかうそではないと思うが、こういうことを
警察の職員あるいは
交通関係の巡査がしておるが、一体
警察庁はどういう教育をしておるのか、こういう問題についてどういうふうに職員を訓練しておるのか、最後にお聞きをして、私の質問を終わりたいと思いますが、明確な答弁を簡単にやっていただきたいと思うわけです。