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1970-10-15 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月十五日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中村 弘海君    中山 正暉君       永山 忠則君    安田 貴六君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    華山 親義君       桑名 義治君    和田 一郎君       門司  亮君    林  百郎君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  委員外出席者         警察庁刑事局長 高松 敬治君         警察庁刑事局保         安部長     長谷川俊之君         警察庁交通局長 久保 卓也君         大蔵省理財局地         方資金課長   星野 孝俊君         厚生省環境衛生         局公害部環境整         備課長     榊  孝悌君         厚生省児童家庭         局企画課長   石野 清治君         運輸省自動車局         業務部長    小林 正興君         建設省都市局下         水道課長    久保  赳君         建設省河川局次         長       角田 正経君         建設省道路局長 高橋国一郎君         自治政務次官  大石 八治君         自治省財政局長 長野 士郎君     ————————————— 委員の異動 九月二十二日  辞任         補欠選任   林  百郎君     田代 文久君 同日  辞任         補欠選任   田代 文久君     林  百郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方自治及び地方財政に関する件  警察に関する件      ————◇—————
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。砂田重民君。
  3. 砂田重民

    砂田委員 総務長官にお出ましをいただきましたが、時間もないことでございますから、さっそく質問に入らしていただきます。  公害対策を推進していくためにすみやかに事業者負担制度を確立すべきである、これはだれしもが考える。そこで、公害対策基本法第二十二条に基づく事業者費用負担に関する法律長官中心になられて——中心になられてというか、指揮をなさって政府で準備中と伺っておりますけれども、その費用負担に関する法律に盛り込もうとしておられる内容の概要がどういうふうになっているかという点が一点。それから、法律制定の時期は、通常国会前に臨時国会を開いて、その臨時国会で成立させようというふうな大まかなもくろみを持っておられるかを伺います。
  4. 山中貞則

    山中国務大臣 公害対策基本法で要請されております企業費用負担法律について、今日までじんぜん日をむなしゅうしてきたということは政府の怠慢であると私も思っておりますが、通産省側においては、産業構造審議会公害部門中間報告において、これらの問題について先ごろ報告がなされました。さらに厚生省厚生大臣諮問機関である委員会より答申が行なわれたところでありますが、いずれも考え方の面において一長あり、またあるいは実施のドラスティックな面において一長ありというようなことで、両者そのままの状態では法律になりがたい。しかも通産厚生両省とも、法律に書くために要請されておる条項で答申し得なかったもの、すなわち費用負担算出方法というようなものについては、どこの方面からも触れておらない、その点はたいへんむずかしい技術上の面があります。ただ、これを政令にゆだねるとしただけでは、基本法の要請する算出方法法律で明記したということにならないであろう、かように考えますので、まずこのような点を含めて総理府公害対策本部事務機構の中において、総理責任において私のほうでそれぞれの答申中間報告を勘案しながら、それに基づいて新しい方向に進んでいきたい。  概略的に申し上げるならば、行なうべき事業の範囲というようなものをまず定める。最初は当然これは企業自身企業として、総理の言われたよき隣人ということ、すなわち反社会的な企業でないということを自分たちが立証することが、企業地域社会における存立あるいは日本の今後の経済発展計画の中の、策定された計画の中の企業立地条件としてあらねばならぬということを考えるとするならば、やはりこれは公害防除施設、今後公害を起こすおそれのあるような企業防除施設は全部自分費用においてつくるべきでありまして、国は事業団融資や税制の特別償却その他配慮すべきものはしてよろしいと思うのです。しかし、いままでにつくってあるものであって、公害が今日のような環境破壊の著しい、いわゆる人間の尊厳と産業というものの巨大な力との戦いという感じになってまいりますと、いままではよかったものが、それで済まされなくなってくる。その点についても、やはり企業責任のもとに帰属するものは全額企業のほうで負担してもらいたいということが最大の原則といえるのであります。その他の下水道から始まってグリーンベルト、いろいろのカテゴリーに分けられる分野各種公害防止事業というものについては、これは最初企業負担すべき分をまず定める。それは一〇〇%から最低二五%以上ぐらいのものになるであろうと思っていま法律作業を進めておるところでありますが、一番軽くてもまず二五%以上の企業負担がある。その残りについて国が補助をし、地方自治体がさらにそれに裏負担をするわけでありますから、国はこれに対して、公害防止事業の今日の時勢における非常に重要な事態を認識して、普通の補助率以上の考え方を何らかの点において打ち出すべきである。さらにその姿勢を打ち出すと同時に、地方自治体財源というものは、本来自治体自体がどうしても自治体責任でやらなければならない分野であるかどうか、ここらに少しあいまいな点があるのが公害防止事業の特徴でありますから、そこで、自治体にも、皆さま方の御努力でできております過疎債とか辺地債とかいうような特別の起債のワクをつくるかどうかは別にして、やはり財源面において地方自治体が十分にそれに対応できるような予算措置をとるべき必要があると考えておるわけであります。  提出の時期は、次に予定される野党各派から要求されておる臨時国会が開会された際にほとんど漏れなく、基本法から始まって各種規制法に至るまで提案をするつもりで、たとえばたいへんむずかしいのですが、悪臭などという、鼻がどの角度まで曲がったから何PPMというような、そういうものまで含めて、要するに、取り締まり法がないのがおかしいのですから、不可能なことはないと思います。全部の法律を取りそろえて国会審議を仰ぎたいと考えております。
  5. 砂田重民

    砂田委員 大体の検討しておられる方向長官のお答えでわかりました。本部長総理で副本部長総務長官、これでできなかったらやれることがないわけです。特段の御努力をお願いしたいと思います。  ただいまの御発言の中にも地方公共団体の問題をいろいろ配慮をしていただいているのはたいへんありがたいところだと思うのですが、事業者費用負担法制定と並行して、国と地方公共団体負担区分、これが明確にならなければならないと思うのです。政令で済むことは政令を改正して、すでに府県に委譲しておられる事項もあると存じますけれども法律で明らかにしておかなければならない問題もまだ幾つか残されている。さらに地方公共団体が実施する公害防止事業について、国の財政上の特例措置もまた必要ではないか、こういうふうに考えるのでありますが、長官のこの点の御所見を承りたいと思います。
  6. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほどの答弁の中に、国も何らかの特別措置をとる、たとえば補助率引き上げ等ということで触れたつもりでありますが、あらためてお答えいたしますけれども、まず企業負担をする区分が定まって、金額が定まる。その総体の事業費の中で残りをどう分担するかについて、次の順序は国である。そして国が何らかの誠意を示す。補助率なりその他の方法によって誠意を示した残り金額地方自治体負担をする。その際における自治体財源について十分の配慮をする必要があるということを申し述べたつもりであります。
  7. 砂田重民

    砂田委員 水質汚濁に対処するために水質保全法とか、府県の条例によって排出基準をきびしく定めて、それに基づいて規制が行なわれますけれども一般家庭汚水規制というものにどうもなじみにくい。特に人口集中した大都市等では、それぞれの市の行政機関がいろいろな調査をしておりますけれども工場排水による公共水面汚濁がその原因の何十%であって家庭汚水原因の何十%であるというふうなこともなかなかわかりにくい。それぞれの地方公共団体といいますか、地域社会地域社会で様子も違ってきているような状態であります。ただ言えることは、人口の特に集中している大都市において、水質汚濁の解消というものは下水道の完備にまつ以外にはないということが言えると思う。建設省も、四十六年度の新しい下水道整備計画を樹立しようとしておられますけれども公害担当大臣として、特に人口が集中しております大都市下水道公害対策としての重要性をどう長官が認識しておられるか、御所見を承りたいと思います。
  8. 山中貞則

    山中国務大臣 今日は統計でものをいうことが多い、数字比較する時代であるともいえるわけでありますが、私たち日本人、ことに政府責任者が一番外国と比較したくない数字の中で、極端にきわ立っておるのが水洗便所普及率なんですね。これだけはどうも文化国家でありますということを言いにくい。そういう状態の次に来たるべきものはすなわち下水道である。この点はもうだれもがわかっていることです。問題は予算を幾らつけられるのかということに尽きると思います。これは予算の場合には、私のほうでは公害に関係する予算として、下水道予算も、建設省考え方を十分聞きまして、大蔵省のほうに私ども公害関係予算査定に対する方針に関する参考意見を出すつもりでありますが、しかしながら、一方国としてはやはり公共事業に対する国の費用配分、ことに歳出面配分あり方等については、歳入の公債発行依存度等と相まって、景気刺激その他の理論において非常に大きな要素を占める部門に特に下水道事業が入っておるということも否定できないわけですから、そこらのところが公害対策だけで簡単に予算がとれるものならば、私のほうでもはっきりしたことが言いやすいと思うのですけれども国全般財政運用の問題からも公共事業ということの一環でもあります。かといって今日の状態は、公害対策の第一歩はまず各家庭から、各家庭がまずつながるものは公共下水道であるということを考えますときに、私たちは、この場合においても、公共下水道もそれぞれ企業は利用に対する負担をしなければならないと同時に、その排出時の規制も受け、さらに下水道等の敷設についての事業負担もしなければならない。いろいろの要請も必要になってくると思いますから、事業費金額の中の配分は多様化してくると思いますけれども、しかし、公共下水道整備ということは、私たち公害対策本部というものが直接乗り出しておる費用である項目の大きな柱であるということでおわかりいただくように、その予算獲得には重点を置いて、建設省側考え方と違った角度から応援をしていくつもりであります。ことに日本太平洋メガロポリスを構成しておりまする地帯巨大都市人口が集中し、あるいは立体化しつつ狭い面積にふえていく、このことがある意味における日本公害一つ要素の一因でもありますから、これらのことを考えるときに、やはり人間も生存しておる動物であります以上、排せつ物というものをどうしても無用のものとして出さざるを得ない。それらの点の処理というものが、新しい都市政策あるいは今後の日本列島計画を描く場合の太平洋ベルトラインのある意味の裏の前提条件一つとして設計がなされていなければならない要素であるということは、私たち十分考えていかなければならぬと考えます。ことに瀬戸内海等汚染等は、工場排水その他もありましょうが、やはりあの瀬戸内海の特殊な狭い海面に屎尿投棄が許されておる海域があるということ等が、大きな影響があっているものと考えます。それらのことを思いますときに、私たち下水道事業に対する考え方というものは、立場を越えた意味での強力な新しい展開がなされなければならぬというふうに考えておる次第であります。
  9. 砂田重民

    砂田委員 長官の、特に太平洋ベルト地帯と申しますか、瀬戸内を取り巻く都市化現象の激しい地帯、そういうところについて下水道整備の緊急を要する、そういう御認識の上に立って、午後から私は建設省下水道の問題で質問してみたいと思います。公害の問題はあと同僚委員からたくさん長官に御質問があるようでありますから、私は同和のことを大臣にひとつ伺ってみたいと思います。  同和対策を推進するための国庫補助負担金というものは非常に不足している。現況は、地方財政という角度から見れば、これは異常といえる不足さです。市町村申請に対して、四十五年度を見ましても、市町村申請県段階で相当しぼってかかっても、国の財政率の異常な低さが地方財政を非常に大きく圧迫している。特別措置法が成立することを昨年から予期しておりました地方公共団体は、いずれも四十五年度の当初予算で意欲的な事業計画を立てております。ところが、国の予算というもののふたをあけてみると、びっくりだった。びっくりしてみても、当初計画というものは一ぺん公表されておりますから、この事業を減らすわけにいかない。いたし方なく、単独事業地方債に一斉にかけ込んで、来年度、四十六年度の概算要求額——四十五年度がこういう状態であったから、改善をされているかと思って概算要求を見ておりましたところが、総理府で取りまとめられました同和対策事業各省の部分をみな集めても百二十一億六千四百万円、自治省同和対策事業債が要望しておりますのは百二十億。そういたしますと、国の負担が大体三分の二といわれる同和事業予算としては、もうこの段階つじつまが合わない。自治省起債が百二十億必要だといわれるならば、各省補助金負担金の合計は二百四十億なくてはいけないはずだ。それが各省分全部総理府で取りまとめられたものが百二十一億にしかすぎない。この段階つじつまが合っていない。これでは地方単独事業が主体であって、補助事業がこれを補完しているというような状態です。四十六年度の概算要求が四十五年度の府県申請額にも及ばない、この四十六年度の概算要求のこういう状態長官はどういうふうにお考えになるでしょうか。
  10. 山中貞則

    山中国務大臣 現実においてはそれを認めざるを得ないと思います。しかしながら、これは四十二年に全国同和実態調査を行なって、そのときには特別措置法というものができていなかった。そして十カ年計画も当然なかったということで、自治体等においては、自分たちの県内あるいは地域自治体の中にそれらの同和対策事業を行なわなければならないという条件のあることを承知の上で、なおかつ何のためにそんな報告をする必要があるかくらいのところで済ました県もあり、市町村も大いにあったわけです。しかしながら、その後になって法律制定され、十カ年計画のもとに高率補助整備が行なわれることがわかって、自治体責任者の皆さんは、これはやむを得ない、現金といえば現金なんですが、それならば自分たちのところにもあるといって、最近は予想もしない地域も含めてどんどん申請が出てくる、要求が出てくるということの食い違いがそこにあるのだろうと私は思っているわけです。ということは、ことしの予算要求段階で、自治体実態というものを私どものほうでつかまないで、各省が受けましたものを私が報告をとったという形でございますので、いま言ったような事実がその背景にあることを考えざるを得ないのです。そこで、私としては四十六年度予算でもって、自治体責任者の方々も今度こういうことを報告し、その実態に基づいて何ができ、それに対して国がどういうふうな補助をしあるいは援助をするかということは明確でありますから、今度はよほど御協力が願えて、今度こそ文字通り悉皆調査というものができるだろうと私は考えまして、四十六年度の予算要求には、事務当局は賛成をいたしかねるということでありましたけれども、私のほうで同和全国一斉調査、悉皆調査というものをしっかりとやろうと思って予算をとっているわけです。各省が持ってきたものをうのみにばかりしているわけではありませんで、たとえば国会問答等を聞いておっても、私自身が確かに問題があると考えたもの等については、直接私の意見も述べてつくりかえてもらったりしております。一例をあげますと、農林省のほうが、混益率五〇%以上の条件地域対象にして、特殊な土地改良事業を行なっておりますが、たしかいま参議院に行っておられる足鹿議員だったと思いますが、その隣の三〇%、四〇%という混益地域はどうしてくれるんだという話がありました。これは極端に言うと、一人おってもその人には特別な補助をやれということになるでありましょうから、これは限度のあることだ。しかし、農林当局としては、やはりいままでのようなとおりの原案を持ってきて予算要求をするということですから、私としては、やはりこれには一定の限度はあろうが、国会論戦等を通じて、私がそのほうがいいと感じたことがあるから、たとえば混益率三〇%以上のところまでを対象とし、五〇%地区と合わせて、平均四〇%以上の混益率に達する場合には、その三〇%の地域も含めて、同じような特殊な補助率のある土地改良等が行なわれるようにしろということで、農林省のほうは、任命権のない大臣でありますけれども、たいへん従順に言うことを聞いてくれて、そのような予算要求にかえてくれたりいたしております。これはたった一例でありますけれども、そういうふうにチェックもし、推進もしておるわけでありますが、現実金額の上から見て、もう明瞭であるという点については、地方自治体が、よく言えば、非常に意欲的に、単独債としてでも自分たちはやらなければならぬし、やろうというお気持ちが反映している姿だともいえますし、数字比較だけで言うと、国の高率補助というのはナンセンスだという比較もできようかと思います。いろいろな問題、私たちがこれから直していくべき点が多分にあるだろうと考えております。まず何よりも一斉調査というなら、完全な実態をつかむことを前提にしたいと思います。
  11. 砂田重民

    砂田委員 概算要求予算そのものには私も大きな不満を持っておりますけれども、いま長官がおっしゃった農林省農山漁村同和対策事業費一つの例にあげまして、これの改善のお話をなさいましたが、そういう行き方をぜひしていただきたい。制度にも運用にもいろいろな問題がたくさんまだ残されておるわけでございます。  過疎対策のあの措置法をつくりますときに発揮なさった長官のあのきめのこまかい御配慮を、同和問題の総括責任者としても、今回もひとつぜひ発揮していただきたい。農林省山中総務長官にたいへん従順だそうでありますけれども厚生省建設省等も従順であろうと思いますから、ぜひこれが改善には一段の御努力を御要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  12. 菅太郎

  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 限られた時間ですから、端的に幾つかの問題をお尋ねしたいと思います。  きょう自治省がお出しになりました「公害防止対策の積極的な展開」、公害防止権限地方自治体にもっと譲渡すべきである、また、それに対する財源措置も見るべきだという点で、いろいろまとめてまいりました。この中に「公害防止協定積極的活用」という項がございます。最近神奈川県、川崎、横浜、この三自治体日本鋼管との間に〇・〇一二PPMというきびしい着地濃度協定が締結されたことは、非常に喜ばしいと思います。千葉県でも同様な動きがあるわけでありますが、こういう面で自治体が非常に努力をしております。同時に、ここにも書いてありますが、幾つかの問題について自治体権限を委譲する。きわめて重要な問題です。工場排水法に基づく権限につきましては、山中長官努力もございまして、また世論の動向がございまして、通産省が握っております権限を大幅に都道府県知事に委譲するという方向が出つつあることはけっこうだと思いますが、今後、私は、さらに問題になるのは、一つ地盤沈下の問題があろうと思います。地盤沈下につきましては、地下水のくみ上げ、これが問題でありますが、その対策としては、用水規制する、あるいは地下に対してさらに水をまた注入をする、あるいは土盛りをする、方法はいろいろあろうと思いますが、とにかく当面なすべきことは、くみ上げの規制だろうと思います。工業用水法によりますと、この権限通産大臣が一手に握っておるわけですね。建築物同様地下水取水規制、これは建設大臣の所管でありますが、相当権限都道府県知事に委譲しておる。ところが、問題の工業用水工業に関係する地下水のくみ上げについては、都道府県知事権限が全くない。これでは私は、現状、問題だと思います。したがって、工業用水規制について、工場排水のほうの規制権限通産大臣から都道府県知事に委譲すると同じように、この問題を都道府県知事に大幅に委譲すべきである、私はかように考えておりますが、その辺の考え方はどうでしょうか。
  14. 山中貞則

    山中国務大臣 工場排水についてはすでに、これは政令改正ですから、閣議決定をもちまして、単に通産のみならず、大蔵省の紙幣を印刷する工場——ちょっと、やはり全部立ち入りますと、偽造その他の心配も少しあるわけですから、一つのブロックを限って遠慮してもらうというようなことの了解を前提として、とにかく六十八業種全部すぱっと委譲したわけです。政令ですから、閣議決定政令を改正いたしまして、すでに終わりました。  ただいまの地盤沈下に対する建設通産のそれぞれの法律についてですが、通産省自体も、この地盤沈下原因としての地下水くみ上げ等に対する決定的な原因の究明、あるいはそれの対策というものについて、まだ議論中のようであります。たとえば一時は地下水のくみ上げというものが地盤沈下につながる、これも明瞭な現象だったのですが、しかしながら、深いところはだいじょうぶだ、洪積層に達すればだいじょうぶだということで、相当深い井戸を掘ることを条件にして、それによって口の大きさとか口径についての基準を定めてあるわけです。ところが、最近は水系全体の、たとえば関東近県北部一帯では、天然ガス等の採取も含めた問題としてでしょうが、相当広範囲な問題として、この地盤沈下原因である地下水のくみ上げという問題については、ただ深いところならばだいじょうぶだということではだめなんで、深いところを掘っても沈下するところは沈下するというような問題になるようでありますし、そのようなことから考えて、この問題は、次の臨時国会に提案するような作業はどうやら間に合わないような段階であります。したがって、知事に大幅に権限を委譲するかしないかの前の議論として、いま通産においても熱心な議論展開しておるようであります。私もほとんどの法律を全部次の臨時国会に出したいと思いますけれども、このような特殊な背景を持った法律がネコの目のように変わるのもいけませんから、もう少しきわめた上で、規制法並びに権限等について定めることがよろしいほうの法律は、やはりある程度仕分けをして、少しおくれることもやむを得ないのではないかというふうに見ております。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 臨時国会には間に合わぬけれども、十分原因その他究明をする中で考えていきたいということですから、当然次の通常国会あたりには、地盤沈下に関する都道府県知事権限強化という問題についてもぜひ取り組んでいただきたいと思います。  次に問題になりますのは、大気の汚染でありますが、そのうち特に自動車排気ガスに伴うところの大気の汚染、ことし大きく問題になりましたいわゆるオキシダントの関係の問題等はこの最たるものだと思いますが、これを規制するには、一体どうしたらいいのかという問題であります。もちろんこの中に一酸化炭素あるいは亜硫酸ガス、酸化窒素あるいはオゾン、こういったものが複雑に作用し合ってロサンゼルスと同じようなああいう災害が起きたわけだと思いますが、これを規制するのには、何といっても自動車の規制をやる以外にはない。ところが、この自動車の交通規制たるや、結局現在の制度では、当該都道府県の公安委員会、警視庁ないしは当該都道府県警察本部、これが握っておるわけでして、知事にも何らの権限がない。ましてや横浜あるいは名古屋、大阪というような政令都市の市長におきましても全く権限がないという状況だと思います。  私は一つ方法としては、あとでまた荒木国家公安委員長が参りましたら議論してみたいと思うのですが、世界各国の警察制度を見ますと、交通警察については全く自治警でもって運営しているところが非常に多いわけです。それで当該市の、たとえばロンドンだったらロンドン市長が交通規制権限は持っているというのが普通の状態であります。日本は現在の警察法でそうなっていない、ここが問題だと思うのでありますが、結局、警察制度の抜本的な改正ということはさておきましても、ここに自治省がまとめたような——これでは非常に不十分だと思うのですが、交通規制都道府県知事が要請することができるようにしたらどうか。これも一つの解決の方法だと思います。さらに含めて、少なくとも政令都市の市長ぐらいは要請することができるということは必要ではないだろうかというふうに思います。歩行者天国等も、一つのモデルケースとして、実施に移されましたことは非常にけっこうだと思うのでありますが、特に交通の問題につきましても、担当しておられる山中総務長官が、さらに公害という観点からも、この交通規制権限に関して都道府県知事なり政令都市の市長なりに権限を何らか付与する必要がないのか。この点は一体どうお考えですか。
  16. 山中貞則

    山中国務大臣 あらゆる公害現象は、たとえば河川にしても、中央において四十九水系というものをかりにやってみたところで、これはまあ各県知事さんにしてみれば、自分の県内の一本か二本の河川ということで、日常の自分たちの行政上よく熟知した条件のもとに汚染されつつある川ということになるわけでありますから、こういうようなものはとにかく地域住民の広域自治体責任者である知事さんということが一番いいじゃないかということで、ちゅうちょなく割り切ってものが言えるわけなんです。しかしながら、ただいまの自動車という問題になりますと、一体、東京都なら東京都というものが一番象徴的な日本巨大都市でありましょうが、東京都内を走っている自動車が、全部東京都知事の管轄下にある地域の中からスタートしてその地域の中にとまっておるかというと、やはり通過車両や流入車両や出ていく車両や、隣の県あるいは大げさにいうと、たとえば日本全国といわぬまでも、相当な範囲にわたる県との交流と密接な関係なしでは自動車は動いていないわけなんですね。その場合に、いわゆる交通問題と、人を殺傷する凶器として交通事故から出発した交通対策が、接点においては、その排出する排気ガスによって公害を起こしてきたということからも、公害問題と一致した。幸いにして私が両方担当いたしておりますから混乱が生じないものの、もう問題点は同じところに帰結しておる現象もあるわけです。そのときに、しかし、東京都知事がそれをとめてしまうということを権限として与えるということになりますと、周辺の車の流れその他の問題はどのようにできるのか。自治省のほうで知事が勧告することができるというようなことを検討しておるという話でありますが、まだ私、聞いておりませんけれども、そういうことでありますればいいとしても、知事権限、手段だけでとめてしまう、ましてや七大都市の市長の権限で車をとめる権限を持たせるというようなことになりますと、やはり全般の車の流れその他等から考えて、公害の一面だけでもって議論できないのが車ではなかろうか。その意味では、どうしても公安委員会なり、東京都ならば警視庁というものが一枚中に入ってもらうということが必要である。そうして東京あたりでは、ことに警察庁というものもその話し合いの中に入っていく必要があるというふうに考えておるわけであります。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いまいろいろ説明されたような事情はわかります。問題は、現在の科学技術でも、一酸化炭素の濃度が相当上がった、それからまた酸化窒素等の濃度も上がって、オキシダント濃度も一定の水準に達した、このままでいけば明日は光化学スモッグが当然発生するのではないかということもある程度予知できる状況にはいっていると思うのです。そうした場合に、では現状どうしているかといえば、外へ出ないでくださいという広報カーを回しているというのが唯一の対策だと思うのです。これじゃやはりおかしいわけで、結局、ずばり権限都道府県知事に委譲するのには警察制度を改めなければなりませんから、それは一応おくとしましても、現行の警察制度の中で、やはり知事なり政令都市の市長なりがその地域のオキシダント濃度の推移によって要請をして、そして一定部分を交通規制するということは、当然私はあってしかるべきではないかと思うのです。そういう意味で、自治省としても、十分ではないと思いますが、交通規制都道府県知事が要請することができるようにしたらどうかという程度の提案をしているのだろうと思います。これに政令都市の市長も加えるというような形で、いま私が申しましたような形での光化学スモッグに対する対策というものがとりやすい形に持っていくことは、私は現在必要ではないかと思うのです。そういう点についてはどうでしょうか。
  18. 山中貞則

    山中国務大臣 よく存じておられての質問でありますから、答えがしやすいようなしにくいようなところがあるのですけれども、そういう御理解であるならば、やはり自治体の長たる都道府県知事というものが、ことに大都市における自動車の排気ガスが相当貢献した状態における光化学スモッグの被害の予想が前日予見できるというようなとき等において、あるいは事前の十分の相談があればできるじゃないか、これは私は傾聴してもよろしいと思うので、そういうことならばよろしいのではないか。すなわち、いわゆる交通問題を何も警視庁、警察の交通行政ということでなく、やはりそういう流れとか規制の問題は警察庁でないと実際できないわけですから、そういう意味で、知事なり七大市長というものが勧告をするということは私はけっこうだと思いますが、ただ、この光化学スモッグの問題は、ヨーロッパでいわれている硫酸ミストその他の騒ぎのように、われわれは海洋国家で島国ですから、よその国が加害者だなんという議論はありませんけれども、ヨーロッパでは、うちの国はきれいにしているのだけれども、隣の国の工業地帯から煙がやってきてという話をよく聞くわけです。まあロンドンには類似している。これは確かにそうだろうと思いますが、しかし一方、京浜、川崎あたりの工業地帯のその煙が風と温度とあるいは風の速度と滞留状態というようなことで杉並あたりで被害を起こしたのだということもいわれておりますし、なかなか原因者が一人ではないということになりますと、多角的に大気汚染排出源を規制していくと同時に、やはり自動車も、日本はいま通産行政の中で電気自動車というものももう一ぺん開発し直そうとしておるわけです。きのう会見しましたアメリカの大統領の環境問題諮問委員長のトレインさんあたりの意向を聞きますと、アメリカはガスタービン車あるいは蒸気自動車というようなものも研究していると言っておりましたが、要するに、ガソリンを用いて、どうしても排気ガスが出るおそれの否定できない燃料を用いて走ることを否定するようなことも研究しよう。その結果は、大統領が勧告した一九八〇年に現在の自動車の排気ガスの九〇%をカットせいというのに対して、議会は、上院だけですけれども、反対者一名もなし。GM以下の自動車会社の圧力をはねのけて、そしてそれを、一九七五年までに九〇%カットすべしという決定をしたようです。中間選挙を意識しておるのだとか、いろいろありますけれども、いずれにしても、そのようなきびしい基準はひとりアメリカのことだといっておったのでは日本は済まないのであって、市場の面においては共通市場というに近い状態にあるわけですから、やはり日本の自動車業界というものは、このようなアメリカ上院の示した冷酷なまでのきびしい基準、いわゆる人間の生命の尊厳にかえがたいものは何もないのだ、GMもつぶれようとどうしようと知ったことじゃないのだというその態度を、私は、人ごとと思ってはならない。日本の業界も、アメリカがもし一九七五年までに現在の排気ガスの九〇%をカットするということを下院まで含めてきめた場合には、私たちは直ちに国会に相談して、日本の自動車産業も同じ規格のものをつくることを要請する必要があるということを考えておる次第でございます。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 人命の尊重は何よりも重要だということから、排気ガスの規制を徹底的にやるということが根本的な解決だと思いますが、当面、しかし、そうでない車が大いに走っておるわけです。結局、長官も私の提案には賛成されておるようですから、ぜひとも都道府県知事政令都市の市長ぐらいは含めて、警察に要請し、光化学スモッグ対策がすみやかにとれるという形を確立してもらいたいと思うのですが、久保交通局長さんもおられて、毎朝のテレビでなかなか名論卓説を吐いておられるのを敬意を持って拝聴しておりましたが、警察としても、これらの問題については、もっと都道府県知事あるいは市長の要請を謙虚に聞くということをやってもよろしいのじゃないか。歩行者天国につきましても、美濃部知事が提唱してから一年もたってから、警視総監がかわってやっと実現されたというようなことでは、少しおそきに失したのじゃないかと思うのです。警察としての態度もひとつあわせて聞いておきたいと思います。
  20. 久保赳

    久保(赳)説明員 ただいま山中総務長官が答弁されましたとおりでありますが、私どものいまの考え方は、たとえばCOだけの場合には、一定の濃度を東京都なら東京都がきめました場合に、これをこえて身体に害があるというときには、公安委員会だけでも規制ができるというふうにいたしてみたい。当然、この場合に、東京都から要請があり、あるいは意見を申し述べられてもけっこうであります。  それから、むずかしいのは、ただいまのオキシダント、光化学スモッグの場合には、原因が自動車だけではありません。御承知のように、立正高校の場合には、おそらく川崎あたりの工場の煙があそこに流れてきたというふうに説明があったわけですが、そうなると、車をとめただけではよろしくないということで、オキシダントの場合には原因究明ということが先に立ちますが、いずれにいたしましても、方向としましては、そういった原因との相関関係がむずかしいし、それから工場との関連をどうするかという問題もありますので、これはむしろ、公安委員会が先に立つよりも、都知事なら都知事が要請をされて、それを受けて公安委員会が交通の安全と円滑をも考慮しながら規制をするということがしかるべきであろうと思います。  しかし、この場合にちょっと御認識を願いたいのは、ただいま御引例になったように、あらかじめ予告されたら車をとめたらどうだろうか、あるいはかつてそういうふうな事態があり得たのではないだろうかという御趣旨にちょっと拝聴したのですけれども、御承知のように、現在の政府できめました環境基準というのが、八時間で二OPPM、二十四時間で一〇PPMでありますが、東京都が一五PPMをきめた。ところで、これはCOの場合ですが、光化学スモッグで一定の基準をきめました場合に、これをこえたらすぐに車をとめる基準であるかどうかというのは、また別であります。この点はひとつ間違いのないようにしていただきたい。たとえば、COであれば、いま例を申し上げましたように、ロサンゼルスで車をとめる場合には二〇〇PPMでありますから、めったにそういうことがない。また現実にロスではそういうことが行なわれておらない。  ですから、私どもが希望するのは、いま厚生省と協議しておるところでありますが、環境基準というもの、たとえばたばこを吸わないほうがよろしいという環境基準というものは適当にきめていただく、適当と申しますか、しかるべくきめていただく。しかし、何らかの行政措置を講ずべき基準、これはたとえば工場に勧告をする、工場に強制的に生産をストップさせるといったような行政面あるいは車をとめるべき行政措置そういった基準をまた別に煮詰めてもらう。そうでないと、これはなかなかうまくいかないというふうに思いますので、そういう法的基準がきめられ、あるいは東京都の要請ができるということになりましても、そういう行政措置が現に講じられるかどうかということは、そういうような基準を設けなければならないということを特に申し添えたいと思います。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点は、東京都もまた公害研究所も持っているわけですから、各都道府県知事も、当然そういう要請ができるという権能が付与されれば、それを行政措置として発動する場合には、当然きちっとした科学的な根拠なりというものがあって初めて慎重に行なうべきものであることは明らかですから、そういう懸念される点は、やはり自治体側も責任があるわけですから、慎重に扱うことは間違いないだろうと思っております。  時間がありませんから次に進みたいと思いますが、ポリエチレン容器の問題です。  最近新聞で拝見しますと、厚生省が、衛生上害がないというようなことから、牛乳容器に対してポリエチレンの容器を使うことを近く許可するのではないか、こういう報道がなされました。現在ヤクルト等でこれが使われておりますが、事牛乳びんということになりますと、日本全国で一日五千万本、東京都において、一千万本とはいかないけれども、数百万本というものが出回ることになるわけです。しかもこのポリエチレンというのは、長官も御案内のように、私も化学の出身ですからわかりますが、きわめて結合がかたくて腐らぬ。燃せば一千数百度というような高温が出るわけです。現在各自治体が設置をしております焼却炉の能力を見ますと、七百度ないし千百度程度で燃焼するのが最適だということになっておるそうであります、最新式のものでも。それが千八百度もの高温が出るということになりますと、この牛乳容器が出回れば、全自治体のごみの焼却炉は全部だめになってしまう、こういう状況は火を見るよりも明らかだと思うのです。そういうことになりますと、私はこのポリエチレン容器の許可というものは、相当慎重に扱うべき問題ではないかと思う。先ほどトレインさんの話も出ましたが、アメリカでは一時コーラのびんについてポリエチレンの容器を使ったらどうかという提案がなされましたが、その処理方式がまだ開発されておらぬということから、これは許可されておらぬそうです。私もやはり同じように、これから公害基本法の中へ産業廃棄物というものが当然挿入されるでしょう。同時に、私は、家庭から出る廃棄物公害といったものが当然これからは大きくなってくる問題だと思うのです。そういうことから考えました場合に、このポリエチレン容器をいま許可するということは、この処理技術が開発されておらぬ現在、廃棄物公害を激化するという意味で、私はこれは差しとめるべきだと思うのです。最近新聞で拝見しましたが、中曽根長官山中長官とが閣議で激しく対決されたそうであります。たいへん勇気ある長官だと思って敬意を表しておりますが、私は、やはり厚生省がこのポリエチレン容器を許可するというような方向にかりに行っているとするならば、そういった廃棄物公害を防止するという観点から、公害対策本部として当然待ったをかけるべきではないか、私はかように思います。  話によりますと、南氷洋でとれた鯨のおなかをさいたら、ビニールのハンドバッグとナイロンのくつ下が出てきた、こういう時代であります。それほどいまの高分子物質というものは腐らぬ。これがもう大量に出たらどうにもならぬと思うのです。ひとつ長官の決意をお伺いしたいと思います。
  22. 山中貞則

    山中国務大臣 これは厚生省だけでものごとを進めていっていい問題かどうかは、御指摘のとおり、非常に疑問があります。また一方、農林省としては、酪農計画の中で、生産のほうは計画以上に順調にいっておりますが、市乳消費のほうがどうも思わしくないということで、だぶつきぎみでもございます。そういうような意味で、列車に積んだり、いろいろな苦労をして販路を広げよう、来年度からは学校給食の形態も、文部省のほうが予算的に主導権をとっていこうというようないろいろな苦労をしておるようでありまして、だから、酪農振興の立場からは、確かに市乳というものが酪農産業の底辺になければ、酪農原材料は、国際的に日本はさか立ちしたって、いま閉鎖経済で国際社会の中でやっと息をしておるような状態ですから、市乳をどうしても底辺にしなければいけないということを考えますときに、むげに、現在のガラス容器の非能率、回収その他の手数等を考えて、ポリエステル容器にかえることはいかぬということは、一方的に言いにくい事情もありますし、よく検討してみなければならぬと思います。それを言うならば、そのほかにもたくさんの廃棄物というものがビニールの場合には存在するわけでして、現にビニールをそのままもとの石油物質に環元できる方法を、これは単なる思いつきや町の発明家でなく、大企業が、しかも石油産業のトップクラスの会社が開発をいたしましたが、家庭からスイカの皮やごみと一緒に出てくるものをえり分けて持ってくるという産業が成り立つでしょうか。その点みんな家庭の人がポリエステルだけは別の箱に入れて出していただけるだろうかということは、はなはだ疑問なものですから、試験管的には成功したのですが、どうも企業産業的にはいまのところむずかしいのじゃないか。鯨の例をとられるまでもなく、やはり海の底にへばりついたビニールは、卵の砂浜からのふ化も妨げますし、また有効なプランクトンの発生も逆に押えるし、幾ら埋め立ててみても、これは永久に溶けない。焼けば焼却炉のほうが先に焼けてしまうような熱を出すという御指摘は確かにそのとおりでありますが、今回の公害基本法の改正の中で明らかに概念づけるものとして、生活環境廃棄物というものをうたい込んでいこうと思っております。そして、同じ清掃法でも、やはり海水浴場のごみあるいはレジャー地のごみ等も含めて、このような扱いにくい問題は、せめて都道府県段階の広域清掃法というようなものを念頭に置きながら、基本法の中に盛り入れていこう。さしあたりは、いまの牛乳のびんに、容器に戻りますが、よく農林、厚生と相談をいたしまして——もちろんびんの業者がすでに倒産したとかなんとかいう現象も考えれば、通産省でしょうけれども、これは別にして、農林、厚生の相談と私のほうの公害対策本部でいいと思いますが、こういう問題をいかに処理することが適切であるか、あるいはそれを、コカコーラに待ったをかけたアメリカの例のように——この問題は、きのうのトレインさんと私の会談で話が出たわけでありまして、山中大臣は牛乳びんをポリエステル容器にかえるときには、よほどその処理について施策を立てておかれないといけませんよという忠告を受けたくらいですから、これは厚生行政であっても、十分検討してから結論を下してほしいとは思っておりますが、いまここでどうするということは明言できないわけであります。
  23. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 きょうの新聞を拝見しましたら、トレインさんと厚生大臣がいろいろ会談をして、そのあと厚生大臣がOECDからもらいがかかるのじゃないかと非常に意気盛んだったそうですが、私は、生活環境廃棄物の処理の問題を抜きにして、このポリエチレン容器の牛乳容器への許可をするようでは、私は厚生大臣はOECDからもらいはかからぬだろうと思います。牛乳につきましては、紙の容器もございます。畜産振興の面から重要な点は言うまでもありません。したがって、他にかわるべき容器もあるはずです。さらに私は、長官は農林、厚生両大臣とも相談したいと言いましたが、ここに自治大臣もおられるのですがね。問題は、清掃を具体的に実施しているのは自治体なんです。そういう意味では、自治大臣の決意も聞きたいと思うのですが、私はやはり自治大臣とも十分相談をしてもらいたいと思うのです。そしてこの問題については、厚生省だけが軽軽に結論を出すということじゃなしに、関係農林、厚生、自治三省、さらには公害対策本部というものがいま言った畜産の問題、さらには生活環境廃棄物の処理の問題、技術開発の問題、総合的な観点から十分結論を下してほしいと私は思うのです。少なくとも厚生省だけでこの問題に結論を出すことはあり得ぬということだけは了解してよろしいかどうか、さらに重ねてお伺いしたいと思います。
  24. 山中貞則

    山中国務大臣 灯台もと暗し、すぐそばにすわっておられる自治大臣のことを忘れておりましたが、清掃法は地方のプロパーの仕事であることを私はしゃべってはいながら、そのことに触れなかったということは私の手落ちであります。もちろんこれは大臣と申しますけれども、やはり実際は行政責任者というものの会合で詰めていきますから、そのつもりで自治省も当然清掃法をさせられておる立場からの意見を承っていきたいと思います。  さらに、ただいまのポリエステル容器でなくたって、角型の何角かのああいうものはすでに実用に供されておるわけですから、そういうようなこと等も十分念頭に置いて、おっしゃるような方向で検討してみたいと思います。
  25. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最後に一問だけお尋ねして、私は終わりたいと思いますが、カドミウムの問題です。最近メッキ工場、電池工場等からのカドミウムの排出が問題になっております。いままで日鉱三日市製錬所あるいは安中の東邦亜鉛その他のカドミウムの公害は、主として鉱山、製錬所という鉱業法適用のものだったわけです。最近独立製錬所で、鉱業法ではつかみ切れない、工場排水法規制をするというところも出てきたわけでありますが、鉱業法の場合には、大臣御案内のように、無過失責任が明確です。これからカドミウム公害は、鉱業法にいう無過失責任でない部分にあらわれてくる可能性が非常に強い。それで、公害基本法の改正も間近に行なわれるわけでございまして、その場合、無過失責任の原則も確立されると思いますが、ひとつ鉱業法以外のカドミウム公害につきましても、従来と同じように、無過失責任の立場で対処をしていただきたいと思います。これが第一です。  それから第二は、汚染米の問題なんでありますが、結局、いま農林省は、要観察地域の米であれば、とにかく凍結をして一般に配給をしないということを実施しておるわけであります。ところが、厚生省のほうの基準は玄米一・〇PPM。ですから、結局問題は汚染地区ですね。汚染地域に住んでいる農家は、結局保有米についてはこれを食べなければならぬということになっております。一般の方の場合は、要観察地域の米は食べない。言いかえれば、〇・四PPM以上の米は食べることはあり得ぬわけですが、野菜も食べ、麦も食べ、あるいは牛乳も飲み、またカドミウムを含む空気を吸っておる要観察地域の農家だけがこのカドミウムに汚染をされた米を食べなければならぬ、こういう矛盾が現在非常にございます。これにつきまして私は、過般の衆議院産業公害対策特別委員会で、農林省、食糧庁の扱いと厚生省の扱いとが違っておる、これは対策本部においてひとつ統一見解を出すべきではないのかということを要請いたしておきました。これに対して長官の決意をひとつお伺いをいたしておきたいと思います。
  26. 山中貞則

    山中国務大臣 当初厚生省基準と、農林省の買い上げ対象にしないという基準とがごっちゃになって、非常な混乱を巻き起こし、しかもそのために、富山とか安中地方とか一部の地域では、地域全体の他の農産物まで消費地帯から米を主にして拒否されたというような事態があったことは私も認めます。しかし、その後一PPM以上のものについては、政府はいわゆる食糧に適するという条件の上から、適しないものとしてこれを買い入れない、そのかわりこれは企業側において十分補償をするということで一応済んだようでありますが、そのあとの処理については、農林省からまだ何にも聞いておりません。一PPM以上の国が買い入れなかったものの処理のしかた、そこらについては十分検討がなされておると思いますが、これは食管行政、農林行政の中での処理だろうと思います。さらに、農林省が買い上げても配給はいたしませんと言って、国民に安心をしていただくために方針をきめた。ここらの段階から、一PPM以上は買わない、そのかわり買った一PPM以下のものでも配給に回さないというあたりから対策本部が中に入ったわけでありますけれども、その後においては、買い上げたものについて配給に回さないのを、さらにどう処理するんだということも、まだ具体的な結論が出ておりませんし、今度は自家保有米として、自分たちのつくった米を飯米としておられる方々について、農林省がいまとっておる処置については、希望があれば配給をするということを言っておるだけであって、それについて全量を、必要な量を配給するとも言ってないようでありますが、そこらのところはどうも公害対策本部が食糧の配給行政まで立ち入るべきかどうかについては、まだ幾らあつかましい私でも若干は謙虚な点もございますので、そこらのところはもう少し農林省のほうで明確な方針を示して、それが日本公害対策の上から見てそういうことではいかぬのだということであるなば、次の臨時国会では典型公害のほかに、六公害にさらに土壌汚染ということもつけ加えるというつもりでおりますので、われわれはその姿勢からものを言っていきたいと思っておりますが、いまのところ不明確なまま、会社から一応それぞれの地区においては金も出たし、また一応配給米でも食うかということで、その後の処理が少しおくれているような気がしておるのは事実であります。
  27. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 農家の保有米のことだけいやに遠慮されておるのですが、一般の人には要観察地域の米は食べさせない。要観察地域農家だけがある程度の高濃度のカドミウム汚染米を食べ、なおかつ他の副食その他においてもカドミウムを吸収し、大気からも吸収しておるという状況は、確かに片手落ちの施策だと思うのです。土壌汚染を公害基本法の中に加え、カドミウム土壌汚染が府中等で問題になっておりますから、土壌汚染の基準というものも早急にきめることも必要だと思います。そういう施策をやる中で、特に農家の保有米、カドミウムを含んでいる米を食べなければならぬ農家の健康対策についても、ひとつ遠慮をせぬで対処をいただきたい。要請いたしまして、質問を終わっておきます。
  28. 菅太郎

    菅委員長 自後の御質問者に御注意を申し上げますが、きょうの時間制限は厳守を要する時間制限でございますので、午前中はすでに十分超過いたしておりますから、以後の三質問者は時間を厳守していただきますほかに、少しずつ御節約を賜わるようお願いをいたします。  桑名義治君。
  29. 桑名義治

    ○桑名委員 公害問題につきましては、各部において権限地方に委譲するということが確定的になっておりますが、しかしながら、現段階におきましては一応都道府県の線まで権限委譲する、こういうふうなかっこうになっているわけでございますが、よく考え、あるいは実態をながめて見ますと、都道府県の中でも、特に政令指定都市あるいは今回三市につきましては特に大気について計画を出すように指示もなされている、こういった実情を考えたときに、政令指定都市までもこの権限委譲はおろすべきではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、先月の十一日の地方行政委員会におきまして、秋田自治大臣も指定都市権限が委譲されるよう検討し、指導していくならば一番適切ではなかろうか、こういうふうに意見を述べております。長官としましては、この問題についてどういうふうに対処されていく決意を持っておられるか、その点を伺っておきたいと思います。
  30. 山中貞則

    山中国務大臣 秋田自治大臣とよく御相談をいたしますが、私の考えは、あまりこまかく権限を小さい範囲の地域に委譲していくことはどうなんだろうか。今日の公害の発生源は多種多様であり、相当広域的な見地から考えなければならないということを私は考えますと、その問題で別な条件によって七大都市というものが地方自治法上特別な地位を占めておるということだけでもって、もちろん人口その他が多いわけですけれども、その現象だけでもって七大都市までおろすのはどうか。やはり都道府県知事段階責任を持っていただく、広域自治体責任者責任を持つということまでではなかろうかと思います。またそのためには、当然現在の三つの公害対策を定めようといたしておりまする市についても、責任はやはり、県の公害対策に関する施策というものを定めたわけでございますので、県がやって別段そうおかしくないと私は思っているのですけれども、もちろん秋田大臣がそうお答えになっておるとすれば、十分御相談をさしていただきたいと考えます。
  31. 桑名義治

    ○桑名委員 この問題は、長官の言う理由も一理あると思います。しかしながら、現時点を考えてみますと、たとえば北九州市におきましては、一応大気だけが委譲されている、こういうかっこうになっておるわけですが、そのことによって非常に実績をあげているという事実を踏まえて考えたときに、あるいはまたその地域の密着性というものを考えたときには、これは広域的に考えなければならないから、政令指定都市権限委譲することはあまり適当ではないのじゃなかろうかという論議はあながち当たっていないのじゃないか、このように思うわけでございますし、またこの公害対策に関する要望書、この七大都市が二回にわたって会議を開いておりますその中におきましても、このような地方政令指定都市に対する権限の委譲をしてもらいたい、こういうふうな強い要望が出ておりますが、この点を踏まえてさらに長官にお伺いをしておきたいと思います。
  32. 山中貞則

    山中国務大臣 アメリカの連邦内の各州への権限の委譲、あるいは各州の知事権限を相当強く持っておるというような、いわゆる面積においても規模においても全く違うようなところと比較するのは、ちょっと日本の場合はむずかしいと思うのでして、このカルフォルニア一州くらいの広さの日本が、しかも大部分を居住地域でない山岳地域にとられてしまって、残り地域に密集している居住人口、しかもその上それが四十数府県に分かれている。その現実を見ますと、これをあまり細分していきますと、空気と水には県境がないわけでしょう。そうすると、やはりそこらのところで、たとえば木曽川とか利根川とか、そういう場合に、ある県は加害県であってある県は被害県だ、そういう断定はできないかもしれませんが、要するに、被害の発生している県はきびしい基準をつくろうとする、ところが上流県は何だかなまぬるい、これでは困るのです。ところが、上流県は、自分のところはいま低開発地域工業開発促進法等あらゆる手段を駆使して企業に来てもらっておる、しかも幸か不幸か自分の県にはあまり被害はないしというようなことでやられると、地方権限を委譲したことによって、国民という名の地域住民の間にむしろ逆の混乱が起こる。その場合には、やはり対策本部という名の国がそこに乗り出していって、場合によっては所轄官庁の長の場合もありましょうが、法律には最終調整をするだけのある一定のチェックする権限を残さなければならぬのじゃないかというふうに考えているくらいで、むしろその意味では、知事に全部まかしてしまったあとが少し心配だということが私としては偽らざる気持ちでありまして、それ以下までこまかく各種権限を七大都市がやっていくかどうかについては、私はあり得べき理想はそういうことだと思います。ロスアンゼルスなんか、常時規制監視取り締まり工場に対する警告、そういう方法は市でやっていると思うのですね。ただ、日本の場合には、それだけでいけるものかどうか。あながち地方に委譲することすべてが善であるか、調整することを予測しないまま全部委譲してしまうことは早計であり、直ちに善とばかりはいえないのだという気もしてなりませんので、もう少し検討さしてください。
  33. 桑名義治

    ○桑名委員 では、次の問題に移っていきたいと思います。  都道府県段階まで権限が委譲されましても、なお電気、ガス、鉱山については権限が残る、こういうふうなことになっているわけでございますが、こういった鉱山保安法等の関係から考えますと、これを全面的に地方に委譲するということは、技術的にもあるいは人的にも非常に困難性があることは当然なことだと思います。しかしながら、現在の公害をながめてみますと、これは総合公害と言っても決して過言ではないわけです。そういった意味から考えますと、電気、ガス、鉱山についてのみこれが地方権限が委譲されることがストップされるということは、これは考え方によりましては、総合的な判断ができない、あるいは処置がとれない、こういうふうに考えるわけでございますが、この電気、ガス、鉱山についてのいわゆる委譲問題をどのように考えられているか、その点を伺っておきたいと思います。
  34. 山中貞則

    山中国務大臣 電気、ガスと鉱山とは全く別な範囲の問題であります。だから、結論としては、地方委譲という点で一緒にお話しになってもいいのでしょうけれども、大気汚染防止法の中の適用除外例として、電気事業法及びガス事業法による事業を除く、こういうふうに除外がされておる。このことが問題であるということでありましょう。しかし、鉱山保安法は、文字どおり鉱山の保安に関する立法でありまして、公害論争がいまのようにない時代からのものでありますけれども、いまの時代にもたえ得る内容の単独の独立立法でございますから、これはそのこと自体が災害、公害を起こさないようにという目的の法律でございますので、これは大気汚染防止法の適用除外の電気、ガスと一律に論ずることはできない。いまのままでもそう特別に、知事さんに委譲してみたところで、相当山奥の、あるいは廃鉱なんかになってしまうところもあるでしょうし、かえって手が届かないで、むしろいままでこの法律運用になれた通産省サイドの責任者のそれぞれの出先が分担することがよろしいのではないかというふうに私は思っておりますが、一方、大気汚染防止法の電気、ガスについては、原則として都道府県知事にこれも委譲をするということを考えております。たとえば常時規制、立ち入り検査、監視、測定、こういうことについて。ただ問題は、規制のうちの操業停止あるいは操短等の命令というような問題まで知事に委譲できるかどうかについて、いま通産あるいは厚生、対策本部加わりましていろいろと議論をしております。ということは、電気、ガス事業、ことに電気事業は御承知のような広域供給体制というものをとっておりますから、さっきの自動車よりはもっと極端にはっきりわかるわけですけれども、それをある知事がある電力会社の操業のストップを命じたという場合に、同じスイッチを切った時点においては、必ず直ちに、遅滞なく隣の電力会社なり何なりというものがその地域の電力を供給して、スイッチをついでおきませんと、今日の電気というものが私たちの生活の中で全くもう空気みたいな状態になって入り込んできておる現状から考えて、知事さんだけの命令で一つ地域の電気が完全にとまってしまうということなんかは、やはり問題があろうと思います。その場合に、知事さんがそこまで権限を持ちながら、なお最終的に、その権力を行使する場合は所管大臣たる通産大臣との合意あるいは許可という形をとることがいいのか、あるいは事業そのものはもともと許可、認可ということにかかる国の事業である。これは都道府県知事さんが、電気事業はおれの認可事業にしろとおっしゃっても、これは私は、通産省意見を聞くまでもなく、やはり無理だと思います。ですから、そこらのところをよく考えまして、問題は、人の健康、生活環境というものに汚濁を与え、悪い影響を与える相当な範囲の部門が電気、ガスの事業所から発生しておる。この事実を私たちは正確にとらえ、そして原則としてはなるべく、地域の実情を日常よく知っておる知事さんに常時規制、常時観則あるいは立ち入り検査、そういうようなものをいつもやってもらっていて、国のかわりにきめこまかく実情を知らしていただくということは、当然やらなければならないことだと思っておりますが、最後の一点だけをもう少し検討さしていただきたいと思います。
  35. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの御答弁の中に、常時検査あるいは処分あるいは処置、そういったものについては地方権限を委譲をする、その問題についてはすぐに国のほうに連絡をとりながら速急に処置をとっていきたい、こういうふうな形で権限が委譲される、こういうお話でございますか。
  36. 山中貞則

    山中国務大臣 まだそこまでいっておりませんで、考え方の基本は、やはり一番身近に毎日掌握できる知事権限を委譲して、そして観測あるいは検査等の問題はむしろ国にかわってやっていただく。ただ問題は、操業停止あるいは操短というようなことを命ずる場合に、それを知事権限だけでやっていいものであろうか、いわゆる広域エネルギーという意味から考えて、やはり同じように県境がないのが電力でありますから、そこらのところを少し、通産側を主にしてただいま話し合いをしておりますが、いまおっしゃったような結論づけはまだできていないわけです。予定としては来週の火曜の閣議後に通産省厚生省、その他自治省も今度は落としませんから、自治省等も含めまして関係閣僚協を開く予定でおりますので、なるべく一発でその場で詰まるようにしたいと考えて鋭意作業中であります。
  37. 桑名義治

    ○桑名委員 鉱山の件につきましても、電気とガスと同じような姿で一部地方権限を委譲なされるように努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。  それから次の問題でございますが、過日洞海湾の一部をヘドロによって埋め立てる、そのために計画立案をして、まず調査費をほしいということで陳情したときに、山中総務長官は、予備費の中から緊急対策費を支出、とりあえず年度内に調査を始めよう、こういうふうに答弁をなさっておるということを聞いておりますが、その点について長官から直接そのところを伺っておきたい。
  38. 山中貞則

    山中国務大臣 どうも調子のいいところだけが情報が伝わっているようであって、私はもう少し北九州市が市なりに——三カ所埋め立てをする、それをグリーンベルトもしくは緑の公園、運動場に、これはたいへんいいことだと思うのですよ。しかも非常にやりやすいのですね。水底に二メートル堆積している長年の蓄積ヘドロ、これをきれいな水にするために一定の場所を締め切って囲いをして埋め立てて、そして覆土をして、そこに緑の公園ができていく、非常に理想的な処理方法だと思うのです。ただその場合に、やはりある企業の常時使用しておる埠頭、バースというものがつぶれる、そういうことの了解はとってあるのかというと、それはまだ相談をしておりませんというようなこともありますし、またどうしても県というものが議会をバックにして、県民全体の立場からある意味負担もお願いしなければなりませんし、公共事業でやりますから、県も一緒になって相談をしてもらいたいというようなことで、結果論からいえば、私がいますぐアイデアとして片づけてもいいほどのきちんとしたものなんですが、問題は地域関係者あるいは住民、そういう人たちの了解並びに福岡県も責任ある立場でこれに関与してくるということでもって初めて私たちが国の段階でこれを受け付け得る。そのことがきちんとなされるならば、この種の仕事は私のやった仕事の中で——全力投球をしているつもりでありますが、どうも知事さんをキャッチャーに選んだために、田子の浦でフォアボールを出して、いま苦慮中でございますけれども、この問題は、福岡県知事さんがかんでいただければりっぱに処理できる種類のものだと私は思っておりますから、来年度にも調整費の中で予定地区の中に入れておりますが、しかし、ことしもし緊急にでもやりたいというようなことをおっしゃれば、ある意味の別な意味で非常にやりやすく、しかもまたきれいにしやすい。しかもそのあと残ったものが、工業地帯の煙突の林立する中の緑地帯というようなことになるならば、たいへんいい条件ではなかろうかと考えて、場合によってはことしの予算の緊急支出も考えてもいいというようなことを言ったわけです。だから前提がたいへんございまして、それを埋めていただきませんと、最後の出すほうのことだけが伝わっているのじゃどうにもならないと思うのですが、この北九州の洞海湾の浄化については私は非常に積極的に考えています。
  39. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどの陳情の件につきましては、帰っての市長の談話によりますと、佐藤首相も検討してバックアップする、経済企画庁も、当方の単独事業でも実施する、それから先ほど申し上げたように山中総務長官も、予備費の中から緊急対策として支出し、とりあえず年度内から検討を始めよう、こういうことが新聞の中にはっきり書いてあるわけでございますが、いまの長官のお話の中でも、いろいろ前段はあるかもしれませんが、積極的にこの問題に対しては対処していく、全力投球するので、キャッチャーとしては絶対にフォアボールを出さないように、こういうお話でございますので、鋭意この点についても全力投球をお願いしておきたいと思います。  それで洞海湾の浄化問題につきましては、遠賀川の河口の芦屋、ここのいわゆる海水の干満の差を利用しまして、洞海湾に水を流して浄化するという腹案も立っております。この問題は、先ほどの新聞紙上によりますと、非常に不適当だというような政府のほうの考え方らしゅうございますが、あの政府の考えていらっしゃる計画というものは、いわゆるポンプアップしていくというような考え方らしいのですけれども、しかしながら、現地で考えているのは、遠賀川から直接洞海湾に——昔五平太船が通っておりました。これは石炭を運ぶ船でございますが、その掘り割りがそのまま残っている。それをさらに完備をさして途中でダムをつくり、両方に弁をつくって、そして干満の差を利用して、水を導入していこうという案でございます。これが現在の案は三百万トンの水ということになってはおりますが、このダムを大きくすれば三十万トン、五十万トンあるいは百万トン、こういう水を導入することも、これは可能でございます。もちろん洞海湾の水をきれいにするためには、最初に申し上げましたように、ヘドロを取るということも並行してやらなければなりませんし、工場排水規制というものもあわせて、しかもまた洞海湾が汚濁をしたという原因は、あの一日の水がかわるために約一カ月の日数を要する、いわゆるたまり水であるがためにああいうふうに汚濁が激しくなったという一面性もあるわけですから、今後そういった計画をどんどん打ち出して、積極的な姿勢で取り組んでいるもようでございますので、その点も御了解をしていただいて、長官としてもそういった案が出た場合も積極的に考えていただきたい。このことをお願いして次の問題に移っていきたいと思います。  次の問題でございますが、これは、さて権限地方に委譲された場合に、これの検査やあるいは勧告、こういった技術的な問題あるいは予算の面でいろいろと問題が出てくると思うのですが、日本を数ブロックに分けまして、国立の総合センターというものをこしらえて、そしてこの対策に当たってはどうか、こういう提案を前回の委員会で私出したわけでございますが、この点についても、秋田大臣は、国立の総合センターという点は確かに検討に値する重要な問題だろうと思いますから、この点もひとつ山中公害対策本部長にも当省から連絡いたしまして、御検討願うようにいたしたいと考えております、こういう発言があったわけでございますが、この点についての長官のお考えを伺っておきたいと思います。
  40. 山中貞則

    山中国務大臣 秋田大臣から御相談もいただいておりますが、しかしながら、まず国が公害研究所というものを持つかどうか、あるいは公害研究センターというものを国として持つかどうかについてもまだなかなか議論が詰まっておりませんし、せいぜい公害対策本部のデータバンク的なもので一応の機能を代行しようということを言っておる程度のときでありますので、地方自治体公害対策に対する公務員諸君の研修の問題でございますが、そういう問題に関するセンター、これもあればあるにこしたことはないと思いますが、まず国が各省庁に分かれてばらばらでやっております研究、その他の研修機関、そういうようなものが公害角度からはどうしても統一されなければならぬと考えます。総理の手元でも、国立公害研究所くらいは考えるかなという御意向も少しはあるのですけれども、しかし、はたして学者ぐるみ、機構ぐるみ、それぞれ各省に試験所、研究機関があるわけですから、その公害に関する分野をごっそりと削り取ってきて、予算ごとはたして新しい入れものをつくって出発することがいいかどうか。ここらのところはやはり最小の経費でもって最大の能力を発揮することが可能であるなら、このいまの機動隊でわれわれ出発したわけでありますけれども公害対策本部の機能そのものが各省の連絡を密にし、また協力一致することによっていまの国立公害研究所にかわるような機能まで備え得るならばそれでいいではないかということで、いまのところ最終的にはまだ来年度予算要求したりなどするところまではいっておりません。そこで、地方公務員の皆さんも、どこに行って勉強したらいいかたいへんお困りだろうと思いますし、何しろ公害罪をつくろうときのう発表されましたが、日本の裁判所にしても、判事さん自身がいま公害という問題について特訓中である。私自身も二カ月前に命ぜられて、いまさらあのカメの甲を勉強するわけにいきませんしね。それでたいへんつらい思いをしておるわけですけれども、何もかも大あわてでやっておるという感じがしてなりませんが、ここらの問題はやはり基本的に何を優先させ、そしてやるにはどうしたらいいか。そうして地方自治体権限を委譲した場合に、それらの人々の当然持つべき知識あるいはその前提としての研修その他に国は何がしてあげられるかということも当面してあげなければならないことでありますから、これは予算編成の問題ともからみましょうし、行政機構までいくかどうかわかりませんが、地方行政組織の問題でもございましょうし、いろいろと自治大臣とこれから相談をしていきたいと考えます。
  41. 桑名義治

    ○桑名委員 もう時間がございませんのでこれで終わりたいと思いますが、この国立総合公害センターという提案でございますが、先ほど申し上げましたように、各地方自治体権限が委譲されても、その公害を分析する能力がない、あるいは勧告する能力がない、こうなってきますと、権限は委譲されたけれども実効があがらない、こういうことになってくるわけです。現実に、現在北九州市の場合を考えてみますと、この水質の公害問題で取り組んでいる技術職員は二名しかいない。もちろん衛研あたりにいきますと多少おりますけれども、実際に公害の問題だけを取り組む場合には二名しかいない。あるいは企業に勧告をしましても、技術的な格差がございまして逆に押し込まれてしまう、こういうようなアンバランスな姿が現実に出てきているわけです。予算面につきましても、これは非常に大きなお金もかかりますし、現実に分析ができない場合には大学に依頼をしていかなければならない、こういう状態でございます。幸いにしまして、最近工業試験場にこういった研究機関を置くということで、福岡県の場合には一応そういう段階を踏んで前進はしておりますけれども、これは全国的な問題として、公害はこれで終わるわけではないのでありますから、今後半永久的に続いてやっていかなければならぬ。人間尊重の立場から考えると、当然この問題は積極的に取り組んで、新しい行政としての立場で考えていかなければならぬ、こういった立場からこの問題についても積極的な姿勢で今後取り組んでいただきたいことを要望しまして、終わりたいと思います。
  42. 菅太郎

    菅委員長 門司亮君。
  43. 門司亮

    ○門司委員 私は、きわめて簡単にお聞きしますので、両大臣からひとつ率直に答えていただきたいと思います。  大体、公害問題は、関係各委員会でかなりなされておりますし、私ども会議録を見てまいりましてもいろいろのことがわかるわけでありますが、ただ、その中で私が一つ心配しておりますのは、この地方権限を委譲するしないというような問題も大きな問題であります。しかし、権限だけではいけない。それから、権限をかりに委譲されないとする市町村も、公害権限が委譲されないからといって一切県にまかせるわけにもまいらない。公害を始末するのは、何といっても都道府県よりもむしろ市町村が主体としてこれの始末をしなければならぬところに追い込まれるので、そういった場合の財政措置は一体どうするつもりなのか。こういった問題が片づかない限りは、私はどんなにここで議論をしても、議論だけで片づく性質のものではないと思う。実際の問題だと私は思う。その財政的な処置をどうするつもりですか。国の公害対策本部としての大臣意見、それを処理をすることのために受けて立つ自治省の態度というものは、この臨時国会にというわけになかなかいかぬかもしれませんが、私は、でき得れば、臨時国会財政的な処置をこうするということまでひとつはかってもらいたい。その話し合いが両大臣の中でできておるかどうか。もしできておるとすれば、それをこの際明確にしておいていただきたい。
  44. 山中貞則

    山中国務大臣 結論から申しますと、まだできておりません。しかしながら、その点は何も知事に全部の権限を委譲しようというのではなくて、清掃法のほとんどの部分あるいは屎尿処理その他の行為については、これは市町村が御苦労願っておる。市町村事業であること当然のことでございますから、それらが始末できなくなったような問題を広域清掃というようなことでとらえようとしただけのことでございまして、これらの問題についてはいままでも財政措置がされておる。これは現在の清掃法その他の根拠による財政措置というものがあるわけですけれども、これから先、いわゆる生活環境廃棄物を公害として定義づける、公害基本法の中にそのことばが登場してくるというような状態になってまいりますと、やはりそれらの地方自治体の行なわれる公害対策への貢献に関係する仕事に対する新しい角度からの財政上の援助あるいは交付税算定等のあり方等について、一つの大きな問題を投げかけてくると思います。権限委譲をしたら、なるべくそのようなきめこまかな、予算はどうするのだ、あるいはいままでの事態の上にさらに仕事が重なったところについては予算上はどのようにするのだ等の疑問についても、臨時国会までには間に合わせるようにしたいと思っておりますが、ちょっとお約束できかねる点もございますので、努力をいたします。
  45. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 公害対策に関しまして、地方権限が委譲された場合、事務処理につきまして、これに十分なる経費の裏打ちがなければならぬことは当然でございます。この点につきましては、国からの委託費で処理さるべきものも、権限が委譲された場合には、あろうかと存じます。これらにつきましては、関係方面と十分連絡をとってまいりたいと思いますが、地方交付税でその他のものをまかなう、これにつきましては、所要の経費を十分まかなうように処置をいたしたいと考えております。その他の対策に関する事務費以外のいろいろの経費につきましては、先刻来お話のありましたとおり、事業者負担以外の国の一部費用負担等につきましては、今後話し合いを十分詰めてまいりたいと考えております。
  46. 門司亮

    ○門司委員 どうもその辺がはっきりしないのですが、公害というのは何かという議論からしないと、いまのような答弁では、私は問題が片づかないと思うのです。公害とは何かということです。いまの公害は公の害であるけれども、私は産業公害一つの私害だと思う。いわゆる産業が利潤を追求する一つの大きな機関としてのその産業作業の過程に起こってくる一つの問題である。ただし、その産業自身が国を盛り立てておるという一つの定義からすれば、あるいは公害ということばが使えるかもしれない。しかし、一つ一つを分析すれば、やはり私の害である。この際、ほんとうの意味における公害というのは、政治上の一つの大きな、はっきりいえば、都市公害みたいなものは明らかな公害であります。政治からくる一つの害であります。いま山中本部長のほうでは、環境衛生のことをお話しになりましたけれども、これも明らかに日本の環境衛生施設が非常におくれておるということ、屎尿の始末もついておらなければ、ごみの始末もついておらない、下水の始末もついておらない、これからくる公害、これは政治公害であります。これは公の害といえるかもしれない。それには政府が全責任をもって解決するという策が当然講じられなければならない。産業公害は、ある意味においては、いま申し上げましたように、私公害ということが定義づけられれば、企業間においてこれを片づけるということが当然の考え方である。しかし、そうだといって、日本の経済に寄与していないわけではございませんので、その辺を多少取り入れて、やはり施設その他について国あるいは地方の団体が多少の財政負担をすることはやむを得ぬことだと思います。その他の公害についてはやはり国が責任をもってやらなければ、いま議論されているところは、ほんとうの意味公害の排除に私はならぬと思う。公害といっておりますけれども、非常によごれるといっているが、その水はだれが供給しているのです。工場用水はだれが供給している。これは自治体でしょう。水を供給しておいて、入れるところだけは入れておいて、出るほうをやりっぱなしておるから、こういう問題が出てくる。入れれば当然下に出てくるにきまっておる。屎尿の問題にしても下水の問題にしても同じことであります。そういう政治に対する姿勢というものが、いままでの長い間の日本の惰性で来て、ここで行き詰まってどうにもならぬというときになっておるということが私はいま言えると思う。そうすれば、それに対してどう対処するかということが、やはり政府責任において考えられなければならない。地盤沈下があるといっておるが、その水は一体何のためにくみ上げておるのか。たとえば東京のこの辺をずっと見てごらんなさい。夏になってクーラーの水をどこから取っておるか。地下水以外に方法はありますか。東京都がこれに供給するだけの水を持っておるかどうかということ。これから先はずっと暖房ができるでしょう。これから出る煙は一体だれの責任になるのか。こういう公害自身というものの起こってきた発生の原因、それに対する政府責任、行政の責任、こういうものをずっと一つ一つを解決していかなければ、どんなに部分的のものをやかましくいったところで、それで解決する筋合いのものじゃ私はないと思っておる。  そうすると、そこにはどうしても裏づけが必要である。一つ都市で小さな工場が一どうしても中小企業では公害を排除するだけの施設が困難だ、資本的に困難だ。それなら一カ所に集めて、そしてそこで出たものを一カ所の処理場で処理するような方法をとるであろうということは考えられる。考えるのは楽に考えられる。さて、一体それをやることについてどうすればよろしいかということであります。やはり自治体はそれにかわり得る土地を求めなければならぬ。こういうことを考えてくると、公害対策は、表面に出ただけはみんなでやかましくいってどんどん攻撃をするが、大事な財政の処置というものはちっとも考えられておらぬ。そしてそれが枝葉末節というとおこられるかもしれませんが、ほとんど技術的で、各省のなわ張りで、そうしてどうにもならないというのが私は現状だと思う。どんなに上のほうだけをこしらえてみても、大事な市町村財政というものがそれに伴わなければ、これは何にもできない。こういう問題について私はいま聞いているのであって、技術者の給料がどうのこうのということを聞いているわけじゃございません。基本的の、そういういまいわれておる、かりに私は私公害というけれども公害と、社会の、政治の貧困からくるいわゆる都市公害とでも名前をつけるか、それらの公害については、どうしても政府責任財政的の処置をしてもらわぬ限りは、どんなことをいったってできやしません。ごみの始末が十分につかない。下水の始末が十分につかない。そうして幾ら公害公害といったってどうにもなりはしないでしょう。それを始末するのはだれかということです。その市町村に対する財政処置をもう少し両大臣から、きょうは私はこれ以上は聞きませんが、ひとつ明確にしておいてもらいたい。そして地方自治体が真剣にこの公害問題に取り組む姿勢ができるようにしてもらいたい。理屈だけではおさまらぬのである。国のほうは、各省は理屈だけいっていればそれでいいですよ。技術者がどうだこうだ、理屈だけこねていればそれでいい。しかし、実際に下の住民に直結している市町村というものは、理屈だけではおさまらない。だから、財政問題についてもう少し両大臣からはっきりした答弁を聞かしてもらいたい。  それと同時に、できればそれに一体どのくらい予算が必要なのかということを、これは十年計画とか五年計画ということになろうかと思いますが、考えられておるか。道路計画や何かについては五年計画とか六年計画、防衛庁についてはどうだとかいって、すぐ政府は何年計画といって立てて予算を取ることを考えているようだけれども公害対策に対する年度計画が私は当然必要だと思うし、それに対する予算はどのくらい要るつもりなのか、国、地方を通じて一体考えられておるかどうかということです。その基本的な問題を一応ここで聞いておきたいと思うことと、それから具体的な問題で一つだけ聞いておきたいと思うことは、いま公害に対する一つの研究のセンターというもののあるのは川崎であります。川崎はいつごろできたか、私は十分覚えておりませんが、たしか小林厚生大臣の時代でありまして、ここの開所式に私も行きまして、小林君と会っておるから記憶があるのでありますが、これは川崎の持っておる、あるいは神奈川県の持っておる一つ公害のセンターであります。これにいままでどれだけの援助をしてきたのか、具体的問題としてひとつ教えておいていただきたい。
  47. 山中貞則

    山中国務大臣 まず公害の基本的な姿勢についてでございますが、確かに日本の現在の公害基本法の第一条の目的に掲げるところを見ますと、人の健康に関するものについて第一義に掲げてございます。したがって、日本では公の害ということばを、ただ漫然とではありますまいが、惰性的に使って定着してしまったということでしょうが、国際的には、環境汚染もしくは環境破壊ということばで大体通用しておるようであります。しかし、私どもは、いまの基本法第一条の考え方、すなわち健康並びに生活環境という考え方を大きく前進させて、生活環境というものが相当重要な問題であるという、ただいまお話しのように、そういう角度から持ち上げてこなければなるまい。そうして第一条、目的というものは、憲法の条章を受けた健康にして文化的な生活というものを国民ができるような公害上の配慮についても、この法律は基本的な姿勢を示すんだというような法律にしてみたい、公害憲章というようなものをつくりたいという念願を持っております。  さらに、地方自治体に対する財源については、最終的にはどれだけのものを委譲し、そのために都道府県ないし市町村がそれぞれどれだけのものが、人間あるいは機械その他の所要経費が義務的に必要になるか、その他の経費算出については、いま少しくたちませんと、自治大臣もおそらくお困りだろうと思います。目下一生懸命やっておるところでございますから、それらの問題の結論が出ましたならば、それらについて所要財源の積算が当然出てくる。これについては国がめんどうを見て差し上げなければならない、国の権限を委譲するわけでありますから、そういうつもりでおるわけでございます。  さらに、何カ年計画、五カ年ないし十カ年計画というものができておるかということでありますが、できておりませんし、また公害対策でそのようなものをつくるつもりはございませんが、しかし、日本の環境を取り戻すのに何年をめどに取り戻すか、あるいは人の生命、健康を脅かすようなものは何年後にはなくすかということは、当然これからの問題として目標を掲げて進まなければならぬということは存在しなければならぬことだと思っております。
  48. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 問題は、先ほどお答えを申し上げましたとおり、公害対策に関する事務費と施策費との二つの部分に分けられるかと思いますが、重点はむしろ施策費の経費にあろうかと思います。その点に関する地方団体の経費負担部分の財源措置等しっかりすべきである、こういうことであろうと思います。まさにこの点は問題でございまして、公害対策本部におきましても、ごく一部分論ぜられたわけであります。事業者負担の部分、国の負担部分そして地方負担部分をいかにすべきであるか。われわれとしましては、これらの三者につきまして明確なる基準と申しますか、できますならば、法的な措置を講ぜられるべきであろうという基本的な考えを私どもは持っております。しかしながら、これには関係各省の検討を要する問題でありまして、今後公害対策本部の場におきまして論ぜられることと思われるのでありまして、いま私ども考えておるような立場で各省と折衝、検討をいたしてみたいと考えております。  なお、川崎の公害センターに対する補助の問題等につきましては、具体的、正確なことを存じませんので、後ほど取り調べまして御報告を申し上げますが、おそらく機械器具等につきまして、厚生省関係等からの補助が出ておるのではなかろうかと想像いたすわけでございまして、この点につきましては、今後のことでございますが、来年度の予算概算要求につきましては、御承知のとおり、自治省といたしましては、総合的なセンターをつくる補助金等を考えたいと要求をいたしておるところでございまして、各省もそれぞれ機械器具等につきまして、あるいは施設等につきまして、予算要求が出ておると存じております。
  49. 門司亮

    ○門司委員 あとで岡沢君がちょっと聞かれるそうでありますから、私は要求だけいたしておきますが、いままでの答弁は、どう考えても実質的のものにならないのですね。ただ官僚的な役人のものの考え方のようなことで、権限委譲でどうだこうだ。権限の委譲はどっちにどうなったって、結局、全部地方自治体に委譲されるのであるから、その自治体が十分遂行のできるだけの予算的措置というものが行なわれなければ、どんなに議論しても、法律ができてもやれない。だから、その辺は一きょうはほんとうに両大臣においで願ったのは、そういうことをお聞きして、そして地方自治体が安心して仕事ができるように、地方の住民に安心して公害に対する問題を解決するのだという意識を持たせるようにしたいと考えておりましたけれども、その点ができなければどうにもなりませんから……。  これは自治省だけに、統計はできておるはずでありますから、聞いておきたいと思いますことは、日本の環境整備というものは全くなっていないですね、なされていない。この間、朝日新聞でしたか、東京新聞でしたか、何か記事を見てみましても、たとえば下水の処理にしても、日本は全都市について一八%しかやっていない、イギリスは一〇〇%やっている、フランスが七五%、イタリアが六五%くらいだ。その一八%をたとえばフランスくらいまで伸ばす。私は一〇〇%と言いたいけれども、そこまで言うのはどうかと思いますけれども、伸ばすについて、一体どのくらいの費用が要って、どのくらいの月日がかかって、どうなるかということを概算されたことがありますか。そういうものがもしあるとすれば、その表を出してもらいたい。私は、さっき申し上げましたように、産業公害については、解決の方法はいろいろございます。しかし、何といっても、この都市公害に対する処置だけは、地方自治体政府がやらなければならぬ問題であって、この問題に対する積算の基礎もなければ、年次計画もないというようなことで、ここで公害を幾ら論議してみたところで、解決のつくはずがないのであります。解決のめどが立っていないから、幾ら議論しても解決するはずがない。だから、その分だけでも一応自治省はひとつ資料を出してもらいたい。  それからついでに、ごみその他の焼却その他についても、一体どのくらいの費用があれば完全燃焼で解決ができるのかということを概算されたことが、なければないでよろしいのでありますが、あればひとつそういう問題を具体的に出してもらいたい。そしてほんとうの公害、ことに都市公害に対する政府の姿勢というものをこの際示してもらいたい。これは地方自治体、住民は非常に迷惑しておるのであります。その点をひとつ要求だけいたしておきます。
  50. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま門司先生からお尋ねの資料につきましては、取り調べまして、なるべく早くこれを提出いたしたいと思っております。ただいませっかく検討いたしております。
  51. 菅太郎

    菅委員長 岡沢完治君。
  52. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私の党に与えられました範囲内で、あと五分で、せっかく山中長官お見えでございますので、地方自治行政の守備範囲内で、担当大臣としての総務長官にお尋ねしたいと思います。  私は実は山中総務長官質問するのは初めてでございます。八月までは公害に対する大臣の姿勢、勇気あるいは情熱を非常に高く買っておりました。ところが、先月の九月十一日の当委員会大臣の御出席をお願いしましたのに、在京しておられながら、産業公害対策委員会なら別として、地方行政に出るということは、時間の関係その他で遠慮したいという御返答があったということが委員長から話がありました。それから、きょうの御答弁でも、公害関係担当大臣の中に自治大臣の存在をお忘れになるというような趣旨の発言がありました。私は非常に有能な大臣であることを十分承知し、場合によったら、留任運動を野党からでもしたいというくらいの気持ちでおったわけでありますが、この地方行政と公害との関係についてはいささか御認識が足らないのではないか、非常に失礼かもしれませんが、私はそう思ったわけでございます。きのうもアメリカのトレイン委員長ともお会いになったりして、確かに担当大臣としての大きな使命を果たしておられることはよくわかります。実際に公害の処理をする、あるいは公害の苦情を受け付ける、公害実態を知っておるのは地方自治体であります。実際仕事の担当者は、いま門司委員がおっしゃいましたように、自治体が全部背負っております。その実施部隊の存在を無視して公害行政は成り立たない。きょうは権限委譲の問題がだいぶ論議になりました。府県知事権限を渡すについては、いささか懸念があるという趣旨の御発言がありました。意欲と能力は買いますけれども、お一人の能力でできるはずはありません。実際に公害現実性、具体性、地域性ということを考えました場合、また効果性を考えました場合、地方自治行政を無視して、自治体責任を無視して、あるいはいま門司委員が御指摘になりました財源措置を無視して、実際の公害問題の解決はあり得ない。地方自治法の二条三項にも、地方自治体は住民及び滞在者の安全と健康、福祉についての責任を負わされているわけです。地方自治体責任を実行するためにも、いざという場合に、相談を受けたけれども、人がない、権限がない、財源がない、調査する能力がないというのが実態ではないか。そういうことを考えましたならば、やはり財源措置地方自治体に人と権限と機能、能力を与えるということを抜きにした公害行政というのは、私は実効を期し得ないと思う。参謀総長がいかに有能であっても、第一線の部隊が存在しなければ、どうして実際の効果があげられるだろうか。私は保守党政治の功績というものを認めるにやぶさかでない野党の一員でございますけれども、しかし、物価問題一つ見ましても、十年来いわれながら実際の実効があがっていない。結局、国民の不満をやわらげるためにいろいろ対策がいわれます。しかし、実効のあがらない対策意味がないのじゃないかということを考えました場合に、公害担当大臣としての山中長官の姿勢とか、情熱とか、勇気には非常に高いものがあることを感じ、そしてまた期待しながらきょうの御答弁を見ますと、権限財源について地方自治体の存在をそれほど高く評価しておられない。清掃法とか屎尿処理というものについての御認識はちょっとあったようでございますけれども、実際の住民の安全と健康を第一線の担当者として法律上の責務を負わされている自治体というものについての御認識が少し足らないのじゃないか。私の意見が間違っておりましたら御訂正をいただいてもけっこうです。また御指摘いただいてもけっこうでございますけれども、この辺について担当大臣としてどういうふうにお考えであるか、お尋ねいたします。
  53. 山中貞則

    山中国務大臣 間違っておることがあると思います。というのは、私は委員会に出渋ったことはありません。先月十六室の委員会に呼ばれまして、そのためにかち合っておったわけですし、きょうも午後は衆議院の沖繩及び北方問題に関する特別委員会のほうに出るわけです。一つ委員会でありますと、午前十時から午後八時までぶつ通し出ていたこともあります。先月です。ですから、私はできるだけ出て、できるだけ御意見を聞きたいと思っております。また、その姿勢で、私が地方行政委員会に出なかったということがあったとすれば、それは日程のやりくりの都合で、委員長並びに理事会の御了解を賜わったので出なかったのであって、出ろと言われたのに私が出なかったのではないのだと私は思っております。今後も、お呼びくださったら、日程の都合のつく限り出ます。  さらに、自治体への理解でありますが、私は地方議員の出身でございますし、軍隊でいうなら特務曹長上がりでありまして、代議士になりましても、最初地方行政委員会に入ったわけであります。その当時以来からの門司先生は先輩でございます。したがって、地方自治体の行財政というものについては私としては非常につまびらかに知っておるつもりでありますし、税制等についてもよく知っておるつもりであります。ただ、いま申し上げております公害対策に関係して、いまの時点で地方自治体の負うべき責務というものに比べて財源上の配慮において明確にしないではないかあるいはあいまいであるという点は、これは時期の問題でありまして、もう少したちますと、それに対して明確に、私が対策本部長として、担当大臣として地方自治に対してどのような考えを持っていたか、そして秋田大臣地方自治に対してどのような話し合いをしたかの結果が出ると思いますが、いまの時点では、ただいまの御指摘は正しいと思いますので、あいまいである点は時期的な問題だとお考えいただきたいと存じます。
  54. 岡沢完治

    ○岡沢委員 終わりますけれども、私の記憶が間違いでなければ、九月の地方行政委員会公害中心にやる、しかも担当大臣は出てもらうということで、九月十一日か十二日と日程の予備までつくって用意したわけでございますけれども大臣自身の御答弁でなかったかもしれませんが、周辺の方の御配慮からかもしれませんが、委員会としては大臣なしに公害問題を中心にした質問を秋田自治大臣にいたしました。そして十月にやっと出てもらったというのが、私の理事会における記憶が間違いでなければ、そのとおりだと思います。  終わります。
  55. 菅太郎

    菅委員長 林百郎君。
  56. 林百郎

    ○林(百)委員 最初に、自治大臣、恐縮ですが、だいぶ時間が詰まっているようですが、私、二十分でちょっと二問ほど自治大臣にお聞きしたい点がありますので、ひとつできたらお残り願いたいと思います。  最初に、山中総務長官と自治大臣と両方にこれはお聞きしたいのです。公害問題に対する政府の基本的な姿勢に関する重大な問題だと思って私はこの問題を質問するのですが、例の十月七日の衆議院の産業公害特別委員会で自民党の始関議員の質問に宮澤通産大臣が答えて、何ぶんにも公害問題は従来放置されていた問題でありましただけに、問題のとらえ方が多少情緒的になりやすいというようなことで、公害のためにぎりぎりの要求で立ち上がる、生命や健康を害されてこれを守るためにぎりぎりで立ち上がるという地域の住民の人たちの動きに対しての理解が、これは全く心情を把握してないのじゃないかというように思いますので、この点を最初にお聞きしたいと思うわけです。これに対して山中長官は参議院で、私としては他の大臣の発言まで責任は持てないというような意味の答弁をされているわけなんです。しかし、この問題は私が非常に重要だと考えますことは、実は昭和電工の副社長の鈴木治雄氏が週刊東洋経済の十月十四日号の誌上討論会で、これと同じ意味のことを言っているのです。「やはり反対運動には非常に感情的な面があるということです。私は、過渡的な現象として感情的になるのもやむをえないし、問題の提起という意味ではよくわかるのですけれども、感情論だけでは解決しない。そういう意味で、いろいろ問題があるのではないか。」ということを、これは公害発生の元凶ともいうべき昭和電工の副社長が言っているが、これと同じことを通産大臣は言っているということになりますと、これは重要な問題になるのではないか。  ということは、御承知のとおり、基本法の二十二条の費用負担がいままで法律できめることができなくて一これはあとでまたどの程度具体的になっているか聞きますけれども、いまになってこのような状態になっていることも、これは財界の抵抗によってこういう事態になったといういきさつもありますし、さらに公害問題の防止費用を製品の価格に上乗せするというようなことを財界が要求し、一部では、公害が発生している企業自体ではないにしても、紙の値段が上がってきたというような事態もあるわけです。こういう中での宮澤通産大臣の発言というのは非常に重要なんで、この公害問題に対する動きは、ぎりぎり一ぱいの、長い間の自分の健康と生命が害されてきたことに対する地域住民の怒りとしてぎりぎりのところで立ち上がった反対運動だというように私は考えておりますけれども、これについて山中総務長官と自治大臣はどう考えているのか。将来こういう運動を押えていくというような事態になれば、またこれは重要なことになります。今日公害問題がこのように重大な問題になってきたのは、やはり直接の被害者のがまんできない運動から起きたわけでありますから、これに対して情緒的だというような意味でのとり方は許されないことだと思いますので、まずその点について、これは政府公害に対する政治姿勢の問題ですから、両大臣の見解をお聞きしたいというように思うのです。
  57. 山中貞則

    山中国務大臣 宮澤君の発言については、宮澤君を呼んで聞いていただきたいと思うのです。私は、しかし、対策本部長並びに公害担当大臣としてどう思うかということだけは申し述べる責任の立場にあろうかと思います。  私は、今日の公害問題は、自分たちの生活環境あるいは現実に生命が危機にさらされた状態というものに追い詰められた形の住民の方々の必死の抵抗運動だというふうにとらえるのがやはり正しいと思います。しかも、最近は非常に冷静に、かつまた良識的なそういう運動を進めておられるようであって、政党等の政治団体等の入ってくることも最初から拒否しておるというようなこと等を見ますと、むしろ健全にそのようなことの実態を訴えることに努力しておるように私たちは見るのが正しいのではなかろうかというふうに私は考えておる次第でございます。
  58. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 私も宮澤君の発言につきましてとやかく批評がましいことを申し述べることは避けたいと思います。ただ、宮澤君の発言とは別に、こういう考え方についてはどう思うというふうな意味でお答えをいたしたいと思います。それはまた自治大臣としての私の責任であろうかとも存じます。  要するに、大衆の方が自分の健康、生命の維持に熱心になられ、また、善良な、よい環境の保全に熱心のあまり情緒的になるということも考えられる、また恕さるべき点が多々あろうかと存ぜられます。同時に、発電所等の設置につきましては、これは産業のために、また住民の健全な生活維持のために必要な発電量を保持しなければならないという問題点もあります。その点を考えて、ひとつ十分事の処理に当たっては理性的であってほしいという御発言も私は十分わかるような気がいたします。だからといって、人の生命の健康の保全、善良な自然の保全を無視していいのだということではないのでございます。公害対策を十分措置をいたしまして、そして各環境、各地域につきまして、発電所等の立地条件を別途理性的に考えられることは、当然為政者としても必要なことでありましょう。しかしながら、日本じゅう発電所だらけになりまして、もうどこにもつくる余地もないというような状態になったときは別問題でありまして、現状におきまして、その発電所の設置につきましても理性的に検討さるべきであるという発言は、これはやはりそれなりの意味をもちましてわれわれも十分検討をしなければならぬ、こういうふうに考えられる次第でございます。
  59. 林百郎

    ○林(百)委員 もちろんわれわれも電力が十分国民に供給されることについて異議を言うわけじゃありません。しかし、これはあくまでも国民の健康と文化的な生活を向上するための電力であって、そのことのために国民の健康と生命が害されるようなことが野放しにされておるということについては、これは許しがたいことで、しかも、電力企業が私企業としてばく大な利益をあげておるということになりますと、これは許されないことだと思いますし、また、地域住民が火力発電所の設置について反対しておる立場もそういう立場だと思うわけです。  そこで、この問題、他の大臣の発言したことについて皆さんに質問をしても、ある一定の限界があると思いますから、次に進みたいと思いますが、費用負担の問題についてお聞きしたいのですけれども、新聞にいろいろの情報が出ておりますけれども、十月十四日付の日経新聞に東京電力の木川田社長の談話が出ておるわけですけれども、これを見ますと、「公害問題で大ぜいの経営者と話し合ったが、防止費用は製品価格に上乗せすればよいと安易に考えている向きが圧倒的に多かった」。これは「安易に考えている」ということばもありますけれども、この公害問題で防止費用を製品価格に上乗せするという考え方ですね、これはあとでもう少し詳しく総務長官にもお聞きしますけれども、これについては長官はどういうようにお考えになっておりますか、あるいは公害対策本部長としての山中さんはどうお考えになっていますか。
  60. 山中貞則

    山中国務大臣 基本的には、公害防止費用負担企業が持つことは、先ほど来申しておるとおりであります。  問題は、その持った費用をどのようにその会社が取り扱うかという問題でありましょう。また、場合によっては、その費用に対して、筋の通るものは、先ほども答弁いたしました事業団融資あるいは税等の措置がとられてよろしい範囲の措置はとられることになると思いますが、それらのことをかりにやったにしても、企業努力によってそれがコストの中に吸収され得べきものであるかどうか、コストとしてそれを処理すべきものであるかどうか。しかし、施設された設備、機械等は収益に貢献しないものであることは明白です。そこらの議論はこれから大いにあるところと思いますが、政府対策本部の基本的な考え方としては、これはコストとして考えるべきものである。すなわち、賃金とかあるいは原材料費とかその他のものと同じように、会社自体が合理化努力の中でこれを吸収、消化していくものであって、直接そのまま消費者にダイレクトに転嫁すべきものではない。もし、かりにここで幾つかの会社があって、これが話し合えば独禁法違反になりますけれども、しかしながら、話し合いをしなかった証拠にもなるわけですが、ある会社は公害防止施設ないしは機器に非常な金をかけて、そのために製品を上げた。しかし、同じように金をかけた会社が、それを今度は企業努力という、コストの中に消化し尽くしていくという、のみ込んでいく努力を完成したことによって、その工場の製品は、同じ品質のものでありながら、価格は安くて市場に出せたといった場合に、その選択はだれがするかといえば、それは消費者だろうと思うのです。そうすると、価格に安易に転嫁した——私がコストと言ったのは誤解を招くかもしれませんが、コスト的要因になり得ると思います。それを企業努力で消化しないで、安易に価格に転嫁したため、同じ製品で同じ品質でありながら価格が高いということになった場合、選択し得る場合は、消費者、買い手というものは、当然同一品質ならば、安いものに飛びつくにきまっておりますから、私は市場の自由競争の原理からいって、そのような独禁法に触れるような行為をする企業でない限りは、安易な方法は許されないのだというふうに見ております。
  61. 林百郎

    ○林(百)委員 基本法費用負担の問題については、すでに立法の準備が相当できて、先ほどからの答弁をお聞きしますと、臨時国会があれば提案できる段階まで来ているという答弁もありましたので、相当具体的な答弁もできる準備があると思うわけですけれども最初にお聞きしたいのは、これは八月十七日の読売新聞にあるのですけれども公害防止費用企業負担率を法定、法律できめるかどうか、きめた場合、最高一〇〇%から最低二五%というような率を明記するということについて、政府部内に意見の相違があるような記事も出ておるわけですけれども、この公害防止費用企業負担率について法律に明記するという問題については、どういうお考えか。そうしてそれはまた、いま言いましたように、最高何%、最低何%というような率までそこに明記するのか、あるいはそういう段階をきめるとすれば、何を基準として段階をきめるのか。それから、自治大臣お急ぎのようですから、自治大臣にお聞きしますが、公害基本法の二十二条の費用負担の問題、これは公共下水道等の問題とからんで、地方自治体財政にも非常に大きく影響してくるわけです。いま千葉県の市原付近の防止計画でなかなか具体的に政府の投資がなされていない一つの理由は、あそこの計画中心下水道の設置の問題ですけれども、この下水道の設置の費用を国、県、企業あるいは受益者負担というような形で受益者に転嫁されていくというような問題があって、ここで非常に大きな問題になっているわけなんでして、費用負担の問題は、単なる対策本部だけの問題でなくて、地方自治体財政計画にも重要な影響を及ぼしますので、この点を答弁願って、それで自治大臣は、時間が迫っておりますので、お引き取りください。
  62. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 水道事業に関する受益者負担、これは当然受益者の負担に帰すべき部分は負担していただきたいと思いますが、従来水道事業につきまして、国家の補助負担部分等の限界がはなはだ不明確であったそしりを免れないと思います。この点を正確にすることが、やはり受益者負担金の問題に関するいろいろの不平なりその他を取り除く一つの要因であろうと思いますので、この点を自治省といたしては明確にするように関係各省と連絡をし、協議をいたしたい、またいたしておるところでございます。しこうしてこれの補助金等につきまして明確にする措置を講じたい、こう考えておる次第でございまして、公害対策に関連する下水道整備事業につきましては、これは建設省厚生省その他関係各省一体となりまして、積極的にこれが推進と完備につとめたいと考えております。自治省といたしましては、ただいま申し上げましたとおり、その点につきましても積極的に考えております。
  63. 菅太郎

    菅委員長 林委員に申し上げますが、お約束の時間がもう参っておりますのと、それから総務長官は十二時半ということですから……。
  64. 林百郎

    ○林(百)委員 総務長官に答弁していただいて、もう一問だけで終わります。
  65. 山中貞則

    山中国務大臣 林委員にお答えいたします。  ただいま基本法第二十二条で要請されている「別に法律で定める。」その法律を次の臨時国会に出すかということですが、出します。そして企業費用の範囲、対象企業あるいはその行なわれる種類、負担すべき費用並びに率とおっしゃいましたが、率も示すつもりでおります。法律に明定をいたします。さらに一番むずかしくて通産も厚生もどうにもならなかったのが費用算出方法、これがどうも法律としては書けないようです。しかし、やはり書ける範囲の努力ができれば書けるはずですから、二十二条で負担すべき費用算出方法も別に法律で定めようとなっておるわけですから、それにこたえる努力をして、安易にただ単なる政令にゆだねるなんということにしないように、いまたいへんむずかしいといって対策本部は首をひねっておりますけれども、いま一生懸命激励しながら、できないはずはないということでおりおり相談をして、臨時国会で提案をするつもりでおります。
  66. 林百郎

    ○林(百)委員 これで終わります。  これも八月二十二日の日本経済新聞に出ていることですが、これはどうも長官にも関係があると思いますのでお尋ねしますが、要するに、企業内の公害の防止施設公共事業に関する負担経費とを区別するという見解がまず一つ、それからそれは区別しなくて、いずれも経費とするという意見、あるかないか、そういう意見。それから区別した場合、資産は償却を認める、あるいは減税の措置を何らかの方法で考慮すべきではないかという、この施設を資産として評価して、そして償却なりあるいは減税なり、そういう特別の恩恵を加えたらどうかという意見。それから公共事業に関する費用負担をした場合は、これは経費として結局価格に上乗せする、こういう意見。これは何か長官がそういう意見で、これを経費として認めているということと、あるいは製品の価格に上乗せするという意見まで含まれているような書き方にもとれますけれども、ここはきょうははっきりお聞きしたいと思います。この負担経費の問題、それから資産については、これは特別償却とかあるいは税法上の優遇措置を講ずる、こういうようなことが閣内で論議されている。これは八月の時点で論じられているわけですから、もういまは固まっていると思いますけれども、この点について答弁をお聞きしたいと思います。  それで、私たちの考えとしては、これはばく大な利益をあげている企業が、その過去に蓄積されているばく大な利益から、発生源において公害を防止するための費用負担するのは当然であって、これを何らかの形で、減税という形あるいは下水道では受益者負担というような形、あるいは経費として製品に上乗せしていくというような形で、結局被害を受けている住民が二重の被害をこのことのためにまた受けるようなことはすべきではないというのが、これは私の党の立場ですけれども、いま私の申し上げました点について、八月の時点ではこういうことが報ぜられていますけれども、現時点では政府の考えはどうか、率直に——私の質問になるとだいぶ硬直したような答弁ですが……。(山中国務大臣「そんなことはない」と呼ぶ)それじゃひとつ答弁してください。
  67. 菅太郎

    菅委員長 林委員、これで最後の御答弁でよろしゅうございますね。
  68. 山中貞則

    山中国務大臣 もうけている大企業と言われますけれども、じゃ、決算でつかまえるとかなんとか、そういうもうけているもうけていないかで区分するのかということも私はむずかしいと思うのですよ。やはり中小企業、零細企業、メッキ工場なんかは、もうけるもうけないよりか、もう強制されたら、自分たちの持っている施設よりかもっと金のかかる防除施設をつくらさせられる。それでもうやめちゃう、倒れちゃうというので……。(林(百)委員「私は大企業と言っている」と呼ぶ)大企業でもみんながもうけているわけじゃないですね。だから、そういうもうけ、もうけないの議論ではないと思いますが、本筋に返ります。  すなわち、そのような防除に関する施設等をつける場合、これは国の責任はないわけです。国はそれを企業責任としてつけることを要請するということになるわけですから、企業責任でやってもらう。しかし、それに対して特別償却ないしその他の金融等に対する国の援助というものが、与えられ得る範囲のものは与えるということでありますから、そのことの裏には、当然それだけの自分責任においてなすべきことについて国が融資、税制等で手当てをしたものを、一方においてはコストにそのまま上乗せして消費者に転嫁をしていくんだ、そういうことはないことである。いわゆるそういうことをしてはならないということを意味するわけであって、融資は受けて——融資は返済するにしても、税制上の措置があるのに、それはコストに直ちにそのままずばり転嫁していくんだという企業はいわゆる許されない。選択の場合においても許されないし、そのような姿勢をとっておりますと、新しい求人をしようとしても、なかなか求人に応じてくれない。企業の存立が危うくなるような、いわゆる反社会的な企業というものは許されなくなりつつあるということは、今日意識が変わっておりますから、企業家の中の一、二の者がそのような意識と反するようなことを言ったこともあるかもしれませんが、しかし、大体財界から私に抗議は一ぺんも来ておりません。また、私の党からも、あるいは私を副本部長にしている総理からも、この問題は行き過ぎである、おまえの姿勢というものは酷であるという意見も一ぺんも聞いておりません。やはり私は自分たちの立場というものは、いまの時代における何をしなければならないのかということに正確にこたえていくということでよろしいのではないかと思っておるわけです。したがって、いまお話しのように、公共施設あるいは公害に関する防除のための施設等に対して企業が支出をした場合、私はこれは経費と認めてよろしいと思います。しかしながら、一方において自分たち企業の中で、当然よき隣人としての存在を保つためにしなければならないことをし、しかも融資、税制等の恩典を受ける場合、それが即経費であるかということについては非常に問題があるところであろう。そこのところの結論はいま持っておりません。
  69. 林百郎

    ○林(百)委員 それじゃ、私は質問はもういいですから、ちょっと誤解がありますから、記録にとどめておいていただきたい。  私が申しましたのは、高利潤をあげている大企業に対して言っているわけであって、中小企業の場合は、特別の措置や補助金、交付金などを考えるべきだ。これはもう当然私はそこのことを前提として言っているわけです。しかし、いま問題になっている、たとえば火力発電だとかあるいはパルプだとかあるいはそのほかの企業、近代的な重化学工業を見ますと、公害を発生している企業は全部が高利潤をあげている企業なんですから、これは当然企業責任において処理すべきであって、これに対して経費を製品に上乗せするとか、あるいは税金の特別措置をするとか、あるいは政府の特別な補助金を国民の税金からまた出すというようなことはすべきでない。また、そういう能力も十分大企業は持っておる。こういう立場で私は言っているのであって、中小企業も大企業も一緒にしてものを言っているわけではないということだけはっきりさしておいて、私の質問を終わります。
  70. 菅太郎

    菅委員長 午後一時二十分に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十二分休憩      ————◇—————    午後一時三十分開議
  71. 菅太郎

    菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。砂田重民君。
  72. 砂田重民

    砂田委員 きょうは、いろんな事業が次々と地方公共団体財政を相当圧迫をしてきておる、そういう事態を幾つか見るものでございますから、自治省厚生省等においでをいただきまして、私の考えております懸念やら心配やらを伺ってみたいと思います。  まず第一に厚生省の保育所の問題を伺います。保育所の施設整備費の補助というものは、国が二分の一、県が四分の一、設置者が四分の一負担をする、そういうことになっておりますね。各地から私ども地方財政実態のいろいろな資料が参りまして、それを見てみましてもあまりにも実態とかけ離れてしまっている。私の郷里の正確な数字が出ておりますので申し上げますと、神戸市で厚生省からことし禅昌寺保育所というものを認めていただきました。この保育所は百六十人子供を収容します。建物に三千六百万円かかります。土地に二千万円かかります。合計建設費五千六百万円。補助金としてお認めいただきましたのは二百万円でございます。土地は見ないといたしましても、建物にかかる三千六百万のうちの二百万が補助金として認められた金額であります。建物については国は二分の一の補助ということでございますけれども実態は十八分の一の補助ですね。超過負担が起こってまいりますのは当然のことである。全国の保育所にかかわる超過負担は一体どういう状態になっているのか。厚生省からひとつまずお答えをいただきたいと思います。
  73. 石野清治

    ○石野説明員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘いただきました保育所の施設整備費の国庫負担の問題でございますが、ただいま私どものほうの実施しております補助単価というのは、一応法律上は先生御指摘のように二分の一、県が四分の一になっておりますけれども、現在の実行単価と申しますと、百二十人以上の定員の場合に、補助単価のほうは二百万という、いわば定額的な補助単価になっているのが実情でございます。したがいまして、これを全国的にならしますと、先生おっしゃいましたように、かなりな地方公共団体の超過負担の問題があると考えております。
  74. 砂田重民

    砂田委員 超過負担のことをもう少し詳しくお答えをいただきたかったのですが、もしも自治省でおわかりであるならば、自治省からお答えを願いたいと思います。
  75. 長野士郎

    ○長野説明員 超過負担のお話は御指摘のありましたとおりでございまして、国の負担の基本額が、たとえば収容定員百二十一人未満の場合、一カ所当たり三百万円ということになっておりますが、昭和四十三年度に調べました、実態調査の結果によりましても、実際に必要になりました経費は一カ所当たり約千三百万円。したがいまして、そういう、実態を著しく下回っておりまして、昭和四十三年度の時点においてすでに超過負担率は約五五〇%といいますか、そういう形になっておるというのが現状でございます。その後厚生省としてもいろいろ改定の努力をなさっておるわけでございますけれども、現状においては非常にほど遠い状況であるわけであります。
  76. 砂田重民

    砂田委員 先ほど厚生省からお答えをいただいたように、定額ですね。実態とこれだけかけ離れている。地方公共団体は児童福祉法の精神にきわめて忠実に仕事をやろうとするのだけれども、国庫負担率の実態は児童福祉法にいわれているような熱意が感ぜられない。それがもう数字であらわれている。改善努力を願わなければならないのですけれども、たとえ二百万円から小さい保育所の百五十万円ですか、それでも補助のついた、国庫負担金のついた保育所は、裏起債も認められてまだありがたいのです。しかし、補助を認められた保育所だけでは住民ニードには全くこたえられないために、他に地方公共団体単独事業として相当数の保育所を建設しなければならない。自治省は、四十二年度ですか四十三年度ですか、実態調査で、要保育児童の七〇%を収容し得る保育所ができたといっておられるけれども、この数字は正しいのかどうなのか。特に人口集中の激しい大都市においては五〇%を割っているのじゃないかと思うのです。補助事業のほかに単独事業としての保育所建設が四十五年度でどれくらいあったのか、自治省でもしもおわかりならばお答えをいただきたい。
  77. 長野士郎

    ○長野説明員 単独事業の保育所の数字につきましては、現在手元にありませんので、後ほどまた調査いたしまして御報告を申し上げさせていただきます。
  78. 石野清治

    ○石野説明員 四十四年度の数字でございますけれども、四十四年度の数字では六十一カ所でございます。
  79. 砂田重民

    砂田委員 それでは、ひとつ来年度からの厚生省の御決意を伺っておきたいと思います。  四十六年度の概算要求で、社会福祉施設整備について、四十六年を初年度とする社会福祉施設五カ年計画を作成しておられますね。保育所については、五年間に三十九万六千人について施設整備して、昭和五十年度末には収容人員を百六十二万五千人、これで要保育児童のほとんどすべてをカバーする、こういう計画を出しておられると思うわけです。この数字は間違いありませんね。
  80. 石野清治

    ○石野説明員 先生のおっしゃいました要保育児童の数につきましては、全体では大体百八十五万人と踏んでおりまして、その中で僻地保育所とかいろんな形がありますので、実際上保育所を必要とするのは百六十五万三千人というふうに算定いたしております。
  81. 砂田重民

    砂田委員 わかりました。  四十六年度からの長期計画、その初年度の四十六年度保育所整備個所は千カ所、内の五百カ所については現行負担制度、設置者負担分については特別地方債残り五百カ所については国庫負担対象としない、整備費の七五%分を地方債で見る。この地方債の利子を国が三分の二、都道府県三分の一で負担する、こういう四十六年度の計画ですね。  そこで、ひとつ大事なことを伺っておきたいと思うのですけれども、四十六年度の五百カ所分の国庫負担分を認めるものについてもいまの程度なのかどうなのか。さらに残りの五百カ所については国庫負担対象にしない。そういうことになりますと、これは児童福祉法の制度の根幹に触れる問題だと思うのです。法律改正をなさろうとしておられるのかどうなのかという点が一点。国の負担対象にしないということは、とりもなおさず社会福祉事業一つである保育所に関する行政を、国でやらずに地方公共団体事業として委譲してしまうのか。残りの五百カ所を国庫負担対象にしないという考え方は、私は制度の根幹に触れる問題だと思うのです。これは国の責任からはずしてしまう、数字の上ではそう思わざるを得ないような計画を立てておられる。こういうお考えで長期計画の初年度を始めようとしておられるのですか。
  82. 石野清治

    ○石野説明員 来年度の計画におきましては、一応保育所といたしまして一千カ所を整備したい。もちろんその全部の保育所の補助単価を引き上げまして、補助方式でやればよろしいわけでございますけれども、実はその五百カ所の整備をやる分だけでも、もし補助単価を交付基準に定めます金額で正式にはじいた場合の金額に直しますと、約三十億近くかかります。ところが現実予算として入っておりますのは約七億という状態でございます。さらにこれを千カ所にしますと約六十億という数字になりまして、財政的な負担もたいへんなことになりますので、やむを得ず五百カ所については補助方式、それから残りの五百カ所については単独融資でいきたい。単独融資につきましては、従来とも補助とは別個に私のほうで融資をあっせんしておったわけでございますけれども、これについてはやはり均衡上何らかの利子補給という形で、財政負担を少しでも軽減させていこうという形で考えておるわけでございます。したがいまして、基本的には、この五百カ所の補助制度をやめるということになりますと、法律改正が必要になりますけれども、あくまでも五百カ所の年間の計画につきましては補助方式でいくということでございますので、法律の改正の必要はないと思っておるわけでございます。
  83. 砂田重民

    砂田委員 厚生省の御努力は十分私にも理解はできますけれども、どうもお考えが社会福祉あるいは児童福祉法の制度の根幹に触れてくるような気がしてならないわけです。私はその懸念は依然として消えないのです。  自治省財政局長がおられますから財政局長に伺いますが、保育所の超過負担をやはり年次的に解消していこうという努力厚生省と一緒に自治省はしておられるわけでありますが、その超過負担をどういうふうに解消していこうとしておられるのか。従来の超過負担分を解消する計画をお立てになっても、四十五年あるいは四十六年から始まる新しい計画で、いま厚生省からお答えになったようなことで保育所建設をやっていこうとしておられるわけですから、新しい超過負担がまた生まれてくるのではないか。自治省はこれの財源措置をどういうふうに考えておられるか、伺っておきたいと思います。
  84. 長野士郎

    ○長野説明員 現在の保育所につきましては、さいぜんから私も不用意に補助というようなお話を申し上げたかもしれませんが、これは先ほど御指摘がありましたように、いわゆるこの児童福祉制度というものの一つの大きな筋になっておる行政ということだと思いますが、保育所につきましては国の負担ということできまっておるわけでございます。それが現実においては実態に即していない。そして地方に非常に大きな超過負担をしいておるわけでございます。結果はそうなっているわけであります。したがいまして、厚生省も御努力をされておりますけれども、私どもも毎年毎年その超過負担の解消のための努力を要請して今日までまいっておるわけでありまして、またさらに今後ともその措置はしていただかなければならないと思っておりましたところ、今回は長期計画というものをお立てになりまして、先ほど御指摘のありましたようにいわゆる単独事業的な保育所とそうでない保育所というような、これはいろいろ説明を伺わなければわかりませんが、そういう計画をお立てになっておるようであります。しかしこうなりますと、先ほど御指摘のございましたような問題、あるいはまた保育所自体についていままで考えられてきた国と地方負担制度の問題等について基本的な検討を要するわけでございます。現在、社会福祉五カ年計画につきまして、厚生省御当局と私ども相互に検討を加えて、地方財政の側面あるいは地方行政の側面からどういうふうにこれに対処していくかということを自治省としても慎重に検討中でございます。
  85. 砂田重民

    砂田委員 保育所がたいへんな圧迫を地方財政にかけている実態厚生省自治省も御承知のとおりでございますから、これの解消になお一そうの御努力をお願いをしておきたいと思います。保育所の問題は終わります。厚生省、どうぞけっこうです。  先ほど総務長官から同和の問題をちょっと伺ったのですが、自治省に伺っておきたいと思いますけれども同和対策事業地方公共団体負担というものは全額起債を許可するべきではないかと思うのです。それをどうお考えになるかというのが一点。起債だけでやれるというふうに大蔵省厚生省に考えられると困ると思うのですよ。それは困るのだけれども、四十五年、四十六年の国の補助予算がこのようなことでは、起債を特別に考慮せざるを得ないではないか。その点をどうお考えになるか。  それから起債の元利償還費については、地方交付税の基準財政需要額への算入のしかたが非常に少な過ぎる。大臣の指定事業だけを計算をしておられると思うのですけれども、これをもう少しゆるやかになさって、大臣指定というものをもう少し幅を広げておいでにならないと、どうも基準財政需要額への算入額というものが実態とおよそそぐわない。同和の問題について各省予算をよう取らないでだらしがないといわれる自治省ならば、自治省自身でもこの基準財政需要額への算入をもう少し広げていく、こういう御決心がない、だろうか。いかがでしょう。
  86. 長野士郎

    ○長野説明員 同和対策事業につきましては、これは私どもが申し上げるまでもなくすでに先生のほうがよく御存じでございますけれども同和対策特別措置法ができまして長期計画を立てるというようなことになっております。一つの問題は、これによって計画的に同和対策事業を積極的に進めていくという中で、国としてもその責任を大いに果たしていくという姿勢を明らかにする、これが特別措置法ができた大きな理由だと私どもは思うのでありますが、そういう中で現在考えられておる同和対策事業についての国の予算というものは、地方実態あるいは要望と比べてみますと、正直に申しまして非常に隔たりがあるように私は思っております。現在、たとえば私ども調査によりましても、同和対策事業のおもなものにつきましての地方の要望というものに対しまして国の各省予算のワクが非常に少ないために、採択し得る率が非常に低率でございます。多いものには、これは一〇〇%いくようなものも多少あるようでございますが、平均いたしまして、概していえばこれは四、五〇%にとどまるというふうに思えるわけでございます。ところが地方ではこの特別措置法ができまして長期計画ということでやっておりますので、勢い補助の採択からはずれるというものにつきましては、これを単独事業ででも相当部分を実施していかなければならない、こういうことに相なっているわけでございます。同和対策関係につきましては、本年は地方債におきまして七十億、住宅関係の起債等を含めますと起債全体で百二十億をこえるぐらいなワクを持っておるわけでございますが、私どもとしてもそういう意味での地方の実情というものを考えますと、単独事業として事業を実施したい、そのための財源起債に求めたいというものにつきましては、これはできるだけ起債で拾っていくようにいたしたいと思いますけれども、これに対して各省補助事業よりはワクが相当広いわけでありますけれども、ワクに限界があるわけであります。この点につきましては、まだ本年度の問題としては最終的な見通しというものは立っておりませんけれども、なるべく実情に即した方式で弾力的な運用をぜひ進めていきたいと思っております。そういうことで考えますと、その面での起債ワクの拡大という問題もある程度考えていかなければならないというようなことも起こるだろうと思います。その辺の全体の量の見込みにつきまして、現在鋭意検討中でございます。
  87. 砂田重民

    砂田委員 下水のことを伺っておきたいと思いますが、建設省久保水道課長さん来ていただいておりますね。——けさも公害担当大臣山中総務長官と下水のことをいろいろお話をしたのですが、都市、特に大都市下水道整備事業公害対策上も喫緊の要件を備えておるという山中担当大臣の御認識の御表明がありました。大都市下水道整備について私は不可解なことがあるものですからひとつ事例をあげて伺っておきたいと思うのです。大都市各地の数字を拝見いたしましたが、これは私の出身地の神戸市からとった一番正確な数字が出てきたものですから、この事例をあげながら都市下水のことを伺っていきたいと思います。  建設省の第二次五カ年計画というものは四十六年度が最終年度ですね。この計画に基づきますと、神戸市でいえば、建設省が、国がお持ちになった第二次五カ年計画の最終年度の四十六年度では、下水の普及率は五六・二%、四十五年度では四三・六%ということになるわけです、国の計画に沿っていけば。そこでこれは各都市とも皆同じような計画を立てたのでしょうが、神戸市は四十五年の当初予算で、四十五年度、国の計画どおりにいけば四三・六%ではあるけれども、そこまでは無理であろうということで、四一%普及率をカバーするように当初予算を立てて計画をつくったわけであります。この計画によると、思い切った一般会計を投入する単独事業のほかに、補助事業補助金を四十四年度に比べて三〇%近いアップを期待した当初計画であったわけです。これは第二次計画を終わろうとする四十五年度分としては、国が計画した普及率に近づけようとする数字でありますから無理のない計画である。市民の下水道整備についてのニードにこたえるべく当然の妥当な計画であったと思う。公害問題もこれほど対策が急がれているときでもありますから当然の計画であると私は思うのです。ところが四十四年度に比べて下水の国庫補助金総額が二七%伸びたのに対しまして、神戸市の補助金の伸びは三%であります。ちなみに東京、大阪、横浜、名古屋、京都、神戸各都市の伸びはいずれも三%であります。政令指定都市の中では北九州市だけが三七%であります。第二次五カ年計画の国の計画に忠実であって、市民のニードにこたえようとした大都市計画されたこの数字が、国みずから御自分で立てられた計画に忠実であろうとする大都市自治体を突き放した形の予算配分が行なわれた、私はそう感じる。事業量を、当初計画を立てた当初からそう減らすわけにはいかない大都市では、一般会計と起債で大きな財政上の圧迫を受けながら何とかこれをやろうとしている。どうしてこういうような差別的な予算配分が行なわれたのか、まずそれを伺っておきたいと思います。
  88. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  ただいまの砂田先生の御意見は、第二次下水道整備計画の進捗に関する問題のうち、特に大都市に関する問題かと思います。第二次下水道整備五カ年計画につきましては、先生御指摘のように昭和四十二年から四十六年までを計画の期間といたしまして、本年度はちょうど四年目に相当いたします。ところがこの計画自身が、全体の達成が実はきわめて計画どおりには進行いたしておりませんので、数字を申し上げますと、全体が九千億ほどでありますから、四十五年、四年度を終了いたした段階で国の補助対象事業につきましては六五%しか進行はしない。つまり三五%程度が四十六年度に持ち越される、こういう状況になっております。この問題につきましては、先般の国会におきましても、建設委員会等におきましてこの問題の指摘がなされまして、建設大臣事業の進行がきわめておくれていることにつきましてはまことに遺憾であるけれども、これを達成すべく最大の努力をしたいということで、答弁がなされておるところでございます。  それからなおその中で、大都市と一般都市事業の進行がきわめて妥当を欠くじゃないか、こういう趣旨の先生の御意見でございますが、私ども事業費全体から見ますと、大都市と一般都市と二つのグループに分けまして、五カ年計画の進行度を見ますと、両方とも計画には達しておりませんけれどもほぼ並列な形になっておるわけでございます。したがいまして特に六大都市だけが五カ年計画事業の進行が悪いということではなくて、一般都市並びに六大都市は両方とも悪い、こういうことで理解をしておるわけでございまして、六大都市だけ特別低い進捗率に結果としてなっておるということではございませんので、御了解いただきたい。
  89. 砂田重民

    砂田委員 大都市だけ特に低いというわけではなくて都市全体が低い、その中で都市分と大都市分というものの予算配分に非常に格差がある、そのことを伺っているのです。なぜ大都市は三%しか予算配分がなかったのか。北九州市は受益者負担という制度をとっているからこれは三七%伸ばしたけれども、受益者負担という制度をとってないその他の大都市についてはペナルティの意味も含めて三%というふうな予算配分が行なわれたのであろうか。そう受け取らざるを得ない。私は受益者負担という制度を否定するものではないのですよ。ないのですけれども、そういうものも含めて、あまりにもその格差が大き過ぎるから、そういう措置がとられたのであろうか。先のことも気になるものですから伺っておるわけであります。
  90. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の御意見は、北九州市を例にあげまして、受益者負担金との関連において国の補助配分がなされているのではないか、こういう御趣旨かと思います。確かに下水道事業全体の進行に対しまして下水道財源というものがいかにあるべきかということにつきまして、かねてから種々検討がなされておりまして、過去において昭和三十四年並びに昭和四十一年、二回にわたりまして、全国市長会並びに都市センターが中心になりまして、各関係省及び学識経験者あるいは市長さん方が加わりまして、下水道財源はいかにあるべきかということについて検討が加えられてきております。それからなお、先般建設大臣都市計画中央審議会に諮問をいたしまして、下水道整備のための方策いかんという諮問に対しまして、都市計画中央審議会から答申を得ております。  その答申の趣旨は、過年度に行なわれました下水道財政研究会の結論の趣旨とほぼ同様でございまして、下水道に対する財源の確保につきましては、基本的には国、地方公共団体並びに地域住民、あるいは企業、それぞれの費用負担区分を明確にいたしまして、さらに国の補助対象を拡大をするとか、あるいは起債の充当率を高めるとかのくふうをこらしまして下水道建設を行ない、建設をされたあとの維持管理につきましては、使用者であるところの市民の方々から使用料を徴収して適切なる維持管理を行なうということが本旨になっておるわけでございます。  その趣旨に沿いまして、建設省におきましては、たとえば先生御指摘の受益者負担金制度につきましては、昭和四十一年度に下水道ができ上がった区域の中で国有地がありといたしますと、国有地に対しましても受益者負担金を課し、それを予算化することを実施できました。そのようなことがございまして下水道の受益者負担金制度を採用する都市も非常にふえてきております。したがいまして、これは方針としては国並びに公共団体が公共下水道にかかわる施設のうち骨組みになるような、たとえば終末処理場であるとかあるいは幹線の管渠あるいは幹線に準ずるような太いパイプ、そういうようなものは国の補助対象事業として行ない、枝線に類する部分は一部受益の範囲内において地主に負担をしてもらいまして、全体の下水道事業を完成をする、こういうようなことが適切であって、そういう受益者負担金制度を採用されたところにつきましては、毎年負担区というものをきめましてその負担区の中で国、公共団体が行なう事業とそれから受益者が行なう事業とを協力をして実施をしておるわけでございます。したがいまして、たとえば北九州市のように負担区をきめて住民に負担をしていただく、しかもなお地主の方々に、それぞれ条例に基づいてきめられた額を割り当てていく段階で、国並びに公共団体が、住民のものに対応し得ないような下水道投資になりますと、下水道整備そのものが根底からくずれてくる、こういう趣旨で、建設省におきましても、受益者負担金制度が採用され、しかもなお負担区の下水道整備が円滑に行なわれる見通しのあるところにつきましては、国の補助金というものをそれに相応した配付をしたいという趣旨を明らかにしているところでございます。  そういう趣旨に沿って実施をしてきました段階で、昭和四十三年及び四十四年、特に四十五年度につきましては非常に数多くの都市がこの制度を採用することになってまいりまして、そのために全体の国費がかなりそれらの負担区の下水道整備に食われた、その結果大都市のほうが若干補助金の配付が少なくなった、こういう結果になったわけでございまして、最初から大都市に対してある目的をもって、先生のおっしゃるペナルティの意味で下げた、こういうわけではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  91. 砂田重民

    砂田委員 建設省の側で言われる事情はわからぬでもないのです。ただその格差があまりにも大き過ぎる。非常に大きい。大都市もいずれのときにか受益者負担という制度に踏み切らなくてはならぬかもしれません。私はさっきも申し上げたように、受益者負担という制度そのものを否定するものでは決してない。しかし大都市においては、先ほどの御説明にもあったような土地の権利関係が非常にふくそうしているという問題もあるし、その他もろもろの事情がありますわね、大都市には大都市としての。それから予算配分大都市には少ないから、受益者負担制度をとっている都市よりも確かに一般財源というものの投げ込み方もまた大きい。一般財源を投げ込んでいるということは、これすなわち住民が負担をしていることなんですね。結果的には同じことなんだ。それにもかかわらず受益者負担制度をとってないからということで、あと回しあと回しして残ったものはこれだけしがなかったというふうな御説明だったけれども、これは私はいただけない議論だと思う。御承知のように、大都市というものは、そういう受益者負担制度をとろうとしても、これはやはり市民を理解、説得をしなければならない。手続的には市会の同意を得なければならない。大都市一つの会派が多数をとっている都市というものはいまないのです。多党化現象を当然来たしている。ここから向こうはみな反対なんです。受益者負担制度はそういう実態にあるわけです。その中で、大都市努力してもまだそういう受益者負担という制度を手続的にも確立し得ないとき、そういうときに受益者負担制度をとってないからといってあと回しになさっているのでは、一体大都市公害というものをどういうふうに考えておられるのか。けさも山中長官とお話しをしたのですけれども、工場汚水というものは、これは規制できるでしょう。しかし家庭汚水というものは規制のしようがない。大都市ではどこでも公共水面汚濁をしているというのは、やはりそういった家庭汚水原因とした汚濁が非常に多いわけですね。下水道整備、完備する以外にはこれの解決方法がないわけなんです。そういう大都市下水道整備について、いまあなたが言われたように、大都市というものはまだ受益者負担制度をとってないからあとへ回して、受益者負担制度をとったところから順番につけていったら残りはこれだけしがなかったということは、いまの大都市のかかえている公害問題を考えるときに、それが理屈の通った予算配分のしかただとは決して私は思わない。ひとつこれは御検討いただきたいと思う。で、受益者負担制度については審議会の答申もあったので、その答申に沿ってというお話もありましたけれども審議会の言っておられることに忠実であるとされるならば、私は建設省はお考えにならなければならない問題がもう一つあると思う。これが大都市とその他の都市との予算配分の格差をもたらしている一つ原因でもあろうと思うのですけれども下水道法第三十四条の規定に基づくところの政令がまだきまっていない、国庫負担対象範囲が制度上において明らかにされていないわけですね。国の責任が不明確、実際の運用を見ても団体ごとに補助対象事業比率が違っている。ここに恣意を働かせての差別配分一つ原因があると思う。単独事業の割合を見てみましても、ある市町村は〇%、ある市町村は八九%にも達している。こういうでこぼこが単独事業でも出てしまっている。これはやはり補助対象というものが明確に正しく配分されてないから勢い単独事業にかけ込んで、こういう市町村間の単独事業の非常に大きなでこぼこが出てきてしまっているのじゃないかと思う。下水道については事業の性格から見て本来事業全体を国庫負担対象とするべきであると私は考えます。しかしかりに、さっきもおっしゃったようなことで幹線部分だけを取り上げるといたしましても、現行の補助対象事業比率は早急に改善する必要がある。審議会からもこの政令をきめなさいということをいわれておられるはずです。国庫負担対象範囲を明確に政令でいつおきめになろうとされますか、これを伺っておきたい。
  92. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  確かに都市計画中央審議会の答申の内容は、先生御指摘のとおりでございます。建設省におきましては、第二次下水道整備五カ年計画におきまして、四十二年から四十六年に至る間、特に公共下水道の中で国の補助対象にする範囲を漸次改善をしてきております。これは、年度によって補助対象事業が変わるということ自体も若干問題があろうかと思いますけれども、あまりにも全体事業の中で国の補助対象の割合が低いという現状から、これを改善すべきであるということで、年度ごとにそれを改善をしてきた状況でございます。しかし、来年から予定をいたしております、申し出をいたしております第三次五カ年計画におきましては、それをさらに改善をしまして、国の補助対象の割合というものを公共下水道事業全体の中で上げたいということで、予算要求をいたしております。  それからなお、下水道法の三十四条に基づく政令の問題でございますが、この問題につきましても都市計画中央審議会で御指摘のあったとおりに、その政令の検討を始めておりますが、それをいつということはまだ申し上げられませんけれども、なるべく近い期間に関係省ともよく相談をした上、政令制定をいたしたい、かように考えております。
  93. 砂田重民

    砂田委員 もう一つ、国庫負担率が法定化されていない、ここにもそういう年度年度で変わってきてみたり、公共団体ごとにたいへんなアンバランスが出てきてしまっている一つ原因があると思うのです。国民の良好な生活環境の保全については、重大な責任建設省は持っておられるわけでありますから、その責任を明確にしないで、国費の不足を地方単独事業という形でカバーをさせている結果、実質的な補助率というものは非常に低下をしてきている。予算上は、補助率は十分の四、十分の五ですね。ところが、事実上の補助率というものは大都市で十分の二にすぎない、中小都市で十分の三くらいにしかなっていない、こういう事態をもたらしているわけです。やはり、国の公害防止対策に対する積極的な姿勢を示すためにも、年来の懸案でありますところの国庫負担割合の引き上げと、実質的な超過負担解消を含めて、法律上明確になさるべきだと思うのですが、この点はいかがですか。
  94. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  先生御指摘の趣旨はよくわかりますし、私どももその線に沿って努力をしておるつもりでございます。しかしながら、現状では私ども下水道財政研究会から結論をいただいております内容は、国の補助率を二分の一にすべきであり、しかもなお補助対象の範囲というものを全額国の補助対象に入るようにすべきである、こういう結論をいただいておるわけでございますが、現状との食い違いがあまりにもはなはだしきがゆえに、いまのまま国の補助対象の範囲あるいは国の補助率をきめるということは、現実の各団体の希望との差が大き過ぎるがゆえに、その間の調整なりあるいは現状でどの程度が適切であり、どの程度が妥当であるかということに検討を加えてきているのが現在の状況でございます。したがいまして、この問題につきましては、特に建設省だけではなく、財政当局あるいは地方負担責任を持っていただいておる自治省ともよく相談をした上、先ほど御説明したように、早い機会にこの制定をいたしたい、かように考えております。
  95. 砂田重民

    砂田委員 私の申し上げた政令の問題、それから負担率の法制化の問題は、第二次下水道長期計画をつくられた当初とは、今日下水についての問題の緊急性というものはまるで変わってきてしまっている。こういうことはもう十分御承知でございますから、ただ財政当局に抵抗があるのだろうと思うのです。これはひとつ建設省のほうで、財政当局といえども公害対策の急がれることは十分承知もしておることでありましょうから、できるだけ早い時期にお定めになるのが私は当然だろうと思うのです。ここで、ひとつ御努力をお願いしておきたいと思うのです。  自治省にひとつ伺っておきたいと思うのですけれども、先ほどの受益者負担の問題で、建設省自治省連名で通達を出しておられるのです。受益者負担金制度を採用する都市について国庫補助金及び起債を優先的に考慮するといっておられるわけです。その理由は、負担金制度は、負担金を徴収する反面、市民に対して計画どおり事業実施が義務づけられた形となるからだという理由で、優先的に補助金起債を認めるということを通達をしておるわけです。自治省もですよ。  そこで伺いたいのですが、地方公共団体の首長が、その地域社会住民の生活環境基準、シビルミニマムを長期的に計画決定をして、初年度の事業量も予算も、みんな市会の同意を得て、これこれこれだけの市民の皆さんの生活環境の整備を下水においてはします、こういうことを市民に公約することは、市民に対してその首長が義務を負ったとはお考えにならないのでありましょうか。四十六年度の自治省の重点施策では、ナショナルミニマムを決定して国民に約束をしていくべきだという方向、これは自治省も打ち出されたことなんですから、負担金制度を実施して初めて地方公共団体と市民との間に義務が生ずるという考え方はちょっとおかしいのじゃないか、ここらをどういうふうにお考えになりましょうか、伺っておきたい。
  96. 長野士郎

    ○長野説明員 受益者負担金につきましては、先ほど来建設省のほうからお話がありましたとおり、下水道のような、現在におきましては一部の利益を進めていくという形になりますものについては、負担の公平を期する意味からも、しかるべき負担金を徴収するのが適当だということに考えておるわけでございます。御指摘のありましたように、その当時建設省自治省と共同いたしまして、そういうものを含めながら、通達と申しますか、そういうものを地方に御連絡をいたしております。それはやはり、受益者負担制度というものを一つの原則といいますか、下水道建設の促進というものについての一つの大きな柱として考える、それはあくまで地域住民の理解が非常にはっきりした形で確定をしているということでございますから、それについて計画的に事業を執行する明確な基礎であるということは、これはいえると思います。しかし、また同時にいまお話のございました地方団体の首長が、将来の自分都市下水道整備について一定の計画を示して、そしてそれが市民の代表であるところの議会その他においても一応承認を受けておるということになりますと、その点での下水道計画的な整備というものがはっきりしているではないか。これはやはりその面では確かにはっきりしていると思います。しかし、それにつきましては、財源的な裏づけという面で一つの受益者負担的な柱が、実は十分はっきりしていないという点は確かにある。しかし、そういう点で、事業の進捗というものが十分保障されているという形は、受益者負担制度がはっきりしているところから比べれば、多少は事業の伸長についての保障にやや欠けるところがあるといいますか、やや保障が十分されていないという面も、その見方からすればあるように思います。そういうことでございますが、いまの現状につきましての御指摘のあった都市につきまして、実態は今日ますますその整備の必要が非常に大きいということは、これは現実問題として何人も疑う人はいないだろうと思います。そういう意味で、私どもとしましては、やはりその計画全体がなるべく国の整備計画の一環として立てられるというようなことであれば、これは当然に地方公共団体としてもそういう約束になっております。私どものできますところの範囲におきまして、そういう下水道整備についてお世話をいたしたい、こう考えております。
  97. 砂田重民

    砂田委員 シビルミニマムを首長が市民に約束する、事業をやっていくということはやはりそれだけの義務を首長が負ったもの、そういうふうになお財政局長はお考えになっているように私はいま御答弁を承りました。そうでなければナショナルミニマムをつくってひとつやっていこうという方向を打ち出された自治省の四十六年度の重点施策があやしいものになってしまう。自治省のお考えには私も大いに賛同して幾らでもお先棒をかつぐつもりでいたんですけれども、どうも……。シビルミニマムをつくって市民に約束をして意欲的に働いていこうとしている地方公共団体に、いまの御答弁のようであれば、私は安心して自治省のナショナルミニマムの推進方向にも一緒に御協力をしたいと思います。  大蔵省理財局からおいでをいただいておると思いますけれども都市公害の問題がこれほど大事な事態に直面をしておりますこういう年に、補助金は、いま私が建設省のほうとお話をしていたような事態でございますが、都市下水起債の充当率を四十五年ということしに二%も削減をなさったのは一体どういうことで削減をなさったのですか。
  98. 星野孝俊

    ○星野説明員 お答えいたします。  先生ただいまお話がありました充当率の問題でございますが、大都市下水道の充当率でございます。実は、この大規模下水道の充当率につきましては、従来六〇%の充当率で推移してきたわけでございます。御存じのように四十一年で国、地方を通じまして非常に不況に襲われまして、その不況対策の一環としまして、各種公共事業等につきまして起債の充当率を大幅にアップすることになりました。その一環としまして、下水道につきましても従来の六〇%を六五%に引き上げている。それで他の公共事業につきましてはほとんどその当時のかさ上げした充当率を現在までに従来の形に引き下げております。正常な形に戻しております。ところが下水道につきましては四十四年度にこの充当率を六五%から六三%に下げました。さらに四十五年度には正常化の一環といたしまして御指摘のように二%引き下げて今日に至ったようなわけでございます。
  99. 砂田重民

    砂田委員 これほど公害対策公害対策といってやかましくいわれているときに、しかも大都市の水の問題は産業のことだけを問題にするだけで解決しないのですね。人口が集中している大都市家庭排水というものを、下水を整備して何とかしていかなければどうにもならない。そういう時期に、もとがこうであったからといって二%削減できるあなたのほうの感覚は私はふかしぎな感覚だと思う。いまの御答弁は全く理解ができない。ほんとうにこれはふしぎな感覚です。議論をしていてもしかたがありませんけれども、来年度からの新しい下水道の長期計画建設省もいろいろ御努力をなさるのでありましょうけれども、一方受けてその仕事をやっていかなければならない地方公共団体財政という立場から、この起債についても、一ぺんもとへ戻したんだからそれでいいわということでなくて、根本的にひとつ御検討を続けていただきたい。これは御要望をしておきたいと思います。  それから、自治省に最後に一つだけ申し上げますが、これもまた交付税の基準財政需要額が大都市一般会計での負担額の実態とかけ離れております。これをひとつ改めていただきたい。  大蔵省の理財局からおいでいただいておる地方資金課長さんも、さっきから保育所のことを話をしてみても、下水のことを話をしてみても、その他の幼稚園、公園、何から何まで一切非常な超過負担をしょっておる地方財政だということを十分御認識をいただいて、いまの大規模下水道起債を六五%まで不況のときに上げた、それをもとに戻そうとして戻しかけたけれども公害対策がこれほどやかましいときになったのだから、もう一ぺん六五まで戻しますというふうなことに、ひとつ御努力を願いたい。これはもう御答弁を聞いてもしかたがないことだから要望しておきます。  下水道第三次五カ年計画を拝見いたしました。その初年度に当たる四十六年度の要求予算は、第二次五カ年計画としての四十六年度分、すなわち第二次五カ年計画の残事業分を下回った初年度の予算要求概算要求にしかすぎない。これでは四十七年以降毎年の国費の伸びに非常に無理があると思うが、自民党の下水道委員会ではこの点に配慮を加えて一つの案を持っておりますけれども、この自民党案とあなた方の案と、これはどういうふうにお考えになっておるか伺っておきたい。
  100. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  第三次下水道整備五カ年計画を、四十六年度を初年度といたしまして、二兆六千億の下水道整備計画建設省案を定めまして、現在進めておるところでございます。その初年度である四十六年度につきましては、先生御指摘のように第二次計画の残る分を完全に達成するという姿ではございませんけれども、そのほぼ九七%に相当するものを四十六年度の初年度にいたしております。これにつきましては、建設省の内部でもいろいろ議論がございました。しかし一方予算要求は省全体として二五%のワクの中で予算の編成をしなければならない、こういう制約要件の中で、省内でいろいろほかの部局のほうとの調整もはかってもらいまして、下水道予算につきましては平均の二五%を上回る四八%の予算要求数字を出してもらいました。これは七百一億円の国費になりますが、それに相当する事業費を出したわけでございます。したがいまして、初年度の事業費から二兆六千億の下水道事業費を実施するには毎年三八%の伸び率でこれを実施しなければならないということで、先生御指摘のように、これはかなり毎年毎年非常なる努力をしなければならない、こういう姿になっておりますけれども、その点につきましては毎年努力をする、こういうことできめた数字でございます。その五カ年計画を自民党の下水道委員会の諸先生がごらんになりまして、これは毎年努力をしようとすることは、きわめてそうせざるを得ないのだろうけれども、これ自身にかなり無理があるのではないか、したがって初年度にもう少し大きく伸ばしておいて、そのあとは通常の公共事業の伸び率に近い伸び率で五カ年計画を進めるべきではないかということで、ことしの四十五年度予算の約倍の国費、約九百五十億円ほどになりますけれども、それの国費に見合った五カ年計画を立てますと、計画の伸び率が二二%になったかと思うわけでございます。確かに私どもといたしましては、長期計画計画論といたしましては自民党の小委員会の諸先生の御提案のほうが適切だと思いますけれども、現状からいきましてそういう案をとり得なかったということから建設省案ができたことに対しましては、計画論の上からいきますと適切でない点がございますけれども、やむを得なかったんじゃないか、かように思います。
  101. 砂田重民

    砂田委員 下水道課長さんに最後にもう一つだけ伺っておきたいのですが、第三次五カ年計画の中に、建設省の資料を私も拝見をいたしましたが、政府見込みが書いてあって、都市下水路という欄では、降雨による浸水が著しい市街地に重点を置くと書いてある。それから特別都市下水路では工場排水で公共用水域が汚濁されたところに重点を置く、こう書いてある。家庭汚水のことが一向書かれていないのですけれども大都市における汚水の問題は、やはり家庭汚水というものが重大な問題です。これをなぜ重点にお書きになっておられないのか。
  102. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。五カ年計画閣議決定はまだいたしておりませんけれども、第三次下水道整備五カ年計画の中に、先生御指摘のように都市下水路並びに特例都市下水路につきましては、ただいまのような、たとえば都市下水路につきましては著しい浸水地域、それから特別都市下水路につきましては、著しい工場排水による水質汚濁、それらの地域対象にいたしておりますが、公共下水道につきましては、その前に書いてございまして、やはり公共用水域の水質汚濁を防止するために必要な地域、これらの地域はもちろん先生御指摘のような家庭排水を含めまして、あるいは市街地の中の中小の工場排水も入るかもしれませんけれども、主として家庭排水による水質汚濁を防止するために公共下水路というものを積極的に重点を置いて事業の促進をはかるということを書いておりますので、この欄で御理解がいただけるのではないかというように考えております。
  103. 菅太郎

    菅委員長 それでは砂田委員質問を留保いたしまして、国家公安委員長お見えになりましたから、山口君の質問に入ります。山口鶴男君。
  104. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 下水から急に警察の話になりましてたいへん恐縮ですが、国家公安委員長、お急ぎのようですから、警察質問をさしていただきたいと思います。  最初にお願いしておきますが、国家公安委員長のホームグラウンドは地方行政委員会ですから、せいぜい地方行政委員会にも、これからもお呼びすることが多いと思いますが、できるだけいらしていただくようにお願いをしておきたいと思います。  最初に、最近世上をにぎわしております例の十九億円の不正融資の問題について、若干のお尋ねをいたしたいと思います。大蔵委員会ではありませんから、大蔵省銀行局の監督不備等の問題につきましては、ここでは議論するつもりはございません。ただ問題があの十九億円という膨大な不正融資、それが長い間銀行部内のいわば秘密事項のような形で外部に一切隠蔽されておった。たまたまある雑誌がスクープいたしまして、それ以来銀行も警察のほうにこの連絡があるというようなことで、とにかく犯罪というものは初期において捜査を始めるべきが原則だと思うのでありますが、非常に捜査の開始の時期がおくれた。この間犯人の両名は香港あるいはフランス等に逃亡した。しかも銀行当局が隠しておる間に犯人の一人はしばしば香港から日本にも帰国いたしまして家族等とも会っておったということもその後明らかにされているのであります。  私、そこでお伺いしたいのは、かつて国家公安委員長は、大学紛争の際に国家公安委員長に就任をされたわけでありますが、その際の新聞の切り抜き等も持っておりますが、一つ一つ例は引きたくはありませんが、とにかく大学当局が警察を信頼していない、大学当局から要請がなければわれわれも軽々に出るわけにはいかぬのだといって、いわば大学当局の警察に対する協力のしかたが不備な点を、国家公安委員長しばしば国会においても力説をされたわけであります。そしてまた、とにかく二〇番に電話していただけば三分以内に警察はおじゃまするんだというPRも大いにされたわけでありますが、今回銀行特に富士銀行、その他の銀行にもいろいろ不正事件があるやに聞いておりますが、それらがいわば銀行の信用ということを妙に考えて、そうして内部で隠蔽しようとする、こういう傾向がきわめてあると思うのです。これに対して国家公安委員長はどういうお考えであるか、銀行のそのような態度に対して、警察としてのお考え方をひとつお示しいただきたいと思います。
  105. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 大学の警察アレルギーは確かにあったのであります。あったことが間違いであることも言うまでもありません。それとこれとは少し問題が違うかもしれぬと私は感じます。十八億円問題について銀行側が警察との連絡、警察に申告することがおくれた、また申告のしかたが不十分であったということの結果、警察の初動捜査が現実におくれたという傾向を帯びたことは否定できません。これは銀行が銀行自体の世間的な信用を念頭に置くのあまり、銀行内部でよく調べた上で警察に申告したほうがいいだろうと思ったやに見受けられるのであります。そういうことのためにおくれたのでありまして、警察を不信呼ばわりするということではないと思います。繰り返して申し上げればてまえ遠慮をしてもっと確かめてから警察には申告したいという銀行側の意思に基づいてついおくれざるを得なかったということかと思います。
  106. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 富士銀行の虎ノ門支店では、十九億の不正融資の以前にも、やはり不正な事実があったということが報道されております。それをそのときにおいて適正なる手を打っておけば、今回のあのような多額の不正融資事件は防止し得たのではないかということも言われておるわけですね。大学との問題を比較をいたしましたが、しかし私は少なくとも大学の際にあれほど警察アレルギーを声を大にして喧伝された国家公安委員長、もちろん大学と銀行との若干のいろいろな内部事情の違いはあることはわかります。また警察に連絡したらというて大々的にそれが報道せられるということとは、これはイコールではないわけですね。幾らでも、たとえば誘拐事件等につきましても公開捜査をとる以前にいろいろと秘密捜査をするという段階ももちろんあるわけです。したがって、それらのことを総合的に考えた場合、何か内部でもって処理してしまおう、そして警察に対してはなるたけこれをひた隠しにしていこう、こういう態度は、これはやはり私は園長の零細な預金を預かっておる銀行の態度としてはいかんと思うのです。これはそういう意味において大臣の御所見を重ねてお伺いしておきたいと思います。
  107. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 大学問題に関連して冒頭にちょっとお話があったものですから、それにかかずらい過ぎておるような答えになったことを遺憾に存じますが、元来詐欺横領を想像される事犯が起きたときには、すみやかに銀行は警察に届け出て協力を求めるという態度であるべきだと思います。それがどういうつもりか知りませんけれども、先刻申し上げたような心理状態であったかと想像するのですけれども現実に連絡がおくれ、連絡が不十分であったということの結果、初動捜査がちょっと間があったということになったかと思います。はなはだ遺憾千万に存じます。
  108. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 銀行協会等に対しても、国家公安委員長のそういった断固たる考え方というものをやはりお示しになることが私は必要だと思います。国民の零細な預金を預かる公的な性格のきわめて強い銀行としても、当然いま大臣がおっしゃられたような趣旨を体して、当然なさねばならぬ任務であると私は思います。その点大臣、ただいまの所信が十分銀行協会側にも徹底するように、これは強く要望いたしておきます。  それからこれに関係してお尋ねしたいと思いますが、逃亡者引き渡しに関する条約というのがあるそうです。現在有馬の日本側に対するところの引き渡しの問題につきましては、フランスにおきましていろいろな措置が行なわれておるそうでありますが、結局逃亡者引き渡しに関する条約はあるが、日本とアメリカとの間にのみ締結をしているにすぎない、フランスとの間にはその関係がない、こう聞いております。  かつてフランスの逃亡者が日本に参りましたときに、日本とフランスとの間でそのような形が整っておりませんでしたために、その犯人が逃亡したという事例があったそうであります。フランスはそのことを根に持って云々しているわけではないともちろん私ども思うわけでありますが、少なくとも現在犯罪が広域化する状況におきまして、この逃亡者引き渡しに関する条約、これを各国との間にその関係をきちっと持つということは私は必要ではないかと思うのですが、その点いかがですか。
  109. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 私も条約を締結したほうがベターではなかろうかと思います。
  110. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どのような時期に、各国とどのようにそれを締結をしていくのか、その事務的な時期等について目標があればお示しをいただきたいと思います。事務当局でけっこうです。
  111. 高松敬治

    ○高松説明員 引き渡し条約につきましては、御指摘のように日本とアメリカとの間の引き渡し条約があるだけでございます。しかもたいへん古い、明治時代からの条約でございます。外国では、たとえば犯罪人引き渡しについてのヨーロッパ条約というようなものがあって、ヨーロッパの各国は相互にそういうものに加盟しているというふうな状態にございます。理想的に申しますれば、そういうふうな多国間条約というものがなるべく早い時期に結ばれることが一番私どももよろしいかと思います。ただ現実に条約の制定についてはいろいろ問題があるようでございまして、もう一つ方法としては相互に引き渡しを行なう、いわゆる相互主義の原則というふうなものがもっと普遍的に行なわれてまいるという形をとっていくのも一つの実際的な方法であろうかと思います。これについても国内法の整備というふうな問題もございます。そういうふうなこともあわせまして、私どもとしましては、今度の経験にかんがみまして、条約という形になりますか、あるいは相互主義の原則をもっと貫くような形になりますか、いずれにしても、国外に犯人が逃げても必ずつかまる、つかまれば引き渡しを受ける、日本にそういう要求があれば日本も外国の要求に応ずる、そういうふうな体制の整備を必要とさるべきであろう、こういうふうに思います。  条約制定の時期につきましては、これは外務省の所管事項でございますが、私どもとしてもまだ何らめどは持っておりません。
  112. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 前向きの姿勢であることはわかりますが、ひとつ早急にこれを実施されますように要請をいたしておきます。  ついでに、有馬こと金東善ですか、いつごろフランスから日本に引き渡されるお見込みでありますか。
  113. 高松敬治

    ○高松説明員 まだフランスの高等裁判所における審理が済んでおりません。十九日にこの次の審理があるそうでございます。私どもは、まず順調にいきまして、かりにそのときに審理の結果が出るといたしまして、あと行政的な手続その他を考えますと、やはりまだ二、三週間はかかるのではなかろうかというふうに考えております。
  114. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間もありませんから次に進ませていただきたいと思います。  新聞で拝見をいたしたのでありますが、最近、自民党が発行しておられます機関紙「自由新報」が警察署の中で大量に配布されたということが報道されております。この文書が、いわゆる公職選挙法にいうところの文書図画の頒布の違反になるかどうかということにつきましてはいろいろ議論もあるようです。時間もありませんからその点については触れることをやめたいと思いますが、問題は、常識的に言いまして、国民の考え方は明年の地方統一選挙の都知事選挙におきまして、現職の美濃部さんと、それから自由民主党推薦の秦野前警視総監、お二人の事実上の一騎打ちになるであろうということは国民の常識だと存じます。秦野さんが警察官の御出身であり、前警視総監であることも国民だれもが承知をいたしておるわけであります。そういう中で選挙が行なわれた場合、少なくとも警察法にいう中立の立場にあるべき警察というものが、一体はたして厳正な選挙取り締まりというものが行なわれるのかどうかということについても一まつの不安を持つ方も少なくないと思うのです。秦野さんの御出身が御出身だけに、国民にそういう一まつの不安があるところに、警察署内におきまして、とにかく秦野ビジョンなるものがたくさん書かれており、秦野さんの写真も四カ所にわたって載せられておるというような新聞が配られたという事実があれば、私はさらに、警察の厳正中立の立場というものに対して国民が疑惑を持つことは当然だと思うのです。  このような遺憾なことが発生をいたしましたが、これに対して国家公安委員長として一体どのようなお考え方であり、また現にこのような事実が起きたわけでありますから、これに対してどのような御措置をとるおつもりでございますか、この点お答えをいただきたいと思います。
  115. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘の件は、結論的に申し上げてまことに遺憾であったと思います。場所が警察署内であったということだけについても遺憾であったといわざるを得ないと思います。もっとも秦野前警視総監とは直接的に無関係であったことは事実でありますし、警察署としてもこれを制止したということも事実でありますけれども、少なくとも会合が終わったとたんに事実上配られた、途中で制止して食いとめたらしいんですけれども、事実上配られたという事実は歴然たることですから、その意味においてお説のとおり厳正公平であるべき警察署内において起こった事件としてまことに遺憾であります。自今そういうことのないように厳重に戒告をいたしまして処置をいたしました。
  116. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 大臣、いまの事実関係は少し違うようです。大臣は会合が終わったあとで配られた、こう言われましたが、新聞の報道するところ、各紙いろいろ報道しておりますが、受付に大量にそれがあって配っておるところを写しておる写真も報道されておりますし、またきょう持ってまいりました新聞紙によれば、「会が始ってまもなく、遅れてやってきた業者や途中から帰る人たちに、講堂前の受付で今月六日付「自由新報」(自民党本部発行)が配られた。」こういうふうに報道されております。少なくとも警察署内において会議が進行している、そのときに配られたという事実は、これはやはりさらに遺憾だと思うのです。終わってから配られても警察署内ですから遺憾ではありますが、ともあれこういうことも報道されており、特に選挙取り締まりについては警察がとにかく捜査をするわけなんですから、そこに不安を持っておる。そういうときにこういう事実が起きたというところに私はやはり問題があると思うのです。あくまでも警察法にきめられております警察が厳正公正な取り締まりをやるんだということのためには、いま大臣がおっしゃられましたけれども、今回のこのような事案につきましても、やはりそれ相当な処置というものが必要ではないか。そうすることが今後警察として厳正にやるんだということを国民の前に示すということにもなろうと思うのです。この点はいかがでしょうか。
  117. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 形式上警察そのものに責任があると文字どおりに言うわけにはまいらないかと思います。結果的に警察署内でそういうことが起こったということは、そもそも場所を貸したこと、会議の運営等についても十分の注意をしなかったかもしれないという疑点がある意味において、厳重に戒告をして、自今同じようなことが起こらないようにということを部内一般に厳重に戒告をしたということで御了承をいただきたいと思います。
  118. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間もないからあれですが、とにかくこのような時期にこういうことが起きた。しかも事実上の一騎打ちのお二人という方は国民の常識からいえばきまっておるわけです。したがって、警察としましては、今後警察というものが中立の立場に立って厳正な取り締まりをやるのだということをやはり身をもってひとつ示してもらいたい。今後の取り締まりにおいて身をもってそのことを示していただきたい。そうでなければ、この疑惑は深く国民の心の中に残ると思うのです。その点に対する大臣の所信を重ねてお伺いしておきましょう。
  119. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 再びこういうふうなことが起こらないように厳重に警察部内一般に戒告をしたいと思います。現にしましたし、時期を経て一再ならずそういう努力をしたいと思います。
  120. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 では、次の問題に移ります。  最近、朝鮮労働党中央委員会の機関紙であります「労働新聞」、本物を持ってまいりましたが、それと全く同じような、いわば偽造された朝鮮労働党中央委員会機関紙「労働新聞」なるものが各地にばらまかれておるという事実があったようであります。これが実物なんでありますが、こういうふうに写真がまん中にあるか下にあるかの違いだけで、朝鮮文字の読めない者には全く区別はわかりません。内容は全く違うようでありますけれども、とにかくこういうものが配られた。しかも「朝鮮新報社」という帯封でもって本土におります韓国人、朝鮮人の方々に配られたという事実があるようであります。それからさらに「在日朝鮮人総連合中央本部」という判こを押した封筒の中に「抗日パルチザンの回想記」という本が入ってこれまた大量にばらまかれたそうであります。そのほか「統一評論」でありますとか「路線」とかいろんな雑誌のたぐいがばらまかれた。  そこで問題になりますのは、刑法にも「信用及ヒ業務二対スル罪」というのがありまして、「虚偽ノ風説ヲ流布シ又は偽計ヲ用ヒ人ノ信用ヲ毀損シ若クハ其業務ヲ妨害シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ千円以下ノ罰金二処ス」というのがございます。さらに私印偽造、不正使用という条がございまして、「他人ノ印章若クハ署名ヲ不正二使用シ又ハ偽造シタル印章若クハ署名ヲ使用シタル者」についても三年以下の懲役に処するという趣旨の条項が刑法にございます。明らかに「在日朝鮮人総連合中央本部」こういった偽りの印章をつくってそして文書をばらまくということは問題でしょうし、また、朝鮮労働党の中央機関紙と一見全く同じような新聞をつくり、内容が非常に違ったものをばらまいて、そして朝鮮労働党の信用を失墜するということについても、これは刑法に触れる問題だろうと思います。朝鮮労働党といえば政権をとっている政党であり、日本でいえば「自由新報」を、秦野さんに対してよろしく頼むというようなのを書いてばらまけば、これはまさに文書図画違反ということになるのでありまして、そういう点でも問題が起ころうと思うのです。ちょうどそれと同じようなことだと私は思うのですね。こういう事実が起きたことはきわめて遺憾だと思います。これに対して朝鮮総連からも警察に対して厳正な捜査をするようにという要請等もあったと思うのですが、現在まで警察当局としてこの問題に関してどのような態度でどのような捜査をいたしておりますか、まずお聞かせをいただきたいと思います。
  121. 高松敬治

    ○高松説明員 十月七日に朝鮮総連の外務部長外二名の方が私どものほうに見えましてこの事実についての申告がございました。それで私どものほうでは即日これを警視庁に連絡いたしまして、現在警視庁が中心になりまして、何罪が成立するかというふうな問題も含めまして、出版、配付ということの事実関係について捜査をいたしておるところでございます。
  122. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 少なくとも刑法に触れる一つの犯罪であるということは明らかだと思います。その点ひとつ明確にしていただきたいということと、それからさらに、さっきお示しをいたしました「路線」という雑誌ですが、これが「東京都中央郵便局私書箱七九八」という印がうしろに押されまして、各地域の韓国人の方々等に配布をされたようであります。私もこれを調べました。東京都中央郵便局私書箱七九八。時期が同じでありますから何らかの関係ありと思うのは一つ考え方だろうと思うのですが、これについてはある程度お調べになりましたか。
  123. 高松敬治

    ○高松説明員 罪名といたしましては刑法百六十七条の私印・私署の偽造、不正使用というのが一番これに該当するのではなかろうかと考えております。  さらに先ほど御指摘のあった二百三十三条の偽計、業務妨害というふうなものに、実はこれは若干問題があるかと思いますけれども、その成立についても検討をいたしております。  それから最後の私書箱七九八につきましては、これも偽造であるということも考えられますし、私どものほうでは一応は見ております。
  124. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 私のほうで私書箱七九八を調べてみました。東京都千代田区永田町二の十三の八、ホテルニュージャパン三階の三八二号室、ここにございます駐日韓国公報館、洪泉という方が代表者だそうであります。聞きますと、駐日韓国公報館ですから韓国の公報を出しておられるお仕事をしているというふうに聞いております。これがさつき言いました私印偽造、不正使用に当たるのか、あるいはちょうど同じ時期にこれが出ておるわけでありますから、今回このような偽造文書がはんらんしたことと、この駐日韓国公報館との間に何らかのつながりがあるのか、この点についてもひとつ厳正に調査をしていただきたい、かように思います。この点はいかがでしょうか。
  125. 高松敬治

    ○高松説明員 厳正に調査いたします。
  126. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 最後に私は公安委員長にお尋ねしたいのです。やはり私が先ほど比較いたしましたように、労働党中央委員会発行の「労働新聞」といえば、朝鮮人民民主主義共和国、この国の政権を握っております責任ある政党の正式な機関紙、日本でいえば自由民主党、これが発行しておられます「自由新報」、これに当たることは御了解いただけると思うのです。かりに他国において「自由新報」が偽造されて大量にばらまかれるということになれば、自由民主党はもとより、わが日本に対して非常な信用失墜とかいろいろな意味で不利益を与えることは容易に想像がつくだろうと思います。このようなことは、私は国際的に見ましても非常に遺憾なことであり、重要なことだと思います。したがいまして、捜査当局としても厳正な調査をこれからやっていただけるものと期待をいたしておりますが、少なくとも単なる私印不正使用、それから信用毀損業務妨害、こういった単に国内において行なわれ得るような罪とは、国際的な意味でも非常に意味が違うし、また重要な意義を持っているということを御理解いただけると存じます。そういう意味におきまして、公安委員長としてこの問題に関してどのようなお考えを持ち、また公安委員長としてこの問題の捜査に対してどのような御所信を持っておられるのか、あわせてひとつお伺いをいたしたいと思います。
  127. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 御指摘のような罪名にかかわる案件でありますから、自民党の「自由新報」になぞらえておっしゃるまでもなく、法治国のメンツにかけて厳重な捜査をいたさせます。
  128. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 それではもう時間があれですから一問だけにいたします。  私は、公害の問題に関しての交通規制については都道府県知事政令都市の市長というものが何らかの権限と申しますか、公安委員会に対して交通規制を要請するということも一つ方法だろうと思いますが、そういうことにつきましては警察庁も久保交通局長が参りまして、前向きに取り組むということを約束いたしました。しかし私は各国の警察制度を考えました場合に、たとえばイタリアにおきましては、公安と刑事につきましては国家警察、しかし交通警察につきましては完全な自治体警察。あえて言うならば、自治体警察はストライキ権も持っておって、交通警察官の方はイタリアではストライキもやっておられるようでありますが、そのことは別といたしましても、少なくとも交通警察というものは行政警察である自治体警察にまかせる、そういう形で警察制度を根本的に変えるということも一つ方法ではないかと私は思っております。イギリスにおきましても、ロンドンの市長が交通規制に対しては十分な権限をお持ちのようであります。日本警察は都道府県警察であり自治体警察であることは言うまでもありませんが、幹部の方が国家公務員でありますために、何か顔は警察庁のほうばかり向いておる。後藤田さんや荒木さんのほうばかり向いておるというのがいなめない一つの傾向だろうと思うのです。そういうわけでありまして、しかも公安委員会が当該都道府県警察を監督するという立場でありまして、都道府県知事あるいは政令都市の市長というものは、警察に対して全くといっていいほど権限を持っていない。もちろん公安委員会の任命について議会にいわばおはかりするのは都道府県知事権限であることは言うまでもありませんが、それ以上のタッチの方法はないわけですね。ですから私は、警察においては何よりも警察制度そのものについて再検討する必要があるのではないかと思います。これについてのお考え方と、あわせてそこまで言っていただければいいわけなんですが、どうもそれは無理だということであります場合は、少なくとも交通規制については都道府県知事政令都市市長が公安委員会等に要請して、その希望が十分かなえられる、要請が実現化される、こういう道を開くべきだ、かように思うのでありますが、そのことをお伺いしまして、公安委員長お忙しいようでありますから、公安委員長に対する質問は終わることといたします。
  129. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お説のようなことも考えられるかと思います。ですけれども、結論から申せば、現行制度のもとの公安委員会警察庁、管区警察、都道府県警察という形でやったほうがベターだろうと思います。交通問題は公害と違いまして、それ自身がダイナミックな現象を追っかけ回す商売でありまして、交通が発達するにつれて、発達するにきまっておりますが、広域的な措置を必要とするという本質を持っている意味において、いまの制度がよくはなかろうかというふうに存じます。交通警察と他の警察機能とは、相より相助けて相互扶助的な現実運用になっておろうかと思いますが、切り離して切り離せぬことはないだろうとは思いますけれども、切り離さないほうが相互扶助の関係に立ってより有効に措置できるのではなかろうか。公安委員長やら警察長官の顔を見て仕事をするという仰せですけれども、かりにそうであったといたしましても、警察の使命はあくまでも不偏不党、厳正公正でなければならぬということを地で行っているつもりでございますから、事が間違うおそれは万ないと存じます。とにかく一つの案ではあろうと思いますけれども現実に即して考えて、将来性を考えた場合に、むしろ現行制度のもとのほうがよりベターではなかろうか、こういうふうに思います。
  130. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 警察制度は変える気はないというのですが、しかし交通規制については先ほど久保局長がお答えになっておりますので、重ねて聞いてもいかがかと思いますから聞きませんが、やはりオキシダントあるいは光化学スモッグというものを防ぐためには、公安委員会のほうに都道府県知事なり政令都市のほうから十分な要請ができ、それが直ちに実行に移される、こういう仕組みだけはつくっていただきたい、このことは強く要請をいたしておきたいと思います。
  131. 砂田重民

    砂田委員 それでは質問を続けさせていただきます。建設省の道路局長、たいへんお待たせしました。  道路整備の新五カ年計画を樹立しようとされておりまするこの機会に伺っておきたい点が二、三あるのでございます。道路局長の御認識をまず伺っておきたいと思うのですが、地方道特に市町村道の整備がたいへんおくれているということ、これに対する地域住民の要請がきわめて強いということ、したがって今後道路整備を積極的に推進していくためには、地方の道路目的財源を抜本的に拡充強化する必要がある、私どもはそういうふうに考えているのですが、道路局長の御認識はいかがでございましょうか。
  132. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 ただいま新五カ年計画を策定中でございまして、御承知のように、十兆三千五百億ということでことしの三月に閣議了解をいただいております。その内訳につきましては省略いたしますが、いま御指摘のとおり現在日本の道路事情、道路整備の状況は、地方道特に市町村道がたいへんおくれておることは事実でございます。戦後荒廃した日本において、道路整備をまず第一に着手しましたのは国道からでございます。約十数年かかりましてどうやら国道、特に旧一級国道が間もなく完了に至る予定であります。なお旧二級国道につきましても順次整備を進めておりまして、これも五十一、二年ごろにはおおむね完了するような状況であります。都道府県につきましては、主要地方道で大体五十五年度、一般の都道府県道につきましては六十年ごろまでかかろうかと思われます。それから市町村道につきましては、われわれのところにおきましては整備計画は実は立たないような状況でございます。と申しますのは、御承知のように日本の道路網は約百万キロございますけれども、そのうちの八五%に当たります八十五万キロが市町村道でございます。この市町村道につきましては、実はりっぱな道路になりますと国道以上の道路もございます。しかし大多数の道路は、あぜ道のような道路であったりあるいは裏道の路地であったりするようなものがございます。極端な例を申し上げますと、延長わずかに二メートルという、そういうふうな零細な道路までございます。したがいまして、こういう道路につきましての整備を国が全部やるということは、おそらく不可能かと思います。     〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 現在われわれが市町村道に対する手当てとして行なっておりますのは、やはり国が特別な立法をいたしまして、その道路を整備する必要を認めたもののみを取り上げておるわけでございまして、それ以外には、国の重要な施策によってどうしても国がお手伝いしなければいかぬという道路についてのみ市町村道は取り上げているような状況でございます。今後もわれわれの方針といたしましては、この方針は実は貫いていくことにいたしまして、大部分の市町村道はやはり市町村の力によって、いわゆる地方負担によって整備していただくよりほかないのではなかろうか、かように考えております。  なお、建設省といたしましては、市町村道につきましても県道に準ずるような重要な市町村道もあります。したがいまして、高速自動車国道を一番の動脈といたしますと、一番最末端の市町村道八十五万キロのうち約二十二万キロぐらいは、ある程度国が力をかしてもいいのではないかというふうに考えておりまして、これらについての検討を現在進めておるような状況でございます。  御指摘の地方道路財源につきましてでございますが、ただいま地方道の財源については、都道府県道についてはある程度の手当てはされております。しかし、市町村道については非常に少ないような状況でございまして、十分ではございません。こういう点におきまして、自治省とも協力いたしまして、できるだけ単独事業を伸ばして整備を進めるように、今後はかっていきたいというように考えております。
  133. 砂田重民

    砂田委員 建設省が検討しておられる今度の新五カ年計画によれば、所要一般財源は、国が八千四百億円、地方が二兆一千八百億円、特定財源率は、国は現行計画と大体同程度、地方については現行計画よりもさらに一〇%以上低下する、五割に達しない、特に市町村は一六・五%にとどまっている、こういう現状は道路局長も十分御認識のところだと思うのです。したがって、特に市町村の道路目的財源を大幅に充実する必要があるのですけれども、先ほどの道路局長の御答弁からしても、こういったことは十分御認識のようでございますから、市町村の道路目的財源を大幅に充実する、そのための具体案というものをいまの段階でどういうふうにお考えになっているか、伺っておきたいと思います。
  134. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 市町村の目的財源でございますが、ただいま市町村が特定財源として持っておりますのは、自動車取得税と軽自動車税だけだと思います。非常に少のうございますので、いまほど御指摘のように、十数%にすぎないかと思います。これに対する対策、これはたいへんいろいろな問題がございまして、われわれのほうではいろいろ検討は重ねておりますけれども、現在考えておりますのは、これは確定ではございませんで、いろいろ部内で議論いたしておりますのは、軽油引取税を増徴いたしまして、この一部を市町村に回すべきじゃなかろうかという検討も進めております。なおこれが従来都道府県税になっておりますので、その場合にはある程度都道府県税として残しまして、ただその増徴分については市町村道の整備に充てるという、一種のひもつきでございますが、県から補助するようなかっこうになりますが、そういう施策を考えてみたらどうかというふうな検討も進めております。  それから自動車税、軽自動車税、これにつきましては、これも税率をアップいたしまして、その上げた分についてこれを市町村の特定財源としたらどうだろうかというふうな検討は進めております。  以上でございます。
  135. 砂田重民

    砂田委員 私ども自治省から、地方道の財源不足額を九千五百十一億、そういう試算をはじいた数字を聞かされているのですけれども建設省はどういうふうに考えておられますか。
  136. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 建設省自治省の計算には差異がございます。私たちのほうの計算の根拠をなしておりますのは、四十五年度の地方財政計画をもとにしてつくっております。これによりますと、一般財源は三千四百九十三億ということになっておりまして、これを初項としまして一応七・五%で達成できるというふうに考えたわけでございます。  一方自治省のほうは、すでに御承知かと存じますが四十三年度の実績、この実績は実は建設省とちょっと食い違いがありますけれども、それを基礎といたしまして、年率二一%で伸ばして四十四年度を推定し、またそれをさらに二一%伸ばしで四十五年度を推定し、これをもとにして年率伸びなしという計算でやりましたので約九千五百億の不足という数字が出たのじゃないかと思います。  私どものほうは、国費計算の場合も財投の場合も、それぞれ四十五年度をベースといたしまして一〇%の伸び率は可能と考えまして、それにさらに不足するものというふうな計算をしております。そういう数字でございます。
  137. 砂田重民

    砂田委員 建設省自治省との間の財源不足の計算のしかたが、積算の基礎のとらえ方が全く違うものですから、たいへんな違いが出てきているのですね。六千億に近い違いが出てきている。私はいま道路局長の御答弁を伺って、ほかのものも全部四十五年を基礎にして計算するとおっしゃっているけれども、今回の道路の財源不足の計算は四十五年とおっしゃったけれども、これは実績の四十五年ではなく、四十五年度の地方財政計画に基礎を置いている。これは私は一つの大きな疑問だと思うのです。地方財政計画の数値というものは、毎年の地方団体の標準的な歳入歳出の均衡状況を明らかにするために作成するものであって、したがって計画上の数値は期待値であって実績値ではないのですよ。その期待値に基礎を置いておられる、そこに一つ私は誤りがあるのじゃないかという気がするのです。特に四十四年、四十五年度というものは、おくれている地方整備を推進するために自治省が相当吹っかけた。地方道の単独事業費というものの大幅な増額をたまたま行なった年が四十四年、四十五年です。したがって、これと四十四年の実績とを比べてみてもだいぶ違いがある。各団体に対する自治省の、これは期待の数字であったわけですね。ところが、地方団体の道路目的財源事業費に対する割合は国に比べてたいへん低い。したがって、この単独事業費の大幅増額を計画の上でした結果、四十四年、四十五年度財政計画の一般財源投入額は、実態に比べまして計画額のほうが非常に大きかった、こういうことが明らかなことなのです。このような過大な計画上の期待額を基礎として財源不足額を計算しておられるから、そこに私は非常に大きな間違いがあると思う。  新五カ年計画によりますと、特定財源を控除した後の地方団体の一般財源所要額は、国の八千四百四十八億円に対して二・六倍の二兆一千億をこしている。しかもこれまで、地方は道路目的財源が少ないために、やむを得ず相当な無理をして一般財源を投入して道路整備に充ててきている。逆に国は、道路目的財源の割合が高いために一般財源の投入は少ない。しかもその額は、昭和四十二年には八百三十九億円に対して四十五年度は六百九十億円に減少してきている。地方と逆になっていますね。地方の道路目的財源の必要性に対して、ちょっと認識が足りないのじゃないか、あやまっているのじゃないかという気持ちをわれわれ地方行政委員は、これは私だけでなくてみんなそういう気持ちを持っているのです。どうも事実が無視されているような気がしてならない。このような理由によりまして、財源不足額については、現在その実績が明らかにされている四十三年度の自治省のあのとり方のほうが実際の数字が出ているはずだ、こう私どもは考えているのです。しかも道路整備五カ年計画というものは、基幹的な道路網整備中心としてその積算がなされている。これは一番初めに道路局長からもお話がございました。地方道といっても何もかも全部するわけにはいかない、これは当然なことだろうと思うのです。極端な例で延長二メートルというようなこともおっしゃった、あぜ道というようなこともおっしゃった。何から何まで全部ということではありませんけれども、その基幹的な道路という建設省のお考えと、地方団体が実際に市民と密着した行政をやっていくのに、市町村というものは、その基幹的な道路だけではなくて、生活関連道路の整備の必要にも迫られているのですね。この問題は、自治省の広域市町村圏と建設省の広域生活圏、これを十分に調整をしなければいけないといって両省で話し合ったときにも、それぞれ分担する広域市町村圏で考える道路、広域市町村圏で考える生活関連道路、こういったふうなことの話が一ぺんついたはずなんです。そういう考慮が今度の道路の計画には払われていない。産業基盤整備のための社会資本充実に重点を置く予算配分パターンよりも、地方団体としては生活環境を改善するための社会資本投下に重点を置いた予算配分、こういう考え方を一九七〇年代の地方行政はやっていこうとしているわけですね。こういったことの配慮が払われていない、こういう気持ちが私どもはするわけなんです。  こういった点について、私がいま道路局長の御説明を反論いたしましたけれども、こういう点の配慮が払われていないという事実、四十五年度の基礎とされました数字は、それはほかの四十五年度の予算がこうついたから、それに基礎を置いて何%伸ばすという、その基礎には用いられる筋合いのものではないので、そういう地方財政計画というものの性格を正しく御認識になっていただかなければ困る。こういった点についてどうお考えになりますか。
  138. 高橋国一郎

    ○高橋説明員 私たちのほうは十兆三千五百億円のそれぞれの財源が幾ら不足するかということを計算したわけでございます。したがいまして実績をもとにしてやることが一番正しいわけでございます。たとえば国費につきましては、先ほど申し上げましたように、昭和四十五年度が六百九十億円、これをベースにして毎年一〇%伸びる、おそらくそういうことは可能であろうと考えたわけです。  財投にしましてもそういうことでございまして、三千八十三億円を毎年一〇%伸ばすということで計画したわけでございます。それと同じような方式を用いるならば、もしたとえば自治省の積算しました四十三年度から二一%伸ばし、さらにもう一年二一%伸ばしたものを採用するとしたならば、それをもとにしてやはり二〇%の伸び率を見て不足額は幾らかということをわれわれは積算しようと思います。したがいまして、先生からの御指摘でございますが、われわれはわれわれの方式がもし間違いであれば改めるにはやぶさかでございませんで、われわれ実は、地方財政計画というものは国会に提出されておりますので、おそらく一千億も食い違うとは夢にも思いません。そういうふうなことはとても考えられません。国会に提出されたその資料をもとにしてつくったわけでございますので、それによって計算すると、わずかに七・五%で達成できるのじゃないかという結論が出たわけでございます。したがいまして建設省としてはいまの計画を変える予定はございません。
  139. 砂田重民

    砂田委員 国会に提出されたときも、私ども国会でも地方財政計画というものは実績の数字と見て受け取っているわけではない。地方財政計画というものは標準的なあるいは指導的な意味を加えたそういう期待値であるという意味でわれわれは地方財政計画をいままで扱ってきているわけなんです。これは大蔵省でもそういうことを理解をして地方財政計画というものを解釈しておられるはずです。いまここで議論をして結論を出すわけにはまいらぬでしょうけれども、われわれ地方行政委員としては、いま私が述べたような見解を持っておりますし、これを変える気持ちは毛頭ないということだけは知っておいていただきたい。  自治大臣に伺いますけれども、自治大臣はこういう実情を当然御承知のところでありまして、道路の長期計画は閣議できまっていくものでございましょうけれども地方公共団体のやらなければならない生活環境改善のための仕事の量と建設省がお考えになる基幹的な道路でいいのだというお考え、どうもわれわれの気持ちとはすっかり食い違っているわけでございます。こういうことを勘案しながら、その財源不足額を算出する基礎をどこでとるかということ、自治大臣といたしましてはどういうふうにこれから取り運んでいかれようとするのか伺っておきたいと思います。
  140. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 われわれといたしましては先生と同じような考え方によっております。したがいまして地方財政計画の期待額の数字によって事を律するということではかえって誤りを起こす。したがってわれわれの計算による点につきまして、十分関係方面ともお話し合いを重ねまして、御了解を願ってわれわれの所期の目的を達したい、努力をいたしたいと考えております。
  141. 砂田重民

    砂田委員 道路局長はそれでけっこうです。  河川局の次長さん、たいへんお待たせいたしましたが、最後に都市河川の問題をちょっと伺っておきたいと思うのです。  四十五年度から都市河川改修費に対する新しい補助制度を樹立をしてくださいました。国と県、市、各三分の一ずつ負担するという新しい画期的な制度でございます。管理権は県が、市は委託を受けて事業を進めていく、こういうことであろうと思うのですが、私は手元に「昭和十三年神戸地方大洪水と其の復興計画の概要」、昭和十四年十月に出された内務省神戸土木出張所の資料を持っております。この概略を申し上げて御判断をいただきたいと思うのですが、昭和十三年に神戸、西宮、芦屋というところがたいへんな被害を受けたわけなんです。被害が非常に大きなものでございますから復旧改良工事の量もたいへん大きい。そこで当時河川の管理権が府県にあったのでありますけれども、時の内務大臣が国の直轄でこれを施行することを決心をされて、昭和十四年四月十九日付で内務省の告示をもって「明治三十年法律第三十七号二依リ兵庫県起業二係ル表六甲河川改良工事ヲ昭和十四年以降本大臣二於テ直接施行ス」ときめられまして、その河川名を二十五河川あげられました。十五河川を甲河川と称し、十河川を乙河川と称した。各河川ごとに緻密な改良案を定められて、工事費、国庫補助金の年度割りもきめられて、各河川ごとの工事の事業費も年度割りに決定をされた。施行期間は昭和十四年から昭和二十年までの七年間、事業費が三千四十七万円でございます。うち国費が一千五百二十三万円、こういう事業計画であったわけでありますが、こういう歴史的な経過があったことは御存じでございますか。
  142. 角田正経

    ○角田説明員 ただいまの事実につきましては、先生御指摘のとおりでございます。
  143. 砂田重民

    砂田委員 このようにして昭和十四年からこの工事は開始をされました。ところが時すでに日支事変の最中です。昭和十六年末太平洋戦争に突入いたしましてから事業はもう縮小ばかりしてきた。大戦末期はほとんど中止状態になってしまった。昭和二十年終戦を迎えて、戦災都市復興計画ができましたが、このときも表六甲甲河川というものは、その工事はそれぞれ当初の計画を踏襲して、単年度事業として国が直轄工事として施行することにした。国は昭和十四年の時点と同様に、戦後もその責任を果たそうとされたわけです。ところが終戦後の物価の高騰は、事実上工事費を大削減したと同じようなことになってしまって、事業はさっぱり進展しない。その間官民一体となって政府に要望しました結果、昭和二十四年に政府は大幅に予算を増額して本格的再出発ができそうに一ぺんは見えたわけです。ところが、たまたま二十五年に税制の大改革があって、国、地方の仕事の分担も変化があって、災害復旧事業については昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律で、表六甲河川はほとんどが改良工事でありますから、災害復旧費をもってしては実施困難だということで、昭和二十六年度から中小河川改修工事と、一般の扱いをすることにされて県に引き継がれたのです。昭和十四年に一度とそれから戦後の戦災復興計画をきめましたときに一度、このときに示された国の姿勢というものはここに決定的な変化を見てしまったわけなんです。  ちなみに昭和十四年国の立てた事業計画の昭和二十六年現在での工事の進捗状況は、十五の甲河川のうちで進んだところは九九%も進みましたけれども、おくれている河川では二〇%に満たない。平均五六%にしかすぎない。乙河川に至っては〇%でございます。工事の進捗状態はパーセンテージでいえばけっこうできているところもあるのですけれども、けっこう工事の進んでいる河川であっても、国鉄をはさんで、国鉄用地の山側は完全に改良工事ができて、海側も完全に改良工事ができたけれども、国鉄用地の下だけは直径一メートルぐらいの暗渠が通っている、こういう不自然なままで放置をされているのです。     〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕 昭和四十二年の七月に、神戸市に昭和十四年のときとほとんど同様の雨量の雨が降りました。砂防工事がきわめて順調に、全国のモデル的なケースでりっぱにできておりましたので、数多くの堰堤はりっぱに役目を果たしてくれて、それほど大きな被害ではなかったとも言える。河川の改良工事のできたところからは何の被害も起きませんでした。ところが昭和十四年の国の計画を実行していない、河川の工事の進捗状況は〇%というような河川の至るところから水があふれて、大きな被害を受けて数十人の人が死にました。これは自然の災害とはいえないという気がするのです。建設大臣も当時視察をなさった。そういう状態にあって、非常に危険なまま昭和十四年以来放置されておりますだけに、神戸市民というものは都市河川という新しい制度に大きな期待を持って見守っていたわけなんです。  そこでお伺いをするのですが、建設省が神戸市に新しい制度として都市河川に認めてくださったのは六河川でございます。先ほどから私がお話をいたしました工事がある程度進んでいる十五河川、全く工事に手がついていない十河川のうちから六河川、これでは、昭和十四年にこれこれこれだけの工事をしなければ六甲河川はあぶないというので国みずからが計画をなすったその責任を果たし得ないと思うのです。この事業をこれからどういうふうに来年度以降拡充していこうとされるのか、それが一点。  それから六河川の全体改修費百四十六億を建設省も認めてくださっております。いま申し上げた都市河川に認めていただいた六河川で百四十六億の全体改修費であります。四十五年度に新しい制度建設省が認めてくださった事業費は三億六千万円であって、単純計算すればこの六河川だけで四十年かかるのです。この十四年以来の歴史的な経過からすれば、表六甲の河川改修には特段の考慮が払われるべきだと思うのです。昭和十四年に国が責任を持ってこれだけの工事をやろうということを七カ年計画予算額もきめられて、河川ごとの改良計画もこまかいことまでおきめになった。それができていないのですから、こういう問題を含めて建設省は、この六甲の六河川も含めての都市河川というものの改修工事を来年度以降どういうふうに伸ばされようとしているのか、それを伺っておきたいと思うのです。
  144. 角田正経

    ○角田説明員 お答えいたします。  事実関係、それから四十五年度の事業費の内訳等につきましては、先生御指摘のとおりでございますので、あえてそれに対しまして私のほうから御説明をつけ加えることはないと思いますが、御質問の本年度から始めました都市小河川制度の今後の拡充策でございますが、本年度から始めましたのは、従来からいろいろ問題がございますが、都市地域内の都市化に伴いまして、非常に雨が降りました際に流れ出します水の量がふえてまいります。また一般に、従来田とかそういうふうなところで水がたまっておりましたのが、そういう地域に人家が建ちまして被害も多くなってきたというふうなこともございました。やはりこういうふうな宅地化に対応いたしますよう都市内の河川を相当改修していかなければ困るのではないかというふうなことで、まあ何か新しい制度でも考えて、従来のような制度のほかに新しい制度を考えて進める方法はないだろうかということで考えたわけでございます。事の起こりは、従来から先生御指摘のように一級河川または二級河川がございます。これは国または県のほうで責任を持ってある程度やってまいったわけでございますが、それ以外に、その一級河川または二級河川でもその先端のほう、あるいは一級河川または二級河川になっておりません普通河川というふうなところについては、とても手が回りませんで、改修の御要望等がございましてもなかなか実は手が回らずに困っておったわけでございます。そこで、こういうふうな普通河川等につきましては、これを一級河川または二級河川に格上げをいたしまして、その事業の中身、実際におやりいただくのに比較的工事施行能力、あるいは負担力があります七大市に限りまして試験的に四十五年度から始めていくというのが都市小河川制度の内容でございます。ただこれにつきましても、いま申し上げましたように、普通河川について補助を出すべきじゃないかというふうないろいろな議論もございまして、そういうふうな法制度につきましても、いろいろ考えておりましたのですが、いまの河川法の根本に触れるような問題になってまいりましたので、できるだけいま申し上げたような形で一級河川または二級河川のうちで一定の市の区域に限って改修を必要とするような部面につきましては、できますればその地域の市に責任を持って施行していただく、そのかわり、いま現行の制度でございますと、ただ工事だけお願いすることになっておりますけれども、管理面もできればお願いするというふうな形にいたしまして進めていきたいと思っております。来年度——今年度は、御指摘のように、いま申し上げたようなことで、そういう試験的な意味もございまして額が少なかったわけでございますが、来年度は現在の三倍ぐらいまでふやしていきたい。さらに四十六年度から新しい五カ年計画を策定しなければならない時期に参っておりますけれども、その時期には、いま都市局で引いております市街化区域の線引き作業とあわせまして、下水道の分担を十分考えながら、市街化されます区域におきまして一定の期間内に災害で被害が起きないような形で河川の改修をしたい、そういうふうな形でいままでやっております。大きな河川と別ワクで何らかの措置を、拡充策をとっていきたいというふうに考えております。
  145. 砂田重民

    砂田委員 時間が参りましたので、もう御質問を終わりたいと思うのですけれども、試験的に都市河川をやったというふうなことでは、私は実は満足できないのです。四十二年に先ほど申し上げたような地点からたいへんな災害を受けたときに、衆議院の災害対策特別委員会で、そのときの河川局長がお答えになったのは、昭和十四年に国が内務省として計画を立てたものが完成されていなかった、その完成されていないところから被害が出たことを河川局長はお認めになって、やはり都市河川というものを別建てにしてでもこれの改修を急がなければ危険だという御答弁をなさっておるわけであります。ですから、ただ都市にある河川が、金がかかるからなかなかやりにくくておくれているから、これは都市河川という柱を立ててやっていくんだというだけでは、私は済まないことだと思うのです。昭和十四年に国自身が立てられた計画の時点に戻って、そういう歴史的な経過を考慮に入れて、都市河川のこれからの事業をひとつ充実さしていただきたい。ぜひそういうふうに、都市河川という問題については、そういう特殊事情のあるものは特殊事情として考えていっていただきたい。これをお願いをしておきたいと思うのです。この御答弁はけっこうです。  これに関連して自治省一つだけ伺っておくのですが、いま私が河川局の次長に伺っておりましたように、四十五年度に神戸市が三億六千六百万円の事業費で−市の負担分は一億二千二百万円なんです。四十五年度の都市河川にかかる基準財政需要額は二千二百三十万円にしか自治省は計算をしてくださっていない。四十四年度の交付税改正で都市河川費の単位費用の増額をなさいましたけれども、四十五年度に都市河川制度という新しい制度が創設をされたのでありますから、この趣旨からしても、新たに事業費補正というものをなさって、こういう地方公共団体の仕事の財政的な面をカバーをされるべきだと思いますが、自治省はいかがお考えでございますか、長野財政局長に伺います。
  146. 長野士郎

    ○長野説明員 いま都市河川のお話でございますが、従来市町村分の河川費につきましては、その他の諸費の中に面積分として七十一億円入っております。人口集中地区については面積一平方キロメートル当たり三十五万円、総額で十七億円の割り増しになっております。しかしいまのようなお話がございますので、私ども今後お話の線に沿いまして財源税率をやってまいりたいと考えております。
  147. 砂田重民

    砂田委員 終わります。
  148. 菅太郎

    菅委員長 華山親義君。
  149. 華山親義

    ○華山委員 たいへん執拗なようでございますけれども、この前の委員会におきましていわゆる鉄道の赤字を埋めるために地方財政に依存さしてくれ、こういうふうなことがありまして、それにつきまして自治大臣は、そういうことはやらない、やらせないということをかたくおっしゃったわけであります。それで一昨日、私がそのことをも申しまして、決算委員会におきまして鉄道の赤字の問題を取り上げた際に、運輸大臣は、私の受けた印象では、きわめて強く地方財源負担してもらいたい、あるいは負担させるということを言っているようであります。ここで明白に両省の意見が違っているわけでもありまして、気にもかかりますので、もう一度申し上げたいと思うわけであります。  それで、運輸大臣はこう言っておる。来年は交付税が四千億円増す、それで金は二兆円になるであろう、そのうちから三百五十億ないし三百七十億を回してもらいたい、こういうことを言っているわけでございますけれども、いままでの統計等によりますれば、来年四千億円が増して二兆円になるということもあながち当たっておらないこともないとは思いますが、財政当局として、来年の交付税はいまのような数字になりましょうか。
  150. 長野士郎

    ○長野説明員 現在のところでは、まだ見込みにつきましてははっきりとはいたしませんが、大体いまお話がございましたような四千億程度の概算にはなろうかと思います。
  151. 華山親義

    ○華山委員 運輸大臣の意向といたしましては、運輸大臣のことばによれば、決して貧弱な市町村負担させるのではない、この二兆円の交付税の、大臣のことばによれば、根っこで取ってしまうのだ、こう言っているわけであります。それで私は大臣に対しまして、それはおかしいじゃないか、地方交付税というものは、とにかく各市町村なり府県なりの地方公共団体に結局は行くものであって、初めから国に行くというふうなことは、法律を改正しなければ、地方交付税の本質からいってできないことだと思いますけれども、そういうふうに言ったのでございますが、私の考え方は間違っておりますか。ひとつ専門的な意味から、事務当局からお答えを願いたい。
  152. 長野士郎

    ○長野説明員 先ほどの運輸大臣のお話というのは、私どもも一度新聞記事で何か拝見した中に、交付税の特別会計の中から引いていくというような記事を拝見したことがありますが、私ども考え方から申しますと、交付税は地方団体の固有の財源でございます。したがいまして、そういう御趣旨というものが、一体どういうことをお考えの上でできるのかどうかということについては、私どもたいへん疑問を持っております。そういう意味で、お話の内容が全然わかりませんので、にわかにお答えができないわけでございますけれども、交付税制度というもののたてまえから考えまして、この点は非常にむずかしい問題ではなかろうか、できない相談ではなかろうか、こう申し上げたほうがいいかと思いますが、いまのところはそういうふうに考えております。
  153. 華山親義

    ○華山委員 私も、地方交付税というのは結局は各地方公共団体に行くべき金であって、それが一部でも根っこで、三百七十億程度は地方交付税のほうから鉄道のほうに回すのだなどという考え方は、大臣は政治家ですから、あまり交付税のことなんか御存じないのかもしれませんけれども、この点につきまして運輸省の事務当局の補佐が間違えているんじゃないか。いま財政局長からお話がありましたけれども、了解ができないのであります。     〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 それで、この赤字を埋めるために——この赤字というものはローカル線の赤字というふうに私はいままで了解していた。ところが運輸大臣の話を聞きますと、いわゆる赤字を出すローカル線が二千六百キロあるというのでございますけれども、そこから出てくるところの赤字というものは百五十億にすぎない、そういうふうに大臣は言っているわけであります。百五十億の赤字しか赤字線からは出てこない。それに対して三百五十億ないし三百七十億を地方交付税の地方財源から取るというのでございますから、これは赤字の線の問題ではなくなってきている。とにかく思想といたしましては、鉄道の維持というのは、いま千八百億ほどの赤字が出ておりますけれども、これは国と地方と国鉄で持つべきものなんだという考え方から出ているわけです。重ねて申しますが、赤字路線から出る赤字は、純損千三百億のうちの百五十億にすぎません、こういう実態であります。そういうふうなことで、いま申し上げましたような考え方が、鉄道の経営は国と地方でも持ってもらうという考え方から出てくるわけであります。私はこれはたいへんなことだろうと思うのであります。そしてこの赤字というものは今後一体どうなるのか、そのことについて考えますと、現在建設中の地方の鉄道というものは五十七線あります。この五十七線が赤字になるのか黒字になるのかということについては、ほとんどめどがついておらない。大部分は赤字になるであろうということであります。したがって、いまここでとどまっておるところの赤字というものは、新線ができればできるほど、それが開業されればされるほど赤字の増すものなんです。それを地方財政負担していくというふうなことは、これはめどのないものである。しかもいま新しく建設しているところの鉄道建設公団ですか、その資金の六百五十億というものは国鉄から出ている。この六百五十億も何ら果実を持たない。出した金は、利子のつくものではあるけれども、出したところのものにつきましては何らの収入を伴わないところの六百五十億が出ている。この六百五十億で新しい鉄道をつくってまた新しい赤字をふやしていくという性格を持っている。こういうふうなめどのつかない国鉄に対しまして、そしてそれをただ漫然と地方からも出してもらうのだということでは、私は地方財政には大きな負担になるだろうと思うのであります。このことにつきましては、私は重大な問題だと思いますので、大臣も、内閣が改造されるとかいう話もありますけれども、おそらく自治大臣を長くつとめられることと思いますので、ひとつ決心のほどを伺っておきたい。
  154. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいまお示しの問題につきましては、前回この委員会でもお話がございまして、私の考えは申し上げましたとおりで、今日も変わっておりません。国鉄の赤字の原因は、やはり社会経済の急激な進展ないしその構造的な変化から生じておるものと思いますので、これが地方財政あるいは地方自治体との直接の関係というものにはならないと考えております。したがって、地方線でありましょうとも、ここに赤字があるから地方団体は地方財政の中でこれを一部負担すべきであるということは、事の本質上から申しまして私はいただけない、かように存じております。それは地方財政に表面上金に余裕があるように見えておるけれども、ひとつ何とかしてくれないかということは、常識論としてはわかりますけれども、しかしながら、地方財政を預かり地方財政の責めに任ずる者としては、いろいろな筋違いの議論はいただけない、こう考えておりまして、いまもその考えは変わっておりません。おそらく何人が自治大臣になりましょうとも、その筋は変わらないものと私は確信をいたしております。
  155. 華山親義

    ○華山委員 それから一言。この点は自治大臣にも自治省当局にも申し上げておきますが、こういうふうなことは非常にたいへんなことになるという心配がある。鉄道も赤字でございますけれども、郵政も赤字——現在は地方財政法によりまして地方ではいろんな金を出しちゃいかぬということになっておりますが、いま論議されておるように、郵政といえども、あの事業は公団あるいは公社経営にかわる時期があるかもしれない。その際に、あそこの郵便局の収入だけではあそこの郵便局の給料その他の経営が間に合わない、ひとつ地方で持ってもらいたい、そういうふうなことが始まる。鉄道でそういう例を開いたら、そういうことが始まると私は思う。こういうふうなこともおそれますので、この際、鉄道の問題のみならず、ここで地方と国との財政のけじめをつける意味から、十分な御配慮を願いたいと存じます。  次に、しからば各県というものは、地方というものは、鉄道の財政について全く無関係なのかどうか、こう申しますと、そうではない。御承知のとおり鉄道利用債というものを引き受けております。私は鉄道利用債の引き受けの状況というものを全国的に把握したいとも思うのですけれども自治省のほうでも十分な資料をお持ちになりませんし、やむを得ませんから、私の力の限りでは私の出身県だけを調べるよりしかたがなかったのでありますが、その状況を申し上げますと、山形県では、三十五年から四十四年の十年間に十六億七千八十万、これだけの鉄道利用債を引き受けているわけです。しかし、あのような県で自分でこの金を出すわけにはまいりません。それですから、これを地方の金融機関に引き受けてもらう。たいへんおかしな話ですけれども、そうならざるを得ないわけです。それで、この鉄道利用債というものは、いろいろの鉄道の債券のうちで金利が最も安い。銀行金利との間の差が一%あるいは一・八%程度でありますから、この差額を地方財政が補てんしているわけです。     〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕 大体山形県におきましては、県と関係市町村が二分しているわけでありますけれども、この十年間の利子の差額の負担が六千七百八十六万円になっております。ですから、一カ年に大体六、七百万円の負担になっているわけであります。それで、いままでの状態を見ますと、年によって違いますけれども、二億とかあるいはそういう程度のものでありますけれども、来年からは五億ないし六億になるであろうと山形県では見ている。と申しますことは、新潟から秋田へ行くところの羽越本線というものがありますが、あれが複線電化になる。その複線電化に要するところの経費を利用債で、全部負担かどうかわかりませんけれども、持ってもらいたいということなのです。そういたしますと、おそらく年間の利子は、いままでのようなことではなくて、六百万とかいうようなことではなくて、一千万円をこす、一千五百万円くらいになるのではないか。これは単独事業から出さなければいけない。そういうふうなことは地方財政にとりましては大問題なのです。しかし、それならばこのような状況はどうかということを申しますと、東京都は一体幾ら利用債を持っておるのかということを聞きますと、十七億であります。七百億の鉄道利用債の中で東京都は十七億しか持っておらない。山形県の財政比較すれば大体十五倍程度の財政規模を持っておるところの東京都がそういうわけである。それでその点につきまして、東京都がなぜ少ないのかということについて、東京都の言い方は、これは人口の集中、そういうことによって起きた現象であり、通勤者は他の県からたくさん来るのだ、こういうふうな現象は、その原因が国にあるのだから国で持つべきだというのが東京都の言い分である。私は正論だと思う。東京都はその正論で押せる。とにかくこれだけの交通の困難な時期ですから何としてもやらなければいけない。世論の前でもやらなければいけない。ところが、一般の県におきましてはいろいろなことを陳情します。いろいろなことを陳情しますと、それならば利用債を持ってほしい、こうなるわけです。その際に各府県はいやだとは言えない。いやだと言えば、熱望するところの鉄道の改善なり改良なり、そういうものができない、こういうことになる。それでこういうふうな現象が生じているわけであります。これは東京のことを申しましたが、ほかの大阪等ではどうなっておりますか聞き漏らしましたが、そういうことであります。それで、結局こういうことになりますと、鉄道というものは貧乏なところに押しかかってくる。先ほどの交付税だって、これは東京都には関係のないものである。大阪府にも関係がない。貧乏なところにいっている交付税なのです。それをむしり取ろうとする、根っこであろうが何であろうが。私は、鉄道が貧乏な地方に依存して財政を再建しようとすることには、どうしても同意できません。鉄道は鉄道としてのもっと根本的な改革案を持ってきて、そしてその中の合点のいくようなものであるならばこれは格別、いまのようにただ漫然と地方、国というふうなことでは、私は納得ができないということを申したわけでありますが、鉄道利用債については自治省はどういうふうにこれをお考えになりますか。
  156. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 鉄道利用債は従来地方公共団体に引き受けてもらっております。そういうものは駅舎であるとか駅の前の広場の施設だとか、あるいは立体交差の施設だとか、地方公共団体なり地方住民の利用度と関係の非常に密接なものについて、一部引き受けが行なわれておるわけであります。その他この線から多少出ておるものはあろうと思いますが、やはりその仕事の実質をよく見まして、地方との関係、利用密度の点等を考慮いたしまして考慮すべきものでありまして、これが地方との関係度の薄いもの——ないものは、鉄道でございますから、これはないと思いますけれども、ただ地方の線といえども、それが国鉄である以上は全体との関連において考えられておるわけでございますので、一般的に新線等の施設につきまして地方の公共団体に利用債を一部引き受けてもらうということはたいへん問題が多かろうと思います。  ただいま新幹線等についてもこの種の問題がいろいろ検討されておると聞いておりますが、ここまでいきますと、お引き受けを申し上げる範囲をいささか逸脱しておるのではないか、そういうものは原則的には引き受けべからざるものではなかろうか、こういうふうに考えております。
  157. 華山親義

    ○華山委員 私も大臣と全く同感であります。ただしかし、現実の悲しさとして、これを引き受けなければ鉄道ができないのです。東京のようなところはできますよ、こういうふうな交通の困難という事情が目前にありますから。世論も許しませんし、そういうふうなことがありますけれども、ほかの地方では、これを引き受けなければその地方の鉄道の発達ができないという現実なんです。大臣と私は全く同感でありますけれども、私は悲しいことだと思うのです。この委員会で華山が鉄道利用債のことについては反対したなんといったら、山形県ではこれはたいへんですよ。そういうふうなまことに困った問題があると私は思うのであります。  それから、いま日本国有鉄道では建設公団に六百十一億五千四百万円の出資をしている。これで五十七もの線を工事をしているわけですよ。赤字になるものやら黒字になるものやらさっぱりわからぬ。おそらく大体みな赤字なんでしょうといったって、鉄道はこれを肯定するわけです。こういうふうな状態でありますし、私はこの鉄道のことを申し上げまして、いろいろうかつなことで妥協していただきたくないということをひとつここでお願いをしておきたいと思います。ここには自民党の行政部会の方が多いと思いますが、ひとつお含みおきをこの辺からもお願いしておきます。これで鉄道のことはやめます。  この間、東武線でいわゆる白トラの問題が、白ナンバーのトラックですか、あったわけですが、あれは前から古い問題で、しばしば警察庁あるいは運輸省等で規制をなすっていらっしゃるわけでありますが、一体ああいうふうなダンプカーというのは全国で何台あるのですか。警察のほうでもどちらでもよろしゅうございますがお答え願いたいと思います。台数だけちょっと……。
  158. 小林正興

    ○小林説明員 昭和四十四年十二月末現在で十四万四千二百七十三台となっております。
  159. 華山親義

    ○華山委員 その十四万台のうちで、いわゆる白トラと称せられるものは何台になっておりますか。
  160. 小林正興

    ○小林説明員 そのうち一万四千四百九十二台がいわゆる道路運送事業、営業用になっておりますので、その残りが採石、砂利販売、建材等に使われておるいわゆる自家用のダンプ車であります。
  161. 華山親義

    ○華山委員 そうすると、大部分が白トラだということでございますね。
  162. 小林正興

    ○小林説明員 さようでございます。
  163. 華山親義

    ○華山委員 それで、その白トラのことでございますけれども、これは自家用車ですね。自家用車というものは、これは運送をやる仕事じゃない。自分のうちの仕事の一端をやる、自分のうちの仕事の一部をやるという性格のものです。その大部分の十二、三万のこの白トラというのは、一体どういう営業の内容を持っているのですか。
  164. 小林正興

    ○小林説明員 たとえば石を採る採石業でございます。それから石を砕く砕石業、それから砂利を採取する事業、それから砂利の販売業、それから建設業、そういったそれぞれの事業の用に供するために自家用車としてダンプ車を使用しておるわけでございます。
  165. 華山親義

    ○華山委員 そのダンプ車の中で、いわゆるとにかく企業らしい、たとえばいまおっしゃった建設業とか、そういうふうなものに所属しないで独立してやっているようなものはどのくらいあるのですか。
  166. 小林正興

    ○小林説明員 ただいま申し上げましたそれぞれの事業によって若干の相違はございますが、いわゆる規模といたしまして一台持ちの事業者、これは先ほど申し上げました全体の十四万四千台のうち五万一千七百五十台というものがいわゆる一事業一台ということ、それから二台から四台、五台未満でございますが、これが四万八千六百二十二台、両方合わせますと約十万台に相なっております。
  167. 華山親義

    ○華山委員 それで一つのことを申しますと、まあ一人でやっているあるいは二、三台くらいでやっているということなんですが、私はお話を聞いているとこういう気持ちがするのですよ。たとえば砂利の運搬が非常に多いわけですが、その業者というものは砂利を買って持ってきて売る、これが事業なんであって、そのために用いられるものがいわゆる白トラなんでしょうね。そうですが——そうだということでございますけれども、それだから非常な危険性があるわけです。あの連中はとにかく走行距離が長くて賃金をもらっているのじゃない、運搬量が多いから賃金をもらっているのじゃない。できるだけ多くの砂利をまあ買ってきて、それを売って、そして利益を得るというのがこの事業実態なわけです。それを一人でやる者が多い、あるいは三台、四台といえどもほとんど小さな事業です。それですから、たくさん売ればもうかる、たくさん売ればもうかるのだから、めちゃくちゃな運転をする、こういうようなふうに私には考えられるのですが、どうでしょうか。
  168. 小林正興

    ○小林説明員 それぞれの砂利販売業等の事業につきましては運輸省が直接所管しておりませんが、この自動車の使用の実態ということから見ますと、確かにただいま先生御指摘のような、何と申しますか砂利の運搬数量によって賃金が支払われるというような形態になっておりまして、しかもそれが、元請から下請へと、かなり複雑な形態になっておるようでございますので、これらの事業実態につきましては、先生御指摘のような性格があろうかと思います。
  169. 華山親義

    ○華山委員 あなたが言われること、ちょっと私とすれ違っているのですよ。私の言うのは、その連中は、大部分は賃金をもらっているのじゃないのだ。賃金をもらっているのじゃなくて、自分で砂利を買って、売って、それでもうけているのだ。それですから、自家用車であり、白トラなんだ。運賃で営業しているというのなら、これは白トラなわけはないのだ、運送業ですから。ところが、運送業じゃなくて、いま言ったような、一人で買ってきて、それを売って、そこでもうける、そういうふうなことですから、今度の問題にはいろいろな経過があるようですけれども、いわゆる白トラというものはこの根本を直さなければだめですよ。とにかく運送法の取り締まりを何にも受けないのですからね。そういう形態にある。労働基準法の適用も受けない。一人の商売人、商売をやるための一つ作業として運転をしておる。そういう実態だと思う。これを運輸省が根本的に直していただかなければ解決ができないと私は思う。どうでしょうか。
  170. 小林正興

    ○小林説明員 砂利販売業等の事業というものが自動車を持つことにつきまして、そのこと自体を規制することはあるいはいかがかと思うわけでございますが、ダンプカー自体が、交通上、一たび事故を起こしますと非常に大きな被害が及ぶというようなものでございますので、これの事故防止ということの観点から、昭和四十二年八月二日、法律第百三十一号といたしまして、特にダンプカーに対する基本的な規制法が議員立法でできておるわけでございます。この法律によりまして、それぞれ、それの業種の区分に従って使用届けを提出さしておりまして、先ほど御指摘の労働関係でございますと、労働基準監督署の監督を受ける、あるいは事故の問題につきましては当然警察で事故の責任の追及がございますが、そういった結果に基づきまして、運輸省のほうで、車両の保有者に対して車両の使用の制限あるいは禁止というきつい処分をやっておるわけでございます。現在といたしましては、この法律に基づきまして、関係官庁連絡をとりまして交通事故の防止につとめておるわけでございます。
  171. 華山親義

    ○華山委員 私の申し上げておることを全くお取り上げにならないようですが、私は、一人営業のものが大部分で、そしてそれがむやみやたらに走っておる。そういうふうなやり方というものを直さなければ、幾らおやりになったってだめじゃないかということなんです。ですから、そういうふうな現在の砂利の運び方、それがすぐ営業なんだというふうなことを何らかのことで考えないと、私はいかがかと思うのです。とにかくタクシーだって、一人のタクシーが免許になるのにどんなに苦労していますか。ところが、あのダンプカーを乗り回すことにはほとんど何の制限もない。なぜ、タクシーのほうは自由営業を許すことに厳重であって、片っ方のほうは野方図になっているのか。私は、そういう点をぜひ直してもらいたい。私はたいへん勉強になりました。私は、ああいう自動車というものは、運転手はどこかから雇われて、賃金をもらって、その賃金をたくさんもらうためにいろいろな交通上の危険をおかして事故を起こすのかと思っていたけれども、そうじゃない、砂利をたくさんとってきて、それを売ってできるだけもうけようと思ってやっているのだということがわかった。それだったならば、これはいままでのやり方じゃだめですよ。  それから、たいへんよけいなことになりますけれども、いつか意外なことを総理大臣からお聞きした。本会議の壇上に立たれて総理大臣は、日本の二重構造を直していくのだということをおっしゃったんですね。へえ、ずいぶん思い切ったことをおっしゃるものだと私は思っていた。資本主義の二重構造というものは日本では特にひどいのですけれども、それを直すというのだから、これはたいへんなことだと私は思っておったのですが、その二重構造——二重構造の議論は別にして、二重構造の一番ひどいのは土建業者における下請の関係なんです。その末端にあるのがいま申しました自動車なんです。こういうことを考えますと、この下請関係というのは是正すべきだ。前々から申しているのですけれども、その点につきましては、ここには建設業の関係の方もいらっしゃいませんけれども申し上げますが、その根本からひとつ手をつけていただきたい、こういうことを申し上げまして終わります。
  172. 菅太郎

    菅委員長 桑名義治君。
  173. 桑名義治

    ○桑名委員 午前中に、牛乳のポリ容器の問題が提起されておりましたが、私はこの問題を通じまして厚生省の見解をまず伺っておきたいと思います。  牛乳のびんをポリ容器に変えるという問題が現在非常に表面化しまして、種々の論議を呼んでいるわけでございますが、昨日の新聞紙上によりましても、浦田環境衛生局長のお話の中に、「ポリエチレンの牛乳容器承認は、国立衛生試験所の毒性試験などでも衛生上安全と出た以上、いずれ承認せざるを得ない。」、承認をする方向で現在検討されているようにも思えるわけでございますが、しかしながらこのポリの容器は、たとえこれを土の中に埋めたとしても、これはなかなか腐食をしない、あるいは焼却しても高熱を発する、あるいはものによりましては有毒のガスを発生する、こういうふうにいわれておりますが、この点についてどのようになっているのか、お教え願いたいと思います。
  174. 榊孝悌

    ○榊説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたポリエチレン容器の問題でございますが、ただいまお話の中にもございましたが、ポリエチレン容器の場合、現在牛乳等の包装、容器を規制をいたしております食品衛生法の立場から見ますと、これは食品衛生上有害でないというふうな材料が使われております場合は、これをもって承認しないというふうなことが非常に困難なわけでございます。しかしながら、いま先生、お話のございましたように、これが家庭を通じて廃棄されました場合に、都市のごみの中におきますこういうプラスチック系のものが多くなりますことによって、その処理が非常にむずかしくなるというふうな問題もございます。そのようなことから、現在私どものほうとしては、これは関係のいろいろな機関等とも十分協議をいたしまして、やはりそういう社会的問題に対して慎重に考えるというふうな立場で検討をいたしておるという段階でございます。
  175. 桑名義治

    ○桑名委員 ポリの発火点は約三百度というお話でございますし、普通のごみの十倍のいわゆる高熱を発していく、こういうことでもう当然ポリ容器がたくさん焼却炉の中に入った場合、焼却炉を破壊してしまう。ちなみに各地方団体のいろいろな人に会ってこの問題を聞きましたら、このごみの中に一五%のポリ容器が混入した場合にはもうほとんど焼却は不可能になる、ゆゆしき問題になる、こういうふうなお話をしておりました。現在このごみの中にポリ容器類がどの程度混入になっているかといえば、全国で約三%というお話でございますし、大きな都市でありますと三・四%から四%程度混入になっている、こういうお話でございます。もしかりに牛乳のびんが全部ポリ容器にかわったとするならば、先ほどからもお話が出ておりましたが、消費量約五千万本というお話でございますが、こうなってきますと、約三%くらいの上積みがなされる。そうすると、多いところでごみの中に七%のポリ袋が入ってくるということになりますと、これは非常にゆゆしき問題だと思うわけでございますが、この牛乳の一日の消費量大体五千万本と聞いておりますが、正確な数字はどの程度になっておりますか。
  176. 榊孝悌

    ○榊説明員 お話の牛乳の消費量でございますが、これは地域によって相当の差がございますが、全国的にはいま先生お話しのように五千万本、ほぼその程度消費されております。
  177. 桑名義治

    ○桑名委員 イギリスではすべてを入れてもポリは約二%ぐらいである、こういうお話でございますが、もしかりにこの牛乳のびんがポリにかわるというふうなことになるとするならば、それは当然あらゆる他の清涼飲料水やあるいはビールまでにも波及していくんではなかろうか、こういうことに考えられるわけです。そうなってまいりますと、その処理の解決方法が業者のワンウエー方式の弊害をもろに受けていかなければならない、あるいはこういった問題がまた今後の公害を生み出す大きな元凶になるのではないか、こういうふうに心配をするわけです。  厚生省としては、一応食品衛生法の適用が受けられれば、いわゆる適格容器であるとするならば問題はない、こういうふうにして安易なところからこの問題が認可をされたとするならば、これはゆゆしき問題です。いわゆる公害というものはあくまでも起こってからの問題じゃなくて、どう公害を起こらないように防止していくかという、そういう立場から考えていかなければならないと思うわけでございますが、その点について再度厚生省の見解を伺っておきたいと思います。
  178. 榊孝悌

    ○榊説明員 先ほども申し上げたのでございますが、いまお話のございましたように、食品衛生という立場ですとなかなかむずかしい問題もございます。しかし、これを処理、処分するというふうな立場、そういう立場に立ちますと、お話しのように非常にこれを処分しにくいといういろいろな技術的な問題もございまして、非常に困難な問題にぶつかるわけでございます。したがいまして、私どものほうとしては、こういう家庭ごみ、先ほどお話がございましたように、牛乳びんにだけでなくて、全体的にそういうプラスチック類の増加というものがあるわけでございます。その辺の全体的な問題に対処する意味からも、こういう高分子の化合物等の処理の方法というようなものについても、やはり技術的に十分研究を進めなければならない。またそれを処理するいろいろな施設、そういうものの整備というふうなものも今後、これは消費生活の向上というふうな問題に対処をいたしましても考えていかなければならない問題だろうというふうに考えております。先ほども申し上げましたようなそういう努力を一方では払いつつ、またそういうものが増加するということに対しましては、これは極力関係方面へそういう御協力方をお願いしていきたい、こういうふうに考えております。
  179. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどからいろいろと申し上げましたが、このポリ容器の問題について、これは最終的には各自治体がこの負担をやらなければならない、あるいは処理をしなければならないわけですが、自治大臣としてこの問題はどのようにお考えになっていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。
  180. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ポリ容器が食品衛生上有害でないという見地からではありましょうが、これが多量に消費され家庭の廃棄物の中に混入し、多くの部分を占める。これがごみ処理上、また公害発生上の大きな原因をなすという見地から見まするならば、これの使用につきましては十分各官庁間において連絡をとりまして、慎重な検討のもとに少なくとも行政上処置をしてもらいたいと思うわけであります。私個人の感じから申しますと、ほかに容器として使用可能な、しかも経済的価値のあるものが考慮されるわけでございますので、なるべくならばお使い願わないほうが望ましいのではなかろうかと思います。しかしながら、それらについては慎重な検討が必要であろうと存じます。
  181. 桑名義治

    ○桑名委員 現在の公害の中に、都市公害産業公害と大きく分けまして、今後の公害はまた都市公害、こういうふうにもいわれております。そうしますと、その中でいわゆるじんかい処理問題、屎尿処理問題が当然今後は大きな問題として取り扱われてくると思うわけであります。そういった中で、現在じんかい処理場のいわゆる補助はどうなっておるか、この問題を考えてみなければならないと思うわけです。現在約三十トン程度の炉で五〇%ぐらいの補助額にしかならない、こういうふうにいわれておりますが、このじんかい処理場の補助はどういうふうになっているのか、まず伺っておきたいと思います。
  182. 榊孝悌

    ○榊説明員 お話のじんかい処理場の整備につきましては、これは現在のごみ量の増大に伴ってお話しのように非常に急速に進めなければならない問題でございます。で、これは厚生省では昭和三十八年以降、ごみ処理施設整備五カ年計画というものを立てまして、実はこの整備に当たっておるわけでございますが、お話の国の補助というものにつきましては必ずしも十分でない問題もございます。現在国の補助率としては一応四分の一ということで補助さしていただいております。
  183. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどのポリ容器の問題でございますが、このポリ容器がまた、先ほどから申し上げておりますように、牛乳びんが許可をされたとするならば、現在のごみの中のポリの率が六%から七%になる。こういうことになりますと、しょせんはこれが加速度的に伸びてくるおそれがあるわけです。そうなってくると、プラスチックの廃棄物と他のごみと各家庭で分けなければならない。処理をするならば両方に分けて処理をしなければならない。そうすると、新しいプラスチックを処理する炉をまたつくらなければならないという現状になってくるわけです。そういったいわゆる完全な設備が整ってから、あるいは有声ガスを防ぐことができるという完全に公害に対する処置がなされてから、初めてこのポリ容器を使用することを許していく、そういう体制をつくっていかなければならないと思うわけでございますが、この専用焼却炉を建設していくその補助というものを現在の段階で考えているかどうか、その点についても伺っておきたいと思います。
  184. 榊孝悌

    ○榊説明員 お話のプラスチック等の専焼炉の問題でございますが、これは技術的にも現在いろいろと問題がございます。たとえばプラスチック類の中でも、成分的にいろいろ金属を腐食するようなものを含んでおるようなものの場合には、いろいろと処理技術上むずかしい問題もございます。そういうふうなことがございますが、現段階でこれを処理する方法として、実は私ども最近のこういうごみ質の変化に対応するためにどうしたらいいかということで、これは昨年来生活環境審議会に諮問いたしまして、実は去る七月その答申を得ました。それによりまして現在その対策についていろいろ検討している最中でございます。  その中で、こういうふうなものにつきましては処理の技術という面からも非常に高度な技術が必要である、あるいはその処理場の建設という問題につきましても相当多額の投資が必要であるということから、個々の市町村という問題だけではなくて、むしろ都道府県を単位とするようなより広域的な立場からこういう特殊なものについての処理は考える必要があるのではないかというふうなことで、来年以降におきましても特に人口の過密するような地域について、こういう問題に対処し得るような体制をつくっていくということを検討しております。
  185. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、あなたの考え方の中から推測しますと、一応そういう体制ができてからでなければこの牛乳——いまここで問題にあがっているのは牛乳の容器の問題でございますが、ポリ容器を使用することは適当でない、こういう方向で今後厚生省も考えていく、こういうふうにとってもいいですか。
  186. 榊孝悌

    ○榊説明員 先ほど先生のお話にもございましたように、現在こういう合成樹脂の混合率といいますか、そういうものがだんだん多くなってくる。今度こういう容器類が全部そういう形になった場合にはより多くなっていく。それから先ほど先生のお話にもありましたように、これが一五%以上になるとなかなか処理が困難だというふうな問題もございます。現在まだそこまではいっておりませんけれども現実にこれがどんどん伸びますとそういう形になるわけでございます。  現在、こういうものがふえますことに対処する方法としては幾つかございますが、焼却する際のいろいろな技術的な操作、そういうものによって現在のところ対処をいたしておるわけでございます。たとえばそれをそのまま焼やしますと非常に高熱を発しますから、ほかのごみとまぜて焼却するというふうな方法、あるいは空気量をよりよけい入れることによって炉内の温度を上げさせない、そういういろいろな操作を講じながら現状は対処をいたしておるわけでございます。しかし、お話しのようなこれから将来を考えた場合、非常に大きな、困難な問題にぶつかることも想定されますので、先ほども御答弁申し上げましたように、こういう問題の対処のしかたとしては、やはりいろいろな関係の機関とも十分協議いたしまして慎重な取り扱いをしたい、こういうふうに思っております。
  187. 桑名義治

    ○桑名委員 全国都市清掃会議のほうからも厚生大臣のほうに、乳業界のポリ容器採用を厚生大臣が承認しないように要望するという要望書も出ておりますし、全体としてそういう方向で世論もわいておるわけでございますので、まず公害が発生をしない時点で予防対策を立てることが最も大事なことと思います。その点を十二分に考慮をした上でこの問題に対処していただきたい、これを最後に要望しまして、この問題は終わります。  次に、警察関係の方にお聞きしたいのですが、最近テレビの影響かどうか知りませんが、いわゆるガードマンの希望者が子供の中で非常に多いわけでございます。これはかっこいいということでやっておるらしいのでございますが、このいわゆる警備保障会社についての質問を少ししておきたいと思います。  昭和四十三年の二月九日、大体この時点で、各省において警備保障会社をどこが担当するかという話し合いが一応きまった。それまではこの警備保障会社については担当省がほとんどなかった。言うならば普通の一般の営利会社と同一の取り扱いをなされておった。また一面からいいますと、ますらお派出夫会、こういうふうな関係と同一視されておった、こういうふうにいわれておりますが、昭和四十三年の二月九日に一応これは警察の所管にしようということになってから、その後いわゆる警備会社に対する指導なり考え方なり、警察の中で確立されたものをまず最初にお話を願っておきたいと思います。
  188. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  一応警察のほうで所管をするということになりまして、まず実態を把握しなければならないということを考えまして、その実態調査をいたしました。それから現在はこれを規制する法律が御承知のように何もないわけでございます。仕事の性格上やはり公共性のあるものでございますし、弊害があってはなりませんので、その服装の問題なりあるいは採用する人員についての問題なり、そういったようなことにつきまして行政指導をいたしてまいったわけでございます。
  189. 桑名義治

    ○桑名委員 警備保障会社の性格から申し上げますと、一般の営利会社としての取り扱いはもうすでに限度にきたのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。その理由と申しますのは、これは一度新聞紙上にも取り上げられて、これはまた問題も起こった事柄でございますが、服装が非常に似通っておるということで警察官と間違えてしまった、こういうことで犯罪が起こったこともございます。あるいはまた、昭和三十七年当時から見ると、急速に警備会社も多くなりまして、現在では二百七十から三百になんなんとする数でございます。世の中の需要によってそういった警備会社の数が非常にふえてきた、こういうふうにも考えられるわけでございますし、こういった多くの警備会社があれば、当然また多くのガードマンを雇っていかなければならない。今度はガードマンの問題になりますが、この仕事の性格の中からいうと、ガードマンの起こす犯罪というものはすべて信頼の盲点をついておるわけです。警備会社ですからだれもいないところに警備するわけですから、犯罪を起こそうとすれば幾らでも起こせるわけです。そういうことをいろいろ考えまずと、いまこそこの警備保障会社に対して認可制にするとかあるいは許可制にしなければならないとか、そういう方向で考えるときが来たのではなかろうか、こういうふうに考えるわけですが、その点についての警察庁の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  190. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 確かに先生おっしゃいますとおり、警備会社の性格というものは公共性がございます。したがいまして、これにつきまして、先ほど申し上げましたように、私どもとしてはいままで行政指導によりましていろいろと指導をいたしてまいったわけでございます。今日までのところ、犯罪の状況を見ましても、年間数十件でございまして、それほど悪いという状況でもないわけでございまするが、今後さらにいろいろとふえていくということになりますれば、何らかの法的な規制も必要になるのではないかということを考えまして、先般来から、諸外国につきましてどういう規制のやり方をやっておるのかというような資料等を集めまして、目下そういった法的規制の問題につきまして検討を進めておる段階でございます。
  191. 桑名義治

    ○桑名委員 それと同時に、ガードマンは非常に危険な仕事に従事をしておるわけでございますので、いわゆる身分の保障がどういうふうになっておるのか、けがをした、死亡した、そういった場合、最近の例としては、ホテルの警備をやっておる間にピストルで撃ち殺されたという例もございましたが、そういったときに、このガードマンに対する身分の保障というものがどういうふうになっておるか。この問題が、もし会社から、保険にかけるとかなんとかいう処置がとられていなければ、これを会社に義務づける必要があるんじゃないか、こういうふうにも思うわけでございますが、その点について伺っておきたいと思います。
  192. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 ガードマンの労務災害につきまして、すべてにつきましてはまだ私どものほうで完全に掌握はいたしておらないので非常に申しわけないのでございますが、主要な会社につきまして調査いたしてみますと、まず労務災害補償というものは、これは入っております。それから多くの大きなガードマン会社におきましては、それ以外に傷害保険に一般の保険会社の保険をかけておりまして、そういう傷害がありましたときには特に支給するようにいたしております。さらに手厚いところでは、会社自体といたしましても、そういう場合に補償する会社自体としての傷害保障準備金といいますか、そういったものを設けておる会社もございます。  大体、以上のような状況でございます。
  193. 桑名義治

    ○桑名委員 そういった事柄を全部の警備会社が行なっておるかどうか、この調査は行き届いておりますか。
  194. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 先ほどもお答えいたしましたように、調査は現段階では十分いっておりませんが、全部そういう措置をとっておるかという点につきましては、われわれの調査した段階におきましても不十分なものがございます。
  195. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどから申し上げておりますように、非常に危険な仕事でもございますので、そういった義務づけ等もあわせて考えていただきたい。  さらに、警備会社に依頼した後に事件が起こった、これは保障会社ですから、事件が起こったら損害賠償は当然やらなければならない。大きな企業であるとするならば、この補償問題に心配はないわけですけれども、小さな警備会社の場合には、当然この補償問題が相当困難な状態に落ち込む場合も考えられるわけでございますが、この点についてどういうふうになっているのか伺っておきたいと思います。
  196. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 警備会社の約七〇%は、そういう何か事件がありまして、損害があった場合にこれを補償するというそういう契約を結んでおりまして、そしてそれのための経費としてさらに保険会社と責任保険といいますか、そういったものを契約いたしておるわけでございます。残りの三〇%につきましてはそういうものはやっておりませんで、ただ事件が起きましたとき、そのつどその会社に対して話し合いによって補償をする、こういうやり方になっております。
  197. 桑名義治

    ○桑名委員 警備保障会社の問題につきましても、一つ一つ取り上げてみても相当大きないろいろな問題を含んでおりますので、ここらでこの警備保障会社に対する設立から、あるいはまたそういうガードマンになった場合の研修等もあわせ考えながら、この問題と取り組んでいただきたいと思います。冒頭に申し上げたように、テレビの影響等で子供の希望者も非常に多い。アンケートをとるとガードマンになりたいという人も多いし、そういったことでガードマンに対する認識も相当高まっておる模様でございますので、ここらで信頼の盲点をついた犯罪が起こらないように、あるいはそういった職種の人々に危害が加わった場合には十分なる救済の措置ができるようにという観点からも、いわゆる許可制、認可制として規制する必要があるのじゃないか、こういうふうに思うわけでございますので、この点も十分に留意をされて、今後の課題として検討を願いたいと思います。  以上で警備保障会社の問題を終わりたいと思います。  次に、下水道の問題について建設省の方に伺っておきたいと思います。  下水道の問題は、もう当然いろいろと論議を尽くされている問題でございます。産業公害都市公害、大きく二つに分けましても、この都市公害を防ぐためには——あるいはまた今後の水の問題が重要な問題になっているわけでございますが、こういった飲料水を取水するという立場からも、下水道の完備というものは非常に急がなければならない重大な問題になってきている、こういうふうに考えなければならないと思いますが、まず最初に、いわゆる下水道法によると、国は下水道施設に対してその財源措置を講じなければならない、こういうふうに明記されていますが、現行制度についてはどのようになっているのか。公共、それから流域都市、それから特別都市下水道、この面に分けてまずお聞かせ願いたいと思います。
  198. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  下水道建設に対しまして、現在行なわれております財源計画は次のとおりでございます。  第一に、公共下水道でございますが、公共下水道につきましては国の補助率は十分の四でございます。それからその補助対象といたします範囲は、公共下水道全部を補助しているわけではございませんで、公共下水道施設のうち、たとえば終末処理場であるとかあるいはポンプ場であるとか、さらにはまた下水道本管あるいは本管に準ずる施設の骨組みに対して十分の四で助成をしておるわけでございますが、現在行なわれております第二次下水道整備五カ年計画におきましては、国全体の公共下水道事業のうち五四%を国の補助対象にするということで閣議決定になっておりますので、それで実施がなされております。なお、国の国庫補助金以外の相当部分は地方債もしくは一般市費、さらには総事業費の約一割程度に相当いたします受益者負担金でまかなわれております。  なお、以上は建設財源でございますが、つくりましたならばそれに対する維持管理費、終末処理場等を維持管理をいたしますにはかなりな維持管理費がかかりますので、それは下水道法二十条に基づいて各市が下水道条例をつくって、その条例に基づく使用料制度で維持管理費がまかなわれておるというのが公共下水道実態でございます。  それから、その次には流域下水道でございますが、流域下水道につきましては、二市町村以上にわたる分野に行なわれる広域的な下水道のうち、二市町村以上にわたる範囲の大幹線と末端にできます終末処理場の事業府県が実施しておるものでございます。それにつきましては、国は二分の一の助成をいたしております。残りの二分の一につきましては府県並びに市町村が分担をいたしておりますが、相当部分は起債で、地方債でまかなわれております。  それから、その次に都市下水路でございますが、都市下水路はいわば市街地の中の雨水排除の役目を持ちます、小さな河川的な機能を持っておるわけでございますが、その都市下水路は国の補助率は三分の一でございます。残りの部分につきましては一部地方債、さらには一般市費でまかなわれております。  それから第四番目の特別都市下水路につきましては、事業の性格が、企業、中小工場等が密集している地域におきまして、工場排水によって水質汚濁現象が起こっている地域に特にその水質汚濁防止をはかるために行なう事業でございますが、国が四分の一の費用を持ちます。企業に四分の一の負担をしてもらい、残りは公共団体、県及び市が分担をしている例が多うございますが、二分の一は地方公共団体負担をしているということで財源がまかなわれておるのが現状であります。
  199. 桑名義治

    ○桑名委員 そこで、下水道法三十四条によりますと、国庫補助率政令で定める、こういうふうになっておりますが、いまあなたのおっしゃったのは、いわゆる政令で定めた補助率ですか。
  200. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  政令で定める補助率ではございませんで、予算補助でございます。政令は、現在のところ、まだきまっておりません。
  201. 桑名義治

    ○桑名委員 下水道法三十四条によると、「政令で定める」とこういうふうになっておるのに、どうして現在まで政令で定められなかったのか。その点について私たちは、下水道に対する必要性を非常に軽視しておったのではないか、それが現在の公害にまた輪をかけていった、こういうふうにも考えているわけでございます。そういうふうにわれわれ考えざるを得ないのですが、それでいいんですか。なぜつくらなかったのか。その理由をまずお聞かせ願いたいと思います。
  202. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  下水道法が制定をされましてからほぼ十年以上の年月がたっております。下水道法を定めた当時の下水道事業を考えてまいりますと、全体といたしまして国が助成している分野が非常に少のうございました。そこで、下水道事業というものは一体だれの費用でどういうふうにして建設をしていくのが適当であるかということにつきまして、関係者で下水道財政に関する検討の委員会、研究会というものを全国市長会並びに都市センターが中心となって実施したわけでございます。その中で関係各省、それから下水道事業を実施をする責任を持たれる市長さんあるいは学識経験者、こういう方々で研究会を過去において二度実施をいたしておりますが、その研究会におきましての結論とそれから下水道法が制定をされた時点とでは非常な差があったわけでございます。したがいまして、建設省といたしましては、漸次その財源の構成というものを改善をしていこうということで努力をしてまいりましたし、それからその財政研究会の結論でも、現状は現状として漸次改善方向を強化すべしというのが結論になっておるわけでございます。したがいまして、私ども政令を定める時期が、下水道法が定められました十年前の時点の下水道の現状から、直ちにその政令を定めることには、研究会の結論と現状が著しく違い過ぎますがゆえに、改善の経過を見て政令を定めたい、こういう趣旨からおくれたのが実情でございます。  なお、この問題につきましては、第三次下水道整備五カ年計画を来年度から新たにスタートさせたいということで案を出しておりますので、その過程におきましていろいろ財源問題等をめぐって議論がなされておりますから、政令をぜひ近い将来にきめて、はっきりした姿で下水道事業を実施したい、かように考えて検討中でございます。
  203. 桑名義治

    ○桑名委員 下水道法ができまして十年間、いろいろ検討を重ねられたわけでございますけれども、しかし、十年という歳月は非常に長い歳月でございます。この間の長い検討、長い検討ということでございますが、こういったことではわれわれは実際納得できません。しかし、こういうふうに公害問題が非常に大きくなってきた、こういうところから下水道に対する認識というものがさらに深められてきた。そこで急遽この問題は結論を出さなければならない事態に追い込まれて結論が出てきた、こういうふうにも私は聞こえるわけでございますけれども、いずれにしましても、下水道のそういう政令を定める場合には、地方公共団体にも有利に、しかも全体の下水道事業というものがスムーズにいくように十二分な配慮を重ねつつ制定をしていただきたい、このようにお願いをしたいと思います。  次に、国庫補助金については、補助率予算上定められているにすぎないわけです。また、補助対象事業は幹線管渠、終末処理場の基幹施設だけになっている、こういうことでございますが、国庫補助対象になる施設の範囲を明確にして、一そう改善すべきである、このように思うわけでございますが、この点についての見解を伺っておきたいと思います。
  204. 久保赳

    久保(赳)説明員 先生御指摘のとおりでございまして、下水道整備促進に関する問題につきましては、先般都市計画審議会から答申をいただきました。その答申の中にも、先生御指摘のような趣旨が盛り込まれておりますので、私どももその線に沿って解決をはかってまいりたい、かように考えております。
  205. 桑名義治

    ○桑名委員 また、予算補助となっているために補助額の変動も考えられ、そのために地方団体として長期的ビジョンを樹立できない、こういうことにもなりかねないわけでございます。したがいまして、計画的に下水道事業整備するためには、法定して事業を推進する必要がある、このように思うわけですが、この点についてどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  206. 久保赳

    久保(赳)説明員 お答えいたします。  下水道整備五カ年計画は、下水道整備緊急措置法に基づきまして閣議で決定されたものを実施するわけでございますから、その閣議で決定すべき中身は、下水道事業を行なう目標と、それから行なう事業の量ということになっておりますけれども、閣議の参考とする資料の中に下水道事業を行なう財源、あるいはどの範囲を国の補助対象で行ない、どの範囲を地方単独事業で行なうかということを明らかにした上、閣議決定をしてもらって、地方公共団体の方々もそういう閣議決定の五カ年計画に即して事業を実施することになると思いますので、先生の御指摘のような計画的な財源の用意あるいは計画的な事業の執行を行ない得るように五カ年計画の中へ盛り込んでいきたい、かように考えております。
  207. 桑名義治

    ○桑名委員 この下水道の問題は、先ほどからたびたび申し上げておりますように、生活環境の整備公害防止あるいは事業の推進の緊急性というものを考えまして、国庫補助率を十二分に引き上げるように留意をしていただきたい、このように思います。  次に、この起債の問題でございますが、港湾事業などは査定事業費の一〇〇%の充当率があるわけです。ところが、下水道事業補助率は、事業分は地方負担額の五〇%、いわゆる単独事業分は査定事業費の七〇%、そのために地方団体はそれぞれ五〇%ないし三〇%を一般財源で処置しなければならないようになっておるわけでございますが、この点、港湾事業などの査定事業費の一〇〇%の充当率、ここまで起債を認めるわけにはいかないだろうか、こう思うわけでありますが、その点についての見解を伺っておきます。
  208. 長野士郎

    ○長野説明員 起債の充当率については、いま御指摘になったとおりで、この問題につきましては、やはり下水道全体のあり方の問題についてさいぜんからいろいろ御議論になっておりましたが、そういうものもこの次の第三次の計画におきまして私どもぜひ明確にしてもらいたいと思っておりますが、同時に、下水道につきましては起債のワクも相当従来よりは充実をさしてきておりますけれども、まだ現状は十分でない点も確かにございます。しかし同時に、起債のみならず、地方債のみならず、交付税における需要の算入等も年年充実をしてきておりますので、そういう制度をなお充実をさしまして、いまほんとうに必要になってきておりますものにつきましては執行が計画的に行なえるように進めてまいりたい、こう思います。
  209. 桑名義治

    ○桑名委員 起債の割合でございますが、四十一年と四十二年が六五%、四十四年が六三%、四十五年度が六一%。来年度は大体どういうパーセントになりますか。これは年々下がっておるというのが実情でございます。そうすると、皆さん方のおっしゃっている事柄と実際のいわゆる起債の充当率というものが、格差が逆に数字は出てきている。これは非常に問題だと思うのですが、来年度はどのような方向で考えていらっしゃるか、その点を伺っておきたいと思います。
  210. 長野士郎

    ○長野説明員 ただいま御指摘のございました、四十一年度以降六五%の充当率がだんだん下がってきて、四十五年度は六一%になっているではないか。これは、大都市の大規模の関係の下水道起債の充当率——前にたしか大蔵省の地方資金課長がほかの方の御質問でお答えしたと思いますが、四十一年度に六五%に上げます前は六〇%でございました。それは、その当時非常に不況に落ち込みまして、地方財政が非常に苦しくなりまして、やはり事業の執行を確保するという意味から起債の充当率を上げた。それが、その状態が一応緩和したということで、年々いろいろ起債全体の計画ワク等の問題もございまして、現在、四十五年度のところで六一%ということになっておりますが、私どもは来年度の問題をいまはっきりお答えできませんけれども、六一%より下げるんじゃなかろうか、こういうつもりはございません。むしろもっと充当率を引き上げるような方向努力をしてまいりたいと思います。
  211. 桑名義治

    ○桑名委員 それから次は都市下水道の問題についてでございますが、現実的にいわゆる生活の汚水工場排水等で相当汚濁をしているわけですが、都市下水道の終末処理場を必ず建設するというかっこうでいかなければ、何のために下水道をつくったか、こういうことにもなりかねないと思うのですが、その点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
  212. 久保赳

    久保(赳)説明員 下水道法上、公共下水道につきましては終末処理場が計画にありまして、それからそれにパイプを付属しているということが必ずしも明確になっておらない状況でございます。したがいまして、私どもは近い機会に下水道法の一部改正を検討したいと考えておりますが、公共下水道というのは必ず終末処理場を持ったものということで、その定義自体をも変更いたしたい、かように考えておりまするが、現状をちょっと申し上げますと、現状は、公共下水道事業を実施しております都市が本年度二百五十一都市ございます。そのうち終末処理場の事業を実施しておる都市が百三十三でございます。もちろん、これは下水道事業を実施する場合にパイプも処理場も一ぺんにやるということができない関係上、初年度はたとえば終末処理場の用地だけ買収するという場合もございますし、あるいはまた緊急に雨水の排除が非常に問題になっているところにつきましてはポンプ場を実施をするというふうに、事業の実施の段階におきましてはパイプと処理場が一ぺんにそろうということがないという都市の実情もあるわけですから、こういう形になっておりますけれども、この次の第三次の五カ年計画におきましては、五カ年計画が終了する五十年度末におきましては、排水面積はことごとく処理面積となって、排水面積の中で排除された下水は例外なく処理場に入ってくるということで計画の実施を考えてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  213. 桑名義治

    ○桑名委員 時間が相当おそくなっておりますので、大体ここらで打ち切りたいと思いますが、いずれにしましても、この下水道問題は今後の大きな課題の一つとして取り組んでいただきたいと思いますし、第一次、第二次の下水道整備五カ年計画というものが常に中途はんぱに終わっている。今回の第三次だけはどんなことがあろうとも必ず達成をしていく、そういう強い姿勢のもとにこの問題と今後取り組んでいただきたい。さらにこの取り組みの問題の中で、地方自治団体の財政圧迫にならないように、そういう配慮を十二分にやりながらこの問題の解決をはかっていただきたいことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  214. 菅太郎

    菅委員長 岡沢完治君。
  215. 岡沢完治

    ○岡沢委員 時間が五時二十分でございますし、午前十時半からたいへん大臣もお疲れだと思います。一問だけ、土地の時価課税についてお尋ねいたしたいと思います。  ここの数カ月は公害公害で夜も昼も明け暮れているようなかっこうでございますけれども、物価問題もきわめて大切な、ある意味では国民生活をガン症状的に圧迫している大事な問題だと思います。その物価対策の一環としてもとらえられる地価の異常な高騰は、諸悪の根源という表現でも表明されておりますように、やはり政治課題としても最も急速な解決を要する課題ではないかと私は考えるわけでございます。この土地の時価課税に関しましては、私も当委員会でも何回か質問いたしました。私は大蔵委員会でもこの四月の十四日に質問をしたわけでございますが、佐藤総理は、土地に関する固定資産税の時価課税につきまして、課税の激変は避けなければならないが、時価課税が本質だと思うという明確な御答弁がございました。同じ席で福田大蔵大臣は、農地の扱いなどむずかしい問題があるけれども、なるべく時価課税になるように考慮するという言明がございました。秋田自治大臣と同僚の根本建設大臣がこの時価課税についてきわめて積極的な論者であることは、よく御存じのとおりだと思います。本年は三年に一度の固定資産税の評価額の評価がえの年でもございますし、御承知のとおり、負担調整という制度が激変緩和という名目のもとに採用されておるわけでございます。しかし、地方自治体の税収の面からいいましても、先ほど申しました地価騰貴を抑制する意味からいいましても、物価対策上からいいましても、ことに適正公平な課税、市民の税に対する不満をなくする意味からいいましても、また土地を持っておる者だけが異常に保護される、過保護のあり方に対するマイナス面を考えましても、−一つ制度でメリットばかりでデメリットのない制度はないということもいえないこともないかもしれませんが、この土地の時価課税はむしろメリットがきわめて大きい。しかもデメリットといたしましてはせいぜい激変の問題で、しかし、これも土地の異常な高騰によって不当に利益を得ている人に対する激変緩和の過保護の政策としかいえないような面しかないわけでありまして、こういう面からもやはり思い切って、せめて来年度あたりから時価課税に踏み切られるのが政治家の勇断ではないかと私は考えるわけでございます。時期的にはいま直ちにという問題ではありませんけれども、むしろいまの時点でこういう論議をじみにかわしておく、そしてこの地価の異常な高騰による国民生活の圧迫を除去するというのが与野党を越えた政治的な課題であり、また政治家の責任であると思いますので、この一点につきまして自治大臣の御見解を聞きたいと思います。
  216. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 本年の八月に、政府といたしましても地価対策閣僚協議会におきまして、市街化地域内の農地の固定資産税につきましては、農地と近傍宅地との均衡を考慮して土地保有課税の適正化をはかる、こういう決定を見ておるのでございまして、この閣議の決定の線に沿いまして総合的な施策を講じつつ、前向きにこれらの農地と近傍宅地との課税の均衡化につきまして実現をはかりたいと考えておりますが、もちろん、これには激変緩和の措置を講じていかなければならないと思います。一発に一挙に歩調を合わせるということは十分考慮してまいりたいと思います。並びに、ただいま申し上げましたとおり、総合施策をあわせ考えながら考慮をしたい、こう考えておりますが、ただいま申し上げましたような閣議了解の線に沿いまして、これを前向きに措置したいと考えております。
  217. 岡沢完治

    ○岡沢委員 その程度の御答弁、やむを得ない気もいたしますけれども、また最後に激変緩和、それから総合的という抽象的、一般的ないわゆるブレーキ的な要素をおっしゃるわけでございます。先ほど申し上げましたように、マイナスの全くないという制度ではないと思いますけれども、時価課税のメリットというのははかりしれないほどあるのではないか。いまのように大都市周辺の土地を売り惜しむ、あるいは銀行から金を借りてでも買いあさる、土地保有者に非常に有利な面が制度的に保障されているということが、異常な土地高騰、そして住宅不足その他の悪害を及ぼしているわけでございますから、先ほど申し上げましたように、勇断をもって前向きに、閣僚協議会の方向どおりに実行していただきたいということを期待いたしまして、質問を終わります。
  218. 菅太郎

    菅委員長 林百郎君。
  219. 林百郎

    ○林(百)委員 委員長、時間の関係もございますから、私は同和行政についての不正常な事態について自治省の見解と責任質問いたしたいと思いますので、それに関係しない方々は席をはずしてくださってけっこうです。実は、目に余る事態に立ち至りましたので、そして自治省も重大な責任がありますのでこの質問をするわけでございます。  昭和四十五年度の同和対策事業関係政府予算は約四十二億円となっております。私は、この問題が象徴的にあらわれておる大阪府並びに大阪府下の都市について若干調査をしてみたのでありますが、大阪府では昭和四十五年度に同和対策事業に九十七億余円、大阪市では約百億円という予算を組んでおるのであります。これはいずれも国民、府民、市民の税金でまかなわれておりますので、これが公正に運用されるかどうかは重要な問題なわけであります。そういう意味で私はきょうここで質問するわけであります。  ところが、この同和対策事業関係の予算が、朝田善之助という人物を委員長とする部落解放同盟という、これは部落の人たち全国組織でありますけれども、この組織のほんの一部の幹部の人たち地方自治体と癒着しなれ合って、この同和対策事業関係の予算を私物化しているということが目に余るほどになってきているわけであります。  以下若干の事実に基づいて質問したいと思います。もちろん私は、この部落の人たち全国組織である部落解放同盟が正常なかつ民主的な運営に戻って正常な状態になり、同和行政にいろいろと積極的にその意向を反映することについては、いささかも異議を唱えるものではございません。また、ぜひそうなるように希望しているわけでありますが、現在の朝田氏を委員長とする解放同盟内の一握りの幹部の不正常かつ非民主的な行動によって、地方自治体同和行政の公正な運営が妨げられているがゆえに私は質問をしたいと思うのであります。  たとえば大阪府においては、解放同盟の大阪府連のほんの一部の幹部の人たちによって、大阪府同和事業促進協議会という財団法人を看板として同和事業が全く私されている。昭和四十五年七月二十一日、大阪府の堺市長と解放同盟大阪府連の委員長との間に、私いま参考としてそちらへお渡しをいたしましたような確約書がかわされておるのでありますが、これは自治省では御承知でしょうか。
  220. 長野士郎

    ○長野説明員 同和関係の事業の執行関係でございますが、私どもは存じておりません。
  221. 林百郎

    ○林(百)委員 この確約書を見ますと、「今後、堺市の全ての同和事業は部落解放同盟大阪府連合会堺支部を通じて実施する。」というようなことを書いてあるわけでありますけれども、これは堺市長との間に取りかわしをしたのでありますから、地方自治体の一部の行政である同和事業が、こういう「全ての同和事業は部落解放同盟大阪府連合会堺支部を通じて実施する。」というような確約書を結ぶということ、こういうことは許されるべきことでないというように思うのですけれども、この点についてはどうなんですか。自治体同和行政の一部がある組織の、しかもその組織のうちのほんの一握りの人たちを通じなければ実施できないというような、こういう確約書を取りかわすということは許されることなんですか、どうでしょうか。大臣、どういうようにお考えになりますか。
  222. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 今日の地方行政及びその機構におきまして、同和対策行政を全部でありましょうと一部でありましょうと、地方公共団体が行なうべきものであると考えております。もちろん関係団体のいろいろの御意見等を聞き、参考にし、御協力を得まして執行するのはもちろんでございまするけれども、行政執行の責任者、担当者は地方公共団体のそれぞれの機関であるべきであろうと思います。ただいま承りましたところによりまして、また御提出を願いました参考資料によりますと、堺市長と部落解放同盟大阪府連合会の責任者との間にかわされました確約書の第一項におきまして、「今後、堺市の全ての同和事業は部落解放同盟大阪府連合会堺支部を通じて実施する。」という項があるようでございますが、この表現の意味するところが必ずしも明確ではないように思われます。しかしながら、全般的に申しまして、はなはだどうも不適当と申しますか、非常にあいまいでございますが、少なくとも不適当だと思われる内容を表現されておるのではなかろうかという印象を深くいたすのでございます。これがすなおに読みますと、すべての同和事業は堺支部を通じて実施する。この実施の主体がはっきりしませんので何とも申し上げられませんが、これまで読みますとやはり堺市が実施するんだが、「支部を通じて実施する。」この「通じて」という意味が非常に強く響くので、実質的には非常に不適当なものがあるんじゃなかろうかという印象を受けます。いわんや、これが堺支部を通じて堺支部で実施されるというふうにも読み取れぬこともなかろうかと存じます。そうなればますます最初申し上げましたとおり問題でございまして、不適当だと考えざるを得ないのでございますが、全体を通じまして、どうも少し行き過ぎがあるのではなかろうかという感じが、私個人的にこれを見ていたしておるわけであります。
  223. 林百郎

    ○林(百)委員 私もはなはだ不適当だと思いますので、それは漸次内容を申し上げて裏づけていきたいと思います。このことばだけではまだ不十分だと思います。  まず、こういうことば不適当だと考えますのは、言うまでもなく同和対策事業特別措置法によりますと、第一条の目的あるいは第五条を見ましても、その部落の人たちの住んでおる「対象地域の住民の社会的経済的地位の向上を不当にはばむ諸要因を解消することにあるものとする。」ですから、対象地域全体に対して同和対策事業というものは適用をされるべきものである。また地方自治法第十条の第二項によりますと、これは言うまでもないことでありますが、「住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、」こういう規定もありますので、こういう一組織の、しかもその組織が一部の幹部に牛耳られている、そういうところを通じなければ実施できないということは、これは同和対策事業特別措置法の精神からいっても、また自治法の精神からいっても不適当だというように思うわけなんです。  私も実はこの問題で大阪府へ行って調査をしてみましたら、こういうことがあるわけですね。この解放同盟の大阪府連の一部の幹部の人たちだけが、大阪府と大阪市が同和事業に使う資金約四億六千万円を府と市から出させて、それを解放同盟の大阪府連の役員の人たちが会社の役員となったタクシー会社を設立して、しかもこれについて土地は大阪市が購入してこの会社に無償で貸与する、運転手は約百二十人ほど他の会社からスカウトしてくる。これは部落の人たちの職業の安定とは全然関係のない、スカウトしてきて営利があがるようにする。こういう事業をやるということで府と市が四億六千万の金を出し、そしてその会社の敷地を大阪市が購入して無償でタクシー会社に貸与する。その会社の役員は大阪府連の一部幹部だ。こういう会社を設立しようとしているわけでありますけれども、こういう事実は、これは全く同和対策事業特別措置法や自治法の精神に反する。ほんの一部の役員が会社の役員になって、そして同和事業全体に使わなければならない金でもってタクシー会社をつくって、そして運転手に部落の人を、特に部落の人の職業安定のために使うわけではないという形で私していく。しかもそのために大阪市から金を出させて土地を買わせて、その土地も無償で提供させるというようなことが計画されているわけですけれども、こういうことは明らかに同和対策事業あるいは自治法の精神に照らしても不適当だと思いますが、大臣、どうですかへこういう事実ありとすればですね。
  224. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 初めて伺うことでございます。もし事実がそうであるとすれば、なおよくその事実の内容等につきまして精査をした上でなければ、最終的な結論は申し上げられないと思いますけれども、私、記憶するところによりますと、同和対策事業特別措置法を立案する過程におきまして、私もその関係者でございますが、たしか中小企業に対する金融措置を講じて、いろいろ同和対策の方々のお仕事をされるにつきまして、やはり他の方々とは基盤の上においていろいろ格差があるので多少の御便宜をはかるべきであるというような議論が政党間でありまして、そういうような面についての資金を御融通申し上げる便宜をはかるべきであろうということに関して議論がありました。たいへん何回も議論をかわしました結果、よかろうという最終結論が出たことを記憶いたしております。したがいまして、そういう意味のことがあの対策法の中にも書かれておると思いますが、その一環としてそういう資金の融通ということがあるいは考えられておるのではなかろうかと、これは私いま想像いたすわけでございますが、それにいたしましても、いまおっしゃるような内容であるといたしますれば、いささかその範囲を逸脱している感なきにしもあらず、いなむしろ、すなおにお聞きをいたしておりますと、大いに逸脱しているのではなかろうかというような感じも受けます。十分事案を精査した上でなければ、軽々に結論を申し上げることははばかりたいと思いますけれども、全体として非常に行き過ぎではなかろうか、不適当ではなかろうかという感じは大いにいたされるところでございます。
  225. 林百郎

    ○林(百)委員 同和対策事業関係の仕事のあり方については、私もその精神は大臣のいま言われたような形、部落の人たち全体のだれもが要望する場合にはその恩恵を受けるという形にならなければならない。ところが、これではほんの一部の幹部だけがその同和事業の利益を私物化するという運営になっているというように思うわけです。そういうことから、こういうことはどうでしょうか。  たとえばいま大臣の言われました同和対策事業の一環としての奨学資金だとか、あるいは妊産婦対策費の支給だとか、あるいは生業資金だとか中小企業への貸し付け金だとか、あるいは部落の人たちに対する公営住宅への入居だとか、あるいは部落の人たちの商工業者へのいま大臣の言われたような融資だとか、あるいは部落の人たちのためにつくった隣保会館の使用、これらは当然すべての部落の人たちにその恩恵が寄与されるべきものであって、そしてその指導権はあくまで地方自治体、たとえば大阪府なら大阪府、あるいは大阪市なら大阪市、あるいは堺市なら堺市、こういう自治体の判断で部落の人たちにこの恩典が均てんされるべきものであって、この解放同盟大阪府連の一部の特定の幹部の人たちの推薦がなければこういう恩典は受けることができないのだというようなことを自治体理事者との間に話し合いをするとか、あるいはそういうことを慣行として行なっておるということになれば、これはやはり正常な同和対策事業の運営にならないと思いますが、この点はどうでしょうか。要するに一部の幹部の人たちの推薦がなければこういう同和対策事業の恩典が受けられないのだというようなことを理事者と取りきめたり、あるいはこういう慣行が行なわれているとすれば、これは正常な運営でないと思いますが、その点はどうなんでしょうか。
  226. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 実情がおっしゃるようであるといたしますれば、まことに適当ではない。林先生と同じような私は感じを持ち、これらの状況は是正さるべきものではなかろうかと考えられます。
  227. 林百郎

    ○林(百)委員 きのう自治省の方に来ていただいて、大阪府や大阪市の実情も調査しておくようにと希望しておきましたけれども、その係の方来ておいでですか。もし調べて実情がおわかりだったら——参っていない、そうですが、それははなはだ残念です。  実はいま私が申し上げましたようなことが、しかもこういう背景のもとに行なわれているということは一そう許されないことなんですね。ということは、その一部の人たちが暴力手段を講じて自治体理事者とこういういま言った確約書の取りかわしだとか、あるいは非常に私物化された同和対策事業の運行を自治体理事者に承諾さしているという事実があるわけなんです。  大臣、私三つほど例を申し上げますから聞いていただきたいと思うのですが、最初は昭和四十四年の六月三日から三日間にわたって大阪府の吹田市の山本市長さんの宅を約三百人ぐらいで解放同盟大阪府連の一部の者たちが取り巻いて、そして市長さんの宅の水道と電話を切って通じないようにしてしまって、外からマイクで罵声を浴びせてかねと太鼓を鳴らして、解放同盟大阪府連の一部の幹部の者の言うとおりに同和対策事業の運行をするかどうかというようなことを、そしてその人たちとの交渉を唯一の同和対策事業の交渉のルートとして認めろということを要求してこういうような暴力行為に出ている。最後には二百万円の金を話し合いの結果の金だとして出させておる。これが一つの例です。  第二の例は、ことしの八月、やはり同じこの解放同盟のこういう一部の幹部の者並びにこれと通ずるほんの一握りの人たちですけれども、これは岡山県の久米町の藪木町長に対して、持参したせともののつぼを、これを骨つぼに見立てて机の上に置いて、帰りにはこの中に入って帰りたいかというような脅迫をしておる。  これは私があまりこういうことを耳にするものですから、実は一昨日、十三日に大阪府へ行きまして実情をいろいろ聞きましたところが、やはりこういうような事態に対して大阪府の理事者も否定はしておりませんけれども、しかし、その日に実は東大阪市の伏見市長がやはりそういう部落解放同盟大阪府連の一部の幹部の人たちのやり方に対して反骨精神をもって抵抗しているというので、ひとつそういうような同和対策事業を正常にやってもらいたいということで激励しようと思って電話をかけようとしましたら、そうしたら実は自分たちの言うことを聞かない東大阪市の伏見市長をその部落解放同盟大阪府連の幹部のほんの一部の人たちが取り巻いていて、市長が電話へも出られないという状態だった。実は議会もちょうど開かれておるので、議長のほうからも市長にひとつ議会のほうへ顔を出してくれないかと言ったところが、その市長を取り巻いている連中が、お客さんが来ているのに議会が何だというような意味のことを言った。私も直接市長と話もできない、こういうような事態。  これはほんの二、三の例でございますけれども、こういうことをやって、そしていま言ったような堺市長との確約書、あるいはタクシー会社の設立、あるいは同和事業として部落の人全体に恩恵を与えるべき事業自分たちの推薦がなければしてはいけないということを、地方自治体理事者と取りかわしているということは、一そうこれはよろしくない。こんなことを放置しておけば、これはもちろん同和対策については他の省の責任もありますけれども、しかし、自治省としましても地方自治体同和対策事業がこういう状態で行なわれ、しかも理事者がこういう状態におとしいれられているということは、これは放置するわけにいかないと思います。現に私は一昨日、十三日に行って、国会議員として市長と電話で話もできないような状態に置かれている。聞けばそのために議会もストップされている。だから、私はきのうわざわざ自治省の人にも来てもらって、これはたいへんだから自治省としてもこの事態をよく調査して、そしてこういう事態を正常化するような努力をしてもらわなければ困る、あした私質問するから、実情を十分調査して正確に答弁してくれと、わざわざきのう私は言ったはずですけれども、その人が見えていないというからやむを得ませんけれども、こういう事態ありとすれば、そして地方自治体理事者がこういう状態に置かれている、こういうことで同和対策事業が非常にゆがめられて、不正常な形で運営されているということは許されないことだと思いますが、大臣、どうお思いでしょうか。
  228. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいまお示しの実情であるとするならば、これは不適当でありまして、正常な地方行政が行なわれるわけがありません。これは当然調査いたすとともに、地方自治でございまするから、地方自治体内部におきまして十分自治権の範囲内において、これが状態改善を求めると同時に、われわれといたしましても、自治体並びにその首長が、同和行政のあるべき姿を十分もちろん御認識なさっておりましょうが、これが対策の実施にあたりましては、住民全体の利益を、一部少数の人の利益のためではなくして、公正な手段によりまして、脅迫等のような事態のもとでなくして、健全に公正に、平静に、地方の住民全体の方のために、不当な差別が解消するような行政を行なうことに、やはり自信と勇気を持っていただかなければならぬと思います。そういうふうに御指導申し上げるのがまた自治省責任であろうと思うわけでありまして、調査をいたさせていただきます。
  229. 林百郎

    ○林(百)委員 それでは私の質問をこれで終わりますけれども、実はこの部落解放同盟の中からも、こういう一部幹部の暴力手段を用いての不正常な同和対策事業運用を強制することはよろしくないということで、正常化の運動がほうはいとして起きてきております。  そこで最後に、いま大臣も御答弁なさいましたが、もう一度念のためにお聞きしておきますが、私たちは、この同和事業が、一部の部落の人たちの、組織の一部の幹部の人たちの、暴力を背景とする私物化ではなくして、すべての部落の住民の人たちの社会的地位の向上と、そうしてそのための障害を取り除くように公正に実施されなければならない、こういうように考えますので、いま大臣もおっしゃられましたけれども、私がいま申しましたような事実をどうか厳重に調査して、同和行政が正常な形で運営されるように、そうしてそういうことを心がけている地方自治体の首長をも激励をし、指導を正しくするようにしていただきたいと思います。また、そういう責任自治省にあると思いますが、その決意のほどをお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  230. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま申し上げましたとおりでございます。  なお、この問題は多年にわたる問題であり、内部になかなかむずかしい、複雑な微妙な諸点も含まれておると思います。いたずらに行政的に処置するのが能でもなかろうと存じます。しかし、もちろん事態によりまして、十分これを調査し、適切な措置を講ずべきことは当然でございます。同時に、むしろ解放同盟といわれるような団体自体内の問題でございまして、ただいま先生から伺うところによりますと、内部から自粛の空気とその運動も起きておるということでありまして、もしもそういう動きによりましてこの事態が改善されるならば、最も望ましい方向でございます。この方面には先生も御関係が深いことでございますので、何とぞその点についての十分な御配慮と、内部からも自粛自戒されまして、かくのごとく不正常な情勢がすみやかに改善されますよう御協力のほどをお願い申し上げる次第であります。
  231. 林百郎

    ○林(百)委員 それから自治省のほうもやるということを一言言ってもらわなければ……。
  232. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま申し上げたとおり、私としてはもちろんできる範囲につきまして調査もし、できるだけの御指導等も申し上げたいと存じております。
  233. 菅太郎

    菅委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後五時五十七分散会