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1970-07-10 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第28号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年七月十日(金曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中島 茂喜君    中村 弘海君       中山 正暉君    山崎平八郎君       豊  永光君    井岡 大治君       阪上安太郎君    華山 親義君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      山中 貞則君  委員外出席者         人事院総裁   佐藤 達夫君         総理府総務副長         官       湊  徹郎君         警察庁長官官房         長       富田 朝彦君         警察庁刑事局長 高松 敬治君         警察庁刑事局保         安部長     長谷川俊之君         沖繩北方対策         庁総務部長   加藤 泰守君         文部省初等中等         教育局審議官  井内慶次郎君         厚生省公衆衛生         局精神衛生課長 百井 一郎君         厚生省社会局庶         務課長     岸野 駿太君         通商産業省公害         保安局工業保安         課長      眞野  温君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         気象庁次長   岡田 茂秀君         自治大臣官房長 鎌田 要人君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         自治省財政局長 長野 士郎君         消防庁長官   松島 五郎君         参  考  人         (奄美群島振興         審議会委員)  永野 芳辰君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方自治地方財政警察及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  地方自治地方財政警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  3. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 本日は、警察の問題につきまして若干のお尋ねをいたしたいと思います。  最近、相次ぐ朝鮮高校生への集団暴行がいろいろ問題になっております。新聞等でもしばしば取り上げられておりますし、また、週刊雑誌として国民人たちに広く読まれております「週刊読売」あるいは週刊朝日、そういった雑誌類にも特集として報道されたこともございます。また、最近の「世界」の八月号でありますが、この中にも「日本の潮」の中に「相つぐ朝鮮高校生への集団暴行」というのが取り上げられております。  そこで、お尋ねをいたしたいと思うのですが、私の入手いたしました資料によりますと、本年の四月八日から六月二十四日に至るわずか二カ月と二十日ほどの間に、実に四十回ものこういった集団暴行事件が起きているというふうに聞いておるわけであります。警察といたしまして、これらの相次ぐ集団暴行についてどのように実情を把握しておりますか、この点をまずお尋ねをいたしたいと思います。
  4. 長谷川俊之

    長谷川説明員 お答え申し上げます。  朝鮮高校生日本高校生のおのおの一部の者の間におきます抗争事件につきまして、昭和四十一年以降の状況を申し上げますると、昭和四十一年は十件、昭和四十二年は三十件、昭和四十三年は十九件、昭和四十四年は四十八件、昭和四十五年は、六月末まで八十八件でございます。このうち、日本高校生加害者事件は合計いたしますると四十二件、朝鮮高校生のほうが加害者と認められます事件が百五十三件、こういう状況になっております。
  5. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 非常に件数が多く、しかも近年に至りまして累次数が増加しているという傾向のようでありまして、その点たいへん残念でありますが、聞くところによりますと、国会日韓条約が論議をされましたころ、昭和三十八年、三十九年、四十年、これらの時期も非常に多かったと聞いておるわけですが、その点はどうですか。
  6. 長谷川俊之

    長谷川説明員 昭和四十年以前の状況につきましては、具体的なデータがございませんので、正確にお答え申し上げることができないで申しわけないのでございますが、昭和四十一年は先ほど申し上げましたとおり十件、その翌年の四十二年は三十件でございまして、私どもは、特にそういう時期に多かったというふうには考えておらないのでございます。
  7. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 日本高校生加害者である場合もあるし、朝鮮高校生加害者である場合もある。分けまして件数についてお答えがあったわけでありますが、その点はまたあとで触れることにいたします。  次にお尋ねしたいのは、「週刊読売」にいたしましても「週刊朝日」にいたしましても、これらの相次ぐ集団暴行事件は、単なる日本高校生朝鮮高校生とのけんかというものではなしに、そこに一種民族侮べつと申しますか、あるいは思想的な背景と申しますか、そういったものがあると見られるということをいずれもこの特集等で記載をいたしておるわけであります。特に日本高校生の場合、すべての高等学校生徒ということではなしに、そういった事件の多くが、たとえば国士舘高等学校生徒であるとか、あるいは帝京商業生徒であるとか、特定学校に集中をしている、こういう傾向があると思うのです。その点は警察当局もお認めになるだろうと思うのですが、そういうふうに学校特定をしている。ある程度広く押えれば八校くらいになるそうでありますが、その中でもいま申し上げた二つ高等学校が非常に多い。そうして、これらの事件に対して先輩なりあるいは学校内にあります一つのグループなり、そういうものとつながりがあるというふうに、いずれも週刊誌あるいは「世界」等の特集がそういう記事を書いております。私はこれは全く根拠がないとは言えないと思うのです。この点、警察としての調査状況は一体どうですか。
  8. 長谷川俊之

    長谷川説明員 お答え申し上げます。  現在まで警察が直接に事件処理いたしましたことから見ますると、これらの事件は、いずれも登校ないし下校の駅であるとかあるいはその通学路において発生しておりまして、発生の原因は、最初はガンをつけたとかあるいはなまいきだとか、そういうようなささいなことから、どちらかかのほうからそれが暴行といったようなことでけんかになりまして、今度は被害を受けたほうの者が、この前やられたから仕返しをするのだ、こういうことでだんだん相互にエスカレートしていってその事件が起きている、こういうのが私ども事件を通じての実情でございます。したがいまして、特に政治的なとか思想的なとか、そういう点は認められないのでございます。
  9. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 ガンをつけたとか、気に食わぬとか、なまいきであるとかいうことなら、それはそのとおりだと思います。ところが、これは報道機関にいたしましても、それからまた私が入手いたしました資料等検討いたしましても、たとえば「朝高生なんか自分の国へ帰ればいい。よその国で大きなカオをするな」「オレたち朝鮮をつぶす組織一員だ。バッジをつけているのは国士舘の親衛隊の幹部だ」「朝高がいた。オレたち朝鮮人狩りをやってるんだ」というような言辞を弄している。そういうケースがしばしばあるというのですね。こういうことばは、単になまいきであるとかガンをつけたとかいうようないわば通常の高校生同士けんかということからはやはり範囲を越えている、明らかに一種の思想的な考え方というものがそのことばの中に含まれている、私はかように考えざるを得ないと思うのです。この点についてはいかがですか。
  10. 長谷川俊之

    長谷川説明員 個々のけんかの具体的な場所におきまして、あるいはそういう言辞を弄したものもあったかとも思われまするけれども、これは非常に深い思想的なものというよりは、やはり子供の時期の、何といいますか、単純な悪口といいますか、そういったことではないかというふうに私は考えております。
  11. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 官房長おられますからお尋ねしたいと思うのですけれども、私は大正十四年の生まれで、大震災は経験をいたしておりません。震災の際に朝鮮人人たちが、一種の当時のデマですね、流言飛語、こういうもののために多数の方が殺されたという、私どもにとっては忘れられない暗い過去があることは、もう官房長さんも御存じだと思うのです。しかも朝鮮日本日韓併合で合併いたしまして以来、私も戦争中学生勤労動員に行っておりまして、マグネシウムをつくる工場に行っておりましたが、これは塩素ガスが非常にたくさん出る労働環境のきわめて悪い工場でございました。その特に労働環境の悪い工場には、朝鮮から連れてこられました労働者の諸君がそこで集中的に働いておりました。朝鮮人人たちが、日本に合併されまして以来、いろんな形で侮べつされあるいは差別をされていたという現実は、私どもやはり否定することはできないと思うのです。そういう過去の歴史を踏まえた上で、それは高等学校生徒同士けんかだとはいうものの、おまえたち朝鮮に帰れとか、それから、おれは朝鮮をつぶす組織一員だというようなことは、やはり私は普通の意味での高等学校生徒けんかの際に口にすべきことばではない、そういう言辞を弄するということは、日本朝鮮との不幸な歴史を踏まえた上で明らかに朝鮮人人たちに対する大きな侮辱である、明らかにそういう言辞になるということは、私は官房長さんは否定し得ないと思うのです。この点保安部長さんのほうはきわめて簡単なお答えでしたけれども、私は警察という立場で、また官房長という立場から、このことについては当然お考え方があってしかるべきではないかと思うのです。いかがでしょうか。
  12. 富田朝彦

    富田説明員 ただいまの朝鮮人高等学校生徒をめぐる問題につきましては、保安部長から、警察のとっております措置並びにその事件処理する過程において明らかになりました事実というようなことについては、いま御説明をいたしたわけでありますが、ただいま山口先生から御指摘のありましたように、同じ日本の国内にともに生活をいたしているものでありますから、そういう過去の歴史はありましても、そうした差別感というようなものがあってはならない、かように考えております。しかしながら、警察といたしましては、その起こりました一つ一つケースというものを的確に処理をいたしまして、そういうことの再び起こらないようにという適切な処理をするのが警察の任務であろうかと存じております。したがいまして、現場におきますそうした不適切な言辞等につきましては、それはやはり教育というような大きな立場から、そういう問題については処理をしてまいるべきものではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
  13. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そこで、さらに話を進めたいと思いますが、これらの週刊誌特集を見ましても、そういった集団暴行事件あと、結局、高等学校生徒がその先輩である大学生に対して、朝鮮高校生をやっつけた証拠として帽子や上着やバッジをとって持っていく。実は先輩、きょうはこれだけやりましたというようなことを、国士舘高等学校生徒国士舘大学先輩に報告をしておるという事例もあるそうであります。それに合わせるごとく、最近の状況を見ますと、洋服をとられた、帽子を持っていかれた、バッジを持っていかれたというケースが非常に多いそうですね。そういうようにして、明らかに単なるけんかというのではなくて、要するに、これだけ朝鮮高校生に対して暴行を働いた、やっつけたんだ、その証拠はこれですということを先輩に報告しているということは、これは単なるけんかということではなくて、当然背後関係というものが考えられていいんじゃないか。またある例では、おまえたちバッジをもらっていく、これを持っていかないと先輩になぐられるからやむを得ないんだ、おまえらがまんしろというようなことを、日本高校生朝鮮高校生に対して言ったということも、週刊誌等に報道されております。しかもこの国士舘高等学校国士舘大学と密接な関係のある学校だろうと思いますが、あとでまた文部省お尋ねしたいと思いますが、国士舘大学は特に入学式等でかつての教育勅語を読んで聞かせるというようなことを堂々とやっておる学校だそうであります。また帝京商業は、甲子園の出場問題をめぐりまして高等学校野球連盟に対していろいろトラブルを起こした、これまた非常にがんこな校長さんのおられる学校のように私も聞いております。そういうところに集中的に出ているということも、これは火のないところに煙は立たぬという昔からの格言がありますが、やはり私どもはそういうものを類推せざるを得ない。どうですか、そういった先輩にやっつけた証拠を持っていくというようなことは、これは明らかに単なるけんかじゃないじゃありませんか。いかがですか。
  14. 長谷川俊之

    長谷川説明員 警察のほうで承知いたしております先ほど御報告申し上げました事件の中で、バッジをとったというのが、最近でございますが、確かに一件ございます。そのほかにいま先生がおっしゃいましたような、先輩のところに持っていかないとおこられるとか、そういったようなことにつきましては、実は先般も私どものところへ朝鮮高校関係の父兄の方がお見えになったときに聞きまして、警視庁にもそういうことがあるのかということを聞いたのでございますが、残念ながら警察のほうといたしましては、確認ができない状況でございます。
  15. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 さらに問題がございました。六月四日であったと思いますが、朝鮮高校生約二百人が、六日、国電総武線の各駅で日本人高等学校生を襲うという情報がある、沿線の各高等学校は厳重に注意をされたいというような情報が各高等学校に流されたという事例があったそうであります。昨日、私、警察庁の方にも来ていただきましていろいろ事情も聞いたのでありますが、確かに十四の警察署に対してそういうような情報をお流しになったという事実があったそうであります。さらに事情お尋ねしましたら、四日にはがきが来たというのですね。そのはがきの写しも拝見をいたしましたが、朝鮮人学生組合連合という名前で、総武線日本人高校生をやっつけてやるというような趣旨が書いてあった、また同じような情報が他にもいま一つあったそうです。二つ情報から判断して、こういう情報をお流しになったというお話だそうでありますが、ただ、私、はがきの現物の写しなるものを見たのですが、朝鮮と書いてあるのですが、この鮮というのにさんずいがあるのですよ。私は、少なくとも朝鮮高校生朝鮮人学生組合連合ですか、こういうものがあり、その朝鮮人の方が書いたとするならば、朝鮮というのは朝鮮人の方々にとってみれば祖国ですよ。祖国名前を書きますときに、朝鮮の鮮の字にさんずいをつけるなんということはあり得ぬと思うのです。私ども日本人です。日本と書くときに、ほかの字は間違えても、日本という字を間違えるということは、これはあまりないと思います。そういった朝鮮の鮮にさんずいがついているようなはがきを信用して、いま一つ情報があったそうでありますけれども、そういう情報をお流しになるということは、これは軽率じゃありませんか。この点はどうですか。その事実についても御報告いただきたいと思います。
  16. 長谷川俊之

    長谷川説明員 ただいまお尋ねのありました件でございますが、確かに六月の四日に異なったところからいまお話のありましたような趣旨情報警視庁は得たわけでございます。当時、御承知のように、この五月の中旬から特にこの種の事件が多く発生いたしておりましたので、その前に朝鮮高校の方に、また日本高校のそれぞれ責任者の方にもお集まりをいただいて、この種の事故の防止のためにお互いに協力してもらうということでお話し合いをいたしておったのでございますが、その際に、いろいろな情報があった場合にはやはりお互いに知らせ合って、そして未然防止措置をとっていこうということでやっておったわけでございます。  この件につきましては、ただいまお話のありましたとおりに、一つは、日本高校のほうから本所の警察のほうに、お話のありましたようなことがあるということを生徒が聞いたということを御連絡いただいたわけであります。もう一つは、別の日本高校から、先ほどお話のありましたようなはがきが参りましたということを別に警察のほうに御連絡いただいたわけでございます。  一般的な情勢がそういう状況でございまするし、二カ所から同じ内容の情報がありましたので、警視庁といたしましては関係の十四の署に対しまして厳重に警戒するように指示をいたしたわけでございます。そのうち七つの警察署におきましては、管内の高等学校のほうにこういう情報があるので注意をしていただきたいということを確かに御連絡いたしました。と同時に、朝鮮高校のほうに対しましても、こういう話があるのでそういうととがないようにという意味で御連絡をいたしておるわけでございます。結果におきましてはなかったわけでございますが、やはりそういう情勢からいたしますと、お互いに知りましたことは知らせ合って予防の措置をとることは適切な措置ではなかったかというふうに私、思うのでございます。しかし、また反面、なかった場合、デマじゃないかということで、その弊害もないわけではございません。したがいまして、私どもは、今後そういう点につきましては、なお一そう慎重に情報確認、そういったことにつきましては検討を加えまして、できるだけの措置をとってまいりたい、かように考えております。
  17. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一つは、総武線の中でそういう話をしているのを聞いたという情報一つは、はがきでありますが、朝鮮の鮮の字にさんずいがある鮮の字が書いてあった、それで情報流したことは軽率だったというお話もありましたが、朝鮮高等学校にもその旨を聞いたが、そういう動きはないというお返事があったそうですね。朝鮮高等学校のほうでもその事実を否定している。しかも情報一つは、ただ聞いたというものであり、一つはがきは、さっき言いましたように、祖国の字を間違うようなまことにいかがわしい怪文書。刑事局長でも官房長でもけっこうでありますが、どうですか、そういった祖国を間違って書いてあるようなはがきで、しかも大正十二年のことを思い出さなくても、私はやはりそういった軽率な指示は流すべきではなかったというふうに思うわけです。もちろんその後そういう事件がなかったということはたいへんけっこうでありますが、どうですか、いま私が指摘しましたようなはがきを信用してそういう情報を流すということについては、これは警察としても私は大いに反省していただかなければならぬと思うのです。いかがですか。
  18. 高松敬治

    高松説明員 情報なりあるいは投書なりの判断が、非常に実際問題としてはめんどうなことがございます。それから、それを十分に確かめていく、あるいはそういう動きを確かめるだけの時間的なゆとりがある場合あるいはまた時間的なゆとりがない場合ということも現実にあると思います。それで、いま御指摘になりましたような点については、私ども多少軽いなとは思いますけれども、ただ、聞くところによりますと、従来もそういうふうなことがあって、そういう未確認情報であっても、やはり大事には大事をとって、一応関係者には知らせたほうがいいのではないかということで二度ばかり知らせ、そしてまた、それによって、たとえば一時間早く学校から帰すというふうな事例もあったそうであります。それで、確かに御指摘のような点はあると思いますけれども、ただ、もしそれをほうっておいて何事か起こった場合に、やはり警察としても十分に手を尽くしていないという面も出てまいりましょうし、そういう点では投書あるいは情報判断、それからそれによっていかなる措置をとるか、どの範囲まで知らせていくか、あるいはどの範囲までの措置だけにとどめるかというふうな問題は、さらに慎重に検討していくべきだと思いますけれども、私はそういう点については、もう少し考える余地があるというふうに思います。ただ、聞きますと、いたずらに関係者に不安の念を起こさせるという気持ちは全くございませんで、むしろ関係者に知らせて、できるだけそういうことを、なくしていきたい、未然防止しようというのが、そのときの本旨であったようでございます。
  19. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 これで終わりたいと思いますが、文部省を呼んでおりますから、お尋ねしたいと思うのですが、問題になっております国士舘高校ですが、国士舘高校国士舘大学に付設されている高等学校だ、こう聞いておるのですが、この大学は尊皇、愛国というのを教育の方針に掲げている。そうして先ほども私申し上げましたが、この大学入学式あるいはその他全学の生徒学生を集めた集会等では、軍艦マーチを鳴らしながら舘長が入場する。そして教育勅語を奉読して天皇陛下万歳を三唱して、そのあときわめて右翼的なと申しますか、そういう訓辞をなされる。たとえば天皇さまは世界にたぐいのない菊も大輪の天下の名花でいらせられます、ところが、この名花をねらっている赤じるしがおります、それは共産党でありますというふうな訓辞をなされる。まあ、共産党の政策その他についていろいろ批判を持つことは国民の自由だと思いますけれども、しかし、共産党といえども、これは当然合法的な政党であり、この国会にも議席を占めている政党だ、こういうものに対して、ここにありますようなきわめて一方的な批判を特に教育の場においてするということは、私は問題だと思うのです。私立学校であろうと、これは教育基本法それから学校教育法、このもとに置かれた学校であることは間違いないと思うのです。教育基本法には、特定の政治的な教育をしてはいかぬということは、明確に書いてあるはずだと思うのです。そういったような教育をやっている事実があるとするならば、これは教育基本法学校教育法に照らして文部省としては一体どのような御指導をなされるつもりでございますか、お尋ねいたしたい。
  20. 井内慶次郎

    井内説明員 ただいま最近いろいろ起こっております御指摘のような暴力事件につきましてのお尋ねでございますが、国士舘大学そのものの問題につきましては、私所管外でございますので、本件に関連のありまする観点からお答えさせていただきたいと思います。  最近、御指摘のような暴力事件が見られますことは、まことに遺憾なことでございまして、文部省としましては、暴力その他高校生非行事例防止につきましては、かねてから関係者に対します資料の配付とか研修会の開催とか、生徒指導の徹底を期するように指導してまいっているところでございます。  本件に関しますそれぞれの学校は、東京都の私立学校でございまして、直接指導助言する立場にございますのは、教育委員会ではなくて、東京都の学事部でございます。私ども私立のこのような学校指導助言につきましては、教育委員会の場合よりもどうも手薄になるという点は十分反省しておりますが、特に本件につきましては、問題が重要でございますので、学事部のほうと連絡をとりながら現在かかる事態の防止につとめているところでございますが、具体的に申しますと、東京都の学事部のほうにおかれましても、問題を非常に重視されまして、先ほど山口先生からも御指摘のように、かかる不祥事件の絶滅につきまして学校としてなすべきことは、学校内外の生徒に対する教育的な生徒指導を徹底するということでございますので、東京都の学事部といたしましては、三月の二十五日に関係学校等に特に生徒指導を徹底するよう依頼をいたした次第であります。  なお、その際、私立学校関係でございますので、東京都の私立の中学校高等学校につきましては、東京私立の中学、高等学校の協会がございまして、ここでお互いにいろいろ相談し合いながらいろいろなものをやっていこう、そういうやり方を自主的にやっておられるわけであります。それで学事部のほうから生徒指導を徹底するようにという通知等を出されます際にも、この協会のほうに一応出され、協会のほうからさらに各学校へという手順を踏んでいるようでございます。  ただいま御指摘のように、初等中等教育につきましては、その教育の基本は、教育基本法にのっとり、学習指導要領の定めるところに準拠してやるべきは当然なことでございます。なお、その後問題が出てまいりましたので、都の学事部とされましては、学事部の主唱によりまして、関係学校を五月の二十八日に私学会館のほうに集められたようでございますが……。(山口(鶴)委員「その間の事情は知っておりますから、けっこうです。」と呼ぶ)それで特に現在学事部として関係者のほうに強く要請し、関係者の間でも目下努力しておりますのは、各校ともさらに強力かつ厳正な生徒指導をとにかく徹底して行なうということが第一点。第二点は、各校とも不祥事の絶滅につきましては、相互の連絡を十分にとろうということ。第三点は、ただいま御指摘国士舘等もそうでございますが、特に問題の多い学校相互間の話し合いの場を積極的に持ってほしい。こういう要請を現在学事部のほうからいたしまして、先ほど申しました私立の中学、高等学校協会もあるいは間に入られるかもしれませんが、そういう話し合いの機会等も持ちまして、積極的にこの問題に対処しておられるところであります。文部省としましては、学事部のこのような御指導をバックアップし、積極的に生徒指導の徹底を期してまいりたい、かように存じているところであります。
  21. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 長い答弁はけっこうですが、私は最後に、文部省お尋ねし、警察庁お尋ねをして、質問を終わりたいと思いますが、この国士舘大学では、一月一日、二月十一日、それから四月二十九日に訓辞というのをされるそうですが、この際には大講堂に中学、高等学校大学生全員を集めて行なうそうです。したがって、高等学校、中学、初等教育生徒諸君も集めてそういう訓辞をしているわけですね。そこで先ほど私が例に引きましたようなことを言うとすれば、私は、これは明らかに学校教育法違反だと思うのですね。ですから審議官は、大学のことは私は管轄外だと言いましたが、中学生高等学校生徒も集めて、先ほどのような訓辞をしておるということは、一体どういうことなんですか。そういうことをすることは学校教育法に触れないのですか。高等学校生徒に対しても訓辞をしておるわけでありますから、この点をひとつ明確にお答えをいただきたいのが一つであります。  そういった背景の学校に、しかも先輩後輩というつながりを通じて、この集団暴行事件が相次いで起きておるということは、非常に私は残念だと思います。警察当局がいろいろ事件に対して捜査をされておるようでありますが、どうも警察は、これはけんかだというようなお話のようです。実は昨年の国会で、わが社会党本部が右翼の諸君に襲撃をされたことがございますが、このとき荒木国家公安委員長は、これもけんかだというようなことで言っておったのでありますが、やはりそういった一つ政党、社会党というまさに第二党の政党暴力団に襲撃されるというようなこと自体をけんかだというような誤った判断ですべてを律する、そういう考え方が、私は今度の朝鮮高校生の問題についても出ているような気がするのです。単にけんかということではなしに、各日本の権威ある報道機関それぞれが、やはり思想的な背景あるいは民族侮べつ的な考え方というのが背後にあるんじゃないかということをいずれも指摘をしておるわけです。そういった事実を踏まえて、私は警察はもう一ぺんこの事件を洗い直す、検討し直す、そういうことが必要ではないかと思うのです。この点に対する警察当局お答えをお伺いいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。
  22. 井内慶次郎

    井内説明員 高校生、中学生大学生と一緒に集めて訓辞した、あるいは舘長訓辞の内容につきましてのお尋ねがございましたが、文部省としましては、教育基本法なり学校教育法なりにのっとって、各学校の特色というのがあろうかと思いますが、訓辞ではないかと存じております。  なお、ただいまの内容等につきましては、私どもも詳細をよく存じておりませんので、なお東京都の学事部等にも詳細をただしてみたい、かように存じております。
  23. 高松敬治

    高松説明員 現在の警察の見方につきましては、先ほど保安部長が御説明申し上げておりましたが、ただ、やはり御指摘のように、あるいは御心配なすっておるように、こういう事態が非常に長く続いている、あるいはこういう事態からさらに深刻な憎悪があるいは民族侮べつというふうな、そういう気持ちがお互いの間にだんだんと強くなってくるということは非常に心配されるところでございます。警察といたしましても、そういう事態になりませんように、特別警戒を実施し、あるいは学校当局とよく連絡をとり、そうしてできるだけこういう事態を早期になくするように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  24. 菅太郎

    ○菅委員長 和田一郎君。
  25. 和田一郎

    ○和田(一)委員 私は、栃木県の佐野市で起こりました精神病院の火災事件、それから同じく栃木県の小山市で起こりました国道四号線の塩素ガスの漏洩事件、その点についてひとつ関係省庁にお伺いしたいと思います。  まず最初に、精神病院のほうを取り上げますけれども、厚生省のほうへ責任の方の出席をお願いしておったわけでありますが、どうしても都合がつかないということで、課長さんだそうでございますけれども、どうかひとつ責任のある御答弁をお願いしたいと思います。  まず佐野の病院のほうを取り上げますけれども、これは全国的に有名になった大事件でありまして、四十七名の患者のうち十七名が焼死した。私も現地へ飛んでいってよく調査をしてまいりましたけれども、実に悲惨な事件であります。鉄格子にぶら下がってそこへ折り重なって、助けてくれと言って死んでいった。これは新聞報道そのままであります。そういう事件につきまして、病院長はなかなか地元に信望のあるような方でございますけれども、しかし、事件事件であるということで、そのあり方についていろいろお聞きしたいと思うのですけれども、まず消防のほうにお伺いいたしますが、そういう鉄格子の中にいる人たちに対するいわゆる防火体制といいますか、どのように指導されておったか、どのように手を打っておられたか、まずそのことをお聞かせいただきたい。
  26. 松島五郎

    ○松島説明員 精神病院の場合特にそうでございますが、火災を未然に防ぐことが非常に大事なことでございまして、かねがね指導をいたしておるわけでございますけれども、一たび火災が起きましたときに、その建物内で初期消火をするというようなことはなかなか困難であり、それよりも早く避難をさせるということが大事でございます。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 そこで、私どももそういった点に中心を置いて指導をいたしてまいっております。特に昨年十一月に徳島県の阿南市の精神病院の火災で焼死者が出ましたことにかんがみまして、煙感知器を設置する、あるいは内装材、寝具等の不燃化をはかるあるいは難燃化をはかる、あるいは火気使用設備、喫煙その他の火気の管理の徹底をはかる、通報連絡とか消火、避難の協力体制をとるというようなことについて、都道府県を通じまして現地の消防機関、関係病院に対して徹底をはかるように指導をいたしてきております。佐野市の場合におきましても、現地の消防機関にたしか昭和四十五年に入りましてからも二回ほど査察を行ないまして、いろいろ現地について指導を行なってきておるわけでございます。
  27. 和田一郎

    ○和田(一)委員 消防のいわゆる査察ですけれども昭和四十五年二月二日とそれから同じく四月十四日の二回実施をしておるというのですね。これは一体どういう点を査察されたのでしょうか。
  28. 松島五郎

    ○松島説明員 御指摘のとおり、昭和四十五年に入りましてから二回査察を行ないまして、その際、出火をいたしました出火点につきましては、自動火災報知器等の設備と誘導灯の設備を設置いたしております。病院側も設置するように予算を計上したところであったというふうに伺っております。
  29. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その病院側が予算を計上した、その問題は、これは査察をされてから幾らもたっておりませんけれども、その間に発生した。放火が原因であったから別の意味があるかもわかりませんけれども現実に十七名のかわいそうな人たちが死んでいる。ですから、そういうのはどうなんですか、査察というのは、人命尊重の立場から強制的な力がないのかどうか、ただ指導だけにとどまっているのかどうかという点が大いに疑問だと思うのですが、その点についてひとつ。
  30. 松島五郎

    ○松島説明員 査察によって指摘をしました事項につきまして、消防法の規定に基づきまして、強制的に実施を命ずるものと指導にとどまるものと二通りございます。強制的に実施を命令することのできるものは、消防法上そういう設備を義務づけられている施設において所要の設備がなされていない場合に、これを設置することを義務づける、あるいは不完全な状態である場合に、それを完全にするように命令をするということは強制的にできるわけでございますけれども、こうしたほうがよりよいという意味指導をいたします場合には、当然のことではございますけれども、法律的に強制することはできません。  いま問題になりました自動火災報知器につきましては、この建物は無窓階、要するに、格子でもって窓があかない——窓はあるわけでございますけれども、鉄格子がはまっておりますので、建物の分類上は無窓階、窓のない建物の分類に入りますので、これは昭和四十六年の三月三十一日までに、昨年改正されました消防法の施行令によって自動火災報知器はつけなければならないということになっておりますけれども、その期限がいま申し上げましたように昭和四十六年三月三十一日でございます。それで消防機関としては、そうであっても一日も早くつけることが望ましいという意味指導をいたしたのでございます。
  31. 和田一郎

    ○和田(一)委員 とにかく患者は精神異常者である。その中に入れられた人たちは、鉄格子の中は当然のこと、入り口はばたんとかぎがかかってしまう。ですから、確かに火災報知器等の設備は整ったとしても、今度一番大きな問題は、その人たちをいかに安全に外へ出すかといういわゆる退避訓練、この退避訓練を昼間なさったそうであります。病院関係者に聞きますと、昼間やった、夜間のそういった問題がなかった、昼間の訓練がちっとも役に立たなかった、しかもそのかぎをあけるのにとてもあけるひまがなかった、消火器があっても、消火器を使うひまがとてもない、こういうことなんですね。ですから、退避訓練等については、おそらく消防署から行ってやったわけじゃないと思うのですけれども、十年前に式場病院ですか、十八名が焼死したのと同じ事故なんですね、鉄格子の中で。ですから、ネズミとりの中にネズミを入れまして、そしてたき火がばんばん燃えている中に入れるのと同じような状態で、どうしてそういう人たちを出すかという問題が一番大きな問題だと思うのです。それについて今度の事件もあるのですから、おそらく消防庁としては退避訓練をどうすべきかということもお考えだと思うのですが、そのことについてひとつ長官からお答え願いたいと思います。
  32. 松島五郎

    ○松島説明員 現地の調査もいたしまして、ただいま厚生省といろいろ打ち合わせをいたしておりますけれども、御指摘のとおり、何と申しましても避難が第一でございます。したがいまして、かぎの種類を統一する、あるいは外からかけてあるかぎは、外からかぎがあかるようにというようなことで、どこか一カ所で操作をすればかぎが全部あくような作用、こういったものをぜひ進めていく必要がある、今後そういう方向で進めていきたいと考えております。  それから、いま御指摘になりました訓練でございますけれども、昼間の訓練、もちろん大事でございますけれども、やはり訓練というものは万が一に備えるための訓練でございますから、一番悪い状況下においても事に処し得るような訓練が必要でございまして、御指摘のとおり、夜間の訓練というようなことをもう少し徹底する必要があるわけでございます。特に夜間の場合には、どうしても宿直員とか、そういう方が少なくなります。そういう状態において相互にどういうふうに連絡をとっていくかというふうな訓練をもっと徹底しなければならぬというふうに考えます。そのためには設備といたしましても、隣の病棟へすぐ知らせるというような設備も必要でございます。そういったものとあわせて訓練も強化をいたしていきたい、かように考えております。  いま申し上げましたように、宿直員の訓練の強化、あるいはさらに、できるならば宿直員をもっとふやしてもらうというような方向の指導、それから、できればかぎを一カ所で操作してあけられる、あるいは少なくとも外からかぎがあけられるようにというような点、それから、病院が幾つかの棟に分かれておりますので、そういう離れております棟相互間において連絡をとって、出火場所に早く応援にかけつけられるような体制をとるというような点について今後さらに検討したい、こういうふうに考えております。
  33. 和田一郎

    ○和田(一)委員 次に厚生省のほうにお伺いします。  この病院が焼けて十七名死んだ中に十二名が精神薄弱者であった。この精薄と精神病を一緒にしておくという問題、これはいろいろあるのですけれども、院長さんのお話だと、十八歳以上になってくると家庭の中がどうしようもないので、行くところは精神病院しかないということをおっしゃっていた。院長さんたちは非常に善意なあり方でやっていらっしゃったことはわかるんです。考えてみますと、あの病棟は重症患者の病棟であります。そういうところへ逃亡または凶悪のおそれがない人を入れておいていいのかどうか、そういう点が一つ。もう一つは、いま盛んに言われておりますけれども、逃亡防止のためのいわゆる鉄格子の中でのそういう治療方法がいいのかどうか。いま盛んに論じられておりますが、その点についてお答え願いたい。
  34. 百井一郎

    ○百井説明員 御質問の十七名中十二名の精薄の患者が入院していた、しかも死亡事故を起こした。私たちといたしましても、非常な反省をいたしておる次第でございます。実はこの精薄患者を精神病院に入れることについては、いろいろと専門家の間においても議論がございます。また精薄自体、知恵おくれそのものだけの症状の場合もございますし、そのほかに性格異常であるとか、あるいは異常行動であるとか、その他の精神の合併症を持っている患者もございます。そういうふうな患者については当然精神病院において精神科的な医療を施さなければならないだろうと思います。したがって、この問題については、これを契機といたしまして今後精薄患者についての取り扱い、特に精神病院への要入院の問題について、学識経験者等の御意見をお聞きいたしまして早急に検討してまいるつもりでございます。  それから、第二点の問題でございますが、逃亡防止について、鉄格子をはめたり、またそのほかのいろいろの施策を講じているということについてでございますが、御案内のように、最近の精神科の治療というのは開放療法に向かっているわけでございます。これは日本ばかりでなくて、諸外国もそのような方向に向かっておるわけでございます。したがいまして、私たち昭和四十年に精神病院の建築基準というものを策定いたしまして、そのような方向に治療のあり方を検討すべきであるというふうなことで指示してございます。ただ、先ほど来問題となっております、特に凶暴性の患者であるとか、あるいは自傷他害のおそれのあるような患者、こういうふうな患者さんの取り扱いについてはやはり特別な部屋を設けなければならないだろう。しかし、今回の事故にかんがみまして、この保護室なるもののあり方というものを早急に検討してまいるつもりでございます。
  35. 和田一郎

    ○和田(一)委員 精薄のほうは反省しているとおっしゃいました。ひとつ今度、精神薄弱者のような、ほんとうに子供さんと同じような方ですよね、いずれにしても、こういう方々が絶対にそういう事故の中に、巻き添えを食わないようにがんばっていっていただきたいと思う。  それから、四十年に建築基準を出したとおっしゃっていますけれども、まだ改良なさっていない。それはいろいろ財政の問題があると思うのでございますが、あの病院を見てみますと、あの病棟は昭和二年につくって、それから二回増築した。非常に迷いやすいようなつくり方です。建て増し建て増しです。廊下もほんとうに狭いし、うす暗い。初めて入ったような人にはわからないというのです。そういうところへそういう人を、終わったことを言ってもやむを得ないかもしれませんが、入れておいていいものかどうか。普通の人間でも迷うようなところに精神異常者を入れておいていいのかどうか。厚生省の方はいままで現地に行かれたのかどうか、そういう点、ひとつお聞きしたいと思います。
  36. 百井一郎

    ○百井説明員 お答えいたします。  今回の両毛病院の火災におきまして多数の死者を出しましたことは、非常に残念に存じておる次第でございます。また、これにつきましても、われわれ行政当局といたしまして十分反省いたさなければならない点が多いわけでございます。  御指摘のように、病院の建物そのものについても、建築基準のあり方というようなものはできておりますが、しかし、はたしてそのとおりやっておるかどうかということにつきましては、医療法上の関係もありまして、厚生省みずからでなくて、知事に委任されておるわけでありまして、知事の監督下においてその監視、指導をやっておる次第でございます。しかし、今後私どもといたしましても、国として何らかのそういうふうな配慮を示すべきではなかろうかというふうな御意見も中央精神衛生審議会のほうからも受けております。これにつきましても早急に——明週開かれるわけでございますが、十分対策を検討していただきまして、このような事故の防止に万全の対策を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  それから建築基準ばかりでなく、建物そのものばかりでなくて、その敷地の問題、周囲との関係の問題、これらにつきましても、もう一度この建築基準というものに反省を加える必要があるのではないかというふうなことを考えておる次第でございます。
  37. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この精神病院の焼けた病棟は、全体の定数としては百八十名の定数に対して百七十何名、これはいいと思うのですけれども、その問題のところの定員数が三十二名に対して四十七名入っていたのですね。ずいぶんすごい。十五名もオーバーしている。オーバーした以上に焼けて死んじゃった。しかも一番大きな大部屋、出火場所がまん中だった。だから、火の回りが早い。三十分ぐらいで燃えちゃった。どうしようもない。そして一番大きなところに十何名が入っておった。それがどこへも出ることができなくてそこで死んじゃった。その中にがんぜない十一歳の子が入っておるのです。ほんとうに悲惨なことです。ですから、こういう問題、その定員というのは、札だけぶらさげておいて、あとは詰め込み主義でいいものですか。これは知事のほうにまかせてあるとおっしゃいますけれども、実際問題、大もとの監督官庁というのは皆さん方ですから、この点についてはどういうふうにお考えですか。
  38. 百井一郎

    ○百井説明員 オーバー入院についてお答えいたしたいと思います。  現在、全国的な平均が精神病院の場合ですと、大体一一五、六%がオーバー入院の状態になっておるわけであります。したがいまして、個々の病院を見ますと、あるいはそれ以上のオーバー入院を示しておる病院が数あります。今回の事故にかんがみまして、増設あるいは増床、そういうような面の指導もさることながら、まず当然退院してしかるべき患者がいるのではないだろうかというようなことについても再検討を加える必要があるだろう。そういうような考え方で、このオーバー入院という問題を早急に解消してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、先ほど申し落としましたが、今回の両毛病院の火災にかんがみまして、特に精神病院の特殊性ということにかんがみまして、先日来消防庁とも協議いたしまして、さっそく全精神病院に対して地元の消防当局と協力いたしまして総点検を実施いたすつもりでございます。その通牒等も出してございます。それに基づきまして、改築を必要とするものにつきましては、公的医療機関のものにつきましては国の補助、また民間の医療機関につきましては、医療金融公庫等の融資のあっせんというものを最優先的に考えてまいるつもりでございます。
  39. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまのお答えの総点検ですけれども、これは実にいいと思います。地元の消防署と、それから厚生省のどういう関係の機関が動いてやるのですか、具体的にひとつおっしゃっていただきたい。
  40. 松島五郎

    ○松島説明員 地元の消防機関と、それから病院の関係のと申しますか、そちらのほうは府県の担当機関と共同でやるという考え方で、いま協議いたしております。  ただ、私どもは、精神病院だけでなくて、この機会に精神薄弱者の収容施設でございますとか、あるいは老人ホームというのですか、そういうどちらかと申しますと、火事が起きましても、避難をする際に敏速な行動のとりにくい人を多数収容しておる施設につきましては、あわせて実施をいたしたいと考えております。
  41. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もう一つお聞きしますけれども、総点検について指示を出された。ですから、大体いつごろまでにそれを完了する予定ですか。
  42. 百井一郎

    ○百井説明員 お答えいたします。  精神病院における火災防止対策についてという公衆衛生局長の通達が七月九日に出してございます。その前に電話等によっていろいろと指示はいたしてございます。  なお、これにつきましては、文書だけではなかなか不備でございますので、消防庁とも目下連絡をとりながら、この精神病院の総点検を実施するその項目について検討してございます。明週早々これができ上がるわけでございます。これを各都道府県に送り、また府県がそれを各機関と連絡をしながら総点検をいたす。なお、軽微なる事項については口頭で指示する、また重要事項につきましては、知事名で指示して、それを公衆衛生局長のほうに報告をするということに基づいて、今度は国としての対策を講じてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  43. 和田一郎

    ○和田(一)委員 明春早々に点検するのがわかってくるのですか、明春ですか、いま何とおっしゃいましたか。
  44. 百井一郎

    ○百井説明員 発音が悪くてどうも申しわけありません。明週でございます。来週でございます。
  45. 和田一郎

    ○和田(一)委員 わかりました。  もう一つお聞きいたしますが、宿直の職員がそのときは二人だった。実際問題として一人はちょっと自分の用で外へ出ておったらしいのですが、安藤さんという方は六十何歳、そういう看護人がいた。ですから、宿直職員が少ないという一つの大きな点がああいう惨事になったと思いますが、こういう点についてと、もう一つは、非常に看護婦さんであるとか看護人という、そういう人手不足というものをどこの病院からも訴えておる。そういう点について厚生省のほうではどういうお考えを持っていらっしゃるか、そのこともお聞きしたい。
  46. 百井一郎

    ○百井説明員 医療機関全体についての規制の根拠法規は医療法でございますので、医務局にかわりまして、私、答弁いたしたいと思いますが、御了承願いたいと思います。  こまかく数字を申し上げますが、まず精神病院の場合は、いささか特例がございまして、一般病院よりは医師の数も看護婦の数も少なくなってございます。したがって、今後これをどのように、精神病院だけを特例にしていいかどうかということは、医務局のほうと協議して善処してまいるつもりでございます。  なお、宿直等につきましては、当然ただいま看護婦等が非常に少なくなっており、また大きな問題となってございますので、これにつきましても十分医務局のほうと御連絡を申して、善処してまいるつもりでございます。御了承願いたいと思います。
  47. 和田一郎

    ○和田(一)委員 全国の精神病院が病床数で、その中の一五%が国公立ですか、あと八五%は全部民間経営にまかせ切っている。そういう点が大きくまた問題になっていますけれども、国のほうとしては医療施設に対する融資機関を設けた、こういうことですね。どうなんですかね、精神衛生の面については国は責任を回避しているような形に見えるのです。これについてどういうお考えですか。
  48. 百井一郎

    ○百井説明員 御指摘のように、わが国の精神病院及び病床数は、諸外国とたいへんその様相を異にしておりまして、概数で申しますと二対八、二が公的医療機関というふうな数になってございます。したがって、これらにつきましては、私たちも十分反省の要があろうというように考えて、できるだけ——精神病院を持っていない県がただいま七県ばかりございますので、これについては早急に県立の精神病院をつくるべく勧奨をしてまいりたいと思います。  なお、そのほか、最近、公的医療機関等におきましての一般病院におきまして、精神科を併設したいというふうな傾向が強くなってございますので、これにつきましても、十分指導の上、増床をはかってまいりたい。なお、最近、小児精神病の問題がクローズアップしてまいっておりますので、特別の小児の精神病院というふうなこともただいま計画しておる次第でございます。
  49. 和田一郎

    ○和田(一)委員 その七県の勧奨したいという県は、どことどこですか。
  50. 百井一郎

    ○百井説明員 まず埼玉県でございます。千葉県、滋賀県、鳥取県、愛媛県、佐賀県、大分県、広島県というようになっておりますが、広島県はただいま四十五年から建設が始まってございます。なお千葉県等につきましては、国立の療養所もございますので、それらとも関連が今後生じてまいるのではなかろうかというように考えておる次第でございます。
  51. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんので、あと一問だけいたしますけれども、役所の査察が逃亡防止第一主義で、格子ががんじょうであるか、かぎががっちりとかかるかという点を一生懸命調べるというのですね。いま先ほど御答弁もありましたけれども、開放というほうに向かっているとおっしゃいますけれども、実際問題そういうところにいままで重点を置いて査察してきたのかどうか、厳重にがっちりかかって、絶対はずれないという、その点どうなんです。もっと臨機応変に、何か事故があったときにぱっとはずれるような、そういう点も査察されるのじゃないのですか。そういういわゆる非人間的な管理が一番大きな問題になっていますね。この質問の総ざらいとして、ひとつあなたからお答え願いたいと思う。
  52. 百井一郎

    ○百井説明員 お答えいたします。  先ほど申し上げましたように、最近の精神科治療というのは、開放療法というふうな方向に向かっておる。したがいまして、この建物そのものの建て方の問題、また運営管理の問題、これらについてやはり早急に反省の要があろう、ただ単に従来のように鉄格子の中に隔離しておくというふうな方針は私はとってまいるつもりはございません。  以上でございます。
  53. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もっと聞きたいのですけれども時間がありませんので。途中でまた出てくるかもわかりませんから、そこにすわっておってください。  次に、栃木県の小山市における塩素ガスの噴出事故、これも私現場へ飛んでいきまして、私自身幾らかガスを吸いまして私も実は被害者の一人かもわかりませんが、あまり心配になったから医者へ行きましたら、まあきれいな空気を吸っていりゃなおるでしょうと言われたから、安心をいたしましたけれども、しかし、約百名近くの中毒患者が出た。その中で二人は約二週間ばかり入っておった。一時は危篤状態であった。こういう大きな事故であります。しかも塩素ガスというのはもとナチスが使った毒ガスのもとである。あれを吸い込みますと粘膜がただれて、そして呼吸困難になる。私が行きましたら、その事故のあったすぐ前の農家で、庭に大きな牛が一あまり大きくなかったかもしれませんが、牛が一頭死んでおった。その牛はもうもがき苦しんでばったり倒れた。そこの牛を引き出そうとした御主人も、もう自分のほうが苦しくなったので、そのまま逃げてしまったということでありますが、これは通産省ですね。通産省、運輸省はいらっしゃいますね。それから警察庁のほうは……。  まず消防関係にお聞きしたいのですが、消防署の署員の方が犠牲になっているんですね。   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕 ですから、あの事故が起きましたのは、事故の詳細はこれはもう新聞等で御承知でございますので言いませんけれども、ボンベのせんが折れて、そしてそこから四メーターくらいふき上がった、黄色のものすごいにおいのガスが。一般の方はわかりませんから、火災か普通のガスかと思ってすぐ消防署へ行った。消防車が飛んでいく。それっとそこへ飛び込んだ人が急にもがき苦しむ。消防署員の方も手がつけられない。そして実際問題としてその署員の方が犠牲になっている。そして二週間入院したというのは署員の方なんですね。約数時間意識不明だった。ガスを私も心配して病院へ行きました。消防署長も青くなっている、このことについて。ですから、そういうことを考えてみますと、まあタンクローリーであるとか高圧ガス、いま一ぱい路上を走っています。特に国道四号線の場合は、一日おそらく二千台から三千台、そういういわゆる危険物を積んだ車が走るのじゃないか。これは一つの国道四号線だけの例であります。もし、あの事故がああいう畑のまん中で起きたからよかったのですけれども、大都会のまん中で起きたらどうするか。逃げる場所もない。おそらく先日の大阪のガス爆発のような大惨事になったんじゃないか。りつ然とするわけですね。しかも猛毒ガスですから、相手は。そういうこれからの事故が出てこないとも限らない。そういう点についてひとつ消防庁としては、あの事故を反省されて、どういうふうに考えていらっしゃるか、どういう手をお打ちになるか、これをお聞きしたい。
  54. 松島五郎

    ○松島説明員 お尋ねの点でございますが、たいへんむずかしい問題でございます。今回の事故も、二九番でトラックが燃えておるという通報がありまして、消防機関としては車両火災という前提のもとに、水槽つきポンプ車二台、ポンプ車一台、そのほかの車が急遽出動いたしたわけでございます。ところが、実際にはガスである、しかも塩素ガスであるということでございます。あらかじめどこをどういう車が通るのかという事前の認識がありませんと、こういうことが起こりがちでございます。もちろん小山消防署にも空気呼吸器ですか、これがございまして、この事故の際にも六個使用いたしております。消防車には一個ずつ積んでいて、実際に使いましたのは六個と聞いております。そういう用意はいたしておりましたけれども、何ぶんにも事故の起こったその段階において、どういう事故であるかということが的確に把握できませんと、対応する措置がなかなかむずかしいという問題がございます。また御指摘のとおり、いろいろな車が通っておりますから、何にでもきく薬を持ってかけつけるというのも、今日の段階では非常にむずかしいわけでございます。油のタンクが燃えたのであれば、あわ剤を持ってかけつけなければなりませんし、今度のような場合でございますと、あわ剤を持ってかけつけただけでは、これは用をなしませんで、その辺非常にむずかしい問題でございます。  私どもとしてもこれに対処する方法といたしましては、一つにはやはり消防職員に対する訓練と申しますか、そういったものに対する知識の向上ということについて、もう少し徹底した教育をしていく必要があるということが一つあると思います。現に消防職員も現地にかけつけてわからないままに救助作業に当たった。もちろん救助作業に当たっていただかなければならないわけでございますけれども、そのために、御承知のように、二週間近い入院をしなければならない状態になった方もあるようでございまして、そういうことのないようにするためには、やはり消防職員に対する知識の普及、訓練の強化ということが必要でございます。それからまた、予想される事故というようなものに対する必要な薬剤の準備というようなものもある程度はしていかなければならないと思いますが、これはいま申し上げましたように、どのガスにどの薬がきくかというようなことを全部品分けをしておいて、ぱっと出ていくということはなかなかむずかしい点があろうと思いますが、しかし、できるだけそういう方向はとりたいと思っております。いずれにいたしましても、そういう運搬等に当たります車なり機材なりについて、やはり完全な安全措置を講じて運搬等をしていただくという方法をもう少し強化する必要があろうというふうに考えます。
  55. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もう一問長官に聞きたいのですが、あの事故のときに消防士ではどうしようもなくて、地元のガス会社に来ていただいて、そして中和をしたというのが事実なんですね。だから、これは運輸省にもお聞きしたいと思うのですけれども、こういうものの事故だというのがすぐに消防署へ通知をされるようにしておいて、そしてそれに対しての対応策をすぐとるというふうな緊急センターか何かが必要だと思うのです。ですから、これはよく運輸省にもお聞きしたいと思うのですけれども、何を積んでいるかということがわかるようにしておいたらいいと思う。そういう面でひとつ大いに検討していただきたいと思います。
  56. 松島五郎

    ○松島説明員 御指摘のとおり、これが塩素ガスであるということがわかりましてから、直ちに硫酸ソーダ二十袋、消石灰五十袋を手配して、これを水にまぜて注水して、中和をはかったということを聞いております。そういう措置が直ちにできるようにいたしますためには、御指摘のように、いまこの車が何を運んでいるかというようなことがわかるようにして、付近の住民の方にも何を運んでいる車が事故を起こしたのかということを連絡していただけるような体制も同時に考えなければならないと思います。
  57. 和田一郎

    ○和田(一)委員 今度運輸省にお聞きしますが、今度の事故の一番大きな原因は、何と言っても運送業者のミスですね。これはよく事情を聞いてみますと、運転手さんはジプシー運転手というのですか、日雇いの運転手さんであった。そういうところの運転手さんのたまり場があるんですね。そこへ電話して呼んでくる運転手さんであった。そういうかってのわからない運転手さんが、しかも遠距離、しかもあのような猛毒ガスを運ぶ、そういう体制でいいものかどうか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。  それから、あまりにも管理がずさん過ぎる。とにかくわき道から出てきた車をよけるために急ブレーキを踏んだ。急ブレーキを踏んだ衝撃でボンベがころがって折れた。とにかくあいた口がふさがらないような失態なんですね。しかも危険表示がなかった。これは人が死んだらえらい問題です。そういう点をどのように運輸省はいままで指導をされておったのか。そのことについて御答弁願いたい。
  58. 隅田豊

    ○隅田説明員 ただいま御指摘の事故を起こした当該事業者の問題でございますが、お説のとおり、まず運転手が日雇いの運転手でございました。これは現在の道路運送法の規則から申しますと、一日一日で契約が行なわれるような日雇い運転手というものは、われわれのほうとしても認めておりません。そういう意味で、まず道路運送法の違反であろうと考えております。それから、管理上のずさんの問題として、たとえば積載方法について十分実態に合ったような安全な積載方法がとられておらなかった、あるいは危険表示をなすべきであるにもかかわらずやっておらなかった、こういう事実。いろいろと他の法令等の規定ではございますが、当然運送事業者としてやるべきことが行なわれていなかったということは、事実でございます。  今回の事故の当該自動車に対しましては、事故後われわれの出先機関を使いまして、まず事業者内の業務監査を行なっております。この監査結果は目下まとめている段階でございますが、かなり改善を要する事項が出ているようでございますので、われわれといたしましては、まだ最終結論までいってないのでございますが、改善指示をすると同時に、何らかの行政処分をしたいというふうに考えております。  それから、一般的な問題といたしましては、危険物を運送するということは、運輸省の所管いたしております道路運送法あるいは道路運送車両法の規定だけでなく、その他関係官庁においてきめておられます規定がいろいろございます。ただ、当然運送事業者自体を私たちいろいろな面から監督しておりますので、機会をとらえて、これから後も一般的な他の官庁からの御指導を願いながら行政指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  59. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がありませんので、ひとつ答弁も簡単にしていただきたいのですが、次に通産省の方にお聞きしますけれども、あの塩素ボンベをチェックされるのは通産省だと聞いておりますが、あのボンベはどうだったのですか。チェックされたのですか。
  60. 眞野温

    ○眞野説明員 御承知のように、通産省では、現在高圧ガス取締法を持っておりまして、それに基づいて高圧ガスの製造から輸送、消費に至るまでいろいろ規制をいたしておるわけでございます。その中でも、特に容器については、容器検査というのをいたしておりまして、このボンベについても製造年月日あるいはその後の再検査をいたしまして、規定どおりの検査をいたしておるものであるということを確認いたしております。
  61. 和田一郎

    ○和田(一)委員 じゃ、あのボンベは合格したのですね。合格したボンベが少しぐらいの衝撃で折れて噴出するというのでは、これはたいへんなことですね。しかも旭電化のほうでは、さっそくキャップについては改良したと報告では言っているのです。改良しなければならないようなものをどうして通産省では合格させるのですか。
  62. 眞野温

    ○眞野説明員 ただいまの和田先生の御質問は、容器の検査に合格したことに対して、それがすぐこわれたのはおかしいではないか、こういう趣旨だろうと思いますが、私どものほうでは、容器の検査については過去数十年いたしております。それに基づいて一定の耐圧、気密、肉厚の試験を必ず定期的にいたしておるわけでございます。本件の事故の場合には、むしろ輸送途中において急ブレーキをかけた、あるいはそれによってボンベを緊縛しておりますロープが切れた、こういうことによって特別の衝撃が加わったものであろうと思われます。そういう意味で、私どものほうも直ちに、原因について担当官を現地に派遣しまして、警察のそういう事故原因調査、それに協力いたすとともに、現地の事情を聞いております。現在、現地の警察のほうにおきましては、どういう衝撃が加わったか、あるいはそれによってどこに欠陥があったのか、あるいは輸送方法に欠陥があったか、いずれの点に原因があるか調査しておる段階でございまして、私どもはその調査原因によって具体的に処置いたしたいと思っております。  ただ、おっしゃいましたバルブがこわれたという点については、従来から容器のこういうような運送の場合には、一定の保安上の基準を設けておりまして、それに基づいていたすことになっておるわけであります。その保安上の基準をはたしてきちんと守っておっただろうか、その点も問題だろうと思います。今後はそういうような事故原因の調査をあわせまして検討してまいりたいと思っております。
  63. 和田一郎

    ○和田(一)委員 今度七月の一日付で自動車局長さんから陸運局長に対しての事故防止の通達が出た。通達行政ですけれども、いままでいろいろなことを聞いてまいりますと、あの通達を出した、この通達を出した、通達だけでは事は済まない。現実に事故は起きている。この問題は非常に大きな問題です。ですから、もう時間がないから終わりますが、佐野の病院にいたしましても、いろいろな通達が出ておった、いろいろな基準が出ておった。しかも事故が起きている。今度の塩素ガスも、何もあそこだけじゃないですよ。塩素ガスを扱っている会社は六十社くらいある。つい一カ月くらい前に千葉県で塩素ガスの漏洩事件があった。この一片の通達で済ますのじゃなくて、徹底的な指導監督をやってもらいたい。今後絶対に事故が起きないようにやってもらいたい。これは何といったって皆さん方しかないのですから、そういう点につきまして締めくくりで、警察の方せっかく来ていただいているのですから、一言おっしゃっていただきたいのですが、警察としてもそういう問題が——交通のほうかもわかりませんが、それと、それから厚生省、運輸省、通産省、そういうことに対しての通達に対する御見解と、それから結論としては今後の決意を聞かしていただきたい。それで私の質問を終わりたいと思います。
  64. 長谷川俊之

    長谷川説明員 危険物の運搬につきましては、警察といたしましても、交通取り締まりの一環といたしまして従前からもこれの取り締まりをいたしておるところでございますが、最近各種の事故にかんがみまして、各府県警察に対しまして関係機関と協力して、特にこの危険物の路上運搬ということについてきびしく取り締まり指導するように指示をいたしておるところでございますが、さらにこういう危険物の運搬につきましては、路上を通過する経路あるいは時間、そういったようなことにつきましても、警察としていろいろ関係機関と協議し万全を期したいと考えております。
  65. 隅田豊

    ○隅田説明員 事故がありましてすぐ通達を出したのは運輸省でございますが、もちろん通達だけでこの事故がおさまるものだとは考えているわけではございません。先ほどの御答弁でも申し上げましたが、関係する省庁が非常に多うございますが、私たちとしては直接輸送事業を監督しております立場から、関係各省庁の応援を得ながら、たとえば研修をやるとか、そういう教育の徹底もはかってまいりたいと思っておりますし、また監査などの際にも、特別に危険物を運んでいるような事業者につきましては厳重な監査を今後も実施していきたい、こういうふうに考えております。
  66. 眞野温

    ○眞野説明員 通産省といたしましても、先生の御要請のとおり、今後の事故の再発を防ぐべく万全を期してまいりたいと思います。そのために必要な保安基準の改正も現在すでに準備しております。そういうものをさらに都道府県あるいは各省庁を通じまして、その協力を得まして万全を期して実施してまいりたいと思います。
  67. 百井一郎

    ○百井説明員 先ほど来も申し上げましたが、精神病院の事故、これは非常に悲惨な事故でございます。なおそのほかにもいろいろと精神病院をめぐる問題については、ただいま社会的な問題として取り上げられておるわけでございます。したがって、特に今回は火災防止ということに重点を置きまして、先ほど申し上げました消防庁との連絡の上の通達、それから今月から来月にかけて地区別に主管課長会議を催しまして、私自身出向きまして、厳重にこの方面の指導監督をしてまいりたい。それからもう一つは、中央精神衛生審議会におきましても特別な委員会等を設けて、事故防止の対策を考えてまいりたいと思っております。
  68. 和田一郎

    ○和田(一)委員 終わります。
  69. 菅太郎

    ○菅委員長 古屋亨君。
  70. 古屋亨

    ○古屋委員 私は、人事院総裁においでいただきましたので、昨日内閣委員会におきましていろいろ御説明があったようでございますが、本年度における給与勧告の見通しあるいは作業状況につきまして、現在までの段階についての所信をお伺いしたいと思います。
  71. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 現在、本年度の勧告の準備をやっておりますが、大体において例年どおりのやり方で、かつその進捗状況も例年どおりと申し上げてよろしいと思います。したがいまして、また八月の半ばごろには御勧告申し上げることになろうと思っております。昨日あるいはその前から申し上げでおりますのは、この勧告の幅というか、それがどうなるかというたいへんな御心配がございます。(「ずばり言ったらどうだ」と呼ぶ者あり)これがずばり言えればいいのですけれども、ずばり言えないところがまたわれわれの調査の非常に信頼性のあるところであります。七千数百の事業所を克明に当たって、そして五十二万人の民間従業員についてきわめて精密なる調査をやって、これを積み上げた上で、今度は公務員側の四月分の給与というものを算出して、これと突き合わせて分析した上で格差を発見しようというのでありますから、これは選挙の投票の数と同じでございまして、開票まではわかりません。わかりませんけれども、しかし、われわれの調査は、民間の趨勢を的確に反映させようというねらいである以上は、ことしのいわゆる春闘による民間の賃金情勢というものはおのずからこれは反映しなければならない。したがって、パーセンテージは、もちろん公務員側の分も突き合わせますから、これは正確に申し上げようがないのでありますけれども、相当大幅なものになるであろう、また高額になるであろうという予測は申し上げることができるのではないだろうかと思っております。
  72. 古屋亨

    ○古屋委員 山中総務長官おいででありますが、人事院の作業の状況をいま人事院総裁からお話があったのでございます。そこから察しますと、民間給与が相当最近上がっておるというようなことからして、これは人事院総裁は、内容はまだ作業ができないから言えないということでございますが、相当程度の給与アップということも考えられると存じますが、これをどういうふうに実施されるか。これは勧告が出なければ抽象的なことでございますが、出た場合の総務長官の、給与担当の責任者としてどういうふうに完全実施するか、その決意についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  73. 山中貞則

    ○山中国務大臣 完全実施というのは、いままでやっていてあたりまえのことであったのを、それをあたりまえにことしからやっていくということを意味するものであります。したがって、昨年から予算上の予備費の変化は二百億しかありませんけれども、一千百億の予備費が足りるか足りないか、その結果によって給与勧告をされた内容の完全実施に変化を生ずるというような性格のものではございませんで、これはもう給与の完全実施ということは、政府の姿勢である、また公務員に対する雇用者としての政府の約束でありますから、これは実行する。そのためには財源を、これはもう一義的にこれに充当するものであって、公務員給与の勧告の完全実施ということが行なわれた後、一千百億の予備費を含めて国の金が足りるか足りないかということは、別の要素において議論してもらうという姿勢を明らかにしておきたいと思います。  地方公務員の問題は、これはもう自治大臣がおられますから、また議論がなされていると思いますが、私は、国家公務員にそういう姿勢をとりますということは、すなわち地方公務員についても、財政上の問題その他いろいろな問題を政府としても突っぱねないで、御相談に乗りながらやはり同じような完全実施に持ち込んでいってほしいという願いは持っております。
  74. 古屋亨

    ○古屋委員 自治大臣もおいででございますが、地方公務員につきましても、いま山中総務長官が国家公務員に関しての御見解を御披瀝になりましたが、大体そういうように考えてよろしゅうございますか、伺いたいと思います。
  75. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 地方公務員につきましても、ただいま山中総務長官から言われたのと同趣旨に考えておりまして、関係人事委員会の勧告を完全実施するに必要な財源措置を講ずる所存でございます。
  76. 古屋亨

    ○古屋委員 それでは、ちょっと警察関係の給与の問題についてお伺いしたいと思いますけれども警察庁長官はおられませんが、優秀な富田官房長がおられるようでありますから、この際お伺いしておきたいと思います。  最近、警察の仕事を見て、一部では、給与関係が終戦後あまり根本的には改正になっていないようで、募集人員がある程度減っており、また警察官の質の問題についても低下する傾向にあるのではなかろうか。そういうことになりますと、警察内部で質の低下ということは、グレシャムの原則といいますか、警察全部の士気の問題に相かかってくるのではなかろうか。特に民間労務の需給関係は非常に逼迫しておりますが、警察官につきましても、ときどきお伺いしますのは、母親が危険な警察官の仕事につくのをとめたり、あるいは都会地につとめている警察官について、郷里の父兄の方がいなかに帰ってくるようにというような要請が相当あるやに聞いております。そこで警察庁におかれましては、そういう問題に関連して一番士気の根本であります給与制度の問題につきまして、警察官給与制度研究会というものをつくられて、その中間答申といいますか、結論が出たようでございますが、それがどういう内容になっておるか、それから警察庁としてどういう措置をとろうとしているか、この二点について、時間がございませんので、ひとつ簡単に御説明願いたいと思います。
  77. 富田朝彦

    富田説明員 ただいま古屋委員からお尋ねのございました警察官の給与の問題につきましては、御指摘のとおり、最近の求人、求職の一般的な事情等からいたしまして、警察官の応募状況も年を追って深刻化をいたしておる現状でございます。また警察官は、御案内のとおり、一人一人の警察官が、現場におきまして、人の自由を拘束するというような作業を独自の判断で行なわなければならない職分を有しているわけでございますが、そのために、やはりどうしてもいい人材を採用いたしまして、そして、すでに長期の教養を行なっておりますが、そういう措置を加えることによりまして、国民から負託されております警察の職責を果たしてまいりたいと思っておりますが、いま御指摘のように、給与問題が大きな壁になっていることは事実でございます。そこで、ただいま御指摘警察官給与制度研究会というものを昨年の六月に設けまして、約一年間十六回の審議を重ねていただきました末に、六月十八日に国家公安委員長にあてまして御答申をいただいたのでございます。もしお許しがいただけますならば、その研究会の報告書を準備いたしておりますので、御参考にお配りをいたしたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  78. 菅太郎

    ○菅委員長 いまの報告書をいただきましょうか。——ろしいですね。それでは御提出願います。
  79. 富田朝彦

    富田説明員 それでは後ほどお読み取りを願いますれば、内容について私から申し上げることはないのでございますが、時間がございませんので、ごく簡単に申し上げますと、警察官の俸給表というものが、現在国家公務員たる警察官を中心にいたしまして構成されているわけでございます。そして実は国家公務員の警察官というのは一千名足らずでありまして、しかも巡査、巡査部長は、国家公務員としては皇宮の護衛官がいるのみでございます。したがいまして、警察法五十六条に基づきまして十七万五千三百五十名の警察官に準用されますその基本が、そういうわずかの国家公務員の警察官を対象として構成されている点について、さらに検討を加えて、その勤務の実態に応ずべきではないかという点、並びに初任給並びに俸給構造が、間差額その他の問題からいたしまして、警察官は階級制度に縛られまして、巡査であれば一生七等級、こういう一つの拘束がございます。その点につきましては、非常に弾力性がございませんために、四十歳になり相当円熟したような警察官でありましても、だんだん間差額が落ちますために、その給与体系は非常に悪化をしてまいる、かように感ぜられるわけでございまして、その初任給並びにそういう俸給構造に改善を加えるべきではないか、ほかに夜間勤務等の特殊手当等についても考慮すべきではないか等の七点について勧告をいただいたわけでございます。その委員は、お手元の報告書の一番末尾にございますが、今井一男先生外民間有識者の方々によりまして御研究をいただいたわけでございます。  私どもは、これに基づきまして、国家公安委員長人事院総裁あるいは各関係大臣にいろいろ陳情を申し上げ、これについて深い御配慮をいただくべく努力をいたしている次第でございます。
  80. 古屋亨

    ○古屋委員 いま内容を聞きましたが、これに基づいてどういう措置を、どういう省にどういうようにとられているか、それを当局から簡単に御説明願います。
  81. 富田朝彦

    富田説明員 警察官の俸給表並びに初任給、俸給構造並びに特殊勤務手当の一部につきまして人事院総裁に、国家公安委員会並びに警察庁といたしまして要望をいたしております。なお、そのほかの超過勤務手当その他宿日直手当等の勧告事項につきましては、これは地方財政計画上処理いたさるべきものがございますので、それは今後大蔵省並びに自治省との間の地方財政計画の策定、あるいは来年度予算の策定の際にこれを実現をしてまいりたい、かような措置を講じつつあるところでございます。
  82. 古屋亨

    ○古屋委員 人事院のほうにお伺いいたしますが、いまのような警察庁からの申し入れに対しまして、中央、地方を通ずるような俸給表というのはどういうふうに考えられるか。私も私なりにいろいろ検討しておりますけれども、この申し入れを受けられまして、人事院総裁としてどういうふうにお考えになっておりますか、所見をお伺いしたいと思います。
  83. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 いまお話に出ましたように、公安委員長その他から十分御趣旨を承りました。いま御指摘の問題点もあるわけであります。これは先ほど警察庁の御説明にもありましたように、私ども立場は、国家公務員の一般職である警察の人を対象としておるということになりますと、実働部隊に当たるものは皇宮警察人たちしかおらぬということで、なかなかかゆいところに手が届かぬということは実際にあるわけであります。余談になりますけれども、交通整理の巡査があれだけ苦労しておるのに、なぜ交通整理の手当を出さぬ、冷たいではないかというおしかりを受けたこともございますが、われわれのお預かりしておる部面にそういう人がおらぬものだからというようなこともありまして、ここのところの限界につきましては相当矛盾を感じておることも事実でございます。  しかしながら、これは一般の地方公務員についても同様でございますけれども、人事院の勧告はやはり警察官を含んでの地方公務員にも準拠されるものだということを考えながらやるべきだというお声もございます。そういうワクの中で、できるだけの配慮はしてきたつもりでございますけれども、また今後もその趣旨で臨むべく決意はしておりますけれども、正面から中央、地方を通じた俸給表と法律的に打って出るということのためには、これはやはり公安委員長にもお話ししたのでありますけれども警察法か何かでちょっと法的に裏づけをしていただくと、非常にこれは伸び伸びといい勧告を申し上げることができるんだがという気持ちを持っておることはまた事実でございます。
  84. 古屋亨

    ○古屋委員 この問題について、自治省として財政的見地からどういうふうに考えておるか。これは警察庁から自治大臣に要望しておりますが、これに対して人事院の勧告、その他の問題とも関連がありますが、どんなふうに考えておられるか、それをお伺いしたいと思います。
  85. 長野士郎

    ○長野説明員 私どものほうも、警察官の給与につきまして、いろいろな改善の必要があるという警察庁御当局のお話は伺っておりますが、警察法にもありますとおり、警察官の給与につきましては、国家公務員の給与に準じて扱うということになっております。したがいまして、その意味では、地方独自の給与という問題で考えるという余地が原則的には非常に少ない。国家公務員に準じて考える、国家公務員たる警察官についての給与勧告の内容というものがどういうふうに相なるかということで、まずこの基本の考え方が出てくるんじゃないか、こう思っております。  それから、その他の手当等につきましては、毎年、いろいろな警察官の特殊性に基づきますところの手当その他の問題は、これは警察御当局ともいろいろと相談をしながらいままで進めてまいったわけでございます。今後におきましても、この活動の実態については、われわれも十分理解を持てる範囲については御協力申し上げたいと思っております。
  86. 菅太郎

    ○菅委員長 山口鶴男君。
  87. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 時間も限られていますから、端的にお尋ねをしたいと思います。  まず人事院総裁お尋ねしたいと思いますが、ずばり言うことばできない、鋭意科学的に検討中だということですが、どうも過去の人事院勧告の例を見ますと、労働省発表の民間の賃金の上昇を完全に反映しているとは思えないのであります。具体的に申し上げますならば、一昨年の人事院勧告、八%の勧告でございますが、労働省発表の春闘相場は定昇込みで二二・五%。八%の勧告に定期昇給の四%を足し、さらに公務員特有の暫定繰り入れを〇・七%と見て足しますと、一二・七%と相なります。したがって、春闘相場の一三・五%に比べますと〇・八%低い、こういう結果になっております。昨年の勧告はどうか、一〇・二%の勧告でありますが、昨年の春闘相場は一五・八%、定昇込みでございます。この一〇・二%に四%を足し、暫定繰り入れ分の〇・八%を足すと一五・〇%と相なります。したがって、これまた春闘相場に比較をいたしまして〇・八%低い、こういう結果になると存じます。今年の春闘相場はおよそ一八・六%に達するであろうといわれております。そういたしますと、昨年、一昨年の春闘相場から積算をいたしまして、人事院勧告が一%近くも低いのだというような形がことしも続きますと、公務員労働者批判というものは決して解消されないと思うのです。ことしも昨年、一昨年のように春闘相場より低目な人事院勧告が出るということはないのか、この点はいかがですか。
  88. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 お話の模様によりますと、だいぶ心細くなってまいりまして、大幅、高額の看板もおろさなければならないことになりそうに思いますけれども、しかし、私どものやっております民間企業の調査は、まあ一番精密な、広範囲なものという自信を持っております。いまの御指摘の点は、それはいろいろあります。たとえば大手筋だけをとらえた調査もございます。それは一概には言えませんけれども、大体私どもの直感いたしますのは、たとえば工員の方々が非常に上がった、職員の人たちは民間でそう上がっておらぬという場合には、私どもはラスパイレスで公務員の職員構成にこれを直して計算いたしますから、その数字のとおりの形は出てこない。構成によってそれだけの違いが当然出てくるというようなこともございまして、私ども調査は絶対に正しいという確信を持って今日まで来ております。その調査をもってして、実はことしどうなるという予測を申し上げたことはいままでなかったわけです。これは開票待ちということだけ申し上げておったのですけれども、まあことしのあの顕著な趨勢から言いますと、高額、大幅は大体間違いはない、大体どころか、確実だろうというようなことで申し上げておるので、その辺はわがほうの調査を十分に御信頼いただきたいということでございます。
  89. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 選挙と同じように開票待ちだというのですが、選挙につきましても選挙中マスコミ等はこれは当確であるとか有力であるとか、いろいろ報道されるわけであります。山中総務長官などは当確であって、そのまま当選されたのじゃないかと思いますが、それは別としまして、一八・六%民間賃金が上がった、定期昇給が四%、それから暫定繰り入れ分がことしは昨年の〇・八より少し多いとみまして、かりに一%と見て、一三・六、昨年並みに〇・八%低いと考えても一二・八%ぐらいの勧告にならぬと数字が追いつかないのじゃないか、従来どおりの例から推してですよ。そういう気がするのでありますが、一二・八かあるいは九になるのかあるいは七になるのか六になるのか、伝えられるように、五になるのか、その辺わかりませんが、おおよそその辺の見当は間違いないということはいかがですか。
  90. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 大幅、高額であることは間違いないということは、申し上げてよろしかろうと思います。
  91. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 いままでよりも最高になりますか、かつての例より。
  92. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 これは開票待ちでございます。
  93. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 次に、内容についてお尋ねしたいと思うのですが、住宅手当が前々から懸案になっております。調査の方法に二通りありまして、民間の状況全般を押えるか、あるいは、公務員と同じように、転勤のある業種を押えるかということで差がございます。転勤のある業種を押えますと、すでに四十三年から五〇%をこえておるわけですね。ことしは当然住宅手当は私は勧告する段階ではないかと思いますが、いかがですか。
  94. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 だんだんと民間調査の結果も上り坂になってきておりますから、いつ何どきこれが相当のところまで行くかもしれぬというかまえで従来、また問題としても非常に重要な、皆さんの御関心の問題でもありますし、検討を続けてきておるわけでございまして、その態勢は今日もくずしておりません。
  95. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうもこれまた開票待ちのようなお答えですので残念ですが、次に、昨年の勧告で、高年齢者については民間と公務員とはむしろ逆転をしている、こういう趣旨のことが書かれてあります。先ほど警察の問題が議論をされまして、警察官の特殊性の問題がお話にありました。公務員としてやはりいろいろな経過がありまして、私は、そういう実態になっておると思うのですね。したがって、警察官の給与を問題にするとすれば、これに類似の民間の職種というのはなかなかないと思うのです。そういう中で、やや政策的な検討というものもしたらどうかというのが先ほどの古屋委員の御質問の趣旨だったと思いますが、そういう意味からいって、高年齢者の問題も、単に民間と比べてこうだということは、やはり問題じゃありませんか。今日までの経過を踏まえますならば、私は、そういうことを軽々になすべきでない、かように思うのですが、いかがですか。
  96. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 これは一般の給与制度の問題として見ました場合には、やはり働き盛りの人と、そういう域をすでに卒業された人という問題になるわけであります。その点は、官民通じてやはり共通の原則で考えるのが当然じゃないかという見方ができるわけです。われわれ調べてみますと、たとえば、三十歳未満の人について官民を比べてみますと、民間のほうが一四%高くなっておる。六十歳以上についてこれを比べてみますと、十数%今度は民間のほうが低くなって、公務員が高くなっている。ということは、配分の問題といたしましても、やはり働き盛りの人たちに少しでもそういう原資は回して働いていただくべきじゃないかということは、常識論として出てくるわけでございます。そういうようなことも内容に入っておりまして、問題としては相当これは重要な問題ではないか。ただ、実施の面では、これは冷酷な形になる、非常に非人情な形になるということは、これはできるだけ避けなければならぬということは、もちろん、考えながら検討いたしておりますが、根本にはそういう問題があるということだけは、御了承を願いたいと思います。
  97. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 この問題を議論いたしますと、時間がかかりますから、また、人事院勧告が多分八月十五日とすれば、それ以前に地方行政委員会も開くことになりますから、その際におきたいと思います。  最後に、人事院総裁お尋ねしたいのは、四月で調査をしているのですから、さかのぼる時期は当然、四月一日がしかるべきではないか、そういう勧告を出すべきではないかと思います、理論的に。これはどうですか。
  98. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 近年、そういう御意見が出てまいりまして、私どもも十分念頭に入れて検討しておりますけれども、五月が間違っておる、四月が正しいというところまでの結論はまだ出ておりません。したがいまして、ことしの場合も五月ということになりましょうけれども、いまの問題としては、やはり検討は十分続けてまいりたいという気持ちでおります。
  99. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 どうも五月というその点だけは開票待ちじゃなくて、予告されたので、そういう都合の悪いほうだけ予告をされて、他の肝心のほうがどうも開票待ちということで残念だと思う。私は、やはりすべて開票待ちならば、さかのぼる時期も、五月にするか四月にするかということも含めて、今後検討するということでなければおかしいと思うのですが、どうですか。
  100. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 ちょっと早まった申し上げ方をして、これはまずかったと思います。今日から将来にかけて十分検討いたしたいと思います。
  101. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 総務長官、先ほど明確な御答弁をいただきましたが、実施の時期がこの四月になるか五月になるか、これはもうわかりません。そういうことを含め、完全実施の決意であることは変わりございませんか。
  102. 山中貞則

    ○山中国務大臣 私は予測をいたしておるわけでありますが、多分勧告は五月実施であろうと思っております。したがって、五月実施に対して完全にこれを受けていく体制をつくり上げつつあるわけでありますが、今後の問題点は、中のいろいろ議論のありました点の個々の問題点のとらえ方の問題、あるいは住宅手当の問題もありましょうし、私のほうは、法定外福利費についても、今年私自身のほうで調べてみようと思って、いま予算の準備を作業さしておりますが、これらの問題も私どものほうに入ってくると思いますが、もう一つの問題点は、やはり四月の会計年度の始まるというときから支給を開始すべきではないかという議論が大きな問題として登場するであろう。そのことについては、賛成、反対の議論の前に、当然その議論をわれわれはしなければならぬというふうに見ております。
  103. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 完全実施ということは、四月一日の勧告があれば、当然四月一日からさかのぼるというのが完全実施であることは間違いないわけでありまして、総裁の先ほどの御答弁もありましたので、この点だけはひとつ十分念頭に置いていただきたい。  それから、自治大臣がおられますからお尋ねしたいのですが、地方公営企業の職員も地方公務員であることは間違いないわけですね。したがって、従来から自治大臣も、地方公営企業の職員も地方公務員である、したがって、地方公営企業法には一つの縛りがあるけれども、しかし、同じ地方公務員として、国家公務員に準じて実施をするように努力したいということをかねがね申してきたわけです。昨年の人事院勧告、現在地方公営企業職員では一体どうなっておりますか。その上で、本年再びまた勧告が出るわけですが、公営企業職員についての扱いについては、私は当然完全実施を同じように準じてすべきであると思います。特に、比較をされる場合に、国鉄等の三公社五現業があると思います。それで、三公社の中でも、具体的に言うのは遠慮したいと思いますが、赤字会計で現に運営されている公社があることは事実ですね。そういうところでも、仲裁裁定は完全実施をされている。となれば、地方公営企業法で一つの縛りがあったとしても、当然三公社に準じて地方公営企業職員にも、人事院勧告を地方公務員が準じてこれを行なうと同様なことを行なう、こうなることが私は筋だと思います。この点はいかがですか。
  104. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 類似の公営企業については、企業の給与を参酌しまして、当然考慮すべきでありますが、問題は、例の十賃の措置であろうと思います。これがおくれておるわけなんです。この分につきましては、ひとつ極力おくれを取り戻すように事務当局にも命じ、いま極力検討をいたしております。なるべく、おくればせながら、解決するように前向きに努力いたしたいと思います。
  105. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 総務長官、そこにおられますが、給与担当大臣としてお尋ねしたいと思うのです。  地方公営企業職員は、昨年の人事院勧告、十賃がまだ片づいていないのですよ。公営企業職員と類似のものを見つけるとすれば、国の三公社、これが一番類似のものだと思います。それで三公社の中には会計が赤字のものがあるが、仲裁裁定は完全実施してきている。ただひとり地方公務員たる地方公営企業職員は昨年の十賃すらいまだ解決していない、こういう状況は私はまずいと思うのです。公務員の給与全般を担当する給与担当大臣として、ただひとり地方公営企業職員がいつもおくればせになっておる、不安定な状態になっておるということについてはどうお思いですか。これは当然解決すべき問題じゃないかと思うのですが、いかがですか。
  106. 山中貞則

    ○山中国務大臣 地方公営企業のうち、ことに交通企業を中心とする地方における独立採算その他の問題と現在の新しい交通事情の変化等によって、地方公務員たるの身分で当然享受すべき俸給体系なり改定なりというものがことにでこぼこがずいぶんございまして、顕著にその現象の見られる市も幾つか指摘できるという状態のまま、昨年のものがまだ解決していないという事実は私も承知いたしております。これらの問題は、それらの自治体の市長もそれぞれが自治省に対して改善計画なりあるいは再建整備計画なりを立てながら、自治省またそれに対して援助をしつつ何らかの具体的な、ひとしく地方公務員でありながら公営企業に従事するということだけでもって取り残されていくことについて、それを是正する努力がなされていると思いますけれども、なかなかこれが実際上整備計画といっても、それが人員整理を伴うのじゃないかとか、いろんな問題等が末端ではございましょうし、またそういうことをしなければ立て直しの不可能なものもあるかもしれない。不可能なままでそれをどうするのだという場合に、やめるというところに踏み切れないまま企業の面は続行されて、給与の面は取り残される。いろんな問題がそれぞれその場所ごとに感触を異にして存在しているだろうと思うのです。やはりこれは自治大臣のほうで中心になられて、私の給与担当大臣の姿勢としては、当然中央、地方を問わず、公務員たるものが受けるべき権利に基づく給与については、正常な形で正常な姿勢で支給されていくべきものであろう、それに向かって不正常な形であるものは努力してほしいという気持ちでございますが、いま地方自治体の中の、ことに市の段階に多いそれらの問題について、直接私のほうで自治大臣の域を越えてものを言うという気はございませんが、そういう願望は持っております。
  107. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 自治大臣、給与担当大臣としても、ただひとり地方公務員たる公営企業、特に交通関係の公営企業職員がおくれることは、やはり給与全般としては問題があるということについてはお認めになった。これを解決することがやはり正しいということですが、公営企業会計の再建計画の承認は自治大臣の権限です。したがって、直接的には自治大臣が再建計画の承認にあたってどう配慮するかということにかかってくる問題だと思うのです。いまの給与担当大臣の意見も受けまして、この問題についてはひとつ前向きで——昨年の十賃すら解決されていないということでは、これは遺憾だと思います。これを早急に解決することはもちろんですが、本年の人事院勧告、十一賃の問題についても早急に解決さるべきである、かように思いますが、重ねてひとつお考え方をお示しいただきたい。
  108. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 十賃につきましては、私の前向きの気持ちはこの委員会で申し上げたと思いますが、閣議におきましても、特に私は発言を求めまして、これら関係企業の再建整備計画につきましていろいろ関係省の御協力を求めなければならない場合もありますので、そういう御協力をわずらわしたい旨の発言をいたし、また事務当局にもこれが前向きに検討すべきことを命じております。十一賃につきましても、事の合理性に従いましてよく検討して、民間その他関係企業と同一歩調をとるべく前向きに努力いたすことはもちろんのことでございます。
  109. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 一つだけ質問して終わりたいと思いますが、従来の例を見ますと、三公社五現業の仲裁裁定を実施するかどうかという閣議決定の際に、例年自治大臣がいろいろ反対をされるというか、企業内容、特に赤字の多いところまで仲裁裁定を完全実施することについては問題があるというふうな、きわめて消極的な面で地方公営企業職員との関連の問題を発言していることは、私は非常に残念だと思うのです。そういうことではなしに、仲裁裁定を完全実施することは賛成である、同時にあわせて同じ立場にある地方公営企業職員についてもこれは完全実施すべきなんだ、こういう形で事を解決すべきであるということを、特に私の意見として申し上げておきたいと思います。御決意のほどはよくわかりました。  それから、実は地方行政委員会はこのあと沖繩問題を議論することになっているのです。ところが、山中長官は、国会の予定で沖繩問題の議論の際にはお見えになることは困難のようでありますので、ここでちょうどいい機会と言っては恐縮ですが、お尋ねしたいと思うのですが、山中長官が沖繩に参りましたあと、引き続いて私ども地方行政委員八名が参りまして、沖繩実情をいろいろと調査をいたしました。この問題がきわめて重要な問題であることは皆さん意見は一致していると思うのです。  そこで、沖繩タイムスなりあるいは琉球新報というような沖繩新聞等にも書かれておりましたのですが、佐藤内閣というよりは自民党内閣は、そのつどそのつど重要な課題をかかえていると思うのです。昨年の場合でいけば、大学問題が重要問題である、あるいは沖繩返還交渉が重要問題だということから、坂田文部大臣、荒木国家公安委員長、私ども立場から言えばいろいろ異論がありますが、お二人留任されました。愛知外務大臣も留任された。総裁公選もあるようですし、どうなるか、その辺は私もわかりませんが、自民党内閣が沖繩祖国復帰これこそ当面する重要問題だということになれば、当然沖繩担当の総務長官は留任してしかるべきではないか。またそういうことが琉球新報や沖繩タイムス等に出ておるので、沖繩の県民の方々もそういう御意向が相当あるのじゃないかなというふうに感じてまいりました。そういった沖繩人たちの期待、沖繩のジャーナリズムの期待、また私どもは政策的にはいろいろ異論がありますが、自民党内閣がこれは重要問題だということならば——私どもから見れば、荒木国家公安委員長が最適とは思いませんよ、しかし、自民党内閣とすれば、重要問題だから留任させたのだなということは、立場は違いましても、なるほどと思う点はあります。同じような意味で、この沖繩の問題を重大問題として自民党内閣が考えるとすれば、山中長官、留任するぐらいの決意を持ってしかるべきではないかと思うのですが、この点ひとつお伺いをいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  110. 山中貞則

    ○山中国務大臣 任命権者たる自民党総裁佐藤榮作という人物が、四選されるかどうかについて自分自身の意思を表明していない。その場合において、私を任命する者がだれになるのか、これは全くあいまいな話でありますから、見通しは皆無であるということでありますが、私は何月にかわろうとも、あるいは留任させられようとも、私自身の考えは、とにかく自分の任期中に、どなたにおかわりになっても、沖繩人たち地方財政を含む一切の復帰までの道のり、レールというものをきちんと敷いておいて、そしてあの沖繩人たちが安心されるようにしたいということで、目下全力を傾けておるということでございます。
  111. 菅太郎

    ○菅委員長 斎藤実君。
  112. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最初に、人事院総裁お尋ねいたします。  先ほど、給与勧告につきましては、公務員と民間のベースの差が非常に大きい、それで民間の賃金ベースに反映させるような大幅なあるいは高額なアップになるであろうという御答弁がありました。幅については目下作業中であるというふうな御報告がありました。一昨年八%、昨年は一〇・二%というアップでありました。このアップ率につきましては、一般的にいわれておることは、大体一二%前後になるのではなかろうか、こういうふうにいわれておるのですね。ですから、再度お尋ねいたしますけれども、ちまたでいわれておるように、一二%前後になるのか、あるいは一二%より大幅、高額に上回るのか、再度お尋ねしたいと思います。
  113. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 先ほど申しましたように、私ども調査はまあ正確を誇っておるということでございまして、これが集計の結果を見ませんと、お尋ねのパーセンテージの点は、予測しても意味のないことで、これは、いま私どもの持っておる手持ちの材料というのは、諸先生なり新聞社なり経済界の方がお持ちになっている手持ちの資料と同じものしかわれわれ持っておりませんので、それに対して権威ある判断をするということではないので、ああそうですかと、皆さまの御推測を承っておる段階だということを御了解願いたいと思います。
  114. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 給与の勧告については大体了解いたしましたけれども、本俸以外の諸手当についてはどういうお考えを持っていらっしゃいますか。
  115. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 これは、給与制度の基本の原則と私ども思っておりますのは、やはり本俸をあくまでも中心に考えていかなければならぬ、手当というのは、むしろ派生的のものだ、本俸の補いになるというようなものであると考えておりますから、したがって、本俸中心に考えます。しかし、一般の環境から見まして、あるいは特殊勤務、非常につらい勤務に服しておられる方の手当はこれでいいかどうかという問題もあります。先ほど来御指摘の住宅手当というような問題も、だいぶ関心も深まっておるし、民間でもだんだんとその採用率が上がっておるじゃないかというようなことも勘案しなければなりません。扶養手当は、昨年も相当手当てをいたしましたから、ことしのことはわかりませんけれども、そういうような添えとしての副次的な手当についても考慮を払いながら、全体として給与が適正にいくように、そういう心がまえで作業に臨んでおるわけでございます。
  116. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほど住宅手当につきましてはちょっと私聞き漏らしたのですが、検討したいという御答弁のように承ったのですけれども、やはり昨年もこの住宅手当についてはいろいろ問題になっておるのですが、再度この住宅手当についての考え方お尋ねしたいと思います。
  117. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 住宅手当は、ここ数年来、各方面からの非常に強い要望もございます。私どもとしても、給与制度の上では相当問題点として大きいものがあるということを考えまして、さればこそ、この住宅手当の関係の民間調査だけは毎年、ほとんどほかに例がないのでありますけれども、しつこいくらい毎年民間の情勢を追求してまいっております。したがって、それを見きわめながらということで、先ほどもちょっとお触れしましたように、われわれの研究も、もしも出すようになったらどういうふうに出すかということもずっと検討を続けておるという段階でございます。
  118. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 自治省にお尋ねいたしますけれども昭和四十五年度の地方財政計画及び交付税措置で、地方公務員の給与改定についてはどの程度の財源措置をされておりますか、御答弁をお願いします。
  119. 長野士郎

    ○長野説明員 年度中途の追加財政需要としまして、地方財政計画上千四百億円予定しております。
  120. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 自治大臣にお尋ねしますけれども、いま地方財政計画で一千四百億という財源措置をされておる。この一千四百億の財源措置による給与のアップ率はどれくらいになるか、御答弁をお願いします。
  121. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 大体八%アップに相当するものと思っております。
  122. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ただいま大臣から八%という御答弁がございました。人事院の総裁の答弁によりますと、相当大幅、高額なベースアップになるであろう。そうしますと、ただいま御答弁がありました財源措置ではかなりの不足が見込まれる。一体どういう措置をされるおつもりですか、お伺いします。
  123. 長野士郎

    ○長野説明員 昨年も、またその前もそうでございますが、年度中途におきまして給与改定が実施される、そして当初予定しておりますものをこえるというような場合におきましては、財源不足額をどういうふうに対処するかということでございます。これにつきましては、従来ともに、既定経費の節約、次には追加措置ということで国の予算補正を求めまして、そして財源の追加措置を行なう。あるいはまた、従来ともに、そういう措置を全然いたさない場合、たとえば起債その他を充当して措置をしたというようなこともございます。いろいろな措置は、そのときそのときの事情なりいろいろな状況によって変わるわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり国家公務員について給与改定が行なわれました場合には、たてまえとして地方公務員についても、これに準じて行なうことができますようにいたしますために、いろいろな方法がございますけれども、実施に支障の生ずることのないような財源措置を講じてまいりたい、こう考えております。
  124. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほど山中総務長官から、国家公務員の給与については完全実施したいという答弁がございましたし、地方公務員、国家公務員を問わず、やはり給与については完全実施をしてもらいたい。こういう意味で、最後に、自治大臣から、公務員の給与ベースの完全実施についての基本的なお考えを承って、質問を終わりたいと思います。
  125. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、今回国家公務員の給与改定についての措置に準じまして、これにならいまして地方公務員においてもその完全実施ができまするように、ただいま予定をいたしておりまする千四百億では不足を生じた場合は、百万手を尽くしまして、時宜に適した方法を講じつつ完全実施を必ず行いたいと思っております。
  126. 菅太郎

    ○菅委員長 門司亮君。
  127. 門司亮

    ○門司委員 人事院総裁一つだけ聞いておきたい。  毎年同じような答弁をされておって、大体聞かなくてもいいと思いますけれども、ただ、答弁を聞いておりまして、給与の概念というものがはっきりしないのです。いまのような、住宅手当がどうだ、交通費がどうだというようなもの、これは給与の中にある意味では含まれることはわかっておる。そこで、人事院としての給与の概念としてはどういうことを中心にお考えになっているか、それだけひとつ聞かしておいていただきたいと思います。
  128. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 かねがねお答えしておりましたところが合格いたしますかどうか別といたしまして、私どもは、率直に言えば、従来勧告で申し上げておったその内容にあたること、すなわち本俸を中心としながら、いまおことばにありましたような住宅手当であるとか何とか手当、いろいろございますが、そういう周辺のものまでも含んでこれを給与と考える。ただ、それに対立するものとして、しいて言えば、たとえば福利厚生関係というようなものがございます。これは相当緊密な関係がございますけれども、一応給与の概念からははずれるものと考えてよくはなかろうか、そんな程度の考えでおるわけでございます。
  129. 門司亮

    ○門司委員 私がそんなことを聞きましたのは、人事院ができた経過ですね、公務員からストライキの権限を取ったのである、そのかわりにということ。こういうことで、したがって、全体の経済組織というものの中からものが考えられなければならない、こう考えておるのでありまして、私は、むろんそれは役人としては本俸を中心としてということになろうかと思います。しかし、その時代時代でいろいろなものが要求されてまいります。このごろは住宅、それから交通なんというのは非常に大きな問題でありまして、働く者にとってはかなり大きな問題です。当然これらのものがある程度給与の中に考えられるということ。もしそれが給与の中に考えられないとするならば、特別のもの、こうすべきであるという具体的な勧告を人事院はすべきではないかということが考えられるわけです。むしろ本給を一応定めて、そしてあとは具体的なものとして住宅手当をこうしなさい、あるいは通勤手当をこうしなさいというようなものが出されれば、給与自身としても非常に明朗なものができはしないか、それからその時代時代に即応したものの考え方ができはしないか、こういう考え方を持つのですが、その点でもう一度ちょっと。
  130. 佐藤達夫

    ○佐藤説明員 基本的にはおっしゃるとおりの考え方でおります。本俸中心主義といいましても、たとえば通勤費が運賃値上げで非常にかさんできたというような場合には、それを手当てせずに放置するというわけにはいきませんし、住宅手当の問題なども、御要望はそういう点に着目しての御要望であるわけで、われわれも決して無視はしておりませんので、したがって、本俸中心主義で、手当は従のものだ、付随的なものだという気持ちは持っておりません。ただ、私ども考えますのは、給与というものが一つのワク、たとえば官民格差が一〇%出たというような場合に、それを配分する面から申しますと、たとえば住宅手当の問題にいたしましても、住宅手当はことしも見送りだ、かねてそういうことをやってきたわけですけれども、その場合に、その分はそれじゃ全然ネグレクトされているかというと、配分問題としては、結局、本俸の中に入っておるのだ。これは扶養手当でも同様でございます。ですから、どこかには入っておるという見方はできますけれども、しかし、いまのお話しのように、社会環境の変化によってこれを特別に抜き出すのが正しいということに決断がつきますれば、それはもう進んでそういう措置をとるというかまえでおるわけでございます。
  131. 門司亮

    ○門司委員 これは御答弁は要求いたしませんが、それと同じような問題で、国会議員さんはたくさん外国においでになるから皆さんおわかりになると思うのですが、在外公館の役人というのはかなり窮屈な給与体系であるようですね。これも国でいろいろ違いますから、特に高度な生活を要求されるところと、必ずしもそうでないところといろいろありますけれども、やはりこの辺も、そういう給与自身の中については何かものさしというものがあって、そして画然としたものが要求される時代ではないかと考えるのであります。まあ、在外公館は外務省関係の諸君あるいはその他の役所の諸君がたくさんいるようですけれども、聞いてみると、あまり給与がよくないようですね。幾らか手当はよけいもらっておるけれども、満足な生活をするのにはアルバイトをしなければならないという者もないではないわけであります。この辺もひとつ考慮しておいていただきたいと思います。  それからもう一つは、資料を出していただきたいのです。これはごくおかしなことであって、変にお考えになるかもしれませんが、幸い総務長官から、ことしは完全実施する、こう言われておりますので、これの参考に資料を出してもらいたいと思うのですが、人事院勧告が始まって今日まで、一体給与の実施状況がどうだったかということです。私ども毎年毎年これにぶつかるわけでありますから、知っていなければならぬはずでありますが、案外覚えていないのですね。そして、完全実施をされるのは二十年目かあるいは十八年目か知りませんが、やっと完全実施にこぎつけたという歴史的な過程を少し調べてみる必要があろうかと思いまして、これは表にして出していただけばよろしいかと思います。  それからその次に聞いておきたいと思いますことは、すでに皆さんからだいぶ聞かれておりますので聞く必要もないかと思いますが、自治省に一応聞いておきたいと思いますことは、地方の公共団体には人事委員会を置いてもよろしければ置かなくてもよろしい、こういう規定になっております。一体、人事委員会を持っている自治体がどのくらいありますか。
  132. 山本明

    山本説明員 お答えいたします。  府県は全部人事委員会を持っております。それから六大都市が設置いたしております。それから任意設置のところでは、仙台市が設置をいたしております。それ以外のところはございません。
  133. 門司亮

    ○門司委員 私がこういうことを聞いておりますのは、地方公務員法の二十六条には、人事委員会はその年の状況等について、こう書いてありますね。「給料表に関する報告及び勧告」として、人事委員会は毎年少なくとも一回、給料表が適当であるかどうかということを勧告する、こう書いてあるのですね。そういたしますと、いまお話しのように、四十六の都道府県と、六大都市を入れましたところで五十二、それに仙台を入れて五十三くらいしかないのですね。あとの三千幾つというものは人事委員会を持っていないというようなことで、一体地方公務員の適正な給与体系がつくれるかということです。これは自治省はどういうふうにお考えですか。この状態でよろしいとお考えですか。
  134. 山本明

    山本説明員 大体地方の給与というものを検討いたしますときに、町村の場合におきましては、その地域の民間との問題というものがございまして、ある程度そこに狭い範囲の中で給与というものはおのずからきまってまいりましょう。それに基準として国家公務員の例によるという大綱がございますので、それによって実施されていく。県とか六大都市というかなり多数の職員を持ちますところでは、これはやはり民間の企業との関係におきましてある程度の差が出てくる、こういうことで法律体系はできております。ただ、最近の傾向としては、自治省で御検討願っております地方公務員給与問題研究会、ここでは人事委員会というものはもう少し広域化したらどうか、特定の市町村だけに置かずに広域化して、そうして民間の給与との関係を検討したらどうか、こういう考え方も実は出てまいっておるのでございます。われわれといたしましては、当面のところは現在の制度でやむを得ないのではないか、こういうふうに考えております。
  135. 門司亮

    ○門司委員 そうすると、地公法の中で、いわゆる公務員給与の関係のところにあります二十六条の趣旨とは非常に違うわけであります。二十六条をここに設けたということは、一年に一回調査をして適当であるかどうかということを勧告しなさい、あるいはこの条文をはっきり読めば、市会並びに市長に報告せよ、こう書いてある。こういう法律を設けたのは、いまお話しのように、おのおのの自治体はみな違うわけなんです。東京の給与とどこかずっといなかの給与と同じでいいという理屈は成り立たぬ。したがって、給与体系をどうするかということについては、ある程度自治体自身がものを考えて決定をするということがむしろ基本的な要素であります。前条にありまする人事委員会を置かなくてもよろしいという規定は便宜的の規定で、私はあれはたしかあとから入れた規定だと考えております。そういうことで、できれば私は、この給与体系を自治体の実態に即応をするようにするには、少なくともでき得る限り人事委員会を置いて、そうしてこの給与の体系というものを、住民の生活水準と地方公務員の生活水準ということばはどうかと思いますが、それと一致させていくというところに、地方行政の私は妙味があるんだと思います。住民と何ら関係がなくて、国家公務員がこうきまったから職員はこうきめるんだ、県の職員がこうきまったから職員はこうきめるんだというようなことでは、私はほんとうの意味の行政の運営はできないんじゃないかというように特に感じますので、これ以上ここで議論はいたしませんが、ひとつ時間もございませんので、考えておいていただきたい。  それから最後に、もう一つ自治大臣にお伺いしておきたいと思いますが、失ほど同僚の山口君からの御質問の中に、公営企業に対しまする給与の問題があって、そうして、赤字を出しているからといってまだ去年の問題が解決しないで、ストライキをやっているようなところがないわけではございません。この問題についての自治省の考え方をここで私はただしておきたいと思うのです。なるほど公営企業自身が独立採算制をとっておりますので、赤字ができれば、それはまあその中でという形になっております。しかし、公営企業自身の性格というのは決してそういうものではなくて、地方の公共の福祉のために、あるいは住民の利便のためにつくっておる一つの業態であります。同時にまた、公営企業がふさわしいとして今日までこれが行なわれているわけでありまして、言いかえますと、きわめて公共性の強いものでありまして、ある意味においては、住民の要求である。したがって、その事業自体がたとえ赤字であろうと黒字であろうと、やはり住民の要求にこたえて一つの企業体というものが動いておるということに考えても間違いはないんじゃないかと私は考える。そう考えてまいりますと、今日のように、非常に激しい——ことに交通関係のように、規定の時間あるいはきめられた運営ができない。自動車が一ぱい通っておって、バスといったところで満足に走れない。ことに軌道なんというのは、そこらじゅうゴーストップがあって、とにかく十六マイル出てもいいのが、八マイルかあるいは三マイルくらいしか出ないということは、これは社会的現象なんですね。これは一体公営企業が責任を負うべきかということなんです。しかも公営企業を運営しておる従業員がその責任を負うべきかということなんです。そういうふうに考えていきますと、公営企業については、なるほど独立採算制というものがあるから、それでやっていきなさい。あるいはこれを再建整備団体というような形に自治省が認定して、そうしてこうしなさいああしなさいということで、指導するということは一応いいといたしましても、働いておりまする者の給与に関して、一体十分な処置ができないということは少し私は筋違いじゃないかと考える。なるほど企業の内容が非常にずさんであって、そうしてむちゃな給与が払われているというなら、これはある程度是正する必要があるでありましょう。それは当然だと私は考える。しかし、一般の人事院勧告それ自身が、たとえば物価が上がったとか、あるいは生活の費用が非常に高くなったというような、切実な人間の生活を基本とした社会情勢に応じて勧告がなされている状態ですから、その中でただ、そういう意味で、社会的の現象からくるやむを得ざる赤字だとあるいは言えるかもしれませんが、必然的のそういう苦しい経営の中におる従業員に対して、企業が赤字だからどうもベースアップは困るというような行き方は、私は少し行き過ぎじゃないかと思うのですが、その点は自治大臣はどうお考えになりますか。最後にこれだけ一つ聞いておきたいと思います。
  136. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 御議論の点は、現実的にはなかなかデリケートなむずかしい問題を含んでおります。公営企業についてば、一つの公共事業としての使命と、それからやはり事業であるから一つの独立採算制を十分考慮しなければならないという企業サイドからの考え方、私はどちらにも偏し得ないものがあって、やはり現実的には、この調和、調整をはかるべきものである。確かにおっしゃるように、都市交通、電車、軌道等の従業員におきまして、一般の事情から、公営企業に従事している従業員の責任範囲を越えている部分もあろうかと存じます。さればといって、独立採算性の考え方を全然考えなくてよろしいというわけにいかない、現実の事態に即して調整をはかるということが必要と考えております。この問題は、なお十分検討させていただきたいと思っております。
  137. 門司亮

    ○門司委員 もう一つだけですが、いまの御答弁はきわめてあいまいな答弁であって、そういう答弁しかできないかとも思いますが、実際の問題としては、すでに本年人事院勧告が来月出るという事態に、まだ去年、まごまごしているとおととしのも十分に片づいていないというような実態はあまりいい形ではありません。そして迷惑するのはだれかというと、住民です。住民のための機関であって、その住民のための機関が、社会情勢によって独立採算に赤字が出たからといって、それがまた今度はストライキやその他によって住民に御迷惑をかける。こういうことになってまいりますと、ほんとうにいまの独立採算制自体というものは、少し考え方を直してもらわなければならぬようになるのではないかと考える。私どもは、したがって、独立採算制が必ずしもいいか悪いかということは、これから先多少まだ議論がございます。公共性がどの程度まで優位に考えられて、どの程度まで独立採算制でいいかということは考えられる。しかし、こういう問題について根本的に掘り下げて考えると、議論が非常に長くなってまいりますけれども、私は大臣の答弁としてはいまのような抽象的なことでなくして、その点は少なくとも処置のしかたは、忠実に働いている従事員が、そういう社会現象からくる一つの圧迫で、生活の保障が得られないということは、これは公共体として私はやるべきものではないと考えております。公共体である限りにおいては、やはり全体の責任の上においてこれをまかなっていくべきが当然であります。したがって、そうやかましいことを言って、去年もおととしもまだベースアップも困難だというようなばかげたことのないように、ひとつ十分自治省として考慮していただきたいと思いますが、これには特別に御答弁は要求いたしません。お話を申し上げて、質問を終わりたいと思います。
  138. 菅太郎

    ○菅委員長 午前に引き続きまして、一般質疑を続行いたします。桑名義治君。
  139. 桑名義治

    ○桑名委員 最初に、各地方におけるローカル線の空港の問題につきましてお尋ねをしておきたいと思います。  現在、科学性が多々論議されておる時代におきまして、有視界飛行を続けなければならない実情の空港が日本の全国に多々あると思います。こういった問題は、生命の尊重の立場から考えましても、あるいはまた時代の趨勢から考えましても問題である。今後は航空時代である、こういうふうな時代を迎えているにもかかわらず、このような有視界飛行を続けなければならないという実情にあるわけでございますが、現在、二種空港の中で有視界飛行を続けておる個所はどのくらいの数を占めているか、まずお聞きしたいと思います。
  140. 丸居幹一

    丸居説明員 二種空港の中でただいまILSを設置しております飛行場は、名古屋空港だけでございます。PARという計器着陸装置を設置しておりますのは宮崎空港だけでございまして、二種空港でただいま設置されておるのはこれだけでございますが、いまから五カ年計画で設置をしつつある飛行場がございますが、それは函館、仙台、松山、熊本、大分、鹿児島の各飛行場でございまして、これはここ一、二年の間にILSが大体設置される予定になってございます。
  141. 桑名義治

    ○桑名委員 航空機事故の問題は、言うまでもなく、非常に悲惨な状態を巻き起こすわけでございます。そういった意味からも、現在は、多少のお金をかけるならば、完全な設備は整うわけでございます。電波誘導の離着陸のために諸施設の完備を早急に進めていくべきである、このように思うわけでございますが、これについての費用は概算どの程度かかるものでありますか、その点について伺っておきたいと思います。
  142. 丸居幹一

    丸居説明員 計器離発着装置といいましても、いろいろございまして、また計器そのものは同じでございましても、飛行場によりまして、山があるとか、あるいは煙突等を非常に多く持った工場がある地点にあるとかというふうな場合、その他いろいろございますので、一がいには言えないのでございますけれども、大体において計器だけをつける場合ですと、三億程度あればつくと思います。ただ、いままで計器離発着ができる飛行場でないものを新たに計器離発着飛行場にする場合は、たとえば千二百メートルぐらいの滑走路でございますと、少なくとも千八百ぐらいにしなければならない、できれば二千メートルぐらいに延長しなければならない。二千メートルに延長いたしますと、千二百メートルの場合は滑走路の幅が三十メートルでございますけれども、少なくとも四十五メートルぐらいの滑走路幅にしなければならない。したがって、大型機が入ってきますと、その滑走路の舗装厚なんかもそれに応じてふやさなければならぬ。そういったことまで合わせますと、やはり何十億という増額になる場合もございます。ですから、一がいには申せませんけれども、計器だけで申しますと、さっき申しましたように、約三億だと思います。
  143. 桑名義治

    ○桑名委員 さて、私の地元の話でまことに申しわけない話でございますが、小倉の曽根空港でございますが、北九州の圏域内の空港でもありますし、今後の周防灘の総合開発とも伴いまして、この空港に対する需要度は非常に高まってくると思います。あるいはまた山口県の一部からも需要が当然なされると思うわけでございますが、この曽根の飛行場は三方を山に囲まれておりますし、非常に地理的条件が悪いために、就航率が、全国平均九五%に対して約八三%という就航率を持っておるわけでございます。九州の中でも航空の不安定さは九州一である、こういうふうにいわれているわけでございますが、この曽根の空港につきましては、私たちもときには利用するわけでございますが、少し雨が降ると、もうすぐ飛行機が欠航になる、こういうことで、地元でも当てにならない空港ということで非常に有名でございます。それに伴いまして、先ほどから話が出ておりますが、たとえば進入灯あるいはローカライザーあるいはミドルマーカーあるいはガイダンスライト、こういった一連の発着陸に必要な設備等もされていない。しかもまた、先ほど申し上げましたように、地理的な悪条件のために、練達の航空士でさえも同所への着陸を忌避する、こういうふうな状況にあるわけでありますが、この小倉空港のようなこういった問題は、ただ単に設備が悪いということにとどまらず、いつ事故が発生するやもわからないというような状況下にあるわけでございますが、このような空港に対してこそいわゆる人間尊重の立場から考えた場合には、早急に設備を整うべきである、このように考えるわけでありますが、丸居行場部長はどのように考えておられるか、その点について伺っておきたいと思います。
  144. 丸居幹一

    丸居説明員 小倉の飛行場の就航率が悪いという話でございますが、これは先生指摘のとおり、全国でもしりから一、二という就航率の非常に悪い飛行場でございまして、何とかこれは——小倉の飛行場は利用者も相当多いのではないか、潜在需要も相当あるように思いまして、何とかこれをよくしなければならぬというふうに考えておるのでございますが、先生御承知のように、三方山に囲まれておりまして、飛行場設置の条件としては非常に悪いところでございます。それで完全にいい飛行場になるかどうか非常に疑問なんでございますけれども、しかし、とりあえずもう少し就航率が上がる方法はないかというので、せんだって来いろいろ検討しておったわけでございますが、その結果、一時ちょっと就航率は非常に困難かもしれぬというふうに考えておったのでありますが、最近計器そのものも非常に性能が高まってまいりましたので、こういう装置をつければかなり上がるというふうに結論づけられましたので、それをただいまから実行したいというふうに考えておるのであります。  その方法は、ILSのローカライザーというものを一つ設置していこう、それからもう一つはNDBをひとつつけよう、それから両端にマーカーを設置しよう、それからもう一つ、山がありますので、山をすっとよけて入らねばならぬから、ガイダンスライトをつけよう。この四つのことを実行すれば、就航率が九五%くらいまでは上がるのではないかという計算をいたしておりますので、九五%まで就航率が上がりますと、大体ほかの飛行場と平均のとれる程度になりますので、こういう処置をとりたいといま考えております。
  145. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほど私も申し上げましたように、進入灯あるいはローカライザー、ミドルマーカーあるいはガイダンスライト、こういった設備をつけるとするならば、地元のほうで考えておるのは、約二億六千万くらいではなかろうか。それで四十六年度には二億四千七百万程度の予算を計上していただきたい、こういうふうな要望があるわけでございますし、板付空港の場合を考えてみましても、もう相当飽和状態になっているというのが実情でございますので、地元の需要という面から考えた場合にも、ぜひともこの小倉空港を何とか早急にそういうように就航率を高める方向で考えていただきたい、このように思うわけでございますが、いま飛行場部長のおっしゃった中で、ローカライザーあるいはマーカーあるいはガイダンスライト、こういったものをつけるように検討している、そうすれば九五%の就航率、大体全国平均の就航率に高めることができるということでありますが、これは大体いつをめどに取りつける予定でございますか。
  146. 丸居幹一

    丸居説明員 さっき申しましたローカライザーは、実は羽田のほうに余分が一つございまして、余分が一つ出てくる予定でございますので、これは一ときも早くつけたいというので、ただいま用地等について場所を検討いたしておりますので、これは早急につけられると思います。それからその他のものにつきましては、やはり予算措置が必要でございますので、なるべく早くその措置を講じたいと思っておりますが、できれば四十六年度に予算化してやりたいというふうに思っております。
  147. 桑名義治

    ○桑名委員 ローカライザーについては速急につけるというお話でございますので、非常にありがたいと思いますが、ほかの設備の点につきましても、極力四十六年度を目ざしてひとつ設備を整えていただきたい、これを要望しておきます。  と申しますのは、先ほどから申し上げますように、この曽根の飛行場は三方を山に囲まれて、地理的条件が非常に悪いという条件を持っておりますし、あるいは福岡県内における北九州の位置づけというものは非常に大きなものがございますし、そういった今後の発展と、それから人間の生命の尊重という、いわゆる事故を未然に防ぐという立場から申し上げているわけでございますので、この点については、いま御発言のおことばをさらに強力に推進していただくように要望しておきます。  さらに、先ほど申し上げたように、周防灘の総合開発ともからんで、今後の小倉空港の需要は非常に高まっていく。それとともに今後の地元の発展にも大きく寄与するものでありますけれども、現在の場合はYSが発着陸するだけで、ジェットの着陸が非常に不可能でございます。そういった将来の展望に立った場合には、現在の千五百メートルを少なくとも約三百メートルの延長をしていただかなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけでございます。ジェットは約二千の滑走路が要るというお話でございますが、宮崎の場合は千八百でジェットも発着陸をやっておる模様でございますので、最小限三百メートルの延長をやらなければならないのじゃないか、こういうふうに思うわけでございますが、地元としましても、地元負担の四分の一の費用はいつでも準備をする、こういう気がまえでおりますので、この三百メートルの延長についても考えていただきたいと思うわけでございますが、その点についての飛行場部長の所信を伺っておきたいと思います。
  148. 丸居幹一

    丸居説明員 ジェットが着くようにするために、三百メートル延長をしなければならぬわけでございますが、確かに先生のおっしゃるとおりに、小倉の持つ経済の発展性その他を考えまして、私は先生のお説のとおり、ここにジェット機が導入できるようにしなければならぬというふうに考えておるのでございますが、しかし、航空会社あたりといろいろジェット機の導入について相談をいたしてみますと、ただいま申し上げましたのはYS11が入るのについてあれだけの施設をすると、九五%くらい就航率が確保できるということなんでございますが、ジェットにこれを切りかえますと、就航率がまたちょっと落ちるようでございます。そういうことになりますと、ジェットというのは運航単価もかなり高くつきますので、航空会社としてはもう少し、ジェットを入れても九五%程度の就航率を確保できるような方法を種種検討した上でやってほしいというふうに申しておりますので、来年度あたりからただいま申し上げましたような計器を設置すると同時に、その様子を見ながら調査いたしまして、これだけやればジェットが入る、あるいは方法等についてもう少し考えなければならぬかどうか、あるいはもう少しガイダンスライトをつけなければならぬかどうかというふうなことも検討して、航空会社がこれならジェットが入れるというふうに判断をするような状況で滑走路の延長をしたいというふうに、ただいまのところは考えております。
  149. 桑名義治

    ○桑名委員 先ほどの問題にさらに返っていきたいと思いますが、先ほどの部長の答弁の中で、五カ年計画をもって計器を取りつけるようにしているというお話でございますが、いずれにしましても、現在の段階では五カ所の飛行場ですね、いま五カ年計画等で準備されているのは。大体二種空港というのは全国でどのくらいあるのですか。
  150. 丸居幹一

    丸居説明員 二種空港は全国で十七ございます。
  151. 桑名義治

    ○桑名委員 十七の二種空港の中で名古屋と宮崎が一応備えてある。あとの分はいまから備えるのだ、こういうことでございますが、五カ年計画とはいいましても、飛行機事故というのは、先ほど申し上げたように、非常に悲惨な状態を巻き起こしますので、ひとつこの五カ年計画を少しでも早める方向で最大の努力をしていただきたいということを最後に要望申し上げて、終わりたいと思います。  次の問題に移りたいと思います。  まず現在日本の中で一番問題になっているものといえば、これは公害問題ではなかろうかと思います。公害問題の中でも一番最初に問題になりましたのは、やはり大気汚染から入りまして、最近は水質の汚濁の問題が焦点になっているようでございます。しかしながら、そういった大気汚染のあるところは必ず水質の汚濁問題が並行的に起こつている。地域住民は水と大気と両方から非常に苦しい思いをしているのが実情であります。この大気汚染についても、水質の保全の問題につきましても、現在一応の手は打たれているようでございますが、この大気汚染を未然防止するあるいは未然に察知する、こういった立場から、いわゆる観測所の占める位置づけというものをどのようにお考えになっていらっしゃるか、その点をまず伺っておきたいと思います。
  152. 岡田茂秀

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、公害問題、その中でも特に大気汚染というふうな問題が重要なことはお説のとおりだと思います。その大気汚染に対してどういうふうに観測するか、あるいはまた予知するかというふうなことにつきましては、気象庁といたしましても鋭意検討いたしておるわけでございますが、現在のわれわれの知識でどこまではたしてお役に立てるのであろうか、あるいはまたどこまでお役に立つべきであろうかというふうな問題もございまして、現段階で確たる方針は残念ながら持ち得ない状態でございます。ただ、さりとて重要性にかんがみて、われわれが現在やり得る範囲内でそれぞれの関係のところと御相談しながら、あるいはまた外郭団体等を通じて協力し、御助言申し上げておるというふうな段階ではないか、かように考えます。
  153. 桑名義治

    ○桑名委員 そうしますと、いまのお答えの中では、いわゆる大気汚染の未然の察知あるいは防止については、気象庁としては自分たちにどの程度の責任といいますか、あるいはまた分野といいますか、そういったものがあるかということは不明確である、そういうお答えであったと私は解釈せざるを得ないわけでございます。しかしながら、たとえば北九州の問題を見てみますと、最近起こったのでは、いわゆる逆転層が生まれまして、ばい煙が上に逃げないで下に沈んでしまったというような状況が起こったわけです。こういった逆転層を早く察知するためには、どうしても観測所が必要ではなかろうか、こういうふうに思うわけです。そういった一つの例をあげてみたわけでございますが、そういった立場から考えましても、公害で悩まされている工業地帯におきましては、必ずぜひ観測所をつくっていかなければならないのじゃないか、さように思うわけですが、気象庁の御所見を伺っておきたいと思います。
  154. 岡田茂秀

    ○岡田説明員 大気の汚染というふうなものが逆転層と非常に関係深いということは、御説のとおりだろうと思います。そうだといたしますと、逆転層というふうなものがどういうふうにして発生するのであろうかということをまず突きとめておくことが必要だろう。突きとめるためには、先生指摘のように、一つは観測という方法もあろうかと思いますが、でき得べくんば、それが早く予知できるということがなお望ましいのではないかというふうに考えるわけでございます。  さようなものがなぜできるかを予知するということになりますと、これは口幅つたい言い方になるかと思いますが、大気の中の現象というのは、非常に広域のところからだんだんの影響を受けてさようなものができるわけでございます。したがって、いわば北九州市の逆転層についても、たとえば日本の気象状況がどういうふうに推移するだろうか、またその中において九州方面がどうなるだろうか、その中においてまた北九州地区がどうなるだろうかというふうなことを考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。  当面、われわれとしては、やはり第一義的には、国民全体から御批判もあり、御要望もある国全体の予報がどうなるか、また台風の進路あたりがどうなるかということにまず固有の任務として力を注がなければならない、と同時に、さようなものの解明を通じながら、局地的なものもだんだんわかってくるというふうに考えるわけでございます。したがって、それらを大局的に観測し、大局的に解析する、それと局地的に観測し、局地的に解析をする、その辺の調和を保っていくことが必要なのではないだろうか、また漸次そういうふうに考えていかなければならないのじゃないかというふうに考えております。
  155. 桑名義治

    ○桑名委員 公害の発生といえば、川崎方面あるいは尼崎方面あるいは北九州、こういうふうになるわけでございますが、そういった方面では、そういう逆転層の問題を解明するためにどれだけの努力を払い、また測候所があるかどうかという問題にも入っていかなければならないと思うのですが、そういった面からも、気象庁としていわゆる公害を追放するという最大の努力を払っているかどうかというこの姿勢がまず問題になるのじゃないかと思うのです。  そういった面からいいますと、そういった地域の中には一カ所だけ測候所がある、こういうふうにいわれております。また北九州の例をとりますと、ことしに入りまして注意報が発令されたのが十八回であります。それから警報が九回という多数に及んでおるわけでございます。そうして、新聞紙上でも、また昨日の夕刊にも発表になっておりましたが、国会の論議の中に洞海湾のいわゆる汚濁が問題になっておる。それこそ上からと下からと踏んだりけったりの状況にある。そうしまして、現地といたしましては、何とかこの問題と取り組んでいかなければならないということで、テレメーターの設置を急ぎまして、一応現在テレメーターもついておる。だから、地上から低いところにおける大気の汚染の測定についてはある程度察知することができる。ところが高い部面における、先ほど申し上げたいわゆる逆転層あたりになりますと、こうなってくると、どうしても測候所がなければならないということで、地元としてはことし一千二百万円の予算をかけましてミニ測候所をつくっているのが実情でございます。  そういうように地元としては非常に意欲的に動いておるし、やむにやまれぬという気持ちでこのような測候所をつくったわけであります。そういった一連の各地方自治体の動きの中で、気象庁としての動きが非常に弱いのじゃないかと私は思う。考え方が、おれのところとあまり関係なさそうだというようなニュアンスを私は受けるわけでございますが、そういうように、地元が真剣に測候所の設置というものを望んでおるわけでございますが、全国的にそういう工業地帯あるいは公害の被害を受けておるところに対して測候所を設置するという意思があるかどうか、あるいはまたそういう計画を立てる意思があるかどうか、その点について伺っておきたいと思います。
  156. 岡田茂秀

    ○岡田説明員 まず全国的な問題と北九州市の問題があろうかと思いますが、北九州市の問題については、先生指摘のように、北九州の市長さんの強い御要望がある。また地元関係の御要望があるということを承知しておりまして、実は市当局と私たちは御相談申し上げております。当面の対策としてどうするかということで、少なくともわれわれの官署である管区気象台がもよりの福岡にございますから、そのほうでいわば適当な技術的な御指導とかあるいは御助言をする、御協力をする。またその一官署において、われわれだけではやりにくい点がございますので、外郭団体としてございます気象協会というふうなものが一枚かんで当面の対策に当たっておるというふうな状況でございます。  それからまた、全国的な問題につきましては、先ほども申し上げましたように、いわば気象庁自身も一つの大きな転機に来ているのではないかと思います。といいますのは、先生いま御指摘のように、公害とか、その他瀬戸内海あたりの霧の予報をやったらどうか、あるいは北海道の流氷観測予報をやったらどうかというふうな、いろいろの新しい御要望が出てまいりました。いま一つは、従来から気象庁が固有の仕事としてやっている天気予報あるいは台風予報等につきましても、ようやく技術の進歩等と相まちまして、ある程度先にはかなり精度が高いものができるのではなかろうかというふうな考えといいますか、感じも出てまいっております。したがって、いわばそのほうの充実もはからなければならない。しかし、反面御承知のように、組織とか定員の増強というふうなものは非常に抑制されておるというふうな現状でございますので、これらをどういうふうに調和させるかということを考えなければならない。その上で全国の気象官署の、場合によっては、再編成というふうなことを検討しなければならない時期にあるのではないか。いわばそこらの一環としてさような問題を今後なるべく早い機会に検討し、結論を出してまいりたい、かように思っております。
  157. 桑名義治

    ○桑名委員 答弁の内容については、私も理解できるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、いわゆる大気汚染の公害の問題に対しては、測候所の占める分野というものはいまや脚光を浴びつつある時代ではないか。そういった意味で、どこか一カ所だけでもまず測候所を設置して、今後の公害の対策の一翼をになう、そういう強力な姿勢こそいまは必要な時期ではなかろうか、こういうふうに私自身も強く思うわけです。そういった意味でも、また北九州の話になって何でございますが、北九州市としては約三千三百平方メートルの土地はいつでも確保するというような強い姿勢を示しておりますし、皆さん方のところにも前々からいろいろと要請もしているわけでございますので、大気汚染のいわゆるテストケースとしてでも早急につけることはできないものだろうか、このことをもう一回だけお尋ねしておきたいと思うのです。
  158. 岡田茂秀

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  北九州市に試験的に置いてみたらどうかということ、これは新しい組織の設置でもございますし、また、それには人を伴うことでございます。したがって、私がここで確たる御返事を申し上げることは残念ながらできない事情にあるんではないかと思います。ただ、公害問題というふうな問題に気象庁がどう取り組むかという、取り組み方の一つの方法としては、非常に御示唆ある御提案、お話ではないかというふうに思いますので、私たちも持ち帰りまして検討させていただければ、かように考えるわけでございます。
  159. 桑名義治

    ○桑名委員 では、終わります。
  160. 菅太郎

    ○菅委員長 門司亮君。
  161. 門司亮

    ○門司委員 最初に、消防関係に聞いておきたいと思いますが、これはすでに消防庁の長官には電話で一応内容を話しておきましたので、ここでくどく内容を説明する必要もないと思います。  御承知のように、消防本部及び消防署を置かなければならないということ、いわゆる消防に対しまする能力の充実化のためにいろいろな方法が講じられているわけでありますが、これに従って各市町村では、全国的にと言ってもいいと思いますが、おのおの対処すべく準備を進めていると思います。   〔委員長退席、古屋委員長代理着席〕 ところが、これが、四十五年度の予算とそういう設備その他を行なっておる自治体との時間の関係から、私の手元に来ている陳情書を見てみますると、「昭和四十五年度新規に指定された市町村のうち、政令公布日(四月十七日)において組合が発足している市町村に対しては、基準財政需要額算定に用いる消防費の行政権能差にかかる補正係数を既指定分と同様一・〇〇とされたい。」これが陳情の趣旨でありますが、これらについてどういうことが行なわれているのですか。
  162. 松島五郎

    ○松島説明員 ただいまお話のありました問題は、消防本部、署を新たに設置しなければならない市町村を政令で毎年度指定をしております。指定をいたしましてから一年間の猶予期間を置いて発足することができるように指定をいたしておるわけでございます。したがいまして、指定は本年度いたしておりますけれども、義務として置かなければならなくなるのは、昭和四十六年の四月一日からということになるわけでございます。ただ、実際には組合等もすでにできまして、指定を待ちまして直ちに発足をいたしている団体も御指摘のとおりございます。従来もそういうことであったわけでございますが、いま申し上げましたような猶予期間がありますことから、実際には、指定した年度に発足するといいましても、たとえば、四月一日から直ちに発足するのではなく、六月なりあるいは七月から発足するものもある、あるいは年度の途中から発足するものもあるというようなぐあいでございましたし、また、四月一日から発足いたしましても、直ちに完全な形の体制を整えているのではなくて、年度内に逐次整えるというようなことで発足するものもございましたので、交付税の計算としては態容補正を八割程度にしてはどうか、こういうことで検討いたしてきたわけでございます。それが、いまお尋ねの問題についての現在の段階までに検討された問題でございます。
  163. 門司亮

    ○門司委員 事務的には、私はそういうことも一応言えるかと思います。しかし、実際の問題として、ことに町村財政はかなり逼迫をいたしておりまして、それが一つではできない。だから組合をこしらえてやりなさい、こういう形で指導しているわけだと思います。それに即応してやろうと考えて予算を計上しておる。ところが、その予算を計上しておるが、しかし、実施期間は何も四十五年度中に、四月一日からやるわけじゃないだろうから、六月からやるところもあるし、七月からやるところもある、こういうお考えのようですけれども、私はそういうものの見方について、地方の自治体に迷惑をかけるようなことがあってはならないと思います。  消防の問題は、きょう、ここでは議論する時間はございませんし、消防に関する小委員会等もございますので、そこで十分検討していきたいと思っているわけでありますけれども、非常に大事な時期でありまして、あとで災害の問題もちょっと聞きますが、最近の地方自治体における人命の救助その他の問題については、従来消防団の諸君が当たってくれておったのが多かったのであります。ことに水防関係などについてはそういう形が多かったのでありますが、それがだんだん少なくなってきておる。そして、何といっても、やはりそういう面の充実をさせていこうとするには、消防署の設置なりあるいは救急業務の義務づけというようなものが当然考えられて、その上でこういう法律ができ、こういう政令によってやっていくのである。この法律並びに政令の趣旨からいけばどうもそういうことになるだろうから、八〇%くらいでよかろうというようなことでなくて、実際に即応した行き方が必要ではないかということであって、むしろ費用その他の点については、態容の補正にひとしいようなものでありますので、やるところには実情に即した配慮がなさるべきではないかと思います。もとより、交付税の算定の基準でありますから、これをひもつきにするわけにはいかないと思います。四月からやるからこうしてあげる、これは六月からこうするという形で、ひもつきというわけにはいかないかと思いますが、しかし、その辺は、態容補正の場合のいろいろな形の中で配慮ができるのじゃないかと私は考える。  だから、もう長い質問はいたしませんが、お聞きをいたしたいと思いますことは、これらの問題について、当該市町村で立てた計画にそごのないように財政措置をするということを言っていただければ、それだけでけっこうだと思います。
  164. 松島五郎

    ○松島説明員 先生の御指摘のとおりの問題がございまして、四月からすでに発足しているものも実際問題としてございます。したがいまして、私どもは、そういう年度の当初から体制を整えて出発いたしておりますものについては、従来と変えて、八割ということにならないようになお検討をいたして、関係団体の要望に沿うように努力をいたしたいと考えております。
  165. 門司亮

    ○門司委員 もう少し歯切れのいい答弁のほうがよかったと思うのだけれども、配慮するというのはいつ配慮するのかわからぬからな。そういうことでなくて、やはりとういう問題はきちんとしておいたほうが地方の自治体は安心してやれるのであって、実は私どもの気持ちとしては、一日も早く発足してもらいたいんだ。そういう点は、特にそれ以上私は答弁を求めませんが、ひとつぜひはっきりした態度をとっていただきたいと思います。  それからもう一つ、この機会にお聞きしたいと思いますのは、これも消防委員会でよく考えるべきことではあろうかと思いますが、われわれのところでも、今日の消防法についてある程度改正を必要とするというように考えられております。また、考えなければならない事項がたくさんあります。これらの問題について、かつて、ことしの予算のときではなかったかと思うのだが、消防法改正の意思がないようなことを消防庁は発表しておったようでありますが、そのつもりですか。
  166. 松島五郎

    ○松島説明員 消防法の改正の問題につきましては、私どもも、いろいろな問題が今日ありますので、検討をいたしております。改正の意思がないというようなことはございませんが、ただ、それをいつの時期に改正案として国会の御審議をいただくかということは、ただいま検討中でございます。
  167. 門司亮

    ○門司委員 私は、消防について特に考えてもらわなければならぬことは、午前中にも質問のございましたように、精神病院が焼けて非常に大きな問題があって、消防署は何をしておったかということでありますが、最近の各工場その他における災害の実況等と、それから工場の施設等を見てまいりますと、こういう工場の建て方で消防活動が十分にできるかどうかということについてはかなり疑問なものがございます。どこかで一ぺん火を吹いたら、消防車もはいれないのじゃないか、それから救急活動なんというのは不能じゃないかと思われるようなものがかなりたくさんあります。言いかえるなら、非常に高度に発展をいたしております工場の施設あるいはあり方について消防考え方が追いつかないのじゃないか。そこから来る大きな思わざる被害を出すことがあるように、どうも考えられてならない。何かいつも災害があり、あるいは被害があると、そこへ行って調べてみると、どうも道が狭かったから消防車がはいれなかったとか、あるいは水がどうだとかという問題がたくさんある。ことに最近のように石油燃料を中心とするものが非常にふえてきておりまして、それらに対する対策というのはほとんどなされていないのじゃないかと考えられる。せんだっての川崎のあの石油会社等の火災の際に、川崎の消防署に聞いてみますと、あの程度でおさまったからよかったようなものの、あれがもしもう一つ大きくなったら手の施しようがなかっただろうといわれておる。そうして各工場やそうした危険なものを扱っているところに、それならそれを予防するための施設がどれだけ消防法によって義務づけられているかということになると、きわめて遺憾な少ない数字になっておって、いわゆる広範囲の災害が発生するであろうと考えると、これを押えていこうとする消防の能力あるいは機材との間にかなりの大きなギャップがあるように私には考えられる。そういう点等は、精密ということばを使えばどうかと思うが、正確に検討されておりますか。これが検討されているとするならば、一日も早く消防法を改正して、そしてことに石油産業等の危険なところについては、俗にあわ剤といっておりますけれども、ああいう化学消火剤というようなものを義務づけて、一番最初に起こったときにこれを押えていかないと、今日のように石油のコンビナートがああいう形で、しかも海岸にあって、あるいはタンカーがばかばかしい大きいタンカーになっているのを考えてまいりますと、その義務づけは法律的にいえば私はどうかと思いますけれども、監督する者の立場から率直に言えば、そういうものに対する配慮が足りないのじゃないかというように考えられるが、この点はどうなんですか。こういうことを考えると、ただ単に、必要があれば改正するのだという漫然としたことではいけないと私は思うのです。
  168. 松島五郎

    ○松島説明員 最近の消防の問題は、先生指摘のとおり、私は三つの方面から考えなければならないと思います。一つは、いろいろ複雑な工場あるいは複雑な建築物等が出てまいります。したがいまして、建物あるいは施設自体の安全性を確保するという対策が進められなければならないということであります。もう一つは、火事が起こった場合に、これに対処し得る消防側の資材整備等が十分に行なわれなければならないという問題でございます。もう一つは、いずれにいたしましても、消防が活動をいたしますための環境条件が整えられなければならないという問題、この三つがあろうかと思います。  第一の問題であります建物あるいは施設自体の安全性を高めるという問題につきましては、消防法規の改正等を通じまして従来もしばしば行なってきておるところでございます。御承知のとおり、旅館、ホテルあるいは高層建築物、石油コンビナート等につきましてそういう施策を講じてきております。もちろん現在の段階でこれで十分であるということはなかなか申しかねる点もございます。また施設自体が日進月歩の変わり方をいたしておりますので、それに応じて消防法上の規制も強化されなければならない。そういう点では、私ども引き続き検討をし、必要なものは今後とも改善をしていくつもりでございます。  それからまた、それに対応する消防施設の整備の問題、消防側の整備の問題につきましても、予算等の増額によって努力をいたしておりますけれども、これはまた、正直言って十分ではございません。化学消防車の問題にいたしましても、あるいは消防艇のような問題にいたしましても、はしご車の問題にいたしましてもまだ十分ではないというふうに考えますので、引き続きこれは予算の増額等によって対処していきたいと思います。  それから消防活動をいたします環境整備の問題、これは工場等につきましてはもちろん、工場の内部で消火活動ができるように指導をしていかなければなりませんし、必要があれば、法的な規制も今後検討していく必要があろうかと思います。それと同時に、町自体についても、都市計画等の際には十分そういうことを配慮して、消防側の意見が反映するように私どもも努力をしていきたい、かように考えます。
  169. 門司亮

    ○門司委員 時間も非常に限られておりますし、多くを質問する時間もございませんですが、消防関係、ことに災害関係等については、事が起こったときには非常に大きく取り上げられて大騒ぎをするが、それが一ぺんおさまると、あとそれに対する対処というものはほとんどいつの間にか消えてしまうのですね。新潟のああした大地震があり、さらに大きな火災があるときには、消防庁にヘリコプターを置いたらどうかなんという声が出てくるが、いま消防関係でヘリコプターを何台持っておりますか。
  170. 松島五郎

    ○松島説明員 消防庁自体はヘリコプターを持っておりませんが、補助金対象にいたしまして整備をいたしております。現在までに東京で二機、大阪に一機の整備が進んでおります。
  171. 門司亮

    ○門司委員 大体そんなことだと思います。そういうことで、最近の科学の非常に大きな進展をしておる、ことに東京湾のまわりあるいは海岸地帯にある石油コンビナートなどの火災のときに対処できるかどうかということです。私はもう少し消防はほんとうに——長官を責めたってこれは始まらぬことだと思いますけれども、国全体の姿勢だと思いますけれども、災害の防止については真剣に考える必要がありはしないかと思うのです。しかし、そのもとにおいて十分にデータを集め、あるいは企画を立てるのは何といっても消防庁でありますから、消防庁がそういうものについてひとつ十分企画を立てていただきたいと思います。  そこで、最後に聞いておきたいと思いますことは、いまの消防庁の大体の人員はわかっておりますけれども、これらの問題に対処し得る調査機関というものは、一体どれくらいお持ちですか。
  172. 松島五郎

    ○松島説明員 私どものほうの職員全体で約百十人ばかりでございまして、この中には消防研究所も、本庁も、消防大学もみな含めております。したがいまして、みな一丸となって必要な調査研究等をいたしております。何ぶんにも人員はいま申し上げたとおりでございます。
  173. 門司亮

    ○門司委員 いまの答弁だけじゃ、私の聞いたことと食い違っておるところもあり、また一部分のようにも聞こえますが、実際消防大学があり、研究所があることは私もわかっております。私もときどき出かけていくのですが、そういう問題でなくて、政治的にこれをまとめて、そうしてどうにもならないのだ、ここにこういう火災が起こったらほんとうにお手上げだ——私は極端な表現でもちっとも差しつかえないと思うのです。そうしないと、ほんとうに政治の中では気がつかないと思うのです。個々の事件が起こったときだけ、さっきから申し上げておりますように大騒ぎをするが、その事件が一応おさまってしまうと、あとは災害なんというものはいつ来るかわからない。しかし、災害は忘れられたころに来るなんという話もあります。それに対処し得る消防の仕事というものは非常にじみな仕事であって、あるいは一面はでな仕事に見えるかもしれない。しかし、実際は縁の下の力持ちというか、いかに災害をなくすかということです。災害はないのがあたりまえであって、あるのはどうかと思うのです。そういう観点からいえば、非常にじみな仕事であって、はでな仕事ではないが、しかし、消防を従来の警察行政の中から離して、そうして消防庁という一つの役所として、自治省の内局みたいなものですけれども一つの役所として資格を与えたということは、そういうところに最大の原因があったはずである。したがって、私は、もう少し消防庁自身がこれらの問題に対するはっきりしたデータを出していただきたい。かりにいま東京湾の中にある、あるいは四日市もそうでありましょうし、あるいは山口県の岩国等においてもたくさんそういうものがあるようでありますが、こういう石油コンビナートで火災が起きた場合にどう対処するか、どういう想定ができるかというようなモデルがございましたら、ひとつこの際そういう問題を明らかにしてもらいたい。そうして、その上に立ってお互いに検討する必要がありはしないか。そういった基礎資料がなければ、われわれがどんなに叫んでみたところで、それは単なる夢みたいなことを言っているんだというようなことだけになったのでは、これは発展はしないと思うのです。  私が、この際、資料をお願い申し上げますのは、そういうわが国の今日の非常に大きな石油コンビナートの地域における火災についての想定の一つ消防庁の考え方をひとつ明らかにしてもらいたい。そうしてどのくらいの——何も現在の財政がこうだから、あるいは現在の状態がこうだからといって遠慮する必要は私はちっともないと思うのです。もしここで火災が起こった場合には、こういう形になるであろうというようなことでも私はけっこうだと思うのです。何も遠慮しないで、そうして一応の想定をひとつつくっていただくことを、この際、私は要求をいたしておきますが、この点は委員長からもひとつ話していただいて、そして大きな災害に対処し得る実態をつくってもらいたい。私がこういうことを申し上げますのは、よく地震に対してどうだこうだということがございます。しかし、いまの日本の現状から言えば、地震があったらどうにもならないですね。消防といっても動けない。これだけ上に架線がたくさんあって、架線がみんなこわれてしまったら、消防自動車が歩こうにも歩きようがないでしょう。何もないところなら歩けますけれども消防活動というのはほとんど不可能に近い。水はとまってしまう。道路には亀裂ができてしまう。そして上のほうの架線は全部下に落ちてしまう。歩こうったって歩きようがない。これは日本で一番大きな震災であった例の大正十二年の大震災等においては、大体みんな経験済みのことなんです。ところが、そういう問題に対してどう対処するかということ等について、やはり消防庁として、現状はこうなんだ、これにはどう対処すべきだというようなものが考えられないか。そうしてそういうものが絶えず発表されて、もう少し、消防意識ということばを使えばどうかと思いますが、災害防止に関する意識を高める必要がこの際あるんじゃないかということを私は考える。そういう観点から、いまの資料を実は要求するわけでありまして、ときどき震災に対する演習等がやられておりますが、私はあの演習を見ておって、大正十二年の震災を経験した私としては、はたしてああいうことをやっているけれども、一体消防車が一応歩けるのかなというような感じがする。こういう問題についてひとつ思い切ったデータをこの際出していただきたい。私ども消防委員会においていろいろ法律の内容の改正その他当面する問題の解決をはからなければなりません。しかし、将来に備えるためのそういうものが私は必要だろうと思いますので、この点を要求しておきますので、ひとつ出していただきたいと思います。委員長、ひとつきめておいてください。
  174. 古屋亨

    ○古屋委員長代理 ただいまの門司委員の御質疑の点は、私どもも、そういう資料をできるだけ早い機会に研究をして、当委員会に提出していただくように、消防庁にも要請しておきます。
  175. 門司亮

    ○門司委員 あともう一つだけ、時間がございませんから、災害の問題について警察庁と、それから自治省おいでになっていますか。  警察庁に対しましては、資料を一応出していただいておりますので、この資料に基づいて——人的な被害であるとかあるいはその他の田畑の被害であるとかいう被害状況だけは、きょうは時間もございませんから、表によって了承したいと考えております。  自治省に一応聞いておきたいと思いますが、きょうは、時間があれば、これから先また台風がかなりあると考えなければなりませんので、それに対する警備並びに救済関係はどういう形でするか、消防やあるいは警察庁関係にもお聞きをしたいと思っておりましたが、時間がございませんので、一応被害の状況等については、警察庁資料で数だけの勘定はできるかと思います。人はどのくらい死んで、田畑はどのくらい浸水しているかというようなことは一応わかると思いますが、これについて自治省はどういう態度をとられたのか、一応お聞かせを願っておきたいと思います。ことに千葉県等はかなり大きな災害が出て、災害対策特別委員会のほうでも視察をされたようでありますし、かなり大きな問題として取り上げられておりますが、自治省に入っております報告では、大体どのくらいの損害で、どういう処置をとられたか、処置をとられていなければいないでけっこうですけれども、それ以上要求してもどうにもならないと思いますのでけっこうだと思いますが、その間の事情を、この際、明らかにしておいてもらいたいと思います。
  176. 長野士郎

    ○長野説明員 被害額については、もう報告があったというお話でございますが、六月中旬から下旬にかけての梅雨前線による豪雨、七月初めの関東地方の集中豪雨、台風二号による被害等いろいろあるわけでございます。全体の数字は出ておりますが、公共土木あるいは公共施設を中心にした被害につきましては、現在関係省庁におきまして、現地での査定をいたしておる最中でございます。  ただ、その間におきましても、この前の千葉県を中心にしましたところの関東地方南部の豪雨被害の関係につきましては、大体の被害速報によりますと、公共土木の被害が百二十億円、文教の被害一億円、農地農林関係四十三億円、合計百六十四億円という一応の見込みを得ましたので、これにつきまして、千葉県及び被災地の市町村につきまして、対応いたしますところの財政的な資金の逼迫をいたすようなことがあってはなりませんので、七月十日、たしか本日交付税の繰り上げ交付をいたすことにいたしまして、九月交付分につきましては、県分につきましては四億一千二百万円、関係市町村分につきましては十一億八千万円、合計十五億九千二百万円を本日交付をいたしております。それのほかには公共土木災害あるいは単独災害等につきましての個所なり額なりがきまるに従いまして、起債その他の措置もいたしたい。それからなお、そういう意味で、財政需要が非常に高まってまいるということになりますので、本年度の特別交付税その他の措置も講じてまいりたい。そういうことで、現在のところは確定した形の被害がまだはっきりいたしておりませんが、そういうものの見込みのつきますに従いまして措置をして、災害復旧に支障のないようにいたしてまいりたいと思います。
  177. 門司亮

    ○門司委員 災害復旧について、従来こまかい災害その他でなかなか自治省はめんどうを見てくれないので、しばしば陳情があって、やっかいなことが起こるわけですが、これから先のことを一言だけ聞いておきたいと思いますことは、災害対策については非常に迅速でなければならぬということと、それからもう一つは、起債によって何とか始末をしていこうという空気が今日までは非常に強かった。これはやはり何といっても災害だからしかたがないんだといえばしかたがないようなものですけれども、今日の地方の自治体の財政状況から考えてみて、災害に対して起債でまかなっていくということは、地方の自治体はかなり大きな痛手なんです、   〔古屋委員長代理退席、委員長着席〕 あとずっと支払っていかなければなりませんので。交付税は全体のものだから、そこによけいにやると他のほうは少なくなるという理屈はあるかもしれませんけれども、しかし、そういう理屈は理屈として、他の自治体に迷惑をかけるが、できるだけやはり、特別交付税その他の財源がないわけではありませんので、それらのものでめんどうを見ていくという体制を一応考えることが正しいのじゃないかと私は思います。当面の問題としては、いまのお話のように、交付税の繰り上げによってその場をしのいでいくということは言えようかと思いますが、最終的には起債というよりも、むしろそういう特交関係でこのめんどうを見ていくというようなことにしたほうがよろしいのではないかということは考えられるわけでありますが、この点についてどうお考えになっておるか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  178. 長野士郎

    ○長野説明員 これは先生御承知のとおりでございますが、公共土木事業を中心にしての災害復旧事業あるいは農地関係につきましても、それぞれ査定額につきましての国、地方の分担関係があるわけでございます。また、その地域によって激甚地の指定などを受けますと国の補助が受けられる。地方負担分につきましては、私どもはとりあえず起債をもってその事業の執行をはかれるようにいたしたい、同時に、特別交付税をもって措置をいたしたい。御承知のように、災害関係の起債につきましては、また元利償還その他については交付税で見ていく、こういうかっこうでいたしておりまして、いろいろな措置を通じまして、地方の災害の復旧事業が支障のないようにできるように私どもも従来やっておりますけれども、今度の問題につきましても対応してまいりたいと思います。先ほども申し上げましたように、現実の金繰りの問題もございますので、きょう付をもちまして、千葉県あるいは関係市町村には交付税の繰り上げ交付をいたしております。
  179. 菅太郎

    ○菅委員長 青柳盛雄君。  青柳君に申し上げますが、予定の時間がだいぶ延びておりますので、三十分と申し上げましたが、できるだけ御短縮を願いたいと思います。
  180. 青柳盛雄

    ○青柳委員 私は、まず最初に警察庁の方にお尋ねをいたしたいと思いますが、最近電話が犯罪に関係するということで、逆探知ということが行なわれているようであります。逆探知をするにあたって法律上の制約が当然あるわけでありまして、公衆電気通信法によりますと、第四条、第五条に検閲を禁止するとか、秘密を確保しなければならないという規定があるわけでございます。したがって、逆探知というやり方が、いたずらに軽々に使われるということになりますと、電話の盗聴という問題が起こってくるわけでございます。技術的に当事者の通話の内容がわかるわけでございまして、警察側がこれにタッチするというようなことになれば、お互い個人的な秘密が治安当局にキャッチされるというようなことが起こりかねないわけです。最近の情報化時代と申しますか、電気通信関係の技術が非常に開発され、発展してまいっておるものですから、電気関係の機器を用いての盗聴、情報収集というものは、非常に一般化しているようでございます。これは国際的にももうあたりまえのようなことになっているようでございますが、国内的にもそういうことが行なわれる。共産党は大会を今度は公開をいたしまして、一般の新聞の取材等に何ら支障を来たさないようにやってまいったのでありますが、それをやらなかった当時、大会場にひそかに盗聴器が設置されておったというようなことで摘発され、そして今度は公開したのだからそういうこともないだろうと思っておりましたら、代議員の宿舎のほうへひそかに盗聴器が取り付けられていたというようなことがありまして、これは何者がやったかということはこれからの究明にまたなければならないわけでありますけれども、いずれにしても、一般の宿舎にひそかに盗聴器が取り付けられるというような状況を見ますると、われわれの社会生活あるいは政治生活の中で、他人に何も公開しないことまで、わかりやすいことばで言えば、個人のプライバシーが侵されるという危険があるわけであります。こういう点で、警察としては、それが何らかの犯罪につながるということも研究して、またそういうことの発生した場合にはこれを厳重に取り調べるというようなこともやるべきではないかと考えて、私どもの大会では警察庁に対してもその趣旨を申し入れたのでありますが、まず最初に、その点についてどういう立場と見解を持っておられるか、お尋ねしたいと思います。
  181. 高松敬治

    高松説明員 私どものほうで逆探知と申しておりますのは、たとえば身のしろ金誘拐あるいは脅迫の電話がかかってくる、その場合に電話の発信元を探知する、あるいはその電話の内容を録音して証拠にする、そういう場合でございます。この場合には、もちろん被害者なりその脅迫を現に受け、あるいは身のしろ金の要求を現にされておる被害者の要請によって、あるいは発信場所の探索というようなことをやるわけでございます。片方の被害者なり身のしろ金の要求を受けておる方の要請によるものである以上、プライバシーの侵害云々という問題は生じないというふうに考えております。録音の場合にも、もちろん電話を受けた方の承諾あるいはその要請によってその録音をやるわけでございますが、これについても、そういう場合に一方の当事者の承諾あるいはその方の要請があれば、通信の秘密の侵害があるというようなことにはならないというふうに法律的に考えております。
  182. 青柳盛雄

    ○青柳委員 録音は、電話の一方の当事者の了解を得れば、その通話の内容を録音するというようなことは、もちろん公衆電気通信法によって、一定の電電公社の了解を得る必要はあるのかもしれませんが、それは人権侵害にならない、個人の秘密を侵したことにならないと思いますけれども、逆探知の場合は、これは警察だけではできないと思うわけなんですよ。幾ら脅迫あるいは身のしろ金の要求を受けている人が承諾したとしても、技術的にこれは警察だけの力ではできないんで、結局は電電公社の協力を得なければできないというふうにわれわれは理解しておるのでありますが、この場合、それでは電電公社側と警察側とはどのような連絡協調関係を保つということで警察指導しておられるか、それをお聞きしたいと思います。
  183. 高松敬治

    高松説明員 昭和三十八年の十二月、吉展ちゃん事件あとだったと思いますけれども、逆探知の問題につきまして、法律的にいろいろ検討いたしました。当時の内閣法制局のこれについての意見も出ております。それで、いまお話もございましたように、もちろんその発信場所、その電話がどこから発信されておるかというようなことは、これは警察ではとうていできることではございませんので、電電公社の職員のほうに依頼をする。実際的に申しますと、そういう電話がかかってきた場合に、直ちにそこの電話局あるいは電電公社のほうに連絡をいたしまして、そしてそこの被害者の家にかかってきている電話の発信先を明らかにするようにやっていただくというのが、現在とっている方法でございます。
  184. 青柳盛雄

    ○青柳委員 電話局に要請をされるということはわかりますが、要請する場合には、被害者の方と一緒にといいますか、被害者の同意のもとにもちろんやるという前提でございましょうが、そういう要請があった場合、電話局のほうはこれを受け入れるという了解事項か何かあるのですか。
  185. 高松敬治

    高松説明員 格別に、明確に文書で取りかわしているとか、そういうことはございません。その当時、法制局の意見にも基づきまして、いろいろ打ち合わせし、あるいは各県が各県の段階で実際的に打ち合わせをしている、それで窓口その他をきめておる、こういう実情でございます。
  186. 青柳盛雄

    ○青柳委員 警察庁のほうでは、こういう問題について、電電公社がどういう扱いをするかということについて、一定の基準を設けている。私も電電公社のほうから提供してもらったのでありますけれども昭和三十九年二月十日付の「通信の秘密について」という通達のようなものが下部の各電話局のほうに上部から出されているようであります。非常にその内容は詳細のものでありまして、こういう場合にはいかに警察から要請があってもそれは受けてはいけない、こういう場合にはよく調べて協力してもよろしいというような、一般的な指示が出されておりますが、それを警察としてはあらかじめ知って、そして電話局のほうの立場というものを理解した上でやっておられるかどうか、それをお聞きしたいと思います。
  187. 高松敬治

    高松説明員 それができました当時、私はちょうど主管でございまして、それで電電公社のほうとも事務的な連絡を当時いろいろいたしました。それから私、電話局、電電公社の内部はよく存じませんが、私のほうは私のほうとして、警察部内には、こういう場合には、たとえば脅迫あるいは脅迫を手段とする犯罪、そういうふうなものについては、電電公社のほうに要請をするという、そういう形の通達を当時たしか出しておると思います。
  188. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それ以上に何らかの指示があったかどうかは存じませんが、実はことしの四月の初めごろに、岡山県警から岡山電気通信部のほうに要請が行ったようであります。それは逆探知模擬演習をやるから協力をしてもらいたいという申し入れがあったらしくて、これにこたえて岡山電気通信部長は、電報電話局長あてに一定の通知を発しているようであります。それは、実施期間はことしの五月の上旬から七月の下旬までの予定である、実施の場所は岡山県下各警察署管内、それから実施にあたって事前に各署から依頼書が提出される予定であるので、次の事項について十分打ち合わしておくこと。一、双方の連絡責任者確認をやる、電話番号なども含めて。それから二は、連絡の方法。第三番目には、演習の内容、その他というようなことで、しかもその他の中には、演習実施の際には、警察側から緊急連絡用として無線機、運搬可能な小型のものを持ち込むこともあるので、その場合には機械室、試験室、その他無線機使用可能な部屋を提供することというようなことまで書いてあるわけです。こういうようなことを、演習ということで岡山県警が始めたわけでございます。期間は七月の下旬までですから、まだ続いている形になるわけです。こういうようなことをやっているということは、警察庁として御存じでしょうか。
  189. 高松敬治

    高松説明員 誘拐事件につきましては、何といっても初動が非常に大事でございます。それで、ここ数年来私どものほうとしては、各県に対して誘拐事件についての訓練を一年に少なくとも一回は実施せよというふうな指示を出しております。岡山の場合も、それで県下の各署においてそれぞれ適当な日時に誘拐の訓練をやるというような計画を立てたようであります。その中に逆探知というものも一項目取り入れ、そしてそれについて電電公社の協力をお願いした、こういうことでございます。
  190. 青柳盛雄

    ○青柳委員 この逆探知の作業というのは、おもに電気通信従業者の方々の活動によるものであって、警察がそれに協力をする、何かお手伝いをするとか、あるいはかわってやるとかというようなことは許されないと思うのでありますが、そうであるにもかかわらず、何か合同演習のような形でやるというようなことには、非常に行き過ぎがあらわれるのではなかろうか。警察官が電電公社の建物の中に携帯用の無線機まで持ち込んで——これは逆探知で相手の電話がわかった、その加入者の場所がわかった、そこで話をしている人間の所在を突きとめたということを、すみやかにパトカーなんかに知らせるという趣旨であろうかと思うのでありますけれども、いずれにしても、警察官が電話局の中に入り込んで合同演習をするというようなことになりますと、これは言ってみると、電話局が警察の支配下に入るというほど極端じゃありませんが、作業が警察に介入される。だから、依頼して、それがわかったらすぐ知らしてもらうというような待機姿勢をとるということの演習ならばわかるのでありますけれども、何か演習内容というものが抽象的でございまして、どういうことを内容としておったのか、実はその全貌をわれわれは知らなければならないと思っておるのでありますけれども警察庁のほうではどういうことをその演習内容としてやったものか、お尋ねしたいと思います。
  191. 高松敬治

    高松説明員 無線機を持ってきますのは、いまおっしゃったような場合も一つの使い方だと思いますけれども、一番出てきますのは、普通の家には電話は一本しかありません。いつ電話がかかってくるか、いつ身のしろ金の要求が来るかということで待って、そこへかかった場合に、いまそこへかかってきたということを電話局に早く連絡しないと逆探知はできないわけであります。これはほんとうに数秒を争う。そういうために、電話がたくさんあれば、ほかの電話で連絡すればよろしいのですけれども、普通の家庭では一本しかないということが多いものですから、それで無線機を持った者を電話局に派遣して、そこへ直ちにいまかかったという連絡をする。そうすれば、電話局のほうで逆探知をいろいろやっていただくということのために、無線機を持たした人間を配置するということでございます。したがいまして、必ずしもいまおっしゃったような機械室の中に入れなければいかぬとかそういうことはないわけですけれども、早く連絡できるところにそういう者を派遣しておく実際の必要はあると思います。  それから訓練の内容でございますが、誘拐事件の届け出を受ける、それからの活動、そういう電話がかかってきた、逆探知をやる、それから逆探知をやっている間も、長いものは非常に時間がかかりますから、その間手をこまねいて待っているわけではありません。いろいろあちらこちらに人間を走らし、予想される場所にパトカーを走らし、いろいろ動きをやらすわけでございます。それで、もし発信先がわかれば、その次の行動は非常にスピーディになる。そうして犯人を早く検挙できる、こういう体制をとらせる訓練でございます。したがいまして、電電公社のおやりになる逆探知自身は必ずしも必要ではないわけでございますけれども、ただ、これもなかなか技量の練度があるようでありまして、何分でできるかあるいは何秒でできるかというようなこと、いろいろ実際にやってみて、それがどういうふうにできるかというふうなことなんかも見まして、それで両方で合同で訓線をやれば、それは一番実戦的なものになる、こういうふうな考えで電電公社と合同の演習をやろう、こういうふうに考えたものでございます。
  192. 青柳盛雄

    ○青柳委員 もちろんその場合、連絡方法とか事前の了解がいろいろできていることだと思いますけれども、その演習に使う電話、これは通話がなければそういう演習はできないわけでありますから、どういう電話を使うことにきめたか、それはわかっておられますか。
  193. 高松敬治

    高松説明員 加入電話としては、警察署あるいは派出所に使用しておる電話を使います。それから公衆電話を使うのも一部計画にはございます。一般の民間の人の電話を使うということは、これはやっておりません。
  194. 青柳盛雄

    ○青柳委員 そういう計画が一般にわかるようになりまして、非常に不安を抱くような状況が出てきたために、実は共産党の岡山県本部のほうで、これに対して抗議を申し入れた面があるわけです。それは六月の下旬のことでございますけれども、その後何か情報によりますと、このようなやり方はやめたというふうにいわれているのでありますが、こういう長い期間、五月の上旬から七月下旬という三月に近い期間こういう演習を続ける計画を持っており、しかもやめたといわれておるけれども、いまでもやっているのかどうか、こんな長い期間どうして必要なのかということを疑問に思うのですが……。
  195. 高松敬治

    高松説明員 訓練の期間は五月上旬から七月下旬までの間ということで、岡山ではきめていたようであります。これはその間毎日やっているわけではございませんで、二十二の警察署がそのうちから適当な日を選んで自分のところで実施する。それで県全般として各二十二の警察署の訓練が全部終わるのがおおむね七月下旬を目標にする、こういうことでございます。  それから、その後この岡山におきましては、電電公社のほうから合同の訓練はことしはやめたいというふうなお申し出がございまして、それでその部分をはずして、つまり逆探知のプロセスをはずして、その残りの過程でことしは岡山県は誘拐事件の訓練を予定どおり二十二署にわたってやる、こういうことで現在やっております。
  196. 青柳盛雄

    ○青柳委員 たまたまこれは岡山だけが一般に知れ渡ったわけでありますが、こういうことはおそらく全国各都道府県の警察でやっていることではないかと想像するわけですが、先ほど冒頭に私申しましたように、電話の盗聴ということが非常に世間の神経をとがらせているわけであります。逆探知というような非常手段の場合はやむを得ない。これは人命にかかわることでもございますので、電気通信の秘密は守らなければならないけれども、全く例外的にそういうことはやむを得ないのだ、公共の福祉の観点からやむを得ないのだということはあるにいたしましても、事前に演習をする、訓練をやるというようなことが毎年毎年一般化していく中で、この電気通信の秘密というようなものが知らず知らずの間に侵されていってしまう、一般の人々は非常な不安にかられるというようなことがあってはならないと私どもは考えるわけです。たまたまこれがあらわれた時点において、警察庁としては公衆電気通信法の規定を守るという立場を堅持して、いやしくも個人の秘密がいたずらに漏れる、そういうものがスパイされるということがないように注意しなければならないと考えるわけであります。これが軽く扱われるような状況が出てまいりますと、全く社会生活はものも言えないというような状況になってまいります。特に私ども政治活動に携わっている者といたしますと、そういう風潮にならないように厳重に警戒しなければならない、かように考えているわけであります。この点について警察のほうでは、やはり今後ともこういう訓練はやるのかどうか、やるとすれば、いま言われたような点を十分に守っていくのかどうか、これをお聞きしたいと思います。
  197. 高松敬治

    高松説明員 通信の秘密を守るべきことは、もう申し上げるまでもないことであると思います。先ほども申し上げましたように、私ども訓練をやりますときには、一般の電話を使わないで、警察署あるいは派出所が持っている電話を受ける電話にする、あるいは出すほうも受けるほうも両方ともそれを使う、それから出すほうもあるいは公衆電話を使うということで、一般の人の通話を聞けるということは私はもう絶対ないと思うのです。そういうことで、かなり注意をして訓練をしているつもりでございます。  訓練につきましては、何といっても、一たん事があった場合に直ちにそれに即応してできるだけ敏活な、ほんとうに一分一秒を争う仕事ができることが必要でございますので、訓練はやはり今後とも、人もかわってまいりますし、繰り返し繰り返しやってまいらなければならない。ただ、やる場合には、そういうふうな問題も十分に留意しながらやってまいりたい、かように思っております。
  198. 青柳盛雄

    ○青柳委員 終わります。     —————————————
  199. 菅太郎

    ○菅委員長 この際、委員各位に御報告申し上げます。  先般、地方行政委員会より八名の委員が、地方行政の立場におきまして、奄美大島及び沖繩の現地に視察を行ないました。  その際において、現地当局及び現地関係機関からいろいろな御意見を聞き、御要望書をいただき、資料もちょうだいしてまいりました。その要望書のおもなるものは、関係省庁に伝達をいたしておきました。     —————————————
  200. 菅太郎

    ○菅委員長 本日は、この視察に参画をしました委員より、地方行政、地方財政警察及び消防立場におきまして、質疑をいたしたいと存じます。      ————◇—————
  201. 菅太郎

    ○菅委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  地方自治及び地方財政に関する件について、本日、奄美群島振興審議会委員永野芳辰君に参考人として御出席を願い、御意見を聴取することといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  参考人からの御意見は質疑応答の形式でお聞きいたすことにしたいと存じますので、さよう御了承を願います。      ————◇—————
  203. 菅太郎

    ○菅委員長 それでは質疑の申し出がありますので、順次これを許します。豊永光君。
  204. 豊永光

    ○豊委員 奄美群島振興審議会の委員の永野先生と自治省の方々にお尋ねいたします。  奄美群島振興特別措置法に基づく奄美群島振興十カ年計画が実施され、本年度はその後期五カ年計画の第二年目に入って実施されておりますが、最近の物価の著しい上昇に伴って、この後期五カ年計画の事業では、特にその中の国費を増額すべきではないかという要望が現地奄美大島で非常に強く出ております。群民のこのような強い要望に基づきまして、すでに鹿児島県では後期五カ年計画の改定を来年から進めてはということで、問題の検討を進めておりますが、奄美群島振興審議会においてはこの問題をどのようにお考えになっておられるでしょうか、お伺いいたします。
  205. 永野芳辰

    ○永野参考人 お答えいたします。  いまの御質問でありますが、実は先般振興審議会の小委員会が開かれまして、物価の上昇、社会経済情勢の変化という問題あるいは工法の施行の変更その他、従来十数年にわたって復興計画並びに振興計画が続けられておるのでありますが、港湾の問題あるいは道路の問題等が非常におくれておりまして、これを何とかして軌道に乗せたいという空気が強く出ております。  私、三十八年から、五カ年計画の前期の末ですが、委員として出席、参画しておりますが、どうもいまのお尋ねの国庫の支出が非常に少ないわけで、これは沖繩に対してはなはだ申しわけないのですが、私も、実は沖繩には三年おりまして、沖繩の振興計画というものを樹立した一人です。たとえば沖繩の予算と比較しまして、沖繩県の今度の事業は単年度で三百五十億の金が出ておる、ところが、奄美群島の振興計画並びに復興計画を通じまして、約二十年にわたるのですが、その国庫の支出の金額は三百億というきわめて低い数字であります。したがって、何でもかんでも国に依存するという考え方はもちろん間違っておりますけれども、何とかしてせめて——沖繩並みというふうにもいきますまいが、また小笠原の例をとりますと、約六十億の金が出る。沖繩の人口は六十万あります。奄美群島は二十万足らず、十七万くらいでしょう。小笠原島はわずか六百人しかいない。その島に六十億の金が出るということと比較いたしますと、奄美群島振興の予算というものが、包括的に見ますと、非常に少ないのじゃないか、こういう気持ちがいたすのであります。審議会の席上でも私はこの議論を持ち出したのでありますが、もちろん自治省と大蔵省その他の関係で予算は策定されるのでありますから、具体的にどうしろということは私は申し上げかねます。またこれは事務当局同士で話し合わなければならない問題だと思うのですが、あまりにも格差がひど過ぎるのじゃないか、こういう気持ちが強くいたしております。  どうか委員先生方、特に今回沖繩並びに大島を御視察願い心から感謝いたしておりますが、はたして沖繩と大島というものをどういうふうにごらん願えたか。たとえば復帰の問題で奄美群島に沖繩の方が視察に来られます。そうしますると、口をそろえて、こういう状況じゃこれは復帰しないほうがいいのじゃないかという声さえ出ておるわけであります。というのは、奄美群島の現在の実情は、港湾にしましても道路にしましても空港の設備にしましても、沖繩と比べて非常におくれておる。そういうところから考えますと、もっとあたたかい気持ちで奄美群島を見ていただきたい。たまたま私は大島の出身であります。自分の郷土だからあるいはおまえそういうことを言うのだろうというふうにお考えになるかもわかりませんが、実際奄美と沖繩を比べますると、単年度で三百五十億の金がぽんと出る、二十年間で三百億の金しか出ないということじゃ、国の措置が非常にアンバランスじゃないかという気持ちがいたしますので、冒頭にこの点ひとつお訴えいたしておきます。
  206. 豊永光

    ○豊委員 ただいま永野さんからお話のありましたような点は、奄美大島の復興、振興計画を十六年余り事業実施してまいりました現状の実態かと思いますが、この前われわれ地方行政委員の方々が参りまして奄美大島を見られて、さらに沖繩を見てこられた最後の御感想に、奄美大島は沖繩に比較してひどい、みじめだ、気の毒だといったような御感想が、おいでになりました委員全部の御感想だったようでございます。各種の数字の資料で、いろいろいまお話のありましたように、大島の振興計画がこれだけではいけないということが納得できることもたくさんあると思いますけれども、ただいまの沖繩を現に見てこられました本委員会の皆さん方の御感想が最も当を得たものかと存じます。  それで、自治省が来年いまの振興五カ年計画の改定を行なわれるといたしますと、ただいまお話のありましたような物価の上昇に伴う労賃とか、資材費の値上がりによる事業費の不足、あるいはいまもお話のありました土木建築事業等における工法、あるいは基準の改定、変更等による事業費の不足等を補っていただくような予算を配意していただくのはもちろんでございますけれども昭和三十九年の振興計画発足当時からただいままでの間に、社会情勢、経済情勢が著しく変化もしくは進展しておりますので、これらの新しい社会経済情勢の変化に伴う各種の問題をさらに組み入れていただきまして、改定を積極的に進めていただきたいと思いますが、この点自治省はどのようにお考えでいらっしゃるか。
  207. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 現在奄美の計画を改定するつもりがあるかどうか、あるいはする場合にはどういう計画で考えるか、こういう御質問でございます。  結論的に申し上げますと、私どもも、来年度の予算要求におきまして、現在の計画を改定するという内容を込めましてやっていきたい、こういうふうに思っております。  中身といたしましては、ただいま御指摘の単価の問題、それから国のいろいろ施設、基準の改定に伴う問題、こういうものは当然考えていかなければならないと思います。さらに社会経済情勢の変化に応じまして、たとえば同じ飛行場でありましても、従前であればYS11が離着陸できればよかった。しかし、今後のことを考えますと、少なくともそれ以上の飛行機を着陸させる必要があるというような、まあ一例でございますが、そういうような内容をも含めまして、来年度大蔵省にも予算要求をいたしたい、こういうふうに思っております。  ただ、いま永野参考人から沖繩との対比のお話が出ておりました。これは沖繩の援助費自身は、いわゆる交付税に相当するものあるいは人件費のようなものまですべて含んでおります金額を、そのままなまで比べること自身、いろいろ議論があろうかと思います。そういう御趣旨も考え合わせながら、改定の要求をいたしたい、こういうふうに思っております。
  208. 豊永光

    ○豊委員 沖繩の復帰に伴う各種の措置を、これから総理府のほうでは進めていかれると思いますが、奄美大島は沖繩と経済的にあるいは文化的に近接した一つの経済圏、文化圏を形成しておることは言うまでもないのでございますが、さしあたり沖繩の産業経済の振興を考えられるにあたりましては、奄美大島もこれと一体として考えてもらいたいということでございます。  ただいまお話のありましたような、たとえば交通体系をとりましても、港湾あるいは飛行場の整備にいたしましても、沖繩に大型の船舶が参りまして、途中大島にも寄港いたしますが、ただいま大島の主要港である名瀬では三千トンの船が接岸できる計画でつくっておるのでございます。来年には五千トンの船も入るということになっておりますし、さらに今後一万トンその他大型の船になると思います。飛行機にいたしましても、ただいま日に四便奄美空港には発着しておりますが、沖繩復帰に伴いましてまた発着の便も多くなることでございます。その一例をあげますと、港、飛行場にとりましても、これからいままでの振興計画の内容を多少考えなければならぬ問題が多いように思いますので、そこらのところを特に自治省並びに総理府のほうでは御勘案願って、奄美大島の振興計画の改定と、これからまた新しくつくられる沖繩の振興特別措置との関連を考えていただきたいと思いますが、自治省あるいは沖繩北方対策庁の御意見、お考え方を承りたいと思います。
  209. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 自治省といたしましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども沖繩が復帰をするという新しい事態を前提にいたしまして、ただいまお示しのように、特に航空路でございますとかあるいは海上輸送の問題とかを一体的に考えていく必要があろうかと思うのでございます。そういうことを頭に置きながら、振興計画の改定についての作業を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  210. 豊永光

    ○豊委員 ただいまの振興計画とはちょっと趣を異にしました小さい問題でございますが、多年懸案として片づけられていない問題がありますので、この際、当委員会で取り上げていただきたいと思いますが、厚生省の方、お見えになっておられましょうか。  これは戦時中に戦時災害によって喪失いたしました住宅、家財、船舶等に対する給与金または補償金がまだ支給されていない、未支給の給与金または補償金を支給していただきたいという奄美大島の被災者の強い願いがございます。被災者の要望によりまして、鹿児島県から厚生省その他の一般関係省に対し支給方を強く要望しておりますが、いままでのところ、関係各省では支給するための根拠法規がないというようなこと等で、まだ支給に難意を示しておられます。根拠法規として考えられる戦時災害保護法は、昭和十七年に制定され、昭和二十一年九月に廃止されたのでございますが、奄美大島は昭和二十一年二月に本土から分離されまして、本法によって支給を受ける時期を失した感があります。未支給の金額は、一つは住宅、家財等の焼失による分が昭和二十一年度現在で千三百九十三万円余りであります。これは奄美大島の十五町村の合計で支給すべき額が二千百八十八万円、そのうち七百九十二万円ばかり一部当時支給されましたが、残りの未支給額が千三百九十三万円余になっているのであります。二番目の、徴用されました船舶の喪失したものは百三隻、千九十一トン、災害者が四百五十四名、昭和二十一年当時の金額で四十五万五千円程度でございますが、これらの金額を昭和四十五年度に支給するといたしますと、昭和二十一年度のころの金額を本年度の時価に換算いたしまして、たとえば全国の消費者物価指数の上昇率を勘案いたしまして時価に換算して支給するといたしますと、大体昭和二十一年度当時の額の十二、三倍に当たると計算しております。  大きな額ではありませんけれども、戦争当時被害を受け、災害を受け、一部は支給され、大半の人は支給されていないというところに、まだ島民の割り切れない気持ちがございます。もっともこれらの要望につきましては、さきに奄美大島から選出されております国会議員が、陳情等の処理委員会で検討された経緯もあるようでございますけれども関係各省のほうで十分に審議検討しておいでではございますが、まだその結論は出ていないようでございますが、この点厚生省はどのようにお考えでございましょうか。
  211. 岸野駿太

    ○岸野説明員 お答えいたします。  ただいま先生指摘のように、戦時災害保護法というのは二十一年の九月に旧生活保護法に引き継がれて、旧生活保護法の施行とともに戦時災害保護法は廃止されたという経緯になっております。それで引き続きまして、その内容の主たる部分でございます生活保護の部分、あるいはまた災害救助的な応急的な保護の部分、これが災害救助法と生活保護法に引き継がれまして今日に至っております。  鹿児島県当局から私のほうにも御陳情がございました。その際、いろいろ私どもが検討いたしました結果によりますと、先生指摘のように、いまだに県当局が御満足いただくような結論になっていないわけでございます。これは一つには、そのときの法律の性格が、戦時戦災あるいは空襲等の災害によりまして家屋を失った者あるいはまた死亡に至った者に対しまして、その当時のただ資産の消滅に対して補償するというような性格ではございませんで、私どもの理解しております段階によりますと、困窮しておりまする国民に対しましてあとう限りの援助の手を差し伸べるということであったように了解しているわけであります。それで、その主たる内容が生活保護法とそれから災害救助法に引き継がれて、確かにあのときに給与金という制度がございまして、御指摘のように、家屋の損失あるいは死亡者に対しまして千五百円以内とか八百円以内とかいう当時の金が支給されました。これは確かにその当時の戦争直後の混乱期あるいは戦争中の混乱期でございますので、個々に私ども調べますと、あるいは支給漏れがあったのではないかというような例もないではないというように、内地におきましてもそういうような気がいたします。  ただ、奄美大島につきましては、確かに本土から行政管轄権が移ったということもありまして、その途中において一部機械的に支給漏れとそれから支給済みということが出たというぐあいに聞いております。個々の事情としては、非常に私どもも同情すべき余地があるのではないかという気がいたしますけれども、そのときの法律の性格等からいいまして、いまの時点において、そのときの物的ないろいろな資産の喪失につきまして、さかのぼって支給をするというようなぐあいには、ちょっとあのときの法律の性質上むずかしいのではないかというのが、現在私どもが厚生省の中でいろいろ検討いたしました結果でございます。  蛇足でございますけれども、その当時、家屋の所有者に対しまして給与金を出すということでございましたけれども、所得制限がございましたり、それから所有者といえども、自分がそこに現に居住していなくてはいけないというような事例もございました。ですから、やはりその当時、路頭に迷う者に対してとにかく生活を安定させる、そして国民の士気を高揚させるということに法律自体のねらいがあった。現在、その当時、漏れている者に対しまして、物的な損失の補償というような考え方でもってさかのぼるということは、新しい立法を新しい観点でもって考え直すということでありますと、これはまたいろいろ御議論があろうかと思いますけれども、現時点におきまして、あの当時の法律において、実際問題として支給漏れのあった方に対しまして、さかのぼって、いま御指摘のように、物価の上昇率をかけて、当時の価格を換算いたしまして、物的損失あるいは人命の損失というようなものに対して措置をするということは、なかなかむずかしいのではないか。そういうことでございますので、現在それでは、どこでもってどういうぐあいにこの問題を取り上げるかということも政府部内でも十分まだ——御指摘のように、個々の例としては、確かに非常にお気の毒な、ちょっとした谷間に落ちてしまった方でございますので、私どもも、いずれ関係方面とも先生の御趣旨をもう一ぺんあれいたしまして、検討いたしたいと思います。  それから、これは二十八年に奄美群島が復帰しました際において、御承知のように、いろいろな法律の暫定的な措置を行なって、あの当時におきましても、私どもの記憶いたしますところでは、この問題はもうすでにけりが一応ついたというかっこうで処理されたのではないだろうかというような気もいたすわけでございまして、ちょっといまのところ、直ちに先生の御要望に沿って措置するということは非常にむずかしい。しかし、いずれまたよく関係方面、県庁等ともその当時の実績、資料等も十分打ち合わせた上で、もう少し検討いたしたいと思います。
  212. 豊永光

    ○豊委員 ただいまの話で、新しい立法でもすれば救えるのではないかというお話もございましたが、奄美大島のこれだけのことに立法ということもたいへんだと思いますが、厚生省あるいは沖繩北方対策庁にお願いしたいことは、沖繩でもこのようなことがありはしないか。まだよく調べておりませんのでわかりませんが、お調べ願うということと、さらにまた第二の、喪失した船舶につきましては、関係者の話によりますと、沖繩だけにつきましては、沖繩が民舶の戦時補償ということで、昭和三十四年一月十三日、衆議院外務委員長床次徳二先生のところで、戦時災害見舞い金として現金をもって沖繩の船舶所有者には何か処置をなすったというように聞いておりますが、このような前例もございますので、ひとつ沖繩の問題を今後処理されるにあたりまして、いまの大島の問題もあわせて御考究され、処置をしていただくようお願いいたします。対策庁のほうはいかがでございましょうか。
  213. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  実はこの問題につきましては、私のほうは知識がございませんでして、いまお話を伺っただけでございますので、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、少なくとも沖繩に関する問題としては、復帰対策のためにいろいろな施策をこれから詰めていかなければならぬ段階でございます。そういう意味で、こういう問題が十分検討をさるべきであろうというふうに私は考えておりますので、一応検討していきたいと思っております。
  214. 豊永光

    ○豊委員 終わります。
  215. 菅太郎

    ○菅委員長 関連質問の申し出があります。これを許します。山口鶴男君。
  216. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 昨年の国会奄美群島振興特別措置法の一部改正を審議いたしました。二十八年の復帰以来の復興計画、振興計画五カ年、それをさらに延長いたしまして昭和四十八年度まで、昭和四十九年三月三十一日までですが、五カ年間延長したわけです。そういたしますと、振興十カ年計画、もうすでに二カ年の予算はついたわけでありまして、残るところはわずか三年でありますが、人口十八万に対してハブの数が二十万というような状況は、依然として解消されておらぬようであります。当時、国会審議の際に案として示された振興十カ年計画案では、国費が百八十億、起債が四十九億、その他融資でありますとか一般財源、合計いたしまして四百二十八億円という十カ年計画案ですが、そのうち五カ年はすでに消化しておりますから、残額はこれの六割かあるいは六割以上だろうと思うのです。しかも期間はこれから残るところ三年だ、こういう状態です。先ほどの行政局長の御答弁を聞いておりましたら、計画案についても改定する気がまえ云々というようなことを言っておったのですが、残り三年で一体どの程度仕事が進むのですか。  それからこの十カ年計画案、国会審議の際に示されました案ですが、永野さんもおられるわけでありますが、奄美群島審議会におきまして、この四百二十八億ということでそのまま計画案は計画としてその後決定されたのですか、それとも、これでは現状を考えると全くみすぼらしい、もう少しこの計画をふくらまさなければいかぬという形で、もっとふくらんだ形で計画がきまったのですか。その二つをちょっとお伺いしたいと思います。
  217. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 計画の改定につきましては、私、先ほど委員に御答弁を申し上げたとおりでございまして、来年度の予算要求に際しましては、計画を改定するという前提で予算要求をいたしたいと思っております。  それからただいま数字のお話がございましたが、当時どういう御論議があったか私存じませんけれども、数字は、いまお話しのように、現在の十カ年の振興計画は国費百八十億ということできまって、いま事業をやっているわけでございます。
  218. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうすると、改定するということは、国費百八十億ではなくて、来年度予算ではもう少しこれをふくらまして要求し、したがって、四十七年、四十八年も同じようにふくらまして要求するということになりますと、国費百八十億は相当ふくらまさなければいかぬ、こういうつもりだというふうに受け取ってよろしいわけですね。
  219. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 私どもの改定に対する心がまえといたしましては、百八十億をふやしていく、こういうことで要求をいたしたいと思います。
  220. 菅太郎

    ○菅委員長 永野参考人、御意見ございましたら……。
  221. 永野芳辰

    ○永野参考人 ただいま行政局長がお答え申し上げたとおりでありまして、私は先ほど沖繩の問題とひっくるめまして申し上げましたけれども、非常に少ないのです。私はほんとうに自分の郷里でもあるし、また長年委員としてやっておったのですが、いまのお話の中で、一体、奄美群島振興審議会というものがそれを決定したのかというお話がありましたが、奄美振興、これは諮問機関にすぎない。ですから、なかなかこっちの思うとおり、これじゃだめだということが申し上げかねるのです。それで、結局たよりになるのは自治省であり大蔵省だという結果になりますが、残念ながらいまの考えとしまして、現在計画している事業量は、あの金額ではとうてい実施できない。だから百八十何億というものをふやして、そして事業が消化できるようにお願いしたい、こういう気持ちであります。
  222. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 そうしますと、昨年審議したので忘れたといっては恐縮なんですが、法律案のこまかいところは忘れたのですが、結局、昨年の国会で示された奄美群島振興十カ年計画案、これはその後計画として決定されておるのですか。されたとすれば、一体どこの機関でされたのか。道路整備計画にしても五カ年計画というものをきめますね。きめまして、そのつど実際は毎年毎年予算をきめていくということだろうと思うのです。そうしますと、五カ年計画を延長して十カ年計画をきめ、すでに二年たって来年三年目ということになるのですが、そういった短い間に、もうこの百八十億ではどうしようもないのでふやすのだというきわめて安易なかっこうで、その計画というのがどんどん手直しされるというものなんですか。一体その点、計画案が計画としてどういう形できまったのか。その計画が二年たって三年目で大いに変えなければならぬというようなずさんきわまりない形で運営されるものなのか、その点ちょっとお伺いしておきたい。
  223. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 計画は、奄美群島の審議会の議を経て自治大臣が決定をするわけであります。そういう手続で決定してございます。  それから計画を変えるか変えないかという御議論でございますが、私どもは後期五カ年計画あるいは十カ年計画全体でございますが、これを来年根っこから改定をするという、形式的にそういうことを申し上げていくよりも、むしろ先ほどからいろいろ御議論がございますように、その後の物価の上昇その他で、現在の単価ではなかなか工事ができなくなっております。それから新しい事態もできておりますので、来年度の事業費につきまして、新しい要素を盛り込んだ予算要求をしていきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  224. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 わかりました。そういう前向きな態度はけっこうだろうと思います。ただ、去年の国会で十カ年計画というものを示して、そうして永野さんのお話では、審議会はなかなか言いたい意見も言えないようなお話ですが、やはりそういうことじゃなくて、大いに意見も出していただいて、そうして自治省がこの計画案では現在の時点で少し合わないということであれば、これは思い切って改定をすることもけっこうだろうと思います。そうして次の通常国会におきましては、そういう意味で、第六十一国会では、こういう計画案を示したが、現実実情に合わないから、残された後期五カ年計画のうちの三年には、国費はこの程度ふやして、そうしてこういう計画もやるつもりですというぐらいな案を、国会にも示すぐらいの気がまえでひとつ対処していただいたらどうだろうか。この点はひとつ大臣のほうから御答弁をいただきまして、質問を終わっておきましょう。
  225. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 大蔵省等関係省庁とも連絡をとりまして、前向きにそのように取り計らいたいと考えております。
  226. 菅太郎

    ○菅委員長 参考人の方には貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。  どうぞお引き取りいただいてけっこうでございます。  古屋亨君。
  227. 古屋亨

    ○古屋委員 私は、先般奄美、沖繩を視察いたしました所見につきまして、政府の方々にお伺いをいたしたいのでございます。  復帰を二年後に控えまして、準備対策の進め方でございますが、沖繩北方対策庁の試案等を拝見いたしますと、復帰対策要綱は、暮れまでに対策庁としての案をきめて、年内に政府として決定することを目途とされて、いろいろ準備をされておるようでございますが、それでよろしゅうございますか。
  228. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  琉球政府の復帰対策についての意見というものもすでに出ております。またそれについての各省の検討も加えつつございますので、この七月から八月にかけて部会で十分検討を加える予定になっておりますので、大体先生指摘のような形で準備が進められると考えております。
  229. 古屋亨

    ○古屋委員 私がいまその問題をお伺いいたしましたのは、佐藤・ニクソン会談におきましても、またこの六月二十四日、愛知外務大臣とロジャーズ国務長官との共同声明のうちにも「沖繩に関しては、その施政権の日本への返還に関する交渉が、一九六九年十一月のコミュニケにうたわれているとおり、東京で始められたことを両大臣、長官が認めた。双方はこの交渉が順調に終了し、一九七二年に復帰が完了できることを確信した。」というような覚え書きがございます。それで私ども沖繩におきましていろいろ視察をいたしまして、返還が決定したという喜びとまた非常に大きな期待をいたしておるのでありまして、しかも返還協定というものがアメリカとの間につくられなければならぬ。そうすると、その国会承認などを考慮いたしますと、返還準備には正味一年もないくらいじゃないだろうかということも考えられまして、総合的対策を早急に決定をしてまいらないと、現実の事態が先行いたしまして、過渡期における空白とか混乱を招く、こういうふうなことを非常に心配いたしております。それで、いまのこの復帰対策の計画というものは、七二年のいつ戻ってもいいというような計画のもとにやられておりますか、あるいは何か七二年の秋だとか春だとかいうことで計画されておりますか、その辺のお見通しについてまずお伺いいたしたい。
  230. 湊徹郎

    ○湊説明員 ただいまのお話でございますが、御承知のように、返還協定交渉という対米折衝を要する問題については、外務省が中心になっておるわけでありますが、私ども主として内政上の見地から、七十二年のなるべく早い時期にひとつ返還し得るようにというので、全力をあげてことし年度一ぱい中に内政上の諸懸案についてはある程度の目鼻をつけたい、こういうことで準備を急がせておる次第でございます。
  231. 古屋亨

    ○古屋委員 ただいま湊副長官のお話で、非常に積極的に内政関係の準備を進められておるということを承ったのでございますが、やはり復帰の不安というものは、復帰後自分らの生活あるいは沖繩の経済についての未来図がまだかかれていないということから生じてきます県民の心理であろうかと思うのであります。そういう復帰不安に対する——復帰することでいろいろ期待を持っております、また期待を持っておられるためにいろいろ心配もしておるのでありますが、それにこたえるためにも、ぜひ沖繩住民の復帰に対する期待というものを、安心して復帰できるという気持ちを徹底するように、未来図並びに経済計画というものについても早急に推進を願いたいと思うのであります。特に消費経済体質の沖繩でございまして、いろいろ問題を取り上げましても、特に私ども沖繩におきまするアメリカの資本とかアメリカの産業の既得権と本土の既存方針との調節というものについては相当むずかしい、調整の基本的態度をきめるのはむずかしいのではないか。通貨の切りかえの問題があります。奄美あるいは小笠原が帰ったときとは別にするというようなことも伺っておりますが、通貨の切りかえの問題、米資産の補償の問題、それから最近石油その他で米国資本が沖繩に積極的に進出運動を続けて、またそういう工場もできつつあることを先般の視察において私ども見てまいったのでありますが、そういう意味におきましては、沖繩におけるアメリカ資本、アメリカ産業の既得権と本土の既存方針の調節というものにつきましても、ひとつできるだけ早い機会に基本的態度を早急にきめる必要があるだろうと考えております。  それで、そういうような未来図を早くつくるために、結局長期的な経済計画を早急に樹立することが必要だろうと思うのでありますが、この点につきましても、やはりことしじゅうに、いろいろ沖繩の現地その他と交渉をされまして、どういう方針で長期的な経済計画をおつくりになるか、同時にまた、先般視察して沖繩の財政というものが非常に困難な状況にあることは御承知のとおりでございますが、どのような打開策を考えておられるか。特に市町村の財政力強化、たとえば合併をすることを進めておりますが、合併をしても財政力は一つもプラスにならぬ、合併をするための費用もないというようなことを現地の市町村長は言っておりますので、そういうような長期的経済計画の樹立あるいは財政力の強化というような点につきましては、どういうふうにお考えになっておりますか。その点の構想をひとつお漏らしをいただければ幸いだと思います。
  232. 湊徹郎

    ○湊説明員 第一点の、復帰に備えての現地の不安動揺等を一刻も早くなくすために、主として経済全般について長期の構想を早めにきめたらどうか、こういうお話で、先ほど御質問にございましたような諸点、いずれも全く御指摘のとおりでございます。  そこで問題は、いろいろな法令、制度等の違い、これを是正するということもさることながら、それ以上に実態的にやはり本土との格差を是正しなければいけない。産業、経済等の問題については、これはもう一刻も早く先ほどお話しのような計画を立てていきたい、こういう前提で、現在琉球政府のほうで長期経済開発計画、これは十カ年の年次の計画を現在経済審議会——これは現地の経済審議会にかけて検討をいたしております。私どもとしましても、できる限り現地の要望にもこたえて、やはり現地の実態に即した計画をつくる必要があろう、こういう点から、その琉球政府が現在お立てになっておる計画を最大限に尊重しながら、日本政府としてもそれと歩調を合わせてやっていきたいというふうに思っております。  次に、財政の問題でございますが、財政の硬直化等、伝えられるごとく、かなり問題があることは事実でございます。私どももいまその内容についていろいろ検討をしながら、特に四十六年度の予算編成も目前にいたしておりますので、従来の援助施策、これを特に一般財源の強化、こういうところにポイントを置いて、従来以上に積極的なかまえで対処していきたいというふうに考えております。
  233. 古屋亨

    ○古屋委員 若干事務的になりますがお伺いしたいのは、この沖繩北方対策庁というのは、復帰までのものでありますか、復帰後も残るものであるか、その性格をひとつお教えを願いたいということ。つまり復帰になれば、自治省が各県と同じように扱うのか、沖繩北方対策庁はそれでも依然として残るものであるかどうか、そういう見通しについてお伺いしたいのと、それから沖繩のために特別会計制度を創設せよというような要望が出ておるようでありますが、これに対するお考え方。もう一つは、新聞紙上では、沖繩に設置される国の出先機関につきましては、個々の機関の名前をあげまして、政府として方針がきまったような新聞報道が見られるのでありますが、そのとおりでありますかどうか、その点お教えを願いたいと思います。
  234. 湊徹郎

    ○湊説明員 第一点の沖繩北方対策庁、これは復帰までの機関なのか、それともその後も継続するものなのか、こういうお話でございますが、対策庁設置の過程でもただいまの議論がございまして、あるいは北海道式の開発庁方式はとれぬものかというふうな御議論等もあったやに聞いております。目下の考えとしては、先ほどもあるいはお答えがあったかと思いますが、その復帰対策としては、復帰の時点において措置すべき事柄と、それまでの間に準備措置としてやっておくことと、それからまさに先ほどの御質問にありましたように、社会経済上の格差の是正、こういうことになりますと、やはりかなり長期の視野に立ってやらなければいかぬ問題とございますので、復帰の時点までに法令、諸制度等については、できる限り一応本土の県並みという前提で沖繩県をつくること、こういう前提で進めてまいりますけれども、その性格はかりに残るとしても、いまのような形でいいのかどうか、再度検討の機会があるだろう、いまのところはとにかく復帰に全力をあげたい、こういうふうに考えております。  それから第二点は、特別会計の話でございますが、これもまあ沖繩に対しては特殊な措置ないしてこ入れが必要であるというふうに思っておりまして、それをどういう形で具体的に何をやるか、そういう中身を固める過程でいろいろ検討していきたいと思いますが、現在本土にございます特別会計と申しましても、資金を主にした特別会計、あるいは食管のように事業を主とした特別会計、あるいは企業的な意味の特別会計、さまざまございます。沖繩全体を地域としてとらえて、その地域全体のやつを特会でということは、戦前は台湾とか朝鮮のような特殊な例がございますが、戦後はこれはございません。そういうことで、一がいに特別会計と申しましても、その中身は具体的に沖繩のために何をどういう形で、どれだけの資金でもってやったらいいか、そういうふうなことを検討する過程で、そこら辺のスタイルというかやり方等についても考えていきたいと思っております。  それから国の出先機関の話でございますが、これについては、もちろん現在の国家行政組織全体の一環、こういうことで考えていくにあたって、沖繩の特殊条件がございますし、また現地の要望等もございますので、まだこの点についてはきめてもおりませんし、新聞にもし出たとするならば、私どもとしては関知いたしておりません。
  235. 古屋亨

    ○古屋委員 いろいろ沖繩北方対策庁のやっておられることについてお伺いができました。  私は最後に、これは私見として申し上げておきたいと思うのでございますが、特に復帰をスムーズにしてしかも沖繩の住民の方々の期待にできるだけ沿うような施策をやる。そういうときにこの間沖繩へ行って、私どもも——これは私見でございますが、本土におきましては政府、財界、国民を包含するような募金運動といいますか、募金運動と言ってはちょっとあれでございますが、目的を定めた大きな運動を行ないまして、沖繩に適切な公共施設を贈るというようなことも考慮に値しないだろうか。たとえば復帰した後できるだけ早い機会に沖繩で国体を行なって、そして政府が半分、各県が残りの半分くらい費用を出して公共施設を沖繩に贈るということも、私は沖繩県民のいろいろの、二十数年の異民族のうちに統治されましたそういう気持ちを、何といいますか、本土と  一緒になったそういう気持ちをあらわすためにも、そういうような国体を開催して、それによって適切な公共施設を沖繩に贈ることも、ひとつ副長官の政治的な考慮のうちに置いていただければ幸いだろうと思います。  同時に、その際は、これは自治大臣がおられますから、奄美の問題につきましても私ども率直に一まあ豊先生は奄美出身であります。私どもは奄美へ行って非常にさみしい感じを持ってきたのでありまして、そういう点につきましても、沖繩とともに奄美の問題も日陰にならぬように、自治省の一そうのあたたかい支援の手を差し伸べていただくことを要望として申し上げまして、私の質問は終わります。
  236. 菅太郎

  237. 山本弥之助

    山本(弥)委員 ただいま古屋さんから御質問がありましたが、沖特の特別委員会におきまして山中長官もまた山野さんも、今回の沖繩の援助費につきましては、前年度の五四%の増、一般会計では二百六十億という非常に配慮した予算である、七二年沖繩返還に関連いたしまして、日本沖繩とが復帰について万全の態勢をとる、これだけの予算をやれば、まず順調に復帰まで円滑な実現について進められる、こういうふうな御発言があったわけです。私どももそういう予算によりまして、沖繩の復帰の態勢が着々進められるということを期待いたしておったわけであります。過般、地方行政委員会におきまして沖繩に参ったわけでありますが、屋良主席にお目にかかりました際に、また総務局長あるいは副主席からも、本年度は非常に財政が硬直している、予算編成も難航しておる。ただいま予算の審議中だと思うのでありますが、まだ予算の成立を見ていないというふうに私は聞いておるのであります。それほど七一会計年度の予算は難航しているようであります。難航しているということは——私は非常に予算が硬直化し、いわゆる七二年を控えまして、本年から来年にかけて、きわめて復帰までの重要な年度だと思うのであります。一日も早く予算が成立いたしまして、復帰についての事務が進められる、あるいはそれぞれ格差解消についての事業が進められるということは、きわめて重要だと思うのであります。そういう時期におきまして難航を見ておるということは、私ども現地に参りました者といたしましても、非常に心配をいたしておるわけであります。これらにつきまして、いろいろな事情があろうかと思うのであります。アメリカの援助費の問題もありましょうし、またいろいろ税収におきましても、実際に執行いたしました際、税収は確保できるかどうかという懸念もあろうかと思います。いずれにいたしましても、本年度は借り入れ金等におきましても、赤字の借り入れをして、非常に前途が暗いのだということを私ども聞いたのであります。これらの点につきまして、副長官からその間の事情をおわかりになっている範囲で、お聞かせ願いたいと思います。
  238. 湊徹郎

    ○湊説明員 ただいま御指摘がございましたように、琉球政府が現在予算の審議中で、会期をかなり延ばして八月ごろまでかかるようでございます。その硬直化の原因等につきましては、これは先ほど指摘もございましたように、すでに援助費がかなり大幅に削られたという事情が、これは特に大きかろうかと思っておりますが、いろいろ内部につきましては、これまた御承知のように、本土における県民税相当の税金というのは、向こうにはございませんし、所得税はいささか本土に比べて高いという事情もあって、所得税の減税措置をとったということもございます。それから、人件費等につきましても、これはいろいろ議論の分かれるところでありますが、総体的に見ますと、本土の類似県、これは普通人件費の割合は三七ないし八%程度と承知しておりますが、沖繩の場合は、県政事務に関する限り四九%、約五割に近い。それから期末手当等の処置についても、まあ私ども四・五カ月でありますが、四・八五カ月分というふうな、いろいろ細部にわたっての問題点もあるようでございますが、いずれにしろ、全体として赤字借り入れというふうな不健全な形で急場をしのがざるを得ない状況になっておるということは、まさしくそのとおりでございまして、私ども財政の関係者内部でも大蔵省、自治省といま検討をさせておりますが、さらに琉球政府等ともひとつ現地に職員を派遣したりあるいは自主的な御相談、助言を申し上げたり、こういったことで、特に来年度予算の編成にも差しかかっておる段階でございますので、そこら辺も十分腹におさめて、ひとつ四十六年度の予算につきましては積極的に検討してまいりたいというふうに考えております。
  239. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この際お聞かせ願いたいと思うのでありますが、予算ではアメリカの援助費は千三百二十三万五千ドルになっておるわけであります。大体どれくらい減額になる見込みでございますか。
  240. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  いまの数字は一応ついておるわけであります。その千三百の中で九十七万ドル、これが下院で削減されたという情報でございますので、その点見込みとしてはどうかという問題になるかと思いますが、われわれといたしましては、それはたぶんアメリカ側の関係者の努力によって復活されるであろうという期待を持っているわけであります。したがって、その限りにおきましては、いまの額は一応そのまま計上され得るだろうというふうに予想しております。
  241. 山本弥之助

    山本(弥)委員 もう一点、租税のほうの所得税あるいは自動車税でございますか、そういう関係はどういうふうになっておりましょうか。
  242. 加藤泰守

    ○加藤説明員 外人所得税の問題でございます。外人所得税の問題と自動車税の問題は、一応琉球政府の予算におきましては、約八十七万ドル程度の計上を見込んでおりますけれども、この点につきましては、アメリカ側との話を受けまして、布令の改正をしなければならぬことになりますので、ちょっとその点まだ見通しがついておりません。
  243. 山本弥之助

    山本(弥)委員 アメリカとの関係は、多少減額になる。約九十七万欠陥でございます。税の関係はまだ了解を得ていない。それらがある程度まで私ども歳入欠陥になると思うのであります。なお、借り入れ金等につきましても十分長期借り入れ等についての国としての御配慮をなさるわけでございますか。
  244. 加藤泰守

    ○加藤説明員 借り入れ金の中で、約千七百万ドルの中で約六百万ドル程度が市中銀行から借り入れるような予定になっているわけでございますが、市中銀行から借り入れるものにつきましてはできるだけ避けるようにいろいろ指導したい、こう思っているわけでございまして、来年度財投につきましてできるだけ配慮していきたいというふうに考えております。
  245. 山本弥之助

    山本(弥)委員 本年度については、そういたしますと、いろいろ苦しい財政に対する補正その他の御配慮ということはお考えになっていないわけでございましょうか。
  246. 湊徹郎

    ○湊説明員 御承知のように、本年度は予算、財投合わせて過般の国会できまった直後でございますので、現時点においては過般来、琉球の副主席が参られて長官と相談したおりも、こういうことでいまの時点でとても考えるわけにはいかぬけれども、琉球政府の予算の成立を待って、執行の面でいろいろと御相談してまいりましょうというふうな返事を申し上げておるところでございます。
  247. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いずれ沖繩県になりました際には、日本の各府県と同じように、国庫の負担金あるいは補助金のほかに、地方交付税といった一般財源の付与というかっこうで配慮せられるものと私思うのでありまして、大体沖繩と同じような規模を持つ島根県だとか、あるいは高知県だとか佐賀県とか宮崎県とか、そういったものと比較いたしますと、これらの県は国の交付税あるいは負担金、補助金といったものの総額が総予算の七割くらいを占めておるわけです。しかも大体四百億程度になると思うのでありますが、その半分が交付税で半分が補助金、負担金だというふうに私どもは考えるわけであります。いわば一般財源としての地方交付税の付与によりまして、私は予算に非常に弾力性がつくんじゃないかと思うのであります。沖繩に対する援助費は、全額負担もあるようでありますが、日本よりも相当率の高い補助金になっておるように思うのですが、いわば事業別の積み上げ方式ということでありますので、そうなりますと、全額補助、いわゆる国で全部を持つという以外は、自己財源ということも必要になってくる。そういうことを考えますと、その事業を遂行いたしますためには、必ず自己財源を考えなければならないということになりますと、予算執行上非常に弾力性を欠いてくるわけであります。いまいろいろ復帰に関連いたしまして制度上の問題あるいは国民健康保険なんかも急いで実施するように聞いてまいっております。こういった新しい事業をいたします際に、いわゆる事業ごとの積み上げ方式ということで援助費を出すということでは、ただいま申し上げましたように、予算の編成、執行上沖繩としても非常に苦慮するのではないか。将来交付税というような問題が当然一般財源付与として行なわれるとするならば、この援助費の問題もそういった包括的な補助をある程度まで、自治省等の意見も参照願いまして、そういう配慮を来年度はやるべきではないのか、かように考えますが、いかがですか。
  248. 湊徹郎

    ○湊説明員 ただいまお話がございましたが、国内の類似県で申しますと、鳥取、徳島、高知、佐賀、宮崎、ここらあたりを大体類似県として私ども考えておるわけでありますが、総体の規模から申しますと、交付税を中心にする一般財源の持つ比率それから国庫補助金等の割合、これはただいまお話があったとおりでございます。  沖繩の予算全体の規模からいたしますと、現在立法院に出しております予算案でも、前年に比べて約二割の伸びを見込んだ予算を出しておるようでありまして、日本のお金に換算しますと大体七百二十億円。ただ、この中に国政分と県政分というのが分かれない形で入っておるところに実は問題がございまして、私どもとしましても、ただいま御指摘のように、個々の事業を積み上げるという形で従来やってきたけれども、願わくは交付税に準じたような形で、と申しましても、国税がそのままこちらに入っておるわけでもございませんので、厳密な対比計算はいたしかねますけれども、総体として全体の見当をつけながら、実態としてそれに合わすような形で四十六年度の予算編成はしたらいかがなものだろうかというので、自治省のほうへもいろいろお願い申し上げて、現在、交付税に準じた、というとことばが過ぎるかと思いますが、そういうふうな角度からの検討をお願いして、両々相まって今年度の予算編成に取り組みたいというふうに思っております。
  249. 山本弥之助

    山本(弥)委員 沖繩の場合は、お話のように、政府と県との両方の予算がありまして、税収のほうも国税と県税というものがありますので、私どもどうも短期間にはつかみにくいのですけれども、いまのお話の大体七百億のうち二百億くらいが国の仕事をやっているのじゃないかというふうな感じがするわけなんです。そして五百億くらいが県としての規模ではないか。そういう県の規模として考えた場合には、類似の県の四十五年度の予算よりはちょっと規模が低いのじゃないか。そういたしますと、補助金全体を使いましても、もう少し配慮がなさるべきではないか。二百六十億プラスアルファもあるようでありますけれども、十分ではないというふうな感じがしますので、それらの点を十分——やはりこの一、二年が大事であって、あとは計画を立てまして、復帰後は復帰後に沿うていくことになりはしないか。しかも市町村の交付税として二十八億見ておるようでありますが、政府から市町村に出しておる交付税は、私の見間違いかわかりませんが、たしか八十九億、約九十億近いものを出しておるというふうに、日本の府県が市町村に出しておる県支出金なんかよりも相当思い切って出しておる。これなんかも二十八億というような市町村に対する交付税の見方がこれまた少ないのではないか。いまお話しの類似県の市町村の総計、個々の市町村と比較するわけにはいきませんので、向こうでいただきました資料からいいますと、たとえば高知県は高知市が相当な人口を持っておる。あとは似たり寄ったりの市町村であるということと、沖繩の那覇市が二十七万くらい、あとが似たり寄ったりの市町村ということで、市町村の配置がよく似ておると思うのであります。それにいたしましても、市町村の全体の規模からいいますと非常に少ない。そのことは沖繩の市町村は非常に行政水準が低いということを端的にあらわしておると思うのであります。  そういうことを考え合わせますと、琉球政府から市町村に出す交付税の関係を特別の財源としてもう少し見てあげる必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけです。来年度の予算で沖繩に対する援助費は、交付税的な性格を持った配慮をするということでありますので、これは私ども全く同感でありますが、市町村に対する配慮等につきましても、もう少し考えるべきではなかろうか、かように考えますが、いかがでしょうか。
  250. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  七一年度におきます市町村交付税の総額は八十六億ということになっておりまして、その中で日政援助が二十八億でございます。これは先生指摘のように、この比率から申しますれば、確かに非常に低いという感じを持たれるだろうと思います。ただ、本土の市町村と比較しまして、沖繩の市町村は日本の市町村のやっているような仕事をやっていない面がございます。そういう意味で、十分仕事の内容とあわせて検討しなければならない問題であろうかと思うわけでございますが、ただ、沖繩の市町村、確かに行財政ともレベルからいってもっと強化しなければならないものを持っているというふうには考えますので、来年度以降、十分その点も配慮していきたいというふうに考えております。
  251. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この税制につきましては、おそらくある程度までの特殊な配慮が私必要ではないかと思いますけれども、比較的早い機会に、県としての沖繩あるいは市町村について、日本と同じような税体系をとるべきではなかろうか、かように考えておりますが、いつごろそういう体系に移行することになりましょうか。
  252. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  琉球政府の税制につきましては、本土とだいぶ違うわけでございまして、本土では市町村税になっておるものも、琉球政府の税となっておって市町村になっていないとか、あるいはその逆の場合もあろうかと思いますが、そういう意味で、本土の税制と琉球政府の沖繩の税制とをできるだけ早く一致させたいというふうに努力しているわけでございますが、いろいろ沖繩側の事情もあろうかと思います。そういう意味で、その点まだまだ十分こちらの期待するようなところまでいってないという状態でございますが、何しろ復帰もあと二年ということでございますので、特に税制でございますと、やはり住民に十分徹底させるということも必要なわけでございますので、そういう点を考えて、琉球政府と十分打ち合わせ、相談をして実施していくようにしたいというふうに思っております。
  253. 山本弥之助

    山本(弥)委員 七二年といいますと、再来年になるわけですが、その十分打ち合わせて実施されるというのは、見通しからいくと、いつごろになるわけですか。復帰後ですか、それとも復帰前ですか。
  254. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  そういう点につきまして、いろいろ問題もございますので、ことしの秋あたり自治省、大蔵省の専門家とも具体的に沖繩に行ってよくその点を調べ——調べるというよりも、むしろ協議をするような方向で、琉球政府との間で十分、できるだけ早い時期に実現できるように持っていきたいというふうに考えております。
  255. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いろいろ公営企業が問題になっておると思うのでありますが、一番重要な問題は、那覇本島の上水道の問題だと思うのであります。いま公社経営、これは軍の必要から生まれた公社であり、それを民間に供給しておるという姿。電力もそうでありますが、電力公社等ある。日本におきましても、電力の県営発電をやっておるところもあるわけなんですが、いまの那覇を中心としておる公社が、全島ではなくて、十数カ町村というふうに聞いておるのですが、これらは本来なれば市町村の仕事になるわけでありますが、一つにまとまった施設ということになりますと、あるいは企業団、あるいはそのまま県営の上水道というようなことも考えられないことはないわけであります。これらについて、いろいろ日米の準備委員会その他におきまして、補償の問題として話し合われるとは思うのでありますが、当然私どもは、こういうのはある程度まで沖繩県あるいは関係市町村の企業団というものに譲渡して経営すべきではないか、それを一応日本が買い取るというようなことではなくて、当然譲渡すべきではなかろうか、かように考えるわけでありますが、それらはどういうふうに対処しておられましょうか。
  256. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  三公社の問題は、米資産の問題として、一応大蔵省と外務省が中心になりまして米側といろいろ話しをしている段階でございます。したがって、どういうふうな形で引き継ぎが行なわれるかということは、いまの段階ではまだ申し上げられないわけでございますが、水道の問題につきまして申し上げますれば、沖繩の場合は、確かに水源が非常に北に片寄っておりまして、その意味で、ある市町村がそれを経営するということは事実上無理ではなかろうかというふうに考えられるわけでございますので、県営の水道、公社のようなものがあるいは適切かもしれないというふうには考えておりますけれども先ほど申し上げましたようなまだ段階でございますので、その点についてまだ固まった考え方を申し上げる段階ではないわけでございます。
  257. 山本弥之助

    山本(弥)委員 極力関係——県営にいたしましても、企業団にいたしましても、長年沖繩県民の利用によって今日きてまいり、しかもいろいろ住民も不便をしのぎながら運営がなされたと私ども考えるのでありまして、当然そういう方面に私は無償で譲渡すべきである、こういうふうに考えておりますので、なお一そうの御折衝をお願い申し上げたいと思います。  なお、産業基盤の問題あるいは経済復興の問題等につきましてもいろいろお尋ねしたい点があるのでありますけれども、時間の関係で割愛いたします。ただ、山中長官がちょうど私どもの行きます直前に行かれまして、私どもが着いた日にお帰りになったということで、向こうの新聞にも、いろいろまことに将来はバラ色のような記事がたくさん出ておりまして、私どもも感心をいたしたわけであります。その中で一つだけ私、地方公共団体に関係のある問題がありますので、その点は長官の意見に賛成でありますので推進を願いたいと思いますのは、企業の誘致の問題について、いわば府県、市町村が自分の税金を免除して有利なことをやることによりまして企業誘致をはかるという無理な操作をいままでやってきたわけなんですが、山中長官の発言の中に、企業が行った場合には、沖繩県で取った税金に対してこれは国でめんどうを見るという発言があったように記憶しておるのであります。このことは私は企業を分散するという意味におきましては、その誘致、まあ工業の少ない県といたしましては誘致したいわけでありますが、誘致する県が乏しい財源から、土地のあっせんはいいといたしましても、固定資産税その他いろいろ便宜をはかるということよりも、国の責任においてその分散に対する配慮をするという考えは、沖繩のみならず本土の工場、企業の分散の点からいいましても、もし税といいますか、税制で配慮するとするならば、それはなかなかいい考えであり、当然国の責任において実施すべき問題である、かように考えるわけでありまして、その点はぜひ将来の計画に盛り込んで実行願いたいと考えております。  なお、私、これは自治大臣にもかつて三万都市ができるときにお聞きしたわけでありますが、沖繩の場合は、今日琉球政府の議員は小選挙区制なんですね。これは当然復帰いたしますと、日本の制度に従いまして府県議会議員の選挙と同じようになるわけですね。その点をお聞かせ願いまして、質問を終わりたいと思います。
  258. 宮澤弘

    ○宮澤説明員 沖繩県の立法院議員の選挙区は、いまお示しのように小選挙区でございます。本土の「郡市の区域による」という場合と選挙区制度の基本が違っております。なお、選挙制度につきましては、それ以外につきましても、選挙運動その他につきましてやっぱり若干の相違がございます。私ども沖繩が本土に復帰いたしました場合には、それは原則的に本土の法律、制度というものによるのが当然だと思うわけでございますけれども、なお実態なり沿革等がございますので、経過的その他必要な措置があるかどうか、検討をいたしていきたいと思っております。
  259. 菅太郎

    ○菅委員長 桑名義治君。
  260. 桑名義治

    ○桑名委員 昨日の懇談会のときに、沖繩の問題につきましての復帰対策推進のスケジュールができてきたわけでございますが、このスケジュールを見てみますと、沖繩の個々の問題につきましては、まだ要するに処置事項の掌握、整理も終わっていないというのが実情でありまして、きょうここで質問をいたしましても、明確な答弁もあるいは予想程度のお話しか答弁が得られないわけでございますので、このスケジュールに従ってまたこの委員会を開いていただきまして、そのつどそのつど質問をさせていただきたいことを最初に申し上げて、概括的なことを二、三お尋ねしておきたい、このように思います。  奄美から沖繩に視察をしたわけでございますが、奄美におきましてもガリオアあるいはエロアのこの返済問題が、いまだ二十年たっているにもかかわらず、問題を残しているわけでございます。振興信用基金承継債権としてのこの処理は非常に理事者側も苦しんでおりますし、あるいはまた各住民も苦しんでおるというのが実情でございます。そういった問題は、一部新聞にも取り上げられましてこれは報道されたわけでございますが、沖繩についてはこの問題についてどのように考えられ、どのような方策でもって臨むか、その基本的な態度をお示しいただきたいと思います。
  261. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  ただいまの問題につきましては、これは対米折衝の問題でございますので、対策庁の問題よりも、外務省の問題として考えるべきだろうと思います。したがって、私のほうからその点について申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいと思いますが、従来の国会答弁の中で、ガリオア資金の債務性の問題につきましては、債務性はないと考えるというような答弁があったかと記憶しておりますので、そういう方向で処理されるであろうというふうに私は予想しておるわけでございます。
  262. 桑名義治

    ○桑名委員 この問題は、かつての外務委員会での外務省の答弁は、確かに債務性はないという返事をしております。対策庁としましても、この問題はただ単なる外務省の問題だというふうにしないで、これから先返還になってくれば、当然地域住民に直接関係のある重大な問題です。そういった意味で、今後の取り組む姿勢としてお尋ねしたわけであって、これに伴う問題についても、現在の奄美の実際に困っておるこの実情をよくながめながら、これを参考にしながら、いろいろ外務省にも強い姿勢で積極的に臨んでいただきたい、そのことをまず申し上げておきたいと思います。  それから、これも直接には関係がないかもしれませんが、今回の場合におきましても、米国政府からの援助費が非常に削減をされております。今後七二年の返還のときには、即時この援助費はなくなってゼロになるのかどうか、この点についての見通しをお答え願いたいと思います。
  263. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  もちろん七二年になりますれば、施政権は日本に返ってくるわけでございますので、アメリカ側のいわゆるプライス法による援助ということがあるかどうかという点につきましては、否定的に考えざるを得ないと思います。
  264. 桑名義治

    ○桑名委員 そうなってきますと、結局、先ほどから財政硬直化の問題やあるいは本土との比較の上において非常な立ちおくれの問題は、これはなお一そう問題として取り上げていかなければならない問題ではないかと思います。いままでの論議というものは、七二年返還までのいろいろな交付税的な性格の援助費というようなことばを使われたわけでございますが、こういった姿で援助していくということでございます。現実にやられておるわけでございますけれども、七二年に返還されて、いわゆる米国政府からの援助費がゼロになった場合、このときの財政措置についてどのように基本的に考えておられるか、その点についてお聞きいたしたいと思います。
  265. 湊徹郎

    ○湊説明員 先ほど山本委員のほうからもちょっとお話がございましたが、もうすでに今日の時点において、日本政府の援助は二百六十億であり、琉球政府が現に審議いたしておりますアメリカの援助費、これは邦価に直しますと大体四十七億程度でございますから、いまのように、七二年時点では期待しないという前提で、そこも腹におさめて四十六年度の予算編成に臨みたいというように考えております。
  266. 桑名義治

    ○桑名委員 次のいわゆる経済の問題ですが、復帰を前にして沖繩は、米国企業の進出を非常に歓迎しているような考え方を持っておるようでございますが、これに反しまして、日本政府のほうは、あまり好ましくない、こういうように現地の琉球政府と本土の日本政府との間に、経済に対する基本的な考え方に多少の誤差があるように思うわけです。現実に問題としてあがっておるのは、いわゆる米国の大手の石油資本の問題があがっておるわけでございますが、こういった米国企業の進出の問題についてどのように対処していくのか、基本的な態度をお知らせ願いたい。
  267. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  米企業の進出の問題につきましては、琉球政府といたしましては、沖繩の経済開発にプラスになる企業であるというふうな前提で、それを認めようとしておる。当然のことでございますが、そういう観点で認めているわけでございますが、いろいろ通産省との間で意見の対立があったように報道されておりますけれども、その点につきましては、いろいろ意見調整はされておるというように私は思うわけでございます。したがって、沖繩経済の開発振興につきまして、日本政府と琉球政府との間で意見の食い違いというようなことで問題が今後生じてくるとは思っておりませんけれども、特に琉球政府が、先ほど副長官が指摘されたように、現在復帰計画を審議中でございまして、近くそれが審議会から答申されるというふうに私聞いておりますので、その経済計画にのっとって今後の外資の問題等ももちろん処理されていくだろうというふうに考えるわけでございます。したがって、本土政府としても、この長期計画につきましては、十分尊重して政府の政策の中に取り入れ得るものを取り入れていくという態度で、今後沖繩経済の振興をはかってまいるという考え方でございますので、その点今後は十分調整をされていくものと考えております。
  268. 桑名義治

    ○桑名委員 何せ問題が固まっておりませんので、あまり追及してもどうかと思いますので、表面上だけ基本的な問題をお聞きしているわけでございますが、まあいままでの論議の中で出ていない基本的な問題としましては、いわゆるお米の問題も当然問題になってくるであろうし、あるいはまた今後の重要問題の一つとして、日本でも同じことですが、基地撤去に伴う米軍基地の勤務者、この人のいわゆる就職の問題をどうするか、こういった労働問題も、これは非常に大きな問題としてあらわれてくるわけでございます。こういう問題にどういうふうに対処していくか、これも基本的な問題だけでよろしゅうございますので、固まっておるならば、お教えいただきたいと思います。
  269. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  去年の十二月五日に大量解雇の発表がございました直後、本土政府としては、沖繩の軍雇用者の中の離職者の就職その他の問題につきまして、一つの方針を閣議できめたわけでございますが、その中で一つは、特別給付金という形で出されております退職金の問題等についての配慮を十分したわけでございますし、さらに再就職の問題につきましては、職業訓練所の拡充とか、あるいは本土への再就職のために、いろいろな本土の施設を利用できるような形で、沖繩の離職者の再就職の機会を増大するというようなことで措置をとる方針をきめまして、それに基づきまして、ことしの予算におきましても、向こうにおける、本土の受け入れ体制のもとにコザとかあるいは那覇の職業安定所の拡充等もやりましたし、それから基地内訓練等によりまして、再就職の場合の技能を身につけるというようなことも配慮しているわけでございます。そういうことに加えて、企業の進出等による雇用の機会の増大ということを本土政府としては基本的に推し進めてまいりたいということで、目下いろいろな施策を講じているわけでございます。
  270. 桑名義治

    ○桑名委員 いまの雇用問題でございますけれども、いわゆる職業安定所の窓口を広げたとか、あるいは職業訓練をやっているとか、あるいは内地への就職の道を開くとか、いろいろなことをおっしゃいましたけれども、そういうことは就職の可能性をつくるだけの話であって、それでは根本的には解決はつかない。問題は就職口というものをどうするかという、そこの点を明確にしておかないと、そこに計画がなければ、これは机上の空論に終わってしまうのではないか。あるいはまた、沖繩にはそういった企業がないからといって、どんどん内地へ送り込めば、またこれは沖繩の過疎問題として重大な問題が惹起してくるのではないかということも、これは当然、憂慮される問題でございます。そういったことも考慮しながら、経済の復興問題とあわせてこれは検討問題としては非常に大きな問題ではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。  それからいまちょっとお尋ねしましたが、いわゆる食管法の問題、それからたばこの専売の問題、こういった問題をどういうふうに移行していくか、その点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  271. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  食管法の問題につきまして、もちろんまだ検討しておりませんので申し上げにくいわけでございますが、少なくとも沖繩住民は現在本土の六割程度の価格で米を購入しているわけでございますので、その点、そのまま適用しますれば、非常に生活に響くであろうと思います。そういうようなことで、できるだけ影響が直接、しかも急激に起きないように十分配慮するという気持ちで、この問題は取り組んでまいる予定になっております。  また、たばこの問題につきましては、これは専売法の問題でございますので、やはり専売そのものがやむを得ないのではないかというふうに考えるわけでございますが、その際、現在のたばこの会社をどうするのか、あるいは現在の葉たばこの耕作者をどうするのかという問題は、もちろん不安のないようにしなければならぬというふうな観点で、いま専売公社のほうでもいろいろ考えてくださっておられるようでございますので、われわれとしては、その専売公社の考え方を十分お聞きした上で、これについての対策を具体的に立てていきたいというふうに考えております。
  272. 桑名義治

    ○桑名委員 いままでのお答えは、点数をつけますれば、それこそ答えになっていないと言わざるを得ないわけでございますが、問題が固まってないような時点での質問でございますので、無理もないことかと思います。いずれにいたしましても、法律、たとえば施行法の問題にいたしましても、先ほどから論議されておりますが、向こうとこちらのほうは違う。そういうふうに法律の面から見ましても、いろいろ大きな差がありますし、あるいはいまのように食管法の問題にしましても、これは生活の上に大きな影響力を与えていきますし、そういったことを考えていきますと、財政的な優遇措置も当然ながら、そういった一面におきましても、いわゆる弾力ある施策を施していかなければ生活上に大きな混乱を来たしていくのではないか、このように思うわけでございます。  いずれにしましても、沖繩の住民は戦争中には本土のわれわれよりも非常に苦しい思いをしておるわけでございます。あるいは戦後も二十数年にわたりましてアメリカの圧制下のもとに生活を余儀なくされてきた。そういったいろいろな観点から、私たちは喜んで本土に復帰する、復帰してよかったという沖繩住民の声が聞けるような施策を施していただけるように要望しまして、きょうの質問を終わります。
  273. 菅太郎

    ○菅委員長 岡沢完治君。
  274. 岡沢完治

    ○岡沢委員 沖繩の本土復帰に伴う一体化あるいは格差是正の問題につきましては、経済上の問題あるいは行財政上の問題ももちろん必要でございますが、われわれ地方行政委員会の守備範囲といたしましては、法令及び制度が全く違う、これについて暫定措置、特別措置あるいは経過措置等が必要なことは言うまでもありませんし、激変緩和の措置につきましても、いろいろ考慮していただいていると思いますけれども、これを運営するのはやはり人であります。そういう関係から、われわれ現地に参りましたときも、市長、村長さんの代表の方から、沖繩に公務員の研修所を設置してほしい、これは復帰に先立ってあらかじめ設置してほしいという要望がございました。また、本土と違う沖繩の行政及び技術水準の向上のために、沖繩の公務員の方々に対して各省庁で全面的な指導、援助の措置をとることは必要だし、すでに推進されていると思いますけれども、いま私が申し上げました沖繩に公務員研修所を復帰前に設置するという要望にこたえるようなお考えがあるかどうか、あるいはいま申しました沖繩の公務員の方に対する内地の制度等になじむための特別の指導援助等についてどういう御用意があるか、お尋ねいたします。
  275. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  御指摘のように、復帰事務を進めていく上におきまして、琉球政府あるいは市町村の職員が十分本土の法令についての知識を持っていただくということは必要であろうと思います。そういう意味で、従来から自治省のほうにお願いいたしまして、自治大学でも琉球政府あるいは沖繩の市町村の職員の研修を引き受けていただいているわけでございますので、ここであらためて沖繩に研修所を設けるかどうかという点については、いま直ちにそういう措置をとらなくても、本土からもちろん近く人事交流のような形で沖繩の琉球政府の中に職員として派遣したいというふうにも考えておりますし、その見返りというような形で、琉球政府の職員を本土の政府職員に採用するというようなことで、ひとつそこの事実上の研修でございますが、そういうようなことを事実上やってまいりたいというふうに考えているわけでございます。そういうことで、さしあたってはこの二年間の問題でございますし、特に研修所を設けてこの二年間の問題を処理するということもなかなかむずかしいんじゃないかというふうな気もいたしますので、むしろ具体的にそういうような形で処理していったらどうだろうかと、まあ私個人的には考えておるわけでございます。
  276. 岡沢完治

    ○岡沢委員 いまの総務部長の御答弁のところにもありましたので、私からこの際提案したいと思うのでございますけれども、大阪に豊中市という市がございます。人口は三十六万くらいの都市でございますが、この豊中市のほうで、沖繩のコザ市の市役所の職員を過去数年間受け入れまして、職員研修のようなかっこうで、しかし、豊中市としましても、職員の不足を補う意味で、実際に沖繩のコザ市の市役所の職員の身分は持ちながら、実務は豊中市役所でやっていただいている。そのかわり給料も豊中市が負担をする。実際に非常な実益をあげているのでございます。来た人は、内地留学のような形で、新しいあるいはまた内地における現行制度の勉強になる。豊中の市役所の職員も、よそからお客さんを迎えたような形で非常に緊張する。精神面におきましても、あるいは人情的にも非常にいい雰囲気があるようでございまして、かなりの成果をあげております。私がそのあと石垣市に参りました際、石垣市の市長さんから、実はその話がございまして、コザ市で豊中市役所に職員の受け入れをやってもらっておる。石垣市もできたらそういう方法を考えてほしい。私は豊中市が含まれている大阪府の出身でございますから、ぜひ左藤知事にそういう話をしてほしいというような御依頼がございました。私は、内地の各市町村、府県もそうでございますが、労働力不足に悩んでいることは、ここで指摘するまでもないことでございますし、先ほど申しましたように、復帰後法令、制度の違う沖繩において、実際上実務に当たる職員があらかじめ内地の諸制度、諸法律になじむということは非常に行財政運営上能率的、効果的だと思うわけでございます。総務部長の御答弁にも、沖繩の職員を内地の公務員として採用するというようなアイデアも考えてみたいという御答弁がございましたが、先ほど申しました公務員研修所の新設が無理であれば、ぜひ私は全国的な規模で、まあ受け入れ不可能な市町村役場があることも明らかでございますけれども、規模その他沖繩の各市町村と対応できる適当な市役所とタイアップしてもらって、沖繩コザ市と豊中市における人事交流と申しますか、内地研修の成果を見ていただいた上で、ぜひ広範囲に採用する方法を考えてもらいたいと思うわけでございますが、もし御意見ございましたら、承りたいと思います。
  277. 湊徹郎

    ○湊説明員 ただいまたいへんけっこうな御提案がございました。実は政府としても、最近は特に向こうの人をあるいは国庫補助を出して内地留学のような形でかなり受け入れておりますし、政府の各省等においても、実際の御勉強をいただいているわけでございます。さらに現地の方に対しても、特に今年に入ってから、かなり関係の各省もそれぞれ専門分野ごとに現地に長期間派遣をして、いまの実務を兼ねながらお互いになじんでいくという体制をとっておりますが、それが県ないし市町村の段階まで及びますと非常にけっこうなことであろうと思います。いまのところ、さらに現地の事務局あるいは琉球政府のほうとも話し合いをいたしまして、自治省のほうでもひとつごあっせんを願うというようなかっこうで、積極的に検討してみたいと思います。
  278. 岡沢完治

    ○岡沢委員 湊副長官から非常に積極的なお答えをいただきまして、私もうれしく思いますが、実際、豊中市としては、第三の功績としてコザ市あたりからたくさんの労働力の流入にも役立っておりまして、お互いに市同士の交流やいろいろな面にプラス面が多いので、ぜひいまのお答えどおり積極的に御配慮いただけたらと思います。自治大臣がお見えでありますけれども、市町村の代表あるいは県等につきましても、こういう制度があるということを、適当な機会に、御披露いただければありがたいと思います。  次に、古屋委員から若干触れられた質問でもございますけれども沖繩では市町村の合併がかなり大きな必要性を帯びた課題になっているようでございますが、現実には合併促進事業等についての特別の手当ても全くないようであります。合併したために、かえってそのための負担だけがふえてということで、理屈としては町村合併の必要性を十分に感じながら、実際はなかなか進んでいないというのが現実のようでございます。また、われわれが聞きました市町村長からも、市町村の財源不足を補う意味で、市中銀行から短期高利の資金を借りているというようなことも珍しくないようでございます。私がここで御専門の方々を前にちょうちょうする必要はありませんが、適正規模の合併ということは、行財政の能率向上の上からもきわめて必要だと思います。そういう意味からも、合併促進費の援助等について格別の御配慮をなさるべきだと思いますけれども、これについての見解をお聞きします。
  279. 加藤泰守

    ○加藤説明員 お答えいたします。  沖繩では五十九の市町村があるわけでございまして、御指摘のように、過去におきまして合併が実現いたしましたのは、那覇と糸満と石垣の三つでございます。近く名護が合併すると聞いておりますけれども、なかなかほかのところでは合併が促進されていないということは御指摘のとおりだろうと思います。したがって、この点につきましては、復帰前におきましても合併が促進されて、その結果として市町村行財政の充実強化ということになるようにわれわれとしては努力したいというふうに思っておりますが、具体的にどういう措置をということは、いまちょっと申し上げられないわけでございます。
  280. 岡沢完治

    ○岡沢委員 ほんとうはその方針よりも、具体的なおみやげが少し聞かしていただきたいわけだし、それがまだ実際の合併を促進する促進剤になろうと思うわけでございます。  同じような質問になって恐縮でございますけれども先ほど古屋委員山本委員からもお触れになった問題でございますが、琉球政府あるいは沖繩の市町村の財政の硬直化の問題、これの打開策、何をやるにつきましても、結局、先立つものは金でありますから、具体的にどういう援助をするかということが、格差の是正あるいは沖繩県民の満足ということと直接に結びつくわけでございますので、あえて重ねて質問するわけでございます。  琉球政府の財政力は弱いあるいは資金運用部資金が欠乏しているということは、ここで指摘するまでもないと思います。また沖繩の市中銀行はきわめて資金力が欠乏しているということもよく御承知のとおりでございます。さらに復帰が確定いたしまして以後、米国の援助があるいは削減され、あるいは打ち切りになっておるということも御承知のとおりでございます。那覇空港あるいは道路の一部路線の援助が援助対象から除外をされておる、あるいは公営住宅建設資金の援助が打ち切られたり削減されたり、あるいは一連の関係の経費の負担が取りやめになったり、いろいろ援助の削減が現に行なわれております。これの歳入不足をどうするか。先ほどの古屋委員に対するお答えでは、琉球政府の予算成立を待って執行の面で格別に配慮したいというおことばが抽象的にはございました。しかし、これらの歳入不足を日本政府が負担することは私は当然だと思いますし、その当然の日本政府の負担が実際にできるように予算措置、法令等の整備がほんとうは必要だろうと私は思うわけでございます。ここでちょうちょうするまでもなく、先ほど桑名委員からも御指摘がございましたが、戦後の日本の内地のすばらしい経済復興は、沖繩の犠牲に負う面があると言い切っても間違いないほど、沖繩の方々は大東亜戦争及びその後の二十五年間大きな犠牲を払われてきたわけでございます。そういう意味からも、先ほど来問題になっておりますように、沖繩を本土の相当県、類似県と同等水準に財政を充実するということはもちろんでございますけれども、過去二十五年間の空白があるわけでございますから、さらに一時的に大幅な補助、援助があって当然だ、また内地の国民感情もそれを許すという感じが私はいたします。それだけに現実に財政の硬直化で悩んでおる琉球政府の財政を具体的に政府としてどういうふうな打開策、援助をされる用意があるか、重ねてお尋ねいたします。
  281. 湊徹郎

    ○湊説明員 先ほど申し上げましたように、現在琉政で検討中の財政の内容等を拝見いたしますと、かなり問題があることは事実でございますし、私どもとしましても、何せ日本政府としての援助予算は成立したばかりの段階でございますから、現在補正を組むというふうな形はとれませんが、過般の国会審議でも、御承知のように、調整財源という形で、災害あるいは離職者対策その他起き得ることが予測されるものについて約十億円、これは琉政に対する援助額に含まれてございません、こちらで一応調整費として留保してございますので、とりあえずはそれらの運用等についてもものによっては考えながら、予算の成立を待って今後執行の面で極力努力をしたい。その中には、さっきございましたように、布令税制でもって現にアメリカのほうで取っております所得税と自動車税の話がございましたし、あるいはまた油脂課徴金、さまざまあるわけでございます。そこら辺も外務省を通ずる交渉によって若干でも弾力的な措置が可能になるようにというので、現在交渉をお願いしておるのでございます。そういう諸般の措置を通じてひとつ当面対処していきたいというふうに考えております。
  282. 岡沢完治

    ○岡沢委員 副長官から私としては満足すべきお答えをいただいたわけでございますけれども、確かにおっしゃるような理由で、簡単にまたすぐ予算をどうするというわけにはいかぬこともよくわかりますけれども沖繩の場合、お触れになりましたように、税収増を予定しておりました税制改正の問題等がどういうようになるかという面もございますし、援助の削減というのが、いわば日本政府以外の外的な要因によって沖繩財政の硬直化が進んだり縮んだりするわけでございます。沖繩に対する援助については特別な扱いをされましても、他府県への影響はまずないと考えますし、国民感情といたしましても、おそらくこれについては納得するというように感じますだけに、私は、復帰後の諸政策ももちろん必要でございますけれども、この準備期間ともいうべき残されたわずかの期間をいかに有効にまた適切に、タイムリーに援助あるいは諸制度の経過暫定措置を講ずるかということもきわめて大切かと思いますだけに、ぜひ弾力的な、しかも国民沖繩の方々が納得されるような援助方法を具体的に講じていただきたいということをお願いいたしまして、時間が参りましたので、質問を終わります。
  283. 菅太郎

    ○菅委員長 本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十六分散会