○山本(弥)委員 事前に打ち合わせもしておらぬし、事後、機長に対する指示ですか、オペレーションズマニュアルというような指示が行なわれておったということの
内容も記憶がはっきりしない。何か言いたくないようなお話で、私は深くつきません。これはもうすでに論議されておると思うのであります。しかし、こういう事件が起きたあと、どういう指示がなされておったかということにつきましては、警備局長としましてもそれらの点は、事後においてもその指示が生きておる限りにおいては、はっきりわからないという御答弁でなくて、答弁しなくてもけっこうですが、どういう指示がなされておるということは十分把握すべきではないでしょうか。そしてそれらの指示の出されておることに対して
警察が今後どう対処するかということにつきまして、やはり発生した場合の判断を的確に行なうということが必要ではないかと思いますので、今後こういう事件が発生することを私は極力防止を願いたいと思いますけれ
ども、そういった重要な機長に対する指示、おそらく乗客の安全ということを考えた指示であり、あるいは航空中の安全ということに重点を置いての機長に対する権限の付与、指示ということであったと思うのですが、それに
警察がどう対処するかということが重要ではなかろうか。しかも先ほどは、すでに発生した百数十件の前例等につきましては成功率がほとんど七〇%以上。そういうことからいいますと、やはり乗客の安全が第一である。今後こういう問題が起きた場合に、どういうコースでどういうふうなハイジャッキング、
犯人はどういうことを意図しておるかということもそれぞれ想定できるわけであります。それは
警察だけの問題ではなく、政府としてそれにどう対処するかということは、今後十分
検討すべき大きな問題だと私は思うのであります。少なくともそういう指示が出されておるというようなことは、指示が出されておること自体は私は当然だと思うのであります。すでに毎年増高しておるわけでありますから、それらは
警察も十分承知の上で、
警察としてどう対処するかということをはかるべきではないかと思いますので、中途半端にしないで、
警察庁としては腹がまえあるいは
対策を考えておくべきであるということだけを私は申し上げておきます。
ただ、この前の事件に関連いたしまして、
警察庁の指示四点だとか二点だとか、いろいろこの前の合同審査会においても論議されたと思うのでありますが、私はかりに二点にしぼりましても、乗客の安全なり救出を第一義として、そうしてそのためにあとう限り板付から発進させないためにあらゆる手を尽くせということを警備局長から、長官なりあるいは
委員長の了解のもとに、福岡の県警本部長に指示されたということであります。これを受けたほうは、そういった重要な国際空港を持っておる、あるいはそれに近い空港を持っておる本部長としては、当然事前にそういうときの処置というものは考えるべきであると思うのであります。この一件二つの指示を
警察として——指示そのものはそうありたい、そうあるべきであるというふうには私は了承いたしますけれ
ども、現に旅客を人質にして目的を到達しようという
犯人から判断いたしますと、乗客の安全こそあらゆる方法を通じて飛行機を発進させないということは、現地の受けた
警察の本部長としては、おそらく適切な措置ができないのではないか。これをするためにこれこれの措置をすべきであるという具体的な指示がない限りは、これはきわめてむずかしい問題でありまして、乗客の安全な救出ということは、
犯人が了承しない限りは
航空機の中から出してもらえないでしょうし、
犯人はあくまでも目的を到達しようとしている。その安全をはかるためには、あるいは発進もやむを得ないという事態、これが遺憾ながら成切率を高くしていると思うのでありますけれ
ども、それらは今後重ねて、時間の関係がございますので、私はいろいろこまかく
質問する意思はございませんが、こういう方面を今後十分
検討なさいまして、現地の本部長が矛盾するような、どうこの二つの問題に対処するか措置に困るというような指示は今後再
検討する必要がある。そうでないと、この二つの問題を解決するために、指示の重点である旅客の安全な救出を第一義とするということが、今回はうまくいったわけでありますけれ
ども、万一これが失われるということであれは——これは諸外国の例からいきますと、ほとんど安全に乗客が救出されている。機内で撃ち合いをするとかいうような被害がなくて、ほとんど安全に乗客が救出されている。問題は、それらの人間を乗せないということが、今後の
対策の重点になろうかと思うのでありますが、万一そういう事態が起こった場合に、
警察がこれをどう見るか、どう指示するかということにつきましては、私はさらに同じような議論を蒸し返すことは避けたいと思いますけれ
ども、
警察としては、それらの腹がまえを事前に関係方面とも十分相談をしていただいて、より高い次元でこれに対処するという配慮、外交問題もございましょうし、あるいはその他の方法もあろうかと思うのであります。そういうことによって、諸外国で旅客の安全を第一義としている問題にはずれるような、
警察だけの視野からの問題の処理のしかたというのは、
一つ間違えば非常に危険な状態になるのではないか、私はかように感じまして、この点今後こういう事案の
取り扱いにつきまして十分
検討もし御配慮も願い、事前に十分そういう場合の現地の
警察の動き得る態勢−臨機応変ということはあり得るだろうと思いますけれ
ども、基本的な問題は、矛盾して動きがとれない、それを熱心にやればやるほど問題がかえって悪い状態にならないような配慮の
検討が必要ではないかと思います。幸いに板付の場合は、時間をかけたことによりまして婦女子がおろされることができた。もう少し多くおろすことができればよかったわけでしょうけれ
ども、それらのかね合いにつきましての今後の
対策というものについての御配慮をお願いしたいと存じております。
なお、今後の
対策等につきましては、万全の措置を
委員長さんとしてもいろいろおとりになっているということで、私は詳しく申し上げませんが、おそらく国際線では、日本の場合は該当の事案が少ないのではないか。これはいろいろ関税の手続その他の関係もありましょうし、問題はバスと同じような
国内線の問題だと思うのです。これらの
対策につきましても、いずれまた私
どもの考えを申し述べる機会もあろうかと思いますけれ
ども、その詳細につきましては、先ほど来私自身が申し上げておりますように、深く突っ込むことを避けたいと思いますが、その点は
警察自体としてどう対処していくか、しかも人権を尊重しながらどう対処すべきか、非常にむずかしい問題ではありますが、十分御
検討願いたいということを申し上げておきたいと存じます。
なお、私の気になりますことは、週刊誌等にも出ておりましたが、「隠れた演出者、米第五空軍」というような見出しで出ておること等につきましても、
警察のハイジャッキングに対する事案からだいぶ高次の次元の問題が今日の「
よど号」事件ではあったようであります。これらも
警察の生命と財産を守るという立場からもどう対処するかということは、十分政治に振り回されないような
警察自体の
対策ということをお考え置き願いたいということを申し上げるにとどめたいと存じます。
なお、先ほど御報告の中で、飛行機の構造と設備というようなお話があったわけでありますが、これは今後万一の場合の事故を防止し、機長の権限で
犯人に対する拘束をするという場合には、非常に参考になることではなかろうか、かように考えるわけであります。これらの点についても
検討する必要があろうかと思います。
なお、法案につきましては、別にもうとりたてて申し上げるようなこともないわけでありますが、
条約に加盟することによって、とりあえず
犯人の
引き渡しを受けるその権限、義務等につきましての簡単な
法律のようであります。このいわゆる
東京条約に加盟しておる加盟国で
国内法を
制定しておるのでありましょうが、ほとんど大部分がこういった
わが国の
法律と同じような
法律をつくっておられるのかどうか、その点伺いたい。