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1970-04-24 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月二十四日(金曜日)     午前十時三十分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中村 弘海君    中山 正暉君       野呂 恭一君    安田 貴六君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    細谷 治嘉君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   荒木萬壽夫君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房陸上交通安全         調査室長    平川 幸藏君         警察庁長官   後藤田正晴君         警察庁交通局長 久保 卓也君         厚生省環境衛生         局公害部長   城戸 謙次君  委員外出席者         通商産業省繊維         雑貨局雑貨第一         課長      竹谷 源氏君         運輸省自動車局         整備部長    隅田  豊君         建設省道路局道         路交通管理室長 加瀬 正蔵君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 委員の異動 四月二十四日  辞任         補欠選任   華山 親義君     細谷 治嘉君 同日  辞任         補欠選任   細谷 治嘉君     華山 親義君 同日  理事山本弥之助君同日理事辞任につき、その補  欠として山口鶴男君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任及び補欠選任  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第八三号)(参議院送付)  昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十  四年度における地方公務員等共済組合法規定  による年金の額の改定等に関する法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第九三号)  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案  (内閣提出第九四号)      ————◇—————
  2. 砂田重民

    砂田委員長代理 これより会議を開きます。  委員長は所用のため出席がおくれますので、委員長指定により、理事の私が委員長の職務を行ないます。  理事辞任についておはかりいたします。  山本弥之助君から理事辞任いたしたいとの申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 砂田重民

    砂田委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、理事補欠選任についておはかりいたします。  ただいまの理事辞任に伴うその補欠選任につきましては、先例によりまして委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 砂田重民

    砂田委員長代理 御異議なしと認めます。それでは委員長は、山口鶴男君を理事に指名いたします。      ————◇—————
  5. 砂田重民

    砂田委員長代理 参議院から送付されました道路交通法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。細谷治嘉君。
  6. 細谷治嘉

    細谷委員 すでに道路交通法の一部を改正する法律案については、同僚の委員からかなりの質問が行なわれておりますので、私は重複を避けまして若干の点について質問をしてみたいと思います。  日本交通事故を見てみますと、四月十五日の「政府の窓」というところに山中総務長官と朝日新聞の岡編集委員との対談で、アメリカでは走る棺おけ、こういうことばだそうでありますが、日本では走る凶器、こういうふうに呼ばれております。事実、事故構造を見てみましても、このことばは非常に適切だと思うのです。そこに問題点があると思うのでありますが、今度の改正案について順を追うて、逐条といいますか、少しお聞きしてみたいと思うのであります。  今度自転車道、こういうもので、第十七条の二と十七条の三、こういうものが新設されたわけでございますが、複々断面でなくて車道歩道と分かれておる、そういう場合に、一体どういうふうに自転車道を区分するつもりか。大体は書いてありますけれども、個々の具体的な問題になりますと、それぞれで問題が出ておるようであります。たとえば戦後戦災復興等でつくりました道路を見ますと、車道の幅というよりも、むしろ歩道の幅が広くつくられた。最近の道路というのは、断面歩道のほうはなるべく狭くして、車道の幅をよけいしようということで、歩道を狭めて車道を広げる改築工事ども行なわれておるわけです。たとえば歩道には全国で花一ぱい運動とかいうものが行なわれておりまして、歩・車道の間に花壇等がつくられております。建設省あたりの国道では、建設省と書いたおさらのようなものに花がいけられております。こういうような問題が地元で提起されておるわけですけれども、どういうふうに進めるつもりか、複断面の場合。そうしてそういう予算というのはどうなっているのか、ひとつ警察庁建設省お尋ねしたいと思います。
  7. 久保卓也

    久保政府委員 自転車道の定義が第二条に新しく入っておりますが、それによりますると「自転車通行の用に供するため縁石線又はさくその他これに類する工作物によって区画された車道部分をいう。」ということでありますので、自転車道というのは、歩道車道との間に、たとえばブロック石を置きますとかあるいは小さなガードレールを置きますとか、要するに車道歩道を何らかの工作物で区分をしたというような道路をつくることになります。そこで、これは歩道の上に自転車道を置くということでありませんで、歩道車道との間にそういった工作物で区画する。その区画する設置者道路管理者ということになります。
  8. 加瀬正蔵

    加瀬説明員 ただいまの御質問は、自転車道のほうの予算関係でございましょうか。——建設省におきまして現在の交通安全施設等整備事業三カ年計画、四十四年度から四十六年度までの間でございますが、この間におきましては、特定単独を含めまして自転車道及び自転車歩行者道、これは五百九十八キロメートルを整備するということで、約百二億円の事業費を用意するつもりでおります。
  9. 細谷治嘉

    細谷委員 歩道車道をつくるということでありますが、交通量が非常にふえてきましたので、たとえば私の住んでいる町あたりは、従来は歩道、緩速車道それから車道、こういうふうになって、車道と緩速車道との間にはグリーンベルトがあったのです。そのグリーンベルトを取りはずされたのです。ですから、緩速車道がなくなったわけですよ。そういうところはどうしますか。そこで、いま花一ぱい運動というのに非常に熱心な人がおりまして、歩道が六メートル半の幅がありますから、その車道寄り、従来は緩速車道歩道のその歩道側街路樹が立っておりますして、その街路樹を一列にずっと囲んで花一ぱい運動花壇が設けられておったわけです。これを全部こわさしたわけです。そういう場合どうしますか、歩道に設けるのじゃないと言っておりますけれども
  10. 久保卓也

    久保政府委員 これは法律でありますから、特定の場合にどうするこうするという問題でなくて、自転車道設置するという要望が非常に強いわけで、したがって、自転車道設置し得るような場所を選んで自転車道設置する。どこの場所にも自転車道設置するということではございません。
  11. 細谷治嘉

    細谷委員 自転車道のあったのをこわさしたわけですね、警察の主張があって。これは自転車道はなくなったわけです。そこで、今度この二条に出てきたわけです。  いいですか、自転車の通るところがなくなったわけです。いわゆる自転車道をこわさしたわけですよ。そこでどういう事態が起こっているかというと、建設省のほうから、歩道のほうで花壇をつくっておったのはこわしなさい。そして自転車道がつくられた後でないと花壇をつくってはいけませんぞ。自転車道をいつつくるか。いま百二億円の予算でこれからやるということですから、その間は花など植えてはいけませんぞ、こうなっておるわけだ。だから、当事者はまいっておるわけですよ。ですから、言ってみますと、この二条の自転車道というのができない前に、せっかくあった自転車道というのをこわしたわけですね。ですから、逆行しているじゃないですか。どうなります。
  12. 久保卓也

    久保政府委員 グリーンベルトを取りはずすかどうか、あるいは緩速車道を取りはずすかどうか。その場所交通実態によるわけで、それは自転車専用道路ではなかったわけです。低速車たとえば軽車両でありますとかあるいは左折をする車でありますとか、そういうものが通るということであったのでありましょうけれども交通量がふえればグリーンベルトがじゃまになるということで、おそらく取ったんだろうと思います。そこで、取った場合に、自転車がその車道を通れなくなるということではございませんで、従来よりも保護された形ではないかもしれませんが、一応通れる。おそらくそういった道路では自転車交通量は少ないと思いますけれども、しかしながら、いまの花壇を取ってまで自転車道をつくれということは、この法律は全然要求するものでも何でもありません。要するに、自転車通行する必要のある場所がございます。たとえば学校へ通学するところでありますとか、あるいは地方道路などにおいて、交通量がそれほどでなくても非常に広い道路が残っております。そういうところで、町の人たちが非常に自転車利用する場所が多い。東京ではそれほどではないと思いますけれども地方では非常に多い、そういった人たちのために、車から分離された安全な自転車道をつくろうということでありまして、特定の場合に必ず自転車道をつくらなければならないとか、そういったものではございません。やはり自転車の運行のあり方一般通行あり方、あるいは道路環境その他によってつくってよろしいということであって、いまのお説のように、花壇をつくることが一般地域住民から望ましいということであれば、それをこわしてまで自転車道をつくれということをこの法律が期待しておるわけではさらさらございません。
  13. 細谷治嘉

    細谷委員 警察庁にお願いしておきたいのですが、車道、緩速車道といった場合に、ちょうど国会会館の前にセンターのグリーンベルトがありますね。あれに灌木を植えておるわけですね。灌木はあぶないですよ。これは名神高速とか何とかという完全に遮断されておるところは、対向車のライトを避けるために灌木はよろしいのですけれども、そうでないところは——こう曲がってきますね。Uターンするのですけれども、たとえば入ってきたところを会館のほうへ入る。その場合に灌木ですとわからない。ですから、やはり事故の原因になるのですね。御堂筋あたり灌木じゃないのですね。イチョウの木が立っている。イチョウの木は高いのですから、木が一木立っているだけですから、あまり遮蔽されていないのですけれども灌木を植えておるのは、この国会の前のが見本でありますが、いま申し上げました車道と緩速車道を分けるグリーンベルト灌木が植わっておったものですから、自転車車道のほうへ出ようとして自動車にやられたということがたくさんあるのですけれども、この辺は事故を押える意味において、灌木は、遮断されておる名神高速道路のようなところなら別として、そうでないところはやめて、むしろ一本立つイチョウの木とか何とか、それならばいいけれども灌木はやめたほうがいいのじゃないか、こう思います。これは私はそう思っているのであって、御検討いただきたい。  そこで建設省、いま警察庁が言ったとおりなんですけれども、その間は花は植えさせない、こう来ているわけですね。緩速車道は複々断面であったわけですけれども自転車の通る道は車道関係でなくなってしまった。道路は四十五メートル道路なんですが、なくなったものですから、歩道車道複断面になっておる。歩道は戦後つくったものですから、六メートル半の相当広い歩道なので、これは少し広過ぎると思うのです。そういうところに自転車道をつくるのはいいと思うのですけれども花壇を全部くずせ、そうして自転車道ができ上がるまでは花壇をつくってはならぬ、こういうふうに地建が指導しているわけですよ。そうして予算は百二億円ですが、いつできるかわからぬ。そうすると非常に殺伐であります。花を植えることができない、こういうことになるのですが、どういたしますか。
  14. 加瀬正蔵

    加瀬説明員 ただいまお尋ね場所を私はどこかよく存じませんので、実情はわからないのですが、一般的に申しまして、街路樹とかあるいは花壇とかいうものは道路の美観上非常にけっこうなものだということで、道路法でも、付属物として道路法の体系に取り入れて、道路と同じ扱いにしております。したがいまして、そういうものが整備されるということは好ましいことでございまして、交通状況によりまして、あるいは自転車道なり自転車歩行者道というものの整備が必要とされるような交通実態であるために、その部分自転車道なりあるいは自転車歩行者道とすることが適当であるというような場合には、道路歩道幅員が広くてゆとりがあれば、そういうほうに移設するなり、何かほかの方法があるかと思います。そういった方向検討したらいかがかと考えております。  なお、現地はよく知りませんので、調べまして花壇設置なり並み木設置というものが適当な場合には、そういう方向検討していきたいと思っております。
  15. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、歩道が六半というのは、いまの建設省のやっているあれからいうと、少し広過ぎるのじゃないか。しかし、従来のいきさつ車道と緩速車道歩道と分かれておったのを、交通量関係で緩速車道を廃止した。そういういきさつからいって、今度自転車道というのができてくる。けっこうなことですよ。そうなってまいりますと、そういう経過から踏まえて、この辺の予算というのを早くつけてやって、一つのその辺の住民の楽しみである潤いを与える意味において——花壇というのは、とにかくこれができるまで、いつ予算がつくかわからぬけれども、それまでは待てなんということじゃなくて、そういう経過があるのですから、早く対処してやっておくほうがよろしいのではないかと思うのですが、いかがですか。
  16. 加瀬正蔵

    加瀬説明員 道路構造令の六メーター五十という歩道幅員は相当広いほうでございまして、そこまでは要求していないかと思います。確かにそういう余地があれば、調べましてそのように対処するというふうにしたいと思います。
  17. 砂田重民

    砂田委員長代理 関連質疑申し出がありますので、これを許します。井岡大治君。
  18. 井岡大治

    井岡委員 時間が限られておりますから、ごくかためてお尋ねをいたします。  昨日、この法案の審議の際に、自動車学校の問題を企業としてこれを育成する、こういうような御答弁があったと思います。私は、最近の事故発生状況から考えて、これを防止するために、いまの学校制度では、教習制度ではいけない、こう考えます。このことは自動車学校企業といっておるわけですが、どういう方法でこれをやるかというと、各都道府県に一つなり二つの大きな公立学校をつくる。教官はいまの教官でいいでしょうけれども、あるいは警察交通法規に明るい方々がその教官におなりになることもけっこうだと思うのです。しかし、学校をつくり、そうして会社社員として採用をして、午前中はその会社の作業をやらす、そうして午後は学校にやらす、そうしてそれを二年なり三年なり十分学校でいわゆる交通というものに対する教育を行なっていく、こういう方向をとってはどうか、こう考えるのです。そういたしますと、いまの運転手さんは——私もよく乗りますが、タクシーに乗っても、たまたまちょっとした故障でも、いまの運転手さんはよう直さない。私は昔乗っておりましたから、おりてボンネットをあけて直してやる、こういうのが状況です。いまの教習所運転をすることだけを教えるけれども、車の構造などについては、さらっとおざなりに教えている、こういう状況です。これでは私は、事故発生をするのは無理のないことだと考えるのです。ですから、いわゆる公立学校をつくって、社員として採用する、午前中はその社の仕事をし、午後三時間なら三時間、そして二年なら二年間は学校に通わす、それにいわゆる免許を与える、その免許は単にタクシー免許でもよろしいあるいはトラックの免許でもよろしい。そういうように、一定の期間を経た者にやるというような制度をつくっていかないと、事故の絶滅なんということは期せられないのではないか。言いかえて申し上げますと、子飼い職員はどうしても自分会社のことを考えるわけです。警察の諸君は警察のことをお考えになるように、子飼い職員自分会社のことを考えますから、そうむやみやたらになにはやらない。いま運転手は足らないから、ここで首になったって次に行けばまた雇ってくれるわけです。こういう状況ですから、非常に無理な運転が行なわれている。こういうようなことを考えられる御意思があるかどうか、これがまず第一点。  建設省はどなたがお見えになっておりますか。
  19. 砂田重民

    砂田委員長代理 道路交通管理室長が来ております。
  20. 井岡大治

    井岡委員 そこで、建設省にお願いしたいのは、いま道路にむやみやたらに駐車をしているわけですね。ところが、あの公団高速の下はまるきりあいているわけです。  よそのことを言って間違ったらいけませんから、私は地元大阪の例を申し上げます。大阪のいわゆる四号線、本田から築港まで地下鉄がついております。これは上へ上がっております。あの下が使用できないわけです。そこに駐車場を設ける、しかもそれは公営の交通局がその駐車場を経営する。そういたしますと、そうたくさん金を取る必要はないわけですから、十分に空間地利用ができる。こういうように法律を改正なさる御意思があるかどうか。この二点をお伺いいたしたいと思います。
  21. 久保卓也

    久保政府委員 まず第一に、自動車学校公立化してはどうかということでございますが、私はよくは存じませんが、指定自動車教習制の問題が以前ありました場合に、私企業でやるのかあるいは公立的な方向に持っていくのかといった検討が部内でも行なわれたようでありますが、どうも今日の情勢では、公立学校としての運用では、それこそ効率があがらないのではなかろうかという意見が相当多かったようであります。全体のいまの資本主義的なあるいは競争社会的な行き方のほうがよろしかろうというふうなことで、私どもの局では、結論としては、いまのような指定自動車教習所のほうがよかったのではなかろうか、そうでなければ、あれだけ多くの者が、また内容を、いずれにせよいろいろ批判はあるにせよ、充実することは望めなかったのではなかろうかという感じを持っておるわけであります。  しかしながら、ただいま先生の一つの御提案を伺ったわけでございますが、私ども十分御洗脳いただければ、あらためてまた考えてみたいと思いますけれども、いまのところそういう考え方を持っておりません。
  22. 加瀬正蔵

    加瀬説明員 高速道路高架部分の下でございますが、こういうものの利用につきましては、駐車場とかあるいは子供の遊び場とか、そういうものに優先的に使用するという指導をしております。それからそれ以外に、たとえば補償対策でその周辺の住民を収容するときに、あるいは住居をつくるというようなことも考えておりますが、駐車場というものは比較的優先度を高く考慮しておる次第でございます。  それから駐車場法におきましても、都市計画的手法によりまして駐車場整備地区というのを定めまして、路外駐車場設置ということをつとめておる次第でございますが、何ぶんにも地下鉄の下ということになりますと、これは市の交通局なり何なりと相談いたしませんと、私ども単独ではできない問題でございますので、駐車場として、都市施設として必要な場合には、都市計画決定をするという方法はございますが、何ぶんにも人さまの施設に無断で入り込むということはできませんので、そこまで法律を改正するかどうかということは、ここではお答えできかねると思います。
  23. 井岡大治

    井岡委員 第一点の問題は、私は当時はそれでよかったと思うのです。あるいは公立でなくともいいのです。先ほど申し上げましたように、自動車構造それ自体を十分に教えない教習制度、ただ運転だけができればいいのだというこの教習制度というものを改めなければ、私は事故発生を防止することはできない、こう言っているのです。ですから、そのためには、いまのような、とにかく教習所をこしらえたらいいのだということで、地面があって、そうしてなにがおったらこれはもう自動車学校、こういうことになっておったのではいけない。やはり自動車の分解をして、これはこういうようになったらこうなるのだ、こういうようにこまかく教えるために、私は一つ学校というようなことにしたほうがいいのではないか。教習所は、学校という名前はつけておりますけれども、いわゆる二カ月、三カ月行って、運転さえ覚えればそれでよろしい。こういうことでなくて、やはり従業員を採用して、そうしてその中から、おまえは向いておるから自動車運転手にする、こういうかっこうにやるような方向をとっていけば、いわゆる自分会社のことですから、やたらに事故を起こしておったのでは会社に大きな損害を与えるということで、もっと事故というものに対する注意を払うだろう、こういうように思うのです。ですから、私は、従来間に合わなかったということでおやりになったことについて、これは十年間同じ論争をやっていることなんですからなんですが、もう少しくふうをなさってはどうだろうか、こういうように申し上げているのです。  だから、いまのがいいとか悪いとかいう攻め方でなくて、いまの制度それ自体について、もう一度再検討をする余地、何も学校にしなくてもよろしいけれども学校にしないならしないで、自動車構造、機能を教える。こういうようにこまかく時間を設定して、これを終えなければ運転はできない。まず先に構造を終えて、それから運転を覚える、こういう制度にすることのほうがいいのではないか。そうでないと、先ほど申し上げたように、ときどき乗って故障を起こして、私がちょっと見てあげると言ってあけて——この間なんか、パンクしたそのパンクそれ自体運転手さんがよう直さない、しかたがないから、おりて、どろんこになってジャッキを出してパンクを直してやる。こんな運転手さんがありますか。これでもやはり免許証を持っている。こういうことでは私は事故というものは少なくならないだろう、こういうように考えております。  それからいまの建設省の方、交通局のものについてはこういうことですが、公団のところでも貸してもらいたいという多くの要求があるわけです。しかし、なかなかお貸しにならないでしょう。ですから、私は、それを公団が貸せないとするならば、公団高架下会社でもこしらえて、子会社を投資をしてこしらえて、そしてそれで規格のきれいなものをこしらえさす、規格に合ったものを駐車場としてこしらえさす、こういうようにしていくならば、もっと空間利用ができると思うのです。  それから交通局の問題で、これは人さんのこと、こういうことですけれども、あなたのほうは、いわゆる軌道というのは道路だという規定をしておますから、そこはなかなかうんとは言わないでしょう。私は知っておるんですよ。そんな、私が知らないようなことを考えたってだめですよ。ですから、そういう空閑地利用ということを考えて、なお多くなるであろう自動車駐車、収容場所をこしらえるということで、これは私は別にむずかしいことじゃないと思うんです。人さんのことだというのでなくて、おまえのところで遊んでおるものを何とかいい方法で使うように、おまえのほうで考えたらどうだ、これだけ話しすれば、それでちゃんと考えますよ。ですから、そういうセクトでなくて、全体的な考え方に立ってお考えになったらいかがですか、こう言ってるだけなんです。ですから、もう一度答弁いただいたら、私は質問を終わります。
  24. 久保卓也

    久保政府委員 御趣旨の節はわかりました。  そこで、従来の一般的な考え方、これは警察だけではございませんで一般的な考え方は、昭和二十年代のようないわば特定の人がドライバーになる時期と違って、国民の過半数というものがドライバーに漸次なってくる時期になると、だれでもが運転できる、よく物の構造をわかっていなくても運転できるというふうにすべきであるという思想が相当強かったのであります。たとえばアメリカなどでもそういった思想であるようでありまして、専門家でなくても運転できるようにということのようでありました。ところが、昨年欠陥車問題が生じまして、その反省が若干あるのではなかろうかと私は思います。そこで現在でも、指定教習所における構造の時間を減らせという議論が昨年までございましたけれども、私どもは、むしろ減らさないで、内容を教材その他を使って充実していくという方向に参っておりますが、そこで、いまお話しのことで私が考えましたのは、いま考えたことですけれども、現在各県に県警察で安全運転学校というのがあります。これは違反者講習その他一般的な講習をやっているのが主体でありますけれども、私どもの長期的な計画といたしましては、この安全運転学校の数をふやす、これは公安委員会所属でありますが、数をふやし、内容を充実するという方向で考えておりますが、そういった際に、いまお話しのように、少なくとも事故につながるおそれのあるような構造についての知識を、そこで与えるということを考えてみてはどうだろうかというふうに思いますので、これはそういった方向検討してみたいと思います。
  25. 加瀬正蔵

    加瀬説明員 駐車需要の多い地区につきまして、お説のように、高速道路の高架下あるいは地下鉄道の高架下、そういうものを駐車場として利用したらどうかということは、まことにごもっともだと思います。
  26. 細谷治嘉

    細谷委員 ちょうど建設省も来ましたからお尋ねしておきたいんですが、昨年四月に、これは新聞で私は見たのでありますけれども建設省は、建設省直轄の国道についての照明の電気代が高くてしょうがないから、それを節約しろ、深夜には消せ、こういうような指示を出したんでしょう。
  27. 加瀬正蔵

    加瀬説明員 直轄の国道につきまして、要件を定めまして、交通事故発生の可能性の少ないところ、そういう場所で深夜に交通量がきわめて少ないというところにつきましては、多少電灯を間引きしてつけろというようなことを会議で話し合ったことはございます。正式の指示は出ておりません。
  28. 細谷治嘉

    細谷委員 当時の新聞によりますと、建設省が管理しておる一万一千百四十キロメートルの国道に七万七千基の照明灯がついているというんだな。それに年間の電気料金を七億三千万円払っている、これはばからしくてしょうがないから、ひとつ建設省の照明基準でこういうふうにしなさいと、こういうふうに指示したというのですが、話し合っただけで、やってないということですか。
  29. 加瀬正蔵

    加瀬説明員 一部実施しているところがあるかもしれませんが、私は具体的な個所は存じません。
  30. 細谷治嘉

    細谷委員 警察庁にお伺いします。道路を暗くして事故は減りますか、たとえばひき逃げとか。どうなんですか、これは。
  31. 久保卓也

    久保政府委員 申すまでもないことで、私ども道路はできるだけ明るくしてほしい。これはひき逃げだけではなくて、いわゆる蒸発現象その他ライトと人間の持つ被服との関係からいいましても、明るければ明るいほど夜間の事故は少ないということは言えます。
  32. 細谷治嘉

    細谷委員 だれかが調べましたが、たとえば暗いところでありますと、白い着物を着ておるのだとライトの前三十メートルぐらいでわかるけれども、黒い服だと十五メートルぐらい近寄らぬとわからぬといわれているんですね。そうなってまいりますと、建設省は七億三千万円の電気料金を節約するために間引きしろとかなんとかという指示をしてないというのですけれども、話し合うこと自体がこれはおかしいと思うんですね。いまはっきりと警察庁の当局は、やはり明るければ明るいほどよろしい。こういう問題について、たとえばひき逃げというのは、あるいは事故が起こったにしても、負傷か死亡という場合にも、やはり暗いほうが多いというんですね。そういうのが大学等の研究室の結果として出ているわけですから、警察庁の局長さん、これは建設省が七億三千万円を一億ばかり節約しようなんということで、今日交通戦争から交通大戦争といわれておる、しかも日本では走る凶器といわれておる段階で、こんなものを節約すべきじゃないと思うんですよ。警察庁の考えはわかりましたがね。道路交通安全を担当している警察としては容認できないという態度であると思うのですが、建設省はどうですか。もっと明るくしなさいよ。私は一ぺん総理のおひざ元であります小郡から山口のところを走りました。そのとき、一体この電気料はどこから払うんだと言ったら、これは建設省が払っているんですよ。なるほどずっとついているとこれはいいのですけれども、これを一つおきぐらいに消したら、もう事故のもとだと思うんですよ。こんなところ節約すべきじゃないと思うんです。これについてひとつはっきりとした御見解を、警察庁はどう対処していくのか、話し合ったというんですけれども、こんなことをやる意思があるのか、建設省お尋ねしておきたい。
  33. 加瀬正蔵

    加瀬説明員 私どもの照明を行なう場合には、一応道路の照明基準という技術的な基準を設けまして、交通事故が多発するようなところでは決してそういう照明費の節約というようなことは考えませんで、まあ夜間においてきわめて交通量が少ないところとか、あるいは歩行者がほとんど皆無であるというようなところの、しかも直線部で危険が予想されないようなところに限って、いまの照明を若干減光してもいいんじゃないかということを話し合ったことは事実でございますが、   〔砂田委員長代理退席、委員長着席〕 確かに事故多発というような趨勢から、今後とも街路灯の整備というものの方針は建設省として堅持していきたいと思っておりますので、おっしゃるような事故の懸念のあるところについて、決してそのようなことをいたすことは考えておりません。
  34. 久保卓也

    久保政府委員 私どもの立場といたしましては、道路全般それから特に各種の標識その他、これはなるべく明るくすべきであるということで、警察関係のある安全施設につきましては、今後の長期計画の中で灯火式にかえてまいりたいというふうに考えております。  道路全般につきましても、現在建設省道路五カ年計画をつくっておられるわけでございますが、それに対応して、やはりいまの政府の姿勢であれば灯火をもっと明るくしていかれるであろうというふうに期待しております。
  35. 細谷治嘉

    細谷委員 次に第六十五条に関係する問題で、酒気を帯びての運転禁止、これはすでに質問もありましたから、私は繰り返して申し上げませんけれども、ある意味では、いろいろ問題点はありますけれども、おそきに失したのではないか、こう思っております。  そこでお尋ねしたい点は、四月の二十三日ですか、新聞に出ておりました板橋の国鉄の陸橋のトラック事故。この運転手はシンナー遊びをしているのです。睡眠薬を飲んでおるのです。そしてその雇用の状態というのは、前の日に雇い入れされたというのです。私はここに問題があると思うのです。この総理府が出しました「陸上における交通事故」というものの二一三ページを見ますと、ダンプ規制法というものができたけれども実績は少しもあがっていない。「ダンプカー等の交通事故発生状況」、こういうものを見ても少しもあがっておらぬ。あるいはあなたのほうの資料を見ましても、自動車事故の三割近くというのが普通トラック等の事故ですね。大型等を入れるともっと多くなる。一番多いですね。私はここに問題があると思うのですが、その根本的な問題というのは、酒のほうはこういうことで取り締まりますけれども自動車運転手の雇用の問題、あるいはその人がたとえばシンナー遊びをする、酒は飲まぬけれども、睡眠薬を飲んで自動車運転しているのじゃ、これは話にならぬと思うのです。この辺はどうなりますか。
  36. 久保卓也

    久保政府委員 総理府の資料はやや古いわけでございますが、私どもの資料で見ますと、ダンプカーによる事故発生状況は、死亡事故が四百五十三件、一昨年が五百二十一件で二二%減、重傷事故が一昨年の千八百件が昨年は千五百件、非常によくというふうに大みえを切るわけにはまいりませんが、全般的には減少の傾向を見せておるということが言えようかと思います。  それからお話しのように、シンナーだけでなくて、薬品を使っての事故というのはよくわかりませんけれども、これは六十六条の関係でありますが、この関係の違反を特に取り出しておりませんけれども、おそらく数千件くらいはあるのではなかろうかと思います。  それと、今日の状況で、運転者だけでなくて雇用者に問題があるという事態がずいぶんございます。そこで、今回の改正法の中でいろいろ過労運転その他を命じた者についての責任を追及するということ、これが従来御要望も強かったわけでございまして、運転者と同じにその責任を追及していくということにしたわけであります。そういうことによって、私たちはそういった酒類あるいは薬品、過労運転その他を行なう運転者と同時に、それを命ずる者があるとすれば、命じた者、容認した者についての追及もあわせて行なってまいりたい。こういった分野につきましても、一昨年が下命容認者に対する検挙が大体二千三百件くらいでありましたのが、昨年は四千三百件くらいに上がっておりますので、私ども方向というものは、そういうような数字にあらわれているのではないかというふうに思います。
  37. 細谷治嘉

    細谷委員 私は、大体日本運転手状況というのは一番あぶない。陸上交通では汽車以外にはこわいものはないというので、ダンプの運転手などは大いばりで通っておりますよ。乗用車なんというのは雲の上から見ているようなものですから、自分たちはぶつけられたってけがはちょっとかすり傷ぐらいしようけれども、命には別条ないわけですから、大いばりです。ですから、ある運転手が、ああいうダンプの運転手を見るたびに、おれはひとつ戦車で国道を走ってみたい、あれをよけさしてみたい、こう言うのですよ。ですから、私は、ダンプの事故あるいは貨物自動車事故、こういうようなものを見てみますと、あなたのほうでは若干上がったと言うけれども交通事故全体としてはこの総理府のものも——私は四十四年度版で言っているのですが、冒頭で、ただ事故が減ってきたといっている。そうしたら何のことはない、逆に四十四年はふえているわけですから、この冒頭の書き方自体が、この総理府の白書は少しおかしくなっているので、あまりいばれない。ですから、総理府の長官が「政府の窓」に書いておりますよ。トラックの運転手の台は山の上に登っていないで、乗用車と同じくらいの低いところに運転台を置いたらいいじゃないか、そうすればずいぶんこれは心理的に違うだろう、こういうことを山中さん自体が言っておりますよ。私は一番の問題はそこだと思うのです。ですから、そういうのがしみついておりますから、この板橋の事故でも、ちょっと見たら汽車は来てなかった、渡ろうとしたら汽車が来たんだ、いやに早く見えた、こう本人は言っているのです。こんなことでたいへんな事故が踏切で起こっている。しかもそれがダンプトラック、しかも汽車に乗っておる人だけでもあんな惨事が起こっているわけですから、これはたいへん大きな問題だと私は思うのです。しかもシンナー遊びはやるわ、酒は飲んでおらぬけれども、睡眠薬は飲んでおるわ、その運転手は前の日に雇われたというのですから、話にならぬ。私はずばり言えば、自動車の経験年数と技術の一番高い人が、一番あぶない凶器といわれるトラックとかダンプに乗るべきであって、乗用車などというのはもう免許取りたてでもたいしたことはない。たいしたことはないというと何ですけれども、そういうのに乗るのは一番の経験者で、一番高給者でなければいかぬのに、日本はさかさまです。日本では、免許の取りたてのやつがダンプに乗って、そして乗用車に乗るのは三年以上とか五年以上の実務経験で事故がないとか、個人タクシー免許になるとたいへんにきびしい。さかさまだと思います。ここに問題点があろうと思いますが、いかがですか。
  38. 久保卓也

    久保政府委員 大型の車は確かに三年の経験を要しますし、年齢は二十一歳であろうと思いますが、問題は、私どもも、たとえば営業車でありますとかあるいは大型車について、これは年齢をたとえば二十五歳以上に引き上げるというようなことが好ましいというふうに私自身は考えておるわけでありますが、どうも単に運輸行政といいますか、交通警察行政の観点のみから考えられないで、やはり社会の労働需要関係その他も考慮しなければならないという要請も他面ございます。そういたしますと、現在若い人たちの労働力というものは非常に枯渇している。そこで年齢を非常に引き上げるあるいは経験年数を引き上げるということになると、労働力が足りなくなってくるというような要望もありますので、なかなか踏み切れない、こういう点もあります。そこで、そういった社会的な要請も加味しながら、でき得るならば、いま先生の御指摘のような方向に進むのが、少なくとも警察の立場からは望ましいということは言えるのでありまして、私どもといたしましては、そういったことで他分野に働きかけますけれども、そういうような世論が非常に強くなることを期待したいわけであります。
  39. 細谷治嘉

    細谷委員 時間がありませんから何ですけれども、これは運輸省等も関係があると思うので、ひとつ十分に、こんな前の日に一しかもこの人は生まれは東京の人じゃないのです。前の日に雇われて、そして睡眠薬を飲んでやるのですから、事故が起こるのはあたりまえ、こういうことだと思うのです。  そこで、私は次に質問したいのですが、七十五条の十一。これは燃料切れとかなんとかの、高速自動車国道、自動車専用道路についてでありますが、これを見ますと、燃料切れというのが、昭和四十三年で四千八百五十四件、二・七%、車両事故ですね。それからタイヤの破損が一八・六、電気系統の故障というのが九・一、こういうふうになっておるわけですね。これはたいへんけっこうだと思う。高速道路で燃料切れなんてやるのはなっちゃおらぬ。これは書いてありますけれども、これは一体どういうふうにして確認しますか。
  40. 久保卓也

    久保政府委員 ここに書いてありますものは、目で見て確認できるものということであります。  そこで、いまの統計にありますのは、現実に事故車両となったものの原因が何であるかということを全部網羅したということでありまして、現実にここで予想しておりますのはガソリン、オイル、水といったようにゲージ、つまりメーターにあらわれてくるもの、だれでもそれに注意すべきもの、気がつくべきであるといったものにしぼられてくるであろうというふうに思います。
  41. 細谷治嘉

    細谷委員 書いたものの、鈴のつけ方というのがなかなかむずかしいだろうと思うのですが、これはやはり本人の自覚に基本的にはまつ以外にないと思うのですが、せっかくの新設された改正点でありますから、実効があがるようにひとつお願いいたしたいと思っております。  そこで、時間もありませんからお尋ねしておきたいのでありますが、昨年欠陥車の問題がたいへん大きな問題になりました。また最近の新聞には、その欠陥車のために事故が起こったということになりますと、メーカーのほうが、去年は欠陥車といってあれだけ騒がれたんで、ある程度欠陥のところを指摘して、自分のところはこういうところが悪かった、こういうところは直しますといったけれども、最近はもう欠陥車はひた隠しなんですね。最近あるところで自動車事故が起きた。そうしてそれを訴えた弁護士が、その事故の起こったこわれたポンコツ車を十万円で買い取って、そうして裁判に臨んでいた。ところが、それは月賦だからおれのほうに権利があるんだということで、メーカーのほうがその車をよこせということで問題が起こっているということが新聞に書かれてあります。ですから本人は、さっき井岡さんが言ったように、運転はできるけれどもエンジンのことはよくわからぬ、パンクもなかなか修繕をやることがむずかしいような状況なんですから、修繕をやっても、ところによっては全然手も触れないで、はい修繕できました八千円ですよ、こうくるというのですね。本人はわからぬのでありますから、依然として欠陥が続いている、修繕はされておらない、こういうことも新聞に書かれてあります。そこで、最近ユーザーユニオンというのをつくろうじゃないか、こういうことでユニオンができたですね。新聞に書いてあります。  そこで、ひとつ具体的にお尋ねしたい点は、メーカーはしきりに隠そうとしておるわけですから、運輸省としては、去年あれだけ問題になった欠陥、そうして車の欠陥によって事故も起きておるわけでありますから、これについてどう対処していくのか。それから、現実に警察庁としては——とにかく口先で、自分のところで買った車ならよく見てやるけれども、そうでないところだとなんだし、最近は信用のある自動車の修繕工場がいいかげんなことをやっておる、こういうことすらいわれております。ますますもって凶器は凶器化する、こういうふうに申さなければならぬのでありますが、これに対する対策はいかがですか。
  42. 隅田豊

    ○隅田説明員 ただいまの先生のお話しの欠陥車対策の問題でございますが、最近、昨年大騒ぎをやりまして、メーカーがまとめていろいろな全部の欠陥の状況を報告してまいりまして、それに対する対策は一応手を打ったわけでございます。それ以後ぼつぼつではございますが、欠陥車に対するリコールの問題の報告は、件数としては月に一件あるかないかというようなことかとも思いますが、一応来ております。しかし、お説のとおり、私たちは十分に情報源を持っておりません。メーカーの言ってくるのをただ座して待っておるだけでは、おっしゃるとおり、十分な情報がわれわれとしては得られるとは考えられませんので、できるだけ多方面に、たとえば関係官庁の御連絡をいただくとか、あるいは私たちのほうの研究所その他でやはり事故の際の鑑定を頼まれたりいろいろなことがございます。それから、これはまだこれからの問題でございますが、今年度から研究所をつくることになっております。そこに事故解析室というものを新しくつくることになっております。そういういろいろな手を打って、それからさらに、先ほど整備工場でも信用のおけない工場があると申されましたが、中には整備工場でメーカーの側の息のかかっていないところもございますし、幸いにして整備事業はわれわれの監督下に入っておりますので、それらのところも含めまして、広くデータを集めながら、そういう懸念のあるものはわれわれのほうから積極的にメーカーを呼んで調べるという態勢を徐々に固めておるわけであります。
  43. 久保卓也

    久保政府委員 警察側といたしましては、通常欠陥部位があるかどうかということは、事故が起こって初めてわかるわけであります。そこで、事故の態様あるいはその欠陥の態様によって、どういう分野にどういう責任があるかということを調査あるいは捜査するわけであります。  もう一点は、もし整備業者のほうで直ってないのに直ったとして金を取ったということであれば、これは当然詐欺罪が成立するであろうと思うのですけれども、それも通常の状態ではなかなかわかりません。そこで、これもやはり事故が起こったときにあわせて、整備業者にどういう問題があったかということは追及されるであろうということで、一般的な対策としては運輸省でありましょうから、私どもは、事故に関連して業務上過失あるいは詐欺罪その他の刑法犯があるかないかということを調べ、そういった点からの防止策を講ずるということになろうかと思います。
  44. 細谷治嘉

    細谷委員 ひとつこれは運輸省にお願いしておきたいのですが、よく新聞雑誌等に運輸省と通産省というのは業者のほうにばかし顔が向いておる、こういうことがいわれております。真偽のほどは——これはそう新聞に書いてあるということであります。もしそうだとすると、これはよろしくないと思うのです。現に、あれだけの欠陥車問題があったときはなんですけれども、新聞等によりますと、その事故が起こったのは欠陥車じゃないかということをいってますね。これは月賦がまだ終わっておらぬからおれのものだというわけで、取っていこうという形でひた隠しに隠そうとしておる。そういうものについて運輸省はもっと徹底的にメスを入れて、そして車の欠陥による交通事故というのが起こらないように最大限の努力をいたさなければならぬと私は思うのです。これはひとつ強く要望をしておきたいと思います。  そこで次に移りたいのでありますが、百二十六条。きのうもこれは少年法等の関係が非常にきびしく議論されておりましたから、きょうは私もそれについて触れたいのでありますけれども、時間がありませんから触れません。  ただ、私はこの問題に関連して警察庁お尋ねしたいのであります。これはあるいは自治省の財政局あたりだと思うのですが、やはり警察庁でしょう。交通反則金の問題ができるときに、私ども警察のほうからこういう説明を受けたのであります。現在大体において刑法上の罪で罰金というのが三百億ぐらいある。その三百億のうちの七〇%というのが交通違反であります。そして七〇%のうちの七〇%が今度は大体交通反則金のほうに移っていきます。残りの三割が刑事問題としていくのです。そして簡素化するのです。そうしますと七〇%の七〇%ですから、七、七、四十九、したがって三百隠そういうものがあったとしますと、百五十億円ぐらいというのが交通反則金の財源だ、こういうふうに当時説明を受けたのであります。今度の予算書を見ますと、大体国庫収入というのは三百五十億円くらいになっているわけですね。もう反則金をはずされておる。ところが一向反則金というものはふえないですね。ふえないどころか、去年は百十何億でありますけれども、今度はそれは余分だったということで、八十七億か八億に減っちゃったですね。この辺どうもぼくは警察庁にうそをつかれたように思っておるのです。しかし、これはあまり時間をとるとなんですから、うそをついておらぬというなら、ひとつはっきりしていただきたいと思います。  そこで、お尋ねしたいのは、最近ドライバー互助会というのができているのです。それはどういうものかと言いますと、入会金が千円、そして半年の会費が千円、一年間に二千円納めればいいわけですね。何べん反則金取られたってその互助会が払ってくれるわけですから、二千円あれば何べん反則をしようがへいちゃら、こういうことになって警察庁は取り締まる手だてがない。民法九十条の公序良俗違反ということでありますけれども、これもきめ手にならぬ。こういうことなんでありますけれども、この実態はどうなんですか。これに対してどう対策を講じようとしておるのですか。私は、これがかりに合法的だとしても、二千円納めれば何べん反則してもいいのだというかっこうになりますと、この反則金制度の趣旨、目的というのが生かされないのではないか、こう思うのですが、いかがですか。
  45. 久保卓也

    久保政府委員 初めに反則金のほうのお話をいたしますと、取り締まり件数が一番多かったのは昭和四十年か四十一年で五百万件ありましたが、昨年、一昨年あたりは大体四百万件であります。取り締まり件数が減っているということは、違反件数が事実上減っているということではありませんで、当時も国会で問題になりましたように、警察が適正な取り締まりをやる、特に取り締まりをやる場合に、危険につながってくるようなものの取り締まりに重点を置いてやるべきではなかろうかというような御意見も強かったわけでありまするし、私どももそう思っておったわけであります。そこで、そういった指導を非常に強くやって、したがって、取り締まりの中身はよくなって、きわめて形式的なあるいは点取り主義的な違反検挙はなくなってきておるということで、検挙件数が減ってきている。これは違反の中身の変遷を見るとその点がよくわかります。そういったことから数字は減ってまいりまして、大体今日では、昨年が百十七億、本年度が百十八億の収入見込みであるということになっております。本年度につきましては、先ほどお話しのように、四十三年度が非常に減収でありましたので、その見込み額が三十億ばかり差し引かれておる、こういうことであります。  それから、いまの反則金の支払いをするための組合をつくっているということが昨年わかりまして、若干調べてみましたが、三つばかり出てまいりました。これについて大蔵省、法務省あたりに当たってみましたが、何とも現行法にはひっかからない。合法的といいますか、少なくとも違法でないということになるわけでありまして、いまあげられました民法によりますと、当然民法でありますから罰則がつくということではありませんで、契約そのものが無効になるということであります。そうすると、契約が無効になりますから、業者のほうで、加入金はもらったけれども払いませんよと言われたならば、それについては反論ができない、請求ができないというかっこうになります。またこの制度は、たしかいま何回もとおっしゃいましたが、回数は制限されておったのじゃなかろうかと思います。それにしましても加入者がふえ、違反者がふえてくれば、会自体が成り立たない。したがって将来その業者自身が、まあここで事前に予測することは不適当かもしれませんけれども、何らかの犯罪を犯す結果になりかねないということも予測されます。そこで、私どもは、もう少し実態というものを調べて、何らかの法規制をする必要があるのではなかろうかということを考えております。ただし、この規制についての主管官庁は、おそらく大蔵省なりどこかになろうと思いますけれども、私どもからそういった実態を添えて要望する。こういった趣旨の組合が広がるということは、私どもの立場からしましてもきわめて不適切でありますし、また一般国民の保護という観点からも不適当であろうというふうに考えております。
  46. 細谷治嘉

    細谷委員 どうにもならぬ。言ってみると、民法に基づく契約というのは、半年千円納めて不履行された場合にも対抗できない、こういう程度なんです。これは私のほうの西日本新聞の、大分県等ではやっておるドライバー互助会というものの記事でありますけれども警察庁も万歳、だまされてもしかたありませんよという程度しか手の打ちようがない。こういうことでありまして、私は交通反則金制度の趣旨からいって——とにかく半年千円、そのうち事故を起こせば、反則金が五千円か八千円であってもへいちゃらですね。それでその新聞によりますと、互助会は無制限ということじゃないでしょうけれども、とにかく何べんやってもいい、こういうかっこうになっております。これはやはり何らかの規制をすべきではないか。それでないと意味がない、こういうふうに思いますので、ひとつ御検討をいただきたいと思っております。  そこで、もう一つ私がこの問題について申し上げておきたい点は、この交通反則金制度ができて、当分の間地方に交付金としてやるということになったわけですけれども、それは主として地方単独交通安全施設ということでありましたけれども、現実はそうなっておらぬで、三カ年計画等によって地方の財源が超過負担も含めてかなりむしばまれておる、こういうふうにいわれております。その辺がどうなのか。  もう一つは、当分の間ということでありますから、どうも地方財政は云々という形で、この問題自体も当分の間ということで、三カ年計画をやっておるときは別として、やがて国が吸い上げるというようなことにでもなるとたいへんではないかと思うので、この辺について警察庁としてどうお考えになっておるのか。これは今日の交通戦争、そういうものをやるためにぜひ必要なんだ、確保しなければならぬ、こういうことであろうと思うのでございますけれどもお尋ねしておきたいと思います。
  47. 久保卓也

    久保政府委員 反則金を財源といたしまして、交通安全対策特別交付金というものが自治省から各県に交付されておるわけでありますが、それの使用は、御承知のように、公安委員会と道路管理者が使うわけであります。そこで、特に道路管理者のほうが膨大な金額になりますが、総体的な安全施設に使われる財源の一部をこの特別交付金が占めておるということで、全般的には相当の負担が一般財源から転用されております。ただし、その点については、御承知のように、第一次の計画あるいは第二次の整備計画の中で金額の総額が定められておりますので、この点については自治省が財源を付与しておりますから、したがいまして、いわゆる超過負担というかっこうにはなっておりません。  それから、今後の問題につきましては、私どもとしましては、この反則金を財源とするもの、これはまだ安全施設整備に要する経費のほんの一部でしかないわけでありますから、これは三カ年計画が済んだ後も、まだ当分の間はやはり安全施設のほうに使ってほしいということで、大蔵省のほうにかけ合いたいというふうに考えております。
  48. 細谷治嘉

    細谷委員 あまり時間がありませんから次にお尋ねいたしたい点は、警察庁の考えはわかりましたが、大体十兆三千五百億という第六次の道路整備五カ年計画というものが出された場合に、交通安全施設というものは入っておらなかったわけですね。閣議で国家公安委員長が問題にしたと新聞に書いてあります。なるほど十兆三千五百億の中には、道路をつくるばかりではいかぬ、交通安全施設もつくらなければいかぬ、こういうことになったと新聞に書いてあります。そうしてこの総理府の長官の対談によりますと、この道路五カ年計画に対して三%程度、言ってみますと三千五百億程度はどうしても道路安全施設として五カ年間に投入しなければいかぬ、そして道路は五カ年なんだけれども、一年ずつずらしていけばいいじゃないかということまで書いてあります。こういう御方針ですか。どだい道路計画をやる際に、安全施設を考えないということは、私は戦争を忘れている態度だと思うのですが、閣議で国家公安委員長がその問題を取り上げて、なるほどということでなったことはたいへん喜んでいるわけです。この辺ひとつ、公安委員長がいらっしゃっておりますから、お尋ねしておきたいと思います。
  49. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 そのことは、思いつきと言っては悪うございますけれども道路五カ年計画が先行して、それには安全施設が抜けているということで発言をしたわけです。道路は安全に通行できることが終着駅でありまして、それについては画竜点睛を欠くじゃないかというので、そういうことになったわけですけれども道路と同時に計画することができればけっこうですが、一年おくれでありましょうとも、道路ができた後に安全施設が追尾していくということでも、時期的におくれをとることはなかろう、結果論でございますが、そういうことで了承を受けた次第であります。できれば同時に計画すれば、これにこしたことはないですけれども、結果的に見て、一年おくれでずっと追尾していけば、かえって実際的ではないかという節もないでもないのであります。それで御了承を得たわけでございます。
  50. 細谷治嘉

    細谷委員 国家公安委員長、十兆三千五百億という第六次の計画の中で交通安全施設が落ちておった、それを、これは絶対必要なんだ。これはたいへんけっこうなことだ。しかし、後段のほうの、そこまでやったのが当時精一ぱいだということかもしれませんけれども、今日の道路というものは、安全施設の備わってないものは道路じゃない、そういうものは使わせない、これくらいの態度を警察庁は堅持しなければならぬと思う。ですから、一年おくれでいいんだというようなことでは——一年おくれなら、その間は、舗装ができても交通安全施設ができておらぬのだから、道路は使わせないぞというくらいのことでなければ、交通事故を減らしていくということはできないと私は思うのです。この辺はひとつそういう態度で一これは欧米あたりはそうなんです。言ってみると、警察庁交通安全施設予算を持つこと自体がおかしいのであります。警察庁道路交通の安全という面から道路交通の管理についての全責任を持てばいいのであって、そのかわり安全施設の整ってない、あるいは不完備な道路についてはもう通さないぞ、つくるのは全部建設省であって、そういう安全施設のない道路は使わせないぞ、こういうことでなければいかぬと道路の評論家も言っております。そこまで割り切っていいのである。ところが、安全施設の一部をなまじっか警察庁が持っておるところに問題があるのだということがいわれております。そういう点はどうお考えなのかお聞きしたいのでありますけれども、時間がありませんから、最後に伺っておきたいのでありますが、きのうの連合審査の際に、この道交法はまだ不完備である、そこで来年の国会にはまた道路交通法のより進んだ改正案を提出しなければならない、そのうちの一つはやはり公害問題だ、こういうことが交通局長から言われました。  そこで、私はお尋ねしたいのでありますが、CO基準、一酸化炭素の基準というのは、二月の二十日に閣議決定を見たわけです。その際に、あなたのほうの井口課長が、もし時間的な余裕があれば、今度の第六十三国会道路交通法の改正の中にこのCO基準に沿うて取り締まる交通規制をすることについて盛り込みたかったのだけれども、他省との間の折り合いがつかなかったので次に回したのだ、座談会でそう語っております。  そこで、このCO基準、たとえば東京の甲州街道の大原、これはもうCO基準を越しているわけですから、こういうところについて警察庁としてはどう規制すべきか。運輸省のほうでは、新車と中古車等についての基準があります。おれのほうの仕事は済んだのだということでありましょうけれども、実際の公害というのはサムアップしてくるのですから、自動車がどれだけよけい通るかということによってきまるわけなんですから、これは住民としてはたまったものではありません。したがって、それは厚生省がチェックしなければならぬと思うのです。そうしますと、COの問題が出る。亜硫酸ガスの問題は、車ではそれほどありませんけれども、COを減らそうとしますと、酸化窒素が出る、あるいは炭化水素が出てまいる。ところが、最近問題になっているのは、ロスアンゼルス等では排出さるべき亜硫酸ガスとか酸化窒素とか、そういうものじゃなくて、そういうものは予想されるよりも数値が少なくて、実は太陽の熱によって光化学反応を起こしてしまってオゾンがふえる、あるいはいろいろな活性のアルデヒドのような刺激臭が出て、それで健康をそこなう。こういう問題が出てまいっておりますから、きわめて問題がコンプレックスである。  そこで、一体道交通法は路の中でどういうふうに取り締まるつもりなのか。運輸省は、規制したのだから自動車の問題はそうやればいいのだけれども、しかし、環境を守るほうの厚生省は、そうはいきませんね。一体どうするのだ。どういう方向で、来年度道路交通法の改正に織り込もうとするのか、これをひとつお聞きしておきたいと思います。
  51. 久保卓也

    久保政府委員 記事の中で私どもの課長が、他省との折り合いがつかなかった、こう言っていたそうでありますが、もしそうであったとすれば、それは正確な表現ではございません。結局、いま申されたようなことをも含めて非常にむずかしいので、厚生省も私どもも成案として盛るに至らなかったということであります。たとえば閣議の決定でもって基準が二〇PPMになったということになります。そうすると、ある交差点が二〇PPMになった、それが何PPMにまで下がったら解除してよろしいのか、あるいはそこの交差点について指定して規制をするということになると、当然ほかへ回るでしょう。そうすると、一七PPMのところに車が回っていけば、今度は二〇PPMをこすこともあり得るというようなことで、これは具体的な場所を想定しながら、その濃度と交通量関係がどうなるのか、どういう規制をすればよろしいのか、つまり先生がいま質問されたようなことをわれわれも疑問に思うわけでありまして、それを厚生省なりわれわれと共同で研究していくということは重要であり、そのために今回のあれに間に合わなかったということであります。
  52. 城戸謙次

    ○城戸政府委員 一酸化炭素の環境基準が本年の二月にきまりまして、そのたてまえとしましては、総合的施策をやっていくということになっておるわけであります。現に運輸省でも排出の規制等について今後の方針を発表されておりますが、この問題とあわせまして、ただいま御指摘のありました道路交通法の改正の問題について、警察庁といま相談をいたしておる段階でございます。なお、この問題は道路交通に関連をいたしまして、そういう排出ガスの問題がございますが、騒音との関係もございますので、その辺も考えていかなければならぬと考えております。  それから一酸化炭素による汚染につきましては、当然その環境がどうなっているかということの監視測定ということが一番大きな仕事になるわけでございまして、現在各所に常時自動測定記録計を置きまして測定を続けておるわけでございますが、四十四年度末で全国で二十三カ所になっております。四十五年度も補助金で相当個所の増設をしていきたいというふうに考えておるわけであります。  なお、汚染の現在の状況でございますが、これは国際的に比較いたしますと、必ずしも高くはないわけでございまして、アメリカのごときは七から一七PPMという年間の平均値が出ております。これに対して日本の場合は三から一〇PPM程度でございます。たとえば東京で申しますと、東京都庁前あたりでは四十四年度年平均が一〇・六でこれが一番高く、それから大原が八・三、霞が関五・四、板橋が五・九、それから都立衛研が四・五、こういうことになっておりまして、環境基準の二十四時間一〇PPM以下というのに比べますと、違反率は都庁前で五三・五%、年間でございます。大原が二五・八%、これらが一番高いところでございます。あと全国的に見ますと、中小の都市では、大体基準すれすれに近いところもございますが、適合しているところもございまして、私どもとしては、予防的見地からいって環境基準をつくって早くこれを達成していきたい、こう考えておるわけでございます。  それからいま御指摘ございました、ほかの汚染物質でございますが、この中で特に炭化水素、窒素酸化物あるいはいま御指摘のオキシダント、こういうようなのがいま非常に問題でございますが、それぞれ関連がございますので、私どもとしましては、大体年内あたりをめどにしまして環境基準設定のための専門委員会を生活環境審議会の中に設けて、一酸化炭素と同じようにできるだけ早く基準をつくる方向で進めていきたいと考えております。  なお、鉛につきましては、現在浮遊粉じんの環境基準の一環として、最初に総粉じん量につきましての基準、次に個々の物質についての基準でございますが、その段階で鉛の問題は取り上げていきたい、かように考えております。
  53. 細谷治嘉

    細谷委員 この問題は、来年度の道交法の重要な課題であるばかりでなく、厚生省等の環境基準の問題としてもたいへん重要な問題でありますから、日を改めてまた詳しく質問をしてみたいと思っております。  終わりますが、委員長にお願いします。昨年の十月一日から発足いたしましたポイントシステム、これが今日約半年になるわけですけれども、その実績、実態というものをまとめて、まだ半年ぐらいですが、今日までの経緯を表にでもしてこの委員会に提出をしていただきたい、こういうふうに考えております。委員長にひとつよろしくお願いして、私の質問を終わります。
  54. 菅太郎

    ○菅委員長 よろしゅうございますね。
  55. 久保卓也

    久保政府委員 けっこうです。
  56. 菅太郎

    ○菅委員長 それじゃわかりました。そういたします。  山口鶴男君。山口さん、前質問者の時間がオーバーしておりますから、しかるべくひとつ御配慮願います。
  57. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 きわめて簡単にいたします。  去る五十五国会で道交法の改正が審議されまして、その際衆議院といたしましては、約七点にわたる附帯決議を付したわけであります。そのうちの第一は、交通の指導取り締まり、特に反則金制度の運営にあたって警察官の資質の向上、それから警察官の教育の徹底、こういうものを十分にしなければならぬ、こういう趣旨の附帯決議をつけたのであります。その後この点については御努力をいただいていると思いますが、昨日ある方から質問のありましたような遺憾な点もないでもないわけであります。私、IPUの会議でヨーロッパに行ってまいりまして、各国の警察官の態度をいろいろ見てまいりましたが、特にフランス等におきましては、交通警察官の方が非常にユーモアがあると申しますか、画一的な威厳を持った態度で処理する面も必要だと思いますけれども、ある程度応用動作をもって適切な指導をやっているという点を拝見いたしまして、これは日本においても学ばなければいかぬという感じを深くいたしました。  いま一つは、パトカーや救急車のサイレンの音なんでありますが、荒木国家公安委員長が非常に威厳のある顔をしておられますから、それにふさわしい音を日本では出しているんじゃないかと思いますが、フランスでは非常に音楽的な音を出しておるんですね。一体何の音楽かと思って驚きましたら、パトカーの音だったわけです。あのウーという音は、いかにも権力的であり、威圧的ではないかという感を深くいたしました。これについても私はもっと——ある程度周知徹底する音を出さなければならぬことは事実だと思うのでありますが、音の質と申しますか、これについても一考を加える必要があるのではないか、かように思いました。  この点、五十五国会の衆議院の附帯決議等との関連におきまして、警察当局としていまの私のお尋ねに対してどうお考えでありますか、お答えをいただきたいと思います。
  58. 久保卓也

    久保政府委員 ウィットとかユーモアとかいうことばがありますが、ウィットということばには機知という訳語がありますけれども、おそらくこれは翻訳語であろうと思うのです。ユーモアについては翻訳語すらもないということは、結局対応することばがないということは、日本人の体質にそういうものが少ないということを証明するものであろうと私は従来から思っているわけでございます。先般京都で警察官の国際会議をやりまして、その際に多くの国の人たちが参りましたが、市民なり小学校人たちに非常に親しんでいるという姿、これは私、映画で見たわけでありますけれども、いまおっしゃるようなそういったユーモア的な形で市民に接しているということをうらやましく思ったわけです。そこで内部でそういう話をしましたところが、やはりそういうふうに体質であるということで逃げてはいけないのであって、教育でもってそういう方向に持っていくべきであるということが非常に強く主張されました。私もいかにもさようであろうと思います。教育担当部局はもちろんといたしまして、刑事局であるとか私の局でありますとか、それぞれの執行部門の局において担当の警察官を教養するような方針、方向を示しておりますので、そういうものの中に十分に取り入れてまいりたい。しかし、謹厳な人にユーモラスになれといっても、一朝一夕にはなかなかなれるものではないと思いますので、やはり教育の場を通じてなるべくそういうことに努力させてまいりたいと思います。  それからパトカーの問題でありますが、これも二年ばかり前から実は問題になっておりまして、今日警視庁では約五百台の車に電子音式のものを取り入れております。現在試験実施をしておるところでありまして、お聞きになることが多かろうと思いますが、いまのところ賛否両論ございまして、必ずしも全部がよろしいというふうにもなっておりませんが、一つにはなれの問題もあるであろうということもいわれております。それから消防もまた同じようなことを考えておりますので、若干この点で二途に分かれることに問題がないではないのでありますが、しかし、どうも大きな方向としましては、従来のウーウーという非常に胸を締めつけるような音は不適当ではなかろうかということでございます。これは試験実施の結果をまって、どういうふうに及ぼしていくか、全国的に漸次やっていくことを検討されるものと思います。
  59. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 日本人としての国民性の問題もありますから、なかなか前者の場合はむずかしい点もあると思いますが、御努力をいただきたいと思います。  あとのパトカーの音につきましては、両論あるというお話でありますが、できれば何としても、御答弁にもありましたが、あのウーウーという音はきわめて威圧的であるし、胸を締めつけられるというようなお話でありましたが、そういう感じもいたしますので、これはひとつ早急に改善できるように御努力をお願いいたしたいと思います。  それから次に、附帯決議の第二項でありますが、交通違反の場合、特に先ほどからダンプカーの運転手等のことが問題になりましたが、いわゆる運転をすることによって生活の資を得ている、言うならば、交通労働者という方でありましょうが、こういう方があえて、先ほど御指摘あったように、シンナーを吸って運転するというのはこれは論外でありますけれども、通常の場合は、やはり積載オーバーをするとかあるいは無理な運転をするのは、荷主あるいは雇用者が過重なノルマを課する、また積載オーバーを強制するということから発するのであって、運転手みずからが特にそういうことをするということは、場合によってはあり縁ると思いますが、私はそう大きな割合ではないだろう。したがって、附帯決議におきましても、この雇用者、運行管理者のあるいは荷主の責任を追及するように十分検討せよということがあったわけであります。今度酒酔い運転につきましては、運行管理者の罰則をお設けになられました。この点は一つの前進だとは思いますが、従来国会での御答弁では、刑法上の幇助罪等を適用して取り締まるんだ。現に取り締まっておるようでありますけれども、しかし、道交法の上に雇用責任あるいは荷主責任というものを明確にすることがやはり必要ではないのか。そういう点では、今度の改正には前回の附帯決議の私どもの考え方が十分反映されていないという感じを持たざるを得ません。この点いかがでしょうか、お聞きしたい。
  60. 久保卓也

    久保政府委員 第二点の問題につきましては、酒酔いだけではありませんで、第七十五条の改正案を見ていただきますと、全部取り入れてあります。そうして前のやや読みにくかったものをきれいに整理してありますので、この点はだいぶよくなっていると思います。  そこで、大ざっぱに申し上げますれば、積載オーバーであるとか過労運転、酒酔い運転などについて運転者に下命、容認したものについては、従来は大ざっぱにいって運転者の半分の罰則でありましたが、運転者と同罪とするというように改めました。
  61. 山口鶴男

    山口(鶴)委員 その点は、今後取り締まりにおきましてもきっちりとやっていただきたいと思います。  それから最後に、明年道交法全般について抜本的な改正をされる、先ほどお話がありました公害防止の観点からの改正も重要な柱だと思います。  そこで、私のお願いしたいことは、あるいは委員会ですでにお話があったと思うのですけれども、現実に車を運転することによって生活をしておりますいわゆる交通労働者の諸君の代表あるいはその他各般の代表を含めてけっこうだと思いますが、そういう方々の意見を十分聴取をして、そうして取り締まりに当たる警察官の方々のお考えばかりではなしに、現に車を運転しておられる方、そうして生活をしておられる方、こういう方々の意見を十分に取り入れて、そうしてまた、昨日公明党の方からお話があったように、私も同じ思いでありますが、道交法自体がなかなか読みにくい。やはり運転者の人はこれを見れば十分わかるというような形の道交法自体のていさいについても十分検討をいただく。ここに後藤田長官がおられますが、地方税法なんというものは、まずい法律の最たるものではないかと思っておりますが、自治省について地方税法などはもう少し改めさせるように、これは自治省のほうにも注文したいと思うのです。道交法自体についても、そういう点でていさいについても改めるということもひとつやっていただきたいと思いますが、中央あるいは各府県の警察本部というよりは、公安委員会のほうがよろしいと思います。中央の国家公安委員会あるいは都道府県の公安委員会、ここに民間の代表を入れまして、道交法改正については一体どういう点を改正すべきか、また都道府県の公安委員会に置く審議機関におきましては、道交法を現実に運用していく場合に、どういう点を配慮して運営をすべきであるかということについて十分民間の意見を取り入れる、こういうような機関を設置したらどうかと思います。そういうことについてお考え方を聞きまして、質問を終わりたいと思います。
  62. 久保卓也

    久保政府委員 今回の改正案につきましては、私どもで、中央における長官の諮問機関で、学識経験者が入っておりますが、そのほかに組合関係の方も入っておりましたが、そういった正式の機関にはかるほか、私は現地に参りまして、数県に参って、いわゆる一般の庶民の方に集まっていただいて、いろいろ改正案についての御意見を伺いました。それから各県から意見があがってくる場合に、これもやはり各県本部あるいは各所で、正式の機関ということではございませんでしょうけれども、いろいろな機会に意見を集約したものが私どもの手元に参っております。また改正案の案文ができました場合に、東京の運転関係の組合のほうに、わざわざこちらから出向いて説明もいたしております。したがいまして、わりと民主的に運用されつつあったのではないか。また昨年の九月に、まだ警察庁の案がきまる前の段階で、交通局試案として案文を出しましたが、その際にも、現実に運転をしている匿名の方からもずいぶん意見を寄せていただきました。そういうものが集約されたものでありますが、再々申し上げますように、全部を盛り上げたものじゃございませんので、この次に生かされるところも相当多かろうと思います。そうして今後の運用のしかたにつきましても、正式の機関にするかしないかは別といたしまして、いまお話しのような筋で、国民の法律である道交法の改正に持っていくのが適当である、かように考えております。
  63. 菅太郎

    ○菅委員長 斎藤実君。
  64. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 道交法の一部改正に関連しまして、若干御質問を申し上げます。  交通安全対策につきましては、常日ごろ非常に努力をされておる当局に対して非常に敬意を表するものであります。特に最近の交通事故につきましては、この表にもありますように、増大の一途をたどっているわけでございますね。自動車におきましては一千五百万台を突破した。オートバイも八百万台、その反面交通事故は七十二万件をオーバーしておる。しかも死者は一万六千二百五十七人、負傷者は九十六万七千人、百万人の事故が起きておる。なおこういった傾向が今後も続くであろうと予想されるわけであります。したがいまして、交通事故が社会問題としてももう放置できない状態になっておる。事故防止の施策につきましては、最大の急務で、いろいろこの対策には、車の設備あるいは道路、人間の教育等いろいろ考えられますけれども、多方面にわたる総合的な施策というものが必要ではないか。したがいまして、交通事故に対する防止対策、基本的な考えをまず最初にお尋ねをしたい。
  65. 久保卓也

    久保政府委員 今日のモータリゼーションの進展に応じて、国民の生命というものを何としても保護してまいらねばならないというのが、警察の基本的な態度であります。  もちろん社会的な価値という面から見れば、自動車交通の効果あるいはメリットというものも尊重せねばならないでありましょうけれども、少なくともわれわれの姿勢としましては、人命の尊重ということは第一義的にすべきであるという考え方であります。したがいまして、当面の施策といたしましては、警察官をなるべく街頭に出して、事故が起こる前に未然防止をするということがわれわれの果たすべきことでありましょうし、そしてまた公安委員関係の安全施設について不十分な面が非常にございますので、現在は不十分ではありまするけれども、安全施設三カ年計画の第二年度を実施しつつあるところでありまするし、さらにまた、この安全と円滑の双方を規制するために、表の道路あるいは裏道路といったようなところにおける交通規制の強化もはかられております。しかしながら、何と申しましても今日までのわれわれの、少なくとも予算に反映されたような努力では不十分であるという観点から、先ほども議論が出ましたような長期的な計画のもとに相当額の金額を投入して、少なくとも道路なりあるいは交通の量に応じて安全施設を完備するという方向に持ってまいりたい。  そこで、昭和五十年を目標にしておるわけでありまするけれども、その長期的な計画が、おそらくまた道路、安全施設計画もそのころには相当完備いたしましょうから、両々相まってその以後は事故を漸減していくというような目標と決心のもとに仕事を進めておるところでございます。
  66. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いま局長から、人命尊重ということを基本にして交通規制あるいは警官の増員、それから取り締まりあるいは安全施設整備というお話がございましたけれども、教育の面について別に触れられませんでしたけれども、この安全については何が一体効果を期待できるのか、御答弁いただきたいと思います。
  67. 久保卓也

    久保政府委員 いま教育の問題が抜けたのは、私が間違っておったというよりも、失念したわけであります。そこで、何が一番重要であるかという御質問もなかなかむずかしいのでありますが、アメリカの安全教育の資料によりますると、こういう数字を出されております。つまり事故の原因の九〇%は人である、残り五%は車、残り五%は道路であるという数字であります。これはどういう根拠に基づいてなのか、あるいはアメリカでそういう実態であるのかわかりませんが、どうもわが国といえどもそう遠くはないのではなかろうか。要は人である。これは何も交通の問題だけではなくして、いかなる分野についてもそうであろうと思いますけれども、したがって、大部分が人の責任であるということは、人の教育が重要であるということにつながってこようかと考えます。しかしながら、またあらゆる分野の中で教育ほどむずかしい問題はなかろうと考えるわけであります。したがって、私どもはいろいろな方法で、もちろんこれは警察だけではございません、文部省の関係あるいは地方自治体の関係、いろいろございましょうが、そういったあらゆる分野での協力を私どもは教育の面で行ないますと同時に、運転者の教育については、私どもの専管分野であるというふうに考え、これは各企業体あるいは組織、その他と関係しながら進めてまいりたいというふうに考えておるわけであります。  そこで、しかしながら、その教育というのは私どもだけの仕事ではないかということと、すぐに効果があらわれないという面もございますので、政府としては教育ということに逃げてはいけないということで、私は、まず政府がやるべきことは安全施設、それをまずやりなさい、そしてこの教育という問題は長期的にじっくり腰を落ちつけて並行してやっていこう、こういう考え方でおるわけであります。
  68. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いま教育が非常に重要である、人の問題についてお話がございました。これは文部省が来ておりませんから、警察庁としてのお考えを伺いたいのでありますけれども、御答弁にありましたように、確かに人の教育については各般にわたるいろいろな関係があって、警察庁だけではこれは不可能というのはわかります。ヨーロッパ諸国では、交通安全教育については一年から高校まで正科として取り上げておるわけです。単の運転から構造、こういうことまで徹底して教育をしております。ですから、被害にあわないというだけではなく、加害者にならないための交通安全教育が徹底して行なわれておるわけです。私はこういうことが必要であろうと思いますが、いかがですか。
  69. 久保卓也

    久保政府委員 わが国のモータリゼーションがここ十年あるいは特に数年来顕著になっておるということもございます関係上、学校関係の安全教育ということは、率直に申しまして、わが国はおくれているように思います。そして国によっては小学校から大学まで一貫した教育を行なっておるところもあります。少なくとも高校までは学校における安全教育体系として把握されておるという点から考えますると、私どもはまだこの点非常に抜かっておるところがあるのではなかろうか。さしあたって警察として一番要望したいこと、これは幼稚園を含めまして、幼稚園、小学校、中学校における安全教育をいまおっしゃいました正科として取り入れる。正科ということばはないように聞いておりますけれども、いまのところは生活指導というような形で、ほかのものとあわせて行なう、あるいは体育の時間にあわせて行なわれておるということでありますが、私どもとしては、たとえば算数とか国語とか、そういうものと同じレベルに引き上げていただく。同時に学校の先生についての交通安全教育をやっていただく。これも伺うところによりますと、五カ年計画でやるということでありますけれども、私はやはり全員ができなければ、せめて担当者について一、二年のうちには完了する。そうして以後毎年やっていただく。これはドイツあたりでやっておるようでありますが、そういう体制をぜひともとっていただきたいというのが、私どもの要望であります。
  70. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 次に、交通事故の中で老人と子供の被害が非常に多いというように伺っておるわけですけれども、最近の事例で資料があれば伺っておきたいと存じます。
  71. 久保卓也

    久保政府委員 大ざっぱに申し上げますと、子供の事故というのはここ数年横ばいであります。しかし、昨年はふえておりまして、たとえば六歳以下の者が七%増、それから小学生が一三%増、中学生が六%増ということで、昨年は非常にふえているということであります。しかし、大ざっぱに言えば、これはある程度家庭なりあるいは学校の努力が実ったこと、それと子供の人口が減っていることも関係があるのではなかろうかという感じもいたします。しかし、総体の事故がふえておりますので、少なくとも死亡者について見ますると、総体の中で占める子供の数の割合は漸滅しております。実数はほぼ横ばい、昨年は少しふえておるというような傾向であります。ただし負傷は相当大幅にふえておる。  それから私どもが一番問題だと思いますのは、六十歳以上の老人でありまして、全体の中で占める割合が、四十年ごろは一七%でありましたのが、昨年は二一%を占めております。この五年の間に老人の死者がたしか千数百人ふえております。そういうことで、老人が非常に今日のモータリゼーションの様相に適合し得なくなっているということが、きわめて顕著にあらわれているということを申し上げたいと思います。
  72. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 いまの御答弁で、確かに老人、子供の事故が多い。聞くところによりますと、横断歩道橋の付近あるいはそれに近い歩道付近で起きておるというようにわれわれ伺っておるのですが、その点いかがでしょう。
  73. 久保卓也

    久保政府委員 交差点における事故が半数以上であります。したがいまして、横断歩道橋は交差点付近に置かれる場合が多いということで、そういう事態があるのではなかろうかと思いますが、統計的にはその数字をとっておりませんので、よくわかりません。ただ、横断歩道橋についていわれますことは、歩道橋があるから人はそこを通っているのであろうということで、車が減速しない、スピードを出す。たまたま歩道橋を通らない人が歩行してはねられるという事例が比較的目につくのですが、これは歩道橋があるからかえって目につくということかもしれませんが、そういう事態をよく聞いております。
  74. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 確かに交差点に歩道橋が多いですから、私は、ここに問題があるんではないかと思うのです。形があれば、歩道橋をつくれば、事故が起きなくなるという考え方が私は問題であろう。ですから、壮年者、若い人であれば、ああいう急階段でものぼれますけれども、老人ですとか子供は、どうしてもそういったことがおっくうになって、どうしても横断してしまうというんですね。こういった心理状態、条件というものをやはり考えて、歩道橋なりそういった施設が考えられなきゃならぬじゃないか、こういうふうに考えるわけです。ですから、私は、基本的に人を中心としてあらゆる角度から検討されなければならぬ。こういった思想、何でもいいからつければいいんだという考え方が私は問題ではないか、こういうふうに考えるんですが、これは警察庁以外の建設省関係もあるかもしれませんけれども、この点、ひとつ警察庁の見解はいかがですか。
  75. 久保卓也

    久保政府委員 この問題は、予算の問題とそれから土地使用の問題にかかわってくると思います。外国の場合でありますと、歩道橋でなくて地下道を利用する、しかも、エスカレーターを使うというような方向でありまするし、それから、歩道橋をつくる場合も、場所によりましては、らせん形式のなだらかなものを使っておるということであります。結局、予算がどうこうという問題であろうと思いますが、もう一つ建設省の立場で考えれば、なかなか土地が確保できない、つまり、近くの商店からの反対があるということで、必ずしも適切な場所に置かれてないというのは、平素ごらんのとおりだろうと思うのですが、そういったところに問題はあるにせよ、私どもの立場からすれば、地下道がもちろん一番よろしいでありましょうし、そうしてまた、老人なり子供なりあるいはうば車を持ったおかあさん方が、安全に楽に渡れるようなもの、そういうものが望ましいということは言うまでもありません。
  76. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 交通事故に対する原因、これはやはり長期的な視野に立って、この原因を徹底的に追跡調査をする機関が必要ではないか。そういう原因が明らかにならなければ、これは交通安全の手を私は打てないではないかと思うのですが、いかがですか。
  77. 久保卓也

    久保政府委員 実は、私どものところで統計をいろいろとっておるわけでありますが、当然まだ不十分であります。しかしながら、私どもの原票自身には、もう少し多くのデータが入っているわけでありますが、これが電子計算機の容量、つまり量でありますとか、あるいはそれに要する人、金の問題がありまして、必ずしも十分に使い切れておりません。しかしながら、この点では、金を別にくめんをいたしまして、私どもの持っているデータの中で、警察だけではなくて、ほかの省も使えるようなものを、もう一度取り直すという作業を近く始めたい、かように考えております。  そこで、こういうような過程を通じて、私ども事故の分析、原因の調査ということがもう少し進むであろうと思いますけれどもさらに問題でありますのは、現在の科学警察研究所で行なっている量、あるいは部外に委託をしている量というものは、必ずしも十分ではありません。したがって、そういうものをもう少し拡充をしていくということ、そして、できるならば、交通局の中にそういった技術部門の担当部門があれば、それに越したことはないというふうに考えるわけであります。さらに私どものいま考えておりますることは、各県に理工科の学校を出た大学出の若い警察官が相当数おります。こういった者を交通警察の中に取り入れて、いまのような事故の調査、原因分析ということをやらせてまいりたい。これは相当程度教育もしなければならないでありましょうから、長期的な計画のうちに入るでありましょうけれども、そういうような構想でおるわけであります。
  78. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ぜひともひとつこの原因調査機関を拡充していただきたいということを御要望申し上げておきます。  それから、オートバイの問題です。二輪車につきましては、満十六歳から免許をとれるようになっているわけですね。オートバイにつきましては、特にこれから夏場にかけて青少年のオートバイによる事故というものが非常に起きてくる。オートバイについての事故というものは、転倒するというのが非常に多い。こういったことで、将来、日本の国を背負う青少年、特にオートバイは若い人が乗っておるようでございますが、これに対する事故防止の基本的なお考えがあれば、承りたいと思います。
  79. 久保卓也

    久保政府委員 一つは、教育の問題でありまして、先ほどの学校における一貫的な安全教育ということのお話が出ましたが、高等学校におきましては、二輪車の教育をする場を与えるということが必要であると思います。現在、文部省と私どもと協議をいたしまして、指定自動車教習所で高校の学生あるいは卒業生を割安で教育をするように指導いたしておりますが、ただ、いまの段階では、指定自動車教習所でなかなかこの二輪車教育を好まない、あるいは収容し切れないという分野があります。そこで、私どもは、自動車工業会あたりと話をいたしまして、二輪車専用の教習所、訓練所をつくっていく、そうして地方の若い人たちをそこで教育していく必要があるであろうというふうに考えておるわけです。それと別個に、学校でそういった課程を設けてもらえれば、それに越したことはないというふうに思うわけであります。  もう一点、数年前に道交法の改正の中で問題になりましたヘルメット着用の問題であります。専門家に言わせれば、ヘルメットを全員がかぶれば、いまの二輪車による事故というものは非常に減少するであろうということがいわれておるわけでありますが、そういった全員に義務づけることの可否といったような問題が以前論議されまして、高速道路でありますとか、専用道路に限られているのが今日の状況であるということであります。
  80. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 ヘルメットにつきましては、道交法七十一条の二に、政令で定める道路の区間においては、乗車用ヘルメットを着用しなければならぬというふうになっております。この政令で定める道路、これは高速自動車道路自動車専用道路、こうなっておりますが、一般道路についてはいかがですか。
  81. 久保卓也

    久保政府委員 いまのところ義務づけられておりません。
  82. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 オートバイによる交通事故は、高速自動車道路及び自動車専用道路一般道路、この三つの中で、どの道路で起きる事故が多いのか、データがありましたら、お聞かせいただきたい。
  83. 久保卓也

    久保政府委員 私、ちょっといま手元に持っておりませんが、二輪車の交通量が、いまのところ専用道路あるいは高速道路でそれほどでありませんので、しかもまた、交通量そのものの測定、つまり母数、分母の数がわかりませんので、ちょっと比較はしかねると思いますが、絶対数は当然一般道路のほうが多かろうと思います。
  84. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私の調べたデータによりましても、一般道路のほうがオートバイの事故は非常に多いわけです。ですから、やはり一般道路にもこのヘルメット着用という、こういった規定を適用されたほうがよろしいのではないか、こういうふうに考えるのですが、いかがですか。
  85. 久保卓也

    久保政府委員 この問題は、警察庁の中でも常に議論されているところでありまして、たとえば一般道路においてやるということになれば、出前持ちのような人たち、いろいろな境遇にある人たちもあわせてやるのかというところに、どうも警察庁として踏み切れにくかった事態が従来あったわけでありますが、ただ、今日のように、特に二輪車による事故がここ二年ばかり急速にふえてまいっております。従来は二輪車なり原付なりというものが減少傾向にあったのでありますが、ここ二年ばかり急激にふえてきたということは、社会現象に関係があるものと考えておるわけでありますけれども、そういったような背景をもとにすれば、もう一度考え直してみる必要があろうということで、この次の法改正の中に取り入れるというお約束をするわけにはまいりませんけれども、取り入れるかどうかについての検討を始めたい、かように考えております。
  86. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 オートバイによる死亡の原因といいますか、やはり七〇%以上が頭部打撲なんですね。ですから、こういったことを考えますと、人命尊重ということが何よりも優先されなければならない。こういう意味から、やはり一般道路にまでこれは広げるべきだという考えなんですが、いま検討したいという御答弁がありましたので、ぜひともひとつこれは御検討いただきたい。  次に、ヘルメットの定義についてです。このヘルメットというのは一体どういうものか、構造上にいろいろあるわけでしょう。工業用あるいは建築用、登山用とか、いろいろあるわけでしょうけれども、乗車用の安全帽、ヘルメットについてはやはり構造が違うと思うのです。その点……。
  87. 久保卓也

    久保政府委員 この定義が別にあるわけではありませんが、ヘルメットというのは、常識的にヘルメットというものでありますけれども、ここで意味があるのは、乗車用のヘルメットということであります。そこで、法文で乗車用ヘルメットと書いた場合には、単にヘルメットと書いてないわけでありますから、車に乗って本人の安全が確保し得るようなヘルメットというように私どもは読んでおります。したがいまして、現実にそれではどういうものが乗車用ヘルメットであるかということになりますと、通常私どもがこれでよしと言っているのは、通産省のJISマークのついているもの、JISに合格しているものというふうに考えております。
  88. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私が調べたところによりますと、実際オートバイに乗っておってJISマークのついた、規格に合格をしたヘルメットをかぶってない人がたくさんいるわけですよ。ですから、私が申し上げておるのです。構造についてはやはり衝撃に耐えるような構造になっているわけですね。メーカーもたくさんありまして、つくっておるわけです。ところが、この乗車用ヘルメットは高い、構造が複雑ですから。勢い安いものを買ってそれをかぶっている。こうしてかぶっていれば、取り締まりもそうきびしくないし、経済的な理由でかぶっているわけです。こういったことが許されておるということは、非常に問題だと私は思うわけです。ですから、先ほどのデータによりますと、死亡者の大体八〇%弱が頭部打撲なんですね。こういったことを考えると、なるほど、こういうふうに規制はしておりますけれども、実際かぶるほうは経済的な理由で、安い規格外のものを買ってしまう、ここに問題がある。私は何らかの規制をしなければならぬと思うのですが、いかがですか。
  89. 久保卓也

    久保政府委員 本来、本人の生命、自分の生命を守るものでありますから、何らの規定がなくても、自分がよりよいものをつけるはずでありますが、やはり人というものは、自分はだいじょうぶであるという安心感から、ついそういった軽易なものをつけるというふうに考えるわけでありますが、まあ、これは法律に対するものの考え方でありますけれども、そういったものまで法律で中身を書くべきであるのか、あるいは乗車用のいまありますヘルメットというような規定で、それを読み込むことで足りるかというふうになると思いますが、私どもは現行法で一応いいのではないか。ただ、適用のしかたが問題、つまり適用地域を拡大するかという問題、それを警察官がやはり二輪の運転者を指導して、そういった不適切なヘルメットをつけていた場合に、そういったものをかえるように慫慂するといったような努力を重ねていくべきではなかろうか、いまのところそういうふうに思っております。
  90. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 聞くところによりますと、アメリカのハイウエー法では、ハイウエーパトロールが設けた基準に合格したものである、しかもハイウエーパトロールが認定したものだというふうになっているわけですね。やはりこういった基準を、乗用車ヘルメットについては道交法の中でもある程度設けてもいいのではないかというふうに考えるわけですが、いかがですか。
  91. 久保卓也

    久保政府委員 実は私は通産省のJISというものを十分によく了承しておりませんので、一般的にヘルメットの規格をどういうふうにつくれるのかよく存じませんが、アメリカの例の場合には、このヘルメットだけでなくて、わりと多く自動車交通関係規格というものを法律の中で書いてあるものがございます。したがいまして、そういうようなあり方というものも一応参考にして研究をしてみたいと思います。
  92. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 通産省の方、見えていますか。——通産省の方にお尋ねします。この乗車用ヘルメットが、ことばをかえて言うと、ボール紙のような粗悪品、こういうものをつくっておるメーカーのものが出回っているということを御存じですか。
  93. 竹谷源氏

    ○竹谷説明員 正確には存じませんが、若干そういうものもあるように聞いております。
  94. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 そうしますと、粗悪品メーカーが乗車用ヘルメットを、JISマークに合格をしないものを売っているわけですね。これは非常に価格が安い。ですから、経済的な理由でオートバイに乗る人はそれを買う。こうなるわけですね。ですから、私は現在の規格品以外の製品、粗悪品を何らか規制する方法がないのか。この点はいかがですか。
  95. 竹谷源氏

    ○竹谷説明員 その点につきましては、警察庁のほうからただいまお答えがございましたように、やはりJISというものが制定されておりますので、なるべくそういうものを使うように行政指導していただくということがよろしいのではないかと思います。それから、私どもの立場といたしましては、私直接担当ではございませんが、工業技術院が担当でございますけれども、そのほうを通じまして極力メーカーにJIS工場になるように指導をいたしておるところでございます。
  96. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 これは四年前ですか、警察庁交通事故による死亡の原因を調査したときに、粗悪品のヘルメットのために貴重な生命を失われたという調査結果も出ているわけです。ですから、生命を守るべき製品というものが粗悪品で市販されておる、それをかぶって生命が失われるということは重大問題だ。私は何らかここでチェックをする対策を考えるべきではないかと思うのですが、いかがですか。
  97. 竹谷源氏

    ○竹谷説明員 私ども実はあまり事故実態、それから業界の実態等についてそれほど十分に存じない点がございまして、あまり明確なお答えができないのが恐縮なんでございますけれども、はたしてそういう法的規制というものをどういう方法でやるべきか、その点等につきまして現在のところ結論を得ておりませんので、なお検討させていただきたい、こういうふうに思います。
  98. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 種類が違いますし、それからいろいろ条件も違いますけれども、電気器具の場合は、電気用品取締法というものがあるわけです。これは強制法規ですね。それからガス事業法についてもやはり電気器具と同じように、ソケット一つについても検査をし、規格品以外のものはつくってはならぬ、かりに出回った場合は、回収命令というふうになっておるわけです。こういった一つの、人間の生命を守るという立場からいって、やはり考えなければならぬと思うのです。  もう一つお尋ねいたしますけれども、このメーカーはどれくらいございますか。
  99. 竹谷源氏

    ○竹谷説明員 これもあまり正確なデータがないので恐縮なんですが、私どものほうの工業技術院でJISの許可工場として二十社程度許可を受けておりますけれども、実際聞くところによりますと、このほかに二、三十社程度あるのではないかという推定でございまして、その辺のところは、実は工業統計もございませんので、JISの面から把握するしかないわけでございます。その程度のことしかわかっておりません。
  100. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 私の調べたところによりますと、JISマークの規格に適合している会社が八社、それから日本安全帽工業会に入っている会社が二十七社、そのほかに三十社ほどある。これはJISマークの規格外の工場ですが、Mとしておきましょうか。この工場は十年前から製造しているわけです。昭和四十二年には三万八千個つくっているわけです。四十三年には四万個つくっている。昨年は五万個つくっているわけですね。これは規格外の品物ですよ。こういうようなことが行なわれておって、かりにオートバイによる転倒事故があった場合、当然これは生命の危険にさらされるわけです。ですから、行政官庁としてこれは行政指導をするとか、あるいは財政的な援助をしてその助成措置をするとか、何らかの手を打たなければ、これはいつまでたってもオートバイによる事故はなくならぬのじゃないか、こういうように考えるのですが、いかがですか。
  101. 久保卓也

    久保政府委員 ヘルメットがどういうふうに一般的に使われているのかよく存じませんが、少なくとも二輪車に乗る人たちの需要に応ずるだけのJISマークのついたヘルメットは生産してほしいし、そしてまた、それを二輪車に乗る者がつけるというふうに持っていくことが好ましいと考えます。
  102. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 チクロのようなものは長い間使用しておりますと、人命に影響がある。したがって回収命令ができる。ですから私は、人間の生命に直接かかわるような安全帽の粗悪品をつくる、あるいは売ったりする、これを何らか規制する措置がとられないということは問題だと思う。この点についてひとつ十分御検討いただきたいのですが、いかがですか。
  103. 竹谷源氏

    ○竹谷説明員 この問題につきましては、どういうふうなことで措置すべきか関係省庁とも御相談をいたしまして、検討さしていただきたいと思います。
  104. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 以上で私の質問を終わります。
  105. 菅太郎

    ○菅委員長 門司亮君。
  106. 門司亮

    ○門司委員 私からごく簡単にきょうは質問だけをさせていただきたいと思いますが、いろいろ同僚委員の御質問を繰り返すこともいかがかと思いますので、総合して大臣に一つ二つ聞いておきたいと思います。  御承知のように、交通事故をどうしてなくするかということについてはいろいろ問題はございましょうが、しかし、問題が非常に多岐にわたり過ぎている。いまお話を聞いておりましても、教育の問題は文部省である、あるいは自動車構造その他の問題は通産省の問題だ、それから道路整備に対しては建設省だ、車の規制その他については運輸省だ、取り締まりは結局警察がやるというようなことで、これは省別に分けてみると、ここにちょっと一ぺん書いてみましたが、六つあるのですね。これを総合的に立体的にするか、あるいはどうするか。ことばは別といたしまして、マッチしていかなければ、これはどう考えても事故はなくならぬですね。それから国の施策が万全とは言えない。だから、日本の今日の非常に交通事故のふえている実態、昨年は御承知のように、すでに死者が一万六千人をちょっとこえておりますし、交通事故の負傷者も約百万になろうとしておる。ことしはわずかにまだ四月ですけれども、どうも順調に伸びているということばを使うのはいかがかと思いますが、大体われわれが考えているような数字のふえ方をしていることは事実であります。こういうように交通事故が順調にふえていくということは、やはりこれに対処する国の態度に大きな欠陥があるのだと考える。  だから、大臣にこの際はっきり聞いておきたいと思いますことは、これらの総合された問題をどこかで統一する機関を、いまの総理府の中にある連絡会議みたいなものでなくて、立案のできる場所というようなものは考えられませんか。それからこれにはもう一つ私は法務省が加わらなければならぬと思う。やはり刑罰の関係については法務省がどう取り扱うかということであります。御承知のように、アメリカの州のものを大体調べてみますと、酒飲み運転などは刑事犯としてこれを取り扱っているようであります。酒を飲んで運転してはならないという法律をすでに犯しているのでありますから、あるいは刑事犯であるかもしれない。これは単なる交通違反だけの問題では済まされないので、酒を飲んではいかぬという法律をまず犯して、その上で交通事故を起こすのでありまするから、これはあるいは刑事犯に持っていってもいいかもしれない。故意でないと言っても、ある意味においては故意だと言われてもしかたがないんじゃないかというような要素を含んでおりますので、私は、アメリカの酒飲み運転について刑事犯としてこれを取り扱うというような意向、いまそこに各国の例を大体集めたものを持ってきて一応見てみましても、かなり厳格な要素があるわけであります。したがって、どうでしょう、率直に考えて、この七つも八つもの省にまたがるような事件が個々ばらばらに、警察は単に取り締まりさえすればそれでいいんだというようなことではないと私は思いますけれども一つにまとめてやれる——衆議院も幸いに、御承知のように、これは参議院もそうですが、国会交通安全対策特別委員会というものを設置いたしております。議会がこういう形で設置をして、そこで何とか交通安全をしようというときに、政府のほうはばらばらであって、私もあの委員会に関係したことがございますが、会議を進めても進められないのですね。教育の問題に委員さんの質問が触れれば、それは文部省を呼んで聞いてください、道路の問題にちょっと触れれば、それは建設省に聞いてくださいというようなことで、何をやっているのだかちっともわからぬ。  そこで、取り締まりとしての一番大事な生命を預かり、一番かなめになる警察関係の公安委員会の委員長である大臣の御意見をこの際はっきり承って、そして国が、本腰ということばを使うと少し行き過ぎかもしれませんが、何とかこの辺で解決をしていただかぬと問題は解決をいたしませんから、その辺をひとつどうお考えになっているのか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  107. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 お説のとおり、主管庁がいろいろと分かれております。行政組織法のたてまえから、そういうような主管官庁は独自の見解を持って行動することになっておるものですから、始末が悪いわけですけれども、そこで、今度は基本法を通していただいたので、この基本法に基づきまして交通安全の安全対策会議というものを中央につくります。これは関係閣僚等網羅しまして安全会議というのをつくって、それで統一的に調整をしながら一元的機能をなるべく発揮するように運営するというたてまえでございまして、この方法によって相当程度御質問の点にこたえ得るかと思います。
  108. 門司亮

    ○門司委員 私もそのことは存じ上げておるのでありまして、いまの制度がどう運営されるかということは一つはこれからの問題であろうと思いますが、あの法律を読んでみましても、ほんとうに官僚のなわ張りを荒らさない範囲でまとめたものでありまして、私はこの法律が完全に動いてどうということはなかなかむずかしいんじゃないかと思います。したがって、ここで私はさらにこれを聞いておるわけであります。  御承知のように、いまの行政組織のたてまえからいけば、各省の分担されておる所轄の事項というものを一つずつ横から引き抜いて、そうして一つの役所にまとめるということは非常に困難だということは、日本の行政組織の中からは言えます。またはそう考えられます。このことはよく私も承知をいたしております。しかし、だからといって、官僚機構がこうなっているからといって人間の命をおろそかにするわけにはいかないと私は思う。何よりも大事なものは人間の命である。その命の問題を解決することのために、行政機構がこうなっているから、この行政機構に合わせてというようなことではなくして、やはり新しい観点に立って、人間の生命をどう守るかということについては相当強い改革がこの際なければ、とてもこれはどうにもならない。と同時に、私がこういうことをなぜ申し上げるかと言いますと、問題はすべては人の問題であります、先ほどからお話しのありますように。人が車を運転しておる、そうして人にぶつける、あるいは車と車同士が衝突する、これも人の問題であります。つくっておるのもみんな人であります。交通災害は決して天然の災害ではございません。明らかに人為的な災害であることには間違いはない。人為的の災害であるとするならば、それを行政的に除去していくのはやはり政治の一つの大きな課題でなければならない。その政治の大きな課題を遂行していこうとするときに、官僚のなわ張りがあってこれができないというのならば、もう政治はないということであります。やはり官僚のなわ張りをこの際抜いて、そうして横に引き抜くことは困難だといわれておりますけれども、私はこれをぜひ引き抜いてもらって、その一つの役所をどこかにこしらえて、そこから人命を守るというたてまえの上に立って鋭意交通の安全だけは保ってもらいたいということでありまして、今度道交法の改正が行なわれて刑罰がきつくなった。刑罰をどんなにきつくしたって事故は減りはしません。  それからもう一つ、私は今度の法律のたてまえの中で欠けておる問題はどこにあるかと言えば、日本のすべての道路交通に関しまする法律をずっと見てまいりましても、運転をする者の保護というのが非常におろそかになっておる。たとえばイタリアの道交法を見てまいりましても、この中にはちゃんとバスの運転の労働者の勤務時間というようなもの——一方に労働法があることはわかっておる。しかし、それとは別に、こういう長時間運転をする者の休養の時間あるいは運転の時間というようなものがやはり別途に定められておる。私はそういう適切な方法が必要ではないかというのです。日本の場合は、そういうことはちっとも考えられておらない。そうしてただ取り締まりを厳重にすればよろしいとかあるいはここをこうすればよろしいとか、いわゆるほんとうに人であるとするならば、人に対する思いやり、人に対する処置というものがほとんど講ぜられておらない。その点に私は日本の今日の交通災害を来たす最大の問題がありはしないかと考える。取り締まりも厳重にするなら、それに対応して、労働者の保護政策というものが当然なければならない。酒を飲んで運転して悪いことはだれでも知っておる。しかし、運転者が常時酒を飲まなければどうもからだが続かぬような過酷な運転を受けているというような者がどれだけのものになっているか。これは労働法規によってのみ取り締まりを受けておる。今日の労働法規は全体の労働者に対する労働法規であって、特に特殊な人の生命を預かるこの種の労働者が同じような角度、同じような法令の適用しか受けられない。したがって、私がこの際政府に望みたいことは、労働者の立場というものを十分考えて、そうしてこれに対する保護政策というものを十分とっていって、こうすることによって事故は防止ができるんだという確信のもとに取り締まりを厳重にするなら、それならそれで私はよろしいと思う。しかし、何時間働いても——なるほどこれは労働基準法がありますが、労働基準海は、さっき申し上げましたように、一般の労働者に対する労働基準法であって、特殊な、人の生命を預かるこの種の労働者のそれとは私は違うんじゃないかと考える。こういうことはもうこの辺で日本も考える必要があるんじゃないか。タクシー運転手であり、あるいは営業用の自動車運転手事故の原因を調べてみると、大体そういうところからきているでしょう。非常に長い間働いておったとか、あるいは何か居眠りをしたというようなところに原因があるようであります。かろうじて長期のバスあるいは貨物については運転者も二人乗せて、一人は仮眠している。何か寝台のようなものが——寝台のようなものと言うとおこられるかもしれません。あなたのほうでは寝台だと言うかもしれないが、われわれの立場からいえば寝台に似たようなものが置いてあるという程度しか考えられないのです。やはりこういう仕組みというものはどうかと思うのです。私は、やはりああいうものについても多少の疑義がございましょうけれども、どこからどこまで運転をし、そこで運転者が交代できるように、交代の運転手は何も一人でがたがたゆれながら仮眠の状態で来るというようなことでなくて、ほんとうに休養のできる仕組みにならないかということです。したがって、自動車を運行するこれらの諸君に対しては、いまの労働法規よりもさら一つ進んだ保護法規というものが必要ではないかということを最近痛切に感ずるのでございますが、こういうお考えはございませんか。これは労働省に聞けとあるいは言われるかもしれませんけれども、あなたのほうで取り締まりを厳重にしている。その厳重にしている取り締まりの裏にはやはりそういうものがなければ、取り締まりだけをどのように厳重にしたって、さっきから申し上げておるように、私は効果があがらぬように思います。一応あなたの意見を先に聞いておきたいと思います。
  109. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ちょっとこれは労働省のなわ張りのことかと思いますが、労働基準法で処理できることかできないことかちょっとわかりませんけれども、御指摘の点はなるほどあります。どういう方法でその求めに応じ得るかお答えできませんけれども、確かに考えさせられる課題かと思います。まあそのくらいでかんべん願いたい。
  110. 門司亮

    ○門司委員 どうもそこに私は妙な行政のなわ張りというか、話のつかぬところがあるんですね。たとえば賃金にしても、いまのタクシーならタクシー業者にしましても、あるいはその他の運輸に携わっておる諸君にしましても、基本給が非常に安くて、出来高払いのようないわゆる歩合給ということになる。ここに問題があるということは始終言われているんですね。だとするならば、やはり最低賃金というものが法律上きめられるが、これは一般の労働者にきめられることであって、この種の諸君については最低ここまでは保障するというような国の強い姿勢がとれないかということです。そうしてその法律によってできるだけ歩合制の幅を縮めていって、この種の業に携わっておる労働者の生活を保障するというたてまえをとらなければ、どんなにきつい法律をこしらえたって何にもならないです。いたずらに罪人をたくさん出すことになって、ひっかかった者は重罪が科せられるだけであって、ものの解決にならぬ。これも労働省に聞いてみよとあなたは言うかもしれない。しかし、警察庁としてあるいは公安委員会としては、交通安全の第一線に立たれるあなた方の御意見としては——そういう意見を私はこういう機会に率直にひとつ大臣から聞かしていただいて、これを基本として政府内部で、先ほど基本法で安全会議があるというなら、そこでひとつ協議をしてもらって、そうして方法を講じてもらわなければ、どんなことをしたって事故はなくなりません。基本給が非常に低くて、歩合給が多ければ、無理をして働くのはわかっている。原因はわかっている。原因がわからないで今日の交通事故がたくさん発生しているとは言えない。原因はわかっておる。その原因がわかっておるものに適切な処置が講じられてないから、こういうことになっているんじゃないかと言っても私は差しつかえないんじゃないかと思う。この辺を大臣からもう思い切って、このくらいしか答弁ができないんだということでお茶を濁さないで、そういうことで労働省の法規の改正が必要だというなら、労働省のほうでひとつ改正をしてもらう、あるいは道交法のほうでそういうことが挿入できるんなら、私はそれでもよろしいと考える。最近の日本法律の形態を見てみますと、この法律でどの法律の第何条をこういうふうに読みかえるということで、平気でかえているのであります。そうすると、何も労働基準法の中だけでなくて、この法律で労働基準法のここはこういうふうに改正するのだといっても、たいして私は差しつかえないというように考えられるので聞いているのでありますけれども、この点をひとつもう一度明確にしていただきたいと思います。  ちょうど十五分でありまして、時間一ぱいだから、これで私はやめます。
  111. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 労働省、運輸省の関係かと思いますが、そのほうとも連絡しながら検討さしていただきます。
  112. 菅太郎

    ○菅委員長 青柳盛雄君。
  113. 青柳盛雄

    ○青柳委員 私は、日本共産党を代表して、若干の問題点について質問いたしたいと思います。  時間が非常に制約されておりますので、ほんの重要と思われる部分だけを述べるにとどめざるを得ないのでありますが、最初に、自動車にからむ交通問題の解決、これは交通事故の防止ということと、それから交通公害の防止、さら交通渋滞を食いとめるという、この三つの方向で解決をしなければならないわけでありますが、ここで問題になっております道路交通法の一部改正というのは、主として事故防止を目的としているわけであります。規制を強化することによってその目的を達成しようというのがそのねらいであります。それは必然的に刑罰を重くする、強くするという結果になります。そして結局は刑罰万能主義の思想におちいらざるを得ないわけであります。それは人権を侵害するという結果に当然なるわけであります。今度の改正案もその傾向を一そう強めるものでありまして、共産党といたしましては賛成ができないわけであります。  最初に、飲酒運転をなくすという問題でありますが、これは非常に重要でありまして、わが党も決して飲酒運転は放置してよろしいというようなことは考えておりません。しかし、この強めるというやり方が直ちに人権侵害になるとは限りませんけれども、今度の改正案では呼気検査を強制できることになりました。従来はこれは任意でありましたけれども、これに従わざるを得ない間接強制を受けるということになっております。そうなりますと、警察官の認定いかんで、全く飲酒をしていない運転者が呼気検査を強制されるというような事態が発生してこないという保証は一つもないのであります。たとえば、自動車の中に飲酒をしたお客さんが乗っておった、自動車をのぞいてみると酒のにおいが非常に強い、てっきり運転者が飲酒しているに違いないというような誤解を持って、そして呼気検査を強制するというような、そういう事例が起こらないということはないのであります。現に私自身が多少酒を飲んで乗客として乗っておったわけでありますけれども、これは私の自家用車でありますが、運転者はもちろん一滴も酒は飲んでおりません。ところが、一斉検査でストップを命ぜられまして、そうしてそこに来た巡査が無理やりにその運転者を車外に引き出して、検査を強制しようとしたのであります。当時現行法でありますから、強制することはできない。結局ただ巡査の鼻の前で呼気を吐いて、何もないということがわかったから、やむを得ずという形でしょうが、強制はできなかったのでありますけれども、ほとんどその寸前までいった。私がそばに行って、この運転者は全然飲んでいない、飲んでいるのは私自身であるということを説明して、ようやく強制もされないし、呼気検査もしなかったのでありますけれども、そういう事例すらありまして、飲酒運転を全面的に禁止するという目的を達成しようとするあまり、人を見たらどろぼうと思えというような結果におちいる点があって、警戒を要するわけであります。しかもこの改正案では単純に、警察官がおそれがあると認めたときには呼気検査を強制できるという規定になっておりまして、刑事訴訟法などであげられておりますように、疑うに足りる相当な理由があるときというような制約すらないのであります。もちろん疑うに足りる相当な理由があるというのであれば、人権が守られるというほど単純ではございませんけれども、もし警察官に行き過ぎがあった場合には、こういう規定があれば、相当な理由がないにもかかわらず呼気検査を強制したのではないかということで、その人権じゅうりんを摘発することもできるわけでありますけれども、そういう保証すらない。最近とは限らないのですけれども警察取り締まりや犯罪検挙に際しての職権乱用、人権じゅうりんという事例があとを断たない現状のもとで、このような規定を設けることには絶対に反対をしなければならないと思います。  次に、反則金制度でありますけれども、これは前回の改正で新しく設けられたものであって、そのときもいろいろと論議がかわされたわけでありますが、日本共産党といたしましては、このような反則金制度というものは戦前の違警罪即決例の復活に通ずるものだ、警察権力を強化し、科刑の簡素化を行なおう、裁判によらないで警察だけの判断で刑罰を加えるということになるので、反対をしたのであります。反則金は行政罰と類似したようなものであり、告知自体には強制力がないなどという弁解もありましたけれども、反則行為そのものが犯罪類型と同一のものであるから、反則金を払わなければ直ちに検察庁に送致され、刑事事件にかけられるという背景があります。したがって、被告知者がこのような形で裁判にまでかけられるわずらわしさというものを避けようとすれば、納付せざるを得ないという強制力が裏にあるわけであります。自分は反則していないと思っても、裁判まで行ってわずらわしいということで、泣き寝入りになるというような結果にならざるを得ない。こういう裁判によらずして事実上刑罰を科せられるということは、憲法が保障している、何人も裁判を受ける権利があるというこの規定に抵触して正しくない、こういう態度をわれわれは現在も持ち続けているわけであります。ところが、今度はこの反則金制度を少年にまで拡張しよう、こういう改正が提案されているわけであります。これは前回改正の際にも、ある参考人はおかしい、あるいは一部の議員の方からも、少年だけ除外するというのは不公平ではないかというような意見が出されまして、結局この附帯決議というものができてしまった。これが今度の改正については、最高裁判所側あたりも、前回は反対しておったのに、この附帯決議があるのだからという警察側からの強い要求もあったかもしれませんけれども、妥協して、結局これに反対をするという態度をやめてしまったといういきさつがあるわけです。しかし、反則金制度そのものが違憲であり不当であるとわれわれは考えるのでありますが、それをさらに少年にまで拡張するというようなことは、これは少年法の精神を根本から裏切るものであると思うのであります。これは少年には刑罰を科さないというのが原則なんです。刑罰によって少年の反社会性を矯正するということは好ましくない。やむを得ない場合以外は検察庁には逆送しないというのがたてまえになっているわけです。大体刑罰だけで犯罪をなくしようという考え方そのものが転倒しているとわれわれは考えるのであります。したがって、成年についても刑罰万能の思想は改められなければならないと思いますけれども、ましてこれを少年にまで拡張するということになりますと、少年の反社会性を矯正するという適切な措置を奪う結果になるわけであります。  少年について犯則金を科した場合には、これは必ず裁判所のほうにも通知をする、したがって、裁判所のほうでこれを参考にすることができるからというような議論が行なわれております。しかし、先日の連合審査の際にも、裁判所当局のほうからの答弁によれば、そういう通告を受けたからといって、すぐ事件として何か処置するというのではなくて、次に何か事件があり、そして送られてきたときに参考にするだけであるというのであります。従来子供の交通違反につきましては、すべてこれは家裁に回されて、そして家裁では乏しい財源の中から非常に科学的にいろいろの措置をとっているということも報告されております。そしてまた、それが非常に大きな効果を発揮しておるということもいわれているのであります。これが家裁のほうではそういうものを回してもらっては困るのだ、反則金でおしまいにしてくれれば手がすいて助かるのだというような態度をとっているのでない限り、これはどんどん家裁に回して、家裁では適切な措置をとって、決して反則金とか罰金とかいうような形で問題を処理しようとしないという、そういうことが望ましいとわれわれは考えるのであります。それもいままで実際上行なわれてきたことなんです。それで、もし家裁のほうが財政的にも十分な人員が確保できないとかあるいは施設を設けることもできないというようなことであるならば、それはそのほうに手当てをすることによって解決すればよろしいのであって、何か家裁のほうに行くべきものを反則金を適用することによってストップさしてしまう。それで、家裁ではもっと適切な措置がとれるであろうのに、そこでストップされてしまって手が出ないということでは、本来交通事故を阻止するという面からいっても、また少年の至らない点を直すという点からいっても、これは何らのプラスになるものではないと思います。  そういう意味で、この反則金制度を少年にまで拡張するということには私どもは絶対に反対をしなければならない。ほかの考え方は十分あるわけです。いままでどおりで決して支障はないばかりでなく、それでよろしいのだ、そのほうに積極的に意味があるというふうに考えるものであります。この点について政府のお考えを承りたいと思います。
  114. 久保卓也

    久保政府委員 最初は六十七条に関係してでありますが、罰則をつけますのは、やはりそういった行為をしてはならない、そういった行為をするとほかの人に迷惑をかけるということで、本人の刑罰は本人に対する人権侵害になるのは当然でありますが、しかしながら、それを本来守らるべき人権ではないわけでありまして、しかも、その刑罰で担保することによって他の多くの人の安全を保護しようということであります。つまり、公共の福祉のために、本来守らるべきでない人権の一分野を刑罰で処罰するということになるわけであります。六十七条の場合には、酒を飲んでいて、あとで運転をするおそれがある場合には、この運転者に運転をさせないように休養させるとか、あるいはかわりの運転者を連れてくるまでそこで待っておらせるとか、そういうふうに、飲酒運転からする事故を防止するために、本来そういった措置を講じようということでありますから、これについて若干の罰則をつけましても、またこういったことは罰則でなければ担保できないわけで、強制的に直接強制をするというわけにはまいらない、したがって間接的に強制をするということによって他人の安全を保護しようという措置であると考えますので、私は至当であろうというふうに思っております。  それから反則金の問題であります。これも年間六十万件に及ぶ少年の事件を、全部が全部おっしゃるように教育的な措置が十分に講じられれば問題はないだろうと思います。しかしながら、今日は、たとえば東京家裁のように非常に制度の整ったところでも、試験観察という教育的あるいは保護的措置は三八%であるということであります。したがって、よくいわれますように、非常に教育の効果があがったとかあるいは非常に作文がよかったとかいわれるものは、それらの中のものを持ってくるわけでありますから、これは当然であります。したがって、重い軽いあるいは厚い薄いのあるものの中で、一応全般的に定型的軽微な事犯については反則金でカバーする、残ったものについては、幾らか悪いものについてはすべて家裁に送って、家裁における教育的あるいは保護的措置を十分にやっていただくというならば、警察における反則金の制度と、家裁における教育的、保護的措置とあわせて少年事件に対処しようということで、相当に合理的になった制度であろうと私どもは確信いたしております。
  115. 青柳盛雄

    ○青柳委員 いろいろとこれに対しても意見を述べたいのでありますけれども、時間がありませんから、これで終わります。
  116. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  117. 菅太郎

    ○菅委員長 これより討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  118. 菅太郎

    ○菅委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  119. 菅太郎

    ○菅委員長 古屋亨君、山口鶴男君、斎藤実君及び岡沢完治君から、四派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対して、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。古屋亨君。
  120. 古屋亨

    ○古屋委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党の四党を代表し、道路交通法の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと存じます。  案文の朗読により趣旨説明にかえさせていただきたいと思います。     道路交通法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、現下の交通事故激増の深刻な事態に対処し、人命を尊重し、交通事故防止の徹底を期するため、左の諸点についてその対策に遺憾なきを期すべきである。  一、市民生活と密接不可分な本法の性格にかんがみ、国民に十分な理解をうるよう、その表現を平易にし、また、副読本等の普及をはかるなどその周知徹底に努めること。なお、常時、必要に応じ、広く関係方面の意見を聴取することに努めること。  二、車輌の増加、道路整備の進展に比して著しく立ち遅れている信号機や標識の増設・高度化等交通管制システムの増強整備を義務ずけうるよう十分な財源措置を講ずること。  三、酒気帯び運転に関する規制の強化にともない、酒を飲めば絶対に運転せず、運転をする者には酒を飲ませない慣習が国民の間に定着するよう、実効ある措置を講ずること。  四、自動車運転者の資質の向上をはかるため、安全運転管理者制度の強化、安全運転学校の拡充強化、更新時講習等の充実など、運転者教育の徹底をはかるとともに、少年運転者に対する安全教育についても、その指導につき十分に配慮すること。  五、交通巡視員制度の運用にあたっては、取締りに偏しないことはもちろん、歩行者、運転者への安全指導が適正に行なわれるよう十分に指導すること。  六、指定自動車教習所の果す役割の重要性にかんがみ、早急にその保護育成に努めること。  七、交通事故の原因の科学的究明のため、調査機関の設置検討すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。
  121. 菅太郎

    ○菅委員長 本動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  122. 菅太郎

    ○菅委員長 起立総員。よって、古屋亨君外三名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  国家公安委員長から発言を求められておりますので、この際、これを許します。荒木国家公安委員長。
  123. 荒木萬壽夫

    ○荒木国務大臣 ただいま御決議になりました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして、努力してまいりたいと考えます。(拍手)     —————————————
  124. 菅太郎

    ○菅委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  125. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  126. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案及び地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次提案理由の説明を聴取いたします。秋田自治大臣。     —————————————     —————————————
  127. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま議題となりました昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における地方公務員等共済組合法規定による年金の額の改定等に関する法律等の一部を改正する法律案について、その提案理由とその概要を御説明申し上げます。  政府は、恩給の年額を増額するため、恩給法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願っておりますが、これに伴い地方公務員の退職年金制度についても、恩給法等の改正内容に準じて所要の措置を講ずるとともに、地方団体関係団体職員共済組合が支給する年金の額を地方公務員にかかる年金の額の改定措置に準じて改定する必要があります。このほか公務による廃疾年金の最低保障額の引き上げ等の措置を講ずる必要があります。これがこの法律案を提出した理由であります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、地方公務員共済組合が支給する地方公務員等共済組合法規定による退職年金等について昭和四十四年度において実施いたしました年額の引き上げ、すなわち、いわゆる二万円ベースの給料により算定した額の七三・七六%増額の措置につきまして、今回その率を改め、八八・九六四%とすることにいたしたのであります。  第二は、地方公務員等共済組合法規定による年金のうち、老齢者等に支給する退職年金、遺族年金及び廃疾年金の最低保障額を引き上げることとするほか、公務上の年金につきましても増加恩給の額の引き上げに伴ってその最低保障額を引き上げることとしております。  第三は、市町村職員共済組合が支給する旧市町村職員共済組合法の規定による年金について、国家公務員共済組合が支給する旧国家公務員共済組合法の規定による年金の額の改定措置に準じ、その額を引き上げることととしております。  第四は、地方団体関係団体職員共済組合が支給する退職年金等につきまして、その年金額を地方公務員共済組合が支給する退職年金等の年金額の引き上げ措置に準じて引き上げることとしております。  以上がこの法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  政府は、最近の社会経済情勢にかんがみ、国家公務員の公務上の災害による重度障害者及び遺族に対する障害補償年金及び遺族補償年金の額の引き上げ等を行なうため、国家公務員災害補償法等の一部を改正する法律案を今国会に提出し、御審議を願うこととしておりますが、これとの均衡をはかるため、地方公務員の災害補償制度につきましても、国家公務員の災害補償の引き上げ措置等と同様の措置を講ずる必要があります。これが、この法律案を提出した理由であります。  次に、この法律案の概要を御説明申し上げます。  第一は、障害補償年金の額の引き上げであります。現在、障害補償年金の額は、地方公務員災害補償法別表で定める身体障害の等級に応じ、平均給与額の百日分から二百四十日分の額となっておりますが、これを一六・五%程度引き上げ、平均給与額の百十七日分から二百八十日分の額にすることとしております。  第二は、遺族補償年金の額の引き上げであります。現在、遺族補償年金の額は、遺族の数に応じ、平均給与額の年額の三〇%から五〇%に相当する額となっておりますが、これを遺族が老齢または廃疾の状態にある妻一人である場合には、平均給与額の年額の三〇%に相当する額を平均給与額の年額の三五%ないし四〇%に相当する額に、遺族が二人以上である場合には、平均給付額の年額の三五%ないし五〇%に相当する額を平均給与額の年額の四五%ないし六〇%に相当する額にすることとしております。  第三は、昭和四十七年十一月三十日までの暫定措置とされている遺族補償年金受給権者に対する一時金支給制度を、さらに五年間延長することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその概要であります。何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  128. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時三十二分散会