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岡沢委員 私は約一時間の持ち時間を与えられておりますが、主として
自動車運転者教育を中心にして所信をただしたいと思います。
最近の
道路交通事情特に
交通事故の激増につきましては、ここでちょうちょうする必要はありませんけれ
ども、しかしながら、現在の国内政治問題の最大の
課題の
一つがやはりこの
交通事故問題だと断言しても間違いないと私は思います。昨年は一万六千人の
死者を出したといわれますけれ
ども、それは
事故後二十四時間以内の
死者の数でありまして、
実質は約二万人といわれております。また
負傷者につきましては九十六万人、合計いたしまして約百万近い
死傷者。これは人口一億の
国民の中で、百人に一人に近い
数字でありまして、これが毎年繰り返される。しかも過去の
統計によりましても、年々累増していくということを考えました場合、きわめて重大な社会問題だと申し上げても決して過言ではないと思います。先ほど
国民の耳目を聳動させました
日航機の乗っ取り
事件あるいは
大阪の
ガス爆発の
事件は、一人一人の人命がいかに大切かということをあらためて
国民のわれわれに印象づけましたけれ
ども、しかし、
交通事故は現に毎日約四十人が死亡し、そしてまた無数の
方々が、この
質問をしている時点でもけがをしておられるということを考えました場合に、
一つの
殺人事件が起こりました場合、どれだけ
凶悪犯罪として刑事的にも
国民の
立場からも大問題にされるかということを考えました場合、
現実に四十人の
殺人事件が毎日全国で起こっておるというこの
実態を看過できないと私は思うわけであります。もちろんそういう
観点から今度の
道交法の
改正案も付議され、そしてまた
佐藤政府の
内政重視の中の物価と並んだ大きな一翼として、この
事故防止に
政府も取り組んでおられることも私は否定するものではございません。しかし、この問題の
重要性はどれだけ指摘しても足りないくらい大きな、
国民的な
課題だと私は思うわけであります。そういう
観点から、この
事故防止につきましては、今度の
道交法の
改正案に見られますように、
法律上の問題あるいは
道路の問題あるいは
安全設備の問題等々からもいろいろ論じられておりますけれ
ども、
一つ大きな見落としがあるのではないかという
感じが私はするわけであります。
と申しますのは、たとえば政治も人、
企業も人といわれます。
交通事故も結局はこれを起こすのは人であります。人の問題を無視して
交通事故の
防止は考えられないのではないかというのが一点であります。私は、もちろん
道路の
改善改良あるいは法的な整備あるいは
安全設備の
充実等を否定するものではございません。それとあわせまして、やはり
運転者教育につきましてあらためて再検討を、あるいは大きく政治的な目を向けるべき時期に来ているのではないかと思うわけでございます。
現実にこの
運転免許者は一説には二千五百万人あるいはまた三千万人いるともいわれます。また、車の数にいたしましても千五百万台前後。この二千五百万人の
運転者が
ほんとうに
交通社会人としての
安全運転教育を身につけておるかどうかという点をあらためて検討する必要があるとともに、新しく
運転免許をとる
人々が三百万人近く毎年あるわけでございますけれ
ども、それらの
方々に、単に
技術的な
意味での
運転者の
資格じゃなしに、
交通社会人としてのいわゆる
交通安全教育をマスターした
条件が兼ね備えられているかどうかという点につきまして、あらためてここで問いただしてみたい、また一緒に考えてみたいと思うわけでございます。
いま申し上げました
運転免許の
取得者は
年間三百万人近いわけでございますけれ
ども、その大
部分はいわゆる
指定自動車教習所の
卒業生だと申し上げてもいいと思います。特に
普通免許の受験生の八〇%以上は
指定自動車教習所の
卒業生であります。この
指定自動車教習所の
卒業生は
年間約二百万人といわれます。この
数字は
義務教育を年々受ける
国民の数よりも多いわけであります。それだけ大きな、いわば社会的な使命とまた量的な実績を持っております
指定自動車教習所の
位置づけあるいは社会的な
責任という点を、この際あらためて検討する価値があろうと私は思うわけでございますが、この
指定自動車教習所は、
法律的にどういう
位置づけがされておりますか。まず
交通局長に
お尋ねいたします。