運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1970-04-07 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年四月七日(火曜日)     午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 塩川正十郎君    理事 砂田 重民君 理事 古屋  亨君    理事 山本弥之助君 理事 斎藤  実君    理事 岡沢 完治君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中島 茂喜君    中村 弘海君       中山 正暉君    永山 忠則君       安田 貴六君    山崎平八郎君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    阪上安太郎君       華山 親義君    細谷 治嘉君       桑名 義治君    和田 一郎君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         自治政務次官  大石 八治君         自治大臣官房長 鎌田 要人君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      後藤  正君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   桑名 義治君     樋上 新一君 同日  辞任         補欠選任   樋上 新一君     桑名 義治君 同月七日  辞任         補欠選任   門司  亮君     合沢  栄君 同日  辞任         補欠選任   合沢  栄君     門司  亮君     ————————————— 四月三日  行政書士法改正に関する請願奥野誠亮君紹  介)(第二二二九号)  同(亀山孝一紹介)(第二二三〇号)  同(華山親義紹介)(第二二三一号)  同(門司亮紹介) (第二二九三号)  同(久野忠治紹介)(第二三六八号)  同(永田亮一紹介)(第二三六九号)  歯科技工業事業税に関する請願永末英一君  紹介)(第二三七〇号)  クリーニング業事業税軽減に関する請願外三  件(門司亮紹介)(第二三七一号) 同月六日  行政書士法改正に関する請願大西正男君紹  介)(第二四二七号)  同(高鳥修紹介)(第二四二八号)  同(野呂恭一紹介)(第二四二九号)  同(阪上安太郎紹介)(第二四九三号)  クリーニング業事業税軽減に関する請願(永  山忠則紹介)(第二四三〇号)  同外一件(斉藤滋与史君紹介)(第二四九二号)  同外一件(松澤雄藏紹介)(第二五九九号)  同外二件(門司亮紹介)(第二六〇〇号)  ドライブインにおいて酒類の提供を禁ずる法律  制定に関する請願外一件(藤枝泉介紹介)(第  二四三一号)  同(小坂徳三郎紹介)(第二四九四号)  同外一件(小峯柳多君紹介)(第二四九五号)  同(柳田秀一紹介)(第二四九六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  過疎地域対策緊急措置法案起草の件  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号)  地方自治及び地方財政に関する件(過疎対策に  関する問題)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋亨君。
  3. 古屋亨

    古屋委員 過疎対策の問題について自治大臣にいろいろお考えがあると思います。そういう問題を中心として何らかの立法措置が必要であると考えるのでありますが、自治大臣のその点についての所見を伺いたいと思うのでありますが、自治大臣が後ほど参られる予定でございますから、その際にひとつお伺いすることにいたしまして、いまいろいろ考えておられまする法案等について検討を加えてみますると、四十五年の国勢調査による新しい調査人口はいつごろ判明するのであるかということを、まず第一に自治省当局にお伺いをいたしたいと思います。
  4. 大石八治

    大石政府委員 議員の皆さまでいま法案を御準備されているようでございますが、その段階でいろいろ総理府等と御連絡をされた経過等も私ども聞いておりますし、私どものほうでも調べた場合、かなり正確に近いものが四十五年度内に判明するだろうというふうに承知しております。
  5. 古屋亨

    古屋委員 私もぜひ四十五年度内に判明をし、四十六年度予算に間に合うようにいたしたいというように考えておるのでありまして、この点につきましては、昨年の国会におきまして政務次官も非常に努力されておりまして、政務次官から、四十五年度の国勢調査町村人口の公表される時期というものはあとの作業に非常に重要だと思うわけで、意識的に早く公表をしてもらう努力をしてもらいたいという意見を述べられておるのでございます。これに対しまして当時の立案者の一人、山中議員答弁でありますが、「今日の備えられた器材を縦横に行使して、最大限どれくらいでいけるかということで内々相談いたしました結果は、市町村人口流出だけの指数自治省に最終権威あるものとして通知するだけでいいなら、六カ月以内でできそうであります」というような答弁があるのでありますから、いまの大石政務次官お話のように、ぜひ間に合わしていただくように、関係機関とも十分連絡をしていただきたいということを申し添えておきます。つまりこの点につきましては、ぜひ私どもも四十六年度予算に間に合わせるということを実現いたしたいと考えておる次第であります。  第二番目の問題についてお伺いいたしますが、どういうところを過疎地域とするかということで、考えられておる法案等によりますと、〇・一以上という人口減少率財政力指数〇・四未満をとっておるのでありますが、現在この基準でまいりますと、対象町村数は大体どのくらいになるのか、まず第一に事務当局からお伺いしたい。
  6. 鎌田要人

    鎌田政府委員 七百七十六市町村でございます。
  7. 古屋亨

    古屋委員 私の申し上げたいと思いますのは、人口減少率だけでいうと非常に人口は減っておるが、財政力でいうと該当しないというようなところもありますので、七百七十六のうちで、人口分のみのときはどのくらいの町村になるか、財政力のみのときはどのくらいの町村になるか、こういうような資料がありましたら御説明願いたいと思います。
  8. 鎌田要人

    鎌田政府委員 人口減のみで一〇%未満というものをとりますときは、八百九十七市町村でございます。それから今度は財政力指数のみで四〇%未満というところをとりますと、約千二百市町村に相なります。
  9. 古屋亨

    古屋委員 それでは今度の四十五年の国勢調査の結果によりましては、これらの要件について再検討する考えがあるかどうか。これは政務次官からお伺いしたいのであります。たとえば人口密度とか、あるいは東北地方であれば、出かせぎの指数などが取り上げられておるようでございまして、いまの人口減少率財政力指数中心考えますと、偶然でありますかどうか、西のほうに相当多く、数の上では偏在といいますか、固まっておるような感じがするわけでありますが、国勢調査の結果によりましては、こういうような人口減少率あるいは財政力指数、こういう要件について再検討するお考えがあるか、その点政務次官からお答え願います。
  10. 大石八治

    大石政府委員 数字を見ないと、結論はいまの段階でちょっと申し上げることはできないと思いますが、検討する必要はあると思います。ただ、そのうち人口密度というのを過疎現象と一緒に考えていいかどうか、その点私も疑問に思っていますが、いわゆる国調の出たところで問題は考えてみたいと思います。
  11. 古屋亨

    古屋委員 そういたしますと、いまのお話で、たとえば人口減少率が一〇%以上となっておりますが、場合によっては、それをもう少し考えて七%とか八%というようなふうになることも国勢調査の結果によっては考えられる、こういう御意見でございますか。
  12. 大石八治

    大石政府委員 それは一切国調の結果でありまして、その数字が、たとえば千何百というふうになれば、市町村の数の三分の一が過疎だというふうになったんでは、あまり普遍的になり過ぎてしまいますし、いま皆さん立法による過疎対策ということから少し広がり過ぎてしまうのではないかというふうに思われますけれども、しかし、この五年間にどういう変化が出てきているのか、いわゆる国調の結果待ちで、われわれの検討を続けていきたい、こう思っております。
  13. 古屋亨

    古屋委員 それでは次の問題に移ります。  四十五年度予算におきましては、過疎対策関係予算措置はどうなっておるか。この前配付していただいた数字では、たしか六百四十一億とか出ておりましたが、その点をひとつ事務当局から説明願いたいと思います。
  14. 鎌田要人

    鎌田政府委員 四十五年度におきまして過疎対策関係一つ財政投融資関係地方債過疎債といたしまして、御案内のとおり百三十億円を計上いたしております。  それから国庫補助関係でございますが、国庫補助関係におきましては、まず一つ補助金の新設、拡充といたしまして、医療確保関係僻地診療所補助でございますとか、あるいは巡回診療でございますとかあるいは公立病院のお医者さんを派遣するとかいったこと等をひっくるめまして三億八千百万円であります。それから交通確保といたしましては、バス運行費あるいは老朽代替車両購入費、こういったものをひっくるめまして一億五百万円。それから山村開発センターといたしまして助成二億二千八百万円。それから市町村道整備といたしまして、これは首都圏を除くものの総額でございまして、この中の何割のものが過疎地域にまいりますか、ちょっと推定が困難でございますが、総額で百二十億でございます。でございますから、かりにその中の三分の一のものが過疎地域に充てられるということになりますと、四十億程度と見込まれます。それから農免農道林道整備に要する経費といたしまして十三億。それからそのほかに過疎地域におきます国庫補助率の引き上げ、御案内のとおり、統合小中学校校舎でありますとか、あるいは屋内体操場でありますとか、教員宿舎保育所消防施設、こういったものにつきまして、それぞれ補助率を二分の一のものを三分の二に引き上げる。あるいは保育所につきましても、同じく三分の二に引き上げる。消防施設におきまして、三分の一のものを三分の二に引き上げる。これはこの分に対応いたしまするものを約三十億円程度と見込んでおるわけでございます。  それからそのほかに、この過疎地域におきまする土地改良事業あるいは牧野開発事業林道整備事業、こういったものの補助事業といたしましての採択基準を引き上げる。たとえば土地改良事業でございますと、二十ヘクタール以上のものでございませんと補助対象にならないわけでございますが、それを十ヘクタール以上に引き上げるといったようなことも検討をされておるようでございます。  大体以上のようなものがその内容のあらましでございます。
  15. 古屋亨

    古屋委員 いまのお話し数字で、私が先ほど六百四十億とか言いましたが、大体その見当でございますか。
  16. 鎌田要人

    鎌田政府委員 六百四十億という数字は、これは四十五年度の予算におきまして、過疎対策として関係のありそうなものを直接間接に一応拾い上げてまいりますと、ただいまお述べになられました数字になるわけでございまして、その中でいま申し上げました数字は、直接過疎地域限定をしてまいる、こういうものにさらにしぼりをかけた数字でございまして、合計いたしまして大体八十億見当数字に相なるわけでございます。
  17. 古屋亨

    古屋委員 そういたしますと、先般四十五年度の地方財政計画の概要の御説明がございましたが、このうちで過疎地域の施策を行なうために、過疎地域に特に生活基盤施設、そういうものが非常に劣っておるので、そういうものに対する整備をする、あるいは先ほどの過疎債をつくる、いろいろお話しになっておりますが、先般の「地方財政状況」についての要旨の説明がありましたときに、やはり社会資本充実、たとえば道路舗装だとか、小学校、中学校の危険校舎その他の校舎のまだまだ非常に施設強化が叫ばれておりますし、あるいは保育所についても老人ホームにつきましても、非常にそういう点を強化していかなければならない。いわゆる生活環境施設整備が非常に必要である。その現状を「地方財政状況」の資料で拝見したのでありますが、おそらくいわゆる過疎地域というのは、それよりもっと下だろうと思うのでありますが、大体どの程度一般基準まで上げることを目標とされておるか、非常に低いところだけを上げるようにされておるか、その点についてひとつ——数字的には非常にむずかしいと思います。また適当な機会に資料でもあれば資料を出してもらいたいと思うのでありますが、そういう点について、つまり過疎対策ではこれだけ充実するのだというような点についてのお考えを伺いたいと思います。
  18. 長野士郎

    長野政府委員 過疎関係の問題につきましては、来年度の交付税上の措置といたしましては、約千二百十五億円程度のものを需要として算入いたしております。その中には消防団関係経費充実でございますとか、道路費、特に四・五メートル未満道路とかあるいは診療所患者輸送簡易水道あるいは農業行政費、全体といたしまして需要を多く算入するというようなことで、その程度の額にいたしておりますが、これは人口が一〇%以上減った一いま御審議になっておりますところの過疎法対象になる過疎地域だけではございませんで、人口の減少しておりますところのものについて考えてまいりたいと思っております。私どもいろんな行政施設水準という点から考えますと、基盤整備がおくれておりますものがたくさんございますけれども、中でも過疎地域と、その地区の中心と申しますか、あるいは広域圏としての中心かもしれませんが、そういうところに通じますところの市町村道整備というようなものが非常におくれておりまして、それがまたいよいよ過疎施設水準をおくらしているという結果になっていると思います。そういうことがございまして、現在地方道整備につきましては非常に立ちおくれておりますが、過疎地域中心にしましては、市町村道の中で自動車交通不能な市町村道、これが大体四〇%程度あるような状況で、これはほとんど人口減少地域といいますか、過疎地域中心にしてそういうことになっております。市町村道改良なり舗装率も、改良にして十数%、舗装率にいたしまして六%程度になっておるわけであります。そういうものを中心にしながら、行政施設水準の向上をぜひはかっていきたい。そういうことで、すぐというわけにもまいりませんが、できれば、およそ自動車交通不能というような市町村道というものは、相当計画的にある程度時間をかけて考えなければならませんけれども、これはぜひ解消するようにしてまいりたい、こう思っております。
  19. 古屋亨

    古屋委員 いま財政局長からそういうような目標について話がありましたが、いますぐとはいかないという話でありますが、たとえば市町村道で四〇%くらいは自動車が通ることができない、こういうものはどうでしょう、ひとつ建設省と話し合って、何カ年計画で必ず通すようにするというようなことを考えられぬものでしょうか。
  20. 長野士郎

    長野政府委員 市町村道は、御承知のように、全体の道路の中におきまして占める割合は、全体の道路が百万キロくらいでございますが、その中で市町村道が八十五万キロございます。その中の四〇%ということになりますと、延長キロも相当多いわけでございますから、何年ということを考えるということは、確かに考えてまいらなければなりませんが、私ども建設省などの御意見もいろいろ聞いておりますけれども道路整備五カ年計画などで一応予定をしておりますのは、市町村道改良整備につきましては、五カ年間のうちに大体二五%程度改良をしていきたい、こういうふうに予定をしておるようでございます。そういう線に沿いながら、なお少しでも早く整備を進められますように、その努力をいたしてまいりたいと思います。
  21. 古屋亨

    古屋委員 それでは、いまの問題については、社会資本充実という点で自治省も非常に気にかけておられることはよう知っておるのでありますが、何といっても七〇年代は内政充実の時代だと総理も言われておるのでありますから、社会資本充実という点について、一般はもちろんでありますが、特に過疎地域についてそういう点の配慮を考えていただきたいということを要望しておきます。  次に、過疎債の問題でありますが、百三十億の過疎債、これは大体これでだいじょうぶと思われるのか、根拠的にはどういうふうになっているのか、それをひとつ御説明を願いたいと思います。
  22. 鎌田要人

    鎌田政府委員 過疎債百三十億、それから、先ほど過疎債限定をして申し上げましたが、そのほかに辺地債が七十億ございます。大体この過疎地域辺地債対象になります地域との重複も、御案内のとおり、多数あるわけでございますので、一応二百億というものも過疎地域にかかわりますところの市町村対象、こういうふうに考えてよかろうと思うわけであります。そういたしますと、大体簡単な算術平均をしてまいりましても、一地域、二百億でございますから、大体三千万という見当になるわけでありますので、この程度をもちまして、初年度は、−時間的な関係で申しまして、この法律成立をいたしますと、都道府県におきまして振興方針がつくられる、その振興方針に基づきまして計画を策定して、その事業に対しまして起債の詮議をするということになりますと、初年度は若干時間的なずれも見込まれますので、初年度事業といたしましては、この範囲で十分まかなえるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  23. 古屋亨

    古屋委員 初年度は普通の年の半分だから大体間に合うだろうというお話でありますが、過疎債対象を見ますと、市町村道あるいは学校統合、いろいろございますが、特に過疎対象になる地域では、いわゆる観光施設と申しますか、そういう点を非常に要望しておりますが、これは政令で指定されることになっておるのか、その点ひとつ御説明願いたいと思います。
  24. 鎌田要人

    鎌田政府委員 政令で指定をするものといたしまして、観光施設にかかわりますもの、たとえばスキーリフトでございますとかあるいは小規模のレフトハウス、こういったようなものを考えておるところでございます。
  25. 古屋亨

    古屋委員 従来の辺地債過疎債との内容的なズレ、いろいろございます。特に対象についても若干違っておるようでございますが、交付税による元利補給率につきまして五七%となっておるという点、辺地債のほうは八〇%に上がっておる、その点についての考え方を一応お伺いいたします。
  26. 長野士郎

    長野政府委員 過疎債辺地債とは、御指摘がございましたように、対象地域も違いますし、また対象事業も違う、また事業目的も必ずしも同一ではない、こういうことがございます。そういうことで過疎債辺地債は非常に似ている点もございますけれども、全体としての考え方も必ずしも同一ではないわけでございます。辺地過疎重複する場合もございましょうが、辺地につきましては、辺地総合整備計画というものに基づいて、過疎につきましては、過疎地域振興計画に基づいて措置をしてまいるというようなことがございます。これらは有機的に関連はありますが、いま申し上げたようなところであります。  いまのあと交付税上の措置につきましても異なりますが、結局それは辺地におけるところの事業緊要度といいますか、そういうものと、それからやはり地域経済力の度合いというものを考えまして、辺地関係措置というものを交付税上も厚くしていると申しますか、そういう形になっておると思っております。
  27. 古屋亨

    古屋委員 それでは、現在考えられております過疎債元利償還算入率でございますが、五七%が予定されておるわけでございます。これにつきましては、将来この算入率を改善する考えがあるかないか、そういう点について、これは政治的な問題でありますから、政務次官からひとつお答え願いたい。
  28. 大石八治

    大石政府委員 いま財政局長からお答え申し上げたとおりでありまして、他のいわゆる地方債算入率等経過もございますし、また、補助金等の制度もいまの過疎関係にはついている点もありますので、いろいろの点を比較し合いつつ、しかも検討は真剣に続けていきたい、こう思っております。
  29. 古屋亨

    古屋委員 ぜひこの点は前向きに早急に御検討願いたいということを申し上げておきます。  次に、過疎地域に対しましては、交付税傾斜配分等のほか、いろいろ財政上の措置がなされておると思うのでありますが、現在考えておりまするこの過疎対策法案成立いたしますと、従来の傾斜配分という措置をやめるというようなことがあっては、過疎地域は非常に困ると思うのでありますが、その点の考え方、これは先般の国会において提案者の一人である細田委員からも質問があった点でございます。その点一つと、もう一つは、考えられておる法案成立した場合には、その所管はおそらく自治省だろうと思うのでありますが、関係各省との連絡が非常に多いのでありますから、そういう連絡調整というものを、つまり連絡協調を密にするために、どんなふうにやろうとしておられるか、その二点をお伺いいたします。
  30. 大石八治

    大石政府委員 交付税における傾斜配分方針というものは、この法律ができたからといってやめるという考え方はありませんし、いままでどおりの考え方を堅持していくつもりであります。  それから自治省がこの問題の、何といいますか、窓口になる部分、それから自治省自体が自分の担当の任務としてやる部分というものがございますが、皆さんの御提案法律によりますと、自治省自体市町村計画なり府県の計画というものを実践に移す場合に、各行政機関の長と協議するということが法律上きめられておる。したがいまして、私は、この法律のとおりに成立をした場合は、法律を守ってやっていくということを重点に考えれば、その点は十分果たせるのではないかというふうに考えております。
  31. 古屋亨

    古屋委員 それでは大臣がお見えになりましたので、私、最初に申し上げましたように、根本的な問題について御所見をお伺いしたいと思うのでありますが、過疎対策につきましては、自治大臣にもいろいろとお考えがあると考えるのでありますが、この問題について何らかの立法措置が必要であると私ども考えておりまして、この点に対する大臣所見と、同時にまた、現在考えられておる法案は応急的な立法措置でございます。自治大臣として、今後過疎対策抜本的措置について検討の必要があると考えておるのでありますが、この点について大臣の所信をお伺いしたいと思います。
  32. 秋田大助

    秋田国務大臣 過疎・過密の問題は、二にして一でありまして、表裏の問題になっている。同時にこれは今日における重大な社会問題の一つでもあるし、一応行財政における重点的な重点的な問題でありまして、これに対する対策は重要な国策の一つをなすと申しましても決して過言でございません。自治省といたしましては、これが対策のための立法必要性十分痛感もいたしておりますし、またこれが立案成立の暁において、またこれを待たずいたしましても、今日の段階、また過去から意を用いて過疎対策には精力的な行財政配分をいたしてまいったわけでございますが、今後ますますこの強化充実の必要を痛感いたしております。また個人的に申しまして、私といたしましても、過疎地帯に生まれ、過疎地帯から選出されている議員として、今後ますますこの問題に積極的に取り組んでいきたいと考えておりますので、個人的に申しましてまことに恐縮でございますが、その観点からも、今後積極的にこれが対策の推進に当たりたいと考えているわけでございます。  御承知のとおり、この対策内容といたしまして、道路交通整備、あるいは医療環境、その地域環境整備施設充実あるいはそれらの地域に適しました農業、産業等の振興あるいはそれに適応しました観光施設充実等によりまして、集落の移転あるいは整備のことはもちろんのこと、少なくとも最低限のナショナルミニマムの確立と充実を期しながら、これが積極的に施策を推進すべきものと考え、それにまた邁進いたしたいと考えております。  同時に、ただいま議員各位、また諸政党閥においてお考えを願っております過疎対策に関する法案は、緊急に必要な点のみにとどまるという御意向で立案をされておりますが、これが立案の過程におきましては、政府自治省とも十分御連絡がついていることであり、少なくとも自治省も賛成のものでありまして、同時に単なる緊急とばかりは言えないようなりっぱに整備された内容を持つものであると考えております。しかしながら、今後これは重要な、しこうしていろいろ困難な問題を多数その内部に包蔵いたしているものでございまして、法案が幸いに皆さまの御提案によりまして成立の暁は、ただいま申しましたとおり、皆さまの御趣旨を体して、これが積極的な遂行、実現に邁進すると同時に、これが実施の過程におきまして、経験に徴し、また検討によりまして、いろいろ改善を加うべきものが出てまいろうと予想されるのでございまして、これらの問題には積極的に取り組みまして、改善を要すべき点があれば積極的にこれが改善に努力をいたしたい、もって均衡のとれた国土の開発、そうして住民の福祉に貢献をいたしたい。こういう考えで積極的にこの問題に取り組み、かつ施策を実行いたしたいと考えております。
  33. 古屋亨

    古屋委員 以上で質問を終わります。
  34. 菅太郎

  35. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 過疎地域の問題につきまして、ただいま古屋委員の質問に対しまして大臣のお考えをお聞きしたわけでありますが、大臣も十分この過疎地域対策につきましては御認識を持っておられると思うのでありますが、御承知のように、戦前を通じまして、わが国の人口の移動は、農村地帯から東京あるいは大阪を中心とする地域人口がずうっと毎年移動をしておるわけであります。しかし、その移動は、ある程度まで、その農村地帯人口の構造によりましては、年齢構成におきましても、その地域の存立に不安を感ずるというような態勢ではなかったわけであります。最近の、ことに、昭和三十五年以降の情勢は、経済の成長に伴いまして、急速に人口が移動をしておる。そのことは、集落の維持が困難になるというような状況になりまして、自治体としても将来に大きな不安を感ずるという状態になっておるわけであります。しかも、国の政策といたしましては、御案内のとおり、労働力の流動化というような政策によりまして、いわば成長企業に対する労働力の確保ということに国の方策というものは大きく向いておるという状況にあるわけでありまして、今回の農政から考えてみましても、すでに御承知のとおり、将来の総合農政の実体というものが明らかにならないときに、突如としていわゆる減反、休耕あるいは転作というような問題で、多少ともその地域の農家の生活の向上のためにやってまいりました開田等もこれは打ち切られる。いわば借金を残して、将来どうすればいいかという問題が出てきておるわけであります。こういった国の大都市に集中をさせるという方策を一方とりながら、それに並行して、この農村地帯をどう大きく国として対処するかという政策に欠けておったんではないか。部分的には、離島振興法だとかあるいは山村振興法というような法律が出まして、それに伴いまして財政的な裏打ちもしてまいったわけでありますが、これは部分的な状況でありまして、今日、農村地帯は、人口が、三十五年、四十年の比較において、一〇%減という状況をとりましても、八百市町村というような膨大な数になっておる。しかも、単に人口が減少するという状況の中に、私は、それなりに何とか存続できる町村もあろうかと思いますが、しかし、従来の過疎的な町村におきまして、その存立を持ちこたえておった町村が、ある程度人口が減少を続けるということによりまして、ことに、若年労働力が減少することによりまして、いままで存立しておった町村が、急激な人口の減少を伴わなくても、将来に非常に、地方自治体としてもあるいはその地域の住民にとりましても、不安な状態に追い込まれているというのが現状であり、地域によりましては、出かせぎという現象によりまして、挙家離村という状態ではありませんが、挙家離村よりなおかつ非常に、家族が別れて生活をする、子弟の教育も十分行なわれない。そういう地域住民にとりましては、その自治体を維持していくという態勢が破壊されつつあるような状態になっておるわけであります。  私は、大都市対策は、首都圏整備だとか、あるいは近畿圏整備、中部圏整備に見られるように、法制的にも、あるいは部分的な立法技術においても、都市再開発法だとか、直ちに手が打たれる。たとえば、新国際空港ができますと、新国際空港に対しましては、その近郊の町村整備のために、財政的な裏打ちを政府の立法で直ちにやる、こういう態勢をとっておられるわけであります。  しかし、大きな人口の流動の中に、農村地帯、ことに地方自治体といたしましては、三千幾つのうち、一応財政支出だとかあるいは人口が一〇%以上減少というのが手近くあるわけでして、実際問題としては、大部分町村が大なり小なり人口の流出という現象を伴っておる。いわば多くの農村地帯人口が減少して、将来その自治体の維持ということについては問題を含んでおる。そういうときに、国といたしまして、これにどう対処するかという立法的な措置あるいは大きな政策というものが打ち出されていない、十年以上そういう減少を続けてきているのに打ち出されていないということは、私は、経済の成長という、復興から成長への過程においてやむを得ない状況があったにいたしましても、これは自治大臣だけの問題ではなくて、政府全体の責任として、この問題に早く立法的に対処しなければならぬということでなかったかと思うのであります。  この点につきまして、大臣としても、地方自治体に非常に御配慮願わなければならない自治大臣の立場からいって、また、国全体の国務大臣の立場におきましても、私は、将来、これにどう取り組むかということは、政府といたしましても、相当の決意が必要ではなかろうか。いわば国の産業全体の問題、農業問題ではなくて、あるいは工業の問題その他流通の問題、いわゆる産業全般の問題に関連することであり、しかも、各地域の特性を生かすためにどうすればいいかというような大きな問題に関連していると思いますので、大臣所見を、すでに古屋委員に対しましての御答弁もございましたが、重ねてお聞かせ願いたいと存じます。
  36. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいま山本先生からの過疎問題に対する御所見を伺ったのでありますが、大体において、私も同感でございます。近来、とみに社会経済の急激な発展が深刻な過疎現象を起こし、これが単に、地方行政体としての根幹をゆるがす重要な問題に発展いたしましたばかりでなく、国の均衡ある発展を期する上からも重要な問題として、これが対策は重要な国策の一つであるというまでになっておるのでございまして、その点に関する認識は十分政府としても持っておるところでございます。  ただ、これが対策につきまして、ただいま御指摘のとおり、おくれた感なきにしもあらずでございまして、その点につきましては、反省もいたしているわけでございます。さればこそ、過疎対策につきましては、積極的に意欲を持って、これが施策の内容強化、そして推進をはかりたいと考えております。幸いにして、議員各位の間から、近年、この問題が強く指摘されまして、議員立法の動きとともに、それが具体化いたしまして、政府といたしましても、実質的にはこれが立案に参画いたしまして、いろいろと連絡をいたしまして、ある程度の成案を得ておるわけでございますので、これらの法案成立につきましては、今日の閣議におきましても賛成をいたし、これが成立を期するとともに、これが成立の暁には、御趣旨を体しまして、積極的に推進、施行をはかるとともに、なお実施の過程におきまして、いろいろ改善を施すべきところは改善をし、かつまた、いろいろ考えられておる問題点もございますので、これに対しましては積極的に取り組みまして、抜本策につき合意を得まして改善すべきものは改善をして、さらにさらにこの過疎解決の目的に充実した施策のとれるように措置をいたしてまいりたいと考えております。
  37. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今後大都市におきましては、大都市の再開発ということが大きな課題になっておるわけであります。このことにつきましては、すでに大都市の再開発法という立法措置もとられておるわけであります。私は農村におきましても、いわゆる過疎地域におきましても、大都市と同じような農村の改造あるいは農村の再開発というような構想で、これを経済あるいは福祉施設、その他公共施設整備、それらに関連させながら立法措置を講ずべきではないか、かように考えておるわけであります。本来ならば、国が根本的な対策を講ずべきでありますが、それは日にちがかかるということでありまするならば、議員立法といたしましても、この際応急的な問題ではなくて、根本的にはいわゆる国土の大半を占める地域の問題にどう取り組んでいくかということを、私は、各省のセクショナリズムを排しまして総合的に考え議員立法といたしましても、そういう恒久対策考え立法をすべきではないか、かように考えるわけであります。しかし、それらもいろいろな問題もありましょうから、とりあえずわれわれといたしましては、臨時応急の措置を講ずべきであるということで、よりより協議を進め、立法化をはかりたいということで努力をいたしておるわけであります。  しかし、これはあくまで臨時応急の措置である。今日の過疎問題は、人口が減少をしておるのでどうにもならなくなった町村に、いかに応急的に対処するかという問題だけではないのではないか。ある程度までそういう傾向に対して根本的に対処しなければならぬという地域が、市町村の大部分を占めておる関係上、その必要があるのではないか。しかも、人口が減少するということは、そこで生活ができないということでありますので、もうひとつ基本的に考えますと、人口が減少するというその基本的な考え方ですね。その地域、その町村で現状以上に生活基盤としての、あるいはその自然的条件に対応して、その人口を収容して生活の向上がはかり得るかどうかという基本的な問題が私はあろうかと思うのです。ですから、単に人口が減少することを食いとめるということの問題だけでなく、基本的にはそこの資源、国土を荒廃させないで、今後国全体の発展をはかるためには、人口をもう少し減少しても、残されたほうが地方自治体としても維持でき、さらには生活の向上を期し得るような資源との関係、それらがなし得るかどうかということの基本的問題も私は考えなければならない。そういうふうに見てまいりますと、人口の減少ということにこだわることも、もう一度私ども考えてみなければならぬというふうな考えもするわけであります。  さらには基本的な問題、先ほどちょっと触れましたように、集落の再編成というようなことで、より人口が減少いたしましても、地域的には地方自治体として、住民の創意あるいは住民の協力によりまして、地域の発展をはかり得るというふうな体制に持っていかなければならぬ。場合によりますと、さらには行政区域の再配分、合併というような問題にも関連してくるのではなかろうかと思うのでありますが、基本的に考えますと、私は、そういうふうにただ単に人口の減少ということにこだわらずに考えなければならぬ基本的な問題があろうかと思うのであります。そういたしますと、国といたしまして、地下の資源とかあるいは地上の資源その他に関連いたしまして、大きく地域で取り上げるべき課題、新しい総合開発計画では大規模なプロジェクトの問題等も取り上げられておるわけでありますが、それらと関連せしめながら根本的な対策立法を急ぐべきである、かように私は考えるわけでありますが、大臣としてもそれらの点につきましての御努力を願えるわけでしょうか、御決意をもう一度お聞かせ願いたいと思います。
  38. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説のとおりです。過疎問題に対処するにあたりまして、法案の用意の必要があること、立法の必要のあることは、先ほど申し上げましたとおり。しこうしてこれが立案につきましては、ただいま各議員、政党間にいろいろと御配慮願っておりますことはまことにありがたく、その御労苦に対し厚く感謝いたすものでありますが、同時にこれらの対策は、総合的にかつ長期的視野に立ち、計画的に策定かつ実施されてまいらなければならないと同時に、やはり資源、地理的条件等を十分勘案いたしまして、地域開発につきその地域のあるべき姿というものを十分予想して、基本的な見地に立ちまして立案さるべきであることは申すまでもございません。  したがって、応急の対策とともに、これの足らざるところを補完する恒久的な視野に立つ、あるべき地域開発の姿を的確にとらえた見地における立法の必要なこともまた当然でありまして、自治省といたしましては、これらの点を十分総合的に把握しながら、今後これが対策に当たりたい。また幸いにして、ただいま予定をされておりまする議員立法が御可決願えました後におきましても、これらの点を十分考慮しつつ、単なる現状に満足することなく、これが改善を期しながら所要の目的達成に邁進いたすべきものである、その趣旨に従って今後処してまいりたい、こう考えております。
  39. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 大臣の御答弁によりまして、相当幅の広いお考えを持っておられるということがわかりまして、私どもも非常にその点には御期待を申し上げるわけでありますが、私どもがいま考えております法律案等につきましても、一応応急対策であるということによりまして、過疎地域をきめなければならぬ、一応限定しなければならぬという必要性といいますか、そういう考えに立たざるを得なかったわけであります。したがって、ほんとうの意味の過疎地域をどう救い上げていくかという問題、いわばあと追いの行政ではなくて、過疎現象ということが、その地域の実態から考えまして、何とか考え対処しなければならぬという地域にまで配慮をすることができないという実情にあるわけであります。大臣のお考えですと、それらの問題につきまして、立法がなされた場合には、さらに実情に即応するような御配慮を願うといういま御答弁をいただきまして、私も期待をするわけであります。極力過疎地域の指定条件等につきましても実情に沿うように、私どもの修正、あるいは自治省みずから御検討を加えて、政府提案で修正をするというような配慮につきましてのお考えではなかったかと思いますが、その点の御決意を重ねてお聞かせ願いたいと思います。
  40. 秋田大助

    秋田国務大臣 現在伝えられておりまする法案における過疎地域の指定、その条件、人口の減少率あるいは財政力指数等によること、これは相当意味のある基準でありまた非常に適当な基準であろうと考えられる。しかしながら、これ以外に基準はなお考えられないか、現状に即して考えてみて、これでいいかという点になりますと、いろいろ問題があるわけでございます。  現状の過疎として指定された地域だけを守ればいい、その限界にある地域はまた過疎に沈んでくるということでは何にもならないのでございまするから、やはりこれに対する配慮をしなければならない、施策をしなければならない。この点につきましては、過疎と指定されない町村の中に地域的には過疎的なものがあります。そういう点も考慮しなければならないことも当然のことでありまして、これらにつきましては、先ほど御質問もあり、政府側から、あるいは地方交付税あるいは地方債配分等をもって資したい、考えていきたいという答弁がございましたが、もちろんそういう配慮を十分いたすと同時に、ただいま御指摘の、いろいろ過疎地域指定の基準につきましても、一段のくふう、配慮をしなければならないのではないかという問題がここに残っておると思うのです。これらにつきましては、ひとつ伝えられる法案の実施の経験その他に徴しまして前向きに検討をしてまいりたい、こう考えます。
  41. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 今日、農村の人口減少に伴いまして集落の再編成をどうするかという問題につきましては、経済企画庁におきましてモデル的な予算の配慮をしておるわけであります。今後、農村における集落の再編成は、都市における都市改造あるいは区画整理というような問題と違いまして、非常に困難な問題を含んでおると思うのでありますが、現実問題としては、これらの問題が今後の農村地域における重要な問題になっていくのではないか。早晩、人口の減少が世帯の減少となり、いわば挙家離村という姿による、従来の部落が崩壊するという中に、どうその地域の集落を再編成していくかという課題は、十分今後早急に検討すべき問題ではなかろうか、かように考えておるわけであります。今回立法する法案等におきましても、それらの集落の再編成につきましての国の財政上の配慮の余地を残す方途を講じておるわけでありますが、いわばモデル的な配慮ということのみならず、自治省としても、それらの指導あるいは調査、さらにまた計画的な財政力の助成措置ということを十分来年度予算編成時期以降におきましては御配慮願わなければならぬと存じております。  私ども考えております法律案の中には、現実にそういう条文を直接明快にはうたってはいないわけでありますが、一応自治省の配慮に待つような、そういうことの可能性だけを法律の条文の中にうたうという措置をしておるわけであります。これらにつきましても、来年度以降、財政措置その他につきまして御配慮願わなければならぬと思っておりますが、その点についてお伺いいたします。
  42. 秋田大助

    秋田国務大臣 集落の整備、再編成という問題は、過疎対策上重要な問題の一つでございます。山の中のことであるからまあまあというような、私はそういう気持ちは許されない。むしろこういうことこそしっかりしていくということがやはり必要である。地方財政あるいは地方行政の基幹をしっかりさせる意味において、集落が一番大事なことではなかろうかと思います。しかし、いろいろむずかしい問題も含んでおりますが、これが解決にはやはり財政の裏づけが一番大切であることももちろんでございまして、地方債対象にすることを自治省としては考えておりますが、さらにその他の方面におきましても、これが財政的裏打ちを考慮しながら、これが再編成、整備にひとつ十分意を尽くして、前向きにいろいろ施策を検討しながら当たりたいと考えております。
  43. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私、この財政的な裏打ちの際に、将来の町村計画に基づいての地方債、いわゆる過疎債というような配慮によってそれを食いとめていくということが、本年度予算では重点を置かれておると思うのでありますが、現実問題といたしまして、地方債というものは、その町村の将来の住民の負担に待つという考えに立つのは、借金なわけでありまして、非常に苦しい状態になりつつある地域をばく大な借金によりまして処置を行なう、はたしてその借金にたえ得るかどうかというような問題も残るわけであります。そういたしますと、むしろ的確に問題を解決するためには、補助金でやるということ以外にないと思うのでありますが、しかし、それらも財政措置として新しい手をつけるという段階におきましては、予算措置も相当の金額に相なるというふうに考えられるわけで、過疎債措置もやむを得ないと思うわけであります。しかし、それが十分振興計画に役立ち、償還も村として十分可能であるという態勢をつくることが必要ではないかと思いますので、従来の山村振興法におけるような交付税についての配慮と同様な方法によりまして、山村振興両々相まちまして過疎地域対策を講じていく必要があろうかと思います。一挙にそこまで行けないということで、立法措置におきましては、多少山村振興の起債の償還に対しまするよりも十分めんどうを見ないという措置に相なっておるわけであります。私は、十分それらに対する配慮をしておくべきではないか、実質的に何らかのこれらの措置考えるべきではないか、また自治省の配慮によりまして、将来それらの改正等も考えなければならぬのではないか、かように考えておるわけであります。それらについての御配慮をお願いいたしたいと思いますが、その点につきましての御所見を伺っておきたいと思います。
  44. 秋田大助

    秋田国務大臣 集落のいろいろ整備、再編成の問題、実情に即して考えてみますと、そういう地帯をかかえておる自治体の苦境というものが十分察せられまするし、また現実でありまするので、これに対しましては、単なる過疎債の裏づけばかりでなく、交付税措置等について相当手厚い配慮をしなければならないのではないかという御所説は十分よくわかります。私も現実に、自分の選挙区の内部におけるあの村、あの集落のあれをただ地方債の将来の負担だけにとどめておいていいんだろうかということを考えますと、これは何とか前向きに検討しなければならない問題であろうと思います。過疎対策としての全体の問題から、他のいろいろ類似の地域開発の立法との関係上、伝えられるがごとき交付税の中における元利償還措置というものは現状やむを得ないといたしましても、御指摘の問題等についてはひとつ前向きに検討してみたいと思っております。
  45. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 私、終わりますが、細谷委員に短時間でよろしゅうございますから、関連質問をお願いしたいと思います。
  46. 菅太郎

    ○菅委員長 関連質疑の申し出がありますので、この際、これを許します。細谷治嘉君。
  47. 細谷治嘉

    ○細谷委員 全体としていろいろ問題点があるわけでありますけれども、一、二簡単にお伺いしたいと思うのです。  この法律案の第五条によりますと、都道府県知事が振興方針というものをきめるわけです。都道府県知事が振興方針をきめる場合には、あらかじめ自治大臣と協議をする、そして自治大臣関係行政機関の長と協議をする、こういうことになっております。それを受けまして第六条で、市町村振興計画というものを市町村がつくるわけです。その市町村というのは、第二条によりまして、二つの条件で指定を受けるわけです。そうなってまいりますと、私は気がかりな点は、指定を受けた市町村というのは何にもできないわけですね。知事が振興方針をつくる。その振興方針というのは、過疎地域を広域的な経済社会生活圏の整備の体系に組み入れなければならぬ、こういっているわけです。そういう体系に組み入れたのに基づいて、ただ事務的に市町村振興方針に基づいて振興計画をつくる、こういうことになってまいりますと、一体市町村の自主性というのは、どこにあるのか。しかもその次にまいりますと、市町村計画自治大臣に届け出るわけでありますけれども、初めのほうと終わりのほうでもうきちんとくくられちゃっておるわけですね。ですから、市町村は、言ってみると、ロボットですよ。これはどうも地方自治の本旨というものから見て、いささか問題があるのではないか、こう思うのですが、大臣、いかがですか。
  48. 秋田大助

    秋田国務大臣 この法案がかりに通ったといたしましていまお話しだろうと思うのですが、そういう感もされるかもしれませんが、しかし、初めの方針は大体の方針をきめられておるのでございまして、具体策につきましては、十分市町村の自発的な自由な意思による計画策定が許されておるし、また方針そのものが、全く自由を与えない、余地のない、それに反するような方針を立てることも常識上考えられません。かつ、自治大臣におきましても、これが提出を求め、指定をする場合には、十分そういう点を考慮いたしまして、まさに市町村の希望と府県の考えとが大いに乖離いたしまして、そして合理的な市町村の発意が認められないというときには、十分それが修正の余地も実際的にはあるものと考えますので、形式的にはいささかどうかという懸念なきを得ませんけれども、実際上はその心配はない。また、方針と実際具体的な案との間に十分自由を許され、創意が許される余地が残っておるというばかりじゃない、その自由が完全に私は残されておる、こういうふうに理解いたしております。
  49. 細谷治嘉

    ○細谷委員 そうおっしゃいますけれども、これでは残ってないわけですね。第五条で振興方針を知事がきめる。その場合に、たとえば第五条三項に、振興方針をきめる場合には、関係市町村いわゆる指定された市町村意見を聞くとかなんとかという点がうたわれてあるなら別ですけれども、うたってないわけです。そして第三項に都道府県知事は振興方針は「広域的な経済社会生活圏の整備の体系に組み入れるよう」、こう来ているわけです。そして知事はその振興方針をきめようとするときには、自治大臣と協議しなければならぬ、こういっておる。そして一切がっさいおぜん立てが整った上、で第六条の三項に「市町村計画は、他の法令の規定による地域振興に関する計画と調和が保たれるとともに、当該市町村の建設に関する基本構想又は広域的な経済社会生活圏の整備計画に適合するよう定めなければならない。」こうぴしゃっと来ているわけですからね、私は問題があるのではないか。市町村の自主性というのは完全にうせてしまっておる。こういうふうにこの案ではなっているわけですから、少し気にかかる点が多々あります。大臣は運用でということですけれども、問題があろうかと思います。関連でありますから、あまり申し上げませんが、その辺が問題。  それからもう一点だけお尋ねしておきたいのでありますが、補助の特例であります。第九条ただし書きのところですが、「他の法令の規定により同表に掲げる割合をこえる国の負担割合が定められている場合」、たとえば産炭地ではかさ上げ方式でいきます。その場合に、かさ上げ方式に基づいて算定された補助率が上回っておった場合には、適用されるのかどうか。他のいわゆる地域開発の立法との関連ですね、その辺をちょっとお尋ねしておきたい。
  50. 菅太郎

    ○菅委員長 細谷君に申し上げますが、あなたの御質問の内容は、立案者にお聞きをいただいたほうが適当な御質問かと思いますが、いかがなものでございましょうか。自治省当局に聞かれてもちょっと困るのじゃないか、こう思うのです。これはまだ提案になっておりませんけれども、やがてこのあと提案をいたしますが、ちょっと御質問が混同しているのじゃないかと思いますので……
  51. 細谷治嘉

    ○細谷委員 形はそうですけれども、この法律ができたときには十分自治省もタッチしているでしょう。あまり形のことばかり言わぬで、私はずばり聞いているわけですよ。
  52. 鎌田要人

    鎌田政府委員 ただいまの技術的なことで、あるいは政府が答弁すべきものでないかもしれませんが、お答え申し上げますと、御指摘になりました第九条の場合、いま御引例になりました、たとえば産炭地立法によりましてかさ上げが行なわれる、その率がこの第九条本則の率よりも高い場合には、もちろん高い率のほうをとる、こういうことでございます。  それから、先ほど市町村の指定があるというふうに御発言がございましたけれども、指定という行為は、この種の立法としては非常に異例なことのように私は考えるわけでありますが、指定ということではございませんで、法律の条件を満たしさえすれば、当然対象になる。それで自治大臣はそれをただ公示するだけだ、こういうことでございまして、そこにもやはり他の地域立法に見られない自主性尊重の考え方があるように思います。
  53. 細谷治嘉

    ○細谷委員 大臣、ちょっと要望しておきますが、この補助率に関連して、私は、たとえば中学校等の適正な規模への統合というものについては、その必要性を認めます。けれども、それは教育上のサイドから統合が進められなければならぬのでありますけれども、この法律ができますと補助率が上がってまいりますので、単に財政上のサイドから学校の統合というのが進められる可能性が非常にあります。これは文部大臣の権限の範囲になりますけれども、そうなってまいりますと、たいへん困るわけでありますので、ただ財政上のサイドばかりじゃなくて、教育サイドというものを重点に置いた適正な規模への統合ということであくまで貫いていかなければならぬ、こう思うのですが、この点についての大臣のこの法律成立の場合の執行の基本的姿勢、そういうものもちょっとお伺いしておきたいと思います。それで終わります。
  54. 秋田大助

    秋田国務大臣 その点につきまして、この法案が通って実施する場合という前提条件のもとにお答えしなければなりませんが、多少前の御質問にも戻るようでございますけれども、「振興方針を定めようとするときは、あらかじめ、自治大臣と協議しなければならない。この場合において、自治大臣は、関係行政機関の長と協議するものとする。」したがいまして、この段階におきましては、御配慮のような点を十分自治大臣としても配慮できるわけでございますし、またそういう点を十分注意いたしまして、関係地方団体等にもあらかじめその意味におきまして指導を十分いたすことによりまして、ただいまのような御心配のないように配慮をしてまいりたいと考えます。
  55. 菅太郎

    ○菅委員長 和田一郎君。
  56. 和田一郎

    ○和田(一)委員 過疎問題につきまして、大臣はじめ政府側の方々の考え方、また根本的にどう考えていらっしゃるかということをひとつ参考のためにお聞きいたしたいと思います。  私は、まず最初に申し上げたいのは、過疎の本質というものは、あまりにも農山村のいわゆる零細農家が多過ぎて、そうして社会資本の立ちおくれに自分の力で及ばない、それが過疎の本質であります。さらに、生活のために全部都市へ出ていってしまう、開発のエネルギーを引き出すという力がない、それがぼくは本質だと思うのです。この法案は別にいたしまして、政府の考えていらっしゃる過疎対策というものは、どこに重点を置くのか。いままでも過疎対策考えていらっしゃったと思うのです。この法案は、どちらかといえば、足がかりというようなものでありますけれども、今後さらに過疎対策を進めていかれると思います。その場その場の対症療法的でいくのか、また集落政策だとか生産、いわゆる自然の大きな資本というものを引き出す根本的な再開発であるかどうか。その点についてひとつ大臣、どういう点に重点を置かれるかということをお聞きしておきたいと思います。
  57. 秋田大助

    秋田国務大臣 この日本の国土は、やはり均衡のとれた開発状態になくちゃならぬ。ということは、山村は山村、集落は集落、与えられた自然条件のもとに、人間が豊かな文化生活を営むと同時に、そこにおいてある程度その時代のその国における標準的な生活が営めるという条件を整備させることが必要だ。しかし、それは自然を無視したものであってはならない。自然にある程度即しながらそういう条件が整備される必要性がある。また国はそういう条件を整備する義務がある。ですから、単なる応急対策じゃない、あるべき地域の開発の状態というものを考えつつ、産業基盤の整備施設充実、それに関連しまして環境施設整備、またそれに関連して教育施設整備充実、そうしてそれを実現さすために必要な交通道路、通信体系の整備強化、拡充ということをはかりまして、村落は村落、山村は山村、農村は農村で、可能な限度における開発を満度に期する、こういう応急対策とともに恒久対策を講じまして、日本の住民が村落におきましても山村におきましても、十分生活を楽しみながら一定の経済生活が維持できるという条件を整備さすという点に重点を置いて、過疎対策を講じていきたい。この点にある程度の施策を施し得ますならば、私は、人口の過度な流出というものはとまるものではなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。
  58. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いまのお答えを聞いておりますと、大臣のお考えは、ただその場その場じゃなくて、いわゆる再開発だ、そういう面に力を置きたいとおっしゃっておると解してよろしゅうございましょうか。
  59. 秋田大助

    秋田国務大臣 さようでございます。
  60. 和田一郎

    ○和田(一)委員 そうすると、人口の動きなんですけれども、厚生省の人口研究所か何かあるんですね。そこでは、昭和四十年では都市に集まっている人口は全人口の四八%程度である、ところが昭和六十年になると七〇%は都市に集中するだろうという予測をしておるのです。それからまた十五年くらいたちまして——これはもう過疎問題というのは、この法案は時限立法でありますけれども、国家百年の大計に通ずる対策でありますから、ちょっと先のことも言わしてもらいますけれども、昭和七十五年になると、総人口が一億三千万人にふくれ上がるだろう、こう見ておるわけですね。ところが、その七〇%以上の人たちが都市に集中する傾向にある。これはあくまでも予測ではありますが、よほど強力な過疎対策をつくっていかないと、大臣のおっしゃったようにならないのじゃないか。人口の流動という形についての実際の姿、それから、これから考えていらっしゃるいわゆる過疎対策についてひとつお考えをお願いしたいと思います。
  61. 秋田大助

    秋田国務大臣 人口が今後どのくらいまで伸びるか、私、不勉強で私の知識は少し古いようでございますから、その点についての私の考え方は差し控えたいと思いますが、先ほども山本先生との御質疑の中でこの点は論ぜられたと思いますが、どの程度人口をいわゆる過疎地帯といわれる地帯で吸収し、そこにとどめておくことができるかどうかというような見地につきましては、これは今後また検討を要する問題であろうと思いますが、要は、自然の条件に十分即しつつ、可能な程度におきまして人口過疎地帯に維持、収容すべきものである。ただ、むちゃくちゃに何でもかんでもとどめなきゃいけない、こういう考え方では私はない。しかしながら、現状のようなままに放置して、おもむくままに推移さしておくべきものではもちろんない、こういうような考え方でございます。
  62. 和田一郎

    ○和田(一)委員 過疎債等で大体幾つの市町村というふうに、自治省のほうでも見当をつけていらっしゃいますけれども過疎と見られる地点、大きく分けて都市近郊、それから純農村地帯、農村を含めた農山村、純然たる山村、大きく分けまして大体どのくらいな率になっておりますか、おわかりになりますか。
  63. 鎌田要人

    鎌田政府委員 お答えいたします。  大体対象となりますところが、先ほど申し上げました七百七十六ございますが、その大部分は農山村ということに相なろうと思います。一例をこの推定の手がかりといたしまして、新過疎市町村として考えておりますところで、振興山村の指定を受けておるところがどれくらいあるだろうかというようなことを見てみますと、七百七十六のうちで三百三十二、約半分でございます。これが振興山村として指定をされておる。また離島を含むところが七十九ある。こういうことから、いま申しましたように、大部分が農山村に集中をするのではないかという推定をいたしておるわけであります。
  64. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この過疎の問題については、経企庁のほうでもいままでいろいろな資料をとっておりましたので、申しわけないのですけれども、私、経企庁のほうからもらった資料をちょっと見ますと、こうなっているのです。全市町村のうち、過疎以外の全市町村を全部ひっくるめた市町村のうちでその割合を見ますと、都市近郊が三・八%、僻地農村が一〇・七%、農山村三四・一%、山村が六一・二%、こうなるのですね。ですから、いわゆる一〇%以下の減少率を示しておるところのほとんどが山村だ、こうなると思うのです。考えてみますと、ほとんど全部が急傾斜地なんですね。農耕に適しないというようなところがあるのです。ほんとうにネコの額のような耕作地に住んでおった、そういうところがほとんど対象になっている。こういうことになってまいりますと、これはたいへんな問題だ。そういう現実を見た上でどうすればいいかというような現実論ですね、何か自治省のほうに意見をお願いしたいと思います。
  65. 鎌田要人

    鎌田政府委員 自治省といたしましてということになりますと、ちょっと大きな話になるわけでございますが、私ども事務的に見ておりまして、やはり端的に開発の可能性のあるところ、開発と申しますのは、農林業の面でございましても、あるいは企業の誘致という面でございましても、いわゆる開発の可能性があるところ、それから開発の可能性のないところ——一応技術の進化によりまして、開発の可能性のないところもまた開発の可能性のあるところにもちろん移り変わってまいることが予想されるわけでございますが、端的には一応開発の可能性のあるところとないところ、こういうふうに分け、その開発の可能性のあるところにおきましては、いわゆる林産物、特産物の育成ということでまいる、いわゆる夏山冬里ということばをわれわれよく聞くわけでございますが、そういった形で林産物に特化してまいる、あるいは農業の面におきましては、総合農政とのからみ合いもあると思うのでございますけれども、農地の流動化という問題もあわせ考えながら、経営規模の拡大をはかってまいる。結局青壮年層というところをいかにして魅力ある土地として過疎地域に引きとめることができるかというところが、過疎対策の当面の基本であろうと思うわけであります。あるいはまた、過疎地域の先進地として知られております山形県の小国町あたりでありますと、企業誘致をしておられる。そこで兼業収入の機会というものの増大をはかっておられる。こういったこともございます。それぞれの地域の特性に応じまして、無限に知恵を出してまいらなければならぬという気がするわけでございます。また開発の可能性のないところにおきましては、やはりレクリエーション中心の観光開発ということを手がけてまいらなければならないというふうに考える次第でございます。そういった面におきまして、この過疎債対象となる事業というものを選定いたしているわけでございます。
  66. 和田一郎

    ○和田(一)委員 いま官房長がおっしゃいましたけれども、そこが問題だと私は思うのです。現在農業で食えないのです。林業でも食えない。そこでたとえば工場を誘致する。ところが工場がそういう山村には来ないのですね。そこに大きな問題がある。たいへんな問題である。今度は逆に農村のほうへ行きますと、こういう意見がある。農村は過疎ではないというのです。もっと人口が減ってくれなければ食えない。こういう姿が実際なんです。これはある村長さんですけれども、村長さんもそのようなことをおっしゃっている。これは全然山岳地帯がないのです。純農村です。ところが、山村に入ると、過疎といって騒いでいる。こういう現在の日本の農政の大きな隘路、これにぶつかっている。ですから、これは農業問題を何とか解決していかなければ、先ほど自治大臣がおっしゃった根本的な解決は私はあり得ないと思う。確かにほとんどいまは兼業農家です。農業だけでは食っていけませんから、できませんですよ。山村には、そういう問題についてひとつ大いに知恵を出していただかなければ、ほんとうの意味の過疎対策は私はないと思う。これからが過疎対策の第一歩だと思いますので、次に進んでまいりますけれども、社会流動といいますか、人口が社会的に出て行ったりするのをのけまして、自然増減の割合を見ますと、産まれるよりは死んでいく数のほうが多い。これが現在の山村、いわゆる過疎地帯の実態なんですね。これについてどうお考えになりますか。
  67. 鎌田要人

    鎌田政府委員 おそらく問題は、生活環境整備あるいはそれに関連をいたしまする山村医療、無医地区が多いわけでございましょうから、医療対策、こういったことに集約をされてまいるんだろうと思います。この過疎地域、山村地域におきまする一番の問題は、生産基盤が弱いことももとよりでありますけれども、やはり生産基盤が弱いことによりまして、先ほど申しました、青壮年層というものが流出をしてまいって、残った人々の生活を取り巻く生活環境水準というものが非常に劣悪である。こういうことが、この生命を縮めておるということの一つの根源であろう。もちろん、その根底にありますのは、所得水準が低いために十分な生活指導というものがとられない、こういうこともあるわけでございましょうが、それに加えまして、無医地区が多い。そういうことから、非常に診療を受ける機会というものも少ない、こういうことがあるわけであります。  したがいまして、当面、議員立法として検討されておられますところの法案におきましても、上水道あるいは屎尿、じんかい、こういったものの施設に対する地方債の配慮、あるいは無医地区を中心といたしまする医療対策というものにつきましては、当該市町村でなくて、都道府県知事というものが市町村長と並んで、医療についての終局的な責任というものをとる。そういうことから、巡回診療なり、あるいは医師の派遣なり、あるいは診療所なり、あるいは患者輸送車、こういったものにつきまして、財政措置をとろうといたしておるわけであります。もちろん、こういったことで、一挙に、少産多死ということになるのでありまするが、そういう現象が解消されるとは思いませんけれども、そういったじみな努力を積み重ねていくことが、その一助になるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
  68. 和田一郎

    ○和田(一)委員 官房長、何か思い違いをしていらっしゃるのではないかと思うんですけれども、実は、私の質問は、老人ばかりが残るということなんです。これはすごい老人です。産まれる率が少ないというのは、若い御夫婦が全部出てしまう。残るところは老人ばかりだ。私は、一カ月ぐらい前にある過疎地へ行きました。そこの町長さんと御一緒に、実に過疎の激しいところへ行きまして、座談会をやったことがあるんです。そこへ来る人来る人、みんな六十以上のおじいさん、おばあさんばかり。若い人はぽつんぽつんですわ。みんな、六十になって子供に捨てられたと言うんですね。これが本音です。この年になって、一生懸命育ててきて、みんなその子供に捨てられた、私もだ、おれもだという声が多いんです。ですから、これからの過疎対策にいたしましても、いろいろの経済政策もこれは当然でありますけれども、一番大きな社会問題になってくるのは、私は、老人問題じゃないかと思うんです。  その点についてひとつ、もう時間がありませんので終わりますが、先ほど私が申しました、農村は過疎じゃないという意見、これはもう大きな錯覚だと思うんですけれども、そういう意見が確かにあるんです。もっと人口が減ってくれなければ、農村では食えないと言うんです。これは時代逆行的な意見だと思いますけれども、それに対する御意見と、それから、その老人対策ですね。これが大きな社会問題です。そのことについてひとつ大臣のほうから……。
  69. 秋田大助

    秋田国務大臣 たいへん過疎立法のむずかしい点等が全部、ただいま和田先生の御発言の中に含まれておると思います。  そこで、老人対策一つの焦点であることはもちろんでありますが、結局、若い人がいわゆる過疎地帯にとどまること、とどまるに値する経済環境、生活環境をつくり上げておくことが、根本的に必要であろうと思います。そして農村的な過疎地域につきましては、総合農政の今後の推進によりまして、食える農業ということを何らかの形で考えなければなりませんが、やはり農村地帯は農村地帯、山村は山村で、ある程度の経済対策を講ずることによりまして、私は人口の流出をとどめる余地が十分あるのではなかろうかと思っております。現実に、自分の選挙区のことを申してまことに恐縮でございますが、山村地帯におきましては、この法案等にも書かれておりまする、ある程度観光施設、あるいは山村に適当しました産業、山のいろいろクリでありますとかカキでございますとか、こういうものの生産あるいは加工業、これを道路その他生活、教育、環境施設充実整備とともにはかるならば、私は、ある程度その地域でとどめ得べき人口というもの、若年労働というものは相当まだ余裕があるものと想像されます。また、山村でなくて、農村地帯で、これに予定されておりまする基準を適用しますと、過疎地域に指定されておるような地域におきまして、最近、道路整備あるいは通信体系の整備等によりまして、公害を起こさないような手工業的な産業の導入が相当されております。弱電流関係のいろいろアセンブルの工場みたいなもの、その他機械工業のようなものが、こんないなかにいつの間にか工場ができたかというようなものがぼつぼつできておるわけでありますから、山村振興対策なり過疎対策緊急法によりまして、施設、施策よろしきを得ますれば、農村地帯におきましても、総合農政の推進と相まちまして、相当の効果をあげ得るんじゃないか。私は、この法案成立及び将来に対してある程度の希望が持てるような気がいたします。また、その希望を実現すべく、施策の充実を期していかなければならないと思います。  こういうような考え方によりまして、幸い、この法案成立の暁におきましては、この内容の改善を期するとともに、意欲的に施策を講ずるならば、相当程度の効果をあげ得るもの、また、あげしめねばならぬ、こう考えております。
  70. 和田一郎

    ○和田(一)委員 もうこれで終わりますけれども、先ほどの工場誘致の問題ですが、実際問題、市町村としますと、あぶなくて見ていられないのですね、その工場自体の経営が。そういう点もあるのです。もしそこが倒れたらどうしようというのがある。そういう面もひとつこれからしっかりと見ていただいて、健全な企業を誘致するという面、さらに、老人対策、また、農業対策、これはひとつこれから全力をあげて過疎対策に臨まれんことを心から希望いたしまして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  71. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、過疎地域対策緊急措置法案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、理事会等において協議が行なわれておりましたが、その結果に基づき、古屋亨君、山本弥之助君、斎藤実君及び合沢栄君から、四派共同をもって、お手元に配付いたしておりますとおり、過疎地域対策緊急措置法案の草案を成案とし、本委員会提出の法律案として決定すべしとの提案がなされております。
  72. 菅太郎

    ○菅委員長 この際、その趣旨について説明を求めます。古屋亨君。
  73. 古屋亨

    古屋委員 お手元にお配りしてあります案文につきましては、先般来、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党との間におきましてそれぞれ検討を続けておりましたところ、このほど意見の一致を見るに至りましたので、便宜、私からその立案の趣旨及び内容の概要を御説明いたします。  本案は、各党の合意による案でありますので、各位の御賛同を得て国会法第五十条の二の規定により本委員会提出の法律案とし、その成立を希望いたす次第であります。  まず本案の全文でありますが、これはお手元に配付してあります印刷物によることとし、朗読を省略させていただきます。  次に、本案を立案した理由を述べますと、本案は、最近における人口の急激な減少により地域社会の基盤が変動し、生活水準及び生産機能の維持が困難となっている過疎地域について、人口の過度の減少を防止するとともに、地域社会の基盤を強化し、住民福祉の向上と地域格差の是正に寄与するため、緊急に、生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を実施するために必要な特別措置を講じようとするものであります。  あらためて申し上げるまでもなく、最近におけるわが国の経済社会の急速な発展は、人口、産業の急激な大都市集中をもたらし、地域社会の基盤を大幅に変動させつつあります。この結果、大都市及びその周辺におきましてはいわゆる過密現象が発生し、一方、農山漁村におきましては、いわゆる過疎現象が生まれております。  しかも、この過疎現象は、若年労働力の流出等としてあらわれるため、農林漁業等産業の発展を妨げ、さらに市町村の行財政力の低下傾向を伴って、環境施設整備をおくらせ、一そう人口の流出に拍車をかけるという悪循環の可能性すら包蔵しているのであります。  したがって、過疎現象をこのままに放置することは、国土及び資源の合理的な利用の上からも、社会資本の効率化の面からも、はたまた健全な市町村自治を育成する立場からも、もはや許されない段階に立ち至っているのであります。  しかしながら、御承知のように、現在そのための総合的な立法はなく、また過疎地域にある地方公共団体は、おおむね行財政的に貧弱でありますので、この際、過疎地域の生活環境、産業基盤等の整備に関する総合的かつ計画的な対策を緊急に実施するための必要な行財政上の特別措置を講じ、人口の過度の減少を防止するとともに、地域社会の基盤を強化し、住民福祉の向上と地域格差の是正に寄与せしめようとするものであります。  次に、本案の内容について御説明申し上げます。  第一は、過疎地域の範囲でありまして、この法律案では、人口の減少率と財政力指数をとることとし、国勢調査による昭和三十五年から昭和四十年の人口減少率が一〇%以上、昭和四十一年度から昭和四十三年度の財政力指数の平均が四〇%未満市町村としております七  なお、今後、昭和四十五年国勢調査及び昭和五十年国勢調査の結果が判明いたしました場合には、直近三カ年度の財政力指数を勘案しつつ、過疎地域となる市町村をそれぞれ追加することとしております。  第二は、過疎地域振興計画の策定でありまして、都道府県知事は、過疎地域の振興のため、あらかじめ自治大臣と協議して過疎地域振興方針を定めることとし、自治大臣は、関係行政機関の長と協議することにしております。  過疎地域市町村は、この過疎地域振興方針に基づき、都道府県知事と協議の上、当該市町村議会の議決を経て、市町村過疎地域振興計画を定め、また都道府県知事は、過疎地域市町村に協力して講ずる措置計画を定め、それぞれ自治大臣に提出することとしております。自治大臣は、その計画内容関係行政機関の長に通知し、その意見を聞き、所要の協力を得て合理的な計画となるよう指導することにしております。  第三は、財政上の特別措置であります。  まず、過疎地域市町村市町村計画に基づいて行なう事業のうち小・中学校統合のための校舎、屋内運動場、教職員住宅、保育所及び消防施設に要する経費につきまして国の負担割合の特例を設けることとしております。  次に、市町村計画に基づいて行なう事業のうち集落を結ぶ道路その他過疎地域振興のための施設整備に要する経費につきましては、新たに地方債をもってその財源とすることができることとし、その元利償還に要する経費については、五七%を地方交付税基準財政需要額に算入することにしております。  第四は、その他の特別措置であります。  過疎地域における市町村の基幹道路の新設及び改築につきましては、都道府県知事もこれを行なうことができることとし、この場合には都道府県営事業等にかかる後進地域の国の負担割合の特例の適用を受けることとするとともに、過疎地域における医療の確保についても無医地区の解消を市町村とあわせて都道府県知事の責務とし、その経費の二分の一は国が補助することとしております。  その他、特別措置として過疎地域における集落整備のための住宅金融公庫の融資の特例等を定めております。また、税制の面におきましては、過疎地域における各種事業の振興に資するため、租税特別措置法の定める事業用資産の買いかえの特例、減価償却の特例及び地方税の課税免除または不均一課税に伴う措置をとることにしております。  なお、この法律案は、公布の日から施行し、法律案の期限を昭和五十五年三月末までとしております。  以上がこの法律案立案の趣旨及びその内容の概要であります。何とぞ、全会一致御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  74. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  この際、衆議院規則第四十八条の二の規定により、内閣の意見を聴取いたします。秋田自治大臣
  75. 秋田大助

    秋田国務大臣 内閣といたしましては、過疎地域対策緊急措置法案につきましては、近時における過疎対策の緊要性にかんがみ、本法案の趣旨及び内容に対して、これが可決の暁には、これを政府は尊重し対処してまいる所存でございます。  また、その趣旨は、すでにこの法案国会提案を予想いたしまして、本日の閣議においてこの態度を決定しておることを申し添えます。     —————————————
  76. 菅太郎

    ○菅委員長 おはかりいたします。  過疎地域対策緊急措置法案起草の件につきましては、お手元に配付の案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  77. 菅太郎

    ○菅委員長 起立総員。よって、そのように決しました。  なお、本法律案提出の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  79. 菅太郎

    ○菅委員長 過疎地域対策緊急措置法案の本委員会の提出に際しまして、古屋亨君、山本弥之助君、斎藤実君及び合沢栄君から、四派共同をもって、過疎対策に関する件について決議されたいとの動議が提出されております。  本動議を議題とし、この際、提出者から趣旨の説明を求めます。古屋亨君。
  80. 古屋亨

    古屋委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表して、過疎対策に関する決議案を提出し、その趣旨を御説明いたしたいと思います。  なお、決議案文の朗読により、その趣旨説明にかえさせていただきます。    過疎対策に関する件   政府は、過疎地域振興整備に関し、特に左の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 昭和四十五年国勢調査の結果による市町村人口総数をすみやかに公表し、この新調査人口の適用による過疎地域に対する財政措置については、昭和四十六年度予算から計上できるよう措置すること。  二 昭和四十五年国勢調査に基づく、新調査人口が公表された時点において、必要に応じ、過疎地域要件を実情に即するよう再検討すること。  三 過疎地域振興のための地方債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入率については、この種の他の事業のための地方債に係る元利償還金の算入率との均衡、過疎地域に対する国庫補助負担制度その他の財政措置との関連等を考慮しつつ、早期実現を期して引き続き検討するものとすること。  右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  81. 菅太郎

    ○菅委員長 本動議について採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  82. 菅太郎

    ○菅委員長 起立総員。よって、古屋亨君外三名提出の動議のごとく決しました。  自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。秋田自治大臣
  83. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいま過疎地域対策緊急措置法案について、委員長提案の御決定をいただきまして、まことにありがとう存じます。  なお、これにつきまして、過疎対策に関する件として三項目にわたる御決議も願ったわけでございますが、これらの御決議及び法案の趣旨、本法案成立の暁には、御趣旨のあるところをよく体しまして、さきに申し上げました政府の尊重し対処するというこの態度決定に従いまして、善処をいたす所存でございます。(拍手)
  84. 菅太郎

    ○菅委員長 おはかりいたします。  本決議に関する議長に対する報告及び関係各方面に対する参考送付等の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  85. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  86. 菅太郎

    ○菅委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についておはかりいたします。  地方財政に関する件の調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  なお、日時、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  89. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、地方交付税法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。安田貴六君。
  90. 安田貴六

    ○安田委員 私は、ただいま議題と相なりました地方交付税法の一部を改正する法律案に関連をいたしまして、地方行財政の数点に関しまする御質問を申し上げたいと存ずる次第でございます。  まず、御質問を申し上げまする前に、現在のわが国におきまする経済、社会の発展過程の中におきまして、非常に激増いたしておりまするわが国の地方行政の今後の発展と、あるいはまた財政充実強化のために、自治大臣をはじめとする自治省皆さん方が非常に御努力を払われておりますことに対しまして、衷心から敬意を表する次第でございます。しかし、現在の地方自治行政の水準の向上の問題あるいは財政充実の問題は、国民といたしましてもきわめて重要な関心を払っておるところでございますので、私もあえて質問をいたしたいと存ずる次第でございます。  まず第一点は、現在の地方行財政の現状に対しまする自治大臣の御認識を承りたいと存ずる次第でございます。  最近の新聞その他の報道によりますると、四十三年度の地方財政の決算におきまして、これは地方財政白書等におきましても明確に公表されておるところでございまするが、黒字が一千億台に達した、赤字団体が減少した、地方財政構造が好転をいたしたというような問題なり、あるいはまた、住民税の標準税率市町村が増加をいたしたというようなことに加えまして、今度の四十五年度の地方財政の規模は、七兆八千九百七十九億という、いわゆる国の予算の伸び率よりも高い伸び率を示しまして、一八・八%の伸び率を示したというような諸点から、たいへん地方財政は好転をいたしておるのではないかという認識を、国民の中に植えつけておるように見受けられるわけでございます。このような現象に対しまして、自治大臣といたしましては、どのような認識に立って、今後の地方行政水準の向上におつとめになり、また地方財政の充足とその健全化を期そうとされておるのか、いわゆる地方財政に対しまする現状認識と地方行財政に対しまする基本的な考え方をこの際承っておきたいと存ずる次第でございます。
  91. 秋田大助

    秋田国務大臣 確かに一部に地方財政好転論がございまして、もう交付税率は少し下げてもいいんじゃないかというような議論もされる場合があるわけでございます。しかしながら、これは大きな認識不足だと私は思うのです。あるべき地方社会資本の水準向上にかんがみまして、現状は十分仕事をしていないわけであります。地方の道路、地方の下水道あるいは清掃設備、公害問題に対する対処、交通問題に対する措置、あるいはただいま問題になりました過疎・過密対策に対する措置等々を考えますと、やるべき仕事が山のように残っておる。地方のあるべき行政水準にまでこれらの点について達していないのでございまするから、これらのことを考えますと、地方財政好転論というのは誤りである。十分地方と国との事務配分の合理的な計画を立て、それに見合うところの財政上の裏づけを当然とらなければならないという点から考えましても、さらに地方財政の今後の充実を期して、あるべき地方社会資本充実を期さなければならない。したがって、これらの一部誤った地方財政好転論の門を開くべくわれわれは努力をしなければならない。また、地方財政を運用する地方公共団体においても、十分その点を考慮されまして、おのおのその地方行財政の運用につきましては、その効率化、その能率化につきまして十分意もはかっていただきたい。それと同時に、われわれといたしましては世間の門を開いて、そしてあるべき行政水準あるいは社会資本の今後の充実努力していかなければならないと考えております。
  92. 安田貴六

    ○安田委員 ただいまの自治大臣の御答弁は、私も同感でございます。  そこで、さらにお尋ねをいたしたいわけでございますが、私は、地方交付税はいわゆる地方公共団体の固有財源であるという確信を持っておるわけでございまするけれども、しばしば本委員会におきましても御議論がなされております。しかし、次に御質問申し上げたい点がございますので、この点に対しまする自治大臣の御見解をあらためて、簡単でよろしゅうございますから、承りたいと存ずる次第でございます。
  93. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説のとおり、交付税は国の三税の中から分ける形はとっておりまするけれども、これは地方の固有財源と考えております。今後それに見合った措置をとっていく所存でございます。
  94. 安田貴六

    ○安田委員 ただいまの御見解に対しましてあえて御質問を申し上げるわけでございまするが、私、率直に申し上げまして、ただいまの自治大臣の御見解にもかかわらず、最近年歳、地方交付税の特例措置が講ぜられておるわけでございます。政府としては、交付税を地方公共団体の固有財源であるとする政府としての統一された見解というのは実はまだ固定化されておらないのではないか。自治大臣といたしましては固有財源であるという確信をお持ちのようでございまするけれども、政府全体といたしましては、まだはっきりしたそういうような見解に立っておらないのではないかというような感じがいたすわけでございまして、私自身は、地方自治を擁護いたしまするために、あえてその御見解をお聞きいたしておきたいと思う次第でございます。
  95. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説のとおり、国家財政を扱う大蔵省と地方財政を扱う自治省との間に多少のニュアンスの相違があるように思われます。しかし、交付税が地方の公共団体のための、自治団体のための固有の財源であるという点につきましては、その大本については大蔵省と自治省の見解において相違は認められません。ただ、大蔵省においてはそうであるが、国と地方とはもちろん二にしてかつ一である。一体であるがゆえに、財政の運用に関しましては、この間の調整をはかるべきものの性格があるんだ。接点において多少の問題点のあることを大蔵省側が指摘をし、その点にある程度の重点を置いて配慮をしておるということは、これまた争われない明白な事実でございます。その点に関しましては、地方財政の見地に立ちまして、自治省との間に多少の考え方のニュアンスの相違があるということも事実でございますが、これらの問題につきましては、ひとつとくと今後大蔵省と話し合いをつけまして、できるだけ思想のその点に関する統一もはかりたいと考えております。
  96. 安田貴六

    ○安田委員 自治大臣の御苦心のほどは私もよくわかるわけでございます。ただ、現在の地方自治法では、この第二条の十二項に「地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基いて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。」という規定があるわけでございます。この規定の精神は、地方交付税法の運用等につきましても若干見失われておる感が私自身はいたすわけでございまして、そういうことから申しまして、この場合、今後地方財政法または地方自治法等に交付税が地方団体の固有財源であるということの保障規定を設けることが必要ではないかと私は思うのですが、この点に対しまする御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  97. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいま交付税が地方の固有財源であるという点をさらに明白にするために、何らかの立法上の補完措置をとったならばという御趣旨のほどはよくわかるのでありますが、現行の地方交付税法の第六条におきまして、ただいまお話がありましたとおり、地方交付税は国税三税の三二%といたしまして、地方団体の固有財源であり自主財源であることが明白になっていると思います。これ以上自治法または地方財政法についていろいろのことを書きますことは、いいようでございますが、同時にこの交付税に関する第六条の趣旨を多少弱める感じもかえって出るかと思うので、むしろわれわれといたしましては、この交付税法第六条をかたく、この一木によって固有にして地方団体のための自主財源であるという意味を明確に出されておるこの点を主張することのほうが、かえってより強力であり、これでもって足りるのではなかろうか、こういうふうにも感じておる次第でございます。
  98. 安田貴六

    ○安田委員 ただいま私の質問に対しまするいわゆる交付税の保障規定を設けることに対しまする御見解を承りました。  そこで、さらにお伺いをいたしたいわけでございまするが、現在の地方行政の水準の向上なり行政運営の合理化、効率化あるいは計画的な財政運営の必要性等につきましては、いわゆる財政白書あるいはまた地方制度調査会その他の答申の中でいろいろと強調されておりまするので、あえて申し上げませんが、そういう中でこのたび九百十億円の特例措置が講ぜられようとしておるわけでございます。その内容は、四十六年度から四十八年度までの三カ年度について規定をいたしておるところでございますが、これは交付税法第六条の精神から見まするならば、むしろ四十六年度限りで全額を解決するように法文化することが、私は地方自治の本旨や地方交付税法の精神により忠実な処置ではなかったのか、このようにも考えられるわけでございます。したがいまして、その辺の経緯は詳しくは必要ございませんけれども、御見解と、もう一つは、今回提案されておりまするような四十八年度までの三カ年間にわたっての返済方法、これで地方財政運営上今後支障を来たさないのかどうか、この二点について大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  99. 秋田大助

    秋田国務大臣 総額九百十億円の減額措置が、ここ数年にわたっての措置の結果としてできましたことは、まことに遺憾でありまして、われわれとしてはこれは今後避けたいと思っております。この趣旨にかんがみまして、この九百十億円を今後なるべく短い期間に解消すべきことは好ましいことでありまして、四十六年度にお説のごとく全額加算措置をとるべきではないかということは、本来の趣旨からいって私は当然のことである、望むところであると言われるのでございますが、しかし、地方財政の長期にわたる健全性ということを考えますと、いままでたまりました九百十億円を一ぺんに加算をしてお返しを願うということもどうかと思いまして、三年に分割することが今後の地方財政に及ぼす影響等を慎重に考慮し、かつは三年に分割しても今後の地方財政の運用上にさしたる支障を生ずるおそれなしと予想されますので、三カ年間にわたりまして今後分割する措置を認めた次第でございます。
  100. 安田貴六

    ○安田委員 地方制度調査会の「昭和四十五年度の地方税財政対策についての答申」というものの中におきましても、今後の地方行政需要の増高傾向あるいはそうした問題点、あるいはまた、地方財政が一部においていたずらに国の財政の都合によって地方財源を縮減することに重点を置いたような議論がなされておるような点に対して、非常にわが国の内政のあり方という観点から見て適切を欠くものと言わなければならないというような見解が示されておりますし、また交付税につきましても、いろいろな観点に立っての答申の内容が出ております。私も、こういうような答申の内容地方自治の発展と地方財政充実強化という観点に立ちます場合、きわめて適切な答申内容であるというふうに考えておるわけですが、こういうような答申の趣旨に対応いたしまして、今回のこの三カ年間にわたっての返済規定というものは、私はどうもこの答申の趣旨に沿わないものではないかという感を深くいたすわけでございまして、そういうことを十分に検討され、お考えになっても、なおかつこういう措置をとらなければならなかった自治大臣としてのお立場については、十分に理解をできるわけでございますけれども、しかし、私は、むしろ自治省地方交付税法のたてまえを貫くものとするならば、四十六年度一年度間において解決する方途を法律上はしておくということ、これが自治省市町村なり市町村地域住民よりの信頼をさらに高めるためには必要な方途ではなかったのか、こういうふうに考えるわけでございます。したがって、今後こういうような問題についてはどうかひとつ——今年度、四十五年度におきます地方交付税総額の決定との関連においてやむを得なかったことはわかるわけでございますけれども、いわゆる自治省という立場から申しますと、そうした立場を完全に勇敢に貫いていただきたいと強く私は要請いたしておきたいと存ずる次第でございます。  それから次に、私も本委員会においてすでに、地方交付税の特別会計に対します直接納入制度の問題について、しばしばお聞きをいたしております。このいわゆる特別会計に直接納入いたしたいという自治大臣考え方、これが依然として遅々として進んでおらないようにも思うわけでございますが、この辺の経緯の中でこの早期実現を困難とする最大の原因はどこにあるのか、その辺をひとつお聞かせいただきたいと存じます。
  101. 秋田大助

    秋田国務大臣 いわゆる特別会計に国税三税を直入すべし、特会直入の制度が確立できない原因は、大蔵省の考え方にございます。大蔵省としては、年度間調整ということ、国と地方財政の間の調整、国の財政上の都合によってはひとつ国との間に貸し借りを行ないたいという希望が強くあるものと思われます。これがやはり年度間調整に関する彼我の意見の分かれるところであり、かつ特会直入の制度がわがほうの希望どおり確立できない最大の原因であろうと存じております。
  102. 安田貴六

    ○安田委員 その問題点につきましては理解ができるわけでございますけれども、今回の特例措置を四十六年度から四十八年度間にわたって三カ年で返済をいたさなければならないというような実情なり、あるいは地方交付税法の第六条——私は地方財政法なり地方自治法で、交付税が国有財源であるということをもっと保障する規定を設けることが適切ではなかろうかということを申し上げたわけでございますけれども、これに対して、むしろ現在の地方交付税法の第六条の規定の精神が弱められるような点も考えられるので、現在のままのほうがよりよかろうという大臣の御答弁でございますけれども、しかし、私は、事実問題といたしましては、現在のような状態は、地方制度上における地方交付税の地位というものの不安定性を示しておるものと考えるわけでございます。したがいまして、こういうような状態の中で、一体地方交付税の特別会計への直接納入制度というものが実現する可能性があるのかどうか。また、これを実現する自信を大臣としてお持ちになっておられるのかどうか、そういう点についてお聞きをいたしたいと存じます。
  103. 秋田大助

    秋田国務大臣 その可能性が来年度直ちにあるかどうかということになりますと、相当疑問なきを得ないのでございます。すなわち、わがほうから見まして、この点に対する大蔵省の抵抗は相当強いということが予想されます。したがいまして、これが解決につきましては、相当の努力をいたしましても、なおかつこちらの思うとおりの結論に解決ができるかどうかということは、疑問なきを得ないのでございます。しかし、地方財政の自主的なたてまえを貫き、交付税が地方団体の固有の財源であることを確立するためには、何としてもこの点に関する合意に達しまして、当方の主張の線に沿う何らかの解決をいたさなければならない、こう考えております。
  104. 安田貴六

    ○安田委員 自治大臣の御決意のほどは承れたわけでございます。  そこで次に、この委員会において、私も交付税の年度間調整という問題をしばしばお聞きいたしておるわけでございます。この交付税の年度間調整ということばの意味と、その内容は一体どういうものなのか。それから自治大臣としてお考えになっておられます年度間調整を必要とする理由は那辺にあるのか。それは現行法上においても必要なのか、あるいは特別会計への直接納入制度のような形のものができ上がってからのほうが年度間調整というのは適切なのか、そういうような面に対しまする御見解を承りたいと思います。
  105. 秋田大助

    秋田国務大臣 年度間調整とことばは一つでございますが、この一つの表現のもとに内容として考えられておるのは、各人各様と申しては少し言い過ぎでありますが、相当差があるのではなかろうかと思っております。少なくともわれわれ地方行財政のことを心配している者と、そうでない方との間には差があるようでございます。すなわち、われわれは、交付税というものは地方の団体のための固有財源であり、自主財源であるから、この財源を配分するにあたりましては、国民経済のいろいろな関係上、また地方行財政の運用上、多少の配慮をすべき点において何らかの調整措置を年間講ずる必要がある場合を予想いたしまして、年度間調整ということを考えております。すなわち、自主的な立場において、地方財政の中において地方財政の立場を主としての調整を考えておる、年度間調整を考えておるわけでございます。  それに反しまして、大蔵側と申しますか、反対の立場をとっておられる方々は、国と地方との間における財源措置を講ずる場合の配分については、年ごとに多少の調整を加える必要があろうという意味におきまして、すなわち、国と地方との財政間においての年度間調整を考えられておるようでございます。したがいまして、これによりまして、同じ年度間調整と申しましても、考え方が基本的に違いますれば、それに基づく措置がいろいろ違っておる。すなわち、国と地方との間における貸し借りはやってもいいんだという考えがまず出てまいりましょうし、ですから、国のほうの財政需要という点に重点がそういう場合は行くでありましょう。われわれといたしましては、そういう意味の年度問調整は行なうべきものではないんだ、地方財政の都合によって行なうべきもので、すなわち、貸し借りは行なうべきではないという結論に当然到達するわけでございまして、こういう点について、今回も国の予算編成の際に、大蔵大臣との間に意見の相違があったわけでございます。  しこうして、年度間調整を以上のような意味においてわれわれは考えておりますので、大蔵省サイドの年度間調整というのは避くべきものである。しかし、諸般の事情からやむを得ずやった。したがって、今後はこれを絶対に避けたい、こういうふうな考えを持っております。
  106. 安田貴六

    ○安田委員 しばしばの質問に対しまして、自治大臣としての御見解はまことに妥当な御見解だと思います。ただ、そういう自治大臣の御見解にもかかわらず、事実問題として、年度間調整ではございませんけれども、貸し借りが行なわれておる。これは先ほども申しましたように、大臣といたしましては、非常に苦しい立場でおそらく臨まざるを得なかったのだろうと思いますので、むしろ大蔵大臣なり総理大臣なりにお聞きするほうが妥当なのかもしれませんが、私はそこで、先ほど申し上げましたように、このようなことが繰り返されていくのであっては、これからの地方財政強化はとうてい望めませんし、したがって地方行政水準の向上、あるいは地方行政の問題に関します諸般の解決は遅々として進まないだろうという観点に立ちまして、自治大臣以下自治省の方々が非常に御努力を払われております中で、やはりこういう問題をどうしてもなくしなければならないということから、すべて申し上げておるわけでございます。  そこで、先ほど申しましたように、地方交付税法の第六条にいうところの規定は、これは国税三税に対します交付税総額の割合を決定いたしたものでございます。私の見るところでは、地方交付税の地方公共団体に対しまする毎年度の交付額を不動に固定する、いわゆる固有財源として確保する規定というのは、第六条以外にはないだろうと思うのです。あとは、先ほど申しました地方自治法の第二条十二項でございますか、あれを忠実に内閣、政府自体が厳守する、法の精神において守るということ以外にないと思うのですが、地方自治法のああした規定は、いわゆる地方自治団体の事務に関します内容、範囲、精神というものを規定したものでございまして、おそらくこれを交付税法の運用にあたって忠実に守るという考え方は、大蔵省等にはないだろうと私は思うのです。そういう実態から見て、先ほど申しましたように、地方財政法上等に明確化することがどうしても必要ではないかと思って、私は先ほどもお伺いしたわけでございますが、今後自治大臣は、現行のままで、第六条の改正あるいはその他地方交付税法の固有財源であることを保障させる規定を設けないで、第六条に設けられた三二%の総額を地方交付税の年々の総額として配分する御確信があるかどうか。これは過ぎ去ったことは別といたしましても、四十六年度、七年度、八年度と年々この問題は続くわけでございましょうから、これらに対します御所信を私はお伺いいたしたいと存ずる次第でございます。
  107. 秋田大助

    秋田国務大臣 これは地方財政法なり地方自治法で交付税が地方団体のための固有の財源であるということを明確化する規定を置くべしという御議論に対しまして、私は基本的に反対じゃないのです。しかしながら、それができるためには、ただいま申しましたような年度間調整なりいわゆる特会直入なりの点につきまして国会における合意が成立し、その基本においては大蔵省と意見が合致しなければ、そのこと自体はやろうとしても法改正が実現しない問題であろうと私は思うのでございます。  そこで、これは方法論になりますが、安田先生のおっしゃることは大いに必要なことでございます。しかし、そのものずばりを出していっても、それは実現が非常にむずかしいところに問題がありますから、そこの意見の調整をはかりまして、それができました暁におきましては、先生のおっしゃるとおりの改正をもって、今後において問題を残さないように、明確にしておく措置をとるべきである。したがって、現状におきましては、そのものずばりには書いてございませんけれども交付税法第六条をにしきの御旗として、これでわれわれの主張を通していく、そしてわれわれの主張が通った暁においては、そういう措置もまた可能でありましょうし、また必要であろう、こういう思考径路をとっておるのでございまして、安田先生と趣旨はまさに一致いたしておる点をお含みおき願いたいと思います。
  108. 安田貴六

    ○安田委員 自治大臣の御見解は、自治大臣のお立場においてはよくわかるわけですが、ただ、ただいまの自治大臣の御見解のような形でこれから推移すれば、先ほど申しましたように、大蔵大臣、大蔵省が最大の隘路に相なるわけでございまして、大蔵省とのそうした面の解決が今後毎年毎年繰り返されて、自治大臣と大蔵大臣あるいは場合によっては総理大臣も介入するかもしれませんが、そういうことが繰り返されていかなければならないという状態のままで、この地方交付税の運用がなされていくということは、私はもうほどほどに打ち切らなければならない時期に来ておるのじゃないかという考え方を持っておりますので、もちろん大臣のおっしゃるように、いわゆる特別保障規定を財政法なり自治法に明確にするためには、大蔵大臣との話し合いもつけなければならないと思いますが、その問題は、たとえば先ほど御質問申し上げましたような年度間調整の問題もしかり、あるいは四十八年度までのいわゆる交付税側から国庫に対して貸してありまするいわゆる九百十億円の貸し付けの問題もしかり、これはいずれも大蔵大臣とも十分な連絡をとって、そして自治大臣の立場における地方財政強化のために、これは明確なる解決をはからなければならないわけでございますから、私は、こうした問題の解決とあわせて、今後自治大臣と大蔵大臣が年々歳々こういうことを繰り返していかなければならないことのないような、法律上の保障規定をつけることが必要ではないかという観点に立って、御質問申し上げておるわけでございますから、そういう解決をはかっていく中で——これは申し上げるまでもないのですが、大臣はしょっちゅう人がかわりますから、大臣がかわった場合は、現在の大蔵大臣自治大臣との間で話がついた問題でも、また大臣がかわっていろいろな国の財政に対しまする運用の見解あるいは地方財政に対する運用の見解が変われば、そこでまた貸し借りの問題が起きかねないように思いますので、そういう立場に立ってお尋ねしておるわけでございまして、現在の自治大臣の場合において、さっそくそういうような規定を設けるべきであるというところまでは申し上げておるわけではございませんので、自治大臣として、そうした規定が必要と思うのか思わないのかということをやはりお考えをいただき、そうして御答弁をいただいて、それに対しまする御検討の用意があるのかないのか、これをひとつお聞かせいただきたいと存じます。
  109. 秋田大助

    秋田国務大臣 安田先生の地方財政に対する深い御配慮また愛情のある御配慮につきまして、御趣旨のほどまことに感得いたしておる次第でございます。こういう規定のあることの好ましいこと、また希望することにおきまして私も安田先生と同じでございます。しこうして、いまこの問題について、われわれの企図するところを実現するための方法論として、非常に示唆に富む御提案をいただいたことにつきましても、深く感謝する次第でございます。その点に関しましては、ひとつ今後の推移にもかんがみまして、皆さまとも御相談をいたし、時期を失せずに、時宜に適した処置をとりたい、こう思いますので、今後さらに検討の余裕をお与え願いたい。事情によりましては、ひとつ御相談の上、適当な処置もとりたい、こういうふうに考えております。
  110. 安田貴六

    ○安田委員 たいへん自治大臣より適切な御答弁を賜わりまして恐縮をいたしております。ただいまおいでになっておられまする財政局長、あるいはまた事務次官、政務次官、それぞれ自治大臣のもとにおいていろいろとお働きになっておられまする皆さん方においては、こういう貸し借りの問題等については、おそらく好ましくないと思いながらやむを得ずなさっておるのではないかと思うので、そういう点で、なかなか簡単な問題であるとは思っておりませんが、ぜひ御検討賜わりたいと存ずる次第でございます。  なおまた、現在の大蔵省の態度に徴しまして、年度間の調整というような問題は、先ほど自治大臣は、あまり自治大臣としての立場においては、これは好ましいものではないというふうに考えられておる。地方財政のペースの中でひとつやれるものならばというお話がございましたが、私も同感でございまして、いわゆる特別会計に対しまする直接の納入制度というものが実現をするまでは、むしろこういう年度間調整というような問題は、大蔵省との間にもう話し合いをしないほうが私は賢明ではないかというふうに考えるわけでございます。しかも地方制度調査会の四十五年度の答申の中におきましても、これは非常に慎重論をもって答申は行なわれておるようでございます。こういうような観点から、ぜひともひとつ特別会計に対しまする直接納入制度というものが実現するまでは、自治省といたしましては、話し合いに応じられないことが賢明であるという私の見解でございますが、この辺に対しましての大臣のお考えがありましたならば、お聞かせいただきたいと思います。
  111. 秋田大助

    秋田国務大臣 随時機会あるごとに申し上げておりますとおり、今後は貸し借りという意味における年度間調整はいたしたくない。これは極力避けたいと考えておりますので、御趣旨に従いまして、この問題を取り扱っていきたい、こう考えております。
  112. 安田貴六

    ○安田委員 次に、私は現下の地方自治の振興発展と、それに対応する地方財政充実強化のために、自治省の機能をさらに拡充する必要があるのではないかという観点から、御質問を申し上げたいと存ずる次第であります。  現在の地方行政の中におきまする問題点については、しばしば議論がなされておるところでございますけれども、簡単に申しまして、過密都市の交通の麻痺、あるいは住宅公害その他都市機能の膨張に対応しての生活環境の改善の問題、あるいは過疎地域におきまする国鉄の赤字路線あるいは赤字バスの運行対策、あるいはまた、農山漁村におきまする生産基盤の整備その他の諸政策の緊要性、こういうようなものに加えまして、貿易の自由化あるいはまた資本の自由化の波の中で、近代化と合理化をやり通さなければならない中小企業関係者に対しまする諸対策の問題、あるいはまた道路、教育施設等生活環境整備促進に対応するための各般の面にわたる社会資本充実促進の問題等、非常にいろいろな問題が山積いたしております。それに加えまして、地方住民の市町村の行政に対しまするいわゆる行政水準の引き上げに対する期待、欲求というものは、私は年々社会の発展とともに非常に高度化してまいっておるものと理解をいたしておるわけでございます。またさらに、国自体といたしましても、あるいは各地方におきまする地域開発関係立法、あるいは本日ただいま議決されましたところの過疎対策の緊急法、そういうものから、あらゆる国の施策が積極化すればするほど、私は、それとともに地方行政の行政量、市町村の行政量というものは拡大をしてくるというふうに見ておるわけでございます。そういうような状態の中で、したがって地方財政需要というものは当然拡大されてまいります。  このような実情に対応いたしまして、適切な地方公共団体の行政規模というものを、これは自治省自体は非常に熱心にいろいろな財政面についての測定をはかっておられますることは、よく理解をいたしておりますけれども、こういう国全体の動き、あるいは経済、社会の発展に対応する変化、そういうものに市町村民の、いわゆる地方市町村行政に対しまする期待感というようなものと、それからいろいろな——私自身はそういうことをあまり口にしたくないのですが、わが国の発展とは逆に、起きておりますところのあらゆる面のひずみ現象、こういう面に対しまするところのものを市町村行政でカバーをする、補完をするという、いわゆる地方行政事務量の行政の拡大というものが、自治省で測定をされておりますもの以上に大きいのではないかと見ておるわけです。自治省の現在御努力を払われておりまするのは、地方財政需要という観点の、国、都道府県、市町村といういわゆる行政事務の負担区分、経費の負担区分というたてまえに重点を置いた現在の地方交付税法にいたしましても、何にいたしましても、私は大体そこに主体が置かれておって、特別の立法によって、さらに行政事務量が必要なものに対してはそれにプラスしていくというような立場をとられておるのではないかと思うのですが、これがもし間違いであるならば、その点はひとつお聞かせいただきたいと思うのです。  いずれにいたしましても、戦後二十五年、自治法が施行になりましてからもう二十年以上たっておるわけでございます。したがいまして、シャウプ勧告以来でも相当の年数がたっておりますが、その後自治省におきまして、市町村行政、都道府県行政の適切なる行政規模とは、一体どの程度のものであるかということを、財政面からのお話を聞きましたけれども、行政面からのお話はお聞きいたした例は、不勉強のせいでもありますけれども、ないわけでございます。こういうような実態と、こういうような急変するわが国の経済、社会の実態から見まして、現在においてもうそろそろいわゆる行政規模の適切な測定というものを、ある程度の長期的な見通しに立って実施をすることが必要なときに来ておるのではないかと私は考えるわけでございます。そういう面に対応する自治省の諸般の前進策が、地方行政的に施されていないところがあるがゆえに、いまのような過疎立法というものが議員立法で特別に制定されなければならない、あるいはあらゆる地域立法が続々と出なければならない、あるいは各省におきましても山村振興法でありますとか、ああいうような——私の見解から言えば、むしろあの種の法律の中で実施されておるものは、自治省の中で行なうこともできる面が相当多いのではないかと思うのですが、そういう面が経済企画庁というような役所で行なわれておる。そうしてその中では、先ほどもお話がありましたけれども、いわゆる部落の再編成というような問題が経済企画庁の中でモデル的に行なわれようとしておるわけでございますが、そういうような面を自治省が前向きに乗り出して、自治省の立場において行ない得る姿勢というものを私は望んでおるわけでございますが、そのようなことがたくさんございます。しかし、この場合、それを列挙する考えはございませんけれども、一例をあげるならば、そういうものがあるわけでございまして、そういうようなことを見ますと、どうしても自治省におきます行政局の分野におけるところ、これはもちろん財政局のほうも相協力する内容になりましょうが、いわゆる地方行政規模に対しますある程度の長期的な観点に立ったところの適切な行政量の測定ということを、ぜひ実施していただくべき時期に来ておるのではないか。その中で現在の国あるいは都道府県、市町村の事務再配分、あるいは経費に対しまする負担区分に対しましても、現状でいいのかどうかということを検討されるべきではないか。それから非常に特別立法的なものが現在多いわけでございまして、それやこれやを考えますると、そういうような時期に来ておるのではないかと私は考えるのでありますが、その点に対しまする自治大臣の見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  113. 秋田大助

    秋田国務大臣 激変をいたしております社会、経済の事情、これが行財政の機能あるいは機構あるいは規模等に対する要請との関係として、非常に的確な、かつ自治省行政に対する理解と同情のある御見解をお示し願いまして、まことにありがたく思うのでございます。この問題につきましては、従来自治省といたしましては、確かに御指摘のとおり、国と地方との事務配分の合理化、それに見合う財源の合理的な配分という観点から主として論ぜられてまいったことは事実でございます。しかしながら、時代の要請に即応して真に自治行政の効率化等を期待するためには、いたずらに行政の簡素化、能率化の声におびえて遠慮すべきものでもなかろう、いまやそういう時代ではないという御所信のように承りましたが、私どももまたそういうことを考えております。  しかしながら、この問題を解決するのには、やはり世間の納得と理解と合意のもとにされなければならないのでございまして、それには行政が行なう行政効果に対する——これだけの処置をしてこれだけの効果をあげた、したがって、これだけ規模を拡大いたしましてもむしろプラスの面が大いのだというような点のPRと、そしてその真の効果をあげ、その理解を得なければならないわけであります。したがいまして、そういう行政効果を測定する点につきましても、近代的な手法を講じて、総合的な長期的な計画を立てるとともに、その効果がある程度数値的に処置されるような手段を講じて、納得を得る必要があろうと思います。そういう点につきまして、今後配慮を加えることによりまして、時代の要請にこたえたい、こう考える次第でございますが、さしあたりましては、現在の機構のもとに効率化を期しまして、いまのような問題点を解決いたしまして、そして一歩一歩行政の能率をあげるとともに、これに見合う行政規模の拡大についても時代に即した処置をとりたい、こういうふうに考えております。
  114. 安田貴六

    ○安田委員 その点につきましては、了承いたしたいと存じます。  次に、各省の間にあって、ひとり市町村や都道府県という地方公共団体の立場に立っていろいろな努力を払われておられます自治省、この自治省の各省に対します、調整機能ということばが妥当ではないかと思うのですが、いわゆる地方公共団体に対します各省の誤った施策を正す機能というもの、これを私は自治省に深く期待をいたしておるわけでありますけれども、しかし、こういう機能がだんだんと自治省の内部において弱まってきておるのではないかという感じを、これは誤解があれば私はおわびを申し上げますが、そういう感じを持っております。したがって、そういう観点に立って私の見解を申し上げるわけでございますが、これでは自治省のあり方としては適当ではない、こう私は思うのでございまして、各省の権限なり、あるいは事務量なり予算規模なり、あるいは大蔵省の立場なりが漸次各省に強化されてまいりますならば、自治省の立場はそれ以上に強化されてまいらなければならない。そうでなければ、地方自治の健全な発展というものは期せられないし、自治省が政府部内におきまして守ってまいっていただきましたところの自治権の擁護、この目的が弱められていくことに漸次拍車がかかるようなことであってはいかぬ、こういうふうに私は考えておるわけでございます。したがいまして、こういう観点から申しますと、行政局の機構は、現在選挙関係と公務員関係の二部を除きましては、行政課と振興課という二課になっておるようでございます。これは私が言及すべき問題ではなくて、自治大臣なり、あるいはまた事務次官、政務次官その他の幹部の方々に考えていただく事項ではございますけれども、しかし、私の先ほど申しましたような観点に立って見ますと、どうも各省に対します調整機能、自治体を守るための必要な意見の具申、これは自治省設置法で、そういうものが自治大臣の権限になっておりますことは、御承知のとおりでありますから申し上げませんが、そういう点をさらにひとつ御検討いただいて、現在差しつかえないならいいのですが、ひとつさらに十分自治省としての機能の十全をはかっていただきたいということを、特に私は一言申しておきたいと存ずる次第であります。これは要請でございますから、御答弁は要りません。  それから超過負担の問題ですが、超過負担の問題については、私は率直に言って、国の国政の面におきまする施策が積極化すればするほど、地方公共団体の超過負担というものは必然的に増加するものと思います。それはなぜかというと、適切なるところのいわゆる国の補助金なりあるいは交付金なり、国自体が持たなければならないあらゆるそうした経費の面におきます査定がきびしくなる。そればかりではございませんが、それがおもなる原因となって累増するものと私は見ておるわけでございますが、こういう面に対しまして、むしろ各省自体の問題でありますが、大蔵省の予算査定の問題に大きな原因があると思うのでありますが、きょうは大蔵省からおいでになっておる方があれば、この辺の御見解なり、またこれは自治省としてもなかなかにお答えのしにくい点だろうと思いますので、こういうような面に対する答弁は要りませんが、超過負担額の根絶方策というものをどう処置しているのかということを、この際お聞かせいただきたいと存じます。
  115. 後藤正

    ○後藤説明員 お答え申し上げます。  超過負担問題につきましては、四十年ごろから相当大きな問題になりまして、四十二年、四十三年、二カ年にわたりまして、自治、大蔵関係省庁の間で実態調査をいたしました。実態調査をいたしまして、国が是正を要すると思われるような単価等につきまして、三カ年計画でその解消に向かってまいっております。その金額でございますが、四十一年度には事業費ベースで三百三十一億、四十二年度では二百六十六億、四十三年度は三百二十億、四十四年度は四百十七億、四十五年度は四百五十三億というふうな、事業費ベースで単価の改定とか内容の是正とかいうものをしてまいっておりまして、今後ともこういうことのないようできるだけ是正をはかってまいりたいというふうに考えております。
  116. 安田貴六

    ○安田委員 この問題は、自治省ではおそらく大蔵省に常に要請しておることでございましょうから、多くを申し上げませんが、大蔵省自身がいわゆる国費査定の段階において、あまりに事業費ベースでいろいろな査定をきびしくし過ぎるから、超過負担が生ずるものと私は思います。もちろん、地方公共団体側にも問題があると思います。これはもちろん反省を求めるべきものは反省を求めてけっこうですが、その原因となるものは大蔵省と各省の扱いである、こういうふうに考えます。そういうことで、十分そういう超過負担のないようにお願いをいたしたいと存ずる次第でございます。  それから次に、土地開発基金制度の問題ですが、これはきわめて適切な処置であるというふうに私は考えておるわけでありますが、どうも財政計画や諸般の面を見ると、大体一カ年度くらいで、単年度でやめるような仕組みになっておるように思うのですが、これはやはり五年間くらい続けてやるような処置をとっていくことが妥当ではないか。それから府県の場合でも、四十四年度で財源処置をしたきりで、四十五年度には考えておられないようですが、こういうものもやはり四、五年間はぜひ継続して——大体都道府県では、これはやるからにはいままでの積み立て金などを放出して、そうして名実ともに実のある基金制度をとる。そういう措置をとらなければできないわけですから、年々の交付税では間に合わないというのが都道府県では実体である。あるいは市町村等についても実体ではないか。したがって、いままで持っておる積み立て金をなしくずしにつぶしてこれをつくらせるようなことをしないで、新しく財政援助を与えていただくような形をとって、四、五年は少なくとも継続してもらいたい、こういうふうに私は考えているわけでございまして、したがって、これらに対しまする基準財政需要額は全額当分の間は見てもらいたい、この開発基金実施に対しましてはそういうふうに考えておりますが、これは時間もございませんから簡単でよろしゅうございます。この見解をお聞かせ願いたいと存じます。
  117. 長野士郎

    長野政府委員 土地開発基金につきましては、現在の状況は御指摘のとおりでございまして、公共用地の取得の必要という点から申しまして、なおそのワクの増大というものが要請をされるというか、客観的にも必要があると考えております。そこで、前年度に引き続きまして四十五年度も措置をするというかっこうになっておりますが、今度は明年度限りのような形を一応とっておりますけれども、これはなお引き続いて措置をしてまいりたい、こう考えております。  なお府県につきましては、四十四年度の補正予算交付税の増額を得られまして、またその際にも、公共用地の先行取得の必要性に応じますためには、一刻も早く措置をすることが必要であるということで、四十四年度の補正予算の増加に伴いましたところの交付税の増額の部分、相当の部分を四十五年度に配付すべきものを四十四年度に重ねて措置をしたというかっこうをとりましたので、四十五年度は市町村について考える、こういうことにいたしているわけでございます。
  118. 安田貴六

    ○安田委員 了承いたしました。  次に、過疎対策の問題は、ただいまそれぞれ緊急措置法法が決議を見たわけでございますが、法の適用市町村以外の市町村に対しますところの財源措置の問題でございます。これは先ほどの自治大臣の御答弁の中で私も十分了承をいたしておりますが、できるだけ過疎補正の処置を講じまして、そうして交付税の算定方法に一段と改善を加えていただきたいということを一点要請を申し上げておきます。  それからもう一つは、法の適用を受けられないところの過疎市町村に対しても、特に地方交付税や起債等の財源措置を講ずる等の方法を講じまして、法律適用市町村との間の行政水準ににわかに格差が拡大しないように、あわせてこの点に対しましても十分の処置をいただきたいと要請をいたします。時間の関係もありますから、御答弁は必要ありません。  次に、辺地市町村における診療所の運営費及び簡易水道等の元利償還金の償還財源、こういうものが非常に弱小町村地方財政を圧迫いたしております。これらに対しましては、自治省におきましてもいろいろと配慮をいたされているようでございます。その辺の措置内容のごく概要を、簡単でよろしゅうございますから、お聞かせをいただきたいと存じます。
  119. 長野士郎

    長野政府委員 四十五年度におきましては、交付税関係につきましては、過疎対策の一環といたしまして、保健衛生費におきまして診療所、あるいは簡易水道等につきましての補正を強化いたしまして、需要の算入をいたしたいと考えておりますが、そういうものを含めまして約千二百億円ばかりの過疎関係の費用の算定を行なう予定でございます。従来は特別交付税その他で措置をしておったのでございますけれども、四十五年度におきましては、普通交付税上の算定をいたしまして、その辺の対策に万全を期したい、なお今後も引き続いて充実につとめてまいりたい、こう考えております。
  120. 安田貴六

    ○安田委員 一段と御配慮をいただきまして、私も深く感謝を申し上げます。  次に、道路問題ですが、先ほど来もお話がございますから、あまりくどくは申し上げません。とにかく現在の市町村道改良率が一三・二%、舗装率が六・四%。これは、私は、これからの社会資本充実の中で、市町村道整備という問題が、一番立ちおくれているのではないかと思うのです。これはいろいろな点で手を打っていただいておりますが、道路問題は、このままでおきますると、国や都道府県の道路との格差はますます拡大する、こう思うわけでございまするが、この新五カ年計画の中において、もっと抜本的な財源付与を自治省として考えていただく。財源の見出し方の問題はもちろんございましょう。しかし、これは国全体の中での国の収入と市町村、地方団体との収収の配分の問題でございまするから、これは先ほどのお話ではございませんが、地方道重点にして、そうして私は、これを急速に整備をしていただきたいと強くお願い、要請をいたしておきたいと存じます。  その次、もう一つは、積雪地帯におきまする府県道あるいは市町村道の除雪の施設並びにそれに対しまする経常諸経費の問題です。これは時間があれば、一体交付税の中でどのくらい見られておるのかという問題等も聞きたいのですが、ただいま予鈴がなったからやめなさいというメモが参りましたから、残念でございますが、これはとにかく自治省自体が御承知の点でございまするから、くどくは申し上げません。しかし、道路問題は、積雪地帯におきましては、除雪がなければ道路ではありませんから、このために農村では農業、酪農あらゆる面で産業そのものの進展をはばむ、発展をはばむ、農家の生活の向上をはばむわけでございますから、こういう農山漁村におきまする除雪問題というのは、私は北海道ですが、北海道だけの問題ではないと思うのでございます。したがいまして、この問題は十分施設の面と経費の面に対しまする財源措置を、地方財政の諸計画の中で、私は早急に講じていただきたい。これは自治省が御心配になっておることは、よくわかっておるのですが、さらにさらに馬力をかけて、お願いをいたしたいということでございます。  それから次に、ひとつお願い申し上げてやめますから、もう御答弁は必要ございません。  交付税の中で、広域市町村圏に対しまする交付税上の措置でございますが、これは一圏当たり三億円ということを考えておるようでございます。これは明年度以降も引き続き措置するように考えておられると思いまするが、ぜひこれをひとつ全市町村に及ぶようよう特別措置をお考えいただきたいという点が一点。  それから次は、現在の農山漁村におきまするいろいろの面の農業、林業、水産業等における、あるいは商工業等における弱小産業の施策が市町村においては非常におくれておる。これは国並びに都道府県においては相当進められておるわけでありますが、市町村では何ら手が伸びておらないというのが実態です。したがってこれを伸ばすためには、財源付与を自治省地方財政計画の中で立てていただかなければならないわけですから、ぜひともこの面を——今年度は地方財政計画の面では終わりましたけれども、来年度以降さらに御配慮いただきました上に、さらにひとつ財源付与を積極的にお考えいただいて、ひとつ市町村における農業、林業、水産業や商工業という弱い産業の施策が、市町村において今後前向きに実施できるような措置を講じていただきたいということを、その次にお願いをいたしておきたいと存じます。  それから、産炭地における問題でございます。これは北海道には最近非常に多いと思うわけでございますが、閉山に伴う産炭地対策の諸経費です。これは単に通産省ベースばかりの施策では不十分であります。これはもう多く申し上げなくても十分に御承知のとおりであります。産炭地におきまする恒久的な対策——応急的な対策だけではだめでございまするから、恒久的な対策というものも考えていただいて、それに必要な財源措置を十分にお考えいただきたい、このように私はお願いを申し上げたいと思います。  非常に時間がなくて残念ですが、あとのほうの諸懸案については、これは自治省に対しまする要請ということで私は終わりたいと存じますが、とにかく非常な自治大臣以下自治宵の皆さん方の御努力にもかかわらず、まだまだ都道府県、市町村におきまする財政需要を十分満たしたものにはなっておりませんし、また行政規模が拡大しつつあります。したがって、今後自治大臣の格段なる地方行政の発展、それに対応する財源の十分なる付与といった面に対しまする一そうの御尽瘁、御努力を私は強くお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと存じます。
  121. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、明八日水曜日、午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時五十五分散会