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1970-03-19 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十九日(木曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君       岡崎 英城君    亀山 孝一君       高鳥  修君    中島 茂喜君       中村 弘海君    中山 正暉君       永山 忠則君    野呂 恭一君       安田 貴六君    山崎平八郎君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    木原  実君       阪上安太郎君    土井たか子君       華山 親義君    安井 吉典君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         運輸政務次官  山村新治郎君         運輸省航空局長 手塚 良成君         自治政務次官  大石 八治君         自治省財政局長 長野 士郎君         自治省税務局長 降矢 敬義君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部防犯少年課         長       田中 雄一君         警察庁交通局交         通規制課長   井口 孝文君         文部省初等中等         教育局初等教育         課長      徳山 正人君         農林省農地局参         事官      井元 光一君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         建設省計画局技         術調査官    今井  勇君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 栄文君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 委員の異動 三月十八日  辞任         補欠選任   北山 愛郎君     華山 親義君   相沢 武彦君     桑名 義治君 同月十九日  辞任         補欠選任   華山 親義君     木原  実君 同日  辞任         補欠選任   木原  実君     安井 吉典君 同日  辞任         補欠選任   安井 吉典君     華山 親義君     ————————————— 三月十七日  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五一号)  地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提  出第七二号) 同日  ドライブインにおいて酒類の提供を禁ずる法律  制定に関する請願天野光晴紹介)(第一三二  〇号)  同(河野密紹介)(第一三二一号)  同(辻寛一紹介)(第一三二二号)  同(戸叶里子紹介)(第一三二三号)  同(亀岡高夫君紹介)(第一三四四号)  同(小山省二紹介)(第一三五八号)  安全燃料軽油引取税課税免除に関する請願  (砂田重民紹介)(第一三八一号)  固定資産税等増税反対等に関する請願外二件  (井岡大治紹介)(第一四四二号)  万国博覧会等における暴徒等取締臨時措置法  制定に関する請願伊藤宗一郎紹介)(第一四  四三号)  同(松澤雄藏紹介)(第一四四四号)  クリーニング業事業税軽減に関する請願(中  島源太郎紹介)(第一四四五号)  行政書士法の改正に関する請願菅太郎紹介)  (第一四四六号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の  特別措置に関する法律案内閣提出第六号)  地方税法の一部を改正する法律案内閣提出第  五一号)  地方自治及び地方財政に関する件      ————◇—————
  2. 菅太郎

    ○菅委員長 これより会議を開きます。  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
  3. 木原実

    木原委員 公団総裁がお見えでございますので、最初にまず、成田工事進捗状況というか、実施状況についてお伺いをしたいのですが、その中でも第一に土地取得状況です。一期工事が進んでおるわけでありますけれども、実際にどの程度まで土地取得がありて、どういう点が残っておるのか、その点をひとつ最初に明らかにしてもらいたいと思うのです。
  4. 今井栄文

    今井参考人 第一期工事用地は、御承知のように、約五百ヘクタールでございますが、現在までに御料牧場あと地は、すでに公団において、まだ現物出資法律が通っておりませんので、国有財産をお借りして現在工事をやっておるわけでありますが、民有地全体の二百八十二ヘクタールにつきましては、約二百六十五ヘクタールというものをすでに買収を終わりまして、全体としては九四%というものはすでに公団取得いたしております。
  5. 木原実

    木原委員 そうしますと、残りの六%、こういうわけですが、この取得見通しについてはいかがですか。
  6. 今井栄文

    今井参考人 御承知のように、その残りの一部でございます団結小屋、一坪運動あるいは平和の塔、こういうふうなものにつきましては、二月の十九日に私どものほうで、土地収用法による事業認定に基づいて立ち入り調査をいたしまして、現在その一部につきましては、千葉収用委員会に対して裁決の申請をいたしておるということで、これについては早晩私どもとしては入手はできるという見通しを持っております。  なお、それ以外の土地については若干ございますけれども先生も御承知のように、岩鼻のかど地であるとかそれからまた駒井野の一番突端のほうであるというふうに、さしあたって特に工事支障はないという状況でございますけれども、私どもとしては、できればもちろんそういうところも空港敷地予定にいたしておりますので、将来買収していきたい、かように考えております。
  7. 木原実

    木原委員 そうしますと、残っておるのは、町歩地主関係で、どれくらいになりますか。
  8. 今井栄文

    今井参考人 お答え申し上げます。  第一期工事につきましては、地主さんの数としては全体で三百名ございまして、面積は二百八十二ヘクタール、その中で二百五十二人の方々用地買収いたしまして、先ほど申し上げましたように、全体で二百六十五ヘクタールでございまして、未買収は正確に面積を申しますと、四十八名の方々、主としてこれは芝山岩鼻地区方々が大多数であろうと思いますが、面積で十七ヘクタール、全体の比率で約六%、こういうのが実情でございます。
  9. 木原実

    木原委員 そうしますと、四十八名の人たち収用委員会の対象になっておるというわけでございますか。
  10. 今井栄文

    今井参考人 そうではございませんので、現在未買収のもの全体を含めて四十八名の十七ヘクタール、こういう意味でございまして、その中に先般行ないました立ち入り調査の十一件が含まれておる、こういう状況でございます。
  11. 木原実

    木原委員 そうしますと、収用法を適用しないで交渉しておるのが、まだ含まれておるわけですね。
  12. 今井栄文

    今井参考人 そのとおりでございます。
  13. 木原実

    木原委員 この二期工事については、どういうことでございますか、まだほとんど手をつけていないのですか。
  14. 今井栄文

    今井参考人 二期工事につきましては、全体で——これは先生も先般あるいはまたこの前の国会で御指摘になったかと思いますが、民有地がほとんど大部分でございまして、その全体の面積は約三百八十八ヘクタールございます。その中で二百九十五ヘクタールすでに買収を完了いたしております。したがいまして、二期工事そのものといたしましては、現在七六%というものの買収を完了いたしておる。残りは、人数にいたしまして百七十九名の方々、それから面積にいたしまして約九十三ヘクタールというのが、実情でございます。
  15. 木原実

    木原委員 これはきょうの問題ではないわけですけれども、とりあえず一期工事、続いて二期工事の問題が当然出るわけですけれども一期工事と二期工事に分けましたのは便宜上でございますか。それとも何か飛行場の機能上の問題で分けたのか、その辺をひとつ。
  16. 今井栄文

    今井参考人 一期工事と二期工事を分けましたのは、政府から指示されました滑走路ロケーションと申しますか、四千メートル滑走路、それに並行いたしまして二千五百メートル滑走路、それから三千二百メートルの横風用滑走路、こういうふうな滑走路ロケーションは、すでに政府から指示をいただいておるわけでございます。とりあえず四千メートル滑走路をぜひ最初につくらなければならないというので、四千メートル滑走路が現在一期工事分にあるわけでございます。政府からの指示は、四千メートル滑走路とエプロンあるいは旅客ターミナル貨物ターミナル等必要施設あるいは保安施設、こういうものをつくれ、大体において全面積の半分ということできめたわけでございまして、便宜ではございません。
  17. 木原実

    木原委員 そのほかに、一部の新聞に何か誘導施設の分の計画漏れがあったというような報道が載っておりましたけれども、これは事実でございますか。
  18. 今井栄文

    今井参考人 計画漏れは全然ございません。これは当初から、空港をつくる以上は、当然保安施設用地というものは、私どもとしては頭に置いて考えておるわけでございます。これは各滑走路につきまして、滑走路の先端から縦が千百メートル、それから横が三百メートル、こういう区域でございまして、一部は敷地内に入るわけでございます。したがって、買収を要する面積というものは、それほど大きなものではございません。現在の状況では、もうすでに駒井野地区において大多数の方々保安用地買収をさせていただいておりまして、現在芝山地区先生も御承知のように、非常に反対の強い芝山町のほうでございます。こういった方面については、私どもとしては買収努力をいたしておるわけでございます。それからあとは二千五百メートル滑走路の北の十余三であるとか、また南の芝山地区、三千二百メートル滑走路の多古、大栄方面であるとか、南三里塚というような、それぞれの滑走路の両端に保安施設用地を持つわけでございます。先ほども御説明申し上げましたように、私どもはまずそこに四千メートル滑走路に必要な保安施設用地取得するということで、もうすでに数年前から努力をいたしておるわけでございます。
  19. 木原実

    木原委員 何か千葉県の知事は、この分については全然聞いていなかった、こういう発言を県会でやっておるようなんです。それはおそらく連絡の不備なのか、当初の計画にミスがあったのか、それもわれわれははっきりしないわけですが、そんなことはございませんか。
  20. 今井栄文

    今井参考人 そういうはずは全然ございません。
  21. 木原実

    木原委員 ところで、土地買収問題というのが今日までこじれまして、おそらく成田の問題の初めから最後までが土地買収ということになっておるわけです。いまのお話によりますと、一期工事の分については、収用にかけた分となお継続して話し合いをしておる分とがある。それから二期工事につきましても、先般私も指摘をいたしましたけれども総裁のただいまの御答弁の中でも、七六%については買収をしておる、あとの約二四%が未買収、こういうような形になっておるわけです。この中に強固な反対、おそらくこれはどうにもなりません。ともかく条件がほしいというわけではない。ここで百姓をやっていたいんだ。また生活の実態を見ましても、確かに農家としても裕福な農家が多い、そういうことですね。先般来大臣は、必要があれば、条件が整えば、そういう諸君と会ってひとつ話をしたい、こういう努力方向を示されております。また先般の航空局長の話によりますと、一期工事が完成すれば、続いて二期工事にかかるんだ、こういうふうなお話もございました。そうなりますと、買収努力というのは、一期工事進捗状況にかかわらず、おそらく継続してやられているんだろうと思うんです。そうしますと、二期工事の残った分についての買収見通し方法、そういうものについてはどうですか。
  22. 今井栄文

    今井参考人 二期工事につきましては、先生も御承知のように、政府からの指示は、昭和四十九年の三月までに完成させるということになっておりまして、差し迫った一期工事よりは若干時間的な余裕があるわけでございます。現在空港建設と並行いたしまして、周辺の開発計画なり、あるいはまた新しい代替地に移られた方々の新しい営農生活というものが始まっておるわけでありますが、私どもは、時代の推移なり、あるいはまた北総台地の今後のいろいろな近代施設の充実というような観点から、住んでおられる方々の気持ちも若干変わるのではないかというような感じ、これは感じだけでありまして、そういう感じも実はいたしておるわけであります。  それで、先生指摘のように、二期工事については、特に天神峰、東峰等に強固な反対をされる方々がおられるわけであります。私どもは、こういった方々に対しても、そういう工事を進めながら、あるいはまた国際空港としての供用開始をやりながら、根強く御説得を申し上げたい。それからなお、こういった方々に対して農地を確保する、あるいは従来のような平穏な生活を維持するように私どもとしても協力するというふうなたてまえで、今後事態の推移に合わせて根強く説得を続けていきたい、かように考えております。
  23. 木原実

    木原委員 たびたび論議を申し上げたことで、このことはもう触れませんが、総裁おっしゃいますけれども、従来の経過から見ますと、これは説得無用ということですね。また公団のほうもなかなか近寄りがたい、そういう関係になっておるわけです。この打開は容易なことではないと私は君えておるわけです。  そこで、これは二期工事の分、あるいは一期工事から二期工事に移る段階、いろいろな時点の中で、公団のほうとしても——きょうは航空局長もお見えのようでございますけれども大臣が前向きの方向で、ひとつ地元反対派農民諸君ともひざ突き合わせて相談をしてみたい、こういう言明があったわけです。しかし、これは従来のままのことで会うだけではしようがありません。そこでいろいろと政府のほうにも、公団のほうにも考えてもらいたい、こう思うことが実はあるわけです。しかし、このことについては、しからばこの条件を何か満たせばいいというだけのものでもございませんので、ここでこれ以上のことは申し上げませんけれども、今日の実情、全体を通じまして、私としては一つ方向を打ち出してみたいと思うのです。  続いてお伺いいたしておきますけれども、そのほかに、いま公団のほうでは一部工事が進められておりますけれども、例の資材輸送路の問題、これは一区、二区、三区と工事を進められておりますけれども、これは大体予定どおり進んでおるのでありますか。
  24. 今井栄文

    今井参考人 先生地元ですので、非常に詳しく御存じなんですけれども、土屋の資材置き場から国道五十一号線を越えて駒井野敷地内に入る専用道路でありまして、これは一区、二区、三区、四区と四つの区分に分けて工事発注をいたすわけでございます。一区、二区、四区工事についてはすでに発注を完了いたしまして、三区の立体交差になる部分だけをいま残して、これについても近く指名委員会を開いて入札を行ないたい計画でおります。これは私どもとしては大体ことしの七月ごろまでには完全なものをつくり上げたい、かように考えております。
  25. 木原実

    木原委員 ここでもやはり土地の問題が残っているのじゃないんですか。どのくらい残っておるのでございますか。
  26. 今井栄文

    今井参考人 これは大部分の方はすでにもう起工あるいは現実に契約もいたしておるわけでございます。二、三軒の方々がまだお話し合いがつかない。しかし、二、三軒の方々は、元来がいわゆる反対同盟に所属する方々ではなくして、若干の感情的な問題であるとか、あるいはまた純粋に自分の土地を手放したくないというような方々です。しかし、これは私ども考えでは、従来の反対同盟に加盟しておって、必ずしもそのお立場反対しておるという方々でない関係上、近い機会に解決がつくものと期待をいたしております。
  27. 木原実

    木原委員 もう一つ排水に関連する問題があると思うのです。これも公団計画によりますと滞水池をつくる、こういうことですが、この方面進捗状況はどうですか。
  28. 今井栄文

    今井参考人 滞水池につきましては、ちょうど滑走路の北端を谷津田が走っておるわけでございまして、その谷津田の末端の一部は敷地にかかりますが、その先のほうは場外に所在するわけでございまして、全体で場外が約二十町歩程度ございます。これがちょうど枝のように二つに分かれておりまして、南のほうが比較的広い部分でございます。上のほうが約六、七町歩残りが全部南のほう、こういう形になっております。私どもとしては、この両方について全部私どもで使用させていただいて、場内排水を全部そこへ一時滞水させる、こういう計画でございます。その用地買収状況は、北側の枝の部分についてまだ一、二どうしても売らない、あるいは賃貸をしないというふうな方がおられます。しかし、南の部分につきましては、約十四、五町歩でございますけれども、全部話し合いがつきまして、一部の方々買収、一部の方々は五年間の賃貸借ということで話し合いがつきまして、一昨日成田でそれらの方々賃貸借契約具体的条項について調印を終わったという段階でございます。したがって、いまからでも滞水池として使える、こういう状況でございます。
  29. 木原実

    木原委員 そうしますと、滞水池についてはほとんど話がついた、すぐでも工事にかかれる、こういう状況になったというわけでございますね。
  30. 今井栄文

    今井参考人 先ほど申し上げましたように、北の枝の部分、ここには反対の方が特にその谷底のたんぼを持っておられる方で、強い反対をしておる方がある。ですから、上のほうといいますか、北のほうの五、六町歩の枝の部分については、滞水池として使用するということはまだ完全ではございません。それらの方々話し合いがつかなければ使えないわけでございます。南の部分の約十四、五町歩のものは、これはもうすべて話がつきまして、いつからでも私どもとしては使用させていただける、こういう状況になっておるわけでございます。
  31. 木原実

    木原委員 そこから落とすほうの根本名川改修ですね、これはどうですか。大和田地区その他で、根本名川改修はかなり川幅を広げるわけですけれども、この見通しはどうですか。
  32. 今井栄文

    今井参考人 根本名川改修は、実は河川改修として県営事業でございますので、県がやっておられると思いますが、その事情はつまびらかにいたしません。
  33. 木原実

    木原委員 確かに御指摘のとおりなんですが、滞水池ができましても、排水の道がなければどうにもならないわけなんですが、県のほうが努力をしておるというのは、確かに努力はしておるのです。しかし、これは大和田地区中心にかなり困難な問題があるように、私どもも聞いておるわけなんです。県の事業に間違いないわけですけれども公団としてはその辺の見通しはどうですか。
  34. 今井栄文

    今井参考人 そういうふうな点で、私どもとしても、河川改修が終わらなければ雨水の十分な排水ができないということでは困るということで、実は先ほど申し上げましたような滞水池用地確保をいたしたわけでございます。現在、その滞水池から滑走路を地下で横断いたしまして、取香川の取り付け口へ沈砂池を確保いたしまして、滞水池の水を、流量を調節しながら二千ミリの配管で取香川に逐次落としていく、こういう計画でおるわけでございまして、さしあたって私どもは、河川改修が済むまではそういう方法でいけるのではないか、かように考えております。すでに工事発注いたしております。
  35. 木原実

    木原委員 総裁お話ですと、一、二問題は残っておるけれども——おおむね順調にというおことばはありませんけれども、まあまあ予定どおりにいきそうだ、そういうように解釈してよろしゅうございましょうかね。私は直接現地ではありませんけれども、どうも私ども調べたり聞いたりしておりますと、一、二という表現の中にも、少しという表現の中にも、少しでも残りますと仕事にならない分野もかなりあるのじゃないかと思うのです。こういう付帯的な工事を含めて、買収の問題、用地取得の問題を中心に置いて、工事見通しというのはどうですか、来年の四月までにほんとうにやれますか。
  36. 今井栄文

    今井参考人 来年の四月までに確実にできるかどうかという点につきましては、去年のように、非常に雨季が長いとかあるいはまた反対同盟方々の催しが非常に多いとかいうようなことが、工事については非常に支障になってくると思いますけれども、当公団といたしましては、あくまでも来年の四月までに全力をあげて空港基幹施設をつくるという決意で邁進いたしております。したがって、そのでき上がる日時というものは、それほど大きな開きがなくてでき上がるのではないか、かように考えております。
  37. 木原実

    木原委員 総裁としては、これは工事の第一線の指揮者ですから、そういうおことばだろうと思うのです。しかし、四月に一番機が飛ぶというようなことは、あまり仰せにならないほうがいいのじゃないかと思うのです。俗説ですけれども、秋に一番機が飛べばいいほうじゃないかという説もあるくらいなんです。確かに供用開始は四月ということになっておるし、それをめどにいろいろな事情を乗り越えて努力をされるという、そういうお立場はよくわかります。しかし、それにもかかわらず問題がかなり残っておるわけですね。特にいまおことばの中で、去年のように雨季が云々ということがございました。これはたいへんな問題じゃないかと思うのです。  この方面のことを少しお伺いしますけれども、御案内のように、関東ローム層で、いまはたいへんに技術も発達しておるでしょうけれども、従来あの辺ですと、土工をやる場合には、一日雨が降りますと二日は休まなくちゃならぬという通説があるところなんです。これは当初、三年ほど前に、この工事にかかる前に、私どものほうもその点を指摘申し上げたことがあると思うのですが、工事見通しについてはどうですか。そういうローム層特有の面がありまして、そうなりますと、当然四月に間に合わせるためには、あるいは突貫工事だとかいろいろな特殊な強行策を講じないと、肝心な本体工事もむずかしいのではないか、こういう懸念もあるのですが、そういう方面についてのお考えはいかがですか。
  38. 今井栄文

    今井参考人 おっしゃるように、関東ローム層で、私ども参りましても、雨の日はやはり長ぐつをはいてもなかなか歩けないというふうな状況でございます。そういうことで、私ども本体工事を始める前に、重車両の運行に必要な工事用道路というものを場内に全部敷き詰めたわけでございます。これは十メートル幅で厚さ五十センチというものを現在完成いたしまして、全長十三キロというものをつくり上げたわけです。この工事用道路の使用というものは、ある程度そういった面のマイナスをカバーできるのではないかという感じが、実はいたしておるわけでございます。御承知のように、雨が非常にたくさん降るということになりますと、かりに工事用道路があっても、工事は一時やめなければならないという事態も当然起こってくると思います。ですから、私は四月一日に飛行機が飛ぶということをいまここで確言できるわけではございません。公団決意といたしまして、政府からの御指示もございますので、全力をあげてそれと取り組んでおる、こういうことでございます。
  39. 木原実

    木原委員 ひっくるめまして、ほかの分野でもいろいろ御苦労なさったわけですけれども飛行場をつくるという場合に、土地取得条件というものがかなり大きなウエートを占めるということは、いままでの御経験の中でよくおわかりだと思うのです。  そこで、ひとつお答えをいただいておきたいと思うのですけれども、先般の運輸大臣お話ですと、やがては第三国際空港も東京近辺につくらなくちゃならぬ、あるいは飛行場群という形で将来の航空需要に対処しなくちゃならぬ、こういうお話がございました。そうなりますと、あなたの公団は、ここの飛行場の完成、完成後の管理、こういう任務を実は持っているわけですけれども、将来、もうこれは将来というよりも、引き続いて各地で飛行場の拡張、整備、新設、こういうことが相次いで行なわれるだろうと思うのです。私はこの三年余の成田の教訓というものは生かしていかなくちゃならぬと思うのです。特に土地条件がいいところはいいのですけれども、東京であるとか大阪であるとか、少なくとも大都市周辺土地条件というものは、おそらくこれからますます、そういう意味では、あなた方にとって悪くなっていく条件はふえこそすれ、よくなるという条件はないと思うのです。そういうことを勘案した場合に、成田のいままでの土地取得なら土地取得条件中心にして、どういう教訓を得られたか、将来のためにざっくばらんに御感想を伺っておきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  40. 今井栄文

    今井参考人 私ども教訓を得ましたことは、現在でもそういった教訓を十分かみしめて現地の方々と折衝いたしておるわけでございますけれども、やはり空港の位置決定の際に、十分地元方々とも懇談をする。それからまた個々の農民の方々に対して、今度比較的私ども成功したと思いますのは、五百町歩にわたる代替地を確保したということでございます。まだ足りなければ、買い増しもいたしますし、現にまだ百町歩近くの土地が未配分で残っておるわけでございます。こういうふうな代替地の問題が、この第一期工事の進捗に非常に好影響をもたらしたということだけは、間違いないと思います。ですから、今後飛行場用地を他に取得するというふうな場合には、十分地元方々との話し合いをするということと、もう一つは、その方々がお出になっていく場合の代替地を十分確保する。それからまた、半ば農業をやり半ば他の職業をやるというふうな方々に対する職場の確保という問題、あるいは就職の場を極力優先的に提供する、こういうふうなことが私ども用地買収を始めての非常に大きな教訓だと思います。  というのは、公団発足当時の現地の状況は、非常な反対運動の渦の中にあったというふうに私ども感じておりますが、当時部落対策協議会が林業事務所で条件派の旗上げをするというときは、ごくわずかな人たちでございました。その当時反対で、それを取り巻いた方々が逐次条件闘争連盟あるいは駒井野取香連絡協議会の方々が地権者会を結成し、昔からの古い地主さん方も条件賛成のほうへ変わっていただいた、われわれの意図を十分くんでいただいたということで、ここに非常に大きな条件派のグループが整ったわけですけれども、それの成功といいますか、まだこれは先生がおっしゃるように不十分な点がございますけれども、そういうところまで持ってきた大きな原因は、いま言ったような代替地の問題、意欲のある方々に対する職業あるいは営業に対する誠意のあるあっぜん、こういうふうな点だろうと思います。この点については千葉県に非常にお世話になったわけでございます。
  41. 木原実

    木原委員 そういうお話でございますけれども条件をのんで、代替地を求めて外へ出た農民の人たちも、これは決して飛行場を歓迎して出ていったのではないという姿も実はあるわけです。私がお伺いしたがったのは、代替地を整える、あるいは転職の先を確保する、これは当然の——当然のというと語弊がありますけれども、立ちのけというわけですから、それだけのことは十分にやはりする。これはある意味では、公団なり政府側なりが当然やらなければならないことだと思うのです。しかし、問題はもっと根強いところにありまして、現に二期工事——工事の中にもありますけれども反対同盟を結成して反対だと言っておる人たち、こういう人たちの心情は、どう言ったらいいんでしょうか。政府の当初からのやり方に対する決定的な不信なんです。代替地を用意した、転職先の問題、こういうことがありますけれども、ともかくあそこに位置を決定した時期から、ある日突然飛行場が来る、こういうことが知らされて、そういう話し合いがなかったということから始まりまして、決定的にどうも初めから対話がないままのそういう姿だったと思うのです。  もう一つは、買収の過程で、制度の面で御案内のように、収用法も先年一部改正になりまして、収用する側からすれば、手続その他かなり簡略化されたというふうにわれわれも見ておるわけですけれども、しかし、それにもかかわらず、詰めていきますと、依然として私有権は公共の云々ということよりも憲法上まだ高い地位にあるわけですね。ですから、収用法で公共の施設の用に供するために土地取得する、こういう場合にもおのずから限界があるわけですね。そこで、考えられる道は、成田の教訓として、将来こういう公共のものをつくる場合には、仕事をするほうからすれば、そういう私有権の制限といいますか私権の制限といいますか、公共のためには私権の制限をしていくのだということが制度としてもう少し前に出てもいいのではないか、こういう側面と——これは飛行場だけではございません、土地開発その他の広範な問題にからんでくるわけですけれども、そういう側面の問題と、それからもう一つは、どこまでも土地取得条件が困難でない地域ないしはそういう土地の問題を抜きにした地域に飛行場のようなものはつくるべきではないのか。ほかにもあるでしょうけれども、このようなことが成田のいままでの経過の中で考えられるのではないかと思うのですが、いかがですか。将来の飛行場建設をめぐって、もっと私権を制限してもらいたいというのか、それともつくる側でそういう反対の強いところ、私権の主張の強いところは避けて通るべきではないのか、一般論ですが、いかがですか。
  42. 山村新治郎

    ○山村政府委員 木原先生にお答えいたします。  公団総裁としますと、新東京国際空公団、いわゆる成田空港の建設に当たるということでございます。先生おっしゃるいわゆる新々空港と申しますか、第三国際空港、これらの建設にあたりましては、運輸省のほうからお話しするのが筋じゃないかと思います。  先生おっしゃられましたように、まず空港をつくります場合に、いわゆる地形、そしてまたいわゆる航空保安、またいわゆる道路交通事情、これらを十分勘案しながらその位置決定を行なわなければなりませんが、先生おっしゃいますように、地元の住民と十分話をした上でその位置をきめる、そしてまた同時に地元の住民の意思を十分尊重する。そして私は一つつけ加えたいと思いますのは、今度の新東京国際空港建設にあたりましても、位置決定が行なわれましてから——もちろんこの位置決定が行なわれますことにおきまして、先生おっしゃるように地元一つの相談もなかった、突発的に、それこそ一夜にしてきまってしまった、そういうような感情的な問題が起こりましたことも事実でございます。しかし、もう一つありますのは、位置決定が行なわれましてから、いわゆる価格というものを、これをはっきり申しますと、二年近く出さなかった、こういうようなのも、やはりこの混乱を招いた一番大きな原因であろうと思いますので、今後第三空港、これはおそらく昭和六十年になりますと、この空港も一ぱいということをいわれておりますが、その時点でつくらなければなりません。そのことを考えますと、現段階では、どこをどうという調査をしておるわけではございませんが、できるだけ早くそのような調査、そしてまた用地取得というものを行なっていきたい、そういうぐあいに考えております。
  43. 木原実

    木原委員 これは山村さん、こういうことなんです。いろいろ成田飛行場を決定するについても、確かに手落ちがあったと思うのですよ。この問題は、あなたのおっしゃるように、ごく近い将来に第三空港なり関西空港なり、そういうものをつくらなくちゃならない。そういう問題をかかえているわけですね。私どもとしては、この三年間の問題というものは、まことにもう政治家としては耐えがたいですよ。何も好んで地元人たちは学生諸君と一緒になって機動隊とけんかしておるわけではない。いま反対同盟に残っておる人たちも、あなたもよく御存じのとおり、これはもうきわめて、そう言っちゃあれですが、政治的には保守党の支持者だし、もともとは三里塚周辺の善良な農民で、同盟の委員長をやっておる戸村一作さんにしても、あそこで代々かじ屋をやってきて、熱心な皇室の尊敬者であった。ですから、いまでもそうですけれども、世が世なれば総理大臣も知事も縛り首だ、かしこくも皇室の土地をつぶすとは何事だ、こういう心情の持ち主の方である。そういう人たちを追い込んでいくわけですから、これは社会党があそこを応援したとかなんとかいう政治的なあれがありますけれども、そうじゃない。あなたたちはどういうふうにお感じになったか知りませんけれども、私たちも渦中にありまして、農民諸君のあの姿の中には、ほんとうに耐えがたいものがあると思うのです。それだけに、われわれ政治家は、この教訓をむだにしたくはない。かりに、ここに飛行場ができたにしても、次につくる飛行場の場合には、再び成田のようなことを繰り返してはならないんだ、これが政治家として集約する成田の問題の帰結だと思うんですよ。それだから、お伺いをするので、方向として、土地の問題については、一定の私権の制限を行なうような措置を講ずるという行き方もあるでしょう。そういう考え方が確かにあるわけです。あるいはまた、飛行場等をつくる場合には、そういう問題をむしろ積極的に避けて、他の技術的な開発その他によって、あるいは海岸を埋め立てするとかという技術的な開発の方向が打ち出せると思うのですよ。そういう教訓を将来にわたって生かそうではないか、こういう気持らがあるわけなんです。  だからひとつ、地元の、ある意味では御苦労をなさった政務次官に、もう一ぺんその見解をこの際お伺いしておきたい。
  44. 山村新治郎

    ○山村政府委員 確かに、先ほど来、空港公団総裁が申しましたし、そして私が申しましたような、いろいろな不手ぎわがございましたが、今後、このような不手ぎわのないように、そして新しい空港そのほかをつくる場合には、地元の方の十分な御納得をいただいて、そして協力的にこれをつくっていく、そのような方向でやっていきたいと思っております。
  45. 木原実

    木原委員 まことにりっぱな御見解なんですが、あなたと私のやりとりじゃあまりぱっとしないんだけれども、それにしてもお互いに、成田の問題というのは、将来にわたって生かしていかなくちゃならぬと思う。そのためには、もっと政治家が農民諸君と一緒になって泣くという姿勢がないとだめだと思うんですよ。もともとこの飛行場には、初めから問題があった。最初のボタンをかけはずしましたから、最後までこのボタンが残っておるということなんですよ。その間に、だから、公団総裁にしましても、あるいは歴代の航空局長も御苦労なさったと思うのですが、しかし、この行政官の御苦労とわれわれの苦労の度合いというのは、違うと思うのですね。  そういう意味では、ひとつ成田の教訓を、現にいままであれだけの犠牲も出しておるわけですから、将来にわたって教訓を生かしてもらいたいと思います。もう一ぺん決意を言ってください。
  46. 山村新治郎

    ○山村政府委員 再々度のお尋ねでございますが、とりあえず、先ほど申し上げましたようないわゆる地元の住民の皆さん、これらの皆さんの協力をいただきながらつくっていきたい。そうして現在の空港そのほかにつきましてのいわゆる反対派という方々に対しましては、適正な補償とか、代替地の確保、また職業の転換、騒音地区の買い取り、いままで賛成派の皆さんにいろいろと施策をしましたのと変わりないようなぐあいにやっていきたい。  ただ、いわゆる自分の土地を提供するというこの苦痛はよくわかるつもりでございますが、しかし、これは先生立場が違うかもしれませんが、やはり地元の開発、そうして日本の国のためという、そういうような意味をも含めまして、いろいろ御理解をいただいていく、そのようなぐあいに今後やっていくつもりでございます。
  47. 木原実

    木原委員 これは建設省の方見えておりますけれども、ちょっと所管外じゃないかと思いますから、航空局長にお伺いしますけれども、私は、やはり今日でも、成田の位置決定の手続上のといいますか、誤りもあったと思いますし、十分でないと思うのですが、空港をつくる際の条件一つとして非常に大きな問題は、空港から都心までの距離の問題ないしは旅客や貨物の輸送の時間の問題があると思うのです。それに関連をして、総裁は、来年の四月までに一番機を飛ばせる努力をする、こういうことなんですが、しかし、それに伴う空港から都心までの輸送の計画、これはどうですか。具体的にもう問題が煮詰まっているわけですけれども、東関東道路ないしは湾岸道路の建設の状況、あるいは一部新幹線方式というようなことも伝えられておりますし、あるいはモノレールの申請が行なわれる、このようなことが相次いでいるわけですけれども、全体としてどうですか。飛行機は飛ぶけれども、都心までの輸送計画というのは具体的にどうなんですか、この際ひとつ全部明らかにしてもらいたいと思うのです。
  48. 山村新治郎

    ○山村政府委員 確かに先生御心配のように、いわゆる空港はできたけれどもということは、これは皆さん御心配のようでございます。これは一応、道路につきましては、いわゆる首都高速の六号、七号、そうしてこれに京葉道路をつなぎます。京葉道路の一期、二期、三期、これを通りまして、そうして東関東自動車道千葉成田線、これを入れまして、新東京国際空港線ということで、一応道路は結ぶ予定でございます。しかし、これは供用当初のみでもう一ぱいになってしまって、とてもあとはこの道路だけではだめじゃないかということで、現在、一応着工しておりますが、いわゆる湾岸道路という、十四車線ですね、それほどすばらしい道路計画があるわけでございますが、これを促進していきたい。そうして道路の面では、空港との道路を通じての交通というものは円滑化していきたい。  また、鉄道につきましては、当面はとりあえず京成電鉄、これが京成成田と新空港とを結ぶ路線を建設中でございます。そうして京成のほうに聞いてみますと、大体空港供用開始、来年の春には間に合うじゃないかというようなことを言われております。また、国鉄等につきましては、これは総武線が複々線、そうして東京乗り入れということが現在計画されております。これは着工中でございますが、成田駅から新空港を結んで、そうして都心へ乗り入れていきたい。また、都心と空港、これを結ぶいわゆる新幹線、これも考えております。これは三十分以内で結ぶ新幹線にしたいというようなことでございますが、現在検討中でございます。  また、先生おっしゃられましたモノレールでございますが、これは西船橋から空港を結ぶ五十キロばかりの線でございますが、現在申請がございまして、そしてこれは東京陸運局においていま調査中でございます。詳しいことはまた政府委員より……。
  49. 菅太郎

    ○菅委員長 木原さん、専門の建設省から今井術調査官がおいでになりますが、もう少し専門のことをお聞きになりますか。
  50. 木原実

    木原委員 ちょっとすみませんが、その前に。  いま政務次官から具体的に構想が述べられておるわけですけれども、しかし、構想を練っている段階じゃないので、あと一年だというわけです。しかるに東関東道路については途中ストップしておりますね。この状況がどうなんだろうか、この見通しがどうなんだろうか、そういうこと。  もう一つは、湾津道路の問題も出ました。私どもが聞いておりますところでは、湾津道路はようやく買収に入りかけたというふうにも聞いておりますけれども、埋め立てをしなければならぬところも残っていると聞いております。これは一体いつごろ着工の予定で、いつごろ完成をするのか。  それからもう一つは、これは建設省じゃないのですけれども、新幹線云々ということがしばしばいままでも報道されておるわけです。これは一体どういう形で——いろいろな構想というようなものはわれわれも聞かされておりますけれども、具体的にいつごろ、どういう形で成田に結んで動き出すのか、この見通しをひとつお聞かせを願いたい。  それからもう一つ、政務次官がおっしゃったモノレール。これは申請が出されておりますというけれども、私ども聞いておるところでは、なかなかどうも反対、賛成、価値の問題、機能の問題その他がありまして、多分に問題が残されておるようにも聞いております。  そうしますと、構想はいいのですけれども、しかし、飛行機は飛んだが、都心から三時間、日によっては四時間かかりますよ。そういうことですから、それらについて一つ一つこの時点でのきちんとした見通しをお聞かせ願いたい。  それからもう一つは、これは航空局長分野でございましょうか、将来成田空港ができた場合の羽田との結びつき方は、結局湾岸道路にたよるのか、飛行場間の連絡あるいは乗りかえ、そういうことについての方法を何かお考えなのかどうか、あわせてひとつ御答弁をいただきたい。
  51. 山村新治郎

    ○山村政府委員 お答えいたします。  とりあえず供用開始当初、これは首都高速道路、京葉道路、東関東自動車道路、そして新東京国際空港線、これで結ぶわけでございますが、これは現在順調に工事進行中ということで、供用開始までに必ず間に合うということが確約されております。そしてまた、京成電鉄のほうは、先ほど申し上げましたように、空港供用開始の当時までには必ず京成成田駅、新空港、これを結ぶ路線が完成して都内まで入れるようになる。これはとりあえず、できるということでお約束できると思います。  あとのいわゆる計画そのほかの問題につきましては、政府委員からこまかく御説明申し上げます。
  52. 今井勇

    今井説明員 高速自動車国道、東関東自動車道の千葉成田線の用地買収状況を申し上げますと、四十五年一月末現在で七七%が用地取得済みでございます。そして工事発注済みは金額にいたしまして二一%の進捗でございます。  それから湾岸道路につきます工事計画といたしましては、昭和四十七年度中に供用を開始いたすような区間といたしましては、湾岸道路の幕張から原木の間八・三キロを考えております。それから昭和四十九年度中に供用を要する路線といたしまして、同じく原木から環状三号線と申しますそこまで十六・三キロ、この道路を完成する予定でおります。同時に、首都高速九号線と申しまして、東京湾環状線から都内に入ります九号線の五・三キロを同じ時期までに供用開始するという計画でございます。
  53. 手塚良成

    ○手塚政府委員 鉄道の問題は、運輸省でもちょっと私の所管外でございますけれども、新空港との関連におきましては非常に大切な問題でございまして、私どもでいろいろお願いもし、希望もしておりますので、そういう範囲でお答え申し上げたいと思います。  成田の場所が、世界の各空港に見られない遠距離の場所で、都心から六十六キロということになりまして、ジャンボ、引き続いてSSTという非常に高速の飛行機が飛来いたしますと、地上アクセスの時間というのがこれに対比して非常に問題になるわけであります。また大量の輸送貨物も参りますということで、ただいまのところ、先ほど来お話がありますように、道路を主体に交通を考えざるを得ないと思っておりますが、これに加えて京成電鉄というものにたよらざるを得ないということですが、これはさらに将来の問題として考えますときに、前段申し上げましたような事態でございますので、私どもとしましては、でき得べくんば成田の直通新幹線を希望いたしたい。これで直通、途中ノンストップということで参りますと、所要時間が二十八分というようなことになります。SST時代に、アメリカとつないで三時間半といわれます時代には、これぐらいのことを望みたいというふうに希望をいたしておりますが、これにつきましては、やはり用地買収あるいは採算性、あるいはこれの建設のための資金、あるいはそういった建設主体をどうするか、いろいろ問題がございますし、なお直通を北千葉ニュータウンを経由したらどうかというような問題もある。加えまして、現在の総武線との関連をどうするかというような問題もあるわけであります。いまきわめて事務的でございますが、部内におきまして、そういった問題を総合して、その鉄道問題をどうするかということを、委員会をつくりましてただいま検討をいたしております。できるだけ早い時期にその結論を得て、実施に踏み切りたいということでございます。私ども空港立場におきましては、何とかこういうものを早急につくっていただきたいという気持ちでおります。  それから、第二の御質問の羽田との関連交通の問題でございますが、これも当面の交通といたしましては、やはりいままでの既成の計画による道路を主眼に使用せざるを得なかろうと思っております。しかし、これもそう遠くない先に満ぱいになるということもあり、先ほどのお話の湾岸道路というものが次の段階計画をされ、進められることになると思いますが、この湾岸道路ができますことで、羽田との交通を当面円滑に進めていきたいということをいま考えておることでございます。羽田との関連は、当面第一期工事におきましては、国際線が主として新空港を使いますので、国際線の旅客は、おそらく直通でそのまま羽田で乗り次いで大阪なら大阪へ行くという方もおるかと思いますが、大半の方は一応は都心等に一泊をされ、あるいは東京で用を済まされるというようなことで、次いで今度は羽田から出かけていかれるという方が多かろうと思います。そういう時間的な客の動き等も勘案いたしまして、湾岸道路というものはできるだけ早くやってもらいたいという希望、また期待等を持っておるわけです。  なお、この両方について、そういう道路ができました後にも、なお時間的に問題があるではないかというようなことで、これまた、計画ということでは、ほど遠いかと思いますけれども、いろいろ考えております中には、いわゆるVSTOLといいますか、垂直離着陸機あるいは短距離離着陸機というような機材、これはまだ開発が実用化までには若干時間がかかりますが、こういうものが実用化されるという段階になりますと、おそらくこういうものを使ってより早く両空港の連絡ということが可能になるようにこれまた考えていかなければならぬ、かように考えております。
  54. 木原実

    木原委員 これは飛行場の性格が国際線で、しかも非常にスピードアップされた。つまり時間的な処理がかなり大きなウエートを占めると思うのです。いまお話を聞きましても、いま進められているたとえば東関東道路、つまり一期工事に間に合う分、これはともかくとしまして、湾岸道路を四十七年度中に供用開始する、こういうことなんですけれども、これはいま局長もおっしゃいましたが、羽田との連絡その他等もありまして、非常に大きなウエートを占めてくると思うのです。しかし、これは四十七年度中にほんとうに完成しますか。
  55. 今井勇

    今井説明員 私の申し上げましたのは、湾津道路を四十七年度中に供用を開始しようといたしますのは、ちょうど京葉の二期工事部分でございまして、京葉一期工事につきましては、拡幅六車線にいたしますのでいいだろう、二期につきましては、四車線しかございませんので、これはすぐパンクするだろう、したがいまして、それに沿います部分の湾岸道路の幕張−原木間の八・三キロは四十七年度中にぜひ供用を開始いたしたい。これはほとんどが埋め立てでございますので、道路をつくることはまずさして困難ではなかろうというふうに考えております。
  56. 木原実

    木原委員 局長、もう一つ、いま新幹線の話がありました。これは委員会をつくってこれから検討するというのですが、これは航空局としての希望でございますか。それとこの新幹線という問題についての見通しはどうですか。これは他の、たとえば鹿島のほうにも延長させるのだとか、いろいろ計画がずっとほかのものとも関連をしてきておりまして、これはおそらく航空局が望んでおられるような、都心からすぐ成田直通という限定された問題については、当然いろいろな異論も出てくるでしょうし、見通しはどうですか。
  57. 手塚良成

    ○手塚政府委員 私が先ほど申し上げました直通のものは、最もわれわれの希望したい内容でございます。しかし、先ほど申し上げましたようないろいろな問題がこれに関連し、いま先生の御指摘の問題があるようでございますので・その辺が全体的に調整をされた姿というものが実現のためにはやはり必要でなかろうかと思います。私どもは部内におきまして、いまの委員会で極力私どもの希望を申し述べ、その辺の調整をはかってもらおうと期待をいたしております。
  58. 木原実

    木原委員 新幹線の二十人分というのは、確かに魅力的な時間だと思うのです。そうしますと、これはいつごろぐらいまでに完成するのか、もしやろうとすれば、どういう希望を持っていらっしゃいますか。
  59. 手塚良成

    ○手塚政府委員 これはいつ決定かということとも関連いたしますが、私どもがいままで聞かされておりますのは、着工後おおむむ五年くらいというようなことを聞いております。
  60. 木原実

    木原委員 そうしますと、これはあとで若干触れたいと思いますけれども、新幹線、湾岸道路、おそらくこの辺が成田がフル回転を始める段階での日本の大きな動脈になると思うのです。しかし、これはかなり先のことだ、こういうふうにも考えられるわけなんですが、そうしますと、国際線ということで、四千メートルを中心に四十五年度から供用開始がされると、四十六年、四十七年あたりは交通大混乱ですね。それはいまおっしゃいましたように、東関東道路も着工をして間に合わせるのだ、こうおっしゃっておりますけれども、なお買収は七三%、ここでもやはり土地の問題が出ているわけです。  そうしますと、せっかくたいへんな犠牲の上に飛行場ができたが、この二、三年の混乱というものはどういうふうに対処されますか。そう言ってはあれですけれども、私はちょうど中間のところに住んでおりますので、日常道路の犠牲者なものですから身につまされるのですが、いかがでしょう。
  61. 手塚良成

    ○手塚政府委員 そのころの対策は非常に問題だと思いますが、具体的にこれとこれをやれば絶対だいじょうぶというようなところまでの結論をまだ得ておりません。ただ、たとえばシティターミナルというようなものをつくって、そこでいわゆる空港内へのチェックインの一部を済ましてしまう。そして荷物は荷物、お客はお客でまとめてバス輸送をするというような構想がありまして、これはすでにそういった施設主体もできておりますし、着工しておる。おおむね供用開始までにはでき上がるのではないかというふうに考えております。さらには、輸送形態もジャンボあたりになりますと、特に一機で御承知の三百六十数名も乗りますから、こういうものがばらばらに個別に来ないように、できるだけある場所に集約して、そうして団体として一括輸送をするというようなことに、ちょうど飛行機で大型化をはかりましたように、空港の離発着回数をできるだけ少なくして空港の機能の能率を上げるということを、地上においても行なうようなことを考えていかざるを得ないのではないか、かように考えておる次第であります。
  62. 木原実

    木原委員 シティターミナルという構想を私初めて聞くわけですけれども、これはたとえば都心に何かターミナルをつくって、そこで大体乗る客なら客についてのチェックをあらかじめ済ませて、バスで送り込む、こういう構想でありますか。
  63. 手塚良成

    ○手塚政府委員 概要そういうことでございまして、なお、そこをできれば、たとえば見送りのお客さんなどもそこのところを最終の場所にしていただいて、わざわざ空港まで現状の一時間あたりで行くようなことをそこでお済ませ願ったらどうかというような、施設構造等もそれに合うようなものを考えていきたいと思います。これは具体的な場所を申し上げてもよろしいと思いますが、箱崎という場所が都心の高速道路あるいは七号線に入る場所、六号線との関連、そういうことで非常に適当かということで、そういう場所を選定してつくっていこうということにいたしております。
  64. 木原実

    木原委員 これは新しい構想を承ったわけですけれども、ただ、そういう際でも、例になるかどうかわかりませんけれども、諸外国の飛行場の資料等を見てみますと、大体乗用車で飛行場を往復される人が圧倒的パーセンテージを占めておる。公用のバス、公共のバスないしは飛行場備えつけのバスに乗られる方のパーセンテージが、大体どこの飛行場も総体的に少ない。ただ、成田の場合には、御案内のように、距離が長いですから、バスというようなものも当然考えなければならぬことですけれども、それにしても乗用車のあれが非常に多い。こういうふうにわれわれは資料で見ておるわけなんですけれども、そういうターミナルができれば、そこで送迎も全部済ましてしまう。そういう方式のものをお考えなんですか。ただ、それでも乗用車をお使いになるものをやめろというわけにはいきませんから、そういう人が多いということですが、その辺のことは十分御計算でしょうね。
  65. 手塚良成

    ○手塚政府委員 ここの道路の混雑といいますか、通行量等につきましては、私どもだけでもなかなか算定が困難でございまして、いまのような措置をとっても、おっしゃるように、個人的に自動車を使うという方を阻止するわけにはもちろんいきませんし、それから御承知の臨海工業地帯などがだんだん完成していきますと、そういったところの関連の自動車等が相当使うようなことにもなるだろうと思うのです。そういうものと空港とを結ぶものと総合して、道路の容量がどうなるかということになるかと思います。  私ども専門的ではございませんが、一応現在推定しておりますところでは、やはり四十七、八年ごろそういった全般の諸施策をとりましても、道路交通事情は相当逼迫をする、かように考えております。
  66. 木原実

    木原委員 これは時間がだいぶ経過しましたので少し先へ問題を進めたいと思いますけれども一期工事と二期工事関係です。当初、先般のお話で、成田は国際線だ、羽田は国内線だ、こういうふうに使用区分が明らかにされたわけです。そうしますと、二期工事の三千二百の横風用と二千五百の滑走路というのは、これは国内線併用の計画で出発したものじゃないですか。いかがですか。
  67. 手塚良成

    ○手塚政府委員 そのとおりでございます。
  68. 木原実

    木原委員 さて、そうしますと、先般のお話で新国際空港の処理能力はおおむね二十六万三千回、こういうふうなお示しがございました。ただ、この計算はおそらく羽田の実績をもとにして計算なさったのだと思うのですね。羽田の場合は、国際線、国内線の併用ですから、これはおそらく時間帯もいろいろな条件が違ってくると思うのです。国際線専用になりますと、おそらく発着のピーク時というのはそこに集中する傾向が、これは従来の実績から見ても明らかだと思いますね。そうしますと、四千メートル一本で二十六万三千回ないし二十七万回といいましても、これは羽田の実績であって、四千メートル一本の滑走路では処理能力がうんと低下するのじゃないか、こういうことが一つです。  それからもう一つは、併用ということで発足をした二期工事の特に二千五百は、国際線の滑走路としてはあまり機能がありませんわね。おりるときはたえましても、おそらく発進をする場合には二千五百というのはあまりにも短過ぎるのじゃないか。そうなりますと、少なくとも二千五百というのはあまり機能がない、こういうふうに私は考えるのですが、その点いかがでしょう。
  69. 手塚良成

    ○手塚政府委員 成田の処理能力は二十六万三千回、これは滑走路二本、特にこの滑走路の間隔が二千五百メートルに広げてありますので、それぞれの滑走路は独立して使える。羽田の場合は、海のほうに平行してCとAというのが二本ありますけれども、これは滑走路間隔が非常に狭うございますから、独立して使えないということで、能力は成田よりは落ちると考えております。しかし、羽田で現在一本のCランウエーだけで運航さしておりますけれども、これが大体リミットとしまして十三万八千回程度のことが考えられるとなっております。現状、大体それに満ぱいに近い状態になっております。そういうことから考えますと、成田で一応二十六万三千回と考えておりますのは、まだ私どもは管制の方式その他を勘案いたしますときには、ややゆとりがあるというふうに考えます。  ただ、二千五百メートルが国際線の飛行機に使えるか使えないかということになりますと、このSSTという飛行機を受け入れるということで成田がつくられる理由の一つになったわけですが、SST自体はやはり二千五百ではだめであろうと考えます。これはどうしても四千メートルの滑走路でなければならぬ。ただ、現在飛んでおりますような国際線の飛行機、こういったものにつきましては、二千五百の程度で必ずしも使えなくはない。必ずしもと申しますのは、ある程度の重量軽減、ロードファクターを落とす、こういうようなことをやりますと、二千五百メートルでも使えるわけです。現に羽田でもって、Bランウエーという、現在使っておりますCランウエーとクロスしておる、従来横風専用に使っておりました滑走路を、いま二千五百メートルに埋め立て延長工事をやっております。これはだんだん機材が大型になってまいりましたので、風との関係におきましては必ずしも——若干の横風を受けたら飛べないということではないというふうに考えて、いまのCランとこの延長後のBランを交互に使うことによって、従来の回数程度の機能をできるだけ保持したい、こういうふうに考えて実施をしておるわけです。したがいまして、新空港におきます二千五百につきましても、いまのような措置を考えますときに、やはり国際線にももちろんある程度使える、かように考えて、容量的にもただいま申し上げたようなものは確保できると考えております。
  70. 木原実

    木原委員 そうしますと、二期工事については、二千五百についてはそういう機能もある。こういうことですから、将来計画変更をなさるということはございませんか。
  71. 手塚良成

    ○手塚政府委員 二千五百と四千、それに三千二百の構風用滑走路、三本、こういうことで全体の敷地面積千六十ヘクタール、こういう基本計画には、将来変わりはないということで進みたいと思います。
  72. 木原実

    木原委員 四千メートルを中心に、ともかく羽田が満ぱいだからつくらなければならぬ、こういうお立場なので、お話はよくわかるのです。確かに二千五百と四千メートルの滑走路の間の幅は広い、併用して使える。けれども、四千メートル一本、二百五百メートル一本、横風用、この国際線というのは、国際C級線ですね。C級のクラスですね。われわれとして見れば、当初富里案で示されたときの半分になった。これは事情もあったんでしょう。しかし、だんだん飛行場の性格というものが矮小化されてきていて、だんだん機能の低いものに転化している。いまでは、ともかくも羽田が満ぱいだから何とか来年は供用開始できるように、こういうせっぱ詰まったところに追い詰められていると思うのです。この辺に、実は成田の航空政策上の間違いがあったんじゃないかと私は考えるわけです。  富里案を示されたときの考え方というのは、ともあれSST時代に備えてアジアのターミナルをつくるのだ、こういうふれ込みであって、確かにあの規模で、滑走路の配置その他を見ましても、計画としてはそれにふさわしいものだったと思うのです。ところが、いまはそうではなくて、もうまるで羽田の補助港みたいな立場工事が進められる。これは多額の国費とそれから関係者の、私はあえて犠牲というわけですけれども、犠牲を伴ってつくる飛行場としては、あまりにも間に合わせの機能の低い飛行場しかつくれない。ここに政策上の間違いがあったんではないか。このように考えるわけですが、いかがですか。
  73. 手塚良成

    ○手塚政府委員 確かに当初計画いたしましたものの半分になりましたので、そういう意味では、面積的に減ったと思います。ただ、空港の機能ということになりますと、これは容量とはまた別な問題でございまして、面積が減ったということは、容量が減ったということになるかと思いますが、機能的には、やはり世界の一級クラスの機能のものにしたい。たとえば、航空保安施設等におきましては、現在世界でカテゴリー2とか、あるいはさらに3とかいうことで、要するに、相当視界が悪いときにでも自由におりられるというようなものをどんどんつけていく、そういった安全性の確保をはかりながらやっていくことで、空港の機能というものはきまってくると思うのです。あるいはターミナルの施設自体につきましても、これを最も効率のいい機械施設を備えた機能のものにする。こういうことによって、小さいながらもやはり機能的には一級品、こういうものにつくっていくべきじゃなかろうかと思っております。  羽田に比べて補助と言われますけれども、羽田自体は、面積から見ますと百万坪で、今度の場合のものはそれの三倍というようなことになるかと思うのです。したがって、決して羽田の補助ということはならない。最初、いまの計画の倍のものを考えましたときは、そういうものができることが望ましいとは思いますが、先ほど来、空港をつくることについて皆さんの体験なり今後の心がまえというようなものをお尋ねがありましたときにお話に出ましたように、地元の皆さまとの協力体制ということが絶対に必要だと考えられます。そういう見地で、最初計画というものをこの程度にしなければ、なかなか実現がむずかしい、こういい事態がございまして、そういった地元との御協力、地元の応援をお願いするというようなことからは、日本のような飛行場適地の少ないところではやむを得ない事態であろうかと思います。しかし、こうなったにつきまして、将来の問題としては、また十分将来の航空事情に対応することを考えていかなければならぬ、かように考えます。
  74. 木原実

    木原委員 小さくとも一級品だとおっしゃった。羽田はおそらく一級品だと思うのです。小さいけれども、多額の投資をいたしておりますし、機能としては確かに高いと思います。しかし、問題は、やはり機能と、機能の中には、容量の問題をおっしゃいましたけれども、やはり量の問題があると思うのです、まさにスピードと量の時代に転化しようとしておるわけですから。特に、先般運輸省でも、将来の航空機の需要の見積もり等を作成なさって、お出しになっておるのを私も何かで見ました。しかし、他の資料を見ますと、たいへん甘いということですね。まして大量の、たとえば貨物というものの量もふえることを計算に入れなくてはならないということになりますと、機能と量の問題は切り離せないと思うのです。むしろ機能ということよりも、量をどうさばくかということが大きな問題だ。だから、おそらくすぐにこの第三空港の問題に運輸省としても取り組まなくてはならぬというようなことを運輸大臣もおっしゃった。そういう側面があると思うのです。そうなりますと、機能は確かに、おそらく芸術的な高度のものができ上がるという想定を私どもいたします。いたしますけれども、四千メートルと、いかんせん二千五百では、量をさばくということからしますと、はなはだしく機能的にも劣っていくのじゃないか。つまり、さばくという機能的な面からも劣っていくのじゃないか、実はこういう感じがするわけです。私が聞きたいのは、ですから、二千五百を将来あそこで三千メートルに延ばす、三千三百に延ばす、こういうことはございませんね。
  75. 手塚良成

    ○手塚政府委員 現状の基本計画におきまして、それをぜひやってもらえば、これでいまの空港能力というのは完成後十年内外は十分に維持できるという想定に立っております。十年後の問題で、いろいろ新聞紙等に出ます交通需要から見ますと、さらにもう少し考えていかなければならぬという問題があると思います。ただいま空港整備五カ年計画というのが最後の一年目、四十六年にかかってまいります。あらためてその次の五カ年計画の作成にかかるべく、いま需要予測その他について学識経験者を交えて検討をいたしております。そういう中で、今後のそういう問題を検討していかなければならぬということで、鋭意やっております。基本計画を変えるつもりはございません。
  76. 木原実

    木原委員 私どもは専門家筋の意見を聞いてまいりました。その中には、これは名前をあげるわけにはまいりませんけれども、明らかに成田限界説を主張される方が多い。これは、他の面、先ほど来申しましたいろいろな面をひっくるめてですけれども、主として能力の面から、明らかに成田には望みを失ったという専門家の方が多い。それからまた、航空会社等にしましても、すでに第三空港という問題も出ておるわけですけれども、はたしてどの程度ここに投資をしたらいいのか、こういう企業としての投資効率の面から見て、はなはだ迷っておる側面もあるわけなんです。ですから、機能を強化したいということをおっしゃるわけですけれども、量に限界があるとすれば、そういう問題もやはり当然出てこようかと思うのです。  ですから、局長にお伺いしたいのですが、その点で成田の限界ということはお認めになりますか。
  77. 手塚良成

    ○手塚政府委員 先ほど申し上げておりますように、滑走路三本といいますか、主滑走路二本におきます限界というのは、一応予想はされます。したがって、そういう意味での限界は当然ある。しかし、それから先がどうなるかということによって、この成田空港自体の価値が下がるものとは私ども考えておらないわけです。一つ空港で処理できる能力というのは、面積だけをどんどん広げれば幾らでも能力が上がるというものでもございません。これは管制のやり方あるいは飛行機の運航のしかたというものがございまして、これは量がふえていけばある程度複数空港にならざるを得ないということで、大臣のおっしゃる空港群というようなお考えも、そういうような意味合いを言っておるかと考えます。ヨーロッパあるいはアメリカ等における首都の周辺におきましては、二つないし三つというのが現状の姿で、さらにそれではカバーできないということで第三、第四というような空港がニューヨークやロンドンあるいはパリというようなところで考えられておるわけでございまして、そういう意味におきまして、いまの航空需要の伸びから見ますと、それはやはり空港群というような考え方で進まざるを得ないのではないかというように考えております。
  78. 木原実

    木原委員 時間がないので、終わりにしたいと思いますけれども飛行場群の話が出ました。大臣もそうおっしゃいました。東京周辺で第三、第四の空港考えていかなくてはならぬというわけですが、どうですか、内陸分野でそういうところが具体的にいまから想定されますかね。関八州は広いわけですけれども成田方式をとれば、新幹線その他の方式をとる、あるいは局長おっしゃるように、VSTOLというような方式も将来採用するのだということになれば、これは地理的距離よりも、時間的距離で考えるということも成り立つわけですけれども、おおむね十年ということになりますと、成田が大体七、八年かかっておるわけですから、具体的な計画に入らなくてはならぬと思うのです。どうも東京周辺、少なくとも三十キロ、四十キロのところにはまず考えられませんね。そうしますと、これはやはり内陸を考えますか、大ワクでどうですか。
  79. 手塚良成

    ○手塚政府委員 具体的にどうという計画は、先ほど申し上げましたように、需要の想定から始めまして、現在次期五カ年計画というのを検討中でございますので、どうということを具体的に申し上げにくいのでございますが、考え方の基調といたしましては、先ほどのお話にもありましたように、飛行場というのは、単に地べたがあるだけではぐあいが悪いので、やはり一定の空域というものと一体にならないと、飛行場用地をきめるわけにいかない。そういたしますと、関東平野の西側には、御承知の軍用四飛行場というのがあって、そちらに空域が占有されておる。東京湾一帯につきましては、羽田空港というものが占有をしておる。それから関東平野の北の方には、御承知の百里飛行場という軍用飛行場があって占有されておる。そういったことで、実は成田飛行場もああいった位置にきめざるを得ないということになったわけでございます。そういう観点から考えますときには、この空域と地面とが一体になっておるという用地をあらためてさがすのは、なかなか困難ではなかろうかと思います。しかしながら、関東地域におきます航空需要というのがふえますので、そこをどういうふうに考えるかということを、今後十分検討してきめていきたいと思います。
  80. 木原実

    木原委員 私が一番心配するのは、そういうことだから、二千五百を、せめて四千までとはいかないでも、三千とか三千三百、三千五百ぐらいまでに延ばして、もう少し成田の需要を伸ばしたいという考えは当然出てくると思うのです。しかし、局長は、二千五百メートルの滑走路については拡張はしない、これは繰り返し確言をなさっているわけですけれども、しかし、これは先のことはわからぬという問題があるわけですね。空域その他の問題あるいは地面の問題も含めまして、東京周辺にはなかなか適地は見出しがたいという条件はわれわれも容易にわかるわけです。だから、その際に、当然二千五百まであるのだから、あと五百か八百か延ばせばかなり量の面でのさばきもできるのではないかという心配があるから申し上げるわけですが、そうしますと、成田は、二千五百は、かりに一期工事がそういうことであっても、二期工事でとどめる考えでございますか。
  81. 手塚良成

    ○手塚政府委員 先ほども御説明しましたように、かりに三千にしたとしましても、能力的な問題としては、そう格段にあがるものではないと思うのです。私どものいまの需要予測からいたしますと、そんなものではとても片がつかないと考えておりますので、いまの二期工事については基本計画どおり実施をしていく、かように考えております。
  82. 木原実

    木原委員 もう一つ伺っておきます。これは公団総裁のほうにお伺いしますけれども、油の関係はどういうことでございますか。供用開始後の例のパイプラインの問題、給油の施設の問題、見通しはどうでございますか。
  83. 今井栄文

    今井参考人 パイプライン並びに給油基地にあるいろいろな施設については、すでに実施設計を発注いたしておる段階でございます。また千葉の出州の埠頭に給油基地をすでに、昨年の三月ですか、千葉県から買収を了しまして、なお、場内に設置する給油施設についても、すでに用地を確保いたしてあるわけであります。ルートにつきましては、私どもとしてはすでに決定いたしておるわけであります。これは地元方々と十分お話し合いをするという問題もまだございますので、現在どこをどう通るということを公表するわけにはまいらないということを、御了承願いたいと思います。
  84. 木原実

    木原委員 そうしますと、給油のパイプは、たとえば道路の下に埋めるとか、あるいはこれはほかのいろいろな関係が出てくると思うのですが、パイプは道路その他とは全然別に、千葉港から成田までつなぐ、こういう御構想でございますか。
  85. 今井栄文

    今井参考人 道路とは全然別に、私どもとしては地下埋設で二本でジェット燃料を運んでいくという考えでおります。従来でも八戸から三沢基地についてはジェット用燃料を地下パイプで運んでおります。それからまた、新潟から東京までは天然ガスを相当長距離に地下パイプで輸送しておる、こういう状況でございまして、三陸沖の地震あるいはまた新潟沖の地震等においても給管についての被害は全然なかったということでございまして、私どもは、今後そういったルートにつきまして、それぞれ関係地元の市町村の方とお話し合いをするわけでございますが、安全性の点については私どもは十分な確信を持っております。
  86. 木原実

    木原委員 それともう一つ、この油の供給につきまして、これに参加をする企業その他については、もうすでに選定が行なわれているのでございますか。
  87. 今井栄文

    今井参考人 公団法で空港の機能施設は公団が直営するというたてまえになっておりますので、出州の給油施設あるいはパイプライン並びに場内の給油施設というものは、すべて公団が直接管理運営いたします。ただ、飛行機に給油するいわゆるウイングサービス、こういったものは多数の作業員を要するものでありますので、こういったものまで公団が職員をしてやらせるかどうかという点については、若干問題があると思うのであります。したがいまして、かりにウイングサービス程度のものをどこかに委託するという問題はあるいは将来起こるかもしれませんが、これについての業者その他については何ら決定をいたしておりません。
  88. 木原実

    木原委員 あまり時間をとりましたので、もうこれで終わりたいと思います。ただ、いろいろお伺いをいたしましたが、四千メートル一本ができ上がるという見通しであるわけでありますけれども、なおたくさん問題が残っておると思います。先ほど来私が申し上げましたように、この飛行場が、かりに四千メートル一本が来年の春完成をするとしましても、御案内のとおり、これは地元には非常に大きな犠牲があったわけであります。ですから、繰り返し申し上げるようでありますけれども、この教訓をぜひ将来に生かしてもらいたい、こういうことが一つでございます。  それから、この問題の処理にあたりましても、これは明らかに申しまして、公団のほうも、ともかく政府指示でやるのだ、これは当然でございますけれども、やるんだやるんだで押していくのはいいのですが、飛行場なんというものは、地元の者にとっては迷惑なんです。成田飛行場ができて、成田は世界の成田になるんだというようなPRも地元にはあるのですけれども、そうじゃないと思うんです。地元には、帰するところ、騒音その他も含めて公害というものが残るだけでありまして、鉄道を通す、駅をつくってやる、地元が発展するからありがたく思えというようなものの性格とは、根本的に違うと思うのです。ですから、総裁も局長も、地元民との協力ということをおっしゃいましたけれども、協力という進め方の問題については、これから将来の問題としてひとつやり方を重々改めてもらいたい。協力を求めるならば、地元人たちの犠牲の大きさということについてもう少し配慮を賜わりたいと思うのです。そうしませんと、代替地をつくってやったあるいは転職の世話をした、いいじゃないかというわけにはまいりません。そこで何代も何代も生活をしてきた生活環境が一変するということで、経済的には報われたとしたって、精神的には失うものが大きいわけですから、そういう配慮がなければ、おそらく第三空港もたいへんなことになるのではないかという感じがいたします。  そういうことについての十分な御配慮と、それから私は成田空港については、なお政策上の問題は残るような感じがいたします。これは政策問題として今後われわれの意見を申し述べていきたいと思いますが、問題は、一期工事から二期工事に移る段階、その点でまたあらためて地元反対をしておる人たちとの何らかの形の接触がなければならぬと思うのです。そのことも含めて、二期工事に移る段階での政府側の対処のしかたについても、いまから十分な御検討をお願いしておきたい、こういうふうに考えるわけでございます。  最後にひとつ政務次官から御感想を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  89. 山村新治郎

    ○山村政府委員 種々の御指導ありがとうございました。先生おっしゃられましたように、この成田空港にいろいろな問題が生じましたが、これを参考意見としまして、今後の新しい空港建設の場合には、それに取り組んでまいるつもりでございます。また、現在の反対派方々に対しましても、いままでにいわゆる賛成してくれた農民の方々と何ら変わりのない種々の処置を講じてまいります。そして同時に、地元住民の利益をまっ先に考えてこれに当たっていくつもりでございます。
  90. 木原実

    木原委員 これで終わります。
  91. 菅太郎

  92. 土井たか子

    ○土井委員 続きまして、私は基本的な問題について少々お尋ねいたしたいと思います。いままでにもすでに触れられました問題につきましても、重複する向きがあるかと存じますが、その点は御了承をお願い申し上げたいと思うのです。  まず新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案、この法律案を見てまいりますと、附則の2に「この法律は、昭和五十四年三月三十一日限り、その効力を失う。」とございます。いわゆる時限法でございますね。この十年間という期限を限られました理由と申しますか、根拠と申しますか、それをまずお尋ね申し上げたいと思います。
  93. 大石八治

    ○大石政府委員 十年という数字でございますけれども成田空港をこの地区につくらなければならぬという事態に応じて、その飛行場をつくるために当然しなければならない仕事として、そこに直接の関連事業ないしは関連の関連事業というものが起きてまいりますので、それを地方の自治体でやっていただくという現象、それに対しては、いままでのようなやり方ではなしに、ある程度国なりが特別の財政援助をしてやっていこうという考え方でこの法律ができたわけでありますので、私どもの大体の考え方では、この仕事自体は昭和五十年ぐらいに関連整備事業のかなりのものが進むだろう。しかし、たとえば土地改良事業のようなものはもう少し残るんではないかというふうに考えて、大体十年ぐらいを思っていけば、いま計画になっております仕事は進み得るものという想定の上に十年と、こうなっているわけであります。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 そういたしますと、航空局長から、空港のキャパシティーは羽田の十一万五千回に対して二十六万三千回くらい、それで飛行機の大型化、高速化という状況から見て、大体の見通しとしては、供用開始後約十年ぐらい使用可能だというふうなことをおっしゃっておりますし、それからさらに、航空政策研究会の発言によりますと、この航空局長のおっしゃった御意見よりもさらに少なく、十年間の使用には耐え得ないというふうな御指摘がございます。そういたしますと、どうも周辺整備が、いまおっしゃったとおり、あらまし完了いたしましたときには、空港本体自身はもうすでに使用に耐え得ないというふうにも考えられますので、どうも整備完了の後に使用に供されるというのが一般の順序だと存じますけれども、整備が完了した時点で使用に耐えられないということでは、つまり供用期間中は常に整備が行き届いていないという状況を認めることにもなるわけでございます。この点、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  95. 大石八治

    ○大石政府委員 まあそういう部分はあるかと思うのですが、全部一切整備が終わって初めてお使いくださいというほど、余裕は実際問題としてはないので、そういう事象は私はあると思いますが、先ほど申し上げましたとおり、かなりの部分というものが昭和五十年程度のうちに、実質上もっと早くするものもありますが、しかし五十年ごろまでにはいわゆる整備計画事業の分はいくだろうというふうに私どもは思っているわけです。ですから、一切が完了して、整備も何も済んでしまって初めて飛行場供用開始をしていただくというふうにはまいらない事態であろうということは、御指摘のとおりであります。
  96. 菅太郎

    ○菅委員長 手塚航空局長から補足説明いたします。
  97. 手塚良成

    ○手塚政府委員 ただいまのお話で、私の理解が違うかもしれませんが、十年たったときにこの空港がだめになるという意味は、全然使いものにならぬという意味ではございません。先ほど来申し上げておりますように、関東空域全体のキャパシティーをカバーしますのには、空港群的な考え方をしなければなりませんので、その中で羽田、成田というのは重要な飛行場ということで、容量一ぱいがそのまま将来使われていく、こういうことになると考えます。その意味で、いまの関連事業の問題につきましても、実は関連事業の中にいろいろ種別がございますのは、もうすでにおわかりのとおりで、直接この飛行場をつくるについて必要な工事、それからややそれよりは間接的なもの、さらにはその地域振興のための事業、こういうふうな三つの大きなカテゴリーに分けられるかと思います。いま政務次官の御説明にありました十年までという内容のものは、主として地域振興的な意味のものでございます。これらもできるだけ早いほうがよろしいかとは考えますけれども、事柄の性質上、諸般の事情でそういった時期まで延びるものも幾分かある。しかし、一応現段階における計画としては、おおむね五十年ごろをすべてのものの完了の予定時期、計画目標時期、かように考えながら進めております。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 この空港本体自身が十年ぐらい先まで使えるといたしましても、一応国際空港でございますから、国際級の空港であるという点を考えてまいりまして、やはりこのままではいかないだろうという予測が大体立つものでございましょうか、どうでしょうか。
  99. 手塚良成

    ○手塚政府委員 御質問の御趣旨にちょっとはずれておるかもしれませんが、いまの羽田の空港をごらんいただきますと、これはすでに十年以上使っておるわけです。その間ターミナルビルなどは少しずつ増改築をして、いまのような煩瑣な離発着の多い旅客の扱いを十分にカバーしてやっておるわけであります。今後もこういった状態は引き続いて行なわれると思います。しかし、その問いろいろ離発着いたします機種等の変更によりまして、そういった施設的なものは変更されますけれども、羽田のごときはおそらく未来永劫に重要な国内空港ということで使われていくと思います。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御説明の趣旨から考えましても、どうも成田空港自身が、今後拡張計画はないというふうなお断わりにもかかわらず、地元人たちや市町村からいたしますと、何かこれは拡張されるのじゃないかという心配が常につきまとっているようでございます。そういうふうな問題からいたしまして、最近御承知のとおりに、あのアプローチエリアの建設について地元でいろいろな疑義があるようでございます。すでに公団のほうでは昭和四十二年の一月に空港用地について一千六十五ヘクタールということを言明なすっているのに対して、四十四年十月三日に、誘導灯や、これは無線標識なんかの施設のための用地でございましょう、アプローチエリアについて百十七ヘクタールの工事実施計画を発表なすっております。ところがそれに対して、先ほど千葉県会のほうで友納県知事が、三月十三日の議会で小川県会議員の質問に答えまして、公団が発表するまでアプローチエリアの幅であるとか長さなどは知らされなかったというふうな答えをしているわけでございますが、アプローチエリアというのは、空港には当然必要なもので、三里塚空港建設決定から、実は必要なものであるのならば、これは早期にそういう建設計画というのは発表されるべきでございますし、この一千六十五ヘクタールの認可を公団が四十二年の一月に言明した当時に、すでに明らかにされていなければならなかったはずが、三年近くも経過して、そのアプローチエリアの具体案が決定されたということでございますので、一そう、こういう今後拡張はしないという言明にかかわらず、拡張されるのではないかというふうなことが現地では心配の種になっているようでございます。その間のいきさつについて御説明賜わればけっこうだと存じます。
  101. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、このいわゆる進入灯用地、これは航空機の安全運航確保に必要不可欠なものでございます。そして、先生いまおっしゃいましたが、これに対して何らの交渉もしてなかったのかというようなことでございますが、私が聞いた範囲では、空港公団におきまして、いわゆる空港用地を持っておる方とこのいわゆる進入灯用地を持っておる方とダブっておる方が数多くございまして、その方々と随時いろいろな交渉を進めておった。そして、これは発表がなかったということでございますが、そういうわけで県のほうへは——私は公団と県のいきさつは詳しいことはわかりませんが、とりあえず公団側としては一応交渉し、そして取得に当たっておった。そして先生御心配の、空港拡張というようなことなどは、結局全然考えないということなんでございますが、それがその進入灯の用地の問題が出てきて、拡張につながるのではないかという御心配をかけたことは、これはおわびいたします。  あとこまかいことは公団総裁からひとつ。
  102. 今井栄文

    今井参考人 政務次官からいま詳しく御説明があったのですが、若干補足させていただきます。  というのは、新聞で、保安施設用地について公団考えていなかったんじゃないかというふうなお話でございますが、これは全くの荒唐無稽なことでございまして、家をつくるのに入り口を考えないということは、設計上あり得ないわけでございます。ただ、問題は、先ほど木原先生の御質問の最後にもお答えいたしましたが、私ども滑走路末端から千百メートル、幅三百メートルという区域について保安施設を設置したい。先生指摘のように、保安施設用地の中には進入灯並びに航行援助施設であるILSのミドルマーカー、こういうようなものを設置する予定でおるわけでございますが、この事業認可を大臣からいただきましたのが、去年の秋でございます。したがいまして、正式に事業認可のある前に、正確な面積を発表することはできないわけでございます。しかし、すでに私ども公団計画としては、いま申し上げましたように、また政務次官からもお話がございましたように、千百メートル、三百メートルという範囲で、もう数年前から地主さん方とは折衝いたしておるわけでございます。地主さん方も、特に四千メートルの滑走路については、北のほうの部分においては、敷地内の地主さんとほとんど同じであるというふうなことで、すでにほとんど大部分の施設用地を、北の部分については買収を終わっておるのが現状でございます。  なお、南につきましては、先ほどお答えいたしましたように、芝山町、反対の非常に強いところでございます。これに対しては、鋭意私どもとしては買収努力をいたしておるわけでございます。  ただ、保安施設というものは、空港敷地とは若干土地の性質が異なりまして、保安施設を設置する個所を取得すれば、実際問題としてはいいわけでございます。しかしながら、私どもは先ほど局長からお話がありましたようなICAOの飛行場の基準としては、非常に高いものをつくるというたてまえで建設しておりますので、できれば長さ千百メートルの保安施設用地を確保したい。現在主力を注いでおるのは、四千メートルの滑走路の両端、こういうようにお考え願いたいと思います。
  103. 土井たか子

    ○土井委員 重ねてお伺いするようなぐあいになるわけですが、そういう高い機能性を発揮する空港計画をお持ちになっているにもかかわらず、当初空港用地について発表なすった当時に、このアプローチエリアの問題が入っていなかったということを私聞くわけでございますが、その間のいきさつはいかがでしょうか。
  104. 今井栄文

    今井参考人 空港計画としては当然に入っておったわけでございます。ただ、大臣事業認可の時期が若干ずれたということでございまして、公団空港保安施設をつくるには、当然保安施設用地は当初から頭に入れて計画をつくっておったわけでございます。
  105. 土井たか子

    ○土井委員 それでは事業計画に対する大臣の認可がおくれたというふうな事実は、土地収用法できめられております事業計画に重大な変更があるという問題にひっかかりはしませんでしょうか、いかがでございますか。
  106. 今井栄文

    今井参考人 現在私どもは、敷地につきましては、千六十ヘクタールについての全体の土地収用法事業認定を昨年の暮れに受けたわけでございます。保安施設用地については、私どもは、必ずしも事業認定を受けて土地収用法による収用というようなことは、実は現在考えておりません。できるだけ任意買収でいきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  107. 土井たか子

    ○土井委員 それではこの問題につきましては、土地収用法の適用外というふろに認識いたしまして、ようございますね。
  108. 今井栄文

    今井参考人 土地収用法の規定では、飛行場並びにそれに必要な保安施設というものは、別に収用の対象になるというふうに書いてございます。したがいまして、私どもは、必ずしも航空保安施設用地を将来ともに土地収用の対象に考えるかどうかという点については、まだ決定をいたしておりません。やろうと思えばやれるわけでございます。しかしながら、先ほどお答え申し上げましたように、私どもは、保安施設用地はできるだけ任意買収でいきたいという線で、現在進めているわけでございます。
  109. 土井たか子

    ○土井委員 重ねてお伺いするようなぐあいになりますが、その任意買収で確保できるというめどは立っておるでしょうか。
  110. 今井栄文

    今井参考人 私どもの現在の判断では、大体において任意買収で確保できる。というのは、すでに北の部分はほとんど契約完了、あるいはまた調印というふうなことでございまして、四千メートルの南に主力を注ぐ。むしろそれ以外に、第二期工事関係についていうと、二千五百メートルの両端、あるいは三千二百メートルの両端の部分については、地主さんのほうから買ってほしいという御要望が出ておるわけであります。私どもは順次こういった方々から買っていきたいと努力しております。
  111. 土井たか子

    ○土井委員 私の聞きましたところによりますと、北のほうはともかく、南のほうでたいへんに反対の意見が強いと伺っております。このアプローチエリアの土地の獲得にいたしましても、実は南の地区のほうが難儀になるのではなかろうかというふうに考えておりますが、南のほうについても、同様な見通しを持って土地収用法を適用しなくても、任意買収でやっていけるという確信をお持ちになっていらっしゃるわけですか。
  112. 今井栄文

    今井参考人 先生の御指摘のように現在では考えております。というのは、芝山地区におきましても、従来非常に強い反対をしておられた方々の中で、集団で代替地を県にあっせんしていただければ、場合によっては移ってもよろしいというふうな動きが現在出てきておるわけでございます。私どもはそういった方々お話を十分お伺いして、御趣旨に沿うような措置を講ずることで、必ずしも買収は不可能ではないというふうに見ておるわけであります。
  113. 土井たか子

    ○土井委員 そういうふうな方向でおやりになって、大体このアプローチエリアを確保するについては、何年くらいを目標に見ていらっしゃいますか。
  114. 今井栄文

    今井参考人 私どもとしては、少なくともこの秋くらいまでには用地を確保できるのではないかというふうに考えております。四千メートル滑走路の北のほうは早く用地が手配できるわけでございます。ただ、それに設置する機器類につきましては、当然それ以前にすでに発注をいたしますので、用地を確保すれば、それの据えつけは、それほど長期間かかるわけではございません。
  115. 土井たか子

    ○土井委員 この問題につきましては、かつて公団のほうで、富里空港の建設用地として二千三百ヘクタールの敷地が必要だということを発表なさったが、そちらのほうではなく、今度は三里塚のほうに移りまして、計画内容が当初千六十五ヘクタールということになったわけでございます。それだけ縮小されたということで、地元人たちは、どれだけ空港の持っている機能性が発揮できるかというようなことで、十年先、十五年先というものを考えますと、この三里塚の空港は、やがてなしくずしに拡張されていくのではなかろうかという心配を、たいへん持っているようでございますから、その点に対してやはり危惧を招かないような配慮というものが必要だと存じます。  そこで、いまの土地収用法を適用しない、あるいは適用するというふうな問題につきましても、はっきりした御態度で臨んでいただくことが、この際、私は必要なようにも思われますので、その点をどういうふうにお考えになっていらっしゃるかということを、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  116. 今井栄文

    今井参考人 先ほどお話し申し上げましたように、保安施設用地というものは進入灯並びに航行援助施設のある種の施設をつくるというふうなことでございまして、必ずしも全体の面積を確保しなければ施設ができないというものではないわけでございます。したがいまして、敷地内の用地買収よりは、買収自体、あるいはまた借地でもってやってもよろしゅうございます。そういうふうな関係で、交渉に柔軟性があるということが一つでございます。  それからもう一つは、航空法の関係で類似灯火その他の規制、土地収用法によらないでも、ある程度航行の安全を確保するための制約を航空法自体が持っているわけでございます。したがいまして、私どもは現状においては、あくまでも任意買収でやっていくというつもりでおりますし、その可能性もあるのではないかと考えております。
  117. 土井たか子

    ○土井委員 いろいろ空港本体自身について、さらには周辺整備について、これは空港の機能が十分発揮されるように、また交通の安全性を確保するように考えていくことが、私は重点の一つだと思いますが、しかし、この周辺整備の問題を考えていきました場合に、周辺に住んでおります地方住民の立場として問題になってまいりますのは、やはり命と暮らしを守るという立場から、騒音の問題でございます。周辺整備の内容でどの程度騒音の対策が講じられているか。実は私の選挙区は兵庫二区でございまして、地元にございます伊丹空港周辺の騒音公害の問題はたいへん深刻でございますから、そういうことから考えましても、あとに引けないような気がいたします。たいへんこのことに対して御留意いただいているらしく私は思うわけで、ただいまからその問題で二、三質問を申し上げたいと思うわけです。  いま各都道府県条例で、騒音規制の基準というのは、どういうふうに考えられておりますか。まずこの点から教えていただきたいと思います。
  118. 手塚良成

    ○手塚政府委員 都道府県条例で考えられております対象になります騒音というのは、航空機を除いた騒音というのが一応条例の対象になっておると了解しております。と申しますのは、航空機につきましては、現実問題といたしまして、騒音工場の規制のようなことが安全性との関係においてとることがなかなかむずかしい。あるいはまた飛行機の構造そのものから見まして、これをできるだけ制限するような措置がメーカーによって現在講ぜられつつありますけれども、それにも一応の限度がある。こういうことで、世界各国におきましても、この問題が相当問題になっておりまして、昨年の十二月、カナダのモントリオールで、航空機騒音規制といいますか、そういった会議が催されたわけで、いろいろ国際的にそういう問題の規制の措置を検討いたしております。私どもは、従来、騒音防止法というものでそういったものに対処する措置を一応講じておりますが、なお不十分な点は十分理解もいたしておるつもりでございます。規制の面につきましては、そういう国際的な安全性の観点というものを考慮しつつ、さらにそういった対策に万全を期していくというような方向で、この問題を処理したいと考えております。
  119. 土井たか子

    ○土井委員 いまの御説明によりますと、各都道府県の条例からは、航空機騒音というのが除かれているようでございますが、運輸省、建設省というのは、この成田空港の設置についても、航空騒音でどういうふうな調査をなすっていらっしゃるか、またどういうふうな資料を現在整えられて、対策を講じられつつあるのかという点について、重点的な御説明だけでけっこうでございますから、お伺いしたいと思います。
  120. 手塚良成

    ○手塚政府委員 騒音の問題は、先生の非常に御関心の深い伊丹の周辺等で、私どもはたいへんいま苦労をしておる最中でございます。あの辺では、騒音測定塔というものをつくり、羽田でも騒音測定塔というものをつくりまして、日々毎便についてそういう測定をいたしております。これらのことを実績といたしまして、新空港について現実的な対策を考えていこうということでございます。  この騒音の内容には、やはり気象、地形その他いろいろ実際的な面での関係が非常に深うございます。そういった気象条件あるいは地形条件といったものについては、現状を成田において把握いたしております。しかし、現実まだ飛行機が飛びませんから、これを具体的に騒音測定をしてどうするというところまではまいっておりませんが、いまの羽田なり伊丹で実際にやっております実例がまずそのまま当てはまる。むしろそれ以上に対策的なものはよけい考えなければならないということで、たとえばこの移転補償範囲などは、まだ事前ではございますけれども、相当拡大したもの等を考えつつある、かような次第でございます。
  121. 土井たか子

    ○土井委員 建設省のほうはいかがですか。
  122. 菅太郎

    ○菅委員長 建設省は答えることがありますか。
  123. 今井勇

    今井説明員 ございません。
  124. 菅太郎

    ○菅委員長 建設省はちょっと騒音に御関係ないです。自動車の騒音か何かなら別ですが。
  125. 土井たか子

    ○土井委員 いま御説明の趣旨からいたしますと、いま県の条例で航空機の騒音に対して取り締まるだけの措置が講じられていないということに対して、まず法律的措置というものが事前にどうしても必要だというようなお考えをお持ちになりませんでしょうか。
  126. 菅太郎

    ○菅委員長 自治省のほうから少し答えてもらいますか。
  127. 大石八治

    ○大石政府委員 今度の成田空港に関連しましては、もちろん騒音自体は航空機騒音防止法、それでやってもらっているわけであります。ただ、非常に騒音の問題もありますので、これは公団自身が、そこからほかに移りたいという希望者に対しては、いわゆる代替地を与えているようなやり方で、その仕事をやっているわけです。もう一つ、今度つくろうとする法律では、ある意味で騒音地帯に対する一つ考え方として、いわゆる作業能率その他のいろいろの面で阻害されることもあろうという意味で、土地改良事業を特別の財政援助をもってやっていこうというふうに考えているわけであります。
  128. 土井たか子

    ○土井委員 いま最後に述べられました土地改良の問題というのは、騒音対策とは少し私は別のようにも考えるわけでありますが、一応、現在公団であるとか県の現状での騒音対策が、いま御説明になりましたように、公共建築物に対する防音施設であるとか、さらには騒音被害地域の移転の問題であるとかというふうなことが、一般的に考えられてきているようでございますけれども、特にこの成田空港についてお考えになっております具体的な防音対策について、何かございましたら御説明いただきたいと思います。
  129. 今井栄文

    今井参考人 防音につきましては、先ほど航空局長からお話があったわけでありますけれども、また大石自治政務次官からお話がございましたが、根本的には、航空機の騒音防止法というものがございまして、一定の騒音の本体に基づきまして、学校、病院あるいは保育所、そういうふうな施設に対する防音工事あるいはまた新築というふうなことを考えておるわけでございまして、その敷地に住んでおられる方々に対しましては、敷地を買い上げるあるいは宅地を買い上げるというふうな措置を講じて、御希望がある方々からすでに数十町歩にわたって私どもは騒音地区の買い上げをやっておるわけでございます。それからまた、飛行場周辺の防音につきましては、防音林を設ける。これは国際的にもあまり類例のない措置でございますが、そういうことによりまして、できるだけ周辺方々の騒音による犠牲を少なくしよう。  それからまた、これは別の問題でございますが、そういうふうな公共施設あるいはまた周辺に住む方々に対する防音装置ということでなしに、現在県のほうで、県知事を中心にしまして、個人の住宅についても今後県としてどのような施策を講ずるかという検討を、いろいろいたしておるわけでございます。で、千葉県は相当巨額な経費を使いまして、昭和四十三年に、羽田の滑走路の先端約一千二百メートルの地点で防音装置をした一般民家を建てまして、その防音効果の測定を現在でもいたしております。これは非常に効果があると思う。十五ホンないし多いときには三十ホンぐらい、中におるのと外におるのとでは違うというような結果が出ておるようでございます。  それからまた、先ほど申し上げました反対の強い芝山町につきましては、すでに先に用意いたしました約二十ヘクタールにわたる広い地域に住宅団地を県がすでに確保いたしておりまして、芝山町の騒音区域に住宅を持って、そこで生活することが日常非常につらいというふうな方々に対しての移転に備えておられるわけでございます。県知事もしばしば県議会等で発言しておりますが、単に公共施設のみならず、周辺の個人の住宅についても何らかの手を打っていかなければいけないというふうな面で、非常に御熱心にやっておられるというふうに伺っております。
  130. 土井たか子

    ○土井委員 防音林も私は必要なことだとは思いますが、しかし、防音林で防げるのはエンジンテストだとか、滑走中の飛行機音でございまして、飛んでおります飛行機音までも防ぐというわけにはいかないと思うのでございます。それで、被害の最大のものを考えてまいりますと、実はこれは飛んでいる飛行機の飛行機音でございますから、これについてどういうふうに防いでいくかということが、実は騒音防止の上では一番大事な問題ではなかろうかと私は考えるわけでございます。  そういうふうなことからいたしまして、騒音対策の問題点というのをさらに進めてまいりますと、飛行機音による被害地帯をどうするかというのが、実は重点的な問題になるようでございまして、現に伊丹空港周辺の場合を取り上げましても、飛行機というものは風向きによって旋回コースだとか飛行範囲が変わってまいりますので、その対策の立て方もそれによって変わってまいります。  そこで、お伺いいたしますが、成田市街地に対して、大体騒音地帯というふうな地域をどの程度考えになっていらっしゃいますか。
  131. 今井栄文

    今井参考人 特に成田市街地の問題でございますので、航空局長にかわって私がお答えいたしますが、成田市街地は、四千メートル滑走路の進行方向に対しまして西へ約三・五キロ離れておるわけでございます。三・五キロ離れておりまして、航空機の騒音は成田の市街地において約六十ホンないし七十ホンというふうに計算されております。現在成田市街自体の騒音は大体六十ないし七十ホンございますので、市街地自体に対しては、いまの成田空港から飛び立つ、あるいはまた空港に着陸する航空機の騒音は、必ずしも大きな影響は持たない、かように考えております。
  132. 土井たか子

    ○土井委員 そういたしますと、県の騒音基準というのは、これは航空機の騒音というのは除くことになるかとも思いますが、夜間住宅地で、千葉県の場合、五十ホンのようでございます。そこで、知事はその基準確保の義務というのは、当然条例のほうに対してその範囲内であるわけでございますが、いまの航空機の騒音も、騒音は騒音でございますので、こういう問題に対して、一体公団のほうではどういうふうな処置をお考えになっていらっしゃるか、あるいは自治省あたりではどういうお考えでこの問題に臨まれるのか、その辺を少し伺いたいと思います。
  133. 長野士郎

    ○長野政府委員 騒音の防止という問題につきまして、私いまちょっと詳しいこと覚えておりませんが、飛行機の関係は、たしか県の取り締まりの対象から、先ほど航空局長も申されましたけれども、除外されておるのではないかと思います。
  134. 手塚良成

    ○手塚政府委員 基本的には、先ほども申し上げましたように、条例の内容と同一なものに持っていくということは、現段階においては、これは事実上物理的に不可能だと思っております。しかし、それに対応するような措置といいますか、たとえばこれは騒音防止法にもございますが、第三条による航行の方法の指定、つまりそういった人家に近いようなところはなるべく飛行経路からはずすというようなことでありまして、いま具体例をおあげになりました成田市等につきましては、そこまで行かないうちにできるだけ早く旋回をして海に出る、かような方法をとらせたい。これは羽田におきましても、現実にそういうふうな措置をとっておりますので、これは言いにくいことですけれども、伊丹あたりとはよほどそういう騒音の被害が違うかと思っております。したがって、そのような方法をとるあるいは夜間の時期におきましては、現在羽田、伊丹両方とも深夜のジェット機の飛行禁止を原則としてとらしております。そういうようなことを考えつつ、できるだけ騒音の被害を減少させる。なお、それでカバーできないという面がやはりあるわけでございますので、それは先ほど来先生の御指摘のような、学校の防音工事をやる、あるいは共同利用施設をつくる、あるいは移転補償その他をやる、こういう法律にきめられた措置を重点的に対策としてとっていく、かようなことだと考えております。
  135. 土井たか子

    ○土井委員 公共施設に対しての防音装置の問題であるとか、それから移転に対していろいろ処置を講ずるというふうな問題、これは確かにいままでとられてきた措置でございますが、やはりそこにはまだあとに残っていく問題がありまして、たとえば個人のいろいろな住居に対しての騒音というのを防止するところまではなかなかいかないわけでございますから、そういうふうな問題なんかを考えていきますと、やはり成田空港設置については、既成の空港で引き起こされてしまっております騒音公害というものに対して、これを徹底的に調査をして、どういう点に対してどういう措置を講ずるかということを、ひとつここで厳密に施策として講ずる必要があると私は思うわけでございます。そういう点から考えますと、いまの条例ではそれはすっぽ抜けてしまっておりますし、それに対して具体化していくところの法律がまだ具体的に制定されておりませんし、まさに心寒い気がするわけでございます。今後成田空港周辺整備について考えれば、私は、住民の立場からすれば、何としても気にかかるこの騒音公害の問題に対して、どれだけ誠意ある政策を講じられるかということは、住民の空港設置に対しての協力をお考えになる際にも、抜かしてはならないたいへん大事な問題だと私は思います。そこでかねて運輸大臣の答弁の中に「防音ばかりじゃなくて、その他の補償制度に対する航空法というものの改正を出さなければならなかったのでありますが、現在までの実績では大蔵省がうんと言わなかったのですよ。ほんとうはそこで私がさっき言ったように、今後は、そういうふうな子供が勉強できないようなことを国がやっておきながら、いかに公共事業であっても、個人の人権を無視するようなことはやっちゃいかぬのです。十分愛情を持ち、涙を持たなければならない。あるいは学校の子供が勉強できないような騒音を発しながら、おれのほうは知らぬというような、そういう人権を無視したようなお考えであってはならぬと思うのです。」というたいへんりっぱな発言がかつて運輸委員会の中であったわけでございますが、こういうふうなことからいたしましても、また憲法十三条に「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については」、「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」というふうなことがはっきりと定められているところからいたしましても、騒音対策を抜本的にここで立てるということは、私は法上要求されておる問題ではないかと思います。法律的措置あるいは条例的なこの問題に対する措置というものを今後進めます上で、十分なお考えをどうぞお進めくださいますように、ここでお願いを申し上げまして、私二つばかり大きな基本的な問題についてお尋ねをしたわけでございますが、質問を一応打ち切らさしていただきたいと思います。
  136. 菅太郎

    ○菅委員長 本会議散会後に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後零時五十分休憩      ————◇—————    午後二時二十六分開議
  137. 菅太郎

    ○菅委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。和田一郎君。
  138. 和田一郎

    ○和田(一)委員 先日は運輸大臣からお答えいただきました。きょうはまた具体的に聞いていきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  先日、運輸大臣にも質問いたしましたけれども、きょうは文部省の方もおいでになっております。それから政務次官もいらっしゃいますので、一つ最初にお聞きしたいことは、この間の立ち入り測量ですが、そのときに団結小屋のところで、竹矢来の中にあどけない子供たちがはち巻きをしてだいぶおりました。私はその反対、賛成の運動自体の是非を論ずるわけではなくて、そういう政治闘争の中に何もわからない子供たちを出していいものかどうか。私は、これは大きな社会問題だと思うのです。このことにつきまして、先日、運輸大臣は、実に遺憾なことである、今後全力をあげてそういったことは回避していきたいというお答えがございましたけれども、どうしてああいう状態になったかということ。これは運輸省側に、それからそれに対しての指導をどうされたかということを文部省の方にお答え願いたいと思います。
  139. 山村新治郎

    ○山村政府委員 先生おっしゃいましたように、小学生と年少者が多数参加しておった。ことにこれは、親について参加しておったということではございますが、一般的にいってまことに遺憾なことでございます。そして根本は、その親御さんが空港に絶対反対であるということでついてきておるということでございますので、運輸省といたしましては、反対しておる親御さんを説得する以外にないということで、適正な補償、また代替地の確保、職業転換、また騒音地区の買い上げ、また、もしその方たちが空港構内でできる仕事があればそれをあっせんしたい。運輸省としては、何はともあれ地元の住民の皆さんの利益を守るという線でこれを理解していただくように、何回も繰り返し繰り返し説得を続ける、その方針でいきたいと思います。このような事態が再び免じることがないように、今後一生懸命努力していく、これが運輸省の方針でございます。
  140. 徳山正人

    ○徳山説明員 反対同盟が、成田市及び芝山町に在籍いたします児童生徒の同盟休校をいたす旨宣言いたしましたので、文部省といたしましては、その宣言を聞きました。二月十七日、二日前でございますが、千葉県教育委員会に対しまして、子供を紛争に巻き込んで学業を放てきすることは許しがたいことである、また子供を危険な状況下に引き入れることは絶対にやめなければならないということで、そのような事態が発生しないように万全の措置をとるように指示いたしております。千葉県教育委員会及び関係両市、町の教育委員会は、反対同盟の子弟が在籍いたします学校、これは小学校が六校、それから中学校が三校でございますが、この教職員を動員いたしますとともに、県教委の職員も繰り出しまして、それぞれの親たちの説得全力を尽くしました。前の晩のおそくまでいたしましたが、結果といたしまして、反対同盟の子弟のうちの約三分の一、百三名の児童、生徒が欠席しました。大体半分ぐらいは留守になったうちの留守番をいたしましたが、約六十名ばかりが団結小屋その他の現場におもむいた結果になりまして、まことに遺憾と思っております。まあ不幸中の幸いともいえますことは、いろいろな衝突事件等の事故がなかったことでございますが、二度とこのようなことの絶対起こらないようにということで、千葉県教委へもよく話しておりますし、また学校でも、事後の指導に力を入れまして、その後生徒間における感情の疎隔等はないように十分指導をいたしております。
  141. 和田一郎

    ○和田(一)委員 まず政務次官にお聞きしますが、いまのお答えされたところを見ますと、子供をどうしたかという問題はないのですね。それは長く続いている話なんですよ、補償をどうするか、防音をどうするかという問題は。しかしこれは、反対派方々は子供を動員するぞという宣告をされているわけですね。宣告されているそれに対して、子供さんのことについて文部省にまかせっきりか、空港側としては一体どうしたかということを私はお聞きしたい。いまのお答えですと、ずっと長く続いている、それだけにかぶせるような印象にとれますので、宣告、通知されてから、現実に出ちゃった子供、それをどうしてもとめられなかったという、そこのところをはっきりしてください。
  142. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま答弁したような線を運輸省としてはやっていくつもりでございますが、また同時に、今後は、先ほど文部省のほうからも話がございましたが、運輸省としては県だけではございませんで、市や町の教育委員会等を通じまして、そして理解していただき、そしてまた説得していく、そのような線で進んでまいる、そういうようなつもりでございます。
  143. 和田一郎

    ○和田(一)委員 今後絶対にこういうことのないようにひとつお願いいたします。これは大臣もはっきり言明されました。全力をあげてもらいたい。
  144. 山村新治郎

    ○山村政府委員 最大の努力を払ってまいります。
  145. 和田一郎

    ○和田(一)委員 それから文部省の方にお聞きいたしますが、今後も起こり得ると思うのですね。それから、この間出た子供たちが、いまどのような状態か、またその親たちのそういう闘争に対してどういうふうに思っているか、そういったところを、これは教育の技術的な問題になるかもわかりませんけれども、ひとつお答え願いたい。
  146. 徳山正人

    ○徳山説明員 ただいま千葉県が現地に出向きまして、学校指導を直接にやっております。そこで保護者に対しての啓蒙ということに学校側は非常に努力をいたしております。また、有線放送等を使いまして、この問題を子供にまで持ち込まないようにということもやっておると、報告を受けております。
  147. 和田一郎

    ○和田(一)委員 出た子供たちは、現在どのような気持ちですか。そういったことは忘れちゃって、一生懸命勉強していますか。それとも何らかの影響をそういうことについて受けておるかどうか。これは教育のいわゆる技術的な問題だと思いますけれども、その点おわかりだったら、お願いしたいと思います。
  148. 徳山正人

    ○徳山説明員 詳細にお答えするだけの材料を持っておりませんですが、学校の先生がそれぞれ感情的な疎隔等をほぐすための一生懸命の指導をやっておるということを聞いております。
  149. 和田一郎

    ○和田(一)委員 まさか、生徒の中で反対派、賛成派はないでしょうね。
  150. 徳山正人

    ○徳山説明員 いまそのような空気は学校内でなくしているというふうに、学校からの報告は参っております。
  151. 和田一郎

    ○和田(一)委員 なくしているというと、あったことはあったのですね。
  152. 徳山正人

    ○徳山説明員 ことばが足りませんでしたかもしれませんが、欠席が行なわれました直後には、やはりそういう空気があったんじゃないかと思われます。それに対する指導を行なった結果は、現在のところ効果をあげているというふうな報告でございます。
  153. 和田一郎

    ○和田(一)委員 今後絶対に子供たちをそういう闘争に巻き込まない。これが一つの口火になりまして、あちらこちらで子供たちが動員されたらどうなってしまうか、りつ然とせざるを得ないわけです。ですから、ひとつ文部省側としても、きょうはほんとうは大臣に来ていただきたかったのですが、代表でおいでになったあなたですから、全力をあげてそういったことのないように、反対、賛成の是非は私はいまは論じませんよ、子供たちが出たということについては、ひとつ全力をあげて今後ともに阻止していただきたいと思います。このことをあなたはもう一ぺん代表として決意を述べていただいて、あなたに対する質問はこれで終わります。
  154. 徳山正人

    ○徳山説明員 このような前例のないことが行なわれましたのは、まことに残念でございまして、今後絶対にこのようなことの起こらないように、私ども努力いたしたいと思います。
  155. 和田一郎

    ○和田(一)委員 次に移ります。  爆音の問題でございますが、これは先ほど土井先生からもお話がいろいろありました。大体言い尽くされたと思いますけれども、現地でこの間私つぶさに見せていただきましたけれども、爆音対策地区といいますか、滑走路の端から二千メートル、それから両側が幅員六百メートルというふうに、一つの爆音の対策地区ができておりますけれども、具体的にそういう地区に対しては、どういう手をお打ちになるのか、このことを伺いたい。
  156. 丸居幹一

    丸居説明員 先ほども局長が答弁いたしておりましたが、騒音防止法で、学校の防音工事に対する補助であるとか、あるいは共同施設についての補助であるとかいうふうなものはもちろんでございますが、やはり一番問題になりますのは、進入方面の直下が非常にやかましゅうございます。これに対して従来はもう少し狭い範囲で騒音防止法の関係はやっておるわけでございますけれども成田飛行場につきましては、それをもう少し広げまして、そうしてさっきから問題になっております滑走路の進入方向末端から二キロ、それから滑走路中心線から双方へ六百メートル、つまり二キロ、六百メートルの範囲について、その土地等の買い取りの要望のあるものについては、買い上げていくという処置をとろうということにしておるわけでございます。さっき言いましたように、学校の防音工事とかなんとかいうのは、二キロ、六百の範囲ということではございませんで、事実そういう問題が起こりました場合に騒音測定をいたしまして、ある規定の程度以上の騒音がその学校に及ぶ範囲につきましては、その防音工事を国で全額補助していくというふうな処置を講ずる予定になっております。
  157. 和田一郎

    ○和田(一)委員 時間がだいぶ詰まりましたので、ほんとうは騒音のことをゆっくりお聞きしたいのですが、あとへ譲りまして、先へ進みます。  次に、排気ガス対策なんですけれども、これは私個人的に知っているロケットの専門家ですけれども、この人なんかに聞きますと、現在羽田で、これは航空機が出す排気ガスですが、ものすごい汚染がある。さらに、ニューヨークかどこかの空港で、排気ガスに関する裁判ざたが起きている。それから、ジャンボが出す排気ガスというのはものすごいというのですね。こっちにはわかりませんけれども、それはものすごいんだということですから、想像を絶するくらいじゃないか。  先ほどの御答弁の中で、いわゆる防音林といいますか、騒音を防止するために木を植える。ところが、ジャンボであるとか、これからのSST等の吐き出す排気ガス、これの炭化物ですか、炭化水素で木が枯れるんじゃないか、こういうような心配もあるということを聞きました。よく見てみますと、空港のほうから出ておりますいろいろな計画書には、確かに排気ガス対策が書いてないですね。どこを見てもないんです。ところが、現実にニューヨーク空港ではもう裁判ざたにまでなっておる。こういうことで、ひとつこの点について、専門家の皆さん方からのお話を承れば納得できると思うのですけれども、ひとつよく教えていただきたいと思います。
  158. 丸居幹一

    丸居説明員 排気ガスの問題として一番問題になりますのは、一酸化炭素がどれくらい出るかという問題じゃないかと思います。これにつきましては、ジェット機の排気ガスの調査研究を航空振興財団が昭和四十三年度に実施したのでございます。その結果によりますと、DC8型機——いま国際線をジャンボが飛んでおりますが、この間まで飛んでおる飛行機では一番大きい飛行機でございます。それで実施したのでございますが、三時間で約百機離陸した場合に、滑走路の末端から五百メートルの地点で観測したのでありますけれども、一酸化炭素の濃度は三時間で一・五PPMの持続しかないというような状態でございまして、一酸化炭素の点につきましては、ほとんど問題がないというふうに考えられるのでございます。  過日、米国のニューヨーク州から司法長官に、ケネディ空港において規定以上の排煙を出したということで、日本航空その他外国十一航空会社が告発されている事件だと思いますが、その内容は、いま申しましたように、排煙を出した、黒い煙を出したということで告発されたのでございます。確かに、飛行機が上昇しますときにはたいへん黒い煙を吐いて上昇するわけでございます。この黒煙を排出防止装置で防止するということにつきまして、いろいろ航空機製造メーカーのほうで研究しておったのでございますが、いま日本の国で飛んでおります727及びコンベア880、この二機種につきましてはスモッグレスコンバスターという装置を発明いたしまして、これをエンジンに取りつけますと、非常に燃焼がよくなって黒煙がなくなるということになります。これを現在取りつけております。そこで、日本航空におきましても、オーバーホールのたびごとにこの装置をつけて、現在727とコンベア880につきましては、そのうち全部これがつくようになってきております。全日空につきましても、そういう装置をいま取りつけ始めかけております。  ただ、さっき例にあげましたDC8であるとか707というものにつきましては、現在のところまだその装置についての発明が行なわれておりませんが、今度新しく入ってまいりましたジャンボにつきましては、騒音対策と同時に、排気ガスについてそういう配慮がすでに講じてあります。したがいまして、ジャンボにつきましてはあまり大きな黒煙を出すとかいうふうなことのないようにエンジンに配慮が加えてございます。
  159. 和田一郎

    ○和田(一)委員 黒煙だけじゃなくて、一酸化炭素であるとか、窒素酸化物、炭化水素等、これから入ってくるジャンボ等にはそういった害はないとおっしゃるわけですか。  それから、日本航空、全日空、これだけはいま何かつけるとおっしゃいましたけれども、それ以外の、外国から来る航空機に対しては、そういうことは残るわけですか。それについてひとつお願いします。
  160. 丸居幹一

    丸居説明員 ただいま申し上げました機種以外につきましても、ただいまそれについての検討が行なわれております。もうすでに発明されておるわけですから、これをどういうふうに取りつけるかということで、そうむずかしい問題はないと思いますけれども、近くその方法が検討されて、全部そういうことになっていくものと思います。それ以外の排気ガスにつきましては、全然無害であるとは言えぬかもしれませんけれども、ただいまのところでは、人体に影響があるとかなんとかという問題ではないというふうに、われわれは聞いておるのでございます。
  161. 和田一郎

    ○和田(一)委員 お聞きになっているだけで、あまり確信のなさそうな御答弁なんですけれども、この点につきましては、これから強力にひとつ推進をしていただきたいと思います。  時間がないので先へ進みますが、次に、建設資材の輸送対策でありますけれども成田空港周辺地区の輸送、これはいままでいろいろな議論を聞きましても相当に進んでおるように私は思いますが、その産地の交通はどうなるのですか。たとえば砕石を取り出しているところ、そういうところの交通はどうか、このことを非常に心配するわけなんです。過日も運輸大臣は、これは全力をあげて、ひとつ建設大臣と相談して、御迷惑のかからないようにやっていきたいということを述べられましたけれども、私はここで具体的に一つ一つ聞いていきたいと思います。  先日空港公団からいただいてきました「建設資材輸送計画表」というのがあるのです。これを見ますと、全部の資材が二千百二十六万トンというふうに書いてあるわけですけれども、この二千百二十六万トンの全資材というのは、空港だけなんですね。そのほか、成田に今度できるニュータウンであるとか、国道五十一号線であるとか、新幹線であるとか、排水路の工事であるとか、これから成田空港ができるにしたがっていろいろな建築需要が起こるわけですが、それは載っかってないのです。ですから、非常にばく然とした姿でしかつかめないのが現状なんです。建設省当局としましては、このことについては、大体量はおつかみになっていらっしゃいますか。建設省のほうにちょっとお聞きしたい。
  162. 今井勇

    今井説明員 いまお述べになりました以外のもので、私ども特に大量の資材が要ると思われますのは、東関東自動車道の千葉成田線の改築工事根本名川改修に伴いますもの、それから成田ニュータウンの建設に伴いますものの三つであろうかと思います。東関東自動車道の千葉成田線の資材につきましては、おおむね三百八十五万トン程度のものを見込んでおります。根本名川につきましては百九十三万トン、成田ニュータウンにつきましては七十三万トンほどの数字を見込んでおります。この読み上げました数字の中には、盛り土の土であるとか、それから特に根本名川等では、捨てなければなりません残土等がございますので、そういうものを含んでの数字でございます。
  163. 和田一郎

    ○和田(一)委員 では、具体的に聞いていきたいと思います。この「建設資材輸送計画表」で、上から順番にちょっと例を引かせていただきますが、一番最初に栃木県の新葛生と書いてあります。これは私の選挙区ですけれども、一番最初に書いてあるのだから、最初に読んだということにして話を進めますが、これは砕石の産地ですね。これを読んでみますと、鉄道輸送になっているのです。確かにこれはすばらしいアイデアだと思います。ところが、新葛生の場合は、町はずれにいわゆるサイロだとかベルトコンベアなどをいまつくっているわけです。その貨車へ積むところまで持ってくる道、これがいまたいへんなんですね。これは一つの例です。現在でも一万九千人くらいな町です。ほんとうに小さな小じんまりした町、その町のまん中の大通りを四千台ダンプが現在通っているのです。そこへ大体空港分だけでも一日に往復四百台ないし五百台。しかも現在だけでもパンクしそうなところへ来る。ですから、これは成田周辺道路ばかり考えているのではたいへんなことになるのではないか。そういう産地のものも手を回していかなければならないのじゃないか。これは運輸大臣も、何とか御迷惑をかけないようにするということをこの間確約されましたが、この葛生から持ってくる資材についての考え方について、運輸省それから空港当局のほう、建設省関係でもけっこうでございますから、この場合はこうしたいというふうにおっしゃってください。なるべく簡単にお願いします。
  164. 今井栄文

    今井参考人 おっしゃるとおり、葛生は関東における砕石の主産地でございます。多量の砕石がここから輸送されておるわけでございます。公団も、御指摘のように、葛生の駅から砕石を、トラック輸送並びに国鉄を通じまして成田まで貨車で三往復する計画でやっております。公団の葛生からの砕石輸送は、列車にいたしまして三十五トン積みの貨車十九両編成、これを大体一日二往復、こういうことでいたしております。  お説のように、産地から駅までの道路が非常に問題だろうと私は思います。御指摘のとおりだろうと思います。ただ、葛生は砕石の関東の主産地でございまして、先生の御指摘のように、数千台の砕石の車が通っておる。公団といたしましては、先生がただいま一日に往復で四百両ないし五百両というふうにおっしゃいました。まさに四百両ということでございますが、四百両のうちの二百両は実はその道を通っておらないのでございまして、二百両がその御指摘道路を通っておる。つまり片道に百両、帰りが百両、こういうことでございます。公団の砕石も運ばしていただいて御迷惑をかけておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、主産地である葛生から数千台の貨車が一日に出ておるという状況で、とてもこれは当公団のみがどうこうすべき筋のものではないと思います。私どもとしましても、御指摘のように、引き続きたくさん運んでおるわけでございますので、現在道路対策といたしましては、県の砕石協会、道路管理者である県あるいは市町村かどうかわかりませんが、道路管理者の方と協議するようにという申し入れを、私どものほうからも実はいたしておるわけでございます。詳しくは建設省のほうに御質問いただければと思います。
  165. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ちょっと時間がありませんので、詰めていただきたいのですが、確かに空港だけのものじゃないのです。先ほども言いましたように、空港だけじゃなくて、そのまわりのいろいろな建設事業、それも入るわけです。ですから、何も空港だけを責めるわけじゃなくて、そういう意味で、建設省のほうからもひとつお聞きしたいのです。とにかく現在でもパンクしそうなところなんですから。だけれども空港は百台だけしか通らないぞと言われたのでは、地元では立つ瀬がないのですから、ひとつ建設省のほうから。
  166. 今井勇

    今井説明員 いまお話のありました路線は、多分宇都宮足利線であろうかと存じます。これはただいま町の中は十八メートルの街路をやっと終わったところでございます。また葛生から佐野のほうへ出てまいります佐野田沼線というのがございまして、これがまた非常によくない道路でございまして、このほうを鋭意いま建設省といたしましてはやっておる段階でございます。それで、御指摘の路線につきましては、今度は国道二号と相なりますので、道路管理者たる県のほうと十分連絡をとりまして、前向きにひとつ検討させていただきたい、こう考えております。
  167. 和田一郎

    ○和田(一)委員 とにかくこれはひとつお願いしたいと思います。こういう例が群馬の金島、茨城県の石岡、西金、東城寺、山梨県の初狩、それから東京都、いろいろございます。静岡、茨城、千葉、群馬県の金島、これは鉄道輸送ですね。鉄道の貨車まで持ってくる間だいじょうぶですか。  もう一つは、茨城の場合ですけれども、この資材計画を見ますと、現在土浦のまん中をダンプが通って、ここはちょっとはずれるのですけれども、全然動きがとれないのですよ。そこで、現在鹿島港のほうの建設資材だとか、どんどん空港のほうにも運んでおりますけれども、これも何とか建設省で手を打たないと、それこそえらい問題になってくるのじゃないか。それから竜ケ崎、潮来へ行く県道ですね。そういったところは、どうもいままでの案を見ますと、りっぱに改修されるようになっていない。たとえば午前中の話だと、四車線、六車線だという話が出ていました。これはうらやましい限りですよ、ところが、そういう原料を持ってくる地元の問題は案外おざなりにされている。そういうことを申し上げたいために、一つ例を出したのですけれども、こういう点でどうでしょうか、建設省のほうでも全力をあげてやっていただきたい。
  168. 今井勇

    今井説明員 ただいま例にお引きになりました土浦の町の中の道路、これはたとえば例を現在の六号線に引きますれば、四十四年度に着工する予定で予算を組んでおりましたところが、地元でルートの問題で若干調整ができません。やむを得ず四十五年度になってしまったわけでございますが、早急に地元との調整をとりまして、本年度からバイパスを着工いたしたい、このように考えております。できますものは、着々と前向きに一つずつ片づけてまいりたい、こう考えております。
  169. 和田一郎

    ○和田(一)委員 ずっと前を向いていただきたいと思います。  それから、今度は警察の方に、いまお聞きのように、前向きにやられる。交通事故というのは前向きにするまで待ってくれないのですね。これはどんどん起きているのですね。当局が前向いていく間にもどんどん死んでしまう。そういう点について、現在空港に対していろいろな資材を運んでまいります。これに対して、現在の通路状況では交通の打つ手はどうでしょうか、ひとつ御意見を伺いたいと思います。
  170. 井口孝文

    ○井口説明員 先ほどからいろいろとお話がございましたように、空港周辺についてもあるいは原産地についても、それぞれ問題があろうかと思います。ただ公団側、運輸省、県それぞれいろいろ御心配をいただきまして、できるものは鉄道輸送ということに切りかえていただいておりますので、現在までのところでは直接の被害というのは比較的少なかろうと思います。ただ、周辺の交通量がやはり相当ふえておりまして、前年に対しまして大体三〇%増といったような状況が、工事の施行前とあとでは差異が出ております。また交通事故につきましても、やはり周辺五カ所程度で比較いたしますと、前年に比較して三〇%くらいの増加率でございます。そういったことで、主として国道五十一号線というのは、国道としてあまりいい国道でない状況でございますが、これが特に北から入ってまいります場合には、主たる輸送路になるわけでございます。これにつきましても相当の配慮が必要であろうと思います。それからその他、指定道路七路線が指定されておりますので、こういったところにつきましては、道路管理者側もお考えになっておられるようでございますし、いままでも安全施設、歩道などある程度つくっていただいて、それで警察側といたしましても、追い越し禁止とか駐車禁止、信号機の増設二十五機等を含めまして、相当の交通規制はやっておるような次第でございます。  なお原産地のほうにつきましても、御指摘の葛生とか石岡あるいは、先ほどお話しのありました土浦市内、これはもともとほかの事情でたいへん混雑しておるところに上積みになるわけでございます。こういったところは規制のほかに、取り締まりを強化していくという方向考えております。
  171. 和田一郎

    ○和田(一)委員 取り締まりもありがたいのですが、たとえば夜ダンプが出てくるわけですよ。大体夕方から明け方の二時ごろまで、大きな八トン車から上は十五トン車のトレーラーまでずっとつながっていくのです。これはすごいです。ですから、これは規制どころじゃないのです。とにかく住民は耳にせんを詰めて寝なければ寝られない。これが現状です。警察の方は非常に御苦労されていると思いますけれども、警察のほうでこういう道路状況に対して、運輸省なりまたは建設省のほうに何とかしろということをおっしゃったことがあるのですか。
  172. 井口孝文

    ○井口説明員 成田空港周辺のことにつきましては、対策といたしまして、現地の千葉県警察から県の交通あるいは道路管理者と密接に連絡をいたしまして、いろいろと要望を申し上げておるわけであります。その中でできることは相当程度やっていただいておるというような状況でございます。また原産地のほうにつきましては、これは地元の県警が一番頭を痛めている問題でございまして、やっていただけることはやっていただけたのだと思いますが、なかなかできないこともあろうかと思いますので、あとはできるだけのことを警察側でいたしておるというような状況でございます。
  173. 和田一郎

    ○和田(一)委員 この交通の問題につきましては、前向きというお話がございましたけれども、警察のほうも前向きでひとつ。  時間がなくて、まことに申しわけないのですが、かいつまんだ質問であと一つ。実は茨城県の鹿島港の建設現場で相当荒っぽい事件が起きているそうでありまして、愚連隊とのけんかで殺人があった。商店街の御主人が殺されたとか、それから現在では小さなばくちがあちこちにはやっていて、地元の方を相手にやって、地元方々土地まで巻き上げられたというようなことがひんぴんと起きておった。それがために茨城県の県警では全力をあげてやって、そして何とかおさまった。人によりますと、まるで西部劇だというような表現があったのですが、今度の空港の建設に対しましても、相当そういう関係方々が入ってくるのじゃないか。これに対して警察当局がどういうような対策をお立てになっていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  174. 田中雄一

    ○田中説明員 ただいまお話がございましたように、鹿島港の建設の際には、四十一年から四十三年までの大体の平均が五百十件ないし五百四十件という刑法犯の発生件数でございましたが、四十四年には八百六十九件、六二%増加したということでございまして、これは茨城県警として対策を立てておるわけでございますが、そういうことから恐縮に考えまして、成田空港建設につきましても、われわれとしては事前の防犯対策をとるということにつきましてこれまでも努力してきておるわけでございます。現在空港の建設で稼働しております労務者大体八百五十名、これから最盛期に入っていくわけでございますが、現在のところ成田署管内及びその周辺における犯罪は、例年と比しましてさほど多いという数にはなっておりません。それは昨年九月から成田の場合に三百二十二件でございまして、昨年同期では三百十件になっております。  現在はさほど多くなっておりませんが、これに対する今後の防犯対策といたしましては、各建設業者の自主的防犯体勢、こういうものを促進してもらうようにしておりますのと、警察自体におきましても、業者並びにその周辺付近の防犯協会をさらに強化する、あるいはその防犯協会に入っていただくというようなこと、それから本部長通達等で成田機動隊等による警ら、こういうものを強化して防犯対策を進めておる、こういうわけでございます。
  175. 和田一郎

    ○和田(一)委員 警察当局では非常に頭を痛めていらっしゃるような報告がありましたが、これに対して、自治省のほうでは財源措置はされているのですか。それだけは特別に警察のほうに出しているのですか。これは自治省だと思いますけれどもね。たとえば補助だとか、そういったようなことについてどうですか、県警の場合ですが。
  176. 田中雄一

    ○田中説明員 これは県費で、警察予算の中でそういう対策費を組んでおります。
  177. 和田一郎

    ○和田(一)委員 わかりました。時間がありませんのであと一間だけ。砕石がどんどん運ばれると、現在関東周辺から東京都内に運ばれている、または千葉近郊に運ばれているおそらく倍くらいになるんじゃないか。そういうことで、砕石の値上がりに響いてこないか、こういうことがあるのですが、建設省当局の考え方はどうでしょう。
  178. 今井勇

    今井説明員 ただいまのところたいへん暴騰したということは聞いておりませんが、今後東関東自動車道等をやります場合に、相当多量の砕石が要ります。それで現在道路公団では、関東だけではなくて、もっとほかから回送して持ってこようかというふうな措置を講じておりまして、なるべくいま先生お話のようなことがないように措置いたしたいと思います。
  179. 和田一郎

    ○和田(一)委員 以上で終わります。
  180. 菅太郎

    ○菅委員長 桑名義治君。
  181. 桑名義治

    桑名委員 持ち時間が二十分までということで、非常に時間が制約されておりますので、簡単に質問さしていただきますが、よろしくお願いします。  私のほうで過日基地の総点検を行ないました。その中のいわゆる飛行場関係をした資料をもとに質問をしてみたいと思います。対象人員が二百三十名で回答が百八十二名、七九・一%の回答率でございました。その中でも符に立川と板付、この二つの飛行場についてのアンケートをいまから申し上げますと、まず最初に、飛行機によるテレビの音声や映像、画面が乱れるということに対する質問に対して、ほとんど聞こえない、画像は電波が乱れほとんど見えない、これが立川三四・七%、板付は三六%。それから、ときどき聞こえない、ときどき電波が乱れて見にくい、これが立川が五七・四%、板付が五四・六%。影響はあるがたいしたことはないが六・三%に七・八%。それから影響は全くない、これが〇・六%に一・六%。こういうふうな結果が出ております。さらに、飛行場周辺の騒音等によって子供の学習上の影響、これについてのアンケートの回答は、落ちついて勉強しない、これが立川の場合は三九・八%、それから板付が四二・二%、約半数であります。すぐにあきてしまう、これが立川は一三%、板以は四・二%。それから能率があがらない、これは立川一七・六%、板付二三・九%。ほとんど影響はないが立川一三・一%に板付七・三%、わからないが立川一六・五%に板付二二・四%。こういうふうな回答がいわゆるアンケートの上からは出ております。  こういった事柄をいろいろと考えてみますと、この空港周辺の住民にとっては、テレビ、いわゆる娯楽施設も安心して見れない、こういうような結果が出ておりますが、先ほどからいろいろとこの騒音の問題や、あるいはテレビの問題につきましても回答がありましたが、ある程度減額をするというようなお話でございますが、そのようなことで解決のできる問題ではないと思います。いわゆる憲法に保障されているところの生活もできないというような状況になるわけでございますが、こういった電波関係に対してはどのようにお考えになっていらっしゃるか、具体的にお話しを願いたいと思います。
  182. 手塚良成

    ○手塚政府委員 電波に対する騒音被害は、現在伊丹の周辺あるいは羽田の周辺において問題として提起をされております。それで、根本的な解決方法等については、NHK等の研究所でいろいろ調査研究をされておりますし、また私どものほうでは、公害防止協会という財団法人をつくりまして、そこでいろいろ検討もいたしております。ただいまのところ、これに対する抜本的な方策というものが現在まだ見つかっておりません。したがいまして、暫定的ではございますけれども、防衛庁が基地周辺でやっておられると同じような聴視料の減免ということを公害防止協会を通じてやっておるわけです。新空港周辺におきましても、おおむね同様なことを暫定としては行ない、さらに引き続いてそういった抜本策の研究開発を進めなければならない、かように考えております。
  183. 桑名義治

    桑名委員 いまの御回答の中には、減免措置をとる、こういうことが一応お茶を濁しているようなかっこうでございますけれども、この種の問題につきましては、もう少し積極的に取り組んでいただきたいと思います。  それから、学校の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、飛行場周辺の騒音による子供の学習上の影響、この面につきまして、まず学校を取り上げてみなければならないと思います。そのためには、この措置法の中には、学校についても防音装置をする、こういうふうになっているわけでございますが、これは何年計画でなされるものか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  184. 手塚良成

    ○手塚政府委員 現在防音をしなければならない対象につきましては、学校で二十一校、そのほかいろいろ精神薄弱施設等を入れまして、対象はたしか二十六であったと記憶いたしております。できるだけ早くこれの対策、防音工事をやっていかなければならないと思っております。来年度予算の実施計画をこれから組むことになりますので、そういった趣旨で、できるだけ早急にやりたい。これは本来飛行機が飛びだして実際に測定をした上で始めるというのが最も適当であろうと思いますが、従来の経緯あるいは地元対策等もございますので、新空港につきましては、そういった時期まで待たずして、四十五年度にはこれを進めていく、かように考えております。
  185. 桑名義治

    桑名委員 いまの御回答は私は非常に不満でございます。と申しますのは、結局学校の防音装置については、飛行機が飛びだしてから云々というおことばがございました。しかし、現在公害で悩んでおる事態も、結局公害が起こってから処置しているところに、いわゆる地元住民の苦しみがあるわけでございます。当然起こり得べきいままでの事例があるわけでございますので、そういった統計上の問題がきちっと現在の社会情勢を示唆しているわけですから、そういった面について先行的にどんどん手を打っていくことが政治の要諦であろう、私はこのように思うわけでございます。  それと同時に、いまのお答えの中には、学校が何年の計画のもとに防音装置を備えるか、こういう質問に対しては全然お答えがございません。実際に早期にというお話でございますけれども、よく考えてみますと、中学校の一年比ならば三年間たてば卒業をしてしまいます。小学校の一年生ならば、義務教育を終えるまでには九年かかれば終わるわけです。十年計画ということにもしなれば、いまの小学校の一年生は中学を終えるまでは常にやかましい教室の環境のもとに勉強していかなければならないという事態が起こってくるわけです。教育はそのままじっとしているわけじゃない。毎日毎日進んでおります。生徒もこれは毎年毎年進学をしていくわけです。もしもかりに、こういうような騒音の公害によって、その年次に卒業した生徒が他の学校の生徒と大きな差ができた場合には、その責任はどこが負うのか。こういった問題を考えますと、これは教育上の問題であり、社会上の問題である、このように思うわけでございますが、いまのように早期にと、何年計画がないというようなことではなくて、どんなにおそくても一、二年の間に重点的に、こういった問題については前向きで、確実に、計画的にこれを実施していく用意はないかどうか、再度お尋ねしておきたいと思います。
  186. 今井栄文

    今井参考人 新空港公団総裁今井でございます。ただいま局長からお答え申し上げましたように、飛行場周辺の騒音の高さによりまして、対象校について学校として二十一校あるいはその他病院、精薄施設、こういうふうなものについて、騒音のために勉強ができない、あるいは病人の方々に御迷惑をかけるということがないような措置は講ずる予定でおります。  それから、局長が早期にというふうに申し上げましたが、やや具体的に申し上げますと、現在四十五年度で実施してほしいというところが成田市について六校御希望がございます。これは比較的空港に近いところでございます。それからなお、空港の南のほうの芝山町から四校、これをぜひやってもらいたい、こういう要望が実は出ておるわけでございます。私どものほうは、私どもの実行予算の中でできるだけ多数の学校を取り上げて四十五年度中にやりたい。なお引き続いて、さらに範囲を拡大して四十六年度中にやりたい、かように考えております。
  187. 桑名義治

    桑名委員 いま参考人の回答でございますが、なるべく一斉にやらなければ教育の機会均等という立場がくずれてしまうと思います。そういった意味で、早急にこの問題についてもやっていただきたいと思います。  それから、これは日本全国の基地あるいは空港に近い学校に防音校舎ができているわけであります。この防音校舎ができることは私は非常に喜ばしいことだ、このように思うわけでございます。ところが、夏になりますと、防音校舎を全部あけなければなりません。そうしますと、防音校舎をつくったけれども、夏の期間だけは防音にならないというような状態が起こってくるわけです。そうすると、防音校舎については必ず冷房装置をつけるとか、そういうふうな設備をしなければ、意味がないわけでございますが、その点についてどのようにお考えになっていらっしゃるか。  それとさらにもう一点は、そういった市町村については、学校の設備が確かにきれいになっております。ところが、これの維持、増改修については、今度は非常に負担がかかって、地元財政力の弱い市町村については大きな負担になっております。こういった問題を惹起している関係上、そういうふうに防音校舎をつくったところは補助率を上げるとかあるいは特交でこれを措置するとかいうふうな処置が考えられているかどうか、この点についてもお伺いしておきたいと思います。
  188. 手塚良成

    ○手塚政府委員 前段の御質問に対してお答え申し上げます。  冷房の関係につきましては、従来の空港、伊丹あるいは羽田等で実際に実施をしております。防音工事で四十四年度までは冷房をやることが実はできませんでしたが、四十五年度から実施をすることに相なりました。したがいまして、成田でやります場合には、当然そういった冷房工事をやることになると申し上げたいと思います。  あと地元におきます負担について、特交との関係は自治省からひとつお願いします。
  189. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 冷房等を施しました場合の学校の維持費というものが、通常の学校よりも経費がかかるということは事実でございます。そういう意味におきまして、現在特に問題がありますのは、基地並びに空港周辺の学校に例があるわけでございます。これらの問題につきましては、そうした基地対策あるいは空港対策というような意味で、特別交付税で措置をいたしております。
  190. 桑名義治

    桑名委員 防音校舎に対する維持費の増高については処置をするというお話でございますが、そのように確認してよろしゅうございますか。さらにもう一点、いま成田空港の場合も防音校舎については冷房をするということをここで確認をしてよろしゅうございますか。念を押しておきたいと思います。
  191. 今井栄文

    今井参考人 新空港につきましては、学校あるいは病院というふうなものについての防音工事は当然冷房をいたす、かようにお答え申し上げます。
  192. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 基地対策費あるいは空港対策費といたしまして、市町村における特別な財政需要はすでに特別交付税において見込んでございます。
  193. 桑名義治

    桑名委員 時間がございませんので、なお簡単に農業問題について一点だけお尋ねをしておきたいと思いますが、農地改修や改良の措置については一応とられている形になっておりますが、畜産問題について少々お尋ねしておきたいと思います。  現在の空港周辺あるいは基地の周辺におきましては、乳牛の乳の出が悪くなったとか、養鶏場における産卵率が非常に悪くなった、あるいはまた家畜の出産率が非常に悪くなった、そういうふうな事例が起こっているわけです。これは単なる補償だけで片づく問題じゃないと思いますが、こういった問題についてはどのようにお考えになっているか、参考人にお伺いいたします。
  194. 今井栄文

    今井参考人 御指摘の牛の産乳量あるいはまた鶏の産卵量というふうなものが、騒音によって減少するという点については、実は前にも問題になりまして、ある国立大学で調査をいたしたことがございます。これはおそらく板付の空港周辺ではないかと思いますが、その結論によりますと、牛の乳の出は、そこへ移ってきた当初は一たん下がるけれども、逐次もとに回復するということです。それから、そこで生まれた牛については初めから影響はない、こういうことのようでございます。それからなお、鶏についても大体同じような結論を得ておるようでございます。なお、馬でございますけれども、馬の場合は非常に神経質であるというふうなことでございまして、実は御料牧場はもちろんでございますけれども、三里塚は大体馬の産地でございまして、敷地の中にも大東牧場あるいは平佐牧場というふうな牧場が幾つかございましたが、これは完全な補償によりまして、すでに移転を完了しておる、こういう状況でございます。
  195. 桑名義治

    桑名委員 先ほどから時間に追われてしまって、なかなか話が進まないわけでございますが、飛行機によるテレビの音声や映像の問題、あるいは子供の教育上の問題を、非常に端的に事例をあげて質問を申し上げたかったわけでございますが、どうか教育に悪影響を及ぼさないように、しかもまた、教育の機会均等という立場をどこまでも堅持できるように、最大の努力をしていただくことを要望して、私の質問を終わります。
  196. 菅太郎

    ○菅委員長 岡沢完治君。
  197. 岡沢完治

    ○岡沢委員 私に与えられました時間は二十分でございますので、その範囲内で数点お尋ねしたいと思います。  この法案の通ることを予定して、おそらく千葉県知事は整備計画の案をおつくりになっていると思いますし、また自治大臣は、その内示を受けておられるあるいは主務大臣等とも協議を進めておられると思うのでございますけれども、この法案が成立、施行された場合、この法の適用期間である十年間に、国が通常の負担割合と比較してどれくらい財政上、金融上負担増になるのか。同じことは、逆に関係市町村からすれば、どれだけ実益を受けるのか、受益割合がどれくらいになるのか。いまの桑名委員の質問にもありましたが、たとえば学校の防音装置にいたしましても、防音建築にするのか防音設備にするのかで変わってくると思いますけれども、大体どれくらいを予定しておられるのか、お尋ねいたします。
  198. 大石八治

    ○大石政府委員 合計して二十七億くらいというふうに記憶しております。
  199. 岡沢完治

    ○岡沢委員 この法律案の第二条第二項に、この法案の援助の対象になる施設を列挙しておられるわけでございますけれども、これはどういう観点からこの施設を選ばれたのか。第七号を見ますと、「前各号に掲げるもののほか、新東京国際空港の周辺地域の整備を促進するために特に必要と認められる施設」とある。この「特に必要と認められる施設」等で、いま具体的に考えられるものはどういうものか、お尋ねいたします。
  200. 大石八治

    ○大石政府委員 第七号のものは、保育所等児童福祉施設であります。
  201. 岡沢完治

    ○岡沢委員 前段の質問の、こういう六つの施設を選ばれた基準は何かということに答えてください。
  202. 大石八治

    ○大石政府委員 抽象的に考えれば、周辺地区で特に都市的な施設を必要とする部分、「道路」はもちろんその中にあるわけで、街路もこの中に含まれるものだと思いますが、都市的施設を整備する、それは三号の「生活環境施設」あるいは四号の「教育施設」というふうなことになりますし、都市的以外の地域であれば、「河川」の問題、もちろん「道路」も入りますけれども、同時に六号の「農地及び農業用施設」というふうに、地域的に両方に分けて考えております。
  203. 岡沢完治

    ○岡沢委員 六十一国会に出された法案では、列挙された施設の中に「河川」はなかったわけです。今度新しく「河川」をお加えになった理由はどこにあるのか。同じ別表で、一級河川の改良工事を国庫補助の特別の対象にされたのは、どこに理由があるのか。
  204. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 御承知のように、従来河川法施行法の規定によりまして、一級河川の改良工事にかかる国庫負担は、昭和四十年から昭和四十五年の三月いわば四十四年度末までの間は四分の三という補助率の特例が設けられておったわけでありますが、昭和四十五年度以降、この河川法施行法の規定は一般的には適用されないことになったわけでございます。したがいまして、昭和四十五年度以降は、一般的に河川法第六十条の規定に基づきまして国庫負担率が三分の二になるというようなことに相なる予定でございます。ところが、この河川改良工事は、空港関連事業といたしましては特に重要な事業であるということでございますので、従来どおり、この河川工事につきましては、四分の三の高率補助をそのまま適用していきたい、こういう趣旨で、今回特に提案いたしました法律案におきましては「河川」を加えたということでございます。
  205. 岡沢完治

    ○岡沢委員 その点はよくわかりましたけれども、この法案でいう整備計画で、先ほどの次官の御答弁では、周辺地帯に二十数億の実益があるということでございますが、この法案を通したいために、あるいは反対運動を静めたいために整備計画という甘い案を出して、実際にこれを通したってそれだけ実行してくれるだろうかということが、やはり関係自治体の心配だろうと思います。私自身はこの二十数億という数字を聞きまして、意外に少ないので、ぜひもう少し——先ほど御指摘のありましたような教育問題、教育施設等につきましては、ここで十億や二十億にしてもふえれば、投資効果としても意義があるし、これは空港関係の公害だけではなしに、今後のあらゆる日本の政治上の大きな問題にもなる公害対策のモデル地区という意味での投資としても安いものだと思いますので、二十数億そのものには不満がありますけれども、それは別としても、関係市町村にすれば、実際に計画はしてくれてもやってくれるのかという心配があると思います。必ずやるんだという保証をどういう点で保証してくださるか、その辺をお尋ねします。
  206. 大石八治

    ○大石政府委員 補助率のかさ上げというのが一つの面での措置でありますけれども、同時にこの整備計画をやる、それを確認する、そういうことをこの法律でやるというこのかまえが、何としても非常に大切なことだろうと私は思う。その整備計画は、実際はいままでの間でも整備本部がかなり打ち合わせをして出てきておるものがあると思うわけです。すでに実際上は手をつけているものもあるわけです。これが法律が通ることでオーソライズされるということに相なる。またもちろんその整備計画というものは、われわれ自治省とすれば、各省と協調して必ず実施するという心がまえを持って、法律によっていくという考え方であります。
  207. 岡沢完治

    ○岡沢委員 われわれももちろん実施を監視していく立場にもありますけれども、ぜひこの法案を通したい、補強を実現したいというあまりの単なる油あげでないように、いま山口委員から十割増しでもやれというお話がありましたけれども、やはりそれくらいの心がまえが政治上必要じゃないか。その心がまえがあれば、そんなに時間は長くかからなかったし、それほど反対運動も熾烈じゃなかったのじゃないかと思うのでございます。  それで次の質問でございますけれども空港用地の提供者には、希望によって代替地を提供するということをしばしば言明しておられますし、現にやっておられるのでありますが、一方反対派に対しては、その点でも差別をしないということをおっしゃっているわけですね。現実にわれわれが聞いた範囲では、もう代替地のいいところがなくなっている。差別をしないといったって、実際に反対した人には事実上の差別が生ずるのではないかという心配があるのですが、その辺の心配について。
  208. 山村新治郎

    ○山村政府委員 代替地につきましては、いいところはみななくなったというようなことはないと思います。代替地は、実は県にお願いしてやっていただいたわけでございますが、この詳しい内容につきましては、いま公団総裁から御説明いたしますが、先生おっしゃるような、いいところはとっちゃって、かすばかり残っている、そういうようなことはないと思います。
  209. 今井栄文

    今井参考人 政務次官のお答えを補足さしていただきますが、全く政務次官がおっしゃるとおりでございまして、具体的に申し上げますと、現在すでに敷地の四百六十三名の方々には三百十五町歩代替地の配分を終わりまして、約百五十町歩代替地が残っておるわけでございます。悪いところかというと、そればかりではないのでありまして、約六十町歩は平たんの畑地でございます。山林が約二十六町歩、こういうふうなことでございまして、全体としてまだまだ配分をする余地が約百町歩ばかり残っております。これは主として成田市の一部と富里村、また芝山町でございます。  こういうふうに代替地が残っておりますが、従来配分を受けられた方々は、主として空港にわりあい近いところで、かりに面積が少なくても、成田に住む以上はやはり成田に近いところということで配分された。遠くに純農で出ていかれた方々に対しては、二町歩、三町歩という大きな面積で配分をいたしておるわけでございます。反対派方々は非常に篤農家が多いというお話でございまして、御希望がありますれば、まだこれだけの百五十町歩にわたる代替地がございますので、御希望のところを私どもとしてはぜひあげたい。なお、集団移転のために、現在残っている代替地では、若干面積的に散らばっておるというふうなことで希望をされない場合には、現在県を通じまして、他にまた代替地買収を進めておるという状況でございまして、決して心配は要らない、かように考えております。
  210. 岡沢完治

    ○岡沢委員 この法案は、空港周辺地方自治体に施設等を通じて国が財政上、金融上補助、援助を与える、法案自体はもう文句のない法案だと思うのです、額その他についての不満は別として。ところが、この法案に六十一国会では十四名、六十時間の質問が続いて、この国会でも六名、七時間の質問がなされておる。考え方にもよりますけれども、また逆に政府からすれば、関係者からすれば、委員のほうに聞きたいかもしれませんが、こういういわば文句のない法案にこれだけ時間をかけたということについては、われわれはそこに何かのミスがあったんじゃないか、ミスといいますか、お互いに反省しなければいかぬ点があったんじゃないか。法案の提出方法が悪かったのか、時期が悪いのか、内容が悪いのか、あるいはPRがへたなのか、根回しが足らぬのか。その辺、今度また関西にも第二空港の問題もありますし、この法案の取り扱いを通じて政府側として何か反省をされたり、あるいは教訓めいたものをかちとられた、そういう点があれば、この機会に、あと二、三分ございますので、お聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  211. 大石八治

    ○大石政府委員 きょうは反省させられることが非常に多いようでございますが、政府としては、一日も早く法案が成立することを望んでいたわけでございますが、いま岡沢議員お話しのとおり、たくさんの原因があったと思うのです。もともと空港それ自体に御承知のとおりの問題がありましたものですから、それと関連する法律であることは間違いないわけで、その他技術上なり、政府側にも、委員お話しのとおりの足らざるところがあって、ついに今日に至ったんだろうと思うのですが、内容はもうお話しくださいましたとおりの内容でございますし、私どもは一日も早く成立をさせて、現地の当事者に安心をさせたい。それと同時に、いまお話しのとおりに、この法律ができても、実施しないということになればとんでもないことで、われわれをぜひ激励をし、督励を賜わるようにお願いをいたしたいと思います。
  212. 山村新治郎

    ○山村政府委員 ただいま自治政務次官のほうから、この空港そのものにいろいろ問題があったんじゃないかということを言われました。事実これはそのとおりであろうと思います。事実、この空港のいわゆる位置を決定する場合にもかなりのごたごたがございました。そして富里地区の内定ということがありましたが、富里が建設困難ということで、先ほど来いろいろ各先生方の御質問にもございましたが、一夜にして三里塚に決定というような、これは私ははなはだいけないことであると反省いたしております。同時にまた、先ほど一言申し上げましたように、地元に対しまして位置を決定しておきながら値段を全然出さない、ますます感情的にさしてしまった。そこでまたいろいろな政治的な要素を含んでまいりまして、この法案がスムーズに日の目を見ることができなかったというようなことを感じております。しかし、地元におきましては、特に千葉県だけではございませんで、地元の市町村におきましては、ぜひひとつ一日も早く通してくれということで、先生方のほうへも多くのいわゆる陳情団が繰り出しておる現実でございますので、ひとつその点も御勘案の上、よろしく一日も早い立法をお願いいたす次第でございます。
  213. 岡沢完治

    ○岡沢委員 直接の当事者の今井総裁からも一言。
  214. 今井栄文

    今井参考人 その点、ただいま両政務次官から政府側としてのいろいろなお話がございましたが、私ども空港公団として建設を担当する立場からも、やはり地元方々に対するPRも十分やらなかったというふうな面——われわれずいぶん努力もいたしましたのですけれども、やはり努力が足りなかったという点を反省させられます。ただ、日本の将来のためにぜひひとつ新空港をつくらしていただきたいということで、これに関連しまして、千葉県あるいは成田市その他の関係方々の非常な御協力を得ておる立場でございますので、私どもは、地方の地元の将来の発展のためにも、あるいはまた空港周辺の整備のためにも、ぜひ一日も早くこの法案を通して、私ども先生方の御期待にこたえ得るような空港をつくれますように、ひとつぜひお願いをいたしまして、私のお答えを終わります。
  215. 岡沢完治

    ○岡沢委員 終わります。
  216. 菅太郎

    ○菅委員長 青柳盛雄君。
  217. 青柳盛雄

    ○青柳委員 新東京国際空港を何としてでも完成し、これを実現しなければいけないという当局側の御熱意はよくわかるのでありますけれども、おそらくもうここまでまいっておりますから、これが中止になるというような見通しはもちろんないと思いますが、そうだといたしますと、事後処置と申しますか、この空港建設によってこうむるであろうところの地元の不利益については、十分な措置をしなければいけないのじゃないか。地元の犠牲においてこの空港ができ上がった。そしてそれは自由に使えるが、地元の犠牲は依然として残るということではいけない。それがこの特別な財政上の措置をとるという法律案のねらいであると思います。  そこで、私は時間がありませんから、土地改良の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思うわけです。相当の地域がいわゆる騒音対策区域ということに相なっているようでございまして、これは政府のほうでも、大体そのくらいの地域は特別な措置をとらなければならないということでおきめになったようでありますが、どうも図面を見た程度では、はたしてはっきりするのかどうかわかりませんけれども土地改良をする区域といたしましては、滑走路の先端から五・五キロ、滑走路中心線から両側おのおの一・二キロの区域内の農耕地について、畑地かんがいを中心とした土地改良事業を実施するという方針のようでございます。この方針について、本件で問題になっております法案は、千葉県知事が公共事業計画を立て、それを主務大臣関係大臣と協議をされて決定されるということでございます。具体的には今後の計画になるんだろうと思いますけれども、大体そういう方針が国のほうで出ているようでありますから、その騒音地区内の土地改良事業について、どんな援助を与えようとするのか、その概要をお尋ねいたしたいと思います。
  218. 井元光一

    ○井元説明員 空港関連事業といたしまして、騒音地域の畑地かんがい並びに根本名川河川改修に伴う土地改良事業を予定しておるわけでございますが、その概要は次のとおりであります。  成田用水事業で、飛行機の発着に際しまして約八十ホン以上の騒音が発生すると想定される地区に、畑地かんがいを中心といたしまして用水事業をいたす予定になっております。これは受益面積四千三百町歩事業費が概算八十五億円になっております。  なお、根本名川周辺土地改良事業といたしましては、空港建設に伴って根本名川の拡幅を行なう部分周辺の圃場整備事業を行なうことになっております。  事業目的は、空港建設による雨水排除のために根本名川の河川拡幅事業をする用地を共同減歩によって捻出をするための県営圃場整備事業、これに必要な県営かんがい排水事業でありまして、受益面積は圃場整備では千七十九町歩、かんがい排水事業では千八十町歩事業費は圃場整備事業では十二億円、かんがい排水事業では十億六千万円となっております。  以上でございます。
  219. 青柳盛雄

    ○青柳委員 時間がありませんから、私は根本名川関係のことについてはお聞きいたしませんが、この騒音地区における土地改良事業面積及び事業費の概要のお話がありましたけれども、自治省にお尋ねしたいんですが、第六十三回国会の参考資料を拝見いたしますと、資料2の一四ページをごらんいただきたいと思います。ここに下から四段目「騒音地区における事業」この事業費、国、県、それからその他の負担が書いてございます。ところで資料3の二五ページから二六ページにかかっておりますが、この事業主体、事業費区分が書いてございます。これが必ずしも一致いたさないのでございます。トータルで八十五億という点は一致するんでございますけれども、国の負担、それから県の負担分、土地改良区、どうもこれが理解できませんので、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  220. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 騒音地区の土地改良事業は、事業としまして、国営事業県営事業、団体営事業と主体が三つになっておるわけでございます。それで八十五億のうち国営事業事業費が四十八億、県営事業が二十億、団体事業が十七億でございます。これに対しまして、それぞれの事業主体に応じまして国庫負担率に差がございます。それに伴いまして国の実際の負担、県の実際の負担、あるいは土地改良区の実際の負担というものは、この事業費とは必ずしも一致しておらないということになるわけでございます。
  221. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それでは負担のことを中心にお尋ねしますから、先ほどの資料の一四ページあるいは三二ページの数字に基づいてお尋ねいたしますが、この中で、国または空港公団の負担のこと、あるいは県の負担のことはさておきまして、「その他」というのは何を意味するのか、それをお尋ねいたします。
  222. 井元光一

    ○井元説明員 「その他」と申しますのは、まだきまりませんから、そういう形式で書いたわけでありまして、水資源公団という公団でやる場合というケースも考えられる。農民負担の場合ですと、一部農林漁業金融公庫で負担するということがございます。それを書いたのでございます。
  223. 青柳盛雄

    ○青柳委員 農民負担の場合というのは、具体的にいうと、どういうことですか。
  224. 井元光一

    ○井元説明員 農民負担をいまの現況で推定いたしまして——非常に短時間で計算しましたものですから、概括的の数字でございますけれども、建設費負担額といたしまして、十アール当たり二万二千九百五十九円、それから利息を含めますと、二万三千六百八十円でございます。なお、これは毎年毎年それぞれの種目で償還年度が違うわけでありますが、これを総体的に計算いたしまして全部加えますと、十アール当たり千九百十七円を毎年毎年、これは償還する額でございます。
  225. 青柳盛雄

    ○青柳委員 これはおそらく、土地改良に基づく改良事業、いわゆる改良区をつくってこれを実施するということを予想しておるのじゃないかと思いますけれども、あるいはそうでなくて、県あるいは国の事業によって当然受益者負担という形にしていくのか、自主的な改良区をつくらせる方針なのか、その辺のところはきまっておりますか。
  226. 井元光一

    ○井元説明員 これは漸次改良区をつくってやる考えでおります。
  227. 青柳盛雄

    ○青柳委員 実はいまのお話の、地元の農民負担がその程度で済むものかどうか、私どもの計算と必ずしも、一致しないのでございますが、それにしても一ヘクタール二十数万円の負担が、特例法を適用しても農民にかかっていくというような状況でございますので、地元の意見を調べてみますと、畑地かんがいをやろうとは思わないのです、自分のポンプでやってもいいんだ、あるいはほかのことに金をかけたほうがいいので、落花生は値が安定しているから、野菜にするためのかんがいなどは必要ない、こういうような意見もございます。それから、土地改良事業をやるということになると、都市計画法に基づく市街化区域あるいは調整区域というような区別ができてまいりますので、市街化にしてもらうことが困難になるということを心配している人もあるようでございます。地元とすれば、飛行場の先端のところから四キロ離れた駒井野の部落などでは、どうも農業を続けたくない、グリーンベルトにでもしてもらいたいものだというような気持ちも持っておるそうでございます。  したがって、ここでお尋ねをするのですが、買収をして、農民がそこで耕作をするのではないような計画というものはどの程度お持ちになっているのか、どなたからでもけっこうでございます。
  228. 井元光一

    ○井元説明員 御存じのように、土地改良事業は、申請による事業でございます。したがいまして、空港関連事業といたしましても、強制はなかなかできないものでございますから、いま仮同意をとっておる最中でございまして、できるだけ意のあるところを、県あるいは農林省が出まして、いろいろ合意づくで仕事の内容について説明をしているわけでございます。したがいまして、これがどうしても納得できないような地区が将来ございましたならば、これはどうしても地区から除外いたすしかないわけでございます。どうしてもこれは強制的にやるということはできない、こういうふうな方針でいま進めておるわけでございます。
  229. 青柳盛雄

    ○青柳委員 昭和四十三年十月十一日の臨時新東京国際空関係閣僚協議会の決定によりますと、「騒音区域(滑走路末端から2KM、滑走路中心線から両側おのおの六〇〇Mの地域)内の土地については、買取り希望のある者から空港敷地と同一価格で買収を行なうこととする。」ということの方針が出ているようでありますけれども、これはある程度具体化しているのでございましょうか。たとえば予備的に買い取りの交渉をするとかいうようなことが。
  230. 今井栄文

    今井参考人 これは四十四年度に主力を注ぎまして、約十億円の予算をもちまして、私どもが大体六億程度使ったものでありますが、残りは県に委託をいたしまして、騒音地区の買い取り希望者から土地買収いたし、あるいは移転補償費を支払うということをやったわけでございます。全体で約四十町歩程度のものをすでに買収を終わっております。今後なおそういう御希望のある方からは買収をいたしたい、かように考えております。
  231. 青柳盛雄

    ○青柳委員 もう時間がありませんが、そういうお話でございますけれども、本年の二月二十六日の読売新聞の投書欄を拝見いたしますと、芝山町の主婦の高橋静江さん四十七歳という方が投書しているのでございますが、「私の家はいま問題になっている成田空港滑走路の先端、約四キロのところにあります。そこでいったいここに住んでいられるものなのか、それとも住めないのか、住んだら、どのくらいの公害があるのか、そういった不安がいっぱいです。そこで政府公団のやり方について、千葉県知事にも運輸大臣にも陳情に行き、お会いしてお聞きしましたが、一度として納得する返事はいただけませんでした。」そういうことで、「わたくしも日本国民ですから、国の発展は望んでおります。しかし私は自分が犠牲になっても国の発展を望むほど大人物でもありません。犠牲はあの太平洋戦争でたくさんです。皆さん私の考えは間違っているでしょうか。佐藤首相、千葉県知事、紙上でも結構です。芝山町に対するいつわらざるお考えをお聞かせ願いたいと思います。」これは、途中を抜かしましたけれども、はたしてこういうような陳情に対しても、親切に扱っていないんじゃないかということを感ずるわけですし、また、地元人たちが、先ほど御説のありましたような一町歩当たり二十数万の負担金を課せられるような土地改良が行なわれ、全く天下り的な土地の改良が行なわれようというようなことは、これは民主政治に逆行すると私ども考えるのでありまして、これからおそらくこの成田空港の問題は大きな波乱を呼ぶんではないかということを考えるので、この法案に対して私どもはとうてい納得がいかないわけでございます。  私の質問は、これで終わります。
  232. 菅太郎

    ○菅委員長 本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————
  233. 菅太郎

    ○菅委員長 これより討論を行ないます。討論の申し出がありますので、順次これを許します。山口鶴男君。
  234. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 日本社会党を代表いたしまして、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対しまして、反対の意見を申し上げます。  まず、なぜこの成田の地に新東京国際空港が設定せられたのかということが問題であります。先ほど、山村政務次官も、富里にきまり、一夜にしてこの成田地域にきまって、地元の国会議員としても非常に驚いたというお話を率直にされましたが、問題は、この横田、立川等の米軍基地の進入路を確保するためのブルー14の存在というものが、この成田空港を設置いたしました、また設置せざるを得なかった最大の理由であると、われわれは考えておる次第であります。ブルー14がありますために、東京より東の地域に、この新しい国際空港をつくる場合は設置をしなければならぬ、こういった日米安保条約、これに伴いますところの第六条、「施設及び区域」これをいわば確保するための手だてとして、このような地域が設定されたというところに、私どもは重大な疑義を感ぜざるを得ない次第であります。  次に、この新東京国際空港が、はたして軍事目的に使われるかどうかという問題であります。これにつきましては、安保条約六条にいう「施設及び区域」には使わない、いわゆる軍事基地としては使わないということにつきましては、明確な答弁がありました。また、先日橋本運輸大臣が参りまして、かつての中曽根元運輸大臣と同様に、軍事目的は断固拓否する、こういうやや明確な御答弁をいただいたのであります。私どもはこの橋本運輸大臣の言明は、きわめて重要なる言明として、今後の推移を十分注目いたしたいと思っております。しかし、これ以前の原田運輸大臣等の言明では、地位協定六条にいうこの米軍の使用、MACのチャーター機、米軍機の使用を拒否することはできぬというような言明もございましたし、また過日も、外務政務次官も同じような言明をいたしております。私どもが懸念をいたしますのは、佐藤内閣の政策がネコの目のように変わるという点であります。総選挙中は中国問題に対してきわめて前向きな発言を佐藤総理はいたしました。総選挙が終わるや、また逆戻りをいたしておるわけであります。また、当地方行政委員会に関する問題としては、昨年野田自治大臣と福田大蔵大臣との間に、いわゆる覚え書きが交換をされました。いわゆる貸し借りというものは一切しない、こういうことを覚え書きとして明確にうたったのであります。しかるに、昭和四十五年度予算におきましては、この覚え書きは生きておるとはいいますが、まさに瀕死の重症である。現実には協定が破棄されておると同じである。こういう事態を引き起こしておることは、私ども非常に遺憾に思う次第であります。したがいまして、私ども成田空港が純然たる民間空港であり、軍事目的には絶対に使用しない、こういう佐藤内閣の言明、橋本運輸大臣の言明をすなおに受け取る気にはなれぬわけであります。私どもは、橋本運輸大臣の言明を十分注意するとともに、MACのチャーター機あるいは米軍機がまた羽田と同じような事態を引き起こすことの絶対ないように、これは強く政府に要請をいたしておきたいと思う次第であります。  さらに、地位協定に伴う航空法の特例に関する法律というものがございます。この法律によってMACのチャーター機なり、あるいは米軍機はノーチェック、検査権なしで日本に入っているわけでございます。もちろん軍需品の輸送禁止も適用除外になっております。私どもはこういう点が、また新しくできました成田の新東京国際空港にも現出することのないように、強く要請をしたいと思うのでありますが、これに対する保証がないということも、私ども反対せざるを得ない一つの理由であります。  次は、住民の問題でありますが、騒音の問題については、当委員会でしばしば議論となりました騒音対策も万全とはいえないわけであります。また、土地を守ろうとする農民に対して、土地収用法という公権力をもって土地を取り上げようとする現在の権力的な政府のやり方というものは、私ども納得することはできません。私ども国際空港は全く要らないと言っているわけではありません。新国際空港は当然要るでありましょうが、しかし、ブルー14の問題、外交問題等を交渉する中で、他に方法を佐藤内閣として求める気になれば求め得たはずではないかということを、指摘をしておきたいと思う次第であります。  次に、規模の問題等につきましても、十年程度でこれが満ぱいになり、さらに他に国際空港を求めなければならぬ、こういう事態であることも政府側から答弁をなされております。四千メートル、二千五百メートルの滑走路では、現在の国際空港として十分でないことはもちろんであります。また、都心と一時間で結ぶという言明に反して、現在都心を結ぶ交通網も必ずしも整備をされておりません。まことに遅々として進まない、こういう現状であるといっても差しつかえないと思います。  最後に問題でありますのは、市町村の財政援助がきわめてこの法律では不十分だという点であります。本来市町村、自治体は、地域住民の福祉のための行政を推進すべきであります。しかるに、今回の補助金のかさ上げをもってしてはきわめて不十分であって、かえってこのための財政負担によって本来市町村がなすべき、この住民のための福祉行政が圧迫せられる、こういう懸念なしとしないわけであります。  私どもはこのような観点から、軍事目的に対しては絶対に使わぬという政府の言明はございましたけれども、しかし、過去の例からいって、われわれは十分これに安心をすることはできないし、また、成田以外の地域を求める気になれば求め得たはずではないか。また、今回の財政援助をもってしては十分ではないし、地域住民の福祉というものを考えた場合に、幾多の欠陥を内在している。これらの点をあげまして、わが党としては反対を表明せざるを得ない次第であります。  以上をもちまして、反対の討論といたします。(拍手)
  235. 菅太郎

    ○菅委員長 綿貫民輔君。
  236. 綿貫民輔

    ○綿貫委員 私は自由民主党、公明党及び民社党を代表いたしまして、本案に対し賛成の意を表するものであります。  最近、世界の航空輸送はますます重要性を加えつつあります。しかも航空機の進歩は著しく、いまや巨人機時代となり、さらに超音速機の飛びかわんとする趨勢にあります。  しかるに、わが国の航空事情を見ますると、現在の東京国際空港はすでにその能力の限界に達している実情であります。さきに新東京国際空公団法が制定されて以来、政府地元地方団体は幾多の山積する難問題を解決しながら、新東京国際空港の建設に鋭意努力されているところであります。  今回本法律案を提出して、これら地元地方団体等に対し、高率補助による特別の財政援助措置を講じ、新空港建設に関連する道路、河川、下水道等の事業の実施により生ずる負担を軽減することは、まことに適切な処置と申さねばなりません。  これらにより、将来新空港周辺が日本の表玄関として繁栄するとともに、わが国の民間航空の飛躍的発展とその国際的地位の向上にも寄与することと存ずるものであります。  以上述べました理由により、本案に対し賛意を表し、私の討論を終わります。(拍手)
  237. 菅太郎

    ○菅委員長 これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  238. 菅太郎

    ○菅委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  239. 菅太郎

    ○菅委員長 この際、中村弘海君、斎藤実君及び岡沢完治君から、三派共同をもって、ただいま議決いたしました法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  本動議を議題とし、この際、提出者から、趣旨の説明を求めます。中村弘海君。
  240. 中村弘海

    ○中村(弘)委員 私は、この際、自由民主党、公明党及び民社党の三党を代表いたしまして、新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により、趣旨説明にかえさせていただきます。     新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、新東京国際空港の周辺地域における公共施設その他の施設の整備にあたり、次の諸点について留意すべきである。  一 空港周辺地域整備計画に基づく毎年度の事業の施行に際しては、関係地方公共団体と緊密な連絡をとり、適切な財政、金融上の措置を講ずること。  二 新東京国際空港の建設ならびにこれに関連する事業の実施にあたっては、関係地方公共団体の意見を通じ、地元住民の意向を十分に反映するよう努めること。  三 新東京国際空港と都心とを結ぶ交通の円滑な処理を図るため、高速道路の規模等については万全の配慮をするとともに、ひきつづき東京湾岸道路の整備を図る等必要な措置を講ずること。   右決議する。 以上であります。何とぞ皆さま方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  241. 菅太郎

    ○菅委員長 本動議を採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  242. 菅太郎

    ○菅委員長 起立多数。よって、中村弘海君外二名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。  自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。秋田自治大臣
  243. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 一言ごあいさつを申し上げます。  ただいま、いわゆる新東京国際空港に関する法案につき、慎重審議の上すみやかに御可決を賜わりまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  つきましては、政府といたしましては、ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、善処してまいりたいと考えております。     —————————————
  244. 菅太郎

    ○菅委員長 おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  245. 菅太郎

    ○菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  246. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、地方自治及び地方財政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。安井吉典君。
  247. 安井吉典

    安井委員 短い時間をいただきまして、政府の、特に自治大臣の自治体に対する助言、勧告等の問題につきまして、お尋ねをいたしたいと思います。  問題は、東京都のいわゆる給与条例の問題であります。経過は申し上げるまでもなく、東京都人事委員会の給与ベースアップ五月実施の勧告を、勧告どおり東京都知事が給与条例を都議会に提案しようとする際、自治大臣は、それをしてはいけないという指導を再度にわたってされたわけであります。その後、知事原案が都議会で審議が行なわれ、いろいろ経過がございまして、三月十四日の都議会本会議におきまして、条例案は六月実施ということに修正議決をされ、さらに、予算の余裕財源については、職員に対し一律に支給されるよう執行の方途を講ずべきであるという附帯決議を付して、議決が行なわれたというのが、経過であります。政府は人事院の勧告を無視して一カ月値切ったわけです。美濃部知事は勧告どおりやろうとしたわけです。それを自治大臣は押えようとしたというわけでありますが、その理由は、東京都人事委員会の五月実施の知事と議会に対する勧告が誤りだというのか、それともその勧告どおりやろうとする知事のやり方が悪いとお考えになったのか、その理由を伺います。
  248. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 東京都美濃部知事が東京都の人事委員会の勧告に従って五月支給を考えられたということは、それなりに私は十分納得されることであろうとは存じます。しかし、同時に地方公務員法の精神あるいは国家公務員法の精神等との関係から、やはり国家公務員の一般給与に、いわゆる準じて定められるべきものであろうと考えておるわけであります。すなわち、これが他の地方公共団体に及ぼす影響等につきまして不適当なものがある、その点をひとつ考えていただきたい、こういうふうに考えましたので、再度にわたりおいでを願いまして、再考を促した次第であります。  これをやりました法的根拠は、御承知のとおり、助言、勧告ができる条項がございますけれども、それによったわけではございません。そういうこともあることを踏まえまして、事実上の行為といたしまして、再考を促した、こういうものでございます。
  249. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、勧告そのものは誤りではなかったが、それを完全実施しようとする知事が悪かった、こういうことですね。
  250. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 勧告は勧告であり、これを尊重すべきことは当然のことと思いますけれども、やはり一般の地方公共団体に及ぼす影響あるいは地方公務員の給与との均衡、こういうものは当然考えられるべきものでありまして、その点について遺憾がある、そこを再考を促した、こういうものでございます。
  251. 安井吉典

    安井委員 私の質問に明確にお答えになっていないのですが、しかし、時間がないそうですから、その点の詰めはもう少し先におきます。  そこで、事実上の話し合い、こうおっしゃるわけでありますが、その際において、自治大臣の言うとおりにやらないと、起債制限をするとか、交通事業の再建計画の措置の承認をしないとかのいやがらせというか、おどしというか、そういうこともなさったわけですか。
  252. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 それだけの都に財政上の御余裕があるならば、その財政事情をよく内容等を検討さしていただきまして、地方債の起債承認につきましては考えなければならぬところもあるかもしれぬし、ことに再建団体になっておる都の交通事業、この関係の職員の給与のベースアップについて特別の措置を講ぜられるのでありますから、計画の変更の承認を求められましょうが、そういう場合には、これはどうしても認められないと思うという意見を申し上げたのでございます。
  253. 安井吉典

    安井委員 念のために伺いますけれども、東京都に対し起債制限をなすったり、あるいは再建計画の不承認等をおやりになるおつもりなのですか。
  254. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 よく事情を検討いたしまして、都の財政事情に余裕があるとするならば、地方債の中で認むべきものは認めなければなりませんが、また余裕があって、他に非常な緊急の要求のある点につきましては、緩急その間の事情を考慮すべきものと心得ておりますし、また交通事業関係の職員の給与につきましては、これは事情上そういう無理をなさることはどうだろうということも考えられますから、その点については御注意を申し上げたわけでございます。
  255. 安井吉典

    安井委員 いや、私がいまお聞きしているのは、いまの段階においてそういうお気持ちなのかどうか。話し合いのときには、そういうお気持ちで話したんでしょうけれども、いまはどうなんですか。
  256. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 話し合いましたときといまとは多少の事情の変更があるというお考えかもしれません。しかし、形式は整いましたような感じはいたしますが、実質に至りましては、たいして改まっていないようであります。しかしながら、これは地方自治のたてまえから東京都議会において処置されたものでございますから、その点はやむを得ざるものとして認めざるを得ませんが、あとの処置につきましては、実態が改まってないところがございまするから、なお今後の推移等を見まして、実質上の改めがない場合には、やはり遺憾ながら、前に御注意を申し上げたような処置を講じなければならぬかと思いますが、今後の推移にもよることであろうと思いまして、今後の推移をよく見守りながら善処をいたしたいと考えております。
  257. 安井吉典

    安井委員 都議会における修正決議とそれから附帯決議が行なわれる前の段階で、つまり附帯決議というのは、余った予算の一律支給という内容であるわけですが、その前の段階で自治省に、知事、野党側から事前の打ち合わせがあったという話がありますが、ほんとうでしょうか。
  258. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 事前の打ち合わせはございませんでしたけれども、こういう事情になっておるというようなことは、同僚議員がおるので、修正されたりするということについてはありませんけれども、いろいろ都議会においても困っておるのだというような消息は、漏れ承っておりました。
  259. 安井吉典

    安井委員 そうしますと、その修正議決なり附帯決議をつけるああいう内容について、自治省としての考え方を、その段階でお述べになっているわけですね。
  260. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 さようなことはございません。ただ、事情を承っただけでありまして、こちらの意見は申し上げてはございません。
  261. 安井吉典

    安井委員 国会の場合にも同じでありますが、先ほども附帯決議の議決がございました。その附帯決議を知事は尊重し、自治大臣がさっきおっしゃったと同じように、誠意をもって実施に移さなければならない道義的な責任が免じたのではないかと思います。  そこで、完全実施の勧告をチェックした政府は、知事が自民党、公明党両党共同提案をそのまま実施するのを是認されるのですかどうですか。
  262. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 是認するもしないもない。地方自治のたてまえで執行されることにつきましては、われわれといえども尊重せざるを得ません。
  263. 安井吉典

    安井委員 知事も地方自治のたてまえで都民からの直接選挙で選ばれます。都議会議員も直接選挙で選ばれた構成でできています。知事の行動にはチェックするが、都議会の議決はしかたないのだ、こういうことですか。
  264. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 われわれがチェックをいたした、そこに権限的な意味を含めておっしゃるならば、われわれはチェックをしたつもりはございません。あくまでも再考を求めたのであります。したがいまして、都議会の今度の条例原案を修正されました点についても、先ほど述べましたとおり、私どもといたしましては、ある程度形式の整った点も認めますけれども、実質的にはやはりどうも不適当なところがあろうと感ぜられますので、これにつきましては、同様に強く再考を求めて、その善処方をお願いしたいとは考えております。
  265. 安井吉典

    安井委員 そういたしますと、問題は一律支給ということですね。余った予算の一律支給という点について、それは再考を要すというのですか。それについてはどうお考えなんですか。
  266. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 不適当でありまして、善処方を要望いたしたいと存じております。
  267. 安井吉典

    安井委員 何かどうも先ほどのあれと食い違ってくるわけでありますが、そういたしますと、知事は人事委員会の勧告どおりやろうとしたら、自治大臣からだめだと言われた、都議会の附帯決議どおりにやろうとしたら、それも不適当だと言われる。これはどうしようもないじゃないかということになるのじゃないかと私は思うのです。先ほど自治大臣は、今度の助言、勧告は自治法に基づくものではないと言われたが、しかし、現実には、自治法そのものは助言、勧告は技術的なものに限られるというふうな二百四十五条の規定を置いておるわけですよ。だからそれをわざとのがれるような言い方をなすって、事実上の行為だからそんなのはいいじゃないか、自治体の長に対して何を言ってもいいじゃないか、こういう態度に私は受け取れて、その点遺憾に思います。  一律支給は不適当だとお考えのようでありますが、それでは、形を変えた別の支給方法、たとえば勤勉手当ですか期末手当ですか、そういったような方法、つまり適当な方法を講ずればそれでよい、こういうことですか。
  268. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 私、その方面の経験も浅く、したがいまして、確然たることを申し上げにくいのでございますけれども、いかなる方法によりましょうとも、実がその点にありますれば、これはやはり不適当と申さなければならないのでございまして、やはり善処方を期待したい、こう考えております。しかし、この件におきましては、今後の推移を見て多少検討の余地もあろうかと存じますので、先ほどその意味のことは申し上げたのでございますが、要は、やはり実を十分御考慮を願いたいということを期待したいのでございます。
  269. 安井吉典

    安井委員 もう時間がありませんので、これで打ち切りますけれども、全国の自治体の実態は、勤勉手当その他の分について国家公務員よりも上回った支給というのは、実は普通みたいなかっこうで全体的に行なわれておるわけですね。大臣、それをお知りかどうか知りませんけれども、やみ給与みたいなかっこうで行なわれておる例がたくさんあるわけですね。だから、そういうふうな問題も含めて、きちっとした法的なルートに乗った措置というものが、当然この際でもとられなくてはならぬと思うわけであります。ずいぶんいろいろな経過をたどって最終的な結論の段階にまできているわけでありますけれども、私がいま申し上げましたような、そういう措置ならどうですか。
  270. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 どうもやみ給与は、やみとはいいながら、半ば公認になっておる。その程度ならいいじゃないかというお話しのようにも聞き取れまして、私のこれは聞き取り方が悪かったかとも存じますけれども、やみ給与を自治大臣として認めるという立場はとれないと存じます。
  271. 安井吉典

    安井委員 自治大臣、やみ給与をやれという、いわゆる一率支給のことについては不適当である、そういう表現をお使いになったわけですね。そうじゃななしに、きちっとした手当の形をとったそういう仕組みがもしあれば——私はそういうものがあるかないか知りませんよ、知りませんけれども、もしそういうようなものがあれば、それはどうなのか、こういうことです。
  272. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 名実ともに筋が通るものならば、これは認められる。その実あるということでは、自治大臣としては、これを認めるわけにまいらぬと存じます。
  273. 安井吉典

    安井委員 私もこの問題についてもう一度問題点として申し上げたいのは、自治体に対する助言やあるいは勧告の問題に対する自治省の取り組みなんです。本来もう少し助言や勧告をしてほしいと思うようなときは、さっと逃げてしまっておやりにならない。しかし、こういう問題は、あまり国が頭を突っ込むということは憲法の地方自治の本旨を尊重するという趣旨に合わないのじゃないか、そういうときにむしろ勧告をおやりになる。どうもあべこべのような、そういうふうな今日までのしきたりがたくさんあるわけですよ。その点、私は今度の場合も一つの例として重大な点ではないかと思うわけであります。そういう点について今後ひとつ十分お気をつけをいただきたい。そのことだけを最後に申し上げまして、終わります。
  274. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 安井先生お話はとくと承っておきます。しかし、自治省といたしましては、従来あくまでも地方自治の精神に忠実に、この原則に従って行動をしてまいったつもりでございまして、いま安井先生指摘のような手心を加えておることはないつもりでございますので、この点どうぞ御了承を願いたいと思います。      ————◇—————
  275. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、内閣提出にかかる地方税法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。秋田自治大臣
  276. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 ただいま議題となりました地方税法の一部を改正する法律案について、その提案の理由と内容の大要を御説明申し上げます。  明年度の地方税制の改正にあたりましては、地方税負担と地方財政の現状にかんがみまして、第一に、個人の住民税、個人の事業税等について負担の軽減合理化をはかり、第二に、土地の評価がえに伴う固定資産税及び都市計画税の税負担の激変を緩和するため、調整措置を講ずることとし、第三に、市町村税源の充実に資するため、道府県民税及び市町村民税の法人税割の税率の調整を行なうことをその重点といたしております。  以下、順を追って地方税制の改正の概要について御説明申し上げます。  その一は、道府県民税及び市町村民税についてであります。個人の道府県民税及び市町村民税につきましては、住民負担の軽減をはかるため、課税最低限の引き上げを行なうこととし、昨年の所得税法の改正に伴う給与所得控除の引き上げのほか、基礎控除及び配偶者控除の額をそれぞれ一万円、扶養控除の額を二万円引き上げることといたしました。また、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額についても、一万円ずつ引き上げるとともに、配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族にかかる扶養控除の額を九万円とするほか、医療費控除の控除限度額を三十万円に引き上げることといたしたのであります。なお、障害者、未成年者、老年者及び寡婦についての非課税の範囲を、年所得三十二万円まで拡大することとしております。  また、法人の道府県民税及び市町村民税につきましては、市町村税源の充実に資するため、道府県民税の法人税割の標準税率を百分の五・六に〇・二%引き下げ、市町村民税の法人税割の標準税率を百分の九・一に〇・二%引き上げることといたしました。  その二は、事業税についてであります。個人の事業税につきましては、個人事業者の負担の軽減合理化をはかるため、事業主控除を五万円引き上げて三十二万円にすることといたしました。  また、法人の事業税につきましては、企業における管理機能の本社集中の傾向に対応して、分割基準が事業活動の実態をより適正に反映するよう、従業者の数を分割基準とする製造業以外の事業を行なう法人で資本または出資の金額が一億円以上のものについても、製造業を行なう法人の場合と同様に、本社の従業者の数を二分の一として算定することといたしました。  その三は、不動産取得税についてであります。不動産取得税につきましては、公的医療機関の開設者が設置する看護婦等の養成所において教育の用に供される不動産の取得等について非課税とするほか、農林漁業金融公庫の資金の貸し付けを受けて農業協同組合等が農畜水産物の流通合理化のための共同利用施設を取得した場合等における不動産取得税について課税標準の特例を設けることといたしました。  その四は、固定資産税についてであります。固定資産税につきましては、土地の評価がえに伴う税負担の激変を緩和しつつその均衡化をはかるため、昭和四十五年度分以降の各年度分の宅地等に対する固定資産税については、宅地等の評価額の昭和三十八年度分の評価額に対する上昇率の区分に応じて、前年度分の課税標準額の一割増、二割増、三割増、四割増の負担調整率を乗じて得た額によって算定した税額を限度とする負担調整措置を講ずることといたしました。  また、償却資産について所有権留保条件つき売買があった場合においては、売り主及び買い主を共有者とみなして課税することとするほか、鉱山における粉じんの処理施設を非課税とする等負担の軽減合理化をはかるとともに、重油の水素化脱硫装置、廃油処理施設等に対する固定資産税の課税標準の特例措置の期限を延長することといたしました。  その五は、都市計画税についてであります。都市計画税につきましては、土地の評価がえに伴う税負担の激変を緩和するため、昭和四十五年度分及び昭和四十六年度分の宅地等に対する都市計画税については、宅地等の評価額の昭和四十四年度分の評価額に対する上昇率の区分に応じて、前年度分の課税標準額に三割増、六割増、九割増の負担調整率を乗じて得た額によって算定した税額を限度とする負担調整措置を講ずることといたしました。  その六は、電気ガス税についてであります。電気ガス税につきましては、電気に対する電気ガス税の免税点を六百円に、ガスに対する電気ガス税の免税点を千二百円にそれぞれ二割ずつ引き上げて負担の軽減をはかることといたしました。また、毛糸及び毛織物の製造に直接使用する電気に対して課する電気ガス税の税率を一定期間百分の四に軽減することといたしました。  その七は、軽油引取税についてであります。軽油引取税につきましては、課税の公平をはかる見地から、自動車の保有者に対して軽油引取税が課される炭化水素油の範囲に炭化水素とその他の物との混合物または単一の炭化水素を含めることといたしました。  このほか、地方税制の合理化をはかるための規定の整備等所要の規定の整備を行なっております。  以上の改正により昭和四十五年度においては、個人の住民税におきまして六百五十四億円、個人の事業税におきまして四十五億円、電気ガス税その他におきまして三十九億円、合計七百三十八億円の減税を行なうことになりますが、一方、国税の改正等に伴い九十五億円の増収、また、都市計画税について新たに負担調整措置を講ずることにより現行制度による収入見込み額に比し二百三十五億円の減収が見込まれますので、差し引き八百七十八億円の減収となります。  以上が、地方税法の一部を改正する法律案の提案理由及びその大要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  277. 菅太郎

    ○菅委員長 次に、補足説明を聴取いたします。降矢税務局長。
  278. 降矢敬義

    ○降矢政府委員 以下補足説明を申し上げます。  お手元に御配付してあります資料の五五ページの次のページから「地方税法の一部を改正する法律案新旧対照表」というのがございますので、これに従いまして要点を御説明申し上げたいと思います。  まず第一番に、三ページの都府県民税についてでありますが、三ページの第二十四条の五の改正は、障害者、未成年者、老年者及び寡婦の非課税限度額を現行三十万円から三十二万円に引き上げることとするものであります。  それから次は、六ページをお開き願いたいと思います。六ページは、第三十四条第一項第二号の改正の規定でございます。これは医療費控除の控除限度額を現行十五万円から三十万円に引き上げることとするものであります。  同じく六ページ第三十四条第一項第六号から第九号までの改正は、障害者控除、老年者控除、寡婦控除及び勤労学生控除の額をそれぞれ一万円ずつ引き上げて、八万円とすることとしているものであります。なお、これに伴いまして、特別障害者控除額を現行九万円から一万円引き上げて十万円とするものであります。  それから同じく六ページの第三十四条第一項第十号の改正は、配偶者控除額を現行十万円から十一万円に、同じく第十一号の改正は、扶養控除額を現行六万円から八万円に、同じく第三十四条第二項の改正規定は、基礎控除額を現行十二万円から十三万円に引き上げることとしているものであります。  次は、七ページの第三十四条第三項の改正は、配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族にかかる扶養控除額を九万円としようとするものであります。これは、扶養控除額を八万円に引き上げることによりまして、現行の控除対象配偶者のいない世帯の一人目の扶養親族にかかる扶養控除額八万円との間に差がなくなりますので、これに伴い、母子世帯等に対する配慮から、特例を設けようとするものであります。  なお、これに伴いまして、第三十四条第四項を削り、第五項について所要の整備をすることとしているものであります。  それから次は、一一ページをお開き願いたいと思います。一一ページ、第五十一条の改正でございます。市町村税源の充実に資するため、法人税負担が引き上げられる機会に、道府県民税の法人税割の標準税率を〇・二%引き下げて、現行の五・八%を五・六%とし、その分だけを市町村民税の法人税割に移して、これを、第三百十四条の六の規定の改正により、八・九%から九・一%へと〇・二%引き上げようとするものであります。なお、法人税負担の引き上げは、二年間の臨時措置でありますが、法人税割については市町村税源の増強の見地から恒久的に税率を変更しようとするものであります。  また、道府県民税の法人税割の制限税率を現行の七%から六・六%に引き下げることにいたしました。  なお、この改正規定は、昭和四十五年五月一日以後に終了する事業年度分の道府県民税から適用することといたしております。  次は事業税でございますが、一五ページをお開き願いたいと思います。十五ページの第七十二条の十八でございます。これは事業主控除額を現行の二十七万円から五万円引き上げまして、三十二万円にしようとする改正でございます。  それから一六ページから一八ページの改正規定でありますが、これはいわゆる分割基準の改正であります。まず、第七十二条の四十八第四項の改正は、従業者の数を分割基準としている分割法人で資本等の金額が一億円以上のものは、すべて現行の製造業の場合と同様に、本社の管理部門の従業者の数を二分の一として算定することに改めようとするものであります。  次は、不動産取得税について御説明申し上げます。二二ページでございます。第七十三条の四第一項第三号の改正規定は、民法第三十四条の法人等に加えまして、今回、新たに社会福祉法人済生会などの公的医療機関の開設者が設置する看護婦等の養成所において直接教育の用に供する不動産を取得した場合についても、不動産取得税を課さないこととするものであります。  次に、二三ページ、七十三条の四第一項第十二号の改正でございますが、これは雇用促進事業団がその調査、研究の業務の用に供する不動産を取得した場合についても、不動産取得税を課さないこととするものであります。  次は、七十三条の七第十三号の改正であります。これは、八郎潟新農村建設事業団がその譲渡した不動産で政令で定めるものを譲渡契約の解除または買い戻し特約により再取得した場合には、この事業団の性格等にかんがみ、不動産取得税を課さないこととするものであります。  なお、旧第十三号の規定を削除いたすこととしておりますのは、同号に規定する不動産の取得が予想されず、今後適用関係が免じないことによるものであります。  次は、二四ページの第七十三条の十四第四項の改正であります。これは農業協同組合等が農林漁業金融公庫から卸売り市場近代化資金の貸し付けを受けて、共同利用に供する施設で政令で定めるものを取得した場合における不動産取得税の課税標準を、その貸し付けを受けた額を価格から控除した額とするものとしたものであります。  二五ページの第七十三条の十四第八項は、都市再開発法により過小床不交付の場合及びやむを得ない事情により、権利変換を希望しない旨の申し出をしたと認められる場合において支払われる補償金を受けた者が、権利変換期日から二年以内に代替不動産を取得した場合における不動産取得税の課税標準を、取得した不動産の価格から従前の不動産の固定資産課税台帳に登録された価格を控除した額としようとするものであります。  同じく同条の第十二項は、農業振興地域の整備に関する法律に基づきまして、市町村長の勧告、都道府県知事の調停または農業委員会のあっせんによって、農用地区域内にある土地取得した場合における不動産取得税の課税標準を、取得した土地の価格からその三分の一に相当する額を控除しようとするものであります。  次に、市町村民税でありますが、市町村民税につきましては、障害者等に対する非課税範囲、各種控除の引き上げ等の改正は、道府県民税の改正について説明いたしましたことと同様でございますので、その他の改正規定について御説明申し上げます。  まず三五ページであります。第三百十四条の六の改正規定は、第五十一条の道府県民税のところで説明いたしましたとおり、市町村民税の法人税割の標準税率を〇・二%引き上げることといたしたものであります。  次に三六ページ、第三百二十条の改正であります。これは第三百二十一条の五第一項の改正と関連するものであります。個人の住民税につきましては、現在、均等割のみの場合は、一括徴収することとされておりますが、所得割のみの場合等におきましても、これらとの均衡上、その額が均等割に相当する額以下であるときは、これを一括徴収することができるように、規定の整備をはかろうとするものであります。  次に、三六ページの三百二十一条の三の改正でございますが、これは給与所得以外の所得にかかる所得割額を普通徴収の方法によって納税することを希望する場合には、申告書にその旨を記載すれば足りるように改正しようとするものであります。  次に、固定資産税の改正規定について申し上げます。  四〇ページでございます。第三百四十二条第三項の改正でありますが、これは、償却資産について所有権留保付き売買があった場合においては、これを売り主及び買い主の共有物とみなして課税しようとするものであります。  四一ページ、第三百四十八条第二項第六号の改正は、鉱山における粉じんの処理施設を非課税としようとするものであります。  次は、四三ページでありますが、第三百四十九条の三第十三項の改正でございます。これは、踏切道改良促進法の対象となっている新設立体交差化施設について認められている現行の課税標準の特例を、同法の対象とならない新設立体交差化施設についても適用することといたしまして、その線路設備等の課税標準は、その施設の建設費のうち鉄道事業者の負担額の割合に相当する額とするものであります。  次は、四四ページ、第三百四十九条の三第十七項の改正でございます。これは従来同項に規定されております内容が第十三項において規定されることとなったことに伴い不要になりましたので削ることといたしまして、新たに第十七項として、新たに営業路線を開業するために設けた一般自動車道について、その課税標準を新設後五年度間は価格の三分の一、その後の五年度間は価格の三分の二とするものであります。  次は、電気ガス税について御説明申し上げます。  四五ページの第四百八十九条第一項第二十二号の改正でございます。これは過酸化ソーダ、珪酸ソーダを非課税品目から削除するものであります。  それから四六ページ、第四百八十九条第二項の改正でございますが、人工軽量骨材(頁岩を原料とするものに限る。)及びブチルゴムを三年間非課税とするものであります。  これらの改正規定は、昭和四十五年六月一日から施行するものであります。  同じく第四百九十条の二の改正規定でございますが、これは電気ガス税の免税点を、電気については六百円、ガスについては千二百円に引き上げるものであります。  この改正規定は、昭和四十五年五月一日から施行しようとするものであります。  次は、四六ページの軽油引取税でございます。  第七百条の三の改正は、自動車の内燃機関の燃料として、灯油等の炭化水素にアルコールを混入したもの及びトルエンという単一の炭化水素が使用されていることにかんがみ、課税の公平をはかるため、これらの燃料に対しても軽油引取税を課税することができるようにしたものであります。  なお、本条の改正規定は、昭和四十五年六月一日から施行しようとするものでございます。  それから少し飛ばさせていただきまして、五二ページの附則第十五条第三項及び第四項の改正でありますが、これは重油にかかる水素化脱硫装置及び廃油処理施設について固定資産税の課税標準の特例措置の期限を延長し、昭和四十八年一月一日までの間に新設されたものについて適用しようとするものでございます。また、第八項の改正は、外国貿易船による物品運送用コンテナについて固定資産税の課税標準を、昭和四十五年度分から昭和四十七年度分まで価格の二分の一とするものでございます。  五三ページ、附則第十五条第九項の改正でございます。これは国内路線に就航ずるYS11型航空機について固定資産税の課税標準の特例措置の期限を延長し、昭和四十九年一月一日までの間に新たに就航したものについて適用しようとするものでございまして、また、第十項の改正は、営業用倉庫について固定資産税の課税標準の特例措置の期限を延長し、昭和四十八年一月一日までの間に新設されたものについて適用しようとするものでございます。  次に、五四ページの附則第十八条から六四ページの附則第二十九条までは固定資産税及び都市計画税の負担調整措置についての規定でございます。  五四ページの附則第十八条第一項の改正規定でございます。これは宅地等に対する固定資産税についてその宅地等の新評価額の昭和三十八年度分の評価額に対する上昇率に応じて三段階(三倍未満、三倍以上八倍未満、八倍以上)に区分し、その区分に応じて、毎年度、それぞれ前年度の税負担の一割増し、二割増し、三割増しを限度とすることとされていました。これを新たに上昇率が二十五倍以上のものについては、毎年度、前年度の税負担の四割増しを限度として固定資産税額を求めることとするものでございます。  次に、五六ページの附則第二十五条第一項の改正規定でございます。これは昭和四十五年度分及び昭和四十六年度分の宅地等に対する都市計画税については、その宅地等の新評価額の昭和四十四年度分の評価額に対する価格上昇率の区分に応じて二倍未満、二倍以上四倍未満、四倍以上の三段階に区分し、その区分に応じて、それぞれ前年度分の税負担の三割増し、六割増し、九割増しを限度として都市計画税額を求めようとするものでございます。  それから少し飛ばさせていただきまして、六五ページでございます。第三十一条第二項の規定でございます。これは毛紡績糸及び毛織物の製造に使用する電気に対して課する電気ガス税の税率を、昭和四十五年六月一日から昭和四十七年五月三十一日までの間百分の四とするものでございます。  同じく六五ページの第三十六条の規定でございますが、これは住民税における譲渡所得の課税の特例に伴う所要の規定の整備であり、土地等にかかる譲渡所得は、従前どおり国民健康保険税の所得割額の案分の基礎に含めるものとするものでございます。  なお、この改正規定は、原則として、昭和四十六年度分の国民健康保険税から適用しようとするものでございます。  次は六六ページでありますが、第三十七条でございます。これは所得税において、退職手当等の支給額が前職を通ずる勤続年数を基礎として算定されている場合の退職所得控除額の算定方法につき、所要の合理化を行なうこととされております。このことに伴いまして、昭和四十五年分の退職手当等にかかる住民税のうち、すでに納付されているものについて、還付等の手続が必要となる場合がありますので、そのための所要の規定の整備でございます。  なお、退職所得にかかる住民税の特別徴収税額表の全文改正を行なうこととしておりますが、これは、所得税における税額表の改正に伴い、退職手当等の金額の段階区分を所得税のそれと一致させるための改正でございます。  以上、簡単でございますが、補足説明を終わらせていただきます。
  279. 菅太郎

    ○菅委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時五十九分散会      ————◇—————