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1970-03-17 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月十七日(火曜日)     午後五時七分開議 出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 砂田 重民君 理事 古屋  亨君    理事 山口 鶴男君 理事 斎藤  実君      稻村左四郎君    岡崎 英城君       亀山 孝一君    高鳥  修君       中村 弘海君    中山 正暉君       野呂 恭一君    安田 貴六君       山崎平八郎君    豊  永光君       綿貫 民輔君    井岡 大治君       木原  実君    阪上安太郎君       土井たか子君    山本弥之助君       和田 一郎君    門司  亮君       青柳 盛雄君  出席国務大臣        運 輸 大 臣 橋本登美三郎君         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         外務政務次官  竹内 黎一君         自治政務次官  大石 八治君         自治省財政局長 長野 士郎君  委員外出席者         文部省大学学術         局審議官    清水 成之君         運輸省航空局飛         行場部長    丸居 幹一君         自治大臣官房参         事官     佐々木喜久治君         自治省財政局財         政課長     森岡  敞君         自治省財政局交         付税課長    横手  正君         参  考  人         (新東京国際空         港公団総裁)  今井 栄文君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 委員の異動 三月十七日  辞任         補欠選任   中島 茂喜君    稻村左四郎君   北山 愛郎君     木原  実君 同日  辞任         補欠選任  稻村左四郎君     中島 茂喜君   木原  実君     北山 愛郎君     ————————————— 三月十六日  道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出  第八三号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の  特別措置に関する法律案内閣提出第六号)  地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改  正する法律案内閣提出第二七号)      ————◇—————
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木原実君。
  3. 木原実

    木原委員 時間がありませんので、端的にお伺いをいたしますけれども、過日他の委員会大臣に御質問申し上げました。その際に、この法案自体審議が進んでおるわけでありますけれども、御承知のように、空港現地ではなお幾つかの困難な問題をかかえておると思います。そのことに関連をいたしまして、あらためて、いま反対をしておる農民諸君大臣自身が会ってもよろしい、こういうお話がございました。ただ、その際にはひとつ条件を整えて、こういうお話もございました。これは私のほうに、おまえがそう言うならば、おまえのほうも条件を整えろ、こういうふうにも受け取れたわけでございますけれども、ただ、時間がございませんで、話がそれまでに終わっております。私はいろいろなことを考えまして、この際問題を打開していくためには、いろいろなことをやらなければならぬと思いますけれども、もし大臣が、機会を見て現地諸君と会って話をするということでございますならば、政府のほうでも、会って農民諸君を説得する、そういうことについての条件というと少し語弊があるかと思いますけれども、何かお考えをいただかなければ、話が前に進まないのじゃないか、こういうふうにも考えるのですが、何かそういう先行きのことについてお考えでございましょうか。
  4. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 木原さんの、地元反対派と会ってみる気はないかということに対して、私は、状況さえそれを許すならば、お目にかかることはやぶさかではない、こういうふうに申し上げたのですが、私は、反対派皆さんと会うようなことがありましても、これに特別の新しい条件をもって会おうという考えは持っておりません。要するに、大局的な見地から、何としても成田空港は完成しなければならぬ日本国際航空状況にある。もちろん政府としては、反対派であるからといって、賛成派とは違った条件を押しつける考えはない。反対派諸君といえども、今後の生活に関するめんどうあるいは職業転換対策とか、あるいは生活の問題に関するできるだけの政府協力とか、また地元にそのまま住む諸君に対しまして、いわゆる騒音対策に対して積極的姿勢を打ち出す。かような点については誠意をもって当たる。こういうのでありまして、全然新しい条件を持って私が会おうとする考えは持っておりません。それよりは、もっと大局的に日本国際航空行政の面を理解してほしい。  そういう意味で、感情上のもつれもあろうからして、そういう点をお互いにひとつ理解しあって、国策の遂行に協力してほしい。こういうようなたてまえで、そういうような状況が許すならば会うというのであって、特別な新規条件を持ってお目にかかるというような団体交渉的な考えは持っておらない、こういうことを御理解願いたいと思います。
  5. 木原実

    木原委員 私も、新しい条件というのは、それは大臣のおっしゃるとおりだと思うのです。また、現地でいまなお反対をしておる諸君も、補償金をさらにこれだけ上増しをすればとかあるいは代替地がどうだとか、こういう条件に関してはいままでもきびしく峻拒してきておる、そういう立場の人たちなんです。早い話が、ともかくも銭は要らぬ、このままにしておいてほしい。これだけのことで反対をしておる諸君なんです。それだけに、御存じのように、一期工事については、国有地ないし県有地面積の大部分を占めておる地区でございましたから、いま収用委員会にいろいろな問題がかかりつつあるわけでありますけれども、そういう法的な措置であるいは土地の買収は成立するかもわかりません。  しかしながら、私が心配いたしますのは、二期工事になりますと、これはそういう諸君が、私の手元にあります資料ですと、戸数にして約九十五戸ばかりある。面積にしまして約百三十町歩地主関係がいるわけであります。現地反対をしておる人たちは、おそらく御案内のように、騒音地区になる芝山町を中心とした諸君で、おおむね三百世帯くらいの人たち反対をしておる。こういう姿になっておるわけであります。騒音の問題も問題が残るわけでありますけれども、しかしながら、いずれにしましても、土地所有者が百三十町歩近くの土地を持っていて、なおかつ、ほとんど条件を受け付けないという形で反対であると言っておる。これについては、いまの収用法その他の適用がはたしてできるのか。つまり法的な手段によってはおそらくなかなか困難なのではないのか、こういうふうに考えるわけであります。これは専門家によって見解が違うかと思いますけれども、しかし、それにいたしましても、なおいまの収用法を適用して、私権を制限をしていくということについては問題が残ると思うのです。  残るとなりますと、政治的に解決する以外にはない。その際、しかもなおかつ、条件提示をされていない。現地側のほうからも提示をされておりませんし、政府のほうもこのままでいくんだ。それはそれでよろしいと思うのです。そうなりますと、大臣のおっしゃる誠意の問題といいますか、政治的な解決をはかっていくという以外には、解決をはかるとすればないと思うのです。  そういう状況でございますから、そういう困難に対して政治的な誠意の示し方といいますか、その姿勢を私としてはやはり承りたいと思うのです。そういうものがなければ、現地人たちだって会ってもしようがないという形で、これはもうぶつかり合いばかりやっていては、悲劇でございますから、何かその辺についての大臣の御所見をひとつ承っておきたいと思うのです。
  6. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 原則論としては、先ほど申し上げたようなものの考え方ですが、成田空港は、第一期工事と第二期工事が完成してまあまあ一人前の飛行場になる。しかも、当初の計画を半分以下に規模を縮小しまして、そうしてつくることになったんでありますから、どうしてもいまの三百二十万坪という第一期、第二期工事というものは、これはひっくるめて工事を完成させなければならぬ。しかし、第二期工事のほうには、いまおっしゃったような相当多数の方が、なおかつ絶対反対である、こう言っておりますので、それをどう解決するんだというような御意見もまたわれわれも考えなければならぬと思いますけれども、もちろん私自身は何もかも収用法だけで解決できる問題でもないと思います。しかしながら、はたしてお互いに話し合った上でそれが解決できるかどうかということも、私ももちろん自信は持っておりません。だが問題は、そのことの次元の低い問題だけでなくて、もっと高い次元からお互いが話し合おうといいましょうか、意思の疎通をはかる。しかし、鉄壁の拒絶反応を持って会おうというなら、これはもう問題になりませんから、会ってもしかたがありませんが、そうじゃなく、とにかく一応穏やかに大臣と話をしてみよう、意見が分かれるかもしれぬ、分かれてもそれはそれとしていいではないか。会った上でどういう気持ちを持っておるか、また日本の経済の将来なりこの地域の将来の発展なりというものを大臣はどう考えているかという広い意味での、利害関係者という点ももちろん必要でありまするが、利害関係者の上を離れた一般国民の崇高な精神の上からものを考えるということも、私はあり得るだろうと思うのです。そういう意味において、たとえそれが直ちに解決の端緒につながらなくとも、お互いに違った意見を言うにしても、いわゆる談笑といってはあるいは語弊があるかもしれぬが、穏やかに話のできる状態であれば、最終的な結果が得る得られないは別問題にして、会えるような状態であれば、会っても私としては異議はないのではないだろうか。その場合に木原さんなり関係者のひとつ協力は求めたい、かように考えております。
  7. 木原実

    木原委員 私もできるだけ協力をいたしたいと思います。問題はここまで来ておるわけですから。ただいたずらに現地警官隊農民諸君が乱闘を繰り返すということは、見るに忍びないわけであります。したがって、これは行政の衝に当たる人たちというよりも、われわれ政治家がはだでもって解決をする以外にはないというふうに、かねて心にきめておることでございます。  ただ、それにいたしましても、なお幾つかの問題が——大臣のおっしゃる、この空港をつくっていく崇高な使命、状況、そういう中にも、これは政策上の問題として、われわれは多少見解が異なる点があると思います。具体的には、やはり一つの問題は、土地関係のほかに、騒音の問題があると思うのです。これはいままでもたびたび問題にしてまいりましたし、それなりにいろいろな特例法その他を含めまして、この法案もそうですけれども騒音対策は十分やっておる、こういうことなんですが、特に芝山町につきましては、御案内のとおり、土地関係はないけれども、これは騒音でどうにもならないのだ。かりにこの法案にありますように、飛行場周辺を、やや広い地域にわたって畑地かんがいをやるのだ、こういうようなことをしましても、これは迷惑をかけるから、ひとつ土地の改良をやって差し上げましょう、こういうことなんです。しかし、そのことによって実は騒音の問題は消えるわけじゃない。また公共の、たとえば法で定められた一定の地域の学校その他の公共施設についてのいろいろな騒音対策については、これから逐次整備をされていくと思います。思いますけれども、あの周辺大多数にわたっての民家は、ほとんど騒音に対しては何ら直接の対策の恩恵には浴さない、こういう面がある。そうなりますと、飛行場ができたあとの騒音を含めた公害についてのまだ何か足りない面がずいぶんある。  そうなりますと、私どもとしてもたくさんの要求があるわけです。入ってくる飛行機についての騒音規制というようなことから始まりまして、現在他の飛行場周辺でも、御案内のように、騒音の問題が非常に大きな問題になっているわけでありますけれども、しかし、その騒音の問題について、もう一歩突っ込んだ何か対策を立てていくという余地はないものでしょうか。
  8. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 騒音対策は、広範にわたって影響するところのものがあるわけでありますから、騒音対策というものは非常に重要な対策一つだと私は考えております。ことに方向によっては相当影響するところもありましょうからして、したがって、これをできるだけ広範囲に適用していくという考え方は、今後とも考えていかなければならぬ。だだ、一部いわゆるジャンボ着陸の場合、従来よりも非常に騒音を出すのではないかというような心配をされておりましたが、せんだって羽田に着きましたジャンボ騒音の測定をいたしました。結果は、もちろん一回だけでは不十分でありますけれども、かえって現在動いている707型のジェット機よりもいわゆる騒音は低いということが、そのときの調査では具体化をしておるわけであります。もちろんこれは、御承知のように、アメリカにおいても騒音問題は非常に重要でありますからして、新規に開発されたエンジンに対しては、かなり連邦政府はきびしい規制を求めておるようであります。その規制に従って製作しなければならぬということで、SSTなどが出てくればどうなるかわかりませんけれども、少なくともジャンボの場合においては、われわれがおそれおののいておったような騒音ではない。従来のジェット機をこえるものではないようだという見当はついておるようであります。  それにいたしましても、こういうような国際空港あるいは基地等に対しましては、その関係町村だけの方が犠牲をこうむるということではなく、もちろんこれは直接的には、精神的にもあるいは肉体的にも影響を受けるのですから、そういう精神的、肉体的に影響を受ける人々に対しては、国全体の国民がこれに対してできるだけの配慮を行なう、すなわち国の財政措置において行なうというたてまえはしかるべきものだと考えます。でありますからして、現在の騒音対策で十分かといえば、私は必ずしも十分でない。ただ、財政措置あるいは税制措置等が急速にこれが解決を見出し得ないことは、まことに相済まぬと思っておりますが、私運輸大臣として、航空政策責任者である以上は、最善の力を尽くして、そうしていわゆる関係住民の福利厚生なり、騒音対策の上から考えても、十分なことをといいますか、できるだけ早く、かつまた確実にそういうような対策を拡大して、少なくとも幾らかでも犠牲に対して報いることがあるような措置を講じていきたい、かように考えて、来年度におけるところの空港特会法案におきましても、これらを重視した予算を組んでおるわけであります。今後はより一そうその対策費用というものは十分に組んで、そうして地域住民に報いたい、かように考えております。
  9. 木原実

    木原委員 もう時間が過ぎておりますので、これでやめますけれども、いずれまた大臣とは別の委員会その他で御質問申し上げたいと思います。  願わくば、ひとつできるだけ機会をつくって、農民諸君とひざをつき合わせて大臣所見をお述べになる、あるいは直接農民諸君の言い分を聞いてやっていただきたいと思います。そのためには私どももできるだけの努力をいたしたいと思います。終わります。
  10. 菅太郎

    菅委員長 次に、和田一郎君。
  11. 和田一郎

    和田(一)委員 運輸大臣に二、三お聞きいたしますが、具体的なこまかいことは、また別に後日の委員会でお聞きいたします。  最初にお聞きしますことは、いまも大臣がおっしゃったように、巨人機それから超音速ジェット機SSTですか、音速の二、三倍飛ぶというわけです。今度いただきました「時の動き」の中に「新東京国際空港の現状」、この中にもそういうことがよくうたってあるわけですが、今度の成田空港SSTまでもほとんど発着可能の設計であるかどうか、またそういうように対処されてつくったのか、それを大臣からまず伺いたいと思います。
  12. 丸居幹一

    丸居説明員 設計の問題でございますので、私のほうからお答えいたしますが、先生おっしゃるとおり、SSTが発着できる飛行場として計画をいたしております。
  13. 和田一郎

    和田(一)委員 私、個人的な友人でジェット機、それから航空界専門家の方に聞いたのですが、専門家の間の話では、成田空港はいわゆる内陸空港であって、専門家からいうと、どうも納得できない。騒音またはいろいろ排気ガス等考えて、海上に近いほうが理想的である。そういう点についてわれわれは納得しかねるという話を聞いたのです。その方の意見がいいか悪いかということは別問題にして、確かに私たち考えまして、片一方は海のほうが何かにつけて都合がいいと思うのですが、どうしてあんな内陸を選ばれたか、大臣から伺いたいと思います。
  14. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 問題は、技術的な問題でもあり、設計あるいは位置の選定の問題のようでありますから、航空局関係者から答弁いたさせます。
  15. 丸居幹一

    丸居説明員 先生のおっしゃるとおりに、やはり片方といわず両方とも海であれば、騒音対策上はまことに理想的なのでございますが、御承知のとおり、羽田空港というものもございまして、東京湾には管制関係から、すぐ近くの海の中にそれをつくる場所がございませんので、いろいろ調査いたしました結果、現在の地点のあたりが管制上最も都合のいい場所として選ばれたわけでございます。  ただ、おっしゃいましたSSTの問題でございますけれども、確かにSSTは超音速で飛ぶ飛行機でございますけれども、それが超音速を出しますときには、確かに相当公害を下に与えることは間違いないのでございますが、その超音速を出し釜すのは、一万メートル以上の高空に上がったときに初めてその超音速を出すのでございまして、下のほうに行きますと、速力を落としまして、飛行場着陸をいたしますので、下のほうに超音速としてのソニックブームとかいうようなものをまき散らすことは一応考えられないと考えております。
  16. 和田一郎

    和田(一)委員 資材輸送の問題ですけれども、いろいろ計画をいただきました。確かに現在の日本国道県道、これはやはり狭いということ。現在でさえも交通量一ぱい一ぱいだ。そこへもってきて新東京国際空港またはそれに関するいろいろな事業があるわけです。それが一ぺんにそこで仕事をするわけであります。それに対して国道はいいにしても、県道であるとか、市道であるとか、またはダンプカーが荷物を積んできて町道の細いところまで通ってくるようなことがあるわけですよ。そういったことで、これからひとつ大臣としましても、建設省関係に対して前向きに、関係市町村に迷惑を与えないようにする。これは一番大きな悩みになっておりますので、ぜひそのようにしていただきたい、また努力していただきたいということを、大臣からお伺いいたしたい。
  17. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 和田さんのおっしゃるように、これだけの膨大な施設をする場合には、資材運搬その他で相当の距離の住民皆さんにまで迷惑をかけるわけであります。私のところにも、やはり鹿島から砂を運ぶとか、あるいは砕石を運ぶというので、私の選挙区といいますか、私の郷里でも相当の迷惑をこうむっております。いまおっしゃったように、その犯人といいますか、それを起こすのは、いわゆる成田飛行場関係ではありますけれども、国の全体の仕事としてやるのでありますからして、いま和田さんがおっしゃったように、そういうような障害に対しては、国全体の責任をもって解決しなければなりませんので、おっしゃるように、県道あるいは市町村道に至るまで、建設大臣と近い機会に会いまして、それらの問題の個所個所について建設大臣が前向きで善処するように十分の申し入れをするつもりであります。
  18. 和田一郎

    和田(一)委員 いまの大臣の御答弁で非常に安堵をするわけであります。国全体の問題ですから、建設省は全力をあげてやっていただきたいと思いますが、個所づけ等具体的なことは次の委員会でやりますけれども現実になかなか建設省としても、順番があるからとか、そこまで考えてなかったとかということがあるんですね。ですから、これから、ひとつたいへんでしょうけれども大臣も具体的な問題にもお目をお通しになって、新東京国際空港については、関係市町村には、交通事故も激増することでありますから、そういったことは絶対に防止していく、ひとつその点はよろしくお願いしたいのでございます。  それから、この間の立ち入り測量のときに、反対派の方のとりでといいますか、写真などを見ますと、竹やりなんかある。その中に小学校、中学校の子供たち、あるいは幼稚園子供たち——これはちょっと記憶ありませんけれども、そういうことについて大臣、どうお考えになりますか。
  19. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 どういう考え小学校幼稚園の幼い方々が中に参加したかよくわかりませんけれども、ただ気持ちとしては、親たち反対しておるというので、その問題の善悪是非は理解しないにしても、何かやはり親たちと行動を一緒にしたいという感情はあるだろうと思うのです。しかし、このようなことは、お互いに将来の第二の国民の前途を考えましても、好ましいものでもありませんので、もしそれが一つ戦術としてとられたなら、おそらく戦術としてとったんじゃないと思いますけれども、もし戦術としてとったのであるならば、そのようなことは好ましくないことでありますからして、お互いに話せばわかる、同じ日本国民の中で問題は扱っておるのですから。いろいろ利害に関する要求はありましょう。しかしながら、もちろんこれは限度もある。それで、おとな同士が話し合ってわかることでありますから、そういうがんぜない少年日本の将来を背負うべき青少年といいますか子供、青年なら別ですけれども少年や幼女に至るまでがそういうものに参加することは、われわれ気持ちの上ではまことに忍びない気持ちがいたします。そういうことについては、今後とも十分にできるだけ直接にもあるいは間接にも話し合っていきたい、かように考えております。
  20. 和田一郎

    和田(一)委員 もう少しその問題でお聞きしたいのですけれども新聞報道によりますと、反対派の方が子供たちを出す、そういったことを先に新聞記者等に発表されているわけなんです。そしていよいよそのときになってから、確かに子供がはち巻きをしておりました。いま大臣は、そういうことはとにかく好ましくない、話せばわかるんだから、とおっしゃったんだけれども現実にもう子供たちは出てきてしまった。しかも、突然じゃなくて、その前にちゃんと反対派の方が発表しておられる。そういう面で、空港側としてもまた大臣のほうとしても、事前にそういうことについて真剣に取り組まなかったのじゃないか。そしてついに出てきたのじゃないか。これはもう大きな社会問題だと思います。反対だけではないと思います。がんぜない、何にもわからない子供です。現実に起こっているんですね。ですから、事後の話になるかもわかりませんけれども、今回の起こってしまった事件については、どうですか、手を打たれたことはございますか。
  21. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 どういういきさつで、どういうようなことでもってそういう事態になったかは、私自身は具体的には承知いたしませんけれども一般論からいえば、いま和田さんもそういう気持ちでおっしゃっておるのだろうと思います。やはり幼い者たちがそういう運動の中に巻き込まれることは、好ましくないのじゃないだろうかという御意見だろうと思います。私もさような感じもいたしますので、今後の措置につきましては、最善を尽くして、さようなことのないように、やはりおとなはおとな同士で話し合いをつけていく、こういう形で、いわゆる対話を静かに持つような情勢をつくっていきたい、かように考えております。
  22. 和田一郎

    和田(一)委員 ぜひひとつ、今後の問題もございますので、子供たちだけは絶対にそういう争いの中に巻き込まれないように、大臣としても全力をあげていただきたいと思います。  あとは後日の委員会でゆっくりと質問さしていただきます。ありがとうございました。終わります。
  23. 菅太郎

    菅委員長 山口鶴男君。
  24. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 丸居行場部長さんおられますね。まず、資料をこの前お願いしておったのがあると思うのですが、一つは、成田と羽田の両国際空港の使用区分は一体どうなっておるのかということを、資料として提出をいただきたいとお願いをいたしておきました。二番目は騒音の問題でありまして、ジャンボですね、ボーイング747型機、これの騒音と、従来就航しておりますジェット機との騒音の比較表、これもあわせて資料として要求しておきましたが、それはどうなっておりますか。
  25. 菅太郎

    菅委員長 いまの資料は配付中ですから、すぐ手元につくと思います。  その点について、丸居行場部長
  26. 丸居幹一

    丸居説明員 この間申し上げましたように、原則として定期路線のうち、国際線については新東京国際空港、国内線については、現在の東京国際空港に発着させるという方針でございます。  それから、この間測定いたしました結果は、そこに出ておりますように、発着時期において、この測定地点1と書いてありますのは、うしろをめくっていただきますとわかりますように、船をここへ浮かべまして測定をした二キロメートルの地点でございまして、着陸時はジャンボが百三ホンに対しまして、ボーイングの707が百九ホン、ボーイングの727が九十七ホン、こういう結果でございます。それから一枚めくっていただきまして、離陸時でございますけれども、これは測定地点が番号の3でございます。ちょうど滑走路のまつ先やはり二キロメートルの地点でございす、して、ボーイングの747ジャンボが九十九ホンに対しまして、ボーイングの707が百九ホンでございました。  これの荷物を調べてみますと、特に離陸時に影響があるわけですが、離陸時は二百六十二名というかなりたくさんの人が乗っておりましたので、大体こういうところが平均かあるいは平均の少し上ぐらいな状態で飛んでおるのではないか、こういうふうに考えられる状態でございます。
  27. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 騒音のほうは、これはまだ一回の測定では正確ではありませんし、今後さらに精密な調査をいただきまして、またあらためて委員会で議論するときがあると思いますから、この問題はしばらくおきましょう。きょうは触れません。  で、問題は、この成田空港と羽田空港との使用区分の問題でありますが、これを見ますと、先日当委員会でお答えをいただきましたように、国際線については成田、国内線については羽田ということのようであります。  そこで、私は、大臣にお尋ねしたいと思うのですが、羽田、現在の東京国際空港にはMACのチャーター機及びアメリカの軍用機、これが、名目はいろいろありましょう、燃料補給であるとかあるいは技術的な着陸であるとかいう名目でもってしばしば離着陸をしている。昭和四十二年におきましては四千五百十四回、昭和四十三年におきましては三千九百八回、それから昭和四十四年におきましてはMACのチャーター機が二千二百四十六回、米軍用機が三十回でありますから、合計をいたしますと二千二百七十六回離着陸をいたしております。MACのチャーター機は一体国内線なのか、こう言えば、これは明らかに国際線でしょう。国内から羽田へ飛んでくるわけではありません。アメリカ本土ないしは沖繩、ベトナム、こういうところから来るわけでありますから、明らかに国際線である。  そういたしますと、かつて中曽根元運輸大臣は、軍事目的の使用は断固拒否いたしますと、こういうきわめて明確な御答弁をされておるのであります。ところが、その後運輸大臣がかわりまして、原田運輸大臣になりますと、安保条約第六条にいう「施設及び区域」いわゆる軍事基地に使用することは絶対にありません、それはお断わりをいたします。しかし、現在羽田に離着陸しているようなMACのチャーター機なり米軍用機が、これは地位協定第五条によってアメリカは権利があるわけですから、なるべく寄らぬようにお願いはするけれども、しかし燃料補給であるとかテクニカルランディングであるとか、こういういわば不時の事情のために離着陸するということはあり得るんだ、しかしなるべく回数を減らすようにする、こう言っておるわけです。できれば羽田を使ってもらいたいというようなことを言うのでありますが、しかし、この使用区分からいえば、当然国際線に対しては成田ということになれば、これは成田におりることになる。現在のMACのチャーター機、米軍用機が離着陸しているような状態で、当然成田に離着陸するというのは明らかではないのか。中曽根運輸大臣は明確に区分しておったと思うのです。軍事基地として使わない、こう言ったのじゃないか。軍事目的には断固拒否する、こう言われたのです。原田運輸大臣の言い方では、これは軍事目的を断固拒否するということにはならぬわけです。  今回就任いただきました橋本運輸大臣は、幸い閣内におきましても大いに力を持っておるでありましょうし、また同じ茨城選出のかつての赤城防衛庁長官は、六〇年安保の際に、自衛隊出動を当時の岸総理大臣から要請されましても、断固これを拒否する、こういったきわめて気骨のある政治家だとも聞いておるわけでございます。橋本運輸大臣も、かつて官房長官でありましたときに、特に中国問題につきましては、前向きに努力するんだというきわめて進歩的な姿勢を示されて、大いに名官房長官としての名声を博されたということも聞いておるわけでございまして、たまたまそういったりっぱな運輸大臣が就任されました現在におきましては、せめて中曽根さんくらいの断固たる御決意は表明いただけるのではないだろうか、こう期待を申し上げてお尋ねをいたした次第であります。
  28. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 ちょっとその前に、羽田が国内飛行場、それから成田が国際飛行場という区分の問題について、飛行場部長からはっきりした御答弁をいたさせます。
  29. 丸居幹一

    丸居説明員 いま資料でお配りしましたように、「原則として定期路線のうち、国際線については新東京国際空港、国内線については東京国際空港において発着させるという方針である。」ということであります。ちょっとこれを補足説明させていただきますけれども、この中でいいます国際線というのは、その前に書いてあります定期路線でございますので、定期路線は、必ず成田へ行くという原則のもとに運行してもらうようになるはずでございます。ただ、その定期路線をそういうようにするという方針がきまっておるということでございます。  それからMACのチャーター機のことでございますけれども、これは先日政務次官がおっしゃいましたときにもちょっと出ましたのですが、テクニカルランディングで着く場合には、必ずしも国際線といった場合の成田へ着けなければならぬということはないのじゃないかという気がいたします。
  30. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 私も技術屋でありませんので、技術上の問題は確たるお答えはできませんが、ただ、成田空港国際空港で、羽田が国際空港でないという考え方は、運輸省は持ってないと思います。いま言ったように、定期路線はできるだけ成田空港で処理をしたい。しかし、これから国際航空線の定期線が現状でとどまればいいけれどもおそらくどんどん拡大していくだろうと思うのです。そういう場合に、第一、第二期工事ができてもはたして成田国際空港だけで間に合うかといえば、これは間に合わないのじゃないのか。ただ、原則としてとこういう意味で、定期航空は当分の間成田を中心とする、こういうことでありまして、いま山口さんがおっしゃったように、はっきりと区分しておるものではない。ただ、原則論としてはそういうことは言えると思います。  そこで、新東京国際空港というのは、各歴代の大臣及び航空局長が前々から答弁をいたしておりますように、これは純民間飛行場として建設したのであります。したがって、いわゆる軍事目的あるいは、もちろん戦闘用は当然ですが、そういうものに使う意思は全くない。ただ、こういうことはあり得るかもしれません。突発的な技術的な事情で、それが成田付近で、あるいはガソリンが切れたとかあるいは故障が起きたというときには、そこにいわゆる非常用として臨時に着陸することを求めるような場合はあり得るかもしれませんが、これはまあ、いずれの場合においても、どこの場合においてもそういうことはあり得るのでありますから、その点を除きますれば、いわゆる成田空港はあくまで純民間飛行場としてわれわれは建設し、かつまた、定期航空路の基地でありますから、いろいろの意味において、スケジュールが乱れるということもこれは重大問題でありますから、したがって、アメリカの軍用機が使う、あるいはそうした軍用のチャーター機が使うというようなことは、われわれは毛頭考えておらない。もし必要があるならば、日米合同委員会においてもその点は明らかにしていきたい、かように考えております。
  31. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 竹内政務次官おられますから、外務省にお尋ねしたいと思うのですが、地位協定の第五条ですね、「合衆国及び合衆国以外の国の船舶及び航空機で、合衆国によって、合衆国のために又は合衆国の管理の下に公の目的で運航されるものは、入港料又は着陸料を課されないで日本国の港又は飛行場に出入することができる。」こうなっております。この地位協定五条はアメリカの権利を規定しているのだろうと思いますが、したがって、成田空港にMACのチャーター機及びアメリカの軍用機が、理由はいずれともあれ着陸したいと言ってきたときには、拒否はできませんね、そうでしょう。
  32. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 御指摘のように、地位協定第五条第一項によりまして、米軍機は施設区域以外の日本空港にも出入する条約上の権利を認めております。
  33. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 橋本運輸大臣、いまのようなことで、外務省は拒否できない、アメリカはそういう権利を持っている、こういうことですね。そればかりではありません。この地位協定に基づきまして、航空法の特例を定めた法律がございまして、これによりますと、結局検疫もできないわけですね。それからまた、一たんMACのチャーター機なり米軍機が羽田におりる、その場合には安保条約第六条にいう「施設及び区域」に出ていくことも自由だ。それから今度は「施設及び区域」日本国内の沖繩から——われわれは沖繩は日本のものだと思っておりますが、施政権の現在及んでいない沖繩にこの羽田から行く、それから軍事目的のために戦闘作戦行動に沖繩から飛び立つということも、法律の条文からいけば当然あり得るわけです。  こういうことになっているわけでありますから、いま大臣が、軍事目的のためには云々ということを言われたのですが、佐藤内閣としてはほんとうに断固たる姿勢をもってアメリカと交渉するなりいたしまして、いやしくも軍事目的のためには成田空港は使わぬのだということにしなければ、これは地位協定の解釈からいえば、先ほど竹内さんがおっしゃったとおりなんですから、この問題はきわめて政治的に重要な問題だと思うのです。そういう意味で、私は先ほどお尋ねをいたしたわけでありますが、そうしますと、中曽根元運輸大臣が答弁されたように、軍事目的の使用は断固拒否するという態度でよろしいのだ、こういうことでいいわけですね。
  34. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 外務政務次官のお答えは、条約上の義務規定等について法的解釈をしたものと思います。したがって、法律上でいえば、そういうような場合に法的解釈によらざるを得ませんが、しかしながら、実際上政治の運営というものは、必ずしも法律一点ばりで一方的な権利が主張できるものでもなければ、同時に、こちらについてもそれに対するいわゆる協議すべき一つの権利を保有しているわけであります。したがって、条約上からいえば、もちろんどこでもおりられる、どこでも使える、こういうものの、それらの条約の目的というものは、やはり日米相互の安全を保障する、すなわち、国民感情を害しない、こういうところに一つの目的があるわけでございます。でありますから、法律上の権利があるから何もかも押しまくっていいものだ、条約上の権利があるからといってそういうものではないのであって、したがって、それらが日本国民感情を害し、それが広義の自衛力に対して影響がある場合には、当然これは相手側も考えるのみならず、その道としては合同委員会というものがあるわけであります。その合同委員会を通じて、従来もこの種あるいはこれに類似した問題については、日本側は常にこれを申し入れて、そして日本側の意向に従って処置した例はたくさんあるわけであります。  こういう意味からいっても、条約上についての権利、義務は別といたしまして、わが日本成田国際空港をつくったゆえんのものは、いわゆるこれから激増するところの国際定期航空路として使う。したがって、ある程度過密的ダイヤのもとに使うのでありますから、いわゆるそれをくずされるようなことがあれば、それは日本国際航空行政の上において支障を来たすのでありますから、そういう意味において、このような問題がもし相手側から申し出があった場合には、その事情を十分説明して遠慮してもらう、そういうことによって、いわゆる軍事目的には使わないという方針には変わりはありません。
  35. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 原田前運輸大臣の答弁から見ると、ずっと歯切れがよくて、たいへん感服をしながら拝聴いたしておりました。中曽根元運輸大臣と同様な御答弁でありまして、その点はたいへん意を強ういたします。ただ気になるのは、大臣がそう言われたから心配ないと思うのですけれども、過日当委員会に山村政務次官が参りまして、ある程度遠慮してもらう、しぼるように努力をするというような言い方をいたしました。大臣のただいまの、軍事目的には使わない、こういう明確な御答弁と非常に違ったニュアンスを持った御答弁をされたわけです。  そういう心配をいたしますのは、現に羽田におきましても、理由は燃料補給だとか技術的離着陸といいながら、とにかく昭和四十二年は四千五百十四回も離着陸しておる。そんなに緊急やむを得ざる場合がしばしば起きるなどということは考えられぬわけです。四十三年も三千九百回以上も離着陸をしておる。四十四年においても二千二百七十六回も離着陸をしておる。こういう状況、しかも丸居行場部長の過日の答弁によりますと、何かほんとうは横田におりてもいいのだけれども、どうも羽田におりたほうが都心に近い、遊びに行くのに便利だからというので、おりる回数が多いような、そういう御発言もされておるわけです。成田は遠いからいいだろうということになるのでありますが、今度は新幹線もできるわけでありますから、そうなると、近くなるということもいえるわけでありまして、要は、羽田と同じような回数でどんどん離着陸をする。しかも、その理由たるや技術的着陸、燃料補給という万やむを得ない不時の場合であるかのようなことをいいながら、これほどの回数でおりているということがあるから、山村政務次官のような歯切れの悪い答弁も出たのではないかと思うのです。したがって、成田の場合は、羽田のようなこういう離着陸はあり得ないのだ、一年に一ぺんくらい燃料補給のためにおりたということであるならば、私もそんなに大きな満で文句を言おうとは思いません。数千回もおりておるということは、不時の理由だとは言い得ないと思うのです。こういうような使用のしかたは、成田に対しては、ただいまの大臣の明確な御答弁によれば、あり得ぬと私は思うのです。さように確信をしてよろしゅうございますか。
  36. 橋本登美三郎

    橋本国務大臣 先ほど来申しますように、技術的な突発的な特別の事情のない限りは、いわゆる成田空港においては、われわれはこれを御遠慮申してもらいたいという強い考えを持っております。問題は、政治上の姿勢でもあり、かつまた、日米間の広い意味での相互自衛、援助、協力といいますか、そういう精神の上に立ち、相手国の感情を脅してまでやっても、これは自衛力の助けにならないのでありますから、したがって、わがほうの気持ちを察すれば、この点は、たとえ条約上の権利があろうとも、米側は了承するに違いない、こういう確信を持っております。
  37. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 これで終わりますが、秋田自治大臣もそばで聞いておられたわけです。秋田自治大臣も佐藤内閣の閣僚のお一人であり、しかも、一九七〇年は内政の年であるという佐藤総理の御発言の際に自治大臣に就任された方でありますし、しかも、当委員会のあそこには名政治家とうたわれた秋田清衆議院議長の額も飾ってある。そういうところでこういう議論もあったわけでありますから、ここに有力閣僚お二人おられるわけでありまして、そういう意味で、中曽根元運輸大臣と同じように、軍事目的には使わない、断固拒否する、こういう趣旨の御答弁があり、それが大きな目で見た日米両関係をよくしていく道なんだ、こういう大所高所に立った御発言がございましたので、この点了承いたします。  今後、願わくば、そういう御発言があったあとに、また運輸大臣がかわって、原田前運輸大臣のように答弁が後退し、羽田と同じように成田にMACのチャーター機、米軍機が離着陸するという事態が起きないことを心から祈念すると同時に、強く要請をいたしまして、質問を終わっておきたいと思います。      ————◇—————
  38. 菅太郎

    菅委員長 次に、地方交付税法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中山正暉君。(拍手)
  39. 中山正暉

    ○中山(正)委員 新参かけ出し者でございまして、場なれをいたしておりません。それでたいへん盛大な拍手でお迎えをいただいたのですが、適切な質問ができるかどうか、自分ながら心配をいたしておるのでございます。  まず、私、きょうも本会議で地方財政計画その他いろいろと大臣なり大蔵大臣お話を伺わしていただいたのですが、いまも山口先生おっしゃっていましたように、一九七〇年代は内政の年であるということでございます。内政の年ということで、私は、この地方行政委員会の使命というものは非常に大きい、こういうふうに思うのでございますが、私が国会へ出てきまして感じますことは、何か大都市というものは非常に疎外されておるのではないかという気がいたすわけでございます。最近見ておりますと、四十六あります都道府県の中で、不交付団体はたったの四つ、指定都市は三十九年から全部交付団体になり下がっております。その他の都市を見てみましても、財源超過団体というのが八十から九十ありましたのが、昭和四十三年には七十に減ってきておりますし、四十四年には四十に減ってきております。都市の九三%が財源不足で非常な悩みを持っておるということでございます。  私、実は大都市出身者でございまして、こちらの砂田先生も神戸市の出身として指定都市問題でいろいろと仕事をしていらっしゃるわけでございますが、私は大阪府、市の例をとりまして表にしてみました。そうしましたら、大阪市の予算額、昨年度は五千四百七十一億、大阪府のほうが三千七百三十二億でございました。そして大阪市の仕事を比べてみますと、子供が生まれると同時に戸籍、登録、それから印鑑、それから選挙は市役所、それから子供が大きくなると今度は小中学校の設置や運営の問題が起こる、これは御承知のとおりでございますが、それから今度は生活保護、児童福祉、老人福祉、心身障害者福祉、これも市の仕事でございます。それから国民健康保険、それから市民の医療と公衆衛生の問題、それから水の問題、それから生鮮食料を扱っております中央市場、公設市場及びごみ集め、屎尿のくみ取り、そして道路と下水の問題、それから地下鉄、バス、今度は救急活動の消防、そして家を建てるときの確認、違反建築の取り締まり、これも市です。市営住宅の建設、それから中小企業の金融指導、これだけ大阪市がやっております。今度は府の仕事はどうかというと、大学、高校、これは市もやっております。それからあとは児童、老人、心身障害者対策、それと病院、それから府がやっておるのは警察。非常に大きな差があるのですが、その市内から上がります税金の七三%が国税でございまして、あと一六%が府のほうに府税として上がる。わずかに一一%が大都市の財源である。シャウプ税制以来、国のほうでは非常にいろいろと制度が改革をされてきましたが、大都市のほうでは全くシャウプ税制以来そのままという現況でございます。  そこで大臣、一九七〇年代を迎えるにあたりまして、どういうふうにこれからの都市問題、そういうものを考えていらっしゃるか、まずその辺からお伺いしてみたいと思います。
  40. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 一九七〇年代は、まさに内政充実の年代であるべきであると考えております。そこで、地方行財政の基本の運用にあたりましても、この点をしっかりと自覚いたしまして、地方の行政水準の向上に施策のポイントを合わしていきたいと考えております。すなわち、国土全体にわたりまして、均衡のとれ、かつ豊かな地域をつくり上げていかなければならぬ。国、地方自治団体の中でも、都道府県、市町村、おのおの所を得た形とその行政事務と、これに見合う財源の合理的な配分ということを十分考えましてまいらなければならぬと思います。そうして過密・過疎の問題、公害あるいは交通問題の処理に当たらなければならないことも申すまでもないのであります。  そこで、ただいま中山先生からお話しの大都市の問題であります。大都市の問題については、過密問題として人口の急激な集中があり、また産業施設等の過度な集中もありました。これに対処しまして財源配分をいたすことは当然であります。大都市における財源の充実に関しましては、さきに自動車取得税の創設をはかり、近くまた本年度におきましては、法人税の増徴に関連いたしまして、法人税割りの配分につきまして、道府県及び市町村との関係に着目いたしまして、この増加の割合を市町村に傾斜配分をするという措置をとりました。これなどに徴しましても、政府考えるところ、意のあるところをひとつおくみ取りを願いたいと思うのでございます。  なお、この税の問題につきましては、国と地方団体との事務配分、あるいは同じ地方団体におきましても、都道府県及び市町村間の合理的な事務配分、並びにこれに見合うべき税の合理的な配分ということにつきましては、さらにさらに検討をすべきものがあろうと思いますので、その点を検討しつつ、現状に対処しつつ、また将来を展望して誤りなきを期してまいりたい、こう考えております。
  41. 中山正暉

    ○中山(正)委員 いろいろとそのときそのときの手直しと申しますか、それが行なわれておることは、私も理解をいたしておるのでございますが、非常に長い間それがなおざりにされてまいりました。また、大臣よく広域市町村圏の問題をおっしゃるわけでございますが、大阪の場合はあの狭い地域——これは大阪という例をとりましてまことに恐縮なんでございますが、指定都市ほとんどそうだと思いますが、自動車の税金にいたしましても、少しは手直しがききましたが、府にあがる、県にあがる。そして道路を痛めて歩くのはそれらを納める大きな自動車。昼間百万以上の流入人口があって、その人たち仕事を終わって一ぱい飲むと、まことにびろうな話でありますが、きたないものを出したものは、よそに税金を納めに寝に帰る人たちのために大阪市民、指定都市の市民が負担をする。いろいろとひずみだらけでございます。  話が余談になりますが、今度の万国博でも、大阪府知事と市長とが、どちらが万国博であいさつをするかということで、たいへんにもめたという話も聞いております。それは大阪府は七百五十億今度万博で負担した、大体関連事業をした。大阪市は二千億。それを開会式のあいさつは、歓迎の辞ということで知事になってしまった。市長はくやし涙にくれたという話です。私はそれは実は市長が悪いんだと思っております。私が市会議員をしておりますときには、万博を機会に吹田市と合併しろと、看板まで立てまくりました。その提案をいたしましたのですが、市長が言うことを聞かなかった。そういうこともあって万博でくやし涙にくれたという話を聞きましたので、私も市長に、それ見てごらんなさいといって、この間政府主催のパーティのときにちょっといやみを言いました。  そんなことは別にしましても、あの狭いところで川一つ越えたらほかの市、道路行政にしても何にしても一体化ができない。水道の料金が川一つ隔て、道一つ隔てたら三倍くらいになって、飲んでいる。それでは私は政治じゃないんじゃないかと思う。農村地帯の広域市町村計画というのも大切ではございましょうが、大都市周辺の再編成、たとえば今度の東京都のあの給与の改定は六月からということですが、しかし、実態は超過勤務手当というような形で、実体のないものをみんなの頭の上に振りまいたということでございますが、私は、東京都にしましても、ワシントンDCのように、他の政治の影響を受けないように、東京都は政府の直轄にして、財源の不足分は国で見るというくらいの、抜本的な地方制度の改革というのがあっていいんじゃないかというふうに考えておるわけでございます。琵琶湖の水資源の問題にいたしましても、あの水資源のことで予算がついて喜ぶはずが、今度は予算がついて何か逆にもめてみたりするような状態を見ておりましたら、私は琵琶湖や富士山は日本のものだという気がしてならないのです。ですから、近畿の話が出てきますが、大阪湾を一つにするところは一つ、伊勢湾を一つにするところは一つにまとめ、駿河湾を一つにするところは一つにまとめ、近畿は三つくらいにまとめて明石から堺市くらいまで、自分のふるさとでございますが、一つの大きな市にして——大阪の左藤知事は、東京と大阪は二眼レフ論だとおっしゃいますが、私は、日本の立場は二つのレンズ、立体写真論で、ひとつ将来世界に目を向けるような行政にしていただけないかというような自分の意見を持っておるわけでございます。  しかし、そういうことは別にいたしまして、最近、きょうの大蔵大臣と秋田大臣との何か閣内意見不統一というと大げさなようでございますが、ちょっとお答えのニュアンスが違うような気がいたします。大蔵省のほうから一部地方債の元利補給の地方交付税の振りかえとか、それから公共事業の補助率の変更とかいうような話があったり、地方交付税率の引き下げの主張があったというような話も聞いておりますが、昨年度の自治、大蔵大臣との覚え書きの中で、ことしは特例措置を続行するということにきまったようでございますが、あの覚え書きの中に「当分の間」ということばがあります。あの「当分の間」ということはどういうことかひとつ教えていただきたい。
  42. 長野士郎

    ○長野政府委員 「当分の間」という意味は、いろいろな意味にとれるわけでございますけれども、あの当時の両省間における了解といたしましては、国と地方の事務の配分あるいはこれに伴う税財源の配分というような制度の基本的な改革というものが行なわれるようなことが起こるまでの間、つまりそういう意味では、そういうことが起こらない限りはお互いに交付税率の変更については言い出さない、こういう了解というふうに私どもは理解しております。
  43. 中山正暉

    ○中山(正)委員 きょうの大蔵大臣の御答弁にもありましたが、一般会計で一ぺん握るということは、別に大蔵大臣にさからうわけじゃございませんが、私は地方自治の本旨にもとるのじゃないか。何か中央が一ぺん地方に入るべき金を握るという思想のもとに、私は中央集権的な色彩があるのではないかという気がいたします。三二%というものを特別会計に直接繰り入れるということが、なぜできないのだろうか。本年の了解事項でもあります本来地方の固有財源である地方交付税の年度間調整及び地方交付税の特別会計直接繰り入れということについての大臣の御所見を、もう一度承っておきたいと思います。
  44. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 いわゆる地方交付税は、国の税収からのものではございますけれども、地方財政の固有の財源であると私も考えております。したがいまして、これに関する思想を明確に制度上にあらわすならば、いわゆる特会直入の制度、国税三税の三二%は直接これが関係の特別会計に入れらるべきものだ。その上で年度間調整ということになるならば、地方財政の自主的な見地におきまして年度間調整は行なわるべきものである、こう心得ております。  そこで、四十五年度の予算編成にあたりまして大蔵大臣と国及び地方の財政のいわゆる調整を行ないました際に、われわれといたしましては、この見地から交渉をいたし、かつ特会直入の制度につきましては、まず何よりも先にこの制度の確立のあるべきことを主張したのでございますが、議が合わないので、御承知のような措置をとったわけでございます。その際、この問題につきましては、さらに大蔵、自治両省間においてよく話し合いをしようという約束になっておりますので、本日本会議場で申し上げましたとおり、今後この点については大蔵大臣ととくと話し合ってみたい、また話し合う約束になっておるわけでございます。
  45. 中山正暉

    ○中山(正)委員 本年度の予算折衝の際には、自治大臣が一番苦労されたのじゃないかという気がしてなりません。何とか私どもも大いにひとつ、新参でなまいきな話でございますが、バックアップをして、いろいろとこれからほんとうの地方自治の本旨にもとらないような行政をしていくお手伝いをしたい、かような意欲に燃えておるわけでございますが、それにいたしましても、先ほどの都道府県と市町村、特に指定都市との関係で、都道府県のほうは、一般財源それから地方税がふえる傾向になっておりますが、市町村特に指定都市の場合は、一般財源、地方税が減ってきまして、交付税では指定都市六つ合わせますと、四十二度度で百八十三億、四十三年度になりますと二百四十五億、四十四年度になりますと三百九十九億というものすごい交付税の伸びがありますが、税の伸び悩みを地方交付税で補っていないのじゃないかという気持ちがしてならないのですが、自治省の姿勢それから考え方、それから一般財源全体として保障が都道府県よりかなり薄い理由をひとつ聞かしていただきたい。この都市の税源の減衰傾向それから弱体化傾向というのはまだ続いていくのじゃないかと思いますが、その見通しもついでにひとつ伺わしていただきたいと思います。
  46. 長野士郎

    ○長野政府委員 指定都市におきます交付税の伸び、交付税以外の一般地方税収入の総体的な伸び悩みという御指摘でございますが、地方交付税におきましては、大臣がお答え申し上げましたように、最近の都市における過密の問題、そうしてそれに対応いたします都市的な施設の充実整備ということは、大都市を中心にして非常に問題が山積をしておるわけです。そういうことからいたしまして、交付税が伸びますのは、一般的にはたとえば府県分におきましては四十三年度と四十四年度とを対比いたしましても、基準財政需要額の伸びというものは大体一八・五%ぐらいでございますが、六大都市は二四・八%ぐらい伸びております。これはそういう意味の財源措置の増加も反映いたしておると私ども思っております。  しかし、それにもかかわらず、まだ財源措置として不十分じゃないかという御指摘がございます。そういう観点から、もっともっとそういう財源措置を講じていくべきだという御趣旨は、私ども基本的には全く賛成でございまして、今後ともそういう意味での都市財源の充実につとめてまいりたい。特にそういうことで、大臣が先ほど申されましたように、最近そういう目的を持って財源を都市に回すといいますか、充実するという方向をとっておりますが、大臣が先ほど申されました以外にも、たとえば来年度におきましては、交通対策といたしまして地下鉄の関係における助成、改善の措置等も、そういう意味では大都市特有の問題として、大都市の必要な交通事業の整備という点で非常な改善が行なわれ、またそれに伴いまして、財源対策にもある程度寄与したというふうにも思っておりますけれども、今後ともそういう方向で進めてまいりたいと思います。
  47. 中山正暉

    ○中山(正)委員 ありがたいおことばをいただいたのですが、基準財政需要額に算入されていないものもあるんじゃないか。単独道路事業費とか、公共事業の都市計画道路事業費それらの地方負担額については、全額が基準財政需要額に算入されていないんじゃないか。四十四年度なんかは二分の一ぐらいだったと思うのです。  それから地下鉄の問題も、いま局長さんのほうから出していただいたのですが、百十五キロの市電千六百億円の値打ちのある市電を廃止して、そして六十五キロの地下鉄をつくる。市電が走っていたあの軌道敷地内というのは全く大阪市の交通局の財産で、私は国が買い上げてやったっていいんじゃないかという気がするのです。なぜ市電を廃止しなければならなかったかというと、大阪市が経営する市電の前を大阪府に税金を納める自動車が走り回っている。そしてその市電の中に乗っている人では運転している人が一番月給が高い。それ以上給料のいい人になると、そのすぐそばを自家用車に乗って走っている。初め革新市政でございましたから、組合との関係もあって少し甘やかし過ぎていたんじゃないかという気持ちがわれわれはするわけでございますけれども、それは別にいたしまして、市長の問題ではなしに、市民のためを思いますと何とか——二五%今度補助してもらうことになりましたが、大阪市の一般会計の負担額を全額交付税で見てやるようなお気持は将来ないだろうかどうだろうかということを、一ぺんお伺いを——ちょうど話を出してくださいましたので、ひとつそれに乗ってお聞きしたいと思います。
  48. 長野士郎

    ○長野政府委員 確かに建設費の関係におきましての助成は、二五%は国が見る、それに対応いたしまして市の一般会計のほうから二五%を特別会計に対しまして繰り出していく、つまり都合五〇%になるわけでございますが、そういうことで地下鉄事業の経営基盤を強化するということでございます。  その場合に、お話がございましたように、市の負担分の二五%、これをどうするかという問題が起こるわけでございます。これは、この次に御審議をお願いすることになると思いますが、今度の四十五年度の地方財政計画に基づきまして、交付税法の改正法案を提案いたします。この場合に、その二五%分に対応いたしますところの需要をできる限り高く算定をいたしたいということでございまして、いまのところ大体八〇%程度はその中で見ることにいたしたわけで、いままででほとんど一番高い率を使いまして需要に算入いたしたいというふうに考えております。
  49. 中山正暉

    ○中山(正)委員 大阪の市会では野党でございましたので、まだちょっと野党気分が残っておりまして、いささか御迷惑をかける面があるかと思いますが、そういうことで、二五%の補助をいただいたといいましても、実質は一九・一%ぐらいしかない。実質で考えていきませんと、中央でそういう意識がありましたら、都市の行政担当者はますます困っていくのじゃないかという気持ちがいたしているわけでございます。  時間がございませんので、よけいなことを言っておりましてもあれでございますが、今度この中でいわれております土地開発基金二百八十二億でございますか、これなんかも農地の買い上げばかりでなしに、公害——また大阪の話が出て恐縮なんですが、西淀川区というようなところに至っては、隣の県の尼崎から入ってくる煙のために、子供のぜんそくの罹病率が全国平均の五十倍というようなところがある。ですから、そういうところの公害発生源であります工場を買って——公害に対抗するといいましたら、もう緑地をつくる以外にないと思うのですが、都市での子供たちのためにそれを買い上げてやる。あと二十年もしたら、仙台から広島まで、東海道メガロポリスといって、日本の人口の八〇%が集まるだろうといわれております。東京の場合は、下屋敷、上屋敷、大名屋敷があって、武蔵野の影響もあり、緑地が多うございますが、大阪の場合は、淀川の堆積平野、そこへ蔵屋敷が建って、町人が少し大きな庭をつくるとお取りつぶしにあう。そのために富豪でも家の中に小さな庭をつくっていたというおい立ちの関係があると思います。  これだけ伺いまして、もう質問をやめなければならない時間になってしまいましたが、そういう意味で、先行投資の資金を都市にも重点的に配分をしていただく、それとともに、先ほどから申しております交付税もひとつそういう人口集中地域に対して重点的に配付していただくわけにいかないだろうかと、お願いも込めてお伺いをして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  50. 長野士郎

    ○長野政府委員 まあお話の御趣旨はよくわかります。大都市及びその周辺の人口急増地域のいろいろな問題は、確かに御指摘のとおり山積をしておるわけでございます。交付税のみならず、税その他の措置につきましても、充実を期していくということが今後とも私どもに課せられた課題だろうと思っております。  先ほど具体のお話で、公園緑地というお話でございましたが、これは都市計画事業の中で、公園緑地の整備ということは当然重要な事業の一つになっておりますから、そういう意味で、そういう地帯を公園緑地として必要なところを整備するということは、当然に公共用地の取得という問題でございますから、土地開発基金の運用として、公共用地の取得というのは、決して農地の買い上げというものが目的ではございませんので、すべて公共用地の先行取得ということが必要なわけでございますから、都市計画事業、都市開発事業等に関連をいたしまして、そういう必要な用地の先行取得として土地開発基金を運用されるということは、その目的に全く合致しているわけでございます。しかし、どういう事業についてそれを充当するか、活用するかは、これはもっぱら都市の自主的な判断でおやりになっていただくことだというふうに思います。
  51. 中山正暉

    ○中山(正)委員 それではどうもありがとうございました。
  52. 菅太郎

  53. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 昼からでございましたか、本会議で質問を申し上げたのですが、私は特別会計の繰り入れにつきまして、今度は覚え書きの項にはなっていないわけですが、話し合いがされた、そういう条文が入ったということは非常に前進であったというふうに実は喜んでおりまして、質問の際は、だめ押しをしたい、かように考えておったのですが、どうも大蔵大臣の御答弁によりますと、相当きびしい感じを受けたのですが、その辺の、今回は覚え書きではないわけでありますけれども、あのただし書きが入ったということは、今後の地方財政にとりましても非常に好ましい姿だ、かように考えております。何かその辺の経緯、前進したのかどうかということにつきまして、一言だけ御答弁を願えれば……。
  54. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 今度は覚え書きはつくっておりません。しかし、お示しの問題については、大蔵、自治両省で話し合いをしようということをかたく約束をいたしております。国会でも終わりましたら、私のほうから話を持ち出す、向こうさん重応ずると思います。きょうばいささか大蔵大臣強い態度を示されたのでございますが、あれは大蔵省の立場として了解いたしますが、これの話に応じないということはないのでありますから、その点は大蔵大臣も十分了解をしております。
  55. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 予算編成期になるまぎわになりませんうちに、できるだけ早く相互に話し合いをしていただきまして、早期に確定をしておいていただきたい。三年越しの貸し借りでありまして、これだといつどういうふうに逆転といいますか、そういうことになる心配もありますので、せっかくいいただし書きが入ったわけでありますから、早い機会にひとつ決定を願いますように、私からも要望を申し上げておきます。  それから、今回の交付税の改正でありますが、給与費の改定に三百三十一億でございましたか、これは先般の六十二国会のときに比べますと二百億を借りたということになっておりましたけれども相当増額になっておるわけですが、そういう点はどうでございましょうか。
  56. 長野士郎

    ○長野政府委員 今度の三百三十一億円は給与改定分だけでは実はございませんで、調整戻しの分も入っております。この前の臨時国会で地方交付税法の一部改正をお願いいたしまして、給与の財源措置として二百億円借り入れるということになっておりました。この場合は、あの法律にただし書きかございまして、ただし、その間に、後に補正予算等で交付税を増額します場合には、その増額の範囲であの二百億円の借り入れというのはだんだん消滅していくような規定が実は入れてあったわけでございます。給与改定分といたしましては、その交付税の需要として見込みました結果は、いろいろ数字を整理いたしまして正確に数値をはじき出しました結果は、二百三十三億ということに相なっておりまして、そのほかにいわゆる調整戻し九十八億円を加えまして、三百二十一億ということに相なっておるのでございます。
  57. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そういたしますと、この前の交付団体三百七十億だったか、それに対して節約が五十億、法人税の伸び百二十億というふうな計算を一応いたしましたのですけれども、法人税の伸びあるいは交付団体の三百七十億という総額は、これでよかったわけでございますか。
  58. 横手正

    ○横手説明員 お答えいたします。  昨年末に見込みました際には、法人税の増加見込みを百二十億円、こう見ておったわけでございますが、実際に計算しました結果二十数億円下回る、かような結果になってまいっております。そのほか多少錯誤等の措置を数億円行なっておりますが、そうしたかげんで当初の見込みより三十三億円だけふえてまいっております。
  59. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 次に二百八十二億の土地開発基金への措置なんですけれども、これは府県だけなわけですか。
  60. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 さようでございます。
  61. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 もし土地開発基金で配分するということになりますれば、どうして市町村のほうにも配分なさらなかったのですか。
  62. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 事務的な理由によるものでございます。詳細は事務当局からお答えさせます。
  63. 横手正

    ○横手説明員 道府県分のみを今回増額算入する措置を講ずるということに考えております。これは実は補正予算の成立並びにただいま御審議をわずらわしております改正法案、この成立を待ちまして、地方団体につきまして再算定の事務をせざるを得ないわけでございます。そうした関係で、事務的に申しまして、本年度内は道府県のみにさせていただいたわけでございます。なお、本年度追加措置を講じました土地開発基金に当たりますものは、明年度の道府県分の基準財政需要額に算入措置を講じたらどうかというような考え方もあるわけですが、そうしたこともございまして、今回は道府県だけに限る、こういう措置をとっております。  なお、市町村につきましては、別途御提案中の明年度交付税法の改正案でございますが、こちらのほうで土地開発基金費の算入措置を講じておる次第でございます。
  64. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 お話しのように、四十五年度の交付税を見ますと、府県のほうを落としまして、市町村だけ四十五年度に限るということで、やはり附則のほうに入っておるのですが、土地開発基金についてはどういうふうなお考えでございましょうか。四十五年度でもうこれを打ち切りにするというふうなお考えでしょうか。
  65. 長野士郎

    ○長野政府委員 二百八十二億を今度府県に配分するということにいたしましたのは、交付税課長が先ほど申し上げましたとおり、ある点では技術的な必要もございます。そういうことで、少なくともことし府県に早く交付したいというかっこうでありますから、来年度におきましては、市町村にこれを交付するということにいたしまして、来年度に持っていってもよかったものを、府県はことし早く配分するということだけでございますから、ことし、来年を通じて考えますと、府県、市町村にそれぞれ土地開発基金費を算入いたしまして、配分するという結果になるわけであります。  土地開発基金はどうするかという問題でございますが、私どもといたしましては、この需要は非常に高いわけでございます。また公共用地の先行取得というものは、やはり事業を実施いたしますためには、どうしても必要なことでございます。なお来年度で終わるということじゃなくして、いま少しその基金の充実につとめていくべきではないか、このように思っております。
  66. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと、四十五年度のほうは、本年度に限るとして、市町村のほうに配分するということになっておるわけですが、四十六年度以降ある期間交付をするというふうなお考えになっておるわけですね。このことは、この前の附帯決議にも、土地取得資金についてはある程度まで長期にわたって配慮すべきであるという決議も出ておるわけであります。私どもも、範囲を拡大いたしまして交付をしていくということについては——ひもつきということにつきましては、すでにこの前特定財源としてではなく、他のほうに使って差しつかえないというお話がありました。しかし、当該府県はそういうことはないと思いますが、市町村におきましては、必要な経費の配分については、できるだけ基金に積み立てるという趨勢にはあろうかと思います。できるだけ範囲を拡大願いたいというふうに考えております。  それから、私ども御指導願いたいと思いますのは、年度間にまたがりまして交付税の貸し借りということがずっと行なわれてきておるわけですが、土地開発基金も昨年はやはり四十四年度に限るということになって、府県、市町村というふうな配分をしたわけであります。どうも年度にまたがって、ことしの分は府県に措置をし、来年は府県は必要ないのだ、市町村だけに配分するんだというふうに、またこの附則を改正する。そういうことになりますと、四十六年度はまた府県が上がってくるという姿になるのか、あるいは別な姿で出てくるのかということになるわけであります。どうもこういうのは適当でない。年度間で適当に上げたり下げたりして、重要な一つの方針として簡単に打ち出していって、配分する。適当に、予算というか交付税の総額の関係で、本年は府県、来年は市町村だけだというふうな、本年度補正予算で配分が来たので、ことしは来年度を先に見越して府県に配分するのだ、こういうような配分のしかたは、違法でないまでも、どうも適当なことではない。やはり一貫したことで——毎年そういうことを続けていかれるということであれば、市によりましては、必要なところも相当出てくるのではないかというふうに考えられますので、拡大するなら拡大していく、そして両年度にまたがるような操作はどうも適当ではないような感じを受けるわけでありますが、その点の御所見はいかがでございましょう。
  67. 長野士郎

    ○長野政府委員 ことしの補正予算におきまして、九百九十五億円交付税が増額になったという結果になったわけでございます。この中で、本年度どうしても必要な経費、つまり先ほどお話のございました給与改定とか、調整減額を戻す関係を除きましては、通常でございますと、もう年度末でございますし、全額来年度に繰り越すことも考えられたわけでございます。そうでありますれば、来年度におきまして、市町村に対しましては土地開発基金の範囲を拡大いたしたいと考えておりますが、そういうことで交付するということに相なったと思います。しかし、土地に対する手当てというものは、なるべく早く実行に移して先行取得をいたしましたほうが、段取りも非常に早くできますし、土地の確保ということについても有利でもございますから、そういう意味で、府県につきましては、その配分を土地開発基金費として配分することは、年度末でございましても可能でございます。措置もできるわけでございますから、そういう意味で、本年度は土地開発基金に府県分として増額交付をする、こういうことにいたしたのでございます。  両年度にわたるというのはどうかという御指摘もございますけれども、実際は両年度といいますか、来年度に渡すべき分をことし渡した、こう御了解をいただきまして、ことしではございますが、実質は来年度府県、市町村に配分をしたのだと、御了解いただければ一番いいのではなかろうかと思います。
  68. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 ことしも特交で超過課税の配分ということはおやりになりましょうか。もしおやりになるとするならば、超過課税をしております市町村の数がどのくらいか。この前もお聞きしたわけでありますが、もとの数字と減少した数字と、さらに減少する可能性のある数字をお聞かせを願いたい。
  69. 森岡敞

    ○森岡説明員 四十四年度の個人分の市町村民税の超過課税の市町村数でございますが、概数でありますので、恐縮でございますけれども、約一千市町村ございます。そのうち約五百三十四市町村が四十四年度で超過課税の解消あるいは緩和を行なっております。これらを合わせまして減税額三十七億円程度であります。特別交付税におきましては、御案内のように、その超過課税解消額の二分の一の額を財源補てんいたします。これは三年間続けたい、こういうふうに私どもとしては考えておるのであります。
  70. 山本弥之助

    ○山本(弥)委員 そうしますと、今度配分するときに、四十四年度の当初予算で標準緩和、もしくは解消したところに配分をする、こういうことでございますね。
  71. 森岡敞

    ○森岡説明員 いま申しましたのは、四十四年度ですでに超過課税の解消ないしは緩和をしたところにつきまして、四十四年度の特別交付税で措置いたす、四十五年度分につきましては、同様に措置をいたしてまいるということでございます。
  72. 菅太郎

    菅委員長 関連質問の申し出がありますので、この際、これを許します。山口鶴男君。
  73. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 文部省の清水審議官、見えていますね。文部省が提出されました国立学校設置法の一部を改正する法律案を拝見しましたら、秋田大学に医学部を設置するようであります。募集はいついたしますか。それから、これに伴いまして、昭和四十五年度予算に一体幾ら予算を計上しておりますか。
  74. 清水成之

    ○清水説明員 第一点の募集でございますが、これは法律並びに予算のお認めをいただけましてから、募集をいたしたい、こういうことでございます。
  75. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 今年度募集するわけですね。
  76. 清水成之

    ○清水説明員 具体的に申しますと、かりに三月三十一日までに予算と法律を上げていただければ、四月早々にも募集開始をしたい、こういう手はずでございます。  それから四十五年度予算におきましては、教職員の人件費、研究費と合わせて約八千万をお願いいたしております。
  77. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私の群馬県にも、群馬大学の医学部がありますが、相当広大な敷地と相当広い建物が必要であります。当然、付属の病院も必要であります。こういった用地の購入、それから建物の建設費並びに秋田にあります県立中央病院を大学の付属病院に移管をする予定だそうでありますが、その内容、設備等の予算、こういうのは一体どうなっておりますか。
  78. 清水成之

    ○清水説明員 ただいまの点でございますが、用地につきましては、設置基準等の関係がございまして、約五万坪、十六万若干平米でございますが、これを医学部用地として用意をしなければならぬ、こういうことがございます。これにつきましては、実はこの医学部設置問題をめぐりまして、地元からできるだけの便宜を供与したい、こういう申し出がございまして、いま先行買収を、すでに秋田県で用地につきましては、お願いをいたしまして、整備が進められておる、こういう段階でございます。  それから建物につきましては、御承知のとおり、医学部は六年でございまして、最初の二年が進学課程、まあ一般教育でございます。当分の間、その一般教育の分につきましては、鉱山学部の建物を若干改修いたしまして、それを使ってまいる。専門課程並びに実習が始まりますまでに、専門課程の建物をお願いしたい、こういう段取りでございます。  なお、その具体的な金額等につきましては、毎年毎年年次的に大蔵当局と相談をしてまいりたい、こういうわけでございます。  それから、県立中央病院の関係でございますが、実は大学設置基準あるいは審議会の審査申し合わせによりまして、できれば医学部開設時に付属病院も全部整っておるのが原則でございます。ただし、国立等におきまして、必ず措置がされるというような場合には、第五年次まで、臨床実習が始まります年度までに病院が整備されればよい、こういう審査基準がございまして、それまで整備する間、ただいまのところは、秋田県立中央病院を付属病院のかわりとして使わしていただこう。こういうことで設置審議会等の了解を得た、こういうことでございます。  なお、いまお話がございました県立中央病院移管というお話でございますが、そういう移管をしたらどうだろうかという話は確かに出ておりますが、最終的にまだ決定をいたしておるわけではございません。
  79. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 清水さん、こんなことは聞くまでもないと思うのですが、地方財政法第十二条「地方公共団体が処理する権限を有しない事務に要する経費」「国は、地方公共団体に対し、その経費を負担させるような措置をしてはならない。」こういうのがありますね。この中に「国の機関の設置、維持及び運営に要する経費」「国の教育施設及び研究施設に要する経費」こうあります。したがって、国立秋田大学医学部なんでしょうから、地方財政法十二条をすなおに読めば、当然その五万坪の土地が必要である。これから建物は逐次やっていく、付属病院の設備も充実をしていく、こういうお話のようでありますが、これは県が一たん、さっきお話のありました土地開発基金のところで先行取得をして、あと国が全部買い取る、こういうのなら話はわかりますけれども、国が昭和四十五年度に五万坪——坪一万円としたって五億円ですよ。そういう予算を計上してないということは、私はけしからぬと思うのですよ。  さらに、あえていうならば、地方財政再建促進特別措置法、これの二十四条の二項「地方公共団体は、当分の間、国(国家行政組織法)第八条の規定に基き設置される機関で地方に置かれるもの及び同法第九条に規定する地方支分部局並びに裁判所法」云々と、こうありまして、国家行政組織法で設置される国の機関、出先機関、こういうものについては「寄附金、法律又は政令の規定に基かない負担金その他これらに類するもの」を地方公共団体は支出しちゃいかぬというのは、はっきりきまっておるわけじゃありませんか。特に寄付金等を受ける場合は、自治大臣、ここに秋田自治大臣がおられますが、「自治大臣の承認を得たものについては、この限りでない。」こうなっておるわけで、自治体が正式な支出としてこの経費を負担することもいかぬし、寄付金あるいはいかなる名目を問わず、これに類する行為をする場合は、自治大臣の認可を受けにゃいかぬと、こうなっている。こういう法律があるのを文部省は知っておるのですか。知っていれば、私は当然この土地の五億円の予算要求をすべきだと思うのです。しないということは、文部省は法律を無視する、地方財政法を無視する、地方財政再建特別措置法を無視する、こう言っても私は言い過ぎじゃないと思うのですね。一体、この法律を知っているのですか。
  80. 清水成之

    ○清水説明員 いま御指摘になりました点でございますが、先ほども申し上げましたように、医学部設置をめぐりまして、地元からできるだけの便宜供与したいという申し出がございました。いま、先ほど申しましたように、土地の先行買収をお願いいたしておりますが、地方財政法に違反してはいかぬということは、もうこれはもちろんでございますので、将来国がいかなる方法で、たとえばいまおっしゃいました有償取得の問題、あるいはまた国有財産との交換の問題とか、そういうような方途につきまして関係省庁と十分検討いたしまして、地方財政法違反にならないようにしてまいりたいということは考えておるわけであります。
  81. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 地方財政法もそうですが、地方財政再建促進特別措置法二十四条の二項ですね、これは自治大臣の承認を得ない限りにおいては、寄付金等で——それは秋田県が、便宜供与はできるだけしたい、こう言ったって、自治大臣が認めなければいかぬということになっているでしょう。自治大臣どうですか。秋田県から、五万坪にのぼる土地あるいは建物等につきまして、できるだけ寄付をしたい、許していただけますかというような話が来ておりますか。また、そういう申し出がかりに来たとしても——大体文部省は前から前科があるんですよ。前科といっては恐縮ですが、国立高専のときに、敷地の問題はすべて国の予算を組まなかったじゃないですか。そして自治省と文部省との間で何回か文書のやりとりがあるわけですね。結局、自治体は直接出さぬ、何か協議会とか何とか会というものをつくって、そこに自治体が寄付して、その団体が土地を買って文部省のほうに差し上げる、こういうようなかっこうでごまかしてきているでしょう。そういうこともけしからぬじゃないか、こう自治省は言っておるわけですね。そういういままでの経過もある。とすれば、自治大臣、私は、この際えりを正す意味で、秋田県から便宜供与したいなんということは、文部省に言ったかどうか知らぬが、自治省は認めない、こういう厳正な態度をとるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  82. 佐々木喜久治

    ○佐々木説明員 現在までの事務的なことにつきまして御説明申し上げます。  現在秋田県から、用地につきまして国に寄付をする、あるいはその他の施設について国に寄付したいというような申し出はございません。
  83. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 来ていない、そうでしょう。大臣、事情はわかったと思うのです。先ほどからしばしば内政の年といわれ、いろいろ議論があるわけですが、例の三百億の貸し借りについても、自治大臣とすれば、この年度間調整はまず特別会計に直接繰り入れる、そういうあとでなければ年度間調整もいかぬ、こういう断固たる決意も示されたのでありますが、私は国と地方の財政秩序をきちっと守るということも、これは同じような意味で必要だと思うのです。交付税についても同じですよ。したがって、この問題は、秋田県はお医者さんが少ない、そういう中で何とかお医者さんを確保したいという秋田県の切なる願いというものは、私はわかるような気がするのです。そういう中で文部省にいろいろなお話をされたことも私はわかるような気がする。しかし、少なくとも国と地方の財政秩序をきちっと厳格に守らなければならぬ、こういう自治省の立場では——まだ話がないそうでありますが、今後話があったとしても、地方財政再建促進特別措置法にいう自治大臣の承認はしない。文部省と自治省との間でやりとりしたこの問題は、この際より厳格に、やはり財政秩序を守るという観点からきちっとえりを正す。国立学校の敷地くらいは国が買う、建物の設備も同様ですという態度を、私は堅持すべきだと思うのですが、どうですか。
  84. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 法規に照らしまして、厳正に処置をいたしたいと存じております。
  85. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 関連ですから、この程度でやめておきましょう。自治省がそういう断固たる態度をとって処置するということでありますから、今後の推移を十分見守っていきたいと思います。国立高専の二の舞いのようないいかげんなことは、今後やらぬということをぜひとも強く要請をしておきたいと思います。  それから審議官の方にも申し上げておきますが、文部省に関係ある委員会は文教委員会ばかりではなくて、そういった地方財政法あるいは地方財政再建促進特別措置法等を無視するようなことをすれば、当然地方行政委員会でも文部省のおやりになっておることは十分注目をし、目を光らせておるわけなんですから、その点は文部大臣に十分連絡をしてほしいと思うのです。この点を強く要請をいたしまして、質問を終わっておきましょう。
  86. 菅太郎

  87. 和田一郎

    和田(一)委員 大臣に質問いたします。大体この議論は言い尽くされておると思いますが、多少重複するところもございますけれども、ひとつよろしく御答弁のほどをお願いしたいと思います。  いわゆる地方交付税の貸し借りの問題四十三年度以降は安易に貸し借りをやっておるわけであります。しかも、きょう趣旨説明のありました四十五年度においてもまた三百億円の貸し借りをやる、非常に安易な形になっておる。たびたび論議されておりますけれども、いつまでもこのような悪例を続けていくおつもりであるかどうか、基本的な考えをひとつお伺いしたいと思います。
  88. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 決して安易な道を歩んでまいっておるわけではございません。この問題につきましては、非常な折衝をいたしておるのでございまして、万やむを得ずその措置を今回もとった次第でありますから、今後におきましてはこれをいたさないように、先ほどから申し上げておりますとおり、特会直入の方向と抜本的な方法をぜひ確立いたしたい、こう考えておるのでございます。
  89. 和田一郎

    和田(一)委員 地方行政委員会はわれわれと大臣とが同じような考え方で、結局相手は大蔵省ということになるわけです。残念ながら、おくれましたのでそれができませんけれども、この間も国会で大蔵大臣が覚え書きは生きておるということを言った。けれども、現在死んだと同じなんです。ですから、いま大臣がおっしゃった、在るべくこの悪例は続けていきたくない、確固たる信念でやっていきたい、こうおっしゃったわけですから、もう一ぺん確約し直したらいいのじゃないか、そういうふうに思うわけですけれども、その用意があるかどうか。
  90. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 覚え書きは生きておるわけでありまして、覚え書きの形式を今回は繰り返しておりませんけれども、その約束はずっと生きておるわけであります。したがって、この問題については大蔵、自治両省間でひとつ話し合いをしましょうということは、大蔵大臣も了承をしておるのであります。もしも死んでおるとすれば、もう話にも応ずる必要はないのだと必ずおっしゃるでありましょう。しかし、そういう態度ではないのであります。そのことに徴しましても、この覚え書きは生きておるのである、(発言する者あり)そして両省においてさらに折衝、話し合いを続けるものであるということを、ひとつ御了承願いたいと思います。
  91. 和田一郎

    和田(一)委員 それでは、大蔵大臣と折衝されるそのときには、別な書類か何かでぴちっととりたい、そのような決意でいっていただきたいと思うのです。いま生きておる、生きておると言われておっても、いま山口さんのほうから、ちょっと小声で瀕死の重傷だと言われたが、確かにそうだと思います。自治大臣がこの地行委員会皆さんの前に確約を持ってくるように、この点はひとつよろしくお願いいたします。  次に、いろいろと具体的なお答えをいただきますけれども、その前に、地方交付税は地方の固有の財源であるという論争がありましたけれども、このようにたびたび税率の変更であるとか、それから貸し借りの問題が出てまいります。政府全体が固有の財源だという認識が薄いのじゃないか、こう思うのですけれども、これについて大臣のお考えはいかがでしょう。
  92. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 大ぜいの方の中でございますから、そういう認識の薄い方もあろうかと存じますが、この理屈は大体十分おわかりになっておると思います。しかし、それぞれの立場によって予算編成の際にいろいろな態度が出てくるのですが、この点はまことに残念でございまして、この認識をさらに徹底不動のものにする措置をとることは、われわれの任務と心得ております。
  93. 和田一郎

    和田(一)委員 いろいろお立場がありということをいま自治大臣がおっしゃいましたけれども、たとえばの話、秋田自治大臣が今度大蔵大臣になられたとした場合、どういうお考えになられますか。
  94. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 幸いにして私が大蔵大臣になりますれば、ただいま申し上げたような立場を貫くものでございます。
  95. 和田一郎

    和田(一)委員 次に、具体的な質問に入らしていただきますが、昭和四十四年度の補正のいわゆる九百九十四億円の地方交付税から三百八十二億円を四十五年度に繰り越した。その繰り越す理由は一体何ですか。それをひとつお願いいたします。
  96. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 御承知のように、六百九十億円を繰り延べ減額するように最初なっておったわけであります。しかし、その後国税三税の自然増収が相当あるということがわかりましたが、同時に先ほどから御審議願っておりますとおり、ベースアップの給与額の支出もあるし、かつまた、物価問題に関連をいたしまして、公共用地等の先行取得の緊急需要もあることがわかりました。また、そういうことも感じましたので、彼我いろいろ勘案いたしまして三百八十億円を繰り上げ加算をするという措置をとりまして、そこで国税三税増加額の三二%、六百十五億円、それから三百八十億円の繰り上げ額、合わせまして九百九十五億になりました。そこから給与改定分の三百三十一億円並びに土地開発基金の増加額分二百八十二億円、これを差し引きますと三百八十二億円になりますので、これを四十五年度に繰り越す、こういう措置に出たものであります。
  97. 和田一郎

    和田(一)委員 いまの大臣のおことばですと、理由にはなっていないと思うのですがね。計算だけのお話で、この九百九十五億というのは四十五年度の国税の総額じゃないかと思うのですが、どうですか。
  98. 長野士郎

    ○長野政府委員 この九百九十五億は、いま大臣が申し上げましたとおりでございまして、国税三税の増加額に見合います三二%、それから六百九十億減額をしておきましたものを三百八十億を繰り上げて返してやるというもので、両方からなっておるわけでございます。それに対しまして、本年度そういう増加を見たわけでございますが、本年度の需要といたしましては、先ほども御説明申し上げましたように、給与改定分とか調整減額戻しの分というものがございます。それから、先ほどのお話のとおり、土地開発基金もいまやはり措置をしたほうがいいという考え方に立ったわけでございます。その余の三百八十二億円につきましては、これは年度末でございますので、ここで本来使うべきだという議論もあると思いますけれども、やはり本年度の財政運営としてはまずまずこの三百三十一億円、あるいは二百八十二億円の措置をもって一応本年度は推移できるのではないか。そういたしますと、やはり来年度におけるところの財政の運営等に資しますために三百八十二億円を来年度に繰り越すということも、これは従来年度末において補正予算等で交付税の増額を見ました場合にも、そういう意味で年度間の安定的な財政運営を保障するというような考慮も含めまして繰り越しをしたことがございますが、今回もそういう措置をとるほうが、年度間を通じての財政の健全な運営の確保に資するゆえんではないかということで、繰り越すことにさせていただきたい、こう考えておるわけでございます。
  99. 和田一郎

    和田(一)委員 いわゆる事務的な、事務上の問題だというようなお答えだと思うのですけれども、御承知のとおり、地方団体には住民の福祉の問題の仕事が山積みしておる。この九百九十四億八千何万となるわけですけれども、そのお金を四十四年度に一日も早く地方へ還元して住民の福祉にこたえなければならぬのではないか、こう思うのです。やはりその点は事務上でだめですか。四十四年度に全部交付してしまうのは無理なんですか、どうなんですか。
  100. 長野士郎

    ○長野政府委員 これはもういまの時期になりますと、実際問題として、地方団体の予算にこれから補正をして追加して、事業を新たに執行するということは、本年度としては不可能ではないかもしれませんが、むしろそういうことで考えていきますより、もう少し計画的に運営をしていくほうがいいのではないか。もしそうでありませんと、年度末にいろいろな経費についての措置が、思いつきで行なわれるということになっても、不適切なことにも相なりますし、やはり当初の年度の、来年度の財源として計画的に運営をするところの原資として扱うということのほうが、地方団体の財政計画的な運営としても、安定的な運営としても適当な方法ではないか、こういう判断に立つわけでございます。実際問題として、これから交付、配分をいたしましても、これを補正をいたしまして、地方団体が事業を計画して実施するということは、本年度内ではほとんど時間的にも不可能に近いことではなかろうかとも思っております。
  101. 和田一郎

    和田(一)委員 私たちはこう思うのです。昭和四十五年度に地方団体のほうから国へ三百億また貸すわけです。そういう形になるわけです。そうすると、三百八十二億というものを四十五年度に入れるから、四十五年度から三百億円貸せ、そのカタの引き当てのような、ひがみかもしれませんが、そうとれるのです。これはいま財政局長おっしゃったように、確かに年度末でありますけれども、何も地方団体はそんなにいいかげんな金づかいはしませんよ、議会もありますし。やりたいことは一ぱいある。われわれはそうとれるのです。やはり三百八十二億四十五年度に返すから三百億貸せよ、こういうような話があったのでしょうか、なかったのでしょうか、またその考え方はどうでしょうか。
  102. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 三百八十億返すから三百億貸せという話ではないのでございまして、ただいま御説明申し上げましたとおり、三百八十二億の繰り越し額が出た事情は、ただいま御説明申し上げたような事情でございます。ただ、ただいま財政局長からも申し上げましたとおり、三百八十二億をさらに四十四年度の補正で支出をすべきか、あるいは繰り越すべきか、いずれが健全であり、いずれが妥当であるかという判断の問題は残りましょうが、それとこれとが交換条件になったということではないのでございます。
  103. 和田一郎

    和田(一)委員 じゃ、次の問題に移りますが、ただいま山本委員の御質問で、土地開発基金が出ていました。どうして市町村に対する増額をしないのか、そういう質問がございました。で、きょう本会議の席上でいただきました地方交付税法の一部を改正する法律案、この中に、「土地開発基金制度の活用を進めるため、市町村分の「土地開発基金費」を存続し、その拡充をはかる」とある。現在いわゆる交付税の計算の基礎がありますね。あれは人口一人につき千円ということになっていました。市町村の場合はこれを上げるわけですか、来年度は。
  104. 横手正

    ○横手説明員 人口当たりの単位費用は、四十四年度と同じものを四十五年度使う考えでございます。
  105. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、市町村には増額しないということですね。
  106. 横手正

    ○横手説明員 人口一人当たりの単位費用は変更いたしておりませんが、土地開発基金費を算入いたします対象になる団体、市町村ですが、これを拡充してまいりたい。算入対象の範囲を拡充することによって、当然増額になってまいる、こういうことでございます。
  107. 和田一郎

    和田(一)委員 聞くところによりますと、政府はお米の五十万トンの減産に見合う水田の買い上げを地方団体と農協に行なわせようとしていますけれども、これについての大臣見解をひとつ伺いたいと思います。
  108. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 地方自治団体は、御承知のとおり、土地開発基金というものをもちまして、それが必要といたしまする公共用地等の先行取得に資しておったわけで、そこで五十万トンの米の生産調整の分に見合うものとして十一万八千ヘクタールの水田転用を考えておりますので、これに利用できる分がありますれば、土地開発基金等によってそれにからまして買っていくということを考えておるのでございまして、何でもかんでもこの水田転用分を土地開発基金の資金で充当していけ、こういうことは考えておりません。土地開発基金本来の目的に合う運用を当然土地開発基金自体としてもされるでありましょう。ただ、それが実施にあたりまして、水田転用分で、希望する土地が、公共用地として適当な土地が先行取得できますならば、これを利用して使ってもらう、こういうことを考えておる次第でございます。
  109. 和田一郎

    和田(一)委員 大体いままで何回も尽くされた議論でございますので、ここで私は少し話題を変えまして、地方交付税というのは、いわゆる各地方自治体の有力な財源です。地方財政にとってはますます重要度を増しておりますが、これは国もそれから各地方団体も、地方自治法であるとか地財法の精神にのっとってりっぱに運営していって初めて、地方交付税という性質がりっぱに運用ができるわけでございますが、地財法の第二十七条の三についてちょっとお尋ねしたいと思う。  第二十七条の三は、「都道府県は、当該都道府県立の高等学校の施設の建設事業費について、住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、その負担を転嫁してはならない。」こうなっております。このことについてひとつお聞きしたいわけでございますけれども、このことについてまず財政局長のお考えを簡単にお願いしたいと思います。
  110. 長野士郎

    ○長野政府委員 この二十七条の三は、県立の高等学校の施設の建設事業費につきまして、個々の住民に対しまして、これが直接的な形であろうと間接的な形であろうと、直接にある人から、高等学校に入学するというようなことの代償のような形で、施設に対する寄付、建設費に対する寄付を求めますとか、あるいは一般的にその地域の子弟が入るということから、そこの人たちに建設費の一部の補助を寄付として求めるというようなこと、あるいはまたそういう期成同盟会のようなものをつくりまして、そういうものに一般の父兄なり住民が拠金をして、それをまた持ってくるというようなことは、ある意味で間接的かもしれませんけれども、そういうような、まあ直接であろうが間接であろうが、とにかく父兄を中心とする場合が多いだろうと思いますけれども、そういう住民に高等学校の建設費の一部の負担を転嫁するようなことはしてはならぬ、こういうはっきりした明文の規定でございます。
  111. 和田一郎

    和田(一)委員 この問題がいま全国的にあるわけなんです。ある県ではそれが大問題になっておりまして、ほとんどの市町村が県のほうから割り当て的な寄付を受けておるわけでありますけれども、簡単に議決をしておる。県会の質疑答弁の中でも、議員さんのほうの質問に答えまして知事さんが、自分が就任したときは六〇%の負担金をとっておったではないか、私が就任してから一五%に下げたのだから、これはひとつ何とかしてもらいたいというような答弁をしているのですね。だけども、これははっきりと第二十七条の三に抵触しておる。ところが、いろいろな考え方で寄付金だ、こういうわけであります。  私、自治省の財政課の方がお書きになった論文を持っています。これを読んでみますと、「寄附金が強制的なものであるか割当的なものであるかという判断は、現実には困難であり、現に自発的であるという理由によりかなりの寄附が行なわれていた事情があったので、必ずしも徴収の態様において強制的、割当的といえないような寄附金であっても、結果的に負担が転稼されるようなものについてもすべて禁止して、税外負担解消について一つそうの徹底を期そうとしたのが、本条立法の目的の一つである。」こう書いてある。これは皆さん方のほうで書いてくれた論文なんです。ですから、たとえ自発的な寄付であったとしても、それは直接であると間接であるとを問わず、明らかにかけているんですけれども、これは違反だとはっきりいっているのです。  ところが、これは現実にどんどんやっているのです。この点について自治省は、大体どういう県がやっているということを御存じですか。何なら私資料を持っていますから提供します。そちらのほうが専門家ですから、お聞きしないと悪いと思いまして。
  112. 長野士郎

    ○長野政府委員 いまの御指摘の条文で申しますと、二十七条の三といいますのは、いまお話がございましたように、むしろこの二十七条の三のほうは、住民にいわゆる税外負担を課するというような形に実質的になることを禁止しているということでございます。高等学校の建設費に対して、市町村というお話がございました。市町村に対して建設費の一部を持たせるといいますか、常識的にいうと、持たせるということになりますが、そういう関係はむしろ地方財政法におきましては第四条の五、地方団体が他の地方団体に対して「直接であると間接であるとを問わず、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」こういう規定と、それから同じく地方財政法のさきにお引きになりました少し前、二十七条という規定があります。二十七条におきましては「都道府県の行う土木その他の建設事業でその区域内の市町村を利するものについては、都道府県は、当該建設事業による受益の限度において、当該市町村に対し、当該建設事業に要する経費の一部を負担させることができる。」こういう規定がございますが、ただその規定の中に「建設事業」という中にカッコいたしまして「高等学校の施設の建設事業を除く。」こう書いてあります。つまり高等学校の建設事業につきましては、かりに市町村に受益があるといたしましても、それは経費の一部を負担させるというような措置はできないんだ、こういうことに実はいたしておるのでございます。これは沿革的には、いわゆる高校急増対策というような時代に、高校急増の施設のためにたいへん経費がかかりまして、その当時、府県におきましては経費の捻出にたいへん苦慮いたしたわけであります。同時にまた、関係の市町村におきましても、いわゆる高等学校の増設あるいは新設についてたいへんにいろいろ便宜供与の申し出をしたりなんぞいたしまして、その結果は、非常に高い負担になりました。そういうことで非常に困難をいたしたことがございますが、そういうところから、こういう規定が生まれたわけでございます。
  113. 和田一郎

    和田(一)委員 そうしますと、私がいま申しました事例のようなものは、明らかに地方財政法の違反ですね。
  114. 長野士郎

    ○長野政府委員 先ほど御引用になりました論文にもございますが、寄付という形が自発的なものであるか割り当て的なものであるか、これはいろいろな議論があろうかと思います。しかしながら、少なくとも自発的な寄付であれば、直接財政法に違反しないという一応の理屈は成り立ちますけれども、全体として建設する場合に一定の割合で何か寄付を求めるということになりますと、それは寄付の名における実質は負担転嫁というようなことが内容としては非常にはっきり出てきておるのじゃないだろうかという気がいたします。そうなりますと、地方財政法との関係におきましては、たいへんな問題を含んでおりまして、そういう意味では、違反の疑いは非常に濃厚ではないかと思います。
  115. 和田一郎

    和田(一)委員 いまおっしゃったことでよくわかりました。違反の疑いが濃厚である。私から言わせれば、完全に違反であると思う。この県の名前をいま読むのは差し控えますけれども、昭和四十三年に二十五県がやっているのです。これもいろいろな割り当てをつくりましてね。体育館に対しては何%、本校に対しては何%、その他いろいろな割り当て的な寄付がある。それからいまおっしゃった、自発的な寄付という問題、これも皆さん方のほうの方のお書きになった中に、自発的な寄付だってこれはもう完全な転嫁だと書いてある。そちらで書いているのですからね。ですから、寄付のあり方がどうのこうのとおっしゃらずに、とにかく県立高校の地元負担金については、ひとつ自治省のほうで厳然たる態度で臨んでいただかないと、小学校はまだぼろぼろなんです。ところが、高校になりますと、高校の整備基準ができているのです。その基準に合わせるために、県のほうで一生懸命なんです。ところが、小中学校のほうには建設基準ができていない。それだけにやられてしまう。ですから、まだ危険校舎がたくさんある。これが現状なんです。  今度は大臣にひとつお聞きしたい。これが現在の地方の現状なんです。また論文の中にもありますけれども、おまえのところで出さないのだったら、予算をほかへ持っていくぞということがある。そういうことはけしからぬということも書いてある。いままでそれをやったことは事実なんです。そういう地元負担を拒否した市や町が、つくってもらいたい県立高校をほかへ持っていかれた事実がある。そういったことも、これはけしからぬ問題です、実際問題として。ですから、国の貸借、交付税の貸し借りもけしからぬかもわかりませんけれども、今度は地方自治体間の中でもたいへんな問題だ。これは地財法ではっきりしている。地財法第二条には「地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体の財政に累を及ぼすような施策を行ってはならない。」こうある。現在累を及ぼしている。ひとつ厳然たる態度でこの問題についての指導をしていただきたい。いま各地方の議会で、この高校の財政の問題でいろいろな議論が行なわれておると思いますけれども、こういう解説ばかりじゃなくて、ひとつ大臣のほうからきびしく指導していただいて、そのような違法行為のないようにお願いしたいと思います。大臣所見をお願いしたいと思います。
  116. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 その点に関しましては、今後とも地方財政法の趣旨を徹底せしめるように、かつ府県と町村財政との間の秩序を適正化するように、指導を徹底してまいりたいと存じております。
  117. 和田一郎

    和田(一)委員 もう昭和四十五年度からは各府県でそういう問題が起こらないように、またこれが道路であるとか下水であるとかいろいろあるのですよ、こういう負担金の問題が。そういう面からも、ひとつ自治省がき然たる態度で臨んでいただきたい、そのことを心から要望しておきます。この問題はすべて地方交付税に入っているのです。下の公共団体は地方交付税をそれ以下にもらっているのですから、そのことを要望いたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わります。
  118. 菅太郎

    菅委員長 門司亮君。   〔「簡単」と呼ぶ者あり〕
  119. 門司亮

    ○門司委員 私は、簡単ということばがありましたから、ごく簡単にお伺いしますが、最初に、大臣の提案理由の説明でなくて、法案自身についている理由を読んでみますと、こういう改正を「する必要がある。」こう書いてありますけれども、私は、法案が提案をされたときにこういう改正をする「必要がある。」ということは、国のほうではそういう必要があるかもしれないが、われわれのほうではそういう必要はないのですよ、実際は。この点はおかしいのですよ。少し僣越過ぎやしないか、こういう法律の書き方というのは。さすがに大臣の提案理由の説明の中には、そういうことは書いてありません。しかし、法律案の理由のところを見ると、そう書いてある。  そこで、私はまず聞いておきたいと思いますことは、「必要がある。」こうおっしゃるのだが、これは私は、やむを得ざる処置であって、必要性ではないと考えている。この辺どうお考えになりますか。
  120. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 これは先生のほうから見ると、そういうふうにごらんになれるかもしれませんが、われわれとしては、その必要を認めて御提案いたした次第でございます。
  121. 門司亮

    ○門司委員 大体そういうこと以外に方法はないと私は思うのです。そこで、問題になりますのは、政府が必要がある、必要によってこうしたんだとおっしゃるけれども、これは政府間の理由であって、地方自治体側から見ますと、必ずしもそうは受け取れない。交付税自身の性格は、御承知のように、年度においてこれを支給することが当然であって、そして決算の上において余りの出た分は、翌々年度において使う。これは法律がそうなっておるのだから、私は法律を守ってもらいたいと思う。そこでさっきのような意地の悪い質問を私はしてみたのです。法律があって、その法律を守らないで、政府が必要があるということなら、これは法律を非常に大きくゆがめるものです。むしろ法律改正をお出しになったほうがはっきりする。こういう臨時の処置でなくて、一部を改正する法律の一部を改正する法律案というような回りくどい法律でなくて、もう少し基本的に直していただきたいということであります。こういうことをここで押し問答しておっても長くなると思いますが、地方交付税についての取り扱いは年年歳々議論になってまいります。  それからもう一つは、地方交付税については、本来の交付税の使命を忘れた、最近はひもつきの交付税のようなものが考えられておる。こういう事業があるからこれにこういうように割り当てるのだということで、結局ひもつきになっておる。これは地方交付税の性格を非常に大きくゆがめておるのであって、この点についてどういうふうにお考えになりますか。これでよろしいとお考えになりますか。
  122. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 この点もまた見方の相違によるかとも存じますけれども、何もわれわれはひもつきで処置をしておるとは考えておらないのでございまして、地方交付税の精神は十分これを尊重しながら処置をいたしておる、こう考えておる次第でございます。
  123. 門司亮

    ○門司委員 交付税の財源は、自治省も始終言われておるように地方の自主財源だ。自主財源であるとするならば、普遍的なものでなければならぬのであって、これが一部の事業について割り当てられるということは、非常に大きな間違いであると私は思う。やはり普遍的に行なわれる地方自治行政に対する一つの大きなささえになっておるものであって、それが特定のものに、何か仕事があればそれは交付税でかげんをするのだということで、ひもつきになるということについては、非常に大きく法の精神自身から反した行き方であって、こんなことをやっておっては私は非常に前途を憂うるのです。どんなにあなた方がやかましいことをいって、これは固有財源だといっていばられたって、事実は固有財源からだんだん離れていって、特定財源のような形を示しておる。ここに私は今日大蔵省のつけ入ってくる一つの大きな原因をだんだんおこしらえになっているのではないかと思う。それでなければ、大蔵省といえども、この地方交付税が地方の固有の税源であるとするならば、手をつけられるはずがないのだ。これを従来の地方配付金といっておった、いわゆる交付金といっておった当時から、税という文字を使ったときのこの法律の改正のいきさつは、自治省は知っておらなければならぬ。従来の配付金制度のときは、政府のかげんによってある程度の配付ができた。しかし、税という名前をつけた以上は、地方税であることに間違いがないのだ。したがって、どうしても普遍的の財源でなければならぬことは当然であります。それをどうもこのごろは、何かしらひもをつけてみたり、こういうふうに当然配分されなければならぬものを配分しないでおいて、国が大蔵省に財源を貸すなんということは、私は自治省としては地方公共団体をどう考えているかということであります。こういうことを申し上げてもどうにもならないと思いますが……。  そこで、私は大臣によくお聞きを願って、そうしてお答えを願いたいと思いますことは、いま日本の国の税配分がどうなっておるかということであります。これを自治省は一体どう考えておるかということです。これは私も一応数字は持っておりますけれども、四十五年度の地方財政計画あるいは国の予算等にらみ合わせてみて、税の配分がどうなっておるかということを、自治省はどれだけお調べになっておるか、そちらから一応御答弁を願っておきたいと思うのです。
  124. 森岡敞

    ○森岡説明員 租税総額は国、地方合わせまして四十五年度の収入見込みで十兆八千三百三十一億円でございます。
  125. 門司亮

    ○門司委員 私はそういう数字を聞いているわけじゃないのだ。もう時間がありませんから、あまり押し問答をしている暇もありませんが、数字を聞いているのではない。国民所得に対する税の負担割合がどうなっているかということです。
  126. 森岡敞

    ○森岡説明員 国民所得に対する租税負担率は、国税、地方税合わせました場合一八・八%でございますが、このうち国税は一二・八%、地方税は六%でございます。
  127. 門司亮

    ○門司委員 大体その数字であって、そうしてこの国民所得に対する税負担の割合は、昨年度より〇・一%ふえているんですね。昨年は一八・七%である。ところが、国税と地方税との割合は、去年は一八・七%の中で地方税全体が六%だったのですね。そうしてその中で三・三%が都道府県であって、市町村は残りの二・七%しか税配分ではこないことになっておる。したがって、地方のそうした市町村の財政というのは非常に苦しくなっておる。税配分のたてまえからいっても、四十三年よりも〇・二%減っているのである。その分だけ国がふえている。私はこういう税配分の推移というものが、年々そういう形をずうっとたどってきておって、そうして今日の地方の行政の中で最も大きな負担をかけられておる市町村、特に過密都市あるいは過疎も同じでありまするが、財政を最も必要とする市町村にくる税配分が非常に少ないという現実の問題、こういう問題を一方でかかえておきながら、一方においては来るべき交付税が国に貸されるというような、非常に大きな財政上の矛盾を来たしておるということである。私は、一体何のために自治省があるのかということを、極論すれば、疑いたい。  同時にこのことは、税の伸びを見てごらんなさい。昭和四十四年度の概算による税の伸びは、一体どうなっておりますか。国税の伸び、都道府県税の伸びあるいは市町村税の伸び、この三つをひとつ比較してごらんなさい、どういう数字が出るか。あなたのほうに数字があるはずだ。
  128. 森岡敞

    ○森岡説明員 国税の伸びは、昭和四十五年度の収入見込みが前年度に対しまして、当初に対しまして二〇・九%でございます。地方税は都道府県税、市町村税合わせまして二〇・五%の伸びで、国税の収入の増加を若干下回っております。
  129. 門司亮

    ○門司委員 税率の伸びは当然下回っております。これをもう少し詳しく私は知る必要があると思いますが、たとえば昭和三十九年度を一〇〇として、そうして四十三年度までの決算は出ておりますから、それは確定の数字でありましょうが、しかし、その後の本年度の予算面から見る国税と地方税との伸びをさらに見てごらんなさい。一番伸びの悪いのが市町村税であることは間違いがないはずである。これを一応あなたのほうで当たって出してみてごらんなさい、どういう数字が出てくるか。
  130. 森岡敞

    ○森岡説明員 実績の伸びに関する資料をただいま手元に持ち合わせておりませんけれども、御指摘のように、増加率は、国税の増加率が一番高く、次に都道府県税、市町村税の増加率は一番低いということに相なっております。それでよく御指摘されておりますように、固定資産税の伸び悩みとかあるいは景気に応じて弾性値の高い税収が市町村に少ないとか、こういうところが影響しておるということであろうと考えております。
  131. 門司亮

    ○門司委員 そういうふうに国と地方と税財源を比較してまいりますと、今日一番財源を必要とする市町村が、一番割りが悪くなっておるのですね。そこで、それを補うものは、何といっても交付税以外にないのですよ。これはあくまでも地方の固有財源であると同時に、財政負担に対する補完的の性格を持っていることは争えない事実です。したがって、今日の状態になってまいりますと、結局、この交付税自身について市町村との関係をもう少し基本的に改正する必要がありはしないか。そういう点について、ひとつ大臣のほうから、どういうふうにお考えになるか、御答弁を願っておきたいと思います。
  132. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 門司先生御指摘のとおり考えておりまして、その点につきましては、何らかの改善措置を講じ、かつ諸先生からも御指摘のありますとおり、いわゆる交付税上における貸し借りの問題というものは、今後これをいたさないようにいたしたい、こう考えておるわけであります。
  133. 門司亮

    ○門司委員 この機会にもう一言、私、お聞きしておきたいと思いますことは、今日の地方の財政全体をずっと見てまいりますと、そうして交付税との関連性を見てまいりますと、交付税は、現実の問題よりも一年あとを追っておるのですね。そこにも地方の自治体の財政上の非常な苦しさというものが生まれてまいります。過密都市のように、毎年何万という人口がどんどんふえてきておる。前年度の人口から追ってくれば、それはその中に入らぬわけであります。別になっておる。こういう問題をある程度カバーすることのために、二月に支給される特別の交付税という制度があるはずであります。だから、補正予算によって出てまいりました今度の、当然地方に配分さるべき交付税というのは、さっきのように、技術的にはあるいはむずかしいかもしれない。しかし、今度の場合は、私は、地方にそういう問題とからんで、ひとつ配付する必要がどうしても出てきはしないか。そうしないと、これは現実にマッチしない。過密都市のように、二万も三万もあるいは五万もふえておる。そういうところが前年度の人口でずっと追ってまいりますので、結局、現実と合っておらない。だから、そのことのための特別交付税としての二月に支給される制度が一つありますので、何もその中にこれを加えたからといって、ちっとも差しつかえないはずである。地方の自治体には、やはり現実に必要な財源を必要なときに支給するということが必要なわけであります。  私は、こういうことを考えてまいりますと、今度の交付税の取り扱いというものについては、ほんとうに腹立たしいというよりも、あまりにも地方の財政状況を知らな過ぎやしないか。そして、これが今度だけじゃない。毎年こんなことが行なわれておって、何かありもしない財政を国に貸すなんということを平気でやっておる。こればかりが地方の財政の問題でございませんで、そのほかにも税だけでなくていろいろな、たとえば起債に対する元利の償還金なども、税負担の割合、いわゆる地方の自治体の税収の割合からいえば、毎年伸びているのですね。去年は約九・一%ぐらいであったと思いますが、ことしはこれが九・一一くらい、また少し伸びておる。だんだん公債費に対する負担割合というのは税収よりも伸びておる。それだけやはり苦しいわけであります。地方財政というのは、そういうことで起債によって補っていけば、起債の借金払いをどうしてもしないわけにはいかない。そうして本年度の帳じりを見てみますと、はっきりした数字は四十三年度の決算面しか出ていないと思いますが、四十三年度の決算面で、大体一般財源は二兆四千億ですかくらいの借金を背負っているわけである。それから公共事業、いわゆる準公営企業まで入れて、ほぼ同額ぐらいに数字が出ておると思う。合わせますと約四兆五千億ぐらいのものが出ておる。したがって、四十五年度の財政計画から考えてまいりますと、五兆円にのぼる借金を地方は背負っておると思う。これの元利償還金が毎年毎年ふえてきておるのであります。いま申し上げましたように、税収との割合を前年度、前々年度からずっと調べてみれば、毎年毎年税収に対して公債の償還費というものはふえざるを得ない状態をたどっておるのであります。私は、こういう地方財政の悪化の傾向を、もう少し自治省はまじめに、ということばを使うとまたこれはおしかりを受けるかもしれませんが、正確にとらえておいていただきたい。そうしてそれにどう対処するかということをひとつ考えてもらいたいと思うのです。  だから、こういう交付税等の取り扱い等については、今後絶対にしないということが言えるものなら、この機会にひとつ大臣から言明をしておいていただきたい。  私はもうこれ以上きょうは質問いたしません。
  134. 秋田大助

    ○秋田国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり、今回とりましたような措置は、今後はこれをとらないようにしたいと存じております。
  135. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 議事進行。きょう自民党の中山さんはじめ各委員から、三百億の貸し借りについて議論が集中いたしました。本来、これは次の地方交付税法の一部を改正する法律案、ここで主として議論をすべき課題だと思いますが、この一部改正の一部改正案で議論の出ることもこれまた当然です。しかし、本格的な議論は、先ほど申し上げたように、地方交付税法の一部改正案で議論をよりしなければならぬ問題だと思いますが、ひとつその際には、ぜひとも大蔵大臣に当地方行政委員会に出席をいただきますように、委員長としてぜひ御配慮をいただきたい。地方行政委員会に総理大臣が出たことは一度もないそうでありまして、大蔵大臣もなかなか出ない。昨年久しぶりにやっと福田大蔵大臣が出た、こういうようなことであります。これはまずい歴史でありまして、そういうことは是正しなければならぬと思います。どうか菅委員長におかれましても、地方交付税法の一部を改正する法律案審議中に、福田大蔵大臣に、今度はゆっくり時間をとってみっちり御出席いただくように、これは議事進行上ぜひともそう取り計らっていただくことを、強く要請をいたします。
  136. 菅太郎

    菅委員長 委員長においてただいまの件は善処をいたします。  本案に対する質疑は、これにて終局いたしました。     —————————————
  137. 菅太郎

    菅委員長 これより討論を行なうのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  138. 菅太郎

    菅委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。ただいま議決いたしました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  140. 菅太郎

    菅委員長 次回は、明後十九日木曜日、午前十時から理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時五十八分散会