○門司
委員 そこで私は、具体的にもう少し突っ込んで申し上げておきたいのですが、これは
自治省に頼んだけれども、まだこしらえてくれないから、私のほうでとったのですが、いま十六
都道府県で百三十七の都市を一応私なりに私のところで
調査をした数字がございます。これは四十三年度の決算からくるものじゃございませんで、いま進行中の四十四年度の当初予算と四十四年度の現計予算、これは一番なまなましいものでありますので、これで、いま申し上げましたように、百三十七の都市の統計を一応とってみました。そういたしますとどういうことになっているかというと、当初予算から現計予算との間に五〇%以上の開きのあるものが百三十七の都市の中で十あります。一番大きいのは九二%というのがある。当初予算の約倍も現計予算を組んでいる。これは何をやっているんだかわからぬが、都市の名前を言うとおこられますので差し控えますが、みんな書いてあります。それからその次に四〇%以上というのが九つある。三〇%以上というのが二十七。こういう数字を見てまいりますと、五百六十幾つかの市それから四十七の
都道府県をずっと見てまいりますと、かなり大きな問題がここにひそんでいやしないか。こういうことを
考えてくると、どうしてもこれをもう少し縮めてあげないと、
地方の
自治体ではほんとうの仕事ができないんじゃないか。
それから同時にもう
一つの問題からいきますと、市会に出てきたのは、全部いわゆる骨格予算である。職員の
給与であるとか、いままでのやりかけの仕事であるとかいうようなことで終わってしまう。ほんとうの仕事はみんな追加予算になってきて、
委員会所属というようなことで、ろくな審議をしないで——速記録にそう書いておくとおこるかもしれませんが、やはり審議が十分に尽くされないような形になってくる。ここに私は、日本の今日の
地方自治体の予算
運営の非能率的というか、非
効率的なところがありゃしないかと
考えられる。金は相当に使いながらどうもうまくいかないというところに、問題点がありゃしないか。それでさっき申し上げたような御質問を前段に申し上げたのでありますが、この点は一体どうお
考えになりますか。これは決算が出てくるともっと大きな数字の開きが出てくると思いますよ。いまは大体みんな来年度の予算審議をすると同時に、追加予算をいまごろ一生懸命やっていると思いますから、この数字はもっと開いてくると思う。こういう現実の上に立って、一体
財政をどうするかということについては、ここで即答を得ようとは
考えておりませんが、十分ひとつ
考えてもらいたい。このことが官僚
行政につながる問題でありまして、政府に一切のお伺いを立てなければいかんともしがたい、こういうことにならざるを得ない。
私は、
自治の本旨であるとかなんとかいろいろむずかしいことをいっておりますけれども、
自治体は、やはり固有の
財源として十分に市民の前に当初予算で明らかにして、
計画を立てて、さらに将来の
発展をどうするのかというような遠大な理想と希望がなければ、
地方の
自治体というものは、
住民意識といったって
住民意識は出てきやしません。
住民意識の出てこないところが今度の選挙にあらわれておる。いわゆる政治への不信、棄権が非常に多かった、特に都市の棄権が目立ったということ。私は、単に今度の選挙が暮れだからどうでこうでというのじゃない。
住民意識というものがなければ、やはり選挙などに対しても、だれでもいいのだ、だれが当選したって同じことだということになってしまう。これではほんとうの
意味の選挙でなくなると思う。そういう点をずっと
関連して
考えてまいりますと、この
財政上の処置というものは非常に大事なことであって、きょうは私はここで即答を得ようとは思いませんが、この実態を、ぜひ知っていただきたいと思う。あとで必要があれば、もっと調べてもよろしいと思いますが、現在そういう数字がここに出てきておりますということを、
大臣にもひとつ心得ておいていただきたいと思います。いまそういう
考え方がないと言われたのは、私はそれはそれでよろしいと思いますが、こういう実態をひとつ知っていただきたいということ。
それからもう
一つ聞いておきたいと思いますことは、この
大臣の
所信表明の中で税制に触れられております。私はこの税制に触れられておる問題についてここでもう一応聞いておきたいと思いますことは、今日税制の
根本的な
改正をする必要に迫られていやしないかということが
一つあります。これは国と
地方との税配分を見ればすぐわかるのでありまして、私はいま、正しい、最もいまの時期に近い数字をまだ持っておりません。四十四年度の数字しか持っておりません。四十五年度の国の予算からくる
地方の税
財源の配分
関係の数字を私はまだ持っておりませんが、四十四年度のものを調べてみましても、かなり大きな開きがある。ことし国民の税負担の総額というのは大体一八・八%ではないかと私は
考える。その中で
地方自治体が配分を受けておりますのは四十三年度で大体六%内外ではないかと
考える。そうしてその六%の中でまた
都道府県が三・三%をとってしまうということになりますと、
市町村におろされる分は二・七%内外しかないのじゃないかということなんです。国民負担が一八・八%になりますか、たしかそういう数字だと思いますが、納めながら、国が一二・八%とってしまい、その一番末端の一番仕事をしなければならない
市町村が二・七%内外しか税の配分がないということで、一体どうして憲法に定めるほんとうの
地方行政が行なわれるかということであります。これは三割
自治どころの騒ぎじゃない。もっと実際は少ないのです。こういうことを
考えてきますと、私は基本的には、国と
地方との税
財源の配分を変えてもらいたいということが
一つあります。
しかし、これをいま
自治大臣に聞きましても、それは大蔵
大臣に聞けということになると思いますが、国と県との間の問題、
都道府県と
市町村との間の問題、これをひとつ具体的に
考えてみましても、たとえば
地方の
自治体で一番大きな
市町村の
財源としては、固定資産税がございます。固定資産税は、御
承知のように、平たく正確にいえば、三年に一回の是正あるいは評価がえしかできない、こういうことになっております。ところが、同じ土地、建物に対しましても、
都道府県の税金はどうなっておるかというと、不動産取得税は
都道府県が取るのですね。それはそのときの時価で取るのですね。そうなりますと、同じような土地、建物に対しても、
市町村は三年に一回しか変えられない。しかもそこにはいろいろ制約がありまして、時価が幾らだからといって、それに千分の十四をかけるというわけにはなかなかまいらない、あるいはそれ以上にかけることは困難である。ところが、
府県税として同じ物件にかけております不動産取得税は、ややそのときの時価にひとしい税金で取ることができることになっておる。こういうものを幾つかずっと並べてみますと、
市町村の税
財源というものはきわめて脆弱であって、そして
都道府県がその次に優位にあるということ。
もう
一つ詳しく申し上げれば、御
承知のように、最も大きな問題となってまいりまする例の観光都市のような問題、これは
市町村が一生懸命になって観光
施設をやって誘致をしてくる、あるいは観光客を集める。そこから上がる税金はどうなるかというと、遊興飲食税は県で持っていってしまうんでしょう。おみやげ屋の品物が売れれば、これは
事業税としてこれも県が持っていくんでしょう。
市町村に残るのは、温泉地帯であれば、一晩二十円の入湯税だけしか残らぬということになる。支出はやかましくいわれるが、そこから上がってくるものはみんな県庁へ持っていかれる。こういうことが現実の姿なんですね。
私はこういうものをずっと
一つずつ税金を洗っていきますと、非常に大きな問題がそこに伏在しておる。これを今日もう改革する時期ではないかと私は
考える。そういたしませんと、
地方の税制をどんなに私どもがここで議論いたしましても、
大臣にどんなに心配をしていただきましても、もともとそういう不均衡なものがあり、あるいは不公正なものがあったのでは、これはどうにもならぬのであります。したがって、
地方税だけに関する問題といたしましても、今日そういう税源の再配分をする必要がありはしないかということが、痛切に
考えられてまいります。したがって、それらの点に対する
大臣の御所見があるなら、この際承っておきたいと思います。