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1970-03-05 第63回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年三月五日(木曜日)     午前十一時四分開議  出席委員    委員長 菅  太郎君    理事 小澤 太郎君 理事 大西 正男君    理事 塩川正十郎君 理事 砂田 重民君    理事 古屋  亨君 理事 山口 鶴男君    理事 斎藤  実君 理事 岡沢 完治君       亀山 孝一君    鯨岡 兵輔君       高鳥  修君    中島 茂喜君       中村 弘海君    中山 正暉君       永山 忠則君    野呂 恭一君       安田 貴六君    山崎平八郎君       豊  永光君    綿貫 民輔君       井岡 大治君    阪上安太郎君       山本弥之助君    桑名 義治君       和田 一郎君    門司  亮君       青柳 盛雄君  出席国務大臣         自 治 大 臣 秋田 大助君  出席政府委員         自治政務次官  大石 八治君         自治大臣官房長 鎌田 要人君         自治省行政局長 宮澤  弘君         自治省財政局長 長野 士郎君         自治省税務局長 降矢 敬義君         消防庁長官   松島 五郎君  委員外出席者         自治大臣官房参         事官      立田 清士君         自治省行政局公         務員部長    山本  明君         自治省財政局地         方債課長    山本 成美君         地方行政委員会         調査室長    川合  武君     ————————————— 委員異動 三月四日  辞任         補欠選任   桑名 義治君     矢野 絢也君 同月五日  辞任         補欠選任   岡崎 英城君     鯨岡 兵輔君   矢野 絢也君     桑名 義治君 同日  辞任         補欠選任   鯨岡 兵輔君     岡崎 英城君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  地方自治地方財政及び消防に関する件      ————◇—————
  2. 菅太郎

    菅委員長 これより会議を開きます。  小委員会設置の件についておはかりいたします。  消防関係法令整備及び消防施設整備強化をはかるため、小委員十一名からなる消防に関する小委員会地方公営企業制度全般について調査するため、小委員十一名からなる地方公営企業に関する小委員会を、それぞれ設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次に、小委員及び小委員長選任の件についておはかりいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  それでは、委員長において追って小委員及び小委員長を指名し、公報をもって御通知いたします。  なお、小委員及び小委員長委員異動に伴う補欠選任並びに小委員及び小委員長辞任の許可及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 菅太郎

    菅委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。      ————◇—————
  6. 菅太郎

    菅委員長 地方自治地方財政及び消防に関する件について調査を進めます。  秋田自治大臣所管行政の説明に対して質疑申し出がありますので、順次これを許します。塩川正十郎君。
  7. 塩川正十郎

    塩川委員 それでは、私からまず最初自治大臣にお尋ねいたしたいと思います。  今回の大臣所信表明をお伺いいたしまして、その一番大きい柱は、過疎・過密を解消して、しかも全国的に行政水準統一のある豊かな地方づくりをしたいということでございまして、その中心はあくまでも広域行政を有効的に、しかも地方性を十分生かした方向でやりたいという意欲が、非常に強く出ておるのであります。  そこで最初に、この広域行政の問題について大臣考え方なり、あるいは今後自治省がとらるべき態度についてお尋ねいたしたいと思います。  御承知のように、広域行政を進めるにつきまして、そこにはただ単に自治行政それだけの問題ではなくして、その行政から実際に起こってまいりますところのいろいろな事業がございます。これらの事業は、単に市町村のみでこれが処理できる問題ではなくして、多くの関係省庁に非常に関係の強い事業がたくさんあるのであります。しかしながら、現在いわゆる戦前におきますところの内務省的な権限というものが自治省にはないのでありますし、そういたしますと、各省庁間におきますところの協調協力、こういうものが十分に発揮できない場合が多い。それがために、広域行政を実際に推進しようといたしましても、そういう各省庁間のいわゆる権限に引っかかって、そこでうまく進まない事例がたくさんできておるのであります。特にこれが公社あるいは事業団というような関係になりますと、一そうその気配が強いのであります。そこで、広域行政を進めようといたしました場合に、自治大臣としてどのように各省庁間の協調協力、こういうものをとっていくかということについての御決心というものをひとつ承りたいのであります。  簡単な一例を申し上げますと、自治省広域行政圏というものを定めて、今回五十五圏でありますか、発足いたします。これに対して実際に各省庁あるいは公社公団、こういうところがほんとうに納得してそれに協力態勢をとるかどうか、これが私は非常に大事な問題だと思うのであります。そういうことでありますので、ただ単に自治省が音頭をとって、広域圏というものを定め、それで自治行政自治体財源だけでもってこれを完成していこうというのではなくして、国全体の姿勢における広域行政推進力としての自治大臣、これの考え方をひとつ承っておきたい、このように思います。
  8. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説のとおり、広域市町村圏施策中心地方行財政を進めてまいりたいと考えておりまして、それにつきましては、ただいまお説のとおり、関係の諸官庁、それから公社公団等と十分な連絡をとって、脈絡のある、総合性のある行政を推進することの必要なるは言をまちません。したがって、自治省関係だけの施策にとどまることなく、この計画各省十分熟知、PRする措置をとるとともに、御了解を願いまして、各省協力体制をつくり上げるように十分配意をいたしまして、連絡を密にし、その実があがるように連絡を十分とってまいりたいと考えております。
  9. 塩川正十郎

    塩川委員 そこで、さらにお聞きいたしたいと思いますのは、御了解を願い、協力をしていただくということでありますが、これは具体的にどういうふうにして進められておるのか。また、それの効果が実際にあがってまいりましょうか。たとえば、自治省のほうでは広域行政を設定されると同時に、建設省でも生活圏というのですか、広域圏というものをやはり定めております。それから経済企画庁は日日生活圏ですか、何か三重にそういう広域圏が定まっておる。これ一つを見ましても、そこに各省庁間の意思統一ができておらない。ましてやいわゆる過疎地帯、こういうところが今後真剣に広域行政をよりどころとして自己の発展を期していきたいと思っているときに、三つもあれば、どれに準拠して自分らの計画を立てたらいいのかということが非常に疑わしいと思う。そこで、各省庁間の了解を得て協力体制をとってもらうとおっしゃるその内容、それはどのように協力体制をとるのか、ひとつお考えをお聞きしたいと思います。
  10. 秋田大助

    秋田国務大臣 各省庁間の連絡をとる場合に、二段階あると思います。一つは、中央の諸官庁間の連絡をとること。これは事務当局を通じて互いに連絡をいたし、話し合いを密にいたし、こちらの考えも申し述べて御協力を願う。それから、地方段階の実際に即してのいろいろこまかな問題の協調があろうと思う。この点に関しましては、結局地方団体の、ことに都道府県企画部等中心に取りまとめることになりましょうから、そことの連絡を密にいたしまして、合理的なかつ現実に即した施策を実行されるように御処置を願うようこちらからもいろいろ連絡をとる、こういう措置を講じたいと思います。  公社公団等関係がありますが、通信事務広域市町村圏を推進する、これはことに重要な問題だろうと思います。これはいろいろ公社の採算上の問題等がありまして、なかなか簡単にいかない面もあろうかと思いますが、これらにつきましては、ひとつ地方並びに中央におけるそれぞれの機関と連絡を密にいたしまして、こちらの考えを御了解願い、なるべくそれに御協力を願うよう要請をして、一つ一つ解決をいたしてまいりたい、こう考えております。
  11. 塩川正十郎

    塩川委員 何といたしましても、地方団体はそれを一つキーステーションにして、そこから自治省に申し入れをすれば、あるいは要望すれば、ある程度各省庁間にこだわっておる問題等解決もしてもらえるだろうという期待が大きいのでありますから、こういうものに対する積極的なあっせんといいますか、解決を努力してやるということが、何としても広域行政の一番基本になってくる、私はこのように思いますので、今後ともそういう各省庁間の調整とその問題の解決、これに協力するということをひとつ積極的にやっていただきたいと思うのであります。  それと、市町村から積み上げていった広域行政、こういう思想から発展いたしますと、当然現在の府県制あり方そのものについても、広域的な思想というものが入ってこなければならないと思います。したがって、各局地的に見ました場合のいわゆる広域行政日本全般から見ました場合の広域行政、この関係があると思います。  そこで、同じ広域的な、いわゆる効率のある行政、能率のある行政統一のある行政をしていこうということが広域行政根本思想であるとするならば、日本全般から見た広域化、いわれますところの道州制等を導入して、全国的法域化効率をあげていこうということをいわれております。こういうものに対して自治大臣としてどういうお考えで取り組んでいかれるおつもりか、お聞きいたしたいと思います。
  12. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説のとおり、市町村段階広域行政、それが進みますれば府県段階、そしていまいわれております道州制、そういうものに理論的に発展をしていくということは、確かに考えられます。そして道州制ということも十分検討に値する考え方だと思いますけれども、何と申しましても住民の福祉、豊かな地域づくりという点を考えますれば、市町村段階広域行政を確立していくということが中心になろうと思います。その上で通信、運輸の便が実際上十分整備されますと、自然そこに同一地域という意識が住民の間に芽ばえ、育成をされまして、自然発展的に府県合併等発展することが考えられるわけでございます。府県合併促進法案等もかつて自治省は当委員会に提出をいたしておるわけでございますから、そういう発展を予想いたしておりますけれども、道州制にいたしましても、あるいは府県合併にいたしましても、やはり前提条件があろうと思います。それの十分な成熟をまって、自然発展的にそういう段階に進ますべき要素が多い。ただ地域住民日常生活の利便をはかると同時に、国の施策との間において、地方財政あるいは行政上府段階のものをどうするかということは、別途十分考慮すべき問題が今日あろうと思います。したがいまして、いまここに府県合併だ、いや道州制だ、あるいは市町村合併だという既設の具体的な概念を立てて、それに無理無理押し込んでいくというような考え方はとらない。十分前提条件成熟をまって民主的な地方行政が行なわれる、それから地方と国との行政の配分の合理的なものができるというところを見ながら、これらの措置を進めていきたい、私は大体そういうような考え方を持っております。
  13. 塩川正十郎

    塩川委員 そうすると、このように了解していいかと思います。すなわち、広域行政を進めるという根本は変わりがない。その基礎的な問題として、まず市町村段階から広域化を進めていく。それの積み上げをしていった上で、府県関係にわたるところの広域化を進めていきたい、こういうことだと思うのです。  そこで、前提成熟してくるというお話でございますが、その前提というものはどういうところにあるのか、差しつかえない範囲でひとつお考えをお聞かせいただければと思います。
  14. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいまも多少触れたつもりでございますが、やはり経済、社会の進歩とともに住民の一日の生活行動範囲がだんだん延びてまいっております。そこで広域化ということが出てきておるのでございますが、それにはやはり道路がよくなる、それからその他の交通手段あるいは通信手段、これがその地域社会整備をされる、こういうことが前提でございまして、その他生活環境関連をいたしております諸施設、これを整備していくことが根本的な前提条件になるものと私は考えております。
  15. 塩川正十郎

    塩川委員 私らの考えからいきますと、そういうものを整備するため広域化が必要だということも考えられると思うのですけれども、それはそういうことの観点に立ちまして、ひとつ積極的に進めていただきたいと思います。  それからもう一つお聞きいたしたいのでありますが、最近、地方財政が豊かになった、いや豊かではない、なかなか逼迫しておる、こういう議論が盛んに戦われております。われわれも基本的には、地方財源はやはり非常に逼迫しておる、それがため住民の要望するものがいわゆる十分に消化されておらないということを知っておるのでありますけれども、しかし一方におきましては、地方源財は豊かになってきたではないかという声が出ておることも事実であります。私は、そういう声の中にひそかにひそんでおるものの感情を見ますと、自治体に対する不信感とは申しませんけれども、自治体にまかしておけば何をやるかわからぬ、そういう懸念もなきにしもあらず、こういう感じがいたすのであります。特に自治体のいわゆる行政格差あるいは運営方針が非常に違う団体もございましょう。そういう行政格差からくる一つエゴイズムといいますか、そういうものが自治体に対する一つ不信感をもたらしてきておると思うのであります。  そこで、現在そういうことのないように、まず第一に行政水準統一的な指導、これはもちろんのことでありましょうが、自治体自治の権能を振りかざして、いわゆる自治エゴイズムをしようとした場合に、そういうものに対する規制と申しますか、指導といいますか、そういうものに対しては、大臣はどういう態度で臨んでいかれるのか。  たとえて具体的に申し上げますならば、地方自治団体におきますところの公務員給与というものは、国家公務員給与に準ずるというようなことでいままで行なわれてまいりました。しかしながら、ある自治体、特に東京都におきましては、財源の問題は私はとやかく申しませんが、とにかく人事委員会勧告どおり実施するんだということで、いわゆる国との水準がここで違いましょうし、そういたしますと、自治体間におきますところの格差というものも当然違ったことになってまいります。こういう場合に当面して、大臣は原則的にどういう態度で臨まれるのか、こういうことをひとつお聞きいたしたいと思います。
  16. 秋田大助

    秋田国務大臣 このごろ地方財政にゆとりがあるじゃないかという説が、だいぶ盛んになってまいっておりますが、しかし、実際は行政水準がまだ地方において非常に低い、あるべきところにきてない、やられてないという観点が十分考慮されてない結果、そういう説が出ているのだと思います。同時に、ただいま塩川委員からお話のあるとおり、地方行財政運用に関しまして、地方団体考え方能力等に対する世人の考え方に基因するところもまたあろうかと存じます。  御質問の最後の点、それに関連いたしまして、地方団体の職員の給与等についてどう考えるかということであったと思いますが、一般的に自治大臣といたしましては、地方団体に対しまして助言なり勧告ができる地方自治法規定がございます。これをなまに適用するということは避けてまいりたいと思いますが、そういうことを踏まえて、実際上ひとつ法の精神に従いまして、地方団体としては、ことに給与の点につきましては、国家公務員に準じてやるという点、その法のたてまえを十分尊重されまして、地方団体全体の統一ということも十分考えていただきたいということを考えておりますから、そういう点を中心にひとつお話し合いをして反省を求め、指導をする、こういう立場態度を持ってこの間にまず処してまいりたい、こういう考えを持ち、またそのように処しておる次第でございます。
  17. 菅太郎

    菅委員長 関連質疑申し出がありますから、この際これを許します。鯨岡兵輔君。
  18. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 ただいま自治大臣お話を承っておって考えることは、いま塩川さんの言われた地方公共団体給与の問題について、最近東京都がやっていることは不適切とお考えになったかどうか。二度にわたってですか三度にわたってですか知りませんが、美濃部知事を呼んで何か翻意を促したといいますか、再考を促したように、新聞には伝えられております。何度お会いになって、どういう話をして、どういう結果になったか、ひとつお知らせいただきたい。
  19. 秋田大助

    秋田国務大臣 私就任以来今日まで二度お会いいたしております。先月と先々月、二回お目にかかっております。御承知のとおり、東京都におきましては、例の昨年度の給与ベースアップを五月にさかのぼって実施をしたい、国のほうは六月でございまして、一カ月繰り上がっておるわけであります。これは地方公務員法なり警察法なり教育公務員特例法国家公務員法との関連で、給与国家公務員の実情に、平たく申しますれば、準じてやってもらいたいというたてまえ上、非常に不適当ではないかと感ぜられましたので、かねて私の前任者である野田自治大臣時代口上書をもって東京都にお話をし、注意を喚起してあったところでもございまするから、それと同趣旨におきまして、もう一ぺん御再考を願いたいということを一月に申し上げました。これに対しまして美濃部さんからは、いろいろ労働組合に対する考え方、あるいは都民の信頼を得る意味において、都人事委員会勧告に従うことが適当であるというお話理由を申し述べられました。私といたしましては、一応そのお話は話として理解をいたしますけれども、やはりただいま申し上げました法のたてまえとの関係、これがまた他の地方団体に及ぼす影響等考え、はなはだ不適当に思うから、ぜひ御翻意を願いたいということを申し上げて、お互いに議合わずして一月は別れている。いよいよ三月の都議会においてこの問題が正式に取り上げられるということを承りましたので、再度自治省においでを願いまして、同様の趣旨を申し述べ、同時に、いろいろ交通関係の方々に対する給与改定変更等については応じ得ない旨も強調いたしまして、この点御注意を喚起いたしまして、御翻意を促したわけでございますが、前申し上げました同じような理由によりまして、自分としては翻意いたしかねるという御返事でございまして、いわばもの別れになってお別れをしておるような次第でございます。
  20. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 その話の中に、仄聞するところによると、人事委員会勧告を聞いて、国の方針には反するかもしれないけれども、五月実施をする、それから、前に労働争議のことで一ぺん首を切った者をもう一回戻すというようなことを通じて、労働組合との中をよくし、これからストライキなんか一切なくすようにするのだというようなことを言ったということを聞いているのですが、そういう事実はありますか。
  21. 秋田大助

    秋田国務大臣 そういう趣旨お話は、あったように記憶いたします。
  22. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 地方自治というものは非常にわかりにくいのですが、私なりにちょっとさかのぼって考えてみると、地方自治に対する考え方は、法制的にも戦前と戦後では大きく異なっていることは言うまでもない。すなわち、戦前は、国は地方公共団体に対して公権的な、あるいは監督的立場にあるという制度でございました。戦後では、相互協力関係ということにそれがなっている。すなわち昭和二十二年の改正では、財務関係を主として必要な場合はというような表現で、一応地方公共団体に関与している。二十七年の改正では、国の助言とか勧告というものが制定されてきている。それはしかし別に、それに対して取り消し権があるという強権的なものではない。その意味で、それは監督権とはいえないと私は思うのですが、これがこの自治法で、私の勉強で誤りがなければ、章名が「監督」となっていたところを、「国と普通地方公共団体との関係及び普通地方公共団体相互間の関係」というふうに改められておるわけです。三十一年の改正では、総理大臣の必要な措置と講ずべき権限として、従来からのやり方をちょっと強化して、関与の方式が強化されている。これが二百四十六条の二の、事務に違法とか不法とかそういうものがあったときには、総理大臣監督するというところだと思うのです。  そこで、自治大臣が二度にわたって美濃部知事を呼んで、いろいろ翻意を促したというのは、法制的にはどこに準拠してやられたか、そこのところをひとつ、もしおありならば、明らかにしていただきたい。
  23. 秋田大助

    秋田国務大臣 法に準拠してやったわけではございません。御承知地方自治法二百四十五条に、「自治大臣又は都道府県知事は、通普地方公共団体の組織及び運営合理化に資するため普通地方公共団体に対し、適切と認める技術的な助言又は勧告をすることができる。」というような規定もございますので、この趣旨を踏まえまして、事実上御再考を促し、御反省を求める、こういう事実上の措置に出たものでありまして、法規によって措置をいたしたものではございません。
  24. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それでは、もう二度にわたって翻意を促してみたが、もの別れになったという時点にかんがみて、二百四十六条の二に書いてあるようなことを、これから東京都に適用するというお考えはありますか。
  25. 秋田大助

    秋田国務大臣 二百四十六条の二は、「内閣総理大臣は、普通地方公共団体事務の処理又はその長の事務の管理及び執行法令規定に違反していると認めるとき、又は確保すべき収入を不当に確保せず、不当に経費を支出し、若しくは不当に財産を処分する等著しく事務の適正な執行を欠き、且つ、明らかに公益を害しているものがあると認めるときは、」云々、こうなっておりまして、要件が「著しく事務の適正な執行を欠き、且つ、明らかに公益を害しているものがある」こういう二つございます。そこで美濃部さんの措置が、先ほども申し上げましたとおり、非常に不適当なものとは考えられますけれども、「事務の適正な執行を欠き、且つ、明らかに公益を害している」——その措置それ自体において公益を害している、こう認められるかというと、そうは言えないと思いますので、これに基づいた措置をとるということは、私はできない。したがって、するつもりはない、こう考えております。
  26. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 今度国がやむを得ず、財政上の問題でしょうが、五月実施という人事院の勧告にかかわらず、六月。ところが、東京都のほうは五月でもって勧告を守ったほうがいいということになった結果、他の地方公共団体でも何か、私の聞くところによると、五十二くらいの地方公共団体が、とりあえずおれのほうだけ六月というわけにいかぬから五月にしようというところが出てきておるように聞いております。東京都の中でも三多摩にある幾つかの市町村は、これは私のほうだけ六月というわけにいきません、やはり東京都ですから、五月にしなければならぬ。そうすると、財政的に非常に困る。その金は東京都が出してくれるかというと、東京都は、お互い地方公共団体なんだから出すわけにいかぬ、おまえのほうであんばいしろ、こういうことをいっておるということでございます。これは事実なんです。そうすると、地方財政法第二条で、他の地方公共団体に累を及ぼしたり、国の政策に反したりするようなことを財政上してはいけないと明らかに規定されておる。これは不法でないと言われるけれども、不法でないですか。
  27. 秋田大助

    秋田国務大臣 不法ではございません。
  28. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それでは地方財政法二条をどう解釈なさいますか。地方財政法二条では、財政執行に当たって、地方公共団体は国の政策に反したり、他の地方公共団体に累を及ぼすようなことをしてはいけない。他の地方公共団体に累を及ぼしていま困っておる。みんな困っておる。特に三多摩なんか困っておる。それで盛んに都庁へ行って、そのぜには出してくれるかといっておるが、そのお金はない、おまえのほうも地方公共団体だから、自分であんばいしろといっておる。明らかに累を及ぼしている。
  29. 秋田大助

    秋田国務大臣 第二条は「地方公共団体は、その財政の健全な運営に努め、いやしくも国の政策に反し、又は国の財政若しくは他の地方公共団体財政に累を及ぼすような施策を行なってはならない。」まさにそのとおりでございまして、これは一種の訓示的な規定と解されますから、これに反するような施策であるといって、直ちにこれが処置の変更を求るということは、この規定自体からは出てこないのでありまして、施策の適不適について良識的に補導してもらいたいということを法は要求しておるものと解釈をいたします。
  30. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 わからないですね。訓示的な規定にしろ、そういうことをしてはいけないと明らかに書いてあるのですよ。他の地方公共団体に迷惑をかけるようなことがあってはいけない。それから国の政策に反してはいけない。国の政策のほうは別にしても……。  そこで、美濃部さんは——大臣、ちょっと勉強するのをやめて聞いてください。たいへんなことなんです。先週の日曜日だったかと思いますが、テレビに美濃部さんが出てきて、こういうことを言っておるのですよ。一つは、東京というのはだんだん大きくなっておる、だれも想像しないような、大きくなってきた、もう従来の行政圏の東京だけでもってものを考えることはできない。もっと大きい、広域行政みたいなことを言っている。言っているんだったら、他に累を及ぼすということは、埼玉県にも累を及ぼす、千葉県にもですね。あそこから通っている人が一ぱいいるのですから、私は累を及ぼすということは、非常に大きいと思うのですね。これが一つ。  それからもっと重要な——私は大臣がテレビを見ていればよかったと思いますが、そのとおり言いますから判断してくださいよ。地方公共団体というのは、住民の意思によって運営されるものであって、それがもう戦後の法律の精神でもある、だから国のいうことを聞かない、それに反発するというところに民主政治というものを育てていき、地方団体を健全にしていくポイントがある。そういうことを言っている。これはどうでしょうね。地方自治法その他、特に今度の新しい憲法では、地方自治という一章を前の憲法と違ってつくって、それから地方自治法も新たに、先ほど申しましたように、ずいぶん変わった書き方にしてやってきた。その精神を、日本の首都である東京の知事が、国の施策に反抗するところに地方自治の育つゆえんがあるということを言っておる。大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  31. 秋田大助

    秋田国務大臣 もしそういうことをおっしゃったとすれば、それははなはだしく不適当であって、やはり地方自治団体に影響を出しておられると思います。それはやはり地方自治団体としては、国の施策との関連性を十分考えなければならないのでありまして、いかに人口多数を擁する東京都であるからといって、それからいまの美濃部さんがおっしゃったような思想は、また理屈は出てこないものであると私は考えております。
  32. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 そういう考えの中から出てきた今度の施策だと思うんで、それでも二百四十六条の二、こういうものが適用されないということならば、ちょっと大臣、お考えが違うんじゃないかなと私は思うんですが、いかがですか。
  33. 秋田大助

    秋田国務大臣 常識的にはそういうような感じを持たれるかもしれません。私もまたその点を十分反省をしてみまして、しかしながら、二百四十六条の二ですか、これはただいま申し上げたように、二つの要件がありまして、今度の美濃部さんの措置そのものが、事務が非常に不正であって、それ自体がいろいろ公共に害をしておるということには当たらないのでありまして、したがって、また地方自治行政という精神を踏まえて考えますと、直ちにこれの適用をするということはできない、適当ではない、こう私は考えております。
  34. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 地方自治というものがどのくらい必要であるかということは、私といえどもその認識において人に劣るものではない、こう思うのです。だからといって、みんなが、これを住民の意思なんだといって、かって気ままなことをやれば、これはまことにそれこそ、私の生まれた福島県の方言ですが、ほお返しのつかないことになりはしないか。これは地方団体全部を統轄している大臣としては、どうお考えになりますか。
  35. 秋田大助

    秋田国務大臣 法はやはり全体として善意を持って運営し、解釈をしていく。地方自治の精神を十分わきまえて、それ自身自治であると同時に、地方自治に関しましては、ただいま御指摘の第二条の精神もあるとおり、そういう点を十分考慮してやっていくという前提に立っておるのでございまして、いまのような事態は、まことに悲しむべき事態であり、また美濃部さんの処置というものは、非常に不適当な処置でございまして、したがって、われわれは強く反省を求めておりますが、これを法規に照らして処断をするということは、これは鯨岡委員は不適当な処置、考え方だとお考えになるかもしれませんが、私は、法のたてまえは、ただいま私が申し上げたようなことになる、こう考えております。
  36. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 しつこいようですが、二百四十六条の二を適用する御意思がありますかと聞いたら、大臣は、常識的にはそういうように考えられるでしはうがと言っておるのです。常識的にやりましょうよ。あまり非常識なことをやるから、わからなくなってくる。住民はますます政治というものがわからない、理解ができない。それは常識的にやらなければ政治不信を招くのですよ。それから、美濃部さんのやったことは悲しむべきことであって、非常に不適当だという表現をされた。悲しむべきことで、非常に不適当である。これが東京都だから、右へならえして、国じゅうがそういうことになってきて、どうにもこうにも方法のつかない、どうしたらいいのだろうということにならないかと心配して、私は大臣じゃないからいいけれども、あなたはとてもやりにくくなっちゃうと思うか、どうですか。
  37. 秋田大助

    秋田国務大臣 私は、日本国民の良識を信じておりますので、多少の不都合が生ずるかもしれませんが、各地方団体の首長の良識及び地方議会の議員の良識を信じておるわけでありますが、不幸これが私の期待どおりにならないという場合は、これは皆さんとともにまた考えなければならないと思います。今日の事態において二百四十六条の二ですかを直ちに適用することは適当でない、こう私は考えております。
  38. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 そうすると、いままでの私と大臣とのやりとりの中で、結論的に私が受け取ったことは、地方自治というものはどこまでも伸ばして、地方住民の意思によって運営されるということにしなければならないのだが、それを間違って解釈して、悲しむべき、非常に不適当なと大臣が表現するようなことを知事などがやっていると、だんだんとこれは地方自治に対してある種の制限を加える、好むところではないが、そういうふうにしていかなければならぬ時期も来るかもしれないというふうに、受け取ってよろしゅうございますか。
  39. 秋田大助

    秋田国務大臣 必ずそういう時期が来るかどうか、またそうすべきものかどうか、十分検討をしなければならない事態にはなろうと思いますが、直ちにそうしなければならないというふうに即断することは、少し早計ではないかと思っております。そういう心境でございます。
  40. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 わかりました。直ちにじゃない。私の言うのも直ちにじゃないが、われわれは地方自治というものはどこまでも進めていかなければならない。この精神をきわめて尊重するのだが、それを間違って誤解して、政府のやることに反発することが地方自治を強めるものだ、民主主義を強めるものだなどと考えるような、ばかげた考えが知事などにかりにあるとすれば、そしてそういう考えのもとに地方自治運営していくと、だんだんいつの日にか、これに対してチェックしていって、われわれの本意にもとるようなことにもなりかねない、そういうような危険もその中には多少はらんでいるというように解釈してもよろしいかと聞いた。いま直ちにそうしようというのじゃない。
  41. 秋田大助

    秋田国務大臣 そういう危険をはらんでおるかとおっしゃいますれば、はらんでないとは申し上げかねると思います。
  42. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それでは、時間がありませんから、もっと具体的なことを承りますが、大臣美濃部さんと会ったときに、美濃部さんは、東京都の職員の給料は国家公務員の給料よりも少ないのです、少ないから、そこで国のほうは六月にしても、私のほうは五月にしてちょうどいいのであって、少ないです、こう言った。そうしたら、そこにだれがいたのか知りませんが、大臣のわきにだれかいて、知事さん、それはえらい考え違いですよ、あなたは少ないと言いますが、国家公務員よりもずっと多いですよ、二五%も多いと注意した。そうしたら知事は、それに対して何らの返答もできずにいたということを聞いた。それが事実であるとすれば、東京都の知事は何を考えているのか知りませんが、自分考えが違っているから、そういう前提のもとに五月ということなんですから、これが反論もできないで、ああそうですかといって聞いてしまったのだから、これは前提がくずれたのだから、もとへ戻らなければならないと思うのですが、そういうやりとりがあったのですか。それからまた、そのことが正しいか正しくないか、時間がないから、きわめて簡単でいいから答えてください。
  43. 秋田大助

    秋田国務大臣 そういうやりとりが、いまおっしゃいますれば、あったという記憶が私によみがえりました。そして二五%多いのですよという注意に対しまして、その点は美濃部さんも肯定をされた情勢であったと思います。
  44. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 肯定をされたというと、どなたかそのときにお立ち会いになっておった方がそれを言われたということですが、美濃部さんは、国家公務員よりも東京都は低いのだ、だから国が六月であってもうちが五月にしてちょうどいいんだ、だからおれは五月にしてやるのだ。これは情けあるやり方だと思うのですが、その美濃部さんが考えていた低いということは間違いであったことを、その場において美濃部さんは認めたのですか、認めなかったのですか、どっちです。
  45. 秋田大助

    秋田国務大臣 お認めになったような情勢であります。それに反論もなし、うんとうなづかれたような情勢であったと思います。
  46. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それでは大臣じゃなしに、ひとつそのほうの関係の方に、簡単に答えてください。なぜ美濃部さんがそういう間違いをおかして——知事がこれほどのことをやろうとするのに、基礎的なものごとにそういう大きな間違いをおかしていたということを聞いて、私はびっくりぎょうてんだ。何を考えているのだと思うのですが、どうしてそういう間違いをおかしたのですか。
  47. 山本明

    山本(明)説明員 お答えいたします。  美濃部知事の言われましたのは、単純平均をした場合の東京都の給与をおっしゃったようでございます。しかし、これは学歴が違いますし、経験年数等が違います。それらをはっきりするために、いわゆるラスパイレス方式で比較いたしますと二五%高い、こういう実情でございます。
  48. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 ラスパイレス何とか、それはよくわからないけれども、単純平均というのは、私の常識でいえば、みんな一緒くたにごちゃごちゃにして単純に平均する。それから何とかというやり方は、それは同じ年数つとめた、同じ学歴があった、同じような家族構成である、そういうようなことで計算することですか。
  49. 山本明

    山本(明)説明員 さようでございます。要するに、東京都の場合には、若い人が多い、低い人が多いということになりますと、高い人と低い人とを一緒にして計算しますと、単純では低くなる。しかし、ラスパイレス方式では、いまおっしゃったようなことで計算したわけであります。
  50. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それは驚くべきことで、そんな計算をしているところはどこの企業にもないよ。一緒くたにして頭数で割って、平均賃金が幾らだなんというようなことを、そんなずさんな計算をしているところはどこの国、どこの企業にもないですよ。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)それはない。それはやはり同じような年数つとめた、同じような学歴があった、同じような家族構成であった、それでやるのがあたりまえなんで、それがあたりまえじゃないですか。どうなんですか。あなた方がこういうことをやるときに、どういうことをやるのですか。
  51. 山本明

    山本(明)説明員 われわれが国家公務員地方公務員給与の高低を比較しますときは、ラスパイレス方式でやっております。
  52. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 監督権がないといっても、東京都の知事が、基礎的な最も初歩的な、そんなあやまちをして、そういうあやまちのもとに政策立案がなされないように、監督してはいけないのだろうけれども、何か助言ぐらいはしておいたほうがいいですね。  それからもう一つ伺いますが、テレビを聞いていたりラジオを聞いていたりすると、六月だ五月だといっても、一カ月じゃないか、一カ月ぐらいなことを何や、来年はもう国のほうもそうなるのじゃないかという人がいるのだな。ところが、これまた思わざるもはなはだしい。もし承知で言っているのだとすれば、ごまかし、知らないで言っているのだとすれば、無能、これは私の感じ。私の計算するところによると、一カ月じゃないのだな。これは総理府におっていろいろやってみたところが、六月のボーナスのはね返りというものがある。一カ月分じゃないのだ。それはどうですか。大臣、それはどう承知しておられますか。
  53. 秋田大助

    秋田国務大臣 あなたのおっしゃったように聞いております。
  54. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 一カ月は、ほんとうは何カ月ですか。
  55. 山本明

    山本(明)説明員 二・四カ月分であります。
  56. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 それを都民はみんな一カ月、一カ月と聞いているのだ。実は二・四カ月分なんだ。去年だって五月実施と同じようにやみ給与をしているのです。いいですか、そうすると、それはどういうふうな形でやっているかというと、みんな手当でやっている。今度五月にしたら、その手当を抜くことができますか。あれは、五月にやりたいのだけれども、政府の方針がこうだったから七月にしたのだ。そこで二カ月分足らないのだ。そこで手当てをして出すのだといってつくったその手当は、今度五月にしたら、常識からいえば、なくしてもいいのだな。ところがそれをなくすことができますか。常識的にいってなくせない。これは労働組合との関係もあって、そんなことはできないでしょう。ここらは都民が知らないことですよ。だれも知らないことですよ。これは自治省、全体を統率する立場にあって、どうお考えになりますか。
  57. 山本明

    山本(明)説明員 東京都におきましては、従来からいわゆる国家公務員よりも上回ったプラスアルファというのを出しております。したがって、それは給与改定との関連において出しておるかどうかということは存じませんけれども、全国的に比べまして、非常に高い額で出しております。五月に今度給与改定いたしましても、すでに十二月に国家公務員よりも〇・二七、さらに一万四千五百円平均出しております。これはすでに支給済みでございます。
  58. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 大臣財政のやり方にどうも不合理なことがある、不当な支出があったり何かしたときには、大臣地方公共団体注意できるのでしょう。いま私とのやりとりでお聞き及びのとおり、だれも知らない間に、だれも知らない給与が行なわれている。  それから大臣、お気づきですか。地方公務員法の中にも書いてありますが、労働組合に専従員というものがいる。これは給与を出してはならぬ、それから期限もきめなければならぬ。東京都にどのくらいやみ専従員がいるのですか。これは同じところですから、ひとつそういうところも御研究いただきたい。たくさんのやみ専従員がいる。それに対して給料もちゃんと払って、それで、都民にサービスしなければならぬ立場の者が、都民にサービスをしないで、組合活動をやっている者が一ぱいいる。時間がないから、私は数字も何も言いませんが、御研究ください。三百人以上いる。そういうことがあるのに、適法だというふうに考えて、それに対して適切な助言ができないのだったら、どういうときに助言する。  それから、どのくらいのお金が今度それによってかかるか知りませんが、東京都は、たとえば住宅なんかも足らないのです。これは各党とも心配しておりますが、住宅が足らない。大阪や何かは六人か七人、八人ぐらいに一人当たるのですよ住宅は、くじ引きすれば。東京都は六十人に一人であります。住宅が足らない。下水に至っては、大東京なんといったって、四割しか下水ができていない。二十三区内だって下水が満足にできてない。そういうときに、どういうわけで国のやることにも反し、大臣の言うことにも反して、それで給与だけを五月にしなければならないか。  大臣、最後に二つだけ、一つお聞きして、一つ御注文申し上げますが、そんなに金があるのだったら、東京の単独事業についての起債はやらない。私は、お金があってやるのだろうから、どこの県でもほしくてしようがないというものがあるのだから、東京都にはやれませんよ、多寡のいかんは別です。東京都にはやれませんよというのは、常識的だと思うのです。私は東京都の住民の一人として、いま申し上げましたように、行政が進んでいないから、そんなことされてはたいへんだと思うのですが、大臣、そういう御決意ですか。
  59. 秋田大助

    秋田国務大臣 その点は口上書の中にもその趣旨を述べておきました。また、この間お会いしたときにも、それだけのことをなさるなら十分余裕も経理上あるのでありましょうから、そうしたならば、どうしてもやらなければならない法規的な義務的な単独事業等の起債は別としまして、それ以外の仕事の分につきましては、これは考慮せざるを得ないということを申し上げ、またその措置をとるつもりでございます。
  60. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 大臣、これは御答弁要りませんが、東京都の住民としてはまことに情けない。そんなことをやって、いま住宅も足らない、下水もだめだ、子供の遊び場もない。だから交通禍が非常に激しい。そういうときに、都の単独事業についてはお金があるのだろうからと大臣が言われるのは、それは国家的見地から見て当然だと思いますよ。当然だと思うが、それだから起債を許さないよといって、そういう事業がおくれるとすれば、東京都の住民としては私は非常に情けない。だが、代議士として国家的見地に立てば、お金があってやるのだったら、ほかの青森だって鹿児島だってずっとあるのですからね、そういうところにやったほうがいいから、やれないと言うのはあたりまえだと思う。私はそういうことでジレンマになっているのです。だから、ひとつ東京都の住民の実態をお考えの上、このことこそ御勘案を願いたいと思うのです。  最後に申し上げたいことは、重大なことですから、もう一ぺんひとつよく聞いていただきたい。それは、政府のやることに反抗するということが地方自治を伸ばし、デモクラシーを伸ばしていく上において重要なことなので、それこそが地方自治というものの本旨なんだと考えていることは、とんでもない間違いだということをお考えならば——大臣、さっきそんなふうに言いましたね。もう一ぺんよくわかるように、はっきりそこのところを。
  61. 秋田大助

    秋田国務大臣 東京都が多数の人口を擁し、財政上も強力な地方公共団体であるから、その首長の考えによって国の一般的な施策に反してもいいんだ、むしろそこに世の中の進歩があるのだ、国家の進運、社会発展があるのだというような考え方、私はこれはたいへんな間違いであろうと思っております。ただ今日の段階におきましては、法規に照らして、先ほどいろいろお話がございましたが、それに踏み切るのにはまだ不十分である、条件は成熟しておらないと私は考える。ただ、ああいう行動一般が全然法規に違反しないかどうかということになりますと、それは十分考える余地がありますが、現状においては二百四十六条の二の適用に当たらない。念のために申し上げますが、これは強制拘束力がないということは、御承知のとおりだと思います。
  62. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 そういうふうに言われると、もう一回立たなければならない。今度の事件を私は言っているのじゃない、一番最後のことを言っているのじゃない。そういう考え方はとんでもない考え方だと思われる、とんでもない考え方だ。そういうとんでもない考え方の中からいろいろな政策が出てくる。今後御注意あってしかるべきだろう、こう思うわけです。
  63. 秋田大助

    秋田国務大臣 とんでもない考え方だと思っております。十分注意をしてまいる所存であります。
  64. 鯨岡兵輔

    鯨岡委員 終わります。
  65. 塩川正十郎

    塩川委員 もう時間もないので、最後に一言。先ほどの鯨岡委員の問題に関連して聞きたいのですが、先ほどの鯨岡委員大臣との一問一答を聞いておりますと、要するにこういうことになろうと思うのです。  自治体が、自治の本旨に基づいて、行政を進め政治を進めていくこと、このこと自体に対しては国民は大きい期待をしているけれども、それが一たび自治の本旨によって自治体自身がどのようにでもやっていくのだ、自治体自身はどうにでもできるんだということで、その理事者がどうでもできるということでは——住民の意思そのものは選挙以外にないわけなんですから、そうであるとするならば、はたしてそれが住民の意思であるかどうかということは、非常に疑わしい場合があります。したがって、そういう場合に、自治大臣がそれを調整し、あるいはある程度の規制をするという権限が当然なければならないと一般国民は思っておるでありましょう。ところが、この権限は実は何もない、そういうところに問題が起こっておると思うのであります。そうであるとするならば、今後自治大臣としてこれをどのように——ほんとうに国民は、いわゆる自治体相互間における調整というものを自治省に期待しておるので、あるいは自治大臣に期待しておるので、そういうものとどういう心がまえで取り組んでいこうとされるのか、これを一つ。  それからもう一つ、こういう問題が起こってまいります。こういう問題といって具体的に申しますと、東京都のように財源のあるところはお金を出してもいいんだというような、給与を出してもいいんだという、この給与の五月実施の問題にしても、私は多分に不純な要素があると思う。それは来年選挙があるからというわけじゃありませんでしょう。けれども、何かそういう不純な関係があると私は思う。そうであるとするならば、これではますます自治体に対する不信感がつのってくるではないか、このように思います。この二つのかね合わせ、これに対して今後自治大臣はどういうふうに、実際に法に許された範囲内においてその指導助言をしていくというお考えであるか、これを最後にお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  66. 秋田大助

    秋田国務大臣 地方自治体は自治体なんだから、自治体としては自分は思うとおりに何でもしていいんだ、財政上の余裕があるから何でもしていいんだ、そういうものじゃないと思います。また地方自治法の精神もそんなことを考えておるわけじゃない。自立、自主であると同時に、やはり国、社会全体の関連、調和、統一というものを当然自治の中に、自立の中に要請をされておる。そういう前提のもとに、地方財政なり行政の法規はできておる。その根本前提を誤るような措置に出た場合には、これは現在の法の盲点を実際上はついたことになろうと思います。これは先ほど申し上げたとおり、非常に不適当な事態、悲しむべき事態になるわけでありまして、そういうことにならないように、自治省といたしましては、指導し、いろいろお打ち合わせもし、その反省を強く求めるという措置を講じてまいりたいと思うし、現にやってまいっておるわけでございます。しかしながら、それも効を奏さずして、非常に不幸ないろいろな状態なり、実際上の措置がまたされるということになりました場合は、これは十分検討しなければならないと思います。そういう事態に即して今日から研究もしておかなければならないということは、ただいま痛切に感じております。  いずれにいたしましても、この自治の本旨というものを十分その地方団体の首長もあるいは議員も住民自身も互いにわきまえて、選挙を通じて公正な自由な住民の意思が表明されまして、これらの悲しむべき事態が起こらないように調整の機能を果たすことを、私は期待いたすものでありますが、不幸こういう調整機構と機能がその効果をあげないような事態ができましたら、私はそういうことを予想いたしておりません、日本国民の公正にして、そして健全な判断力というものを私は信じかつ期待をいたしておりますが、しかしながら、不幸そういうことがどうも作用しないという事態がある場合に処しての研究だけは、今日怠らずにしておかなけるばならない、こう考えております。
  67. 塩川正十郎

    塩川委員 終わります。
  68. 菅太郎

  69. 阪上安太郎

    ○阪上委員 きょう私、自治大臣の過日行なわれました所信の表明、これに関連して若干の質問をいたすつもりで来たわけであります。ところが、いま同僚議員と自治大臣東京都のベースアップをめぐる問題についてのやりとりを聞いておりますと、何か非常に不安なものを感じる。  そこで一つだけ前段でお伺いしておきたいのは、一九七〇年代の政治、これは世界的にもどういう方向をたどればいいのか、古い社会主義あるいは古い自由主義、このままではどうもいけないんじゃないか、新しいものを求めておる傾向にあると私は見ている。そこで、その新しい方向というものは何だろうか。いろいろ考えてみるのでありますが、言えることは、一九二〇年代にアメリカで御案内のような大量棄権が行なわれたということであります。わが国におきましても、過般の総選挙でやはり国民の有権者の過半に近いところの二千万人の大量棄権か行なわれた。これはいろいろな見方があるであろうと思うのでありますけれども、端的にいって、議会制民主主義、それが実際に運営される政党政治、こういったものに対する不信ではなかろうかと思うのであります。社会党はだいぶ大なだれ現象を起こして落ち込んでしまったわけでありますが、われわれ社会党も大きく反省はいたしております。しかし、この二千万に近い大量棄権が行なわれたということについて、われわれは深く反省し、同時に、その反省の上に立って、新しい一九七〇年代以降の政治の方向というものをこの際真剣に考えなければならぬ段階だ、こう思うわけであります。  この場合、私の独断であるかもしれませんが、私はこう考えている。政党政治に対する不信ないし議会制民主主義あるいは代議制度に対する不信という、ここから出てきた新しい政治を求めていく方向というものは、何らかの意味における直接民主主義の方向を期待しておるんではなかろうか。そこで、中央におきましては直接民主主義の方向はありません。しかし、地方公共団体においては、御案内のように、各般の直接請求、そういったものが法律の中でも生かされておる。リコールを含め、あるいは監査請求を含め、いろんなものがそこにあるわけなんであります。そういった形をとっておるし、地方公共団体それ自体は議会制民主主義でも何でもない。巷間よくこの点間違って、中央政治が議会制民主主義をとっておるので、地方公共団体も議会制民主主義などということを考えている向きもあるようでありますけれども、そうではない。そこへ国民が期待をしていくのではなかろうか。したがって、一九七〇年代の政治、新しい政治を考える場合に、この地方政治というものが大きな役割りを果たすのではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。  そこで、私は都市問題等関連し、農村問題も関連して、世間一般にいわれている過密・過疎対策というものを頭に置いた場合に、考えなければならぬ地方自治体の果たす役割りは、ことにわが国では、総理もこの間施政方針演説で言っておられるように、自治大臣も触れておられるように、ことしは内政の年だ、内政を担当するのは一体だれだ、こう考えてきたときに、これまた地方公共団体が大きな役割りを果たす。  そこで、私ひとつ伺っておきたいのは、憲法九十二条が保障しているところの地方自治の本旨、これは一体何であるか、こういうことなんであります。こういう質問はきょうやるつもりじゃなかったのでありますけれども、ちょっと先ほどから不安になったものですから、伺っておきたいと思う。大臣地方自治の本旨というものをどういうふうに理解されておるか、これをひとつ伺いたい。
  70. 秋田大助

    秋田国務大臣 たいへん阪上委員の深い思想から発せられた御質問で、敬服をいたしたのでありますが、私は大体個人的には同じような考えを持っております。特に一九七〇年代の日本、敗戦後経済再建すべき段階を経て後の日本を考えますと、総理もおっしゃっているように、内政の年代に入ってきた。外交問題等ももちろん重要な問題であり、論議さるべき多くの問題を含んでおりますけれども、重点は内政問題。その内政問題というものの中心はやはり個人個人、これは地方行財政の分野でいえば住民といいましょうか、この住民一人一人のしあわせ、豊かな生活ができるというその点に重点を置いて考える、それを重点に考える政治の時代に入ってきた、そういうものが政治の中心課題、こういうふうに私は理解をいたします。  したがって、内政は国家の中央政府においてもちろん取り扱われておりますけれども、その一番の基本の形は、地方行政の形においてとらるるべき問題ではないか。個々の住民のほんとうのしあわせを考え、その住民の住む日常生活の分野における豊かな地域社会、街づくり、これを主として地方自治というものは考えられなければならない。そして地方住民によるところの行政というものを期待する。法の精神もそこにあり、またそのことがとりわけ重大な時代にいまきたのだ、こういうふうに私は理解をいたしております。
  71. 阪上安太郎

    ○阪上委員 大臣ははっきりとやはりつかんでおられる。ところが、先ほどからのやりとりを聞いていると、何とかそれをくずそうというような発言が出てきておるのであります。たとえば、東京都の今度の問題につきましても、大臣は、明確に不法でない、しかし適当でない、こう言っておられる。不法でないと言うと、これは満足できないから、それに結びつけて、不法でないが適当でない、こう言わそうと先ほどからだいぶ努力しておられるようであります。それが不法でないということは明らかなんですが、適当でないということをだれが判断するか。大臣だけの考え方で判断するということも、これは大臣として自由でありましょうが、結局はこれは住民が判断するのじゃないだろうか。いまはっきりと地方自治の本旨——これはいろいろな学説もあり、いろいろなことをいわれておりますけれども、やはり地方自治の本旨として欠くことのできない要素というものは、住民自治だと思います。そこからものを考えていったときに、住民がそういった問題について判断していく。どこで判断するか。これは選挙の形で判断する、あるいは直接請求を働かして、そうしてその結果によって判断していく、いろいろなことがあるだろうと私は思うのであります。自治体には、不十分でありますけれども、そういう直接民主主義の道が開かれているということでありまして、非常に不安を感じておりましたが、秋田大臣、たいへんはっきりとしたものの考え方で、やはり住民自治地方自治の本旨だ、こういうふうに言われましたので、私は満足いたします。これ以上申し上げません。ただここで、一九七〇年代の政治、地方自治が果たす役割りというものはきわめて重大だということを、お互いにこれはしっかりと認識しておく必要がある、こういうふうに思うわけであります。  さて、二十世紀末における世界の課題、内政の課題としていまいわれておりますのは、御案内のように、一つは宇宙開発であります、いま一つは海洋開発であります、同時に都市の開発である、こういうふうにいわれております。宇宙開発並びに海洋開発については、二、三特定の国が一生懸命取り組んでおる。海洋開発においてはわが国などもかなり取り組んでおるようでありますが、都市開発に至りましては、これはもう後進国といわず先進国といわずすべての国が、取り組む方式は違っておりましても、みんな一様に取り組んでいる重大な問題であります。ことに日本におきましては、高度経済成長、これがしかも非常に急テンポでありまして、その結果、都市問題というものが顕著にいまあらわれてきている、こういうことであります。この都市問題にどう対応していくかということが、いま大きな課題だろうと私は思うのであります。  そこで、この問題を追及いたしますると、都市問題とは何かというようなところから始めなければなりませんが、現在一般にいわれておりますのは、いま顕著にあらわれてきているのは、都市問題としては住宅問題であり、公害問題であり、同時に交通問題であるというふうにいわれておりますけれども、都市問題というものは、次から次へとあらわれてくる。ことにわが国においては、経済成長の速度が非常に早いものでありますから、うっかりしておると、この都市問題解消対策を打ち出してみたとしても、それはもう後手後手になってしまうという、一つのわが国における都市問題の特徴があるわけなんです。あまりにも経済成長が高く、しかも早いということなんであります。  そこで、この都市問題を解消していくためのいろいろな方法があると思いますけれども、私はまず最初考えなければならぬのは、今世紀末あたりを、三十年先あたりをひとり計量して、そこで公共施設の基準というようなもの、広い意味ではナショナルミニマムとかシビルミニマムとかいうものが必要であると思うのでありますけれども、特に将来の未来都市というものを考えたときに、これは大衆消費都市をわれわれは想定することができる。大衆消費都市というと、個々の消費ではありませんで、団体で消費していくというものを考えていかなければならぬ。団体消費ということになりますると、これは何といっても公共施設によって国民大衆がこれを消費していくという形をとらなければならぬので、公共施設というものの重要性がきわめて高いのであります。ところがこの公共施設が、三十年先を見通してどうあるべきかという基準というものが明確に出てこない。たとえば憲法二十五条によっても、健康にして文化的な最低生活を営む権利というものを保障しておる。しかし、その最低基準というものは何であるかということは、憲法それ自体は沈黙して何もいっていない。そこで、各省がいろいろな基準をそれぞれの分担に応じてつくっておりますけれども、これが非常に不十分だということがいえるわけでありまして、そのためにはどうしても私どもはこの基準というものをつくる必要がある。困難な作業であるけれども、どうしてもこれをつくらなければならない。大蔵省あたりが、予算要求の段階において、常に地方公共団体の公共施設等についての予算の配分等において非常にびびりがちである。これも何らの基準を持たないでもって、そうしてあるべきものをちっとも見通さないで、手探りでもってそのときそのときの絵をかいておるから、そういうことになる、こういうことだと思うのであります。  そこでお伺いしたいのですが、きのうも地方制度調査会で若干質問しておいたのでありますけれども、ぜひこれは自治省においてこの基準というものをつくらなければならない。それがいかに困難な作業であろうとも、これをやらなければならない。そのため自治省の機構が不十分であるというなら、もっと拡大したらいい。これをやり遂げないでもって未来都市は想定もできないし、あるべき未来の都市というものを考えることができない。そうして財政的には交付税等の制度につきましても、またその配分についても、いろいろな問題を起こしておるし、補助金の問題もありましょうが、そういったことを解決する上においても、やはりこれを明確に打ち出す必要があると私は思うのであります。伺っておきたいのは、大臣の在任中にできるかどうか知りませんけれども、これをやらなければいかぬということであって、少なくとも大臣はその道を開くべきじゃないか、私はそういうふうに思うのであります。ひとつ所信のほどをこの際伺っておきたい、こう思うのであります。
  72. 秋田大助

    秋田国務大臣 これまたたいへん雄大なかつ深遠な阪上委員の御思想に基づく御意見でございまして、失礼でございますが、たいへん感心をいたしました。私も同様の感じのみならず考え方を持っております。あるべき都市像を明確に描き、これに資金的な裏づけもあわせ考えるということは、同時にあるべき農村を予定し、あるべき国家の状態を予定し、あるべき日本の地方行政そのものを、ある長期的な具体的な計画のもとにおいて、行き当たり、ばったりの政治と行政をしないという意味において、当然考えなければならない問題であります。おっしゃるとおり、いかに困難でありましょうとも、この作業をもって大体の青写真をめどにいたしまして、年々の年次計画を実行に移していくということは、まさに近代政治また近代地方行政の心がくべきことであろうと思います。しこうして、その作業をする場合には、私は情報化社会といわれる今日でございますから、あらゆるデータを集めまして、これを分析、総合いたすのにコンピューター等の力もかりまして、精細な英知な、いろいろ近代的な最新科学の先端をいく考え方なり器具、機械等を利用して、つくり上ぐべきものである。これには相当の人手と経費とを要しようと思います。しかし、ただいま申し上げたとおり、まさにやるべきことでありまして、こういう計画に基づいて、この基礎の上に初めてあるべき市町村府県、都市、都市連合あるいは道州制の問題も判断されなければならないと考えておりますので、ただいまのところ、私といたしましては、目睫の事務にいろいろ追われておりますが、その点は深く考えておりますので、多少なりとも余暇を得ましたならば、これが構想の実現に向かって努力いたしたいと考えております。
  73. 阪上安太郎

    ○阪上委員 どうもありがとうございました。  かつて自治庁が自治省に昇格するといいますか、なる段階におきまして、私どもの党の中でも、それは内務省の復活ではないかというような声が実はありました。しかし、私どもは、日本国憲法というものと、そしてここで保障している地方自治というものに対し非常に力強いものを感じておるわけなんです。この憲法がある限りにおいて、昔の内務省の復活などというものは自治省にしたってあり得るはずがないというふうな立場を明らかにいたしまして、そしてきわめて消極的ではあったけれども、賛成の態度をとって、自治省を今日復活さしたというものがあるわけなんであります。でありますので、われわれけちなことは言いませんから、ひとつどんどんと機構を拡充して、大蔵あたりをひっかき回すぐらいの力を持った自治省をつくり上げていく。そうでもしない限りは、これはコンピュートピアというものを想定されているようでありますが、コンピューターなども十分に駆使して、また、そういう人材を集めて、徹底的にナショナルミニマム、シビルミニマムというものをつくっていく体制というものを整えなくちゃいかぬと思う。経済企画庁あたりもそういうことをやろうとしているのですが、計画ばかりやっておられる省でありますから、それが専門だと思っているのですが、なかなかそんなものはよう出せぬ。ほんとうに大臣、これは自治体が、地方自治がそこまでいかなければ私はもうだめだと思うのです。発想としていろいろありますが、私ら押しつけるわけじゃないけれども、ナショナルミニマム、これは過疎地帯も過密地帯も全体を通ずる、地方自治体全体を通ずる国民生活の最低水準はこれだ、こうあらねばならぬ、ここまでは国でもって負担する、それからあとは中小都市、大都市、町村というような関係でいろいろな相違が出てくると思いますが、それにプラス何らかのアルファしたようなもの、都市的な生活、ことに大都市等においては、ある段階におきましては高いものを要求していくでありましょう。そういったものを積み重ねたものがシビルミニマムだ。これに自己財源をぶつけていく、あるいは必要があれば補助金というものもぶつけていくというような形で、ぜひひとつナショナルミニマム、シビルミニマム——シビルミニマムはこれは選択基準だと思います。ナショナルミニマムができればそれでよろしい。あとは各都市が自分で、自分の都市に必要なもの、つけ加えていくものをつけ加えていくというシビルミニマムをつくればいいと私は思います。東京その他神戸あたりでもシビルミニマムと称するものが若干出ているようでありますが、あんなちゃちなものではいけない。ほんとうに自治省はこれに力を入れてナショナルミニマムをつくる。各都市はこれを最低としてさらに選択し、それにプラスアルファを加えていけばよろしいというようなものを、ぜひここに一つつくり上げていく。これが一九七〇年代に対応するところの、しかも地方公共団体の果たす役割り、その根底になるものがこれだ、私はこういうふうに考えるので、ぜひ一つそれをやっていただきたい、こう思います。  これと関連いたしまして先ほどもお話がありましたが、社会経済の急変に対応するところの新しい地方行財政制度財政的には、いま言ったようなことを私は申し上げたのでありますけれども、制度としての地方制度、これはすでに先ほど先取りされておるようでありまして、いろいろなものを考えていかなければならぬ、こうおっしゃる。少なくとも大臣としてはいまの制度では対応できない、こういうふうにお考えになっておりますかどうか、これをちょっと伺っておきたいと思います。
  74. 秋田大助

    秋田国務大臣 いまの制度では対応できないと考えておるかどうかという御質問でございますか。御趣旨のほどがはっきりつかめませんでしたので、恐縮でございますが、もう一ぺん。
  75. 阪上安太郎

    ○阪上委員 いま地方制度ではいろいろなことがありますが、自治法からいうと、普通地方公共団体と特別地方公共団体というような形をとっていますね。そうして特別地方公共団体にどんなものがあるかということもこれは御存じだと思います。こういった程度のものでいいか、こういうことなんです。もっと端的にいいますと、広域行政、これはぜひやらなければならぬ。この広域行政をやっていくためには、どういう地方団体が必要であるか。いま主として広域行政を担当しておりますのは府県であります。これらのものについて、はたして現状の制度でいいのかどうかという点が一つ。  それから、広域行政ばかり考えておったら地方自治の本旨はくずれてしまう。したがってこの場合、広域団体、新しいものを求めていくと同時に、一方において、いまの地方公共団体をこういうような状態でやっていっていいのかどうか。市町村ですね、もっと狭義なもの、狭いものを考えていく。たとえばコミュニティー、地域共同社会、こういったものを考える必要があるのではなかろうかと私は思うのであります。そういったことについて何かお考えになっておるかどうか。そういう意味において、いまの制度で十分に新しい社会経済の変貌に対応することができるかどうか、こういうことをお尋ねしているのです。
  76. 秋田大助

    秋田国務大臣 たいへんむずかしい問題だと思いますが、行政広域化というのは、大勢上私はその方向にあろうと考えます。しかしながら、それも先ほどの御質問にありましたが、市町村段階広域化というものが一番中心になろうと思います。府県段階はどうするか。道州制の問題ともつながってまいりますが、市町村段階が私は中心でありまして、この広域化というものを考えなければならぬ。そうしてこれを強力に推進してまいるつもりで自治省はあるわけであります。  そこで、それでは市町村段階における広域化だけを推進していけばいいか、こういいますと、広域化の中に当然考えられなければならないことは、一番大事なことは地方住民の生活上の利便が行政広域化によって直接阻害される、その福祉が阻害されるようなことがあってはいかぬと思うのであります。ですから、行政が非常にこまかな手厚い行政にならざるを得ない。しかしながら、それはいたずらにまた事務の繁雑化を伴うものであってはならない。ここに非常にむずかしい要請が出てくると思いますが、それでは広域行政の中に小さな、現在の市町村をもっとこまかにしたような一つ地方団体を考うべきかということが問題になろうと思いますが、私はそういうふうに考えますと、広域行政そのものがいわゆる屋上屋を架すというようなことにもなろうかと思います。ですから、そういう別途の団体はつくるべきじゃない。しかし、その機能を果たすべき機構というものを無視してはいかぬ。それを考えないで、それをほっといて、そういうものをつくらないで、すぐ広域行政なりあるいは市町村合併へとらえていくということになりましては、これは不便になってしまう。そこでその広域行政なりあるいは広い市町村の中に、日常住民の福祉と利便につながるような地域をとらえまして、そこに何らかの機関を置いて、日常の御不便を来たさないようにするくふうというものを十分していかなければならない。それが先生のおっしゃるコミュニティーに対する配慮、申しますれば、そういうことになろうかと思いますが、そういう点を十分注意しながら広域行政を進めていくべきものである。この思想は、府県の合併段階においても、そういう点を配慮していかなければならぬものと考えております。
  77. 阪上安太郎

    ○阪上委員 そこで、かつて自治省が発想いたしまして、十三次の地方制度調査会においても取り上げられた広域市町村圏構想、これはある程度の効果をおさめていると私は思います。財源的にはこれはなっとらぬです、はっきりいいまして。あんなちょろい財源でこれをやろうなんという考え方自体が、私は構想に比べてあまりにも貧弱過ぎる、こう思いますが、それは別の機会に論ずることにいたしまして、とにもかくにも広域行政だけを考えるんじゃなくして、並行して狭域的なものを考えていく必要があるという大臣の御答弁なんですが、非常にけっこうであります。もうすでにヨーロッパ先進国、ソ連等におきましては、例のネーバーフッドあるいは、ミクロライオンとかいうような構想のもとに、都市の再開発をやっておるということであります。しかし、これはただ単に都市の開発のエレメント、開発の最小単位という都市だけに限られたものではなくして、農村においても過疎地帯においてもやはり集落再編成というような形で、農林省も多少手がけておるようでありますが、モデルをつくりつつあるようでありますけれども、そういったものにも適用されることである。ぜひそういったコミュニティーをつくっていくという考え方をこの際持たないと、非常に広域行政ばかりに走ってしまうと、危険なものになる、こういうことであります。私から多くのことを言うまでもないと思いますけれども、こういったネーバーフッドであるとか、これは近隣区ですね、ミクロライオン、これはどう訳していいか私もよくわかりませんけれども、そういったものは非常に金がかかります。かかるけれども、日本のいまの経済成長から見たら、こんなものやり遂げられないというはずはないと私は思うのです。ぜひそういったものでやっていっていただきたい、こういうことであります。  そこで一つ伺っておきたいのは、それにしてもいまのような一部事務組合的な共同処理という形における広域市町村圏というような考え方、あるいは過疎地帯以外の過密地帯におけるところの大都市周辺の都市等も含まれて、これで市町村連合をやってみたいというような考え方も出ているわけなんでありますが、これを広域行政として制度化していく、こういう考え方。  時間がありませんので私の考え方を言いますと、それがさらに大きく発展していって、だからいまいっているようなメトロポリスだと私は思うのですが、シティーからメトロポリス、それからメガロポリス、エキュメノポリスなんということを学者の諸君はいっておられますが、ああいう都市の発展の過程で、広域行政の最終的なものは何であるか。いまの二重、三重行政としてのそういう広域団体をつくるのではなくて、都市が発展していく過程をつかまえ、基礎的な地方公共団体というものを頭に置きながら、これをずっと連合方式その他によって伸ばしていく。それが将来あるべき広域団体である、こういうふうに考えられる方向というものをたどるべきじゃないかという気がするのです。それと、府県を廃止するとかしないとかいろいろな論もありますけれども、府県合併とそれを延長したような道州制というものがいま出てきているわけでありますけれども、ああいう方向をたどるのか。せっかく広域市町村圏というような基礎的な地方公共団体発展していく過程というもの、そういったものをにらまえて将来の広域団体体制というものをつくっていこう、私は自治省はそういう考えを持ったのではないかと思うのですが、このごろ何かえらく消極的になっちゃって……。広域市町村圏なんというものについても、地方自治法改正して制度としてこれをやっていく。たとえば先ほど言いましたように、特別地方公共団体というような制度にまでこれを伸ばしていくという考え方があるのか、これをひとつ伺いたい。
  78. 秋田大助

    秋田国務大臣 これまたたいへん示唆に富む御構想の御発表でありまして、教えられるところ多いのでございますが、いろいろ問題を含んでおると思います。地方行政指導、援助していく立場におきましては、単なる構想だけに偏して、論理の発展を求めて、それに即してやるということもこれは必要でございますが、同時に、実際いろいろ客観的な情勢というものをにらみ合わせていくこともまた必要でございまして、そういう点を十分検討いたしまして、誤りなきを期してまいりたいと考えております。御構想は十分尊重をし、参考にいただきまして、そして将来の地方行政のあるべき姿、地方公共団体及び特別の団体のあるべき姿というものを研究、検討させていただきたいと思っております。
  79. 阪上安太郎

    ○阪上委員 同時に、基礎的な地方公共団体である市町村というものを、これを連合なり共同処理なりの形で圏域構想に入っていく、こういう形で広域団体を求めていく。同時に、この基礎的地方公共団体である市町村というものも、いまの市町村の形ではいけない。そこで先ほど言いましたコミュニティーの問題が出てくる。今度は逆にこれをもう少し細分化していくということです。ことに住民生活本位の街づくり、再開発というものを考えたときに、必ずこれは必要になってくる。これは大臣の先ほどおっしゃったとおりであります。そこで、人口六千から一万くらいの単位で、そういったコンパクトな、小型な、しかもワンセットでそういう公共施設が整えられる。それを中心として住区、住民の居住ができてくる。その中に小学校もあれば、幼稚園もあれば、保育所もあれば、その他いろいろな公共施設もある。コンパクトにできてくる。いま見ておりますと、都市はだんだんと大きくなる市町村も大きくなっていく。そして中央何々会館とか何とかセンターというものばかりに力が入って、大きなものが現在ある市町村の役場の周辺に一つあればそれでいいというような考え方になっておりますが、これは私は住民本位の地方公共団体のあり方じゃないか。そうなってまいりますと、いま言ったようなもう少し小型に、身近に、地域住民日常生活を通じて、市民同士が対話をするような場所をつくってやらぬと、地方自治というものはつぶれてしまう。ところが、何でもかんでもセントラライゼーションでもって、地方の役場か何かを中心としたところにかなり分不相応の施設をどんどんつくっておるという形であります。ある程度必要でありましょうけれども、もっと大事なことは、市民同士が対話をし、そしてその日常生活を通じて市民意識というものが結集されてくる、そういった場所づくりというものをやってやらなければいかぬ。昔は鎮守の森でお祭りをやったときに集まることもできたでありましょう。あるいは銀座や金座といったような協業者の地域社会というものもできておったでありましょう。あるいは農協などというものも一つのそういう例であったかもしれません。それが、はっきりいいまして、だんだんと近代的な意義を失ってしまっている。各種団体、婦人団体その他もできてきておりますけれども、これも近代的な意義を失ってしまった。あるいは体制の中でとどまってしまっておる。一向にそこから離陸しようとしない、こういう状態であります。埼玉県の川口市に行って、あなたはどこの市民ですかと聞いてみたら、はっきりと私は川口市の市民だと言える人が何人あるだろうか。東京に通う電車が気になり、東京へ来てバスに乗り、バスの運賃が気になる。こういうことでありまして、市民意識などというものは全く失われてしまっておる。たいへんなことだと私は思うのであります。そこで、そういったコミュニティーを形成していく、そういう都市の開発をやっていくということがきわめて必要な段階に来ておると私は思うのです。この場合、地方制度調査会でそういったものを検討してくれと内閣総理大臣は諮問いたしておりますけれども、御承知のように、自治省としてただその諮問にたよっているだけでなく——きょうは大臣は偉いと思う。そういうことにつきましては十三次以降、十四次地方制度調査会で御検討をお願いいたしております、それができましてからゆっくり考えますというような御答弁をなさらない。非常に秋田自治大臣はりっぱだと私は思う。とかくそういうおざなりの答弁で逃げてしまう悪いくせがある。しかも、その答申案が出たらそれを守るかといったら、ちっとも守らない、こういうことになっているわけであります。自治省としてぜひひとつそういった方向で、地方制度調査会は調査会として大いにこれらの出てくる答申案その他を御検討なさる必要もありますが、同時に、自治省みずからそういったコミュニティーづくりというものに新しい都市再開発の方向を見出していくという努力をぜひしてもらいたいと思います。これは先ほど大臣がおっしゃったのですから、答弁要りません。ぜひそういうふうにやっていただきたいと思います。いずれにしても、新しい地方制度をつくっていく努力をこの際、ぜひやっていただきたい、こういうことであります。  次に、だいぶやろうと思っておったのですが、時間がありませんので一つだけ伺っておきたい。土地利用計画ですね。全総計画に基づいて土地利用計画が出てくるかといったら、はっきりいって出てきません。どこをうろついておるのかわからないような全総計画の練り直しであります。しかし、この際何をやろうとしても、先ほど言った公共施設というものを、ナショナル、ミニマムを拡充していこうという場合におきましても、あるいは都市問題として顕著にあらわれておる住宅、公害、その他交通対策等におきましても、やはり先決になるのは土地だと思うのです。これについて、そこにおられる宮澤さんあたりが一生懸命取り上げておられるわけであります。あれは一向ものになってこない。できたことはできたのですが、しかし、それはほんとうに政治の路線に乗ってこないということなのであります。これでは何もできないじゃありませんか。そこで、ぜひひとつ土地利用計画に取り組んでいただきたいが、なかなかそう簡単にできないようであります。  ただしこの際、自治体として特に手を打たなければならない問題としては、都市問題解消のための土地の先行取得だと私は思う。ところが、幸いに今度五十万トン減反、十一万八千ヘクタールというものが出てきておる。これに対して自治省が何か逃げ回っておるように私は思うのです。この際、土地を保有しておくとか、公共用地を確保することがきわめて重大であり、しかも一番いいチャンスじゃないかと私は思うのです。農林省の考えておるように、減反を目的としてこれを考えるということについては、非常な矛盾が出てくるだろうと私は思います。しかしながら、土地の利用計画という観点に立ち、地方公共団体がどうしても先行取得しなければならぬ土地、そういった土地政策的観点から、思い切って五十万トン減反分を地方公共団体が確保する、十一万八千ヘクタールを確保する。同時にもう少しいくならば、三十五万ヘクタールくらいのものを確保する。あんなものに補助金なんか出して休耕さしたり、一時転用さしたりというような考え方でなくて、これをいま自治省自治大臣が真剣に取り組んでもらいたい。チャンスですよ。財源についてはいろんなことをいっておりますが、それじゃだれがやるのですか。民間のデベロッパーを入れてみな買い占めさしてしまうのですか。これは地方自治体はどうするのですか。(「財源がない」と呼ぶ者あり)ないなんということを言っておるのが間違いであって、交付公債を発行してやれば幾らでもそんな財源は出てくる。もしそれがやれないということならば、これはおかしいのです。だから、これを確保する、いわゆる保有地を持つということ、土地の公的保有をやるということについて、もっと真剣に取り組んでいただく。せっかくあなた、言い出したものの困っているらしいのです。これは倉石さんのほうに聞いてみたら、あのときひとつ北海道を全部買おうじゃないかという話が出たということを言っておりました。そういうのは別として、とにもかくにも土地がなくて困っておって、そのために何もできないといわれておるときに、せっかく土地が出てくるのでありますから、買えばいいのであります。財源については、私は交付公債を発行すればいいと思う。新幹線だって八割まで交付公債でやっておるじゃありませんか。できないはずがない。現金なんかそんなに要りませんよ。どうせ買い上げられた土地について農民は一体どうするかということになってくると、おそらくまたこれは八割くらいまでは現金を持たないで、やはり銀行に預けておくのじゃないかと私は思うのです。そんなら交付公債でいいじゃありませんか。それをひとつこの際大勇断をもってやるということでなくちゃいかぬと私は思う。やりますか。
  80. 秋田大助

    秋田国務大臣 たいへんお激励を賜わりましてありがとうございます。大いにやろうと思っております。逃げ回っておるということは、何かの間違いであろう。自治省としてもいろいろ作戦的態度もございますから、その点御了承を願いたいと思います。確かに地方公共団体が公共用地等を先行取得しておくということは、地方行財政の推進自体の要求から必要であると同時に、広い意味において都市開発をする、あるいはその他の地方行政を推進する上において、あるいは国策の上からいきまして、ことに都市問題解決ためにも、都市の再開発のためにも、用地を持っておるということの必要なことは申すまでもございません。これをただいまお話のように、単なる土地ブローカーの手にゆだねるということがあってはならないわけであります。この点、地方公共団体が先行取得をしていく、これはまさに一石何鳥かのいい案であろうと思います。これに対しまして御理解を持っていただき、むしろ推進をしていただいたのはまことにありがたいと存じます。われわれも合理的にこの制度を進め、そうして公共用地の先行取得に十分実効を期してまいりたいと考えておるのであります。過日、予算委員会質疑の際にも、土地開発基金なり土地の先行取得債の活用によりまして、水田全部がちょうどぴたりと要求のあれに合うこともないでしょうが、これを十分からめて利用していく、足らざるものは縁故債ないしは交付公債をもって充てまして、相当部分水田の買い上げによるところの米の生産調整の国策にも沿い、同時に、地方公共団体の公共用地等の先行取得の要望にも沿いたい、こういうお答えをしておるのでありまして、ひとつ大いにやってまいりたい、こう考えております。
  81. 阪上安太郎

    ○阪上委員 財源は問題になるでありましょうけれども、かりに十二万ヘクタール、一ヘクタール当たり一千万円くらいを全国平均と考えても、一兆二千億あれば足りるんですよ。しかも先ほど言ったように、交付公債というものを導入すれば、現金はそう要らぬと思うのです。それにしても土地基金にいたしましても、あの程度ではだめですね、大臣。それから先行取得債につきましても、やはりもっと思い切ってやっていくべきだ。金はあまり要りませんよ、どんどん回転させていけばいいですから。そういうふうで、これはできる仕事でありますから、この際千載一遇のチャンスだとぼくは思います。いまもいろいろ戦術上なんとかと言っていたが、小手先の戦術なんかは使わんでもいいから、大上段に振りかぶって——秋田さんにやれぬことはないと思います。あなたのような性格の方は実行型の人ですから、ぜひどんどんやっていただきたい。  最後に一つ、少し次元が低いのですけれども、例の公営競技ですね。これは各公営競技について、それぞれの法律に基づいて時限立法の形をとってきているのが多いと思うのでありますが、公営競技は競馬を主といたしまして、だんだん期限切れに近づいてくるわけであります。いつもこの段階になって、あわててああでもないこうでもないと各党協議をし、いろいろ騒ぐのでありますが、これはいまから早く手を打っておく必要があると私は思うのであります。  それからもう一つ、今回の政府提出法案の中にもこれに関連した法案が出てきております。そこで伺いたいのは、こういった公営競技が社会悪だ、こういうふうに一般にいわれておる。公営競技は廃止すべきだというようにいっておるし、東京都あたりは、競輪か何か知りませんが、やめることになる。こういったものの考え方に基づいて、公営競技というものに対して基本的にどうお考えになっておるか、これをひとつ伺っておきたい。
  82. 秋田大助

    秋田国務大臣 公営ギャンブルのお話でございますが、ギャンブル自体、理屈からいきますれば、よくないことだということは当然でございますが、しかし、孔子も、博奕だにせよという名言もはいておるわけでありまして、これをいたずらに押えつけますと、陰にこもってかえって害をなすという面もあるわけです。やはりこれは公営で、公開で、白日のもとにやるというところに、かえって妙味が出てくる。したがって、これを奨励するということはどうかと思いますけれども、公営競技の形において、健全な大衆のレクリエーションの場を提供するというような観点から、これの明朗、健全な発展を願うという立場は許されてもいいのじゃないか。しかし、これはあくまでも公営の形式でないといろいろの弊害を生ずる、こういうふうに私は考えております。
  83. 阪上安太郎

    ○阪上委員 巷間これを社会悪だといって鋭く批判する人もありますけれども、もしそうだとするならば、民営を廃止してしかるべきだ。ところが、公営競技は公共団体はやらないんだ、そしてこれは全部民営にしていくんだというようなものの考え方で、これを社会悪として批判したりあるいはなじるような言い方をするのでありますけれども、そういう考え方は当たらないので、やるならば、堂々と公営でやるべきだ、民営をやめさせても公営でやるべきじゃないか。世界各国のギャンブルを見ておりましても、モナコは国をあげてやっておるようでありますけれども、それは別といたしましても、少なくともいま大臣がおっしゃったように、こそこそとやらしては陰にこもる、この際、やるならば公営でやるのが本筋であろう、こういうふうに私は考えるわけであります。そのことによって監督も行き届くし、これから発生するいろいろな社会悪というものも、努力によりまして押えることができる、民間にまかしてこういうものをやらしておくことはそもそも間違いだ、私はこういうふうに考える。しかし、なかなか各党ともこれに対してはいろいろな意見があるようであります。ことに地方公共団体の長は、これから選挙戦がだんだん迫ってまいりますと、とかく公営競技を廃止するのだというようなことでやっておる。こういうことではいけないのであります。やはり自治省としては、いま言ったような大臣考え方、しっかりと公営競技に対する考え方を基本に持つということが必要だと私は思います。  そこで、過般この問題が競馬の問題と関連して起こったのでありますが、競馬はたしか来年の三月三十一日ですか、事務当局のほうで御存じだと思うのですが、そこで期限切れになりますが、これまた問題が起こるのでございますけれども、これにどう対処していかれるか、 これに対してちょっと承っておきたい、大臣でなくともよろしゅうございます。
  84. 山本成美

    山本(成)説明員 いま競馬の指定の問題について御質問でございますが、競馬のみならず、ほかの競技につきましても、ことしの三月三十一日、すなわち今年度一ぱいで終わるものが相当ございます。これにつきましては、新たに再び指定をして行なうかどうか、これについていま検討中でございます。
  85. 阪上安太郎

    ○阪上委員 検討中というけれども、検討中というのは不満ですね。やはりはっきりとそういう基本的な態度をかまえて、行政指導すべきだと思うのです。知事などに、人気取り的に公営競技をやめるのだやめるのだとあまり言ってはいかぬというような通達を出しなさい。そんなことは堂々とやりなさい。どこかの政党みたいに本音と何とかが違うというようなことはいかぬですよ。はっきりすべきだと思う。これに関連して、かつて自治省では公営競技の利益金の均てん化法案を出すといって、われわれも力を入れたが、いつの間にか自治省がふにゃふにゃとなってしまってこれは終わったけれども、今度それをやりますかどうですか。今度の国会に出ていないじゃないですか。
  86. 秋田大助

    秋田国務大臣 いわゆる均てん化法案は、この国会に提案をいたしまして、御審議願い、その通過を期しております。
  87. 阪上安太郎

    ○阪上委員 やるんですね。
  88. 秋田大助

    秋田国務大臣 やります。
  89. 阪上安太郎

    ○阪上委員 いま出ておる法案は、あれは主催者から納付金を取って、そして公営企業金融公庫にこれを入れて、それによって金融公庫の貸し付利子を若干下げていこう、五厘まけてくれというのが二厘ですか、下げるというようなかっこうのものである。大臣、私の言うのは違うのですよ。いまあまりにも不公平が公営競技の利益についてある。たとえば宮島なんかの財政——市の財政、町の財政の五割近いようなものをこういったものにたよっておる。あそこの川崎市なんかでも、財政をずいぶんそれに求めておるということである。しかし、全然これをやっていないところもある。それに対して非常に不公平の状態にあるので、これを均てん化しようという声がある。それがまた公営競技の合理化につながっていくのだという考え方がある。だから公営企業金融公庫に納付金を取るということ、これも大きな目で見れば、均てん化の一つだと思うけれども、そんなちょろこいものではなくして、もっと思い切った均てん化方向というものを打ち出すべきだということを言っているのであって、これに対してすでに法案も準備されたことが、昨年でありますか、あったわけであります。どこでクレームをつけられたか知らぬけれども、引っ込んじゃった。これをやるかやらぬかということだ。一ぺん事務当局と相談して答弁願いたい。
  90. 長野士郎

    ○長野政府委員 いまの公営競技の関係でございますが、多年の懸案と御指摘になりました問題につきましては、これも均てん化の一方法ということで、話し合いを進めてきておったわけであります。今回関係各省とも一応話し合いがつきまして、地方財政法及び公営企業金融公庫法の一部改正という形で提案をさせていただくということになっております。その内容は、いまお話がありましたように、公営競技の売り上げ金の中の一定割合、つまりそれは原則としては一%以内の額で、当面五年間は〇・五%の売り上げ金を公営企業金融公庫に納付金として納付いたしまして、その納付金によりまして、公営企業金融公庫の貸し付けの条件でありますところの、金利の引き下げに役立ちたい。ただいまの計画では、大体三年間は三厘下げ、それ以降においては五厘下げくらいになるのじゃないかということで、そういう計画をし、準備を進めておる段階でございます。いずれ法案となりまして御審議をお願いしたいと思っておりますが、それだけで均てん化が終わるのかどうかという問題は、これはなお今後検討いたさなければならない問題でありますけれども、一応これを均てん化問題の一つ解決ということで、ひとつ御審議をお願いしたいと思っております。
  91. 阪上安太郎

    ○阪上委員 いま長野さんうまいことを言うたけれども、それはやっぱりよくない。そんなちょろこいことではいけない。やはりダイレクトに府県なら府県に開催させて、いままで競馬に加入してないところの町村もおるし、競艇に入ってないところもおるけれども、みんな府県知事にやらせて、それをその財政規模に応じて分配してやるとか、あるいは傾斜配分しても私はいいと思う。そういった方向の均てん化というものを考えるべきなんだ。この公営競技に対するところの開催権などというものは、公共団体が持っておるところもあれば持ってないところもあるのですよ。でたらめです、そんなことを言えば。そういったこともやはり調整していく必要がある。こういう均てん化法案を出すべきだ、こういうことを言っている。こんなことはいまだからこう言っているのですがね。こういうときに出さなければだめですよ。何かというと文句をつける社会党がこう言っているんだから、こういうときにやらなければだめなんですよ。こういうときにやらなければいけない、こういうことであります。ぜひひとつこれは放てきしないで、もっと思い切った均てん化方向というものを検討して、できるだけ早くそういうものを出すように努力しなさい。  きょうは時間がありませんので、これで終わります。新しい自治大臣激励の演説をこれで終わることにしたいと思います。(拍手)
  92. 菅太郎

    菅委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  93. 菅太郎

    菅委員長 速記を始めて。  暫時休憩をいたします。     午後一時十四分休憩      ————◇—————     午後三時三十五分開議
  94. 菅太郎

    菅委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。斎藤実君。
  95. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 秋田自治大臣の所信に対する質疑を若干行ないたいと思います。  先ほどの委員会で、大臣は、七〇年代は内政の年である、特にその課題は地方自治の強化であるという答弁をされました。一九七〇年代の内政の中心課題は地方自治であると大臣は言われましたけれども、佐藤総理もそういうふうに言われておるわけです。したがいまして、佐藤内閣の表看板である内政の充実のしかも中心課題である地方自治の担当大臣になられた。われわれは期待をしておるわけですから、ひとつ積極的な、意欲的な施策を行なってもらいたいと最初に要望しておきます。  それで、大臣のおっしゃるように、私も大臣の答弁に対しては同感であります。わが国の内政を見てみましても、それぞれ地域住氏の生活の向上あるいは環境設備の充実あるいは学校、教育、文化の強化等を考え合わしてみますると、非常に地方自治の充実強化が望まれているというふうに考えるわけです。したがって、この問題を解決するためには当然行政を充実強化しなければならない。そうして住民のサービスをするため行政組織の問題が当然起きてくると思うのです。先ほど道州制の問題であるとか、あるいは広域市町村圏整備の問題であるとか、あるいは前国会からの都道府県合併の問題も出ておりますし、いろいろ問題が起きております。こういった中で先ほど自治大臣は、地方公共団体立場に立っていろいろ広域行政なり、ものを考えていくというふうにお話がありました。私は、いま市町村は長い年月を経て住民との密着度が非常に強いし、地方自治にあっては基本的な団体市町村であるというふうに考えるわけです。市町村行政的にもあるいは財政的にもやるべきことが山積をしておるわけです。したがって、市町村を重点とする財政投資、これらのものを強化するとか、あるいはこの行政を充実していくという配慮が当然必要ではないかというふうに考えるわけですが、こういったことについて大臣考え方最初にお尋ねしたいと思います。
  96. 秋田大助

    秋田国務大臣 先ほども申し上げましたが、地方自治の基本的にしてかつ一番大事な問題は、市町村行政をしっかりやる、したがって、この組織もしっかりした強固な土台の上に置かなければならぬということは当然であります。したがって、これに対する財政上の配慮をしなければならないということは、十分考えておるところでございまして、地方財政の仕組みにおきましても、本年度はいささかその点都市財政なり市町村財政に重点、傾斜配分をしておくという施策を講じたつもりでございます。
  97. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から、地方自治体に対しては財政的な配慮もこれから十分していかなければならないというふうに、いま答弁がございました。重ねて私は、これは答弁は要りませんけれども、やはり交通あるいは過疎、住宅、下水あるいは超過負担の問題についても非常に問題が起きておる。ですから、大臣の御答弁のとおり、財政の基本は地方自治の強化であるというお考えを承って、十分この点についてこれからも進めていってもらいたいということをひとつ要望しておきます。  次に移りますが、地方交付税の問題です。いまさら私が申し上げるまでもなく、これは非常に重要な問題だ。基本的にもあるいは地方自治体にとってもこの地方交付税が柱といわれておる。それで地域住民にしてみれば、同じ税金を払っていながら、生活環境整備がおくれているとか、あるいは住宅、交通、下水、こういった問題に対して非常に不満を持っておるわけです。一方、地方自治体にしてみれば、街づくりあるいは環境づくりというものをやらなければならぬ。住民の声が非常に強い。ですから、多くの自治体にとっては交付税にたよらざるを得ない。したがって、この地方交付税のあり方は、国としてもあるいは地方公共団体としても、この運営については非常に大きな影響があるというふうに、大臣もそういうふうにお考えではないかと思うのですが、それで具体的に私はお尋ねをしたい。  この地方交付税については、昭和四十三年以降——ことばが適当かどうか知りませんけれども、地方交付税をああいうふうに国に貸し付けてきたわけですね、四十三年、四十四年と。四十五年においても三百億を国に貸し付けることになった。昨年の一月の六日ですか、自治大臣と大蔵大臣の覚え書きによれば、こういうような特別措置は今後は避けるようにしたい、そうして地方交付税の年度間調整はあらためて検討する、こういう覚え書きをかわした。昨年のことですから、昭和四十五年度はそんなことはないだろうと思っておった。ところが、こういったことも昭和四十五年度において貸し借りが行なわれた。こういった条項は今年だけなのか、それとも今後続けていくのか、大臣ひとつお答え願いたい。
  98. 秋田大助

    秋田国務大臣 今後続けてまいる意思はございません。極力これは避けたいと存じております。しかし、これを避けるためには、やはり地方財政ベースによる年度間調整の慣行と申しますか、制度と申しますか、あるいは交付税が直接特別会計に投ぜられる、いわゆる特会直入制度、こういうものの確立が前提でなければならぬと私は思うのでございまして、昨年度、前大臣の時代に、大蔵大臣とせっかく覚え書きが交換されたのでございますが、この前提条件の十分なる確立、話し合いなしに、国と地方財政間の話し合いが始まりましたものでございますから、万やむを得ず、いろいろ諸般の事情等を配慮いたしまして、御承知のような処置に出たわけであります。まことに遺憾でございまして、今後はただいま申し上げましたような前提条件整備をはかりまして、これを避けてまいりたいと考えております。
  99. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から、今後そういったことはやらないという御答弁をいただいたのですけれども、いろいろ諸般の状況というお話がございました。ですから、私はやはり自治省自体としてきちっとした基本的な考え方あるいは計画というものをがっちりつくるのが先決ではないかというふうに考えるわけです。それで諸般の情勢というようなお話もありましたけれども、俗っぽいことばで言いますと、金は大蔵省が握っておる。自分の手元に残しておいて、国の財政が困ったから、国の立場から金の貸し借りが行なわれているわけですね。この論議については、先ほどもちょっとどなたかお話があったように、この交付税は地方公共団体の固有の財政なのか、あるいは国の財源なのか、性格論についてはいろいろあります。調整財源なのかあるいは保障財源なのかという論議もある。ですから、交付税本来の帰属というか、あるいはこの財源の主体が地方自治体の固有の財源であるという一つの論議、それからこれは、大臣もそういうようにお考えだと思うのですけれども、国からすれば、国や地方公共団体に対する調整財源だという考え方、つまり地方交付税は地方固有の財源ではないという二つの論議に分かれておるわけですね。ですから、との問題について大蔵大臣が、地方交付税が地方固有の財源であるということについてははっきりと言明しておるわけですね。国会でも答弁している。ところが、先般の予算委員会の大蔵大臣の答弁では、三税の三二%分を地方固有の財源額だとは考えていないというような発言をされている。どうも私は納得いかない、このことについては。現在の国と地方事務配分を前提とすれば、この三二%の率と、この三二%の相当額は地方固有の財源考えてよいのではないか、私はそう思うのですよ。先ほども貸し借りはやらないようにするという答弁がありましたけれども、この議論について、大臣どうお考えなのか、お尋ねしたい。
  100. 秋田大助

    秋田国務大臣 私どもも自治省といたしましては、地方交付税というものは地方公共団体の固有の財源である、こう考えております。国の収入の中から来るものではあるが、それは地方団体の固有の財源である。さればこそ、これをいわゆる特別会計に直入すべきものである。こういう立場を主張しておるのでありまして、その立場を主張しておる裏の意味は、すなわち固有の財源である、かつ自主的な財源である、こう考えているわけでございます。
  101. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から地方交付税は地方固有の財源であるという答弁をいただいたわけです。が、そこで、この年度間調整ですね。あらゆる角度からこれはいえますけれども、全体的に年度間調整は必要があるのかどうか、この点ちょっと大臣から御答弁いただきたい。
  102. 秋田大助

    秋田国務大臣 年度間調整の意味にもよりますけれども、地方行政地方財政の自主的立場において、年度間の調整をやるということは必要がある場合があろうかと存じます。したがって、そういう意味におきまして、年度間調整は論ぜられてしかるべきものである。入ったものを全部使わなくて、あるときに自主的に、やはり年度的に調整をする機構、制度、こういうものは相当研究されてしかるべきものである、こう考えております。
  103. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 確かに地方自治体の立場から申せば、これは必要がある、私もそうではないかと思います。そこで、どういう条件でやるのかというのが問題になってくるわけです。そのつどこの予算の時期にいろいろ問題が出てくるわけです。ですから、自治省自体として長期的な、たとえば五年とか七年とかという、財政運営の長期計画というものを検討すべきではないか。こういった財政計画ができれば、長期的なあるいは計画的な財政計画を進める上の見通しをつけた上で、その計画を上回った場合には調整するとか、そういう基本的な考え方が当然必要になってくる。この点どうでしょう、大臣
  104. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説のとおり、あるべき地方財政の大体の展望を立てまして、それに即して調整をするということの必要な場合もありましょうし、また景気の動向、これに関する地方財政の寄与の率、程度等につきましては、いわゆるフィスカルポリシーとの関係というような議論がございまして、いろいろ議論もありましょうけれども、やはり国の経済の一環の中にある地方財政でございますから、こういう景気の好不況、経済成長の大小、早いおそい、こういう点に関連いたしましても、考慮すべき点があろうかと存じております。
  105. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣地方財政立場に立って考慮すべきではないかというふうに考えておりますけれども、地域づくり、街づくりということについては、全国の地方団体に対して、長期的に計画を立てて運用しろと日ごろ主張しているわけですね。そういったことも考え合わして、自治省自体として積み上げは、これはできないかもしれませんけれども、自治省自治省としてこの長期的な、財政的なビジョンをもうこの辺ではっきりと立てるべきではないか、こういうことを私は申し上げておりますが、どうでしょう。
  106. 秋田大助

    秋田国務大臣 その点は同感でございます。
  107. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 同感ということは、そういったことで進めていきたい、こういう意味ですねっ  では次に進みたいと思います。  大臣の所信の中で、過疎・過密を中心とする地域問題は非常に緊急を要する問題である、早急にこれを解決しなければならぬというふうに述べられております。この過疎問題については、局地的な手当てもさることながら、やはり全国的な経済あるいは交通、この全国総合開発という立場でも考えなければならぬというふうに考えるわけです。  そこで、この過疎対策について、大臣、どういうふうに所信に述べられておりますように解決するのか、まずお尋ねしたい。
  108. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいま申されましたとおり、全国的な総合開発計画の中の一環として過疎問題をとらえるということは必要であろうと思う。同時に、過疎問題自体としても考えていくという考え方もあわせ考える必要があろうと思います。そこで、現実的なとらえ方といたしましては、過疎地帯の中にも、ある程度の生産施設と経済産業施設を導入いたしまして、ある程度の繁栄を期待できるような地帯と、ちょっとそれは無理であるというような地帯もあろうと思います。これらに対する個々の対策は、ある程度個別的に重点的に行なうと同時に、広域市町村圏施策の中で、広域市町村圏の中の中核になる都市的地域、それとの関連においてこの問題を考えていくということが必要になってくるし、当然そういう措置がとられるべきものと考えております。これに対しまして過疎債等を考えられておりますが、予想されております過疎立法の成立を前提といたしまして、自治省といたしましては考えてもおりますし、また交付税の中でこの点を考慮いたしてまいりたいと考えてもおりますし、また国は、この広域市町村圏の助成のために特別の補助金を——指定されましたものにつきましては、計画ための費用のほかに、いろいろの事業に一千万円、二カ年にわたりまして二千万円の特別の補助をして、呼び水的な効果でございましょうけれども、施策を進めていく、こういう制度も創設いたしているようなわけでございます。
  109. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この過疎問題についてはいろいろ論議もあるところですが、予定されている法案については、この抜本策ではないというようにわれわれは考えているわけです。しかしながら、いろいろ問題はありますけれども、これはないよりはましだ。起債を許可したり、補助金をつけたり、あるいは利子を補給したり、元利償還を公債で見るとか、主として財源措置中心である。過疎地帯にしてみれば、あらゆる問題が起きているわけですね。農林、あるいは一次産業、二次産業の関係は通産省だとか、道路をつくらなければならぬ、これは建設省、交通手段も必要でしょう、こうなれば運輸省、また地域住民生活環境をある程度変えなければならぬとなれば厚生省、学校は文部省、こういうふうに考えますと、私は、当然これは自治大臣としてもやらなければならぬでしょうけれども、実力大臣で注目を浴びている秋田さんが、佐藤内閣の閣僚として所管大臣をひとつ督励をして、しかも少なくとも政府提案という形で、熱意あるいは意欲的な政府提案の法案を将来出してもらいたい。これは私の考え方なんですが、どうですか。
  110. 秋田大助

    秋田国務大臣 今回御提案を予想いたしておりまする過疎立法、これによっても相当の効果が期待できると御期待申し上げるのでありますが、これが実施の経過、結果等もよく見まして、将来さらにこれを改善すべきものがございますならば——過疎対策というものは何と申しましても国の政策上基本的な重要問題でございまして、ただに地方自治観点のみならず、国策の上から考えまして、これが改正をすべき点が考えられますれば、前向きに検討して善処をいたしてまいりたいと考えております。
  111. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 この過疎問題、重要な問題ですから、また後刻あらためてお尋ねしたいと思います。  次は、米の生産調整に関連して、公共団体が水田を買い上げるという問題がある。地域住民の福祉の向上のためには、その地域の要望に従って地域づくり、街づくりをされるわけです。そこには当然都市計画というものをつくらなければならない。これは当然でしょう。そのためにはやはり長期計画も必要になってくる。そのためには土地の利用計画前提条件になってくるわけです。  地方公共団体が公共事業を進める場合には、土地計画によって公共用地を先行して取得しなければならないわけですが、昭和四十五年度は公共用地はどの程度見込んでおられるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  112. 秋田大助

    秋田国務大臣 ただいま御承知のとおり、補正予算で土地需要に対する緊急の調査をすることになりまして、その費用として一億円認められたわけでございまして、地方公共団体にこれが調査を依頼してございます。その集計を見まして、正確なことを申し上げたいと思っております。
  113. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 生産調整については閣僚会議が設けられて、五十万トンを民間あるいは地方公共団体で水田を買い上げるということになったわけですね。面積にしてみれば十一万八千ヘクタールですか、各省にまたがっておるでしょうし、民間もその対象になっている。そうなりますと、ある程度地方公共団体としてはこれくらいというめども全然ないというのはまたおかしいと思うのですが、どうですかな。大まかなことでけっこうですから。
  114. 秋田大助

    秋田国務大臣 これはどのくらい買うべきであるか、また買えるか、いろいろいまお話しの五十万トン分水田買い上げの問題等、新しい事態になってまいりましたので、どのくらい買い得るか、ただいまのところちょっと申し上げかねる点がございますし、やはり土地需要に対する緊急調査の結果を待って申し上げることが至当ではなかろうかと考えられます。
  115. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 現在調査中ということですから、まあそれはその程度にしておきます。  それで、地方公共団体が、その自治体事務であれば、自治法に定められた中で自主的に仕事をできるようになっています。今回の地方公共団体の水田の買い上げについては、はたしてこれは地方公共団体事務であるのか、あるいは法律に基づいて知事あるいは市町村長へ委任された機関事務なのか、あるいは法律によって地方公共団体に委任された事務なのか、この辺の大臣のお考えはどうでしょうか。
  116. 秋田大助

    秋田国務大臣 米の生産調整という問題は、地方自治体の固有の事務であるかどうかという問題だろうと思うのですが、確かにこれは国の基本の政策に生産の調整というものがかかっておりまして、その意味におきましては、地方団体の固有の事務ではない。その意味においては、これは法律で委任されてやる事務である。そういう性格を持っておると思っております。
  117. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 まあ自治大臣地方団体は政府の方針に対して、減反のための水田買い上げの義務というものはない、だけれども政策上の協力をしなければならぬ、こういう答弁なんですね。これはある市町村長が私のところへ参りまして、実は困っていると言うのですよ。公共用地とすればやはり町に近いところだ。近いところを買わなければ公共用地として困る。そうかといって、民間団体も買えるようになるのだから、やはり問題は金だ。それで水源地の近所だとか道路ふちだとかいうものはやはり民間に買われる。それからもちろん単価も高くなってきている。買いたいけれども、予算の関係で買えない。そうなると、山間部になってしまう、こういうのですよね。これでは公共用地としての利用価値もない。痛しかゆしだ。こういう市町村長も来ているわけです。こういった協力はしたいけれども、米の減反のための、それの一環としての公共用地の取得というものはどうもすっきりしない、こういう率直な御意見なんですよね。ですから私は、それとは別にまた考えてもいいんじゃないかと思うのですがね。どうですか大臣、その辺のところは。
  118. 秋田大助

    秋田国務大臣 これは現実に実態に即しますと、非常にむずかしい場合、それから希望の公共用地を取得するに困難を感ぜられる場合が多々出てまいるであろうことは、十分想像にかたくないところでございます。
  119. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それで先ほど私が申し上げましたように、調査中であるという答弁でございましたけれども、この地方公共団体が水田買い上げに関しての財源といいますか、この点はどうですか。先ほど申し上げましたように、山間部では非常に安いが、さりとて公共用地としての用をなさない。勢い町の近所となれば高くなる。やはり相当財政的なことが私は問題になってくると思う。この点はどうですか、財政的な配慮について。
  120. 秋田大助

    秋田国務大臣 なかなか実際に買う場合にはむずかしかろうと想像されるのでございますが、そこはまた地方自治団体で売り主との間の多年の因縁もございましょうし、金額につきましても、相当高騰も予想されますが、地方公共団体が入ります場合には、そう不当な高い値段で買うわけにはいきません。また売り手買い手の、ただいま言ったような多年の事情もありまして、ある程度モデレートなものになり得る余地もありましょうが、しかし、これに対します地方団体財源の裏づけがなければならぬわけでございます。  これに対しましては、予算委員会等でかねて申し上げておりますが、交付税で、それにひもつきというのではございませんけれども、土地開発基金に使っていただきたく希望しておる金額が補正予算で基金費として三百五十億円、交付団体に差し上げるものが二百八十二億円ですかございますし、四十五年度におきましては約六百億円を予定して、正確に申しますと全体で九百四十五億円でございますが、前回申しました約一千億円というものがあるわけでございます。これは全部水田のあれに回るわけじゃございませんから、水田を売りたいという方がございますれば、これに対しましてワク外の縁故債を認める、あるいは売り主との話し合いによりまして、必ずしも現金によらないで、交付債でひとつ処置をつけるというようなことによりまして、ケース・バイ・ケース、なるべく地方公共団体が必要なる公共用地等の先行取得に間に合うように財源措置を講じてまいりたい、ただいまのところはそう考えております。
  121. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣から、地方公共団体が公共用地に取得する土地のことについてだいぶ前向きな答弁が先ほどあったわけです。なるほど地方の公共団体が公共用地を必要としている、そのためには非常に協力をするというお話でしたが、この米減反による公共団体が水田を買う、土地を買うということについては、先ほどの答弁を伺っておって、非常に消極的な感じもするわけです。ですから私は、どの程度やれというからやるのだという考え方なのか。これはたいした期待もできないなというようなお考え大臣の中にもあるのじゃないかというふうに自分なりに考えているのですが、この点はどうですか。
  122. 秋田大助

    秋田国務大臣 日本の農業が転換期に参っておることは、とにかくいなめないところでございまして、これをいま政府がやっているような方向、施策でやるかどうかということにつきましては、いろいろ御議論があろうと思います。しかし、とにかく政府といたしましては、この施策を推進いたして、これによりましてある程度の米の生産調整につきましては効果をおさめ得ると確信もし、期待もいたしておるのでありまして、自治省としてはこれに協力申し上げまして、地方公共団体の公共用地等の先行取得を推進してまいりたいと考えておりますから、これは前向きに考えております。政府の施策のこの本旨をひとつ十分皆さまにわかっていただくことによりまして、農民の御理解と御良識によりまして、相当の水田の転用が実現できると期待し、またそれに努力をいたす所存でございます。
  123. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 大臣、私が心配するのは、新聞等でも報道されておりますように、農地法も一部改正になるわけですし、農地の買い上げについても一部緩和をされるようになるわけですね。当然農地価格というものは高くなる。勢い市町村財政負担というものはふくれてくる。しかも米の減産効果を補うための買い上げであれば、当然山間部のような収量の少ないところでは、また意味がなくなってくる。ですから、先ほど一千億というお話がありましたけれども、農林省の調べによりますと、ダムサイトあるいは水源地価あたりの農地の価格というものは十アール当たり平均百万円、こうなっているわけですね。平地については数倍高くなるであろう。こうなりますと、私はこの問題について、地方自治体が水田を買い上げるために、ほかの事業に影響を与えるような心配が起きてきやせぬかということを心配しているのです。この点どうでしょうか。
  124. 秋田大助

    秋田国務大臣 ほかの施策なり事業を行なうのに、これが支障を来たすようであってはならないのでありまして、その点は十分注意するとともに、資金ワクの手当てにつきましても、既定の方針に食い入ることのないよう、ワク外債等の運用を弾力的にはかってまいりたい、この点は十分注意をしてまいりたいと存じております。
  125. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 特に一点申し上げたいことは、先ほど私が申し上げたように、使えないところを買うような可能性というものが非常に出てくる。こうした条件、状況の中で、政治的な圧力で水田を買い付けさせられるようなことがあれば、これは土地開発基金の趣旨にも反するし、地方公共団体が不良資産をかかえる結果になってしまう。ですから、国の施策ためにかえって住民の負担が増して、住民へのしわ寄せにもなってくるのじゃないか。これは大臣、私も実際に地方市町村から、こういう問題が起きているのだがどうすればいいのだ、そういう話があるわけです。よくこの点も御判断されて、当然こういった問題も踏まえて、問題が起こらないようにしてもらいたい、こう思うわけです。
  126. 秋田大助

    秋田国務大臣 土地開発基金が、好ましくないと言っては語弊がありますが、買うべからざる土地を買っていく、あるいは無理無理に水田の売りものがあったら買っておけというような指導は断じていたさないつもりでございます。また開発基金の理事、当局者も、そういうことをすれば基金そのものがお困りになるわけでございまして、そういうことは当然なさらないと思います。それでは買えなくなってしまうじゃないか、効果があがらなくなってしまうのではないかという点の御心配はありましょうが、その点はないとはいえないのでございますが、そこらは地方公共団体が実地に即しまして適正に御処置が願えるものと考えておりますし、われわれもまたその点、水田買い上げ、転用の施策ために無理じいをするというような考えは毛頭ございません。
  127. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 それでは時間もありませんので、次に移ります。  最近の経済あるいは社会構造の発展に伴って、住民の要望もありましょうし、公営企業の事業数というものが非常にふえてきている。特に大都市における公営企業の健全な運営あるいは発展というものが緊急を要する問題である。独立採算ということで赤字も非常にふえてきておりますし、この公営企業に対する自治大臣の基本的な考えをまず承っておきたいと思います。
  128. 秋田大助

    秋田国務大臣 公営企業だからといって、ルーズにやっていいということはないのでありまして、公営企業は公営企業として健全なる企業運営のできるように自主的努力を期待するものでありますが、しかし、大都会における公営企業にはまた大都会特有の面もございまして、たとえば地下鉄建設にいたしましても非常な費用が要る。これが都民の足代に影響してくるというような場合につきましては、この分については、やはりその置かれた特殊の地位及びその事業の使命というような公益性にかんがみまして、国及び地方団体においてある程度の財政的援助措置を講ずるというようなことによりまして、地方住民の負担の公正を期する、また物価問題にも役立てていきたい。大体こんなような考え方を持っておりまして、その他の公営企業につきましては、その資金を潤沢にし、その資金コストを安くする、そして健全な経営のために公共団体及び自治省としてある程度の御支援を申し上げるということは、当然のことと考えておる次第でございます。
  129. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 一点だけ。小さな問題で恐縮ですけれども、大都市交通の中でバスが非常に問題になっておるんですね。このままでいけば、電車のまた二の舞いになるのではないか。やはりこのバス問題について根本的に考えなければならぬのじゃないか。バス事業を取り巻く外部の要因というものが非常に複雑になってきている。大都市の混雑と渋滞、したがってスピードが落ちてくる、乗車効率が落ちてくる、住民はおそいバスを利用しなくなる、こういう結果になってきているわけですね。合理化ということも考えられるでしょうけれども、こういった問題に対して、地下鉄に対するような負担あるいは補助なり、これに類するような何らかの制度が必要になってくるのではないかというふうに考えるのですが、どうでしょうか。
  130. 秋田大助

    秋田国務大臣 地下鉄に対するような財政援助を大都会における公営企業のバス事業にすべきであるかということは、相当検討すべき問題であろうかと存じておりますけれども、いま直ちに差し迫ってそれをしようという考えは持ち合わせておりませんが、これは地下鉄事業との関連におきまして、またバス路線の変更あるいはこれが大都会における優先交通の確保等々の処置を講ずることによりまして、ある程度バスをいまより以上に利用していただくというような面も急速に出てくるわけでございまして、そういう点につきましては、配慮をいたしておりまして、過般、山中総務長官主催のもとに、大都市における交通緩和政策を考えました際にも、自治省のほうからはバスの優先交通レーンをぜひ考慮すべしというようなことを申し入れてございますし、総務長官も考慮する旨の回答をしておるのでありまして、そういう点につきましては、こまかな配慮をただいまいたしておるところでございます。
  131. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 もう一つ公営企業の中で地域住民の間で問題になっているのは、水道事業なんですね。これもまたいろいろ問題が起きておる。最近、都市がふくれまして、水源が非常に遠隔地になってきた。しかも、それに伴ってコストが高くなる。建設設備費もこれまた値上がりをしてくる。では水道料金を値上げすればいいじゃないか。これは地方住民の反対も強いということで、非常に赤字の要因になってきているわけです。都市の人口の増加あるいは生活水準の向上によって水の需要が非常に伸びてきておる。この一般水道については補助対象になっていないわけですね。簡易水道あるいは工業用水道の水源地の関連施設については補助対象になっている。私は、国民生活に最も密着度の強いこの一般水道を国の補助対象にすべきじゃないか、こういうふうに考えるのですが、大臣、どうでしょうか。
  132. 秋田大助

    秋田国務大臣 広域の範囲のもの及び水源ダムについてはあるそうでございますが、その他のものにつきましては、遺憾ながらいまございませんが、これらの点も十分配慮してみたいとは思っておりますが、なかなか財源等窮屈な際でございますので、十分御期待に沿えないかもしれませんが、いろいろ検討してみたいと思っております。
  133. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最後に、大臣に超過負担のことについて二、三お伺いしたいと思います。この超過負担についてはもう何べんも論議されておりますし、この問題、影響が非常に大きいので、特に私は大臣にお尋ねをしたい。  自治省では三カ年計画でこの超過負担の解消を目ざしているようですけれども、この解消の状況、どの程度解消されつつあるのか、お尋ねをしたい。
  134. 秋田大助

    秋田国務大臣 数字にもわたりますので、財政局長から説明いたさせます。
  135. 長野士郎

    ○長野政府委員 超過負担につきましては、昭和四十三年度において三百二十億円、四十四年度には三百十二億円の解消を実施したいということになっておりますが、四十五年度につきましては、引き続きまして超過負担の解消の計画を進めておりまして、四十五年度の国の予算編成に伴いましては約四百五十億円程度の超過負担の解消が行なわれる見込みでございます。
  136. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 約一千億以上になりますか、これは四十三、四十四、四十五年と三カ年でやるというふうに聞いておるのですが、その以後はどうなるのですか。
  137. 長野士郎

    ○長野政府委員 私どももこれで全部完了したというふうには必ずしも考えておりません。まだまだ未解決の問題もございますし、また特にあとから新しい予算措置等で行なわれましたものについて、また超過負担というような事例が出てまいることも予想されますので、なお引き続いて実態調査等を遂げまして、その上で超過負担というものが著しい状態になるような問題が出てまいるおそれがあります場合には、これはぜひとも今後とも解消を続けてまいりたい、こういうふうに考えております。
  138. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 負担認定事業の補助単価と実際の単価は非常に違うわけですね。私が調べたところによりますと、実際の単価と国の単価とでは相当な開きがあるわけです。これは木造をとってみましても、一平方メートル当たり二千五百円、鉄骨づくりでは二千円、鉄筋では六千円。一平方メートル当たりこれだけの差があるし、実際こういった膨大な金額は、地方公共団体で負担をしているということになっているわけですね。これをこのままでいきますと、地方団体財政に大きな影響を与える。これをやはり実際に即した単価に改正すべきじゃないかと思うのですが、どうですか。
  139. 長野士郎

    ○長野政府委員 普通に超過負担といわれておりますものの中に、二つ問題があると思います。一つは、実際にいまお話しがございましたように、補助単価等が実態に即しないというようなことで超過負担が生じております場合、それからもう一つは、一定の水準を上回ると申しますか、そういう規模のものを設備をいたしまして、つまり継ぎ足し単独、こういうときにはよく使われることばでございますけれども、そういうふうに一定の水準以上の施設になったというような形の結果、実際の単価が非常に上回ったという場合と、二つに分けて考えなければならないわけでございます。  そこで、そういう意味ではいろいろの見方や理屈もありますか、つまり一定水準を越えるというようなものはしばらく除きまして、実際に補助単価が実態に即しないというものにつきましてこの改善をほかっていく、こういう考え方で従来から進めてきておるわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたように、三年計画ということで、ことしが三年目になるわけでございますけれども、こういうものは、非常に俗なことばでいいますと、なかなかその種が尽きないと申しますか、なかなか実態との調節というものが、その後の状況等によって大きく変わるものもございますから、今後ともそういう点を考えまして、実態調査等を通じまして得た材料に基づきまして、超過負担の解消につとめてまいりたい、こう考えております。
  140. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 最後に、大臣から御答弁をいただきたいのですが、実際この超過負担については地方自治体の財政を圧迫しているということは事実なんですな。それで大臣、まあ三年計画もことしで、昭和四十五年度で終わる。これからも解消していくというふうに言っているんですが、ひとつ最後に大臣としての超過負担解消に対する考え方をお尋ねしたいと思います。
  141. 長野士郎

    ○長野政府委員 先ほど私が申し上げましたことで、多少正確でないことを申し上げたように思いますので、多少訂正をさせていただきますが、三カ年計画で終わる、こういうことを申し上げましたが、それは四十二年度の調査についてはことしが三年目でございまして、この点は、四十二年度の調査分については一応終わる。四十三年度の調査分についてはなお来年一年残っておる状況でございます。この点は三カ年計画がなお来年まで続いていくということに相なりますので、訂正させていただきたいと思います。
  142. 秋田大助

    秋田国務大臣 いずれにいたしましても、超過負担というものが地方財政の圧迫になりまして、さなきだに地方行政水準が低いといわれる際にこれを上げなければならない。非常なこれはマイナス要因になり、足を引っぱる原因にもなるわけでありまして、地方の公共団体においてはたいへんお困りな実情は、私も過去の経験などによって身にしみて体験しておるところでございます。これは今後大蔵省とも十分連絡を密にいたしまして、積極的にこれが解消に努力をしてまいりたいと存じております。
  143. 斎藤実

    ○斎藤(実)委員 先ほど来数点大臣に対してお尋ねをしたわけですが、それぞれの答弁がございました。大臣の所信にもありますように、七〇年代の課題は内政であり、しかもその中心地方自治の充実強化であるという大臣の御答弁がありましたから、ひとつ大臣、その所信表明どおり、この地域住民の向上発展ために、今後とも意欲的な力強い姿勢で望んでもらいたいことを最後に要望して、私の質問を終わります。
  144. 菅太郎

    菅委員長 門司亮君。
  145. 門司亮

    ○門司委員 私からごく簡単に大臣に、この説明書の所信表明の中のことで、いやなことを二つばかり聞きます。  一つは、この所信表明の中に「都道府県合併特例法案の早期成立を推進してまいる所存であります。」と、こう書いてある。それからもう一つは「地方公共団体に定年制を採用し得る道を開くため措置を講ずる」と、こう書いてある。ところが、新聞の伝えるところでは、この二つの法案は出さぬ、こういうことなんですね。だから、大臣の所信とここは非常に大きく変わってくるのですが、これはどういうわけですか。その間の事情をひとつできれば明らかにしておいてもらいたい。
  146. 秋田大助

    秋田国務大臣 所信表明で述べましたところは、ただいまも変わっておりません。それが成立を期したい気持ちはやまやまでございますが、何と申しましても、本国会が御承知のような事情で、特別国会で日が少ないものでございますから、今国会にはこれが提案を、われわれは期したのでございますが、いろいろの事情から出さないということに、やむを得ずなった次第でありまして、本心は変わっておらないのでございます。
  147. 門司亮

    ○門司委員 別にそれ以上追及しようとは考えておりませんが、どうもあまり違い過ぎるものですからね、所信の表明と。  それからその次に、ごく簡単に聞いておきたいと思いますことは、これはかなりこの構想からくる一つの問題でありまして、私はいま直ちにどうというわけになかなかいかないのじゃないか、こう思うのですが、聞いておきたいと思いますことは、国と地方との会計年度の問題です。これは地方自治体には非常に大きな荷やっかいでありまして、御承知のように、まだ地方財政計画というものが自治省では立てられません。しかし、各省関係は、私もここに持っておりますが、一応全部出そろっておる。地方自治体ではいまちょうど予算の編成期でありまして、国のほうの補助率あるいは補助金の額というようなものが、ことに補助率が上がったり下がったりするということになりますと、地方の予算にかなり影響を持つわけなんです。影響を持つのだが、国のほうがきまらなければ、地方のほうもはっきりきめられない。そこで、いま予算審議をやっておっても、結局骨格予算の審議に終わらざるを得ない、こういう形が出てくる。そうすると、本予算というのは、この後に行なわれる追加予算というような形で出てくる。これは当然でありまして、ついでだからはっきり申し上げておきますが、たとえば北海道のようなところは、国できまりますのが四月ですね。それから各省でいろいろ協議をして、そうしてこの補助金の配分のきまりますのが大体八月か九月ですね。それを受けて仕事をするということになりますと、もう半年かそこらしか実際には仕事ができない。そのうち雪が降ってきてどうにもならなくなる。そうするとやむを得ぬから、結局ある程度の見通しをつけて、そうして、あまりいいことではありませんが、大体このくらい補助金がくるだろうというようなことで前借りをして使うか、いわゆる債務の負担行為というようなことばを使っておりますけれども、前借りをして仕事をするか、どっちかしなければならぬ。したがって、市長さんも知事さんもはっきりした予算上の、数字上の処置はなかなかむずかしくなってくる、こういう形になっておりますので、この国と地方の会計年度を変えたらどうかということが一つ考えられます。これを世界の国というわけにはまいりませんが、いろいろ各国等の情勢を調べてみますと、この辺は多少違います。たとえばアメリカの会計年度がどうなっているか、州の会計年度がどうなっているかということにつきましても、向こうでは結局州がある程度独立をいたしておりまして、ドイツでも同じでありますし、世界の国々は大体そういうことになっておる。そこで国からの補助金あるいは交付金というようなものがあまり財政に大きく影響いたしません。日本の場合は、何といっても画一的であるから、非常に大きい影響を持っている。そこでこれを何とかする。どっちを暦年にして——どっちの年度を変えてもいいと思いますよ。でき得れば国のほうを暦年にして地方をいまのとおりにすれば、国の予算がきまって、それから地方の予算が四月までにきまってしまう。そうするとすぐそこで仕事にかかれるということで、私は非常に効率的にやれると思う。私はどちらでもいいと思うのだが、そういう形の意思はございませんか。
  148. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説ごもっともな節がございますが、いまのところはそういう意思はございません。
  149. 門司亮

    ○門司委員 そこで私は、具体的にもう少し突っ込んで申し上げておきたいのですが、これは自治省に頼んだけれども、まだこしらえてくれないから、私のほうでとったのですが、いま十六都道府県で百三十七の都市を一応私なりに私のところで調査をした数字がございます。これは四十三年度の決算からくるものじゃございませんで、いま進行中の四十四年度の当初予算と四十四年度の現計予算、これは一番なまなましいものでありますので、これで、いま申し上げましたように、百三十七の都市の統計を一応とってみました。そういたしますとどういうことになっているかというと、当初予算から現計予算との間に五〇%以上の開きのあるものが百三十七の都市の中で十あります。一番大きいのは九二%というのがある。当初予算の約倍も現計予算を組んでいる。これは何をやっているんだかわからぬが、都市の名前を言うとおこられますので差し控えますが、みんな書いてあります。それからその次に四〇%以上というのが九つある。三〇%以上というのが二十七。こういう数字を見てまいりますと、五百六十幾つかの市それから四十七の都道府県をずっと見てまいりますと、かなり大きな問題がここにひそんでいやしないか。こういうことを考えてくると、どうしてもこれをもう少し縮めてあげないと、地方自治体ではほんとうの仕事ができないんじゃないか。  それから同時にもう一つの問題からいきますと、市会に出てきたのは、全部いわゆる骨格予算である。職員の給与であるとか、いままでのやりかけの仕事であるとかいうようなことで終わってしまう。ほんとうの仕事はみんな追加予算になってきて、委員会所属というようなことで、ろくな審議をしないで——速記録にそう書いておくとおこるかもしれませんが、やはり審議が十分に尽くされないような形になってくる。ここに私は、日本の今日の地方自治体の予算運営の非能率的というか、非効率的なところがありゃしないかと考えられる。金は相当に使いながらどうもうまくいかないというところに、問題点がありゃしないか。それでさっき申し上げたような御質問を前段に申し上げたのでありますが、この点は一体どうお考えになりますか。これは決算が出てくるともっと大きな数字の開きが出てくると思いますよ。いまは大体みんな来年度の予算審議をすると同時に、追加予算をいまごろ一生懸命やっていると思いますから、この数字はもっと開いてくると思う。こういう現実の上に立って、一体財政をどうするかということについては、ここで即答を得ようとは考えておりませんが、十分ひとつ考えてもらいたい。このことが官僚行政につながる問題でありまして、政府に一切のお伺いを立てなければいかんともしがたい、こういうことにならざるを得ない。  私は、自治の本旨であるとかなんとかいろいろむずかしいことをいっておりますけれども、自治体は、やはり固有の財源として十分に市民の前に当初予算で明らかにして、計画を立てて、さらに将来の発展をどうするのかというような遠大な理想と希望がなければ、地方自治体というものは、住民意識といったって住民意識は出てきやしません。住民意識の出てこないところが今度の選挙にあらわれておる。いわゆる政治への不信、棄権が非常に多かった、特に都市の棄権が目立ったということ。私は、単に今度の選挙が暮れだからどうでこうでというのじゃない。住民意識というものがなければ、やはり選挙などに対しても、だれでもいいのだ、だれが当選したって同じことだということになってしまう。これではほんとうの意味の選挙でなくなると思う。そういう点をずっと関連して考えてまいりますと、この財政上の処置というものは非常に大事なことであって、きょうは私はここで即答を得ようとは思いませんが、この実態を、ぜひ知っていただきたいと思う。あとで必要があれば、もっと調べてもよろしいと思いますが、現在そういう数字がここに出てきておりますということを、大臣にもひとつ心得ておいていただきたいと思います。いまそういう考え方がないと言われたのは、私はそれはそれでよろしいと思いますが、こういう実態をひとつ知っていただきたいということ。  それからもう一つ聞いておきたいと思いますことは、この大臣所信表明の中で税制に触れられております。私はこの税制に触れられておる問題についてここでもう一応聞いておきたいと思いますことは、今日税制の根本的な改正をする必要に迫られていやしないかということが一つあります。これは国と地方との税配分を見ればすぐわかるのでありまして、私はいま、正しい、最もいまの時期に近い数字をまだ持っておりません。四十四年度の数字しか持っておりません。四十五年度の国の予算からくる地方の税財源の配分関係の数字を私はまだ持っておりませんが、四十四年度のものを調べてみましても、かなり大きな開きがある。ことし国民の税負担の総額というのは大体一八・八%ではないかと私は考える。その中で地方自治体が配分を受けておりますのは四十三年度で大体六%内外ではないかと考える。そうしてその六%の中でまた都道府県が三・三%をとってしまうということになりますと、市町村におろされる分は二・七%内外しかないのじゃないかということなんです。国民負担が一八・八%になりますか、たしかそういう数字だと思いますが、納めながら、国が一二・八%とってしまい、その一番末端の一番仕事をしなければならない市町村が二・七%内外しか税の配分がないということで、一体どうして憲法に定めるほんとうの地方行政が行なわれるかということであります。これは三割自治どころの騒ぎじゃない。もっと実際は少ないのです。こういうことを考えてきますと、私は基本的には、国と地方との税財源の配分を変えてもらいたいということが一つあります。  しかし、これをいま自治大臣に聞きましても、それは大蔵大臣に聞けということになると思いますが、国と県との間の問題、都道府県市町村との間の問題、これをひとつ具体的に考えてみましても、たとえば地方自治体で一番大きな市町村財源としては、固定資産税がございます。固定資産税は、御承知のように、平たく正確にいえば、三年に一回の是正あるいは評価がえしかできない、こういうことになっております。ところが、同じ土地、建物に対しましても、都道府県の税金はどうなっておるかというと、不動産取得税は都道府県が取るのですね。それはそのときの時価で取るのですね。そうなりますと、同じような土地、建物に対しても、市町村は三年に一回しか変えられない。しかもそこにはいろいろ制約がありまして、時価が幾らだからといって、それに千分の十四をかけるというわけにはなかなかまいらない、あるいはそれ以上にかけることは困難である。ところが、府県税として同じ物件にかけております不動産取得税は、ややそのときの時価にひとしい税金で取ることができることになっておる。こういうものを幾つかずっと並べてみますと、市町村の税財源というものはきわめて脆弱であって、そして都道府県がその次に優位にあるということ。  もう一つ詳しく申し上げれば、御承知のように、最も大きな問題となってまいりまする例の観光都市のような問題、これは市町村が一生懸命になって観光施設をやって誘致をしてくる、あるいは観光客を集める。そこから上がる税金はどうなるかというと、遊興飲食税は県で持っていってしまうんでしょう。おみやげ屋の品物が売れれば、これは事業税としてこれも県が持っていくんでしょう。市町村に残るのは、温泉地帯であれば、一晩二十円の入湯税だけしか残らぬということになる。支出はやかましくいわれるが、そこから上がってくるものはみんな県庁へ持っていかれる。こういうことが現実の姿なんですね。  私はこういうものをずっと一つずつ税金を洗っていきますと、非常に大きな問題がそこに伏在しておる。これを今日もう改革する時期ではないかと私は考える。そういたしませんと、地方の税制をどんなに私どもがここで議論いたしましても、大臣にどんなに心配をしていただきましても、もともとそういう不均衡なものがあり、あるいは不公正なものがあったのでは、これはどうにもならぬのであります。したがって、地方税だけに関する問題といたしましても、今日そういう税源の再配分をする必要がありはしないかということが、痛切に考えられてまいります。したがって、それらの点に対する大臣の御所見があるなら、この際承っておきたいと思います。
  150. 秋田大助

    秋田国務大臣 たいへん深い御研究に基づく御教示にあずかりまして、ありがたく拝聴いたしたわけであります。確かに国と地方との間、同じ地方団体の間におきましても、府県市町村との間の税配分につきまして、根本的に考慮し直すべき問題が伏在しておるのだろうと思います。いろいろ自民党におきましてもその他諸政党におきましても、その点御研究願っておる。また自治省においても検討されておるところでございますが、全体といたしまして、どこからどういうふうに直していくか、これは十分今後研究をしまして、しんぼう強く検討して、大体全体の統制あるいは規格というものをくずさないように、十分考慮しながら検討してまいって、実際の実情に合うようにいたしたいと思います。今回におきましても、法人税割の問題等、多少の考慮はその点払っておるわけでございまして、その点はひとつ御了承おきを願いたいと思うのでございますが、とにかく十分検討いたしてまいりたいと思っております。
  151. 門司亮

    ○門司委員 その次にひとつ聞いておきたいと思いますことは、今日の地方行政を見てまいりますと、過疎過疎なりに困っておりまするし、過密は過密なりに困っておる。そういうものをどう解消していくかということが非常に大きな問題であります。  したがってそこで、市町村財源をなぜふやさなければならないかということになってまいりますと、過疎・過密の問題を議論いたしておりまするが、過密地帯におきましての主としての支出というのは、これは市町村の仕事なんです。したがって、過密地帯においては市町村の支出は非常にふえるということなんです。ことに六大都市などにおいてはむやみにふえて、私の住んでいる横浜なんというのは日本一ふえているところであります。どうにもならない。もし必要があるなら、大臣、ここに資料を持っているから、一応見ておいてもらいたいのですが、これは横浜の学校の実態です。全部写真です。これを見てごらんなさい。どうにもなりゃしない。運動場はもうなくなっている。全部プレハブの校舎を建てなければ生徒を入れるところがないために、どうにもならない。運動場がなくて、もう五年も運動会をやらないなんという小学校がたくさんある。どうしてこれの解決ができないのか。そして義務教育は、これは国の負担でやることにちゃんときまっておる。しかし、大事な教育をしようという道場がこういう状態です。私は、義務教育自体が、教科書が同じであって同じようなことをやっていればいいという筋合いではないと思うのです。やはり一番大事なものは道場だと考える。環境をどうするかということだ。しかも一つの学校の中に一これをごらんになればよくわかりますが、教育委員会から出したのと私のと多少違いますけれども、教育委員会で出したのがここにございます。これは教育委員会から持ってきたものです。同じ敷地の中に、一方においては鉄筋コンクリートがとにかく少しばかりある、その次には二十五年も三十年もたった木造のものがある、その前にプレハブの校舎があるということで、一つの学校で、学問の一番大事な道場となるべきものに、機会均等どころの騒ぎではなくて、非常に機会が不均等になってきている。運動会もできないような学校をこしらえておいて一体よろしいかということです。ところが、これらの問題を解決しようとすれば、いま申し上げましたように、これの一番主管としてやらなければならないのは市町村である。その市町村財源が、さっき申し上げましたように、一八・何%という税金を取られながら、わずかに二・何%、三%にならないような税配分であっては、これはやりたくてもやれぬのであります。これについて、まあ、補助金がどうだの、いや交付税がどうだのと大蔵大臣は言いますけれども、さっきもお話しのございましたように、補助金等にしても、そもそも単価が非常に違っておるということで、どうしても持ち出しがふえてくるということであります。ところが、今日の大都市、特に過密の都市においてはもうそういう財源の余裕はないはずである。だから、この辺をやはり大臣も少しお考えを願いたい。  それからさっきから申し上げておりまするように、税の問題に触れておいでになりますが、ただ単に幾ら税金を安くしたとか、いや交付税をどうしたとかいうようなことだけでは、この問題の解決はつかぬのであります。この問題の解決をつけようとすれば、国からくる補助金を思い切ってふやそうとする一つの問題として、学校の校舎などは義務教育である限りにおいては国が全部負担するという態度をとるなら別ですよ。ところが、そういう態度をとれるかどうかということです。務教育として、国の教育としておきながら、その道場である校舎も満足にできないというようなことにしておいて、一体国の教育行政というものがあるかということを、まあ文部大臣でない自治大臣にいま申し上げても、これは通じないことばかと思いますが、この辺はひとつ配慮してもらいたい。  それからもう一つ二つ私は聞いておきたいと思いますことは、いろいろ議論もございますが、大臣所信表明の中でもう一つ消防の問題に触れられております。消防の問題については、ここにいろいろ大臣書かれておりますが、消防の実態というのは、昔の火消しの時代とは異なっておるということである。ことに建築の資材が変わっておりまして、最近の焼死は大体どのくらいになりますか。消防長官にお聞きになればおわかりだと思いますが、二千人ぐらい人が死んでいるのじゃないか。千八百幾らという数字だと私は思いますが、あるいは千が一つ違って二千八百かもしれません。そうしてその中の大部分は窒息死であります。まるまる焼け死んだというのはわりあい少ないのであります。建築の資材が変わってまいりましたので、結果はそういうことになっておる。そこで私は、この際どうしても消防法を改正して、それらに対する消防の、権力というとまたおこられるかもしれませんが、強い立場から指導することが必要ではないかということです。現在の消防法の中には遺憾ながらそういうものがございません。勧告その他をすることができるとは書いておりますが、その勧告にしても、何ら指示がされておりません。私はこういう点を考えてまいりますと、結局消防法の根本的な改革が必要であるということです。  それから、先日起こりました川崎の石油コンビナートにおける火災のような問題が今後もないとは限りません。あれはあそこだけで済んで人畜に何も被害がなかったからいいようなものの、日本の全国にコンビナートはたくさんできておりまして、万一の場合どう対処するかということについては、現行の消防法では私はいかんともしがたいと考える。それからもう一つは海上であります。タンカーが非常にふえております。そこで万一、東京湾の中で少なくとも一万トン級以上のタンカーが何かの故障によって火を吹いたということになりますと、これは東京も横浜も千葉も焼いてしまうかもしれない。海全体がおそらく火になるでしょう。  こういうものを考えてまいりますと、実に身の毛のよだつような思いがする。しかし、消防法としてはこれに対する何らの規定を設けておらない。ここに消防に触れられておりますから申し上げておきたいと思いますが、消防法の改正は早急にしなければならぬじゃないかということが考えられておりまして、委員長の御心配でこの委員会にも消防の小委員会をこしらえて、これから検討しようという、われわれのほうにもそういう構想がございますが、ひとつ政府のほうもこの問題には真剣に取り組んでもらいたい。  いま考えてみましてもかなり大きな問題が出てきはしないかということ。四、五年前に横浜の鶴見川の河口で、小さなパージでありましたが、重油を積んでおる船が火災になって困ったことがありました。しかし、あれは小さな三百トンか五百トンのバージでありましたからたいしたことはなかった。しかし、いまタンカーは御承知のように、大きいのは三十万トンなどといっております。少なくとも東京湾の中に入ってくるのは六万トンから八万トンというのが入ってくる、こういうことになっております。これはどこの港でも入ってしまう。ことに東京湾のような、中に入ってしまったら出ることもできないような港は、これはほんとうの袋です。伊勢湾にしても、大阪、神戸にいたしましても、港は先が開いておりますけれども、東京湾はそうなっておりません。  したがって、これらの問題をひとついま真剣にせっかく——せっかくというと、これはまた少し語弊があろうかと思いますが、大臣おかわりになって、そして新しい構想のもとに消防についての御見解をそういう意味からも新たにしていただきますならば、私どもはできるだけの協力を決して惜しまないものでございますから、ひとつ大臣の御所信をこの際はっきり聞かしておいていただきたいと思います。
  152. 秋田大助

    秋田国務大臣 火災その他の災害に対する対策というものは、私も就任以来非常に心配しておるところでありまして、今回の予算におきましても、金額はもちろんまだ十分ではございませんが、消防関係は相当配慮をいたしたつもりであります。それにしてもまだ御指摘のとおり、あるいは石油コンビナートの地帯であるとかあるいは観光地であるとかあるいは海上であるとか、あるいはそういう特殊な地帯地域でなくても、最近の建築資材の変化によるところの一般火災の状況に対する対策なり、いろいろ考えなければならないたくさんの問題があることを、私もよく自覚いたしております。場合によっては、身の毛のよだつような事態に発展しかねまじきものがあるという御指摘でございますが、私も十分そういう場合を予想いたしまして、災害はいつやってくるかわからないわけでございますので、十分それに対処する道を及ばずながらでも即刻やっていかなければならないと考えておりまして、この点は消防庁長官にも会うたびに申し上げ、かつそれに対する処置等を、平素から足らない中にも急に応じて変に応じて対処できるような考慮を払っておいてもらいたいということを、注意いたしておるわけでございます。  そこで、そういう対策としては、施設の十分なる整備、それに対する予算措置等々考えてまいっておりまして、この間も川崎における石油の火災が出ましたときも、閣議においてもそのことを報告するとともに、大蔵大臣を特にメンションいたしまして、これに対する施策、予算上の措置等十分考慮しなければいかぬということを、私なりに指摘をいたして注意を喚起し、将来の予算措置についての今日からの十分の配慮を促しておいたようなわけでございまして、こういう事実に徴しましても、私がこの点に非常な重視をして注意を払っておるということにつきまして、御了承を願いたいと存じます。
  153. 門司亮

    ○門司委員 もう一つだけ聞いておきたい。これは御答弁は要りません。資料だけ要求しておきますので、出してもらいたいと思います。それは先ほどから米の生産調整についてのなにがありましたが、実は自治省事務次官から農林事務次官あてに書簡といいますか、「米の生産調整について」ということで、書類が送られております。これの返事はどうなっておるかということを、参考のために私ども知りたいのであります。こう書いてあります。自治事務次官から農林事務次官あてに、  米の生産調整について   標記については、すでに昭和四十四年十二月当省の考え方を申し入れたところであるが、その推進にあたっては、次の措置をとられたい。    記 1、米の生産調整については長期にわたってとられてきた国の食糧政策の重大な転換であることにかんがみ、国が全面的に責任を持つものであるとともに、地方公共団体が、これに協力するものであることを明らかにすることが必要である。この趣旨から生産調整奨励金の支出方法についても対象農家に対し、国が直接交付するか又は都道府県に支出委任のうえ交付する扱いとすべきである。 2、他作物の転換を容易にするため、農業生産の地域分担を早急に明示し、これに沿った融資、補助等の国の総合的施策を速かに確立すべきである。 これが農林省に出された通牒であります。それと同じものだと私は考えておりますが、同じようにやはり自治事務次官から大蔵省の事務次官あてに、  米の生産調整について   標記について、別紙のとおり農林事務次官に申し入れたので貴職においても善処されたい。 ということで、同じ書簡がいっておるわけであります。これに対する返事が一体どうなっておるかということであります。それからもう一つは、これに対しまして都道府県知事の知事会、全国都道府県会議長会、全国市長会、全国市議会議長会、全国町村会、全国町村議会議長会といういわゆる地方団体から同じように「米の生産調整に関する申し合せ」として、   地方関係団体は、食管制度の根幹を堅持し、総合農政の具体化を促進することを条件に米の生産調整について下記のとおり申し合わせる。    記 1、政府決定の生産調整奨励金の額は、その経過にかえりみ己むをえざるものとし、ことの緊要性にかんがみ百万トンの生産調整の目的達成に協力する。 2、水田十一万ヘクタールの買上げは民間需要等にまつこととなっているが、無秩序な買収等により今後の農業発展および地域開発に混乱がおこることのないよう国はその指針を示すべきである。  昭和四十五年二月四日こういうことになっております。このことは最後に書いております地方の無秩序な地域開発、買い取り等が行なわれてまいりますと、地方行政に非常に大きな混乱を来たすから気をつけてもらいたい、こういう趣旨でありますが、これらの問題については、自治省から出されたもの、あるいは自治省が出さなければ他の省から出たものがありますならば、ひとつ文書で出していただきたいというふうに私考えております。この点、ここでいますぐ御答弁を要求するわけじゃありませんが、こういう書類が出ていることは事実でありますので、ひとつ資料として私どもに配付願えれば非常に幸いだと思っておりますので、委員長にこのことを要求いたします。
  154. 菅太郎

    菅委員長 自治省からいまお答えがありますか。
  155. 立田清士

    ○立田説明員 ただいまお読み上げになりました自治事務次官から農林事務次官あて、それから大蔵事務次官あて、これは同文でございます。  その第一点は、国の責任のもとに地方団体協力するということで、今回農家に交付される生産調整奨励補助金の支出方法につきましては、自治省からは支出委任、つまり県の予算なり市町村の予算を通ることなく、国が県に支出委任いたしまして、そして一定の方法で農家に直接渡るように、こういう申し入れをしたわけでございますが、その点につきましては、現在提案されております四十五年度予算の奨励補助金は、そういう自治省の申し入れどおりの支出方法でやるということに、政府原案の確定の際までにきまっております。  第二点につきましては、いまお読み上げになりましたとおり、農政についての地域の分担といいますか、地域的なビジョンを示すようにという申し入れでございますが、これについては農林省のほうから、ただいまのところ間に合わないけれども、今後十分自治省の申し入れの線に沿って早急に検討して、そういうものをつくりたい、こういう返事を得ております。ただし、この点につきましては、文書ではいただいておりませんで、口頭でそういう御返事をいただいております。
  156. 菅太郎

    菅委員長 門司委員のは資料提出の御要求でしたが、それでよろしいのですか。
  157. 門司亮

    ○門司委員 いや、資料というよりも口頭でというんだから、資料がない。これは非常に危険があると思うのですよ。地方自治体は、こういうものが出てまいりますと、無秩序な計画がどんどん遂行されてくるのですね、現行法で。だから、国のお考えになっているようなわけにはまいらぬですよ。業者はやはり利潤を追求しますから、法の裏をくぐるのは平気でやってきます。またそういうものを阻止することは現行法では当然できませんので、ただ口でそんなことを言ってきたからといって、自治省があっけらかんとしていたんでは困った事態が起こると私は思いますよ。もしそうだとすれば、ここで私はもう少し詰めて、あるいは関係省庁大臣にでも来ていただいて話を進めておかないと——どうなりますか、これは。私はほんとうに困ると思いますよ。  それから、補助金だといわれておりますが、農家に対する補助金であっても、委託事務として県は単なる予算計上だけだ、あとは何も関係ないんだ。事務的の委託でやるのが補助金といっておりますので、その辺の補助の交付の問題についても、私は問題が起こっては困ると思うのです。いままで農家に出されたいろいろな補助金その他を見てごらんなさい。どの程度ほんとうに農民に渡ったかということであって、まごまごしていると、だれかが途中で分けちゃったということがときどき出てくるのであります。これの趣旨は、地方自治体がそういうやっかいなものを引き受けては困るんだ。これは国と都道府県の間でやってくれというように書かれておるわけです。しかし、それがほんとうに徹底しているかどうかということであって、私はでき得れば、そういう文書があるなら、文書でひとつこちらに回答してもらいたい。  それから第二番目の問題は、どうも口頭だけでは安心ができませんので、委員長にひとつ機会をつくっていただいて、農林大臣なり大蔵大臣なりにここへ来ていただきまして、あるいは建設大臣にも来ていただく必要があるかもしれませんが、この問題を一応私は詰めておきたいと思うのですよ。いま現実に地方自治体では、線引きといっておりますように、調整区域と市街化区域の線を引くためにかなりめんどうな問題を実際にも起こしておるのは事実であります。その上にもう一つこういうものをかけてくると、かなり複雑なものになろうかと私は思うのです。先ほどからお話もありましたような事実がないとは限りませんので、その辺もう少しわれわれの安心のいくような資料を出してもらわないと、口頭でこういう申し入れがございました、はいさようでございますかと言うわけには私はまいらないと思う。この点をなお委員長に御配慮願いたいと思います。
  158. 菅太郎

    菅委員長 自治省に伺いますが、いまの関係の資料の御提出は願えますか。
  159. 秋田大助

    秋田国務大臣 資料はないのです。
  160. 菅太郎

    菅委員長 口頭の返答の前に、文書の返答があったはずですが。
  161. 秋田大助

    秋田国務大臣 向こうから返事に関する文書はないわけでありますが、口頭あるいは予算措置においてその趣旨が実現されたという事実はありますので、そこいらのいきさつを書きましたものでよろしければ、これを提出させていただきます。
  162. 菅太郎

    菅委員長 門司委員、いかがでございますか。
  163. 門司亮

    ○門司委員 見なければわからぬですけれども、文書でも、申し入れたのが出てこないという手はないと思いますね。
  164. 菅太郎

    菅委員長 門司委員は、自治省から相手に出された文書をも要求されるわけですか。
  165. 門司亮

    ○門司委員 それはいいです、いま読みましたから。回答だけでいいと思います。
  166. 菅太郎

    菅委員長 ここでお話しになるほかに、要領でも書いたものを御要求になりますか。
  167. 門司亮

    ○門司委員 納得のいくものであれば私はけっこうだと思う。正式に向こうから文書が来てないとすれば、さっきお話しのように、予算その他で解決したということですけれども、私はそれでは実際には済まないと思っているのです。こういう問題はきちんとしておきませんと、あとで文句を言っても始まらぬということになろうかと思う。
  168. 菅太郎

    菅委員長 具体的にどういう御要求になりますか。
  169. 門司亮

    ○門司委員 文書がなければないで、先ほどお話のございましたように、それに納得し得る申し合わせその他等があれば、そういうことを書いておいていただきたいということです。そういたしませんと、どうも委員会質疑応答がしり切れトンボになって、あとでいやそうでなかったこうでなかったということになると、私どもとして困りますので、自治体も迷惑することは当然でありますが、われわれとしても何が何だかわけがわからぬうちに終わっちゃったということになると困りますので。
  170. 秋田大助

    秋田国務大臣 御要望の線そのものにぴったりというわけにはいかぬかもしれませんが、ただいま御提起の問題について、こちらと大蔵省、農林省とのいろいろのいきさつ等を書きました文書を提出させていただきますので、それにより御判断の上、適宜の措置をとることにしていただくことにいたします。
  171. 門司亮

    ○門司委員 そのときにお話しをすることにいたしましょう。
  172. 菅太郎

    菅委員長 ただいま自治大臣から御答弁になり、ました、そういう意味の文書の御提出をお願いいたします。  関連質疑の要求があります。これを許します。山口君。
  173. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 米の関係のこのような金の支出というのは、従来から非常にいいかげんだったですね。かつて米価の上に上積みをいたしましたのは三十数億ですね。この支出もいわば市町村を通じて予算補助というような形でやって、会計検査等の指摘がありまして、この支出が非常に不明朗であるということが問題になりました。当地方行政委員会でも問題になったと思います。それから昨年の場合は、二百二十五億の上積みに対して、農林省からも来てもらいまして、この支出はどうするのだ、この事務は一体市町村の固有事務なのかあるいは国の委任事務なのかということが問題になりまして、聞くところによれば、たしか二百二十五億選挙前に配られたようだったですけれども、これにつきましては、これは市町村の固有事務だということで、事務費の補助を県、市町村に出して、金の分配を県、市町村にやらしているということがあったわけです。そういうことで、従来からこの扱いについては当委員会でもいろいろ問題になり、議論されたわけでございまして、いま門司委員からも同じようなお話があったわけですが、私は昨年の二百二十五億の扱いの問題を一体どうやったのかということも含めて、委員長、資料を当委員会に出してもらうようにしていただきたいと思います。そうすれば、昨年の二百二十五億はこういう形で処理した、今回は一体どういうことになったのかということが、セットになりまして明らかになるわけですから、当委員会は今後議論するのにもしやすいと思いますので、いま申し上げた昨年の二百二十五億、この扱い方の資料を当委員会に出していただくことをお願いしたいと思います。
  174. 菅太郎

    菅委員長 それでは、昨年の米価決定の際の二百二十五億の取り扱いの実績及びただいまの問題、両件に関する資料の御提出を願います。要望いたします。山本弥之助君。
  175. 山本弥之助

    山本(弥)委員 けさほど来大臣が七〇年代は内政の年という認識に立たれまして、過疎・過密の問題、これは地域問題でございますが、さらには社会資本の立ちおくれの問題、それからいま問題になっております公害だとかあるいは交通災害あるいは物価の問題その他につきまして、地方公共団体が今後大きな役割りを果たさなければならないという決意のもとで、施策を進められておるという所信表明がなされましたが、私も全く同感でございます。しかし、所信表明の中で、これらの問題の解決をつけるということについて、当然今日の地方公共団体、基礎団体市町村におきましてもあるいは府県段階におきましても、広域的な処理をする必要は私ども認めてはおりますけれども、大臣所信表明によりますと、いわば広域行政を推進することによりまして、今後問題が解決つくというふうにはお考えになってはいないと思いますが、それに重点を置いておるということにつきましては、私ども多少意見を異にするわけであります。地方公共団体の役割りを果たすということが重要であれば、従来から問題になっております国、地方あるいは府県市町村間の事務の配分とか、あるいはただいま門司先生からお話がございました財源配分等の問題につきまして、まず積極的に取り組むことが必要ではなかろうか。その上に立って市町村の広域的に処理するという問題が出てまいりました場合は、市町村の自発的な協力によりまして、広域的に処理をするというふうにもなっていかなければならぬのじゃないか。また、府県におきましても、今日の縦割り行政を是正するあるいは出先機関の調整ということによりまして、ある程度解決する問題も相当あるんではないか。そういう問題の解決の上に立って、さらに広域行政を担当しております府県はどうあるべきかということを検討すべきではないか、かように考えておりますが、この基本的な考え方につきまして、大臣の御所見を承りたいと思います。
  176. 秋田大助

    秋田国務大臣 確かに地方自治体の組織、あり方、地域的な面から考慮をすると同時に、今度は実質的に国と地方との事務配分はどうあるべきか。これに即して税なりその他経費に必要な財源措置はどうあるべきか、こういう検討から進むべきものであるということも十分意味のあることでありまして、やはりこれはどちらが縦でどちらが横であるか存じませんが、両面から、両観点から検討をし、施策を進めていくべきものでなかろうか、こういうふうに私どもは存じております。
  177. 山本弥之助

    山本(弥)委員 両面というお話がありましたが、今日すでに行政監理委員会の答申からいいましても、地方制度調査会の答申からいいましても、この問題につきましては、もう古くから言い古されておる問題でありまして、その問題が解決して、まず公共団体がそれらによりまして使命を達成するということでなければ、部分的にとらえて広域で処理するのだというようなことが、それは並行的に考えることもいいかもわかりませんが、まず基本的にそういう問題を、もう七〇年代におきましては、解決つける時期ではないか。これにまず積極的に取り組む姿勢でなければ、大臣の表明なすったような使命を達成することはできないのじゃないか、私はかように考えるわけであります。  だいぶ時間もおそくなりましてあれですけれども、大臣としてはこういうりっぱな所信を表明しておられるからには、その問題につきましても積極的に取り組む御意思がおありなのかどうか、結論だけをお聞かせ願いたい。
  178. 秋田大助

    秋田国務大臣 もちろん取り組む所存でございます。その点を考慮しながら、かたわら広域行政等の施策を進めておるのでございますが、何ぶんにも国と地方との事務配分等に関連する問題は、国との関係もございましていろいろ問題がございますので、これを七〇年代に処しましてははっきりきめてかかるべきものであるというお説でありまして、理屈の上からはまさにそうでございますけれども、実際面に至りましては、とうふを切るようにはっきり事務配分をすぱっと分けるという合意点は、なかなか現実の上においてむずかしい点もございますので、そういう点を踏まえつつ広域行政施策等を推進しつつあるのでございまして、その点はひとつ御了承を願いたいと存ずるのでございます。
  179. 山本弥之助

    山本(弥)委員 午前中に阪上委員から要望がありましたが、長期にわたるいわゆるナショナルミニマムあるいはシビルミニマムとかということを達成する資料の作成ということも必要だと思いますけれども、当面今日の地方公共団体が現存して、そうしていろんな地方公共団体の持っておる問題を解決するということがたてまえでありますので、その行政の簡素化なり、あるいはどういう事務市町村が能率的に解決つけるかということは、その後の問題なんですね。ですから並行に進められることもいいと思いますが、重点はあくまでもその問題に取り組むという姿勢を大臣がお示しにならなければ、地方公共団体のこういう使命を七〇年代に果たすというようなことはむずかしいのじゃないか。あとで簡単に触れたいと思いますが、地方交付税の問題等も、これは毎年大臣の覚え書きが破られるということ自体が、そういったその場限り、その年度限りの財政問題ということに関連をしておるために、地方公共団体のいわば日常生活に密接に関連をしておる問題、地方の道路の問題だとかあるいは生活環境整備の問題というものが、長期的な視野に立って解決できないということも、やはりそういうところにあるのじゃなかろうか。これが地方公共団体の仕事であり、これくらいの分量はあるのだ、これをまず地方公共団体解決づける、こういうことにつきまして真剣に御検討願いたい、かように考えております。  それから、ただいま門司委員の、都道府県合併特例法の問題を所信表明では推進をするということに対して、大臣から撤回していただいたわけであります。私はこれは大臣としてはきわめて賢明な筋だと思っておったのです。いわばこういう表明をしたけれども、就任早々でもあるので、この問題は今日地方制度調査会は、大都市問題を中心に検討を進め、その上に立って府県のあり方もその過程において問題になるだろうというふうなことになっておるように思いますけれども、この特例法が昨年は十分論議を尽くしたわけでございますが、いわば今日の府県制度をどうするかという問題よりも、当面その特定の地域のいわゆる企業の成長に関連して、今日の府県を論ぜられておるきらいがあるわけでありまして、そのことは地方制度調査会の答申にあたって、必要なところから合併すべしという答申も出ているわけであります。しかし、私は今日広域行政がどうあるべきかということが問題になっている以上は、あくまで将来の制度として考えるべきであって、明治以来の府県という区域がどうのこうのというふうな、そういう議論には私ども賛成できないわけでありまして、すでに当時問題になっておりました地域は、府県合併よりもむしろ道州制というように非常に変わってきておるし、いわゆる要望しておった階層のこういう特例法に対する考え方が大きく変わってきておるということもありますし、さらに広域行政考える補完行政としての府県制度を考えるという問題は、私は十分討議を尽くした上に措置すべきである。これは地方自治法六条でしたかね、それ以外に容易に合併できる道を開くにすぎないんだ、こういうことでございましたけれども、そういう単に道を開くという問題ではなくて、私はその基本的な事務の配分という問題、あるいは国との関連考え、詰めていく過程において府県制度はどうあるべきかという問題に触れていかなければならぬと思うのであります。そういたしますと、ちょうど大臣、この提案を見合わせた機会に、そういった点を慎重に御検討になる必要があるんじゃないか。むしろ大臣早急にやりたいというふうなお考えではなくて、撤回したという気持ちを、さらに慎重に検討するというお考え、そういうふうに切りかえるべきじゃないかと私は思いますが、いま門司委員に答弁されたばかりでございますが、私はそういうふうに考えますが、いかがですか。
  180. 秋田大助

    秋田国務大臣 この点は、私は遺憾ながら意見を異にいたしておりまして、都道府県を自発的に合併する道を開いておくということは必要であるという見地に立っておりますが、実は御承知のような特別国会の事情上、やむを得ず見合わさざるを得ない立場に立ったのでございまして、したがいまして、次の国会の際には再度御提案を申し上げまして、これが通過をはかりたいと考えておるのでございます。道州制に関連し、府県合併の是非に関する御所論につきましては十分拝聴いたしておる次第でございますが、この問題につきましては、ただいま申し上げたような観点に立ちまして、この機会に一切その考えを放てきするというような考えには立ち至っていないのでございます。
  181. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私、初めて地方制度調査会にも出席させていただいたのでございますけれども、前にこの府県合併についての答申も一応なされておる。それがいまだに法案化されていない、立法が実現されていないというような議論もあり、それらの問題の上に立って今日の大都市問題についての究明を急ごうじゃないか、それに関連して広域団体、広域地方公共団体のあり方等も検討しようというふうな、一回だけ出たわけでございますが、そういう空気のように、先般初めて出席をさしていただいたときの空気であったと思うのであります。そういたしますと、答申もなかなか重大な問題であるけれども、一応の答申を急ごうじゃないかというお話し合いもなされたと思う。そういうふうにすでに地方制度調査会は、総理の諮問機関であるかと思いますけれども、それらと関連しながら、大都市問題の解決にこたえるというさなかでもあるわけですから、一応慎重にお取り扱いを願いたいと思います。何もこれ手続を急がれる必要はないのじゃないか。そういう合併の特例の道を開くということは、いわばその特定の地域の大都市と、それからそれを取り巻く府県との関連、それがどうあるべきかという問題、それからきているこの特例法ですけれども、今日ではもうその基礎団体である大都市の問題をどうするかという問題になる。それから将来それを含むところの府県というもののあり方もあわせ検討しようということに、おそらくそういうかっこうで私は進められるのではなかろうか。そういうさなかに大臣は非常な理想を持って地方行政に取り組もうとする姿勢を示しておられるわけでありますが、いままでの行きがかりをお捨てになりまして、今回のちょうどいい機会、撤回をなすった機会に、この問題は、そういうある程度の推移を見きわめた上、どうすべきかということをお考えになっていいのではないかというふうに私は考えます。もし御答弁が得られればお願いしたいと思います。
  182. 秋田大助

    秋田国務大臣 いろいろ御教示ありがたく拝聴いたしました。とにかくこの国会には提案を見合わした、しかし撤回しておらない、こういう立場でございますので、御了承願いたいと思います。
  183. 山本弥之助

    山本(弥)委員 水かけ論になりますので、私は、ただいま申し上げましたように、新しく御就任になった機会に、いわばたなざらしになったような法案だというふうに極論できるのじゃないかと思いますが、たまたま再検討もしておることでもありますので、次の国会に御提案になるというときには、慎重なお取り扱いを願いますように、要望申し上げておきます。  それから次に、広域市町村圏の問題でありますが、私、昨年も大臣の所信をお伺いいたしました際に、今日市町村がいわばその社会資本なり、あるいは住民に対する便益を都市、農村ともにひとしく享受でき得るような体制をとることが理想であるということは、私もよく存じておりまして、しかもその中心都市のみ考えるわけにはいかない状態になっておることも大都市と同じであるわけでありまして、その住宅地域が周辺地域に伸びていく、あるいは大きな中央卸売り市場その他が周辺の地域に伸びていくという実態の中においては、それを受け入れる町村の問題も重要であると同時に、もしそういう施設を出しても、それと道路の整備が伴いませんと、その機能が発揮できないという問題も出てまいります。当然各市町村の自主的運営ということを尊重しながら、協力し合うという体制をつくることが必要である。しかし、これはあくまでそういう調査に重点を置いてやって、これを具体的実行に移す場合においては、包括的ということよりも、むしろ慎重に必要な仕事から整備をしていくということが必要であるということを申し上げたわけであります。大臣はこの考え方を進めていくということでありますが、大臣でなくてもけっこうでございますので、この構想ですね。  さらに、昨年は五十五だったと思うのです。今年は七十くらいの調査を進めて、さらに五十五に対しては、何か特別な御配慮をするというふうなお考え方があるやに聞いておりまして、また予算もそういうふうな予算がついておるようであります。その具体的な内容、行政局長さんでもよろしゅうございますので、伺いたいと思います。
  184. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまお話しのように、広域市町村圏は、中心になる都市、その周辺の農山漁村一体にした、いわばレベルアップの計画でございまして、お話しのように、中心都市だけを考える、そこだけの施設を充実する、こういう考え方のものではございません。それからさらに、ただいま道路の整備というようなものも行なわれなければならないという御指摘でございましたけれども、やはりそういうような全般的な計画をいたしまして、しかも市町村の行ないますサービスが圏域全般に及ぶというためには、道路の整備ということは基本の問題になるわけでございます。したがいまして、道路の整備ということは基本になるわけでございますけれども、それではどういう事業をどう取り上げていくかということは、ただいまお話しのように、各市町村協力をいたしまして、その市町村行政サービスが全域に及ぶような考え方を基礎に取り上げられ、必要なものを順次取り上げていくべきだろうと思っております。私どもは、中心部だけの施設整備充実、それだけで問題が終わることは、決して広域市町村圏の本来の考え方を実現することではない、こういうふうに考えております。
  185. 山本弥之助

    山本(弥)委員 この五十五の区域は、自治省のほうでどういう計画になっておるかということの大体の傾向といいますか、どういう事業を取り上げ、どういうことになっているかというふうな趨勢、もうすでにおわかりでございましょうか。
  186. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 五十五カ所につきましては、各圏で地元の実態から、ひとつこれから先やっていきたいという事情が整ったところにつきまして、市町村圏が相談をいたしまして、自治省が相談をして指定をいたしたわけでございます。現在この五十五カ所については、その広域市町村圏整備計画を作成中でございます。具体的にどういう仕事が傾向として多いかというようなところまでは、私どものほうでまだ詳しく承知をいたしておりません。現在計画を作成中でございます。
  187. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私、当然だと思っております。当該市町村計画をそれぞれ立てて、そして広域圏がどういうふうに協力し合うかという計画を立てるということは、将来にわたる問題ですので、これは当面必要な施設としてどういうものがあるかという選び方にもよろうかと思います。あるいは将来長期にわたってどういう体制をとっていくかということによりまして、計画の内容も変わってくるんじゃないか、私はこう思いますが、すでに予算を見ますと、来年度から二カ年、一地区二千万でございますか、事業費補助というのでしょうか、そういうものを予定されておるようでありますが、そうでございましょうか。
  188. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 来年度の予算につきましては、ただいまお示しのような予算要求をいたしたわけでございます。それで、いかなるものについて国として補助をするか、そういうことでございますが、一般的に申しますと、広域市町村圏事業のうちの根幹的な事業、これにつきまして国も奨励をするような意味で補助をする、こういう考え方でございます。具体的には、各市町村圏の計画に従いまして事業の内容も異なってくるであろうと思います。ある地域におきましては、たとえばし尿処理なりじんかい処理なりというものを共同してやっていく、それについていまの国の補助金を充てていくということも考えられると思います。また、ある地域におきましては、たとえば医療行政につきまして、関係地域を一体にしたサービスのネットワークを組んでいく。その場合に、巡回診療車でございますとかあるいは患者の輸送車というようなものについて、国の補助金を充てる、こういうようなことも考えられるわけでございます。私どもは、その補助金の使い方につきましては、現在研究をいたしておりますけれども、いま申しましたように、いわば一種のメニュー方式、その地域について根幹となるような事業について国が補助することを考えていきたいと思います。
  189. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いずれ詳しく財政計画あるいはその他の法案審議の際にもお聞きできると思うのでありますが、その二千万というのは、非常に少ない金額のような感じを受けるのですが、それを交付するのは——その前にちょっとお聞きしますが、調査段階において五十五というのは、やはり一部事務組合になったわけでございますか。
  190. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいまの御質問は、おそらく計画を現につくっております、これを一体どういう形でつくっているか、こういう御質問であろうと思いますが、五十五カ所のうちの大半は、会という方式で計画をつくっております。一部事務組合でつくっておりますのもわずかあったかと思いますけれども、大半は協議会方式で現在計画を作成中でございます。
  191. 山本弥之助

    山本(弥)委員 任意の協議会で、いろいろな話し合いを進めていくという形式で進めてきたということですね。
  192. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 ただいま協議会と申しましたのは、御承知のように、地方自治法計画策定の協議会という規定がございます。その規定でやったものもございますし、それから任意の事実上の話し合い計画をつくったというものもございます。
  193. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、できてまいりました事業の内容により一千万とか二千万という金額は、個々の市町村に補助する場合も、あるいは新しく事業を遂行するための一部事務組合とかそういったものにも交付するというふうな、いろいろな形式があり得るわけですね。
  194. 宮澤弘

    ○宮澤政府委員 お示しのように、ある事業関係市町村が一部事務組合をつくって実施をする。そのような場合には、その事業については一部事務組合ということになります。それから、たとえば広域市町村圏計画に基づきまして関係市町村全般のため、ある市町村がある地域に何か施設をつくるといった場合には、当該の市町村が対象となることがあるわけであります。
  195. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういたしますと、この二千万以外に何か起債あるいは交付税で配慮をするというようなお考えはおありになりますか。
  196. 長野士郎

    ○長野政府委員 来年度の地方計画におきましては、単独事業の中に広域市町村圏分として三十億円、地方計画としては一応内容として予定をいたしております。それから、さらに地方財政計画の上におきましても、そういうものを含めまして、広域市町村圏事業は相当額食い込んでまいる、こういう予定で現在策定中でございます。
  197. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いずれ詳しいことは財政計画等でお聞きしたいと思うのでありますが、私は、この際、来年度はさらに七十を追加するということでありますが、希望する地域は比較的早い機会にこの調査を進められることが、むしろ事業に入るという場合には、当該事業によっては、たとえばし尿処理とかそういうものは、そういうことの補助事業として遂行ができることもあり得ると思いますので、ある程度の助成ということは必要かと思いますけれども、むしろ全国的な趨勢をつかむ意味におきましても、どういう傾向になっておるのかということを、七十の区域を拡大して、比較的希望するところは多くいわば計画の作成というようなことに入ることが必要ではないか、かように考えますが、大臣、いかがでございましょうか。
  198. 秋田大助

    秋田国務大臣 もう少しく多数の地域を指定して、早く計画の内容等を察知すると同時に、大体の傾向を知ることも必要であろうと思います。できればもっとスピードアップをして指定をしていきたいと思います。本年度の予算折衝におきましても、もう少し多くの個所を四十五年度は指定していきたいと、いろいろ予算当局とも折衝をいたしたのでございますが、そういう数字に落ちついたわけでございます。
  199. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私は、大臣もそういう御意向を持っておられるとするならば、こういう広域的な市町村圏、いわば市町村の単独ではでき得ないことを共同で推進するということが必要であるならば、やはりその全国の趨勢、地域的なあり方ということをつかんで、いわゆる将来の機構の問題にしろ、それがほんとうに地域住民ためになるのかどうなのかということを大局から把握する上におきましても、多少予算のやりくりをいたしましても、一千万という補助金といいますか、それはたとえば、具体的に申し上げれば、私どもの盛岡市を中心とする区域をお取り上げ願ったわけでありますが、まあ、ないほうよりあったほうがいいと思いますけれども、おそらく各地域が共同してやるというときには、それはプラスにはなりましょうけれども、こういう、広域広域と言っておるけれども、全国的にどういうふうな市町村考えておるか、あるいは市町村が意欲的にどうやろうと考えておるかということを把握する上におきましても、将来の末端行政、最も基礎的段階になる市町村のあり方を考える上におきましても、できるだけ無理をしても、予算の差し繰りをしても、比較的多く希望するところを把握されるということが賢明ではなかろうか。まあ年次的に五年計画で一番あとになる区域も出るというようなことでは、  一応かっこうをつけたというようないままでのあり方で、山村振興でも次から次にこうやって、まだ不十分なやつを打ち切るというようなことになるきらいがあるわけでございます。いわゆる行政需要の点を把握するという意味におきましても、そういうふうなあり方が必要ではなかろうかと思いますので、この点は御検討を願いまして、時間の関係もありましょうから、要望だけにとどめておきたいと思います。  それからもう一つ、基本的な問題として、昨年たしか六十一国会におきまして、奥野委員から要望といいますか、あったかと思うのであります。地方地域住民ために必要であるとするならば、たとえば指定都市の問題等も、地方自治法にございます該当の市はどんどん指定をして、地域住民ために十分、変わってまいります情勢に対応して行政措置ができるように、できるだけ思い切って指定をされる必要があるんじゃないか。指定の出し惜しみというようなことでなしに、これは早くそういう措置をとられることが必要だ。そういうことによりまして、私は、いつまでも市と府県との関連というものが、いわば理論のための理論に終わりまして、地域住民ということをほんとうに考えない、生きた行政にならないという心配があるのではないか、こう考えますので、早く指定すべき必要がある、こう思いますが、いかがでございましょう。
  200. 秋田大助

    秋田国務大臣 指定都市の問題につきましては、前向きに検討をしてまいりたいと思っておりますので、いましばらくお待ちを願いたいと思ます。山本委員のお考え趣旨において検討を前向きに進めておるところでございます。
  201. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私の考えは、さっき門司先生も多少そういう意味のことを言われましたが、今後地方自治体をいかに強化していくかということについては、どうしても住民に密接しております末端の市町村ということを考え、それを補完する広域団体というふうな考え方に、それで足らぬところは国と協力し合うというふうな考え方に立ちまして、私は、迅速にまず市町村を強化するのだということについてのお考えを常に持っていただきたいというふうに考えます。これを要望しておきます。  次に、地方財政の充実ということでありますが、いずれこれも機会があろうかと思いますけれども、交付税の問題について大臣は、明年度以降における地方財政の健全性を確保する見地から減らしたのだ、こういうふうに言われ、地方行政のベースからこの問題をお取り上げになっておられるようであります。これは一応こういう文章を書かざるを得なかったと思うのでありますけれども、大臣の本旨はいかがでございますか。
  202. 秋田大助

    秋田国務大臣 十分とは申せませんが、あのような処置をとりましても、明年度以降における地方財政の健全性は確保できるというようなつもりでございまして、多少表現が的確ではなかったかと存じますが、さようなつもりでございます。
  203. 山本弥之助

    山本(弥)委員 そういう答弁をなさると、大臣が御苦労なさったということはさっぱり委員会ではっきりしないという感じがするわけでありますが、この問題につきましては、私いずれ交付税のときに御質問したいと思いますが、大石政務次官は、多年地方行政委員会理事として、地方行政につきましてはベテランであり、過去のいきさつについては十分おわかりになっておると思うのであります。私は、この交付税の問題はすでに解決済みである、ただ残っておるのは、年度間調整をどうするかという問題だけだというふうに考えておるわけであります。この年度間調整は早急に決定する。しかも、前の野田自治大臣は、自主的に決定をする、自治、大蔵で決定をするという申し合わせになっておるけれども、自主的に自治省できめる、こういうふうな答弁がありましたけれども、これは大石政務次官の補佐よろしきを得なかったのではないですか。これは御破算になったのでございますか、どうなんでございますか。
  204. 大石八治

    ○大石政府委員 しまいのほうから申し上げますと、御破算になっておるとは全然思いません。覚え書きで書いている事項はそのまま続いていると思います。今度の場合、文字に書いて覚え書きをしないということについて、あるいは大臣どういうふうに御答弁をいたしたかその点は知りませんけれども、そのことはそのまま続いておるというふうに私は理解をしております。
  205. 山本弥之助

    山本(弥)委員 それでは、年度間調整ということに御努力になられて、大臣の補佐をされて、一項だとか二項、こういった問題はすでに問題外なんですね。覚え書きは、「当分の間、相互に、地方交付税の率の変更を求めることはしない」「昭和四十三年及び四十四年においてとられた特例措置は今後は避けるようにする」この「避けるようにする」ということは、昨年の委員会自治大臣に御質問しましたが、避けるというのは、どうも将来に禍根が残るのではないかという質問に対しまして、これはしないという意味に了承願いたい、こういう答弁が出たわけなんです。これが生きているとすれば、今度もまた例外中の例外ということになるわけなんですが、生きていることは間違いないわけですね。
  206. 大石八治

    ○大石政府委員 この前の覚え書きのときは、年度間調整という問題と、ある意味では気持ちの上で貸し借りの問題というのを一挙解決という気持ちがあったと私どもは考えております。ところが、年度間調整という問題が、その間に結論がなかなか出ないわけです。したがいまして、年度間調整の結論の出ないまま今日のところに入ったわけですけれども、私どもとしては、野田自治大臣のときに覚え書きを交換しました。貸し借りというような形のものは、今後避けるようにしたいという精神を実はやったわけであります。数字のことを言うと、まずくなるかもしれませんが、前年度は六百九十億、今度は三百億ということでありますけれども、三百億という数字で実質的に地方団体はどうなるかということを、いろいろ検討した結果でありますけれども、補正予算等の問題もありまして一まあ山本さんの顔が浮かんだり、山口さんの顔が浮かびましたけれども、われわれの努力が御了承をいただけるのではないかという感じで、ああいう結果になりましたけれども、われわれ——われわれというよりも、大臣の非常な御苦労というものを御了解いただきたいし、しかも私は、ああいうことをしたことを、とても皆さんの前で大いばりなんという感じは全くありません。最小限度のことであろうということでやったわけでありますので、御了承を賜りたいと思います。
  207. 山本弥之助

    山本(弥)委員 どうも苦しい答弁でしたが、町村会から送ってくる「町村周報」というのがあるのですが、これはほんとうかうそかわかりませんけれども、今度は覚え書きではなくて、何かメモのようですけれども、これを見ますと、「明年度地方財政対策の処理について」と、いかにも地方財政側に立って覚え書きが出たというふうな書き方になっております。この文章は町村会でこういうふうに書いたのかわかりませんが、それはともかくとして、私は、自治省はよっぽど腹を締めてかからないと、もう年度間調整というのは、大蔵省のベースで進んでいるような感じを受けるのです。たとえば損得はなしといいますけれども、四十三年は四百五十億でございましょう。それから四十四年は六百九十億、今度は、間違ったら財政局長に御指摘願いたいと思うのですが、三百億借りられるわけですね。そうして三百八十億は返さないわけですね。もう四十四年度に返したからといって返さないわけですね。  それからもう一つは、特別事業債と、それから減税補てん債の元利償還、これは二百十八億だと思うのですが、これも数字を訂正願いたいのですが、これは伸ばしたのですか、打ち切りにしたのですか、御答弁をあわせて伺いたいと思います。これを合計いたしますと、約九百億ぐらいになるんですね。毎年四百五十億から六百九十億、今度は九百億というふうに、いわゆる国のベースで地方財政関連のある交付税が、国の財政のつじつまを合わすことに適当に利用されている。金額はだんだん多くなっているという感じを受けるんですね。  それから、交付税の伸びも一つお聞きしたいのでありますけれども、おそらく四十三年から一定の率に押えられておるのではないだろうか。これも事務当局からお聞かせ願いたいと思います。いわば交付税の自然増収も一定の率で押えて、その上を国が取り上げる。もうすでに大蔵省のベースでいわゆる年度間調整というものが進んでいる。しかも地方自治体の側よりも、むしろ国の財政のつじつまを合わせるということで進められておるという感じを受けるのであります。それで、いわば四十四年度補正予算で操作したというようなこともありましょうけれども、私の申し上げた四十五年度で国の財源措置される額、それと交付税の四十三年からの伸び率、これをお聞かせ願いたいと思います。
  208. 長野士郎

    ○長野政府委員 先ほどのお話関係でございますが、最初の問題でございますが、四十三年度の三百億円、それから四十四年度の六百九十億円、こういうものがあったじゃないかというお話でございますが、それはそのとおりでございます。その点につきましては、それを合計いたしますと、九百九十億、こういうことに相なっておったわけです。これに対しまして、追加措置といいますか、六百九十億という本年当初におけるところの交付税の減額が、今度の追加補正予算によりまして三百八十億こちらに返ってきたというかっこうに相なります。したがいまして、来年度の状況におきましては、六百九十億の中の三百八十億が返ってまいりますから、六百九十億ではございませんで、それが三百十億になっているわけです。それから四十三年度からのものは三百億なお残っております。それから四十五年度の交付税総額からも三百億の減額というものがこの上に重なるわけです。そういたしますと、これは九百十億ということに相なります。したがいまして、その点では貸し借りがふえたではないかという御指摘がございますけれども、そういう意味では九百九十億という形が、来年度の状況におきましては、九百十億という形に、つまり少なくとも八十億は貸し借りの幅は減ってまいっている、こういうふうにお考えいただくこともできるのではないかという  ふうにも思うわけでございまして、その点では、先ほど来お話がございますが、多少ともその点でさらに貸し借りの幅がふえたという事態を最小限度避けることができたというふうにも考えており  ます。   それから臨時減税補てん債の関係、特別事業債の償還金関係、これは四十五、四十六年の二年度間に限って交付税で肩がわりをするということでございまして、その以降の問題は、その以降当然交付税で肩がわりをしてしまうということではございません。  その次に、交付税の関係でございますが、四十三年度は、前年度に対しまして二四・六%、それから四十四年度は二五%でございます。四十五年度は対前年度比は二一・八%でございます。ただし、これにつきましては、今回の補正予算におきまして二百八十二億円を、これは考え方はいろいろあると思いますけれども、本年に土地開発基金として府県に交付するということにいたしましたのは、諸般の事情から、来年度に交付するよりは、早く準備を整えて、公共用地の先行取得というものに手を打つことが適当ではないかという観点からいたした措置でございます。したがいまして、その点では、二百八十二億は府県分としては来年度を含めて考慮していただいてもいいのではないか、このように思っております。そういうものを含めて考えていただくということで考えてみますと、伸び率がだんだん下がっているじゃないかという懸念はございますが、来年度を通じましての二百八十二億は、本年度分と来年度を通じまして、来年度におきまして、本年度と同程度以上に使える財政措置が行なわれたのではないかというふうに考えております。
  209. 山本弥之助

    山本(弥)委員 いずれ詳しくまたお聞きしたいと思いますけれども、私の申し上げるのは、いまの御答弁にありましたように、その年度の交付税の関連において、国に使う金というものが本年度は減額になりましたけれども、四百五十億から六百九十億、来年はさらに九百億近いというふうに、国の財源に充当する額は増額しておるではないか。しかも、交付税の率は昨年おそらく一三%くらい伸びるものを二〇何%に押えているわけですね。すでに年度間調整をやるということが、地方自治体の側において、いわゆる直接特別会計に入れてそれで操作をするというのではなくて、国との関連においての交付税の調整、自治体としての調整ではなくて、逆に国としての調整が、一定の交付税の伸び率を押えるという操作によつく過去三年間巧妙に進められてきておる。しかも、覚え書きを破棄されながら。だから早く——さっき大石政務次官が言われたように、三項目のうちの二項目は生きておる、年度間調整だけが未解決で残っておるとするならば、早くこの問題を自治、大蔵両省の間でやらぬと、いわば補正予算との関連の差し引きでは損がないというような関係で、巧妙に交付税の伸び率も適当に押えられ、それから国の財政に使われる金も知らぬ間に額はふえ、そして年度間調整の話し合いが延びていけばいくほど、不利になるのは地方行政であって、大蔵省のほうは延ばすことによって適当に、おまえのところは損がないというようなことで、うまく大蔵省のベースで調整されているんじゃないかということを言いたいわけです。いずれまた詳しく質問したいと思いますけれども、政務次官、そこのところ相当しっかり願わぬと、これはいかぬと思いますが、どうでしょう。
  210. 大石八治

    ○大石政府委員 皆さんとは長いつき合いですから申し上げたいと思うのですけれども、決して今度の結果を、私、皆さんの前に誇らしげに話すつもりは全くありません。しかし、予算編成の過程のことは、新聞で皆さん御承知のとおりだと思うのですけれども、それ以外に義務教育費の問題とか、国民健康保険の問題とかあったわけですが、実は自治省という立場で、府県なりいわゆる地方団体に影響する立場ということで、私どもはそういう考え方はとらないということでがんばったわけです。  ただ、私がいま一番気になっていることはどういうことかと言いますと、先ほど門司先生もお話があったり、その他の各党の代表者の御意見等もあって、地方自治体の財政は楽になっているか楽になっていないかという問題の認識が、全く違うということであります。これは大蔵とわれわれが違うとかということだけでなしに、全体の理解にその差があるわけであります。しかも、私自身の感じでいえば、いわゆる社会的理解が、地方自治体は楽になっているという感じのマスコミもないわけではないわけで、私は、やはりわれわれの考えというものを日本の財政の中で貫くためには、社会的理解というものがなければこれはできない。地方自治体は楽になったのだ。私は数字的な財源はふえていると思うのです。そういう意味では楽になったと思う。しかし、地方自治体はこういう急転する社会の中でやらなければならない任務が一ぱいある。その一ぱいの要求の財源ということになれば、全くそぐわない形になっている。しかも数字的に黒字になったということは、やるべきことをやらないで済ましているから、結果的に黒字になっている。しかも社会的な要求というものは、地方自治体を通じて出てくる。市町村というところで解決できないという、そういう姿が実際ある。きょうは地方行政委員会ですから、いろいろなそういうことについての御主張なり御意見が出たわけですけれども、その地方自治体に金がないのだという一般社会の理解というものはどうなっているのかというと、地方自治体というのは何か楽になってきているのだ。そういう雰囲気の中で私たちは地方自治体を守ろうとしているわけです。もし私どもがこの一つの雰囲気を破るためには、どういうPRをすれば一体社会に理解をしていただけるのだろうか。いわゆる政府というものを含めて理解がしやすいのだろうか。また、一般社会の人も理解しやすいのだろうか。自治省のそういうPR活動に一体どこが抜けているのだろうか。どこを押えていけばそういうことがぱっとわかっていただけるのだろうか。そういうことの問題を考えないといけない。貸し借り三百億などという問題では実はない。よく地方交付税は固有財源かどうか、私は固有財源だと思っております。しかし、私自身が今度は政府側になっていったときに、どういう感触を持っているかというと、逆に三二%が固有財源だということになると困る。実は二九%の時代もあった。それがだんだんふえて三二%になった。それは流動するものである。だから、地方交付税は固有財源であるということは、私は信念として思いますが、三二%というのは実は固有のものではないのだ。それが何%もっとふえたって私はいいのだ、三二%は固定されたものではないのだというふうに思っているわけですけれども、いま三二%を防衛するために苦心惨たんしているようなかっこうで、またおかしいわけであろうと思うのですが、だからそういう意味で、われわれがいわゆるマスコミその他一般社会に対してどういうPRが一番足りないのか。きょうもお話がありました、住民に一番接触する地方公共団体、いわゆる市町村というものを重視しなければならぬという雰囲気と、それがどういうふうに金が足りないままに住民に不満を与えているのかという問題について、社会的理解を得ることが先にならないと、私どもが予算折衝などというああいうバトンタッチのような瞬間の中で、この問題を解決するのはなかなかたいへんだ。自治省の者は一生懸命にやっているわけですが、雰囲気が、よくいわれるように、御質問にありましたとおり、地方財政はよくなったといわれるが、こういうことについて御質問を受け、私どもは思っておりません、こういう繰り返しは無意味であろうという感じが実はしているわけです。  ただ、多少私ども、地方自治体に対して自治省として考えなければならぬことは、きょうちょっと東京都も出ましたけれども、三千何自治体という中で、あまりうまくないことをやる。そういうものが少しあるために、それが財源が楽だからやっているのだろうというふうにとられる可能性もあるので、その点はやはりきびしい指導をしなきゃならぬと思いますが、事態はそういうものじゃないという認識の上に、今後も努力をいたしたいと思いますので、ぜひ三百億だけのことでなしに、応援をお願い申し上げたいと思います。
  211. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 関連。  いまたいへん有弁な御答弁がありました。ただ私は、そういった社会的な認識がいろいろ問題があるということを言われましたが、それならば、大臣地方行政委員会で明確に約束されたことは守ることから始めるべきだと思うのですね。昭和四十三年、赤澤自治大臣は、四百五十億国に貸しましたが、明年度は絶対やりませんということを言い切られました。そうしてまた四十四年、野田自治大臣になりまして、覚え書きが取りかわされて、明年は避ける——避けるという意味は、やらぬということを明確に言われた。すでに今度三度目なんですね。そうでしょう。赤澤自治大臣の際、野田自治大臣の際。二度あることは三度あるといいますけれども、三度あっては次はないだろうと期待はしておりますけれども、昔から、仏の顔も三度といいます。ですから結局、去年ばかりじゃない、赤澤自治大臣、野田自治大臣、二回にわたって当委員会で約束をした。これは自治大臣として約束したばかりじゃないのです。大臣というのは、内閣の構成の一員であって、内閣を代表して当委員会に約束をされたことだと思うのですね。それが二回にわたって破られるということがあることが、やはり社会的な認識にもつながっていくんじゃないかと思うのです。少なくとも、当委員会大臣が約束されたことが、二回も破られるということ自体が問題があるんじゃないかということを考えざるを得ません。この間の経過は、大石政務次官は十分御存じでありますから、あえて政務次官にはお尋ねいたしません。  大臣、そういった経過を踏まえて、内閣を構成する国務大臣としての御答弁を私はいただきたいと思うのです。
  212. 秋田大助

    秋田国務大臣 覚え書きの趣旨は十分承知をいたしておりますので、私といたしましても、極力いたさない方針を堅持いたしまして、それを貫きたく努力をいたした次第でございます。しかし、大蔵省との折衝の過程におきまして、ただいま政務次官からもお話しのありましたとおり、いろいろ補助金負担要請等の点についての大蔵省側の要望もあり、いろいろ考慮をいたし、ただいま財政局長からもお話しのとおり、これは積極的に申し上げられる筋ではございませんが、貸し借りの額においても八十億減額になることでもあり、万やむを得ず、諸般の情勢等を比較検討の結果とりました処置でございまして、覚え書きの趣旨に反しておることはまことに遺憾でございますが、万やむを得ずとった処置であるということを御了承願いたいと思うのでございます。
  213. 山口鶴男

    ○山口(鶴)委員 私はあした予算委員会の一般質問に立ちますので、覚え書きの調印者は自治大臣ばかりじゃなくて、大蔵大臣、しかも、幸いにして大蔵大臣は昨年の大蔵大臣がまた本年の大蔵大臣でもありますから、この点は明日一般質問で承りたいと私は思っております。そういうわけですから、これ以上お尋ねはいたしません。  しかし、大蔵大臣にも大きく責任がありますが、やはり自治大臣に責任があるということは否定し得ないと思うのですね。その点だけ十分御認識をいただきたい、これはお願い申し上げておきます。
  214. 山本弥之助

    山本(弥)委員 私もこれ以上申し上げる必要はないと思いますが、大臣と大石政務次官の御苦心のほどは、私ども新聞等を通じましてよく了承をいたしております。ただこの「当分の間」というようなことも、これは詰めてあるわけでありまして、本会議で私は大蔵大臣から、当分の間というのは、根本的な税源の配分というような大きな問題のあるときまでは三二%は変更しないのかということに対して、そのとおりですという答弁を得ておるわけでありまして、これは本会議における大蔵大臣の言明でありますので、その辺のことと、先ほども申し上げました経緯等もお考えくださって、よっぽど地方財政の側に立っての御努力を願わないと、知らず知らずのうちに大蔵ベースにはまっていくのではないかという心配、伸び率その他から考えまして、そういう不安がございますので、よろしくお願いしたいと思います。  それからあと二点だけ、時間がたっておりますので、御質問いたしたいと思います。  一点は、簡単に先ほど来お話しになっておるわけであります。過密の問題につきましては、総合的な立法ではありませんが、都市計画法にいたしましても全面的な改正法案でありますが、あるいは再開発法にいたしましても、それぞれ手が打たれておるわけであります。過疎については、かろうじて山村振興、あるいは昨年議員立法で私どもも自民党の提案に協力するということでいろいろ詰めたわけであります。これはむしろ積極的にこの際自治大臣の英断によって過疎対策のいわば解決についての立法の提案をすべきではないだろうか、かように考えますが、その御意思おありでございましょうか。
  215. 秋田大助

    秋田国務大臣 先刻もお答えを申し上げましたように、諸般の事情上、自治省といたしましては、議員立法でお願いをいたしたいと考えております。
  216. 山本弥之助

    山本(弥)委員 過疎対策について真剣にお取り組みになるという御意思は固いわけでございますね。
  217. 秋田大助

    秋田国務大臣 さようでございます。
  218. 山本弥之助

    山本(弥)委員 大臣の非常に明快な御答弁をいただきまして、私どもも非常にうれしく思います。大臣の意図を体しまして、私どもも議員立法の際にはできるだけ過疎対策の姿を整えるような努力をいたしたいと思いますので、むしろ大臣のほうから御援助をお願い申し上げておきたいと存じております。  次に、最後にお尋ねしたいと思いますが、地方議員の選挙区の問題でありますが、市町村会議員は、これは市町村の区域によることは当然でありますが、県会議員の選挙区につきましては、これは公職選挙法第十五条で郡市の区域によるということになっておるわけであります。町村合併その他によりまして非常に変わってまいっておるので、それを是正するような規定もあるわけであります。これは自治省の横田事務官が、「選挙時報」にお書きになったので、これは実情でありまして、意見にわたるようなことがありませんので、おそらく実態は間違いないものと私存じておるわけであります。これによりますと、新しい自治法ができました昭和二十二年には大体市郡の区域が守られておる。市の区域が二百九十九で三六%、郡区が五百四十で六四%。しかもそれは均衡がとられておって、そうして一区の定数を見ますと、大体一人区というのが一八%、そうして二人区、三人区、四人区が県会議員の選挙の中核をなしておって、これが六三・五%を占めておる。いわば郡市の配分からいって大体妥当であり、選挙区の構成からいいましても、二人から四人区というところが県会議員の選挙の中核をなしておる。しかも選挙区の地域を代表し、県全体のことを県会議員が審議をするという使命からいいましても、妥当なかっこうになっておると私は思うのであります。ところが、最近、町村合併その他ができまして、あるいは新市が誕生するということで、郡全体が市になったところ等もあるわけであると思うのですが、そういたしますと、最近四十三年十一月の調べのようですが、市の区域のほうが逆に六百五十一の五七%、これはだんだんふえてくると私は思います。郡のほうが四百九十一で四三%、こういうふうに郡区のほうがどんどん減っていく。しかも一区の定数等を見ますと、かつて一人区というのが一八%で、二人、三人、四人区というのが圧到的多数であったのが、逆に一人区が四〇%になっておる。そして極端なことになりますと、これは川崎市だと思いますが、十八人という選挙区になっておるところ、これは極端な例でありますが、いわば選挙区を決定いたしました二十二年のときの妥当な選挙区、大体二人、三人、四人区を中心考えておったというのが、一人区が重点になってきた。これは極端になりますと、同じような規模の人口を持っておる隣接しておる町村が、一つは五人とか三人の選挙区に入っておる。一つは一人区でその町から一人を選ぶというふうな、非常に選挙区としては不均衡な状態になっておる。先ほどいろいろ御質問申し上げました広域市町村圏というような構想も、今後はやはり相当進んでいくのじゃないか。しかも郡という単位が今日問題にならなくなっておる。そうしますと、いわば市町村ということを単位にし、幾つかの市なり町村を適当に関連せしめて、二人、三人、四人というような選挙区の人員を適正に配置することに選挙法を改正することが、私は、県民の意思を県政に反映させることにおいてきわめて妥当なことになるのではないか、かように考えるわけですが、この選挙区につきまして御検討を願うべきではなかろうかと、かように考えますが、その点をお伺いいたしたいと思います。
  219. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説のような感じは確かにするのでございますが、しかし、一応郡市というのが地方会議員選挙の選挙区の単位になっておって、その郡というようなものはやはり歴史的な社会的な関係から選挙の際の一単位と、こうずっと考えられた意識がございますので、これを全然離して、広域行政の要望から、こっちを動かすというのには、まあ多少抵抗を感ずるのでございまして、もしあまりにもこれが平均人口割りにして少ないというような場合には、多少分合について考えてもよろしいと思いますが、まずいまのところ、この郡市の単位を選挙区の単位に考えて処置をしていくことには、ある程度の妥当性も考えられますので、いずれ検討いたしたいとは思いますけれども、いま直ちにこれを改めようという考えは持っておりません。しかし、さらに十分検討はいたしたいと思っております。
  220. 山本弥之助

    山本(弥)委員 今国会に提案してほしいという意味じゃないわけです。大臣の答弁を聞いておりますと、あまり考えなくてもいいような——私どもの考えている重要な問題はどうも従来の行きがかりにこだわっているような感じを受ける。しかもいま郡というのは、県民性からいっても郡なんて考えているところはないんですよ。市町村がどうまとまろうかというだけのことなのでして、郡が基準になっているという意識は全然ないわけです。しかも郡が市によって分断されて、その分断された村は隣接の市と経済圏なんかも一緒になっている。そういったときに、いつまでも古い郡市の区域というのは、郡というのは何ら意味のない体制になっている。いわば市町村単位にそれをどう配分がえをするかということは、当初選挙区をきめたこととだいぶ変わってきておる。無理して一人区を出している。そういうときにはやはり私は、選挙区から適正な人員を出すということについては——これは今回の国会に御提案願いたい、来年選挙があるからそれに間に合わしてくれというようなことは私は考えておりませんけれども、早急にこういう問題を検討される必要があるのじゃないか、むしろ。そうじゃないと、いつまでも不合理な選挙区から選出されてくる。選挙運動期間にいたしましても、一方は期間が短いというようなことであり、一方は運動のしようがないほど狭い範囲で、どうにもならぬような長い期間運動しなければならぬというような不合理が現に出ておる。適正に選挙区を配分し、県会議員が適正に選ばれてくるということは、早急に、国会議員の選挙区も不合理になっておりますが、これを是正すること以上に当面急務ではないか、私はかように考えますので、いますぐというわけにはいかぬと思いますが、早急に、来年度の国会までに間に合うようなことは、ぜひお考え願いたい、かように考えております。
  221. 秋田大助

    秋田国務大臣 お説わからないではありませんが、しかし、全然郡市の観念がないということはないのでございまして、われわれは選挙においても体験しておるのですが、郡市というものは、地方行政上の単位としては問題にならないといたしましても、地方民の感情上はやはり郡の代表、市の代表という観念はございます。やはりこの感情というものは長い間の歴史的、社会的生活事情の観念、これは法規とは別に自然的に形成されました意識でございまして、これと全然無関係に選挙区制の区域を設定していくということにつきましては、十分考慮をいたしてまいりたいと考えております。したがって、そこいらの点は研究課題として研究をさしていただきますが、次の機会までに必ずこれを出せというようなことにつきましては、もう少し時間と余裕を置いて研究をさしていただきたいと思いますが、この地方民の感情という現実も無視できない点をひとつ御配慮を願いたいと思うのでございます。
  222. 山本弥之助

    山本(弥)委員 終わります。
  223. 菅太郎

    菅委員長 青柳盛雄君。
  224. 青柳盛雄

    ○青柳委員 共産党を代表して、大臣その他関係各位に質問いたしたいことはたくさんあるのでございますけれども、     〔委員長退席、塩川委員長代理着席〕 今国会が短い会期の中でたくさんの審議をおやりになるという関係で、大臣所信表明に対する質疑も本日限りで打ち切りというようなスケジュールになっておりますので、私はきわめて短い時間において一、二点お尋ねいたしたいと思うのであります。  先ほど来社会党の山本委員から質疑のありました地方交付税の問題についてお尋ねいたしたいのでありますが、四十三年以来地方交付税の繰り延べといいますか、借り上げと申しますか、一定額を削減され、その年度には使われないというたてまえでやってこられたようであります。これがたいへんな当委員会での問題にもなっていることも存じておりますけれども、依然としてこれが根本的な解決を見ていないように考えられるのでございます。そこで、私ども考えますのに、地方交付税の一部を繰り延べという形で地方のほうへ交付しない、そういうやり方を大臣がおやりになる法的な根拠があるのかないのかという疑念を持たざるを得ないのであります。地方交付税法の四条を読みましても、どうもそれがはっきりいたさない。交付税は固有の財源であるということは定説になっております。その総額は六条できめられているのでございまして、これは当然その年度の交付税の総額として交付されなければならないたてまえになっていると思いますが、それを大蔵大臣その他との話し合いで一定額繰り延べにする、借り上げにする、国の一般財源のほうに持っていかれてしまうということが、法的に正しいものかどうか。この点きわめて基本的な問題でございますので、一点最初にお尋ねいたしたいと思います。
  225. 秋田大助

    秋田国務大臣 そこで、いまの繰り延べという措置を、そのつど法律に書きまして、特例として措置をいたしておるわけでございます。
  226. 青柳盛雄

    ○青柳委員 一部を改正するという形でやるのだから、法的には、その法律が通れば、それで何ら権限侵犯といいますか、権限を侵したことにはならないということでございましょうが、事前にこれをやってしまわれて、そしてあとから予算審議あるいは法案審議の中でそれが追認されるという形になるようでございますけれども、こういうことをいつまでも繰り返しておりますと、先ほどからいろいろと御論議がございましたように、弊害と申しますか、地方財源の確保という問題が非常に危うくなってくるということを、われわれは心配しないわけにはいきませんので、この点で本年度また三百億を繰り延べるということをおやりになるにあたって、今後の措置でございますね、これについては何か明確な方針をお持ちになっていらっしゃるのでございましょうか。
  227. 秋田大助

    秋田国務大臣 大蔵大臣との折衝過程において御承知のような処置をとって、これをやるにつきましては、年度間調整なりあるいは特別会計に直入する特会直入の制度の確立をまず基本的にははかっておかなければならない点も十分留意しつつ、この問題につきましては、大蔵省と自治省との間で急速に真剣な検討をして、次の予算措置の場合までには何とか解決をつけたい。こういう考えに基づいて、この点さらに話を詰めるという約束を大蔵大臣との間にいたしております。
  228. 青柳盛雄

    ○青柳委員 一般的なことでは大蔵大臣とお話し合いがあったようでございますが、具体的にそれでは、三百億をどのようにして今年度以内に繰り入れる、あるいは来年度あるいは再来年度に繰り入れるというような点では、まだ未定でございますか。まだその点で具体的な、たとえば四十三年度の四百五十億のときには、百五十億ずつ三年間にわたって計上するということでございましたが、そういうような取りきめはこの三百億についてはまだきまっておらないのでございますか。
  229. 秋田大助

    秋田国務大臣 三年間にこれは返済を受けるという話し合いをいたしております。
  230. 青柳盛雄

    ○青柳委員 それは覚え書きのような形ですでにでき上がっておるのでございますか。
  231. 長野士郎

    ○長野政府委員 三年間で大臣ただいまお答えになりました返済を受けると申しますか、そういう関係については両省間で了解いたしておりますが、なおこの関係につきましては、後ほど御審議を願う予定になっております地方交付税法の一部改正法律案におきまして、その点を法律の上に明らかにすることにいたしております。
  232. 青柳盛雄

    ○青柳委員 この地方交付税の総額の中からそういう特別な措置をおとりになるというのは、地方交付税の交付額というものとの関連において、相当交付税の総額が上回るであろうという見通しを前提にしておられると思うのでございます。そこで、私ども疑問に思いますのは、この地方交付税の交付額をおきめになる場合に、法律できまっている基準の財政需要額とか基準の財政収入額というものの見積もりをおやりになるわけだと思いますが、それがはたして実情に合っているものかどうかという点が、重大な問題になると思うのであります。     〔塩川委員長代理退席、委員長着席〕 実際に必要とする経費よりも少なく見積もられて、そして基準財政需要額を計上されるというようなことがあれば、それは地方交付税の見込みの総額に達しないという場合もあり得るとは思うのでございますけれども、その前提が逆であって、あらかじめこのくらいはひとつ繰り延べにしておこうというような方向があって、その上で基準財政需要額などというものをおきめになるとすれば、そこに重要な地方財源であるところの地方交付税の立場をくずしてしまうんじゃなかろうかということをおそれるわけですか、この点で実情に合っているということがはっきりおっしゃれるかどうか、この点をお尋ねしたいと思います。
  233. 長野士郎

    ○長野政府委員 交付税の総額の問題でいろいろお話がございますが、交付税につきましては、交付税の額の問題のみならず、地方財政全般として考えます場合には、地方税収入の自然増収の見込み、その他もろもろの措置等につきまして検討をいたしてまいるわけでございます。そういうことからいたしまして、的確に需要を把握して、交付税の配分というものの適正を期さなければならないことは当然でございますが、来年度の関係におきましては、やはりそういういろんな財政需要というものを算定いたしまして、交付税の配分の適正を期してまいるつもりでございまして、従来のかっこうからいたしましても、大体現在考えておりますところでは、行政水準の維持向上をはかっていくという観点から考えました場合には、大体税の自然増収その他と見合いまして、地方財政措置としてはまずまず大過なくやっていけるのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  234. 青柳盛雄

    ○青柳委員 地方財政財源、いろいろございましょうけれども、したがって、そこにも自然増というものが見込まれると思いますけれども、現実には地方住民の要求は非常に多うございまして、当然のことだと思いますが、それは大臣所信表明におかれましても、いろいろ解決しなきゃならぬ問題があるということをはっきりおっしゃっておられる。またそういうことを考えればこそ、その裏づけになる地方財政を充実しなきゃならないということでございまして、いまお話しの地方の自主財源その他等々が自然にふえると申しましても、それはとうてい地方住民の要求——公害対策、交通安全対策その他等々でございますけれども、それに見合わないような状況、こういうことを考えますと、交付税を削減するとか、繰り延べなどということでなしに、全部地方に交付する。そしてまた、すでに繰り延べさせられたものも早急にそれを充てるというような措置をとらなきゃならないと思うのでありますが、そういう観点からいえば、いまのお話の基準財政需要は、そういう地方の要求に応じられるものであるというふうには言えないんじゃないか、かように考えるのでございますが、いかがでしょうか。
  235. 秋田大助

    秋田国務大臣 とにかく三百億を繰り延べないにこしたことはないのでございますが、しかし、これを繰り延べたので、もう基準財政需要額ははなはだしく満足させられないのであって、これはとうてい容認ができないというものではない。確かにしないにこしたことはないのですが、まあ諸般の事情からこういうことになったが、これによりまして、従来から引き続き考えまして、地方行政水準のある程度の確保、かつ全体としての地方財政の健全性を保持することを欠くという非常な欠陥があるわけでもないので、万やむを得ずこういう処置をとったということに、ひとつ御了解を願いたいのでございます。
  236. 青柳盛雄

    ○青柳委員 地方交付税について関連してお尋ねいたしますけれども、大臣所信表明の中に、「住民生活の向上をはかるため財源の重点的な投入を通じて、地方道、下水道、清掃施設、公営住宅、義務教育施設等の生活関連施設計画的な整備、」云々と、全部読みませんけれども、積極的にこういう施策を推進するため地方交付税の配分を合理化するということを言っておられるのでありますが、これはどういう御趣旨でございますか。
  237. 秋田大助

    秋田国務大臣 おくれております地方社会資本の充実をはかりまして、常に申しておりますけれども、豊かな地域づくり、街づくりに資さなければならないので、その趣旨に沿うた税配分を実際上いたしていきたいという趣旨でございまして、その現実的な、数字的な配分等に関しましては、財政局長からひとつ御聴取を願いたいと思います。
  238. 長野士郎

    ○長野政府委員 いろいろ最近の状況は、いま御指摘がございましたように、人口急増地域でありますとか、あるいは過疎地域でありますとか、広域市町村圏問題等、いろいろな意味での地域的な関係におきますところの社会事情が、非常に急速に変化いたして、交付税の措置としましては、限界もございますけれども、なるべくそういうものに即しましてその需要というものを把握しながら交付税の配分につとめてまいりたいということでございます。  それぞれの公共施設についての長期的な計画の中で、四十五年度に実施し、推進をしていくべきものについては、それが実施し、推進し得るような措置を講じてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。その点につきましては、四十五年度の地方財政計画、それから交付税法の改正等の御審議を願います際に、いろいろ詳細な点について御説明申し上げさしていただきたいと思います。
  239. 青柳盛雄

    ○青柳委員 ここで前々からおそらく問題になっていることだと存じますが、地方交付税法の二十一条に基づく特例によりまして、東京都に対しては他と違って合算方式をやっておるのでありますけれども、これは東京都の特別区などの財政にとっては非常に障害になっているわけでございまして、このような特例を特に東京都に依然として認めていくということには、疑問を持たざるを得ないのでございますが、これについて大臣は、これを普通のやり方に改正されるという御方針はないのでございましょうか。
  240. 秋田大助

    秋田国務大臣 専門的な分野にわたる点もありますので、財政局長からお答え申し上げます。
  241. 長野士郎

    ○長野政府委員 都と特別区の関係は、もう御承知のとおり、一般の県と市町村関係とはいろいろな点において違っております。まず第一には、東京都そのものが府県の機能と市としての機能とを持っておりまして、そして特別区は、法律に特別に認められた事務、つまりそれは普通の都市が行なっております事務の一部を行なっておるというかっこうになっておることは、御案内のとおりであります。そういうことでありますから、たとえば東京都におきましては、都市計画関係でありますとか、保健所の行政でありますとか、清掃の行政でありますとか、消防関係でありますとかというようなことについては、都が処理しておる。そういう意味では、都と特別区は特別な関係にあるということがいえるわけであります。また、税制につきましても、市町村民税の関係とか、法人事業税とか固定資産税というようなものは、都がこれは課税するということに相なっております。また、その関係からいたしまして、都には、特別区に対しますところの財政調整交付金制度が特別に設けられております。さらにまた、特別区につきましては、固有の職員というよりは、大多数は都の職員が配属されておりまして、特別区の行政に当たっているというようなかっこうになっておりますので、交付税の計算におきましても、都と特別区は、これは一つにして合算して計算することのほうが合理的であるということでいたしておる措置でございますから、これを区分して行なうということは、都と特別区の特殊な関係にかんがみて、私どもは適当ではないというふうに思っております。
  242. 青柳盛雄

    ○青柳委員 いまのようなお考えから、不交付団体にされてしまいまして、東京都の特別区の財源にはいろいろの支障を来たしているのでありますが、それとともに、この地方交付税の制度上、財源が超過団体であるということが一つ理由になって、都に対する地方道路譲与税とか、義務教育教職員給与費国庫負担金など、いわゆる財源調整措置というのは毎年行なわれておりまして、それが累積すると相当の額にのぼっているようでございますが、一方でこういう地方交付税の特別措置をとると同時に、これにならった形で、先ほど申しましたような財源調整措置をとるということで、東京都の住民にとって大きな障害になっているというふうに考えるのでございますけれども、これはいかがでございましょうか。
  243. 長野士郎

    ○長野政府委員 義務教育の国庫負担法等につきまして、義務教育職員国庫負担についての国の負担のしかたというものが、都について異なっているというお話でございますが、これは東京都ばかりじゃございませんで、不交付団体については全般にそういう措置が行なわれておるわけでございます。そういう意味で、財源超過団体と申しては、これは語弊があるかもしれませんけれども、都は交付税の算定上、財源の超過団体の中では一番大きなものでございますので、他の不交付団体と同じようなそういう調整措置を受けておるということは、これは事実でございます。  さらに、都と特別区の関係になりますと、いま申し上げましたような特別区に対する財政調整交付金制度を持っております。これは都と特別区の間の財源配分のものということでひとつ考えていくべきものであろうと私どもは思っております。
  244. 青柳盛雄

    ○青柳委員 時間もございませんので、最後に一点だけお尋ねいたしますが、先ほど来、ときどきことばが出ておるようでありますが、この地方交付税を特別会計におやりになることが望ましいというような御見解も示されていると思うのでありますけれども、これはいっそういう方向で実現されるのか、大臣の御所信を承りたいと思います。
  245. 秋田大助

    秋田国務大臣 予算編成の際に大蔵大臣との間に、今後その問題について話し合っていこうという約束、了解に達しておりますので、国会の用務等が済みましたならば、その機会において話し合い、交渉をしてみたい、こう考えております。
  246. 青柳盛雄

    ○青柳委員 その特別会計に持っていった場合に、また一般会計との間でやりくりをするというようなことが予定されておられるのでしょうか。それはもう、特別会計にいった以上は、それには手をつけないというような含みで、それが考えられているのでございましょうか。
  247. 秋田大助

    秋田国務大臣 もちろん特別会計に直入するという精神から申しまして、また、年度間調整の意味をどう考えるかという点につきまして、先刻来お尋ねに対してお答えをしました趣旨から申しましても、ただいま青柳委員のおっしゃいました後者の意味に、これは自主財源として、国との間の貸し借りをいたさないという趣旨において考えるべきものと心得ております。
  248. 青柳盛雄

    ○青柳委員 終わります。
  249. 菅太郎

    菅委員長 これにて自治大臣所管行政の説明に対する質疑を終了いたしました。  本日は、これにて散会いたします。     午後七時八分散会