○近藤
説明員 前回、堀
委員から、西京都信用金庫の問題、ゼネラル・ベンディングにかかわる富士銀行の債権確保の問題、定期預金金利の問題について報告を求められましたことと、福田
委員から、機械化に伴う銀行と顧客との間のトラブルの
状況についての報告を求められましたことと、
藤井小
委員長より、全国銀行協会連合会に対する要望事項を申し述べられましたことと、それらに対しましての御報告を一括して申し上げたいと存じます。
まず、西京都信用金庫の問題の経緯の概要でございますが、現在京都府警の手で捜査が行なわれておりますので、とりあえず中間的に、当局において承知いたしております
範囲の概要につきまして申し上げたいと存じます。
西京都信用金庫は、大正十五年、西院信用組合として設立されまして、
昭和二十七年に金庫に転換したものでございます。この金庫の業況は、経営悪化が表面化する直前のことしの七月末に預金百三十四億円、貸し出し百十六億円、会員数五千二百七十八人でございます。
この金庫の経営の行き詰まりの原因でございますが、これはなくなった方のことで恐縮ですが、前々理事長が同金庫の創立者の二代目でございまして、いわゆるワンマン経営を行なっていた。そして
金融経験に乏しい特定の側近者で経営陣を固めまして、きわめて非常識な融資を行なってきたということに大きな原因があると考えられます。貸し出しの大口化、不良化ということがどんどん出てきたわけでございますが、これを貸し出しの小口分割や利息手形などの
粉飾によって糊塗してきたわけでございますが、四十二年の暮れにこの前々理事長がなくなりまして、それまでこの理事長の
個人的信用などによって維持されてきた面もこの金庫経営にはあったわけでございますが、そういう点もなくなりましたので、急激に悪化の度を強めてきたということでございます。特に残された常勤役員が債務者に引きずられまして、非常識な融資を重ね、不良貸し出しの増大によって資産
内容を著しく悪化させるに至ったものでございます。当時の
状況におきまして、不良と見られます貸し出しが五十億円余り、ほかに代理貸しにかかる債務保証見返りの債権、これが約十八億円でございます。これらの債権のうち、最終的にどの
程度回収困難となりますか、これは今後の債権保全
措置の進捗ぐあい等にもよりますので、目下のところまだ固まってはいない
状況でございます。
以上のような金庫の
状況にかんがみまして、同金庫の問題の処理といたしましては、まずもって預金者に迷惑を及ぼさないということを第一義に考えた次第でございます。まず、本年の五月に、全信連は全信連京都支店長を金庫の副理事長として派遣いたしまして、経営管理に当たらせることといたしました。次いで八月には、地元の有力信用金庫でございます京都中央信用金庫が十九名の職員を派遣して、全信連と共同して経営管理に当たることとなって、現在に至っております。金庫の旧常勤役員七名は、八月十四日に全員責任をとって辞任いたしました。九月三日に新役員が就任いたしました。
当局といたしましては、六月四日から同金庫の検査に入りまして、八月十五日で臨店検査を終えております。
同金庫の今後の経営につきましては、経理の実体がある
程度固まりました
段階で、京都中央信用金庫と合併する方向で
事態の収拾が行なわれるものと考えております。
なお、旧常勤理事三名は、去る十月二十日に背任の容疑で京都府警に逮捕をされております。
以上が西京都信用金庫問題の概要並びに経過でございます。
次に、富士銀行がトムソンに対する債権のうち五億円をゼネラル・ベンディングという
会社に譲渡したということについて、異例ではないか、おかしいではないかというような御意見がございまして、この経過を、まず富士銀行からの報告の概要を申し上げまして、それについての私どものほうの考え方をその
あとで申し上げたいと思います。
まず、富士銀行からの報告に基づいて経緯を申し上げますと、トムソンの自動販売機によるコカ・コーラ等の販売は、経営者の問題を別にいたしますと、それ自体成長力のある将来性のある
企業であると認めて、トムソンに対する不正融資が発覚後も、初めのうちは極力同社の再建をはかりまして、これによって同社に対する債権を回収しようと富士銀行はつとめたわけでございます。しかるにその後、トムソンから多数の簿外小切手が流出し、その額も把握できないというような事情が判明いたしましたので、同社の再建を断念することになったわけでございますが、その倒産によりまして、同社と
日本コカ・コーラとの間に締結されましたいわゆるオペレーター契約に基づくコカ・コーラなどの販売権も同時に消滅ということになりまして、同社に対する債権の保全ができないことになるという
事態になったわけでございます。
一方、
日本コカ・コーラにとりましては、トムソンの倒産によりまして自動販売機の調整が停止されまして、そのために粗悪品が出回るというようなことで消費者に迷惑をかけること、それからまたコカ・コーラのイメージ低下になるというようなことを勘案いたしまして、トムソンの倒産後も営業を続けるに足りる新
会社をつくって、これにコカ・コーラなどの販売権を与える意向を持っておったわけでございます。
他方、丸紅飯田が
昭和四十三年以来この事業に関心を持っておりましたので、富士銀行から丸紅飯田に協議をいたしましたところ、丸紅飯田としても将来性を非常に高く評価して、ゼネラル・ベンディングの設立の中核に丸紅飯田がなるということに踏み切ったのであります。そこで、新
会社の資本金一億円のうち四千万円を丸紅飯田が出資し、人事、
会社運営に協力するということになり、本年の八月十日に新
会社の設立を見、八月十四日に
日本コカ・コーラとの間にオペレーター契約が成立したわけでございます。
富士銀行は、八月十七日にゼネラル・ベンディングとの間に債権譲渡契約を締結しまして、同行がトムソンに対して有する債権のうちの五億円を譲渡いたしました。この譲渡代金は、銀行からゼネラル・ベンディングに対して八月十七日に五億円の貸し付けを起こしまして、その
資金によって銀行が受領をするという形をとっております。したがって、富士銀行としては、トムソンに対する貸し付け金五億円がゼネラル・ペンディングに対する貸し付け金に振りかわったことになります。ゼネラル・ベンディングに対する貸し付け金は今後七
年間で全額回収される計画であります。
なお、債権譲渡に関する手続は適法に行なわれており、法的に問題はないという報告でございます。
さらに、報告の末尾を御紹介申し上げますと、上記の経緯による債権譲渡につきましては、ゼネラル・ペンディングが取得したコカ・コーラ等の販売権は、
日本コカ・コーラが優先的に、好意的に与えたものであるということ、それからまた今後の運営につきましては富士銀行が支援するということになっておるということ、したがってその代償として五億円の債権を譲り受けるということは理由のないことではなく、また五億円という金額についても、丸紅飯田の研究資料に基づいて事業計画を策定して、七
年間で返済可能と
判断されるものであるから、妥当なものであるという、以上が富士銀行からの報告の概要でございます。
次に、当局としてのこれに対する基本的な考え方を申し上げますと、二つほどございまして、第一は、このような方法によってはたして七
年間に確実に債権の回収ができるかどうか。これは今後の問題として十分注目してまいりたいと存じております。それから第二の問題点は、債権確保の方法として異例でございますだけに、他の債権者に迷惑を及ぼすことがないかどうか。これにつきましては特に私からも、他の債権者の言い分を十分聞いた上で処置するように申し入ればいたしておりますが、そして今日までのところ格別迷惑をこうむった向きもないというふうには聞いておりますが、この点につきましても今後さらに注意をしてまいりたいというふうに考えております。
それから、第三の定期預金の金利に関する問題でございます。これはもう御承知のとおりに、各種の
金融資産は、その安全性、流動性、収益性の組み合わせによりまして、期間、金利等の諸
条件がきめられるものでございまして、一般には堀
委員の御指摘のとおり、長期のものには流動化のための手段が備わっているわけでございます。ただ、長期の
金融資産でございましても、
個人の所得の
水準状況、長期資本蓄積の
可能性等から見まして、必ずしも流動化のための手段を備えておりませんでも、他の
条件、たとえば高い金利を付するということなどによりましてその
消化が可能な場合もあると考えられます。定期預金につきましても、
個人の
金融資産の蓄積がだんだん増大してまいっておりますので、期間一年をこえるものにつきましても、預金者の需要がございますれば創設するという考え方も成り立つものというふうに考えております。
戦後、定期預金の最長期間が一年というふうにきめられてまいりましたのは、長短
金融の分離の方針によりまして、主として短期の商業銀行業務を営む普通銀行における
資金吸収手段としての預金の期間は一年以下のものであることが適当であるという考えで、そういうことになってきたわけでございます。定期預金そのものの性格からまいりますと、必ずしも期間が最長一年と限られたものでもないというふうに考えております。なお、もう御高承のとおり、諸
外国、
アメリカ、フランス、西ドイツ、イタリア等におきましては、定期預金について期限の上限はございません。一年をこえる定期預金も
かなりございますことは御高承のとおりでございます。
しかしながら、定期預金の期間は一方において長期になればなるほど、その流動性の欠除を補いますために通常は高金利をつけるということになり、これがいわゆる直間
金融のバランスあるいは公
社債市場の発展などに
影響するという議論もございます。それからまた、各種
金融機関の業務分野の問題、それから各種金利に及ぼす
影響というようなことにも配意する必要があろうかと存じます。そういう点からまいりますと、長期化と申しましても、期間の長期化にはおのずから限度があるというふうに思われるわけでございます。
そこで、定期預金の期間は最長一年として、それが一年をこえて現実に預けられた場合には、一年単位でか、ほかの方法でか、
段階的により高い金利をつけていくことはどうかという御
提案が先般あったわけでございますが、これにつきましては、戦時中、貯蓄増強のために郵便貯金について同様の方式がとられまして今日に至っているところからも、まことに示唆に富んだ御意見であると考えております。ただ一方においてたてまえ論がございまして、一年定期が継続される場合に、これによって預金者にとって預金が流動性を失う期間は向こう一
年間にすぎず、銀行にとっても新たに一
年間に限って
資金の安定性を得られるものであるから、これに一年定期よりも高い利子を払うことは、拘束される期間を基準として定められるという金利の一般的性格から見て問題があるんじゃないか、こういうたてまえ論も一方において当然あるわけでございます。そこでなお検討を要する問題点であろうかと存じております。
結論といたしまして、長期に預金する者に対して報いる方法としてどういう方法が最も適当であろうか。これは、報いるという方法自体は、現在銀行収益を大衆に還元するというようなことから申しましても、貯蓄増強というようなことから申しましても、ぜひその方法をとりたいというふうに私ども考えておりますが、その具体的方法をどうするかは、ただいまお示しの方法をも含めまして鋭意検討をいたしたいというところでございます。
それから次に福田
委員の御質問につきましては、
委員長どういたしましょうか。