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1970-10-07 第63回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年十月七日(水曜日)     午前十時六分開議  出席小委員  小委員長 藤井 勝志君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       木村武千代君    高橋清一郎君       登坂重次郎君    松本 十郎君       平林  剛君    堀  昌雄君       二見 伸明君    竹本 孫一君  小委員外出席者         大 蔵 委 員 坂元 親男君         大 蔵 委 員 中島源太郎君         大 蔵 委 員 森  美秀君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房審         議官      中橋敬次郎君         大蔵省銀行局中         小金融課長   結城  茂君         参  考  人         (全国相互銀行         協会会長)   加藤 廣治君         参  考  人         (全国信用金庫         協会会長)   小原鐵五郎君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  金融に関する件(一般民間金融機関あり方  等)      ————◇—————
  2. 藤井勝志

    藤井委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日も引き続き、金融制度調査会答申にかかる一般民間金融機関あり方等について、参考人から順次意見を求めることといたしております。  本日御出席を願う参考人は、全国相互銀行協会会長加藤廣治君及び全国信用金庫協会会長小原鐵五郎君の両君であります。  ただいま全国相互銀行協会会長加藤廣治君が御出席いただいております。  加藤参考人には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本件について忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、お願いを申し上げます。加藤参考人
  3. 加藤廣治

    加藤参考人 ただいま御紹介をいただきました相互銀行協会加藤でございます。  日ごろは、先生方には格別の御高配をちょうだいいたしておりまして、まことにありがたく、会員銀行を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  さて、本日は、先般の金融制度調査会一般民間金融機関あり方等についての答申に関しまして、相互銀行としての意見を申し述べる機会をお与えいただきましてまことにありがとうございました。答申に関連いたしまして意見を申し述べさせていただきます。  まず、今回の答申は総体として、戦後の金融制度に本格的に取り組み、あらゆる問題点を各方面に提示しながら、これらの問題点を掘り下げ、検討したものとして評価いたしておるわけでございます。しかしながら、御高承のとおり、相互銀行など中小企業金融専門機関につきましては、四十二年十月の答申に基づきまして制定されました中小企業金融制度整備改善のための相互銀行法信用金庫法等の一部を改正する法律により一応の整備改善がはかられたのであります。それからすでにほぼ三年の期間を経過いたしまして、この間において企業環境は、金融機関も含めまして、国際化進展などに伴い急速に変貌しておるのが実情であります。したがって、相互銀行あり方についても、情勢変化に応じ、新しい角度から再検討が必要であると思うのであります。また中小企業金融制度あり方について検討された経緯から見ましても、中小企業に対する長期金融体制整備については、全般的な問題としてその検討が将来に残された形になっております。今回の答申を見ますと、このような見地から検討が十分になされていなかったうらみがあると考えておるのでございます。この点に関しまして二、三具体的な見解を申し述べたいと存じます。  まず、初めに申し上げたいことは融資制限の問題であります。  相互銀行法は法第二条で、中小企業金融専門機関としての特性を明示されておりますが、さらに融資制限専門機関として必要であるかどうか、疑問を持つものであります。あらためて申し上げるまでもないことでありますが、わが国経済において重要な地位を占める中小企業に対し、生産性の向上、経営体質の強化はきわめて大事なことであります。そのためには、中小企業に対して長期金融を安定的に供給して、合理化近代化投資を推進する必要があるのであります。しかしながら、中小企業自己資本の割合が低く、資本市場からの資金調達が困難なこともあって、金融機関への依存度が高いなど、その金融には多くの特殊性があるのであります。前回答申において、相互銀行等欧米諸国に例の少ない中小企業金融のための専門機関としてその存在意義を再確認されたのもこのような理由にほかなりません。一方、日本経済成長に伴いまして、中小企業自体成長発展にも著しいものがあります。従前の中小企業の概念では次第にカバーできなくなっているのであります。したがってその資金需要も、当然のことながら量、規模ともに増大することは明らかであり、さらに大企業中小企業との間にあるいわゆる中堅企業への融資必要性も一段と高まっておるのであります。  このような情勢から今後を予測すれば、相互銀行法第十条の自己資本の一割を限度とする融資制限は再考されるべき時期に来ていると考えるのでございます。また、融資制限経営健全性確保危険分散趣旨として規定されておるわけでありますが、これは金融機関公共性から考えれば、ひとり専門機関に限らず、全金融機関共通の問題であると存じます。したがって、法第十条の存続そのものについても、各金融機関相互権衡という観点からも非常に疑問を持つものであり、その意味からも再検討が必要であると存じます。  次に、中小企業に対する長期金融体制整備という問題であります。  御高承のとおり、中小企業における資金需要は非常に強いにもかかわらず、金融面からの現状を見れば、大企業に比べましてその資金調達は著しく劣るのであります。これは、一つには中小企業みずからの資金調達能力の劣弱という理由もありますが、資金供給体制専門金融機関分野で十分整備されておらないからだと考えるのであります。また、これまでの金融実態から見ますと、中小企業金融が量の面ではその約半分を専門金融機関以外の金融機関に負っている事情もあって、特に景気動向に応じて限界的な融資として扱われるなど、資金安定性がないのであります。  この点について前回答申は、専門機関としてのあり方として次のような視点から検討すべきだと述べておるのであります。すなわち、専門機関あり方については金融制度全般あり方を念頭に置きながら主として現行民間中小企業金融機関の欠点を是正し、わが国経済効率化に資するためにはどうすべきか、また効率化を貫きつつ中小企業に対して安定的な資金供給をはかるにはいかにあるべきかという二つの視点であります。そうして、これらの検討については、さきにも触れたところでありますが、課題として残されていたのである。したがって、今回の一般民間金融機関あり方についての答申の中において、ぜひともあらためて検討されなければならないわけであります。しかるに、今回の答申におきましては「普通銀行等」として包括的に扱われており、前回答申の中でうたわれておる中小企業専門金融機関特殊性が全く認められていない姿となっておるのであります。私どもといたしましても、このような中小企業資金需要にいかにしてこたえるか、種々検討を続けておるのであります。このような検討を通じて問題点がいろいろと出てまいるのでありますが、その中でも特に安定した長期資金中小企業に供給するためには、やはり何といってもその運用資金源を確保しなければならない。そのためにはどうしたらよいかというむずかしい、しかも欠くことのできない問題があるわけであります。  これに対しましては、私ども相互銀行としては、やはり中長期預金創設現状では最も適当であろうと考えるのであります。具体的には三年定期預金創設であります。今回の答申におきましても中期預金が主要な論点として取り上げられておるのでありますが、私ども趣旨はこれといささかニュアンスを異にしておるものであります。この点について申し上げたいと思います。  私どもといたしましては、あくまで中小企業長期資金需要にこたえる体制を早急にはかる必要から、安定した長期資金を供給する貸し付け制度資金源として考えるのであります。換言いたしますと、体制整備一環として中小企業に対する融資体制を充実することに主眼を置いておるのであります。業界としてこれまで再三にわたりこれが要望を続けてまいりましたのも、このような基本的な考え方によるものであります。したがいまして相互銀行としては、中期預金創設が、巷間いわれておりますように、単に資金吸収方策多様化シェアアップを意図してのものとするならばにわかに賛成しがたいのであります。また画一的に金融機関にこれを取り扱わせるならばコストアップは免れないことと存じます。しかし、専門金融機関専門機能を充実させたいために認められるとするならば、コストアップは、長期安定資金源を確保し、中小企業金融を円滑にするという利点によりカバーできるものと存じます。これはまた国民経済的観点からも必要であると考えるのであります。私どもとしては、相互銀行に対し、中小企業専門金融機関という理由から資金源として中長期預金を優先的に認めてしかるべきと考えるのであります。  次に、一般民間金融機関を通じての問題点として、預金支払い準備について触れたいと存じます。  実は相互銀行においては、預金支払い準備について相互銀行法規定がございます。これは他金融機関に例のないことは御案内のとおりでございます。御高承のとおり、相互銀行法第十二条には、預金支払い準備として一定金額以上を所定の算により保有することを規定しておるのであります。現行法のこのような規定のたてまえについては、私どもといたしましても当然過ぎることでございます。全く異論を持つものではございませんが、反面、これを相互銀行に対してのみ法律事項としなければならない格別の根拠もまた理解しがたいのでございます。  預金に対する支払い準備は、本来金融機関といたしましては当然に経営自己責任においてはかられるべきものであろうと存じます。しかも他金融機関と同様に公共的機関であるということに変わりのない相互銀行が、ひとり法律によりましてこのような画一的な規制を受けるということにつきましては納得しがたいものでございます。したがいまして、法第十三条を今後とも存続させる必要はないと考えるのでありまして、これを撤廃することが妥当であると存じます。  次に、貿易金融体制に関連して申し上げてみたいと存じます。  今回の答申一般外国為替銀行あり方について次のように述べております。すなわち、「今後のわが国経済国際化進展貿易規模の拡大などを考えると、外国為替専門銀行のほか、一般外国為替銀行外国為替業務をその実力に応じて充実させていく必要があると考えられる」といっておるのであります。その見通し、今後のビジョンといたしましては、為替銀行機能の拡充とともに、まことにそのとおりであろうと同感の意を表するものであります。  これに関連して私どもの希望を申し述べさせていただきますと、現在相互銀行法律外国為替業務取り扱いが認められていないのでありますが、相互銀行の主たる取引先である中小企業においても、貿易実績に少なからぬウエートを占めてまいっておるのでございます。このような情勢にかんがみますと、中小企業専門金融機関に対しても外国為替業務取り扱いを認め得るように法的な措置を講ずることが必要であろうと思うのであります。もちろん答申も述べておりますように、高度な専門知識、技能を必要とするこの分野に対しては、実力に応じて充実させていくことが基本であろうと存じますが、相互銀行に対しても外国為替業務取り扱い得る体制を整えておいていただきたいとお願いいたしたいのでございます。  最後に、預金保険制度について申し上げたいと存じます。  預金者保護重要性につきましては、金融機関公共性から考えてあらためて申し上げるまでもないことであります。その意味から私どもといたしましても、預金保険制度意義まで否定するのではございません。しかしながら、万一の場合に備えることは、本来金融機関経営自己責任の原則に属する事柄であると存じます。  なお、相互銀行業界におきましては相互保障協定を設けておりますことは御案内のとおりでございます。本制度の目的は、直接的には金融機関保護ではありますが、間接的には預金者保護に連なるものであります。このような事情と、また現在の金融機関実態を見てまいりますと、預金保険制度がいま直ちに必要であるかどうかという疑問なしとしないのでございます。したがいまして、かりにこの制度が必要であるといたしましても、その機構は簡素で、運営が自主的になされるにはどうしたらよいか。また保険料などは、その支払い金融機関経営にできるだけ影響を及ぼさないようにするとか、いろいろな点につきまして十分慎重な検討がなさるべきであろうと思うのでございます。  以上で終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
  4. 藤井勝志

    藤井委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  5. 堀昌雄

    ○堀小委員 ただいまお話を承りましたけれども金融制度調査会の進行の中で、当時相互銀行協会会長でありました加藤さんが御出席になりまして公述をされたものの中で、適正な競争のできる環境整備ということについてお触れになっておるわけであります。いま法十条、十三条等の、他の金融機関とやや異にする法的な規制のあるということも、おそらくこの環境整備の中の一環としてお考えになっておることだと思いますし、いまお触れになった中期預金についての専門金融機関に対する特例的な措置ということ等がこれに関係すると思いますけれども、それ以外に何か、適正な競争のできる環境整備ということについてお考えになっておることがありましたらお答えをいただきたいと思います。
  6. 加藤廣治

    加藤参考人 ただいま堀先生からの御質問でございますが、おことばのとおり、金融制度調査会委員といたしまして環境整備ということを申し上げたのでございます。その真意といたしますことは、効率化のための競争原理というものが導入されて、いよいよますます競争が激しくなってくる。要するに、中小企業専門金融機関である私どもも大銀行さんも同じ土俵で競争をしなければならない。そうしますと非常に私どもは条件が不利である。ということは、取引対象中小企業である、脆弱である、非常に小口で手数がかかるとか、リスクが多いとかいうことで、これでは公正な競争にはならない。アンフェアな競争になるのではないか。それに対してはフェーバーとか何か考えていただきたいというのが本旨でございました。ところで、いろいろ考え検討いたしたのでございますが、結論は、いま先生のおっしゃいました三年定期預金というものを特にお認めいただくということくらいしか考えられないということでございましたので、本日また要望いたしたような次第でございます。よろしくお願いいたします。
  7. 堀昌雄

    ○堀小委員 御要望よくわかるのですが、実はここでお触れになりました三年定期の問題も、おそらく現在の置かれております情勢の中で、たとえば相互銀行だけに三年定期を認めるというようなことがもしかりに可能でありますれば、これはかなり有効な手段になると私思うのでありますが、いろいろな経過を見ておりますと、そういう制度、これは新しい制度でありますから、この新しい制度相互銀行だけにということはやや、私は客観的な情勢では非常に困難な問題であろう、こう感じるわけであります。そうしますと、都市銀行にも地方銀行にも、相互銀行にも信用金庫にも、もし行なわれるというと、いまお触れになりましたように、全体にそれが行なわれる場合には資金コストアップになって望ましくない、こういう御意見であったわけですが、もう一ぺん確認をいたしますと、それは専門金融機関ということは、相互銀行信用金庫の両方に認めるということなのか、相互銀行だけに認めてほしいということなのか、その二点、そのどちらであるのか。お話しになりましたような、もし都市銀行地方銀行に設けられるならばかえってないほうがいい、こういうことだと思うのでありますが、その二点をちょっと明確にお答えいただきたい。
  8. 加藤廣治

    加藤参考人 お答えいたします。  相互銀行のみというのではございませんで、中小企業専門金融機関相互銀行を含めた専門機関ということでございます。それから都市銀行その他の金融機関が全部三年定期預金ということなら反対であろうとおっしゃいましたが、まさにそのとおりでございます。
  9. 堀昌雄

    ○堀小委員 次に、いまちょっと、これは当面のあれではないのですけれども、法十条と十三条にお触れになっているわけですが、これは法律ですから銀行局にちょっとお尋ねをするのですが、相互銀行法というのは昭和二十六年六月五日に実はつくられた法律ですね。そして信用金庫法というのはやはり二十六年六月十五日に実はつくられておる法律なんです。私はこの発想は正しいというふうに思っているのですね。要するに、法十条で貸し出しを、資本準備金ですかの一〇%に制限しておるということは、これは私、それなりに相互銀行の安定といいますか、経営健全化をはかることでは正しいと思いますよ。このようなやり方は西ドイツとアメリカでも依然として法定化されておる、こう思っておるわけでありますけれども、他のものにない。銀行法昭和二年にできた法律ですから、その後改正しておりませんから、ないのは当然としても、信用金庫法、同じ時期の十日おくれでできた法律の中に実は法律事項としては入ってきていないというのは一体どういうことなのか。これが一点。同じことですからちょっとあわせて、この十三条のほうでやはり一〇%、それと同時に現行では信用金庫信用組合は二〇%の処理がされておる、こういうふうになっておると思うのですが、これは確かに相互銀行が、おっしゃるように同じ中小企業専門機関としては取り扱いがやや権衡を欠いておると思うのです。そうすると、私に言わせれば、片方法律事項ですから、この法律事項に右にならえをして、信用金庫においても当然中小企業専門金融機関としてなら一〇%に処理するというのが相当ではないのか、こういう感じがするのですが、この点はいま問題が出ておりますから、銀行局見解だけをちょっと聞いておきたいと思います。
  10. 結城茂

    結城説明員 では私から……。  相互銀行法の法十条の問題で、相銀と信金と、昭和二十六年のほぼ同じ時期でございますけれども、いずれも当時議員立法になっておりました関係でございますが、聞きますところによりますと、相互銀行といいますか、その当時無尽会社から相互銀行業務が転換したようなかっこうになっております。したがいまして、やはり無尽業務といいますときわめて零細といいますか、あるいは日本独特な業務であるというふうなことから、法十条のような、いわゆる経営健全性といいますか、資産の健全性といいますか、そういうふうなものを特に当時の環境で指摘されたというようなことで入っておりますというように、当時の経緯として伺っております。したがいまして、これは確かに各国の事例から見ますと進んだ考え方であろうかと思っておりますし、そのときやはり相互銀行業務というものが実態的にまだ、無尽業務から新しく転換しまして、しかもその業務の中心が無尽であったというようなこともありまして、そういう健全性ということを特に指向されたものだというふうに承っております。  それから、法十条のいわゆる一〇%の問題とそれから二〇%の信用金庫との違いでございますが、これは信用金庫の場合にはもちろん信用組合から転換したという発生的な歴史がございます。御承知のとおり、信用金庫といいますと、共同組織といいますか会員制度を前提にしておりまして、非常に自律的な性格のものである。会員業務を監視できるというふうな仕組みになっております。出資者とそれから預金者あるいは貸し付け先、大体一緒だというふうな経過になってできておったものでございますからして、そういうふうな性格から考えますと、その自律的な面ということを重視すれば二〇%でよろしいのではないか。これは四十三年のいわゆる中小関係答申のときにもそういう検討をなされまして、相銀の場合には一〇%が適当である、信用金庫の場合には二〇%が適当である、こういう答申がなされておる、こういう経緯でございます。
  11. 堀昌雄

    ○堀小委員 いまの問題は、沿革的には確かにおっしゃるような経過があったと思うのですが、今日になってみると、相互銀行側としてみますと、貸し出し一〇%、二〇%というのはやや権衡を欠いておるという感じを持たれるのは私はある程度やむを得ないと思うのです。私はどちらかというと、今後の金融機関のあるべき姿というのは、ここだけに法律に書いてあるのですけれども考え方としては、やはり一つ企業を一銀行主義といいますか、一つ銀行が非常にそこにだけ融資をすることによっていろんな仕事をさせるということは、必ずしも金融制度のあるべき姿としては望ましくない。日本には非常に金融機関が少なければ別でありますけれども、これだけ金融機関があるならば、できるだけ協調融資をやることによって危険を分散するというのが金融のあるべき姿ではないか、こう思うのであります。そうすれば、方向は、相互銀行を二〇%にする方向が正しいのか。要するに、どちらかというと各金融機関をある時限を限って一〇%の方向に持っていくというほうが正しいのか。ここらはやはり政策等方向をきめておかないと、これらの問題がいつまでたってももやもやするのではないか、こういう感じがするのですが、審議官どうですか。方向としては私はやはりそういう融資分散というのが筋だと思いますが。
  12. 中橋敬次郎

    中橋説明員 金融機関与信面におきますところの健全性という意味から申しまして、いま堀先生が御指摘になりましたように分散するということも確かに一つの方法だと思いますけれども、また一面、効率化という面から考えてみますと、各種多数の金融機関一つ企業に対して貸し出しを行なっているというところにつきましては、かなり事務的にも重複した面があるという批判もございます。そういうような面から考えますと、必ずしも多数行が一つ企業に協調分散融資するのがいいのか、あるいはもう少し金融機関自体体質を強化することによりましてその健全性を確保するのがいいかということは、なお今後の研究問題であろうと思います。その上にさらに一〇%がいいのか二〇%がいいのかという問題になりますれば、これはさらに自己資本金額融資金額というものが今後一体どういうふうに推移するのが適当であろうかどうかという面からも判断をすべき問題であろうと思います。おっしゃるように金融機関健全性という問題からも非常に重要な検討問題であると思いますので、今後もわれわれとしても検討してまいりたいと思います。
  13. 堀昌雄

    ○堀小委員 ちょっといまの答弁ではよくわからないのですよ。法律はこう書いてあるということは、法律趣旨は何か。現実法律はあるわけですからね。現実にこの法律があるということは、ここに書かれておるように、「その資本及び準備金利益準備金資本準備金その他株主勘定に属する準備金をいう。)の合計額の百分の十に相当する金額をこえることとなるときは、当該人に対し給付又は貸付をしてはならない。」と、きわめて明確に書いたことは、やはりこれがこの資本金なり資本準備金の一〇%以上を特定のところに貸し付けることのリスクをここで制限しようということですから、私が言っておることは、さらにこれをもっと小さくしろ、五分の一にしろとか百分の一にしろと言っているのじゃないのですよ。十分の一の限度がある以上は、それをこえるならば協調融資でやりなさいということ、これが健全な今後の金融あり方ではないのか。だからアメリカでも西独でも十分の一という問題が法制化されておるのではないのか。先進国においてそのような処置が与信面でとられておることは、私は方向としてはこの方向が正しいのであって、二〇%、三〇%にふやす方向が正しいのではないのではないのかということを原則的にちょっと聞いたわけです。まあきょうは参考人とのあれですからこの問題はあらためて論議をいたしますけれども、ちょっとそこらははっきりあなた方の見解を出しておいてもらわないと相互銀行としてはたいへん納得しかねる問題になるのではないか。私は、原則的には一〇%に他の金融機関も、直ちにできないにしても、その方向に指導するということが相当だというのであれば、これは相互銀行も、全部がそうなるというならやむを得ない、こうなると思うのですが、ほかはいいのだ、好きなようにやれるのだという中で相互銀行だけに規制があるということは、これは私も全体から見て今日適当でない、こうなります。そこらはひとつ銀行局でも十分検討を進めておいてもらいたいと思います。  その次に、これは非常に重要な問題でありますけれども、実は預金保険の制度と、ここにもいまお答えがございましたけれども相互保障協定との関係でございますけれども、現在すでに相互保障協定で十二億でございますか——十六億四千百万円、四十五年三月末で相互保障協定の基金をお積みになっているわけでありますが、私はこの前からこういう発想を申しておるわけであります。要するに預金保険というものは、まず第一には倒産を予想するんじゃ困るんですね、考え方としては。銀行がつぶれるんだということが前提で預金保険が出るんじゃ困るのです。しかしまあ企業であるからわかりませんから、不測の事態に備えるということはやむを得ないということで、考え方そのものに反対しているわけではないのですが、しかしやはり私は、金融機関健全化が行なわれる中である一つ制度ができても、それが時間がたてばたつほどそのリスクは少なくなるということになるほうが望ましいのではないか、こういう考えでありますから、実はここでお触れになっておる預金支払い準備率をきちんとしていきさえすれば、それがさらに高まる過程の中では心配がないんではないか。ある意味では、相互銀行の場合はすでに十三条で預金支払い準備が法制化されておるというようなことにもなっておるわけでありますから、それと相互保障協定がかなり合理的に組み合わされれば、私は必ずしも相互銀行の場合に預金保険がなくてもいけるんじゃないかと思うのですが、信用金庫相互保障協定関係資金量に比べまして、やや私は相互銀行相互保障協定に積まれておる金額が少な過ぎるような気がいたすわけですね。  そこでこの問題について、預金保険の制度がどういう形になるかわかりませんが、私は各行内に積ませろ、必要ならばそれを取りくずせという主義で、外にものを積むことは一つもプラスはない、こういう判断に立っておるわけです。いまの相互保障協定に関連して、預金保険制度がもしかりにできるとすればどういうあり方が——抽象的にお答えになっていますが、もうちょっと具体的に、たとえばいま私が申しておるように、行内に何かの準備金を積んで、もし事故があれば取りくずすということと、いまの相互保障協定とを生かしていくというか、そういう形で、相互保障協定のような形でさらに積んでおかれて、その中からいまの預金保険の問題があれば取りくずすなら取りくずす。しかし相互保障協定による積み方はもっと積極的にたくさんどんどん積んで不安を取り除くようにしていただくとか、何らかそういうような方向があっていいんじゃないかと思いますので、相互保障協定との関係預金保険について、もうちょっと具体的なお考えがあれば承りたいと思います。
  14. 加藤廣治

    加藤参考人 お答え申し上げます。  まず、相互銀行協会としての相互保障協定現状並びに計画について申し上げたいと思いますが、ただいま堀先生のおっしゃいましたように、十七億前後だと現状は存じております。これにつきまして、非常に少額であるということから大体二百五十億にしようということを決定いたしまして、これは明年の四月一日から三年六期間の二百五十億の相互保障協定ということにいたす計画になっておるわけであります。  なお、相互保障協定預金保険との関連ということでございましたが、相互保障協定預金保険とは、まあ結果的にはあるいは関連のある問題でございますが、やはりこれの一緒にした運営ということは非常にむずかしいように思います。また、先生がただいまおっしゃいましたように、銀行内に預金を振りかえておいてというような御発想もございましたが、私どもも実は考えてみたのですが、税制の面で非常にむずかしい問題もあるように聞いておるのでございます。したがいまして、簡素な、料率の少ない預金保険ということであるなら、これはもう別個に参加をするということが望ましいというように考えておるのでございます。
  15. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうすると、もしそういう簡素なものができたらいまの二百五十億の相互保障協定はおやめになるということでしょうか。それは続けるということでしょうか。ちょっとそのところを……。
  16. 加藤廣治

    加藤参考人 やはり経営の保全という面から、これは続けていきたいと思っております。
  17. 藤井勝志

    藤井委員長 平林剛君。
  18. 平林剛

    ○平林小委員 きょうは、いただきました「相互銀行の現況」という資料を拝見いたしまして、先ほどお述べになりました融資制限に関連してお尋ねをしたいのであります。  資料によりますと、相互銀行における自己資本率というのは他の金融機関に比べますと非常に低くなっているわけであります。これはこの表だけでなくて、ずっと数年先から比較いたしましても、相互銀行自己資本率は非常に低いというのを私は印象的に受けておったわけであります。もちろん私は、元来金融機関自己資本率というのはあまり信用しておらぬのでありまして、もう一度この自己資本率のはじき出し方については検討すべき必要がある。あまりにも低く出ているんですね、金融機関自己資本率は。一般の企業と比べて特殊な機関としての立場はあるでしょうけれども、それにしても低い。その低い中においてなお相互銀行自己資本率は低いわけであります。「今後を展望すれば自己資本の一割という融資制限は再考されるべき時期」ということをお述べになりましたが、逆にいえば、この自己資本率を高めるということも融資制限のワクが広がるということにもなる。これは何か相互銀行には特殊な事情があるのか。そういう自己資本率が低いというととはどういう理由によるものなのか。こんなことをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  19. 加藤廣治

    加藤参考人 お答えいたします。  御指摘のとおり自己資本率は非常に低いのでございます。これは四十五年の三月現在で三・八%になっております。この理由は、やはり相互銀行の後発性といいますか、これで二十年でございます。そういうようなことから内部留保が非常に少ないということが大きな原因でございますので、私どもといたしましては内部留保は厚くし、自己資本率を高めるように努力いたしてはおるのでございますが、現状は三・八%でございます。
  20. 平林剛

    ○平林小委員 もう一つ、この相互銀行とか信用金庫というのは、どちらかというと専門分野として中小企業融資、これにまた重点を入れていくべき金融機関であると私ども承知をいたしているわけであります。おっしゃるとおり、今度の一般民間金融機関あり方等について、私も中小企業金融制度についてもう少し突っ込みをしてほしかったという感じは、参考人がお述べになったことと同感なんであります。そこで、相互銀行の協会の会長も、またきょうおいでになられたあなた方もしばしばお述べになっておるのでありますけれども、この中小企業金融の中で最近特に強く要望されているものは、長期安定資金を供給してもらいたいということだと思う。これに対応するために、きょうは三年定期とか長期定期という考え方をお述べになったのでありますけれども、それだけで足りるのかどうか。つまり皆さんのところは、こまかいことは承知いたしませんけれども定期預金のものでも、一年定期であってもそれを二年なり三年、長期間預け入れるという人はかなりのパーセントにわたっているのではないか。したがって、二年なり三年の長期定期があったとしても、直ちにそれが中小企業の希望している長期安定資金の確保ということにつながるかどうか、私は非常に疑問に思っておるわけであります。ところが先般この調査会の中でもお述べになっている中で、長期金融制度、これが未整備だ、こう述べられておるのであります。この長期金融制度、つまり長期金融機能制度的に認めてもらいたいということは、何も三年定期をつくってもらいたいということだけに済まない私は何かの発想があってしかるべきものだと思うのですけれども、何かお考えがありましたならばひとつお述べをいただきたい。
  21. 加藤廣治

    加藤参考人 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のとおり、一年ものの定期預金が二年に切りかえになるというのは大体七〇%くらいになっておるんじゃないかと思います。それが三年ものということになりますと——一年のものは資金源預金源というものが性質が違うから、一年のものが二年にということには七〇%くらいなるが、さて三年ものということになるとそういう期待はできないであろう。預金資金源というものが違うというように判断いたしておるのでございます。  なお、長期金融機能ということを私どもが申し上げておりますのは、長期資金要望が非常に強いので、その裏づけとなる長期の安定した資金源を確保する。それは三年定期である。それを運用するにつきましては制度融資をしたい。中小企業近代化貸し付け制度という構想を実は持っておるのでございます。融資対象は相互銀行法による対象の中小企業者。資金使途は中小企業の設備資金及び長期運転資金。期間は三年から七年とする。ただし据え置き期間一年を含む。弁済方法、原則として割賦償還方式とする。保証、保全方法、各行の任意とする。金利、年九分以下とする。ただし貸し付け金額三百万円以上のものについては若干これを上回る金利を適用することができる。貸し付けの限度は五千万円とする。こういう構想でございます。  以上お答えいたします。
  22. 平林剛

    ○平林小委員 いや、そういうことをやるための資金源を確保しなければならないわけでしょう。つまり、私はいまはっきり言いまして、中小企業における資金需要がかなり強い、そしてこれも大きくなっていかなければならぬ、近代化資金が必要である、いろいろなことを考えるんだけれども、肝心の資金量というものが足りないために、短期ころがしで不安定な資金融資しか行なわれていない。それを長期安定的な資金を供給するようにするには、それに必要な資金量というのを確保せねばならぬじゃないか。資金量を確保するのに長期定期だけで足りるのですか。長期金融機能を何か制度化してくれ、こういっているんだけれども、どういうことを制度化すればそのことができるのですか。これを私はお尋ねしておるわけなんです。
  23. 加藤廣治

    加藤参考人 ただいまのお尋ねにつきましてお答えいたしたいと思います。  制度的に中小企業の長期安定資金を供給する資金源を設けるということは、非常にむずかしい問題だと思います。もちろん私どもも純預金の吸収機能を通じての吸収ということには鋭意努力をいたします。そのほかに制度としてその資金源をということは非常に困難でございますので、これが三年定期預金というものを創設をしていただけるなら、それがプラスアルファになるという考えでございます。
  24. 平林剛

    ○平林小委員 最後にもう一問だけお尋ねしますけれども、結局金融機関それぞれ比較いたしまして、先ほども議論がありましたように、なお相互銀行関係の基盤というものは強化せねばならぬという必要性感じておるわけでありますけれども、そのことに関連をいたしまして、最近金融機関に不祥事件が続発をしておることは御承知のとおりでございます。そこで私は、すべての金融機関の責任者の方にも注文を発しておるのでありますけれども、この不祥事件を防止して、そして金融機関が失われつつある信用をどうやって維持するか。これは現在金融機関だけに限らず、われわれお互いが非常に心しなければならぬ重大な責務であると考えておるわけなんであります。これについては、相互銀行関係でもいろいろな角度から、他山の石あるいはみずからの問題として御検討なさっておると思うのでありますけれども、これを防止する、そういうことについて何がお考えがございましたらお聞かせをいただきたいと思います。
  25. 加藤廣治

    加藤参考人 お答えいたします。  まことに残念ながら、ただいま御指摘のように不祥事件というものが金融機関に非常に起きておるのでございます。相互銀行におきましても皆無とはいえないのでございます。金融機関にこういう不祥事件が発生いたしますことは、金融機関の損害とか信用失墜とかいうこともさることながら、社会に与える影響というものも非常に大きいということでございますので、この未然防止につきましては、私ども常に行員のモラルの向上とかあるいは内部管理体制とか、検査部を強化するとか、あらゆる方法を講じまして未然防止に努力いたしておるのでございます。  さらに協会といたしましては、前々から協会内部に業務刷新協議会というものを設置いたしまして、必要に応じまして事故防止の具体的な対策を検討して具体化いたしておるのでございます。またこの七月にも特別刷新協議会を開き、最近におきましての不祥事件の動向等を中心にいたしまして事故防止対策を協議会で協議検討をしまして、これが会員に周知徹底をはかっておるのでございます。さらに九月の理事会におきましては、不祥事件につながるような行き過ぎた預金獲得競争等の自粛の申し合わせを行ないまして、事故防止につとめておるような次第でございます。なおこまかい点につきまして掘り下げて検討して、未然防止に努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  26. 平林剛

    ○平林小委員 こまかい問題かもしれませんが、不祥事件の発生の原因の一つに私は素預かりという制度があると思っている。この間も素預かりという制度を御存じかと言ったら、いやそんなものは知らぬと答えられた参考人がありましたが、結局個人的に証券だとかあるいは通帳とかを預かりまして融資をしたりあるいは出し入れしたりするような慣行ですね。それがたまたま不祥事件につながるというウエートが非常に大きいと私は思っておる。こういうことは特に規模の小さな金融機関においては比較的信用問題として取り扱われるような機会が多いのじゃないかと思うのです。それがしばしば不祥事件に発展をしていくということがあると思うのでありまして、こういう問題についてひとつ御関心を示してもらいたいとともに、こうしたことは少なくとも自粛し、もしくは積極的には取りやめるというようなやり方を私はとるべきだと思っておるのですけれども、御見解はいかがでしょうか。
  27. 加藤廣治

    加藤参考人 ただいま平林先生から御指摘のとおりでございます。実は私の銀行におきましても、検査におきましては行員の所持品・かばんとか机の中から全部検査をいたしまして、印鑑、通帳を預かっておるというのを非常に注意をいたしておるわけです。ほとんどなくなりましたが、どうかすると出てくる。過去に不祥事件が起きたのは、やはり御指摘のとおり——私は実は素預かりということばは先生に教えていただいたのですが、素預かりというのが原因であったのが多かったのであります。そういうことでいたしております。会員銀行ともその点は十分検討して努力いたしております。また大蔵省の検査におかれましても、印鑑、通帳を預かっているのを非常にきびしく検査をなさっておるということでございます。この点はだいぶ徹底してまいりましたことを申し上げておきたいと思います。
  28. 藤井勝志

  29. 登坂重次郎

    ○登坂小委員 一点ちょっとお伺いします。  先ほど貿易金融について御要望があったようでございますが、今日資本の自由化を唱えられており、かつまた皆さんの扱っておる中小企業においても、雑貨商関係は特に輸出企業が多いようであります。日本の雑貨の海外進出は非常に多い。でありますから、当然あなた方としても、自分の育てておる企業のものが貿易する場合に、その輸出貿易に携わりたいという御希望は私もわからぬわけではない。また私も、貿易金融というのは専門機関、専門銀行を設けるべきだという趣旨も納得するのであるけれども、でき得べくんば、日本金融機関に機会均等を与えたいというのは私個人の意見であります。そこで、それにはそれなりのやはり熟練的なもの、技術的なもの、あるいは非常に調査、吟味等が必要だと思うのでありますが、貿易金融を希望するからにはどういう心がまえ、どういう準備をなさっておるか。その対策についてひとつお伺いいたしたいと思います。
  30. 加藤廣治

    加藤参考人 ただいまの御意見、全くそのとおりだと存じます。やはり外国為替業務というものは非常に専門的な知識、技術というものを要するのでございます。現状から申し上げますと、相互銀行におきましても為替貿易の前貸し金融というものを許されておるのでございます。したがいまして、これを取り扱う時点におきまして専門銀行から専門的な人を招聘するとかいうことをいたしまして、また行員の教育も進めておるのでございます。こういった技術、知識というものも相当進んでおるのでございます。  なお、この制度が許されるといたしますなら、これは全相互銀行一律ということではございませんので、その準備ができたところからお認めいただくということが可能であろう、こういうことになろうと思うのでございます。さように専門的な知識も勉強し、相当進んでおるということを申し上げたいと存じます。
  31. 藤井勝志

  32. 堀昌雄

    ○堀小委員 お述べになったこと以外の、ちょっと相互銀行の問題について、せっかくきょうは協会長がお越しになっておりますので、少しお伺いをしたいと思うのでありますけれども、さっき会長がお話しになりましたが、相互銀行が後発性であるというか、要するにあとからの金融機関であるということが確かに一つの非常に重要な問題になっておると思いますが、今日専門金融機関としての信用金庫との比較を大蔵省の資料で拝見をいたしておりますと、どうも経営のいろんな効率の点で相互銀行がやや信用金庫に劣っておるような感じが少しこの資料の点でもいたすわけでございます。大蔵省の出しております資料で、いろいろな問題の中で非常に重要でございますのは、預金原価率とかあるいは経費率というのがやはり競争上の非常に重要なファクターの一つだと思うのでありますが、相互銀行については資金量規模が八百億円以上の十四行につきまして、この資料は四十三年の下期でありますが、預金原価率が六・七〇、ところがこれを信用金庫の水準で見ますと、百億から二百億円の信用金庫というのが八十一庫ございまして、それ以上のところはいずれもこれ以下になるわけでありますから、八十一と四十五と九でありますから百三十五信用金庫が六・六〇以下でございますね。五百億円以上の信用金庫預金原価率は六・二七となっておりまして、そこでたいへんな相互銀行信用金庫との間の預金原価率に格差がございます。  さらに経費率でも、いまと同じ八百億円以上の十四行が経費率二・三〇に対して、資金量五百億円以上の信用金庫九庫では一・九五。この一番いい相互銀行の経費率の二・三〇を信用金庫で見てみますと、五十億から百億の信用金庫の経費率が二・二九というところでパーになる、こういうことになっておるわけであります。それから少し下のほうに見てまいりますと、資金量が相互銀行二百億から三百億のところと信用金庫の二十億から三十億のところがちょうどパーになる。相互銀行二百億未満と信用金庫二十億未満とが、大体いろいろな指標がパーになるというのが四十三年度下期の、大蔵省が出しております資料なんでありますけれども、どうして相互銀行信用金庫にこのような預金原価率なり経費率に差ができておるのか。同じ中小専門金融機関としてこういう状況というのは、競争条件としては非常にまずい点ではないかという感じがするのでありますが、協会長としてこれについての御所感があればちょっと承りたいと思います。
  33. 加藤廣治

    加藤参考人 お答えいたします。  堀先生の御指摘のとおり、私どもも非常にこの点は苦慮いたしておるところでございます。まず、なぜこのように差が出ておるかということを考えてみるのでございますが、まず相互銀行はやはりほとんどが組合がございます。組合の要望などがありまして、非常に給与が高くなっております。比較いたしますと人件費というものは非常に高いのです。それからもう一つは税制の問題、信用金庫は協同組合法によって非常に課税上優遇されておるという点が一つ。それから信用金庫は地元に密着いたしておりまして、地元の名士がそれぞれ役員になっておられるというようなこともございますし、まあ地元でございますからその土地の名望家の御子息などが給料が安くても入っておる。いろいろの原因もございます。もちろん相互銀行の努力の足りないこともございますが、かような条件の相違というものもございまして、御指摘のとおり経費率も非常に高い。したがってコストも高いということになっておるのでございます。これは年々努力いたしておりまして、その差は縮まる方向には来ておると存じておるのであります。私は資料なしでお答えしたようなわけでございますが、そんなような感じでございます。
  34. 堀昌雄

    ○堀小委員 同じように、やはり大蔵省の資料なのでありますけれども、非常に興味がある資料なのでありますが、「全国の金融機関の店舗配置状況」というのが資料でございまして、その中に、五百メートル以内の店舗数、要するに、ある都市銀行なら都市銀行相互銀行なら相互銀行を中心にして、その五百メートル以内に他の金融機関の店舗があるという統計が実は出ております。これは非常に興味のある資料だと思っておるのですが、この資料で見ますと、五百メートル以内に店舗数が二つまであるというところで見ますと、都市銀行の場合には比率としては二〇・八%、二つ以内のところに都市銀行の店舗がある。地方銀行は五五・四%、要するに地方銀行の半分は、その五百メートルの範囲内には他の金融機関は二つしかない。ですから非常に競争条件がいいということになります。ところが相互銀行の場合は三〇・九%になっておりまして、信用金庫は六一・七%。これで見ますと、要するに地方銀行信用金庫というのは比較的立地条件が、周囲に金融機関のないところに立地条件がある。ところが都市銀行は御承知のように都市部に集中しておりますし、それがいま二つしかないというのは二〇%しかないということで非常に少ないのですが、相互銀行が三〇%、地方銀行が五五%で信用金庫が六一%となりますと、これは非常に、相互銀行というのは後発性の問題もありましょうが、どうも集中しておるところに店舗が少したくさんあり過ぎるんじゃないか。これはあとずっと七十一以上のところまでいろいろ資料が出ておりまして、下のほうをまたいろいろ入れればあれですが、要するに、私は今後の相互銀行でお考えをいただきたいことは、あまり稠密のところへ割り込むという発想はいまのいろいろな諸条件から見てどうもうまくないんじゃないか。拝見をしておると、どうも最近相互銀行の店舗ができますのは都市部分のところに多いように私は感ずるのであります。確かに一見、都市部分に出てこられることは資金効率その他がいいようでもありましょうけれども、激しい競争の中に飛び込むことは必ずしも有利でないんじゃないか。その点は信用金庫というのが地域性その他を中心にしておるせいでありますか、非常に競争条件に恵まれておるという感じがいたすわけでありますが、そこらの今後の店舗配置のあり方でございますね、やはり相互銀行独自の、中小企業専門金融機関としてのやり方を生かしていただくという意味での方向が私はより必要になってくるのではないかという感じがするのでありますが、そこらについてのお考えはいかがでございましょうか。
  35. 加藤廣治

    加藤参考人 まことにありがたい御示唆をいただいたわけでございますが、実は私どもといたしましても、御意見のように、最近では中心部に支店を設置するということは非常に少なくなっております。もちろん企業のほうもドーナツ現象で郊外へ郊外へと出ていく。それから住宅もドーナツ現象というようなことでございまして、郊外のほうに店舗を新設するという傾向でございます。なお、大蔵省の指導もさような指導でございますし、また店舗を設置する設備費というものも郊外のほうが非常に安直にできるというようなことから、都心部の店舗の設置というものは非常に少なくなっておりまして、効率的に設置するという方向にいっております。なお今後ともさような考え方で店舗の設置をいたすように進めていくようにいたしたいと思っております。
  36. 堀昌雄

    ○堀小委員 それから一つ、きょうの資料で拝見いたしまして、融資先の問題でございますけれども相互銀行の場合には融資先件数が百十五万六千六百七十二件。ところがこれは、いまの都市銀行地方銀行信用金庫、ずらっと並べてみますと、あとの都市銀行地方銀行信用金庫がいずれも二百万台に上がっておるわけでございます。そうして構成比の上でも、相互銀行融資先数の構成比の中では一二・七%で、都銀、地銀、信用金庫がいずれも二三%、二六%、二二%と、ここらがずらっと同じ比率に並んでおります。それから融資金の量におきましても、これは信用金庫資金量が多いからある程度やむを得ませんけれども中小企業に占めるシェアというのでは、実は相互銀行は融資金額の構成比でも比較的低くなっておりまして、意外と最近の状態では都市銀行地方銀行中小企業融資というものがかなり行なわれておる、こういう感じがいたすわけであります。  そこで、これは私の感じでありますけれども、いまの融資量とその融資先数との数をずっと横に考えてみますと、どうも相互銀行融資単位が少し高いんじゃないだろうか。融資金額が四兆四千三百十五億で、それに対する融資先数が百十五万件、ところが片方はやはり同じ台で、まあ倍にはなりませんがやや倍に近いことになっておりますから、都市銀行地方銀行信用金庫の一件当たり融資金額に比して相互銀行は非常に高いという計数に、いまちょうだいした資料ではなっておるわけでございますね。これは私ちょっと意外な資料でございまして、都市銀行地方銀行のほうが相互銀行中小企業融資よりも単位が大きいというのなら話がわかるのですが、都銀、地銀の融資単位よりも相銀融資単位が大きいというのは、どうも中小企業といいながらも高いところに資金が流れ過ぎているのではないのか。これも専門金融機関という表現からいたしますといささか専門金融機関でないのではないか。ないというと悪いですが、専門金融機関としてのウエートが低いといいますか、専門でない都市銀行地方銀行のほうが小口の融資をたくさんしているという感じになるのはいかがかという感じがするのでありますが、そこらは一体どういう背景でこうなっておりますのか、ちょっと承りたい。
  37. 加藤廣治

    加藤参考人 お答えいたします。  これは実は統計上の問題でございますが、給付金というものが貸し出しがら除外されたのでございます。その件数が入っておりませんのでかような件数になったのでございます。これを入れた場合とか、あるいは最近はまた給付を除いた件数においても非常にふえておるということを申し上げたいと思います。
  38. 堀昌雄

    ○堀小委員 ちょっといまのお話ですが、最近はとおっしゃるのですが、四十五年三月末の皆さんのほうの資料でございますので、大蔵省の資料じゃないのです。いまここに私どもにちょうだいいたしました協会からの「相互銀行の現況」という資料、これは四十五年三月末ですから、この資料の数はあれだと思うのですが、給付というのは私はたいへん減っているのではないかと思うのです。この融資先件数百十五万六千件というものに見合う給付先というのが、ある程度影響するほど今日あるのでございましょうか。
  39. 加藤廣治

    加藤参考人 もう一つあるのでございます。この統計上、全国銀行は日銀さんの統計による資本金五千万以下というものの件数でございます。相互銀行におきましては資本金二億以下というものの全融資の対象でとらえた件数でございます。こういう数字になっておるということを申し上げたいと思います。
  40. 藤井勝志

    藤井委員長 これにて加藤参考人に対する質疑は終了いたしました。  加藤参考人には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきましてありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。どうぞお引き取りになってけっこうでございます。     —————————————
  41. 藤井勝志

    藤井委員長 ここで、時間が多少ございますから、私のほうから大蔵省のほうにちょっとお願いしたいことがございます。  実は、九月三十日付の新聞の「声」欄に、銀行関係の問題が二つ出ておりました。私は、これは時節柄適切な提案であるというふうに思いますので、これがどのようになっておるか。またもう一つの問題は、これをどういうふうに取り扱ったらいいかということでございます。  第一は、「銀行界は姿勢を正せ」という問題について、若い銀行員が意見を述べておりまして、先般来当委員会でもしばしばお話が出ておるように、「近年の各銀行預金獲得競争の激化、加えて金融再編成や銀行の配当規制の弾力化等がそれに拍車をかけている。このため昔からのいわゆる「銀行員タイプ」というイメージからの脱皮を急ぎ、そこに銀行員としての精神的バックボーンの欠除した「モーレツ預金獲得員」なるものの急増しつつあることはいなめない事実である。なるほど、銀行にとって預金獲得は必要不可欠であるが、それはあくまで銀行にとって重要な一面であっても、すべてではないのである。銀行公共性、大衆の公器としての性格を、それによって没却し去ることは許されない。近視眼的研修体制から精神的バックボーン育成のための研修体制に脱皮することが、一般大衆に対する義務だけでなく、今後の銀行の興亡を決するものだと思う。」こう二十八歳の銀行員が「声」としてあげております。  ここで私は、銀行局銀行行政の面において指導監督、これは銀行自体の問題ですけれども銀行員の研修体制というのがどのような状態であるのか。これは銀行自体の問題だから全然関知しないのだといって済ませる問題かどうか。私は、そういう基本的な行員の心がまえ、ここら辺にさかのぼって考えるべき事柄ではなかろうかと、最近の事象を考えてみて思いますので、これが一点。  第二点は、「大衆化時代の銀行窓口時間延長望む」というので、これは四十一歳の主婦の方が提案しておるのですが、肝心なところだけちょっと読みます。「最近私たち庶民の暮らしの中に銀行が親しみ深く入ってきました。」だからいろいろ接触が深いということから書き出しまして、「午後三時」——銀行は一応午後三時に終わりますね。「午後三時といえば、まだまだ町の中は忙しく動き回っている時間です。三時までに間に合わせようとすれば、午後の時間がかなり窮屈になります。この目まぐるしい世の中で、なぜ銀行だけ昔のまま三時に締めてしまうのでしょうか。昔のように大口の取り扱いだけのときはそれでよかったかもしれませんが、一般大衆をお客に集めることに力を入れている現在、一般客の便宜のため夕方五時まで時間延長することこそほんとうのサービスではありませんか。窓口は三時に締めてもおそくまで整理にかかると聞いていますが、三時以後の分は翌日回しとか、現金の取り扱い額を制限するなどの内部操作でやっていけないものでしょうか。その点、郵便局は書留など現金の出し入れば四時まで、一般窓口は五時まで、特定局では日曜日でも午前中は開いてくれます。郵便局にもできることですから、ぜひ御一考をお願いします。」こういうことなんです。これについてひとつ、きょうお答えがなくてもけっこうですが、検討してもらいたい。  何か御意見があったらひとつこの二つの問題について……。
  42. 中橋敬次郎

    中橋説明員 ただいま小委員長よりお示しのことは、私どもも今回の不祥事件等から考えましても、研究をいたしておる問題にも関連いたしております。  まず第一の、銀行につとめておる職員のモラルの問題と申しますか、姿勢を正せということは、まさにおっしゃるようなことを私ども考えておるわけであります。ただ、そこにいわれておりますように、常にすべての不祥事件というのが、最近来特に銀行行政上指導してまいりました金融機関効率化ということにすべて原因があるようにいわれております。確かに、部内の事務管理というのをなおざりにして、外に出向いて預金獲得に狂奔しておるという点からそういうことが行なわれておるということも確かでございます。また、それあるがために、いままで推進してまいりました金融機関効率化という面をこの際とんざさせることもいかがかと思っております。いたずらに業容の拡大を誇り、利益の上昇を願うばかりの効率化というのは、私どもも従来からいっておりませんで、そこに公共性というものの反省が十分必要であるということはおっしゃるとおりでございます。  それで、いろいろ最近の不祥事件の事態を反省いたしまして、私どもも検査の体制をいろいろ進めるというようなこととともに、やはり基本的には、こういう金融のサービスに従事しておる人たちの、従来から非常にかたかったといわれておりますそういうモラルというものをこの際振起するのが第一の問題だと思っております。たまたま先ほども相銀会長からもお話がありましたように、それぞれの金融機関の各協会におきましても、そういう点から事務の刷新、先ほど平林委員からも御指摘がございました素預かりという問題の刷新あるいは窓口の取引事務を総括する責任者というものについての今後の事務体制を確立しますとか、それからいま投書でも指摘されましたように、外部活動というものが行き過ぎたことによる弊害というのをこの際自粛しようではないかというような点をいろいろ検討いたしておる最中でございます。もちろんその中には行員の研修ということもあわせて考えなければならぬ問題だと思っております。  それから第二に投書として御指摘のございました銀行の窓口時間の延長ということでございます。これは従来もそういうことの要望が非常に強かった時期もございました。これに対しましては、かつて銀行局といたしまして、そういう窓口時間というものがそれぞれの金融機関におきまして、経費の面でございますとか、あるいは労働の面でございますとか管理の面でございますというところから許されるならばそういう体制をとって、届け出をしてくればそれを認めるという態勢でございますし、現にそういう延長をいたしておるところもございます。ただ、私どもといたしましては、窓口時間を延長するということが、これが実はまたそれぞれの金融機関の激しい競争を引き起こすというようなことがあっては第一の問題とも相関連するわけでございますし、いまはむしろ内部の事務をかためなければならないといわれておるやさきでございますから、こういう点もあわせて考えなければならない問題だと思います。  いずれにしましても二つの問題は、今回の事件とも関連し、ちょうどそういうことを検討いたしておる最中でございます。あわせて議論いたしたいと思ます。
  43. 藤井勝志

    藤井委員長 ひとつ御研究願いたいと思います。     —————————————
  44. 藤井勝志

    藤井委員長 次に、全国信用金庫協会会長小原鐵五郎君から意見を求めることといたします。  小原参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございます。一般民間金融機関あり方等について忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、お願いを申し上げます。小原参考人
  45. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 ただいま御紹介をいただきました全国信用金庫協会の会長の小原でございます。  平素、私たち信用金庫は諸先生に非常なお世話になっておりまして、この機会をおかりして厚く御礼を申し上げます。  本日は、今度の金融制度調査会答申に関する信用金庫意見を申し述べるようにということでございますが、最初に、信用金庫を御理解いただくために、現状を簡単に申し上げさせていただきます。  現在、信用金庫の数は五百二で、木支店等を含めた店舗の数は三千八百を数え、その預金量はこの八月末ですでに六兆九千億円を突破し、貸し出し額も五兆七千億円をこえ、政府系金融機関及び民間金融機関を含めた全金融機関中小企業向け貸し出し額の二〇%強を占めております。またその会員数は三百七十万人をこえ、信用金庫との取引関係にあるものは三千万人に達する実情でありまして、わが国中小企業及び国民大衆の金融機関として重要な役割りを果たしているのでありまするが、さらに豊かな国民生活の実現、地域開発の促進に協力することをビジョンとして、現在躍進五カ年計画を実施し、業界あげてその実現に努力を続けているところであります。  このように、信用金庫はわが国金融機構の中で重要な一翼をになうまでに成長してまいっており、またその果たしている役割りの重要性も社会的に認められ、特に中小企業金融の円滑化を期するため、さきの中小企業金融制度あり方についての答申においては、わが国中小企業金融特殊性にかんがみ、その必要性が強調され、また今度の答申においても、今後とも専門金融機関の役割りに期待するところが大きいとし、その健全な発展と十分な機能の発揮が望まれています。  御承知のように、信用金庫わが国経済のいわゆるすそ野金融を担当し、その取り扱う資金は小口、零細なものが多く、今度の答申が今後の政策の基本的な柱として強調している効率化の推進にあたっては、こうした点の配慮が必要かと存じます。業界としても、今後の政策遂行については強い関心を持っております。今度の答申が社会的使命に基づく公共性を特に重視していることでもありまするので、中小企業金融の円滑化をはかり、わが国経済の均衡ある発展を維持するため、私たち中小企業専門金融機関が健全な発展を維持し、その機能を十分に発揮できまするよう一そうの御配慮と御支援をお願いいたす次第であります。  答申の内容は非常に多方面にわたっておりますが、特に私たちに関連の深い問題について申し上げたいと存じます。  第一は、適正な競争原理の導入の問題であります。  答申は、金融効率化を進めるにあたって適正な競争原理の導入が必要であるとし、すでに行政面でも各種の施策が実施されているのでありまするが、競争を通ずる企業努力が真に効果を発揮するためには、金融が正常化され、完全競争市場が実現された基盤の上でなければならないと存じます。現在のように、いわゆる非正常な金融環境のもとで、しかも各金融機関経営諸条件にかなりの差があり、特に信用金庫など中小企業専門金融機関制度その他の面で競争上不利な条件下に置かれている現状のまま、異種金融機関を含めてすべて同じ土俵で競争を行なわせた場合、はたして文字どおり適正な競争が確保できるかどうか、疑問を持つものであります。大規模金融機関においては低利な日銀信用が利用できることなどあわせて考えますると、現状においてはおそらく競争原理の導入はそれらの金融機関に有利に働き、さきの答申の期待に反し、中小企業、なかんずく小零細企業金融の不円滑化を招くおそれがあるのではないかと思われます。  このため、まず金融が正常な状態に復するようつとめることが先決であろうかと存じます。また、信用金庫では現在供米代金の取り扱いや、公庫、公団の余裕金の取り扱い等が許されておらないのでありますが、このような中小企業専門金融機関に対して慣行的に課せられている諸制約や取り扱い上の差異をできる限り緩和するなり、あるいは専門金融機関にふさわしい恩典を与えるなど、不利な経営条件をできるだけ是正し、真に適正な競争が確保できるよう条件を整備されることをお願い申し上げる次第であります。  第二は、金利機能の活用の問題であります。  競争原理の導入とともに、金融効率化を実現するための手段として金利機能の活用があげられており、その一つとして預金金利の自由化ないし弾力化が考えられ、すでにそのための処置として本年四月に臨時金利調整法の告示の改正が行なわれました。しかし、現在のように、わが国では資本蓄積がいまだ十分でない上、資金需要が旺盛なことから金融市場が強調を続け、各金融機関が過当といわれるほどの激しい預金獲得競争を展開している実情のもとで、性急に預金金利の自由化に踏み切るならば、かえって金融秩序を乱し、預金コストを押し上げ、ひいては貸し出し金利の上昇を招き、それが結局中小企業にしわ寄せされる懸念があります。これでは良質低利な資金を供給するという金融効率化の意図とも相反する結果になるのではないかと存じます。家計の貯蓄にあたっては、店舗の近接、集金等の諸サービスが重要な要因となっており、必ずしも金利が唯一の決定要因ではないことも考慮され、預金金利の自由化については、資本の蓄積が進み、産業資金の供給が円滑化するなど、環境整備と相まって段階的に実施される必要があろうかと思われます。  第三は、規模の利益の問題であります。  答申は、同種の金融機関においては経費率につき規模の利益が認められ、また電子計算機を主体とする機械化面等で規模の利益が重要な意味があることを指摘し、規模の利益を追求する一つの方法として合併をすすめておるかのように見受けられます。しかし、規模の利益は通常大口取引によって実現されることが多いことは一般に認められているところでありまして、これでは小零細企業をおもな対象とし、いわゆるすそ野金融を担当する信用金庫の社会的使命とは相反する結果になります。したがって、合併にあたっては、地元の意向を十分に参酌するとともに、当事者が自発的にその必要性を認めた上で行なわれるべきであると思われます。この意味で、今後の行政指導にあたっても、規模の利益を追求することに急なあまり、地元の事情等も十分考慮しないまま性急に合併に追い込み、地元金融ないし中小企業金融の不円滑化を招き、わが国経済のひずみをさらに拡大することのないよう、慎重な配慮をお願いいたしたいと存じております。  また、合併の一つの形態として、さきの合併転換法によって信用金庫中小企業専門金融機関銀行との間のいわゆる異種金融機関の合併が認められることになったのでありますが、このような合併は、結果的に中小企業向け資金がそれだけ大企業向けに吸い上げられることになり、中小企業金融を一そう不円滑にするおそれがありまするので、特に慎重な御配慮をお願いいたしたく存じます。  第四は、中期預金の問題であります。  今度の答申で、中期金融と関連して中期預金検討に値するとされており、二年ないし三年の定期預金がいろいろ話題となっております。しかし、たとえそのような預金が実現したとしても、定期預金の書きかえ継続の実情等から見て、それによる新規預金の吸収よりもむしろ既存定期の振りかえが多いと考えられます。中期預金の実施による預金利率の上昇は、経営合理化努力によってある程度吸収できるといわれておりまするが、いわゆる仕入れ価格が上がることは事実でありますから、たとえ企業努力はあるとしてもコストアップは避けられないと思われ、これが結局貸し出し金利にはね返ることになろうかと思われます。現在わが国の金利水準は、諸外国の金利水準が上昇してきたこともあって必ずしも高くはないといわれておりまするが、最近米国をはじめヨーロッパ方面の金利が低下傾向を示しておりまするように、いつまでもこのような状態が続くかどうか問題であり、また経済の国際化進展に対処してわが国産業の国際競争力の強化が叫ばれ、特に中小企業の金利負担の軽減が強く要請されている実情等にかんがみ、このようなコストアップを招く懸念のある中期預金の実施については慎重な態度が必要であろうかと思われます。  第五は、預金保険制度の問題であります。  信用機構の維持をはかるため、預金者保護の特別措置としてこのような制度創設することの必要性には賛成であります。しかしその前提としては、当初にお願い申し上げましたように、適正な競争が確保されるための条件が整備されることが必要で、いたずらに小規模な金融機関を窮地に追い込み、結果的に金融の再編を強行するための舞台づくりに終わってはならないと存じまするので、この点十分な御配慮をお願い申し上げる次第であります。また、信用機構を維持するためには、各金融機関それぞれがみずからの経営健全性の維持につとめることが最も大切であります。  なお、このような制度のほか、今度の答申においても、各金融機関において自主的な預金者保護体制の確立につとめることが望まれており、信用金庫業界といたしましても、各単位金庫の企業努力のほか、系統中央機関である全国信用金庫連合会を中心とした相互援助制度の強化について検討を進めておりまするので、この制度創設にあたっては、機構をできる限り簡素化するなり、また基金の積み立て額を最初から過大なものとせず、あるいは財政資金の投入をはかるなどして、金融機関保険料負担を軽減されるよう特に御留意いただきたく存じております。  なおこの際、答申で強調されております効率化あるいは公共性という問題と関連いたしまして、信用金庫の社会的使命の遂行という視点から日ごろ考え、また業界でも検討しておりますることを二、三申し上げさしていただきたいと思います。  まず第一は、中小企業向け長期安定資金の供給の問題であります。  現在中小企業者が一番悩んでいる問題は税金と金融の問題であろうかと思われますが、中でも金融面では長期安定資金の供給が強く望まれておりますことは、金融制度調査会に提出された資料等によっても明らかなところであります。これは、中小企業が労働力の不足、国際化進展等、内外環境の変化に直面し、これに対応するため合理化、近代化の必要性を強く感じているからでありましょうが、中小企業資本市場の利用が困難なこともあって、長期安定資金の確保がむずかしく、また政府金融機関も財政資金等の制約があって、その需要を満足するに至っておりません。そのため勢い中小企業としては民間金融機関に依存せざるを得ない実情であります。民間には長期資金を専門に取り扱う銀行もありますが、これらは御承知のように大企業中心であり、今後ともこれに多くを望むことはむずかしいと思われます。したがって、中小企業に深い理解を持ち、その金融を専門に取り扱う中小企業専門金融機関がこれに当たることが最も望ましく、中小企業実態から考え中小企業専門金融機関において短期金融とあわせて長期金融を取り扱うことができますることが、その社会的使命遂行の上からも必要であろうかと存じます。  この意味で、信用金庫業界といたしましても、中小企業合理化、近代化の促進に積極的に協力し、わが国経済の均衡ある発展に資するため、系統中央機関である全国信用金庫連合会を中心とする長期安定資金の供給対策を検討しているのでありまするが、それにはその資金源の確保が必要であります。その方法の一つとして、全国信用金庫連合会による債券の発行が考えられますので、この点御検討をお願いいたしたく存じております。  次は店舗の問題であります。  経営効率化という見地に立てば、店舗の配置にあたっては商業採算ベースを第一義的に考え公共性が軽視されがちとなります。御当局が競争原理の導入ということで店舗の配置転換の自由化に踏み切って以来、大規模金融機関の店舗が地方から太平洋ベルト地帯の大都市並びにその周辺に集中される傾向が見られますが、これはその一面を物語っていると思われます。しかしこのような傾向は、最近都市における過密化の反面、地方での過疎化現象の進展が憂えられているにもかかわらず、かえって過疎過密化現象を助長する結果となり、好ましくないように思われます。今度の答申が特に公共性を重視し、これを強調している理由一つにはこのようなこともあろうかと思われます。  信用金庫は地域金融機関として地元の金融に責任を持っていることから、地元民の便宜、その経済的発展という点を考え、単に経営効率化という視点だけから店舗配置を決定することは許されないと存じており、私たちといたしましては、地元経済の発展ないし地域開発の促進に協力するという社会的使命を考え、このような金融の谷間を埋め、過疎地帯の金融の円滑化にもつとめてまいりたいと考えております。したがって、店舗政策にあたっても、単に効率化という視点からだけでなく、公共的見地からの配慮を払われるとともに、それぞれの金融機関が受け持っておる社会的使命、特殊性等も考慮され、弾力的な行政指導が行なえるようお願いいたしたく存じております。  第三は、配当の自由化の問題であります。  銀行においてはこの九月期決算から配当規制が弾力化されることとなりましたが、この方針が打ち出されて以来、銀行の収益重視の傾向が強まり、産業界から不満が出ていると過日新聞に報じられておりましたことからもうかがえまするように、金融機関があまりに高率な配当を実施することは公共性の見地から社会的批判が生ずると思われます。半面、預金者保護のため経営健全性を維持しなければならない金融機関としては、将来にわたって確たる自信のないまま直ちに金利面で取引者の優遇をはかることに踏み切ることもむずかしい事情にあります。また配当にいたしましても、一たん実施した配当率を引き下げることは信用保持上好ましくありません。このようなことから信用金庫業界としては、制度の特色として特別な利益還元の道を開いている事業分量に応じてする利用者配当を実施することによって会員に報いてまいりたいと考えております。  最後に、業務提携の問題であります。  今度の答申でも、経営効率化視点から業務の提携が高く評価されておりますが、私たちといたしましてもその必要性と効果を十分感ずるものであり、すでに具体的に実行に移しているものもありまして、昨年東京銀行との業務提携をはかったのもその一つでございます。これは、中小企業の育成発展という社会的使命を持つ信用金庫としては、経済の国際化が進む半面、わが国輸出額の約四〇%以上が中小企業製品であることを考えた場合、やはり信用金庫としても貿易金融面でのサービス機能を持つ必要性があると思われ、また、埋もれた中小企業製品を海外に紹介してあげることも大切でありましょうし、さらに、今後ますます海外との交流が増加することも考えられまするので、この面からの要請にもこたえられるよう体制整備することが大切であろうと思われますので、東京銀行との業務提携を実施することといたしたのであります。今後とも、中小企業及び国民大衆の機関として、これらの取引者の要請にこたえるため、サービス機能を強化する等の見地から、必要に応じ、業界内部はもとより、他の金融機関等との業務提携について検討し、実施してまいりたいと存じております。  このような業務提携を行なう場合、中枢的な立場に立って重要な役割りを果たすことを期待されるのが全国信用金庫連合会でありますが、預金の受け入れ等、制度面で制約があることからその期待にこたえることが十分にできず、むずかしい問題が生ずることもあります。このため連合会の機能の拡充が強く望まれている実情でありますので、この点についても特別な御配慮をお願いいたしたく存じております。  以上で私の意見を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。
  46. 藤井勝志

    藤井委員長 ありがとうございました。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  47. 堀昌雄

    ○堀小委員 ただいまお述べになりましたいろいろなお考えについては、私どもがかねて主張いたしておりますこととほとんど同じようなお話で、たいへん私どもとしては意を強くする点でございますし、あわせて、最近の信用金庫業界がきわめて堅実な発展を遂げておられるし、同時に、もちろん内部における事故等の問題もありますけれども、全体としては本来のあるべき中小零細金融に徹しておられるということについては、最初に敬意を表しておきたいと思います。  そこで、二、三いまお述べになりましたことに関連のあります点についてお伺いをいたしたいわけでありますが、その一つは、実は大蔵省が出しております資料にこういう表現のある部分があるわけであります。「金融機関の自主的な相互保障制度とその性格」と題しまして、  「昭和三十二年の答申などと並行して中小金融機関の間で、資金繰りが困難となった金融機関に対し相互援助的に資金を融通する組織が自主的に創設された。  しかし、これらの組織は、いずれも原則として、再建可能とみられる金融機関に対し、返済が確実であるという前提で融資するものであって、破産した金融機関を対象とする預金保険制度とは、基本的に性格を異にしている。  また、この相互援助資金は、直接預金者に支払うものではないので、必ずしも零細預金者には支払われず大口ないし特殊の預金支払いに回ってしまうおそれがあること、相互の拠出金という性格上、経営の不手際による危機よりは洪水、地震など天災に際しての預金支払い資金の不足に充てることが原則となることなどの問題がある。」  こういう指摘が実はされておるわけであります。  そこで実はこの相互保障協定を、同じその面にあります資料で拝見いたしますと、四十五年三月末現在におきまして、信用金庫では諸般の制度を活用しておられて、現在、昭和三十一年の十一月に発足をした振興資金制度というので貸し付けワクが二十億円、同時に三十五年五月に発足をいたしました振興基金制度では積み立て額が二十三億円、支払準備預金制度を三十七年の五月に発足をされて、その預金は百二十九億八千八百万円、さらに四十年二月に発足をして四十四年七月に改組をされた保障基金機構は積み立て額三十一億三千三百万円と、たいへん相互銀行に比べまして信用金庫がこれらの相互協定なり援助の問題について重要な関心を払いながら実績を積んでおられることについては敬意を表したいと思うのでありますが、ここで大蔵省が触れておりますように、私もちょっとこの大蔵省の表現には少し問題があろうかと思うのです、「破産をした金融機関」の救済と、こう書いてあるわけですけれども、大蔵省がともかく監督権を持ち、検査権を持ち、免許をしておるものを、破産をするまで黙ってほっておいて、破産をしてから預金保険で救ってやろうなどという発想ならば、一体免許とは何ぞや、監督権とは何ぞや、検査権とは何ぞやということで大蔵省の責任はきびしく追及されなければならないので、私は表現がすでにここはおかしいと思うのです。少なくともここに書いてございます、「いずれも原則として、再建可能とみられる金融機関に対し、」と、こうあるわけですが、金融機関が再建可能である範囲で処置をするのが本来の救済の手段であって、じっと黙って、監督権があり検査権があり、免許を出して大蔵大臣の指導のもとにいろいろな規制をしておるものが破産をするまで手をこまねいて見ておったでは、これは問題があるのでありますが、それはちょっと横におきまして、かりにもしそういうような破産をするような事態に至り、その結果として支払いがされない場合には、現在ここにあります各種の相互援助協定はどういうふうに働くのか。大蔵省がいま申しておりますように、そのときにはこの相互保障協定というものは一つも働かないのかどうか。その点をひとつ最初にちょっとお伺いいたしたいと思います。
  48. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 ただいまお尋ねの面についてお答え申し上げます。  今度預金保険制度ができましても、いわゆる預金者金額にも制限があることは御案内のとおりでございます。百万円というふうなことをいわれておりますが、どういうことにきまるか、大体そんな見当じゃないかと思います。そういたしますと、その他の預金に対しても——私ども信用金庫業界といたしましてはただいまいろいろお話のございました、現在三つばかりの相互援助体制がございます。今度預金保険制度ができますれば、預金者保護という面はそれで大体百万円までは済みますが、百万円以上預金している人たちに対する責任でございます。われわれ信用金庫業界といたしましては、金融機関があるしくじりをやってしまったというふうな場合に、しくじったり、また不正なことをするというふうな人たちに対しては、その人には厳罰を処していただくことはけっこうだと思います。ただし、信用金庫というものの信用に対して預金してくだすった善意の預金者に対しては、業界があげて相互援助体制をつくらなければいけないということで、いまお話のございました三つの面でございますが、今日では幾らか金額も少なくなっておりますので、現在私ども検討してもらっておりますのは、一そう強力ないま申し上げましたような面の相互援助体制をつくりたいということで、いま委員会でもって検討しておりまして、近く成案ができると思います。その金融機関がまいってしまうとかなんとかということは別問題として、信用金庫という看板に対してお預けくだすった方には、業界があげてひとつ心配をする、こういう体制をつくり上げたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。
  49. 堀昌雄

    ○堀小委員 実は先ほども相互銀行加藤会長に、信用金庫はたいへん整備がされてあるけれども、それに比べてちょっと相互銀行は少ないですよと申し上げたら、来年から二百五十億円でございますか、基金をふやして相互援助協定を強化をしたいという考え方をおっしゃっておりまして、私も業界としてそういうふうな相互援助協定を強化されるということはたいへんけっこうだと考えておりますし、いまのお話で、大蔵省がここに書いておりますこととはやや異なって、少なくともそういうような段階に立ち至れば、百万円までをかりに預金保険が処理をするならば、それ以上についても信用金庫として責任を考えたいとおっしゃることについては、私どもたいへんけっこうだと考えておりますので、相互援助協定の問題についてはひとつさらに一そう拡充をしていただいて、それが、どういう形の預金保険ができますかは別といたしましても、相補完をしながら信用金庫の信用の強化につとめていただきたいと思います。  そこで、私いま各金融機関の協会の皆さんに申し上げてきておるのでありますけれども、私はここでいま金融の正常化にお触れになっておる点でも全く同感なのでありまして、その一つは、預金保険に関しても、大体都市銀行というのは支払い準備日本銀行にあるような形になっておりまして、このような金融機関と、自力で支払い準備を持たなければならないものとがあるということは非常に問題がある。そこで同じような次元の競争などは行なうべきでないという御持論についても私全く同感でありますが、そういう意味では都市銀行といえども支払い準備を持つべきであるということで、各金融機関がおのおの支払い準備を、適当な額を長期にわたって積みながら、もし途中でそういうような金融機関内部において倒産のおそれのあるような条件に立ち至ったときには、その支払い準備の中からルールによって一定率を取りくずして、それによって当該金融機関預金者の保険に充てるということのほうが、別途にそういう機関を設けて、ただそこに預金保険基金を積み立てるよりはどうも合理的である。特に信用金庫の場合には、すでにいまの預金支払い準備につきましては百二十九億円もの資金の積み立てのございますことであるし、同時に、おそらくこの制度は今後もさらに拡大をされていくことであろうと思いますので、このような支払い準備金の中からルールによって一定額を取りくずせば、私は、新たに別途な預金保険基金などというものをつくって、そこで人がいろいろ働かなければならぬという問題ではないような気がするわけであります。そうすれば全体としてのいまの百万円以下の預金者の問題はそういうルールによって取りくずしで処理ができ、それ以上のものは皆さんの相互援助の仕組みによって処理ができるとなれば、私は新たな機関を設けなくても、制度を設けることでこれは用が足りるのではないか、こういう感じがいたしておりまして、過般の金融制度調査会で小原会長が、現行預金支払い準備制度の強化も一案であるが、預金保険制度との併立も考えられようというようにお述べになっておるように資料で拝見をいたしておるわけでありますが、これらについてはどのようにお考えになるか。ちょっとお答えをいただきたいと思います。
  50. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 いまのお尋ねの面ですが、私ちょっと要領がつかめませんでしたが、いわゆる預金保険制度と、そのほかに今度は支払い準備制度の問題でございますか……。
  51. 堀昌雄

    ○堀小委員 もう一ぺん申し上げます。  預金保険は、これまでの考え方としては、外に預金保険基金をつくりまして、そこに金融機関が一定の保険料を払う、そして事故が起きたらここが救済資金を出す、こうなるわけですね。私が申しておりますのは、各金融機関預金支払い準備制度をちゃんとさせまして、一定率をそこの各銀行に積ませるわけであります。今度は行内に積ませておくわけであります。行内に積ませた支払い準備の中で、もし事故が起きましたら、要するに何々信用金庫の場合には預金量が幾ら、何が幾らだからそこは幾ら金を出しなさいというルールをつくるわけでございます。そうして支払いを必要としたときだけ全金融機関支払い準備の中から一定割合の金を拠出をさせまして保険に充てる、こういうことであります。ですから、資金そのものは、ほうっておけばだんだん支払い準備はふえる。その銀行なり金融機関経営健全化されるわけであります。事故が起きれば必要な資金はそこから取りくずして充てるとなりますから、人は要らないわけでございまして、ルールさえあれば、そういう事故が起きた場合、たとえばそこで五十億要るということがきまりますれば、その五十億を全金融機関の、各行の支払い準備の中から一定割合で取りくずさせるという法律的なルールでございますね、これをつくっておけば用は足りるのではないか。そういたしますと、百万円まではそれで済むし、信用金庫の場合にはそれ以上はいまございます相互援助協定、これも同じようなかっこうでございますから、これで皆さんが内部的にお集めになったもので処理をされるわけで、たいへんりっぱなものができるのではないか。そしてむだな経費は要らないということになるのが私の預金保険に対する構想なんでございます。要するに、外につくらないで内に積み立てさせてルールで払い出させる、こういうことなんでございますが、この考えについてはいかがかということであります。
  52. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 いまの堀先生のお話につきましては、私ども金融制度調査会委員といたしまして、先ほど申し述べましたように、今度の預金保険制度には賛成なんでございます。ただ、やり方の問題と思いますが、やり方の問題につきましては、いま御指摘になりましたようなことがいいかどうかということについて、まだ私ども勉強が不十分でございますので、ちょっとどうもはっきりお答え申しかねるのでございますが、御了承願いたいと思います。
  53. 堀昌雄

    ○堀小委員 その次に、いまお話しになった中で、信用金庫連合会というのが系統の中心的な機関でございますが、これは私ども非常にまぎらわしいと思うのでございます。実は私も大蔵委員になりましてだいぶんの間、この連合会と協会とがよくわかりませんでして、どうも連合会というのは金融機関だという感じが実は非常にしないわけでございまして、これは今日これからいろいろな問題について系統の中央機関でございますから、何らかそれにふさわしいような名称をお考えになったらどうだろうか。どうも一般の国民の感じでは、信用金庫連合会といいますのは協会のようなものじゃないかな——私も何年かたちましてようやく、連合会というのは単一の金融機関の名称なのだということがわかるようになりましたけれども、たいへんこれはまぎらわしいような気がいたしますので、何かほんとうの意味の中央金庫だということがあらわれるような簡明直截な名称がたいへん望ましいと思うのでございます。  それに関連いたしまして、連合会での債券発行についての御提案がございます。いろいろと私ども長期金融の問題について見てまいりまして、確かに特に中小企業、零細部分における長期の金融が欠除しておることはもう明らかであります。長期信用銀行、信託銀行——今度は貸付信託法の改正等によりまして信託銀行も長期の金融中小企業にできることになりますけれども、そうは申しましてもそう簡単にこれが可能ではありませんから、私は考え方としては非常に興味のある発想だ、こう考えておるわけでございます。ただこの債券の消化のあり方は一体どういうことになるのでございましょうか。その点をちょっと承りたいと思うわけなのです。
  54. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 ただいま、この全国信用金庫連合会というものを協会と同じような見方をなすっている、これはごもっともと思います。実は私どももいままで、全国信用金庫連合会は業界の内部だけでわかっておればいいんだというふうな考え方でございました。しかしいろいろなことをやってまいりまする上で、最近になって、連合会というものをただ内部の金庫の人たちだけが知っているのではなくして、どうしても社会全般の人にやはりよく知っていてもらう必要があるのじゃないかということでいろいろと、この間も、今度は連合会というものがどういうことをやっているかということをできるだけひとつ一般の国民大衆に知ってもらうようにつとめろということをいま言ってございます。ただ名称が、まあ銀行さんのほうは全国銀行協会連合会というのがございますのでそれと同じようなぐあいに考えられちゃって……。信用金庫のほうは、信用金庫協会は一つの指導機関みたいなもので、連合会は信用金庫の親機関、日本銀行のような機関になっております。そういう関係ですから、今度はできるだけ連合会を社会にPRしたいというふうに考えております。そこで名称の問題ですが、これも確かにいまのようなことで御指摘のあったとおりだと思いまして、私ども連合会という名前をどういう名前にしたらいいかということも業界あげていま心配しているところでございまして、大いにそれは心配していきたいと思います。  それからもう一つの問題の債券発行の問題でございます。債券発行につきましては、これは私ども直接に中小企業と長い間つき合ってまいりますと、先ほども申し上げましたように、中小企業が一番必要なのは長期の安定した資金を貸してくれ、こういうことなんですね。現在いろいろと中小企業は仕事をやっておりますが、先ほど申し上げましたように中小企業が一番頭にありますのは、先ほど税金の問題を申し上げて恐縮ですが、金融の面でもって頭が一ぱいなんですね。金を借りましても、大企業ですとわりあいに長期の資金が借りられますが、中小企業が借りますと大体二月か三月の手形で借りて、長期資金でありながら手形のころがしでやっているというのが現状でございます。したがって、これらの中小企業者は何とかしてひとつ金融の面で安定した金融をつけてもらって、そして自分の本来の仕事である技術の革新であるとか国際化に対処したいろいろな経営の近代化とかいうことに頭を使ってもらうことが必要ではないかというので、債券発行ということは、これは信用金庫の問題というよりも中小企業者のために私どもは必要ではないか、こう考えます。  これが発行につきましては、証券業界からも非常に私どもにいろいろなお話がありますけれども、発行します場合には、全国の信用金庫の店を通じてこれを募集しますれば相当に私は債券の発行が可能ではないかと思います。この集めた資金は全国の信用金庫の窓口を通じて、いま申し上げた、つまり長期安定した資金を供給したい、こういう考え方でございます。
  55. 堀昌雄

    ○堀小委員 そういたしますと、いまのお話では、各信用金庫の窓口を通じてお売りになるわけですから、一般の個人なり企業なりに買ってもらう。そうすると、その連合会が出した債券を信用金庫が買うという問題はないのでございましょうか。やはりその信用金庫が——たとえば債券の発行量なり調整の問題もありましょうが、信用金庫連合会が債券を出します、それが完全に消化をされるとたいへんけっこうなんですが、それが消化をされない場合には信用金庫が一応それを持つということもあるわけでございましょうか。その点をちょっと承りたい。
  56. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 この消化につきましては、いま申し上げました一般の人にも買ってもらう考え方ですが、現在信用金庫金融債、興業銀行さんとかあるいは長期信用銀行さん、不動産銀行さんの債券を相当持っております。そういう意味で、今度の債券を発行しますれば、余裕のある信用金庫には持ってもらいますし、願えれば資金運用部あたりでも御配慮願いたいというのが私の念願でございます。
  57. 藤井勝志

    藤井委員長 平林剛君。
  58. 平林剛

    ○平林小委員 きょうの参考意見は私どもも非常に同感とするところが多いのでありますけれども、引き続いて少し御意見を承っておきたいと思います。  いま質疑のありました中小企業に対する長期の安定資金を供給するという問題は、これは中小企業の置かれている立場、これからの合理化、近代化の必要性から非常に強い要望になっておることはおっしゃるとおりであります。そこで、いまお話しになりましたような全国信用金庫連合会による債券の発行という一つのアイデアもあると思うのでありますが、私はもっとこれを積極的にする必要があると考えておるわけであります。債券の発行というのはどこで消化するのか、だれが引き受けるのかという点で、国債でもなかなか悩む点でございまして、国債自体がすべて日銀引き受けになっていると同じように、中小企業金融機関が発行する債券も、はたして小原さんが考えているようにスムーズにいくかどうか。これからの経済情勢にもよると思いますけれども、やはり一まつの不安がなしとしないわけであります。さればといって、中小企業金融機関が中小企業に対して長期の策定資金を供給するという使命は非常に強くなってくるわけでありますから、これも一つの方法だとは思います。しかし、もう一つ積極的にいく方法はないかということが検討されてよいのではないか。もちろん中小企業に対する資金供給機関としては政府機関の中小企業金融公庫というのがありますけれども中小企業金融公庫の金融に占めるシェアというのは、御承知のようにせいぜい構成比で一・八%、金融の額で三・三%、非常に微々たるものです。緊急不可欠、非常に当面の問題としておるそれらの役割りは、私やはり信用金庫あるいは本来は相互銀行、こうした中小企業専門金融機関が受け持つことが現状においては適当である、こう考えておる。そこで、たとえば政府のほうから借り入れをするとか日本銀行から借り入れをするとかという一定のプール資金を得て、それを中小企業の希望する長期の金融に向けていくという発想、債券の発行をもっと進めて、そして——これは甘えるわけではないと思うのです。政府の借り入れなりあるいは日銀の借り入れなりを中小企業向けとして担保して、それで長期の安定資金を供給するという、そういう時代が来ているんじゃないだろうか。それをもっと積極的に小原さんあたりが主張してよいんじゃないだろうか、こういう感じがしておるわけなんでありますけれども、その点はいかがでしょうか。
  59. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 ただいま平林さんからのお尋ねの面ですが、信用債券の発行よりも政府資金の導入なり日本銀行の借り入れによって積極的にやったらどうかという面については、私ども多年にわたって御当局方面にいまお話のありましたようなことをお願いはしております。お願いはしておりますが、なかなか実現いたしませんで弱っておるということで、そういう面がございますれば非常に私もけっこうだと思っておりますので、今後ひとつ先生方のほうからも御当局に対してそういう意図をお話しを願いたいということをお願いする次第でございます。
  60. 平林剛

    ○平林小委員 それから、先ほど相互援助制度の問題がありましたけれども現状どういう程度になったのか。先ほど、相互銀行ではいまのところは十数億円しかないけれども、三年六カ月くらいの計画を立てて二百五十億くらいに拡大をしていきたいというお話がありました。希望どおりいくかどうか、これは問題があると思いますけれども信用金庫業界としての相互援助制度現状はどういうことになっておるか。それから、それを知る意味で、最近西京都の信用金庫の問題がございまして、だいぶいろいろな意味で頭を痛められたと思うのでありますけれども、これに対処するにあたりまして相互援助制度というものはどういうふうに働いたか、その実情を差しつかえなければお話しをいただきたいと思います。
  61. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 それでは京都の問題を申し上げます。  西京都信用金庫経営上まずい失敗をいたしまして、皆さん御案内のような問題を起こしたわけなんです。そこで私も実は京都へ三回ばかり参りましていろいろとこれに対処したのですが、大体あそこの金庫は百三十億ばかりの資金量を持っておったわけです。百三十億ばかりの資金量を持っておりまして、一番私がおそれましたことは取りつけ騒ぎが起こりはしないかという面でございます。そこで業界といたしましては援助体制ができておりまする関係上、百三十億に対して、私どものいままでの経験からしまして、昭和二年のパニックのときも大体その資金量の四〇%があれば取りつけばもう終わるんだ、こういう考え方です。そういう考え方からしまして、連合会のほうからあすこに対して六十億の——大体四〇%ですと五十二億でいいわけですけれども、六十億の金を京都の連合会の支店へ送りました。そして、いつもらいに来る人があっても幾らでもお払い申し上げますという体制をしきました。それと同時に、西京都でそういうことがありまして、近畿地区のほうでわれわれの信用金庫のほかの金融機関にも影響があってはいけないということを第二に私は懸念したのでございますが、それはなくて済んだのです。済みましたのですけれども、そのときに全国信用金庫連合会に、ほかの信用金庫に影響があったときを考慮してということで、実はすぐに五百億の資金を準備して、それでいつでも京都なり大阪地区の近畿の信用金庫の援助資金を供給する、こういう体制をとったわけです。で、そのいまの京都の失敗につきましてはおかげさまで、あそこに京都中央というのがございまして、京都中央信用金庫が、人的にもいままでの経営者にやらしておいたんじゃいけないから、いままでの経営者は全部やめてもらいまして、そして新しく連合会からも人を派遣し、それから京都中央からも人を派遣しまして、向こうがやめると同時に翌日ぱっと二十何人も本支店へ、向こうへ送りました。人も送ったのです。そして資金も向こうへ送って全部済ましました。それでいま整理にかかっておりますが、この整理が済み次第西京都信用金庫と京都中央と合併をするということで、いま段取りをつけております。  ただ、合併するにつきましても、やっぱりそこに損害が相当出ております。この損害をどうするかという問題がございまして、これにつきましては、先ほど堀先生からいろいろお話のございましたいろんな援助体制がございます。その面に基づきまして比較的金利を安く向こうへ預託して、そして現在の金利とのかなりの利ざやがありますと毎年毎年その利ざやでもってその欠損が埋めていかれる。しかし京都中央にも若干責任は負ってもらうけれども、まあ金庫全体としてもそういうことをやりたい、こういうことをやったのでございます。現在、やりまして、おかげさまで大体落ちつきまして、二日ばかりは取りに来た人がありましたが、そういうことが看板に出て、幾らでもお払い申し上げます、と——先ほど堀先生からもお話のございましたように、私どもとしましては、悪い経営者は大いに罰していただきたい、しかし信用金庫を信用してお預けくだすった方には絶対に御損はかけてはならぬ、こういう態勢で臨みましたのでございます。いま申し上げましたように、連合会からその損害に対する面としまして長期の、七年間の日歩二銭七厘五毛ですか、三十五億を京都中央に預けて、そしてその京都中央から西京都のほうへ預託してもらうということにしまして、その利ざやでもって埋めていく、こういう方法をとった次第でございます。
  62. 平林剛

    ○平林小委員 相互援助制度金額や何かの現状をちょっと……。
  63. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 金額は先ほど堀先生からお話のありましたとおりでございまして、ちょっと私数字を……。
  64. 平林剛

    ○平林小委員 じゃけっこうでございます。  もう一つお尋ねしたいことは、金融効率化ということが叫ばれましてから金融機関の合併統合というようなことが一つの課題になっておる現状はすでに御承知のとおりであります。特に信用金庫は先ほどのお話によっても五百二もあり、店舗数を入れれば三千八百というふうに、全国各地至るところに信用金庫の店舗がある。その中にはかなり規模の大きい信用金庫もございますけれども、数ある中にはその規模が比較的小さいものもある。こうなりますと、金融効率化の勢いが激しくなればなるほど規模の利益というものを追求いたしまして、都市銀行あるいは地方銀行その他の金融機関から、ある意味ではねらい撃ちされるのではないかという心配も私どもしておったことがあるわけであります。御意見にもありましたように、その結果中小企業向けの金融が狭まるということは将来の日本の経済にとってたいへんなことでございますから、そういう意味では警戒すべき必要があるということを私ども主張しておったわけであります。しかしなお系列金融にしたがるような傾向は依然として絶えていないと私は思うのです。業務提携あるいはその他の関係からそういう傾向というのは消えないだろうと思う。これに対してどういうふうに対処するおつもりか。そのことをひとつお聞かせいただきたい。
  65. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 合併の問題、それからまた規模の問題でございますが、私ども全国を一律に何百億とか何千億なければいけないということは言い切れないんじゃないかと思うのです。要するに、いかに理想論を唱えても、その地区内の金融に十分こたえられるだけの規模を持っておれば、その地域が非常に狭い、経済的に低い地域とするならば、若干この金額が少なくてもいいんじゃないか。ただしその地域の金融にこたえられないような信用金庫であるならば、これはやっぱり合併なり何なりする必要があるのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。  それから異種金融機関との合併ということも、法律ができておりますので、これをどうこう申し上げるわけじゃないのですが、ただ申し上げたいことは、かりに信用金庫が大きな銀行と合併してしまいますれば、やっぱり信用金庫にあるときの金は中小企業者に対する貸し付け資金ということになってまいります。これが大企業銀行に合併したときには、同じ金は金には違いないけれども、その金は大企業向けに、化けるというようなことばを申し上げるのはどうかと思いますが、変わってしまうということですね。そういろ面からいきましても、私は、願わくはやっぱり中小企業金融機関中小企業金融機関同士の合併が望ましいんじゃないか。法律そのものを否定するものじゃありませんが、そういうふうに考えておる次第でございます。
  66. 平林剛

    ○平林小委員 最後にもう一つだけお尋ねしますけれども、きょうの御意見の中にありましたように、中小企業金融機関としての役割りを徹底をして、特に信用金庫界としてはすそ野金融、これは小原さんのおはこのようなことばで、私もすそ野金融というものはそういうものだというふうに理解をしてまいったのでありますけれども、このことは私ども大いに歓迎をするわけであります。そして、それが必ずしも正しいかどうかは別にいたしまして、一件当たりの金額の小さいことは、すそ野金融というものがある程度徹底しておる姿としても受け取ることができるだろうと思うのであります。しかし、最近なお、いわゆる庶民金融というやつが依然として需要が旺盛なんですね。つまり町にある高利貸し、あるいは高利貸しに準ずるもの、こういう一般庶民金融というものがかなり需要が強くて、依然としてそういうものについての何らかの措置が必要であるという声も聞かれるわけであります。したがって、すそ野金融を目標とされる信用金庫として、こういう現状をどういうふうにお考えになっておるか。それからまた、ある程度統制がきき、ある程度監督といいますか、目が届き、信用が確保されるというようなすそ野金融が広がるということが望ましいわけでありますから、そういうことから考えてみたら、この庶民金融についての現状をどういうふうに見、そうしてまたそういう期待といいますか、希望が強いということに対して信用金庫はどういう形で対応していくか。こんなことについてひとつお考えがあったら……。
  67. 小原鐵五郎

    ○小原参考人 ただいまのお尋ねの面につきましては、私どもいまのすそ野金融ということを一生懸命やっておるわけなんで、にもかかわらず一般の庶民金融と申しますか、そういう金貸しが相当に多いというふうな点については、私ども信用金庫自体の力がまだ小さいから、もっともっと信用金庫が大きくなって、そうしてまた深く地域、地域を耕しまして、そういうことのないように、できるだけひとつ信用金庫がそれにかわって仕事が、一般の大衆のめんどうが見られるように努力したいと思っております。まだ私どもの力が足りないということを自覚しておりますので、これから一そうひとつ、そういう人たちがなくとも済むような世の中にしたいというのが私どもの念願でございます。
  68. 藤井勝志

    藤井委員長 これにて小原参考人に対する質疑は終了いたしました。  小原参考人には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時三十六分散会