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1970-09-16 第63回国会 衆議院 大蔵委員会金融及び証券に関する小委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年九月十六日(水曜日)     午前十時十七分開議  出席小委員    小委員長 藤井 勝志君       高橋清一郎君    登坂重次郎君       松本 十郎君    阿部 助哉君       平林  剛君    堀  昌雄君       竹本 孫一君  小委員外出席者         大蔵委員長   毛利 松平君         大 蔵 委 員 坂元 親男君         大 蔵 委 員 森  美秀君         大 蔵 委 員 広瀬 秀吉君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君         参  考  人         (前全国銀行協         会連合会会長) 横田  郁君         参  考  人         (日本興業銀行         取締役頭取)  正宗猪早夫君         参  考  人         (日本証券業協         会連合会会長) 瀬川美能留君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  金融に関する件(一般民間金融機関あり方  等)      ――――◇―――――
  2. 藤井勝志

    藤井委員長 これより会議を開きます。  金融に関する件について調査を進めます。  本日は、前回に引き続き、金融制度調査会答申にかかる一般民間金融機関あり方等について、参考人から順次意見を求めることといたしております。  この際、御報告申し上げます。  本日御出席を予定しておりました全国銀行協会連合会会長岩佐凱実君が、急病のため出席できないこととなりました。つきましては、かわって前会長横田郁君から意見を求めることといたしましたので、さよう御了承を願います。  本日御出席を願う参考人は、全国銀行協会連合会会長横田郁君、日本興業銀行取締役頭取正宗猪早夫君日本証券業協会連合会会長瀬美能留君の各位であります。  ただいま、全国銀行協会連合会会長横田郁君が御出席されております。  横田参考人には、御多用中のところ御出席をいただきましてまことにありがとうございました。本件について、全銀協立場にとらわれることなく、忌憚のない御意見を率直かつ自由にお述べいただきますよう、お願いを申し上げます。横田参考人
  3. 横田郁

    横田参考人 私、ただいま委員長から御紹介にあずかりました日本勧業銀行横田でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  きょうは、先ほど委員長からお話がございましたとおり、全国銀行協会連合会岩佐会長が御意見を申し上げるはずでございましたが、突然の御病気で、実は昨夜おそく私のほうへお話がございまして、かわりに私が参上をいたしたような次第でございます。何ぶん急な話でございますので十分な準備もできておりません。お聞き苦しいところがあろうかと存じますが、あらかじめお許しを願っておく次第でございます。  なお、ここで一言お断わりをいたしておきたいことがございます。それは、全国銀行協会連合会には、御高承のとおり、普通銀行のほか、長期信用銀行信託銀行外国為替専門銀行等が所属しております。したがいまして、本日の議題である一般民間金融機関あり方等についての統一見解につきましては、まだ全銀協としてはまとまっていない次第でございます。それで、これから私から申し上げる意見都市銀行頭取としての見解と御理解願えればしあわせでございます。  まず、金融制度調査会答申全般についての感想といたしましては、金融効率化促進を基調といたします競争原理導入金利機能活用民間金融機関業務分野弾力化中期預金創設などにつきまして、きわめて前向きの姿勢が打ち出されており、時代の要請に即応するものとして、その成果を高く評価いたしたいと存ずる次第でございます。  現在の金融制度は、御承知のとおり、昭和三十年ごろまでにはほぼその基礎固めを終えまして、戦後のわが国経済の復興と高度成長金融面からささえてきたものでございますが、その後の経済金融環境が著しい変貌を遂げましたため、金融制度あり方についても再検討の必要が生じ、先般の答申を見るに至った次第だろうと存ずるわけでございます。しかしながら、経済金融環境につきましては、その後も引き続き新たな条件変化が加わりつつあるわけでございます。  まず銀行行政の面では、統一経理基準の実施、店舗行政弾力化あるいは配当自由化などが打ち出されまして、金融効率化行政がすでに大きく一歩を踏み出しておりますし、国際化の一環といたしましての資本自由化も当初の予定を大幅に上回るテンポで進められまして、銀行業につきましても今次第三次資本自由化に組み込まれるに至った次第でございます。しかも、七〇年代においては社会資本充実とともに物価の安定と公害防止が緊要な課題となりつつあります。金融効率化を通ずる資源有効活用は従来にも増して必要になってきていると存ずる次第でございます。こういうふうに見てまいりますと、いまや金融制度調査会答申をどのように具体化していくかということが喫緊の課題になってまいると申せましょう。  以下、時間の関係上、答申の中から、中期預金国際金融業務預金保険の三点について私見を申し上げさしていただきたいと存じます。  中期預金創設につきましては、今回の答申は、基本的には検討に値するとしながらも、実現の際には慎重な配慮を期待していると述べております。しかし、私は次のような理由によりまして、この際早急に中期預金創設を御検討願いたと存ずる次第でございます。  第一の理由は、中期預金創設預金者要請にこたえるものであるからであります。近年、預金者金利に対する選好は一段と強まっております。貯蓄形態多様化してきておりますが、こうした預金者のニーズにこたえていくことは金融機関としての当然の責務だと存ずるわけでございます。現に一年定期預金の過半は二年、三年と書きかえ継続されている状況でございますから、これに相応の利息を付することは預金者に報いるゆえんでもあろうかと存ずるわけでございます。時あたかも勤労者財産形成促進や物価安定のため貯蓄重要性が再認識されるに至っているおりでもございますし、本問題につきましてはどうか前向きに取り組むべき時期にあろうかと存ずるわけでございます。  第二には、中期預金創設中期金融円滑化と表裏一体の関係にあるからでございます。調査会が行ないましたアンケート調査でも、中期金融に対する企業の期待が強いという結果が出ているようでございますが、今日、中小企業をはじめとして中期資金需要かなりの部分は都市銀行に依存しているわけでございまして、長期信用銀行信託銀行のみの供給ではまかない切れないものがあろうかと存ずるわけでございます。したがいまして、この際、中期預金創設するとともに、中期金融について金融機関相互間のかきねを低くし、その円滑化をはかることは、金融効率化に裨益することがきわめて大きいものがあろうかと存ずるわけでございます。  この中期預金問題につきましては、一部に、資金コスト上昇による金融機関経営悪化や、貸し出し金利上昇をもたらすばかりで、さしたる利点がないという御意見もあるようでございます。もちろんこれによって預金利回りのある程度の上昇は避けがたいと思うわけでございますが、同時に貯蓄の増強による資金量の拡充とポジションの改善経費率の引き下げといった利点もございますし、必ずしもそれが経営悪化貸し出し金利へのはね返りをもたらすものとはいえないのであります。  以上をもちまして中期預金に関する私の意見を終わらせていただきますが、次に国際金融業務あり方について申し述べたいと存ずる次第でございます。  今回の答申では、外国為替専門銀行役割りがきわめて高く評価される一方、一般外国為替銀行につきましては海外における過当競争の弊害が指摘されております。一般外国為替銀行に籍を置くものといたしまして、経済原則を無視するような過当競争を行なうことは厳に慎まなければならないと存じますけれども、反面、経済発展のバイタリティーはきびしい競争から生まれてくることも忘れてはならないと思うわけでございます。今日、一般外国為替銀行海外進出は、欧米銀行に比べればかなりの程度に制限されております。外貨準備が手薄で、本邦企業海外進出がわずかであった時期はそれもやむを得なかったのでございますけれども、その後、客観情勢は大きく変化し、国際収支については黒字定着の色合いが濃くなり、一般企業海外進出もこのところしきりでございます。こうした状況下におきまして、一般外国為替銀行海外業務充実緊要性があらためて強調されてもよいかと存ずるわけでございます。  また、答申内容は、国際金融問題をやや貿易金融にのみ片寄らしめているという感じもないではございません。これからの輸出はプラントなど重機械にウエートが移り、輸入においても開発輸入など、発展途上国資源開発安定的原料輸入体制確立が急務となっておるわけでございます。ところが、これに伴う金融は、これまでのような短期貿易金融ではなく、中長期金融であり、今後こうした金融ウエートがさらに高まっていくことが考えられます。このような国際金融上の課題にこたえるためには、外国為替専門銀行のみでは十分ではない、一般外国為替銀行の国策に沿う役割りこそが注目されることになろうかと存じます。今後の政策運営にあたりましては、特にこうした配慮が加えられることを望んでやまない次第でございます。  最後に、預金保険制度創設について申し上げます。  金融機関公共性信用秩序維持重要性にかんがみまして、万一の場合に備え預金保険創設する御趣旨に、異論は都市銀行としてもございません。特に、業務多様化など、金融効率化のための諸施策が着実に進められていくことを前提といたしまして、これと歩調を合わせ、預金保険導入をはかっていくことはまさに今日的な意義があることと存ずるわけでございます。ただその場合、運営の機構はなるべく簡素なものとし、その料率が金融機関にとって過大な負担とならず、かつ民間自主的運営による制度として出発させることが望ましいと存ずるわけでございます。  なお、これに関連して申し上げたいことは、金融効率化を進める場合、預金者さえ保護されれば済むというものではないということでございます。万が一、金融機関経営に破綻を来たすようなことがあるとすれば、その社会的な影響はきわめて大なるものがあろうかと存じます。金融効率化の目的は、適正な競争を通じ、低利、安定資金の円滑な供給をはかることにあることを考えればなおさらでございます。もとより、金融機関といたしましては諸準備金引き当て金など、自己資本充実を含め、経営内容健全化には一段と努力してまいる所存でございますが、先生方におかれましても、これら金融機関自主的努力が十分な成果をあげ得るよう、税制面その他におきまして格別の御配慮をいただけるようお願い申し上げる次第でございます。  以上、主として民間金融機関あり方について意見を申し上げてまいりました。金融効率化促進資金偏在の是正などを考えますと、政府系金融機関農林系統金融機関あり方につきましても検討すべきものがあろうかと存じますが、これらの点につきましては割愛をさせていただきます。  長い間御清聴ありがとうございました。
  4. 藤井勝志

    藤井委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  5. 堀昌雄

    ○堀小委員 ただいまお述べになりました御所見については後段で触れさせていただくことといたしまして、本日は全国銀行協会会長代理として横田頭取出席だと思いますので、当初に、前回委員会において私ども問題を提起をいたしておりますし、前回の小委員会においても銀行局長より経過その他について報告を受けております銀行不祥事件の問題について、最初に少しお伺いをしておきたいと思います。これは本日の議題ではございませんけれども、この際、特に全国銀行協会会長代理として御出席をいただいておりますのでお伺いをいたしたいと思うのであります。  いま御所見をお述べになりました中にも、金融は適正な競争を通じて行なわれるべきであるというふうにお述べになっておりますけれども、私ども拝見をしております限りでは、現在の金融情勢はきわめて激しい預金獲得のための過当競争が行なわれておるというふうに見ておるわけであります。いろいろな不祥事件拝見をしておりまして、これはいろいろな要素が伴っておりますけれども、私は、どうもその最大の理由は、この節度をわきまえない各金融機関預金獲得競争過当競争にあるというふうに判断をいたしておるのであります。そのもとはと申しますならば、現在の各行の支店における男子行員のおもなる者がほとんど預金勧誘のために外部で働いており、そのために、おそらく支店内部においても本来行なわれるべきダブルチェック等が行なわれないという、内部管理体制の不備をもたらしている一つ原因は、私はこのような過当競争のための行員の配置のあり方にあるのではないか、こういうふうな感じがいたしておるのであります。  その次には、御承知のように、銀行では優秀な行員を多数にとっておられるわけでありますが、これらの行員が、たとえば生命保険勧誘においては、御承知のように、家庭婦人方が特別の教育を長期に受けるということなくして、パートタイムのような形で勧誘に当たっておられるのと同様な業務をさせられておるということは、これは私はいろいろな面で疎外感も生じ、モラルの低下につながるものではないのだろうか、こういう感じがいたしてなりません。さらに、支店長をはじめ銀行幹部すべてが預金獲得に注意が向き過ぎておるために、これもやはり内部管理のおろそかになる大きな原因になっているのではないのかと、かように感じておるのであります。先ほど国際金融に関連してお述べになりましたけれども、この答申の資料の中でも海外における過当競争を多く指摘をしておるのでありまして、私はこれらの問題について、この際ひとつ銀行協会の代表としてのお立場でお考えを承りたいと思うのであります。
  6. 横田郁

    横田参考人 ただいま堀先生から御指摘がございました点は、いろいろ私どもとしましても肯綮に値する点がございますし、非常に反省をしている点でございます。ただ、競争につきましてはいろいろプラスとマイナスの面がございまして、どこからどこが過当競争かという判定が非常にむずかしいわけでございますけれども、まあ端的に申し上げれば、国民経済的に見て意味のない競争は、これは避けなければならないということだろうかと思うのです。しかし、適度な競争原理導入して金融効率化促進することも、これは必要であろうかと存じます。  おっしゃったように、銀行競争の現状が非常に過当であるかどうかとの判定にはいろいろ議論の余地があろうかと思いますけれども、しかし私どもとしましては、先生のおっしゃるとおり、確かに過当の面もあろうかというふうに反省はしているわけでございます。それで銀行協会といたしましても、私が数年前にまだ銀行協会一般委員会委員長をしております当時から、過当競争自粛ということでいろいろ自粛措置を申し合わせてきておるわけでございますが、これがなかなか守られてないというのが実情ではなかろうかと思います。しかし、今後もこういった自粛措置を講じて、できるだけ過当競争を防止するという姿勢は貫いていきたい。したがいまして、今回のいろいろ連続する不祥事件に関しまして、銀行協会でも業務管理改善委員会というものをつくりまして、私ども委員になりましていろいろこれから事故防止のための改善をいたしたいというふうに考えております。  ただ問題は、もちろん事故が過度の競争に基因するということも一つの説明になろうかと思いますけれども、それでは競争が全くなければ事故が生じないかということになれば、必ずしもそういった性質のものではないと思うわけなので、要は信用第一の商売に徹して、この方針を全行員に徹底させることにあると考えておるわけでございます。  それから、ことに管理者が、いろいろノルマが課せられておりますので、内部管理あまり目を向けてないのじゃないかというようなお話がございました。確かにそういう面も全然ないとは申せないと思いますが、そういう点をわれわれ深く反省しまして、このごろは内部事務整備ということに非常に重点を置いてやってきております。  それから保険の外交のお話がちょっと出ましたけれども、これはパートタイマーを使用しているというようなお話でございますが、御承知のように、いま労力不足という問題が私のほうの銀行界にも非常にひしひしと感じられるわけでございまして、正規の銀行員だけではなかなか――事務多様化しておりますし、ボリュームも非常にふえておりますので、できるだけ、すでに銀行を退職しました女子行員、これは家庭に入っているのが多いのでございますが、そういう人たちのグループをつくりまして、これを動員して、パートタイム的に銀行業務に従事させるというようなことも組織的にやっているわけでございます。この連中は過去において銀行業務に従事していた関係上非常に有能でございます。そういうような措置もいろいろ講じて内部事務整備ということを考えているわけでございます。  そんなようなことで、われわれも今回の不祥事件につきましては深く反省をいたしまして、今後こういうことの起こらないように大いに努力をいたしているわけでございます。
  7. 堀昌雄

    ○堀小委員 新聞の伝えるところによりますと、実は配当自由化がこの九月期から新しいルールのもとに行なわれるということになっておりまして、私も実はこの配当自由化については、適正競争一つあり方として推進をしてまいったものでございますけれども、ところが最近の経過を見ておりますと、どうもこれが適正のワクを越えて、利益を多くすることがやはり配当率を高くする、こういうことにつながってくるものでありますから、この問題についてもかなり行き過ぎがあるように見受けられるのであります。最近の新聞の報道では、地方銀行においてはこの際配当をこれまでどおり据え置いて、少しこれらの競争行き過ぎ自粛をしたいというやに伝えられておるのでありますけれども、一体都市銀行においてはこれはどういうふうにお考えになるのか。  さらに、この九月八日の理事会におきまして、過当競争自粛について申し合わせがされておるように新聞拝見をいたしておるわけでありますけれども、これらを含めて、私は、やはりいまお話しのように、過当競争というのは量の競争であって質の競争でないと思うのであります。私どもが願っております適正な競争というのは質の競争であって、量の競争をできるだけやめてもらいたいというのが私たちの願いであります。私はかねて、高橋銀行局長のときにこの問題を提起をして、新格づけ基準ということで論議をしたこともありますけれども、終始一貫サウンドバンキング方向で、ひとつ皆さん金融機関が向上していただきたいということを願って今日に至っておりますが、残念ながらその実はあがっておりませんし、いま横田頭取お答えになりましたように、すでにかなり前からいろいろとお骨折りをいただいておるようでありますけれども改善の兆が見えない。しかしここらでひとつ、現在国民のいろいろな関心も集まっておることでありますので、やはり金融機関の最も中心的な、そして指導的な立場にある都市銀行としては、率先して適正な競争、質の競争ということに比重をかけていただくための具体的な取りきめ等が行なわれないものか。抽象的な申し合わせば過去何回もされておると思いますけれども、これはほとんど成果があがっておりませんので、きょうは会長でございませんで、代理としてお越しいただいておるのでどこまでお答えいただけるかわかりませんけれども都市銀行頭取立場としてでもひとつお答えをいただきたいと思います。
  8. 横田郁

    横田参考人 いろいろ問題が広範にわたっておりますが、まず配当の問題でございますけれども、これは理念的には、銀行も私企業でございますので、本来は配当について規制があるということ自体が変則であるということがいわれておるわけで、前々から配当自由化する方向につきましては、私どもとしましても、堀先生もそうだったかと思いますけれども、基本的には賛成なわけでございます。  ただ、今後銀行配当率がどのように推移するかでございますけれども金融機関立場からいいますれば、おっしゃったように、質的な競争による、経営効率化による成果というものを、株主預金者取引先、それからもう一つ従業員がございますが、これにどのように配分すべきかは慎重に考えるべき点だろうと私は思うのでございます。すでに、預金者への還元につきましては、一応一年ものの定期預金金利の引き上げを実施したわけでございます。  それから経営政策としましては、安定政策安定配当というものが非常に大事なことだと思うわけでございますけれども銀行のいわゆる公共性あるいは日本的風土といいますか、そういうものに立脚いたしますと、私は必ずしも高率配当をすることだけが銀行株主に報いるゆえんではない、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、今回大蔵省がおつくりになりました配当算式がございますけれども、その算式一ぱい配当率をとるかどうかということは、これは各銀行経営姿勢にかかっているかと思うわけでございます。したがいまして、私ども銀行だけのことを申し上げますれば、必ずしも一ぱいにはやる気持ちはない。もちろん株主を尊重することも大事でございますけれども公共性からいいまして社会還元、つまり貸し出し先預金者、それから従業員の福祉ということを考え合わせますと、これをほどほどに調整して配当率をきめていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから量的な競争と質的な競争の問題でございますが、いまや銀行量的競争段階を脱しまして、やや質的競争段階に入っておると私は思うわけでございます。過去におきましては、いわゆる皆さん方から過保護といわれる環境の中にございまして、量的な拡大をはかっていけばまあ銀行というものはだんだんと発展していけるんだというような考え方があったわけでございますけれども、これからは国際化を控え、資本自由化を控え、外銀進出あるいは銀行外国への進出というようなことをいろいろ考え合わせますと、やはり体質の改善ということが銀行にとっては一番大事なことでございますので、この意味において質的な改善ということを銀行としては目下考えているわけでございます。この傾向は、おそらく二、三年前から非常に経営者の意識というものが変わってきているように私は思うわけでございます。したがいまして、若干量的な競争のために、あるいは過当競争のために事件が起きる場合もあろうかと思いますけれども、その事件発生原因につきましてはいろいろ、それぞれ違った原因、個々別々のいろいろなニュアンスがございますので、一がいに過当競争のために起きたというわけにはいかないのじゃないか。それも一つ原因かとも思いますけれども、そういうふうに考えておるわけでございます。
  9. 堀昌雄

    ○堀小委員 それでは本来の金融制度の問題について伺います。  最初にお述べになりました中期預金でありますけれども、ここで現在の一年ものの定期が二年、三年に書きかえられておるのが非常に多い、こういうお答えでございまして、それに対応するような利益預金者に付するのが必要だ、こういう話でありますが、もしかりにそういうことでありますならば、一年目は五・七五だ。もし二年に延長になりましたら二年目から幾らか、六%ぐらいになりますか、三年目になったら幾らか、こういうことでもよろしい、こういうことでございましょうか。中身の具体的な話でありますけれども、その点をちょっとお伺いしておきたいと思うのであります。  そして、これによって貸し出し金利上昇しないであろう、それは貯蓄の増強によって結局メリットがあると思われる、こうおっしゃっておるわけでありますが、たとえばどこかの都市銀行なら都市銀行だけに中期預金というものが認められれば、これはあるいはそういうメリットがあるかもわかりませんけれども、おそらくこの制度導入をされれば、銀行、それから相互銀行信用金庫、すべての金融機関に共通の制度になるのではないか。そういたしますと、一体新しい貯蓄源というのはどこから出てくるのか。要するに、貸付信託にいっているものを銀行に移すということだけでは、国民経済的に見て実はあまり合理性はない。もちろん国民が高い利子を払ってもらうということはたいへんけっこうなことでありますけれども、いまおっしゃるような意味の貸し出しの金利上昇を押えるということに、はたしてなるかどうかという面については少し疑問が、実は率直に申すとあるわけであります。もし全体の貯蓄増強を求めるならば、これは金利を全体として上げるということであるべきではないか。実は先般イギリスに参りましたときに、イギリスではディスインタレストということばが最近盛んに使われておる。物価の上昇分と金利分の差額というものをディスインタレストという形でたいへん重要視をしておるということでありますが、まさしくその場合には、日本の定期預金は現在では最近の物価上昇から見ればディスインタレストになっておると思います。全体としての金利水準の上昇ということは、私は確かに貯蓄関係があると思いますが、部分的なそういうものがはたして全体の貯蓄増強につながるかどうかという点についてはやや疑問を持つ。内部におけるシフトという形で問題が終わるとするならば、国民経済的に見てあまりプラスではないのではないのか。結果としては貸し出し金利上昇にはね返るということは今後の国際競争力から見ても必ずしも適正ではない、こういう感じがいたすわけでございますが、その点についてはいかがでございましょうか。
  10. 横田郁

    横田参考人 最初のお尋ねの金利段階的なアップ、引き上げでございますが、これはまだ具体的な方策は全然詰めておりませんので、具体的にお答えする段階には至っておらぬと思いますけれども、従来の慣例からいきますれば、三カ月ものは幾ら、六カ月ものは幾ら、一年ものは幾らというような慣例がございますので、最初から二年をやるあるいは三年をやるというものにつきましては優遇金利をつけまして、そして何かの事情でこれを途中解約をしたいという人が出ますれば、初め三年の約定をしたんだけれども一年で解約をしたいということになりますれば一年ものの定期預金の振りをする、そういうような形でいくのが一番合理的なんではなかろうかと私はいま個人的に考えておるわけです。これはまだ詰まっておりませんので、どういうことになりますか、私ちょっとお答えできない次第でございます。  それからただいまおっしゃいました金利を上げることによって貯蓄の増強になるかどうか。これは従来からいわれている意見でございますが、私は、貯蓄マインドにインセンティブを与えることがいまの時代には最も必要なんじゃなかろうかと思います。そういう意味で、こういった貯蓄形態多様化ということが試みとして行なわれてしかるべきであろうかというふうに考えて、何かいいことはやってみるという前向きの積極的な心がまえが必要で、ケインズ理論とかいろいろ新しい理論がございますけれども、私の申し上げた趣旨を御理解願えれば、そういうもので批判をしないでとにかくやってみるんだということがいまのわが国にとっては非常に必要な精神ではないかというふうに考えるわけでございます。それが一般の金利水準の非常な上昇ということになりますれば、これは国際競争力とかそういう面について非常に大きな影響が出てくるかと思いますけれども、しかし先ほど申し上げましたように、これによって資金量の拡大、これは右のおけから左のおけへ水を移すだけじゃないかという議論が非常にあるわけでございますけれども、必ずしもそうとはいえない。御承知のように日本は貯蓄率は非常に高いわけでございますけれども、これは言うまでもなくストックが低いから貯蓄率がやむを得ず高くなっているということがはっきり言えると私は思うのでございます。それで最近の動向を見ますと、貯蓄率よりもむしろ消費性向が若干高まっている傾向にあろうかと思います。この消費性向を、貯蓄形態多様化金利上昇によって、ある程度魅力を与えるようなことによって貯蓄マインドに対するインセンティブを与える、これがいまとらるべき政策なんじゃなかろうか。堀先生の御意見、いろいろごもっともだと思う点もございますけれども、そういうふうに私ども考えておるわけでございます。
  11. 堀昌雄

    ○堀小委員 国際金融問題でありますけれども、いまお述べになりました中で、確かに今後の一般為替銀行役割りは私も非常に重要だと思いますけれども、どうもわれわれ拝見をいたしておりますと、たとえばロンドンには、この間伺ったときにもずいぶん銀行がたくさんおいでになって、銀行皆さんがお集まりになって、私はこんなにロンドンに為替銀行が必要だろうかということを感じたわけであります。出かけていただくことはいいんでありますが、何と申しますか、もう少し協調をしていただいて、あるところにどっと出かけていくなどという、国内でも私はたいへん望ましくないと思っておることを国外にまで持っていくことはいかがであろうか。特に私、欧州を何回か見て感じるわけでありますけれども、向こうも確かに競争はあると思いますが、成長全体として低いわけでございますから、バイタリティーが少ないといえばそれまででありますけれども、しかし私は、やはりそこには協調をされた中の適正な競争というものがあるんではないのかと思うのでありまして、あの静かなところへ日本流のバイタリティーでなぐり込みをかけるようなやり方というのは、まことにどうも適切でないという感じがいたしてなりません。私は、そういう意味では制度調査会答申はなるほどと感じておるのでありますけれども、お出かけになるのはけっこうですが、もうちょっと協調はとれないのか。たとえば勧業銀行が今度どっかへお出かけになる。そうすると住友銀行はこちらへいくとか、三菱はあそこへいくとかということで、少なくとも一つの町に当面一つか二つあれば十分ではないか。そこへ四つも五つも――大体欧州の主要都市は最近そういう傾向のようでありますけれども、これはもう少し考えるべきではないのかと思うのでありますが、その点はいかがでありましょうか。
  12. 横田郁

    横田参考人 ただいま堀先生から御指摘がございましたけれども、まさに外部からごらんになればそういう感じが非常に深いと思うわけでございます。ただ、非常に店舗の多いところはロンドンとニューヨークだろうと思うわけでございます。いずれも世界の二大金融市場でございまして、そこに店舗を出すということがやはり外国為替銀行としては必要なわけだと思うわけでございます。ただその場合に、調査会答申にございましたように、一部取引先意見としては、外地でまで過当競争するので困るというような記述がございましたのですけれども、これはわれわれとしても、先ほど申し上げたように厳に戒めなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、外地店舗を出しますときは――これは別に大蔵省に責任を預けるわけでは決してございませんけれども、一応大蔵省に申請しまして交通整理が行なわれているわけでございまして、私どものほうでももっと出したいところもございますけれども、これはみんな没になっているわけでございます。したがいまして、前段に申し上げました二大金融市場には、やはり日本の外国為替銀行としては店舗を出しておくほうが、日本の金融上あるいは日本の企業進出上いろいろ有利であるということを考えて出したわけでございます。と同時に、アメリカ系の銀行は非常に軒をひしめかして外地に進出をしているという状況でございますから、問題は行き過ぎ競争があるかないかということだろうかと思うわけでございます。これはわれわれ経営者としては大いに自粛自戒してまいりたいと思っているわけでございます。その一つのあらわれといたしまして、今回国際合同銀行というものが四行と一社の共同で設立されました。これも競争意欲から申しますれば一行で出したいということもあろうかと思いますけれども、四行と一社協調いたしまして設立をする運びになっているわけでございます。次第に先生方の御教訓が身にしみまして、われわれもその方向に進んでいるわけでございますので、この点御了承願います。今後もそういう方向でなるたけ御趣旨に沿って進みたいというふうに考えております。
  13. 堀昌雄

    ○堀小委員 最後に預金保険についてでありますが、実は私はかねてから、預金保険もさることながら、預金保険を必要としない銀行をつくることが先ではないか、こういうのが私のかねてからの主張でございます。ところが率直に申し上げて、都市銀行は支払い準備を日本銀行に置いておるような状態がずっと続いておるわけでありまして、私は、支払い準備が日本銀行であるものに預金保険制度が必要かどうかという点については、率直に言うと実は大きな疑問を持っているわけであります。そこで私はかねてからこういう主張をしているわけであります。いまアメリカの例をとってみますと、アメリカの実質流動資産を実質預金で割りました比率は、大体現在三〇%程度ということになっておるのでありますけれども、日本の場合には都市銀行が五・五%、地方銀行でようやく九・四%というものが昭和四十二年下期の状態だというふうに調査会の資料は述べておるわけであります。私は、やはり健全な金融機関をつくりながら、なおかつその間において不測の事故が生じたときには預金保険としての機能を果たし得るような仕組みということが本来のあるべき姿ではないだろうか、こういうふうに考えておるのでありまして、その発想としては、各銀行に支払い準備をある程度強制をして積ませまして、あるべき、欧米並みの銀行の支払い準備の水準にまで高めていきながら、もし事故が発生をしたときはそのルールに基づいて各行が積み立て中の準備金の中から一定額を預金保険として支出をして、それによって措置を行なう、こういうことになれば、事故が起きなければ十年なり十五年の先には預金保険を必要としないような銀行ができてくるわけでありますし、途中で事故が起きればそれに対応できる、かようになるわけでありまして、私は両面から見て、預金保険制度としては最も望ましい方向ではないか、こう考えておるわけでありますが、いまお述べになりました中にも、できるだけ簡素な方式で自主的な運営、こういうふうなおことばもありましたけれども、いま私が申し上げましたような考え方についてはいかがかという点をお伺いしたいと思うのであります。
  14. 横田郁

    横田参考人 ただいまのお話は、大体銀行の内部に準備金を留保しておいて、それによって不測の災害に備える、こういう御趣旨でしょうか。
  15. 堀昌雄

    ○堀小委員 そうです。
  16. 横田郁

    横田参考人 そういう御趣旨はもっともで、私どももけっこうだと存ずる次第でございます。ことに貸し倒れ準備金とか、そういう繰り入れ率の問題もいま問題になっておりますけれども、やはり預金者保護と同時に、銀行公共性から見まして、銀行の内部留保はできるだけ手厚くしたほうがいい。それが不時の事故に備えるゆえんであるというふうに考えております。ただ、あれが内部留保である、利益の留保であるということによって、徴税当局であれから税金を取ろうというような御意見がおありのようですけれども、これは私どもとしては非常に反対をしているところで、できるだけ留保を手厚くいたしまして、それで預金保険に――預金保険も実施される傾向にあろうかと存じますが、それに備えてまいりたいというふうに考えているわけで、堀先生の御意見は非常にけっこうでございます。ただ、この支払い準備銀行の内部にとどめておくこと自体にいろいろ問題が出てくる場合も、これは将来の問題としてあろうかと思います。したがいまして、これを別に外部で預金保険制度というものをつくって、そこへその資金を集めておくというような考え方が預金者保護の立場から出てきていると思うのでございますが、これはいろいろ金融政策とか、そういった意味でいま設立の機運にございますので、私からいろいろ申し上げることはむずかしい段階だと思うわけであります。
  17. 藤井勝志

    藤井委員長 平林剛君。
  18. 平林剛

    ○平林小委員 昨晩急遽登板をされた横田さんにいろいろな御意見をいただきましたことはまことにありがとうございました。  ただ、私ここで感想を述べさせていただければ、本日はやはり全国の銀行協会の連合会会長である岩佐さんが、多少の御病気は押しても当金融委員会に御出席になって、当面の問題についてお話しになることがよかったのではないかという感じがいたしてなりません。これは適当なときにまたその実現を委員会においても相談をいたしたいと思いますが、私は率直にそういう感想を持っておるわけであります。同時に、最近の銀行不祥事件続発につきまして、前会長であった横田さんから冒頭にお話しがなかったこともまことに遺憾であるという感想を申し上げておきます。私は、最近の相次ぐ不祥事件の続発というものが、今日わが国における有力な銀行にまで発生したという意味において、一つ銀行一つのケースの問題であるというふうに片づけるわけにいかない性格があると思うのであります。この意味では、銀行界金融界全般は一つの連帯意識を持って、これにどう対処するかという真剣な態度が望ましい。この意味で私は、せっかくおいでになった横田さんに初めから苦情を申し上げるようで恐縮でございますが、そういう気持ちでやはりこの最近の不祥事件には対処する必要があるということを、まず感想として申し上げておきたいと思います。  そこで、初めこの問題につきまして少しお尋ねをしておきたいと思うのでありますが、この富士銀行の十九億円事件が起きてから後に、全国銀行協会におきましては、銀行で続出している不祥事に対するきびしい批判に対して対応するという形でございましょうか、銀行過当競争自粛の申し合わせをおやりになったと聞いておるわけであります。しかし、いま御指摘がありましたけれども、私は今度の不祥事件は、単に、過当競争ももちろんその主たる要因ではありますけれども、それ以外にも金融界全般が自粛をしてもらわねばならぬ問題があると思うのであります。一つの例は、銀行信用という問題、横田さんもお話しになりましたように、銀行金融機関信用が第一だとおっしゃられたけれども、その信用というもの自体がいま崩壊しようとしておるという厳然たる事実に目をそむけてはならぬと思うのです。その信用を保持しているのは何か。今日、私はこの事件全般を通観いたしますと、一つには金融機関の秘密主義だと思う。極端な秘密主義である。こういうことがやはり問題を大きくする。今度の場合でも、信用を守らんがために秘密主義に徹底したということがやはり問題を複雑化しておると私は思うのであります。そういう秘密主義に飾って、そして銀行信用を保持する、こんな時代は私は終わったと思うのです。このことはやはり今後皆さんの間でも十分検討してもらわねばならぬことだと思います。  それからもう一つは、最近の銀行の建物はりっぱですね。もう駅の周辺に行きますと、これは外国にもちょっと見られないというくらいりっぱな建物が乱立しております。しかし、建物はりっぱだが実際の中身について一体どうだろうか。いろいろな複雑なシステムが採用され、コンピューター時代ともいわれる。しかしそれらを担当するところの人間さまは一体どうなのか。私らはよく金融界の方とお話をするときに、最近は人手不足ということをいわれる。銀行でもそういう問題がある。金融機関でもそういう問題が今日当面の問題になっておる。このことは建物のりっぱさと比較いたしまして、中身が一体どうなのか、人材についてどうなのか、こういうことを考えますと、私はその点についても、りっぱな人材をどんどん登用するという制度――特に、支店長とかあるいは相当のコースに乗る人はともかくとして、そうでない人は著しい失望感、挫折感、そういうものが悪に走るというようなこともないとはいえません。銀行マンといえども人である以上は、どこの企業でも起きる同じ感情というものはこれから大きくなっていくだろう。やはりここに着目をして、人材登用といいますか、あるいはまたそうした面についての配慮というか、これがくふうされなければならぬと思っておるわけであります。  こういう問題につきまして、まだいろいろあると思うのでありますが、とりあえずこうした批判に対して、ひとつ御感想なり御意見なりを承りたいと思います。
  19. 横田郁

    横田参考人 ただいま御指摘がございましたように、最初にこの一連の不祥事件につきまして私が一言反省とおわびを申し上げなかったことは、ここにあらためておわびを申し上げる次第でございます。実は、エクスキューズになって非常に恐縮なんですが、ゆうべおそくこういうお話がございまして、問題は、何と申しますか、一般民間金融機関あり方等についてであるというようなお話がございましたものですから、ちょっと手抜かりをいたしまして申しわけございません。これは御指摘をまつまでもなく、われわれとしても十分反省をしているわけでございます。  それからお話のございました点は、結局銀行の店舗はりっぱだが中身は粗末じゃないかという御指摘なんですけれども、店舗の問題につきましても、今後われわれとしましてはできるだけ投資効果ということを考えまして、簡素な店舗をつくるように、銀行によってそれぞれニュアンスの違いはあろうかと思いますが、そういう形で進めております。ことに建設費の坪当たりを幾らに押えるとか、そういうようなことをいたしまして、できるだけ効率的な利用を考え、簡素な建物をつくるというふうに考えております。ただ問題は、銀行はほかの建物と違いまして、いろいろ有価証券、現金等を預かっておりますので、金庫だけは非常に金をかけますけれども、ほかはこのごろは相当簡素になってきているのじゃないか。現に私ども銀行はできるだけそういう方針をとっておるわけでございます。  それから、いま御指摘の人材登用あるいはいろいろな若い人たち疎外感あるいは挫折感というようなもの、これは銀行だけでなく、一般社会的な問題になってきていると思います。何か若い人たちに希望を与えていかなければいけない。つまり生きがいを感じるようなことをさせていかなければならぬというふうにわれわれも日常苦慮をしているわけでございます。ただ、人材登用はもちろん私どもとしても考えておるわけでございますが、問題は結局行員の教育ということが一番大きな問題ではなかろうかと思います。先ほど事務組織その他内部管理の問題について申し上げましたけれども、もう一つの問題は行員の教育ということでございます。おっしゃるように、業務の性格といたしまして非常に公共性の強い仕事でございますので、その点を常に自覚しなければいかぬということは私も常日ごろ申しておるわけで、行員信用を非常に第一にするということを説いているわけでございます。不祥事件とは別にいたしまして、物質は失われてもまた返ってくることがございますけれども信用は一度失われますとなかなか回復ができないものでございますので、その点を重々認識してもらうということを行員によく言っておることでございます。それで、銀行の仕事ばかりでなく、これはプライバシーについてとやかく言うのはまことに気の毒なんでございますが、私行上も社会的ルールにもとることのないような行動をとり、誠心誠意事柄に処する。これが、みずから課せられた仕事をじみちに誠実に果たす態度が、結果的には銀行公共性とか社会的責任に通ずるものだと考えるわけでございます。この点なお今後とも十分留意いたしまして行員の教育に当たると同時に、われわれも大いに自粛自戒して、皆さんの御期待に沿うように、また銀行界信用を回復するように努力してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  20. 平林剛

    ○平林小委員 十九億円の問題については私はまだずいぶん申し上げたいことがあるわけであります。やはり銀行に集まるお金というのは、一種の大衆の預金もありますし、社会的なものに生かして使うという使命もございましょう。それを何か自分の金であるというような印象で取り扱うという、そういうモラルですね、ここいら辺にも欠陥があるし、第一私は、これはよけいな話なんですが、このごろ銀行を方々回って歩く人たち意見を聞きますと、大きな銀行ほど玄関を入るときからずいぶん態度が悪いと言うのですね。そういう印象なんです。これはとる人によって違いましょうけれども、まだ中小の金融機関のほうがわりあいと応待の態度もよろしいけれども、大きな銀行ほどどうも横柄だなんという批判もございますから、これはよけいなことでありますけれども感想として申し上げておきます。  そこでもう一つ、堀委員からも指摘がありましたが、不祥事件一つの根底にある過当競争、この中で配当自由化の問題をお触れになりました。私も同意見でありますが、これは割愛をいたしまして、もう一つこの際ちょっと御意見を承っておきたいことは、銀行制度に素預かりという制度があるんです。銀行がお客から有価証券とかその他預かる場合に、特定の行員が、帳薄に記載しなくてよい、そして自分の机の中に保管をしておく。正式に帳簿に記載する場合もありますけれども、そういう二つの制度があるというお話を聞いておるのです。これはどちらかというと不祥事件を発生する一つの背景になるんじゃないかと思うのでございますけれども、こういう制度といいますか慣習といいますか、これはむしろ慎むかやめるかというようなことにすべきではないかと思いますが、御意見を承りたいと思います。
  21. 横田郁

    横田参考人 先ほどちょっと、例の機密性の保持という点を御返事申し上げるのを忘れましたので申し上げます。  これは、確かにおっしゃるとおり時勢も変わっておりますし、こまごまとした勘定が、ちょっと十円合わないとか五円合わないとかいうようなことは、人間のすることでございますからよくあることなんでございますが、そういうことは別といたしまして、今度のような事件を契機にいたしまして、私どもとしましては、何かそういう事故が起こった場合には、機密性の保持というよりもできるだけ早く、用語は私もわかりませんけれども、公開捜査というんですか、そういうふうに乗りかえていかなければいけない。乗りかえていくことによって早く事故を発見し、少なくともできるだけ損害を少なく、皆さんに与える御迷惑を最小に食いとめることになろうかと思いますので、もちろん先生のおっしゃったような方向でわれわれも進みたいと思っております。  それから、ただいまお話のございました素預かりということばは私いま初耳なんでございますけれども、それは制度としてそんなものが存在を許されるわけはないわけでございます。もしそういう事実があるとしますれば、おそらく顧客と担当者との間の個人的な関係とか、そういうようなことで、何か依頼を受けて預かっている場合があろうかと思いますけれども、これは厳に慎むように私どもも通達を出しておるわけでございまして、ただいまのお話は私には初耳であったものですからちょっとわかりかねたわけでございます。もしそういう事実があるとすればまことにけしからぬ話でございまして、今後ともそういうことのないように善処してまいりたいというふうに考えております。
  22. 平林剛

    ○平林小委員 きょう参考人がお述べになった点について、中期預金やあるいは外国為替専門銀行制度その他についても私はいろいろ申し上げたいことがあるんですが、時間が十分ございません。全般的に申し上げますと、参考人意見に少し異論があるというのが私の結論でございます。これはまたあらためた機会に議論をすることができると思いますから省略をいたしますが、最後に私は貸倒引当金の問題について、少し参考人の御意見を承っておきたいと思うのであります。  私どもは、貸倒引当金について現状を見るに、この制度は適当でないという考えを持っておるのですが、金融界はあげて反対である。どうも金融界の政治力の強さには私らいつも舌を巻いておるのでありますけれども、これは私はやはり大局的立場に立ってわれわれの意見にもしっかり耳を傾けてもらわなければならぬことであると思っておるわけなんです。特にこの貸倒引当金の制度が適当でないという問題について金融界の反対理由を、これは全く的を射ているかどうかは別にいたしまして、自分の頭に入れておりますのは、およそ三つの意見があるように私聞いております。  一つは、銀行の貸し金は他の製造業の売り掛け金とは本質的に違うから、信用確保のためにこれは必要であるという意見を述べられておるのでありますが、先ほど申し上げましたように、銀行が何か特別な扱いを受けるということをお考えになっておる、そこに今日の金融界が社会から見られる一つの本質的な誤りがあるのじゃないか、私はこう思うのであります。今日金融界といえども自由競争の時代に入った、そのときにおいてなお金融界だけがその恩典にぬくぬくするというやり方、しかもそれは信用確保が理由であるというがごときに至りましては、先ほど申し上げたことから見て私は納得ができないわけであります。  二番目の理由に、恐慌などの非常時にいろいろ心配がある。まともに今日の経済の中で恐慌がおありになると信じておるのかどうか、その根拠はどうかということまで実は書いたいところなんでありますけれども、これらについても、それはあらゆる場面に用意せねばならぬというお気持ちはわかりますけれども、それは金融界だけの問題ではないということを認識しなければなるまい、こう考えておるわけなんです。  同時に、統一経理基準に基づいて積み立てを指導しながらこれをあれするということはどうかという議論がありますけれども、これもまた問題は、これが無税だということが一番大きな問題なんですね。普通の企業と同じように税金を払うというのならこれは話は別なんです。  そういうことを考えまして、この金融界、特に皆さんのおっしゃっておることに対してどうも私は納得しかねる点があるのでございますけれども、一言御意見を承りたいと思います。
  23. 横田郁

    横田参考人 ただいま貸し倒れ準備金についていろいろ御意見がございました。まず最初に、一般の売り掛け金と違うというようなところにあぐらをかいているのはけしからぬじゃないかというお話なんでございますが、これは、銀行の貸倒引当金の繰り入れ率は特に高いというわけじゃないのでございまして、商社その他に比べまして低いか、むしろ同じぐらいということで、決して銀行が特別に高くなっておるわけではございません。それから、確かに一般の商社や何か、あるいは月賦販売のところと比べまして違うと考えるのはおかしいのじゃないかということでございますけれども銀行の場合は不特定多数の人からいろいろ資産の運用を依頼されているわけでございます。それで、それを公共的な方面、できるだけ国民経済にプラスになるような方面に資金配分をしていくわけでございます。それが銀行の役目でございますので、一般の企業と比べて非常に公共性が強い、そういうふうに私は少なくとも自負をしているわけでございます。したがいまして、そういう意味で、銀行協会意見といたしましては、一般の売り掛け金とは質的に若干違うということを言ったということだろうと思います。  それからもう一つ、非常時、まあパニックとかいうような問題に備えてというお話がございますけれども、これは具体的に申し上げますと、現在貸し倒れ準備金繰り入れ率が非常に高い、というのは過去の経験率からいって高過ぎるじゃないか、こういうことで、それが利益留保であるから税金をかけよう、こういうことだろうかと思うのでございますが、これからは、いわゆる七〇年代は非常に激動期、国際化の時代で、日本が裸で国際競争の中に加わっていくときでございます。したがって、過去の経験率がはたして今後ものをいうかどうかということについては私は疑問なしとしないわけでございます。詳しく申し上げれば、資本の自由化あるいは特恵関税による後進国の追い上げ、さらには労働力不足の深刻化というようないろいろな、今後とも内外における問題はきびしいものがあろうかと思いますので、そこで過去の経験率では判断はできないということがいえるのではないか。それから、これはだれしも考えることでございますけれども国際化時代を迎えまして海外企業との競争ということから、われわれは自己資本充実の必要性が非常に高まってきている。ところが製造工業とかそういうものは減価償却というものが非常に大きいわけでございます、設備がございますので。だからその内部留保の充実に減価償却が非常に役立っているわけでございますけれども銀行の資産はどちらかというと貸し付け金でございます。したがいまして、貸倒引当金には自己資本充実というような政策的な配慮も必要ではなかろうかと思うわけでございます。  そこで、御参考までにちょっと申し上げたいのでございますが、これはまあ外国がやっているから日本もやっていいということでは決してないとは思いますけれども、アメリカの税務当局も実際の貸し倒れ償却率と引当率との間にはかなりのアローアンスを認めているわけでございます。去年の年末に税制改正によって引当率が段階的に切り下げられることにはアメリカでもなりましたわけでございますが、これが相当長い期間にわたって引き下げるということでございます。具体的に申し上げますと、去年の七月十日以前は千分の二十四でございました。日本よりはるかに高いわけでございます。それから去年の七月十一日以降一九七六年と申しますから、これから六年先でございます、それまでは千分の十八か経験率のいずれか高きほう――低きほうじゃないんでございますね、高いほうをとれ、こういうことになっているわけでございます。それからさらに一九八二年までは千分の十二、一九八七年までは千分の六というふうになっているわけでございます。別に銀行が税金を払いたくないということでこれを申し上げているんじゃなくて、銀行公共性という意味から申し上げているわけでございますので、税金を取るということだけが経済運営の基本では私はないと思っておるわけであります。(「公平な負担ですな」と呼ぶ者あり)そうなんです。ただ、公平な負担の中にいろいろ政策が加味されてしかるべきだ。これは銀行だけが高いわけじゃございませんので、決して不公平とはいえないと思うのでございます。これは銀行局の局長がおられますけれども、御指導によりましてこういうことになっております。
  24. 藤井勝志

    藤井委員長 松本十郎君。
  25. 松本十郎

    ○松本(十)小委員 ただいま横田会長参考人としてお述べになりました御意見につきまして、関連いたしまして三つほど質問させていただきたいと思います。時間もないようですから、簡単にいたしたいと思います。  一つは、七〇年代の金融制度という角度からでございますが、先ほどの御意見でも、今度の答申はよくできておる、しかしその後、経済金融環境がだんだんと変化を来たしておるので、具体化する段階でとりわけ慎重にやるように、こういう御意見だったと思うのでございますが、七〇年代に入りまして日本の経済も大きく質的な転換を遂げるべきだ、またそのように環境条件が大いに変わりつつあるわけでございまして、そういう意味から今度の答申、なかなかよくできてはいるのですが、あくまでもやはりこれは現実的と申しましょうか、展望とかあるいはビジョンという角度から思い切った提言がなされていないのではないかという感じがややするわけでございます。そういう意味で一番大きな問題は、やはり間接金融と並んで大事な直接金融と申しましょうか、資本市場の育成強化ということがもう少し論じられてもよかったのではなかろうか、こう考えるわけでございまして、これから企業国際化自由化が進むにつれまして、やはり資金調達というものも多様化せざるを得ないと思うのでございますが、そういう資本市場育成というふうな視点から今度の答申についてどのような御意見をお持ちでしょうか、伺いたいと思います。
  26. 横田郁

    横田参考人 ただいま資本市場育成の問題について御質問がございまして、意見を述べろということでありますが、金融制度調査会答申を見ましても、資本市場育成という問題については若干答申面で片側に追いやられて、間接金融重点になっているように私ども感じているわけでございます。資本市場の育成につきましては、なかなかこれはいろいろむずかしい問題があろうかと存じます。結局は金利のプライスメカニズムが生かされていないところに非常に問題があろうかと存じますが、このプライスメカニズムを生かすということにつきましては、現在の日本の金融情勢なり経済環境なりというものが若干ゆがめられた形になっておりますので、非常にむずかしいのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。これは私の全くの私見でありますけれども、公社債市場の育成ということが一番必要なわけで、十数年来それが行なわれてきておるわけでございますけれども、一向に実効をあげていない。ということは、重複しますけれども、プライスメカニズムが生かされていない、こういうことにつながってくるのではなかろうかと思います。ただ問題は、市場開拓の努力がそこに行なわれているかどうかということについて私は若干疑問なしとしないわけでございます。これの実情については、いろいろ差しさわりがございますし、証券界との関係もございますので、私あまりここで申し上げたくないわけでございます。また先生方のほうがよく御存じだろうと思いますので申し上げることを控えますけれども、もう少し市場開拓の努力をしていけば、あるいは市場開拓の方法を講ずれば、プライスメカニズムはそれほど、プライス、つまり利回りを高くしなくても開拓ができるのではなかろうか。安易な販売方法ではこれは容易に売れるものではない。まだ、日本的風土では一般大衆は公社債についての親近感といいますか、そういうものを持っておりませんので、これに浸透させていくような販売努力を非常に怠っているということが私ども銀行から見ますれば指摘ができる。これは産業界からお聞きになっても同じことがいえると思うのです。この点、証券界に一段の努力を私たちは希望している次第でございます。
  27. 松本十郎

    ○松本(十)小委員 時間もかなり迫ってきましたから、あと二つはもう簡単に申し上げます。  一つは、先ほどお述べになりました国際金融関係ですが、確かにこの答申は短期の貿易金融に偏重になっている、そういうことだと思います。まあきのうまでやりましたDACの会議等でもひもつき援助を廃止するなどということですから、これからのプラント輸出というものはかなりいろいろ問題もありましょうし、政府金融機関を通ずるバックアップもさることながら、民間金融ベースによる中長期金融といいますか、こういうプラント輸出に対する覚悟は必要でありましょうし、あるいは、おっしゃるとおり、開発金融のことを考えます場合にも、民間一般の為替銀行役割りというのは大きいと思うのですが、そういったことについて、具体的に何かこういう点をこうしたほうがいいというお考えでもあればお伺いしたいということが一つ。  それからいま一つは、これは後の機会にと譲られましたが、いわゆる農林系統の金融機関あり方ということでありまして、農産物の中核的な存在である米についてもいまやもう議論が沸騰してまいりまして、食管制度の根幹にすらメスを入れたらどうだという意見も出ているような状況でございますので、そういうことになってまいりますと、やはりそれと関連いたします農林系統の金融機関あり方というものは、当然大きく爼上にのぼさざるを得ないと思うのであります。金融引き締めがなかなかしり抜けになって困る、その一つの大きな原因は系統金融機関にある、こういう議論すらあるわけでございますが、まあお立場上いろいろ微妙なものがあろうかと思いますが、この機会にずばり系統金融機関について御意見があれば一言お伺いしたいと思います。  この二つについて質問いたします。
  28. 横田郁

    横田参考人 ただいま御質問がございました点は非常にデリケートな問題でございまして、まことにお答えしにくいわけでございますが、一般為替銀行といたしましては、今後外国為替専門銀行だけの力に日本の経済発展をまかしておくわけにはいかない、国際的発展をまかしておくわけにはいかないということで、われわれに対しても海外進出をすることを相当大幅に認めていただきたいということを考えておるわけでございます。その場合に、先ほど堀先生が御指摘になりましたように、いろいろ軒を並べて過当競争をやるのはいかぬということでございますので、それは大蔵当局とよく十分御相談をいたしまして、日本の国民経済の発展に資するような形で外地に進出をしていきたいというふうに考えているわけでございます。外国為替専門銀行につきましては先ほどちょっと申し上げましたので、これには触れないで省かせていただきたいと思います。  あと農林系統金融機関とかそのほか政府関係金融機関の問題があろうかと思います。たとえば輸出入銀行外国為替専門銀行をどうするかというような問題、あるいは農林系統金融機関とその他いろいろどう併合していくかというような問題、これは岩佐さんがやっておられます何とか委員会から意見が出ておるかと思いますけれども、私もその点につきましてはまだ十分勉強をいたしておりませんので、ここで具体的にどうしたらいいかということについては申し上げる段階に至っておりませんので、ひとつあしからず御了承をいただきたいと思います。
  29. 藤井勝志

    藤井委員長 阿部助哉君。
  30. 阿部助哉

    ○阿部(助)小委員 まず委員長にお伺いしたいのですが、岩佐さんは急においでにならなくなったということでありますが、いつ委員長はそれを御承知なすったのか。もし、もっと前に承知をしておるならばひとつ連絡をいただきたかったわけであります。実は私、たいへん皮肉な言い方でありますが、おそらくはおいでにならぬだろうという気持ちを持ちながらも、急遽いなかから出てきたわけでありますが、委員長はいつそれをお知りになったのか。そして岩佐さんの御病気はどういう病気でどの病院においでになっているのかお伺いしただろう、御承知になっているだろうと思いますが、その点ちょっとお伺いしたいのであります。
  31. 藤井勝志

    藤井委員長 お尋ねでございます岩佐参考人出席の件につきましては、実は私四日ほど旅をしておりまして、ゆうべ夜中に東京に帰ってまいりまして、急病のため出られないという御様子はけさ八時過ぎ承りまして、九時、委員部と連絡をとって、関係先生方にできるだけ連絡をしてもらうようにいたしたわけでございまして、本日予定をされた岩佐参考人が御出席いただけなかったことは、たいへん残念なところであると思います。
  32. 阿部助哉

    ○阿部(助)小委員 金融制度の体系であるとか、個々の部面の改善であるとかいうことはもちろん大切でありますが、何といっても金融制度金融機関の存立の一番基礎には、社会的な信用、信頼というものが一番大切な問題だろうと思うのであります。ところが今日相次ぐ金融機関不祥事件、こういうものに対して一度徹底的なメスを入れた上で、その上であるいはいままでお話しになりましたような問題がいろいろと配慮をされ、改善をされていくということが望ましいのでありますけれども、どうもいままでの経験からまいりますと、金融機関不祥事件というものは国民にはさっぱりわけわからない形の中で、もやもやとしり切れトンボになってしまっておるというのが、今日までの隠せない現実であります。そういう点で、金融機関の問題、制度の問題というときに、もう一度そういうあり方検討の要があるのではないかということで、きょう急遽ピンチヒッターに立たれました横田先生にひとつ、具体的な問題でなしにでも、一般論としてでもいいから、これから御意見を拝聴をしたいと思うのであります。  また委員長には、できれば、こういう具体的な雷門事件というような事件からむしろこのあり方検討することが一番正しいあり方だと思うので、できるだけ早い機会に岩佐さんにお越しを願うように御配慮を願っておきたいと思うのであります。  それで質問を続けますけれども、雷門で起きましたああいうやり方ですね、伝票一枚を切って金が出ていくというようなことは、これはどこの銀行でもやり得ることなんでしょうか。
  33. 横田郁

    横田参考人 雷門事件につきましては、私はまだ詳細存じておりませんわけでございますし、また事件経過もまだ詳しく――新聞紙上でいろいろ報道はされておりますけれども、正確なものは入手しておりませんので、何とも申し上げる段階ではないと存じますけれども、伝票一枚で金が出ていくということは普通あり得ませんので、大体上級監督者が検印をした上で――いわゆる銀行というものは御承知のとおり内部事務は相互牽制組織になっております。したがいまして、どこかでそれがチェックされるという形になるわけだろうと思います。ですから雷門の場合に、はたしてどういう経過で、どういういきさつでそれが出てきたか、ちょっと私にはわからないのでございますけれども、まあいろいろな要素、いろいろなファクターが重なり合ってそういう結果になってしまったんではなかろうかというふうに私は考えているわけなんです。普通の銀行事務組織としては必ず相互牽制組織になっておりますので、まずそういうことは起こり得ないと思うわけでございます。要するに、戸締まりをしてかぎをかけておきますればどろぼうは入らないはずでございますけれども、何か特別な手段を講ずれば入る可能性もあろうかと……。
  34. 藤井勝志

    藤井委員長 阿部君から私のほうにも希望的な御意見がございましたので、この際一言お答えをさしていただきます。  御承知のごとく、本日は前回に引き続きまして、金融制度調査会答申にかかる一般民間金融機関あり方等について、全銀協立場を代表された岩佐さんにお越しを願う予定にしておったわけでございまして、岩佐さんが急病とはいえ御出席できなかったことは、委員長としても非常に残念に思っているわけでございます。  阿部委員の御指摘のごとく、金融機関はその名の示す信用が第一でございまして、そのような観点から考えますと、この小委員会においても適当な時期、できるだけ早く、一応この問題についても御検討願い、また大蔵委員会でもすでにこの問題をめぐって活発な御質問も出ておるわけでございますので、このような具体的な問題については、時間もすでに相当食い込んでおりますので、ひとつできるだけ簡潔に、参考人をお呼び申し上げました趣旨に沿うて御質問を願いたい、このように思っております。
  35. 阿部助哉

    ○阿部(助)小委員 じゃ、できるだけすみやかな機会にその機会をつくっていただくことでありますので、簡単に御質問いたしたいと思います。  こういう問題が起きますについては、やはり制度の上でも欠陥があるんじゃないだろうかという感じがするわけであります。いろいろお伺いしたい問題があるのでありますが、時間の関係もありますので、たとえば輸出金融につきまして、実は輸出の奨励とかいう観点でいろいろな保護的な政策がとられておる。税制の面はさておいても、金融の面でもやはりそういうことがなされておるのではないか。たとえば一つの貿易の事態が起きますと、片方では信用状あるいは為替手形で、これはコルレスでもあれば八〇%くらいは日銀からすぐ信用が与えられる。またメーカーに対しては手形が送られる。いい手形であればすぐにそれが割られるという形で、ある意味でいえば、一つの貿易をしたというその実態に対して二重の金融が行なわれておるということになりはせぬのだろうか。その辺からまた輸出金融の場合には非常にルーズさというものがあるのではないだろうかという感じがするのですが、その辺は横田先生はどんなふうにお考えになっておられますか。
  36. 横田郁

    横田参考人 ただいま御指摘がございましたが、貿易金融につきまして、ことに輸出金融につきましては、最近御承知のとおり少し輸出金融優遇措置は後退いたしまして、むしろ輸入金融のほうに重点が置かれてきたわけでございますが、輸出金融だからといって特にルーズにやっているということはないわけでございます。ただ問題は、二重金融になるかならないかというお話でございますけれども、輸出貿手というものは期間がございまして、そこにいろいろの制約があるわけでございますので、メーカーに対する運転資金の、いわゆる生産に要する運転資金の金融とちょっと違うわけで、メーカー段階における生産資金の金融、それから商社段階における貿易金融というふうに分かれておりますので、常識的に申しますれば二重金融は起こるわけはないことになっておるわけでございます。ですから、もしそういう事実があるとすれば、これはわれわれとしても非常に反省をしていかなければならないと思いますし、それからまた貿易輸出外国為替手形買い取りにつきましても特に慎重に対処していかなければならない。企業信用とそれから成長性というようなことに重点を置いて私どもは常に融資をいたしておりますので、そういう御指摘のようなことが起こったとすればまことに遺憾でありまして、今後は十分留意をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  37. 阿部助哉

    ○阿部(助)小委員 たいへん時間だということで催促が急でありますので、順序が行ったり来たりしましたけれども、もう一点だけお伺いしてやめたいと思います。いずれの機会にまた銀行局等にお伺いしたいと思います。  この雷門で起きましたようなことがめったに起きるべきものじゃないとおっしゃるのは、私もそう思うのでありますけれども、しかしいろいろのいまのやり方から見ておるとどうも不可解なことが多いわけであります。たとえば、貸し越し契約はしていないにかかわらず、たびたび貸し越しをしておるわけであります。ときには一千万円もの大きな金が赤字の中から出るなんということがある。こんなことは支店長なら支店長がその日の日計表を見ておれば私はすぐわかることだと思うのです。しかもこれがただ一回でずばっとやって逃げてしまったというなら、これはそういう事件もあり得るのですが、長期にわたってそういうことが繰り返し繰り返しなされておるなんということは、どうしても私は、皆さんのおかたい銀行のこととしては不可解でしようがない。そうするとこれは、菅沼何がしという一人でこれがやれるものじゃないんじゃないか。支店長も目をつぶる、また上のほうでも目をつぶるということでなければできないことだと思うのですが、一般論からいって感じとしてどんなものでございますか、ひとつ横田先生からお伺いしたいのでございます。
  38. 横田郁

    横田参考人 ただいま雷門事件につきまして非常に具体的な御質問があったわけでございます。先ほども申し上げましたように、事件内容をあまり知悉しておりませんので何ともお答えいたしかねるわけでございますが、銀行の組織といたしましては、先ほども申し上げましたように相互牽制組織になっておりますし、それから日々の計表が出てまいりますわけでございますから、上級職員がこれに目を通せばある程度店の運営あるいは店の動きというものは把握できるわけでございます。把握できなければ支配人席――いわゆる支店長、次長を支配人席と申しますが、そういうものの役目は果たし得ないんじゃなかろうかと思うわけでございますが、雷門の場合にはたしてどういういきさつであったか。支配人席がこれに了解を与えておったかどうか、あるいは全然知らないでやられたか。ことにこれは、私はよく存じませんけれども、副長という中間管理層の人でございますので、ある程度権限が下部に委譲されております。事務の合理化によって権限を相当下部に委譲しておりますので、そこである程度決裁ができるようなことになっておったんではなかろうかと私は思うわけでございます。権限の委譲ということにつきましても、いろいろわれわれは合理化のために相当大幅な権限の委譲をやってはおりますけれども、今度の事件にかんがみましてこれは再検討をする必要があるんじゃないかというふうに思っております。それから、中間管理層の教育、モラルの向上というようなことについてもわれわれは今後大いに努力をしてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。内容はあくまでもよく存じませんので的確なお答えではないとは思いますけれども、この辺でごかんべんをお願いしたいと思うわけであります。
  39. 藤井勝志

    藤井委員長 これにて横田参考人に対する質疑は終了いたしました。  横田参考人には、御多用中のところ突然の代理出席であり、はなはだ恐縮に存じました。貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。どうぞお引き取りくださってけっこうでございます。     ―――――――――――――
  40. 藤井勝志

    藤井委員長 次に、日本興業銀行取締役頭取正宗猪早夫君から御意見を求めることといたしております。  正宗参考人には、御多用中のところ御出席をいただき、まことにありがとうございました。一般民間金融機関あり方等について、忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、お願いを申し上げます。正宗参考人
  41. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 ただいま委員長から御指名をいただきました日本興業銀行の正宗でございます。  本日は、長期信用銀行三行を代表いたしまして、今後の民間金融機関あり方についての金融制度調査会答申に関連いたしまして所信を申し述べるようにとのことで参上いたしました。私の申し上げます答申に関連する意見、所信は、要旨をただいまお手元に差し上げてございますので、恐縮でございますがこれを御参考にしていただいて、私の申し上げるところを暫時お聞き取りいただきたいと存じます。  今回の金融制度調査会答申は、経済の大型化、国際化、あるいは労働力不足の進行といった七〇年代のわが国の経済環境の変化に即応して、金融面から経済効率化促進するためには、金利機能活用と適正な競争原理導入によって金融効率化をはかることが必要であるというものでございますが、その大筋につきましては私どもにも異論はございません。問題は、金融機関の場合は一般産業以上に公共性、社会性が要求される度合いが強いわけでございまして、常にその認識を怠りなく、公共性を強く念頭に置いて経営その他万般の効率化を進めることが肝要であると考える次第でございます。一例を申し上げますと、今後配当弾力化などによって金融機関の収益競争がより一そう強まることが予想されますが、このような場合にあっても、特に私ども長期信用銀行といたしましては、いたずらに収益競争に走ることのないよう心にとめまして、また公共的部門への資金供給等にも十分配慮してまいりたいと考えております。  金利機能活用につきましては、金利の景気調整機能を高めるという観点から、金利の一そうの弾力化、変動幅の拡大をはかることが望ましいと考えます。特に公社債金利を主とする長期金利弾力化は、公社債市場の健全な発展をはかり、良質の長期資金を供給するためにも必要と思われるのであります。わが国では戦後、経済の復興、成長の過程で、一貫して低金利政策がとられてまいりました。長期金利もその線に沿って今日の水準まで低下してまいったのでありますが、今後も長期金利は低いことが望ましいことには変わりはございませんけれども、最近における内外の経済金融環境の変化、特にわが国経済の大型化と国際化の進展に伴って、漸次金利の調整機能を活用していくことが必要な情勢になってきておると思います。すなわち、いままでのように長期金利はただ低ければ低いほどよいということでは済まされなくなってきている事情を、産業界、金融界それぞれ認識すべきであろうと思いますが、同時に、他人資本に依存する経営が定着いたしておりますわが国企業では、これに対して過度のインパクトを与えないように慎重な配慮が必要であり、また資本市場の発展のためにも長期金利がなるべく安定していることが望ましいわけでございますから、弾力化の方法はこれを適切に選ぶということが必要であろうというふうに考えます。  次に、業務多様化ということに関しまして、今回の答申では金融機関業務多様化を今後の方向として認めながら、一方で専門機関の役割りを評価し、その存在を脅かさない範囲で各種金融機関が周辺分野での適正な競争を行なうべきものとしておるのでありますが、これはおおむね当を得たものと考えます。七〇年代の経済、社会の高度化、複雑化に伴いまして、企業、家計が金融機関の各種の機能に寄せる期待は高まっております。こうした社会の要望にこたえるために、金融機関業務多様化をはかることが必要であろうと思います。しかし、多様化はいわゆる同質化と同じものではなく、企業や家計の立場からは、各種の金融機関が業態、立地等に応じて個性あるサービスを多面的に提供してくれることが最もいいこと、望ましいことであるというわけで、都銀、地銀、相銀、信金あるいは長期信用銀行などの、国民経済的に見てそれぞれ特色のある金融機関が、公共性というものを基盤にいたしまして、競争と協調の上、社会のニーズにこたえつつ経営効率化していく、その機能、特色を発揮するということが期待されていると考えるわけでございます。  次に、中期預金に関連しまして、答申では金融資産多様化あるいは中期金融の疎通等の見地から、中期預金導入は今後検討に値するとしておりますが、設備資金供給を専門としております私ども業務経験からいたしますと、企業設備の耐用年数あるいは企業の一般的な収益状況等から見まして、中期預金という特別の資金吸収手段を必要とするほど大きな中期の設備資金需要があるのかどうか、私は強い疑問を持っております。また、預金者中期預金に対する需要を過大評価するのは問題があろうと考えます。また、すべての金融機関中期預金を取り扱うということになりますと、貯蓄の総量の増加にはたしてプラスであろうか。おそらくそのことで貯金総量の増加にプラスになるということは考えにくいという反面、金利水準を下ざさえし、貸し出し金利上昇につながるおそれがあるという点も懸念されるわけであります。さらに専門金融機関の資金吸収あるいは与信活動に多大の影響を与えます。長期金融機関役割りを評価していただいた答申の趣旨に反するかという懸念も感じられるほかに、さらに資本市場育成を阻害する懸念もある、かえって経済金融効率化に沿わないということになるかという点がございますので、中期預金導入はことのほか慎重に扱っていただきたいと考えます。ここにメモで、はっきり中期預金についての反対という項目を掲げてございますが、これはここに表現されてあるとおりにそのままこういう弊害が起こるということを申し上げるつもりでもございません。いささかできが悪いのでございますが、やりようによってこうなる危険を非常に強く感じるというのを、長期信用銀行三行の意見としてまとめてまいったわけでございます。  なお、銀行利益を国民大衆に還元する手段として高利回りの中期預金が必要だという御意見が一部にございますけれども、もしかりにそうであるとするならば、現行の一年定期のままでも預金金利弾力化を行なうことによって、資金需給の実勢を反映した相対的に高い金利預金者に提供することは可能と考えますので、まず順序としてはそれが第一ではないかというふうに感じておる次第でございます。  次に、今後の銀行行政への要望というようなことに関連いたしまして、今回の答申は総じて行政当局の裁量にまかされている部分が多く、今後の銀行行政にきわめて重い責任をゆだねていると思われます。したがいまして、答申の具体化にあたられましては、今後の経済金融の推移を見きわめ、わが国産業、金融機関全体に及ぼす影響を慎重に判断して進めていただきたい、関係当局に強くお願いいたしたいと存じます。なかんずく、ただいま申し上げました競争原理導入に際しましても、答申の趣旨を体して、いたずらな収益競争に走ることのないように、また、これが専門金融機関経営の根幹を脅かすことにならないように、関係当局に十分な御配慮をお願いしたいと存じます。  今回の金融制度調査会民間金融機関の問題にしぼって検討されましたけれども、特に私ども長期金融機関の問題につきましては、広く政府金融機関あるいは資本市場などとの関連において、総合的視野から今後さらに詰めた検討をしていただく必要があると考えております。  本日はせっかくの機会でございますので、答申を受けまして、今後七〇年代の長期信用銀行あり方課題といったものにつき、以下私ども考え方を申し述べさしていただきたいと存じます。  七〇年代の長期信用銀行役割りでございますが、第一に、専門性をより一そう発揮して、企業に対して良質の長期資金を安定的、効率的に供給していきたいと考えております。七〇年代におきまして、総じて長期資金に対する需要は高いものと思われ、長期信用銀行のような金融機関が、短期の資金を長期に転化する金融債の機能というものを大いに活用して、普通銀行と相互補完しながら専門性に徹して、国民経済上必要とされる分野に十分な長期資金の供給を行なっていくことが最も効率的であると考えております。長期信用銀行調査、審査機能は答申においても高く評価されておりますが、七〇年代は高度化社会あるいは情報化社会の到来というように、わが国の経済構造の高度化、複雑化が予想され、国際化と相まって従来にも増して長期信用銀行の専門的機能が必要とされる時代になるものと考えます。私どもといたしましても時代の要請にこたえられるよう、専門的機能を一そう深くいたしまして、望ましい経済発展金融面から支援するため、たとえば都市再開発あるいは公害防止、生活環境改善など、社会開発、流通近代化あるいは新規産業の育成などにも率先して資金供給を行なうよう努力してまいりたいと考えております。そのほか、答申では、産業の調査、研究の蓄積の上に立って、産業界のコンサルタント的役割りを果たすことを期待されておりますが、今後の情報化社会の展開に即応して、知識産業の分野でも長期信用銀行にふさわしい専門的機能を発揮していきたいものと考えておる次第であります。  それから、長期信用銀行は専門的能力に裏づけられた中立的な公共的な性格を生かしてまいりまして、民間金融において調整的機能を発揮していくべきであると考えます。金融機関は一般産業以上に公共性、社会性が要求されるわけでございますが、今後競争原理導入によって金融機関の収益競争が進められた場合、ともすると国民経済上必要な分野への十分な資金供給が確保されないおそれがないとはいえず、また金融機関の合併が推進された場合、これによる寡占化、系列金融の弊害が出ないともいえないわけではございますし、さらに、最近投資規模が非常に大きくなってまいって、いわば巨大化した新規産業という場合、資本、金融系列を越えた共同投資の必要性が非常に強まってくるであろうと思います。これらの場合、長期信用銀行が国民経済全体の効率性を高めるため、専門的機能、能力に裏づけられて、中立的に、公共的に資金供給を行ない、金融面を通じて経済全体の円滑化をはかることが従来にも増して必要になってくると考えております。  以上、七〇年代における長期信用銀行の主たる機能につき申し上げてまいりましたが、これらの機能を新しい経済環境下でより有効に発揮させるために、新たな観点から財政資金による金融債引き受けを検討することも意味があると考えております。財政資金による金融債引き受けは従来から実績がございますが、特に社会開発、物価、公害防止など、七〇年代の大きな政策課題に対して、長期信用銀行政府系金融機関と協調して金融的援助を行なっていきたいと考えておりますので、これらの意味から、運用部資金等による金融債の引き受けを検討していただきたいと考える次第でございます。  さて、以上のような長期信用銀行の基本的役割りを念頭に、今後は特に次のような諸点にわたって業務展開をはかっていきたいと考えております。  まず第一に、長期信用銀行は七〇年代のわが国経済金融国際化に即応して、長期金融業務一般を一そう国際的に展開させるべきであると考えております。答申にもございましたが、私どもとしても外国為替専門銀行の機能、役割りは十分評価いたしており、この線に沿って、先ごろパリにある欧州東銀に資本参加いたしました。しかし、わが国経済国際化の趨勢を考えると、海外業務に知識と経験の深い民間金融機関外国為替専門銀行と協調をしながら、それぞれの個性を生かして国際的な業務展開をはかることが国民経済のニーズに、より適切にこたえるゆえんであるというふうに考えるのであります。私どもといたしましては、わが国企業海外活動、海外資源開発に伴う投融資業務に関しては、中長期の審査、貸し出しあるいは起債等の面で専門的能力を有する長期信用銀行を一そう活用していただきたいと思いますし、また長期信用銀行の資金調達手段の拡充のため、外債など、海外における資金調達を活発化することも必要と考えております。こうした目的に沿いまして、職員の能力の向上、支店、駐在員事務所など、海外ネットワークの拡充を行ないたいというふうに考えております。  第二に、答申にもございますが、長期信用銀行は資本市場育成の機能を働かせていくべきであると考えます。長期信用銀行は現在、国債、政保債、地方債の引き受け、事業債の受託、担保の信託など、証券関係業務で重要な役割りを果たしております。いわば資本市場と金融市場の接点に立っている金融機関でございますので、こうした地位、機能を生かしまして、今後わが国資本市場の国際化とも関連し、従来以上に資本市場育成のために協力していきたいと考えております。  第三に、中堅・中小企業金融充実でございます。資本市場を利用しにくい立場にある中堅・中小企業の良質の長期資金の需要に応じて、これを円滑に供給するということは専門機関としての長期信用銀行の任務の一つでございまして、すでに中小企業金融センターあるいは中堅企業部等を設けまして、今後も中堅・中小企業金融充実に大いにつとめようといたしておるのでありますが、さらに代理貸し制度等の活用も含めまして、こうした方向に、より一そうの営業努力を傾注いたしたいと存じております。その場合、店舗網の拡充、中堅・中小企業金融拡充のための体制整備するということも必要と考えておる次第でございます。  最後に、以上述べましたような長期信用銀行の機能を十分に発揮していくために、その資金源として金融債の消化基盤の安定と拡充が必要であると考えております。金融機関消化という従来からの大手の財源は、長期信用銀行の専門的、中立的機能が十分に発揮されるための重要な基盤でございますので、これからのむずかしい経済環境のもとで、長期信用銀行普通銀行との相互補完関係は従来以上にこれを深める必要があると考えておるのでありまして、その意味からも、引き続き普通銀行での金融債の消化御協力を同方面にお願いしたいと存じます。そのために、消化しやすいように金融債を日本銀行のオペの対象に組み入れるとか、あるいは金融機関の支払い準備資産充実に関して、行政指導とあわせまして御当局の御支援をお願いいたす次第でございます。  さらに、金融債は流通証券としてすぐれた特性を有し、法人、個人の余資運用対象として好適の金融資産であることにかんがみまして、今後法人、個人に対する一般消化についても特段の努力を払う所存であります。そのためには、投資家の需要に対応した債券の種類の多様化をはかることも必要であろうというふうに考えておる次第でございます。  以上、調査会答申に関連いたしまして、七〇年代の長期信用銀行役割りと私ども経営方向につきまして所信を申し述べさせていただきました。何とぞ私どもの意図するところをおくみ取りいただきまして御支援を賜わりますようお願い申し上げる次第でございます。  御清聴ありがとうございました。
  42. 藤井勝志

    藤井委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
  43. 堀昌雄

    ○堀小委員 ただいまお述べになりました中で、今度の調査会答申が、「各種金融機関の専門的機能については、今後ともその役割に期待するところが大きいので、専門金融機関の根幹に触れ、あるいはその存立を脅かすようなことは避けるべきであり、各種金融機関がそれぞれの主たる業務分野で役割を果たしながら、その周辺分野については適正な競争原理導入されることによって、全体としての健全な発展がなされることが望ましいと考えられる。」こういうふうに実は記載があるわけであります。そこで、いまお話のございました、今度の問題の一つの焦点であります中期預金の問題でありますが、これはここの前段にありますような根幹に触れるというのはちょっと行き過ぎかもしれませんけれども、その存立を脅かすようなことは避けるべきだということに該当するというふうにお考えでしょうか、いかがでございましょうか。
  44. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 お答え申し上げます。  根幹に触れるというふうには考えておりません。存立を危うくする危険があるというふうには感じております。
  45. 堀昌雄

    ○堀小委員 そこで、そういうことになりますと、この答申としては、あとで中期預金の項目にもいろいろ書かれておりますが、慎重な配慮がしかるべきだということでありますが、その場合、周辺分野については適正な競争原理導入されることが望ましい、こうなっておるわけでございます。そこで、一般金融機関長期金融機関の間の周辺分野における競争というのは、それでは一体どこにこれが求められることになるのか、そこらをちょっとお答えをいただきたいと思います。
  46. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 これはたいへん御説明のいたしにくい面がございまするが、この中期預金も周辺分野に属するものと考えてよろしいかと存じます。私ども長期信用銀行長期金融といたしましては、当然文字どおり長期、そしてことでいわれております中期預金はいわば中期融資、そしてさらに商品決済その他で非常に短期に決済される短期、まあ三色に分けますれば、まさにそのボーダーラインがあいまいであって、それこそ、周辺分野という融資活動の点に関しましては、その辺がまさに周辺に属すると存じます。したがいまして、その辺で競争原理活用されようということについて、私どもは根幹の問題として今後異論がないということを冒頭に申し上げた次第でございます。そのことは、私どもの率直な感じでは、制度を変えないでも現にそういう競争がある、これを制度としてやってはいかぬ、あるいはこちらの分野であるというふうにきっちりきめないで、そこに関しては両方やってよろしいということで、競争があるということで差しつかえないどころか、よさがある、そのほうがいい面があるということが率直な感じでございます。それは新しくこういう制度を認めないでも現にある。たとえば中期融資といわれるものは長期信用銀行でももちろんやっておりまするが、普通銀行でも現にやっておる。そういうことは周辺の競争のまさに実例として受け取っておるわけでございまして、それを、中期を認めて、さらにその先を周辺として拡大していくかどうかという意味で危険を感ずるということでございまして、現状のままで差しつかえないのではないか、優に効率的競争があるのではないかというのが率直な感じでございます。
  47. 堀昌雄

    ○堀小委員 お話伺いますと、要するに現実に、答申でも五年までの融資については都市銀行で一一%から三八%くらい行なわれておる、こうなっておるわけでありますから、確かに中期預金がなくても中期貸し出しが行なわれておるという点はいま御指摘のとおりだろうと思うのでありますが、私はこの周辺分野の競争の中に、一つは、大体これはエクスキューズでできたと思われるところの一年の割引債と、それから定期預金との関係というものがまさに周辺分野の競争のところに入ってきておるのではないか、こういうふうな感じがしているわけなんです。かつて三年くらい前でありますか、この金融委員会を開いて、金融制度調査会のスタートにあたって論議をいたしましたときにも、私、当時中山頭取お話を申し上げたことでありますが、専門金融機関ができるだけあるべき専門金融機関方向に移っていただくということがわれわれとしては望ましいから、その限りでは今度の答申にもありますような長期の債券についての多様化、たいへんけっこうだと思うのでありますが、もう少しこの割引債に関する問題というのが前向きに処理をされてまいりませんと、これはどうもやはりいまの周辺分野の競争上の問題のところで少し問題があるのではないかという感じがいたすわけであります。特にこの前お越しをいただいた当時では、この長期金融機関かなり短期の貸し出しをも、金融緩和の時期でもありましたので行なわれておったようなことがあり、そのことがどうも同質化問題というものを誘発した一つの背景ではなかったかという感じもいたしております。そこで今後のこの一年の割引債というものについてのあり方でございます。答申でも長期金融債との均衡を考えながら処置をすべきだ、こうなっておりますけれども、これらについての今後のお考えをちょっと承りたいと思います。
  48. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 ただいま堀先生からお話の出ました、割引金融債一年ものというものを周辺分野競争というところで、今後長期信用銀行としてどういうふうに考えていくかという御趣旨と存じますので、それにお答えさしていただきます。  わが国の資本あるいは金融というもので資金を吸収する手段、貯蓄増強という意味でこれを大いに拡充していこうというための手段といたしまして、かつて戦争で国債その他そういう公社債一般も打ち切りその他非常にひどい目にあったというような時期に、あるいは非常に変動の激しい、見通しのむずかしいという時期に、なおかつ乏しい中でも貯蓄を推進してその金を有効に使おうということからいたしますと、期間の長いものはいかに金利が高くてもこれにこたえてくれない、短い期間であればこそそれにこたえるというようなところもあって、戦後われわれ長期信用銀行がまず最初にやり出したものは期間の短い割引債というものであったという沿革がまずあるわけでございます。そしてその後長期のものを発行することになりまして、短期のそういう債券を買っていただくお客さんには、もし乗りかえ継続というおつもりがあるならば、金利の高い、より安定したこういうものがあるので、それに乗りかえ、つないでくださいという勧誘をし、そして現にそれがある程度成功して、割引債でまず誘導された貯蓄のくせと申しますか、そういう貯蓄意欲というものをさらに長期に安定させようというところへ徐々に誘導していくという効用が割引債についてまずあったということでございます。したがいまして、もしも経済が非常に安定してまいりまして、成長のスピードもそれほどでない、いわば貯蓄者の選択による安定したそれぞれの機能ということでやろうといたします場合には、長期高利というものと、一年、短期というものとの間での、貯蓄者の選択が自由にできるように資金吸収手段としては多様化されることが望ましい。そういう意味では、金融債というものがお話のような意味で何がしか今度の制度論議を誘発する一つの基盤にひそかにあったのではないかという御指摘につきまして私が感じますのは、これはいわば理屈ということよりも実情、沿革ということから端を発しておりまするけれども、現実問題といたしましてはこの量がたいしたことになっていないということでございます。たいしたことになってないということのからみ合いは、私どもがそれの大きいことを必ずしも望んでいない。つまり競争原理によってそれでいこうということを考えていない。むしろ本質的にはこれは運用は長期でやるんだということであるからして、それの期限が非常に短期に来るというものを多く持つということは経営として決していいことでない。したがって、量としては多きを決して望んでおらぬ。しばしば割引債を市場の状況に応じてより少なくしながら長期のものに振りかえて、誘導するようにして、長期の割合を高めていくということを随時努力いたしておりますし、また行政の御指導もまさにそういうことで一貫されておりまして、毎月債券を発行するのについて行政当局にお届けを申し上げておる。毎月、こういう計画でこういうことでやっておりますということを行政当局にもお届けいたしております。そのお届けをいたす際にも、おおよそ短期のものは長期に比べて半分以下、三割、総体で七、三というような比率を堅持するというようなことを、私ども自身も考えておりますし、行政当局からもそういう御指導をいただいておる。つまり、これを競争原理の場に使うという態度で実際には進行していない。したがって、周辺における業務調整というのもその限度の問題でございまして、それ以上の混乱を巻き起こすようなことを考えておりません、ということでよろしゅうございますか。
  49. 堀昌雄

    ○堀小委員 その次に、答申が問題にしておりますのは、代理貸しの問題が答申の中で触れられておるのでありますけれども、「むしろ金融債消化のための制度ともいえる面がみられ、また、貸出金利代理貸付手数料の水準にも問題がある。とくに、代理店に貸付けの審査・決定が委託されている方式では、長期信用銀行の主体性が生かされていない面がある等改善すべき点が少なくない。」そのあとで「債務者による両建的な消化が行なわれないよう留意することが必要である。」ここではかなりきびしい注文がついておるわけでありますけれども、これらについて、こういう指摘と現状との関係及び今後についてのお考えを承りたいと思います。
  50. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 代理貸し制度につきまして、金融制度調査会答申の中にいまお話しのような指摘があるわけであります。長期信用銀行の機能を活用し、これを大いに発揮する上で、功を急ぐと申しますか、非常に効率的に事を運ぼう、成果を早く獲得しようという考えが強く出過ぎましたために、数多くの申し込み、いわば代理貸しとして、各信金あるいは相互銀行その他から、適当な融資先である、長信銀行代理貸しとして適当であるというようなことでお話があっても、私どものほうの一々審査、調査、おこたえする力が不十分でございますので、原則をつくりまして、こういう原則のもとにこういう審査でこういう評価でやっていただきたい、そうであればそこから先の判断はおまかせするという制度でこれを考えた次第でございますが、それぞれの金融機関の中に大小いろいろあって、その中ではその能力の十分でないというような先もときにある。そのために、御指摘のような懸念があるから今後はその辺を考えろというふうに私どもは理解いたしておりまして、そのためには各金融機関にその能力を持つようにということをまず基本に考えております。私どものほうがその能力を十全に持つのが一つの理想でございましょうけれども、それは効率その他申しましても必ずしも十分でない。むしろそれらの代理貸しをやりたいというそれぞれ専門の金融機関がそれぞれの専門に応じて常にそういう審査、調査の能力を高めるということでこたえられるという方向にいってほしいというのが考え方の基幹にございますが、なおこれも、そう思っても急に各金融機関が力が持てるというわけにもまいりませんので、その間、ある部分を限度として、それからよりむずかしそうなのはわれわれのところで直接やるように、それよりやさしそうなのは、もっと詳しい指導原理、指導要領というふうなものを配って、それによってさばいてほしい。中に、多少金融債消化とからんで、金融機関が全面的に保証するから代理貸しをやらせろというような仕組みがあって、この保証の問題は考えようによって代理貸しという考え方にいささか矛盾をお感じになるかもしれませんけれども、私どもは保証の問題も管理の上からは有効である。融資の管理の上からはそれが有効である。とかく人の性質といたしまして――だれかの分をかわりにやるという代理業務というものは本来自分でやるよりももっと責任を感じてやるべきことであると私は思うのでありますけれども、しかしとにかく人間のことで、人のかわりにやるというためについ行き届かないというようなことがあるわけでございますので、それを十分にやるという意味では保証をしておいていただく。そうすると自分の仕事ということで理解されて管理が行き届くというような効果もあるものでございますから、したがってそういう保証というものを使い、かつ保証があればそれでは無条件で代理をやっていただいてけっこうです、責任をお持ちくださいというやり方も、一がいに何から何までその方法は悪いというふうには私は考えておりませんが、根幹は先ほど申し上げましたように、弱小といっては恐縮ですが、そういう小さい世帯の金融機関がそれぞれの担当分野に応じた審査能力、調査能力というものを適正に持っていただくということにこぎつけたい、それにはこういう方法を通じてやるのが早いであろうというふうに考えておる次第でございます。
  51. 堀昌雄

    ○堀小委員 ちょっといま途中でありますが、この答申に対しての御意見の中で、いまの後段のほうで触れられております問題がおそらくこの保証の問題ということと同じだと思うのであります。審査、そのすべてをまかせるというのがいまの保証の問題と同一だと思うのでありますが、銀行局はこれはどういうふうに理解をしておるのでしょうか。いまの代理貸し、普通一般的代理貸しと、保証によって処理をしておる、これも代理貸しかどうかちょっとわかりませんが、この二つのパターンがあるときに、この答申だけから読みますと、どうも代理貸しのほうを主にすべきであって、いまの保証による形のものは長期信用銀行の主体性を生かしていないのではないかと、こうなっておるので、それについてちょっとここでひとつ銀行局の見解を聞いておきたいと思います。
  52. 近藤道生

    ○近藤説明員 ただいま御指摘のとおりの方向考えております。今後さらに研究をする点はございましょうが、大筋においてはただいまおっしゃいましたとおりでございます。
  53. 堀昌雄

    ○堀小委員 その次に、これは正宗さんが参考人として調査会にお出になったときの御発言の要約でありますけれども、「なお、長期信用銀行には、次のような固有の金融機能があるので、これをうまく活用されたい。その一つは、金融債を通ずる財政資金の産業資金への転化である。その二つは、代理貸付制度活用することによる、各地の中小企業長期資金需要の充足である。」こう御指摘になっているのですが、これはきょうここでいまいただきました公述要旨の中に触れられておる、財政資金による金融債の購入というものがあって初めてこういう金融債を通ずる財政資金の産業資金への転化が可能になるということなのか、それがなくてもこれは可能なのか、そこがちょっとはっきりいたしません。現在は財政資金で金融債は買っていないんじゃないかと思うのでありますが、ちょっと私もそこをつまびらかにしておりませんが、こちらでいま御要望があって、このような新しい観点から財政資金による金融債引き受けを検討されたいというお申し出があるところを見ると、どうも現在財政資金で金融債を購入していないのじゃないかという感じがするのでありますけれども、そうなると、ここはその他の方法でもあるのかどうかという点がちょっとはっきりしませんのでお伺いしておきたいと思います。
  54. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 ちょっと表現が足りませんので、誤解がございますといけませんので申し上げます。  現在、財政資金、資金運用部による金融債の購入、引き受けというのが、非常に条件つきでございますけれども、ございます。これは、たとえばかつては電力に特別不足資金を供給するために、使途をそれに限定して資金運用部で金融債を買う。その手取り金は、長期信用銀行はその指定された使途に即して運用する。これは成功して、完済になって、資金運用部にもお返ししたわけでございます。そのほか、たとえば輸入機械を防衛して、日本の国産機械、これを優遇促進させようということで、輸入機械の延べ払いに相拮抗するような延べ払い条件を日本の機械メーカーが機械を売る際に適用できるように、そういう振興資金というような使途を限定して、それは通産省がこれこれの対象の機械は輸入を確かに防衛することになるから、かつ輸入の際に向こうは非常に長い延べ払い条件を提示してくるので、日本のユーザーはそれと同等の条件で日本の機械を使えるということに、合うようにしてやろうという、そういう使途のもとに資金運用部で金融債を持って、金融機関、われわれ三行がそれぞれそれを分担して融資をするというようなことで現に進行し、成功しておるというようなものがございますわけです。  したがいまして、新たにここに申し入れておることは、それをもう少し拡大したらどうだろうかということと、そのほかに、できれば一般応募者としての資金運用部というものが長期信用銀行の一般の経営信用して、そのとおりでいいから、足りない金はこっちでも買うよというような応援のしかたがもしできれば、それはわれわれとしてはたいへん力になるという意味です。その辺はいささか一般ではお話が無理かもしれませんが、特定のものはこれから出てくるであろう。先ほども申し上げましたように、たとえば公害防止対策、そのために特別に企業が、これはやはり相当金利も頭に置いて投資をしなければならない、そういうようなものをやるのにあたって、直接財政でおやりになるのも一つの方法ではありましょうけれども、対象がたくさんにわたって、そうしてそれを一括して、長期信用銀行がいわば政府金融機関にかわって取り扱うというような方法はすでに幾つも開発されておるので、それが便宜ではなかろうか、こういうことで考えておるわけでございます。
  55. 堀昌雄

    ○堀小委員 確かに、いまのお話を承ると、一つは開発銀行が本来やるべき業務が十分に行なわれていない。まあ開銀には御承知のように興業銀行からもたいへんここに参加をされて、開発銀行業務のために協力をしていただいてきたわけでありますから、そういう意味ではきわめて共通性が高い問題だと思うのでございますけれども、この点は私はやはり、すでに当委員会でも申してきたことでありますけれども、今後の政府関係金融機関あり方民間皆さんとの調整は一体どういうふうにあるべきか。やはり専門的機能を生かすことは私もたいへん重要だと思うのでありますけれども、ただどちらかといえばあまり多岐にわたるよりも、それが集中されるほうが効率ある処置がされるという場合があろうかと思いますので、これは今後の当委員会における課題一つだというふうに感じておるわけでありまして、いまお話しのことはよくわかりました。  で、最後に、いまやはり一番国民が期待をしております長期資金に対する期待の一つは、私は住宅資金の問題、土地を含めた住宅資金の問題だと思うのであります。そこで最近は、だんだんと拝見しておりますと、いろいろな金融の中に、どちらかというと普通銀行または信託銀行かなり参加をしておられて、もちろん長期信用銀行も参加をしておられますけれども、その比重が、やや普通銀行の比重が最近長期のものにかなり、特に住宅金融等にふえてきておるような感じがいたすわけであります。これは私は、今後の展望としては確かに社会開発とか公害防止とかも重要でありますけれども、国民の側からしますとやはり住宅に対する要求というものが非常に高いものもありますので、さらに一段とこの住宅、不動産金融といいますか、これらについての積極的な面をひとつ伸ばしていただきたいし、同時にそれに対する新しい債券の発行のあり方といいますか、こういう問題を含めてやはり何らかの方法が講ぜられることは、長期信用銀行の今後にとっては非常に重要な課題一つではないか、こういう感じがしておるわけでありますけれども、これについてはいかがお考えか、承りたいと思います。
  56. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 住宅資金は非常に返済に長期間かかるということでございますから、長期信用銀行の最もふさわしい仕事の一つというふうに考えられるわけでございますし、御期待もあろうと存じます。実は住宅資金についていろいろ考えておりますけれどもお話しの出ましたように一般市中銀行でもあるいは信託銀行でも、それからたとえばアメリカのようなところでございますればこれは生命保険というようなところも相当力を入れて、みんなでやっておる。したがって、私どもはこれを長期信用銀行の独特の分野だというふうにはどうも考えないほうがいいのではないか、力まないほうがいいのではないか、みんなでやるほうがいいのではないかというふうに考えておるのであります。これは相手が、お客さまが非常に多岐にわたる。それから非常に事情が個々に区々であって、お金を持っておる人でもその資金を活用したいという方もあれば、お金は十分ないが将来でこれを解決したい、それには組合のようなものを使って、そういう方法で担保、保証ということを解決していきたいというようなことを考えられる方もある。それから大部分のサラリーマンは企業体とのからみ合いでこれを片づけていこう、したがって、企業体が保証を負うというようなものをあるいは考えて、そういったものを通じて個別の金融という形でいくというのも考えられる。いろいろな方法があるわけです。もちろん私どもも、そういう非常に長期の金の問題として大いに関心を持ち、それからこれを仕事という中に取り入れていく用意はいろいろ考えております。お話しのように、それについて特殊の債券というようなこともどうだろうか、成功するであろうかどうだろうか、お役に立つであろうかどうだろうか、いろいろ考えておるわけではございますけれども銀行協会でも、銀行協会全体としてひとつ取り上げようじゃないかというような議が出ておりますと、ひとり長期信用銀行の専門の仕事だというふうに力むのもいかがかというようなぐらいに感じておるのでありまして、いずれにいたしましても、何かよい方法を通じていま社会の最も強い要望にこたえるべく――逃げるわけでは決してございません。ただそういう実情にあるという感じでございます。
  57. 藤井勝志

    藤井委員長 平林剛君。
  58. 平林剛

    ○平林小委員 いままでのお尋ねで大かた尽きておりまして、私の予定していたものも充足をされましたけれども、なお二つばかりの点で参考人の御意見をお伺いいたしたいと思います。  一つは、正宗さんがきょうお述べになりました中で、七〇年代における長期信用銀行あり方、この中で特に私が注目をしておりますことは、中立性、公共性に基づく調整的機能を果たしたいということであります。この中に書かれておりますけれども、特に系列金融の弊害を是正をする、そういう役割り一つには期待をされる、こういう御趣旨のようであります。大蔵省銀行局の調査によりましても、大体、最近とかく批判のある系列金融については傾向的にはわかるのでありますが、モデル的ケースとして調査したものの中に、たとえばAの銀行では六〇%も系列金融がある、Bの銀行でも同じように五六・八%もある。大体五〇%近い割合で都市銀行には系列金融という傾向が見られるわけでございます。これに対して長期信用銀行の系列金融の割合は九・六%、約一〇〇%程度はございますけれども、これらの傾向に対して調整的な機能を果たそうとする。これは私は、一つの専門的金融機関としての役割りとして一般からも期待される一つ理由であろうと思うのであります。ただ問題は、ここで参考人にお伺いいたしたい点でありますが、一般の金融機関においてもなお系列金融に対する批判が強いことにかんがみ、何らかの形で是正していくべきではないかと考えておるわけでありますが、そうした点について何か参考になる御意見をお持ち合わせであれば伺いたいと思います。
  59. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 系列金融ということで非常にくっきりわかる部分と、何ともわからない部分と、事柄の性質上あるのが実際でございますが、これは今後日本の経済国際化してまいりまして、この問題が外国から来る資本支配といったようなものに当面いたしますとかなりはっきりわかってくるようになるんじゃないだろうか。現在は日本の国内でございますし、現に、系列と人は言っても自分ではそうでない、あるいは自分でそうだと言っても人はそうは思わないというような、混在しておるのが実情でありまして、私がここで申し上げましたのも、将来金融機関が合併したり大型化したりした場合にそういう弊害が強く出る危険があるので、それに対応する調整機関としての長期信用銀行に大いに意味がある、今後意味があるということで申し上げたつもりでございまして、現在そういう弊害が非常にあるかということになりますと、これは実は私はそんなに強い弊害があるところまでは至っておらないと感じておるのであります。したがいまして、競争原理活用し、配当競争というようなものを活用し、あるいは大型化というようなものを活用し、あるいは外国から大きな金融資本が入ってくるというようなものとの競争を用意しなければならないというような局面におきまして、そういう危険が出てくる可能性がある。それをいまから気をつけて、長期信用銀行の力をうまく使って、その辺の調整をやる用意をするのがいいのではないかというのが私の申し上げたかったことでございまして、ちょっとことばが足りなかったのではないか。――補足御説明でいかがでございましょうか。
  60. 平林剛

    ○平林小委員 私も系列金融のすべてが悪いということはいえないと思うのでございますけれども、しかし一般の都市銀行の看板をさげておりまして、それが著しく系列金融に傾く。たとえばその割合が比較的高いというようなことにつきましては、やはりもっと突っ込んだ総合的な判断、これをどういう形で是正をさせたらいいかというようなことも実はお聞きしたがったのでありますが、期待したお答えがなくて残念でございます。これはいずれまた全般的な検討の際に、政府からも御意見を聞きたい点でございます。よろしゅうございます。  次にもう一つの点で、これもお答えにくいお尋ねかもしれませんけれども、先ほどお話がありました、これからの時代において社会開発、物価、公害防止など、いろいろな政策課題についても取り組むということのお話がございましたけれども、特に住宅の問題等につきましては最近国民的な一つ課題でありまして、これに対して金融機関がどういう役割りを果たすか、私どもも非常に注目をしたい点であります。  そこで、きょうのお話しになりました中で、金融機関業務多様化というところでちょっとお述べになったのでありますけれども企業や家計に個性あるサービスを多面的に提供することが望ましいということで、いろいろ幅の広い業務の傾向が望ましいという御意見お話しになりました。このことに関連してのお尋ねなんです。  それは、最近普通銀行一つの別会社をつくって、そうしてこうした住宅産業育成というようなことに走り出した傾向が特に顕著なのであります。たとえば、あまり大きな不動産会社ではございませんけれども、どの銀行も二つか三つくらいずつそういう別会社を持って、人も出すし、また資金もそこへ流していく。私はかつて、金融引き締めの時代におきまして、住宅産業も重要であるけれども、不急不要の土地を買って乱開発をする、そうしていわば一種投機的な役割りのために資金を投入していくという傾向は望ましくないということを申し上げたのでありますけれども、まだ依然としてその動きは活発なものがあるわけであります。これは皆さん金融機関長期信用銀行一つ役割りに対しまして、ある意味では問題視しておるのではないだろうか。住宅の問題は、これは自分だけが力むつもりはないといういまお答えがございましたから、大体のお答えの見当はついたのでありますけれども、こういう傾向についての御意見がございましたならばひとつお述べいただきたいと思います。
  61. 正宗猪早夫

    ○正宗参考人 この業務多様化を通じて非常に金融機関が一般社会の要望にこたえたいということは、ひとり長期信用銀行に限って申し上げたつもりではございません。およそ金融機関全部がそういうことであっていいであろうというふうに考えておるのであります。そこで、ただいまお話の出ました住宅に関連いたしまして、やはりなかなか実はむずかしいと存じまするのは、しょせん住宅問題は、金の用意があればその人は片づくということになるかと思うのでありますが、したがって金持ちが優先的に家を持つという形になる。ほっておけばそういう形になるのでありますが、できるだけそういうことでない片づけ方というものがあってしかるべきであろう。これは、金融というものは本能といたしましてやはり回収確実な先を選ぶというようなことから、御相談はつい金のある人、力のある人ということになってしまう。それが望ましいことかどうかというのは問題でございます。したがいまして、できるだけそういう力を将来にわたって持てる人という意味で解決できないものだろうか。それが、私先ほどちょっと申し上げましたように、たとえば企業が保証してそこの職員の人たちに、というような片づけ方があるいはできるのか。あるいは組合というような形をつくって、そういう形でいくことが可能なのか。それは十分できるとは存じませんけれども、要するに、金を持っているやつが勝ちだというような片づけ方ではおかしくなるだろうという感じはいたしておるわけでございます。  なお、したがいまして銀行でそれぞれ不動産会社というようなものを子会社的に――実際は銀行は法律的には少なくとも一会社、子会社といっても一割までしか株は持てないとかいうような規制のもとでやっておりますから、法律的にはともかくはっきりそこまで子会社といえないということでございますが、実質的にはお話のように人を出したりというようなことで、事実上ある種の支配力を持つというのが実情でございます。が、そこではたして金にものをいわせて、もうけ主義だというようなことを考えておるかといえば、これは見方によりますけれども、私は全然誤解だと思う。銀行がそんなことを指導できるはずがない。むしろそこでは、いま金がただあるからということで片づけようという人を優先するほかに、どうやって全体に何とか均てんできるようにできないだろうかという趣旨で不動産会社というものを、銀行が指導する限り運営しておるというふうに私は考えておるのでありますが、あるいは見方によって、むずかしい話でございますから、そういかないかもしれませんけれども、趣旨は、金にまかせて、もうけ仕事だということで通るはずがない、世間が許してくれないというふうにみんな感じておるということが事実だと私は思います。
  62. 平林剛

    ○平林小委員 私のお尋ねは、住宅に限ったような印象を受けられたかもしれませんけれども、そうでなくて、それに関連する土地の開発という点でも、往々にして投機的な、またそれによって乱開発の批判を受けるという傾向があるわけな、です。そこで、銀行が行なうところの別会社による不動産会社についてもある程度チェックする必要がある。同じように長期信用銀行においても、これに対する融資等においてはやはり社会的公共性ということを旨としてやってもらわねばなるまい、こういうことを実は申し上げたかったのでございまして、これに対してのお答えは要りませんが、私の希望を率直に申し上げて質問を終わります。
  63. 藤井勝志

    藤井委員長 これにて、正宗参考人に対する質疑は終了いたしました。  正宗参考人には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十六分休憩      ――――◇―――――    午後二時六分開議
  64. 藤井勝志

    藤井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  金融に関する件について調査を続行いたします。  ただいま、日本証券業協会連合会会長瀬美能留君が参考人として御出席になっております。  瀬川参考人には、御多用中のところ御出席いただきまして、まことにありがとうございました。一般民間金融機関あり方等について、忌憚のない御意見をお述べいただきますよう、お願いを申し上げます。瀬川参考人
  65. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 ただいま御紹介をいただきました瀬川でございます。日ごろは証券市場の問題につきまして格別の御配慮と御支持をいただきまして、また今回も、残暑きびしいところをこういう機会を与えていただきましたことを、厚く御礼を申し上げます。  本日は、先般の金融制度調査会での問題等に関しまして私に意見を述べよとのことでまかり出ました次第でございますが、戦後幾たびか金融制度調査会がございましたが、今回は四十一年六月から引き続いて長い間の制度調査会でございます。さきに中小企業金融制度あり方答申があり、その後民間金融機関について特別委員会を設け、豊富な資料を基礎にいたしまして熱心に討議されました結果、今回の一般民間金融機関あり方等についての答申となったことは皆さま御承知のとおりでございます。  答申はたいへん行き届いたものでございまして、表現なども各方面によく気を配っておられまして、表面は大きく問題とすべきような点はないかと思っております。ただ、一昨年の九月からことしの四月までの特別委員会の審議の過程ないし経過などについて報告を聞いておりますその段階では、実は多少気にかかることがあるのでございますが、本日はこれらを加えまして、幾つかの問題について私見を申し述べさせていただきたいと思います。  本委員会では、すでに九月三日と本日の午前に五人の方々から話をお述べになったのでございますが、私がそのしんがりを承るわけでございます。ただ私の申し上げる立場は、前の五人の方と違っておるところがあるかと思います。それは、前の方々はみな金融界の方々であり、私一人が証券界の者でございますから、これは金融市場と証券市場の相違、あるいは金融機関と証券会社の機能上の違いに基づくものでございます。金融機関の資金を供給する立場からの考えであり、私のほうは直接産業側をも代弁している、と申し上げるのは幾らか言い過ぎかもしれませんが、とにかく資金を需要する側の意見も入っておるということでございます。  今回の調査会では、わが国の金融構造の特色の一つといたしまして、企業の資金需要が主として金融機関を通ずる間接金融方式によってまかなわれ、資本市場を通ずる直接金融方式の比重の低いことをあげ、その現状に即応して間接金融についての効率化検討し、この観点から一般民間金融機関あり方に焦点をしぼって審議が行なわれております。そうして、直接金融につきましては、ただ資本市場の健全な育成を阻害しないかどうかという消極的な検討が行なわれているにとどまっておるところに一つの問題があろうかと存じます。  個別問題といたしましては、長短金融の分離も大きな調査対象となっておりながら、長期金融市場ないし資本市場については、十分検討をされたと言い得ないのではないかと思います。直接金融と間接金融は適正なバランスの上に立って機能を発揮することが望ましいとしながらも、この二つの金融についてバランスのとれた議論がなかったのではないか。別に証券取引審議会等がございますから、資本市場の問題はことさら深入りしなかったとも考えられますが、当然両市場にわたって論じられなければならないことが、狭義の金融市場についての議論だけが発展してまいっておる面がございます。今後の広い金融行政並びに政策考える上で、人々をミスリードすることにならねばよいがと思うところも少なくないのでございます。  具体的に申し上げますと、今日わが国の金融制度の中で、欧米諸国に比べて最も見劣りがするのは公社債市場であることはひとしく関係者の指摘するところでございます。今後の金融正常化のために、あるいはアジアにおける金融の中心市場をわが国が志向していくためには、間接金融偏重を是正し、中でも金利機能が十分働くような公社債市場を積極的につくり上げていくことが、他の何にも増して重要であるといわなければならないのでございます。この問題を避けて通ったのでは、金融効率化にいたしましても競争原理導入にいたしましても、また金利機能活用にいたしましても、単に金融機関内部の、コップの中のあらしにとどまりまして、それが国民経済的にも、また産業界としても、大きな意味のあることとは申せないのでございます。ことに金利の問題につきましては、せっかく答申でも詳しく触れておりながら、長短金利が固定化されて連動性に欠けていることなど、中でも、長年非正常に放置されておりましたコール市場が公社債市場の発達にとって致命的ともいえる問題点を提起しておるといった事実に大胆なメスを入れなかったのが惜しまれるのでございます。  そうした点はさておきまして、今回の調査会中期金融という考え方を取り入れたことは、これは大きな問題だと思います。答申は、中期金融の前提といたしまして、企業の借り入れ期間に関するアンケート調査では、三年から五年の借り入れ希望が非常に多いことが強調されております。しかし一方、同じアンケート調査によりますところの資本金十億円以上の会社の借り入れ希望を見ますと、一年から五年以下が四一・六%であるに対しまして五年以上が五六・七%であることを何と説明したらよいのでございましょうか。これはとりもなおさず社債発行に期待するものが多いということを示していると私どもは思うのでございます。中期金融考え方を取り入れるといたしましても、それが資金の吸収手段といたしまして直ちに中期預金創設に結びつけていくところに無理があろうかと思います。公社債市場の役割りがいよいよ重要性を増しつつある今日、かりに中期預金が認められました場合、それが公社債市場にどういう影響を与えるのか。それが企業にとってプラスあるいはマイナスになるのかどうか。その見きわめをつけずに結論を出すことは早計だと思います。もちろん答申では、中期預金につきまして積極、消極、両論を併記しておりますが、今後の方向といたしまして「中期預金導入検討に値する」としておりますのは、これは認めるほうに比重がかかっているとの印象を受けます。私ども証券界といたしましては、CDの創設とともに、中期預金につきましては賛成しがたいことをいろいろの機会でも申し上げてまいりましたが、それは主として公社債市場の育成とは相反するものがあると見ておるからでございます。かりに中期預金をそれでは認めるといたしまして、その期間が二年であるか、あるいは三年なのかにもよりますが、それによる経済効果を測定する前に、おそらく各種金融機関相互の間に論争が生じるものと想像されます。ことに長期信用銀行信託銀行にとりましては、資金調達の上に支障を来たすことになるのではないか。そうなりますと証券界といたしましては、そのはね返りが私どものほうに及ぶことを警戒する気持ちが十分ございますが、これは証券市場に対して影響があるということだけではなくして、長期の安定した資金を必要としておる産業界にとっても重大な問題であると思われます。そこで、中期預金創設につきましては、慎重な上に慎重な検討が加えられますことをお願いいたす次第でございます。  これから尾を引く問題でございますが、長期信用銀行あり方に関し、答申には、「公社債市場育成のための機能も働かせていくことが期待される。」とあります。これにつきましては内部にいろいろ議論を呼んだようでございますが、しかしその後、政府の説明などで、興長銀がこれまでのように、起債にあたって技術的に発行会社をバックアップするとか、あるいは市場の状況に応じて金融面で援助する等であることがわかって安心をいたしました。よくジャーナリズムをにぎわせますところの証券取引法第六十五条の改正などを意味していないと私どもは理解しておるのでございます。長期信用銀行の発行する債券の消化につきましては、利付債が日本銀行のオペの対象とならないため、これが公社債市場の値くずれの一因となっておることもあり、また一方そのしわ寄せが割引債の増加になるということもございます。二、三年定期でも始まるということになりますと、さらにやっかいな問題に発展していかないとは限らないのでございます。  信託銀行につきましては、その専門機関としての特色を発揮し、また長期信用機関として活用されることは現状から見て当然のことでございます。貸付信託の運用範囲を拡大することも、機関投資家としての立場である限り反対する理由はございません。ただ投資信託との分野が乱れることのないように希望いたすのでございます。  最後に、国際金融体制について一言意見を申し述べさせていただきたいと思います。  わが国の場合に、過去、間接金融偏重の政策がとられてきました結果、とかく今後につきましても狭義の金融国際化考えられがちでございますが、国際化の相手国でありますところの欧米先進諸国は直接金融ウエートの高い国でございます。すなわち、金融国際化といいますのは、海外の目から見ますと直接金融国際化ということでございまして、決して単に外国為替銀行業務国際化ということではございません。金融国際化の中心的役割りは、したがいまして証券業務の分野などでございます。この点、今回の答申のあまり触れていないところでございますが、国際投資銀行の問題とあわせまして重要な検討問題でなければならないと思います。国際投資銀行の問題につきましては、この銀行海外において日本の企業の証券発行のマネージをするということは、いろいろな問題があると私どもは理解いたしております。  今般の第三次自由化におきまして、証券業は銀行業とともに五〇%自由化業種に指定され、さらに一両年のうちには外国の証券業者が日本に支店を開設する等の形で進出してまいりますことが当然予想される段階を迎えておりますだけに、そうして今後日本の企業が、国内で、また海外で、長期資金を調達する際の基盤となるものであるだけに、調査会では取り上げられておりませんが、この点はぜひともすっきりしておく必要があろうかと存じます。日本をめぐる国際環境は日に日に大きく変わってきております。外資の進出が激しくなることも必至でございます。この際、言い古されたことでございますが、わが国の企業の主要総資本のうち、自己資本比率は一六・九%、資本金に至りましてはわずかに八・七%であるということをもう一度見直す必要があると思います。しかも、経済成長に応じまして資本構成はさらに悪化が予想されております。そこへきての自由化であり、外資の進出でございます。直接金融、間接金融の問題は古くして新しい問題でございますが、日本の経済環境の変化に思いをいたしますなれば、資本構成のこれ以上の悪化は阻止し、順次その改善をはかっていくことが急務であると信じます。金融制度調査会答申はこれらの点について特に触れておりませんが、産業金融の調達役を承る証券界といたしましてはある種の危機感すら禁じ得ないのでございます。今回の答申が実行に移されます場合には、これらの点も十分御配慮の上、日本経済の安定した成長は、金融市場と資本市場との均衡ある発展の上にのみ存在することを実証していただきたいと存じます。  たいへん長い話になりまして恐縮でございましたが、一応私の話はこれで終わりまして、あとは御質問に応じてお答えさしていただきたいと思います。ありがとうございました。
  66. 藤井勝志

    藤井委員長 質疑の通告がありますので、順次これを許します。松本十郎君。
  67. 松本十郎

    ○松本(十)小委員 ただいま瀬川会長参考人として述べられました御意見に関連しまして、三つ四つ質問をいたしたいと思います。  その第一は直接金融と間接金融関係でありますが、いまも「日本経済の安定した成長は、金融市場と資本市場の均衡ある発展の上にのみ存在する」、こう言われたわけでございまして、私もまさにそのとおりだと思います。今度の答申が「一般民間金融機関あり方等について」という題で、また金融制度調査会というのに並んで証券取引審議会がありますので、あるいはどうしても間接金融のほうに重点を置かざるを得なかったのかと思いますが、しかし何と申しましても、広い意味金融と申しましょうか、ファイナンスということばが意味しますことはやはり間接金融だけではなくして直接金融も入るわけであります。車の両輪のように両々相まって資金調達がうまくいくんだ、こういうことでありますので、お説のとおりということで、それではどのようにすれば直接金融がうまく進んでいくのか。言いかえれば公社債市場の育成強化というのはどういう手を打てばいいのか、その辺についてまず御意見伺いたいと思います。
  68. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 公社債市場がどうすれば正常な市場になるか。私はその根本はやはり金利自由化であろうと思います。御承知のように、従来までの日本の公社債市場は、発行市場も流通市場もないわけです。ただ形の上でつくっているというにすぎなかったのであります。もちろんその間、その手段もいろいろとり、また業者自身もいろいろと努力をいたしましたが、金利自由化のないところに公社債市場は生まれない。そこで金利自由化をすること、根本的には起債条件の自由化を含めた金利自由化をすること、それから第二には、先ほども申し上げましたように、長短金利の分野、コール市場の正常化をはかること、第三に業者がそれを受け持つだけの努力をすること、私はその三つだと思うのであります。  一、二の点についてはもう御説明するまでもないわけでございますが、一体公社債市場が発達しないのは業者が努力をしてないんだというふうな簡単な意見がある。そうしてさらに、何か外からもう少し強い機関がとってかわれば、あすの日にも公社債市場ができるとかあるいは起債市場が弾力化するような考え方を持つ人が多いのでございます。それは、いまの公社債市場というものは、こういう形で発行されております以上、だれがやったところで、簡単に自由化し正常なものが生まれるはずがないのであります。私ども過去二十数年の間、約半世紀、このいびつな発行条件、いびつな中に公社債問題と取り組んでまいりました。最初、私どもが日本銀行のバックによって、市中銀行、われわれが社債の引き受けを始めましたときには、おそらく社債の発行量の九〇%から九五%ぐらい金融機関の消化に依存したという時代からスタートいたしております。しかしながら、そのときは九〇%、九五%はやはり日銀の適格担保であるとか日銀のオペであるとか、あるいはまた金融機関独得の制度によるところの利回り採算の修正とかというものができながらやってきたわけであります。ところが途中でいろいろの経過がございました。たとえば昭和三十年の初めごろは、あのときはオーバーローンが一応解消して、公社債市場ができそうな状態になってきたときがあります。そういう状態になってまいりますと、公社債を発行してもらったら困るからして、貸し切りのままで置いておいてくれというようなことで、発行がスムーズにできるような状態になってくるとチェックされる。そうして情勢が悪くなってくると無理やりに公社債市場にしわを寄せてくるというようなことを繰り返し繰り返し、まいったわけであります。  ところが、公社債市場も最近になりまして七年ぶりか八年ぶりかの条件の改定というものが御承知のように行なわれたのであります。この発行の条件は、現実の市価と発行条件との間のちょうど中間的なものでありまして、必ずしもそれだけで満足すべきものではございませんけれども、しかし、とにもかくにも八年ぶりで条件の自由化に一歩踏み出したわけであります。その踏み出した結果どういうふうな状態になってきておるかと申しますと、三十六年以来私どもが何とかして公社債の個人消化をはからなければいけぬということで、公社債投資信託というものを創設いたしまして、そうしてそれがやり過ぎて一時非常なショックを受けたこともございますが、この制度も今日に至りましては、個人の安定的な貯蓄がふえてまいりまして、順調に発展をしている。それから、片ややはり十年ぐらい前から始めました公社債の、有価証券のマンスリーインベストメントの制度がどんどん育ってきておる。それから個人消化がだんだんと――最初ほとんど一〇〇%金融機関に依存をいたしました公社債消化が漸次一〇%になり二〇%になり三〇%になりして、だんだんと個人消化の率が多くなってきております。今日では電力会社をはじめ電鉄会社あたりの一流企業は六割以上個人消化になっております。これは何を意味するかというと、条件改定で応募者利回りが八分になって、一般の大衆が金融資産の多様化をはかる際に、一つの投資物件、商品性を見出してきたということであります。電力債の特別発行あたりは一〇〇%個人消化になっておるわけでございます。とにかく平均いたしまして五〇%以上の個人消化ができつつあるということは、これはこういういびつな発行条件、いびつな市場の中に、証券会社が果たした大きな役割りであるということを私は信じて疑わないのです。ところが案外にこういう点が評価されてない。  そのほかに、われわれは大量な金融債というものを消化している。割引債の引き受けにいたしましても、あるいは金融債の引き受けにいたしましても、これはもともと非常に大きな額のものを、すでに市場はつくってきておるのであります。これがかりに社債に向けられたということならば、かなりな市場ができているわけであります。先進国の公社債市場を見てみますと、われわれが非常に模範とするアメリカ市場、われわれが目ざすアメリカ市場、ここでも個人消化が二〇%から二五%くらい一九六七年までであります。そうして七五%以上のものは金融機関をはじめ機関投資家に入っております。つまり商品として発行されておりますから、金融機関は当然投資物件として持てる。あるいは日本のような情勢じゃございませんからして、支払い準備金として当然公社債を持たなければならないという要請があるわけでございます。ところが一九六八年から一九六九年、昨年あたりから特に大きく変わった現象でございますが、アメリカの個人が、アメリカの株の状態とかインフレの状態を見まして、われわれはインフレヘッジのためにちょっとでも利回りのいいものにいかなければいかぬ。ただし、株を買うと、どうも株が下がって下がって損ばかりするというので、猛烈に公社債市場に向かってきております。一年に二百五十億ドルから三百億ドルぐらいの個人の公社債市場が一九六八年から六九年にかけて生まれてきた。アメリカの証券業者は初めて公社債市場に個人層というものがあることがわかったということを向こうの記事に書いております。私はこういう事実から考えまして、日本の公社債市場における証券界の個人消化の努力というものは高く評価されても決して低く評価されない。よく現実をながめていただきたいと思うのであります。――お答えになりましたでしょうか。
  69. 松本十郎

    ○松本(十)小委員 なお突っ込んで伺いたいと思うですが、あとの質問者がおられるようですから、少しく網羅的になるかもしれませんが、次の問題に移らしていただきます。  二番目は自由化関係でございます。ただいまお説のように、第三次の自由化業種にきまったわけでありますが、これに対して証券業界がどのように、何と申しましょうか、海外からの進出その他、出てきそうな影響に対して対処しようとされておりますか。特に外資による乗っ取り対策などというものはどうとろうとされておりますか。あるいはまた、四月の末に外人売りによる暴落等があったのですが、外人投資による急騰とか暴落というものをどのように最小限防がれようとされるか。証券市場はもともと自由市場ですからそう無理なことはできないと思いますが、何らか対策がありましようか。  それから、先ほど説明されましたように、わが国の企業自己資本比率は年々低下の一途をたどっておりまして、最近では一六・九%、将来ますますこのままでいけば下がりそうだということですが、この資本構成の是正に対して具体策、やはりこれも一つ自由化対策だと思うのでありますが、そういったものがありましょうか。少し網羅的でありますが、質問いたしたいと思います。
  70. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 お答えいたしたいと思いますが、もし抜けましたらどうぞまた御指摘をいただきたいと思います。順序は違いましてもよろしゅうございましょうか――。  まず、外人の大量売りから株価が非常に暴落した、そして、それでは百二十七条の適用を必要とするのではないかというような御質問のように存じ上げます。四月の場合に、確かに外人売りが大きく市場の混乱の一つの要素であったことは事実でございますが、同時に国内市場もかなり長い間過熱をしておった、この影響も考えなければならないと思うのでございますが、今後はこういうことがたびたび起こるということがあってはならないのでございまして、われわれといたしましては、今後証券局なり証券取引所なりと十分御相談を申し上げながら、これに対して善処する対策を考えていかなければならないと思うのでございます。  ただ、お話もございましたように、証券市場といたしましては本来が自由市場でございますからして、この自由市場の本質をそこなうことのないように、証券会社の窓口、証券会社の力、努力によってこれを是正、薄めていかなければならないと同時に、取引所とか、あるいは証券業協会が、取引所のたとえば値幅制限とか、いろいろの方法を通じてやっていかなければならないと思うのでございますが、証取法に基づく規制というものはやはり伝家の宝刀といたしまして、最後までそういうことのないように持っていくことが、私は日本の証券市場の国内的、国際的信用を維持するゆえんであると思うのでございます。  外人投資の動きにつきましては、私どもも、あれだけ急激に参ったのでございますから、何かこういうことがあるだろうということを懸念をしながら、かねてから当局に対しまして、日本の事業会社の海外における発行が十三億ドルから十四億ドルになっている。そうしてしかも銘柄も数十種類の銘柄になった。そうして日本の株がやはり十何億ドルも合計で向こうに入っている。その海外において日本株のマーケット、日本株を専門に世話をする業者というものがわれわれ日本の証券業者でありますが、それが出ていって、あそこで、やはり一つの市場ですから、投資家の開拓をしていけば、売りも買いもあるわけでございますから、そういうことをやらなければいけない。そういうことをやるためにはひとつドルファンドも認めていただきたいというような要望を申し上げておりました。  それからもう一つは、海外支店なり駐在員をふやしていただいて、そしてほんとうのインフォーメーションを与えたい。実は、これはささいなことでございますが、外人売りで二百何十円の暴落をいたしましたときは、寄りつきで成り行き売りで外人の注文が殺到したのであります。もし日本の証券市場の手法なり状態なりをよく知ってくれておれば、そういう不利なことを外人が勢いやるはずがないのであります。外人投資は、外人の売りは証券取引所の一%とか五%とか三%だ、たいしたことはないといいますけれども、あのときにはそういう一つの技術的な点の不足から、寄りつきの五千万株の成り行きの売りの中に、とにかく七割、三千五百万株から四千万株くらいの外人売りが翌日の寄りつきの成り行き売りに殺到したのであります。こういうことでは外人が売ろうと日本人が売ろうと株が暴落することは当然のことでございまして、その後直ちに、その一日、二日で百円くらい回復をしましたけれども、そういう点もございまして、今後はやはり、日本の企業の証券が出ていくところには日本の市場あり、そこには日本のセカンドリーマーケットありという努力を積み重ねていかなければならないと思っておりますが、この点については当局の御了解を得まして、いろいろ御善処いただくようでございます。  次に、自由化の進展とともに乗っ取りとか買い占めに対してどういうふうな方策があるかという御質問でございますが、これについては実は私ども数年前からいろいろ政策委員会で勉強もいたしました。また各方面とも御相談を申し上げております。経済団体連合会にもいろいろな案を承り、またわれわれからいろいろな案を出しておりますが、何ぶん証券市場は自由市場でございまして、自由な価格形成の場であり、また売買の場であるという本質からいたしまして、どうしても証券市場の側からするところの対策にはおのずから限界があるのではないかと思っておるのでございます。いま私ども考えますことは、テークオーバービッドのルールを設けるということも考えられるわけでございます。これは知らない間に株の買い占めが行なわれているのではなしに、株の買い占めをディスクローズするという制度で、アメリカやイギリスや先進諸国でとられている制度でございますが、しかし日本の場合には、それを規制いたしましても、ヨーロッパあたりの市場と違いましてかなり流通市場が発達している国でございますから、通常の売買を通じてある程度の株式を買い集めることが可能でありますので、たとえば大口の取引を市場に申告さすとか、あるいは大口の取引を市場に集中するように持っていくとか、いろいろ考えられておりますが、証券市場の立場からいいますとそこに限界がございまして、なかなかむずかしい問題でございます。ただ、証券市場として基本的に考えなくちゃならないことは、やはり日ごろ株主の優遇を通じまして安定株主工作、安定株主対策というものを続けてまいりまして、そうしてまた一部に議論のあります自社株保有の問題をどうするとか、あるいは独禁法の問題をどうするとかというような、いろいろな問題に発展していくであろうと考えているのでございます。  それから証券業自体の……
  71. 松本十郎

    ○松本(十)小委員 自由化すれば外国証券会社は、どういう形で出てきそうか。それに対して業界としてはどう受けて立たれるか。もう一つ自己資本比率の問題であります。
  72. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 わかりました。  海外の証券業者の進出は、まず法的準備が必要でございますからして、支店形式の方式で出てくるのではないかと思いますが、その具体的な影響につきましては、御承知のようにいままだ為替管理下でございますので、当面はさしあたって大きな問題はないというふうに考えておりますが、ただ、将来為替の自由化が行なわれていくということになりますと具体的な影響が出てくるのでございます。したがって、私どもといたしましては、過去におきましても現在におきましても、引き続いていろいろと対策を練っております。根本的に、やはり証券業は知識産業であり、人がやる仕事でございますからして、何よりもまず国際的に通用する人材を養成していく。そして、海外活動の拡充あるいは強化をはかっていくということであろうと思います。で、国内的に考えますと、海外の証券業者は当面証券取引所の会員にもなれませんので、証券業協会などに積極的な参加を求める、必ず支店業者は証券業協会に加入するということで、国内の取引の慣行とかあるいは自主規制に従うような方向に呼びかけまして、そして日本市場に混乱を起こさないようにしていこうじゃないかということが、大体業界の意見として一致しておるのでございます。ただ、これをむやみに規制いたしましても、これは自由化の本旨にそぐわないわけでございますから、お互いに同じ土俵でフェアな競争をやっていくということが原則でございますから、われわれ自身も一段と国際的レベルへの向上に努力をしなければならないというふうに考えておるのでございます。  それから、自己資本の問題でございますが、いままで自己資本がどうしてこんなに比率が低下してきたか、いろいろの理由がございましょうが、まず第一に税制の問題でございます。第二には企業経営者の意識の問題でございます。それから第三に証券発行形態の問題、いろいろございますが、しかし、根本的な理由というものは、基本的には、戦後、一切の貯蓄を失いました国民経済の上に高度な高度成長政策のペースをとってきたということから、その当然の帰結であろうかと存じます。しかし、国際化時代を迎えまして、今後はこれを早急に是正していく必要があるということは先ほど申し上げたとおりで、また御指摘のとおりでございますが、これは私は、第一には個人の税制の問題があろうかと思います。御承知のように、過去の税制改革におきまして、利子所得は分離課税、配当所得は総合課税を、過去の税制はそれをたてまえにいたしておりましたが、そのためにインカムゲインを中心といたしました安定株主としての企業参加への仕組みとしては魅力のない仕組みになっておりました。ことしの税制改正で、この点表面的には若干の是正の方向が打ち出されておりますが、実際の税の運用面では、間接投資偏重の傾向、誘導型となっておるのであります。この点、是正する必要があると思いますと同時に、この国際化時代を控えての自己資本の過小でございますから、この際時限的にでも、思い切った何か税の優遇方法が考えられるのではないでしょうかというふうな一つの問題意識を持っておるわけでございます。  第二に企業の税制の問題といたしまして、御承知のように、借り入れ金は損金算入、株式配当は益金処理ということになっております結果、当然といたしまして、企業は資金を借り入れ金に求めがちであるという点が指摘されます。ことに過去の株式の額面割り当ての増資のもとにおいては、確かにこのような企業のビヘービアがあったと思うのでございます。しかし、近年時価発行とともに、時価発行がぼつぼつ出てまいりましたので、こういう考え方がぼつぼつ改まってきつつあると思うのでございます。つまり、額面に対する配当ではなくして、時価による払い込みに対するところの配当という面では、株式配当は必ずしも常に借り入れ金よりコスト高ではない、借り入れ金に比べてコスト安であるという点が出てきておるわけでございます。われわれといたしましては、株主へ適正な利潤分配という大前提のもとに、今後この方向を積極的に進めていきたいと思うのでございます。  第三に、自己資本充実の一歩前の問題といたしまして、株式によるところの自己資本の一歩手前の案といたしまして、借り入れ金を長期安定的な社債に変えていく、そうして自己資本と並んで、国際化時代を控えまして、わが国の企業の資金調達に大きな役割りを果たし、かつ企業の安定をはかるという問題でございます。これについて私どもは過去におきまして、社債消化の促進あるいはそのための発行条件の弾力化、発行条件を弾力化していただきたいということを機会あるごとに提唱してまいりましたが、幸いに最近になりましてやっとその前途に明るさが出てきた、といろことは、先ほど申し上げましたように、先般の七年ぶりの条件改定によりまして個人消化層が非常に進んでまいったということでございますし、また時価転換社債の発行というものがだんだん軌道に乗ってまいりまして、これが一つの資金調達のルールとして活動してまいったということでございます。もちろん、この自己資本充実につきましては、内部保留促進のための税制措置その他いろいろの方法が各面で慎重に検討されなければならない時期に来ておると思うのでございますが、証券界といたしましては以上の三点を当面の重点施策といたしまして今後に対処していきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  73. 松本十郎

    ○松本(十)小委員 だいぶ税の問題にも議論が発展してまいりましたので、いろいろ伺いたいのでありますが、証券税制あるいは税の問題、広くやり出しますときりもありませんので次の機会に譲りまして、当面の問題に戻りますが、世上伝えるところによりますと、アジア開銀が開銀債を発行しよう、しかも東京で出そう、円建てでいこう、こういうふうなことを聞くわけでありますが、これは世銀債のようなものとは違いまして、アジア開銀債というものはいろいろ発行について問題もあろうかと思いますが、証券業界として、そういう計画が具体化する過程においてどのように受けて立たれますか。また証券市場の要請からして、何を最小限度条件として求められるといいますか、こうなくてはならないという一つのお考えがありましょうか。あればひとつお聞かせ願いたい。
  74. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 アジア開銀債の発行につきましては、先ほども渡辺総裁といろいろお話をしてまいったのでございますが、しかしこの問題は、一般論といたしまして私個人の考え方を――まだ多少先のことでございますし、いろいろ練らなくてはならない問題がございますので、私個人の考え方として申し上げたいと思うのでございます。  アジア開銀債に限りませず、今日の日本の経済力あるいは外貨保有の状況、後進国への援助の要請考えますと、今後こういう種の要請というものは日一日と強まってくるものと考えなければならないと思うのでございます。したがって、このアジア開銀債の問題は、アジア開銀自体が今後も引き続いて起債を行なうということにとどまらず、広く東京市場がインターナショナルなマーケットの道をにない得るかどうかという最初のケースになり、最初の前例になるわけでございますほか、その融資先となりますところのアジア諸国が今後直接東京市場にやってくるという道をアジア開銀債が率先して開くというわけでございますので、目先の一定の額とか条件とかの資金調達以上にこれは非常に重要な問題ではないかと思うのでございます。  そこで、この原則は二つあろうと思います。一つは市中公募の原則を貫くことであります。いま一つは世界に通用するところの発行条件で取りきめが行なわれなくちゃならないことだと思います。アジア開銀の設立のいきさつとかあるいは総裁選出国であるというわが国の立場が十分にわかっておりますので、証券界といたしましてもできるだけの協力を惜しまないつまりでございますが、またその応募者となりますところの金融機関も同じ立場にあるのでございますが、しかしそれはそれとして、安易な考え方は許されなくて、少なくとも現在の国債や政府保証債のような変態的な引き受けの体制ではなくて、民間債に準じた方式で、われわれアンダーライターとしてアジア開銀との間にネゴシエーションをしていくべきものだと考えております。
  75. 松本十郎

    ○松本(十)小委員 最後に一つだけ、証券金融関係をお伺いしたいと思います。  業界の一部では、いまの制度金融だけではどうも証券金融は十分ではない、できれば原資調達のために専門銀行でもつくりたい、こういう意見をちらちらやっておられるやに聞くのでありますが、証券金融の拡充をどのような方向で実現したらいいのか、あるいは資金手当ての方向はどうしたらいいのか、その辺のお考え方があれば伺いたいと思います。
  76. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 これも古くて新しい問題でございまして、私ども年百年じゅう言い続けてきたことでございますが、さりとて、いまの証券金融のパイプというものが、今後先ほど申し上げたような事態を迎えておるといたしまするなれば、非常に細いものであるということは事実だと思うのでございます。そこで、証券専門銀行をつくるとかつくらぬとかいうような問題は、金融界とのいろいろの問題もございましょうし、なかなか早急に結論を出せないと思うのでございますが、いまの状態で制度金融としての信用取引のパイプでございますが、この問題もやはり市場の需給と仮需給との関連という問題もあるし、なかなかそう簡単に結論を出せないのであります。ただ、これからどういたしましても公社債市場というものがやはり証券市場の大きな一つの柱になっていく。最近ではだいぶ公社債も外国にもぼつぼつ募集価格で売れていくというような実情になっております。非常にこの分野の拡大が要請されるし、また拡大されてまいります。そこで両方を含めた金融というものがある程度拡大されていかなくちゃいかぬのじゃないか。私ども古い昔の記憶によりますと、大体昔は市中銀行の貸し出しの二割ないし三割が証券金融であった。株式金融であり、あるいは公社債金融であったわけでありますが、今日ではおそらく二、三%であるかどうか。それも顔で借りるのであって、だれもが証券を持っていって自由に借りるような状態ではありませんし、それからいまの公社債市場をさらに広げていく、あるいは株式を正常化していく上においても、何かいまの機関で有価証券担保の個人に対する貸し出し量というものがもっと自由にできるようなことが考えられないものだろうかということをひそかに考えておるのでございます。いまの日証金をどういうふうにして拡充していくか、あるいは中小業者の金融というものをどういうふうに正常化していくか、いろいろ問題が山積しておりまして、まだ私といたしましては何ら成案を得ておりませんけれども、この問題につきましては真剣に対処していかなければならない時節にきておると考えております。
  77. 松本十郎

    ○松本(十)小委員 終わります。
  78. 藤井勝志

  79. 堀昌雄

    ○堀小委員 本日は金融制度答申に関して参考人においでをいただいておりますので、証券プロパーの問題はいずれまたあらためて証券のときにお伺いいたすことにいたしまして、きょうは狭義の金融との関連においてお伺いをいたしたいと思います。  最初にお触れになりましたように、私も実は、銀行局に置かれておる金融制度調査会というこの会の名前がどうもちょっと適切でないような気がしておるわけであります。金融制度というなれば、当然これはいま御指摘のように直接金融も間接金融も入るわけでありますし、さらに国の場合には、御承知のように現在国債、政保債等を発行しておりますから、これらを含めた金融制度ということにならなければなりません。ですから、本来ならば大蔵大臣の官房にこれが設けられて、銀行局、証券局、理財局というような関係部局がその幹事をつとめて、総合的な立場金融制度を論じるというのが私は筋であろうと考えておりますけれども、沿革的に、金融制度調査会銀行局に、証券取引審議会が証券局に、こういうことになっておりますから、これは私は今後の日本の金融問題に非常に問題を残す一つあり方だと、実は福田大蔵大臣にもかねてから指摘を申し上げておるところなんであります。そこで、銀行局にありますものはどちらかといえば狭義金融といいますか間接金融――間接金融というよりも、私の感じではどうしても間接金融機関の対策というのが主になりまして、間接金融そのものも必ずしも十分に論議をされていないという感じを実は持っておるわけでありまして、その点の御指摘については私も全く同感なんであります。  そこで、いますでに公社債市場の問題をお話しになりましたが、その次にお話しになりましたコール市場の正常化という問題でありますけれども、これは先般の金融制度調査会都市銀行を代表して岩佐富士銀行頭取が参考意見を述べられております中にも、コールの問題をひとつ考えてもらいたいという問題提起金融機関側からも――これは特にコールの取り手の側から実は出ておるわけでありますけれども、コール市場の正常化ということはこれは公社債市場の正常化と同じことではないのか。要するに、表現は違いますけれども実質的には表裏で一体のようなものであって、正常化をするということは、金利自由化する以外にはコール市場の正常化も公社債市場の正常化もあり得ないのではないか、こういう感じがいたします。私もかねてから、大蔵委員会におりまして、公社債市場をいかにしてつくるか、これが金融正常化の最大の道だということを十年近く議論してまいりましたけれども、今日実はなかなか期待するようにまいりません。しかしどこかで勇気をもって現在の循環しておる環を断ち切りませんと、どうしてもなかなか問題は解決しないのじゃないか。この間のような社債条件弾力化かなり大幅に何回か行なわれることになれば別でありますけれども、これとても、私は何回か予算委員会等を通じて議論してまいりましたあげくの果て、ようやく小幅の、私から見れば小幅の条件改定であったと思いますが、いま参考人お話を聞きますと、それでもかなり有効であったということのようであります。金利自由化すれば確かに一回金利は上がりますけれども、要するに金利というのは、本来資本主義の仕組みの中では自律性があるものですから――もちろん今日海外との金融の状態もありますけれども、幸いにして日本は強度の為替管理をしておりますから、欧州諸国におけるような直接に海外金利にストレートに影響するということはまだそれほど心配をしなくてもいいという条件でありますから、一ぺん金利自由化すればかなり高いところに上がるでありまししょうけれども、上がったところから実はそういうセルフコントロールがさいてきで、必ず適正なところに落ちつく。上がることをおそれていればいつまでたってもこの問題の解決はないのではないか。やはり勇気が必要な問題ではないか。実はいまから四年ぐらい前に佐藤総理にも、適度な成長を期待するならば、金利自由化をする以外には適度な成長は期待できませんよと申し上げておるのでありますけれども、政府は今日まで実はなかなか思い切れないということのようでありますけれども、これらについては一体どうやって自由化に踏み切るか。一挙にやるか、また何らか方法を考えておられるか。これがいまのコール市場正常化、公社債市場正常化の最大のポイントだと思いますので、その金利自由化に対しての証券界から見たお考えはどうかということを承りたいと思います。
  80. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 金利自由化につきましての御意見は、私、堀さんと全く同意見でありますが、ただ、この公社債市場から見た金利自由化は、これがやはり公社債市場育成の根本的な条件であって、しかもいまいろいろ議論されておるように、ミクロの世界での金利をあっちこっち動かしてみたところでそれは資金偏在の是正にも何にもならない。マクロの世界で動かして、そして公社債市場の育成をはかっていかなければならないわけでありますが、私は最近の国民の証券投資に対する性向から見ましても、あるいは日本には機関投資家としての公社債投資家がだんだん育ってきておるという状態からいたしましても、一ぺんに踏み切るということはむずかしいとしても、徐々に踏み切っているうちに、国際化していく過程において、むしろ外的要因からして自由化を促される。つまり自由化を促される要因が出てまいりますから、日本の金利が先に行って高くなるか安くなるか、なかなかむずかしい問題で結論は出せませんけれども、どこかでじょうずな時期に踏み切れば、金利が低下していくようなときに、いまから徐々にやりながらそこに合わせれば一応そこで軌道に乗ってくる。あとは金利の上がり下がりによって善処していけばいい問題であって、どこかで踏み切るが、しかし様子を見ながら徐々に片づけていく。いまの乖離があまりにひどい。いろいろな意味でひどいから、そこでやはり二年定期とか三年定期とかいうふうな部分的なことをいわずに、金利全体を上げるということをむしろ考えたほうが全体としての機能が働いてくるのじゃないかというふうに思うわけでございます。
  81. 堀昌雄

    ○堀小委員 先ほど全国銀行協会の会長代理として横田勧銀取頭もおいでになりましたが、私も実は三年もの定期の問題については全体の金利を上げるほうが先ではないかということを申し上げたわけでありますが、どうも私の感じでは、議論はさることながら、金利自由化ということがどうも進まないのは、いろいろ利害得失が少し中にかみ込み過ぎておるということもあるのではないかという感じがいたします。そこで、それに関連をいたしまして、ここでちょっとお触れになっております信託銀行関係でありますけれども、「信託銀行の貸付信託の適用範囲の拡大は、専門機関乃至機関投資家としての立場であれば、何ら反対する理由はない。ただ投資信託との分野が乱れることのないように希望する。」と、こうありますが、貸付信託でもいまはどうも何か長期預金みたいになっていますから、これは私は望ましくない、こう思っておるのでありまして、本来信託になるべきではないか、こう思っておるわけです。そういう意味でいきますと、これはちょっと証券のほうに片寄る問題でありますけれども、私はかねてから投資信託の多様化という問題で、会社型投信というようなものも日本に導入されてしかるべきではないか、こういう問題提起をしてきておるのであります。そういう場合に、ちょうどたとえば長期信用銀行が証券界と銀行との間の接点にありますように、ある意味では私は信託銀行も証券会社との一つの接点にあるという感じがいたしますので、そこらでひとつ適正な競争原理の働く分野というものが、同じ信託業務でもありますからあっていいのではないか、こういう感じがしておるわけでありますが、ここではどうもそういうのはお断わりだというふうにちょっと読み取れるわけでありますけれども、やはり私は証券界は証券界のワクの中だけでの競争というよりも、やはり少し周辺の分野ではその他とも競争することによって、証券界自身のいろいろなお考えも国民のために変えていただきたい問題もある、こう思うのであります。そこらについてはどうでしょう。
  82. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 投資信託と競合するところのないようにというような意味じゃなしに、実は投資信託は投資信託としての本質がございますからして、貸付信託の内容が投資信託と間違われるようなことになっては困るということであります。信託銀行との提携の問題は、私は本来の投資信託に信託銀行進出してきてもいいんじゃないかとすら考えておりますし、接点というよりも一緒になって競争している仕事がぼつぼつできております。たとえば従業員持ち株制度の確立でありますが、これは今日、二年ほどの間に証券界で実はこの商品を発掘いたしまして、そうして現在信託銀行と証券会社とが大いに競合してやっておりますが、わずか一年、二年の間に五百社から六百社ぐらいの従業員持ち株制度ができつつあるということで、これはどちらが発掘しようと別でありますけれども、両方とも大いに競合してやっている面が出てきております。それから、今日信託銀行一つの大きな仕事の分野になっております証券代行業務といいますものは、本来証券市場から発掘して信託銀行に持っていった仕事であります。そういうふうな新しい意味でのものができてくるのではないか。いまの貸付信託、投資信託というものの競合というよりも、むしろ新しい意味での投資信託に信託銀行あるいはその他の金融機関が出てきていただくのがいいんじゃないかと、私はそう考えております。
  83. 堀昌雄

    ○堀小委員 その点は了解をいたしました。  それから、終わりのほうにあります自己資本比率の問題でありますけれども、私はこの自己資本比率の問題は、確かに税制も問題がありますけれども、最大の理由行き過ぎた成長にあるのではないかと、私はこう思っておるわけであります。ですから、行き過ぎた成長がある程度是正されない限りは、私はいまこの税制をさわったところで自己資本比率に影響するところはないではないか。そこで、そうなると、行き過ぎた成長をチェックするのは何かといえば、やはりいまの私の申し上げたような、資本主義の世の中ですから、金利自由化してくるところから非常に金融がタイトになれば金利が上がるし、金利が非常に上がってくれば投資は鎮静するということからくる、自然的な成長抑制のメカニズムをやはり市場メカニズムを通じて行なうということにならない限り――私は、確かにお話のありました税制上もいろいろ問題がありますけれども、一番肝心なのはどうもそこではないか、高度成長行き過ぎがこうなってきているんじゃないだろうか、こう思いますが、その点はいかがでしょうか。
  84. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 確かに行き過ぎた成長が自己資本の低下を促している。今後もますます自己資本は低下するだろうという見通しを私はつけております。しかしながら、自由化を控えてあまりにどうも危機感を感ずるではないか。何とかして幾らかでもここで方向転換できるようなことがないだろうかという意味で申し上げたのであります。今日の産業会社のバランスシートを個々に拝見いたしましても、確かに自己資本のうんと充実している会社もできてきておる、安定した会社もできてきておるわけであります。がしかし、巨大会社、あるいは急成長の化学工業会社とかあるいは鉄鋼会社なんかは自己資本比率が非常に下がってきております。そこで証券界としては、何としてもこの傾向を幾らかでも食いとめて、幾らかインプルーブすべく自分たちの職域からやっていかなくちゃいかぬと考えておりますのが、今日多少御批判を受けておりますけれども、時価発行制度導入するとか、あるいはその中間といたしまして転換社債を発行して、長期安定資金導入して企業の資本ストラクチャーを是正する。あるいは社債発行をさらにふやしてやっていくということでやっているわけでありまして、根本は過度の成長にあり、その成長をとめるものは、適正にするものは、やはり自由メカニズムが働かなくてはいけない、そう考えております。
  85. 堀昌雄

    ○堀小委員 それから、さっき証券金融お話が出ましたけれども、御承知のように日本共同証券がいよいよ十一月には大体解散になるということであります。これはやはり証券界と金融界とにまたがった非常に重要な課題でありますので、この際、証券界側としてこの日本共同証券の解散に関して、その利益金その他の処分方法なり、証券界側の意向をひとつ承っておきたいと思います。
  86. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 御承知のように、日本共同証券の株主は証券界が一六%でございまして、金融界が八十何%でございます。設立のいきさつとかあるいは証券市場がいろいろとバックアップされてごやっかいになったという点から見ますと、私は証券界全体というよりも企業経営者として考えましたときに、なかなかわれわれのほうから勇敢なあつかましい主張はできないのがほんとうではないかと思います。ただ、あの機関は株式会社の形をとっておる会社でございます。国の資金を使わしていただいたとか、あるいは大きな証券市場秩序維持、ないしは証券市場の秩序の破壊からさらに拡大していくだろうと思われる全体の秩序破壊を防止するためにできたという機関でありますが、とにもかくにも証券市場の秩序維持のためにつくられた機関であります。私は、この共同証券の株主としての適正な配当、あるいは若干の危険に対する負担度とかというものは、当然株式会社である以上考えなければならない筋のものだと考えますが、しかしながら、得た利益はあげて株主に帰属するということはあり得ないことであって、それをどの辺に考えるかということは非常にむずかしい問題であります。私どもの希望といたしましては、大多数の資金を証券界維持発展のためにひとつ使わしていただくという希望は持っておりますけれども、これは国なり日本銀行なりが大所高所から御指導になるべき問題であって、証券界からあつかましく、助けていただいた資本に対してどうせい、こうせいということは申し上げられない、というのが私どもの率直な気持ちでございます。
  87. 堀昌雄

    ○堀小委員 わかりました。間もなくこの問題は最終的な処理を政府としても考えなければならぬところにきていると思います。非常に複雑なのは、これは実は証券会社なんですね。日本共同証券は証券会社ですから、本来のそういう監督権というのは証券局にある。ところが、いまお話しのように株主銀行のほうに多いという、まことに複雑な問題がありますけれども、私はいろいろな経緯からして、望むらくは、証券金融の拡大のためにそれが使われることはやはり資本市場の育成につながり、結局は金融側としてもそのことは決してマイナスではないだろう、こう考えておりますので、この前も委員会でちょっとその私見を述べておいたわけでありますが、それは以上にとどめます。  最後に、どうも私は証券界を見ておりまして、ややふがいがないという表現はちょっと行き過ぎかもわかりませんが、銀行の影響力が非常に強くて、ずっと証券会社の幹部を拝見しましても、かなり金融機関からおいでになっている方が多いように見受けられるわけであります。私は、ここには証券側としても反省をしていただかなければならぬ問題もあるのではないのか、こういうふうな感じがしておるわけであります。証券界が少なくとも直接金融のにない手であるという使命にもう少し徹していただかないと、私ども証券界の動きを見ておりまして、かつての株屋さん的傾向というものが払拭し切れない。そこに国民的にも間接金融のほうが安心だという風潮が生まれてきておるのではないか。やはり証券界みずからが直接金融のにない手として国民の信頼を得るというところにも非常に重要な問題があると感じておるわけであります。そういう意味では、本来直接金融、間接金融が仰せのように車の両輪のようになって動くのが経済としてはスムーズなことでありますけれども、残念ながら過去におけるいろいろな問題を含めて、どうもその点にやや国民の信頼が薄いのではないか。そこに銀行その他が進出をしてくる状況も出てきておるのではないか、こういう感じがいたしますので、これらについてのお考えを承って私の質問を終わりたいと思います。
  88. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 たいへん適切な、しかも痛い御注意をいただいて、まったくそのとおりであります。ただ、証券界がああいう不幸なことを経過いたしましたために、人材を主として金融界各方面からいただいておりますが、しかしその人たちももうかれこれ十年近く経過するような状態になってまいりました。まあ十年たって証券人になる人と、十年たってもならぬ人と、二、三年でなる人と、いろいろありますが、みな優秀なりっぱな人をいただいておりますから、今日そういう人たちははっきりと、証券人としての意識と証券人としての使命に燃えて進んでおります。証券界がとかくスペキュラティブな、株屋的な感覚を払拭し切れないということも事実でありますが、しかし私はそれは非常に払拭されてきつつあるように思います。またそういう御認識もいただいておるのだろうと思いますが、とにもかくにもいろいろな意味方向はりっぱに方向づけられております。ひとついましばらくあたたかい目でごしんぼう願いましたなれば、必ずわれわれの手で直接金融方式というものを打ち立てる、そうなければならないという熱意に燃えております。どうかひとつその程度でごかんべんを願いたいと思います。
  89. 藤井勝志

    藤井委員長 平林剛君。
  90. 平林剛

    ○平林小委員 瀬川参考人から公社債市場の育成に関しまして、その基本になる金利自由化あるいは社債などの発行条件についての御意見は、私もとくと拝聴いたしまして、その点においては非常に同感する点が多いのであります。そこで、公社債市場の育成につきまして、私は最近特に注目しなければならない二つの問題があると思うのであります。これにつきまして御意見を承りたいと思います。  その一つは、株式の時価発行の制度が次第に、最近はこれが定着をしつつあるという話もあるわけでありますけれども、この五月の松下の株価操作の問題につきましては、証券界の相当の幹部が告発をしておるという事態は、私はこれは株式市場に関係のある多くの国民が注目をしておる点であろうと思います。その中の経緯はあまりこまかいことは避けますけれども、野球だって八百長はいかぬという世論がございます。この問題につきましても、株にはいろいろのうまみがあったり、そういうリスクがあったりするのは当然でございましょうけれども、今度の松下の株の問題については、その操作が行なわれたのではないかという疑問は私自身も消すことができないのであります。これは非常に重大視すべきことでありますし、ことしはどの程度の時価発行が行なわれるかわかりませんけれども、その額が多くなればなるほどこうした問題についての疑惑は証券界みずから解いておく必要がある、こう考えておるわけなんです。そこでこの問題につきましての御感想なり、また今後留意すべき心がまえといいますか、そういう点についてはどんな御見解をお持ちであるか、この機会にひとつ承っておきたいと思います。
  91. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 まず、時価発行が株式下落の張本人であったのではないか、時価発行制度考え直したらいいのではないかということからお答えをして、それから御指摘の問題に触れていきたいと思うのでありますが、どういたしましても日本のこれからの証券の自由化というものが先進国相手の自由化であり、先進国の水準に近づくということであれば、株式の価値をはかるものさしも尺度も、それから資金調達の発行形態も資金調達のコストも、先進国と競争し得るような同じ土俵のもとにおいて持っていかなければならないということは事実であります。従来日本の株式は、利回りが幾らだ、利回りが幾らだということで買われておりましたのが、最近プライス・アーニングス・レーショという形で買われ出したということをお考えいただいても、ものさしが大きく一つ変わってきたということであります。  時価発行につきましては、これは実は十七、八年前くらいから時価発行の発想が日本にも生まれまして、そうして過去数年前までは時価発行の一つの前身の形として、一部の株式を公募する。一部は額面で割り当て、一部の株式を公募するという形が行なわれてまいりましたり、またソニーあたりが完全な時価発行を国内ですでに十年ほど前にやった。同時に海外での発行が、ADRの発行とかEDRの発行というものができてまいりましたために、日本の企業海外では時価発行ができるが国内ではまだできないという状態が続いてまいったわけであります。ここ数年前に、証券界といたしまして時価発行に対する統一見解をつくりまして、そうして経団連の場に出しまして、産業界や金融界の皆さんのおおむね御了解を得ましておりましたところが、一昨年の日本楽器以来本格的な時価発行というものが進んでまいったわけであります。  時価発行によって時価発行銘柄が下がって、額面発行銘柄が下がらなかった、どう違っているかというようなことを、私も実は御質問があるのではないかと思ってちょっと調べさしてまいったのでありますが、日本楽器の時価発行以来、時価発行会社の銘柄が二十三社ございます。二十三社のうち公募価格を割っておりますのが八社でございます。あとは公募価格を上回っております。しからば同じ二十三社を額面発行の会社をとってみますと、四十五年一月から以降今日まで約二十三社が時価発行いたしております。多少次元が違いますから比較にはならぬかもしれませんが、同じ数をとって比較したほうがわかりやすいと思いまして実はそういたしましたが、二十三の額面発行が行なわれて、そのうち十九社が額面を割っております。その当時の時価を割っております。というふうなことで、時価発行だから株価が上がったとか、額面発行だから下がらなかったというふうなことは、これはいえないと思うのであります。のみならず、時価発行の場合には将来のプレミアム還元、利潤を還元するというシステムでございますから、将来に一つ望みがある。額面発行は一ぺんにもう済ましてしまったわけでありますから、そこで時価発行一つの時点をとらまえてこれが成功だ、失敗だというふうな議論はいけない。やはりこれが定着していくために、われわれは時価発行に値するような会社に銘柄を選択していかなければならないし、また新しい道の定着でございますからいろいろと検討を続けてまいらなければならないことは事実でございますから、この点につきましては今後いろいろと御意見を承り、また検討を重ねてまいらなくてはならないというふうに思っております。  松下の問題でございますが、これは非常に不幸な時期に募集が当たった。それまでかなり大量な時価発行がその以前に行なわれておりますが、市場が非常に安定した平穏の時代に行なわれました時価発行というものは、一切そういうふうな疑念も持たれずに、また大きな株価の動きなしに完了いたしております。たまたまこれが未曽有の事件が起こったような時期にぶつかったということでありまして、いろいろの議論も呼び、また御指摘のように引き受け会社として告発されたということも事実でございますが、私の知っております範囲内におきましては、このような株価操作があったとは聞いておりません。ただ取引所なり大蔵省なりが――ただいまこの問題については大蔵省の証券局が御調査中でございますが、それがどういう段階にきておるかということは私はまだ聞いておりません。ただ日本の発行制度につきましては、やはりいろいろと進んだアメリカあたりの制度を取り入れて、しっかりと法律化していかなければならない面がたくさんあろうかと思います。たとえばディスクロージャー、企業内容公開の問題にいたしましても、あるいは発行時における安定操作の問題にいたしましても、これは新しい時代とともに新しいものを加えていく必要があろうかと思います。私どももそういう疑いを受けることは非常に不幸でありますが、その点につきましては証券局でいろいろと御研究中のようにも聞いておりますし、私どもそれに対して積極的にわれわれの実務面における経験を通して万全を期していきたい。どうも株というやつは値動きが刻々ございますし、異常な事態のときの状態でありましたためにそういう誤解を受けることが多かったのじゃないか、その程度に実は解釈いたしております。
  92. 平林剛

    ○平林小委員 松下の株価操作の点については、告発も受けておることであり、いまお話しのように大蔵省でも調査中のことでございますから、その経緯を私どもも十分調査をいたしまして、いやしくも時価発行のやり方の中に一般の国民から疑惑を受けないようなことをすべきである。大体において証券業界の通常の業務そのものがある意味では株価操作に似たような形がとられるわけでありますから、どこまでどういうふうにするかというのは非常にむずかしい問題があろうと思います。そういう点はわれわれも十分理解はしますけれども、少なくとも今度のような疑惑の点についてはえりを正すといいますか、何かその中でも将来の証券界の安定育成のために役立つものであるならば、積極的にこれを取り入れるという考え方が必要ではないかと私は思っておるわけであります。特に大蔵省におきましても、利率公開の原則が不十分だということから安定操作、これをやるというお話もございまして、いま御意見の中にもございましたけれども、実務から見て、現在大蔵省考えておる証取法の改正の中で、たとえば安定操作を大蔵省に届け出なければ公募期間中は証券会社が自己売買をできないというようなこと、その他が考えられておるようなんですけれども、いずれ国会でこの問題は十分議論するときがあると思いますが、さしあたりそういう方向についてあなたの御意見があればこの機会に承っておきたい。
  93. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 いま申し上げましたように、私どもこの問題については非常に遺憾であります。ことに非常に大事な時価発行という制度を定着化させていこうというやさきでございますから、こういう疑惑が起こったということは非常に残念でございます。こういうことはあってはならないと考えております。  それから、先ほど申し上げましたように、日本の証券取引法のそういう面において強化の必要がいろいろあると思います。たとえば投資顧問業の関係とかあるいは周辺のこととかディスクロージャーの問題とか、いまおっしゃった安定操作の問題とか、いろいろあろうかと思います。私どもとしても、自分たちの経験により、自分たちの実務上、とにかく積極的にそういうことを大蔵省に御参考に申し上げて、そうして法律改正の刺激をして、単に大蔵省からこうやるんだ、ああやるんだということで一方的にわれわれに押しつけられるというような感覚であってはならない。むしろわれわれが土台になって、証券業が円満に運営されていくためにはこのくらいの覚悟でわれわれは行かなければならぬのだということを、積極的に申し上げなければいけないという点は御指摘のとおりでございます。そういう覚悟でおります。
  94. 平林剛

    ○平林小委員 これはまた機会を改めて政府との間にも議論をする場所があると思うのです。  そこでもう一つの問題があるわけですね。私のもう一つの問題といいますのは、先ほどお話がありました共同証券の問題です。これは堀委員の質問に答えられまして、自分のほうからはあまり積極的に申し上げることができない。むしろ日本銀行や国からの御指導……というふうにおっしゃられたのでありますが、私はこの点は先般も大蔵委員会で大臣に対して、共同証券は解散すべきである、そしてこの経緯から見ましてこれはすなおに解散をする形をとるべきである、そうでないと国民全般に理解される形になり得ないということを強調いたしておいたわけなんであります。しかし大臣のお答えの中には、どうもこれを公社債需給安定機関として何か残していきたいというような雰囲気を漏らされておる。私はこの点につきましても、はたして国民全般が納得するかどうか非常に疑問を持っておるわけであります。それはいろいろな考え方もございますから、これを残しておくほうが全般の社会、公共という点にふさわしいという議論もあるでしょうけれども、どうもすなおには聞き取れないという構想なんであります。特に共同証券ができたときに、あなたも声高らかに、証券市場は自由市場である、こういうふうにおっしゃられたのに対しまして、当時の批判としては、むしろ株式市場が管理相場化した、こういう批判は皆さんも御体験になったことだと思うのであります。かりに安定機関ができ上がっても、これによって失う市場機能、市場原理といいますか、自由市場であるという原理というものがこのために失われるとしたら、その損失のほうがもっと大きいのじゃないだろうか。私は、公社債市場を育成するにはそんなこそくなやり方をとるべきではない、もっと国民の貯蓄性、資金のストックに合わせたようなじみちな努力をすることが、将来にわたって公社債市場育成のむしろ近道である、こういう考えを実は持っておるわけであります。ですから、先ほど高らかに、証券市場は自由市場である、そしてそのために金利自由化あるいは証券発行条件の緩和、もしくは自由化とおっしゃられたのに私は共鳴を覚えたのでありますが、この点になると、瀬川さんの高邁なといいますか、証券市場育成の熱意という点において、ちょっと受け取れないようなニュアンスを実は私ちょっと感ずるわけであります。日銀や政府の指導を仰ぐというよりは、むしろ積極的に証券市場育成の大道を歩きたいくらいなことを実はおっしゃっていただきたいと私は思うのでありますが、いかがですか。
  95. 瀬川美能留

    ○瀬川参考人 私、少し先走り過ぎて、解散は決定している、公社債市場育成機関なんかつくらない、利益をどこでどう使うのだという問題だと思ってお答えしたのであります。解散論につきましては、これは私は当然のことだと思います。あのときの成立しましたいきさつとか、あのときに残っております文書あるいは国会における皆さんの御質問に対する政府の答弁とか、そういうものを振り返ってみますと、これは一時的のものであって、証券市場のネセサリーイーブルである、目的を達成したら直ちに解散するということをはっきり言われておるわけでありまして、この点については私は疑問の余地はない。どうも初心を忘れることが多いわけでございまして、初心忘るべからずというのが共同証券、そうしてこういうことの二度とないように証券界もしっかりしなくちゃいかぬということでございます。ですからそういう点については意見の違いはございません。何かこう一つのものができ上がると、そのとき理屈をつけたり、それをまたあと何とか理屈をつけて残していこうというふうな考え方が世の中によくあるように思いますが、私は、これは解散してすっきりすることが一番正しいことだと考えております。  それから公社債市場の育成、てこ入れ機関というようなことは、先ほど私が申し上げた議論からいたしましても御理解いただけると思いますが、こんなものがあることが不正常でありまして、またこの程度の資金では、これにどういうふうに資金をつけていくか別として、資金としても問題にならぬ量だし、またそういう機関が要るか要らぬかということは非常に議論の余地がある。私はこういうものにたよって公社債市場の育成、正常化をはかるべきではないと考えております。  ただ、これは私の一つのラフな考え方として御提案というか――先ほど証券金融の問題の御質問がございましたときに勇敢にお答えするのをちゅうちょしたのでありますが、せっかく共同証券についての御質問がございましたので、ひとつ勇気を出して申し上げたいことは、今日の日銀の成長金融を間接金融だけに集中することはどうか。これからむしろ、公社債市場の育成とかそういう面を含めて、日銀の信用供与を少しわれわれの市場に回したらどうか。そのほうがむしろ大きく経済は転換していくのじゃないか。私どもはいろいろ、公社債金融とかあるいは信用取引のボリュームで信用取引の資金についてごやっかいになっておりまして、前には不祥事件でごやっかいになりまして、大きな口はたたけぬのでございますが、新しい時代において少しそういう面を証券市場へお回しいただいて、金融的にバックをしていただくというようなことは考えられないだろうかというようなことを、非常にいま疑問に思っております。一つ問題として御提案いたしたいと思います。ただ先ほど、私ども立場からは大きく申し上げられないと申し上げたのは資金の使途についてのことでございますから、誤解のないようにお願いしたいと思います。
  96. 藤井勝志

    藤井委員長 これにて瀬川参考人に対する質疑は終了いたしました。  瀬川参考人には、御多用中のところ貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十八分散会