○堀小
委員 いま
銀行局長の御
説明がありましたきょう御提出をいただいた資料でありますけれども、実はこの資料を拝見しておりますと、この
三つの資料はいずれもいろいろと問題を含んでおるという感じが第一にいたします。
そこで、最初の資料で見てまいりますと、信用金庫の場合に大きな山がありますのは
三つであります。東京と大阪と、少し下がって北九州というのが信用金庫の場合の地域的なピークになっております。次に
相互銀行と地方
銀行につきましては、ピークが東北地方と近畿と、そして北九州、こういうふうになっておるわけでありまして、この
関係をずっとそれなりに考えてみますと、東京、大阪あるいは北九州で信用金庫のピークが高いのは、どうもやはりこの地域における
資金需要が非常に高いということだろうと思いますし、北九州もやはりそういう
条件に合致しているのではないだろうか。
相互銀行と地方
銀行の場合には、信用金庫は東北地方は全体の中では非常に低いほうでありますけれども、どういうわけか東北地方で
一つの山ができておる。近畿地方でまた
一つの山がある。こういうふうになっておりまして、この二つはやはり信用金庫とは全然パターンが違う形を示していますけれども、
相互銀行と地方
銀行はややこの点では共通な形が出ておるようであります。ただ、地方
銀行と
相互銀行の違いは、
相互銀行の場合には実は北九州が低くて南九州のほうが高い。地方
銀行のほうは北九州が高くて南九州が低い。ここらはどういうことか、ちょっと私も判断がよくできないわけでありますけれども、総体的に見て感じられることは、
資金需要の高いところにどうも拘束率が高いということが地域別の問題としては実は考えられるように思います。
実は、いまの地域性の問題に関連をするわけでありますけれども、この
金融機関の中で、一体地域的なところで、さっきお話のありましたように
貸し出しの形はどうだろうか。一件当たりの
貸し出し量がこういう
資金需要の高いところで非常に小さくなるというために、大きい
貸し出しならば担保をとるということが適切でありましょうけれども、比較的少額の借り入れとなると、担保をとるよりは両建てのような形で処理をしたほうが双方便宜であるという問題もあるいはあるのかもわからない、こういう感じがするわけであります。そこで、まず地域別の問題の中でひとつ考えていただきたいことは、そういう特に高い地域での
問題点というのは、ただこの地域の問題を今度ははずして、高い地域における信用金庫なり
相互銀行というものの中身の分析を少ししてみたらどうだろうか、こういう感じがするわけであります。分析
方法は
あとでまとめて少し申し上げたいと思います。
その次に、今度は
資金量の問題でありますけれども、資料によりますと、信用金庫は
資金量が増加するに伴って拘束率が高くなるという
一つの
傾向があります。そして
相互銀行の場合は
資金量がふえるにつれて顕著に下がってくるということになっておるようです。地方
銀行はほぼ横ばいであります。都市
銀行についてはさっきお触れになりましたが、確かに一兆円以上の都市
銀行のほうが高くて一兆円以下が低いのは、これらの低位の
銀行がどちらかというとやや地方的な店舗配分があるということが、さっき触れた
資金需要との
関係でおそらくそういう姿になっているのだろうという
説明がありましたが、私もその点はさようであろうと思いますけれども、
相互銀行のほうは
資金量がふえるにつれて一直線に下がってきておるのに、信用金庫のほうは逆に、どちらかというと
資金量がふえるにつれてだんだんと上がっていく。この
資金量がふえるということがやはりさっきの地域性にも
関係があるのですが、
資金量の多い信用金庫というのはおそらくやや都市部といいますか、そういうところの信用金庫が多いので、その結果こういう形になっておるのだろうという感じもするわけであります。
特によくわからないのは、
相互銀行も
資金量が多いのは当然都市部であります。都市部であるのに、
相互銀行の場合は
資金量の
増大とともに拘束率が減ってきておるというのは一体何が
原因であるかという点はもう少し分析を進めていただく必要のあることではないだろうか。地方
銀行はその点は
資金量においても非常に横ばい的である。要するに、地方
銀行というものの性格が、
資金量であるとかあるいは地域性であるとか、あるいは
あとで出てまいりますところの経常収支率、あらゆる面で見て非常に安定的であるというか、いろいろな外的要因にあまり影響されない、非常にステディな
条件にあるという感じがするわけであります。その点で特に
相互銀行は非常に特異なカーブが出ております。これについて少し分析してもらったら何らかのものが出てくるのではないか、こういう感じがします。
最後の経常収支率と拘束との
関係は、全体として見ますとあまり特別な
関係がないような感じがいたします。しかし、このことは拘束
預金の問題としては非常に意味があるのではないか。要するに、経常収支率がよくないところは本来ならば実は
利益をあげたい。
利益をたくさんあげたいということになれば、両建てをすることはそれだけ当然
利益がふえることでありますから、そういう意味ではどちらかというと経常収支率の悪いところに拘束率が高くて、経常収支率のいいところは拘束率が低くていいと思うのでありますけれども、この点についてはカーブがそういう
傾向をやや示しておりますけれどもそれほど顕著でないということは、
収益性という問題が拘束
預金の問題にあまりストレートに結びついていないのではないだろうかという感じを私はこの資料から実は受け取っているわけであります。
そこで、きょうは時間がありませんから、私のほうからこれらについて
問題点を少し申し上げて、さらに分析をしていただいて、次の
委員会でそれらの御報告をいただきながらさらに
論議を進めてまいりたい、こんなふうに思うのであります。
それは、現在考えられる拘束
預金の動機、なぜこういうふうに拘束
預金を
金融機関がやるのかという動機を少し列挙してもらいたいと思います。私なりの感じでは、まず各支店単位で
預金を
増大したい、これはいまの
金融機関の至上命令であります。
預金を
増大したいという上からの要望、たとえば何十周年記念だと、幾ら幾らまでを目標に
預金をひとつふやそうというようなことがよく行なわれておるようでありますが、そういう
一つのノルマのようなことを課して
預金をふやしていくということになると、これは当然両建てをふやすことが最も安易な
預金量の
増大につながる、こういう感じがいたしますが、しかしそのことは実質的には実は
預金の
拡大にはなっていないわけであります。結局両建てになった部分というものはゼロでありますから、それをふやしてみたところでこれはドレスをしているのにすぎないということになるのではないだろうかと、実は私は感じておるわけであります。
その次に、担保の問題でありますけれども、ちょっとこれを調べていただきたいのは、この信用後の問題としては確かに両建てにしないと不安があるという問題のあるものもありましょう。ところが担保がとれるもの、そしてとれないものがあると思いますが、同時に現在信用保証の
制度があるわけでありますから、拘束
預金をしておるものについての担保の
状態——これはどこかの特定の
金融機関というものをひとつ調べていただかないと一般論ではなかなかむずかしいですから、たとえば現在拘束率の高い
金融機関というものを
一つ設定をしてもらって、それは適当にアット・ランダム・サンプルで少し抜いてもらえばいい、その中で拘束
預金をしておる場合は担保は一体どういう形になっておるか。というのは、金額によって担保が違ってくるでしょうから、
貸し出し金のランクを設けている中で、ここからここまでは担保が出てくる、ここからここまでは両建てが出てくるということになってくるのではないかと思います。その際に、信用保証協会の信用保証をつけておる問題というのは、この拘束
預金との
関係は一体どういう
関係になっておるか。実は両建てにして担保をとるよりも、信用保証協会の保証をとったほうが私は実質的だという感じがするわけでありますから、そういう点で、信用後の問題としての担保、それから両建て、信用保証という形が、
貸し出し金額等を含めての関連では一体どういうことになっておるかということを少し分析していただくと、これは担保を動機としておるのだという場合の
一つの解明として出てくるのではないだろうか。
それから、さっき申し上げた
収益性についてはあまり問題がないようでありますが、もしここで必要があるならば、両建てにしないで、
貸し出し金利を上げるように指導をすればいいのではないか。これは何も両建てにすることによって、複雑な手数をかけて
収益をあげる必要はないということ、当然実質
金利を上げてそれをカバーしてもいいのではないか、こんなふうに考えるわけであります。
これ以外にもあると思いますが、現在考えられる拘束
預金の動機について、少しこの問題を列挙していただいて、現在のこういうものの中の分析を少し考えていただきたい、このように思います。
そこでもう
一つの問題として申し上げておきたいのは、今度はある
一つの
金融機関、拘束比率がたとえば三〇%ある
金融機関、ところが三〇%ある
金融機関といえども、その支店における拘束率というのは当然ばらつきがある。そこで今度はその支店におけるばらつきを分布の形で一ぺんつかんでいただいて、そこでそういうばらつきがその
一つの
金融機関の中で起きる理由は一体何だろうか。それは支店長のビヘービアに基づいて起きるのであるか、いまのような地域的な
条件がそれに非常に加味しておるのか。ある
金融機関とすれば当然、私どもが当
委員会でこういうふうに拘束
預金の問題を取り上げておりますから、
金融機関幹部はある
一つの
方向を考えておるかもしれませんけれども、しかし、下のほう、支店間にはかなりの幅があるんじゃないか、こういう感じがいたしますので、ひとつその点について、拘束
預金率の高い信用金庫なり
相互銀行なり——地方
銀行はあまり高くないが、そういうところで特に高いところの分析をそういう形でしていただければ、多少何らか私どもの感じる点があるのではないかと思います。
さらに、さっきの問題の中で、
融資期間の問題が
一つやはり
関係があるんではないだろうか。ですから、長期の
融資ならば担保をとるけれども、やや短期の
融資の場合には金額にかかわらず両建てで処理をするという問題もあるのではないだろうかというような感じもいたしますので、その点の、
融資期間といまの拘束担保の
関係というものは一体どんなふうになるか。これもある特定の
金融機関で見る以外には見ようがないと思いますけれども、こういうような分析を重ねていただいて、結論的に何を求めているかといえば、一体こういうことをする一番大きなモメントは何だろうかということをかなり承知をすれば、今度はそれに対する対策ということを考えることによって、言うなれば歩積み・両建ての第三ラウンドというものをより合理的に進めることができるのではないだろうか。もうここまで来ますと、単に機械的に比率を下げろというだけでは、私はやはりなかなかむずかしい問題を含んでおるのではないかという感じがいたしますので、これらについて、ちょっと時間がかかるかもわかりませんが、ひとつ分析を進めていただきたい。その分析がそろいましたところで一ぺん、私どもは小
委員長にお願いをして、
関係金融業界の代表にここへお越しをいただいて、われわれが当
委員会で
論議をし、大蔵省の分析の結果は、大体こういうことがどうも歩積み・両建てのモメントになっておるのじゃないだろうか、それについてはひとつ業界の側としてはどういうふうにこれを理解され、どういう対策を立てられるかというような問題を、十分今度は現場の皆さんから話を聞けば、それなりにまた実際に適した方策を考えていくことができるんではないか、かように思いますので、ちょっときょうは時間がありませんから、質問の形態でなく、私のほうから主として要望の形で問題を申し上げて、ひとつ
検討を進めていただきたい。それについてひとつ……。