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福田国務大臣 七〇年代の
税制をどうするかということは、
経済の
情勢が目まぐるしく変転しておりますこの際、非常にむずかしい、また重大な問題である、かように
考えておるのであります。
税制調百会に対しましてはそういうことで長期
税制、つまり七〇年代の
税制のあるべき形いかんということをまず
お願いをいたしております。しかしこれは時間がかかるので、私
どもはいまの見通しといたしまして、ずいぶん勉強してもらいましても来年の夏ごろ、これが
精一ぱいではないか、そういうような感じがいたしております。
そこで来年度、四十六年度の
予算編成、これに伴うところの
税制をどうすべきかという問題はまたそれとは別個に御議論を願わなければならないだろう、こういうふうに思いまして、それを第二の問題として
お願いをいたし、これはいずれ年末までには結論を得ていただかなければならぬ問題であるというふうに心得ておるのであります。
そこで長期
税制につきましての
考え方でございますが、いま私は、松尾さんのおっしゃるように、わが国のおきまして
国民の間で、租税負担ということにつきまして重税感を訴える方が
かなりあることはよく
承知しております。ところが、わが国におきましては租税負担は国際水準から見ますと比較的軽いのです。先進諸国は所得に対しまして負担率は三〇%くらいにいっている。わが日本におきましてはそれが、四十五年度でとらえてみますと一八・八%というように非常に低いわけであります。そういう
状態であるにかかわらずなお重税感を訴えられるというゆえんのものは何であるかということを
考えまするときに、アメリカは直接税に非常に偏重している
税制をとっておりますが、他の先進国におきましてはおおむね直接税をそう中心的なものにしておりません。わが国におきましては、戦前が四、六といわれまして、六〇%が
間接税、四〇%が直接税、こういうような
状態でありましたが、戦後はそれがだんだんと逆に転じまして、今日におきましては六五%が直接税であり、三五%が
間接税であるということになり、そこで負担感という問題が起きてくるのではあるまいか、そういうとらえ方をいたしておるのであります。
そこで、これからの
経済の
状況等を見ますると、ますます
経済は発展をするであろうし、またさせなければならぬというふうに
考えますが、そうするとわれわれの所得も上がってくる。それから同時に、
物価問題の処理、いま
努力しておりますけれ
ども、これはそう簡単におさまるというわけにもまいらぬ。徐々にこれを解決するということになろうと思います。そういうようなことも
考えなければならない。
そこで私は、直接税の減税につきましてはこれをさらに推し進めてまいりたい。しかし同時に、
間接税におきましてはこれを増徴するという
考え方をとっていきたい。そして直接税、
間接税、全体をひっくるめたところにおきましては、いま
社会資本の立ちおくれを取り戻すという問題、あるいは
社会保障の問題、
公害の問題、
物価の問題、いろいろ困難な問題が山積しておりますので、この数年間を見てみますと、あるいは二%と言う人もありますが、そのくらいの負担率の増徴ということはやむを得ないのではあるまいかというふうに
考えておるのであります。
そういう際において来年の
税制をどういうふうにするか。これは一応将来の展望をおぼろげながらもにらまなければならぬ問題でありますし、差し迫った問題としてこれを具体化しなければならぬということになるわけでございますが、ただいまの私の
考え方としては、直接税減税というもの、これも来年度とにかく現実の問題としてこれを実行していきたい。同時に、長期
税制というものもにらみながら、
段階的な意味における
間接税の増徴という問題を手がけていきたい、こういうふうに
考えるわけでありまして、それらの具体化をどうするかということについて
税制調査会にいま
検討を
お願いいたしているというのが現状でございます。具体的にどうするかというところまでは私
どももまだ
考えておりませんし、
税制調査会のほうでも固まっておりませんが、
税制調査会の御意向、また
国会における御論議等をよく見まして最終的な結論を得たい、かように
考えておるのであります。