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1970-06-12 第63回国会 衆議院 大蔵委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年六月十二日(金曜日)     午後一時開議  出席委員    委員長代理理事 藤井 勝志君    理事 上村千一郎君 理事 山下 元利君    理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君    理事 永末 英一君       宇野 宗佑君    木部 佳昭君       佐伯 宗義君    坂元 親男君       田村  元君    高橋清一郎君       登坂重次郎君    中島源太郎君       丹羽 久章君    原田  憲君       福田 繁芳君    坊  秀男君       松本 十郎君    森  美秀君       吉田 重延君    吉田  実君       阿部 助哉君    平林  剛君       堀  昌雄君    貝沼 次郎君       伏木 和雄君    二見 伸明君       春日 一幸君    竹本 孫一君       小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局長    尾崎 朝夷君         警察庁刑事局保         安部長     長谷川俊之君         法務省刑事局刑         事課長     前田  宏君         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵大臣官房長 高木 文雄君         大蔵省主計局次         長       竹内 道雄君         大蔵省主税局長 細見  卓君         大蔵省理財局長 相澤 英之君         大蔵省証券局長 志場喜徳郎君         大蔵省銀行局長 近藤 道生君         大蔵省銀行局         中小金融課長  結城  茂君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      佐々木 直君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 五月十三日  一、国の会計に関する件  二、税制に関する件  三、関税に関する件  四、金融に関する件  五、証券取引に関する件  六、外国為替に関する件  七、国有財産に関する件  八、専売事業に関する件  九、印刷事業に関する件  一〇、造幣事業に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国の会計に関する件  税制に関する件  金融に関する件  証券取引に関する件      ————◇—————
  2. 藤井勝志

    藤井委員長代理 これより会議を開きます。  議事に入る前に、本日就任されました大臣官房長並びに理財局長から発言を求められております。これを許します。高木大臣官房長
  3. 高木文雄

    高木説明員 高木でございます。  本日、官房長を命ぜられました。いろいろお世話になりますが、ひとつよろしくお願いします。
  4. 藤井勝志

  5. 相澤英之

    相澤説明員 相澤でございます。  一年ほど経済企画庁の官房長に行っておりましたが、本日理財局長に発令になりました。久しぶりに皆さまにお目にかかれまして、古巣に帰ったようなうれしさでございます。浅学非才の身でございますが、よろしく御指導、御鞭撻を願いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。      ————◇—————
  6. 藤井勝志

    藤井委員長代理 国の会計税制金融及び証券取引に関する件について調査を進めます。  本日は、参考人として、日本銀行総裁佐々木直君が出席されております。  まず、当面の経済情勢について、参考人から御意見をお述べいただきたいと思います。佐々木参考人
  7. 佐々木直

    佐々木参考人 それでは、最近の内外経済情勢につきまして、私どもの見ておりますところを御報告申し上げたいと思います。  国内におきましては、御承知のように、昨年九月から金融引き締めを実行いたしております。その影響出方を見てまいりますと、最初金融面影響が出てまいりましたのは当然でございますが、それは昨年中は金融面にとどまっておりまして、ほとんど経済実体面には影響が及んでおらなかったように見受けられました。本年に入りまして、一月の末から二月にかけまして、大企業のほうで金繰りがなかなかうまくいかないという意味意見がぼつぼつ出始めてまいりました。どうも、今度のそういう引き締め影響は、大企業のほうにまずその影響が出ておるのが特徴のようでございます。中小企業のほうは最近その金融引き締め影響がぼつぼつ出始めておるようでございますが、やはり一番大きく企業金融が問題になっておりますのは、大幅な設備投資を実行してまいりました大企業に、やはりその資金需要の量が多いだけに問題が早く起こった感じがいたします。  そういうまず企業金融の面の問題がこの一、二月ごろから出てまいりましたが、経済全体の成長状況は依然として相当高いレベルが続いておりまして、毎月の生産増加などは、時に、月によりまして変化がございますものの、大勢としてはやはり高度成長が続いておるという実情でございます。  それからまた物価の面につきましても、四月までは卸売り物価が十五カ月間の連騰という状態でございます。  それからまた設備投資の関連で見てまいりましても、機械受注高などは依然として非常に高い水準が続いております。四十五年度の設備投資につきましていろいろの調査が行なわれておりますが、その後、計画を見ますと、やや鎮静の兆も見られますが、現実に機械の注文、そういう数字を見てまいりますと、まだ、いま申し上げましたように、高いレベルが続いておるという実情でございます。  国際収支の面におきましては、やはり黒字基調が続いておりますものの、一時のように急速に外貨準備がふえるという状況ではございません。現に五月中の外貨準備は二千二百万ドルの減少でございます。これは外国人株式投資関係影響しておるのでございますが、黒字基調は続いておりますものの、外貨準備が急増するという姿ではございません。  ところが最近に至りまして、市況商品と申しますか、鉄鋼、それから繊維非鉄金属、こういうようなものの商況にやや変化がうかがわれております。こういう品物はこの三月ぐらいまでは非常に需給が強調でございまして、特に鉄鋼価格などは相当大幅な値上がりを示しておりましたが、それが四月ごろからこういう市況商品商況が変わってまいりまして、やや需給緩和が見られる。その原因一つには、やはり金融関係であまり手元の商品をふやすことができない。したがって、そちらのほうの需要がやや緩和されるということからそういう市況緩和が起こっておるという姿が見られておりました。  しかし、四月まではそれが卸売り物価影響するところまではきておりませんでした。ところが五月になりましてからはそういう市況商品価格が具体的に下がってまいりました。五月の卸売り物価指数は、本日発表いたしましたが、これは持ち合いでございます。去年の二月からことしの四旬まで、卸売り物価は十カ月上昇してまいりましたのが、十六カ月目に初めて持ち合い状況になったということでございます。  これは、その物価落ちつきにはいろいろ理由がございます。特にいま申し上げましたように、市況商品値下がりがその大きな原因になっておりまして、それ以外の物資につきましては総体としてまだ若干ながら上がり続けておるのが五月の現状でございます。したがって、非常に上がってきたものが一息ついたという感じはございますけれども、これがはたして物価の安定の最初のはっきりした徴候であるというふうに見られるかどうか、もう少し状況を見なければ判断のできない段階でございます。消費者物価のほうは、野菜の値下がりで四月の統計消費者物価は一・二下がりました。そういうふうに一息ついた感じはありますけれども、まだ総体状況についての判断はなかなか困難な状態にございます。  一方、海外状況でございますが、海外のうちの欧州のほうは、国際通貨問題の不安が一応解決いたしまして小康状態にございます。したがって、各国の経済状況総体としてやや落ちつきぎみと申しますか、上昇が安定して続いておる。ただ、問題は、賃金と物価が依然として上昇しておるという問題になっております。しかしながらやはり生産はふえておる、こういう状況でございます。  ところがアメリカのほうは生産伸び悩んで、会社の収益は減退しておる、その中で物価だけが上がっておるという状況でございまして、リセッションとインフレーションの間にはさまれて、なかなか経済の運営がむずかしいという状態でございます。アメリカ経済世界経済の中で占めております地位が高いだけに、そのアメリカ経済のそういうむずかしい状況が他の国の経済影響を及ぼす点については、見のがすことができないところでございます。  ただいまのところ、日本経済につきましての影響は、たとえば対米輸出がやや伸び悩んでいるという点は見受けられますけれども、これも個々商品につきまして個々原因もあるのでございまして、アメリカ経済全体の影響であると即断することはまだ少し早いように思います。現に輸出信用状の中における対米輸出割合はまだそれほど落ちておりません。そういうような点で、いまのところでは、アメリカ経済状況日本の対米輸出にどういう影響を与えますか、多少伸び悩みの感じはございますけれども、いまのところの材料ではそれが大きく落ち込むという感じもまだ出ていない、こういう状態でございます。  東南アジアに対します輸出は、ここのところやや伸び悩みではございますけれども総体として日本のいまの輸出環境は、まずまずいまの輸出レベルは維持できるような環境である、こういうふうに存ぜられるのでございます。  以上で御報告を終わります。     —————————————
  8. 藤井勝志

    藤井委員長代理 質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  9. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 佐々木日銀総裁に若干御質問申し上げたいのでありますが、いま当面の内外経済情勢についてお話があったわけであります。そこで、昨年九月から公定歩合引き締めを行ないましてもう九カ月、十カ月という状況、時期を迎えておるわけでありますが、いまお話がありましたように、この当時の金融引き締めのねらいは、経済の過熱を予防をする、こういうことが中心課題であり、しかもその中で卸売り物価を安定さしていきたい、こういうことがねらいであったろうと思うわけであります。それにもかかわらず、昨年二月以降ずっと卸売り物価上がりっぱなしで、いまのお話で五月を迎えて幾らか持ち合い状態というようなところまでようやくきた。十五カ月上がりっぱなしが、ようやく五月段階引き締め後九カ月を経てやや落ちついたという指標が初めてあらわれた、こういうことでありますが、総裁としては、なぜこのように卸売り物価が、早めの予防的な引き締め措置にもかかわらず、これほど物価上昇の期間が長く続いたのか、この要因についてどのように分析をなさっているか。まずその御見解をお伺いをいたしたいと思います。
  10. 佐々木直

    佐々木参考人 物価の問題につきましては、いまお話がございましたように、引き締めを実行いたします半年前くらいから卸売り物価上昇が続いておりました。引き締めを始めましてからあと卸売り物価上昇が依然として続いておりました、その原因についてのお尋ねでございますが、一つは、非常に高い経済成長が続いておりまして、需要伸びも強かったために、金融政策転換をいたしましても、その影響と申しますか、効果が出ますのにある程度時間的なズレがあったように思います。金融の面につきましては、先ほど御報告申し上げましたように、昨年の暮れくらいまでにある程度影響が出ておりましたが、それが企業金融段階影響し始めましたのがことしの一月の末から二月ごろ、実体経済影響し始めましたのが四月、五月ごろ、こういうように相当時間のズレがあった。そういう金融政策効果影響出方の時間的な差というものが、これはいつの引き締めの場合にもございますけれども、今度はっきりとそういうズレがあったように感ぜられます。それがやはり卸売り物価上昇を穏やかにする効果が出にくかった一つ原因ではないかと思います。  それからもう一つは、やはり海外における物価上昇しております。したがって、たとえば銅の例なんかをとりますと、海外から輸入します銅鉱が上がってくるというようなことで、国内銅製品価格上昇する。そういうものはなかなか上昇をとめ得られません。  国内の総需要を押えることに時間がかかったということと、海外物価高の影響がいまの国際環境から申しますとなかなか遮断が困難である。この二つの点が、物価上昇が長く続きました原因ではないか、こういうふうに考えております。
  11. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこで、いまズレの問題、政策効果が浸透するまでの時間的なズレの問題と、海外におけるいわゆる輸入されたインフレといいますか、それを遮断する方法がなかなかむずかしいという二つをあげられたわけでありますが、新聞等によりますと、特にこの春等においては生鮮食料品というようなものの値上がりがかなり大きく響いておるというようなことなどもあったわけであります。そのほか大きいところでは、鉄鋼だとか非鉄金属だとか繊維だとかいう、そういう問題についても大幅な値上がりもあった、こういうようなことになっているわけであります。そういう面と、もう一つは、やはり依然として国内需要というものが設備投資中心にして非常に強かったということ、これがなかなか締まらないということで、非常に強気で推移してきている、こういうようなことがいろいろ重なり合って物価問題というものを非常にむずかしくしていると思うのであります。  そういう中で金融引き締めを続けておって、特に今度の場合は引き締めで大企業の資金繰りがまず一番先に困難になってきたというようなことが言われておったわけでありますが、そういう中で最近在日外銀貸し出しが急増しているというような問題があるわけであります。しかしこの問題については、全体のシェアから見れば、貸し出しシェアでも一・二%ぐらいだ。預金量でも〇・八%ぐらいだというようなことがいわれて、非常に比重としては少ない。しかし、日銀のコントロールのきかないそういう面で、金融引き締め効果がまっ先にきいてきた大企業等に、外銀日本企業に対する進出というような、将来の自由化を見越して企業といまのうちからコネクトをつけておこうというような積極的な意図もあって、かなり金額としても、シェアはまだまだ少ないにしても、四十一年の千四百億程度から四十四年度三千四百億をこえているというような、かなり急テンポ成長貸し出し増加というようなものが見られてきておる。こういうようなものがやはり金融引き締め効果というものの浸透をかなりスポイルする面があるのではないかと思うわけでありますが、こういう問題について、金融政策、特に通貨価値の維持の総本山である総裁として、どう考えたらいいのか、この点について御見解を伺わしていただきたい。
  12. 佐々木直

    佐々木参考人 いまの日本経済情勢につきましては、私ども中におります者にとってはいろいろむずかしい問題を持っておると思うのでありますが、海外から見ると何か非常に好調に推移しているように見えると見えまして、やはり外国銀行にとっては日本市場というものは非常に将来性のあるいい市場だという判断があるようであります。そういうようなことで、外国銀行日本国内でできるだけ仕事を伸ばしていきたいという希望があることは事実でございます。ただアメリカ銀行などは、やはり自分の国の国際収支の問題その他がございまして、そうそう対外投資を大きくふやすということもなかなか困難な、そういう制約もあることはあるのでありますが、お話しのように最近外銀日本国内における貸し出し増加してまいっております。ただ全体の資金供給量増加の中で占めます割合は非常に小そうございます。また今回の引き締めでは、そういう資金供給量増加率が高いことが今度の引き締め下における金融面での一つ特徴でございまして、マネーサプライの増加のパーセンテージは昨年に比較しまして二〇%ぐらいのところに行っております。したがって、在日外銀資金供給増がその総体の中で特に引き締め効果を減殺するような影響を持つほどのものになっているとは考えておりません。しかしながら、今後こういう在日外銀の活動がどういうふうにさらに発展していくか、そういう今後の推移につきましてはわれわれとしても注意深く見ていかなければならない。その点は国内における金融政策とのどういうふうな組み合わせ、協調を維持できるか、その点はわれわれとしても慎重に考えていかなければならない、こう考えております。
  13. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 新聞ですからかなりセンセーショナルな見出しなどをつけていっておりますが、いまのお話では、いまのところそうたいしたことはない、将来の問題だろう、こういうお話であります。  そこで質問を移しますが、全銀協の大会だとかあるいは信用金庫の大会等で、日銀総裁もいろいろ見解を発表されておるわけでありますが、いま一番日本の産業、経済界で注目をしておる問題は、いまの引き締め基調というものがいつ政策転換が行なわれるかということで、新聞等でも七—九月というような記事もちらほら見えております。総裁も、また大蔵大臣等も、やや緩和を示唆するような弾力的な発言もぼつぼつ見えてきたというようなこと、先ほどおっしゃったような若干の状況変化景気指標等落ちつきを五月段階で取り戻した、幾らか引き締め効果があらわれてきて経済実体にまでぼつぼつ及んでおるのではないか、こういう見方がそういう裏づけになっているのだろうと思うわけであります。  そこで、この景気指標についていろいろな、特に設備投資先行指標といいますか、そういう機械受注指標であるとか、あるいは鉱工業生産指数であるとか卸売り物価状況であるとか、いろいろな景気を物語る指標があるわけであります。そのほか、もちろん日銀券発行の対前年比、前期比というような問題などもあるわけでありますが、そういう中で総裁政策転換材料として、これならば、もう大体こういう状況が来るならば政策転換をしてもよろしいと判断をされるにあたって、最重点を置かれる指標というのはどういうものでございますか。
  14. 佐々木直

    佐々木参考人 今回の引き締めまでの数回の戦後の引き締めにあたりましては、いつも引き締め理由国際収支逆調でございました。したがって、国際収支の均衡が回復される徴候がつかめますとすぐ金融引き締め解除ができたというふうに、金融政策転換の目安というものがこちらにもはっきりいたしておりましたし、国民皆さま方にもよく理解いただけたと思います。  今度の場合には、全体の経済成長のあまりに高いこと、それから高いことに伴いますいろいろな指標のゆがみと申しますか、経済の諸指標に起こります問題、そういうものを総合して金融引き締めを開始いたしましただけに、今後もし政策転換をいたしますときにどういう判断をしますかということについては、指標の数が多いだけに、その組み合わせ、そのウエートの置き方というものははなはだむずかしいのでございます。  その点がただいま御質問の要点、ポイントだろうと思うのでありますが、私どもとして、どの指標がどれだけのウエートというふうな正確な計算もなかなか困難ではございますが、やはり一番われわれが大事に見ておりますのは、経済の全体の成長テンポと、それからもう一つ物価の問題、この二つ重点を置いて考えるべきだと思います。日銀券発行高増加、これも大事な指標ではございますが、この指標はいつも少しおくれて出る傾向がございます。したがって、そういう問題よりも、やはり全体の経済自体伸び、それから物価、こういう点に重点を置くべきだ、こういうふうに考えるわけであります。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そうしますと、六月十六日のエコノミストの景気動向統計によりますと、機械受注状況などはかなりまだまだ高いわけですね、増加の一途をたどっておるわけであります。しかし、五月はややそういう面について若干の落ちつきが見られるというようなお話もありました。また鉱工業生産指数等でも確かに数字の上で若干、特に鉄鋼あるいは機械などに若干の落ちつきが見られるというような数字もあるわけであります。この六月は御承知のようにたいへんな額に上るボーナス時期であるというような特殊な月になります。こういうようなことで、六月のこういう鉱工業生産指数というものなんかが、そちらに金を回さなければならぬ。あるいは設備投資のほうについても、かなり大型なボーナスだというようなことになりますと、そういうものもあるいは落ちつくかもしれないわけですね。そこで今度は逆に、金が国民のふところに大量に流れ込むわけでありますから、そういうような面では物価のほうには、むしろ国民消費支出のほうは逆に強含みな状況が出てくるだろうと思うのです。  そういう中で、いまおっしゃったように成長テンポ、これを端的に反映するものは設備投資であろうと思うわけでありますが、これは若干落ちつくだろう。一方においては、国民消費の面では非常に堅調あるいは強含みという指数が六月にはおそらく出てくる。そういうことでかなり判断がむずかしくなるということで、それでは一体この政策転換の時期というものは——そういう相矛盾したいろいろな指標があらわれたりするということで、いまおっしゃったように、物価の面で六月は強くなってくるというような状況が大体想像されるのじゃないかと思うのです。そうしますと、そっちでは引き締めはまだまだという状況が出るし、あるいは設備投資のほうは持ち合いかあるいは下がる傾向を見せるかもしれぬ、そういうものの組み合わせというものは非常にむずかしくなる。  そこで大体集約的には、ここ短期的な六月というような点に例をとってそういうものを見ながら、六月にはそういう面が出てくるにしても、七月、八月というような状況推移というものを見て、まあ九月あたりには、一年くらいたったところで政策転換があり得るのじゃないかというような予想も成り立つわけでありますが、およその政策転換引き締め解除の時期——解除についても段階的な解除ということもあるだろうと思いますが、そういうことで引き締めから引き締め解除転換をするおよその時期というものは、いまの段階で、いまの指標、それからこれから二、三カ月の状況というものを展望されて、どの程度の時期になるだろうかということを、お考えがあればお聞かせをいただきたいと思うわけです。
  16. 佐々木直

    佐々木参考人 確かに、いまお話がございましたように、昨年の九月から引き締めを始めましてもう十カ月近くになりますので、いまのお話のように、一体いつになったら解除されるかというようなことについていろいろ御関心が深いのもよくわかりますが、しかし先ほども御報告申し上げましたように、卸売り物価の面できょうわかった五月の数字でやっと持ち合いという状況が出てきた、そういう程度でございまして、この落ちつきがはたして本物かどうか、いまお話しのように六月のボーナス資金による消費物資需要なんかの増加も考えますと、もう少し模様を見なければそういう全体の経済推移についての判断ができない状態でございます。したがいまして、率直に申しまして、いま私どもが立たされておりますこの時点において金融政策転換の時期を予見することは全く不可能だ。それはいまの材料では政策を変える材料としては不十分である。しばらくいまの状況を続けまして、推移がどうなるかを見きわめなければならぬ、ある意味では非常に大事な時期であるというふうに考えております。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あと堀委員質問の時間でありますので、私は一応これで終わります。
  18. 藤井勝志

    藤井委員長代理 堀昌雄君。
  19. 堀昌雄

    ○堀委員 いま広瀬委員がお尋ねをしておりましたが、私はちょっと逆に、裏側の話になってまいりますけれども、先ほどからのお話のように二つあって、一つ経済成長伸びぐあい、これが非常に重大だ。私は当委員会なり商工委員会を通じて、最近における日本高度成長は民間設備投資の行き過ぎによって非常に大きくドライブされている、ここを何とかしなければならぬということを申してきましたけれども、実はなかなかそれがうまくいかない。  ちょっと私が伺いたいのは、金融引き締めが民間設備投資に一体どういうふうに作用するかという点であります。というのは、実は現在支払いをしておりますものは昨年度の工事ベースのものの支払いをしておるわけでありますから、いま締まってくるということがはたして今年度の新たに着工する工事ベースのものにどれくらい影響があるのか、ここが私は金融引き締め一つの問題点ではないだろうかと思うわけであります。ですから、まだあといろいろ伺いますが、まず第一点として、現在そういう設備投資の支払いのあり方、通産省がいまやや下がってきておる、こう言っておりますけれども、過去の例から見て、下がったと言っても結果としてあとで見るとかなり高いというのがこれまでの実情でございますので、日本銀行としてはやはり設備投資を安定させること、それがまず第一にいまの行き過ぎた経済成長にブレーキをかけることになると思うわけでありますが、どういうふうにお考えになっておりますか、伺います。
  20. 佐々木直

    佐々木参考人 最近の設備投資はだんだん大型化しております。したがって、一つのプロジェクトが完成いたしますまでに、計画を立ててから相当な年月が必要でございます。したがって、金融政策転換ということがありましても、それによってそういう長期計画がそう簡単には変えられないという実情があることは、私どももよく存じております。したがいまして、去年の九月から実施いたしました金融引き締めが四十四年度の設備投資にすぐ影響を及ぼすということは無理であろうというふうに考えております。ただしかし、四十五年度の計画を立てられる場合には、その計画樹立当時の金融情勢を考えられて、相当慎重な計画がつくられるもの、こういうふうに考えております。したがいまして、最近いろいろ伝えられております四十五年度の工事ベースでの設備投資計画が慎重化しておることには、やはり今度の金融引き締め影響が出ておるかと思います。ただ、お話しのように、過去にすでに実行済みの設備投資の決済問題につきましては、これはそう簡単に繰り延べることもできません。おのずから限界があろうかと思いますから、そういう点がいま大企業の金繰りの非常に苦しいことの一つ理由であろうと思います。したがって、そういう辺につきましてはわれわれとしては十分考えていかなければなりませんが、しかし少なくとも金融政策が今後の設備投資に対して影響を及ぼしておるということは、いまでも認められることだ、こういうふうに考えております。
  21. 堀昌雄

    ○堀委員 いまのお話しのように、プロジェクトが大型化しておりますから、そこで問題なのは、実はさっきの広瀬委員の話と逆なのは、間もなく引き締めがゆるめられるだろうという前提があるならば、実はいまのベースを落とす必要はないわけです。結局相当なタイムラグが実は金融引き締め設備投資の中にあるわけですから、そのかなり先のタイムラグのところまでを見通して金融政策が行なわれていないと、最近の傾向としては、ここらでそろそろ転換期に来るだろうということがいろいろな指標の点からある程度ありますが、七月−九月には変わるだろう。もし変わるだろうという期待感があるならば、上半期の工事着工ベースはあるいは多少ダウンしておるかもしれませんが、その分をそれでは下半期で取り返すということにもなりかねないのではないか。私はそこに一つ金融政策の立て方の、対設備投資について、なかなか困難な問題があるのではないだろうかと実は感じておるわけであります。  そこで、そのことに関連してまいりますのは、大企業は、さっきのお話のように、どちらかといえばすでに昨年度のものの支払いに手詰まりが出てきた、その手詰まりをどこかで払わなければなりませんから、回避をしなければならぬ。その回避のしかたは、企業間信用に抜けるか、あるいは都銀の含み貸し出しに頼るか、どこかにいびつな形でそのしわが目下寄りつつあるというのが現在の状況ではないのか、実はこういうふうに感じておるわけであります。ですから当面必要な問題は、民間の設備投資の問題でありますから、その意味において必要以上に企業間信用が伸びてくることは、実は中小企業側としてはこれはたいへん困難な情勢に追い込まれることになるわけでありますし、ただ、そうかといって中小金融のほうがあまりゆるくなってくると、これは大企業が形を変えて吸い上げるという問題があって、金融政策技術上私は非常にむずかしい段階に立っておると思うのでありますが、まずいま私の申し上げた、本来の目的のところからいびつに動きつつある各種の問題、たとえば含み貸し出しあるいは企業間信用、こういうものについて、現在日本銀行ではどういう認識をしていらっしゃるのか。要するに抜けておるものですね、これについての認識をどういうふうにしておられるかをちょっと伺いたい。
  22. 佐々木直

    佐々木参考人 先ほど申し上げましたように、設備投資の決済時期に入りましたときの資金の調達が困難でありますと、それが支払い繰り延べその他、いまお話にもあったようにいろいろ横のほうへ解決を求めて出ていくという事実は確かにあります。ただいま金融機関の含み貸し出しというようなお話もございましたが、含み貸し出しというようなことは、私どもいまの調整のやり方では、過去のもののようなものはないように思います。いまは平均残高で調整しておりますから過去のものとは違うと思いますが、今月貸したやつが次の月へずれていくというような形で、ずるずる延びていくものが相当あるのだろう、そう思います。そういう点は私どももよくわかりますが、ただ、先ほどもお話がありましたように、いまはたとえば四十五年度の設備投資は工事ベースで相当内輪に考えられておりますけれども、いま現に決済を必要とするところの金繰りがうまくつけば、やはりこの次の設備投資をもう少し考えたいという気持ちがあることは事実でございます。私どもはこれを、和戦両様のかまえで企業はいるのだという表現をいたしますが、やはり企業としてはいろいろの設備を伸ばしたい考えもございますので、情勢さえ許せばという気持ちも根強くあることは事実であります。  それからまた、私どものほうでやっております三カ月ごとの短期経済観測、これは企業のいろいろなものの考え方を大企業中小企業に分けて調査しておりますが、その五月十日ごろを調査時点といたします最近まとまりました報告は、ことしの二月時点で報告をとりましたのに比べますとだいぶ強気がふえておる状態でございます。  そういう意味から申しまして、いまお話がありましたような金融面でのいろいろなゆがみがあることは事実でございますが、これをそう軽々に楽にしてしまうとまたこれが全体の基調をこわすことになりますので、そこのところの非常な無理な問題につきましては個々に手を打っていかなければならないと思いますが、全体の基調はやはりしばらくいまの状況を続けていきたい、こう考えております。
  23. 堀昌雄

    ○堀委員 実はいまの金融引き締めというものが都市銀行に最もよく効果をあらわしますけれども、その他のところには実はあまり影響がない。生保にしても信託にしてもそうだろうと思います。その他の金融機関は一般に直接日本銀行のコントロール下にあるという問題がありますから、たとえば生保のほうにしてみれば、これまではかなり証券投資にいっていた資金も、いまどんどん貸し出しに流れつつある。生保プロパーとすればこの際少しでも高い金利で運用ができればいいということかもわかりませんけれども、ところがこれは国の一つ経済政策全体の中ではやや問題のある形に、一つのしり抜けになる可能性もあるのではないか、こういうふうな感じがするわけであります。ですからそこらのところについて、やはり今後の金融政策というのはそういう金融機関指導という面も含めて、どうしても大蔵省がかなり協調的にいきませんと、日本銀行だけではなかなかむずかしい問題がある。  もう一つは、やはり財政面の協力もないとこれは少し問題があるのではないのか。いま暫定予算十八日分というのを取り返さないでずらしていくということでありますが、やはり処理のしかたとしては、弱い力を長くだらだらといくよりは、やるときにはある程度全体の形で——金融政策はいまの程度で、無理がありますから、もうちょっと補完的政策を活用しなければ、結局本来の目的でない横へゆがんだもののために必要以上の摩擦をその他の部分に残すという問題は、どうも本来の政策とは別個のことになりますので、そこらについて日銀総裁として言いにくいかもしれませんけれども、率直にひとつ、そういうその他金融機関の状態はいまのままでいいのか。財政関係はそういう意味ではもう少し繰り延べなり何らかの配慮が行なわれるべきではないのかと私は思うわけですけれども、そこらについては総裁は一体どうお考えになりますか。
  24. 佐々木直

    佐々木参考人 財政の面につきましては、四十五年度の予算において国債、それから政保債の減額も行なわれておりますし、そういう意味で財政規模全体についてもう少し内輪にしてくださればよかったという気持ちを私が持ったことは否定いたしませんけれども、しかしながらその後の運営につきましては、たとえば四月から六月の公共事業費の支出についてある程度の抑制をしておられますし、さらに全体の運営につきましては、経済実体に合った弾力的な運営を約束してくださっておりますので、これは私それに信頼すべきであろうと思います。  他の金融機関の問題につきましては、確かにおっしゃるように日銀の手の届かない部面があるのでありまして、しかもそれが徐々にふえつつあるのでございます。生命保険会社の問題なども、確かにもっと有価証券投資をやってもらいたいのではありますけれども、いろいろな事情があって貸し出しのほうにどうも重点がかかってきた。せめてもの救いは、生命保険会社の資金源は保険料という一定のところに限られておりまして、新しい信用創造のできる金融機関でございませんので、その辺は景気の全体の動きにそれほど波を起こすような性格の金ではないのではないかというふうに考えられるのでございます。しかしながら、今後の金融政策の運営にあたりまして、都市銀行にのみあまり強い力がかかるということでは全体の運営にいびつを生じますので、さらに今後いろいろな機会に新しいくふうが要るのではないか、そういうふうに考えます。  私も今度欧州やアメリカに参りましたときにその点いろいろずいぶん聞いてみましたが、これはどうもどこの国でもほとんど同じような問題をかかえておるようでありまして、アメリカでも生命保険会社がこのごろは貸し出しに相当金を出しておるような事実もあるようでございます。今後私どもとしましてはこの問題は十分検討しなければいけないと考えておるのでございます。
  25. 堀昌雄

    ○堀委員 現在の金融引き締めというのが公定歩合操作と都市銀行のポジション指導、こうなっておるわけでありますが、もっと広範囲にやれることになるならば、一つのやり方としては準備預金をもう少し大幅に積ませるとか——日本は準備預金制度というものは、制度はありますけれども中身がないというのが実情だと思いますけれども、やはり今後日本経済というのはこれまでと違って引き締めのパターンを変えていかないと、これまでは国際収支関係が主でありましたからわりに短期決戦型の景気調整ができたと思いますが、今後はやや長期持久型の政策転換せざるを得ない。そのときに、短期決戦型ならば実は幅の狭い処理で事は足りるわけでありますけれども、もう少し長期持久戦になれば幅の広い政策で押していかないと十分効果が出てこない。そのために必要以上に長期にわたることになるということは、結果としてはまた逆の効果あとに出てくるいう問題になりかねないのではないだろうか。ここらでやはり今後の新しい段階に入った日本経済情勢に対しては新しい金融政策を準備しなければならないのではないだろうか、私はいまこういうふうに感じておるわけでありますが、そういう意味で今後に考えられる新しい金融政策、それは単にいまの制度そのままでできないかもしれません。あるいは法律の整備が必要であるかもしれません。しかし、少なくともそういう幅の広い効果をもたらす金融政策ということをこの時点で新たに考えなければならないところに立っているのではないだろうか、私はこういう感じがするのでありますが、その点については総裁いかがでありましょうか。
  26. 佐々木直

    佐々木参考人 いま御指摘のありました準備預金制度、これは、いまのように金融政策の具体的な手段というものが、資金ポジション指導というような形で都市銀行に片寄っておりますので、そういうものを補完して、もっと広く金融機関の態度に影響を与える手段として準備預金制度が非常に意味があると思います。  いまさら申し上げるまでもございませんが、準備預金制度がどうも日本でなかなか導入されるのがおそくなり、しかもそれがあまり活用されないいままでの歴史の理由には、やはりオーバーローンのもとで準備預金制度をやることは両建てではないかというようなことからなかなか思い切って運用ができない。実際問題としては、日本銀行金融政策での直接的な連絡がない金融機関は、余裕金をコール市場に出しまして、そのコール市場に出た金を都市銀行が取って、経済の必要な資金として貸し出す、こういう姿になっております。したがって、結局出口でございます都市銀行のほうにある程度コントロールを加えますと、また資金ポジション指導をいたしますと、そうむやみにコールを取るのはふやさないという形で、間接的ではありますが、総体としてある程度効果をあげ得た。しかしながら、それよりもやはり直接的に準備預金制度の活用で資金量の調整を行なうことのほうが効果は早いわけでありますから、この準備預金制度の問題につきましては、今後、いまのいろいろな実情を考慮いたしまして、相当勉強しなければならない一つの制度であろうと思います。  それからもう一つ新しい政策といたしましては、これももうすでにたびたび触れられておる点でございますけれども、いわゆる公開市場操作というものが日本では非常に限られております。売りますほうは政府短期証券しか売れない、買うほうは長期債に限られておる、こういうようなことでございます。最近マネーサプライの量の調整が非常に重要視されるに至っておりますが、そのための一番有力な手段はやはり公開市場操作でございまして、私どもは今後日本におきましてもこの公開市場操作で資金量の直接的な市場を通じての調整ができますように、その環境づくりにやはり努力していかなければいけない、こういうふうに考えております。
  27. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、せっかくそこへお話がきましたから、これは私のかねての持論でありますけれども、そういうマーケットですね、私、昨年宇佐美総裁に御出席をいただいて、マーケットの弾力化問題、公社債弾力化問題を取り上げ、引き続き、ことしは十分ではないにしてもかなり弾力化ができたわけであります。この公社債市場というものをつくるために、私どもかけ声はずいぶんいろいろかけてやってきておりますけれども、どうも中身が一向に進捗しないというところに私ども実はたいへん残念な気持ちを持っておるのでありますが、私はどうも見ておりまして、ただ単に金利だけを弾力化することだけでこの問題は解決がつくのか。やはりここは少し需給関係の問題にもなるのじゃないか。そういう意味では、やや債券のオーバーイシューという問題があるのじゃないだろうか、そうしてそのオーバーイシューになったものを持っておるもののあり方に関係があるのじゃないか、こういうふうに実は感じておるわけです。  私はこの前から、大蔵大臣を含めてこういう議論をしておるのですが、まずひとつ思い切って国債を、金利がどうなるかは別としても、国債だけで一ぺん金利の自由化ができるようにやってみたらどうなるだろうか。同時に、それをやるときには、現在証取法六十五条では国債、政府保証債、地方債についても、これは法律ではワク外になっているはずですから、まずここで国債だけは銀行でひとつ売らせたらどうか。そうして国債だけ非常にフェーバーを与えるということで、これはいまのような金融機関手持ちということではなくて、できるだけ広い範囲で国民に持たせる。そういうことで国債だけが非常に広いマーケットの中に広がってくれば、それが端緒となって、私はいまのオープン・マーケット・オペレーションというものがかなり可能になってくるのじゃないだろうか。ほかの事業債なりその他のものは、これを手がけることは非常に困難でありますけれども、私は、国債というものはある一つの国の金融政策の目的を果たすためにも、あるいは国債発行との関連では、国民が持つ国債ならば一ちょうどこの間予算委員会総裁もおいでになるところで、例の日銀引き受け的国債という議論をいたしましたけれども、いみじくも経済企画庁長官はそう言うのですから、まさにいまの国債が日銀引き受け的国債であるということはもう間違いがない事実だと思うので、ひとつそれをほんとうに国民が買う、市中消化という額面どおりのものにしていくということは、私は国が考えればできないことではないだろう。そういうことを通じる以外には、どうも私どもの期待するようなマーケットというものは、いまの形でほっておいては百年河清を待つがごとしという感じがするのでありますが、いまの私の、これはまあ私案でありますけれども、そういう考え方については総裁はどうお考えになるか。あわせて、総裁としては、どういう方法がもう少し行なわれれば公社債市場が整備できるのか、この二点についてお伺いをしたい。
  28. 佐々木直

    佐々木参考人 先般、全国銀行大会の講演の際に、私はやはり証券の消化層を広げることが大事だという点について触れたのでございます。確かにいまの日本の公社債市場の発達のおくれております一つ原因に、消化層が金融機関に片寄っておる、その金融機関というものは金融政策影響を非常に受けやすい、そういう性格を持っておりますから、そういう点から市場の発達がどうしても制約されるという点が注目されるのであります。したがいまして、債券の消化先をできるだけ広げていく、特に個人が自分の財産の運用として債券投資を行なっていくという道はぜひ広げていきたいと思います。最近電力債の個人消化がだいぶ進んできております。これなんかもその端緒になればいいがというふうに見ておるのでございますが、こういう消化層の広がり、これがもし可能になってまいりますと、金融調整の場合に、金融機関を通さない、金融機関を相手にしない調整が市場を通じてできるようになる。いまのお話しの、たとえば国債からまずそういうことをやってみるということ、これは私、はたしてそれを現実にどういうふうに政府として考えられるか、まだお話をしたこともございませんが、とにかく消化層を広げるための努力というものは非常に必要であります。  第二の御質問の、公社債市場問題の解決、これをおまえはどう考えるかというお話でございますが、これはもう長年私自身非常に考えてきておりまして、なかなか実効があげられない点で、はっきりした、これならばと申し上げる案を持ち合わせませんけれども、ただいま申し上げましたような消化層の拡大、金利の弾力化、それからいま御指摘がありました発行量の調整、そういうようなことで、やはりいろいろな手をあわせて市場の育成につとめるよりほかに現実の手はないのではないかというように考えております。
  29. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっと今度は角度が変わるわけでありますけれども、国際的な問題としては、最初お話のありましたように国際通貨問題というのはやや小康を得ております。しかし私は最近のアメリカの諸情勢、特にアメリカ財政の赤字への転換という問題を含めて考えてみますと、私は今年後半にどうも再び国際的な通貨問題というのが起きてくる可能性がないとはいえない、こういう感じがしておるわけであります。いまのアメリカのそういう財政上の問題及びアメリカ経済状態をごらんになって、この下半期、今年の後半には、ややこの小康状態に波乱が起きるのではないのかという感じを私は持っておりますけれども、その点、国際通貨の問題についてはどういうふうにお考えになっておられるでしょうか。
  30. 佐々木直

    佐々木参考人 先月半ばにアメリカに参りましたときに、いまのお話の点は私は特に注意していろいろの意見を聞いてまいりました。アメリカ政府といたしましては、インフレ対策として総需要抑制という趣旨から、財政、金融両面から総需要抑制をしなければいかぬということで、最初の予算の面では黒字の考え方であったわけです。ところが一方歳出のほうは、ベトナム戦争がああいうような状況でなかなか削れない。一方歳入のほうは、法人税が会社の収益の減退から予定どおり入ってこない。歳出は削れない、歳入のほうは経済の実態から落ちてくるということで赤字になっております。ですから、四十四年度は今月で終わるわけでございますが、四十四年度も相当な赤字になりますでしょうし、それから民間のエコノミストなんかの意見を聞きますと、四十五年度の予算でも、政府は十三億ドルの赤字というようなことをいっておるけれども、それよりもう少し大きな赤字になるのじゃないか、そういうようなことを申しておりました。したがって、財政の面からインフレーションを押えていくという効果を期待することはなかなか困難ではないか、そういうような感じがいたしました。  ただ、いまのところでは、さっきも冒頭に御報告申し上げましたように、アメリカ経済景気後退が大きくなっても困る、インフレーションになっても困るという非常にむずかしい間を通っておるわけでございまして、そのどちらが今後起こるかということになりますと、いまのような財政の姿から申しますと、インフレがなかなかとまらないというほうの可能性が強いのではないかという感じがいたしました。ですから、そう経済がむやみにダウンするということはないのではないかと思いますが、インフレーションが続きますと、お話しのようにドルの国際的な地位に影響が及ぶ可能性がございます。やはり今年度もアメリカ国際収支は相当赤になるであろう。そういうことが欧州の経済に及ぼす影響につきまして、やはりBISの中央銀行総裁会議でも問題にされております。ただ、いまの状態では、イギリス、フランスがそれぞれまだ国際収支の悪かったときの借金をかかえております。したがって、もしアメリカ国際収支が悪いために欧州でもある程度ドル資金がふえまして、そいつがイギリスとかフランスの政府の手に入りましてもそれは過去の債務の返済に充てられるであろう。そうすればそれが欧州に対して非常にじゃまなといいますか、撹乱的な資金の源になる可能性はわりあい小さいのではないかというふうに当面は見ております。しかしながら基本的にこのアンバランスが解決されませんと、今後に問題の種になり得る可能性は十分あり得る、その点は注意していかなければならぬというふうに考えております。
  31. 堀昌雄

    ○堀委員 それから、BISにおいでになったときに、ちょっと新聞で見たのですけれども、所得政策の問題がかなり向こうでは議題になっておるかのように拝見をしたわけでありますけれども総裁は所得政策という問題については現在はどのように考えていらっしゃるか、これを伺いたいと思います。
  32. 佐々木直

    佐々木参考人 BISの中央銀行総裁会議と申しますのは、これは例の十カ国会議というのがございます、あの十カ国会議に参加しております国の中央銀行総裁とスイスの中央銀行総裁と十一人でやっておる会議でございまして、BISの株主の国の中央銀行総裁が全部集まるのではございません。したがって一部分の者の考え方でございますが、やはりみんなの考え方、これは中央銀行でございますから大体似ておりますが、インフレーションとの戦いではやはり総需要を調整するということが基本問題である。しかしながらその基本問題を進めていくだけではなかなか十分ではない。そのためにはいろいろそれを補足する手段が要るのではないか。特に最近は賃金の上昇が目立っておるので、その賃金の上昇を全体の経済のバランスのとれる中で調整できるような手段はないだろうかというような話し方でございまして、皆さん所得政策を、もういままでの歴史その他十分知っておりまして、所得政策というものが効果をあげることがむずかしいということは、ことにオランダなどは身にしみて経験しておるわけでございますから、やはりそこで、中央銀行総裁の間で具体的な所得政策のあり方とかいうようなところまでは入ることのできない限界がございました。私自身も、ことしの春闘のベースアップがずいぶん高くなっております、こういうことがはたしていつまで続けられるだろうかということについて問題があると思いますけれども、しかしこの問題は非常に関係する人が多く、なかなか利害関係が錯綜しておりますことでありますだけに、軽々にこの問題を取り上げてどうこうと言うことはかえって危険であると思います。したがって、問題の所在がこの辺にあるということについての認識をまず皆さんで一緒に持つというくらいのところから考えていかなければならないことではないかというふうに思っております。
  33. 堀昌雄

    ○堀委員 大蔵大臣、いま私、日銀総裁にいまの所得政策をちょっと伺ったのですが、大蔵大臣はこの所得政策の問題はどうお考えでございましょうか。
  34. 福田赳夫

    福田国務大臣 堀さんが所得政策というものをどういう意味で言っておられるか、あなたの言う所得政策はその内容がどういうものであるかによって私の考え方も違ってくるのです。堀さんがかりに、強権をもって法的に賃金の規制をしなければならない、こういう意味で所得政策と言われるならば、私はそれは反対であります。しかし、経済の運営におきまして、賃金の問題、また賃金と物価の悪循環というもの、これを頭に置く、これをどういうふうにこれから乗り切っていくか、こういう意味において所得政策、こういうふうにおっしゃられるならば、私はまさにそういうことを真剣に考えなければならぬ。これは日本国民全体がこの問題に思いをめぐらさなければならぬ、そういう時期だ、そういう認識でございます。
  35. 堀昌雄

    ○堀委員 所得政策の問題は、確かにそれは定義をきちっとしないと議論が食い違いますけれども、御承知のように、この前経済企画庁は熊谷委員会を設けて、所得・賃金・生産ですかに対する報告書というのを出しましたり、いろいろあるわけですから、抽象的概念として一つあると思うのです。もちろん私は、前段のように現在の資本主義社会において強権をもって賃金が凍結できるなどと思っておりません。認識を持っておりません。だからそのことは私は論外の問題だと思いますが、いま大臣のおっしゃったその話、抽象的なんですね。たいへん抽象的なんで、そういうのは私は所得政策とは言わないのじゃないかと思うのです。それは賃金、生産物価という形でこれがバランスをとれる形でいったら望ましいということについては、だれも反対がないと思います。労働者だって物価が上がらないということがまず前提なんじゃないかと思っているし、この前銀行大会で、総理大臣はじめ御出席の皆さんあげて物価問題のオンパレードだったわけです。私は伺っていて、きょうはどこの会合に来たのかなと、ややちょっと自分の耳を疑うほどの場所でございました。銀行協会の会長が、物価を安定させてください、そうでないと貯蓄がうまくいきませんという話、これは私はわかるのです。銀行協会のほうから言うのはわかるのですが、総理大臣を筆頭に皆さんがあげて物価の安定こそまさに最も大事なことだとおっしゃっているのですが、口で言うよりやらなければならぬ人のほうが、あそこに並んでいるのが多かったのじゃないかという感じが私は強くしたのです。  ですから、そういう意味でいまおっしゃったような抽象論議では、それは所得政策とは思わない。要するに、所得政策というのは、何らかの方法、手段によって所得の上がることを押えるのを、そこをてこにして物価やその他を回していこうというのが私は所得政策というものだ、簡単なことばで言いますとそういうものだと考えているわけです。さっきおっしゃったように全部をにらむのならば、これは所得政策でも何でもない、あたりまえの経済政策です。ですから、私が申し上げるのは、やり方は強権でやるなどということはできませんけれども、いろいろの方法、手段を考えて、その方法、手段を使いながらまず所得のところでブレーキをかけておいて、そしてその次にはね返るものを全部押えていこうという方法、ここに問題があるのじゃないかと思うのですが、そういう意味での所得政策については大臣はどうでしょうか。
  36. 福田赳夫

    福田国務大臣 物価の問題を所得を押えるというだけで解決するということは私はできないと思うのです。所得は伸ばす。伸ばすが、物価に非常な打撃を与えるという状態において伸ばすことはこれは適当ではない。その辺の物価、賃金の適正な均衡、それをどういうふうにさがしていくかということ、それをどういうふうに考案していくか、くふうしていくか、開発していくか、これが所得政策というならば、私はまさにこの問題ほど必要な問題はただいま他にはないくらいに考えております。
  37. 堀昌雄

    ○堀委員 時間がありませんから、所得政策をやっていたらあと一時間もかかっちまいますから、とりあえず以上で、これはまたの機会に大臣とやらせていただくことにしまして、日銀総裁がおいでになる中で、ちょっと金融機関に関する問題を少しここで取り上げて、日本銀行としてもひとつ御参考にしていただいて、今後の金融機関の指導に当たっていただきたいと思いますので、そのように御了解いただきたいと思います。  まず最初に、架空名義預金という問題を私はここ両三年——四年になりますか、ずっと取り上げてまいりました。御承知のように、架空名義預金というのは、私どもの感触では、これが脱税の一つの方法のあとの蓄積部分になるという点でもたいへん適切でないと考えておりまして、それについては全国銀行協会でも自粛の申し合わせをしていただいておりますし、銀行局としてもそれについての指導を行なっておられますが、最近の実情について国税庁長官から、査察事犯における架空名義預金の調査結果についてちょっと御報告をいただきたいと思います。
  38. 吉國一郎

    ○吉國説明員 例年御質問にお答えをしているようでございますが、四十四年度において告発をいたしましたものが九十七件でございます。その預金の状況を見てまいりますと、公表預金がパーセンテージにいたしまして二〇・六%、別口預金が七九・四%という結果になっております。この別口預金の中で架空名義のものが六二%、無記名預金が三四・七%、別口ではございますけれども実名というものが若干ございまして、これが三・三%というような状況になっておりまして、この点から申しますと、昨年度お答えを申し上げましたときよりも無記名預金が若干ウエートが減り、架空名義預金がふえたというような結果になっております。ただ、御承知のとおり、査察事犯と申しますのはいわば最も悪質なと申しますか、極端な脱税事件でございますし、ことに告発を受けるようなものはむろん最もはなはだしいものでございますので、これで一般の預金者の趨勢を見るということは無理かと存じますけれども、統計といたしましてはこれほど詳しくとっておりますのは査察事件以外ございませんので、この数字を申し上げるわけでございます。
  39. 堀昌雄

    ○堀委員 いまお答えになった架空名義預金の大体の金額は幾らになっておりますか。
  40. 吉國一郎

    ○吉國説明員 ただいまパーセンテージで申し上げましたが、預金合計が百三十一億二千三百万円、そのうち別口預金が百四億二千五百万円、公表預金が二十六億九千八百万円ということになっております。そのうちで、別口預金の百四億のうち架空名義のものが六十四億七千万円、無記名のものが三十六億一千三百万円、実名のものが三億四千二百万円という結果になっております。
  41. 堀昌雄

    ○堀委員 口数ではどうでしょうか。
  42. 吉國一郎

    ○吉國説明員 口数では、実名のものが五百八口、無記名のものが二千九百十八口、架空名義によるものが六千七百八口、合計一万百三十四口、こういうことになっております。
  43. 堀昌雄

    ○堀委員 大臣、いまお聞きになりましたように、実は架空名義預金の問題を取り上げましてこれをはっきり確認できるのは、いまの査察によるもの以外にはデータがありませんから、これを指標にして見ておるわけでありますけれども、百四億の別口の中で六十億という金額が実は架空名義になっておる。そうして、いま口数で六千七百八口ということは、一口平均約百万円の架空名義預金になっておるということになると思うのです。私はこの架空名義預金というものがどういう形で入っているのかわかりませんが、おそらくこれはそう出したり入れたりすることは問題が生じるおそれがありますから、かなり安定的に預けているんではないか、定期預金のようなものではないのかというふうに感じるわけであります。おそらく、ここで発覚いたしましたものもその前からのかなり定期的な預金であったであろうが、書きかえは行なわれているはずだと思うわけであります。そうなりますと、実はいま金融機関は、一口当たり百万円もの預金をしているお客さんばほってはおかないわけです。必ず手紙を出すか、銀行員が行ってまたひとつ預金をお願いいたしますということはやっておるはずですから、架空名義を銀行側が、もし一ぺん書きかえがあった後に知らないということはないと私は思うのですね。これは必ず知っておるけれども、自分のほうですすめたわけではないから知らない顔をしておこうということになっておるんではないだろうか。実は架空名義預金というものを当委員会で取り上げて、すでに銀行局の通達その他が出て、もうここに入っておりますものは、その前のものもあるかもわかりませんけれども、かなりその後のものも出てきておる、こういうふうな感じがするわけであります。ですから、これらについては、私はかねてから申してまいりましたけれども、もう少し金融機関はそれについてきびしい態度をみずからとるべきではないだろうか、こういうふうに感じますが、大蔵大臣、いかがでございましょうか。
  44. 福田赳夫

    福田国務大臣 御説はまことに同感であります。私もこの間、ただいま堀さん御指摘の銀行大会におきまして、金融機関の銀行の公共性ということを特に強調したわけでございます。これは架空預金の問題ばかりじゃないのですが、これもまた一つなんであります。そこで、こういう状態がありますことははなはだ遺憾でありますので、これはこの上とも銀行協会あるいは相互銀行協会、各協会にお願いいたしまして、その公共性ということに立脚いたしまして、ひとつ協力をさらにさらに要請してみたい、そういう考えであります。
  45. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、あわせて国税庁長官にお願いいたしたいのは、これもすでに発表していただいておるわけでありますけれども、別口預金の金融機関別預け入れ店舗数の調べというのを毎年報告していただいておるわけであります。ひとつ金融機関別に、昭和四十四年度と四十三年度はどういうことになっておるかを、簡単にここで御報告をいただきたいと思います。
  46. 吉國一郎

    ○吉國説明員 ただいま申し上げました別口預金の店舗数でございますけれども、四十四年度におきましては、都市銀行が二百二十四店舗、地方銀行が百四十五店舗、相互銀行が百十一店舗、信用金庫が七十七店舗、その他が百二十三店舗、合わせて六百八十店舗ということになっております。  四十三年は先年申し上げたと思うのでございますが、合計で六百二十一店舗でございますが、都市銀行は二百四十四、その意味では都市銀行が若干減っております。それから地方銀行が百二十九、相互銀行が九十八、信用金庫が五十一、その他のものが九十九という結果になっております。
  47. 堀昌雄

    ○堀委員 実はこの店舗について、私どもは店舗数だけしかわかりませんが、ひとつ銀行局長にお願いをしたいことは、こうやって毎年やっておるから六百に余る店舗についてこういうことが行なわれておりますが、その店舗がどの銀行、どの相互銀行、信用金庫であるのか、私どもはこれは承知する必要はありません。皆さんのほうで、それが昨年あったからこの問題については銀行局としてもすでに注意をしていただいておると思うのですね。注意がされておって、なおかつ次の年の査察で出て、また同じところがやっているのなら、これは私は非常に重大な問題だと思うのであります。ですから、この前も申し上げたと思うのでありますが、もし来年も引き続きそういうような店舗があった場合には、私はそういう店舗は、特にまたその店舗数の多いもの等は、この銀行は架空名義預金については行政上の指導に服していないということを何らかのかっこうで公開をしたらどうだろうか。そうすれば一罰百戒で、これが公開されれば、私はこれからはそういうことについては大きな反省が行なわれるだろうと思う。まあ幾らやられても別に痛くもかゆくもない。要するに、その程度のことなら預金をとるほうが先で、架空名義もへったくれもあるものかということでこの問題が横行しておるのでは、私はこれはちょっと問題があろうかと考えますので、その点はひとつ行政的な処置を含めて少しきちんとした処理をしていただいて、これがやがて六百が四百になり、三百になり、百になるという形があらわれてきてしかるべきではないのか、こう考えます。私が議員である限り、この問題については毎年この時期にこれを取り上げて、まず架空名義預金が日本金融機関からなくなるまでは徹底して毎年やるつもりです。そのたびに問題があれば、まだいまはおまかせをしておりますが、この次に何回か先では私は当委員会で公表を迫りたいと思うのです。われわれは国民を代表してやっている以上、それほど無責任な発言をここでしておるわけではありません。その事の性格上皆さんにおまかせをしておるわけでありますから、おまかせをした以上はそれにこたえる処置をしていただかなければならぬと思うのでありますが、銀行局長いかがでございましょう。
  48. 近藤道生

    ○近藤説明員 ただいま御指摘のようなこと、まことに遺憾なことでございまして、ただいまお示しのありましたような方向で懸命の努力をいたしたいと存じております。
  49. 堀昌雄

    ○堀委員 ひとつ大蔵大臣におかれましても、いま銀行局長が申しておりました方向について十分お考えをいただきたいと思います。
  50. 福田赳夫

    福田国務大臣 いま具体的な提案として、公表だ、こういうお話がありますが、これは利害得失考えますと、なかなか簡単に結論を出すわけにはいかぬだろうと思います。しかし、架空名義預金はなくす、これはもう当然のことであります。何らか方法を尽くしまして、ひとつその趣旨が貫徹されるような努力をしてみたい、かように考えます。
  51. 藤井勝志

    藤井委員長代理 田村元君。
  52. 田村元

    ○田村(元)委員 実は、私は若干の金融問題、所得政策等について御質問申し上げようと思っておったのでありますが、堀君や広瀬君から、なかんずく堀君から非常に克明な御質問がありました。私が聞きたいと思っておったことに対する御答弁がすでにあったようであります。でありますから、補足的にきわめて簡単に一、二問、御質問を申し上げてみたいと思います。  まず第一、いま貯金の問題についての御質問がありましたが、私は物価の安定の意味においても、また景気の正常化の意味においても、やはり貯蓄を奨励しなければならないと思うのでありますが、貯金というものに対して相当きびしい条件がだんだんつけられてきておりますけれども、むしろ恩典というものをもっと与えて、利息をどれだけとっておる者には申告の義務があるとかいろんなことでなしに、恩典を与えて貯蓄を奨励したほうがいいんじゃないかという感じがいたしますけれども銀行局長、これはどう思いますか。
  53. 近藤道生

    ○近藤説明員 ただいまの税と貯蓄増強との関係の問題でございますが、これは御承知のようになかなかむずかしい問題でございまして、一方において税制全体としての公平、それから片方において貯蓄増強という非常に強い要請がございます。そこでその両者をかね合わせまして考えられた結論が、つい先日来今後五カ年間の方向として定められたわけでございまして、当面はその方向に沿っていくということであろうかと存じます。
  54. 田村元

    ○田村(元)委員 実はこれはいま思いつきで御質問申し上げたわけでありますので、この程度にいたします。  そこで本論に入ります。景気過熱に対する予防措置としての金融引き締めが行なわれました。これは当然やらなければならなかったことだと思います。しかしながら、今度の金融引き締めには、従来もそうでありますが、大きな失敗が一つあったと思います。それは先ほど堀君が言いましたように、日銀ポジションでやったということ、そこにやはり大きなざるのような形があったように思うのです。穴のあいた空気まくらに一生懸命に空気を吹き込んでおるような感じがいたします。しかしながら、その効果は相当深刻に出てまいりました。確かに物価の騰勢は衰えてきたし、設備投資に対するコントロールはできてきました。けれども、ただ私が非常に憂えますことは、その期間があまりにも長くなってきたということであります。そうして今日企業企業間の信用によって、一社が倒産することが連鎖反応を起こす危険性も多分に持っております。いま世界的にそうでありましょうが、とりわけ日本の社会は非常に陰うつな感じの社会になってきておる。そういうときに、私は角をためて牛を殺すの結果に終わってはたいへんだと思いますが、先ほど広瀬君や堀君の御質問に対して、総裁は、聞きようによっては非常に柔軟な弾力性のある答弁をされたようには思いますけれども、ただ従来の金融引き締め解除一つの目安であるという国際収支というものは、これはいま問題にすることはないのでありますから、そういう点で先ほど、その目安といってもずいぶんたくさんあってそう簡単にはあげつらうわけにはいかぬということでありましたけれども、私はやはりこういう問題は大きな一つの柱になるのじゃないか、目安になるのじゃないかと思うのでありますけれども総裁、その点いかがでございましょうか。
  55. 佐々木直

    佐々木参考人 先ほども申し上げましたように、確かに引き締めを始めましてから約十カ月近くなっております。したがいまして、皆さんの間で、金詰まりがひどくなるにつれてその解除の時期をなるべく早くという御意見が出るのはごもっともだと思います。ただ私どもといたしましては、せっかくここまでやってまいりまして、方向としてはある程度望ましい方向の気配がうかがわれ始めたときに、あまりにまた早急な結論を出していままでの努力をくずしてしまうということがあっては、いままでの苦労というものを全くゼロにしてしまうことになりますので、そういう意味では、やはり十分われわれのねらいが定着するのを見て態度の決定をすべきものだ、こういうふうに考えておるのであります。
  56. 田村元

    ○田村(元)委員 それはお気持ちはよくわかります。そのとおりだと思うのでありますけれども、しかし一律の金融引き締めというものがはたして生きるだろうか。やはり金融引き締めは、引き締め効果というものと同時に生産性向上を阻害してはならないと思うのです。物価の安定というものは所得政策生産性向上というものが両々相まってこそ、私は効果があがってくるものだと思います。  さようなときに、私はちょっとお尋ねしたいことは、たとえば企業の合理化をはかる、いわゆる生産性向上につながる資金、あるいは産業部門といいますか業種別については、ケース・バイ・ケースで相当弾力的にお扱いになるべきではないかと思うのでありますけれども、今日の姿は、大蔵省サイドからはことばとしてはそういう弾力性も流れますが、やはり一律的な市中銀行による金融引き締めという印象をぬぐい切ることはできないと思います。そういう点、いかがでございましょうか。
  57. 佐々木直

    佐々木参考人 先ほど申し上げましたように、国全体としての資金供給量、いわゆるマネーサプライの増加額というものは、金額としては相当大きいのであります。前年に比較いたしまして二〇%増という数字が出ております。したがいまして、量的に相当なものが供給されてはおりますが、いま御指摘のありましたように、それではほんとうに大事なところに金がいっているのかという点、これがやはり問題であろうかと思います。ただ、いまのような情勢、経済環境あるいは経済政策、政治のあり方とかいうものから見ますと、どこかへ金を出すのを出してはいけないというふうに、金融機関に一々個別的なコントロールをすることはまたこれは非常にむずかしい環境でございます。したがって、大事なところに金が出るような方策を講じなければならぬ。その例といたしましては、たとえば電力に関連いたしましては共同証券でその債券を買うとか、あるいは電力債の個人消化について別ワクを認めるとか、そういうことで資金調達をはかる。そういう意味で、こまかい調整は実際問題としてはなかなかむずかしゅうございますが、大きな筋はいろいろ考えてやっておるつもりでございますし、それからまた、さっきもお話がございましたように、角をためて牛を殺してはならないという点、その点は私どもも重々感じておりますので、金融引き締め基調の範囲内で、個々の問題についてはできるだけ親切に取引銀行としても考えてもらい、また取引銀行日本銀行と一緒になって問題の解決をはかるように、この点は十分銀行にもお願いしておりますし、私のほうの銀行の中にも徹底させておるつもりでございます。
  58. 田村元

    ○田村(元)委員 いずれにいたしましても、金融引き締めの問題はそういう点で慎重かつ弾力的にお扱いを願いたいと思う。  実は私は与党でありますから、きょう質問申し上げる気持ちは毛頭なかったのでありますが、先般、たまたま所用で大蔵大臣にお目にかかったときに、所得政策について大臣の怪気炎を実は拝聴いたしたのであります。そうしてそれを承ってしばらくいたしますと、何新聞だったかで、日銀総裁がそれに非常に興味を持っておられるということも、ちょっと拝見をいたしたものですから、所得政策について若干の御質問を申し上げようと実は考えておりました。堀君から御質問があったのですが、社会党というお立場上、あまり突っ込んで結論を出さしても困るという御配慮もあったかもしれないけれども、いずれにしても、私はきょうはこれ以上お尋ねをいたしませんけれども、問題は、いわゆる生産性の向上、それに所得政策と.いうものがしっかりからまって、そうしてその他の物価政策とともに総合政策がなされなければならぬのです。ところがいまの政府を見ておりますと、与党から言うのもおかしゅうございますけれども物価物価とおっしゃるけれども、困るという政府の御意見は伺うことができますけれども、お面と一本きめつける物価政策というものがどうも出ていないような感じがいたすのであります。そうして大蔵大臣、最近世相がだんだん、だんだん陰惨といいますか、暗くなってきましてね。この間もある会合で、それはしようがない、大蔵大臣の顔が大体不景気だからと私は言っておいたのでありますが、いずれにしてもそういう点、ひとつ物価問題を中心にして強力な政策をお出しになるためのイニシアチブを大臣がおとりになって、精力的にいろいろな方に会われたらどうでしょうか。せっかく総裁もそういうふうに所得政策について興味を持っておられるということをぼくは仄聞したわけですが、大臣、その総裁の門をたたいて、おれもそう思うが、君どうだということで、もっと、言うばかり——われわれ関西のほうでは言うばかりということをうどん屋のかまというのですが、ふたをあけると湯ばかりというのですが、もう少し行動をアクチブにおやりになったらいかがかと思うのですよ。  大いに大臣を叱咤激励申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
  59. 平林剛

    ○平林委員 ちょっとぼくも一言だけ……。
  60. 藤井勝志

    藤井委員長代理 簡単に願います。
  61. 平林剛

    ○平林委員 日銀総裁とそれから大蔵大臣にちょっとお尋ねいたします。  いま堀委員質問をしております金融引き締めの問題ですね、これは私は、昨年の九月これを始めたときは、始めた動機、それから目的その他については適切な措置だと考えておったわけです。これが中途にして目的を得ずして緩和ということは、これは慎重に検討しなければならぬ問題だと考えておるわけです。しかし、ただ問題がありそうだと思いますことは中小企業の問題であります。もちろん、中小企業の倒産その他につきましては、その経営者の不手ぎわだとか誤りだとかいうもので、好況、不況にかかわらず倒産というものはあり得ることですから、これはあまり問題にする必要はないと私は思う。今回の引き締め措置影響と見られるような中小企業の倒産がふえたときは、やはりそれ相応の対応策をとられないと、そのために全般の目的がくずれるということがあり得る。そこでいつも政府がおやりになるのは、十二月になってから何とかと騒ぐけれども、私はもう少し早目にこの措置をとる必要があるのではないかという感じが実はいたしておるわけであります。日銀総裁並びに大蔵大臣のこの問題についての御見解を承っておきたいと思うのであります。そして、もし必要があれば適時その措置をとるべしということが私の見解でございますけれども、それについても御意見を承りたい。以上、一問だけ。
  62. 福田赳夫

    福田国務大臣 金融引き締め政策ですから、これが大であろうが中であろうが、これは各方面に及ばなければならぬわけです。ただ、いま御心配のように、中小企業は弱い立場にある。ですから、これは弱い立場にあるということで特別の配慮をする必要がある、そういうふうに思うのです。いま、引き締め体制がとられましてからの中小企業状態はどうだということを見ますと、多少倒産の数字なんかがふえております。これは多少です。前回の引き締め時に比べますとたいへんまだ穏やかな状態推移しておる。それから取引条件なんかにつきましても、多少の変化はありますけれども、大筋でまだ変化を来たしておるというふうな報告は受けておりません。しかし長期にわたる引き締めだということになると、いろいろ問題が出てくるだろうと思います。それに備えましては、この間大蔵省でも財務局長会議を招集し、ほんとうにまじめな中小企業が、力が弱いがゆえにこの政策の犠牲になるというようなことがあってはならない、そういうようなことで、よく情勢の推移を見守ってまいりたい。また、個々のケースにつきましても、何か問題がありますれば、地方の通産局、大蔵省の出先の財務局、また日銀、三者が寄り合っては対策を協議するということを推進してもらいたい、こういうことを申し上げておるのであります。できる限り中小企業に対しましてはきめのこまかい配慮をしていきたい、かように考えております。
  63. 佐々木直

    佐々木参考人 ただいま大蔵大臣からお話しのとおりでございまして、私ども引き締め政策によりまして犠牲が出るということはできるだけ避けたい気持ちでございます。幸いにして最近は中小企業金融機関の資金の集まり方がわりあいによろしいものでございますから、わりあいに中小企業金融の面では注意深い手が打たれておるように思います。私昨日福岡に参りましたけれども、九州地区でもやはり地元の金融機関は地元の中小企業については非常に注意を払っておる。相当親切な相談にも乗っております。できるだけ全部力を合わせて犠牲を少なくしたい、そういうふうに考えております。
  64. 藤井勝志

    藤井委員長代理 これにて、佐々木参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人には御多用中のところ、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。どうぞ、お引き取りをいただきたいと思います。御苦労さんでした。     —————————————
  65. 藤井勝志

    藤井委員長代理 堀昌雄君。
  66. 堀昌雄

    ○堀委員 引き続き、金融機関の問題について、もう一点ひとつ論議をいたしておきたいと思います。  実は私ども新聞紙上で拝見をいたしておりますと、最近引き続き幾つかの金融機関で行員の不正事件と申しますか、横領事件が次々と実は報道されておるわけであります。これを見ながら、私はこういう問題があるのではないかという感じがいたすわけであります。大体一般的に金融機関は、行員がそういう不正な事件を起こしましたときには、その不正事件が外に出ることはその銀行の信用を害するおそれがあるという判断に立って、少額の場合はできるだけ行内だけで処理を済ませ、その問題を起こしました行員の家族、保証人その他からその被害額を弁済をさせることによって、示談といいますか、そういう形の処理をしておるものが相当多数にあるのではないか。それがある金額に達し、あるいは外部で何らかの問題があったときに初めてこれが新聞の報道等になり、警察、検察の手に渡るということになっているのではないかという感じがいたしておるわけであります。しかし私はこの問題をちょっと一連ながめてみまして、金融機関の中で事故が起こる問題は、実はそのところにもあるのではないかという感じがいたしておるわけであります。そのことは何かといえば、もし多額の金額にならなければ、金さえ返せば犯罪にはならない、銀行は体面を重んじて表ざたにはしないということが行員の中にもし浸透をいたしておるとするならば、適切でない行員がそういうことを起こす一つの条件ということになるのではないだろうか、こういう感じがいたすわけであります。  そこで私は、今回そういう一連の経過を見ながら、一体金融機関の中というのは日本の刑法は及ばないのかどうか、ここは治外法権かどうかというような感じが実はちょっとしておるわけであります。犯罪というのは、親告罪でございますならば親告がなければ犯罪にはなりません。しかし親告罪以外は、犯罪が行なわれておれば少なくとも国内においては国内法である刑法の対象になるのは当然でありますから、金融機関内部においても、その金融機関の金を不正に取得をした者は当然これは横領罪として刑法上の対象になるというのが当然のことだろう、こう思うのでありますが、大臣、その点はどうお考えでございましょうか。
  67. 福田赳夫

    福田国務大臣 金融機関の店舗の内部は治外法権地域じゃございません。これはもう普通の他の場所といささかも変わるところはない、かように考えます。
  68. 堀昌雄

    ○堀委員 そこで、その点がはっきりしましたのでちょっと、きょうは法務省と警察庁にも入っていただいておるわけですが、その被害が届けられなければ、これはある一つの閉鎖的な場所でそういう事故が起きても、警察、検察としてはこれを承知する方法、手段はないわけですね。実は、先ほど大臣が銀行大会でも申された金融機関の公共性ということをもし正しく理解をするならば、金融機関内にそういう犯罪が起きたときに、その犯罪に対して被害届けを出すというのは、これまた国民として当然のことではなかろうか。ましてやそういう公共性を求められておる金融機関ならば当然のことではないだろうか、私はこういう感じがしておるわけであります。  そこで、これはちょっとむずかしい問題になりますが、現在、たしか刑法では隠避の罪というのですか、要するに隠すということが犯罪になるという条項があると思うのです。私はいまのことが必ずしもそれとストレートに結びつくかどうかは、専門家でありませんからよくわかりませんが、要するに金融機関で事故が起きた、支店長は当然それを承知した、承知したけれどもまず内々で済まそうということで処理をした。しかしそのことが後になって実は何らかの犯罪によってわかってきたというような場合には、これはやはり私は、そのものずばりではないけれどもそういうことに何か関連があるような感じがしてしかたがないのでありますが、それを直ちにそれで訴追をするという問題と離れて、これらの問題についてひとつ警察庁、法務省から、こういういまの金融機関における事故の問題、事故を承知しておって黙ってそれをもみ消してしまうというか、そういう問題といまの刑法上の関係についてひとつお答えをいただきたいと思います。警察庁のほうから先にお伺いしましょうか。
  69. 長谷川俊之

    ○長谷川説明員 お答え申し上げます。  金融機関の内部に起きました横領等の事件につきまして、御指摘のとおりに警察のほうに被害の申告のないこともございます。もちろん警察といたしましては、先ほど大蔵大臣からもお話しがありましたとおり、金融機関の内部におきましても犯罪があれば捜査をしなければならないし、そういうつもりでやっておるわけでございますが、実際問題といたしまして被害届けがない場合におきましてはなかなかこれが捜査が困難であるという実情にあるわけでございます。しかし、御指摘のとおり、そういう公共性の強い機関におきまする犯罪につきましては、より一そう厳正にやらなければならないと考えておりますところでございまして、今後におきましても、そういうことがありました場合には極力説得をいたしまして、届け出等を早急に出していただく、こういうことで適正に処理してまいりたいと思っております。また、単に届け出をしなかったということだけで直ちに犯人隠避罪になるというのはちょっと無理かと思うのでございますけれども、たとえば逃走資金等を与えて逃走させるというようなことがありますれば、これは私はやはりそういう疑いがあろうか、こういうふうに思うわけでございます。
  70. 前田宏

    ○前田説明員 お尋ねの点につきましては、ただいま警察のほうからお答えがありましたとおりでございまして、つけ加える点もないわけでございますけれども、先生おっしゃいましたような銀行の公共性という点もございますし、横領事件がありました場合には当然それに対して刑事責任が追及されなければならないと思いますし、また場合によりましては、御指摘の犯人隠避罪あるいは証拠隠滅罪ということも考えなければならないというふうに考えておる次第であります。
  71. 堀昌雄

    ○堀委員 ひとつ大臣、私は何も金融機関の中に犯罪者をつくろうというのじゃないんです。ただしかし、もし横領事件があれば、たとえそれが十万円、五十万円、百万円であっても、これは直ちに被害届けを出す、そうして厳正にそういうものは刑法上処置をするということが、金融機関のあらゆる従業員全体が、やればこうなるということがはっきりしたならば、実はこの問題はかなり減ってくるのじゃないか。ですから、私は何も罪人をつくることが目的ではなくて、そういうことを周知徹底し、規律を正して、要するに被害があったら必ず届けるということ、被害届けを出すということをひとつ大蔵省として強力に指導をしていただく。そのことが私は金融機関の事故を防ぐ一つの方法、手段としては最も適切ではないか、こういう感じがしておるわけでありまして、当然のことでありますから、さっき大臣がおっしゃったようなとおりでありますので、その点ひとつきちんとした処理をするよう、全金融機関にそういう方向でおろしていただいて、こういう事故が出ないようなためにお考えを願いたいと思うのですが……。ちょっと先に銀行局長答えていただいてから大臣にひとつお答えをいただきたいと思います。
  72. 近藤道生

    ○近藤説明員 先ほど来仰せのとおりでございまして、金融機関が社会的信用ということを顧慮するのあまり、当然通知をすべきことを通知しないということがございますと、かえってこれが内部からその社会的信用全体を崩壊させるということにもなりかねませんので、その点を十分考えまして、今後そういう場合には直ちに必要な通知をするという方向で指導をいたしたいと考えております。
  73. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま銀行局長からお答え申し上げましたとおりの方向で善処いたします。
  74. 堀昌雄

    ○堀委員 法務省、警察庁けっこうでございます、どうぞ。  次は、大臣、実はこの間からだいぶにぎやかになっておる問題の一つでありますが、国際投資銀行の問題でございます。実はこれはもう大臣も経過をよく御承知でございましょうけれども、すでに欧州に欧州東銀というものができておりまして、これに対して興業銀行その他が参加をして増資が行なわれるという問題が一つあるようでございますし、引き続き第二、第三のグループが申請をされておって、これもやがては認可になると思うわけであります。  ここで私はただ一つ申し上げておきたいのは、証取法六十五条の関係の問題でありますけれども、実は日本金融機関、証券会社、いずれも残念ながら国内においては過当競争にうき身をやつしているという私は判断をしているわけであります。競争というのは、適正な競争であるならばこれは大いに奨励をしなければならぬ問題でありますので、どちらかというと私は、過当競争を押えて適正な競争をさせるという原則に立ってこれまで当委員会発言をしてまいったわけでありまして、今日適正な競争のためには統一経理基準なりあるいは配当の自由化なり、いろいろな処置が講ぜられておりますが、まだ残念ながら過当競争が金融機関の場合には預金競争ということで行なわれ、その弊害がいま申し上げたような架空名義預金というようなものにはね返ったりしておるわけでありますが、私はせめてこの問題を国内にとどめておきたいと思っておるわけであります。もし国外に出てまで、証券会社の海外における支店と新しい投資銀行がいまの国内でやっているような過当競争をやることは、それでなくてもエコノミックアニマルなどといわれる評価を受けている今日、そういう問題は厳に考えていかなければならぬ問題だろう、こう思います。一般原則としては、少なくとも大蔵省がその支店の設置を認めた証券会社と新たな欧州に設けられる投資銀行が同じ次元に立って、ある意味での安売り競争を過当競争の形で欧州市場で行なうことは適切でないという判断なんでありますが、原則的な点で、大臣、どうお考えになるかをお答えいただきたいと思います。
  75. 福田赳夫

    福田国務大臣 この問題は、いま投資銀行二つばかり新しく認可しよう、こういう方針を固めておるに関連いたしまして、海外における投資銀行の活動分野をどうするかということについて、いまどういうふうにしようかということを検討しておる最中なんです。そこで、証券会社と金融機関、この間に実は意見の食い違いがある。それを受けまして、わが大蔵省におきましても、銀行局と証券局との間でまだ意見の一致を見ておらないのです。けさでありましたか、きのうでありましたか、次官に、これは両局の調整をはかるべし、こういう指示をしたばかりでございます。御趣旨の点はごもっともなんで、何とか円滑な調整の道を講じたい、かように考えておる最中でございます。
  76. 堀昌雄

    ○堀委員 私の考えを申し上げますと、欧州でそういう銀行ができますことは、国内法としてはこれは銀行法も証券取引法も関係がございません、欧州ですから。法律的に多少効果があるのは、要するに外為の為替管理の問題だけが法律的にはここに介入する余地がありますけれども、ほかのものは介入できないことでありますから、私はこのこと自体は、法律的にはどうしていいとかいけないとかいう問題にはなりにくい性格を持っておると思うのであります。しかし、それにしても、それに参加をするものは国内の免許を得ておる金融機関でありますから、さっきの公共性の点からいえば、おのずから、大蔵省で正しい指導方針が示されるならばその指導方針を順守するということは、これまた法律的な問題はなくても当然であろうと私は思うのであります。  そこで、私はこう考えておるわけであります。外国にできたものでありますから、外国の企業との間の競争ということは当然にあるわけでございまして、外国の企業との競争という関係では、私は、証券会社もいまの新しい投資銀行も、外国の法人との関係においては共通のベースで競争をすることは当然だろうと思うのであります。それがたとえ日本から出資をした外国の法人、子会社であっても、純粋の外国の法人になっておるものは、向こうのエリアの中での競争ですからいいと思うのですが、問題は、国内企業が外国で発行する社債なりあるいは株式なりの問題についてはちょっと問題があろう、私はこう考えるわけであります。  その例をちょっとかりに申し上げますと、Aという日本国内の会社が欧州で転換社債なら転換社債を投資銀行を通じて出すとかりにいたしますならば、その話は、そのAという産業会社は本社は日本にあるわけですから、欧州の出先で、だれかが行ってその投資銀行と話をするということになるのか。あるいは、Aという産業会社は国内にある投資会社の本家の金融機関と話をすることになるのか。結果としてどっちになるかは実はわからないわけです。そうすると、事実的には国内で証取法六十五条に違反することが行なわれていて、結果だけが欧州で出てくるということになるとすると、これは国内秩序上ちょっと問題があろうか、こういう感じがしておるわけであります。  そこで私が申し上げておきたいことは、いまの投資銀行の設置の問題についてはそれでいいのでありますが、少なくとも国内に本社があり、国内法人であるものは、海外における社債、株式等の発行その他の業務については証券会社の支店をもって当てる。そうしてこの投資銀行においてはこの点はやらせない。しかし、海外における法人企業は、それが日本の会社の子会社であろうとも、向こうにおける外国の法人ならばそれは投資銀行も証券会社も対等にやっていいではないか、こういうのが実は私のいまの提案なんです。そういう交通整理ができておれば、当面この問題についての混乱は防げるのではないか、こういう感じがいたしますが、いま大臣御検討中ですから直ちに御返事がいただけないかもしれませんが、一応ちょっと何らかのお答えをいただきたいと思います。
  77. 福田赳夫

    福田国務大臣 第一段階としては、金融機関側と証券会社側と、この両者で話し合いをしてもらいたいと思っています。それがいよいよ話し合いができないということになりますれば、大蔵省としてガイドラインというか指導方針もつくらなければならぬ、こういうふうに考えていますが、いま話し合いを業界同士でしていただいておる最中でございますので、いましばらく推移を見るということで御了承願いたいと思います。
  78. 堀昌雄

    ○堀委員 これはまだ先のことですが、私のいま申し上げた考え方、これについては大臣はどうお考えになりますか。やる、やらぬの話じゃないですよ、私の考えについては大臣はどうお考えになりますか。
  79. 福田赳夫

    福田国務大臣 私がいまこの段階で私の考え方はこうなんだということを申し上げることは適当でないのです。そこで堀さんの考え方について私が意見を申し述べると、私の考え方を申し述べたということになりますのでちょっとぐあいが悪いのですが、まあもう少し両者同士で話し合ってもらって、それから裁断をしたい、かような考えでございます。
  80. 堀昌雄

    ○堀委員 最後に、これはちょっと金融の問題ではございませんが、この間新聞を拝見しておりますと、ことしの米価の問題について、何かまたつかみ金とかいう問題が実はあるようです。政府と与党で決定をされたようです。私はことしの予算委員会で、大臣おかぜを引いておられたのでおいでになりませんでしたが、実は佐藤総理との総括質問の中で、本年度のつかみ金について、おかしいということで少し議論したわけです。しかし、ことしのやつは済んだことですからしかたがないのですが、大臣、私はどうも、一年こっきりでこれが終われば、これは緊急避難的にやむを得ないというようなことで、筋が多少通っていなくてもいいと思うのですが、会計経理といいますか、財政上のこういう原則は、やはり筋を相当重要視しなければいけないのではないか。同じ出すのならその財源分だけは値上げをするという処置をしたほうが筋ではないのか。それを何か別途の形で、何か補助金を与えたような式になるのは、幾ら物価政策か何か知りませんけれども実体は同じで、これは財政の筋を曲げることになるのではないか。二年続けてやりますとこれは一つの制度になるわけですね。一年こっきりなら緊急避難、二年続けてやったらこれは私は非常に重要な問題になると思うのですが、大蔵大臣は一体これをどうお考えになっていらっしゃるか、これをお答えいただいて、私の質問を終わります。
  81. 福田赳夫

    福田国務大臣 今度の米価に関しましては二つの考え方をとったわけです。  一つは、米価審議会の意見を尊重する。ただし、第二の方針は、米価審議会に臨む政府の基本方針は、米価の水準はこれを据え置く、こういうことでございます。  そこで、米価水準を据え置くという意見に基づきまして、米価審議会には政府の参考案を出したわけですが、この参考案を背景とした水準の据え置き、米価審議会はこれを尊重する、これでやってもらいたい、こういう答申をいたしたわけなんです。ですから、答申のとおりこれをきめなければならぬ。つまり、政府原案というか、参考案として出した米価決定の方式、これを採用する。しかし去年二百二十五億円を出したこの実績というもの、これがまた配慮されなければならぬという政治情勢が一方に出てきておるわけです。  そこで、もし二百二十五億円というものをちょん切りますと、これは実質的には米価を削減をした、こういうことになるわけです。その政治情勢というものを考えなければならぬというので、一方においては水準を据え置くという政府の基本方針、また米価審議会によって承認をされました方針を貫く。しかし、去年のように肥料だ何だというてこまかい臨時措置をすることは適当でない。これは米価審議会が指向する良質米が多く生産されなければならぬということを主眼にしなければならぬ、こういうふうに考えまして、大体去年の二百二十五億円に相当するような金額を良質米奨励金というような趣旨におきまして支出をする、こういうことにいたしたわけであります。私はまだ米審の会長には会っておりません。しかし農林省当局からの話によりますと、米価審議会においては、この決定は去年よりはよくなった、私としては、米価審議会の意見が尊重されたというふうに評価するということでございますので、改善が行なわれたというふうに御理解を願いたいと思います。
  82. 堀昌雄

    ○堀委員 それは改善かもしれませんが、そうするといまのやつは今後ともくっついちゃうわけですね。それをとっていえば値下げになってしまいますね。だからこれは永久に続くということになるということはどうでしょうか。ことしは改善かもしれないけれども、来年からそれじゃ一体改善になるのかといったら問題になると思う。御答弁は要りません。しかし、これはいろいろありましょうが、財政当局はどこかで英断をもって何らかの処置をするようにしないと……。水準を据え置くなどということが大事なのか。要するに経済というのは私はドレッシングはいかぬと思うのです。銀行行政でも何でもドレッシングはいかぬと言うのだけれども、政府が公然と米価対策でドレッシングをやるなどということは、私は全く国民に対して物価対策の権威を失わせるものではないかという不安がありますので、大臣十分お考えを願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
  83. 藤井勝志

  84. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 先ほど平林委員から質問があったわけですが、金融引き締めが徐々にきいてきているということでありますが、しかも今度の引き締めの際は比較的大企業影響を受け、まっ先にへばってきた。中小企業金融機関も、また中小企業サイドも、今度の引き締めの中ではわりあいその影響を受けることが少なかったということになっておったわけでありますが、最近急激に企業間信用も膨張しているし、中小企業の手元流動性なども、最近の動向を見てみますと明瞭に悪化をしてきている。そういう状況にありますし、また大企業中小企業に対する支払い条件なども悪化をしてきている。特別国会が終わりましてから私どもくにに帰りましても、企業倒産あるいは不渡り、取引停止というようなことについていろいろ相談を受ける例が例年になく多いということにぶつかっておるわけであります。  そういう意味からいいますと、先ほどお答えがありましたように、もうこの段階にきますと、中小企業についての引き締めというものも非常にきびしくなってきているということ、しかもことしの春闘での大幅賃上げというようなことで、六月決算をなかなか乗り切れぬというような企業もかなり出てきているのではないか。五月の企業倒産状況を見てみますと、件数としては前月よりは五、六%減っているというような報告もなされているわけであります。   〔藤井委員長代理退席、山下(元)委員長代理着席〕 しかし逆に、これは経済の大型化というようなことを反映して、負債総額においては八%もふえているというような状況もあるわけであります。そういうことで、かなりきびしい状況になっている。先ほど大蔵大臣は、特に大とか中とかいうことはないにしても、中小企業の立場というのは非常に弱いのだというお答えがあったわけでありますが、これに対してどういう対策を——特に六月決算期を控えて、しかも大型ボーナスの時期というようなことで、六月は企業倒産の件数も負債総額もずっとふえるような状況になるのではないか。五月段階では件数は減ったというような状況が出てきているけれども、かなりきびしい段階中小企業が迎えている。こういう状況を踏まえて、これは弱い立場だから何とかしわが寄らないということにしたいというお気持ちはわかったのですが、具体的にどういう政策を講ぜられるのか、この点を明らかにしていただきたい、こういうふうに思います。
  85. 福田赳夫

    福田国務大臣 今回の金融引き締めは、いま広瀬さんが御認識のように、大企業に直撃的にきているのです。中小企業は従来に比べますとその影響を受けることがきわめて緩慢であります。そう見ております。  これは二つ理由がある。一つは、先ほども話がありましたが、日本銀行中心とした金融調整でありますので、中小企業金融に主として当たる金庫でありますとか、あるいは組合でありますとかあるいは農協でありますとか、そういう方面には直接の引き締めの波というものが押し寄せていないのであります。間接的にはあります。そういうことが一つ。それからもう一つは、何といってもこの数年間、中小企業がかなり業態が改善をされております。強化されております。ことしの春の法人の申告状況、こういうようなものを見ましても、大企業と比べますと中小企業の利益の伸び状況、これなんかもたいへんすばらしいものです。そういう業績を通じまして蓄積もふえている、こういうようなこと。そういうようなことで、金融調整政策中小企業への響き方というものは従来になく軽微に推移しておる、こういうふうに見ておるのであります。事実、五月までのいろいろな指標、倒産件数を見ましても、あるいは手形の条件につきましても、あるいはその他の支払いの条件を見ましても、これは前回の引き締めの当時とは様相を異にしておるというふうに申し上げても差しつかえない状況、そういう状況で今日までは推移している。  ところが、長きにわたるものですから、これから一体どうなるかということが問題なんで、その辺はよく動きを注目していきたい。具体的にはどうするのだと言うけれども、善良な熱心な企業者でありまして、ただ単に金融引き締めだけのゆえをもちまして非常な困窮におちいるというような事態がありますれば、これは大蔵本省でじきじきとか、あるいは東京の金融機関の本店でというようなわけにもまいりませんが、その地方地方で実情がわかるわけであります。そこで財務局、通産局、それから日本銀行、この三者が随時会同いたしまして適切な指導をする、こういうふうなことを考えております。   〔山下(元)委員長代理退席、藤井委員長代理着席〕
  86. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いままでは引き締め効果が、中小企業に及ぼすしわ寄せというものが軽微な形だったということはよくわかるのでありますが、先ほど申し上げたように、ある程度力はついたといってもまだまだ非常に弱い体質を持っている企業でありますから、その点十分配慮して、これから重要な、きびしい状況が出てくるわけでありますから、それに対処する抜かりのない対策をぜひやっていただきたいということで、きょうは時間がありませんので要望にとどめたいと思います。  人事院、非常に忙しいところを来ていただいたようでありますので、人事院に若干公務員の給与問題についてお伺いいたしたいわけです。  国家公務員法二十八条に基づいて、「給与を決定する諸条件の変化により、俸給表に定める給与を百分の五以上増減する必要が生じたと認められるときは、人事院は、その報告にあわせて、国会及び内閣に適当な勧告をしなければならない。」こういうことはもうだれしも御存じのとおりであります。現在それに向かって給与法第二条による研究をなさっておるわけだと思うのですが、御承知のように、ことしの春闘における賃上げ額というのは、いままでから見ますと非常に大幅なものがある。約千五百社以上にのぼる企業が五けた、一万円以上の賃上げを獲得しているというような状況、去年は百何十社というところだったわけですが、そういう状態であるわけです。したがって、労働省あたりの調査によりましても、民間あるいは公企体などを含めまして大体一八%程度の賃上げがことしの春行なわれた、こういうような状況になっておると思います。それらの問題について目下研究中だと伺うわけですが、その問題について、人事院としては、春の賃上げというものがどの程度あったかということについて、いまのところ完全な集計が終わった段階ではないと思いますが、春の賃上げがどの程度であったというように見られておるか、まずこの点をひとつお伺いいたします。
  87. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 本年のいわゆる春闘の結果が昨年に比べまして相当高かったようでございます。まだ労働省の最終的な発表もございませんが、仲裁裁定等に反映されたところを見ますと相当高かったというふうに見ております。私どもとしましては、公務員の給与とそれから民間のそれとをこまかく比較をいたすわけでございますけれども、たとえば職種別、それから課長なら課長、段階別、それから学歴別、年齢別に比較をいたしまして、足らない部分を埋めていくということで毎年勧告をいたすわけでございます。そういう資料といたしまして、現在民間の給与調査をやっております。これは五月の初めからかかりまして、六月の中旬、十五日ごろまでに実地調査をいたしておりまして、それから集計に入るということでございますので、現在の段階は実地調査の最終的なところになっておるという状況でございます。その結果を見まして把握をするわけでございますけれども調査をこまかくやっておりますので、ことしの民間の給与の実勢はその中に完全に反映されるというふうに考えております。
  88. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いま最後のところで、ことしの春の賃上げというものをこの調査の結果として完全な形で反映されるというお話があったわけであります。大体この調査は今月一ぱいかかるか、あるいはここ旬日を出ずして調査結果が確実に把握できるか、かりにそういう状況であったとしまして、今月一ぱいに調査が完全に終わったという段階になりますれば、その後当然人事官会議を開かれるわけでありますが、そうしますと、もう一つ確認しておきたいことは、ことしの春の賃上げというものが、私先ほど一八%くらい上がっている、むしろそれをこえているということを申し上げたわけですが、公務員の賃金決定にはそういうものが完全に反映されるということが当然考えられる。それと、例年大体八月中旬に結論が出されて内閣と国会に対する勧告が行なわれる。ことしも大体勧告の時期というものはその辺のところに落ちつきそうでありますか。いろいろ勧告の時期の問題で議論のあるところだし、もっと早める、むしろ予算編成前にやるべきだというような議論も常にあるわけでありますが、ことしも勧告が行なわれるのは大体八月になるというような予定でございますか。その辺のところを明らかにしていただきたいと思うわけです。
  89. 尾崎朝夷

    ○尾崎説明員 ただいま申し上げましたように、五月上旬から六月中旬まで、十五日ごろまでに実地調査をいたしまして、それから統計局に送りまして集計にかかる。大体七月中旬ぐらいまで統計局の集計が毎年行なわれるわけでございますけれども、その結果を見ましていろいろ国家公務員の給与と比較をし、判断をするという経過で毎年やっております。ことしも従来の経過とほぼ同じテンポでやっておりまして、したがって八月の中旬に結論が出るというようなことでやっております。
  90. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大蔵大臣にお伺いいたしますが、いま給与局長からいろいろお話を伺ったわけでありますが、ことしの賃上げ、いわゆる春闘といわれる中で、賃金労働者が非常に、かつてない賃上げを獲得している、そういう状況があるわけです。それが公務員の給与引き上げの問題に当然完全に反映される、こういうことになっておるわけであります。大体勧告の時期も例年と同じ程度に、いまの進行の状況からいって八月中旬ごろに勧告は出される、こういう段取りになっていくようであります。  そこで大蔵大臣にお伺いしたいのは、この勧告を受けられるわけでありますが、その勧告の内容が何%、幾ら幾らの金額の引き上げということばまだわからないにしても、春闘の賃金引き上げ状況というものが完全に反映されていくというようなことがほぼ想像がつくわけであります。そういう段階において、まず大臣のお考えを聞きたい一つの点は、先ほどの所得政策の論議ではないけれども、その中で大臣が、いわゆる強権的に所得政策というようなものを展開する、法律的な措置をするとかなんとかいうような形で賃金を押えるというようなことが所得政策だとするならば、そういう方向はとらぬというお話があったわけであります。そういう意味で、人事院に対する何らかの牽制のようなものはやってはならないことだと思うのです。そういうお考えはまずないだろうと思うのでありますが、まず一点この点をお伺いしたいことと、民間の賃金にほぼひとしいような勧告が出た場合に——これはいまの段階では仮定の議論ではあるけれども、ほぼそういうことになるだろうということはもうはっきりしていると思うのです。そういう場合において、これは金額が多過ぎるからというようなことで、昨年までに、大体人事院の勧告が五月からということになって、いつもそれを九月からにしたり、八月からにしたり、七月からにして、六月まできたというようなことで、実施の時期について完全実施ということがいまだ行なわれない。こういうことについてやはり来年こそ完全実施する、来年こそ完全実施するというような立場でそういう状態になってきたわけでありますが、ことしはもはや五月実施ということを値切るわけにはいかぬ。政府のこれは政治道義上の問題でもあろうと思うのです。そういう点についてどのように考えられるか。この二点をまずお伺いをいたしたいと思います。
  91. 福田赳夫

    福田国務大臣 人事院に対しまして、人事院の勧告が、これが低位で行なわれるだろうというようなために何らの工作もいたしておりませんし、いたす考えは持っておりません。その点は御安心願います。  それから第二に、勧告が出た場合にどういう態度をとるか、こういうお話でございますが、これは、従来の給与体系に対しまして非常にかけ離れた体系の勧告でもあるというような、私どもが予想もしないような勧告が出るということが、万々あるまいと思いますが、そういう問題がかりにあるとすれば、これはやはり慎重に考えさせていただかなければならぬというふうに考えますが、従来の体系で最近の民間労務者の賃金水準等を考慮した勧告が行なわれる場合におきましては、昨年と違いまして、勧告は五月から実施せい、おそらくこういうことだろうと思いますが、五月からこれを実施する、いわゆる完全実施をいたすという方針でございます。
  92. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ぜひひとつそういう態度で完全実施ということを踏み違えないように要望いたしておきます。  いま時間が来たという委員部のほうからの注意があったのですが、もう一つだけ。この問題はまた七月段階でも引き続いてやりたいと思いますので、あとに残った分はまたやらせていただきたいと思うのです。  国税庁長官お見えになっていますが、特に資産税課税関係で土地の譲渡、不動産の譲渡、こういうようなものについて法務省との関係の問題でございます。つい最近の新聞に、法務省側でいわゆる税務通知といいますか、これを譲渡所得について拒否をするというような新聞記事が出たわけでありますが、法務省のほうにいろいろ聞いてみますと、これは拒否せざるを得ないようなことになりますということを昨年の秋に正式に大蔵省、国税庁に申し入れをしている。その後その事態がなかなか改善されないということを新聞社がそういう形で表現したんだろうということなんでありますが、これは現場の現地第一線の地方の法務局なんかに行ってみますと、このことは常に非常に問題になっているわけです。これは本来の業務ではないはずだということで、なるほど地方税法三百八十二条でこのことが明確に規定されている。しかしこの譲渡所得に関して、国税について法律上の根拠は何もない。両者の打ち合わせ、申し合わせというような形でやられている。同じ資料だから三部とって、市町村のほうにやる分と県にやる分と税務署にやる分とつくってもらうということはそうたいしたあれもないだろう、こういうことでやっているようでありますが、しかし、現実に法務局の登記関係の仕事、甲号事件、乙号事件、それぞれたいへんに事務量がふえております。譲渡所得なんかも非常に急ピッチでふえているというようなこともあって、本来の仕事がかなりおくれてきているということの一つ原因がこれであるということは、これは否定できない現実だろうと思うのです。そういう点があり、さらに臨時の職員でも雇ってもらいたいというようなことで、これも申し合わせのようでありますが、予算が年間どれくらいかかるということをはじき出して、単価をようやく四十四年で一人当たり一日雇うということで七百二十円程度にした、こういうようなことではもう人も集まらぬということになってくる。人が集まらなければよけい法務省の内部で金を出して、高い賃金を払ってやらなければならぬというような事態もあるということだし、さらにまた法務局の本来の仕事が非常におくれているにもかかわらず、その税制のほうでも期限のある問題が非常にあるわけです。土地税制の改革なんかの問題で、この時限で適用が終わるというような場合なんかについて、それでくくらなければならぬというような場合には非常に税務署からもせっつかれてくるというようなことで、さらに今度は窓口にたまって、登記事務を早く進行してもらいたいという人たちなんかに対して、特に三月期の決算時期だなんというときに、商取引上どうしても必要だというような書類なんかも一日も二日も一週間も延びるというような事例もあるのが実態です。  そういうようなことになっておりますから、この問題についていま何らかの形で、そういう点で法律上根拠を持たせるなら持たせる。そうして持たせたならば、その事務をやる適正な人間を定員増として配置をするか、あるいは予算単価をもっと十分にやって、あらためてその要請をするというような、とにかくそういう措置を講じなければ絶えずあの不満は解消しない、こういう事態があるわけでありまして、法務省のほうでも国税庁から新しい提案があるのを待っているというような状況でありますが、その問題はどのように準備をし、新しい提案としてスムーズに問題が処理されていくように考えておられるか、この点を長官にまずお伺いいたします。
  93. 吉國一郎

    ○吉國説明員 御指摘のように、登記済み通知をいただくということにつきましては、官庁間の協力の問題でございますので、法律的基礎を設けてはおりません。長年の慣行としてずっと協力をしてきていただいたわけであります。ただ、法務省内部の事情がいろいろございまして、実は数年来この問題がくすぶり続けてまいっております。しかし、正式に昨年の秋、これをひとつ再検討しないかという申し入れが民事局長からございました。その後いろいろ折衝を重ねておりましたが、昭和四十五年度については一応予算措置も終了いたしておりますし、四十五年度は一応このままで進むということで、今後の問題につきましては予算の時期までに検討をして、お互いにその点でより具体的に問題を詰めようではないかというお話もございました。私どもといたしましても、この通知書が資産税については最高の、また最も多い資料でございます。これが欠けるということになりますと課税の適正ということを期し得られない。ひいては国民の不信を買うということでございます。あらゆる手段を講じてこの登記済み通知を手に入れるということだけは確保いたしたい。そのために、法務省内部の事情も十分伺いまして、適切な措置をとりたい、かように考えております。
  94. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大臣、この問題は非常に困った問題なんですね。しかし、これは大蔵省が本格的にこの問題と取り組めば解決がつかない問題ではないわけなんです。これについてはそういういざこざがあり、そして絶えず不満がぶつけられてくる。拒否をするというようなことになったらたいへんなことだし、本来ならばこれは国税職員が行って調べてくるというのがたてまえであるはずなんです。地方税法では別だけれども。しかし、そういう状況になっているんですから、これについてはもっと本気になってやっていただかなければいかぬと思うのです。この点についてお答えをいただきたいのです。時間がありませんからまたこれは税の小委員会ででもやることにしますが、大臣からひとつ……。
  95. 福田赳夫

    福田国務大臣 この問題は国税庁長官を中心といたしまして努力してみます。
  96. 藤井勝志

    藤井委員長代理 阿部助哉君。
  97. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 大臣、この前税調が始まりましてごあいさつなすったようでございますね、その要点をごくかいつまんで、そのポイントだけお聞かせ願いたいのです。
  98. 福田赳夫

    福田国務大臣 私のあいさつの冒頭は、いま日本経済物価問題を中心にして容易ならざる段階であるということを、一般論を申し上げまして、それに対応する財政政策、特に租税政策、これをどうするか、きわめて重要な段階に参りました。当面いたしておる問題は、したがって税調に御審議をお願いしたいと考えておるおもな問題の第一点は所得税減税ということである。それから第二点は、所得税減税のためにも財源が要ります。またこれからの租税負担、多少これは、公共事業、また社会保障、そういうものを考えますと、ふえる傾向を持つであろう。その財源をどうするかという問題があるが、その財源は間接税の増徴ということでやっていきたい、こういうこと、主としてその二点を申し上げたわけなんです。しかし、最後に感想といたしまして、中央、地方の税制がもう少し合理化されぬかなということを常々考えております、この問題は私の念頭にこびりついておる問題であるということをつけ加えた、こういうことであります。
  99. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 わかりましたが、いまのお話で第一点は、物価がこう上がっていけば、所得税の場合に何がしかの物価調整はせにゃいかぬだろう、一面またいろいろな財政需要はかさんでくる。また、いますぐではございませんけれども、四十七年になりますれば、第四次防の発足であるとか、あるいはまた国債の償還やら、いろいろな問題でメジロ押しに財政需要が重なってやってくるだろうということを考えると、大臣が前からおっしゃっておられるように間接税の問題がどうしても浮かんでくるのではないか。そうすると、いままで間接税については、どっちかといえば生産に必要なもの、たとえば機械や農機具、トラックというようなものは課税対象からはずしておったとか、あるいは生活必需品にはできるだけ課税をしないというようなたてまえをとっておられただろうと私思うのであります。またこれは前の答申にも出ておったわけでありますが、そうしますと、大臣のお考えからいくと、このたてまえをくずすことになるのじゃないかと思いますが、その点はどうでございますか。
  100. 福田赳夫

    福田国務大臣 まだ、どういうたてまえにするかというところまでは私は考えを述べておらないんです。つまり、基本的な考え方といたしましては、総合的な間接税の増徴、つまり付加価値税でありますとかあるいは売り上げ高税でありますとか、そういうようなものはいま適当ではない、しかし検討はしておくべきものであるという考えです。したがって当面の問題とすると個別的な消費税ということになると思います。そういうもので、当面の物価問題にそう大きな影響のなくて、またあるいは逆に消費抑制的な効果のあるというようなもの、そういうようなものが最も望ましい対象ではあるまいか、そういうふうに考えております。これらは税制調査会のほうで御検討の上御答申をしてくださる、こういうふうに思いますが、また当大蔵委員会等の御議論というようなものもお聞きいたしまして、そして政府としての態度をきめたい、かように考えております。
  101. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 一般の個別課税といっても大体やはり物価影響を来たすのが大半だろう、こう思うのであります。そういう点からいくと、交際費課税の強化であるとかあるいは宣伝費だとかいうようなものがむしろ私たち常識だろうと、こう考えるのでありますけれども、物品税の幅を拡大する、あるいは付加価値税に移行するというようなことになれば、いま当面しておる物価問題とどうしても矛盾を来たさざるを得ないと思うのでありますが、大臣がいままで、これだけ間接税の問題はたびたびその方向を示しておられるんだから、事務当局としてはもう相当な検討をしておらなければいかぬだろうと思うのでありますが、その点は主税局長、どうなりますか。
  102. 細見卓

    ○細見説明員 私ども税制のことを絶えず勉強いたしてはおりますが、明年度具体的にどういう税制がいいかということは、これから各方面の御意見も聞き、大臣の御指示も得て検討してまいりたいと思います。
  103. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いやどうも、税調も始まり、その程度の答弁では、ほんとうに国会というものはどうでもいいというような話になるので、全部料理して、原形のなくなった、でき上がったものだけここへ出されても、これは国会としてもほんとは困るわけです。もう少しそういう点でざっくばらんに、ある程度の過程、プロセスというものも出してもらわないと、国会はイエスかノーか言うだけの場になってしまうのじゃないか。これは大臣、これまでおっしゃっておるのだから、もう少し事務当局には検討さして、何がしか、方向くらいはもうでき上がっておるだろうと私は考えるのでありますが、全く白紙で税調に臨まれるわけですか。
  104. 福田赳夫

    福田国務大臣 税調の答申を待つという基本方針でございますが、税調でいろいろなことを聞かれます。その際に私どものほうで意見がありませんというわけにもいきませんし、また資料がありませんというようなわけにもまいりません。ですから、意見を述べ、また資料も整えるわけでございますが、しかし最終的にこうするんだというようなことを言いますと、税調のほうでなかなかこれはむずかしい問題が起こります。去年は総辞職しようかなんというようなことがいわれるくらいな状態でありますので、そうむやみな発言もできませんが、まあしかし、当委員会で熱心な御論議も行なわれるわけでありますから、そういう点に差しつかえない限り私ども意見も申し述べる機械も得たい、かように考えます。ただ今日の段階におきましては、まだ何も具体的な申し上げるべき材料は持っておらぬ、これは率直なところであります。
  105. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 いま、付加価値税はあまりやりたくないというようなお話のようでありましたが、新聞等で拝見いたしますと、自動車新税でありますか、これには何か興味をお持ちのような御発言も拝見するわけであります。そういう点で、幾つかの問題もあろうと思いますが、こういう問題を検討してみたいとか、あるいは私先ほど言ったような、むしろ消費抑制という大臣のお話からいけば、交際費の課税を検討したいとかいうくらいのものは、もう大臣のところか事務当局のところあたりではあってもいいんではないかという感じでお伺いをしておるわけであります。私たち考えれば、交際費と宣伝費と法人税の引き上げと特別措置の整理というようなものは、当然まずこれをやられるんではないだろうか。そうでなければ、どうしても大半は物品税等にかかってくれば、個別であろうともこれは物価にはね返ってくる部面が多いんではないか。ということになれば、その程度の方向くらいは大蔵省でお持ちにならないと、税調を開かれるというにはいささか用意不足ではないかという感じがし、税調も始まったことなのでお伺いしておるわけでありますが、もう一ぺん大臣からお答えをいただきたいと思います。
  106. 福田赳夫

    福田国務大臣 具体的にいろいろな問題が私の頭の中を去来しておるわけです。しかし、まだ去来の程度でありまして、固まった考えでないのです。それを権威のある大蔵委員会において私が申し上げるということになりますと、これは国民に相当誤解を与えるというような結果にもなりかねない、かように存じますので、今日この段階では差し控えさしていただきたい、かように存じます。
  107. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それではいつごろになったら当委員会でもう少し論議をする段階に入るのかをお伺いして、もう大臣はたいへん忙しいそうでありますから、大臣に対する質問を一応終わって、あと事務当局に対して質問したいと思いますが、いかがですか。
  108. 福田赳夫

    福田国務大臣 秋の多少おそいころになりましょうか、つまり来年の自然増収の見通しについて大まかな予想もつき、どのくらいの規模の増減税が可能であるかというようなことが計画できるような段階になりまして、さてこのくらいのことをやってみようというようなおぼろげな案が出てくるわけです。その段階におきましてはまた皆さんに御報告をいたしたい、かように存じます。
  109. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 秋口に来年のあれをお考えになるのは当然でありますが、私はいま情勢を見ておりますと、やはり何としても四十七年という年はたいへんな年だろうと思うのであります。先ほど申し上げたように、国債の償還が始まる、あるいはまた第四次防の発足であるとか、政治的には沖繩の返還であるとかいうような、いろいろな問題が錯綜して押し寄せてくる年だろうと思うのであります。そうすれば、これは単に四十六年度の収入というだけではなしに、ある意味では七〇年代初頭をにらんだ税制というものにならざるを得ないんじゃないかという感じがいたしますので、そういう観点から私はこの問題をお伺いしようと思ったのでありますが、ただいまのあれではそういう問題もからめて、ひとつ九月、十月にお伺いすることにして私の質問を終わります。
  110. 藤井勝志

    藤井委員長代理 永末英一君。
  111. 永末英一

    ○永末委員 大蔵大臣はいま、来年度間接税を増徴したいということを税制調査会に言ったというお話ですが、何べんもこの委員会でも言われたことであります。間接税を来年度増徴したいという理由をひとつ明確にお述べ願いたいと思います。
  112. 福田赳夫

    福田国務大臣 一つは所得税の減税に関する問題です。わが日本国におきましては、国民の税負担は他の国に比べるとやや軽い、こういうふうに見ておるのです。先進諸国は大体所得に対しまして三〇%くらいの租税負担率になっておりますが、わが国ではそれが一八・何%というような状態ですから、かなり軽い税になっておる。しかし、それにもかかわらず租税に対する不平、不満が述べられる。それは一体何だといいますと、わが日本はそれほど軽い租税負担であるにかかわらず、直接税、特に所得税がそういうふうにさしておる、こういうふうに見るわけであります。そこで私は、本年度におきましては税制調査会の長期答申も完全実施をするということになりまして、三千億円の所得税減税が行なわれるわけでございますが、なおこの所得税につきましては減税を考えたほうがよかろう、こういうふうに考えておるのであります。それには、このよって生ずる財源欠陥を何で補うかという問題があります。  それからもう一つは、今後の財政の任務というものを考えますと、主として社会資本、それから社会保障という面におきまして、これはだんだんとふえていく傾向を持つであろう。先ほど一八%というふうにわが国の租税負担を申し上げましたが、これは数年間でおそらく二〇%くらいに持っていかざるを得ないのではないか、そういうふうに考えます。そのふえる部分を何に求めるか、こういう問題があるわけでありますが、これは、その第一の問題、第二の問題を含めまして、間接税を取るほかはない。私は間接税中心主義ということは毛頭考えておりません。おりませんが、今日のいかにも所得税に重点のある税制、これはいろいろ問題をかもし出す。でありますから、そういう所得税減税、また新規の財政需要、そういう財源を間接税にこれを求める、そういうことです。
  113. 永末英一

    ○永末委員 わが国は経済大国だといわれておるわけですね。ところが、その経済大国で暮らしている国民の生活の実感と、そんなにわが国ほどGNPが大きくないよその国の国民生活の実感と比べますと、わが国は必ずしも経済大国の国民である生活をやっていない、そういう実感があると思う。たとえば昼めしを食べますね。ヨーロッパの国々では、いとのんびりと昼めしを食う習慣がある。わが国では自分の机の上でそばを食ったり、五分か十分で昼めしを済ましている。つまり問題は、生活の実態と経済の貨幣量であらわされる実感、それによって与えられる実感と非常に離れておるのではないか。税金の場合、いま大臣が第一の理由として税負担が少ないと言われたが、それは大蔵省の窓口から、国民総所得と大蔵省で収納される税収との比率をとってそう言っておるのだけれども、問題は、一人一人が税金を払う場合に、いまのような生活の実感から見て痛みを感じている、その度合いをどう判断するかが問題ではないかと私は思えてならないのであります。よその国々も、税金でありますからいろいろな種類の税金がありますが、総税収額と国民総所得との関連比率だけでものを考えていくといたしますと、だから間接税ということに直接ならないのではないか。間接税はまだ固まっていないと言われる。これからでございましょうが、要するに、間接税というものは、負担能力、つまり国民の可処分所得とでもいっていいと思いますけれども、一人一人の負担能力とは無関係に一律平等にかけられる税金であることは間違いない。だといたしますと、ある経済行為に即してかけられるわけでありますから、いわゆる逆進性というものは非常にきびしく間接税の前にかかってくる。したがって、何かこう国民全体の税負担が軽いから、そうして所得税の減税をやってきたから次は間接税だということに一足飛びになるだろうか。もし国民一人一人に間接税がかかってくる、増徴されるというならば、その場合にもう少し考えなくてはならぬ問題があるのではないかと思うのですが、大臣どう思われますか。
  114. 福田赳夫

    福田国務大臣 間接税にもいろいろあると思うのです。一律平等というか、そういうようなものもありましょうし、あるいは非常に高価な奢侈品だということになりますとやはり金持ちでなければ買えませんから、間接税が一律平等であるというようなわけにはいかぬと思います。そういうようなことを考えますと、間接税だから一律平等だ、だから悪いのだ、こういうような結論にはならぬと私は思う。要するに、これは税の対象をどういうふうにするかということで、その対象ごとに議論のある問題ではあるまいか、そういうふうに思います。何か私の申し上げているところに飛躍があるようなお話ですが、どうもそのお話につきましては私は理解ができません。私が申し上げておることはもう一つ一つつながっている議論である、こういうふうに思います。
  115. 永末英一

    ○永末委員 大臣のお話の中に、直接税を減税したから財政欠陥が生ずるんだ、この財政欠陥を埋めるためにも間接税を増徴したいんだ、こういうお話がありました。財政欠陥というのは百億や二百億の話ではございませんね。所得税だって三千億減税と、こうくるわけですから、非常に多くの経済量を求める行為だと思います。いまの大臣のお話は、一般平等に軒並みにかからないんだ、ぜいたくなものにかけるんだと言わんばかりのお話でございますが、その話だけ聞いてみますと、ある一部のところに少しかかるような気がする。財政欠陥を埋めるために間接税の増徴を考える考え方と、いまの間接税体系をそのままにしておいて、なお漏れているところ、拾ったところにかけようという考え方とは合いませんね。もし財政欠陥を埋めるんだといたしますと、もっと広い分野にわたって間接税をかけなければ財政欠陥は埋まらない。一体どっちの考え方でやっておられるのか。三つほど述べられましたが、その辺が合わぬのでお聞きをしたいのです。
  116. 福田赳夫

    福田国務大臣 いまの消費税は物品税が主体でございますけれども、それにつきましても、経済状況変化国民の嗜好の変化等もありますので再検討したい、こういうふうに考えております。しかし再検討で財源がふえるかというとそうはいかない。そこで新しい対象を求めなければならぬ、こういうことになるわけであります。ふえる要素というのは新しいほうですね、そっちのほうにウエートがあるんじゃないか、そういうふうに考えております。
  117. 永末英一

    ○永末委員 やや明確になりました。第一は、現在の間接税体系の中で不平等なものを、マイナス平等ならいいんでありますが、かさ上げしたほうにならそうという企てが一つ。もう一つは、そうしてみたところでいかにも税収としては少ないので新たなものを考えよう。その新たなところに問題があるわけですね。そこまでお考えなら、何か去来するところが固まりつつありますか、伺いたい。
  118. 福田赳夫

    福田国務大臣 まだ星雲状態でございまして、これからというところであります。
  119. 永末英一

    ○永末委員 この問題は重要な問題でございますので、星雲状態がやや核をつくりつつあるころ、ぜひこの大蔵委員会で御報告を願いたい。われわれもわれわれの角度からそれに対して意見を申し述べることにいたしまして、本日はこれまで……。
  120. 藤井勝志

    藤井委員長代理 小林政子君。
  121. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は中小企業金融についてお伺いいたしたいと思います。  先ほど大臣の御答弁では、中小企業の体質等も強化をされ蓄積もされてきているので、今回の引き締め下状況の中でも比較的その被害は少ないというお話でございましたけれども、私、中小企業が当面している現状というのは予想以上に深刻な状況であることがわかりました。私自身いろいろと地元の業者の方々等のお話ども伺ったわけでございますけれども、特に売り上げ代金などの現金割合の低下、あるいは受け取り手形サイトの長期化が相当進んでおりますし、頼みの金融機関等の貸し出しが最近非常にきびしくなってきておりますし、現金支出の多い原材料支出等の高騰、人件費の増などで相当経営は圧迫をされておりますし、金詰まりというものが一そうひどいものになってきております。ある業者はこう言っておりました。現金支出は売り上げ代金の大体三割で、しかも手形は百五十日、さらに延びるというような状況の中で、製品の検収期間が長くなり、入るべき金が入らない。仕事そのものは忙しくても、資金の回転がどうにもならないという状況になってきている。特にこの六、七月を目前にして、夏期手当、手形決済など、こういった必要資金あるいは現金支出が増加をいたしておりますし、経営悪化、金融難というものが相当根深いものをはらんでいる、このように私は考えますが、六、七月以降の中小企業金融という問題についての見通しにつきまして、大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  122. 福田赳夫

    福田国務大臣 今度の金融引き締めは、引き締めとは言うけれどもそう引き締めてはおらないのです。通貨貸し出しは大体前年度の一六、七%増。アメリカなんかどうやっているかというとほとんど横ばい、二%増だ。これは徹底した引き締めですが、わが日本は一六、七%増だ。昨年のいまごろは一昨年のいまごろに比べてどのくらい貸し出し増をやったかというと、わが日本では七〇%の、銀行は貸し増しをやったわけです。それに比べると今日はたいへん引き締まっておるとはいえるのでありますが、しかし冷静、客観的に見まするとそういう状態なんです。それにもかかわらず、いま小林さんは金融が引き締まった、引き締まった、何だと、こう言うが、いま経済活動は依然として非常に活発なんです。百貨店の売り上げなんか見ていると去年の実に二〇%をこえる。これは岩戸景気以来のことなんです。通貨がどのくらいふえるか、これも二〇%前後昨年に比べていまふえているのです。これも岩戸景気以来の現象です。そういうようなことで、これをほうっておきますと日本経済がひっくり返ります。そうなってはたいへんでしょう。そこで引き締め体制というのをとっておるのですが、しかし中小企業金融は、弱い立場にあるというふうに見ておりますので、格段の配意をしていきたい、こういうふうに見ております。いままではそうえらい変化が来ておるという認識を持っておりませんけれども、だんだん長くなりますからいろいろの問題が起きてくるに違いない。そういう際には弱い者の立場という見地で適切な対策をとる、こういう考えであります。
  123. 小林政子

    ○小林(政)委員 六、七月以降の中小企業金融の見通し、こういった問題についてお伺いをいたしたいと思います。
  124. 福田赳夫

    福田国務大臣 まあ大企業ほどの詰まり方ではないが、だんだんと引き締まっていくのじゃあるまいか、そういうふうに見ております。また引き締めがきかないようでは困るのですからね。しかしその引き締めが善良なまじめな企業家に不測の災いを及ぼすという、これを気をつけなければならぬということこそが課題である、そういうふうに考えております。
  125. 小林政子

    ○小林(政)委員 私は、大企業と異なって中小企業の場合にはいま資金繰りでもうどうにもならないところまできている、特にその中小の中でも小企業ほど実際問題としてはやりくりが困難な状況になってきている、こういう中でお伺いをいたしますけれども国民金融公庫の調査によってみましても、ことしの一月と五月を比べてみますと、借り入れ申し込みの原因として、金融機関からの借り入れ困難、これを理由として述べているものが一・七%から三・四%と倍増をいたしております。またある地方銀行金融機関のお話を聞きましたけれども、大体七億の貸し付け資金を六、七月に備えて準備をしたけれども資金需要は三十五億で、実際には五倍にはね上がって、いろいろと苦慮をしているところだ、こういうことを言っております。このことは中小企業への金融というものがやはり、引き締め下ということだけではなくて、もちろん他の要件その他いろいろございますけれども、相当緊迫をしている状況に立ち至っている、こういうことがいえるのではないかというふうに考えられます。これを打開するためには政府の融資ワク、こういりたものをもっと広げる必要があるのではないか。特に六、七月の窮迫を考慮して国民金融公庫の貸し出しをふやすべきであるし、追加財投に対する御意思があるかどうか、この点についてもお伺いをいたしておきたいと思います。
  126. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいまそういう対策を考えておりません。先ほど申し上げているとおり、何か善良な、しかも熱心な経営者がおって、それが資金調整、金融調整のゆえに非常な難局に立つというものがありますれば、個別的にいろいろ誘導等の対策をとりましょう、こういう考えでございます。
  127. 藤井勝志

    藤井委員長代理 阿部助哉君。
  128. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 国税庁長官、たしか五月二日だったと思いますが、人事院総裁にお会いになって、税務職員の待遇改善について何か要望されたという新聞記事を拝見したのですが、そうでございますね。
  129. 吉國一郎

    ○吉國説明員 六月の五日に当方の事情を詳しく申し上げまして、十分な御配慮を願うようにお願いをしてまいったわけでございます。
  130. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 何かその中で、仕事が困難であるとか専門的であるとか、退職者が多いとかいうようなことをもう少し具体的な例をあげておられたようですが、その点は、もう少し具体的な項目的なあれでも何か——ただお願いしますじゃなかろうと思うんですが……。
  131. 吉國一郎

    ○吉國説明員 元来が官庁同士のお願いでございますので、こちらが一方的にお願いを申し上げるのはいかがかと思いますけれども、大筋を申し上げますと、現在の税務職員の仕事と申しますのは他の官庁とちょっと違ったところがある。それは、一つは、課税物件なり課税人員なりが毎年非常にふえる。もちろん申告納税のたてまえから申しますと、すべての納税者を調査するというのがたてまえではございませんが、それにいたしましても、この制度の改善とともにそれに追いつかないでふえていく納税者の数に対応しなければならぬという面がある。しかし定員につきましては、総定員法のもとでなかなかそれに追いつくだけの要求をすることも困難であるということが一つあります。  第二番目に、戦後早々の時代と違いまして、納税者の会計処理も非常に進んでまいりました。いわば税務職員は普通の行政官吏とややというか、かなり違ったニュアンスの仕事をせざるを得ない。いわば一人一人が公認会計程度の知識と能力を持ち、経験を持たなくちゃならぬというような事情にあるということを申し上げたのであります。  したがって、はたしてこのままで、普通の行政官庁と同じ職級でいいかどうかという点については相当問題があるのではないか。私どもが専門官というものをふやしてまいりましたことも、実はそういう趣旨でございます。極端にいえば、税務職員は給与の点においては、普通の官庁組織でいえばたとえ平職員であっても、相当な高給を取っているものであっていいのではないか、そういうような考え方を将来ともとっていただくべきじゃなかろうかということ。  それからもう一つの特色といたしましては、現在の職場で、全国的にこれほど大きく分布をしている職場というものはないのではないか。警察その他ございますけれども、警察は相当部分が地方でございます。したがいまして、この全体の立場で、しかも課税の適正を願う、あるいはまた経済情勢変化に応じて組織等を変更する、事務系統を改めるというようなことによって毎年相当数の全国的幅の異動を生ずる。しかもそれが相当数転居を伴う異動とならざるを得ないという状況、これはおそらく他の一般公務員の場合にはちょっと予測できない特色ではないか、というような点を申し上げまして、かつて終戦直後におきまして税務特別手当という制度がありまして、それが現在税務俸給表として残存いたしておりますが、初任給が上がるにつれてその幅がかなり縮減されている。もちろん一面においては、給与水準が極端に低い場合には、激しい、あるいは特殊な職務に従事している者に特別の措置をとるということが必要であり、一般的に水準が上がってきた場合に、それをある程度全体の中に吸収されるということはやむを得ないにしても、現状においていま申し上げたような点を考えますと、やはり税務職員に相当な俸給差があっていいのではないかというようなことを申し上げました。具体的な内容については、あるいは人事院のほうに差しつかえがあるかと思いますが、基本的にはそのような態度でお願いを申したわけでございます。
  132. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 佐藤首相が昨年の五月八日に参議院の内閣委員会でこういうことをおっしゃっているんですね。「配置転換をするにいたしましても、本人の考え方を無視して、そして一方的に配置転換を命ずることのできるような時代でもありません。そういう点は民主的にやらなければならない。」「配置転換についてはもちろん本人の意向を聞く」「そういうことには特に職員団体の協力を得ないと、いまはなかなか運用がうまくいかないと思っております」、こう答弁をしておられるのですが、この佐藤総理のお考えについて、長官は、これは間違いである、あるいはまた、これはそのとおりであると言うか、どちらかのお考えがあろうと思うのですが、いかがですか。
  133. 吉國一郎

    ○吉國説明員 その総理大臣の御答弁は、総定員法に関連いたしまして、組織間に異動を行なう場合についてお話しになったものであると了解いたしております。それとしては私は当然だと思いますし、また一般の場合にも職員の意思をよく確かめ、転勤等につきましては十分配慮すべきだと思います。ただ問題は、税務の職場におきましては、御承知のとおりいろいろな僻地もございます。僻地だから税務職員が行かないというわけにはまいりません。その職員の希望というものは非常に片寄っております。そういう点から希望どおり沿えないということは当然ございます。しかし身上申告書その他について職員の意思を十分に確かめて、的確な配置転換を行なうということは、これは私どもの一番心がけておるところでございます。そういう意味では、組織間の異動について言われた総理のおことばも、当然私どもにも適用されてしかるべし、かように考えております。
  134. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そういうことになりますと、こういう問題については、ドライヤー委員会が四十年に出したあれを見ましても、よく話し合ってやれ、団体交渉の問題である、対象とすべきであるというようなことをおっしゃっておるわけでありますが、長官のいまの御答弁からまいりますと、やはり十分話し合いをし、配慮をしておられる、こういうことでございますね。
  135. 吉國一郎

    ○吉國説明員 個々の転勤について話し合いをするということは、本来人事としては行なうべきことではないと思います。本人の意思を十分に聞き、その意思をそんたくをして、それと職務上の必要というものも十分に調整して人事を行なうということを申し上げておるわけであります。
  136. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうしますと、まあ普通の官庁もやっておりますが、税務職員の配置転換の場合には前もって本人に内示というか、そういうような問題はやっておられるわけですね。
  137. 吉國一郎

    ○吉國説明員 これはもう毎国会お答えしているので御承知だと思いますけれども、わが国税庁の場合は税務の特殊性から毎年非常に大きな異動をいたします。また先ほど申し上げましたように、職員の要望の中にも非常に一方に片寄った要望が多いということ、これはやむを得ないことだと思います。そういう意味で希望を一々絶対にかなえるということはできない。そういうような趣旨から、現在もいわゆる事前内示というものはいたしておりません。ただ、離島におもむきます場合とか、あるいは他局の管内にわたる異動を行なう場合は、事情の許す限り事前に本人に通知をしておくというやり方をいたしておりまして、今後ともこの点は、実情から申しましておそらく当分変えられないであろうと私はいま考えております。
  138. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 まあ学校の先生でも遠いいなかへ行くのはいやだと言うけれども、だれかが行かなければいかぬということで、ある程度話し合って行っておるのは私たちのまわりにも見るところです。私も絶対に本人の意に沿わないことをどうのこうのということではないし、税務署はある程度、いろいろな職務柄異動をする、転勤をするということも、これももちろん承知はしておる。だけれども、毎年ここで質問が出るということは、毎年それが直されないところに毎年同じ問題が出されるのだろう、こう思うのでして、私の言っておるのは、絶対に本人の意に全部が一〇〇%沿うような異動をしろというようなことを言っておるのじゃないので、そこを誤解しないで、ある意味ではもう少し親切な御答弁をすべきだと思うのです。話し合いなしに、税務署の職員の異動はその日にならないとわからないというようなことはやはり直すべきだ。これは当然のことだ。そこで何がしかの話し合いというものもあり、その上で不満であろうが行ってもらうという場合も出るでしょう。だけれども、全然その話をする余裕も与えない配置転換というものは、理事者側の少し独善ということになりゃせぬか。そこはさっきの総理の答弁の意思からもそむくのではないか。こういうことで私は質問をしておるのでして、一〇〇%みんなの希望をいれろなんということを私は言っておるわけではないのです。
  139. 吉國一郎

    ○吉國説明員 もちろんいわゆる身上調査書については非常に詳しいものをとっております。本人の希望というものを十分に参酌もいたしております。なお、事前通知についてはいろいろ要望もありますが、ただ、この一万何千人という者の異動を確実に、しかも漏れなくやっていくためには非常な努力が必要でございます。そういう点からも、当面事前通知というものは困難であるということから、現在では赴任期間の延期ということで、内示はしないけれども、通知してから普通の場合よりも赴任期間を延ばすというような措置をとって、これに代替をいたしておるわけでございます。
  140. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 この赴任期間を延ばしてみたところで、多少は職員の意見を聞いて、まあ変えられない場合もあるだろうけれども、変えるという余裕はこの場合には何もないのじゃないですか。話し合いの場というものはない。一方通告だけで、あとはまあ赴任や何かのあれで一日、二日。それは物理的にだって多少は延びるということはあるわけですよね。そうすると全く一方的な通告だけでやっておるということになるわけですよね。
  141. 吉國一郎

    ○吉國説明員 先ほどから再々申し上げておりますように、希望については身上申告に詳しく書いてもらっております。その希望を十分に参酌をいたしておるわけであります。一方的に希望を聞かずにやっておるわけではございませんし、また内示にいたしましても、各官庁とも内示をしてその上で希望と違えば変えてやるというやり方ではないはずです。そういう意味では赴任期間を延ばすというようなことで代替的な措置をとり、非常に困難な事情がございますのでこれを補ってきておるわけでございます。決して一方的に、本人の希望を聞かずにやっておるというようなことはございませんし、むしろ希望については異動前には非常に詳細にその内容を求めておるわけでございます。
  142. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 一〇〇%職員の言うことを聞けということを私言っておるのじゃないということは前にも申し上げましたが、希望を聞いておるから一方的にいいということにならないのですよ。というのは、希望に沿わないのが一ぱい出るから問題になるのであって、希望は聞いてあるけれども希望に沿わないのがあるから事前に通告をしてくれ。やはり転勤となれば生活問題の関係から、いろいろ多少の精神的な準備も要るでしょう。希望を聞いておるというが、何か身上調査書を出しておるからそれで聞いたんだということには私はならぬと思うのですよ。それはお聞きになるのはいい、それを聞いて全部不満のないようにやれるものならいいでしょうけれども、不満があるからこういう問題を私が質問せねばいかぬのであって、長官、少し問題をすりかえられておるのじゃないですか。
  143. 吉國一郎

    ○吉國説明員 一人が文句を言えば他人も文句を言う。その文句があったから変えてやる、あとで行けといわれた人が文句を言うという事情はもちろんあると思うのです。そういう意味では、万般の人が満足するという解決はできないということはさっきも申し上げたとおりであります。ことに税務の職場の場合にはいろいろ事情がございまして、どこの税務署はよりよい税務署であるとか、そういう意識が相当強いものがございます。したがって、希望をとりますとその希望というものはある税務署に非常に集中する、これは御承知のとおりだと思います。そういう意味ではこの調整はかなりむずかしい問題がございますけれども、その希望とそういう人事配置の必要性というものを十分勘案をしてやっていくということで、私どもとしては万全を期しておるということを申し上げたいのでございます。
  144. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 だからその問題を話し合う場というものが要る。ドライヤー委員会等でもある程度団体交渉の対象にしろ、そういうことをすべきである、こう言っておるのでして、全部職員組合のほうの言うことを聞くということにはならぬだろうけれども、そこにある程度のお互いの話し合いというか、これが民主的なことなんじゃないですか。ただ一方的に、それをやったら締めくくりがつかないからこうやるんだということは民主的なあり方ではないんじゃないですか。
  145. 吉國一郎

    ○吉國説明員 一般的な配転の基準、そういう問題について話し合いをするということはドライヤーの言っておるとおりだと思いますが、個々の人事について一人一人納得を得て、契約づくでやれということは私は言っておらないと思うのです。個々の人事と一般の人事基準とはやはり区別して考えるべきものではないかと思うわけでございます。
  146. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、一方的に身上調査書を出させたといってみたところで、その希望に沿っておるわけじゃなし、そうするともう全くそれは実際問題として形ばかりのものであって、皆さんの理事者側の一方的な判断だけで、皆さんは身上調査を参考にしたとおっしゃるかもわからぬけれども、ある意味では一方的な、独善的なやり方だけで、命令だけでぱっぱっと動かす、こういうことになるんじゃないですか。
  147. 吉國一郎

    ○吉國説明員 それはたいへん冷たいおっしゃり方だと私は思います。この異動のために人事関係者は何カ月か非常な努力をして、そのむずかしさを乗り越えておるわけでございまして、決して理事者の独断で右左しているわけではないのでございます。一万数千人という異動規模というのは、これは口で言うほど決して簡単ではないのであります。ぎりぎりまで全人事担当者が詰めに詰めて、しかも希望をできるだけいれ、家庭事情を考え、通勤事情を考えて処置をしているわけでございます。決して、先生おっしゃるように、独断だけでやっているというようなものではないことを御理解願いたいと思うのであります。
  148. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どうも繰り返すようですが、私の言い方が冷たいというよりも、そのやり方が冷たいということじゃないですか。困難なのはわかります。困難なのをあえて話し合いながらやるところに、私は民主的な運営が進んでいくだろうと思うのですよ。困難だから、めんどうくさいから一方的にやるんだということになれば、これはもう民主政治なんて要らないんで、独裁をやったほうが、こんな議会の小うるさいことはやめたほうが一番簡単だということに理屈の上ではなってしまう。そうではないので、困難だけれどもそこを何とかやろうと話し合っていく。それは全部一〇〇%なんということはだれも考えておる者はいませんよ。不満があろうとある程度まではがまんしなければいかぬところは当然あるでしょう。だけれども、そこを全部話し合うのと話し合わぬのとは——私は、これは民主主義の一番の原則の問題だと思うのですよ。それだから佐藤総理もあのようにおっしゃっておるのであって、それを国税庁のほうで、それはめんどうくさいからやらないんだということは、冷たいのは皆さんのほうのやり方だと思うのですがね。
  149. 吉國一郎

    ○吉國説明員 誤解があるといけませんので申し上げますが、冷たいと申し上げたのは、人事当局者の非常な努力を少し考えていただきたいと申し上げたわけでございます。一人一人について話し合いした上でなければ転勤はできないということは、これは常識としてもあり得ないことであると思います。一般的な配置転換の基準、これについて話し合いをする、これは当然だと思います。私どもも常に人事異動の前には組合側と話し合いを持っております。基準的なものについての話し合いということはやっておりますけれども、一人一人の同意がなければ動かせないという考え方ではないということを申し上げておるわけでございます。
  150. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 少しくどいようですが、私も一人一人全部片っ端からやれというのではない。しかしその中で、特に問題になるものの幾つかは具体的なことも出ようかと思います。特に健康の問題であるとか、そういうような問題は、皆さんのほうも苦心しておられるということを私は否定しません。苦心をしたからといっても、これは相手が納得するものではないのですね。いかに皆さんが苦労をされても、しかし相手が納得するかしないかは別の問題。そうするとそこへ、こういうわけでやるんだという説明をなさるくらいの、この努力を払うくらいのことは当然のことだと思うのですよ。それをやらないで、その日の朝にならぬとわからないみたいな話は、これは幾ら苦労したって独断だと言われてもしかたないのじゃないですか。
  151. 吉國一郎

    ○吉國説明員 異動について非常に困難な事情が特に潜在していたというような場合、これらについて相談をすることは私ども決してやらないわけではありません。管理者、カウンセラー等からそれを聞いて、その事情によっては処置することはこれは当然だと思います。ただ、事前に一々その判断をしてお互いに相手が同意しなければ発令ができないということになりますと、一万数千人の異動などというものは絶対にできないことになるのでございまして、また一部の人の意見だけをいれて、それじゃ引っ込めるということをやったのでは全体の公平な人事というものも期待できない。したがいまして、万に一つ誤ったケースがあった場合の処置、これについては私たちも万全の措置をとるということはいつもいたしておるわけでございます。
  152. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どうも皆さんのほうのそのがんこさというのがやはり私は冷たい処置だと思うのですがね。一ぺん発令をしてしまえば直すというのは容易じゃないのでしょう。それでは、一応発令をした、しかしまあ健康上であるとかいろいろな点で話し合いをして、文句というよりも話し合いをして、そうしてそれを変更するというくらいのゆとりはあるのですか。
  153. 吉國一郎

    ○吉國説明員 いわゆる身上調書等に書けなかったような事情があった、あるいは人事記録にも出てこないような特殊な事情があって転勤がきわめて困難であるという事情がはっきりいたしました場合に、それをあえてするということは私どもは考えておりません。ただ、ここはいやだから、あそこはいやだからということだけでどうしろと言われても、これはどうにもならぬということは申し上げておきたいと思います。
  154. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 その点は私も、だれかがそこへ行かなければいかぬのですから、その点での多少のがまんをすることは、これは役所へ入っている人たちは私はある程度みな覚悟していると思うんですよ。それだから話し合いをすればある程度までは解決のつく問題だ。話し合いで解決がつかないものも一あるかもかわらぬが、おおむね話し合いの中で問題の解決ができると思う。あなたの部下をあなたがもう少し信頼をされて話し合いをするということになれば、私は問題は解決すると思うのですよ。むしろあなた方が組合とかそういうものを適視しておるからそういうことになるのじゃないですか。そうでなければある程度事前の、ほかの官庁並みに近いものはおやりになるのが私は当然だと思うし、佐藤総理もこれくらいおっしゃっておるのだから、あなたもそれを認めておるのだから、ある程度他の官庁に近いところまではやっていいんじゃないか、これは当然なんじゃないか、こういう感じがするんですがね。
  155. 吉國一郎

    ○吉國説明員 組合を敵視しているとか、そういうことを申し上げているわけではございません。これは先生もおそらく御承知だと思うのであります。そういう事柄ではなくして、特殊な多数異動というものの技術的な点から申しましても、かえってそういうことが不公平を起こすということもおそれられますし、おそらくこれは人事体制というものを相当に大きく変更しなければ困難であろうかと思うのであります。そういう意味で私は当面困難であるということを申し上げているわけでございます。
  156. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 その日にならぬとどこへ行くのかわからないなんという役所は、ほかの役所でありますか。
  157. 吉國一郎

    ○吉國説明員 大体いつ異動があるということはみな知っているはずでございます。
  158. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それは異動のときは七月とか八月とかというのはあるでしょうけれども、自分が移るか移らぬかというのは、それはまた別問題ですからね。全員が毎年七月なら七月に異動するというのならまた話は別ですけれども……。いまの答弁は少しおかしいんじゃないですか。私の質問とは全然食い違っているじゃないですか。
  159. 吉國一郎

    ○吉國説明員 実際内示をしている官庁もございますけれども、前の日に内示をする、そうして結局発令は同じであるというのが実例でございます。そういう意味から申しますと、一斉に各局そろえて異動する場合には、むしろ赴任期間をしたということは結果においては同じことになるのじゃなかろうかということを先般来申し上げているわけでございます。
  160. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 同じことになるならば事前にやればいいじゃないですか。
  161. 吉國一郎

    ○吉國説明員 いま申し上げましたように、全国同じ時期に一斉に発令をする場合には、その時点にそろえることが非常にむずかしいわけであります。ぎりぎりのところまで調整をして、ほんとうにその前日に印刷が間に合うというような程度でいま進んでおるというのが実情でございます。そういう意味で、私は当面いまの仕事のやり方をよほど変えないと、実質上困難があるということを申し上げているわけでございます。
  162. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 私は非常にくどいようですが、あなたもなかなかしつこいので私も引くわけにいかぬのです。  困難だからだめなんだ。不可能ではないのですよ。困難はあえてやらない。だから独裁的なことになってくるんだということを私はさっきから言っておるわけです。困難だからやらないということは私は許されぬと思います。不可能だからやらないというのなら私はわかります。困難だからやらないというのは何ですか。困難があろうと、とにかく民主的なルールは、やはりお互いにがまんしながら踏み越えなければならぬ問題じゃないのですか。私は抽象論で言うけれども、それをやはり困難だからやらないというのは私は間違いだと思うのですが……。
  163. 吉國一郎

    ○吉國説明員 困難という申し方が、不可能かどうかという問題でございましょうが、いま先生のおっしゃっているのは、とにかく一人一人の同意を得て話し合いをしてやれ、そういうことはむしろ不可能であると申し上げるほかないと思います。
  164. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 一万何千人を一人一人納得させろとは言ってないですよ。そういう問題があるから、ある程度まとめて、組合のほうとある程度話をする。不満の組合員は組合のほうへそれを申し出る。その中にも、これは交渉ですから、みんな話し合いの中で解決がつかずして、どうしても発令せにゃいかぬ問題も出るでしょう。だけれども、ある程度またそこで調整ができるというものも多々あるわけです。そうしませんと、やはり職場が暗くなったり能率が落ちてくると思うのです。やはり生き生きとしてその人たちが働いていく。あなたが最初おっしゃったように、いろんな困難もある。それだからこそまた退職者もあなたのお話のように多いということ、これを克服していくためには、やはりその組合との話し合いの中でやっていく。どうしてもしようがないものはこれまた組合も納得せざるを得ないでしょう。だけれども、私は一万何千人、みんな話し合いをし、一人一人の意向を聞いてから発令をしろなんという無理は言っていない。これはどこの役所でもそうですよ。またどこの組合だってそんなに無理なことをやっていないから、今日までちゃんとどこの役所でもやっておるじゃないですか。それが税務署だけ、おたくだけができないというのは私はおかしいと思う。こういうことなんでして、長官、やはり自分の部下をもう少し信頼されて、話し合いに応ずる余裕を与えるということが私は必要だと思いますがね。
  165. 吉國一郎

    ○吉國説明員 どうも阿部先生のおっしゃっている点が、ちょっと角度が変わってきたように思うのですけれども、個別の人事について組合と話をしろというお話のように承りますけれども、これは御承知のとおり、個別の人事というのは管理運営事項であるということで、話し合いで、交渉でまとめる問題ではない。もちろん意見は十分に聞くことにいたしております。現に両組合ともいろいろ意見を出している。それについて聞くべきものがあれば私どもといたしましても調査をし、正しいものについては処置をつけております。そういう意味で、発令があって以後問題が生じ、それが本人にとって非常にもっともなことであることをあえて否定をするという態度では私は決しておりません。ただ内示をして、それから文句のある者を組合でまとめて交渉をしろということになりますと、これはちょっと不可能だと思います。それだけの期間をもって内示をするということはなおさら私どもはできないのでございます。その辺は御了承願いたいと思うのでございますが、もちろん発令以後に、こちらの手落ちがあり、その手落ちを正すということは当局の責任としても当然考えるべきことである、かように考えております。
  166. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 それじゃもう一ぺん私は私の意見を整理しますが、事前に通告するということは、これは絶対に承知ができないということですか。
  167. 吉國一郎

    ○吉國説明員 先ほど申し上げましたように、非常に遠い離島に行くとか、あるいは他局にまたがって環境の違うところに行くとかいう事情があるときには、これは早目に内容的にきまります。そういうものについては、私どもはできるだけ内示をするという態度で進でおります。
  168. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どうも税務署というのはそういう点でほかの役所とだいぶ違うようですし、皆さんの職員に対する態度もそういうことではやはりいろいろ問題が起きるだろうと思います。私はあなたの見解にはやはり賛成できません。そういうことが行なわれるからいろいろ問題が出るわけですが、長官は、川崎北署ですか、ここの安藤勉さんという方が去る五月二十八日の早朝に自宅の物干し場で自殺されたという事件、これを御存じですか。
  169. 吉國一郎

    ○吉國説明員 報告は受けております。
  170. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 この方はなぜこのように自殺までせなければいけなかったかというような問題は御存じですか。
  171. 吉國一郎

    ○吉國説明員 署長からの報告によりますと、本人のからだがかなり悪かったようでございまして、日ごろから管理者としても注意をしていたそうでありますが、直接の原因はノイローゼというふうに見られておるようであります。
  172. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 問題はそのノイローゼなるものの原因、なぜ起きたかというところに私は問題があると思うのです。この人は年齢ももう四十九歳ですからね、それが前の徴収の仕事からかえられたわけですよ。それでこの自殺をする前の日に、その奥さんがもとのところへ戻してもらいたいという要請を税務署長にやっておるくらいで、以前は家庭でも自分の仕事のことはほとんど話されなかったけれども、この自殺をされる直前には、仕事が行き詰まったとか、仕事がどうもわからないとかいう困難を漏らしておったというような点からいくと、頭の柔軟な三十代ならあれだけれども、四十九歳にもなってなれない仕事をさせられるということには相当の苦痛があったのじゃないか。それが本人をノイローゼに追い込んだ原因じゃないだろうか、こういわれておるわけですが、そういう点からいっても何らかのそういう配慮というものが必要だということを私感ずるのですがね。
  173. 吉國一郎

    ○吉國説明員 私直接聞いておりませんが、署長からの報告によりますと、本人が十二指腸かいようその他のことで薬を飲んだりいたしておりまして、外部に出る仕事がつらいというので内部の仕事に回ってもらった。これは署長会議で配置転換できますので。それで本年四月の身上申告書には、その仕事を続けたいということを記録しているのでございます。ただその後、仕事がうまくいかぬというようなことからやはりかえてもらいたいというので、かえるということを署長も考え、本人もそれを知っておったそうでございます。その点は私も報告を受けておりますので、なぜそれがその後自殺に至ったかという点については、私もはっきりその点をつかめずにおりますけれども、その点、署長としては非常に身上に注意をいたしまして、本人のためを思ってやって、また本人の希望に従って配置がえも考えておったというのが実情のようでございます。
  174. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 そうすると、この奥さんが、その自殺される前の日に署長のところにそういうことを、配置がえをお願いに行くなんということはあり得るのですか。ちょっとおかしいのじゃないですか。
  175. 吉國一郎

    ○吉國説明員 報告によりますと、その事情を聞いて、局に行って手続をとったということを署長は言っておるわけでございます。
  176. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 だから私ちょっとわからないのですが、奥さんの話では、もとのところへ戻してもらいたいというお願いに署長のところへ行っておるわけですね。本人に今度かえてやるという話があれば、そんなのは行くわけがないじゃないですか。
  177. 吉國一郎

    ○吉國説明員 それは本人が知っているそうでございます。四月には事実上かわった後の仕事を続けたいということを書いてあるので、署長がその後本人の意思等を聞いて、かえるということをきめていた。おそらくそこへまた奥さんが二重に行かれたのではないかと私は思います。事実、局に行って配置転換の手続もしてきておりますから、いわば行き違いがあったという点があるのかもしれません。その点は私は非常に不幸な行き違いがあったのかもしれぬとは思いますけれども、管理者としては、私は川崎北の署長がずいぶん気をつけてやっておったということは認められると思います。
  178. 阿部助哉

    ○阿部(助)委員 どういうあれなのか、その後なくなった人のお話を聞くわけにいきませんけれども、不幸にしてこういう事件が出るというようなこともある。やはり皆さんの役所はほかの役所と違って異動が多いということはみんな覚悟しておられるだろうし、私もそれは認めざるを得ない。認めます。だけれども、それだけにやはり皆さんのほうでもそういう点で精神的な準備をさせる必要もあるだろう。そういう点で私は、やはり長官のほうから自分の部下に対して、あなたが人事院へわざわざおいでになって待遇改善を要請なすったという気持ちでこの問題に対処していくべきじゃないか。それでなければ、いまのあなたのお話の中では、やはり税務署だからしようがないんだ、めんどうくさいからやってしまうんだということでは、どうも職員に対するあまりにも一方的なやり方じゃないか。民主主義の原則からいって、困難だろうけれどもやはり話し合いの場をつくっていくという方向で努力をされるということを希望します。皆さんなかなかうんと言わぬだろうけれども、これは懸案でまた問題を持ち出してやる以外手がなさそうでありますが、私はこの問題は長官の答弁には合点がまいりません。それだけ念を押して私の質問を終わります。
  179. 藤井勝志

    藤井委員長代理 小林政子君。
  180. 小林政子

    ○小林(政)委員 私冒頭に委員長に申し上げたいと思います。  きょうのこの委員会運営のあり方は一体どうしたということなんですか。私、四時以降の時間でございますので、いま阿部先生が相当の時間をおとりになっておやりになられたことについては、またその内容からいってもきわめて重要な問題でございますので、この点についてはけっこうだというふうに考えますけれども、少なくともきょうの理事会において、大臣が四時までしかおられない。したがって委員会は四時までにできるだけ終了するということで意思統一が行なわれたわけでございます。したがって、私どももこの理事会でのきめられた事柄については尊重し、時間の問題等についても当然短縮されるということはこれはやむを得ないことである、このように考えて委員会中も準備をいたしたわけでございますけれども、議席を見ればほとんどの議員はもう帰られたあとであって、おそらく約束の四時ということであればこれもまたやむを得ない措置なのかもしれませんけれども、私といたしましては、少数党の発言といえども——やはり私ども理事会の意向というものは十分尊重いたしておりますし、当然少数党の意見というものはもっと尊重してもらう必要があるのではないかというふうに考えます。冒頭この点について委員長に御返答をお願いいたしたいと思います。
  181. 藤井勝志

    藤井委員長代理 小林委員のただいまの御意見に対して私の意見を申し述べます。  きょう十二時半から約三十分理事会を開きまして、大臣の出席の時間、午後二時から四時、しかも四時以降NHKのなま放送があるのでかっちりやめてもらわざるを得ないと確認をしまして、しかも相当数の質問者があるので、時間の配分については質問者側において調整してもらう、こういった前提で委員会を開いたわけでございます。したがって大臣の時間が来る前に、わずかな時間でありましたけれども、五分有余をわざわざ繰り上げてあなたの質問に充てたわけでございまして、そのような配慮をいたしました当委員会の運営について、小林委員からただいまのような御発言を受けようとはさらさら思わなかった、意外千万の何でありました。委員の数が少なくなったということも、これまた私が一々ひもをつけてここにおってもらうわけにいかない。これは残念なことでありますけれども。したがって、ただいまの御意見に対しては、私は別に委員会の運営がまずかったとか、少数者の意見を封じるとか、少数党の意見を軽視するとか、こういう考え方はさらさらない。とんだ誤解である、このように思うわけでございまして、大臣こそおられませんけれども、大臣にかわる副大臣がここにちゃんと残っておられます。したがいまして、委員の数こそ少ないけれども、決してあなたの発言を封じる考えはございませんので、まあせいぜい、夕飯もだいぶ近うなったので、できるだけ早うひとつ切り上げていただきたいと希望を申し述べてお答えにかえます。
  182. 小林政子

    ○小林(政)委員 ただいま委員会運営について、私はむしろもっと率直な、ほとんど委員がいなくなってしまうようなこの委員会運営というものはきわめて好ましい形ではないというような、誠意のある御答弁があるものというふうに予想いたしておりましたけれども、ただいまの御答弁はきわめて残念であります。しかし時間も経過するばかりでございますので、私は直ちに先ほどの続きの質問に入りたいというふうに思います。  中小企業経済界に占めるウエートというものは非常に大きなものであって、日本企業の場合九五%以上が中小企業である、このように考えております。したがって、日本経済中小企業が果たしてきた役割りというものは、非常に大きな役割りを果たしてきている。しかし先ほど来からお話ございますとおり、中小企業の場合には非常に弱い状態にある。こういう中で特別、中小企業金融というものは、中小企業のいま置かれております実態からしても、一般の民間の金融ベースのほかに、国の制度として積極的な施策を打ち出していくことがきわめて当然であろう、私はこのように考えます。特に最近地方自治体等では、東京あるいは京都、大阪などでも無担保無保証融資が保証協会の保証保険というもので行なわれておりますけれども、これらの制度融資を国民金融公庫で実施をする意思があるのかどうか、私はこの点についてお伺いをいたしたいと思います。
  183. 結城茂

    ○結城説明員 ただいまのお尋ねについてお答えいたします。  ただいまの制度金融の問題でございますが、京都その他都道府県で行なっておりますところの制度金融は、御承知のとおり都道府県等が金融機関に対して特別の預託等を行ないまして、その見返りといいますか、そういうことを一応の担保にしまして低利の融資をしてもらうということが一つの要件になっております。したがいまして、にない手はあくまでも民間金融機関になるというのが実情でもございますし、本来国民金融公庫は政策金融といいますか、あるいは一般的な金融ということをやっておりますので、その問題とは別な問題だというふうに考えております。したがいまして、ただいまの保証の問題につきましても、民間金融でやるものであるからして、その民間金融のリスクをカバーするということをも含めて、片方で信用保証協会が信用保証をするというような仕組みに相なっているわけでございます。
  184. 小林政子

    ○小林(政)委員 地方自治体がいま行なっております、いわゆる無担保無保証の融資の制度の内容についてはいまお答えございましたとおり、私も内容は存じておりますけれども、特に中小企業までいかないといいますか、零細と申しますか、こういった企業の中ではこの制度が非常に喜ばれ、また活用もされているわけでございますし、同じ中小零細企業金融機関として政府が行なっている国民金融公庫等が、少なくとも地方自治体が現在行なっているこのような無担保無保証の融資制度をとってほしいという声はやはり非常に強いわけでございます。これらの問題については、もちろんいま自治体が直接行なっているものとは違うにしても、これを今後適用をしていこう、あるいは検討をするというようなお考えは全くないのかどうか。私どもはぜひこれを十分検討していただいて行なってもらいたい、このように考えますけれども、もう一度御答弁をお願いいたしたいと思います。
  185. 結城茂

    ○結城説明員 国民金融公庫は御承知のとおり政府金融機関でございます。先生おっしゃいましたいわゆる保証という点は、むしろ政府金融機関の場合にはしないようにという指導をさしております。したがいまして、政府金融機関の場合にはそういう信用保証協会等の保証は原則としてとらないというのがむしろたてまえになっております。  それから政府金融機関の融資でございますので、国民金融公庫の目的にもございますように、民間金融機関の融資困難なものというものはもちろん一つの条件になるわけで、いわゆる補完金融をやっております。ただ国民金融公庫あるいは政府金融機関といいましても独立の金融機関でございますので、無担保でリスクのあるものを貸すということはなかなかむずかしいわけでございまして、償還の確実なものということが当然前提になるのじゃないかというふうに考えます。
  186. 小林政子

    ○小林(政)委員 特別小口保険の限度額の引き上げの問題、これについても、四十二年六月十四日、中小企業信用保険法の一部改正法案が通りましたときに、速記録を見てみますと、附帯決議としてこの問題等が取り上げられております。もっとこの限度額を引き上げるべきではないか、あるいはまた他種の保険との併用も検討すべきではないか、あるいは具備すべき要件の緩和についてどのようにこれを制度化していくか、こういった問題について附帯決議がつけられておりますけれども、この附帯決議の尊重といいますか、こういった問題についてはどのような具体的な対策がその後進められているのか。私ども伺っているのでは、この特別小口保険の限度額の引き上げというようなことについて特段と手がつけられたというようなことは聞いておりませんけれども、その点について考え方をお伺いいたしたいと思います。
  187. 結城茂

    ○結城説明員 ただいまの附帯決議の問題でございますが、御承知のとおり特別小口保険といいますのは、常時使用する従業員五人以下のきわめて小規模な限られた企業に対する融資の保険ということになっております。特別小口保険はただいま保険限度が五十万になっておるわけでございます。その金額の限度を引き上げるべしという附帯決議はもちろん承知しておりますが、保険公庫の財政はここ三年ほど前からきわめて悪化しております。四十三年度で約六十億の赤字を出しております。四十四年度はさらに三十五億の赤字、また本年度は十六億円の赤字が予想されるというふうに、保険公庫の財政はここのところ非常な窮迫を告げております。そんなわけで、ただいま保険公庫につきまして、あるいは信用補完制度につきましては、財政をまず建て直すというのが急務であるということでいろいろな対策を講じております。そういうことでございますので、考え方としまして、ただいま保険限度を引き上げるということについてはわれわれのところもむずかしいのじゃないかというように思っております。  それからもう一点、特別小口の問題につきましては特に制度上、御承知のとおりでございますが、この制度は零細者の金融に対する保険ということで、できるだけ簡便に保険をさせるようにということで実質的な審査を省略する。一定の都市に一年間居住すればよろしいとか、あるいは納税していればよろしい、居住要件と納税要件だけ満たせば、あとは書面だけで保険させるかどうか認定するというような簡便な制度をとっております。その反面で金額限度を五十万というように限っておるわけであります。一方、金額限度を引き上げるということになりますと、保証協会のほうにも保険公庫のほうにもリスクがかぶってくるわけでございます。そうしますと、勢い保証についても保険についても慎重にならざるを得ない、こういう面が出てくるわけでございます。まあ簡便に多くの方々に利用してもらうために形式的な要件で処理できるような仕組みということからすると、やはり保険限度もおのずから限界があるのじゃないか、こういうように考えております。  それから附帯決議の問題につきましては、その後の問題としまして、ただいまのように保険限度五十万ということは引き上げておらないわけでございますが、御承知の無担保保険というのがございます。それは三百万まで保険できるような無担保の保険でございます。従来は、特別小口というのは先ほど申しましたように非常に特別な制度ということでつくられておりますので、併用は認めていなかったわけでございますが、五十万で金額が限られておりますので、これをこえて保険をしてもらわなければいかぬというものにつきましては、附帯決議等も尊重いたしまして、たとえば百万まではそのまま無担保保険に移行できる、こういうような制度を考えております。そしてまたそのものにつきましては、通常無担保保険の場合の料率は一厘五毛でございますけれども、百万までについては一厘二毛ということで優遇レートを立てておりまして、特別小口の実質的な補完ということを実施いたしております。  以上でございます。
  188. 小林政子

    ○小林(政)委員 現行の特別小口保険の限度額は一応、まあ簡便に多くの人たちに利用してもらうということで五十万円という限度額は動かしていないというお話でございましたけれども、最近の状況等を見てみますと、やはり五十万では一般では帯に短したすきに長しというようなことで、一つの目的を持って融資を受けたいという場合には、どうしても五十万では最近何をやるにしてもきわめて少額である。地方自治体等が行なっております無担保無保証の融資も、東京都の場合ですと、三十万、六十万、八十万、百万と年々増額もしているわけですから、政府の行なっております中小企業対策の中での大きなウエートを占めております金融公庫については、少なくとも現在のこれを三倍なり四倍なりに限度額を引き上げていく、これがやはり中小企業に対して最もいま要望されている内容ではないだろうか、このように考えます。もちろん多くの人たちに数多く利用してもらうということで、そういうお話ですけれども、それと同時に、実際に必要な額が必要なときに借りられるというような制度こそ、一般の銀行等との取引のない中小零細の業者の場合には非常に重要だというふうに考えます。この点についてはぜひひとつ検討をしていただきたいし、私はいまの政府の信用保証機構というもので保証していけば、現在金繰りに困っておりますいまの中小企業の当面している資金運用、金繰りというものの危機をやはりここでもって解決することができるというふうに考えておりますけれども、これらの点についてもう一ぺんお伺いをいたしたいと思います。
  189. 結城茂

    ○結城説明員 ただいまの点でございますが、保険制度でございますので、全部保険にしわが寄ってしまうということであると保険財政というものはもたないわけでございます。したがいまして、やはり保険財政といいましても、保険料率の中あるいは保険財政収支の中でカバーしていただく、こういうことが前提になるわけでございまして、そういうたてまえからいたしますと、無担保無保障ということは、完全にその事業そのものについての担保力というのはある意味で非常に乏しいわけでございます。そういうところからして、やはり地方の保証協会等につきましても、保証協会にも同時にそのリスクがかぶってくるわけでございますからして、金額限度を引き上げるということになりますと中身も審査しなければいかぬ、十分人も見なければならぬというようなことで、保証するときの審査のしぶりその他にも、いまのような簡単なしぶりですぐ簡便に処理する、こういうことがむずかしくなるという問題があるということは、無担保無保証の場合には考えておく問題点じゃないかというふうに思っております。  それから二百万、三百万というような多額の資金需要というものはもちろんあろうかと思いますが、それらにつきましても、ただいまの保険制度の中でも無担保保険という制度がございますわけです。これは三百万以下であれば無担保で保険が得られるわけでございますので、やはり事業のめどがあり、はっきりした事業計画を持って、計画を立ててやられるというのであれば必ずしも無担保無保証という特別なものではなくて、通常の無担保保険でカバーできる、こういう道も十分残されているわけでございます。繰り返すようでございますが、特別小口保険というのは形式的な審査で迅速に処理する、こういうことで金額限度を限って設けた、こういうものであるだけに、やはり金額上の制約があるということを申し上げておきたいと思います。
  190. 小林政子

    ○小林(政)委員 私、中小企業金融のあり方というようなものについては、先ほども、政府の信用保証、こういったようなものによって当面のこの危機を乗り切っていくことができるのではないかということを申し上げたわけですけれども、いまの現状等考えてみますと、倒産件数等も、先ほど来の答弁では一応昨年に比べてもそう大きな数ではないというふうにいわれておりますけれども、しかし、負債一千万以上の倒産件数は発表はされておりますけれども、いわゆる零細企業の場合にはその倒産件数の中にはもちろん入らない。したがって仕事を変えるとかやめてしまうとか、こういったようなものが非常に最近ふえてきているわけです。ですから、零細も含めて、中小零細業者のいまの金融の実態というものは決してそう甘いものではなくて、むしろ最近大企業がある程度下請化というような形で若干見てはきたような動きはありますけれども、しかし最近の金融引き締めの中で、そのしわ寄せというものはどうしても中小零細企業のほうへ相当大きく、手形の引き延ばしというような形であらわれてきております。これらの問題について積極的な政府資金の増大、そして中小企業貸し出しの問題等について抜本的な対策を立ててくださることを強く要望をいたしておきたいというふうに思います。  最後に一点だけ、歩積み・両建ての問題等につきましては、これは四十四年十一月の公正取引委員会調査、あるいはまた拘束預金率の問題等について何回かにわたってずっと通達が出されておりますけれども、しかし中小業者の方々にお話を聞いてみますと、特に相互銀行の場合は数字でも二四・八%、信用金庫の場合には二八・四%。業者の方々に聞いても、どうしてもこの問題がひっかかってしまうということで、実際には一般の金融機関等になかなか行けないような現状だということがいわれておりますけれども、このような歩積み・両建ての問題あるいは拘束預金の問題について、はっきりと禁止させるための、行政指導ではなく強い規制というようなものは何かとれないものなのかどうなのか、この点について最後にお伺いをいたしたいと思います。
  191. 近藤道生

    ○近藤説明員 ただいまの歩積み・両建ての問題につきましては、いわゆる第一ラウンド、第二ラウンドというものを通じまして、かなり計数的には改善を見てきておるわけでございますが、まだ実際の問題といたしましては、なかなか根の深い問題でございますだけに、今後ともいろいろな方面でこの規制については努力をしていかなければならないと思います。  その方法といたしましては、たとえば金融機関検査の際、重点項目として検査指導をする、あるいは公正取引委員会と密接な連絡を保って実効ある規制を進めるということ、それからまたさらに、やはり歩積み・両建ての根本的な原因といたしましては、形の上での預金の量を競うということ、これが一番根本的な原因一つとしてございますので、金融機関全体の経営態度が、いたずらに量の競争に走らず質の競争に向かうというようなことを考えてもらうような方向で、いろいろと行政指導がなされてきたわけでございます。  それから最後に、歩積み・両建てにつきましては、やはり債務者側が泣き寝入りをされるということになりますと、私どももなかなかつかみにくいわけでございまして、これはせっかく苦情相談所というようなものも設けてありますので、できるだけこれを活用してもらう。それを活用してもらうことによって、債務者の不利になるようなことはこちらもいたしてはおりませんので、そういうものをできるだけ活用してもらうと同時に、金融機関が債務者に対する拘束の有無の通達というようなことを必ず励行してもらうというような方法を通じて、両建て・歩積みというものについての規制を進めてまいりたいというふうに考えております。
  192. 小林政子

    ○小林(政)委員 以上で私の質問は終わります。
  193. 藤井勝志

    藤井委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後五時十分散会