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1970-05-07 第63回国会 衆議院 大蔵委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十五年五月七日(木曜日)委員長の指名で、 次の通り小委員及び小委員長を選任した。  税制及び税の執行に関する小委員       宇野 宗佑君    佐伯 宗義君       地崎宇三郎君    中島源太郎君       丹羽 久章君    坊  秀男君       森  美秀君    山下 元利君       吉田  実君    中嶋 英夫君       広瀬 秀吉君    八木  昇君       貝沼 次郎君    春日 一幸君  税制及び税の執行に関する小委  員長             山下 元利君  金融及び証券に関する小委員       上村千一郎君    奥田 敬和君       木野 晴夫君    木部 佳昭君       木村武千代君    高橋清一郎君       登坂重次郎君    藤井 勝志君       松本 十郎君    阿部 助哉君       平林  剛君    堀  昌雄君       二見 伸明君    竹本 孫一君  金融及び証券に関する小委員長 藤井 勝志君  財政制度に関する小委員       奥田 敬和君    坂元 親男君       田村  元君    原田  憲君       福田 繁芳君    松本 十郎君       村上信二郎君    吉田 重延君       広瀬 秀吉君    堀  昌雄君       美濃 政市君    松尾 正吉君       永末 英一君    小林 政子君  財政制度に関する小委員長   村上信二郎君 ————————————————————— 昭和四十五年五月七日(木曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 毛利 松平君    理事 上村千一郎君 理事 藤井 勝志君    理事 村上信二郎君 理事 山下 元利君    理事 広瀬 秀吉君 理事 松尾 正吉君    理事 永末 英一君       奥田 敬和君    木野 晴夫君       木部 佳昭君    佐伯 宗義君       坂元 親男君    田村  元君       高橋清一郎君    地崎宇三郎君       登坂重次郎君    中島源太郎君       丹羽 久章君    原田  憲君       福田 繁芳君    坊  秀男君       松本 十郎君    森  美秀君       吉田  実君    阿部 助哉君       堀  昌雄君    美濃 政市君       貝沼 次郎君    二見 伸明君       春日 一幸君    竹本 孫一君       小林 政子君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君  出席政府委員         大蔵政務次官  中川 一郎君         大蔵省主計局次         長       橋口  收君         運輸政務次官  山村治郎君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部長 山口 真弘君  委員外出席者         総理府恩給局恩         給問題審議室長 大屋敷行雄君         大蔵省主計局給         与課長     谷口  昇君         大蔵委員会調査         室長      末松 経正君     ————————————— 五月六日  減税に関する請願堂森芳夫紹介)(第六五  四一号)  同(内藤良平紹介)(第六五四二号)  同(中井徳次郎紹介)(第六五四三号)  同(中澤茂一紹介)(第六五四四号)  同(中嶋英夫紹介)(第六五四五号)  同(中谷鉄也紹介)(第六五四六号)  同(中村重光紹介)(第六五四七号)  同(楢崎弥之助紹介)(第六五四八号)  同(成田知巳紹介)(第六五四九号)  同(西宮弘紹介)(第六五五〇号)  同(芳賀貢紹介)(第六五五一号)  同(長谷部七郎紹介)(第六五五二号)  同(畑和紹介)(第六五五三号)  同(華山親義紹介)(第六五五四号)  同(原茂紹介)(第六五五五号)  同(日野吉夫紹介)(第六五五六号)  同(平林剛紹介)(第六五五七号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六五五八号)  同(藤田高敏紹介)(第六五五九号)  同(古川喜一紹介)(第六五六〇号)  同(細谷治嘉紹介)(第六五六一号)  同(堀昌雄紹介)(第六五六二号)  同(松浦利尚君紹介)(第六五六三号)  同(松沢俊昭紹介)(第六五六四号)  同(松平忠久紹介)(第六五六五号)  同(松本七郎紹介)(第六五六六号)  同(三木喜夫紹介)(第六五六七号)  同(三宅正一紹介)(第六五六八号)  同(美濃政市紹介)(第六五六九号)  同(八百板正紹介)(第六五七〇号)  同(八木昇紹介)(第六五七一号)  同(安井吉典紹介)(第六五七二号)  同(柳田秀一紹介)(第六五七三号)  同(山口鶴男紹介)(第六五七四号)  同(山中吾郎紹介)(第六五七五号)  同(山本幸一紹介)(第六五七六号)  同(山本政弘紹介)(第六五七七号)  同(山本弥之助紹介)(第六五七八号)  同(横路孝弘紹介)(第六五七九号)  同(横山利秋紹介)(第六五八〇号)  同(米田東吾紹介)(第六五八一号)  塩専売制度存続に関する請願外一件(赤城宗徳  君紹介)(第六五八二号)  同(井岡大治紹介)(第六五八三号)  同(石井一紹介)(第六五八四号)  同外二件(内田常雄紹介)(第六五八五号)  同(大村襄治紹介)(第六五八六号)  同(加藤陽三紹介)(第六五八七号)  同外一件(鹿野彦吉君紹介)(第六五八八号)  同外一件(亀山孝一紹介)(第六五八九号)  同(小坂善太郎紹介)(第六五九〇号)  同外二件(小平久雄紹介)(第六五九一号)  同(佐伯宗義紹介)(第六五九二号)  同(佐々木義武紹介)(第六五九三号)  同(篠田弘作紹介)(第六五九四号)  同(菅波茂紹介)(第六五九五号)  同(砂田重民紹介)(第六五九六号)  同外一件(田澤吉郎紹介)(第六五九七号)  同(田村元紹介)(第六五九八号)  同(竹内黎一君紹介)(第六五九九号)  同(中村弘海紹介)(第六六〇〇号)  同外一件(中山正暉紹介)(第六六〇一号)  同(西岡武夫紹介)(第六六〇二号)  同(野中英二紹介)(第六六〇三号)  同外二件(野原正勝紹介)(第六六〇四号)  同(羽田野忠文紹介)(第六六〇五号)  同(葉梨信行紹介)(第六六〇六号)  同外一件(長谷川四郎紹介)(第六六〇七  号)  同外一件(橋本登美三郎紹介)(第六六〇八  号)  同外五件(服部安司紹介)(第六六〇九号)  同外二件(浜田幸一紹介)(第六六一〇号)  同(原健三郎紹介)(第六六一一号)  同(原田憲紹介)(第六六一二号)  同外一件(堀昌雄紹介)(第六六一三号)  同(正木良明紹介)(第六六一四号)  同外二件(益谷秀次紹介)(第六六一五号)  同外二件(三木武夫紹介)(第六六一六号)  同外一件(三原朝雄紹介)(第六六一七号)  同(水野清紹介)(第六六一八号)  同(武藤嘉文紹介)(第六六一九号)  同外一件(森下元晴紹介)(第六六二〇号)  同(山手滿男紹介)(第六六二一号)  同外四件(山村治郎紹介)(第六六二二  号)  同(渡辺美智雄紹介)(第六六二三号)  同外一件(天野光晴紹介)(第六七五六号)  同(有田喜一紹介)(第六七五七号)  同(有馬元治紹介)(第六七五八号)  同(池田清志紹介)(第六七五九号)  同(池田禎治紹介)(第六七六〇号)  同外四件(小此木彦三郎紹介)(第六七六一  号)  同(小沢辰男紹介)(第六七六二号)  同外二件(大久保武雄紹介)(第六七六三  号)  同(仮谷忠男紹介)(第六七六四号)  同(木野晴夫紹介)(第六七六五号)  同(木部佳昭紹介)(第六七六六号)  同外四件(木村武千代紹介)(第六七六七  号)  同外一件(鯨岡兵助紹介)(第六七六八号)  同外一件(佐々木良作紹介)(第六七六九  号)  同(笹山茂太郎紹介)(第六七七〇号)  同(正示啓次郎紹介)(第六七七一号)  同(渡海元三郎紹介)(第六七七二号)  同(永田亮一紹介)(第六七七三号)  同(橋本龍太郎紹介)(第六七七四号)  同外一件(早川崇紹介)(第六七七五号)  同(藤波孝生紹介)(第六七七六号)  同(松浦周太郎紹介)(第六七七七号)  同(松野頼三君紹介)(第六七七八号)  同(三木喜夫紹介)(第六七七九号)  同(毛利松平紹介)(第六七八〇号)  同(粟山ひで紹介)(第六七八一号)  同(吉田実紹介)(第六七八二号)  同(赤澤正道紹介)(第六九一一号)  同外一件(稻葉修君紹介)(第六九一二号)  同(小澤太郎紹介)(第六九一三号)  同外一件(小沢辰男紹介)(第六九一四号)  同(大西正男紹介)(第六九一五号)  同(草野一郎平紹介)(第六九一六号)  同(小島徹三紹介)(第六九一七号)  同外三件(河本敏夫紹介)(第六九一八号)  同(佐藤守良紹介)(第六九一九号)  同外二件(櫻内義雄紹介)(第六九二〇号)  同(田中伊三次君紹介)(第六九二一号)  同(田中龍夫紹介)(第六九二二号)  同(田中正巳紹介)(第六九二三号)  同(高橋清一郎紹介)(第六九二四号)  同(渡海元三郎紹介)(第六九二五号)  同(西村直己紹介)(第六九二六号)  同(早川崇紹介)(第六九二七号)  同(三池信紹介)(第六九二八号)  同(村山達雄紹介)(第六九二九号)  同外三件(山口敏夫紹介)(第六九三〇号)  同(渡辺肇紹介)(第六九三一号)  退職公務員医療制度に関する請願大村襄治  君紹介)(第六六二四号)  同(亀山孝一紹介)(第六六二五号)  同(佐伯宗義紹介)(第六六二六号)  同(西岡武夫紹介)(第六六二七号)  同(野原正勝紹介)(第六六二八号)  同(八田貞義君外一名紹介)(第六六二九号)  同(益谷秀次紹介)(第六六三〇号)  同外二件(三木武夫紹介)(第六六三一号)  同(木村武千代紹介)(第六七五一号)  同(徳安實藏紹介)(第六七五二号)  同(中垣國男紹介)(第六七五三号)  同(別川悠紀夫君紹介)(第六七五四号)  同(古井喜實紹介)(第六七五五号)  同(赤澤正道紹介)(第六九四〇号)  同(秋田大助紹介)(第六九四一号)  同(上村千一郎紹介)(第六九四二号)  同(加藤六月紹介)(第六九四三号)  同(鯨岡兵輔紹介)(第六九四四号)  同外一件(渡海元三郎紹介)(第六九四五  号)  同(中川俊思君紹介)(第六九四六号)  同外二件(広沢直樹紹介)(第六九四七号)  共済年金調整に関する請願外二件(三木武夫  君紹介)(第六六三二号)  同(秋田大助紹介)(第六六三三号)  同(秋田大助紹介)(第六九三八号)  同外二件(広沢直樹紹介)(第六九三九号)  自動車新税創設反対に関する請願高橋英吉君  紹介)(第六六三四号)  貴石貴金属製品等第一種物品税方式改正に関  する請願木野晴夫紹介)(第六七八三号)  同外一件(木村武千代紹介)(第六七八四  号)  同(倉石忠雄紹介)(第六七八五号)  同(大橋敏雄紹介)(第六九三三号)  同(佐々木秀世紹介)(第六九三四号)  同(広沢直樹紹介)(第六九三五号)  貴石貴金属製品等第一種物品税撤廃に関する  請願浦井洋紹介)(第六九三二号)  支那事変賜金国債償還に関する請願外二件(山  口敏夫紹介)(第六九三六号)  映画等入場税減免に関する請願河本敏夫君  紹介)(第六九三七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  清酒製造業の安定に関する特別措置法案内閣  提出第六五号)  昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十  四年度における旧令による共済組合等からの年  金受給者のための特別措置法等規定による年  金の額の改定に関する法律等の一部を改正する  法律案内閣提出第六六号)  昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十  四年度における公共企業体職員等共済組合法に  規定する共済組合が支給する年金の額の改定に  関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の  一部を改正する法律案内閣提出第一〇四号)  閉鎖機関令規定によってされた信託の処理に  関する法律の一部を改正する法律案起草の件      ————◇—————
  2. 毛利松平

    毛利委員長 これより会議を開きます。  昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 恩給局来てませんか。——まだ恩給局が来ませんので、運輸省大蔵省のほうからお聞きいたします。  恩給あるいは共済年金関係で、いつもこの委員会法案がかかるたびに最大の問題になりますのは、今日の異常な消費者物価の値上がり、それに伴う名目賃金向上、そしてさらに生活水準が逐次向上をするという問題の中で、依然として年金水準というものが一般公務員公企体職員など、現職の給与と年金算定基礎になる仮定俸給の乖離というものが進行をしていくわけであります。  そういうようなことで、この皆さんから出してもらった資料を見ましても、たとえば昭和四十年、年金算定基礎になる平均仮定俸給が四十年四万三百七円である。賃金水準は、在職者平均で三十二年目の者五万一千五百円、こういうことで一万一千五百円ばかりの差があった。これが四十一年になりますと、仮定俸給が四万二千百十一円、これに対して五万六千五百円。四十二年は四万六千三百九十二円に対して六万八百円。四十三年は五万一千三百四十九円に対して六万五千四百円というように、だんだんその差が大きくなっていくわけですね。こういうところに今日年金生活をしている人たちが非常に不満を持ち、政府のあたたかい政策というものが、これら老境を迎えて年金生活に入っている人たちにとってまさに冷酷な政府と映る根源があるわけであります。  これを根本的に解決する道は、やはり物価あるいは賃金水準生活水準というようなものにスライドさせた年金改定というものをやっていかなければいけないのではないか、こういうことになるわけでありますが、国家公務員関係を扱っている大蔵省、また公共企業体関係共済組合をあずかっている担当省運輸省は一体どのようにこの問題を考えておられるか。毎年毎年もうすでに附帯決議をすること七、久年、約十年近くにも及んでいるわけです。毎回附帯決議をつけながら、しかも調整規定、いわゆるスライド規定といわれるものがそれぞれの法律に取り入れられておる。そういう段階でありながら今日なお実現をしない。十年近くもたなざらしにされているこの問題について、しかも年金が相対的に物価に比較して低目になっているという状況はいささかも変わらないばかりか、より一そうひどさを増しているという事態を踏まえて、一体この問題についてどういう基本的な考えをおとりになろうとするのか、その考えをこの際明確にしていただきたいと思うわけです。
  4. 橋口收

    橋口政府委員 近代的福祉国家における老後の生活保障の問題は非常に大きな問題であるわけでございます。昨年の当委員会におきましても、広瀬先生大蔵大臣との間に質疑応答が繰り返されたわけでございます。いわゆるスライド問題という名前で呼ばれております年金額調整の問題でございます。これは御承知のように、昭和四十二年に社会保障制度審議会から政府に対して申し入れをちょうだいいたしておるわけでございます。現在の各種公的年金の相互の連絡調整バランス等につきまして、少なくとも二、三年の間に検討をして結論を出すようにというアドバイスをちょうだいいたしておるわけでございます。で、審議会申し入れを受けまして、政府には御承知のように公的年金制度調整連絡会議というものを設けまして、今日まで検討いたしてまいってきているわけでございます。  ただ、検討の過程におきまして、各種公的年金にはそれぞれ沿革もあり、また給付水準内容等につきましても相当大きな格差があるわけでございます。また保険財政基盤につきましても、それぞれ沿革的な理由等に基づく相違があるわけでございます。したがいまして、今日まで検討を重ねてまいりましたが、ただいまの時点におきましてまだ最終的な結論を得るということには至っておらないわけでございます。  ただ、一方におきまして、公的年金の一種といわれております恩給につきましては恩給審議会答申もあり、四十四年、四十五年で相当程度過去のいわゆる積み残し分についての処置をしたように承知をしているわけでございます。恩給審議会答申一つ年金制度調整に関する考え方を明示いたしておるというように考えております。ただ、いわゆる共済組合恩給制度とは基本的な性格を異にいたしておりますので、恩給審議会考え方あるいは恩給改正のベースになった考え方をそのまま共済制度に採用するということはむずかしいかと思いますが、冒頭に申し上げましたように、近代的な福祉国家における生活を保障する、こういう基本的な考え方に基づきまして、前向きに検討してまいりたいというように考えております。
  5. 山口真弘

    山口(真)政府委員 お答え申し上げます。  物価騰貴に基づくところの年金者に対する給付改定につきましては、毎年恩給法改定等に関連いたしまして公共企業体職員共済組合法改正等をいたしておるわけでございますが、先生がおっしゃいましたように、この措置恩給にならう措置でございまして、いわば自動的なやり方ということはいわざるを得ないわけでございまして、根本的にはただいま大蔵省から申し上げましたように、公的年金制度調整連絡会議というもので十分に検討の上、公企体共済組合としての合理的なスライド制というものを育てる必要があろうと思うのでございますが、まだ、先ほど大蔵省から申し上げましたように、十分に話し合いが煮詰まっておりません。今後ともできるだけ努力いたしまして、御趣旨に沿うようにスライド制実現ということに向かってまいりたい、このように思っております。
  6. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大蔵省に伺いますが、公的年金制度調整連絡会議もかなりの日月を要して今日に至っているわけですが、これは一体年に何回くらい会議をやって、そしてどういう審議状況にあるのか。その中でいま論議の対象になっているポイントといいますか、重点項目というのはどういうものなのか、こういう点について、この審議の進みぐあい、そしてこの結論を得る時期的なめど、その方向といいますか、目標といいますか、そういうようなものについて具体的にひとつそれらの問題を明らかにしていただきたいと思うわけです。
  7. 橋口收

    橋口政府委員 公的年金制度調整連絡会議は、昭和四十二年の七月に事務次官会議の申し合わせによりまして総理府に設置をされたわけでございます。自来、局長クラスの総会を五回、課長クラス幹事会を九回開催をいたしております。さらに昭和四十三年の八月からは、問題点整理及び報告の作成のために小委員会を設けまして、今日まで検討いたしておるわけでございまして、先ほどもお答え申し上げましたように、社会保障制度審議会申し入れでは二、三年の間に結論を出すようにという御注意をいただいておるわけでございます。それを受けて調整連絡会議が設けられたわけでございます。自来二年半程度経過いたしておるわけでございますので、できるだけ早く結論を出したいということで、今日においても、問題点整理と案文の起草に努力をいたしておるわけでございます。  その間、問題としてあげられました事項といたしましては、各種公的年金制度のいわゆる共通部分、共通的なものはどういうものなのか、あるいは各種公的年金制度に特殊ないわゆる個別部分というものはどういうものなのか。まず共通部分個別部分整理をいたしまして、共通的な部分につきましては、ある統一的な原理に基づいて調整することが可能ではないか、こういう問題意識を持って出発をいたしたわけでございます。しかしながら、論議を深めてまいりますにつれまして、先ほども申し上げましたように、各種公的年金制度固有性格というものが浮き彫りにされてまいりまして、特に一番性格のはっきりいたしておりますのはいわゆる恩給制度でございます。恩給につきましては、他の共済年金制度性格をかなり異にしておる面がございます。したがって恩給制度との調整をどうするかという問題、それから各種公的年金の中におきましても被用者年金とその他の年金という問題もございます。それから制度の発足の時点がかなり相違をいたしております。給付水準給付開始年齢等も異にいたしております。財政基盤先ほど申しましたようにかなり異なっております。そういう問題等浮き彫りにされてまいっておるのが現状でありまして、今日の時点において一つ答申に取りまとめをするということになりますと、かなり内容の希薄なものになるという心配もあるわけでございます。したがいまして、調整連絡会議検討期間は二年程度というふうになっておりますが、二年を経過いたしましてもさらに問題を取り上げて、調整連絡会議検討を進めたい、問題の性格等から見ましてさらに掘り下げて検討したいというのが現状でございます。
  8. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 スライド制実現するためにいろいろ困難な事情というものは、いまお述べになったような諸点があるだろうと思うわけであります。しかしもうすでに二年有半を過ぎて、今日約三年になんなんとするのに、いまだに雲をつかむような話ですね、いまの話を聞きますと。それでどうやら何か非常に中身の薄い、年金受給者が期待しているような方向とは受け取れないような方向へ議論がどうも進みがちだ、こういうようなことがあるわけです。  ところで、国民所得に対して公的年金給付というものが出されている額、その比率、こういうようなものが先進ヨーロッパ諸国に比較いたしまして、日本はいまやGNPにおいてもう自由世界第二位だといわれる段階に来ながら、この国民所得対長期の年金給付額というものがきわめて低率であり、低劣であるということが指摘されているわけでありますが、大体日本の場合に六・四%程度でございます。スウェーデンあたりですか、二〇%をこえている。西ドイツでも大体二〇%に近い、こういうような例があるわけでありますが、この点少なくとも七〇年代は六〇年代の経済発展の成果を踏まえまして、そしてこれをある程度持続させながら、やはり生産第一主義ということだけではなしに、ほんとうに国民福祉を増大する。新経済社会発展計画においても高福祉社会実現ということがいわれておるわけですが、そういう立場において、この点を一体どの辺まで、この七〇年代において、そして当面この問題のスライド制というようなものも含めて、対国民所得老齢年金を中心とした年金というものの率を引き上げていかれるおつもりなのか、こういうスケールの大きな問題についてどうお考えになっておられるか、この点をひとつ聞いておきたいと思います。
  9. 橋口收

    橋口政府委員 国民所得の中に占める社会保障の割合と申しますか、振替所得の割合でございますが、これは御指摘のありましたように、日本現状は先進諸国に比べてかなり低率にあるわけでございます。これは一つには日本の経済の性格にも由来をいたしております。あるいは日本の財政の特色の点から分析をいたしてみましても、財政の中に占める社会保障費の割合が相対的に依然として低位にある。財政の特色といたしまして、公共事業費、地方財政費が非常に大きなウエートを占めておるわけでございます。しかしながら、ここ十年くらいの経過を見ますと、日本の予算の中に占める割合で急増いたしておりますのは社会保障関係の経費でございます。一番ふえておりますのが地方交付金でございますが、その次に増加率の高いのが社会保障関係給付でございます。ただ日本の社会保障関係の経費の中でいわゆる医療保険、医療費の中に占める割合が非常に高いということも先生よく御承知のとおりであろうかと思います。そういう意味におきまして、ほんとうの振替所得と申しますか、ネガチブ・タックスと申しますか、そういう低所得者に対して所得を供与する、そういう形態のいわゆる社会保障費というものが今日依然として低位にあるわけでございます。  ただ、そういうものごとの半面といたしまして、国民所得に占めている租税負担の割合、社会保険料を含めた租税負担の割合というものは、日本は非常に低位にあるわけでございます。ことに社会保険料負担はおそらく数%程度であろうかと思います。それが西独あるいはフランス等におきましては十数%という非常に大きな負担をいたしておるわけでございます。これはいわゆる社会保険の世代間の負担という問題と関連をいたすわけでございます。したがいまして、日本の経済の体質が変化をいたしてまいりまして、いわゆる振替所得が国民所得の中で相当大きなウエートを占めるという過程におきましては、国民の社会保険料の負担、裏返して申しますと若い世代が古い世代を経済的に援助する、こういう理念の発展が背景に必要となってくるわけでございます。そういう各種の情勢の変化に基づきまして、おそらくは日本経済も一九七〇年代におきましては、先進諸国の型をあと追いするというかっこうになるというように予想されるわけでございますが、ただ、いまの時点におきまして、どの時点でどの程度になるかということは的確に申し上げることはむずかしいわけでございますが、先ほど申しました近代的な福祉国家の建設の過程におきましては、こういう経済社会の体質の変化があるということは予想いたしておるわけでございます。
  10. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 次官にお聞きをいたしますが、年金受給者は、これはいわば定まった額、定額所得なんですね。これはもうこの国会、この委員会等で、こういう法律をここ連続して、四十二年、四十三年、四十四年、四十五年と、こういうように四年連続年金額の引き上げをやってきているわけですが、それでも先ほど言いましたように、まだまだ一般的な賃金水準なり、物価水準の上昇、こういうようなものになかなかついていけない。相対的に年金の価値というものがどんどん失われていく。こういうようなことで、非常に苦しい老後の生活というものに、少なくとも退職時にはまだ余裕のある生活ができる状況にあった者が、その後の時代の変化に応じて、物価の上昇に応じて相対的に苦しい状況に追い込まれてきている。こういう実態に対して、責任ある副大臣の立場においてこの問題をどういうように——特に公共企業体関係は、運輸省が担当ということでありますが、こういう問題についてどのように次官お考えになっておられるのか、お聞きをいたしたいと思います。
  11. 山村新治郎

    山村政府委員 いわゆる年金、これは先生ただいままでおっしゃっておりましたように、いわゆる物価の上昇、これらを中心といたしまして、どうしてもスライド制というものを採用していかなければならない。そこで、運輸省といたしましては、いわゆる公共企業体関係、これらを持っておる立場からもスライド制、これを採用するように全面的にこれを推し進めていきたい。いろいろ先ほど来、次長、部長のほうの答弁もございますが、できるだけ前向きの姿勢でこれは進めていきたい、そういうぐあいに考えております。
  12. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いままでも、運輸大臣も大蔵大臣もそれに近い答弁を毎年されているわけです。しかも、先ほど主計局の橋口次長から答弁があったように、この問題を具体的に進める機関としては公的年金制度調整連絡会議、これがどうもその進みぐあいがはかばかしくないし、問題にならないような遅々たる歩みしかやってない。こういう問題に対して、あなたは少なくとも副大臣として、どういうぐあいにそういう停滞した作業の進捗状況に対して今後進められるか。お気持ちはわかりましたけれども、具体的にその連絡会議等の結論をどうやって急がせるようにするのか、そしてどういう方向でその結論を出すように具体的に努力されるおつもりなのか、その辺のところをもう一つ明確にしてもらわぬと、いままでと同じ答弁で、何年たっても同じ質問をし同じ答えが出てくる、こういうようなことでは、これはちっとも事態はよくならない。年金受給者、それぞれもうあと余命幾ばくもないというような人たちに、ほんとうに政治のあたたかい手というものがかくのごとく行ったということで喜ばしてあげるような、そういう人たちに喜んでいただけるような施策というものを早くやってあげなければならない。しかも物価上昇というようなものはどんどん進んでくる、テンポを早めているというような今日の状況に対して、具体的にどういう努力をされるか、この点を伺っておきたいと思うのです。
  13. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいままで先生にいろいろお答えしておった答弁の中で、いわゆる局長会議も五回行なっておる、そして課長会議も九回行なっておるということで、いろいろ問題点があるわけであります。その問題点を十分に見きわめまして、そして積極的に進めていく、そういうような姿勢でやっていきたいと思います。
  14. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 公企体自体もやはり独自な立場といいますか、公的年金全体の結論が出ないうちは——どうもその中で運輸省が代表しているんでしょうけれども、公企体の場合におきましてもこれはやはり何らかもう少し具体性のある態度なり、もっと明確なものを出しながら、やはりそういう会議にも臨んでいくというようなものが必要だろうと思うのです。そういう点について何らか公企体共済組合について御見解が示されなければならぬと私は思うのですが、その点いかがですか。
  15. 山口真弘

    山口(真)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、まことにこの問題は重要で、私どもとしても早急に結論を出さなければならぬことだと思っております。先ほど大蔵省から総括的に御答弁申し上げましたように、この問題は各種の組合間におきましていろいろ問題の相違点がございます。したがいまして、公企体共済組合といたしましても、公企体組合としての問題点並びに公企体共済組合としての望ましい姿というようなものを十分に見きわめまして、その上でその連絡会議の場におきましてそれを十分に反映させてまいるということが必要であろうかと思います。先生のおっしゃいましたように、今後そういう面にも力を注ぎまして、解決に努力してまいりたいというように考えます。
  16. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ちょっと数字をお聞きいたしますが、現在、公企体関係及び公務員関係、両方聞きますが、公務員共済の退職年金受給者年金水準と現職者の賃金水準というもの、これを資料のある限り新しいところでひとつ並べてお示しをいただきたい。
  17. 谷口昇

    ○谷口説明員 数字のことでございますので私から説明させていただきます。  まず、国家公務員共済組合の場合の組合員一人当たり本俸月額、これは平均昭和四十三年まで出ておりますが、昭和四十三年で月額で四万五千八百九十六円となっております。それから年金受給者状況国家公務員共済組合の場合でございますが、同じく四十三年度で退職年金で申しますと、これは年額でございますが、二十八万二千四百五十四円、一人当たりこのようになっております。
  18. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 もちろん年金受給者と現職者の間に若干の差があることは当然でありますが、四十五万対二十八万というような状況というものについてやはり非常に問題がある、こういうように指摘をせざるを得ないわけでありまして、この傾向というものはさらに大きくなっていく傾向があるわけですね。この点についてはどうお考えですか。
  19. 橋口收

    橋口政府委員 公務員の給与ベースにつきましては、毎年人事院勧告を受けてべース改定をいたしているわけでございますので、平均して最近の情勢で申しますと一〇%以上のベース改定があるわけでございます。ただ共済組合の退職年金受給者につきましては、御承知のように退職時前三年の俸給の平均に対して一定の退職年金の割合をかけて計算をするわけでございます。したがいましてそういう点で申しますと、退職時時点の俸給をベースとして計算するという公共企業体の方式と、制度のたてまえを異にいたしておるわけでございます。それから最高報酬につきましても、御承知のように十五万円の頭打ちがあるわけでございます。十五万円に対して一定の割合を計算して退職年金の額を計算する、こういう制度のたてまえになっておるわけでございますし、それから先ほど読み上げました数字は恩給制度を取り込んでおる数字でございますので、過去の恩給制度制度改善などがどのくらい進展するかという問題とも関連があるわけでございます。したがいまして、お尋ねがございました将来格差が広がるかどうかという点につきましては、議論がありますスライド問題、調整規定の運用いかんによって勝負がきまるというように考えております。
  20. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 調整連絡会議で議論をされている——これは恩給審議会答申にもあるわけでありますが、あるいは調整規定そのものにもある文言でありますが、物価あるいは賃金水準生活水準という、こういうものの上昇に見合った調整をしなければならぬ、こういうことなんですが、この連絡会議の中で、そしてまた大蔵当局として、この調整規定実現をはかるという立場においてどこに重点を置いて——あるいはその三つをうまくかみ合わした総合的な指数の上昇、こういうようなものに比例をしてこの年金改定していく、こういうのが私どもは当然だろうと思うわけでありますが、その問題について大蔵省としてどういうお考えを持っておられるのか、この点を伺っておきたい。
  21. 橋口收

    橋口政府委員 公的年金制度調整連絡会議論議の過程におきまして一番問題となりましたのは、各種公的年金相互間のベースの相違ということでございます。先ほども申しましたように、各種年金の発足の時点相違をいたしております。したがいまして、今日における公的年金の最大の課題はやはりベースの向上をはかるということにあるというのが、いわば調整連絡会議における共通の認識でございます。もともと調整連絡会議調整規定を第一の課題として取り上げたわけでございますが、論議の過程におきましてはやはりベース差というものをどうするか、したがって、おくれて発足いたしました、たとえば国民年金等につきましてはまずベースの向上をはかることが先決じゃないかというのが委員の率直な感想でございます。さらにそのベースの改善を進めた上で、物価その他にスライドし、いかに年金額向上をはかるかという問題として論議をされてまいったわけでございますし、一方保険財政のいわゆる再計算の時期というものがおおむね五年に一回くるわけでございます。従来の取り扱いの慣例等から申しますと、保険財政の再検討の時期、再計算の時期にベースについて相当程度改定をいたしているわけでございます。したがいまして、論議の過程におきまして、国民年金等を担当いたしております省庁はやはりベースの改定ということを第一に考えるわけでございます。ある程度年金の成熟しておりますものにつきましては、物価その他国民生活水準によるスライド向上ということに関心が集中するわけでございます。  そういうふうに、公的年金制度相違を反映いたしまして、委員の意識にもかなり距離がございます。それが先ほど申しましたように、いまの時点である程度無理をして答申案をまとめるということになりますと、密度の薄いものになる可能性がある。したがって、もう少し論議を深め、また客観情勢あるいは財政事情の変化もございますので、そういう点を掘り下げてもう少し検討すればもうちょっといい結論が出るんじゃないかということで、今日なお検討を進めておる。先ほども申しましたように、やはり調整連絡会議がなかなか結論を得られない最大の問題点年金制度性格上の相違、ことにベースの差が大きいということに帰着するというように考えております。
  22. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そのベースの差が大きいという問題について、少なくとも年金というものが老後の生活を保障するものでなければならぬ、そういう立場に立って、これは年金制度というものの大原則だと思うんですね。少なくともかつて被雇用者であった受給者本人、それからその老妻、奥さん、それと若干その扶養家族もあるでしょうけれども、大体基本的にはその老人夫婦が少なくとも健康にして文化的な生活が営める、こういうものでなければならぬわけですね。年金の基本的な大原則として。そういうものに至らせるという考え方の中で、そういうベースの差というようなものが何らかの措置をすることによって克服されないものであるのかどうか、その点どうお考えですか。
  23. 橋口收

    橋口政府委員 これはたいへんにむずかしい問題を包含いたしておるというふうに考えるわけでございますが、御承知のように先進諸国ではいわゆる統一年金ということで、国民年金の思想が徹底している国もあるようでございます。ただ日本につきましては、先ほど申し上げましたように、恩給制度が明治以来発足の歴史を持っているわけでございます。厚生年金につきましては、いままで約三十年弱の歴史を持つにすぎないわけでございます。さらに国民年金としましては歴史が浅い。それぞれ制度には制度の歴史もございますし、また制度には制度の論理があるわけでございます。また保険財政の方式も相違がございます。そういうものを統一して一本の年金の姿にするというのは、考え方として一つの理想ではないかというふうに思うわけでございます。ただ、そうは申しましても、今日の時点におきまして、これだけ制度内容相違し、沿革の異なるものを一挙に一本のものに取りまとめるということは、現実の問題として非常にむずかしいのではないか。ただ、先ほども申しましたように、大きな方向といたしましては、やはり社会保険、社会保障の充実ということが今後の課題であろうと思いますので、遠い将来におきましては、あるいはそういうことも可能かなという感じがするわけでございます。ただそういう各種年金制度相違というものを反映しての連絡会議論議でございますので、先ほど来おしかりをちょうだいいたしておりますが、なかなかそう簡単には結論は出せない。それぞれ制度を掌握しております省庁には思惑もございますし、計算もございます。そういったいろんな立場を反映いたしまして、今日の時点においてまだ統一的な結論を見るに至っておりません。さらに掘り下げて検討いたしてまいりますが、そういう制度を背景とした困難さがあるということについても御理解をいただきたいというふうに考えるわけでございます。
  24. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう問題を一気に克服して統一年金に至るのはなかなかむずかしいことだと思います。しかし、たとえば公共企業体なり国家公務員共済組合における年金、こういうものと、国民年金、こういうようなものとは、やはり若干の差は常識的にあり得るということは当面考えられるわけですね。というのは、いわゆる国なり公企体なりに雇用されておった人たち、それはもう全く裸一貫である。国民年金の場合には、農業者なりあるいは中小商工業者なり、こういうような人たちが大体入っておられる。そういう人たちは財産の何ほどかを持ち、また生計の手段というものも、老人になっても農業を営めるとか、あるいは商売も幾らかやれるとか、そういうものがある。しかし公企体なり公務員をやめた人たちというのは、自分の財産といえば退職金でようやくうち一軒を、土地を買って建てられるか建てられないか。建てられない人もあるわけだけれども、まあその程度で、ほかに耕すべき土地もない、売るべき商品、店舗もあるものではない。こういうようなことで、そのために共済掛け金もしながら、老後の生活というものは全くひたすら年金に依拠せざるを得ない。こういうものに対してまずそれから手をつけていく。これがやはり何にも生活の手段のない、年金以外にはもう収入の道もないというその人たちの一般的な姿です。最近第二の人生として、何らかの職業につく機会も人手不足の中で若干は多くなっているけれども、これだって限界があるわけだし、そういうことを考えるならば、まずどこかが先に先べんをつけていく、こういうことにならなければ、これはもう全体的な問題の解決に一歩も踏み出せないことになるのではないか。そういう立場において、この公務員共済なりあるいは公企体共済、こういうものがまず一歩このスライド制についても先に始める。こういうような方向というものをやはりやって、そのあとその他の公的年金もそれに追随していく。だんだん差の詰まったところで統一年金方向というようなものも出てくるのではないか。そういう具体的な立場というものをやはり推進しなければ、この問題はもう論議のから回りで、いつまでたっても出ないだろうと思うのです。そういう点、いかがお考えでしょうか。
  25. 橋口收

    橋口政府委員 各種公的年金制度の中で、恩給制度はやや特殊な性格を持つということを先ほどお答え申し上げたわけでございますが、ベース改定問題あるいはスライド問題等につきましても、ある意味では恩給が先べん的な役割りをになっている。公務員共済審議会等におきましては、共済制度共済制度としての論理を持つべきだ、共済制度特有の哲学を持ってこの問題に対処すべきだというおしかりをちょうだいいたしているわけでございます。しかし、恩給制度は長い歴史を持っておりますだけに、一つのものの考え方によって対処してきておるわけでございます。対処のしかたの内容につきましては、御承知と思いますが、要するに国家公務員の給与水準改定相当程度恩給のベースに反映させるという考え方をとっているわけでございます。消費者物価改定をのみ込んだ上で、公務員の給与水準生活水準の上昇というものをある程度反映さして恩給の額の改定をいたしてきているわけでございます。これはやはり一つ考え方であろうかと思います。  公的年金制度調整連絡会議の中におきましてもいろいろな議論がございまして、いわゆる恩給独走ということばがあるくらいに恩給一つの哲学を持って突進をいたしておるわけでございます。それに対していろいろな意見がございますが、一つ恩給制度がものの考え方を示すことによって、また現在の共済制度というものが恩給制度相当程度依存をしているという現実に立脚いたしまして、その考え方を反映して共済制度改定も今日までいたしてまいってきているわけでございます。そういう意味におきましては、いわゆるスライド問題そのものではございませんが、やはり生活水準向上なりあるいは公務員の給与水準改定というものにいかにして追いつくかという一つ考え方に基づいて、年金制度なりあるいは年金の額の改定が行なわれているというのが現実の姿であろうと思います。そういう現実を踏まえまして、むろん恩給制度改定のみに依存するということはものの考え方として適当でないと思います。そういう意味におきまして共済制度共済制度としての考え方を持つべきだろうと思いますが、しかし一方に恩給制度はそういう考え方を打ち出してきている、ある程度それに依存していくというのが今日の現実の姿ではないかというふうに考えているわけでございます。
  26. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 恩給局が来ておりませんので……。恩給関係の問題も、これは当然のことでありまするけれども、この議論もやはり恩給法一つベースにあって、そこから共済組合が生まれてきたような経過的な問題点というのは承知をいたしておるわけです。そこで公共企業体の共済組合法が成立し、また公務員共済組合法が成立した後における、大体十年程度前になるわけですけれども、昭和三十五年当時に退職をした、三十五年の年金受給者平均裁定額といいますか、これの平均というものがどのくらいになっているのか。そして昨年、昭和四十四年度、これはまだ平均が出ないかもしれませんが、四十三年度がわかっておったら、四十三年に退職をした年金受給者の裁定額、これを平均でひとつ並べてお示しをいただきたいと思います。
  27. 谷口昇

    ○谷口説明員 年度別の年金発生状況を、国家公務員共済組合の場合、新規裁定分という形で御説明を申し上げます。  三十五年度の数字はいまちょっと手元に持っておりませんが、三十九年度から四十三年度までを申し上げます。三十九年度は二十七万千五百四十円でございます。四十年度は三十万五千三百三十円でございます。四十一年度は三十五万三十四円でございます。四十二年度は三十七万三千二百十九円。四十三年度は三十八万三千八百十七円でございます。以上でございます。
  28. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 実はこの物価の急上昇が始まる三十五年あたりをとりたかったのですが、いま資料がないそうでありますから、これはあとで資料として出していただきたいのですが、いま答弁がありましたように、このわずか四、五年の間に十一万の差ができている。これを三十五年あたりに見ましたならば、これはまたおそらく二十万足らずであろうと思うわけであります。そういうことを考えますと、これはもうたいへんなことだと思うのです。そういうものを若干修正はしてきておるにしましても、この三十九年あたりの人たちというのはまだ六十歳以上になっていないというようなことで、ほとんど改定もないというような人たちが多かろうと思うんですね。そういうようなことを考えますときに、また旧令あるいは古い法令の人で恩給法の適用を受けておる人たちと、最近かなり名目賃金も上がってそれに従って年金裁定額も非常に上がっている人たちとの間のアンバランスというようなものも、もうまきに耐えがたいまでに開いている、こういうように思うわけです。したがって、そういう人たちに対してスライドを含む是正措置というようなものがもっと大幅にとらるべきだと思うのですが、この点いかがでございましょう。
  29. 橋口收

    橋口政府委員 先ほど給与課長が読み上げました計数は裁定時の金額でございます。したがいまして、先生承知のように、既裁定年金につきましてもベース改定のつど修正が行なわれておるわけでございます。したがいましてそういう意味におきましては、恩給制度改正を受けまして共済制度改定をいたしておりますので、先ほど申し上げました計数は新規裁定の額でございますから、現実に今日受ける年金の額は今日のベースに引き直した額ということになるわけでございます。
  30. 山口真弘

    山口(真)政府委員 公企体分でございますが、先ほど話がございました三十二年の退職者でございますが、四十四年の年金額が三十万五千五百九十六円、それから四十三年に退職いたしました新規裁定額の退職年金平均が四十万二千百十九円でございます。
  31. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いまの数字は大体三十五年からずっと出してもらいたいと思うんです。それと三十五年当時にやめた方が当時五十五歳で退職されたということで、すぐその翌年から年金を受給している、こういうような人たちがその後の何回かの改定でどれだけになっているか、これは具体例で表示していただいてもけっこうです。そして最近の平均の数字、四十四年度がわかれば四十四年度、わからなければ四十三年度でもけっこうですが、そのときの平均人たちがどうなるか、こういうようなことで対照の表を提出をしていただきたいと思うんです。いかがですか。
  32. 山口真弘

    山口(真)政府委員 別途提出いたします。
  33. 橋口收

    橋口政府委員 同様に提出いたします。
  34. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 とにかく、いまるる申し上げたような点で、物価の急激な上昇過程、そういう経済情勢の中で、年金受給者が、毎年ここ数年も続いておる改定にもかかわらず、依然としてやはり安定した老後の生活が送り得ない人たち年金受給者の中に非常に多いということを考えて、これのスライド並びに是正、調整というものについて真剣に全力をあげてがんばっていただかなければいかぬと思うんです。そのことを強く要請をいたしまして次の質問に移りたいと思います。  そこで国家公務員の場合に、先ほど橋口次長からも御答弁がありましたように、退職時からさかのぼって三年間の平均給与額、こういうものが年金算定基礎額になる、こういう条件にあるわけであります。これを、今日のように年々給与水準も引き上げられるということになって、大体一五%程度の引き上げがここのところ続くだろう、こういうような状況であります。たとえば五万円でやめる人、六万円でやめる人、こういうような、退職時の最終俸給額がその程度でやめられるという場合に、それを一五%ずつ賃金引き上げが三年間あったとする場合に、この最終俸給が基礎になる人と、その過去三年間の平均をとった場合、そうしますと、その算定の基礎になる俸給額というものには、五万円が三年前のものであったといたします場合には大体一万円をこえる差ができる。六万円の場合には九千何百円ということになって、大体一万円近くの開きが出てしまう。かりに年金額をその基礎になる俸給額の六〇%もらえる——最高の場合には七〇%までいけるわけですけれども、かりに平均的に六〇%といたしましても、これは一万円の六〇%、六千円からの月額にして違いができる、こういうことになるのではないかと思うわけです。こういうものが、かつて物価もわりあい安定しておったという時代に設けられたこの三年間の平均をとるという方向というものが、もうこういう状態になってくると、国家公務員の場合においても最終の退職時の俸給を土台としてこの年金算定をしていいのではないか。それを依然としてやめる前三年間の平均給与額、こういうことにしますと、もう月額で一万円の差も出てくる、こういうことになる。しかも年金額もそれに比例して六千円近くも違うではないか、こういうようなことになってくる。これはやはり時代の変遷に従って、こういう状況のもとでは、新経済社会発展計画だって、目標の最終年あたりには物価上昇を三%くらいにしたいというようなことをいっているけれども、これだってあてになったものではないだろうと思うわけですね。そういう状況の中で、そして賃金水準は依然として、新経済社会発展計画の中でも一二・一%くらいは上がるだろう。これもおそらく低目に押えた数字だろうと思うし、おそらく一四、五%というような高率の引き上げが続くんではないか、こう見通される。こういう段階で、法律はそうできておるけれども、この辺のところでやはり考えないと、同種の場合とのアンバランスも出てくるのではないか、こういう考えを私ども強く持つわけだけれども、この点について、これを改正をしていくというお考えありませんか。
  35. 橋口收

    橋口政府委員 長期給付の算定の基礎は、各種年金によって相違がありますことは御指摘のとおりでございます。たとえば厚生年金について申しますと、全期間の標準報酬という考え方をとっているわけでございます。公企体につきましては、御指摘がございましたように、最終俸給をとって計算をいたしております。その他の共済制度につきましては、全部退職前三年の平均俸給を基礎として計算をいたしておるわけでございます。で、こういうふうに退職年金の計算の基礎となる俸給の額のとり方に相違があるわけでございますが、これは先ほど来申し上げておりますように、各種公的年金にいろいろな取り扱いの相違があるものの一つであるわけでございますが、そのほか支給開始年齢とかあるいは給付水準にも相当の差があるわけでございます。御承知のように、最終俸給で計算をするか、前三年で計算をするかで退職年金の額に相違が生じてまいりますが、それだけの引き上げを行なうということになりますと、当然保険財政の問題として負担率の問題、掛け金率の問題にはね返ってくるわけでございます。今日の時点におきましては、御指摘のような問題があることは十分承知いたしておりますが、社会保険制度全体の公平性の点から、いま直ちに最終俸給月額に改定するという考え方は持っておらないのでございます。
  36. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは掛け金率に当然はね返ってくる、こういう言い方でありますが、これを使用者としての国、国庫としての国、こういうようなところで、その費用を負担して、掛け金率に変更を及ぼさないという形でやればできないことはないはずなんですね。決断するかどうかの問題なんですよ。ほかの年金がと言うけれども、やはりこういう時代にはほかの公的年金についても、こういう方式をとっていることは不当性がだんだん強くなってくる、こういうことですから、やはりいい方向に改めるということはこれは当然のことだと思うのです。そういう方向検討するお考えはございませんか。
  37. 橋口收

    橋口政府委員 公企体共済と公務員共済とバランスを失しているじゃないかというお話でございますが、退職年金の額の計算の基礎になる俸給は、前三年と最終俸給月額との相違はございますが、これは考え方といたしましては退職一時金につきまして両者間に調整をいたしておるわけでございます。御承知のように、二十年以上勤続して退職した公社職員の場合には、公務員並みに計算した退職金の額の九七%とするということになっておるわけでございます。つまり、退職年金と退職一時金を総合いたしまして両者の均衡をとっているわけでございますので、そこらの調整の問題も残っておりますので、現段階におきまして直ちに最終俸給月額に改定するという考え方は持っておらないのでございます。
  38. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この退職一時金の制度は通算年金通則法、これができましてから、もう選択できないということにもなっているのじゃないですか。そうなりますとそのメリットというものは消えていく。女子の場合でも四十六年五月三十一日までだということで、これも一年ずつ延ばすというようなことでここまできているわけなんですが、年金通算法によって退職一時金はもう選択させないという方向にいっているわけですね。そうだとすると、そのメリットというものはもう消えてなくなるということもあるわけですね。そういうことの関連においていまのお答えでよろしいですか。
  39. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど次長がお答え申し上げました中で退職一時金という問題が出ましたが、実は退職手当の問題でございまして、したがって、退職手当のバランスと、さように考えまして、両方でバランスをとっておるわけでございます。退職一時金ではございません。
  40. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 まあ答弁にミスがあったということですけれども、かつてもそういう説明が行なわれたこともあるのですけれども、それはそれで、退職手当は退職手当として、これはまた別個のものですよ。これはあくまで退職の一時的な手当ですから、これはこれでもう次元の違う問題として、年金についてはやはりそういう方向にしていく。退職手当のほうで改定すべきものがあるならば、それはまた別個の問題として取り扱っていくべきだ。しかし、年金というものがやっぱりあくまで老後の生活保障ということになっていくならば、やはり最終の段階の給与というものを基準にして算定をしていくということで、退職手当の面で少しバランスがぐあいが悪いならば、そちらはそちらでまた新しい時代に即応した形で直すということもそれはあり得るかもしれないけれども、やはり年金問題としてはそういうようにしていっていいのではないか。特にこういうような経済の激動の時期、物価の急上昇の時期、こういうようなときに、それから名目賃金のかなり大幅な値上げというものが続いておる段階というものでは、非党に両者のアンバランスというものが激しくなっていく、こういうことを踏まえて、やはりこの点は十分ひとつ検討をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  41. 橋口收

    橋口政府委員 御指摘がございました問題は各種公的年金に内在する問題でございます。したがいまして、各種公的年金制度相互間のバランスをとるという幾つかの問題の中の一つではあろうかと思います。そういう意味におきまして、総合的な見地から検討する必要があるというふうに考えておりますが、ただ今日の時点におきましてそこのみを取り上げて改正するという考え方は持っておらないわけでございます。
  42. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 総合的に考えられる問題点であるということなんですが、しかしこの年金制度というようなものについて調整規定の入った段階で、しかも調整規定がいまだに確実に制度として発動していないというような段階において、やはり考え方としてまず国家公務員がその模範を示すといいますか、そういうような気持ちでこの点も改善をする必要性というものが非常に強まっている、こういうことを申し上げて、またこれは大臣がお見えになったときにでも質問を留保いたしまして、次に移りたいと思います。  長期給付に要する費用の負担割合の問題ですが、国家公務員共済組合については、国庫としての国二割、使用主としての国が四割二分五厘、組合員、三割七分五厘の負担割合になっております。公共企業体職員共済組合については、国が二割といっても、これは実際問題として公共企業体である国鉄が二割持つ、公共企業体が四割二分五厘、組合員三割七分五厘の負担、こういうことになぜならないのか、そういう方向に努力すべきではないかと私ども思うわけです。現在はそれぞれ一五%ということになっているけれども、まず国の場合にも、国家公務員の場合にも、これは一五%を二〇%に持っていったらどうか。それから国鉄とか電電であるとか専売公社であるとか、こういうようなものに対してはそれぞれ企業体が国という名において一五%を持っている。これを少なくとも使用主としての国じゃなくて、国庫としての国という立場において二〇%くらい負担をする、こういうことにしなければ、これはなかなか問題がある。このことをどういうように皆さんこれからなさろうとしておるのか。たとえば厚生年金等につきましては国庫としての国が二〇%を負担しておる。こういうような事例から見ましても、これはやはり権衡を失する点があるのではないか。国庫としての国が一文も出さない、こういうあり方というものはやはり問題があるのではないかと思うのですが、これも毎年この委員会で取り上げておる問題点であるし、この点について大蔵省はどういうように考えられますか。
  43. 橋口收

    橋口政府委員 各種公的年金制度は社会保険体系の一環として創設され、運営をされておるわけでございます。その際の考え方といたしましては、いわゆる三者負担の原則に基づいておるわけでございます。御指摘がございましたように、被用者保険につきましては組合員、事業主及び社会保険の推進の責任を持つ国が負担をする、その三者負担の方式で運営をされておるわけでございます。ただ、その場合に国の負担する部分につきまして、厚生年金保険につきましては二〇%、その他一五%、私学、農林等につきましては一六%プラスアルファというように、各種取り扱いがまちまちになっておるわけでございます。これにつきましてはいろいろ議論のあるところでございます。  ただ、問題のとらえ方としましては、単に国庫負担の割合のみを取り上げて議論をするということではなくて、やはり各種公的年金制度給付内容との比較において論ずべき問題であるというように考えられるわけでございまして、被用者保険の標準的なものとして厚生年金保険の給付内容あるいは給付開始年齢、それから標準報酬のとり方等をとりますと、これはやはり公務員共済等と比べてかなり相違があるわけでございます。そういう現実に着目をいたしまして国庫負担の割合を二〇%に上げておるわけでございますので、その部分のみを取り出してだんだん平準化するということは必ずしも適当でないというふうに考えておるわけでございます。あるいは被用者保険としての性格を持たない国民年金保険につきましては三分の一を国が負担をいたしておるわけでございます。そういう点から申しまして、財源調達の方式、保険財政の方式にある程度相違のあることは、公的年金制度に内在する問題としてやむを得ないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  44. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 厚生年金につきましても三者負担、使用者、被用者、それと国、こういうことになっておるわけですが、たとえば公共企業体を例に引けば一番はっきりするわけですけれども、国は一文も負担しない。使用者としての国鉄が負担をし、それと折半において組合員が負担をする、こういうことになっておる。二者負担なんですね。これはやはり三者負担ということを——国という名目はついておっても、これは現実に使用者としての国でない、国庫としての国という立場では一文も出してない。こういうことはやはり非常に問題があるのではないかと思うのです。厚生年金、これも使用者、被用者という関係ですね。一つの企業体でみんなそれぞれやっておる。これに対して国は二割出している。これと歩調を合わせて、公共企業体といえどもやはり企業体である以上、こういうものについて国庫としての国の負担というものを当然やってしかるべきだと思うのですが、やってはならない積極的なわれわれを納得させる理由というものは何ですか。
  45. 橋口收

    橋口政府委員 これも多年にわたる論議の対象となっておる事項でございますが、御承知のように、公共企業体は公的機関として国の機能を代行するという性格を持っておるわけであります。先ほど御説明しました、三者負担も、事業主としての国と補助の主体としての国、こういう性格があることは御指摘のとおりでございます。ただ、公共企業体につきましては、国の機能を代行するという性格を持っておりますので、事業主の資格において負担をすると同時に、それが同時に国としての負担という性格をあわせ持つというのがいわゆる公経済論でございます。そういう考え方で、従来から、公共企業体が事業主としての負担のほかに、いわば国としての立場においての負担もしてきておるわけでございます。これは理論的にどうこうということよりも、やはり多分に沿革的なものであろうと思います。したがいまして、理論的にこういう理由だからこうだということで、先生の御納得のいくような答弁は非常にしにくいわけでございます。しかし、考え方の基本は、公共企業体というものは公経済の一つの主体である。したがってその程度の負担をし得るもの、こういうことで現在の取り扱いの原則をとっておるわけでございます。
  46. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこで答弁された点はそれなりにわかりますけれども、国の代行機関である、こういう一種の定義づけをされたわけだけれども、しからば国の仕事をやっておるそれでは国鉄が、今日経営状態がまるでたいへんな赤字で悩んでおるという問題に対して、しかも国の代行だということを通じて、たとえば学生割引、あるいは身体障害者の無賃乗車証の発行、私どもを含めて国会議員の無賃パスを出しておるこういうようなことをやらせておる反面において、しかもモータリゼーションや航空産業の増大ということで、独占的な輸送機関という形が全く失われて、そういう航空あるいは自動車運輸というものと完全な競争関係に立たされておる。しかも運賃は国会できめなければどんなに経営状況が苦しくともこれを直すこともできない。しかも企業的な立場からいえば絶対に赤字が累積するだけであるというような問題であるいわゆる赤字線の建設、こういうようなものもやらされておるということになっておるわけなんですね。そういうものに対してやはり国の施策がきわめて貧弱であって、国鉄に金を出さない。かろうじて財政投融資の中から幾ぶん利子の安い金を貸してやるということであって、いまやその金が、約二兆円にも達してどうにもならない状況になっておる。しかも、そういう中から国鉄の職員をどんどん減らさなければやっていけないのだという財政再建十カ年計画というものも出てきておる。  そういうようなことになって、保険数理の上にこの年金も成り立っておるわけでありますが、たとえば過去勤務債務というものがどんどん累積をしてきておる。これはわれわれ国会の決定に従って、過去勤務債務が累増する。そういうものについて、それは国家の代行機関だからということで、いわゆる公共企業なんだ、公経済の主体なんだということでやって、いまのままでいくならば、これはたいへんな公共企業体そのものの経理を圧迫する要因にもなってくるし、あるいは折半負担する共済組合員の負担というものがとめどもなく増加するというような方向にもなっていくわけですね。  こういうような問題を考えるならば、公経済の主体だ、国の代行機関だといいながら、それらしい財政的な裏づけというものを何にもなしに、そういう抽象的な理論だけを押し出してくるということはたいへんやはり筋が通らぬと思うのですね。したがって、理論的にいま橋口さんも納得させる説明はできない、そのとおりだろうと思うのですね。これは沿革的なものだと言うのだけれども、そういう沿革というものをやはりこの際断ち切って、新しい時代に即応した費用負担のあり方というものを追求すべき段階に来た、こういうように考えるわけですが、その点いかがでございます。
  47. 山口真弘

    山口(真)政府委員 先ほどのお話の問題は長期給付に要する費用の負担の問題といたしまして、大蔵省から申し上げましたように、国庫負担のもの、事業者負担のもの、それから従業員負担のもの、この三者が負担をするという各種年金制度のたてまえがございまして、その中で国庫の負担に相当するものが厚生年金等の二〇に対して公企体共済等の一五という問題が一つと、それからその一五に相当するものについて公経済の主体としての公共体が負担をし、国が負担をしないという点についてはどうかという二つの問題であろうかと思うのでございます。  第一点の問題につきましては、給付程度の問題だとかその他の問題によりまして一五が大体妥当じゃないかというような考え方であろうかと思うのでございますが、先生の御指摘の一番の根本のは後者の問題であろうと思うのでございます。  この点は、先ほど大蔵省から申し上げましたように、考え方といたしましては、公経済の主体としての公共企業体ということであるから、したがってそれは国の代行として公共企業体がそれを負担をするというたてまえでございます。ただこれにつきましては、先ほど先生御指摘のように、国鉄の場合でも一兆一千億くらいの過去勤務債務をかかえておるわけでございます。そういったものによる給付の費用が非常に大きいために、毎年追加費用という形で公企体が繰り入れている。しかし公企体といたしましてもその追加費用の負担というものが年々増大している実情でございますので、その点では公企体の経済というものに非常に大きな重圧にだんだんになりつつあるということは否定できないところであろうかと思うわけでございます。したがいまして、こういったようなものにつきましては今後十分に検討する必要があるのではないかというように私ども考えております。ただ、これは先ほど大蔵省から申し上げましたように、公経済の主体としての公企体の制度の問題という全体の問題とも十分考え合わせて、どう持っていくかということを検討しなければならないことじゃないか、このように考えております。
  48. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこで公企体の過去勤務債務、これを見てみますと、四十二年度末で一兆円を突破している。四十三、四十四、おそらくことしあたりはこれがさらに大幅な増大をしているんだろうと思うのです。たとえば新法施行前の過去勤務債務があって、さらに新法施行時の増加額、それからベースアップによる増加額、年金改定による増加額、軍人期間の算入による増加額、さらに外国政府職員等の期間の通算というようなことによるもの、こういうようなものを合わせますと四十二年度で一兆八億円だ、こういうことになっているわけですが、これは一体一番新しい数字で見ますとどのくらい過去勤務債務があるのですか。
  49. 山口真弘

    山口(真)政府委員 これは国鉄共済組合の例でございますが、新法施行前の過去勤務債務、これは四十三年度で申しますと、八百三十六億、それから同じく新法施行時の増加額が千百九十四億、それから現職者のベースアップによる増加額が五千八百十億、年金改定による増加額が千三百二十八億、軍人期間等の算入によります増加額が百五十億それから過去勤務債務に関連いたします利息の増加額が二千二百五十一億、合計一兆一千五百六十九億というのが四十三年度でございます。
  50. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 大蔵省に伺いたいのですが、ベースアップによる増加額だとか軍人期間の算入によるものだとか、これは説明がなかったのですが外国政府職員、満鉄など、こういうようなものも過去勤務債務になっているのじゃないですか。これは上がっていないのですが、答弁はあとでいいです。こういうものは本来国が負担すべきものだ。公共企業体が共済組合法発足時予想しなかったこういう過去勤務債務が次々に発生してくる。こういうようなものについて、少なくとも新法施行前というものは、これは新法施行時における財源計算などには織り込まれておると思いますが、その後において発生した事由、物価上昇によるベースアップというようなものはやはり国自体が負うべき責任ではないのか、こういうような考えも持つし、軍人期間の通算というようなものこれは国全体の問題なんですね。これは一企業体に持たせるべき性格ではないと私は思う。こういうような問題などで過去勤務債務というものが累積して一兆一千億以上にもなっておる。これは公共企業体が追加費用を千分の五ずつ積み立てていくというようなことでやっているのだけれども、こんなことではやがて間に合わない事態になってくる。その過去勤務債務の利息までどんどん累積していく。こういうようなことに対して、これはやはり大蔵省として国庫としての国の負担というようなものを導入する以外には——これは思想的にも理論的にも道義的にもこういうものについては国が持つべきだ。使用主としての企業体が持つのじゃなくて、国が持つべき当然の理屈も私も成り立つだろうと思うのですが、いかがでございましょう。
  51. 橋口收

    橋口政府委員 公経済の主体としての公共企業体の任務の中に、共済制度の管理運営の責任は包含されるということを先ほど申し上げたわけでございます。ただ一般的に申しまして、現在の年金制度が置かれた環境等から申しまして、過去勤務債務の償却をいかにするかというのがいわば最大の難問であろうと思います。これは端的には保険財政、保険数理の問題としてはね返ってくるわけでございますし、最終的にはだれがどういう形で負担するか。先ほど申しましたように、今日のような成長経済のもとにおいて年金の実質価値を維持するためには、過去勤務債務をいかにして償却するかという原理、原則に基づいた考え方が必要になってくるわけでございます。  御承知のように、現在の年金数理につきましては平準保険料方式とか、あるいは修正実額積み立て方式とか、賦課方式とか、いろいろな考え方があるわけでございます。むろん理想の姿で申しますならば、平準保険料で保険数理を組み立てるというのが一番望ましいわけでございますが、しかし発足の当初においてそういう大きな負担をするということは、実際問題として年金の数理にマイナスに作用するわけでありますから、一般的には修正実額積み立て方式というもので調整をしておるわけでございます。これがいわゆる再計算の期間ということで、五年ごとに見直しをするということで今日まで推移をいたしてきているわけでございます。  ただ今日のように経済成長のスピードが早く、国民所得あるいは生活水準向上のスピードが早くなってまいりますと、過去の年金の実質価値を維持するために一体どういう方式をとったらいいか。抽象的な問題としての国が補助するということだけでは、問題はなかなかに解消しないというふうにも思うわけでございます。深刻には世代間の負担の問題になるわけで、最終的には国民が負担をする。端的に申しますといわゆる賦課方式というようなものも将来の問題として考慮に入れなければならないと思うわけでございます。そういう意味におきまして、たいへんに広範な、また射程距離の大きい問題を包蔵いたしておりますので、いま直ちにどういう方式をとるのが一番適当か、具体的に公共企業体としての国鉄にどういう措置をとったらいいかということについて、率直に申しまして答弁の用意はないわけでございます。現実に非常に大きな過去勤務債務というものが累積をいたしておるわけでございまして、また今後累増するという客観情勢でもあろうかと思いますので、これにいかに対処するかということは、現在の年金制度の基本に触れる問題であると思います。  と同時に、国民負担の世代間の案分をどうするか。先ほども申しましたように、先進諸国におきましては税金とほぼ同程度の社会保険料を現世代が負担するというような形にもなっておるわけでございまして、端的に申しますと、毎月収入の四割が税金と保険料負担に取られてしまう、実質収入は六割しかないというのが現在の進んだ社会福祉国家の姿でございます。そういう姿に日本も将来は漸次接近するというふうに考えられますだけに、一体どういうふうにしたらこの問題に対して適正な解決ができるかということで、現在模索しておる段階でございます。先ほど来、社会保障制度審議会答申を受けましての公的年金制度の金額の調整の面におきましても、そういう非常に大きな問題にも直面しておるわけでございます。単に保険財政、保険数理だけの問題ではない、国民全体の問題ではないかという感じすらするわけでございます。
  52. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 新経済社会発展計画が、高物価、高福祉、高負担、こういう方向で貫かれているという評もあるわけですが、実はそうではなくて、高福祉だけが抜けて、高物価、高負担である、こういうことすら国民の立場からは批判できるような状態になっているわけなんです。ですからそういうような点からいっても、また、たとえばいま国鉄の問題を引用しているわけですが、本来共済組合というのは、同じ時期に入った、同じ年に入った一つのグループというものが、お互いに金を出し合って将来の給付に備えていくということで一つの完結をするというようなところで出発した制度なんです。それがいまやもう、古いやめた人たちの過去勤務債務、そのほかいろいろなそういう事由によって過去勤務債務が累積する、それを企業体が追加費用として出す。さらにそれでもう追っつかなければ財源率の再計算、いわゆる掛け金率をアップする。そして世代間、前のゼネレーションの人たちのをあとのゼネレーションが負担するという、そういう縦の負担状況、そういう負担方式というか、そういう方向にも変化をしてきておる、こういうような点もあるわけです。  そこで、やはり数字をちょっと運輸省にお聞きしますが、国鉄が千分の五ずつ追加費用を計上している。この千分の五というのは実額としてどのくらいになっておりますか。ここのところ数年間でけっこうですから、何億とか何十億というように言ってください。
  53. 山口真弘

    山口(真)政府委員 追加費用でございますが、ここのところ四十二年から申し上げますと、国鉄の場合、四十二年度が追加費用千分の六十六で百六十九億、それから四十三年度が千分の七十一で二百四億、四十四年度が千分の七十六で二百五十一億、四十五年度の予定が千分の八十一で二百八十二億でございます。  専売公社共済組合の場合には、四十二年度が千分の五十八で十二億、四十三年度が千分の六十三で十五億、四十四年度が千分の六十八で十八億、四十五年度が千分の七十三で二十億。  同じく電電公社の共済組合でございますが、四十二年度、千分の四十六で五十四億、四十三年度、千分の五十一で六十九億、四十四年度、千分の五十六で八十七億、四十五年度、千分の五十六で九十三億の予定でございます。
  54. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 公共企業体間におきましてもこの追加費用の負担率というものは、いまお聞きのように非常に大きな差が出てきております。しかも国鉄においてはもう千分の八十一で二百八十二億ということになっている。電電のごときは千分の五十六で九十三億、こういうことで追加費用の比率も非常に低いわけですが、国鉄は千分の八十一ということにもうすでになっておる。しかも額もきわめて大きい。こういうようなことになってきますと、やはり非常に問題があるし、この追加費用を年に千分の五ずつ出していくというあり方も再検討されないと、これはあとでどなたか、次官からでも答弁してもらいたいのだけれども、いまの国鉄の経営が行き詰まっている中でその追加費用が出せないというような問題にぶつかってくるのじゃないか。そうすればもう掛け金率を上げるよりほかには手がないということになる。ほかの企業体はまだ余裕がある。こういうようなことになったら、これまた同じ公共企業体共済組合法の適用を受けながら、それぞれの企業体の負担割合というものにきわめて大きな不当なアンバランスが出てくる。しかも一番大きい国鉄がこの負担に耐えきれなくなるというようなことにもつながってくるわけですね。こういう問題の中で、なるほど国庫としての国が二〇%負担するということだけで基本的な問題が解決したということにはならないけれども、こういうような事態を踏まえてこの制度をもう一ぺん考え直してみる必要があるのではないか。こういう点について、いかがですか。まず運輸省からひとつ伺いたいと思います。
  55. 山村新治郎

    山村政府委員 先生御心配になるのは、国鉄にその負担力があるのかということになると思いますが、国鉄といたしましては、この共済組合に対して追加費用としていまおっしゃいましたように毎年俸給総額の千分の五を上積みして繰り入れております。これを今後も続けていく場合には国鉄財政に与える負担もかなり大きなものと考えられます。しかし、極力経営の近代化、合理化を行ないまして収入の増加につとめてまいりたい。そうして繰り入れを行なうよう指導する。それ以外にわれわれとしては言いようがないわけでございます。しかし、先ほどございましたいわゆる費用の、厚生年金そのほかの百分の二十に相当する金を国が当然負担すべきではないかという先生の御趣旨もございましたが、しかし、いわゆる社会保険というものに対する国庫負担のあり方につきましてはいろいろと議論のあることでありますが、しかしこの共済組合の健全な運営、これを考慮する場合にはどうしても将来これを前向きの姿勢で検討していかなければならない。私は検討していく、そのようなつもりでやっております。
  56. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 きょうは山村政務次官も運輸省だけの代表じゃなくて、郵政省の管轄にある電電公社、さらに大蔵省の管轄にある専売公社、この三つを代表した形で担当副大臣としてお見えになっているわけですよ。それで、現に過去勤務債務に対する修正賦課方式というか、そういうものとの関連において追加費用を千分の五ずつ累増させていくという方式を国鉄はとっておる。そしてその比率も、いま山口部長から言われたように、千分の八十一、千分の五十六、こういうような差がある。専売の場合には千分の七十三ということになっているけれども、そういうように三者三様に分かれておる。八十一と五十六というような負担割合というようなものも、追加費用の計上割合というものも非常に問題があるところだというようなことを考え、そしてまた国鉄に返るけれども、国鉄の経営というものは非常に悪化をして、こういう程度のものですらかなりの負担感、負担の重圧というものが経営に対する圧迫という形でストレートに響いてきておるという段階において、どこまでもこれは千分の五というものを続けていく、そしてその千分の五で過去勤務債務に対する償却手当も十全である、これはどこまでも、どのように経常状態が悪化しようともこの線はくずさないという立場をとられるのか、あるいはまたそういうことでそれが掛け金率の引き上げというようなところにいかないように、そういうことを具体的に考えていかなければいかぬと思うのです。ほかのところはもう財政的にも余裕があるということで掛け金を上げないでいる。国鉄の企業だけは共済組合の内部で掛け金率を上げなければならぬ、こういうようなことになってはこれは相ならぬわけですね、同じ公共企業体ですから。そういうような点についての考え方をこの際——組合の立場もそういう状況を非常に現実に心配しているわけなんですね。改善されることはけっこうであるけれども、その負担というものがそういう形で、国鉄だけがというような形になったら、これはまた問題のあるところですから、そういう問題についてどのように解決をはかっていかれるおつもりなのかどうか、この点……。
  57. 山口真弘

    山口(真)政府委員 これは共済組合の財政問題、特に先ほどからいろいろ御指摘がございましたような過去勤務債務の累増等によりますところの共済組合財政の悪化の問題等につきまして、将来どのようになるのか。さらにそれによって組合員の掛け金その他というものがどのようになるのかということであろうかと思います。これにつきましては、国鉄、専売、電電、それぞれその財政問題を審議いたしまするために、収支策定審議会というものを設けまして、大体五年ごとに一度収支の内容を全部洗いまして、五十年という非常に長期的な見通しの上に立ちまして、共済経理のあり方をどうするかという検討をいたしております。  国鉄の場合は、前回は四十一年に収支策定審議会をいたしました。そして五年間たちまして、本年その収支策定審議会を開きまして、これを審議する年となっております。ことしに入りまして数回これを審議をいたしました。そしてその前提となります職員の数あるいは俸給指数あるいは脱退率あるいは死亡率、その他諸般の事情を考えまして、国鉄共済組合財政の長期見通しをいたしております。一応そういう中におきまして、現在の姿の、毎年千分の五ずつ追加費用を増加をしていくというようなことにいたしました場合には、財源率がどのようになるかというような計算をいまいたしております。国鉄の場合でいいますと、大体七月ごろにはこの収支策定審議会答申が出るのではないか、このように考えております。まだ中間的な段階でございますのではっきりしたことは申し上げかねますが、これによりまして長期的に今後の収支の見通しを立てていくということができるのではないか、このように考えておりまして、その答申を待っておるところでございます。
  58. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 収支策定審議会で国鉄の場合——いまのところ電電、専売のほうは心配ないと思うのだけれども、掛け金率を、財源率を、引き上げる、こういうところに至らない見通しなのかどうなのか、この点はまだおわかりになりませんか。担当者ですから審議会に、こういうことで上げざるを得ないのではないかというような意見を付しておそらく審議をしてもらっていると思うのだけれども、その辺のところはどうなっておりますか。
  59. 山口真弘

    山口(真)政府委員 現在審議中でございますので、財源率をどうするかというような問題につきましては、まだ決定いたしておりません。
  60. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 見通しはどうなんですか。
  61. 山口真弘

    山口(真)政府委員 これは非常に広範な計算をいたしておるわけでございまして、脱退残存率あるいは俸給指数、年金者死亡生残表、予定比率はどうするか、将来の職員の数はどうするか、いろいろな条件でいま検討いたしておりますので、ただいま見通しを申し上げるのはちょっと困難でございますので、よろしくお願いいたします。
  62. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 見通しをはっきり言えないにしても、少なくとも掛け金率——国家公務員のほうは、大蔵省では昨年見直しをして財源率の再検査をやって、これは当分現在の掛け金率を引き上げるというようなことはなくて済む、こういう答弁もされておるわけなんです。これが公共企業体の場合に、特に国鉄の場合にその掛け金率引き上げがなければこの収支が償っていかない、こういう状況になるおそれというものは近いうちにあるのかないのか。これが答えられないということはないんじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
  63. 山口真弘

    山口(真)政府委員 これは収支策定審議会で、先生御存じのとおり非常に何といいますか、学識経験のある保険関係の方々あるいは共済組合の方方、それから証券会社の方々あるいは大学の先生、そういうような非常に斯界の権威者にお願いをしまして、そういうこまかい問題を全部洗っていただいて答えを出していただくということでございますので、ただいま見通し、見込みを申し上げるのはちょっと困難だというふうに考えております。
  64. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これはいろいろ国鉄関係の数字などを調べてみますと、国鉄だけが掛け金率をかなり上げなければならぬような事態に急速に近づきつつあるというのが実態だというふうに私ども判断しているわけなんです。そういうようなことも含めて国庫負担を導入する。公経済の主体なんだから国が負担する。一文もやってこなかった。すべて公共企業体たる使用者としての国鉄が、全部国の負担をそのまま負担をしているということになっておるわけで、そういうような問題に、こういう事態というものを踏まえながら、この際三者負担という考え方、こういうようなものが当然導入されていかなければならぬだろうということを強く考えるわけです。この点中川政務次官いかがですか。そういう方向に向かって検討をされる御用意がありますか。私は当然検討していただかなければならぬというように思うわけですが、いかがでございますか。
  65. 橋口收

    橋口政府委員 公経済を主体としての公企体の運営する共済制度に内在する基本的な問題でございますので、先ほど来お答え申し上げておりますように、地方公務員共済制度につきましても同じような問題が実はあるわけでございます。地方公共団体がいわば国の立場になって、事業主の立場とあわせて負担をいたしておるわけでございます。したがいまして、今日のような成長経済のもとに年金制度をどうやって維持し、管理、発展させていくかということにつきましては、大きく申しますと、やはり国民的な合意が必要じゃないかというふうに考えられるわけでございまして、先ほどもお答えいたしましたように、単に補助の主体として抽象的な国の責任というだけではやはり問題の根本的解決にならないのじゃないか。したがいまして、各種年金制度を通じて負担の原則をどういうふうにするかという根本的な問題として取り上げていく必要があるのじゃないか。国鉄につきましては、先刻来の御指摘がございましたように、この問題のほかに、いわゆる公共負担という大きな問題をかかえておるわけでございますので——国鉄の財政再建の問題とは直接関係はない問題だ、ただこれもある意味では一種の公共負担じゃないかという御指摘もあろうかと思います。いずれにいたしましても、これと保険財政の危険な状態と申しますか、保険財政がまかない切れないほど大きな問題が内在しているということは、事実として率直に認めなければならぬと思っております。
  66. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 最後のところでの答弁は若干明るいものを感じさせる答弁があったので、この問題はこの程度でやめますが、これは次官も、過去勤務債務に対する追加費用というようなものの累積、及び追加費用も千分の五ずつどんどん累積していく、こういうふうにせざるを得ないいまのやり方、方式、こういうようなものについて十分チェックをされて、掛け金率の引き上げに至らないように努力をきれるとともに、先ほどから何回も繰り返しておりますが、少なくとも国庫負担二〇%の導入ということをぜひ実現させるように。これはほかに例のないことじゃないのですから、岸生年金保険は二〇%ちゃんとやっているのですから、被用者保険ときわめて類似している制度なんですから、三者負担というたてまえを文字どおり三者負担になるようにして一向差しつかえないことだし、いままでなかったことがむしろおかしいので、しかもやはり国の代行機関だということから、過去勤務債務は国がやはり負担すべきですよ。軍人軍属期間の通算であるとか、あるいは外地政府の職員期間を通算して——現在いる人たちにもうすでにやめた人たちの分を負担させるということになっているのですから、そういうようなものは本来国が負担すべき問題です。大きく言えば戦後処理みたいなものです。すべての戦後処理はみんな国の負担でやっている。ところがこの問題だけは全部公共企業体としての国鉄なり電電なり専売なんというものの負担にさせておるということは、やはり非常に問題があるし、そういうもので、いま国鉄の中にその限界がもう近づいているということがあらわれてきたけれども、やがては将来、専売にも電電にもあらわれないとは限らない、経済の進みぐあいによって。したがって、そういう点で、国の年金給付に対する支出というようなものもきわめて少ない日本においては、こういうところにこそまずやって、そしてそのあと全体的なレベルアップをはかっていくというような方法で、そういう基本的な考え方に立ってこの問題を前向きにひとつ検討していただきたいと思うわけでありますが、これを中川大蔵政務次官山村運輸政務次官、二人とも若いんですし、若い政治家として将来を明るく展望するような名答弁をひとついただきたいと思います。
  67. 中川一郎

    中川政府委員 ただいま御指摘のあった点は、この制度における非常に重要な多年の懸案であろうと存じます。そこで御趣旨もわかりますし、何とか前向きで検討いたさなければならぬ大事な事項であろうと存じますが、何分にも経緯もあり、またほかに波及する点もある、正直に言って財源もかなりのものになる等のむずかしい問題もあることも率直に認めなければならないと存じます。いずれにしても、せっかくの御指摘であり、理論的にもまた考えなければいかぬところもあると存じますので、山村政務次官等とも検討して、できるだけひとつ前向きでこの問題と取り組んでいきたい、このように思います。
  68. 山村新治郎

    山村政府委員 ただいま中川政務次官もお答え申し上げましたが、特に運輸省といたしましては国鉄、そして電電、専売、この三つの公共企業体関係のものをかかえておるわけであります。先生から、特にいわゆる国鉄関係の公共負担が多過ぎるというようなところを含めて、いろいろ応援をいただきましてありがたいところでございますがいわゆる社会保険全体の均衡というものもまた考えなければならないと思いますが、この共済組合の健全なる運営というものを考えますときに、これはどうしても前向きの姿勢で取り組まなければならない。そしてただいま中川政務次官も申されましたように、一体となって一生懸命やってまいります。
  69. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ひとつ私ども全面的に前向きの検討について御協力をしますから、一日も早くそういう方向実現するように、両次官に御努力いただきたいと思うわけです。  恩給局が入ったところでさっそく質問しますが、四十二年の恩給審議会答申の中で、この前もこの問題は取り上げたと思うのですが、抑留、留用期間については当然期間通算すべきである、こういう答申がございましたね。この問題について、もう四十三年にでも法案が出てくるだろう、恩給局自体からも法案を出されてくるだろうと期待しておったのですが、その後ずっと今日に至るまでこの問題の処理がなされていない。これは一体どういうわけでございますか。この点をまずお聞きをいたしたいと思います。
  70. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 恩給審議会答申では、恩給問題を六十五項目やっていたわけでありますが、そのうちで二十六項目につきましては是正すべきであるという御答申をいただいておるわけです。それで総理府といたしましては、何ぶん問題が大きい問題でもございますし、議論も非常に多うございますので、おおむね三年程度の計画でこの答申をこなしていこう、こういう考えでおりまして、四十三年度からやり始めて、来年、四十六年がちょうど三年目に当たりますので、来年度においてはこの問題を取り上げて検討いたしたいと考えております。
  71. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 来年度は、それでは大体間違いなく抑留、留用期間の通算の問題、これは政府提案としてお出しになる御意向でございますね。
  72. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 先ほど内閣委員会が終わったばかりでございますが、ちょうど恩給法審議していただきましたが、そのときに総務長官が、まあ審議会答申は三年計画でやるということで、残りの十項目程度でございますが、その問題についてはできるだけ四十六年度において検討するという御答弁があったわけでございます。
  73. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そこで今度は公共企業体関係についてお伺いいたしたいのですが、私の手元に中華人民共和国に強制留用された人たちの一部の実例があるわけなんですが、満鉄雇用人の期間が八年あった、それから満鉄職員期間が一年、そして強制留用された期間が七年七カ月という長きにわたった、そして帰国は二十八年の三月二十六日になっておる、国鉄に就職したのは二十九年の四月一日、こういうことであるわけですが、この中で問題になりますのは、すでに満鉄期間など外国政府職員、旧特殊法人等に勤務しておった人たちの通算措置が二回にわたってとられました。最初は職員期間ということに限定をした。昨年はまた、帰国後一年以内に公共企業体に就職をした者、あるいは国家公務員に就職をした者、こういう条件つきではあるけれども、満鉄等の雇用人期間についても通算の措置をとったわけであります。ところが、この抑留、留用期間の七年七カ月という、こういう長い人たち、あるいはこれ以上の人たちもおるわけですが、こういう部分については何らの措置がなされない、こういう問題があるわけであります。異国の地に留用をされて、七年七カ月という長い期間はたいへんな苦痛であったと思うのです。そういう期間が何ら通算されない、こういう問題について大蔵省なり運輸省としてどうお考えになるか。これは当然私どもとしては、通算を何らかの形で認めてやってしかるべきであるし、それが国の戦争行為、そして敗戦ということで、まさに国の責任に属する問題である、こういうようなことで、なぜこれが公企体等においてもやれなかったのか。こういう点について大蔵省運輸省の見解をここでお聞きいたしたいと思います。
  74. 橋口收

    橋口政府委員 外国政府等職員期間の取り扱いにつきましては、従来恩給制度との関連におきまして最大限度の配慮をはかってきたつもりでございます。ただ外国政府の職員等の期間があり、日本に引き揚げてから再就職した時期が、いわゆる新法の施行時期以後の場合につきましては通算の措置がとられておらないわけでございます。考え方といたしまして、過去の期間について既得権なりあるいは期待権を尊重する、あるいは保護するという場合には、やはり制度のできた時点において在籍しておる者についてまず考慮するというのが順当な措置であろうかと思います。そういう考え方一つの整備をいたしておるわけでございます。したがいまして、三十四年の十一月以前に再就職した者につきましては通算の措置はとられておるわけでございますが、制度発足後に就職した者については通算の措置がとられておらないのでございます。ただ御指摘がございましたように、戦後強制的に留用あるいは抑留されたというような特殊な事情のある者につきましては、先ほど恩給局のほうから御答弁がございましたように、恩給制度の問題としても検討がなされておる段階でございますので、恩給制度につきまして結論が出ました段階において、とくと考えたいというふうに考えております。
  75. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 この外国政府及び満鉄等の勤務者が抑留、留用をされて、新法施行前に帰ってきた場合に、抑留、留用期間は通算されておりますか。
  76. 橋口收

    橋口政府委員 先ほどのお答え、多少明快を欠いたかと思いますが、抑留、留用の期間についての通算はいたしておりません。二十年八月八日までの期間については通算をいたしております。
  77. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 したがいまして、抑留、留用期間というものは通算の対象になっていないわけですね。問題は二つに分けて考えられるのですが、新法施行前に帰ってきて、たとえば国鉄に就職をした。いまの共済組合法の施行前に帰ってきて組合員になった。いわゆる更新組合員に当たるわけですね。そういう者について抑留、留用期間、これは公共企業体ではまだ通算していませんね。
  78. 山口真弘

    山口(真)政府委員 通算いたしておりません。
  79. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それと同時に、もちろん更新組合員でない、すなわち新法施行後に抑留、留用を解除されて帰ってきた、この人たちも通算されていないことはそのとおりであります。二つの問題があるわけですが、いずれにしても恩給関係結論を待ってということでありますが、恩給局としては、総務長官からも、三年も審議会答申を放置しておったということは遺憾、これは来年は必ず提案をする、こういう答弁があったわけですね、内閣委員会において。そう了解してよろしいかどうか。
  80. 大屋敷行雄

    ○大屋敷説明員 先ほど申し上げましたのは、三年間放置したということではなしに、恩給審議会答申事項は非常に膨大なものでございますので、これはおおむね三年計画でやる、こういうことで四十三年度から取り組んでおるわけでございます。残されておりますのがおおむね十項目あるわけでございます。これにつきましては、先ほど内閣委員会で総務長官が、でき得れば四十六年度にいたしたい、こう申し上げております。
  81. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういう状況に、内閣委員会で総務長官の恩給に関する答弁があった。いま橋口さんの御答弁によりましても、恩給法結論を待ってということで、そういう事態になりましたならば、先ほど、時期的な問題として二つに分かれる問題がありますけれども、そうしてその取り扱い、更新組合員でなかったという場合には、公務員共済なりあるいは公企体共済、こういうところではなかなかむずかしい問題が、法律のたてまえからいってあるわけですけれども、そういうものについて少なくともやりようはあるわけですね。法律はわれわれがつくるのだし、更新組合員でない者についてはそういう通算も期待権の関係で絶対認められない、こういうことではないだろうと思うのです。しかもこれは人数も非常に少ないし、国家の行為によってたいへんな苦労をした人たちですね。これはおそらく公務員、公企体あるいは地方公務員まで通じてもそう大きい数字ではない。せいぜい数百人程度だろうと私ども見ておるわけなんです。さんざん敗戦の苦辛を一身に背負って、異国の地で七年とか八年とか十年とかいうような、そういう長きにわたってほとんど苦役の中で過ごしてきた、こういうような人たちに対して、法のたてまえ論はあるけれども、そういうようなものを克服をしてこれにあたたかい手を差し伸べてあげるということ、ある意味においては軍人期間と全く同じ、むしろそれ以上につらい日々であった、こういう者に対する報いをすべきだ、こういうように考えるわけですが、その点について、先ほどの更新組合員でなければ通算をしないという公企体共済法のたてまえ、こういうようなものもありますけれども、そういう問題について恩給法にならってこれを改善をしていく、こういうお気持ちははっきり確認してよろしゅうございますか。
  82. 橋口收

    橋口政府委員 御指摘の二つの問題、いずれもかなりむずかしい内容の問題でございますが、恩給制度との関連も十分考慮しながら、慎重に、前向きに検討したいというふうに考えております。
  83. 山口真弘

    山口(真)政府委員 公企体共済組合のたてまえは、従来の恩給法制度並びに旧国家公務員共済組合法制度を引き継いで、そのときの期待権といいますか、それを尊重するたてまえで更新組合員について職員の期間あるいは雇用人の期間というものを通算するということにいたしておりまして、そういう形で最近まで外国政府機関その他の機関につきましてその範囲を広げてきておるということでございます。  そこで問題が二つあると思うのでございますが、一つは、そういう基本的なたてまえの中で、外国政府あるいは雇用人期間というようなものを更新組合員だけに限定せずに、これを通算するのかどうかという問題であろうかと思うのでございまして、この点につきましては、ただいま申し上げました制度のたてまえというようなことからいきますと、相当大きな、制度の根本に触れる大問題であろうと実は思うのでございます。ただ、これは先ほど先生御指摘ございましたように、抑留、留用された方々の事情についていろいろ考慮するということも十分考えなければなりませんし、あるいは国家公務員共済組合法との均衡というような問題もあろうかと思うわけでございますので、これにつきましては十分に検討をしてまいりたい、このように考えます。  それからいま一つの、それらとの関係のない抑留の期間自体の通算の問題につきましては、これは非常にむずかしい問題じゃないかと思います。これは一般の民間の抑留者との関係等もございますし、広くいえば戦争犠牲者一般の問題とも関連をするわけであろうかと思うわけでございまして、今後十分検討しなければならない問題ではないか、このように考えております。
  84. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 なかなかむずかしい問題点を私も承知はしておるのです。しかし現在の法律のたてまえということだけにこだわっていると、これはなかなかむずかしい面がある。たとえば公共企業体職員等共済組合法の特例ということで特例法をつくれば、法のたてまえをくずさないでその人たちを救済するということは十分に可能なんですね。たてまえをくずさなくても特例法の形式でいくということになりますれば。したがって、たとえば海外に昭和二十年八月八日以降抑留をされ——この法律施行日以後の問題が問題なんですから、以後に帰国し、他に就職することなく、組合員となった、それ以後退職することなく引き続いて当該組合の組合員である者は更新組合員とみなして長期給付に関する規定を適用する、こういうような法律の構成でいけばできないことはないと思うのです。さらにつけ加えていえば、この改正法律の施行日前に退職しまたは死亡した組合員についても、それぞれこれに従ってやるというような、そういう特例法形式でいけば——そうたてまえたてまえということでこだわっておりますとこれはなかなかできない。いろいろ関連、波及するところが多過ぎるということになりますけれども、これはだれが考えられましても非常に気の毒な人たち、財源も多く要する問題ではありません。ほんとうに微々たるものでございますし、このことはぜひともひとつ恩給法とともに改正ができますように、このことを強く要求しておきますが、これは次官、いかがですか。これはむずかしい問題だなんということをあまり言わずに、あなたの率直なお考えを聞かせてください。
  85. 中川一郎

    中川政府委員 恩給につきましては、御承知のように非常に複雑な経過規定がございます。年々政府でもそれぞれ一つ一つ解決をしてまいりました。まだ相当の項目が残っておりますが、先ほど恩給局から答弁されましたように、また山中総務長官が内閣委員会で、来年度は解決したいというふうに言っておるところであり、先ほど広瀬委員のお話を聞いておりましても、何といっても戦争抑留者というものはやはり戦争の犠牲者であって、あたたかい配慮で考えるべきものだと私も政治家として考えますし、政府を鞭撻してそういう方向で努力をいたしたい、このように思います。
  86. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 あと幾つか問題はあるのですが、時間もだいぶ経過しましたから、これで午前の質問を終わっておきたいと思います。また午後、引き続いて質問したいと思います。
  87. 毛利松平

    毛利委員長 大臣、一時に御出席の予定でありますから、恐縮ですが、しばしお待ち願います。      ————◇—————
  88. 毛利松平

    毛利委員長 清酒製造業の安定に関する特別措置法案を議題といたします。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  89. 毛利松平

    毛利委員長 本案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、藤井勝志君外四名より修正案が提出されております。
  90. 毛利松平

    毛利委員長 この際、提出者より趣旨の説明を求めます。村上信二郎君。
  91. 村上信二郎

    ○村上(信)委員 ただいま議題となりました清酒製造業の安定に関する特別措置法案に対する修正案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文は印刷してお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。  御承知のとおり、政府原案におきましては、今回新たに日本酒造組合中央会の事業として追加されることになります転廃給付金事業に係る納付金の確実な徴収を担保するため、一定の要件のもとに、この納付金を納付しない清酒製造業者に対して、大蔵大臣は、中央会の申請によって納付命令を発することができることとするとともに、これによっても納付金を納付しないときには、最終的には、酒税に係る滞納処分を受けた者とみなして清酒の製造免許を取り消すことができることとなっております。  しかしながら、この納付金は、公的性格がかなり強いとはいえ、本来、酒税そのものではなく、いわば、清酒製造業界の今後の整備合理化のための共助分担金ともいえるものでありますので、このような性格の納付金の納付についての大蔵大臣の命令に違反した者を酒税に係る滞納処分を受けた者とみなすことは、いささか誤解を生ずるおそれがあると認められるのであります。むしろ、この納付金についての大蔵大臣の納付命令の性格は、現行の酒類業組合法第八十四条第二項に規定する酒類業界の秩序を維持するために必要な大蔵大臣の命令に類似しているものと考えられます。  そこで修正案は、原案第九条第二項中の「酒税に係る滞納処分を受けた者」を、「酒類業組合法第八十四条第二項の規定による命令に違反して、酒税法第十条第七号に規定する者に該当することとなった者」に改めることといたしたのであります。以上が修正案の趣旨の概要であります。  何とぞ御審議の上、御賛成賜わりますようお願い申し上げます。
  92. 毛利松平

    毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。     —————————————
  93. 毛利松平

    毛利委員長 これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  これより採決いたします。  まず、藤井勝志君外四名提出の修正案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  94. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  95. 毛利松平

    毛利委員長 起立多数。よって、修正部分を除く原案は可決し、本案は修正議決いたしました。  次におはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  97. 毛利松平

    毛利委員長 この際、閉鎖機関令等の規定によってされた信託の処理に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等で御協議願い、お手元に配付いたしたような草案を得ました次第であります。
  98. 毛利松平

    毛利委員長 本草案の趣旨は、閉鎖機関令等の規定によってされた信託について、その存続期間の経過後もなお信託事務を行なうことができるようにするため五年間延長した存続期間を、さらに一年間延長して六年間に改めようとするものであります。  すなわち、満鉄等の閉鎖機関等のうち、債権者の所在不明等の理由で特殊清算を結了できないものについては、債権者に弁済すべき給与、賞与、退職手当等の財産を信託することにより、その信託の受託者から債権者に対する支払い事務が続行されてきたのでありますが、信託契約の存続期間の満了の際に残っている財産は国庫に帰属することとなっておりますので、債権者救済の見地から、昭和四十年、その存続期間を五年間延長する措置をとったのであります。  しこうして、その信託の処理の実情、特に、今回引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律を一部改正して特別交付金の請求の期限を一年延長したこと等をも考慮いたしまして、この際、その存続期間をさらに一年間延長して、引き続き信託事務を行なうことができることとしようとするものであります。  以上がこの草案の内容であります。     —————————————
  99. 毛利松平

    毛利委員長 おはかりいたします。  この起草案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案として決定するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  暫時休憩いたします。本会議休憩後再開することといたします。    午後一時十四分休憩      ————◇—————    午後二時四十三分開議
  102. 毛利松平

    毛利委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  共済関係法案質疑を続行いたします。広瀬秀吉君。
  103. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 国家公務員共済組合連合会の運営の民主化の問題について、若干質問していきたいと思うのです。  私の手元に、これは言ってもいいと思うのですが、全司法新聞という、これは全司法の労働組合で出したものであります。「乱脈きわまる経理、飲み食い給与のお手盛り、連合会の黒い霧、私物化する理事長」こういうことになっているわけですね。こういうことでは非常に問題があり過ぎると私は思うのです。幾つかのそういう新聞に——これは労働組合の機関紙ではあるけれども、これらの記事を裏づけるような幾つかの事実関係というようなものがやはり存在する。  そこでまず最初にお伺いしたいのだけれども、この連合会において四十四年度の変更事業計画すらまだできていない、成立していないという状況だそうですね。それからさらに四十五年度の事業計画もいまだにできないという、こういう状況にあるというのですが、一体これはどういうところに原因がありますか。
  104. 橋口收

    橋口政府委員 国家公務員共済組合連合会は、大蔵大臣の任命による理事長、及び理事長の任命による理事によって運営をされているわけでございます。連合会の機関といたしましては、理事のほかに監事、それから最高意思決定機関として評議員会という制度法律ではあるわけでございます。連合会の事業計画あるいは予算、決算等につきましては評議員会の議を経るということになっておるわけでございます。法律規定によりまして、決算につきましては大蔵大臣の承認を、予算、事業計画につきましても大蔵大臣の認可を必要とするものでございます。したがいまして、連合会といたしましては年度開始前に認可申請の手続をとることが必要になるわけでございます。  昭和四十五年度の事業計画及び予算につきましては、連合会当局は大蔵大臣の認可申請の手続をすべく、評議員会の承認を求める行動をとっておったわけでございます。ただ、御承知のように、連合会につきましては組合員の原資を中心としてこれを運営いたしておりますので、組合員の意思が十分に反映するように運営の実態を整える必要があるということで、現在は事実上の機関といたしまして連合運営審議会を持ちまして、事実上これにはかってものごとをきめておるわけでございます。本年の二月から連合運営審議会を開きまして、四十五年度の事業計画、予算及び四十四年度の事業計画の変更等につきましてその承認を求めるべく努力をしてまいったわけでございますが、事業計画、予算、決算の審議に入ります前に、各種の連合会の運営問題につきまして論議がございまして、法律上の手続といたしましては連合運営審議会は必ずしも必要的機関ではございませんが、しかし連合会の運営を円滑に遂行するために、特に連合運営審議会の承認を求めるべく、今日まで努力をいたしておるわけでございます。しかしながら不幸にして、今日におきましてはまだ連合運営審議会において正式の承認を得ていないわけでございます。したがいまして、緊急やむを得ざる状態ということで、今日まで認可申請の手続はなされていないわけでございます。
  105. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 いまいろいろおっしゃったのだけれども、そういう事態で、これについて大蔵省はどういう見解を持っておられますか。そういう事態に対する価値判断です。この点いかがですか。
  106. 橋口收

    橋口政府委員 国家公務員共済組合連合会は、理事長以下理事によって管理運営をされておるわけでございますが、重要な点につきましては、監督大臣としての大蔵大臣の認可あるいは承認によって運営をされているわけでございます。ことに事業計画あるいは予算というものは連合会運営の根幹をなすものでございますから、監督官庁といたしましてはできるだけ早く法律規定に従って手続をとるように要請をいたしております。しかしながら、先ほど申し上げましたような事情もございますし、はたまた最近理事長が健康上の理由等で交代をいたしたわけでございます。そういう新しい事態もございますので、できるだけ早く手続をとるように、今日においても督促をいたしておるわけでございます。
  107. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 連合会は、長期給付の決定及び支払い、責任準備金及び長期給付の支払い上の余裕金の管理運営、福祉事業の共同経営といいますか、そういう重要な仕事をやっておるわけであります。それにもかかわらず、この四十四年度の変更事業計画すら、年度がもう終わっているのに成立をしない、そういう事態というのは非常に遺憾な事態だと思うのです。これについて、きわめて遺憾な事態で、ただ単に理事長が途中で交代したというようなことだけではあるまい、こういうように思うわけであります。毎々この委員会におきましても、共済組合法審議にあたってはいつでもこの問題がかかってきて、問題としてとらえられて、何とかもっと民主化された効率のいい運営が行なわれるように、しかもまさに半分は公務員大衆の金である、こういうものを運用するわけでありますから、きわめて厳正にこの運用というものが行なわれなければならない、こういう立場にあると思うのです。それにもかかわらず、最近公務員共済組合の組合員の諸君からいろいろな問題が指摘をされてまいっております。  まず第一点、これはどこまで不当であるかどうかということは別にいたしましても、連合会の職員の給与額が、四十一年度と四十四年度を予算ベースで比較してみまして、四十一年度の四千百万円に対して一億八千百八十万というように膨大になっている。四十一年当時五十二名の職員がいまや百二十六名になっておる。二・五倍になっておる。給与総額は四・四倍になっておる。こういうことなんでありますが、この中に前には各省からの出向職員というのがあった。そしてその出向職員については各省で負担をしておった。これを最近連合会の負担に切りかえたというようなこともあってこういうことにもなっていると思うのでありますが、しかし人数がこれほどふえておるということについて、ほんとうにこの職員が連合会の業務運営のために必要最小限度の職員であるのかどうか。この辺のところにもかなり問題がある。あとから申し上げますような事実との関連において考えるとかなり疑問がある。これほど人間をふやすだけの問題がどうしてあったのか、どうして必要性があったのかというような問題について説明をしていただきたい。
  108. 橋口收

    橋口政府委員 連合会は御承知のように各単位共済の組合員からの掛け金を中心にして運営をされておるわけでございますが、最近は掛け金の伸びも順調になっておるわけでございます。したがいまして、現在時点におきましておおむね四千億円をこえる財産を管理運営いたしておるわけでございます。年間の増加金額で申しましても、約七、八百億円の金額が増加いたしてまいるわけでございます。これだけ大きな金額を管理運営する組織といたしまして、必ずしも十分組織なりあるいは人員の整備がなされておらなかったわけでございます。ことに昭和四十二年に今回辞任されました中尾理事長が就任されまして以来、連合会の組織、機構、人員の整備に努力をされたわけでございます。御承知のように約一万人近くの従業員をかかえておるかなり大きな事業体でございます。それだけに組織を整備し、また人員を整備するといった、連合会の運営の効率的な人員の確保ということにも努力をしていく必要があるわけでございますので、そういう点から申しまして、中尾理事長の代になりましてから、人員、機構あるいは規定の整備、一口に申しますと連合会の組織化ということに非常な努力をされたわけでございます。その結果としてかなりの人員もふえ、また予算、決算の金額も相当ふえたというのが現実の姿でございます。
  109. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 前に各省から出向した職員を各省で持っておったというのを、なぜ連合会で持つようになったのですか。その点、御答弁を願いたい。
  110. 谷口昇

    ○谷口説明員 前に各省で持っておったというのは、私の知っておる限りでは必ずしも事実ではないように思います。ただ、大蔵省から連合会に出向しておった者がおりますが、それは大蔵省が持っておったということでございます。それで最近に、先ほど次長が説明しましたように、事業組織の拡大とかあるいは運用の円滑ということも含めまして、先生先ほど御指摘のように人数をふやしておりますが、これに伴う費用につきましては、四十三年度以降本部経費補助金の形でもって費用を補助いたしております。
  111. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 どうもいろいろな事実を見ますと、それだけふやした人数がほんとうに連合会の使命とするところに従って充実した働きをしておるのかどうかということが疑わしいような問題がある。これは旅費の問題一つとってみましても、なるほど人数もふえているということもありますけれども、四十二年で七百九十五万円の旅費の支出があった。これが四十四年度では約倍に近い一千三百十九万という数字にはね上がった。しかもその内容を見ますと、全国に七班のキャラバン隊と称するものを組織して、施設等の点検などで出張をすることが名目なんだそうでありますが、延べ四十九名が出かけたようでありまして、二百三十七万円を支出しておる。このキャラバン隊は旅費をもらったほかに仮払い金を何ほどか持って出張をして、その出張の目的が終わったあとで打ち上げ会と称して一人七千円ぐらいの飲食費を費やしておる、こういうことであり、これは仮払いで処理をされているという問題点があるようであります。こういう事実が一体ほんとうにあったのかどうか。これは国家公務員共済組合の組合員から指摘されている問題点なんです。こういう問題について御承知でございましょうか。キャラバン隊というものがどれだけ旅費を使ってどういうことをやって、そしてその打ち上げと称するのは一体どういう意味を持つのか。しかもそれは仮払いという——この仮払い制度というのも、少なくとも会計規則やその他からいって、本来旅費以外に現金を持たしてやって、それを打ち上げ会と称して、一人平均七千円ぐらいも飲食費に費やすというようなばかげたことをやっているという事実関係について、お調べになったことがありますか。
  112. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど先生のお話がありました施設調査、これを連合会ではお話しのようにキャラバンと申しております。モデル調査といたしまして箱根と伊豆、それからそのほか全国各地に連合会の福祉施設がございますけれども、第一班から第七班まで、その福祉施設の状況について調査に出かけております。対象施設数で全体で七十八ばかりでございます。  そこで、しからばこういうものについて旅費がどういうふうになっておるかというお話でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、全体の問題でいいますと確かに人がふえております。その人がふえておりますことと関連をしてそのように旅費がふえておるわけでございますが、そのほかに、先ほど申しました施設改善のために全国調査を行なうということのために、四十四年にそういうことをやっております。したがいまして、四十二年度に比較しては確かに増加をした形で数字が出ておりますけれども、一応こういうものが行なわれまして、施設の状況を逐一把握するあるいは今後の改善に資するという形で出てまいりますと、これをピークにいたしまして今後はスタンダードなものに戻っていく。四十二年度に比べまして四十三年度、四十四年度はふえましたが、しかし四十五年度はそういう形で運用をさしていただきたいというのが現在の連合会の気持ちのように聞いております。
  113. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 四十四年度は、四十四年の十月から十一月、非常に行楽の季節、いい時期を選んで集中的に出たというのであります。しかも打ち上げ会に消費した金額が三十六万六千円。よくPTAなどでは何か行事が終わると反省会などということで、会費を持ち寄って二百円か三百円ぐらいのささやかなものでやることがあるけれども、この打ち上げ会というのはどういう性格のものなんですか。
  114. 谷口昇

    ○谷口説明員 非常に俗っぽい表現で打ち上げというお話がございましたけれども、こういうふうに施設を見てまいりますと、その結果といたしましてやはりその施設についてのいろいろな相談とか、あるいは施設改善についていろいろ打ち合わせをいたしますとか、そういうことはある意味であるかと思います。しかしながら先ほど申しましたように、このように四十二年度に比べまして四十三年度、四十四年度ふえたことは事実でございますが、今後はスタンダードな形に持っていきたい、かように連合会では考えております。
  115. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そういうおざなりな答弁ではいけないのであって、延べ四十九名で三十六万六千円をその打ち上げ会に使っている。異常だと思いませんか。あなた方そういう感覚ですか。
  116. 橋口收

    橋口政府委員 具体的な経営の内容につきましては、先ほど来申し上げておりますように連合会には理事長以下理事たるものがおるわけでございます。理事長の権限と責任においての処理でございますので、ただいま伺いました範囲内でその三十六万円が適切であるかどうかということについて的確なお答えはしにくいわけでございます。ただキャラバン隊ということで施設を調査し、その調査結果を持ち寄って十分今後の運営のための参考資料にしていくという意味での経費というふうに承知いたしておるわけでございます。ただ、御指摘がありました三十六万円が適当であるかどうか、あるいはどういう趣旨で使ったかということにつきまして、かりに御指摘のような疑念があるとしますれば、十分今後われわれとしても注意をし、また連合会に対しても監督を厳にしてまいりたいと考えております。
  117. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これは調査費としては一人平均七千円になる。これはやはり最後の晩に、行った一行で、おまえのところはどうだった——それぞれ分担などもきめて行くのでしょうから、それらの分掌、分掌に従って見た所見を集約するとかなんとかという、そういう会議だろうと思うのです、打ち上げ会というものは。そこで、しかし一人頭七千円が消費されるという事態は、幾ら高物価の今日といえどもはなはだしく不当だということをいわざるを得ないわけなんですね。これをひとつ十分調査をしていただきたいということ。しかも主としてこれは飲食に消費された金であるというように私どもは承知している。飲食費に一晩で七千円、みんな行った先で、現地でやっているのです。それがそういう点では問題ではないのか、今日の常識からいっても問題ではないのか、この点を伺っているわけです。調査をする気があるかどうかということ。それから、少なくともいま私が言ったことが事実とするならばこれは不当ではないのか。この点については明確に答えられるはずですから答えてください。
  118. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほどの打ち上げといいますか、そういう本部主催の諸経費あるいは旅費には、たまたまそういう場所でやりますときには当然その地におります施設の人たちも出ますし、あるいは連合会では最近といいますか、四十四年度におきましては、私どもの聞いている範囲では、病院長とかあるいは支配人とか、その他施設の職員の分もそういった経費でもって処理をしておる、このように聞いております。
  119. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 それではもうちゃんと調査もできているわけじゃないですか。一つ一つそういうことでこれから、実際にどういう形でこれが消費されたものかということについて調査するお気持ちがあるならばあれだけれども、あなた方はもう調査をしたという前提に立たないとそういう答弁はできないはずなんですね。だからそこらのところは、あなた方の立場としてはかばいたいという気持ちがあるのかもしれないけれども、どうも不当だという印象をぬぐい切れない。次官、どうですか。
  120. 中川一郎

    中川政府委員 この問題についての詳細は私も知りませんでしたが、いろいろむずかしい対立関係があることだけは従来から承知をいたしております。四十九名で三十六万、一人頭七千円ということで、かりに一晩でそういうことをやったとしたならば、これは若干、はでではなかろうか。どこから経費が出たにいたしてもそういうことは今後許されないことだと思うわけでございます。この点については、現地の人も参画しておったとか、あるいは一晩でやったのか二晩なのか、どういう状況であったのか、若干の説明はありましたが、さらに度を越したようなことがあるとしたならば、これは許されないことでありますので、監督官庁としては厳にひとつきびしい態度で進むべきだと存じます。  なお、組合側のいろいろな点についても少し、私ども政治家としては、行き過ぎの点もあるのではないか。この辺は両々相まって、ともに国家公務員共済組合の大事なお金を預かって、そうしてやっておる仕事でありますので、徐々にうまくいくように、先般人事の更迭も行ないました機会にその方向に持っていきたい、かように存じます。
  121. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 そのほかに——きょうはあまり時間がないものですから十分時間を費やして一つ一つの事実について問題にしていけないのですけれども、会議費が四十二年の二百二十五万に対して八百七十三万円、わずか三年の間に約四倍にふくれ上がっている。これなどもどうやら、中身について中尾理事長と組合の間にいろいろ追及などもあって、こういう事実だということを認めたという問題があるのですが、それはあえて言いませんけれども、これはかなり不必要と思われるような接待や不当な支出があったと見られている。そういう事実も理事長自身認めておる面があるのです。  それから食糧費、この種のあれで絶えず問題になるのですが、四十二年に六十三万四千円、これがいまや四十四年度で三百二十二万円、こういう伸び方を示している。食糧費などというのも非常に問題の起こりやすいものなんですね。こういうものもかくのごとくふえておる。いかに大事な仕事をやり、あるいは経済が物価上昇などを中心にして大きく成長したり、あるいは物価上昇があるといいながら、あまりにもこれがひど過ぎるという印象を、この数字を見ただけでも少なくとも受けるわけですね。  それから宣伝用の壁新聞などの問題についても、いまはやめた中尾理事長個人の問題になるから問題だけれども、自分の友人に対して、成規の手続というか、会計規則や何かで見積もりを出させる、競争入札をさせるというようなことを省略して、そういうことなしに発注をしているというようなことで、少なくとも市価よりもかなり高い単価の壁新聞なども出しておるということがいわれておるわけであります。  さらにまた、この前に愛甲土地汚職といわれて、最高裁に係属している事件の主役であったこの連合会の前常務理事の方、こういう人たちにもずっと二割減にして、十五万円の八割で十二万円というものを四年もずっと支出しているというような不正、これなども、高級官僚の天下り先においてまでこういうものがあるということについては非常に問題があるのではないかという気がいたします。これはもうそういう問題があると思うのです。  それから自動車の支出などについても、自動車が七台もあるにもかかわらず、かなり一般のハイヤーの借り上げ料というものが出ている。これなども、各省の高級公務員などがもうとっくにそういうことはやらないというように自粛をしている姿の中で、連合会ではそれが依然として大手を振って、埼玉県の蕨から通勤に使っている。あるいはどこかの料理屋で飲んだあと、みんなそういうものでお帰りになるというような、かなり乱脈な使い方がされておる、こういう問題もあるわけであります。  そのほか、数え上げると幾つでもあるんですよ。連合会を監督するのはやはり大蔵省なんですね。だから、こういうものが出ているということについて、これは一つも事実でないんだ、いま私が言ったようなことは、数字をあげて申しましたけれども、そんなのはみんなうそだというならあれだけれども、そういう面についてやはり監督者としてかなり責任を痛感をし、明らかにしておいてもらわなければ困る。その点、次官、いかがお考えですか。ぬかりがなかった、絶対にぬかりはない、適正な運営が行なわれているんだという確信をお持ちであるかどうか。
  122. 中川一郎

    中川政府委員 私の見解の前に、経緯その他について次長からまず回答させます。
  123. 橋口收

    橋口政府委員 国家公務員共済組合連合会は大蔵大臣が監督をいたしております、いわば特殊法人でございます。法律規定によりまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、事業計画、予算あるいは重大な運営事項につきましては、大臣の承認によってこれを管理いたしておるわけでございます。なお、連合会に対しましては年に一回監査を実施いたしております。  昭和四十二年に最近おやめになりました中尾理事長が理事長に就任されまして、ある意味では一つの改革をやられたわけでございます。内容としましては、事務機構の整備、事務体制の確立、事務運営の組織化、規定の整備等、いわば連合会に一つの近代的な組織を与える、こういう使命を持ってある種の改革を実行されたように承知をいたしております。ただ、何ぶんにも過去二十年間の歴史もございますので、前中尾理事長の意図されたような結果が今日ただいまあらわれているかという点で申しますと、われわれの検査でも明らかにしておりますが、規定の整備あるいは事務体制の確立ということは一応できてはおりますが、まだそれがほんとうに効率的に運営されているとはいえない。その改革の過程におきまして、制度、機構の整備のほかに、連合会全体の人間的な接触を深めるというようなことも、中尾前理事長の方針であったというように承知をいたしております。そういう点があるいは会議費の増高あるいは旅費の増加というような経理関係の実態となってあらわれている面もあろうと思います。で、それはそれなりの効果を持ったと思いますが、ただ先ほど来御指摘がございましたように、いかにも、経費の関係の増額に関しましても短期間でかなり急速な伸びを示しておるわけでございます。また人員にしましても相当程度ふえておりますし、また人員構成につきましてもいろいろ問題をはらんでおるわけでございます。  そういう意味で、最近おやめになりました中尾前理事長が一つの改革を意図された点は評価しなければならぬと思いますが、その改革の結果がまだほんとうに軌道に乗るには至っていない。その過程におきまして、連合会内外にある程度のフリクションを起こしたということもこれまた事実だろうと思います。そういう意味におきまして、われわれ監督官庁といたしましても、年一回の検査、監査だけでなく、日常の業務運営につきましても十分注意をいたしておったつもりでございますが、先ほど申しましたように、一つの組織体としての連合会の理事長の責任と権限において処理された事項も中にあるわけでございます。そういう意味におきまして、今日の時点で振り返ってみまして、中尾前理事長のやられたことが全部正しかったかという御指摘をいただきますれば、全部正しかったというふうに申し上げるだけの材料を持っておらないわけでございます。ただしかし、中尾理事長の時代に相当程度の改革が進んだということも事実でございまして、これは世の中において改革を実施する過程においてはある程度の摩擦現象を生ずるのはやむを得ないんじゃないか。しかし今日においてその摩擦の正しかったということを申し上げるつもりはございません。そういう意味におきまして、われわれの監督の点につきましても、従来以上にさらに厳粛に、またわれわれの監査の態度も従来以上にきびしくなければならぬという自覚を持っているわけでございます。   〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
  124. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 これはいろいろ立場上も、また大蔵省の先輩に対しての配慮もあって、非常に答えにくいところもあったかと思うんだけれども、まあ改革の熱情を示し、またこの連合会の組織運営というものを整備をしようという熱意がたぶんあったろうということは、私どももある意味において認めていいんですけれども、しかしそうだからといって、私どもが常識的に考えて、この共済組合の長期給付の資金を、巨額の資金を握って運営に当たる者としては、大衆の金が少なくとも半分だという観点に立って、厳正な、適正な運営というものがやはり確保されなければならない性格のものですね。そういうようなものに対して大蔵省も年に一ぺん監査をされる、その監査なども、これはことばはたいへん失礼になるけれども、同じ穴のムジナのような監査をしているのではないかということさえ疑いがある。しかもかなり真実味を持った疑いだと私も思っている。そういうような点で、大いに姿勢を正してやりたいということを答弁されたわけだけれども、その辺のところはもっともっと厳正にやってもらわなければ困るということを要求しておきたいと思うのです。  そこで、こういうものをやはり根本的に、抜本的に直していくために私は一つ提案したいんだけれども、理事構成というようなものを見ましても、大体各省の天下り官僚がほとんど理事、監事を占めておる。前大蔵省理財局長、東北財務局長、防衛庁の陸上幕僚長、人事院給与局長、会計検査院第四局参事官、衆議院管理部長、現法務大臣官房長、あとずっと官房長が文部、通産、農林大臣官房長、内閣総理大臣官房厚生管理官、労働大臣の官房長、監事が最高裁の経理局長と、こういうように、常務理事などは大体退職後のそういう枢要の高級官僚が占めておる。理事はそれぞれの官房長が当たっている。こういうようなことになっている。官房長なんというのは、これは各省の仕事に大体追い回されておる。各省のかなめですからね。まあ各省における大番頭、そういうことで本来の仕事に追われている人たちをこういうところにつけている。こういう者は共済組合の運用については比較的第二次、第三次的な立場で、まあまあいいでしょうという形の立場にしかない。本格的に運営の問題について、民主的な効率的な、しかもりっぱな適正な運営をやっていくということに常時頭を使っていくという立場にない、こういう人たちによって占められているということにやはり大きな問題があるだろうと思う。  そういうことで、この理事の構成などの中にも、あるいは評議員会というのもあるわけですけれども、こういうようなところに少なくとも共済組合員を真に代表する——労働条件なりあるいは福祉関係なりというものはやはり労働組合が、主として担当しておる専従の者もおるわけであります、そういう人たちがやはりやっていかなければならぬ。評議員会なども大体各省の厚生課長クラスがずっと並ぶというようなことでは、ほんとうに組合員の立場に立ったのではなくて、この理事長なり理事なりという、さっきのような構成の中から、言われるものに賛成をするだけの役割りになってしまっておるのではないだろうかということ。  ですから、少なくともこういう役員構成にあたって、この構成を変えるという、こういうことが非常に必要だろうと思うわけです。理事会の構成等においても、国家公務員の各労働組合等からこの半数程度は少なくとも理事を出したらどうか。さらに理事長の任命制度大蔵大臣が任命をする、こういう制度になっておりますが、これなんかも評議員会で選挙をする。あるいは理事長については、そうしてでき上がった理事の互選というもの、通常の民主的な組織形態、こういうようなものの中における役員の構成、選出の方法、こういうようなものを大胆にこの際取り入れたらどうか。何にもマイナスはない。プラスはあるけれどもマイナスはない。しかもそういうような、いま私が若干一部を指摘した問題等もなくなるだろう、こういうように考えるわけです。これについては何回もこの委員会でも審議をして、皆さん前向きに検討するというような答弁もあるのだけれども、いささかもそういう点について改善のあとが見られない。しかも連合会の運営というものは、先ほど申し上げたようにいろいろ問題がある。これはかなり改革の情熱を燃やしたといっても、経理面等についてはきわめてわれわれの常識から不当だと思われるようなものがなお今日非常にふえている。こういうようなことを考えると、いまこそわれわれが常々前々から提唱しておったこういう問題について、本気になって本格的な検討をして実現に移していく、実施していく、こういう時期に来ていると思うのですが、いかがでございますか、やろうという考えは全くありませんか。いかがですか、その点は。
  125. 橋口收

    橋口政府委員 連合会の組織問題につきましては、広瀬先生よく御承知のように、当委員会でもしばしば論議の対象になっているわけでございます。先ほどもちょっと触れました連合運営審議会というものが事実上の機関として連合会に設けられているわけでございますが、単位共済につきましては、御承知のように運営審議会というものが法的機関として法律上認められているわけでございます。中尾理事長の前の今井理事長の時代には、理事長の所見という形で連合会の組織問題に対する構想というものが明らかにされたような経緯もございます。これは当時の速記録等で拝見しますと、連合運営審議会というものの運営の実態に応じて、将来の問題として、これを定款上の機関にするということを検討してみたい、一年程度の実験期間を置いて、結果がよければ定款上の存在として正式に認めたい、こういう今井構想を発表されたような経緯もございます。その後中尾理事長になりまして、先ほど改革の意欲を持っていろいろ改善の方針を出されたということを申しましたが、改善の方向につきまして、必ずしも今井理事長当時の考え方と軌を同じくしていなかったというような事情もあったように承知をいたしております。したがいまして、その後、当時の今井構想というものが、いわばたな上げの状態になって今日まで推移をいたしておるわけでございます。  ただ、連合会の運営の本質から申しまして、組合員の気持ちが十分反映できるような組織及び運営の実態というものは、十分検討に値することであろうというふうに考えております。ただ御承知のように、現在の連合運営審議会も実は事実上の機関でございますが、この連合運営審議会の協力なくしては、連合会の円滑な運営はできないという実態でございます。したがって、そういう実態をどう評価するかということでありますが、たまたま五月に理事長が交代されたわけでございますので、ここでまず連合会としての態度を明らかにしてもらう。これは監督官庁といたしましても、新しい事態に即応して、新しい見地からこれを取り上げ、検討するようにということを指示いたしております。監督官庁といたしましては、連合会の方針が決定いたしましたならば、これに対してこちらは前向きに検討したい。組織問題は非常に重要な問題であるということは承知をいたしております。  ただ、ただいま御指摘のありました役員、評議員会のメンバーに加えるのがいいかという問題につきましては、さらに検討いたしてみたい。先ほど申し上げたような今井構想という経緯もございますので、そこらとのつながりをどういうふうにしたらいいか、そういうことを考えまして、総合的に検討したいというふうに考えております。
  126. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 時間がありませんから、これから佳境に入るところなんですけれども、これでやめますが、最後に中川次官、実は私が指摘したような、提案したような問題について、ほんとうにあなたも前向きで検討される用意があるかどうか、この点を御答弁いただいて終わりたいと思います。
  127. 中川一郎

    中川政府委員 この連合会の現状については心から憂えるものであります。同じ国民でありながら現在はもう断絶状態、四十五年度の予算すら可決ができないという状況であります。連合運営審議会なども組合管理というか、一歩も進まぬというような状況にあることはまことに遺憾であります。この点については大蔵省としても、過去今井構想があり、また中尾構想があって、一生懸命やっておったようですが、いま半ばであります。半ばでありますが、これをほうっておくわけにはまいりませんので、理事者側における反省すべき点は大いに反省をし、そのかわり組合側にもひとつ考える点は考えていただいて、運営を改めるよう最善の情熱を傾けてもらいたい、このように存ずるわけでございます。
  128. 山下元利

    山下(元)委員長代理 小林政子君。
  129. 小林政子

    小林(政)委員 きわめて限られた時間でございますので、単刀直入に二、三の問題をお伺いしたいと思いますけれども、いま広瀬委員からも国家公務員共済組合連合会の問題等について、いろいろとここで問題点の指摘がございました。  いま共済組合連合会の経理が非常に乱脈で、その腐敗ぶりというものについては非常にいろいろといま問題になっておるところでございますし、特にいわゆる連合運審の席上などでも非常に大きな問題として取り上げられていると同時に、各単位組合の機関紙等でも、この内容についてはこれは明らかにされて報道されております。この連合会の、特に共済組合においての業務の執行というものは共済組合法第百十六条に基づいて大臣がこれを指導、監督をするということになっておりますし、また組合は、大蔵省令で定められたところによって、毎月その月の月末にその業務の実態について大蔵大臣に報告をしなければならない、こういうことが規定されておりますけれども、ここで私はむしろ大蔵省の姿勢の問題、責任の問題として二、三お伺いをいたしたいと思います。  大蔵省では四十四年度の予算で、国家公務員共済組合連合会医療施設費等の補助金といたしまして六億八千三十九万五千円を支出いたしております。これに照応する連合会の医療経費の補助金、四十四年度の予算書に補助金としてこれが計上をされておりますけれども、これの中身を見てみますと、四十四年度予算書の本部経費の配分を見てみますと、六億八千三十九万五千円は、その内訳として一億二千万円、これが補助金、そうして医療経費が五億六千三十九万五千円というふうにこれに明示をされております。国は医療施設費の補助の名目で連合会本部の経費に一億二千万円を補助しているということになりますけれども、この経費の使途について認められていた具体的な見解についてまずお伺いをいたしたいと思います。   〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
  130. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほど先生お話しの四十四年度の本部経費の配分の問題でございますけれども、実は御承知のとおりに単位組合よりの繰り入れ金というものがございますけれども、約六億二百六十九万八千円というもの、それから五億七千八百五十九万円、これは保健経理よりの繰り入れ金というものがございますが、これは実は通り抜け勘定でございまして、そういうものを差し引きますと、実は実収入といたしましては一億三千百二十九万八千円となります。その一億三千百二十九万八千円に対しまして、支出といたしましては実は先ほどの三億五千六百六万五千円という数字になりますが、これは同じく医療経理への繰り入れた金、宿泊経理への繰り入れ金というものがやはり通り抜け勘定になっておりますので、これを差し引いたものが先ほど申しましたような数字になりますけれども、そういうものを引きましても、実は一億二千万円を入れましても一億三千百二十九万八千円ということで、やはりこれは先生お話しのように黒字であるというわけではなくて、そういうものを入れましてもなおかつまだ赤字という状況でございます。
  131. 小林政子

    小林(政)委員 いまの、一億二千万を入れても黒字ではなくて赤字になるんだということでございますけれども、私はこの問題については二つの問題点があるだろうというふうに考えられます。  一つは、当然これは国家公務員共済組合法の第九十九条第二項の五号で明らかにいたしておりますけれども、組合の事務に要する費用は全額国が負担をするということになっておりますけれども、「福祉事業に係る事務を除く。」ということになっております。しかも、もし赤字が出て、そうして組合員の福利のために何らかの措置を講じなければならないんだということであるならば、私は堂々と法を改正して、そうして経理を明確にして、国会等にもこれらの問題について相談をするなり何なりして、法的に明らかにしていくべきであろう、このように考えます。いまのような法規定の中で、そして純然たる福祉事業にかかわる事務である、そういう本部経費にトンネルだというような形でもって、この使途を認めてきたという法的な根拠について私はまずお伺いをしたいと思います。
  132. 谷口昇

    ○谷口説明員 先ほどもお答えいたしましたが、御質問は連合会の四十四年度事業計画、予算の説明書、本部経費の配分のことでございますが、先ほど申しましたように、共済組合法百二条三項の規定によりまして、連合会加入組合は福祉事業の費用に充てるべき負担金相当額を連合会に払い込まなければならない、こう規定されておるわけです。この負担金は形式上一たんは本部会計で受け入れますけれども、終局的には各福祉施設に充当すべき額でございます。したがって本部会計に残るべきものではないと考えております。それから医療施設の病院の建設資金に充当する借り入れ金金利等も上記と同様な形式上本部に受け入れていくということでございます。
  133. 小林政子

    小林(政)委員 医療経費の施設等の補助の問題について私はいま指摘をしたわけでございまして、その中で明らかにこのような一億二千万を全く本部の——その使途を見てみますと、一億二千万がどのようなものに使われておるかという中身を見てみますと、これは明らかに——時間がないので私はこまかいことを言えないのはちょっと残念なんですけれども、職員の経費とかその他にこれが全部使用されておるわけですね。ですから、そういうことがもしどうしても必要であるのだというならば、私は、ほかの形で正直に問題にすべきであって、一応純然たる福祉事業にかかわる事務に——本部経費にこれを繰り入れるべきではないのではないか、こういう点についてもっと明確にしていく必要があるのではないかと思います。  時間がございませんので先へ進みたいと思いますけれども、運審の会議等の中では、聞きますと、中尾理事長は連合運審の席上でしばしば、自分がこの一億二千万は大蔵省から何か取ってきたという意味のことを公言をしておるというふうにいわれておりますし、また、この補助金で事実、理事長の給料等も三倍にふやす、あるいは汚職の栗田元常務理事へ四年間七百万も給与の不正支給が行なわれておるなど、こういったような問題等がこのような姿勢の中から根本的には出てきておるのじゃないか。何か持参金のような、そういうことを公然と運審の理事会で発言をされる、その姿勢の中にこういったような、いま大きな問題にされております不正腐敗ぶりの根源がやはり含まれておるのじゃないか、このように考えますけれども、そのことを明らかに承認をされていた大蔵省側の責任について、私は、どのようなお考えを持っておるのかをお伺いしておきたいと思います。
  134. 谷口昇

    ○谷口説明員 連合会に対する本部経費補助金の問題についての御質問であろうかと思いますので、その点についてお答えを申し上げたいと思います。  御指摘のとおりに、四十三年度の一般会計予算におきましては、連合会本部事業運営費の補助といたしまして八千五百万円、四十四年度は先ほどお話しのように一億二千万円というものが計上されております。このように補助を行なうといたしておりますのは、次のような理由によっております。  すなわち、連合会の行ないます長期給付に関する業務をはじめ、医療あるいは宿泊等の福祉事業は、御案内のとおり近年ますます規模を拡大しておりますし、事業運営についても改善を要するという多くの問題を生じておるわけでございます。先ほど次長が答弁をいたしましたように、事業規模を逐次拡大をいたしまして近代化の方向に努力をしていると申しましたが、そういった事業運営の近代化に伴いますいろいろの経費が要るかと思います。こういうことについても、この補助金の中の一つの理由になっております。  それから、従来から連合会の本部事業の運営費は、医療あるいは宿泊施設等の事業収入に依存をしてきておりましたが、御案内のとおりに、最近におきまして経営赤字がかなり累増をしてきた、これが公務員に対するサービスの低下ということに相なってまいりますと、そもそもの連合会設立の趣旨が公務員の福祉向上ということにあることと関連いたしましていささか問題が生ずる、このようにも考えます。そこで、そういったサービスの低下を来たさないように、同時に加入各公務員の負担の軽減をできるだけはかる、こういうような趣旨も加えまして、先ほど申しましたように、本部経費補助金といたしましてそのような額を計上させていただいた次第でございます。
  135. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますと、国家公務員共済組合法九十九条第二項の五号というものは廃止をされたということですか。
  136. 谷口昇

    ○谷口説明員 先生御指摘の九十九条にかかわる事務費の問題ではなくて、これは実は、御案内であろうと思いますけれども、国家公務員共済組合法の十二条に「各省各庁の長は、組合の運営に必要な範囲内において、その所属の職員その他国に使用される者をして組合の業務に従事させることができる。」その次に「各省各庁の長は、組合の運営に必要な範囲内において、その管理に係る土地、建物その他の施設を無償で組合の利用に供することができる。」こういう条項がございますが、その条項に即したような運営をさせていただいております。
  137. 小林政子

    小林(政)委員 そうしますと、実態として赤字が出ているのであれば、これは組合員の負担の軽減をはかるということで新たな措置を当然とるべきである、こういう見解を明らかにしながらも、少なくともこの「福祉事業に係る事務を除く。」ということが明記されて、純然たる福祉事業にかかわる事務を除くということがあるにもかかわらず、本部経費の中にこういうものを入れて違法ではないのかということを、もう少し明確に答弁をしていただきたいと思います。
  138. 谷口昇

    ○谷口説明員 先生の本部経費に入っておるとおっしゃるのは、医療経理の、あるいは福祉経理の問題ですか、その金額の問題ですか。
  139. 小林政子

    小林(政)委員 一億二千万のことです。
  140. 谷口昇

    ○谷口説明員 一億二千万は、先ほど御答弁しましたような十二条の関係でございます。そうして本部経費に入っておるといういまの先生のお話は、先ほど申しましたように、通り抜け勘定になって、医療経理あるいは福祉経理の単位共済組合からいただいてきました金をそのまま各経理へ繰り入れする、こういう経理でございますので、これは単に経理上の操作でございます。したがいまして、これに基づいて赤字であるあるいは黒字であるという問題にはならないかと思います。
  141. 小林政子

    小林(政)委員 時間がありませんので、ここのところだけをやっておりますと、四時から本会議が開かれるということなので、私この点については保留をいたします。そうしてさらに先へ進みたいというふうに考えます。  次に伺いたい点は、連合会の中央図書室の経費等についての問題でございますけれども、この減価償却というものについて、具体的に図書の減価償却というものについてはどのような見解をお持ちになっているのか、この点について、まず大蔵省側の見解をお伺いしておきたいと思います。
  142. 谷口昇

    ○谷口説明員 中央図書室の図書費の減価償却の問題でございますけれども、連合会といたしましては、図書価格が一千円以上のものにつきまして物品管理の対象にしております。償却費におきましての図書の管理は、国の物品管理と同様な運営をしております。  なお、管理運営については虎の門病院に委託しているので十分掌握しておらないということでございますが、こういうものについては今後検討していきたい、このように考えております。
  143. 小林政子

    小林(政)委員 図書の管理については物品等の管理ということで取り扱いをいたしておるということでございますけれども、図書というものは、むしろ減価償却の点では、図書そのものの価値というものが年数によってなくなっていくというようなことは当然考えられないことですし、ある図書においてはむしろ年数がたてばたつほどその価値はふえていくものでもございますし、したがって図書の取り扱いについては、これは物品としてはたして取り扱うべきが妥当なのかどうか、その点についてまず見解をお伺いいたします。
  144. 谷口昇

    ○谷口説明員 連合会の説明によりますと、連合会としては御案内のとおりに企業でございまして、企業会計の原則によりましてこのような図書の整理をさせていただいておる、このように考えておるようでございます。
  145. 小林政子

    小林(政)委員 これについても連合会の見解によってということでございますけれども、これは明らかに、図書だとかあるいは絵画等については減価償却の対象にすべきではないということが一般にいわれておりますし、また特に一万円以下の図書等については減価償却として取り扱うべきでないというようなこともいわれておるわけです。この問題等についても、何か連合会側がそのような解釈を示しておるからそれをそのまま認めているんだというような態度こそ私は問題ではないかというふうに考えます。この点についてはその点を強く指摘しておくのみにして次に進みたいというふうに考えます。  時間がありませんのでほんとうに十分質問できないことは残念ですけれども、いま一、二、の例をあげて質問したわけでありますけれども、広瀬委員からも具体的な事実関係について何点かの指摘がございました。私もこれらの、たとえば来客用、残業用としてわざわざ高い酒を銀座の割烹「桔梗」から買い込むというようなニュースだとか、あるいはまた組合員への施設の広報宣伝用の壁新聞、これも施行規則に違反して相当額、百一万二千円の不当な支出を行なっているとか、さまざまな問題が組合の機関紙等に載せられ、その経理の乱脈ぶり、腐敗ぶりというものがいま問題になってきておるところでございますけれども、五月の一日付で中尾理事長がおやめになったわけですけれども、これはどんな理由でおやめになられたのですか。
  146. 橋口收

    橋口政府委員 中尾前理事長は四十二年に就任されましてから、しばらく病気をしてお休みになったような経緯もございます。病名等につきましてはちょっとはっきり確認しておりませんが、今回も病気による、健康上の理由によって退任したい、こういう申し出もあり、その事情を了承いたしまして解任の措置をとったわけでございます。
  147. 小林政子

    小林(政)委員 私はこのような、いまのさまざまな汚職とも考えられるような腐敗きわまりない乱脈ぶり、こういうふうなものが起こっておる原因は、単にこれは中尾理事長一人だけがやめたからいいという、責任だけではないと考えます。たとえば先ほども申し上げましたとおり、法第百十六条では、「組合の業務の執行は、大蔵大臣が監督する。」こういうことが明記されている以上、監督することになると同時に、毎月事業報告を提出させて、必要があるときには命令することができる、こういうことも明記されております。大蔵大臣が毎月の業務報告を承認していたのであって、その責任はきわめて大きなものではないか。中尾理事長がただやめただけでこの責任はそれで、事なかれ主義で終わるというようなものではないと考えますけれども、このようなずさんな経理の腐敗の責任についてはどのようにお感じになっていらっしゃるか。そして今後このようなことを再び起こさないという保証を明らかにしていただきたいと思います。
  148. 橋口收

    橋口政府委員 国家公務員共済組合連合会は相当大きな組織体でございますので、先ほどもお答えいたしましたように、理事長以下理事によって運営をされておるわけでございます。したがいまして、個々の経費等につきましては、理事長の権限と責任において実施できるような体制になっております。しかし、御指摘がございましたような事項もございますので、今後は疑惑を招かないよう、十分監督をしてまいりたい、かように考えております。
  149. 小林政子

    小林(政)委員 時間がないので、あと一点要望だけで終わりたいと思います。  この問題は、先ほど広瀬委員も強調されておりますけれども、最も重大な問題は、やはり管理運営の民主化の問題だろうというふうに考えます。したがって、今後のこの管理運営の民主化をはかっていく上で、私は当然膨大な掛け金を行なっております一般職員の代表として、その代表機関としての職員組合の代表は当然参加させるべきである。このようなお考えを持っているかどうか。先ほど検討に値することだろうということでございましたけれども、単に検討段階ではなくて、このような事件が起こっているさなかこそ、直ちにやはりこの問題については結論を出すべきだというふうに考えますけれども、この点についてお伺いをして、私の質問を終わりたいと思います。
  150. 橋口收

    橋口政府委員 広瀬委員の御質問にもお答えをいたしたわけでございますが、連合会の実態を見ますと、今日の時点におきまして、いわゆる組合員が相当程度参画をしているというふうに認識をいたしております。ただ、そういう実態と法制上の制度と、ある程度の距離がございます。したがいまして、そういう問題も含めて、今後連合会の組織問題については検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  151. 小林政子

    小林(政)委員 二度と再びこのようなことを起こさないように、直ちに運営の民主化の問題等については特段の措置をとると同時に、いま幾つか残されております疑問点の問題等についても、連合運審等の席上においても資料等の提出を行なって、徹底的にこの改革をはかられることを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 毛利松平

    毛利委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  153. 毛利松平

    毛利委員長 これより討論に入るのでありますが、両案につきましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  154. 毛利松平

    毛利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  次に、昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  155. 毛利松平

    毛利委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     —————————————
  156. 毛利松平

    毛利委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党及び民社党を代表し、藤井勝志君外三名より附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。  この際、提出者より趣旨の説明を求めます。広瀬秀吉君。
  157. 広瀬秀吉

    広瀬(秀)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表してその提案の趣旨を簡単に御説明申し上げます。  案文は印刷してお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。  この附帯決議案が示している諸点につきましては、多年本委員会において論議がなされ、昨年におきましても、共済年金改定法可決の際、附帯決議として付せられているものでありまして、その内容はいずれも案文の文言で尽きており、特に御説明を加えることもないと存じます。ただ、一点、第四項目の「制度改正等に伴う共済組合給付に要する費用の負担については、その適正を期するよう検討すること。」とございますのは、国の負担を公共企業体共済組合法に取り入れるべきであるという趣旨でございますので、その点明確にしておきたいと思います。  これらの諸点につきましては、共済制度のたてまえ上あるいは他の社会保障制度等との関連上、いろいろ問題も存することとは思いますが、政府におかれましては引き続き鋭意検討を進められ、その実現が期せられるよう強く要望するものであります。  以上が本附帯決議案の提案の趣旨でございます。  何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げ、提案説明を終わります。     —————————————    昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十二年度、昭和四十三年度及び昭和四十四年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改正に関する法律及び公共企業体職員等共済組合法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一 公的年金スライド制についての調整規定の運用については、公的年金制度調整連絡会議結論等を勘案し、すみやかに具体的対策を進めること。 一 公的年金の最低保障額については、これが適正な均衡と引上げについて検討すること。 一 外国政府等職員期間の通算が更新組合員に限られているが、終戦当時捕虜として外地に抑留留用され、新法施行後に公務員、公企体職員に就職した者についても通算できるよう早急に調査のうえ善処すること。 一 制度改正等に伴う共済組合給付に要する費用の負担については、その適正を期するよう検討すること。 一 組合員が退職後一定期間内に発病した場合において、他の医療保険制度との関連を考慮しつつ、医療給付が行なえるよう具体的措置を講ずるよう努めること。     —————————————
  158. 毛利松平

    毛利委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  おはかりいたします。  本動議のごとく附帯決議を付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  本附帯決議に対し、政府の所信を求めます。福田大蔵大臣
  160. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って十分検討いたしたいと存じます。     —————————————
  161. 毛利松平

    毛利委員長 次におはかりいたします。  ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  162. 毛利松平

    毛利委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  163. 毛利松平

    毛利委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時五十六分散会