○春日
委員 それでは、仮定の問題では適当でないと思いますが、理解しやすいと思いますから私が
説明しますが、あなたのいまおっしゃった保険とか共済とかいうような観念ではなくて、その裏の
立場から判断をしていただきたいと思うのです。
たとえば、この賦課金ですね。グルーピングとかなんとかの賦課金を組合からかけられた。それはいやだといって組合を脱退した。あるいは脱退しなくても、
組合員外のものに向かってこの賦課金を賦課した。本人は払わない。私は組合なんか関係ない、私は
組合員外だから払わないと言う。しかし
法律では、払わなければ大臣に向かって支払い命令を要請することができる。それでも払わない。大臣命令にも服従しない。そうすると今度は
酒税法第十二条かなんかで醸造
免許の取り消しを受けるのですね。そうするとその本人は、私は
酒税法に基づいて酒をつくっておるんだ。
酒税も確実に納めておる。ただその企業整備みたいな問題について、そのやり方について私は納得できないから払わないんだ。払わなかったら今度わしの営業
免許を取り消してしまった。これはまさに職業
選択自由の原則に反する、憲法違反だといって行政裁判を起こすのです。そうしたときに憲法裁判で、この
法律は憲法に違反するという判決がおりたらこの
法律は全部無効になるか。そういう場合が私は絶無ではないと思う、この場合は。現在たとえ一名の者でもこの酒造組合に入っていない。将来も脱退する者があるかもしれぬ。
考え方が変わって、いろいろと服従命令にも服しない者が出てくるかもしれぬ。そうするとこの
法律はどんどんとエスカレートしていく。組合が直接に払えといっても払わぬ。勧告しても払わぬ。大臣に支払い命令を求める。大臣の支払い命令にノーと言う。そうすると今度は
酒造免許の取り消しを受ける。これはもう大いなる既得権、財産権の侵害になる。その賦課金を払わぬぐらいのことで、根底的な職業
選択自由の原則であるその営業権、しかも先祖代々やっておる営業権が、今度のグルーピングの賦課金を払わぬというだけで
免許取り消しになるというばかなことがあるか。ほんの枝葉の問題でその根元をひっこ抜くというばかなことがあるかといって違憲訴訟がなされて、かりにその憲法裁判でこの
法律は違憲だというようなことになると、国会全体として責任は重いと思うのですな。それで私は、少なくともこの処罰規定、行政罰規定はこの際考慮してみてはどうかと思う。
ということは、先国会であの理美容師法について、われわれがみずから省みてずさんな
審議であったと思うのだけれ
ども、あの管理者の制度を置く、置かなければ営業を認めないという
法律ができたのですよね。全国でえらいセンセーション、大もんちゃくです。われわれは
法律に基づいて国家試験を受けていま営業をやっておる。ところが新しい
法律をつくって、四十何時間の講習を受けた管理者を置かなければその事業の営業を認めないというような
法律は違憲立法であるといって、いまみんな違法訴訟を起こしていますが、そのようなことをここに誘発しては相ならぬと思う。いま自民党さんも、社会党さんも、われわれも、公明党さんも、みんな一緒になって、いかにこの調整をはかるべきか苦慮いたしておるのであります。私は酒の醸造
業者で、先祖代々酒の製造をやってきた。きちっと酒団法に基づいて酒の醸造をやってきておる。ところが今度のグルーピングの問題だけどうも自分として納得できないから、賦課金払いませんのじゃ。それじゃ
免許取り消しする。本人が違憲立法としての裁判を起こすということは容易に想定できることだと思う。そのことをおもんぱかりみれば、私はこのような
免許取り消しをすることもできるというような条文はこの際修正をしたほうがよいのではないかと思う。少なくとも基本的人権は最高度に保障されなければならぬと思うが、この点はいかがですか。