○藤井委員 私は、ただいま
議題となりました
日本開発銀行法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議について、自由民主党、
日本社会党、公明党、民社党を代表いたしまして、その
提案理由を御
説明いたします。
附帯決議の案文はお手元に配付いたしてありますので、朗読は省略させていただきます。
日本開発銀行の設立
目的は、第一条に明記されておるとおり、わが国
経済の再建と産業の
開発を促進することにありますが、すでに
経済再建の
目的は完了し、一九七〇年代に予想される
経済社会の急激な変化と発展に対応いたしまして、その要請にこたえなければならぬ時期に到達いたしておりますことは、しばしば本
委員会においても指摘されたとおりであります。
すなわち第一は、
経済の国際化、
経済社会の急速な発展に対処するため、各種の融資において、特に国産技術
開発あるいはまた
中堅企業への融資を
充実するよう特別な配慮が必要だと思うのでございます。
特にここに
中堅企業の問題を取り出しましたのは、
中小企業金融は、御案内のように
中小企業三機関をはじめとして、いろいろ手当てがございます。
開発銀行の融資のあり方は、結果的には大企業中心になっておることも否定することのできない事実でございます。そこにいわゆる
中堅企業に対する融資の手当てがいわば盲点というようなことになっております。特に最近資本取引の自由化、こういった
現状から
考えますと、いわゆる外資の乗っ取りというような問題も間々見聞するわけでございますから、こういう点についてよく融資の配慮を開銀においてになうべきではないか、このように
考えて
中堅企業への融資を取り上げたわけでございます。
国産技術
開発の問題は
説明を要するまでもございません。自主的技術
開発の問題が、今後の
日本経済発展の原動力になるわけでございます。
それとともに公害対策、都市再
開発、
地方開発等においても、特に人間生活あっての産業活動でございます。人間尊重、生活優先の融資につとめるべきものでございまして、こういった問題については、やはりこの
開発銀行が積極的に一役をになうという必要性があるのではないか、このように
考えるわけでございます。
第二の点は、融資案件の選定にあたりまして、たとえば大企業に開銀融資が行なわれてきたために、同一業種の
中小企業者がいわゆる構造
改善事業を推進するのに不必要な混乱を起こしている事案も、具体的にしばしば見受けるわけでございまして、このようなことのないように、
政府施策間のいわば呼吸を合わせると申しましょうか、斉合性をよく
考えてもらいたいことと、同時に公害問題においては、公害防止
事業団と
開発銀行との業務分野における
調整の配慮等々、いろいろ
考えなければならぬ点があるわけでございます。
同時にまた、先ほども指摘申し上げたごとく、絶えず時代の緊急な課題に即応する分野に融資の重点を向ける必要性が一そう配慮されるべきであろうと思うのでありまして、先般来いろいろ議論が出ましたが、特にすでに政策課題が解決された問題は民間長期金融の
対象に移してきておるわけでございまして、鉄鋼業はすでに
開発銀行の手から卒業をしておる。近い将来海運の融資の問題も検討されるべきであり、引き続きホテル
関係の融資の問題もこのような観点から配慮されるべき問題であろうと思うのであります。
それと同時に、前向きの問題としては新全国総合
開発計画、これを受けて新
経済社会発展計画等の展望のもとに、いわば最近いわれます農工一体、農村工業化というような問題については、新たな政策課題として、
開発銀行が検討すべき融資
対象がこれから出てくる、このような配慮が必要ではないかという点でございます。
第三は、
経済社会環境の急速な進展に対応いたしまして、新たな融資分野における開銀の果たすべき役割りの重要性にかんがみまして、現在の
制度そのものについて根本的な検討をすべきであるという点でございまして、このたびの開銀法の
改正も、融資条件を債券あるいはまた貸し出し規模について自己資本の五倍を六倍にするという
改正案でありますが、このような
改正の過去の足取りを拾ってみますと、
昭和三十三年には自己資本の二倍に
改正いたしまして、
昭和三十八年に三倍、
昭和四十一年に四倍、
昭和四十四年に五倍、ごく最近においても小刻みに融資規模の拡大をはかっておるということは、きわめて安易な御都合主義、便宜主義のそしりを免れない。このような観点から
考えましたときに、やはりこの問題については、あるべき開銀の将来の使命を
考えて根本的に検討すべきではないかという点でございます。
同時にまた、いままで開銀は、
昭和二十六年創立以来四十二年までに、国庫納付金累計額二千一百億円でございまして、開銀への
政府出資そのもの二千三百四十億円と、すでに出資額にほぼ匹敵するような国庫納付金を出しておるような
現状でございまして、開銀の今後になうべき使命を
考えると、先立つものは金でありまして、やはり原資の
充実といった点についても今後
考えるべきではないか、こういう点でございます。
以上がこの附帯決議の
提案の趣旨でありまして、何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げる次第でございます。
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日本開発銀行法の一部を
改正する
法律案に対する附帯決議(案)
政府は、一九七〇年代の
経済社会の新しい要請に対応して、
日本開発銀行について、次の諸点に関して十分に配慮すべきである。
一、
経済の国際化、
経済社会の急速な発展に対処するため、各種の融資において国産技術
開発、
中堅企業への融資を
充実するよう配慮するとともに、公害対策、都市再
開発、
地方開発等において生活優先の融資に努めること。
一、融資案件の選定にあたつては、
政府施策間の斉合性ならびに他の
政府関係金融機関との業務分野の
調整に考慮を払いつつ、絶えず時代の緊急な要請に即応する分野に融資の重点を指向するよう一層配意すること。
一、
経済社会環境の急速な進展に対応し、新たな融資分野において開銀の果すべき役割の重要性にかんがみ、
現行制度について基本的に検討すること。
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