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春日委員 そういうエキスペリエンストならばなおさらのことなんだ。いまあなたが言われたことはサギをカラスと言いくるめようとする、詭弁もはなはだしいものである。よろしいか。
納税者というものは自分が
課税をできるだけ正当に受けるために、さらにわかりやすくいうならば、安く
課税を受けるために、自分の有利な材料を出ししぶるということはあり得ないのである。自分に有利な材料は、損金算入をすべきだとか、ああだとかこうだとかいう材料は、常識論として当然ありとあらゆるものを充実してこれを
課税当局に提示するのは人情の必然である。いまあなたは、第一次
課税の時点においてはそういうような
資料を欠いておったと言われるけれ
ども、私もこの大蔵
委員会に十八年間すわり込んでおる。まだ君
たちがあちらこちら歩いていた小坊主のときからぼくはここでこの論議をやっている。だから、徴税行政の問題点の
実態については、しばしば白熱の論戦が行なわれてきた。いまあなたは、そういうような減額更正がなされたという原因が大部分のものはすなわち本人の
資料が不足しておった、自業自得だと言わんばかりである。もしもあなたがそうだというならば、私が知っておる
事例だけでも、新しい判例、新しい
通達、いろいろなものを提示することによってその権利救済がなされたところの
事例、枚挙にいとまがない。あなたは査察として、とにかく取らんかな取らんかな、すなわち鬼のごとき細見君であったわけだ。平静なる
課税行政の責任者であった経験はほとんど無にひとしい。したがって、あなたはそのようなたわけたことを言いたくなるのかもしれないけれ
ども、私
ども、十八年間大蔵
委員会にすわり込んで真剣に徴税行政と取り組んできた者の判断からすれば、貴殿の答弁のごときはまことに牽強付会もはなはだしきものである。
吉國君の答弁を求めます。それは御両所
お互いに対立してもよろしい。真剣に国家と国民のために政策を論じましょう。いま細見君の答弁は、減額更正が行なわれた主たる原因は本人が第一次
課税の当時、
資料の
提出を怠っていたから、自業自得でそうなったんだ、
あとでそのような
資料を
提出したことによってエクスキューズがなされたんだ、こう言わんばかりの答弁であったが、はたして減額更正の
実態はそのような内容のものであるかどうか。いままで
税務署が決定したものをその後協議団でいろいろと精査をする、そのときには
法律のみならず、政令、
通達、判例、あらゆるものを網羅して、あらためて判断を願ったときに、第一次のときは誤っておったのである、こうあるべしというのが減額更正の
実態である。減らしたといって、それは何らの恩恵ではないのである。
税金はゆえなくして、
法律の根拠なくしてまけられるべき筋合いのものではない。したがって、
法律に基づいて、誤っておったから直すんだ。こういうことなんだから、いま細見君が言われたような、鬼の査察部長の経験でもってそのような意見を述べられては、徴税行政を正しいものに
改善、改革するためのわれわれの政策論議に有害である。いかがでありますか。