○伊藤(卯)委員 私が、
政府はお葬式のほうだけ力を入れて、若い者が生々発展することのビルドに力を入れておらぬではないかと言ったことについては、
大臣もお認めになったようです。ただ、やかましくなってきたものですから、したがって、今後大
夕張とか清水沢あるいは日鐵有明鉱区であるとかいう点をようやく、これはやむにやまれず、押されてきて、
政府が取り上げようとしておるということではないかと思います。しかし、いまからだっておそいわけではありませんから、私が申し上げたような点に積極的に
政府は力を入れてやってもらいたいという、これは私の切望です。
それから、そういう山の
体制ができましても、山に働いてくれる従業員の
人たちが、若い
人たちが山にどんどん入ってくれるというような状態にならないと、山は膨大な
資金を投資して、そうして新
鉱開発した、あるいは隣の鉱区も合併さしてやらしたとしても、働く者がいなくなってしまったのではこれはどうしようもないのですね。そこで、いま
炭鉱従業員の
人たちの平均年齢が、大体私は四十五年には四十歳になると思っております。それからその後
閉山になった山から、五十歳以下の人は、関西地方、中部地方にどんどん求人を申し込んで連れていく。先般、麻
生産業の吉隈三坑という
炭鉱がございます。これは千四百人おる
炭鉱で、
企業ぐるみ閉山になったんですが、千四百人しかおらぬところに二万何千人の求人申し込みがあった。ところが、それでも五十歳以下の者でなければ連れていかぬのです。ですから、老人はそこへ置き去りです。そういう点から、山には若い者はほとんどいないといってよろしゅうございます。山に現在おる職員や従業員の
人たちで、自分の子供を二代目として山に残そうかなんという者は一人もありません。他からもまた一人も入ってきません。ですからだんだん老朽化してしまう。だから、いまのままの形であるなら、もう十年もたったらおそらく養老院みたいになってしまって、そこには生気も、増産
計画も何もないと思うのです。一体どういうところから山にそういう若い
人たちがいなくなったかというと、それは
炭鉱に対して魅力がなくなったのです。第一は労働賃金が安過ぎるのです。これは
政府側に言わせると、いや、
炭鉱は請負だから非常に多く取るときもあるということを言う人もあります。しかし、そのかわりに非常に変動が激しいから、それを平均して私のほうで
調査したものを見ますと、大体において、大都会の近代工業の労働賃金の半分あるいは六〇%
程度です。平均して六〇%より高いところはありません。したがって、何といっても賃金の高いところに行くのはあたりまえの話です。さらにまた、期末手当な
ども大体都会の工場の半分です。いや半分どころではない、もっと以下の、二万円か三万円くらいしかやらぬところもある。いや、それもやらぬところもあるのです。退職金な
ども大体都会の工場の三分の一です。それでわれわれは、これではとても
炭鉱に足をとどめる人がなくなるぞというので、
炭鉱労働者には特別の老齢年金制度をつくれということを、これも超党派で各党一致してやったことです。ところが、これは五年後です。もう三年たっておりますから、あと二年たたなければならない。ところが、二年たって一カ月幾ら老齢年金をもらえるかというと、二千円です。しかも、それは
政府が出すのではなくて、
炭鉱経営者が自分の負担で出すのです。一体こんなばかばかしい年金制度というのがありますか。経営者が半分出すなら国も半分を出す、大体これは保険を
意味するものですから、そういうやり方が各国でもとられている例です。それからまた、
政府側に言わすと、厚生年金が、一般の人は二十年であるけれ
ども、
炭鉱労務者には十五年にして、厚生年金を二万円やれるのだ、こういうことを言っております。しかしながら、そんなに長くしんぼうして
——若い
人たちにはこういうのは魅力がないのです。若い
人たちに一番魅力があるのは、やはり労働賃金のいいこと、それから期末手当の多いこと、それからいろいろ優遇
措置を講じてもらうことです。以前には、
炭鉱は家賃も要らぬ、電気代も要らぬ、水道代も要らぬで、特別の福祉厚生施設があるからいいのだと言っておりました。昔はそれが通りました。しかし、いまは御存じのように、どこに行ってもりっぱなアパートをつくってやらなければ人が来てくれないということになっているでしょう。ところがまだ
炭鉱は、いまも昔式の長屋で、トイレが内についておらぬから、十戸建て、十何戸建ての戸数があるのに外便所ですよ。そういうところに子供を連れて行ったりする奥さんなんかやはり行きたくない。そういうところがまだ二割ないし三割ありますよ。ですから、
炭鉱に特別な福祉厚生施設があるからなんというのは何にもならぬ。むしろ都会のほうがかえってりっぱな施設を持っている。したがって私は、いま申し上げた労働賃金の問題、そういう問題について、やはり自分の子供も二代目としたい、あるいは外からも若い
人たちが来てくれるというような山にどうすればなるかといえば、やはり経営が健全でなければならぬ、利潤が生まれてくる経営でなければならぬ。一体いまの
炭鉱でそういう山がありますか。私がいま町方と比較すると悪いぞというのに対して、いや、町方並みにしてやれますという山があったらお聞かせください。ありはしませんよ。ですから
炭鉱経営者も、背に腹はかえられぬから、若い
人たちが来てくれぬからしかたがない、このままおじいさんみたいになってしまいます、こういうことを言っておるわけです。この若い
人たち、そういう
労働力がなければ、新
鉱開発をしましても、そこで働いてくれる人がありませんから、増産
計画は立たぬわけで、この点は私は、労働者の問題は労働省の問題、経営の問題は
通産大臣の所管でございますが、やはり
通産大臣と労働
大臣が経営と労働は一身同体であるということで明るく解決のできるようにされなかったならば、
炭鉱を若く生気みなぎる
炭鉱によみがえらせることは不可能だと思うのです。この点において労働、通産両
大臣が十分お話し合いをされて、国策として、閣議としてきめて、経営と労働とを若返らせようじゃないかという点において御相談願って、やれるかどうか、その点を
通産大臣と労働
大臣とが話し合いをして、解決しましょうというお
考えになれるかどうか、そういう必要性を認められるかどうか、この点をひとつお聞かせ願いたいと思う。