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佐藤(一)
国務大臣 この
公害の経費というものはやはり
企業が負担するのだ、これはもう動かしがたい大原則なんだ、こういうことなんでありまして、本来財政でもって負担するというのは、たとえばやはり中小
企業の問題であるとか特殊な問題を中心にして、それからまた先ほどいろいろな無過失論等もございましたけれども、今後一体どういう点でもって財政の負担が生ずるか、実はその限界も、率直に言いますと、これから具体的なケースに従って判断いたす以外ないと私は思っているのです。
先般、産業構造審議会の小
委員会でいわゆる負担の問題が
議論されまして、あれは私たちも読みましたけれども、これは非常に抽象的です。これはおそらくあらゆる種類の産業別ごとにいろいろな形の
公害というものが
考えられる。そしてまたその際における
企業の負担力、地域社会における
公害問題の重さ、あるいはまた、いわゆる地方団体、国との関係、こういうようなことで非常に関係が複雑でありますから、これを一律に、おそらく機械的に簡単に規定することが困難であったと思うのですが、やはり抽象論たらざるを得なかったように私は思います。これは、大きな原則を立てて、
あと具体的に
一つ一つ片づけていく、これ以外に私はないんだろうという感じを持ってあの報告を受け取っていたのですが、
企業の負担をどこまでするか、国の財政においてどういうふうなものを
考えるか、そういう
意味において、そう具体的に
最初からこまかく規定するということはなかなかできないのじゃないか。
問題は、やはり
政府のそれに対する御
指摘になった基本的な態度だと思います。もちろんそういう
意味においては、われわれはこれからほんとうに
公害問題を片づけていこうとしているのだから、それについて積極的に取り組んでまいりたい。ただ、そのために
公害債を発行するとか
公害税をつくるということがいいかどうかは、これは私は別問題だと実は思っております。現在
公害というものは、何か特別扱いのような感じになっていますが、実はもうそういう
段階をいま過ぎ去ろうとしていて、
公害というものをほかのものと同じように、とにかく特別扱いしないでわれわれとしてはこれから扱っていかなければならぬくらいに、もう不可欠の問題になってきている
段階でありますから、別に特別の税金や特別の公債を発行するまでもなく、もし必要ならば、現在の
一般の財政力の中からでも出せるものは当然出さなければならぬ、こういう
段階にきているわけなんですから、そうした新しい形のものをとるかどうかは、今後別の財政その他の見地から
検討すればいいことでありまして、そう特別に形をつくらないでも、私たちは
公害対策本部を中心にして具体的に片づけていくことができる、こういうふうに
考えております。
その際に、財政の負担について
政府の覚悟のほどを示せ、こういうお気持ちだろうと思うのであります。これはそういう
意味では、できるだけひとつ積極的に取り組んでいかなければならぬ。個々の問題については
企業の負担がまず先決である。
あとは事態に応じてひとつできるだけの積極的な取り組み方をする、こういうことに話は尽きてしまうのじゃないか、こういう感じがいたすものですから、先ほどのようなお答えになったわけでありますが、私はそれでいいのじゃないかと実は
考えているのです。いろいろな場合を想定して機械的にきめるということは、必ずしも事態の解決に適切でない場合もあるのじゃないか、こういう感じがいたします。
政府が対策本部をつくって積極的に取り組むのは、いま私が申し上げたような
意味で具体的に積極的に取り組む、こういうことを示しているのに十分だろう、こう
考えております。要は、これから
政府が具体的にどういうふうに政策を進めていくか、一にこれにかかっているわけでありますから、ひとつ十分また御批評、叱咤激励をいただければ幸いである、こう思っております。