○横山
委員 では、恐縮でございますが、あと二十六分くらいでありますからごしんぼう願いまして、次の問題に移ります。
次はマネプラの問題であります。マネプラというものは、
委員長はじめ同僚諸君あまり御存じないかもしれませんが、一言で言いますと、石油会社のエッソが
日本国内に約二千七百のガソリンスタンドを持っています。最近において、その二千七百の中でマネージャープラン方式というものを編み出しまして、それが驚くべき勢いで全国に発展をしておるわけであります。一言でマネプラ方式といいますのは、エッソが土地も買い、建物も建て、商品も貸し、あらゆる
準備をして、マネージャーとして、金がなくてもいいから私のスタンドをやってくれというやり方であります。しかし、このマネプラ方式はたいへん問題がございまして、独占
禁止法並びに商法違反の疑いがあることが
一つ。二つ目は、先進国が何か後進国へやってきて、そうしてかってな契約を示して、人間の弱みにつけ込んでマネプラを推進をするという、非
商業道徳的なものが含まれること。それから三つ目には、マネプラをやっておる
人たちは、結局自転車操業のようなことになって、スタンドの組合がきめております
調整規定、たとえば日曜祭日あるいは勤務時間等をじゅうりんをして、年じゅう無休、朝の七時から晩の二十四時まで働くということを余儀なくさせられる。売り掛け債権は全部エッソのもの、しかし貸し倒れがあったら全部マネージャーが
責任を持って弁償せよというようなのがマネプラ方式であります。人はよくこれを雇われマダムといいますけれ
ども、雇われマダムよりももっとひどいのがこのマネプラ方式であります。
きょう公取と
通産省においでを願いました。きょうの短い時間では、このマネプラについて両者の御見解を伺う時間がございませんので、私はこのマネプラの問題で、
法律上の問題点だけをこの際提起をしておきますから、次回の商工
委員会までに十分
調査をされ、また場合によればエッソを招いて、エッソに、私が指摘したような点について、
政府の見解を含めて善処を促し、その結果を次回の商工
委員会に御報告を願いたいと思います。以下、時間の
関係で指摘だけをしておきます。
この指摘は、最近エッソが、私が
検討しておるということを聞いたかどうか知りませんけれ
ども、全国一斉ではない、一部の
地域において、新しいサービスステーションマネージャー契約書なるものを示して、個別に切りくずしをしておる。この契約書に基づいて私は問題点を提起します。
第一に、代理商と書いてある。商法四十六条で「代理商トハ使用人ニ非ズシテ一定ノ商人ノ為ニ平常其ノ営業ノ部類ニ属スル取引ノ代理又ハ媒介ヲ為ス者」をといっておる。だから代理商ならエッソスタンダード石油株式会社の
関係は委託
関係である。もちろん従属
関係ではない。従属というのは指揮に服従する
関係である。だから、エッソに服従する必要はないのであるけれ
ども、形は代理商になっているけれ
ども、実際は従属
関係になっておるといっても言い過ぎではない。これが契約書を貫く第一の問題であります。
第二番目は、代理商だから、エッソの外にあって補助して、自分ももうけ、エッソももうけて働く義務がある、これが普通の代理商であります。ところがこの契約書はそうではない。完全にエッソの指揮、服従の
関係に立っておる。第四条に商品の委託販売の
項目がある。この委託販売については、売った代金の回収義務、つまり、ここにエッソから来た品物がある。おまえはこれを売れ、その回収を完全にしろ、しそこなったらおまえが払え、こういう委託販売のやり方であります。債権は全部エッソのものだよ、しかし取りそこなったらおまえが負担するものだよ、こういうやり方である。しかもガソリンは一キロリットル当たり、エッソがほかの
一般のスタンドに卸すよりも高く卸されておる。そしてそのコミッションを払うのであるからそれでいいのだ、家賃はあたりまえにもらう、地代はあたりまえにもらう、石油を売れ、おまえにはコミッションを渡す、こういうやり方になっておる。それから、別に定める委任された販売の掛け売り——掛け売りするについては十分な信用
調査、給油契約をとれ、
範囲を越える掛け売りについてはエッソの同意を得よ、給油所の掛け売りの総金額をきめる、こういうやり方でありますから、まさに、掛け売りをするについても金額制限、金額をこえたらエッソの承認、掛け売りがうまくいかなかったならば自分の
責任。ことごとく販売についてエッソの承認を得なければならぬ。委託販売のほかに預託販売というのがある。売ったとき、預託販売の場合にはエッソからスタンドを経て顧客に移転する。したがって、その預託販売の掛け売りのときには売り掛け金の所有権を持つという巧妙なやり方になっている。スタンドが保険をかけるときはエッソの指定する保険会社でやれ、金はエッソの同意をする金額以上にやれ、保険金はスタンドがそれでもって払え、こういうことは私はかって過ぎると思うのであります。
その次に第七条で、エッソの扱い商品以外に仕入れするときには、エッソが指定する銘柄を使え、それを変えるときはエッソの承認を得よ。この
項目は代理商の観念からはずれる。独占
禁止法三条に該当する。一二条というのは排他条件つき取引の項でありますが、それに反するのではないか。また独禁法は拘束条件つき取引を
禁止をしておる。これはマネージャーの
事業活動を不当に
規制をしておるのではないか。
それから十七条に、スタンドが給油所以外の営業をするときには、営業してはならぬと定められておる、この契約書に。つまり、自分がスタンドをやっておって、よその会社のスタンドをやるということには、確かにエッソの承認を得ることについては当然であろう。しかし、あらゆる職業についてはならぬというのは、いささか不当ではないか。
それから十七条に、そのスタンドは法人になってはいかぬと書いてある。法人になってはいかぬというのはどういう
意味かといいますと、御存じのように、売り上げがふえれば個人よりも法人のほうが税金が安くなる。だから、法人になりたいけれ
ども、法人になると、法人の資本金による限定
責任になるであろうから、このマネージャーに対してとことんまで追及することができないから、法人になることを
禁止するということらしい。
それからこの承諾書は、いつでも、いかなるときでも一カ月前にスタンドのマネージャーを首切れるということになっておる。一カ月前に、どういうようなときに契約解除をエッソがするかといいますと、いろいろあるけれ
ども、たとえば保証人。保証人が何かで問題が起こったときには直ちに首を切れる。保証人を首切るのではなくて、そのスタンドのマネージャーが首を切られるというのです。保証人が何か起こったら、保証人を変えればいい。エッソの契約書の保証人というのは、ちょうど身元保証人みたいに、あらゆることについて
責任が追及される保証人というのはいささか過酷ではないか。
二十三条にこういうことがある。裁判所が指定されている。エッソとスタンドに裁判が起こったとする。そうすると、この契約書によりますと東京地方裁判所が指定されている。九州のエッソのあるスタンドとエッソと紛争が起こったとき、東京の裁判所でエッソと裁判をやらなければならぬ。こんなばかげたことが一体あり得るだろうか。帳面も、問題点も九州のスタンドにある。そいつは九州にやったほうが裁判もやりやすい。費用もかからぬ。ところがエッソは、紛争が起きたときには東京の地方裁判所で裁判をやれということを契約書で要求している。まさにこれはひどいじゃないか。それならマネプラ契約なんかしなければいい。エッソの言い分によれば、おそらくこれは、あらかじめ見せてこれでいいと言った、自由に行なわれた契約だから文句は言えぬはずではないか、こう言うに違いない。そこがつけ目であります。何か先進国が後進国へやってきて、おれの土地、建物を貸してやるから、おまえさんは裸一貫でここで商売をやらぬかということで、喜んでつられてやる。つられてやることによって、こういうような過酷な条件をしいられておる。たとえばガソリンがそうだ。普通のディーラーですと、リッター四十九円である。利益が一リッター当たり七円。ところがマネプラの場合には、一リッター当たり四円しか利益がない。なぜかというと、仕入れ値段が、エッソから普通のところへ行くよりも、マネプラへ来るほうが仕入れ値段が高いから。それからモーターオイルにしますと、ディーラーの場合には二百七十五円であるけれ
ども、マネプラの場合には百七十五円しか利益がない。こういうようなことでは、土地も建物も商品も貸してくれるなら私やりましょうかというて、この契約書がどんな結果をもたらすかを知らずに、ひとつやろうということで飛び込んだマネプラの諸君は、もう休日も祭日もない、夜の夜中まで、二十四時まで働いて、そうして結果としては、エッソはいささかもその商売が失敗したって損はない。エッソの場合には、商品を貸す、売り上げはもう優先的にエッソが取る。その店がつぶれようがエッソには何の損害もない。そうして損害が起きたときには、マネプラのマネージャーの損害として残るだけである。だからこのマネプラ方式はエッソにとって非常な利益をもたらしている。国内の元売りの諸君はそれならなぜマネプラ方式をやらないだろうかといいますと、国内の元売りの諸君は、それはとてもそんな非道徳なことはやれぬと、こう言っておるのです。ほかの
日本石油や、そういうようなところは、とてもそんな非道徳なことはやれませんよ、長い商売をやるのにと、こういうような状況なんであります。
だから、私は、この
意味において、このマネプラ方式について独禁法及び商法違反の疑いがあり、それ以前にきわめて非道徳なやり方ではないか。何か聞くところによりますと、エッソのこういうようなものについては、本国、つまり
アメリカにおける本社の
規制でオーストラリアでやりかけたけれ
ども、反撃があってやめちゃった。今度はインドでやるそうでありますが、
日本において発展をしつつあるこのやり方というのは、いかにも非道徳な点があるということを指摘をいたしまして、ひとつ公取並びに
通産省においては、最初に申しましたように、一ぺん十分に新しい契約書を
検討して、できればエッソと話し合って、次の商工
委員会において
政府の見解を伺いたい、こういうわけでありますが、よろしゅうございますか。