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石川委員 まあ、そういうふうに答えないと政治的にはまずいということで、おそらくお
考えになっておるだろうとは思うのでありますけれども、
造船あるいは
合成繊維、
化学肥料、
雑貨、
産業機械というようなもの、あるいは
弱電関係もかなり
影響があるのじゃなかろうか、こう思っておりますけれども、その中で
統一ブランドの中に出てくる問題といたしましては、
雑貨品の
関係、
労働集約でありまして
賃金の
引き下げる
余地がほとんどない、あるいは
省力――その
産業に
機械に置きかえるというような
余地もほとんどないというようなものは、特に大きな
影響を受けるのではなかろうかというふうに私
個人としては
考えておるわけであります。
造船なんかは、一応これをやりますと、一〇%
切り上げをされても九十億円損をするというようなことで、五%やっただけでも十一社の利益の大体二年半分くらいは飛んでしまうというようなことがあるようで、たいへん大きな
影響がありそうに思うのでありますけれども、これはつぶさに調べてみますと、
平価の変更に備えて、必ず
スライド条項というものを適用するというようなことがあるようでありますから、私は大
企業のものについては、世の中でいわれているほどの
影響はそれほどない――もちろんないとは言えませんけれども、むしろ問題は、
中小企業の弱小と言えるかどうかわかりませんが、そういう
輸出産業が特に
影響を強く受けるのじゃないか、こういう心配をいたしております。
まあ言ってみれば、私は
シミュレーションをいろいろ見せてもらったのでありますけれども、これによるところの、
平価切り上げをしたほうがいいんだというような数字が、あちこちに散見されるわけなんです。そこで私は、非常にふしぎというよりは、どうもわからないと思うのは、この
輸出関係の
価格は、
切り上げをやりましても、下降はするけれども
価格弾性というものはゼロだというような
見通しで、ここに非常に問題があるということがあるから
輸入はふえないのだ、そうやっても
輸入はふえないのだ。ということは、せっかく
平価切り上げによってもたらされるであろう国内の
価格、
物価の
引き下げというものに役に立たないであろうという逆な結果が、これから出てくるのではなかろうか。こういう点で私は、初めは
シミュレーションを見ているうちは、
平価切上げというものは
結論的にはやっぱりやるべきではないかという
考え方が、だんだん具体的な
政策に移しかえていった場合に、簡単にこれは
平価切り上げということにはなり得ないというような
考え方に傾きつつあるわけです。私
個人としては
結論は出ておりません。したがって、この問題につきましては、これからもいろいろな
機会でもって、よく国会の場でも討論をしなければならぬ重要な課題になるのではないかと思っておるわけであります。
平価切り上げを肯定する側におきましても、この円の
切り上げと
輸入・
資本の
自由化とは二者択一ではないわけで、
前提としては、
輸入の
自由化、
資本の
自由化というものが伴わなければ、総合的な
意味での
円貨切り上げによるところの効果というものは期待はできないということにならざるを得ないのではないか。そういうことと、あるいは政治的な
圧力でもって、これに屈服をした形での
平価切り上げなどというものは絶対にやるべきではない。総合的な
長期計画のもとに、
日本独自の
展望の中で、経済的な原因に準拠した形でもって、
平価切り上げというものは、やるとしてもしなければいけない性質のものではないんだろうかというように
考えますし、また、
世界景気が大きく後退でもしない限りは、ことしの末か今年度の末か
あたり舞は、かなり具体的な力となって
平価切り上げを迫られるということになってくるのではないかということをあわせて、私は一方では
懸念をしているわけであります。
そういう点で、
外貨準備というものはどんどん
積み増しになるんだというようなことが一般的に流布されておりますけれども、最近の
貿易の伸びというものは、若干、どうも当初に予定されたほどではなさそうな傾向を感ずるわけです。しかしながら、四十五年度の大体の
見通しが
経済企画庁から
閣議決定として出されておりますけれども、それを見まずと、いろいろこまかい内訳について意見はありますが、
総合収支としては、十億七千万ドル、これが結局プラスになるんだということになっておるわけでございます。ところが、
銀行あたりの
調査によりますと、去年のうちに、あまり
外貨が
積み増しになったのでは困るということで、
外貨を減らすという
対策をとっております。これは、
外国為替銀行のいわゆる
円シフトというものがあるし、世界銀行への
貸し付けもあるし、それから
参加債務証書の引き受けもあるし、それからガリオア、エロアの返済を急いだ、それから世銀の
貸し付けというものも増したというようなことの総計が大体十三億ドルから十五億ドルくらいではないか、こういわれておるわけです。そうなりますと、現在は大体三十九億ドルをこしておると思うので、そういうふうな
外貨減らしの特別な
対策がなければ、現時点ですでに五十億ドルになっておるということになるわけです。しかも今度は、それ以上に
外貨減らしの
政策というものは、そう
余地が多くはならないんじゃないか。短期の
円シフトなどでは、とうていそういうふうな大
規模な
外貨減らしということは
考えられませんので、
総合収支の十億七千万ドルというのは少し少な過ぎるのではないかという気がしてならないのです。そうなれば、いやおうなしに
外貨減らし方策ができないということとかてて加えて
考えますと、五十億ドルを優に突破をするという時期はそう遠い将来ではなくて、今年じゅうにきてしまうんじゃないかというような気がしてならないのでありますけれども、その辺の
見通しについては、
通産大臣及び
経済企画庁長官、どういうふうにお
見通しになっておりますか、伺いたいと思います。