○後藤
政府委員 お答えを申し上げます。
全般に、現在輸出
検査法によりまして不合格が出てまいりますものは、私の記憶では三%ちょっとくらいのところかと存じます。ただ、統一商標法に基づきます
検査と、それから輸出
検査法に基づきます
検査とは、これは申すまでもないことでありますが、そのレベルが違うわけであります。輸出
検査法というのは、輸出品として外へ出してもいい、言うなればこういう最低
基準をきめておるわけであります。ところが、この統一商標法におきましては、認定いたしました統一商標をつけてそれが海外に出ていって、これは優良品である。したがって、言うなれば安かろう悪かろうという感じじゃなしに、よかろう高かろうという
ことばが適当かどうか存じませんが、そういうイメージをつくらせるための統一商標でございます。したがいまして、
検査はおそらく現在輸出
検査法に基づきます
検査機関がこれをいたすことになるのがほとんどであると存じますが、そのレベル自体は違ってまいると存じます。したがいまして、これは申すまでもないことでございますが、統一商標法による
検査に合格いたしましたものは、さらにそれよりレベルの低い輸出
検査法の
検査を受ける必要はございませんので、これは両方の
検査は兼ねられるというわけになってまいります。したがいまして、まだこれは実施いたしておりませんので、はっきり教字はわれわれにも予測がつきかねますが、輸出
検査法による
検査の不合格率よりも、そうでないほうが望ましいのでありますが、あるいは統一商標法による
検査の不合格率のほうが若干上回るのではないかというような予想もございます。しかしながら、また逆に
考えますと、この統一商標を
自分たちの商品につけて海外にそういった優良品を売り出し、そのイメージアップをはかって価格を上げていきたいという
業界は、やはりそれだけの自覚をいたしてこの統一商標規定の認定ということを申請してまいるわけでありますから、逆にまた、そういった自覚がある
業界ではそういう不合格品が出てくることがあるいは少ないかと、実はプラス、マイナス両方
考えておるわけでございますが、ちょっと現在のところ予想がつきかねます。
そこで、御
指摘のこの不合格品をどうするかという問題でありますが、従来の輸出
検査法では、これは
検査法による
検査不合格になったものは、もう一度やり直しをいたしまして、そしてもう一度再
検査を受ける、あるいはそのまま廃棄
処分にしてしまう。かえってそのほうがコスト等で節約できるというのが大部分のようでございます。しかしながら、さらに輸出
検査法よりももっと高いレベルでの統一商標法による
検査不合格品というのは、外には出られなくても、国内で売っても差しつかえない、国内ではまだ買い手があるものが出てくる可能性が十分にあると思います。これは外国の立法例でございますが、私
どもが模範といたしましたゾリンゲンのあの特別法では、国内、国外を通じてゾリンゲンのマークをつけるようにいたしておるわけであります。このたびの統一商標法によりましては、外向けの
検査に合格したものだけにこれをつけさして、国内ではあるいはその不合格品が売られても、その辺についてはチェックはいたしていない、こういう
事態になっております。これは、公権力によって輸出してはいかぬというのを国内の販売禁止にまで及ぼすというのは、公権力の過剰な行き方であるというように理解されますので、外向けのみをもっぱら
対象として
考えて、国内は自由な取引にまかせるという法の仕組みにいたしたわけでございますが、ただこれは法律でチェックいたさなくても、たとえば統一商標を使いたいという団体の構成員、あるいはその団体から統一商標使用の許諾を受けたアウトサイダー、これが使える
人たちは、その統一商標権を持っておる団体と契約を結ぶわけであります。その契約において、そういうものを国内的にも流すな、もし誤って国外へ流出していくことによってその商品全体の声価を下げる場合があり得るというぐあいにその団体のほうで自覚が十分でありますと、その契約面を通じて私的なベースでこれがチェックされていく、かように
考えております。